(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】複数の内視鏡及び撮像チップ内視鏡を備えたアブレーションカテーテルならびに内視鏡画像の配向を変更するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231122BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20231122BHJP
A61B 18/24 20060101ALI20231122BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20231122BHJP
A61B 18/04 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A61B1/00 621
A61B1/045 610
A61B1/045 622
A61B1/045 641
A61B18/24
A61M25/10
A61B18/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528199
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021058976
(87)【国際公開番号】W WO2022103958
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516317447
【氏名又は名称】カーディオフォーカス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メルスキー,ゲラルト
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,リンカーン
(72)【発明者】
【氏名】エスタブルック,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】オストロフスキー,スーザン
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C026AA03
4C026FF58
4C160KK03
4C160KK04
4C160MM33
4C160NN01
4C161AA21
4C161BB02
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD04
4C161FF36
4C161HH56
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4C161WW06
4C267AA06
4C267BB02
4C267BB27
4C267BB47
4C267BB62
4C267BB63
4C267CC08
4C267DD01
4C267GG01
(57)【要約】
処置すべき領域の直接可視化下で処置を実施するためのアブレーションカテーテルは、カテーテルボディと、カテーテルボディに対して相対的に可動であるエネルギーエミッタとを含む。このアブレーションカテーテルは、処置すべき領域の直接可視化を行うための第1及び第2の撮像デバイスを含み、第1の撮像デバイスは、カテーテルボディに対して相対的に固定されている。第1及び第2の撮像デバイスは、第1及び第2の撮像チップ内視鏡の形式であり得る。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置すべき領域の直接可視化下で処置を実施するためのアブレーションカテーテルであって、
カテーテルボディと、
前記カテーテルボディに対して相対的に可動であるエネルギーエミッタと、
処置すべき前記領域の直接可視化を行うための第1及び第2の撮像デバイスとを備え、
前記第1の撮像デバイスは、前記カテーテルボディに対して相対的に固定されている、前記アブレーションカテーテル。
【請求項2】
前記第1の撮像デバイスは、第1の撮像チップ内視鏡を含み、前記第2の撮像デバイスは、第2の撮像チップ内視鏡を含む、請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項3】
処置すべき前記領域は、肺静脈の小孔を含む、請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項4】
前記第1の撮像デバイスは、前記第2の撮像デバイスから軸方向にオフセットされている、請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項5】
前記第1の撮像チップ内視鏡は、前方向き内視鏡を含み、前記第2の撮像チップ内視鏡は、側方向き内視鏡を含む、請求項2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項6】
前記第1の撮像チップ内視鏡は、90度から130度の間の第1の視野を有し、前記第2の撮像チップ内視鏡は、60度から130度の間の第2の視野を有する、請求項5に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項7】
処置すべき前記領域を選択的に照明するための照準ビームをさらに含み、前記第2の撮像チップ内視鏡は、前記照準ビーム、前記照準ビームが照明している組織、及び周囲の組織領域の視界を提供し、それにより、前記カテーテルボディの調整なしでアブレーションを実施することを可能にする、請求項5に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項8】
前記第2の撮像デバイスは、前記カテーテルボディに対して相対的に固定されており、前記第1の撮像デバイスから円周方向にオフセットされている、請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項9】
前記第2の撮像デバイスは、前記第1の撮像デバイスから180度に配向されている、請求項8に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項10】
前記第2の撮像デバイスは、前記第2の撮像デバイスが前記エネルギーエミッタに連動して軸方向及び回転方向に動くように、前記エネルギーエミッタに固定連結されており、且つそれに対して遠位に位置付けられている、請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項11】
前記第1の撮像チップ内視鏡の視野が、第1のブラインドスポットエリアを有し、前記第2の撮像チップ内視鏡は、前記第1のブラインドスポットエリアの視界を提供するように配向されている、請求項2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項12】
前記第2の撮像チップ内視鏡は、視野を有し、前記第2の撮像チップ内視鏡は、前記照準ビームが前記第2の撮像チップ内視鏡の前記視野の中央領域にあるように位置決めされている、請求項2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項13】
前記第1の撮像チップ内視鏡は、前記エネルギーエミッタの後方に常に位置付けられており、前記第2の撮像チップ内視鏡は、前記エネルギーエミッタの前方に常に位置付けられている、請求項2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項14】
外科手技中に受信された内視鏡画像の配向を変更するためのコンピュータ実装方法であって、
グラフィカルユーザインタフェースを備えて構成された少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、第1のマーカーを含んで構成され且つ外科手技中にキャプチャされたカテーテルの画像を提供することであって、前記カテーテルがそれぞれの配向にある、前記カテーテルの画像を提供すること、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記第1のマーカーに対応し、且つ前記グラフィカルユーザインタフェースに含まれる少なくとも1つのコントロールに応じて回転可能である第2のマーカーを提供することであって、前記第2のマーカーが、前記カテーテルとは異なる配向で現れる、前記第2のマーカーを提供すること、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、前記グラフィカルユーザインタフェースにおいて受信された少なくとも1つの選択に応答して、前記カテーテルの前記配向と一致するように前記第2のマーカーの前記配向を変更すること、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記第2のマーカーの前記変更された配向に応答して、前記内視鏡画像の少なくとも遮断された部分を表現する第1の形状を自動的に提供することであって、前記第1の形状がそれぞれの配向にある、前記第1の形状を自動的に提供すること、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記グラフィカルユーザインタフェースに含まれる少なくとも1つのコントロールに応じて回転可能である第2の形状の表現を提供することであって、前記第2の形状が、前記第1の形状とは異なる配向で現れる、前記第2の形状の表現を提供すること、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、前記グラフィカルユーザインタフェースにおいて受信された少なくとも1つの選択に応答して、前記第1の形状の前記配向と一致するように前記第2の形状の前記配向を変更すること、ならびに、
前記第2の形状の前記変更された配向に応じて、表示デバイス上に提供される前記内視鏡画像の配向を変更することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記第1及び第2のマーカーのうちの少なくとも1つが、非対称マーカーであり、前記第1及び第2の形状のうちの少なくとも1つが、パイ形状ウェッジである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のマーカー及び前記第2の形状のうちの少なくとも1つの前記配向を変更することは、回転を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記内視鏡画像の前記配向を変更することは、少なくとも1つの面をそれぞれの位置に配置するために前記画像を回転させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの面は、上側面であり、前記それぞれの位置は、12時の位置である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記カテーテルの前記画像は、蛍光透視法デバイスから受信される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコントロールは、グラフィカルノブ、グラフィカルボタン、及びグラフィカルメニューオプションである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
外科手技中に受信された内視鏡画像の配向を変更するためのコンピュータ実装システムであって、
1つ以上の命令を含んで構成された少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備え、
前記1つ以上の命令は、実行されると、前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスに、
グラフィカルユーザインタフェースを介して、第1のマーカーを含んで構成され且つ外科手技中にキャプチャされたカテーテルの画像を提供することであって、前記カテーテルがそれぞれの配向にある、前記カテーテルの画像を提供すること、
前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記第1のマーカーに対応し、且つ前記グラフィカルユーザインタフェースに含まれる少なくとも1つのコントロールに応じて回転可能である第2のマーカーを提供することであって、前記第2のマーカーが、前記カテーテルとは異なる配向で現れる、前記第2のマーカーを提供すること、
前記グラフィカルユーザインタフェースにおいて受信された少なくとも1つの選択に応答して、前記カテーテルの前記配向と一致するように前記第2のマーカーの前記配向を変更すること、
前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記第2のマーカーの前記変更された配向に応答して、前記内視鏡画像の少なくとも遮断された部分を表現する第1の形状を自動的に提供することであって、前記第1の形状がそれぞれの配向にある、前記第1の形状を自動的に提供すること、
前記グラフィカルユーザインタフェースを介して、前記グラフィカルユーザインタフェースに含まれる少なくとも1つのコントロールに応じて回転可能である第2の形状の表現を提供することであって、前記第2の形状が、前記第1の形状とは異なる配向で現れる、前記第2の形状の表現を提供すること、
前記グラフィカルユーザインタフェースにおいて受信された少なくとも1つの選択に応答して、前記第1の形状の前記配向と一致するように前記第2の形状の前記配向を変更すること、ならびに、
前記第2の形状の前記変更された配向に応じて、表示デバイス上に提供される前記内視鏡画像の配向を変更することを行わせる、前記システム。
【請求項22】
前記第1及び第2のマーカーのうちの少なくとも1つが、非対称マーカーであり、前記第1及び第2の形状のうちの少なくとも1つが、パイ形状ウェッジである、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2のマーカー及び前記第2の形状のうちの少なくとも1つの前記配向を変更することは、回転を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記内視鏡画像の前記配向を変更することは、少なくとも1つの面をそれぞれの位置に配置するために前記画像を回転させることを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの面は、上側面であり、前記それぞれの位置は、12時の位置である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記カテーテルの前記画像は、蛍光透視法デバイスから受信される、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのコントロールは、グラフィカルノブ、グラフィカルボタン、及びグラフィカルメニューオプションである、請求項21に記載のシステム。
【請求項28】
外科手技中に受信された内視鏡画像の配向を変更するためのコンピュータ実装方法であって、
(a)第1のマーカーを含んで構成され且つ外科手技中にキャプチャされたカテーテルの画像を提供することであって、前記カテーテルがそれぞれの配向にあり、前記カテーテルが、前記内視鏡画像を提供する少なくとも1つの撮像デバイスを含む、前記提供すること、
(b)少なくとも1つのコンピューティングデバイスにより、グラフィカルユーザインタフェースにおいて受信された少なくとも1つの選択に応答して、ステップ(a)でキャプチャされた前記カテーテルの前記画像及び前記画像中の前記第1のマーカーの配向に基づいて、前記配向内視鏡画像を変更すること、ならびに
(c)前記変更された配向内視鏡画像をディスプレイ上に表示することであって、前記変更された配向内視鏡画像がリアルタイムビデオストリームを含む、前記表示することを含む、前記方法。
【請求項29】
ステップ(a)で提供される前記画像は、蛍光透視法によって生成され、前記第1のマーカーは、非対称放射線不透過性マーカーを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ステップ(b)は、前記配向内視鏡画像内に描写される標的組織の上側部位が、前記変更された配向内視鏡画像の最上部に位置決めされるように、前記配向内視鏡画像を変更することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記配向内視鏡画像は、第1の撮像デバイスからの結合された第1のリアルタイムビデオストリームと、第2の撮像デバイスからの第2のリアルタイムビデオストリームとを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の撮像デバイスは、第1の撮像チップ内視鏡を含み、前記第2の撮像デバイスは、第2の撮像チップ内視鏡を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の撮像デバイスは、前記第2の撮像デバイスから軸方向にオフセットされている、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の撮像チップ内視鏡は、前方向き内視鏡を含み、前記第2の撮像チップ内視鏡は、側方向き内視鏡を含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記第2の撮像デバイスは、カテーテルボディに対して相対的に固定されており、前記第1の撮像デバイスから円周方向にオフセットされている、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年11月12日出願の米国特許出願第63/112,895号に対する優先権及び利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込むものである。
【0002】
本開示は、処置すべき領域の直接可視化下で処置を実施する目的のために人体に導入されるカテーテルを対象とし、より詳細には、心房細動と呼ばれる医学的状態を処置する目的のために直接可視化下で左心房のエリアにレーザーエネルギーを供給する、心臓の左心房に導入されるバルーンカテーテルに関する。最も一般的には、処置エリアは、肺静脈が左心房に接合する場所に近い領域である。そのような手技は肺静脈隔離術と呼ばれる。効果的な肺静脈隔離術を遂行するためには、各肺静脈の小孔周囲の連続した組織の輪にレーザーエネルギーを適用しなければならない。レーザーエネルギー適用の目標は、肺静脈と心房腔との間の電気信号の伝達をブロックする瘢痕組織を生成することである。別の態様において、本開示は、ユーザが表示デバイス上で内視鏡チップカメラからのリアルタイムビデオストリームを操作することを可能にする、内視鏡チップカメラ(複数可)を備えたカテーテル、画像信号処理デバイス、画像回転処理デバイス、及び表示デバイスを含むシステムを記載する。
【背景技術】
【0003】
肺静脈隔離術のための内視鏡ガイド下レーザーバルーンアブレーションに利用可能な現在のデバイスは、遠位端にバルーンを、近位端にハンドルを備えた、マルチルーメンカテーテルからなる。1つのルーメン内の光ファイバが、カテーテルを通してバルーンにレーザーエネルギーを供給し、これをバルーン表面に向かって放射状に発射させる。レーザーファイバに加えて、カテーテルの第2のルーメンを通して挿入される光ファイバ内視鏡がある。内視鏡は、カテーテルの操作者がバルーン表面を可視化し、それにより、バルーン表面のうち、レーザーエネルギーで処置することが所望される心房組織に接触する部分にレーザーエネルギーを照準することを可能にする。そのようなシステムは、Melsky et al.(米国特許第9,421,066号(‘066特許)及びMelsky et al.(米国特許第9,033,961号(‘961特許)に記載されており、これらは各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
1つの実施形態において、処置すべき領域の直接可視化下で処置を実施するためのアブレーションカテーテルは、カテーテルボディと、カテーテルボディに対して相対的に可動であるエネルギーエミッタとを含む。このアブレーションカテーテルは、処置すべき領域の直接可視化を行うための第1及び第2の撮像デバイスを含み、第1の撮像デバイスは、カテーテルボディに対して相対的に固定されている。第1及び第2の撮像デバイスは、第1及び第2の撮像チップ内視鏡の形式であり得る。1つの実施形態において、第1の撮像デバイス及び第2の撮像デバイスは、カテーテルボディに固定連結されており、それに対して相対的に動かず、第1及び第2の撮像デバイスは、円周方向にオフセットされている。別の実施形態では、第1の撮像デバイスは、カテーテルボディに対して相対的に固定されており、第2の撮像デバイスは、カテーテルボディに固定連結されておらず、代わりにそれに対して相対的に可動である。例えば、第2の撮像デバイスは、カテーテルボディに対して相対的に軸方向及び回転方向の両方に動くことができる。1つの実施形態において、第2の撮像デバイスは、第2の撮像デバイスがエネルギーエミッタに連動して軸方向及び回転方向に動くように、エネルギーエミッタに固定連結されており、且つそれに対して遠位に位置付けられている。
【0005】
内視鏡画像の配向を変更するためのシステム及び方法。第1のマーカーを含んで構成されたカテーテルの画像が、外科手技中にキャプチャされ、提供される。第1のマーカーに対応する第2のマーカーは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)コントロールを介して回転可能である。GUIにおける選択に応答して、第2のマーカーの配向が、カテーテルの配向と一致するように変更される。内視鏡画像の遮断された部分を表現する第1の形状が、それぞれの配向で提供され、回転可能な第2の形状が、第1の形状とは異なる配向で提供される。GUIにおいて受信された選択に応答して、第2の形状の配向が、第1の形状の配向と一致するように変更される。その後、表示デバイス上に提供される内視鏡画像の配向が、第2の形状の変更された配向に応じて変更される。
【0006】
本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複写は、要請及び必要な手数料の支払いに応じて特許庁より提供される。
【0007】
本発明を例示する目的のために、本発明のある特定の実施形態が図面に描写されている。しかし、本発明は、図面に描写された実施形態の厳密な構成及び手段に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】単一の内視鏡を備えた従来のアブレーションカテーテルの側面図である。
【
図2】A及びBは、カテーテルが患者の肺静脈内に配置されたときに透明ポリマーカテーテルボディ自体及びエネルギーエミッタの存在によって生じる視界遮断エリアを示す、
図1のカテーテルの内視鏡の正面図を示す画像である。
【
図3】非対称マーカーを示すカテーテルの側面図である。
【
図4】A~Dは、バルーンを患者の解剖学的構造に対して相対的に様々に回転させたバルーン及び非対称マーカーの図であり、特に、Aは、上側位置におけるバルーン及び非対称マーカーを示し、Bは、前側位置におけるバルーン及び非対称マーカーを示し、Cは、下側位置におけるバルーン及び非対称マーカーを示し、Dは、後側位置におけるバルーン及び非対称マーカーを示す。
【
図5】A~Dは、
図4A~4Dの非対称マーカーの解剖学的配向に対応するパイウェッジ形状領域の配向を示す内視鏡画像(例えば、ライブフィード)の概略図であり、特に、Aは後側位置を示し、Bは前側位置を示し、Cは下側位置を示し、Dは後側位置を示す。
【
図6】第1の実施形態による、2つの前方向き撮像デバイス(例えば、2つの前方向き撮像チップ内視鏡)を含むバルーンカテーテルの断面図である。
【
図7】Aは、第1の前方向き撮像チップ内視鏡(例えば、「左」撮像チップ内視鏡)によってキャプチャされた例示的ビデオストリームの画像であり、Bは、第2の前方向き撮像チップ内視鏡(例えば、「右」撮像チップ内視鏡)からの反対の視界を示す例示的ビデオストリームの画像である。
【
図8】Aは、第1の前方向き撮像チップ内視鏡からの視界を示す別の画像であり、Bは、第2の前方向き撮像チップ内視鏡からの視界を示す別の画像である。A及びBに図示されるように、第2の前方向き撮像チップ内視鏡(B)では、照準ビームが部分的に画像の遮蔽部分の後ろにあるが、第1の対向する撮像チップ内視鏡(A)では、同じ照準ビームが完全に見えている。
【
図9A】
図9A及び9Bに示される各画像の最上部に標的組織の上側面を位置付けるために、
図8A及び8Bの画像を所定の度数回転させたものに対応する。
【
図9B】
図9A及び9Bに示される各画像の最上部に標的組織の上側面を位置付けるために、
図8A及び8Bの画像を所定の度数回転させたものに対応する。
【
図9C】
図9C及び9Dに示される各画像の最上部に標的組織の上側面を位置付けるために、
図8A及び8Bの画像を単一の画像として一緒に所定の度数回転させたものに対応する。
【
図9D】
図9C及び9Dに示される各画像の最上部に標的組織の上側面を位置付けるために、
図8A及び8Bの画像を単一の画像として一緒に所定の度数回転させたものに対応する。
【
図10】第2の実施形態による、1つの前方向き撮像デバイス(例えば、前方向き撮像チップ内視鏡)及び側方向き撮像デバイス(例えば、側方向き撮像デバイス)を含むバルーンカテーテルの断面図である。
【
図11】Aは、
図10の前方向き撮像チップ内視鏡からの視界を示す画像であり、Bは、
図9の側方向き撮像デバイスを示す画像である。
【
図12】第2の実施形態によるバルーンカテーテルの断面図であり、カテーテルの中央シャフトを基準として前方向き撮像デバイスの正反対にある部位に照準ビームが向けられている。
【
図13】Aは、
図12の前方向き撮像チップ内視鏡からの視界を示す画像であり、Bは、
図12の側方向き撮像デバイスを示す画像である。
【
図14】内視鏡チップカメラ(複数可)を備えたカテーテル、画像信号処理デバイス、画像回転処理デバイス、及び表示デバイスを含むシステム図である。
【
図15A】画像回転処理デバイスによって提供され得る例示的回転ツール及び例示的グラフィカルユーザインタフェースの1つの使用状態を示す。
【
図15B】画像回転処理デバイスによって提供され得る例示的回転ツール及び例示的グラフィカルユーザインタフェースの1つの使用状態を示す。
【
図15C】画像回転処理デバイスによって提供され得る例示的回転ツール及び例示的グラフィカルユーザインタフェースの1つの使用状態を示す。
【
図16】グラフィカルユーザインタフェースにおいて示される画像の配向を調整するための方法の広い態様を例示するルーチンを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
バルーンカテーテル
図1は、標的組織をアブレートするための従来型バルーンカテーテル10を示す。バルーンカテーテル10は、細長いボディ12及び拡張可能な可撓性バルーン14を含む。中央チューブ16は、チューブ内での軸方向運動と回転との両方が可能なエネルギーエミッタ18を収容することもできる。細長いボディ(本明細書ではカテーテルボディとも呼ばれる)の中には、ある特定のデバイスまたは器具を通すことのできる、複数の追加のルーメンがあってもよい。カテーテルボディは、蛍光透視による検出の助けとなる、臨床医がデバイスを適切に配置するのに役立つマーカー、例えば、放射線不透過性マーカー(例えば、
図3の非対称マーカー105)を備え得る。公知のように、蛍光透視法は、連続的なX線画像をモニタ上に示す医学的撮像の一種である。
【0010】
バルーンカテーテル10は、内視鏡20も有する。図示のように、内視鏡20は前方向きであり、中央チューブ16に隣接して配されている。中央チューブ16は、典型的には透明ポリマー材料から形成される。エネルギーエミッタ18は、中央チューブ16内で軸方向及び回転方向の両方に可動であり、したがってエネルギーエミッタ18は、典型的には内視鏡20の前方に位置付けられる。本明細書で使用される場合、前方向きという用語は、カテーテルボディに対して相対的に遠位方向における内視鏡の視界を指す。同様に、側方向きという用語は、カテーテルボディの側面から放射状に外向きの方向における内視鏡の視界を指す。
【0011】
解剖学的に、標的エリアに沿った部位は、上側、下側、前側、または後側にあるという観点から説明できる。公知のように、解剖学的には、上側という用語は、身体の頭部側に近い部位を表し、下側という用語は、頭部から離れた部位を表し、前側という用語は、前面を指し、後側という用語は、背面を指す。
【0012】
1つの実施形態において、標的組織は肺静脈である。公知のように、肺静脈は、酸素を含む血液を肺から心臓へ輸送する静脈である。最も大きな肺静脈は、各肺から2本ずつ心臓の左心房に流れ込む、4本の主肺静脈である。肺静脈隔離術は、心房細動と呼ばれる異常な心拍リズムを処置するための手技である。前述のように、肺静脈隔離術は、熱または冷たいエネルギーを使用して心臓に瘢痕を作り出し、異常な電気信号をブロックし、正常な心拍を回復する、心臓アブレーションの一種である。肺静脈隔離術では、左上心室において、4本の肺静脈が左心房に接続するエリアで瘢痕が作り出される。右肺静脈は、血液を右肺から心臓の左心房へと運び、左肺静脈は、血液を左肺から左心房へと運ぶ。
【0013】
バルーンカテーテル10が体内に配置されるとき、カテーテル10の回転配向はランダムである。それ故、内視鏡20によって可視化された後に、コンソールまたはコンピューティングデバイスの一部であり得るビデオディスプレイスクリーン上に表示される肺静脈の解剖学的構造(標的組織)の配向も、ランダムである。これは望ましくない。所望されるのは、肺静脈の解剖学的構造のような標的組織の配向を、ビデオディスプレイスクリーン上に、静脈の上側面がスクリーンの最上部に表示される配向で表示させることである。そのように配向された場合、結果として、静脈の下側面がスクリーンの最下部にあり、左肺静脈については静脈の後側面がスクリーンの左側にあり、右肺静脈については静脈の後側面がスクリーンの右側にあることになる。
【0014】
このようにビデオディスプレイ上の静脈の配向を解剖学的に正しくすることは、複数の理由で重要である。1つの理由は、静脈は後側面でより細く、前側面でより太い傾向があるということである。それ故、静脈をアブレートする際には、静脈の前側部分がより高い線量を受け、静脈の後側部分がより低い線量を受けるような要領で、レーザー線量レベルを調整することが望ましい場合がある。さらに、食道が一般に左心房の後側部分に近く並行しており、時には、左または右のいずれかの肺静脈のすぐ後ろにある。したがって、静脈の後側部分をアブレートする際には、食道のルーメン内に配置された温度モニタリングカテーテルを使用して食道の温度をモニタリングすることなど、特別な予防措置が望ましい。ビデオ画像における静脈の解剖学的配向を知るのが重要である別の理由は、静脈をアブレートした後に静脈を電気的分離についてチェックすることに関する。電気的分離のチェックは通常、静脈内に配置された多電極カテーテルを用いて行われる。多電極カテーテルの位置は、蛍光透視法を使用して可視化される。時として、静脈の一部が分離されておらず、再度アブレートする必要があると決定される。多電極での電極の蛍光透視画像により、電気生理学者は、分離されていない静脈の部分の解剖学的部位を決定することができる。内視鏡レーザーアブレーションカテーテルが静脈内に戻されたら、多電極カテーテルを使用して分離されていないことが分かった静脈の正しい領域を再度アブレートするために、内視鏡視界を患者の解剖学的構造に適切に配向することが必要である。
【0015】
図に示されているように、本開示は、上述の従来型カテーテル10に対する複数の改善点を提供するバルーンカテーテル100及びカテーテルシステムを対象とする。バルーンカテーテル10、100は両方とも、少なくとも1つの実施形態では、組織をアブレートするためにレーザーエネルギーを放出するように構成されたレーザーアブレーションバルーンカテーテルであると考えることができる。
【0016】
例えば、‘066特許及び‘961特許のバルーンカテーテル10に対する少なくとも3つの重要な改善点(3つの特徴)が、本件のバルーンカテーテル100を構成している。
【0017】
図6を参照すると、バルーンカテーテル100は、バルーンカテーテル10に類似しており、したがって、本明細書に記載されている同じコンポーネントの多くを含む。例えば、バルーンカテーテル100は、細長いボディ102と、細長いボディ102を囲む拡張可能な可撓性バルーン125とを含む。細長いボディ102は中央チューブ110を含み、該チューブは、チューブ内での軸方向運動と回転との両方が可能なエネルギーエミッタ120を収容することもできる。細長いボディ(本明細書ではカテーテルボディとも呼ばれる)の中には、ある特定のデバイスまたは器具を通すことのできる、複数の追加のルーメンがあってもよい。カテーテルボディは、蛍光透視による検出の助けとなる、臨床医がデバイスを適切に配置するのに役立つマーカー、例えば、放射線不透過性マーカーを備え得る。
【0018】
バルーンカテーテル100は、少なくとも1つの撮像デバイス130を含み、複数の撮像デバイス130、140(例えば、2つの撮像デバイス)を含むことができる。大まかに言って、各撮像デバイス130、140は、後に表示デバイスに示され得る患者の体内の画像(例えば、ビデオストリーム用)を生成するように構成されている。1つの一般的な撮像デバイスは、内視鏡である。公知のように、内視鏡は、患者の体内の画像をキャプチャして表示デバイス上に表示させるために照明及びカメラを一端に有する、長く細い柔軟なチューブである。
【0019】
前述の従来型デバイスに対する第1の改善点は、Melsky et al US9421066B2及びMelsky et al US9033961B2に記載されている再使用可能な光ファイバ内視鏡20を、第1の小型撮像チップの形式における第1の撮像デバイス130と交換することである。第1の小型撮像チップは、CMOSまたはCCD画像センサの形式でもよい。画像センサは、大まかに言って、画像を作成するために使用される情報を検出し伝達するセンサである。電子画像センサの主な2つの種類は、電荷結合デバイス(CCD)及び能動画素センサ(CMOSセンサ)である。
【0020】
これを行うことの利点は幾つかある。まず、最近利用可能になった小型撮像チップは、コストが十分に低いため、バルーンカテーテル100の不可欠な部分としてバルーンカテーテル100に組み込むことができ、患者を処置するためにカテーテル100を使用した後に処分することができる。従来の光ファイバ内視鏡は、高価な光ファイバ画像束を用いたため、使い捨てのカテーテルに組み込むには内視鏡のコストが高くなりすぎ、それにより、カテーテル10を再使用可能なデバイスとすることが必要であった。内視鏡ガイド下レーザーアブレーションカテーテルで使用される従来の内視鏡は、使用前にカテーテル10内に設置し、使用後にカテーテル10から取り外し、その後、追加の使用のために洗浄及び再滅菌する必要のある、別個のデバイスであった。
【0021】
したがって、第1の小型撮像チップの形式における第1の撮像デバイス130は、カテーテル10で使用された内視鏡20と同一または同様の部位に位置決めすることができる。言い換えると、第1の撮像デバイス130は、前方向きであり、中央チューブ110に隣接して配されている。中央チューブ110は、典型的には透明ポリマー材料から形成される。エネルギーエミッタ120は、中央チューブ110内で軸方向及び回転方向の両方に可動であり、したがってエネルギーエミッタ120は、典型的には第1の撮像デバイス130(例えば、第1の小型撮像チップ)の前方に位置付けられる。さらに、透明ポリマーの中央チューブ110は、第1の撮像デバイス130の前方に位置付けられる。
【0022】
第1の撮像デバイス130は、90度から130度の間であり得る視野を有する。
図6において、第1の撮像デバイス130の視野は、131で識別された破線によって示されている。
【0023】
第2の改善点は、第2の撮像デバイス140をバルーンカテーテル100の一部として提供することである。第2の撮像チップ(第2の撮像デバイス140)を使用することの利点を理解するために、Melsky et al US9033961B2の
図1を
図1として再掲する。
図1は、エネルギーエミッタ18に対して相対的な内視鏡20の好ましい位置を示す。エネルギーエミッタ18は、カテーテル10の中央ルーメン内にあり、内視鏡は、ルーメンの外側にあり、且つ、カテーテルの軸に概ね沿ってカテーテル10の遠位端のほうを見た視界を提供するように配向されている。Melsky et al US9033961B2に記載されているように、カテーテル10における内視鏡の位置は固定されているが、エネルギーエミッタ18は、レーザーエネルギーが所望の部位に向けられ得るように、ルーメン内で平行移動及び回転することができる。エネルギーエミッタ18は内視鏡20の概ね前方に存在するため、内視鏡20からの視界の一部がエネルギーエミッタ18によって遮蔽される。また、カテーテル10の中央シャフトの透明ポリマーによって画像が歪む。この後者の歪みは、カテーテルの構築に好適な透明ポリマーが必ず、水、食塩水、酸化重水素、またはバルーンを充填するのに好適な他の液体とは異なる屈折率を有するために起こり、この屈折率の差は、光を屈折させ、内視鏡20によって中央シャフトを通して見られる画像を歪める。
【0024】
この歪みは、カテーテル10が患者内にある間の内視鏡20からの視界の画像である
図2Aに示されている。図から分かるように、肺静脈の内視鏡視界は、エネルギーエミッタ18(
図1)によって部分的に遮蔽されており、カテーテル10の中央ルーメンを囲む透明なポリマー材料によって視界が歪んでいる。
図2Bは、
図2Aと同じ内視鏡視界を示すが、中央ルーメンが通る中央シャフトの透明ポリマーによって遮蔽された内視鏡視界の部分が第1の破線21で描かれており、エネルギーエミッタ18によって遮蔽された内視鏡視界の部分が第2の破線23で描かれている。本件の図面では、第1の破線21が、透明ポリマーカテーテルシャフトに起因する第1の遮断領域(第1のブラインドゾーン)を画定し、第2の破線23が、エネルギーエミッタに起因する第2の遮断領域を画定する。第2の破線23によって画定されるエリアは、第1の破線21によって画定される、より大きなエリアの中にある。第1の破線21は、図に示されるパイウェッジ形状領域を画定するものと考えることができる。したがって、本明細書で使用される場合、パイウェッジ、またはパイウェッジ形状、またはパイウェッジ形状領域という用語は、組織の様相がリアルタイムビデオストリームにおいてはっきりと見えない遮断領域またはゾーンまたはブラインドスポットを表す第1の破線21によって画定されるエリアと同様のエリアを指す。
【0025】
また、
図2A及び2Bにおいて注目すべきは、略円形の内視鏡画像中で概ね9時の位置にある輝点50(緑色であることが多い)である。この輝点50は、エネルギーエミッタ18が照準している部位を照明する照準ビームである。これは、赤外アブレーションレーザーを作動させたときにアブレーションレーザーエネルギーが供給されるのと同じ部位である。さらに、カテーテル遠位バルーンに接触している肺静脈組織が見える。例示的実施態様では、カラー表示デバイスにおいて、この組織は白色または薄いピンクに見え、概して60に示される。カラー表示デバイスでは、概ね中央内視鏡画像内、且つ画像の外側縁にある赤い領域が見え、概して70に示される。これらの領域70は、血液がバルーンに接触するエリアを表す。内視鏡画像の中央にある血液は、バルーンに対して遠位の肺静脈のルーメン内にある血液である。内視鏡画像の外側縁にある血液は、バルーンに対して近位の左心房内の血液である。さらに、画像中、バルーンの表面に適用された、内視鏡画像の外側縁の近くの、概ね80に示される白線が見える。この白線80は、ユーザにとっての視覚的基準として機能する。白線80は、バルーンの最大直径の位置を示し、したがって、バルーンの遠位で概ね前方向きの部分と、バルーンの近位で後方向きの部分との間の境界である。バルーンの表面には、画像中央に小さな白い円82として見える遠位の白線もある。この遠位の白線は、アブレーションレーザーエネルギーを供給するのに好適なバルーンの部分の遠位限界を示す。
【0026】
画像のうち、遮蔽され歪んだものとして説明され、
図2Bに示されている領域(線21内のパイ形状エリア)は、望ましくない。これが望ましくない理由は、ユーザに内視鏡画像を提供する理由が、アブレーションレーザーエネルギーが組織内に供給されるように照準ビーム50が組織を照明するように、ユーザが損傷生成器の位置を適切に調整できるようにするためだからである。さらに、連続した組織の輪がアブレートされるような要領でアブレーションレーザーエネルギーを供給することが望ましい。連続した組織の輪をアブレートすることでしか、肺静脈の電気的分離は達成されない。内視鏡画像のうち遮蔽され歪んだ領域は、照準ビーム50の位置が見えない領域を作り出し、そのため、照準ビーム50が組織または血液を照明しているかを決定することができない。遮蔽された領域で形成されている損傷が連続的であるかどうか、そして作り出されている損傷輪に間隙がないかどうかを決定することもできない。言い換えると、組織をアブレートしている外科医は、この遮断領域において盲目の状態にされている。
【0027】
先行技術の実施態様では、遮蔽領域は、容易に見ることができエネルギーエミッタ18及び中央シャフトによって遮蔽されていなかった組織のすべてをまずアブレートし、次にカテーテルのバルーンを肺静脈内に位置決めしながらカテーテル10全体を回転させることによって対処された。内視鏡18はカテーテル10に対して固定関係にあるので、カテーテル10の回転は、形式的に遮蔽されていた組織が、容易に見える部位にくるように、内視鏡及び遮蔽領域の両方を再位置決めする。カテーテル10全体が標的部位に適切に位置決めされた後にそれを回転方向に動かすこのタスクは、望ましいものではない。
【0028】
バルーンカテーテル100はまた、患者の解剖学的構造に対して相対的な回転配向が、蛍光透視的可視化下で決定され得る、カテーテルシャフト110またはバルーン125のいずれかにおける(好ましくはバルーン125のすぐ後ろのカテーテルシャフト110における)非対称放射線不透過性マーカー105を含む。言い換えると、バルーンカテーテル100が標的組織に対して相対的に位置決めされた後、静止した蛍光透視画像中の不透明な非対称マーカー105の出現に基づいてカテーテルの位置を理解するために、蛍光透視画像(静止画像)が撮影される。この非対称マーカー105の詳細、及びディスプレイ(スクリーン)上に表示されるリアルタイムの内視鏡視界の正しい配向を決定するためにそれがどのように使用されるかについては、本明細書に記載されている。
【0029】
本開示によれば、ディスプレイスクリーン上の内視鏡画像(例えば、ライブのリアルタイムビデオストリーム)の配向は、肺静脈の視界がカテーテル100の中央シャフト110及びこの中央シャフト内のレーザーファイバ(エネルギーエミッタ120)によってブロックされるパイウェッジ形状領域(第1の破線21)に基づいて操作することができる。このパイウェッジ形状領域は、ユーザが本明細書に記載されるように内視鏡画像を正しく回転させるための基準点として機能する。パイウェッジの正しい回転配向は、蛍光透視画像中の非対称マーカー105の配向を観察し、次に、この観察から、本明細書により詳細に記載されるように内視鏡ビデオストリームの解剖学的に正しい配向を決定することによって決定される。
【0030】
注意すべき重要な点は、このパイウェッジ形状領域(第1の破線21によって識別されている)の解剖学的配向が常に、カテーテルのシャフト110上でバルーン120のすぐ近位に位置付けられた非対称マーカー105の解剖学的配向の180度反対側にあるということである。
【0031】
図3は、非対称マーカー105をより詳細に示す。示されている非対称マーカー105は本質的に単なる例示であり、異なる形状の他の非対称マーカーを使用してもよいことは理解されよう。
【0032】
バルーン14と、カテーテル10の中央シャフト16との、且つ内視鏡20(例えば、第1の撮像デバイス130)及び非対称マーカー105との関係を示す、
図1及び3を参照すると、内視鏡20の視点からは、中央カテーテルシャフト16の位置が内視鏡20のすぐ下にあり、非対称マーカー105の長手方向セグメントは常に内視鏡20のすぐ上にあることが理解されよう。故に、内視鏡ビデオ上のパイウェッジ形状領域(
図2Bの第1の破線21)の解剖学的配向は常に、カテーテルのシャフト16上でバルーン14のすぐ近位に位置付けられた非対称マーカー105の解剖学的配向の180度反対側にあるということになる。これらの関係は、本明細書で例示されるカテーテル100にも等しく当てはまることが理解されよう。
【0033】
ここで
図4A~4Dを参照すると、バルーン125及び非対称マーカー105が種々の配向で示されており、マーカー105は、蛍光透視法において示され得るように画像の各々に示されており、ポリマーカテーテルシャフト110の材料が比較的透明に見えるのに対して、非対称マーカー105は本質的に不透明である。
図4A~4Dについて、注意すべき重要な点は、
図4A~4Dの各々の最上部が患者の頭部の方向にある、またはより具体的には
図4A~4Dの各々の最上部が患者の解剖学的構造の上側方向であるように、各蛍光透視画像が配向されているということである。また、
図4A~4Dの各々の平面は、心臓アブレーション手技で一般的に用いられるように、フルオロスコープで患者の前側から患者の後側に向かって見た、患者の前頭面を表す。
図4A~4Dの各々において、カテーテル100は、患者の解剖学的構造に対して相対的に異なる回転配向にある。いずれの場合にも、非対称マーカー105の長手方向セグメントの位置を観察することによって、回転配向を決定することができる。例えば、
図4Aの画像では、マーカー105の長手方向セグメントは、カテーテルシャフトの上側部分に見えるので、上側方向にある。ここで
図5Aに示される対応する画像を参照すると、患者の解剖学的構造に対応するように正しく回転させた内視鏡画像の概略表現が示されている。
図4Aの画像中の非対称マーカー105の長手方向セグメントは上側方向にあったので、内視鏡画像のパイ形状領域(第1の破線21によって画定される)は、それを下側方向に配置した180度反対側に正しく配向されている。同様に、
図4B~4Dに示す画像は、それぞれ前側、下側、及び後側方向の非対称マーカー105を示しており、
図5B~5Dの画像は、それに対応して正しい配向のパイウェッジ形状領域を含む対応する内視鏡画像を示している。
【0034】
したがって、非対称マーカー105の配向を蛍光透視法下で検査することにより、ユーザは、静脈の上側面が内視鏡画像のディスプレイスクリーンの最上部にあるように、内視鏡画像のパイウェッジ形状領域の所望の配向を決定することができる。本開示のこの態様についての追加の詳細は以下に記述する。
【0035】
本開示では、2つの撮像デバイス130、140(2つの撮像チップ内視鏡)が、1つの光ファイバ内視鏡18の代わりに使用されている。撮像チップのより低いコストにより、これが経済的に実行可能になる。さらに、撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)はカテーテル100に内蔵されているので、ケースの始めに2つの内視鏡をカテーテル内に設置する時間及び労力が回避される。最後に、また最も重要なことには、撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)は、スペースが貴重であるカテーテル100の近位部分においてより少ない空間を必要とする。撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)は、最遠位の3mmの長さだけにおよそ1mmを必要とするが、撮像チップ内視鏡の近位部分は、直径0.5mm未満のワイヤのみからなる。したがって、1本の光ファイバ内視鏡カテーテルのための空間しかなかった先行技術のカテーテル10と同じ寸法のカテーテル100には、2つの撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)のための空間がある。
【0036】
図6は、第1及び第2の撮像デバイス130、140の第1の配向を示し、これら2つのデバイス130、140は、カテーテルボディに対して相対的に互いの正反対にある。より具体的には、第1及び第2の撮像デバイス130、140は、カテーテルボディに対して相対的に180度離れて位置付けられ得る。
図6に示す位置では、2つの撮像デバイス130、140は、カテーテルボディの長さに沿った同じ部位でエネルギーエミッタの後方に位置付けられており、したがって、これら2つのデバイス130、140は両方とも、前方視点の画像を提供する前方向き撮像デバイスである。本開示の目的では、画像という用語が使用され得るが、デバイス130、140の各々は、標的組織のリアルタイムのライブビデオストリームを提供するように設計されており、したがって、ディスプレイ上に表示される画像は、アブレーション手技が実施される際のリアルタイムのライブビデオストリームであることが理解されよう。
【0037】
この実施形態では、第1及び第2の撮像デバイス130、140は、各々が同じ視野(例えば、90度から130度)を有する同じタイプの撮像チップ内視鏡であり得るという意味で、同じデバイスであり得る。
図6に示すように、第1及び第2の撮像デバイス130、140の視野は、
図6に示すように部分的に重なり合う。両方が前方向き画像である。
【0038】
第2の撮像デバイス140は、90度から130度の間であり得る視野を有する。
図6において、第2の撮像デバイス140の視野は、141で識別された破線によって示されている。本明細書で記述されるように、
図6を見ることから理解されるのは、第1の撮像デバイス130には、第2の撮像デバイス140の遮断エリア(ブラインドゾーン)とは異なる、特に第1の撮像デバイスの遮断エリアの正反対にある、それ自体の遮断エリア(ブラインドゾーン)があるということである。
【0039】
図7A及び7Bは、カテーテル100の一部を形成する(例えば、撮像デバイス130、140からの)2つの前方向き撮像チップ内視鏡を組み込んだバルーンカテーテル100からのそれぞれの画像を示す。例示の目的で、
図7Aは、左カメラ(第1の撮像デバイス130)からキャプチャされたビデオストリームからの画像であると考えることができ、
図7Bは、右カメラ(第2の撮像デバイス140)からキャプチャされたビデオストリームからの画像であると考えることができる。
図7A及び7Bの画像は、同じ肺静脈のそれぞれの画角を示す。照準ビーム50が6時の位置に見られる。第1の撮像デバイス130(「左撮像チップ内視鏡」)(左カメラと標示されている)の遮蔽エリアは、
図7Aの左手の画像で3時の位置にある。第2の撮像デバイス140(「右撮像チップ内視鏡」)(右カメラと標示されている)の遮蔽エリアは、
図7Bの右手の画像で9時の位置にある。これらの図には照準ビーム50が示されており、更に、
図7A及び7Bの各々における破線21は、組織の様相及び/または照準ビーム50及びアブレーションエネルギー(レーザーエネルギー)が組織に沿って供給される部位をユーザがはっきりと見ることができない遮断エリアまたは領域(ブラインドゾーン)を示す。
【0040】
図8A及び8Bは、2つの前方向き撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)を有する同じカテーテル100による同じ肺静脈の図である。これらの画像において、照準ビーム50の位置は、それぞれ
図7A及び7Bに示された以前の場所から約45度時計回りに回転されている。
【0041】
したがって、
図7A、7B、8A及び8Bから、2つの前方向き撮像チップ内視鏡(撮像デバイス130、140)の使用により、先行技術のカテーテルの基本的構造をそのままに保ちながら、静脈の外周のどの点においても遮蔽されていない肺静脈の視野がユーザに提供されることが容易に明らかである。
【0042】
図10に示す本発明の第2の実施形態も、2つの撮像チップ内視鏡130、140を使用し、この第2の実施形態の目的は、第1の実施形態と同じく、部分的には、先行技術のカテーテル10に存在する肺静脈の遮蔽領域をなくすことである。後述するように、第1及び第2の実施形態における違いは、第2の撮像デバイス140の位置である。
【0043】
図10に示す第2の実施形態では、第1の撮像デバイス130(第1の撮像チップ内視鏡)は、光ファイバ内視鏡18が先行技術のカテーテル10において位置付けられている場所に(すなわち、エネルギーエミッタから後方でカテーテルチューブに沿って)位置付けられている。第2の撮像デバイス140(第2の撮像チップ内視鏡)は、エネルギーエミッタ120の遠位端に取り付けられており、エネルギーエミッタ120と共に動く。第2の撮像デバイス140は、照準ビームスポット50が第2の撮像デバイス140の視野の中央に、または中央に向かって存在するように照準される。第2の撮像デバイス140は常にエネルギーエミッタ120の前方にあるので、その肺静脈の解剖学的構造の視界は、決してエネルギーエミッタ120によって遮蔽されない。さらに、カテーテル100の中央シャフト110を構成する透明ポリマー材料に対して相対的な第2の撮像デバイス140の配向は、透明ポリマー材料によって引き起こされる光学的歪みが最小限に抑えられるようなものである。これは、肺静脈の解剖学的構造の画像を形成する光線が、材料に対して実質的に垂直な角度で透明ポリマー材料を通過し、すべての光線が、実質的に均一な厚さの透明ポリマー材料を通過するからである。言い換えると、第2の撮像デバイス140は、前方向き撮像チップである第1の撮像デバイス130とは異なり、側方向き撮像チップ内視鏡であると考えることができる。
【0044】
しかし、この第2の撮像チップ内視鏡は肺静脈の解剖学的構造のセグメントのみを撮像するため、ユーザが肺静脈の解剖学的構造の完全な性質を理解し、静脈を電気的に分離するためにアブレーションレーザーエネルギー適用の適切な経路を計画することは困難である。この欠点を克服するために、第1の前方向き撮像チップ内視鏡(第1の撮像デバイス130)からの画像が、第2の側方向き内視鏡(第2の撮像デバイス140)からの画像に加えて、ユーザにとって利用可能である。
【0045】
図10は、バルーン125が肺静脈内にある状態のカテーテルの遠位バルーン端部を断面図で示す。バルーン125の表面に接触し、この第1の視野線セット131の鋭角内に入るものはすべて、第1の撮像デバイス130(第1の撮像チップ内視鏡)で見ることができる(上述のように、エネルギーエミッタまたはカテーテルの中央シャフトによって遮蔽されるまたは歪められるエリアを除く)。第2の側方向き撮像チップ内視鏡(第2の撮像デバイス140)は、エネルギーエミッタ120の前方端上に存在する。
【0046】
この第2の側方向き内視鏡(第2の撮像デバイス140)の視野を示す第2の破線セット141が示されている。
図10には、照準ビーム50の範囲を表す破線により、エネルギーエミッタ120から発出する照準ビーム50も示されている。
【0047】
第2の撮像デバイス140(第2の撮像チップ内視鏡)は、エネルギーエミッタ120に取り付けられているため、エネルギーエミッタ120と共に平行移動及び回転する。第2の撮像デバイス140(第2の撮像チップ内視鏡)が平行移動及び回転するのに伴って、第2の撮像デバイス140の視野も同様に平行移動及び回転する。
図10から明らかなように、バルーン125の表面上には、肺静脈組織がバルーン125と接触し、したがってアブレーションレーザーエネルギーを受ける潜在的標的である部位があるが、これらの部位のうちのいくつかは、前方向きの第1の撮像デバイス130には見えない。これらの部位は、第1の撮像デバイス130の視野の外にあるか、またはエネルギーエミッタ120によって遮蔽されている、もしくはカテーテル100の中央シャフト110によって歪められているかのいずれかである。同じく
図10から明らかなのは、これらの部位が、第1の撮像デバイス130(第1の撮像チップ内視鏡)には見えないが、側方向きの第2の撮像デバイス140には完全に見えるということである。特に、
図10において、照準ビーム50(緑色光であり得る)が、アブレーションのための理想的な部位の組織を照明してはいるが、残念ながら第1の撮像デバイス130には部分的にしか見えないことに留意されたい。より具体的には、照準ビーム50の視野は、第1の撮像デバイス130の視野に完全には収まっていない。
【0048】
利用可能な唯一の視界が第1の撮像デバイス130のものであった場合、第1の撮像デバイス130の視野の外側のバルーン125のエリアが組織と実際に接触していたかどうかをユーザが決定できないため、この部位でのアブレーションは推奨されない。第1の撮像デバイス130の視野の外側のバルーン125のエリアが血液と接触していた場合には、アブレーションは、電気的分離を促進するのに十分な損傷を作り出さず、患者へのリスクをもたらす可能性さえある。なぜなら、血液の熱凝固が誘導されるのに十分なレーザーエネルギーを血液が受けた場合、血液中に直接供給される大量のレーザーエネルギーは、血栓塞栓のリスクを意味するからである。しかし、側方向きの第2の撮像デバイス140からの視界が本開示のカテーテル100の構成要素として利用可能であるため、バルーン125のうち照準ビーム50を囲む領域は完全に可視化され、バルーン125に接触する組織のエリアを完全にはキャプチャしない第1の撮像デバイス130の視野を補うためにバルーン125の位置を調整する必要なく、側方向きの第2の撮像デバイス140からの視界のガイド下でアブレーションを進めることができる。
【0049】
図11A及び11Bは、
図10の2つの撮像デバイス130、140(2つの撮像チップ内視鏡)によって提供される2つの内視鏡視界を示す。
図11Aは、第1の撮像デバイス130からの内視鏡視界であり、
図11Bは、第2の撮像デバイス140からの内視鏡視界である。
【0050】
図11Aは、ユーザが単一の前方向き内視鏡20を備えた先行技術のカテーテル10で見ることに慣れている、バルーン125に接触している肺静脈組織の円環を示す。
図11Aでは(緑色)照準ビーム50が12時の位置で部分的に見えるが、前方向きの第1の撮像デバイス130には照準ビーム50の遠位部分しか見えない。
図11Bは、側方向きの第2の撮像デバイス140からの視界を示す。前方向きの第1の撮像デバイス130は、バルーンが肺静脈と接触する略円形のエリアをユーザに認識させるが、第1の撮像デバイス130の視野の制限のために、いくつかの接触領域は見えない。側方向きの第2の撮像デバイス140は、前方向きの第1の撮像デバイス130からの視界を補足することにより、(緑色)照準ビーム50、それが照明している組織、及び周囲の領域の明確な視界を提供し、且つ、バルーン125の位置をいくらか調整することなしにはアブレーションを実施することができなかったこの領域で、アブレーションを実施することを可能にする。
【0051】
ここで
図12を参照すると、エネルギーエミッタ120及び第2の撮像デバイス140は、
図10におけるそれらの位置に対して相対的に回転している。前述のように、バルーンカテーテル100がその標的部位で肺静脈(「PV」)または他の標的部位に対して相対的に固定されると、第1の撮像デバイス130は固定部位に留まる。
図12において、照準ビーム50は、前方向きの第1の撮像デバイス130によって見ると、エネルギーエミッタ120及びバルーンカテーテル100の中央シャフトによって部分的または完全に遮蔽されることが理解されよう。
図12に示す構成から得られる第1及び第2の撮像デバイス130、140の両方からの画像が、
図13A及び13Bに示されている。
【0052】
図13A及び13Bは、照準ビーム50が、
図13Aのエネルギーエミッタ120により、前方向きの第1の撮像デバイス130からほぼ完全に遮蔽されている状況を示す。しかし、照準ビーム50及び周囲の組織は、側方向きの第2の撮像デバイス140からの画像では完全に見えるため、先行技術のカテーテル10(単一の内視鏡20のみを含んでいた)を用いた場合には遮蔽エリアを前方向きの第1の撮像デバイス130の視界に入れるためにカテーテル10全体を回転させることなくアブレーションを実施することができなかったこの領域で、アブレーションを実施することが可能になる。
【0053】
図10と同様に、第1の撮像デバイス130の視野は131で示され、第2の撮像デバイス140の視野は141で示され、エネルギーエミッタの範囲(照明エリア)は50で示され、且つ破線131、141と比較して太い破線で示されている。
【0054】
標的組織の配向
前述のように、
図8A及び8Bに示すような内視鏡画像を見るとき、表示される肺静脈の上側及び前側の部位は、肺静脈に対して相対的な定置型バルーンカテーテル100の配向に依存することが理解されよう。前述のように、バルーンカテーテル100は、肺静脈の小孔などの標的部位まで進められ、組織に完全に着座するバルーンによって画定される最適位置で肺静脈に着座する。したがって、前方向きの第1の撮像デバイス130の位置は、PV組織に対して相対的なバルーンカテーテル100の配向に完全に依存する。言い換えると、肺静脈の上側部分(面)は、必ずしも表示される画像の最上部に示されるとは限らない。
図8A及び8Bでは、撮像された肺静脈の上側部分はSの文字で示され、撮像された肺静脈の前側部分はAの文字で示されている。
図8A及び8Bに示すように、肺静脈の上側部分は、画像の最上部に位置していない。示されているように、この位置の定置型バルーンカテーテル100では、上側部分Sは、概ね7時の部位から8時の部位の間に位置付けられ、前側部分Aは、概ね1時の部位から2時の部位の間に位置付けられる。
【0055】
コンソールの一部または独立型ユニットとして構成された表示デバイスのような縦型の表示デバイス上で画像を見るとき、画像(複数可)の配向は、外科医が標的組織の部位及び周囲の解剖学的構造の配向を容易に認識して理解するために特に重要であり得る。例えば、肺静脈におけるある特定のエリアは周囲の解剖学的構造と境界を接するため、これらのエリアにおけるアブレーションでは、アブレーションプロセス中により一層の注意を払う必要がある。手技中のユーザに肺静脈境界面または周囲の解剖学的構造の位置に関する混乱があれば、前述のように患者に危害が及ぶ可能性がある。
【0056】
外科手技中に生じ得る混乱をなくす、または少なくとも低減させるために、均一な配向及び位置決めを提供するように、表示デバイス上に示されるビデオストリーム内のキャプチャ画像を変更することができる。12時の位置に位置付けられた肺静脈の上側面を示し、したがって6時の位置に下側面を示すように内視鏡画像を配向することで、アブレーション手技中の外科医の認識及び理解が改善することは理解されよう。
【0057】
図9A及び9Bは、
図8A及び8Bの元の画像を、画像の最上部に位置付けられたPVの上側面(S)、及び画像の最下部に位置付けられたPVの下側面(A)を示すように再配向された形式で示す。画像の配向を変えることにより、
図9A及び9Bの両方で表示されている画像の最上部(12時の位置)に上側面(S)が位置付けられるため、外科医はPVの様相を直ちに理解することができる。PVの前側及び後側領域、ならびに
図9A及び9Bの再配向された画像上のそれらの位置に関して言えば、これは、表示されている標的PVが左肺静脈であるか右肺静脈であるかに依存する。より具体的には、右肺静脈については、前側領域は、
図9A及び9Bの再配向された画像の左側に位置付けられる(後側領域が右側にある)。逆に、左肺静脈については、前側領域は、
図9A及び9Bの再配向された画像の右側に位置付けられる(後側領域が左側にある)。
【0058】
図9C及び9Dは、
図9A及び9Bに示したように画像を回転させるやり方とは異なる、
図8A及び8Bの画像を再配向する別の方法を示す。
図8A及び8Bの2つの画像は、互いに近く、場合によっては重なり合って単一の画像にマージされ、マージされた画像にパイウェッジ形状の遮蔽エリアがほとんどまたは全く現れない可能性があるため、ある特定の状況では、
図8A及び8Bの画像の両方を一緒に回転させることがより望ましい場合がある。この種の状況では、ユーザは、2つの画像(8A及び8B)を集合体として(すなわち、1つの集合体として動く単一の分割ストリームとして)一緒に回転させることを望むであろう。
図9C及び9Dに示される
図8A及び8Bからの回転において、
図8Aでは左の内視鏡のライブフィードが左にあるが、
図8A及び8Bの2つのストリームを一緒に回転させて上側部位を画像の最上部に位置付けると、左の内視鏡のライブフィードが
図9Dのように右に示されることが理解されよう。同様に、元々は右にある
図8Bは、今は
図9Cのように左に位置付けられている。
【0059】
これらの図はA及びBと標示されているが、2つのライブストリームは同じディスプレイスクリーンに表示されるため、2つの内視鏡からの複合画像に基づく単一のビデオストリームであると考えられ得ることは理解されよう。
【0060】
実際のところ、2つの画像の完全なマージは、製造中の正確なカメラ配向、または手技開始時の電子画像の調整のいずれかを必要とするため、非現実的であり得る。
【0061】
アブレーション手技中に画像の配向を変えるには正確さが求められる。配向の変化が多すぎるまたは少なすぎる場合、例えば上側面が12時の位置からオフセットになる可能性があり、外科医を混乱させる可能性がある。正確さの必要性に対応するためには、物理的ツールまたはソフトウェアツールとして構成され得る回転ツールを使用して、適切な画像回転を行うことができる。回転ツールは、カテーテルシャフトまたはバルーン上に構成された同じ形状の非対称放射線不透過性マーカー、及び同じ形状のカテーテルボディ(シャフト)を含み得る。カテーテルシャフトまたはバルーン上の非対称マーカー105は、蛍光透視的可視化下で可視化されて、回転ツール上に位置付けられた、またはそれによって提供される、対応する非対称マーカーと比較される。例えば、カテーテルシャフトまたはバルーン上の非対称マーカー105の相対的な回転した位置が、例えば1つ以上の蛍光透視画像の目視検査で決定される。ツール上の、またはツールによって提供される、対応する非対称マーカーが、その後、蛍光透視画像から決定された、決定された相対的な回転した位置と一致するように回転される。このツールは、アブレーション手技中に撮像デバイス(複数可)から受信されたビデオストリーム内の画像を再配向するために使用可能な情報をユーザに提供する。
【0062】
より具体的に言えば、蛍光透視法下で非対称マーカーの配向を検査することにより、ユーザは、内視鏡画像(複数可)のパイウェッジ形状領域の所望の配向を決定することができる。パイウェッジ形状領域の所望の配向が決定されたら、内視鏡ビデオストリーム内の画像を再配向(例えば、回転)して、静脈の上側面などの面の相対的位置が適切に調整され得ることを確実にすることができる。例えば、静脈の上側面が12時の位置に配向され、下側面が6時の位置に配向され、前側面が3時の位置で提供され、後側面が9時の位置で提供されるように、画像を回転させることができる。
【0063】
ここで
図14を参照すると、内視鏡チップカメラ(複数可)を備えたカテーテル100、画像信号処理デバイス1402、画像回転処理デバイス1404、及び表示デバイス1406を含む構成例を示す、システム図が提供されている。さらに、
図14に示す例示的デバイスは、蛍光透視法デバイス1408及び回転ツール1502を含む。
図14の例は画像信号処理デバイス1402及び画像回転処理デバイス1404を別個のデバイスとして示しているが、デバイス1402及び1404は単一の処理デバイスとして構成され得ることが認識される。
【0064】
図14に示すデバイスは、所望の回転配向が決定されたら、内視鏡ビデオストリームからの画像の配向の変更(例えば、回転)を行うことができる。それぞれのデバイスの間の実線または破線による接続は、デバイス間で情報を送信及び受信するための任意の公知の構成または技術を使用した伝送を表し得る。
【0065】
図14に示される例示的システムでは、画像信号処理デバイス1402は、例えばチップカメラ(複数可)130/140からの信号をアナログNTSC信号またはHDMI信号などの標準的なビデオ信号に変換するために、内視鏡チップカメラ(複数可)を備えたカテーテル100とインタフェース接続することができる。あるいは、画像信号処理デバイス1402は、チップカメラ(複数可)130/140から受信した信号を、コンピュータであり得る画像回転処理デバイス1404にUSBまたは他の好適なインタフェースなどを介して転送可能なビデオストリームに変換することができる。画像回転処理デバイス1404は、ビデオストリーム内の画像を操作して、ユーザによって選択されたものを含む任意の回転状態の画像を表示デバイス1406上に表示させるように動作することができる。
【0066】
1つ以上の実施形態において、ユーザが所望の回転を定義するためのコントロールと共にグラフィカルユーザインタフェースが含まれていてもよい。例えば、ユーザは、タッチスクリーンデバイスをタップすること、マウスもしくは他の選択デバイスをクリックすること、仮想もしくは物理的なノブを回すこと、仮想もしくは物理的なボタンを押すこと、または何らかの他の好適なインタフェースコントロールを選択することにより、時計回りまたは反時計回りの回転を行うことができる。さらに、それぞれのユーザにとって好適な回転の方向及び/または回転の予め定義されたインクリメント(またはカスタム量)など、種々の特性を定義する1つ以上のパラメータを設定することができる。プロセッサに特定の量及びそれぞれの方向で画像を回転させる、タッチスクリーン、マウス、または他の好適なインタフェースジェスチャ(例えば、ドラッグ、スワイプ、ピンチ/ズームなど)を使用した選択をユーザが行うためのインタフェースを提供するような、他の実施態様も同様にサポートされ、想定される。
【0067】
図15A、15B、及び15Cは、画像回転処理デバイス1404によって提供され得る例示的回転ツール1502及び例示的グラフィカルユーザインタフェース1508の3つの使用状態を示す。図示された回転ツール1502の例では、アブレーション手技中に現在配向されている非対称マーカー105を含む蛍光透視画像が示されている。回転ツール1502には、マーカー105の形状に対応する回転可能な非対称マーカーを含むセクション1504が含まれ得る。示されているように、回転可能な非対称マーカーは(仮想または物理)カテーテル表現に沿って位置付けられており、カテーテル表現上の非対称マーカーの位置ならびに非対称マーカー及びカテーテル表現の相対的サイズは、蛍光透視法画像に示されるカテーテル及びマーカーを反映する。例示的回転ツール1502にはセクション1506内のパイウェッジ形状も示されており、これは、セクション1504に示されるマーカーのそれぞれの配向に従って対応するように配向されている。特に、回転ツール1502には、選択された場合、セクション1504における非対称マーカーの配向を回転させて、蛍光透視画像に示されるマーカー105の配向と一致させるためにユーザによって使用され得る、回転可能なグラフィカルコントロール1505が含まれ得る。セクション1504には、非対称マーカーを含むカテーテル表現の様々な操作を可能にする他のグラフィカルコントロールが含まれ得ることも理解されよう。
【0068】
セクション1504及び1506は、横並び、または図示のようなスタック状など、異なる配向で提示され得る。
【0069】
図15Bは、ユーザがセクション1504内の非対称マーカーの配向を(例えば、コントロール1505を介して)変更し、蛍光透視画像に表される非対称マーカー105の配向と一致させた後の第2の状態を示す。セクション1504における調整が行われた後、セクション1506におけるパイウェッジ形状の配向が対応して調整される。言い換えると、ユーザがセクション1504内の非対称マーカーの配向を変更すると、セクション1506内のパイウェッジ形状の位置が自動的に回転する。
【0070】
図15Cに示される第3の状態から分かるように、セクション1506におけるパイウェッジ形状の配向が調整された後、セクション1516におけるパイウェッジ形状の配向を変更するために1つ以上のグラフィカルスクリーンコントロールが使用され得る。例えば、セクション1516におけるパイウェッジ形状の配向を調整するためにユーザがマウス、タッチスクリーン、または他の好適なデバイスを使用することにより、回転ノブ1510を回転させることができる。他のコントロールには、種々のプリセットまたはカスタムの量だけパイウェッジ形状を回転させる選択可能オプションを含むメニューセクション1512、及び選択されるとパイウェッジ形状を既定量だけ回転させる回転ボタン1514が含まれる。したがって、本明細書で示され且つ記載されるように、セクション1516におけるパイウェッジ形状の正しい回転配向は、蛍光透視画像中の非対称マーカー105の配向を観察することによって決定することができる。観察された配向を使用して、回転ツール1502における対応する非対称マーカーに配向調整を行い、セクション1506におけるパイウェッジ形状の配向の変更をもたらすことができる。その後、セクション1506におけるパイウェッジ形状の変更された配向を使用して、グラフィカルユーザインタフェース1508のセクション1516における対応するパイウェッジ形状を変更することにより、内視鏡ビデオストリーム内の画像の配向を自動的に変更することができる。
【0071】
図15A~15Cに関して示され且つ記載される例は、ユーザインタラクションのためのグラフィカルスクリーンコントロールを含むが、自動プロセスをサポートして、それによりユーザ入力の必要をなくしてもよい。ある特定の実施形態では、ユーザ入力を必要とせずに、非対称マーカーの配向及び/またはパイウェッジ形状の配向を調整または変更するために、画像の自動処理を行うことができる。例えば、機械学習及び人工知能をコンピューティングデバイスに提供して、非対称マーカー105またはパイウェッジ形状の配向を認識させ、画像の配向を変更させて、それぞれの面が適切に(例えば、12時の位置に)位置付けられていることを確実にすることができる。訓練には、自動的に、ユーザ入力により、またはそれらの何らかの組み合わせによって確認または修正することができる、種々の配向を識別するために画像を処理することが含まれ得る。訓練が行われた後、且つ例えばアブレーション手技中に、内視鏡を備えてまたはその一部として構成されたコンピューティングデバイスは、1つ以上のデバイスから受信された画像に表されるそれぞれの配向(複数可)を認識することができる。コンピューティングデバイスは、例えば非対称マーカーまたはパイウェッジ形状の配向または回転を自動的に変更して、それらの面が12時及び6時の位置などの予め定義された位置にあることを確実にすることができる。機械学習及び人工知能を必要としない場合がある、画像の配向を提供または維持するための他の好適な技術が、さらに想定され、サポートされる。例えば、画像の配向を識別し、変更するために、それぞれの画像に関連するメタデータを使用することができる。
【0072】
さらに、画像の配向を調整するための自動処理及び手動処理のハイブリッド構成を提供するオプションが含まれ得る。例えば、コンピューティングデバイスが、内視鏡によってキャプチャされた画像を自動的に処理して、画像の配向を変更することができる。その後、ユーザが、タッチスクリーンをタップすること、マウスもしくは他のポインティングデバイスを使用して選択を行うこと、ボタンもしくは他の物理的コントロールを押すこと、または本明細書で示され且つ記載されるような自動プロセスを無効にして手動処理を可能にするための何らかの好適な操作を行うことにより、コマンドを発行することができる。
【0073】
上記の例では、PV(標的組織)の上側領域がディスプレイの最上部に位置付けられるように各画像が配向されているが、カスタマイズされた視界及び使用に対応するように他の配向をユーザが選択してもよいことは理解されよう。
【0074】
なお、説明または例示されている要素の一部または全部を交換することによって他の実施形態も可能であるため、上記の図及び例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではない。更に、本発明の特定の要素が公知のコンポーネントを使用して部分的または完全に実装され得る場合には、かかる公知のコンポーネントのうち、本発明の理解に必要である部分だけが説明されており、かかる公知のコンポーネントのうちの他の部分の詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないために省略されている。本明細書に明確に別段の記載がない限り、本明細書において、単数のコンポーネントを示す一実施形態は、複数の同じコンポーネントを含む他の実施形態に必ずしも限定されるべきではなく、その逆も同様である。更に、本明細書または特許請求の範囲におけるいずれかの用語に一般的でないまたは特殊な意味が与えられることが明確に記述されていない限り、出願人らにその意図はない。さらに、本発明は、例示として本明細書で言及される公知のコンポーネントに対する現在または将来知られる均等物を包含する。
【0075】
ここで
図16を参照すると、本明細書で開示される少なくとも1つの実施形態による、グラフィカルユーザインタフェース1508において示される画像の配向を調整するための方法の広い態様を例示するルーチン1600を示すフロー図が表現されている。本明細書に記載される論理演算のうちの幾つかは、(1)通信デバイスで実行される一連のコンピュータ実装動作もしくはプログラムモジュールとして、及び/または(2)通信デバイス内の相互接続された機械論理回路もしくは回路モジュールとして実装されることを理解されたい。実施態様は、デバイスの要件(例えば、サイズ、エネルギー、消費、性能など)に応じた選択の問題である。したがって、本明細書に記載される論理演算は、演算、構造デバイス、動作、またはモジュールと様々に呼ばれる。これらの演算、構造デバイス、動作及びモジュールの種々のものが、ソフトウェア、ファームウェア、特殊用途デジタル論理、及びそれらの任意の組み合わせで実装され得る。図に示され本明細書に記載されるものよりも多いまたは少ない演算が実施され得ることも理解されるべきである。これらの演算は、本明細書に記載されるものとは異なる順序で実施されてもよい。
【0076】
プロセスは、内視鏡チップカメラ(複数可)を備えたカテーテル100が位置決めされるステップ1602から始まる。位置決めされたら、内視鏡チップカメラを備えたカテーテルによる、非対称マーカーを含む蛍光透視画像が、例えば蛍光透視法デバイス1408によってキャプチャされ、表示される(ステップ1604)。その後、蛍光透視画像中の非対称マーカー105の位置が特定され、マーカーの配向が決定される(ステップ1606)。回転ツールで示される非対称マーカーが、蛍光透視画像で示されるものに対応するように、回転ツール1502を使用して1つ以上の調整が行われる(ステップ1608)。その後、パイウェッジ形状の配向が変更される(ステップ1610)。画像回転ツール1502からの情報を使用して、画像回転処理デバイス1404の画像を回転させる(ステップ1612)。例えば、セクション1516におけるパイウェッジ形状の配向を変更して、1506に示されるものと一致させるために、コントロールがユーザによって選択され得る。その後、画像回転処理デバイス1404が、変更されたパイウェッジ形状に関連する情報を使用して、内視鏡ビデオストリームからの画像を回転させる(ステップ1614)。
【0077】
本明細書に記載される主題及び動作の実施形態は、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアに、例えば種々の公知の構造及び構造的均等物を介して、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実装することができる。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、画像信号処理デバイス1402及び画像回転処理デバイス1404による実行のためまたはそれらの動作を制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化された、コンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装され得る。あるいは、またはさらに、データ処理装置による実行のために好適な受信装置に伝送される情報を符号化するために生成される、人工的に生成された伝播信号、例えば、機械により生成された電気信号、光信号、または電磁信号に、プログラム命令を符号化することができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイもしくはデバイス、またはそれらの1つ以上の組み合わせであってもよく、またはそれらに含まれてもよい。更に、コンピュータ記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝播信号に符号化されたコンピュータプログラム命令の送信元または送信先であり得る。コンピュータ記憶媒体は、1つ以上の別個の物理コンポーネントまたは媒体(例えば、複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)でもよく、またはそれらに含まれてもよい。
【0078】
1つ以上の実施形態によれば、画像信号処理デバイス1402及び/または画像回転処理デバイス1404は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、携帯電話、スマートフォン、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなど、1つ以上の形式のデジタルコンピュータとして構成することができる。本明細書で示され且つ記載されるコンポーネント、及びそれらのそれぞれの機能は、例示を意図したものにすぎず、記載される及び/または特許請求される実施形態を制限することを意図したものではない。
【0079】
さらに、画像信号処理デバイス1402及び/または画像回転処理デバイス1404は、プロセッサ、メモリ、記憶デバイス、メモリ及び複数の高速拡張ポートに接続する高速インタフェース、ならびに低速拡張ポート及び記憶デバイスに接続する低速インタフェースのうちの1つ以上を含み得る。プロセッサ、メモリ、記憶デバイス、高速インタフェース、高速拡張ポート、及び低速インタフェースの各々は、種々のバスを使用して相互接続でき、共通のマザーボード上に、または適切な他の要領でマウントすることができる。プロセッサは、メモリまたは記憶デバイスに記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス内で実行するための命令を処理して、高速インタフェースに連結されたディスプレイ1406のような外部入力/出力デバイス上のGUIのためのグラフィック情報を表示させることができる。他の実施態様では、複数のプロセッサ及び/または複数のバスを、必要に応じて複数のメモリ及び複数のタイプのメモリと併せて使用することができる。また、各デバイスが必要な動作の一部を(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、またはマルチプロセッサシステムとして)提供する、複数のコンピューティングデバイスを接続してもよい。
【0080】
更に、画像信号処理デバイス1402及び/または画像回転処理デバイス1404で構成されたメモリは、情報を記憶することができる。1つ以上の実施形態において、メモリは、単数もしくは複数の揮発性メモリユニット、または単数もしくは複数の不揮発性メモリユニットであり得る。メモリは、磁気ディスクまたは光ディスクのような別の形式のコンピュータ可読媒体でもよい。記憶デバイスは、画像信号処理デバイス1402及び/または画像回転処理デバイス1404の大容量記憶を行うことができる。いくつかの実施態様において、記憶デバイスは、コンピュータ可読媒体、例えば、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、またはテープデバイス、フラッシュメモリ、または他の同様のソリッドステートメモリデバイス、またはストレージエリアネットワークもしくは他の構成のデバイスを含むデバイスのアレイなどのコンピュータ可読記憶媒体であるか、またはそれらを含むことができる。コンピュータプログラム製品は、情報担体に有形に具現化することもできる。コンピュータプログラム製品には、上述のもののような、実行されると1つ以上の方法を実施する命令が含まれていてもよい。コンピュータプログラム製品は、メモリ、記憶デバイス、またはプロセッサ上のメモリなどのコンピュータ可読媒体または機械可読媒体に有形に具現化することもできる。
【0081】
上述の画像処理システムは、単一の内視鏡及び複数の内視鏡(例えば、複数の撮像チップ内視鏡)の使用を含む、
図1、6、10及び12に示されるカテーテルのタイプを含む、本明細書に記載されるカテーテルのいずれと組み合わせて使用してもよいことが理解されよう。
【0082】
本願に記載のシステム及び技術は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバとして)を含む、またはミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含む、もしくはフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザがそれを通じて本願に記載のシステム及び技術の実施態様とインタラクトできるグラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含むコンピューティングシステムの中か、またはかかるバックエンド、ミドルウエア、またはフロントエンドコンポーネントの組み合わせに実装されることができる。システムのコンポーネントは、あらゆる形式または媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続されることができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、及びインターネットを含む。
【0083】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、概して互いから離れており、典型的には通信ネットワークを通じてインタラクトする。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作するコンピュータプログラムにより、及びクライアントとサーバの関係を互いに有することにより生じる。
【0084】
本明細書には多くの具体的な実施態様の詳細が含まれているが、これらは、いずれかの実施態様または特許請求され得る対象の範囲に関する制限としてではなく、特定の実施態様の特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に記載される、ある特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実装されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている種々の特徴は、複数の実施形態において、別々に、または任意の好適な部分的組み合わせで実装されてもよい。更に、複数の特徴が、ある特定の組み合わせにおいて機能すると上述され、更にはそのようなものとして初めに特許請求される場合があるが、特許請求された組み合わせのうちの1つ以上の特徴が、場合によってはその組み合わせから削除されてもよく、特許請求された組み合わせが、部分的組み合わせまたは部分的組み合わせのバリエーションを対象とする場合もある。
【0085】
同様に、複数の動作が特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、かかる動作が示されている特定の順序もしくは連番で実施されること、または例示されている動作のすべてが実施されることを必要とするものとして理解されてはならない。ある特定の状況においては、マルチタスキング及び並行処理が有利であり得る。更に、上述の実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、そのような分離がすべての実施形態で必要であるものとして理解されるべきではなく、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品で一緒に統合されてもよく、または複数のソフトウェア製品にパッケージングされてもよいことが理解されるべきである。
【0086】
バルーンカテーテル100及びその関連システムは、以下の特徴を含むがこれらに限定されない、従来型バルーンカテーテルシステムに対する複数の利点を提供する:
(a)体内に導入され、バルーンを静脈小孔と接触させて肺静脈内に位置決めできるバルーンカテーテル、
(b)バルーンを通して、バルーンと接触している肺静脈の部分にレーザーエネルギーを供給する目的で、バルーン内に長手方向及び回転方向に位置決め可能である側方発射レーザーファイバ、
(c)バルーン内部のカテーテルシャフトの少なくとも一部を含むバルーン内部の少なくとも一部を可視化する目的で、バルーンカテーテル内に恒久的または交換可能に設置され、バルーンと接触している肺静脈組織と、バルーンと接触している心房血とを区別することができる、電子チップ内視鏡、
(d)患者の解剖学的構造に対して相対的な回転配向が、蛍光透視的可視化下で決定され得る、カテーテルシャフトまたはバルーンのいずれかにおける(好ましくはバルーンのすぐ後ろのカテーテルシャフトにおける)非対称放射線不透過性マーカー、ならびに
(e)内視鏡チップカメラからのビデオ信号を処理する画像処理システム、及びビデオ画像ストリームの回転配向をユーザが回転できるような内視鏡ビデオ信号を表示するディスプレイスクリーン。ディスプレイスクリーンは、好ましくはタッチスクリーンであり、ユーザが画像を回転させる手段は、タッチスクリーンユーザインタフェースコントロールとインタフェース接続することによる。ビデオ画像ストリームを回転させる目的は、バルーンと接触している肺静脈の解剖学的配向が分かり、且つ正しいように、それらのビデオ画像を配向することである。正しい解剖学的配向では、静脈の上側面がディスプレイスクリーンの最上部に配置される。
【0087】
なお、説明または例示されている要素の一部または全部を交換することによって他の実施形態も可能であるため、上記の図及び例は、本発明の範囲を単一の実施形態に限定することを意図するものではない。更に、本発明の特定の要素が公知のコンポーネントを使用して部分的または完全に実装され得る場合には、かかる公知のコンポーネントのうち、本発明の理解に必要である部分だけが説明されており、かかる公知のコンポーネントのうちの他の部分の詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないために省略されている。本明細書に明確に別段の記載がない限り、本明細書において、単数のコンポーネントを示す一実施形態は、複数の同じコンポーネントを含む他の実施形態に必ずしも限定されるべきではなく、その逆も同様である。更に、本明細書または特許請求の範囲におけるいずれかの用語に一般的でないまたは特殊な意味が与えられることが明確に記述されていない限り、出願人らにその意図はない。さらに、本発明は、例示として本明細書で言及される公知のコンポーネントに対する現在または将来知られる均等物を包含する。
【0088】
特定の実施形態についての前述の説明は、他者が、関連分野(複数可)の技術の範囲内にある知識(本明細書で引用され参照により組み込まれる文書の内容を含む)を適用することにより、過度な実験を行うことなく、本発明の全体的な概念から逸脱せずに、かかる特定の実施形態を種々の用途のために容易に修正及び/または改造し得るように、本発明の全体的な性質を十分に明らかにしたものである。したがって、そのような改造及び修正は、本明細書で提示されている教示及び指針に基づき、開示された実施形態の均等物の意味及び範囲の内にあることが意図される。本明細書における表現または用語は制限ではなく説明を目的としているため、本明細書の用語または表現は、本明細書で提示される教示及び指針を、関連分野(複数可)の当業者の知識と組み合わせて考慮することで、当業者によって解釈されるべきであることを理解されたい。
【0089】
本発明の種々の実施形態を上述してきたが、これらの実施形態が一例として提示され、限定ではないことを理解されたい。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の形式及び詳細において種々の変更がなされ得ることが、関連分野(複数可)の当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【国際調査報告】