(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】良好なアルコール耐性および疲労強度を有する透明な組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/06 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
C08L77/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528725
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 FR2021052005
(87)【国際公開番号】W WO2022101590
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カッシアーノ ガスパー, ステファニア
(72)【発明者】
【氏名】ブリュレ, ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】サバード, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】チプリアーニ, レジス
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BN00Z
4J002CL03W
4J002CL03X
4J002CL05W
4J002CL05X
4J002CL09Y
4J002FD026
4J002FD036
4J002FD096
4J002FD136
4J002FD176
4J002FD206
4J002FD316
4J002GC00
4J002GM00
4J002GN00
4J002GP00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、透明な成形組成物であって、重量で
(a)30から90%の、式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドであって、
ここで、PACMは、PACMの全ての異性体の合計に対して少なくとも30mol%のtrans,trans-ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンからなるビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンであり、
Yは、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸であり、
Zは、少なくとも1つのアミノ酸から得られた単位もしくは少なくとも1つのラクタムから得られた単位または少なくとも1つの脂肪族ジアミンXと少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1との重縮合から得られた単位XY1から選択される反復単位であり、
Zは、(コ)ポリアミドの構成成分の合計に対してPACMY/Z(コ)ポリアミド中、0~15重量%で構成される、
式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドと、
(b)10~70重量%の、式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドであり、
Aは、Zに関して定義された通りであり、
Wは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)および前述で定義されたPACMから選択され、
Sは、芳香族ジカルボン酸である、
式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドと、
(c)0~10%の、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤と、
(d)0~2重量%の少なくとも1つの添加剤と、
(e)0~5重量%のプレポリマーと
を含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計が、100%に等しく、
前記組成物が、エタノール耐性試験により決定された良好なアルコール耐性を有する、
透明な成形組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な成形組成物であって、重量で
(a)30~90%、特に35~85%、特に45~65%の、式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドであって、
ここで、PACMは、PACMの全ての異性体の合計に対して少なくとも30mol%の、優先的には35~60mol%、特に40~55mol%、特に45~50.5mol%のトランス,トランス-ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンからなるビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンであり、
Yは、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸であり、
Zは、少なくとも1つのアミノ酸から得られた単位もしくは少なくとも1つのラクタムから得られた単位または少なくとも1つの脂肪族ジアミンXと少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1との重縮合から得られた単位XY1から選択される反復単位であり、
Zは、(コ)ポリアミドの構成成分の合計に対してPACMY/Z(コ)ポリアミド中、0から15重量%で構成される、
式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドと、
(b)10~70%、特に15~65%、特に35~55重量%の、式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドであって、
Aは、Zに関して定義された通りであり、
Wは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)および前述で定義されたPACMから選択され、Wは、好ましくは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)であり、
Sは、芳香族ジカルボン酸であり、前記芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸およびテレフタル酸ならびにこれらの混合物から特に選択され、特に前記芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸であり、
前記半結晶質コポリアミドは、2013年のISO規格11357-3に従いDSCにより20K/分の速度で冷却工程中に測定された、25J/gよりも大きい結晶化エンタルピーを有する、
式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドと、
(c)0~10%、優先的には3~6%の、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤と、
(d)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1つの添加剤と、
(e)0~5重量%のプレポリマーと
を含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計が100%に等しく、
前記組成物が、ISO 22088:2006に従い、所定の環境(ESC)で応力をかけた後(プレートは楕円形のマンドレルに取着され、3%までの変形が課された)の、即ち、24時間にわたってエタノール中に置かれた、100×100×1mm
3の鏡面研磨された型内における射出プレート上での光学的観察(透過率およびヘイズ)により決定された、エタノール耐性試験により決定された場合、良好なアルコール耐性を有し、100mm×100mmの幅および長さを有する1mmの厚さの鏡面研磨された型内で射出プレートに関する透過率の測定値およびヘイズの測定値が、前記組成物から、アルコールによる試験の前後で、ASTM D 1003に従い決定される、
透明な成形組成物。
【請求項2】
前記エタノール耐性試験の前に、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、1mmの厚さのプレート上560nmで、91%よりも高い透過率を有することを特徴とする、請求項1に記載の透明な組成物。
【請求項3】
前記エタノール耐性試験の後に、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、1mmの厚さのプレート上560nmで、90%よりも高い透過率を有することを特徴とする、請求項2に記載の透明な組成物。
【請求項4】
前記組成物が、アルコールによる試験の後に、ASTM D 1003に従い決定された5%未満のヘイズを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の透明な組成物。
【請求項5】
前記組成物が、18MPaでの最小サイクル数が350,000サイクルである強度試験により決定された、良好な疲労強度を有し、
前記試験は、以下の操作条件、
バー:80×10×4mm
3
ジョー間の隙間:40mm
周波数:5Hz(この周波数で自己加熱は観察されず)
試験温度:23℃
Servo-水圧式動力計MTS810#1
ロードセル:25KN
V-ノッチ- ノッチ下の厚さ3.7mm
に従い、乾燥状態のバーで実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の透明な組成物。
【請求項6】
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)が、23℃でISO規格178:2010に従い測定されたときに200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
PEBAが、ISO 1183-3:1999に従い決定されたときに1以上の密度を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
YがC8~C18の脂肪族ジカルボン酸であり、好ましくはC9~C16の脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
YがC10またはC12脂肪族ジカルボン酸であり、好ましくはC12であることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
PACMY/Zコポリアミド中のZの重量含量が0であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
PACMY/Zコポリアミド中のZの重量含量が0よりも大きく、Zが、少なくとも1つのC
6~C
18アミノ酸、優先的にはC
8~C
12アミノ酸、より優先的にはC
10~C
12アミノ酸から得られた単位、もしくは少なくとも1つのC
6からC
18ラクタム、優先的にはC
8~C
12ラクタム、より優先的にはC
10~C
12ラクタムから得られた単位、もしくは少なくとも1つのC
4~C
36脂肪族ジアミンX、優先的にはC
6~C
18脂肪族ジアミンX、優先的にはC
6~C
12脂肪族ジアミンX、より優先的にはC
10~C
12脂肪族ジアミンXと、少なくとも1つのC
4~C
36脂肪族ジカルボン酸Y1、優先的にはC
6~C
18脂肪族ジカルボン酸Y1、優先的にはC
6~C
12脂肪族ジカルボン酸Y1、より優先的にはC
8~C
12脂肪族ジカルボン酸Y1との重縮合から得られた単位XY1、またはこれらの混合物から選択される、反復単位であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
Zが、少なくとも1つのC
6~C
18アミノ酸、優先的にはC
8~C
12アミノ酸、より優先的にはC
10~C
12アミノ酸から得られた単位、または少なくとも1つのC
6~C
18ラクタム、優先的にはC
8~C
12ラクタム、より優先的にはC
10~C
12ラクタムから得られた単位から選択される、反復単位であることを特徴とする、請求項1から9および11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
Zが、C
11アミノ酸から得られた単位またはC
12ラクタムから得られた単位、優先的にはC
11アミノ酸から得られた単位から選択される、反復単位であることを特徴とする、請求項1から9、11および12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
Aが、少なくとも1つのC
6~C
18アミノ酸、優先的にはC
8~C
12アミノ酸、より優先的にはC
10~C
12アミノ酸から得られた単位、または少なくとも1つのC
6~C
18ラクタム、優先的にはC
8~C
12ラクタム、より優先的にはC
10~C
12ラクタムから得られた単位から選択される、反復単位であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
Aが、C
11アミノ酸から得られた単位またはC
12ラクタムから得られた単位、優先的にはC
11アミノ酸から得られた単位から選択される反復単位であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの添加剤が、染料、安定剤、可塑剤、界面活性剤、核形成剤、顔料、漂白剤、抗酸化剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、ISO 10354:1992に従い実施されるウェッジ切断試験により決定されたとき、透明ポリアミドおよびPEBAX(登録商標)などの材料、特に硬質母材で、良好なオーバーモールド能力を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
物品を製造するための、特に電子部品、スポーツ、化粧品、自動車、家電製品、光学部品、または工業用の物品を製造するための、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項19】
物品が射出成形によって製造されることを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を用いて射出成形によって得られる物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にエタノールまたはイソプロパノールに対する良好なアルコール耐性、低いヘイズ(haze)、および改善された疲労強度を有する、式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドと式A/WSの少なくとも1つのコポリアミドとの混合物を含む、透明な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な適用例では、特に家電製品市場(例えば、スマートウォッチ、スマートフォン、ヘッドフォンなど)では、特にエタノールまたはイソプロパノールに対する非常に良好なアルコール耐性を有する透明材料が、必要とされている。これらの適用例に関して既に適切である組成物は、現在、新しい要件に鑑み不十分である。良好な加工可能性および良好なオーバーモールド能力(特に、補強された製品)も、このタイプの製品に必要である。
【0003】
本記述においてPとも呼ばれるビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)から合成された透明ポリアミド(PA)は、そのさらに良好なエタノール耐性およびさらに良好な疲労強度が、特にビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタンをベースにしたポリアミド(本記述ではMACMまたはBMACMまたはBとも呼ばれる)に関して公知である。これらの生成物、特にP12は、硬質材料(例えば、ガラス繊維強化型ポリアミド)上に射出しオーバーモールドするのが難しく、それはこれらの生成物が粘性でありかつ高温で結晶化する可能性があり、そのことが実現範囲を制限するからである。
【0004】
このように米国特許第5360891号は、良好なエタノール耐性を有するが不十分な加工可能性および疲労強度という欠点を有するポリアミドP12をもたらす、PACMおよび脂肪族ジカルボン酸、例えばドデカンジオン酸を含む組成物について記述する。
【0005】
MACMをベースにした透明ポリアミド(B12)は、EP0725101から公知であるが、P12よりも低いエタノール耐性を有する。
【0006】
米国特許出願第20110105697号は、B12よりもアルコール耐性を改善するがP12よりも低いエタノール耐性を有する、特にB12/1012を含むMACMX/10Y/L型の組成物について記述する。
【0007】
次いで文献米国特許出願第20030235666号は、P12とB12との組合せ、したがってエタノールおよび疲労に対する良好な耐性を有するが不十分な加工可能性を有するものを、提案する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、良好な加工可能性および良好なオーバーモールド能力を維持しながら、良好なアルコール耐性、低いヘイズ、および良好な疲労強度を有する組成物を有することが求められている。
【0009】
したがって、本発明は、透明な成形組成物であって、重量で
(a)30~90%、特に35~85%の、式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドであり、
PACMが、PACMの全ての異性体の合計に対して少なくとも30mol%の、優先的には35~60mol%、特に40~55mol%、詳細には45~50.5mol%のtrans,trans-ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンからなるビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンであり、
Yが、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸であり、
Zが、少なくとも1つのアミノ酸から得られた単位もしくは少なくとも1つのラクタムから得られた単位または少なくとも1つの脂肪族ジアミンXと少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1との重縮合から得られた単位XY1から選択される反復単位であり、
Zが、(コ)ポリアミドの構成成分の合計に対してPACMY/Z(コ)ポリアミド中、0~15重量%で構成される、
式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドと、
(b)10~70%、特に15~65重量%の、式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドであり、
Aが、Zに関して定義された通りであり、
Wが、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)および前述で定義されたPACMから選択され、Wが、好ましくは3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)であり、
Sが、芳香族ジカルボン酸であり、前記芳香族ジカルボン酸が、イソフタル酸およびテレフタル酸ならびにこれらの混合物から特に選択され、特に前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸である、
式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドと、
(c)0~10%、優先的には3~6%の、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤と、
(d)0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%の少なくとも1つの添加剤と、
(e)0~5重量%のプレポリマーと
を含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計が、100%に等しく、
前記組成物が、エタノール耐性試験により決定された良好なアルコール耐性を有する、
透明な成形組成物に関する。
【0010】
アルコール(エタノール)耐性は、ISO 22088:2006に従い、所定の環境(ESC)で応力をかけた後の(プレートを、3%までの変形を課した楕円形のマンドレルに取着する)、即ち、この場合は24時間にわたりエタノール中に置いた、100×100×1mm3の鏡面研磨された型における射出プレート上での光学的観察(透過率およびヘイズ)によって決定される。幅および長さが100mm×100mmである厚さ1mmの、鏡面研磨された型における射出プレート上での透過率の測定およびヘイズの測定は、本発明の前記組成物から、アルコールによる試験の前後でASTM D 1003に従って決定された。
【0011】
エタノール耐性は、ASTM D 1003に従い決定された透過率がアルコールによる試験後に90%以上のとき、良好であると、有利に見なされる。
【0012】
有利には、エタノール耐性は、ASTM D 1003に従い決定されたヘイズがアルコールによる試験後に5%未満であるとき、良好であると見なされる。
【0013】
より有利には、エタノール耐性は、アルコールによる試験後にASTM D 1003に従い決定された透過率が、90%以上であり、かつアルコールによる試験後にASTM D 1003に従い決定されたヘイズが5%未満であるときに、良好であると有利に見なされる。
【0014】
したがって本発明者らは、意外にも、少なくとも1つの(コ)ポリアミドPACMY/Zと少なくとも1つの特定の半結晶質コポリアミドとの混合物が、特にP12に関して、良好なエタノール耐性、低いヘイズだけではなく改善された疲労強度、加工可能性、およびオーバーモールド能力を有する組成物を得るのを可能にすることを見出した。
【0015】
本発明の組成物の加工可能性は、P12の組成物の場合よりも特に改善される。
【0016】
P12には、高温であるときに結晶化する欠点があり、本発明の組成物は、P12の場合よりの低い温度で、特にさらに広い範囲の射出温度にわたって射出することができる。さらに、本発明の組成物の射出率および射出速度は、P12の射出の場合よりも高い。
【0017】
特に、等色温度および等色条件で、本発明は、特にP12に関して、PACMYで使用されるものよりもさらに低い射出圧力をもたらす。
【0018】
特にポリアミドに関する、前記発明の組成物のオーバーモールドも、同じポリアミドに関するP12のオーバーモールドよりも改善される。
【0019】
一実施形態では、組成物はガラス繊維を含まない。
【0020】
ガラス繊維は、任意のガラス繊維、特にFrederick T.Wallenberger,James C.WatsonおよびHong Li,PPG industries Inc.(ASM Handbook,Vol 21:composites(#06781G),2001 ASM International)に記載されたものであることが理解される。
【0021】
式PACMY/Zの(コ)ポリアミドに関して:
ポリアミドを定義するのに使用される命名法は、ISO規格1874-1:2011“Plastics-Polyamide(PA)Moulding And Extrusion Materials-Part 1:Designation”に記載されており、当業者に周知である。
【0022】
PACM(P)は、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンであり、4つの異性体:trans,trans異性体、cis,cis異性体、cis,trans異性体、およびcis,trans異性体からなる。
【0023】
したがって、本発明の組成物で使用されるPACMは、PACMの異性体の全ての合計に対して少なくとも30mol%の、優先的には35~60mol%、特に40~55mol%、詳細には45~50.5mol%のtrans,trans-ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンを含む。
【0024】
Yは、4~36個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子を含む、少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸である。
【0025】
より有利には、Yは、8~18個の炭素原子、有利には9~16個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸である。
【0026】
より優先的には、YはC10またはC12、特にC12の脂肪族ジカルボン酸である。
【0027】
カルボキシル酸二酸Yは、直鎖状または分枝状脂肪族カルボキシル二酸、特に直鎖状の酸から選択することができる。
【0028】
ジカルボン酸Yが脂肪族かつ直鎖状であるとき、コハク酸(4)、ペンタンジオン酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタンジオン酸(7)、オクタンジオン酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカンジオン酸(11)、ドデカンジオン酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカンジオン酸(14)、ヘキサデカンジオン酸(16)、オクタデカン酸(18)、オクタデカンジオン酸(18)、エイコサンジオン酸(20)、ドコサンジオン酸(22)、および脂肪酸ダイマーであって36個の炭素を含有するものから選択され得る。
【0029】
Zは、少なくとも1つのアミノ酸から得られる単位もしくは少なくとも1つのラクタムから得られる単位、または少なくとも1つの脂肪族ジアミンXおよび少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1の重縮合から得られる単位XY1から選択される反復単位である。
【0030】
Zが、アミノカルボン酸とも呼ばれる少なくとも1つのアミノ酸であるとき、前記アミノ酸は、6~18個の炭素原子、優先的には8~12個の炭素原子、より優先的には10~12個の炭素原子を含む。したがって、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸、および12-アミノドデカン酸、13-アミノトリデカン酸、14-アミノテトラデカン酸、15-アミノペンタデカン酸、16-アミノヘキサデカン酸、17-アミノヘプタデカン酸、および18-アミノオクタデカン酸から選択することができる。
【0031】
優先的には、Zは単一のアミノカルボン酸である反復単位である。
【0032】
Zが少なくとも1つのラクタムから得られる単位であるとき、前記ラクタムは6~18個の炭素原子、優先的には8~12個の炭素原子、より優先的には10~12個の炭素原子を含む。
【0033】
優先的には、Zは、単一のラクタムである反復単位である。
【0034】
有利には、Zは、C11アミノ酸から得られた単位またはC12ラクタムから得られた単位、優先的にはC11アミノ酸から得られた単位から選択される反復単位である。
【0035】
Zが、少なくとも1つの脂肪族ジアミンXと少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1との重縮合から得られる単位XY1であるとき、前記少なくとも1つの脂肪族ジアミンXは、4~36個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子、有利には6~12個の炭素原子、有利には10~12個の炭素原子を含み、前記少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸Y1は、4~36個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子、有利には6~12個の炭素原子、有利には8~12個の炭素原子を含む。
【0036】
この反復単位XY1を得るのに使用される脂肪族ジアミンは、少なくとも4個の炭素原子を含む直鎖状の主鎖を有する脂肪族ジアミンである。
【0037】
この直鎖状の主鎖は、必要な場合、1個または数個のメチルおよび/またはエチル置換基を含むことができ;後者の構成では、これを「分枝状脂肪族ジアミン」と呼ぶ。主鎖がいかなる置換基も含まない場合、脂肪族ジアミンを「直鎖状脂肪族ジアミン」と呼ぶ。
【0038】
主鎖上にメチルおよび/またはエチル置換基を含んでも含まなくても、この反復単位XY1を得るのに使用される脂肪族ジアミンは、4~36個の炭素原子、有利には4~18個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子、有利には6~14個の炭素原子を含む。
【0039】
このジアミンが直鎖状脂肪族ジアミンである場合、式H2N-(CH2)x-NH2を有し、例えばブタンジアミン(4)、ペンタジアミン(5)、ヘキサジアミン(6)、ヘプタンジアミン(7)、オクタンジアミン(8)、ノナンジアミン(9)、デカンジアミン(10)、ウンデカンジアミン(11)、ドデカンジアミン(12)、トリデカンジアミン(13)、テトラデカンジアミン(14)、ヘキサデカンジアミン(16)、オクタデカンジアミン(18)、およびオクタデセンジアミン(18)から選択することができる。ちょうど記述された直鎖状脂肪族ジアミンは、規格ASTM D6866の意味において全て生物由来とすることができる。
【0040】
このジアミンが分枝状脂肪族ジアミンであるとき、特に、2-メチル-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、またはトリメチレン(2,2,4または2,4,4)ヘキサンジアミンとすることができる。
【0041】
カルボキシル二酸Y1は、直鎖状または分枝状脂肪族カルボキシル二酸から選択されてもよい。
【0042】
ジカルボン酸Y1が脂肪族および直鎖状であるとき、コハク酸(4)、ペンタンジオン酸(5)、アジピン酸(6)、ヘプタンジオン酸(7)、オクタンジオン酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカンジオン酸(11)、ドデカンジオン酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカンジオン酸(14)、ヘキサデカンジオン酸(16)、オクタデカンジオン酸(18)、オクタデセンジオン酸(18)、エイコサンジオン酸(20)、ドコサンジオン酸(22)、および脂肪酸ダイマーであって36個の炭素を含有するものから選択することができる。
【0043】
上述の脂肪酸ダイマーは、特に文献EP0,471,566に記載されている一塩基性不飽和長鎖炭化水素脂肪酸(例えば、リノール酸およびオレイン酸)のオリゴマー化または重合によって得られる二量体化脂肪酸である。
【0044】
Zは、存在しても存在しなくてもよい。存在する場合、Zは、(コ)ポリアミドの構成成分の合計に対し、(コ)ポリアミド中に15重量%まで存在する。
【0045】
有利には、PACMY/Zは、PACM10、PACM12、PACM13、PACM14、PACM10/11、PACM12/11、PACM13/11、PACM14/11、PACM10/12、PACM12/12、PACM13/12、およびPACM14/12から選択される。
【0046】
より有利には、Zは存在せず、PACMYはPACM10、PACM12、PACM13、PACM14から選択される。
【0047】
Zが存在する場合、有利には、Zの窒素原子当たりの炭素原子の平均数は、6以上、優先的には8以上である。
【0048】
式A/WSの半結晶質コポリアミドに関して:
半結晶質コポリアミドは、本発明の意味の範囲内で、ISO規格11357-3:2013に従いDSCによって測定された溶融温度(Tm)と、冷却工程中に2013年のISO規格11357-3に従いDSCによって20K/分の速度で測定された25J/gよりも大きい、好ましくは40J/gよりも大きい結晶化エンタルピーとを有するコポリアミドを示す。
【0049】
前記コポリアミド中の単位Aは、Aが常に存在することが異なる他は、以前Zに関して定義された通りである。
【0050】
単位Wは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)および以前定義されたPACMから選択され、好ましくはWは、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)である。
【0051】
WがPACMである場合、コポリアミドA/WSはPACMY/Zとは異なる。
【0052】
Sは、芳香族ジカルボン酸である。
【0053】
芳香族ジカルボン酸Sは、テレフタル酸(Tと示される)、イソフタル酸(Iと示される)、および2,6-ナフタレンジカルボン酸(Nと示される)、またはこれらの混合物から選択されてもよい。
【0054】
特にSは、芳香族ジカルボン酸であり、テレフタル酸(Tと示される)、イソフタル酸(Iと示される)、またはこれらの混合物から選択され、特に前記芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。
【0055】
一実施形態では、コポリアミドA/WS中のAの重量含量は、コポリアミドの構成成分の合計に対して70%以上である。
【0056】
有利には、Aの重量含量は、70~95%、より詳細には70~90%である。
【0057】
一実施形態では、A/WSは、11/BI、12/BI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、および12/BI/BTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/BI/BT、および12/BI/BTであり、より詳細には11/BIおよび12/BIである。
【0058】
耐衝撃性改良剤に関して:
耐衝撃性改良剤は、存在しても存在していなくてもよく、存在する場合、その割合は最大10重量%である。
【0059】
耐衝撃性改良剤は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される。
【0060】
有利には、ポリオレフィンおよびSEBSは、本発明の組成物から除外される。
【0061】
PEBAに関して:
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、アミド単位(Ba1)およびポリエーテル単位(Ba2)を有するコポリマーであり、前記アミド単位(Ba1)は、少なくとも1つのアミノ酸から得られた単位、または少なくとも1つのラクタムから得られた単位、または、
- 少なくとも1つのジアミンであって、直鎖状または分枝状脂肪族ジアミンまたはこれらの混合物から優先的に選択される前記ジアミンと、
- 少なくとも1つのカルボン二酸であって、直鎖状または分枝状脂肪族二酸またはこれらの混合物から優先的に選択される前記二酸と、
の重縮合から得られ、前記ジアミンおよび前記二酸が4~36個の炭素原子、有利には6~18個の炭素原子を含むものから得られる単位から選択される、脂肪族反復単位に該当し、
前記ポリエーテル単位(Ba2)は、少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオール、特にポリアルキレンエーテルジオールに特に由来し、
PEBAは、反応性端部を有するポリアミド配列と反応性端部を有するポリエーテル配列との共重縮合、例えばとりわけ、
1)ジアミン鎖端部を有するポリアミド配列とジカルボン酸鎖端部を有するポリオキシアルキレン配列。
2)ジカルボン酸鎖端部を有するポリアミド配列とジアミン鎖端部を有するポリオキシアルキレン配列であって、ポリアルキレンエーテルジオール(ポリエーテルジオール)と呼ばれるアルファ-オメガジヒドロキシル化脂肪族ポリオキシアルキレン配列のシアノエチル化および水素化によって得られたもの。
3)ジカルボン酸鎖端部を有するポリアミド配列と、ポリエーテルジオールであって、得られた生成物が、この特定の場合にはポリエーテルエステルアミドであるもの
から特に得られる。本発明のコポリマーは、有利にはこのタイプである。
【0062】
ジカルボン酸鎖端部を有するポリアミド配列は、例えば、連鎖制限カルボン二酸の存在下でポリアミド前駆体の縮合から得られる。
【0063】
ジアミン鎖端部を有するポリアミド配列は、例えば連鎖制限ジアミンの存在下でポリアミド前駆体の縮合から得られる。
【0064】
ポリアミドおよびポリエーテルブロックポリマーは、ランダムに分布された単位を含んでいてもよい。これらのポリマーは、ポリエーテルおよびポリアミドブロック前駆体の同時反応によって調製されてもよい。
【0065】
例えば、ポリエーテルジオール、ポリアミド前駆体、および連鎖制限二酸を反応させることができる。結果は、本質的にポリエーテルブロック、ポリアミドブロックであって非常にばらつきのある長さを有するものを有するポリマーであるが、ポリマー鎖に沿ってランダムに(統計的に)分布される、ランダムに反応していた様々な試薬でもある。
【0066】
あるいは、ポリエーテルジアミン、ポリアミド前駆体、および連鎖制限二酸を反応させることができる。結果は、本質的にポリエーテルブロック、ポリアミドブロックであって非常にばらつきのある長さを有するものを有するポリマーであるが、ポリマー鎖に沿ってランダムに(統計的に)分布される、ランダムに反応していた様々な試薬でもある。
【0067】
アミド単位(Ba1):
アミド単位(Ba1)は、上記にて定義された脂肪族反復単位に該当する。
有利には、アミド単位(Ba1)は、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド1012から選択され、特にポリアミド11である。
より有利には、アミド単位(Ba1)は、ポリアミド11およびポリアミド12から選択される。
【0068】
ポリエーテル単位(Ba2):
ポリエーテル単位は、特に少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオールに由来し、特に少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオールに由来し、言い換えれば、ポリエーテル単位は少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオールからなる。この実施形態では、「少なくとも1つのポリアルキレンエーテルポリオールの」という表現は、ポリエーテル単位が、排他的にアルコール鎖端部からなること、したがってポリエーテルジアミントリブロック型化合物にはならないことを意味する。
【0069】
したがって、本発明の組成物は、ポリエーテルジアミントリブロックを含まない。
【0070】
有利には、ポリエーテル単位(Ba2)は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、およびこれらのコポリマーの混合物から選択され、特にPTMGである。
【0071】
ポリエーテルブロックの数平均分子量(Mn)は、有利には200~4000g/molの間であり、好ましくは250~2500g/molの間であり、特に300~1100g/molの間である。
【0072】
PEBAは、下記の方法によって調製することができ、その方法では、
- 第1の工程において、カルボキシル二酸から選択される連鎖制限剤(chain limiter)の存在下で、
ラクタム(類)の、または
アミノ酸(類)の、または
ジアミン(類)と、カルボン二酸(類)との、ならびに必要な場合には、ラクタム類およびアルファ-オメガアミノカルボン酸類から選択されるコモノマー(類)の
重縮合によってポリアミドブロック(Ba1)を調製し、次いで
- 第2の工程において、得られたポリアミドブロック(Ba1)を、触媒の存在下でポリエーテルブロック(Ba2)と反応させる。
【0073】
本発明のコポリマーの2工程調製のための一般的方法は公知であり、例えば仏国特許FR2846332および欧州特許EP1482011に記載されている。
【0074】
ブロック(Ba1)を形成するための反応は、通常、180~300℃の間で、好ましくは200~290℃の間で引き起こされ、反応器内の圧力は5~30barの間であり、約2~3時間にわたり維持される。圧力は、反応器を大気圧にすることによってゆっくり低下し、次いで過剰な水が、例えば1時間または2時間にわたり留去される。
【0075】
カルボン酸端部を有するポリアミドが調製されたら、ポリエーテルおよび触媒を添加する。ポリエーテルは、触媒で可能であるように、1つまたはいくつかの段階で添加されてもよい。有利な実施形態では、ポリエーテルが最初に添加され、ポリエーテルのOH端とポリアミドのCOOH端との反応は、エステル結合の形成および水の除去により開始される。可能な限り多くの水が蒸留によって反応媒体から除去され、次いで触媒が導入されて、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの結合が完了する。この第2の工程は、撹拌下で、好ましくは少なくとも15mmHg(2000Pa)の真空下、試薬および得られたコポリマーが溶融状態にあるような温度で実施される。例として、この温度は100~400℃の間であってもよく、最も頻繁には200~300℃の間である。反応は、撹拌子に対して溶融ポリマーによってかけられたトルクを測定することによって、または撹拌子によって消費された電力を測定することによって、モニターされる。反応の終わりは、目標とするトルクまたは電力の値によって決定される。
【0076】
抗酸化剤、例えばIrganox(登録商標)1010またはIrganox(登録商標)245として使用される1個または数個の分子も、合成中に、最も適切であると考えられる瞬間に添加されてもよい。
【0077】
PEBA調製プロセスは、
ラクタム(類)の、または
アミノ酸(類)の、または
ジアミン(類)とカルボキシル二酸(類)との、ならびに必要に応じてその他のポリアミドコモノマー(類)の
重縮合を、
- カルボキシル二酸から選択される連鎖制限剤の存在下、
- ブロック(Ba2)(ポリエーテル)の存在下、
- 軟質ブロック(Ba2)とブロック(Ba1)との間で反応させるための触媒の存在下
で行うために、全てのモノマーが開始時に単一工程で添加されるように、考えられてもよい。
【0078】
有利には、前記カルボン二酸は、ジアミン(類)の化学量論に対して過剰に導入される連鎖制限剤として使用される。
【0079】
有利には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから形成される群から選択される金属、あるいはリン酸、次亜リン酸、またはホウ酸などの強酸との誘導体が、触媒として使用される。
【0080】
重縮合は、240~280℃の温度で実施することができる。
【0081】
一般的に言えば、エーテルおよびアミド単位との公知のコポリマーは、直鎖状および半結晶質脂肪族ポリアミド配列からなる(例えば、Arkemaの「Pebax(登録商標)」)。
【0082】
一実施形態では、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)は、23℃でISO規格178:2010に従い測定したときに200MPa未満、特に100MPa未満の曲げ弾性率を有する。
【0083】
別の実施形態では、PEBAは、ISO 1183-3:1999に従い決定したときに1以上の密度を有する。
【0084】
コア-シェルに関して:
耐衝撃性改良剤は、「コア-シェルコポリマー」またはポリマー粒子とも呼ばれるコア-シェル改良剤であってもよい。
【0085】
これは20nmと500nmの間の重量平均粒度を有する。好ましくは、ポリマーの重量平均粒度は20nmと400nmの間、より好ましくは20nmと350nmの間、有利には20nmと300nmの間である。
【0086】
ポリマー粒子は、0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)を含む少なくとも1つの層(A)と、60℃よりも高いガラス転移温度を有するポリマー(B1)を含む別の層(B)とを含む、多層構造を有する。好ましくは、60℃よりも高いガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の外層である。
【0087】
本発明によるポリマー粒子は、2つまたは3つまたはいくつかの工程など、多重工程法によって得られる。
【0088】
そのような方法は、例えば文献US2009/0149600またはEP0,722,961に記載される。
【0089】
好ましくは、層(A)内で0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)は、多層構造を有するポリマー粒子のコアを形成する、多重工程法の第1の工程で生成される。好ましくは、ポリマー(A1)は、-5℃未満、より好ましくは-15℃未満、有利には-25℃未満のガラス転移温度を有する。
【0090】
好ましくは、60℃よりも高いガラス転移温度を有するポリマー(B1)は、多層構造を有するポリマー粒子の外層を形成する多重工程法の最後の工程で生成される。
【0091】
1つまたはいくつかの中間工程によって得られた1層または数層の追加の中間層が、存在していてもよい。
【0092】
数層を有するポリマーのガラス転移温度Tgは、例えば熱機械分析などの動的方法によって推定することができる。
【0093】
ポリマー(A1)および層(A)は、芳香族基を含有するモノマーを0重量%~50重量%未満含む。ポリマー(B1)および層(B)は、芳香族基を含有するモノマーを0重量%~50重量%未満含む。
【0094】
一実施形態によれば、ポリマー(B1)および層(B)は、芳香族基を含有するモノマーを含まない。
【0095】
0℃未満のガラス転移温度を有するポリマー(A1)に関し、イソプレンまたはブタジエンに由来するポリマー単位を少なくとも50重量%含み、層(A)は、多層構造を有するポリマー粒子の最内層である。言い換えれば、ポリマー(A1)を含む層(A)は、ポリマー粒子のコアである。
【0096】
例として、コアのポリマー(A1)は、イソプレンホモポリマーまたはブタジエンホモポリマー、イソプレン-ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーであって98重量%までのビニルモノマーを有するもの、およびブタジエンコポリマーであって98重量%までのビニルモノマーを有するものからなるものであってよい。ビニルモノマーは、ポリマー(A1)が芳香族基を含有するモノマーを50重量%未満含むことを前提として、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレート、またはブタジエン、またはイソプレン、またはこれらの混合物であってもよい。
【0097】
ポリマー(A1)は、架橋されていてもよい。本発明で有用な架橋モノマーは、限定するものではないが、ジビニルベンゼンおよびジビニルトルエンなどの芳香族多官能性ビニル化合物、エチレングリコールジメタクリレートおよび1,3-ブタンジオールジアクリレートなどの多価アルコール、トリメタクリレート、トリアクリレート、アリルアクリレートおよびアリルメタクリレートなどのアリルカルボキシレート、ならびにジアリルフタレート、ジアリルセバケート、およびトリアリルトリアジンなどのジ-およびトリ-アリル化合物を含む。
【0098】
コア-シェル型耐衝撃性改良剤は、官能化されても官能化されなくてもよい。コア-シェルが官能化される場合、前記発明のポリアミドマトリックスとのさらに良好適合性が可能になる。例として、無水マレイン酸型の官能化が好まれる。
【0099】
添加剤に関して:
添加剤は、任意選択であり、0~2重量%に及び、特に0.1~1重量%に及ぶ。
【0100】
前記添加剤は、前記組成物の透明度を乱さないことが明らかである。
【0101】
添加剤は、染料、安定剤、可塑剤、界面活性剤、成核剤、顔料、漂白剤、抗酸化剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、レーザーマーキング添加剤、およびこれらの混合物から選択される。
【0102】
例として、安定剤は、UV安定剤、有機安定剤、またはより一般的には有機安定剤の組合せ、例えばフェノール抗酸化剤(例えば、Ciba-BASF製のタイプIrganox245または1098または1010)、ホスファイト抗酸化剤(例えば、Ciba-BASF製のIrgafos(登録商標)126またはIrgafos(登録商標)168)、およびさらに任意選択でその他の安定剤、例えばHALSであって、ヒンダードアミン光安定剤を意味するもの(例えば、Ciba-BASF製のTinubin770)、抗UV(例えば、Ciba製のTinuvin312)、リン系安定剤であってもよい。CromptonのNaugard445などのアミン抗酸化剤、またはClariantのNylostab S-EEDなどの多官能性安定剤が、使用されてもよい。
【0103】
この安定剤は、銅をベースにした安定剤などの無機安定剤であってもよい。そのような無機安定剤の例として、ハロゲン化物および酢酸銅を挙げることができる。二番目に、銀などのその他の金属が任意選択で考えられるが、これらはそれほど効果がないことが公知である。これらの銅をベースにした化合物は、典型的にはアルカリ金属ハロゲン化物、特にカリウムに関連付けられる。
【0104】
例として、可塑剤は、n-ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)などのベンゼンスルホンアミド誘導体;エチルトルエンスルホンアミドまたはN-シクロヘキシルトルエンスルホンアミド;パラヒドロキシ安息香酸2-エチルヘキシルおよびパラヒドロキシ安息香酸2-デシルヘキシルなどのヒドロキシ安息香酸エステル;オリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコールのような、テトラヒドロフルフリルアルコールのエステルまたはエーテル;およびクエン酸のまたはヒドロキシマロン酸のエステル、例えばオリゴエチレンオキシマロネートから選択される。
【0105】
可塑剤の混合物の使用は、本発明の範囲外にはならないと考えられる。
【0106】
プレポリマーに関して:
プレポリマーは、組成物中に0~5重量%で存在していてもよい。
【0107】
プレポリマーは、直鎖状または分枝状脂肪族、脂環式、半芳香族、またはさらに芳香族ポリアミドオリゴマーから選択されてもよい。プレポリマーは、コポリアミドオリゴマー、またはポリアミドとコポリアミドオリゴマーとの混合物であってもよい。好ましくは、プレポリマーは1000~10000g/mol、特に1000~5000g/molの数平均分子量Mnを有する。特に、使用される連鎖制限剤が例えばモノアミンである場合、単官能性NH2とすることができる。数平均分子量(Mn)またはアミン価は、下式:Mn=1000/[NH2]に従い計算され、[NH2]は、例えば電位差測定法により決定されたときのプレポリマー中のアミン官能基の濃度である。
【0108】
有利には、プレポリマーは直鎖状脂肪族オリゴマーであり、特にモノNH2脂肪族オリゴマー、特にモノNH2 PA11である。
【0109】
組成物に関して:
第1の実施形態では、透明な成形用組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~90%、詳細には35~85%、特に45~65%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~65%、特に35~55重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0110】
この第1の実施形態の第1の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つ(コ)ポリアミドを35~85%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを15~65重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0111】
この第1の実施形態の第2の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つ(コ)ポリアミドを30~87%、詳細には35~82%、特に45~62%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~62%、特に35~52重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0112】
この第1の実施形態の第3の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~89.9%、詳細には35~84.9%、特に45~64.9%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~64.9%、特に35~54.9重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0113】
この第1の実施形態の第4の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~89.9%、詳細には35~84.9%、特に45~64.9%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~64.9%、特に35~54.9重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を、0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0.1~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0114】
この第1の実施形態の第5の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~86.9%、詳細には35~81.9%、特に45~61.9%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~61.9%、特に35~51.9重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマー~選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0115】
この第1の実施形態の第6の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~86.9%、詳細には35~81.9%、特に45~64.9%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~61.9%、特に35~51.9重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマー~選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0.1~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0116】
この第1の実施形態の第7の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを30~86.8%、詳細には35~81.8%、特に35~51.9%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを10~70%、詳細には15~61.8%、特に35~51.8重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0.1~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0117】
この第1の実施形態の第8の変形例では、組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドを45~65%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドを35~55重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤を0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーを0~5重量%
含み、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は、100%に等しい。
【0118】
有利には、この第1の実施形態の第8の変形例において、前記組成物はガラス繊維を含まない。
【0119】
第2の実施形態では、透明な成形組成物は、重量で
(a)式PACMY/Zの少なくとも1つの(コ)ポリアミドが30~90%、詳細には35~85%、特に45~65%、
(b)式A/WSの少なくとも1つの半結晶質コポリアミドが10~70%、詳細には15~65%、特に35~55重量%、
(c)ポリエーテルブロックアミド(PEBA)およびコア-シェルポリマーから選択される少なくとも1つの耐衝撃性改良剤が0~10%、優先的には3~6%、
(d)少なくとも1つの添加剤が0~2重量%、好ましくは0.1~1重量%、
(e)プレポリマーが0~5重量%
からなり、
前記組成物の各構成成分の割合の合計は100%に等しい。
【0120】
この第2の実施形態では、前記組成物が記述される割合で種々の構成成分(a)~(e)からなること以外、第1の実施形態に関してこれまで記述されてきたものと同等の8つの変形例が同様にある。
【0121】
有利には、これら2つの実施形態および関連する変形例において、A/WSコポリアミド中のAの重量による含量は、70%以上である。
【0122】
有利には、A/WSは、11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択される。
【0123】
Zは、存在しても存在しなくてもよい。存在する場合、PACMY/Zコポリアミド中のZの重量含量は最大15%である。
【0124】
有利には、PACMY/Zは、PACM10、PACM12、PACM13、PACM14、PACM10/11、PACM12/11、PACM13/11、PACM14/11、PACM10/12、PACM12/12、PACM13/12、およびPACM14/12から選択される。
【0125】
より有利には、PACMY/Zは、PACM12、PACM13、PACM14、PACM10/11、PACM12/11、PACM13/11、PACM14/11、PACM10/12、PACM12/12、PACM13/12、およびPACM14/12から選択される。
【0126】
より有利には、Zは存在せず、かつPACMYはPACM10、PACM12、PACM13、PACM14から選択される。
【0127】
さらにより有利には、Zは存在せず、かつPACMYはPACM12、PACM13、PACM14から選択される。
【0128】
有利には、A/WSは、11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、PACMY/Zは、PACM10、PACM12、PACM13、PACM14、PACM10/11、PACM12/11、PACM13/11、PACM14/11、PACM10/12、PACM12/12、PACM13/12、およびPACM14/12から選択される。
【0129】
より有利には、A/WSは、11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、PACMY/Zは、PACM12、PACM13、PACM14、PACM10/11、PACM12/11、PACM13/11、PACM14/11、PACM10/12、PACM12/12、PACM13/12、およびPACM14/12から選択される。
【0130】
有利には、Z=0である。
【0131】
後者の場合、A/WSは、11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、PACMYは、優先的にはPACM10、PACM12、PACM13、およびPACM14から選択される。
【0132】
有利には、A/WSは、11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BT、12/BT、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、特に11/BI、12/BI、11/PI、12/PI、11/BI/BT、11/PI/BT、11/BI/PT、11/PI/PT、12/BI/BT、12/PI/BT、12/BI/PT、および12/PI/PTから選択され、PACMYは、優先的にはPACM12、PACM13、およびPACM14から選択される。
【0133】
有利には、これら2つの実施形態および関連ある変形例では、前記組成物は耐衝撃性改良剤を含まない。
【0134】
有利には、実施形態および関連ある変形例のそれぞれにおいて上記にて定義された前記組成物は、前記エタノール耐性試験の前に、厚さ1mmのプレート上、560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、91%よりも高い透過率を有する。
【0135】
有利には、実施形態のそれぞれで上記にて定義された前記組成物は、前記エタノール耐性試験の後に、厚さ1mmのプレート上、560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、90%よりも高い透過率を有する。
【0136】
有利には、実施形態および関連ある変形例のそれぞれで上記にて定義された前記組成物は、前記エタノール耐性試験の前に厚さ1mmのプレート上で560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、91%よりも高い透過率と、前記エタノール耐性試験の後に厚さ1mmのプレート上で560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、90%よりも高い透過率を有する。
【0137】
有利には、実施形態および関連ある変形例のそれぞれにおいて、上記にて定義された前記組成物は、アルコールでの試験の後、ASTM D 1003に従い決定された、5%未満のヘイズを有する。
【0138】
有利には、実施形態および関連ある変形例のそれぞれにおいて、上記にて定義された前記組成物は、前記エタノール耐性試験の前、厚さ1mmのプレート上、560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、91%よりも高い透過率と、前記エタノール耐性試験の後、厚さ1mmのプレート上、560nmで、ISO規格13468-2:2006に従い決定された、90%よりも高い透過率とを有し、前記組成物は、アルコールで試験した後、ASTM D 1003に従い決定された、5%未満のヘイズも有する。
【0139】
上記にて定義された前記組成物は、18MPaでの最小サイクル数が350,000サイクルである強度試験により決定されたとき、良好な疲労強度を有する。
【0140】
強度試験は、ノッチ付きバーでまたはノッチ付きダンベルで行われ、特にノッチ付きダンベルで行われる。室温で、周波数5Hzおよび張力下で実施される。サイクル数は、試料が破壊される前の固定応力に関して決定され、ここでは18MPaである。
【0141】
有利には、上記にて定義された組成物は、ISO 6721-11:2019に従い、動的機械分析(DMA)によって決定されたとき、90℃以上のTgを有し、特に100と140℃の間を有する。
【0142】
有利には、組成物は、ISO 75 fに従い決定されたとき、65℃以上、特に70と110℃の間、特に80と110℃の間のHDT(A)を有する。
【0143】
HDT(荷重たわみ温度)は、ISO規格75 f(平らに置かれたバー)方法A(荷重1.8MPa)に従い決定し、乾燥状態にある試料に関する本発明のポリアミドの加熱温度上昇速度は50℃・時-1であった。
【0144】
有利には、前記組成物は、ウェッジ切断試験により決定されるように、ポリアミドおよびPEBAX(登録商標)などの材料で、特に硬質母材で、良好なオーバーモールド能力を有する。
【0145】
硬質母材は、ガラス繊維などの充填材で任意選択で強化されたポリアミド、より詳細には強化型半結晶質脂肪族ポリアミドを意味することが理解される。
【0146】
良好なオーバーモールド能力は、
ダイナモメーター:MTS370-試験速度:5mm/分
温度:23℃-フォースセル:100KN
鋼製ウェッジの厚さ:3mm
で、ISO 10354:1992に従い行われるウェッジ切断試験により決定されたとき、硬質母材による本発明の組成物のオーバーモールド後の、ほとんどないまたは全くない層剥離によって特徴付けられる。
【0147】
接着は、ウェッジ切断試験後に層剥離がない場合にOKと評価されることになる。接着は、ウェッジ切断試験中に検出される力がないことをもたらす、非常に不十分な接着の場合にNOKと評価されることになる。
【0148】
別の態様によれば、本発明は、物品、特に電子部品、スポーツ、化粧品、自動車、家電製品、光学部品、または工業用の物品の製造のための使用に関する。
【0149】
有利には、物品は、射出成形によって製造される。
【0150】
別の態様によれば、本発明は、上記にて定義された組成物を用いて射出成形によって得られた物品に関する。
【実施例】
【0151】
本発明の組成物の調製および機械的性質:
表1の組成物は、溶融状態にある種々の構成成分の顆粒を混合することによって調製した。
【0152】
本発明の実施例および比較例で使用されるPACMは、PACMの異性体全ての合計に対し、45~50.5mol%のトランス,トランス-ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン異性体からなる。
PACM12:出願人により生成された
PACM10:出願人により生成された
PACM10/11(97.5/2.5重量%):出願人により生成された
11/BI(93/7重量%):出願人により生成された
11/B10(80/20重量%):出願人により生成された
PA11:Rilsan(登録商標)Arkema
【0153】
これらの混合物を、直径D=16mmおよび長さL=25×Dの共回転二軸押出機で配合することによって加工した。
【0154】
これらの混合物を、270℃の温度で配合した。スクリュー速度を300rpmに、流量を3kg/時に設定した。
【0155】
全ての成分を、メインホッパー内に投入した。
【0156】
混合物ごとに、顆粒を回収し、次いで射出した。
【0157】
アルコール(エタノール)耐性試験(表1):
アルコール(エタノール)耐性は、所定環境(ESC)で、即ち本発明の場合はISO 22088:2006に従い24時間にわたりエタノール中に置いた後、応力をかけた後の(プレートは楕円形マンドレルに取着し、最大3%の変形を課した)、100×100×1mm3の鏡面研磨された型における射出プレートでの光学的観察(透過率およびヘイズ)によって決定する。幅および長さが100mm×100mmである、厚さ1mmの、鏡面研磨された型での射出プレートでの透過率の測定値およびヘイズの測定値は、本発明の前記組成物から、アルコールによる試験の前後で、ASTM D 1003に従い決定した。
【0158】
エタノール耐性は、有利には、アルコールによる試験後に、ASTM D 1003に従い決定された透過率が90%以上のときに、良好と見なされる。
【0159】
エタノール耐性は、有利には、ヘイズが5%未満であるときに良好と見なされる。
【0160】
エタノール耐性は、有利には、アルコールによる試験の後、ASTM D 1003に従い決定された透過率が90%よりも高くまたは等しいとき、およびヘイズが5%未満であるときに、良好と見なされる。
【0161】
透過率およびヘイズの測定(表1):1mmの厚さのプレートを、表1の本発明および比較例の組成物を使用して生成した。
【0162】
560nmの波長で透過するまたは反射する光のパーセンテージを、ISO規格13468-2:2006に従い、これまで得られたプレート上で測定した。測定値は、アルコール耐性試験の前後で得た(実施例において、透過率に関しては1mm当たりのTr(%)、およびヘイズに関しては1mm当たりのヘイズ(%)で示される)。
【0163】
乾燥状態にあるバーでの疲労試験(表2)
操作条件:
バー:80×10×4mm3
ジョー間の隙間:40mm
周波数:5Hz(この周波数で自己加熱は観察されない)
試験温度:23℃
Servo-水圧式動力計MTS810#1
ロードセル:25KN
V-ノッチ- ノッチ下の厚さ3.7mm
組成物I1およびC2による100×100×1mm3および100×100×2mm3プレート(表3)ならびに80×10×4mm3バー(表4)の射出
【0164】
ウェッジ切断試験(接着 表1):
ウェッジ切断試験を、ISO 10354:1992に従い、下記のように実施した:
動力計:MTS370-試験速度:5mm/分
温度:23℃-フォースセル:100KN
鋼製ウェッジの厚さ:3mm
【0165】
【0166】
組成物の全てのパーセンテージは、重量で示される。
(I1-I4:本発明の組成物)
(C1-C6:比較組成物)
OK:非常に良好な接着。層剥離なしを意味する。
NOK:不十分な接着。力の値を検出することが不可能。手で剥がすことができることを意味する。
【0167】
本発明の組成物は、一貫して4つの基準を示す:
1)エタノール試験前の透過率が91%よりも高く、および
2)エタノール試験後の透過率が90%よりも高く、および
3)オーバーモールド能力(硬質母材との接着)
4)エタノール試験後のヘイズが5%未満であり、
それに対して比較組成物は、最大でもこれら4つの基準のうち2つのみを示す。
【0168】
本発明の組成物の疲労強度は、比較組成物の場合よりも著しく大きい。
【0169】
プレートまたはバーを得るための本発明の組成物の射出性は、そのさらに低い射出圧力により、比較組成物の場合よりも非常に大きい。
【0170】
以下に提示される結果は、本発明の組成物が、比較例のPACMY組成物よりも良好な射出性(表3および4)、オーバーモールド能力(表1)、および疲労強度(表2)を示すことを、示している。
【0171】
さらに、本発明の組成物は、比較組成物よりも大きいエタノール耐性(表1)を示す(PACMYと脂肪族ポリアミドとの混合物、PACMYと11/B10との混合物、またはPACMY単独)。
【国際調査報告】