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特表2023-550117重プラスチック材料から作製される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】重プラスチック材料から作製される物品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20231122BHJP
   G04B 37/18 20060101ALI20231122BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231122BHJP
【FI】
C08L101/00
G04B37/18 Z
C08K3/013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530623
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 EP2021079960
(87)【国際公開番号】W WO2022111936
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】20209440.5
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ダーン,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】シュネル,ブノワ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CK022
4J002CL031
4J002DA066
4J002DA116
4J002FD016
4J002FD202
4J002GC00
4J002GN00
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、50重量%超で、85重量%以下の割合で存在する金属及び/又はセラミック充填剤、15重量%以上で、50重量%以下の割合で存在する少なくとも1種のポリマー、任意選択で、0重量%以下で、10%未満の割合で存在する少なくとも1種のカップリング剤を含む材料から作製され、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される1種又は複数の結合により、前記ポリマー(4)が充填剤(2)及び任意選択で、カップリング剤(3)に結合されることを特徴とする物品に関する。本発明は、射出成形又は3Dプリンティングにより、この物品を製造する方法にも関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2~7g/cmの密度を有する材料から作製される物品であって、前記材料は、合計100重量%に対して:
-3g/cm以上の密度を有する金属及び/又はセラミック材料から作製される充填剤(2)であって、50重量%超で、85重量%以下の割合で存在する充填剤(2)、
-15重量%以上で、50重量%以下の割合で存在する少なくとも1種のポリマー(4)、
-任意選択で、0重量%以上で、10重量%未満の割合で存在する少なくとも1種のカップリング剤(3)、
-任意選択で、0~10重量%の割合で存在する少なくとも1種の強化材、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の色素、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の希釈剤及び/又は可塑剤、
を含み、
前記ポリマー(4)は前記充填剤(2)に結合され、及び/又は、前記材料が少なくとも1種のカップリング剤(3)を含む場合、前記カップリング剤(3)は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される1種又は複数の結合により、それぞれ、前記ポリマー(4)及び前記充填剤(2)に結合される、物品。
【請求項2】
前記充填剤(2)は、60~80重量%の割合で存在すること、及び前記ポリマー(4)は、20~40重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記充填剤(2)は、65~75重量%の割合で存在すること、及び前記ポリマー(4)は、25~35重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
前記カップリング剤(3)は、0.1~10重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の物品。
【請求項5】
前記カップリング剤(3)は、0.1~5重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
前記カップリング剤(3)は、0.5~3重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項4又は5に記載の物品。
【請求項7】
前記金属及び/又はセラミック材料は、表面上に、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)との前記水素、配位及びイオン結合を示唆する酸化物、水酸化物及び/又は電子空孔を含むことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の物品。
【請求項8】
前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、NH、OH、COC、C=O及びCOOHから選択される1種又は複数の基の保持材料であることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
1つの結合は水素結合であり、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、水素結合供与体である水素原子を保持する基及び水素結合受容体である水素より高い電気陰性元素を保持する基を含み、前記結合は前記充填剤(2)の表面で水酸化物及び酸化物基と形成されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記元素は、酸素、窒素、塩素、臭素及びフッ素から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記基の、それぞれ、水素結合供与体及び受容体は、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)上で隣接することを特徴とする、請求項9又は10に記載の物品。
【請求項12】
前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、NH基である水素結合供与体及びC=O基である水素結合受容体を含むことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
前記ポリマー(4)は、ポリアミドであることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
前記カップリング剤(3)は、ポリウレタンであることを特徴とする、請求項12又は13に記載の物品。
【請求項15】
1つの結合は、前記充填剤(2)及び/又は前記カップリング剤(3)の陰イオンに結合したNH 基を保持する前記ポリマー(4)とのイオン結合であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の物品。
【請求項16】
前記充填剤(2)は、O陰イオンを保持することを特徴とする、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の物品。
【請求項17】
前記カップリング剤(3)は、R-COO陰イオンを保持することを特徴とする、請求項15又は16に記載の物品。
【請求項18】
1つの結合は、前記充填剤(2)の表面で電子空孔と配位結合を形成するカルボン酸又はアミン官能基を保持する前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)との前記配位結合であることを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の物品。
【請求項19】
前記カップリング剤(3)は、少なくとも20炭素原子を含むことを特徴とする、請求項4から請求項18のいずれか1項に記載の物品。
【請求項20】
前記材料は、前記カップリング剤(3)の添加なしに、前記充填剤(2)及びポリウレタンである前記ポリマー(4)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の物品。
【請求項21】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリアミド及びカップリング剤(3)としてのポリウレタンと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4から請求項19のいずれか1項に記載の物品。
【請求項22】
前記材料は、合計100重量%に対して、65~80重量%の割合で前記充填剤(2)、19.5~34.5重量%の割合で前記ポリマー(4)、及び0.5~5重量%の割合で前記カップリング剤(3)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の物品。
【請求項23】
前記材料は、65~75重量%の割合で前記充填剤(2)、24~34重量%の割合で前記ポリマー(4)、及び1~3.5重量%の割合で前記カップリング剤(3)を含むことを特徴とする、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の物品。
【請求項24】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリアミド及びカップリング剤(3)としてのアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4から請求項19のいずれか1項に記載の物品。
【請求項25】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリエステル及びカップリング剤(3)としてのアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4から請求項19のいずれか1項に記載の物品。
【請求項26】
前記強化材は、1~6重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の物品。
【請求項27】
前記強化材は、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維及び/又はアラミド繊維から形成されることを特徴とする、請求項1から請求項26のいずれか1項に記載の物品。
【請求項28】
時計の外装部品又はムーブメントに関することを特徴とする、請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の物品。
【請求項29】
a)前記充填剤(2)、前記ポリマー(4)、及び任意選択で、前記カップリング剤(3)、前記強化材及び前記色素のためのベース材料を、次記に従い用意するステップ、
-前記充填剤(2)は、3g/cm以上の密度を有する金属及び/又はセラミック材料から作製され、前記充填剤(2)は50重量%超で、85重量%以下の割合で存在する、
-前記ポリマー(4)は、15重量%以上で、50重量%以下の割合で存在する、
-前記カップリング剤(3)は、0重量%以上で、10重量%未満の割合で存在する、
-前記強化材は、0~10重量%の割合で存在する、
-前記色素は、0~5重量%の割合で存在する、
-前記希釈剤及び/又は前記可塑剤は、0~5重量%の割合で存在する、
b)前記ベース材料を射出成形技術又は3Dプリンティング技術により成形し、前記物品を製造するステップ、
を含む、請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の物品を製造する方法であって、
前記充填剤(2)のための前記ベース材料は、0.01m/g、好ましくは、2m/g、より好ましくは、5m/g以上の比表面積BETを有すること、並びに前期成形ステップ後に、前記ポリマー(4)は前記充填剤(2)に結合され、及び/又は、前記材料が少なくとも1種のカップリング剤(3)を含む場合、前記カップリング剤(3)は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される1種又は複数の結合により、それぞれ、前記ポリマー(4)及び前記充填剤(2)に結合されること、を特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は物品、例えば、重プラスチック材料から作製され、衝撃に耐性がある計時器部品に関する。
本発明はまた、重プラスチックから作製されるこのような物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ケースやバンド(ブレスレット)などの多くの外装部品は、プラスチック材料から作製される。これらの部品は、型成形により製造され、この方法は、なんらの手直し作業をすることなく、多様な形状を得ることができるという利点を有する。これらのプラスチック材料から作製される部品は、1に近い密度を有し、そのため、軽量であるという特徴を有する。これは、手首に一定の重量を有する腕時計をつけることを望む使用者にとっては欠点になる場合もある。
【0003】
この欠点を軽減するために、例えば、特許文献欧州特許第2482142号明細書で、ムーブメントであるか、又は外装部分であるかに関わらず、タングステン粉末などの高密度金属粉末を充填したプラスチック材料から作製される計時器部品を製造することが提案された。これらの部品は、射出成形法により製造され、この方法は、その後の手直しなしに、型中で成形する利点を維持すると同時に、密度を高めることを可能にする。
【0004】
従って、これらの材料は、射出による成形の容易さなどのプラスチックの特定の利点と、密度、ひんやりした手触り及び金属的外観などの金属の利点を組み合わせる。
【0005】
しかし、使用されるポリマーマトリックスに関連して、これらの材料では、破断強度及び伸びの低下が観察され得る。この低下は、ナノメートルサイズのポリマー鎖中へのマイクロメートルサイズの金属粉末の組み込みによる材料の結合力の不足が原因である。従って、金属(又はセラミック)充填剤、ポリマーとしてのポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)及びカップリング剤としてのポリウレタンを含む材料の場合、これが、材料の結合力の不足により特性を低下させることが観察される。
【0006】
この機械的性質の低下は、材料の衝撃吸収能力に影響を与えることになる。従って、このタイプの材料は、例えば、ケースなどの製造のための時計の分野などの耐衝撃性を必要とする用途に適合されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2482142号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、材料の結合力を改善可能にし、それにより、材料の機械的性質を改善可能にする重プラスチック材料の新規組成物を提案することである。
【0009】
本発明は、特に、時計の分野で興味深い用途を有するが、しかし、本発明は、このような用途に限定されない。
【0010】
この目的のために、本発明は、100%の総重量に対し、下記重量%を含む材料から作製される物品を提案する:
-金属及び/又はセラミック材料から作製され、3g/cm以上の密度を有する充填剤であって、前記充填剤は、50重量%を越え、85重量%以下の割合で存在する充填剤、
-15重量%以上、50重量%以下の割合で存在する少なくとも1種のポリマー、
-任意選択で、0重量%以上、10重量%未満の割合で存在する少なくとも1種のカップリング剤、
-任意選択で、0~10重量%の割合で存在する少なくとも1種の強化材、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の色素、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の希釈剤及び/又は少なくとも1種の可塑剤。
【0011】
本発明では、材料が少なくとも1種のカップリング剤を含む場合、水素結合、配位結合又はイオン結合の1種又は複数により、ポリマーは、充填剤に結合され、及び/又はカップリング剤はそれぞれ、充填剤及びポリマーに結合される。
【0012】
これらの結合は、充填剤の酸化表面及び/又は表面に存在する電子空孔と、ポリマー及び/又はカップリング剤の基との間で形成される。このために、ポリマー及び/又はカップリング剤は、例えば、次の基:NH、OH、COC、C=O、COOHの1種又は複数を保持する。これらの充填剤、ポリマー及び、該当する場合は、カップリング剤の結合は、材料の良好な結合力を確保することを可能にする。それらは、通常100kJ/モル、あるいは50kJ/モル未満の相互作用エネルギーを有するという特徴を有し、これは、製造中の温度上昇の間に結合を破断するのを可能にし、それにより、結合の冷却及び再形成後に、より良好な混合物及びより良好な材料の結合力を確実にする。
【0013】
従って、開発された材料は、時計の用途に対し、2.5GPa以上のヤング率を備えた十分な剛性、5%以上の十分な破断点伸び及び30MPa以上の破断点荷重を有する。更に、それは良好な靭性を有し、2~7g/cmの密度を有する。
【0014】
更に、本発明は、型成形により、射出により、又は3Dプリンティングにより、本材料を製造する方法に関する。
【0015】
本方法は、充填剤用のベース材料は、ポリマー及び/又は、存在する場合、カップリング剤と、水素、イオン及び/又は配位結合を形成するために充分に反応性のある表面を備えた充填剤が得られるように、0.01m/g、好ましくは2m/g、より好ましくは5m/g以上のBETを有する粉末の形態であるという特徴を有する。セラミック(酸化物、窒化物又は炭化物)又は金属(鋼、タングステン、など)の形態は何であっても、反応性表面は、従って、水酸化物、酸化物及び/又は電子空孔を含む。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら、非限定的に提示される下記の好ましい実施形態の説明で明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による重プラスチック材料から作製されたケースを含む計時器を示す。
図2】充填剤の表面、カップリング剤と、ポリマーとの間の相互作用を示す。
図3】充填剤、カップリング剤と、ポリマーとの間で形成される水素結合の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、プラスチック材料及び金属又はセラミック材料を含む複合材料から作製される物品に関する。
例えば、物品は、腕時計、装身具、ブレスレット、などの構成要素であり得る。
物品はまた、ベゼルの構成要素、例えば、マウント、アーム、シュー(shoe)であり得る。
【0019】
非限定的、非包括的に言えば、本発明による物品はまた、スポーツ用品、料理用品、音楽用品又は楽器、革製品又は服飾小物、自動部品又は航空部品、電子商品用の部品(例えば、電話保護ケース、コンピューターキーボード、コンピューターキーボードのキー、オーディオヘッドセットなど)、執筆用品などの構成要素、又は全体を形成し得る。
好都合にも、物品は、特定の衝撃及びショックに対する耐性を機能的に必要とする部品である。
【0020】
特定の時計学の分野では、この物品は、例えば、ケース、裏蓋、ベゼル、プッシュボタン、ブレスレットリンク、ダイアル、時計の針、ダイアルインデックス、などの外装部品であり得る。
例として示すと、本発明による材料から作製されたケース1が図1に示される。
別の実施形態の例では(図示せず)、本発明による物品は、例えば、プレートなどのムーブメントの部品であり得る。
【0021】
本発明では、物品は、少なくとも2種の成分:充填剤(金属及び/又はセラミック)、及びポリマー、を含む材料から作製される。従って、材料は、複合材料であるとみなし得る。
任意選択で、充填剤とポリマーとの間で生理化学的相互作用が十分でない場合、材料は、1種又は複数のカップリング剤を含み得る。
任意選択で、材料は強化材を含んでもよい。
任意選択で、材料はまた、1種又は複数の色素を含んでもよい。
任意選択で、材料はまた、希釈剤及び/又は可塑剤を含んでもよい。
【0022】
充填剤は、金属及び/又はセラミックであってよい。
金属材料としては、従来の炭素鋼、ステンレス鋼、銅、銅合金、チタン、チタン又は、タングステン合金にも関し得る。ニッケル不含ステンレス鋼に関するのが好ましい。
セラミック材料としては、炭化物、窒化物又はZrO、CeO、ZnO、などの酸化物に関し得る。
金属及びセラミック材料の混合物を含む充填剤にも関する。
【0023】
充填剤のその全体は、質量が最も多いが、85重量%以下である。従って、充填剤は、50~85重量%(下限値は含まず)、例えば、50~75重量%又は50~65重量%(下限値は含まず)である。
好ましくは、充填剤は、60~80重量%、更により好ましくは、65~75重量%の割合である。
本発明では、充填剤は、金属又はセラミック充填剤の種類に関係なく、事実上、特別な処理なしに、その表面に対し、その組成及び/又は欠陥の変化が生じるはずの高比表面積(≧0.01m/g)を有する粉末の形態で製造中に導入される。それは、粉末及び電子空孔などの欠陥の酸化表面上に存在する酸化物又は水酸化物に関係し得、これらは、種々の結合を介してポリマー及び/又は、存在する場合、カップリング剤と相互作用することを可能にする。図2は、従って、充填剤2の表面、カップリング剤3と、ポリマー4との間で形成される相互作用を示す。
【0024】
材料は、充填剤及び/又は、存在する場合、カップリング剤と、水素、イオン及び/又は配位結合を生成することができる1種又は複数のポリマーを含む。これらの全ての生理化学的結合は、通常、5~100kJ/モルの低い相互作用エネルギーを有するという特徴を有し、これは、材料の射出又は3Dプリンティング中の温度上昇の間に分子間の結合を破断するのを可能にし、射出又は3Dプリンティング後に、これらの生理化学的結合が材料の冷却中に回復される。この特性は、より良好な混合、より良好な成分間の適合性及び、結果として、分子スケールでの材料のより良好な結合力、並びに、より良好な材料の全体結合力を可能にする。
【0025】
ポリマー又は全てのポリマーは、材料の15~50重量%(上限値は含まず)、例えば、25~50重量%又は、更に35~50重量%(上限値は含まず)の割合である。
好ましくは、ポリマー又は全てのポリマーは、材料の20~40重量%、より好ましくは、25~35重量%の割合である。
【0026】
水素結合を形成するために、ポリマーは、NH又はOH基などの水素原子を有する基を含む水素結合供与体及び窒素、酸素などの水素より高い電気陰性の原子又はフッ素、塩素、臭素などのハロゲンの原子を有する基を含む水素結合受容体を含む。水素結合は、金属又はセラミック充填剤の酸化表面上に存在する水酸化物及び酸化物と共に形成される。例えば、充填剤の表面の水酸化物基は、ポリマーのC=O、R-OH、COC、R-NHR’基と相互作用する。水素結合供与体及び受容体は、ポリマーの鎖上で隣接しているのが好ましい。更に、例として示すと、ポリマーは、従って、結合受容体酸素原子を含むC=O基及び隣接する結合供与体水素原子を含むN-H基を有するR-C(=O)-NH-R’パターンを有するポリアミドであってよい。
【0027】
本発明の範囲内のイオン結合は、負に帯電している塩基官能基及び正に帯電した酸官能基との間での相互作用から生じる。結合は、Hイオンの金属又はセラミック充填剤の表面のOH基から、ポリマーの方向への移動により形成される。例えば、ポリマーは、NH基、より具体的には、ポリアミンを含んでよく、酸-塩基反応後にR-NHx+1-R’/MOが得られる。
【0028】
配位結合は、共有結合の特殊なタイプであり、電子が各結合原子に由来する従来の共有結合に反して、共有電子対が原子の1つにのみ由来する。本発明では、この結合は、ルイス酸を形成する充填剤の表面の電子空孔に結合したポリマーにより形成されたルイス塩基を更に具体的に意味する。結合対保持原子を含むいずれの官能基保持ポリマーも、電子空孔を「安定化する」ために、この対を共有し得る。例えば、R(C=O)NR’中、RO(C=O)NR’中、及びR(C=O)OR’中の窒素又は酸素非結合対に関連し得る。ポリマーはまた、充填剤の表面で電子空孔と結合を形成できるアミン(NH)又はカルボン酸(COOH)官能基を保持し得る。例えば、ポリウレタン及びポリエステルを挙げることができる。
【0029】
材料は、0%~10%未満、好ましくは0.1~10%、より好ましくは、0.1~5%、更により好ましくは、0.5~3%の割合のカップリング剤を含み得る。カップリング剤はまた、充填剤及びポリマーに、上述のような、水素、イオン及び配位結合から選択される1種又は複数の結合により結合できる。カップリング剤の存在下で、結合は、それぞれ、カップリング剤と充填剤との間、カップリング剤とポリマーとの間、充填剤とポリマーとの間の必ずしも直接結合ではない結合を形成する。ポリマーについては、カップリング剤は、C=O、COC、OH、NH又は、同様に、COOHから選択される少なくとも1種の基を含む。水素、イオン及び配位結合に関する一例は、R-O-C=O-NH-R’パターンを有するポリウレタンに関連し得る。好ましくは、カップリング剤は、最小限で20炭素原子を有する長鎖を有する。水素、イオン及び配位結合に関するさらなる一例は、アミン又はアミド官能基、好ましくは、最小限で鎖上に20炭素原子を有するヒドロキシシランに関連し得る。さらなる一例は、充填剤とカップリング剤との間で製造中に起こる充填剤の表面のOH基からのHイオンの移動を伴う酸-塩基反応を含むイオン結合に関連し得る。また、カップリング剤と、R-COOHカルボン酸及び酸-塩基反応後に得られるRCOO/R’-NHx+1 と塩基を形成するR’-NHアミン官能基の1種又は他のそれぞれを含むポリマーとの間のイオン結合にも関連し得る。あるいは、ポリマー及びカップリング剤は、存在するように配置される前に充填され得る。その場合には、上記例に対し、カップリング剤及びポリマーはそれぞれ、RCOO塩基官能基、又はR-NHx+1 酸官能基を保持する。
【0030】
任意選択で、材料はまた、0~10重量%、好ましくは、1~6重量%の割合の強化材を含み得る。強化材は、種々の形態、例えば、繊維又は粒子の形態で存在し得る。例えば、強化材は、300μm、好ましくは、200μm以下の繊維長さを有するガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維及び/又はアラミド繊維に関連し得る。強化材の目的は、材料の靱性を改善すること、射出中に材料の脱落を制限すること、及び/又は材料の電気伝導度を改善することである。
【0031】
任意選択で、材料はまた、合計0~5重量%の割合の1種又は複数の色素を含んでもよい。色素は、有機色素であっても無機色素であってもよい。例えば、色素は、黒色のためのカーボンブラック、赤色のためのジケトピロロピロール(例えば、BASFによるイルガジンレッド K3840LW)、青色のための銅フタロシアニン(例えば、BASFによるヘリオジェンブルー K7096)、黄色のためのモノアゾ色素(例えば、BASFによるパリオトールイエロー K1760)、などに関する。
【0032】
任意選択で、材料はまた、希釈剤及び/又はワックス(パラフィン類)などの可塑剤又は他の塗布樹脂(テルペン系、フェノール系、など)を含めて、製造中の適用を促進してもよく、これらの希釈剤及び可塑剤は、全て、0~5重量%である。
【0033】
例示として、及び図3に示すように、材料は、金属充填剤M及び/又はセラミック充填剤2を、ポリマー4としてのポリアミド及び好ましくは最小限で20炭素原子を含むカップリング剤3としてのポリウレタンと共に含む。この例では、ポリマー、カップリング剤及び充填剤の間の水素結合が点線で表されている。より具体的には、この組成物の場合、材料は、合計100重量%に対して、ステンレス鋼などの金属充填剤及び/又は酸化ジルコニウムなどのセラミックを65~80重量%の割合で、好ましくは65~75重量%、ポリアミド19.5~34.5重量%、好ましくは24~34重量%の割合で、及びポリウレタン0.5~5重量%、好ましくは1~3.5重量%の割合で含む。
【0034】
一例では、材料は、金属及び/又はセラミック充填剤及びポリウレタンを含み、ポリウレタンは、ポリマー及びカップリング剤の両方として機能する。この例では、ポリマーとは別のカップリング剤は、従って、必要ない。理由は、充填剤とポリマーとの間の相互作用は、方法の最後の時点で、材料の良好な結合力を確保するのに十分であるためである。
一例では、材料は、ポリマーとしてポリアミド及びカップリング剤としてアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、金属及び/又はセラミック充填剤及びポリウレタンを含み、カップリング剤は、好ましくは、最小限で20炭素原子を含む。
一例では、材料は、ポリマーとしてポリエステル及びカップリング剤としてアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、金属及び/又はセラミック充填剤を含み、カップリング剤は、好ましくは、最小限で20炭素原子を含む。
【0035】
物品は、射出成形又は3Dプリンティングにより製造される。方法は、反応性表面を得るのに十分である必要がある充填剤粉末のBETを特徴とする。より具体的には、充填剤用のベース材料は、2010年の標準ISO9277により測定して、0.01m/g、好ましくは2m/g、より好ましくは5m/g以上の比表面積BETを有する粉末である。
【0036】
射出成形の場合、製造方法は、上記充填剤、ポリマー、カップリング剤、強化材及び色素に関する下記のステップを含む:
a)下記を重量%で含む、数ミリメートルの顆粒を調製するステップ:
-3g/cm以上の密度を有する金属及び/又はセラミック充填剤であって、50重量%を越え、85重量%以下、好ましくは、60~80%、より好ましくは65~75%の割合で存在する充填剤、
-全体で、15重量%以上で、50重量%以下、好ましくは、20~40重量%、より好ましくは25~35重量%の割合で存在するポリマー、
-任意選択で、0重量%以上で10重量%未満、好ましくは、0.1~10重量%、より好ましくは、0.1~5重量%、更により好ましくは、0.5~3重量%の割合で存在する、少なくとも1種のカップリング剤、
-任意選択で、0~10重量%の割合で存在する強化材、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する色素、
-任意選択で、希釈剤及び/又は可塑剤又は希釈剤及び/又は可塑剤の混合物であって、前記希釈剤及び/又は前記可塑剤又は希釈剤及び/又は可塑剤の前記混合物が0~5%の割合で存在する、希釈剤及び/又は可塑剤又は希釈剤及び/又は可塑剤の混合物、
b)前記顆粒を射出成形して、物品を形成するステップ。注入は、60~100℃、好ましくは、70~80℃の温度で型に実施され、一方、射出中に、材料は、200~300℃、及び好ましくは、250℃~300℃の温度を有する。
【0037】
ステップa)では、顆粒は、上述の原材料からの押し出しによるビードを切断することにより製造され得る。好ましくは、存在する場合、カップリング剤は、第2段階で押出成形機中への金属又はセラミック粉末の導入の前に、ポリマー顆粒と別々に、又は一緒に、第一段階で押出成形機のホッパー中に導入される。カップリング剤が別々に導入される場合、それは、500μm、及び好ましくは、315μm以下のd90を有する粉末の形態で、又は液体形態で導入され得る。色素は、押し出し中に、好ましくは、第2段階で導入され得る。それを押し出しの直前に、ポリマー顆粒と混合することも想定できる。
【0038】
1つの変形方式では、金属、又はセラミック材料及び、存在する場合、カップリング剤は、金属又はセラミック粉末を被覆するように、ポリマー及び強化材を導入する前に、カップリング剤と一緒に、第1段階で押出成形機のホッパー中に導入される。
あるいは、物品は、FDM(熱溶融堆積成形)などにより3Dプリンティングで製造し得る。
【0039】
こうして得られた物品は、充填剤、押し出し又は射出中のポリマー及びカップリング剤の間の反応由来の生成物と共に、金属、及び/又はセラミック材料及びポリマー、及び場合によっては、カップリング剤を含むプラスチック材料を含む。物品は、色素及び強化材が存在する場合、強化材及び色素も含む。
物品は、2.5GPa以上のヤング率、5%以上の破断点伸び及び30MPa以上の破断点荷重を有し、これらの特性は、2019年の標準ISO527-1Aに従って測定されている。
【0040】
一例として、それぞれ、4mm及び1.5mm程度の直径と長さを有する円筒形顆粒をベースにして、ケースの射出による成形で製造する試験を実施した。下表1及び2は、2つの実施例を挙げ、湿度制御のない通気炉内が60℃で24時間のエイジング前後に得られた特性を表3に示す。振り子型衝撃によるケースに対する回復力試験は、上述の組成物で作製したケースの良好な靭性を更に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2~7g/cmの密度を有する材料から作製される物品であって、前記材料は、合計100重量%に対して:
-3g/cm以上の密度を有する金属及び/又はセラミック材料から作製される充填剤(2)であって、50重量%超で、85重量%以下の割合で存在する充填剤(2)、
-15重量%以上で、50重量%以下の割合で存在する少なくとも1種のポリマー(4)、
-任意選択で、0重量%以上で、10重量%未満の割合で存在する少なくとも1種のカップリング剤(3)、
-任意選択で、0~10重量%の割合で存在する少なくとも1種の強化材、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の色素、
-任意選択で、0~5重量%の割合で存在する少なくとも1種の希釈剤及び/又は可塑剤、
を含み、
前記ポリマー(4)は前記充填剤(2)に結合され、及び/又は、前記材料が少なくとも1種のカップリング剤(3)を含む場合、前記カップリング剤(3)は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される1種又は複数の結合により、それぞれ、前記ポリマー(4)及び前記充填剤(2)に結合される、物品。
【請求項2】
前記充填剤(2)は、60~80重量%の割合で存在すること、及び前記ポリマー(4)は、20~40重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記充填剤(2)は、65~75重量%の割合で存在すること、及び前記ポリマー(4)は、25~35重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記カップリング剤(3)は、0.1~10重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記カップリング剤(3)は、0.1~5重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記カップリング剤(3)は、0.5~3重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項7】
前記金属及び/又はセラミック材料は、表面上に、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)との前記水素、配位及びイオン結合を示唆する酸化物、水酸化物及び/又は電子空孔を含むことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、NH、OH、COC、C=O及びCOOHから選択される1種又は複数の基の保持材料であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
1つの結合は水素結合であり、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、水素結合供与体である水素原子を保持する基及び水素結合受容体である水素より高い電気陰性元素を保持する基を含み、前記結合は前記充填剤(2)の表面で水酸化物及び酸化物基と形成されることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記元素は、酸素、窒素、塩素、臭素及びフッ素から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記基の、それぞれ、水素結合供与体及び受容体は、前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)上で隣接することを特徴とする、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)は、NH基である水素結合供与体及びC=O基である水素結合受容体を含むことを特徴とする、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記ポリマー(4)は、ポリアミドであることを特徴とする、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記カップリング剤(3)は、ポリウレタンであることを特徴とする、請求項12に記載の物品。
【請求項15】
1つの結合は、前記充填剤(2)及び/又は前記カップリング剤(3)の陰イオンに結合したNH 基を保持する前記ポリマー(4)とのイオン結合であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記充填剤(2)は、O陰イオンを保持することを特徴とする、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記カップリング剤(3)は、R-COO陰イオンを保持することを特徴とする、請求項15に記載の物品。
【請求項18】
1つの結合は、前記充填剤(2)の表面で電子空孔と配位結合を形成するカルボン酸又はアミン官能基を保持する前記ポリマー(4)及び/又は前記カップリング剤(3)との前記配位結合であることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記カップリング剤(3)は、少なくとも20炭素原子を含むことを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項20】
前記材料は、前記カップリング剤(3)の添加なしに、前記充填剤(2)及びポリウレタンである前記ポリマー(4)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリアミド及びカップリング剤(3)としてのポリウレタンと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項22】
前記材料は、合計100重量%に対して、65~80重量%の割合で前記充填剤(2)、19.5~34.5重量%の割合で前記ポリマー(4)、及び0.5~5重量%の割合で前記カップリング剤(3)を含むことを特徴とする、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記材料は、65~75重量%の割合で前記充填剤(2)、24~34重量%の割合で前記ポリマー(4)、及び1~3.5重量%の割合で前記カップリング剤(3)を含むことを特徴とする、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリアミド及びカップリング剤(3)としてのアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項25】
前記材料は、ポリマー(4)としてのポリエステル及びカップリング剤(3)としてのアミン又はアミド官能基を有するヒドロキシシランと共に、前記充填剤(2)を含むことを特徴とする、請求項4に記載の物品。
【請求項26】
前記強化材は、1~6重量%の割合で存在することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項27】
前記強化材は、ガラス繊維、ガラスビーズ、炭素繊維及び/又はアラミド繊維から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
時計の外装部品又はムーブメントに関することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
a)前記充填剤(2)、前記ポリマー(4)、及び任意選択で、前記カップリング剤(3)、前記強化材及び前記色素のためのベース材料を、次記に従い用意するステップ、
-前記充填剤(2)は、3g/cm以上の密度を有する金属及び/又はセラミック材料から作製され、前記充填剤(2)は50重量%超で、85重量%以下の割合で存在する、
-前記ポリマー(4)は、15重量%以上で、50重量%以下の割合で存在する、
-前記カップリング剤(3)は、0重量%以上で、10重量%未満の割合で存在する、
-前記強化材は、0~10重量%の割合で存在する、
-前記色素は、0~5重量%の割合で存在する、
-前記希釈剤及び/又は前記可塑剤は、0~5重量%の割合で存在する、
b)前記ベース材料を射出成形技術又は3Dプリンティング技術により成形し、前記物品を製造するステップ、
を含む、請求項1に記載の物品を製造する方法であって、
前記充填剤(2)のための前記ベース材料は、0.01m/g、好ましくは、2m/g、より好ましくは、5m/g以上の比表面積BETを有すること、並びに前期成形ステップ後に、前記ポリマー(4)は前記充填剤(2)に結合され、及び/又は、前記材料が少なくとも1種のカップリング剤(3)を含む場合、前記カップリング剤(3)は、水素結合、配位結合及びイオン結合から選択される1種又は複数の結合により、それぞれ、前記ポリマー(4)及び前記充填剤(2)に結合されること、を特徴とする方法。
【国際調査報告】