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特表2023-550130機械学習分析のためのサイトメトリックデータの最適なスケーリング方法及びそのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】機械学習分析のためのサイトメトリックデータの最適なスケーリング方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
G01N15/14 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530696
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021049620
(87)【国際公開番号】W WO2022108645
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/115,994
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.JAVASCRIPT
3.VERILOG
4.ZIGBEE
5.WINDOWS
6.WINDOWS XP
7.iOS
8.UBUNTU
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】サムシク,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】トロッター,ジョゼフ ティー.
(57)【要約】
本開示の態様は、サイトメトリックデータを処理及びスケーリングするための方法を含む。特定の実施形態による方法はであって、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得すること、取得することと、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを含む。主題の方法を実践するためのシステムもまた提供される。非一時的コンピュータ可読記憶媒体についても、また、記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトメトリックデータをスケーリングする方法であって、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得することと、
関心パラメータを識別することと、
前記関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、前記関心パラメータを変換することによって、前記サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記関心パラメータを変換することは、前記関心パラメータの前記指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関心パラメータの前記指定された負の測定区間を再スケーリングすることは、前記関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関心パラメータを変換することは、前記関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを更に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、前記正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定のサイズは、前記負の測定区間のサイズである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所定のサイズは、前記複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記関心パラメータを変換することは、以下に従って前記関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含み、
【数1】
式中、
s(x)は、前記関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、
xは、前記関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、
(n,n)は、前記関心パラメータの指定された負の測定区間であり、
(n,p)は、前記関心パラメータの指定された正の測定区間であり、
cは、圧縮率であり、
バーXは、前記負の測定区間の中央値であり、
SDは、前記負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、前記負の測定区間の四分位範囲であり、
【数2】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【数3】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【数4】
【数5】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、前記測定区間を指定するために一次元ゲーティングを実行することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
クラスタリングアルゴリズムを前記スケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、前記サイトメトリックデータをクラスタリングすることを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記サイトメトリックデータは、高次元データである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
試料のサイトメトリックデータを取得することは、前記試料をフローサイトメトリー分析することから測定値を取得することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
サイトメトリックデータをスケーリングするためのシステムであって、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置と、
プロセッサであって、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサと
を備えており、
前記メモリは、自身に記憶された命令を有し、前記命令が、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、
関心パラメータを識別することと、
前記関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、前記関心パラメータを変換することによって、前記サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を行わせる、システム。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
サイトメトリックデータをスケーリングするための、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶された命令を有し、
前記命令は、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムと、
関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、
前記関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、前記関心パラメータを変換することによって、前記サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムと
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フローサイトメータなどのフロー式粒子検出及び分析システムは、粒子の少なくとも1つの測定された特性に基づいて、流体試料中の粒子を検出、分析、場合によっては選別するために使用される。フロータイプの粒子検出及び分析システムから得られるデータの可視化は、収集されたデータの分析及び特性評価の重要な部分であり、例えば、生物学的及び医学的研究に使用される。
【0002】
フロータイプの粒子検出システムから得られたデータの分析は、プロット上に表示された1つ以上のパラメータがスケーリングされている粒子検出システムのいくつかの異なる検出器チャネルから得られたデータのプロットの表示など、データの視覚化を伴い得る。1つ以上のスケーリングされたパラメータを用いた、データの視覚的表現の分析などのデータの分析は、粒子検出システムに曝露された粒子の理解及び特徴付けを容易にし、並びに、重要なことに、粒子の母集団、又はクラスタを理解し、特徴付けるために使用されることが見出される。
【0003】
1つ以上のスケーリングされたパラメータを用いたサイトメトリックデータの分析は、細胞型などの粒子間の類似性又は差異を示すシグナルと、例えば、測定値又は計器誤差に起因するノイズとを区別することによって、データ母集団を理解する上で重要な役割を果たすことができる。サイトメトリックデータが高次元データである場合、信号とノイズとを区別する際のスケーリングパラメータの役割は更に顕著である。なぜなら、高次元データは、粒子がどのようにクラスタリングされるかにノイズが影響を与えるための追加の機会を提供するからである。サイトメトリックデータ、特に高次元データの適切なスケーリングは、サイトメトリックデータ内のノイズを緩和又は圧縮することによって、分析におけるシグナルツーノイズ特性を改善することができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、特に高次元サイトメトリックデータに関して、サイトメトリックデータの信号対雑音比を改善する点で、サイトメトリックデータをより効果的にスケーリングするための新技術を導入し、それによってフロータイプの粒子検出及び分析システムの有用性を改善する。
【0005】
本開示の態様は、サイトメトリックデータをスケーリングするための方法を含む。特定の実施形態による方法は、試料のサイトメトリックデータを取得することであって、サイトメトリックデータは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む、取得することと、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む。そのような実施形態では、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることが、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含み得る。他の実施形態では、関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを更に含む。そのような実施形態では、指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含み得る。いくつかの場合には、所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである。
【0007】
主題の方法の実施形態では、関心パラメータを変換することは、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含み、
【0008】
【数1】
【0009】
式中、s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、(n,n)は、関心パラメータの指定された負の測定区間であり、(n,p)は、関心パラメータの指定された正の測定区間であり、cは、圧縮率であり、バーXは、負の測定区間の中央値であり、SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲であり、
【0010】
【数2】
【0011】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【0012】
【数3】
【0013】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【0014】
【数4】
【0015】
【数5】
【0016】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である。そのような実施形態では、圧縮率cのデフォルト値は70であり得る。
【0017】
実施形態では、主題の方法は、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することを更に含む。いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットを表示することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために一次元ゲーティングを実行することを含む。他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用することを含む。更に他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために数学モデルを適用することを含む。いくつかの場合には、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの1つ又は両方を指定することは、測定区間を指定するために機械学習アルゴリズムを適用することを含む。
【0019】
主題の方法の実施形態は、1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを更に含み得る。そのような実施形態では、各関心パラメータの指定された正の測定区間が、同じ所定のサイズに再スケーリングされ得る。
【0020】
主題の方法の他の実施形態は、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングすることを更に含み得る。そのような実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することは、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタを表示することを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータを使用して、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能を向上させる。他の実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータは、測定ノイズの影響を低減するために使用される。
【0022】
いくつかの事例では、粒子は、細胞である。そのような事例では、スケーリングされたサイトメトリックデータは、2つの同様の細胞母集団を区別するために使用され得る。主題の方法の実施形態では、サイトメトリックデータは、高次元データである。そのような実施形態では、複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である。
【0023】
主題の方法を実践するためのシステムもまた提供される。特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置と、プロセッサであって、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを含む、プロセッサとを備え、メモリが、メモリ上に記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを行わせる。
【0024】
主題のシステムの実施形態では、システムは、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるように構成されている。そのような実施形態では、システムは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットの表示を引き起こすことによって、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるように構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを行うように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングするように構成される。他の実施形態では、システムは、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタの表示を引き起こすように構成される。更に他の実施形態では、試料のサイトメトリックデータは、試料を分析するように構成されたフローサイトメータから取得された測定値を含む。
【0025】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体についても、また、記載される。特定の実施形態による非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムと、関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムとを含む、その上に記憶された命令を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、添付の図面と併せて読む場合、以下の詳細な説明から最も理解することができる。図面には、以下の図が含まれる。
【0027】
図1-1】本発明の実施形態による、サイトメトリックデータの関心パラメータの測定値の例示的なヒストグラムの表示を示す。
図1-2】本発明の実施形態による、サイトメトリックデータの関心パラメータの測定値の例示的なヒストグラムの表示を示す。
図2】特定の実施形態による、例示的な累積分布関数200を示す。
図3】特定の実施形態による、粒子分析器の制御システムの一例についての機能ブロック図を示す。
図4】特定の実施形態によるフローサイトメータを示す。
図5】特定の実施形態による、試料分析及び粒子特徴付けのための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。
図6A】特定の実施形態による、粒子分析器及び選別機システムの概略図を示す。
図6B】特定の実施形態による、粒子分析器及び選別機システムの概略図を示す。
図7】特定の実施形態による、コンピューティングシステムのブロック図を示す。
図8】デフォルトのスケーリングアプローチに従ってスケーリングされたサイトメトリックデータと、本発明の実施形態に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータとの2つのパラメータを示す二次元プロットを示す。
図9】デフォルトのスケーリングアプローチに従ってスケーリングされたサイトメトリックデータと、本発明の実施形態に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータとの2つのパラメータを示す二次元プロットを示す。
図10】デフォルトのスケーリングアプローチに従ってスケーリングされたサイトメトリックデータと、本発明の実施形態に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータとの2つのパラメータ、並びにスケーリングされたサイトメトリックデータにクラスタリングアルゴリズムを適用した結果を示す二次元プロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の態様は、サイトメトリックデータをスケーリングする方法を含む。実施形態では、方法は、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得することと、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを含む。他の事例では、方法は、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む。更に他の事例では、方法は、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを含む。望まれる場合、方法は、また、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングすることを含む。主題の方法を実践するためのシステムもまた提供される。非一時的コンピュータ可読記憶媒体についても、また、記載される。
【0029】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変化し得ることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0030】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明らかに示さない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの介在する各値、及び記述の範囲内の任意の他の記述の値又は介在する値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、個別により小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0031】
特定の範囲は、「約」という用語によって先行される数値を伴って、本明細書において提示される。「約」という用語は、本明細書において、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか、又は近似している数についての文字通りの裏付けを提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか、又は近似するか否かを判定するとき、その近い又は近似する列挙されない数は、それが提示されている文脈において、具体的に列挙されている数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0032】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料も、また、本発明の実践又は試験にも使用され得るが、代表的で例示的な方法及び材料が、以下に記載される。
【0033】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれ、引用される刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。いかなる刊行物の引用も、出願日以前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、個別に確認される必要がある場合がある。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的要素を除外するように起草され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙に関連した「もっぱら(solely)」及び「のみ(only)」などの排他的用語の使用のための、又は「消極的な」限定の使用のための先行詞として機能することが意図される。
【0035】
本開示を読むことで当業者に明らかになるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特色から容易に分離され得るか、又はそれと組み合わされ得る別個の構成要素及び特色を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0036】
装置及び方法は、文法的な流動性のために機能的説明とともに記述されてきた、又は記述されるが、米国特許法第112条に基づいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲は、必ずしも「手段」又は「ステップ」の限定の解釈によって限定されると解釈すべきではなく、法的均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び等価物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条に基づいて明確に記載されている場合には、米国特許法第112条に基づく完全な法的等価物を付与されるべきであることを明確に理解されたい。
【0037】
上記で要約したように、本開示は、サイトメトリックデータをスケーリングするための方法を提供する。本開示の実施形態の更なる記載において、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることと、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることと、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングすることとを含む方法が、最初に、より詳細に記載される。次に、主題の方法を実践するためのシステムについて説明する。非一時的コンピュータ可読記憶媒体についても、また、記載される。
【0038】
サイトメトリックデータをスケーリングするための方法
本開示の態様は、サイトメトリックデータをスケーリングするための方法を含む。特に、本開示は、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得することと、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとのための方法を含む。スケーリングという用語は、サイトメトリックデータのパラメータの測定値間の相対距離の変換を意味するために使用される。いくつかの場合には、高次元サイトメトリックデータを分析する能力は、本発明に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータを表示するか、又はそうでなければ分析することによって向上され得る。加えて、サイトメトリックデータ内の母集団を発見する、すなわち、サイトメトリックデータをクラスタリングする有効性は、本発明によるサイトメトリックデータをスケーリングすることによって改善され得、そのようなデータの分析は、スケーリングされたサイトメトリックデータをクラスタリングする結果を表示するか、又はそうでなければ分析することによって改善され得る。例えば、サイトメトリックデータが細胞に関するデータを含む場合(すなわち、試料内の粒子が細胞である場合)、主題の方法を適用することは、そうでなければ、検出されず、分析されないままになっている可能性がある細胞の特定の母集団を発見するために役立ち得る。フローサイトメトリーによる試料の分析に関連して使用される場合、主題の方法は、粒子分析システムにおける測定ノイズの影響を軽減することを助けることができる。
【0039】
サイトメトリックデータ
主題の方法を実践する際に、試料のサイトメトリックデータが取得される。サイトメトリックデータは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの測定値を含む。例えば、サイトメトリックデータは、試料が光源で照射され、試料からの光が1つ以上の光検出器を有する光検出システムで検出されるときに検出される光の測定値を含み得る。実施形態では、光のそのような測定値は、光強度の測定値を含み得る。以下に詳細に記載されるように、いくつかの実施形態では、サイトメトリックデータは、ほぼ前方方向に沿って粒子によって散乱される励起光、ほぼ横方向に沿って粒子によって散乱される励起光、及び1つ以上の周波数範囲で粒子を標識するために使用される蛍光分子又は蛍光色素から発せられる光のうちの1つ以上の測定値を含み得る。本発明の実施形態では、試料のサイトメトリックデータを取得することは、試料をフローサイトメトリー分析することから測定値を取得することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、試料は、生体試料である。「生体試料」という用語は、全生物、植物、菌類、又は、特定の例では、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液、及び精液中に見られ得る動物の組織、細胞、又は構成要素部分のサブセットを指すために、その従来の意味で使用される。したがって、「生体試料」は、天然生物又はその組織のサブセットの両方、並びに、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の切片、呼吸管、胃腸管、心血管、及び泌尿器管、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない、生物又はその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、又は抽出物を指す。生体試料は、健康組織及び疾患組織(例えば、がん性、悪性、壊死性など)の両方を含む、任意のタイプの生体組織であり得る。特定の実施形態では、生体試料は、血液又はその誘導体、例えば、血漿、涙液、尿、精液などの液体試料であり、いくつかの事例では、試料は、静脈穿刺又はフィンガースティックから取得された血液など、全血を含む血液試料である(血液は、アッセイの前に、防腐剤、抗凝固剤などの任意の試薬と組み合わされてもよく、組み合わされなくてもよい)。
【0041】
いくつかの実施形態では、試料源は、「哺乳類」又は「哺乳類の動物」であり、これらの用語は、肉食類(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳類内の生物を記載するために広く使用される。いくつかの事例では、被験者はヒトである。方法は、両方の性別のヒト被験体から、発達の任意の段階(すなわち、新生児、乳幼児、年少者、青年、成人)で取得された試料のサイトメトリックデータに適用され得、特定の実施形態では、ヒト被験体は、年少者、青年、又は成人である。本発明は、ヒト被験体からの試料のサイトメトリックデータに適用され得るが、以下に限定されるものではないが、鳥、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、及びウマなどの他の動物被験体からの(すなわち、「非ヒト被験体」の)試料のサイトメトリックデータに対しても実施され得ることを理解されたい。
【0042】
実施形態では、(例えば、フローサイトメータのフローストリーム中の)試料は、光源からの光で照射される。いくつかの実施形態では、光源は、例えば、100nm以上、例えば、150nm以上、例えば、200nm以上、例えば、250nm以上、例えば、300nm以上、例えば、350nm以上、例えば、400nm以上、及び500nm以上に及ぶなど、例えば、50nm以上に及ぶ広い範囲の波長を有する光を放出する広帯域光源である。例えば、ある好適な広帯域光源は、200nm~1500nmの波長を有する光を放出する。好適な広帯域光源の別の実施例は、400nm~1000nmの波長を有する光を放出する光源を含む。方法が広帯域光源で照射することを含む場合、対象となる広帯域光源プロトコルとしては、以下に限定されないが、他の広帯域光源の中でも、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、安定化ファイバ結合広帯域光源、連続スペクトルを有する広帯域LED、超高輝度発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED集積白色光源、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0043】
他の実施形態では、方法は、特定の波長、又は狭い範囲の波長を放出する狭帯域光源で照射することを含み、その狭帯域光源には、例えば、50nm以下、例えば、40nm以下、例えば、30nm以下、例えば、25nm以下、例えば、20nm以下、例えば、15nm以下、例えば、10nm以下、例えば、5nm以下、例えば、2nm以下の範囲などの狭い範囲の波長の光を放出する光源などがあり、特定の波長の光(すなわち、単色光)を放出する光源が含まれる。方法が狭帯域光源で照射することを含む場合、対象となる狭帯域光源プロトコルとしては、以下に限定されないが、狭波長LED、レーザーダイオード、又は1つ以上の光学バンドパスフィルタ、回折格子、モノクロメータ、若しくはこれらの任意の組み合わせに結合された広帯域光源が挙げられる。
【0044】
特定の実施形態では、方法は、試料を1つ以上のレーザーで照射することを含む。上述されたように、レーザーのタイプ及び数は、試料、並びに集められた所望の光に応じて変化し、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザー、若しくはキセノンフッ素(XeF)エキシマレーザー、又はそれらの組み合わせなどのガスレーザーであり得る。他の事例では、この方法は、スチルベン、クマリン、又はローダミンレーザーなどの色素レーザーでフローストリームを照射することを含む。更に他の事例では、方法は、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザー、又は金レーザー、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザーでフローストリームを照射することを含む。更に他の事例では、方法は、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCaO(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、スリムYAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザー、又はセリウムドープレーザー、及びそれらの組み合わせなどの固体レーザーでフローストリームを照射することを含む。
【0045】
試料は、例えば、2つ以上の光源、例えば、3つ以上の光源、例えば、4つ以上の光源、例えば、5つ以上の光源、及び10個以上の光源を含めて、上記の光源のうちの1つ以上で照射され得る。光源は、任意のタイプの光源の組み合わせを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザー、及び1つ以上の固体レーザーを有するアレイなどのレーザーアレイでフローストリーム中の試料を照射することを含む。
【0046】
試料は、例えば、250nm~1250nm、例えば、300nm~1000nm、例えば、350nm~900nm、及び400nm~800nmを含めて、200nm~1500nmの範囲の波長で照射され得る。例えば、光源が広帯域光源である場合、試料は、200nm~900nmの波長で照射され得る。他の事例では、光源が複数の狭帯域光源を含む場合、試料は、200nm~900nmの範囲の特定の波長で照射され得る。例えば、光源は、200nm~900nmの波長範囲を有する光を各々独立して放射する複数の狭帯域LED(1nm~25nm)であってよい。他の実施形態では、狭帯域光源は、1つ以上のレーザー(レーザーアレイなど)を含み、試料は、上述のように、ガスレーザー、エキシマレーザー、色素レーザー、金属蒸気レーザー、及び固体レーザーを有するレーザーアレイなどで、200nm~700nmの範囲の特定の波長で照射される。
【0047】
2つ以上の光源が用いられる場合、試料は、光源で同時に若しくは順次、又はそれらの組み合わせで照射され得る。例えば、試料は、光源の各々で同時に照射され得る。他の実施形態では、フローストリームは、光源の各々で順次照射される。2つ以上の光源が試料に順次照射される場合、各光源がその試料に照射する時間は、独立して、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上、例えば、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上を含めて、0.001マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、例えば、0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の期間の間、試料を光源(例えば、レーザー)で照射することを含み得る。試料が2つ以上の光源で順次照射される実施形態では、試料が各光源によって照射される持続時間は、同じであっても、異なってもよい。
【0048】
各光源による照射間の期間も、また、必要に応じて、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上まで、例えば、15マイクロ秒以上まで、例えば、30マイクロ秒以上まで、及び60マイクロ秒以上までを含めて、0.001マイクロ秒以上の遅延によって個別に分離して、変わり得る。例えば、各光源による照射間の期間は、例えば、0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各光源による照射間の期間は、10マイクロ秒である。試料が2つを超える(すなわち、3つ以上の)光源によって順次照射される実施形態では、各光源による照射間の遅延は、同じであっても異なってもよい。
【0049】
試料は、連続的に、又は個別の間隔で照射され得る。いくつかの事例では、方法は、試料中の粒子を光源で連続的に照射することを含む。他の事例では、内部の試料は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎、を含む個別の間隔で、又は何らかの他の間隔で照射するなどの、離散間隔で光源で照射される。
【0050】
光源に応じて、試料は、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、2.5mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、15mm以上、例えば、25mm以上、及び50mm以上を含めて、変化する距離から照射され得る。また、角度又は照射も、また、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び、例えば、90°の角度で、30°~60°を含めて、10°~90°の範囲で相違し得る。
【0051】
特定の実施形態では、方法は、周波数シフトされた光の2つ以上のビームで試料を照射することを含む。レーザー、及びレーザー光を周波数シフトさせるための音響光学デバイスを有する光ビーム生成器構成要素が採用され得る。これらの実施形態では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含む。出力レーザービームで生成される光の所望の波長(例えば、フローストリーム中の試料を照射する際に使用するための)に応じて、レーザーは、例えば、250nm~1250nm、例えば、300nm~1000nm、例えば、350nm~900nm、及び400nm~800nmを含めて、200nm~1500nmで相違する特定の波長を有し得る。音響光学デバイスは、例えば、2つ以上のレーザー、例えば、3つ以上のレーザー、例えば、4つ以上のレーザー、例えば、5つ以上のレーザー、及び10個以上のレーザーを含めて、1つ以上のレーザーで照射され得る。レーザーは、複数のレーザタイプの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、この方法は、音響光学デバイスを、1つ以上のガスレーザー、1つ以上の色素レーザー、及び1つ以上の固体レーザーを有するアレイなどの、レーザーアレイで照射することを含む。
【0052】
2つ以上のレーザーが採用される場合、音響光学デバイスは、同時に若しくは順次に、又はそれらの組み合わせでレーザーで照射され得る。例えば、音響光学デバイスは、レーザーの各々で同時に照射され得る。他の実施形態では、音響光学デバイスは、レーザーの各々で順次に照射される。音響光学デバイスを順次に照射するための2つ以上のレーザーが採用される場合、各レーザーが音響光学デバイスを照射する時間は、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上、例えば、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上を含めて、個別に0.001マイクロ秒以上であり得る。例えば、方法は、例えば、0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の持続時間の間、音響光学デバイスをレーザーで照射することを含み得る。音響光学デバイスが2つ以上のレーザーで順次照射される実施形態では、音響光学デバイスが各レーザーによって照射される持続時間は、同じであっても異なってもよい。
【0053】
各レーザーによる照射間の期間も、また、所望に応じて、例えば、0.01マイクロ秒以上、例えば、0.1マイクロ秒以上、例えば、1マイクロ秒以上、例えば、5マイクロ秒以上、例えば、10マイクロ秒以上まで、例えば、15マイクロ秒以上まで、例えば、30マイクロ秒以上まで、及び60マイクロ秒以上を含めて、0.001マイクロ秒以上の遅延によって個別に分離して、相違し得る。例えば、各光源による照射間の期間は、例えば、0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば、0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒を含めて、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であり得る。特定の実施形態では、各レーザーによる照射間の期間は、10マイクロ秒である。音響光学デバイスが2つを超える(すなわち、3つ以上の)レーザーによって順次に照射される実施形態では、各レーザーによる照射間の遅延は、同じであっても異なってもよい。
【0054】
音響光学デバイスは、連続的に、又は離散的な間隔で照射され得る。いくつかの事例では、方法は、音響光学デバイスをレーザーで連続的に照射することを含む。他の事例では、音響光学デバイスは、例えば、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎の照射を含めて、離散的な間隔で、又は何らかの他の間隔で、レーザーで照射される。
【0055】
レーザーに応じて、音響光学デバイスは、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、2.5mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、15mm以上、例えば、25mm以上、及び50mm以上を含めて、相違する距離から照射され得る。また、角度又は照射も、また、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び、例えば、90°の角度で、30°~60°を含めて、10°~90°の範囲で相違し得る。
【0056】
実施形態では、方法は、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、角度偏向レーザービームを生成することを含む。2つ以上の高周波駆動信号は、音響光学デバイスに印加されて、例えば、3つ以上の高周波駆動信号、例えば、4つ以上の高周波駆動信号、例えば、5つ以上の高周波駆動信号、例えば、6つ以上の高周波駆動信号、例えば、7つ以上の高周波動信号、例えば、8つ以上の高周波駆動信号、例えば、9つ以上の高周波駆動信号、例えば、10個以上の高周波駆動信号、例えば、15個以上の高周波駆動信号、例えば、25個以上の高周波駆動信号、例えば、50個以上の高周波駆動信号、及び100個以上の高周波駆動信号を含めて、所望の数の角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成することができる。
【0057】
高周波駆動信号によって生成された角度偏向レーザービームは、各々、印加された高周波駆動信号の振幅に基づいた強度を有する。いくつかの実施形態では、方法は、所望の強度で角度偏向レーザービームを生成するために十分な振幅を有する高周波駆動信号を印加することを含む。いくつかの事例では、それぞれの印加された高周波駆動信号は、独立して、例えば、約0.005V~約400V、例えば、約0.01V~約300V、例えば、約0.05V~約200V、例えば、約0.1V~約100V、例えば、約0.5V~約75V、例えば、約1V~約50V、例えば、約2V~40V、例えば、3V~約30V、及び約5V~約25Vを含めて、約0.001V~約500Vの振幅を有する。いくつかの実施形態では、適用される各高周波駆動信号は、例えば、約0.005MHz~約400MHz、例えば、約0.01MHz~約300MHz、例えば、約0.05MHz~約200MHz、例えば、約0.1MHz~約100MHz、例えば、約0.5MHz~約90MHz、例えば、約1MHz~約75MHz、例えば、約2MHz~約70MHz、例えば、約3MHz~約65MHz、例えば、約4MHz~約60MHz、及び約5MHz~約50MHzを含めて、約0.001MHz~約500MHzの周波数を有する。
【0058】
これらの実施形態では、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームは、空間的に分離される。出力レーザービームの印加された高周波駆動信号及び所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向レーザービームは、例えば、0.005μm以上によって、例えば、0.01μm以上によって、例えば、0.05μm以上によって、例えば、0.1μm以上によって、例えば、0.5μm以上によって、例えば、1μm以上によって、例えば、5μm以上によって、例えば、10μm以上によって、例えば、100μm以上によって、例えば、500μm以上によって、例えば、1000μm以上によって、及び5000μm以上によってを含む、0.001μm以上によって分離され得る。いくつかの実施形態では、角度偏向レーザービームは、例えば、出力レーザービームの水平軸に沿って隣接する角度偏向レーザービームと重複する。隣接する角度偏向レーザービーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、例えば、0.005μm以上の重複、例えば、0.01μm以上の重複、例えば、0.05μm以上の重複、例えば、0.1μm以上の重複、例えば、0.5μm以上の重複、例えば、1μm以上の重複、例えば、5μm以上の重複、例えば、10μm以上の重複、及び100μm以上の重複を含めて、0.001μm以上の重複であり得る。
【0059】
特定の事例では、本発明のフローサイトメトリーシステムは、Diebold,et al.,Nature Photonics Vol.7(10);806-810(2013)に記載されたもの、並びに米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号、同第9,983,132号、同第10,006,852号、同第10,078,045号、同第10,036,699号、同第10,222,316号、同第10,288,546号、同第10,324,019号、同第10,408,758号、同第10,451,538号、同第10,620,111号、及び米国特許公開第2017/0133857号、同第2017/0328826号、同第2017/0350803号、同第2018/0275042号、同第2019/0376895号、及び同第2019/0376894号に記載されたものなどの、高周波タグ付き放出(FIRE)を使用する蛍光撮像によって、フローストリーム中の粒子を撮像するように構成されたフローサイトメトリーシステムであり、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
上記で考察されたように、実施形態では、照射された試料からの光は、以下でより詳細に記載されるように、光検出システムに伝達され、また1つ以上の光検出器によって測定される。いくつかの実施形態では、方法は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって収集された光を測定することを含む。例えば、方法は、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって、光のスペクトルを収集することを含み得る。更に他の実施形態では、方法は、1つ以上の特定の波長で収集された光を測定することを含む。例えば、収集された光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で測定され得る。特定の実施形態では、方法は、蛍光団の蛍光ピーク波長に対応する光の波長を測定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、試料内の各蛍光団の蛍光スペクトル全体にわたって、収集された光を測定することを含む。
【0061】
収集された光は、連続的に、又は離散的な間隔で測定され得る。いくつかの事例では、方法は、光の測定を連続的に行うことを含む。他の事例では、その光は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎を含めて、光を測定するなどの離散的な間隔で、又は何らかの他の間隔で測定される。
【0062】
収集された光の測定は、例えば、2回以上、例えば、3回以上、例えば、5回以上、及び10回以上を含めて、主題の方法中に、1回以上行われ得る。特定の実施形態では、光伝播は、2回以上測定され、特定の事例では、データは平均化される。
【0063】
試料からの光は、例えば、5つ以上の異なる波長で、例えば、10個以上の異なる波長で、例えば、25個以上の異なる波長で、例えば、50個以上の異なる波長で、例えば、100個以上の異なる波長で、例えば、200個以上の異なる波長で、例えば、300個以上の異なる波長で、及び収集された光を400個以上の異なる波長で測定することを含む、これらの中の1つ以上の波長で測定され得る。
【0064】
関心パラメータを識別し、正及び負の測定区間を指定
主題の方法を実践することは、関心パラメータを識別することを含む。パラメータとは、試料内で測定され、サイトメトリックデータを含む複数の特徴のうちの1つを意味する。測定可能な任意の関心特性は、パラメータを含んでもよい。例えば、パラメータは、照射された試料粒子から測定された光の特定の波長範囲の測定値に対応し得る。いくつかの場合には、パラメータは、照射された試料粒子からの特定の波長の光を検出するために使用される検出器のチャネルに対応し得る。他の場合には、パラメータは、試料粒子から照射された特定の蛍光灯に対応し得る。主題の方法の実施形態では、複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である。
【0065】
関心パラメータを識別することは、主題の方法に従ってスケーリングするための複数のパラメータのうちの1つを選択することを意味する。主題の方法の実施形態は、サイトメトリックデータを含む複数のパラメータのうちの各パラメータに関して、サイトメトリックデータを連続的にスケーリングする。したがって、パラメータを識別することは、スケーリングされるべきパラメータのリストから1つのパラメータを識別することを含み得る。関心パラメータは、任意の適用可能な基準に基づいて識別され得る。いくつかの場合には、試料を含む粒子が細胞であるとき、関心パラメータは、試料内に存在し得る1つ以上のタイプの細胞、及び/又は試料に塗布された1つ以上の蛍光色素若しくは標識に基づいて識別され得る。
【0066】
主題の方法は、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することを更に含む。測定区間とは、関心パラメータに関する、連続した一連の潜在的な測定値などの、潜在的な測定値の範囲を意味する。実施形態では、測定区間は、有界又は無界であり得る。実施形態では、有界区間は、最大及び最小の測定値、すなわち、区間を境界付ける値を有する区間である。実施形態では、無界区間は、最大又は最小の潜在的な測定値のいずれも有さない区間である。正の測定区間とは、潜在的な測定値が特定の特性の存在を示す、関心パラメータの潜在的な測定の区間を意味する。負の測定区間とは、潜在的な測定値がそのような特性の欠如を示す、関心パラメータの潜在的な測定の区間を意味する。いくつかの場合には、正及び負の測定区間は連続している。例えば、実施形態では、負の測定区間の最大値は、正の範囲の最小値に対応し得る。測定区間の最大値及び最小値は、それぞれ測定区間の上限及び下限を指す。このような連続した構成の場合、負の測定区間の最小値である点、負の測定値の最大値であり、正の測定区間の最小値である点、そして最後に正の測定範囲の最大値である点の3点のみを使用して、正の測定区間及び負の測定区間を指定することができる。いくつかの場合には、負の測定区間の最小値又は下限は、nと呼ばれ、負の測定区間の最大値又は上限は、nと呼ばれ、正の測定区間の最大値又は上限は、pと呼ばれる。
【0067】
図1は、本発明の実施形態による、サイトメトリックデータの関心パラメータの測定値の例示的なヒストグラム100を示す。図には、x軸110上の関心パラメータの潜在的な測定値が示されている。ヒストグラムのy軸120は、対応する各測定値でのイベントカウントを示す。プロット130は、x軸110上の関心パラメータの異なる測定値におけるイベントの数を表す連続線を示す。また、例示的な負の測定区間140及び例示的な正の測定区間150も示される。負の測定区間は、下限160及び上限170によって定義される。正の測定区間は、下限170及び上限180によって定義される。ここで、正及び負の測定区間は連続した範囲であり、負の測定区間170の上限は正の測定区間170の下限と同じである。
【0068】
実施形態では、正の測定区間150及び負の測定区間140などの正の測定区間及び負の測定区間を選択する任意の便利な手段を適用することができる。いくつかの場合には、正の測定区間及び負の測定区間は、目視検査に基づいて選択され得る。例えば、正及び負の測定区間は、プロット100などの関心パラメータの測定値のプロットの目視検査に基づいて選択され得る。すなわち、いくつかの場合には、関心パラメータのプロットは、正又は負の測定区間を示す特性特徴について検査され得、正及び負の測定区間のうちの1つ又は両方は、そのような特性に基づいて選択され得る。実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために一次元ゲーティングを実行することを含む。ゲーティングを実行することとは、基礎となる粒子内の関心特徴に対応する潜在的な測定値の範囲を決定することを意味し、その測定値は、サイトメトリックデータを含む。すなわち、ゲーティングは、境界内に入る測定値が関心の粒子に対応するように、関心パラメータ内に特定の境界を定義することを指す。関心パラメータのゲートを決定するための任意の便利な方法が適用され得る。このようなゲートは、関心パラメータの測定値にのみ適用されるため、このようなゲートは、一次元ゲートと呼ばれる。
【0069】
いくつかの事例では、正の測定区間は、サイトメトリックデータを含むイベントの関心パラメータの各測定値に対応する確率を計算することによって決定され得る。そのような計算された確率は、測定値が特定の特性、すなわち、関心特性を示す可能性を表す。言い換えれば、関心パラメータの各測定値には、測定値が関心特性を示すか否かの確率が割り当てられる。いくつかの場合には、各関心パラメータに関連付けられた確率が一緒になって、正の測定区間を決定し得る。測定値が特定の特性を示す確率を計算する任意の便利な手段が採用されてもよく、例えば、サイトメトリックデータ内の他のイベントから取得されたデータ、例えば、サイトメトリックデータ内の他のイベントからの関心パラメータの測定値のヒストグラム、他の試料からのサイトメトリックデータ、例えば、関心パラメータ以外のパラメータの測定値など、イベントの他の特性に基づいて、又はそうでなければ考慮に入れて、確率を計算することを含み得る。同様に、実施形態では、負の測定区間は、関心パラメータの測定値が特定の特性を示さないという計算された確率に基づいて決定され得る。いくつかの場合には、負の測定区間は、正の測定区間とは異なる区間として識別され得る。実施形態では、測定値が関心特性を示さない確率は、測定値がそのような負の測定区間内に入るか否かに基づいて計算され得る。いくつかの場合には、測定値が関心特性を示さない確率は、測定値が正の測定区間ではない区間内に入るか否かに基づいて計算され得る。
【0070】
正の測定区間及び/又は負の測定区間を決定するために関心パラメータに対して一次元ゲーティングを実行することとは対照的に、正の測定区間及び/又は負の測定区間を指定するための他の技術は、そのような区間を自動的に決定し得る。このような技術は、例えば、蛍光マイナスワンコントロール技術を適用すること、数学モデルを適用すること、又は機械学習アルゴリズムを適用することを含むが、これらに限定されない。正の測定区間及び/又は負の測定区間を自動的に決定することとは、技術自体(例えば、数学モデルのみであり、例えば、ユーザからの全体又は部分的な仕様ではない)が、関心パラメータを含むサイトメトリックデータに少なくとも部分的に基づいて、正の測定区間及び/又は負の測定区間の予測を生成することを意味する。蛍光マイナスワンコントロールを適用すること、数学モデルを適用すること、及び機械学習アルゴリズムを適用することを含む技術は、それぞれの場合、正の測定区間及び/又は負の測定区間のうちの1つ又は両方を指定するために、以下で更に詳細に説明される。
【0071】
他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用することを含む。蛍光マイナスワンコントロールとは、FMO対照とも呼ばれる、当該技術分野において周知の技術であって、該試料の粒子に適用可能な蛍光色素、染料などのうちの1つを除く全てを適用する技術を意味する。そのように調製された試料から得られたサイトメトリックデータに基づいて、本技術を使用して、バックグラウンド蛍光と意味がある結果とを区別する閾値を確認することができる。次いで、そのような閾値は、正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを選択及び指定するために適用され得る。実施形態では、蛍光マイナスワン技術を適用することは、所与のパラメータに対して負である細胞、すなわち、所与のパラメータにおいて特定の特徴を示さない細胞のみを発見することをもたらす。その結果、蛍光マイナスワンの技術を使用して、負の分布のパーセンタイル間範囲を定義することができ、これを負の測定区間(すなわち、負の範囲)として取ることができる。
【0072】
更に他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために数学モデルを適用することを含む。数学モデルとは、推定される正及び/又は負の測定区間を識別することができる、計算ベースのモデルなどの任意の便利なモデルを意味する。いくつかの場合には、数学モデルは、関心パラメータに対応するサイトメトリックデータのみを考慮に入れ得る。他の場合には、数学モデルは、関心パラメータだけでなく、サイトメトリックデータの他のパラメータに対応するサイトメトリックデータも考慮に入れてもよい。更に他の場合には、数学モデルは、他の実験データの他の試料に基づいて収集されたサイトメトリックデータを検討し得る。数学モデルは、特定の制約に従う正の測定区間及び/又は負の測定区間の定義を繰り返し洗練するように設計された反復数学モデルであり得る。いくつかの実施形態では、数学モデルは、検出チャネルの測定されたノイズ特性、波及マトリックス、及び/又は細胞発現プロファイルを考慮に入れ得る。
【0073】
他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの1つ又は両方を指定することは、測定区間を指定するために機械学習アルゴリズムを適用することを含む。機械学習アルゴリズムとは、経験を通して自動的に学習するように設計された便利なコンピュータアルゴリズムを意味する。実施形態では、関連する機械学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、又は強化学習アプローチを用いて、正の測定区間及び/又は負の測定区間を予測し得る。関連する機械学習アルゴリズムは、回帰及び分類技術を用いて、正の測定区間及び又は負の測定区間の予測に到達し得る。実施形態では、そのような学習アルゴリズムを訓練するために使用される関連する経験は、例えば、具体的に構築された訓練データ又は以前に収集されたサイトメトリックデータ又は関心パラメータ以外のパラメータ、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0074】
サイトメトリックデータのスケーリング
主題の方法を実施することは、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることを更に含む。いくつかの場合には、関心パラメータを変換することは、関心パラメータに適用可能な測定値のスケールを調整することを意味する。本発明の実施形態は、正及び負の測定区間の各々に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換する。
【0075】
主題の方法のいくつかの実施形態の目的は、サイトメトリックデータ、特に高次元サイトメトリックデータを分析することをより困難にし得るバックグラウンドノイズ、又は測定ノイズの有害な影響を低減することである。バックグラウンドノイズの有害な影響を低減することは、主題の方法の実施形態では、部分的に、負の測定区間の標準偏差を低減するために関心パラメータを変換することによって達成することができる。これは、データ内のバックグラウンドノイズを圧縮する効果を有する。したがって、いくつかの実施形態では、関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む。そのような実施形態では、いくつかの場合には、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることが、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含む。
【0076】
更に、正の測定区間に関して、主題の方法による実施形態は、正の測定区間を再スケーリングすることによって、サイトメトリックデータを分析する能力を向上させることができる。正の測定区間を再スケーリングすることは、いくつかの場合には、関心パラメータを含む、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの有効性を改善する効果を有し得る。したがって、いくつかの実施形態では、関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを更に含む。そのような実施形態では、指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む。任意の所定のサイズを適用することができる。実施形態では、所定のサイズは、負の測定区間のサイズである。他の実施形態では、所定のサイズは、異なるパラメータ、すなわち、複数のパラメータのうち、関心パラメータではないパラメータについての正の測定区間のサイズである。いくつかの場合には、スケーリングされた正の測定区間が、サイトメトリックデータを含む複数のパラメータのうち、スケーリングされたパラメータごとに同じサイズであるように、所定のサイズが選択される。
【0077】
特定の実施形態では、サイトメトリックデータをスケーリングすることは、関心の特性を示す測定値の確率に基づいて、サイトメトリックデータ内の関心パラメータの各測定値を微分的に変換することを含む。すなわち、サイトメトリックデータ内のイベントの関心パラメータの各測定値は、測定値が特定の特性を示す計算された確率(上述したように)に少なくとも部分的に基づいて、微分的に変換される。そのような場合、関心パラメータのスケーリングは、サイトメトリックデータ内の関心パラメータの各測定値の変換によって達成され、そのような変換は、各測定値が特定の特性を示す確率に少なくとも部分的に基づいた微分変換である。
【0078】
特定の実施形態では、関心パラメータを変換することは、所定の数学的アプローチに基づいて、関心パラメータを適宜適応的にスケーリングすることを含む。例えば、いくつかの場合には、関心パラメータを変換することは、以下の式に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含む。
【0079】
【数6】
【0080】
式中、上記式中の用語の各々は、以下の意味を有する。
【0081】
s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表す。すなわち、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータの変換に起因する出力値を表す。
【0082】
xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表す。すなわち、xは、取得されたサイトメトリックデータに含まれる関心パラメータの値を表す。言い換えれば、xは生データ値を表す。
【0083】
(n,n)は、関心パラメータの指定された負の測定区間である。言い換えれば、関心パラメータの測定値nは、負の測定の下限であり、関心パラメータの測定値nは、負の測定区間の上限である。
【0084】
(n,p)は、関心パラメータの指定された正の測定区間である。言い換えれば、関心パラメータの測定値nは、正の測定区間の下限であり、関心パラメータの測定値pは、正の測定区間の上限である。負の測定区間の上限及び正の測定区間の下限は同じ測定値であるため、負の測定区間及び正の測定区間が連続しており、負の測定区間が正の測定区間よりも低い測定値になる場合がある。また、負の測定区間が定義されると、正の測定区間の上限である単一の測定値のみを指定することによって、正の測定区間を定義することができる。
【0085】
cは、圧縮率である。定性的には、圧縮率は、正の値をアップスケーリングする文脈において、ノイズと比較して信号をどれだけ大きくすべきかを決定するために使用される数値である。すなわち、正の値(例えば、Zスコアが3以上である値など)は、ノイズ圧縮率とも呼ばれる圧縮率をそれらに乗じることによってアップリケ-リングされる。圧縮率を1.0の最小の可能な圧縮率値に設定すると、変換に圧縮が適用されないことを意味する。いくつかの場合には、圧縮率は、50の値に設定される。特定の実施形態では、デフォルトの圧縮率は、70の値に設定される。
【0086】
バーXは、負の測定区間の中央値である。すなわち、バーXは、前述の負の測定区間の中間値である。
【0087】
SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲である。四分位範囲とは、負の測定区間の75パーセンタイルと25パーセンタイルとの間の範囲(すなわち、負の測定区間の上四分位と下四分位との間の範囲)を意味する。
【0088】
【数7】
【0089】
z(x)は、以下に従うz変換である。
【0090】
【数8】
【0091】
いくつかの場合には、関心パラメータの生データ値にz変換を適用することの効果は、結果として生じる変換値の平均を0に等しく、変換値の標準偏差を1に等しくすることである。
【0092】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数である。
【0093】
【数9】
【0094】
言い換えれば、arcsinh関数を使用して値を更に変換する。そのような関数は、当技術分野で知られており、例えば、CyTOFデータ変換に使用されるgLog関数の基本的な変形である。
【0095】
【数10】
【0096】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数(CDF)である。このCDFは、正の測定区間と負の測定区間との間の遷移に関連して使用される。特に、CDFは、例えば変換値3.0など、ノイズカットオフを中心とする、例えばCDFなど、シグモイド関数を使用してスケーリングの量を重み付けすることによって、正の測定区間と負の測定区間との間の遷移を平滑化することを容易にする。いくつかの場合には、平滑化された遷移は、スケーリングされない負の測定区間と、スケーリングされる正の測定区間との間の遷移に起因して正当化され得る。
【0097】
図2は、上述の累積分布関数に従った例示的な累積分布関数200を示す。図2には、x軸210上の関心パラメータの潜在的なz変換された測定値が示されている。プロットのy軸220は、対応する各z変換値における累積分布関数を示す。負の測定区間の上限、nを参照して、関心パラメータの測定値のZ変換値が、x軸に沿って見られ、例えば、x軸の位置210aで見られる累積分布関数の平均値、z(n)が見られる。累積分布関数は、記号形式230で示される。上述のように、累積分布関数は、変換された負の測定区間と正の測定区間との間の遷移を滑らかにするために適用され得る。そのような平滑化は、累積分布関数240のプロットのシグモイド形状に部分的に基づいて有効にされる。
【0098】
サイトメトリックデータの表示、分析、及びクラスタリング
主題の方法を実施することは、いくつかの実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することを更に含み得る。任意の便利な表示形式が採用され得る。例えば、主題の方法に従ってスケーリングされていないサイトメトリックデータを表示するために使用される任意の表示技術が、主題の方法に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータを表示するために採用され得る。実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータは、例えば、一次元プロット上に表示され得、x軸は、主題の方法に従ってスケーリングされた測定値を表し、y軸は、各スケーリングされた測定値に対応するイベントカウントを示す。他の実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータは、例えば、二次元プロット上に表示され得、各軸は、主題の方法に従ってスケーリングされた測定値を表し、イベントカウントは、例えば、二次元プロット上の点又は領域を表示するために使用される色又はグレースケールの陰によって表される。実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットを表示することを含む。すなわち、スケーリングされた関心パラメータは、一次元プロットにおける一次元、すなわち、x軸として表示され得、又は二次元プロットにおける一次元若しくは二次元、すなわちx軸若しくはy軸として表示され得る。
【0099】
主題の方法の実施形態は、1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを更に含み得る。言い換えれば、主題の方法の実施形態は、サイトメトリックデータの2つ以上のパラメータをスケーリングすることを含み得る。したがって、追加の関心パラメータを識別し、正及び負の測定区間を指定し、変換を適用することによってデータをスケーリングするステップは、上述のように、単一の関心パラメータに対して用いられる方法に類似する方法で、追加の関心パラメータについて行われ得る。任意の数の追加の関心パラメータが識別され、スケーリングされ得る。いくつかの場合には、サイトメトリックデータを構成する複数のパラメータのサブセットのみが識別され、スケーリングされ得る。他の場合には、サイトメトリックデータを構成する全てのパラメータが識別され、スケーリングされ得る。サイトメトリックデータの2つ以上のパラメータがスケーリングされる主題の方法のいくつかの実施形態では、正の測定区間は、同じサイズにスケーリングされる。いくつかの場合には、正の測定区間を同じサイズにスケーリングすることは、例えば、クラスタリングアルゴリズムの有効性を改善するか、又はノイズの影響を低減することによって、サイトメトリックデータの分析を容易にすることができる。なぜなら、各正の測定区間を同じサイズにスケーリングすることは、サイトメトリックデータにおける弱いマーカー及び強いマーカーの両方の寄与を均等化する効果を有することができるからである。
【0100】
主題の方法の特定の実施形態は、スケーリングされたデータを分析することを更に含む。スケーリングされたデータとは、主題の方法に従って変換されるデータを意味する。いくつかの場合には、スケーリングされたデータは、サイトメトリックデータを含むイベントについての関心パラメータの測定値が特定の特性を示すか否かの計算された確率に基づいて微分的に変換されるデータを含み得る。変換されたデータを分析することは、サイトメトリックデータを研究、理解、及び/又は特徴付けることを意味する。例えば、変換されたデータを分析することは、少なくとも第1のデータ分析アルゴリズムを使用してそのようなデータを分析することを含み得る。他の場合には、変換されたデータを分析することは、1つ以上の追加のデータ分析アルゴリズムと同様に、第1のデータ分析アルゴリズムを使用してそのようなデータを分析することを含む。データ分析アルゴリズムは、サイトメトリックデータから推論を引き出す際に使用するための任意の便利な又は有用なアルゴリズムであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、データ分析アルゴリズムは、以下に記載されるように、データクラスタリングアルゴリズムを伴い得る。他の実施形態では、データ分析アルゴリズムは、例えば、多次元データの視覚化を容易にするために、次元低減アルゴリズム、特徴抽出アルゴリズム、パターン認識アルゴリズムなどを含み得る。
【0101】
主題の方法の他の実施形態は、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングすることを更に含む。すなわち、スケーリングされたサイトメトリックデータをクラスタリングアルゴリズムへの入力として使用し、クラスタリングアルゴリズムは、例えば、生のサイトメトリックデータとは対照的に、スケーリングされたサイトメトリックデータ内のクラスタを識別する。クラスタリングとは、サイトメトリックデータ内のデータのサブ集団を識別するために使用される任意のアルゴリズム、技術又は方法を意味し、サブ集団の各要素は、サブ集団の各他の要素と特定の特徴を共有する。
【0102】
任意の便利なクラスタリングアルゴリズムを適用して、スケーリングされたサイトメトリックデータ内のクラスタを識別し得る。いくつかの場合には、母集団クラスタが、(母集団の境界を規定するゲートとともに)識別され得て、自動的に決定され得る。自動ゲーティングのための方法の例が、例えば、米国特許第4,845,653号、同第5,627,040号、同第5,739,000号、同第5,795,727号、同第5,962,238号、同第6,014,904号、及び同第6,944,338号、並びに米国特許公開第2012/0245889号に記載されており、各々、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータの粒子をクラスタに割り当てることは、k平均クラスタリングと呼ばれる、当該技術分野で既知の技術を適用することを含む。「k平均クラスタリング」とは、各データポイントが最も近い平均でクラスタに属するように、テスト試料の各イベント又は細胞のデータポイントをk個のクラスタに分割することを目的とする既知のパーティショニング技術を意味する。k平均クラスタリングを利用する様々な一般的な実施形態を含む、k平均クラスタリングの技術は、L.M.Weber及びM.D.Robinson,Comparison of Clustering Methods for High-Dimensional Single-Cell Flow and Mass Cytometry Data,Cytometry,Part A,Journal of Quantitative Cell Science,Vol.89,Issue 12,pp.1084-96に更に記載されており、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
他の場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータの粒子をクラスタに割り当てることは、自己組織化マップの適用と呼ばれる、当該技術分野で既知の技術を適用することを含む。「自己組織化マップ」とは、ニューラルネットワーク訓練ステップの結果として、マップを生成する一種の人工ニューラルネットワークアルゴリズムを適用することを意味し、この場合、マップは、試料のデータポイント又は細胞を定義するクラスタの集合を含む。自己組織化マップ、FlowSOMの一般的な実施形態を含む自己組織化マップを適用する技術は、L.M.Weber及びM.D.Robinson,Comparison of Clustering Methods for High-Dimensional Single-Cell Flow and Mass Cytometry Data,Cytometry,Part A,Journal of Quantitative Cell Science,Vol.89,Issue 12,pp.1084-96に更に記載されており、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。他の既知の又はまだ発見されていないクラスタリング技術又はアルゴリズムは、必要に応じて適用され得る。
【0105】
更に他の場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータの粒子をクラスタに割り当てることは、X-シフト母集団発見アルゴリズムとして当技術分野で既知の技術を適用することを含む。X-シフトアルゴリズム、並びにその実用的な応用は、N.Samusik,Z.Good,M.H.Spitzer,K.L.Davis&G.P.Nolan(2016),Automated mapping of phenotype space with single-cell data.Nature methods,Vol.13,Issue 6,p.493に更に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の既知の又はまだ発見されていないクラスタリング技術又はアルゴリズムは、必要に応じて適用され得る。
【0106】
いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータを使用して、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能を向上させる。すなわち、クラスタリングアルゴリズムは、生の非スケーリングサイトメトリックデータとは対照的に、主題の方法に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータに適用されたときにより良いパフォーマンスを発揮し得る。より良いパフォーマンスとは、スケーリングされたサイトメトリックデータに適用されたクラスタリングアルゴリズムが、そうでなければ検出されなかった、細胞などの粒子のサブ集団を識別することができることを意味する。すなわち、スケーリングされたサイトメトリックデータに適用されたクラスタリングアルゴリズムは、そうでなければ単一のより大きなサブ集団にクラスタリングされていたデータの異なるサブ集団を識別し得る。一般に、クラスタリングアルゴリズムによって生成された結果が、サイトメトリックデータが生成された試料の物理的特性をより密接に反映する場合、クラスタリングアルゴリズムは、より良好に実行される。
【0107】
いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータは、測定ノイズの影響を低減するために使用される。測定ノイズとは、サイトメトリックデータの収集中に生成された信号であって、基礎となる試料の物理的特性に対応せず、代わりに計装の問題又はランダム又は未知の原因に対応する信号を意味する。いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータは、データ内のノイズの量を減少させるため、スケーリングされたサイトメトリックデータに適用されると、クラスタリングアルゴリズムの性能は向上する。例えば、主題の方法のいくつかの実施形態では、試料の粒子は、細胞である。そのような実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータは、2つの同様の細胞母集団を区別するために使用され得る。
【0108】
実施形態では、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することは、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタを表示することを含む。すなわち、本方法に従ってスケーリングされたサイトメトリックデータが表示される場合、ディスプレイ上のクラスタを識別する情報も表示され得る。クラスタは、ラベリング、又はカラーコーディング、又は他の方法など、任意の便利な技術を使用して、ディスプレイで識別され得る。いくつかの場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータを使用すると、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能が向上する場合、スケーリングされたサイトメトリックデータ内のクラスタの表示は、そうでなければ検出されなかった可能性がある粒子の2つの母集団を区別することを容易にし得る。すなわち、例えば、2つのタイプの細胞は、スケーリングされていないサイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムによって単一の細胞クラスタにグループ化されていたかもしれないが、クラスタリングアルゴリズムは、代わりに、サイトメトリックデータに適用されると、それらをそれぞれ独自のクラスタにクラスタ化することによって、2つのタイプの細胞を識別することができる。次に、各クラスタは、視覚的レビュー及び更なる分析のためにクラスタ化されたデータのディスプレイに表示される。
【0109】
サイトメトリックデータをスケーリングするためのシステム
上記で要約したように、本開示の態様は、サイトメトリックデータをスケーリングするように構成されたシステムを含む。特定の実施形態によるシステムは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置と、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサとを備え、メモリが、メモリ上に記憶された命令を有し、命令が、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを行わせる。正の測定区間及び負の測定区間に部分的に基づいて関心パラメータを変換することによってサイトメトリックデータをスケーリングすることは、上記に説明される。サイトメトリックデータを含む測定値の収集に使用するためのシステム及びデバイスは、以下で説明される。
【0110】
光源
実施形態では、サイトメトリックデータに関して、フローストリーム内を流れる試料中の粒子は、光源を使用して照射され得る。光源は、任意の好適な広帯域又は狭帯域の光源とすることができる。試料内の構成要素(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子など)に応じて、光源は、例えば、250nm~1250nm、例えば、300nm~1000nm、例えば、350nm~900nm、及び400nm~800nmを含めて、200nm~1500nmの範囲にわたって変化する光の波長を放出するように構成され得る。例えば、光源は、200nm~900nmの波長を有する光を放出する広帯域光源を含むことができる。他の事例では、光源は、200nm~900nmの範囲にわたる波長を放出する狭帯域光源を含む。例えば、光源は、200nm~900nmの範囲にわたる波長を有する光を放出する狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。特定の実施形態では、光源は、レーザーである。いくつかの事例では、主題のシステムは、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザー、又はキセノンフッ素(XeF)エキシマレーザー、若しくはそれらの組み合わせなどのガスレーザーを含む。他の事例では、主題のシステムは、スチルベンレーザー、クマリンレーザー、又はローダミンレーザーなどの色素レーザーを含む。更に他の事例では、関心のレーザーは、ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザー、又は金レーザー、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザーを含む。更に他の事例では、主題のシステムは、ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCaO(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、スリムYAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザー、又はセリウムドープレーザー、及びそれらの組み合わせなどの固体レーザーを含む。
【0111】
他の場合には、光源は、以下に限定されないが、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプを含むランプなど、連続スペクトルを有する広帯域LED、高輝度発光ダイオード、半導体発光ダイオード、ワイドスペクトルLED白色光源、マルチLED集積光源などの発光ダイオード、である非レーザー光源である。いくつかの事例では、非レーザー光源は、他の光源の中でもとりわけ、安定化ファイバ結合広帯域光源、白色光源、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0112】
光源は、試料からの任意の好適な距離(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム)に位置決めすることができ、例えば、0.005mm以上、例えば、0.01mm以上、例えば、0.05mm以上、例えば、0.1mm以上、例えば、0.5mm以上、例えば、1mm以上、例えば、5mm以上、例えば、10mm以上、例えば、25mm以上、及び100mm以上の距離を含めて、フローストリームから0.001mm以上の距離などである。更に、光源は、(例えば、フローストリームの垂直軸に対して)任意の好適な角度で試料を照射することができ、例えば、15°~85°、例えば、20°~80°、例えば、25°~75°、及び30°~60°を含めて、10°~90°の範囲にわたる角度、例えば、90°の角度である。
【0113】
光源は、連続的に、又は離散的な期間で試料を照射するように構成され得る。いくつかの事例では、システムは、フローサイトメータの調査ポイントにおいてフローストリームを連続的に照射する連続波レーザーなどで、試料を連続的に照射するように構成されている光源を含む。他の事例では、対象となるシステムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、及び1000ミリ秒毎を含む離散的期間で、又は何らかの他の期間の離散的期間で、試料を照射するように構成されている光源を使用して試料を照射し得る。光源が離散的期間で試料を照射するように構成されている場合、システムは、光源を用いた、試料の断続的な照射を提供するための、1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、これらの実施形態における主題のシステムは、光源に対して試料を遮断及び曝露するための、手動による、又はコンピュータ-制御されたビーム停止部である、1つ以上のレーザービームチョッパーを含み得る。
【0114】
いくつかの場合には、光源は、レーザーである。対象のレーザーには、パルスレーザー又は連続波レーザーが含まれ得る。例えば、そのレーザーは、ヘリウム-ネオンレーザー、アルゴンレーザー、クリプトンレーザー、キセノンレーザー、窒素レーザー、COレーザー、COレーザー、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザー、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザー、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザー若しくはキセノンフッ素(XeF)エキシマレーザー、又はそれらの組み合わせなどのガスレーザー;スチルベン、クマリン、又はローダミンレーザーなどの色素レーザー;ヘリウム-カドミウム(HeCd)レーザー、ヘリウム-水銀(HeHg)レーザー、ヘリウム-セレン(HeSe)レーザー、ヘリウム-銀(HeAg)レーザー、ストロンチウムレーザー、ネオン-銅(NeCu)レーザー、銅レーザー、又は金レーザー、及びそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザー;ルビーレーザー、Nd:YAGレーザー、NdCrYAGレーザー、Er:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:YVOレーザー、Nd:YCaO(BOレーザー、Nd:YCOBレーザー、チタンサファイアレーザー、ツリウムYAGレーザー、イッテルビウムYAGレーザー、Ybレーザー、若しくはセリウムドープレーザー、及びそれらの組み合わせ;半導体ダイオードレーザー、光ポンプ半導体レーザー(OPSL)、又は上記のレーザーのいずれかの周波数倍化若しくは周波数3倍化された実施態様であってもよい。
【0115】
特定の事例では、光源は、周波数シフトされた光の2つ以上のビームを生成するように構成されている光ビーム生成器である。いくつかの事例では、この光ビーム生成器は、レーザー、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するように構成された高周波生成器を含む。これらの実施形態では、レーザーは、上述したようなパルスレーザー又は連続波レーザーであってもよい。
【0116】
音響光学デバイスは、印加された音響波を使用してレーザー光を周波数シフトするように構成された任意の簡便な音響光学プロトコルであり得る。特定の実施形態では、音響光学デバイスは、音響光学偏向器である。主題のシステム内の音響光学デバイスは、レーザーからの光、及び印加された高周波駆動信号から、角度偏向レーザービームを生成するように構成されている。この高周波駆動信号は、ダイレクトデジタルシンセサイザー(DDS)、任意の波形生成器(AWG)、又は電気パルス生成器などの、任意の好適な高周波駆動信号源で、音響光学デバイスに印加され得る。
【0117】
ある事例では、コントローラは、高周波駆動信号を音響光学デバイスに印加して、出力レーザービーム内に、所望の数の角度偏向レーザービームを生成するように構成されており、そのコントローラは、例えば、3つ以上高周波駆動信号、例えば、4つ以上高周波駆動信号、例えば、5つ以上高周波駆動信号、例えば、6つ以上高周波駆動信号、例えば、7つ以上高周波駆動信号、例えば、8つ以上高周波駆動信号、例えば、9つ以上高周波駆動信号、例えば、10個以上高周波駆動信号、例えば、15個以上高周波駆動信号、例えば、25個以上高周波駆動信号、例えば、50個以上高周波駆動信号を印加するように構成されており、また100個以上高周波駆動信号を印加するように構成されていることを含む。
【0118】
いくつかの事例では、出力レーザービーム内に、角度偏向レーザービームの強度プロファイルを生成するために、そのコントローラは、例えば、約0.001V~約500V、例えば、約0.005V~約400V、例えば、約0.01V~約300V、例えば、約0.05V~約200V、例えば、約0.1V~約100V、例えば、約0.5V~約75V、例えば、約1V~50V、例えば、約2V~40V、例えば、3V~約30V、及び約5V~約25Vで変化する振幅を有する高周波駆動信号を印可するように構成されている。いくつかの実施形態では、各印可される高周波駆動信号は、例えば、約0.005MHz~約400MHz、例えば、約0.01MHz~約300MHz、例えば、約0.05MHz~約200MHz、例えば、約0.1MHz~約100MHz、例えば、約0.5MHz~約90MHz、例えば、約1MHz~約75MHz、例えば、約2MHz~約70MHz、例えば、約3MHz~約65MHz、例えば、約4MHz~約60MHz、及び約5MHz~約50MHzを含むなど、約0.001MHz~約500MHzの周波数を有する。
【0119】
特定の実施形態では、コントローラは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、そのメモリは、自身に記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、所望の強度プロファイルを有する角度偏向レーザービームを有する出力レーザービームを生成させる。例えば、そのメモリは、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、例えば、25個以上、例えば、50個以上の、同じ強度を有する2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を有し得、また、同じ強度を有する100個以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を有し得る、メモリを含み得る。他の実施形態では、そのメモリは、例えば、3つ以上、例えば、4つ以上、例えば、5つ以上、例えば、10個以上、例えば、25個以上、例えば、50個以上の、異なる強度を有する2つ以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を有し得、また、異なる強度を有する100個以上の角度偏向レーザービームを生成するための命令を有し得る、メモリを含み得る。
【0120】
特定の場合には、コントローラは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、そのメモリは、自身に記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿って、出力レーザービームの縁端部からその中心まで強度が増加する出力レーザービームを生成させる。これらの事例では、出力ビームの中心における角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%の範囲にわたり得、その範囲は、例えば、0.5%~約95%、例えば、1%~約90%、例えば、約2%~約85%、例えば、約3%~約80%、例えば、約4%~約75%、例えば、約5%~約70%、例えば、約6%~約65%、例えば、約7%~約60%、例えば、約8%~約55%であり、また水平軸に沿った出力レーザービームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%を含む。他の場合には、コントローラは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、メモリは、自身に記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿って、出力レーザービームの縁端部からその中心まで強度が増加する出力レーザービームを生成させる。これらの事例では、出力ビームの縁端部における角度偏向レーザービームの強度は、水平軸に沿った出力レーザービームの中心における角度偏向レーザービームの強度の0.1%~約99%の範囲にわたり得、その範囲は、例えば、0.5%~約95%、例えば、1%~約90%、例えば、約2%~約85%、例えば、約3%~約80%、例えば、約4%~約75%、例えば、約5%~約70%、例えば、約6%~約65%、例えば、約7%~約60%、例えば、約8%~約55%であり、また水平軸に沿った出力レーザービームの中心における角度偏向レーザービームの強度の約10%~約50%を含む。更に他の場合には、コントローラは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、メモリは、自身に記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿ったガウス分布を有する強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。なおも他の場合には、コントローラは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、メモリは、自身に記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたときに、そのプロセッサに、水平軸に沿ってシルクハット型の強度プロファイルを有する出力レーザービームを生成させる。
【0121】
ある事例では、対象となる光ビーム生成器は、空間的に分離されている、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームを生成するように構成され得る。出力レーザービームの印加された高周波駆動信号及び所望の照射プロファイルに応じて、角度偏向レーザービームは、例えば、0.005μm以上によって、例えば、0.01μm以上によって、例えば、0.05μm以上によって、例えば、0.1μm以上によって、例えば、0.5μm以上によって、例えば、1μm以上によって、例えば、5μm以上によって、例えば、10μm以上によって、例えば、100μm以上によって、例えば、500μm以上によって、例えば、1000μm以上によって、及び5000μm以上によってを含む、0.001μm以上によって分離され得る。いくつかの事例では、システムは、例えば、出力レーザービームの水平軸に沿った隣接する角度偏向レーザービームと部分的に重複する、出力レーザービーム内の角度偏向レーザービームを生成するように構成される。隣接する角度偏向レーザービーム間の重複(ビームスポットの重複など)は、例えば、0.005μm以上の重複、例えば、0.01μm以上の重複、例えば、0.05μm以上の重複、例えば、0.1μm以上の重複、例えば、0.5μm以上の重複、例えば、1μm以上の重複、例えば、5μm以上の重複、例えば、10μm以上の重複、及び100μm以上の重複を含めて、0.001μm以上の重複であり得る。
【0122】
特定の事例では、周波数シフトされた光の2つの以上ビームを生成するように構成された光ビーム生成器は、米国特許第9,423,353号、第9,784,661号、第9,983,132号、第10,006,852号、第10,078,045号、第10,036,699号、第10,222,316号、第10,288,546号、第10,324,019号、第10,408,758号、第10,451,538号、第10,620,111号、並びに米国特許公開公報第2017/0133857号、第2017/0328826号、第2017/0350803号、第2018/0275042号、第2019/0376895号、及び第2019/0376894号に記載されているようなレーザー励起モジュールを含み、それらの開示は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0123】
検出器
実施形態では、サイトメトリックデータは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子から検出された光の測定値から構成され得る(いくつかの場合には、測定値は、光の複数のパラメータの測定値を含む)。試料の粒子からのそのような光を測定するために、光検出システムが採用されてもよい。光検出システムは、1つ以上の光検出器を有していてもよい。対象となる光検出器としては、他の光検出器の中でも、能動ピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、インテンシファイヤ付電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子カウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、光電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光導電体又はフォトダイオード、及びそれらの組み合わせなどの光センサが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、試料からの光は、電荷結合素子(CCD)、半導体電荷結合素子(CCD)、能動ピクセルセンサ(APS)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、又はN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサで測定される。
【0124】
ある事例では、対象となる光検出システムは、複数の光検出器を含む。いくつかの事例では、この光検出システムは、フォトダイオードなどの複数の固体検出器を含む。特定の事例では、光検出システムは、フォトダイオードアレイなどの光検出器アレイを含む。これらの実施形態では、光検出器アレイは、4つ以上の光検出器、例えば、10個以上の光検出器、例えば、25個以上の光検出器、例えば、50個以上の光検出器、例えば、100個以上の光検出器、例えば、250個以上の光検出器、例えば、500個以上の光検出器、例えば、750個以上の光検出器、及び1000個以上の光検出器を含み得る。例えば、検出器は、4つ以上のフォトダイオード、例えば、10個以上のフォトダイオード、例えば、25個以上のフォトダイオード、例えば、50個以上のフォトダイオード、例えば、100個以上のフォトダイオード、例えば、250個以上のフォトダイオード、例えば、500個以上のフォトダイオード、例えば、750個以上のフォトダイオード、及び1000個以上のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであってもよい。
【0125】
光検出器は、必要に応じて、任意の幾何学的構成で配置され得、その場合、対象となる配置は、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、九角形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、卵形構成、並びに不規則パターン化構成を含むが、これらに限定されない。光検出器アレイ内の光検出器は、(X-Z平面で参照されるように)他方の平面に対して、例えば、15°~170°、例えば、20°~160°、例えば、25°~150°、例えば、30°~120°、及び45°~90°を含めて、10°~180°の範囲にわたる角度で配向され得る。光検出器アレイは、任意の好適な形状であってもよく、直線からなる形状、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線からなる形状、例えば、円形、卵形、並びに不規則形状、例えば、平面上部に結合された放物線底部であってもよい。特定の場合には、光検出器アレイは、長方形形状の有効表面を有する。
【0126】
アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)は、5μm~250μmの範囲にわたる幅、例えば、10μm~225μm、例えば、15μm~200μm、例えば、20μm~175μm、例えば、25μm~150μm、例えば、30μm~125μm、及び50μm~100μm、並びに5μm~250μmの範囲にわたる長さ、例えば、10μm~225μm、例えば、15μm~200μm、例えば、20μm~175μm、例えば、25μm~150μm、例えば、30μm~125μm、及び50μm~100μm、を有する有効表面を有し得、この場合、アレイ内の各光検出器(例えば、フォトダイオード)の表面積は、25μm~10000μmの範囲にわたり、例えば、50μm~9000μm、例えば、75μm~8000μm、例えば、100μm~7000μm、例えば、150μm~6000μm、及び200μm~5000μmである。
【0127】
光検出器アレイのサイズは、光の量及び強度、光検出器の数、及び所望の感度に応じて変化し得、その長さは、0.01mm~100mmの範囲にわたり得、例えば、0.05mm~90mm、例えば、0.1mm~80mm、例えば、0.5mm~70mm、例えば、1mm~60mm、例えば、2mm~50mm、例えば、3mm~40mm、例えば、4mm~30mm、及び5mm~25mmであり得る。光検出器アレイの幅も、また、0.01mm~100mmの範囲にわたり得、例えば、0.05mm~90mm、例えば、0.1mm~80mm、例えば、0.5mm~70mm、例えば、1mm~60mm、例えば、2mm~50mm、例えば、3mm~40mm、例えば、4mm~30mm、及び5mm~25mmであり得る。したがって、光検出器アレイの有効表面は、0.1mm~10000mmの範囲にわたり得、例えば、0.5mm~5000mm、例えば、1mm~1000mm、例えば、5mm~500mm、及び10mm~100mmであり得る。
【0128】
対象となる光検出器は、1つ以上の波長で、例えば、2つ以上の波長で、例えば、5つ以上の異なる波長で、例えば、10個以上の異なる波長で、例えば、25個以上の異なる波長で、例えば、50個以上の異なる波長で、例えば、100個以上の異なる波長で、例えば、200個以上の異なる波長で、例えば、300個以上の異なる波長で、収集された光を測定するように構成されており、また、400個以上の異なる波長で、フローストリーム中の試料によって放出された光を測定することを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、光検出器は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって、収集された光を測定するように構成されている。特定の実施形態では、対象となる光検出器は、波長の範囲にわたって、光のスペクトルを収集するように構成されている。例えば、システムは、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって、光のスペクトルを収集するように構成された1つ以上の検出器を含み得る。更に他の実施形態では、対象となる検出器は、1つ以上の特定の波長で、フローストリーム内の試料からの光を測定するように構成されている。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で、光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含み得る。特定の実施形態では、光検出器は、蛍光分析で試料とともに使用されるものなどの特定の蛍光団と対になるように構成され得る。いくつかの実施形態では、光検出器は、試料内の各蛍光団の蛍光スペクトル全体にわたって、収集された光を測定するように構成されている。
【0130】
光検出システムは、連続的に、又は離散的期間で光を測定するように構成されている。いくつかの事例では、対象となる光検出器は、収集された光の測定を連続的に行うように構成されている。他の事例では、光検出システムは、0.001ミリ秒毎に、0.01ミリ秒毎に、0.1ミリ秒毎に、1ミリ秒毎に、10ミリ秒毎に、100ミリ秒毎に、及び1000ミリ秒毎に、又は何らかの他の期間で、光を測定することなど、離散的期間内に測定を行うように構成されている。
【0131】
プロセッサ及びメモリの構成
本開示によるシステムは、自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサを備え、メモリは、メモリに記憶された命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータを識別することと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを行わせる。
【0132】
ある事例では、プロセッサ及び/又はメモリは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置に動作可能に接続され得る。そのような動作可能な接続は、プロセッサによって、例えば、イーサネット接続又はユニバーサルシリアルバス(USB)接続、ポータブルメモリデバイスなどの、有線又は無線ネットワーク接続、共有メモリ、バス、又はサイトメトリックデータのソースを有する同様の通信プロトコルを介して、任意の便利な入力技術によってサイトメトリックデータが取得され得るように、任意の便利な形態をとってもよい。
【0133】
実施形態では、(例えば、フローサイトメータによって又はフローサイトメータから)サイトメトリックデータが取得された後、プロセッサ及びメモリは、関心パラメータを識別するように構成される。関心パラメータは、任意の簡便な方法で識別され得る。例えば、いくつかの場合には、プロセッサ及びメモリは、関心パラメータを識別する選択に対応する入力データを受信するように構成され得る。他の例では、プロセッサ及びメモリは、例えば、1つ以上の潜在的パラメータのリストを反復することによって、潜在的な関心パラメータのリストから関心パラメータを選択するように構成され得る。いくつかの場合には、プロセッサ及びメモリは、表示されるプロットの特性に関する入力を受信するように構成され得、プロットの特性に基づいて関心パラメータを識別するように更に構成され得る。
【0134】
本開示によるシステムの実施形態では、プロセッサ及びメモリは、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するように更に構成される。このような正及び負の測定区間は、任意の簡便な方法で識別され得る。例えば、いくつかの場合には、プロセッサ及びメモリは、正又は負の測定区間、又は両方の測定区間のいずれかに対応する少なくとも1つの測定データの範囲に対応する入力データを受信するように構成され得る。他の実施形態では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、一次元ゲーティングを使用させて、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定させる。上述のように、そのようなゲートの特性は、手動で又は自動的に(例えば、アルゴリズム的に)定義され得る。例えば、そのような実施形態では、プロセッサは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間を指定する一次元ゲートを入力として受信するように構成され得る。更に他の実施形態では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用させる。いくつかの事例では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために数学モデルを適用させる。他の事例では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの一方又は両方を指定するために機械学習アルゴリズムを適用させる。
【0135】
本開示によるシステムの実施形態では、プロセッサ及びメモリは、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするように更に構成される。いくつかの実施形態では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることによって、関心パラメータを変換させる。そのような実施形態では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることによって、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングさせる。
【0136】
特定の実施形態では、メモリは、自身に記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることによって、関心パラメータを更に変換させる。他の実施形態では、指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む。スケーリングされた正の測定区間の所定のサイズは、任意の簡便なサイズであってもよく、所望により変化する可能性がある。いくつかの場合には、所定のサイズは、負の測定区間のサイズである。他の場合には、所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである。
【0137】
実施形態では、メモリは、メモリに記憶された更なる命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることによって、関心パラメータを変換させる。
【0138】
【数11】
【0139】
本開示による方法に関して上記で詳細に説明したように、s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、(n,n)は、パラメータの指定された負の測定区間であり、(n,p)は、パラメータの指定された正の測定区間であり、cは、圧縮率であり、バーXは、負の測定区間の中央値であり、SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分の間範囲である。
【0140】
【数12】
【0141】
z(x)は、以下に従ったz変換である。
【0142】
【数13】
【0143】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数である。
【0144】
【数14】
【0145】
【数15】
【0146】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である。ノイズ圧縮率は、任意の簡便な値に設定することができ、必要に応じて変化することができる。ノイズ圧縮率の最小値は1.0であり、デフォルト値は70に設定されてもよい。
【0147】
実施形態では、メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させる。そのような実施形態では、システムは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットの表示を引き起こすことによって、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるように構成されている。液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、プラズマ(PDP)ディスプレイ、量子ドット(QLED)ディスプレイ、又は陰極線管表示デバイスなど、任意の便利な表示デバイスを使用できる。プロセッサ及び/又はメモリは、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続などの有線、又はBluetooth接続などの無線接続を介して、表示デバイスに動作可能に接続され得る。いくつかの場合には、サイトメトリックデータを含む少なくとも2つのパラメータの測定を示す二次元プロットが表示され、パラメータのうちの少なくとも1つは、本明細書に記載のように変換され、例えば、スケーリングされる。
【0148】
実施形態では、メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることとを行わせる。言い換えれば、いくつかの場合には、システムは、本明細書に記載されるようなパラメータをスケーリングすることによって、サイトメトリックデータの2つ以上のパラメータを変換するように構成され得る。いくつかの場合には、プロセッサは、例えば、二次元プロット又は三次元プロット上に、本明細書に記載されるようにスケーリングされたパラメータの各々を表示することによって、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示させる。
【0149】
他の実施形態では、メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングさせる。プロセッサ及びメモリは、k平均クラスタリング、自己組織化マップ、X-Shift、又は他の既知の若しくはまだ発見されていないクラスタリングルーチンを含む、本明細書に記載されているものなどの、任意の便利なクラスタリングアルゴリズムに従って、スケーリングされたサイトメトリックデータをクラスタリングするように構成され得る。そのような実施形態では、メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し得、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタの表示を引き起こさせる。いくつかの場合には、システムは、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能が向上されるように、サイトメトリックデータをスケーリングするように構成される。クラスタリングアルゴリズムの性能は、例えば、クラスタリングアルゴリズムが、別個の細胞などの別個の粒子タイプの追加の母集団を発見することを可能にすることによって、又は、そうでなければ、そのような粒子がクラスタリングアルゴリズムによって無視されている場合、すなわち、粒子の母集団又は有意義なクラスタに属していない場合、粒子をクラスタに属するものとして識別することによって、任意の数の方法で改善され得る。いくつかの場合には、本明細書に記載されるように、サイトメトリックデータをスケーリングすることは、サイトメトリックデータを構成する粒子の測定値に対するノイズの影響を低減し得るので、クラスタリングアルゴリズムの性能が改善される。特定の実施形態では、システムは、測定ノイズの影響が低減されるように、サイトメトリックデータをスケーリングするように構成される。他の実施形態では、粒子は、細胞である。そのような場合、システムは、スケーリングされたサイトメトリックデータに基づいて、2つの同様の細胞母集団を区別するように構成されている。すなわち、システムは、実際には、細胞が異なるタイプの細胞であるときに、そうでなければ同じ細胞タイプに属すると理解され得る細胞タイプ間の差を識別するように構成され得る。
【0150】
実施形態では、サイトメトリックデータは、高次元データである。高次元データとは、サイトメトリックデータが多数の異なる測定パラメータを含むことを意味する。言い換えれば、サイトメトリックデータは、粒子の多くの異なる特性の測定値を表す。いくつかの場合には、複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である。いくつかの実施形態では、試料のサイトメトリックデータは、試料を分析するように構成されたフローサイトメータから取得された測定値を含む。いくつかの場合には、サイトメトリックデータを取得するように構成された装置は、フローサイトメータであってもよく、又は他の場合には、フローサイトメータからサイトメトリックデータを取得するように構成された有線又は無線入力デバイスなどの入力デバイスであってもよい。
【0151】
粒子分析器
本開示の発明によるシステムは、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置を更に含む。システムのいくつかの実施形態では、装置は、フローストリーム内を流れる試料中の粒子を照射することによって試料を分析することによって、サイトメトリックデータを取得するように構成される。他の実施形態では、装置は、本明細書に記載のものなど、粒子分析器又は選別システムなどからサイトメトリックデータを取得するように構成された入力デバイスである。
【0152】
図3は、データを分析及び表示するための、例えば、分析コントローラ、すなわちメモリに動作可能に接続されたプロセッサ300などの粒子分析器又は選別制御システムの一例の機能ブロック図を示す。プロセッサ300は、生体事象を含む、データのグラフィック表示を制御するための様々なプロセスを実装するように構成され得る。
【0153】
装置302は、生体事象データなどのサイトメトリックデータを取得するように構成され得る。例えば、フローサイトメータは、フローサイトメトリック事象データを生成することができる。実施形態では、装置は、フローサイトメータなどの粒子分析器又は選別システムであってもよく、又は動作可能に接続されてもよい。装置302は、生体事象データをプロセッサ300に提供するように構成され得る。データ通信チャネルが、装置302とプロセッサ300との間に含まれ得る。生体事象データは、データ通信チャネルを介して、プロセッサ300に提供され得る。
【0154】
プロセッサ300は、装置302から生体事象データを受信するように構成され得る。装置302から受信した生体事象データは、フローサイトメトリック事象データを含むことができる。プロセッサ300は、サイトメトリックデータの1つ以上のヒストグラムの表示、又は生体事象データの第1のプロット、又はサイトメトリックデータのクラスタデータを示すプロットを含むグラフィカル表示を表示デバイス306に提供するように構成され得る。例えば、プロセッサ300は、表示デバイス306にスケーリングされたサイトメトリックデータを表示させるように構成され得る。プロセッサ300は、関心領域を、表示デバイス306によって示される生体事象データの母集団の周辺のゲートとして、例えば、第1のプロット上に重ねられて、レンダリングするように更に構成され得る。いくつかの実施形態では、そのゲートは、単一パラメータのヒストグラム又は二変量プロット上に描かれる、対象の1つ以上の画像領域の論理結合であり得る。いくつかの実施形態では、そのディスプレイを使用して、粒子パラメータを表示することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイを使用して、装置302の検出器を較正する際に使用するために、サイトメトリックデータのヒストグラムと併せて、装置302に適用可能な設定を表示することができる。
【0155】
プロセッサ300は、ゲート内の表示デバイス306上にデータを、ゲートの外側のデータ内の他の事象とは異なって表示するように更に構成され得る。例えば、プロセッサ300は、例えば、ゲート内に含まれる生体事象データの色を、ゲートの外側の生体事象データの色とは区別するようレンダリングするように構成され得る。表示デバイス306は、モニタ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、又はグラフィカルインターフェースを提示するように構成されている他の電子デバイスとして、実装され得る。
【0156】
プロセッサ300は、第1の入力デバイスから装置302の構成設定に対する調整を受信するように構成され得る。構成設定に対するそのような調整は、第1の入力デバイスからプロセッサ300に受信されたとき、粒子分析器設定などの装置302の設定を更新するために使用され得る。例えば、実施形態では、チャネル検出器のゲイン設定は、チャネル検出器の飽和を回避するために調整され得る。
【0157】
加えて、プロセッサ300は、第1の入力デバイスからゲートを識別するゲート選択信号を受信するように構成され得る。例えば、第1の入力デバイスは、マウス310として実装され得る。このマウス310は、表示デバイス306を介して表示又は操作されるゲートを識別するプロセッサ300に対して、(例えば、カーソルをそこに位置決めするときに、所望のゲートをクリックすることによって)ゲート選択信号を始動させることができる。いくつかの実施態様では、第1のデバイスは、キーボード308、又はタッチスクリーン、入力用ペン、光検出器、若しくは音声認識システムなどの、入力信号をプロセッサ300に提供するための他の手段として実装され得る。いくつかの入力デバイスは、複数の入力機能を含み得る。そのような実施態様では、入力機能は、それぞれ、入力デバイスとみなされ得る。例えば、図3に示されるように、マウス310は、右マウスボタン及び左マウスボタンを含み得、それらの各々は、起動事象を生成し得る。
【0158】
この起動事象は、プロセッサ300に、データが表示される方法、データのどの部分が実際に表示デバイス306上に表示されるかを変更させ、かつ/又は粒子選別の対象の母集団の選択などの更なる処理への入力を提供させ得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、プロセッサ300は、ゲート選択がマウス310によっていつ始動されたかを検出するように構成され得る。プロセッサ300は、プロットの視覚化を自動的に修正して、ゲート制御プロセスを容易にするように更に構成され得る。この修正は、プロセッサ300によって受信された生体事象データの特定の分布に基づき得る。
【0160】
プロセッサ300は、記憶デバイス304に接続され得る。この記憶デバイス304は、プロセッサ300から生体事象データを受信及び記憶するように構成され得る。記憶デバイス304は、プロセッサ300によって、フローサイトメトリック事象データなどの生体事象データの検索を可能にするように更に構成され得る。
【0161】
表示デバイス306は、プロセッサ300から表示データを受信するように構成され得る。表示データは、生体事象データのプロット、及びそのプロットの区画の輪郭を描くゲートを含み得る。表示デバイス306は、装置302、記憶デバイス304、キーボード308、及び/又はマウス310からの入力と併せて、プロセッサ300から受信した入力に従って提示された情報を変更するように更に構成され得る。
【0162】
いくつかの実施態様では、プロセッサ300は、ユーザインターフェースを生成して、選別のための例示的な事象を受信することができる。例えば、このユーザインターフェースは、例示的な事象又は例示的な画像を受信するための制御を含むことができる。例示的な事象若しくは画像、又は例示的なゲートは、試料についての事象データの収集の前に、又は試料の一部分についての事象の初期セットに基づいて、提供され得る。
【0163】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、フローサイトメトリーのためのシステム400を示している。このシステム400は、フローサイトメータ410、コントローラ/プロセッサ490、及びメモリ495を含む。このフローサイトメータ410は、1つ以上の励起レーザー415a~415c、集束レンズ420、フローチャンバ425、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、蛍光集束レンズ440、1つ以上のビームスプリッタ445a~445g、1つ以上のバンドパスフィルタ450a~450e、1つ以上のロングパス(「LP」)フィルタ455a~455b、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fを含む。
【0164】
励起レーザー415a~cは、レーザービームの形態で光を放出する。励起レーザー415a~415cから放出されたレーザービームの波長は、図4の例示的なシステムにおいて、それぞれ、488nm、633nm、及び325nmである。レーザービームは、最初、ビームスプリッタ445a及び445bのうちの1つ以上を通って導かれる。ビームスプリッタ445aは、488nmで光を透過し、633nmで光を反射する。ビームスプリッタ445bは、UV光(10~400nmの範囲の波長を有する光)を透過し、488nm及び633nmで光を反射する。
【0165】
次いで、レーザービームは、集束レンズ420に導かれ、その集束レンズは、試料の粒子がフローチャンバ425内に配置されている流体ストリームの部分上にビームを集束させる。フローチャンバは、調査のために、通常一度に1つ、ストリーム中の粒子を集束レーザービームに誘導する流体工学システムの一部である。フローチャンバは、ベンチトップフローサイトメータ内にフロー細胞を、又はストリームインエアサイトメータ内にノズル先端部を備えることができる。
【0166】
レーザービームからの光は、粒子のサイズ、内部構造、及び粒子の上若しくは中に付属されるか若しくは自然に存在する1つ以上の蛍光分子の存在などの粒子の特性に応じて、様々な異なる波長での再放出を伴う回折、屈折、反射、散乱、及び吸収によって、試料内の粒子と相互作用する。蛍光放出、並びに回折光、屈折光、反射光、及び散乱光は、ビームスプリッタ445a~445g、バンドパスフィルタ450a~450e、ロングパスフィルタ455a~455b、及び蛍光集束レンズ440のうちの1つ以上を通って、前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、及び1つ以上の蛍光検出器460a~460fのうちの1つ以上に経路設定され得る。
【0167】
蛍光集束レンズ440は、粒子レーザービーム間の相互作用から放出された光を収集し、1つ以上のビームスプリッタ及びフィルタに向けてその光を経路設定する。バンドパスフィルタ450a~450eなどのバンドパスフィルタは、狭い波長範囲がフィルタを通過することを可能にする。例えば、バンドパスフィルタ450aは、510/20フィルタである。第1番目の数字は、スペクトル帯域の中心を表す。第2番目の数字は、スペクトル帯域の範囲を提供する。したがって、510/20フィルタは、スペクトル帯域の中心の各側面上に10nm、又は500nm~520nmに広がる。ショートパスフィルタは、指定された波長以下の光の波長を透過する。ロングパスフィルタ455a~455bなどのロングパスフィルタは、指定された波長以上の光の波長を透過する。例えば、670nmのロングパスフィルタであるロングパスフィルタ455aは、670nm以上の光の波長を透過する。フィルタは、特定の蛍光色素に対する検出器の特異性を最適化するために選択される場合が多い。それらのフィルタは、検出器に透過された光のスペクトル帯域が蛍光色素の放出ピークに近くなるように構成され得る。
【0168】
ビームスプリッタは、異なる波長の光を、異なる方向に導く。ビームスプリッタは、ショートパス及びロングパスなどのフィルタ特性によって特徴付けられ得る。例えば、ビームスプリッタ445gは、620ショートパスビームスプリッタであり、このビームスプリッタ445gは、620nm以下の短い光波長を透過し、620nmよりも長い光波長を異なる方向に反射させることを意味する。一実施形態では、ビームスプリッタ445a~445gは、二色性ミラーなどの光学ミラーを備えることができる。
【0169】
前方散乱検出器430は、フロー細胞を通る直接ビームから軸外にわずかに離れて位置付けられ、回折光、粒子を通って又はその周りをほとんど前方方向に移動する励起光を検出するように構成される。前方散乱検出器によって検出された光の強度は、粒子のサイズ全体に依存する。前方散乱検出器は、フォトダイオードを含むことができる。側方散乱検出器435は、粒子の表面及び内部構造からの回折光及び反射光を検出するように構成され、粒子構造が複雑になるにつれて増加する傾向がある。粒子に関連付けられた蛍光分子からの蛍光放出は、1つ以上の蛍光検出器460a~460fによって検出され得る。側方散乱検出器435及び蛍光検出器は、光電子増倍管を含むことができる。前方散乱検出器430、側方散乱検出器435、及び蛍光検出器で検出された信号は、検出器によって電子信号(電圧)に変換され得る。このデータは、試料に関する情報を提供することができる。
【0170】
当業者は、本発明の一実施形態によるフローサイトメータが、図4に図示してあるフローサイトメータに限定されないが、当技術分野で既知の任意のフローサイトメータを含み得ることを認識する。例えば、フローサイトメータは、様々な波長で、かつ様々な異なる構成で、任意の数のレーザー、ビームスプリッタ、フィルタ、及び検出器を有してもよい。
【0171】
動作中、フローサイトメータの動作は、コントローラ/プロセッサ490によって制御され、検出器からの測定データは、メモリ495内に記憶されて、コントローラ/プロセッサ490によって処理され得る。明示的には示されていないが、コントローラ/プロセッサ490は、少なくとも1つの汎用プロセッサ、並びに複数の並列処理ユニットを含み、検出器に結合されて、その検出器から出力信号を受信し、また、フローサイトメータ400の電気部品及び電気機械部品に結合されて、レーザー、流体フローパラメータなどを制御することができる。入力/出力(I/O)機能部497は、システム内にも提供され得る。メモリ495、コントローラ/プロセッサ490、及びI/O497は、全体的に、フローサイトメータ410の不可欠な部分として提供され得る。そのような実施形態では、ディスプレイは、また、サイトメータ400のユーザにサイトメトリックデータの1つ以上のヒストグラムを含む実験的なデータを提示するための、I/O機能部497の一部も形成し得る。代替的に、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490及びI/O機能部の一部又は全ては、汎用コンピュータなどの1つ以上の外部デバイスの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、メモリ495及びコントローラ/プロセッサ490の一部又は全ては、フローサイトメータ410と無線又は有線で通信することができる。メモリ495及びI/O497と併せて、コントローラ/プロセッサ490は、フローサイトメータ実験の調製及び分析に関連する様々な機能を実行するように構成され得る。
【0172】
図4に例示されたシステムは、フロー細胞425から各検出器へのビーム経路におけるフィルタ及び/又はスプリッタの構成によって画定されるように、6つの異なる波長帯域(本明細書では、任意の検出器についての「フィルタウィンドウ」と称され得る)内の蛍光を検出する6つの異なる検出器を含む。フローサイトメータ実験に使用される異なる蛍光分子は、それら独自の特性波長帯域の光を放出する。実験に使用される特定の蛍光標識、及びそれらの関連する蛍光放出帯域は、検出器のフィルタウィンドウと概ね一致するように、選択され得る。ただし、より多くの検出器が提供され、かつより多くの標識が利用されるため、フィルタウィンドウと蛍光放出スペクトルとの間の完全な対応は、不可能である。特定の蛍光分子の放出スペクトルのピークは、1つの特定の検出器のフィルタウィンドウ内に存在する場合があるが、その標識の発光スペクトルの一部が、また、1つ以上の他の検出器のフィルタウィンドウとも重複することは、一般的に正しい。これは、こぼれ信号と称され得る。I/O497は、蛍光標識のパネルを有するフローサイトメータ実験、及び複数のマーカーを有する複数の細胞母集団に関係するデータを受信するように構成され得、各細胞母集団は、複数のマーカーのサブセットを有する。I/O497は、また、1つ以上のマーカーを1つ以上の細胞母集団に割り当てる生体データ、マーカー濃度データ、発光スペクトルデータ、1つ以上のマーカーに標識を割り当てるデータ、及びサイトメータ構成データも受信するように構成され得る。標識スペクトル特性及びフローサイトメータ構成データなどのフローサイトメータ実験データも、また、メモリ495内に記憶され得る。コントローラ/プロセッサ490は、マーカーに対する標識の1つ以上の割り当てを評価するように構成され得る。
【0173】
図5は、計算ベースの試料分析及び粒子特性評価のための粒子分析システムの機能ブロック図を示す。いくつかの実施形態では、粒子分析システム500は、フローシステムである。図5に示された粒子分析システム500は、本明細書に記載の方法の態様を実行するように構成され得る。粒子分析システム500は、流体工学システム502を含む。流体工学システム502は、試料管510、及び試料の粒子530(例えば、細胞)が共通の試料経路520に沿って移動する試料管内の移動性流体縦列を含み得るか、又はそれらと結合され得る。
【0174】
粒子分析システム500は、各粒子が共通試料経路に沿って1つ以上の検出ステーションを通過するときに、各粒子から信号を収集するように構成されている検出システム504を含む。検出ステーション508は、概して、共通試料経路の監視エリア540を指す。いくつかの実施態様では、検出は、粒子530が監視エリア540を通過するときに、それらの粒子の光、又は1つ以上の他の特性を検出することを含み得る。図5では、1つの監視エリア540を有する1つの検出ステーション508が示されている。粒子分析システム500のいくつかの実施態様は、複数の検出ステーションを含むことができる。更に、いくつかの検出ステーションは、2つ以上の領域を監視することができる。
【0175】
各信号には、各粒子に対してデータポイントを形成するための信号値が割り当てられる。上述したように、このデータは、事象データと称され得る。データポイントは、粒子に対して測定されたそれぞれの特性の値を含む多次元データポイントであり得る。検出システム504は、一連のそのようなデータポイントを第1の時間間隔で収集するように構成されている。
【0176】
粒子分析システム500は、また、制御システム506も含むことができる。この制御システム506は、図6Aに示され、以下で議論されるように、1つ以上の汎用プロセッサ、複数の並列処理ユニット、振幅制御回路626、及び/又は周波数制御回路624を含むことができる。示された制御システム506は、流体工学システム502に動作可能に関連付けられ得る。制御システム506は、ポアソン分布、及び第1の期間中に検出システム504によって収集されたデータポイントの数に基づいて、第1の期間の少なくとも一部分について計算された信号周波数を生成するように構成され得る。制御システム506は、第1の期間の一部分におけるデータポイントの数に基づいて、実験的な信号周波数を生成するように更に構成され得る。制御システム506は、追加的に、実験的な信号周波数を、計算された信号周波数又は所定の信号周波数のそれと比較することができる。加えて、制御システム506は、ヒストグラムを符号化することによってサイトメトリックデータのヒストグラムの表現を生成するように構成され得る。制御システム506は、複数の並列処理ユニットを使用して実質的に同時に各ヒストグラム値に色を割り当て、その後、例えば、汎用プロセッサを使用して、ヒストグラム値に対応する色の符号化を複製することによって、ヒストグラムの表現を生成することができる。
【0177】
図6Aは、本明細書に示された一実施形態による粒子分析器及び選別機システム600(例えば、図3に示すような粒子分析器302)の概略図である。いくつかの実施形態では、粒子選別機システム600は、細胞選別機システムである。図6Aに示すように、液滴形成トランスデューサ602(例えば、圧電発振器)は、流体導管601に結合され、その流体導管は、ノズル603に結合され得、そのノズルを含み得るか、又はそのノズルであり得る。流体導管601内では、シース流体604が、粒子609を含む試料流体606を流体力学的に集束させて、移動性流体列608(例えば、ストリーム)となる。移動性流体列608内では、粒子609(例えば、細胞)は、一列縦隊に並んで、監視エリア611(例えば、レーザーストリームが交差する場所)を横切り、照射源612(例えば、レーザー)によって照射される。液滴形成トランスデューサ602の振動により、移動性流体列608が、粒子609を一部に含む、複数の液滴610に分裂される。
【0178】
動作中、検出ステーション614(例えば、事象検出器)は、対象となる粒子(又は対象となる細胞)が監視エリア611をいつ横切るかを識別する。検出ステーション614は、タイミング回路628に入力供給し、次いで、そのタイミング回路は、フラッシュ帯電回路630に入力供給する。液滴分裂ポイントでは、時限液滴遅延(Δt)によって通知されて、フラッシュ電荷が、移動性流体列608に印加され、その結果、対象となる液滴が、電荷を担う。対象となる液滴は、選別されるべき1つ以上の粒子又は細胞を含み得る。次いで、帯電した液滴は、偏向板(図示せず)を作動させることによって選別して、その液滴を、区画、例えば、区画又はウェル若しくはマイクロウェルが特定の対象の液滴に関連付けられ得る収集管又はマルチウェル若しくはマイクロウェル試料プレートなどの容器の中に偏向させることができる。図6Aに示すように、液滴は、排水容器638内に収集することができる。
【0179】
検出システム616(例えば、液滴境界検出器)は、対象となる粒子が監視エリア611を通過するときに、液滴駆動信号の位相を自動的に決定する役割を果たす。例示的な液滴境界検出器が、米国特許第7,679,039号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。検出システム616により、機器が液滴内の検出された各粒子の位置を正確に計算することが可能になる。検出システム616は、振幅信号620及び/又は位相618信号に入力供給することができ、次に、それらの入力は、(増幅器622を介して)振幅制御回路626及び/又は周波数制御回路624に入力供給する。振幅制御回路626及び/又は周波数制御回路624は、次いで、液滴形成トランスデューサ602を制御する。振幅制御回路626及び/又は周波数制御回路624は、制御システム内に含まれ得る。
【0180】
いくつかの実施態様では、選別電子機器(例えば、検出システム616、検出ステーション614、及びプロセッサ640)は、検出された事象、及びそれに基づく選別決定を記憶するように構成されたメモリと結合され得る。この選別決定は、粒子についての事象データ内に含まれ得る。いくつかの実施態様では、検出システム616及び検出ステーション614は、単一の検出ユニットとして実装され得るか、又は事象測定が、検出システム616若しくは検出ステーション614のうちの一方によって収集され、そして非収集要素に提供され得るように、通信可能に結合され得る。
【0181】
図6Bは、本明細書に提示される1つの実施形態による、粒子分析器及び選別機システムの概略図である。図6Bに示された粒子分析器及び選別機システム600は、偏向板652及び654を含む。電荷は、バーブ内のストリーム帯電ワイヤを介して印加され得る。これにより、分析のための、粒子610を含有する液滴610のストリームが作り出される。これらの粒子は、1つ以上の光源(例えば、レーザー)で照光されて、光散乱及び蛍光情報を生成することができる。粒子についての情報は、ソーティングエレクトロニクス又は他の検出システム(図6Bには図示せず)によるなどして分析される。偏向板652及び654は、独立して制御されて、帯電した液滴を誘引又は反発させ、区画などの目的地の収集容器(例えば、672、674、676、又は678のうちの1つ)に向かって誘導することができる。図6Bに示すように、偏向板652及び654を制御して、第1の経路662に沿って容器674に向かって、又は第2の経路668に沿って容器678に向かって、粒子を方向付けることができる。粒子が関心対象でない(例えば、指定されたソート範囲内の散乱又は照明情報を呈さない)場合、偏向板は、粒子がフロー経路664に沿って進み続けることを可能にし得る。そのような非荷電の小滴は、吸引器670を介してなど、廃棄物容器内に移行し得る。
【0182】
選別用電子機器を含めて、測定値の収集を始動し、粒子についての蛍光信号を受信し、そして偏向板をどのように調整するかを決定して、粒子の選別を引き起こすことができる。図6Bに示された実施形態の例示的な実施態様として、Becton,Dickinson and Company社(Franklin Lakes,NJ)によって市販されているBD FACSAria(登録商標)系のフローサイトメータが挙げられる。
【0183】
いくつかの実施形態では、粒子器及び選別機システム600について説明された1つ以上の構成要素を使用して、それらの粒子を収集容器中に物理的に選別することにかかわらず、粒子を分析及び特性評価することができる。同様に、粒子分析システム500(図5)について説明された1つ以上の構成要素を使用して、それらの粒子を収集容器中に物理的に選別することにかかわらず、粒子を分析及び特性評価することができる。例えば、粒子は、本明細書に記載されているように、少なくとも3つのグループを含むツリーにグループ化又は表示され得るか、又は代替的に、粒子選別機システム600又は粒子分析システム500の構成要素のうちの1つ以上を使用して、1つ以上のヒストグラムフォーマットで表示することができる。
【0184】
いくつかの実施形態によるシステムは、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを含むことができる。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、少なくとも1つの汎用プロセッサ、並びに複数の並列処理ユニットを含み、これらの全ては、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスする。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。汎用プロセッサ、並びに並列処理ユニットの各々は、市販のプロセッサであり得るか、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、よく知られた方法でファームウェア及びハードウェアとインターフェース接続し、当技術分野で既知であるように、Java、Perl、Python、R、Go、JavaScript、NET、CUDA、Verilog、C++、他の高級言語、又は低級言語、並びにそれらの組み合わせなどの種々のプログラミング言語で記述され得る様々なコンピュータプログラムの機能を、プロセッサが連携及び実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、典型的には、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。プロセッサは、任意の好適なアナログ又はデジタルシステムであり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の汎用プロセッサ並びに並列処理ユニットは、例えば、負帰還制御など、フィードバック制御を提供するアナログ電子機器を含む。
【0185】
システムメモリは、様々な既知又は将来のメモリ記憶デバイスのいずれかであり得る。例としては、任意の一般的に入手可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、常駐ハードディスク若しくはテープなどの磁気媒体、リードライトコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリデバイス、又は他のメモリ記憶デバイスが挙げられる。メモリ記憶デバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、又はディスクドライブを含む、様々な既知又は将来のデバイスのいずれかであり得る。そのようなタイプのメモリ記憶デバイスは、通常、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、又は磁気ディスクなどのプログラム記憶媒体(図示せず)から読み出し、及び/又はプログラム記憶媒体に書き込む。これらのプログラム記憶媒体のいずれか、又は現在使用されている、若しくは後に開発され得る他のものは、コンピュータプログラム製品とみなされ得る。理解されるように、これらのプログラム記憶媒体は、通常、コンピュータソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶する。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータソフトウェアプログラムは、通常、システムメモリ、及び/又はメモリ記憶デバイスと併せて使用されるプログラム記憶デバイスに記憶される。
【0186】
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、その中に記憶された制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)を有するコンピュータ使用可能媒体を備えて記載される。その制御ロジックは、コンピュータのプロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、本明細書に記載の機能を実行させる。他の実施形態では、いくつかの機能は、例えば、ハードウェアステートマシンを使用して、主にハードウェア内に実装される。本明細書に記載される機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実施態様は、関連技術分野の当業者には明らかである。
【0187】
メモリは、1つ以上の汎用プロセッサ、並びにグラフィックスプロセッサなどの複数の並列処理ユニットが、磁気、光学、又はソリッドステート記憶デバイス(磁気若しくは光学ディスク、又はテープ、又はRAM、又は固定型若しくは携帯型のいずれかの任意の他の好適なデバイスを含む)などのデータを記憶し、取り出すことができる任意の好適なデバイスであり得る。汎用プロセッサは、必要なプログラムコードを担持するコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含み得る。並列処理ユニットは、必要なプログラムコードを運ぶコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされた1つ以上のグラフィックスプロセッサを含み得る。プログラミングは、1つ以上の通信チャネルを介してプロセッサにリモートで提供され得、あるいはメモリと併せてそれらのデバイスのいずれかを使用して、メモリ又はいくつかの他の携帯型若しくは固定型のコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品内に前もって保存され得る。例えば、磁気又は光学ディスクは、プログラミングを担持し得、ディスクライタ/リーダによって読み取ることができる。本発明のシステムは、例えば、コンピュータプログラム製品の形態のプログラミング、上記の方法を実施する際に使用するためのアルゴリズムも含む。本発明によるプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによって直接読み取り及びアクセスすることができる任意の媒体に記録され得る。そのような媒体としては、以下に限定されないが、磁気ディスク、ハードディスク記憶媒体、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光学記憶媒体、RAM及びROMなどの電気記憶媒体、ポータブルフラッシュドライブ、並びに磁気/光学記憶媒体などのこれらのカテゴリのハイブリッドが挙げられる。
【0188】
1つ以上の汎用プロセッサは、また、リモート位置でユーザと通信するための通信チャネルへのアクセスを有し得る。リモート位置とは、ユーザが、システムと直接接触せず、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、電話ネットワーク、衛星ネットワーク、又は携帯電話(すなわち、スマートフォン)を含む任意の他の好適な通信チャネルに接続されたコンピュータなどの外部デバイスから入力マネージャに入力情報を中継することを意味する。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステムは、通信インターフェースを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、ネットワーク及び/又は別のデバイスと通信するための受信機及び/又は送信機を含む。通信インターフェースは、以下に限定されないが、無線周波数(RF)通信(例えば、無線周波数識別(RFID)、Zigbee通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、超広帯域(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、及び符号分割多元接続(CDMA)又はモバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)などのセルラー通信を含む、有線又は無線通信のために構成され得る。
【0190】
一実施形態では、通信インターフェースは、主題のシステムと、同様の補完的データ通信のために構成される(例えば、診療所又は病院環境における)コンピュータ端末などの他の外部デバイスとの間のデータ通信を可能にするために、例えば、USBポート、RS-232ポート、又は任意の他の好適な電気接続ポートなどの物理ポート又はインターフェースなど、1つ以上の通信ポートを含むように構成される。
【0191】
一実施形態では、通信インターフェースは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、又は任意の他の好適な無線通信プロトコルのために構成され、これにより、主題のシステムが、コンピュータ端末及び/若しくはネットワーク、通信可能モバイル電話、携帯情報端末、又はユーザが併せて使用することができる任意の他の通信デバイスなどの他のデバイスと通信することが可能になる。
【0192】
一実施形態では、通信インターフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されているローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、又はWiFiホットスポットでのインターネットへのWiFi接続を介して、インターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送のための接続を提供するように構成されている。
【0193】
一実施形態では、主題のシステムは、例えば、802.11若しくはBluetooth(登録商標)RFプロトコル、又はIrDA赤外線プロトコルなどの共通の標準規格を使用して、通信インターフェースを介してサーバデバイスと無線で通信するように構成される。サーバデバイスは、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)若しくはノートブックコンピュータなどの別のポータブルデバイス、又はデスクトップコンピュータ、アプライアンスなどのより大きなデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、サーバデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、並びにボタン、キーボード、マウス、又はタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。
【0194】
いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、上記の通信プロトコル及び/又は機構のうちの1つ以上を使用して、主題のシステム内、例えば、任意選択的データ記憶ユニット内に記憶されたデータをネットワーク又はサーバデバイスと、自動的又は半自動的に伝達するように構成される。
【0195】
出力コントローラは、人間であろうと機械であろうと、ローカルであろうとリモートであろうと、ユーザに情報を提示するための様々な既知の表示デバイスのいずれかのためのコントローラを含み得る。表示デバイスのうちの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、通常、画素の配列として、論理的にかつ/又は物理的に編成され得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間にグラフィカル入力及び出力インターフェースを提供するための、及びユーザ入力を処理するための、様々な既知又は将来のソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能要素は、システムバスを介して互いに通信することができる。これらの通信の一部は、ネットワーク、又は他のタイプのリモート通信を使用する代替の実施形態で達成され得る。出力マネージャは、また、既知の技術に従って、例えば、インターネット、電話、又は衛星ネットワークを介して、リモート位置でユーザに、処理モジュールによって生成された情報を提供し得る。出力マネージャによるデータの提示は、様々な既知の技術に従って実装され得る。いくつかの例として、データは、SQL、HTML、若しくはXMLドキュメント、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形態のデータを含み得る。データは、ユーザが追加のSQL、HTML、XML、又は他のドキュメント若しくはデータをリモートソースから取り出すことができるように、インターネットURLアドレスを含み得る。主題のシステム内に存在する1つ以上のプラットフォームは、通常、一般的にサーバと称されるコンピュータのクラスのものであるが、任意のタイプの既知のコンピュータプラットフォーム又は将来開発されるタイプであってもよい。また一方、それらは、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、又は他のコンピュータタイプであってもよい。それらは、任意の既知若しくは将来のタイプのケーブル配線、又はネットワーク化されているか、若しくはされていないかのいずれかの無線システムを含む、他の通信システムを介して接続されてもよい。それらは、同一場所に配置されてもよく、又は物理的に分離されてもよい。場合により、選択されたコンピュータプラットフォームのタイプ及び/又は構成に応じて、様々なオペレーティングシステムが、コンピュータプラットフォームのいずれかで採用されてもよい。適切なオペレーティングシステムは、Windows 10、Windows NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Oracle Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OSなどを含む。
【0196】
図7は、特定の実施形態による、例示的なコンピューティングデバイス700の一般的なアーキテクチャを示す。図7に示されるコンピューティングデバイス700の一般的なアーキテクチャは、コンピュータハードウェア及びソフトウェア構成要素の配置を含む。コンピューティングデバイス700は、図7に示される要素よりも多くの(又はよりも少ない)要素を含み得る。ただし、有効な開示を提供するためには、これらの一般的に伝統的な要素の全てが、必ずしも示される必要はない。図示してあるように、コンピューティングデバイス700は、処理ユニット710、ネットワークインターフェース720、コンピュータ可読媒体ドライブ730、入力/出力デバイスインターフェース740、ディスプレイ750、及び入力デバイス760を含み、それらの全ては、通信バスを経由して互いに通信することができる。ネットワークインターフェース720は、1つ以上のネットワーク又はコンピューティングシステムへの接続を提供することができる。したがって、処理ユニット710は、ネットワークを介して、他のコンピューティングシステム又はサービスから情報及び命令を受信することができる。処理ユニット710は、また、メモリ770との間でも通信することができ、入力/出力デバイスインターフェース740を介して、任意選択的ディスプレイ750のための出力情報を更に提供することができる。入力/出力デバイスインターフェース740は、また、キーボード、マウス、デジタルペン、マイクロフォン、タッチスクリーン、ジェスチャー認識システム、音声認識システム、ゲームパッド、加速度計、ジャイロスコープ、又は他の入力デバイスなどの、任意選択的入力デバイス760から入力を受信することもできる。
【0197】
メモリ770は、処理ユニット710が順番に実行して1つ以上の実施形態を実装するコンピュータプログラム命令(いくつかの実施形態では、モジュール又は構成要素としてグループ化される)を有することができる。メモリ770は、一般的に、RAM、ROM、及び/又は他の永続的、補助的、又は非一時的なコンピュータ可読媒体を含む。メモリ770は、コンピューティングデバイス700の一般的な管理及び動作において、処理ユニット710によって使用されるためのコンピュータプログラム命令を提供するオペレーティングシステム772を記憶することができる。メモリ770は、本開示の態様を実装するためのコンピュータプログラム命令及び他の情報を更に有することができる。
【0198】
例えば、一実施形態では、メモリ770は、関心パラメータを識別するための、及び/又は関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのパラメータ処理モジュール774と、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのスケーリングモジュール776とを含む。
【0199】
好適なフローサイトメトリーシステムは、これらに限定されないが、Ormerod(ed.)、Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press (1997);Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997);Practical Flow Cytometry,3rd ed.,Wiley-Liss(1995);Virgo,et al.(2012)Ann Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17-28;Linden,et.al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(5):502-11、Alison,et al.J Pathol,2010 Dec;222(4):335-344、及びHerbig,et al.(2007)Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。特定の事例では、対象のフローサイトメトリーシステムは、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSCanto(商標)IIフローサイトメータ、BD Accuri(商標)フローサイトメータ、BD Accuri(商標)C6 Plusフローサイトメータ、BD Biosciences FACSCelesta(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSLyric(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVerse(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSymphony(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences LSRFortessa(商標)X-20フローサイトメータ、BD Biosciences FACSPresto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVia(商標)フローサイトメータ、及びBD Biosciences FACSCalibur(商標)細胞選別機、a BD Biosciences FACSCount(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSLyric(商標)細胞選別機、BD Biosciences Via(商標)細胞選別機 、BD Biosciences Influx(商標)細胞選別機、BD Biosciences Jazz(商標)細胞選別機、BD Biosciences Aria(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)II細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)III細胞選別機、BD Biosciences FACSAria(商標)Fusion細胞選別機、及びBD Biosciences FACSMelody(商標)細胞選別機、BD Biosciences FACSymphony(商標)S6細胞選別機などを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、主題のシステムは、例えば、米国特許第10,663,476号、同第10,620,111号、同第10,613,017号、同第10,605,713号、同第10,585,031号、同第10,578,542号、同第10,578,469号、同第10,481,074号、同第10,302,545号、同第10,145,793号、同第10,113,967号、同第10,006,852号、同第9,952,076号、同第9,933,341号、同第9,726,527号、同第9,453,789号、同第9,200,334号、同第9,097,640号、同第9,095,494号、同第9,092,034号、同第8,975,595号、同第8,753,573号、同第8,233,146号、同第8,140,300号、同第7,544,326号、同第7,201,875号、同第7,129,505号、同第6,821,740号、同第6,813,017号、同第6,809,804号、同第6,372,506号、同第5,700,692号、同第5,643,796号、同第5,627,040号、同第5,620,842号、同第5,602,039号、同第4,987,086号、同第4,498,766号に記載されるものなどのフローサイトメトリックシステムであり、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0201】
サイトメトリックデータをスケーリングするためのコンピュータ可読記憶媒体
本開示の態様は、主題の方法を実践するための命令を有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を更に含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載の方法を実践するためのシステムの完全な自動化又は部分的な自動化のために、1つ以上のコンピュータ上で採用され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法による命令は、「プログラミング」の形態でコンピュータ可読媒体に符号化され得、この場合、「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、実行及び処理のために命令及びデータをコンピュータに提供することに関与する任意の非一時的記憶媒体を指す。好適な非一時的記憶媒体の例は、磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROM、DVD-ROM、Blue-rayディスク、ソリッドステートディスク、及びネットワーク接続型記憶装置(NAS)を含むが、このようなデバイスが、コンピュータの内部にあるか、又は外部にあるかを問わない。情報を含むファイルは、コンピュータ可読媒体上に「記憶される」ことができ、ここで、「記憶すること」とは、その情報がコンピュータによって後日アクセス可能及び検索可能であるように、その情報を記録することを意味する。本明細書に記載のコンピュータ実施方法は、任意の数のコンピュータプログラミング言語のうちの1つ以上で記述することができるプログラミングを使用して、実行され得る。そのような言語としては、例えば、Java(Sun Microsystems,Inc.,Santa Clara,CA)、Visual Basic(Microsoft Corp.,Redmond,WA)、及びC++(AT&T Corp.,Bedminster,NJ)、並びに任意の多くの他の言語が挙げられる。
【0202】
いくつかの実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、その上に記憶されたコンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされたときに、フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムと、関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムとを含む命令を有する。
【0203】
実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、サイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムが、関心パラメータを識別する入力を受信することを含むように構成され得る。他の実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムが、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを入力として受信することを含むように構成され得る。
【0204】
実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムが、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることが、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含む。他の実施形態では、関心パラメータを変換することによってサイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムは、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを含む。いくつかの場合には、指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む。他の場合には、所定のサイズは、負の測定区間のサイズである。更に他の場合には、所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである。
【0205】
実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムが、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含むように構成され得る。
【0206】
【数16】
【0207】
式中、s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、(n,n)は、パラメータの指定された負の測定区間であり、(n,p)は、パラメータの指定された正の測定区間であり、cは、圧縮率であり、バーXは、負の測定区間の中央値であり、SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲である。
【0208】
【数17】
【0209】
z(x)は、以下に従うz変換である。
【0210】
【数18】
【0211】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数である。
【0212】
【数19】
【0213】
【数20】
【0214】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である。実施形態では、圧縮率cのデフォルト値は70である。
【0215】
実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムを更に含むことができる。そのような実施形態では、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムが、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットを表示させることを含むように構成され得る。
【0216】
特定の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、一次元ゲーティングを使用して、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することを含む。他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間を指定する一次元ゲートを入力として受信することを含む。更に他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用することを含む。更に他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために数学モデルを適用することを含む。更に他の実施形態では、関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの一方又は両方を指定するために機械学習アルゴリズムを適用することを含む。
【0217】
いくつかの場合には、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、命令が、更に、1つ以上の追加の関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムとを含むように構成され得る。
【0218】
いくつかの場合には、対象となるコンピュータ可読記憶媒体は、命令が、更に、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングするためのアルゴリズムを含むように構成され得る。特定の場合には、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムは、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタの表示を引き起こすことを含む。
【0219】
主題の非一時的コンピュータ可読記憶媒体の実施形態では、サイトメトリックデータは、高次元データである。いくつかの場合には、複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である。
【0220】
コンピュータ可読記憶媒体は、ディスプレイ及びオペレータ入力デバイスを有する1つ以上のコンピュータシステム上で使用され得る。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであってもよい。処理モジュールは、主題の方法のステップを実行するために記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、及び入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、並びに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであってもよく、又は利用可能であるか、若しくは利用可能になる予定の他のプロセッサのうちの1つであってもよい。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の方法でファームウェア及びハードウェアとインターフェース接続し、当技術分野で既知であるように、Java、Perl、C++、他の高級言語又は低級言語、並びにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で記述され得る様々なコンピュータプログラムの機能を、プロセッサが連携及び実行することを容易にする。オペレーティングシステムは、通常、プロセッサと協調して、コンピュータの他の構成要素の機能を調整し、実行する。オペレーティングシステムは、また、全て既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイル及びデータ管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを提供する。
【0221】
利用性
主題のシステム、方法、及びコンピュータシステムは、生体試料などの流体媒体中の試料内の、細胞などの粒子構成要素を識別及び分析、及び、いくつかの場合には、選別することが望ましい様々な分野での用途を見出す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステム及び方法は、蛍光タグで標識された生体試料のフローサイトメトリーの特徴付けにおける用途を見出す。他の実施形態では、システム及び方法は、放出された光の分光術における用途を見出す。加えて、主題のシステム及び方法は、収集されたデータに対するノイズの影響を低減すること、又はクラスタリングアルゴリズムの有効性を改善することなどによって、試料を分析する際の用途を見出す。結果として、いくつかの場合には、主題のシステム及び方法は、生体試料内の異なる細胞タイプなど、試料内の異なる粒子タイプを区別する際に使用を見出すことができる。更に、主題のシステム及び方法は、(例えば、フローストリーム中の)試料を選別する効率及び有効性を改善する際の用途を見出す。試料を選別する効率を改善することとは、主題のシステム及び方法が使用される場合、試料を選別又は分析するときに、例えば信号と区別できない測定ノイズのために、試料の細胞などの粒子が誤判定又は誤解されることが少なくなることを意味する。特に、主題のシステム及び方法は、高次元データが収集及び分析されたときに、分析又は選別の効率及び有効性を改善し得る。本開示の実施形態は、細胞選別中に、改善された細胞選別効率、向上した粒子収集、粒子帯電効率、又はより正確な粒子帯電を有するフローサイトメータを提供することが望ましい用途を見出す。
【0222】
本開示の実施形態は、また、生体試料から調製された細胞が、研究、実験室試験、又は治療での使用に望ましくあり得る用途で使用される。いくつかの実施形態では、主題の方法及びデバイスは、標的の流体又は組織生体試料から調製された個々の細胞又はその母集団を識別及び/又は取得することを容易にし得る。例えば、主題の方法及びシステムは、がんなどの疾患の研究又は診断用標本として使用される、流体又は組織試料から細胞を識別及び/又は取得することを容易にする。同様に、主題の方法及びシステムは、治療で使用される流体又は組織試料から細胞を識別及び/又は取得することを容易にし得る。本開示の方法及びデバイスは、特に高次元データが収集及び/又は分析されるときに、従来のフローサイトメトリーシステムと比較して、効率及び有効性が向上し、低コストの生体試料(例えば、臓器、組織、組織断片、体液)から細胞を分析及び/又は分離し、収集することを可能にする。
【0223】
以下は、例示として提示されるものであって、限定として提示されるものではない。
【0224】
実験
図8は、デフォルトのスケーリングアプローチに従ってスケーリングされたサイトメトリックデータの2つのパラメータを示す二次元プロット800Aを示す。対照的に、プロット800Bは、同じ2つのパラメータを示すが、今回は、主題の方法に従ってスケーリングされる。すなわち、プロット800A及び800Bにおけるデータの表現間の唯一の違いは、2つのパラメータを含むデータがどのようにスケーリングされるかである。
【0225】
図9は、同じくFlowJo 10.7ソフトウェアで実装されるデフォルトのスケーリングアプローチに従ってスケーリングされた12パラメータPBMC(末梢血単核細胞)サイトメトリックデータに適用される、FlowJo 10.7で実装される、opt-SNEアルゴリズムの1,000回の反復に基づいて生成される二次元プロット900Aを示す。基礎となるデータは、PBMCの測定値を表すため、プロット900A及び900Bのカラーコードは、局所細胞密度を表し、より暗い/青い色合いは、より低い細胞密度の領域を表し、緑色/より明るい色合いは、より高い細胞密度の領域を表す。対照的に、プロット900Bは、同じサイトメトリックデータを示すが、今回は、主題の方法に従ってスケーリングされる。主題の方法に従ってスケーリングされたデータのプロット900Bの目視検査時に、プロット900Aと比較して、opt-SNEアルゴリズムが、データに対してより細かい構造を有するより明確に定義されたグループ、すなわちクラスタを識別することは明らかである。
【0226】
図10は、同じサイトメトリックデータの900A及び900Bにそれぞれ対応する図91000A及び1000Bに見られるのと同じであるが、クラスタ同一性に従って着色又は陰影された細胞を有するopt-SNEプロットを示す。クラスタは、X-shiftクラスタリングアルゴリズムによって識別された。X-shiftクラスタリングアルゴリズムの適用は、対象の方法に従ってスケーリングされたデータセット内の82個のクラスタを識別した場合に対し、デフォルトの(最先端の)スケーリング方法に従ってスケーリングされたデータセット内の34個のクラスタを識別した。したがって、主題の方法に従ってサイトメトリックデータをスケーリングすると、X-shift及びopt-SNEアルゴリズムの両方が、はるかに多くの母集団を検出することになる。これらの知見は、主題のスケーリング方法が、opt-SNE及びX-shiftなどの多次元分析アルゴリズムによって母集団識別の感度の予期せぬ劇的な改善をもたらすことを示している。すなわち、主題の方法に従ってデータをスケーリングすることは、予期せず、同じクラスタリングアルゴリズムに、同じサイトメトリックデータ、すなわち、同じ試料及びデータ収集技術において有意に多くのクラスタを識別させた。
【0227】
図8図9及び図10の各々において、提示されるサイトメトリックデータは、FACSLyric細胞計器具上で収集された12色のPBMCデータセットであり、標準操作手順に従って波及補償を受ける。
【0228】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によっても定義される。
【0229】
1.サイトメトリックデータをスケーリングする方法であって、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得することと、
関心パラメータを識別することと、
関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を含む、方法。
2.関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む、付記1に記載の方法。
3.関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることは、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含む、付記2に記載の方法。
4.関心パラメータを変換することは、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを更に含む、付記2又は3に記載の方法。
5.指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む、付記4に記載の方法。
【0230】
6.所定のサイズは、負の測定区間のサイズである、付記5に記載の方法。
7.所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである、付記5に記載の方法。
8.関心パラメータを変換することは、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含み、
【0231】
【数21】
【0232】
式中、
s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、
xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、
(n,n)は、関心パラメータの指定された負の測定区間であり、
(n,p)は、関心パラメータの指定された正の測定区間であり、
cは、圧縮率であり、
バーXは、負の測定区間の中央値であり、
SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲であり、
【0233】
【数22】
【0234】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【0235】
【数23】
【0236】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【0237】
【数24】
【0238】
【数25】
【0239】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である、
付記1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.圧縮率cのデフォルト値が70である、付記8に記載の方法。
10.スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することを更に含む、付記1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0240】
11.スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットを表示することを含む、付記10に記載の方法。
12.関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために一次元ゲーティングを実行することを含む、付記1~11のいずれか一つに記載の方法。
13.関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用することを含む、付記1~11のいずれか一つに記載の方法。
14.関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することは、測定区間を指定するために数学モデルを適用することを含む、付記1~11のいずれか一つに記載の方法。
15.関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの一方又は両方を指定することは、測定区間を指定するために機械学習アルゴリズムを適用することを含む、付記1~11のいずれか一つに記載の方法。
【0241】
16.1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、
追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を更に含む、付記1~15のいずれか一つに記載の方法。
17.各関心パラメータの指定された正の測定区間が、同じ所定のサイズに再スケーリングされる、付記16に記載の方法。
18.クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングすることを更に含む、付記1~17のいずれか一つに記載の方法。
19.スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタを表示することによって、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示することを更に含む、付記18に記載の方法。
20.スケーリングされたサイトメトリックデータは、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能を向上させるために使用される、付記1~19のいずれか一つに記載の方法。
【0242】
21.スケーリングされたサイトメトリックデータは、測定ノイズの影響を低減するために使用される、付記1~20のいずれか一つに記載の方法。
22.粒子は、細胞である、付記1~21のいずれか一つに記載の方法。
23.スケーリングされたサイトメトリックデータは、2つの同様の細胞母集団を区別するために使用される、付記22に記載の方法。
24.サイトメトリックデータは、高次元データである、付記1~23のいずれか一つに記載の方法。
25.複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である、付記1~24のいずれか一つに記載の方法。
【0243】
26.サイトメトリックデータは、試料中で照射された粒子からの光測定値を含む、付記1~25のいずれか一つに記載の方法。
27.光測定値は、光強度の測定値である、付記26に記載の方法。
28.サイトメトリックデータは、
ほぼ前方方向に沿って粒子によって散乱される励起光、
ほぼ横方向に沿って粒子によって散乱される励起光、及び
1つ以上の周波数範囲で粒子を標識するために使用される蛍光分子又は蛍光色素から発せられる光
のうちの1つ以上の測定値を含む、付記26又は27に記載の方法。
29.試料のサイトメトリックデータを取得することは、試料をフローサイトメトリー分析することから測定値を取得することを含む、付記1~28のいずれか一つに記載の方法。
【0244】
30.スケーリングされたサイトメトリックデータを分析する方法であって、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含む試料のサイトメトリックデータを取得することと、
関心パラメータを識別することと、
1つ以上の粒子にそれぞれ対応する関心パラメータの1つ以上の測定値について、
測定値が特定の特性を示す確率を計算すること、及び
測定値が特定の特性を示す確率に基づいて測定値を微分的に変換することによってサイトメトリックデータをスケーリングすることと、
スケーリングされたサイトメトリックデータを、少なくとも第1のデータ分析アルゴリズムを用いて分析することと
を含む、方法。
31.正の測定区間は、測定値が1つ以上の粒子について特定の特性を示す確率に基づいて指定される、付記30に記載の方法。
32.複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズに基づいて、関心パラメータの正の測定区間を再スケーリングすることを更に含む、付記31に記載の方法。
33.負の測定区間を指定することを更に含む、付記31又は32に記載の方法。
34.測定値が特定の特性を示さない確率が、測定値が負の測定区間内に入るか否かに基づいて決定される、付記33に記載の方法。
【0245】
35.測定値を変換することは、以下に従って測定値を適応的にスケーリングすることを含み、
【0246】
【数26】
【0247】
式中、
s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、
xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、
(n,n)は、関心パラメータの負の測定区間であり、
(n,p)は、関心パラメータの正の測定区間であり、
cは、圧縮率であり、
バーXは、負の測定区間の中央値であり、
SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲であり、
【0248】
【数27】
【0249】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【0250】
【数28】
【0251】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【0252】
【数29】
【0253】
【数30】
【0254】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である、
付記30~34のいずれか一つに記載の方法。
36.1つ以上の追加のデータ分析アルゴリズムを用いて、1つ以上の変換された測定値を分析することを更に含む、付記29~35のいずれか一つに記載の方法。
37.第1のデータ分析アルゴリズム又は追加の分析アルゴリズムのうちの1つ以上は、クラスタリングアルゴリズム又は次元低減アルゴリズムを含む、付記30~36のいずれか一つに記載の方法。
【0255】
38.サイトメトリックデータをスケーリングするためのシステムであって、
フローストリーム内を流れる試料中照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するように構成された装置と、
自身に動作可能に結合されたメモリを含むプロセッサと
を備えており、
メモリが、自身に記憶された命令を有し、命令が、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、
関心パラメータを識別することと、
関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を行わせる、システム。
39.プロセッサは、関心パラメータを識別する入力を受信するように構成されている、付記38に記載のシステム。
40.プロセッサは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを入力として受信するように構成されている、付記38又は39に記載のシステム。
41.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることによって、関心パラメータを変換させる、付記38~40のいずれか一つに記載のシステム。
42.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることによって、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングさせる、付記41に記載のシステム。
【0256】
43.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることによって、関心パラメータを更に変換させる、付記41又は42に記載のシステム。
44.指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む、付記43に記載のシステム。
45.所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである、付記44に記載のシステム。
46.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることによって、関心パラメータを変換させ、
【0257】
【数31】
【0258】
式中、
s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、
xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、
(n,n)は、関心パラメータの指定された負の測定区間であり、
(n,p)は、パラメータの指定された正の測定区間であり、
cは、圧縮率であり、
バーXは、負の測定区間の中央値であり、
SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲であり、
【0259】
【数32】
【0260】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【0261】
【数33】
【0262】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【0263】
【数34】
【0264】
【数35】
【0265】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である、
付記38~45のいずれか一つに記載のシステム。
47.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、圧縮率cのデフォルト値70を使用させる、付記46に記載のシステム。
【0266】
48.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させる、付記38~47のいずれか一つに記載のシステム。
49.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットの表示を引き起こすことによって、スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させる、付記48に記載のシステム。
50.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、一次元ゲーティングを使用させて、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定させる、付記38~49のいずれか一つに記載のシステム。
51.プロセッサは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間を指定する一次元ゲートを入力として受信するように構成されている、付記50に記載のシステム。
52.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用させる、付記38~50のいずれか一つに記載のシステム。
【0267】
53.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために数学モデルを適用させる、付記38~50のいずれか一つに記載のシステム。
54.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの一方又は両方を指定するために機械学習アルゴリズムを適用させる、付記38~50のいずれか一つに記載のシステム。
55.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、
1つ以上の追加の関心パラメータを識別することと、
追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定することと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングすることと
を行わせる、付記38~54のいずれか一つに記載のシステム。
56.各関心パラメータの指定された正の測定区間が、同じ所定のサイズに再スケーリングされる、付記55に記載のシステム。
57.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングさせる、付記38~56のいずれか一つに記載のシステム。
【0268】
58.メモリは、メモリに記憶された更なる命令を有し、命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタの表示を引き起こさせる、付記57に記載のシステム。
59.システムは、サイトメトリックデータに適用されるクラスタリングアルゴリズムの性能が向上するように、サイトメトリックデータをスケーリングするように構成される、付記38~58のいずれか一つに記載のシステム。
60.システムは、測定ノイズの影響が低減されるように、サイトメトリックデータをスケーリングするように構成されている、付記38~59のいずれか一つに記載のシステム。
61.粒子は、細胞である、付記38~60のいずれか一つに記載のシステム。
62.システムは、スケーリングされたサイトメトリックデータに基づいて、2つの同様の細胞母集団を区別するように構成されている、付記61に記載のシステム。
【0269】
63.サイトメトリックデータは、高次元データである、付記38~62のいずれか一つに記載のシステム。
64.複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である、付記38~63のいずれか一つに記載のシステム。
65.サイトメトリックデータは、試料中で照射された粒子からの光測定値を含む、付記38~64のいずれか一つに記載のシステム。
66.光測定値は、光強度の測定値である、付記65に記載のシステム。
67.サイトメトリックデータは、
ほぼ前方方向に沿って粒子によって散乱される励起光、
ほぼ横方向に沿って粒子によって散乱される励起光、及び
1つ以上の周波数範囲で粒子を標識するために使用される蛍光分子又は蛍光色素から発せられる光
のうちの1つ以上の測定値を含む、付記65又は66に記載のシステム。
68.試料のサイトメトリックデータは、試料を分析するように構成されたフローサイトメータから取得された測定値を含む、付記38~67のいずれか一つに記載のシステム。
【0270】
69.非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
サイトメトリックデータをスケーリングするための、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶された命令を有し、
命令が、
フローストリーム内を流れる試料中で照射された粒子からの複数のパラメータの測定値を含むサイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムと、
関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、
関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムと
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
70.サイトメトリックデータを取得するためのアルゴリズムは、関心パラメータを識別する入力を受信することを含む、付記69に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
71.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを入力として受信することを含む、付記69又は70に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
72.関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムは、関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることを含む、付記69~71のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
73.関心パラメータの指定された負の測定区間を再スケーリングすることは、関心パラメータの指定された負の測定区間の標準偏差を減少させることを含む、付記72に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0271】
74.関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムは、関心パラメータの指定された正の測定区間を再スケーリングすることを含む、付記72又は73に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
75.指定された正の測定区間を再スケーリングすることは、正の測定区間を所定のサイズに再スケーリングすることを含む、付記74に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
76.所定のサイズは、複数のパラメータのうちの第2のパラメータに対応するスケーリングされた正の測定区間のサイズである、付記75に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
77.関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムが、以下に従って関心パラメータを適応的にスケーリングすることを含み、
【0272】
【数36】
【0273】
式中、
s(x)は、関心パラメータの適応的にスケーリングされた測定値を表し、
xは、関心パラメータのスケーリングされていない測定値を表し、
(n,n)は、関心パラメータの指定された負の測定区間であり、
(n,p)は、パラメータの指定された正の測定区間であり、
cは、圧縮率であり、
バーXは、負の測定区間の中央値であり、
SDは、負の測定区間の標準偏差であり、以下に従って計算され、式中、IQRは、負の測定区間の四分位範囲であり、
【0274】
【数37】
【0275】
z(x)は、以下に従うz変換であり、
【0276】
【数38】
【0277】
g(z)は、以下に従う逆双曲線正弦関数であり、
【0278】
【数39】
【0279】
【数40】
【0280】
は、μ=z(n)かつσ=1の標準正規分布の累積分布関数である、
付記69~76のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
78.圧縮率cのデフォルト値が70である、付記77に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0281】
79.スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムを更に含む、付記69~78のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
80.スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムは、変換された関心パラメータを含むサイトメトリックデータのプロットを表示させることを含む、付記79に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
81.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、一次元ゲーティングを使用して、関心パラメータに対して正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定することを含む、付記69~80のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
82.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間を指定する一次元ゲートを入力として受信することを含む、付記81に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
83.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために蛍光マイナスワンコントロールを適用することを含む、付記69~80のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0282】
84.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの少なくとも1つを指定するために数学モデルを適用することを含む、付記69~80のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
85.関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムは、関心パラメータに関する正及び負の測定区間のうちの一方又は両方を指定するために機械学習アルゴリズムを適用することを含む、付記69~80のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
86.命令は、
1つ以上の追加の関心パラメータを識別するためのアルゴリズムと、
追加の各関心パラメータに対して正及び負の測定区間を指定するためのアルゴリズムと、
対応する指定された正及び負の測定区間に少なくとも部分的に基づいて、追加の各関心パラメータを変換することによって、サイトメトリックデータをスケーリングするためのアルゴリズムと
を更に含む、付記69~85のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
87.各関心パラメータの指定された正の測定区間が、同じ所定のサイズに再スケーリングされる、付記86に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
88.命令は、クラスタリングアルゴリズムをスケーリングされたサイトメトリックデータに適用することによって、サイトメトリックデータをクラスタリングするためのアルゴリズムを更に有する、付記69~87のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0283】
89.スケーリングされたサイトメトリックデータを表示デバイス上に表示させるためのアルゴリズムは、スケーリングされたサイトメトリックデータのクラスタの表示を引き起こすことを含む、付記88に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
90.サイトメトリックデータは、高次元データである、付記69~89のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
91.複数の測定パラメータは、2~約30万の測定パラメータの範囲である、付記69~90のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
92.サイトメトリックデータは、試料中で照射された粒子からの光測定値を含む、付記69~91のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
93.光測定値は、光強度の測定値である、付記92に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0284】
94.サイトメトリックデータは、
ほぼ前方方向に沿って粒子によって散乱される励起光、
ほぼ横方向に沿って粒子によって散乱される励起光、及び
1つ以上の周波数範囲で粒子を標識するために使用される蛍光分子又は蛍光色素から発せられる光
のうちの1つ以上の測定値を含む、付記92又は93に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
95.試料のサイトメトリックデータは、試料を分析するように構成されたフローサイトメータから取得された測定値を含む、付記69~94のいずれか一つに記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0285】
前述の発明は、理解の明確化を目的として例示及び例としてある程度詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び修正が、それらに対して行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0286】
したがって、前述した説明は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。更に、本明細書に列挙された全ての例及び条件付き用語は、主に、読者が、本発明の原理、及び技術分野を更に進めるために発明者らによって提供された概念を理解することを助ける点を意図しており、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態を記載する、本明細書の全ての記述、並びにそれらの具体例は、それらの構造的及び機能的等価物の両方を包含することが意図されている。更に、そのような等価物は、構造に関係なく、現在知られている等価物と、将来開発される等価物との両方、すなわち、同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図される。更に、本明細書に開示されるいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に記載されているか否かにかかわらず、公に献呈するように意図されない。
【0287】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲においては、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、「のための手段(means for)」と完全に一致する語句、又は「のためのステップ(step for)」と完全に一致する語句が、特許請求項におけるそのような限定の始まりに記載される場合にのみ、特許請求項における限定のために適用されるものと明確に定義されており、そのような完全に一致する語句が、特許請求項における限定に使用されていない場合、米国特許法第112条(f)も米国特許法第112条(6)も適用されない。
【0288】
相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2020年11月19日に出願された米国仮特許出願第63/115,994号の出願日に対する優先権を主張し、その出願の開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】