(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】自動非接触センサ位置決め
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20231122BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20231122BHJP
B23F 23/12 20060101ALI20231122BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G01B21/00 L
B23Q17/24 C
B23F23/12
G05B19/18 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530736
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 US2021072424
(87)【国際公開番号】W WO2022109542
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513059548
【氏名又は名称】グリーソン メトロロジー システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パラグ プラカシュ ワガジ
(72)【発明者】
【氏名】イーサン ジェームズ シェパード
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール.タナー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジェイ.ダムロン
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス チャールズ ビールク
【テーマコード(参考)】
2F069
3C025
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
2F069AA31
2F069AA51
2F069BB40
2F069DD15
2F069DD16
2F069GG04
2F069GG07
2F069HH09
2F069JJ08
2F069MM04
2F069TT12
3C025HH07
3C025HH08
3C029AA40
3C269AB26
3C269AB33
3C269BB07
3C269CC01
3C269CC09
3C269CC11
3C269CC13
3C269GG01
3C269GG04
3C269JJ10
3C269JJ19
3C269MN09
3C269MN14
3C269MN16
(57)【要約】
計測機械上に被加工物測定センサ(54)を位置決めするための多軸システム(30)である。好ましくは、各センサは、オペレータの介入なしに所定の位置へのセンサの直線運動及び/又は回転運動を自動的に制御するように、少なくとも直線方向/軸(X、Z、A、B)に沿った及び/又はその周りの運動を含むシステムを介して位置決め可能である。多軸位置決めシステムは、機械上の被加工物又はツーリングが変更されるときに、より速いセットアップ時間を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物測定及び/又は検査非接触センサを機械上に位置決めするための多方向位置決めシステムであって、
前記センサが、オペレータの介入なしに所定の位置への前記センサの直線運動及び/又は回転運動を自動的に制御するように、少なくとも1つの直線方向及び少なくとも1つの回転方向の運動を含む自動化システムを介して位置決め可能である、多方向位置決めシステム。
【請求項2】
1つ又は2つの直線方向及び/又は1つ又は2つの回転方向における前記センサの運動を提供するように動作可能であり、それによって、前記センサが、前記被加工物上の所望の表面を測定するように適切に位置決めされる、請求項1に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項3】
前記被加工物が、歯付き物品を含む、請求項1に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項4】
前記2つの直線方向における運動が、第1の直線方向Zにおける運動と、第2の直線方向Xにおける運動とを含み、方向Z及びXが互いに垂直である、請求項2に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項5】
前記2つの回転方向における運動が、軸Aの周りの第1の回転方向R
Aにおける運動と、軸Bの周りの第2の回転方向R
Bにおける運動とを含み、軸AがZ方向に平行に延在し、軸Bが軸Aに垂直に延在して交差する、請求項2に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項6】
被加工物スピンドルを更に含む、請求項1に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項7】
前記位置決めシステムのうちの少なくとも1つが、歯車製造、測定及び/又は検査機械上に配置される、請求項1に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項8】
前記位置決めシステムのうちの前記少なくとも1つが、機能試験プラットフォームを備える測定及び/又は検査機械上に配置される、請求項7に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項9】
前記機能試験プラットフォームが、マスター歯車と、それに配置された被加工物とを備え、前記マスター歯車及び前記被加工物が、前記X方向に移動可能である、請求項8に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項10】
前記機能試験プラットフォームが、歯車製造セルを画定する複数の機械のうちの1つの機械である、請求項8に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項11】
前記位置決めシステムのうちの少なくとも1つが、エンドツーエンドで配置された2つの機能試験プラットフォームの間に配置される、請求項1に記載の多方向位置決めシステム。
【請求項12】
歯車計測機械であって、
被加工物測定及び/又は検査非接触センサを前記計測機械上に位置決めするための多方向位置決めシステムであって、
前記センサが、歯付き被加工物上の所望の表面を測定するために、オペレータの介入なしに所定の位置への前記センサの直線運動及び/又は回転運動を自動的に制御するように、少なくとも1つの直線方向及び少なくとも1つの回転方向の運動を含む自動化システムを介して位置決め可能である、計測機械。
【請求項13】
1つ又は2つの直線方向及び/又は1つ又は2つの回転方向における前記センサの運動を提供するように動作可能であり、それによって、前記センサが、前記歯付き被加工物上の所望の表面を測定及び/又は検査するように適切に位置決めされる、請求項12に記載の計測機械。
【請求項14】
少なくとも1つの非接触センサを用いて歯付き物品を測定及び/又は検査する方法であって、前記少なくとも1つのセンサ及び前記歯付き物品が、測定及び/又は検査の前に互いに対して位置決めされ、前記方法が、
オペレータの介入なしに所定の位置を達成するように前記少なくとも1つのセンサの直線運動及び/又は回転運動を自動的に制御するように、前記少なくとも1つのセンサを少なくとも1つの直線方向及び少なくとも1つの回転方向に移動させることを含む自動化システムを介して前記少なくとも1つのセンサを位置決めすることと、
前記歯付き物品の少なくとも1つの表面を測定及び/又は検査することと、を含む、方法。
【請求項15】
更に、
前記測定及び/又は検査中に、前記センサを連続的に、増分的に及び/又は断続的のいずれかで再位置決めするために、前記少なくとも1つのセンサを少なくとも1つの直線方向及び少なくとも1つの回転方向に移動させることを含み、それによって、プロファイル方向及び/又はリード方向における前記歯付き物品のより大きな表面部分が測定及び/又は検査されてもよい、前記測定及び/又は検査中に前記少なくとも1つのセンサを前記歯付き物品に対して移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、特に分析試験結果を生成する機能測定プラットフォーム上で、歯車及び他の歯付き物品を含む被加工物を検査するための非接触センサの位置決めに関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、歯車、及び歯車と同じような被加工物(例えば、円筒歯車及び傘歯車、ウォーム)の寸法検査(すなわち、測定)は、おおむね2つの異なる手法、すなわち、(1)歯車又は他の歯付き被加工物を既知のマスター歯車又は噛み合い歯車と共に噛み合わせることを含む機能試験、及び(2)座標測定機械(CMM)、又は出願人により製造され、出願人から市販されている歯車測定機械のGMSラインなどの歯車測定機械(GMM)を使用した分析試験によって、実行されてきた。
【0003】
機能試験は、被加工物の測定値をマスター歯車又は噛み合い歯車に対して比較する。歯車用機能試験プラットフォーム(すなわち、ロール試験機)には、ダブルフランク試験機及びシングルフランク試験機として知られているそれらの試験機が含まれる。シングルフランク試験を用いると、噛み合い歯車は、バックラッシュを伴い、かつ唯一のフランクが接触した状態で、噛み合い歯車の適正な(固定された)中心距離において一緒に転がる。歯車は、2つ一組になって、又はマスター歯車と共に試験することができる。ダブルフランク試験を用いると、噛み合い歯車は、両方のフランク上で接触を引き起こす厳格な噛み合いで一緒に回転される。被加工歯車は、マスター歯車と共に噛み合わされる。プラットフォーム上に様々なエンコーダを設けることによって、歯車誤差の集合又は集計を構成する、歯車の相対的な移動(すなわち、中心距離の変動)が、取り込まれる。例えば、代表的なダブルフランク歯車ロール試験機械において、被加工物(例えば、円筒歯車)は、既知のマスター部品(例えば、円筒歯車)と噛み合わされて回転される。歯車のうちの一方は、固定軸上に取り付けられ、他方は、浮動軸上に取り付けられる。軸と軸との間の直線変位は、2つの歯車が回転されているときに、測定される。中心距離の変動などの、この機能試験からの複合的な誤差が報告され、必要とされる公差に対して比較される。また、このようなロール試験機は、歯厚及びオーバーピン径(DOP)などの歯車の歯のサイズに関する特性も報告することが可能である。
【0004】
典型的なCMM又はGMMは、少なくとも1つの接触プローブを利用する。近年では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2018/048872号パンフレットに開示されているように、いくつかの歯車を検査するために、非接触センサ(例えば、レーザ)が使用されている。接触プローブは、理論的な歯面からのその偏差を測定するために、歯車の歯面上のプログラム可能な位置に位置決めされる。非接触プローブは、同じ偏差を決定するために所望の位置において歯車の歯面上に光を放射する。
【0005】
歯車の分析試験は、GMM又はCMMのいずれかによって行われ得る。これらの機械は、高解像度タッチセンサ(例えば、触覚プローブ)及び/又は非接触プローブを含む、コンピュータ制御された装置を含む。国際公開第2018/048872の機械は、検査のためにタッチセンサ及び/又はレーザセンサを利用する、歯車被加工物を検査するための分析機械の一例である。両方のセンサは、歯車の歯面上の所望の位置における信頼できる正確な測定のために、センサの反復可能な位置決めを必要とする。
【0006】
CMM及びGMM機械は両方とも、被加工物の表面の点の位置を測定することが可能なプローブを備えている。これは、これらの機械の中心的な機能の1つであり、これらの機械に利用可能なあらゆる機能(例えば、サイズ、位置、幾何学形状の理論的表面及び理論的形態からの逸脱の測定)を実装するために使用される。これらの測定値は、特定の許容限度に対して確認されて、測定される被加工物の正しい嵌合及び機能を確実にする。
【0007】
被加工物を測定するために、機械は、そのプローブ(複数可)から出力された信号及び関連する機械軸のそれぞれの位置を、被加工物の表面の点の位置に変換しなければならない。このため、歯車の所望の領域に適切に接近するためのセンサの向き、及びセンサの正確な較正が非常に重要である。被加工物が異なる幾何学的形状を有する別の被加工物に変更されるとき、センサの位置は、「異なる幾何学的形状」被加工物の正確な測定のために調整を必要とする可能性がある。
【0008】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/083932号パンフレットによって開示されるような計測システムでは、少なくとも1つの非接触センサ、好ましくは2つの非接触センサが、歯車アーティファクトを測定するために利用される。好ましくは、
2つのレーザが、ポスト上の手動設定固定位置に配置され、各レーザが歯車の1つのフランクを測定するように配向される。
【0009】
先行技術の
図1、
図2及び
図3は、被加工物の検査及び/又は測定のための機能試験プラットフォーム上に少なくとも1つの非接触センサアセンブリ52を備える、国際公開第2019/083932号パンフレットによって開示されたタイプの機械50を示している。機械50は、頂部8(好ましくは平板)を有するベース部と、生産歯車16(すなわち、被加工物)と、当業者に知られているような機械式、油圧式又は空気圧式アーバなどのそれぞれの加工物保持アーバ18及び12に取り付けられたマスター歯車14とを備える。スライドプレート10がスライド26に固定され、アーバ12がプレート10上に位置決めされる。生産歯車16は、マスター歯車14の左側又は右側のいずれかに位置付けられてもよいが、
図1では、左側に示されている。歯車16は、モータ17を介してモータ駆動軸Wの周りを回転する。マスター歯車14は、右手側(軸T)に取り付けられており、モータ駆動式ではない。マスター歯車14の回転は、軸Wのための駆動モータ17、及び生産歯車16との係合によって提供される。
【0010】
機能試験のために、マスター歯車14は、歯車の結合及び結合解除を可能にするように、スライド26(X軸)上にあり、X軸の方向に(好ましくは水平に)移動可能である。手動又は自動手段のいずれかを介して、生産歯車16を取り外して、異なる被加工物と交換することができるように、結合解除が必要とされる。リニアスケール7(
図3)は、動作中のX軸方向におけるスライド26の運動を捕捉するように取り付けられている。ロータリエンコーダ19が、モータ駆動される生産歯車16(軸W)の下方に取り付けられて、被加工物歯車の回転運動を捕捉する。ロータリエンコーダ及びリニアスケールの入力が取り込まれると、歯車対の回転中に、歯車の相対的な移動(X方向への)が、被加工物歯車16の回転位置に対して測定される。
【0011】
図1に示すように、光学センサなどの非接触センサ、例えばレーザアセンブリ52は、分析試験のために、機械の左側に位置決めされている。単一のレーザ54は、調整可能な取り付け機構58を有する直線的に調整可能なポスト56に取り付けられており、それによって、レーザ54は、レーザの動作位置を手動で設定するための、最大で3つの直線方向X、Y、Z(好ましくは、相互に垂直に)に、かつ最大で3つの回転方向、すなわち、X、Y、及びZの各々を中心に、移動可能かつ位置決め可能である。換言すれば、レーザ54は、好ましくは6自由度の移動が可能であるが、設定の目的のためだけである。このような調節機能は、歯車の歯のスペースにレーザ放射ライン60を配向させるために好ましく、その調節によって、レーザ放射ラインは、隣接する歯の両方の歯フランクに対する歯底から先端までの歯インボリュートの少なくとも一部(すなわち、プロファイル方向)を捕捉することができる。
【0012】
しかしながら、分析試験のための、
図1の機械上の唯一のコンピュータ制御された軸は、被加工物回転軸Wである。機械は、1つ以上の直線軸に沿った及び/又はその周りの運動を介してプローブを再位置決めするための能力が欠如している。1つ以上の互いに垂直な方向又は軸X、Y、及びZ(すなわち、3次元)に沿った又はその周りの運動を介したレーザ54に対する被加工物16のコンピュータ制御位置決めは不可能であり、したがって、1つ以上の互いに垂直な方向又は軸に沿った又はその周りの運動を介したレーザ54のコンピュータ制御較正も不可能である。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、被加工物測定センサを計測機械上に位置決めするための多方向位置決めシステムに関する。好ましくは、各センサは、オペレータの介入なしに所定の位置へのセンサの直線運動及び/又は回転運動を自動的に制御するように、少なくとも1つの直線方向及び少なくとも1つの回転方向の運動を含むシステムを介して位置決め可能である。多方向位置決めシステムは、機械上の被加工物又はツーリングが変更されるときに、より速いセットアップ時間を可能にする。
【0014】
本発明の多方向位置決めシステムは、好ましくは、モータ(例えば、ステッパ又はサーボ)によって制御されて、各センサを必要な1つ又は複数の方向に移動させる位置フィードバック(例えば、リニアエンコーダ及び/又はロータリエンコーダ)を用いて、1つ又は2つの方向の直線運動(すなわち、直線運動)及び/又は1つ又は2つの軸を中心とした回転/角運動(すなわち、回転運動)を提供するように動作可能であり、それによって、センサは、歯車の歯面などの被加工物上の所望の表面を測定するように適切に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】転動係合する2つの歯車、及び歯車のうちの1つの非接触検査を示す、公知の機械の正面図である。
【
図2】
図1の一部を検査する非接触センサの拡大図である。
【
図4】2つの本発明の多方向位置決めシステムを示す正面図である。
【
図7】機能歯車試験プラットフォーム上に配置された2つの本発明の位置決めシステムの平面図である。
【
図8】機能歯車試験プラットフォーム上に配置された2つの本発明の位置決めシステムの正面図である。
【
図9】機能歯車試験プラットフォーム上に配置された2つの本発明の位置決めシステムの側面図である。
【
図10】それぞれの被加工物スピンドルに対してエンドツーエンドで配置され、被加工物スピンドル間に配置された2つの本発明の位置決めシステムを含む、2つの機能歯車試験プラットフォームの平面図を示している。
【
図11】それぞれの被加工物スピンドルに対してエンドツーエンドで配置され、被加工物スピンドル間に配置された4つの本発明の位置決めシステムを含む、2つの機能歯車試験プラットフォームの平面図を示している。
【
図12】被加工物スピンドルを含む2つの本発明の多軸位置決めシステムの側面図である。
【
図13】歯車硬質仕上げ又は軟質製造セルの一部として、
図7の機能歯車試験プラットフォームを図式的に示している。
【
図14】面取り機及び/又はバリ取り機を含む軟質歯車製造セルの一部として、
図7の機能歯車試験プラットフォームを図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、及び「本発明(the present invention)」という用語は、本明細書の主題の全て、及び以下の任意の特許請求の範囲を広く指すことを意図するものである。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するもの、又は以下のいかなる特許請求の範囲の意味若しくは範囲も限定するものと理解されるべきではない。更に、本明細書は、本出願のいかなる特定部分、段落、記述、又は図面においても、いかなる特許請求の範囲によってカバーされる主題を説明又は限定しようと努めるものではない。本主題は、本明細書全体、全ての図面、及び以下のいずれの特許請求の範囲を参照することによって理解されるはずである。本発明は、他の構成が可能であり、様々な方式で実践されるか、又は実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明のためのものであり、限定的であるとみなされるべきではないことが理解される。
【0017】
ここで、本発明の詳細を、単に例として、本発明を図示する添付図面を参照して考察する。図面において、類似の特徴又は構成要素は、同様の参照番号によって言及される。本発明をより良く理解し、かつ見やすくするため、ドア、及び任意の内部又は外部の防護物は、図面から省略されている。
【0018】
本明細書での「含む」、「有する」、及び「備える」、並びにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物、並びに追加の項目をも包含することを意味する。「a」及び「an」という単語は、1つだけに限定するという明確な意図が具体的に記載されていない限り、「1つ以上」を意味すると理解される。機械、方法又はプロセスの要素を識別するための文字の使用は、単に識別のためのものであり、重要性若しくは重大性を示すこと、又は要素/ステップが特定の順序で実行されるべきであることを意味するものではない。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連付けられている列挙された項目のうちの1つ以上のあらゆる組み合わせを含み、また、「/」と省略される場合がある。
【0019】
以下で、図面を説明する際、上部、下部、上方、下方、後方、底部、頂部、前、後などの方向に言及する場合があるが、これらは、便宜上、図面に対して(通常、見られるように)言及される。これらの方向は、文字通りに解釈されること、又はいかなる形でも本発明を限定することを意図しない。加えて、「第1」、「第2」、「第3」などのような用語は、説明の目的で本明細書に使用されており、特に詳述されていない限り、重要性又は有意性を示す又は暗示することを意図していない。
【0020】
本発明は、センサ及び被加工物を互いに対して移動させることができる多軸位置決めシステムを備え、機械オペレータからの介入なしに直線軸及び回転軸を使用して、歯車、シャフト、又は他の歯付き物品(以下、まとめて「歯車」と呼ぶ)などの被加工物に対して、センサ、特に光学センサ、特にレーザセンサなどの非接触センサを自動的に適切に再位置決めすることがこれまで不可能であったことに対処する。
【0021】
本発明の多方向位置決めシステムは、
図4~
図6によって第1の実施形態に示されており、被加工物16を測定するための2つの非接触、好ましくは光学(例えばレーザ)センサ54に対応するために、2つの位置決めシステム30が示されている。
図5に最もよく示されているように、一方のセンサは、被加工物の歯の一方の側の歯面を走査するように配置され、他方のセンサは、被加工物の歯の反対側の歯面を走査するように配置され、レーザ放射ライン60が各センサ54から突出して示されている。本発明の位置決めシステムの以下の説明は、1つの位置決めシステム30のみに言及するが、この説明は、
図4~
図6の両方の位置決めシステム30などの追加の位置決めシステムにも等しく適用されることが理解される。
【0022】
位置決めシステム30は、その上にスライド34がガイドレール36を介してコラム32上でZ方向運動(好ましくは通常動作時に見て垂直)するように位置決めされるコラム32を備える。コラム32は、矢印R
Aによって示されるように、(好ましくは、通常動作時に見て垂直に配向されている)軸Aの周りで回転可能である回転ベース38に取り付けられており、それによって、コラム32及びセンサ54が、A軸の周りで角度調整可能/回転可能であることを可能にする(
図6を参照)。ベース38は、コラム32をX方向に位置決めするように、ガイドレール42(
図5、
図6)を介してベースプレート43上でX方向(好ましくは通常動作時に見て水平)に移動可能なスライド40上に位置決めされる。方向Zは、通常見たときに垂直である第1の平面(すなわち、
図4のページの平面)内にあり、方向Xは、通常見たときに水平である第2の平面(すなわち、
図6のページの平面)内にあり、第1及び第2の平面は互いに垂直である。方向Z及びXは、好ましくは互いに垂直である。A軸は、好ましくはZ方向に平行であり、第1の平面内にあってもよく、好ましくはX方向に垂直である。ベースプレート43は、好ましくは、機械ベースの頂部8に取り付けられている。
【0023】
回転可能な取り付けプレート又はディスク44(すなわち、回転ステージ)は、スライド34に取り付けられ、矢印R
Bによって示されるように、例えば、モータ駆動又はウォーム及びホイール駆動を介して、(好ましくは、通常動作時に見て水平に配向されている、
図5、
図6を参照)軸Bの周りで角度調整可能/回転可能である。好ましくは、B軸は、第2の平面に平行に延在し、A軸の周りのコラム32の角度調整R
A中に、A軸に対して垂直であって交差し、A軸の周りで角度的に移動可能である(
図6)。レーザセンサ54は、取り付けプレート44上に配置され、それによって、センサは、B軸の周りで角度調整可能/回転可能である。ブレーキ機構、好ましくはキャリパ46及びブレーキディスク47を備えるディスクブレーキ機構は、好ましくは、回転運動を停止し、センサの動作中に回転ベース38及び/又は回転可能な取り付けプレート44の角度位置を確実に維持するために、回転ベース38及び/又は回転可能な取り付けプレート44に関連付けられる。ディスクブレーキ機構が好ましいが、他のブレーキ及び/又はクランプ機構が利用されてもよい。
【0024】
異なる被加工物幾何学的形状、又は1つの被加工物幾何学的形状から異なる幾何学的形状を有する別の被加工物への変更に対応するために、位置決めシステム30又はその要素によって、異なる運動又は運動の組み合わせが実行されてもよい。いくつかの例(非網羅的リスト)は、以下を含む:
● A軸周り、X方向、及び被加工物スピンドル軸(W)周りの運動は、異なるモジュール、ピッチ直径、又は外径を有する様々な部品に対応するために、被加工物に対するセンサ54の位置及び向きを調整するために実行されてもよい。
● 異なるねじれ角及び回転手を有する様々な部品に対応するために、B軸の周りの運動であって、必要に応じてA軸の周りの運動を含む運動が実行されて、被加工物に対するセンサ54の向きを調整してもよい。
● Z方向の運動は、異なる面幅及びスピンドルツーリング長を有する様々な部品に対応するために実行されてもよい。
● X方向及びA軸周りの運動は、異なる圧力角を有する歯を有する部品に対応するために実行されてもよい。
適切に配置された1つ又は複数のセンサを用いて、被加工物が正確に測定されてもよい。
【0025】
方向Zにおけるスライド34、方向Xにおけるコラム32、軸Aの周りのコラム32、軸Bの周りの取り付けディスク44の各々の運動、及び軸Wの周りの被加工物の回転は、例えば、サーボ若しくはステッピングモータ又はウォーム及びホイール駆動(図示せず)などの別個の駆動モータによって与えられる。上述の構成要素は、互いに対して独立して動くことができ、又は互いに同時に動くことができる。それぞれのモータの各々は、好ましくは、位置決めシステム30のための専用コンピュータ制御、又は例えば、
図1に示されるタイプの機能試験プラットフォームのためのコンピュータ制御であってもよいコンピュータコントローラ(すなわち、CNC)に入力される命令に従って、駆動モータの動作を管理するCNCシステムの一部として、リニアエンコーダ又は回転エンコーダ(図示せず)などのフィードバック装置に関連付けられる。
【0026】
図7、
図8及び
図9は、
図1に示されるタイプの機能試験プラットフォーム50上に配置された本発明の位置決めシステム30のうちの2つを示している。簡便化及び見やすさのために、スライドプレート10、スライド26及びリニアスケール7などの要素は省略されている。しかしながら、機能試験プラットフォーム50上に配置された被加工物16に対する適切な動作位置を達成するために軸位置の手動設定を必要とするレーザアセンブリ52などの非接触センサの代わりに、本発明の位置決めシステム30は、被加工物16に対する非接触センサ(例えばレーザ)54の適切な動作位置を自動的に達成する。動作位置決めは、オペレータの介入なしにセンサを所定の位置に自動的に移動させるための直線運動及び/又は回転運動を含む前述の位置決めシステムを介して達成される。
【0027】
図10は、エンドツーエンド方式で配置された2つの機能試験プラットフォーム50を示しており、それにより、本発明の位置決めシステム30(2つが示されている)は、試験プラットフォームのそれぞれの被加工物スピンドル18の間に配置されている。この構成では、位置決めシステム30のうちの一方が利用されて、一方のプラットフォーム50上の被加工物に対してセンサを位置決めすることができ(例えば、
図10の右側)、他方の位置決めシステム30が利用されて、他方のプラットフォーム50上の被加工物に対してセンサを位置決めすることができる(例えば、
図10の左側)。位置決めシステム30がA軸の周りに角度的に位置決め可能であり、X方向に直線的に移動可能である能力は、そのような機能を可能にする。代替的に、両方の位置決めシステム30は、一方のスピンドル上の被加工物に向けられてもよく(例えば、
図10に示される右側)、次いで、両方の位置決めシステムは、他方のスピンドル上の被加工物に向け直されてもよい(例えば、
図10の左側スピンドル)。
【0028】
図11は、
図10と同様であるが、2つの位置決めシステム30が右側機能試験プラットフォーム専用であり、2つの位置決めシステム30が左側機能試験プラットフォーム専用である、2組(合計4つ)の位置決めシステム30を含む機能試験プラットフォーム50の構成を示している。
図11の実施形態では、2つのX方向配向位置決めシステムは、一組のX方向ガイドレール42を共有する。
【0029】
上記の説明は、光学センサ、例えばレーザなどの非接触センサを被加工物に対して適切に位置決めするための位置決めシステムに関するものであったが、本発明の位置決めシステムは、走査(例えば測定/検査)プロセス中に能動的に動作されてもよい。位置決めシステムは、センサを連続的に、増分的に、及び/又は断続的のいずれかで再位置決めするために、走査中に非接触センサを再位置決めするように動作されてもよく、それによって、固定位置センサの走査領域と比較して、プロファイル方向(すなわち、歯の高さ)及び/又はリード方向(すなわち、歯の長さ)における歯車の歯フランク面のより大きい部分が走査されてもよい。
【0030】
位置決めシステム30の軸(すなわち、A、B)の好ましい向き及び運動方向(すなわち、X、Y)が
図4~
図6に示されているが、本発明はそれに限定されない。例えば、
図7を参照して最もよく説明されるように、被加工物16に対する位置決めシステム30のX方向運動は、位置決めシステム30のX方向運動の代わりにX方向に移動可能であるマスター歯車14及び被加工物16によってもたらされてもよい。あるいは、X方向運動能力は、位置決めシステム30並びにマスター歯車14及び被加工物16に含まれてもよい。
【0031】
本発明の位置決めシステムは、歯車のための機能試験プラットフォームに関連して説明及び図示されているが、位置決めシステムは、それに限定されない。本発明の位置決めシステム30は、例えば、歯切り機械(例えば、ホブ切り、パワースカイビング)又は歯車仕上げ機械(例えば、研削、ホーニング、パワースカイビング、ハードスカイビング、研磨)などの他の歯車製造機械などの他のタイプの工作機械に関連付けられてもよい(例えば、工作機械上に配置されてもよい)。X方向の移動は、被加工物に対して非接触センサ又は別のツールを給送及び回収するために機能してもよい。
【0032】
更に、位置決めシステムは、
図12に示されるような被加工物スピンドル68を含むように変更されてもよく、それによって、歯車及び/又は他の歯付き物品のための独立型非接触測定装置を形成する。
【0033】
図13は、
図7の機能試験プラットフォーム50などの試験機械がセルの1つの構成要素である、硬質仕上げセルなどの歯車製造セル60を表している。硬質仕上げセルの例では、ブロック80は、先に切断された被加工物を仕上げるための歯車加工機械を表す。仕上げの例は、研削(例えば、ねじ切りホイール及び/又はプロファイル研削)、ホーニング、パワースカイビング、ハードスカイビング、仕上げホブ切り、及び研磨を含む。両方の機械50及び80をロード及びアンロードし、機械間で被加工物を移送するための自動化システム70、好ましくはロボットシステムが、歯車加工機械80と試験プラットフォーム50との間に配置される。自動化システム70はまた、例えば、積み重ね可能なバスケットシステムにおける部品洗浄、レーザマーキング、選別、測定及び部品取り扱いなどの補助プロセスを行うための追加の装置を含んでもよい。歯車製造セルは、自動閉ループセルであってもよく、機能試験プラットフォーム50によって得られた部品測定情報、特に公差外測定値が歯車加工機械80に通信され、機械加工された部品の検出された欠陥を是正するために、歯車加工機械の動作設定に対して任意のプロセス調整が自動的に行われる。好ましくは、機械80によって加工される部品の100パーセントが、機能試験プラットフォーム50によって測定及び/又は試験される。
【0034】
図13の歯車製造セル60は、硬質仕上げに関して説明されたが、それに限定されない。代替的に、歯車製造セル60は、非硬質仕上げ機械加工(例えば、「粗」又は「軟質」機械加工、以下、まとめて「軟質」と呼ぶ)用に構成されてもよく、ブロック80は、例えば、傘歯車の粗(初期)ホブ切り、面フライス加工又は面ホブ切り、パワースカイビング(軟質)、成形及びシェービングなどの軟質動作を実行するための機械を表している。軟質歯車製造セルはまた、自動閉ループセルであってもよく、機能試験プラットフォーム50によって得られた部品測定情報、特に公差外測定値が歯車加工機械80に通信され、機械加工された部品の検出された欠陥を是正するために、歯車加工機械の動作設定に対して任意のプロセス調整が自動的に行われる。好ましくは、機械80によって加工される部品の100パーセントが、機能試験プラットフォーム50によって測定及び/又は試験される。
【0035】
軟質機械加工セルは、軟質動作によって製造された被加工物を面取り及び/又はバリ取りするための手段を更に含んでもよい。面取り及び/又はバリ取りユニットは、機械80内に組み込まれてもよく、又は製造セルは、面取り及び/又はバリ取りのための追加の機械を含んでもよい。
図14は、そのような製造セル65の例を示しており、ブロック90は、面取り機及び/又はバリ取り機を表している。自動化システム70、好ましくはロボットシステムは、機械50、80及び90のロード及びアンロードを実行し、機械間で被加工物を移送する。そのような軟質製造セルはまた、上述したように、被加工物の100パーセント検査を行う自動閉ループセルとして構成されてもよい。
【0036】
本発明は、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本主題が属する、当業者には明らかになるであろう、本明細書で特に詳述されない修正を含むことが意図されている。
【国際調査報告】