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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ホースポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20231122BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231122BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20231122BHJP
   F04C 5/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F04B43/12 A
B05C11/10
B05C11/00
F04B43/12 K
F04B43/12 T
F04C5/00 341E
F04C5/00 341N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530739
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2021082526
(87)【国際公開番号】W WO2022112183
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102020131083.8
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523185361
【氏名又は名称】ドスマティックス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】dosmatix GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュオイゲンプフルーク,エーリヒ
【テーマコード(参考)】
3H077
4F042
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077CC04
3H077CC10
3H077DD01
3H077EE23
3H077FF02
3H077FF06
3H077FF57
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA19
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB19
4F042CB26
4F042DH09
(57)【要約】
リザーバ内の空隙が負圧接続を介して真空ポンプ(102)に接続されている出力装置(100)において、コンシューマへの供給ポンプとして低コストのホースポンプ(1)を利用できるようにするために、ホースポンプ(1)の内部空間(6)において、ホース(2)の圧縮後の再変形のために、負圧又は略真空を使用するか、機械的変形工程が設けられている。ホース(2)の変形は、剛性を有する押圧体(8)又は膨張性の押圧パッド(23)又は押圧スリーブ(24)によって行うことができ、好ましくは、個々のチャンバ(18a~18d)が順次的に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側が開口しており、フロー方向(10)において材料が通過できる、ホース(2)とも称される少なくとも部分的に弾性体(2)である周壁と、
前記ホース(2)に接触し、前記ホース(2)を横断方向に圧縮し、前記ホース(2)の内側自由断面積(2")を減少させることができる断面バリエータ(3)と、
前記断面バリエータ(3)を制御された手法で作動及び停止させるためのバリエータ駆動ユニット(4)と、
前記ホースポンプを制御するための、特に前記バリエータ駆動ユニットを制御するための制御ユニット(1*)とを有するホースポンプ(1)において、
前記ホースポンプ(1)の領域内で前記ホース(2)の周囲に、特に前記ホースポンプ(1)全体の周囲に設けられ、前記ホース(2)のための気密入口開口(5a)と気密出口開口(5b)とを含む気密ハウジング(5)と、

前記ハウジング(5)の内部空間(6)と連通する圧力接続部(7)、特に負圧接続部(7)とを備えるホースポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のホースポンプにおいて、
前記制御ユニット(1*)は、前記圧力接続部(7)を介して、
前記ホース(2)内に印加される圧力、特に前記ホースに印加される平均圧力に適合するように、又は
前記押圧動作間に、特に前記ホース(2)の内部の圧力よりも低い、前記ハウジング(5)内の負圧を引き起こすことによって、
前記ハウジング(5)内の圧力を制御できるホースポンプ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のホースポンプにおいて、
前記材料が通過できる少なくとも部分的に弾性体(2)である周壁(2)、特にホース(2)は、圧縮を終了した後に初期状態に戻り、特に
第1の横断方向(11)において横断面積を減少させるための力を受けることができ、第2の横断方向(12)において初期状態に戻るための力を受けることができるホースポンプ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記材料が通過できる少なくとも部分的に弾性体(2)である周壁(2)、特にホース(2)は、外部、特に機械的影響による圧縮を終了した後に初期状態を回復するように形成されており、特に
記憶材料で構成されているホースポンプ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記断面バリエータ(3)は、前記ホース(2)の内側断面積(2")をゼロにできることによって、ピンチバルブ(13)として形成されているホースポンプ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記断面バリエータ(3)は、前記断面積(2")が減少した、特に前記断面積(2")がゼロに減少したピンチポイント(S、S1)を前記ホース(2)のフロー方向(10)に、特に自らがこの方向に移動することなく、移動させることが可能であるホースポンプ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記フロー方向(10)において、前記ホース(2)に接して、複数の断面バリエータ(3)が縦並びに順次的に配置されており、
前記複数の断面バリエータ(3)は、位相シフト方式で操作でき、特に互いに独立して操作できるホースポンプ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記断面バリエータ(3)は、剛性を有し、非変形性の少なくとも1つの押圧体(8)を備え、
前記押圧体(8)は、前記ホース(2)に沿って、特にフロー方向(10)に移動させることができ、特に制御された方式で移動させることができるホースポンプ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記ホース(2)の壁(9)に対する前記断面バリエータ(3)は、少なくとも部分的に弾性を有する押圧体(8)を備え、前記押圧体(8)は、前記ホース(2)の外側に、前記フロー方向(10)において、好ましくは、固定位置で接し、又は前記ホース(2)自体が前記弾性押圧体(8)の一部であり、前記弾性押圧体は、押圧接続部(14)を備え、
前記押圧体(8)は、押圧パッド(23)として前記ホース(2)の円周の一部のみに又は押圧スリーブ(24)として前記ホース(2)の全円周に接し、
特に印加圧力を発生させ、特に空気圧ポンプを駆動する押圧モータが、前記ホースポンプ(1)のポンプ領域の下流で前記ホース(2)内で測定される圧力に基づいて制御されるホースポンプ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記押圧パッド(23)又は前記押圧スリーブ(24)の内部空間(18)は、特にフロー方向(10)において縦並びに順次的に配置された複数のチャンバ(18a、18b、18c、18d)を含み、
前記複数のチャンバは、スロットルポイント(29a~29c)を介して互いに連通し、特に長手方向の両端に1つの共通の押圧接続部(14)又は2つの押圧接続部(14a、14b)を有し、
又は前記複数のチャンバは、互いに連通せず、すなわち互いに分離され、それぞれが別々の押圧接続部(14a、14b、14c、14d)を有するホースポンプ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記互いに分離されたチャンバ(18a、18b、18c、18d)のうち、少なくともフロー方向(10)における第1のチャンバ(18a)は、前記ホース(2)の断面積(2")をゼロにすることが可能であるホースポンプ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のホースポンプにおいて、
前記ハウジング(5)内の負圧を測定するために、真空センサ(15)が設けられており、
及び/又は
前記ホースポンプ、特に前記ハウジング(6)の内部及び/又は前記ホースポンプ(1)の領域内の前記ホース(2)を加熱するために、特に温度コントローラ(17)を備えたヒータ(16)が設けられており、
及び/又は
前記材料(M)内の圧力を測定するために、圧力センサ(19)が設けられており、
特に前記ホース(2)のポンプ長さ方向の領域の上流及び/又は下流に圧力センサ(19)を設け、前記ホース(2)の断面積を変化させることができるホースポンプ。
【請求項13】
粘性材料又は流体材料(M)を出力するための出力装置(100)であって、
前記材料(M)のためのリザーバ(101)であって、真空ポンプ(102)により前記材料上の空隙に負圧が印加され、下部領域に前記材料(M)のための出口開口(101a)が設けられたリザーバと、

前記出口開口(101a)に流体的に接続された少なくとも1つのホースポンプ(1)と、
前記出力装置(100)を制御し、好ましくは、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のホースポンプの制御(1*)を行う制御ユニット(100*)とを備え、

前記ホースポンプ(1)の前記ハウジング(5)の内部空間(6)は、前記リザーバ(101)内の空隙と同等の負圧に晒される出力装置。
【請求項14】
請求項13に記載の出力装置において、
前記ホース(2)の断面を閉じるための遮断弁、特にピンチバルブ(13)が、前記リザーバ(101)と前記断面バリエータ(3)の間に配置されている出力装置。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の出力装置において、
並列に接続された複数のホースポンプ(1)が設けられ、前記制御ユニット(100*)は、前記ホースポンプ(1)を位相シフトして、2つのホースポンプ(1)の場合、非同期で、駆動することが可能である出力装置。
【請求項16】
特に出力装置(100)の範囲内で請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のホースポンプ(1)を動作させる方法において、
前記ハウジング(5)の内部空間(6)において、前記リザーバ(101)の空隙と同じ又はより低い負圧が保持される方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記フロー方向(10)において、位相シフト方式で作動する複数の断面バリエータ(3)が設けられており、
特にフロー方向(10)の断面バリエータ(3)は、順次的に作動される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送ラインにおける流体又は粘性材料の輸送に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプラインにおける特に粘性のあるペースト状材料の輸送は、これらの材料が高い流動抵抗を発揮するために困難であることが多い。
【0003】
また、これらの材料は、特に電子工学、化粧品産業、又は接着技術において必要とされるものであるが、非常に敏感であり、及び/又は研磨性及び/又は粘着性を有するため取り扱いが更に困難である場合がある。
【0004】
これらの材料が原理的に弁体と弁座の間のような隙間に入り込んだりすることなく、あるいは、これらの材料が他の空洞に入り込んで堆積したり、硬化性材料の場合は、硬化したりすることがないようにこれらの材料を取り扱うことが試みられている。
【0005】
典型的な課題は、バレル、カートリッジ等の貯蔵容器又はミキサ等の前処理ユニットから、コンシューマ、例えば、材料を正確に指定された量、すなわちドーズ量で分配するためのドージングユニットに、このような材料を輸送することである。この目的のために、多くの場合、コンシューマに向けて、一定の最小限の圧力を印加する必要があり、この圧力は、配送中に恒久的に維持されなければならない。
【0006】
堆積を避けるために、従来、ホースラインでの輸送のためにダイヤフラムポンプが使用されており、この場合、振動するように駆動されるダイヤフラムによって、材料を部分的にコンシューマに搬送できるが、このようなダイヤフラムポンプの変位は十分に正確でないことが多い。
【0007】
また、材料が搬送されるラインの構成要素である弾性ホースの規則的な変形によって搬送が行われる既知のホースポンプでは、常圧ではなく、ゼロに近い数ミリバールという極めて低い残留圧力の下で材料を輸送する際に問題が生じ、これは、エアポケットを避けるために真空状態に保たれている処理装置や容器から材料を搬送しなければならない場合に常に生じる課題である。
【0008】
ホースポンプでは、断面バリエータ(cross-sectional variator)が弾性ホースに接触しており、ホースの断面を縮小し、必要に応じてホースをゼロまで圧縮する、すなわち密閉方式で圧縮することが可能であり、押圧点は、通常、ホースに沿って移動し、その結果、ホース内の材料は、断面バリエータによって、押圧点の前に押し出される。
【0009】
典型的な断面バリエータは、非変形性の剛性を有するスライディングシュー又はローラの形式の押圧体から構成されており、この押圧体がホースを横断方向に圧縮しながら、ホースの長手方向に移動する。
【0010】
更に、例えば、ホースの全周に配置された押圧スリーブ(pressure sleeve)又はホースの一部の周縁にのみ配置された押圧パッド(pressure pad)の形式の弾性押圧体も知られている。これらの弾性押圧体は、通常中空であり、油圧又は空気圧で膨張し、これによってホースを圧縮できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上述の問題を回避し、更に、製造が簡単で安価であり、長い耐用年数を有する、ホースポンプ及びこれを備えた出力装置、並びにこのような出力装置を操作するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1、請求項13及び請求項16の特徴によって解決される。従属請求項は、有利な実施形態を示している。
【0013】
ホースポンプに関しては、ホースポンプが、ポンピング部、すなわち押圧点が位置する又は移動できる領域、好ましくは、ホースポンプ全体の周囲に、気密ハウジングを設けることによって、この目的が解決される。
【0014】
ホースは、気密入口開口及び気密出口開口を介してハウジングに入ることができ、ハウジングは、ハウジング内、したがって、ホースの周りを、所望の圧力、特に負圧に調整できる圧力接続部を有する。
【0015】
ホースポンプのこのような設計により、ホース内部の圧力に関連して、ホースポンプの領域でホース周囲の周囲圧力を目標通りに調整できる。
【0016】
ホースポンプ全体及びハウジング内の圧力を制御する制御システムは、圧力接続を介して、例えば、ハウジング内の圧力をホースポンプ内の圧力に応じて制御でき、及び/又は周囲圧力又はホース内の圧力に対し、ホースポンプの押圧動作間にハウジング内に負圧を発生させることができるように設計されている必要がある。
【0017】
ホースポンプには、一般に、両側が開放され、材料が通過できる部分的に弾性のある本体が必要であり、ここではこれをホースと呼ぶが、この本体は、典型的なホースの外観、すなわち、丸い断面や横断方向よりもフロー方向に長い延長部を有する必要はない。ホースという用語は、2つの開口を有する全ての弾性中空体を意味するものとする。
【0018】
これに代えて又は支持体として、材料が通過できる弾性体は、その周壁の構造又は材料特性により、圧縮の終了後、外部の影響なしに非圧縮の初期状態に復帰するように設計できる。
【0019】
このため、周壁は、例えば、常に又は特定の物理的条件下で初期形状に復帰する、いわゆる記憶材料によって構成してもよい。
【0020】
また、外部からの影響によって、初期状態に戻る変形を実現してもよい。すなわち、例えば、ホースの断面積を小さくするためにホースの長手方向に対して第1の横断方向に力を加え、ホースの初期状態への再変形のために第1の横断方向に対して特に垂直な第2の横断方向に力をホースに加えることにより再変形を補助し又は再変形を完全に実現してもよい。
【0021】
第2の再変形横断方向への力の印加は、単に周期的にホースに係合する押圧体によって、又は例えばホースに隣接する、すなわちホースの外側又は内側に恒久的に隣接するバネ要素によっても効果的に行うことができる。
【0022】
例えば、渦巻きバネのようなホース内部に配置された圧縮バネによってホースの半径方向外側に力を加えてもよく、また、ホースの外側に作用する他のバネも同様である。
【0023】
また、このようなバネ要素は、ホースの長手方向の部分のみに設けることも可能である。
【0024】
これにより、ホースの外部圧力と内部圧力との比が再変形に不利であっても、再変形を確実に行うことができる。
【0025】
ホースポンプの殆どの構造形態では、断面バリエータは、剛性を有する押圧体を備え、この押圧体がホースを機械的に押圧する。
【0026】
しかしながら、特に本例では、剛性を有さず形状を変えることができる、特に弾性押圧体、例えばそれ自体が中空体であり、対応する接続部、少なくとも1つの対応する接続部を介して内部圧力を変えることができる、断面バリエータの設計も適している。
【0027】
このような非剛性、特に弾性押圧体は、周壁の一部をホースに密着させることができ、このような断面バリエータの内部に圧力を印加することで、断面バリエータの周壁をホースの周壁に押し付けてホースを圧縮させることができる。
【0028】
断面バリエータの最大の延長点がホースの長手方向、すなわちフロー方向においてホースに対して横断方向に蛇行できるという事実のみによって、断面バリエータがこの方向に移動することなく、断面積が減少したピンチポイントを特にホースのフロー方向に移動させることもできる。
【0029】
断面バリエータがホースの内側断面をゼロまで圧縮でき、内側断面が閉じ、したがって遮断弁として機能する場合、これは、ピンチバルブと呼ばれる。
【0030】
また、本発明に基づくホースポンプは、フロー方向に連続する複数の断面バリエータを備えていてもよく、この場合、複数の断面バリエータは、好ましくは、互いに位相シフトして又は一定の時間的相関関係をもって駆動可能である必要がある。
【0031】
したがって、押圧体の内部は、特にフロー方向に縦並びに順次的に配置された複数のチャンバを備えていてもよく、これらのチャンバは、ホースの長手方向軸に対して横断方向に次々と延びてホースを圧縮し、この動作をフロー方向に順次行って、これによってホース内の材料をフロー方向に押し進める。
【0032】
個々のチャンバは、チャンバ間に絞り点を設けて互いに連絡でき、特に、押圧体全体に対して1つの共通の圧力接続部しか存在しないようにすることができる。
【0033】
あるいは、個々のチャンバは、互いに連通せず、すなわち、それぞれが別々の圧力接続部を有する別々のチャンバとしてもよく、これらのチャンバには、この順序に従って圧力が印加される。
【0034】
好ましくは、フロー方向における少なくとも第1のチャンバは、ホースへの材料の逆流を防止するために、ホースの断面積をゼロにすることが可能である。
【0035】
一方、他のチャンバでは、僅かな断面積が残存するようにホースを圧縮し、非常に高い圧力に晒される第1のチャンバの閉じた断面と第2のチャンバの更に閉じた断面との間に、材料が封入されないようにすることが望ましい。残留断面が存在すれば、材料は、常に、閉じられた押圧点からフロー方向に逃げることができる。
【0036】
押圧部が開いた後、材料が上流からホース内に流入し、特に、完全に閉じていない押圧部の端に、この目的のために更なる押圧部が配置され、この目的のためにホースの断面を完全に閉じる、すなわち更なるピンチバルブを有する場合、材料が上流からホース内に流入する。
【0037】
また、連続するピンチバルブは、これらの間のホースの断片が、2つの隣接するピンチポイントを次々に閉じるときに発生する圧力に耐えることができる場合、この手法で制御できる。
【0038】
好ましくは、ホースポンプは、ホース周りのハウジング内の負圧を測定するための真空センサを含み、これによって、負圧を発生させるためのバリエータ駆動ユニット又は真空ポンプを所望の方式で制御できるようにする。
【0039】
多くの粘性材料は、温度の上昇に伴ってより流動的になるため、特に温度制御を行うヒータを設けることもでき、これによってホースポンプ、すなわちハウジングの内部及び/又はホース自体を加熱し、ホース内部の材料が加熱されてより流れやすくなり、ホースポンプの操作に必要な力を低減できる。
【0040】
更に、材料内の圧力を圧力センサによって監視してもよく、この圧力センサは、例えば、ホースの断面積が変化するポンプ長手方向の領域の上流及び/又は下流に配置できる。
【0041】
このような圧力センサは、必ずしもホース内の材料と連通している必要はない。
【0042】
圧力センサは、例えば、ホースの外周又は外径を測定してもよく、この点でのホースの弾性が既知であれば、この測定値から内部の圧力を導き出すこともできる。
【0043】
同様に、内部に圧力を印加できる弾性押圧体の場合、弾性押圧体内の圧力を圧力センサによって測定でき、制御ユニットは、弾性押圧体内の圧力又はこれに相当する情報に基づいて、ホース内の材料内の圧力に関する結論を導き出すことができる。
【0044】
このようなホースポンプは、製造が簡単で安価であり、ホースの材質によっては、長寿命であるため、搬送する材料によっては、ダイヤフラムポンプと比較してより優れたソリューションとなる可能性がある。
【0045】
下部領域に出口開口を有する材料用リザーバと、この出口開口に流体的に接続されるホースポンプとを備える出力装置に関して、ホースポンプを上述のように構成することで本課題が解決される。
【0046】
ここで主に検討されている、リザーバ内の材料が負圧に晒される場合、すなわち、粘性又は流体材料の非圧縮性のために、リザーバ内の材料の上方の空隙が負圧に晒される場合、ホースポンプのハウジングは、その内部に、リザーバの空隙と同じ量の負圧を印加できるように設計する必要がある。
【0047】
これにより、圧縮されたホースが、その内部の負圧により、押圧力を取り除いた後に元の状態に膨張できなくなるリスクを排除できる。
【0048】
好ましくは、ホースの自由断面を完全に塞ぐことができる遮断弁、特にピンチバルブが、リザーバと断面バリエータとの間に配置され、これによって、遮断弁をホースポンプの一部とすることもできる。
【0049】
コンシューマ側のホースポンプの出口でホースポンプによって周期的に発生する圧力の上昇及び下降を抑えるために、2個以上のホースポンプを位相シフトして運転できる制御システムが設けられている場合、2個以上の複数のホースポンプを並列に接続してもよく、又は2つのホースポンプの場合、これらを交互に駆動してもよく、及び/又は複数のホースポンプを単に共通のポンプ駆動部のみによって駆動し、共通のポンプ駆動部の対応する機械構成によって位相シフトを行ってもよい。
【0050】
これにより、一方のホースポンプの出口における高圧力フェーズが、他方のホースポンプの出口における高圧力フェーズにほぼシームレスに続き、ホースポンプの出口ラインを結合して、コンシューマへの単一の配送ラインを形成できる。
【0051】
ホースポンプを作動させる方法に関して、特に上述のような出力装置の文脈内では、ホースのポンピング領域の周りの気密ハウジングの内部空間が、材料の上のリザーバ内の空隙と同等又は更に高い負圧下に保たれることによって、課題が解決される。
【0052】
同じホースに接するフロー方向に複数の断面バリエータが縦並びに順次的に配置されている場合、これらのバリエータは、位相シフト方式で操作され、特に、個々の断面バリエータは、フロー方向で順次的に作動する。
【0053】
並列に接続され、異なるホースに接する複数のホースポンプがある場合、ホースポンプが位相シフト方式で、特に2本のホースの場合は、交互に駆動されるため、コンシューマへの配送ラインにおける周期的な圧力変動が低減又は排除される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1a】機械式ホースポンプを示す図である。
図1b図1aに示すホースポンプ内のホースの断面図である。
図1c図1aに示すホースポンプ内のホースの断面図である。
図2a】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図2b】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図2c】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図2d】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図2e】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図2f】第1の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面図である。
図3a】第2の構造形態の空気圧式又は油圧式ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面である。
図3b】第2の構造形態の空気圧式又は油圧式ホースポンプのある動作状態におけるホースの縦断面である。
図4図1aと同様のホースポンプのための追加的な機械設備を示す図である。
図5a図4に示すホースポンプを通るある動作位置での断面図である。
図5b図4に示すホースポンプを通るある動作位置での断面図である。
図5c図4に示すホースポンプを通るある動作位置での断面図である。
図6】第3の構造形態の空気圧又は油圧ホースポンプのホースの縦断面である。
図7】粘性材料又は流体材料のためのリザーバと本発明に基づくホースポンプとを備える出力装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図5は、本発明が取り組む課題を示唆している。
【0056】
出力装置100では、制御ユニット100*が装置の可動部を制御し、出力装置100は、まず、リザーバ101を備え、リザーバ101は、例えば、配送容器又は他のリザーバ(図示せず)から補充されるとともに、そこに貯蔵された材料Mを前処理する役割も果たす。この目的のために、リザーバ101内でミキサを回転させ及び/又はポンピングオーバーを行い及び/又は薄膜脱ガスが行われ又は他の処理工程を実行してもよい。
【0057】
プロセスにおいて新たなエアポケットが形成されることを防ぐために、材料の上のリザーバ101の空隙は、絶対圧が約1mbar~50mbarの真空に近い負圧状態にあり、この負圧状態は、リザーバ101の空隙から空気を吸引する真空ポンプ102によって生成される。
【0058】
材料Mは、このリザーバ、好ましくは、リザーバの最下点において、出口開口101aから取り出され、接続ライン103を介して、コンシューマ104、この場合、例えば、吐出ノズル105から材料Mのドーズ量を正確に出力するドーザ104に供給される。
【0059】
吐出ノズル105からの吐出を(通常は、断続的に)いつでも行うことができるように、コンシューマ104に向けて、材料Mに常に一定の最低圧力を印加する必要があり、最低圧力を超える圧力変動は許容される。
【0060】
ホースポンプは、構造が簡単で、低コストで別途購入可能な単純な標準部品として入手できるため、本発明では、ダイヤフラムポンプ又はピストンポンプを設けることに代えて、接続ライン103内、この例ではリザーバ1の出口開口101aに直接接続されたホースポンプ1によって圧力を維持する。
【0061】
ここで問題となるのは、従来のホースポンプでは、ホースがその断面に関して1つ以上の押圧点で圧縮され、押圧力が除去された後、ホースは、一方では、ホース壁の弾性材料の復元力により、またそれ以上に、ホース内で配送される材料によるホース内の過圧により、元の、通常は丸い断面に変形して戻るという点である。
【0062】
しかしながら、本実施例では、リザーバ101内の空隙が準真空(以下、単に真空と呼ぶ)に晒され、空隙の下にある材料M、したがって、接続ライン103内の材料Mも真空に晒されるため、ホースポンプ1は、ホースポンプの機能にとって不可欠である、圧縮状態から非圧縮状態のホース断面に戻るための必須パラメータが欠けている。
【0063】
図1a~図1cは、単に本発明に基づく付加物を備えているだけのそれ自体は既知のホースポンプ1を示している。
【0064】
弾性材料から形成されているホース2は、一平面においてU字形にハウジング5内を案内され、このU字形は、反転した領域において半円の形状を有している。(ホース2が横たわるU字形平面U"に対して垂直に見て、すなわち、図1aに示すように)この半円形のU端の中心では、2アームの回転レバー28が回転し、その対向する同長のレバーアームは、それぞれその端に押圧体8、この場合は、加圧ローラ8を備え、加圧ローラ8は、U字形平面U"に対して垂直である加圧ローラ軸8’を中心として回転可能に回転レバー28上に保持されている。また、この部品の回転レバー28は、ホース平面2"に垂直な回転レバー軸28’を中心に同様にバリエータ駆動ユニット4によって駆動され、ホースポンプ1の制御ユニット1*(出力装置の制御ユニット100*と一体であってもよい)によって制御され、特定の回転方向R、この場合は、反時計回りに回転される。
【0065】
図1b及び図1cに示すように、ホース2のU字形に撓んだ領域の半径方向の外側では、ホース2は、ホース2が少なくとも半円形に撓んだ領域に亘って延びる略板状のカウンターホールド21によって押圧されるので、回転レバー28のレバーアームの長さと2つの加圧ローラ8の直径は、周知のように、加圧ローラ8のそれぞれがホース2に対して半径方向内側から外側へ、その回転の半分よりわずかに多く押圧し、その断面2"を半径方向に圧縮するように設定される。
【0066】
加圧ローラ8が現在ホース2に作用している回転方向の押圧点Sにおいて、ホース壁9は、好ましくは、図1cに示すように、内側の自由断面2"がゼロとなるかゼロに近づく傾向を有するように、平らに絞られる。
【0067】
この結果、ホース2に沿って移動する加圧ローラ8は、材料Mをホース2内の前方に押し出し、ホース2に沿ってフロー方向10に輸送する。
【0068】
ハウジング5内のホース2の両端は、通常、一方では、フランジ状の入口開口5a、他方では、出口開口5bで密に接続されており、これにより、材料は、出口開口5bから押し出される。これらの開口5a、5bは、更に、ハウジング5に密に接続されている。
【0069】
既知のホースポンプ1では、ホース2は、ピンチポイントSの直後において、図1bに示すような応力を受けない元の断面、通常、円形の断面を回復する。
【0070】
ホース2の内部には内圧がないため、これは、ホース2の壁9の復元力のみによって行われなければならず、この結果、弾性の小さいホースである必要があり、したがって、断面バリエータ3、ここでは、加圧ローラ8を有する回転レバー28によって大きな力を加える必要がある。
【0071】
これを回避するために、密閉されたハウジング5の内部空間6には、負圧接続部7が設けられており、これを介して、真空ポンプ20によりハウジング内部に負圧を発生させることができ、ホース2の内部に印加される圧力よりも低い圧力にすることもできるため、ホース2の再変形を妨げる要因、すなわち、ホース2に関して内部圧力よりも高い外圧を取り除くことができる。
【0072】
図7に示すような出力装置100内でホースポンプ1が使用される場合、真空ポンプ1の負圧接続部7は、好ましくは、真空ライン106を介して、リザーバ101の空隙にも負圧を供給する同じ真空ポンプ102に接続される。
【0073】
真空センサ15を内部6に設けることもでき、このセンサは、制御のためにその内部の圧力、すなわち負圧を測定し、これを制御ユニット1*に報告し、これにより、制御ユニットは、負圧接続部7を介した負圧の印加を変更できる。
【0074】
更に、ホース2内の圧力、特にホース2に沿った圧力を測定するために、内部6に1つ又は複数の圧力センサ19a、19b、19cを設けてもよい。
【0075】
すなわち、ホース2用のハウジング5の入口開口5a及び出口開口5bの近くに、圧力センサ19b、19cを、それぞれ、ホース2の外側に、特にホース2に密着させて配置でき、ホース2の断面の形状によって、直接的又は間接的に、その部分に印加されている圧力を測定できる。
【0076】
更に、ホース2のU字型湾曲部のほぼ中央に圧力センサ19aを設けることができ、これは、ホース2の周方向輪郭の半径方向内側領域に向けられ、特に加圧ローラ8の通過中に半径方向外側のカウンターホールド21に対するその位置を測定し、そこからホース2内の圧力を判定する。
【0077】
カウンターホールド21が特に金属で作られている場合には、内部6にヒータ16を設け、例えば、カウンターホールド21を電気的に加熱することによってホース2内を搬送される材料Mを加熱して、より流動的にすることができる。
【0078】
好ましくは、ヒータ16は、温度制御ユニット17を備え、これは、好ましくは、ホースポンプ1の制御ユニット1*の一部である。
【0079】
図4は、負圧接続部7に代えて及び/又はこれに加えて、そのピンチポイントSの下流でホース2を変形させるための代替例を示しているが、この代替例は、主にホース2がホースポンプ1の領域内で直線的に配置されている場合に使用され、すなわち、図1aに示すようにホースがU字形に配置されている場合には、あまり使われることはない。
【0080】
図5a~図5cのホース2の断面図に最もよく示されているように、ホース2の平坦な絞られた断面2"は、少なくとも1つの更なる加圧ローラ26を通過することによって元の丸い断面形状に戻るように変形される。
【0081】
図5aは、ピンチポイントSから十分に離れた位置で切り取ったホース2の圧縮されていない円形断面を示している。
【0082】
図5bは、点Sにおけるその断面2"の準密着圧縮状態のホース2を示すが、ホース2は、図1aに示すホースポンプの場合のように、加圧ローラ8とカウンターホールド21との間で絞られるのではなく、ホース2の断面に関して相対する2つの側から同じピンチポイントSでホース2を挟み込む(好ましくは、同じ形の)2つの加圧ローラ8間で絞られている。加圧ローラ8は、好ましくは、1つのアームのみを有する回転レバー28の自由端に固定され、これは、その自由端のそれぞれに加圧ローラ8を有する2アームの駆動レバー28ではない。
【0083】
この理由は、ホース2を圧縮する2つの加圧ローラ8が押圧点Sを通過した後、回転レバー27に取り付けられた更に一対の加圧ローラ26が、回転レバー28が再び押圧点Sに達する前にホース2を元の断面形状に再び押し広げるために、ホース2と係合できなければならないためである。
【0084】
2つの圧縮回転レバー28が、第1の横断方向11を含む回転平面28"で加圧ローラ8と共に回転する一方で、別方向回転レバー27(diverging rotary lever)は、回転平面28"に対して横断的、好ましくは、垂直な第2の横断方向12を含む回転平面27"でこれらの加圧ローラ26と共に回転し、両方の回転平面は、フロー方向10、すなわち、ホースの方向を含む。
【0085】
この目的のために、これらの加圧ローラ26の周方向溝26aは、図5aに示すような変形していないホース2の外周の半径よりもわずかに大きいか等しい半径を有するほぼ半円形の形状の断面を有する。図5cに示すように、2つの加圧ローラ26を、これらの回転レバー27が互いに向かい合う最大接近位置となるように半径方向に最大限接近させ、これらの間に、ホース2の変形されていない断面の形状と同等又はこれより僅かに大きいだけの自由空間を残すことによって、ホース2は、再びその元の円形断面に押し広げられる。
【0086】
このようにして、再変形は、機械的に行われ、図1aのソリューションに従ってホースの外側に印加される負圧は、追加的なものであり、必須ではない。
【0087】
図2及び図3は、ホース2の断面が、剛性を有する押圧体8又は26によって圧縮されるのではなく、ホース2の断面方向でその中心長手軸2’の方向に拡張可能な弾性中空押圧体によって圧縮されるソリューションを示している。
【0088】
これらの押圧体は、ホース2の長手方向軸の周りに環状に形成された押圧スリーブ24又はホース2の断面に単に1つ又は2つの反対側に配置された押圧パッド23であり、これらは、互いに反対側に、特に同じ長手方向位置に設けられ、この場合、2つの反対側の押圧パッド23は、常に同期的に操作される。好ましくは、フロー方向10に複数の押圧パッド23又は押圧スリーブ24を縦並びに順次的に設けることが好ましい。
【0089】
押圧パッド23又は押圧スリーブ24は、固定されたカウンターホールド21、押圧スリーブ24の場合には、ホースの長手方向2’の周りに形成されたカウンターホールド管21にその半径方向外側を支持され、少なくとも拡張状態では、ホース2の外周に接するだけでなく、その断面が、必要であればゼロとなるまでホース2を圧縮している。
【0090】
図示のように、カウンターホールド21が押圧パッド23又は押圧スリーブ24の構成要素である場合、両者は、互いに強固に連結されている必要がある。
【0091】
図2a~図2fに示す第1の構造形態では、これらの押圧パッド23又は押圧スリーブ24のうち、4つの、この場合、環状の押圧パッドが、圧力チャンバ18a~18dと共に描かれており、その数は、実際には、変更できる。圧力チャンバ18a、18b、18c、18dの間では、それぞれ、押圧パッド23又は押圧スリーブ24のダイヤフラムとカウンターホールド21との間に強固な固定が必要である。
【0092】
互いに気密に分離されているこれらの圧力チャンバ18a~18dのそれぞれは、独自の押圧接続部14a~14dを備え、(主に図示しないバルブの開閉による)その加圧は、同様に図示しないホースポンプ1の制御ユニット1*によって、互いに正確な時間関係で制御され、以下に述べる機能が達成される。
【0093】
材料Mを搬送方向10に押し進めるために、まず、所望の搬送方向10における最後尾の第1のピンチポイントS1が作動し、すなわち、最後尾の押圧スリーブ24の圧力チャンバ18aが加圧され、ホース2の壁9に当たるその弾性壁が半径方向内側に膨張し、ホース2を半径方向に、好ましくはその内部通路が閉じられるまで圧迫する。
【0094】
この結果、このピンチポイントS1においてホース内に存在していた材料Mは、搬送方向10及びこれと反対方向の両方に変位する。
【0095】
図2aに示すように、このピンチポイントS1を閉じたまま、図2bに示すように、次に隣接するピンチポイントS2が順次的に作動し、ここでも、ホース2の断面が縮小されるが、完全に閉じないので、この領域で変位した材料は、ピンチポイントS2を通って搬送方向10のみに進むことができる。その後、図2c及び図2dに示すように搬送方向10の次のピンチポイントS3、更にその次のS4が作動し、先に作動したピンチポイントS1、S2はその絞り位置に留まり、その上流に存在する既に作動済のチャンバ18a、18b、18cは、この状態を維持する。
【0096】
このようにして、相当量の材料が、作動可能な最後のチャンバ、ここでは、チャンバ18dの下流で、ホース2を通って搬送方向10に押し出される。
【0097】
次の搬送工程のために、全ての既存のチャンバ18a~18dの作動の後、搬送方向10の最後のチャンバ18dが更に加圧され、これによってホース2はこの最後のピンチポイントS4でゼロ断面にまで圧縮され、すなわち閉鎖されて保持される。
【0098】
この最後のピンチポイントS4の閉鎖の後、上流のピンチポイントS1,S2,S3が順次的に作動解除され、すなわち、搬送方向10の最も上流のピンチポイントS1から始まって、次のピンチポイントS2、S3の順に、ホースの断面が再び開かれる。この結果、完全に閉じたピンチポイントS4に向かってホースの内部が大きくなることにより、上流にある材料がホース内に吸引される。
【0099】
ホースの再変形は、この場合、負圧接続部7によっても促すことができ、この負圧接続部7は、ピンチポイントS1~S4の間の各領域において、例えば、カウンターホールド管21上に支持された押圧スリーブ24のダイヤフラムとホース2の間の径方向領域において負圧を発生する。
【0100】
図2eは、閉じられているピンチポイントS4より前の搬送方向10における最後のピンチポイントS3の作動解除の直前の状態を示し、図2fでは、閉じられている最後のピンチポイントS4の上流の他の全てのピンチポイントS1~S3が既に開いており、ホースは、これらのピンチポイントS1~S3において、圧力から解放され、再び略円形の断面を呈する。
【0101】
その後、図2aに示すように、最も上流のピンチポイントS1の作動及び閉鎖から開始して、次の搬送サイクルを再び開始できる。
【0102】
最初と最後の押圧点をピンチバルブとして、すなわち、ホースの断面を完全に閉じることができるように構成する代わりに、ホースポンプの下流と上流のホースに従来の遮断弁を設けることもでき、すなわち、例えば弁座と弁体とを設けることもできるが、この場合、一般的に弁座と弁体の接合部に材料が接触してしまい、これは、材料Mが多くの場合、接着作用を有するために望ましくない。
【0103】
図2a~図2fでは、圧力チャンバ18a~18dは、圧力の観点で互いに接続されていないが、図3a及び図3bは(同じくホース2に沿った縦断面で)第2の構造形態を示しており、ここでは、これらのチャンバ18a~18dが圧力の観点で互いに接続されているが、チャンバ18a~18dは、スロットルとして働く比較的小さな接続開口29a~29cによって設けられ、接続開口29a~29cは、好ましくは、スルーリング(through-ring)としてではなく、円周上の個々のスルーオープニング(through-opening)として又は単一のスルーオープニングとして、ホース2の周囲に分散配置される。
【0104】
ここでも、第1のチャンバ18aは、押圧接続部14Aと連通しているが、その下流において、少なくとも最後の押圧チャンバ18dが更なる押圧接続部14Bと連通している。
【0105】
(押圧接続部14Bが設けられている場合は、これを閉じた状態で)材料Mをホースポンプの長さ範囲でホース2内を前進させるためには、押圧接続部14Aのみに、通常は、圧縮空気による押圧力を印加する必要があり、これによりチャンバ18a、18b、18c、18dは、(スロットルポイント29a~29cにより順次的に次々と)ホース2に対して膨張し、図2a~図2dの場合と同様の効果が生じる。
【0106】
図3bは、チャンバ18a及びチャンバ18bが既に完全に膨張し、次のチャンバ18cが半径方向内側に膨張しつつある状態を示し、ここで、完全に膨張するとは、チャンバが完全に膨張した領域においてホース2の断面がゼロになり、すなわち閉じられ、閉じられたホース部分の下流の始点が搬送方向10に移動することを意味する。
【0107】
ホースポンプ1の長手方向領域においてホース2内に新しい材料Mを引き込むために、押圧接続部14Aに印加される圧力は、必要に応じて、周囲圧力まで、あるいは、真空領域まで下げられ、その結果、まずチャンバ18aが収縮し、続いて下流のチャンバ18b、18c、18dも収縮する。これにより、ホース2は、上流のピンチポイントS3、S2、S1で元の開いた断面に変形して戻り、材料は、最も下流のピンチポイントS4の方向に補充される。
【0108】
押圧接続部14Bが設けられている場合、印加された圧力で短時間加圧でき、そのチャンバ18dは、好ましくは、ホース2の断面2"を完全に閉じることができ、これは、ホースポンプ1の上流の領域からの材料の引き込みに有利である。過圧による圧力ポート14Bの加圧は、上流のチャンバ18a~18cが既に全て完全に収縮した状態に達したときにのみ行われることが好ましい。
【0109】
図6は、図2a~図2fに示す第1の構造形態と同様のホースポンプ1の第3の構造形態を示している。
【0110】
但し、この場合、ホース2自体が既に環状周方向押圧スリーブ(annular circumferential press sleeve)24の一部であり、(したがって、ホース2に加えて設けられた独自の弾性ダイヤフラムを有さず)図示のケースでは4つが再びフロー方向10に連続して設けられて環状周方向チャンバ18a~18dを形成し、その径方向外側が再び管状カウンターホールド21によって形成されて、ホース2がこれに沿って配置されている。
【0111】
ここで、各チャンバ18a~18dは、それぞれの個別の圧力ポート14a~14dを介して加圧できる。
【0112】
材料を搬送するために、チャンバ18a~18dは、図2に示す構造形態の場合と同様にフロー方向10に連続して加圧でき、これによって個々の押圧点S1~S4においてホース2の自由断面を縮小し、好ましくは、最も上流の押圧点S1においてゼロにしながら、搬送のために、後続する押圧点を完全に閉鎖しない。
【0113】
図6は、ホース2が最初の押圧点S1で既に密に圧縮され、ホースが押圧点S2で妥当な残留断面まで圧縮された状況を示しており、その後、後続の押圧点S3及びS4において、好ましくは、再び妥当な残留断面まで圧縮が行われる。
【0114】
ホース2を損傷しないことが好ましいため、ホース2の内部断面は、個々の押圧点S1~S4の間及びホースポンプ1の始端と終端において、支持リング22によって開放状態に維持され、支持リング22は、ホース2の内周に嵌合し、そこでホース内に挿入され、ホース2の外周を管状カウンターホールド21の内周に接触させて保持する。したがって、カウンターホールド21に対するホース2の接着等の固定は不要であり、これにより、ホース2のフロー方向10に対する軽微な補正移動も可能となる。
【0115】
搬送ストロークの後、最下流のチャンバ18dは、まず、図2に示すように、材料を引き込むために作動したままであってもよく、その上流の押圧点S1、S2、S3は、好ましくはこの順序で、圧力接続部を介して負圧で通気又は加圧され、これにより、ホース断面はこれらの点で開き、材料は、閉じられた押圧点S4まで引き込まれる。
【0116】
この押圧点は、好ましくは、第1のチャンバ18aが次の搬送ストロークのために既に加圧されているとき又はその直前にのみ、通気され又は負圧によって加圧される。
【符号の説明】
【0117】
1 ホースポンプ
1* 制御ユニット
2 弾性体、ホース
2’ 中心長手軸
2’ 断面領域
2" 断面バリエータ
4 バリエータ駆動部
5 ハウジング
5a 入口開口
5b 出口開口
6 5の内部空間
7 圧力接続部、負圧接続部
8 押圧体、加圧ローラ
8a 周方向溝
8’ 回転軸
9 壁
10 フロー方向、フローの方向
11 第1の横断方向
12 第2の横断方向
13 ピンチバルブ
14a~14d 押圧接続部
14a、14b 押圧接続部
15 真空センサ
16 ヒータ
17 温度制御ユニット
18 内部
18a、18b、18c チャンバ
19 圧力センサ
20 真空ポンプ
21 カウンターホールド、カウンターホールドプレート、カウンターホールドチューブ
22 ヒータ
23 押圧パッド
24 押圧スリーブ
25 固定点、固定円周
26 押圧ローラ
27 回転レバー
28 回転レバー
29a~29c 接続開口、スロットルポイント
100 出力装置
100* 制御ユニット
101 リザーバ
101a 出口開口
102 真空ポンプ
103 接続ライン
104 コンシューマ、ドーザ
105 吐出ノズル
106 負圧ライン
M 材料
R 回転方向
S ピンチポイント
U" U字のレベル、ホースレベル
図1a
図1b-1c】
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3a
図3b
図4
図5a-5c】
図6
図7
【国際調査報告】