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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/14 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
B60K17/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530744
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 KR2021016216
(87)【国際公開番号】W WO2022108214
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0156000
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0099295
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523186025
【氏名又は名称】シー‐ストーン・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】C‐STONE TECHNOLOGIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】805,806,1004, 91, CHANGYONG‐DAERO 256BEON‐GIL, YEONGTONG‐GU, SUWON‐SI, GYEONGGI‐DO 16229, REPUBLIC OF KOREA
(71)【出願人】
【識別番号】523185198
【氏名又は名称】パク,ドン‐フン
【氏名又は名称原語表記】PARK, DONG‐HOON
【住所又は居所原語表記】602‐502, 265, BAEKHYEON‐RO, BUNDANG‐GU, SEONGNAM‐SI, GYEONGGI‐DO 13600, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドン‐フン
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ジュン・ギ
【テーマコード(参考)】
3D042
【Fターム(参考)】
3D042AA06
3D042BE01
(57)【要約】
前記動力伝達装置は、動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義し、前記回転部材に結合して回転部材と共に回転する出力部材とを含み、前記動力源は、動力源軸を含み、前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と、
その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義し、前記回転部材に結合して回転部材と共に回転する出力部材と、
を含み、
前記動力源は、動力源軸を含み、
前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置された動力伝達装置。
【請求項2】
前記動力発生部と前記駆動部材は、出力部材によって定義される軸方向幅内に配置される、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記動力発生部と前記固定部は、一体に形成される、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記動力発生部から軸方向に固定部の反対方向に延びる第2固定部をさらに含む、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転し、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する回転部材と、
を含み、
前記動力源は、動力源軸を含み、
前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置された動力伝達装置。
【請求項6】
前記動力発生部と前記駆動部材は、前記回転部材によって定義される軸方向幅内に配置される、請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記動力発生部と前記固定部は、一体に形成される、請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記回転部材は、回転部材から軸方向に固定部の反対方向に延びる軸部をさらに含む、請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に互いに反対方向に延びる固定部および第2固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含み、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と、
を含み、
前記動力源は、動力源軸を含み、
前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置された動力伝達装置。
【請求項10】
前記動力発生部と前記駆動部材は、前記従動部材によって定義される軸方向幅内に配置される、請求項9に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記動力発生部、前記固定部および前記第2固定部は、一体に形成される、請求項9に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置に関し、より詳しくは、ホイール駆動装置(Wheel Drive Unit)などに使用可能な動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、強化された環境規制および燃費規制によって、ハイブリッド車両と電気車両のような環境にやさしい車両の使用が増えている。環境にやさしい車両は、動力源として電気モータを含み、電気モータと減速機の配置に応じて多様な形態の環境にやさしい車両が実現できる。
【0003】
環境にやさしい車両の多様な動力源配置方法の一つは、動力源をホイールハブ(wheel hub)内またはホイールハブ近傍に配置するホイール駆動装置である。従来のホイール駆動装置は、そのサイズが大きくてホイール駆動装置の一部がホイールハブの外部に突出し、ホイールハブの外部に突出したホイール駆動装置の一部は、懸架装置や制動装置のような車両の部品と干渉を起こすことがあった。これによって、従来のホイール駆動装置を車両に装着するためには、車体やシャーシの設計変更が必要であった。
【0004】
このような問題を解決するために、インホイールモータ(In-wheel motor)システムが開発された。インホイールモータシステムは、動力源である電気モータと減速機をホイールハブ内に配置するシステムである。従来のインホイールモータシステムによれば、減速機として主に遊星ギヤセットが用いられたが、ホイールハブ内に電気モータ、遊星ギヤセットおよびホイールベアリングを配置することが難しかった。これによって、減速機を含まないインホイールモータシステムが開発された。
【0005】
しかし、減速機を含まないインホイールモータシステムは、電気モータ自体の動力で車両を発振し、高速走行もしなければならないので、容量の大きい電気モータを必要とし、これによって、電力の消耗が大きくて1回の充電で走行できる距離に限界があった。これを補完するためには、容量の大きいバッテリを用いなければならない。
【0006】
一方、電気モータが直接ホイールハブを駆動するインホイールモータシステムは、車両走行時に発生する路面の衝撃が電気モータに直接伝達されるので、電気モータの耐久性が問題になる。
【0007】
また、電気モータの大きさおよび重量が増加して懸架装置のばね下重量(Unsprung mass)が増加するので、乗り心地が低下するというデメリットもある。
【0008】
この背景技術の部分に記載された事項は発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであって、この技術の属する分野における通常の知識を有する者にすでに知られた従来の技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施例は、減速装置と電気モータの大きさを減少させてホイールハブ内の空間に設置可能なコンパクトな動力伝達装置を提供すると同時に、単純な構成の減速装置を用いることによって、小さい容量の電気モータでも発進性能と高速走行性能を満足させることができる高効率動力伝達装置を提供しようとする。
【0010】
本発明の実施例は、電気モータに作用する路面の衝撃を最小化して耐久性を増大させ、ホイール駆動装置の重量を減少させて車両の乗り心地も向上させることができる動力伝達装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1実施例による動力伝達装置は、動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義し、前記回転部材に結合して回転部材と共に回転する出力部材とを含み、前記動力源は、動力源軸を含み、前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置される。これによって、比較的大きい出力の動力源を出力部材の狭い空間内に配置することができる。また、互いに噛合する駆動ギヤと従動ギヤとを介して適切な減速を実現することができる。このように簡単な構成の減速装置を用いるので、動力伝達効率を高めると同時にコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
【0012】
前記動力発生部と前記駆動部材は、出力部材によって定義される軸方向幅内に配置される。
【0013】
前記動力発生部と前記固定部は、一体に形成される。
【0014】
本発明の第2実施例による動力伝達装置は、動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転し、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する回転部材とを含み、前記動力源は、動力源軸を含み、前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置される。これによって、比較的大きい出力の動力源を回転部材の狭い空間内に配置することができる。また、互いに噛合する駆動ギヤと従動ギヤとを介して適切な減速を実現することができる。このように簡単な構成の減速装置を用いるので、動力伝達効率を高めると同時にコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
【0015】
前記動力発生部と前記駆動部材は、前記回転部材によって定義される軸方向幅内に配置される。
【0016】
前記動力発生部と前記固定部は、一体に形成される。
【0017】
前記回転部材は、回転部材から軸方向に固定部の反対方向に延びる軸部をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の第3実施例による動力伝達装置は、動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に互いに反対方向に延びる固定部および第2固定部とを含む動力部と、前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含み、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する従動部材と、前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材とを含み、前記動力源は、動力源軸を含み、前記動力源軸は、回転輪の径方向に対して-25°~25°の範囲で配置される。これによって、比較的大きい出力の動力源を従動部材の狭い空間内に配置することができる。また、互いに噛合する駆動ギヤと従動ギヤとを介して適切な減速を実現することができる。このように簡単な構成の減速装置を用いるので、動力伝達効率を高めると同時にコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
【0019】
前記動力発生部と前記駆動部材は、前記従動部材によって定義される軸方向幅内に配置される。
【0020】
前記動力発生部、前記固定部および前記第2固定部は、一体に形成される。
【0021】
本発明の第1~第3実施例によれば、前記駆動部材は、前記動力源軸に作動的に連結される駆動軸をさらに含み、前記駆動軸の中心軸と動力源軸の中心軸は、同軸上に配置されるか、互いに平行であってもよい。
【0022】
本発明の第1および第2実施例によれば、前記従動部材は、径方向外側で前記固定部の少なくとも一部を囲む装着部と、前記従動ギヤと前記装着部とを連結する連結部とをさらに含み、前記装着部と前記固定部との間にはベアリングが装着される。
【0023】
前記連結部または装着部には制動装置が装着される。
【0024】
本発明の第1実施例によれば、前記動力発生部から軸方向に固定部の反対方向に延びる第2固定部をさらに含むことができる。
【0025】
前記回転部材は、径方向外側で前記第2固定部の少なくとも一部を囲む第2装着部をさらに含み、前記第2装着部と第2固定部との間にはベアリングが装着される。
【0026】
本発明の第2実施例によれば、前記動力伝達装置は、前記軸部の径方向外側で軸部を囲むベアリング支持部をさらに含み、前記軸部とベアリング支持部との間にはベアリングが装着される。
【0027】
本発明の第3実施例によれば、前記従動部材は、径方向外側で前記第2固定部の少なくとも一部を囲む装着部をさらに含み、前記回転部材は、径方向外側で前記固定部の少なくとも一部を囲む第2装着部をさらに含み、前記装着部と前記第2固定部との間、および前記第2装着部と前記固定部との間にはそれぞれベアリングが装着される。
【0028】
前記回転部材には制動装置が装着される。
【0029】
本発明の実施例によれば、ベアリングと制動装置の装着位置を軸方向幅外に移動させることによって、動力伝達装置の構成部品の大部分を軸方向幅内に装着することができる。これによって、車両のシャーシ部品との干渉を最小化できるコンパクトな動力伝達装置を実現することができる。
【0030】
本発明の第1~第3実施例によれば、前記従動部材と前記回転部材との結合によって内部空間が形成され、前記動力発生部と前記駆動部材は、前記内部空間内に配置され、前記内部空間内には潤滑剤が満たされる。
【0031】
前記従動ギヤは、少なくとも部分的に前記潤滑剤内に位置することができる。したがって、従動ギヤが回転する時、従動ギヤが潤滑剤を汲み上げてギヤの潤滑および電気モータの冷却性を向上させることができる。
【0032】
本発明の第1~第3実施例によれば、前記動力発生部は、動力源を制御するためのデータを検出する検出部と、前記検出部で検出したデータに基づいて前記動力源を制御する制御ユニットとをさらに含むことができる。
【0033】
前記動力発生部は、動力源の周りに形成された冷却部をさらに含むことができる。
【0034】
一部の態様において、前記動力発生部は、動力発生部で発生した動力の回転速度を変化させて駆動部材に伝達する変速部をさらに含むことができる。
【0035】
一部の態様において、前記動力発生部は、動力発生部で発生した動力の回転方向を変化させて駆動部材に伝達する方向転換部をさらに含むことができる。
【0036】
前記動力発生部の一部または全部は、1つのモジュールとして一体に形成される。動力発生部を構成する部品の一部または全部を1つのモジュールとして一体に形成することによって、製造コストを低減し、組立ラインにおける動力伝達装置の組立時間を短縮させることができる。
【0037】
前記固定部には、制御ユニットに電気的に連結された電線が埋設される。また、前記固定部には、前記冷却部に流体的に連結された冷却媒体通路が形成される。
【0038】
本発明の第3実施例によれば、前記電線と冷却媒体通路は、第2固定部に形成される。
【発明の効果】
【0039】
本発明の実施例によれば、電気モータの軸を従動部材の回転軸に対して垂直または垂直に近い角度で配置し、互いに噛み合う一対の駆動ギヤと従動ギヤとを減速機として用いることによって、動力伝達装置の大きさを減少させることができる。したがって、動力伝達装置は、十分な駆動力を発揮しながらも回転輪の幅内の空間に設置可能である。
【0040】
また、単純な構成の減速装置を用いるので、動力伝達効率が高まり、ホイール駆動装置の重量が軽くなって乗り心地が向上できる。
【0041】
また、動力発生部から軸方向に一体に延びた固定部を介して電気モータを車体や懸架装置に固定するので、電気モータに加えられる路面の衝撃が最小化されて動力伝達装置の耐久性が向上できる。
【0042】
さらに、電気モータを駆動/制御/冷却するためのすべての部品を、電気モータが内蔵された動力部に一体に形成することによって、動力伝達装置を車両内に装着することが容易である。
【0043】
その他、本発明の実施例により得ることができたり予測される効果については、本発明の実施例に関する詳細な説明で直接的または暗示的に開示する。つまり、本発明の実施例により予測される多様な効果については、後述する詳細な説明内で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本明細書の実施例は類似の参照符号が同一または機能的に類似の要素を称する、添付した図面と連携した以下の説明を参照してより良く理解されるであろう。
【0045】
図1】本発明の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
図2】本発明の他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
図3】本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
図4】本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
図5】本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0046】
前記参照された図面は必ずしも縮尺に合わせて示されたものではなく、本発明の基本原理を例示する多様な好まれる特徴の多少簡略な表現を提示することが理解されなければならない。例えば、特定の寸法、方向、位置、および形状を含む本発明の特定の設計特徴が特定の意図された応用と使用環境によって一部決定されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書で使用された用語は特定の実施例を記述するための目的に過ぎず、本発明を限定することを意図しない。また、本明細書で使用されるように、単数形態は文脈上明らかに異なって示さない限り、複数形態を含むことが意図される。本明細書で使用される「含む」および/または「含む」という用語は、明示された特徴、整数、段階、作動、エレメントおよび/またはコンポーネントの存在を示すが、1つ以上の他の特徴、整数、段階、作動、コンポーネント、および/またはこれらのグループの存在または付加を排除しないことも理解されなければならない。本明細書に使用されるように、「および/または」という用語は、関連づけて列挙された1つ以上の項目のうち任意の1つまたはすべての組み合わせを含む。「結合された」という用語は、コンポーネントが相互間に直接連結されたり、または1つ以上の媒介コンポーネントを介して間接的に連結される2つのコンポーネント間の物理的関係を表す。
【0048】
「結合手段」またはこれと類似の用語は、少なくとも2つの部材を共に回転するように結合する手段を意味する。結合手段の例としては、これに限定されないが、ボルト、ナット、溶接、圧入、接着、スプラインなどであってもよい。
【0049】
「作動的に連結(operably connected)」またはこれと類似の用語は、少なくとも2つの部材が直接的または間接的に互いに連結されて動力を伝達できることを意味する。しかし、作動的に連結された2つの部材は、常に同一の速度と同一の方向に回転するものではない。
【0050】
ここで使用されるような「車両」または「車両の」といった用語または他の類似の用語は、一般にスポーツユーティリティ車両(sports utility vehicles;SUVs)を含む乗用車、バス、トラック、多様な商業用車両、多様なボートおよび船を含む船舶、汽車、航空機などを含み、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、水素電力自動車および他の代案的な燃料(例えば、石油以外の資源から得られる燃料)の車両を含むと理解される。ここで参照されるように、電気車両(electric vehicle;EV)は、その駆動力の一部として、充電可能なエネルギー貯蔵装置(例えば、1つ以上の充電可能な電気化学セルまたは他のタイプのバッテリ)から得られた電気動力を有する車両である。EVは、自動車に限定されるものではなく、バイク、カート、スクーターなどを含むことができる。また、ハイブリッド車両は、2以上の動力源、例えば、ガソリンベースの動力および電気ベースの動力を有する車両(例えば、ハイブリッド電気車両(hybrid electric vehicle;HEV)である。
【0051】
追加的に、以下の方法またはこれらの態様の一つ以上は、少なくとも1つ以上の制御ユニット(例えば、電子制御ユニット(electronic control unit;ECU)など)または制御器によって実行できることが理解される。「制御ユニット」または「制御器」という用語は、メモリおよびプロセッサを含むハードウェア装置を指し示すことができる。メモリは、プログラム命令を格納するように構成され、プロセッサは、以下により詳しく説明される1つ以上のプロセスを行うためにプログラム命令を実行するように特別にプログラミングされる。
【0052】
図1は、本発明の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0053】
図1に示されているように、本発明の実施例による動力伝達装置1は、出力部材60として機能するホイールハブの内側に装着される。前記動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、回転部材50と、出力部材60とを含む。また、動力伝達装置1は、制動装置40と、ベアリング70とをさらに含むことができる。
【0054】
動力部10は、動力発生部12と、固定部14とを含む。動力発生部12と固定部14は、一体に形成され、動力発生部12は、出力部材60内の空間に配置され、固定部14は、前記動力発生部12から軸方向に延びて出力部材60内の空間外に突出する。前記出力部材60内の空間外に突出した固定部14は、車両のシャーシや懸架装置などに固定的に連結される。
【0055】
動力発生部12は、車両の駆動のための動力を発生させるもので、その内部に動力源16を含む。動力源16は、これに限定されないが、磁場を形成するステータと、前記ステータで発生した磁場によって回転するロータと、前記ロータに固定されてロータと共に回転し、動力を出力する動力源軸18とを含む電気モータであってもよい。前記動力源軸18は、動力発生部12に対して回転可能に配置される。
【0056】
前記動力源16および/または動力源軸18は、径方向に配置されるか、径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜して配置されてもよい。つまり、前記動力源16および/または、動力源軸18の中心軸Xは、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ1で配置される。例えば、動力源16の大きさに応じて、前記角度θ1は、90°±25°の範囲で配置され、高トルクの動力源16が必要な場合には、電気モータの直径が大きくなるので、前記角度θ1は、90°±15°の範囲で配置される。
【0057】
前記従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5は、同一の軸であるか、あるいは互いに平行に配置されてもよい。
【0058】
通常、出力部材60の軸方向幅Wに比べて出力部材60の内部直径Dが大きいので、動力源軸18が径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜するように配置すれば、より大きい容量の動力源16を出力部材60内の空間に配置することができる。また、動力源軸18を径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜するように配置することによって、動力部10が出力部材60の空間外に突出するのを防止することができる。これによって、車両の他の部品と動力部10の干渉を防止することができる。
【0059】
一つの実施例において、固定部14は、その一端が動力発生部12に一体に形成され、その他端が軸方向に沿って延びて出力部材60内の空間外に突出する。前記固定部14の他端は、車体(例えば、シャーシなど)や懸架装置などに固定される。前記固定部14の直径は、動力発生部12の直径より小さくて、ベアリング70と制動装置40を装着するための空間を提供することができる。他の一つの実施例において、前記動力発生部12と固定部14は、互いに異なる材質で製作されて結合されてもよい。
【0060】
固定部14を介して動力発生部12をシャーシや懸架装置などに固定すれば、車両走行時の路面からの衝撃や急発進、急制動時のホイールの衝撃が直接動力発生部12に伝達されず、出力部材60、回転部材50、従動部材30、ベアリング70、および/または固定部14を介してシャーシや懸架装置に伝達されるので、電気モータおよび関連部品の耐久性が向上できる。
【0061】
また、動力発生部12で発生する熱が前記固定部14を通して動力伝達装置1の外部に伝達されるため、動力発生部12の冷却性が向上できる。つまり、前記固定部14は、熱伝達媒体の役割を兼ねることができる。
【0062】
駆動部材20は、動力発生部12の径方向外側に配置され、駆動ギヤ21と、駆動軸24とを含む。前記駆動軸24は、前記動力源軸18に一体に形成されるか、動力源軸18に直接連結されるか、動力源軸18に作動的に連結されて動力源16から発生した動力を受ける。一つの例において、前記動力源軸18の中心軸Xと駆動軸24の中心軸Zは、同軸上に配置されるか、互いに平行であってもよい。これによって、駆動軸24の中心軸Zは、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ2で配置される。例えば、前記角度θ2は、90°±25°の範囲であってもよいが、これに限定されない。
【0063】
駆動ギヤ21は、駆動軸24を介して伝達された動力源16の動力を従動部材30に伝達する。一つの例において、前記駆動ギヤ21は、直径が相対的に小さいピニオンギヤで形成される。前記ピニオンギヤの外周面には駆動歯22が形成されて従動部材30と軸方向に噛合できる。
【0064】
前記従動部材30は、従動ギヤ32と、従動ギヤ32の外周面に形成された従動歯34とを含み、前記駆動歯22は、従動歯34と互いに噛合して駆動部材20の動力を従動部材30に伝達する。
【0065】
一つの例において、従動部材30は、軸方向一側の従動ギヤ32と、軸方向他側の装着部36と、連結部38とを含む。前記従動ギヤ32は、別途に製作されて前記連結部38と結合されるか、装着部36および連結部38と一体に形成されてもよい。
【0066】
従動ギヤ32は、前記出力部材60の空間内で動力発生部12の径方向外側で動力発生部12の少なくとも一部を囲んでいる。前記従動ギヤ32の一端には従動歯34が形成され、前記従動歯34は、駆動歯22に軸方向に噛合する。これによって、従動部材30は、駆動部材20から動力を受けて回転し、動力を回転部材50に伝達する。また、従動ギヤ32の直径は、駆動ギヤ21の直径より大きいので、駆動部材20から従動部材30に動力が伝達される過程でその回転速度が減少する。つまり、本発明の実施例によれば、互いに噛合する駆動部材20と従動部材30とを介して車両の発進または高速走行に必要な減速比を得ることができる。したがって、互いに噛合する一対のギヤだけで構成される簡単な構造の減速装置によって、小型、軽量の動力伝達装置1を実現することができる。
【0067】
前記駆動ギヤ21と従動ギヤ32は、一対のベベルギヤ、スパイラルベベルギヤ、ハイポイドギヤ、内接ギヤなどであってもよい。このように、本発明の実施例による動力伝達装置1は、一対のギヤだけで必要な減速比を得ることが可能で、遊星ギヤおよび/または多段の減速機を用いるホイール駆動システムに比べて高い動力伝達効率を得ることができる。
【0068】
装着部36は、前記固定部14の径方向外側で前記固定部14の少なくとも一部を囲んでいる。前記装着部36の直径は、従動ギヤ32の直径より小さい。前記装着部36が固定部14から離隔して固定部14の少なくとも一部を囲むようにすることによって、前記装着部36の内周面と固定部14の外周面との間にベアリング70を設けることができる。前記ベアリング70の個数および大きさは、設計者によって適切に設定可能である。図1に示された例において、2つのベアリング70が用いられ、2つのベアリング70の間にはスペーサ72が配置される。また、ベアリング70の位置を固定するために、装着部36の他端には、半径内側に折曲された段差部が形成される。また、必要な場合、装着部36および/または固定部14に設けられるスナップリング74を介してベアリング70の位置を固定することができる。
【0069】
連結部38は、その直径が互いに異なる従動ギヤ32と装着部36とを連結する。連結部38の形状は、動力発生部12の形状に応じて決定可能である。車体または懸架装置に固定される動力発生部12と、動力を受けて回転する連結部38とは、互いに離隔する。
【0070】
駆動部材20から動力が伝達されれば、従動部材30は、その中心軸Y1を中心に回転する。従動部材30の中心軸Y1は、固定部14の中心軸Y5と一致するか、同軸上に配置されるか、平行に配置されてもよい。
【0071】
制動装置40は、前記従動部材30または回転部材50に装着されてもよいし、制動ディスク44と、一対のキャリパ46とを含むことができる。一つの例において、制動装置40は、前記連結部38の他面に結合手段42を介して装着される。つまり、制動ディスク44が前記連結部38の他面に結合手段42を介して装着されて従動部材30と共に回転し、一対のキャリパ46は、前記制動ディスク44を基準として両側にそれぞれ配置される。一対のキャリパ46は、制動ディスク44に向かって互いを向いて移動して制動ディスク44の回転を妨げることによって制動を実現する。制動装置40の装着位置は、連結部38に限定されない。例えば、制動装置40は、装着部36に装着されてもよい。他の一つの例において、前記制動装置40は、従動部材30の代わりに回転部材50(例えば、円板部54など)に装着されてもよい。また、前記制動装置40は、ディスクブレーキまたはドラムブレーキであってもよい。
【0072】
回転部材50は、前記従動部材30に作動的に連結されて従動部材30および/または従動ギヤ32から動力を受ける。前記回転部材50は、一面が塞がれ他面が開放された円筒形状になっており、前記動力発生部12、駆動部材20および/または従動部材30の少なくとも一部を囲んでいる。前記回転部材50は、円筒部52と、円板部54とを含む。円筒部52と円板部54は、一体に形成される。
【0073】
前記円筒部52は、軸方向に沿って延び、円筒部52の軸方向一端部は、駆動部材20と径方向に離隔し、円筒部52の軸方向他端部は、結合手段56を介して前記従動部材30および/または従動ギヤ32に結合される。
【0074】
円板部54は、前記円筒部52の一面を塞いで、異物が回転部材50の内部に流入するのを防止する。また、円板部54には、出力部材60との結合のための結合手段68が一体に形成されるか、別途に備えられてもよい。
【0075】
回転部材50が結合手段56を介して従動部材30に作動的に連結されるので、従動部材30が回転すれば、回転部材50も共にその中心軸Y2を中心に回転する。この時、従動部材30の中心軸Y1と回転部材50の中心軸Y2は、一致するか、同軸上に配置される。
【0076】
前記従動部材30と回転部材50との結合によって動力伝達装置1内に内部空間55が形成される。前記内部空間55には、動力部10、駆動部材20、そして前記固定部14の一部が配置される。
【0077】
一つの実施例において、前記動力部10および/または動力発生装置12の少なくとも一部は、前記従動ギヤ32の内径部に設けられる。
【0078】
一つの実施例において、前記動力部10および/または動力発生装置12の少なくとも一部は、前記従動部材30の内部に配置される。
【0079】
出力部材60は、前記回転部材50および/または従動部材30に作動的に連結されて最終的に動力を出力する。前記出力部材60は、ホイールハブであってもよい。出力部材60は、概して円筒形状になっている。出力部材60は、径方向突出部62と、軸方向延長部64と、回転輪結合部66とを含む。径方向突出部62、軸方向延長部64、そして回転輪結合部66は、一体に形成される。
【0080】
軸方向延長部64は、軸方向に延びて動力伝達装置1が配置される空間を形成する。軸方向延長部64は、出力部材60の軸方向幅Wを定義し、少なくとも動力発生部12、駆動部材20、駆動ギヤ21、従動部材30、従動ギヤ32および回転部材50は、軸方向延長部64と回転輪結合部66とによって定義される軸方向幅W内に大部分配置される。これによって、出力部材60の軸方向幅W外に配置される部品を最小化することができ、それによって動力伝達装置1と車両の部品との間の干渉を最小化することができる。したがって、動力伝達装置1は、車両のシャーシや車体に装着することが非常に容易になる。
【0081】
径方向突出部62は、軸方向延長部64の一端部から半径内側に突出しており、回転部材50に結合手段68を介して結合される。
【0082】
回転輪結合部66は、軸方向延長部64の軸方向の両端から径方向外側に突出する。前記回転輪結合部66には回転輪2が結合する。前記回転輪2は、ゴムタイヤ、ウレタン車輪などであってもよい。
【0083】
出力部材60が結合手段68を介して回転部材50および/または従動部材30に作動的に連結されるので、回転部材50および/または従動部材30が回転すれば、出力部材60も共にその中心軸Y3を中心に回転する。この時、回転部材50の中心軸Y2と出力部材60の中心軸Y3は、一致するか、同軸上に配置されるか、互いに平行に配置されてもよい。
【0084】
一つの例において、前記従動部材30に出力部材60との結合のための結合手段68を備え、従動部材30を介して前記出力部材60を駆動することができる。この例において、従動部材30と結合される回転部材50の一端は、ベアリング70を介して前記固定部14上に回転可能に設けられる。
【0085】
前記出力部材60には、前記回転輪2に空気を注入するための空気注入装置4が装着される。
【0086】
一つの実施例において、前記回転部材50と出力部材60は、一体に形成される。
【0087】
一つの実施例において、前記動力部10には、ホールセンサ(Hall sensor)、レゾルバ(resolver)および/またはモータドライバ(Motor driver)が内蔵されていてもよい。
【0088】
一つの実施例において、前記動力発生装置12と前記固定部14には、電気モータの冷却のための空間が備えられていてもよい。
【0089】
一つの実施例において、前記動力部10と固定部14には、電気モータの電源/制御/通信などのための電線を配置するための空間が備えられていてもよい。
【0090】
一つの実施例において、前記制動装置40は、前記内部空間55に配置される。この場合、前記制動装置40は、湿式多板ブレーキ(Wet multi-plate brake)であってもよい。
【0091】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32は、従動部材30と別個に製作され、従動ギヤ32と従動部材30との間には追加的な減速装置が設けられる。この場合、前記減速装置は、遊星ギヤなどであってもよい。
【0092】
一つの実施例において、前記動力源軸18の動力は、追加的な変速装置を介して前記駆動軸24に伝達される。
【0093】
一つの実施例において、前記動力源軸18は、路面(Road surface)に対して水平、垂直、または任意の角度で配置される。つまり、動力源軸18の中心軸Xと重力方向との間の角度は、-180°~180°であってもよい。
【0094】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32は、路面に対して垂直に配置される。つまり、従動歯34は、路面に対して垂直な平面上に配置される。
【0095】
一つの例において、前記内部空間55には、動力伝達装置1の構成部品の潤滑のために潤滑剤Oが満たされていてもよい。
【0096】
一つの例において、前記従動ギヤ32および/または駆動ギヤ21の少なくとも一部は、前記潤滑剤Oに浸るように配置されてもよい。
【0097】
一つの例において、電気モータのセンシング部およびまたは制御部は、前記潤滑剤Oに浸らないように配置されてもよい。
【0098】
図2は、本発明の他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0099】
図2に示されているように、本発明の他の実施例による動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、制動装置40と、回転部材50と、出力部材60と、ベアリング70とを含む。説明の便宜上、図2には出力部材60を省略した。しかし、図1に示された出力部材60が、図2に示された動力伝達装置1に同一または類似に適用可能であることを、当業者は理解するであろう。また、本発明の実施例による動力伝達装置1の構成部品と同一または機能的に類似の本発明の他の実施例による動力伝達装置1の構成部品に関する説明は省略したり、簡略に説明される。
【0100】
動力部10は、動力発生部12と、固定部14とを含む。動力発生部12と固定部14の一部または全部は、一体に形成される。
【0101】
動力発生部12は、動力源16と、変速部110と、検出部106と、制御ユニット108とを含む。前記動力源16、変速部110、検出部106、そして制御ユニット108の一部または全部は、1つのモジュールとして一体に形成される。これによって、部品の製造コストを低減し、組立ラインにおける組立時間を短縮させることができる。
【0102】
動力源16は、電気モータであってもよいし、動力源軸18を含む。前記動力源16および/または動力発生部12の少なくとも一部分は、従動部材30の径方向内側に配置され、前記動力源軸18は、径方向に配置されるか、径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜して配置されてもよい。つまり、前記動力源16の中心軸Xは、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ1で配置される。例えば、動力源16の大きさに応じて、前記角度θ1は、90°±25°の範囲で配置され、高トルクの動力源16が必要な場合には、電気モータの直径が大きくなるので、前記角度θ1は、90°±15°の範囲で配置される。
【0103】
変速部110は、前記動力源軸18に作動的に連結され、動力源軸18を介して伝達された動力の回転速度を変換して駆動軸24に伝達することができる。
【0104】
駆動軸24の中心軸Zは、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ2で配置される。例えば、前記角度θ2は、90°±25°の範囲で配置される。
【0105】
一つの例において、前記変速部110は、複数のギヤを含むギヤボックスであってもよい。他の一つの例において、前記変速部110は、複数のギヤと、前記複数のギヤの間の連結を制御する切換部(shifting module)とを含み、2つ以上のギヤ比を実現することができる。
【0106】
検出部106は、前記動力源16と変速部110を制御するためのデータを検出する。例えば、検出部106は、動力源16の回転速度および位置を検出する速度センサおよび/または位置センサ、動力源16の温度および潤滑剤Oの温度を検出する温度センサを含むことができる。
【0107】
制御ユニット108は、検出部106で検出されたデータに基づいて動力源16および/または変速部110の作動を制御する。例えば、制御ユニット108は、動力源16を駆動するためのモータドライバ、バッテリの電源を動力源16の駆動に要求される電源に変換するためのコンバータ、インバータおよび/またはキャパシタ、そして検出部106および外部の制御ユニットと通信するための通信モジュールの少なくとも1つを含むことができる。前記制御ユニット108は、印刷回路基板(Printed Circuit Board;PCB)で形成される。
【0108】
前記制御ユニット108は、車両制御装置(Vehicle Control Unit;VCU)などから車両の姿勢制御、ホイールスリップ制御、トルクベクタリング制御、回生制動などを行うための信号/命令を受けて電気モータの回転数およびトルクを制御することができる。また、制御ユニット108は、電気モータの電流や温度が過度に上昇する場合、電気モータを保護するための制御を行い、車両制御装置にそれに関する情報を提供することもできる。
【0109】
動力発生部12は、その内部に形成された冷却部102をさらに含むことができる。冷却部102は、動力源16の周辺に形成されて動力源16を冷却することができる。冷却部102は、ウォータージャケット、オイルジャケット、またはエアジャケットで形成される。
【0110】
固定部14は、前記動力発生部12から軸方向に延びて車体や懸架装置に固定される。前記固定部14内には、冷却部102に流体的に連結された冷却媒体通路104が形成され、制御ユニット108に電気的/信号的に連結された電線112が埋設される。前記電線112を介して、制御ユニット108は、外部の制御ユニットと通信し、バッテリから電源を受けることができる。
【0111】
制御ユニット108に連結される電線112を固定部14の内部に埋設することによって、電線112が動力伝達装置1内の回転部品と干渉されるのを防止し、電線112が高温の部品や潤滑剤Oに露出/接触しないようにすることによって、制御ユニット108の信頼性を高めることができる。
【0112】
駆動部材20は、変速部110に作動的に連結される駆動軸24を含む。動力源16で発生した動力は、変速部110によってその回転速度が変化し、回転速度が変化した動力は、駆動軸24に伝達される。ここで、前記動力源軸18の中心軸Xと駆動軸24の中心軸Zは、同軸上に配置されるか、互いに平行であってもよい。
【0113】
従動部材30は、前記駆動部材20と軸方向に噛合して駆動部材20から動力を受ける。先に言及したように、駆動部材20の駆動ギヤ21と従動部材30の従動ギヤ32とが互いに噛合することによって、駆動部材20の回転速度が減速して従動部材30に伝達される。
【0114】
回転部材50は、結合手段56を介して従動部材30および/または従動ギヤ32に作動的に連結されて従動部材30から動力を受ける。前記回転部材50の内部には、動力伝達装置1の構成部品の潤滑および冷却のための潤滑剤Oが注入されていてもよい。また、複数の従動歯34の一部は、前記潤滑剤O内に浸っていてもよい。したがって、従動部材30が回転すれば、従動歯34の一部は、回転部材50内部の潤滑剤Oを汲み上げて潤滑および冷却効率を向上させることができる。前記回転部材50内の潤滑剤Oが回転部材50の外部に漏れていくのを防止するために、前記回転部材50と従動部材30との間には密封手段114が配置される。前記密封手段114は、ゴムシール、液状ガスケットなどであってもよい。
【0115】
前記潤滑剤Oは、動力伝達装置1で発生する騒音を抑制するのに役立つことができる。前記潤滑剤Oは、変速機オイル、グリースなどであってもよい。
【0116】
本発明の他の実施例によれば、冷却部102、動力源16、変速部110、検出部106、そして制御ユニット108の少なくとも一部を1つのモジュールとして一体に形成することによって、コンパクトな動力伝達装置1を実現することができる。これによって、動力伝達装置1の大部分を出力部材60の軸方向幅Wと出力部材60の内部直径D内に配置することができ、車両の部品との干渉を防止することができる。また、動力伝達装置1の冷却のための冷却媒体通路104と、動力伝達装置1の制御のための電線112を出力部材60の軸方向幅W外に突出する固定部14内に設けることによって、車両搭載性、組立性および整備性などが向上できる。
【0117】
また、電気モータを制御するための制御ユニット108が動力伝達装置1の内部に備えられるので、例えば、車両制御装置(VCU)などとの役割を分担して全体的な制御システムの効率性を高めることができる。
【0118】
本発明の他の実施例によれば、一対のギヤ、例えば、駆動ギヤ21と従動ギヤ32とからなる減速装置だけで車輪の駆動のために必要な駆動力を得ることができる。
【0119】
一つの実施例において、前記動力部10の一端は、荷重支持手段を介して前記回転部材50上に支持できる。前記荷重支持手段は、ベアリングなどであってもよい。
【0120】
図3は、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0121】
図3に示されているように、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、制動装置40と、回転部材50と、出力部材60と、ベアリング70とを含む。説明の便宜上、図3には制動装置40と出力部材60を省略した。しかし、図1に示された制動装置40と出力部材60は、図3に示された動力伝達装置1に同一または類似に適用可能であることを、当業者は理解するであろう。また、本発明の実施例による動力伝達装置1の構成部品と同一または機能的に類似の本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1の構成部品に関する説明は省略したり、簡略に説明される。
【0122】
動力部10は、動力発生部12と、固定部14とを含み、動力発生部12と固定部14は、一体に形成される。
【0123】
動力発生部12は、動力源16と、方向転換部120とを含む。動力源16または動力発生部12と方向転換部120は、1つのモジュールとして一体に形成される。
【0124】
動力源16は、電気モータであってもよいし、動力源軸18を含む。前記動力源軸18は、径方向に配置されるか、径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜して配置されてもよい。つまり、前記動力源軸18は、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ1で配置される。例えば、動力源16の大きさに応じて、前記角度θ1は、90°±25°の範囲で配置され、高トルクの動力源16が必要な場合には、前記角度θ1は、90°±15°の範囲で配置される。
【0125】
方向転換部120は、動力源軸18に作動的に連結され、動力源軸18を介して伝達された動力の回転速度および/または回転軸の方向を変換して駆動軸24に伝達することができる。一つの例において、方向転換部120は、複数のギヤを含むギヤボックスであってもよいし、前記複数のギヤは、ベベルギヤのように回転軸の方向を変換して伝達可能なギヤを含むことができる。他の一つの例において、前記方向転換部120は、前記複数のギヤ間の連結を制御する切換部(Shifting module)を含み、2つ以上のギヤ比を実現することができる。
【0126】
駆動部材20は、方向転換部120に作動的に連結される駆動軸24を含む。動力源16で発生した動力は、方向転換部120によってその回転速度と回転軸の方向が変化し、回転速度と回転軸の方向が変化した動力は、駆動軸24に伝達される。ここで、前記動力源軸18の中心軸Xと駆動軸24の中心軸Zとの間の角度θ3は、90°±25°の範囲であってもよい。
【0127】
従動部材30は、前記駆動部材20の径方向外側に配置され、駆動部材20と径方向で噛合して駆動部材20から動力を受ける。駆動部材20の駆動歯22の個数と従動部材30の従動歯34の個数を調節することによって、駆動部材20の回転速度が減速して従動部材30に伝達できる。前記駆動ギヤ21と従動ギヤ32は、一対の内接ギヤであってもよい。
【0128】
本発明のさらに他の実施例によれば、動力源16と駆動部材20との間に方向転換部120を配置することによって、従動部材30と駆動部材20の配置形態に応じて動力伝達方向を変更しながらもコンパクトな動力伝達装置1を実現することができる。このように、回転軸の方向を変化させることができる方向転換部120のような多様な形態のギヤボックスを適用すれば、動力伝達装置1の設計自由度が高まる。
【0129】
一つの実施例において、前記回転部材50と従動部材30は、一体に形成される。
【0130】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32は、別個に製作されて前記従動部材30および/または前記回転部材50と結合される。
【0131】
一つの実施例において、前記方向転換部120には、ソレノイド、電気モータなどによる変速機構が動力発生部12と一体に備えられていてもよい。
【0132】
一つの実施例において、前記固定部14の中心軸Y5は、路面(Road surface)に対して平行にまたは平行に近く配置されてもよい。
【0133】
図4は、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0134】
図4に示されているように、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、制動装置40と、回転部材50と、ベアリング70と、回転輪2とを含む。説明の便宜上、本発明の実施例による動力伝達装置1の構成部品と同一または機能的に類似の本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1の構成部品に関する説明は省略したり、簡略に説明される。
【0135】
本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1において、回転部材50の全体的な形状は、図1および図2に示された回転部材50の形状と類似しているが、前記回転部材50の円板部54から軸方向一側に突出した軸部58をさらに含む。前記軸部58は、動力伝達装置1に作用する荷重を分散、支持するための追加的な荷重支持手段を設けるためのものである。このために、前記軸部58の外径部には追加的なベアリング80が設けられてもよいし、前記ベアリング80の外径部には、前記ベアリング80と軸部58の少なくとも一部を囲むベアリング支持部90が備えられる。
【0136】
前記ベアリング80は、スナップリング84などのような固定手段によって軸部58とベアリング支持部90に固定される。前記ベアリング80の個数および大きさは、設計者によって適切に設定可能である。
【0137】
一つの例において、前記軸部58は、従動部材30上に備えられる。この例において、前記回転部材50の一端は、ベアリング70を介して前記固定部14上に回転可能に設けられる。
【0138】
本発明のさらに他の実施例による前記動力伝達装置1は、車両の荷重や路面の衝撃などを動力伝達装置1の軸方向両側に設けられたベアリング70、80を介してホイール駆動装置の両側で支持するので、動力伝達装置1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0139】
本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、出力部材60を含まない。図4に示された動力伝達装置1によれば、出力部材60の代わりに回転部材50が動力を最終的に出力することができる。例えば、図4に示しているように、回転輪2が回転部材50上に直接結合される。この場合、前記動力発生部12、駆動部材20、そして従動部材30の少なくとも一部は、回転部材50の軸方向幅W1内に大部分配置される。
【0140】
本実施例において、前記回転輪2は、ソリッドタイヤ(Solid tire)や類似のホイールなどであってもよい。
【0141】
本実施例によれば、動力発生部12の中心軸X方向の長さは、従動ギヤ32の内径より小さく設定される。
【0142】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32と従動部材30は、互いに中心軸が一致し、前記固定部14および/または軸部58の中心軸に対して同軸または平行であってもよい。
【0143】
一つの実施例において、前記動力源軸18は、路面(Road surface)に対して水平、垂直、または任意の角度で配置されてもよい。つまり、動力源軸18の中心軸Xと重力方向との間の角度は、-180°~180°であってもよい。言い換えれば、動力源軸18の中心軸Xは、前記固定部14および/または軸部58に対して360度の範囲内で任意に設けられる。
【0144】
前記動力伝達装置1は、駆動力を備えた操舵ホイール(Steerable driving wheel)などに有用に適用可能である。一つの例において、前記固定部14とベアリング支持部90は、操舵軸に連結される部材として用いられる。
【0145】
また、前記動力伝達装置1は、2輪車両の駆動輪などに効果的に適用可能である。
【0146】
図5は、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0147】
図5に示されているように、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、制動装置40と、回転部材50と、ベアリング70と、回転輪2とを含む。説明の便宜上、本発明の実施例による動力伝達装置1の構成部品と同一または機能的に類似の本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1の構成部品に関する説明は省略したり、簡略に説明される。
【0148】
本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1において、動力部10は、動力発生部12と、固定部14と、第2固定部15とを含む。動力発生部12、固定部14、そして第2固定部15は、一体に形成され、動力発生部12は、従動部材30内の空間に配置され、第2固定部15は、動力発生部12の軸方向一面から軸方向一側に延びて従動部材30内の空間外に突出し、固定部14は、動力発生部12の軸方向他面から軸方向他側に延びて回転部材50内の空間外に突出する。前記回転部材50内の空間外に突出した固定部14と従動部材30内の空間外に突出した第2固定部15は、車両のシャーシや懸架装置などに固定的に連結される。また、前記第2固定部15には、動力伝達装置1に作用する荷重を分散、支持するための追加的な荷重支持手段が設けられてもよい。このために、前記第2固定部15の外径部には追加的なベアリング80が設けられてもよいし、前記ベアリング80は、スナップリング84などのような固定手段によって第2固定部15と従動部材30の装着部36に固定される。前記ベアリング80の個数および大きさは、設計者によって適切に設定可能である。
【0149】
従動部材30は、第2円筒部31と、連結部38と、従動ギヤ32と、装着部36とを含む。第2円筒部31は、軸方向に延びて従動部材30の軸方向幅W2を定義し、装着部36は、第2固定部15を少なくとも部分的に囲み、装着部36と第2固定部15との間にはベアリング80が配置され、連結部38は、互いに異なる直径を有する第2円筒部31と装着部36とを互いに連結する。前記第2円筒部31および/または連結部38の内面には従動ギヤ32が固定されており、前記従動ギヤ32は、駆動ギヤ21と噛合して動力を受ける。
【0150】
一つの例において、第2円筒部31、連結部38、そして装着部36は、一体に形成され、前記従動ギヤ32は、別個に形成されて前記第2円筒部31および/または連結部38に付着できる。他の一つの例において、第2円筒部31、連結部38、従動ギヤ32、そして装着部36がすべて一体に形成されてもよい。
【0151】
回転部材50は、結合手段56を介して前記従動部材30に作動的に連結されて従動部材30から動力を受ける。前記回転部材50は、前記第2円筒部31の内側面に結合手段56を介して結合する円筒部52と、前記円筒部52から径方向内側に延びる円板部54と、前記円板部54の内径端から軸方向他側に延びて前記固定部14を囲む第2装着部57とを含む。前記固定部14と第2装着部57との間にはベアリング70が配置される。
【0152】
一つの例において、前記円筒部52、円板部54、そして第2装着部57は、一体に形成される。
【0153】
本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、出力部材60を含まない。図5に示された動力伝達装置1によれば、出力部材60の代わりに従動部材30が動力を最終的に出力することができる。例えば、図5に示しているように、回転輪2が従動部材30上に直接結合される。この場合、前記動力発生部10、駆動部材20、そして回転部材50の少なくとも一部は、従動部材30の軸方向幅W2内に大部分配置される。
【0154】
本発明のさらに他の実施例による前記動力伝達装置1は、車両の荷重や路面の衝撃などを動力伝達装置1の軸方向両側に設けられたベアリング70、80を介してホイール駆動装置の両側で支持するので、動力伝達装置1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0155】
本実施例において、前記回転輪2は、ソリッドタイヤ(Solid tire)や類似のホイールなどであってもよい。
【0156】
一つの実施例において、前記従動部材30の装着部36の内径部は塞がれており、前記第2固定部15は、動力伝達装置1の外部に突出せず、内部空間55内で前記ベアリング80によって支持できる。
【0157】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32の中心軸Y2は、前記固定部14および/または第2固定部15に対して同軸上に配置されるか、平行に配置されてもよい。
【0158】
前記動力源軸18は、路面(Road surface)に対して水平、垂直、または任意の角度で配置される。つまり、動力源軸18の中心軸Xと重力方向との間の角度は、-180°~180°であってもよい。言い換えれば、動力源軸18の中心軸Xは、前記固定部14および/または第2固定部15に対して360度の範囲内で任意に設けられる。
【0159】
前記動力伝達装置1は、駆動力を備えた操舵ホイール(Steerable driving wheel)などに有用に適用可能である。一つの例において、前記固定部14と第2固定部15は、操舵軸に連結される部材として用いられる。
【0160】
また、前記動力伝達装置1は、2輪車両の駆動輪などに効果的に適用可能である。
【0161】
図6は、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置の概略断面図である。
【0162】
図6に示されているように、本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1は、動力部10と、駆動部材20と、従動部材30と、制動装置40と、回転部材50と、出力部材60と、ベアリング70とを含む。説明の便宜上、本発明の実施例による動力伝達装置1の構成部品と同一または機能的に類似の本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1の構成部品に関する説明は省略したり、簡略に説明される。
【0163】
本発明のさらに他の実施例による動力伝達装置1において、動力部10は、動力発生部12と、固定部14と、第2固定部15とを含む。動力発生部12、固定部14、そして第2固定部15は、一体に形成され、動力発生部12は、内部空間55内に配置され、第2固定部15は、動力発生部12の軸方向一面から軸方向一側で延びかつ内部空間55内に配置され、固定部14は、動力発生部12の軸方向他面から軸方向他側に延びて内部空間55外に突出する。前記内部空間55外に突出した固定部14は、車両のシャーシや懸架装置などに固定的に連結される。また、前記第2固定部15には、動力伝達装置1に作用する荷重を分散、支持するための追加的な荷重支持手段が設けられてもよい。このために、前記回転部材50の円板部54は、前記第2固定部15を径方向外側で囲む第2装着部57を含み、前記第2固定部15の外面と第2装着部57の内面との間には追加的なベアリング80が設けられてもよく、前記ベアリング80は、円板部54と動力発生部12の軸方向一面によって軸方向に支持できる。前記ベアリング80の個数および大きさは、設計者によって適切に設定可能である。
【0164】
動力源16は、電気モータであってもよいし、動力源軸18を含む。前記動力源16および/または動力発生部12の少なくとも一部分は、従動部材30の径方向内側に配置され、前記動力源軸18は、径方向に配置されるか、径方向に対して-25°~25°の範囲で傾斜して配置されてもよい。つまり、前記動力源16の中心軸Xは、従動部材30の中心軸Y1、回転部材50の中心軸Y2、出力部材60の中心軸Y3、回転輪2の中心軸Y4、および/または固定部14の中心軸Y5に対して直角または直角に近い角度θ1で配置される。例えば、動力源16の大きさに応じて、前記角度θ1は、90°±25°の範囲で配置され、高トルクの動力源16が必要な場合には、電気モータの直径が大きくなるので、前記角度θ1は、90°±15°の範囲で配置される。
【0165】
駆動部材20は、動力源軸18に作動的に連結される駆動軸24を含む。動力源16で発生した動力は、駆動軸24に伝達される。ここで、前記動力源軸18の中心軸Xと駆動軸24の中心軸Zは、同軸上に配置されるか、互いに平行であってもよい。
【0166】
従動部材30は、前記駆動部材20と軸方向に噛合して駆動部材20から動力を受ける。先に言及したように、駆動部材20の駆動ギヤ21と従動部材30の従動ギヤ32とが互いに噛合することによって、駆動部材20の回転速度が減速して従動部材30に伝達される。
【0167】
回転部材50は、結合手段56を介して従動部材30および/または従動ギヤ32に作動的に連結されて従動部材30から動力を受ける。前記回転部材50の内部には、動力伝達装置1の構成部品の潤滑および冷却のための潤滑剤Oが注入されていてもよい。また、複数の従動歯34の一部は、前記潤滑剤O内に浸っていてもよい。したがって、従動部材30が回転すれば、従動歯34の一部は、回転部材50内部の潤滑剤Oを汲み上げて潤滑および冷却効率を向上させることができる。前記回転部材50内の潤滑剤Oが回転部材50の外部に漏れ出るのを防止するために、前記回転部材50と従動部材30との間には密封手段114が配置される。前記密封手段114は、ゴムシール、液状ガスケットなどであってもよい。
【0168】
前記潤滑剤Oは、動力伝達装置1で発生する騒音を抑制するのに役立つことができる。前記潤滑剤Oは、変速機オイル、グリースなどであってもよい。
【0169】
出力部材60は、前記回転部材50および/または従動部材30に作動的に連結されて最終的に動力を出力する。前記出力部材60は、ホイールハブであってもよい。出力部材60が結合手段68を介して回転部材50および/または従動部材30に作動的に連結されるので、回転部材50および/または従動部材30が回転すれば、出力部材60も共にその中心軸Y3を中心に回転する。この時、回転部材50の中心軸Y2と出力部材60の中心軸Y3は、一致するか、同軸上に配置されるか、互いに平行に配置されてもよい。
【0170】
本発明のさらに他の実施例による前記動力伝達装置1は、車両の荷重や路面の衝撃などを動力伝達装置1の軸方向両側に設けられたベアリング70、80を介してホイール駆動装置の両側で支持するので、動力伝達装置1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0171】
一つの実施例において、前記従動ギヤ32の中心軸Y2は、前記固定部14および/または第2固定部15に対して同軸上に配置されるか、平行に配置されてもよい。
【0172】
前記動力源軸18は、路面(Road surface)に対して水平、垂直、または任意の角度で配置される。つまり、動力源軸18の中心軸Xと重力方向との間の角度は、-180°~180°であってもよい。言い換えれば、動力源軸18の中心軸Xは、前記固定部14および/または第2固定部15に対して360度の範囲内で任意に設けられる。
【0173】
本発明の実施例による動力伝達装置1は、上述した効果以外に追加的なメリットがある。例えば、既存のホイール駆動装置やインホイールモータシステムに比べて大きさが小さくなって、動力伝達装置1の重量が減少できる。これによって、車両の懸架装置のばね下重量(Unsprung mass)が減少して乗り心地が向上できる。また、比較的重量の大きい動力部が車体や懸架装置に固定されるので、ホイールの回転慣性が減少して車両の発進および加速性能の向上に役立つことができる。
【0174】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は上記の実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による、容易に変更されて均等と認められる範囲のすべての変更を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と、
その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義し、前記回転部材に結合して回転部材と共に回転する出力部材と、
を含み、
前記動力発生部は、
動力源を制御するためのデータを検出する検出部と、
動力源の周りに形成された冷却部と
をさらに含み、
前記動力発生部及び前記駆動部材は、出力部材によって定義される軸方向幅内に配置される動力伝達装置。
【請求項2】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に延びた固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含む従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転し、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する回転部材と
を含み、
前記動力発生部は、
動力源を制御するためのデータを検出する検出部と、
動力源の周りに形成された冷却部と
をさらに含み、
前記動力発生部及び前記駆動部材は、前記回転部材によって定義される軸方向幅内に配置される動力伝達装置。
【請求項3】
動力を発生させる動力源を含む動力発生部と、前記動力発生部から軸方向に互いに反対方向に延びる固定部および第2固定部とを含む動力部と、
前記動力源に作動的に連結され、駆動ギヤを含む駆動部材と、
前記駆動ギヤに噛合する従動ギヤを含み、その上に回転輪が装着され、軸方向幅を定義する従動部材と、
前記従動部材に結合されて従動部材と共に回転する回転部材と
を含み、
前記動力発生部は、
動力源を制御するためのデータを検出する検出部と、
前記動力源の周りに形成された冷却部と
をさらに含み、
前記動力発生部及び前記駆動部材は、前記従動部材によって定義される軸方向幅内に配置される動力伝達装置。
【請求項4】
前記固定部には、前記冷却部に流体的に連結された冷却媒体通路が形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記動力発生部は、前記検出部で検出したデータに基づいて前記動力源を制御する制御ユニットをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項6】
前記固定部には、制御ユニットまたは検出部に電気的に連結された電線が埋設される、請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】
前記動力発生部は、前記検出部で検出したデータに基づいて前記動力源を制御する制御ユニットをさらに含み、
前記固定部と第2固定部のうちの一つには前記冷却部に流体的に連結された冷却媒体通路が形成され、前記固定部と第2固定部のうちの他の一つには制御ユニットまたは検出部に電気的に連結された電線が埋設される、請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項8】
前記従動部材には制動装置が装着される、請求項1または2に記載の動力伝達装置。
【請求項9】
前記回転部材には制動装置が装着される、請求項3に記載の動力伝達装置。
【請求項10】
前記従動部材と前記回転部材との結合によって内部空間が形成され、前記動力発生部及び前記駆動部材は前記内部空間内に配置され、前記内部空間内には潤滑剤が満たされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項11】
前記従動ギヤは、少なくとも部分的に前記潤滑剤内に位置する、請求項10に記載の動力伝達装置。
【請求項12】
前記動力発生部は、動力発生部で発生した動力の回転速度を変化させて駆動部材に伝達する変速部をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【請求項13】
前記動力発生部は、動力発生部で発生した動力の回転方向を変化させて駆動部材に伝達する方向転換部をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【国際調査報告】