(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】動き検出のための受信機処理回路、並びに関連するシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/292 20060101AFI20231122BHJP
G01S 13/56 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G01S7/292 200
G01S13/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530854
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 US2021072599
(87)【国際公開番号】W WO2022115862
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザウアー、ピーター
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB08
5J070AC02
5J070AD06
5J070AE09
5J070AF01
5J070AF03
5J070AH02
5J070AH31
(57)【要約】
チャネルインパルス応答信号を使用する動き検出、並びに関連するシステム、方法、及び装置が開示される。装置は、受信機処理回路のアナログ入力端子と、アナログデジタル変換器(ADC)回路と、プロセッサとを含む。アナログ入力端子は、受信機アンテナによって提供される反射された所定のパターン信号を受信する。ADC回路は、アナログ入力端子によって受信された反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成する。プロセッサは、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均を決定し、決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、前記装置は、
受信機処理回路のアナログ入力端子であって、前記アナログ入力端子は、受信機アンテナによって提供される反射された所定のパターン信号を受信する、受信機処理回路のアナログ入力端子と、
前記アナログ入力端子によって受信された前記反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成するアナログデジタル変換器(ADC)回路と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
前記反射された所定のパターンサンプルの複数の集合であって、前記複数の集合の各集合は、前記反射された所定のパターン信号の所定の時間窓に対応する所定の数の前記反射された所定のパターンサンプルを含む、複数の集合を取り込み、
前記反射された所定のパターンサンプルの前記複数の集合の合計の大きさの平均を決定し、かつ
前記決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定する、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
正規化された平均を生成するために、前記決定された平均を前記所定の時間窓に対応する反射された所定のパターンサンプルの数で除算し、かつ
前記正規化された平均が前記所定の閾値を超えることに応答して、前記移動物体が検知されたと決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記決定された平均が前記所定の閾値を超えることに応答して、前記移動物体が検知されたと決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記受信機処理回路は、送信機の送信機処理回路とは非同期的に動作し、前記送信機処理回路は、所定のパターン信号を生成して、1つ以上の物体による前記所定のパターン信号に対応する所定のパターン波の反射に応答して、前記反射された所定のパターン信号を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記受信機処理回路の利得を調整する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、経時的な反射された所定のパターンサンプルの前記集合の前記値を積分することによって、前記決定された平均を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記反射された所定のパターン信号は、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
システムであって、前記システムは、
所定のパターン信号を生成するための送信機処理回路を含む送信機と、
各々がそれぞれの受信機処理回路を含む1つ以上の受信機と、を備え、前記それぞれの受信機処理回路は、
反射された所定のパターンサンプルを生成するために、反射された所定のパターン信号をサンプリングし、
経時的な前記反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均であって、前記複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する、集合の合計の大きさの平均を決定し、かつ
前記決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定する、システム。
【請求項9】
前記所定のパターン信号は、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の受信機のうちの少なくとも1つは、前記送信機処理回路とは非同期的に動作する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の受信機は、複数の受信機を含み、前記複数の受信機の各々は、それに関連付けられたそれぞれの個々の検出エリアを有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の受信機は、全検出エリアに対して位置決めされており、前記複数の受信機の前記各々に関連付けられた前記それぞれの個々の検出エリアが合計で前記全検出エリアを実質的にカバーする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記それぞれの受信機処理回路は、前記決定された平均が前記所定の閾値を超えたことに応答して、前記移動物体が検出されたと決定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の受信機は、前記移動物体が検出されたという決定に応答してトリガ信号を出力する、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記トリガ信号に応答してトリガする、車両トランク開放機構、ドア開放機構、及び産業オートメーションコントローラのうちの少なくとも1つを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
受信機処理回路を動作させる方法であって、前記方法は、
反射された所定のパターンサンプルを生成するために反射された所定のパターン信号をサンプリングするステップと、
経時的な前記反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均であって、前記複数の集合の各集合は所定の時間窓に対応する、集合の合計の大きさの平均を決定するステップと、
前記決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記平均を決定するステップは、前記反射された所定のパターンサンプルの前記複数の集合の値を積分するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
レーダシステムを動作させる方法であって、前記方法は、
送信機の送信機処理回路によって、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む所定のパターン信号を生成するステップと、
前記送信機の送信アンテナに前記所定のパターン信号を提供するステップと、
受信機の受信機アンテナによって、前記送信アンテナに提供された前記所定のパターン信号に応答して、反射された所定のパターン波を受信するステップと、
反射された所定のパターンサンプルを生成するために前記受信機の受信機処理回路によって、前記反射された所定のパターン波に応答して、反射された所定のパターン信号をサンプリングするステップと、
経時的な前記反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均であって、前記複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する、集合の合計の大きさの平均を決定するステップと、
前記決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【請求項19】
前記移動物体が検出されたと決定するステップは、前記決定された平均が前記所定の閾値を超えることに応答して、前記移動物体が検出されたと決定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年11月24日に出願され、「SHORT RANGE RADAR USING CHANNEL IMPULSE RESPONSE INFORMATION AND RELATED SYSTEMS,METHODS,AND DEVICES」と題された米国特許仮出願第63/198,948号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、概して、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均と所定の閾値とに応答する移動物体の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
一部のレーダシステムは、ドップラー効果に基づいて移動物体を検出し得る。具体的には、連続波無線周波数(Radio Frequency、RF)信号が送信され、送信及び受信されたRF信号が混合されてドップラー信号を生成し得る。ドップラー信号のドップラー周波数は、静止した送信機及び受信機に対する検出された移動物体の速度に比例し得、レーダシステムがレーダシステムの方向における移動物体の速度を検出することを可能にする。連続波信号に加えて、パルス信号及び周波数変調信号もまた、レーダアンテナと検出された物体との間の距離を測定するために使用され得る。
【0004】
短距離レーダデバイスは、多くの場合、単一のデバイスに実装された送信機及び受信機を含み得、送信機及び受信機は、非限定的な実施例として、実質的に24ギガヘルツ(24GHz)又は77ギガヘルツ(77GHz)の周波数範囲で同期して動作する。これらのデバイスは、送信機及び受信機のためにアナログRF信号を使用し得、受信され増幅された信号は、ドップラー信号を生成するために送信されたRF信号と乗算される。先に述べたように、移動物体の速度は、ドップラー信号の周波数に応答して検出され得、これは、1つのデバイスにおいて1つの送信器と1つの受信器との組み合わせ、及び送信器と受信器とを同期して動作させることを必要とし得る。速度を検出するためのこのようなドップラー信号の使用は、短距離レーダデバイスの方向における速度検出に限定され得る。
【0005】
本開示は、特定の実施例を具体的に指摘し明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本開示の範囲内の実施例の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読むと、以下の説明からより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】いくつかの実施例による、レーダシステムのブロック図である。
【
図2A】いくつかの実施例による、
図1の送信機によって送信され得るデータテレグラムである。
【
図2B】いくつかの実施例による、
図2Aのデータテレグラムのプリアンブルの「1」シンボル周波数成分及び「0」シンボル周波数成分を例示するプロットである。
【
図2C】
図2Aのプリアンブル信号PRのパルス列の例のプロットである。
【
図3】いくつかの実施例による、受信機処理回路のブロック図である。
【
図4】いくつかの実施例による、動き検出システムの側面図である。
【
図5】いくつかの実施例による、別の動き検出システムである。
【
図6】いくつかの実施例による、産業オートメーションシステム600ブロック図である。
【
図7A】受信機の受信範囲内に物体がない場合又は静止物体がある(移動物体はない)場合に生じ得るCIR信号の大きさを例示する。
【
図7B】受信機の受信範囲内に物体がない場合又は静止物体がある(移動物体はない)場合に生じ得るCIR信号の大きさを例示する。
【
図8A】受信機の受信範囲内の移動物体で生じ得るCIR信号の大きさを例示する。
【
図8B】受信機の受信範囲内の移動物体で生じ得るCIR信号の大きさを例示する。
【
図9A】移動物体が存在しない場合の平均合計の大きさの例のプロットである。
【
図9B】移動物体が存在する場合の平均合計の大きさの例のプロットである。
【
図10】いくつかの実施例による、受信機処理回路を動作させる方法を例示するフローチャートである。
【
図11】いくつかの実施例による、レーダシステムを動作させる方法を例示するフローチャートである。
【
図12】いくつかの実施例において、本明細書に開示される様々な機能、動作、行為、プロセス、及び/又は方法を実装するために使用され得る回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な記載では、本明細書の一部を形成し、本開示が実施され得る特定の実施例を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本開示を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で可能にされる他の実施例が利用されてもよく、構造、材料、及びプロセスの変更が行われてもよい。
【0008】
本明細書に提示する図は、任意の特定の方法、システム、デバイス、又は構造の実際の図であることを意味せず、本開示の実施例を説明するために用いられる、単に理想化した表現である。場合によっては、様々な図面における類似の構造又は構成要素は、読者の便宜のために同一又は類似の付番を保持し得る。しかしながら、付番における類似性は、構造又は構成要素が必ずしもサイズ、組成、構成、又は任意の他の特性において同一であることを意味するものではない。
【0009】
以下の説明は、当業者が開示された実施例を実施することを可能にするのを補助するための実施例を含み得る。「例示的な」、「例として」、及び「例えば」という用語の使用は、関連する説明が、説明的なものであることを意味し、本開示の範囲は、実施例及び法的等価物を包含することを意図するものであり、かかる用語の使用は、実施例又は本開示の範囲を特定の構成要素、ステップ、特徴、機能などに限定することを意図するものではない。
【0010】
本明細書に一般的に説明され、図面に例示される実施例の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置され、設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施例の以下の説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。実施例の様々な態様が図面に提示され得るが、図面は、具体的に指示されていない限り、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0011】
更に、図示及び説明する具体的な実装形態は、単なる例であり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実施する唯一の方式と解釈されるべきでない。要素、回路、及び機能は、不要に詳述して本開示を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示され得る。逆に、図示し、説明する具体的な実装形態は、単に例示的なものであり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実装する唯一の方法と解釈されるべきではない。更に、様々なブロック間での論理のブロック定義及びパーティショニングは、例示的な具体的な実装形態である。当業者には、本開示が多数の他のパーティショニングソリューションによって実施され得ることが容易に明らかになるであろう。大部分については、タイミングの考慮などに関する詳細は省略されており、そのような詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要ではなく、当業者の能力の範囲内である。
【0012】
当業者であれば、情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。いくつかの図面は、表示及び説明を明確にするために、単一の信号として信号を例示してもよい。当業者は、信号が信号のバスを表し得、このバスは様々なビット幅を有してもよく、本開示は、単一のデータ信号を含む任意の数のデータ信号で実施され得ることを理解するであろう。
【0013】
本明細書に開示する実施例に関連して記載する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、集積回路(Integrated Circuit、IC)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載の機能を実行するように設計されている、これらの任意の組み合わせを用いて実装され得る、又は実行され得る。汎用プロセッサ(本明細書では、ホストプロセッサ又は単にホストと称されこともある)は、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンでもあってもよい。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成などのコンピューティングデバイスの組み合わせとして実装されてもよい。プロセッサを含む汎用コンピュータは、その汎用コンピュータが、本開示の実施例に関連するコンピューティング命令(例えば、ソフトウェアコード)を実行しているとき、専用コンピュータとみなされる。
【0014】
実施例は、フローチャート、フロー図、構造図、又はブロック図として示すプロセスに関して説明され得る。フローチャートは、順次プロセスとして動作行為を説明し得るが、これらの行為の多くは、別の順序で、並行して、又は実質的に同時に実行され得る。加えて、行為の順序は再配置され得る。プロセスは、メソッド、スレッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム、他の構造、又はこれらの組み合わせに対応し得る。更に、本明細書に開示する方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読メディアの1つ以上の命令又はコードとして記憶されてもよく、又は送信されてもよい。コンピュータ可読メディアは、コンピュータ記憶メディア及び、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意のメディアを含む通信メディアの両方を含む。
【0015】
「第1」、「第2」などの表記を使用して、本明細書の要素に対する任意の言及は、そのような制限が明示的に記載されていない限り、それらの要素の数量又は順序を限定しない。むしろ、これらの表記は、本明細書において、2つ以上の要素又は要素の例を区別する便利な方法として使用され得る。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること、又は何らかの様式で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味するものではない。加えて、特に明記しない限り、一組の要素は、1つ以上の要素を含み得る。
【0016】
本明細書で使用されるとき、所与のパラメータ、特性、又は条件に言及する際の「実質的に(substantially)」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は条件が、例えば許容可能な製造許容差の範囲内などの、小さいばらつきを満たすことを当業者が理解するであろう程度を意味し、かつ含む。一例として、実質的に満たされる特定のパラメータ、特性、又は条件に応じて、パラメータ、特性、又は条件は、少なくとも90%満たされ得るか、少なくとも95%満たされ得るか、更には少なくとも99%満たされ得る。
【0017】
超広帯域(Ultra-wideband、UWB)は、短距離、高帯域幅通信及びレーダ用途に使用され得る技術の一例である。>500MHzの帯域幅を利用するUWBレーダデバイスは、送信信号中のパルスと受信信号中のパルスとの間の時間分離を決定するために送信機と同期された受信機を使用して物体の位置を識別するために使用され得る。比較的短いパルスを使用するため、UWBは、比較的正確な距離及び位置特定検出を可能にし得る。物体の位置を検出するUWBレーダデバイスは、速度を検出するために経時的な距離の変化を監視することによって動きを検出することが可能であり得る。
【0018】
本明細書に開示される例は、動きを検出するためにチャネルインパルス応答(channel impulse response、CIR)を利用する。本明細書で使用される場合、「CIR信号」という用語は、送信機の送信機アンテナを駆動する所定のパターン信号に応答して受信機において受信機アンテナによって提供される反射された所定のパターン信号から取得されたサンプル(本明細書では「反射された所定のパターンサンプル」と称されることもある)の複数の集合の合計を指す。複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する。サンプルは各々、受信波の値を表す。したがって、CIR信号の大きさは、所定の時間窓にわたるサンプルの総エネルギーを表す。CIR信号は、送信機と受信機との間の伝送チャネルの挙動を記述し得る。
【0019】
非限定的な実施例として、反射された所定のパターンサンプル(例えば、256個のサンプル)の第1の集合は、所定の時間窓(例えば、256ナノ秒の所定の時間窓、ナノ秒当たり1サンプル)にわたって取得され得る。所定の時間窓の長さは、送信機において所定のパターン信号に適合するように選択され得る(例えば、所定のパターン信号は、256ナノ秒ごとにパルスし得る)。次に、反射された所定のパターンサンプルの第2の集合を取得し、反射された所定のパターンサンプルの第1の集合に追加し得る。次に、反射された所定のパターン信号の後続の集合は、時間のスパン(例えば、各々256nsの156個の所定の時間窓に対応する40マイクロ秒)にわたって合計に加算されて、複数の集合(例えば、256ナノ秒の所定の時間窓及び40マイクロ秒の時間のスパンに対して156個の集合)の合計であり得るCIR信号を生成し得る。CIR信号の値の大きさの平均を取って所定の閾値と比較して、移動物体が存在するかどうかを決定し得る(例えば、CIR信号の値の大きさの平均が所定の閾値を超えたことに応答して移動物体が存在すると決定し得る)。
【0020】
本明細書に開示される動き検知能力は、位置検知レーダシステム(例えば、限定はしないが、1つ以上のUWBレーダデバイスを含むレーダシステム)に動き検知能力を提供する既存の能力に加えて、(例えば、ソフトウェア又はファームウェアの更新又はアップグレードを介して)位置検出レーダシステムに追加され得る。例えば、元々は車両の後部と車両の後ろの物体との間の距離を検出するためのものである、車両の後部に結合された既存のレーダデバイスは、車両のトランクの開放をトリガするためのジェスチャ(例えば、キックする動き)を検出するために、本明細書に開示される動き検知能力を用いて更新され得る。また、自動車アクセス及び短距離レーダ用途のための距離バウンディングのためのUWBデバイス(例えば、6~8GHzのUWBデバイス)は、本明細書に開示する例による動き検知に適合され得る。本明細書に開示される例はまた、本開示に基づいて当業者に明らかになるように、座席占有を検出するため、車両内のパッシブエントリシステムをトリガするため、ジェスチャを介してデバイス及び機械を制御するため、並びに他の機能を実行するために使用され得る。
【0021】
本明細書に開示される例は、受信されたRF信号自体の分析を必ずしも実行しなくてもよく、送信機と受信機との間の同期動作を必ずしも使用しなくてもよい。実装は代わりに、送信機と受信機との間の伝送経路のCIR信号を形成するために経時的に累積される、所定のパターン信号(例えば、データ信号の所定のパルスシーケンス)を使用してもよい。そのようなCIR信号は、所定の時間間隔にわたるCIR信号の分布を表す、反射された所定のパターンサンプルの合計の大きさの平均を計算することによって処理されてもよく、その所定の時間間隔は、256ナノ秒の時間間隔(以下で更に説明するデータテレグラムのパルス間隔によって与えられる)であってもよい。
【0022】
取り込まれたCIR信号内のノイズを抑制するために、利得制御(gain control、GC)がノイズレベルより上の固定レベルに設定され、正しいデータテレグラムパターン(例えば、所定の時間間隔の固定距離を有する交互の「0」及び「1」シンボル)を有する反射信号成分のみが受信機によって取り込まれる。受信機フロントエンド(例えば、フロントエンドのアナログデジタル変換器(analog to digital converter、ADC))は、制限された入力範囲を有し得る。受信機フロントエンドに提供される信号のダイナミックレンジは、受信機フロントエンドの制限された入力範囲に調和するように調整されるべきである。固定利得レベルを有するGCは、受信機の制限されたダイナミックレンジ(例えば、レーダシステムの感度)のためのパルスエネルギー検出窓を定義するために使用され得る。利得設定が低すぎる場合、RF信号は検出されないことがある(例えば、RF信号は受信機フロントエンドにおいてノイズフロアを下回ることがある)。利得があまりに高く設定される場合、受信機に提供される信号のノイズは、制限された入力範囲に増幅されることがあり、受信機に提供される信号のダイナミックレンジは、受信機の制限されたダイナミックレンジの外側にならないことがあり、したがって、検出されないことがある。利得制御は、異なる方向からCIR信号を取り込み、特定のエリア及び範囲をカバーし、移動物体を検出するために、複数の受信機の使用を可能にし得る。この設定はまた、送信機及び受信機のアンテナ及びアンテナパターンによって影響され得る。これらのアンテナパターンは、移動物体を検出するためにカバーされるエリア及び範囲を定義し得る。
【0023】
1つ以上の例では、送信されたデータ信号の構造の先験的知識(例えば、限定はしないが、プリアンブルの固定パターン)が、受信機デバイス(本明細書では「受信機」とも称される)によって使用され得る。そのような受信機は、(0及び1シンボルのRF周波数の、及びこれらのシンボル間の時間間隔の)この信号パターンに「ロック」し得、取り込まれたパターンのタイミングの変化を検出し得る。受信機におけるそれぞれの利得(GC)は、反射されたデータ信号のみを認識し、ノイズを抑制するように調整される。
【0024】
本明細書に開示される例は、取り込まれたCIR信号のデジタルデータパターンを使用し、移動物体を特徴付けるCIR信号の変化を決定する。デバイスは、同期受信機及び送信機を使用する代わりに非同期的に動作し得る。本明細書に開示される例はまた、受信機及び送信機が同期される場合であっても、説明されるように機能し得る。しかしながら、非同期である場合、複数の受信機を使用して、移動物体を検出するためにカバーされるエリアを決定し得る。これらの複数の受信機は、送信機又は他の受信機への有線接続なしに、異なる空間位置に位置し得る。
【0025】
本明細書に開示される例は、限定はしないが、近接検出、ジェスチャ認識、及び移動物体の検出など、距離測定以外の追加の用途のための、UWBデバイスなどのデバイスの使用を可能にする。本明細書に開示される例は、既存のUWBデバイスの任意のハードウェア修正を伴って、又は伴わずに、UWBデバイスの内蔵テストモード及びデバッグ特徴を利用し得る。本明細書に開示される例に基づいて修正され得るUWBデバイスの例は、アリゾナ州チャンドラーに本社を置くMicrochip Technology Inc.によって製造されたATA5350、ATA5352、ATA8350、及びATA8352 UWBデバイスを含む。本明細書に開示される例についての使用事例の非限定的な例は、自動車用途(例えば、トランクを開くための足のキック運動の検出、カーシート上の乗客検出)、家庭用電化製品用途(例えば、ドアを開くための近接検出)、産業オートメーション制御(例えば、一次元、二次元、及び三次元ジェスチャ検出)、ホームセキュリティ用途、及び近接検出又はジェスチャ認識を使用する任意の用途を含み得る。
【0026】
移動物体のドップラー周波数を決定するために24GHz又は77GHzのアナログRF信号を使用する短距離レーダデバイスであって、1つのデバイスにおいて1つの送信機と1つの受信機との組み合わせ及び同期して動作することを必要とし得る、短距離レーダデバイスとは対照的に、本明細書に開示されるいくつかの例は、移動物体を検出するために7GHzの受信機によって取り込まれたCIR信号を使用し得る。いくつかの実施例では、CIR信号は、6~8GHz、又は他の周波数(例えば、24GHz又は77GHz)で受信機によって取り込まれ得る。受信機又は複数の受信機は、送信機に対して非同期又は同期して動作し得る。いくつかの受信機デバイスの使用は、ジェスチャ認識のための運動方向の認識又は事前定義されたエリアのカバレッジを可能にする。
【0027】
本明細書に開示される例は、必ずしも移動物体の距離又は速度を測定しなくてもよい。しかしながら、本明細書に開示される例は、検出範囲内の任意の方向における物体の運動を検出し得る。いくつかの受信機デバイスの使用は、拡張されたエリアにおける移動物体の検出、又はジェスチャ及び近接を検出することを可能にし得る。
【0028】
図1は、いくつかの実施例による、レーダシステム100のブロック図である。レーダシステム100は、少なくとも2つのUWBデバイス、すなわち、送信機102及び少なくとも1つの受信機104a、104bを含む。送信機102及び少なくとも1つの受信機104a、104bは、移動物体114を検出するために一緒に使用され得る。いくつかの実施例では、送信機102及び少なくとも1つの受信機104a、104bのうちの1つ以上は、同じデバイス内に一緒に実装され得る。いくつかの実施例では、送信機102は、1つ以上の受信機104a、104bとは別個に実装される。送信機102は、送信機処理回路106及び送信アンテナ110を含む。送信機処理回路106は、(例えば、
図2Aのデータテレグラム200のプリアンブル(preamble、PR)に)所定のパターン信号116を生成し、所定のパターン信号116を送信アンテナ110に提供する。送信アンテナ110は、送信機102のテストモード中に連続的に、又はデータテレグラム(例えば、
図2Aのデータテレグラム200)の一部として、送信された所定のパターン波120を提供し得る。非限定的な実施例として、送信機102のテストモードにおいて、送信された所定のパターン波120は、送信機102のテストモードの終了まで繰り返しブロードキャストし得る。いくつかの実施例では、送信された所定のパターン波120は、テストモード以外の動作モードで連続的にブロードキャストされ得る。
【0029】
図1の例では、1つ以上の受信機104a、104bは、複数の受信機104a、104b(すなわち、2つの受信機)を含む。図示されていないが、いくつかの実施例では、2つよりも多い数の受信機が使用され得ることが理解されよう。複数の受信機104a、104bの各々は、その中で移動物体(例えば、移動物体114)が検出され得る、それに関連付けられたそれぞれの個々の検出エリアを有する(受信機104aは検出エリア124aを有し、受信機104bは検出エリア124bを有する)。いくつかの実施例では、検出エリア124a及び検出エリア124bは、同じ検出エリアであり得る。いくつかの実施例では、検出エリア124a及び検出エリア124bは、異なり、実質的に相互に排他的であり得る。いくつかの実施例では、検出エリア124a及び検出エリア124bは、異なっていてもよいが、重複していてもよい。複数の受信機104a、104bは、全検出エリア126に対して位置決めされ得、複数の受信機に関連付けられた個々の検出エリア124a、124bが合計で全検出エリア126を実質的にカバーする。
【0030】
受信機104a、104bは各々、それぞれの受信機処理回路(例えば、受信機104aは受信機処理回路108aを含み、受信機104bは受信機処理回路108bを含む)及び受信機アンテナ(例えば、受信機104aは受信機アンテナ112aを含み、受信機104bは受信機アンテナ112bを含む)を含み得る。
【0031】
送信機102による、送信された所定のパターン波120の送信に応答して、受信機アンテナ112a、112bは、それぞれの反射された所定のパターン波122a、122bを受信し、それぞれの反射された所定のパターン信号118a、118bをそれぞれの受信機処理回路108a、108bに提供し得る。受信機処理回路108a、108bは、それぞれ、受信モードにある間に、それぞれの反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプルの集合を累積し得る。具体的には、それぞれの受信機処理回路108a、108bは、反射された所定のパターン信号118a、118bをサンプリングし(例えば、実質的に40マイクロ秒の時間スパンの間)、反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプルの集合(例えば、実質的に156の集合)の合計(受信機処理回路108aからのSUM1及び受信機処理回路108bからのSUM2)を決定し、サンプルの各集合は、所定の時間窓(例えば、限定はしないが、実質的に256ナノ秒)にわたって取得され、反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプルの集合の合計(SUM1及びSUM2)の大きさの平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定し得る。反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプルは各々、受信波の値を表し、したがって、所定の時間窓にわたる反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプルの集合の合計の大きさ(絶対値)は、所定の時間窓にわたるサンプルの総エネルギーを表す。
【0032】
送信機102及び少なくとも1つの受信機104a、104bの非同期動作と、反射物体(例えば、人間)の運動とに起因して、CIR信号の大きさは、移動物体の場合に比べて、静止物体の場合に飽和効果を有する異なる分布を示す。静止物体の場合、CIR信号の大きさの小さな部分のみが、実質的に0よりも大きい信号レベルを示す。移動物体の場合、静止物体の場合及び物体がない場合と比較して、CIR信号の大きさの大部分が実質的に0より大きい信号レベルを示す。CIR信号の大きさは、CIR信号の値の大きさの平均(例えば、反射された所定のパターン信号の複数の集合の合計の大きさの平均)である平均を生成するために平均化され得る。このように平均を生成することによって、移動物体は、平均を所定の閾値と比較することによって検出され得る。
【0033】
サンプルの集合の各々の合計である第1の合計信号SUM1(第1のCIR信号)は、受信機104aの検出エリア124a内の移動物体114の運動に関連し得る。この第1の合計信号SUM1は、送信機102(
図1)及び他の受信機(例えば、受信機104b)から非同期的に独立して動作し得る受信機104aによって生成され得る。
【0034】
送信アンテナ110及び受信機アンテナ112a、112bの位置、アンテナパターン、及び向きは、移動物体114の運動が検出されるアクティブエリア及び範囲を決定し得る。
【0035】
CIR信号(例えば、経時的なSUM1又はSUM2)は、データテレグラム200(以下の
図2A参照)のプリアンブルPR中に取り込まれ得る。いくつかの実施例では、送信機102は、データテレグラム200内でプリアンブルを送信するのではなく、プリアンブルを連続的に送信し得る。受信機104a、104bは、プリアンブル信号PRにロックし、CIR信号についてのデータ、すなわち、反射された所定のパターンサンプル、を収集する、サーチモードにあってもよい。CIR信号、すなわち、ある時間スパンにわたる反射された所定のパターン信号118a、118bのサンプル値の集合の合計であり、各集合が所定の時間窓にわたって取得される、CIR信号を生成すること、及び合計の平均を所定の閾値と比較することは、(例えば、移動物体114による)運動の検出を可能にし得る。
【0036】
図2Aは、いくつかの実施例による、
図1の送信機102によって送信され得るデータテレグラム200である。データテレグラム200は、
図1の所定のパターン信号116を含み得る。例えば、データテレグラム200は、プリアンブルPR、同期ワードS、及びデータペイロードDATAを含む。プリアンブルPRは、既知の所定のパターン(例えば、受信機104a、104bにおいて既知)に対応するパルス列(例えば、限定はしないが、10101010)などの所定のパターン信号(例えば、
図1の所定のパターン信号116)を含み得る。したがって、送信機処理回路(例えば、
図1の送信機処理回路106)がデータテレグラム200を生成するとき、送信機処理回路106は、1つ以上の物体(例えば、
図1に例示されるような移動物体114)による、送信された所定のパターン波120(
図1)の反射に応答して反射された所定のパターン信号(例えば、
図1の反射された所定のパターン信号118a、118b)を提供するために、所定のパターン信号を生成する。同期ワードSは、127シンボルの固定パターンを含み得る。データペイロードDATAは、シンボルに符号化された「0」及び「1」ビットを含み得る。同期ワードS及びデータペイロードDATAは、動き検出目的のために分析される必要はなく、データ通信などの他の目的のために使用され得る。前に考察したように、受信機104a、104bにおいて、256ナノ秒の156個の所定の時間窓を含み得る、実質的に40マイクロ秒(40μs)の時間スパンが、SUM
1又はSUM
2などのCIRを生成するために使用され得、次いで、平均合計(例えば、反射された所定のパターンサンプルの複数の集合の合計の平均)を生成するために利用され得る。
【0037】
データテレグラム200は、バイナリ周波数シフトキーイング(binary frequency-shift keying、BFSK)信号であってもよい。したがって、いくつかの実施例では、プリアンブル信号PRが「1」を示す場合、プリアンブル信号PR(及び
図1の所定のパターン信号116)は、第1の周波数f
0-mで発振することができる(ここで、「f
0」は中心周波数であり、「m」は定数値である)。また、プリアンブル信号PR(及び
図1の所定のパターン信号116)が「0」を示す場合、プリアンブル信号PRは、
図2Bに例示されるように、第2の周波数f
0+mで発振し得る。非限定的な実施例として、中心周波数f
0は実質的に6.5GHzであってもよく、mは実質的に145メガヘルツ(MHz)であってもよい。
【0038】
図2Bは、いくつかの実施例による、
図2Aのデータテレグラム200のプリアンブルPRの「1」シンボル周波数成分204及び「0」シンボル周波数成分206を例示するBFSK信号周波数プロット202である。データテレグラム200の他の部分(例えば、同期ワードS及びデータペイロードDATA)もまた、BFSKを使用して送信され得る(例えば、データテレグラム200全体が、BFSKを使用して送信され得る)。
図2Bに示すように、「1」シンボル周波数成分204は、第1の周波数f
0-mを中心とし、「0」シンボル周波数成分206は、第2の周波数f
0+mを中心とする。
【0039】
図2Cは、
図2Aのプリアンブル信号PRのパルス列の例のプロット208である。パルス列は、所定の時間間隔だけ離れたパルスを含む。一例では、所定の時間間隔は256ナノ秒(ns)であり、所定の時間間隔は後続の信号ピーク間で定義される。いくつかの実施例では、集合の合計(例えば、限定はしないが、
図1のSUM1、SUM2)を決定するために使用されるサンプルの各集合のための所定の時間窓の値は、所定の時間間隔(
図2Cの例では256ns)に等しくなり得る。
【0040】
図3は、いくつかの実施例による、受信機処理回路300のブロック図である。受信機処理回路300は、
図1の受信機処理回路108a、108bの一例である。いくつかの実施例では、受信機処理回路300は、送信機(例えば、
図1の送信機102)の送信機処理回路(例えば、
図1の送信機処理回路106)とは非同期的に動作し得る。例えば、
図1の受信機104a、104bのうちの少なくとも1つは、
図1の送信機処理回路106とは非同期的に動作し得る。
【0041】
受信機処理回路300は、受信機アンテナ(例えば、
図1の受信機アンテナ112a、112bのうちの1つ)を介して受信された反射された所定のパターン信号302(例えば、
図1の反射された所定のパターン信号118a、118bのうちの1つ)を受信するためのアナログ入力端子304を含む。受信機処理回路300は、アナログ入力端子304に電気的に接続された調整可能利得増幅器326を含む。調整可能利得増幅器326は、GC信号328に応答して調整可能である調整可能利得Aを有し得る。調整可能利得増幅器326は、受信した反射された所定のパターン信号302を調整可能利得Aだけ増幅する。調整可能利得増幅器326の調整可能利得Aを調整することは、受信機処理回路300の感度が調整されることを可能にし得る。
【0042】
受信機処理回路300はまた、アナログ入力端子304によって受信され、調整可能利得増幅器326によって増幅された、増幅された反射された所定のパターン信号302をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプル308を生成するためのアナログデジタル変換器(ADC)回路306を含む。非限定的な実施例として、調整可能利得増幅器326は、反射された所定のパターン信号302をADC回路306の動作入力範囲に増幅し得、それは、受信機処理回路300を含む受信機のダイナミックレンジであり得る。
【0043】
受信機処理回路300は、プロセッサ310(例えば、1つ以上の処理コア)を含む。プロセッサ310は、GC信号328を調整可能利得増幅器326に提供して、調整可能利得増幅器326の調整可能利得Aを調整し得る。別の言い方をすれば、プロセッサ310は、受信機処理回路300の利得を調整する。
【0044】
プロセッサ310は、時間スパン(例えば、40μs)の間、反射された所定のパターンサンプル308の集合を積分する積分器324(例えば、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実装された)を実装し、集合の各々は、所定の時間窓(例えば、256ns)にわたって取得される。積分器324は、時間スパン(例えば、40μs)にわたって反射された所定のパターンサンプル308の集合を累積して、反射された所定のパターンサンプル308の集合の合計332を提供し得る。次いで、プロセッサ310は、合計332を使用して、反射された所定のパターンサンプル308の合計332の大きさの平均312(例えば、
図1のSUM1又はSUM2のうちの1つの大きさの平均)を決定し得る。したがって、平均332は、反射された所定のパターンサンプル308の複数の集合の合計332の大きさの平均を含み得る。プロセッサ310はまた、動作316において、決定された平均312及び所定の閾値314に応答して移動物体が検知されたかどうかを決定し得る。
【0045】
いくつかの実施例では、動作316(移動物体が検知されたかどうかを決定すること)は、動作318及び動作320を含む。そのような例では、動作318において、プロセッサ310は、平均312を、所定の時間窓内の反射された所定のパターンサンプルの数で除算して、正規化された平均合計を生成する。動作320において、プロセッサ310は、正規化された平均が所定の閾値314を超えることに応答して、移動物体が検知されたと決定する。
【0046】
いくつかの実施例では、動作316(移動物体が検知されたかどうかを決定すること)は、動作322を含む。そのような例では、動作322において、プロセッサ310は、決定された平均312が所定の閾値314を超えることに応答して、移動物体が検知されたと決定する。いくつかの実施例では、移動物体が検知されたかどうかを決定することは、合計332の大きさ及び別の受信機(図示せず)からの別の合計(図示せず)の大きさに応答して移動物体の運動の方向を決定することを含み得る。非限定的な実施例として、別の受信機の合計の大きさと比較した、1つの受信機からの合計の大きさの時間シフトが、移動物体の動きの方向を決定するために分析され得る。
【0047】
いくつかの実施例では、プロセッサ310は、動作316において、移動物体が検出されたという決定に応答してトリガ信号330を出力し得る。受信機処理回路300を含む受信機(例えば、
図1の受信機104a、104b)は、他の動作をトリガするために、移動物体が検出されたという決定に応答して、このトリガ信号330を出力し得る。非限定的な実施例として、車両トランク開放機構、ドア開放機構、及び産業オートメーションコントローラのうちの少なくとも1つは、トリガ信号330に応答してトリガし得る。
【0048】
図4は、いくつかの実施例による、動き検出システム400の側面図である。動き検出システム400は、
図1の送信機102と同様の送信機408と、
図1の受信機104a、104bと同様の1つ以上の受信機410とを含む車両402を含む。図示されていないが、1つ以上の受信機410は各々、
図3の受信機処理回路300と同様の受信機処理回路を含む。したがって、1つ以上の受信機410は、移動物体が1つ以上の受信機410の全検出エリア(例えば、
図1の全検出エリア126)内で検出されたという決定に応答して、
図3のトリガ信号330と同様のトリガ信号412を出力し得る。
【0049】
車両402はまた、トランク404及びトリガ信号412に応答してトランク404を開放する電子的に制御可能なラッチなどの車両トランク開放機構406を含む。したがって、移動物体が1つ以上の受信機410の全検出エリア内で検出されたという決定に応答して、1つ以上の受信機410は、車両トランク開放機構406にトリガ信号412を提供し、車両トランク開放機構406をトリガしてトランク404を開放し得る。非限定的な実施例として、動き検出システム400は、全検出エリア内の人のキックの動きの検出に応答して、トランク404の開放をトリガし得る。その結果、トランク内に入れられる荷物を運んでいる人、又はそうでなければトランク404を手動で開くための自由な手を有していない人は、動きのジェスチャを使用してトランク404を開放し得る。
【0050】
図5は、いくつかの実施例による、別の動き検出システム500である。動き検出システム500は、自動ドア502、電子的に制御可能なスイングドア又はスライドドアなどの自動ドア502を開くドア開放機構508、
図1の送信機102と同様の送信機504、及び
図1の受信機104a、104bと同様の1つ以上の受信機506を含む。図示されていないが、1つ以上の受信機506は各々、
図3の受信機処理回路300と同様の受信機処理回路を含む。したがって、1つ以上の受信機506は、移動物体が1つ以上の受信機506の全検出エリア(例えば、
図1の全検出エリア126)内で検出されたという決定に応答して、
図3のトリガ信号330と同様のトリガ信号510を出力し得る。
【0051】
トリガ信号510は、ドア開放機構508をトリガして自動ドア502を開放し得る。したがって、1つ以上の受信機506が、1つ以上の受信機506の全検出エリア(例えば、
図1の全検出エリア126)内で動いている人512などの動きを検出したことに応答して、1つ以上の受信機506は、トリガ信号510をドア開放機構508に提供し得、ドア開放機構508は、トリガ信号510に応答して自動ドア502を開放し得る。
【0052】
図6は、いくつかの実施例による、産業オートメーションシステム600のブロック図である。産業オートメーションシステム600は、1つ以上の動き検出システム602、産業オートメーションコントローラ608、及び産業オートメーションコントローラ608に動作可能に結合された1つ以上のアクチュエータ610を含む。産業オートメーションコントローラ608は、産業オートメーションシステム600の様々なアクチュエータ610を制御して、様々な産業オートメーションタスクを実行し得る。
【0053】
1つ以上の動き検出システム602の各々は、
図1の送信機102と同様の送信機604及び
図1の受信機104a、104bと同様の1つ以上の受信機606を含み得る。図示されていないが、1つ以上の受信機606は各々、
図3の受信機処理回路300と同様の受信機処理回路を含む。したがって、1つ以上の受信機606は各々、移動物体が1つ以上の受信機606の全検出エリア(例えば、
図1の全検出エリア126)内で検出されたという決定に応答して、
図3のトリガ信号330と同様のトリガ信号612を出力し得る。
【0054】
トリガ信号612は、産業オートメーションコントローラ608をトリガして、アクチュエータ610を制御して、様々な異なる機能のいずれかを実行又は実行を停止し得る。非限定的な実施例として、1つ以上の動き検出システム602のうちの1つが、産業オートメーションシステム600の稼動部の近くで検出された動きに対応してトリガ信号612を産業オートメーションコントローラ608に提供する場合、産業オートメーションコントローラ608は、それらの稼動部が移動するのを停止し得る。そのような例では、人の検出された運動が産業オートメーションコントローラ608をトリガして、稼動部の移動を停止させるので、動いている人又は人の動いている四肢(例えば、腕、脚、手)が、稼動部によって損傷又は破砕されない可能性がある。
【0055】
図7A及び
図7Bは、受信機104a、104b(
図1)の受信範囲内に物体がない場合又は静止物体がある(移動物体はない)場合に生じ得るCIR信号の大きさ(CIR信号値の絶対値)を例示する。
図7A及び
図7Bに例示されたCIR信号の大きさは、1nsのサンプルレートで集合の各々のサンプリング間隔(256nsの所定の時間窓)について40μsの時間スパンにわたって累積された反射された所定のパターンサンプルの集合の信号エネルギーを表す。結果として、各集合における反射された所定のサンプルのインデックスは、[0...255]の範囲である。40μsの時間スパンは、反射された所定のパターンサンプルの156の集合を含み、集合は連続している。したがって、
図7A及び
図7BのCIR信号の大きさは256個の値を含み、その各々は、反射された所定のパターンサンプルの集合の各々からの同様にインデックス付けされた値の合計の値の大きさである。例えば、[0]としてインデックス付けされたCIR信号の大きさ値は、集合において[0]としてインデックス付けされた反射された所定のパターンサンプルの合計の大きさである。また、[n]としてインデックス付けされたCIR信号の大きさ値は、集合において[n]としてインデックス付けされた反射された所定のパターンサンプルの合計の大きさである。
【0056】
図7Aは、物体が存在しない時間(横軸)に対してプロットされた反射された所定のパターンサンプルの集合の合計(例えば、
図1のSUM
1、
図1のSUM
2)の大きさE(t)(縦軸)であり得る、CIR信号の大きさ702を例示する。反射された所定のサンプルの各集合は256個のサンプルを含むので、集合の合計であるCIR信号の大きさ702も256個のサンプルを含む。CIR信号の大きさ702は、
図7Aに例示するように、ピーク704を含む。CIR信号の大きさ702は、ピーク704以外では比較的小さく、ピーク704の大きさ及びピークの幅は、CIR信号の大きさ702が実質的に物体の欠如による背景反射のみを表すので、比較的小さい。
【0057】
図7Bは、静止物体が存在する状態で時間(横軸)に対してプロットされた反射された所定のパターンサンプルの集合の合計(例えば、
図1のSUM
1、
図1のSUM
2)の大きさE(t)(縦軸)であり得る、CIR信号の大きさ706の別の例を例示する。CIR信号の大きさ706は、
図7Bに例示するように、ピーク708を含む。
図7AのCIR信号の大きさ702と同様に、CIR信号の大きさ706は、ピーク708以外では比較的小さい。ピーク708は、物体が存在しない場合のピーク704よりもわずかに高い大きさであり、わずかに広いが、物体が静止しているので、ピーク708の大きさ及び幅は依然として比較的低い。
【0058】
図8A及び
図8Bは、受信機104a、104b(
図1)の受信範囲内の移動物体で生じ得るCIR信号の大きさ(CIR信号値の絶対値)を例示する。
図7A及び
図7Bに例示されたCIR信号の大きさと同様に、
図8A及び
図8Bに例示されたCIR信号の大きさは、1nsのサンプルレートで集合の各々のサンプリング間隔(256nsの所定の時間窓)について40μsの時間スパンにわたって累積された反射された所定のパターンサンプルの集合を表す。結果として、各集合における反射された所定のサンプルのインデックスは、[0...255]の範囲である。40μsの時間スパンは、反射された所定のパターンサンプルの156の集合を含み、集合は連続している。したがって、
図8A及び
図8BのCIR信号の大きさは256個の値を含み、その各々は、反射された所定のパターンサンプルの集合の各々からの同様にインデックス付けされた値の合計の大きさである。
【0059】
図8Aは、移動物体が存在する状態で時間(横軸)に対してプロットされた反射された所定のパターンサンプルの集合の合計(例えば、
図1のSUM
1、
図1のSUM
2)の大きさ(縦軸)であり得る、CIR信号の大きさ802を例示する。CIR信号の大きさ802は、
図8Aに例示するように、ピーク804を含む。ピーク804の大きさ及び幅は、
図7A及び
図7Bのピーク704、708の大きさ及び幅より大きい。実際、CIR信号の大きさ802は、ピーク804において実質的に1500の大きさで飽和している。CIR信号の大きさ802のようなCIR信号の大きさの飽和は、反射の変化による反射パルスからの全体的な累積パルスエネルギーのために存在する移動物体の特性であり得る。
【0060】
図8Bは、移動物体が存在する状態で時間(横軸)に対してプロットされた反射された所定のパターンサンプルの集合の合計(例えば、
図1のSUM
1、
図1のSUM
2)の大きさ(縦軸)であり得る、CIR信号の大きさ806の別の例を例示する。CIR信号の大きさ806は、
図8Bに例示するように、ピーク808及び810を含む。
図8Aのピーク804と同様に、ピーク810の大きさ及び幅は、
図7A及び
図7Bのピーク704、708の大きさ及び幅よりも大きい。また、CIR信号の大きさ806は、ピーク810において大きさ1500で飽和している。したがって、
図7A~
図8Bに例示されているように、静止物体又は物体なしのシナリオの場合と比較して、移動物体が検出領域内にある場合に、CIR信号の大きさにおいてより高くより広いピークが予想され得る。その結果、平均CIR信号(例えば、
図3の平均312)は、移動物体が存在する場合、移動物体が存在しない場合の平均CIR信号よりも高くなり、所定の閾値(例えば、
図3の所定の閾値314)は、移動物体がない場合の平均CIR信号に対して予想されるよりも高くなるが、移動物体がある場合のCIR信号の平均合計に対して予想されるよりも低くなるように選択され得る。
【0061】
図9Aは、移動物体が存在しない様々な時点t(横軸)で取得された、平均合計の大きさ902(例えば、
図1のSUM
1又はSUM
2の大きさの平均、
図7A~
図8BのCIR信号の大きさ702、706、802、及び806の平均)の一例のプロットである(
図9Aにおいてs(t)として示される)。例えば、
図9の平均合計の大きさ902は、時間t=0から時間t=1まで6ミリ秒(6ms)ごとに取得される。非限定的な実施例として、送信機における所定のパターン信号は、送信機アンテナに提供され得る。所定のパターン信号は、
図2Cに例示されるように、256ns離間されたパルスを含み得る。移動物体が存在しないので、受信機における反射された所定のパターン信号は、比較的低い大きさのパルス(例えば、検出不可能なパルス)を含み得る。検出可能なパルスが存在しない場合、アンテナノイズが累積されることがあり、これは、平均して、ホワイトノイズを仮定するとゼロの平均値をもたらすことがある。したがって、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の平均大きさは、所定の閾値906(例えば、
図9Aにおける、閾値=400)よりも小さいことがあり、したがって、
図9Aに例示される各時点tにおいて移動物体は検出されないことがある。
【0062】
平均合計の大きさ902に適用される所定の閾値906(例えば、
図9Aにおける、閾値=400)を用いて、移動物体が識別され得、又は運動方向を検出するために運動自体が分析され得る。例えば、運動方向は、CIR信号の大きさの間のピーク位置のシフトを検出することによって、1つを超える受信機の反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさ(又は等価的にCIR信号の大きさ、すなわちE(t))を得ることによって識別され得る。受信機(例えば、
図1の受信機104a、104b)における利得制御(GC)は、反射された所定のパターンサンプル中のノイズ信号を抑制するために、(例えば、
図3のGC信号328を介して)固定レベルに設定され得る。
【0063】
平均合計s(t)(例えば、平均合計の大きさ902)は、以下のように決定され得る。
【0064】
【数1】
ここで、pは、平均合計の大きさ902の範囲を所定の範囲(例えば、0~1000)に調整するための固定係数であり、n
サンプルは、所定の時間窓内のサンプルの数(例えば、限定はしないが、256サンプル)であり、E(k)は、ポイントで平均化される、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさである。
【0065】
図9Bは、移動物体が存在する場合の経時的な平均合計904の一例のプロットである。所定の閾値906が平均合計904に適用されると、移動物体が識別され得る。例えば、平均合計904は、
図9Bのプロットにおいて実質的に0.82秒の時間で所定の閾値906を超える。その結果、移動物体が時間0.82秒で検出される(例えば、
図3のトリガ信号330が提供され得る)。
【0066】
図10は、いくつかの実施例による、受信機処理回路を動作させる方法1000を例示するフローチャートである。動作1002において、方法1000は、反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成するステップを含む。
【0067】
動作1004において、方法1000は、経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均を決定することを含み、複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する。いくつかの実施例では、平均を決定することは、動作1006において、(例えば、
図3の積分器324を使用して)経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の値を積分することを含む。
【0068】
動作1008において、方法1000は、決定された平均の合計及び所定の閾値に応答して、移動物体が検出されたと決定することを含む。
【0069】
図11は、いくつかの実施例による、レーダシステムを動作させる方法1100を例示するフローチャートである。動作1102において、方法1100は、送信機の送信機処理回路によって、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む所定のパターン信号(例えば、
図2Aのデータテレグラム200のプリアンブルPR)を生成することを含む。動作1104において、方法1100は、送信機の送信アンテナに所定のパターン信号を提供することを含む。
【0070】
動作1106において、方法1100は、受信機の受信機アンテナによって、送信アンテナに提供された所定のパターン信号に応答して反射された所定のパターン波を受信することを含む。動作1108において、方法1100は、受信機の受信機処理回路によって、反射された所定のパターン波に応答して反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成することを含む。
【0071】
動作1110において、方法1100は、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均を決定することを含み、複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する。動作1112において、方法1100は、決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定することを含む。いくつかの実施例では、移動物体が検出されたと決定することは、動作1114において、決定された平均が所定の閾値を超えたことに応答して、移動物体が検出されたと決定することを含む。
【0072】
本明細書に開示される実施例の機能要素(例えば、機能、動作、行為、プロセス、及び/又は方法)は、任意の好適なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで実装され得ることが、当業者には理解されるであろう。
図12は、本明細書に開示される機能要素の実装形態の非限定的な実施例を例示している。いくつかの実施例では、本明細書に開示される機能要素の一部又は全ての部分は、機能要素を実行するために特別にハードウェアによって実行され得る。
【0073】
図12は、回路1200のブロック図であり、いくつかの実施例では、回路1200は、本明細書に開示される様々な機能、動作、行為、プロセス、及び/又は方法を実装するために使用され得る。回路1200は、1つ以上のデータ記憶デバイス(本明細書では「記憶装置1204」と称されることがある)に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサ1202(本明細書では「プロセッサ1202」と称されることがある)を含む。記憶装置1204は、それに記憶された機械実行可能コード1206を含み、プロセッサ1202は、論理回路1208を含む。機械実行可能コード1206は、論理回路1208によって実装され(例えば、実行され)得る機能要素を記述する情報を含む。論理回路1208は、機械実行可能コード1206によって記述される機能要素を実装する(例えば、実行する)ように適合されている。回路1200は、機械実行可能コード1206によって記述された機能要素を実行するとき、本明細書に開示される機能要素を実行するための専用ハードウェアとしてみなされるべきである。いくつかの実施例では、プロセッサ1202は、機械実行可能コード1206によって記述された機能要素を、順次に、同時に(例えば、1つ以上の異なるハードウェアプラットフォームで)、又は1つ以上の並列処理ストリームにおいて実行し得る。
【0074】
プロセッサ1202の論理回路1208によって実装されるとき、機械実行可能コード1206は、本明細書に開示される実施例の動作を実行するようにプロセッサ1202を適合させる。例えば、機械実行可能コード1206は、
図10の方法1000、及び/又は
図11の方法1100の少なくとも一部分又は全体を実行するようにプロセッサ1202を適合させ得る。別の実施例として、機械実行可能コード1206は、
図1の送信機処理回路106、
図1の受信機処理回路108a、108b、
図3の受信機処理回路300、又はそれらの組み合わせについて考察した動作の少なくとも一部分若しくは全体を実行するようにプロセッサ1202を適合させ得る。特定の非限定的な実施例として、機械実行可能コード1206は、所定の時間窓にわたる反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均を決定するようにプロセッサ1202を適合させ得る。別の特定の非限定的な実施例として、機械実行可能コード1206は、反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定するようにプロセッサ1202を適合させ得る。
【0075】
プロセッサ1202は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、中央処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ(programmable logic controller、PLC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、他のプログラマブルデバイス、又は本明細書に開示される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサを含む汎用コンピュータは、その汎用コンピュータが、本開示の実施例に関連する機械実行可能コード1206(例えば、ソフトウェアコード、ファームウェアコード、ハードウェア記述)に対応する機能要素を実行するときには、専用コンピュータとみなされる。汎用プロセッサ(本明細書では、ホストプロセッサ又は単にホストとも称されることもある)は、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサ1202は、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンを含んでもよいことに留意されたい。プロセッサ1202はまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせなど、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装され得る。
【0076】
いくつかの実施例では、記憶装置1204は、揮発性データ記憶装置(例えば、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM))、不揮発性データ記憶装置(例えば、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM)など)を含む。いくつかの実施例では、プロセッサ1202及び記憶装置1204は、単一のデバイス(例えば、半導体デバイス製品、システムオンチップ(system on chip、SOC)など)に実装され得る。いくつかの実施例では、プロセッサ1202及び記憶装置1204は、複数の別個のデバイスに実装され得る。
【0077】
いくつかの実施例では、機械実行可能コード1206は、コンピュータ可読命令(例えば、ソフトウェアコード、ファームウェアコード)を含み得る。非限定的な実施例として、コンピュータ可読命令は、記憶装置1204によって記憶され、プロセッサ1202によって直接アクセスされ、少なくとも論理回路1208を使用してプロセッサ1202によって実行され得る。また、非限定的な実施例として、コンピュータ可読命令は、記憶装置1204に記憶され、実行のためにメモリデバイス(図示せず)に転送され、少なくとも論理回路1208を使用してプロセッサ1202によって実行され得る。そのため、いくつかの実施例では、論理回路1208は、電気的に構成可能な論理回路1208を含む。
【0078】
いくつかの実施例では、機械実行可能コード1206は、機能要素を実行するために、論理回路1208内に実装されるハードウェア(例えば、回路)を記述し得る。このハードウェアは、ローレベルトランジスタレイアウトからハイレベル記述言語までの様々な抽象化レベルのいずれかで記述され得る。高レベルの抽象化では、IEEE Standardハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)などのハードウェア記述言語(HDL)が使用されてもよい。非限定的な実施例として、VERILOG(商標)(商標)、SYSTEMVERILOG(商標)又は超大規模集積(very large scale integration、VLSI)ハードウェア記述言語(VHDL(商標))が使用されてもよい。
【0079】
HDL記述は、所望に応じて、多数の他の抽象化レベルのうちのいずれかにおける記述に変換され得る。非限定的な実施例として、高レベル記述を、レジスタ転送言語(register-transfer language、RTL)、ゲートレベル(gate-level、GL)記述、レイアウトレベル記述、又はマスクレベル記述などの論理レベル記述に変換することができる。非限定的な実施例として、論理回路1208のハードウェア論理回路(例えば、限定はしないが、ゲート、フリップフロップ、レジスタ)によって実行されるマイクロ動作は、RTLで記述され、次いで合成ツールによってGL記述に変換され得、GL記述は、設置及びルーティングツールによって、レイアウトレベル記述に変換され得、このレイアウトレベル記述は、プログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又はそれらの組み合わせの集積回路の物理的レイアウトに対応する。そのため、いくつかの実施例では、機械実行可能コード1206は、HDL、RTL、GL記述、マスクレベル記述、他のハードウェア記述、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0080】
機械実行可能コード1206が(任意の抽象化レベルにおける)ハードウェア記述を含む実施例では、システム(図示しないが、記憶装置1204を含む)は、機械実行可能コード1206によって記述されたハードウェア記述を実装し得る。非限定的な実施例として、プロセッサ1202は、プログラマブル論理デバイス(例えば、FPGA又はPLC)を含み得、論理回路1208は、ハードウェア記述に対応する回路を論理回路1208に実装するように電気的に制御され得る。また、非限定的な実施例として、論理回路1208は、機械実行可能コード1206のハードウェア記述に従って製造システム(図示しないが、記憶装置1204を含む)によって製造されたハードワイヤード論理を含み得る。
【0081】
機械実行可能コード1206がコンピュータ可読命令又はハードウェア記述を含むかどうかにかかわらず、論理回路1208は、機械実行可能コード1206の機能要素を実装するときに、機械実行可能コード1206によって記述された機能要素を実行するように適合される。ハードウェア記述は機能要素を直接記述しなくともよいが、ハードウェア記述は、ハードウェア記述によって記述されたハードウェア要素が実行することができる機能要素を間接的に記述することに留意されたい。
【実施例】
【0082】
実施例の非網羅的で非限定的なリストは、以下のとおりである。以下に列挙する実施例のそれぞれは、以下に列挙する実施例及び上記の実施例のうちの他の全てと組み合わせ可能であると明示的に個々に示されるわけではない。しかし、これらの実施例は、実施例が組み合わせ可能ではないことが当業者には明らかである場合を除き、全ての他の実施例と組み合わせ可能であることが意図される。
【0083】
実施例1:装置であって、受信機アンテナによって提供される反射された所定のパターン信号を受信する、受信機処理回路のアナログ入力端子と、アナログ入力端子によって受信された反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成するアナログデジタル変換器(ADC)回路と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、反射された所定のパターンサンプルの複数の集合であって、複数の集合の各集合は、反射された所定のパターン信号の所定の時間窓に対応する所定の数の反射された所定のパターンサンプルを含む、複数の集合を取り込み、反射された所定のパターンサンプルの複数の集合の合計の大きさの平均を決定し、かつ決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定する、装置。
【0084】
実施例2:プロセッサは、決定された平均を所定の時間窓に対応する反射された所定のパターンサンプルの数で除算して、正規化された平均を生成し、かつ正規化された平均が所定の閾値を超えることに応答して、移動物体が検知されたと決定する、実施例1に記載の装置。
【0085】
実施例3:プロセッサは、決定された平均が所定の閾値を超えることに応答して、移動物体が検知されたと決定する、実施例1に記載の装置。
【0086】
実施例4:受信機処理回路は、送信機の送信機処理回路とは非同期的に動作し、送信機処理回路は、所定のパターン信号を生成して、1つ以上の物体による所定のパターン信号に対応する所定のパターン波の反射に応答して、反射された所定のパターン信号を提供する、実施例1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0087】
実施例5:プロセッサは、受信機処理回路の利得を調整する、実施例1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0088】
実施例6:プロセッサは、経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の値を積分することによって決定された平均を決定する、実施例1~5のいずれか1つに記載の装置。
【0089】
実施例7:反射された所定のパターン信号は、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の装置。
【0090】
実施例8:システムであって、所定のパターン信号を生成するための送信機処理回路を含む送信機と、各々がそれぞれの受信機処理回路を含む1つ以上の受信機と、を備え、それぞれの受信機処理回路は、反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成し、経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均であって、複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する、集合の合計の大きさの平均を決定し、かつ決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定する、システム。
【0091】
実施例9:所定のパターン信号は、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、実施例8に記載のシステム。
【0092】
実施例10:1つ以上の受信機のうちの少なくとも1つは、送信機処理回路とは非同期的に動作する、実施例8及び9のいずれか1つに記載のシステム。
【0093】
実施例11:1つ以上の受信機は、複数の受信機を備え、複数の受信機の各々は、それに関連付けられたそれぞれの個別の検出エリアを有する、実施例8~10のいずれか1つに記載のシステム。
【0094】
実施例12:複数の受信機は、全検出エリアに対して位置決めされており、複数の受信機の各々に関連付けられたそれぞれの個々の検出エリアが合計で全検出エリアを実質的にカバーする、実施例11に記載のシステム。
【0095】
実施例13:それぞれの受信機処理回路は、決定された平均が所定の閾値を超えたことに応答して、移動物体が検出されたと決定する、実施例8~12のいずれか1つに記載のシステム。
【0096】
実施例14:1つ以上の受信機は、移動物体が検出されたという決定に応答してトリガ信号を出力する、実施例8~13のいずれか1つに記載のシステム。
【0097】
実施例15:トリガ信号に応答してトリガする、車両トランク開放機構、ドア開放機構、及び産業オートメーションコントローラのうちの少なくとも1つを備える、実施例14に記載のシステム。
【0098】
実施例16:受信機処理回路を動作させる方法であって、反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成するステップと、経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均を決定するステップであって、複数の集合の各集合は所定の時間窓に対応する、決定するステップと、決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【0099】
実施例17:平均を決定するステップは、反射された所定のパターンサンプルの複数の集合の値を積分するステップを含む、実施例16に記載の方法。
【0100】
実施例18:レーダシステムを動作させる方法であって、送信機の送信機処理回路によって、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含む所定のパターン信号を生成するステップと、送信機の送信アンテナに所定のパターン信号を提供するステップと、受信機の受信機アンテナによって、送信アンテナに提供された所定のパターン信号に応答して反射された所定のパターン波を受信するステップと、受信機の受信機処理回路によって、反射された所定のパターン波に応答して反射された所定のパターン信号をサンプリングして、反射された所定のパターンサンプルを生成するステップと、経時的な反射された所定のパターンサンプルの集合の合計の大きさの平均であって、複数の集合の各集合は、所定の時間窓に対応する、集合の合計の大きさの平均を決定するステップと、決定された平均と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【0101】
実施例19:移動物体が検出されたと決定するステップは、決定された平均が所定の閾値を超えることに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップ、を含む、実施例18に記載の方法。
【0102】
実施例20:受信機処理回路であって、受信機アンテナを介して受信された反射されたテストパターン信号を受信するように構成されたアナログ入力端子と、アナログ入力端子によって受信された反射されたテストパターン信号をサンプリングして、反射されたテストパターンサンプルを生成するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)回路と、反射されたテストパターンサンプルに応答して所定の時間窓にわたるチャネルインパルス応答値の合計を決定し、チャネルインパルス応答値の決定された合計と所定の閾値とに応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定するように構成されたプロセッサと、を備える、受信機処理回路。
【0103】
実施例21:処理コアは、チャネルインパルス応答値の合計を所定の時間窓に対応するテストパターンサンプルの数で除算して、正規化された合計を生成すること、及び正規化された合計が所定の閾値を超えることに応答して、移動物体が検知されたと決定すること、によって、チャネルインパルス応答値の決定された合計及び所定の閾値に応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定するように構成されている、実施例20に記載の受信機処理回路。
【0104】
実施例22:処理コアは、所定の閾値を超えるチャネルインパルス応答値の決定された合計に応答して移動物体が検知されたと決定することによって、チャネルインパルス応答値の決定された合計及び所定の閾値に応答して、移動物体が検知されたかどうかを決定するように構成されている、実施例20に記載の受信機処理回路。
【0105】
実施例23:受信機処理回路は、送信機の送信機処理回路とは非同期的に動作するように構成されており、送信機処理回路は、テストパターン信号を生成して、1つ以上の物体によるテストパターン信号の反射に応答して、反射されたテストパターン信号を提供するように構成されている、実施例20~22のいずれか1つに記載の受信機処理回路。
【0106】
実施例24:処理コアは、受信機の利得を調整するように構成されている、実施例20~23のいずれか1つに記載の受信機処理回路。
【0107】
実施例25:処理コアは、所定の時間窓にわたってチャネルインパルス応答値を積分することによって、チャネルインパルス応答値の合計を決定するように構成されている、実施例20~24のいずれか1つに記載の受信機処理回路。
【0108】
実施例26:テストパターン信号はバイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、実施例20~25のいずれか1つに記載の受信機処理回路。
【0109】
実施例27:レーダシステムであって、テストパターン信号を生成するように構成された送信機処理回路を含む送信機と、受信機処理回路を含む1つ以上の受信機と、を備え、受信機処理回路は、反射されたテストパターン信号をサンプリングして反射されたテストパターンサンプルを生成し、反射されたテストパターンサンプルに応答して、所定の時間窓にわたるチャネルインパルス応答値の合計を決定し、そして、チャネルインパルス応答値の合計と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するように構成されている、レーダシステム。
【0110】
実施例28:テストパターン信号はバイナリ周波数シフトキーイング信号を含む、実施例27に記載のレーダシステム。
【0111】
実施例29:1つ以上の受信機のうちの少なくとも1つは、送信機処理回路とは非同期的に動作するように構成されている、実施例27及び28のいずれか1つに記載のレーダシステム。
【0112】
実施例30:1つ以上の受信機は複数の受信機を備え、複数の受信機の各々は、それに関連付けられた個別の検出エリアを有する、実施例27~29のいずれか1つに記載のレーダシステム。
【0113】
実施例31:複数の受信機は全検出エリアに対して位置決めされており、複数の受信機に関連付けられた個々の検出エリアが全検出エリアを実質的にカバーする、実施例30に記載のレーダシステム。
【0114】
実施例32:受信機処理回路は、チャネルインパルス応答値の合計に応答してチャネルインパルス応答値の平均を決定し、そして、所定の閾値を超えるチャネルインパルス応答値の平均に応答して、移動物体が検出されたと決定することによって、移動物体が検出されたと決定するように構成されている、実施例27~31のいずれか1つに記載のレーダシステム。
【0115】
実施例33:受信機処理回路は、チャネルインパルス応答値の合計が所定の閾値を超えたことに応答して、移動物体が検出されたと決定することによって、移動物体が検出されたと決定するように構成されている、実施例27~32のいずれか1つに記載のレーダシステム。
【0116】
実施例34:移動物体が検出されたという決定に応答してトリガするように構成された機構を更に備える、実施例27~33のいずれか1つに記載のレーダシステム。
【0117】
実施例35:機構は、車両トランク開放機構、ドア開放機構、及び産業オートメーションコントローラからなる群から選択される機構を備える、実施例34に記載のレーダシステム。
【0118】
実施例36:受信機処理回路を動作させる方法であって、反射されたテストパターン信号をサンプリングして、反射されたテストパターンサンプルを生成するステップと、反射されたテストパターンサンプルに応答して、所定の時間窓にわたるチャネルインパルス応答値の合計を決定するステップと、チャネルインパルス応答値の合計及び所定の閾値に応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【0119】
実施例37:所定の時間窓にわたるチャネルインパルス応答値の合計を決定するステップは、反射されたテストパターンサンプルを所定の時間窓にわたって積分するステップを含む、実施例36に記載の方法。
【0120】
実施例38:レーダシステムを動作させる方法であって、送信機の送信機処理回路によって、バイナリ周波数シフトキーイング信号を含むテストパターン信号を生成するステップと、送信機の送信アンテナにテストパターン信号を提供するステップと、受信機の受信アンテナによって、送信アンテナに提供されたテストパターン信号に応答して反射されたテストパターン信号を受信するステップと、受信機の受信機処理回路によって、反射されたテストパターン信号をサンプリングして、反射されたテストパターンサンプルを生成するステップと、反射されたテストパターンサンプルに応答して、所定の時間窓にわたるチャネルインパルス応答値の合計を決定するステップと、チャネルインパルス応答値の合計と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、方法。
【0121】
実施例39:チャネルインパルス応答値の合計と所定の閾値とに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップは、チャネルインパルス応答値の平均を決定するステップと、平均が所定の閾値を超えたことに応答して、移動物体が検出されたと決定するステップと、を含む、実施例38に記載の方法。
【0122】
終わりに
本開示で使用するとき、用語「モジュール」又は「構成要素」は、コンピューティングシステムの汎用ハードウェア(例えば、コンピュータ可読メディア、処理デバイスなど)に記憶され、及び/又はその汎用ハードウェアによって実行され得るモジュール若しくは構成要素及び/又はソフトウェアオブジェクト若しくはソフトウェアルーチンのアクションを実行する特定のハードウェア実装を指し得る。いくつかの実施例では、本開示に記載される異なる構成要素、モジュール、エンジン、及びサービスは、(例えば、別個のスレッドとして)コンピューティングシステムで実行するオブジェクト又はプロセスとして実装され得る。本開示に記載されるシステム及び方法のいくつかは、一般に、ソフトウェア(汎用ハードウェアに記憶され、かつ/又は実行される)ソフトウェアに実装されるものとして記載されているが、特定のハードウェア実装、又はソフトウェアと特定のハードウェア実装との組み合わせも可能であり、企図される。
【0123】
本開示で使用するとき、複数の要素に関連する用語「組み合わせ」は、全ての要素の組み合わせ、又は要素の一部の様々な異なる部分的組み合わせのいずれかを含み得る。例えば、「A、B、C、D、又はそれらの組み合わせ」という句は、A、B、C、又はD;A、B、C、及びDの各々の組み合わせ;並びにA、B、C、又はDの任意の部分的組み合わせ、例えば、A、B、及びC;A、B、及びD;A、C、及びD;B、C、及びD;A及びB;A及びC;A及びD;B及びC;B及びD;又はC及びDのうちのいずれか1つを指し得る。
【0124】
本開示で使用される用語、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)において使用される用語は、一般に「オープン」用語として意図される(例えば、用語「含んでいる(including)」は、「含んでいるが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有している」という用語は、「少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むが、これに限定されない」などと解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「各々(each)」という用語は、いくつか又は全体を意味し、「各々及び全て(each and every)」という用語は、全体を意味する。
【0125】
追加的に、特定の数の導入された請求項列挙が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に列挙されることになり、そのような列挙がない場合には、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の請求項は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことがある。しかしながら、そのような句の使用は、同じ請求項が「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句、及び「1つの(a)」又は「1つ(an)」などの不定冠詞を含む場合であっても、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞による請求項の記載の導入が、そのような導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、1つのみのそのような記載を含む実施例に限定するものと解釈されるべきではない(例えば、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。請求項列挙を導入するために使用される明確な冠詞の使用についても同じことが当てはまる。
【0126】
加えて、導入された請求項列挙の特定の数が明示的に列挙されている場合であっても、当業者は、このような列挙が少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを、認識するであろう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの列挙」の明白な列挙は、少なくとも2つの列挙又は2つ以上の列挙を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、及びCなどのうちの1つ以上」に類似した慣例が使用される場合、一般に、そのような構造は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA、B、及びCを一緒に含むことを意図する。
【0127】
更に、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接語又は語句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面にかかわらず、用語のうちの1つ、用語のいずれか又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0128】
本開示は、ある特定の例示される実施例に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識し、理解するであろう。むしろ、以下にそれらの法的等価物と共に特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく、例示され、説明される実施例に対して数多くの追加、削除、及び修正を行うことができる。加えて、一実施例の特徴は、本発明者によって想到されるように、別の開示した実施例の特徴と組み合わせることができるが、それでも、本開示の範囲内に包含される。
【国際調査報告】