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特表2023-550175階層構造の識別子アドレッシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】階層構造の識別子アドレッシング方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/64 20220101AFI20231122BHJP
【FI】
H04L45/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530956
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2021098587
(87)【国際公開番号】W WO2022110756
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】202011326362.1
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110500271.3
(32)【優先日】2021-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510268565
【氏名又は名称】中国科学院声学研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ACOUSTICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(71)【出願人】
【識別番号】523189325
【氏名又は名称】シーネット(スヂョウ)・ネットワーク・テクノロジーズ・カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEANET (SUZHOU) NETWORK TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンリィン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,ジアリー
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HA08
5K030HD03
5K030JA11
5K030KA05
5K030LB05
(57)【要約】
階層構造の識別子アドレッシング方法であって、前記方法において、要求ネットワークエンティティの識別子を含む要求メッセージを受信するステップ1)と、制御ドメインのエッジルータにおいて識別子の解析を行ってアドレスを取得し、解析により取得されたアドレスが最終的な宛先アドレスである場合、処理を終了し、そうではない場合、解析により取得されたアドレスは、ネットワークエンティティが存在する管理ドメインの境界ルータアドレスであるため、ステップ3)に入るステップ2)と、管理ドメインの境界ルータにおいて、本管理ドメイン内のエンティティの識別子と、該識別子に関連するマッピング関係が記憶されるコントローラとのマッチングを行い、マッチングするコントローラが検索された場合、マッチングするコントローラにおいて識別子の解析及びアドレッシングを行ってステップ2)に戻り、そうではない場合、ステップ4)を実行するステップ3)と、管理ドメイン境界ルータにおいて、該識別子に対応する中間境界ルータを決定し、且つ該中間境界ルータにおいてインデックスによって識別子に関連する管理ドメインの境界ルータを取得してステップ3)を実行するステップ4)と、を含む。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造の識別子アドレッシング方法であって、
識別子とアドレスが分離されるアーキテクチャにおいて、ネットワークアドレスに関連しない識別子でネットワークにおける各ネットワークエンティティを一意に識別し、ネットワーク全体は、複数の管理ドメインで構成され、管理ドメインが複数の制御ドメインに分割されてもよく、各制御ドメインに1つのコントローラがあり、識別子の解析及びルーティングをキャリアするネットワークノードは、制御ドメインのエッジルータ及び管理ドメインの境界ルータを含むが、それらに限らず、コントローラは、制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶し、管理ドメイン境界ルータは、管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係及び識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶する、階層構造の識別子アドレッシング方法において、
要求ネットワークエンティティの識別子を含む要求メッセージを受信する、ステップ1)と、
制御ドメインのエッジルータにおいて識別子の解析を行ってアドレスを取得し、解析により取得されたアドレスが最終的な宛先アドレスである場合、処理を終了し、そうではない場合、解析により取得されたアドレスは、ネットワークエンティティが存在する管理ドメインの境界ルータアドレスであるため、ステップ3)に入る、ステップ2)と、
管理ドメインの境界ルータにおいて、本管理ドメイン内のエンティティの識別子と、該識別子に関連するマッピング関係が記憶されるコントローラとのマッチングを行い、マッチングするコントローラが検索された場合、マッチングするコントローラにおいて識別子の解析及びアドレッシングを行ってステップ2)に戻り、そうではない場合、ステップ4)を実行する、ステップ3)と、
管理ドメイン境界ルータにおいて、該識別子に対応する中間境界ルータを決定し、且つ該中間境界ルータにおいてインデックスによって識別子に関連する管理ドメインの境界ルータを取得してステップ3)を実行する、ステップ4)と、を含むが、それらに限らない、階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項2】
前記ネットワークエンティティは、ホスト、データ及びサービスを含むが、それらに限らず、前記識別子の生成方法は、フラットネーミング方法、階層ネーミング方法及びマルチセマンティックネーミング方法を含むが、それらに限らない、ことを特徴とする請求項1に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項3】
前記コントローラは、
(1)制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶して保持し、
(2)制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係の登録及び抹消機能を提供し、
(3)識別子とコントローラとのマッチング関係を決定するために、所属する管理ドメインにおける管理ドメイン境界ルータと情報を交換し、
(4)ルータから送信されたメッセージを受信すると、メッセージにおける宛先アドレスが有効アドレスであるかどうかを検査し、
(5)宛先アドレスが無効アドレスであるというメッセージに対して、識別子の解析を行うことができ、
(6)宛先アドレスが有効アドレスであるというメッセージに対して、特定のトリガーメカニズムに基づいて識別子の再解析を行うことができ、
(7)全ての識別子を解析し、コントローラには識別子に関連するマッピング関係が記憶されている場合、解析により取得されたアドレスは、最終的な宛先アドレスであり、そうではない場合、解析により取得されたアドレスは、予め設定された宛先アドレスであり、境界ルータアドレス及びデフォルト転送アドレスを含むが、それらに限らず、
(8)前記コントローラが、発信するフローテーブルに解析により取得されたアドレスを含め、ルータは、発信されたフローテーブルに基づいてメッセージにおいて宛先アドレスフィールドの書き込み又は更新を行うことができる、という機能を実現するためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項4】
前記制御ドメイン内のエンティティは、一意の識別子を有するネットワークエンティティであり、ネットワークデバイス、サービス及びデータを含むが、それらに限らず、エンティティがネットワークデバイスである場合に、該デバイスがまずこの制御ドメインによりネットワークに接続され、エンティティがデータ又はサービスなどである場合に、該エンティティが存在するネットワークデバイスがまずこの制御ドメインによりネットワークに接続され、即ち該エンティティが存在するデバイスが送信したメッセージがネットワークに入って通過する1番目の制御ドメインは、該エンティティが存在する制御ドメインと呼ばれる、ことを特徴とする請求項3に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項5】
メッセージにおける宛先アドレスフィールドがヌルであり、又は書き込まれたアドレスが所定のアドレスである場合、メッセージにおける宛先アドレスは、無効アドレスであり、そうではない場合、メッセージにおける宛先アドレスは、有効アドレスであり、なお、所定のアドレスは、アドレス空間の予約アドレスから選定したアドレスであり、非ルーティングアドレスであり、IPネットワークにおける予約アドレスを含む、ことを特徴とする請求項3に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項6】
前記特定のトリガーメカニズムは、識別子の再解析及びアドレッシングをトリガーすることができ、メッセージにトリガーフラグビットが含まれることを含むが、それらに限らない、ことを特徴とする請求項3に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項7】
前記制御ドメインのエッジルータとは、メッセージを制御ドメイン範囲内に転送する際に通過する1番目のルータを指し、制御ドメインの周辺に位置し、前記制御ドメインのエッジルータは、
(1)宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるというメッセージを受信すると、メッセージをエッジルータが属するコントローラに報告・転送し、フローテーブルを発信・転送するようにコントローラに要求することができ、
(2)宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるというメッセージに対して、コントローラが発信したフローテーブルに基づいてメッセージにおける宛先アドレスフィールドの書き込み又は更新を行うことができ、更新後の宛先アドレスは、最終的な宛先アドレス、及び対応する管理ドメインの境界ルータアドレスなどを含む可能性があるが、それらに限らず、
(3)宛先アドレスフィールドが有効アドレスであるというメッセージに対して、特定のトリガーメカニズムに基づいてメッセージを所属するコントローラに報告・転送し、フローテーブルを発信・転送するようにコントローラに要求することができ、
(4)宛先アドレスフィールドが有効アドレスであるというメッセージに対して、コントローラが発信したフローテーブルに基づいてメッセージにおける宛先アドレスフィールドの更新を行うことができ、
(5)コントローラが発信したフローテーブルに基づいてルーティング転送する、という機能を実現するためのものである、ことを特徴とする請求項5に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項8】
前記管理ドメイン境界ルータとは、管理ドメインの間にメッセージ転送を行うためのデバイスを指し、境界デバイスの一種であり、前記管理ドメイン境界ルータは、
(1)該境界ルータを一意に代表するインデックスを1つ備え、
(2)全ての境界ルータのインデックスとアドレスとのマッピング関係を記憶して保持し、
(3)管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係を記憶して保持し、
(4)事前に約束した方法を用いて、ネットワークエンティティの識別子を1つ又は複数の境界ルータのインデックスにマッピングし、マッピングされたこれらの境界ルータが該エンティティ識別子の中間境界ルータと呼ばれ、前記所定の方法は、テーブルルックアップ及び関数マッピングを含むが、それらに限らず、
(5)中間境界ルータに、識別子と該境界ルータとの関連付け関係の登録、抹消要求を行い、
(6)識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶して保持し、
(7)識別子の登録又は抹消要求に応じて識別子と制御ドメインとのマッチング関係を追加又は削除することができ、
(8)識別子の登録又は抹消要求に応じて、識別子と境界ルータとの関連付け関係を追加又は削除し、
(9)識別子の解析を行って、解析結果に基づいてメッセージの宛先アドレスフィールドを更新し、解析により取得されたアドレスは、コントローラアドレス、エッジルータアドレス及び境界ルータアドレスを含むが、それらに限らず、
(10)受信されたメッセージが所属する管理ドメイン内のネットワークデバイスからのものである場合、まず管理ドメイン内の識別子と制御ドメインとのマッチングを行い、マッチングに成功しない場合、中間境界ルータのマッピングを行う、という機能を実現するためのものである、ことを特徴とする請求項7に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項9】
前記した管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係において、該識別子に対応するネットワークエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係が該制御ドメインのコントローラにおいて記憶及び保持されるが、該識別子と該制御ドメインとのマッチング関係がこのネットワークエンティティの属する管理ドメインの境界ルータにおいて記憶及び保持される、ことを特徴とする請求項5に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項10】
前記した識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係とは、エンティティ識別子と該関係を登録する境界ルータアドレスとのマッピング関係を指す、ことを特徴とする請求項8に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項11】
前記方法は、識別子の登録ステップを更に含み、具体的には、
エンティティが、対応する制御ドメインのコントローラに識別子とアドレスとのマッピング関係を登録することと、
コントローラが、該エンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶することと、
登録要求をエンティティの属する管理ドメインの境界ルータに拡張することと、
境界ルータが、該マッピング関係と制御ドメインとのマッチング関係を記憶することと、
境界ルータが、ネットワークエンティティ識別子を中間境界ルータインデックスにマッピングすることと、
登録要求を、識別子がマッピングされた中間境界ルータに拡張することと、
中間境界ルータが、識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶することと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項12】
前記ステップ2)は、具体的には、
エッジルータが、受信したメッセージにおける宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるか、又は特定のトリガーメカニズムに係る場合、該メッセージを所属するコントローラに報告・転送して、フローテーブルを発信・転送するように要求する、ステップ201)と、
コントローラが、メッセージを受信した後、識別子の解析を行う、ステップ202)と、
コントローラが、解析により取得されたアドレス情報を含むフローテーブルを発信する、ステップ203)と、
エッジルータが、発信されたフローテーブルに基づいてメッセージ宛先アドレスフィールドを書き込み又は更新する、ステップ204)と、を含む、ことを特徴とする請求項11に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項13】
前記ステップ3)は、具体的には、
境界ルータが、メッセージを受信して管理ドメイン内の制御ドメインのマッチングを行う、ステップ301)と、
マッチングする制御ドメインが存在する場合、マッチングするコントローラにおいて識別子の解析及びアドレッシングを行ってステップ201)を実行し、マッチングに成功しない場合、管理ドメイン間の中間境界ルータのマッピング及びアドレッシングを行ってステップ4)を実行する、ステップ302)と、を含む、ことを特徴とする請求項12に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項14】
前記ステップ4)は、具体的には、
管理ドメインの境界ルータにおいて、識別子を中間境界ルータのインデックスにマッピングする、ステップ401)と、
メッセージを中間境界ルータに転送する、ステップ402)と、
該中間境界ルータにおいて、識別子の関連する境界ルータを取得する、ステップ403)と、
メッセージを関連する境界ルータに転送して、この管理ドメイン内の制御ドメインのマッチング及びアドレッシングを行ってステップ301)を実行する、ステップ404)と、を含む、ことを特徴とする請求項13に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【請求項15】
前記方法は、識別子の抹消ステップを更に含み、具体的には、
エンティティが、所属する制御ドメインのコントローラから、識別子とアドレスとのマッピング関係を抹消することと、
コントローラが、該エンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を削除することと、
抹消要求をエンティティの属する管理ドメインの境界ルータに拡張することと、
境界ルータが、該マッピング関係と制御ドメインとのマッチング関係を削除することと、
境界ルータが、ネットワークエンティティの識別子を中間境界ルータのインデックスにマッピングすることと、
抹消要求を、識別子がマッピングされた中間境界ルータに拡張することと、
中間境界ルータが、識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を削除することと、を含む、ことを特徴とする請求項11に記載された階層構造の識別子アドレッシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、名称が「階層構造の識別子アドレッシング方法」である、2020年11月24日に出願した中国特許出願第2020113263621号と、2021年5月8日に出願した中国特許出願第2021105002713号とに基づく優先権を主張し、上記2つの中国特許出願の全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、ネットワーク技術及び通信技術分野に関し、特に階層構造の識別子アドレッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モノのインターネット(IoT)、モバイルアクセス、分散型情報処理、膨大なストリーミングメディアなどの新技術及びアプリケーションの発展に伴い、現在のTCP/IPアーキテクチャに基づくコンピュータネットワーク性能は、既に限界に近づいており、情報コンテンツサービスへの膨大なニーズとネットワーク帯域幅のボトルネックとの矛盾が日一日厳しくなっている。IPネットワーク構造によるネットワークボトルネックの問題は、既に現在のネットワークアプリケーション層の発展を妨害する重要な要素となった。既存のインターネットTCP/IPシステムアーキテクチャは、拡張性、モビリティ、マルチホーム及びトラヒックエンジニアリングなどの面で多くの問題がある。インターネットが現在に使用するIPアドレスは、ロケータ情報及び識別情報の二重の意味を有し、ロケータ(locator)と識別子(identifier)の機能的境界を混同させ、IPアドレスのセマンティックオーバーロードの問題がある。このようなネーミングメカニズムもネットワーク技術の発展を制約する重要なポイントである。
【0003】
上記問題に対して、学術界及び各標準化機構は、将来の新型インターネットアーキテクチャについての研究を強化する。本世紀初頭に、インターネットの主なニーズを方向とし、情報/内容を中心としてネットワークシステムアーキテクチャ、非干渉情報とロケータとの関係を構築する情報指向ネットワーク技術(ICN、Information-Centric Networking)を提案し、ネットワークの情報記憶機能を向上させ、ネットワークの面からコンテンツ取得、モビリティサポート及びコンテンツ向けのセキュリティメカニズムの機能を向上させる。ICNシリーズの代表的な項目はNDN、DONA、NetInf、PURSUITなどを含む。国際インターネット技術検討委員会(IETF)は2009年にLISP(Locator/ID Separation Protocol)ワーキンググループを実施し始めて、識別子とアドレスを分離することでルーティングシステムの問題を解決することが提案された。欧州電気通信標準化機構(ETSI)は、2018年に「NGP 004:Evolved Architecture for mobility using Identity Oriented Networks」を発表しており、名前とアドレスが分離される思想に基づいて在来型のモビリティをサポートする。識別子とアドレスが分離される思想に基づく新型ネットワークアーキテクチャは、既に従来のTCP/IPネットワークの問題を解決する新たな視点となった。ロケータと識別子が分離された後、識別子の一意性及び持続性の特徴を利用して将来のインターネットの発展ニーズを満たすルーティングメカニズムをどのように設計するかは、現在の研究焦点となる。
【0004】
識別子に基づくルーティング方法は、識別子に基づいて直接ルーティングする方法と、識別子に基づいて解析・アドレッシングしてからアドレスに基づいてルーティングする方法との2種類に分けられ得る。識別子に基づいて直接ルーティングする方法は、オブジェクトの識別子を直接にルーティングにマッピングし、即ちロケータ及び識別子の解析経路とルーティング情報の返送経路とを統合し、代表的な項目はCCN/NDNを含み、識別子に基づいて解析・アドレッシングしてからアドレスに基づいてルーティングする方法は、まず識別子を名前解析システムによりアドレスにマッピングした後、アドレスに基づくルーティング方法を用い、代表的な項目はDONA、MoblityFirstを含む。
【0005】
第1の種類の方法は、解析サービス及びネットワークアドレスに依存する必要がなく、完全に識別子に基づいてルーティング転送するが、既存のネットワークデバイス及びネットワークアーキテクチャとの親和性が低く、識別子ルーティングテーブルの数が膨大であることによる拡張性及びルーティング収束効率の問題がある。第2の種類の方法は、既存のネットワークデバイス及びネットワークアーキテクチャとの親和性が高く、下層メカニズムが依然としてアドレスによるルーティングである。しかし、外部解析マッピングシステムに依存する必要があり、システムの安全性及び効率がルーティングプロセスに影響することとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の識別子ルーティングアルゴリズムにおける問題に鑑み、本発明は、階層構造の識別子アドレッシング方法を提供し、管理ドメイン及び制御ドメインに基づいてネットワークドメインの階層化を行い、コントローラが、制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶し、管理ドメインの境界ルータが、管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係、及び識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶し、階層記憶を実現するとともに、ドメイン内・ドメイン間の階層解析方式を用いてメッセージ伝送プロセスにおける識別子の動的解析及びアドレッシングが実現され、識別子アドレスマッピングテーブルの数が膨大であることによる拡張性及びクエリ効率の問題を効果的に解決される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題に対して、本発明は、階層構造の識別子アドレッシング方法を提供し、識別子とアドレスが分離されるアーキテクチャにおいて、ネットワークアドレスに関連しない識別子でネットワークにおける各ネットワークエンティティを一意に識別し、ネットワーク全体は、複数の管理ドメインで構成され、管理ドメインが複数の制御ドメインに分割されてもよく、各制御ドメインに1つのコントローラがあり、識別子の解析及びルーティングをキャリアするネットワークノードは、制御ドメインのエッジルータ及び管理ドメインの境界ルータを含むが、それらに限らない。コントローラは、制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶し、管理ドメイン境界ルータは、管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係及び識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶し、前記方法は、
要求ネットワークエンティティの識別子を含む要求メッセージを受信するステップ1)と、
制御ドメインのエッジルータにおいて識別子の解析を行ってアドレスを取得し、解析により取得されたアドレスが最終的な宛先アドレスである場合、処理を終了する一方、そうではない場合、解析により取得されたアドレスは、ネットワークエンティティが存在する管理ドメインの境界ルータアドレスであるため、ステップ3)に入る、ステップ2)と、
管理ドメインの境界ルータにおいて、本管理ドメイン内のエンティティの識別子と、該識別子に関連するマッピング関係が記憶されるコントローラとのマッチングを行い、マッチングするコントローラが検索された場合、マッチングするコントローラにおいて識別子の解析及びアドレッシングを行ってステップ2)に戻り、そうではない場合、ステップ4)を実行する、ステップ3)と、
管理ドメインの境界ルータにおいて、該識別子に対応する中間境界ルータを決定し、且つ該中間境界ルータにおいてインデックスによって識別子に関連する管理ドメインの境界ルータを取得してステップ3)を実行する、ステップ4)と、を含むが、それらに限らない。
【0008】
上記方法の改良として、前記ネットワークエンティティは、ホスト、データ及びサービスを含むが、それらに限らず、前記識別子の生成方法は、フラットネーミング方法、階層ネーミング方法及びマルチセマンティックネーミング方法を含むが、それらに限らない。
【0009】
上記方法の改良として、前記コントローラは、
(1)制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶して保持し、
(2)制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係の登録及び抹消機能を提供し、
(3)識別子とコントローラとのマッチング関係を決定するために、所属する管理ドメインにおける管理ドメイン境界ルータと情報を交換し、
(4)ルータから送信されたメッセージを受信すると、メッセージにおける宛先アドレスが有効アドレスであるかどうかをチェックし、
(5)宛先アドレスが無効アドレスであるというメッセージに対して、識別子の解析を行うことができ、
(6)宛先アドレスが有効アドレスであるというメッセージに対して、特定のトリガーメカニズムに基づいて識別子の再解析を行うことができ、
(7)全ての識別子を解析し、コントローラに識別子に関連するマッピング関係が記憶されている場合、解析により取得されたアドレスは最終的な宛先アドレスである一方、そうではない場合、解析により取得されたアドレスは予め設定された宛先アドレスであり、境界ルータアドレス及びデフォルト転送アドレスを含むが、それらに限らず、
(8)前記コントローラが、発信するフローテーブルに解析により取得されたアドレスを含め、ルータは、発信されたフローテーブルに基づいてメッセージにおいて宛先アドレスフィールドの書き込み又は更新を行うことができる、という機能を実現するためのものである。
【0010】
上記方法の改良として、前記制御ドメイン内のエンティティは、一意の識別子を有するネットワークエンティティであり、ネットワークデバイス、サービス及びデータを含むが、それらに限らない。エンティティがネットワークデバイスである場合に、該デバイスがまずこの制御ドメインによりネットワークに接続され、エンティティがデータ又はサービスなどである場合に、該エンティティが存在するネットワークデバイスは、まずこの制御ドメインによりネットワークに接続され、即ち該エンティティが存在するデバイスが送信したメッセージがネットワークに入って通過する1番目の制御ドメインは、該エンティティが存在する制御ドメインと呼ばれる。
【0011】
上記方法の改良として、メッセージにおける宛先アドレスフィールドがヌルであり、又は書き込まれたアドレスが所定のアドレスである場合、メッセージにおける宛先アドレスは、無効アドレスであり、そうではない場合、メッセージにおける宛先アドレスは、有効アドレスであり、なお、所定のアドレスは、アドレス空間の予約アドレスから選定したアドレスであり、非ルーティングアドレスであり、IPネットワークにおける予約アドレスを含む。
【0012】
上記方法の改良として、前記特定のトリガーメカニズムは、識別子の再解析及びアドレッシングをトリガーすることができ、メッセージにトリガーフラグビットが含まれることを含むが、それらに限らない。
【0013】
上記方法の改良として、前記制御ドメインのエッジルータとは、メッセージを制御ドメイン範囲内に転送する際に通過する1番目のルータを指し、制御ドメインの周辺に位置し、前記制御ドメインのエッジルータは、
(1)宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるというメッセージを受信すると、メッセージをエッジルータが属するコントローラに報告・転送し、フローテーブルを発信・転送するようにコントローラに要求することができ、
(2)宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるというメッセージに対して、コントローラが発信したフローテーブルに基づいてメッセージにおける宛先アドレスフィールドの書き込み又は更新を行うことができ、更新後の宛先アドレスは、最終的な宛先アドレス、及び対応する管理ドメインの境界ルータアドレスなどを含む可能性があるが、それらに限らず、
(3)宛先アドレスフィールドが有効アドレスであるというメッセージに対して、特定のトリガーメカニズムに基づいてメッセージを所属するコントローラに報告・転送し、フローテーブルを発信・転送するようにコントローラに要求することができ、
(4)宛先アドレスフィールドが有効アドレスであるというメッセージに対して、コントローラが発信したフローテーブルに基づいてメッセージにおける宛先アドレスフィールドの更新を行うことができ、
(5)コントローラが発信したフローテーブルに基づいてルーティング転送する、という機能を実現するためのものである。
【0014】
上記方法の改良として、前記管理ドメインの境界ルータとは、管理ドメインの間にメッセージ転送を行うためのデバイスを指し、境界デバイスの一種であり、前記管理ドメインの境界ルータは、
(1)該境界ルータを一意に代表するインデックスを1つ備え、
(2)全ての境界ルータのインデックスとアドレスとのマッピング関係を記憶して保持し、
(3)管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係を記憶して保持し、
(4)事前に約束した方法を用いて、ネットワークエンティティの識別子を1つ又は複数の境界ルータのインデックスにマッピングし、マッピングされたこれらの境界ルータが該エンティティ識別子の中間境界ルータと呼ばれ、なお、前記所定の方法は、テーブルルックアップ及び関数マッピングを含むが、それらに限らず、
(5)中間境界ルータに、識別子と該境界ルータとの関連付け関係の登録、抹消要求を行い、
(6)識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶して保持し、
(7)識別子の登録又は抹消要求に応じて、識別子と制御ドメインとのマッチング関係を追加又は削除することができ、
(8)識別子の登録又は抹消要求に応じて、識別子と境界ルータとの関連付け関係を追加又は削除し、
(9)識別子の解析を行って、解析結果に基づいてメッセージの宛先アドレスフィールドを更新し、解析により取得されたアドレスは、コントローラアドレス、エッジルータアドレス及び境界ルータアドレスを含むが、それらに限らず、
(10)受信されたメッセージが所属する管理ドメイン内のネットワークデバイスからのものである場合、まず管理ドメイン内の識別子と制御ドメインとのマッチングを行い、マッチングに成功しない場合、中間境界ルータのマッピングを行う、という機能を実現するためのものである。
【0015】
上記方法の改良として、前記した管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係において、該識別子に対応するネットワークエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係が該制御ドメインのコントローラにおいて記憶及び保持されるが、該識別子と該制御ドメインとのマッチング関係がこのネットワークエンティティの属する管理ドメインの境界ルータにおいて記憶及び保持される。
【0016】
上記方法の改良として、前記した識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係とは、エンティティ識別子と該関係を登録する境界ルータアドレスとのマッピング関係を指す。
【0017】
上記方法の改良として、前記方法は、識別子の登録ステップを更に含み、具体的には、
エンティティが、所属する制御ドメインのコントローラに識別子とアドレスとのマッピング関係を登録することと、
コントローラが、該エンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶することと、
登録要求をエンティティの所属する管理ドメインの境界ルータに拡張する(送信する)ことと、
境界ルータが、該マッピング関係と制御ドメインとのマッチング関係を記憶することと、
境界ルータが、ネットワークエンティティの識別子を中間境界ルータのインデックスにマッピングすることと、
登録要求を、識別子がマッピングした中間境界ルータに拡張することと、
中間境界ルータが、識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶することと、を含む。
【0018】
上記方法の改良として、前記ステップ2)は、具体的には、
エッジルータが、受信したメッセージにおける宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるか、又は特定のトリガーメカニズムに係る場合、該メッセージを所属するコントローラに報告・転送して、フローテーブルを発信・転送するように要求する、ステップ201)と、
コントローラが、メッセージを受信した後、識別子の解析を行う、ステップ202)と、
コントローラが、解析により取得されたアドレス情報を含むフローテーブルを発信する、ステップ203)と、
エッジルータが、発信されたフローテーブルに基づいてメッセージ宛先アドレスフィールドを書き込み又は更新する、ステップ204)と、を含む。
【0019】
上記方法の改良として、前記ステップ3)は、具体的には、
境界ルータが、メッセージを受信して、管理ドメイン内の制御ドメインのマッチングを行う、ステップ301)と、
マッチングする制御ドメインが存在する場合、マッチングするコントローラにおいて識別子の解析及びアドレッシングを行ってステップ201)を実行し、マッチングに成功しない場合、管理ドメイン間の中間境界ルータのマッピング及びアドレッシングを行ってステップ4)を実行する、ステップ302)と、を含む。
【0020】
上記方法の改良として、前記ステップ4)は、具体的には、
管理ドメインの境界ルータにおいて、識別子を中間境界ルータのインデックスにマッピングする、ステップ401)と、
メッセージを中間境界ルータに転送する、ステップ402)と、
該中間境界ルータにおいて、識別子の関連する境界ルータを取得する、ステップ403)と、
メッセージを関連する境界ルータに転送して、この管理ドメイン内の制御ドメインのマッチング及びアドレッシングを行ってステップ301)を実行する、ステップ404)と、を含む。
【0021】
上記方法の改良として、前記方法は、識別子の抹消ステップを更に含み、具体的には、
エンティティが、所属する制御ドメインのコントローラから、識別子とアドレスとのマッピング関係を抹消することと、
コントローラが、該エンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を削除することと、
抹消要求をエンティティの属する管理ドメインの境界ルータに拡張することと、
境界ルータが、該マッピング関係と制御ドメインとのマッチング関係を削除することと、
境界ルータが、ネットワークエンティティの識別子を中間境界ルータのインデックスにマッピングすることと、
抹消要求を、識別子がマッピングした中間境界ルータに拡張することと、
中間境界ルータが、識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を削除することと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の優位性は以下のとおりである。
【0023】
本発明の方法は、管理ドメイン及び制御ドメインに基づいてネットワークドメインの階層化を行い、コントローラは、制御ドメイン内のエンティティの識別子とアドレスとのマッピング関係を記憶し、管理ドメインの境界ルータは、管理ドメイン内のエンティティの識別子と制御ドメインとのマッチング関係、及び識別子と関連する境界ルータとの関連付け関係を記憶し、階層記憶を実現するとともに、ドメイン内・ドメイン間において、階層的に解析する方式を用いて、メッセージの伝送中における識別子の動的解析及びアドレッシングが実現され、識別子アドレスマッピングテーブルの数が膨大であることによる拡張性及びクエリ効率の問題を効果的に解決する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、ネットワーク構造の模式図である。
図2図2は、本発明に係る識別子を登録するフローチャートである。
図3図3は、本発明に係る識別子を登録する具体的なフローチャートである。
図4図4は、本発明に係るサーバサイドにEID1とIP1とのマッピング関係を登録するネットワーク処理の模式図である。
図5図5は、本発明に係る識別子を抹消するフローチャートである。
図6図6は、本発明に係る識別子を抹消する具体的なフローチャートである。
図7図7は、本発明に係るサーバサイドにEID1とIP1とのマッピング関係を抹消するネットワーク処理の模式図である。
図8図8は、本発明に係る識別子の解析及びルーティングのフローチャートである。
図9図9は、ユーザー1が識別子EID1のネットワーク解析及びルーティングプロセスを要求する模式図である。
図10図10は、ユーザー2が識別子EID1のネットワーク解析及びルーティングプロセスを要求する模式図である。
図11図11は、ユーザー3が識別子EID1のネットワーク解析及びルーティングプロセスを要求する模式図である。
図12図12は、本発明に係る識別子を登録するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における添付された図面を参照しながら本発明の技術案を明確且つ完全に説明する。
【0026】
識別子とは、1つのネットワークエンティティを代表できる、ネットワークアドレスに関連しないグローバルに一意の識別子を指し、データ識別子などを含むが、それらに限らない。ネットワークアドレスとは、ネットワークがルーティングできる、該ネットワークエンティティが存在する箇所でのアドレス情報を指し、IPアドレスなどの情報を用いること含むが、それらに限らない。説明される実施例において、コンテンツ識別子を例として、EID(Entity ID)で示され、ネットワークアドレスがIPアドレスで示される。サーバサイドに、ビデオコンテンツMovieが配置され、識別子がEID1であり、サーバサイドネットワークアドレスは、IP1である。サーバサイドは、ネットワークにEID1とIP1とのマッピング関係を登録することによりビデオコンテンツを公開し、ユーザーは、識別子EID1によりビデオコンテンツの取得を行い、サーバサイドは、ビデオコンテンツを提供しない場合にネットワークにEID1とIP1とのマッピング関係を抹消する。
【0027】
説明される実施例において、ネットワークにおける全てのコントローラに、いずれも1つのEID-IPのマッピングテーブルが保持される必要がある。また、BGPルータにおいて、識別子と制御ドメインとの高速マッチングのために、所属する自律ドメインにおける全てのコントローラのそれぞれに1つのブルームフィルタを保持する。さらに、削除機能をサポートするために、本実施例は、カウンティングブルームフィルタ(counting bloom)を用いるのである。ハッシュ関数及び最近接距離の原則に基づいて、識別子を境界ルータのインデックスにマッピングすることができる。図1は本発明に係るネットワーク構造の模式図である。
【0028】
図2及び図3は識別子を登録するフローチャートであり、図4はサーバサイドにEID1とIP1とのマッピング関係を登録するネットワーク処理の模式図である。
【0029】
識別子の登録プロセスは、
サーバサイドが、コントローラC1にEID1-IP1マッピング関係の登録要求を送信する、ステップS1101と、
コントローラC1が、ローカルのマッピングテーブルにこのマッピング関係を挿入する、ステップS1102と、
コントローラC1が、境界ルータBGP1及びBGP2に登録情報を拡張する、ステップS1103と、
境界ルータBGP1及びBGP2が、それぞれ保持するコントローラC1に対応するブルームフィルタの記憶空間にEID1-IP1マッピング関係を挿入する、ステップS1104と、
ハッシュ関数によって、EID1を中間境界ルータのインデックスにマッピングする、ステップS1105と、
中間境界ルータBGP4に登録情報を拡張する、ステップS1106と、
中間境界ルータBGP4に、EID1とBGP1及びBGP2との関連付け関係を挿入し、登録プロセスを終了する、ステップS1107と、を含む。
【0030】
図5及び図6は、識別子を抹消するフローチャートであり、図7は、サーバサイドにEID1とIP1とのマッピング関係を抹消するネットワーク処理の模式図である。
【0031】
識別子の抹消プロセスは、
サーバサイドが、コントローラC1にEID1-IP1マッピング関係の抹消要求を送信する、ステップS1201と、
コントローラC1が、ローカルのマッピングテーブルからこのマッピング関係を削除する、ステップS1202と、
コントローラC1が、抹消情報を境界ルータBGP1及びBGP2に拡張する、ステップS1203と、
境界ルータBGP1及びBGP2が、それぞれ保持するコントローラC1に対応するブルームフィルタの記憶空間からEID1-IP1マッピング関係を削除する、ステップS1204と、
ハッシュ関数によって、EID1を中間境界ルータのインデックスにマッピングする、ステップS1205と、
中間境界ルータBGP4に抹消情報を拡張する、ステップS1206と、
中間境界ルータBGP4において、EID1とBGP1及びBGP2との関連付け関係を削除し、抹消プロセスを終了する、ステップS1207と、を含む。
【0032】
図8は、識別子に基づいてアドレッシングするフローチャートである。図9は、ユーザー1により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスの模式図である。
【0033】
ユーザー1により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスは、
ユーザー1により要求されたとき、要求された識別子EID1をメッセージに含める、ステップS1301と、
エッジルータER4が、メッセージを受信した後、宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるかどうかを検査し、無効アドレスである場合、メッセージをコントローラC1に報告・転送してステップS1402を実行し、有効アドレスである場合、直接にフローテーブルに基づいて転送する、ステップS1401と、
コントローラC1が、メッセージを受信した後、識別子の解析を行ってアドレスIP1を取得する、ステップS1402と、
コントローラC1が、発信するフローテーブルに解析により取得されたアドレスIP1を含める、ステップS1403と、
エッジルータER4が、メッセージにおける宛先アドレスフィールドをIP1に更新し、アドレッシングプロセスを終了する、ステップS1404と、を含む。
【0034】
図10は、ユーザー2により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスの模式図である。
ユーザー2により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスは、
ユーザー2により要求されたとき、要求された識別子EID1をメッセージに含める、ステップS1301と、
エッジルータER4が、メッセージを受信した後、宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるかどうかを検査し、無効アドレスである場合、メッセージをコントローラC2に報告・転送してステップS1402を実行し、有効アドレスである場合、直接にフローテーブルに基づいて転送する、ステップS1401と、
コントローラC2が、メッセージを受信した後、識別子の解析を行い、コントローラC2においてEID1に関連するエントリーが検索されなかったため、境界ルータBGP1のアドレスを解析アドレスとする、ステップS1402と、
コントローラC2が、発信するフローテーブルに解析により取得されたBGP1のアドレスを含める、ステップS1403と、
エッジルータER2が、メッセージにおける宛先アドレスフィールドをBGP1のアドレスに更新して、メッセージを境界ルータBGP1に転送する、ステップS1404と、
境界ルータBGP1において、コントローラC1、C2、C3のそれぞれに対応するブルームフィルタに対してEID1の高速クエリ及びマッチングを行い、C1にEID1に関連する識別子が含まれることが検索され、且つ1つのC1が存在する制御ドメインのエッジルータER5を選択する、ステップS1501と、
メッセージにおける宛先アドレスフィールドをER5のアドレスに更新して、メッセージをER5に転送する、ステップS1502と、を含み、
コントローラC1が存在する制御ドメイン内において、下記ステップS1401~S1404を再び実行し、具体的には、
エッジルータER5が、メッセージを受信した後、宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるかどうかを検査し、無効アドレスである場合、メッセージをコントローラC1に報告・転送してステップS1402を実行し、有効アドレスである場合、直接にフローテーブルに基づいて転送する、ステップS1401と、
コントローラC1が、メッセージを受信した後、識別子の解析を行ってアドレスIP1を取得する、ステップS1402と、
コントローラC1が、発信するフローテーブルに解析により取得されたアドレスIP1を含める、ステップS1403と、
エッジルータER5が、メッセージにおける宛先アドレスフィールドをIP1に更新し、アドレッシングプロセスを終了する、ステップS1404と、を再び実行する。
【0035】
図11は、ユーザー3により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスの模式図である。
ユーザー3により識別子EID1に対応するネットワークエンティティが要求されるアドレッシングプロセスは、
ユーザー3により要求されたとき、要求された識別子EID1をメッセージに含める、ステップS1301と、
エッジルータER3が、メッセージを受信した後、宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるかどうかを検査し、無効アドレスである場合、メッセージをコントローラC4に報告・転送してステップS1402を実行し、有効アドレスである場合、直接にフローテーブルに基づいて転送する、ステップS1401と、
コントローラC4が、メッセージを受信した後、識別子の解析を行い、コントローラC4においてEID1に関連するエントリーが検索されなかったため、境界ルータBGP3のアドレスを解析アドレスとする、ステップS1402と、
コントローラC4が、発信するフローテーブルに解析により取得されたBGP3のアドレスを含める、ステップS1403と、
エッジルータER3が、メッセージにおける宛先アドレスフィールドをBGP3のアドレスに更新して、メッセージを境界ルータBGP3に転送する、ステップS1404と、
境界ルータBGP3において、コントローラC4に対応するブルームフィルタに対してEID1の高速クエリ及びマッチングを行い、C4にはEID1に関連する識別子が含まれていないことが検索され、ステップS1601を実行する、ステップS1501と、
境界ルータBGP3において、ハッシュ関数によってEID1を中間境界ルータのインデックスにマッピングする、ステップS1601と、
メッセージにおける宛先アドレスフィールドをインデックスに対応する中間境界ルータBGP4のアドレスに更新して、メッセージを境界ルータBGP4に転送する、ステップS1602と、
中間境界ルータBGP4において、各境界ルータに対応するブルームフィルタに対してEID1の高速クエリを行って、関連する境界ルータをBGP1として決定する、ステップS1603と、
メッセージにおける宛先アドレスフィールドを、関連する境界ルータがBGP1のアドレスに更新して、メッセージをBGP1に転送してステップ(1501)を実行する、ステップS1604と、を含む。
【0036】
自律ドメインAS1内において、下記ステップS1501~ステップS1502を再び実行する。具体的には、
境界ルータBGP1において、コントローラC1、C2、C3のそれぞれに対応するブルームフィルタに対してEID1の高速クエリ及びマッチングを行い、C1にはEID1に関連する識別子が含まれることが検索され、且つ1つのC1が存在する制御ドメインのエッジルータER5を選択する、ステップS1501と、
メッセージにおける宛先アドレスフィールドをER5のアドレスに更新して、メッセージをER5に転送する、ステップS1502と、を再び実行する。
コントローラC1が存在する制御ドメイン内において、下記ステップS1401~S1404を再び実行する。具体的には、
エッジルータER5が、メッセージを受信した後、宛先アドレスフィールドが無効アドレスであるかどうかを検査し、無効アドレスである場合、メッセージをコントローラC1に報告・転送してステップS1402を実行し、有効アドレスである場合、直接にフローテーブルに基づいて転送する、ステップS1401と、
コントローラC1が、メッセージを受信した後、識別子の解析を行ってアドレスIP1を取得する、ステップS1402と、
コントローラC1が、発信するフローテーブルに解析により取得されたアドレスIP1を含める、ステップS1403と、
エッジルータER5が、メッセージにおける宛先アドレスフィールドをIP1に更新し、アドレッシングプロセスを終了する、ステップS1404と、を再び実行する。
【0037】
本発明に係る識別子に基づいてアドレッシングするフローチャートは、図12に示される。最後に説明すべきことは、以上の実施例は単に本発明の技術案を説明するためのものであって、制限のためのものではない。実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者であれば理解されるように、本発明実用新案の技術案に対して行われる修正又は等価置換は、いずれも本発明の技術案の主旨及び範囲から逸脱することがなく、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【0038】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は単に本発明の技術案を説明するためのものであって、制限のためのものではない。実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者であれば理解されるように、本発明の技術案に対して行われる修正又は等価置換は、いずれも本発明の技術案の主旨及び範囲から逸脱することがなく、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】