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特表2023-550176自己テスト機能を備える排出物測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】自己テスト機能を備える排出物測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/10 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
G01M15/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530960
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 AT2021060438
(87)【国際公開番号】W WO2022104405
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】A51016/2020
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523189428
【氏名又は名称】アーファウエル・ディテスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュリーフル・マリオ
(72)【発明者】
【氏名】リヒトフェルト・シュテファン
【テーマコード(参考)】
2G087
【Fターム(参考)】
2G087AA15
2G087CC23
2G087EE21
(57)【要約】
排出測定ユニット自己テストを簡素化するために、
自己テストユニット(20)が設けられていて、継手の第1連結部(21、21a)が自己テストユニット(20)に配置されていて、
継手の第2連結部(22)が排気ガスプローブ(1)のプローブ先端(2)に配置されていて、かつ
自己テストを実施するために、プローブ先端(2)の第2連結部(22)が自己テストユニット(20)の第1連結部(21、21a)と接続可能であることが企図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己テスト機能を備える排出物測定装置であって、
排出物測定装置(10)には、排出物測定装置(10)内の測定管(14)を介して排出物測定ユニット(12)に接続されている排気管(4)が接続されていて、かつ排気管(4)の、排出物測定装置(10)とは離れた端部には、排気ガスを採集する排気ガスプローブ(1)が設けられている、
当該排出物測定装置において、
自己テストユニット(20)が設けられ、継手の第1連結部(21、21a)が自己テストユニット(20)に配置されていて、
継手の第2連結部(22)が排気ガスプローブ(1)のプローブ先端(2)に配置されていて、かつ
自己テストを実施するために、プローブ先端(2)の第2連結部(22)が自己テストユニット(20)の第1連結部(21、21a)に接続可能である、
ことを特徴とする排出物測定装置。
【請求項2】
排気ガスプローブ(1)のプローブ先端(2)が、第2連結部(22)として製造されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の排出物測定装置。
【請求項3】
第2連結部(22)は、プローブ先端(2)に取り外し可能に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の排出物測定装置。
【請求項4】
自己テストユニット(20)は、排出物測定装置(10)に一体化されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の排出物測定装置。
【請求項5】
第1連結部(21,21a)には、第1係止部(6)が設けられていて、かつ第2連結部(22)には第2係止部(5)が設けられていて、
第1連結部(21,21a)と第2連結部(22)とが継手を確立するために互いに接続されている場合、第1連結部(21,21a)と第2連結部(22)とを係止するために、第1係止部(6)と第2係止部(5)とが協働する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の排出物測定装置。
【請求項6】
自己テストユニット(20)における第1連結部(21、21a)の一端は、リークテストを実行するために閉じられている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の排出物測定装置。
【請求項7】
零点調整、調節、又は較正を実行するために、自己テストユニット(20)内で第1連結部(21)が、自己テストライン(26)を介して自己テストユニット(20)のガス入口(23)に接続されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の排出物測定装置。
【請求項8】
フィルタ(24)が、第1連結部(21)とガス入口(23)との間の自己テストライン(26)に配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の排出物測定装置。
【請求項9】
1つの自己テストライン(26)が自己テストユニット(20)に設けられていて、
この自己テストライン(26)が、第1連結部(21)を自己テストユニット(20)のガス入口(23)に接続し、かつ自己テストユニット(20)には、第1連結部(21)とガス入口(23)との間に制御可能な弁(25)が配置されていて、
この弁(25)の位置に応じて、リークテストを実行するために自己テストライン(26)を閉めるか、又は零点調整、調節、若しくは較正を実行するために自己テストライン(26)を開ける、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに一項に記載の排出物測定装置。
【請求項10】
供給ポンプ(11)が測定管(14)に設けられ、排気管(4)と排気ガスプローブ(1)とからなるプローブシステムにおいてリークテストを実行するために、供給ポンプ(11)でもって負圧又は正圧を発生することができ、
圧力センサ(18)が測定管(14)に設けられ、この圧力センサ(18)が排出測定ユニット(10)の制御ユニット(16)に接続されていて、制御ユニット(16)が測定管(14)内の圧力の経時的なプロファイルを評価し、かつ
経時的な圧力変化が所定の限界値を超える場合、制御ユニット(16)がプローブシステムのリークを検出する、
ことを特徴とする請求項6又は9に記載の排出物測定装置。
【請求項11】
排気管(4)と排気ガスプローブ(1)とからなるプローブシステムは、リークテストを実行するために、真空ライン又は正圧ライン(28)に接続されていること、
1つの圧力センサ(18)が測定管(14)に設けられ、この圧力センサ(18)が排出測定装置(10)の制御ユニット(16)に接続され、制御ユニット(16)が測定管(14)内の圧力の経時的なプロファイルを評価すること、かつ
圧力の経時変化が所定の限界値を超える場合、制御ユニット(16)がプローブシステムのリークを検出する、
ことを特徴とする請求項6又は9に記載の排出物測定装置。
【請求項12】
測定管(14)に供給ポンプ(11)が設けられていて、
供給ポンプ(11)が零点調整、調節、又は較正を実行するために、ガス入口(23)、自己テストライン(26)、第1連結部(21)、排気ガスプローブ(1)、及び排気管(4)を介して、排出物を測定する排出物測定ユニット(12)にガスを供給する、
ことを特徴とする請求項7又は9に記載の排出物測定装置。
【請求項13】
自己テスト機能を備える排出物測定装置(10)の自己テストを実施する方法であって、
継手の第1連結部(21、21a)を備える自己テストユニット(20)を用意し、
排気管(4)を介して排出物測定装置(10)の測定管(14)に接続され、かつ測定管(14)に接続される排出測定ユニット(12)に接続され、継手の第2連結部(22)が設けられているプローブ先端(2)を備える排気ガスを採集する排気ガスプローブ(1)を用意し、
自己テストを実施するために、プローブ先端(2)の第2連結部(22)を自己テストユニット(20)の第1連結部(21、21a)と接続する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
第1連結部(21、21a)と第2連結部(22)とが継手を確立するために互いに接続される際に、第1連結部(21、21a)及び第2連結部(22)は、第1連結部(21、21a)の第1係止部(6)及び第1係止部(6)と相互作用する、第2連結部(22)の第2係止部(5)で、係止される、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
自己テストユニット(20)における第1連結部分(21、21a)の一端が、リークテストを実施するために閉じられる、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
零点調整、調節、又は較正を実行するために、自己テストユニット(20)内の第1連結部(21)が、自己テストライン(26)を介して自己テストユニット(20)のガス入口(23)に接続される、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
第1連結部(21)を自己テストユニット(20)内のガス入口(23)に接続する自己テストユニット(20)の自己テストライン(26)は、制御可能なバルブ(25)によって、リークテストを実行するために閉じられる、又は零点調整、調節、若しくは較正を実行するために開かれる、
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
排気管(4)と排気ガスプローブ(1)とからなるプローブシステムにおいて、測定管(14)内の供給ポンプ(11)でもって負圧又は正圧を発生させ、かつ
測定管(14)内の圧力センサ(18)でもって、圧力が測定され、
その際、測定された圧力の、圧力の経時変化が所定の限界値を超える場合、プローブシステムのリークが認識される、
ことを特徴とする請求項15又は17に記載の方法。
【請求項19】
排気管(4)と排気ガスプローブ(1)とからなり、測定管(14)に接続されるプローブシステムは、負圧又は正圧を発生するために真空ライン又は正圧ライン(28)と接続され、かつ測定管(14)内の圧力センサ(18)でもって、圧力が測定され、
その際、測定された圧力の、圧力の経時変化が所定の限界値を超える場合、プローブシステムのリークが認識される、
ことを特徴とする請求項15又は17に記載の方法。
【請求項20】
零点調整、調節、又は較正を実行するために、測定管(14)内の供給ポンプ(11)でもって、ガス入口(23)、自己テストライン(26)、第1連結部(21)、排気ガスプローブ(1)、排気管(4)を介して、ガスが排出測定するための排出測定ユニット(12)に供給される、
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己テスト機能を備える排出物測定装置に関するものであり、
排出物測定装置には、排出物測定装置の測定管を介して排出物測定ユニットに接続されている排気管が接続されていて、かつ排気管の、排出物測定装置とは離れた端部には、排気ガスを採集する排気ガスプローブが設けられている、排出物測定装置に関する。本発明は、そのような排出物測定装置でもって自己テストを実施する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、内燃機関又は工業プロセスからの排気ガス排出物、例えば、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質などを測定するための排出物測定装置は、よく知られている。そのような排出物測定装置は、多種多様な設計で、多種多様な既知の測定原理で知られている。全ての排出物測定装置は、排気流から排気ガスを採集し、かつ排出物測定装置に供給する排気ガスプローブを使用し、排出物測定装置では採集された排出ガスは、必要に応じて調整され(例えば、水分離、揮発物質の除去など)、必要に応じて希釈され(例えば、希釈トンネルで)、1以上の測定ステージに供給することができる。排気ガスプローブは、通常、車両の排気管に直接挿入され、測定プロセス中に、例えば固定クランプによって定位置に固定される。
【0003】
定期的な自己テストが、排出物測定装置の適切な動作を保証するために必要である。これは、例えば、測定の零点を設定するために零ガス(排出成分を含まない純粋なガス、例えば、フィルタリングされた周囲空気)を用いた零化(初期化)によって、又は較正ガス(定義された排出成分を有するガス)を用いた較正によって調整できる。通常、プローブシステム(排気ガス測定装置までの排気管を備える排気ガスプローブ)又は排気ガス測定装置内のガス経路全体の、リークテストも、定期的に実施すべきである。特に、作業場の使用において、及び保守要員によって使用される場合、調整及びリークテストの両方を可能な限り簡単に行うことができれば有利である。
【0004】
特許文献1は、排気管を遮断することができる遮断弁を測定プローブの領域に設けることを企図している。リークテストのために、排気管に排気ガスが充填され、かつ排気ガス中の排出物成分の濃度が測定され、次いで遮断弁が閉じられる。その後、この排出物成分を一定期間測定し続ける。監視された排出物成分に変化がある場合、リークが認識される。この場合、自動車の場合のリークテストのための排気ガスプローブを、排気のテールパイプ内に配置する必要があり、内燃機関もかかっている必要があるという欠点がある。しかしながら、リークテストは、1日に1回だけ、例えば作業場の営業開始時又は終了時にのみ実施されることが多い。そのため、必ずしもテストを実施することができる自動車があるわけではありません。さらに、このテストのために排気ガスプローブを排気ガス流中に別個に配置しなければならないことは不便である。特定の排出物測定前にリークテストを実施することは可能であるが、作業場など排出物測定装置の通常の使用では忘れられがちであり、したがって信頼性がない。それとは別に、調整(零点調整、較正)を実施することがこれでできない。また、高温で汚染の危険性があるプローブ先端の領域に弁を配置することは不利であると考えられる。弁は、これらの好ましくない条件のために設計する必要があり、労力及びコストを増加させる。
【0005】
したがって、排気ガスプローブに粒子フィルタ(EPAフィルタ)又はパティキュレートフィルタ(HEPAフィルタ)を配置し、これを用いて、排出物測定装置による測定を実施することが既に検討されている。このようにして、フィルタリングされた周囲空気を用いる零点調整を実施することができる。同様に、排気ガスプローブは、較正を実行するために、較正ガスを有するガスボンベに接続することができる。リークテストのために、排気ガスプローブは、封止プラグで閉じられ、かつ負圧が生成され、その後の圧力上昇が監視される。圧力があまりにも速く上昇する場合、リークが想定できる。しかし、フィルタの配置、及び較正ガスへの接続、及び封止栓の使用は、いずれも煩雑であり、排出物測定装置の取り扱いをより困難にする。特に、このために別々の部品が必要とされ、これらの部品は、排出物測定装置の通常の動作中、特に作業場の動作中に、しばしば誤って置かれたり、失われたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第530566号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/044256号
【特許文献3】独国特許出願公開第1020151108586号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、排出物測定装置の自己テストを簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、継手の第1連結部が配置されている自己テストユニットが設けられていることによって解決され、
その際、継手の第2連結部が排気ガスプローブのプローブ先端に配置されていて、かつ自己テストを実施するために、プローブ先端の第2連結部が自己テストユニットの第1連結部と接続可能である、ことで解決される。排気ガスプローブのプローブ先端のこの二重の機能、すなわち、一方では排気ガスの採集、他方では継手の一部として、自己テストをきわめて簡単に実施することができる。このため、プローブ先端の第1連結部のみが、自己テストユニットの第1連結部に接続されればよい。自己テストユニットは、自己テスト、特にリークテスト及び/又は零点調整若しくは較正を実施するために必要とされる他のすべての特徴を備える。自己テストのために、取り扱われるべき追加の部品又は構成要素は必要性がない。
【0009】
第1変形例では、排気ガスプローブのプローブ先端は、第2連結部として製造されている。言い換えれば、第2連結部及びプローブ先端は、一体に製造されるか、又は共通の構成要素を形成し、第2連結部がプローブ先端である。
【0010】
車両の排気ガスを測定するとき、排気ガスプローブは、使用中に容易に汚れる可能性がある。したがって、第2変形例では、第2連結部が、プローブ先端で取り外し可能に配置されている。換言すれば、第2連結部は、排気ガスプローブに取り外し可能に接続できる。その結果、第2連結部は、洗浄又は交換のために容易に取り外すことができる。この取り外し可能な接続部を介して、異なるタイプの連結部を排気ガスプローブに取り付けることも可能である。これは、第三者による装置テスト時に、特に有利であり得る。そのような装置テストは、例えば、度量衡検定局による検証、又は較正ラボでの較正であり得る。
【0011】
特に取り扱いが容易でコンパクトな排出物測定装置は、自己テストユニットが排出物測定装置に一体化されている場合に達成することができる。代替的には、自己テストユニットは、それ自体のハウジングを備える排出物測定装置の別個の構成要素として設けられ得る。
【0012】
確実に連結するためには、第1係止部が第1連結部に設けられていて、第2係止部が第2連結部に設けられている場合に有利であり、その際、第1連結部と第2連結部とが互いに接続されて継手を確立する時に、第1連結部と第2連結部とを係止するために、第1係止部と第2係止部とが協働する。このようにして、意図しない継手の緩みを可能な限り防止することができる。
【0013】
自己テストとしてのリークテストは、第1連結部の一端が自己テストユニット内で閉じられている場合に容易に実現できる。これによって、リークテストのために、プローブシステムにおいて、負圧又は正圧を容易に発生させることができる。
【0014】
自己テストユニット内の第1連結部が自己テストラインを介して自己テストユニットのガス入口に接続されている場合、零点調整、調節、又は較正が容易に実現可能である。第1連結部とガス入口との間の自己テストラインにフィルタが配置されている場合、周囲空気は、有利には零点調整のために使用することができる。
【0015】
1つの自己テストラインが自己テストユニットに設けられ、この自己テストラインが、第1連結部を自己テストユニットのガス入口に接続し、かつ自己テストユニットには、第1連結部とガス入口との間に弁が配置されていて、この弁の位置に応じて、リークテストを実行するために自己テストラインを閉めるか、又は零点調整、若しくは較正を実行するために自己テストラインを開けている場合に、両方の自己テストが容易に実現可能である。
【0016】
リークテストを実施するために、好ましくは、測定管には、負圧又は正圧を発生させることができる供給ポンプと、圧力センサとが設けられていて、この圧力センサは、排出測定ユニットの制御ユニットに接続され、かつ制御ユニットが測定管内の圧力の経時的なプロファイルを評価し、かつ圧力の経時変化が所定の限界値を超える場合、制御ユニットがプローブシステムのリークを検出する。供給ポンプ及び圧力センサは、多くの場合、排出物測定装置に設置されるので、これらの構成要素は、リークテストを容易に実施するためにも使用できる。
【0017】
排出測定ユニット内に通常存在する供給ポンプは、有利には、零点調整、調節又は較正を実行するためにも、ガス入口、自己テストライン、第1連結部、排気ガスプローブ、排気管を介して、ガスを排出測定するための排出測定ユニットに供給することもできる。
【0018】
以下に、本発明を、本発明の好ましい構成を概略的に、かつ限定しないで例示する図1図4を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】自己テスト機能を備える、本発明の排出物測定装置を示す。
図1a】外部の自己テストユニットを備える排出物測定装置を示す。
図2】継手の連結部を備える本発明の排気ガスプローブを示す。
図3】自己テストユニットの相補的な連結部を示す。
図4】スペーサを備える排気ガスプローブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、排気管4を備える排出物測定装置10を概略的に示していて、その排気管の端部には、排気ガスプローブ1が配置されている。排気ガスプローブ1は、排気ガスを端部パイプから除去するために、例えば、公知の方法で自動車の排気システムの端部パイプに挿入される。この目的のために、排気ガスプローブ1は、排気ガスが排気ガスプローブ1に流入できる、プローブ先端2の領域に少なくとも1つの開口部を備える。排気ガスプローブ1には、採集された排気ガスを排気管4に案内するために、開口部と排気管4とに接続されている流路が設けられている。排気管4は、プローブ先端2とは反対側の排気ガスプローブ1の端部に配置できる。
【0021】
採集された排気ガスは、排気管4を介して、排出物測定装置10の排気ガス入口接続部13に案内される。排気ガスのための測定管14が、排気ガス入口接続部13から、企図された処理及び排出物測定が実施される測定ユニット12に案内する。一般に、測定ユニット12では、排出物測定のための特定の量の排気ガスを提供するために流量制御も行う。
【0022】
測定管14では、排気ガスが測定ユニット12を通って供給される供給ポンプ11(例えば吸引ポンプ)が設けられている。排出物測定装置10を通って供給される排気ガスは、排気ガス出口接続部15で排出することができる(例えば、周辺部へ又は吸引部へ運ばれる)。制御ユニット16が、排出物測定装置10に配置されていて、この制御ユニット16は、排出物測定装置10の機能を制御及び監視し、特に供給ポンプ11を調整し、測定ユニット12を制御する。排出物測定装置10の通常の構造はよく知られており、このことは、特に本発明とは無関係であるため、ここでは詳細には説明しない。排出物測定装置10の可能な(これには限定されない)実施形態は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0023】
制御ユニット16は、通常、プロセッサベースのハードウェア、例えば、マイクロコントローラ、コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラなどとして実行される。しかしながら、制御ユニット16は、集積回路、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として実行することもできる。アナログ電気回路としての一実施形態も可能である。同様に、上述の実施形態の組み合わせが考えられる。
【0024】
排出物測定装置10の自己テストを簡単な方法で実行できるようにするために、本発明によれば、自己テストユニット20が設けられている。図1による実施例では、自己テストユニット20は、排出物測定装置10に一体化されているが、排出物測定装置10とは別に、すなわち、(図1aに示されるように)別個の部品として実行することができる。自己テストユニット20は、それ自体の制御ユニットを有することができるが、制御が必要な場合、排出物測定装置10の制御ユニット16によって制御することもできる。
【0025】
自己テストユニット20は、継手の第1連結部21を備える。継手の第2連結部22は、排気ガスプローブ1によって形成されている。例えば、第1連結部21は結合ソケットであり、第2連結部22は結合プラグであり、この結合プラグは、接続を確立するために結合ソケットに差し込まれるか、又はその逆である。したがって、排気ガスプローブ1は、本発明による二重機能、すなわち、一方ではテストされるべき排気ガス流からの排気ガスの採集と、他方では自己テストユニット20との接続を確立するための継手の連結部分の形成とを有する。排気ガスプローブ1の第2連結部22は、自己テストユニット20の第1連結部21に接続することができ、例えば、それに差し込むことができる。自己テストの機能は、少なくとも部分的には、自己テストユニット20に実装されている。
【0026】
第2連結部22を形成するために、排気ガスプローブ1のプローブ先端2を第2連結部22の形態に形成することができる。これにより、第2連結部22は、排気ガスプローブ1に一体化されている。しかし、排気ガスプローブ1のプローブ先端2を、第2連結部22に取り外し可能に接続することもできる。例えば、プローブ先端2は、第2連結部22を形成する結合アダプタの凹部に差し込むことができる。このようにして、排気ガスプローブ1は、異なる第2連結部22を容易に実装することができる。もちろん、第2連結部22は、第2連結部22を取り外すことができるが、それにもかかわらず、排気ガスプローブ1の使用において、排気ガスプローブ1にしっかりと保持されるように、排気ガスプローブに接続される。例えば、第2連結部22を備える結合アダプタは、プローブ先端2上に又はプローブ先端2内にねじ込むことができ、その際、当然のことながら、任意の他の取り外し可能な摩擦係合式又は形状係合式の接続も考えられる。
【0027】
図1図1aによる実施例では、自己テストライン26によって第1連結部21と流動的に接続することができるガス入口23が、自己テストユニット20に設けられていて、その結果、排気ガスプローブ1の第2連結部22が第1連結部21に接続されている限り、ガスはガス入口23から第1連結部22に流れ、かつそこからさらに排気ガスプローブ1に流れることができる。フィルタ24、例えば、HEPAフィルタ、及び制御弁25は、自己テストライン26内に配置することができる。例えば、ガス入口23に周囲空気を供給することができる。この場合、フィルタ24は、以下でさらに説明されるように、フィルタリングされた周囲空気を用いて排出物測定装置10の零点調整を実施するために設けられている。しかしながら、例えば、ガス入口23を介して較正ガス又は調整ガスを供給するために、特定のガスをガス入口23に(例えば、ガスボンベによって)接続することもできる。この場合、フィルタ24は必ずしも必要ではない。
【0028】
例えば、切換弁(例えば、2/2方向弁)として実行された制御弁25は、自己テストライン26を通る流れを解放又は閉鎖するために設けられている。流れが解放されると、ガス入口23は第1連結部21に接続され、ガスはガス入口23から第1連結部21に流れることができる。流れが遮断されている場合、プローブシステム(排気ガスプローブ1及び排気管4)は、以下で説明されるように、リークテストを実施することができる。リークテストが実施されない場合、制御可能な弁25を省くこともできる。制御可能な弁25は、外部から手動で切り換えることができる、又は、排出物測定装置10の制御ユニット16若しくは自己テストユニット20の制御ユニットによって切換えのために制御することができる。
【0029】
例えば、ユーザインターフェース17を排出物測定装置1上に設けることができ、これを介して排出物測定装置10の機能を管理することができ、自己テストを開始することもできる。この目的のために、ユーザインターフェース17は、ボタン、スライダ、ロータリノブ、キー、キーボード、マウスパッド、ディスプレイ、タッチスクリーンなどの適切な入出力ユニットを設けることができる。
【0030】
本発明による排気ガスプローブ1は、図2に示されるように、第1軸方向端部にプローブ先端2を備え、反対側の軸方向端部に排気管4のための取付セクション3を備える。排気管4は、排気ガスプローブ1の取付セクション3に適宜配置されている。しかし、この配置が実際にどのように実施されるかは、本発明とは無関係であり、そのため、詳細な説明が省略される。しかし、排気管4は、異なる方法で排気ガスプローブ1に接続することもできる。
【0031】
図3に示すように、自己テストユニット20の第1連結部21は、第1係止部6を有するように実行されている。プローブ先端2は、図2に示すように、第2係止部5を備える第2連結部22として実行されている。第1連結部21及び第2連結部22は、使用時に取り外し可能に接合することができ、その結果、第1係止部5及び第2係止部6は取り外し可能に係合し、かつ2つの連結部21、22は、互いの中に保持され、かつ基本的に気密接続が確立される。継手を分離するために、係止部品5、6は、企図された方法で取り外され、(これによって)連結部21、22を分離することができる。第2連結部22が、プローブ先端2に取り外し可能に接続される別個の連結アダプタ上に設計される場合でも、第2係止部5は、第2連結部22に設けることができる。
【0032】
第1連結部21と第2連結部22との間の取り外し可能な接続が、継手の設計に応じて、係止を伴わずに確立できる場合、第1及び第2係止部5、6もまた、省略することができる。
【0033】
好ましくは、第1連結部21は継手の雌部として設計され、第2連結部22は連結カップリングの雄部として設計される。
【0034】
第1連結部21及び第2連結部22は、例えば、(ISO6150B又はCに従う)クイックディスコネクトとして設計することができ、もちろん、任意の他の設計も可能である。例えば、継手(第1連結部21及び第2連結部22からなる)は、公知のねじ接続部、クランプ接続部、プラグ接続部、バヨネット接続部などとして、連結部21、22、及び必要に応じて係止部5、6に対応して設計することができる。
【0035】
図示の実施形態では、継手は、クイックディスコネクトとして設計されている。プローブ先端2は、図示の実施例では、第2連結部22として、結合ソケット(雌部)の形態で設計されている第1連結部21に差し込まれて接続を確立する結合プラグ(雄部)として設計されている。第2連結部22は、プローブ先端2の円筒形状の端部に円周溝7の形態の第1係止部5を有する。係止するために、この円周溝7に、例えば、円周にわたって分配された球体である固定体8が第1連結部21に係合する。固定体8は、第1係止部6を形成する。固定体8は、第1連結部21の軸方向に変位可能な摺動スリーブ9を介して、半径方向に解放又はロックすることができる。摺動スリーブ9の位置によって固定体8が解放されると、第2連結部22を第1連結部21に差し込んだり、又は取り外したりすることができる。固定体8が摺動スリーブ9によって半径方向にロックされると、第2連結部22は第1連結部21に固定される。
【0036】
零点調整、調節又は較正を実施するために、排気ガスプローブ1は、第2連結部22でもって自己テストユニット20の第1連結部21に接続される。したがって、ガス入口23から自己テストライン26を介して排気ガスプローブ1及び排気管4に流路を形成する。したがって、ガス、例えば、フィルタリングされた周囲空気又は較正ガス/調整ガスは、零点調整、調節、又は較正のために、排出物測定装置10の供給ポンプ11を介して測定ユニット12に供給することができる。必要に応じて(存在する場合)、切換可能な弁25は、第1連結部21がガス入口23に接続されているように切り換えられる。これは、例えば、ユーザインターフェースにおいて零点調整、調節、又は較正の実施が選択されることによって、制御ユニット16によって自動的に行うことができる。
【0037】
リークテストのために、排気ガスプローブ1は第2連結部22でもって、自己テストユニット20の第1連結部21に接続される。切換可能な弁25は、第1連結部21がガス入口23に接続されないように切り換えられる。これは、例えば、ユーザインターフェースにおいてリークテストの実施が選択されることによって、制御ユニット16によって自動的に行うことができる。供給ポンプ11により、接続されたプローブシステム(排気管4を備えた排気プローブ1)において、(ポンプのタイプ及びポンプの制御に応じて)負圧又は正圧を生成することができる。測定管14における供給ポンプ11の配置に応じて、供給ポンプ11の上流に位置する測定管14の部分の気密性、及び場合によっては排出物測定ユニット12の構成要素の気密性もチェックされる。供給ポンプ11のスイッチを切った後、圧力の経時的なプロファイルをチェックすることができる。スイッチが切られたときに供給ポンプ11が出口側で密閉し、排気ガス出口接続部15を介して圧力上昇が生じないようにすることを企図することができる。例えば、市販のダイヤフラムポンプは、この機能を提供する。
【0038】
供給ポンプ11を使用する代わりに、リークテストのための負圧又は正圧は、プローブシステムを好ましくは外部の真空ライン又は正圧ラインに接続することによっても達成することができる。例えば、作業場には、自己テストユニット20又は排出物測定装置10を接続することができる圧縮空気ラインがしばしば存在する。次いで、自己テストユニット20では、プローブシステムが、1つの弁及び第1連結部21、21aを介して真空ライン又は正圧ラインに接続することができる。代替的には、図1a中の破線で示されているように、排出物測定装置10の測定管14は、弁29を介して、このような外部の真空ライン又は正圧ライン28に接続することができる。例えば、第1連結部分21、21aは、好ましくは、弁を介して、そのような真空ライン又は正圧ラインに接続することができる。このようなバルブは、プローブシステムが、真空ライン又は正圧ラインに、及びその中に存在する圧力に接続された後、リークテストを実施するために第1連結部21、21aの端部も閉じる。しかし、排出物測定装置10自体には、負圧又は正圧のラインが存在することも考えられる。その場合、プローブシステムをそのようなラインに接続して、リークテストを実施することもできる。
【0039】
リークテストのために、圧力センサ18は、例えば、排出物測定装置10内の測定管14に、好ましくは供給ポンプ11の上流に配置することができる。制御ユニット16は、例えば所定の時間間隔で圧力センサ18を読み取ることができ、圧力の経時的なプロファイルを評価することができる。圧力が経時的に大きく変化する場合(これは制御ユニット16内に設定することができる)、リークを検出する。この目的のために、経時的な圧力変化の限界値を指定することができ、、一定期間内に経時的な圧力変化が限界値を超えるかどうかをチェックすることができる。リークテストの結果は、ユーザインターフェース17で信号伝達することができる。
【0040】
切替可能な弁25の代わりに、図1aに示したように、2つの第1連結部分21、21aを自己テストユニット20に設けることももちろん考えられる。これらのうちの1つは、リークテストを実施するために、連結部21aの端部で閉じられる。代替的には、この第1連結部21aは、弁を介して外部の真空ライン又は正圧ラインに接続することができる。他方は、ガス入口23を備える自己テストライン26に接続される。リークテストと較正/調整とを切り替えるための切替可能な弁25は、このために必要とされない。自己テストを実施するために、排気ガスプローブ1は、正しい第1連結部21、21aに接続されなければならない。
【0041】
例えば排気システムの端部パイプ内に排気ガスプローブ1を配置して保持するために、(図4で示したように)スペーサ27を既知の方法で排気ガスプローブ1に配置することができる。スペーサ27の可能な設計は、特許文献3にも記載されている。しかしながら、例えば特許文献2に記載されているように、排気ガスプローブ1のための別個の保持装置を端部パイプ内に(追加的に又は代替的に)設けることもできる。
図1
図1a
図2
図3
図4
【国際調査報告】