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特表2023-550198高周波(RF)電力信号を伝送するように構成された可撓性膜および電子デバイスの高周波(RF)電力試験のための対応するプローブカード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】高周波(RF)電力信号を伝送するように構成された可撓性膜および電子デバイスの高周波(RF)電力試験のための対応するプローブカード
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20231122BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20231122BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20231122BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/067 G
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531646
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021082197
(87)【国際公開番号】W WO2022112100
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】102020000028370
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マジョーニ、フラビオ
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AH05
2G011AA17
2G011AB08
2G011AC32
2G011AE03
2G011AF07
(57)【要約】
高周波電力信号を伝送するように構成された可撓性膜(30)が記載され、可撓性膜(30)は、複数のマイクロコンタクトプローブ(25)と電気的に接続するように構成された、および可撓性膜(30)の中央部分(30A)に作られた、複数のコンタクトパッド(31A、31B)と、支持プレート(24)に電気的に接続するように構成された、および可撓性膜(30)の周辺部分(30C)に作られた、複数のコンタクト構造(31C)と、また複数の導電性トラック(33A、33B)であって、複数の導電性トラック(33A、33B)の各々が複数のコンタクトパッド(31A、31B)の1つを複数のコンタクト構造(31C)の1つと電気的に接続する、複数の導電性トラック(33A、33B)と、を備え、この可撓性膜(30)は、中央部分(30A)と周辺部分(30C)との間に配され接続された中間部分(30B)をさらに含む。適切には、弾性膜は、第1の総厚さ(HA)を有する第1の領域(34A)と第2の総厚さ(HB)を有する第2の領域(34B)とに分割され、第1の領域(34A)は連続して第2の領域(34B)に隣接し、第1の総厚さ(HA)は75μm以下の値を有し、第2の総厚さ(HB)は第1の総厚さ(HA)の値よりも大きい値を有する。さらに、膜(30)の第1の領域(34A)は、中央部分(30A)で延在し、複数のコンタクトパッド(31A、31B)を備える。この可撓性膜(30)を備える電子デバイスを試験するためのプローブカード(20)も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電力信号を伝送するように構成された可撓性膜(30)であって、前記可撓性膜(30)が、複数のマイクロコンタクトプローブ(25)と電気的に接続するように構成された、および前記可撓性膜(30)の中央部分(30A)に作られた、複数のコンタクトパッド(31A、31B)と、支持プレート(24)に電気的に接続するように構成された、および前記可撓性膜(30)の周辺部分(30C)に作られた、複数のコンタクト構造(31C)と、また複数の導電性トラック(33A、33B)であって、前記複数の導電性トラック(33A、33B)の各々が前記複数のコンタクトパッド(31A、31B)の1つを前記複数のコンタクト構造(31C)の1つに電気的に接続する、複数の導電性トラック(33A、33B)と、を備え、前記可撓性膜(30)が、前記中央部分(30A)と前記周辺部分(30C)との間に配され接続された中間部分(30B)をさらに含み、前記可撓性膜(30)が、第1の総厚さ(HA)を有する第1の領域(34A)と第2の総厚さ(HB)を有する第2の領域(34B)とに分割され、前記第1の領域(34A)が連続して前記第2の領域(34B)に隣接し、前記第1の総厚さ(HA)が75μm以下の値を有し、前記第2の総厚さ(HB)が前記第1の総厚さ(HA)の値よりも大きい値を有することを特徴とし、前記可撓性膜(30)の前記第1の領域(34A)が、前記中央部分(30A)に対応して延在し、前記複数のコンタクトパッド(31A、31B)を備えることを特徴とする、可撓性膜(30)。
【請求項2】
前記第2の領域(34B)が、空隙によって分離された複数のレール(35)を備えることを特徴とする、請求項1記載の可撓性膜(30)。
【請求項3】
前記可撓性膜(30)が、互いに交互になっている複数の弾性層(PL1、PL2、PL3、FL)および複数の導電層(ML1、ML2、ML3)によって形成された多層構造を備え、前記複数の導電層(ML1、ML2、ML3)が、前記コンタクトパッド(31A、31B)を前記コンタクト構造(31C)に接続するための前記導電性トラック(33A、33B)を形成するように構成された複数の導電性トレースを備え、前記第1の領域(34A)に作られた導電性トレースが、前記第2の領域(34B)に作られた導電性トレースよりも狭い幅を有し、より広い幅を有する導電性トレースが、存在する場合に前記レール(35)で作られることを特徴とする、請求項1または2に記載の可撓性膜(30)。
【請求項4】
前記可撓性膜(30)が、異なる導電層(ML1、ML2、ML3)に作られた導電性トレースを接続するように構成された導電性構造(TH1、TH2、TH3、TH2G)を備えることを特徴とする、請求項3記載の可撓性膜(30)。
【請求項5】
前記可撓性膜(30)が、少なくとも、上に第2の導電層(ML2)が作られる第2の弾性層(PL2)を有する、第1の導電層(ML1)が作られる第1の弾性層(PL1)、第3の導電層(ML3)が作られる第3の弾性層(PL3)、および、前記第3の弾性層(PL3)および前記第2の弾性層(PL2)を覆い上には前記第3の弾性層(PL3)が形成されない最後の弾性層(FL)によって形成された多層構造を備え、前記第3の弾性層(PL3)が、存在する場合に前記レール(35)を備えることを特徴とする、請求項4記載の可撓性膜(30)。
【請求項6】
前記第1の弾性層(PL1)、前記第1の導電層(ML1)、および前記第2の弾性層(PL2)が、前記可撓性膜(30)の前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第3の弾性層(PL3)および前記第3の導電層(ML3)が、ちょうど前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)に沿って延在し、前記可撓性膜(30)の前記中間部分(30B)に部分的に通り、前記第3の導電層(ML3)に作られた複数の導電性トレースと接続している、第1の複数の導電性トレースを備えることを特徴とする、請求項5記載の可撓性膜(30)。
【請求項7】
前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在し、存在する場合に前記レール(35)を分離する前記空隙に対応して作られる、第2の複数の導電性トレースをさらに備えることを特徴とする、請求項6記載の可撓性膜(30)。
【請求項8】
前記可撓性膜(30)が、前記第1の導電層(ML1)および前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースを接続する第1の導電性構造(TH1)と、前記第2の導電層(ML2)および前記第3の導電層(ML3)に作られた導電性トレースを接続する第2の導電性構造(TH2)と、前記第3の導電層(ML3)、および前記第3の導電層(ML3)から突出し、前記可撓性膜(30)の前記導電部分(31C)に電気的に接続されたベース(32)に作られたトレースを接続する第3の導電性構造(TH3)と、を備えることを特徴とする、請求項6記載の可撓性膜(30)。
【請求項9】
前記第3の導電層(ML3)に作られた導電性トレースが、前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースよりも広い幅を有し、好ましくは50μmを超える幅を有することを特徴とする、請求項6記載の可撓性膜(30)。
【請求項10】
前記導電性トレースが、前記弾性層(PL1、PL2、PL3)に配された溝に作られることを特徴とする、請求項6記載の可撓性膜(30)。
【請求項11】
前記可撓性膜(30)が、前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースによって形成された第1の部分および前記第3の導電性層(ML3)に作られたより広い幅を有する導電性トレースによって形成された第2の部分を含む、第1の導電性トラック(33A)を備え、各第1の導電性トラック(33A)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第1のコンタクトパッド(31A)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBmを超える電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されており、前記第1の導電性トラック(33A)が、存在する場合に前記レール(35)に作られることを特徴とする、請求項6記載の可撓性膜(30)。
【請求項12】
前記可撓性膜(30)が、第1の導電性構造(TH1)によって相互接続された、前記第2の導電層(ML2)に作られたトレースによって形成された第1の部分および前記第1の導電層(ML1)に作られたトレースによって形成された第2の部分を含む接地用導電性トラック(33G)によって作られた接地線を備え、各接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた接地パッド(31G)に接続されており、前記接地用導電性トラック(33G)が、存在する場合に前記レール(35)に、前記第1の導電性トラック(33A)に対応して作られることを特徴とする、請求項11記載の可撓性膜(30)。
【請求項13】
前記接地用導電性トラック(33)が、さらなる導電性構造(TH2G)によって前記第2の導電層(ML2)に作られたトレースによって形成された前記第1の部分に相互接続された、前記第3の導電層(ML3)に作られたトレースによって形成された第3の部分をさらに備えることを特徴とする、請求項12記載の可撓性膜(30)。
【請求項14】
前記可撓性膜(30)が、存在する場合に前記第3の弾性層(PL3)を形成するレール(35)から遊離している前記第2の弾性層(PL2)の領域に対応して配された、前記第2の導電層(ML2)の導電性トレースによって作られた第2の導電性トラック(33B)を備え、各第2の導電性トラック(33B)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第2のコンタクトパッド(31B)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBm未満の電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されていることを特徴とする、請求項11記載の可撓性膜(30)。
【請求項15】
前記第1の導電性トラック(33A)、前記第2の導電性トラック(33B)、および前記接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記周辺部分(30C)に作られた導電部分(31C)にさらに接続されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか1項に記載の可撓性膜(30)。
【請求項16】
前記中央部分(30A)が複数のストリップ(31)を備え、前記複数のストリップ(31)に前記マイクロコンタクトプローブ(25)の前記コンタクトパッド(31A、31B)が作られることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の可撓性膜(30)。
【請求項17】
前記可撓性膜(30)が、誘電体材料、好ましくはポリアミドで作られ、導電性材料、好ましくは銅で作られた導電性トラックを備えることを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の可撓性膜(30)。
【請求項18】
前記第1の弾性層(PL1)、前記第2の弾性層(PL2)、および前記第3の弾性層(PL3)が、それぞれ、10μmから30μmの間に含まれる値、好ましくは25μmの値を有する第1の厚さ(H1)、第2の厚さ(H2)、および第3の厚さ(H3)を有し、前記最後の弾性層(FL)が、5μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは5μmの値を有する第4の厚さ(H4)を有することを特徴とする、請求項5記載の可撓性膜(30)。
【請求項19】
前記第1の導電層(ML1)、前記第2の導電層(ML2)、および前記第3の導電層(ML3)が、10μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは10μmの値を有する厚さを有することを特徴とする、請求項17記載の可撓性膜(30)。
【請求項20】
前記第1の領域(34A)が40μmから50μmの間に含まれる値を有する第1の総厚さ(HA)を有し、前記第2の領域(34B)が70μmから125μmの間に含まれる値を有する第2の総厚さ(HB)を有することを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の可撓性膜(30)。
【請求項21】
電子デバイスを試験するためのプローブカード(30)であって、前記プローブカード(30)が、少なくとも1つの支持プレート(24)と、1つの可撓性膜(30)と、前記可撓性膜(30)の第1の面(F1)に連結された複数のマイクロコンタクトプローブ(25)と、を備え、前記複数のマイクロコンタクトプローブ(25)が、被試験デバイス(22)の複数のコンタクトパッド(22A)に当接するように構成されており、前記可撓性膜(30)に作られた複数の導電性トラック(33A、33B)に電気的に連結され、前記支持プレート(24)のコンタクトパッド(24A)と電気的に接続されており、前記可撓性膜(30)が請求項1~20のいずれか1項に従って作られることを特徴とする、プローブカード(30)。
【請求項22】
前記プローブカード(30)が、前記可撓性膜(30)と前記支持プレート(24)との間に挿入された減衰構造(27)を備え、好ましくは、中央部分(30A)で前記可撓性膜(30)に当接するように構成された複数のプレローディングプローブ(29)を備えることを特徴とする、請求項21記載のプローブカード(30)。
【請求項23】
前記プローブカード(30)が、高さ200μm未満の複数のマイクロコンタクトプローブ(25)を備えることを特徴とする、請求項21記載のプローブカード(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電力信号を伝送するように構成された可撓性膜に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、複数のマイクロコンタクトプローブと電気的に接続するように構成された、およびその中央部分に作られた、複数のコンタクトパッドと、支持プレートと電気的に接続するように構成された、およびその周辺部分に作られた、複数のコンタクト構造と、また複数の導電性トラックであって、それらの各々がコンタクトパッドの1つをコンタクト構造の1つに電気的に接続する、複数の導電性トラックと、を備える可撓性膜に関し、可撓性膜はさらに、中央部分と周辺部分との間に配され接続された中間部分を含む。
【0003】
本発明はまた、そのような可撓性膜を備えるプローブカードに関する。
【0004】
以下の記載は、その説明を単純化するという唯一の目的で、この応用分野を参照してなされている。
【背景技術】
【0005】
周知のように、プローブヘッドは、本質的に、微細構造、特に半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスの複数のコンタクトパッドを、その機能性試験、特に電気的試験、または一般的に試験を実施する試験装置の対応するチャネルと電気的に接続するように構成されたデバイスである。
【0006】
集積回路に対して実施された試験は、特に、生産段階の早い段階で欠陥のある回路を検出して分離するように働く。したがって、典型的に、プローブヘッドは、ウェーハ上に集積された回路を切断してチップ収納パッケージ内に組み込む前に、回路の電気的試験に使用される。
【0007】
プローブカードは通常、被試験デバイスとの間で信号を伝送することを可能にするように、試験装置を用いて被試験デバイス上に作られた適切なパッドがインターフェースカード上に作られたさらなるパッドに接触することを可能にする、良好な電気的および機械的特性を備えた特殊な合金の導電性ワイヤで形成された複数のコンタクトプローブを備える。
【0008】
高周波用途に関して、高周波信号またはRF信号の場合に増強された、周知の自己インダクタンス現象を制限するように、コンタクトプローブの全長を大幅に短縮する必要があり、特に5000μm未満にする必要がある。特に、用語「高周波用途のためのプローブ」が、1GHzを超える周波数の信号を伝送することができるプローブを意味していることが指摘される。
【0009】
しかし、プローブの本体の長さが短縮されると、その剛性が大幅に増加し、これには、プローブによって被試験デバイスのコンタクトパッドに加えられた力の増大が伴い、結果として、明らかに避けられるべき状況である、被試験デバイスの修復不可能な損傷を伴ったこれらのパッドの破損につながりかねない。また、コンタクトプローブのその長さの短縮による剛性の増加によって、プローブ自体の破損の危険性も増加する。
【0010】
これらの課題を解決するために、プローブカードが、被試験デバイスのコンタクトパッドとの機械的および電気的接触を提供するように構成されている、複数の短縮された長さのコンタクトプローブまたはマイクロプローブが連結された可撓性膜の他に、これらのコンタクトプローブに対応する膜に連結された少なくとも1つの減衰構造を備える、いくつかの解決策が知られている。膜には、試験装置を用いてマイクロプローブをインターフェースカードのコンタクトパッドに接続することができる金属トラックが適切に装備されており、このインターフェースカードと被試験デバイスの間で高周波電力信号(RF)を伝送することが可能になる。
【0011】
このタイプの既知の解決策が図1に概略的に例示されている。
【0012】
特に、図1は、例として、可撓性膜15とインターフェースまたは支持プレート14との間に挿入された少なくとも1つの減衰構造17を備えるプローブカード10を示し、これは、好ましくは、プローブカード10と試験装置(図示せず)との間の接続を確保するプリント回路カード(PCB)である。
【0013】
適切なように、可撓性膜15は、第1の部分または中央部分15A、第2の部分または中間部分15B、および第3の部分または周辺部分15Cを備える。より具体的には、中央部分15Aは減衰構造17に接触するように意図され、周辺部分15Cは支持プレート14に接触するように意図され、一方で、中間部分15Bは、被試験デバイス12自体の試験動作中に中央部分15Aと接触している半導体ウェーハ11上に集積された被試験デバイス12の移動に従って、変形する、特に伸縮するように意図された部分である。
【0014】
プローブカード10はさらに、可撓性膜15の第1の面F1に配された、特にその中央部分15Aに作られた複数のマイクロコンタクトプローブ16を備え、この第1の面F1は、図1のローカル基準によれば可撓性膜15の下面である。
【0015】
マイクロコンタクトプローブ16は、被試験デバイス12のコンタクトパッド12Aに接触するように構成され、たとえば、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金、好ましくは白金合金から選択される導電性材料で作られている。
【0016】
適切なように、特に高周波用途の場合、マイクロコンタクトプローブ16は、概して10μmから200μmの間に含まれる、低い高さ、たとえば、少なくとも200μm未満の高さを有し、高さは、被試験デバイス12に直交する、すなわち図面に示されるローカル基準系の軸Zに沿った方向で測定されたこれらのプローブの寸法を意味している。市場での既知の解決策では、これらのマイクロコンタクトプローブ16は、フォトリソグラフィープロセスによって可撓性膜15上に直接成長させられたピラミッドとして作られる。
【0017】
さらに、減衰構造17は、この可撓性膜15の中央部分15Aに対応して、すなわち、マイクロコンタクトプローブ16が装備された部分に対応して位置づけられた、したがって、ウェーハ11上に集積された被試験デバイス12のコンタクトパッド12Aを備えるウェーハ11の領域に対応する、第1の面F1に対向する、可撓性膜15の第2の面F2に当接する。これによって、減衰構造17は、この中央部分15Aに可撓性膜15に対する当接要素を形成し、それを被試験デバイス12のコンタクトパッド12Aに対するマイクロコンタクトプローブ16の圧接の間に軸Zの方向に保持することを可能にする。
【0018】
この減衰構造17はまた、マイクロコンタクトプローブ16に対する減衰要素としても作用し、被試験デバイス12のコンタクトパッド12Aに対するその接触力を調整する。適切なように、減衰構造17はまた、マイクロコンタクトプローブ25に対する減衰効果を最大化する、および被試験デバイス12との接触中に膜15の中央部分15Aの平坦性を確保するように構成された材料で作ることができる。
【0019】
可撓性膜15はさらに、マイクロコンタクトプローブ16から支持プレート14に向かって信号を伝送するように構成され、および適切に接続された導電性トラック13をさらに備える。導電性トラック13は、膜15の周辺部分15Cで支持プレート14のコンタクトパッド14Aに接続されるように、この可撓性膜15の中間部分15Bに沿って、それらが接続される対応するマイクロコンタクトプローブ16に対応して膜15の表面、特に図面のローカル基準によれば第2の面F2またはその上面に、もしくは膜自体の内部に作ることができ、この可撓性膜15の中央部分15Aから延在することができる。
【0020】
試験装置のインターフェースカードと可撓性膜15との間に延在した、特に可撓性膜15の第2の面F2に当接するように構成された、複数のコンタクトプローブを収容する本体を備えた、プローブヘッドに対応する構造によって、減衰構造17を作ることも可能である。これらのコンタクトプローブは、実際には、可撓性膜15に作られた導電性トラック13から絶縁されており、信号はマイクロコンタクトプローブ16によって伝送される。
【0021】
高周波用途またはRF用途の場合、これらの導電性トラック13に対する制御されたインピーダンス値を確保する必要性は周知であり、これにより、これらの導電性トラック13の幅値は、典型的にはポリアミドで形成された、それらが作られる可撓性膜15の厚さに応じて制約される。
【0022】
現在のRF用途では、これらの導電性トラック13は、厚さ25μmのポリアミド可撓性膜15上に厚さ10~15μmおよび幅50μmの銅トラックによって作られ、これにより、50Ωでの制御されたインピーダンスを確保する。これらの導電性トラック13はさらに、試験装置に向かってインターフェースカード14に到達するために数センチメートルの長さに達することもできる長さを有する。特に、図1に示されるローカル基準に基づいて、厚さは軸Zに沿った導電性トラック13の寸法を示し、幅は軸Yに沿った寸法を示し、その長さは軸Xに沿った寸法を示す。
【0023】
上に示した寸法を有する導電性トラック13は、低および中電力のRF用途で適切に動作することができるが、RF電力の用途、すなわち値が35dBmを超える場合には無効であることが証明されている。実際、その場合、通常の銅の導電性トラックは600℃の温度に達しかねず、これは導電性トラック自体の融着を引き起こす。
【0024】
したがって、本発明の技術的課題は、可撓性膜であって、その中に作られた導電性トラックにおいて高周波(RF)信号および高電力信号を伝送することができる可撓性膜と、対応するプローブカードであって、RF電力アプリケーションに集積された電子デバイスの試験においてプローブカードの適切な動作を確保するべく、電力信号を伝送するように構成された複数のマイクロコンタクトプローブに接触するための、この可撓性膜を備える対応するプローブカードと、を提供することである。
【発明の概要】
【0025】
本発明の根底にある解決策は、高周波(RF)電力信号を伝送するための導電性トラックで適切に増加された厚さを有する少なくとも1つの部分であって、これらのトラックが、それらの融着を防止するような幅を有することができる、少なくとも1つの部分と、マイクロコンタクトプローブの、その適切な取り扱いを確保することができる、接触領域で減少された厚みを有する部分と、を備える可撓性膜を提供することである。
【0026】
この解決策に基づいて、技術的課題は、高周波電力信号を伝送するように構成された可撓性膜によって解決され、可撓性膜は、複数のマイクロコンタクトプローブと電気的に接続するように構成された、および可撓性膜の中央部分に作られた、複数のコンタクトパッドと、支持プレートと電気的に接続するように構成された、および可撓性膜の周辺部分に作られた、複数のコンタクト構造と、また複数の導電性トラックであって、複数の導電性トラックの各々がコンタクトパッドの1つをコンタクト構造の1つに電気的に接続する、複数の導電性トラックと、を備え、可撓性膜は、中央部分と周辺部分との間に配され接続された中間部分をさらに含み、可撓性膜が、第1の総厚さを有する第1の領域と第2の総厚さを有する第2の領域とに分割され、第1の領域が連続して第2の領域に隣接し、第1の総厚さが75μm以下の値を有し、第2の総厚さが第1の総厚さの値よりも大きい値を有することを特徴とし、可撓性膜の第1の領域が、中央部分で延在し、複数のコンタクトパッドを備えることを特徴とする。
【0027】
より具体的には、本発明は、個別に、または組み合わせの場合に採用される、以下の追加および随意の特徴を含む。
【0028】
本発明の態様によれば、第2の領域は、空隙によって分離された複数のレールを備えることができる。
【0029】
さらに、可撓性膜は、互いに交互になっている複数の弾性層および複数の導電層によって形成された多層構造を備えることができ、導電層は、コンタクトパッドをコンタクト構造に接続するための導電性トラックを形成するように構成された複数の導電性トレースを備え、第1の領域に作られた導電性トレースは、第2の領域に作られた導電性トレースよりも狭い幅を有し、より広い幅を有する導電性トレースは、存在する場合にレールで作られる。
【0030】
可撓性膜はまた、さまざまな導電層に作られた導電性トレースを接続するように構成された導電性構造を備えることができる。
【0031】
本発明の別の態様によれば、可撓性膜は、少なくとも、上に、第2の導電層が作られる第2の弾性層を有する、第1の導電層が作られる第1の弾性層、第3の導電層が作られる第3の弾性層の他に、第3の弾性層および第2の弾性層を覆い、上には第3の弾性層が形成されない、最後の弾性層によって形成された、多層構造を備えることができ、第3の弾性層は、存在する場合にレールを備える。
【0032】
本発明のさらに別の態様によれば、第1の弾性層、第1の導電層、および第2の弾性層は、可撓性膜の第1の領域および第2の領域に沿って延在することができ、第3の弾性層および第3の導電層は、ちょうど第2の領域に沿って延在することができ、第2の導電層は、第1の領域に沿って延在し、可撓性膜の中間部分に部分的に通り、第3の導電層に作られた複数の導電性トレースと接続している、第1の複数の導電性トレースを備える。
【0033】
第2の導電層はさらに、第1の領域および第2の領域に沿って延在し、存在する場合にレールを分離する空隙に対応して作られる、第2の複数の導電性トレースを備えることができる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、可撓性膜は、第1の導電層および第2の導電層に作られた導電性トレース間の第1の導電性接続構造と、第2の導電層および第3の導電層に作られた導電性トレース間の第2の導電性接続構造導電層と、第3の導電層および第3の導電層から突出して可撓性膜の導電部分と電気的に接続されたベースに作られたトレース間の第3の導電接続構造と、を備えることができる。
【0035】
好適には、本発明の態様によれば、第3の導電層に作られた導電性トレースは、第2の導電層に作られた導電性トレースよりも広い幅を有することができ、好ましくは50μmを超える幅を有することができる。
【0036】
これらの導電性トレースは、弾性層に配された溝にさらに作ることができる。
【0037】
本発明のさらなる態様によれば、可撓性膜は、第2の導電層に作られた導電性トレースによって形成された第1の部分および第3の導電性層に作られたより広い幅を有する導電性トレースによって形成された第2の部分を含む、第1の導電性トラックを備えることができ、各第1の導電性トラックは、可撓性膜の中央部分に作られた第1のコンタクトパッドに接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBmを超える電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブに接触するように構成されており、これらの第1の導電性トラックは、存在する場合にレールに作られる。
【0038】
可撓性膜はまた、導電性構造によって相互接続された、第2の導電層に作られたトレースによって形成された第1の部分および第1の導電層に作られたトレースによって形成された第2の部分を含む接地用導電性トラックによって作られた接地線を備えることができ、各接地用導電性トラックは、可撓性膜の中央部分に作られた接地パッドに接続され、接地用導電性トラックは、存在する場合にレールに、第1の導電性トラックで作られる。
【0039】
接地用導電性トラックはさらに、追加の導電性構造によって第2の導電層に作られたトレースによって形成された第1の部分に相互接続された、第3の導電層に作られたトレースによって形成された第3の部分を備えることができる。
【0040】
本発明の別の態様によれば、可撓性膜は、存在する場合に第3の弾性層を形成するレールから遊離している第2の弾性層の領域に配された、第2の導電層の導電性トレースによって作られた第2の導電性トラックを備えることができ、各第2の導電性トラックは、可撓性膜の中央部分に作られた第2のコンタクトパッドに接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBm未満の電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブに接触するように構成されている。
【0041】
適切なように、第1の導電性トラック、第2の導電性トラック、および接地用導電性トラックは、可撓性膜の周辺部分に作られた導電部分にさらに接続することができる。
【0042】
さらに、中央部分は、複数のストリップを備えることができ、そこにマイクロコンタクトプローブのコンタクトパッドが作られる。
【0043】
本発明の態様によれば、可撓性膜は、誘電材料、好ましくはポリアミドで作ることができ、導電材料、好ましくは銅で作られた導電性トラックを備えることができる。
【0044】
本発明の別の態様によれば、第1の弾性層、第2の弾性層、および第3の弾性層は、それぞれ、10μmから30μmの間に含まれる値、好ましくは25μmの値を有する第1の厚さ、第2の厚さ、および第3の厚さを有することができ、最後の弾性層は、5μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは5μmの値を有する第4の厚さを有することができる。
【0045】
さらに、第1の導電層、第2の導電層、および第3の導電層は、10μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは10μmの値を有する厚さを有することができる。
【0046】
最後に、第1の領域は40μmから50μmの間に含まれる値を有する第1の総厚さを有することができ、第2の領域は70μmから125μmの間に含まれる値を有する第2の総厚さを有することができる。
【0047】
この技術的課題は、少なくとも1つの支持プレートと、1つの可撓性膜と、可撓性膜の第1の面に連結された複数のマイクロコンタクトプローブと、を備える、電子デバイスを試験するためのプローブカードによっても解決され、マイクロコンタクトプローブは、被試験デバイスの複数のコンタクトパッドに当接するように構成されており、可撓性膜に作られた複数の導電性トラックに電気的に連結され、支持プレートのコンタクトパッドと電気的に接続され、この可撓性膜は上に示されるように作られる。
【0048】
本発明の態様によれば、プローブカードは、可撓性膜と支持プレートとの間に挿入された減衰構造を備えることができ、好ましくは、中央部分に対応して可撓性膜に当接するように構成された複数のプレローディングプローブ(preloading probes)を備える。
【0049】
最後に、プローブカードは、高さが200μm未満の複数のマイクロコンタクトプローブを備えることができる。
【0050】
本発明による可撓性膜およびプローブカードの特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、それらの実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】先行技術に従って作られた高周波用途のためのプローブカードを概略的に示す。
図2A】本発明に従って作られた高周波(RF)電力用途のためのプローブカードを概略的に示す。
図2B図2Aのプローブカードに含まれるマイクロコンタクトプローブを拡大して示す。
図3A】本発明に従って作られた、および図2のプローブカードに含まれる、可撓性膜の代替実施形態を概略的に示す。
図3B】本発明に従って作られた、および図2のプローブカードに含まれる、可撓性膜の代替実施形態を概略的に示す。
図3C】本発明に従って作られた、および図2のプローブカードに含まれる、可撓性膜の代替実施形態を概略的に示す。
図4図3Aの可撓性膜の詳細を拡大して概略的に示す。
図5A図3Bの可撓性膜の一部の詳細を拡大して示す。
図5B図3Cの可撓性膜の一部の詳細を拡大して示す。
図6図3Bの可撓性膜を上面図で概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
これらの図面、特に図2を参照すると、本発明に従って作られたプローブカードは、全体的かつ概略的に20で示されている。
【0053】
図面が、概略図であり、一定の縮尺で描かれていないが、本発明の重要な特徴を強調するように描かれていることが留意されるべきである。さらに、図面では、異なる要素が概略的に示されており、それらの形状は所望の用途に応じて変更可能である。また、図面では、同一の参照番号が、形状または機能の点で同一の要素を指すことが留意されるべきである。最後に、図面に例示される実施形態に関連して説明される特別な配置は、他の図面に例示される他の実施形態にも使用することができる。
【0054】
最も一般的な形態では、プローブカード20は、半導体ウェーハ21上に集積された電子デバイスの試験を実施するための装置(図示せず)に接続するように構成されたコンポーネントである。より具体的には、図2Aに例示されるプローブカード20は、高周波(RF)電力用途に、すなわち、1GHzを超える周波数および35dBmを超える電力値を有する信号を伝送するのに適している。これらの信号は、以下では電力(Power)RF信号として示される。
【0055】
図2Aに概略的に例示されるように、プローブカード20は、その場合に、複数のコンタクト要素を収容および支持する本体28を備える、プローブヘッドとして成形された少なくとも1つの減衰構造27を備え、これらのコンタクト要素のうちの4つが図2Aで例としてのみ示されている。本体28は、以下で説明するように、たとえば、減衰要素またはプレローディング要素(preloading elements)として機能する、コンタクト要素がスライドするガイドホールを備えた一対のプレート状ガイドを備えることができ、したがって、これらは以下でプレローディングプローブ29として示される。各プレローディングプローブ29は、少なくとも1つの第1の端部29Aおよび1つの第2の端部29Bを備え、隣接するプレローディングプローブから独立して移動する。
【0056】
プレローディングプローブ29は、1.5mmから10mmの間に含まれる長さを有し、適切な曲げ能力を有し減衰効果を最大化するように構成された材料で作られている。特に、通常のプローブヘッドのコンタクトプローブを形成するために一般的に使用される材料を使用してプレローディングプローブを作ることが可能である。
【0057】
プローブカード20は、好ましくは、このプローブカード20と試験装置(図示せず)との間の接続を確保するプリント回路基板(PCB)である、支持プレート24をさらに備え、したがって、支持プレート24は試験装置とのインターフェースカードとして作用する。特に、プレローディングプローブ29の第1の端部29Aは、支持プレート24に当接するように構成されている。
【0058】
プローブカード20は、第1の面F1であって、プレローディングプローブ29の第2の端部29Bが第1の面F1と当接するように構成されている、第1の面F1と、第1の面F1とは反対の第2の面F2と、を有する、本発明に従って作られた可撓性膜30をさらに備え、この第2の面F2は、図2Aのローカル基準によると下面、すなわち半導体ウェーハ21に集積された被試験デバイス22の方を向いた面であり、この第1の面F1は、図2Aのローカル基準によれば上面、すなわち減衰構造27および支持プレート24の方を向いた面である。
【0059】
適切には、プレローディングプローブ29は、支持プレート24および可撓性膜30と機械的に接触しているが、電気的に接触していない。
【0060】
したがって、減衰構造27は、可撓性膜30と支持プレート24との間に挿入される。具体的には、可撓性膜30は、減衰構造27、およびしたがってプレローディングプローブ29に接触することを意図された第1の部分または中央部分30Aと、支持プレート24に接触することを意図された第2の部分または周辺部分30Cと、を備え、可撓性膜30は、中央部分30Aと周辺部分30Cとの間に中間接続部分30Bをさらに備える。中間部分30Bは、プローブカード20によって実施されたその試験動作中に中央部分30Aに接触している半導体ウェーハ21上に集積された被試験デバイス22の移動に従って、変形、特に伸縮するように意図された部分である。
【0061】
可撓性膜30は、その周辺部分30Cを介して支持プレート24と電気的に接続されており、この電気的接続は、たとえば、支持プレート24の適切な導電性コンタクトパッド24Aと、その周辺部分30Cにおける可撓性膜30上に作られた適切なコンタクトパッドまたは導電部分31Cと、を介して行われる。
【0062】
図2Aに示されるように、支持プレート24のコンタクトパッド24Aは、減衰構造27および可撓性膜30の方に向けられたその面F上に作られ、この面Fは、図2Aのローカル基準によれば下面である。
【0063】
図示されていない実施形態では、支持プレート24は、可撓性膜30が通過することを可能にする適切な開口部を備えることができ、この可撓性膜30は、この場合、支持プレート24の面Fと反対側の面、すなわち図2Aのローカル基準によればその上面に作られたコンタクトパッド(図示せず)に接続されている。代替的に、可撓性膜30は試験装置に直接接続することもできる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、可撓性膜30の導電部分31Cは、圧接によって支持プレート24のコンタクトパッド24Aに接続される。代替的に、可撓性膜30および支持プレート24は、可撓性膜30の周辺部分30Cに対応して導電性ゴムまたは溶接によって連結することができる。
【0065】
適切には、可撓性膜30の中央部分30Aは、好ましくはプレート状である、少なくとも1つのベアリング要素または支持体26と連結される。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、可撓性膜30が上に配される支持体26は、被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aに接触するように構成されている、複数のマイクロコンタクトプローブ25のための複数のハウジング26hを備える。可撓性膜30、特にその中央部分30Aは、プレローディングプローブ29とマイクロコンタクトプローブ25との間に挿入され、各プレローディングプローブ29を対応するマイクロコンタクトプローブ25から絶縁するように構成されている。
【0067】
より具体的には、図2Bの拡大図に例示されるように、各マイクロコンタクトプローブ25は、被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aに当接するように構成された第1の端部25Aと、被試験デバイス22に対応して配された、可撓性膜30のその中央部分30Aにおける第2の面F2上に作られた対応するコンタクトパッドに当接するように構成された第2の端部25Bと、を備える。
【0068】
実施形態では、マイクロコンタクトプローブ25は、可撓性膜30の中央部分30Aと一体であり、特にその上で成長させられる。
【0069】
マイクロコンタクトプローブ35は、T字形(またはひっくり返したキノコ形)とすることができ、ここで、T字のステムは可撓性膜30に接続され、一方で、T字の頭部は被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aに接触するように構成されている。代替的に、コンタクトプローブ35は、導電性バンプとして成形することができ、導電性バンプは、被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aに接触するための突出接触部分を含むことができる。上述の例が本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことは明らかであり、マイクロコンタクトプローブ25は、半導体ウェーハ21上に集積された被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aとの接続に適した任意の形状を有することができ、たとえば、いわゆる柱、またはひっくり返った、場合によっては切頭されたピラミッドのように成形することができる。
【0070】
マイクロコンタクトプローブ25は、たとえば、白金、ロジウム、パラジウム、銀、銅、またはそれらの合金、好ましくは白金合金から選択される導電性材料で作られている。
【0071】
適切には、マイクロコンタクトプローブ25は、低い高さ、特に、概して10μmから200μmの間に含まれる、200μm未満の高さを有し、高さは、被試験デバイス22、およびしたがって半導体ウェーハ21に直交する、すなわち図面に示されるローカル基準系の軸Zに沿った方向で測定されたこれらのコンタクトプローブ25の寸法を意味している。このように、本発明のプローブカード20のマイクロコンタクトプローブ25は、高周波デバイスを試験するように構成されており、その高さは、不利な自己インダクタンス現象を回避するように構成されている。
【0072】
本発明による利点として、可撓性膜30は、マイクロコンタクトプローブ25から支持プレート24に向かって、すなわち、その中央部分30Aからその周辺部分30Cに信号を伝送するように構成された適切な導電性トラック33Aまたは33Bを備える。適切には、本発明による可撓性膜30は、以下に説明するように、適切に交互にされて成形された、誘電体層および導電層を備える多層構造を有する。
【0073】
導電性トラック33Aまたは33Bは、可撓性膜30の表面に、特に図面のローカル基準によれば第2の面F2もしくはその上面に、または可撓性膜30自体の内部に作ることができ、その周辺部分30Cに至るまでのこの可撓性膜30の中間部分30Bに沿って、対応するマイクロコンタクトプローブ25と接触している可撓性膜30の中央部分30Aから延在することができる。支持プレート24、特にそのコンタクトパッド24Aとのこれらの導電性トラックの接触のために、可撓性膜30の第1の面F1上の導電性トラック、および可撓性膜30の第1の面F1と第2の面F2との間の金属化スルーホールまたは導電性ビアなどの、適切な電気コンタクト構造を作ることも可能である。
【0074】
図2Aに例示される好ましい実施形態では、可撓性膜30は、好ましくはその中央部分30Aに、複数のストリップまたはオフカット31を備えるように適切に成形される。各ストリップ31の遠位端は、被試験デバイス22の方に向けられた第1の面F1に、マイクロコンタクトプローブ25の第2の端部25Bが当接する、好ましくは金属材料で作られた、コンタクトパッド31Aまたは31Bを備える。
【0075】
さらに、各プレローディングプローブ29の第2の端部29Bは、常にストリップ31の遠位端において、可撓性膜30の第2の面F2に当接し、したがって、プレローディングプローブ29の第2の端部29Bおよびマイクロコンタクトプローブ25の第2の端部25Bは両方とも、可撓性膜30の同じ対応するストリップ31の遠位端27Bに対して、このストリップ31の反対側からではあるが当接し、すなわち、それぞれ、可撓性膜30の第1の面F1および第2の面F2に当接する。
【0076】
このようにして、プレローディングプローブ29は、マイクロコンタクトプローブ25に対する減衰要素として作用し、これにより、プローブカード20と半導体ウェーハ21上に集積された被試験デバイス22との間の信号の伝送が可撓性膜30に作られた導電性トラックによって確保される。換言すれば、電気信号は、マイクロコンタクトプローブ25および可撓性膜30に作られた導電性トラック33Aまたは33Bを介して被試験デバイス22から支持プレート24に伝送され、一方で、プローブカード20全体の機械的挙動は、可撓性膜30の、および支持プレート24上にある減衰構造27の、マイクロコンタクトプローブ25の移動によって決定される。
【0077】
適切には、各プレローディングプローブ29は、隣接するものから独立して移動し、それにより、各マイクロコンタクトプローブ25は、被試験デバイス22のコンタクトパッド22Aとの接触中に隣接するものから独立して移動する。これによって、挿入された可撓性膜30の、および特にそのストリップ31の可撓性とともに、被試験デバイス22の、特にそのコンタクトパッド22Aの起こり得るレベル差を効果的に補償することが可能になる。
【0078】
プレローディングプローブ29はまた、可撓性膜30、特にそのストリップ31を、マイクロコンタクトプローブ25の第2の端部25Aに押し付けられた状態に保ち、したがって、これらのプレローディングプローブ29は、マイクロコンタクトプローブ25と可撓性膜30、特にそのストリップ31との間の適切な機械的連結も確保する。適切には、各マイクロコンタクトプローブ25は、可撓性膜30の第1の面F1においてストリップ31上に作られたコンタクトパッド31Aまたは31B上に圧接しており、対応するプレローディングプローブ29は、可撓性膜30の第2の面F2においてこのストリップ31上に載っており、それにより、プローブカード20の所望の機械的連結を得て、各コンタクトパッド31Aまたは31Bは、可撓性膜30に作られたそれぞれの導電性トラック33Aまたは33Bとも接触し、支持プレート24、特にそのコンタクトパッド24Aとの電気的接続のために可撓性膜30のそれぞれの導電部分31Cに接続している。
【0079】
可撓性膜30は、所望の可撓性および所望の電気絶縁性を提供することができる誘電体材料、好ましくはポリアミドで作られ、一方で、導電性トラックは、好ましくは銅で作られる。
【0080】
通常、導電性トラックは、厚さ50μmのポリアミド膜上に厚さ10~15μmの銅トレースによって作られ、典型的な用途では、50Ωでの制御されたインピーダンスを確保する必要があるため、銅トレースは、可撓性膜30を完全に通って、支持プレート24、およびしたがって試験装置に到達するような50μmの幅および数センチメートルまでの長さを有している。
【0081】
上記の寸法のトレースは、低電力RF信号、すなわち電力値が35dBm未満の信号を伝送する場合に適切に動作する。それにもかかわらず、これらは、高電力RF用途、すなわち電力RF信号を伝送する場合には適さないことが証明されている。その場合、実際には、高い電力値およびしたがって電流値によって、幅50μmおよび厚さ10~15μmの銅トレースの温度値は600℃にも達し得、これにより、可撓性膜30のポリアミド基板が劣化し、その結果、膜自体の破壊およびそれを含むプローブカード20の機能不全を引き起こす。
【0082】
したがって、これらの電力RF信号を伝送することができるようにするためには、50μmを超える幅の導電性トラックを使用して、50Ωの制御されたインピーダンスを確保し、可撓性膜30の厚さも増加させる必要がある。それにもかかわらず、可撓性膜30の厚さが増加させると、その望ましくない硬化が生じ、マイクロコンタクトプローブ25の取り扱いが困難になり、それを含むプローブカード20の適切な動作が妨げられる。
【0083】
本発明による利点として、図3Aに概略的に例示されるように、可撓性膜30は、第1の総厚さHAを有する第1の領域34Aと第2の総厚さHBを有する第2の領域34Bとに分割され、第2の総厚さHBは第1の総厚さHAより大きく、厚さは、膜30の静止状態におけるその展開面に直交する方向の寸法を意味し、膜は略平面である。そのより一般的な形態では、中央部分30Aは、現在の既知の解決策に対応する値、特に75μm以下、好ましくは50μm以下の値を有する第1の総厚さHAを有する。
【0084】
適切には、第1の領域34Aは、可撓性膜30の中央部分30Aを含むように、すなわち被試験デバイス22に対応して延在する。したがって、可撓性膜30の第1の領域34Aには、マイクロコンタクトプローブ25のコンタクトパッド31Aまたは31Bが作られる。
【0085】
反対に、第2の領域34Bは、可撓性膜30の中間部分30Bおよび周辺部分30Cを含むように延在し、したがって、支持プレートのコンタクトパッド24Aに接続された可撓性膜30の導電部分31Cを含む。
【0086】
図3Aに例示される好ましい実施形態では、可撓性膜30は、複数の弾性層および複数の導電層が互いに交互になって形成された多層構造を備え、より具体的には、可撓性膜30は、第1の導電層ML1が作られる第1の弾性層PL1、その上の、第2の導電層ML2が作られる第2の弾性層PL2、第3の導電層ML3が作られる第3の弾性層PL3によって形成され、他に、第3の弾性層PL3および第2の弾性層PL2を覆い、上に第3の弾性層PL3の形成されない、最後の弾性層FLが形成された、多層構造を備える。より具体的には、第1の弾性層PL1、第1の導電層ML1、および第2の弾性層PL2は、可撓性膜30の全長にわたって、すなわち第1の領域34Aおよび第2の領域34Bに沿って延在し、長さは、図3Aのローカル基準の軸Xに沿った可撓性膜30の寸法を意味している。第2の導電層ML2は、以下で説明されるように、第1の領域34A全体に沿って延在する、および中間部分30Bに部分的に通るトレースと、可撓性膜30の全長にわたって、すなわち第1の領域34Aおよび第2の領域34Bに沿って延在するトレースと、を備える。最後に、第3の弾性層PL3および第3の導電層ML3は、第2の領域34Bに沿って延在するだけである。
【0087】
適切には、第1の弾性層PL1、第2の弾性層PL2、第3の弾性層PL3、および最後の弾性層FLは、ポリアミドで作られ、一方で、第1の導電層ML1、第2の導電層ML2、および第3の導電層ML3は、可撓性膜30の導電性トラック33A、33Bを形成するように構成された銅トレースを備える。より具体的には、本発明の別の態様によれば、第1の弾性層PL1、第2の弾性層PL2、および第3の弾性層PL3は、それぞれ、10μmから30μmの間に含まれる値、好ましくは25μmの値を有する第1の厚さH1、第2の厚さH2、および第3の厚さH3を有し、一方で、最後の弾性層FLは、5μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは5μmの値を有する第4の厚さH4を有する。第1の導電層ML1、第2の導電層ML2、および第3の導電層ML3は、HMLで示された、および10μmから15μmの間に含まれる値、好ましくは10μmの値を有する、実質的に同じ厚さを有する。厚さは、図3Aのローカル基準の軸Zに沿った寸法を意味している。
【0088】
実施形態では、第2の厚さHBは第1の厚さHAの2~4倍であり、従来の銅トレースの幅の2~3倍の幅を有する導電性トラックを形成することが可能になる。換言すれば、40μmから50μmの間に含まれる値を有する第1の厚さHAに関して、第2の厚さは、200μm~400μmの幅まで金属トレースを拡大することができるように、70μmから125μmの間に含まれる値を有することができる。このような幅の金属トラックによって、50Ωでの制御されたインピーダンスを確保しながら、35dBm~45dBmの電力の信号を伝送することが可能になる。
【0089】
適切には、最後の弾性層FLにおいて、マイクロコンタクトプローブ25が作られ備えられるコンタクトパッド31A、31Bに対応して、開口部Apが配される。特に、これらの開口部Apは、中央部分30Aにおいて、すなわちより薄い厚さの第1の領域34Aで作られ、ここで、第1の弾性層PL1と第2の弾性層PL2のみが重ねられている。
【0090】
可撓性膜30はさらに、周辺部分30Cに対応して、最後の弾性層FL上に、すなわち、より厚い厚さの第2の領域34Bに作られた突出構造を備え、これらの突出構造は、支持プレート24のコンタクトパッド24Aとの接続のために、導電部分31Cが上に作られるベース32を有している。
【0091】
適切には、可撓性膜30はまた、異なる導電層、特に異なる導電層に作られたトレースを接続する導電性構造またはTH(スルーオールビア(THrough-all vias))を備える。たとえば、可撓性膜30は、第1の導電層ML1および第2の導電層ML2に作られたトレースを接続する第1の導電性構造TH1と、第2の導電層ML2および第3の導電層ML3に作られたトレースを接続する第2の導電性構造TH2と、第3の導電層ML3および導電部分31Cのベース32に作られたトレースを接続する第3の導電性構造TH3と、を備える。代替の実施形態によれば、THタイプの導電性構造もRF信号を伝送するように構成されている。
【0092】
本発明による利点として、可撓性膜30は、第2の導電層ML2に作られたトレースの幅よりも広い幅を有する第3の導電層ML3に作られたトレースを備え、幅は、図3Aのローカル基準の方向Yの寸法を意味している。第3の導電層ML3においてこれらのトレースの幅をより広くすることは、第2の弾性層PL2と第3の弾性層PL3との重なりの存在、すなわち、第1の領域34Aよりも大きな厚さを有する第2の領域34Bの存在により可能であり、第3の導電層ML3の下の厚さが増大することによって、特により広い幅を有するトレースに対しても50Ωに等しい、制御されたインピーダンスを確保することが可能になる。
【0093】
好ましい実施形態では、導電層のトレースは、下にある弾性層に配された適切な溝に作られる。換言すれば、第1の導電層ML1は、第1の弾性層PL1に配された溝に作られた複数のトレースを備え、第2の導電層ML2は、第2の弾性層PL2に配された溝に作られた複数のトレースを備え、第3の導電層ML3は、第3の弾性層PL3に配された溝に作られた複数のトレースを備える。
【0094】
特に、図4に概略的に例示されるように、可撓性膜30は、第2の導電性構造TH2によって相互接続された、第2の導電層ML2に作られたトレースによって形成された第1の部分および第3の導電層ML3に作られたより広い幅を有するトレースによって形成された第2の部分を含む第1の導電性トラック33Aを備え、各第1の導電性トラック33Aは、可撓性膜30の中央部分30Aに作られた第1のコンタクトパッド31Aに接続され、電力RF信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ25に接触するように構成されている。したがって、第1のコンタクトパッド31Aは電力RFパッドとしても示される。
【0095】
適切な接地線または接地は、第1の導電性構造TH1によって相互接続された、第2の導電層ML2に作られたトレースによって形成された第1の部分および第1の導電層ML1に作られたトレースによって形成された第2の部分を含む接地用導電性トラック33Gによって作られ、各接地用導電性トラック33Gは、可撓性膜30の中央部分30Aに作られた接地パッド31Gに接続されている。
【0096】
図3Bに概略的に例示される代替の実施形態によれば、可撓性膜30の第2の領域34Bは、連続的ではないが、空隙によって分離された第3の弾性層PL3に作られた複数の単一レリーフまたはレール35によって形成される。適切には、第3の導電層ML3は、レール35に対応して作られた第1の導電性トラック33Aの部分を備える。
【0097】
図3Cに概略的に例示されるさらなる代替の実施形態によれば、第3の導電層ML3はまた、レール35に対応して作られた接地用導電性トラック33Gの第3の部分を含み、これらの第3の部分は、さらなる導電性構造TH2Gによって第2の導電層ML2に作られたトレースによって形成された第1の部分に接続されている。
【0098】
適切には、各レール35は、1mmを超える値を有する、図3Bのローカル基準の軸Yに沿った寸法である、幅LSを有し、したがって、これは、電力RF信号を伝送するための50μmを超える幅LTを有する導電性トラック33Aを収容することができる。レール35間には、5mm以上の幅L1、または10~20mm以上の幅L2を残すことができる。
【0099】
前に見られたように、第1の導電性トラック33Aは、図3Bおよび3Cの代替の実施形態に従って、それぞれ、図5Aおよび5Bに概略的に例示されるように、一対の接地用導電性トラック33Gが適切に隣接し、レール35に対応して作られている。
【0100】
その場合、第3の弾性層PL3を形成するレール35から遊離している第2の弾性層PL2の領域に対応して第2の導電層ML2に作られた第2の導電性トラック33Bを設けることが可能である。第2の導電性トラック33Bは、RF非電力信号を伝送するように構成されていることが確認されており、常に可撓性膜30の中央部分30Aに作られた第2のコンタクトパッド31Bに接続され、RF非電力信号を伝送するように構成されたマイクロコンタクトプローブ25に接続される。したがって、第2のコンタクトパッド31BはRF非電力パッドとしても示される。
【0101】
電力RF信号を伝送するためのレール35の、およびしたがって第1の導電性トラック33Aの分布は、図6に概略的に例示されるように、可撓性膜30の異なる部分に対応して異なり得、ここで、可撓性膜30は、より高い密度のレール35を有する可撓性膜30の右側部分30Rおよびより低い密度のレール35を有する可撓性膜30の左側部分30Lを含む。
【0102】
第1の導電性トラック33A、第2の導電性トラック33B、および接地用導電性トラック33Gはまた、可撓性膜30の周辺部分30Cに作られた導電部分31Cに接続される。
【0103】
結論として、本発明による可撓性膜によって、マイクロコンタクトプローブのみを備えるアーキテクチャを有する電力RF用途に適しているプローブカードを作ることが可能であり、これは、既知の解決策で発生するような、マイクロコンタクトプローブに伴う従来の寸法を有するプローブとの混合構成に頼る必要なく、すべてマイクロコンタクトプローブおよび可撓性膜に作られた金属トラックを介するおかげで、電力RFタイプとRF非電力タイプの両方の信号を伝送することができる。
【0104】
適切には、可撓性膜は、50Ωでの制御されたインピーダンスを確保しながら、RF電力信号を伝送するべく構成された幅を有する導電性トラックを作ることができるように、少なくとも、厚さが減少した1つの第1の領域および厚さが増加した1つの第2の領域を備え、第1の領域は、膜の被試験デバイスに対応する部分に作られている。
【0105】
代替の実施形態によれば、厚さが増加した第2の部分は、連続的ではないが、より大きな幅を有する金属トラックが作られる複数のレールを備え、これらのレール間の膜の領域は、第1の部分に等しい厚さを有し、RF非電力信号を伝送するための定格幅を有する金属トラックを作るように構成されている。
【0106】
明らかなことに、当業者は、不定および特定の要件を満たすために、上記のプローブカードにいくつかの修正および代替をもたらすことを可能にされ、それらすべては、以下の請求項によって定義される本発明の保護の範囲内に含まれている。
【0107】
たとえば、可撓性膜は、より大きな厚さを有する部分を形成するレールを備える右側部分および均一に増加した厚さを有する部分を備える左側部分を含むように作ることができる。さらに、互いに異なる厚さを有するレールを作ることも可能である。
【0108】
最後に、上記されたおよび図示されたものとは異なる数の弾性層および導電層を設けることも可能である。
図1
図2A-2B】
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電力信号を伝送するように構成された可撓性膜(30)であって、前記可撓性膜(30)が、複数のマイクロコンタクトプローブ(25)と電気的に接続するように構成された、および前記可撓性膜(30)の中央部分(30A)に作られた、複数のコンタクトパッド(31A、31B)と、支持プレート(24)に電気的に接続するように構成された、および前記可撓性膜(30)の周辺部分(30C)に作られた、複数のコンタクト構造(31C)と、また複数の導電性トラック(33A、33B)であって、前記複数の導電性トラック(33A、33B)の各々が前記複数のコンタクトパッド(31A、31B)の1つを前記複数のコンタクト構造(31C)の1つに電気的に接続する、複数の導電性トラック(33A、33B)と、を備え、前記可撓性膜(30)が、前記中央部分(30A)と前記周辺部分(30C)との間に配され接続された中間部分(30B)をさらに含み、前記可撓性膜(30)が、第1の総厚さ(HA)を有する第1の領域(34A)と第2の総厚さ(HB)を有する第2の領域(34B)とに分割され、前記第1の領域(34A)が連続して前記第2の領域(34B)に隣接し、前記第1の総厚さ(HA)が75μm以下の値を有し、前記第2の総厚さ(HB)が前記第1の総厚さ(HA)の値よりも大きい値を有することを特徴とし、前記可撓性膜(30)の前記第1の領域(34A)が、前記中央部分(30A)に対応して延在し、前記複数のコンタクトパッド(31A、31B)を備えることを特徴とする、可撓性膜(30)。
【請求項2】
前記可撓性膜(30)が、互いに交互になっている複数の弾性層(PL1、PL2、PL3、FL)および複数の導電層(ML1、ML2、ML3)によって形成された多層構造を備え、前記複数の導電層(ML1、ML2、ML3)が、前記コンタクトパッド(31A、31B)を前記コンタクト構造(31C)に接続するための前記導電性トラック(33A、33B)を形成するように構成された複数の導電性トレースを備え、前記第1の領域(34A)に作られた導電性トレースが、前記第2の領域(34B)に作られた導電性トレースよりも狭い幅を有することを特徴とする、請求項1記載の可撓性膜(30)。
【請求項3】
前記可撓性膜(30)が、異なる導電層(ML1、ML2、ML3)に作られた導電性トレースを接続するように構成された導電性構造(TH1、TH2、TH3、TH2G)を備えることを特徴とする、請求項2記載の可撓性膜(30)。
【請求項4】
前記可撓性膜(30)が、少なくとも、上に第2の導電層(ML2)が作られる第2の弾性層(PL2)を有する、第1の導電層(ML1)が作られる第1の弾性層(PL1)、第3の導電層(ML3)が作られる第3の弾性層(PL3)、および、前記第3の弾性層(PL3)および前記第2の弾性層(PL2)を覆い上には前記第3の弾性層(PL3)が形成されない最後の弾性層(FL)によって形成された多層構造を備え、前記第1の弾性層(PL1)、前記第1の導電層(ML1)、および前記第2の弾性層(PL2)が、前記可撓性膜(30)の前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第3の弾性層(PL3)および前記第3の導電層(ML3)が、ちょうど前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)に沿って延在し、前記可撓性膜(30)の前記中間部分(30B)に部分的に通り、前記第3の導電層(ML3)に作られた複数の導電性トレースと接続している、第1の複数の導電性トレースを備えることを特徴とする、請求項3記載の可撓性膜(30)。
【請求項5】
前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在する第2の複数の導電性トレースをさらに備え、前記可撓性膜(30)が、前記第1の導電層(ML1)および前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースを接続する第1の導電性構造(TH1)と、前記第2の導電層(ML2)および前記第3の導電層(ML3)に作られた導電性トレースを接続する第2の導電性構造(TH2)と、前記第3の導電層(ML3)、および前記第3の導電層(ML3)から突出し、前記可撓性膜(30)の前記導電部分(31C)に電気的に接続されたベース(32)に作られたトレースを接続する第3の導電性構造(TH3)と、をさらに備えることを特徴とする、請求項4記載の可撓性膜(30)。
【請求項6】
前記第3の導電層(ML3)に作られた導電性トレースが、前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースよりも広い幅を有することを特徴とする、請求項4記載の可撓性膜(30)。
【請求項7】
前記導電性トレースが、前記弾性層(PL1、PL2、PL3)に配された溝に作られることを特徴とする、請求項4記載の可撓性膜(30)。
【請求項8】
前記可撓性膜(30)が、前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースによって形成された第1の部分および前記第3の導電性層(ML3)に作られたより広い幅を有する導電性トレースによって形成された第2の部分を含む、第1の導電性トラック(33A)を備え、各第1の導電性トラック(33A)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第1のコンタクトパッド(31A)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBmを超える電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されており、前記可撓性膜(30)が、第1の導電性構造(TH1)によって相互接続された、前記第2の導電層(ML2)に作られたトレースによって形成された第1の部分および前記第1の導電層(ML1)に作られたトレースによって形成された第2の部分を含む接地用導電性トラック(33G)によって作られた接地線をさらに備え、各接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた接地パッド(31G)に接続されており、前記接地用導電性トラック(33G)が、前記第1の導電性トラック(33A)に対応して作られ、さらなる導電性構造(TH2G)によって前記第2の導電層(ML2)に作られたトレースによって形成された前記第1の部分に相互接続された、前記第3の導電層(ML3)に作られたトレースによって形成された第3の部分をさらに備えることを特徴とする、請求項4記載の可撓性膜(30)。
【請求項9】
前記可撓性膜(30)が、前記第2の弾性層(PL2)に配された、前記第2の導電層(ML2)の導電性トレースによって作られた第2の導電性トラック(33B)を備え、各第2の導電性トラック(33B)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第3のコンタクトパッド(31B)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBm未満の電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されていることを特徴とする、請求項8記載の可撓性膜(30)。
【請求項10】
前記第1の導電性トラック(33A)、前記第2の導電性トラック(33B)、および前記接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記周辺部分(30C)に作られた導電部分(31C)にさらに接続されることを特徴とする、請求項8記載の可撓性膜(30)。
【請求項11】
前記第2の領域(34B)が、空隙によって分離された複数のレール(35)を備えることを特徴とする、請求項1記載の可撓性膜(30)。
【請求項12】
前記可撓性膜(30)が、互いに交互になっている複数の弾性層(PL1、PL2、PL3、FL)および複数の導電層(ML1、ML2、ML3)によって形成された多層構造を備え、前記複数の導電層(ML1、ML2、ML3)が、前記コンタクトパッド(31A、31B)を前記コンタクト構造(31C)に接続するための前記導電性トラック(33A、33B)を形成するように構成された複数の導電性トレースを備え、前記第1の領域(34A)に作られた導電性トレースが、前記第2の領域(34B)に作られた導電性トレースよりも狭い幅を有し、より広い幅を有する導電性トレースが前記レール(35)で作られることを特徴とする、請求項11記載の可撓性膜(30)。
【請求項13】
前記可撓性膜(30)が、異なる導電層(ML1、ML2、ML3)に作られた導電性トレースを接続するように構成された導電性構造(TH1、TH2、TH3、TH2G)と、少なくとも、上に第2の導電層(ML2)が作られる第2の弾性層(PL2)を有する、第1の導電層(ML1)が作られる第1の弾性層(PL1)、第3の導電層(ML3)が作られる第3の弾性層(PL3)、および、前記第3の弾性層(PL3)および前記第2の弾性層(PL2)を覆い上には前記第3の弾性層(PL3)が形成されない最後の弾性層(FL)によって形成された多層構造と、を備え、前記第3の弾性層(PL3)が前記レール(35)を備えることを特徴とする、請求項12記載の可撓性膜(30)。
【請求項14】
前記第1の弾性層(PL1)、前記第1の導電層(ML1)、および前記第2の弾性層(PL2)が、前記可撓性膜(30)の前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第3の弾性層(PL3)および前記第3の導電層(ML3)が、ちょうど前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)に沿って延在し、前記可撓性膜(30)の前記中間部分(30B)に部分的に通り、前記第3の導電層(ML3)に作られた複数の導電性トレースと接続している、第1の複数の導電性トレースを備え、前記第2の導電層(ML2)が、前記第1の領域(34A)および前記第2の領域(34B)に沿って延在し、前記レール(35)を分離する前記空隙に対応して作られる、第2の複数の導電性トレースをさらに備えることを特徴とする、請求項13記載の可撓性膜(30)。
【請求項15】
前記可撓性膜(30)が、前記第2の導電層(ML2)に作られた導電性トレースによって形成された第1の部分および前記第3の導電性層(ML3)に作られたより広い幅を有する導電性トレースによって形成された第2の部分を含む、第1の導電性トラック(33A)を備え、各第1の導電性トラック(33A)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第1のコンタクトパッド(31A)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBmを超える電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されており、前記第1の導電性トラック(33A)が前記レール(35)に作られることを特徴とする、請求項14記載の可撓性膜(30)。
【請求項16】
前記可撓性膜(30)が、第1の導電性構造(TH1)によって相互接続された、前記第2の導電層(ML2)に作られたトレースによって形成された第1の部分および前記第1の導電層(ML1)に作られたトレースによって形成された第2の部分を含む接地用導電性トラック(33G)によって作られた接地線を備え、各接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた接地パッド(31G)に接続されており、前記接地用導電性トラック(33G)が、前記レール(35)に、前記第1の導電性トラック(33A)に対応して作られることを特徴とする、請求項15記載の可撓性膜(30)。
【請求項17】
前記可撓性膜(30)が、前記第3の弾性層(PL3)を形成するレール(35)から遊離している前記第2の弾性層(PL2)の領域に対応して配された、前記第2の導電層(ML2)の導電性トレースによって作られた第2の導電性トラック(33B)を備え、各第2の導電性トラック(33B)が、前記可撓性膜(30)の前記中央部分(30A)に作られた第2のコンタクトパッド(31B)に接続され、高周波電力信号、すなわち1GHzを超える周波数および35dBm未満の電力を有する信号を伝送するためのマイクロコンタクトプローブ(25)に接触するように構成されていることを特徴とする、請求項14記載の可撓性膜(30)。
【請求項18】
前記第1の導電性トラック(33A)、前記第2の導電性トラック(33B)、および前記接地用導電性トラック(33G)が、前記可撓性膜(30)の前記周辺部分(30C)に作られた導電部分(31C)にさらに接続されることを特徴とする、請求項14記載の可撓性膜(30)。
【請求項19】
前記中央部分(30A)が複数のストリップ(31)を備え、前記複数のストリップ(31)に前記マイクロコンタクトプローブ(25)の前記コンタクトパッド(31A、31B)が作られることを特徴とする、請求項1記載の可撓性膜(30)。
【請求項20】
前記可撓性膜(30)が、誘電体材料、好ましくはポリアミドで作られ、導電性材料、好ましくは銅で作られた導電性トラックを備えることを特徴とする、請求項1記載の可撓性膜(30)。
【請求項21】
電子デバイスを試験するためのプローブカード(30)であって、前記プローブカード(30)が、少なくとも1つの支持プレート(24)と、1つの可撓性膜(30)と、前記可撓性膜(30)の第1の面(F1)に連結された複数のマイクロコンタクトプローブ(25)と、を備え、前記複数のマイクロコンタクトプローブ(25)が、被試験デバイス(22)の複数のコンタクトパッド(22A)に当接するように構成されており、前記可撓性膜(30)に作られた複数の導電性トラック(33A、33B)に電気的に連結され、前記支持プレート(24)のコンタクトパッド(24A)と電気的に接続されており、前記可撓性膜(30)が請求項1~20のいずれか1項に従って作られることを特徴とする、プローブカード(30)。
【請求項22】
前記プローブカード(30)が、前記可撓性膜(30)と前記支持プレート(24)との間に挿入された減衰構造(27)を備え、好ましくは、中央部分(30A)で前記可撓性膜(30)に当接するように構成された複数のプレローディングプローブ(29)を備えることを特徴とする、請求項21記載のプローブカード(30)。
【請求項23】
前記プローブカード(30)が、高さ200μm未満の複数のマイクロコンタクトプローブ(25)を備えることを特徴とする、請求項21記載のプローブカード(30)。
【国際調査報告】