(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】新生児における使用に好適な組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/30 20060101AFI20231122BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231122BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231122BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231122BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231122BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A61K38/30
A61P9/00
A61P11/00
A61K47/26
A61K9/10
A61K47/12
A61K47/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023548542
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021055598
(87)【国際公開番号】W WO2022086953
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523140795
【氏名又は名称】オーク ヒル バイオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラマット-ミラー,ナジラ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,ビング
(72)【発明者】
【氏名】バタチャリア,インドラニル
(72)【発明者】
【氏名】ハン,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】アムスデン,ベニタ
(72)【発明者】
【氏名】クランツ,ジェームス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076DD23Z
4C076DD41Z
4C076DD46F
4C084AA02
4C084BA41
4C084DB58
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZC511
4C084ZC512
(57)【要約】
本発明は、新生児及び/又は早産児への投与のために最適化された、安定した、純粋で強力な組成物、並びに、脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、及び/又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療するための方法におけるその使用を提供し、その方法は、治療を必要とする対象に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)、並びにポリソルベート20界面活性剤を含む医薬組成物を、血清IGF-1への高い曝露、並びにIVH、BPD、及び/又はCLDの治療をもたらす乳児における低体積の高有効用量で投与することを含む。いくつかの態様では、本明細書では、使い捨て使用バッグを含む組成物を製造するための方法であって、組成物は、安定性の改善、酸化の低減、及び効力の増加を有する、方法を提供する。いくつかの態様では、提供される方法は、脳室内出血、気管支肺異形成症、右心室肥大(RVH)、肺高血圧(PH)、壊死性腸炎、又は早産児の慢性肺疾患の症状及び特徴の発生率の低減をもたらす。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.0025%~0.0075%の濃度のポリソルベート界面活性剤と、を含む、組成物であって、前記rIGF-1及びrIGFBP-3が、等モル量で複合体化されている、組成物。
【請求項2】
前記rIGF-1/IGFBP-3が、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリソルベート界面活性剤が、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリソルベート界面活性剤が、P20である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリソルベート界面活性剤が、約0.005%の濃度で前記組成物中に存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記IGF-1の20%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記IGF-1の10%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項8】
酸化種の%が、逆相超性能液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって決定される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記IGFBP-3が、5%未満のトリスルフィドバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記酢酸ナトリウム又は酢酸が、約10~100mMの濃度である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記酢酸ナトリウム又は酢酸が、約50mMの濃度である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記塩化ナトリウムが、約20mM及び200mMの濃度である、請求項10~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記塩化ナトリウムが、約105mMの濃度である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約5.0~7.0のpHである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記pHが、約5.3~5.8である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記rIGF-1/IGFBP-3が、約45~55マイクログラム/mLの濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記rIGF-1/IGFBP-3が、約50マイクログラム/mLの濃度である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、静脈内投与に好適である、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、2~8℃の温度で約20か月~24か月の保管寿命を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、2~8℃の温度で少なくとも24か月の保管寿命を有する、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、室温及び/又は周囲光で、少なくとも8時間、12時間、24時間、36時間、又は48時間安定である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及びポリソルベート20を含む前記組成物が、ポリソルベート20を含まない、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物よりも室温で安定である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及びポリソルベート20を含む前記組成物が、ポリソルベート20を含まない、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物よりも室温で酸化が少ない、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記酸化IGF-1種の%が、約25℃の温度で保管すると、6か月後に12%超増加しない、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記酸化IGF-1種の%が、約25℃の温度で保管すると、6か月後に10%超増加しない、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
先行請求項のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項28】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、治療を必要とする対象に、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及びポリソルベート20界面活性剤を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び約0.0025%~0.0075%の濃度のポリソルベート界面活性剤を含む組成物を投与することを含み、前記rIGF-1及びrIGFBP-3が、等モル量で複合体化され、前記rIGF-1/IGFBP-3が、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である、方法。
【請求項31】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を投与することを含み、前記必要とする対象が、23~25週+6日の在胎期間である、方法。
【請求項32】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を、対照に対して脳室内出血の発生率の低減を達成するのに十分な治療量で投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記発生率の低減が、超音波又は磁気共鳴画像法(MRI)によって評価される約36~40週の在胎期間に達成される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記発生率の低減が、36週までに達成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記発生率の低減が、40週までに達成される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記発生率の低減が、超音波によって評価される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記脳室内出血(IVH)の発生率の低減が、グレードII、グレードIII、又はグレードIVのIVHの発生率の少なくとも約30%の低減である、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、請求項1又は2に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記ポリソルベート界面活性剤が、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)から選択される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項40】
前記ポリソルベート界面活性剤が、P20である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリソルベートが、0.005%の濃度である、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項42】
前記IGF-1の20%未満が、約3か月間保管した後、酸化種として存在する、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項43】
酸化種の%が、RP-UPLCによって決定される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項44】
前記IGFBP-3が、5%未満のトリスルフィドバリアントを含む、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項45】
前記治療を必要とする対象が、乳児である、請求項29~44に記載の方法。
【請求項46】
前記乳児が、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、1か月、2か月又は3か月早く生まれた、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記乳児が、32週未満の在胎期間(GA)で生まれた、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記乳児が、28週未満の在胎期間(GA)で生まれた、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記乳児が、26週未満の在胎期間(GA)の間で生まれた、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記乳児が、約23~34週の月経後齢(PMA)である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記乳児が、約23週の月経後齢(PMA)である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記乳児が、34週未満の月経後齢(PMA)である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、静脈内投与される、請求項29~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物が、約100~1000マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項29~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が、約800マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記組成物が、約400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が、約250マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物が、24時間の期間中に1回、2回、3回、又は4回投与される、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物が、24時間の期間中に1回投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物が、24時間の期間の連続注入によって投与される、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記組成物が、出生時から約23~34週の月経後齢(PMA)まで投与される、請求項29~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物が、出生時から約23~32週のPMAまで投与される、請求項29~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、出生時から約29週プラス6日のPMAまで投与される、請求項29~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象は、IGF-1血清レベルが低減している、請求項29~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物の投与が、ベースライン値と比較して、IGF-1血清レベルの上昇をもたらす、請求項29~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記IGF-1血清レベルが、ベースライン値と比較して少なくとも約25%~50%上昇する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記IGF-1血清レベルが、投与後少なくとも24時間上昇したままである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記IGF-1血清レベルが、約48時間上昇したままである、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記IGF-1血清レベルが、少なくとも約7日間上昇したままである、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記IGF-1血清レベルが、少なくとも約23週~34週の月経後齢(PMA)まで、上昇したままである、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記IGF-1血清レベルが、少なくとも約23週~12か月の月経後齢(PMA)まで、上昇したままである、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記組成物の前記投与が、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、8か月、10か月、12か月、又は24か月までの脳室内出血の発生率の低減をもたらす、請求項29~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記組成物の前記投与が、更に、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、8か月、10か月、12か月、又は24か月までの気管支肺異形成症の発生率の低減をもたらす、請求項29~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記組成物の投与が、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、又は40週までのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価される機能的状態の増加をもたらす、請求項29~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記組成物の投与が、約28~109ng/mlのIGF-1血清標的レベルの上昇をもたらす、請求項29~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記発生率の低減が、未治療の対照に対して、少なくとも約20%~50%である、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項77】
前記発生率の低減が、標準治療を受けている対照に対して、少なくとも約20~50%である、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項78】
前記機能的状態の増加が、未治療の対照に対して、少なくとも約20%~50%である、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記機能的状態の増加が、標準治療を受けている対照に対して、少なくとも約20~50%である、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
医薬組成物を製造するための方法であって、前記方法が、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含むタンパク質複合体を提供することを含み、前記方法が、前記複合体を製剤溶液と混合し、それによって医薬組成物を産生する間の使い捨てバッグの使用を含み、増加が、前記医薬組成物中の前記IGF-1の酸化種が、25℃で6か月間保管すると、20%未満である、方法。
【請求項81】
前記製剤溶液が、界面活性剤を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記使い捨てバッグが、濾過ステップ中に更に使用される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記方法が、前記混合ステップ及び/又は前記濾過ステップ中、前記使い捨てバッグの少なくとも30%を前記タンパク質複合体で充填することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記方法が、前記混合ステップ及び/又は前記濾過ステップ中、前記使い捨てバッグの少なくとも40%を前記タンパク質複合体で充填することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記方法が、前記混合ステップ及び/又は前記濾過ステップ中、前記使い捨てバッグの少なくとも75%を前記タンパク質複合体で充填することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記方法が、前記混合ステップ及び/又は前記濾過ステップ中、前記使い捨てバッグの75~90%を前記タンパク質複合体で充填することを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
前記使い捨てバッグが、約500L又は500L超である、請求項80~86に記載の方法。
【請求項88】
前記IGF-1の酸化種の増加が、25℃で6か月間保管すると、5%未満である、請求項80~87に記載の方法。
【請求項89】
前記IGF-1の2%未満が、25℃で6か月間保管すると、前記タンパク質複合体中に酸化種として存在する、請求項80~88に記載の方法。
【請求項90】
前記タンパク質複合体の10%未満が、40℃で3か月間保管すると、低分子量種として存在する、請求項80~89に記載の方法。
【請求項91】
前記タンパク質複合体の5%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する、請求項80~90に記載の方法。
【請求項92】
請求項80~91のいずれか一項に記載の方法によって製造される、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含む単離されたタンパク質複合体を含む、組成物。
【請求項93】
前記組成物が、pH5.5で、50mMの酢酸ナトリウム、105mMの塩化ナトリウム、及び0.005%(v/v)のP20を含む、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
等モル量の組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)及び組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.005%(v/v)の濃度のポリソルベート20界面活性剤と、酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤と、を含む組成物であって、前記組成物が、約5.3~5.8のpHを有し、前記rIGF-1/IGFBP-3が、約50マイクログラム/mLの濃度であり、前記IGF-1の1.5%未満が、産物の放出時に酸化種として存在する、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月19日に出願された米国仮出願第63/093,696号の優先権及び利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
新生児及び/又は早産児における治療的使用、例えば、脳室内出血、気管支肺異形成症、及び早産児の慢性肺疾患などの状態の発生を治療又は低減するために最適化された組成物が非常に必要である。
【0003】
脳室内出血(IVH)は、脳室内及び脳室周辺の出血によって特徴付けられる早産児の生命を脅かす状態であり、急性及び慢性脳損傷、並びに長期的に有害な神経発達転帰の可能性をもたらす。
【0004】
IVHは、早産児の主要な合併症である。IVHは、脳室周囲出血性梗塞、出血後脳室拡張、脳室周囲白質軟化症、及び小脳出血を含む重篤な合併症と関連し、高い死亡率及び罹患率をもたらす可能性がある。他の合併症には、出血後水頭症、脳性麻痺、及び精神遅滞、及び長期的な神経発達障害が含まれる。
【0005】
IVHは、早産児の死亡率及び罹患率をもたらす可能性がある。現在の標準治療は、脳血行動態及び呼吸器支援の早期管理及び安定化に基づいている。予後は、出血の重症度、脳実質への損傷、発作の存在、及び脳室周囲出血性梗塞の重症度に関連している。
【0006】
早産児の慢性肺疾患(CLD)は、早産児のもう1つの深刻で生命を脅かす状態である。特に極度の早産児は、CLDを発症するリスクが非常に高い。36週の月経後齢での気管支肺異形成症(BPD)は、典型的には、CLDの最も初期の兆候であるが、BPDのない乳児もCLDを発症する場合がある。「早産児の慢性肺疾患」という用語は、多くの場合、BPDの兆候と重複する広範な症状及び特徴を包含する。
【0007】
BPD及びCLDの現在の標準治療の治療及び予防選択肢には、呼吸器支援(持続的な気道陽圧を伴う非侵襲的な鼻流を介した酸素補給、及び気道内挿管による機械的換気など、肺界面活性剤投与、気道を開くのを助ける気管支拡張剤、呼吸停止(無呼吸)を低減し、呼吸筋機能を改善するのを助けるカフェイン、及び炎症を低減するのを助けるステロイド、肺の過剰な体液を低減するのを助ける利尿剤、肺の血圧を減少させるのを助ける血管拡張剤、感染症と戦うための抗生物質が含まれる。極度の早産児の肺転帰の長期的な軌跡は、通常、出生前のリスク因子から始まり、続いて、呼吸支援を必要とする生後最初の数時間又は数日間の呼吸窮迫症候群(RDS)、典型的には36週月経後齢で診断されるBPDまで、最終的には乳児期、小児期、青年期、及び更には成人期の慢性肺疾患に至る。CLDは、呼吸器の原因、呼吸器薬又は家庭用呼吸器支援の必要性のためのより頻繁な再入院及びERの訪問をもたらす可能性があり、多くの子供たちは、生活の質を制限し続けている一種の反応性気道疾患(喘息)に苦しんでいる。
【0008】
時には約1~2ポンド(450~900g)の体重を有する早産児の治療は、特に投与され得る量が非常に少ないため、多くの課題を呈する。注入による正確な用量のタンパク質をこの患者集団へ送達すること、及び臨床投与構成要素(例えば、注入装置)との医薬組成物の適合性を確保することが重要である。
【0009】
更にこのクラスの患者は極度に弱く、脆弱である。薬学的治療の過程で賦形剤などの物質に曝露することによってもたらされる毒性学的リスクは、慎重に評価される必要がある。新生児は、成人及び年長の子供と比較して、製剤に使用される賦形剤などの化学物質に対して異なる感受性を示す場合がある。これは、この患者集団を治療しようとする人々にとって大きな課題を生み出す。
【0010】
加えて、各治療用タンパク質は、異なる特性、例えば、折り畳まれた分子の表面上の疎水性部分及び荷電部分のバランスを有する。したがって、各治療用タンパク質は、その特性(例えば、製剤が治療用タンパク質の薬理学的活性及び安定性と適合性であるような特性)及び投与に対するその好適性に特に最適化された、製剤を必要とする。この課題は、治療的実体がタンパク質複合体である場合に更に大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、新生児及び/又は早産児への投与のために最適化された組成物、及びそれを用いる治療方法、例えば、治療における、例えば、脳室内出血、気管支肺異形成症及び早産児の慢性肺疾患の治療における組成物の使用(特に、当該患者集団における使用)に関する。更なる独立した態様では、組成物の製剤を製造するためのプロセスが提供され、例えば、酸化を低減した製剤を達成するための堅牢なプロセスを提供するために、特に、製剤のステンレス鋼との接触を最小限に抑える、使い捨てバッグを用いる。
【0012】
本明細書で提供される組成物は、新生児における使用に好適であり、以下の利点のうちの1つ以上(全てなど)を有する:賦形剤を最小限に抑える(患者集団における有害作用を最小限に抑え、不耐性/毒性を最大にする);非経口投与される組成物中でのタンパク質複合体の損失を最小限に抑える(例えば、チューブ、ゴム及び/又はプラスチック材料及び/又はフィルタを使用して、例えば、静脈内(IV)注入を介して);安定である(例えば、少なくとも3~6か月の貯蔵寿命を有利に与える物理的及び/又は化学的に安定である);及び新生児患者集団に適切な濃度レベルで活性治療薬を送達する能力を有する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、一態様では、治療用タンパク質複合体の新生児への投与に好適な低濃度医薬組成物が提供され、それは、複合体化されたインスリン様成長因子1(IGF-1)、及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(例えば、等モル量など、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲で)、並びに0.0025%~0.0075%の範囲の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20などのポリソルベート界面活性剤)を含む。
【0014】
一実施形態では、医薬組成物は、等張である。
【0015】
一実施形態では、医薬組成物は、液体である。
【0016】
一実施形態では、治療用複合体の濃度は、10~100mg/Lの範囲(例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100mg/L)、45~55mg/Lなど、特に50mg/L)である。
【0017】
一実施形態では、医薬組成物は、水性である。
【0018】
一実施形態では、製剤は、0.005%(v/v)のポリソルベート20を含む50mMの酢酸ナトリウム及び105mMの塩化ナトリウム中の50マイクログラム/mLのrhIGF-1/rhIGFBP-3溶液を含む、pH5.5、2℃~8℃(36°F~46°F)で保管された、単位として提供される。
【0019】
一実施形態では、本開示による医薬組成物は、約6.5mLの抽出可能体積を含有する注入バッグ、又はガラスバイアル中の最終産物として提供される。
【0020】
一実施形態では、医薬製剤は、治療用タンパク質複合体の損失なしに(治療用タンパク質複合体の活性の損失なしなど)非経口投与され得る。
【0021】
一実施形態では、組成物は、最小の数及び/又は量の賦形剤、例えば、1、2、3、4、又は5個の賦形剤を有する。
【0022】
一実施形態では、組成物の活性又は別の特性は、実施例などの、本明細書に開示されるアッセイ又は方法によって測定される。
【0023】
一実施形態では、ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20%は、0.0025%~0.0075%v/vの範囲にある。
【0024】
一実施形態では、組成物のpHは、pH5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、特にpH5.5などのpH5~pH7、又はpH5.3~pH5.8の範囲にある。
【0025】
一実施形態では、製剤は、新生児に、活性形態で、治療用タンパク質複合体の用量の少なくとも80%、例えば、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%を送達する。
【0026】
したがって、好ましい実施形態では、1mL当たり10~1000マイクログラム(例えば、10~100マイクログラム/mL、すなわち、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100マイクログラム/mL、45~55マイクログラム/mLなど、特に50マイクログラム/mL)の複合体化されたインスリン様成長因子1(IGF-1)、及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)(例えば、等モル量など、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲;及び0.0025%~0.0075%(例えば、0.005%)の範囲の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20などのポリソルベート界面活性剤);緩衝剤(例えば、50mMの酢酸ナトリウム)、塩(例えば、105mMの塩化ナトリウム)を含む、製剤のpHが、pH5.3~5.8の範囲(例えば、pH5.5)である、治療用タンパク質複合体を新生児に(特に活性形態で)投与するのに好適な低濃度の医薬組成物が提供される。
【0027】
更なる実施形態では、本発明は、とりわけ、脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、及び早産児の慢性肺疾患(CLD)を含む、早産児の疾患及び合併症の効果的な治療を提供する。本発明は、部分的に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)の組み合わせを含み、かつ一緒に界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を更に含み、例えば、母体供給から失われたIGF-1を置き換えるために、例えば、出生直後に静脈内投与された場合、脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症、及び/又は早産児の慢性肺疾患を改善又は低減することができる、方法及び医薬組成物を提供する。本発明は、部分的に、IGF-1/IGFBP-3医薬組成物への低濃度(例えば、0.0025%~0.0075%v/v)の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)の添加が、効力の改善及び安定性の増加をもたらすという驚くべき発見に基づいている。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではなく、例えば、かかる低濃度の界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)は、吸着関連の産物の損失を最小限に抑え、医薬品投与前に静脈内注入セットをプライミング及びフラッシュする必要性を排除し、医薬品の損失を大幅に低減し、効力を改善することが企図される。本発明はまた、部分的には、酸化種の蓄積の低減及び製剤溶液と複合体を混合中の使い捨てバッグなどのステンレス鋼以外の接触面の使用を介して達成される安定性の改善に基づいている。安定性の改善は、約25℃(例えば、約23℃~約27℃)での保管中、又は約40℃(例えば、約38℃~約42℃)での保管中、例えば、約3~6か月間の保管中に達成される。凝集の低減並びに安定性及び純度の増加の利点に加えて、界面活性剤を含む製剤は、正確な投薬及び早産児の合併症、例えば、脳室内出血、気管支肺異形成症、及び/又は早産児の慢性肺疾患を発症するリスクのある極度の早産児([0008]を参照されたい)への少用量体積の投与を可能にする。本明細書で使用される場合、慢性肺疾患(CLD)及び早産児の慢性肺疾患は、互換的に使用される。本発明の製剤は安定であり、10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mL(例えば、20マイクログラム/mL、30、40、50マイクログラム/mL)の範囲の濃度で凝集の低減を示す。対照的に、ポリソルベートの非存在下で、及び日常的なストレスに曝露されると、安定性の減少、凝集の増加、及び潜在的な免疫原性の増加に寄与する高分子量種が蓄積する。要約すると、本発明は、とりわけ、保管中の効力の増加及び安定性の改善の利点、特に、最小限に抑えられた毒性を有する、IGF-1/IGFBP-3の改善された製剤を提供し、早産児の疾患の治療における新生児に投与するための安全で有効な産物を提供する。
【0028】
一態様では、界面活性剤を含むrIGF-1/rIGFBP-3の安定な製剤を調製し、約400マイクログラム/kg/24時間などの用量で送達し得る。一態様では、界面活性剤を含むrIGF-1/rIGFBP-3の安定な製剤が調製され、約1000マイクログラム/kg/24時間などの用量で送達され得る。界面活性剤の添加はまた、吸着によるタンパク質損失を低減させることによって、産物の安定性を増加させる。一態様では、本明細書に提供される方法は、界面活性剤の存在下で約250マイクログラム/kg/24時間以下の用量での薬学的rIGF-1/rIGFBP-3組成物の投与による血清IGF-1の高有効曝露をもたらす。
【0029】
本出願は、部分的に、ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80を医薬用rIGF-1/rIGFBP-3組成物中に組み込むことから生じる利点に基づいている。本出願は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/rIGFBP-3を投与すると、高いrIGF-1血清曝露レベルをもたらす、疾患及び早産児の合併症、例えば、脳室内出血、気管支肺異形成症、及び早産児の慢性肺疾患の治療のための、非常に強力で安定した製剤を開示する。
【0030】
本開示の一態様では、組換えインスリン様成長因子-1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質-3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.0025%v/v~0.0075%v/vの濃度のポリソルベート界面活性剤と、を含む医薬組成物であって、rIGF-1及びrIGFBP-3は等モル量で複合体化され、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0031】
いくつかの態様では、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.0025%~0.0075%の濃度のポリソルベート界面活性剤と、を含む医薬組成物であって、rIGF-1及びrIGFBP-3が、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲、例えば、等モル量で複合体化されている、医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20である。ポリソルベート20は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートとしても知られている。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート80である。ポリソルベート80は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとしても知られている。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.001%~2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.2%~0.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.10%、0.15%、0.2%、0.5%、0.7%、1.0%、1.2%、1.5%、1.8%、2.0%、2.2%又は2.4%v/vの濃度である。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.0025%~0.0075%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.0025%、約0.005%、又は約0.0075%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.005%v/vの濃度である。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物中のIGF-1の約20%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、組成物中のIGF-1の約15%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の10%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の5%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の4%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の2%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の4%未満が、25℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の2%未満が、25℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。
【0037】
いくつかの実施形態では、IGF-1の10%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の8%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の6%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の5%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の4%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の10%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の3%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の8%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の6%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の5%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の4%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の3%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1の2%未満が、40℃で約1か月間保管した後、酸化種として存在する。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物中の酸化種のパーセンテージは、逆相超性能液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって決定される。いくつかの実施形態では、IGFBP-3は5%未満のトリスルフィドバリアントを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物は、酢酸ナトリウム、酢酸及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、酢酸ナトリウム又は酢酸を含む緩衝剤を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10~100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約50mMの濃度である。
【0041】
いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM及び200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180mM、約185mM、約190mM、約195mM、又は約200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約105mMの濃度である。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5.0~7.0のpHである。いくつかの実施形態では、pHは、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、又は約7.0である。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.1、約5.3、約5.5、約5.7、又は約5.9、約6.1、約6.3、約6.5、約6.7、又は約6.9のpHである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.3~5.8のpHである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.5のpHである。
【0043】
いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~100マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約20マイクログラム/mL~100マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL、約20マイクログラム/mL、約30マイクログラム/mL、約40マイクログラム/mL、約50マイクログラム/mL、約60マイクログラム/mL、約70マイクログラム/mL、約80マイクログラム/mL、約90マイクログラム/mL、又は約100マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL、25マイクログラム/mL、50マイクログラム/mL、75マイクログラム/mL、100マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約45~55マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約50マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/rIGFBP-3は、約75マイクログラム/mLの濃度である。
【0044】
いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約100マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3は、約100マイクログラム/mL、約200マイクログラム/mL、約300マイクログラム/mL、約400マイクログラム/mL、約500マイクログラム/mL、約600マイクログラム/mL、約700マイクログラム/mL、約800マイクログラム/mL、約900マイクログラム/mL、約1000マイクログラム/mLの濃度である。
【0045】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮下又は静脈内注射に好適である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は皮下注射に好適である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内注射に好適である。
【0046】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2~8℃の温度で20か月以上の保管寿命を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2~8℃の温度で少なくとも24か月の保管寿命を有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温及び/又は周囲光で安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温で、及び/又は周囲光下で、少なくとも8時間、12時間、24時間、36時間、又は48時間安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温で、及び/又は周囲光下で、少なくとも8時間安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温で、及び/又は周囲光下で、少なくとも12時間安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温で、及び/又は周囲光下で、少なくとも24時間安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、室温で、及び/又は周囲光下で、少なくとも48時間安定である。
【0047】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲で、例えば、等モル量で複合体化されたrIGF-1及びrIGFBP-3を含む。いくつかの実施形態では、IGF-1は、組換えで産生される。いくつかの実施形態では、IGFBP-3は、組換えで産生される。いくつかの実施形態では、IGF-1及びIGFBP-3は、対象への投与前に複合体化される。
【0048】
いくつかの実施形態では、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及びポリソルベート20を含む医薬組成物は、ポリソルベート20を含まない、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む医薬組成物よりも室温でより安定である。
【0049】
いくつかの実施形態では、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及びポリソルベート20を含む医薬組成物は、ポリソルベート20を含まない、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む医薬組成物よりも室温でより酸化が少ない。
【0050】
いくつかの実施形態では、酸化IGF-1種のパーセンテージは、約25℃の温度で保管すると、3か月月後、25%超に増加しない。いくつかの実施形態では、酸化IGF-1種のパーセンテージは、約25℃の温度で保管すると、3か月月後、10%超に増加しない。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書では、薬学的に許容される担体を更に含む医薬組成物が提供される。
【0052】
いくつかの実施形態では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、治療を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)及び組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0053】
いくつかの態様では、脳室内出血を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)及びポリソルベート界面活性剤を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。(例えば、ポリソルベート20)。
【0054】
いくつかの態様では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び約0.0025%v/v~0.0075%v/vの濃度でポリソルベート界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む医薬組成物を投与することを含み、rIGF-1及びrIGFBP-3は、0.75~1.25:1又は1:0.75-1.25の範囲、例えば、等モル量で複合体化され、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である、方法が本明細書に提供される。
【0055】
いくつかの態様では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を投与することを含み、必要とする対象は、26週未満の在胎期間である、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、IVHを治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を投与することを含み、必要とする対象は、約23週~25週+6日の在胎期間である、方法が本明細書に提供される。いくつかの態様では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を、対照に対して脳室内出血の発生率の低減を達成するのに十分な治療量で投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される約36~40週の月経後齢(PMA)に達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される約35~42週の月経後齢に達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される35週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される36週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される37週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される38週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される39週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される40週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される41週の月経後齢までに達成される。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波又はMRIによって評価される42週の月経後齢までに達成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、発生率の低減は、超音波によって評価される。
【0058】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、グレードII、グレードIII、又はグレードIVのIVHの発生率の少なくとも約30%の低減である。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、グレードIIのIVHの発生率の少なくとも約30%の低減である。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、グレードIIIのIVHの発生率の少なくとも約30%の低減である。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、グレードIVのIVHの発生率の少なくとも約30%の低減である。
【0059】
いくつかの実施形態では、気管支肺異形成症を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に組成物を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、早産児の慢性肺疾患を治療又は予防する方法であって、治療を必要とする対象に組成物を投与することを含む、方法が本明細書に提供される。
【0060】
一態様では、早産児の慢性肺疾患を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)及び界面活性剤を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0061】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)から選択される。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、P20である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、P80である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.001%~2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.2%~0.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.10%、0.15%、0.2%、0.5%、0.7%、1.0%、1.2%、1.5%、1.8%、2.0%、2.2%又は2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、約0.0025%、約0.005%、又は約0.0075%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、0.005%の濃度である。
【0063】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、乳児である。
【0064】
いくつかの実施形態では、乳児は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月又は3か月早く産まれた。いくつかの実施形態では、乳児は、約23~34週の月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、乳児は、約23週、約24週、約25週、約26週、約27週、約28週、約29週、約30週、約31週、約32週、約33週又は約34週のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、約23週のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、36週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、35週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、34週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、33週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、32週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、31週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、30週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、29週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、28週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、27週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、26週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、25週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、24週未満のPMAである。いくつかの実施形態では、乳児は、23週未満のPMAである。
【0065】
いくつかの実施形態では、乳児は、32週未満の在胎期間(GA)で生まれる。いくつかの実施形態では、乳児は、31週未満のGAで生まれる。いくつかの実施形態では、乳児は、30週未満のGAで生まれる。いくつかの実施形態では、乳児は、29週未満のGAで生まれる。いくつかの実施形態では、乳児は、28週未満のGAで生まれる。いくつかの実施形態では、乳児は、28~32週のGAに生まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、皮下、静脈内、筋肉内、又は経口である組成物が投与される。いくつかの実施形態では、方法は、皮下又は静脈内に投与される組成物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内投与される。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、約100~1000マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約100~800マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約100~500マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、100マイクログラム/kg/24時間~450マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、100マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、150マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、200マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約250~1000マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約800マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約250~800マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、250マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約250マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、約400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、24時間の期間中に1回、2回、3回、又は4回投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、24時間の期間に1回投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、24時間の期間の連続注入によって投与される。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、出生時から約23~34週の月経後齢(PMA)まで投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、出生時から約23~32週のPMAまで投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、出生時から約29週プラス6日のPMAまで投与される。「PMA」又は「月経後齢」は、在胎期間プラス暦上の齢を指す。いくつかの実施形態では、早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防することは、気管支肺異形成症(BPD)、右心室肥大(RVH)、肺高血圧(PH)、壊死性腸炎、又は脳室内出血の発生率の低減をもたらす。本明細書に提供される方法は、IGF-I又はアゴニスト又は類似体の投与が、12か月補正齢(CA)までの早産児の慢性肺疾患(CLD)の発生率の低減をもたらす実施形態を含む。乳児の補正齢は、彼又は彼女の分娩予定日に基づいた、乳児の調整された齢である。妊娠期間を40週(すなわち、出産予定日)とすると、早産児は、乳児が母親の体外に存在していた過剰な時間(すなわち、乳児が早産で生まれた週数)が乳児の実齢から差し引かれた補正齢(CA)を得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週~12か月までの早産児の慢性肺疾患の発生率の低減をもたらす。例えば、医薬組成物の投与は、少なくともPMA23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、41週、42週、43週、44週、45週、46週、47週、48週、49週、50週、51週又は52週までのCLDの発生率の低減をもたらす。いくつかの他の実施形態では、医薬組成物の投与は、少なくともPMA6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、又は12か月までのCLDの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週~12か月までの気管支肺異形成症(BPD)の発生率の低減をもたらす。例えば、医薬組成物の投与は、少なくともPMA23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、41週、42週、43週、44週、45週、46週、47週、48週、49週、50週、51週又は52週までのBPDの発生率の低減をもたらす。いくつかの他の実施形態では、医薬組成物の投与は、少なくともPMA6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、又は12か月までのBPDの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、少なくとも月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月又は24か月までの重度の脳室内出血(IVH)グレードII、III又はIVの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、8か月、10か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの右心室肥大(RVH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、8か月、10か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの肺高血圧(PH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、8か月、10か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの壊死性腸炎の発生率の低減をもたらす。
【0070】
いくつかの実施形態では、対象は、IGF-1血清レベルが低減している。いくつかの実施形態では、対象は、60マイクログラム/L未満のIGF-1レベルを有する。いくつかの実施形態では、対象は、50マイクログラム/L未満のIGF-1レベルを有する。いくつかの実施形態では、対象は、40マイクログラム/L未満のIGF-1レベルを有する。いくつかの実施形態では、対象は、30マイクログラム/L未満のIGF-1レベルを有する。いくつかの実施形態では、対象は、約30~50マイクログラム/LのIGF-1レベルを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、ベースライン値と比較して、IGF-1血清レベルの上昇をもたらす。本開示のいくつかの実施形態では、未治療乳児におけるIGF-1血清レベルのベースライン値は、60マイクログラム/L未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルのベースライン値は、50マイクログラム/L未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルのベースライン値は、40マイクログラム/L未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルのベースライン値は、30マイクログラム/L未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルのベースライン値は、約30~50マイクログラム/Lである。
【0072】
いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約25%~50%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約10%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約15%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約20%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約25%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約30%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約35%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約40%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約45%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約50%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約55%上昇する。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、ベースライン値と比較して少なくとも約60%上昇する。
【0073】
いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、投与後少なくとも24時間上昇したままである。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、約48時間上昇したままである。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、約72時間上昇したままである。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、少なくとも約7日間上昇したままである。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、少なくとも約23週~34週の月経後齢(PMA)まで、上昇したままである。いくつかの実施形態では、IGF-1血清レベルは、少なくとも約23週~12か月の月経後齢(PMA)まで、上昇したままである。
【0074】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの早産児の慢性肺疾患、気管支肺異形成症、右心室肥大(RVH)、肺高血圧(PH)、壊死性腸炎、又は脳室内出血の発生率の低減をもたらす。本明細書で提供される方法は、医薬組成物の投与が、12か月補正齢(CA)までの早産児の慢性肺疾患(CLD)の発生率の低減をもたらす実施形態を含む。乳児の補正齢は、彼又は彼女の出産予定日に基づいた、乳児の調整された齢である。妊娠期間を40週(すなわち、出産予定日)とすると、早産児は、母親の体外に存在していた過剰な時間がその実年齢から差し引かれた補正齢を得る。いくつかの実施形態では、月経後齢(PMA)23週~24か月までの気管支肺異形成症(BPD)の発生率の低減における医薬組成物の投与。例えば、医薬組成物の投与は、PMA23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、又は40週、45週、50週、又は52週までのBPDの発生率の低減をもたらす。いくつかの他の実施形態では、医薬組成物の投与は、PMA6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月又は24か月までのBPDの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月又は24か月までの脳室内出血(IVH)グレードI、II、III又はIVの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月又は12か月までの右心室肥大(RVH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの肺高血圧(PH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、40週、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、18か月、19か月、20か月、21か月、22か月、23か月、又は24か月までの壊死性腸炎の発生率の低減をもたらす。
【0075】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、又は40週までのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価される機能的状態の増加をもたらす。
【0076】
いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、約28~109マイクログラム/mL(μg/ml)のIGF-1血清標的レベルの上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与は、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/ml、約100μg/ml又は約110μg/mlのIGF-1血清標的レベルの上昇をもたらす。
【0077】
いくつかの実施形態では、発生率の低減は、未治療の対照に対して、少なくとも約20%~50%である。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、未治療の対照に対して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%である。
【0078】
いくつかの実施形態では、発生率の低減は、標準治療を受けている対照に対して、少なくとも約20~50%である。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、標準治療を受けている対照に対して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%である。
【0079】
いくつかの実施形態では、機能的状態の増加は、未治療の対照に対して、少なくとも約20%~50%である。いくつかの実施形態では、機能的状態の増加は、標準治療を受けている対照に対して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%である。
【0080】
いくつかの実施形態では、機能的状態の増加は、標準治療を受けている対照に対して、少なくとも約20~50%である。いくつかの実施形態では、機能的状態の増加は、標準治療を受けている対照に対して、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、又は約70%である。
【0081】
いくつかの実施形態では、早産児の慢性肺疾患を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)及びポリソルベート20界面活性剤を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書で提供される。
【0082】
本明細書に開示される方法は、組成物の投与が、月経後齢(PMA)23週、24週、25週、26週、27週、28週、29週、30週、31週、32週、33週、34週、35週、36週、37週、38週、39週、又は40週までのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価される機能的状態の増加をもたらす、実施形態を含む。
【0083】
いくつかの態様では、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含むタンパク質複合体を製造するための方法であって、方法は、複合体を製剤溶液と混合する間、使い捨てバッグなどのステンレス鋼以外の接触面の使用を含み、かかる方法によって製造されたタンパク質複合体において、増加は、IGF-1の酸化種が、25℃で6か月保管すると、20%未満である、方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、18%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、16%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、15%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、12%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、10%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、8%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、6%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、4%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、3%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、2%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、1%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、0.5%未満である。
【0084】
いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、12%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、10%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、8%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、6%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、5%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、4%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、3%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、2%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、40℃で3か月間保管すると、1%未満である。
【0085】
いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、医薬品濾過ステップ中に更に使用される。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの少なくとも30%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの少なくとも40%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの40%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの50%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの60%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの70%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの少なくとも75%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの80%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの85%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの90%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの95%をタンパク質複合体で充填することを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの75~95%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの75~90%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの75~85%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの75~80%をタンパク質複合体で充填することを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~80%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~75%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~70%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~65%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~60%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~55%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中、使い捨てバッグの25~50%をタンパク質複合体で充填することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約500L又は500L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約10L又は10L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約50L又は50L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約100L又は100L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約150L又は150L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約200L又は200L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約250L又は250L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約300L又は300L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約350L又は350L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約400L又は400L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約450L又は450L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約500L又は500L超である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約550L又は550L超である。
【0089】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の25%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の20%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の18%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の12%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の10%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の5%未満が、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。
【0090】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で3か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の10%未満が、40℃で3か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の5%未満が、40℃で3か月間保管すると、低分子量種として存在する。
【0091】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で1か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で8か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で10か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の15%未満が、40℃で12か月間保管すると、低分子量種として存在する。
【0092】
いくつかの実施形態では、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含む単離されたタンパク質複合体を含む医薬組成物は、上記の態様又は実施形態に記載の方法によって製造される。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート界面活性剤を含む。
【0093】
いくつかの態様では、使い捨てバッグの使用を含む方法によって製造された、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含む単離されたタンパク質複合体を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、pH5.5で、50mMの酢酸ナトリウム、105mMの塩化ナトリウム、及び0.005%(v/v)のP20を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10~100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約50mMの濃度である。
【0096】
いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM及び200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180mM、約185mM、約190mM、約195mM、又は約200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約105mMの濃度である。
【0097】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5.0~7.0のpHである。いくつかの実施形態では、pHは、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、又は約7.0である。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.1、約5.3、約5.5、約5.7、又は約5.9、約6.1、約6.3、約6.5、約6.7、又は約6.9のpHである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.3~5.8のpHである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.5のpHである。
【0098】
等モル量の組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)及び組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.005%の濃度のポリソルベート20界面活性剤と、酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤と、を含む医薬組成物であって、医薬組成物が、約5.3~5.8のpHを有し、rIGF-1/IGFBP-3が、約50マイクログラム/mLの濃度であり、IGF-1の2%未満が、酸化種として存在する、医薬組成物が本明細書で提供される。
【0099】
0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲、例えば、等モル量で組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)及び組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.005%の濃度のポリソルベート20界面活性剤と、酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤と、を含む医薬組成物であって、組成物が、約5.3~5.8のpHを有し、rIGF-1/IGFBP-3が、約50マイクログラム/mLの濃度であり、IGF-1の1.5%未満が、酸化種として存在する、医薬組成物が本明細書で提供される。本発明を、その好ましい特定の実施形態と併せて説明してきたが、上記の説明及び以下の例は、本発明の範囲を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点及び修正は、本発明が関連する当業者には明白であろう。
【0100】
図面は例示のみを目的としており、限定のためではない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】IGF-1/IGFBP-3注入試験において使用されたスウェーデンモデル注入セットの構成要素の写真である。
【
図2】緩衝剤補正前後の0.005%ポリソルベート20の有無でのIGF-1/IGFBP-3医薬品のタンパク質濃度のグラフである。
【
図3A】ポリソルベート20の非存在下でSE-HPLCによって測定された試料の純度を示すグラフである。
【
図3B】ポリソルベート20の存在下での試料のSE-HPLCプロファイルを示す。2つの注入セットの平均について、ピーク面積パーセントが示される。
【
図4】RP-UPLCによって測定された、48時間にわたるP20の存在下及び非存在下におけるIGF-1/IGFBP-3製剤中のIGF-1の酸化のグラフである。
【
図5】時間、使用される医薬品及び材料の濃度の関数としての酸化IGF-1のパーセンテージを示すグラフである。
【
図6】使い捨てバッグ及びガラス容器の時間及びヘッドスペースの関数としての酸化IGF-1パーセントのグラフである。
【
図7A】2℃~8℃(例えば、5℃)での時間の関数としてのIGF-1/IGFBP-3の安定性(メインピークパーセント)を示すグラフである。
【
図7B】23℃~27℃(25℃)での時間の関数としてのIGF-1/IGFBP-3の安定性(メインピークパーセント)を示すグラフである。
【
図7C】38℃~42℃での時間の関数としてのIGF-1/IGFBP-3の安定性(メインピークパーセント)を示すグラフである。
【
図8A】5℃での時間の関数としてプロットされた酸化IGF-1パーセントのグラフである。
【
図8B】25℃での時間の関数としてプロットされた酸化IGF-1パーセントのグラフである。
【
図8C】40℃での時間の関数としてプロットされた酸化IGF-1パーセントのグラフである。
【
図9】標準治療を受けた対象と比較して、250マイクログラム/kg/24時間又は400マイクログラム/kg/24時間のIGF-1/IGFBP-3のいずれかで処置された試料について、経時的なIGF-1濃度のグラフを示す。
【
図10】未処置の対照、標準治療を受けた対象、及び低用量又は250マイクログラム/kg/24時間のrIGF-1/IGFBP-3での処置を受けた対象におけるシミュレーションされた及び観察されたIGF-1濃度に基づいたシミュレーションモデルを検証するグラフを示す。
【
図11】標準治療を受けた対象と比較して、250マイクログラム/kg/24時間又は400マイクログラム/kg/24時間のIGF-1/IGFBP-3のいずれかでの処置の結果として、血清IGF-1曝露レベルに基づいて、気管支肺異形成症(BPD)を発症しない又は軽度BPDを発症している対象の確率を決定した、臨床試験シミュレーションの結果を示すグラフである。
【
図12】7日目及び注入の終了時に標準治療を受けた対象と比較して、250マイクログラム/kg/24時間又は400マイクログラム/kg/24時間のIGF-1/IGFBP-3のいずれかで処置された対象において、平均及び第5及び第95の間隔が標的治療範囲(28~109ng/ml)に関してどこに収まるかを予測するために、処置期間にわたるIGF-1PK濃度のシミュレーションされた95%予測間隔のモデルである。
【
図13A】7日目の血清IGF-1曝露及びBPD転帰(軽度又はBPDなし)の確率のグラフである。
【
図13B】40週PMAでの血清IGF-1曝露及びBPD転帰(軽度又はBPDなし)の確率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0102】
本発明は、いくつかの態様では、新生児及び/又は早産児への投与のために最適化された組成物、並びに、とりわけ、脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、及び早産児の慢性肺疾患を含む、疾患及び早産の合併症を治療するための方法を提供する。本明細書で提供される組成物及び方法は、脳室内出血、気管支肺異形成症及び/又は早産児、特に極度の早産児における慢性肺疾患の治療に特に有効である。本発明のいくつかの実施形態では、新生児及び/又は早産児への、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、複合体化されたインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)、及び非イオン性界面活性剤(例えば、約0.0025%v/v~0.0075%v/v(例えば、0.005%v/v)の濃度のポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20などのポリソルベート界面活性剤)を含む、治療用複合体の投与に好適な低濃度医薬組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)である。いくつかの実施形態では、rIGF-1及びrIGFBP-3は、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲、例えば、等モル量で複合体化され、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mL(例えば、50マイクログラム/mL)の濃度である。いくつかの態様では、本発明の方法は、治療を必要とする対象(例えば、早産児)に前述の医薬組成物を投与することを含む。更なる独立した態様では、本明細書では、組成物の製剤を製造するためのプロセスが提供され、例えば、酸化を低減した製剤を達成するための堅牢なプロセスを提供するために、特に、製剤のステンレス鋼との接触を最小限に抑える、使い捨てバッグを用いる。
【0103】
本発明の様々な態様は、以下のセクションで詳細に説明される。セクションの使用は、本発明を限定することを意図するものではない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「又は」の使用は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。
【0104】
定義
「早産(preterm)」若しくは「早産(preterm birth)」若しくは「早産児(prematurity)」若しくは「早産児(premature infant)」若しくは「早産児(premature baby)」又は文法的同等物は、妊娠37週前、又は乳児の在胎期間の平均よりも10%少ない体重の乳児の出生を指す。例えば、22~37週に生まれた乳児は、早産と見なされる。「GA」又は「在胎期間」は、女性の最後の月経周期の最初の日から現在の日付までの週で測定された、妊娠がどれだけ進行したかを表す一般的な用語である。いくつかの実施形態では、早産児とは、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、又は3か月早く産まれた乳児を指す。いくつかの実施形態では、早産児は、32週未満の在胎期間(GA)で生まれた乳児を指す。いくつかの実施形態では、早産児は、28週未満の在胎期間(GA)で生まれた乳児を指す。「PMA」又は「月経後齢」は、在胎期間プラス暦上の齢を指す。「CA」又は「補正齢」は、妊娠40週前に生まれた週数で低減した暦上の齢である。
【0105】
本明細書で使用される場合、「在胎期間」(完了週)という用語は、最後の月経期間の最初の日と分娩日との間の経過した時間を意味する。生殖補助技術を使用して妊娠が達成された場合、在胎期間は概念上の期間に2週間を追加することによって計算される。
【0106】
本明細書で使用される場合、「暦上の齢」(日、週、月、又は年)という用語は、出生から経過した時間を意味する。
【0107】
本明細書で使用される場合、「月経後齢」(週)は、妊娠年齢プラス暦上の齢を意味する。
【0108】
本明細書で使用される場合、「補正齢」(週又は月)という用語は、妊娠40週前に生まれた週数によって低減した暦上の齢を意味する。この用語は、早産で生まれた3歳までの子供にのみ使用されるべきである。
【0109】
周産期の新生児入院中は、早産児の年齢を記述するために「月経後齢」が好ましい。周産期の後は、「補正齢」が好ましい用語である。
【0110】
「IGF-I」は、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びヒト、好ましくはヒトを含む任意の種由来のインスリン様成長因子Iを指し、外因性投与を指す場合、適切な部位でのIGF結合タンパク質に結合することを条件として、天然、合成、又は組換えを問わず任意の供給源由来である。IGF-Iは、例えば、PCT公開第95/04076号に記載されるように、組換えで産生され得る。
【0111】
「IGFBP」又は「IGF結合タンパク質」は、インスリン様成長因子結合タンパク質ファミリー由来のタンパク質又はポリペプチドを指し、それが循環性であるかどうかにかかわらず(すなわち、血清又は組織中)、通常、IGF-Iに関連付けられるか、結合されるか、又は複合体化される。かかる結合タンパク質は、受容体を含まない。この定義には、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、IGFBP-6、Mac25(IGFBP-7)、及び前立腺刺激因子(PSF)又は内皮細胞特異的分子(ESM-1)、並びにIGFBPに対して高い相同性を有する他のタンパク質が含まれる。Mac25は、例えば、Swisshelm et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:4472-4476(1995)及びOh et al.,J.Biol.Chem.,271:30322-30325(1996)に記載されている。PSFは、Yamauchi et al.,Biochemical Journal,303:591-598(1994)に記載されている。ESM-1は、Lassalle et al.,J.Biol.Chem.,271:20458-20464(1996)に記載されている。他の同定されたIGFBPについては、例えば、1990年6月27日に公開されたEP375,438、1990年5月23日に公開されたEP369,943、1989年10月5日に公開されたWO89/09268、Wood et al.,Molecular Endocrinology,2:1176-1185(1988)、Brinkman et al.,The EMBO J.,7:2417-2423(1988)、Lee et al.,Mol.Endocrinol.,2:404-411(1988)、Brewer et al.,BBRC,152:1289-1297(1988)、1988年12月7日に公開されたEP294,021、Baxter et al.,BBRC,147:408-415(1987)、Leung et al.,Nature,330:537-543(1987)、Martin et al.,J.Biol.Chem.,261:8754-8760(1986)、Baxter et al.,Comp.Biochem.Physiol.,91B:229-235(1988)、1989年9月21日に公開されたWO89/08667、1989年10月19日に公開されたWO89/09792、及びBinkert et al.,EMBO J.,8:2497-2502(1989)を参照されたい。
【0112】
「IGFBP-3」は、インスリン様成長因子結合タンパク質3を指す。IGFBP-3は、インスリン様成長因子結合タンパク質ファミリーのメンバーである。IGFBP-3は、天然配列又は天然に存在する対立遺伝子バリアントを含むがこれに限定されないバリアント形態で、ウシ、ヒツジ、ブタ、及びヒトを含む任意の種由来であり得る。IGFBP-3は、適切な部位でIGF-Iに結合することを条件に、天然、合成、又は組換えを問わず任意の供給源由来であり得る。IGFBP-3は、PCT公開第95/04076号に記載されるように、組換えで産生され得る。
【0113】
本明細書で使用される「治療用組成物」は、IGF-I、その類似体、又はその結合タンパク質であるIGFBP-3と組み合わせたIGF-I(IGF-I/IGFBP-3複合体)を含むと定義される。治療用組成物はまた、水、ミネラル、タンパク質などの担体、及び当業者に既知の他の賦形剤などの他の物質を含有し得る。いくつかの実施形態では、治療用組成物は、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)などの界面活性剤を含む。
【0114】
IGF-Iの「類似体」は、ヒト又は動物におけるIGF-Iと同じ治療効果を有する化合物である。これらは、IGF-Iの天然に存在する類似体(例えば、切断されたIGF-I)又はIGF-Iの既知の合成類似体のうちのいずれかであり得る。例えば、IGF-Iの類似体化合物については、米国特許第5,473,054号を参照されたい。
【0115】
IGF-Iの「アゴニスト」は、哺乳動物及び特にヒトにおけるIGF、特にIGF-Iの血清及び組織レベルを増加させることができるペプチドを含む化合物である。IGFアゴニスト分子については、例えば、米国特許第6,251,865号を参照されたい。
【0116】
本明細書で使用される「発達遅延」は、発達マイルストーンを達成する上で精神的進行の遅延につながる可能性を有する異常な神経新生を意味するものとする。発達遅延は、いくつかの場合では、脳波によって決定され得る。
【0117】
本明細書で使用される「対象」は、ヒトを含む任意の哺乳類を意味する。本発明のある特定の実施形態では、対象は、成人、青年期、又は乳児である。また、本発明によって企図されるのは、子宮内での医薬組成物の投与及び/又は治療方法の性能である。
【0118】
本明細書で使用される場合、「治療」(また「治療する」又は「治療すること」)という用語は、部分的又は完全に、特定の疾患、障害、及び/又は状態(例えば、脳室内出血、気管支肺異形成症、早産児の慢性肺疾患)の1つ以上の症状又は特徴の緩和、改善、軽減、阻害、その発症の遅延、予防、その重症度の低減及び/又はその発生率の低減を行う、治療用組成物(例えば、IGF-1/IGFBP-3)の任意の投与を指す。かかる治療は、関連する疾患、障害、及び/若しくは状態の兆候を示さない対象、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の初期の兆候のみを示す対象のものであり得る。代替的に、又は加えて、かかる治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、治療は、疾患の発症又は進行を予防することを意味する。
【0119】
「IGF-1のベースラインレベル」は、任意の治療を受ける前の対象におけるIGF-1の血清レベルを指す。
【0120】
「保管寿命」又は「貯蔵寿命」は、治療用に好適な特徴及び特性を保持している場合の医薬品の保管期間を指す。例えば、いくつかの実施形態では、製剤の保管寿命中、酸化種、高分子量種、分解産物を含む望ましくない種の量が減少している(例えば、10%未満)。保管寿命は、例えば、特定の保管温度(例えば、5℃、25℃、40℃など)で記載される。
【0121】
「安定性」又は「安定した」とは、医薬品が保管及び使用期間中に製造時に保有していた治療用使用に好適な特徴及び特性を保持する程度を指す。安定性には、その製剤、IGF-1及びIGFBP3成分の安定性、IGF-1/IGFBP3複合体の完全性及び安定性、容器及び閉じるもの、製造及び処理条件、包装構成要素、保管及び出荷条件、温度、光、及び湿度、並びに薬局の貯蔵寿命及び患者使用の予想される期間及び条件に関する側面が含まれる。いくつかの実施形態では、安定性は、分解産物によって表される凝集及び/又は低分子量種の低減をもたらす酸化種、低減された高分子量種を含む望ましくない種の量の低減を指す。いくつかの実施形態では、安定性は、10%未満の望ましくない種を指す。いくつかの実施形態では、安定性は、5%未満の望ましくない種を指す。いくつかの実施形態では、安定性は、2%未満の望ましくない種を指す。
【0122】
「標準的な新生児治療」又は「標準治療」は、32週齢未満の在胎期間で生まれた乳児のためにAmerican Academy of Pediatricsによって記述されたレベルIIIの新生児集中治療室(NICU)での標準治療を指す。
【0123】
「CLD及び/又はBPDのための標準治療」とは、酸素補給、連続的な気道陽圧、及び気管内挿管での機械的換気などの呼吸支援を含む治療処置を指す。症状は気道を開くのを助ける気管支拡張剤、炎症を低減するのを助けるステロイド、肺の過剰な液体を低減するのを助ける利尿剤、肺の血圧を減少するのを助ける気管支拡張剤、感染症と戦うための抗生物質などの薬で管理される。
【0124】
「IVHの標準治療」とは、出生前ステロイド並びに脳血行動態及び呼吸支援の早期管理及び安定化を含む予防及び/又は治療処置を指す。IVH治療は、出血及び脳への損傷を軽減し、発作を予防するための薬での症状の支援的管理を指す。
【0125】
本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、又は「低減する」という用語、又は文法的同等物は、本明細書に記載の治療の開始前の同じ個体における測定値、又は本明細書に記載の治療若しくは履歴参照若しくはデータがない場合の対照個体(又は複数の対照個体)における測定値などのベースライン測定値に相対的である値を示す。「対照個体」は、治療されている個体と同じ形態の早産児の疾患(例えば、とりわけ、IVH、BPD、CLD)に罹患している個体であり、治療されている個体とほぼ同じ年齢である(治療された個体及び対照個体における疾患の段階が比較可能であることを確実にするため)。
【0126】
IGF-1/IGFBP-3
IGF-1又はそのアゴニスト若しくは類似体を使用して、本発明を実施し得る。IGF-Iは、出生後の成長及び代謝の周知の調節因子である。Baker J,Liu J P,Robertson E J,Efstratiadis Aを参照されたい。それは、約7.5キロダルトン(Kd)の分子量を有する。ほとんどの循環IGFは、IGF結合タンパク質、より特にIGFBP-3に結合している。IGF-Iは、異常な成長関連状態を診断するために血清中で測定され得る。
【0127】
典型的には、例えばIVH、BPD又はCLDを含む、本明細書に記載の疾患の治療に好適な治療用組成物は、IGF-1と、IGF結合タンパク質(IGFBP)などのIGF-1結合タンパク質と、を含む。少なくとも6つの異なるIGF結合タンパク質(IGFBP)が、様々な組織及び体液中で同定されている。いくつかの実施形態では、本発明による好適な治療用組成物は、IGF-1及びIGFBP-3を含有する。IGF-1及びIGFBP-3は、タンパク質複合体として、又は別々に使用され得る。いくつかの実施形態では、IGF-1及びIGFBP-3は、等モル量で複合体化されている。いくつかの実施形態では、治療用組成物は、メカセルミンリンファベートを含む。いくつかの実施形態では、治療用組成物は、メカセルミンリンファベート及び界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、治療用組成物は、メカセルミンリンファベート及びポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、治療用組成物は、メカセルミンリンファベート及びポリソルベート80を含む。
【0128】
IGF-I及びIGFBP-3などのIGF-I結合タンパク質は、天然供給源から精製されてもよく、又は組換え手段によって産生されてもよい。例えば、ヒト血清からのIGF-Iの精製は、当該技術分野で周知である(Rinderknecht et al.(1976)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:2365-2369)。組換えプロセスによるIGF-Iの産生は、1984年12月に公開されたEP0128733に示されている。IGFBP-3は、Baxterら(1986,Biochem.Biophys.Res.Comm.139:1256-1261)によって示されるものなどのプロセスを使用して天然供給源から生成され得る。代替的には、IGFBP-3は、Sommer et al.,pp.715-728,Modern Concepts Of Insulin-Like Growth Factors(E.M.Spencer,ed.,Elsevier,N.Y.,1991)によって議論される組換えで合成され得る。組換えIGFBP-3は、1:1モル比(等モル量)でIGF-Iに結合する。
【0129】
医薬組成物及び治療用使用
本発明は、複合体化されたインスリン様成長因子1及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(例えば、等モル量など、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲で)、並びに0.0025%~0.0075%の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20などのポリソルベート界面活性剤)を含む、治療用タンパク質複合体を新生児に投与するのに好適な医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、等張である。一実施形態では、医薬組成物は、液体である。一実施形態では、医薬組成物は、水性である。
【0130】
本発明はまた、早産児の疾患及び合併症、例えば、脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)又は例えば、早産児に関連するCLDなどの慢性肺疾患(CLD)の治療(例えば、緩和又はそのリスクの低減)のための方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明は、早産児を治療するために、例えば、IVH又はIVHに関連する合併症のリスクを改善又は低減するために使用され得る。いくつかの他の実施形態では、本発明は、早産児を治療するために、例えば、CLD又はCLDに関連する合併症のリスクを改善又は低減するために使用され得る。更なる実施形態では、本発明は、早産児を治療するために、例えば、BPD又はBPDに関連する合併症のリスクを改善又は低減するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、又は3か月早く産まれた乳児を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、極度の早産児を治療するために使用され得る。
【0131】
本発明の一実施形態では、IGF-Iを含む医薬組成物は、IGF-Iに結合可能なIGF結合タンパク質及び界面活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、IGF-Iに結合可能なIGF結合タンパク質は、IGF結合タンパク質3(IGFBP-3)である。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリソルベート20又はポリソルベート80から選択される界面活性剤を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む治療用複合体の濃度は、45~55マイクログラム/mL、特に50マイクログラム/mLなどの10~1000マイクログラム/mLの範囲(例えば、10~100マイクログラム/mL、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100マイクログラム/mL)にある。
【0133】
いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約10マイクログラム/mL~100マイクログラム/mLの濃度である。例えば、いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約45~55マイクログラム/mLの薬学的濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約50マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、約10~100マイクログラム/mLの薬学的濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、静脈内投与に好適である。いくつかの実施形態では、約45~55マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、静脈内投与に好適である。いくつかの実施形態では、約50マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、静脈内投与に好適である。
【0134】
いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約1000マイクログラム/mL~5000マイクログラム/mLの濃度である。例えば、いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、2000マイクログラム/mL~3000マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、rIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、約2500マイクログラム/mLの濃度である。いくつかの実施形態では、約1000~5000マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、皮下投与に好適である。いくつかの実施形態では、約2000マイクログラム/mL~3000マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、皮下投与に好適である。いくつかの実施形態では、約2500マイクログラム/mLの濃度でrIGF-1/IGFBP-3を含む医薬組成物は、皮下投与に好適である。
【0135】
いくつかの実施形態では、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲のIGF-1及びIGFBP-3、例えば、等モル量のIGF-I及びIGF結合タンパク質3を含む医薬組成物を使用し得る。いくつかの実施形態では、IGF-I及びIGF結合タンパク質3は、投与前に複合体化される。複合体は、例えば、通常の生理食塩水、又はリン酸緩衝生理食塩水溶液などの生理学的に適合性のある担体中に溶解したおよそ等モル量のIGF-I及びIGF結合タンパク質3を混合することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、組換えヒトIGF-Iの濃縮溶液及び組換えヒトIGF結合タンパク質3の濃縮溶液を、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲の複合体を、例えば、等モル複合体で形成するのに十分な時間、混合する。いくつかの実施形態では、組換えヒトIGF-I及び組換えヒトIGF結合タンパク質3は、国際特許出願第96/40736号に記載されるように、精製中に組み合わせて複合体を形成する。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び1つ以上の好適な薬学的賦形剤を含む医薬組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、最小の数及び/又は量の賦形剤、例えば、1、2、3、4、又は5個の賦形剤を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20界面活性剤は、約0.001%~2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20界面活性剤は、約0.2%~0.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20界面活性剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.10%、0.15%、0.2%、0.5%、0.7%、1.0%、1.2%、1.5%、1.8%、2.0%、2.2%又は2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20界面活性剤は、約0.0025%、約0.005%、又は約0.0075%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート20は、0.005%の濃度である。
【0138】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ポリソルベート80を含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80界面活性剤は、約0.001%~2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80界面活性剤は、約0.2%~0.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80界面活性剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.10%、0.15%、0.2%、0.5%、0.7%、1.0%、1.2%、1.5%、1.8%、2.0%、2.2%又は2.4%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80界面活性剤は、約0.0025%、約0.005%、又は約0.0075%v/vの濃度である。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80は、0.005%の濃度である。
【0139】
いくつかの実施形態では、界面活性剤%は、w/wである。
【0140】
一実施形態では、界面活性剤%は、w/v、すなわち、界面活性剤の体積に対する組成物の重量、又は組成物の体積に対する界面活性剤の重量である。
【0141】
一実施形態では、界面活性剤%は、v/vである。
【0142】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、酢酸ナトリウム又は酢酸を含む緩衝剤を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10~100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、又は100mMの濃度である。いくつかの実施形態では、酢酸ナトリウム又は酢酸は、約50mMの濃度である。
【0144】
いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM及び200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約20mM、約25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、約90mM、約95mM、約100mM、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180mM、約185mM、約190mM、約195mM、又は約200mMの濃度である。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、約105mMの濃度である。
【0145】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5.0~6.0のpHである。いくつかの実施形態では、pHは、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、又は約7.0である。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.1、約5.3、約5.5、約5.7、約5.9、約6.1、約6.3、約6.5、約6.7、又は約6.9のpHである。いくつかの実施形態では、組成物は、約5.3~5.8、例えば、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8のpH、特にpH5.5である。
【0146】
本発明の医薬組成物は、経口、鼻、局所(口腔及び舌下を含む)、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与に好適なものを含む。製剤は、好都合には、単位剤形、例えば、錠剤及び持続放出カプセル、及びリポソームで提供され得、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.(17th ed.1985)を参照されたい。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内投与される。
【0147】
かかる調製方法は、投与される分子と1つ以上の補助成分を構成する担体などの成分と会合するステップを含む。概して、組成物は、活性成分を液体担体、リポソーム若しくは細かく分割された固体担体又はそれらの両方と均一で密接に会合させ、次いで、必要に応じて産物を形成することによって調製される。
【0148】
経口投与に好適な本発明の組成物は、各々所定量の活性成分を含有するカプセル、カシェ、若しくは錠剤などの別個の単位として、粉末若しくは顆粒として、水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として、又は水中油型液体エマルジョン若しくは油中水型液体エマルジョンとして、又はリポソーム及びボーラスなどに充填されて提供され得る。
【0149】
錠剤は、任意選択で、1つ以上の補助成分とともに、圧縮又は成形することによって作製され得る。圧縮錠剤は、好適な機械で、活性成分を、任意選択で、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤又は分散剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、好適な機械で不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択で、コーティング又は切れ目を入れてもよく、その中の活性成分の緩慢な又は制御された放出を提供するように製剤化されてもよい。
【0150】
非経口投与に好適な組成物としては、製剤が意図されるレシピエントの血液と等張になるように、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射液、並びに懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルで提供され得、使用直前に、滅菌液体担体、例えば、注射用水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態で保管され得る。即席注射液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、非イオン性界面活性剤、例えば、0.005%のポリソルベート20又はポリソルベート80の存在下で、IGF結合タンパク質3と複合体化されたIGF-Iを含む、治療用タンパク質複合体を新生児に(特に活性化形態で)投与するのに好適な低濃度等張医薬組成物を、かかる治療を必要とする乳児に非経口投与することを提供する。
【0152】
一実施形態では、医薬製剤は、治療用タンパク質複合体の損失なしに(治療用タンパク質複合体の活性の損失なしなど)非経口投与され得る。一実施形態では、活性は、実施例などの、本明細書に開示されるアッセイによって測定される。一実施形態では、製剤は、新生児に、活性形態で、治療用タンパク質複合体の用量の少なくとも80%、例えば、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%を送達する。
【0153】
非経口投与には、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、腹腔内(IP)、鼻腔内、及び吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、IGF-I/IGFBP-3医薬組成物は静脈内投与される。IV、IM、SC、及びIP投与は、ボーラス又は注入によってであり得、また、ポンプ、徐放製剤、及び機械的デバイスを含むがこれらに限定されない、徐放性植込み型デバイスによってであり得る。製剤、投与の経路及び方法、並びに投薬量は、治療される障害及び患者の病歴に依存するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、界面活性剤、例えば、0.005%v/vのポリソルベート20又はポリソルベート80の存在下で、IGF結合タンパク質3と複合体化されたIGF-Iを含む医薬組成物を、かかる治療を必要とする乳児に静脈内投与することを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、界面活性剤、例えば、0.005%v/vのポリソルベート20又はポリソルベート80の存在下で、IGF結合タンパク質3と複合体化されたIGF-Iを含む医薬組成物を、かかる治療を必要とする乳児に皮下投与することを提供する。
【0154】
本発明による医薬組成物は、様々な用量で投与され得る。例えば、好適な投薬量は、約100~1000マイクログラム/kg/24時間の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、適切な投薬量は、約100マイクログラム/kg/24時間、150マイクログラム/kg/24時間、200マイクログラム/kg/24時間、250マイクログラム/kg/24時間、300マイクログラム/kg/24時間、350マイクログラム/kg/24時間、400マイクログラム/kg/24時間、450マイクログラム/kg/24時間、500マイクログラム/kg/24時間、550マイクログラム/kg/24時間、600マイクログラム/kg/24時間、650マイクログラム/kg/24時間、700マイクログラム/kg/24時間、750マイクログラム/kg/24時間、800マイクログラム/kg/24時間、850マイクログラム/kg/24時間、900マイクログラム/kg/24時間、950マイクログラム/kg/24時間、又は1000マイクログラム/kg/24時間であり得る。いくつかの実施形態では、好適な用量は、約250マイクログラム/kg/24時間である。いくつかの実施形態では、好適な用量は、約400マイクログラム/kg/24時間である。いくつかの実施形態では、好適な用量は、約750マイクログラム/kg/24時間である。いくつかの実施形態では、好適な用量は、約1000マイクログラム/kg/24時間である。いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、出生時から約23~34週の月経後齢(PMA)まで、約28~32週のPMAまで、約29週プラス6日間のPMAまで投与される。
【0155】
本明細書で提供される方法は、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与が、12か月補正齢(CA)までの早産児の慢性肺疾患の発生率の低減をもたらす実施形態を含む。いくつかの実施形態では、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、26週、30週、34週、36週、40週、6か月、8か月、10か月、又は12か月までの気管支肺異形成症(BPD)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、26週、30週、34週、36週、40週、6か月、8か月、10か月、又は12か月までの重度の脳室内出血(IVH)グレードIII又はIVの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、26週、30週、34週、36週、40週、6か月、8か月、10か月、又は12か月までの右心室肥大(RVH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、26週、30週、34週、36週、40週、6か月、8か月、10か月、又は12か月までの肺高血圧(PH)の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与は、月経後齢(PMA)23週、26週、30週、34週、36週、40週、6か月、8か月、10か月、又は12か月までの壊死性腸炎の発生率の低減をもたらす。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、薬学的IGF-I/IGFBP-3組成物の投与が、月経後齢(PMA)36週、又は40週までのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価される機能的状態の増加をもたらす実施形態を含む。
【0157】
非経口又は経口投与の場合、複合体の組成物は、半固体又は液体、懸濁液などの液体調製物であり得る。生理学的に適合性のある担体は、用いる投薬量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、製剤の他の成分と適合するものである。例えば、製剤は、好ましくは、ポリペプチドに有害であることが知られている酸化剤及び他の化合物を含まない。したがって、生理学的に適合性のある担体には、通常の生理食塩水、血清アルブミン、5%デキストロース、血漿調製物、及び他のタンパク質含有溶液が含まれるが、これらに限定されない。任意選択で、担体はまた、洗剤又は界面活性剤を含み得る。
【0158】
本発明の更に別の態様では、早産の合併症を治療するための治療用組成物の製造におけるIGF-I/IGFBP-3医薬組成物の使用が提供される。
【0159】
好ましい一実施形態では、1mL当たり10~1000マイクログラム(例えば、10~100マイクログラム/mL、すなわち、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100マイクログラム/mL、45~55マイクログラム/mLなど、特に50マイクログラム/mL)の複合体化されたインスリン様成長因子1(IGF-1)、及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)(例えば、等モル量など、0.75~1.25:1又は1:0.75~1.25の範囲;及び0.0025%~0.0075%(例えば、0.005%)の範囲の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80、特にポリソルベート20などのポリソルベート界面活性剤);緩衝剤(例えば、50mMの酢酸ナトリウム)、塩(例えば、105mMの塩化ナトリウム)を含む、製剤のpHが、pH5.3~5.8の範囲(例えば、pH5.5)である、治療用タンパク質複合体を新生児に(特に活性形態で)投与するのに好適な低濃度の等張医薬組成物が提供される。
【0160】
慢性肺疾患
早産児の慢性肺疾患
極度の早産児は、早産児の慢性肺疾患を発症するリスクが非常に高い。早産児は、呼吸のために呼吸器(人工呼吸器)及び過剰な酸素が必要になる場合がある。呼吸器又は酸素が早産児の肺を傷つける場合、早産児の慢性肺疾患が生じる場合がある。肺損傷では、赤ちゃんの肺の内側の組織が炎症を起こす。組織は、破壊され、瘢痕を引き起こす可能性がある。瘢痕は、呼吸困難を引き起こす可能性があり、赤ちゃんはより多くの酸素を必要とする場合がある。肺損傷は、以下によって引き起こされる場合がある:
●早産児:早産児の肺は完全に形成されていない。これは特に気嚢に当てはまる。
●少量の界面活性剤:これは、小さな気嚢を開いたままにするのに役立つ肺内の物質である。
●酸素の使用:大量の酸素は、肺の細胞に害を及ぼす可能性がある。
●呼吸器(機械的換気):空気圧は肺に害を及ぼす可能性がある。この圧力は、呼吸器、気道の吸引、及び気管内(ET)チューブの使用から生じる場合がある。ETチューブは、赤ちゃんの気管(windpipe)(気管(trachea))に配置され、呼吸器に接続されたチューブである。
【0161】
極度の早産で生まれた乳児の肺転帰の長期的な軌跡は、一般的に、出生前の危険因子から始まり、続いて生後最初の数時間又は数日で呼吸支援を必要とする呼吸窮迫症候群(RDS)、多くの場合、同等の期間まで生存した者のBPDの診断につながり、最後に、乳児期、幼児期、及び多くの場合学童期又は思春期へと成長する早産児の慢性肺疾患であり、それは、呼吸器原因のためのより頻繁な再入院及びER訪問、呼吸器薬又は家庭呼吸支援の必要性をもたらし、そして多くが生活の質を制限し続けている一種の反応性気道疾患に苦しんでいる。
【0162】
早産児の慢性肺疾患は、気管支肺異形成症と診断された乳児を含む広義の用語であるが、極度の早産後に気管支肺異形成症の診断を受けたことがなく、持続的肺疾患が顕在化した乳児も含み得る。早産児の慢性肺疾患は、酸素支援の離脱までの長い時間によって診断される場合があるが、早産児の慢性肺疾患の臨床的エンドポイントは、実際には、継続的な酸素依存、咳及び喘鳴の症状、呼吸器疾患及び入院、連続的な気道圧力への依存、機械的換気及び呼吸器薬への依存、並びに肺高血圧(PH)の診断を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、早産児の慢性肺疾患(CLD)は、成人期まで持続する場合がある。いくつかの実施形態では、CLDは、COPD(肺気腫及び慢性気管支炎)、喘息、嚢胞性線維症、拘束性肺疾患、及び持続的感染症を含むがこれらに限定されない広範囲の疾患及び障害を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、CLDの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、CLDを治療するために使用される。
【0164】
いくつかの態様では、CLDを治療又はその発生低減するための方法であって、その治療及び低減を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び界面活性剤(例えば、ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20)を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0165】
いくつかの態様では、CLDを治療又はその発生低減する方法であって、その治療及び低減を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び約0.0025%~0.0075%(例えば、0.005%)の濃度のポリソルベート界面活性剤を含む組成物を投与することを含み、rIGF-1及びrIGFBP-3は、0.75~1.25:1又は1:0.75-1.25の範囲、例えば、等モル量で複合体化されており、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mL(例えば、50マイクログラム/mL)の濃度である、方法が本明細書に記載される。いくつかの態様では、CLDを治療又はその発生低減する方法であって、その治療及び低減を必要とする対象に、対照に対してCLDの発生の低減を達成するのに十分な治療量で、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0166】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、1日目~12か月補正齢(CA)の呼吸技術支援(RTS)から最終離脱までの時間によって評価される(時間枠:ベースライン~12か月補正齢(CA))。この文脈では、RTSは、以下のうちのいずれか1つとして定義される:(1)陽圧(鼻カニューレを含む)なしで毎分2リットル(L/分未満(<)の酸素補給、(2)陽圧支援(連続気道陽圧[CPAP]、鼻カニューレ酸素2L/分超(>)を含む)、(3)陽圧換気(高周波振動換気及び機械的換気、鼻間欠陽圧換気[NIPPV]などの陽圧1回呼吸を伴う技術)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、RTSを離脱するまでの時間によって評価されるCLDの発生率の低減をもたらす。
【0167】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、気管支肺異形成症(BPD)又は月経後齢(PMA)36週までの死の発生率によって評価される(時間枠:ベースライン~36週月経後齢(PMA))。BPDは、例えば、改変されたNational Institute of Child Health and Human Development(NICHD)の重症度グレード化によって評価され得、酸素チャレンジ試験によって標準化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、気管支肺異形成症(BPD)又は月経後齢(PMA)36週までの死亡の発生率によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0168】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、出生~12か月補正齢(CA)(時間枠:出生~12か月CA)の呼吸器技術支援(RTS)の総日数によって評価される。この文脈では、RTSは、以下のうちのいずれか1つとして定義され得る:(1)21パーセント(%)超(>)の吸入酸素の任意の画分(FiO2)、(2)鼻界面を介して送達される非侵襲的な呼吸器支援(例えば、連続気道陽圧[CPAP]、二段気道陽圧[BiPAP]、高流量療法、鼻間欠陽圧換気[NIPPV]、鼻カニューレ)、(3)気管内チューブ又は気管切開を介した侵襲的な呼吸器支援(機械的換気)。出生~12か月CAのRTSの総日数が報告されるであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、出生~12か月補正齢(CA)(時間枠:出生~12か月CA)の呼吸技術支援(RTS)の総日数によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0169】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、再入院の期間によって評価される(時間枠:新生児集中治療室(NICU)の退院~12か月CA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、再入院の期間によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0170】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、救急治療室の訪問回数によって評価される(時間枠:NICU退院~12か月CA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、救急治療室の訪問回数によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0171】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、呼吸器薬の使用の日数によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす(時間枠:NICU退院~12か月CA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、呼吸器薬の使用の日数によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。呼吸器薬の使用には、例えば、気管支拡張剤、ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、利尿剤を含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、12か月補正齢(CA)で終了する28日間の介護者投与日記によって評価される、呼吸器疾患の兆候及び/又は症状の発生率によって評価される(時間枠:11か月CA~12か月CA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、12か月補正齢(CA)で終了する28日間の介護者投与日記によって評価されるCLDの発生率の低減をもたらす。
【0173】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、12か月補正齢(CA)までの慢性呼吸器罹患(CRM1)の発生率によって評価される(時間枠:NICU退院~12か月CA)。対象は、両親/介護者によって報告され、12か月の期間にわたって少なくとも2つの3か月の四半期で肺罹患率評価によって捕捉された、以下の3つの臨床/治療事象のうち少なくとも1つを経験した/必要とした場合、CRM1を有すると定義される。1.呼吸器診断に関連する救急治療室の訪問又は入院、2.家庭RTS、3.肺罹患率評価について介護者によって報告された呼吸器薬(例えば、気管支拡張剤、ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、利尿剤)の毎日の使用。CRM1~12か月CAの発生率が報告されるであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、12か月補正齢(CA)までの慢性呼吸器罹患率(CRM1)によって評価されるCLDの発生率の低減をもたらす。
【0174】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、12か月補正齢(CA)までの呼吸器疾患(CRM2)の症状を含む慢性呼吸器罹患の発生率によって評価される(時間枠:NICU退院~12か月CA)。対象は、両親/介護者によって報告され、12か月の期間にわたって少なくとも2つの3か月の四半期で肺罹患率評価によって捕捉された、以下の4つの臨床/治療事象のうち少なくとも1つを経験した/必要とした場合、CRM2を有すると定義される。1.呼吸器診断に関連する救急治療室の訪問又は入院、2.家庭RTS、3.肺罹患率評価について介護者によって報告された呼吸器薬(例えば、気管支拡張剤、ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、利尿剤)の毎日の使用、4.風邪のない咳の存在、又は少なくとも週に1回の喘鳴によって定義される呼吸器疾患の症状。CRM2~12か月CAの発生率が報告されるであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、12か月補正齢(CA)までの呼吸器疾患(CRM2)の症状を含む慢性呼吸器疾患の罹患率によって評価される、CLDの罹患率の低減をもたらす。
【0175】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、乳児の慢性肺疾患(CLD)の重症度スコアによって決定される、12か月補正齢(CA)までの慢性呼吸器罹患(CRM3)の重症度によって評価される(時間枠:NICU退院~12か月CA)。これは、例えば、呼吸器入院、RTS使用、及び呼吸器薬の使用などの構成要素を含む、乳児のCLDの重症度スコアによって決定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、乳児の慢性肺疾患(CLD)の重症度スコアによって決定される、12か月補正齢(CA)までの慢性呼吸器疾患(CRM3)の重症度によって評価されるCLDの発生率の低減をもたらす。
【0176】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、頭蓋超音波によって評価される、月経後齢(PMA)40週までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される(時間枠:ベースライン~40週PMA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、頭蓋超音波によって評価される、月経後齢(PMA)40週までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0177】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、頭蓋超音波によって評価される、約36~40週の月経後齢(PMA)までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される(時間枠:ベースライン~36~40週PMA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、頭蓋超音波によって評価される、月経後齢(PMA)36~40週までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0178】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、頭蓋超音波によって評価される、月経後齢(PMA)36週までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される(時間枠:ベースライン~36週PMA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、頭蓋超音波によって評価される、月経後齢(PMA)36週までの脳室内出血(IVH)の発生率によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0179】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、アルバータ乳児運動スケール(AIMS)によって測定される、12か月補正齢(CA)での運動機能によって評価される(時間枠:12か月CA時)。AIMSは、運動遅延のリスクのある乳児の評価に使用される早期運動成熟度の尺度であり、運動マイルストーンの達成及び姿勢制御の開発に焦点を当てている。腹臥位(21項目)、仰臥位(9項目)、座位(12項目)、立位(16項目)の4つの姿勢の評価を含む58項目からなる。各項目は、「観察された」又は「観察されなかった」としてスコア化される。スコア者は、観察された最小で最も成熟した項目を特定する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、アルバータ乳児運動スケール(AIMS)によって測定される、12か月補正齢(CA)での運動機能によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0180】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、月経後齢(PMA)36週でのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価される機能的状態によって評価される(時間枠:36週PMA時)。PREMIIは、極度の早産児の全体的な機能的成熟を捕捉するために使用される臨床医報告転帰(ClinRO)評価である。機能状態は、乳児の全体的な健康及び発達を反映して、8つの主要な機能領域(摂食、体重増加、体温調節、呼吸支援、無呼吸、徐脈、脱飽和事象、及び酸素投与)に関して乳児ができることとして定義される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、月経後齢(PMA)36週におけるPREMature Infant Index (PREMII)によって評価される機能状態によって評価されるCLDの発生率の低減をもたらす。
【0181】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、死亡の発生率によって評価される(時間枠:生後~12か月CA)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、ベースライン対照と比較して、死亡の発生率によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0182】
いくつかの実施形態では、CLDの発生率の低減又はその治療は、インスリン様成長因子1(IGF-1)の曝露応答によって評価される(時間枠:12か月CAまで)。IGF-1は、例えば、呼吸器エンドポイントと神経学的エンドポイントとの間のIGF-1の関係(薬物動態/薬力学的[PK/PD])を使用して評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、インスリン様成長因子の曝露応答によって評価される、CLDの発生率の低減をもたらす。
【0183】
脳室内出血
脳室内出血(IVH)は、脳脊髄液を含む脳の空間である脳室内及びその周辺の出血によって特徴付けられる早産児の生命を脅かす状態である。脳室内出血は、早産児、特に28週在胎期間以前に生まれた早産児で最も一般的である。
【0184】
呼吸窮迫症候群(RDS)又は早産児の他の合併症などの呼吸器問題を有する赤ちゃんは、IVHを有する可能性がより高い。
【0185】
IVHは、脳室周囲出血性梗塞、出血後脳室拡張、脳室周囲白質軟化症、及び小脳出血を含む重篤な合併症に関連しており、死亡率及び罹患率をもたらす。他の合併症には、出血後水頭症、脳性麻痺、及び精神遅滞、及び長期的な神経発達障害が含まれる。
【0186】
IVHの予防及び/又は治療のための現在の標準治療は、出生前ステロイド及び脳血行動態及び呼吸支援の早期管理及び安定化に基づいている。予後は、出血の重症度、脳実質への損傷、発作の存在、及び脳室周囲出血性梗塞の重症度に関連している。IVH治療は、出血及び脳への損傷を軽減し、発作を予防するための薬での症状の支援的管理を含む。
【0187】
いくつかの態様では、IVHを治療又は予防するための方法であって、その治療及び予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び界面活性剤(例えば、ポリソルベート界面活性剤、例えば、ポリソルベート20)を含む組成物を投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0188】
いくつかの態様では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、その治療及び予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)、及び約0.0025%~0.0075%の濃度のポリソルベート界面活性剤を含む組成物を投与することを含み、rIGF-1及びrIGFBP-3は、等モル量で複合体化されており、rIGF-1/IGFBP-3は、約10マイクログラム/mL~1000マイクログラム/mLの濃度である、方法が本明細書に記載される。いくつかの態様では、脳室内出血(IVH)を治療又は予防する方法であって、その治療又は予防を必要とする対象に、組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含む組成物を、対照に対して脳室内出血の発生率の低減を達成するのに十分な治療量で投与することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0189】
IVHグレードは以下のとおり認定される:グレードI-生殖マトリックスの領域での出血、非常に少し出血又は脳室の出血なし、グレードII-脳室の10~50%を満たす出血、グレードIII-脳室の50%以上を満たす出血、グレードIV(PVHI)-脳室周囲のエコー密度。この出血は、以前はグレードIVと呼ばれていたが、現在は脳室周囲出血性梗塞(PVI)として分類されている。グレードI及びIIは軽度のグレードとして定義され、グレードIII及びPVHIは進行したグレードとして定義される。表1は、IVHの頭蓋超音波画像グレード化を示している。
【表1】
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIのIVH、グレードIIIのIVH、及びグレードIVのIVH又はPVHIの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIのIVHの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIIのIVHの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、PVHIの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIのIVH、グレードIIIのIVH、及びグレードIVのIVH又はPVHIを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIのIVHを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIIIのIVHを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、グレードIVのIVH又はPVHIを治療するために使用される。
【0191】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率は、頭蓋超音波検査又は超音波によって評価される。スクリーニングは、脳出血を検出及び評価するために、例えば、いくつかの実施形態では、0、1、2、3、7、14日目、及び21日を含む様々な間隔で実施される。いくつかの実施形態では、超音波は、32週PMA、33週PMA、34週PMA、35週PMA、36週PMA、37週PMA、38週PMA、39週PMA又は40週PMAで更に実施される。いくつかの実施形態では、超音波は、36週PMAで更に実施される。いくつかの実施形態では、超音波は、40週PMAで更に実施される。いくつかの実施形態では、単一のリーダ(治療に対してマスクされている)を使用して、Papile及びBowermanの方法に従って、GMH-IVHの最高グレードの全ての超音波画像を評価する。(Papile LA,et al.Incidence and evolution of subependymal and intraventricular hemorrhage:a study of infants with birth weights less than 1,500 gm.J.Pediatr.(1978).92:529-34、Bowerman RA,et al.Natural history of neonatal periventricular/intraventricular hemorrhage and its complications: sonographic observations.AJR Am J.Roentgenol.(1984)143:1041-52.)
【0192】
いくつかの実施形態では、IVHなし及びグレードIのIVHは、一緒に群分けされる。いくつかの実施形態では、2つの独立したリーダは、脳室周囲出血性梗塞(PVHI)を評価するために治療に対してもマスクされた事後分析に使用され、不一致は、コンセンサス合意によって解決された。Volpeによる重症度に基づいてIVHはグレード化された。いくつかの実施形態では、PHIは、尾状静脈、側頭静脈、前末端静脈、及び完全末端静脈梗塞の局在性を評価することによって、Dudink法によってグレード化される。(Dudink J.et al.,Venous subtypes of preterm periventricular haemorrhagic infarction.Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed.(2008)93:F201-6.)
【0193】
いくつかの実施形態では、限定的なPHIは、尾状静脈又は側頭静脈のみが影響を受けるか、又は頭蓋超音波において小さな前末端静脈梗塞が観察される場合に評価される。いくつかの実施形態では、広範なPHIは、完全末端静脈梗塞又は尾状静脈、側頭静脈、及び前静脈梗塞の組み合わせで評価される。頭蓋超音波画像は、出血後脳室拡張(PHVD)及び白質損傷(WMI)を検出するためにも使用される。(Davies,M.W.et al.,Reference ranges for the linear dimensions of the intracranial ventricles in preterm neonates.Arch.Dis.Child Fetal Neonatal Ed.,2000 82:F218-23、Govaert P.et al.An Atlas of Neonatal Brain Sonography.2
ndEd.London: Mac Keith Press,2010).).いくつかの実施形態では、WMIは、表2に示されるように、4グレードのスケールを使用してスコア化される。
【表2】
【0194】
いくつかの実施形態では、IVHは、磁気共鳴画像法(MRI)によって評価される。MRIは、神経発達転帰に関連する白質損傷及び出血の寸法及び局在を評価する。
【0195】
いくつかの実施形態では、コンセンサスIVHグレードは、単一の、又は複数のリーダの場合には、共同マスクリーダよって観察されたIVHの最高グレードに基づいて、各対象に割り当てられる。
【0196】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、治療の非存在下でのIVHのグレードと比較して、低いグレードのIVHを示すとして対象を評価することに関する。いくつかの実施形態では、例えば、発生率の低減は、治療前のグレードII、グレードIII、又はグレードIVのIVHの代わりにグレードIのIVHを指す。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、治療前のグレードIII又はグレードIVのIVHの代わりにグレードIIのIVHを指す。いくつかの実施形態では、発生率の低減は、治療前のグレードIVのIVHの代わりにグレードIIIのIVHを指す。
【0197】
いくつかの実施形態では、治療群によるIVHの重症度は、集団内の各乳児について観察される最大グレードの出血から決定された。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるIVHの発生率の20~50%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるIVHの発生率の20%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるIVHの発生率の30%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるIVHの発生率の40%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるIVHの発生率の50%の低減を指す。
【0198】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIVのIVH(又はPHVI)の発生率の20~50%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIVのIVH(又はPHVI)の発生率の20%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIVのIVH(又はPHVI)の発生率の30%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIVのIVH(又はPHVI)の発生率の40%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIVのIVH(又はPHVI)の発生率の50%の低減を指す。
【0199】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIIのIVHの発生率の20~50%の低減を指す。%。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIIのIVHの発生率の20%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIIのIVHの発生率の30%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIIのIVHの発生率の40%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIIのIVHの発生率の50%の低減を指す。
【0200】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIのIVHの発生率の20~50%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIのIVHの発生率の20%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIのIVHの発生率の30%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIのIVHの発生率の40%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIIのIVHの発生率の50%の低減を指す。
【0201】
いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIのIVHの発生率の20~50%の低減を指す。%。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIのIVHの発生率の20%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIのIVHの発生率の30%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIのIVHの発生率の40%の低減を指す。いくつかの実施形態では、IVHの発生率の低減は、集団におけるグレードIのIVHの発生率の50%の低減を指す。
【0202】
いくつかの実施形態では、IVHの治療は、部分的又は完全に、脳室内出血の1つ以上の症状又は特徴の緩和、改善、軽減、阻害、その発症の遅延、予防、その重症度の低減及び/又はその発生率の低減を行う治療用組成物(例えば、IGF-1/IGFBP-3)の投与を指す。いくつかの実施形態では、治療を受けている対象は、IVHの兆候を示さない、及び/又はIVHの初期若しくは軽度の兆候のみを示す。いくつかの他の実施形態では、治療を受けている対象は、IVHの1つ以上の確立された兆候を示す。したがって、いくつかの実施形態では、治療は、軽度から重度の形態へのIVHの発症又は進行を予防することを指す。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、IVHの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、IVHを治療するために使用される。
【0204】
気管支肺異形成症
気管支肺異形成症(BPD)は、新生児に影響を与える重篤な肺状態である。BPDは、主に早産児に影響を与え、乳児の肺が刺激されて正常に発達しない呼吸障害である。BPDは、主に、鼻カニューレ、マスク、又は呼吸チューブを介して与えられる酸素である、酸素療法を必要とする早産児に影響を与える。これは、10週以上早く生まれた又は出生時の体重が2ポンド未満の低体重児で最も頻繁に生じる。
【0205】
1967年に最初に記述されて以来、BPDの定義は発達してきた。当初の定義には、関連するX線写真の変化を伴う28日間の酸素必要量を伴う乳児が含まれていた。次いで、BPDのこの定義は、出生時体重が1,500g未満の乳児で36週PMAで酸素支援を必要とする乳児として洗練された。2001年に、NIHはBPDを「在胎期間32週未満で生まれた者の場合、BPDは少なくとも28日間、及びその後の36週のPMA又は退院時の評価のいずれか早い方の酸素支援の必要条件(>21%)を参照した。GA>32週で生まれた者では、BPDは少なくとも28日間の酸素補給(<21%)の必要性、及びその後の56日の出生後齢又は退院時の評価(いずれか早い方)を参照した。」と定義した。酸素を必要としない乳児は、軽度のBPDを有するとして分類された。中等度のBPDは、陽圧換気/連続陽圧及び/又は酸素必要量>30%を必要とする者において、30%未満の酸素を必要とする及び重度のBPDの者で診断された。2003年に提案されたBPDの「生理学的定義」は、「36週PMAで陽圧及び酸素≧0.3を必要とする」BPDを有する乳児として分類されたが、対照的に、FiO2<0.3を必要とする者は、酸素飽和度に基づいて最大2週間の酸素低減試験を必要とした。しかしながら、生理学的定義は、早産児が36週の月経後齢に達するまでにまだ酸素療法を必要とする場合、BPDと診断されるという機能的基準よりも人気が低いままであった。
【0206】
BPDを発症する赤ちゃんは、多くの場合、呼吸窮迫症候群(RDS)で生まれる。気管支肺異形成症は、多くの場合、早産児の慢性肺疾患と互換的に言及されるが、BPDは実際には36週での単一の時点での評価であり、CLDは、広く慢性及び長期又は持続的な肺疾患を指し、時には以前にBPDと診断された乳児、又はまだBPDと診断を受けていない乳児を指す。実用的な目的のために、より明確に定義されているため、CLDの転帰を測定するための関連性のある、簡単に測定された臨床エンドポイントをBPDは提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、BPDの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、BPDを治療するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、BPDがないか、軽度であるか、又はそれほど重度でないBPDをもたらす。
【0207】
一部の新生児は、鼻持続気道陽圧(NCPAP)機械、人工呼吸器、及び気管支拡張剤などの医薬品からの長期の酸素又は呼吸支援を必要とする場合がある。彼らは、小児期から更には成人期に至るまで、早産児の慢性肺疾患による呼吸障害を抱え続ける場合がある。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、気管支肺異形成症の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、気管支肺異形成症を治療するために使用される。
【0209】
肺高血圧症
絨毛羊膜炎(CA)及び子癇前症(PE)などの出生前因子、並びに高レベルの補給酸素への曝露を含む出生後損傷は、早産後の気管支肺異形成症(BPD)及び肺高血圧(PH)のリスクの増加と強く関連している。
【0210】
新生児の持続的な肺高血圧は、新生児の循環系が子宮外での呼吸に適応しない場合に起こる。胎内では、胎児は臍帯を介して酸素を受け取るので、肺はほとんど血液供給を必要としない。これは、呼吸が速い、呼吸が困難、及び/又は低酸素飽和度などの症状につながる可能性がある。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、肺高血圧の発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、肺高血圧を治療するために使用される。
【0212】
右心室肥大
右心室肥大(RVH)は、圧力過負荷に応答する右心室の筋肉量の異常な拡大又は病理学的増加であり、最も一般的には重度の肺疾患に起因する。右心室は左心室よりもかなり小さく、電力を産生し、それはより大きな左心室によって生成される電力によって大部分が不明瞭になる。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、RVHの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、RVHを治療するために使用される。
【0214】
壊死性腸炎
壊死性腸炎(NEC)は、早産児の慢性肺疾患を示す乳児にも生じ得る早産児の合併症である。壊死性腸炎は、主に早産児の腸に影響を及ぼす。腸の壁は細菌によって侵入され、局所感染及び炎症を引き起こし、最終的に腸(bowel)(腸(intestine))の壁を破壊する可能性がある。
【0215】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、NECの発生率の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物及び方法は、NECを治療するために使用される。
【0216】
更に別の態様では、インスリン様成長因子1(IGF-1)及びインスリン様成長因子結合タンパク質3(IGFBP-3)を含むタンパク質複合体を製造するための方法が提供され、本方法は、複合体を製剤溶液と混合する間に、使い捨てバッグなどのステンレス鋼以外の接触表面の使用を含み、かかる方法によって製造されるタンパク質複合体において、増加は、IGF-1の酸化種であり、例えば、25℃で6か月間保管すると、20%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、5%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、25℃で6か月間保管すると、2%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、例えば、40℃で3か月間保管すると、10%未満である。いくつかの実施形態では、IGF-1の酸化種の増加は、例えば、40℃で3か月間保管すると、2%未満である。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の約5~25%未満(例えば、約10%未満)は、40℃で6か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体の5~15%未満(例えば、約10%未満)は、40℃で3か月間保管すると、低分子量種として存在する。いくつかの実施形態では、製剤溶液は、約0.0025v/v~0.0075v/vの濃度(例えば、0.0025%v/v)で界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)を含む。
【0217】
使い捨てバッグは、ステンレス鋼以外の不活性接触面を含む使い捨てプロセス容器である。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、高純度の医療グレードの複合フィルムで作られており、これは強力で可撓性があり、優れたガスバリア性能を提供し、無菌条件下での医薬品の生体処理に好適であり、酸化種の低減をもたらし、医薬品の効力及び安定性を改善する。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、混合中に使用され、賦形剤(塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸及びポリソルベート20)を含む製剤溶液中のIGF-1/IGFBP-3原薬の混合、ブレンド、及び調製は、IGF-1/IGFBP-3製剤を得るために行われ、組成物は、約5.3~5.8のpHを有する。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、医薬品濾過ステップ中に更に使用される。本方法は、例えば、混合ステップ及び/又は濾過ステップ中に、使い捨てバッグの約20~80%をタンパク質複合体で充填することを含む。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、約500L又は500L超である。
【0218】
いくつかの実施形態では、加えて、保管及び輸送が、使い捨てバッグ内で行われる。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、厚さが0.1mm~約0.5mmの範囲にある。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、厚さが0.25mm~約0.35mmの範囲にある。
【0219】
いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、流体に接触する超低密度ポリエチレン(ULDPE)を含む。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、ポリエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)を含むガスバリアを含む。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグの外層は、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)及びULDPEを含む。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグは、流体表面に接触するポリエチレンビニルアセテート(EVA)を含む。いくつかの実施形態では、ガスバリアは、ポリエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)を含む。いくつかの実施形態では、使い捨てバッグの外層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法を実施するために提供される。特定の実施形態では、キットは、rIGF-1、rIGFBP-3、及びポリソルベート20又はポリソルベート80などのポリソルベート界面活性剤を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ガラスのバイアル又は他の適切な材料中に本明細書に記載の組成物を含有する。
【0220】
いくつかの実施形態では、包装材料及び包装材料内に含有される医薬品を含む製品も提供される。包装材料は、早産に関連する合併症を治療及び/又は予防するために、医薬品が有効な用量で十分な期間投与され得ることを示すラベルを含む。医薬品は、IGF-I/IGFBP-3組成物を、薬学的に許容される担体とともに含む。
【0221】
一実施形態では、製剤は、0.005%(v/v)のポリソルベート20を含む50mMの酢酸ナトリウム及び105mMの塩化ナトリウム中の50マイクログラム/mLのrhIGF-1/rhIGFBP-3溶液を含む、pH5.5、2℃~8℃(36°F~46°F)で保管された、単位として提供される。
【0222】
一実施形態では、本開示による医薬組成物は、約6.5mLの抽出可能体積を含有する注入バッグ、又はガラスバイアル中の最終産物として提供される。
【0223】
本発明は、本発明の例示を意図する以下の実施例によって更に特徴付けられる。
【0224】
本明細書の文脈で含む(comprising)、「含む(including)」を意味することを意図する。
【0225】
技術的に適切な場合、本発明の実施形態を組み合わせることができ、特に、方法が組成物要素を記載する場合、この特徴の組み合わせは、組成物自体を定義するために用いられ得、逆もまた同様である。
【0226】
背景には技術情報が含まれており、修正の根拠として使用することができる。
【0227】
実施形態は、特定の特徴/要素を含むものとして本明細書に記載される。本開示はまた、当該特徴/要素からなる、又は本質的にそれらからなる別個の実施形態にも及ぶ。
【0228】
特許及び出願などの技術的参照文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0229】
本明細書に具体的で明示的に記載される任意の実施形態は、単独で、又は1つ以上の更なる実施形態と組み合わせのいずれかで、免責事項の基礎を形成し得る。
【0230】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2020年10月19日に出願された米国仮出願第63/093,696号からの優先権を主張する。これらの文書は、訂正の根拠として使用することができる。
【0231】
ここで、以下の実施例を参照して本発明を説明するが、これらは、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0232】
本明細書に記載の特定の化合物、組成物、及び方法は、特定の実施形態に従って特異性をもって具体的に説明されてきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を例示するためにのみ役立ち、それらを限定することを意図していない。
【0233】
実施例1.0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下でのメカセルミンリンファベート医薬品の使用中の安定性の評価
この実施例は、室温で48時間の期間にわたる第2相スウェーデンモデル注入セットにおけるより悪い場合の投与シミュレーション中の0.005%ポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での、rhIGF-1/rhIGFBP-3医薬品の使用中の安定性及び/又は適合性を示す。
【0234】
簡潔に述べると、ポリソルベート20の非存在下の第2相(プロセスA)医薬品製剤(50μg/mLのメカセルミンリンファベート、50mMの酢酸ナトリウム、105mMの塩化ナトリウム、pH5.5)、及び0.005%(v/v)のポリソルベート20を含有する第2相製剤からなる第3相(プロセスB)医薬品製剤の2つの医薬品製剤を用いて、評価を行った。
【0235】
第2相臨床研究中、注入セットへの吸着関連産物の損失を防止し、早産児が250μg/kg/24時間の医薬品の投与用量の投与を受けることを確実にするために、注入セットを医薬品と少なくとも1時間プライミングし、フラッシュしなければならなかった。投与前に、製剤又は任意の他の溶液で任意のプライミング又はフラッシュすることなく「乾燥」注入セットを使用した場合、吸着関連産物の損失が注入セットに発生することが観察された(「より悪い場合の投与」)。
【0236】
医薬品の濃度は極めて低く(50μg/mL)、第2相製剤緩衝剤は、異なる高分子表面へのタンパク質の吸着を防止又は低減する任意の界面活性剤を含有していないため、投与中の吸着関連産物の損失に対する医薬品中の0.005%のP20の含有の効果、及び純度、pH、外観、及び効力などの医薬品の全体的な品質属性を調査するために、研究を実施した。
【0237】
この研究のモデルとして使用された実験注入セットは、第2相研究で以前にKarolinska,Swedenで使用された。P20を有する及び有しない、いずれかの製剤中の約19mLの医薬品を20mLシリンジに入れ、各注入セットに適切な製剤でラベル付けした。試験要件を可能にするためにシリンジ中の医薬品体積を選択した。次いで、シリンジを既に組み立てられた(乾燥)注入セットに接続した(
図1)。約3mLの医薬品を注入セットから直ちに分配し、清潔なガラスバイアルに回収した。この試料は、注入セットで長時間を過ごさなかったベースライン医薬品として機能した。
【0238】
各医薬品について(P20の有無にかかわらず)、2つの独立した注入セットを調製した。2つの対照注入セットを、タンパク質濃度補正に使用された緩衝剤バックグラウンドとして機能するように調製した。医薬品のタンパク質濃度が低く、タンパク質濃度の決定に可変経路長技術を使用するため、浸出液から可能性のある吸収干渉を克服する必要がある。これを行うために、本研究の対応する緩衝剤対照を生成し、製剤として正確に処理した。緩衝剤をシリンジ中に配置し、0、1、4、8、24、及び48時間、注入セット中に保持した。次いで、緩衝剤対照を使用して、バックグラウンドの原因となる未知の光吸収種のタンパク質濃度を補正した。
【0239】
データは、0.005%(v/v)のP20の添加が、48時間にわたるモデル注入セットの投与中に、吸着関連産物の損失を減少させ、医薬品の他の品質属性(例えば、効力)を改善すること、並びに医薬品投与前に注入セットをプライミング及びフラッシュする必要がないことを実証した。
【0240】
研究の結果は、医薬品製剤緩衝剤中に0.005%のP20を含有した後、室温で、周囲光及び温度に曝露して保管した場合、第3相製剤中の医薬品の品質が、注入セット中で最大48時間維持されたことを実証した。
【0241】
シリンジに曝露した医薬品ベースライン試料の収集後、医薬品を注入セットに保持し、周囲光及び温度に曝露して1、4、8、24、及び48時間で試料採取した(表3)。試料は、試料採取直後に視覚的に観察された。pH、タンパク質濃度(A276nm)、RP-UPLC、及びSE-HPLCについての48時間の研究の終了時に試験する準備が整うまで、試料を冷蔵した。試料をまた、低スループット細胞増殖効力アッセイを使用して、(ベースライン及び48時間での)効力について選択的に試験した。追加の医薬品バイアルを調製し、全てのアッセイの非シリンジ曝露医薬品対照(ベースライン)として機能するように取っておいた。
【表3】
【0242】
(P20の有無にかかわらず)両方の製剤についての医薬品及び製剤緩衝剤対照の目視観察を、各時点で行った。医薬品及び製剤試料は、微粒子又は繊維の存在に関する傾向を示さなかった。いずれの医薬品製剤(P20の有無にかかわらず)のpHの変化は、研究中のいかなる時点においても観察されなかった。
【0243】
医薬品のタンパク質濃度を、緩衝剤補正の前後の48時間の研究にわたって測定した(
図2)。タンパク質濃度測定中に、後の時点で濃度の増加が観察され、これは、タンパク質濃度測定に干渉した潜在的な未知の種に起因するものであった。したがって、未知種のタンパク質濃度を補正するために、P20を有する及び有しない製剤対照も生成した。
【0244】
データは、P20が製剤中に存在する場合、吸着関連タンパク質の損失がより少ないことが観察されたことを示した。例えば、4時間の初回注入期間にわたり、未知の光吸収種についてタンパク質含有量を補正した後、P20を含有しなかった製剤中の医薬品と比較して、P20を含有した製剤中の医薬品では、3倍少ないタンパク質損失が観察された。緩衝剤補正後であっても48時間時点におけるタンパク質濃度の増加は、浸出液によるバックグラウンドに起因する。
【0245】
全体として、結果は、P20の添加が、室温で48時間にわたってモデル注入セットにおける吸着関連産物の損失を防止することを実証した。この改善は、医薬品を「乾燥」注入セットに最大4時間最初に曝露した場合に見られた。医薬品製剤に0.005%ポリソルベート20を含めた後、医薬品投与の前に注入セットをプライミング及びフラッシュする必要はない。
【0246】
2つの例示的なインラインフィルタについて、インラインフィルタの互換性を評価した。約1kgの新生児に対して約5.5mLの平均用量を試験した。
【表4】
【0247】
ポリソルベート20の非存在下では、例示的なインラインフィルタの両方の事例において、医薬品の有意な損失が観察された。
【0248】
P20の非存在下で観察されるタンパク質含有量の損失は、新生児における毎日の制限された流体摂取に起因して、より高い有効用量を送達するために新生児において用量体積を増加させることが可能ではないため、望ましくない。
【0249】
実施例2.SE-HPLC及びRP-UPLCによる、0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での製剤中のメカセルミンリンファベート医薬品の純度の測定
この実施例は、0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での製剤中の医薬品の純度を示す。
【0250】
0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での医薬品の純度を比較するために、サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)アッセイを実施した。アッセイは、最良のプロファイル及びシグナル検出のためのカラム充填の最適化によって特徴付けられた。
【表5】
【表6】
【0251】
データは、P20のSE-HPLCデータが、最大48時間まで設定された注入で保持された製剤における医薬品について同様の純度(複合体ピーク面積パーセント)を実証した場合に、より少ない吸着関連タンパク質損失が観察されたことを示した(表5及び6)。3つの高分子量(HMW)種を観察し、これらを合計して、P20の非存在下(
図3A)及びP20の存在下(
図3B)での製剤中のHMW種の定性値を報告した。HMWは、産物の安定性の低下、凝集の増加、及び免疫原性の増加に寄与するため、望ましくない。
【0252】
実施例3.RP-UPLCによる、0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での製剤中のメカセルミンリンファベート医薬品の分解の測定
この実施例は、酸化によるメカセルミンリンファベートの例示的な分解を示す。
【0253】
メカセルミンリンファベートの分解の程度を調査するために、逆相超高性能クロマトグラフィー(RP-UPLC)を実施して、IGF-1/IGF1-BP3タンパク質複合体におけるIGF1の酸化を監視した。
【0254】
RP-UPLCデータは、両方の製剤におけるベースラインと比較した場合、注入セットにおける48時間の保持時間後に、酸化IGF1パーセントのわずかな増加を示した(
図4)。
【0255】
このアッセイはまた、IGF-1及びIGFBP-3タンパク質のピーク面積パーセントを別々に監視し、IGF-1酸化の増加は、IGF-1ピーク面積パーセントの減少と一致したが、IGFBP-3パーセントは有意に変化しなかった。IGFBP-3のパーセントの減少は、製剤中にP20が存在した場合は0.1%であるのと比較して、P20を含有しない製剤では約0.6%であった。表5及び6は、酸化IGF-1パーセント並びにIGF-1及びIGFBP-3ピーク面積の合計を報告し、後者は主要なピーク面積パーセントとして報告される。
【0256】
実施例4.0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在下及び非存在下での製剤中のメカセルミンリンファベート医薬品の効力の測定
この実施例は、メカセルミンリンファベート製剤中の0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在の、医薬品の効力に及ぼす例示的な効果を例示する。
【0257】
メカセルミンリンファベート医薬品の効力に対する製剤中の0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)の存在又は非存在の影響を調査するために、選択された試料を、ベースライン及び48時間保持時間で、0.005%(v/v)のP20を含有する製剤中で、又は0.005%のP20の非存在下で、効力について試験した。
【0258】
注入セットが医薬品でプライミングされず、フラッシュされなかった最悪の場合のシナリオでは、ポリソルベート20が存在した場合の8%のみの効力の低減と比較して、製剤緩衝剤がP20を含有しなかった場合、25%の効力の低減があった(表7)。両方の値は、典型的な細胞ベースのアッセイ変動(70%~130%)の範囲内で考慮され得るが、ポリソルベート20が医薬品製剤中に存在しなかった場合、約3倍低い効力が観察される。
【表7】
【0259】
ポリソルベート20の添加は、医薬品中のポリソルベート20の存在下でより高い効力が観察されたため、産物の全体的な品質を改善した。
【0260】
総合的に、これらの研究の結果は、室温で、周囲光及び温度に曝露して保管した場合、第3相医薬品の品質が、注入セット中で最大48時間維持されることを実証した。
【0261】
実施例5.0.005%(v/v)のポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)の存在下及び非存在下の製剤中のメカセルミンリンファベート医薬品
この実施例では、メカセルミンリンファベート医薬品の製剤中のポリソルベート20及びポリソルベート80の曝露の安全性及び毒性を比較した。
【0262】
ポリソルベート20及び80の非臨床データを使用して、早産児では0.02mg/kg体重/日、満期乳児及び最大1歳までの小児では0.08mg/kg体重/日のIV許容曝露値を導き出した(表8)。
【表8】
【0263】
これらの比較に基づいて、患者が既に全非経口栄養製品から受けているポリソルベート20及びポリソルベート80の量に対して、患者がrhIGF-1/rhIGFBP-3医薬品から受けるであろうポリソルベート20のわずかな追加量に関連する毒性学的懸念はない。
【0264】
実施例6.使い捨てバッグでのメカセルミンリンファベートの製造
この実施例は、IGF-1/IGFBP-3の酸化パーセント及び安定性における接触材料の役割を実証する。
【0265】
ステンレス鋼容器又は使い捨てバッグを使用して製造された医薬品を酸化について分析した。簡潔に述べると、賦形剤(塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸及びポリソルベート20)を混合した。その後、賦形剤を濾過し、解凍した原薬と混合し、これを医薬品IGF-1/IGFBP-3複合体に混合した。緩衝剤混合バルク医薬品を、1000Lのステンレス鋼容器又は500Lの使い捨てバッグ(磁気攪拌器を含むMobius MIX0500Lバッグゴールド)のいずれかで採取し、フィルタ(Opticap XL10 0.22μm、Durapore PVDF膜)を通して受容ステンレス鋼容器又はバッグ(磁気攪拌器を含む)に濾過した。医薬品の2つのバッチを、放出時及び保管中にRP-UPLCによって酸化IGF-1のパーセントについて分析した。
【0266】
図5は、小スケールモデルにおけるステンレス鋼中の医薬品の時間及び濃度の関数としての酸化IGF-1のパーセンテージを示す。ステンレス鋼となんら接触していない医薬品は、全ての濃度にわたってIGF-1の酸化を起こしにくいことが観察された。
【0267】
同様の実験を、ガラス容器内で医薬品を混合することによって繰り返し、使い捨てバッグ内の混合された医薬品と比較した。
図6は、使い捨てバッグ及びガラス容器の時間及びヘッドスペースの関数としての酸化IGF-1パーセントを要約する。使い捨てバッグ中で混合された薬物は、最も低い酸化をもたらし、続いて、20%充填を有するガラス中で混合された製剤が観察された。次に、異なる温度での時間の関数としての主要なピーク(非酸化IGF-1)のパーセンテージをプロットすることによって、IGF-1の安定性を試験した。使い捨てバッグが生成した医薬品は、ステンレス鋼の容器で生成した医薬品と比較して、試験された全ての温度にわたってIGF-1の安定性を維持することが観察された。安定性(主要ピークのパーセントとしてプロットされた)を
図7A~
図7Cに示す。加えて、酸化IGF-1パーセントを時間の関数としてプロットした。使い捨てバッグが生成した医薬品は、ステンレス鋼の容器で生成した医薬品と比較して、試験された全ての温度にわたって酸化IGF-1パーセントが低いことが観察された。時間の関数としてプロットした酸化IGF-1パーセントを
図8A~
図8Cに示す。
【0268】
実施例7.極度の早産児におけるCLDの治療
CLDにおける治療効果について、インスリン様成長因子-1/インスリン様成長因子結合タンパク質-3(rhIGF-1/rhIGFBP-3)複合体を含む治験薬を研究した。使用した医薬品製剤は、0.005%(v/v)のポリソルベート20を含有する、pH5.5の105mMの塩化ナトリウムを有する50mMの酢酸ナトリウム中の50μg/mLのメカセルミンリンファベートであった。
【0269】
早産児のヒト慢性肺疾患の予防における治療用組成物の臨床的効能及び安全性を評価するための多施設、無作為化、非盲検、対照、3群試験として設計されている。この研究は、極度の早産児の標準的な新生児治療と比較して、12か月補正齢(CA)までの対象に足して実施される。この研究は、責任ある機関の機関審査委員会(IRB)/独立倫理委員会(IEC)によって審査及び承認されている。
【0270】
目的:この研究の目的は、rhIGF-1/rhIGFBP-3(以降、治療用組成物)を含む治験薬が、標準的な新生児治療のみを受けている極度の早産児と比較して、12か月補正齢(CA)までの極度な早産児の呼吸器合併症を低減できるかどうかを決定することである。
【0271】
研究対象:対象は、23週+0日~27週+6日の在胎期間(GA)である。対象には、両方の性別が含まれる。この研究には少なくとも50人の対象が含まれる。
【0272】
除外基準:除外基準には、治験責任医師による、検出可能な肉眼の奇形、既知又は疑いのある染色体異常、遺伝的障害又は症候群が含まれる。除外基準には、グルコース代謝の重度の先天性異常を除外するためのベースライン訪問時の持続的な血糖値がリットル当たり2.5ミリモル(mmol/L)未満(<);治験責任医師の意見による臨床的に重要な神経疾患;一卵性倍数;及び対象にリスクをもたらすか、又は対象のプロトコルに準拠する能力を妨げるか、又は結果の解釈を妨げる可能性のあるその他の状態も含まれる。対象が別の治験薬、デバイス、又は手順の臨床試験に参加している場合、又は参加する予定がある場合(観察研究への参加はケースバイケースで許可される)は除外される。対象又は対象の親又は法的に権限を与えられた代表者がプロトコルを準拠できない場合、又は治験責任医師によって決定された長期フォローアップのために利用可能である可能性が低い場合、その対象も除外される。
【0273】
研究設計の詳細:この研究の主な目的は、気管支肺異形成症及び早産児の慢性肺疾患の予防である。これは非盲検研究であり、介入モデルは並行割り当てとなる。監視される条件は、BPD及びCLDであろう。
【0274】
250マイクログラム/kg/24時間の治療用組成物を、出生から月経後齢(PMA)29週+6日までの静脈内投与(IV)によって、参加者の1つ群(群A)に投与する。別の群の参加者(群B)に対して、400マイクログラム/kg/24時間の治療用組成物を、出生から月経後齢(PMA)29週+6日までの静脈内投与(IV)によって投与する。第3の群(群C又は対照群)には、標準的な新生児治療のみが提供される。
【0275】
測定された一次転帰は、12か月補正齢(CA)までの早産児の慢性肺疾患(CLD)の発生率である[時間枠:ベースライン~12か月補正齢(CA)]CLDは、早産による一般的な有害事象であり、気管支拡張剤などの肺薬剤による治療を必要とする再発性呼吸器症状、支援家庭用酸素の必要性、特に生後1年の間の緊急治療室への頻繁な訪問又は病院の再入院をもたらす。CLDは、呼吸器ヘルスケア利用及び呼吸器症状によって測定される。
【0276】
二次転帰には、月経後齢(PMA)36週における気管支肺異形成症(BPD)の発生率が含まれる[時間枠:PMA36週]。BPDは、肺未熟、ヒアリン膜及び無気肺の存在を伴う未分化肺胞、間葉に浸漬された拡張毛細血管、並びに細胞外マトリックスの歪んだ沈着によって特徴付けられる慢性肺疾患である。BPDは、肺機能に残留効果をもたらし、小児期後期の神経発達の問題に関連している。
【0277】
二次転帰としては、また以下が含まれる。
●月経後齢(PMA)40週までの重度の脳室内出血(IVH)グレードIII又はIVの発生率[時間枠:ベースライン~PMA40週]
●月経後齢(PMA)40週でも気管支肺異形成症(BPD)の発生率[時間枠:PMA40週]
●慢性肺疾患(CLD)又は6か月補正齢(CA)までの死亡の発生率[時間枠:ベースライン~6か月補正齢(CA)]CLDは、早産による一般的な有害事象であり、気管支拡張剤などの肺薬剤による治療を必要とする再発性呼吸器症状、支援家庭用酸素の必要性、特に生後1年の間の緊急治療室への頻繁な訪問又は病院の再入院をもたらす。CLDは、呼吸器ヘルスケア利用及び呼吸器症状によって測定される。
●月経後齢(PMA)40週でのPREMature Infant Index(PREMII)によって評価された機能的状態[時間枠:PMA36週]PREMIIは、極度の早産児の全体的な機能的成熟を捕捉するために使用される臨床医報告転帰(ClinRO)評価である。機能状態は、乳児の全体的な健康及び発達を反映して、8つの主要な機能領域(摂食、体重増加、体温調節、呼吸支援、無呼吸、徐脈、脱飽和事象、及び酸素投与)に関して乳児ができることとして定義される。
【0278】
実施例8.極度の早産の低在胎期間の乳児における脳室内出血(IVH)治療
脳室内出血(IVH)における治療効果について、インスリン様成長因子-1/インスリン様成長因子結合タンパク質-3(rhIGF-1/rhIGFBP-3)複合体(0.005%(v/v)のポリソルベート20を含む、pH5.5で、105mMの塩化ナトリウムを含む50mMの酢酸ナトリウム中の50μg/mLのメカセルミンリンファベート)を含む治験薬を研究する。脳室内出血の予防における治療用組成物の臨床的効能及び安全性を評価するための多施設、無作為化、非盲検、対照、3群試験として設計されている。この研究は、在胎期間26週未満の極度の早産児における標準的な新生児治療(SNC)と比較して、36週PMAまでの対象に対して実施される。この研究は、責任ある機関の機関審査委員会(IRB)/独立倫理委員会(IEC)によって審査及び承認されている。
【0279】
目的:この研究の目的は、rhIGF-1/rhIGFBP-3(以降、治療用組成物)を含む治験薬が、標準的な新生児治療のみを受けている極度の早産児と比較して、36週PMAまでの極度の早産児の脳室内出血の発生率を低減できるかどうかを決定することである。
【0280】
研究対象:対象は、26週未満又は25週+6日未満の在胎期間(GA)の乳児である。対象には、両方の性別が含まれる。この研究には少なくとも50人の対象が含まれる。
【0281】
研究設計:250マイクログラム/kg/24時間の治療用組成物を、出生から月経後齢(PMA)29週+6日までの静脈内投与(IV)によって、参加者の1つ群(群A)に投与する。別の群の参加者(群B)に対して、400マイクログラム/kg/24時間の治療用組成物を、出生から月経後齢(PMA)29週+6日までの静脈内投与(IV)によって投与する。第3の群(群C又は対照群)には、標準的な新生児治療のみが提供される。
【0282】
IVHの発生率が高い、低在胎期間の乳児では、IVH II/III/PHVIの発生率が評価される。
【0283】
測定された一次転帰は、月経後齢(PMA)36週での脳室内出血の発生率及び重症度である[時間枠:PMA36週]。IVHは、早産の一般的な有害事象であり、頭蓋超音波によって監視される。
【0284】
二次転帰には、月経後齢(PMA)36週における気管支肺異形成症(BPD)の重症度及び発生率が含まれる[時間枠:PMA36週]。BPDは、肺未熟、ヒアリン膜及び無気肺の存在を伴う未分化肺胞、間葉に浸漬された拡張毛細血管、並びに細胞外マトリックスの歪んだ沈着によって組織学的に特徴付けられる慢性肺疾患である。BPDは肺機能に残留効果をもたらし、小児期後期の神経発達障害に関連する。
【0285】
有効性分析は、36週PMAでの26週GA未満の乳児で実施する。IVHグレードII/III/IV(PHVI)の相対的低減を評価する。いくつかの実施形態では、対象は、約40週、12か月、又は24か月CAまで追跡される。
【0286】
実施例9.極度の早産児におけるBPD予防
BPD予防を含む、極度の早産児の合併症におけるIGF-1/IGFBP-3の効果についての無作為化研究が、並行割り当ての介入モデルを用いて実施された。この研究は、2010年6月18日~2016年3月30日にイタリア、オランダ、ポーランド、スウェーデン、英国、及び米国の複数のセンターで実施された。
【0287】
薬物メカセルミンリンファベート、すなわちIGF-1/IGFBP-3は、対象のIGF-1の内因性産生が生理学的血清IGF-1レベルを維持するのに十分であると考えられる場合、研究0日目(出生日)からPMA29週+6日まで及びその日を含む対象への連続静脈内注入として投与された。治験薬の注入を中止した後、各対象は、PMA40週±4日まで追跡される。この研究は、早産児の網膜症を予防するために、早産児の生理学的レベル内で縦方向の血清IGF-1レベルを確立し維持するために必要な、連続注入(CI)として投与されるrhIGF-1/rhIGFBP-3用量を決定することを意図していた。これは、rhIGF-1/rhIGFBP-3の第2相、無作為化対照、評価者盲検、用量確認、薬物動態、安全性及び有効性であった。61人の参加者は、0日目から29週6日月経後齢(PMA)までの連続的な静脈内(IV)注入を介して、24時間、インスリン様成長因子(rhIGF-I)/インスリン様成長因子結合タンパク質-3(rhIGFBP-3)のキログラム当たり250マイクログラム(mcg/kg)を受けた。対照群として、60人の参加者が標準治療のみを受けた。表3は、全体的な研究の参加者の流れを示している。
【表9】
【表10】
【0288】
他のパラメータの中には、二次転帰が含まれる:
●新生児集中治療(TDNIC)からの退院までの時間[時間枠:0日目~40週月経後齢(EOS)]
●気管支肺異形成症(BPD)を有する参加者の数[時間枠:36週月経後齢時]
●軽度、中等度、重度のBPDの重症度は、在胎期間32週未満で生まれた早産児のためのNational Institute of Child Health and Human Development(NICHD)ガイドラインに基づいていた。
●軽度:最初の28日間、酸素が必要であるが、PMA36週又は自宅への帰宅のいずれか早い方での室内空気中。
●中等度のBPD:最初の28日間、酸素が必要であるが、PMA36週又は自宅への帰宅のいずれか早い方での酸素<30パーセント(%)。
●重度のBPD:最初の28日間、酸素が必要であるが、ヘッドフード又は鼻カニューレ、又は連続的な気道陽圧、又は機械的換気を介した30%以上(≧)の酸素、又はPMA36週又は家への帰宅のいずれか早い方での2L/分以上の高流量の鼻カニューレ。
●体重変化率[時間枠:0日目~40週月経後齢(EOS)]変化率は、1日当たりの特定の体重変化率(キログラム(kg))である。
●長さの変化率[時間枠:0日目~40週月経後齢(EOS)]
●変化率は、1日当たりの長さの変化をセンチメートル(cm)で表す。処置中の有害事象(TEAE)及び治療中の重篤有害事象(TESAE)を発現した参加者数[時間枠:0日目~40週月経後齢(EOS)]
●有害事象(AE)は、因果関係の可能性を考慮せずに治験薬を投与された参加者における不適切な医学的発生であった。重篤な有害事象(SAE)は、以下の転帰のうちのいずれかをもたらすか、又は任意の他の理由で重大と見なされたAEであった:死亡、初期又は入院期間の延長;生命を脅かす経験(死亡の即時のリスク);持続的又は重大な障害/無能力;先天性異常。
●治療中に発生した有害事象は、任意のAEの発症、又は治験薬の最初の投与日以降に既存のAEの重症度が悪化した場合と定義した。
●rhIGF-1/rhIGFBP-3の注入後に目標範囲内に落ちる血清IGF-1濃度のパーセンテージ[時間枠:0日目~40週月経後齢(EOS)]
●検証されたイムノアッセイを使用して、IGF-1の定量のために、血清試料を処置された参加者及び対照参加者から採取した。血清IGF-1の標的範囲は28~109mcg/Lであった。処置された参加者全体の血清IGF-1レベルのパーセンテージは、範囲内にあることが報告された。
●rhIGF-1/rhIGFBP-3の静脈内(IV)注入後のIGFBP-3の血清濃度[時間枠:0日目及び40週月経後齢]
●rhIGF-1/rhIGFBP-3の静脈内(IV)注入後の酸不安定サブユニット(ALS)の血清濃度[時間枠:7日目及び40週月経後齢]
【表11】
【0289】
気管支肺異形成症(BPD)を有する参加者数についての統計解析は提供されなかった。
【0290】
実施例10.早産児におけるIGF-1及びIGFBP-3投与後のIGF-1の曝露応答分析
この実施例は、IGF-1/IGFBP-3で処置された極度の早産児の血清中のIGF-1の曝露応答を示す。
【0291】
簡潔に述べると、IGF-1及びインスリン様成長因子結合タンパク質-3の天然に存在するタンパク質複合体のヒト組換え形態(rhIGF-1/rhIGFBP-3)を、早産児に投与する。
【0292】
約96人の早産児に、rhIGF-1/rhIGFBP-3を、出生後24時間以内に開始し、月経後齢(PMA)30週で終了する静脈内注入で毎日投与した。対照対象は標準新生児治療(SOC)を受けた。BPDの発生は、36週のPMAでの酸素チャレンジ試験によって評価した。
【0293】
出生時の在胎期間中央値は25.9週(23.1~27.9週の範囲)であった。出生体重の中央値は0.790(0.425~1.22の範囲)であった。ロジスティック回帰モデルを構築して、IGF-1曝露基準とBPDを発症する確率との間の関係を評価した(すなわち、BPDなし/軽度BPD対中程度/重度BPD)。在胎期間、出生体重、性別、1日目の酸素飽和度、1分時点のAPGARスコア、及び試験群などのBPD応答の変動源を評価し、考慮した。
【0294】
次いで、BPD予防又は改善と相関する血清IGF-1レベルをもたらす投薬レジメンを特定するために、臨床試験シミュレーションを実施した。すなわち、標準治療に対して処置を受けている早産児にBPD症状なし/軽度のBPD症状の高い確率を提供した。集団PKモデルに基づいて、250及び400マイクログラム/kg/日のrhIGF-1/rhIGFBP-3又は用量なし(SOC)で1:1:1比で処置した75人の対象の合計500試験をシミュレーションした。
【0295】
これらのシミュレーションの結果は、7日目でのより高い観察された平均IGF-1レベル(CavD7)がBPDなし/軽度BPDのより高い確率と関連しており、統計的に有意な曝露応答関係を示すことを示した。BPDなし/軽度又は中等度/重度のBPDの確率を、上記の曝露-応答モデルに従って、各試験のシミュレーションされたCavD7に基づいて決定した。
【0296】
更に、他の変数の影響も観察された。例えば、出生時及び性別における体重の統計的に有意な影響が観察され、それによってより大きな女性はBPDなし/軽度BPDの確率が高いと予想される。出生時の酸素飽和度も、1分時のAPGARスコアも、BPDなし/軽度のBPDの予測因子ではなかった。
【0297】
シミュレーションの結果は、rhIGF-1/rhIGFBP-3処置での処置が、CLDを治療するための標準治療に対して、BPDを発症しないか又は軽度のBPDを発症する確率が高いことを示した(
図9、表12)。250マイクログラム/kg/日のrhIGF-1/rhIGFBP-3又は用量なし(SOC)で処置した対象と400マイクログラム/kg/日の対象との比較を
図11に示す。
【0298】
早産児におけるIGF-1の濃度-時間データに基づいて、注入(又は外因性)IGF-1の薬物動態特性を評価した。全体として、線形除去を伴う1つの構成要素処分モデルは、経時的な重量の変化を考慮したベースラインモデルに組み合わされ、注入されたIGF-1及び内因性IGF-1の濃度-時間プロファイルをそれぞれ適切に特徴付けた。更に、このモデルには、分布及びクリアランスの体積に関する対象間変動(BSV)、並びに内因性モデルに関するBSV(出生時のIGF-1濃度(C
endo、0)、及び初期減少(C
endo、mat)のためのIGF-1半減期のより成熟した乳児)が含まれていた。年齢及び体重は、IGF-1の内因性産生、及びrhIGF-1/rhIGFBP-3のIV注入後のIGF-1のクリアランスのための重要な構成要素であるため、早産児におけるPMAの関数として体重増加を特徴付けるために成熟モデルが開発された。モデルは、標準治療を受けた対照対象又は未処置対照に対して、250マイクログラム/kg/日のrIGF-1/rIGFBP-3又はより低用量を投与された対象について、経時的なIGF-1濃度のグラフによって示されるように検証された(
図10)。
【表12】
【0299】
rIGF-1/rIGFBP-3の400マイクログラム/kg/24時間レジメンでは、標準治療データ及びIGF-1データを用いて集団PKモデルを開発した。このモデルを使用して、治療期間にわたるIGF-1PK濃度の95%予測間隔をシミュレーションし、標的治療範囲に関して平均及び第5及び第95間隔がどこに収まるかを予測した(
図12)。
【0300】
結果は、平均IGF-1レベルが、250マイクログラム/kg/24時間よりも400マイクログラム/kg/24時間の用量で高かったことを示した。7日目までに、400マイクログラム/kg/24時間投与された対象の約95%が治療範囲内にあると予想される。EOIでは、対象の90%が109ng/ml未満であり、対象の95%が28ng/mlを超えると予想される。400マイクログラム/kg/24時間の用量を投与された対象の大部分は、7日目までに目標IGF-1レベル(28~109ng/ml)を達成すると予想され、注入終了までに目標IGF-1レベルをオーバーシュートするリスクが低いと予想される。注入の終了は、例えば、約28、29、30、31、又は32週月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、注入の終了は、約28週月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、注入の終了は、29週月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、注入の終了は、約30週月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、注入の終了は、約31週月経後齢(PMA)である。いくつかの実施形態では、注入の終了は、約32週月経後齢(PMA)である。
【0301】
早期又はより高いIGF-1血清曝露がより良好なBPD転帰をもたらしたかどうかを評価するために、IGF-1血清曝露を7日目(
図13A)及び40週PMA(
図13B)で測定した。
【0302】
探索的ロジスティック回帰分析を実施して、異なる時点での血清IGF-1曝露とBPD転帰との関係を調査した。以前の時点では、より高いIGF-1曝露と良好なBPD転帰(軽度又はBPDなし)との有意な関係が示された。バイアスを低減させるために、7日間にわたるIGF-1平均濃度をモデル開発のために選択した出生時体重(より高いWT-より良好な転帰)及び性別(女性-より良好な転帰)は、BPD転帰に影響を与える共変量として特定した。
【0303】
シミュレーション結果は更に、400マイクログラム/kg/24時間レジメンで投与されたrhIGF-1/rhIGFBP-3が、250マイクログラム/kg/24時間レジメンに対してBPDなし又は軽度BPDのより高い確率と関連していたことを示した。シミュレーション研究に基づいて、400マイクログラム/kg/24時間の高用量は、BPD予防及びCLDの改善と高度に相関していることを見出した。
【0304】
本明細書に記載の特定の化合物、組成物、及び方法は、特定の実施形態に従って特異性をもって具体的に説明されてきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を例示するためにのみ役立ち、それらを限定することを意図していない。
【0305】
本明細書及び特許請求の範囲においてそこで使用される冠詞「a」及び「an」は、明確に反対に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解される必要がある。群の1つ以上のメンバー間の「又は」を含む特許請求の範囲又は明細書は、群メンバーのうちの1つ、2つ以上、又は全てが所与の産物若しくはプロセスに存在するか、用いられるか、又は他の方法で関連する場合には、文脈から反対に示されるか、又は他の方法で明らかな場合を除き、満たされると見なされる。本発明は、群の正確な1つのメンバーが、所与の産物又はプロセスに存在するか、用いられるか、又はそうでなければ関連する実施形態を含む。本発明はまた、所与の製品又はプロセスに存在するか、用いられるか、又はそうでなければ関連する、2つ以上の、又は全ての群メンバーが存在する実施形態を含む。更に、本発明は、別段の指示がない限り、又は矛盾又は不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、列挙される特許請求の範囲のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、条項、記述用語などが、同一の基本特許請求の範囲(又は関連する任意の他の特許請求の範囲)に依存する別の特許請求の範囲に導入される全ての変形、組み合わせ、及び置換を包含することが理解される必要がある。要素がリストとして(例えば、マーカッシュ群又は同様の形式で)提示される場合、要素の各下位群も開示され、任意の要素を群から削除することができることを理解されたい。概して、本発明又は本発明の態様が特定の要素、特徴などを含むと言及される場合、本発明の特定の実施形態又は本発明の態様は、かかる要素、特徴などからなるか、又はそれらから本質的になることを理解されたい。簡潔にするために、これらの実施形態は、本明細書では常に多くの言葉で具体的に説明されているわけではない。本発明の任意の実施形態又は態様は、特定の除外が本明細書に記載されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲から明示的に除外され得ることも理解されたい。本発明の背景を説明し、その実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照される出版物、ウェブサイト、及び他の参照資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)、組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.0025%~0.0075%の濃度のポリソルベート界面活性剤と、を含む、
新生児への投与に好適な液体医薬組成物であって、
a.前記rIGF-1及びrIGFBP-3が
、複合体化されて
おり、
b.前記rIGF-1/IGFBP-3が、約45~55マイクログラム/mLの濃度であり、
c.前記組成物が、約5.0~7.0のpHを有する、
液体医薬組成物。
【請求項2】
前記rIGF-1/IGFBP-3が、約
50マイクログラム/mLの濃度である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリソルベート界面活性剤が、ポリソルベート20(P20)又はポリソルベート80(P80)から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリソルベート界面活性剤が、P20である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリソルベート界面活性剤が、約0.005%の濃度で前記組成物中に存在する、請求項1
~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤を更に含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酢酸ナトリウム又は酢酸が、約10~100mMの濃度である、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
前記酢酸ナトリウム又は酢酸が、約50mMの濃度である、請求項
6に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩化ナトリウムが、約20mM及び200mMの濃度である、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記塩化ナトリウムが、約105mMの濃度である、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記pHが、約5.3~5.8である、請求項
1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、静脈内投与に好適である、請求項
1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、2~8℃の温度で約20か月~24か月の保管寿命を有する、請求項
1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、室温及び/又は周囲光で、少なくとも8時間、12時間、24時間、36時間、又は48時間安定である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記IGF-1の20%未満が、25℃で約6か月間保管した後、酸化種として存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項16】
前記IGF-1の10%未満が、40℃で約3か月間保管した後、酸化種として存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項17】
酸化種の%が、逆相超性能液体クロマトグラフィー(RP-UPLC)によって決定される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記IGFBP-3が、5%未満のトリスルフィドバリアントを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
等モル量の組換えインスリン様成長因子1(rIGF-1)及び組換えインスリン様成長因子結合タンパク質3(rIGFBP-3)を含むタンパク質複合体と、約0.005%(v/v)の濃度のポリソルベート20界面活性剤と、酢酸ナトリウム、酢酸、及び/又は塩化ナトリウムを含む緩衝剤と、を含
み、前記組成物が、約5.3~5.8のpHを有し、前記rIGF-1/IGFBP-3が、約50マイクログラム/mLの濃度であり、前記IGF-1の1.5%未満が、産物の放出時に酸化種として存在する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
先行請求項のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項21】
脳室内出血(IVH)、気管支肺異形成症(BPD)、又は早産児の慢性肺疾患(CLD)を治療又は予防する方法であって、治療を必要とする対象に、請求項
1~20のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
前記治療を必要とする対象が、乳児である、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、静脈内投与される、請求項
21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、約100~1000マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項
21~
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物が、約400マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、約250マイクログラム/kg/24時間の投薬量で投与される、請求項
24に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、24時間の期間の連続注入によって投与される、請求項
21~26のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】