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特表2023-550205電動シリンダ、電動シリンダの回転要素の位置を決定するための磁石を有する電動シリンダ、および回転要素の位置を決定するための磁石の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電動シリンダ、電動シリンダの回転要素の位置を決定するための磁石を有する電動シリンダ、および回転要素の位置を決定するための磁石の使用
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20231122BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20231122BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20231122BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20231122BHJP
【FI】
H02K7/06 A
F16H25/20 Z
F16H25/24 A
H02K11/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549002
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021079161
(87)【国際公開番号】W WO2022084427
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20203317.1
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523152363
【氏名又は名称】シルトロニック・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】CYLTRONIC AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベーリ,イェレミアス
【テーマコード(参考)】
3J062
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3J062AB24
3J062BA12
3J062CD03
3J062CD22
3J062CD45
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC07
5H607DD02
5H607DD04
5H607DD08
5H607EE52
5H607HH01
5H607HH09
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP05
5H611QQ03
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
本発明は、ハウジング内部に配置されたモータと、伸長要素の直線移動を生成するための、制御装置およびスピンドル装置とを備える電動シリンダに関する。モータのロータ、およびスピンドル装置の回転要素は、同じ回転軸を有する。電動シリンダのすべての構成要素は、特にスペースを節約する様態で、ハウジング内に配置され、制御装置は、プリント回路基板をモータ制御のために備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ(9)およびロータ(10)を有するモータ(8)と、回転要素(5)および伸長要素(6)を有するスピンドル装置(4)と、制御装置(14)であって、前記モータ(8)を制御する制御装置(14)と、ハウジング内部を有するハウジング(21)と、を備え、前記ロータ(10)および前記回転要素(5)が同じ回転軸を有し前記ロータ(10)が好ましくは前記回転要素(5)に固定されている結果として、前記モータ(8)が前記スピンドル装置(4)を駆動する、電動シリンダにおいて、前記制御装置(14)が、プリント回路基板(13)、特にちょうど1つのプリント回路基板(13)を、モータ制御のために備え、前記モータ(8)、前記回転要素(5)、および前記制御装置(14)、ならびに特に前記スピンドル装置(4)が、前記ハウジング内部に配置されていることを特徴とする、電動シリンダ。
【請求項2】
前記スピンドル装置(4)が、スピンドルナット(7)を備え、前記スピンドルナット(7)が、前記回転要素(5)のねじ山と係合し、追加の接続要素なしで前記スピンドルナット(7)のねじ山の手段によって前記伸長要素(6)に固く接続され、前記回転要素(5)の回転移動を前記伸長要素(6)の軸方向伸長移動に変換することを特徴とする、請求項1に記載の電動シリンダ。
【請求項3】
前記プリント回路基板(13)が、前記プリント回路基板の平面に対して垂直な高さに対して、小型および大型の電子部品(22)を備え、少なくとも1つ、好ましくはすべての大型の電子部品(22)、特にトランジスタおよび/またはコンバータが、前記プリント回路基板(13)の縁部、特に前記プリント回路基板(13)の長辺の縁部に配置されていることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項4】
前記制御装置(14)が、電力および電圧供給のための接続部、および前記制御装置との通信のための接続部を備えることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項5】
前記制御装置(14)が、相互作用要素(12)を備え、前記相互作用要素(12)が、調整要素および/またはステータス表示要素(23、24、25)を備え、前記調整要素が、前記シリンダにおいて直接、速度調整(24)および/または力調整(25)を行うためのものであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電動シリンダ。
【請求項6】
接続要素(18)が設けられ、前記接続要素(18)のうちの少なくとも1つが前記伸長要素(6)上に配置され、特に1つの接続要素(18)が、前記ハウジングの、一方または両方の端面に形成されていることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項7】
前記回転要素の前記軸に直交する前記電動シリンダの横断面が、前記ハウジング(21)から突出する接続部(11)を別にして、前記モータの外径の150%、特に130%、さらに特に120%よりも決して広くないことを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項8】
ボールベアリング(17)が、前記ロータの両側に前記回転要素(5)に対して同軸に配置されていることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項9】
前記電動シリンダが、好ましくは実質的に長方形の、特に好ましくは実質的に正方形の、実質的に多角形のハウジング(21)を有し、および/または、特に前記ハウジングの本体が、アルミニウム押出し成形品(2)で作られていることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項10】
前記ハウジング(21)が、接続部(11)およびステータス表示要素(23、24、25)を別にして、全長にわたって同じ横断面を有することを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項11】
前記ハウジングが、本体側ハウジングカバーと、2つの端側ハウジングカバー(1、3)と、を備え、前記端側ハウジングカバーのうちの1つが、同時に前記モータ(8)のモータハウジングであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の電動シリンダ。
【請求項12】
前記スピンドル装置(4)が、組合せベアリング(20)を備え、前記組合せベアリング(20)が、好ましくは前記回転要素の側に前記モータまでの距離を最も大きくとって、前記回転要素(5)と前記伸長要素(6)との間に配置された平ベアリングおよびボールベアリングを備えることを特徴とする、先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項13】
ステータ(9)およびロータ(10)を有するモータと、回転要素(5)および伸長要素(6)を有するスピンドル装置(4)と、特に制御装置(14)と、さらには前記回転要素(5)の端面上または端面内の少なくとも1つの磁石(15)と、さらには電子エンコーダ装置(16)であって、前記磁石(15)の角度位置を読み出し、および/または前記伸長要素(6)の軸方向位置を決定するための、前記回転要素の前記回転軸に対して実質的に軸方向の電子エンコーダ装置(16)と、を備える、特に先行する請求項の1項に記載の電動シリンダ。
【請求項14】
前記磁石(15)が、前記回転軸から半径方向に離れた1つの側に北極を有し、かつ特に半径方向に前記回転軸の反対の側に南極を有することを特徴とする、請求項13に記載の電動シリンダ。
【請求項15】
エンコーダ装置(16)を伴う前記磁石(15)が、前記電子エンコーダ装置(16)および/または制御装置(14)からの信号に基づいて、前記回転要素(5)の回転の速度および/または前記モータ(8)の転流を検出するためにあることを特徴とする、請求項13~14のいずれか1項に記載の電動シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シリンダ、ならびに伸長要素の角度位置および軸方向位置を決定するための磁石を有する電動シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の電動シリンダには、モータの回転運動を伸長要素の直線運動に変換することによって伸長要素のストローク運動を制御するための、電気モータが含まれる。
【0003】
電動シリンダの以前の設計は、それらのストローク長さについては大きい。なおもさらに、電動シリンダは、通常、外部および/または大型の制御装置を装備し、モータは、スピンドル装置から同軸または横方向にオフセットされている。
【0004】
したがって、現在の電動シリンダは、既存の空気圧シリンダの代わりに単純に使用することはできず、広範に適合させることを要求する。これらの基準はまた、可能な限り安価な電動シリンダ設計の中で組み合わされなければならない。
【0005】
欧州特許出願公開第3429065号明細書には、電動シリンダが記述されている。モータ、さらには関連する電子機器およびスピンドル装置ならびに伸長要素は、この目的のためにハウジング内に置かれる。スピンドル装置の軸に対してオフセットして取り付けられ、機械的歯車を介してスピンドル装置を駆動する、電気モータが使用される。この駆動部は、スピンドル装置を移動させ、伸長要素は、移動する。
【0006】
この装置は、それがスペースを節約するものでなく、それ故、確立された空気圧シリンダとの競合力がないという、欠点を有する。
【0007】
したがって、本発明の目標は、従来技術のこれらの欠点を克服することと、コンパクトな設計を許容するものであり、かつ空気圧シリンダの代替として使用することができる、電動シリンダを開発することと、である。
【0008】
目標は、独立請求項に記載の電動シリンダによって解決される。特に、目標は、ステータおよびロータを有するモータと、回転要素および伸長要素を有するスピンドル装置と、制御装置と、ハウジング内部を有するハウジングとを備える電動シリンダによって解決される。制御装置は、モータを制御する。ロータおよび回転要素は、同じ回転軸を有し、その結果、モータは、スピンドル装置を駆動する。好ましくは、ロータは、回転要素に固定される。制御装置は、プリント回路基板をモータ制御のために備え、モータ、回転要素、および制御装置、ならびに特にスピンドル装置は、ハウジング内部に配置される。
【0009】
このような電動シリンダは、非常にスペースを節約する設計を有するのであり、外部制御システムを要求しない。
【0010】
プリント回路基板は、リジッド設計のものであってもよい。なおもさらに、プリント回路基板は、ちょうど1つ設けられてもよい。
【0011】
ちょうど1つのリジッドプリント回路基板を使用することは、スペース節約につながる。
【0012】
この文脈において、「リジッドプリント回路基板」という用語は、塑性変形可能ではなく、特に電子部品を取り付けることができる平坦な平面の表面を有する、プリント回路基板を指す。
【0013】
プリント回路基板を電動シリンダの、1つの側の下に取り付けるには、制御装置をハウジング内部の限られたスペースに対して最適化すること、および、プリント回路基板の配置を含めて電動シリンダの寸法を可能な限り小さく保ちながら、すべての電子部品をプリント回路基板に取り付けることができることが要求される。加えて、ハウジング内のこのようなプリント回路基板は、メンテナンスを促進し、製造コストを低減し、より小さいハウジングを可能にする。なおもさらに、このようなプリント回路基板の配置は、モータへの短い接続を可能にし、それは、電磁両立性挙動に良い影響を与える。加えて、プリント回路基板およびその電子部品は、伸長要素またはスピンドルナットなどの移動する構成要素がそれらと可能な限り最良の電磁両立性を有するようなやり方で、配置される。
【0014】
ロータおよび回転要素はまた、同じ回転軸を有する。これは、追加の機械的伝達が要求されず、モータが回転要素に対してすぐ後ろまたは同軸に取り付けられることができるという、利点を有し、これは、さらなるスペースおよびコストの節約を意味する。
【0015】
好ましくは、ロータを回転要素に固定することは、機械的歯車、またはカップリングなどの他の伝達要素を、節約するという利点を施す。
【0016】
これは、したがってスピンドル装置のベアリングがモータのベアリングでもあり、それ故、必要とされる構成要素がより少なくなり、コストが最小にされるという、帰結を有する。
【0017】
スペースを節約する構築と組み合わせたハウジング内の電動シリンダのためのすべての構成要素の収容は、確立された空気圧シリンダに対して類似的に使用することができる、電動シリンダのコスト効率的な設計を提案する。
【0018】
電動シリンダのスピンドル装置は、好ましくはスピンドルナットを備え、それは、回転要素のねじ山に係合し、追加の接続要素なしでスピンドルナットのねじ山の手段によって伸長要素に固く接続され、回転要素の回転移動を伸長要素の軸方向伸長移動に変換する。
【0019】
この設計はまた、たくさんのスペースを節約し、損耗を可能な限り最小にする。
電動シリンダは、好ましくは、スピンドルナットと伸長要素との間にトルク支持部を備える。トルク支持部は、好ましくは、金属リングおよびプラスチックスライダまたは単一のプラスチック部品からなる。
【0020】
このトルク支持部は、トルクから生じるスピンドル装置の力を、ハウジング内の滑り路に伝達するのに役立つ。
【0021】
電動シリンダのプリント回路基板は、好ましくは、プリント回路基板の平面に対して垂直な高さに対して、配置された小型および大型の電子部品を備える。これらの電子部品のうちの少なくとも1つ、好ましくはすべての大型の電子部品、特にトランジスタおよび/またはコンバータは、プリント回路基板の縁部、特にプリント回路基板の長辺の縁部に配置される。
【0022】
これは、ハウジング内部においてプリント回路基板が占めるスペースがより少ないという、利点を施す。スペースを節約するためには、より大型の電子部品、特にトランジスタおよび/またはコンバータをハウジング内の小さなスペースに配置して、可能な限り最小のハウジングを確保できることが重要である。したがって、電子部品は好ましくはプリント回路基板に、それらが可能な限りスピンドル軸から遠く離れて置かれスピンドル装置の側までハウジング内部に突出するようなやり方で、取り付けられ、それは、この場所でスペースが利用可能であるからである。プリント回路基板の観点から、これは、より大型の電子部品が、プリント回路基板に対して垂直な電子部品の最も長い伸長で、リジッドプリント回路基板の長辺の縁部に可能な限り遠く取り付けられることを意味する。
【0023】
電動シリンダの制御装置は、好ましくは、2つの接続部を備える。1つの接続部は、制御装置への電力および電圧供給のためのものであり、1つの接続は、制御装置との通信のためのものである。
【0024】
一方において、これらの接続部は、電力供給部が制御装置から独立しているため、不良または故障の事象において高い度合いの安全を保証するという利点を有する。他方において、制御装置の接続部は、それらが空気圧シリンダと同じやり方で接続されおよび動作させられることができ、それ故、圧縮エアに頼らなければならないという欠点なしに広範囲の用途に役立つことができるようなやり方で、設計されることが有利である。
【0025】
電動シリンダの制御装置は、好ましくは、相互作用要素を備える。この相互作用要素は、調整要素および/またはステータス表示要素を備える。調整要素は、シリンダにおいて直接、速度調整および/または力調整に使用される。
【0026】
電動シリンダ上に直接ある相互作用要素は、外部電子機器を要求しないという利点を施す。調整オプションは、空気圧シリンダの調整オプションと類似のやり方で電動シリンダに直接取り付けられ、その結果、外部電子機器なしで直接制御が可能である。
【0027】
これは、任意のユーザがソフトウェアの知識なしに電動シリンダを始動することができ、様々な使用のためにそれがアクセス可能になるという、利点を有する。
【0028】
相互作用要素で調整されることができる、可能な要素は、引込みおよび伸長の速度および力のポテンショメータである。次いで、モータの転流および調節は、制御装置によって自動的に調整される。
【0029】
好ましくは、相互作用要素は、伸長中および引込み中の速度のための調整ねじ(速度IN/OUT)と、力のための調整ねじとを有する。
【0030】
好ましくは、相互作用要素は、好ましくはライト、ダイオード、LED、および/またはディスプレイの手段によって、値のユーザの設定を指示し、および/または装置の状態を指示する、状態指示要素を備える。
【0031】
これは、外部ハードウェアまたはソフトウェアの必要なしに、シリンダのユーザが視覚出力を介して電動シリンダの状態を読み取ることを許容するという、利点を有する。
【0032】
これらのステータス指示器は、好ましくはLEDを通じて、電動シリンダの情報を提供する。相互作用要素は、留め具によってハウジングに直接アタッチされ、好ましくは少なくとも部分的にハウジングカバーとして役立つ。
【0033】
電動シリンダは、接続要素を有することが好ましい。
接続要素のうちの少なくとも1つは、伸長要素上に配置される。特に、1つの接続要素は、ハウジングの、一方または両方の端面に形成される。
【0034】
接続要素は、特に、標準化された留めオプション、および電動シリンダの柔軟な使用の観点から、利点を施す。
【0035】
接続要素は、問題に応じて適切な接続要素を電動シリンダに装備することができるという、利点を有する。好ましくは32mmのシリンダ直径用の、空気圧シリンダに対して類似的に、すべての取付け要素を使用することができる。それ故、電動シリンダは、外観、とりわけ接続要素(好ましくはDIN ISO15552に従う)の観点から、空気圧シリンダと競合するだけでなく、応用の可能性の観点からも、空気圧シリンダと競合する。
【0036】
電動シリンダのハウジングは好ましくは、電動シリンダを通る回転要素の軸に対する直交断面がモータの外径の150%、特に130%、さらに特に120%よりも決して広くないように、小さい。ハウジングから突出する接続部は、これから除外される。モータの外径とは、モータの外形部分、すなわち外形部分としてのステータまたは外形部分としてのロータのいずれかの、外径を意味する。
【0037】
それ故、ハウジングのどの部分も、モータよりもあまり広くない。これは、すべての構成要素のインターナル取付けにもかかわらずハウジングが非常に小さいという、利点を有する。
【0038】
電動シリンダは、ロータの両側に、回転要素と同軸に配置された2つのボールベアリングを有することが好ましい。
【0039】
これは、ロータが比較的広いベアリングによってうまく支持され、かつ同時に回転要素の良好な支持が与えられるという、利点を有する。これにより、より長い運転時間が保証される。
【0040】
電動シリンダのハウジングは、横断面において、実質的に多角形、好ましくは実質的に長方形、特に好ましくは実質的に正方形のハウジングを有し、および/または、ハウジングの本体は、アルミニウム押出し成形品で作られる。
【0041】
多角形の形状は、それが、ハウジングを拡大することなく、可能な限り最もスペースを節約するやり方でプリント回路基板をハウジング内部に収容することを許容するという、利点を有する。正方形の形状は、それがまた従来の空気圧シリンダの形状に対応するから、特に適している。電動シリンダのハウジングは、理想的には、軽いけども強い材料で作られるべきである。アルミニウム押出し成形品は、軽量であり、安価であり、したがって非常に適している。アルミニウム押出し成形品を使用することにより、外部電子機器も、冷却さえも使用しなくてよいという利点を有する非常にコンパクトな設計を電動シリンダが有することが、許容される。それにもかかわらず、電動シリンダは、動作中に加熱されるステータのコイルがハウジングの外側に置かれるから、ファンもしくは熱交換器などの追加のインターナル冷却、または外部冷却を、非常に容易に設けられることができる。
【0042】
それ故、モータのサイズを容易に調整することができ、それにより、モータの熱放散を向上させることが容易となる。加えて、空気圧シリンダとは違って、対応するラインおよびバルブを有する圧縮装置は、必要ない。また、空気圧シリンダとは違って、圧縮器でのエアの圧縮に起因するエネルギーの損失は、ない。加えて、電動シリンダ内の構成要素は、エアを強く膨張させることによって冷却されない。電動シリンダは、それにもかかわらず空気圧シリンダと同じやり方で使用することができるため、それは、アクセス困難でありおよび/または外部構成要素を許容しない、多くの応用領域を開く。
【0043】
電動シリンダは好ましくは、ハウジング、特にハウジングおよびハウジングカバーが、接続部およびステータス表示要素を除いてその全長にわたって本質的に同じ横断面を有するという事実を、特徴とする。
【0044】
一定の横断面に起因して、電動シリンダのすべての構成要素をスペースを節約する様態でハウジング内に載置することができ、空気圧シリンダに対して類似的な形状および類似の質量を形成することができる。
【0045】
電動シリンダのハウジングはまた、好ましくは、1つの本体側ハウジングカバーおよび2つの端側ハウジングカバーを含むものとする。端面ハウジングカバーのうちの1つはまた、同時にモータのモータハウジングであることが好ましい。
【0046】
プリント回路基板は、相互作用要素が配置された、本体側ハウジングカバーで覆うことができる。この目的のために、ハウジングカバーは好ましくは、ねじ止めされるなど、ハウジングの本体に取外し可能に留められる。これは、電子部品への容易にアクセス可能なアクセスを保証するという、利点を有する。加えて、リジッドプリント回路基板を容易に取り替えることができ、または、相互作用要素の不良を修復することができる。加えて、ハウジングの内部に構成要素を挿入するための、ドリル穴および関連するシールを通した、配線の複雑な挿入の必要はない。
【0047】
ハウジングカバーの内側にモータを取り付けることにより、前部ハウジングカバーもモータハウジングであるため、コンパクトな設計が許容され、スペースが節約される。
【0048】
モータのハウジングカバーは、モータが実質的に完全にハウジングカバー内に置かれるように、一体に形成されてもよい。ハウジングカバーをハウジングにアタッチするための留め具は、ハウジングの接続溝、およびハウジングカバーが軸方向にモータに隣接するように、配置されてもよい。
【0049】
なおもさらに、スピンドルを支持するためのベアリングを、ハウジングカバー内に置くことができる。それ故、スピンドルは、不均衡なく回転する。
【0050】
モータはそれ故、スピンドルナットではなく、直接スピンドルを駆動する。
それ故、ロータおよび/またはステータの寸法にカバーを適合させることができ、ハウジング内部において追加のスペースを節約することができ、シリンダのより小さい外形寸法をもたらす。
【0051】
伸長要素のための開口部を有する端カバーはまた、伸長要素のためのベアリングおよびシールを含む。シールは、ちりによる損傷および汚染、または泥、さらには湿気による損耗を、防止する。ハウジングカバーは、1つ以上の留め具によってハウジングにアタッチされ、好ましくは除去可能である。
【0052】
現在の最新技術に従えば、回転要素をより良好に支持するために、回転要素と回転要素の端にある伸長要素との間のスペースに滑りベアリングが載置されることが多い。
【0053】
これは、滑りベアリングが回転および並進運動の両方の摩擦を吸収しなければならず、それ故激しい損耗を受けるという、欠点を有する。
【0054】
したがって、本発明の目標は、従来技術におけるこれらの欠点を克服することと、電動シリンダ内の回転要素および伸長要素の耐久性を高める、電動シリンダを開発することと、である。
【0055】
電動シリンダは、好ましくは前述したように、ステータおよびロータを有するモータと、回転要素および伸長要素を有するスピンドル装置とを含む。スピンドル装置は、組合せベアリングを含む。このような組合せベアリングは、平ベアリングおよびボールベアリングを備える。この組合せベアリングは、回転要素と伸長要素との間に、好ましくはモータから最も遠い回転要素の側に、配置される。
【0056】
それ故、組合せベアリングは、電動シリンダの耐久性を高める。これはとりわけ、他の多くの電動シリンダを超える利点である。
【0057】
組合せベアリングが、回転要素と伸長要素との間で、モータからの最大距離に可能な限り近く載置される場合、大なる利点が得られ、それは、最も長いレバーアームがそこに存在するからである。そういうわけで、組合せベアリングは、回転要素と伸長要素との間で、モータとは別の方へ面する端面に配置されることが好ましい。
【0058】
電動シリンダのモータは、ブラシレスモータであることが好ましく、なぜなら、それは、受ける損耗が著しくより少なく、耐用年数がより長いからである。
【0059】
電動シリンダ内の伸長要素の軸方向位置および回転要素の角度位置を決定することは、従来技術において往々にして大きな構成要素でのみ可能であり、それ故、たくさんのスペースを要求する。軸方向位置および角度位置を決定することはまた、ステータに対して相対的なロータの位置にかんして結論を引き出すことを許容すべきであり、なぜなら、これは、モータを転流することができ、ブラシレスモータを使用することができるという、利点を有するからである。
【0060】
したがって、本発明のさらなる態様に従えば、本発明の目標は、従来技術のこれらの欠点を克服することと、伸長要素の軸方向位置および回転要素の角度位置を決定する、スペースを節約する方法を提供する、電動シリンダを開発することと、である。
【0061】
目標は、独立請求項に記載の電動シリンダによって解決される。
電動シリンダ、特に前述の電動シリンダは、ステータおよびロータを有するモータ、回転要素および伸長要素を有するスピンドル装置、特に制御装置、さらには回転要素の端面上または端面内の少なくとも1つの磁石、ならびに電子エンコーダ装置を備える。エンコーダ装置は、回転要素の回転軸に対して実質的に軸方向に配置される。エンコーダ装置は、磁石の角度位置を読み取るために、および/または伸長要素の軸方向位置を決定するために使用される。
【0062】
エンコーダ装置および磁石の、この取り付けることは、非常にスペースを節約する様態で磁石の位置を読み出すことができるという、利点を有する。この文脈において、ロータを回転要素に恒久的に接続しない場合、磁石をロータにアタッチすることも、考えられる。しかしながら、好ましくは、磁石は、回転要素の回転軸上に配置され、なぜなら、これは、不均衡が発生することができないという、利点を施すからである。このケースにおいて、磁石の南極が回転軸の1つの側に配置され、磁石の北極が南極の反対側の回転軸の他方の側に配置されるように、磁石は設計される。
【0063】
カウンタおよびスピンドル装置のねじ山にかんする情報、さらには磁石の角度位置の助けで、伸長要素の軸方向位置を、制御装置および/またはエンコーダ装置によって、いよいよ決定することができる。これは、磁石およびエンコーダ装置を備える読出し装置が回転要素の回転軸に沿った軸方向移動を実行する必要なく、伸長要素の位置が決定されることができるという、利点を施す。
【0064】
別の実施形態では、磁石はまた、回転要素の面上で横方向に、回転軸から離れて取り付けられることができ、一方、エンコーダ装置は、回転要素に対して軸方向に中心に取り付けられる。そういうわけで、角度位置の情報は、回転要素の回転に起因する磁場の方向の変化から生じる。
【0065】
好ましくは、電動シリンダは、磁石であって、回転軸から半径方向に離れた1つの側に北極を有し、かつ特に、半径方向に回転軸の反対の側に南極を有する磁石を備える。
【0066】
好ましくは、磁石は、回転要素の軸に直交する極性を有する。これは、それが回転要素の重心をずらすことなく中央に載置されるのであり、かつ容易に読み出されることができるという、利点を施す。直径となる磁石は、この用途に非常に適しているが、他の磁石形状も、可能である。
【0067】
角度位置および軸方向位置を決定するためのエンコーダ装置を伴う磁石の設置は、スペースを大きく節約するという利点を施し、それは、伸長要素の軸方向位置の測定が、磁石の回転のみによって、同じ所で静的に行われるからである。
【0068】
電子エンコーダ装置および/または制御装置の信号の手段によって、回転要素の回転速度および/またはモータの転流を検出するために、エンコーダ装置を伴う磁石が使用されるという、回転要素の端面上または端面内における磁石の使用によって、目標が解決されることがさらに好ましい。
【0069】
これは、適切な転流によってブラシレスモータの使用が可能であり、かつ加えてホールセンサなどのさらなるセンサ技術が要求されないという、利点を有する。
【0070】
転流については、ステータに対して相対的なロータの位置/角度位置を、常に知らなければならない。
【0071】
ロータは好ましくは回転要素に固く接続され、かつ磁石は回転要素に固く接続されるから、磁石の角度位置もロータの位置を決定する。これは、静止ステータに対して相対的なロータの位置をいつでも測定できるという、利点を有する。
【0072】
これは、ブラシレスモータを使用できるという利点を施す。ブラシレスモータ、好ましくはBLDCモータは、保持トルクが高く、動的さが低く、損耗がより少ないことに起因して寿命がより長く、ブラシモータまたはステッパモータよりも効率的である。モータの転流、すなわち正しいコイルを正しい時間に通電することは、制御装置および/またはエンコーダ装置の電子部品、ならびに決定された角度位置によって遂行されなければならない。
【0073】
本発明は、単に実施形態の例である図を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明に従う電動シリンダを通る長手方向断面の図である。
図2】電動シリンダのハウジングの外部ビューの図である。
図3】電動シリンダのハウジングの外部ビューの図である。
図4】電動シリンダの横断面の図である。
図5】モータに面する電動シリンダの端面の外部ビューの図である。
図6】モータとは別の方へ面する電動シリンダの端面の外部ビューの図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図中の同一の参照符号は、同一の構成要素を指示する。
図1は、リジッドプリント回路基板13および制御装置14を有する、本発明に従う電動シリンダ27を示す。ハウジング内部26には、ステータ9およびロータ10を有するモータ8と、回転要素5および伸長要素6を有するスピンドル装置4とが配置されている。ハウジング内部26は、外側ならびにすべてのハウジングカバー1、3、および12に対して、ハウジング21の境界によって閉じられている。前部ハウジングカバー3における開口部であって、伸長要素が当該開口部を通って電動シリンダから突出する開口部はまた、ハウジング内部26を画定する。
【0076】
モータ8のハウジングをも形成する、電動シリンダのハウジングカバー1はまた、磁石15と、伸長要素6の角度位置および軸方向位置を読み取るためのエンコーダ装置16とを包含する。
【0077】
図1はまた、スピンドルナット7、およびトルクアーム19の対応する位置、ならびに回転要素5と伸長要素6との間の滑りベアリングおよびボールベアリングからなる組合せベアリング20の使用、ならびに制御装置14の構成要素である、リジッドプリント回路基板13、相互作用要素12、および接続部11を示す。
【0078】
なおもさらに、図1は、ハウジングカバー1の内側のスピンドル装置4と同軸のモータ8の配置を示す。2つの深溝ボールベアリング17によって囲まれたロータは、この実施形態では、スピンドル装置4の回転要素5に固く接続されている。
【0079】
ハウジングカバー1および3ならびに伸長要素6はまた、接続要素18を含む。
電動シリンダのモータは、ステータ9のコイルを適正な時間に通電することによって、電流を、両側の深溝ボールベアリング17によって支持された、ロータ8の回転移動に変換することができる。回転要素5に固く接続された、ロータの回転移動の成果として、回転要素5も結果的に回転する。この実施形態では、回転要素5は、スピンドルナット7に係合し、それは、回転移動を伸長要素6の並進移動に伝達する。伸長要素6は、ハウジング21の外へまたは中への並進移動を実行することだけができ、回転しない。このケースにおいて、ロータの周りの2つのボールベアリング17、および回転要素5の前端にある組合せベアリング20は、摩擦が最小にされ、力が大幅に低減されず、または部品が急速に損耗することを、確実にする。前部ハウジングカバー3の開口部を通って突出する、伸長要素6が、ハウジングカバー26の、外へ、および中へ戻すように、移動させられることを、この並進運動は許容する。伸長要素6の最大限に引き込まれた状態では、伸長要素6は、図1に示されるように、ハウジング内部26から外へ部分的に伸長してもよい。速度、力、ステータ9の通電、ならびに伸長要素6の軸方向位置の決定および角度位置の決定は、制御14および/またはエンコーダ装置16によって制御または調節される。
【0080】
図2は、図1からの電動シリンダの側ビューを示す。なおもさらに、図2は、ねじ29での、好ましくはねじロックでの、後部ハウジングカバー1と前部ハウジングカバー3との留めを示す。電動シリンダの横断面Bを図4に示す。伸長要素6の接続要素18のねじ山寸法は、KKで指定されている。長さAは、ハウジング21の外側の、伸長要素6の接続要素18の長さを示す。
【0081】
長さLは、次の寸法以下である。L<=L+H。
Hは、最大ストローク長さをミリメートルでしめし、Lは、シリンダ力(Fmax)に依存する長さであり、シリンダ力(Fmax)は、電動シリンダ27によって達成可能な最大力を表し、Lは特に、表から取ることができる、以下の力に依存する表現に関係する。
【0082】
【表1】
【0083】
したがって、設置長さ、取付けオプションおよびサイズに起因する寸法は、空気圧シリンダのものと非常に類似し、好ましくはISO15552規格に準拠する。「空気圧シリンダの片割れ」という指定は、値が、そのようなピストン直径を有する空気圧シリンダに対して類似的であると理解されるべきであることを、意味する。
【0084】
長さTGを図6に示す。
図3は、接続部11および相互作用要素12からなる制御装置14を有する電動シリンダ27の上側を示す。相互作用要素12は、速度調整24および力調整23のための調整要素23、24および25、さらには、ライト25、好ましくはLEDの形態のステータス表示要素を有する。速度調整の調整要素24は、伸長要素6を伸長させ(OUT)および引き込む(IN)ときの、異なる設定を許容する。この実施形態の例では、本体側のハウジングカバーも相互作用要素12であり、それは、この実施形態では6つのねじ28によって固定されている。
【0085】
なおもさらに、図1に示す長手方向断面Aは、ここに示されている。
図4は、接続部11およびハウジング内部26の場所における、電動シリンダ27の横断面Bを示す。それ故、一方では、スピンドル装置4、さらにはリジッドプリント回路基板13を見ることができる。図4は、スペースを節約するために大型の電子部品22が配置されハウジングの内部に突き出す、形態を示す。このスペースを節約する設計は、電動シリンダおよびその特徴が機能することをイネーブルするために、制御装置14のただ1つのリジッドプリント回路基板13を使用することを可能にする。
【0086】
なおもさらに、好ましくは絶縁のサーマル伝導性箔は、電子部品22に付けられて、電子部品がハウジングに接触しないことを確実にする。
【0087】
ハウジング2はまた、スピンドル装置4をハウジング仕切り2aでリジッドプリント回路基板13の側へ取り囲み、それ故、伸長要素6の伸長および引込みから生じるちり、不純物、または水分の、可能性のある取込みが制御装置14に干渉できないことを確実にする。
【0088】
電動シリンダのこの実施形態の実質的に正方形の基部は、丸みを帯びた角を有し、側は、電子機器の反対の側へ、わずかに漏斗形状で延在する。
【0089】
図5は、電動シリンダ27の後端面を示す。この実施形態では、後部ハウジングカバー1は、4つのねじ29によって取外し可能に固着させられ、4つの接続要素18を有し、各々ねじ山を有する穴の形態である。表内で言及される距離TGは、図5の後部ハウジングカバー1および前部ハウジングカバー3の、接続要素18間に示されている。
【0090】
図6は、前部ハウジングカバー3を有する電動シリンダ27の前面を示す。前部ハウジングカバー3も、4つの接続要素18を有する。
【0091】
なおもさらに、図6は、伸長要素6の接続要素18を、この実施形態ではねじ山として示す。
【0092】
接続要素18の配置は、直径RTを有し、ハウジングカバー1および3のこの本質的に正方形の設計において正方形に配置もされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】