(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】自動車シートに装着するためのインパクトシールド付きチャイルドシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/26 20060101AFI20231124BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B60N2/26
B60N2/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526180
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2021079526
(87)【国際公開番号】W WO2022090147
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202020106242.5
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505222381
【氏名又は名称】サイベックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツールン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポウエル、イアイン
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087CE07
(57)【要約】
本発明は、チャイルドシート(10)に関し、チャイルドシートは、子供(K)を受け入れるための本体(11)と、子供を保持するためのインパクトシールド(12)とを備え、子供の重心(S)が、少なくとも自動車の急な減速の開始時、および/または自動車の急な減速の際、たとえば正面衝突の際の車両シートに対する子供の回転の開始時および/または本体に対する子供の回転の開始時の初期状態において、子供が本体に対して回転し始めるとすぐに子供が本体に対して回転する回転軸である子供回転軸(51)が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さ、またはそれより下、好適にはわずかに下にあり、および/または、インパクトシールドが本体に対して回転することが可能な少なくとも1つのインパクトシールド回転軸(41、42、60)が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さ、またはそれより下、好適にはわずかに下にあるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車と、前記自動車の車両シート(100)上に配置されたチャイルドシート(10)とを備えるシステムであって、前記チャイルドシート(10)は、子供(K)を収容するための本体(11)と、前記子供を保持するためのインパクトシールド(12)とを有し、前記チャイルドシート(10)は、前記子供の重心(S)が、少なくとも前記自動車の急な減速の開始時、および/または前記自動車の急な減速の際、たとえば正面衝突の際の前記車両シートに対する前記子供の回転の開始時および/または前記本体(11)に対する前記子供の回転の開始時の初期状態において、
前記子供が前記本体(11)に対して回転し始めるとすぐに前記子供が前記本体(11)に対して回転する子供回転軸(51)が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にあり、および/または、
前記インパクトシールド(12)が前記本体(11)に対して回転可能である少なくとも1つのインパクトシールド回転軸(41、42、60)が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にあるように構成される、システム。
【請求項2】
前記本体(11)は、前記子供が着座可能である着座領域(32)を画定する少なくとも1つのシート部(13)と、好適には横方向に前記子供を支持するための横方向の支持部(33)とを備えること、および/または、
前記インパクトシールド(12)は、前記子供(K)を保持するための少なくとも1つの中間部(34)と、任意選択的に、好適には前記本体(11)の前記支持部にそれ自体が支持される側部(30)とを備えること
を特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記本体(11)の着座領域/前記着座領域(32)の前部分は、前記子供を拘束するために、好適には中央に位置する隆起部(36)を有すること
を特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記チャイルドシート(10)、特にその本体(11)は、前記チャイルドシート(10)を前記車両シートに固定するための第1の固定手段(16)、好適にはIsofix固定手段および/またはラッチ固定手段を有すること、および/または、
前記チャイルドシート(10)、特にその本体(11)および/またはインパクトシールド(12)は、前記チャイルドシート(10)を前記自動車シートに固定可能であるように自動車ベルトを受け入れるためのガイド機構を有すること、および/または、
前記チャイルドシート(10)、特にその本体(11)は、前記車両シート(100)に対して、チャイルドシート回転軸または本体回転軸を中心として回転可能であること
を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記インパクトシールド(12)は、回転および/または並進に対して、特に回転に対して、前記本体(11)に少なくとも実質的に強固に、ただし好適には少なくとも部分的に着脱可能に接続され、または接続可能であること
を特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記子供回転軸(51)は、前記インパクトシールド(12)の表面上にあり、好適には、少なくとも前記子供の回転の開始時、上側または内側の表面上にあること、および/または、
前記子供回転軸(51)は、前記子供の前記回転中、少なくとも段階的に、場合によっては少なくとも前記回転の初期段階において、前記インパクトシールド(12)に対して変位し、および/または少なくとも段階的に、場合によっては少なくとも前記回転の初期段階において、前記インパクトシールド(12)に対して静止した状態を維持すること
を特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インパクトシールド(12)は、回転移動が可能であるが、好適には純粋な並進は可能ではなく、好適には前記本体(11)に少なくとも部分的に着脱可能に接続され、または接続可能であり、好適には、前記本体(11)に接続された、または接続可能な丁度1つのインパクトシールド回転軸または丁度2つのインパクトシールド回転軸または2より多い数のインパクトシールド回転軸を中心として回転移動が可能であり、好適には、少なくとも1つのインパクトシールド回転軸は、前記子供回転軸と少なくとも一時的に同一であること
を特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記チャイルドシート(10)は、前記インパクトシールド(12)を前記本体(11)に固定するための少なくとも1つのインパクトシールド固定手段を備え、前記インパクトシールド固定手段は、好適には、
丁度1つまたは丁度2つまたは2より多い数のインパクトシールド回転軸を中心とした前記インパクトシールド(12)の回転を可能にすること、および/または、
前記本体(11)に連結された、または連結可能な少なくとも1つの第1の部分、好適には前記本体(11)の両側に少なくとも1つの第1の部分、および/または、前記インパクトシールド(12)に連結された、または連結可能な少なくとも1つの第2の部分、好適には前記インパクトシールド(12)の両側に少なくとも1つの第2の部分を有すること、および/または、
前記本体(11)と前記インパクトシールド(12)との間の接続部に少なくとも1つまたは丁度1つまたは2つの間接接続部を有すること、および/または、
少なくとも部分的に、場合によっては完全に、場合によっては対応する間接接続部を除いて、剛性に形成されること、および/または、
少なくとも部分的に、場合によっては完全に、寸法的に不安定に形成され、たとえば少なくとも1つのベルト部を有すること
を特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記インパクトシールド(12)は、少なくとも1つの第1のインパクトシールド回転軸(41)、および/または、好適には前記第1のインパクトシールド回転軸から逸脱し、少なくとも前記車両シートに対する前記子供の前記回転の開始時および/または前記本体(11)に対する前記子供の前記回転の開始時、特に前記第1のインパクトシールド回転軸より上および/または前記第1のインパクトシールド回転軸の前方にあり、または前記第1のインパクトシールド回転軸と一致している少なくとも1つの第2のインパクトシールド回転軸(42)を中心として、前記本体(11)に対して回転可能である
ことを特徴とし、任意選択的に、
前記第1のインパクトシールド回転軸は、前記本体(11)および前記インパクトシールド(12)を前記本体(11)に接続するための接続装置の連結によって画定され、任意選択的に、前記インパクトシールドとの連結によって画定されること、および/または、
前記第2のインパクトシールド回転軸は、前記本体(11)とインパクトシールド(12)との間の接続のための接続装置/前記接続装置の前記インパクトシールド(12)への連結によって画定されること、および/または、
前記子供の前記重心(S)は、少なくとも前記子供の回転の開始時、前記第2のインパクトシールド回転軸の高さと少なくとも概ね同じ高さ、またはそれより下、および/または前記第2のインパクトシールド回転軸の後方にあること、および/または、
前記子供の前記重心(S)は、少なくとも前記子供の回転の開始時、前記第1のインパクトシールド回転軸の高さと少なくとも概ね同じ高さ、または特に好適には前記第1のインパクトシールド回転軸の高さより上または下、および/または前記第1のインパクトシールド回転軸の前方にあること、および/または、
前記本体は下面を有し、前記第1および第2のインパクトシールド回転軸を接続し、前記第1および第2のインパクトシールド回転軸と垂直な接続線は、前記チャイルドシートの前記下面に対し60°未満、好適には50°未満、および/または10°より大きい角度を有し、および/または、前記インパクトシールド(12)が前記本体(11)の上において支持される少なくとも1つの支持表面に対し少なくとも概ね平行に位置合わせされること、および/または、
前記第1のインパクトシールド回転軸を中心とした前記インパクトシールド(12)の回転により、前記インパクトシールド(12)は、前記インパクトシールド(12)が前記本体(11)の上で支持されている支持表面/前記支持表面に力を加え、前記力は、好適には、前記支持表面に少なくとも概ね垂直な方向であること、および/または、
前記第1のインパクトシールド回転軸は、前記インパクトシールド(12)の下端より上、および/または前記インパクトシールド(12)が前記本体(11)の上で支持されている支持表面/前記支持表面の下端より上に配置されること、および/または、
前記第1および/または第2のインパクトシールド回転軸は、チャイルドシート回転軸、好適には前記チャイルドシート(10)またはその本体(11)が前記車両シートに対して回転する本体回転軸より上に配置されること
が適用される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記チャイルドシート(10)は、前記回転中の前記子供の重心(S)が、少なくとも概ね前記子供回転軸および/または少なくとも1つのインパクトシールド回転軸(41、42、60)の高さに留まり、または前記子供回転軸(51)および/または少なくとも1つのインパクトシールド回転軸の高さに対して上方に移動し、特に、この高さよりわずかに下にある初期位置から、この高さより少なくともわずかに上にある中間および/または最終状態まで移動するように構成されること
を特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記チャイルドシート(10)は、前記子供の回転の進行中、前記本体(11)および/または前記自動車に対する前記子供の回転方向の逆転が少なくとも1回または丁度1回起こるように構成されること
を特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記子供は、前記チャイルドシート(10)内にあり、好適には配置され、特に固定されること
を特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
自動車シートに装着するための、特に請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステムのための、またはその構成要素としてのチャイルドシート(10)であって、前記チャイルドシート(10)は、子供を収容するための本体(11)と、前記子供を保持するためのインパクトシールド(12)とを備え、前記チャイルドシート(10)は、前記子供の重心(S)が、少なくとも前記子供の回転の開始時、および/または前記自動車の減速の際、たとえば正面衝突の際の前記本体(11)に対する前記子供の回転の開始時の初期状態において、
好適には、少なくとも前記チャイルドシート(10)が、水平に対して少なくとも0°かつ最大30°の角度で傾斜するように自動車の座面に配置されている場合、
前記子供が前記本体(11)に対して回転し始めるとすぐに前記子供が前記本体(11)に対して回転する子供回転軸が存在する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にあり、および/または、
少なくとも1つのインパクトシールド回転軸が存在する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にある、チャイルドシート(10)。
【請求項14】
請求項1~12の1または複数に記載のチャイルドシート特徴を備える、請求項13に記載のチャイルドシート(10)。
【請求項15】
好適には、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステムおよび/または請求項13または14の1項に記載のチャイルドシート(10)が提供される、自動車の車両シートにチャイルドシート(10)を配置する方法であって、前記チャイルドシート(10)は、子供を収容するための本体(11)と、前記子供を保持するためのインパクトシールド(12)とを備え、前記チャイルドシート(10)は、前記子供の重心(S)が、少なくとも前記子供の回転の開始時および/または前記自動車の減速の際、たとえば正面衝突の際の前記本体(11)に対する前記子供の回転の開始時の初期状態において、
前記子供が前記本体(11)に対して回転し始めるとすぐに前記子供が前記本体(11)に対して回転する子供回転軸が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にあり、および/または、
少なくとも1つのインパクトシールド回転軸が存在する高さと少なくとも概ね同じ高さにあり、または好適にはわずかに下にある、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ならびに自動車の車両シートに配置されるチャイルドシートを備えるシステム、対応するチャイルドシート、および自動車の車両シートにチャイルドシートを配置するための方法に関する。
【0002】
インパクトシールドを有する自動車用チャイルドシートは、たとえばDE202012102223U1号に記載される。ここでは、インパクトシールドまたは子供を保持するために1つだけではなく2つの横方向ベルト部を提供することにより、2つのベルト部が互いにオフセットされることが提案される。それによって、(1つの横方向ベルト部しか有さない解決策と比べて)子供の回転が打ち消されることになる。しかし、この解決策は、設計および安全性の点でまだ改善が必要であると考えられる。
【発明の概要】
【0003】
したがって、特に本発明の目的は、比較的単純な方法で子供をチャイルドシート内または車両シート上にしっかりと保持するインパクトシールドを有する、自動車用チャイルドシートを提案することである。特に、事故発生時の子供(または子供の上半身)の回転に伴う危険性は、可能な限り低減されなければならない。また、本発明の目的は、チャイルドシートおよび自動車を備える対応するシステム、ならびにチャイルドシートを自動車の車両シート上に配置するための方法を提案することである。
【0004】
特に、この目的は、車両、特に自動車と、車両、特に自動車の車両シート上に配置されたチャイルドシートとを備えるシステムによって解決され、このチャイルドシートは、子供を収容するための本体と、子供を保持するためのインパクトシールドとを有し、チャイルドシートは、子供の重心が、少なくとも子供の(特に車両シートに対する、任意選択的に本体に伴う)回転の開始時、および/または車両(自動車)の(特に急な)減速の際または正面衝突(車両の前方の建物との衝突)の際の本体に対する子供の回転の開始時の初期状態において、子供が本体に対して回転し始めるとすぐに子供が本体に対して回転する子供回転軸が存在する高さと少なくとも概ね同じ高さ、または好適にはわずかに下にあり、および/または、インパクトシールドが本体に対して回転可能である少なくとも1つのインパクトシールド回転軸が存在する高さと(少なくとも概ね)同じ高さ、または(好適にはわずかに)下にあるように構成される。
【0005】
本発明の核心的概念は、子供のために自動車の車両シート上に(通常)組立てまたは配置する場合、子供回転軸またはインパクトシールド回転軸が、子供の重心がそれぞれの回転軸の高さと(少なくとも概ね)同じ高さ、または(好適にはわずかに)下にあるように形成されるようにチャイルドシートを構成することである。そうすることで、子供の(過度の)回転が比較的単純な方法で防止され得る。その結果、更なる構造的手段(たとえば、DE202012102223U1号に記載されるような回転防止用の追加構造など)が必要に応じて省略され得る。全体として、構造的に単純な方法で安全性の改善が実現される。
【0006】
それぞれの回転軸が存在する高さとは、特に、それぞれの回転軸が存在する水平面として理解される。子供の重心は、重心がこの高さから(上方および/または下方に)最大8cm、好適には最大5cm、更に好適には最大2cm、場合によっては最大1cm逸脱する場合、「概ね」この高さ(または対応する水平面)にあると言える。
【0007】
特に、子供の重心は、それぞれの高さより最大10cm、好適には最大7cm、場合によっては最大3cm下にあり、および/または、この高さより少なくとも0.5cmまたは少なくとも1cm下にある場合、それぞれの高さ(または対応する高さ)より「わずかに」下にあると考えられる。
【0008】
いずれの場合も、上記高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(少しだけ)下に配置することにより、子供が(たとえばインパクトシールドの下またはインパクトシールドの上で)比較的わずかにしか回転しないことが実現される。
【0009】
特に、子供回転軸は、特に(少なくとも)子供の回転の開始時に、子供が本体に対して(所与の時間に)回転する回転軸(場合によっては回転軸の1つ)であることが意図される。いくつかの実施形態において、子供回転軸は、インパクトシールドの上部後縁であると考えられ得る。
【0010】
特に、インパクトシールド回転軸は、インパクトシールドが本体に対して(所与の時間に)回転する回転軸(場合によっては回転軸の1つ)であることが意図される。いくつかの実施形態において、インパクトシールド回転軸(複数も可)は、子供回転軸(複数も可)を形成してもよい。
【0011】
子供および/またはインパクトシールド回転軸(以下、省略して「回転軸」または「それぞれの回転軸」)は、子供および/またはインパクトシールドの回転(本体に対する回転、場合によっては、たとえば車両シートが少なくとも基本的に非弾性または剛性に設計されている場合、および/または、たとえば支持脚部の形状など、チャイルドシートに対して回転を避ける措置が取られている場合、車両シートに対する回転)の全体を通して同じ位置に留まり、またはシフトしてよい。
【0012】
それぞれの回転軸および/または子供の重心が(チャイルドシートおよび/または本体の最下点に対する高さ、および/または水平面上の突出に対する、チャイルドシートおよび/または本体の最前点との距離に関して)シフト/位置変更すると、それぞれの(幾何学的)条件(上述した回転軸に対する重心の配置に関する条件、また後に定義する、回転軸に対する重心の条件または異なる回転軸の互いに対する条件)は、好適には、少なくとも5°、好適には少なくとも10°、および/または最大20°の回転角度範囲(車両シートに対する本体の回転および/または本体に対するインパクトシールドの回転)に適用されるものとする。
【0013】
それぞれの回転軸(または互いに考慮されたいくつかの回転軸)に対する子供の重心の更なる定義または好適な幾何学的関係が上述および/または後述される場合、それぞれの条件は、特に明記されない限り、好適には、自動車の(急な)減速の際、たとえば正面衝突の際の子供またはインパクトシールドのそれぞれの回転の開始時に少なくとも満たされているものとするが、必要に応じて、それぞれの回転の経過中にも満たされるものとする。
【0014】
一般に、本発明に係るチャイルドシートは、(自動車)車両(たとえば乗用車やトラック)の車両シートに配置(装着)するために構成されたチャイルドシートである。チャイルドシートは、(特にシート部を備える)本体と、インパクトシールドとを備える。シート部は、着座領域と、(任意選択的に)(特にインパクトシールドを支持または補強するため、および/または横方向の動きや横方向の加速、たとえば側面衝突の場合に子供を横方向に支持するための)左側および/または右側支持部を画定してよい。
【0015】
本体は、チャイルドシートを車両シートに取り付けるための第1の固定手段(たとえばIsofix固定手段および/またはラッチ固定手段)を備えてよい。
【0016】
チャイルドシートは、チャイルドシートが車両シートに固定され得るように車両ベルトをガイドするための少なくとも1つのガイド機構を含んでよい(たとえば、本体は、本体が車両シートに固定され得るように車両ベルトをガイドするための対応するガイド機構を含んでよく、および/または、インパクトシールドは、本体およびインパクトシールドの両方が車両シートに保持されるように車両ベルトをガイドするための少なくとも1つの対応するガイド機構を含んでよい)。
【0017】
チャイルドシートは、背もたれ、ヘッドレスト、(たとえば側面衝突の際に)子供を横方向に支持するための側部要素(側部ウイング)、支持脚部、頂部テザー、および/または基部を備えてよい。
【0018】
インパクトシールドは、好適には、本体に対して子供を保持するためにチャイルドシートの本体に(好適には少なくとも部分的に着脱可能、特に取外し可能に)取付け可能な装置を意味することが意図される。インパクトシールドは、好適には、(特に、自重で折り畳まれない、および/または小さな外力を受けた時に折り畳まれないという意味で)(少なくとも部分的に)寸法的に安定している。
【0019】
インパクトシールドは、(少なくとも相当に、たとえば80重量%以上が)プラスティック製であってよく、および/またはクッション(たとえば発泡クッション)を備えてよい。インパクトシールドは、30重量%以上、好適には60重量%以上が、固体および/または非多孔性材料(プラスティック)で形成され得る。インパクトシールドは、30体積%、好適には60体積%が、多孔性材料(特に発泡プラスティック、たとえばEPSまたはEPP)で形成され得る。インパクトシールドは、少なくとも200gまたは少なくとも500g、および/または最大5kgまたは最大2kgの重量であってよい。
【0020】
インパクトシールドは、(特に、少なくとも車両シートに対する子供の前方加速に対して)子供を拘束するように構成された中間部を備えてよい。代替または追加として、インパクトシールドは、好適には本体の対応する(横方向)支持部で支持されるように構成された少なくとも1つの側部(好適には左右部分)(保持部/拘束部)を備えてよい。
【0021】
インパクトシールドは、インパクトシールド(特に、本体およびインパクトシールドの両方)を車両シートに固定可能であり、場合によっては、同時にインパクトシールドを本体に固定可能であるように、適宜、車両ベルトをガイドするための少なくとも1つのガイド機構を備えてよい。
【0022】
チャイルドシートは、好適には、車両シート上に前向きに配置するために(子供が進行方向を向くように)構成される。特に、進行方向とは、チャイルドシートに着座した子供が(まっすぐ前方を向いた時に)進行方向を向くような、車両の直進方向の動きを意味することが理解される。(直進している)車両が、たとえば正面衝突によって(急に)減速すると、子供およびチャイルドシートは、進行方向に作用する慣性力を受ける。
【0023】
一般に、「左」および「右」という指示は、好適には、進行方向に関連して(特に、子供の左肩が左側にあり、子供の右肩が右側にあるように)理解されるものとする。たとえば上または下、上方/上側または下方/下側、上側/上部または下側/下部、水平または垂直などの指示は、好適には、重力ベクトルの方向に関連して理解されるものとする。動的な状況が説明される場合、対応する指示は、好適には、少なくとも、たとえば(自動車に対する減速の場合)本体に対する子供またはインパクトシールドの回転が開始する時点、および/または、(急な減速とは対照的に)加速を伴わない、またはわずかな(または交通上での通常の)加速しか伴わない通常の使用状況である時点に適用されるものとする。
【0024】
インパクトシールドの内側表面は、特に、子供の方を向いた、特に子供の腹部の方を向いた表面であるものとする。インパクトシールドの外側表面は、子供の腹部と反対側を向いた表面であるものとする。そのような表面は、平坦であり、および/または、突起および/または凹部のない(場合によっては少なくとも目立った突起および/または凹部のない)表面であることが可能である(ただし必須ではない)。
【0025】
通常の使用状況とは、特に、チャイルドシートが車両シートに(特にチャイルドシート製造元の指示に従って)配置(装着)されている状況、および、子供がチャイルドシートによって(特にチャイルドシート製造元の指示に従って)安全に支持され保持されている状況を意味することが理解されるものとする。
【0026】
自動車の車両シートの(チャイルドシートが配置または装着される)着座領域は、0~30°、好適には8~22°、更に好適には12~18°、たとえば(少なくとも約)15°の(特に後部から前部に向かって上昇する)傾斜を有してよい。
【0027】
チャイルドシートは、チャイルドシートが車両シートに装着された時に車両シートの着座表面の方を向く下面を有する。
【0028】
チャイルドシートを平坦な水平面に載置することを出発点とすると、チャイルドシートは、水平な平坦出発面に対して0~30°、好適には8~22°、更に好適には12~18°、更に好適には(少なくとも約)15°の角度を有する平坦面に載置された場合の向きと同様の向きになり得る。
【0029】
急な減速(または急な減速を伴う事象)とは、車両(たとえば乗用車)における通常の走行と比較して、高い加速度(または減速度)が発生する事象であると理解されるものとする。特に、衝突(正面衝突)または他のあらゆる事故は、急な減速を伴うイベントとして理解されるものとする。特に、そのような減速は、たとえばエアバッグなどの能動保護装置が自動車内でトリガされるほどに加速度(または減速度)が高い場合、急な減速事象として理解され得る。急な減速事象における減速は、場合によっては2gを超え、場合によっては3gを超え、または5g、更には8gを超え得る(または、これらの限界を超えた場合、対応する急な減速事象として理解される)。特に、UN ECE-R44またはUN ECE-R129(それぞれ出願日または優先日に有効、たとえばUNECEのウェブサイトwww.unece.orgで検索可能)において「正面衝突」として説明される事故(「衝突」)は、急な減速事象として理解されるものとする。
【0030】
一般に、インパクトシールド付きのチャイルドシートは、(一体型)ベルト付きのチャイルドシート(またはインパクトシールドのないチャイルドシート)と比べて有利であることが証明されており、これはたとえば、そのような(インパクトシールド付きの)チャイルドシートが過去に消費者団体で(特に安全性の点で)特に良い結果を得ていることに示される。たとえば、Stiftung Warentestの調査(2019年6月発行)では、(9~36kgの体重の子供を対象とした)最も高評価の5つのチャイルドシートは、インパクトシールド付きのチャイルドシートであった。それでもなお、インパクトシールド付きのチャイルドシートは市場で主流ではない。インパクトシールドのないチャイルドシートが未だ普及している。これは、おそらく、既知の(高い安全要件を有する)構造的解決策が比較的緻密であるという事実にも起因する。
【0031】
本発明によると、比較的単純な手段によって、更に高い安全要件を満たすことが可能になる。基本的に、インパクトシールド付きのチャイルドシートは、(拘束された)子供の回転をもたらす可能性があることが考慮される。そのような回転は、子供が回転する潜在的な回転軸に対する子供の重心の位置に依存して、インパクトシールドの下またはインパクトシールドの上で子供を回転させ得る。一般に、子供は、インパクトシールドと共に、および/またはインパクトシールドに対して回転し得る。潜在的な回転軸は、本体に対するインパクトシールドの取付け、特に残りの自由度との相対的関係に依存し、および/またはインパクトシールドの形状に依存し得る。
【0032】
本体は、子供が着座し得る着座領域を画定する少なくとも1つのシート部と、好適には子供を横方向に支持するための横方向の支持部とを備えてよい。
【0033】
インパクトシールドは、子供を保持するための中間部と、(任意選択的に)好適には本体の支持部の上で支持される(され得る)側部とを少なくとも有してよい。
【0034】
本体の(特に上記の)着座領域の前部は、子供を拘束するための(好適には中央に位置する)隆起部を有してよい。隆起部(膨らみ)は、子供の両大腿部の間および/またはインパクトシールドの下に位置するように配置され得る。隆起部は、(インパクトシールドの使用中に)インパクトシールドと接触するのに十分な高さであってよい。代替または追加として(たとえば調整可能なインパクトシールドの場合)、隆起部とインパクトシールドとの間に隙間が残され得る。隆起部は、子供がインパクトシールドの下で(インパクトシールドと共に、またはインパクトシールドに対して)回転することを防止するために役立ち得る。隆起部は、少なくとも1cmまたは少なくとも2cmおよび/または最大10cmであってよい。隆起部は、(底面への投影図で)少なくとも5cm2または少なくとも10cm2および/または最大200cm2または最大100cm2の面積を有してよい。隆起部は、カバー(たとえば織物カバー)によって覆われ得ることにより、子供の通常使用中には見えておらず、またはほぼ見えていない。
【0035】
チャイルドシート、特にその本体は、チャイルドシート(または本体)を車両シートに、特に車両シートの第1の固定装置に固定するための第1の固定手段(好適にはIsofix固定手段および/またはラッチ固定手段)を備えてよい。第1の固定手段は、少なくとも(または丁度)2つの固定構造(たとえばIsofixアンカー構造)を備えてよい。第1の固定手段は、チャイルドシート回転軸を中心としたチャイルドシートの(車両シートに対する)回転を可能にするように構成され得る。第1の固定手段は、特にIsofixアンカー構造および/またはラッチアンカー構造を備えてよく、および/または車両ベルトのためのアンカー構造を備えてよい。チャイルドシートの(チャイルドシート回転軸を中心とした)回転は、たとえば、車両シートのシート部および/またはバック部によって、および/または支持脚部および/または頂部テザーおよび/または他の装置によって制限され得る。チャイルドシート回転軸とは、特に、自動車の(急な)減速の際にチャイルドシートまたは少なくともその本体が回転する軸を意味する。そのようなチャイルドシート回転軸は、好適には、第1の固定手段(たとえばIsofixアンカー構造)を通って延びてよい。
【0036】
チャイルドシート(たとえばその本体および/またはインパクトシールド)は、チャイルドシートを自動車シートに取付け可能であるように自動車ベルトを受け入れるための少なくとも1つのガイド機構を備えてよい。
【0037】
チャイルドシートを(特にその本体)は、チャイルドシート回転軸または本体回転軸を中心として車両シートに対して回転可能であってよい。
【0038】
実施形態において、インパクトシールドは、回転に対して少なくとも実質的に剛的に(ただし好適には、少なくとも部分的に着脱可能に、特に取外し可能および/または分解せずに着脱可能に、好適には工具を使用せずに着脱可能に)本体に接続され、または接続可能であってよい。代替または追加として、インパクトシールドは、並進に対して少なくとも実質的に剛的に(ただし好適には、少なくとも部分的に着脱可能に、特に取外し可能および/または分解せずに着脱可能に、好適には工具を使用せずに着脱可能に)本体に接続され、または接続可能であってよい。本体への少なくとも実質的に剛的な接続とは、特に、接続構造自体が、本体に対するインパクトシールドの相対的な回転または相対的な並進を防止する、または防止可能であるように構成されることと理解される。
【0039】
したがって、インパクトシールドの相対的な回転または相対的な並進は、本体に対して妨げられ得る(高い加速度の発生時における成形体または本体の不可避の湾曲や変形を除く)。少なくとも(場合によっては不可避の)変形は、インパクトシールドが本体に対して20°より大きく、または10°より大きく回動する程度に(特にインパクトシールドのどの部分またはどの点も本体に対して20°より大きく、または10°より大きく回動しない程度に)小さくなければならない。少なくとも回転に対するインパクトシールドの剛性構成の場合、子供は、急な減速時に(インパクトシールドの形状および/またはインパクトシールドに対する子供の重心の位置に依存して)インパクトシールドを中心として回転し得る。この場合、子供回転軸は、インパクトシールドの直線(縁部)によって画定され、および/または子供の回転中に(内側および/または上側)インパクトシールド表面上で移動し得る。たとえば、(回転の開始時の)子供回転軸は、インパクトシールドの上側の内縁部によって画定され得る。
【0040】
子供回転軸は、インパクトシールドの表面にあり、好適には少なくとも子供の回転の開始時、内側表面にあり、および/または少なくとも回転の途中、上側表面(または上側表面と内側表面との丁度間)にあってよい。代替または追加として、子供回転軸は、子供の回転中、少なくとも段階的に(場合によっては少なくとも回転の初期段階で)シフトしてよく、および/または(少なくとも段階的に、場合によっては回転の初期段階で)静止したままであってよい。
【0041】
実施形態において、子供回転軸は、少なくとも1つまたは丁度1つのインパクトシールド回転軸と一致してよい。
【0042】
更なる実施形態において、インパクトシールドは、本体に回転可能に接続され、または接続可能であってよい(ただし、場合によっては、接続または装着状態において、少なくとも本体から離れる方向および/または本体に向かう方向への純粋な並進は可能ではない)。インパクトシールドは、(丁度)1つの回転軸または(丁度)2つの回転軸または2より多い数の回転軸を中心として本体に回転可能に接続され、または接続可能であってよい。
【0043】
一般に、装着状態における本体に対するインパクトシールドの並進運動は阻止され、少なくとも(完全には阻止されず)制限され得る。
【0044】
インパクトシールドと本体との接続は、基本的に既存の回転軸も画定してよいが、これもまた(たとえば、一方が本体にあり他方がインパクトシールドにある対応する係合構造によって、および/または、場合によっては完全に回転を防止するストップおよび/または支持表面などの形成によって)(場合によっては完全に)阻止され、および/または阻止可能である。ただし、以下で特に記載しない限り、言及される回転軸は、常に少なくともある程度の(制限され得る)回転が可能であるものとする。これはたとえば、インパクトシールドが本体の対応する構造に直接隣接しており、(回転の発生時に)そこに押し付けられても、この構造が、本体に対するインパクトシールドの(実質的な)回転が起こり得るように撓むことも含み得る。
【0045】
実施形態において、チャイルドシートは、インパクトシールドを本体に固定するための少なくとも1つのインパクトシールド固定手段を備える。
【0046】
インパクトシールド固定手段は、丁度1つまたは丁度2つまたは2より多い数の回転軸を中心としたインパクトシールドの(本体に対する)回転を可能にし得る。
【0047】
インパクトシールド固定手段は、本体に連結された、または連結可能な少なくとも1つの第1の部分、好適には本体の両側に少なくとも1つまたは丁度1つの第1の部分、および/または、インパクトシールドに連結された第2の部分、好適にはインパクトシールドの両側に少なくとも1つまたは丁度1つの第2の部分を有してよい。本体またはインパクトシールドでの連結によって、特に、回転を可能にする接合部(回転接合部)は、それぞれの部分(本体またはインパクトシールド)で静止した状態で配置される、または配置可能であることが理解される。たとえば、本体との連結は、本体に(剛的に)接続可能(ただし着脱可能)な要素、たとえばベルトタングによって実現されてもよい。接合部は、好適には、相対的な回転を可能にする任意の接続構造(たとえば、たとえば捩れによって穴の領域内でその性質によりベルトの回転を可能にする、ベルトタングの穴に差し込まれたベルト)を意味することが理解される。
【0048】
実施形態において、本体とインパクトシールドとの間の接続部には、少なくとも1つ(または丁度1つまたは丁度2つ、たとえば両側に1つずつ)の間接接合部が設けられ得る。
【0049】
インパクトシールド固定手段は、(少なくとも部分的に、場合によっては完全に)剛性であってよい(場合によっては対応する間接接続部を除くが、完全に剛性であることも可能である)。
【0050】
インパクトシールド固定手段は、(少なくとも部分的に、場合によっては完全に)寸法的に不安定に設計することも可能であり、たとえば少なくとも1つのベルト(またはベルト部)を有する。
【0051】
一般に、インパクトシールドは、少なくとも1つ(または丁度1つ)または少なくとも2つ(または丁度2つ)または少なくとも3つ(または丁度3つ)のインパクトシールド回転軸を中心として、本体に対して回転可能であってよい。好適には、インパクトシールドは、少なくとも1つ(または丁度1つ)の第1のインパクトシールド回転軸および/または少なくとも1つ(または丁度1つ)の第2のインパクトシールド回転軸および/または少なくとも1つ(または丁度1つ)の第3のインパクトシールド回転軸を中心として、本体に対して回転可能である。
【0052】
(それぞれの)第2および/または第3のインパクトシールド回転軸は、好適には、(少なくとも子供の回転の開始時および/または少なくとも本体に対する子供の回転の開始時)(それぞれの)第1のインパクトシールド回転軸から逸脱している。(それぞれの)第2のインパクトシールド回転軸は、好適には、(少なくとも子供の回転の開始時および/または少なくとも本体に対する子供の回転の開始時)(それぞれの)第3のインパクトシールド回転軸から逸脱している。
【0053】
第2のインパクトシールド回転軸は、好適には、(少なくとも子供の回転の開始時および/または少なくとも本体に対する子供の回転の開始時)第1のインパクトシールド回転軸の高さより上に位置する。代替または追加として、第2のインパクトシールド回転軸は、好適には、(上述した2つの時点がずれている場合、少なくともそのいずれかにおいて)第1のインパクトシールド回転軸の前方にある。インパクトシールド回転軸とは、特に、本体に対して相対的にインパクトシールドが回転可能な回転軸であると理解される。
【0054】
一般に、第1のインパクトシールド回転軸のみまたは第2のインパクトシールド回転軸のみが設けられ得る。あるいは、第1および第2のインパクトシールド回転軸が設けられ得る(ただし、場合によっては追加のインパクトシールド回転軸は存在しない)。また更なる実施形態において、第1および第2のインパクトシールド回転軸に加えて、追加のインパクトシールド回転軸、たとえば少なくとも1つ(または丁度1つ)の第3のインパクトシールド回転軸が設けられ得る。
【0055】
第1のインパクトシールド回転軸は、好適には、本体との連結によって(場合によっては、更にインパクトシールドとの連結によって、またはインパクトシールドとの連結なしで)画定される。それぞれの装置(たとえば本体またはインパクトシールド)と連結された状態では、特に、連結を形成する接合部はそれぞれの装置(本体またはインパクトシールド)に対して静止していることが理解される。静止状態とは、特に、移動が全く可能ではないこと、または、たとえば最大3cmなどわずかな移動しか可能ではないことを意味することが意図される。たとえばここでは、第1のインパクトシールド回転軸は、本体との連結によって画定され、これは特に、インパクトシールド回転軸自体が本体に対して可動ではない、またはわずかにしか可動ではないことを示すものとする。
【0056】
一般に、インパクトシールド回転軸は、(確定的または非確定的なものと理解され得る)4つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。第1のタイプは、対応するインパクトシールド回転軸が本体に対して不動(または静止状態)であることを特徴とする。第2のタイプは、対応するインパクトシールド回転軸自体がインパクトシールドに対して可動ではない(またはインパクトシールドに対して静止している)点を特徴とする。第3のタイプは、対応するインパクトシールド回転軸自体が、本体およびインパクトシールドの両方に対して可動であること(たとえば、そのような第3のインパクトシールド回転軸が第1および第2のインパクトシールド回転軸の間に位置する場合)を特徴とする。(第1のタイプおよび第2のタイプの両方のサブタイプと考えられ得る)第4のタイプにおいて、インパクトシールド回転軸は、本体に対してもインパクトシールドに対しても静止している(それ自体が可動ではない)(これは特に、少なくとも機能的観点では、丁度1つのインパクトシールド回転軸が存在することを意味する)。
【0057】
第2のインパクトシールド回転軸は、好適には、本体とインパクトシールドとの間の接続のための接続装置(たとえばベルトまたはベルト部)のインパクトシールドへの連結によって画定される。
【0058】
実施形態において、子供の重心は、(少なくとも車両シートに対する子供の回転の開始時、および/または本体に対する子供の回転の開始時)第2のインパクトシールド回転軸の高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(好適には少なくともわずかに)それより下にあり、および/または、第2のインパクトシールド回転軸の後方にある(第2のインパクトシールド回転軸は、唯一のインパクトシールド回転軸であってよく、または場合によっては、考慮されるそれぞれの時点で最も上および/または最も前にあるインパクトシールド回転軸であってよい)。
【0059】
子供の重心は、好適には、(少なくとも車両シートに対する子供の回転の開始時、および/またはインパクトシールドに対する子供の回転の開始時)第1のインパクトシールド回転軸と少なくとも概ね同じ高さ(同一平面上)にあり、または、(特に好適な実施形態によると)第1のインパクトシールド回転軸の高さより上または(代替実施形態において)下、および/または、第1のインパクトシールド回転軸の前方(あるいは、前方から後方への方向に関して後側、または同一平面上)にある。
【0060】
第1および第2のインパクトシールド回転軸を接続する、第1および第2のインパクトシールド回転軸に垂直な接続線は、好適には、チャイルドシートの下面に対して60°未満、好適には50°未満、および/または10°より大きい角度を有する。代替または追加として、そのような接続線は、インパクトシールドが本体上で支持されている少なくとも1つの支持表面に対して(少なくとも概ね)平行(および/または、垂直面および/または前後方向の平面における断面に対してそのような支持表面を通る少なくとも1つの断面線に対して少なくとも概ね平行)に方向付けられる。概ね平行とは、好適には、完全に平行な構成に対して最大20°または最大10°または最大5°の角度ずれを含む。
【0061】
第1のインパクトシールド回転軸を中心としたインパクトシールドの回転により、好適には、(少なくともそのような回転の開始時)インパクトシールドは、インパクトシールドが本体上で支持されている(特に上記の)支持表面に力を加え、この力は、好適には、支持表面に対し少なくとも概ね垂直に向けられる。概ね垂直とは、好適には、完全に垂直な構成に対して最大20°または最大10°または最大5°の角度ずれを備える。
【0062】
第1のインパクトシールド回転軸は、(少なくとも車両シートに対する子供の回転の開始時、および/または本体に対する子供の回転の開始時)インパクトシールドの下端より上、および/または、インパクトシールドが本体上で支持されている(特に上記の)支持表面の下端より上に配置され得る。
【0063】
第1および/または第2のインパクトシールド回転軸(複数も可)は、チャイルドシートまたはその本体が車両シートに対して回転するチャイルドシート回転軸、好適には本体回転軸より上に配置される。
【0064】
好適には、チャイルドシートは、回転中、子供の重心が子供回転軸および/または少なくとも1つの(特に初期状態で最も上にある)インパクトシールド回転軸と少なくとも概ね同じ高さに留まるように、または(たとえば回転の別の段階において、必要に応じて組み合わせて)、子供回転軸および/または少なくとも1つの(特に初期状態で最も上にある)インパクトシールド回転軸の高さに対して上方に移動するように構成される。特に好適には、子供の重心は、回転中(少なくとも段階的に)、それぞれの高さより少なくともわずかに下にある初期位置から、この高さより少なくともわずかに上にある中間および/または最終状態に移動する。このような動きにより、子供は、単純な手段で特に安全かつ効果的に拘束され得る。
【0065】
システムまたはチャイルドシートは、子供の回転の進行中、(本体および/または自動車に対する)子供の回転方向の少なくとも1回または丁度1回の逆転が起こるように構成され得る。
【0066】
特に好適には、子供または対応する人形がシステムの一部である。更に好適には、子供(または人形)は、チャイルドシートに(特に固定されて、すなわちインパクトシールドの固定的な位置決めおよび調整によって)配置される。
【0067】
上述した目的は、特に上記システムのための(または上記システムの構成要素としての)、車両シートに装着するためのチャイルドシートによって更に解決され、このチャイルドシートは、子供を受け入れるための本体と、子供を保持するためのインパクトシールドとを備え、チャイルドシートは、好適には、少なくともチャイルドシートが、水平に対して少なくとも0°かつ最大30°、好適には少なくとも8°かつ最大22°、更に好適には少なくとも12°かつ最大18°、たとえば少なくとも概ね15°の角度傾斜しているように自動車の着座表面に配置される場合(またはチャイルドシートが水平な平坦面上に配置された状態で)、子供の重心が、少なくとも(車両シートまたは自動車に対する)子供の回転の開始時、および/または(車両シートまたは自動車に対する)子供の回転の開始時、および/または自動車の(急な)減速の際、たとえば正面衝突の際の本体に対する子供の回転の開始時の初期状態において、子供が本体に対して回転し始めるとすぐに子供が本体に対して回転する子供回転軸が存在する高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(好適にはわずかに)それより下にあり、および/または、少なくとも1つのインパクトシールド回転軸が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(好適にはわずかに)それより下にあるように構成される。上記(それぞれの)幾何学的条件は、好適には、それぞれの角度範囲内の少なくとも1つの角度に適用されるものとするが、場合によっては、それぞれの角度範囲全体に適用され得る。
【0068】
上述したシステムの説明から、更なる特徴が生じる。本発明に係るチャイルドシートは、好適には上述したチャイルドシート特徴を有し、特に、上記特徴を(仮定的に)有する自動車、または少なくとも0°かつ最大30°、好適には少なくとも8°かつ最大22°、更に好適には少なくとも12°かつ最大18°、たとえば少なくとも概ね15°の角度を有する、チャイルドシートを装着可能な自動車着座表面を有する自動車が基準とされ得る。(それぞれの)幾何学的条件は、好適には、それぞれの角度範囲内の少なくとも1つの角度に適用されるものとするが、任意選択的に、それぞれの角度範囲全体にも適用され得る。
【0069】
また、上記目的は、好適には、上記システムおよび/または上記チャイルドシートが提供された、自動車の車両シートにチャイルドシートを配置するための方法によって解決され、このチャイルドシートは、子供を収容するための本体と、子供を保持するためのインパクトシールドとを備え、チャイルドシートは、子供の重心が、少なくとも(車両シートまたは自動車に対する)子供の回転の開始時、および/または自動車の減速の際、たとえば正面衝突の際の本体に対する子供の回転の開始時の初期状態において、子供が本体に対して回転し始めるとすぐに子供が本体に対して回転する子供回転軸の高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(好適にはわずかに)それより下にあり、および/または、少なくとも1つのインパクトシールド回転軸が位置する高さと少なくとも概ね同じ高さ、または(好適にはわずかに)それより下にあるように構成および配置される。この方法は、子供をチャイルドシート内に配置する、特に固定するステップを備えてよい。
【0070】
また、上記目的は、上記チャイルドシートおよび/または上記システムによって、および/または上記配置するための方法に従って、正面衝突時にチャイルドシートならびにその中にいる子供を保持するための方法によって解決される。幾何学的関係の動的変化が上述される場合、保持するための方法は、好適には、これらの動的変化を経るものとする。
【0071】
上述した(および後述する)システムまたはチャイルドシートの説明から、更なるプロセス特徴が生じる。対応する機能特徴は、好適には、特定のプロセスステップとして実行され得る。したがって、たとえば上記で回転性が言及される場合、これは具体的には、方法が対応する回転を(動作として)備えることを意味し得る。
【0072】
実施形態において、車両シートへのチャイルドシートの取付けにより、(少なくとも、好適には丁度)2つの第1の接続点を有するチャイルドシート回転軸が画定され、チャイルドシートは、この第1の軸を中心として回転可能である。(少なくとも)2つの第1の接続点は、たとえばIsofixまたはラッチアンカー点または車両ラップベルトのアンカー点によって実現され得る。チャイルドシート回転軸を中心とした回転は、たとえば車両シートのシート部およびバックレストによって、および/または支持脚部、頂部テザーなどによって制限され得る。
【0073】
第1の実施形態において、インパクトシールドは、本体に対するインパクトシールドの回転が実質的に妨げられ、好適には変位も実質的に妨げられるように、チャイルドシートの本体に(離脱可能に、特に完全に離脱可能に)剛的に取り付けられ得る。
【0074】
その後、急な減速の際、子供は、(インパクトシールドの形状およびインパクトシールドに対する子供の重心の位置に依存して)インパクトシールドを中心として回転し得る。子供の回転軸は、インパクトシールドの直線(縁部)によって画定され、または、子供の回転中に(内側および/または上側)インパクトシールド(またはインパクトシールド側面)上で移動し得る。
【0075】
インパクトシールドの形状および位置は、特に、子供の重心が、子供の回転軸を通る水平面上、またはそのような水平面よりわずかに下にあるように選択されることが好ましい。
【0076】
他の実施形態において(特に、詳しくは後述する第2および/または第3の実施形態において)、インパクトシールドは、本体に対するインパクトシールドの変位が制限され、好適には少なくとも実質的に不可能であると同時に、固定により、本体に対するインパクトシールドの回転が可能であり、そのための複数の軸(少なくとも1つの軸)が画定されるように、インパクトシールド固定手段によってチャイルドシートの本体に(場合によっては離脱可能に、特に完全に離脱可能に)取り付けられ得る。複数の画定された軸の一部は、たとえば(たとえばインパクトシールドと本体との間の)積極的な接続によって阻止され得るが、複数の確定された軸の全体が阻止された場合、インパクトシールドおよび本体を備えるシステムは、第1の実施形態に(機能的に)退行する。
【0077】
インパクトシールド固定手段の1つ(または複数)の第1の部分は、好適にはそれぞれ左右の支持部において、または少なくともその付近で、本体によって形成され得る(たとえば、一体的に成形され得る)。インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分は、それぞれの第2の接続点(たとえばベルトバックル)において(好適にはそれぞれ左右の支持部において、または少なくともその付近で)本体に接続され、または接続可能であってもよい。インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分は、それぞれの接続部が通り、第1のインパクトシールド回転軸を画定する軸を中心として回転可能であってよい(または本体に剛的に接続され得る)。
【0078】
インパクトシールド固定手段の1つ(または複数)の第2の部分は、(好適にはそれぞれインパクトシールドの左右の側部において)インパクトシールドによって形成され得る(たとえば一体的に成形され得る)。あるいは、固定手段の(それぞれの)第2の部分は、インパクトシールド上のそれぞれの第3の接続点において(好適には丁度2つ、特に左右に1つずつ)形成され得る。インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分は、対応する接続点を通って第2のインパクトシールド回転軸を画定する軸の周囲を回転可能であってよく、またはインパクトシールドに(剛的に)接続され得る。
【0079】
インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1および第2の部分は、インパクトシールドが本体に取り付けられるようにそれぞれの第4の接続点(接続面)において互いに協働するように構成され得る。インパクトシールド固定手段の第1および第2の部分が互いに動作的に接続される場合、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1および第2の部分は、軸を中心として互いに対して回転可能であってよく、その結果、第3のインパクトシールド回転軸を画定してよい(または、剛的に形成され得る)。
【0080】
第2の実施形態において、インパクトシールドの本体への取付けにより、1つのインパクトシールド回転軸のみを中心とした回転が可能であってよく、更なる(阻止された)軸がインパクトシールド固定手段によって画定され得る。1つのインパクトシールド軸は、上記(第1、第2、または第3の)インパクトシールド軸であってよい。インパクトシールド軸の2つ以上が一致し、共通の(単一の)回転軸を形成してよい。
【0081】
1つのみのインパクトシールド回転軸を(機能的に)有する実施形態において、インパクトシールド固定手段のそれぞれの第1の部分は、本体に回転可能に接続され、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分は、インパクトシールドに回転可能に接続されてよく、対応する接続点は、第1および第2のインパクトシールド回転軸が一致するように設けられる。この(共通結合)軸は、(少なくとも、インパクトシールド固定手段のそれぞれの第1および第2の部分の間の可能な動作接続が合成接続を形成し、および/またはそれぞれの共通結合回転軸と一致する場合)本体に対するインパクトシールドの回転のための(機能的に)唯一の可能な軸であってよい。ここで、また上記および下記で言及する場合、剛性(および/または固定)接続とは、寸法的に安定した接続を意味し得るが、場合によっては、急な減速の発生時に寸法的に安定した接続と同様に挙動する(たとえば締め付けられる)(または少なくともこの場合、その形状を保持する)ような寸法的に不安定な接続も意味し得る。
【0082】
第2の実施形態において、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分は、本体の周囲に(第1のインパクトシールド回転軸を中心として)回転可能に取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分は、インパクトシールドに剛的に取り付けられ得る。
【0083】
また、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分は、本体に固定的に取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分は、(第2のインパクトシールド回転軸を中心として)インパクトシールドに回転可能に取り付けられ得る。重ねて、その結果生じる第1または第2のインパクトシールド回転軸は、(インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1および第2の部分が固定接続を形成し、またはそれぞれ第1または第2のインパクトシールド回転軸と一致することを前提として)本体に対するインパクトシールドの回転のための唯一の(可能な)軸である。
【0084】
また、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分は、本体に剛的に(固定的に)取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分は、インパクトシールドに剛的に取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分および(それぞれの)第2の部分は、第3のインパクトシールド回転軸を中心としたインパクトシールドの回転を可能にするために互いに相互作用するように構成される。重ねて、第3のインパクトシールド回転軸は、(たとえば、インパクトシールドおよび本体が、たとえば固定ベアリング内のピンを介して互いに回動可能に取り付けられている場合)本体に対するインパクトシールドのための唯一の可能な回転軸であってよい。ピンおよび/またはベアリングは、好適には、それぞれインパクトシールドの左右の側部に配置され得る。
【0085】
第3の実施形態において、インパクトシールドの本体への取付けにより、2つの(分岐する)軸を中心とした回転が可能であってよく、場合によっては、追加の阻止された軸が、インパクトシールド固定手段によって画定され得る。
【0086】
2つの軸は、第1のインパクトシールド回転軸および/または第2のインパクトシールド回転軸および/または第3のインパクトシールド回転軸を備えてよい。軸の2つ以上が一致し、集合的に2つの軸のうちの1つを形成してよい。
【0087】
第3の実施形態は、第1のインパクトシールド回転軸および第2のインパクトシールド回転軸の両方が存在する(一致していない)と同時に、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1および第2の部分の間に剛性接続が存在する場合、実現され得る。
【0088】
第1、第2、および第3のインパクトシールド回転軸が存在し、これらの軸のうちの2つが一致し、追加のインパクトシールド回転軸は、一致するインパクトシールド回転軸とは別である(または一致していない)場合、(少なくとも実質的に)同じ結果が実現され得る。好適には、そのような場合、第3のインパクトシールド回転軸は、第1および第2のインパクトシールド回転軸の1つと一致してよい。
【0089】
また、(少なくとも実質的に同じ結果を伴う)別の可能性として、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分が本体に(第1のインパクトシールド軸を中心として)回転可能に取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分がインパクトシールドに剛的に取り付けられる場合、または、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1の部分が本体に剛的に取り付けられ、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第2の部分がインパクトシールドに(第2のインパクトシールド軸を中心として)回転可能に取り付けられると同時に、第3のインパクトシールド回転軸が、インパクトシールド固定手段の(それぞれの)第1および第2の部分の協働によって形成され、第1または第2のインパクトシールド回転軸から独立している場合がある。
【0090】
2つの(分岐する)インパクトシールド回転軸は、2つの左側接続点および2つの右側接続点によって画定され得る。
【0091】
第2および第3の実施形態において、子供は、(インパクトシールドの周囲を子供が回転するのではなく)インパクトシールドと共に回転してよく、および/または、1つ(または複数)の回転軸が子供回転軸と一致してよい。子供の重心は、好適には、(第2の実施形態における)1つの回転軸が存在する水平面、または(第3の実施形態における)1または両方の(または更に多い数の)回転軸が存在する水平面にあり、好適にはそのような平面よりわずかに下にある。
【0092】
第3の実施形態において、子供の重心は、特に、子供の重心が、第1のインパクトシールド回転軸が存在する水平面より上および/または第2のインパクトシールド回転軸が存在する水平面より下にあるように、インパクトシールド回転軸のうちの1つが各々に存在する2つの水平面の間にあってよい。特に、2つのインパクトシールド回転軸のうちの一方が他方のインパクトシールド回転軸に対して前方および/または上方に位置し、子供の重心が、2つのインパクトシールド回転軸のうちの上側または前側が存在する水平面より(好適にはわずかに)下にあることが好適であり得る。
【0093】
一般に(インパクトシールドが少なくとも1つの軸を中心として本体に対して回転可能である場合)、少なくとも1つのインパクトシールド回転軸を中心とした下方への回転により、支持部(またはそれぞれの左右の支持部)に力が加わり、この力は、(それぞれの)支持部の支持表面に対して(少なくとも概ね)垂直であることが好適であり得る。これは特に、(上記で説明したような)第3の実施形態または下側および/または後側の軸を中心とした回転の場合に好適である。
【0094】
2つの回転軸は、2つの左側接続点および2つの右側接続点によって(上記で説明したように)画定され得る。角度Aの第1の側は、2つの左側接続点を通る直線の側方投影線によって画定され、角度Aの第2の側は、本体の底面の側方投影線によって画定され得る。Aは60°未満、好適には50°未満であってよく、および/またはAは10°より大きく、好適には15°より大きい。特に、Aは25°~45°であってよい。
【0095】
一般に、それぞれの支持部が後部から前部に向かって(少なくとも概ね)上昇していると有利であり得る。特に、支持部は、本体の底面(または本体の底面によって画定される平面)に対して、70°未満、好適には55°未満、および/または10°より大きい、好適には15°より大きい角度Bを形成してよい。特に、この角度は、25°~45°であってよい。
【0096】
チャイルドシートが支持脚部を有する場合(および/または、チャイルドシートが、たとえば2つのIsofix接続部に加えて自動車に対する第3の剛性接続を備える場合)、(支持脚部および/または他の第3の剛性接続により)、チャイルドシート回転軸を中心とした回転が比較的効率的に低減され得るため、角度Aおよび/またはBは、上記で示した角度よりも(少なくともわずかに)小さい、たとえば10°小さいと有利であり得る。
【0097】
好適には、チャイルドシートまたはシステムは、(急な)減速の際、子供の重心が、子供回転軸および/またはインパクトシールド回転軸が存在する平面より下の位置から、それぞれの平面の反対側の上方に移動する(すなわち平面を横断する)ように構成される。
【0098】
また、システムまたはチャイルドシートは、好適には、(急な)減速の発生時、本体に対する子供の回転が、インパクトシールドの下の方向であり、および/または(その後の)(急な)減速の発生中または発生後、インパクトシールドの上の方向であるように構成され得る。
【0099】
一般に、インパクトシールドの本体への固定の実施に依存して、チャイルドシートにおいて両方の態様(インパクトシールドに対する子供の回転およびインパクトシールドに伴う子供の回転)が存在する場合がある。また、本体に対するインパクトシールドの(少なくともある程度の)並進(たとえば、インパクトシールドを本体に取り付けるベルトが締め付けられた場合)も存在し得る。この点に関して、インパクトシールドの対応する最前点を測定することによって前方への移動が測定され得るUN ECE-R44および/またはUN ECE-R129に定義されるように、インパクトシールドは、特に正面衝突(「正面事故」)による(急な)減速の際、10cm未満、好適には5cm未満しか前方に移動しない場合、本体に対して少なくとも実質的に(純粋な)並進移動が可能ではないと見なされ得る。
【0100】
インパクトシールド固定手段は、(少なくとも実質的に)剛的に形成されてよく、すなわち、たとえば金属および/またはプラスティックで形成され得る。あるいは、インパクトシールド固定手段は、少なくとも部分的に可撓性(および/または寸法的に不安定)であってよく、たとえば少なくとも1つのベルト(またはベルト部)、少なくとも1つのバンド(またはその一部)、または少なくとも1つのケーブル(またはその構成要素)などを備えてよい。ただし代替として、インパクトシールド固定手段は、好適には、急な減速時に少なくとも部分的に形状安定的に挙動する(たとえば、この場合は作用力によって伸びるベルト部により、形状の変化は、たとえば捩れおよび/またはよじれによってベルトの予め定められた点のみに生じる)。
【0101】
子供の重心は、チャイルドシートに実際に着座している子供の重心、またはシートの設計(または承認)対象であるサイズおよび/または体重の子供の重心であってよい。
【0102】
簡潔性のために、チャイルドシートにダミー人形が座らされており、(規制に従って)保持されている状態では、重心としてダミー人形の重心が用いられてもよい。特に、この文脈では、UN ECE-R129(本明細書の出願日または優先日および/または2013年12月31日に有効)のようなQダミー人形が理解され得る。Qダミー人形には、Q0、Q1、Q1.5、Q3、Q6、およびQ10のサイズがあり、Qに続く数字は、ダミー人形が対応するものとされた子供の(おおよその)年齢を示す。
【0103】
本願のシートは、特に、最小の身長から最大の身長までの子供を承認の対象とすることが意図されており、ここで最小の身長は、少なくとも60cm、好適には少なくとも75cmであってよく、および/または最大の身長は、最大130cm、好適には最大116cmであってよい。代替または追加として、シートは、Q1またはQ1.5~Q6のダミー人形(または対応するダミー人形が模した子供)のために設計され得る。この点に関して、それぞれの重心は、好適にはそのようなダミー人形を用いて決定されるものとする。重心について言及され、それについて(他の位置または箇所に関して、特に回転軸に関して)特定の条件が必要である場合、条件は、好適には言及されるダミー人形の少なくとも1つに(好適にはダミー人形の少なくとも3つ、場合によっては全てのダミー人形に)適用されるものとする。
【0104】
また、留意点として、ダミー人形(またはダミー人形が模した子供)のサイズが大きく逸脱していたとしても、大きくは変動しないので、この座面から少なくとも約19cm離れていると同時に、任意選択的に背部支持表面(すなわち、子供の背中がもたれかかるチャイルドシート表面またはバック部表面)から(少なくとも約)5~10cm離れている点(距離=最短距離)を重心として用いることも可能である。
【0105】
バック部およびシート部が互いに対して調整可能である場合(またはバック部の傾斜がシート部に対して調整可能である場合)、それぞれの条件は、好適には、少なくとも1つの傾斜位置に、更に好適には、合計で可能な最大傾斜変化の少なくとも半分を占める、傾斜調整範囲の部分範囲に少なくとも適用され、任意選択的に全ての傾斜設定に適用されるものとする。
【0106】
本体自体が調整可能である場合、たとえば基部に対してシート要素を調整可能な基部を有する(または本体の傾斜が調整可能な)チャイルドシートの場合、それぞれの条件は、好適には、少なくとも1つの傾斜位置に適用され、更に好適には、合計で可能な最大傾斜変化の少なくとも半分を占める、傾斜調整範囲の部分範囲に少なくとも適用され、任意選択的に全ての傾斜設定に適用されるものとする。
【0107】
インパクトシールドが本体に対して(回転方向および/または並進方向に)調整可能である場合、それぞれの条件は、好適には少なくとも1つの設定に適用され、更に好適には回転方向への調整範囲の全てまたは少なくとも半分に適用され、および/または並進方向への調整範囲の全てまたは少なくとも半分に適用されるものとする。
【0108】
インパクトシールドは、(能動的な)保護装置(たとえばエアバッグ)を有してよい。この場合(必須ではない)、それぞれの条件は、好適には、能動的な保護装置がトリガされない場合に少なくとも適用されるものとする。
【0109】
上述したUN ECE-R129規格は、具体的には、たとえば2013年7月9日および/または2013年12月31日現在、および/または優先日または出願日丁度に、「規則第129号-自動車に搭載して使用する強化チャイルドシート高速システム(ECRS)の承認に関する統一規定」またはE/ECE/324/Riv.2/Add.128-E/ECE/TRANS/505/Riv.2/Add.128となり得る。
【0110】
具体的には、Humaneticsを製造元とするダミー人形がダミー人形として使用され得る。追加の情報は、(UN ECE-R129規格も参照している)製造元であるHumaneticsのマニュアルに記載されている。
【0111】
本文脈において、(たとえば車両シートまたは本体に対する)子供の回転が生じる場合、(たとえば、胴体に対する頭部のピッチング運動などではない)子供の重心の回転を特に考慮すべきである。衝突の発生時、子供の身体の個々の部分が他の部分(特に胴体)に対して回転するが、これは、特に、重心として継続的に考慮される点は、初期状態における子供またはダミー人形の重心であるという理由で無視される。ただし、常に現在の重心を用いることも考えられる。変化しない(と想定される)好適な重心とは、特に、常に子供の胴体において同じ場所にあり、ダミー人形または子供が初期位置にある時(車両が静止している時または通常の走行状況である時)に重心が位置する場所に対応する重心と理解される。
【0112】
更なる実施形態は、従属クレームに由来する。
【0113】
以下、本発明は、図面を参照して更に詳しく説明される実行例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【
図1】本発明に係るチャイルドシートの側面図である。
【
図2】
図1に係るチャイルドシートの斜視図である。
【
図3】車両シートに装着されたチャイルドシートの概略断面図である。
【
図4】衝突状況下での
図3に係るチャイルドシートである。
【
図5】衝突状況の進行に伴う
図3および
図4に係るチャイルドシートである。
【
図6】衝突状況が更に進行した中での
図3~
図5に係るチャイルドシートである。
【
図7】本発明に係るチャイルドシートの更なる実施形態の、
図3に係る図である。
【
図8】本発明に係るチャイルドシートの更なる実施形態の、
図3に係る図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
以下の説明において、同じ参照番号は、同じ部分および同様に作用する部分に使用される。
【0116】
図1は、本体11およびインパクトシールド12を備える、本発明に係るチャイルドシートの側面図を示す。本体11は、シート部13と、(任意選択の)ヘッドレスト15を有するバック部14とを備える。本体は、(ここでは任意選択的に2つのIsofixアンカー構造を備える)第1の固定手段16を有する。インパクトシールド12は、第2の固定手段(インパクトシールド固定手段)17を介して本体11に取り付けられ、または取付け可能である。第2の固定手段17は、少なくとも(具体的にはベルトバックルの形状の)第1の部分18および(対応するベルトタング21を備える)第2の部分19を備える。第1の部分18および第2の部分19は、各側(すなわちそれぞれ左側および右側)に設けられ得る。ただし、
図1には示されない側面が異なる固定手段(たとえば非着脱可能な固定具または別の着脱可能な固定具)を有することも考えられる。
【0117】
本実施形態例において、(それぞれの)第1の部分18(ベルトバックル)は、シート部13上に、特にシート部13と一体的に形成される。(それぞれの)第2の部分19は、ベルトタング21以外に、好適にはインパクトシールドの上に(横方向に)配置される、または配置可能なベルトまたはベルト部20も有してよい。
【0118】
少なくとも正面衝突の場合(この場合、ベルト20が締められ、あるいはそれ自体が可撓性であるベルトの代わりに剛性要素が存在してもよく、または少なくともここでは更なる説明のためにそのような要素が考えられ得る)、インパクトシールド12は、(好適にはチャイルドシートの両側の)2つの点(箇所または位置)で(本体11に対して)回転し得る。最初に、ベルト20をベルトタング21に固定することにより、この点または領域(または、
図3~
図6を参照して以下で概略的に説明するような対応する軸、これは第1のインパクトシールド回転軸に対応する)を中心とするインパクトシールドの回転が可能である。また、ベルト20は、インパクトシールド上の少なくとも1つのベルトガイド機構22に取り付けられるので、追加のベルトガイド22は
図1では認識できず(
図2も参照)、その結果、(以下で詳しく説明するように、
図3~6に係る概略表現において第2のインパクトシールド回転軸に対応する)更なる回転の可能性がある。
【0119】
個々の回転軸およびその位置が以下で説明される場合、これは好適には、各場合に(たとえばベルトのねじれを考慮して)回転軸が正確にそこにないものであっても、それぞれの凹部またはガイドおよび/または保持構造25の中心を通って(実際は横方向に)延びることが想定される(または仮定される)ものとする。一般に、それぞれの回転軸は、対応する回転を可能にする構造の中心がある位置に存在するものとする。
【0120】
言い換えると、ベルト20は、それぞれの第3の接続点(接続箇所)26においてインパクトシールド12に接続され、それぞれの第4の接続点(接続箇所)27において、それぞれのベルトタングに、または(挿入時には)対応するベルトバックル、または一般には本体11に接続され得る。(それぞれの)第3の接続点26および(それぞれの)第4の接続点27は、これらの位置を中心とするベルト20の回転を可能にし、その結果、インパクトシールドのそれぞれの回転軸(インパクトシールド回転軸)を画定する。
【0121】
シート部13は、好適には、対応する(インパクトシールド12を支持するための)支持表面29を(それぞれ)形成する(少なくとも実質的に)横方向のウイング28を備える。第3および第4の接続部26、27の間で、(図示される側面図または側面投影図において)ベルト20は(それぞれの)支持表面29(または支持表面29とインパクトシールド12の側部30との間の接触線)に少なくとも概ね平行に延びる。
【0122】
図2は、
図1に係るシートを斜視図で示す。シート部13の着座領域32、ならびに両側(左側および右側)でそれぞれの支持表面29を形成する支持部33が示される。また、インパクトシールドは、中間部34ならびに(両側の)(中間部34に対して特に下向きに角度を有する)側部30を有することが分かる。中間部34は、子供を保持するように、特に衝突時に子供を拘束するように設計される。側部30は、子供を横方向に(たとえば子供の大腿部を)保持するため、および/またはインパクトシールドが支持部33で支持されることを可能にするために設けられる。着座部32の前部中央には、隆起部(膨らみ)36が見えている。この隆起部36は、特定のインパクトシールドと効果的に協働し、子供が効果的に拘束され得る。
【0123】
図3は、車両シート100に設置されたチャイルドシート10を(極めて)概略的に示す。チャイルドシート10は、追加の構造的細部を有して、
図1および
図2に示すチャイルドシートのように設計され、あるいは異なる(特定の)方法で設計され得る。
【0124】
インパクトシールド12は、第1のインパクトシールド回転軸41および(少なくとも原理的には)第2のインパクトシールド回転軸42を中心として、本体11に対して回転し得る。チャイルドシート11は、第1の固定手段16を介して車両シート100に取り付けられる(具体的には、この固定具は、Isofix固定具として設計され得る)。
【0125】
図3は、車両が静止しており、または正常に走行している時(以上に高い加速のない場合)のチャイルドシート11および車両シート100の状態を示す。このような状態において、車両シートは、水平に対して傾斜43を有する。したがって、チャイルドシート10もまた、水平に対して同じ角度だけ傾斜している。
図3に示す角度は、より小さく(場合によっては大きく)てもよく、またはゼロであってもよい。いずれの場合も、
図3に係る初期構成において、子供Kの重心Sは、第2のインパクトシールド回転軸42の高さより(わずかに)下にあり、また、第1のインパクトシールド回転軸41の高さより上にある。また、重心Sは、第2のインパクトシールド回転軸42の後方、かつ第1のインパクトシールド回転軸41の前方にある。
【0126】
図4において、(たとえば正面衝突の際の)(急な)減速事象の開始時における
図3のチャイルドシートが示される。この時点で、チャイルドシート10の全体が、チャイルドシート回転軸45を中心として(特にIsofix接続部を中心として)回転し始め、それによって車両シート100のパッドが圧縮される。
図4に示す時点で、本体11に対するインパクトシールド12の回転は(少なくとも実質的に)まだ開始していない。むしろ、この場合、チャイルドシート回転軸45を中心としたチャイルドシート10全体または本体11の回転に、子供Kおよびインパクトシールド12が後続する。この場合、子供Kの重心Sは未だ第2の(上側)インパクトシールド回転軸42より(少なくともわずかに)下にあるが、
図3に係る位置ほど下にはない。
【0127】
図5は、
図4の後の状況を(簡単に)示す。チャイルドシート回転軸45を中心としたチャイルドシート10の回転は継続している。同時に(特に、急な減速事象以前の進路から外れているため、またチャイルドシートのクッションの抵抗により、それに応じて対応する回転速度の減少を伴って)、インパクトシールド12および子供Kは、本体11に対する回転運動を開始している。インパクトシールド12は、(特に、それぞれの支持表面29による支持によって)第1のインパクトシールド回転軸41を(少なくとも実質的に)中心として回転することはない。むしろ、インパクトシールドは、第2のインパクトシールド回転軸42を(少なくとも実質的に)中心として回転する。よって、子供Kは、インパクトシールドと共に回転し、その結果、インパクトシールドの下の方向に(または、インパクトシールドの前端が少なくともわずかに上向きになるように)回転する。子供Kの重心Sは、ここでは、第2のインパクトシールド回転軸42がある水平面に(少なくとも概ね)あり、第1のインパクトシールド回転軸41がある水平面より更に(比較的大幅に)上にある。全体的には、インパクトシールド12および子供Kは、チャイルドシート10の右側から見て、(本体に対して)反時計回りに回転する。本体に対するインパクトシールドの相対的な回転は、特に、支持表面がインパクトシールドと正確に平行に位置合わせされていない点から分かる。
【0128】
図6は、
図5の後の状況を(簡単に)示す。チャイルドシート回転軸45を中心としたチャイルドシート10の回転は、この時点で(たとえば、チャイルドシート10のシート部が自動車シートの固定支持構造、たとえば自動車シートのフレームに到達すると)終了している。同時に、インパクトシールド12は、この時点で、第2のインパクトシールド回転軸42を中心として(チャイルドシートの右側から見て)時計回りに回転する(子供Kの重心Sは、この時点で、第2のインパクトシールド回転軸42がある水平面より少なくともわずかに上にある)。全体として、(回転方向の逆転が起こることを含む)この種の調整によって、インパクトシールドまたは子供が過度に回転することが簡単な方法で防止される。
【0129】
図7は、(
図3~6と同様に)自動車シート100に装着された、通常位置にある(車両が静止しており、または過度の加速を伴わない正常な走行状況にある時の)チャイルドシート10を(極めて概略的に)示す。チャイルドシート10および車両シート11は、一般に、
図1および
図2および
図3~6にそれぞれ示すように設計され得る(ただし、これは必須ではない)。これとの相違点を以下に説明する。
【0130】
図3~6に係る実施形態と対照的に、インパクトシールド12は、ここでは本体11に対し固定されている(少なくとも静止している)。具体的には、インパクトシールド12は、本体11と係合させることができ、そのために(たとえば
図7に示すように)、(たとえば上向きに突出する)突起50が設けられる(代替または追加として、インパクトシールド12は、本体の凹部と係合させることが可能な対応する突起も有してよい)。当然、静止状態の接続は、他の方法で実現されてもよい(特に、少なくとも回転せず、場合によっては並進も不可能であるように調整され得る接続である)。インパクトシールド12は、子供回転軸51を画定する後部上縁を有する(前方へ加速する際、この軸を中心として、子供は車両シート100に対して回転する)。子供Kの重心Sは、この子供回転軸より下にある。また
図7において(
図3~6に関して説明したように)、チャイルドシート100は、好適には、チャイルドシート回転軸45を中心として回転することができるので、子供Kの重心Sおよび子供回転軸51は、減速過程の進行に伴って(特に、子供回転軸を中心とした回転の開始前、場合によっては開始直後)互いに対して移動し、それにより、必要に応じて、子供回転軸51を中心とした子供Kの回転は、インパクトシールドの上の方向に生じ(または、インパクトシールド12の下の方向への回転からインパクトシールド12の上の方向への回転に反転し)、そのため、インパクトシールド12の下方への回転の場合、対応する子供回転軸は、インパクトシールド12の下側後縁によって画定され得る。
【0131】
図8は、車両シート100に設置された、通常使用時のチャイルドシートの更なる実施形態の更なる(極めて概略的な)図を示す。ここでもまた、チャイルドシート10は、場合によっては、(後述する逸脱を考慮に入れて)
図1および
図2または
図3~6に関して説明したように設計され得る。
【0132】
ここでは、インパクトシールド12は、単一のインパクトシールド回転軸60のみを中心として本体11に対して回転可能である。そのために、具体的には(逸脱した解決策が可能である)、突起50を本体に設けることができ(場合によっては少なくとも側面図において、または
図7のように断面に形成され)、それによってインパクトシールド12は、たとえばロッドおよび/または少なくとも1つのピンを介してこの突起に装着される。子供Kの重心Sは、インパクトシールド回転軸60より下にあるが、チャイルドシート回転軸45を中心とするチャイルドシート10の回転は、インパクトシールド回転軸60を中心とする回転の開始前(または開始直後)、重心Sおよび(同時に子供回転軸を形成し得る)インパクトシールド回転軸60を互いに対して動かす場合があり、それによってインパクトシールド回転軸60を中心とする子供の回転は、インパクトシールド12の上の方向に(瞬時に)起こり、またはインパクトシールドの下の方向への(インパクトシールド12の後部下角部によって画定され得る軸を中心とする)回転からインパクトシールドの上の方向への回転に反転する。
【0133】
ここまで、個別に、また任意の組み合わせで取り上げられた、上述した全ての部分、特に図面に示す細部は、本発明に不可欠なものとして特許請求対象となることに留意すべきである。それらの変更例は、当業者には周知である。
【0134】
また、可能な限り広範な保護範囲が求められることが指摘される。この点について、特許請求の範囲において定義される本発明は、追加の特徴と共に説明される特徴によって(これらの追加の特徴が必ずしも含まれない場合でも)特定することも可能である。丸括弧および「特に」/「具体的には」という用語は、それぞれの文脈における特徴の任意性を強調することが意図されることが明確に指摘される(逆に、そのような識別がなくとも対応する文脈において特徴が必須であると見なされることを意図するものではない)。
【参照符号】
【0135】
K 子供
S 重心
10 チャイルドシート
11 本体
12 インパクトシールド
13 シート部
14 バック部
15 ヘッドレスト
16 第1の固定手段(チャイルドシート固定手段)
17 第2の固定手段(インパクトシールド固定手段)
18 第1の部分
19 第2の部分
20 ベルト
21 ベルトタング
22 ベルトガイド
25 凹部
26 第3の接続点
27 第4の接続点
28 ウイング
29 支持表面
30 側部
32 着座領域
33 支持部
34 中間部
36 隆起部
41 第1のインパクトシールド回転軸
42 第2のインパクトシールド回転軸
43 傾斜
45 チャイルドシート回転軸
50 突起
51 子供回転軸
60 インパクトシールド回転軸
100 車両シート
【国際調査報告】