(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】胃滞留型医薬剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/00 20060101AFI20231124BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20231124BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K9/00
B33Y80/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526184
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2021127458
(87)【国際公開番号】W WO2022089588
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/125319
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111255791.9
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517420511
【氏名又は名称】トリアステック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】デン,フェイファン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】リ,シァオリン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,センピン
(72)【発明者】
【氏名】ツォ,シァンハオ
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA94
4C076AA99
4C076BB01
4C076DD47
4C076EE02
4C076EE11
4C076EE16
4C076EE32
4C076EE49
4C076FF31
4C076GG01
4C076GG50
(57)【要約】
薬物を包含する医薬単位と、少なくとも1つの展開部材と、保持部材とを含む医薬剤形であり:前記展開部材は前記医薬単位に接続され、かつ前記展開部材を前記医薬単位にさらに近づける収縮形状と、前記展開部材を前記医薬単位からさらに離すようにする展開形状とを有するように構成され;前記保持部材は少なくとも1つの前記展開部材に接続され、拘束力を少なくとも1つの前記展開部材に加えて、前記展開部材が前記収縮形状をとるようにし;前記保持部材は水溶性材料を包含し、かつ前記水溶性材料が溶解したときに、少なくとも1つの前記展開部材が前記収縮形状から前記展開形状に変化することができるように前記展開部材から前記拘束力を除去するように構成されている、医薬剤形。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物を包含する医薬単位と、
前記医薬単位に接続され、かつ前記医薬単位の近位で収縮形状を有し前記医薬単位の遠位で展開形状を有するように構成された、少なくとも1つの展開部材と、
前記少なくとも1つの展開部材に接続され、拘束力を前記少なくとも1つの展開部材に加えて、前記展開部材が収縮形状をとることを可能にする保持部材と
を含み、
前記保持部材が水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに、前記少なくとも1つの展開部材が前記収縮形状から前記展開形状へと変化できるように前記展開部材から拘束力を除去するように構成されている、
医薬剤形。
【請求項2】
前記展開部材が、拘束力の作用下で前記医薬単位の近位で収縮形状をとり、かつ前記拘束力が取り除かれたときに前記医薬単位の遠位で展開形状に戻るように構成された、少なくとも1つの弾性部分を前記展開部材が含む、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項3】
前記保持部材が、前記医薬単位および前記少なくとも1つの展開部材を少なくとも部分的に包封し、したがって前記少なくとも1つの展開部材は収縮形状をとるようになる、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項4】
前記保持部材が、前記医薬単位と前記展開部材との間に配置され、前記医薬単位に接続されて、前記展開部材が収縮形状をとるようになる、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項5】
複数の展開部材を含み、前記保持部材が少なくとも2つの展開部材に接続されて、前記少なくとも2つの展開部材が収縮形状をとるようになる、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項6】
前記弾性部分が、前記医薬単位に隣接する展開部材の一端に位置する、請求項2に記載の医薬剤形。
【請求項7】
前記展開部材が、前記医薬単位に隣接する端部に厚さが低減した部分を有する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項8】
前記展開部材が、細片、花弁、または棒形状を有する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項9】
前記医薬単位の周辺に沿って実質的に均一に分布された複数の展開部材を含む、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項10】
前記医薬単位が中空の区画を含む、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項11】
前記医薬単位が、外側シェルおよび薬物含有内側コアを含み、前記外側シェルが、前記展開部材と同じホスト材料を包含する、請求項1に記載の医薬剤形。
【請求項12】
三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、
展開部材が医薬単位に接続されるように、前記医薬単位および前記展開部材を層ごとに印刷すること、
展開形状から、前記医薬単位の近位で収縮形状を有するように、前記展開部材を構成すること、および
保持部材が少なくとも1つの展開部材に接続され、かつ拘束力を前記少なくとも1つの展開部材に加えて、前記展開部材が収縮形状をとることを可能にするように、前記保持部材を直接印刷すること
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに、前記少なくとも1つの展開部材は前記収縮形状から前記展開形状に変化することができるように前記展開部材から拘束力を除去するように構成されている、方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの展開部材が、前記展開部材が拘束力の作用下で前記医薬単位の近位で収縮形状をとり、かつ前記拘束力が取り除かれたときに前記医薬単位の遠位で展開形状に戻るように構成された、少なくとも1つの弾性部分を含むように印刷される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保持部材の印刷が、
前記保持部材が前記医薬単位および前記少なくとも1つの展開部材を少なくとも部分的に包封しまたは結合して、前記少なくとも1つの展開部材が収縮形状をとるように、前記保持部材を印刷すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記保持部材の印刷が、
前記保持部材が前記医薬単位と前記展開部材との間に配置され、かつ前記医薬単位と接続されて、前記展開部材が収縮形状をとるように、前記保持部材を印刷すること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの展開部材を印刷するステップおよび前記保持部材を印刷するステップが、種々の印刷ヘッドにより同時にまたは交互に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記展開部材が、前記医薬単位に隣接する一端に、厚さが低減した部分を有するように印刷される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの展開部材の印刷が、
前記展開形状をとる前記少なくとも1つの展開部材を印刷すること、および
前記少なくとも1つの展開部材を、前記展開部材が収縮形状をとるように移動させること
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬単位が、薬物を包含する第1の部分および薬物を包含しない第2の部分を含み、前記薬物を包含する前記第1の部分が、前記保持部材を印刷するステップが完了した後に印刷される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
外側シェル層および薬物層を含む医薬単位であって、前記医薬単位の少なくとも一部分は曲がったまたは折り畳まれた形状を有する医薬単位と、
前記医薬単位に接続され、前記医薬単位に拘束力を加えて前記医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を保持できるようにする保持部材と
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに前記医薬単位から拘束力を除去し、それによって前記医薬単位の少なくとも一部分が、前記曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている、医薬剤形。
【請求項21】
前記医薬単位が、内側から外側に徐々に増大する曲率半径を持つ螺旋形状を有するように構成され、前記保持部材が、前記医薬単位の前記螺旋形状の隙間を少なくとも部分的に満たす、請求項20に記載の医薬剤形。
【請求項22】
前記医薬単位が、外側シェル層および薬物層を含み、前記外側シェル層が疎水性材料から構成されている、請求項20に記載の医薬剤形。
【請求項23】
前記薬物層が、親水性材料を包含する、請求項22に記載の医薬剤形。
【請求項24】
前記薬物層が、第1の部分および第2の部分を含み、前記第1の部分および前記第2の部分が異なる薬物を包含する、請求項23に記載の医薬剤形。
【請求項25】
前記医薬単位が、一般に、展開したときに細長い形状をとる、請求項20に記載の医薬剤形。
【請求項26】
三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、
医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を有するように、薬物を包含する前記医薬単位を印刷すること、および
保持部材が前記医薬単位に接続され、かつ拘束力を前記医薬単位に加えて、前記医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を保持できるように、前記保持部材を印刷すること
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに前記医薬単位から拘束力を除去し、それによって前記医薬単位の少なくとも一部分が、前記曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている、方法。
【請求項27】
前記医薬単位が、内側から外側へと徐々に増大する曲率半径を持つ螺旋形状を有するように構成され、前記保持部材が、前記医薬単位の前記螺旋形状の隙間を少なくとも部分的に満たす、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
外側シェル層が、疎水性材料から構成されている、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの弾性部分を含む展開部材であって、前記展開部材は拘束力の作用下で収縮形状をとり、かつ前記拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように構成された展開部材と、
前記展開部材を取り囲み、かつ前記拘束力を前記展開部材に加えて前記展開部材が収縮形状を保持できるようにする保持部材と
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに前記展開部材から拘束力を除去し、それによって前記展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、医薬剤形。
【請求項30】
前記保持部材が第1の部分および第2の部分を含み、前記展開部材が前記第1の部分に接続され、前記第2の部分は水溶性材料を包含し、前記保持部材が、前記第2の部分の水溶性材料が溶解したときに前記展開部材から拘束力を除去し、それによって前記展開部材が少なくとも部分的に展開することが可能になる、請求項29に記載の医薬剤形。
【請求項31】
前記第1の部分が第1の薬物を含み、前記第2の部分が第2の薬物を含む、請求項30に記載の医薬剤形。
【請求項32】
前記第1の部分が少なくとも1つの区画を含み、前記第1の薬物が前記区画に配置されている、請求項31に記載の医薬剤形。
【請求項33】
前記展開部材が第1の部分および第2の部分を含み、前記展開部材の第1の部分は、胃液中の前記保持部材の前記第2の部分よりも遅い、胃液中の溶解速度を有する、請求項30に記載の医薬剤形。
【請求項34】
前記展開部材の前記第1の部分が薬物を含む、請求項33に記載の医薬剤形。
【請求項35】
前記展開部材がさらに第3の部分を含み、前記展開部材の前記第1の部分が、前記展開部材の前記第3の部分によって前記展開部材の前記第2の部分に接続され、前記展開部材の前記第1の部分が、前記第3の部分が溶解したときに前記第2の部分から切り離される、請求項33に記載の医薬剤形。
【請求項36】
前記展開部材の前記第2の部分および前記第3の部分が、疎水性材料および腸溶性材料を包含する、請求項35に記載の医薬剤形。
【請求項37】
前記展開部材の前記第1の部分が、第1の方向に沿って実質的に延び、前記展開部材の前記第2の部分が、第2の方向に沿って実質的に延び、前記展開部材の前記第1の部分および前記第2の部分が、互いに交差接続する、請求項33に記載の医薬剤形。
【請求項38】
前記展開部材の前記第1の部分が、少なくとも1つの内部区画を含み、薬物が、前記内部区画に配置されている、請求項37に記載の医薬剤形。
【請求項39】
前記展開部材の前記弾性部分が、前記展開部材が収縮構成をとるときに、平面に沿って実質的に延びるように構成されている、請求項29に記載の医薬剤形。
【請求項40】
前記保持部材の前記水溶性材料が少なくとも部分的に溶解したときに、少なくとも一方向に沿って16mmよりも長いまたはそれに等しい長さを有する、請求項29に記載の医薬剤形。
【請求項41】
前記展開部材が、胃液に進入した後、少なくとも10分以内で完全に展開するように構成されている、請求項29に記載の医薬剤形。
【請求項42】
三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、
展開部材が拘束力の作用下で収縮形状をとり、かつ拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように構成された、少なくとも1つの弾性部分を含む展開部材を印刷すること、
前記拘束力を前記展開部材に加えて、前記展開部材が収縮形状を保持できるようにすること、および
前記展開部材が収縮形状を保持できるように、保持部材によって前記展開部材上に拘束力を保持するように前記保持部材を印刷すること
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに前記展開部材から拘束力を除去し、それによって前記展開部材が少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、方法。
【請求項43】
前記保持部材が第1の部分および第2の部分を含み、前記方法がさらに、
前記展開部材が前記保持部材の第1の部分に接続されるように、前記展開部材を印刷した後に前記保持部材の第1の部分を印刷すること、および
前記保持部材の第1の部分によって前記展開部材に拘束力を加えて、前記展開部材が収縮形状を保持できるようにすること
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記保持部材の第2の部分を印刷することをさらに含み、前記第2の部分は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記第2の部分の前記水溶性材料が溶解したときに前記展開部材から拘束力を除去し、それによって前記展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、
保持部材を印刷すること、および
前記展開部材が前記保持部材に接続されるように、前記保持部材により取り囲まれた範囲内で、前記保持部材の拘束力の作用下で、展開部材を印刷することであって、前記展開部材は、前記保持部材によって加えられた前記拘束力が除去されたときに、前記展開部材が少なくとも部分的に展開できるように構成された少なくとも1つの弾性部分を含む、こと
を含み、
前記保持部材は水溶性材料を包含し、前記保持部材は、前記水溶性材料が溶解したときに前記展開部材から拘束力を除去し、それによって前記展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医薬剤形に関し、より詳細には、胃または消化管のその他の部分での滞留を実現することが可能な医薬剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の内部で作用することになる部分での薬物の滞留時間は、最終的な処置結果に影響を及ぼす重要な因子の1つである。しかしながら、急速な胃内容排出および短い胃腸運動時間はしばしば、伝統的な経口薬物送達系の場合、作用することになる部分での有効な滞留の実現に失敗し、したがって薬物の最終的なバイオアベイラビリティに影響を及ぼす。ある場合には、薬物は、完全に放出される前であっても胃または上部消化管から排出され、治療効果に深刻な影響を及ぼす。上記課題を解決するために、胃およびその他の部分で滞留させることが可能な薬物送達系が開発されており、これは主に構造的サイズの増大に依拠するものであり、表面接着を改善しまたは全体的な密度を変化させて消化管における薬物の滞留を実現し、それによって投薬頻度を減少させ、薬効を改善し、さらに患者のコンプライアンスを上昇させる。
【0003】
しかしながら、消化管で滞留させることが可能な既存の薬物送達系は、一般に、複雑な剤形および高い製造コストを有する。一方、いくつかの既存の滞留型薬物送達系の特定の施用プロセスも、胃食道チューブ、胃管またはカプセルなどの構造によって補助する必要があり、それには特殊化された薬物投与スキルまたは薬物投入手順が必要となり、使用の容易さおよび生産性を損なう。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、胃または消化管のその他の部分での滞留を実現することが可能であり、それによって、作用することになる部分での薬物の滞留時間を延ばし、投薬頻度を減少させ、患者の耐性を増大させ、および臨床上の有効性を改善する医薬剤形を提供する。
【0005】
本出願の一態様では、薬物を包含する医薬単位;医薬単位に接続され、かつ医薬単位の近位で収縮形状を有し医薬単位の遠位で展開形状を有するように構成された、少なくとも1つの展開部材;および少なくとも1つの展開部材に接続され、拘束力を少なくとも1つの展開部材に加えて、展開部材が収縮形状をとることを可能にする保持部材を含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに、少なくとも1つの展開部材が収縮形状から展開形状へと変化できるように展開部材から拘束力を除去するように構成されている、医薬剤形が提供される。
【0006】
一部の実施形態では、展開部材は、展開部材が拘束力の作用下で医薬単位の近位で収縮形状をとり、かつ拘束力が取り除かれたときに医薬単位の遠位で展開形状に戻るように構成された、少なくとも1つの弾性部分を含む。
【0007】
一部の実施形態では、保持部材は、医薬単位および少なくとも1つの展開部材を少なくとも部分的に包封し、したがって少なくとも1つの展開部材は収縮形状をとるようになる。
【0008】
一部の実施形態では、保持部材は、医薬単位と展開部材との間に配置され、医薬単位に接続されて、展開部材が収縮形状をとるようになる。
【0009】
一部の実施形態では、医薬剤形は複数の展開部材を含み、保持部材は少なくとも2つの展開部材に接続されて、少なくとも2つの展開部材が収縮形状をとるようになる。
【0010】
一部の実施形態では、弾性部分は、医薬単位に隣接する展開部材の一端に位置する。
【0011】
一部の実施形態では、展開部材は、医薬単位に隣接する端部に厚さが低減された部分を有する。
【0012】
一部の実施形態では、展開部材は、細片、シート、湾曲、花弁、または棒形状を有する。
【0013】
一部の実施形態では、医薬剤形は、医薬単位の周辺に沿って実質的に均一に分布された複数の展開部材を含む。
【0014】
一部の実施形態では、医薬単位は、医薬単位に接続された中空チャンバーを含む。一部の実施形態では、中空チャンバーは、展開部材に接続される。一部の実施形態では、中空チャンバーは、医薬単位に含まれる。
【0015】
一部の実施形態では、医薬単位は、外側シェルおよび薬物含有内側コアを含む。
【0016】
一部の実施形態では、医薬単位の外側シェルは、展開部材と同じホスト材料を包含する。
【0017】
本出願の別の態様では、三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、展開部材が医薬単位に接続されるように、薬物および少なくとも1つの展開部材を含む医薬単位を印刷すること;展開形状から、医薬単位の近位で収縮形状を有するように、展開部材を構成すること;および保持部材が少なくとも1つの展開部材に接続され、かつ拘束力を少なくとも1つの展開部材に加えて展開部材が収縮形状をとることを可能にするように、保持部材を直接印刷することを含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに、少なくとも1つの展開部材は収縮形状から展開形状に変化することができるように展開部材から拘束力を除去するように構成されている、方法が提供される。
【0018】
一部の実施形態では、少なくとも1つの展開部材は、展開部材が拘束力の作用下で医薬単位の近位で収縮形状をとり、かつ拘束力が取り除かれたときに医薬単位の遠位で展開形状に戻るように構成された、少なくとも1つの弾性部分を含むように印刷される。
【0019】
一部の実施形態では、保持部材の印刷は、保持部材が医薬単位および少なくとも1つの展開部材を少なくとも部分的に包封しまたは結合して、少なくとも1つの展開部材が収縮形状をとるように、保持部材を印刷することを含む。
【0020】
一部の実施形態では、保持部材の印刷は、保持部材が医薬単位と展開部材との間に配置され、かつ医薬単位と接続されて、展開部材が収縮形状をとるように、保持部材を印刷することを含む。
【0021】
一部の実施形態では、少なくとも1つの展開部材を印刷するステップおよび保持部材を印刷するステップは、種々の印刷ヘッドにより同時にまたは交互に行われる。
【0022】
一部の実施形態では、展開部材は、医薬単位に隣接する一端に、厚さが低減された部分を有するように印刷される。
【0023】
一部の実施形態では、少なくとも1つの展開部材の印刷は、展開形状をとる少なくとも1つの展開部材を印刷すること;および少なくとも1つの展開部材を、展開部材が収縮形状をとるように移動させることを含む。
【0024】
一部の実施形態では、医薬単位は、薬物を包含する第1の部分および薬物を包含しない第2の部分を含み、薬物を包含する第1の部分は、保持部材を印刷するステップが完了した後に印刷される。
【0025】
本出願の別の態様では、薬物を包含する医薬単位であって、医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を有する医薬単位;医薬単位に接続され、医薬単位に拘束力を加えて、医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を保持できるようにする保持部材を含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに医薬単位から拘束力を除去し、それによって医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている、医薬剤形が提供される。
【0026】
一部の実施形態では、医薬単位は、内側から外側に徐々に増大する曲率半径を持つ螺旋形状を有するように構成され、保持部材は、医薬単位の螺旋形状の隙間を少なくとも部分的に満たす。
【0027】
一部の実施形態では、医薬単位は、外側シェル層および薬物層を含み、外側シェル層は疎水性材料から構成される。
【0028】
一部の実施形態では、薬物層は親水性材料を包含する。
【0029】
一部の実施形態では、薬物層は第1の部分および第2の部分を含み、第1の部分および第2の部分は異なる薬物を包含する。
【0030】
一部の実施形態では、医薬単位は、一般に、展開したときに細長い形状をとる。
【0031】
本出願のさらに別の態様では、三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を有するように、薬物を包含する医薬単位を印刷すること;および保持部材が医薬単位に接続され、かつ拘束力を医薬単位に加えて、医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状を保持できるように、保持部材を印刷することを含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに医薬単位から拘束力を除去し、それによって医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている、方法が提供される。
【0032】
一部の実施形態では、医薬単位は、内側から外側へと徐々に増大する曲率半径を持つ螺旋形状を有するように構成され、保持部材は、医薬単位の螺旋形状の隙間を少なくとも部分的に満たす。
【0033】
一部の実施形態では、医薬単位は外側シェル層および薬物層を含み、外側シェル層は疎水性材料から構成される。
【0034】
本出願の一態様では、少なくとも1つの弾性部分を含む展開部材であって、展開部材が拘束力の作用下で収縮形状をとり、かつ拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように構成された展開部材;および展開部材を取り囲み、かつ拘束力を展開部材に加えて展開部材が収縮形状を保持できるようにする保持部材を含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、医薬剤形が提供される。
【0035】
一部の実施形態では、保持部材は第1の部分および第2の部分を含み、展開部材は第1の部分に接続され、第2の部分は水溶性材料を包含し、保持部材は、第2の部分の水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になる。
【0036】
一部の実施形態では、第1の部分は第1の薬物を含有し、第2の部分は第2の薬物を含有する。
【0037】
一部の実施形態では、第1の部分は少なくとも1つの区画を含有し、第1の薬物はその区画に配置される。
【0038】
一部の実施形態では、展開部材は第1の部分および第2の部分を含み、展開部材の第1の部分は、胃液中の保持部材の第2の部分よりも遅い、胃液中の溶解速度を有する。
【0039】
一部の実施形態では、展開部材の第1の部分は薬物を含有する。
【0040】
一部の実施形態では、展開部材はさらに第3の部分を含み、展開部材の第1の部分は、展開部材の第3の部分によって展開部材の第2の部分に接続され、展開部材の第1の部分は、第3の部分が溶解したときに第2の部分から切り離される。
【0041】
一部の実施形態では、展開部材の第2の部分および第3の部分は、疎水性材料および腸溶性材料を包含する。
【0042】
一部の実施形態では、展開部材の第1の部分は第1の方向に沿って実質的に延び、展開部材の第2の部分は第2の方向に沿って実質的に延び、展開部材の第1の部分および第2の部分は互いに交差接続する。
【0043】
一部の実施形態では、展開部材の第1の部分は、少なくとも1つの内部区画を含み、薬物は内部区画に配置される。
【0044】
一部の実施形態では、展開部材の弾性部分は、展開部材が収縮構成をとるときに平面に沿って実質的に延びるように構成される。
【0045】
一部の実施形態では、医薬剤形は、保持部材の水溶性材料が少なくとも部分的に溶解したときに少なくとも一方向に沿って16mmよりも長いまたはそれに等しい長さを有する。
【0046】
一部の実施形態では、展開部材は、胃液に進入した後、少なくとも10分以内で完全に展開するように構成される。
【0047】
本出願の一態様では、三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、展開部材が拘束力の作用下で収縮形状をとり、かつ拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように構成された少なくとも1つの弾性部分を含む展開部材を印刷すること;拘束力を展開部材に加えて、展開部材が収縮形状を保持できるようにすること;および展開部材が収縮形状を保持できるように、保持部材によって展開部材上に拘束力を保持するように保持部材を印刷することを含み;保持部材は水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、方法が提供される。
【0048】
一部の実施形態では、保持部材は第1の部分および第2の部分を含み、方法はさらに:展開部材が保持部材の第1の部分に接続されるように、展開部材を印刷した後に保持部材の第1の部分を印刷すること;および保持部材の第1の部分によって展開部材に拘束力を加えて、展開部材が収縮形状を保持できるようにすることを含む。
【0049】
一部の実施形態では、方法は、保持部材の第2の部分を印刷することをさらに含み、第2の部分は水溶性材料を包含し、保持部材は、第2の部分の水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になる。
【0050】
本出願の一態様では、三次元印刷プロセスを使用して医薬剤形を調製するための方法であって、保持部材を印刷すること;および展開部材が保持部材に接続されるように、保持部材により取り囲まれた範囲内で、保持部材の拘束力の作用下で、展開部材を印刷することであって、展開部材は、保持部材によって加えられた拘束力が除去されたときに、展開部材が少なくとも部分的に展開できるように構成された少なくとも1つの弾性部分を含む、こと含み;保持部材は水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている、方法が提供される。
【0051】
一部の実施形態では、印刷された展開部材は、弾性部分の弾性が増大するように熱処理に供される。
【0052】
前述の内容は、単純化、一般化、および詳細の省略がなされ得る本出願の概要であり、したがって当業者は、このセクションが単なる例示でありかつ如何様にも本出願の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。この概要は、請求項に記載される対象の重要な特徴または本質的な特徴を特定するものではなく、請求項に記載される対象の範囲を決定する助けとして使用されるものでもない。
【0053】
本開示の上記およびその他の特徴は、図面と組み合わせて、以下の記述および添付される特許請求の範囲から、より十分にかつ明瞭に理解されよう。これらの図面は、本開示のいくつかの実施形態のみ示し、したがって本出願の内容の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを、理解することができる。本開示を、図面を使用することによって、より明瞭にかつ詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】その展開部材101が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形100の概略斜視図である。
【
図2】その展開部材101が収縮形状をとる、
図1に示される医薬剤形100の概略斜視図である。
【
図3】その展開部材201が完全に収縮した形状をとらない、本出願の一実施形態による医薬剤形200の概略斜視図である。
【
図4】その展開部材201が収縮形状をとる、
図3に示される医薬剤形200の概略斜視図である。
【
図5】その展開部材301が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形300の概略斜視図である。
【
図6】その展開部材301が収縮形状をとる、
図5に示される医薬剤形300の概略斜視図である。
【
図7】その展開部材401が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形400の概略斜視図である。
【
図8】その展開部材401が収縮形状をとる、
図7に示される医薬剤形400の概略斜視図である。
【
図9】本出願の実施形態による、医薬剤形500の概略上面図である。
【
図10】本出願の別の実施形態による、医薬剤形600の概略上面図である。
【
図11】展開部材701が、保持部材が除去された後に展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形700の概略上面図である。
【
図12】
図11に示される医薬剤形700の概略上面図である。
【
図13】保持部材が除去された後に展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形800の概略上面図である。
【
図14】保持部材が除去された後に展開形状をとる、
図13に示される医薬剤形800の概略正面図である。
【
図15】
図13に示される医薬剤形800の概略正面図である。
【
図16】
図13に示される医薬剤形800の概略断面上面図である。
【
図17】保持部材が除去された後に展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形900の概略斜視図である。
【
図18】保持部材が除去された後に収縮形状をとる、
図17に示される医薬剤形900の概略斜視図である。
【
図19】
図17に示される医薬剤形900の概略斜視図である。
【
図20】
図17に示される医薬剤形900の概略断面正面図である。
【
図21】本出願の一実施形態による、医薬剤形1000の概略断面正面図である。
【
図22】保持部材が除去された後に展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形1100の概略斜視図である。
【
図23】保持部材が除去された後に収縮形状をとる、
図22に示される医薬剤形1100の概略斜視図である。
【
図24】
図22に示される医薬剤形1100の概略上面図である。
【
図25】
図22に示される医薬剤形1100の概略断面正面図である。
【
図26】本出願の一実施形態による、医薬剤形1200の概略断面正面図である。
【
図27】本出願の一実施形態による、医薬剤形1300の概略上面図である。
【
図28】
図27に示される医薬剤形1300の概略断面正面図である。
【
図29】本出願の一実施形態による、医薬剤形1400の概略断面正面図である。
【
図30】本出願の一実施形態による、医薬剤形1500の概略上面図である。
【
図31】保持部材が除去された後、細片形状に展開された、
図30に示される医薬剤形1500の概略斜視図である。
【
図32】本出願の一実施形態による、医薬剤形1600の概略上面図である。
【
図33】保持部材が除去された後、細片形状に展開された、
図32に示される医薬剤形1600の概略斜視図である。
【
図34】本出願の実施形態による医薬剤形1700の概略上面図である。
【
図35】保持部材が除去された後に展開部材1703が展開形状をとる、
図34に示される医薬剤形1700の概略上面図である。
【
図36】
図34に示される医薬剤形に類似した、3つの医薬剤形の構造の概略図である。
【
図37】実際の展開状態にある、
図34に示される医薬剤形1700の写真である。
【
図38】本出願の実施形態による、医薬剤形1800の概略上面図である。
【
図39】保持部材の一部分が除去された後に展開部材が展開形状をとる、
図38に示される医薬剤形1800の概略上面図である。
【
図40】本出願の実施形態による、医薬剤形1900の概略上面図である。
【
図41】保持部材が除去された後に展開部材が展開形状をとる、
図40に示される医薬剤形1900の概略上面図である。
【
図42】
図40に示される医薬剤形1900の3Dモデリングを示す図である。
【
図43】
図40に示される医薬剤形1900の、非拘束展開部材、医薬剤形(c)、および展開医薬剤形の写真である。
【
図44】
図40に示される医薬剤形1900に対応するサイズ-時間応答曲線を示す図である。
【
図45】
図36に示される種々の弾性部分の構成を有する医薬剤形に対応する、サイズ-時間応答曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下の詳細な記述では、その一部を形成する図面を参照する。詳細な記述、図面、および請求項に記述される例示的な実施形態は、限定しようとするものではない。本出願の主題の精神または範囲から逸脱することなく、その他の実施形態が使用されてもよく、その他の変更を行ってもよい。本出願をさらに詳細に記述する前に、本出願は、当然ながら変化し得るように、記述される特定の実施形態に限定されないことを理解すべきである。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を記述する目的のものであり、限定しようとするものではなく、それは本出願の範囲が添付される請求項によってのみ限定されることになるからであることも、理解すべきである。
【0056】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に介在する各値、およびその言及される範囲での任意のその他の記述されるまたは介在する値は、文脈が他に明示しない限り、下限の単位の10分の1に至るまで、本出願の範囲内に包含されることが理解される。これらのさらに小さい範囲の上限および下限は、独立してさらに小さい範囲に含まれてもよく、言及される範囲における任意の特に排除限界の影響下で本出願の範囲にも含まれる。言及される範囲が限界の一方または両方を含む場合、それら含まれる限界のいずれかまたは両方を排除する範囲も、本出願に含まれる。本明細書で、「約」値またはパラメーターと言う場合、その値またはパラメーター自体を対象とするばらつきを含む(および記述する)。例えば、「約X」という記述は、「X」という記述を含む。
【0057】
本明細書に引用される全ての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許のそれぞれが参照により組み込まれることを特におよび個々に示されるかのようにかつそれら刊行物が引用されたものと併せて方法および/または材料を開示し記述することが本明細書にその全体が述べられるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。引用される任意の刊行物は、本出願の出願日前に本明細書に開示され、提供される刊行物の日付は刊行物の実際の日付とは異なる可能性があり、個々に特定する必要があると考えられるものである。
【0058】
本出願を読むことで当業者に理解されるように、本明細書に記述され例示される様々な実施形態は、本出願の範囲または精神から逸脱することなくその他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴とは容易に分離され得るまたはそれと組み合わされ得る個別の組成および特徴を有する。任意の記述される方法は、列挙される事象の順序でまたは論理的に可能な任意のその他の順序で行われてもよい。
【0059】
本出願の実施形態について詳細に記述する前に、他に明示しない限り、本出願は、特定の材料、試薬、反応出発材料、生成プロセスなどに限定されず、様々に変えることができることを理解すべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を単に記述する目的のものであり、限定を意図するものではないことも理解すべきである。本出願では、論理的に可能な異なる順序でステップを行うことも可能である。
【0060】
本明細書で使用される用語「包含する」、「含む〔包括〕」、「含む〔含有〕」、および「有する」、およびその他類似の表現は、その意味が均等であるものとし、これらの用語の後に続く1つまたは複数の要素の列挙は、網羅的であることを意図せずまたは列挙される1つもしくは複数のその他の要素に限定することを意図しない。例えば、成分A、B、およびCを「含む」物品は、成分A、B、およびCからなる(即ち、~のみ包含する)ことができ、または成分A、B、およびCだけでなく1種もしくは複数のその他の成分も包含することができる。
【0061】
本明細書および添付される請求項で使用されるように、単数形「1」、「1つ」、および「前記」は、他に文脈で明示されない限り、複数指示対象を含むことに留意すべきである。したがって例えば、「化合物」は、複数の化合物を含む。本明細書ではおよび以下の請求項では、反対の内容が明確に意図されない限り、以下の意味を有すると定義されるものとする複数の用語を指すことになる。
【0062】
医薬剤形I
本出願は、胃または消化管のその他の部分で滞留を実現することが可能であり、それによって、作用することになる部分での薬物滞留時間を延ばし、投薬頻度を減少させ、患者の耐性を増大させ、および臨床上の有効性を改善する医薬剤形を提供する。一部の実施形態では、医薬剤形は、3D印刷法で印刷することにより形成されてもよい。
【0063】
図1は、その展開部材101が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形100の概略斜視図を示す。
図2は、その展開部材101が収縮形状をとる、
図1に示される医薬剤形100の概略斜視図を示す。
【0064】
図1および2に示されるように、医薬剤形100は、医薬単位102およびそこに接続された2つの展開部材101を含む。展開部材101は、弾性部分111および非弾性部分112を有する。弾性部分111は、展開部材101が
図2に示されるように拘束力の作用下で医薬単位102の近位で収縮形状をとるように、かつ拘束力が取り除かれたときに
図1に示されるように医薬単位102の遠位で展開形状に戻るように構成される。
【0065】
図2に示されていないが、一部の実施形態では、医薬剤形100はさらに、展開部材101に接続された保持部材を含む。保持部材は、展開部材101に拘束力を加えて、
図2に示されるように収縮形状をとることを可能にする。保持部材は、水溶性材料を包含し、水溶性材料が水性溶液にまたは体液に溶解したときに、保持部材は少なくとも部分的に切り離されても潰れ、それによって拘束力が展開部材101から除去し得るように構成される。これは展開部材101を、
図1に示される展開形状への移動を可能にする。
【0066】
使用中、保持部材によって
図2に示される収縮形状へと拘束された医薬剤形100は、経口的にまたはその他の投与手段によって、人体で適用されることになる部分(例えば、胃またはその他の上部消化管の部分)に送達される。その後、保持部材での水溶性材料の急速溶解に起因して、展開部材101は
図1に示される展開形状へと移動し、その結果、その全体的な構造的サイズが増大する。展開形状における展開部材の構造的サイズは一般に、適用されることになる部分(例えば、胃の幽門)の比較的狭い区域を通過しそうにないので、適用されることになる部分での医薬剤形100の滞留が実現され、その滞留時間が延びかつバイオアベイラビリティが改善する。
【0067】
医薬剤形100の展開サイズは、上述の滞留効果を発揮するのに適するよう設定される。特に、滞留効果を発揮するように使用されるとき、医薬剤形は12mmよりも大きいまたはそれに等しい、好ましくは18mmよりも大きいまたはそれに等しい展開サイズを有する。本明細書に記述される「展開サイズ」は、展開形状をとる医薬剤形100上のいずれか2つの点の間の最大直線距離を指す。
【0068】
図1および2に示される医薬剤形100は、拘束力が取り除かれたときに
図2に示される収縮形状から
図1に示される展開形状への展開部材101の戻りを容易にする弾性部分111を含むが、一部の実施形態では、医薬剤形100は、弾性部分111を含まなくてもよくかつ収縮形状から展開形状へと移動するのに外力を必要とするように構成されることに留意すべきである。特に、一部の実施形態では、弾性材料は、医薬剤形100の
図1および2に示される弾性部分111に使用されず、代わりにその部分の厚さは、隣接部分の厚さ未満になるように設定される。厚さが低減した部分は、比較的曲げるのが容易であるので、展開部材101は依然として、胃液またはその他の物質の作用下で
図2に示される収縮形状から
図1に示される展開形状へと容易に展開され得る。厚さが低減された部分で構成された医薬剤形100を使用することにより、弾性材料を特に用いることなく類似の展開効果を実現することができ、それによってコストが効果的に削減される。さらに、弾性材料を用いる必要がないので、医薬剤形が3D印刷技法を使用することによって印刷されるとき、その展開部材は、全体として同じ材料で印刷することができ、印刷ヘッドの多数回の切換えが回避される。一方、医薬剤形は、収縮形状で直接印刷することもでき、最終生成物の生成効率が効果的に改善する。
【0069】
展開部材
図1および2に示される展開部材101は、細片形状をとり、医薬単位102の円筒状の外周壁を包み込むことによって、展開形状から収縮形状へと移動する。一部の実施形態では、展開部材101は、花弁、棒、平板、または螺旋形状を有していてもよく、または曲げるのにもしくは折り畳むのに適した任意のその他の形状を有していてもよい。一部の実施形態では、展開部材101は、上下に曲げるまたは折り畳むことによって、ジグザグに折り畳むことによって、および任意の方向に巻くことなどによって、展開形状から収縮形状へと移動し得る。
【0070】
2つの展開部材101が、例示される医薬剤形100に含まれるが、一部の実施形態では、医薬剤形は任意のその他の数の展開部材101を、例えば1、2、3、4、6、7、8、および9個などを含んでいてもよい。
図1に示される2つの展開部材101は、医薬単位102の周壁の周りに実質的に均一に分布される。一部の実施形態では、医薬剤形101は、医薬単位の周に沿って実質的に均一に分布された4個の細片形状の展開部材を含んでいてもよく、これらは医薬単位102の円筒状の周を包み込むことによって展開形状から収縮形状へと移動する。
【0071】
図3は、その展開部材201が完全に収縮された形状をとらない、本出願の一実施形態による医薬剤形200の概略斜視図を示す。
図4は、その展開部材201が収縮形状をとる、
図3に示される医薬剤形200の概略斜視図を示す。
【0072】
特に、
図3および4に示される実施形態では、医薬剤形200は比較的長い細片形状の展開部材201を有し、細片形状の展開部材201は、一方向で医薬単位202の周に巻き付いて、
図4に示される展開形状から収縮形状へと移動する。
【0073】
図5は、その展開部材301が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形300の概略斜視図を示す。
図6は、その展開部材301が収縮形状をとる、
図5に示される医薬剤形300の概略斜視図を示す。
【0074】
特に、
図5および6に示される実施形態では、医薬剤形300は、5枚の花弁形状の展開部材301を有し、各花弁形状の展開部材301は、医薬単位302の下面に(または医薬単位302の外周壁の下半分に)取着された一端と、医薬単位302に向かって折畳み可能な他端とを有する。複数の花弁形状の展開部材301の上端は一緒に集まり、したがって展開部材は、
図5に示される展開形状から
図6に示される収縮形状へと移動するようになる。
【0075】
図7は、その展開部材401が展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形400の概略斜視図を示す。
図8は、その展開部材401が収縮形状をとる、
図7に示される医薬剤形400の概略斜視図を示す。
【0076】
特に、
図7および8に示される実施形態では、医薬剤形400は4つの細片形状の展開部材401を有する。各展開部材401は、立方体または直方体形状をとる医薬単位402の底面の1つの縁部に取着された一端を有し、細片形状の展開部材401の他端は、医薬単位402に向かって折畳み可能であり、したがって展開部材は、
図7に示される展開形状から
図8に示される収縮形状へと移動するようになる。
【0077】
図に示されないが、一部の実施形態では、医薬剤形は、1つまたは複数の空洞と共に構成された浮遊部材をさらに含んでいてもよく;他の実施形態では、浮遊部材は、100%未満の充填率を有するハニカムまたはグリッド形状に構成されていてもよく、充填率は、胃液中で医薬剤形に浮力が提供されるように、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または同様の率であってもよく、それによって医薬剤形の滞留効果がさらに改善する。一部の実施形態では、浮遊部材は医薬単位に接続される。一部の実施形態では、浮遊部材は、展開機構に接続される。一部の実施形態では、浮遊部材は、医薬単位内に位置する。一部の実施形態では、展開機構の表面は、疎水性材料である。一部の実施形態では、展開部材は薬物を包含していてもよい。一部の実施形態では、展開部材は、3D印刷技法によって印刷される。
【0078】
図1および2を再び参照すると、展開部材101の弾性部分111は、医薬単位102に隣接する展開部材101の一端に位置し、それによって展開形状と収縮形状との間で弾性部分111を中心とした展開部材101の旋回が容易になり、全体として展開部材101が大きい旋回角、例えば60から180度、またはより好ましくは90から120度になることが可能になる。一部の他の実施形態では、弾性部分は、展開部材101上の他の場所、例えば展開部材101の中間部分または医薬単位102の遠位にある他端に位置していてもよい。さらに、一部の実施形態では、各展開部材101は、互いに間隔を空けて拡がる複数の弾性部分を含んでいてもよく、各弾性部分は、それが取着する展開部材101の非弾性部分を同じまたは異なる方向に逸らすのを可能にする。一部の他の実施形態では、展開部材101は全体として、展開部材を任意の所望の収縮形状へと収縮させかつ保持部材の水溶性材料が溶解した後に自動的に展開形状へとより容易に戻すことが可能な、弾性材料から構成されてもよい。展開形状は、弾性材料の応力分布もしくは密度を調節することによって、およびその他の手法で実現され得ることが理解されよう。
【0079】
図1および2に示される展開部材101の弾性部分111の厚さは、非弾性部分112の厚さよりも小さいが、一部の実施形態では、弾性部分111は、非弾性部分112と同じ厚さを有していてもよい。一部の実施形態では、展開部材101の弾性部分111は、非弾性部分112とは異なる材料で作製されてもよく、弾性部分111は、より高い弾性係数を持つ弾性材料を含有していてもよいことに留意すべきである。しかしながら、一部のその他の実施形態では、弾性部分111は、非弾性部分112と同じ材料で作製されてもよく、弾性部分では、展開部材101は、厚さが低減した部分を有していてもよく、展開部材101を拘束するのに必要とされる弾性変形、ならびに展開部材101を放出したときに展開部材101を移動させるのに必要とされる支持力を、提供することが可能になる。言い換えれば、厚さが低減した部分は、比較的曲げるのが容易であるので、展開部材101は依然として、
図2に示される収縮形状から
図1に示される展開形状へと、胃液またはその他の物質の作用下で容易に展開する。
【0080】
一部の実施形態では、展開部材101の弾性部分111に使用される材料は、3D印刷に適した任意の弾性材料であってもよい。特に弾性材料は、より低いガラス転移温度(Tg)を有していてもよく、一般に、より良好な弾性、より低い弾性率、より大きい最大伸び、より高い靭性、またはより低い剛性を通常温度で有し、それによってプラスチックおよびゴムの両方の性質が提供される。弾性材料を含む弾性部分111は、外力によって任意のその他の形状に変化してもよく、外力が除去されたときにその当初の形状に向かって最大限に引き出されてもよい。さらに弾性材料は、高温で溶融物に加工することができ、それほど顕著でないクリープ特性を有し、したがって展開部材の弾性部分を、3D印刷法により任意の所望の形状または構造で印刷することが適している。
【0081】
特に、弾性部分111に使用される材料は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せであってもよいポリマー弾性材料を包含する:形状記憶ポリマー(SMP)、液晶エラストマー(LCE)、ヒドロゲル(例えば、Lubrizol製のTecophilicTM)、熱可塑性エラストマー(TPE)(例えば、スチレンブロックコポリマー、TPS(TPE-s))、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO(TPE-o))、熱可塑性加硫物(TPV(TPE-vまたはTPV))、熱可塑性ポリウレタン(TPU(TPU))、熱可塑性コポリエステル(TPC(TPE-E))、熱可塑性ポリアミド(TPA(TPE-A))、ポリ乳酸(PLA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンターポリマー(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリヘキサンジオン酸/ブチレンテレフタレート(PBAT)、アクリロニトリル-ブタジエン-アクリレート(ASA)、ポリアミド(PA)、ポリブチレン(PB)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)。
【0082】
TPEポリマーは主に、CAWITON、THERMOLAST K、THERMOLAST M、Arnitel、Hytrel、Dryflex、Mediprene、Kraton、Pibiflex、Sofprene、およびLapreneを含む。一方、スチレンブロックコポリマーは、CAWITON、THERMOLAST K、THERMOLAST M、Sofprene、Dryflex、およびアプレンを含む。熱可塑性ポリウレタンは、Laripur、Desmopan、およびElastollanを含む。熱可塑性加硫物は、Sarlink、Santoprene、Termoton、Solprene、THERMOLAST V、Vegaprene、およびForpreneを含む。熱可塑性オレフィンエラストマーは、For-Tec E、Engage、およびNinjaflexを含む。
【0083】
上記弾性材料に加え、一部の実施形態では、弾性部分111に使用される材料はさらに、可塑剤を包含する。可塑剤は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せであってもよい:クエン酸トリエチル(TEC)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、アセチン、アセチル化トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル、トリブチルo-アセチルシトレート、ポリヒドロキシ15ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン-35ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒマシ油、オレイン酸、トリアセチン、およびポリアルキレングリコール。
【0084】
さらに、弾性部分111に使用される材料は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せであってもよいその他の添加剤をさらに包含していてもよい:アカシア、アルギネート、アルギン酸、酢酸アルミニウム、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、炭酸カルシウム、キャンデリラワックス、クロスカルメロースナトリウム、フルクトース、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、通常のまたは無水リン酸カルシウム、カルナウバワックス、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム(EDTA)、リン酸水素二カルシウム脱水和物、セチルピリジン、リン酸水素二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、ジメチコン、ナトリウムエリスロシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゼラチン、モノオレイン、酸化鉄、酸化第二鉄、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、ラクトース(水性、無水、一水和物、または噴霧乾燥)、微結晶質セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メチルパラベン、ポリソルベート80、プロピルパラベン、重炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ジャガイモデンプン、リン酸、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、フェルラ酸ヒドロキシ酢酸ナトリウム、アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム〔croscamellose sodium〕、ドデシル硫酸ナトリウム、デンプン、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、スクロース、ソルビン酸、炭酸ナトリウム、ナトリウムサッカリン、アルギン酸ナトリウム、シリカゲル、モノオレイン酸ソルビタン、塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水和物、ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コハク酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化チタン、およびタルク。
【0085】
一部の実施形態では、弾性部分111は浸食される可能性があり、したがって医薬剤形は胃から放出され得る。一部の実施形態では、弾性部分は胃の中で8~72時間で完全に浸食される。一部の実施形態では、弾性部分は、少なくとも8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、48時間、または72時間以内に胃の中で完全に浸食される。
【0086】
医薬単位
図1および2に示される医薬単位102は、シリンダーとして構成されるが、一部の実施形態では、医薬単位102は、カプセル、円筒、球、楕円、三角柱、五角柱、弾丸形状、矢の形状、四面体、円錐、円錐台、アーモンド、直方体、立方体、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意のその他の形状をとってもよい。一部の実施形態では、医薬単位のサイズおよび形状は、個体への経口投与に適するように構成される。
【0087】
一部の実施形態では、医薬単位は、外側シェルおよび薬物含有内側コアを含み、さらに薬物のないプラグまたは中間層を含み;医薬単位は、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、膨潤可能なポリマー、非膨潤ポリマー、多孔質ポリマー、非多孔質ポリマー、浸食性ポリマー、または非浸食性ポリマーを含む熱可塑性材料で作製される。
【0088】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬剤形は、少なくとも1つの区画を医薬単位内に含む。本明細書で使用される「区画」は、医薬単位によって画定されたまたは分離された空間、部分、またはチャンバーを指す。1つの区画は、密封されていてもよくまたは開放されていてもよい(即ち、穴を持つ)。1つの区画は、薬物の投入を容易にする任意の幾何形状をとってもよい。一部の実施形態では、区画は、パイ、ピラミッド、柱、または円錐の形状をとってもよい。一部の実施形態では、特に設計された区画の形状は、その区画で薬物を特定の速度で放出することが可能になる。一部の実施形態では、区画は、カプセル、楔、三角柱、パイ、ピラミッド、柱、立方体、楕円、または円錐の形状をとってもよい。
【0089】
一部の実施形態では、本明細書に記述される医薬単位は、外側シェルによって形成された非密封区画を含み、薬物含有内側コアは区画の内側にあり、薬物および延長放出材料を含み;人体に投与されたとき、薬物はゆっくりと放出される。一部の実施形態では、薬物は完全に、少なくとも8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、48時間、または72時間放出される。
【0090】
一部の実施形態では、本明細書に記述される医薬単位は、外側シェル材料によって形成された非閉鎖区画を含み、薬物含有内側コアは区画の内側にあり、区画は薬物のないプラグによって閉鎖され;薬物が人体に投与されたとき、プラグは最初に胃液に接触し、浸食され、薬物含有内側コアはプラグが浸食された後に露出し、したがって薬物の遅延放出が実現される。一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、薬物のパルス放出が実現されるように、積層された複数の薬物含有層および中間層を含む多層構造を有する。
【0091】
一部の実施形態では、本明細書に記述される医薬単位は、外側シェル材料によって形成された複数の区画を含み、これらは閉鎖されておらず、隣り合ってまたは背中合わせに接触するよう配置される。一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、外側シェルによって部分的に取り囲まれる。一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、シェルまたは中間層の一部分によって分離される。一部の実施形態では、種々の区画が、薬物のないプラグによって密封されていない。一部の実施形態では、プラグは、長さが同じであり;一部の実施形態では、プラグは長さが異なっており;一部の実施形態では、プラグの材料は同じであり;一部の実施形態では、プラグの材料は異なる。一部の実施形態では、区画はプラグを含まない。
【0092】
薬物含有内側コア
一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、薬物および延長放出材料を含む。一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、薬物と延長放出材料とを混合することによって、ホットメルト押出し、および印刷によって形成される。
【0093】
一部の実施形態では、薬物含有内側コアは、交互に積層された薬物含有層および中間層を含む多層構造を有する。一部の実施形態では、薬物含有層は、薬物を含みかつ即時放出プロファイルを有する即時放出(IR)層であり;一部の実施形態では、薬物含有層は、薬物を含みかつ延長放出プロファイルを有する延長放出(ER)層である。一部の実施形態では、中間層は、薬物を含有せず、かつ薬物含有層を分離して薬物の交差汚染が回避されるようにまたは薬物のパルス放出効果を達成するように使用される。一部の実施形態では、各薬物層の薬物は同じである。一部の実施形態では、各薬物層の薬物は異なっている。一部の実施形態では、薬物層材料は第1の印刷ヘッドに配置され、中間層材料は第2の印刷ヘッドに配置され、第1の印刷ヘッドおよび第2の印刷ヘッドは薬物含有内側コアを交互に一層ずつ印刷する。
【0094】
一部の実施形態では、医薬単位は複数の区画を含み、第1の薬物含有内側コアおよび第2の薬物含有内側コアは、第1の区画および第2の区画にそれぞれ配置され;第1の区画および第2の区画は隣り合ってまたは背中合わせに接触するよう配置される。
【0095】
一部の実施形態では、薬物含有内側コアの薬物と混合される材料は、熱可塑性材料である。一部の実施形態では、熱可塑性材料は浸食性材料であり、これは以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せから選択され得る:
【0096】
コポビドン(ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)およびポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)60/40)、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロース(MC)、メタクリレートコポリマー、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]が1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]が2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]が1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]が1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]が1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]が7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]が1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]が1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー57/30/13、ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー25/75(Kollicoat(登録商標)IR)、Kollicoat(登録商標)IR-ポリビニルアルコール60/40(Kollicoat(登録商標)Protect)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネートまたはヒプロメロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、エチルセルロース(EC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)80/20、ポリビニルアセタールジエチルアミノラクテート(AEA)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMCE)、カルボマー、リン脂質、およびシクロデキストリン。
【0097】
一部の実施形態では、薬物含有内側コア内の薬物と混合された材料は、可塑剤およびその他の添加剤をさらに含んでいてもよく、この可塑剤は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せから選択されてもよい:クエン酸トリエチル(TEC)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、アセチン、アセチル化トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル、アセチル化トリブチルシトレート、ポリヒドロキシ15ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン-35ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒマシ油、オレイン酸、トリアセチン、ポリアルキレングリコール、ステアリン酸、パルミチン酸、およびモノステアリン酸グリセロール。その他の添加剤は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せであってもよい:アカシア、アルギネート、アルギン酸、酢酸アルミニウム、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、炭酸カルシウム、メイデリラワックス、クロスカルメロースナトリウム、フルクトース、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、通常のまたは無水リン酸カルシウム、カルナウバワックス、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム(EDTA)、リン酸水素二カルシウム脱水和物、セチルピリジン、リン酸水素二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、ジメチコン、ナトリウムエリスロシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゼラチン、オレイン酸グリセリル、酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、ラクトース(水性、無水、一水和物、または噴霧乾燥)、微結晶質セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メチルパラベン、ポリソルベート80、プロピルパラベン、重炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ジャガイモデンプン、リン酸、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ナトリウムアークグリコール酸、アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム〔croscamellose sodium〕、ドデシル硫酸ナトリウム、デンプン、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、スクロース、ソルビン酸、炭酸ナトリウム、ナトリウムサッカリン、アルギン酸ナトリウム、シリカゲル、モノオレイン酸ソルビタン、塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水和物、ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コハク酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化チタン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウム。
【0098】
プラグまたは中間層
一部の実施形態では、本明細書に記述される医薬単位はさらに、薬物の遅延放出またはパルス放出を実現するための1つまたは複数のプラグまたは中間層を含む。一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、薬物と混合されない。一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、薬物含有層に直接接触する。一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、シェルに直接接触する。一部の実施形態では、プラグは、外側シェルおよび薬物含有層に直接接触する。一部の実施形態では、中間層は、外側シェルおよび薬物含有層に直接接触する。一部の実施形態では、プラグは、薬物が人体に投与されたときにプラグが最初に胃液に接触し浸食されるように、薬物含有層上に位置する。一部の実施形態では、中間層は、複数の薬物含有層の中に位置する。
【0099】
一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、医薬単位からの薬物の遅延放出またはパルス放出を可能にする。一部の実施形態では、プラグまたは中間層の完全浸食にかかる時間は、約1分から約12時間であり、例えば約1分から10分、約10分から約30分、約30分から約1時間、約1時間から約3時間、約3時間から約6時間、約6時間から約9時間、および約9時間から約12時間のいずれか1つである。一部の実施形態では、中間層は、中間層に接触する2つまたはそれよりも多くの薬物含有層同士の干渉を低減させまたは回避し得る。
【0100】
一部の実施形態では、中間層の溶解速度(または浸食速度)は約0.1mm/時から約50mm/時である。一部の実施形態では、中間層の溶解速度(または浸食速度)は、少なくとも約0.1mm/時であり、例えば少なくとも約1mm/時、5mm/時、10mm/時、20mm/時、30mm/時、および40mm/時のいずれか1つである。一部の実施形態では、中間層の溶解速度(または浸食速度)は、約50mm/時未満であり、例えば約40mm/時、30mm/時、20mm/時、10mm/時、5mm/時、および1mm/時未満のいずれか1つである。
【0101】
一部の実施形態では、中間層は薬物含有層上に積層され、中間層は上面および下面を有し、薬物含有層は上面および下面を有し、シェルが中間層および薬物含有層の両方に直接接触する。一部の実施形態では、薬物含有層は中間層上に積層される。一部の実施形態では、シェルは、中間層の上面を露出させる。
【0102】
一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、薬物含有層よりも遅い溶解速度を有する。一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、薬物含有層よりも速い溶解速度を有する。一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、薬物含有層と同じ溶解速度を有する。
【0103】
一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、熱可塑性材料から構成される。一部の実施形態では、プラグまたは中間層の熱可塑性材料は、浸食性材料である。一部の実施形態では、浸食性材料は、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー57/30/13、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)60/40、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)80/20、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VA64)、ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー25/75、コリコートIR-ポリビニルアルコール60/40、ポリビニルアルコール(PVAまたはPV-OH)、ポリ(酢酸ビニル)(PVAc)、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]が1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]が2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]が1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT (登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]が1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]が1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5 P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]が7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]が1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]が1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ハイパーブランチポリエステルアミド、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、フタル酸ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートまたはコハク酸ヒプロメロース(HPMCAS)、ラクチド-グリコリドコポリマー(PLGA)、カルボマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、セルロースまたはセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポロキサマー、水素化ヒマシ油および大豆油、パルミトステアリン酸グリセリル、カルナウバワックス、ポリグリコール酸(PGA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、コロイド状二酸化ケイ素、糖、グルコース、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ワックス、蜜蝋、ヒドロゲル、ゼラチン、水素化植物油、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、パラフィン、シェラック、アルギン酸ナトリウム、セルロースアセテートフタレート(CAP)、脂肪油、アラビアガム、およびキサンタンガムの1種または組合せから選択される。
【0104】
一部の実施形態では、熱可塑性材料は、可塑剤またはその他の添加剤と混合される。一部の実施形態では、可塑剤またはその他の添加剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、アセチン、アセチル化トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル、アセチル化トリブチルシトレート、ポリヒドロキシ15ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン-35ヒマシ油、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒマシ油、オレイン酸、トリアセチン、ポリアルキレングリコール、ヒドロキシステアレート、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、ポリエチレングリコール12セトステアリルエーテル、ポリエチレングリコール20セトステアリルエーテル、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、グリセロール、ヒマシ油、オレイン酸、三酢酸グリセリル、ポリアルキレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、アカシア、アルギネート、アルギン酸、酢酸アルミニウム、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、パルミチン酸、炭酸カルシウム、メイデリラワックス、クロスカルメロースナトリウム、フルクトース、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、通常のまたは無水リン酸カルシウム、カルナウバワックス、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム(EDTA)、リン酸水素二カルシウム脱水和物、セチルピリジン、リン酸水素二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、ジメチコン、ナトリウムエリスロシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゼラチン、オレイン酸グリセリル、酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、ラクトース(水性、無水物、一水和物、または噴霧乾燥)、微結晶質セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メチルパラベン、ポリソルベート-80、プロピルパラベン、重炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ジャガイモデンプン、リン酸、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ナトリウムアークグリコール酸、アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム〔croscamellose sodium〕、ドデシル硫酸ナトリウム、デンプン、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、スクロース、ソルビン酸、炭酸ナトリウム、ナトリウムサッカリン、アルギン酸ナトリウム、シリカゲル、モノオレイン酸ソルビタン、塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水和物、ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コハク酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化チタン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムの1種または組合せから選択される。
【0105】
一部の実施形態では、プラグまたは中間層は、材料のホットメルト押出しによって印刷される。
【0106】
シェル
一部の実施形態では、医薬単位はシェルを含む。一部の実施形態では、シェルは薬物含有内側コアを部分的に取り囲む。
【0107】
一部の実施形態では、シェルは薬物と混合されない。一部の実施形態では、シェルは種々の薬物と混合される。
【0108】
一部の実施形態では、シェルは浸食性ではない。一部の実施形態では、シェルは、ER層よりも遅い浸食速度を有する。一部の実施形態では、シェルは、ER層中の薬物の実質的に全てがそこから放出されるまで、実質的に浸食されない。一部の実施形態では、シェルは、個体に投薬単位を投与した後、少なくとも約6時間(少なくとも約7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、22時間、24時間、30時間、36時間、48時間、および72時間のいずれか1つなど)にわたり実質的に浸食されない。一部の実施形態では、シェルは、特定のpH範囲内で浸食される材料などのpH感受性材料を含む。
【0109】
一部の実施形態では、シェルは、例えば水または消化液に対して不透過性である。一部の実施形態では、シェルは、実質的に不透過性である。
【0110】
一部の実施形態では、シェル部分の材料は、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せであってもよい熱可塑性ポリマーを、含んでいてもよい:セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]であって1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]であって、2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって、1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]であって、1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D -55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって、1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5 P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]であって、7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって、1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[酢酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって、1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(PLGA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、酢酸セルロース(CA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMCE)、カルボマー、リン脂質、およびシクロデキストリン。
【0111】
一部の実施形態では、シェル部分の材料はさらに、以下に列挙される材料のいずれか1種または組合せを含む膨張剤を、含んでいてもよい:高分子量ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、高分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)、高分子量ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)80/20、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]であって1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]であって2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5 P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]であって7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセタールジエチルアミノラクテート(AEA)、およびこれらの組合せ。
【0112】
一部の実施形態では、シェルの溶解がpH依存性である。一部の実施形態では、シェルの溶解は、約5.5から約7よりも上のpHで生じる。一部の実施形態では、浸食は、約5.5、約6、約6.5、または約7よりも上のpHで生じる。一部の実施形態では、シェルは、腸溶性材料を含む。
【0113】
一部の実施形態では、シェルは、シェル材料のホットメルト押出しによって印刷される。
【0114】
本明細書に記述される「医薬単位」構造および材料は、米国特許第10258575号および第10363220号、米国特許出願第2019192440号、第2019321299号、および第2020315971号、ならびに国際特許出願公開WO2019137200、WO2016192680、WO2017193099、WO2018137686、およびWO2019137199、ならびにそれらの対応する国内段階の特許出願に記載される、任意の医薬単位構造、区画構造、中間層構造、投薬単位構造、およびこれらの組合せであってもよい。上述の特許および特許出願は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0115】
一部の実施形態では、医薬単位のシェル部分は展開部材と同じ材料で作製されてもよく、それによって医薬剤形の製造効率が効果的に改善されることに、留意すべきである。
【0116】
本明細書で使用される「薬物」は、限定するものではないが薬物、プロドラッグ、生物製剤、および疾患を阻害するのにまたは有益な健康上の効果をもたらすのに投与され得る任意のその他の物質を含む。
【0117】
一部の実施形態では、医薬単位102中の薬物は、消化管を経て投与された薬物であり、これは下記:ロスバスタチンなどのスタチン;メロキシカムなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID);クロピドグレルなどの血液希釈剤;ブプレノルフィンなどの鎮痛剤;ナロキソンなどのオピオイドアンタゴニスト;モンテルカストなどの抗喘息剤;プレドニゾンなどのステロイド;アリピプラゾールおよびリスペリドンなどの抗精神病剤;ジゴキシンなどの強心配糖体;タムスロシンなどのα-遮断薬;エゼチミベなどのコレステロール吸収阻害剤;ロラタジンおよびセチリジンなどの抗ヒスタミン;オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;エンテカビルなどの抗ウイルス剤;ドキシサイクリン、シプロフロキサシン、およびアジスロマイシンなどの抗生剤;メタドンおよびバレニクリンなどの薬物乱用治療剤;避妊剤;カフェインなどの刺激物質;およびコルヒチンなどの抗痛風治療剤から選択された薬物の1種または組合せであってもよい。一部の実施形態では、薬物基剤は、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、ニコチン酸、ビタミンC、ビタミンD、ビオチン、植物抽出物、植物ホルモン、およびその他のビタミンまたはミネラルを含むがこれらに限定されない栄養素であってもよい。
【0118】
保持部材
保持部材は、少なくとも1つの展開部材に接続され、少なくとも1つの展開部材に拘束力を加えて展開部材に収縮形状をとらせ、この保持部材は、水溶性材料を包含し、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって少なくとも1つの展開部材は、消化管内での効果的な滞留のために収縮形状から展開形状へと変化することが可能になるように構成されている。一部の実施形態では、特に拘束力が展開部材の外側から加えられたとき、保持部材は、展開部材に対する拘束力を実現するために、一般に比較的高い剛性を有するべきである。
【0119】
一部の実施形態では、保持部材の材料が熱可塑性材料である。一部の実施形態では、水溶性即時放出熱可塑性材料は、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー57/30/13、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)60/40、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)80/20、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VA64)、ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー25/75、コリコートIR-ポリビニルアルコール60/40、ポリビニルアルコール(PVAまたはPV-OH)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロースまたはセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートまたはヒプロメローススクシネート(HPMCAS)、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポロキサマー、ポリグリコール酸(PGA)、糖、グルコース、ヒドロゲル、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、およびキサンタンガムの1種または組合せから選択される。
【0120】
一部の実施形態では、保持部材の材料はさらに:クエン酸トリエチル(TEC)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、アセチン、アセチル化トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル、アセチル化トリブチルシトレート、ポリヒドロキシ15ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン-35ヒマシ油、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒマシ油、オレイン酸、トリアセチン、ポリアルキレングリコール、ヒドロキシステアレート、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400)、ポリエチレングリコール12セトステアリルエーテル、ポリエチレングリコール20セトステアリルエーテル、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、グリセロール、ヒマシ油、オレイン酸、三酢酸グリセリル、ポリアルキレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸、アカシア、アルギネート、アルギン酸、酢酸アルミニウム、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、パルミチン酸、炭酸カルシウム、メイデリラワックス、クロスカルメロースナトリウム、フルクトース、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、通常のまたは無水リン酸カルシウム、カルナウバワックス、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム(EDTA)、リン酸水素二カルシウム脱水和物、セチルピリジン、リン酸水素二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、ジメチコン、ナトリウムエリスロシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゼラチン、オレイン酸グリセリル、酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、ラクトース(水性、無水、一水和物、または噴霧乾燥)、微結晶質セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メチルパラベン、ポリソルベート-80、プロピルパラベン、重炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ジャガイモデンプン、リン酸、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ナトリウムアークグリコール酸、アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム〔croscamellose sodiun〕、ドデシル硫酸ナトリウム、デンプン、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、スクロース、ソルビン酸、炭酸ナトリウム、ナトリウムサッカリン、アルギン酸ナトリウム、シリカゲル、モノオレイン酸ソルビタン、塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水和物、ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コハク酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化チタン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムの1種または組合せから選択された可塑剤またはその他の添加剤を含む。
【0121】
他の実施形態では、保持部材は、展開部材と医薬単位との間でそれらを結合するよう少なくとも部分的に位置していてもよく、それによって展開部材を収縮形状に保持し;このとき、保持部材は、医薬剤形の表面から部分的に露出していてもよく、それによって液体は保持部材を溶かすようになり、最終的には展開部材と医薬単位との間の結合を除去する。
【0122】
一部の実施形態では、保持部材は、医薬単位および少なくとも1つの展開部材を少なくとも部分的にコーティングし、したがって少なくとも1つの展開部材は収縮形状をとるようになる。
【0123】
図9および10は、本出願の実施形態による医薬剤形500および600それぞれの概略上面図を示す。医薬剤形500および600は、
図1および2に示される医薬剤形100の医薬単位および展開部材に実質的に類似する構造を有する。
図9に示されるように、細長い保持部材503が展開部材501上に位置し、医薬単位502が同時にそれらに接続されて、展開部材501が図に示される医薬単位502の外周壁の周りに適合した状態で収縮形状で保持されるようになされている。
図10に示されるように、保持部材503は、展開部材501および医薬単位502上に位置する複数のドット-ブロック構造であってもよく、隙間に沿って個別に取着されて、展開部材および医薬単位が互いに対して適合される。一部の実施形態では、信頼性ある拘束効果をもたらすために、保持部材503は、展開部材501および医薬単位502の接合間隙の上方部分に沿って取着された環構造であってもよい。
【0124】
図13~16は、保持部材が除去された後に展開形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形800の上面図および正面図と、医薬剤形の正面図および断面上面図を示す。図に示されるように、収縮形状にあるとき、展開部材801は上向きに折り畳まれて医薬単位802の外周側壁の一部分に適合しかつカバーし、保持部材は医薬単位802の外周側壁のその他の部分だけでなく展開部材801および医薬単位802を接続する上方部分も同時にカバーし、それによって効果的で信頼性ある拘束がもたらされる。一部の他の実施形態では、保持部材803は、展開部材801および医薬単位802の上方または下方部分をカバーすることなく、医薬単位802の外周側壁のみをカバーしていてもよい。
【0125】
図17~20は、保持部材が除去された後にそれぞれ展開形状および収縮形状をとる、本出願の一実施形態による医薬剤形900の概略斜視図と、医薬剤形900の概略斜視図および概略断面図を示す。
図17および18に示されるように、医薬剤形900の展開部材901は、医薬単位902の外周壁から延びる細片形状部材であり、収縮形状にあるとき、展開部材は、医薬単位902の外周側壁の周りに巻かれ、医薬単位902の外周側壁を部分的にカバーする。
図19および20に示されるように、保持部材903は、医薬単位902の外周側壁のその他の部分をコーティングし、収縮形状をとる展開部材901の上方部分および外周側壁をカバーする。
図21に示される実施形態の構造1000は、実施形態900の場合に実質的に類似しており、医薬単位1002の周りに巻かれた展開部材1001は、円筒状医薬単位1002の外周側壁を実質的にカバーしており、保持部材1003は、医薬単位1002および収縮形状をとる展開部材1001によって形成された構造の上部壁および外周側壁を完全にコーティングしている。他の実施形態では、保持部材1003は、医薬単位1002および収縮形状をとる展開部材1001により形成された一体化構造を完全にコーティングしていてもよい。
【0126】
図22~25は、保持部材が除去された後の、それぞれ展開形状および収縮形状をとる本出願の一実施形態による医薬剤形1100の概略斜視図と、医薬剤形1100の概略上面図および概略断面図を示す。
図22および23に示されるように、医薬剤形1100の展開部材1101は、医薬単位1102の外周壁上にある2つの細片形状部材であり、収縮形状にあるとき、2つの展開部材1101はそれぞれ医薬単位1102の外周側壁の周りに巻かれ、医薬単位1102の外周側壁を部分的にカバーする。
図24および25に示されるように、保持部材1103は、医薬単位1102の外周側壁のその他の部分をコーティングし、収縮形状にある2つの展開部材1101の上方部分および外周側壁をカバーする。他の実施形態では、保持部材1103は、医薬単位1102および収縮形状をとる展開部材1101によって形成された構造を完全にコーティングしてもよく、または構造の上部壁および外周側壁をコーティングする。
【0127】
一部の実施形態では、医薬単位は、薬物を包含する部分および薬物を包含しない部分を含んでいてもよく、薬物含有部分は、その他の部分から独立して形成されるように構成される。
【0128】
図26に示される医薬剤形1200の展開部材1201、医薬単位1204、および保持部材1203の構造は、実施例1の場合に実質的に類似している。相違は、例示される医薬単位1204に浮遊部材1207が取着されることである。医薬単位1204は、3つの区画1206を画定し、そのそれぞれは、上記に示されるように、薬物または薬物の混合物および浸食性材料またはその他の賦形剤または同様のものなど、薬物含有内側コア材料で満たされてもよい。医薬単位1204のシェル材料は、上述のシェル部分で使用される材料であってもよく、医薬単位の上方部分には、消化液中で浸食されることになる上述のプラグ構造1205が設けられ、したがって区画内の薬物は消化液に曝され得るようになる。一部の実施形態では、
図26に示される3つのプラグ構造1205は、区画1206内での薬物含有内側コア材料のパルス放出を実現するために、異なる溶解速度を持つ材料で作製されてもよくまたは異なる寸法(例えば、厚さ、サイズなど)で設けられていてもよい。一部の実施形態では、浮遊部材1207は、空洞、ハニカム、または足場構造として構成されてもよく、それによって、より良好な滞留効果を発揮するように浮力が提供される。上述の医薬単位1204は、三次元印刷または付加製造法によってその他の部分から独立して形成されてもよい。
図26は医薬単位1204の特定の構造を示すが、任意の利用可能な3D印刷された医薬剤形構成であってもよい。薬物含有部分はその他の構造から独立して印刷され得るので、例えば、医薬単位1204の下の部分が最初に印刷され、次いで医薬単位1204が独立して印刷され、したがって医薬単位1204は、胃滞留要件を満たすためのさらなる変更なしで、印刷または付加製造によって医薬剤形を製造するための任意の既存の手順、方法、または構造設計を採用してもよく、それによって特定の製品の開発および製造コストが削減される。
【0129】
例えば、一部の実施形態では、医薬単位1204の単一区画に、異なる溶解速度を持つ浸食性材料で作製された複数の薬物層が設けられてもよく、薬物層の積層位置、形状、およびサイズの種々の組合せが、1種または複数の薬物の目標放出プロファイルを実現し得る。他の実施形態では、区画の数は、任意のその他の数、例えば1、2、4、5、6などであってもよい。一部の実施形態では、複数の区画は、同じまたは異なる薬物材料で満たされていてもよく、積層、千鳥配列などの種々の位置的関係を有していてもよい。他の実施形態では、区画のいくつかが空のままであってもよく、したがってさらに良好な滞留効果が達成されるように医薬剤形に追加の浮力を提供し得る。
【0130】
図に示される医薬単位1204は、浮遊部材1207および保持部材1203に接続されるが、他の実施形態では、展開形状にある展開部材1201の助けを借りて消化管の空間内で医薬単位1204の効果的な滞留を実現するために、医薬単位1204は展開部材1201に同時にまたは浮遊部材1207および展開部材1201のいずれかのみに接続されていてもよい。
【0131】
図27および28は、本出願の一実施形態による医薬剤形1300の概略上面図および概略断面図を示す。医薬剤形1300は、
図22および23に示される医薬単位および展開部材と類似の構成を有し、再度本明細書に記述しない。
図27および28に示されるように、展開部材1301は、収縮形状にあるときに医薬単位1302の側壁の下半分を実質的にコーティングするが、保持部材1303は、医薬単位1302に取着された外周側壁の上半分をコーティングし、同時に、保持部材はその下側で展開部材1301の上側に接続され、それによって展開部材1301を収縮形状に保持する。上記配置構成は、展開部材に対する拘束効果を維持しながら、最終医薬剤形のサイズを最小限に抑えてもよくコストを削減してもよい。
【0132】
図29に示される医薬剤形1400の展開部材1401、浮遊部材1407、および保持部材1403の構造は、実施例3の場合に実質的に類似する。相違は、例示的な医薬単位が外側シェル1404、薬物含有層1406、およびプラグまたは中間層1405からなることである。医薬単位は、内部にある2つの積層された区画1406を画定し、区画は、再度本明細書に記述されない区画1206の場合に類似した薬物層または材料で満たされてもよい。区画の上方部分には、医薬剤形1200上のキャップ構造1205に類似したキャップ構造1405が設けられる。上記
図28に示される薬物含有部分1204の構造と同様に、
図29に示される医薬剤形1400の医薬単位は、その他の部分から独立して形成されてもよい。したがって医薬単位は、既存の十分確立された3D印刷された医薬剤形の設計または製造プログラムを採用することによって、設計されてもよい。
【0133】
一部の実施形態では、保持部材は、医薬単位と展開部材との間に配置され、展開部材が収縮形状をとるように医薬単位に接続される。特に、一部の実施形態では、収縮形状をとる展開部材と医薬単位との間に隙間があり、保持部材は、これらの隙間を少なくとも部分的に満たしかつ展開部材が収縮形状になるように使用される。一部の実施形態では、医薬剤形は複数の展開部材を含み、保持部材は、少なくとも2つの展開部材に接続され、したがって少なくとも2つの展開部材は収縮形状をとるようになる。
【0134】
図12は、本出願の一実施形態による医薬剤形700の概略上面図を示す。
図11は、保持部材が除去された後に展開形状をとる展開部材701を持つ、医薬剤形700の概略上面図を示す。
図11に示される医薬剤形700は、実質的に
図1に示される実施形態の場合に類似した展開形状をとる構造を有し、2つの展開部材701が円筒状医薬単位702から延びている。
図12に示される医薬剤形700の保持部材703は複数の部分を含み、互いに隣接する医薬単位702の遠位にある2つの展開部材701の端部は、保持部材731によって互いに接続されて、2つの展開部材701を収縮状態に拘束する。さらに、医薬剤形700の保持部材703はさらに、図に示される2つの保持部材732をさらに含み、保持部材732は、展開部材701と医薬単位702との間に配置されて、収縮形状をとる展開部材701の保持を支援する。保持部材732は、医薬剤形700の外面の少なくとも一部分から露出してもよく、それによって液体が保持部材732に接触して、医薬剤形700が水性溶液中に配置されたときに保持部材732を徐々に溶解することが理解されよう。
【0135】
図12は保持部材703が2つのタイプの保持部材731および732を含むことを示すが、一部の実施形態では、保持部材はそれらの1つのみを含んでいてもよいことに留意すべきである。他の実施形態では、保持部材703は、上述のいくつかの保持部材配置構成の組合せを採用してもよい。
【0136】
医薬剤形II
本出願はさらに、別の医薬剤形を提供する。医薬剤形は、薬物および保持部材を含む医薬単位を含み、医薬単位の少なくとも一部分は、曲がったまたは折り畳まれた形状をとり、一方、保持部材は医薬単位に接続され、拘束力を医薬単位に加えて、医薬単位の少なくとも一部分が、曲がったまたは折り畳まれた形状を保持するようにする。保持部材は、水溶性材料を包含し、水溶性材料が溶解したときに拘束力を医薬単位から除去し、それによって医薬単位の少なくとも一部分は、曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている。一部の実施形態では、医薬剤形は、3D印刷法で印刷することによって形成されてもよい。
【0137】
医薬剤形は、展開部材の複雑な構造を設けることを必要とせず、保持部材が消化液中で少なくとも部分的に溶解した後、医薬単位自体は曲がったまたは折り畳まれた形状から展開してそのフルサイズに拡がってもよく、したがって胃または上部消化管のその他の部分での医薬剤形の滞留が実現されるようになり、適用される部分での薬物の滞留時間が延長され、投薬頻度が低減され、バイオアベイラビリティが改善される。
【0138】
一部の実施形態では、医薬剤形の医薬単位は、
図1および2で既に記述されたように、全体的に弾性であってもよくまたは弾性部分を含み、弾性部分の作用下で、医薬単位は、滞留効果を実現する保持部材の拘束を失った後、急速に、曲がっていないまたは折り畳まれた状態まで戻る。他の実施形態では、医薬剤形の医薬単位は、弾性部分または弾性材料を含まなくてもよく、保持部材が浸食されたとき、医薬単位は、消化液のまたは消化管の組織からの外力の作用下で、曲がっていないまたは折り畳まれた形状へと自然に展開し得る。さらに他の実施形態では、医薬単位は異なる厚さで設けられてもよく、それによって上述の低減された厚さを持つ少なくとも1つの部分が形成される。弾性材料が上記構造で使用されないので、医薬剤形が3D印刷技法により印刷されたとき、医薬単位は、収縮形状で直接印刷されてもよく、印刷効率が効果的に改善される。
【0139】
図30は、本出願の一実施形態による医薬剤形1500の概略上面図を示す。
図31は、保持部材が除去された後に細片形状に展開された、
図30に示される医薬剤形1500の概略斜視図を示す。
図30および31に示されるように、医薬剤形1500は、医薬単位1502および保持部材1503を含む。医薬単位1502は、内側から外側に徐々に増大する曲率半径を持つ螺旋形状を有し、一方、白色領域の保持部材1503は、医薬単位1502の螺旋形状の隙間を満たす。
【0140】
図に示される保持部材1503は、医薬単位1502の螺旋形状の隙間全体を満たすが、他の実施形態では、保持部材1503は隙間の一部分を満たすだけでもよく、それによってコストが削減されかつ生成効率が改善される。
図31に示される医薬単位1502は、完全に展開したときに細片形状をとるが、一部の実施形態では、医薬単位1502は、ストリング、棒、または直方体の形状など、曲げまたは折畳みを容易にするその他の形状をとる細長い部材として構成されてもよい。さらに、図に示される医薬単位1502は螺旋形状に巻かれるが、他の実施形態では、医薬単位1502は、ある特定の方向での医薬単位の延びの長さを効果的に低減し得る任意のその他の形状、例えばS字形、8の字形、またはZ字形の連続的に折り畳まれた形状などに、折り畳まれてもよい。
【0141】
図30および31を再び参照すると、医薬単位1502は特に、シェル部分1521と、シェルに形成された溝に埋め込まれた薬物含有部分1522とを含む。薬物含有部分1522は、薬物、医薬賦形剤、および浸食性材料から構成されてもよい。一部の実施形態では、薬物含有部分1522は、上述の種々の浸食性材料および/または薬物で構成された重なる薬物含有部分の多重層として構成されてもよい。
【0142】
一部の実施形態では、シェル部分1521は、疎水性材料またはpH依存性材料で作製され、したがって胃液中の医薬単位に浮力または表面張力が提供されて、より良好な滞留効果が発揮され得るようになる。他の実施形態では、シェル部分1521の外面には、疎水性材料またはpH依存性材料が設けられる。特に、疎水性材料またはpH依存性材料は、以下の医薬級ポリマー::セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]であって1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]であって2:1の比にあるもの(例えばEUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D -55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5 P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]であって7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商用)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(PLGA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、酢酸セルロース(CA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、エチルセルロース(EC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMCE)、カルボマー、リン脂質、およびシクロデキストリンの1種または複数から選択されてもよい。
【0143】
他の実施形態では、上述の薬物含有部分は、下記の医薬級ポリマー:コポビドン(ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)およびポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)60/40)、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒプロメロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メチルセルロース(MC)、メタクリレートコポリマー、ポリ[メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)メチル、メタクリル酸メチル]であって1:2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)E 100、EUDRAGIT(登録商標)E 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)E PO)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル]であって2:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D、EUDRAGIT(登録商標)NE 40 D、およびEUDRAGIT(登録商標)NM 30 D)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L 100、EUDRAGIT(登録商標)L 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)L 12,5 P)、ポリ[メタクリル酸、アクリル酸エチル]であって1:1の比にあるもの(例えば、Acryl-EZE、Acryl-EZE 93A、Acryl-EZE MP、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、Eastacryl(登録商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、およびKollicoat(登録商標)MAE 100 P)、ポリ[メタクリル酸、メタクリル酸メチル]であって1:2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)S 100、EUDRAGIT(登録商標)S 12,5、およびEUDRAGIT(登録商標)12,5 P)、ポリ[アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸]であって7:3:1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.2の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RL 100、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)RL 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RL 12,5)、ポリ[アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸クロロトリメチルアンモニウムエチル]であって1:2:0.1の比にあるもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RS 100、EUDRAGIT(登録商標)RS PO、EUDRAGIT(登録商標)RS 30 D、およびEUDRAGIT(登録商標)RS 12,5)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー 57/30/13、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフトコポリマー 25/75(Kollicoat(登録商標)IR)、Kollicoat(登録商標)IR-ポリビニルアルコール 60/40(Kollicoat(登録商標)Protect)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネートまたはヒプロメロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、エチルセルロース(EC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)およびポリビニルピロリドン(PVP)80/20、ポリビニルアセタールジエチルアミノラクテート(AEA)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMCE)、カルボマー、リン脂質、およびシクロデキストリンの1種または複数から選択されてもよい親水性材料、pH依存性材料、または疎水性材料を包含する。
【0144】
一部の実施形態では、薬物含有層の材料はさらに、可塑剤およびその他の添加剤を含んでもよく、この可塑剤は、以下に列挙される材料:クエン酸トリエチル(TEC)、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、アセチン、アセチル化トリエチルシトレート、クエン酸トリブチル、トリブチルo-アセチルシトレート、ポリヒドロキシ15ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレン-40水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン-35ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、グリセロール、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒマシ油、オレイン酸、トリアセチン、およびポリアルキレングリコールのいずれか1種または組合せから選択されてもよい。その他の添加剤は、以下に列挙される材料:アカシア、アルギネート、アルギン酸、酢酸アルミニウム、ブチルパラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン、クエン酸、炭酸カルシウム、メイデリラワックス、クロスカルメロースナトリウム、フルクトース、コロイド状二酸化ケイ素、セルロース、通常のまたは無水リン酸カルシウム、カルナウバワックス、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム(EDTA)、リン酸水素二カルシウム脱水和物、セチルピリジン、リン酸水素二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸水素二ナトリウム、ジメチコン、ナトリウムエリスロシン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ゼラチン、オレイン酸グリセロール、酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、ラクトース(水性、無水、一水和物、または噴霧乾燥)、微結晶質セルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、メチルパラベン、ポリソルベート-80、プロピルパラベン、重炭酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ジャガイモデンプン、リン酸、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ナトリウムアークグリコール酸、アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム〔croscamellose sodium〕、ドデシル硫酸ナトリウム、デンプン、二酸化ケイ素、安息香酸ナトリウム、スクロース、ソルビン酸、炭酸ナトリウム、ナトリウムサッカリン、アルギン酸ナトリウム、シリカゲル、モノオレイン酸ソルビタン、塩化ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム脱水和物、ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、コハク酸、プロピオン酸ナトリウム、二酸化チタン、およびタルクのいずれか1種または組合せであってもよい。
【0145】
図30および31に示される医薬剤形1500は、実質的にディスク構造をとる。一部の実施形態では、ディスク構造は22mm以下の直径および10mm以下の厚さを有する。一部の実施形態では、医薬単位1502は、12mmよりも大きい、好ましくは18mmよりも大きい、展開サイズの最大長さを有する。
【0146】
図32は、本出願の一実施形態による医薬剤形1600の概略上面図を示す。
図33は、保持部材が除去された後に細片形状に展開された、
図32に示される医薬剤形1600の概略斜視図を示す。医薬剤形1600のシェル部分1621および保持部材部分は、医薬剤形1500の場合に類似している。相違は、医薬単位1602のシェル部分1621が、薬物含有部分1622および1623がそれぞれシェル上に埋め込まれている2つの溝を画定することである。一部の実施形態では、薬物含有部分1622および1623は異なる薬物を有する。他の実施形態では、薬物含有部分1622および1623の薬物は、それぞれ種々の浸食速度を有する材料と混合され、したがって医薬単位における薬物含有部分1622および1623の割合は、所望の薬物放出プロファイルが実現されるように調節され得るようになる。図に示される薬物含有部分1622および1623は単層構造であるが、それらは上記にて示されるように多層構造として構成されてもよい。
【0147】
医薬剤形III
本出願はさらに、別の医薬剤形を提供する。医薬剤形は、保持部材および展開部材を含む。展開部材は少なくとも1つの弾性部分を含み、この展開部材は、拘束力の作用下で展開部材が収縮形状をとるようにかつ拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように、構成される。一部の実施形態では、展開部材の弾性部分の少なくとも一部分が、例えばばね形状、連続したS字形に曲げられた、Z字形に曲げられた、または8の字形の形状など、曲がったまたは折り畳まれた形状をとり、したがってその弾性圧縮効果が確実になる。
【0148】
保持部材は、展開部材を取り囲むように配置され、拘束力を展開部材に加えて、展開部材が収縮形状で保持されるようにする。一部の実施形態では、保持部材は、展開部材を完全にコーティングするシェル構造になるように配置されてもよい。他の実施形態では、保持部材は、展開部材の一部分のみの周りに配置されたスリーブ構造、細片構造などであってもよい。保持部材は、水溶性材料を包含し、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている。
【0149】
図34および35は、医薬剤形IIIの例を示す。特に
図34は、本出願の一実施形態による医薬剤形1700の概略上面図を示す。
図35は、保持部材が除去された状態で展開された、
図34に示される医薬剤形1700の概略上面図を示す。
図34および35に示されるように、医薬剤形1700の保持部材の第1の部分1701および保持部材の第2の部分1702は一緒に、展開部材1703の周りに配置構成されかつ展開部材1703に拘束力を加える保持部材を形成し、この保持部材の第2の部分1702は、水溶性材料を包含する、または水溶性材料で全体が作製されている。一部の実施形態では、上述の水溶性材料は、再び本明細書では記述されない本出願の医薬剤形Iのセクションにおける保持部材で使用される水溶性即時放出熱可塑性材料のリストを含んでいてもよい。保持部材の第1の部分1701は、
図35に示されるように展開部材1703に接続される。保持部材の第2の部分1702は最初に溶解するので、保持部材の第1の部分1701は展開部材1703と一緒に展開し、展開部材1703と一緒になって、胃または上部消化管のその他の部分に滞留する構造を形成する。
【0150】
一部の実施形態では、保持部材の第1の部分1701は薬物を含んでいてもよく、例えば保持部材1701は、医薬剤形Iのセクションで記述された「医薬単位」の構造および材料を用いてもよく、それによって胃または上部消化管のその他の部分において薬物の低速放出が実現される。他の実施形態では、保持部材の第1の部分1701は、腸溶性薬物または材料の一部分をさらに含んでいてもよく、それによって、その腸管内への後続の進入後に腸管内でのさらなる薬物放出が可能になる。一部の実施形態では、保持部材1702は、胃または上部消化管内で最初に放出される必要があるいくつかの薬物などの、薬物を含んでいてもよい。当然ながら、保持部材の第2の部分1702は、本明細書で再び記述しない医薬剤形Iのセクションで記述された医薬単位に類似した薬物投入構造を用いてもよい。図示しないが、一部の実施形態では、展開部材1703は、以下の実施形態で詳述されるように、薬物を含んでいてもよい。
【0151】
展開部材1703は、S字形の連続折畳み形状として
図34および35に示されるが、他の実施形態では、展開部材1703は、ある特定の方向における医薬単位の延びの長さを効果的に低減することができる任意のその他の形状、例えば8の字形またはZ字形の連続で折り畳まれた形状などに、折り畳まれてもよい。さらに他の実施形態では、展開部材1703は、完全に展開したときに細片形状であってもよく、または曲げまたは折畳みを容易にするその他の形状の細長い部材として、例えばロープ、棒、または直方体の形状をとる部材として構成されてもよい。
図34および35に示されるように、展開部材1703は、平面に実質的に沿って延びるように構成される。この構成は、ばねまたはその他の三次元的に配置構成された弾性構成と比較して、3D印刷に明らかにさらに適切であり、薬物の生成効率を効果的に改善する。
【0152】
図36は、
図34に示される医薬剤形に類似した3つの医薬剤形の構造の概略図を示す。簡略化のため、図中の3つの医薬剤形の構造は、保持部材の第2の部分1702に該当する構造を有するように示されていない。図に示されるように、3つの医薬剤形構造の展開部材は全て、展開部材1703に類似したS字形の連続的に折り畳まれたまたは曲げられた構造として構成されるが、それらが折り畳まれたまたは曲げられた回数に相違がある。言い換えれば、3つの医薬剤形構造の展開部材の曲がったまたは折り畳まれた部分の折畳みの間隔が、異なる。特に、図に示されるように、ばねモデル1の折畳みの間隔は1.5mmであり、ばねモデル2の折畳み間隔は2mmであり、ばねモデル3の折畳み間隔は3.5mmである。表1は、
図36に示される3つの医薬剤形に関する、当初の長さ、圧縮長さ、および胃酸環境で1時間開放した後の長さのデータを示し、一方、
図45は、
図36に示される3つの異なる医薬剤形に関して対応するサイズ-時間応答曲線を示す。
【0153】
【0154】
図36に示されるように、3つ全てのモデルの展開部材の厚さは1mmである。表1および
図45からわかるように、展開部材の折畳み間隔と、展開部材そのものの厚さとの比が3:1未満であるとき、医薬剤形は、より小さいサイズで投与することができ、展開後、急速に収縮することなく最大限の展開サイズで安定して維持することができる。
【0155】
一部の実施形態では、医薬剤形IIIの展開部材は第1の部分および第2の部分も含む。
図38は、本出願の別の実施形態による医薬剤形1800の概略上面図を示す。
図39は、保持部材の一部分が除去された状態で展開された、
図38に示される医薬剤形1800の概略上面図を示す。
図38および39に示されるように、医薬剤形1800は、展開部材を取り囲みかつ拘束力を加える保持部材を一緒に形成する、保持部材の第1の部分1801と保持部材の第2の部分1802とを含む。保持部材の第1の部分1801および1802に関する構成および材料は、
図34の実施形態で記述されるものに実質的に類似し、本明細書では再び記述しない。
【0156】
引き続き
図38および39を参照すると、医薬剤形1800の展開部材は、展開部材の第1の部分1803と、展開部材の第1の部分1803から延びる複数の部分、即ち展開部材の第2の部分1804、第3の部分1805、第4の部分1806、および第5の部分1807とを含む。展開部材の第2の部分1804、第3の部分1805、第4の部分1806、および第5の部分1807は、それぞれ4つの保持部材の第1の部分1801に接続される。保持部材の第2の部分1802が最初に溶解し、展開部材に拘束が放たれた後、弾性の作用下、既に曲げられた状態にある展開部材の第2の部分1804、第3の部分1805、第4の部分1806、および第5の部分1807は、4つの保持部材の第1の部分1801と一緒に外向きに延び、ある特定の展開サイズ(例えば、16mmよりも大きい)の構成を形成し、それによって前述のような胃滞留効果が発揮される。図に示される展開部材は、展開部材の第1の部分1803から延びかつ保持部材の第1の部分1801に接続された展開部材の4つのその他の部分を含むが、他の実施形態では、展開部材の1、2、3、5、6、または8つのその他の部分を有するように構成されてもよいことに留意すべきである。
【0157】
一部の実施形態では、展開部材の第1の部分1803は、水溶性材料を含んでいてもよく、かつ水溶性材料が溶解したときに、展開部材の第2の部分から第5の部分が互いに分離されるように構成されていてもよく、それによって医薬剤形の全体サイズが効果的に低減され、胃から円滑に排出可能になることに、留意すべきである。図に示していないが、一部の実施形態では、展開部材の第1の部分1803と展開部材との間の接続点は水溶性材料を含んでいる場合があってもよく、それによってこれら接続点の水溶性材料の溶解を経て上述の全体構造の分解効果が発揮される。一部の実施形態では、展開部材の第1の部分1803の水溶性材料またはその上述の他の部分との接続点の水溶性材料の、胃液中での溶解速度は、保持部材の第2の部分1802の場合よりも遅くなるように構成され、その結果、医薬剤形は、胃滞留を可能にする
図39に示される構成へと円滑に展開され得るようになり、胃滞留のある特定の期間が完了した後、効果的に分解しかつ胃から排出され得るようになる。
【0158】
一部の実施形態では、保持部材の第1の部分1801、保持部材の第2の部分1802、または展開部材の第1の部分1803は、薬物投入および放出が実現されるように、医薬剤形Iのセクションで既に記述された「医薬単位」の構造および材料を全て含んでいてもよい。他の実施形態では、展開部材の第1の部分から延びる第2から第5の部分は、類似の薬物投入結果を用いてもよい。一部の実施形態では、展開部材の第2から第5の部分は、胃滞留効果を発揮する疎水性材料および腸溶性材料を含んでいてもよい。
【0159】
図40は、本出願の一実施形態による医薬剤形1900の概略上面図を示す。
図41は、保持部材が除去された状態で展開された、
図40に示される医薬剤形1900の概略上面図を示す。
図40および41に示されるように、医薬剤形1900は、保持部材1901、展開部材の第1の部分1902、および展開部材の第2の部分1903を含み、この保持部材1901は、展開部材の第1の部分1902および展開部材の第2の部分1903を包封するシェル構造である。保持部材1901により形成されたシェル内で、展開部材の第1の部分1902および展開部材の第2の部分1903は、互いに交差接続状態に配置構成され、したがって保持部材1901が少なくとも部分的に溶解しかつ展開部材の第1の部分1902および展開部材の第2の部分1903上に拘束を放つとき、これら2つの交差配置構成に起因して、胃滞留効果をより良好に達成することができる。
【0160】
展開部材の第1の部分1902は、薬物投入構造および医薬剤形Iのセクションに記述された「医薬単位」の材料を含むように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、展開部材の第1の部分1902の両端のそれぞれは、少なくとも1つの区画を含み、そのそれぞれは独立して、同じまたは異なる薬物を内部に包含する。一部の実施形態では、展開部材の第2の部分1903は、内部に薬物も含む。他の実施形態では、保持部材1901は、最適な治療効果のため、バッチ式にかつ種々の条件下で全薬物の放出を実現するように、先行してまたは急速に胃内に放出されることが必要な薬物を内部に含んでいてもよい。一部の実施形態では、展開部材の第1の部分1902と展開部材の第2の部分1903との間の接続点は、水溶性材料を含み、したがってこれらの接続点の水溶性材料の溶解を通して、ある特定の時間の後の展開部材の第2の部分1903からの展開部材の第1の部分1902の分離は、それらの胃からの排出が容易になるように実現される。
【0161】
図42は、
図40に示される医薬剤形1900の3Dモデリングを示す。
図43は、
図40に示される医薬剤形1900の、非拘束展開部材、印刷された医薬剤形、および展開医薬剤形の、物理的描像を示す。
【0162】
医薬剤形IIIの上記実施形態で述べられた水溶性材料は、本出願の医薬剤形Iのセクションの、保持部材に使用される水溶性即時放出熱可塑性材料のリストを含んでいてもよく、これらについて再び本明細書では記述しないことに留意すべきである。さらに、展開部材の弾性部分に使用される材料は、医薬剤形Iのセクションで定義されたエラストマー材料のリストを指すことができ、「医薬単位」に含有される材料は、特定の材料、および医薬剤形Iのセクションでの医薬単位の記述での選択肢とすることができ、これらについては再び本明細書で記述しない。一部の実施形態では、医薬剤形は、3D印刷法で印刷することによって形成されてもよい。一部の実施形態では、上述の医薬剤形の展開部材または保持部材の少なくとも一部分は、さらに膨潤性材料を含み、したがってその材料は胃液中で膨潤して展開部材の展開とマッチすることができるようになり、それによって、より良好な胃滞留効果を発揮しかつ生成物のサイズが低減される。
【0163】
経口医薬剤形の三次元印刷のための方法
本出願は、三次元印刷による、本明細書に記述される医薬剤形Iを調製するための方法を提供する。一部の実施形態では、方法は特に:薬物を包含する医薬単位を印刷すること;展開部材が医薬単位に接続されるように少なくとも1つの展開部材を印刷することであって、展開部材が拘束力の作用下で医薬単位の近位で収縮形状をとりかつ拘束力が取り除かれたときに医薬単位の遠位で展開形状に戻るように、展開部材が構成された少なくとも1つの弾性部分を含む、こと;および保持部材が少なくとも1つの展開部材に接続されかつ拘束力を少なくとも1つの展開部材に加えることによって展開部材に収縮形状をとらせるように、保持部材を印刷することを含み;保持部材が水溶性材料を包含し、保持部材が、水溶性材料が溶解したときに、少なくとも1つの展開部材が収縮形状から展開形状へと変化することができるように展開部材から拘束力を除去するように構成さている。
【0164】
一部の実施形態では、保持部材を印刷するステップは、特に:少なくとも1つの展開部材が収縮形状をとるように、保持部材が少なくとも部分的に医薬単位および少なくとも1つの展開部材を包封するよう保持部材を印刷することを含む。一部の実施形態では、印刷された医薬剤形の展開部材は、弾性部分を含まなくてもよく、収縮形状から展開形状へと移動するのに外力を必要とするよう構成されることに留意すべきである。特に一部の実施形態では、医薬剤形の展開部材部分は、厚さが低減された部分を含んでいてもよく、隣接部分の場合よりも薄くなるように設定された厚さを有する。厚さが低減された部分は、曲げることが比較的容易であるので、展開部材は依然として、胃液またはその他の物質の作用下で容易に収縮形状から展開形状へと移動する。厚さが低減された部分で構成された医薬剤形を使用することによって、弾性材料を特に用いることなく類似の展開効果を発揮することができ、それによってコストが効果的に削減される。さらに、弾性材料を用いる必要がないので、3D印刷技法を使用することによって医薬剤形が印刷されるとき、その展開部材は全体として同じ材料で印刷することができ、印刷ヘッドの多数回の切換えが回避される。一方、医薬剤形は、収縮形状で直接印刷することもでき、最終生成物の生成効率が効果的に改善される。
【0165】
一部の実施形態では、保持部材を印刷するステップは特に:保持部材が医薬単位と展開部材との間に配置構成されるようにおよび医薬単位に接続されるように保持部材を印刷し、したがって展開部材が収縮形状をとるようにすることを含む。他の実施形態では、印刷される医薬剤形は複数の展開部材を含み、保持部材を印刷するステップは特に:少なくとも2つの展開部材が保持部材によって接続されるように保持部材を印刷することを含み、それによって2つの展開部材が収縮状態で拘束される。一部の実施形態では、医薬剤形の医薬単位は、薬物含有部分および薬物のない部分を含み、薬物含有部分は、保持部材を印刷するステップが終了した後に印刷される。
【0166】
本出願はさらに、三次元印刷プロセスを使用することによって医薬剤形IIを調製するための方法を提供する。方法は、薬物を包含しかつ曲がったまたは折り畳まれた形状をとる医薬単位の少なくとも一部分を有する医薬単位を印刷すること;および保持部材が医薬単位に接続されかつ拘束力を医薬単位に加えるように、したがって医薬単位の少なくとも一部分が曲がったまたは折り畳まれた形状で保持されるように、保持部材を印刷することを含み;保持部材は水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに医薬単位から拘束力を除去し、それによって医薬単位の少なくとも一部分は、曲がったまたは折り畳まれた形状から展開することが可能になるように構成されている。
【0167】
本出願はさらに、三次元印刷プロセスを使用することによって医薬剤形IIIを調製するための方法を提供する。方法は、展開部材が拘束力の下で収縮形状をとるようにかつ拘束力が取り除かれたときに展開形状に戻るように構成された少なくとも1つの弾性部分を含む展開部材を印刷すること;展開部材が収縮形状で保持されるように展開部材に拘束力を加えること;および展開部材が収縮形状で保持されるように、保持部材によって展開部材上で拘束力を保持するよう保持部材を印刷することを含み;保持部材は水溶性材料を包含し、保持部材は、水溶性材料が溶解したときに展開部材から拘束力を除去し、それによって展開部材は少なくとも部分的に展開することが可能になるように構成されている。
【0168】
一部の実施形態では、保持部材を印刷するステップは、特に:展開部材を最初に印刷すること、拘束力を、印刷された展開部材に、クランプを経て加えることにより展開部材が収縮形状をとるのを可能にすること、および展開部材が収縮状態にあるとき、展開部材に最初に接続された保持部材の第1の部分を印刷し、次いで保持部材の第2の部分を印刷することを含む。一部の実施形態では、保持部材を印刷するステップは、特に:保持部材を最初に印刷すること、収縮形状にある展開部材を、保持部材に取り囲まれた範囲で、保持部材による拘束力の下で印刷し、展開部材が保持部材に接続されるようにすることを含み、展開部材は、保持部材によって加えられた拘束力が除去されたときに展開部材が少なくとも部分的に展開されるように構成された少なくとも1つの弾性部分を含み、3D印刷された展開部材は、展開部材の弾性が増加するように熱処理を受ける。本明細書で使用される「印刷」、「三次元印刷」、「3D印刷」、「付加製造」、またはこれらの同義語は、デジタル設計を使用して、層ごとの積層による三次元物体(例えば、医薬剤形)を生成するプロセスを指すことに留意すべきである。3D印刷の基本的なプロセスは、米国特許第5204055号、第5260009号、第5340656号、第5387380号、第5503785号、および第5633021号に記載されている。さらに、3D印刷に関するその他の米国特許および特許出願には、米国特許第5490962号、第5518690号、第5869170号、第6530958号、第6280771号、第6514518号、第6471992号、および第8828411号と、米国特許出願第2002/0015728号、第2002/0106412号、第2003/0143268号、第2003/0198677号、および第2004/0005360号が含まれる。上記米国特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0169】
いくつかの論文も、原材料、設備、および硬化に関して最適化された、医薬剤形を製造するための3D印刷法を開示する。例えば、これらの方法は、結合剤の堆積(Gibson et al.,“Additive Manufacturing Technologies:3D Printing,Rapid Prototyping,and Direct Digital Manufacturing”,2nd Edition,Springer,New York,2015;Katstra et al.,“Oral Dosage Forms Fabricated by Three Dimensional Printing”,J Control Release,66,2000;Katstra et al.,Fabrication of Complex Oral Drug Delivery Forms by Three Dimensional Printing,Dissertation in Materials Science and Engineering,Massachusetts Institute of Technology,2001;Lipson et al.,Fabricated:The New World of 3D printing,John Wiley & Sons,Inc.,2013;Jonathan,Karim,3D printing in pharmaceutics:a new tool for designing customized drug delivery systems,Int J Pharm,499,2016参照)、材料噴射(Jonathan,Karim,pharmaceutical field 3D printing:New tools for designing custom drug delivery systems,Int J Pharm,499,2016参照)、押出し(Gibson et al.,“Additive Manufacturing Technologies:3D Printing,Rapid Prototyping,and Direct Digital Manufacturing”,2nd Edition,Springer,New York,2015参照)、および光重合(Melchels et al.,A review on stereolithography and its application in bio-medical engineering,Biomaterials,31,2010参照)を含む。
【0170】
一部の実施形態では、本明細書に開示される医薬剤形は、押出し法を使用して3D印刷される。一部の実施形態では、3D印刷のための方法は、二軸スクリュー押出し法の使用を含む。押出しプロセスでは、材料が、機械的に駆動される印刷ヘッドから、印刷ノズルを経て押し出される。粉末床を必要とする結合剤の堆積とは異なり、押出し法は、任意の基材上に印刷することができる。様々な材料を、本明細書に開示される熱可塑性材料、ペースト、およびコロイド状懸濁液、シリコーン、およびその他の半固形物も含め、三次元印刷用に押し出すことができる。1つの一般的なタイプの押出し印刷は、印刷のために固体ポリマーフィラメントを使用する溶融堆積モデリングである。溶融堆積モデリングでは、ギアシステムが、押出しのためにフィラメントを加熱ノズルアセンブリ内へと推進させる(Gibson et al.,“Additive Manufacturing Technologies:3D Printing,Rapid Prototyping,and Direct Digital Manufacturing”,2nd Edition,Springer,New York,2015参照)。
【0171】
一部の実施形態では、本明細書に記述される3D印刷法が、連続供給法を含む。
【0172】
一部の実施形態では、本明細書に記述される3D印刷法は、バッチ供給法を含む。
【0173】
一部の実施形態では、3D印刷は、溶融堆積モデリング(FDM)によって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、非フィラメントFDMによって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、溶融押出し堆積(MED)によって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、インクジェット印刷によって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、選択的レーザー焼結(SLS)によって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、光造形法(SLAまたはSL)によって行われる。一部の実施形態では、3D印刷は、ポリジェット、マルチジェットプリントシステム(MJP)、Perfactory、固相物体紫外線レーザープリンター、バイオプロッター、3Dバイオプリント、急速凍結プロトタイピング、ベンチトップシステム、選択的堆積ラミネーション(SDL)、積層物体製造(LOM)、超音波統合、カラージェット印刷(CJP)、EOSINTシステム、レーザー加工ネットシェイピング(LENS)、およびエアロゾルジェットシステム、電子線溶融(EBM)、レーザーCUSING(登録商標)、選択的レーザー溶融(SLM)、Phenix PXTMシリーズ、微小焼結、デジタルパーツマテリアライゼーション(DPM)、またはVXシステムによって行われる。
【0174】
一部の実施形態では、三次元印刷は、FDMなどの3D印刷技法に連結されたホットメルト押出しによって行われる。一部の実施形態では、三次元印刷は、溶融押出し堆積(MED)によって行われる。
【0175】
一部の実施形態では、本明細書に記述される経口医薬剤形を調製するための方法は、3D印刷および別の方法の組合せ、例えば射出成型および3D印刷の組合せなどの、3D印刷技法を含む。一部の実施形態では、シェルは、射出成型を使用して製造され、1つまたは複数の部分は3D印刷技法を使用して製造される。
【0176】
本明細書に開示される医薬剤形を3D印刷するための方法は、ダイレクトコーディング、固体CADモデルからの導出、または3Dプリンターのコンピューターインターフェースおよびアプリケーションソフトウェアに特異的なその他の手段を含む、様々な手法で命令を発生させてもよい。これらの命令は、液滴の数および空間配置に関する情報、ならびに一般的な3D印刷パラメーター、例えば各線形次元(X,Y,Z)における液滴の間隔、および液滴あたりの液体の体積または質量を、含んでいてもよい。所与の組の材料では、これらのパラメーターは、創出される構造の品質を洗練させるため、調節されてもよい。創出された構造の総合分解能は、粉末粒度、流体液滴サイズ、印刷パラメーター、および材料特性の関数である。
【0177】
一部の実施形態では、方法は、経口医薬剤形の所定のパラメーターに基づき経口医薬剤形の三次元マップを創出することを含み、この三次元マップはコンピューターシステムで創出されるものである。一部の実施形態では、方法は、経口医薬剤形の三次元マップを三次元印刷コード、例えばGコードに変換すること(例えば、スライシング)を含む。一部の実施形態では、方法は、コンピューターシステムを使用して三次元印刷コードを実行することを含み、それによって本明細書に記述される経口医薬剤形が印刷される。
【実施例】
【0178】
三次元印刷法を使用して医薬剤形を印刷する特定の例について、本明細書の図面を参照しながら以下に記述する。
【0179】
[実施例1]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形400を印刷するための方法について、
図7から8を参照しながら詳細に記述する。
【0180】
まず、
図7に示される医薬剤形400の、医薬単位402および展開形状にある展開部材401を、印刷した。医薬単位402は立方体として図に示されるが、医薬単位402は、シェル部分および薬物含有内側コアを有する円筒、カプセル、またはその他の経口的に許容される薬物形態の形態をとってもよく、このシェルは「U」字形プロファイルを有し、薬物内側コアは外側シェルにより形成された区画に投入されることが、当業者に理解されよう。さらに、シェル部分は展開部材401と同じ材料で作製した。医薬単位402の外側シェルの材料は、第四級アミノメタクリレートコポリマーB型およびエチルセルロースから構成し;薬物含有内側コアは、モデル薬物およびヒドロキシプロピルセルロースから構成し;保持部材の材料はポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。特に、外側シェルの材料(展開部材401と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および医薬単位402の保持部材の材料は、二軸スクリュー押出し機内に別々に配置し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能のための押出し温度およびスクリュー回転速度を、別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出しの後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材401と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0181】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、そのシリンダーの温度は50から80℃に、ノズルの温度は80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を、1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスによって設定されたGコードをインポートし、医薬単位および展開形状にある展開部材401を、
図7に示されるように層ごとに印刷し始めた。各層は、印刷ヘッド1と印刷ヘッド2との間で切り換えることによって層ごとに印刷し、展開部材401を医薬単位402の底面に接続し、接続部分を、薬物モデルを通してさらに薄い接続として設計した。
【0182】
医薬単位402および展開部材401の印刷が終了した後、展開部材401を、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械式工作物を使用して上向きに折り畳んで、医薬剤形400を
図8に示される形に包封した。401は図中、医薬単位402の上面を完全に包封するように示されているが、展開部材401の長さを設定することにより、医薬単位402の外周側壁のみ包封し、医薬単位402の上面の薬物内側コアを露出させたままにすることも可能であることが、当業者に理解されよう。
【0183】
次に、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド3は、収縮形状にある医薬剤形400の上方部分にシールを印刷し続け、保持部材のコーティングが、収縮形状にある医薬剤形400の外面を完全にまたは部分的に包封するように、印刷されるようにした。医薬剤形400の保持部材は、種々の展開部材401が展開後に一致するまたは互いに閉じる位置を包封してもよい。
【0184】
[実施例2]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形700を印刷するための方法について、
図11から12に示される医薬剤形700の構造を参照しながら詳細に記述する。
【0185】
最初に、医薬単位702、弾性部分711、および展開部分701を含む、
図11に示される医薬剤形を印刷した。医薬単位702は、シェル部分、薬物含有内側コア、およびプラグを含んでおり、展開部材701および医薬単位702のシェル部分は同じ材料で作製した。
【0186】
医薬単位は円筒の形状をとり、外側シェルは「U」字形プロファイルを有していた。薬物内側コアを、外側シェルにより形成された区画に投入し、これをプラグで封止した。医薬単位702の外側シェルの材料は、第四級アミノメタクリレートコポリマーB型およびエチルセルロースから構成され;薬物含有内側コアはモデル薬物およびヒドロキシプロピルセルロースから構成され;プラグはヒドロキシプロピルセルロースおよびクエン酸トリエチルから構成された。弾性部分711の材料は、スチレンブロックコポリマーであった。保持部材の材料は、ポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。外側シェルの材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、プラグの材料、弾性部分の材料、および医薬単位の保持部材の材料を、別々に二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、プラグの材料、弾性部分の材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、印刷ヘッド3、印刷ヘッド4、および印刷ヘッド5内に供給した。
【0187】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度は50から80℃、およびノズルの温度は80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力は、1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度は0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造を、
図11に示されるように層ごとに印刷し始めた。各層を、印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、印刷ヘッド3、および印刷ヘッド4の間で切り換えることにより、層ごとに選択的に印刷した。
【0188】
展開構造の印刷が完了した後、2つの展開部材701を収縮形状へと移動させて、
図12に示されるように、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して遠位端を互いに隣接させた。
【0189】
その後、3D印刷ヘッドを使用することにより、保持部材731を、2つの展開部材701の遠位端の間に印刷して、それら2つの遠位端を接続し、保持部材732を、医薬単位702と展開部材701との間に印刷した。実施例3の保持部材731は、展開部材701の間に接続を実現するため3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に層ごとに印刷されてもよく、または五軸3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に印刷されてもよいことに、留意すべきである。
【0190】
[実施例3]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形800を印刷するための方法について、
図13から16を参照しながら詳細に記述する。
【0191】
最初に、
図13および14に示される医薬剤形800の医薬単位802および展開形状にある展開部材801を、印刷した。医薬単位802は、シェル部分および薬物含有内側コアを有し、シェル部分は、展開部材801と同じ材料で作製した。医薬単位802の外側シェルの材料は、第四級アミノメタクリレートコポリマーB型およびエチルセルロースから構成され;薬物含有内側コアは、モデル薬物およびヒドロキシプロピルセルロースから構成され;保持部材801の材料は、ポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。特に、医薬単位802の外側シェルの材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料は、二軸スクリュー押出し機内に別々に配置し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を、別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0192】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度は50から80℃に、ノズルの温度は80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力は、1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度は0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬単位および展開形状にある展開部材801を、
図13に示されるように層ごとに印刷し始めた。各層を、印刷ヘッド1と印刷ヘッド2との間で切り換えることによって層ごとに印刷し、展開部材801と医薬単位802との接続部分は、薬物モデルを通してさらに薄い接続として設計した。
【0193】
展開部材801の印刷が完了した後、展開部材801を、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して上向きに折り畳んで、医薬単位802の外周側壁の部分を包封した。
【0194】
次に、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド3は、医薬単位802および展開部材801の上方部分で印刷し続け、したがって
図15および16に示される保持部材803の構造は、医薬単位802の外周側壁の残りの部分、ならびに収縮形状をとる展開部材803および医薬単位802の上面を包封するために印刷されるようになった。
【0195】
医薬剤形800は、展開部材801および医薬単位802を接続する弾性部分を含んでいてもよい。収縮形状に拘束された医薬剤形800が人体に投与された後、保持部材803の急速浸食と共に、弾性部分または材料は、医薬剤形の展開部材を収縮形状から展開形状へと自動的に戻すことが可能になる。弾性部分を有する医薬剤形を印刷するために、医薬単位802、展開部材801、およびこれら2つを接続する弾性部分の印刷は、印刷ヘッド4を付加して溶融弾性材料を投入し、印刷ヘッド1、2、および4の間で切り換えることによって層ごとに印刷することによって実現でき、次いで展開部材801をグリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物によって上向きに折り畳んで、医薬単位902の外周側壁の部分を包封し、弾性部分を変形した状態のままにすることが、当業者に理解されよう。最後に、医薬剤形を、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド3により封止し、包封し、または接着し、患者が経口摂取するのが容易なサイズの錠剤が製造される。
【0196】
[実施例4]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形900を印刷するための方法について、
図17から20に示される医薬剤形900の構造を参照しながら詳細に記述する。
【0197】
最初に、
図17および19に示される医薬単位902、展開部材901、および保持部材903を印刷し、この医薬単位902はシェル部分および薬物含有内側コアを含んでおり、展開部材901および医薬単位902のシェル部分は同じ材料で作製した。医薬単位の外側シェルの材料は、第四級アミノメタクリレートコポリマーB型およびエチルセルロースから構成され;薬物含有内側コアは、モデル薬物およびヒドロキシプロピルセルロースから構成され;保持部材の材料はポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。外側シェルの材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および医薬単位の保持部材の材料を、別々に二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を、別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0198】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度を50から80℃、およびノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスによって設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造は、
図17に示されるように層ごとに印刷し始めた。各層を、印刷ヘッド1と印刷ヘッド2との間で切り換えることによって層ごとに印刷し、展開部材901と医薬単位902の接続部分は、薬物モデルを通してさらに薄い接続として設計した。
【0199】
展開構造の印刷が完了した後、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して、
図18に示されるように収縮形状が形成されるよう、展開部材901を医薬単位902の周りに巻き付けた。
【0200】
次に、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド3は、医薬単位902の外周側壁の上半分ならびに収縮形状をとる展開部材903の上方および外周側壁部が包封されるように
図19および20に示される保持部材903の構造を印刷するために、医薬単位902の上方部分に印刷し続けた。
【0201】
医薬剤形は、展開部材901および医薬単位902を接続する弾性部分を含んでいてもよい。弾性部分または材料は、印刷プロセス中に医薬剤形を展開形状から収縮形状へと丸めまたは折り畳むことが可能であり、医薬剤形は、人体に投与されたときに収縮形状から展開形状に戻ることが可能である。医薬剤形の展開構造は、印刷ヘッド4を付加して溶融弾性材料を投入し、印刷ヘッド1、2、および4の間で切り換えることにより層ごとに印刷することによって実現でき、次いで弾性部材および展開部材901を変形させ、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物によって医薬単位902の周りに巻き付けて、
図18に示される収縮形状を形成することが、当業者に理解されよう。最後に、医薬剤形を、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド3によって封止し、包封し、または接着させ、患者が経口摂取するのが容易なサイズの錠剤が、製造される。
【0202】
上述の実施例1の印刷ステップの順序は、任意に適合させることもできる。さらに、収縮形状をとる展開部材901は、展開形状をとる展開部材を収縮形状へと移動させるステップなしに、型に直接印刷されてもよい。
【0203】
[実施例5]
既に記述したように、展開部材901は、弾性部分または材料に依拠することなく、収縮形状から展開形状に戻ってもよい。例えば展開部材901は、曲げることが比較的容易な、厚さが低減した部分を含んでいてもよく、したがって展開部材は、胃液またはその他の物質の作用下で収縮形状から展開形状に、依然として容易に展開するようになる。
【0204】
厚さが低減した部分を有する展開部材と共に構成された医薬剤形の場合、好ましくは複数の展開部材、例えば
図1に示される3、4、5、6個の展開部材101を含む。これらの展開部材は、胃液またはその他の物質の作用下で、厚さが低減したそのそれぞれの部分に対して旋回可能である。医薬単位の外周壁の種々の位置に位置する複数の展開部材は、同時に収縮状態へとめったに旋回しないので、医薬剤形は依然として、胃液中で比較的展開された形状を維持することができ、その結果、滞留効果が確実になる。
【0205】
医薬単位および保持部材の構造が実施例1の場合に類似するが
図1に示される複数の展開部材が用いられる医薬剤形では、対応する全体的な印刷方法は、シェルおよび展開部材を印刷するステップがシェルおよび収縮形状にある展開部材を印刷するのに適合されること以外、実施例1におけるものと同じであり、したがって展開部材を収縮形状へと移動させる後続のステップは省略されるようになる。シェルおよび収縮形状にある展開部材を印刷することは、特に、展開部材がシェルに隣接するがある特定の隙間を維持してそれら2つの間の接着を回避するように、シェルおよび展開部材を印刷することを含むことをここで強調すべきである。
【0206】
[実施例6]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形1200を印刷するための方法について、
図22から26を参照しながら詳細に記述する。
【0207】
最初に、医薬単位1204、浮遊部材1207、展開部材1201、および保持部材1203を含む、
図26に示される医薬剤形を印刷した。医薬単位1204は、シェル部分、薬物含有内側コア、およびプラグ1205を含んでおり、薬物含有内側コアは区画1206に投入され、展開部材1201、浮遊部材1207、および医薬単位1204のシェル部分は同じ材料で作製された。
【0208】
医薬単位1204は、外側シェルによって包封されて複数の区画を形成し、薬物内側コアは、外側シェルによって形成された区画1206に投入され、薬物を含有しないプラグ1205によって封止された。医薬単位1204の外側シェルの材料は、第四級アミノメタクリレートコポリマーB型およびエチルセルロースから構成され;薬物含有内側コアは、モデル薬物およびヒドロキシプロピルセルロースから構成され;プラグは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびクエン酸トリエチルから構成された。保持部材の材料は、ポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。外側シェルの材料(展開部材および浮遊部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、プラグの材料、および医薬単位の保持部材の材料を、別々に、二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を、別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出しの後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材および浮遊部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、プラグの材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、印刷ヘッド3、および印刷ヘッド4内に供給した。
【0209】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、このシリンダーの温度を50から80℃、ノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D3ソフトウェアを実行し、浮遊部材の充填率を10%に設定した。薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造を層ごとに印刷し始めた。最初に、印刷ヘッド1によって各層を選択的に層ごとに印刷して、グリッド構造を持つ浮遊部材1207および展開部材1201を形成した。
【0210】
その後、展開形状をとる展開部材1201を、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して
図26に示される収縮形状へと移動させた。次に、保持部材1203を、保持部材の溶融材料が投入された印刷ヘッド4を使用して印刷して、印刷部分が浮遊部材1207の外周壁および展開部材1201の上方部分を包封するようにした。
【0211】
浮遊部材1207、展開部材1201、および保持部材1203の印刷が完了した後、医薬単位1204を印刷した。特に、外側シェル、区画1206に投入された薬物含有内側コア、および
図26に示されるプラグ1205は、印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3を交互に使用して、層に印刷することができる。
【0212】
薬物含有部分を印刷するステップは医薬剤形のその他の構造から独立して行うことができるので、上記印刷方法は、3D医薬剤形を印刷するための任意のその他の設計、方法、および手順を用いることができ、それによって薬物放出構造の胃滞留型剤形が急速に印刷されることに、留意すべきである。一部の実施形態では、薬物含有部分が最初に印刷され、その後、医薬剤形のその他の部分が印刷されてもよい。
【0213】
[実施例7]
三次元印刷を使用して医薬剤形1500を印刷するための方法を、
図30および31を参照しながら以下に詳細に記述する。
【0214】
医薬単位1502は、外側シェル1521の材料、薬物含有層1522、および保持部材1503を含んでいた。外側シェルの材料は、エチルセルロース、ポリエチレン、蜜蝋、Eudragit RS、およびEudragit RLなどの疎水性材料の1種または複数から構成され;薬物含有内側コアは、薬物モデル、ならびにポリビニルピロリドンKollidon VA64、Soluplus、ポリエチレングリコール(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、およびPEG1500)、およびポリアクリル酸メチル(Eudragit E、L100、L100-55、およびS100)の1種または複数を包含し;保持部材の材料は、ポリビニルピロリドンKollidon VA64であった。
【0215】
医薬単位の外側シェルの材料、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料を、別々に、二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を、別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、外側シェルの溶融材料(展開部材と同じ材料)、薬物含有内側コアの材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0216】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度を50から80℃に、ノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造を、
図30に示されるように層ごとに印刷し始めた。各層を、印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3の間で切り換えることによって、層ごとに印刷した。特に、
図30に示されるように、医薬単位が螺旋形状をとりかつ保持部材が螺旋形状の隙間を満たす医薬剤形構造は、上記3つの3D印刷ヘッドを交互に使用して、層に印刷された。
【0217】
上記方法は、医薬単位を機械的に移動させて収縮形状をとらせるようにするステップに関与しないので、生成物製造効率を効果的に改善することができ、印刷後の医薬単位の収縮形状構成の安定性を確実にすることができる。さらに、上記方法は、設計者が望み通りに医薬単位の曲げ形状を、例えば上述のようにS字型、Z字型の折畳みなどに調節することも容易にし、したがって種々の使用要件に適合される。当然ながら、医薬剤形1500の種々の部分を別々に印刷することも企図され、例えば螺旋形状をとる医薬単位1502を最初に印刷し、その後、保持部材1503を印刷してそれらの間の隙間を満たすことも企図される。
【0218】
実施例5に記述されるような三次元印刷法によって印刷された医薬剤形は、親水性表面(薬物含有部分1522)および疎水性表面(シェル部分1521)の両方を有し、保持部材1503の急速溶解後に表面張力の作用下で、少なくとも部分的に曲がった形状から展開できるようになる。
【0219】
[実施例8]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形1700を印刷するための方法を、
図34から35に示される医薬剤形1700の構造を参照しながら詳細に記述する。
【0220】
最初に、保持部材の第1の部分1701、保持部材の第2の部分1702、および展開部材1703を含む、
図34に示される医薬剤形を印刷した。
【0221】
展開部材1703は、ポビドンKollidon SRで作製し、S字型の連続的に折り畳まれた形状をとった。保持部材の第1の部分1701は、馬蹄形状のカラムの形状をとり、その内部に、薬物が投入される区画を有していた。保持部材の第1の部分1701は、医薬剤形Iのセクションで定義された浸食性材料を含むがこれらに限定されない材料で作製した。保持部材の第2の部分1702および保持部材の第1の部分1701は接続され、楕円状のシリンダーを一緒に形成し、収縮状態にある展開部材1703を包封した。保持部材の第2の部分1702は、限定するものではないが医薬剤形Iのセクションで定義された水溶性材料を含んでいた。展開部材の材料、保持部材の第1の部分の材料、および保持部材の第2の部分の材料を、別々に二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関する押出し温度およびスクリュー回転速度を別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、展開部材の溶融材料、保持部材の第1の部分の材料、および保持部材の第2の部分の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0222】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度を50から80℃に、およびノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造を、
図35に示されるように層ごとに印刷し始めた。
【0223】
展開部材の印刷が完了した後、保持部材の第1の部分を印刷し、展開部材および保持部材の第1の部分を、
図34に示されるように、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して、互いに遠位端が隣接する状態になるように収縮形状へと移動させた。
【0224】
その後、3D印刷ヘッドを使用することによって、保持部材の第2の部分1702を、保持部材の第1の部分1701の遠位端の間に印刷して、これら2つの遠位端を接続した。
【0225】
実施例8の印刷プロセスは、以下の順序で行ってもよい:
【0226】
保持部材の第1の部分1701および第2の部分1702が最初に印刷され、展開部材1703は、保持部材による拘束力の下、保持部材によって取り囲まれた範囲内で印刷され、したがって展開部材1703は、保持部材の第1の部分1701に接続されるようになる。印刷が完了した後、展開部材を熱処理に供して、弾性部分の弾性を増大させた。
【0227】
実施例8における保持部材の第2の部分1702は、保持部材の第1の部分1701の間で接続が実現されるように3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に層ごとに印刷されてもよく、または五軸3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に印刷されてもよいことに、留意すべきである。
【0228】
[実施例9]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形1800を印刷するための方法が、
図38から39に示される医薬剤形1800の構造を参照しながら詳細に記述される。
【0229】
最初に、保持部材の第1の部分1801、保持部材の第2の部分1802、展開部材の第1の部分1803、展開部材の第2の部分1804、および展開部材の第3の部分1805を含む、
図38に示される医薬剤形を印刷した。
【0230】
展開部材の第1の部分1803および展開部材の第2の部分1804は、医薬剤形Iのセクションで定義されたエラストマー材料を含むがこれらに限定されない材料で作製し、これらはS字型の連続して折り畳まれた形状をとった。展開部材の第1の部分1803および展開部材の第2の部分1804は、展開部材の第3の部分1805を通して互いに交差接続された。展開部材の第3の部分1805は、薬物が内部に投入される区画を内部に有するものであり、医薬剤形Iのセクションで定義された浸食性材料を含むがこれらに限定されない材料で作製した。保持部材の第1の部分1801および保持部材の第2の部分1802は、円弧の形状をとり、内部に薬物が投入される区画を内部に有していた。保持部材の第1の部分1801は、医薬剤形Iのセクションで定義された浸食性材料を含むがこれらに限定されない材料で作製された。保持部材の第2の部分1801は、医薬剤形Iのセクションで定義された水溶性材料を含むがこれらに限定されない材料で作製された。保持部材の第2の部分1802および保持部材の第1の部分1801は、接続され、一緒に円を形成し、収縮状態にある展開部材を包封した。展開部材の第1の部分、第2の部分、および第3の部分の材料と、保持部材の第1の部分および第2の部分の材料を、別々に二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関して押出し温度およびスクリュー回転速度を別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、展開部材の第1の部分、第2の部分、および第3の部分の溶融材料と、保持部材の第1の部分および第2の部分の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、印刷ヘッド3、印刷ヘッド4、および印刷ヘッド5内に供給した。
【0231】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度を50から80℃に、およびノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、
図39に示されるように、医薬剤形の展開構造の第3の部分、第2の部分、および第1の部分を層ごとに印刷し始めた。各層を、印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3の間で切り換えることによって、選択的に層ごとに印刷した。
【0232】
展開部材の印刷が完了した後、保持部材の第1の部分を印刷し、展開部材および保持部材の第1の部分を、
図38に示されるように、グリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して遠位端が互いに隣接するように、収縮形状へと移動させた。
【0233】
その後、3D印刷ヘッドを使用することにより、保持部材の第2の部分1802を、保持部材の第1の部分1801の遠位端の間に印刷して、これら2つの遠位端を接続した。
【0234】
実施例9の印刷プロセスは、以下の順序で行ってもよい:
【0235】
保持部材の第1の部分1801および第2の部分1802を最初に印刷し、展開部材の第1の部分1803、展開部材の第2の部分1804、および展開部材の第3の部分1805を、保持部材による拘束力の下、保持部材によって取り囲まれた範囲内に印刷して、展開部材が保持部材の第1の部分1801に接続されるようにする。印刷が完了した後、展開部材を熱処理に供して、弾性部分の弾性を増大させた。
【0236】
実施例9の保持部材の第2の部分1802は、保持部材の第1の部分1801の間の接続を実現するため、3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に層ごとに印刷されてもよく、または五軸3D印刷ヘッドを使用して垂直方向に印刷されてもよいことに、留意すべきである。
【0237】
[実施例10]
特に、三次元印刷を使用して医薬剤形1900を印刷する方法を、
図40から43に示される医薬剤形1900の構造を参照しながら詳細に記述する。
【0238】
最初に、保持部材1901、展開部材の第1の部分1902、および展開部材の第2の部分1903を含む、
図34に示される医薬剤形を印刷した。
【0239】
展開部材の第2の部分1903を、ポビドンKollidon SRで作製し、これはS字形の連続的に折り畳まれた形状にあった。展開部材の第1の部分1902は、ダンベルの形状をとり、内部に薬物が投入される区画を、内部に有していた。展開部材の第1の部分1902を、エチルセルロース(EC)、ソルビトール(DBS)、および二酸化チタン(TiO2)を含む材料で作製した。保持部材1901は、収縮状態にある展開部材を包封した。保持部材1901は、ポリビニルピロリドンKollidon VA64、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびクエン酸トリエチル(TEC)を含む材料で作製された。展開部材の第1の部分の材料、展開部材の第2の部分の材料、および保持部材の材料を、別々に、二軸スクリュー押出し機内に供給し、放出ポートから供給ポートまでの加熱端部の種々の機能的ブロック機能に関して押出し温度およびスクリュー回転速度を別々に設定した。混合、ホットメルト、および押出し後、材料を別々に、薬物3Dプリンターの印刷ヘッドシリンダー内に搬送し、展開部材の第1の部分の溶融材料、展開部材の第2の部分の材料、および保持部材の材料を、それぞれ印刷ヘッド1、印刷ヘッド2、および印刷ヘッド3内に供給した。
【0240】
薬物3Dプリンターのシリンダーおよびノズルの温度を設定し、シリンダーの温度を50から80℃、ノズルの温度を80から120℃に設定した。印刷ヘッドの印刷圧力を1から2Mpaに設定し、搬送スクリューの回転速度を0.5から2rpsに設定した。D
3ソフトウェアを実行し、薬物モデルの三次元スライスにより設定されたGコードをインポートし、医薬剤形の展開構造の第2の部分1903および展開構造の第1の部分1902を、
図41に示されるように層ごとに印刷し始めた。
【0241】
展開部材の印刷が完了した後、展開部材の第2の部分1903を収縮形状へと移動させ、
図40に示されるグリッパー、機械式アーム、またはその他の機械的工作物を使用して遠位端を互いに隣接させた。
【0242】
その後、3D印刷ヘッドを使用することにより、保持部材を直接、収縮状態にある展開部材上に印刷し、展開部材の隙間を満たし、収縮状態にある展開部材を包封した。
【0243】
実施例10の印刷プロセスは、以下の順序で行ってもよい:
【0244】
保持部材1901の外周を最初に印刷し、展開部材の第1の部分1902および展開部材の第2の部分1903を、保持部材による拘束力の下、保持部材の外周により取り囲まれた範囲内に印刷して、展開部材が保持部材の外周に接続されるようにする。展開部材の印刷が完了した後、保持部材を、収縮状態にある展開部材に直接印刷し、展開部材の隙間を満たし、収縮状態にある展開部材を包封する。
【0245】
[実施例11]
実施例10の医薬剤形を、シミュレートされた人体の胃酸条件下での、即ち37℃でリン酸緩衝溶液(pH1.0)900mL中での滞留効果に関して検証した。
【0246】
【0247】
図43~44および表2に示されるように、実施例10の医薬剤形は、リン酸緩衝溶液中で徐々に展開して、16mmよりも大きいサイズに到達し、それを少なくとも10時間維持することができ、良好な胃滞留効果が実証された。
【0248】
本明細書に開示される医薬剤形は、商業的規模で印刷することができる。例えば、一部の実施形態では、本開示に記述される3D印刷法は、1時間当たり約10,000から約100,000個の経口錠剤を印刷することができる。一部の実施形態では、経口医薬剤形の商業的バッチは、印刷の均一性、層の厚さの精度、層表面積の精度、層当たりの活性成分の質量分率の精度、剤形の形状、サイズ、および重量の精度、活性成分の含量の精度、ならびに活性成分の放出プロファイルの精度を含む、本開示に記述される所定の剤形の特性の1つまたは複数を有しまたはそれに実質的に準拠する。一部の実施形態では、経口医薬剤形の商業的バッチの少なくとも80%、例えば少なくとも約85%、90%、または95%のいずれか1つは、印刷の均一性、層の厚さの精度、層の表面積の精度、層当たりの活性成分の質量分率の精度、剤形の形状、サイズ、および重量の精度、活性成分の含量の精度、ならびに活性成分の放出プロファイルの精度を含む、本開示に記述される所定の剤形の特性の1つまたは複数を有しまたはそれに実質的に準拠する。
【0249】
本出願に開示された医薬剤形は、収縮形状をとる医薬剤形の構造上で拘束が実現されるように保持部材が直接印刷されるので、カプセルなどのその他の投入容器の使用を回避し、コストを削減し、生成効率を改善する。一部の実施形態では、医薬剤形の保持部材の印刷が完了した後、医薬剤形の外側シェルは、インクジェット印刷によって包封され、外面を滑らかにかつ審美的に快適にする。あるいは、LOGO、例えば会社名または略称、医薬の商標、医薬の化学名または略称、強度、またはそれらの組合せが、インクジェット印刷によって医薬剤形の外面上に印刷されてもよい。
【0250】
医薬剤形の種々の部分およびこれらの種々の部分の下位部分は、上記詳細な説明で述べられているが、この分類は単なる例であり、必須のものではないことに留意すべきである。
【0251】
本発明の原理を、実施形態を参照しながら記述してきたが、これらの記述は単なる例としてなされたものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではないことを、理解すべきである。本開示の内容は、単なる例示および図示を目的とし、網羅的なものではなくまたは特定の形に本開示の範囲を限定しようとするものではない。様々な修正例および変形例は、当業者に明らかにされよう。本開示は、実施形態の原理および実際の適用例を最も良く説明するために選択され、記述され、それによって当業者は、特定の適用例に関してなされた様々な実施形態および様々な修正例を理解できるようになる。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲またはその均等物によって定められる。
【国際調査報告】