(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/017 20060101AFI20231124BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231124BHJP
H01L 33/06 20100101ALI20231124BHJP
【FI】
G02F1/017
H01L29/06 601Q
H01L33/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526192
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2021079092
(87)【国際公開番号】W WO2022090028
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】520053762
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・パリ・シテ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS CITE
(71)【出願人】
【識別番号】523148805
【氏名又は名称】ユニベルシテ・パリ-サクレー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セネラール・マルドン,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ,エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ランコ,ロイック
【テーマコード(参考)】
2K102
5F241
【Fターム(参考)】
2K102AA37
2K102BB10
2K102BC05
2K102BD04
2K102DA13
2K102DB01
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA12
5F241CA08
5F241CA34
5F241CA35
5F241CB15
5F241CB36
(57)【要約】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの光モードを有するマイクロピラー式の光空洞(302)内へ挿入された量子箱(301)を含む光子(300)を生成するためのデバイスを提供し、量子箱(301)は、少なくとも1つの基底状態と1つの素励起を有する2つの状態とを有し、光空洞(302)は底面及び頂面を有し、底面は電気的コンタクト(305)を有し、光子生成デバイス(300)は有利には、空洞(302)の頂面の周囲に配置された互いに電気的に絶縁された少なくとも3つの電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光モードを有するマイクロピラー式の光空洞(302)内へ挿入された量子箱(301)を含む光子(300)を生成するためのデバイスであって、
前記量子箱(301)は少なくとも1つの基底状態及び1つの素励起を有する2つの状態を有し、前記光空洞(302)は底面及び頂面を有し、前記底面は電気的コンタクト(305)を有し、
前記デバイスは、前記空洞(302)の頂面の周囲に配置された互いに電気的に絶縁された少なくとも3つの電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)を含む、デバイスにおいて、
前記デバイスはまた、前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)のそれぞれと、前記光空洞(302)の前記底面により担われる前記電気的コンタクト(305)との間にそれぞれ可変な電位差を印加するための少なくとも3つの調整可能電圧源(306a、306b、306c)を含む、ことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)は、前記空洞(302)に対して放射状に配向された半導体アーム(308a、308b、308c)であって、接線方向に且つ前記空洞に最も近いそれらの端において前記空洞(302)より小さい幅を有する半導体アーム(308a、308b、308c)により前記空洞(302)の前記頂面へリンクされる、請求項1に記載のデバイス(300)。
【請求項3】
前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)は前記空洞(302)に向かって放射状に配向された半導体アームへリンクされ、その両端は空隙(309)により又はサブマイクロメートル幅の誘電体により充填された空隙(309)により前記空洞(302)の頂面から分離される、請求項1に記載のデバイス(300)。
【請求項4】
前記マイクロピラー式の光空洞(302)はPIN型のダイオードを形成し、前記量子箱(301)は前記ダイオードの真性領域(3021)内に在る、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス(300)。
【請求項5】
前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)は前記空洞(302)から光学的且つ電気的に減結合されたそれぞれの(ピラー303)により担われる、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス(300)。
【請求項6】
マイクロピラー式の前記光空洞(302)は少なくとも1つの第1の対及び少なくとも1つの第2の対のモードを有し、各前記対のモードは偏光縮退性であり、前記量子箱(301)はまた、2つの素励起を有する1つの状態を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス(300)。
【請求項7】
前記量子箱(301)が挿入される前記光空洞(302)へ結合された第2の光空洞(310)も含む請求項6に記載のデバイス(300)であって、
前記第1の空洞及び前記第2の空洞(302、310)の幾何学形状及びそれらの結合の力は、前記2つの結合された空洞から構成される前記アセンブリが、偏光縮退性である第1の対のモードであって前記量子箱(301)の2つの素励起を有する前記状態と1つの素励起を有する前記2つの状態との間の遷移と共振する第1の対のモード;及び偏光縮退性である第2の対のモードであって前記量子箱(301)の1つの素励起を有する前記2つの状態と前記基底状態との間の遷移と共振する第2の対のモードを有するように選択され、
前記対の各対の前記モードは70%以上重畳する放射パターンを有する、デバイス(300)。
【請求項8】
前記第2の光空洞(310)もまたマイクロピラー式であり、前記2つの空洞(302、310)は並んで配置される、請求項7に記載のデバイス(300)。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載のデバイス(300)によりもつれ光子対を生成する方法(800)であって、前記方法は:
-前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)のそれぞれと前記光空洞(302)の前記底面により担われる前記電気的コンタクト(305)との間に電位差を印加する工程であって、前記電位差は:
○前記量子箱の1つの励起(301)を有する前記2つの状態間のエネルギー差を最小化するように;そして
○2つの素励起を有する前記状態と前記1つの素励起を有する状態との間の前記遷移を前記空洞(302)の前記第1の対のモードとの共振に到らせ、1つの素励起を有する前記状態と前記基底状態との間の前記遷移を前記空洞(302)の前記第2の対のモードとの共振に到らせるように選択される、工程;及び
-前記量子箱(301)の2つの素励起を有する前記状態をエネルギーの入力により満たす工程を含む方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス(300)により単一光子を生成する方法(700a)であって、前記方法は:
-前記電気的ボンディングパッド(304a、304b、304c)のそれぞれと前記光空洞(302)の前記底面により担われる前記電気的コンタクト(305)との間に電位差を印加する工程;及び
-前記光空洞(302)のモードに対応する偏光のスペクトル及び方向を呈示する光パルスにより前記デバイスの前記量子箱(301)を照らす工程を含み、
前記電位差は、1つの素励起を有する前記2つの固有状態の前記エネルギーを次のやり方で修正するように選択される:
○前記状態は前記光パルスのスペクトルの波長と共振し;そして
○前記照明の偏光に直交する直線偏光を呈示する単一光子の前記量子箱(301)による放射の確率が最大化される、方法。
【請求項11】
前記電位差はまた、前記光空洞(302)の偏光の2つの特定軸の方向間の中間方向に従って前記量子箱(301)の特定軸を配向するように選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電位差は、時間と共に可変であり:
-第1の期間中、前記量子箱(301)が照らされる前記第1の期間中の少なくともその一部分中、非最小偏差を呈示するために1つの素励起を有する前記2つの固有状態の前記エネルギーに関して選択された第1の値を取り、前記第1の期間は、前記2つの状態間で45°~135°(好適には80°~100°)の位相の変化を誘発するように選択された期間を有し;
-前記第1の期間に直ぐに続く第2の期間中、1つの素励起を有する2つの固有状態のエネルギー間の偏差を最小化するように選択された値を取る、請求項10及び請求項11のいずれか一項に記載の方法(700b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には光子の源に関し、特に、単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイス、並びにこのデバイスを実装する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
量子通信ネットワークの配備は、それぞれが1つの(ただ1つの)光子を含む一連の光パルスを生成することができる単一光子の源の設定を必要とする。このような源は、後続通信を暗号化することを可能にする秘密キーを2つの遠隔接点に提供することができる。光ファイバであろうと自由空間であろうと伝播チャネルの不完全性はこのようなアプリケーションの範囲を数百キロメートルに制限する。量子通信ネットワークの範囲は、一対の光子のもつれに依存する量子中継器により拡張され得る。単一光子又はもつれ光子対を有するパルスの生成は、それらの電子状態間の遷移が単一量子ダイポールの放射に対応するようにナノメートルサイズの放射体により行われ得る。
【0003】
さらに、量子コンピュータの生成は、量子ビットとして操作され得る系に依存する。量子ビットは、0又は1の値により従来のコンピュータにより操作される2進ビットに反して無限の可能な値を採用し得るように|0>及び|1>を通常表す2つの基本状態のコヒーレント重ね合せである。量子ビットは固体状態のものであっても光子性のものであってもよい。前者のタイプは格納及び処理という観点での柔軟性を提示する一方で、後者の光子量子ビットは、量子情報が長距離にわたって運ばれることを可能にする。量子情報の処理及び輸送を可能にするために、固体状態における量子ビットと2つの素子間の界面に関連する光子量子ビットとを併せて使用することが一般的やり方である。
【0004】
量子通信ネットワークの配備及び量子コンピュータの生成を含むアプリケーションにおける量子箱の使用は近年大きな成長を遂げてきた。このようなナノメートル構造に注ぎ込まれる関心は、電荷キャリアの閉じ込め及びそれらのエネルギーレベルの量子化の観点での原子とのそれらの類似性により説明される。このような特性は、電子を価電子帯から伝導帯へ移動させることを可能にする好適な明順応(light adaptation)に応じた自然放射の過程を介し量子箱が単一光子を生成することを可能にする。同機構は、2個の電子を伝導帯の同エネルギーレベルに置きそしてもつれ光子対を生成するように適応化され得る。量子箱はまた、閉じ込められた電荷キャリアの特性との光の信頼可能相互作用を可能にする。
【0005】
単一光子又はもつれ光子対の源として使用される隔離された量子箱は一般的に輝度及びビットレートという観点で制限される。輝度は1光パルス当たり単一光子又は1光パルス当たりもつれ光子対を有する確率を定量化する一方で、ビットレートは、毎秒放射される光子の数を測り、そして上に定義された輝度と量子箱を励起する光パルスを律する放射のクロックの速度との積に等しい。輝度及びビットレートという観点で量子箱の性能レベルを改善するために、共振光空洞内に量子箱を挿入することは知られたやり方である。このような構成は、空洞モードにおける量子箱の自然発生初期比率を増加させそして量子箱により放射された光子をより効果的に収集することを可能にするためにPurcell効果(表現「微光材料結合系:low light-material coupling system」によっても知られている)を利用する。光空洞内の量子箱のカプセル化はまた、量子箱の環境外乱(機械的、電気的外乱など)に対する感度を低減することを可能にし、そして識別不能(すなわち量子状態という観点で同一)な(同じ周波数、同じ偏光状態、同じ空間的及び時間的分布の)単一光子を生成することを可能にする。
【0006】
量子箱は通常、ギャップエネルギー及びメッシュパラメータの観点で異なる半導体の層を成長することにその本質がある分子ジェットエピタキシアル法により取得される半導体性質のものである。このような差異は、電荷キャリアを3次元の空間内に閉じ込めることができるナノメートル寸法の量子箱を生成する。
【0007】
量子箱の価電子帯の電子は、価電子帯に残された正孔に関連して電子正孔対(励起子とも呼ばれる)を形成するために伝導帯を横切り得る。励起子の形成は、量子箱を形成する材料のストップバンド以上のエネルギーの光子を吸収することにより行われ得る。励起子の形成に対応する励起子状態は不安定状態であり、基底状態とも呼ばれる中性状態の再構築は、量子箱を形成する材料のストップバンドに対応するナノ秒及び放射波長(又は周波数)のオーダの放射寿命により特徴付けられた自然放射過程による光子の放射を伴う電子と正孔との再結合により行われる。
【0008】
量子箱は、同じ基底状態を共有する際にクーロン力相互作用により結合される2つの励起子により形成される双励起子を閉じ込め得る。双励起子状態のエネルギーのレベルは単一励起子により占有されるものより高い。双励起子の形成は2つの光子を逐次吸収することにより行われ得る。双励起子の緩和はまた、逐次的に放射される2つの光子を生成する自然放射過程に従って行われる。クーロン力相互作用は1つの電子正孔対又は2つの電子正孔対が量子箱内で励起されるかに従って異なるので2つの光子は異なる波長において放射される。したがって、双励起子状態から励起子状態への系の遷移に応じて放射される光子は、励起子状態から中性状態への系の遷移に応じて放射されるものとは異なる波長のものである。
【0009】
励起子を形成するために吸収される光子の偏光状態及び電子正孔再結合に応じて放射される光子の偏光状態はパウリの排他原理と角度モーメントの保存とにより律される光選択規則に従う。このような選択規則は、電子正孔対のスピン状態に依存しており、そして、それらの再結合に応じて光子を放射する「明るい」励起子状態が反対符号のスピン状態に対応するものであるということを明言する。量子箱が円筒対称性を有する場合、系は2つのエネルギー縮退「明るい」励起子状態を呈示する。
図1は、「明るい」励起子状態だけが実現される円筒対称性(又は「等方性」)を有する半導体量子箱100内に形成された双励起子103の緩和を表す。等方性量子箱100内に閉じ込められた双励起子103の緩和は、2つの光子を逐次的に放射することにより3つのエネルギーレベルを有する系内で行われる。このため、次の2つの経路が可能である:
-右回転偏光光子の放射による双励起子103の励起子1020への緩和、次に、左回転偏光光子の放射による励起子1020の基底状態101への緩和;又は、
-左回転偏光光子の放射による双励起子103の励起子1021へ緩和、次に、右回転偏光光子の放射による励起子1021の基底状態101へ緩和。
【0010】
2つの経路が識別不能であるということを考えれば、励起子1020、1021は縮退しているので、これは一対の偏光もつれ光子の放射に至る。
【0011】
単一光子の生成は、励起子1020又は1021の基底状態101への再結合を活用することにより行われ得るということとこの場合は双励起子状態103を通過することが的外れであるということとに注意すべきである。双励起子103の生成はもつれ光子対の生成のために必要とされる。
【0012】
しかし、実際には、励起子レベルの縮退の解除(lifting)(したがって放射される光子のもつれの損失)に関与する半導体量子箱は異方性である。縮退のこのような解除は主として、量子箱の形式の異方性効果、圧電効果、機械的制約などにより誘発される。異方性量子箱では、「明るい」励起子状態は、エネルギー量により分離され(「微細構造分割:fine structure splitting」と呼ばれる)、そして、対称量子箱において定義されるような基本状態の線形組み合わせである。異方性量子箱内の励起子状態は、結晶学的方向に対応する2つの特定軸「x」、「y」に沿って線型に偏光される光放射を呈示する(軸「z」は成長軸である)。
図2は異方性半導体量子箱200内の双励起子203の再結合を示す。双励起子203の基底状態201への緩和は、延いては双励起子203と同じ偏光状態に従って緩和する励起子2020又は2021を残すことにより量子箱の特定軸「x」又は「y」の一方の軸上の直線偏光状態だけに従って行われ得る。励起子レベルの縮退の解除は、生成された2つの光子間のもつれの全損失又は部分損失に到る。
【0013】
2つの「明るい」励起子状態の重ね合わせを共振的に励起することによりそして「x」、「y」に従って偏光された2つの励起子状態間の位相の経時的変化ΔΦを活用することにより、改善された性能レベルの単一光子を生成するために異方性量子箱を使用することは知られたやり方であり、その速度(
図10を参照してより詳細に説明されるように、放射された光子の直線偏光の状態から直交状態への遷移を律するので「転移速度」と呼ばれる)は次の関係式による微細構造分割の値に比例する:
【数1】
、ここでhは換算プランク定数である。励起は、量子箱の特定軸と共線形ではない軸(理想的には45度の配向を有する)上で線型に偏光された光子により行われ得る。量子箱により生成された光子だけを収集するために、励起光子の方向に対し直角な方向に線型に偏光された光子だけが検出される。一般的に、微細構造分割値は輝度及び純度という観点で単一光子の源の性能レベルを決定し、純度は同じ励起期間中の単一光子を生成する能力を定量化する。微細構造分割値は量子箱を作製する過程中に制御することが困難である。高い微細構造分割値は、転移の速度を増加することしたがって単一光子の源の輝度を増加することを可能にする。しかし、量子箱が純度という観点で単一光子の性能レベルを低減する同じ光励起期間中に2つ以上の光子を放射する確率は無視できない。逆に、低微細構造分割値は、同じ励起期間中に放射される第2の光子を有する確率を低減する転移の速度を低減する。このような低微細構造分割値は、量子箱が直交偏光におけるよりも励起光子の偏光に対し平行な偏光においてより高速に放射するので低下される輝度の劣化に対する単一光子の源の純度を改善する。したがって、励起の1つの同じ期間中に放射される2つ以上の光子を有する確率を低減する一方で単一光子を高速で生成するために微細構造分割値を制御する必要性がある。
【0014】
作製された異方性量子箱の使用は、励起子状態の縮退の解除のせいでもつれ光子対の生成に不適当なままである。したがって、もつれ光子対を取得するために双励起子からの放射放出経路の識別不能性を再建するために微細構造分割値を静的に低減する(特に、微細構造分割を相殺する)必要性がある。
【0015】
1つ又は複数の歪場と共に垂直方向電場を量子箱が挿入される環境の2つ又は3つの方向に印加することにより量子箱内の微細構造分割値を低減及び/又は制御することは知られたやり方(この場合は、機械式やり方)である。このような解決策は参考文献[1]において実証された。このような歪場の印加は、圧電材料を量子箱に可能な限り近くに置くために、そして印加される機械的張力が、実現される量子箱へうまく転送されるということを保証するために、量子箱が生成される基板の薄型化を引き起こす。このような手法の実施に必要な薄型化は、量子箱を取り込む三次元(3D)光空洞の作製のための技術的挑戦を呈示する。さらに、量子箱と表面との近接性は、量子箱を、生成される単一光子の識別不能性の損失を誘発する環境外乱に対し敏感にする。
【0016】
量子箱が微細構造分割値を制御するために挿入される2次元空間内に電界を印加することも知られたやり方である。このような解決策は、いくつか(通常は4つ)のボンディングパッド(量子箱の面に非常に近い面上)の挿入により実施される(参考文献[2])。このようなボンディングパッドが定義される表面に対する量子箱の近接性は、電荷雑音を増加することと放射される光子の性能レベルを識別不能性という観点で低減することとが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Trotta,Rinaldo et al.,“Highly Entangled Photons from Hybrid Piezoelectric Semiconductor Quantum Dot Devices.”,Nano Letters, 14.6(2014):3439-3444.
【非特許文献2】K Kowalik,O Krebs,A Lemaitre,S Laurent,P Senellart,P Voisin,JA Gaj,“Influence of an in-plane electric field on exciton fine structure inInAs-GaAs self-assembled quantum dots.”,Applied Physics Letters,86(4),041907
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、従来技術の欠点無く微細構造分割が静的又は動的に制御され得る半導体量子箱に基づく単一光子又はもつれ光子対の源の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一般的定義
この目的を達成するために、本発明は、光子を生成するためのデバイスを提供し、本デバイスは、少なくとも1つの光モードを有するマイクロピラー式光空洞内へ挿入された量子箱を含み、量子箱は少なくとも1つの基底状態と1つの素励起を有する2つの状態とを有し、同空洞は底面及び頂面を有し、底面は電気的コンタクトを有する。本デバイスは同空洞の頂面の周囲に配置された互いに電気的に絶縁された少なくとも3つの電気的ボンディングパッドを含むことを特徴とする。
【0020】
一実施形態では、電気的ボンディングパッドは、同空洞に対して放射状に配向された半導体アームであって接線方向において且つ空洞に最も近いそれらの端において同空洞の幅より小さい幅を有する半導体アームにより同空洞の頂面へリンクされ得る。
【0021】
別の実施形態では、電気的ボンディングパッドは空洞の方向へ放射状に配向された半導体アームへリンクされ得、半導体アームの両端は、サブミクロンメートル幅の空隙により、又は誘電体により満たされた隙間により、空洞の頂面から分離され得る。
【0022】
有利には、マイクロピラー式の光空洞はPIN型のダイオードを形成し得、量子箱はPIN型のダイオードの固有領域内に在る。
【0023】
変形形態として、電気的ボンディングパッドは空洞から光学的及び電気的に減結合されたそれぞれのピラーにより担われ得る。
【0024】
一実施形態では、本デバイスはさらに、電気的ボンディングパッドのそれぞれと光空洞の底面により担われる電気的コンタクトとの間にそれぞれの可変電位差を印加するための少なくとも3つの調整可能電圧源を含み得る。
【0025】
別の実施形態では、マイクロピラー式の光空洞は、それぞれの対が偏光縮退性である少なくとも1つの第1の対及び少なくとも第2の対のモードを有し得、量子箱はまた、2つの素励起を有する1つの状態を有し得る。
【0026】
有利には、本デバイスはさらに、量子箱が挿入される光空洞へ結合された第2の光空洞を含み得、第1の空洞及び第2の空洞の幾何学形状並びにそれらの結合の力は、2つの結合された空洞から構成されるアセンブリが、偏光縮退性である第1の対のモードであって量子箱の2つの素励起を有する状態と1つの素励起を有する2つの状態との間の遷移と共振する第1の対のモードと;偏光縮退性である第2の対のモードであって1つの素励起を有する2つの状態と量子箱の基底状態との間の遷移と共振する第2の対のモードとを呈示するように選択され、これらの対の各対のモード同士は70%以上重畳する放射パターンを有する。
【0027】
特に、第2の光空洞もまたマイクロピラー式のものであり得、2つの空洞は並んで配置される。
【0028】
光子生成デバイスによりもつれ光子対を生成する方法が提案され、本方法は以下の工程を含み得る:
-電気的ボンディングパッドのそれぞれと光空洞の底面により担われる電気的コンタクトとの間に電位差を印加する工程であって、電位差は:
○量子箱の1つの励起を有する2つの状態間のエネルギー偏差を最小化し、そして
○2つの素励起を有する状態と1つの素励起を有する状態との間の遷移を空洞の第1の対のモードとの共振に持ち込み、そして1つの素励起を有する状態と基底状態との間の遷移を空洞の第2の対のモードとの共振に持ち込むように選択される、工程;及び
-量子箱の2つの素励起を有する状態をエネルギーの入力により満たす工程。
【0029】
光子生成デバイスにより単一光子を生成する方法も提案され、本方法は以下の工程を含み得る:
-電気的ボンディングパッドのそれぞれと光空洞の底面により担われる電気的コンタクトとの間に電位差を印加する工程、及び
-光空洞のモードに対応する偏光のスペクトル及び方向を呈示する光パルスにより本デバイスの量子箱を照らす工程であって、電位差は、1つの素励起を有する2つの固有状態のエネルギーを次のやり方で修正するように選択される、工程:
○状態は光パルスのスペクトルの波長と共振する;及び
○照明の偏光に直交する直線偏光を有する単一光子の、量子箱による放射の確率は最大化される。
【0030】
一実施形態では、電位差はまた、光空洞の偏光の2つの特定軸の方向間の中間方向に従って量子箱の特定軸を配向するように選択され得る。
【0031】
別の実施形態では、電位差は、時間と共に可変であり得、そして:
-第1の期間中、その少なくとも一部分中、量子箱は照らされ、非最小偏差を有するために1つの素励起を有する2つの固有状態のエネルギーに関して選択された第1の値を取り、第1の期間は、2つの状態間で45°~135°(好適には80°~100°)の位相の変化を誘発するように選択された期間を有し;そして、
-第1の期間に直ぐに続く第2の期間中、1つの素励起を有する2つの固有状態のエネルギー間の偏差を最小化するように選択された値を取る。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は以下の詳細説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】上に述べた等方性量子箱内の双励起子の緩和を示す。
【
図2】上に述べた異方性量子箱内の双励起子の緩和を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスを表す。
【
図3B】本発明の一実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスを表す。
【
図4】本発明の一実施形態による空間内の3つの部品による電界の生成を示す。
【
図5】本発明の実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスの上面図の一部を表す。
【
図6】本発明の実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスの上面図の一部を表す。
【
図7】本発明の実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスの上面図の一部を表す。
【
図8】本発明の一実施形態による量子箱を取り込むマイクロピラー式の光空洞を表す、
【
図9】本発明の別の実施形態による2つの光学的に結合された光空洞を実現する単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイスの上面図の一部を表す。
【
図10】マイクロピラー式の光空洞内に取り込まれた量子箱の励起状態の経時的変化を表し、量子箱は非零交換異方性を呈示し、光空洞は複屈折性を呈示する。
【
図11】本発明の一実施形態による単一光子を生成するためのデバイスの使用を表す。
【
図13A】本発明の一実施形態による単一光子を生成する方法を表す。
【
図13B】本発明の一実施形態による単一光子を生成する方法を表す。
【
図14】本発明の一実施形態によるもつれ光子対を生成する方法を表す。
【
図15】本発明の実施形態に従って生成された電界に晒された異方性量子箱の微細構造分割の実測結果を表す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3A及び
図3Bは、本発明の一実施形態による単一光子及びもつれ光子対を生成するためのデバイス300の上面図及び断面図をそれぞれ表す。本デバイスは、マイクロピラー式の光空洞302内へ挿入された量子箱301を含む。光空洞302は、円筒形状を有し、そして半導体アーム308a、308b、308cにより3つのピラー303へ接続される。
【0035】
量子箱301は、ギャップエネルギー及びメッシュパラメータという観点で異なる半導体層を成長することにその本質がある分子ジェット成長方法により取得される半導体性質のものであり得る。量子箱301を形成する層は砒化インジウム(InAs)の層であり得る。基板及びカプセルを形成する層は砒化ガリウム(GaAs)の層であり得る。量子箱301は、成長軸方向に数ナノメートルの高さと約20ナノメートルのベース直径とを有する円錐台形状を有し得る。このような特徴は、電荷キャリアの閉じ込め及びエネルギーレベルの量子化という観点で原子の特性に近い量子箱301特性を与える。
【0036】
量子箱301は、中性状態(基底状態とも呼ばれる)に、又は電子正孔対(励起子とも呼ばれる)の形成に対応する励起状態に、又は1つの素励起を有する状態に在り得る。量子箱301内に既に閉じ込められた電荷キャリアの存在下の励起子の形成は、既に閉じ込められた電荷キャリアの符号に依存して正又は負として定量化され得るトリオンに対応する。双励起子(2つの素励起を有する状態とも呼ばれる)は2つの励起子が同時に閉じ込められると量子箱301内に形成される。
【0037】
電荷キャリア、電子及び正孔は半整数(電子に関して±1/2そして重い正孔に関して±3/2)スピンにより特徴付けられるフェルミオンである。対称量子箱301の励起子状態は、光子を放射することにその本質がある自然放射過程に従って電子正孔再結合が行われる場合は明るい。明るい励起子状態(基本励起子状態とも呼ばれる)は、±1に等しい全角度モーメントに対応し、そしてスピンの和の符号に依存して左又は右円偏光光子を放射することにより緩和される。
【0038】
実際、量子箱301は異方性(量子箱301の励起子レベルの縮退の解除を意味する)である。異方性量子箱301内の「明るい」励起子状態(1基本励起子を有する固有状態とも呼ばれる)は、対称量子箱301において定義される基本励起子状態の線形組み合わせであり、そして微細構造分割と呼ばれる非零エネルギー量により分離される。
【0039】
光空洞302を形成するマイクロピラーは、円筒形状であり、そして中央領域3021を囲む層3020、3022の2つの積層である。このような層は、通常は半導体性質のものであり、そして所与の構成に従ってP又はNドープされ得る。例えば、空洞3020がPNダイオードを電気的観点から形成するように、空洞3022の頂部はP型(又はN型)ドーピングを有し得る一方で底部3020は反対型のドーピングを有し得る。層3020、3022の2つの積層のそれぞれが、Braggミラーを形成し、そして屈折率という観点で2つの異なる材料の2つの層を交番することにより取得される。2つの積層3020、3022のそれぞれを形成する2つの層の各層の厚さ及び屈折率は、それらの積がλ/4に等しくなるように選択され得、ここでλは動作周波数である。基板305と接触する底部積層3020を形成する層の対の数は頂部積層3022を形成する層の対の数とは異なり得る。このような差は、光子源300の輝度を増加するために例えば量子箱301により生成される光子の上方放射を優先させることを可能にする。2つのBraggミラー3020、3022のそれぞれは、動作周波数λを中心とした広範囲の波長全体にわたって入射光を層積軸に従って屈折させることを可能にする。2つの積層3020、3022間に置かれた中央領域3021は、λに等しい厚さを有し得、そして量子箱301を含むように構成される。中央領域3021の存在は、2つのBraggミラー3020、3022が動作周波数において透過性になるようにマイクロピラーの屈折度を修正することを可能にする。マイクロピラーの半径は、数マイクロメートルのオーダであり、そして基本モードと呼ばれる少なくとも1つの光モードが最小エネルギーでもってマイクロピラーを通って伝播されることを可能にするように選択される。有利には、マイクロピラーの半径はいくつかの光モードの伝搬を可能にするように選択され得る。マイクロピラーは、伝搬モードの各伝搬モードの2つの縮退偏光状態を意味する回転対称を有し得る。代替的に、マイクロピラーは光が異方性的に伝播される複屈折媒体である。複屈折のこのような特性は、マイクロピラーの小軸及び大軸(H、Vでそれぞれ表される)により定義される光伝搬モードの偏光の縮退を解除する。
【0040】
有利には、光空洞302は少なくとも1つの第1の対及び少なくとも1つの第2の対の光モードを有し、これらモード対のそれぞれは偏光縮退性である。2対の偏光縮退性モードを有する光空洞302は、例えば双励起子(2つの素励起を有する状態)から励起子(1つの素励起を有する状態)への緩和の波長と第1の対のモードのエネルギーとを整合することによる及び励起子から中性状態への緩和の波長と第2のモード対のエネルギーとを整合することによるもつれ光子対の生成において特に使用される。
【0041】
ピラー303は、光空洞302のピラーに等しい、より高い、又はより低い高さを有し得る。光空洞302は、光空洞302をピラー303から光学的に減結合するのに十分である径方向間隔に従って3つのピラー303により形成されたアセンブリの中心に置かれ得る。さらに、後で論述される電気的コンタクト305と相関付けるピラー303は、その底面以外で互いに電気的に絶縁されなければならない。ピラー303は、光空洞302を形成するマイクロピラーと同じ積層により形成され得る。このような構造は、当業者に知られた無数のクリーンルーム製造方法に適合するという利点を提示する。このような構造の作製の工程は、積層を生成するための薄層蒸着方法、リソグラフィー方法、それに続いて光空洞302及び3つのピラー303を定義することを可能にするドライエッチング方法を含み得る。
【0042】
ピラー303の各ピラーの頂面(基板305と接触する面と反対面であるとして定義される)は電気的ボンディングパッド304a、304b、304cを含み、その寸法は、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cが対応ピラー303の頂面により完全に担われるように選択される。3つの電気的ボンディングパッド304a、304b、304cは、同じ電気的特性と三角形、矩形、又は、他の形であり得る同じ幾何学的形とを有し得る。積層軸(成長軸)に対し直角な面内で定義されたこのような電気的ボンディングパッド304a、304b、304cの横寸法は、積層軸に従って定義されたこのようなパッド304a、304b、304cの厚さに対し少なくとも10の係数だけ大きいことが好ましい。一例として、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cの厚さは50ナノメートル未満であるように選択され、そしてそれらの横寸法は50マイクロメートルより大きくなるように選択され、「ワイヤボンディング」としても知られる配線方法による異なる電圧源306a、306b、306cへのそれらの接続を容易にすることを可能にする。電気的ボンディングパッド304a、304b、304cは、光空洞302の周りに対称的(電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302との間の同じ径方向間隔と2つの隣接電気的ボンディングパッド間の同じ角度間隔とに対応する)に配置される。
【0043】
ピラー303の底面は別の電気的コンタクト305へ接続され、したがって電気的コンタクト305は光空洞302の底面により担われる。電気的コンタクト305は半導体性質の表面上に作製され、その導電率はP又はNドーピングを介し増加される。電気的コンタクト305は、光空洞302及びピラー303により形成されたアセンブリの底面を完全に覆うことを可能にする円盤形状、矩形状又は別の2D幾何形状を有し得る。このような構成は、それぞれの電圧Ta、Tb、Tcを送達する3つの独立電圧源306a、306b、306cを使用することにより光空洞302の頂面の周辺に配置された電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間に電位差を印加することを可能にする。電圧源306a、306b、306cのそれぞれにより送達される電圧は一定であっても良いし時間と共に可変であってもよい。
【0044】
半導体性質のアーム308a、308b、308cが、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれを光空洞302の頂面へ接続するために使用される。半導体アームを形成する材料はそれらの導電率を増加するようにドープされるが、この導電率は金属型(縮退ドーピング)の導電率になってはならない。半導体アーム308a、308b、308cは光空洞302と同じ高さを有し得、それらの長さは、光空洞302の外面をピラー303(その上に電気的ボンディングパッド304a、304b、304cが配置される)の内面へ接続するためには十分に長く、そして、それらの幅は、2つの隣接半導体アーム308a、308b、308cが光空洞302の外面とのそれらの接触から電気的に絶縁されるためには十分に小さい。半導体アーム308a、308b、308cのそれぞれは、120度の角度が2つの隣接半導体アーム308a、308b、308c間に形成されるように対応ピラー303の方向へ放射状に延伸する。誘電体又は半導体アームの使用は、力線を集中させることにより印加電界の水平成分を増幅することを可能にする。
【0045】
光モードの1つに従って量子箱301により生成された光子及び量子箱301を励起する光子は、それぞれが所与の開口角度により特徴付けられる同じ又は2つの異なる放射パターン307に従って光空洞302からそれぞれ出る又はその中に侵入する。
【0046】
電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間の電位差が、基本電界を生じさせ、そしてその特徴を強度及び配向という観点で制御する。中央領域3021において優勢である結果電界であって量子箱301が晒される結果電界は、光空洞302の頂面の周辺に配置された3つの電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間の電位の差から導出される3つの基本電界のベクトル和である。このような結果電界は次の3つの成分を有する:光空洞302の成長軸(積層軸)と同じ方向に定義された垂直成分及び2つのBraggミラー3020、3022を形成する積層面内に定義された2つの水平成分。このような結果電界の配向及び強度の観点での特性は、関連電位差を介し1つ又は複数の基本電界に作用することにより決定論的やり方で調節され得る。
【0047】
図4は、上に説明された構成に従って4つの電気的コンタクトを導入することにより正規直交三面体において定義された3つの成分を有する電界の生成を示し、2つの電圧源306a、306bが表され、基本電界及び結果電界は点線及び連続線によりそれぞれ表される。結果電界の様々な成分は、
-量子箱301の微細構造分割値を調節すること;
-その「明るい」励起子状態の緩和に関連する放射波長を調節すること;及び、
-量子箱301の特定軸の配向(これにしたがって光子を放射し得る又は光子により励起され得る)を定義することを可能にする。
【0048】
これらの3つのパラメータを調節するために、少なくとも3つの自由度を有することが必要であり、したがって、少なくとも3つの独立電圧源が3つの非共線性電気的ボンディングパッドへリンクされる。
【0049】
実験的観点から、量子箱301の固有パラメータ(微細構造分割など)は、作製方法の不完全性のために予め正確に知られていない。量子箱301の関心パラメータ(微細構造分割、放射波長、及び特定軸の配向など)は通常、単一光子及びもつれ光子対300を生成するためのデバイスの製造後に測定される。
【0050】
図5は、本発明の別の実施形態により単一光子及びもつれ光子対300を生成するためのデバイスの一部分の上面図を表す。このような実施形態では、上述の半導体アーム308a、308b、308cは光空洞302と直接接触していない。半導体アーム308a、308b、308cのそれぞれと光空洞302との分離は誘電体層309により保証される。誘電体層309は光空洞302と半導体アーム308a、308b、308cとの電気的絶縁を保証するように構成され、そして、その厚さは数十ナノメートルから数マイクロメートルのオーダである。誘電体層309を形成する誘電材料は空洞であり得る。その隣接環境からの光空洞302の電気的絶縁は、光空洞302を通りそして量子箱301の動作を乱すいかなる強い電流も回避することを可能にする。
【0051】
図6は、実現されるピラー303へ光空洞302を接続するため半導体アームが使用されない本発明の別の実施形態を表す。このような実施形態では、ピラー303は光空洞302の周りに対称的に配置され、そして光空洞302とピラー303のそれぞれとの間の径方向間隔は例えば10マイクロメートル未満に選択される。このような径方向間隔は、量子箱301を、微細構造分割値を含む量子箱301の特性パラメータに作用するためには十分に強い電界にさらすことを可能にする。光空洞302とピラー303との間の分離は誘電材料又は空洞により保証され得る。
【0052】
図7は、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cが、光空洞302を囲む円筒形状の中空構造3030により担われる本発明の別の実施形態を表す。中空構造3030は電気的ボンディングパッド304a、304b、304c間の電気的絶縁を可能にする誘電材料により形成され得る。中空構造3030は光空洞302と同じ高さを有し得、その頂面は電気的ボンディングパッド304a、304b、304cを含むには十分に広く選択される。さらに、
図5の実施形態において説明された誘電体層309に関連する半導体アーム308a、308b、308cは電気的ボンディングパッド304a、304b、304cを光空洞302へ接続するために使用される。代替的に、電気的ボンディングパッド304a、304bと光空洞302との接続は、電気的ボンディングパッド304a、304、304cを
図6において説明された光空洞302の十分に近くに持ってくることにより又は
図3A、3Bにおいて説明された半導体アーム308a、308b、308cを使用することにより保証され得る。
【0053】
図8は本発明の一実施形態によるマイクロピラー式の光空洞302の構造を表す。このような実施形態では、マイクロピラーを形成する2つの頂部Braggミラー3022及び底部Braggミラー3020がP及びNでそれぞれドープされる。量子箱301を含む中央領域3021は、マイクロピラーが電気的観点からPIN型のダイオードを形成するように真性状態のままである。ドーピング(P又はN)を生成するために使用される不純物の濃度は2つのBraggミラー3020、3022のそれぞれの長さ全体にわたって一様であり得る。代替的に、不純物の濃度は中央領域3021と接触する領域内で最小となるように逓減するやり方で変化し得る。不純物の濃度の変化は線形、対数、又はその他であり得る。有利には、上に説明された構成の1つに従ってドープされた光空洞302へ印加される様々な電圧は光空洞302により形成されたPIN接合の逆極性に対応する。このような逆極性は、いかなる大きな電流も量子箱301を通らなく且つ光子のその放射を乱さないということを保証する。代替的に、光空洞302は、順バイアス(量子箱301を通る大きい電流を生成しそしてその動作を乱す可能性が高い)される。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によると、光空洞302の頂面を囲む電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれは調整可能電圧源306a、306b、306cの端子の1つへ接続される。調整可能電圧源306a、306b、306cのそれぞれは、それぞれが接続される電気的ボンディングパッド304a、304b、304cと実現されるすべての調整可能電圧源306a、306b、306cに共通である光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間に電位差を印加するように構成される。対応電気的ボンディングパッド304a、304b、304cと電気的コンタクト305との間で測定される調整可能電圧源306a、306b、306cのそれぞれにより生成される電圧は正、零、又は負であり得る。
【0055】
図9は本発明の別の実施形態による2つの光空洞302、310を含む単一光子及びもつれ光子対300を生成するためのデバイスの上面図を表す。2つの光空洞302のうちの1つは、量子箱301を含み、そして上に説明された実施形態の1つに従って構成され得る。他の光空洞310は、量子箱を含まず、そして第1の光空洞302とは異なる光学的幾何学的パラメータ(サイズ、形状)を有し得る。実現される2つの光空洞302、310は所与の結合力に従って光学的に結合されるように構成される。2つの光空洞302、310により形成されるアセンブリは2つの対の偏光縮退性光モードを有する。第1の対の偏光縮退性光モードは、2つの素励起(双励起子)を有する状態と1つの素励起(励起子)を有する2つの状態との間の遷移に共振するように構成される。第2の対の偏光縮退性光モードは量子箱301の1つの素励起(励起子)を有する2つの状態と中性状態とも呼ばれる基底状態との間の遷移と共振するように構成される。両対の光モードの各対のモードは70%以上重畳する放射パターン307を有する。2つの光空洞302、310間の結合はまた、特許出願文献[3]に記載の実施形態に従って構成され得る。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によると、光空洞302の頂面の周辺に配置された電気的ボンディングパッドの数は3より大きい。電気的ボンディングパッドのこのような数は、偶数又は奇数であり得、且つ20未満であり得る。電気的ボンディングパッドは、少なくとも3つの電気的ボンディングパッド(そして恐らくそれらの関連半導体アーム)が対的(pairwise)並列方向に配向されないように光空洞302の周りに非対称的やり方で配置され得る。これは「光空洞302から測定される隣接電気的ボンディングパッド間の角度間隔と径方向間隔とが、実現されるすべての電気的ボンディングパッドに関し一定であり得ない」ということを意味する。さらに、電気的ボンディングパッドは電気的コンタクト305から様々な距離に置かれ得る、換言すると電気的ボンディングパッドは積層軸に対して直角に様々な面内に置かれ得る。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によると、単一光子及びもつれ光子対300を生成するためのデバイスは、量子箱301の動作温度を制御しそして一定に保つように構成された冷却ユニット(例えばペルティエ効果による又は窒素又はヘリウム極低温物理学による)を含み得る。このような動作温度は4ケルビン~100ケルビンに在り得る。このような低動作温度は、量子箱301とその隣接環境との相互作用を制限し、そして励起状態と基底状態との一貫性を、量子箱301の状態を操作するには十分に長い時間間隔にわたって維持することを可能にする。
【0058】
図10は、マイクロピラー式の光空洞302内へ挿入された量子箱301内の「明るい」励起子状態の経時的変化400を示し、量子箱301及び光空洞302は非零異方性により特徴付けられる。光空洞302の異方性は、低エネルギーモードを有する光空洞302のモード及びマイクロピラーの偏光の特定軸(H、V)と整合する高エネルギーモードの縮退の解除を意味する。量子箱301の異方性は、微細構造分割と呼ばれる非零エネルギー量により分離される2つの励起状態間の縮退の解除を意味する。量子箱301の2つの励起状態(固有状態とも呼ばれる)のそれぞれは、これにより光子を放射し得る又は光子により励起され得る所与の直線偏光状態X又はYに関連付けられる。一般的に、光空洞302のモード(H、V)は量子箱301の偏光の方向(x、y)と一致しなく、そしてθで表される角度がこのような不整合を定量化するために定義され得る。光空洞302のモードの1つ(H又はV)に従って直線偏光された光子による量子箱301の励起子レベルの共振励起は、角度θの値に依存する重み付けに従って2つの固有状態の励起に到る。励起状態4021又は4020のこのような結果は安定ではなく、そしてその位相は微細構造分割値に比例した転移の速度でもって時間と共に変化する。このような振る舞いは、例えば光空洞302の軸Hに従って線型に偏光された光子により励起することにより、そして励起の際に使用された角度(この場合は光空洞302の軸V)に対し直角に在る直線偏光状態に従って生成された光子だけを収集することにより、量子箱301により生成された単一光子だけを収集するために活用され得る。このような構成では、微細構造分割値を増加することは、励起の偏光の方向に自然に放射される前に光子が検出の偏光の方向に放射されることを可能にする。第2段階では、微細構造分割値は、同一励起領域内に1つではなく2つの光子が放射される確率を制限するために低減されるべきである。
【0059】
図11は本発明の一実施形態による単一光子300を生成するためのデバイスを表す。このような実施形態は、マイクロピラー式の複屈折性光空洞302内に取り込まれる異方性量子箱301を実現する。量子箱301は、上に説明された実施形態の1つに従って配置された電気的ボンディングパッド304a、304b、304c、305を介し強度及び配向が調整可能である電界に晒される。パッド304c及び関連電圧源306cは
図11では隠されている。単一光子300を生成するためのデバイスは、中性状態から励起状態へその状態を変換するように量子箱301を光学的に励起するように意図された光パルスを生成するように構成された励起レーザ源501を含む。光パルスの偏光の状態は光空洞302の特定軸の1つに従って線形であり、そして関連波長は、光子により運ばれるエネルギーが量子箱301を励起するには十分に大きくなるように選択される。光パルスの継続時間及びその繰り返し周波数が、単一光子300を生成するためのデバイスにより生成される秒当たりの光子の数の比率を決定する。単一光子300を生成するためのデバイスはさらに、励起光子の方向に対し直角に在る方向において直線偏光状態に従って光空洞302内で生成された光子を分離するようにそして偏光スプリッタキューブ502と光空洞302との光結合を改善するようにそれぞれ構成された偏光スプリッタキューブ502及び収束レンズ503を含む。光空洞302の特定軸(H、V)は角度θ(理想的には45度に等しい)にしたがって量子箱301の特定軸(x、y)と共線形でないように構成される。
【0060】
図12は、
図4に示すような電界に晒される異方性量子箱301を校正する方法600を表す。結果電界の空間内の3つの成分は少なくとも3つの調整可能電圧源により独立に調整可能である。本方法は反復性である。本方法は、反復毎に、結果電界の3つの成分のうちの少なくとも1つの成分の強度を修正すること(工程601)と印加される結果電界に関連付けられた量子箱301の関心特性パラメータ又はパラメータ群を第2段階において測定すること(工程602)とにその本質がある。本方法は、関心特性パラメータの所望値が取得されると停止され得、そして様々な電気的ボンディングパッドへ印加される電圧の値を戻し得る。本方法の第1の反復は零強度の結果電界に対応し得る。
【0061】
較正方法が、もつれ光子対300を生成するためのデバイスの動作点を識別するために使用され得る。このようなデバイスの関心特性パラメータは、著しく低減され(理想的には零に設定され)なければならない微細構造分割と、双励起子の緩和及び励起子の緩和に対応する放射波長とを含む。
【0062】
本較正方法はさらに、静的モードで動作する単一光子300を生成するためのデバイスの最適動作点を見出すために使用され得、これによると、実現される異方性量子箱301を特徴付ける微細構造分割は任意の励起子の生成の前に静的に調節される。微細構造分割は、励起状態が、励起光パルスの継続時間未満である転移時間の終わりに励起光子の角度に対して直角に在る直線偏光状態に従って緩和されることができるために十分な転移の速度を可能にしなければならない。微細構造分割はさらに、次のように最適化される:
-励起子状態の自然放射による寿命より少なくとも3の係数だけ(好適には少なくとも5の係数だけ)より短い転移時間の終わりに励起光子の角度に対し直角に在る直線偏光状態に従って励起状態が緩和され得る下限より大きくなるように;そして
-量子箱301が励起光パルスの継続時間中に2つ以上の光子を放射し得る上限より小さくなるように。
【0063】
図13Aは、本発明の一実施形態による光子300を生成するためのデバイスにより単一光子を生成する方法700aの流れ図である。このような実施形態では、実現される異方性量子箱301を特徴付ける微細構造分割は静的に調節される。本方法の第1の工程701aは、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間に、量子箱301が晒される結果電界を生成するように電位差を印加することにその本質がある。このような結果電界の成分は上述のように微細構造分割値を最適化するように調節される。量子箱301により生成された単一光子の波長と整合することに加えて、空間の3つの方向への結果電界の印加は、量子箱301が挿入される光空洞302の特定軸と共線にならないように量子箱301の特定軸の配向を定義することを可能にする。有利には、量子箱301の特定軸は光空洞302の特定軸に対し45度で配向される。
【0064】
本方法の第2の工程702aは、その波長スペクトル及び偏光状態が、量子箱301が挿入される光空洞302のモードのうちの1つに対応する一連の光パルスにより量子箱301を照らすことにその本質がある。光パルスの継続時間は量子箱301を励起するために十分に長くなるようにそして自然放射過程に従って少なくとも1つの光子を放射することができるように選択される。
【0065】
図13Bは本発明の別の実施形態に従って光子300を生成するためのデバイスにより単一光子700bを生成する方法の流れ図である。このような実施形態では、異方性量子箱301を特徴付ける微細構造分割は動的に制御される。このような動的制御は、量子箱301を特徴付ける自然放射時間より短い時間間隔内に微細構造分割値を修正することができるように量子箱301が晒される結果電界の変調を介し行われる。
【0066】
本方法の第1の工程701bは、その波長スペクトル及び偏光状態が量子箱301を取り込む光空洞302のモードに対応する一連の光パルスにより量子箱を照らすことにその本質がある。光パルスの継続時間は量子箱を励起するために十分に長くなるようにそして自然放射過程に従って少なくとも1つの光子を放射することができるように選択される。
【0067】
本方法の第2の工程702bは、量子箱301が晒される結果電界を生成するように電位差を電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間に印加することにその本質がある。微細構造分割値は、量子箱301への損傷に対応する閾値(すなわち量子箱301の較正中に判断される電気的及び光学的特徴がもはや再構築され得ない閾値)未満のままでなければならない結果電界の強度に応じて増加する。結果電界の強度は、生成される励起状態の位相の時間の経過に伴う変化が45度~135度(好適には80度~100度)に在るには適正に高くなるように選択される。位相の時間に伴うこのような変化はまた、励起子状態の自然放射による寿命よりより短い(少なくとも3の係数だけ、好適には少なくとも5の係数だけ)時間内に発生しなければならない。
【0068】
本方法の第3の工程703bは、要求による当初励起子状態の位相の時間に伴う変化が完了された直後にトリガされ得る。本方法のこのような工程は、1つの素励起を有する2つの固有状態間のエネルギー偏差を最小化するように結果電界の強度を修正することにその本質がある。
【0069】
図14は本発明の一実施形態による光子300を生成するためのデバイスによりもつれ光子対800を生成する方法を表す。光子を生成するためのこのようなデバイス300は、それぞれが偏光縮退性である少なくとも1つの第1の対の光モード及び少なくとも1つの第2の対の光モードを有する光空洞302内に取り込まれた異方性量子箱301を実装する。生成される光子のもつれは、実装される異方性量子箱301を特徴付ける微細構造分割の静的制御のおかげで取得される。本方法の第1の工程801は、電気的ボンディングパッド304a、304b、304cのそれぞれと光空洞302の底面により担われる電気的コンタクト305との間に電位差を印加することにその本質がある。このような電位差は、量子箱301の微細構造分割により定義される1つの素励起を有する2つの状態間のエネルギー偏差を低減するように最適化される。特に、工程801は、量子箱301を双励起子の緩和に関係する3つのエネルギーレベルを有する系にする微細構造分割を相殺することにその本質がある。電位差はまた次のように設定される:
-2つの素励起を有する状態と1つの素励起を有する状態との間の遷移が光空洞302の第1の対のモードとの共振状態になるように、そして
-1つの素励起を有する状態と基底状態との間の遷移を光空洞302の第2の対のモードとの共振状態となるように。
【0070】
本方法の第2の工程802は、量子箱301の2つの素励起を有する状態をエネルギーの入力により満たすことにその本質がある。このような双励起状態XXの生成は以下の好適なエネルギーの2つの連続光子により量子箱301を励起することにより生成され得る:第1の励起子の遷移を励起するのに十分なエネルギーωXの第1の光子;及び第2の励起子を生成するためのしたがって双励起状態XXを取得するためのωXとは異なるエネルギーωXXの第2の光子、又は代替的にエネルギー(ωXX+ωX)/2の2つの光子。
【0071】
図15はマイクロピラー式の光空洞302内に取り込まれた異方性量子箱301を特徴付ける微細構造分割の実験的測定結果を示し、光空洞302の頂面は本発明の実施形態による2つの電気的ボンディングパッド304a、304bにより囲まれる。実験的測定は、電気的ボンディングパッド304a、304bへ印加される2つの電圧範囲に関し行われ、そして微細構造分割値の決定論的制御という観点で本発明の実施形態の技術的利点を示す。このような測定結果は、次の構成に関して取得される:量子箱301は、励起子に対応する光学遷移より大きいエネルギーのレーザにより励起される。この無共振励起は、励起子状態2020、2021をエネルギーの入力により満たすことを可能にし、次に励起子状態2020、2021は収集される2つの異なる波長において光子を放射する。2つの光子間の波長の差は微細構造分割値を抽出することを可能にする。
図15は、このような測定の結果を示し、ここで、カラースケールは、コンタクト304a、304bへ印加される2つの電圧に応じた微細構造分割の絶対値を反映する。同図は、微細構造分割が、印加される電圧に応じて絶対値を変えるということと、微細構造分割が、電圧1と電圧2との組み合わせの全範囲に関して相殺されることにより符号を変えることとを示す。
【0072】
本発明の一実施形態によると、初期段階で中性である量子箱301内の励起子の形成は、量子箱301を形成する材料のストップバンドより大きいエネルギーの光子により量子箱301を励起することにその本質がある無共振光学的ポンピングにより行われる。
【0073】
本発明の別の実施態様によると、成長軸に対して直角に在る面内で定義された光空洞302を形成するマイクロピラーの幾何学的形状は楕円、多角形、又はその他であり得る。
【0074】
本発明は非限定的例として上に説明された実施形態に制限されない。本発明は当業者により構想されることができるようになる変形実施形態をすべて包含する。
【0075】
参考文献
[1]Trotta,Rinaldo et al.”Highly Entangled Photons from Hybrid Piezoelectric Semiconductor Quantum Dot Devices.”Nano Letters 14.6(2014):3439-3444.
[2]K Kowalik,O Krebs,A Lemaitre,S Laurent,P Senellart,P Voisin,JA Gaj”Influence of an in-plane electric field on exciton fine structure inInAs-GaAs self-assembled quantum dots.”Applied Physics Letters 86(4),041907
[3]WO/2011/089336”SOURCE OF POLARIZATION-ENTANGLED PHOTON PAIRS AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME”.
【国際調査報告】