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特表2023-550287SAP FC融合タンパク質及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】SAP FC融合タンパク質及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20231124BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231124BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231124BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231124BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20231124BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231124BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20231124BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231124BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231124BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231124BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20231124BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20231124BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K19/00
C12N5/10
C12P21/08
C12P21/02 C
A61K38/16
A61K47/68
A61P43/00 111
A61P3/10
A61P25/28
A61P25/14
C12N15/13 ZNA
C12N15/12
C07K16/00
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526513
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 US2021072168
(87)【国際公開番号】W WO2022094630
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,799
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/153,777
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522189850
【氏名又は名称】アトララス・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】504326686
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ テネシー リサーチ ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジョーム・ポンズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エス・ウォール
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064AG26
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC21
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZC35
4C084ZC41
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、SAP-Fc融合タンパク質、及びアミロイド関連疾患を治療する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端からC末端に向かって以下の式、
SAP-Fc1-L1-Fc2
〔式中、
Fc1は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、Fc2は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第2Fcドメイン配列であり、
SAPはヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質であり、
前記Fc1及び前記Fc2は、EU付番による位置C226及び/またはC229にアミノ酸置換を含む〕
で表される構造を含む融合タンパク質。
【請求項2】
前記Fc1及び前記Fc2が、
EU付番による位置C226及びC229におけるアミノ酸置換、任意選択的にはC226S及びC229S
を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記融合タンパク質が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号23または配列番号24で示されるアミノ酸配列を含む、請求項1または請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記融合タンパク質が、
C末端側リジンを有さない配列番号1、C末端側リジンを有さない配列番号2、C末端側リジンを有さない配列番号3、C末端側リジンを有さない配列番号4、C末端側リジンを有さない配列番号23、またはC末端側リジンを有さない配列番号24
で示されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記融合タンパク質が、TNT146、TNT151、TNT155、TNT156、TNT170またはTNT171のポリペプチド配列を含む、請求項1または請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含む融合タンパク質であって、前記第1ポリペプチドが、第1ヒトFcドメイン(Fc1)のN末端に連結されたヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質を含み、前記第2ポリペプチドが、第2ヒトFcドメイン(Fc2)を含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、前記第1及び前記第2Fcドメインが二量体を形成し、2つの前記Fcドメインのうちの一方がノブ変異を含み、もう一方の前記Fcドメインがホール変異を含む、前記融合タンパク質。
【請求項7】
前記第1ポリペプチドがノブ変異を含み、前記第2ポリペプチドがホール変異を含む、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記第1ポリペプチドが、配列番号5、配列番号7、配列番号8または配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6または配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記第1ポリペプチドが、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号8で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号8で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記融合タンパク質が、表2に記載のTNT148、TNT152、TNT157、TNT158、TNT147、TNT159、TNT160またはTNT161の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド配列を含む、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記第1ポリペプチドの前記Fcドメインがホール変異を含み、前記第2ポリペプチドの前記Fcドメインがノブ変異を含む、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記第1ポリペプチドが、配列番号11、配列番号13、配列番号14または配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12または配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記第1ポリペプチドが、配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号14で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号13で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号14で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、
請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記ヒトSAPが、配列番号17で示されるアミノ酸配列を任意選択的に含む野生型SAPである、請求項1または請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記ヒトSAPが、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む、請求項1または請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記ヒトSAPが、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項17に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番による位置C226及び/またはC229にアミノ酸置換を含む、請求項6または16~18のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番による位置C226及びC229にアミノ酸置換を含む、請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番によるアミノ酸置換C226S及び/またはC229Sを含む、請求項1、2、6または16~20のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番によるアミノ酸置換C226S及びC229Sを含む、請求項21に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にアミノ酸置換を含む、請求項1、2、6または15~17のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にセリン残基を含む、請求項23に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む、請求項23または請求項24に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
前記第1及び/または前記第2Fcドメインが、FcRn結合性を低下させる変異を含む、請求項1、2、6または16~18に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
N末端からC末端に向かって以下の式、
Fc1-L1-Fc2
〔式中、
Fc1は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、Fc2は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第2Fcドメイン配列であり、
前記Fc1及び前記Fc2は、EU付番によるアミノ酸置換C226S及び/またはC229Sを含む、ならびに/または前記Fc1及び前記Fc2は、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にセリン残基を含む〕
で表される構造を含む融合タンパク質。
【請求項28】
前記融合タンパク質が、前記融合タンパク質のN末端にヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質をさらに含む、請求項27に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
前記ヒトSAPが、
野生型SAP、任意選択的には配列番号17で示されるアミノ酸配列
である、請求項28に記載の融合タンパク質。
【請求項30】
前記ヒトSAPが、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む、請求項28に記載の融合タンパク質。
【請求項31】
前記ヒトSAPが、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の融合タンパク質。
【請求項32】
前記融合タンパク質が五量体または十量体(deccamer)を形成する、請求項1~31のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項33】
前記Fc1及び前記Fc2がヒトFcドメインである、請求項1~32のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項34】
前記Fc1及び前記Fc2がヒトIgG1 Fcドメインである、請求項1~33のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項35】
前記融合タンパク質が、1つ以上の前記アミノ酸置換を欠く融合タンパク質と比較して凝集が軽減されている、請求項1~34のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の融合タンパク質、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項37】
前記融合タンパク質の少なくとも50%が五量体及び/または十量体の状態にある、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
請求項1~35のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項39】
請求項38に記載の核酸を含むベクター。
【請求項40】
請求項38に記載の核酸または請求項39に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項41】
前記宿主細胞がCHO細胞または293細胞である、請求項40に記載の宿主細胞。
【請求項42】
請求項1~35のいずれか1項に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、
前記融合タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記融合タンパク質を発現させる条件の下で培養すること
を含む、前記方法。
【請求項43】
前記宿主細胞がCHO細胞または293細胞である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記宿主細胞が前記SAP成分タンパク質をグリコシル化しない、請求項42または請求項43に記載の方法。
【請求項45】
個体におけるアミロイド病を治療する方法であって、
請求項1~35のいずれか1項に記載の融合タンパク質を前記個体に投与すること
を含む、前記方法。
【請求項46】
個体におけるアミロイド病を治療する方法であって、
請求項42~44のいずれか1項に記載の方法によって製造された前記融合タンパク質を前記個体に投与すること
を含む、前記方法。
【請求項47】
前記アミロイド病が、
AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、II型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、及びアルツハイマー病
からなる群から選択される、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
請求項42~45のいずれか1項に記載の方法によって製造されたSAP-Fc融合タンパク質。
【請求項49】
前記個体がヒトである、請求項45~47のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月2日に出願された米国仮出願第63/108,799号及び2021年2月25日に出願された米国仮出願第63/153,777号に基づく優先権を主張するものであり、参照によりそれらの各々の内容の全体を本明細書に援用する。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
参照により、ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容の全体を本明細書に援用する:配列表のコンピュータ可読形態(CRF)(ファイル名:165992000200SEQLIST.TXT、記録日:2021年10月28日、サイズ:91,399バイト)。
【0003】
本発明は、SAP-Fc融合タンパク質、及びSAP-Fc融合タンパク質を投与することによってアミロイド関連障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アミロイドーシスは、他の疾患、例えば、アルツハイマー病、伝達性海綿状脳症、ハンチントン病またはII型真性糖尿病を含むタンパク質コンホメーション病の群に属する疾患の広い群である。
【0005】
アミロイドーシスは、組織における異常な線維状立体配座を有する不溶性タンパク質沈着物の存在を特徴とする希少疾患である。原因となっていることが最も多いのは、血清前駆体タンパク質の断片である。多くの器官は、「アミロイド物質」と呼ばれるこれらの細胞外沈着物によって侵され得る。アミロイド沈着物によって侵される主な器官は、腎臓、心臓、消化管、肝臓、皮膚、末梢神経及び眼である。この疾患によって侵された器官は、大抵、相当な体積を有する。最終的にアミロイドーシスは全器官及び中枢神経系を侵し得、このため、実に様々な多くの症候が存在する。
【0006】
アミロイドーシスを治療するための様々な手法が試みられてきた。例えば、グルココルチコイド(デキサメタゾン)及び抗有糸分裂薬の投与による化学療法治療である。新たな抗炎症薬(抗TNF、抗IL1)の有効性は現在臨床評価中である。しかし、当面は、沈着物をより速やかに排除し得る特効治療法が存在していないがためにこのアミロイドーシスは不治かつ致命的であり続ける。DMSO及びコルヒチン、ならびにI-Doxアントラサイクリンも、試されたことがある。
【0007】
抗SAP抗体は、アミロイドーシスのために開発されつつあるもう1つの治療薬である。EOD001はモノクローナル抗体であるが、これは、特異的にアミロイドアミロイドALまたはAAを標的とするものである。WO2015063728には、アミロイドーシスを治療するためのSAP-Fc抗体融合体が開示されている。
【0008】
したがって、アミロイドーシス及びアミロイド関連疾患のための効果的な治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、本明細書に提供されるのは、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含む融合タンパク質であって、第1ポリペプチドが、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドが、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインが二量体を形成し、2つのFcドメインのうちの一方がノブ変異を含み、もう一方のFcドメインがホール変異を含む、当該融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドはノブ変異を含み、第2ポリペプチドはホール変異を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは、配列番号5、配列番号7、配列番号8または配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは、配列番号6または配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドはホール変異を含み、第2ポリペプチドはノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは、配列番号11、配列番号13、配列番号14または配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは、配列番号12または配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト血清アミロイドP成分タンパク質は、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヒト血清アミロイドP成分タンパク質は、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、EU付番による位置C226またはC229にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、EU付番によるアミノ酸置換C226SまたはC229Sを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にセリン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2Fcドメインは、FcRn結合性を低下させる変異を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は五量体を形成する。
【0010】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、N末端からC末端に向かって以下の式、SAP-ヒンジ1-Fc1-L1-ヒンジ2-Fc2〔式中、SAPはヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質であり、ヒンジ1は第1ヒンジ配列であり、Fc1は第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、ヒンジ2は第2ヒンジ配列であり、Fc2は第2Fcドメイン配列である〕で表される構造を含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号4で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒト血清アミロイドP成分タンパク質は、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、ヒト血清アミロイドP成分タンパク質は、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、EU付番による位置C226またはC229にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、EU付番によるアミノ酸置換C226SまたはC229Sを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にセリン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1または第2Fcドメインは、FcRn結合性を低下させる変異を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は五量体を形成する。
【0011】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の融合タンパク質を含む医薬組成物である。
【0012】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の融合タンパク質をコードする核酸である。
【0013】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の核酸を含む宿主細胞である。
【0014】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、融合タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を、融合タンパク質を発現させる条件の下で培養することを含む、当該方法である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はCHO細胞または293細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はSAP成分タンパク質をグリコシル化しない。
【0015】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、アミロイド病を治療する方法であって、本明細書に記載の融合タンパク質を、それを必要とする個体に投与することを含む、当該方法である。いくつかの実施形態では、アミロイド病は全身性アミロイドーシスを含む。
【0016】
別の態様において、本明細書に提供されるのは、N末端からC末端に向かって以下の式、ヒンジ1-Fc1-L1-ヒンジ2-Fc2〔式中、ヒンジ1は第1ヒンジ配列であり、Fc1は第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、ヒンジ2は第2ヒンジ配列であり、Fc2は第2Fcドメイン配列であり、第1及び第2Fcドメインは、EU付番によるアミノ酸置換C226SもしくはC229Sを含む、及び/または第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11もしくは14にセリン残基を含む〕で表される構造を含む融合タンパク質である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】SAP-scFc構築物を示す。
図2】Aは、脱グリコシル化SAP変異体を示す。Bは、ノブ及びホールFc領域を示す。Cは、FcRN変異を有するFcを示す。
図3】Aは、SAP-scFc構築物TNT146を示す。Bは、SAP-scFc構築物TNT151を示す。Cは、SAP-scFc構築物TNT155を示す。Dは、SAP-scFc構築物TNT156を示す。
図4】Aは、SAP-Fc構築物TNT148を示す。Bは、SAP-Fc構築物TNT152を示す。Cは、SAP-Fc構築物TNT157を示す。Dは、SAP-Fc構築物TNT158を示す。
図5】Aは、SAP-Fc構築物TNT147を示す。Bは、SAP-Fc構築物TNT159を示す。Cは、SAP-Fc構築物TNT160を示す。Dは、SAP-Fc構築物TNT161を示す。
図6】A及びBは、精製ステップ後の還元及び非還元SAP-FcのSDS-PAGE分析を示す。「1」と標示されたレーンは精製生成物の還元試料を示し、「2」と標示されたレーンは精製生成物の非還元試料を示し、「M」と標示されたレーンはタンパク質マーカー(ALL BLUE PRECISION PLUS,BIO-RAD(登録商標)、Cat#161-0373)を示す。矢印は、(「
【化1】
」と標示される)単量体、(「
【化2】
」と標示される)二量体、及び他のオリゴマーを指し示している。Aは、プロテインA親和性精製ステップ後の還元及び非還元SAP-FcのSDS-PAGE分析を示す。Bは、1700mlサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)精製ステップ後の還元及び非還元SAP-FcのSDS-PAGE分析を示す。
図7A】SECクロマトグラムの主要な溶離ピークを示す。試料画分はx軸上に標示される。
図7B】このSEC精製ステップからの試料画分の非還元SDS-PAGE分析を示す。
図7C】画分「2B1」の非還元マイクロ流体電気泳動分析を示す。
図7D】画分「2B1」の還元マイクロ流体電気泳動分析を示す。
図7E】画分「2A9」のサイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱(SEC-MALS)分析を示す。
図7F】画分「2A9」のSEC-HPLC分析を示す。
図7G】画分「2A9」の脱グリコシル化質量分析を示す。
図8】Aは、合成rVλ6Wilフィブリルに結合しているhIgG(対照)、c11-1F4、TNT146(293)及びTNT147(293)のELISAアッセイを示す。Bは、合成rVλ6Wilフィブリルに結合しているhIgG(対照)、TNT146(CHO)、TNT148(CHO)、TNT151(293)及びTNT152(293)のELISAアッセイを示す。
図9】A及びBは、SHI ALλ及びPer125 wtATTRに結合しているhIgG(対照)、TNT146(293)及びTNT147(293)のELISAアッセイを示す。
図10A】rVλ6Wilフィブリル、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合しているIgG1のELISAアッセイを示す。
図10B】rVλ6Wilフィブリル、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合しているTNT146(293)のELISAアッセイを示す。
図10C】rVλ6Wilフィブリル、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合しているTNT148(CHO)のELISAアッセイを示す。
図10D】rVλ6Wilフィブリル、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合しているTNT151(293)のELISAアッセイを示す。
図10E】rVλ6Wilフィブリル、Per125 wtATTR抽出物、Ken ATTR抽出物、SHI ALλ肝臓抽出物、及びTAL ALκ肝臓抽出物に結合しているTNT152(293)のELISAアッセイを示す。
図11A】10μgのSAP-Fc 146を注射したAAマウスにおいてコンゴーレッド(左列)及び125I標識TNT146(293)のオートラジオグラフィー(右列)によって染色されたアミロイド沈着を示す。
図11B】10μgのSAP-Fc 147を注射したAAマウスにおいてコンゴーレッド(左列)及び125I標識TNT147(293)のオートラジオグラフィー(右列)によって染色されたアミロイド沈着を示す。
図11C】500μgのSAP-Fc 147を注射したAAマウスについてコンゴーレッド(第1及び第3列)及び抗ヒトFc免疫染色(第2及び第4列)によって染色されたアミロイド沈着を示す。
図12】A及びBは、野生型(WT)マウスに対するAAマウスにおけるSAP-Fc生体内分布の比較を示す。Aは、野生型(WT)マウスに対するAAマウスにおけるSAP-Fc 146生体内分布の比較を示す。Bは、野生型(WT)マウスに対するAAマウスにおけるSAP-Fc 147生体内分布の比較を示す。
図13】TNT146(293)、TNT147(293)、TNT146(CHO)、TNT148(HEK)、TNT148(CHO)、TNT151(293)、TNT151(CHO)、TNT152(293)及びTNT152(CHO)のSECクロマトグラムを示す。下側の矢印は、150kDa、200kDa、443kDa及び669kDaの分子量標準の溶離の時間を指し示している。
図14A】AAマウスにおけるTNT151(293)の生体内分布を示す。
図14B】AAマウスにおけるTNT152(293)の生体内分布を示す。
図14C】AAマウスにおけるTNT148(293)の生体内分布を示す。
図15】処理しなかった場合(THP1対照)、hIgG1で処理した場合(hIgG1対照)、mlgp5で処理した場合(ネズミ抗体-ペプチド融合体)、SAP-Fc TNT146(CHO)で処理した場合、TNT147(239)で処理した場合(TNT147と標示される)、TNT148(CHO)で処理した場合、TNT151(CHO)で処理した場合、及びTNT152(CHO)で処理した場合のTHP1細胞によるrVλ6Wilフィブリルの食作用を示す。
図16】A及びBは、精製SAP-Fc構築のSDS PAGEゲルを示す。Aのレーン1は非還元条件下のTNT146であり、レーン2は非還元条件下のTNT151であり、レーン3は非還元条件下のTNT155であり、レーン4は還元条件下のTNT146であり、レーン5は還元条件下のTNT151であり、レーン6は還元条件下のTNT155である。Bのレーンaは非還元条件下のTNT147であり、レーン2bisは非還元条件下のTNT148であり、レーンcは非還元条件下のTNT160であり、レーンdは還元条件下のTNT147であり、レーンeは還元条件下のTNT148であり、レーンfは還元条件下のTNT160である。
図17】A及びBは、皮下ヒトALλアミロイドを有するマウスの光学撮像から得たpHrodoレッド蛍光放射の定量を示す。Aは、TNT146アミロイドを有するマウス及び対照マウスにおけるpHrodoレッド蛍光(平均±標準偏差)の変化を示す。Bは、TNT146処理アミロイドにおける1日目のpHrodoレッド発光の増加を示しているグラフである。
図18】A及びBは、注射後14日目のpHrodoレッド標識ヒトALλ皮下アミロイドを有するマウスの光学撮像を示す。矢印は、標識付きアミロイドの場所を指し示している。Aは、対照マウスについての結果を示す。Bは、SAP-Fc融合タンパク質で処置したマウスについての結果を示す。
図19】モルモット補体(「C」と表される)の存在下でのrVλWil ALアミロイドフィブリルの食作用の定量を示す。
図20】A~Dは、30μg/mLの濃度のヒトSAPとの前インキュベーションの後のアミロイド抽出物及び合成フィブリルに対するSAP-Fc融合体の結合性の比較を示す。
図21】30μg/mLの濃度のヒトSAPの存在下でのアミロイド抽出物に対するSAP-Fc融合体の結合性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に提供されるのは、アミロイドに高い親和性で結合すること及び食作用を誘発することができるSAP-Fc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、二量体化を促進する1つまたは改変をFc領域に有する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、SAP-Fc融合体に比べて向上した安定性を有する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、安定した非共有結合性五量体を形成する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、安定した非共有結合性十量体を形成する。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるSAP-Fc融合タンパク質は、凝集が軽減されている。
【0019】
SAP-Fc融合タンパク質
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
本明細書に提供されるのは、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、及び第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインを含む、SAP-Fc融合タンパク質である。
【0020】
いくつかの実施形態では、ヒンジ配列は抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列はヒト抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列は、IgG1、IgG2またはIgG4抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列はヒトIgG1抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列は、1つ以上のアミノ酸置換を有するヒトIgG1抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列は、1つ以上のシステイン残基が置換されたヒトIgG1抗体ヒンジ配列である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列は、1つ以上のシステイン残基がセリンに置換されたヒトIgG1抗体ヒンジ配列である。
【0021】
いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質はヒトSAPタンパク質である。いくつかの実施形態では、ヒトSAPタンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトSAPタンパク質は、SAPタンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、SAPタンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変は、SAPタンパク質のN末端から付番を開始してN32S及びN110Sアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、ヒトSAPタンパク質は、SAPタンパク質のN末端から付番を開始してアミノ酸置換N32S及びN110Sを含む。いくつかの実施形態では、ヒトSAPタンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメインは、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する改変は、ヘテロ二量体型SAP-Fc融合タンパク質の安定性を向上させる。いくつかの実施形態では、改変は、高次な共有結合性多量体化を防止する。
【0023】
システイン残基、例えばFcドメインのヒンジ領域内のシステイン残基は、異なるFc領域上にあるシステイン残基の間での分子間ジスルフィド結合の形成に起因するタンパク質凝集を引き起こし得る。それゆえ、いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるSAP-Fc融合タンパク質は、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する1つ以上の改変を含むFcドメインを含み、かくして、システイン残基の分子間対形成を原因とするSAP-Fc融合タンパク質の凝集が防止または軽減される。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する1つ以上の改変は、EU付番による位置C226またはC229にある。いくつかの実施形態では、置換は、EU付番方式に基づいて付番してC226S及びC229Sアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含むFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してC226S及びC229Sアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは両方とも、ヒンジ領域における置換を位置C226または位置C229に含む。いくつかの実施形態では、置換は、配列番号18の付番によるアミノ酸位置11のセリン残基、及び配列番号18の付番によるアミノ酸位置14のセリン残基から選択される。いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含むFcドメインは、配列番号18の付番によるアミノ酸位置11のセリン残基及びアミノ酸位置14のセリン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは両方とも、配列番号18の付番によるアミノ酸位置11のセリン残基及びアミノ酸位置14のセリン残基を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU方式によって付番して位置I253、H310またはH435にある。いくつかの実施形態では、改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95または220にある。いくつかの実施形態では、改変は、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95及び220のうちの1つ以上のアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは各々、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95または220に置換を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含むFcドメインは、配列番号9、15または21のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2Fcドメインは各々、EU付番方式に基づいて付番して位置I253、H310またはH435に置換を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質はリンカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、第1Fc領域のC末端を第2Fc領域のN末端に連結する。いくつかの実施形態では、リンカーは、第1Fc領域のC末端を第2Fcのヒンジ領域に連結する。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、グリシン-セリンリンカー配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、(GS)配列を含む。いくつかの実施形態では、n=1~10である。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは、ヒンジ領域内のシステインを除去する1つ以上の改変、及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してC226S及びC229Sアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基を除去する1つ以上の改変は、配列番号18の付番によるアミノ酸位置11のセリン残基、及び配列番号18の付番によるアミノ酸位置14のセリン残基から選択される。いくつかの実施形態では、第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、Fcドメインはヒンジ配列を含み、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号9の付番による38、95及び220から選択されるアミノ酸位置のアラニン残基である。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジ配列を含むFcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は一本鎖ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合体は一本鎖Fcを含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、及び第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、及び第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含み、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、ならびに第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含み、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2ヒンジ配列を含む第2Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号23のアミノ酸配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、ならびに第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1ヒンジ配列を含む第1Fcドメインは配列番号18のアミノ酸配列を含み、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号24のアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、ならびに第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含み、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号3のアミノ酸配列を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、N末端からC末端に向かって、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメイン、リンカーペプチド、ならびに第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインを含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含み、リンカーペプチドは配列番号19のアミノ酸配列を含み、第2ヒンジ配列及びFcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2Fcドメインは配列番号21のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0033】
本明細書にさらに提供されるのは、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含むSAP-Fc融合タンパク質であって、第1ポリペプチドが、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたヒトSAP成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドが、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインが二量体を形成し、2つのFcドメインのうちの一方が1つ以上のノブ変異を含み、もう一方のFcドメインが1つ以上のホール変異を含む、当該SAP-Fc融合タンパク質である。
【0034】
いくつかの実施形態では、ヒトSAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒトSAP成分タンパク質は、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変は、SAP成分タンパク質のN末端から付番を開始してN32S及びN110Sアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、ヒトSAP成分タンパク質は、SAP成分タンパク質のN末端から付番を開始してアミノ酸置換N32S及びN110Sを含む。いくつかの実施形態では、ヒトSAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、Fcドメインのヘテロ二量体化を促進する1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインのうちの一方は1つ以上のノブ変異を含み、もう一方のFcドメインは1つ以上のホール変異を含み、ノブ及びホール変異は、第1及び第2Fcドメインの会合、例えば二量体となる会合を促進する。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインはT366Wアミノ酸置換を含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインはアミノ酸置換T366S、L368A及びY407Vを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインはT366W及びY349Cアミノ酸置換を含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインはアミノ酸置換S354C、T366S、L368A及びY407Vを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインはT366W及びY349Cアミノ酸置換を含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインはアミノ酸置換E356C、T366S、L368A及びY407Vを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインはR409D及びK370Eアミノ酸置換を含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインはアミノ酸置換D399K及びE357Kを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインはアミノ酸置換T366W、R409D及びK370Eを含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインはアミノ酸置換T366S、L368A、Y407V、D399K及びE357Kを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインのうちの一方はアミノ酸置換Y349C及びT366Wを含み、もう一方のFcドメインはアミノ酸置換S354C、T366S、L368A、Y407Vを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインのうちの一方はT366Wアミノ酸置換を含み、もう一方のFcドメインはアミノ酸置換T366S、L368A及びY407Vを含み、付番はEU付番方式に基づく。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインのうちの一方はアミノ酸置換Y349C、T366W、R409D及びK370Eを含み、もう一方のFcドメインはアミノ酸置換S354C、T366S、L368A、Y407V、D399K及びE357Kを含み、付番はEU付番方式に基づく。当技術分野で知られているさらなる、または代替となる「ノブ-イン-ホール」技術、例えばEP1870459A1に記載されている技術を本開示のSAP-Fc融合タンパク質に用いてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のノブ変異を含むFcドメインは、配列番号12の付番によるアミノ酸位置151にトリプトファン残基を含み、1つ以上のホール変異を含むFcドメインは、アミノ酸位置151にセリン残基、アミノ酸位置153にアラニン残基、及びアミノ酸位置192にバリン残基を含み、付番は配列番号6に基づく。
【0036】
いくつかの実施形態では、SAP-fc融合タンパク質は、第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み(comprises a comprising)、第1ポリペプチドは、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたヒト血清アミロイドP(SAP)タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、2つのFcドメインのうちの一方はノブ変異を含み、もう一方のFcドメインはホール変異を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインはノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、ノブ変異は、EU付番方式に基づいて付番してT366Wアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、ノブ変異は、配列番号12の付番によるアミノ酸位置151のトリプトファン残基である。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変をさらに含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号15の付番による38、95及び220から選択されるアミノ酸位置のアラニン残基である。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、配列番号15の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1Fcドメインがノブ変異を含む場合、第2ヒトFcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のホール変異は、EU付番方式に基づいて付番してT366S、L368A及びY407Vアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のホール変異は、アミノ酸位置151のセリン残基、アミノ酸位置153のアラニン残基、及びアミノ酸位置192のバリン残基を含み、付番は配列番号6に基づく。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変をさらに含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号9の付番による38、95及び220から選択されるアミノ酸位置のアラニン残基である。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のホール変異は、EU付番方式に基づいて付番してT366S、L368A及びY407Vアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のホール変異は、アミノ酸位置151のセリン残基、アミノ酸位置153のアラニン残基、及びアミノ酸位置192のバリン残基を含み、付番は配列番号6に基づく。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変をさらに含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号9の付番による38、95及び220から選択されるアミノ酸位置のアラニン残基である。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは、配列番号9の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、第1ヒトFcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1Fcドメインがホール変異を含む場合、第2ヒトFcドメインはノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、ノブ変異は、EU付番方式に基づいて付番してT366Wアミノ酸置換である。いくつかの実施形態では、ノブ変異は、配列番号12の付番によるアミノ酸位置151のトリプトファン残基である。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変をさらに含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、EU付番方式に基づいて付番してI253A、H310A及びH435Aアミノ酸置換から選択される。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、EU付番方式に基づいて付番してアミノ酸置換I253A、H310A及びH435Aを含む。いくつかの実施形態では、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変は、配列番号15の付番による38、95及び220から選択されるアミノ酸位置のアラニン残基である。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは、配列番号15の付番によるアミノ酸位置38、95及び220にアラニン残基を含む。いくつかの実施形態では、第2ヒトFcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたSAP成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号5のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質を含み、SAP成分タンパク質は、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されており、第2ポリペプチドは、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質は含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号7のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたSAP成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2ヒトFcドメインを含がヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号8のアミノ酸配列を含み、及び第2ポリペプチドは配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質を含み、SAP成分タンパク質は、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1ヒトFcドメインのN末端に連結されており、第2ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のホール変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は、グリコシル化部位を除去する1つ以上の改変を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1ヒトFcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含み、第2ヒトFcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号10のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたSAP成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のホール変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号11のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質を含み、SAP成分タンパク質は第1ヒトFcドメインのN末端に連結されており、第2ポリペプチドは、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のホール変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号6のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号12のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号13のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたSAP成分タンパク質を含み、第2ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のホール変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号17のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号14のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含み、第1ポリペプチドは、SAP成分タンパク質のグリコシル化を減少させる1つ以上の改変を含むSAP成分タンパク質を含み、SAP成分タンパク質は、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第1ヒトFcドメインのN末端に連結されており、第2ポリペプチドは、FcRn結合性を低下させる1つ以上の改変を含む第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、第1及び第2Fcドメインは二量体を形成し、第1Fcドメインは1つ以上のホール変異を含み、第2Fcドメインは1つ以上のノブ変異を含む。いくつかの実施形態では、SAP成分タンパク質は配列番号20のアミノ酸配列を含み、第1Fcドメインは配列番号9のアミノ酸配列を含み、第2Fcドメインは配列番号15のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1ポリペプチドは配列番号16のアミノ酸配列を含み、第2ポリペプチドは配列番号15のアミノ酸配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物またはフィブリルに結合する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性(amyloid genic)免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。
【0049】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質はアミロイド沈着物の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、マクロファージ媒介食作用を促進する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質は、非グリコシル化されており、アミロイド沈着物またはフィブリルに結合する。いくつかの実施形態では、非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。いくつかの実施形態では、非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、非グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、マクロファージ媒介食作用を促進する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質は、グリコシル化されており、アミロイド沈着物またはフィブリルに結合する。いくつかの実施形態では、グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)。他の実施形態では、グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。いくつかの実施形態では、グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、グリコシル化SAP-Fc融合タンパク質は、マクロファージ媒介食作用を促進する。
【0052】
非ヒト細胞(例えばCHO細胞)で産生されたタンパク質とヒト細胞(例えばHEK293細胞)で産生されたタンパク質との間でグリコシル化パターンが異なることは知られている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質は、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生され、アミロイド沈着物またはフィブリルに結合する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生され、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。いくつかの実施形態では、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、ヒト細胞、例えばHEK293細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質は、マクロファージ媒介食作用を促進する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質は、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生され、アミロイド沈着物またはフィブリルに結合する。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに結合する。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質は、アミロイド沈着物の食作用を促進する。いくつかの実施形態では、非ヒト細胞、例えばCHO細胞で産生されたSAP-Fc融合タンパク質は、マクロファージ媒介食作用を促進する。
【0053】
いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはフィブリルに対する本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質の結合性は、SAP-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態に影響されない。いくつかの実施形態では、アミロイド中の1つ以上のアミロイド原性ペプチドに対するSAP-Fc融合タンパク質の結合性は、SAP-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態に影響されない。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性λ6可変ドメインタンパク質(Vλ6Wil)もしくはアミロイド原性免疫グロブリン軽鎖(AL)、Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルもしくはアミロイド原性Aβ前駆体タンパク質、または血清アミロイドタンパク質A(AA)を含む。他の実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイドは、アミロイド原性形態の免疫グロブリン重鎖(AH)、β-マイクログロブリン(AβM)、トランスサイレチン多様体(ATTR)、アポリポタンパク質AI(AApoAI)、アポリポタンパク質AII(AApoAII)、ゲルソリン(AGel)、リゾチーム(ALys)、白血球走化性因子(ALect2)、フィブリノゲンa多様体(AFib)、シスタチン多様体(ACys)、カルシトニン(ACal)、ラクトアドヘリン(AMed)、膵島アミロイドポリペプチド(AIAPP)、プロラクチン(APro)、インスリン(AIns)、プリオンタンパク質(prior protein)(APrP)、α-シヌクレイン(AαSyn)、タウ(ATau)、心房性ナトリウム利尿因子(AANF)、IAAP、ALκ4、Alλ1、または他のアミロイド原性ペプチドを含む。SAP-Fc融合タンパク質に結合されるアミロイド原性ペプチドは、タンパク質、タンパク質断片またはタンパク質ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物またはアミロイドフィブリルは組換えアミロイド原性タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドは疾患の病理の一部である。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物の食作用を促進することにおける本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質の活性は、SAP-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態に影響されない。いくつかの実施形態では、マクロファージ媒介食作用を促進することにおける本明細書に記載のSAP-Fc融合タンパク質の活性は、SAP-Fc融合タンパク質のグリコシル化状態に影響されない。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるSAP-Fc融合タンパク質は、2つのFcポリペプチド及び1つのSAPポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、安定した非共有結合性ヘテロ二量体を形成する。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、Fcヒンジ領域に位置する1つ以上のシステインを含まない。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、凝集が軽減されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される二量体型SAP-Fc融合タンパク質は、安定した非共有結合五量体を形成する。いくつかの実施形態では、五量体は、1、2、3、4、5、24時間またはそれ以上にわたって安定している。いくつかの実施形態では、五量体(petamers)は、サイズ排除クロマトグラフィーカラムにおいて安定している。いくつかの実施形態では、五量体は、約375kDaの分子量を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される二量体型SAP-Fc融合タンパク質は、安定した非共有結合性十量体を形成する。いくつかの実施形態では、十量体は、1、2、3、4、5、24時間またはそれ以上にわたって安定している。いくつかの実施形態では、十量体は、サイズ排除クロマトグラフィーカラムにおいて安定している。いくつかの実施形態では、十量体は、SAP-Fc十量体についておおよそで約750kDaの分子量を有する。
【0057】
本明細書にさらに提供されるのは、SAP-Fc融合タンパク質及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、いかなる保存剤または他の担体、賦形剤もしくは安定化剤も本質的に含まないものであり得る。あるいは、医薬組成物は、1つ以上の保存剤、例えば、本明細書中の他のどこかに記載されている抗菌剤、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤を任意選択的に含み得、但し、それらがSAP-Fc融合体の物理化学的安定性に悪影響を及ぼさないことを条件とする。許容される担体、賦形剤及び安定化剤の例としては、付加的な緩衝剤、共溶媒、界面活性剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含めた酸化防止剤、キレート剤、例えばEDTA、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び生分解性ポリマー、例えばポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体、安定化剤及び浸透圧調節物質(isomolytes)の配合及び選択についての詳細な論述は、参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.;Mack Publishing Company,Eaton,Pa.,1990)の中に見つかり得る。
【0058】
in vivo投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜による濾過によって容易に成し遂げられる。
【0059】
本発明の医薬組成物は、その意図した投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(例えば局所)、経粘膜及び直腸投与が挙げられる。非経口、皮内または皮下適用のために使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分を含み得る:無菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、及び張度の調整のための薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムを使用して調整され得る。非経口調製剤は、ガラス製またはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアルの中に封入され得る。
【0060】
注射剤用途に適する医薬組成物としては、無菌水性液剤(水溶性の場合)または分散体、及び無菌注射液剤または分散体の即席調製のための無菌散剤が挙げられる。静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。あらゆる場合において、組成物は無菌でなければならず、シリンジ易操作性が存在する程度に流動性を有するべきである。それは、製造及び貯蔵の条件の下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から守られなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及びその好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散体の場合における必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって成し遂げられ得る。多くの場合、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましいであろう。注射組成物の長期吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含むことによってもたらされ得る。
【0061】
無菌注射液剤は、適切な溶媒に所要量の活性化合物を、必要に応じて上に列挙される原料の1つまたは組合せと共に組み込み、その後に濾過滅菌することによって、調製され得る。一般に、分散体は、塩基性分散媒体及び上に列挙されるものからの必要な他の原料を含有する無菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。無菌注射液剤の調製のための無菌散剤の場合、調製方法は、活性成分に任意の付加的な所望の原料が加わった、それらの前無菌濾過溶液からの粉末を生産する、真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0062】
治療方法
本明細書にさらに提供されるのは、本明細書に開示されるSAP-Fc融合タンパク質を個体に投与することを含む、アミロイド関連障害を治療する方法である。
【0063】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質はアミロイド沈着物に結合する。いくつかの実施形態では、アミロイド沈着物は疾患の病理の一因であり得る。他の実施形態では、アミロイド沈着物は、個体におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患を示唆するものであり得る。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、アミロイドーシスを有する個体においてアミロイドに結合する。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは、特定の組織または器官系、例えば、肝臓、心臓または中枢神経系に局在化している。
【0064】
他の実施形態では、アミロイドーシスは全身性アミロイドーシスである。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは家族性アミロイドーシスである。他の実施形態では、アミロイドーシスは孤発性アミロイドーシスである。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患は、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳ベータアミロイド血管症、海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、レビー小体型認知症、タウオパシー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身性老化、老化性下垂体障害、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんである。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、正常な老化に関連するアミロイドに結合する。他の実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、対象におけるアミロイドーシスまたはアミロイド関連疾患の診断、治療または予後に使用される。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療される個体または対象は、動物、例えば哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、乳牛、ブタ、ヒツジ、仔羊、ヤギ、霊長類、マウス、ラットまたはヒトである。いくつかの実施形態では、個体または対象はヒトである。
【0066】
宿主細胞、ベクター、製造方法
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、SAP-Fc融合タンパク質をコードする核酸である。いくつかの実施形態では、核酸はベクターの中にある。いくつかの実施形態では、ベクターは発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、原核生物発現のためのものである。いくつかの実施形態では、ベクターは、真核生物発現のためのものである。いくつかの実施形態では、ベクターは、哺乳動物発現ベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態では、ベクターは、SAP-Fc融合タンパク質の転写を促すプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、恒常または誘導性プロモーターである。
【0067】
いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は、ポリペプチド構築物(例えば、Fc多様体、リンカー及び融合体パートナー)をコードする核酸を含有する核酸、好ましくは発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、ポリペプチド構築物の発現を誘導するまたはもたらす適切な条件の下で培養することによって、製造される。いくつかの実施形態では、発現に適する条件は、選択される発現ベクター及び宿主細胞によって様々である。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞、細菌、昆虫細胞及び酵母を含むがこれらに限定されない様々な適切な宿主細胞が使用される。例えば、本開示において用途が見出される種々の細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手できるATCC(登録商標)細胞株カタログに記載されている。いくつかの実施形態では、本開示のSAP-Fc融合タンパク質は、細胞株の遺伝子操作または細胞培養条件の改変、例えばキフネンシンの添加か、天然にグリコシル化しない宿主、例えば原核生物(E.coliなど)の使用かのどちらかによって細胞に発現するタンパク質をグリコシル化しないように最適化された当該細胞において発現し、場合によっては、Fc中のグリコシル化配列の改変は不要となる。
【0068】
いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞を宿主細胞として使用して本開示のポリペプチドを製造する。哺乳動物細胞種の例としては、ヒト胚性腎臓(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、COS、PC3、Vero、MC3T3、NS0、Sp2/0、VERY、BHK、MDCK、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20、T47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内因的に産生しないネズミ骨髄腫細胞株)、CRL7O3O及びHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、E.coli細胞を宿主細胞として使用して本開示のポリペプチドを製造する。E.coli系統の例としては、E.coli 294(ATCC(登録商標)31,446)、E.coli λ1776(ATCC(登録商標)31,537、E.coli BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)及びE.coli RV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
異なる宿主細胞は、タンパク質生成物の翻訳後プロセシング及び修飾(例えばグリコシル化)に関して特徴的かつ特異な機序を有する。いくつかの実施形態では、発現するポリペプチドの正しい修飾及びプロセシングを確保すべく適切な細胞株または宿主システムを選択する。いくつかの実施形態では、α2,3結合シアル酸SAP部分を産生しない宿主細胞が選択される。いくつかの実施形態では、α2,6結合シアル酸SAP部分を野生型ヒトSAPと同等のレベルで産生する宿主細胞が選択される。
【0070】
ベクターがタンパク質産生のための宿主細胞に導入され次第、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜改変された従来の栄養培地で宿主細胞を培養する。
【0071】
いくつかの実施形態では、レトロウイルスまたはアデノウイルスなどのウイルスを使用して哺乳動物細胞に発現構築物を導入するシステムを含めた哺乳動物発現システムにおいて、ポリペプチド構築物、例えば、SAP-Fc融合タンパク質を含むポリペプチドを発現させる。いくつかの実施形態では、ヒト、マウス、ラット、ハムスターまたは霊長類細胞を利用する。好適な細胞にはまた、Jurkat T細胞、NIH3T3、CHO、COS及び293細胞を含むがこれらに限定されない既知の研究細胞も、含まれる。あるいは、いくつかの実施形態では、細菌細胞においてタンパク質を発現させる。細菌発現システムは当技術分野でよく知られており、Escherichia coli(E.coli)、Bacillus subtilis、Streptococcus cremoris、及びStreptococcus lividansが挙げられる。場合によっては、昆虫細胞、例えば、限定されないがSf9及びSf21細胞、または酵母細胞、例えば、限定されないが、Saccharomyces、Pichia、Kluyveromyces、Hansenula及びYarrowia属からの生物において、Fc多様体を含むポリペプチド構築物を産生させる。場合によっては、無細胞翻訳システムを用いてin vitroで、Fc多様体を含むポリペプチド構築物を産生させる。原核(例えば、E.coli)及び真核(例えば、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球)細胞に由来するin vitro翻訳システムは、入手可能であり、いくつかの実施形態では関心対象のタンパク質の発現レベル及び機能特性に基づいて選択される。例えば、当業者には認識されるであろうが、in vitro翻訳は、いくつかのディスプレイ技術、例えばリボソームディスプレイのために必要とされる。加えて、いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質(preotsins)多様体は、化学合成法、例えば、限定されないが、液相ペプチド合成及び固相ペプチド合成によって製造される。細菌抽出物などの非グリコシル化システムを使用するin vitro転写の場合、Fcは、天然のグリコシル化部位が存在していてもグリコシル化されることがなく、それゆえ、等しくFcの不活性化が得られることになる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ポリペプチド構築物には、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する非天然アミノ酸、アミノ酸類縁体、アミノ酸模倣体またはその任意の組合せが含まれる。天然にコードされるアミノ酸は、一般に、20種のありふれたアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリン)及びピロリジン及びセレノシステインを指す。アミノ酸類縁体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、例えば、水素に結合した炭素(an a carbon)、カルボキシル基、アミノ基及びR基を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。いくつかの実施形態では、そのような類縁体は修飾R基(例えばノルロイシン)または修飾ペプチド主鎖を有するが、概して、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持している。
【0073】
タンパク質製造、回収及び精製
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドを製造するために使用される宿主細胞を、選択された宿主細胞の培養に適した培地で成長させる。哺乳動物宿主細胞に適する培地の例としては、最小必須培地(MEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎仔血清(FBS)が補充されたDMEM、及びRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞に適する培地の例としては、ルリアブロス(LB)に必要な栄養補助剤、例えば選択剤、例えばアンピシリンを加えたものが挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、好適な温度、例えば約20℃~約39℃、例えば約25℃~約37℃、好ましくは37℃で、例えば約5%~10%のCO2レベルで培養される。いくつかの実施形態では、培地のpHは、主に宿主生物に応じて、pH約6.8~pH7.4、例えばpH7.0である。発現ベクターに誘導性プロモーターを使用する場合、タンパク質発現は、プロモーターの活性化に適した条件の下で誘導され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、タンパク質回収は、宿主細胞を、例えば、浸透圧ショック、超音波処理または溶解によって破壊することを伴う。細胞が破壊され次第、細胞残屑を遠心分離または濾過によって除去する。タンパク質はその後さらに精製され得る。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドは、タンパク質精製の様々な方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質の精製のための他の任意の標準的技術によって精製される。例えば、いくつかの実施形態では、タンパク質は、親和性カラム、例えばプロテインAカラム(例えば、POROSプロテインAクロマトグラフィー)と、クロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50カチオン交換クロマトグラフィー)、濾過、限外濾過、脱塩及び透析手順とを適切に選択及び併用することによって単離及び精製される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、精製を容易にするためにマーカー配列、例えばペプチドに結合体化される。マーカーアミノ酸配列の一例はヘキサヒスチジンペプチド(His6-tag)であるが、これは、ニッケル官能化アガロース親和性カラムにマイクロモーラーの親和性で結合し得るものである。あるいは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに相当するものであるヘマグルチニン「HA」タグが使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチド、例えば、SAP-Fc融合タンパク質を含むポリペプチド構築物は、例えば遺伝子療法の文脈において、本開示のポリペプチドをコードする核酸分子を含有するベクター、例えばウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えばワクチニアウイルスベクター、例えば改変ワクチニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、及びアルファウイルスベクター)を投与することによって対象(例えばヒト)の細胞によって産生される。ベクターは、(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、感染などによって)対象の細胞の中に入り次第、本明細書に開示されるポリペプチドの発現のために使用され得る。場合によっては、ポリペプチドは細胞から分泌される。いくつかの実施形態では、疾患または障害の治療が所望の転帰である場合、さらなる行為は必要でない。いくつかの実施形態では、タンパク質の回収が望まれる場合、対象から血液を採取し、様々な方法によって血液からタンパク質を精製する。
【0076】
キット
本明細書にさらに提供されるのは、SAP-Fc融合タンパク質及び使用説明書を含むキットである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従う説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、アミロイド障害を治療するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、は、全身性アミロイド障害を治療するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、及びII型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、アルツハイマー病、ダウン症候群、オランダ型アミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血、脳ベータアミロイド血管症、海綿状脳症、甲状腺腫瘍、パーキンソン病、レビー小体型認知症、タウオパシー、ハンチントン病、老人性全身性アミロイドーシス、家族性血液透析、老人性全身性老化、老化性下垂体障害、医原性症候群、海綿状脳症、反応性慢性炎症、甲状腺腫瘍、骨髄腫、または他の形態のがんを治療するための説明書を含む。
【0077】
キットはまた、バイアル、バッグ、ポンプまたはシリンジなどの容器に入ったSAP-Fc融合タンパク質も含み得る。いくつかの実施形態では、SAP-Fc融合タンパク質は医薬組成物中に含まれている。
実施形態
1.第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含む融合タンパク質であって、前記第1ポリペプチドが、第1ヒトFcドメインのN末端に連結されたヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質を含み、前記第2ポリペプチドが、第2ヒトFcドメインを含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、前記第1及び前記第2Fcドメインが二量体を形成し、2つの前記Fcドメインのうちの一方がノブ変異を含み、もう一方の前記Fcドメインがホール変異を含む、前記融合タンパク質。
2.前記第1ポリペプチドがノブ変異を含み、前記第2ポリペプチドがホール変異を含む、実施形態1に記載の融合タンパク質。
3.前記第1ポリペプチドが、配列番号5、配列番号7、配列番号8または配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6または配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態2に記載の融合タンパク質。
4.前記融合タンパク質が、表2に記載のTNT148、TNT152、TNT157、TNT158、TNT147、TNT159、TNT160またはTNT161の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド配列を含む、実施形態1に記載の融合タンパク質。
5.前記第1ポリペプチドの前記Fcドメインがホール変異を含み、前記第2ポリペプチドの前記Fcドメインがノブ変異を含む、実施形態1に記載の融合タンパク質。
6.前記第1ポリペプチドが、配列番号11、配列番号13、配列番号14または配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12または配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態5に記載の融合タンパク質。
7.N末端からC末端に向かって以下の式、SAP-ヒンジ1-Fc1-L1-ヒンジ2-Fc2〔式中、SAPはヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質であり、ヒンジ1は第1ヒンジ配列であり、Fc1は第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、ヒンジ2は第2ヒンジ配列であり、Fc2は第2Fcドメイン配列である〕で表される構造を含む融合タンパク質。
8.前記融合タンパク質が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号23または配列番号24で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態7に記載の融合タンパク質。
9.前記融合タンパク質が、TNT146、TNT151、TNT155、TNT156、TNT170またはTNT171のポリペプチド配列を含む、実施形態7に記載の融合タンパク質。
10.前記ヒト血清アミロイドP成分タンパク質が、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む、実施形態1または実施形態7に記載の融合タンパク質。
11.前記ヒト血清アミロイドP成分タンパク質が、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態10に記載の融合タンパク質。
12.前記第1及び第2Fcドメインが、EU付番による位置C226またはC229にアミノ酸置換を含む、実施形態1または実施形態7に記載の融合タンパク質。
13.前記第1及び第2Fcドメインが、EU付番によるアミノ酸置換C226SまたはC229Sを含む、実施形態12に記載の融合タンパク質。
14.前記第1及び第2Fcドメインが、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にアミノ酸置換を含む、実施形態1または実施形態7に記載の融合タンパク質。
15.前記第1及び第2Fcドメインが、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11または14にセリン残基を含む、実施形態14に記載の融合タンパク質。
16.前記第1または第2Fcドメインが、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態12~15のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
17.前記第1及び/または第2Fcドメインが、FcRn結合性を低下させる変異を含む、実施形態1または実施形態7に記載の融合タンパク質。
18.前記融合タンパク質が五量体を形成する、実施形態1~17のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
19.実施形態1~18のいずれか1項に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。
20.実施形態1~18のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
21.実施形態20に記載の核酸を含む宿主細胞。
22.実施形態1~18のいずれか1項に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、前記融合タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記融合タンパク質を発現させる条件の下で培養することを含む、前記方法。
23.前記宿主細胞がCHO細胞または293細胞である、実施形態22に記載の方法。
24.前記宿主細胞が前記SAP成分タンパク質をグリコシル化しない、実施形態22または実施形態23に記載の方法。
25.アミロイド病を治療する方法であって、実施形態1~18のいずれか1項に記載の融合タンパク質を、それを必要とする個体に投与することを含む、前記方法。
26.前記アミロイド病が全身性アミロイドーシスを含む、実施形態25に記載の方法。
27.N末端からC末端に向かって以下の式、ヒンジ1-Fc1-L1-ヒンジ2-Fc2〔式中、ヒンジ1は第1ヒンジ配列であり、Fc1は第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、ヒンジ2は第2ヒンジ配列であり、Fc2は第2Fcドメイン配列であり、前記第1及び第2Fcドメインは、EU付番によるアミノ酸置換C226SもしくはC229Sを含む、及び/または前記第1及び第2Fcドメインは、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11もしくは14にセリン残基を含む〕で表される構造を含む融合タンパク質。
28.前記融合タンパク質が、前記融合タンパク質のN末端にヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質をさらに含む、実施形態27に記載の融合タンパク質。
1A.N末端からC末端に向かって以下の式、SAP-Fc1-L1-Fc2〔式中、Fc1は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、Fc2は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第2Fcドメイン配列であり、SAPはヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質であり、前記Fc1及び前記Fc2は、EU付番による位置C226及び/またはC229にアミノ酸置換を含む〕で表される構造を含む融合タンパク質。
2A.前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番による位置C226及びC229にアミノ酸置換を含む、実施形態1Aに記載の融合タンパク質。
3A.前記融合タンパク質が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号23または配列番号24で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態1Aまたは実施形態2Aに記載の融合タンパク質。
4A.前記融合タンパク質が、C末端側リジンを有さない配列番号1、C末端側リジンを有さない配列番号2、C末端側リジンを有さない配列番号3、C末端側リジンを有さない配列番号4、C末端側リジンを有さない配列番号23、またはC末端側リジンを有さない配列番号24で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態3Aに記載の融合タンパク質。
5A.前記融合タンパク質が、TNT146、TNT151、TNT155、TNT156、TNT170またはTNT171のポリペプチド配列を含む、実施形態1Aまたは実施形態2Aに記載の融合タンパク質。
6A.第1ポリペプチド及び第2ポリペプチドを含む融合タンパク質であって、前記第1ポリペプチドが、第1ヒトFcドメイン(Fc1)のN末端に連結されたヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質を含み、前記第2ポリペプチドが、第2ヒトFcドメイン(Fc2)を含むがヒトSAP成分タンパク質を含まず、前記第1及び前記第2Fcドメインが二量体を形成し、2つの前記Fcドメインのうちの一方がノブ変異を含み、もう一方の前記Fcドメインがホール変異を含む、前記融合タンパク質。
7A.前記第1ポリペプチドがノブ変異を含み、前記第2ポリペプチドがホール変異を含む、実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
8A.前記第1ポリペプチドが、配列番号5、配列番号7、配列番号8または配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6または配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態7Aに記載の融合タンパク質。
9A.前記第1ポリペプチドが、配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号8で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む、
実施形態8Aに記載の融合タンパク質。
10A.前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号5で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号7で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号8で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号9で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号10で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号6で示されるアミノ酸配列を含む、
実施形態8Aに記載の融合タンパク質。
11A.前記融合タンパク質が、表2に記載のTNT148、TNT152、TNT157、TNT158、TNT147、TNT159、TNT160またはTNT161の第1ポリペプチド及び第2ポリペプチド配列を含む、実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
12A.前記第1ポリペプチドの前記Fcドメインがホール変異を含み、前記第2ポリペプチドの前記Fcドメインがノブ変異を含む、実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
13A.前記第1ポリペプチドが、配列番号11、配列番号13、配列番号14または配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12または配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
14A.前記第1ポリペプチドが、配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、配列番号14で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、
実施形態13Aに記載の融合タンパク質。
15A.前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号11で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号13で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号12で示されるアミノ酸配列を含む;
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号14で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む;または
前記第1ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号16で示されるアミノ酸配列を含み、前記第2ポリペプチドが、C末端側リジンを有するもしくは有さない配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む、
実施形態13Aに記載の融合タンパク質。
16A.前記ヒトSAPが、配列番号17で示されるアミノ酸配列を任意選択的に含む野生型SAPである、実施形態1Aまたは実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
17A.前記ヒトSAPが、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む、実施形態1Aまたは実施形態6Aに記載の融合タンパク質。
18A.前記ヒトSAPが、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態17Aに記載の融合タンパク質。
19A.前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番による位置C226及び/またはC229にアミノ酸置換を含む、実施形態6Aまたは16A~18Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
20A.前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番による位置C226及びC229にアミノ酸置換を含む、実施形態19Aに記載の融合タンパク質。
21A.前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番によるアミノ酸置換C226S及び/またはC229Sを含む、実施形態1A、2A、6Aまたは16A~20Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
22A.前記Fc1及び前記Fc2が、EU付番によるアミノ酸置換C226S及びC229Sを含む、実施形態21Aに記載の融合タンパク質。
23A.前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にアミノ酸置換を含む、実施形態1A、2A、6Aまたは15A~17Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
24A.前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にセリン残基を含む、実施形態23Aに記載の融合タンパク質。
25A.前記Fc1及び/または前記Fc2が、配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態23Aまたは実施形態24Aに記載の融合タンパク質。
26A.前記第1及び/または第2Fcドメインが、FcRn結合性を低下させる変異を含む、実施形態1A、2A、6Aまたは16A~18Aに記載の融合タンパク質。
27A.N末端からC末端に向かって以下の式、Fc1-L1-Fc2〔式中、Fc1は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第1Fcドメイン配列であり、L1はリンカーであり、Fc2は、ヒンジ-CH2-CH3を含む第2Fcドメイン配列であり、前記Fc1及び前記Fc2は、EU付番によるアミノ酸置換C226S及び/またはC229Sを含む、及び/または前記Fc1及び前記Fc2は、配列番号18のアミノ酸配列に基づいて付番してアミノ酸位置11及び/または14にセリン残基を含む〕で表される構造を含む融合タンパク質。
28A.前記融合タンパク質が、前記融合タンパク質のN末端にヒト血清アミロイドP(SAP)成分タンパク質をさらに含む、実施形態27Aに記載の融合タンパク質。
29A.前記ヒトSAPが、配列番号17で示されるアミノ酸配列を任意選択的に含む野生型SAPである、実施形態28Aに記載の融合タンパク質。
30A.前記ヒトSAPが、配列番号17に基づく位置N32またはN110にアミノ酸置換を含む、実施形態28Aに記載の融合タンパク質。
31A.前記ヒトSAPが、配列番号20で示されるアミノ酸配列を含む、実施形態30Aに記載の融合タンパク質。
32A.前記融合タンパク質が五量体または十量体(deccamer)を形成する、実施形態1A~31Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
33A.前記融合タンパク質がヒトFc領域を含む、実施形態1A~32Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
34A.前記融合タンパク質がヒトIgG1 Fc領域を含む、実施形態1A~33Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
35A.前記融合タンパク質が、1つ以上の前記アミノ酸置換を欠く融合タンパク質と比較して凝集が軽減されている、実施形態1A~34Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質。
36A.実施形態1A~35Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
37A.前記融合タンパク質の少なくとも50%が五量体及び/または十量体の状態にある、実施形態36Aに記載の医薬組成物。
38A.実施形態1A~35Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
39A.実施形態38Aに記載の核酸を含むベクター。
40A.請求項38に記載の核酸または実施形態39Aに記載のベクターを含む、宿主細胞。
41A.前記宿主細胞がCHO細胞または293細胞である、実施形態40Aに記載の宿主細胞。
42A.実施形態1A~35Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質を製造する方法であって、前記融合タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記融合タンパク質を発現させる条件の下で培養することを含む、前記方法。
43A.前記宿主細胞がCHO細胞または293細胞である、実施形態42Aに記載の方法。
44A.前記宿主細胞が前記SAP成分タンパク質をグリコシル化しない、実施形態42または実施形態43に記載の方法。
45A.個体におけるアミロイド病を治療する方法であって、実施形態1A~35Aのいずれか1項に記載の融合タンパク質を前記個体に投与することを含む、前記方法。
46A.個体におけるアミロイド病を治療する方法であって、実施形態42A~44Aのいずれか1項に記載の方法によって製造された前記融合タンパク質を前記個体に投与することを含む、前記方法。
47A.前記アミロイド病が、AAアミロイドーシス、ALアミロイドーシス、AHアミロイドーシス、Aβアミロイドーシス、ATTRアミロイドーシス、ALect2アミロイドーシス、II型糖尿病のIAPPアミロイドーシス、及びアルツハイマー病からなる群から選択される、実施形態45Aまたは請求項46Aに記載の方法。
48A.実施形態42A~45Aのいずれか1項に記載の方法によって製造されたSAP-Fc融合タンパク質。
49A.前記個体がヒトである、実施形態45A~47Aのいずれか1項に記載の方法。
【実施例
【0078】
実施例1.SAP-scFc構築物の製造
SAP-scFcをプロテインA親和性(MABSELECT SURETM LX、CYTIVA(登録商標))精製ステップ及び1700mlサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)精製ステップによって精製した。しかしながら、これらの精製ステップは単量体及び二量体を他のオリゴマーから分離することができなかった(図6のA及びB)。単量体及び二量体を他のオリゴマーからよりよく分離するために、1700mlSECの精製生成物を496mlSEC精製ステップによってさらに精製した(図7A)。SDS-PAGE分析は、このステップで得られた画分が単量体、二量体及び他のオリゴマーの混合物を含有していることを示している(図7B)。496mlSECからの画分「2B1」を、還元及び非還元マイクロ流体電気泳動(LABCHIP(登録商標)GXII、PERKINELMER(登録商標))による分析のために選択した。画分「2B1」の非還元マイクロ流体電気泳動が複数のオリゴマーピークを示した一方、還元マイクロ流体電気泳動は主要な単量体ピークを示した(図7C~7D)。496mlSECからの画分「2A9」をサイズ排除クロマトグラフィー多角度光散乱(SEC-MALS)による分析のために選択した。SEC-MALS結果は、SAP-scFcタンパク質が高分子量複合体として存在することを示している(図7E)。これらの分析は、496mlSEC精製ステップが、単量体及び二量体と他のオリゴマーとの分離を改善しなかったことを示している。496mlSEC精製ステップの後の「2A9」画分のSEC-HPLC分析が単一のピーク(図7F)を示した一方、変性グリコシル化質量分析は、単量体、二量体及び三量体信号を示した(図7G)。したがって、SAP-scFcが、非共有結合的相互作用によって組み合わさった単量体と二量体と三量体との複合体として存在している可能性があるという仮説が立てられる。
【0079】
また、1700mlSECの精製生成物を、SP SEPHAROSE 高性能強力カチオン交換クロマトグラフィー(HITRAPTM SP HP、CYTIVA(登録商標))、POROS(商標)XS 強力カチオン交換クロマトグラフィー(THERMO FISHER SCIENTIFIC(登録商標))、PHENYL SEPHAROSE 6 高速流疎水的相互作用クロマトグラフィー(HITRAPTM PHENYL FF、CYTIVA(登録商標))、BUTYL-S SEPHAROSE 6 高速流疎水的相互作用クロマトグラフィー(HITRAPTM BUTYL-S FF、CYTIVA(登録商標))、BIOPROCESS CAPTO PHENYL IMPRES 疎水的相互作用クロマトグラフィー(HITRAPTM CAPTO PHENYL IMPRES、CYTIVA(登録商標))、及びCHT(商標)セラミックヒドロキシアパタイトカルシウム親和性カチオン交換クロマトグラフィー(BIO-RAD(登録商標))を用いるさらなる小スケール精製ステップにも供した。しかしながら、どの小スケール精製方法も、単量体及び二量体と他のオリゴマーとの分離を改善しなかった。
【0080】
実施例2.改変型SAP-Fc融合タンパク質
実施例1に記載されるように、SAP-Fcの構造は精製プロセスにおける難題を招いた。発現及び精製プロファイルを改善するために、SAP-Fc構造の改変を探索した。
【0081】
ヒンジ領域内のシステイン残基を除去するためのSAP-Fcの改変
位置226のシステイン残基からセリンへ、及び位置229のシステイン残基からセリンへ点変異させ(C226S/C229S、EU付番体系)、かくしてSAP-Fcヒンジ領域内のシステイン残基を除去することによって、TNT146(293)及びTNT146(CHO)を製造した(表1)。
【0082】
Fc領域を生成するために「ノブ-ホール」法を用いるSAP-Fcの改変
Fc領域を生成するために「ノブ-ホール」法を用いてSAP-Fcを改変することによって、TNT147(293)、TNT148(293)及びTNT148(CHO)を製造した(表1)。ノブ変異体は、位置336のスレオニンからトリプトファンへの点変異(T366W、EU付番体系)によって生成した。ホール変異体は、位置366のスレオニンからセリンへ、位置368のロイシンからアラニンへ、及び位置407のチロシンからバリンへの点変異(T366S/L368A/Y407V、EU付番体系)によって生成した。
【0083】
SAP内のグリコシル化部位を除去するためのSAP-Fcの改変
SAP-Fcを改変してSAP内のグリコシル化部位を除去することによって、TNT151(293)及びTNT151(CHO)を製造した(表1)。非グリコシル化SAPは、位置32のアスパラギンからセリンへ、及び位置110のアスパラギンからセリンへの点変異(N32S/N110S、SAPの第1アミノ酸からの付番)によって生成した。
【0084】
Fc領域を生成するために「ノブ-ホール」法を用いる、及びSAP内のグリコシル化部位を除去するための、SAP-Fcの改変
SAP-Fcを改変してSAP内のグリコシル化部位を除去すること及び「ノブ-ホール」法を用いてFc領域を生成することによって、TNT152(293)及びTNT152(CHO)を製造した(表1)。非グリコシル化SAP及び「ノブ-ホール」Fc領域は、上記のとおりに生成した。
【0085】
実施例3.SAP-Fc及びその改変型タンパク質の製造。
SAP-Fc構築物の製造
組換えSAP-Fcタンパク質の生成レベルをELISAによって評価した。まず、MaxiSorp(商標)プレート(NUNC)を4℃で一晩、抗ヒトIgG一次抗体(1μg/ml、Beckman Coulter)で被覆した。PBS/0.05%のtween-20で3回洗浄した後、完全培地で希釈された試料50μlを37℃で2時間にわたってインキュベートした。同時に、完全培地で希釈された標準範囲のヒトIgGをインキュベートした。3回洗浄した後、アルカリホスファターゼに連結された抗IgG抗体(Beckman Coulter)(1μg/ml)を添加し、37℃で1時間30分にわたってインキュベートした。一連の最終洗浄の後、100μlの体積のアルカリホスファターゼ基質を添加し、次いで、数分後に3MのNaOHを使用して反応を停止した。プレートを405nmでの分光法によって読み取った。
【0086】
次いで、得られたSAP-Fc融合タンパク質をAKTAFPLCシステム(GE Healthcare)で親和性クロマトグラフィーによって、Fcセグメントに対するプロテインAの強い親和性及び本発明に係るキメラタンパク質におけるFc領域断片の存在ゆえにプロテインA親和性カラム(Pierce)を使用して精製した。カラムの下流に配置されたUV検出器は進行の追跡を可能にするものであり;非保持相の吸収が閾値まで降下した時にpH2.6の0.1Mのグリシンでタンパク質を溶離させた。クロマトグラムピークに基づいて種々の画分を回収した。次いで、得られた溶離液をpH8.8のトリスで中和した。
【0087】
精製タンパク質を、30kDa未満のサイズの分子の排除を可能にするものであるAmicon(登録商標)Ultra4 30kフィルター(Millipore)によって濃縮した。溶液をフィルターの中に入れ、所望の体積及び所望の濃度を得るために要する時間にわたって4000gで遠心分離した。
【0088】
変性ゲルを使用するウェスタンブロッティングによって、精製タンパク質(または培養上清)を検出した。タンパク質を、β-メルカプトエタノールを含有する一定体積の装填用緩衝液(Bio Rad)と混合し、5分間にわたって煮沸した。次いで、それらを、7.5%の積重相及び10%の分離相から成り立っているポリアクリルアミドゲル(SDS-PAGE)で電気泳動によって移動させた。その後、タンパク質をPVDF膜上に転写し、5%乳で飽和させた。次いで、それらを周囲温度で1時間にわたって、HRP(BECKMAN COULTER(登録商標))に連結されたマウス抗SAP(Abeam)または抗IgG抗体(1μg/ml)の存在下でインキュベートした。抗SAP抗体を、HRP(SANTA CRUZ(登録商標))に連結されたヤギ抗マウスIgG二次抗体(0.2μg/ml)によって明らかにした。化学発光は、ECL基質(PIERCE(登録商標))を添加することによって誘発され、オートラジオグラフィー膜(KODAK(登録商標))上で明らかにされた。
【0089】
半天然ゲルを使用するウェスタンブロッティングによっても精製タンパク質(または培養上清)を検出した。タンパク質を、β-メルカプトエタノールを含まない一定体積の装填用緩衝液と混合し、その後、SDS-12%PAGEゲルにおいて移動させた。残りのプロトコールは変性ゲルの場合と同じである。
【0090】
図16のA及びBは、精製融合タンパク質のSDS PAGEゲルを示す。これらの実験では、TNT146、TNT147、TNT148、TNT155及びTNT160を2ステップの精製によって精製した。TNT151については単回のプロテインA精製ステップによって精製した。
【0091】
実施例4.フィブリルに対する改変SAP-Fcの結合性
フィブリル及び抽出物に対するSAP-Fc及びSAP-scFc結合性を、ELISAによって調べた。
【0092】
ヒト化IgGに対するユーロピウム結合免疫吸着アッセイ(EuLISA)法を用いて、0.83□MのrV□6Wilフィブリルの(超音波処理された)懸濁液をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で調製した。96ウェルマイクロプレートのウェルを、各ウェルへの50□Lの添加によってフィブリルで被覆した。プレートを37□Cで一晩乾燥させた。Superblockが入った、2mMの塩化カルシウム(Ca)を含むトリス緩衝生理食塩水(TBS)(Thermofisher)(SBT)を、200□L/ウェルを用いて添加することによって、マイクロプレートのウェルをブロッキングし、37□Cで1時間にわたって放置した。一次(試験)SAP-Fc融合タンパク質、ヒト化免疫グロブリン、hIgG1またはc11-1F4を添加した。プレートを37□Cで1時間にわたってインキュベートした。洗浄ステップ(TBS/Ca+0.05%のtween 20を使用してプレートを3回洗浄した)の後、二次抗体を添加した-100□L/ウェルで、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(Sigma)のSBTTによる1:3000希釈液。プレートを37□Cで1時間にわたってインキュベートした。もう1回の洗浄ステップの後、100□L/ウェルのユーロピウム/ストレプトアビジンの1:1000希釈液(Perkin Elmer)を添加した。プレートを37□Cで1時間にわたってインキュベートした。最終洗浄ステップの後、100□L/ウェルのユーロピウム増強溶液(Perkin Elmer)を添加した。マイクロプレートリーダー(Wallac)を使用して時間分解蛍光放射を読み取った。
【0093】
図8のAに示される結果は、元より提供されていたTNT146(293)及びTNT147(293)がELISAアッセイにおいてhIgG1対照及びc11-1F4よりも大きな親和性(EC50)で合成rVλ6Wilフィブリルに結合することを示している。図8のBは、TNT152(293)を除いてTNT146(CHO)、TNT148(CHO)、TNT151(293)が等しく良好にrVλ6Wilフィブリルに結合することを示している。図9のA~Bに示される結果は、ノブ-ホール及びcys変異形態のSAP-Fcがin vitroでのアミロイド反応性を保持していることを示している。
【0094】
図10A~10E及び表4に示される結果は、TNT152(293)及びTNT148(CHO)を除くすべての構築物が1~10nMの範囲のEC50値を呈することを示している。wtATTR抽出物に対する最も高い結合性は、SAP-scFc試薬TNT146(293)、TNT146(CHO)、TNT151(293)についてみられた(表4)。SAP-scFcの文脈において、SAPの非グリコシル化は、アミロイド抽出物に対するEC50がhIgG1-ペプチド融合体よりも高いものであるTNT152(293)を除いて、in vitroでのアミロイド反応性を同程度のEC50で保持する(図8のB及び表4)。

【表4】
【0095】
プルダウンアッセイにおいてもフィブリル及び抽出物に対するSAP-Fc融合体の結合性を試験した。rVλ6Wilからの合成アミロイドフィブリルを以下のとおりに調製した:NaN3が0.01%w/vでありpH7.5であるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の中に1mg/mLの単量体を含有する体積1mLを、0.2mm孔径のフィルターで濾過し、15ml容の円錐形ポリプロピレン製チューブ(BD BioSciences、Bedford、MA)に加え、反応混合物が不透明になるまで37℃で3~5日間にわたって角度45°で225rpmで振盪した。
【0096】
Pras et al.,J Exp Med(1969)130(4):777-795に記載されているような水上浮遊法を改変せずに用いて、軽鎖(AL)またはトランスサイレチン関連(ATTR)アミロイドーシスの患者からの剖検由来組織を使用して精製ヒトアミロイド組織抽出物を調製した。水洗浄液中に精製アミロイド材料が単離され、アミロイドに富むペレットを回収し、使用時まで室温で凍結乾燥保存した。
【0097】
プルダウンアッセイのために、1mg/mLのAL抽出物または合成rVλ6Wil可変ドメインフィブリル(REF)25マイクロリットルを0.5ml容の微量遠心管に入れて5分間にわたって21,000×gで遠心分離した。上清を捨て、ペレットを、0.05%のtween-20を含むPBS(PBST)200μLの中に再懸濁させた。125I-p5+14(約100,000計数毎分(CPM);約5ngのペプチド)または125I標識SAP-Fc融合タンパク質を懸濁液に添加した。混合物を室温で1時間にわたって回転させた。その後、試料を2回、10分間にわたって15,000×gで遠心分離した。各ステップの後に上清とペレットとを分離し、各々における放射能を、Cobra II ガンマ計数器(Perkin Elmer)を使用して1分間の取得で測定した。ペレットに結合している125I-p5+14または125I標識SAP-Fc融合タンパク質の百分率を以下のとおりに決定した:
ペレットCPM/(ペレットCPM+上清CPM)×100
【0098】
プルダウンアッセイにおいて125I標識TNT146及びTNT147は基質に対して弱い結合性を示してEC50がナノモーラー範囲内に入り(表5)、酸化的放射性ヨウ素化が生成物に悪影響を及ぼして活性の喪失を招き得ること;可溶性材料として提供されるアミロイド抽出物が、異なる結合部位を呈し得ること;及びより高い濃度の試薬がELISA形式での結合を促し得ることが示唆された。

【表5】
【0099】
実施例5.マウスにおけるSAP-Fcの生体内分布
AAアミロイドーシスマウスモデル
AAアミロイドーシスマウスは、安定的に挿入された導入遺伝子からヒトIL6(huIL6)タンパク質を発現するマウスの系統である。米国国立衛生研究所にて、Balb/cバックグラウンドに対する原型H2-Ld-IL-6 Tg C57BL/6遺伝子導入マウスの戻し交配による遺伝子導入を20世代を超えて行うこと(Kovalchuk et al.,PNAS(2002)99:1509-1514)によって、B6(C)-Tg(H2-Ld-IL-6)Kish(H2/huIL-6)系統が得られた。これらのマウスは、マウス主要組織適合性複合体クラス1(H2-Ld)プロモーターの制御の下でhuIL6導入遺伝子を恒常的に発現する。導入遺伝子はメンデル遺伝の常染色体様式で分離する(Suematsu et al.,PNAS(1992)89:232-235)。炎症応答の維持及び免疫応答中のリンパ球増殖におけるIL6の役割ゆえに、これらの遺伝子導入動物の初期世代は、18月齢のマウスの56%において、高いsAAレベル、及びポリクローン性形質細胞増殖の進展を伴う著しいリンパ球増多症を有していた(Kovalchuk et al.,PNAS(2002)99:1509-1514)。この遺伝子導入系統の初期世代におけるヒトIL6血清レベルは0.5~1ng/mLであったが、本発明者らの施設でおよそ2年間にわたって繁殖させた戻し交配Balb/cマウスは、8週齢でおよそ300倍高いレベル(0.3~1μg/mL)の循環huIL6レベルを有していた(Solomon et al.,Am J Pathol(1999)154:1267-12724)。炎症促進性huIL6サイトカインに応答して、マウスは、循環sAA結合体化高比重リポタンパク質の濃度の上昇をきたす慢性炎症状態を被る。これらのマウスにおけるAAアミロイドーシスの自発的発症は典型的には5月齢で起こり、生検によって組織学的に検出できる脾臓のみにおける毛胞周囲の沈着物として最初に顕在化した(Solomon et al.,Am J Pathol(1999)154:1267-12724)。次の3~4ヶ月の間にアミロイドは肝臓内の門脈周囲の脈管構造及び類洞、舌、心臓及び腸絨毛、ならびに腎臓間質、糸球体及び乳頭において検出された。加えて、IL6濃度の上昇に起因するアミロイドーシスまたはリンパ組織過形成(またはその両方)のために、髄外造血巣及び脾腫と同様に円柱腎症が共通して認められた。
【0100】
H2/huIL-6マウスにおけるアミロイドの性質は、AA特異的モノクローナル抗体を使用することによって免疫組織化学的に文書に記載された(Solomon et al.,Am J Pathol(1999)154:1267-12724)。加えて、液体クロマトグラフィー結合型質量分析は、単離された組織由来AAフィブリルが、最初の77個のN末端側アミノ酸(残基1~77)を含有する切断形態のsAAで構成されていることを示した(Solomon et al.,Am J Pathol(1999)154:1267-12724)。これらのマウスから抽出されたアミロイドの免疫組織化学的試験及び液体クロマトグラフィー結合型質量分析の間、アポリポタンパク質AI及びAII、または免疫グロブリン軽鎖の証拠は見つからなかった。
【0101】
野生型(WT)マウス及びAAアミロイドーシスマウスモデルにおいてSAP-Fcの生体内分布を調べた。
【0102】
野生型(WT)マウス及びAAアミロイドーシスマウスモデルにおいてSAP-Fcの生体内分布を組織マイクロオートラジオグラフィーによって調べた。AAアミロイドーシスマウスモデルは、ヒトインターロイキン6導入遺伝子を恒常的に発現するH2-Ld-huIL-6 Tg Balb/c遺伝子導入マウスに、10mgの単離アミロイド増強因子(AEF、Axelrad et al.,Lab Invest(1982)47:139-146.)を含む100mlの無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)をIV投与することによって作出された。これらの試験に使用されたマウスは、誘導後4~6週齢であった。AAマウスモデルは、間質性心臓アミロイド沈着、肝臓における著しい類洞アミロイド沈着物、脾臓における初期の塊状の毛包周囲アミロイド沈着物、ならびに膵臓、腎臓、副腎及び腸における後期のアミロイド沈着物を特徴とする。
【0103】
AAまたはWTマウスに10μgの125I標識TNT146(293)及びTNT147(293)を注射し、次いで、注射後48時間目に安楽死させた。安楽死後のWT及びAAマウスから、脾臓、膵臓、左及び右腎、肝臓、心臓、筋肉、胃、腸上部及び下部、ならびに肺組織の試料を採取した。風袋の重さを量ったプラスチック製バイアルに各試料を入れ、重さを量り、自動化Wizard 3 ガンマカウンター(1480 Wallac Gamma Counter、PERKIN ELMER(登録商標))を使用して125I放射能を測定した。生体内分布データを、組織1グラムあたりの注射用量の百分率(%ID/g)として表した。加えて、組織学及びオートラジオグラフィーのために、各組織の試料を10%の緩衝ホルマリンで24時間にわたって固定し、パラフィンに包埋した。オートラジオグラフィーのために、ホルマリンで固定され、パラフィンに包埋された塊から厚さ4~6μmの切片をPlus顕微鏡プレパラート(FISHER SCIENTIFIC(登録商標))上に切り出し、NTB2エマルジョン(EASTMAN KODAK(登録商標))に浸し、暗所で保存し、96時間にわたる露光の後に現像した。各切片をヘマトキシリンで対比染色した。あるいは、AAまたはWTマウスに500μgの無標識TNT147(293)を注射し、次いで、注射後48時間目に安楽死させた。各組織の試料を10%の緩衝ホルマリンで24時間にわたって固定し、パラフィンに包埋した。ホルマリンで固定され、パラフィンに包埋された塊から厚さ4~6μmの切片をPlus顕微鏡プレパラート(FISHER SCIENTIFIC(登録商標))上に切り出し、その後、抗ヒトFcを使用して切片を染色した。アルカリ性コンゴーレッドによる染色の後に交差偏光照射下で観察される連続組織切片において顕微鏡法によって組織アミロイド沈着物を同定した。すべての組織切片を、(コンゴーレッド複屈折の検出のための)交差偏光フィルターが装着された光学顕微鏡(DM500、LEICA(登録商標))によって調べた。冷却電荷結合素子カメラ(SPOT、DIAGNOSTIC INSTRUMENTS(登録商標))を使用することによってデジタル顕微鏡画像を取得した。
【0104】
図11A~11Cに示される結果は、全身性疾患を有するマウスにおいてTNT146(293)及びTNT147(293)が、それらが125Iの放射性標識を有する場合及び無標識である場合の両方においてAAアミロイドに特異的に結合することを示している。TNT146(293)及びTNT147(293)がどちらもアミロイド沈着物に特異的に結合することは、オートラジオグラフィーによって心臓にAA沈着物が乏しいことで証明された。
【0105】
図12のA~Bに示される結果は、125I標識TNT146(293)及びTNT147(293)が、AAマウスの肝臓及び脾臓には蓄積したがWTマウスのアミロイド不含組織には蓄積していないことを示している。
【0106】
実施例6.SAP-Fc構築物の多量体化分析
アミロイドに対するSAPの高アビディティー結合は、五量体または十量体としてのタンパク質の適切な多量体化によって得られる。他方、SAP-Fcの大きな及び/または不適切な凝集体は循環流から速やかに除去され得、かくして、そのPK及び機能に悪影響を及ぼし得る。結果として、SAP-Fc構築物の高次凝集体の分析は、in vivoにおけるそれらの機能を理解する上で重要である。
【0107】
SAP-Fc構築物の多量体化及び凝集を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した。10~1300kDaの分子量を有するタンパク質に適するマトリックスをこの分析で使用した。市販のタンパク質調製物を分子量標準として使用した。SAP-Fc単量体の推定分子量は約75kDaであり、SAP-Fc五量体の推定分子量は約375kDaであり、SAP-Fc十量体の推定分子量は約750kDaである。
【0108】
図13に示される結果は、SAP-Fc構築物がどれも異なる多量体化構造を有していた一方、TNT146(293)及びTNT147(293)は最も均一であったことを示している。HEK-293細胞と対比されるCHO細胞における産生はTNT151及びTNT152構築物の多量体化構造に大きく影響した(図13)。
【0109】
マウスにおけるこれらの構築物の取込み及び生体内分布も比較した。脾臓においてTNT146(293)及びTNT147(293)はどちらも約10%の分布を示した(図12のA~B)。他の構築物は、脾臓においてより少ない分布を示した:TNT151(293)は脾臓において約2.5%の分布を示したが、これはTNT146(293)及びTNT147(293)に比べて4分の1の低さであり(図14A);TNT152(293)は脾臓において約2%の分布を示したが、これはTNT146(293)及びTNT147(293)に比べて5分の1の低さであり(図14B);TNT148(293)は脾臓において約3%の分布を示したが、これはTNT146(293)及びTNT147(293)に比べて3.3分の1の低さであった(図14C)。多量体化分析のSECクロマトグラムと考え合わせると、これらの結果は、450~669kDaの二量体ピークがAAマウスにおける最適なSAP-Fc取込みと相関することを示している(図12のA~B、図14A~14C、及び図13)。
【0110】
実施例7.THP1細胞によるrVλ6Wilフィブリルの食作用
pHrodoレッド標識rVλ6Wilフィブリルシステムを使用して食作用を調べた。
【0111】
固相Wil fibril取込みのために、24ウェル組織培養プレートをI型ラットコラーゲン(20mMの酢酸の中に75μg/ml、0.4ml)で2時間にわたって室温で被覆し、0.5mlのPBSで洗浄し、4℃の0.5mlのPBSの中で20μg/ウェルのpHrodoレッド標識rVλ6フィブリル(30%の標識率)で一晩被覆する。ウェルを0.5mlのPBSで洗浄し、0.5mlの無血清フェノールレッド不含RPMI1640を添加する。抗体オプソニンまたはSAP-Fcタンパク質を添加し、その後すぐに、RAW264.7または非誘導THP-1細胞を含む無血清フェノールレッド不含RPMI1640(0.5ml中1.2×106個)を、37℃で4時間にわたるインキュベーションのために添加する。取込み測定では、BioTek SynergyHT-1 マイクロプレートリーダーにおいてウェルスキャンモードで530/25nm励起及び645/40nm発光で蛍光測定するために、各ウェルからの細胞を黒色プラスチック製/透明底96ウェルマイクロプレート(Corning)の3反復ウェルに移す。1mlの培地単独の中でインキュベートしたウェルからのバックグラウンド読み値を差し引いて、相対蛍光単位を得る。
【0112】
図15に示される結果は、SAP-Fc TNT146(CHO)、TNT147(239)、TNT148(CHO)及びTNT151(CHO)が優れたオプソニン化剤としての役割を果たす一方、TNT152(CHO)は最も効果の少ない試薬であったことを示しており、このことはrVλ6Wilフィブリルに対するそのより弱い結合性と整合している。
【0113】
実施例8.第0相生体内分布試験
AUR03は、この試験においてヨードゲンチューブ法を用いて124Iで放射性標識が付けられたSAP-Fcである。第0相試験の目的は:1)全身性アミロイドーシスを有するオフターゲット結合及び標的係合を含めて生体内分布を判定すること;2)標的アミロイドを含む器官、例えば心臓及び心臓にAUR03が係合するか否かを判定すること;3)ATTR及びAL患者の両方において、アミロイドを含む器官にAUR03が結合するか否かを判定すること;4)開発計画立案のためにアミロイド種または器官によってAUR03を他の薬物から差別化することである。
【0114】
30名の患者を2つのコホートに採用する。心臓が関与している証拠を有する15名のATTR患者をコホート1aに採用し、胸腹部器官が関与している15名のAL患者をコホート1bに採用する。両コホートの患者に1回用量の100μgのAUR03を与え、その後、1~2箇所の臨床会場にて、注射後2日目及び5日目に撮像を行う。
【0115】
CBC、ClinChem、NT-proBNP、及びLDH試験のために注射前後の血液を採取する。PK決定のために血液試料を採取し、血液試料における放射能を72時間にわたって測定する。
【0116】
実施例9:in vivoでの食作用
10%のpHrodoレッド標識材料を含有する12mgのヒトALλ(SHI)アミロイドのバッチを、2mMのCaCl2を含むトリス緩衝生理食塩水の中に含まれた600μgのTNT146と共に、30分間にわたって室温(RT)で混合しながら前インキュベートした。蛍光団pHrodoレッドの蛍光放射は、マクロファージによる、及び潜在的には好中球による食作用の最中におけるアミロイドの酸性化に関連付いている。免疫低下NU/NU(ヌード)マウス(n=5)に2mgのヒトALλ(SHI)を、マウスの左腹側部における皮下注射として与えた。対照群のNU/NUマウス(n=5)にはTNT146による前処置を行わずに2mgのヒトALλ(SHI)の同様の皮下用量を与えた。2%イソフルラン麻酔下のマウスを使用して、pHrodoレッド蛍光団によって放射される蛍光を光学撮像によって連続的に追跡した。アミロイド注射後1、3、8、10、12及び14日目に画像を収集した。15日目にマウスを安楽死させた。
【0117】
光学撮像によるpHrodoレッドの定量によってTNT146処置マウスにおける放射の初期増加が明らかとなったが、これは、試験の過程全体にわたって持続するものであった(図17A)。1日目(アミロイド注射後24時間目)には、TNT146処置アミロイドによる蛍光放射は対照動物よりも著しく強かった(図17B)。14日目には、TNT146処置アミロイドは対照動物と比較して目に見えてより強い蛍光放射を呈した(図18)。これらのデータは、マウスに皮下注射された場合にTNT146のアミロイドに対する結合がヒトアミロイドの食作用を増強することを示している。
【0118】
実施例10 アミロイドフィブリルの補体増強食作用
ステップ1:THP-1細胞のM0マクロファージへの分化
10%のFBS(Hyclone、SH 30071.03)、1%のPen-Strep(Gibco、15140-122)及び1%のゲンタマイシン(Gibco、15710-064)が補充された完全DMEM/F12(Hyclone、SH 30023.01)の中に含まれた106細胞/ウェルを、24ウェル組織培養プレート(Costar 3526)の中央ウェルの中に計数及び播種する。
【0119】
50ng/mLのPMA(Sigma、P8139)を添加し、細胞を5%CO2のインキュベータ内で24時間にわたって37℃で分化させる。
【0120】
24時間後、PMAを含有する培地を手作業での吸引によって慎重に除去する。
【0121】
ウェルに1mlの完全DMEM-F12培地を補給し、最低でも48時間にわたって細胞を休ませる。
【0122】
ステップ2:試料調製
ウェルを1mlのDPBS(Hyclone、SH 30028.02)で1回すすぐ。
【0123】
フェノールレッドを含まない500μLの無血清RPMI-1640(Hyclone、SH30605.01)を各ウェルに加え入れ、アッセイ開始時まで37℃でプレートをインキュベートする。
【0124】
500μLのRPMI-1640を微量遠心管に加え入れ、その後に3μgのTNT146または対照Fcを添加することによって、反応の準備をする。十分に混合する。
【0125】
微量遠心管にpHrodoレッド標識(pHrodo(商標)レッド SE、ThermoFisher、P36600)rVλ6Wilフィブリル(20μg)を添加する。
【0126】
次に、20μgのモルモット補体をウェルの半分まで加える。十分に混合し、室温で5分間にわたってインキュベートする。
【0127】
各微量遠心管の内容物を24ウェルプレートのそのそれぞれのウェルに移し入れる(この時点で各ウェル内の全体積は1mLとなる)。
【0128】
プレートを(回転運動ではなく)垂直運動で動かすことによって手で穏やかに混合する。
【0129】
食作用を容易にするために、組織培養プレートを5%CO2のインキュベータ内で1時間にわたって37℃でインキュベートする。
【0130】
ステップ3:画像取得及び定量
1時間インキュベートした後、pHrodoレッドに関連する蛍光を蛍光顕微鏡法(Keyence BZ X800 V 1.3.1)によって記録する。
【0131】
ウェルの全領域が文書に掲載されることを保証するためにウェル1つあたり4つの画像をキャプチャする。
【0132】
各画像において蛍光の量を、画像分割及び(Image Pro Premier V 9.0)を用いて定量する。
【0133】
4つの観察結果の平均及び標準偏差を算出することによってデータを解析する。Prism(v.9.0、GraphPad)を使用して、対応のない両側t検定を用いてα=0.05(データが標準的に分布している場合)で統計解析を実施した。
【0134】
活性化ヒトTHP-1細胞は、TNT146の添加によってオプソニン化された場合に合成rVλ6Wil AL アミロイド様フィブリルを効果的に取り込む(貪食する)。20μgの高活性モルモット補体の存在下ではpHrodoレッドの蛍光強度に著しい増加があり、TNT146及び補体の存在下におけるフィブリルの食作用の増強が示唆される(図19)。
【0135】
実施例11 huSAPの存在下でのアミロイドフィブリルに対するSAP-Fc融合体の結合性
96ウェルマイクロプレートにおいて、2mMのCaCLを含むTBSで作ったヒト血清アミロイドP成分(SAP)溶液の中でヒトアミロイド抽出物(ALκ TAL及びALλ SHI)、ATTRwt及び合成ALアミロイド様フィブリル(rVλ6Wil)を37℃で30分間にわたるインキュベーションによって前処理した。rVλ6Wil及びアミロイド抽出物のそれぞれ0.83μM及び0.06mg/mLの原液を使用した。ヒトSAP中でインキュベートされていない試料は対照としての役割を果たした。インキュベート後に試料を洗浄し、TBS/CaCLで100nMから段階希釈されたTNT146(MW=410kD)をマイクロプレートウェルに加えた。洗浄ステップの後、ビオチン化抗ヒトFc試薬の添加によって結合TNT146を検出した。ストレプトアビジン-ユーロピウム結合体及び現像液の添加後に時間分解蛍光を測定することによって結合TNT146を定量した。
【0136】
反復ウェルの平均及び標準偏差をプロットし、可変勾配を有するシグモイドアルゴリズム(Prism v9.1、Graphpad)に対してデータを近似した。
【0137】
ALもしくはATTRアミロイド抽出物、またはアミロイド様フィブリルにヒトSAPを予め結合させることは、TNT146が基質に結合する能力に悪影響を及ぼさなかった(図20のA~D)。
【0138】
実施例12 huSAPの存在下でのアミロイドフィブリルに対するSAP-Fc融合体の結合性
PBS中に含まれる合成Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルで96ウェルマイクロプレートのウェルを被覆した。ウェルをブロッキングし、その後、洗浄ステップを行い、TBS/CaCL2で段階希釈されたTNT146(MW=410kD)をマイクロプレートウェルに加えた。結合TNT146をビオチン化抗ヒトFc試薬の添加によって検出した。ストレプトアビジン-ユーロピウム結合体及び現像液の添加後に時間分解蛍光を測定することによって結合TNT146を定量した。ヒトFcを対照試薬として使用した。
【0139】
反復ウェルの平均及び標準偏差をプロットし、可変勾配を有するシグモイドアルゴリズム(Prism v9.1、Graphpad)に対してデータを近似した。
【0140】
Aβ(1-40)アミロイド様フィブリルに対するTNT146の結合は、0.4nMの推定EC50(50%半数結合のときの濃度)を有する飽和性結合となった(図21)。Fcの結合性は弱く、Ec50は正確には決定できなかったが約0.2mMと推定された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【配列表】
2023550287000001.app
【国際調査報告】