(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】動的電子デバイス温度閾値調整のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20231124BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 C
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527271
(86)(22)【出願日】2021-10-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021056388
(87)【国際公開番号】W WO2022108709
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】オックフェン, アレックス
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン, ジャネット ローズ
(72)【発明者】
【氏名】サフ, ヴィヴェック
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB10
5E322BB03
5E322BB05
5E322BB06
(57)【要約】
開示されたコンピュータ実装方法は、(1)ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、(2)複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、(3)電子デバイスの現在の温度を測定することと、(4)現在の温度を温度閾値と比較することと、(5)現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を含んでもよい。様々な他の方法、電子デバイス、およびコンピュータ可読媒体も開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、前記ユーザまたは前記ローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、
前記複数の測定可能な特性の各々についての前記現在値に基づいて、前記電子デバイスの温度閾値を決定することと、
前記電子デバイスの現在の温度を測定することと、
前記現在の温度を前記温度閾値と比較することと、
前記現在の温度が前記温度閾値を超えることに応じて、前記現在の温度を下げるために前記電子デバイスの熱緩和動作を開始することと
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の測定可能な特性が、前記ローカル環境内で検出された光の特性を含み、
好ましくは、前記ローカル環境内で検出された前記光の前記特性は、前記光の強度または前記光の波長スペクトルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数の測定可能な特性が、前記ローカル環境内で検出された風速を含む、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記複数の測定可能な特性が、前記ローカル環境内で検出された湿度を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記複数の測定可能な特性が、前記ローカル環境内で検出された周囲温度を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記複数の測定可能な特性が、前記ユーザの心拍数を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記複数の測定可能な特性が、前記ユーザの呼吸特性を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記複数の測定可能な特性の各々についての前記現在値を取得することが、
前記電子デバイスのセンサを使用して前記複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つについての前記現在値を測定すること、および/または、
前記電子デバイス上で実行される気象情報アプリケーションによって前記複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つについての前記現在値を無線で受信すること
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記複数の測定可能な特性を取得することが、前記ユーザに結合された別個の電子デバイスから前記複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの各々についての前記現在値を無線で受信することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記温度閾値を決定することが、
前記ユーザの人口統計学的特性または前記ユーザの医学的状態のうちの少なくとも1つか、または、
前記電子デバイスの特性であって、好ましくは、前記電子デバイスの特性が、
前記電子デバイスの熱流束、
前記ユーザと接触している前記電子デバイスの位置または領域のうちの少なくとも1つ、および/または、
前記ユーザによる前記電子デバイスの現在の使用期間または前記電子デバイスの現在の使用ケースのうちの少なくとも1つ
を含む、前記電子デバイスの特性か
にさらに基づく、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
ユーザが物理的に接触するエンクロージャであって、前記エンクロージャおよび前記ユーザがローカル環境内に位置する、エンクロージャと、
前記エンクロージャ内の電子回路であって、少なくとも1つの物理的プロセッサを含む電子回路と、
コンピュータ実行可能命令を含む物理メモリと
を備える、電子デバイスであって、
前記コンピュータ実行可能命令が、前記物理的プロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、
前記ユーザまたは前記ローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、
前記複数の測定可能な特性の各々についての前記現在値に基づいて、前記電子デバイスの温度閾値を決定することと、
前記電子デバイスの現在の温度を測定することと、
前記現在の温度を前記温度閾値と比較することと、
前記現在の温度が前記温度閾値を超えることに応じて、前記現在の温度を下げるために前記電子デバイスの熱緩和動作を開始することと
を行わせる、電子デバイス。
【請求項12】
無線通信サブシステムをさらに備え、前記電子デバイスが、前記無線通信サブシステムを使用して、前記ユーザに結合された別個の電子デバイスから前記複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの前記現在値を無線で受信することによって、前記複数の測定可能な特性の各々についての前記現在値を取得する、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記ローカル環境内の光の強度または光の帯域幅スペクトルのうちの少なくとも1つを測定する周囲光センサ
をさらに備える、請求項11または12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
1つまたは複数の実行可能命令を含み、前記実行可能命令が、電子デバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記電子デバイスに、
ユーザが前記電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、前記ユーザまたは前記ローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、
前記複数の測定可能な特性の各々についての前記現在値に基づいて、前記電子デバイスの温度閾値を決定することと、
前記電子デバイスの現在の温度を測定することと、
前記現在の温度を前記温度閾値と比較することと、
前記現在の温度が前記温度閾値を超えることに応じて、前記現在の温度を下げるために前記電子デバイスの熱緩和動作を開始することと
を行わせる、コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プログラムがコンピュータによって実行されると、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、デバイス、周囲環境、および/またはユーザに関連する特性などの複数の測定可能な特性に基づいてデバイス温度閾値を(例えば、リアルタイムで)動的に調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
デスクトップコンピュータおよびラップトップコンピュータ、スマートフォンなどの多くのタイプの電子デバイスでは、電子回路がデバイス内で動作している速度を低下させてデバイスの温度を低下させるなど、1つまたは複数の熱緩和動作を開始するために、所定のデバイス温度閾値を使用し得る。場合によっては、温度閾値は、デバイスが閾値を超える温度で一時的なエラーまたは永続的な損傷を経験する可能性があるか否かに基づいて設定されてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によって、コンピュータ実装方法であって、ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、電子デバイスの現在の温度を測定することと、現在の温度を温度閾値と比較することと、現在の温度が温度閾値を超えることに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を含む、方法が提供される。
【0004】
複数の測定可能な特性は、ローカル環境内で検出された光の特性を含んでもよい。
【0005】
ローカル環境内で検出された光の特性は、光の強度または光の波長スペクトルのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0006】
複数の測定可能な特性は、ローカル環境内で検出された風速を含んでもよい。
【0007】
複数の測定可能な特性は、ローカル環境内で検出された湿度を含んでもよい。
【0008】
複数の測定可能な特性は、ローカル環境内で検出された周囲温度を含んでもよい。
【0009】
複数の測定可能な特性は、ユーザの心拍数を含んでもよい。
【0010】
複数の測定可能な特性は、ユーザの呼吸特性を含んでもよい。
【0011】
複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することは、電子デバイスのセンサを使用して複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの現在値を測定することを含んでもよい。
【0012】
複数の測定可能な特性を取得することは、ユーザに結合された別個の電子デバイスから複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの各々についての現在値を無線で受信することを含んでもよい。
【0013】
複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することは、電子デバイス上で実行される気象情報アプリケーションによって複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つについての現在値を無線で受信することを含んでもよい。
【0014】
温度閾値を決定することは、ユーザの人口統計学的特性またはユーザの医学的状態のうちの少なくとも1つにさらに基づいてもよい。
【0015】
温度閾値を決定することは、電子デバイスの特性にさらに基づいてもよい。
【0016】
電子デバイスの特性は、電子デバイスの熱流束を含んでもよい。
【0017】
電子デバイスの特性は、ユーザと接触する電子デバイスの位置または領域のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0018】
電子デバイスの特性は、ユーザによる電子デバイスの現在の使用期間または電子デバイスの現在の使用ケースのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0019】
本開示の第2の態様によって、ユーザが物理的に接触しているエンクロージャであって、エンクロージャおよびユーザがローカル環境内に位置する、エンクロージャと、エンクロージャ内の電子回路であって、少なくとも1つの物理的プロセッサを含む電子回路と、コンピュータ実行可能命令を含む物理メモリと、を備える、電子デバイスであって、コンピュータ実行可能命令が、物理的プロセッサによって実行されると、電子デバイスに、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、電子デバイスの現在の温度を測定することと、現在の温度を温度閾値と比較することと、現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を行わせる、電子デバイスが提供される。
【0020】
電子デバイスが、無線通信サブシステムをさらに備えてもよく、電子デバイスは、無線通信サブシステムを使用して、ユーザに結合された別個の電子デバイスから複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの現在値を無線で受信することによって、複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得する。
【0021】
電子デバイスは、ローカル環境内の光の強度または光の帯域幅スペクトルのうちの少なくとも1つを測定する周囲光センサをさらに備えてもよい。
【0022】
本開示の第3の態様によって、1つまたは複数の実行可能命令を含み、実行可能命令が、電子デバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、電子デバイスに、ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、電子デバイスの現在の温度を測定することと、現在の温度を温度閾値と比較することと、現在の温度が温度閾値を超えることに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を行わせる、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0023】
コンピュータ可読媒体は非一時的であってもよい。
【0024】
本開示の第4の態様によって、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令は、当該プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに本開示の第1の態様の方法を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【0025】
添付の図面は、いくつかの例を示し、本明細書の一部である。以下の説明とともに、これらの図面は、本開示の様々な原理を明示および解説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本明細書に記載されるような様々な方法およびデバイスが使用され得る例示的な動作環境のブロック図である。
【
図2】電子デバイスの動的温度閾値調整のための例示的な方法のフロー図である。
【
図3】
図2の方法が使用され得る例示的な電子デバイスのブロック図である。
【
図4】電子デバイスの動的温度閾値調整のための別の例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面全体にわたって、同等の参照符号および説明は、必ずしも同等とは限らないが、類似の要素を指し示す。本明細書において記述されている例示的な実施形態は、様々な変更形態および代替形態を受け入れる余地があるが、特定の構成が、例として図面において示されており、本明細書において詳細に記載される。しかしながら、本明細書に記載される例示的な実施形態は、開示されている特定の形態に限定されることを意図されているものではない。そうではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての変更形態、等価物、および代替形態を包含する。
【0028】
本開示は、一般に、デバイス、周囲環境、および/またはユーザに関連する特性などの複数の測定可能な特性に基づいてデバイス温度閾値を(例えば、リアルタイムで)動的に調整することに関する。以下でより詳細に説明するように、本開示の実施形態および例は、温度閾値を調整するために、何らかの方法でデバイスから受け取った熱のユーザの知覚に影響を及ぼす特性を使用し得る。いくつかの例では、測定された特性は、環境条件、ユーザの生理学的パラメータ、デバイス条件、および/またはユーザ固有の特性を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書に記載の実施形態および例のいずれかからの特徴は、本明細書において説明される一般原理に従って互いに組み合わされて使用され得る。これらおよび他の実施形態、例、特徴、および利点は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明を読めば、より完全に理解されよう。
【0030】
以下では、
図1~
図4を参照して、複数の測定可能な特性に基づいてデバイス温度閾値を動的に調整するための方法ならびに関連するデバイスおよびシステムの詳細な説明を提供する。そのような方法およびデバイスを使用し得る例示的な動作環境が、
図1に関連して説明される。
図2に関連して、電子デバイスの動的温度閾値調整のための例示的な方法が説明される。そのような方法を使用し得る例示的な電子デバイスが、
図3に関連して説明される。さらに、
図4に関連して、電子デバイスの動的温度閾値調整のための別の例示的な方法が説明される。
【0031】
図1は、本明細書に記載されるような様々な方法およびデバイスが使用され得る例示的な動作環境100のブロック図である。動作環境100において、ユーザ101は、電子デバイス110を使用して、1つまたは複数のタスクを実行し得る。電子デバイス110の例は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、人工現実デバイス(例えば、仮想現実(VR)ヘッドマウントデバイス(HMD)、拡張現実眼鏡など)、ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータ、ゲームシステムなどを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの例では、電子デバイス110は、ユーザ101によって手持ち式である(例えば、スマートフォン、タブレット、またはハンドヘルドゲームシステムの場合)、ユーザ101に紐付けられるか、そうでなければユーザ101と接触している(例えば、スマートウォッチ、HMD、眼鏡、ラップトップコンピュータなどの場合)、または少なくともユーザ101に近接している(例えば、デスクトップコンピュータの場合)など、ユーザと結合されてもよい。電子デバイス110の他の例も可能である。
【0032】
図1に示されるように、ユーザ101および電子デバイス110は、ローカル環境102内に位置し得る。いくつかの例では、ローカル環境102は、ユーザ101と電子デバイス110の両方を包含する任意の局所的な空間または領域として(例えば、温度、光、風、湿度、および/または他の条件などの少なくともいくつかの周囲条件が、ユーザ101と電子デバイス110の両方に起因し得るように)定義されてもよい。いくつかの例では、ローカル環境102は、ユーザ101および電子デバイス110が位置する特定の部屋もしくは他の屋内空間、またはユーザ101および電子デバイス110が位置する一般化された屋外領域(例えば、全地球測位システム(GPS)位置データを介して識別可能である)として定義され得る。いくつかの例では、電子デバイス110は、電子デバイス110の温度閾値を動的に決定するために利用し得る電子デバイス110、ユーザ101、またはローカル環境102に関連する1つまたは複数の特性を測定し得る。
【0033】
さらに、
図1に示されるように、電子デバイス110は、何らかの方法でユーザ101にも結合され得る第2の電子デバイス120と通信し得る。例えば、電子デバイス110がユーザ101によって保持されたスマートフォンであると仮定すると、第2の電子デバイス120は、ユーザ101の手首に装着されたスマートウォッチまたは健康器具であり得る。そのような場合、第2の電子デバイス120は、温度閾値を決定するために、少なくともユーザ101またはローカル環境102に関連する1つまたは複数の測定可能な特性を電子デバイス110に提供してもよい。いくつかの例では、電子デバイス110と第2の電子デバイス120との間の通信は、WiFi接続、Bluetooth(登録商標)接続、有線接続などによって促進されてもよい。
【0034】
さらに、電子デバイス110は、リモートデータシステム130がユーザ101、電子デバイス110、またはローカル環境102に関連する測定可能な特性のうちの1つまたは複数を提供し得るように、ローカル環境102の外部に位置するリモートデータシステム130と通信可能に結合し得る。場合によっては、リモートデータシステム130は、インターネットを介してアクセス可能なリモートデータサーバであってもよい。そのような測定可能な特性は、限定はしないが、ローカル環境102に関連する気象情報、ユーザ101のプロファイル情報などを含んでもよい。
【0035】
より具体的には、いくつかの例では、上述の複数の特性(例えば、電子デバイス110および/または第2の電子デバイス120によって測定されるような)は、周囲光強度および/または波長スペクトル、風速、湿度などのローカル環境102に関連する測定可能なパラメータまたは条件を含んでもよい。さらに、そのような特性は、心拍数、呼吸、発汗、代謝活動、身体活動など、ユーザ101に関連する測定可能な動的パラメータを含んでもよい。
【0036】
また、いくつかの例では、複数の特性は、ユーザプロファイル情報(例えば、ユーザ101が通常よりも高い動作温度で電子デバイス110の使用を特に控えているか否かを示す情報、ユーザ101が経験した、ユーザ101による熱の知覚に影響を及ぼし得る医学的状態、電子デバイス110によって生成された熱が上昇した以前の期間の存在下でユーザ101によって取られた動作(例えば、ビデオストリームの停止、電子デバイス110のダウンなど)、電子デバイス110の使用の履歴および/または現在の使用期間、ユーザ101による電子デバイス110の使用の履歴および/または現在のタイプ(例えば、電子書籍の読み取り、ポッドキャストまたはオーディオトラックの聴取、ビデオクリップのストリーミング、ビデオのキャプチャなど)を含んでもよい。
【0037】
さらに、複数の特性は、電子デバイス110の特性(例えば、ユーザ101と接触する可能性が高い電子デバイス110の領域のサイズまたは位置、電子デバイス110の熱伝達特性(例えば、熱流束)または他の熱特性、電子デバイス110のバッテリの充電レベルまたは充電使用率など)を含んでもよい。
【0038】
図2は、電子デバイス(例えば、
図1の電子デバイス110)の温度閾値の動的調整のための例示的なコンピュータ実装方法200のフロー図である。
図2に示されているステップは、
図1に示されているデバイスを含む任意の好適なコンピュータ実行可能コードによって実行されてもよい。一例では、
図2に示されているステップの各々は、その構造が複数のサブステップを含み、および/または複数のサブステップによって表される、アルゴリズムを表し得、その例は以下でより詳細に提供される。
【0039】
図2の方法200では、ステップ210において、電子デバイスのユーザ(例えば、
図1のユーザ101)および電子デバイスのローカル環境(例えば、
図1のローカル環境102)のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得し得る。いくつかの例では、測定可能な特性は、限定はしないが、ユーザの現在の生理学的パラメータ、ユーザの活動レベルなどのユーザ固有のパラメータ、および周囲光、風速、湿度などのローカル環境に関連するパラメータを含んでもよい。以下でより詳細に説明するように、他の例では、電子デバイスの特性、デバイスによって現在実行されている動作のタイプおよび持続時間または使用ケース(例えば、オーディオおよび/またはビデオの再生、オーディオおよび/またはビデオのキャプチャ、セルラーネットワークまたはWi-Fiを介したデータの送受信など)なども同様に測定し得る。少なくともいくつかの例では、複数の測定可能な特性は、繰り返し(例えば、定期的に、継続的に、またはリアルタイムで)取得および/または更新し得る。
【0040】
ステップ220において、電子デバイスの温度閾値を、測定可能な特性の各々の現在値に基づいて決定し得る。いくつかの例では、温度閾値は、測定可能な特性の数学的組み合わせ(例えば、重み付けされた組み合わせ)、測定可能な特性を使用してデータ構造(例えば、ルックアップテーブル)で参照またはインデックス付けされた値、または何らかの他のプロセスによるものであり得る。さらに、いくつかの例では、温度閾値は、閾値を決定するために使用されている測定可能な特性の更新値に基づいて、繰り返しまたは継続的に(例えば、リアルタイムで)決定または更新し得る。
【0041】
さらに、いくつかの例では、温度閾値は、電子デバイスの測定温度に影響を及ぼし得る電子デバイスの1つまたは複数の静的特性に少なくとも部分的に基づいて調整されてもよい。そのような特性は、電子デバイス内または電子デバイス上に位置する1つまたは複数の温度センサの位置、電子デバイスからユーザに伝達され得る熱量(例えば、1つまたは複数の温度センサによって測定されるように、)の指示、ユーザが接触し得る電子デバイス上の表面積の位置および/または量などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
ステップ230において、電子デバイスの現在の温度を測定し得る。いくつかの例では、上述したように、1つまたは複数の温度センサを使用して、電子デバイス内または電子デバイス上の対応する位置の温度を測定し得る。いくつかの例では、複数の温度センサの各々に関連する測定温度は、平均化されるか、重み付けされた方法で合計されるか、または他の方法で組み合わされて、電子デバイスの現在の温度を決定し得る。
【0043】
ステップ240において、電子デバイスの現在の温度を現在の温度閾値と比較し得る。さらに、ステップ250において、現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、電子デバイスの熱緩和動作を開始して現在の温度を下げ得る。いくつかの例では、熱緩和動作は、プロセッサ速度の低下、通信データレートの低下など、電子デバイスの動作速度または容量の低下を含んでもよい。追加的または代替的に、熱緩和動作は、無線通信トランシーバ、オーディオ/ビデオプロセッサなどの電子デバイス内の1つまたは複数の電子回路または機能を無効にすることを含んでもよい。さらに他の例では、熱緩和動作は、電子デバイスの現在の温度を低下させるために、ファン速度の増加、以前に非アクティブであったファンの起動などの機械的熱低下技術を含んでもよい。
【0044】
少なくともいくつかの例では、上述したように、ステップ210~250は、
図2の破線で示すように、ユーザが電子デバイスを使用している間に、継続的または繰り返し(例えば、リアルタイムで)実行されてもよい。その結果、いくつかの例では、温度閾値は、ユーザに関連する測定可能な特性(例えば、ユーザの心拍数、ユーザの呼吸など)として時々更新されてもよく、ローカル環境(例えば、周囲光レベルおよび/またはタイプ、温度、湿度など)は経時的に変化する。
【0045】
図3は、電子デバイス300に関連するもの(例えば、
図1の電子デバイス110として機能する)、周囲のローカル環境(例えば、
図1のローカル環境102)、および/または、電子デバイス300のユーザ(例えば、
図1のユーザ101)などの複数の測定可能な特性に基づいて温度閾値の動的調整を使用し得る例示的な電子デバイス300のブロック図である。電子デバイス300は、いくつかの例では、ユーザが電子デバイス300を使用している間に物理的接触を確立し維持し得るエンクロージャによって部分的または全体的に包まれてもよい。他の例では、ユーザは、電子デバイス300からの熱が依然としてユーザによって経験され得るように、エンクロージャからある程度の距離内にあり得る。電子デバイス300の例は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、人工現実デバイス(例えば、VR HMD、拡張現実眼鏡など)、ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータ、ゲームシステムなどを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0046】
図3に示すように、電子デバイス300は、1つまたは複数のタスクを実行するための1つまたは複数のモジュール302を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、モジュール302は、データ収集モジュール304、閾値決定モジュール306、温度比較モジュール308、および熱緩和モジュール310を含んでもよい。他のモジュール302は、電子デバイス300に関連する様々な動作を実行するために含まれてもよいが、そのようなモジュール302は、以下の説明を簡略化し、集中させるために本明細書ではさらに説明されない。
【0047】
特定の例では、
図3のモジュール302のうちの1つまたは複数は、電子デバイス300によって実行されると、電子デバイス300に1つまたは複数のタスクを実行させ得る1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表し得る。他の例では、モジュール302のうちの1つまたは複数は、電子デバイス300以外の1つまたは複数のコンピューティングデバイス上で実行するように格納および構成されたモジュールを表し得る。
【0048】
図3に示されるように、電子デバイス300はまた、メモリ340などの1つまたは複数のメモリデバイスを含んでもよい。メモリ340は、一般に、データおよび/またはコンピュータ可読命令を格納することができる任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。
【0049】
図3にも示すように、電子デバイス300は、物理的プロセッサ330などの1つまたは複数の物理的プロセッサをさらに含んでもよい。物理的プロセッサ330は、一般に、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理装置を表す。一例では、物理的プロセッサ330は、メモリ340に格納されたモジュール302のうちの1つまたは複数にアクセスおよび/または修正し得る。追加的または代替的に、物理的プロセッサ330は、電子デバイス300による発熱を制御するために使用され得るものなど、経時的に変化し得る複数の測定可能な特性に基づいて温度閾値を動的に調整するために、モジュール302のうちの1つまたは複数を実行し得る。
【0050】
図3に示すように、電子デバイス300はまた、1つまたは複数の環境センサ322、1つまたは複数の生理学的センサ324、1つまたは複数のデバイスセンサ326(例えば、1つまたは複数の温度センサ)、および/または通信サブシステム328などの1つまたは複数のシステムハードウェア320構成要素を含んでもよい。いくつかの例では、環境センサ322は、ローカル環境のいくつかの特性または態様(例えば、位置、周囲光レベルおよび/または波長スペクトル、湿度、風速など)を検出または測定する任意のセンサであってもよく、生理学的センサ324は、ユーザの生理学的特性または態様(例えば、心拍数、呼吸、発汗、皮膚温度など)を検出または測定する任意のセンサであってもよい。環境センサ322および/または生理学的センサ324の例は、これらに限定するものではないが、可視光カメラ、赤外線カメラ、周囲光センサ(ALS)、慣性測定ユニット(IMU)、近接センサ(例えば、電子デバイス300に対するユーザの近接を検出するために、)、および熱流束センサを含んでもよい。いくつかの例では、センサは、環境センサ322および生理学的センサ324の両方として機能し得る。環境センサ322および生理学的センサ324は、本明細書では電子デバイス300内に存在するものとして説明されているが、他の例では、1つまたは複数の環境センサ322および/または生理学的センサ324は、電子デバイス300の外部にあるが、ユーザに関連する別個の電子デバイス(例えば、
図1の第2の電子デバイス120内)などのローカル環境内に位置してもよい。
【0051】
電子デバイス300内または電子デバイス300上の1つまたは複数の対応する場所(例えば、エンクロージャ内、エンクロージャの外面など)で現在の温度を測定するための1つまたは複数の温度センサなど、1つまたは複数のデバイスセンサ326を電子デバイスに含んでもよい。いくつかの例では、複数の温度センサは、電子デバイス300の熱の分布のより詳細な理解、および/またはその熱の生成に最も関与する電子デバイス300内の1つまたは複数の構成要素の識別を容易にし得、これは、使用する特定の熱緩和動作またはストラテジを決定するために使用し得る。他のデバイスセンサ326は、電子デバイス300内のバッテリの充電レベルまたは使用率のためのセンサ、電子デバイス300とのユーザ接触を検出するためのセンサなどを含んでもよい。
【0052】
通信サブシステム328(例えば、セルラー通信サブシステム、Bluetooth(登録商標)通信サブシステム、WiFi通信サブシステムなどの無線通信サブシステム)は、いくつかの例では、電子デバイス300の温度閾値を決定するために使用される複数の測定可能な特性のうちの1つまたは複数を表すデータを受信してもよい。例えば、通信サブシステム328は、ユーザに装着された第2の電子デバイス(例えば、健康ウォッチ)からユーザの生理学的特性(例えば、心拍数)を表すデータを受信してもよい。他の例では、通信サブシステム328は、ローカル環境の特性を表すデータ(例えば、温度、湿度、風速、雲量などの気象関連データ)を、ローカル環境内の別の電子デバイスから、または電子デバイス300上で実行されている気象アプリケーションなどを介して、ローカル環境の外部の通信デバイス(例えば、データサーバ)から受信し得る。さらに、いくつかの例では、通信サブシステム328は、リアルタイムで測定されない電子デバイス300(例えば、ユーザプロファイルデータ)の温度閾値の決定に使用される他のデータを受信し得る。
【0053】
モジュール302に戻って、データ収集モジュール304は、ユーザ、ローカル環境、または電子デバイス300の複数の測定可能な特性のデータまたは値(例えば、環境センサ322、生理学的センサ324、および/または通信サブシステム328から)、電子デバイス300の1つまたは複数の現在の温度値(例えば、デバイスセンサ326から)、および温度閾値に影響を及ぼし得る他のデータ(例えば、ユーザプロファイル情報)を(例えば、通信サブシステム328から、メモリ340から、および/または他の場所から)受信し得る。上述したように、データ収集モジュール304は、電子デバイス300が熱緩和動作を実行すべきか否かを継続的に決定するために、閾値決定モジュール306および温度比較モジュール308への利用可能性のために測定可能な特性および現在の温度値を繰り返しまたは継続的に収集し得る。
【0054】
いくつかの例では、閾値決定モジュール306は、データ収集モジュール304によって収集された測定値および他のデータを使用して温度閾値を計算または決定(例えば、数学的計算(例えば、値の重み付けされた組み合わせ)を介して、格納されたデータ構造(例えば、ルックアップテーブル)にアクセスすることを介して、および/または他の手段)し得る。次いで、温度比較モジュール308は、温度閾値を、電子デバイス300の1つまたは複数の測定温度値のうちの1つまたは複数の値、またはそれらの何らかの組み合わせと比較し得る。
【0055】
熱緩和モジュール310は、いくつかの例では、電子デバイス300の現在の温度(例えば、電子デバイス300の1つまたは複数の現在の温度値が温度閾値を超えたことに応じて)を下げるために熱緩和動作を開始または継続し得る。いくつかの例では、熱緩和モジュール310は、複数のタイプの熱緩和ストラテジ(例えば、熱低減ファンの制御、電子デバイス300の1つまたは複数の構成要素の動作速度の低下、1つまたは複数の構成要素のシャットダウンなど)から選択し得る。さらに、いくつかの例では、熱緩和モジュール310は、熱緩和ストラテジの選択を、電子デバイス300の現在の使用、電子デバイス300を使用したユーザの以前の経験に対するユーザからの以前のフィードバックなどに基づいてもよい。
【0056】
図4は、電子デバイスの動的温度閾値調整のための別の例示的な方法400のフロー図である。いくつかの例では、方法400は、電子デバイス110、電子デバイス300、または本明細書に具体的に開示されていない他の電子デバイスによって実行されてもよい。
【0057】
方法400では、電子デバイス(例えば、電子デバイス300)の温度閾値を決定するために、閾値決定機能420によって1つまたは複数のタイプのデータを受信し得る。いくつかの例では、入力データは、1つまたは複数のローカル環境特性402、ユーザの生理学的特性404、デバイス特性406、および/またはユーザ固有特性408を含んでもよい。ローカル環境特性402は、例えば、光強度および/または波長スペクトル、周囲温度、湿度、および/または電子デバイスのローカル環境で優勢な風速を含んでもよい。ユーザの生理学的特性404は、例えば、心拍数、呼吸数および/または呼吸深度、代謝活動、および/またはユーザの身体活動を含んでもよい。電子デバイスのデバイス特性406は、例えば、デバイス接触面積(例えば、典型的にはユーザが物理的に接触し得る、またはユーザが現在接触している電子デバイスの領域位置および/またはサイズ)、ユーザによる電子デバイスの現在の使用期間、デバイスの熱流束、バッテリ充電レベルまたはバッテリ充電使用率などを含んでもよい。ユーザのユーザ固有特性408は、ユーザのいくつかの態様を記述する動的および/または静的特性を含んでもよい。動的なユーザ固有特性408の例は、心拍数、呼吸数および/または深度、発汗、身体活動レベル、および/または代謝活動レベルを含んでもよく、静的なユーザ固有の特性は、人口統計(例えば、年齢、性別、民族など)、医学的状態(例えば、平均より高い熱感度をもたらす医学的状態)、デバイス性能レベルと所望の快適性レベルとのトレードオフに関するユーザの期待値などを含んでもよい。閾値決定機能420へのこの入力データの少なくとも一部は、更新され、閾値決定機能420に継続的に提供されてもよく、したがって、閾値決定機能420は、電子デバイスの温度閾値450を動的に決定し得る。
【0058】
閾値決定機能420は、受信した入力データを使用して、電子デバイスの動的温度閾値450を生成し、電子デバイスの使用におけるユーザの経験を改善または最大化し得る。場合によっては、温度閾値450は、電子デバイスの性能低下または物理的障害が生じる可能性があるいくつかの動作温度未満に維持されてもよい。また、いくつかの例では、温度閾値450は、少なくとも許容可能なレベルの性能を提供しながら、ユーザが電子デバイスの使用中に快適なままであるように設定されてもよい。いくつかの例では、ユーザ固有特性408は、性能のレベルまたは持続時間の増加に対していくらかの不快感(例えば、電子デバイスによって生成される熱量の増加)に耐えるユーザの相対的な意欲を示すデータを含んでもよい。さらに、いくつかの例では、ユーザの意欲は、ユーザが現在使用している特定のデバイス機能または使用ケースに関連し得る。例えば、ユーザは、電子デバイスを使用して文書を読み取る場合と比較して、ビデオをストリーミングするときにデバイスからのより高いレベルの熱を経験することを望む可能性がある。別の例では、ビデオをキャプチャすることは、ユーザによって使用可能なデバイスの他の可能な使用ケースよりも高い優先度の使用ケースとして見ることができるため、ユーザは、ビデオのストリーミング(視聴)またはオーディオを聴取することと比較して、ビデオをキャプチャするときにより高いレベルの熱を経験することを望む可能性がある。
【0059】
さらに、いくつかの例では、ユーザの経験は、ユーザが空調環境の屋内にいるか否か、非空調環境の屋内にいるか否か、晴天の日の屋外にいるか否か、曇天の日の屋外にいるか否かなど、ローカル環境に関連する様々な要因によって(例えば、ローカル環境特性402によって反映されるように)影響を受ける可能性があり、デバイスによって生成された熱のユーザの知覚に影響を与える可能性がある。例えば、デバイスが晴天または曇天の日に屋外に位置するか、または屋内に位置するかは、ローカル環境における光のレベルおよび/または帯域幅スペクトルを示すALSからの出力によって少なくとも部分的に決定され得る。より具体的には、デバイスが屋外に位置する場合には第1の閾値が設定され、デバイスが空調された屋内環境に位置する場合には第1の閾値よりも高い第2の閾値が設定されてもよい。
【0060】
いくつかの例では、閾値決定機能420へのいくつかの入力は、ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているか、または近接しているか否かを決定するように解釈されてもよい。例えば、静電容量センサ、IMUなどは、ユーザがデバイスを把持している可能性があることを示す、デバイスとの接触またはデバイスの動きを検出し得る。したがって、ユーザがデバイスに接触していない場合、電子デバイスによって生成された熱がユーザに及ぼす影響が低下するため、温度閾値450が増加する可能性がある。同様に、ユーザが様々な方法で(例えば、手で保持され、ストラップを使用して手首に装着されるなど)電子デバイスと物理的に相互作用し得る例では、閾値温度は、電子デバイスと接触しているユーザの特定の部分の熱感度に基づいて調整し得る。
【0061】
図4にさらに示すように、次いで、温度比較機能430は、現在の温度閾値450を1つまたは複数の現在の温度410の値と比較し得、現在の温度410が温度閾値450を超えるか否かを示すために熱緩和ストラテジ機能440に提供される比較結果460をもたらし、したがって、特定の熱緩和動作が開始または継続される可能性がある。いくつかの例では、複数の現在の温度410の各々は、電子デバイスの特定の位置(例えば、特定の機能部分)に対応し得、したがって、その部分が過剰な熱を生成しているか否かを示す。したがって、いくつかの例では、熱緩和動作(例えば、動作速度の低下、1つまたは複数の機能の終了、空気流の増加など)は、過剰な熱を引き起こすかまたはそれに寄与する電子デバイスの特定の部分に関してもよい。
【0062】
図1~
図4に関連して上述した様々な例を考慮して、電子デバイスの温度閾値は、ユーザの生理学的要因、周囲環境の態様、電子デバイス自体の状態、および他の要因の変化に応じて経時的に動的に調整し得る。その結果、いくつかの例では、現在の状況下でユーザにとって快適なデバイスの温度を維持しながら、デバイスの動作能力を最大化することによって、電子デバイスに対するユーザの満足度を高め得る。
【実施例】
【0063】
実施例1:電子デバイスの動的温度閾値調整のためのコンピュータ実装方法が、(1)ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、(2)複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、(3)電子デバイスの現在の温度を測定することと、(4)現在の温度を温度閾値と比較することと、(5)現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を含んでもよい。
【0064】
実施例2:複数の測定可能な特性が、ローカル環境内で検出された光の特性を含んでもよい、実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
【0065】
実施例3:ローカル環境内で検出された光の特性が、光の強度または光の波長スペクトルのうちの少なくとも1つを含んでもよい、実施例2に記載のコンピュータ実装方法。
【0066】
実施例4:複数の測定可能な特性が、ローカル環境内で検出された風速を含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0067】
実施例5:複数の測定可能な特性が、ローカル環境内で検出された湿度を含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0068】
実施例6:複数の測定可能な特性が、ローカル環境内で検出された周囲温度を含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0069】
実施例7:複数の測定可能な特性が、ユーザの心拍数を含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0070】
実施例8:複数の測定可能な特性が、ユーザの呼吸特性を含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0071】
実施例9:複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することが、電子デバイスのセンサを使用して複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つについての現在値を測定することを含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0072】
実施例10:複数の測定可能な特性を取得することが、ユーザに結合された別個の電子デバイスから複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの各々についての現在値を無線で受信することを含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0073】
実施例11:複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することが、電子デバイス上で実行される気象情報アプリケーションによって複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つについての現在値を無線で受信することを含んでもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0074】
実施例12:温度閾値を決定することが、ユーザの人口統計学的特性またはユーザの医学的状態のうちの少なくとも1つにさらに基づいてもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0075】
実施例13:温度閾値を決定することが、電子デバイスの特性にさらに基づいてもよい、実施例1から3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0076】
実施例14:電子デバイスの特性が、電子デバイスの熱流束を含んでもよい、実施例13に記載のコンピュータ実装方法。
【0077】
実施例15:電子デバイスの特性が、ユーザと接触する電子デバイスの位置または領域のうちの少なくとも1つを含んでもよい、実施例13に記載のコンピュータ実装方法。
【0078】
実施例16:電子デバイスの特性が、ユーザによる電子デバイスの現在の使用期間または電子デバイスの現在の使用ケースのうちの少なくとも1つを含んでもよい、実施例13に記載のコンピュータ実装方法。
【0079】
実施例17:電子デバイスが、(1)ユーザが物理的に接触しているエンクロージャであって、エンクロージャおよびユーザがローカル環境内に位置するエンクロージャと、(2)エンクロージャ内の電子回路であって、少なくとも1つの物理的プロセッサを含む電子回路と、(3)コンピュータ実行可能命令を含む物理メモリと、を備えてもよく、コンピュータ実行可能命令が、物理的プロセッサによって実行されると、電子デバイスに、(a)ユーザまたはローカル環境うちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、(b)複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、(c)電子デバイスの現在の温度を測定することと、(d)現在の温度を温度閾値と比較することと、(e)現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を行わせる。
【0080】
実施例18:電子デバイスが、無線通信サブシステムをさらに備えてもよく、電子デバイスが、無線通信サブシステムを使用して、ユーザに結合された別個の電子デバイスから複数の測定可能な特性のうちの少なくとも1つの現在値を無線で受信することによって、複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得する、実施例17に記載の電子デバイス。
【0081】
実施例19:電子デバイスが、ローカル環境内の光の強度または光の帯域幅スペクトルのうちの少なくとも1つを測定する周囲光センサをさらに備えてもよい、実施例17または実施例18に記載の電子デバイス。
【0082】
実施例20:1つまたは複数の実行可能命令を含んでもよく、実行可能命令が、電子デバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、電子デバイスに、(1)ユーザが電子デバイスと物理的に接触しているローカル環境内で、ユーザまたはローカル環境のうちの少なくとも1つに関連する複数の測定可能な特性の各々についての現在値を取得することと、(2)複数の測定可能な特性の各々についての現在値に基づいて、電子デバイスの温度閾値を決定することと、(3)電子デバイスの現在の温度を測定することと、(4)現在の温度を温度閾値と比較することと、(5)現在の温度が温度閾値を超えたことに応じて、現在の温度を下げるために電子デバイスの熱緩和動作を開始することと、を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0083】
上記に詳述したように、本明細書に記載および/または例証するコンピューティングデバイスおよびシステムは、本明細書に記載するモジュール内に収容されるものなど、コンピュータ可読命令を実行することができる、任意のタイプもしくは形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを広く表す。それらの最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスはそれぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと少なくとも1つの物理的プロセッサとを含んでもよい。
【0084】
いくつかの例では、「メモリデバイス」という用語は、一般に、データおよび/またはコンピュータ可読命令を格納することができる、任意のタイプもしくは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を指す。一例では、メモリデバイスは、本明細書に記載するモジュールの1つもしくは複数を格納、ロード、および/または維持してもよい。メモリデバイスの例としては、非限定的に、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、固体ドライブ(SSD)、光学ディスクドライブ、キャッシュ、これらの1つもしくは複数の変形例または組み合わせ、あるいは他の任意の好適な記憶メモリが挙げられる。
【0085】
いくつかの例では、「物理的プロセッサ」という用語は、一般に、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することができる、任意のタイプもしくは形態のハードウェア実装処理装置を指す。一例では、物理的プロセッサは、上述のメモリデバイスに格納された1つもしくは複数のモジュールにアクセスおよび/またはそれを修正してもよい。物理的プロセッサの例としては、非限定的に、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの1つもしくは複数の部分、それらの1つもしくは複数の変形例または組み合わせ、あるいは他の任意の好適な物理的プロセッサが挙げられる。
【0086】
別個の要素として例示されているが、本明細書に記載および/または例示するモジュールは、単一のモジュールまたはアプリケーションの部分を表してもよい。加えて、特定の実施形態および例では、これらのモジュールの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに1つまたは複数のタスクを実施させてもよい、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションもしくはプログラムを表してもよい。例えば、本明細書に記載および/または例示するモジュールの1つもしくは複数は、本明細書に記載および/または例示するコンピューティングデバイスまたはシステムの1つもしくは複数に格納され、その上で稼働するように構成されたモジュールを表してもよい。これらのモジュールの1つもしくは複数はまた、1つもしくは複数のタスクを実施するように構成された、1つもしくは複数の専用コンピュータの全てまたは部分を表してもよい。
【0087】
加えて、本明細書に記載するモジュールの1つまたは複数は、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現をある形態から別の形態に変換してもよい。例えば、本明細書に記載のモジュールの1つまたは複数は、変換されるユーザ、デバイス、および/またはローカル環境データを受信し、データを動的温度閾値に変換し、変換の結果を使用して、デバイスの温度を動的温度閾値未満に維持するようにデバイスの動作を制御し得る。加えてまたは別の方法として、本明細書に列挙するモジュールの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスで実行し、データをコンピューティングデバイスに格納し、および/または別の形でコンピューティングデバイスと対話することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理的コンピューティングデバイスの他の任意の部分を、ある形態から別の形態に変換してもよい。
【0088】
いくつかの実施形態および例では、「コンピュータ可読媒体」という用語は、一般に、コンピュータ可読命令を格納または搬送することができる、任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ可読媒体の例としては、非限定的に、搬送波などの伝送タイプの媒体、磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピーディスク)などの非一時的タイプの媒体、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびブルーレイディスク)、電子記憶媒体(例えば、固体ドライブおよびフラッシュメディア)、ならびに他の分配システムが挙げられる。
【0089】
本明細書で説明および/または図示されたステップのプロセスパラメータおよびシーケンスは、単に例として与えられており、必要に応じて変動させられ得る。例えば、本明細書で図示および/または説明されたステップは、特定の順序で示されるかまたは考察され得るが、これらのステップは、図示または考察された順序で実行される必要が必ずしもあるとは限らない。本明細書で説明および/または図示された様々な例示的な方法はまた、本明細書で説明または図示されたステップのうちの1つまたは複数を省略するか、または開示されたものに加えて追加のステップを含み得る。
【0090】
上記の説明は、他の当業者が、本明細書で開示された様々な態様の例示的な実施形態を最も良く利用することを可能にするために提供された。この例示的な説明は、網羅的なものではないか、または開示されたいずれかの厳密な形態に限定されるものではない。多くの変更形態および変形形態が、本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本明細書で開示された実施形態および実施例は、あらゆる点で限定的ではなく例示的であると見なされるべきである。本開示の範囲を決定する際に、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物への参照が行われるべきである。
【0091】
別段に記載されていない限り、明細書および特許請求の範囲で使用される、「に接続された(connected to)」および「に結合された(coupled to)」という用語(およびそれらの派生語)は、直接的接続と間接的(すなわち、他の要素または構成要素を介した)接続の両方を容認すると解釈されるべきである。加えて、明細書および特許請求の範囲で使用される、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」を意味すると解釈されるべきである。最後に、使用が容易なように、明細書および特許請求の範囲で使用される、「含む(including)」および「有する(having)」という用語(およびそれらの派生語)は、「備える(comprising)」という単語と交換可能であり、「備える」という単語と同じ意味を有する。
【国際調査報告】