IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティドの特許一覧

特表2023-550302最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器
<>
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図1
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図2
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図3
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図4
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図5
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図6
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図7
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図8
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図9
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図10
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図11
  • 特表-最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/26 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B01D21/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527460
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 US2021060842
(87)【国際公開番号】W WO2022115619
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/118,472
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モラヴェック, デイビス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】クアム, ダリル エル.
(57)【要約】
流体力学的分離器は、分散した粒子を有する液体を分離するように構成される。この分離器は、基部と、基部によって規定される液体チャネルと、を有し、液体チャネルは、チャネルの内部にレイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。液体チャネルは、入口及び出口を有し、内側半径(R)を規定するようにカーブしている。液体チャネルは、カーブに沿って液体チャネル長(L)を有し、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、この矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有する。液体チャネル長(L)は、線形集束長(Lf)以上であり、ここで、(I)
【数1】
+6.4であり、αは粒子直径である。液体チャネル長(L)は、線形集束長(Lf)以上であり、ここで、(II)
【数2】
+24.3である。様々な実施形態では、液体チャネル長(L)は、線形集束長(Lf)以上であり、ここで、(III)
【数3】
+24.3である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
前記基部によって規定される液体チャネルであって、前記液体チャネルは、前記チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、前記液体チャネルは入口及び出口を有し、
前記液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、前記カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
前記液体チャネルは、前記カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
前記矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
前記液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数1】
である、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【請求項2】
前記システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、請求項1及び3~8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項3】
前記粒子直径(a)は、前記水力直径(D)の8%よりも大きい、請求項1~2及び4~8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項4】
前記液体チャネル長(L)は、前記線形集束長(L)より40%以下だけ長い、請求項1~3及び5~8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項5】
前記液体チャネル長(L)は、前記線形集束長(L)より30%以下だけ長い、請求項1~4及び6~8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項6】
前記粒子は、密度が最大で前記液体の3倍である、請求項1~5及び7~8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項7】
前記出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、請求項1~6及び8の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項8】
前記液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、請求項1~7の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項9】
分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
前記基部によって規定される液体チャネルであって、前記液体チャネルは、前記チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、前記液体チャネルは入口及び出口を有し、
前記液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、前記カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
前記液体チャネルは、前記カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
前記矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
前記液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数2】
である、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【請求項10】
前記システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、請求項9及び11~16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項11】
粒子直径(a)は、前記水力直径(D)の8%よりも大きい、請求項9~10及び12~16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項12】
前記液体チャネル長(L)は、前記線形集束長(L)より40%以下だけ長い、請求項9~11及び13~16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項13】
前記液体チャネル長(L)は、前記線形集束長(L)より30%以下だけ長い、請求項9~12及び14~16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項14】
前記粒子は、密度が最大で前記液体の3倍である、請求項9~13及び14~16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項15】
前記出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、請求項9~14及び16の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項16】
前記液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、請求項9~15の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項17】
直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
前記基部によって規定される液体チャネルであって、前記液体チャネルは、前記チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、前記液体チャネルは入口及び出口を有し、
前記液体チャネルは、内側半径(R)を規定するカーブした内側壁と、外側半径を規定するカーブした外側壁と、を有し、
前記液体チャネルは、前記カーブした内側壁に沿って液体チャネル長(L)を有し、
前記液体チャネルは、前記液体チャネル長に沿って矩形の断面を有し、
前記矩形の断面は、前記内側壁と前記外側壁との間にチャネル幅(w)を有し、前記チャネルは、前記入口と前記出口との間に、前記チャネル幅が先細になるテーパー状領域を有する、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【請求項18】
前記幅は前記出口に向かって増加する、請求項17及び19~24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項19】
前記チャネル幅は、前記入口と前記出口との間で一定の割合で増加する、請求項17~18及び20~24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項20】
前記幅は前記出口に向かって減少する、請求項17~19及び21~24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項21】
前記内側半径は、前記入口から前記出口まで一定である、請求項17~20及び22~24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項22】
前記外側半径は、前記入口と前記出口との間で外側にむけて先細になる、請求項17~21及び23~24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項23】
前記液体チャネルは、第1のチャネル幅及び第1の液体チャネル長を有する第1の領域と、第2のチャネル幅及び第2の液体チャネル長を有する第2の領域と、前記第1の領域から前記第2の領域まで延びるテーパー状領域長を有する前記テーパー状領域と、を有する、請求項17~22及び24の何れか1項に記載の流体力学的分離器。
【請求項24】
前記第1の領域は、前記第2の領域よりも長さが長い、請求項23に記載の流体力学的分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体力学的分離器に関する。より具体的には、本開示は、最適なマイクロチャネル長を有する流体力学的分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
流体力学的分離器は、炭化水素液体、飲料、水溶液等の流体ストリーム中の粒子を濃縮及び/又は分離するために、広範な産業で使用されている。流体中に浮遊している粒子は、システムプロセス(例えば、燃料又は液圧システムなど)において問題を引き起こすことがあり、一般的に、消費者にとって望ましくないもの(例えば、オレンジジュースのしぼりかす、又はビール若しくはワインの不純物)であることがあるか、或いは、(下水処理などのように)流体とは異なる処理ステップにかけられることがある。エネルギー消費量と時間の両方の観点から粒子の分離度及び効率を改善するために、最小の圧力降下で適切な粒子分離を達成するように、そのような流体力学的分離器を設計することが望ましいことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書で開示する技術の幾つかの実施形態は、流体力学的分離器に関する。流体力学的分離器は、直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成される。流体力学的分離器は、基部、及び基部によって規定される液体チャネルを有する。液体チャネルは、入口及び出口を有する。液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有する。液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、この矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有する。液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数1】
である。
【0004】
様々な実施形態では、そのようなシステムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。これに加えて又はその代わりに、粒子直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、粒子は、密度が最大で液体の3倍である。これに加えて又はその代わりに、出口は、第1の出口及び第2の出口を含む。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する。
【0005】
本明細書で開示する幾つかの実施形態は、分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器に関する。流体力学的分離器は、基部と、基部によって規定される液体チャネルと、を有し、液体チャネルは、入口及び出口を有する。液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有する。液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、この矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有する。液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数2】
である。
【0006】
様々な実施形態では、そのようなシステムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。これに加えて又はその代わりに、粒子直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、粒子は、密度が最大で液体の3倍である。これに加えて又はその代わりに、出口は、第1の出口及び第2の出口を含む。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する。
【0007】
幾つかの実施形態は、直径(a)の分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器に関する。流体力学的分離器は、基部と、基部によって規定される液体チャネルと、を有し、液体チャネルは、チャネルの内部にレイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。液体チャネルは、入口及び出口を有し、液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有する。液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有する。矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有する。液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数3】
である。
【0008】
様々な実施形態では、そのようなシステムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。これに加えて又はその代わりに、粒子直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い。これに加えて又はその代わりに、粒子は、密度が最大で液体の3倍である。これに加えて又はその代わりに、出口は、第1の出口及び第2の出口を含む。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する。
【0009】
幾つかの実施形態は、粒子直径(a)の分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器に関する。流体力学的分離器は、基部、及び基部によって規定される液体チャネルを有する。液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、液体チャネルは入口及び出口を有する。液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、中心軸の周りのカーブに沿って、液体チャネル長(L)を有する。液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、この矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有する。液体チャネルは、中心軸の周りに集束角(α)を有し、ここで、
【数4】
である。液体チャネルは、集束角α以上の円弧の大きさまで、中心軸の周りに円周方向に延びる。
【0010】
様々な実施形態では、そのようなシステムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。これに加えて又はその代わりに、粒子直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい。これに加えて又はその代わりに、円弧の大きさは、集束角より40%以下だけ大きい。これに加えて又はその代わりに、円弧の大きさは、360度よりも大きく、液体チャネルは螺旋を規定する。これに加えて又はその代わりに、円弧の大きさは、360度よりも小さい。12。これに加えて又はその代わりに、粒子は、密度が最大で液体の3倍である。これに加えて又はその代わりに、出口は、第1の出口及び第2の出口を含む。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する。
【0011】
幾つかの実施形態は、直径(a)の分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器に関する。分離器は、基部、及び基部によって規定される液体チャネルを有する。液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。液体チャネルは、入口及び出口を有する。液体チャネルは、内側半径(R)を規定するカーブした内側壁と、外側半径を規定するカーブした外側壁と、を有する。液体チャネルは、カーブした内側壁に沿って液体チャネル長(L)を有する。液体チャネルは、液体チャネル長に沿って矩形の断面を有する。矩形の断面は、内側壁と外側壁との間にチャネル幅(w)を有し、チャネルは、入口と出口との間に、チャネル幅が先細(テーパー)になるテーパー状領域を有する。
【0012】
幾つかのそのような実施形態では、チャネル幅は出口に向かって増加する。これに加えて又はその代わりに、チャネル幅は、入口と出口との間で一定の割合で増加する。これに加えて又はその代わりに、チャネル幅は出口に向かって減少する。これに加えて又はその代わりに、内側半径は、入口から出口まで一定である。これに加えて又はその代わりに、外側半径は、入口と出口との間で外側が先細になっている。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、第1のチャネル幅及び第1の液体チャネル長を有する第1の領域と、第2のチャネル幅及び第2の液体チャネル長を有する第2の領域と、第1の領域から第2の領域まで延びるテーパー状領域長を有するテーパー状領域と、を有する。幾つかのそのような実施形態では、第1の領域は、第2の領域よりも長さが長い。
【0013】
これに加えて又はその代わりに、このシステムは、第1の領域及び第2の領域において、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。これに加えて又はその代わりに、粒子は、密度が最大で液体の3倍である。これに加えて又はその代わりに、出口は、第1の出口及び第2の出口を有する。これに加えて又はその代わりに、液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである。これに加えて又はその代わりに、粒子の直径(a)は、第1の領域の水力直径(D)及び第2の領域の水力直径の8%よりも大きい。
【0014】
上記の概要は、各実施形態又は全ての実施態様を説明することを意図したものではない。むしろ、添付の図面を考慮して、以下の例示的な実施形態の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより、例示的な実施形態のより完全な理解が、明らかになり、獲得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態と整合性のある、例示的な流体力学的分離器システムの概略図である。
図2図1の液体チャネルの断面図である。
図3】液体チャネルの長さに沿った粒子集束を表すプロットである。
図4】液体チャネルと整合性のある、異なるディーン数についての典型的な半径方向の流れのプロファイルのプロットである。
図5】半径方向の流れの速度を規定する従来技術による方程式に対する実験結果のプロットである。
図6】半径方向の流れの速度を規定する新規の方程式に対する実験結果のプロットである。
図7】粒子の集束長を規定する第1の方程式に対する実験結果のプロットである。
図8】粒子の集束長を規定する第2の方程式に対する実験結果のプロットであり、この第2の方程式は、粒子のサイズを考慮に入れている。
図9】液体チャネルの円弧の大きさを規定する第3の方程式に対する実験結果のプロットである。
図10】螺旋状の液体チャネルを備えた例示的な流体力学的分離器を表す概略図である。
図11図10の例示的な流体力学的分離器の正面図である。
図12】実施形態と整合性のある、別の例示的なシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術については、添付の図面に関連した様々な実施形態についての以下の詳細な説明を検討することで、より完全に理解し、真価を把握することができる。
【0017】
図は、主に分かりやすくするように描画されており、その結果として、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。更に、限定するものではないが締結具、電気部品(配線、ケーブル等)を含む、様々な構造/構成要素は、図示した実施形態の態様をよりよく示すために、図式的に示されていたり、又は図の一部又は全部から取り除かれていたりすることがあるか、或いは、そのような構造/構成要素を含めることは、必ずしも、本明細書で説明する様々な例示的な実施形態の理解に向けたものとは限らない。しかしながら、特定の図中のそのような構造/構成要素についての説明/記載が無いことは、いかなる形でも、様々な実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0018】
流体力学的分離器とは、内部流体の流れに起因する力にのみ依拠して、流体ストリーム内で粒子を集束させることができる、微少流体デバイスである。粒子は、流体ストリームの一部分から分離されることがあるか、且つ/又は流体ストリーム内部で他のサイズの粒子から分離されることがある。流体力学的分離器は一般的に、入口と、少なくとも2つの流れの分岐を有する出口と、を有する流体チャネルを規定する。特定のサイズ範囲内の粒子は、2つの流れの分岐のうちの一方に集束されるか又は濃縮されることがある。例えば、閾値サイズ範囲を超える粒子は、2つの流れの分岐のうちの一方に集束される。流体の流れの濃縮された部分は、システムから取り除かれるか、又は更なる処理のために保持されることがある。残りの粒子は、その少なくとも2つの流れの分岐を通って流れることがある。
【0019】
図1は、本明細書で開示する技術の幾つかの実施態様と整合性のある、例示的なシステム10の概略図である。システム10は、流体ストリーム中に浮遊している粒子を集束させるように構成された流体力学的分離器システムである。システム10は、入口122及び出口124を有する流体力学的分離器100を有する。流体ポンプ30は、流体源20と流体力学的分離器100との間に流体連通を形成する。特に、流体ポンプ30は、流体源20から入口流路40を通って流体力学的分離器100の入口122まで、流体をポンプで送り出すように構成される。流体は、流体力学的分離器100の液体チャネル120を通って出口124まで流れるように構成される。第1の出口分岐50及び第2の出口分岐52は、出口124から、他のシステム又は他のシステム構成要素まで通じていることがある。実施形態によっては、第1の出口分岐50を通って流れる流体は、第2の出口分岐52を通って流れる流体に比べて、特定のサイズ範囲内の粒子をより高い濃度で有するように構成される。
【0020】
本明細書で開示する技術と整合性のある流体力学的分離器は、一般的に、基部110から構成されている。基部110は、内部に液体チャネル120を規定する。基部は、様々な異なる材料及び材料の組み合わせから構成されることがある。実施形態によっては、基部は、ポリマーであり得る。例によっては、基部は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。実施形態によっては、基部は、ガラスを含むことがある。実施形態によっては、基部は、非反応性の金属を含むことがある。実施形態によっては、基部は、感圧性接着剤などの1つ又は複数の接着剤層を含むことがある。実施形態によっては、チャネルの壁が2種以上の物質であり得るように、基部は2種以上の物質であり得る。
【0021】
液体チャネル120は一般的に、液体の流れを収容するように構成される。液体チャネル120は、入口122及び出口124を規定する。液体チャネル120は、入口122から出口124までのチャネル長Lを規定する。液体チャネル120は一般的に、中心軸xの周りに内側半径Rを規定するようにカーブしている。従って、液体チャネル120は、中心軸xの周りに円周方向に延びて、チャネル円弧の大きさを規定する。現在の例では、液体チャネル120は、中心軸xの周りに約180°延びている。現在の例では、内側半径Rは、チャネルの長さに沿って実質的に一定であるが、幾つかの他の例では、内側半径Rは変動することがある。
【0022】
液体チャネル120は一般的に、チャネルの長さに沿って矩形の断面を有しており、これは、図2に見られる。液体チャネル120の断面は一般的に、チャネル120を通る流体の流れの方向に垂直である。チャネル120は、図2に見られる高さ(h)と、図1図2の両方に見られる幅(w)と、を有する。チャネル120は、水力直径(D)も有する。矩形の断面を有する微小流体チャネルの水力直径を計算するために、以下の方程式が使用される。
【数5】
【0023】
液体チャネル120は、例として、成形作業、フォトリソグラフィ、及び3D印刷によって、基部110内に形成されることがある。例によっては、液体チャネル120は、プラスチックの射出成形又はエンボス加工によって、基部110内に形成される。他の方式を使用して、液体チャネル120を形成することもできる。様々な実施形態では、流体力学的分離器100は、並行して動作するように構成された複数の液体チャネル120を規定する。様々な実施形態では、流体力学的分離器100は、少なくとも10個の液体チャネルを有する。様々な実施形態では、流体力学的分離器100は、少なくとも50個の液体チャネル、又は少なくとも100個の液体チャネルを有する。
【0024】
流体力学的分離器100が複数の液体チャネルを有する幾つかの実施形態では、1つの液体チャネル120が、単一の基部層内に規定されることがある。幾つかのそのような実施形態では、複数の基部層がスタック構成で積層されていることがあり、その結果、各基部層によって規定される複数の液体チャネル120のそれぞれも、スタック構成になる。流体力学的分離器100を形成するようにスタックされた基部及び液体チャネル120の層。流体力学的分離器100は、入口流路40であって、(入口122などの)微小流体チャネル入口のそれぞれの上流にあり、それらと直接的に流体連通している入口流路40を規定することがある。入口流路40は一般的に、複数の液体チャネル120の各チャネルの水力直径よりも大きな水力直径を有する。流体力学的分離器100は、第1の出口分岐50及び第2の出口分岐52を規定することがあり、これらは共に各出口124の下流に位置し各出口124と直接的に流体連通している。第1の出口分岐50及び第2の出口分岐52のそれぞれは一般的に、複数の液体チャネルの各チャネルの水力直径よりも大きい直径を有する。そのような構成により、複数のチャネルを通る流れを有利にも均等化することができる。
【0025】
液体チャネル120は、液体チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成される。カーブしているチャネル内の流体の流れは、2つの無次元数、即ちレイノルズ数及びディーン数によって表される。レイノルズ数は、粘性力に対する慣性力の比率を表し、次のように定義される。
【数6】
但し、ρは流体密度、Uは平均流体速度、及びμは流体の動的粘度である。流体力学的分離器では、レイノルズ数は通常は小さく(<1000)、これは、流れのプロファイルが層状であることを意味する。様々な実施形態では、システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される。様々な実施形態では、システムは、5~20の間のディーン数を有するように構成される。ディーン数は、カーブしたパイプ内の流体の振る舞いを表し、流体に作用する慣性力、向心力、及び粘性力を説明する。ディーン数は、次のように定義される。
【数7】
【0026】
流体力学的システム10は一般的に、液体チャネル120内で粒子を集束させるように構成される。「粒子」という用語は、本明細書で使用する場合、流体内で分散している、離散的な量の物質を指す。粒子を形成することができる物質の非限定的な例としては、ほこり、金属、細胞、気泡、脂肪、水滴が挙げられる。1つの特定の例では、水滴を、ガソリン又はディーゼル燃料などの炭化水素流体中に分散させて、エマルジョンを形成することがある。別の例では、気泡が、油圧油中に分散していることがある。別の例では、細胞が、水性流体中に分散していることがある。更に他の例では、粒子は、オレンジジュース中のしぼりかす、牛乳中の脂肪、ビール又はワイン中の不純物であり得る。
【0027】
様々な実施態様では、流体力学的分離器100は、液体チャネル120の水力直径の8%よりも大きな直径を有する粒子を集束させるように構成される。ディーン数が5~25の範囲を取る場合に、直径がチャネルの水力直径の8%を上回る粒子は、一般的に、内側壁に向かって集束される。流体力学的分離器は一般的に、チャネル高さの50%以下である直径を有する粒子を集束させるように構成される。様々な例では、本明細書で提供する計算の目的のために、粒子は、0.5よりも大きな球形度を有する。非球形の粒子については、本明細書で提供する計算の目的のために、粒子の直径は、同等の球状の直径であるとみなされる。様々な実施形態では、本明細書で開示する技術と整合性のある流体力学的分離器は、液体チャネル120内の液体の最大で3倍の密度を有する粒子を集束させるように構成される。
【0028】
粒子集束は、2つの別個の段階で発生する。第1の段階は、粒子移動段階であり、この段階では、浮遊粒子が、液体チャネル120を横切って、液体チャネル120の縁まで移動する。粒子移動段階は一般的に、液体チャネル入口122で開始し、液体チャネル120の粒子移動長Lだけ延びて、液体チャネル120の粒子移動領域126を規定する。この領域では、液体チャネル120の内側壁121上でのさらなる集束は観察されない。第2の領域は、線形集束領域128であり、この領域では、内側壁121上での集束の量が、チャネル長に沿って線形に増加する。集束は、最大の粒子集束に達するまで続く。最大の粒子集束に達した後は、さらなる集束は観察されない。線形集束領域128は、最大の粒子集束を達成するのに必要な長さである線形集束長Lを有する。線形集束領域128は一般的に、粒子移動領域126からチャネル出口124に向かって延びる。
【0029】
線形集束領域128の後の液体チャネル120の長さは、完全集束領域130と呼ばれる。完全集束領域130は、線形集束領域128から出口124まで延びる長さを有する。様々な実施態様では、最大の粒子集束を依然として達成しながらも、液体チャネル120全体に渡る圧力降下を低減させることにより、システムのエネルギー要件を引き下げるために、完全集束領域130を制限又は削除することが望ましいことがある。
【0030】
図3は、カーブした液体チャネルの長さに沿った粒子集束の3つの段階を示している、代表的な集束挙動を示すグラフである。粒子移動領域126は、チャネルの長さの最初の約16mmに相当し、線形集束領域128がこれに続く。この例では、線形集束領域128は、液体チャネルの長さに沿って、約114mmで最大粒子集束を達成する。一旦、粒子集束の最大値に到達すると、粒子集束は概ね一定のままになることがある。デバイスのこの領域は、完全集束領域130とみなされる。この例では、完全集束領域内の最大集束百分率は、約90%である(即ち、粒子の90%が集束される)。
【0031】
数学的には、カーブしたチャネル(図1に示したものなど)において最大粒子集束を達成するために必要とされる線形集束領域の長さは、チャネルを通る粒子速度の半径方向成分に基づく線形関数になる。既存の文献(例えば、Di Carlo,D.、Irimia,D.、Tompkins,R.G.、Toner,M.著、「Continuous Inertial Focusing, Ordering, and Separation of Particles in Microchannels」、米国科学アカデミー紀要、2007年11月、第104巻第4号、18892-7を参照)によれば、ディーンフロープロファイルの半径方向成分の大きさ、又は線形集束率Uは、次の通りである。
【数8】
【0032】
この関係性は、テキサス州プレーノーに拠点を置くシーメンスPLMソフトウェアによるSTAR-CCM+ソフトウェアで、計算上の流体力学を使用して、矩形のチャネルに対して試験された。半径方向の流れの成分を測定するために、関数プローブが仮想的な流体ドメインの中心に挿入され、主要な流体の流れの方向に沿って離散的な半径方向の位置で(Z方向の)チャネルの深さと位置合わせされた。一連の典型的な半径方向の流れのプロファイルの例が図4に示されており、ここで、半径方向の速度は、チャネルの中心を通る深さの関数である。図示される流れのプロファイルは、単一のデバイスジオメトリと流体の組み合わせのものであり、ディーン数は変化するが、チャネルの高さh(150μm)、幅w(500μm)、及び内側半径R(20mm)は一定である。この座標系では、正の流れの速度は、流体がデバイスの外側壁に向けて移動していることを示し、負の流れの速度は、流体がデバイスの内側壁に向けて移動していることを示す。チャネルの深さの中心では、最大の半径方向の流れの成分が観察される。これは、流体慣性に起因する外側壁に向かう最大速度に相当する。2つの最小の半径方向の流れの成分があり、これらは、チャネルの深さの中心の上及び下に対称的に観察される。これらの流れの成分は、内側壁に向けて再循環する流れであり、この流れは、最終的に、粒子を最終集束位置に受動的に移動させる役割を担う。
【0033】
4つの異なるディーン数(De=5、10、15、20)にある異なる液体チャネル幅に対する最小の半径方向の流れの速度が、ディーンフロープロファイルの半径方向成分の大きさについての文献の方程式に対してプロットされ、これは、図5に反映されている。図に見られるように、この方程式は、異なる液体チャネル幅に渡る線形の関係を規定しておらず、従って、半径方向の速度を正確に予測するものではない。更なる試験及び分析の過程で、線形集束率Uについて、以下の関係が発見された。
【数9】
【0034】
この式は、最小の半径方向速度に対してプロットされ、その結果は、図6に反映されている。図に見られるように、異なる液体チャネル幅を有するデバイスからのデータは、単一の線形曲線上に収束する。この関係は、デバイスのジオメトリ(幅、高さ、及びR)及び流体特性(粘度及び密度)を、流体力学的分離器に関連したディーン数の範囲(5<De<25)に渡って変化させたときに、当てはまる。特に、最小半径方向速度は、以下の通りであることが発見された。
【数10】
ここで、μはcP単位、wはミクロン単位、ρはg/cm、及びUはm/s単位である。
【0035】
最小半径方向速度に基づいて、最大粒子集束を得るための線形集束領域の長さを決定する方程式を導き出すことができる。液体チャネルの幅を横切る速度は概ね一定であるので、粒子が液体チャネルの幅を内側壁に向けて横断するのに係る時間は、次式の通りである。
【数11】
【0036】
従って、線形集束領域の長さは、次のようになる。
【数12】
ここで、Uは流体の平均下流速度である。
【数13】
を代入すると、
【数14】
より具体的には、
【数15】
【0037】
線形集束領域は、一般的に、ディーン数がより大きいほどより短くなり、また、本明細書で開示する技術と整合性のある流体力学的分離器の動作範囲は、5~25の範囲のディーン数であるので、線形集束長Lは、一般的に、以下の最小値になる。
【数16】
【0038】
粒子集束率(即ち、線形集束領域の勾配)を使用して、追加的に粒子の80%を集束させるのに必要な長さが計算された。追加の80%の粒子が集束されると、集束有効度が90%よりも高くなる、というのも、デバイスの入口では、粒子の10~20%が、既に集束位置にあるからである。実験結果に関連付けられた観察された集束長が、上記の集束長Lの式に対してプロットされ、これは図7に反映されている。エラーバーは、線形集束領域の勾配における不確実性に基づく標準誤差に対応する。この当てはまりは、明確な傾向を示しており、デバイスの幅及び曲率半径の変化によって左右される。データをより詳しく見てみると、集束長Lは粒子のサイズに依存していることが示唆されている。具体的には、より小さな粒子は、より大きな粒子よりも速く集束する。実際、異なるサイズの粒子は、異なる揚力を経験し、従って、異なる高さにおいてデバイスの幅を横断する。線形集束長Lを取得し、これを粒子のコンファインメント(a/D)で掛け算すると、
【数17】
が得られ、より具体的には、
【数18】
が得られることが発見された。これは、図8に反映されるように、観察された実験による集束長に対してプロットされている。データは、線形フィットに収束し、0.95を上回るR値を与える。
【0039】
線形集束領域の長さLの観点から説明する代わりに、線形集束領域は、集束角(α)の観点から説明することもでき、これは、中心軸xの周りの線形集束領域128の円弧の大きさである:
【数19】
又は、より具体的には、
【数20】
これは、図9に、実験データに対してプロットされている。図示されるように、本明細書で開示する技術と整合性のある様々な液体チャネルは、360度よりも大きな集束角を必要とし、完全な集束は、「単純な」流体力学的分離器では生じ得ないことを示している。ここで、「単純な」流体力学的分離器とは、液体チャネルが、中心軸xの周りの完全な1回転よりも短い分離器のことである。中心軸xの周りに1回転以内で粒子を完全に集束させる液体チャネルは、一般的に、幅が狭く、レイノルズ数が高く、水力直径が大きい。
【0040】
一連の実験が行われ、それらの実験では、本明細書で開示する技術と整合性のある様々な流体力学的システムの実際の粒子移動長L及び粒子集束長Lが測定された。標準的な方法を使用して、様々なデバイス高さ及び幅の流体力学的分離器が、PDMS及びガラススライドから作製された。蛍光標識された粒子の溶液が、5~25のディーン数の範囲内で既知の流量で、流体力学的分離器のチャネルに導入された。CMOSカメラを使用して、流体力学的分離器に沿って様々な位置で画像が取得された。画像処理を使用して、粒子の濃度を、チャネルの位置及び長さの関数として特定した。上記で提供した方程式に従って、粒子の集束長Lも計算された。結果は、以下の表1に反映されている。
【0041】
【表1】
【0042】
実験結果全体に渡って、粒子集束長Lは、粒子移動長Lよりも大きかった。粒子移動長Lは、液体チャネル全長Lの0%から液体チャネル全長Lの28.2%までの範囲に及んだ。更に、粒子移動長Lは、粒子移動長Lの0%から粒子移動長Lの39.4%までの範囲に及んだ。従って、実施形態によっては、本明細書で開示する技術と整合性のある液体チャネルは、粒子移動長Lに概ね等しい液体チャネル長Lを有する。様々な実施形態では、本明細書で開示する技術と整合性のある液体チャネルは、粒子移動長Lよりも大きな液体チャネル長Lを有する。収集したデータに基づくと、多くの実施形態では、液体チャネル長Lは、粒子移動長Lよりも40%未満だけ大きいように見受けられる。液体チャネル長Lは、粒子移動長Lよりも、30%以下だけ大きいことがある。液体チャネル長Lは、粒子移動長Lよりも、20%以下だけ大きいことがある。実施形態によっては、液体チャネル長Lは、粒子移動長Lよりも、3%から20%だけ大きいことがある。
【0043】
図10及び図11は、幾つかの実施形態と整合性のある、別の例示的な流体力学的分離器200の概略図を示す。図10は、概略斜視図であり、図11は、流体力学的分離器の入口側の概略正面図であり、液体チャネル220は、点線によって表されている。流体力学的分離器200は、矛盾する場合を除いて、上記の記載と概ね合致する。流体力学的分離器200は、液体ストリーム中に分散している粒子を集束させるように構成される。流体力学的分離器200は、基部210から構成される。基部210は、入口222及び出口224を有する液体チャネル220を規定する。液体は、流体力学的分離器200の液体チャネル220を通って入口222から出口224まで流れるように構成される。
【0044】
液体チャネル220は、入口222から出口224までのチャネル長Lを規定する。液体チャネル220は一般的に、中心軸xの周りに内側半径Rを規定するようにカーブしている。従って、液体チャネル220は、中心軸xの周りに円周方向に延びて、チャネル円弧の大きさを規定する。現在の例では、液体チャネル220は、中心軸xの周りに約810°延びている。現在の例では、内側半径Rは、チャネルの長さに沿って実質的に一定である。現在の例では、液体チャネル220は、中心軸xの周りに螺旋を形成する。液体チャネル220の螺旋構成は、一定の内側半径Rと、中心軸xの周りの複数の回転の両方に対応する。しかしながら、実施形態によっては、内側半径は一定ではない。
【0045】
液体チャネル220は一般的に、チャネルの長さに沿って矩形の断面を有しており、これは、図11の入口222に見られる。液体チャネル220の断面は一般的に、チャネル220を通る流体の流れの方向に垂直である。チャネル220は、図2に見られる高さ(h)と、図11に見られる幅(w)と、を有する。チャネル220は、これまで開示してきたように、水力直径(D)も有する。
【0046】
上記で考察した例と同様に、粒子集束は、2つの別個の段階で発生することがある。液体チャネル長Lを最適化するために、液体チャネルの全長が、粒子移動長L及び粒子集束長Lになるように、完全集束領域は省かれる。液体チャネル長L及び/又は円弧の大きさの最適化は、一般的に、上記の考察と合致する。
【0047】
図1~2及び図10~11の例と整合性のある実施形態などの、様々な実施形態では、高さh、幅w、及び内側半径Rなどの液体チャネルの寸法は、液体チャネルの長さに沿って実質的に一定であり、これは、そのような寸法が、液体チャネルの長さに沿って、この寸法の加重平均値の5%を超えて変化することはないことを意味する。本明細書で提供する方程式は、一般的に、実質的に一定の内側半径Rを有する液体チャネルの液体チャネル長の最適化に向けたものである。実施形態によっては、チャネル幅wは、チャネルの長さに沿って実質的に一定ではない。そのような実施形態では、液体チャネル長の最適化のために本明細書で提供される方程式において、チャネルの長さに沿ったチャネル幅wの加重平均を使用することができる。様々な例では、最適化されたチャネル長は、集束領域内のチャネル寸法の加重平均に基づいていることがある。
【0048】
図12は、幾つかの実施形態と整合性のある、更に別の例示的な流体力学的分離器システムの概略図である。このシステムは、図1を参照して上記で考察したように、流体源20、ポンプ、入口フローチャネル40及び出口フロー分岐50、52を有する。このシステムは、流体力学的分離器300を有し、この分離器は、一般的に、矛盾する場合を除いて、上記の記載と合致する。流体力学的分離器300は、液体ストリーム中に分散している粒子を集束させるように構成される。流体力学的分離器300は、基部310から構成される。基部310は、入口322及び出口324を有する液体チャネル320を規定する。液体は、流体力学的分離器300の液体チャネル320を通って入口322から出口324まで流れるように構成される。
【0049】
液体チャネル320は、入口322から出口324までのチャネル長Lを規定する。液体チャネル320は一般的に、中心軸xの周りに内側半径Rを規定するようにカーブしている。従って、液体チャネル320は、中心軸xの周りに円周方向に延びて、チャネル円弧の大きさを規定する。現在の例では、液体チャネル320は、中心軸xの周りに約180°延びている。現在の例では、内側半径Rは、チャネルの長さに沿って実質的に一定であるが、幾つかの他の実施形態では、内側半径は一定ではない。
【0050】
液体チャネル320は一般的に、チャネルの長さに沿って矩形の断面を有しており、これは、現在は見えていない。液体チャネル320は、現在は見えていない高さ(h)と、図12に見えている第1のチャネル幅w及び第2のチャネル幅wとを有する。この特定の例では、液体チャネル320は、一定の幅を有していない。チャネルの幅は、入口と出口との間で先細になっている。具体的には、液体チャネル320の第1の領域326は第1の幅wを規定し、液体チャネル320の第2の領域328は第2の幅wを規定し、第1の幅wと第2の幅wとの間にはテーパー状領域327が延在して第1の幅wから第2の幅wにかけてスムーズな遷移をもたらしている。「テーパー(先細)」という用語は、本明細書では、第1の幅wと第2の幅wとの間で、段階的な遷移などの急激な遷移を排除する、比較的に漸進的な拡張/収縮を意味するために使用される。テーパーは、例として、直線状、放物線状、又は指数関数的であり得る。これに加えて、テーパー状領域の長さ方向に沿った複数のテーパー形状の組み合わせを含め、他のテーパー形状も可能である。
【0051】
実施形態によっては、第1の領域326及び第2の領域328は、長さが概ね等しいことがあるが、現在の実施形態では、第1の領域326は第2の領域328よりも短い。実施形態によっては、第1の領域326は、第2の領域328よりも長さが長い。実施形態によっては、テーパー状領域327は、第1の領域326又は第2の領域328の一方又は両方よりも長い。現在の例では、液体チャネル320の外側壁323の半径のみが、第1の領域326と第2の領域328との間で先細になっている。幾つかの他の実施形態では、外側壁323の半径及び内側壁321の半径が、第1の領域326と第2の領域328との間で先細になっている。更に他の実施形態では、内側壁321の半径のみが、第1の領域326と第2の領域328との間で先細になっている。
【0052】
実施態様によっては、幅が、より小さな幅からより大きな幅にかけて次第に大きくなる液体チャネルの実施形態が望ましいことがある。液体チャネル320の幅が小さいほど、粒子が内側壁321に向けて集束する経路が短くなる。液体チャネル320の幅が大きいほど、チャネル320に沿った圧力降下が小さくなり、これにより、チャネル320を通して液体を送り出すのに必要なエネルギーが低減される。従って、実施態様によっては、液体チャネル320の長さの少なくとも一部分に沿って増加する液体チャネル幅を有することが望ましいことがある。
【0053】
実施態様によっては、最適なチャネル長は、そのような計算において液体チャネル320の長さに沿って幅の加重平均を使用することにより、近似することができる。図12と整合性のある幾つかの実施態様では、最大の集束を達成するために、以下が当てはまる。
【数21】
但し、Lw1及びLw2は、それぞれ、チャネルの(第1の幅wを有する)第1の領域326及び(第2の幅wを有する)第2の領域328の実際の長さである。Lf(w1)及びLf(w2)は、それぞれ、第1の領域326と整合性のあるチャネル及び第2の領域328と整合性のあるチャネルの、理論上の線形集束長である。テーパー状領域327の長さがLw1及びLw2に比べて比較的に小さい場合には、線形集束長(L)は、次のようになる。
=αLf(w1)+(1-α)Lf(w2)
【0054】
但し、αは
【数22】
であり、第1の領域326内で発生する集束の百分率に相当し、(1-α)は
【数23】
であり、第2の領域328内で発生する更なる集束の百分率に相当する。「比較的に小さい」とは、テーパー状領域327が、第1の領域326と第2の領域328との合算長さの30%未満、20%未満、又は更には10%未満であることを意味する。
【0055】
幾つかの他の実施態様では、集束領域の全長を計算する目的のために、テーパー状領域の第1の部分は、第1の領域326の長さの一部とみなされることがあり、テーパー状領域の第2の部分は、第2の領域328の長さの一部とみなされることがある。例えば、テーパー状327領域の長さの半分が、第1の領域326の長さの一部とみなされることがあり、テーパー状領域327の長さの他方の半分が、第2の領域328の長さの一部とみなされることがある。他の方式も使用することができる。
【実施例
【0056】
実施例A(水中の25μmの粒子)
流体力学的分離器は、水中の25μmの粒子を集束させるように設計されている。主なパラメータを表2に示す。粒子が集束する流量範囲は、約1.3mL/min~6.5mL/min(ディーン数=5.1~25.3)である。表3に示すように、これらの流量に対する線形集束領域の長さが計算されている。システムの圧力降下は、真っ直ぐなチャネルの計算に基づく推定圧力降下であり、二次流の影響又は僅かな損失は含めていない。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
実施例B(燃料中の10μmの粒子、様々な曲率半径)
流体力学的分離器は、燃料中の10μmの粒子を集束させるように設計されている。主なパラメータを表4に示す。線形集束領域の長さ及び推定圧力降下を、一定のディーン数(De=10)で異なる流体力学的分離器半径について、計算することができる。このデータを表5に示す。システムの圧力降下は、真っ直ぐなチャネルの計算に基づく推定圧力降下であり、二次流の影響又は僅かな損失は含めていない。曲率半径が大きくなると、チャネルを通る流量は増加するが、圧力降下が増加するという欠点がある。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
実施例C(ワイン中の8~12μmの粒子)
流体力学的分離器は、ワイン中の8~12μmの粒子を集束させるように設計されている。これは、清澄中にビール又はワインから酵母を除去する工程を表している。主なパラメータを表6に示す。表7に示すように、異なる流量に対する線形集束領域の長さが計算されている。この計算のために、最大の粒子サイズ(12μm)が使用されている。システムの圧力降下は、真っ直ぐなチャネルの計算に基づく推定圧力降下であり、二次流の影響又は僅かな損失は含めていない。
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
実施例D(2つの幅を有するデバイス)
流体力学的分離器は、ワイン中の8~12μmの粒子を集束させるように構成されている。実施態様によっては、そのような分離器を使用して、清澄中にビール又はワインから酵母を除去することができる。この流体力学的分離器は、w1及びw2という異なる幅を持つ2つの領域と、1mm以下の長さを有する比較的に小さい遷移領域と、を有する。流量は、3.48mL/minである。主なパラメータを表8に示す。この分離器は、粒子が第2の領域の終端で完全に集束するように、第1の領域では集束のα%を達成し、第2の領域では集束の(1-α)%を達成するように構成されている。各領域の長さLw1及びLw2、及び全集束長Lが、表9に計算されている。
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
一般的に、より狭いチャネル(領域1)において集束百分率を増加させることにより、全体的な集束長を低減することができることが観察されるが、これには、チャネル寸法がより小さくなることに起因して、圧力降下が増大するという代償が伴う。最適な設計は、用途の要件に依存する。
【0069】
例示的な実施形態
実施形態1.直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
基部によって規定される液体チャネルであって、この液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、この液体チャネルは入口及び出口を有し、
液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数24】
である、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【0070】
実施形態2.システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、実施形態1及び3~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0071】
実施形態3.粒子の直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい、実施形態1~2及び4~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0072】
実施形態4.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い、実施形態1~3及び5~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0073】
実施形態5.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い、実施形態1~4及び6~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0074】
実施形態6.粒子は、密度が最大で液体の3倍である、実施形態1~5及び7~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0075】
実施形態7.出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、実施形態1~6及び8~9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0076】
実施形態8.液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、実施形態1~7及び9の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0077】
実施形態9.液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する、実施形態1~8の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0078】
実施形態10.分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
基部によって規定される液体チャネルであって、この液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、この液体チャネルは入口及び出口を有し、
液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数25】
である、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【0079】
実施形態11.システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、実施形態10及び12~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0080】
実施形態12.粒子の直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい、実施形態10~11及び13~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0081】
実施形態13.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い、実施形態10~12及び14~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0082】
実施形態14.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い、実施形態10~13及び15~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0083】
実施形態15.粒子は、密度が最大で液体の3倍である、実施形態10~14及び16~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0084】
実施形態16.出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、実施形態10~15及び17~18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0085】
実施形態17.液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、実施形態10~16及び18の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0086】
実施形態18.液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する、実施形態10~17の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0087】
実施形態19.分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
基部によって規定される液体チャネルであって、この液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、この液体チャネルは入口及び出口を有し、
液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、カーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)以上であり、ここで、
【数26】
である、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【0088】
実施形態20.システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、実施形態19及び21~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0089】
実施形態21.粒子の直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい、実施形態19~20及び22~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0090】
実施形態22.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より40%以下だけ長い、実施形態19~21及び23~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0091】
実施形態23.液体チャネル長(L)は、線形集束長(L)より30%以下だけ長い、実施形態19~22及び24~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0092】
実施形態24.粒子は、密度が最大で液体の3倍である、実施形態19~23及び25~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0093】
実施形態25.出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、実施形態19~24及び26~27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0094】
実施形態26.液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、実施形態19~25及び27の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0095】
実施形態27.液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する、実施形態19~26の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0096】
実施形態28.直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
基部によって規定される液体チャネルであって、この液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、この液体チャネルは入口及び出口を有し、
液体チャネルは、内側半径(R)を規定するようにカーブしており、中心軸の周りのカーブに沿って、液体チャネル長(L)を有し、
液体チャネルは、カーブの長さに沿って矩形の断面を有し、
矩形の断面は、高さ、幅(w)、及び水力直径(D)を有し、
液体チャネルは、中心軸の周りに集束角(α)を有し、集束角
【数27】
であり、液体チャネルは、中心軸の周りに集束角α以上の円弧の大きさまで円周方向に延在する、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【0097】
実施形態29.システムは、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、実施形態28及び30~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0098】
実施形態30.粒子の直径(a)は、水力直径(D)の8%よりも大きい、実施形態28~29及び31~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0099】
実施形態31.円弧の大きさは、40%以下だけ集束角よりも大きい、実施形態28~30及び32~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0100】
実施形態32.円弧の大きさは360度よりも大きく、液体チャネルは螺旋を規定する、実施形態28~31及び33~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0101】
実施形態33.円弧の大きさは360度未満である、実施形態28~32及び34~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0102】
実施形態34.粒子は、密度が最大で液体の3倍である、実施形態28~33及び35~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0103】
実施形態35.出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、実施形態28~34及び36~37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0104】
実施形態36.液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、実施形態28~35及び37の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0105】
実施形態37.液体チャネルは、第1のチャネル幅を有する第1の領域と、第2のチャネル幅を有する第2の領域と、第1のチャネル幅から第2のチャネル幅まで延びるテーパー状領域と、を有する、実施形態28~36の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0106】
実施形態38.直径(a)を有する分散した粒子を有する液体を分離するように構成された流体力学的分離器であって、
基部と、
基部によって規定される液体チャネルであって、この液体チャネルは、チャネルの内部に、レイノルズ数(Re)を有する液体を収容するように構成され、この液体チャネルは入口及び出口を有し、
液体チャネルは、内側半径(R)を規定するカーブした内側壁と、外側半径を規定するカーブした外側壁と、を有し、
液体チャネルは、カーブした内側壁に沿って液体チャネル長(L)を有し、
液体チャネルは、液体チャネル長に沿って矩形の断面を有し、
矩形の断面は、内側壁と外側壁との間にチャネル幅(w)を有し、チャネルは、入口と出口との間に、チャネル幅が先細になるテーパー状領域を有する、液体チャネルと、を含む、流体力学的分離器。
【0107】
実施形態39.チャネル幅は出口に向かって増加する、実施形態38及び40~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0108】
実施形態40.チャネル幅は、入口と出口との間で一定の割合で増加する、実施形態38~39及び41~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0109】
実施形態41.幅は出口に向かって減少する、実施形態38~40及び42~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0110】
実施形態42.内側半径は、入口から出口まで一定である、実施形態38~41及び43~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0111】
実施形態43.外側半径は、入口と出口との間で外側にむけて先細になる、実施形態38~42及び44~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0112】
実施形態44.液体チャネルは、第1のチャネル幅及び第1の液体チャネル長を有する第1の領域と、第2のチャネル幅及び第2の液体チャネル長を有する第2の領域と、第1の領域から第2の領域まで延びるテーパー状領域長を有するテーパー状領域と、を有する、実施形態38~43及び45~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0113】
実施形態45.第1の領域は、第2の領域よりも長さが長い、実施形態44に記載の流体力学的分離器。
【0114】
実施形態46.システムは、第1の領域及び第2の領域において、5~25の間のディーン数(De)を有するように構成される、実施形態38~45及び47~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0115】
実施形態47.粒子は、密度が最大で液体の3倍である、実施形態38~46及び48~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0116】
実施形態48.出口は、第1の出口及び第2の出口を含む、実施形態38~47及び49~50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0117】
実施形態49.液体チャネルは、複数の同一の液体チャネルのうちの1つである、実施形態38~48及び50の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0118】
実施形態50.粒子の直径(a)は、第1の領域の水力直径(D)及び第2の領域の水力直径の8%よりも大きい、実施形態38~49の何れか1つに記載の流体力学的分離器。
【0119】
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される」という語句は、特定のタスクを実行するように又は特定の構成を採用するように構築されたシステム、装置、又は他の構造物を表す。「構成される」という用語は、「配置される」「構築される」「製造される」などの類似の用語と言い換え可能に使用されることがある。
【0120】
本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、この技術が関係する技術分野における通常の技術の基準を示す。全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個別の刊行物又は特許出願が、参照によって具体的に個別に示された場合と同じ範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。本出願の開示と、参照により本明細書に組み込まれる文献の開示との間に何らかの矛盾が存在する場合には、本出願の開示が優先されるものとする。
【0121】
本出願は、本主題の適合例又は変形例をカバーすることを意図している。上記の説明は例示を意図しており、限定するものではなく、特許請求の範囲は、本明細書に記載される例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】