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特表2023-550311多発性骨髄腫の処置のための、イサツキシマブの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】多発性骨髄腫の処置のための、イサツキシマブの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20231124BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231124BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20231124BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231124BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61K39/395 T
G01N33/574 A
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528113
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021072193
(87)【国際公開番号】W WO2022099257
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,305
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/239,108
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507363864
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ユー・エス・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523168205
【氏名又は名称】ドロテー・シミオンド
(71)【出願人】
【識別番号】523168216
【氏名又は名称】ホアイ-トゥー・タイ
(71)【出願人】
【識別番号】523168227
【氏名又は名称】ヘルヒ・ファン・デ・フェルデ
(71)【出願人】
【識別番号】523168238
【氏名又は名称】クリスティン・ヴェイラット-フォレット
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ドロテー・シミオンド
(72)【発明者】
【氏名】ホアイ-トゥー・タイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルヒ・ファン・デ・フェルデ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・ヴェイラット-フォレット
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、多発性骨髄腫を処置するための方法であって、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;イサツキシマブを、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、例えば、少なくとも11サイクルにわたり、または、例えば、個体が、処置に対する、少なくともVGPR(very good partial response)を達成するか、もしくはこれを達成することが決定されるまで投与する工程;ならびにイサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む方法を提示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、
イサツキシマブを、個体へと、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;
イサツキシマブを、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で、最初の1カ月間のサイクルに続く、少なくとも11サイクルにわたり投与する工程;および
イサツキシマブを、毎月10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルに続く、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程
を含む方法。
【請求項2】
多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、
個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;
抗CD38抗体を、個体が、少なくともVGPR(very good partial response)の応答を達成するまで、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;および
抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、個体が、少なくともVGPRの応答を達成した後に、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程
を含む方法。
【請求項3】
多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、
個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;
抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;
最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクル中の、1つまたはそれ以上の時点における、処置に対する、個体の応答を測定し、少なくともVGPR(very good partial response)を有する個体を選択する工程;および
抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり、選択された個体へと投与する工程
を含む方法。
【請求項4】
多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、
個体の血清中Mタンパク質および尿中Mタンパク質を、抗CD38抗体を投与する前の、第1の時点において測定する工程;
個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;
抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;
最初の1カ月間のサイクルの後における、少なくとも1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクル中の、第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質および/または尿中Mタンパク質を測定する工程;ならびに
(a)第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)第2の時点における、個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満である場合に、抗CD38抗体を、毎月10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程
を含む方法。
【請求項5】
多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、
抗CD38抗体を投与する前に、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルを測定する工程;
個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;
(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、抗CD38抗体の投与の前における、血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満となるまで、イサツキシマブを、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;および
(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減されることが決定され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満であることが決定された後で、抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程
を含む方法。
【請求項6】
(a)個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および(b)24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルが、抗CD38抗体を、10mg/kgの用量で、28日間のサイクルごとに1回投与する前に、少なくとも約12カ月間にわたり維持される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
処置に対する応答が、1例またはそれ以上の個体の、血中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルを評価することにより測定される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項8】
血中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルが、免疫固定および/または電気泳動を介して評価される、請求項5、6、および7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくともVGPRの応答が、抗CD38抗体を、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルにわたり、1カ月間に1回投与する前に、少なくとも約6カ月間にわたり維持される、請求項2、3、7、および8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくともVGPRの応答が、抗CD38抗体を、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルにわたり、1カ月間に1回投与する前に、少なくとも約12カ月間にわたり維持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗CD38抗体が、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で、抗CD38抗体を、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり、1カ月間に1回投与する前に、少なくとも11サイクルにわたり投与される、請求項2から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
抗CD38抗体が、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で、抗CD38抗体を、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり、1カ月間に1回投与する前に、少なくとも23サイクルにわたり投与される、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
処置が、個体の無進行生存(PFS)を延長する、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
抗CD38抗体が、(a)アミノ酸配列であるDYWMQ(配列番号1)を含むCDR-H1、アミノ酸配列であるTIYPGDGDTGYAQKFQG(配列番号2)を含むCDR-H2、およびアミノ酸配列であるGDYYGSNSLDY(配列番号3)を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびに(b)アミノ酸配列であるKASQDVSTVVA(配列番号4)を含むCDR-L1、アミノ酸配列であるSASYRYI(配列番号5)を含むCDR-L2、およびアミノ酸配列であるQQHYSPPYT(配列番号6)を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む、請求項2から4および9から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
抗CD38抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項2から4および9から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
抗CD38抗体が、イサツキシマブである、請求項2から4および9から15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それらの各々の内容が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、2020年11月3日に出願された、米国特許仮出願第63/109,305号、および2021年8月31日に出願された、米国特許仮出願第63/239,108号に対する優先権を主張する。
【0002】
ASCIIテキストファイルによる配列表の提出
ASCIIテキストファイルによる、以下の提出の内容:コンピュータ読取り型(CRF)の配列表(ファイル名:183952033540SEQLIST.TXT、記録日:2021年11月1日、サイズ:10,277バイト)は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0003】
分野
本開示は、抗CD38抗体、例えば、イサツキシマブを投与することにより、多発性骨髄腫を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄(BM)内の形質細胞の、クローン性増殖、および過剰量の単クローン性免疫グロブリン(通例、IgG型もしくはIgA型であるか、または遊離尿中軽鎖、すなわち、パラプロテイン、Mタンパク質、またはM成分である)の産生により特徴づけられる、悪性形質細胞疾患である。MMを伴う患者は、骨疼痛、骨折、疲労、貧血、感染症、高カルシウム血症、および腎問題を経る場合がある(非特許文献1)。CD38の発現は、98%を超える患者が、このタンパク質について陽性であるので、とりわけ、MMにおいて顕著である(非特許文献2;非特許文献3)。悪性クローン性MM細胞上における、CD38の、強く、かつ、一様な発現が、正常細胞上における限定的発現パターンと対照的であることは、この抗原が、腫瘍細胞の特異的ターゲティングに有用でありうることを示唆する。
【0005】
一般に、MM患者は、それらの生涯にわたり、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、イキサゾミブ、およびカルフィルゾミブ)および免疫調節剤または「IMiDs(登録商標)」(例えば、レナリドミド、ポマリドミド、およびサリドマイド)、モノクローナル抗体(例えば、エロツズマブ)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、パノビノスタット)などの薬剤を、単独において、または組合せにおいて含む処置レジメンを施されるであろう。
【0006】
抗体のための、適切な投与スケジュールの決定は、潜在的TMDD(target-mediated drug disposition)および腫瘍量により複雑である。所与の抗体の薬物動態は、経験的な決定を必須とする。各抗体ベースの治療のためには、患者の利益を保持しながら、患者が、より長い間隔(例えば、毎月1回対隔週1回)で、抗体の投与を施されるべきであるのか、そして、それはいつなのかについて、個別の査定が必須となる。
【0007】
特許出願、特許公開、およびUniProtKB/Swiss-Prot受託番号を含む、本明細書で引用される、全ての参考文献は、各個別の参考文献が、参照により、具体的かつ個別に組み込まれることが指し示された場合と同様に、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Rolligら(2015)、Lancet、385(9983):2197~208
【非特許文献2】Goldmacherら(1994)、Blood、84(9):3017~25
【非特許文献3】Linら(2004)、Am J Clin Pathol.、121(4):482~8
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;イサツキシマブを、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルにわたり投与する工程;およびイサツキシマブを、少なくとも11サイクルに続く、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを、個体へと、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;イサツキシマブを、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で、最初の1カ月間のサイクルに続く、少なくとも11サイクルにわたり投与する工程;およびイサツキシマブを、毎月10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルに続く、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程を含む方法が提供される。
【0010】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、個体が、少なくともVGPR(very good partial response)の応答を達成するまで、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;および個体が、少なくともVGPRの応答を達成した後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;抗CD38抗体を、個体が、少なくともVGPR(very good partial response)の応答を達成するまで、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;および抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、個体が、少なくともVGPRの応答を達成した後に、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程を含む方法が提供される。
【0011】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクル中の、1つまたはそれ以上の時点において、個体の処置に対する応答を測定し、少なくともVGPR(very good partial response)を有する個体を選択する工程;ならびにイサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で、選択された個体へと投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクル中の、1つまたはそれ以上の時点における、処置に対する、個体の応答を測定し、少なくともVGPR(very good partial response)を有する個体を選択する工程;および抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり、選択された個体へと投与する工程を含む方法が提供される。
【0012】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを投与する前に、第1の時点において、個体の血清中Mタンパク質および尿中Mタンパク質を測定する工程;イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、少なくとも1つまたはそれ以上の、28日間のサイクル中の、第2の時点において、個体の血清中Mタンパク質および/または尿中Mタンパク質を測定し、(a)第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)第2の時点における、個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満である場合に、イサツキシマブを、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、個体の血清中Mタンパク質および尿中Mタンパク質を、抗CD38抗体を投与する前の、第1の時点において測定する工程;個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の1カ月間のサイクルの後における、少なくとも1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクル中の、第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質および/または尿中Mタンパク質を測定する工程;ならびに(a)第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)第2の時点における、個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満である場合に、抗CD38抗体を、毎月10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程を含む方法が提供される。
【0013】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、イサツキシマブを投与する前に、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルを測定する工程;イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、イサツキシマブの投与の前における、血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満となるまで、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;ならびに(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減されることが決定され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満であることが決定された後で、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、(a)個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および(b)24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルは、28日間のサイクルごとの1日目に、10mg/kgの用量で、イサツキシマブを投与する前に、少なくとも約6、7、8、9、10、11、または12カ月間のうちのいずれか1つにわたり維持される。一部の実施形態では、多発性骨髄腫を有するヒト個体を処置する方法であって、抗CD38抗体を投与する前に、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルを測定する工程;個体へと、抗CD38抗体を、最初の1カ月間のサイクルの、毎週10mg/kgの用量で投与する工程;(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、抗CD38抗体の投与の前における、血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満となるまで、イサツキシマブを、最初の1カ月間のサイクルの後における、1つまたはそれ以上の、1カ月間のサイクルの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与する工程;および(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減されることが決定され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満であることが決定された後で、抗CD38抗体を、毎月1回、10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する工程を含む方法が提供される。一部の実施形態では、(a)個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および(b)24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルは、イサツキシマブを、毎月1回、10mg/kgの用量で、1つまたはそれ以上の、さらなる1カ月間のサイクルにわたり投与する前に、少なくとも約6、7、8、9、10、11、または12カ月間のうちのいずれか1つにわたり維持される。
【0014】
一部の実施形態では、個体の処置に対する応答は、個体の、血中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルを評価することにより測定される。一部の実施形態では、個体の血中Mタンパク質レベルおよび/または尿中Mタンパク質レベルは、免疫固定および/または電気泳動を介して評価される。一部の実施形態では、少なくともVGPRの応答は、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、または1カ月間ごとに1回、イサツキシマブを投与する前に、少なくとも約6カ月間にわたり維持される。一部の実施形態では、少なくともVGPRの応答は、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回、または1カ月間ごとに1回、イサツキシマブを投与する前に、少なくとも約12カ月間にわたり維持される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、1つもしくはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回、または1つもしくはそれ以上の、1カ月間のサイクルのうちの、隔週1回、イサツキシマブを投与する前に、少なくとも11サイクルにわたり、1つもしくはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、または1つもしくはそれ以上の、1カ月間のサイクルのうちの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、1つもしくはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回、または1つもしくはそれ以上の、1カ月間のサイクルのうちの、隔週1回、イサツキシマブを投与する前に、少なくとも23サイクルにわたり、1つもしくはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、または1つもしくはそれ以上の、1カ月間のサイクルのうちの、隔週1回、10mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)を延長する。
【0015】
一部の実施形態では、抗CD38抗体は、(a)アミノ酸配列であるDYWMQ(配列番号1)を含むCDR-H1、アミノ酸配列であるTIYPGDGDTGYAQKFQG(配列番号2)を含むCDR-H2、およびアミノ酸配列であるGDYYGSNSLDY(配列番号3)を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(VH)、ならびに(b)アミノ酸配列であるKASQDVSTVVA(配列番号4)を含むCDR-L1、アミノ酸配列であるSASYRYI(配列番号5)を含むCDR-L2、およびアミノ酸配列であるQQHYSPPYT(配列番号6)を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、イサツキシマブである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ポマリドミド(Pom)、デキサメタゾン(Dex)についての反応速度-薬力学モデル(K-PD)、およびイサツキシマブについての薬物動態(PK)モデル、腫瘍増殖の阻害、ならびに無進行生存(PFS)を統合する、統合型薬物疾患モデルについての概略表示を提示する図である。
図2-1】観察事象を伴う3例、および打切り事象を伴う3例である、6例の例示的患者における、血清中Mタンパク質時間経過およびPFS確率についての、個別の適合を示す図である。Isa-Pdアームにおける患者を、中図および左図に示し;Pdアームにおける患者を、右図に示す。青ドットは、血清中Mタンパク質観察値を表示し、赤ドットは、BLQの観察値を表示する。緑曲線は、ジョイントモデルを使用する、経時予測値を表示する。垂直方向の直線は、患者の状態(実線:進行事象の発生、点線:打切り)を示す。赤実線による曲線は、ジョイントモデルにより予測された、PFS確率を表示する。黒曲線は、血清中Mタンパク質の反応速度のカレントの傾きについての予測値を表す。BLQ:定量限界未満;Isa:イサツキシマブ;MP:Mタンパク質;Pd:ポマリドミドおよびデキサメタゾン;PFS:無進行生存である。
図2-2】図2-1の続き。
図3】最終ジョイントモデルのPFS部分および経時部分についてのVPC(visual predictive checks)を示す図である。影を付した領域、および点線は、シミュレートされたデータ(n=1000)の、第5、第50、および第95百分位数についての、90%予測区間、ならびに予測中央値を表す。実線は、観察された経時データまたは観察されたカプラン-マイヤー推定値の、第5、第50、および第95百分位数を表す(その第90百分位数による信頼区間を、黒の細点線で表す)。CI:信頼区間;I:イサツキシマブ;KM:カプラン-マイヤー;M-P:Mタンパク質;Pd:ポマリドミドおよびデキサメタゾン;PFS:無進行生存;PI:予測区間である。
図4】血清中Mタンパク質の反応速度、および無進行についてのPFS確率に対する、共変量効果の影響を示す図であり;全血清中Mタンパク質集団(n=256)についての図である。ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;Ig:免疫グロブリン;PFS:無進行生存である。
図5A】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Aは、血清中Mタンパク質についての観察値と、個別の予測値との対比を提示する。
図5B】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Bは、個別重み付き残差(IWRES)と、時間(日)または血清中Mタンパク質(g/L)についての個別の予測との対比を提示する。
図5C】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Cは、アームにより層別化された、経時部分のための、予測補正(PC)VPCを提示する。
図5D】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Dは、個別の予測PFS確率を示す。図5Eは、コックス-スネル残差を示す。
図5E】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Eは、コックス-スネル残差を示す。
図5F】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Fは、共変量により層別化された逸脱残差を示す。
図5G】最良の血清中Mタンパク質/PFSジョイントモデルについてのモデル査定を提示する図である(ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;PFS:無進行生存;IG:免疫グロブリン;I:イサツキシマブ;LOQ:定量限界;M-Prot:Mタンパク質;PCYTOMA:形質細胞腫の存在;Pd:ポマリドミド/デキサメタゾン;PFS:無進行生存;VPC:VPC(visual predictive checks)である)。図5Gは、時間経過にわたり、アームにより層別化された、事象までの時間(TTE)データのためのトレンド除去予測分布(pd)を示す。
図6】標準的投与レジメンと比較して、新たな、仮説的投与レジメンによる、早期進行の危険性を伴わない患者(n=60)の特徴を、他の患者(n=44)と対比して示す図である。ALBN:アルブミン;B2MG:β2-マイクログロブリン;BMPC:骨髄形質細胞;GFR:糸球体濾過速度;W24:24週目である。
図7】ジョイントモデルを使用する、PFS HRについての、PPC(posterior predictive check)を示す図である。緑帯域:95%予測区間、黒バー:予測されたHR中央値、赤バー:観察されたHRである。PFS:無進行生存;HR:ハザード比である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本明細書および付属の特許請求の範囲で使用される、単数形の「a(ある)」、「an(ある)」、および「その」は、内容により、そうでないことが明確に指示されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「ある分子」に対する言及は、場合により、2つまたはそれ以上のこのような分子の組合せなどを含む。
【0018】
「持続奏効」とは、疾患(例えば、多発性骨髄腫)の防止もしくはこの進行の遅延に対する持続的効果、および/または処置の中断の後における、1つもしくはそれ以上の奏効基準の改善を指す。例えば、多発性骨髄腫のための処置に対する応答は、Kumarら(2016)、「International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma」、Lancet Oncol.、17(8):e328~e346;およびDurieら(2006)、「International uniform response criteria for multiple myeloma」、Leukemia、20:1467~1473における基準に従い測定される(また、下記の表Aも参照されたい)。一部の実施形態では、持続奏効は、処置の持続期間と少なくとも同じ持続期間、処置の持続期間の長さの、少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍、または3.0倍の持続期間を有する。
【0019】
【表1-1】
【表1-2】
【0020】
「医薬製剤」という用語は、生物学的活性有効成分が有効であることを可能とするような形態にあり、製剤が投与される対象に対して、許容不可能な程度に毒性である、さらなる成分を含有しない調製物を指す。このような製剤は、滅菌製剤である。「薬学的に許容される」賦形剤(媒体、添加剤)は、利用される、有効用量の有効成分をもたらすように、対象の哺乳動物へと、妥当な形で投与される賦形剤である。
【0021】
本明細書で使用される、「処置」という用語は、臨床病理の経過において、処置される疾患または細胞(例えば、がん細胞)の、自然の経過を変更するようにデザインされた、臨床的介入を指す。所望の処置効果は、疾患の進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善を含む。例えば、個体は、がんと関連する、1つまたはそれ以上の症状が、抑制されるか、または消失させられる場合(がん性細胞の増殖の低減(または破壊)、疾患から生じる症状の減少、疾患を患う患者の生活の質の向上、疾患を処置するのに要求される、他の医薬の用量の減量、および/または個体の生存の延長を含むがこれらに限定されない)、「処置」に成功している。
【0022】
本明細書で使用される、「疾患の進行の遅延」とは、疾患(がんなど)の発生を先送りし、妨げ、緩徐化し、遅らせ、安定化させ、かつ/または延期することを意味する。この遅延は、疾患の履歴および/または処置される個体に応じて、時間の長さが変動する場合がある。当業者に明らかな通り、十分な遅延または著明な遅延は、個体が、疾患を発症しない点において、事実上、防止を包含する場合がある。例えば、転移の発症などの末期がんが遅延させられる。
【0023】
「有効量」とは、特定の障害に対する、測定可能な改善または防止をもたらすのに要求される、少なくとも最小の量を指す。本明細書における有効量は、個体/患者の、疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに抗体が、個体において、所望の応答を誘発する能力などの因子に従い変動しうる。有効量はまた、処置の、任意の毒性または有害作用が、治療的に有益な効果により凌駕される量でもある。予防的使用のために、有益な結果または所望の結果は、疾患の、生化学的症状、組織学的症状、および/または行動学的症状、疾患の発生時に存在する、疾患の合併症および中間的な病理学的表現型を含む、疾患の危険性の消失もしくは低減、疾患の重症度の軽減、または疾患の発生の遅延などの結果を含む。治療的使用のために、有益な結果または所望の結果は、疾患から生じる、1つまたはそれ以上の症状の軽減、疾患を患う患者の、生活の質の向上、疾患を処置するのに要求される、他の医薬の用量の減量、ターゲティングを介するなど、別の医薬の効果の増強、疾患の進行の遅延、および/または生存の延長などの臨床結果を含む。がんまたは腫瘍の場合、薬物の有効量は、がん細胞の数の低減;腫瘍サイズの低減;がん細胞の、末梢臓器への浸潤の阻害(すなわち、ある程度の緩徐化または停止が所望される);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の緩徐化または停止が所望される);腫瘍増殖のある程度の阻害;および/または障害と関連する症状のうちの1つもしくはそれ以上の、ある程度の緩和において効果を及ぼしうる。有効量は、1回またはそれ以上の回数の投与において投与される。本発明の目的のために、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量とは、予防的処置または治療的処置を、直接的に、または間接的に達するのに十分な量である。臨床的文脈で理解される通り、薬物、化合物、または医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併用して、達成される場合もあり、達成されない場合もある。したがって、「有効量」は、1つまたはそれ以上の治療剤を投与する文脈でも検討される場合があり、1つまたはそれ以上の、他の薬剤と併用して、所望の結果が達成される可能性があるか、または達成される場合、単一の薬剤は、有効量で施されることが検討される。
【0024】
本明細書で使用される、「~と併用して」とは、別の処置モダリティーに加えた、1つの処置モダリティーの投与を指す。このように、「~と併用して」とは、個体に対する、他の処置モダリティーの投与前、投与時、または投与後における、1つの処置モダリティーの投与を指す。
【0025】
処置を目的とする、「対象」または「個体」とは、哺乳動物として分類される、任意の動物であって、ヒト、家畜、農場動物、および動物園動物、競技用動物、または愛玩動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む動物を指す。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。
【0026】
本明細書における、「抗体」という用語は、最広義において使用され、それらが、所望の生物学的活性を呈する、とりわけ、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、および抗体断片を対象とする。
【0027】
ヒト軽鎖は、典型的に、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖と分類され、ヒト重鎖は、典型的に、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンと分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと規定する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むがこれらに限定されない、いくつかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1およびIgM2を含むがこれらに限定されない、いくつかのサブクラスを有する。IgAも同様に、IgA1およびIgA2を含むがこれらに限定されないサブクラスへと細分される。全長軽鎖内および全長重鎖内では、可変ドメインと定常ドメインとは、典型的に、約12またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域により接続されており、重鎖もまた、さらに約10アミノ酸の「D」領域を含む。例えば、全ての目的で、参照によりその全体において組み込まれる、「FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY」(Paul,W.編、Raven Press、2版、1989)を参照されたい。各軽/重鎖対の可変領域は、典型的に、抗原結合性部位を形成する。抗体の可変ドメインは、典型的に、相補性決定領域またはCDRともまた呼ばれる、3つの超可変領域により接続された、比較的保存的なフレームワーク領域(FR)の、同じ一般的構造を呈する。各対の2つの鎖に由来するCDRは、典型的に、特異的エピトープへの結合を可能としうる、フレームワーク領域によりアライメントされる。アミノ末端からカルボキシル末端へと、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのいずれも、典型的に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4の順で、ドメインを含む。
【0028】
「CDRセット」という用語は、抗原に結合することが可能な、単一の可変領域内で生じる、3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従い、異なる形で規定されている。Kabat(Kabatら、「SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)および(1991))により記載されているシステムは、抗体の任意の可変領域に適用可能な、明確な残基番号付けシステムを提示するだけでなく、また、3つのCDRを規定する、正確な残基境界も提示する。これらのCDRは、KabatによるCDRと称される。
【0029】
本明細書で使用される、「Fc」という用語は、単量体形態であれ、多量体形態であれ、抗体の消化から生じるか、または他の手段により作製される、非抗原結合性断片の配列を指し、ヒンジ領域を含有しうる。天然のFcの、元の免疫グロブリン供給源は、好ましくは、ヒト由来であり、免疫グロブリンのうちのいずれかでありうる。Fc分子は、共有結合的会合(すなわち、ジスルフィド結合)および非共有結合的会合により、二量体形態または多量体形態へと連結される単量体ポリペプチドから作られる。天然のFc分子単量体のサブユニットの間の、分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、およびIgE)またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2、およびIgG4)に応じて、1つ~4つの範囲である。Fcの1つの例は、IgGのパパイン消化から生じる、ジスルフィド結合した二量体である。本明細書で使用される、「天然Fc」という用語は、単量体形態、二量体形態、および多量体形態に対して総称的である。
【0030】
本明細書で使用される、「全奏効率」または「ORR」という用語は、Kumarら(2016)、「International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma」、Lancet Oncol.、17(8):e328~e346;およびDurieら(2006)、「International uniform response criteria for multiple myeloma」、Leukemia、20:1467~1473において記載されている、IMWG奏効基準を使用して、IRCにより評価される通り、sCR(stringent complete response)、完全奏効(CR)、VGPR(very good partial response)、および部分奏効(PR)を伴う個体/患者の比率を指す。また、本明細書における表Aも参照されたい。
【0031】
概観
本明細書では、多発性骨髄腫のための、1つ、2つ、3つ、または3つを超える先行治療を施された個体における、多発性骨髄腫を処置するか、またはこの進行を遅延させるための方法が提示される。方法は、個体へと、有効量の抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)、カルフィルゾミブ、およびデキサメタゾンを投与する工程を含む。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)および/または全生存(OS)を延長する。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)および/または全生存(OS)を、処置を施されない個体と比較して延長する。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)および/または全生存(OS)を、カルフィルゾミブおよびデキサメタゾンを伴うが、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を伴わない処置を施される個体と比較して延長する。一部の実施形態では、個体は、処置後において、微小残存病変(MRD)について陰性(例えば、閾値を、10-4もしくはこれ未満、10-5もしくはこれ未満、または10-6もしくはこれ未満とする)である。
【0032】
抗CD38抗体
一部の実施形態では、抗CD38抗体は、ヒトCD38に結合する。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、(a)アミノ酸配列であるDYWMQ(配列番号1)を含むCDR-H1、アミノ酸配列であるTIYPGDGDTGYAQKFQG(配列番号2)を含むCDR-H2、およびアミノ酸配列であるGDYYGSNSLDY(配列番号3)を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(V)、ならびに(b)アミノ酸配列であるKASQDVSTVVA(配列番号4)を含むCDR-L1、アミノ酸配列であるSASYRYI(配列番号5)を含むCDR-L2、およびアミノ酸配列であるQQHYSPPYT(配列番号6)を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(V)を含む。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号7と、少なくとも90%同一(例えば、これらの値の間の任意の範囲を含む、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のうちの少なくともいずれか1つ)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(V)を含む。加えて、または代替的に、一部の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号8または配列番号9と、少なくとも90%同一(例えば、これらの値の間の任意の範囲を含む、91%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のうちの少なくともいずれか1つ)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(V)を含む。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号7を含むVと、配列番号8または配列番号9を含むVとを含む。
QVQLVQSGAE VAKPGTSVKL SCKASGYTFT DYWMQWVKQR PGQGLEWIGT IYPGDGDTGY
AQKFQGKATL TADKSSKTVY MHLSSLASED SAVYYCARGD YYGSNSLDYW GQGTSVTVSS
(配列番号7)
DIVMTQSHLS MSTSLGDPVS ITCKASQDVS TVVAWYQQKP GQSPRRLIYS ASYRYIGVPD
RFTGSGAGTD FTFTISSVQA EDLAVYYCQQ HYSPPYTFGG GTKLEIKR(配列番号8)
DIVMAQSHLS MSTSLGDPVS ITCKASQDVS TVVAWYQQKP GQSPRRLIYS ASYRYIGVPD
RFTGSGAGTD FTFTISSVQA EDLAVYYCQQ HYSPPYTFGG GTKLEIKR(配列番号9)
【0033】
一部の実施形態では、抗CD38抗体は、イサツキシマブ(CAS登録番号:1461640-62-9)である。hu38SB19およびSAR650984としてもまた公知である、イサツキシマブは、それらのいずれの内容も、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、WO2008/047242および米国特許第8,153,765号において記載されている、抗CD38抗体である。
【0034】
イサツキシマブの重鎖は、アミノ酸配列:
QVQLVQSGAE VAKPGTSVKL SCKASGYTFT DYWMQWVKQR PGQGLEWIGT IYPGDGDTGY
AQKFQGKATL TADKSSKTVY MHLSSLASED SAVYYCARGD YYGSNSLDYW GQGTSVTVSS
ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV HTFPAVLQSS
GLYSLSSVVT VPSSSLGTQT YICNVNHKPS NTKVDKKVEP KSCDKTHTCP PCPAPELLGG
PSVFLFPPKP KDTLMISRTP EVTCVVVDVS HEDPEVKFNW YVDGVEVHNA KTKPREEQYN
STYRVVSVLT VLHQDWLNGK EYKCKVSNKA LPAPIEKTIS KAKGQPREPQ VYTLPPSRDE
LTKNQVSLTC LVKGFYPSDI AVEWESNGQP ENNYKTTPPV LDSDGSFFLY SKLTVDKSRW
QQGNVFSCSV MHEALHNHYT QKSLSLSPG(配列番号10)
を含み、イサツキシマブの軽鎖は、アミノ酸配列:
DIVMTQSHLS MSTSLGDPVS ITCKASQDVS TVVAWYQQKP GQSPRRLIYS ASYRYIGVPD
RFTGSGAGTD FTFTISSVQA EDLAVYYCQQ HYSPPYTFGG GTKLEIKRTV AAPSVFIFPP
SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT
LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC(配列番号11)
を含む。
【0035】
抗CD38抗体は、組換え法を使用して作製される。抗抗原抗体を組換え作製するために、抗体をコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために、複製用ベクターへと挿入される。抗体をコードするDNAは、常套的手順(例えば、とりわけ、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)を使用して、たやすく単離され、シーケンシングされる。多くのベクターが利用可能である。ベクターの構成要素は、一般に、以下のうちの1つまたはそれ以上:シグナル配列、複製起点、1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列を含むがこれらに限定されない。核酸の発現に適する宿主細胞は、典型的に、ベクターにより形質転換される。一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞または原核細胞である。一部の実施形態では、真核宿主細胞は、哺乳動物細胞である。有用な哺乳動物宿主細胞系の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1細胞系(COS-7;ATCC:CRL1651);ヒト胎児由来腎臓細胞系(293細胞または懸濁培養物中で増殖させるためにサブクローニングされた293細胞;Grahamら、J.Gen Virol.、36:59(1977));ベイビーハムスター腎臓細胞(BHK;ATCC:CCL10);マウスセルトリ細胞(TM4;Mather、Biol.Reprod.、23:243~251(1980));サル腎臓細胞(CV1;ATCC:CCL70);アフリカグリーンモンキー腎臓細胞(VERO-76;ATCC:CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA;ATCC:CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK;ATCC:CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A;ATCC:CRL1442);ヒト肺細胞(W138;ATCC:CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562;ATCC:CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、383:44~68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒトヘパトーマ細胞系(Hep G2)である。他の有用な哺乳動物宿主細胞系は、DHFR-CHO細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにNS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞系を含む。抗体の作製に適するある特定の哺乳動物宿主細胞系の総説については、例えば、YazakiおよびWu、Methods in Molecular Biology、Vol.248(B.K.C.Lo編、Humana Press、Totowa、NJ)、255~268頁(2003)を参照されたい。細胞から調製された抗CD38抗体は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、およびアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製されるが、アフィニティークロマトグラフィーが、典型的に好ましい精製工程のうちの1つである。一般に、当技術分野では、調査研究、検査、および臨床適用における使用のための抗体を調製するための多様な方法が、十分に確立されており、上記の方法と符合し、かつ/または当業者により適切であると見なされる通りである。
【0036】
医薬組成物および製剤
本明細書ではまた、例えば、多発性骨髄腫(不応性多発性骨髄腫または再発性および不応性多発性骨髄腫など)の処置のための、医薬組成物および製剤であって、抗CD38抗体(イサツキシマブなど)、カルフィルゾミブ、またはデキサメタゾンを含む医薬組成物および製剤も提示される。一部の実施形態では、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)、カルフィルゾミブ、およびデキサメタゾンの各々が、個別の医薬組成物として提供される。一部の実施形態では、医薬組成物および製剤は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0037】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗CD38抗体(イサツキシマブなど)は、約20mg/mL(25mL当たり500mg)の抗体、約20mMのヒスチジン、約10%(w/v)のスクロース、約0.02%(w/v)のポリソルベート80を含む、pH6.0の製剤中に存在する。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗CD38抗体(イサツキシマブなど)は、約20mg/mLの抗体、約100mg/mLのスクロース、2.22mg/mLのヒスチジン塩酸塩一水和物、約1.46mg/mlヒスチジン、および約0.2mg/mlポリソルベート80を含む製剤中に存在する。一部の実施形態では、製剤は、滅菌注射用水(SWFI)などの注射用水(WFI)を含む。一部の実施形態では、製剤は、滅菌製剤である。一部の実施形態では、製剤の、単回の使用は、5mlの製剤(すなわち、100mgの抗CD38抗体)を含む。一部の実施形態では、単回使用の、5ml製剤は、例えば、エラストマー製の止栓を装着された、16mL型の無色透明ガラス製バイアルにより提供される。一部の実施形態では、バイアルの充填容量は、5mLの除去を確保するように確立されている。一部の実施形態では、充填容量は、5.4mLである。一部の実施形態では、製剤の、単回の使用は、25mlの製剤(すなわち、500mgの抗CD38抗体)を含む。一部の実施形態では、単回使用の、25ml製剤は、例えば、エラストマー製の止栓を装着された、30mLの無色透明ガラス製バイアルにより提供される。一部の実施形態では、バイアルの充填容量は、25mLの除去を確保するように確立されている。一部の実施形態では、製剤は、約2℃~約8℃の間の温度において、光から保護された場合、それらの値の間の、任意の範囲を含む、少なくとも約6、12、18、24、30、または36カ月間にわたり安定である。一部の実施形態では、製剤は、注入のために、0.9%の塩化ナトリウム中または5%のデキストロース中で希釈される。一部の実施形態では、希釈注入溶液は、約2℃~約8℃の間において、それらの値の間の、任意の範囲を含む、約6、12、18、24、30、36、42、または48時間までにわたり安定である。一部の実施形態では、注入用の希釈溶液は、約2℃~約8℃の間における保管に続き、室温において、さらに8時間(注入時間を含む)にわたり安定である。一部の実施形態では、注入用の希釈溶液は、光の存在下で、安定である。一部の実施形態では、注入用の希釈溶液が保管されるバッグは、フタル酸ジ(エチルヘキシル)(DEHP)またはエチレン酢酸ビニル(EVA)を伴う、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)から作製される。一部の実施形態では、注入用に使用されるチューブは、直列式フィルター(ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン、またはナイロン)を伴う、PE、PVC(DEHPを伴うか、またはこれを伴わない)、ポリブチルジエン(PBD)、またはポリウレタン(PU)から作製される。
【0038】
処置法
本明細書では、個体(例えば、ヒト個体)における、多発性骨髄腫を処置するか、またはこの進行を遅延させるための方法であって、個体へと、有効量の抗CD38抗体(例えば、(a)アミノ酸配列であるDYWMQ(配列番号1)を含むCDR-H1、アミノ酸配列であるTIYPGDGDTGYAQKFQG(配列番号2)を含むCDR-H2、およびアミノ酸配列であるGDYYGSNSLDY(配列番号3)を含むCDR-H3を含む重鎖可変ドメイン(V)、ならびに(b)アミノ酸配列であるKASQDVSTVVA(配列番号4)を含むCDR-L1、アミノ酸配列であるSASYRYI(配列番号5)を含むCDR-L2、およびアミノ酸配列であるQQHYSPPYT(配列番号6)を含むCDR-L3を含む軽鎖可変ドメイン(V)を含む、抗CD38抗体)を投与する工程を含む方法が提示される。一部の実施形態では、抗CD38抗体は、イサツキシマブである。
【0039】
一部の実施形態では、方法は、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;イサツキシマブを、28日間のサイクルの、1および15日目に、少なくとも11サイクルにわたり、10mg/kgの用量で投与する工程;およびイサツキシマブを、少なくとも11サイクルに続く、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、方法は、イサツキシマブを、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも23サイクルにわたり投与する工程、ならびにイサツキシマブを、少なくとも23サイクルに続く、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)を延長する。
【0040】
一部の実施形態では、方法は、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目(例えば、毎週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;イサツキシマブを、最初の28日間のサイクルに続く、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目(例えば、隔週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルに続く、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの中の、1つまたはそれ以上の時点において、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルを測定する工程;ならびに1つまたはそれ以上の時点において、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルが、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でない場合に、またはこの後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、1日目(例えば、4週間ごとに1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。当技術分野では、血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルを測定する方法が周知であり、例えば、Jenkins(2009)、Clin Biochem Rev.、30(3):119~122;Leung、Nelson、「8章:Clinical Tests for Monoclonal Proteins」、Onco-Nephrology Curriculum」、American Society of Nephrology、2016、1~5頁において記載されている。一部の実施形態では、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルは、1つまたはそれ以上の時点の後、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でない。一部の実施形態では、イサツキシマブは、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルが、1つまたはそれ以上の時点の後、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でない場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、方法は、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目(例えば、毎週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、最初の28日間のサイクルの後に、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルが、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でなくなるまで、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目(例えば、隔週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程、ならびに抗CD38抗体(イサツキシマブ)を、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルが、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でないことが決定される場合に、またはこの後に、28日間のサイクルごとの1日目(例えば、4週間ごとに1回)に投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でない。一部の実施形態では、イサツキシマブは、個体の血清中Mタンパク質レベルおよび尿中Mタンパク質レベルが、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり、免疫固定により検出可能であるが、電気泳動により検出可能でない場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも23サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)を延長する。
【0041】
一部の実施形態では、方法は、個体の血清中Mタンパク質を、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を投与する前の、第1の時点において測定する工程;イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目(例えば、毎週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、最初の28日間のサイクルの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目(例えば、隔週1回)において、10mg/kgの用量で投与する工程;個体の血清中Mタンパク質を、最初の28日間のサイクルの後に、少なくとも1つまたはそれ以上の、28日間のサイクル中の、第2の時点において測定する工程;ならびに(a)第2の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)第2の時点における、個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満である場合に、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、1日目(例えば、4週間ごとに1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルが、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持された後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、方法は、個体の血清中Mタンパク質レベルを、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)の投与の前に測定する工程;抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目(例えば、毎週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、イサツキシマブの投与の前における、血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減され、(b)第2の時点における、個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満となるまで、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目(例えば、隔週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;ならびに(a)個体の血清中Mタンパク質レベルが、第1の時点における、個体の血清中Mタンパク質レベルと比較して、少なくとも90%低減されることが決定され、(b)個体の尿中Mタンパク質レベルが、24時間当たり100mg未満であることが決定された後で、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、28日間のサイクルごとの1日目(例えば、4週間ごとに1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、個体の血清中Mタンパク質レベルの低減、および24時間当たり100mg未満である、個体の尿中Mタンパク質レベルが、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも23サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)を延長する。
【0042】
一部の実施形態では、方法は、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目(例えば、毎週1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後、個体が、少なくともVGPR(「very good partial response」)の応答を達成するまで、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目(例えば、隔週1回)に、10mg/kgの用量で投与し、個体が、少なくともVGPRを達成する場合に、またはこの後に、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を、28日間のサイクルごとの1日目(例えば、4週間ごとに1回)に、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体は、少なくとも安定的なVGPRを達成する。一部の実施形態では、安定的なVGPRとは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持されるVGPRを指す。一部の実施形態では、イサツキシマブは、少なくともVGPRの応答が、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、VGPRは、それらの内容が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Kumarら(2016)、「International Myeloma Working Group consensus criteria for response and minimal residual disease assessment in multiple myeloma」、Lancet Oncol.、17(8):e328~e346;およびDurieら(2006)、「International uniform response criteria for multiple myeloma」、Leukemia、20:1467~1473における基準に従い評価される(また、表Aも参照されたい)。一部の実施形態では、方法は、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、個体が、少なくともVGPR(very good partial response)の応答を達成するまで、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;および個体が、少なくともVGPRの応答を達成した場合に、またはこの後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体は、少なくとも安定的なVGPRを達成する。一部の実施形態では、安定的なVGPRとは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持されるVGPRを指す。一部の実施形態では、イサツキシマブは、少なくともVGPRの応答が、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、方法は、イサツキシマブを、個体へと、最初の28日間のサイクルの、1、8、15、および22日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で投与する工程;最初の28日間のサイクルの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクル中の、1つまたはそれ以上の時点において、個体の処置に対する応答を測定し、少なくともVGPR(very good partial response)を有する個体を選択する工程;ならびにイサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、さらなる28日間のサイクルの、28日間ごとに1回、10mg/kgの用量で、選択された個体へと投与する工程を含む。一部の実施形態では、個体は、少なくとも安定的なVGPRを達成する。一部の実施形態では、安定的なVGPRとは、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持されるVGPRを指す。一部の実施形態では、イサツキシマブは、少なくともVGPRの応答が、少なくとも約1、2、3、もしくは4週間のうちのいずれか1つの期間、または少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、もしくは12カ月間のうちのいずれか1つの期間にわたり維持される場合に、またはこの後に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも11サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、イサツキシマブは、イサツキシマブを、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルのうちの、28日間ごとに1回投与する前に、1つまたはそれ以上の、28日間のサイクルの、1および15日目に、10mg/kgの用量で、少なくとも23サイクルにわたり投与される。一部の実施形態では、処置は、個体の無進行生存(PFS)を延長する。
【0043】
一部の実施形態では、多発性骨髄腫は、くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)である。一部の実施形態では、多発性骨髄腫は、新規診断多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、多発性骨髄腫は、再発性多発性骨髄腫および/または不応性多発性骨髄腫(RRMM)である。一部の実施形態では、個体は、多発性骨髄腫のための、1つ、2つ、または3つの先行治療を施された。一部の実施形態では、個体は、多発性骨髄腫のための、3つを超える先行治療を施された。一部の実施形態では、個体は、プロテアソーム阻害剤による先行治療を施された。一部の実施形態では、個体は、免疫調節剤による先行治療を施された。
【0044】
一部の実施形態では、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)は、少なくとも1つのさらなる薬剤と併用して投与される。一部の実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬剤は、免疫調節薬を含む。一部の実施形態では、免疫調節薬は、サリドマイド、レナリドミド、またはポマリドミドである。一部の実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬剤は、プロテアソーム阻害剤を含む。一部の実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ、オプロゾミブ、およびイキサゾミブである。一部の実施形態では、少なくとも1つのさらなる薬剤は、コルチコステロイドを含む。一部の実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。
【0045】
製品またはキット
本発明についての、別の実施形態では、抗CD38抗体(イサツキシマブなど)を含む、製品またはキットが提供される。一部の実施形態では、製品またはキットは、少なくとも1つのさらなる薬剤(例えば、本明細書で記載される、1つまたはそれ以上のさらなる薬剤)をさらに含む。一部の実施形態では、製品またはキットは、多発性骨髄腫(例えば、くすぶり型多発性骨髄腫、新規診断多発性骨髄腫、不応性多発性骨髄腫、または再発性/不応性多発性骨髄腫)を処置するか、またはこの進行を遅延させるための、本明細書で記載される方法に従い、抗CD38抗体(例えば、イサツキシマブ)を使用するための指示書を含む添付文書をさらに含む。
【0046】
本明細書は、当業者が、本発明を実施することを可能とするのに十分であると考えられる。当業者には、上述の記載から、本明細書で示され、記載される改変に加えた、本発明に対する、多様な改変が明らかとなり、付属の特許請求の範囲内に収まるであろう。本明細書で引用される、全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のために、参照によりそれらの全体において組み込まれる。
【実施例
【0047】
本開示は、以下の実施例を参照することにより、より十分に理解されるであろう。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本明細書で記載される実施例および実施形態は、それに照らして、多様な改変または変化が、当業者に示唆される、例示だけを目的とするものであり、本出願および付属の特許請求の範囲の、精神および範囲内に含まれるべきであることが理解される。
【0048】
実施例1
再発性/不応性多発性骨髄腫患者における、イサツキシマブの、毎月1回の投与レジメンについて査定するための、モデルベースの手法
背景
イサツキシマブ(Isa)は、直接的な腫瘍ターゲティングおよび免疫細胞エンゲージメントを介して、腫瘍細胞を死滅させるための、複数の作用方式を伴うCD38モノクローナル抗体である(Morenoら(2019)、Clin Cancer Res.、25(10):3176~3187)。Isaの、ポマリドミド(P)およびデキサメタゾン(d)への追加は、再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)を伴い、前処置を重ねた患者における、無進行生存(PFS)の、有意かつ臨床的に有意義な利益と関連した(Attalら(2019)、Lancet、394(10214):2096~2107)。Pdと組み合わされたIsaは、米国、欧州連合、カナダ、オーストラリア、スイス、および日本において、RRMMを伴い、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害剤を含む、少なくとも2つの先行治療を施された、成人患者の処置について承認されている。
【0049】
目的
本実施例の眼目は、上記で論じられた、ポマリドミドおよびデキサメタゾンと組み合わされたイサツキシマブについてのフェーズ3臨床試験(「Isa-Pd試験」)に由来するデータを使用して、RRMM患者における、血清中Mタンパク質の反応速度と、PFSとの関係を特徴付け、例えば、無進行生存の長さにより測定される、臨床利益を保持するように、いつ、イサツキシマブによる処置を、Q2Wの投与から、毎月1回の投与へと切り替えるのかについて評価するために、経時血清中Mタンパク質およびPFSをシミュレートすることであった。
【0050】
方法
Isa-Pd試験からの、256例の査定可能患者に由来するデータを使用して、血清中Mタンパク質動態と、PFSとについてのジョイントモデルを開発した。患者に、Isaを、静脈内において、10mg/kgで、毎週1回(QW)、4週間にわたり施し、次いで、Isaを、標準的Pdと組み合わせて(Isa-Pd)、隔週1回(Q2W)、28日間のサイクルにわたり施すか、または対照アームにおいて、Pd単独を施した。腫瘍増殖抑制モデルは、集団についてのPK解析から得られた、個別のPKパラメータを使用して、Isaへの曝露が予測される、Isa-PdまたはPd単独の処置効果下における、血清中Mタンパク質の反応速度について記述する(Fauら、「Pharmacokinetic time-dependency and covariates modelling of Isatuximab monoclonal antibody in multiple myeloma patients: analysis from pooled phase I/II & phase III studies」、Population Approach Group in Europe 2019 Meeting、Stockholm、Sweden、2019年6月11~14日、「抄録」、8956)のに使用し、Pdへの曝露は、投与歴を使用して、K-PDモデルから予測した。次いで、毎月1回の投与レジメンへと切り替えた後で、効能が維持されるのかどうかについて査定するために、Isa-Pd試験に由来する、患者についての、個別のPK/PDパラメータを使用して、試験のシミュレーションを実施した。
【0051】
結果
ジョイントモデルは、血清中Mタンパク質の瞬間的変化(傾き)を、PFSについての、処置にもとづく、最良の予測因子として同定し、血清中Mタンパク質の反応速度に影響を与えるベースラインの患者特徴(ベースラインの血清中Mタンパク質レベルに影響を与える、血清中アルブミンおよび血清中β2マイクログロブリン、血清中Mタンパク質の増殖速度、血清中Mタンパク質の傾きに影響を与える、非IgG型MM)、およびPFSに影響を与えるベースラインの患者特徴(形質細胞腫の存在)もまた同定した。非IgG型MM患者が、高度の曝露を伴ってもなお、最初の60週間にわたり、IgG型MM患者と比較して、血清中Mタンパク質の反応速度に対する、同様の挙動、および同様の無進行生存を示したことは、IgG状態に基づく、用量以外の調節を裏書きする。フェーズ3 Isa-Pd試験で使用されたレジメンについての、臨床試験のシミュレーションは、6カ月後において、全ての患者を、処置について、毎月1回のIsaレジメンへと切り替えるならば、4.1週間後までに、無増悪期間(TTP)中央値を短縮し(すなわち、血清中Mタンパク質を、最低値と比較して、25%を超えて増大させ、絶対量を、5g/Lを超えて増大させ)、2.3週間後までに、PFS中央値を短縮する(14.03カ月間から、13.45カ月間へと)ことを裏付けた。TTP基準に基づくと、早期進行の危険性がない患者(57.7%)は、6カ月後における切替えにより、ベースラインの腫瘍量が低下し(血清中Mタンパク質が低下し、骨髄形質細胞パーセントが低下し)、予後因子が好転した(糸球体濾過速度が増大し、アルブミンが増大し、β2マイクログロブリンが低下した)。6カ月後において、これらの患者のうちの85%は、予測された、安定的な、「少なくとも」VGPR状態を有した。
【0052】
結論
試験のシミュレーションは、承認されている、10mg/kg、QW/Q2Wのイサツキシマブレジメンの選出を裏書きし、6カ月後における、毎月1回のIsaレジメンへの切替えが、一般集団における臨床利益を削減しうることを示した。しかし、患者のうち、予後良好であり、6カ月後までに、安定的な、少なくともVGPR状態を得る部分集団は、6カ月後において、疾患進行の危険性を増大させずに、毎月1回のレジメンへと切り替えることが可能でありうる。モデルベースの薬物開発は、RRMM患者における処置決定を裏書きする適用に成功した。
【0053】
実施例2
ポマリドミド/デキサメタゾンを伴う、代替的イサツキシマブ投与についての、Mタンパク質動態および無進行生存の、ジョイントモデル化およびシミュレーション
a)導入
著明な進歩および全生存(OS)の延長にも拘わらず、多発性骨髄腫(MM)は、依然として、治癒不能のままであり、患者の大部分は、再発し、さらなる処置を要求する[1]。イサツキシマブは、MM内の膜貫通型糖タンパク質であるCD38をターゲティングする免疫グロブリンG1(IgG1)型モノクローナル抗体である。イサツキシマブは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用、相補体依存性細胞傷害作用、架橋を伴わない、アポトーシスの直接的誘導、およびCD38酵素活性の阻害を含む、複数の生物学的機構を介して、腫瘍細胞を死滅させる。再発性/不応性MM(RRMM)を伴う患者についてのフェーズ1b研究では、10mg/kg、毎週1回/2回(QW-Q2W)の、ポマリドミド(P)および低用量デキサメタゾンと組み合わされた、イサツキシマブ(Isa)投与(d、Isa-Pd)は、64.5%の全奏効率(ORR)、および17.6カ月間の無進行生存(PFS)中央値を達成した。曝露-反応関係、および腫瘍量(血清中Mタンパク質)の疾患モデル化と組み合わされた、これらの結果は、Isa-Pdの10mg/kg、QW-Q2Wについての正当化をもたらした[2、3]。次いで、この組合せを、フェーズ3 ICARIA-MM研究において評価したところ、これは、イサツキシマブの、Pdへの追加が、RRMM患者におけるPFSを、著明に改善することを示した[4]。このピボタル研究に基づき、Pdと組み合わされたイサツキシマブは、複数の国において、レナリドミドおよびプロテアソーム阻害剤を含む、2つ以上の先行処置選択肢を施されたRRMM患者について承認された。さらに、現在のところ、カルフィルゾミブ/デキサメタゾンと組み合わされたイサツキシマブは、フェーズ3 IKEMA研究に基づき、米国において、1つ~3つの先行処置選択肢を施された再発性MM患者について承認され、欧州連合では、1つ以上の先行治療を施されたMM患者について承認されている[5~7]。
【0054】
腫瘍増殖抑制(TGI)モデルを開発し、多様な臨床状況に由来するがん患者における臨床応答である全生存率(OS)またはPFS率を予測するための取組みがなされている[8、9]。TGIモデルは、OSまたはPFSを予測する、早期における腫瘍サイズの変化を見出すのに使用される。ジョイントモデルは、バイオマーカー、腫瘍サイズ、ならびに進行および死など、臨床事象の発生率などの経時転帰を介して、連続的疾患進行の間の関係について、共時的に探索するための、有望な枠組みとして出現した。これらのモデルは、情報のある打切りの文脈下にあるパラメータについての、正確かつ不偏の推定をもたらす[10]。機構的ジョイントモデルは、尿路上皮癌におけるアテゾリズマブ、転移性前立腺がんにおけるカバジタキセル、および転移性結腸直腸がんにおけるアフリベルセプトについての臨床試験において、OSを予測した[11~13]。
【0055】
大半の患者において、MMは、異常な形質細胞により産生される、パラプロテインと呼ばれる単クローン性Igタンパク質(Mタンパク質)の分泌により特徴づけられる。充実性腫瘍についての腫瘍量と同様に、血清中Mタンパク質レベルは、MM患者についての奏効基準の一部であり[14]、このため、それらの動的変化は、長期にわたる臨床利益(PFS、OS)を予測しうる。MMにおけるいくつかの例は、経時Mタンパク質に基づく、TGIのモデル化が、OSまたはPFSを予測するのに使用されることを示した[15~18]。
【0056】
イサツキシマブについて、ジョイントモデル化の枠組みは、早期薬物開発結果を、フェーズ1/2単剤療法研究およびフェーズ1組合せ研究に由来する末期臨床データと共に組み込むのに使用された[2、3、19]。疾患の進行は、当初、ジョイントモデルを使用し、脱落を考慮に入れ、血清中Mタンパク質動態と併せて捕捉された。経時血清中Mタンパク質のモデル化は、患者の応答に対する、時間経過にわたる、より深い洞察をもたらし、MM患者における、フェーズ2およびフェーズ3における投与レジメンの選択を裏書きした。この枠組みおよびモデル化法は、PFSを説明し、これにより、異なる投与戦略の利益の探索における、モデルによる予測値およびシミュレーション値を改善するように拡大される。
【0057】
したがって、本作業の眼目は、(i)ICARIA-MM研究の、Isa-PdアームおよびPdアームの両方のRRMM患者における、血清中Mタンパク質の反応速度、ベースラインの共変量、およびPFSの間の関連について、定量的に査定し、(ii)6カ月後に、仮説的な、毎月1回のイサツキシマブ投与レジメンへと切り替えた場合における、経時血清中Mタンパク質およびPFSをシミュレートすることであった。
【0058】
b)材料および方法
研究デザインおよびデータ
データは、フェーズ3 ICARIA-MM研究から得た。イサツキシマブを、10mg/kg QWで、4週間にわたり静脈内投与するのに続き、標準的ポマリドミド(各サイクル内の1~21日目、経口における4mg)、およびデキサメタゾン(75歳以上の患者について、各サイクルの1、8、15、22日目、経口または静脈内において、40または20mg)と組み合わせて、隔週1回で、28日間のサイクルにわたり投与した。研究は、ヘルシンキ宣言およびICH GCPガイドラインの原則に従い行った。プロトコールは、施設の審査委員会、および参加施設における、独立の倫理委員会により承認された。全ての患者は、説明同意文書を提出した。研究の主要評価項目は、PFSであった。奏効および疾患の進行は、中央検査室におけるMタンパク質についての評価および放射線鑑別に基づき、International Myeloma Working Group(IMWG)基準を使用して、独立の奏効審査委員会により決定された[14]。1つのベースラインの値を含む、2つ以上の血清中Mタンパク質値を伴い、血清中Mタンパク質により、奏効が査定される患者は、解析に組み入れた。血清中Mタンパク質は、免疫捕捉と、高分解能質量分析とカップリングされた液体クロマトグラフィーとを使用するハイブリッドアッセイにより評価した。プロトコールに従い、ベースライン、各サイクルの終点、および研究の終了時において、血清中Mタンパク質を測定した。
【0059】
モデルの開発
両方の研究アームに由来する、血清中Mタンパク質経時データと、PFSデータとを、まず、個別にモデル化した。時間経過にわたる処置への曝露を、イサツキシマブについての、個別のPKパラメータにより予測される濃度を使用する経時モデル、およびポマリドミドおよびデキサメタゾンについての反応速度-薬力学(K-PD)モデルに導入した。次いで、いくつかのジョイントモデルを使用して、血清中Mタンパク質の反応速度と、PFSとの間の、最良のリンクを見出した。
【0060】
イサツキシマブについての、集団PKモデル
中枢コンパートメントからの、線形および非線形(ミカエリス-メンテン)並列消失を伴う2コンパートメントPKモデル、および時変線形クリアランス関数を使用して、ICARIA-MMを含む、フェーズ1~3における、4つの臨床試験から収集された、イサツキシマブの血漿中濃度対時間データについて記述した[20]。この構造PKモデルの式は、実施例2Aに提示する。ICARIA-MM患者についての、個別のPKパラメータは、事後的推定値として得、PKデータを伴わない患者には、典型的PKパラメータを割り当てた。
【0061】
ポマリドミドおよびデキサメタゾンについてのK-PDモデル
本研究では、組み合わされたPdの濃度は、測定しなかったので、これらの薬物についての反応速度は、K-PDモデル化法を使用して、簡略化した[21]。したがって、これらのPKは、ボーラス投入、ならびにそれらの中枢分布容量、および文献[22、23]におけるクリアランス値の推定値から導出された、一定の消失速度定数を伴う、単純な、仮想的1コンパートメント法により記述した。
【0062】
Mタンパク質データについてのTGIモデル、および共変量の選択
腫瘍の増殖、抗腫瘍薬の効果、および薬物の効果に対する耐性の動態について説明するTGIモデルは、Claretら[24]により開発された。このモデルはまた、文献では、MM患者における、腫瘍増殖のサロゲートとしての、血清中Mタンパク質データについて記述するのにも適用されて成功した[15、16、18、25、26]。この解析では、ClaretによるTGIモデルから引き出された、機構ベースのモデルが、根底をなす疾患進行、およびイサツキシマブおよびPdへの曝露により駆動される、血清中Mタンパク質の時間経過に対する薬物効果について記述するのに提起された。図1に示された、このTGIモデルのための構造モデルは、以下の微分方程式:
【数1】
[式中、Mは、時点tにおける血清中Mタンパク質であり、Mは、ベースラインの血清中Mタンパク質であり、Kは、腫瘍の増殖速度であり、KDおよびKDpdは、それぞれ、イサツキシマブへの曝露、および組み合わされたPdへの曝露に起因する減少速度であり、RおよびRpdは、それぞれ、イサツキシマブ、および組み合わされたPdに対する耐性の出現についての速度定数であり、CiM、CpM、およびCdMは、それぞれ、時点tにおける、イサツキシマブ、ポマリドミド、およびデキサメタゾンのモル濃度である]により記述される。Mタンパク質の減少速度であるKDpdの増大における、CpMおよびCdMの寄与は、単独におけるポマリドミド、またはデキサメタゾンと組み合わされたポマリドミドを比較する、無作為化フェーズ2研究[27]による奏効率に基づき、同等であると仮定した。
【0063】
対数正規分布を含意する、個体間指数モデルを、全てのパラメータに含めた。対角行列を使用して、分散-共分散行列をモデル化した。加法モデルと、比例モデルとの組合せを使用して、残差のばらつきをモデル化した。
【0064】
ベースモデルを得た後に、共変量解析を実施した。26のベースライン共変量:人口学、ベースラインの検査室測定値、および疾患に関連する患者特徴について調べた。下記の表Bを参照されたい。データ逸失の場合、連続共変量については、中央値を入力し;カテゴリー共変量については、逸失を、さらなるカテゴリーと考えた。個別のパラメータ推定値を使用して、まず、グラフにより、パラメータ-共変量関係を探索した。次いで、共変量モデルの自動式構築のために、COSSAC(Conditional Sampling for Stepwise Approach based on Correlation test)共変量選択アルゴリズムを使用した[28、29]。補正版ベイズ情報量基準(BICc)を使用して、最良の共変量モデルを選択した[30]。加えて、ワルド検定によるp値が<0.05である、有意な共変量だけを、最終モデルにおいて保持した。
【0065】
【表2-1】
【表2-2】
【0066】
PFSモデル、および共変量の選択
パラメトリック比例ハザードモデルを、ベースラインのハザード値についての対数ロジスティック分布と共に使用して、PFSをモデル化:
【数2】
[式中、Teは、スケールパラメータ(特性時間)であり、sは、形状パラメータである]した。指数分布およびワイブル分布についてもまた検定した。古典的ステップワイズ共変量モデル化法を使用して、ベースラインの共変量を、潜在的予後因子として調べた。共変量の選択についても、経時Mタンパク質モデルの開発と同じ基準を使用した。
【0067】
血清中Mタンパク質およびPFSのジョイントモデル化
経時モデルと、PFSモデルとを、個別に構築し;その後、いくつかのジョイントモデルを使用して、血清中Mタンパク質の反応速度と、PFSとの間の、最良のリンク(リンクなし、カレントの血清中Mタンパク質、カレントのMタンパク質の傾きおよびAUCを含む)を見出した。経時サブモデルおよびPFSサブモデルにおいて見出された、有意な共変量を査定し、ワルド検定により、有意な共変量だけを、ジョイントモデルにおいて保持した。
【0068】
パラメータ推定
ソフトウェアである、Monolix v.2019R1に実装された、SAEM(Stochastic Approximation Expectation Maximization)アルゴリズムを使用して、全てのモデルについてのパラメータ推定を実施した。血清中Mタンパク質について、定量限界(LOQ)を下回るデータは、Monolixに実装された、拡張版SAEMアルゴリズムを使用して検討した。
【0069】
モデルの選択および査定
モデルの選択は、BICに基づき、最小のBICをもたらすモデルを保持した。それぞれ、個別重み付き残差(IWRES)、経時部分のためのVPC(visual predictive checks)、コックス-スネル残差および逸脱残差[31]、トレンド除去予測分布(pd)[32]、およびPFSのための、カプラン-マイヤーVPCを含む、残差ベースの診断法およびシミュレーションベースの診断法の両方について探索することにより、モデルの査定を実施した。個別の適合を目視することにより、または観察値を、個別の予測値と対比して比較することにより、さらなる適合度プロットについて評価した。Fribergら[33]により記載された方法を使用する経時VPCは、進行の危険性を説明した。略述すると、経時VPCは、シミュレーションにおける事象機構の再現、およびシミュレートされた進行時間の後に行われるシミュレーションの省略を伴った。PFS VPCは、各患者のデザイン、すなわち、用量レジメンおよび追跡期間を検討した。実際、シミュレートされた無増悪期間(TTP)は、追跡期間、処置の終了時、およびTTPの観察値のうちの最大時間により打ち切られた。
【0070】
毎月1回投与レジメンのシミュレーション
6カ月後の、仮説的な毎月1回のイサツキシマブ投与レジメンへの切替えの後における、経時血清中Mタンパク質およびPFSについて査定するために、Isa-PdアームおよびPdアームの両方を伴う、80週間にわたる、1,000の試験をシミュレートした。患者に、イサツキシマブを、10mg/kg QWで、4週間にわたり施し、次いで、Q2Wで、20週間にわたり施し、次いで、Isa-Pdアームにおいて、毎月1回施した。標準的Pdとの組合せ投与レジメンは、ICARIA-MMと同じであった。6カ月後において、危険性がある患者を、TTP(血清中Mタンパク質についての、最低値と比較した、25%を超える増大であって、絶対量の変化が、5g/L以上である増大)およびPFSに対する影響について査定した。イサツキシマブを、10mg/kg QW-Q2Wで施される患者を伴う、元のICARIA-MM Isa-Pdアームもまたシミュレートして、結果を、元のアームからの差違の中央値(第5~第95百分位数)として提示した。2つのレジメンについてのハザード比(HR)もまた、対照アームと対比して比較した。
【0071】
c)結果
モデル構築のために使用されたデータ
本解析では、ICARIA-MM試験における307例の無作為化患者のうち、256例の血清中Mタンパク質査定可能患者(アーム1つ当たりの患者128例)について検討した。この血清中Mタンパク質集団(N=256)内において、Isa-PdによるPFS中央値は、Pdと対比して、有意に長かった(11.4カ月間[95%CI:8.5~13.8]対6.96カ月間[95%CI:4.4~8.5];HR:0.618、95%CI:0.44~0.87;p=0.0048)。一般集団(N=307)については、PFSおよびHRについての、同様の観察値を得たが、ICARIA-MM患者のうちの16.6%は、この解析に含めることができなかった。
【0072】
ベースラインの患者特徴は、アームを越えて均衡させた。表Cを参照されたい。年齢中央値は、67歳(50%:女性)であった。ベースラインにおける、血清中β2-マイクログロブリンおよび血清中アルブミンの中央値は、それぞれ、3.5mg/Lおよび0.67g/Lであった。高危険性の細胞遺伝学因子が、53例(21%)の患者に存在し、推定糸球体濾過速度(e-GFR)中央値は、70mL/分であった。大半の患者は、IgG型MM(190例[74%])であり、形質細胞腫(232[91%])を有さず、64例(25%)および164例(64%)の患者は、それぞれ、診断時に、改訂国際病期分類(R-ISS)による病期IまたはIIを示した。ベースラインにおける、血清中Mタンパク質中央値は、23g/Lであり、処置時における、多様なプロファイルと併せて、広範にわたる値(5~95g/L)を伴った。256例の査定可能患者において、のべ2637の血清中Mタンパク質測定値について検討したところ、患者1例当たりの評価数の中央値は、14(範囲:2~22)であった。LOQを下回るデータは、14%(Isa-Pdアーム内において、22%;Pdアーム内において、6%)を占めた。
【0073】
【表3】

【0074】
血清中Mタンパク質の反応速度およびPFSのモデル化
提起されたTGIモデルは、いずれの研究アームの、経時血清中Mタンパク質データに対しても、十分な適合をもたらした。TGIモデルの性能は、Wangモデルより良好であった[34]。加えて、適合は、イサツキシマブのPKを追加する場合に、K-PDモデルだけと比較して改善された。26の潜在的共変量を、それらの、全ての経時モデルパラメータとの関係を調べることにより査定した。最終的な経時モデルは、3つの共変量:ベースラインにおける血清アルブミンおよびβ2-マイクログロブリンの、ベースラインにおける血清中Mタンパク質レベルに対する影響、ならびに非IgG型MMの、KLに対する影響、血清中Mタンパク質の増殖速度を含む。ベースラインのアルブミンレベルが低レベルであり、β2-マイクログロブリンレベルが高レベルである患者は、ベースラインの血清中Mタンパク質が高値である可能性が高かった。これらの検査室検査が、ISSおよびR-ISSの一部であり、予後評価に関連することは、注目に値する。非IgG型MM患者は、IgG型MM患者と比較して、より急速な腫瘍再増殖(すなわち、血清タンパク質レベルのより急速な再上昇)を有する傾向がある。
【0075】
PFSに関して述べると、対数ロジスティックモデルは、根底をなす、ベースラインのハザード分布を、最もよく特徴づけた。形質細胞腫の存在、血清中アルブミン、および血清中Mタンパク質など、ベースラインの共変量は、有意であった(p<0.005)。ベースラインの血清中Mタンパク質が高値であり、ベースラインのアルブミンが低値であり、形質細胞腫が存在する患者は、PFS中央値が低値であった。経時データおよびPFSのモデル化結果についての、さらなる情報を、表BおよびDに含める。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
血清中Mタンパク質およびPFSのジョイントモデル化
血清中Mタンパク質の傾きを使用するジョイントモデルの性能は、ベイズ情報量基準(BIC)に照らして、血清中Mタンパク質に依拠する、全てのモデルを凌駕し、リンクなしのモデル、すなわち、血清中Mタンパク質と、PFSとの間の関連を伴わないパラメトリック対数ロジスティックモデルと比較して、196ポイントの低下を伴った。カレントの血清中Mタンパク質値または累積血清中Mタンパク質(血清中Mタンパク質の曲線下面積)に基づく、代替モデルは、103未満のBICへの改善をもたらした。ジョイントモデルの、異なるリンク関数との比較を、表Fに提示する。最良の最終ジョイントモデルでは、経時モデルは、やはり、同じ3つの共変量を含むが;PFS部分には、形質細胞腫の存在だけが残る。血清中Mタンパク質の傾きを伴うジョイントモデルにより得られたパラメータ推定値を、表Gにまとめる。これらのパラメータ推定値は、妥当な形で、良好に推定され、固定効果および分散成分のいずれについての、相対標準誤差も小さかった。
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
血清中Mタンパク質の傾きと、PFSとの間で推定されるリンク値は、11.9の高値であり、処置に応答する、血清中Mタンパク質の低下が、PFSに、直接影響を与える、主要な構成要素である、IMWG基準と符合する。したがって、初期応答の場合、血清中Mタンパク質の低下は、0より低値であるカレントの傾きと関連し、このため、進行の危険性は、低減される。血清中Mタンパク質の反応速度、傾き、およびPFSの間の関係を、PFS事象を示すか、またはこれを示さない、6例の代表的患者について、図2に例示する。PFS確率は、腫瘍増殖時、すなわち、血清中Mタンパク質の傾きが増大するときに増大した。さらに、ベースラインの共変量は、血清中Mタンパク質の反応速度についてのパラメータ、およびPFSを修飾することが見出された。
【0082】
モデルの査定
モデルにより、多様な血清中Mタンパク質反応速度パターンが、良好に捕捉され、予測PFS確率は、進行または打切り事象の発生時点と符合する。図3は、最終ジョイントモデル下で、データと同じデザインおよび患者特徴を使用する、1000の臨床試験のシミュレーションにより、経時モデルおよびPFSモデルの両方について作出された、VPCプロットを示す。モデルは、観察された血清中Mタンパク質データ、およびPFSデータについて、妥当な形で良好に記述し、観察された中央値は、全体的に、90%の予測区間内に含まれた。しかし、モデルは、PFS基準を達成せずに治療を切り替えた、小さな患者群を捕捉しなかったので、早期の異常事象が観察された。最終ジョイントモデルはまた、アーム間で観察されたHR(図4)も、良好に予測し、観察されたHRは、予測されたHR中央値に近かった。さらなる適合度プロットを、図5A~5Gに提示する。
【0083】
共変量効果についての評価
集団パラメータを使用して、各共変量の効果を定量するように、シミュレーションを実施し、典型的患者において視覚化した(図6)。共変量効果は、他の共変量を、連続共変量についてのそれらの中央値へと設定し、カテゴリー共変量(すなわち、IgG型MM)では、最高頻度クラスについての、それらの中央値へと設定することにより、個別に評価した。連続共変量である、ベースラインの血清中アルブミン、および血清中β2-マイクログロブリンの効果を、データベースの第5~第95百分位数内の変動について検討した。
【0084】
非IgG型MM患者は、高度のイサツキシマブ曝露を伴ってもなお、最初の60週間にわたり、IgG型MM患者と比較して、血清中Mタンパク質の反応速度に対する、同様の挙動を有し、その後、より急速な腫瘍再増殖(すなわち、血清中Mタンパク質の再上昇)を有する傾向があった。IgG型MM患者と比較した、非IgG型MM患者については、同様のPFS確率が予測される。
【0085】
ベースラインのアルブミンレベルが低レベルであり、β2-マイクログロブリンレベルが高レベルである患者は、ベースラインの血清中Mタンパク質が高値である可能性が高い。しかし、Mタンパク質プロファイルの形状に対する影響は、他の患者と比較して、わずかに急速な腫瘍の再増殖であり、処置の終了時において、わずかに低下した。形質細胞腫を伴う患者は、20週間にわたり、同様のPFSプロファイルを共有したが、80週間後に、25%までの、低PFS確率を有する傾向があった。
【0086】
毎月1回投与レジメンのシミュレーション
シミュレートされた1000の試験では、6カ月後に危険性がある患者(すなわち、6カ月後までに進行しなかった患者)の数の中央値(最小値~最大値)は、Isa-Pdアームにおいて、97(86~107)であった。6カ月間にわたるQW-Q2Wの後に、イサツキシマブの、毎月1回の投与レジメンへと切り替えられた、6カ月後に危険性がある患者では、中央値(第5~第95百分位数)の進行は、元のIsa-Pdアームと比較して、2.29(0.57~4.73)週間早く生じることが予測され、HRは、増大する(0.7対0.66)ことが予測された。加えて、TTP基準(すなわち、血清中Mタンパク質の、25%を超える増大であって、絶対量が、5g/Lを超える増大)について検討したところ、元のIsa-Pdアーム内で、6カ月後に進行しなかった患者104例中44例(42.3%)は、それらの血清中Mタンパク質が、より急速に再増加した。ベースラインにおける患者特徴についての査定は、これらの影響を受けた患者が、ベースラインにおける、より大きな疾患負荷、すなわち、血清中Mタンパク質が高値であること、骨髄形質細胞(BMPC)量が高量であること、ならびに診断~初回投与の時間が長いこと、eGFRが低値であること、血清中アルブミンが低値であること、および血清β2-マイクログロブリンが高値であることなど、予後増悪の特徴を有し、R-ISSによる病期II/IIIの疾患の頻度が大きいこと(80%対53.2%)を示した(図7)。逆に、早期進行の危険性を伴わない患者は、腫瘍量が小さく(血清中Mタンパク質が低値であり、BMPCが低量であり)、ベースラインにおいて、予後良好の特徴(eGFRおよびアルブミンが高値であり、β2-マイクログロブリンが低値であり、R-ISSによる病期Iの頻度が高いこと)を有する傾向がある。加えて、6カ月後に、早期進行の危険性を伴わない患者は、Mタンパク質が有意に低値であり(中央値、0.31対3.04g/L)、応答がより安定的であり、血清中Mタンパク質の傾きは、0に近く(すなわち、Mタンパク質レベルは、プラトーに到達している;中央値:1日当たり-0.01対-0.06g/L)、これらのうちの85%は、予測された奏効状態である、少なくともVGPR(very good partial response)を有する。
【0087】
d)考察
ジョイントモデルは、事象までの時間マーカーおよび経時マーカーのいずれに対しても、処置効果についての、効率的な推定値およびバイアスの低減をもたらすことができるので、MM状況下における、非線形ジョイントモデルを開発した。本発明者らは、まず、血清中Mタンパク質の経時データを使用するTGIモデルを開発し、次いで、PFSモデルを開発した。次いで、ジョイントモデル化を実施して、経時血清中Mタンパク質と、PFSとの間の、最良のリンクを探索した。処置応答について査定するのに、血清中Mタンパク質データが使用された、ICARIA-MMによる患者307例中256例に基づき、モデルを構築した。
【0088】
ICARIA-MMによる経時血清中Mタンパク質データを使用して、本発明者らは、TGIモデルを、Claretらから発展させ、エロツズマブ+レナリドミド/デキサメタゾン(ELOQUENT-2)データのための使用されたWangらモデル[24、34]と比較した。本発明者らは、良好な適合をもたらし、ポマリドミド/デキサメタゾンの組合せ投与、およびイサツキシマブへのPK曝露を、予測因子として含む、Claretらによるモデルを選択した。これは、本発明者らが、このモデルを使用して、他の投与レジメン下における、血清中Mタンパク質応答をシミュレートすることを可能とした。このモデルは、抗がん薬処置における、腫瘍の進行についての、3つの重要な臨床特徴であって、腫瘍の増殖/血清中Mタンパク質の産生の動態、抗腫瘍薬の効果、および薬物の効果に対する耐性を含む、臨床特徴を説明する。
【0089】
さらに、本発明者らは、ベースラインにおける、多数の共変量の、血清中Mタンパク質の反応速度および進行の危険性に対する影響について研究した。ジョイントモデルにおける、有意なベースライン共変量は、MMのIg型、アルブミン、β2-マイクログロブリン、および形質細胞腫の存在であった。ベースラインのアルブミンレベルが低レベルであり、β2-マイクログロブリンレベルが高レベルである患者は、ベースラインにおける血清中Mタンパク質が高値である可能性が高かった。病期の進行した患者(すなわち、ISSによる病期IIIの患者)は、処置に対して応答する可能性が小さいため、これらの検査室検査が、予後評価に関連する、ISSおよびR-ISSによる病期分類システムの一部であることは、注目に値する。形質細胞腫の存在が、PFS確率の低下を誘導した確率が高いことは、曝露-反応解析の結果[3]と符合する。加えて、血清中Mタンパク質の瞬間的傾きが、PFSと関連することは、処置に応答する、血清中Mタンパク質の低下が、PFSに直接影響を与える、主要な構成要素である、IMWG基準と符合する。
【0090】
典型的患者のシミュレーションは、非IgG型MM患者が、高度の定常状態イサツキシマブ曝露を伴ってもなお、最初の60週間にわたり、IgG型MM患者と比較して、血清中Mタンパク質の反応速度に対する、同様の挙動を有し、その後、より急速な腫瘍再増殖、および同様のPFSを有する傾向があることを指し示した。MMのIg型もまた、イサツキシマブについてのPKの、個体間のばらつきであって、IgG型MM患者において、クリアランスがより急速となるばらつきを説明する、主要な寄与因子として同定された。IgG型Mタンパク質のレベルの上昇は、IgGを、分解から保護する、新生児Fc受容体についての競合の結果として、IgGベースのモノクローナル抗体のクリアランスの増大をもたらしうる[35~37]。これは、IgG型MMでは、定常状態において、非IgG型MM患者と比較して、2分の1の曝露を結果としてもたらす。
【0091】
しかしながら、曝露-反応解析では、MMのIg型は、ORRについての予測因子であるが、4週間後に、Ctroughを、モデルに含めたところ、もはや有意ではなかった。加えて、効能についての単変量解析では、MMのIg型は、有意な共変量ではなかった。最後に、亜群解析は、非IgG型患者と対比した、IgG型患者について、Isa-Pdレジメンの、PFSまたはORRに対する処置効果が、Pdレジメンを凌駕する有意差は見られないが、IgG型患者および非IgG型患者のいずれについても、Pdと対比したIsa-Pdについて、奏効率の改善が観察されることを示した[38]。線形クリアランスは、IgG型患者において、非IgG型患者より、約110%高度であり、サイクル3の1日目に、非IgG患者において、70%高値の、予測トラフ血清濃度をもたらしたので、同様の結果は、ダラツムマブについても観察された[39]。IgG型患者と、非IgG型患者との間の、クリアランスレベルの差違にも拘わらず、これらの集団における奏効率は、同様であった。ORRが同様であることは、非IgG型MMが、血清中Mタンパク質の増殖速度に影響を及ぼし、最初の60週間にわたる血清中Mタンパク質動態に対する同様の挙動、およびその後における、より急速な再増殖を伴うという、本発明者らの知見と符合する。したがって、MMのIg型(IgG対非IgG)の、イサツキシマブ曝露に対する影響は、臨床的に有意義であるとは考えられない。
【0092】
RRMM患者におけるイサツキシマブQW-Q2Wの6カ月後に、仮説的な毎月1回の投与レジメンを使用することの影響を予測するのに、ICARIA-MMデータに基づき確立された薬物-疾患モデル化プラットフォームを、さらに適用した。なおも処置下にある患者では、6カ月後における、毎月1回の投与への仮説的切替えのシミュレーションは、進行が、元のIsa-Pdアームと比較して、2.3週間早く生じ、患者のうちの42.3%は、それらの血清中Mタンパク質が、より急速に再増殖することを予測した。患者数は限定的であるが、影響を受け、進行を早める患者は、ベースラインにおける、より大きな疾患負荷、および予後増悪特徴を有すると考えられる。早期進行の危険性を伴わない患者は、ベースラインにおいて、腫瘍量が小さく、予後良好の特徴を有し、6カ月後において、安定的な、少なくともVGPR(very good partial response)を有する傾向がある。
【0093】
これらの結果は、ICARIA-MMのために選択され、承認されている、イサツキシマブのQW-Q2W投与レジメンを確認する。
【0094】
e)要約および結論
目的:イサツキシマブの、ポマリドミド/デキサメタゾン(Pd)への追加は、再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)を伴う患者における無進行生存(PFS)を、有意に改善した。本発明者らは、フェーズ3 ICARIA-MM試験において、血清中Mタンパク質の反応速度と、PFSとの関係を特徴付け、シミュレーションにより、イサツキシマブの、代替的投与レジメンについて査定することを目的とした。
【0095】
方法:256例の査定可能RRMM患者において、Pdと組み合わされた、10mg/kg、毎週1回で、4週間にわたるイサツキシマブ、次いで、隔週1回のイサツキシマブ(QW-Q2W)を、Pdと対比して比較する、ICARIA-MM試験によるデータを使用した。血清中Mタンパク質動態と、PFSとについてのジョイントモデルを開発した。次いで、毎月1回の投与レジメンへと切り替えた後で、効能が維持されるのかどうかについて査定するために、試験のシミュレーションを実施した。
【0096】
結果:モデルは、血清中Mタンパク質の瞬間的変化(傾き)を、PFS、ならびに血清中Mタンパク質の反応速度に影響を与える、ベースラインにおける患者特徴(ベースラインレベルに影響を与える、アルブミンおよびβ2-マイクログロブリン;増殖速度に影響を与える非IgG型MM)、およびPFSに影響を与える、ベースラインにおける患者特徴(形質細胞腫の存在)についての、処置にもとづく最良の予測因子として同定した。試験のシミュレーションは、6カ月後における、毎月1回のイサツキシマブレジメンへの切替えは、2.3週間後までに、PFS中央値を短縮し、42.3%の患者が、早期に進行することを誘導することを裏付けた。
【0097】
結論:試験のシミュレーションは、承認されている、10mg/kg、QW-Q2Wのイサツキシマブレジメンの選択を裏書きし、6カ月後における、毎月1回レジメンへの切替えが、一般集団における臨床利益を削減しうることを示した。しかし、予後良好の特徴、および安定的なVGPR(very good partial response)を伴う患者は、6カ月後において、疾患進行の危険性を増大させずに、毎月1回のレジメンへと切り替えることができる。
【0098】
(f)実施例2および2Aについての参考文献
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【0099】
実施例2A
実施例2についての補足情報
イサツキシマブについての薬物動態モデル
イサツキシマブについての構造薬物動態モデルの式は、以下:
【数3】
[式中、Aic、Cic、およびVicは、中枢コンパートメント内のイサツキシマブの量、濃度、および分布容積であり、AipおよびVipは、末梢コンパートメント内のイサツキシマブの量および分布容積であり、k12およびk21は、中枢コンパートメントと、末梢コンパートメントとの間の、一次速度定数であり、VおよびKは、ミカエリス-メンテンパラメータであり、Kは、消失速度を、最大半量(V)とし、In(t)を、注入速度とする場合の、薬物濃度値を表す]の通りであった。線形クリアランス(CLlin)についての時変関数において、CLinfは、定常状態における線形CLであり、CLは、時間経過にわたる、CLの最大変化であり、KCLは、クリアランスが、最大低減の半量だけ低減される時点であり;γは、S字曲線度について記述する形状パラメータである。
【0100】
ポマリドミドおよびデキサメタゾンについてのK-PDモデル
ポマリドミド(p)と、デキサメタゾン(d)との組合せについての反応速度は、下記で詳細に提示される通り、ボーラス投入を伴う、単純な仮想的1コンパートメント:
【数4】
[式中、KDEおよびKDEは、それぞれ、ポマリドミドおよびデキサメタゾンについての、消失速度定数を表す]
により記述した。
【0101】
ジョイントモデルについての、Mixtranコード
モデルについての記述:Mタンパク質および無進行生存(PFS)についてのジョイントモデル
イサツキシマブについてのPK、ポマリドミド/デキサメタゾンについてのK-PD
およびパラメータについての記述:M0、KL、KDi、Ri、KDpd、Rpd、Te、s、E、ベータ
[LONGITUDINAL]
input=1Ri,KDpd,Rpd,Te,s,E,beta,CLinf,CLm,KCL,gamma,V,Q,V2,Vm,Km,Tstart
CLinf={use=regressor}
CLm={use=regressor}
KCL={use=regressor}
gamma={use=regressor}
V={use=regressor}
Q={use=regressor}
V2={use=regressor}
Vm={use=regressor}
Km={use=regressor}
Tstart={use=regressor}
PK:
compartment(cmt=1,amount=Aic,volume=V)
iv(cmt=1,adm=1)
compartment(cmt=2,amount=Aip,volume=V2)
compartment(cmt=3,amount=Ap)
iv(adm=3,cmt=3)
compartment(cmt=4,amount=Ad)
iv(adm=4,cmt=4)
方程式:
odeType=stiff
初期条件:
t_0=0
Aic_0=0
Aip_0=0
Ap_0=0
Ad_0=0
M_0=M0
k12=Q/V
k21=Q/V2
Cic=Aic/V
ddt_Aic=- 1/V×CLinf×(exp(CLm×(1-1/((KCL/t)gamma+1))))×Aic-Vm×Aic/(Km+Cic)-k12×Aic+k21×Aip
ddt_Aip=k12×Aic- k21×Aip
KDEp=3.51
KDEd=2.42
ddt_Ap=-KDEp×Ap
ddt_Ad=-KDEd×Ad
MW_ISA=150000
MW_POM=273.24
MW_DEX=392.46
Cp=Ap/(58.3×0.73);V/F=58.3 F=0.73
Cd=Ad/76.3
CiM=Cic/MW_ISA×1000;M
CpM=Cp/MW_POM×1000;M
CdM=Cd/MW_DEX×1000;M
if M<150
dM=KL×M-KDi×exp(-Ri×t)×CiM×M-KDpd×exp(-Rpd×t)×(CpM+CdM)×M
その他:
dM=0
end
ddt_M=dM
SlopeM=dM
if t<Tstart
haz=0
その他:
haz=s/Te × (t/Te)(s-1)/(1+(t/Te))×E×exp(beta×SlopeM)
end
ddt_H=haz
S=exp(-H)
定義:
PFS={type=event,
maxEventNumber=1,
rightCensoringTime=540,
hazard=haz}
出力:
output={M,PFS}
【0102】
本明細書で記載される、各実施形態は、逆のことが明確に指し示されない限りにおいて、他の任意の1つまたはそれ以上の実施形態と組み合わされる。特に、好ましいか、または有利である、特徴または実施形態として指し示される、任意の特徴または実施形態は、逆のことが明確に指し示されない限りにおいて、好ましいか、または有利である、特徴または実施形態として指し示される、他の任意の1つもしくはそれ以上の特徴、または1つもしくはそれ以上の実施形態と組み合わされる。
【0103】
本出願で引用される、全ての参考文献は、参照により本明細書に、明示的に組み込まれる。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
【配列表】
2023550311000001.app
【国際調査報告】