(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】吸着剤、ポリマー複合体、及びハロゲン化物前駆体組成物を含む物品、物品上で水銀及び硫黄酸化物を吸着する方法、及び吸着剤物品を含む物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20231124BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20231124BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20231124BHJP
B01D 53/64 20060101ALI20231124BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20231124BHJP
B32B 27/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B01J20/26 A ZAB
B01J20/30
B01D53/50 100
B01D53/64 100
B01D53/82
B32B27/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528285
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021059114
(87)【国際公開番号】W WO2022104039
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ ハードウィック
(72)【発明者】
【氏名】フランズ シェリー
(72)【発明者】
【氏名】リサンドラ アロヨ ラミレズ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ケナリー
(72)【発明者】
【氏名】ブラディミロス ニコラキス
(72)【発明者】
【氏名】ウーウェ ブーシャー
【テーマコード(参考)】
4D002
4F100
4G066
【Fターム(参考)】
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4D002AC01
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4G066AA04B
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(57)【要約】
多様な燃焼排ガス汚染物質を除去するための耐久性のある汚染制御システム、物品、及び方法。汚染制御システムは、長期間にわたって所要量のハロゲン源を提供することができる。ハロゲン源はソーベントポリマー複合体基材と合体される。ソーベントポリマー複合体基材は、汚染ガス処理プロセス中に形成された溶液でハロゲンが浸出されないように形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層と、
第2SPC層と、
ハロゲンリザーバと
を含む物品であって、
前記ハロゲンリザーバが前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に配置されている、
物品。
【請求項2】
少なくとも1種の透過制御材料をさらに含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記少なくとも1種の透過制御材料が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、
前記少なくとも1つの透過制御層が、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又は
その両方に配置されている、
請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記少なくとも1つの透過制御層が、
前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層であって、
前記第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第1層と、
前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層であって、
前記第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第2層と、
を含む、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種のハロゲン源を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の物品。
【請求項6】
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化物イオン又は元素ハロゲンを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記ハロゲンリザーバが、前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~50wt%の前記少なくとも1種のハロゲン源を含む、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記ハロゲンリザーバがSPCを含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の物品。
【請求項9】
前記ハロゲンリザーバが第3SPC層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記第1SPC層、前記第2SPC層、又は前記第3SPC層のうちの少なくとも1つが少なくとも1種のハロゲン源を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種の透過制御材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記ハロゲンリザーバが、
前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~95wt%の前記少なくとも1種の透過制御材料と、
前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記少なくとも1種の透過制御材料が、
第1透過制御材料と、
第2透過制御材料と
を含み、
前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、
前記第2透過制御材料から成る前記少なくとも1つの層が、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又は
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間、かつ、前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に
配置されている、
請求項2又は11に記載の物品。
【請求項14】
前記第2透過制御材料から成る前記少なくとも1つの層が、
前記第2透過制御材料から成る第1層であって、
前記第2透過制御材料から成る第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第1層と、
前記第2透過制御材料から成る第2層であって、
前記第2透過制御材料から成る第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第2層と、
を含む、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記ハロゲンリザーバが炭素粒子をさらに含む、請求項11に記載の物品。
【請求項16】
前記炭素粒子が、前記少なくとも1種の透過制御材料内部に埋め込まれている、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO
x化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m
3の濃度の水銀蒸気とを含む、
請求項1から16のいずれか1項に記載の物品。
【請求項18】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO
x化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m
3の濃度の水銀蒸気とを含む、
請求項1から16のいずれか1項に記載の物品。
【請求項19】
前記物品がフィルタ積層体、層状フィルタ材料、SPC積層体、又は層状SPC材料を含む、請求項1から18のいずれか1項に記載の物品。
【請求項20】
物品を形成する方法であって、
第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層を得、
第2SPC層を得、
ハロゲンリザーバを得、
層状構造を生じさせるように、前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置し、そして、
前記層状構造を一緒に付着させることにより前記物品を形成する
ことを含む、物品を形成する方法。
【請求項21】
前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、
形成された物品が少なくとも1つの透過制御層を含むように、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1つの透過制御層を配置し、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1つの透過制御層を配置し、又は
その両方を行う
ことを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層を配置し、そして
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層を配置する
ことを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項23】
前記ハロゲンリザーバを形成するように、少なくとも1種のハロゲン源と少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることをさらに含み、
前記ハロゲンリザーバが、
前記少なくとも1種のハロゲン源と、
前記少なくとも1種の透過制御材料と
を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項24】
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度まで前記透過制御材料を加熱し、そして
前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料を少なくとも1種のハロゲン源と混合する
ことを含む、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度が130℃~180℃である、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶媒中に溶解させることにより混合物を形成し、
前記溶媒と前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に少なくとも1種のハロゲン源を添加し、そして
前記溶媒を蒸発させる
ことを含む、請求項23から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種のハロゲン源と、溶媒と、前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に粒子を添加することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が炭素粒子である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種のハロゲン源及び前記少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成する
ことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種のハロゲン源が溶液である、請求項23から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種のハロゲン源が気相である、請求項23から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1種のハロゲン源が塩である、請求項23から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることをさらに含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、
前記燃焼排ガス流が、
少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSO
x化合物と、
前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m
3の濃度の水銀蒸気と
を含み、
前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、
請求項20から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることをさらに含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、
前記燃焼排ガス流が、
少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSO
x化合物と、
前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m
3の濃度の水銀蒸気と
を含み、
前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、
請求項20から32のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、“LAYERED ARTICLES COMPRISING A HALOGEN RESERVOIR, SYSTEMS AND METHODS INCLUDING THE SAME(ハロゲンリザーバを含む層状物品、これを含むシステム及び方法)”と題する2020年11月12日付けで出願された米国仮特許出願第63/113,022号の優先権及び利益を主張する。この全体は参照することにより本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、ガス流から化合物及び微粒子物質を除去する汚染制御システム及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
石炭火力発電所、都市ごみ焼却炉、及び石油精製プラントは、多量の燃焼排ガスを発生させる。燃焼排ガスは、多種多様な、そして相当な量の環境汚染物質、例えば硫黄酸化物(SO2及びSO3)、窒素酸化物(NO、NO2)、水銀(Hg)蒸気、及び粒子状物質(PM)を含有している。米国内では、燃焼する石炭だけで、約2700万トンのSO2、及び45トンのHgを毎年発生させている。このように、硫黄酸化物、水銀蒸気、及び微粒子状物質を工業用燃焼排ガス、例えば石炭火力発電プラント燃焼排ガスから除去するための制御システム及び方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様では、多様な燃焼排ガス汚染物質を同時に除去し得る改善型の耐久性のある汚染制御システムが提供される。これらの汚染物質の一例としては、SOx、Hg蒸気、及びPM2.5(直径が2.5マイクロメートル以下の粒子状物質)が挙げられる。いくつかの実施態様は、二次汚染物質を発生させないシンプルな汚染制御システムを含み得る。いくつかの実施態様では、汚染制御システムが長期間にわたって所要量のハロゲン源を提供し得る。具体的には、燃焼排ガス処理装置が、より耐久性があり且つより長持ちするハロゲン源を、ソーベントポリマー複合体基材と組み合わせて含んでよい。いくつかの実施態様では、ソーベントポリマー複合体基材は、処理プロセスに際して発生した溶液で浸出されることはない。本開示のいくつかの実施態様は、ハロゲン源とSPCとを含み得る層状構造を有する物品に関する。いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された物品はハロゲンリザーバからの少なくとも1種のハロゲン源の遅延放出を可能にする。ハロゲンリザーバは本明細書中に記載された物品の一部を形成し得る。
【0005】
いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置を含む。いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置である。いくつかの実施態様では、物品は燃焼排ガス処理装置の一部である。
【0006】
いくつかの実施態様では、物品は第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層と、第2SPC層と、ハロゲンリザーバとを含み、ハロゲンリザーバが第1SPC層と第2SPC層との間に配置されている。
【0007】
いくつかの実施態様では、物品は少なくとも1種の透過制御材料を含むか、又はさらに含む。
【0008】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又はその両方に配置されている。すなわち、物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、そしてまた前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0009】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層が、前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層であって、前記第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第1層と、前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層であって、前記第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第2層と、を含む。
【0010】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0011】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化物イオン又は元素ハロゲンを含む。
【0012】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが、前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0013】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバがSPCを含む。
【0014】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが第3SPC層を含む。
【0015】
物品のいくつかの実施態様では、前記第1SPC層、前記第2SPC層、又は前記第3SPC層のうちの少なくとも1つが少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0016】
物品のいくつかの実施態様では、前記第1SPC層と、前記第2SPC層と、前記第3SPC層とが少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0017】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0018】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが、前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源とを含む。
【0019】
いくつかの実施態様では、物品は第1透過制御材料と、第2透過制御材料とを含み、前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも2つの層の形態を成している。
【0020】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料が、第1透過制御材料と、第2透過制御材料とを含み、前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0021】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料が、第1透過制御材料と、第2透過制御材料とを含み、前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0022】
物品のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料が、第1透過制御材料と、第2透過制御材料とを含み、前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間、そして前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間にも配置されている。
【0023】
物品のいくつかの実施態様では、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、前記第2透過制御材料から成る第1層であって、前記第2透過制御材料から成る第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第1層と、前記第2透過制御材料から成る第2層であって、前記第2透過制御材料から成る第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第2層と、を含む。
【0024】
物品のいくつかの実施態様では、前記ハロゲンリザーバが炭素粒子をさらに含む。
【0025】
物品のいくつかの実施態様では、前記炭素粒子が、前記少なくとも1種の透過制御材料内部に埋め込まれている。
【0026】
いくつかのこのような実施態様は、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることに関し、前記ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む。
【0027】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む。
【0028】
いくつかの実施態様では、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む。
【0029】
いくつかの実施態様では、前記物品がフィルタ積層体、層状フィルタ材料、SPC積層体、又は層状SPC材料を含む。
【0030】
いくつかの実施態様では、物品を形成する方法が、第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層を得、第2SPC層を得、ハロゲンリザーバを得、層状構造を生じさせるように、前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置し、そして、前記層状構造を一緒に付着させることにより前記物品を形成することを含む。
【0031】
方法のいくつかの実施態様では、前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、形成された物品が少なくとも1つの透過制御層を含むように、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1つの透過制御層を配置し、前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1つの透過制御層を配置し、又はその両方を行うことを含む。
【0032】
方法のいくつかの実施態様では、前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層を配置し、そして前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層を配置することを含む。
【0033】
いくつかの実施態様では、前記方法が、前記ハロゲンリザーバを形成するように、少なくとも1種のハロゲン源と少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることを含むか又はさらに含み、前記ハロゲンリザーバが、前記少なくとも1種のハロゲン源と、前記少なくとも1種の透過制御材料とを含む。
【0034】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度まで前記透過制御材料を加熱し、そして前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料を少なくとも1種のハロゲン源と混合することを含む。
【0035】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度が130℃~180℃である。
【0036】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶媒中に溶解させることにより混合物を形成し、前記溶媒と前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に少なくとも1種のハロゲン源を添加し、そして前記溶媒を蒸発させることを含む。
【0037】
いくつかの実施態様では、この方法は前記少なくとも1種のハロゲン源と、溶媒と、前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に粒子を添加することを含むか、又はさらに含む。
【0038】
方法のいくつかの実施態様では、前記粒子が炭素粒子である。
【0039】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、前記少なくとも1種のハロゲン源及び前記少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成することを含む。
【0040】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が溶液である。
【0041】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が気相である。
【0042】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が塩である。
【0043】
方法のいくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源が溶液であるか、気相であるか、塩であるか、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0044】
いくつかの実施態様では、この方法は、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることを含むか、又はさらに含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含み、前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない。
【0045】
いくつかの実施態様では、この方法は、少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることをさらに含み、前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、前記燃焼排ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含み、前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
添付の図面を参照しながら、本開示のいくつかの実施態様を一例として説明する。ここで図面を詳細に具体的に参照するが、強調されるのは、図示の実施態様が一例にすぎず、本開示の実施態様を例示的に論じるためにあることである。これに関しては、図面とともに為される説明によって、本開示の実施態様をどのように実施し得るかが当業者には明らかになる。
【0047】
【
図1】
図1は、本明細書中に記載された物品の非限定的実施態様を示す図である。
【0048】
【
図2A】
図2Aは、少なくとも1種のハロゲン源のためのハロゲンリザーバとしてソーベントポリマー複合体を有する、本明細書中に記載された物品の非限定的実施態様を示す図である。
【0049】
【
図2B】
図2Bは、例えば2つの透過制御層を有する、
図2Aの物品のさらなる非限定的実施態様を示す図である。
【0050】
【
図3A】
図3Aは、ハロゲンリザーバを含む、本明細書中に記載された物品の非限定的実施態様を示す図であって、ハロゲンリザーバが少なくとも1種の透過制御材料と少なくとも1種のハロゲン源とを含む図である。
【0051】
【
図3B】
図3は、複数の透過制御層を有する
図3Aの物品のさらなる非限定的実施態様を示す図である。
【0052】
【
図3C】
図3Cは、ハロゲンリザーバが粒子を含む、
図3Aのさらなる非限定的実施態様を示す図である。
【0053】
【
図3D】
図3Dは、ハロゲンリザーバが粒子を含み、そして2つの透過制御層をさらに含む、
図3Cのさらなる非限定的実施態様を示す図である。
【0054】
【
図4】
図4は、本明細書中に記載された物品のいずれかを有する汚染制御システムの非限定的実施態様を示す図である。
【0055】
【
図5】
図5は、本明細書中に記載された物品の非限定的実施態様上を流れる燃焼排ガスを示す非限定的実施態様を示す図である。
【0056】
【
図6A】
図6Aは、実施例の物品1C及び1Dにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0057】
【
図6B】
図6Bは、実施例の物品1A及び1Bにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0058】
【
図7A】
図7Aは、実施例の物品2A及び2Bにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対するヨウ素含量をwt%で示すグラフである。
【0059】
【
図7B】
図7Bは、実施例の物品2C及び2Dにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対するヨウ素含量をwt%で示すグラフである。
【0060】
【
図8A】
図8Aは、実施例の物品3A及び3Bにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0061】
【
図8B】
図8Bは、実施例の物品3C~3Gにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0062】
【
図8C】
図8Cは、実施例の物品3Bの断面のハロゲン含量を示すEDXマッピングである。
【0063】
【
図8D】
図8Dは、実施例の物品3Bの断面の硫黄含量を示すEDXマッピングである。
【0064】
【
図8E】
図8Eは、実施例の物品3Gの断面のハロゲン含量を示すEDXマッピングである。
【0065】
【
図9】
図9は、実施例の物品4A及び物品4Bにおいて示された非限定的実施態様に基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0066】
【
図10】
図10は、比較例5A及び5Bに基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【0067】
【
図11】
図11は、比較例5A及び5Bに基づく、時間に対する相対ヨウ素含量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
詳細な説明
開示された利益及び改善点の中で、添付の図面と関連させて為される以下の説明から、本開示の他の対象及び利点が明らかになる。本開示の詳細な実施態様が本明細書に開示されるが、しかし言うまでもなく、開示された実施態様は、種々の形態で具体化され得る開示内容の一例にすぎない。加えて、本開示の種々の実施態様に関連して提供される実施例のそれぞれも、例示的なものであって、限定的ではない。
【0069】
明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、下記用語は、文脈が他の意味を明白に指示しない限り、ここに明確に関連する意味を成す。ここに使用される「1実施態様では」、「実施態様では」、及び「いくつかの実施態様では」という言い回しは、同じ実施態様を必ずしも意味するものではないが、しかしそれもあり得る。さらに、ここに使用される「別の実施態様では」及び「いくつかの他の実施態様では」という言い回しは異なる実施態様を必ずしも意味するものではないが、しかしそれもあり得る。本開示のすべての実施態様は、本開示の範囲又は思想を逸脱することなしに、組み合わせ得るように意図される。
【0070】
本明細書中に使用される「between(間に(で))」という用語は、他のエレメントに直接に隣接して配置される必要は必ずしもない。一般には、この用語は、何かが2つ又は3つ以上の他のものによってサンドイッチされている形態を意味する。同時に「between」という用語は、2つの対向するものに直接に隣接する何かを表すこともできる。したがって、本明細書中に開示された実施態様のうちのいずれか1つ又は2つ以上において、2つの他の構造エレメント間に配置される具体的な構造構成部分は、
前記2つの他の構造エレメントの両方の間に直接に配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントの両方と直接に接触しているか、
前記2つの他の構造エレメントのうちの一方だけに直接に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントのうちの一方とだけ直接に接触しているか、
前記2つの他の構造エレメントのうちの一方だけに間接的に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントのうちの一方とだけ直接には接触しておらず、また前記特定の構造構成部分と、前記2つの他の構造エレメントのうちの前記一方とを並置する別のエレメントが存在するか、
前記2つの他の構造エレメントの両方の間に間接的に隣接して配置することができ、これにより、特定の構造構成部分が前記2つの他の構造エレメントの両方と直接には接触しておらず、そしてこれらの間に他のフィーチャを配置することができ、又は
これらの任意の組み合わせで配置することができる。
【0071】
本明細書中に使用される「~に基づいて(based on)」という用語は、文脈が他の意味を明白に指示しない限り、排他的ではなく、記載されていない付加的なファクタに基づくことを許す。加えて、明細書全体を通して、「a」、「an」及び「the」の意味は複数の言及を含む。「内(in)」の意味は「中(in)」及び「上(on)」を含む。
【0072】
本明細書中に引用されるすべての以前の特許明細書及び刊行物は、これらの全体を参照することにより援用される。
【0073】
SPCは、燃焼排ガス流から望ましくない成分を除去する上で特に効果的であることが判っている。このような望ましくない成分の一例としては、少なくとも1種のSOx化合物及び水銀蒸気が挙げられる。
【0074】
少なくとも1種のハロゲン源を使用すると、SPCの除去効率を高めることができる。しかしながら、いくつかの事例では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、SPC(及びこれを含むシステム、例えば固定床吸収システム)が多年にわたって作業し続けるのを可能にするのに十分な耐久性がないことがある。いくつかの事例では、このことが生じる理由は、前記少なくとも1種のハロゲン源を添加すると、ハロゲン源がソーベントから浸出し得ることにある。
【0075】
本明細書中に使用される「除去効率」という用語は、汚染制御システムへ入る規制汚染物質の総量に対する、空気流(例えば燃焼排ガス)から除去された規制汚染物質の量の比としての汚染制御システムの性能を意味する。したがって、「特定の汚染物質」に対する「除去効率」は、汚染制御システムによって除去されるその汚染物質のパーセンテージを意味する。例えば、NOXに対する除去効率は、汚染制御システムによって達成された、NOX濃度のパーセント低減率として測定することができる。このパーセント低減率は、入口濃度から出口濃度を引き算し、この差を入口濃度によって割り算し、次いでその結果を100で掛け算することによって計算されるものとする。
【0076】
本開示のいくつかの実施態様は、ハロゲンリザーバ(例えば層の形態を成す)が少なくとも1種のハロゲン源が時間とともに放出されるのを可能にする、模範的解決手段を提供する。ハロゲンリザーバはSPC(及びこれを含むシステム、例えば固定床吸収システム)が、ハロゲンリザーバを含まないSPCと比較してより長い期間にわたって作業する(例えば稼働状態にある)のを可能にする。
【0077】
本明細書中に使用される「ソーベント(sorbent)」は、吸収、吸着、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、別の物質の分子を収集する特性を有する物質を意味する。
【0078】
いくつかの実施態様では、SPCはソーベントを含む。いくつかの実施態様では、SPCのソーベントは活性炭を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントは、石炭、褐炭、木材、ヤシガラ、別の炭素質材料、又はこれらの任意の組み合わせに由来する活性炭を含む。いくつかの実施態様では、ソーベントはシリカゲル、ゼオライト、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0079】
本明細書中に使用される「複合体」という用語は、異なる物理的又は化学的特性を有する2種又は3種以上の成分材料を含む材料であって、合体させた結果として、個々の成分とは異なる特徴を有する材料をもたらす材料である。
【0080】
本明細書中に使用される「ソーベントポリマー複合体(sorbent polymer composite(SPC))」は、ソーベントとポリマーとを含む複合体である。ソーベントポリマー複合体材料はハロゲン源をさらに含む。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は任意の適宜の技術によって、ソーベントポリマー複合体材料内へ組み込まれてよい。この技術の一例としては、インバイビング、含浸、吸着、混合、振りかけ(sprinkling)、噴霧、浸漬、塗装、塗布、イオン交換、又はその他の形でハロゲン源をソーベントポリマー複合体へ被着することが挙げられる。いくつかの実施態様では、ハロゲン源はソーベントポリマー複合体材料内部、例えばソーベントポリマー複合体材料の任意の孔内部に配置されてよい。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は溶液で提供されてよい。溶液は、システム動作条件下で、ソーベントポリマー複合体材料とその場で接触してよい。ソーベントポリマー複合体のハロゲン源は、ハロゲン塩、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施態様では、ハロゲン源は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、元素ヨウ素(I2)、元素塩素(Cl2)、元素臭素(Br2)、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種から選択される。
【0081】
本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体の付加的な形態、及び本明細書中に記載されたハロゲン源の付加的な例が、Hardwick他の米国特許第9,827,551(1368)号明細書、及びLu他の米国特許第7,442,352号明細書に述べられている。これらの明細書のそれぞれは全体を参照することにより本明細書中に援用される。
【0082】
本明細書中に使用される「リザーバ」という用語は、少なくとも1種の材料を含有する貯蔵場所を意味する。貯蔵場所は、所定の期間にわたって少なくとも1種の材料を放出するように形成されている。いくつかの非限定的な実施態様では、貯蔵場所は少なくとも1種の透過制御材料を含んでよい。
【0083】
本明細書中に記載された「ハロゲンリザーバ」という用語は、少なくとも1つのハロゲン源を含むリザーバを意味する。リザーバにおいて、前記少なくとも1種のハロゲン源は、所定の期間にわたって貯蔵場所から放出されるように形成されている。本明細書中に使用される「ハロゲンリザーバ」及び「リザーバ」は、各用語のそれぞれの意味を変えることなしに、相互に置き換え可能に使用することができる。
【0084】
本明細書中に使用される「埋め込まれる」は、第1材料が第2材料全体にわたって分配されることを意味する。
【0085】
本明細書中に使用される「透過制御材料」という用語は、透過制御層が存在しない状態で物質が放出された場合よりも低速でリザーバから1種又は2種以上の物質を放出するように形成された材料を意味する。
【0086】
本明細書中に使用される「ハロゲン源」という用語は、少なくとも1種のハロゲン化物イオン又は元素ハロゲンを含む任意の化合物を意味する。
【0087】
燃焼排ガス処理装置のハロゲン源は、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、又はテトラブチルアンモニウムブロミドから選択される。別の実施態様では、ハロゲン源は、式N(R1R2R3R4)Xを有する化合物であり、式中、Nは窒素であり、X=I-,Br-,I3
-,BrI2
-,Br2I-,Br3
-であり、そしてR1,R2,R3及びR4は、炭素原子数約1~約18の炭化水素から成る群から選択され、前記炭化水素は、例えば線状又は分枝状アルキルを含む、単純なアルキルであってよい。ハロゲン源は三ハロゲン化物を含んでよく、三ハロゲン化物は、酸化剤の存在における酸処理によって、そのハロゲン化物前駆体から形成される。さらなる実施態様では、ハロゲン源は三ハロゲン化物であり、三ハロゲン化物は、酸化剤の存在における酸処理によって、そのハロゲン化物前駆体から形成され、酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属過硫酸塩、アルカリ金属一過硫酸塩、ヨウ素酸カリウム、一過硫酸カリウム、酸素、鉄(III)塩、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、酸化鉄(III)、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0088】
本明細書中に使用される「総ハロゲンの放出速度」は、物品から、物品が存在する外部環境内への、前記少なくとも1種のハロゲン源の放出速度である。いくつかの非限定的実施態様では、外部環境は燃焼排ガス流であってよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は専らSPCから、外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は、SPCから外部環境内への放出速度である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は専らハロゲンリザーバから、外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は、ハロゲンリザーバから外部環境内への放出速度である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、SPCとハロゲンリザーバとの組み合わせから外部環境内へ放出される。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は複合放出速度であって、SPCとハロゲンリザーバとの両方からの前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を考慮に入れた、複合放出速度である。いくつかの実施態様では、物品は複数のハロゲン源を含む。これらの実施態様では、「総ハロゲンの放出速度」は複合放出速度であって、物品中の複数のハロゲン源のすべての放出を考慮に入れた、複合放出速度である。
【0089】
放出速度の判定については下でさらに説明する。
【0090】
本明細書中に使用される「炭素粒子」という用語は、炭素を含む任意の粒子を意味する。
【0091】
本明細書中に使用される「多孔性炭素粒子」は、孔を有する炭素粒子を意味し、孔を有しない炭素粒子を含まない。すなわち、多孔性炭素粒子は「非多孔性」炭素粒子を除外する。
【0092】
本明細書中に使用される「燃焼排ガス流」という用語は、燃焼プロセス(例えば石炭燃焼プロセス)の少なくとも1種の副生成物を含むガス状混合物を意味する。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は全体的に燃焼プロセスの副生成物から成ってよい。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼プロセスから生じた濃度に対して高い濃度の少なくとも1種のガスを含んでよい。例えば、1つの非限定的な例では、燃焼排ガス流には「スクラビング(scrubbing)プロセス」を施してよい。スクラビングプロセス中には、燃焼排ガス流に水蒸気が添加されてよい。したがって、いくつかのこのような実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼に起因する初期水蒸気濃度に対して高められた濃度の水蒸気を含んでよい。同様に、いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼プロセスから出力された少なくとも1種のガスの初期濃度に対して低い濃度の少なくとも1種のガスを含んでよい。このことは例えば、燃焼後に少なくとも1種のガスの少なくとも一部を除去することにより生じ得る。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流が、複数の燃焼プロセスの副生成物の組み合わせであるガス状混合物の形態を成してよい。
【0093】
本明細書中に使用される「SOx化合物」という用語は、硫黄の任意の酸化物を意味する。SOx化合物は具体的には、周知の環境汚染物質であるガス状の硫黄酸化物を意味することがある。SOx化合物の非限定的例は二酸化硫黄(SO2)及び三酸化硫黄(SO3)を含む。SOx化合物の付加的な非限定的例は、一酸化硫黄(SO)、一酸化二硫黄(S2O)、及び二酸化二硫黄(S2O2)を含む。
【0094】
本明細書中に使用される「水銀蒸気」という用語は、水銀を含むガス状化合物を意味する。水銀蒸気の非限定的例は、元素水銀蒸気及び酸化水銀蒸気を含む。
【0095】
本明細書中に使用される「酸化水銀蒸気」という用語は、水銀を正原子価状態で含む蒸気相水銀化合物と定義される。酸化水銀蒸気の非限定的例はハロゲン化第一水銀、及びハロゲン化第二水銀を含む。
【0096】
本開示のいくつかの実施態様は、第1SPC層と、第2SPC層と、ハロゲンリザーバとを含む物品に関する。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは第1SPC層と第2SPC層との間に配置されている。
【0097】
いくつかの実施態様では、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の厚さは、断面走査電子顕微鏡法を用いて測定することができる。いくつかの実施態様では、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の厚さは、0.2mm~2mm、0.4mm~2mm、0.8mm~2mm、1.2mm~2mm、又は1.6mm~2mmである。
【0098】
いくつかの実施態様では、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の厚さは、0.2mm~1.6mm、0.2mm~1.2mm、0.2mm~0.8mm、又は0.2mm~0.4mmである。
【0099】
いくつかの実施態様では、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の厚さは、0.4mm~1.6mm、又は0.8mm~1.2mmである。
【0100】
いくつかの実施態様では、SPCは、付加的な非フッ素化モノマーを含む又は含まない少なくとも1種のフルオロモノマーを含有する1種又は2種以上のホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーを含むことができる。
【0101】
いくつかの実施態様では、物品は第1SPCを含む。いくつかの実施態様では、物品は第1ソーベントと第1ポリマー材料とを含む。いくつかの実施態様では、物品は第2SPCを含む。いくつかの実施態様では、物品は第2ソーベントと第2ポリマー材料とを含む。いくつかの実施態様では、第1ソーベントと第2ソーベントとは同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、第1ソーベントと第2ソーベントとは異なる材料を含む。いくつかの実施態様では、第1ポリマー材料と第2ポリマー材料とは同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、第1ポリマー材料と第2ポリマー材料とは異なる材料を含む。
【0102】
いくつかの実施態様では、第1ソーベント又は第2ソーベントの少なくとも一方は活性炭、シリカゲル、ゼオライト、又はこれらの組み合わせを含む。
【0103】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマー材料は、ポリフルオロエチレンプロピレン(PFEP)、ポリペルフルオロアクリレート(PPFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとのターポリマー(THV)、ポリクロロフルオロエチレン(PCFE)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(ETFE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリパラキシリレン(PPX)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリエチレン(PE)、延伸ポリエチレン(ePE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、又はこれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むことができる。
【0104】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマー材料はポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。いくつかの実施態様では、PVDFはPVDFホモポリマーであってよい。いくつかの実施態様では、PVDFはPVDFコポリマーであってよい。いくつかの実施態様では、PVDFコポリマーは、PVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。本開示のいくつかの実施態様に適したPVDFホモポリマー又はコポリマーの非限定的な商業的例は、それぞれがArkema 社から商業的に入手可能なKynar Flex(登録商標)及びKynar Superflex(登録商標)を含むがこれに限定されるものではない。
【0105】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むことができる。いくつかの実施態様では、ポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。いくつかの実施態様では、ポリマーの構造は、伸張させると多孔性になり得るので、ポリマーのフィブリル及びノードの間にボイドを形成することができる。
【0106】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマーの表面エネルギーは1cm当たり31ダイン未満、1cm当たり30ダイン未満、1cm当たり25ダイン未満、1cm当たり20ダイン未満、又は1cm当たり15ダイン未満である。
【0107】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマーの表面エネルギーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり20ダイン~1cm当たり31ダイン、1cm当たり25ダイン~1cm当たり31ダイン、又は1cm当たり30ダイン~1cm当たり31ダインである。
【0108】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマーの表面エネルギーは、1cm当たり15ダイン~1cm当たり30ダイン、1cm当たり15ダイン~1cm当たり25ダイン、又は1cm当たり15ダイン~1cm当たり20ダインである。
【0109】
いくつかの実施態様では、SPCのポリマーの表面エネルギーは、1cm当たり20ダイン~1cm当たり25ダインである。
【0110】
いくつかの実施態様では、SPCのソーベント材料は活性炭を含む。いくつかの実施態様では、活性炭材料は石炭、褐炭、木材、ヤシガラ、別の炭素質材料のうちの1種又は2種以上に由来する。いくつかの実施態様では、ソーベント材料は、シリカゲル又はゼオライトを含むことができる。
【0111】
いくつかの実施態様では、SPCのソーベントの表面積は、400m2/g超、600m2/g超、800m2/g超、1000m2/g超、1200m2/g超、1400m2/g超、1600m2/g超、1800m2/g、又は2000m2/g超である。
【0112】
いくつかの実施態様では、SPCのソーベントの表面積は、400m2/g~2000m2/g、600m2/g~2000m2/g、800m2/g~2000m2/g、1000m2/g~2000m2/g、1200m2/g~2000m2/g、1400m2/g~2000m2/g、1600m2/g~2000m2/g、又は1800m2/g~2000m2/gである。
【0113】
いくつかの実施態様では、SPCのソーベントの表面積は、400m2/g~1800m2/g、400m2/g~1600m2/g、400m2/g~1400m2/g、400m2/g~1200m2/g、400m2/g~1000m2/g、400m2/g~800m2/g、又は400m2/g~600m2/gである。
【0114】
いくつかの実施態様では、SPCのソーベントの表面積は、600m2/g~1800m2/g、800m2/g~1600m2/g、又は1000m2/g~1400m2/gである。
【0115】
いくつかの実施態様では、第1SPC層と第2SPC層とは同じ組成物を含む。いくつかの実施態様では、第1SPC層と第2SPC層とは異なる組成物を含む。
【0116】
いくつかの実施態様では、少なくとも1種の透過制御材料は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流される条件下で、1日当たり総ハロゲンの特定の量を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度定数をもたらすのに十分な厚さを有する。
【0117】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも100日、少なくとも200日、少なくとも300日、少なくとも400日、少なくとも500日、少なくとも600日、少なくとも700日、少なくとも800日、少なくとも900日、少なくとも1,000日、少なくとも2,000日、少なくとも3,000日、少なくとも4,000日、又は少なくとも5,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0118】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、100日~10,000日の期間にわたって、500日~10,000日の期間にわたって、1,000日~10,000日の期間にわたって、又は5,000日~10,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0119】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、100日~5,000日の期間にわたって、100日~1,000日の期間にわたって、又は100日~500日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0120】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、500日~10,000日の期間にわたって、又は1,000日~5,000日の期間にわたって、物品の少なくとも1つの表面上を流される。
【0121】
「少なくとも1つの透過制御材料の十分な厚さ」の非限定的な数値例がここに記載される。少なくとも1つの透過制御材料がハロゲンリザーバの一部を形成するいくつかの非限定的実施態様では、少なくとも1種の透過制御材料の十分な厚さは、ハロゲンリザーバの厚さと同等と考えてよい。
【0122】
少なくとも1つの透過制御材料が少なくとも1つの透過制御層の形態を成すいくつかの非限定的な実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御材料の十分な厚さは、単一の透過制御層の厚さ(ただ1つの透過制御層が存在する実施態様の場合)、又は複数の透過制御層の厚さの和(複数の外側接着層が存在する実施態様の場合)と同等と考えてよい。
【0123】
いくつかの実施態様では、少なくとも1種の透過制御材料は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流されたときに、1日当たり総ハロゲンの0.5%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な厚さを有し、燃焼排ガス流は少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして燃焼排ガス流は、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む。
【0124】
いくつかの実施態様では、少なくとも1種の透過制御材料は、少なくとも90日の期間にわたって物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流されたときに、1日当たり総ハロゲンの2%を超えない、物品からの総ハロゲンの放出速度をもたらすのに十分な厚さを有し、燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む。
【0125】
いくつかの実施態様では、放出速度(%)は、SPCの重量に対するのではなく、経時的な相対ハロゲン量を意味する。いくつかの実施態様では、本明細書中でさらに論じるように、例えば
図6A及び6Bに示されているように、ヨウ素含量(又は放出速度)の減少は指数関数的である(すなわちこの減少は指数関数的減衰であると記すことができる)。したがって、この挙動を表すために、定数「k」を使用することができる。「k」は「放出速度定数」、「減衰定数」、又は「指数関数的減衰定数」と呼ぶことができる。
【0126】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃超、30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、60℃超、70℃超、75℃超、80℃超、85℃超、又は90℃超である。
【0127】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃未満、30℃未満、40℃未満、50℃未満、60℃未満、70℃未満、75℃未満、80℃未満、85℃、又は90℃未満である。
【0128】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃~80℃、30℃~80℃、40℃~80℃、50℃~80℃、60℃~80℃、又は70℃~80℃である。
【0129】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、20℃~70℃、20℃~60℃、20℃~50℃、20℃~40℃、又は20℃~30℃である。
【0130】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、30℃~70℃又は40℃~60℃である。
【0131】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、50℃~70℃、60℃~70℃、55℃~70℃、又は55℃~60℃である。
【0132】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~70℃、70℃~75℃、75℃~80℃、80℃~85℃又は85℃~90℃である。
【0133】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~90℃、70℃~90℃、75℃~90℃、80℃~90℃、又は85℃~90℃である。
【0134】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の温度は、65℃~75℃、65℃~80℃、65℃~85℃、又は65℃~90℃である。燃焼排ガス流の温度は、当業者に知られた温度計を使用して測定することができる。
【0135】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%である。
【0136】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、又は99%~100である。
【0137】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流の相対湿度は、95%~96%、95%~97%、95%~98%、95%~99%、又は95%~100%である。
【0138】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は少なくとも1種のSOx化合物を含まない。
【0139】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも1ppm、少なくとも5ppm、少なくとも10ppm、少なくとも20ppm、少なくとも25ppm、少なくとも30ppm、少なくとも35ppm、少なくとも40ppm、少なくとも45ppm、少なくとも50ppm、少なくとも100ppm、少なくとも300ppm、少なくとも500ppm、又は少なくとも1000ppmの濃度で少なくとも1種のSOx化合物を含む。
【0140】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、少なくとも1ppm~200ppm、5ppm~200ppm、10ppm~200ppm、50ppm~200ppm、又は100ppm~200ppmの濃度で少なくとも1種のSOx化合物を含む。
【0141】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、20ppm~100ppm、25ppm~100ppm、30ppm~100ppm、35ppm~100ppm、40ppm~100ppm、45ppm~100ppm、50ppm~100ppm、55ppm~100ppm、60ppm~100ppm、65ppm~100ppm、70ppm~100ppm、75ppm~100ppm、80ppm~100ppm、85ppm~100ppm、90ppm~100ppm、又は95ppm~100ppmの濃度で少なくとも1種のSOx化合物を含む。
【0142】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、20ppm~25ppm、20ppm~30ppm、20ppm~35ppm、20ppm~40ppm、20ppm~45ppm、20ppm~50ppm、20ppm~55ppm、20ppm~60ppm、20ppm~65ppm、20ppm~70ppm、20ppm~75ppm、20ppm~80ppm、20ppm~85ppm、20ppm~90ppm、20ppm~95ppm、又は20ppm~100ppmの濃度で少なくとも1種のSOx化合物を含む。
【0143】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、1ppm~90ppm、1ppm~80ppm、1ppm~70ppm、1ppm~90ppm、1ppm~90ppm、1ppm~60ppm、1ppm~50ppm、1ppm~40ppm、1ppm~30ppm、1ppm~20ppm、1ppm~10ppm、又は1ppm~5ppmの濃度で少なくとも1種のSOx化合物を含む。
【0144】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は水銀蒸気を含まない。
【0145】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも2μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも3μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも4μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも5μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも6μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも7μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも8μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも9μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも10μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも15μg/m3、燃焼排ガス流の少なくとも20μg/m3、又は燃焼排ガス流の少なくとも50μg/m3の濃度で水銀蒸気を含む。
【0146】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m3~50μg/m3、燃焼排ガス流の5μg/m3~50μg/m3、燃焼排ガス流の10μg/m3~50μg/m3、燃焼排ガス流の20μg/m3~50μg/m3、又は燃焼排ガス流の40μg/m3~50μg/m3の濃度で水銀蒸気を含む。
【0147】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の2μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の3μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の4μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の5μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の6μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の7μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の8μg/m3~10μg/m3、燃焼排ガス流の9μg/m3~10μg/m3の濃度で水銀蒸気を含む。
【0148】
いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、燃焼排ガス流の1μg/m3~2μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~3μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~4μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~5μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~6μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~7μg/m3、燃焼排ガス流の1μg/m3~8μg/m3、又は燃焼排ガス流の1μg/m3~9μg/m3の濃度で水銀蒸気を含む。
【0149】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料は、ポリカーボネート(PC)、エチルセルロース(EC)、ポリスチレン(PS)、ポリスチレン-ジビニルベンゼン(PS-DVB)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ペルフルオロプロピレンとのポリフッ化ビニリデンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、架橋エポキシ、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、少なくとも1種のポリオレフィン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のポリオレフィンは、ポリエチレン(一例としては超高分子量(UHMW)ポリエチレンが挙げられる)、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0150】
いくつかの実施態様では、PVDFコポリマーはPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマーである。
【0151】
本開示のいくつかの実施態様に適したPVDFホモポリマー又はコポリマーの非限定的な商業的例は、それぞれがArkema 社から商業的に入手可能なKynar Flex(登録商標)及びKynar Superflex(登録商標)を含むがこれに限定されるものではない。
【0152】
いくつかの実施態様では、透過制御材料は接着層、網のような不連続フィルム、連続フィルム、又はこれらの任意の組み合わせの形態を成していてよい。いくつかの実施態様では、透過制御材料は接着層である。いくつかの実施態様では、透過制御材料は、下記実施例1に記載された非限定的な例のような網の形態を成すPVDF接着層である。いくつかの実施態様では、透過制御材料は、下記実施例1に記載された非限定的な例のような連続フィルムの形態を成すPVDF接着層である。
【0153】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御材料は、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、前記少なくとも1つの透過制御層は第1SPC層とハロゲンリザーバとの間に、第2SPC層とハロゲンリザーバとの間に、又はその両方に配置されている。
【0154】
いくつかの実施態様では、物品は1~20の透過制御層をさらに含み、そして透過制御層はSPC層とハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0155】
いくつかの実施態様では、物品は1つの透過制御層をさらに含み、そして透過制御層はSPC層とハロゲンリザーバとの間に配置されている。いくつかの実施態様では、物品は2つの透過制御層、3つの透過制御層、4つの透過制御層、5つの透過制御層、6つの透過制御層、7つの透過制御層、8つの透過制御層、9つの透過制御層、10の透過制御層、15の透過制御層、又は20の透過制御層をさらに含み、透過制御層はSPC層とハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0156】
いくつかの実施態様では、物品は1~15の透過制御層、1~10の透過制御層、1~9の透過制御層、1~8の透過制御層、1~7の透過制御層、1~6の透過制御層、1~5の透過制御層、1~4の透過制御層、1~3の透過制御層、又は1~2の透過制御層をさらに含み、透過制御層はSPC層とハロゲンリザーバとの間に配置されている。
【0157】
いくつかの実施態様では、物品は2~20の透過制御層、3~20の透過制御層、4~20の透過制御層、5~20の透過制御層、6~20の透過制御層、7~20の透過制御層、8~20の透過制御層、9~20の透過制御層、10~20の透過制御層、又は15~20の透過制御層をさらに含む。
【0158】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源とを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とはハロゲンリザーバ内部に存在する。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とは、ハロゲンリザーバの一体部分を形成する。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源とから本質的に成る。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源とから成る。
【0159】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは第3SPC層である。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0160】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0161】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、又は95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0162】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバの総重量を基準として10wt%~95wt%、15wt%~95wt%、20wt%~95wt%、25wt%~95wt%、30wt%~95wt%、35wt%~95wt%、40wt%~95wt%、45wt%~95wt%、50wt%~95wt%、55wt%~95wt%、60wt%~95wt%、65wt%~95wt、70wt%~95wt%、75wt%~95wt、80wt%~95wt%、85wt%~95wt%、又は90wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0163】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、5wt%~10wt%、5wt%~15wt%、5wt%~20wt%、5wt%~25wt%、5wt%~30wt%、5wt%~35wt%、5wt%~40wt%、5wt%~45wt%、5wt%~50wt%、5wt%~55wt%、5wt%~60wt%、5wt%~65wt%、5wt%~70wt%、5wt%~75wt%、5wt%~80wt%、5wt%~85wt%、又は5wt%~90wt%の少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0164】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバの総重量を基準として少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲン源はハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0165】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバはハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、又は0.5wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバはハロゲンリザーバの総重量を基準として、1wt%、2wt%、3wt%、4wt%、又は5wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバはハロゲンリザーバの総重量を基準として、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、又は50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0166】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバはハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~50wt%、0.2wt%~50wt%、0.3wt%~50wt%、0.4wt%~50wt%、0.5wt%~50wt%、1wt%~50wt%、2wt%~50wt%、3wt%~50wt%、4wt%~50wt%、5wt%~50wt%、10wt%~50wt%、15wt%~50wt%、20wt%~50wt%、25wt%~50wt、30wt%~50wt%、35wt%~50wt%、40wt%~50wt%、又は45wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0167】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバはハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~45wt%、0.1wt%~40wt%、0.1wt%~35wt%、0.1wt%~30wt%、0.1wt%~25wt%、0.1wt%~20wt%、0.1wt%~15wt%、0.1wt%~10wt%、0.1wt%~5wt%、0.1wt%~1wt%、0.1wt%~0.5wt%、0.1wt%~0.4wt%、0.1wt%~0.3wt%、又は0.1wt%~0.2wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む。
【0168】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、金属ハロゲン化物、ハロゲン化アンモニウム、元素ハロゲン、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、又はヨウ化カリウムのうちの少なくとも1種から選択される。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源はハロゲン化アンモニウムを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1種から選択される。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は元素ハロゲンを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、元素ヨウ素(I2)、元素塩素(Cl2)、又は元素臭素(Br2)のうちの少なくとも1種から選択される。
【0169】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は元素ヨウ素(I2)である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源はテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源はヨウ化カリウム(KI)である。
【0170】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0171】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、テトラブチルホスホニウムヨージド(TBPI)、エチルトリフェニルホスホニウムトリヨージド(ETPPI3)、テトラブチルホスホニウムブロミド(TBPBr)、エチルトリフェニルホスホニウムブロミド(ETPPBr)、及びこれらの任意の組み合わせから成る群から選択される。
【0172】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン化ホスホニウムは、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI)である。
【0173】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は任意の適宜の技術によって、SPC内へ組み込まれてよい。この技術の一例としては、インバイビング、含浸、吸着、混合、振りかけ、噴霧、浸漬、塗装、塗布、イオン交換、又はその他の形で前記少なくとも1種のハロゲン源をSPCへ被着することが挙げられる。いくつかの実施態様では、ハロゲン源はSPC内部、例えばSPCの任意の孔内部に配置されてよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は溶液で提供されてよい。溶液は、システム動作条件下で、SPCとその場で接触してよい。
【0174】
本明細書中に記載されたソーベントポリマー複合体の付加的な形態が、Hardwick他の米国特許第9,827,551号明細書、及びLu他の米国特許第7,442,352号明細書に述べられている。これらの明細書のそれぞれは全体を参照することにより本明細書中に援用される。
【0175】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%~0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0176】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%、0.02%、又は0.05%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.1%、0.2%、又は0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0177】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%~0.2%/日の速度、0.01%~0.1%/日の速度、0.01%~0.05%/日の速度、又は0.01%~0.02%/日の速度で放出するように形成されている。
【0178】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.02%~0.3%/日の速度、0.05%~0.3%/日の速度、0.1%~0.3%/日の速度、又は0.2%~0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0179】
いくつかの実施態様では、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方が、少なくとも1種のハロゲン源を含むこともできる。
【0180】
いくつかの実施態様では、第1SPC層の前記少なくとも1種のハロゲン源、又は第2SPC層の前記少なくとも1種のハロゲン源、又はその両方は、ハロゲンリザーバの前記少なくとも1種のハロゲン源と同じである。いくつかの実施態様では、第1SPC層内部の前記少なくとも1種のハロゲン源、又は第2SPC層内部の前記少なくとも1種のハロゲン源は、ハロゲンリザーバの前記少なくとも1種のハロゲン源とは異なる。
【0181】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、少なくとも1種の透過制御材料の少なくとも1つのポリマー鎖に解離可能に結合されてよい。いくつかの実施態様では、「解離可能に結合される」とは、少なくとも1種のハロゲン源が、少なくとも1種の透過制御材料に対する固有結合親和性(結合吸着能力)を有し得ることを意味する。いくつかの実施態様では、この結合効率は、本明細書中に記載された少なくとも1種の透過制御材料からの前記少なくとも1種のハロゲン源の任意の放出速度、又はその範囲をもたらすのに十分な結合効率である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、溶液分散を介して前記少なくとも1種の透過制御材料に結合されるようになり得る。
【0182】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源との間の結合吸着能力は、5重量%~50重量%、10重量%~50重量%、25重量%~50重量%、45重量%~50重量%である。
【0183】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源との間の結合吸着能力は、5重量%~45重量%、5重量%~25重量%、又は5重量%~10重量%である。
【0184】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料と前記少なくとも1種のハロゲン源との間の結合吸着能力は、10重量%~45重量%、10重量%~25重量%、又は25重量%~45重量%である。
【0185】
結合吸着能力は重量測定容量試験(gravimetric capacity test)によって判定することができる。
【0186】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは、ハロゲンリザーバ内部に埋め込まれた粒子をさらに含む。
【0187】
粒子は任意の適宜の材料を含んでよい。例えば、いくつかの実施態様では、粒子は、石炭、褐炭、木材、ヤシガラ、別の炭素質材料に由来する活性炭、シリカゲル、ゼオライト、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0188】
いくつかの実施態様では、粒子は炭素粒子を含む。いくつかの実施態様では、炭素粒子は、本明細書中に挙げられた任意のタイプの炭素粒子(例えば石炭、木材に由来する活性炭)を含んでよい。
【0189】
いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御層、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御層、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、1wt%~75wt%の量で存在する。いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、25wt%~75wt%の量で存在する。いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、50wt%~75wt%の量で存在する。
【0190】
いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、1wt%~50wt%の量で存在する。いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、1wt%~25wt%の量で存在する。
【0191】
いくつかの実施態様では、粒子はハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせ内に、ハロゲンリザーバ、透過制御材料、又はこれらの任意の組み合わせの総重量を基準として、25wt%~50wt%の量で存在する。
【0192】
粒子が活性炭を含むいくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~60wt%の量で存在する。
【0193】
いくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、0.6wt%、0.7wt%、0.8wt%、又は0.9wt%の量で存在する。いくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、又は60wt%の量で存在する。
【0194】
いくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.2wt%~60wt%、0.3wt%~60wt%、0.4wt%~60wt%、0.5wt%~60wt%、0.6wt%~60wt%、0.7wt%~60wt%、0.8wt%~60wt%、又は0.9wt%~60wt%の量で存在する。いくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、1wt%~60wt%、5wt%~60wt%、10wt%~60wt%、15wt%~60wt%、20wt%~60wt%、25wt%~60wt%、30wt%~60wt%、35wt%~60wt%、40wt%~60wt%、45wt%~60wt%、50wt%~60wt%、又は55wt%~60wt%の量で存在する。
【0195】
いくつかの実施態様では、活性炭はハロゲンリザーバ内に、ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~55wt%、0.1wt%~50wt%、0.1wt%~45wt%、0.1wt%~40wt%、0.1wt%~35wt%、0.1wt%~30wt%、0.1wt%~25wt%、0.1wt%~20wt%、0.1wt%~15wt%、0.1wt%~10wt%、0.1wt%~5wt%、0.1wt%~1wt%、0.1wt%~0.9wt%、0.1wt%~0.8wt%、0.1wt%~0.7wt%、0.1wt%~0.6wt%、0.1wt%~0.5wt%、0.1wt%~0.4wt%、0.1wt%~0.3wt%、又は0.1wt%~0.2wt%の量で存在する。
【0196】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源はハロゲンリザーバの活性炭内部に存在する。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは第3SPCを含む。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源はハロゲンリザーバのSPCを充たす。
【0197】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバのソーベントは、第1ソーベント又は第2ソーベントの少なくとも一方と同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバのソーベントは、第1ソーベント又は第2ソーベントの少なくとも一方とは異なる材料を含む。
【0198】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバのポリマーは、第1ポリマー(第1SPC層に相当)又は第2ポリマー(第2SPC層に相当)の少なくとも一方と同じ材料を含む。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバのポリマーは、第1ポリマー(第1SPC層に相当)又は第2ポリマー(第2SPC層に相当)の少なくとも一方とは異なる材料を含む。
【0199】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバと第1SPC層との間に位置決めされた少なくとも1つの透過制御層がある。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバと第2SPC層との間に位置決めされた少なくとも1つの透過制御層がある。いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバと第1SPC層との間に位置決めされた少なくとも1つの透過制御層、及びハロゲンリザーバと第2SPC層との間に位置決めされた少なくとも1つの透過制御層がある。
【0200】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、1μm~1000μmである。
【0201】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1000μmである。
【0202】
前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、断面走査電子顕微鏡法を用いて測定することができる。
【0203】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、5μm~1000μm、10μm~1000μm、20μm~1000μm、30μm~1000μm、40μm~1000μm、50μm~1000μm、100μm~1000μm、200μm~1000μm、300μm~1000μm、400μm~1000μm、500μm~1000μm、600μm~1000μm、700μm~1000μm、800μm~1000μm、又は900μm~1000μmである。
【0204】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、1μm~900μm、1μm~800μm、1μm~700μm、1μm~600μm、1μm~500μm、1μm~400μm、1μm~300μm、1μm~200μm、1μm~100μm、1μm~50μm、1μm~40μm、1μm~30μm、1μm~20μm、1μm~10μm、又は1μm~5μmである。
【0205】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、25μm~500μmである。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層の厚さは、125μm~250μmである。
【0206】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は少なくとも1種の透過制御材料を含む。
【0207】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%~0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0208】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.02%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.05%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.1%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.2%/日の速度で放出するように形成されている。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0209】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.01%~0.2%/日の速度、0.01%~0.1%/日の速度、0.01%~0.05%/日の速度、又は0.01%~0.02%/日の速度で放出するように形成されている。
【0210】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、前記少なくとも1種のハロゲン源を第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内へ、総ハロゲンの0.02%~0.3%/日の速度、0.05%~0.3%/日の速度、0.1%~0.3%/日の速度、又は0.2%~0.3%/日の速度で放出するように形成されている。
【0211】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、総ハロゲンの0.01%~0.3%/日の速度で、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内への前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を遅延させるように形成されている。
【0212】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、総ハロゲンの0.01%、0.02%、0.05%、0.1%、0.2%、又は0.3%/日の速度で、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内への前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を遅延させるように形成されている。
【0213】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、総ハロゲンの0.01%~0.2%、0.01%~0.1%、0.01%~0.05%、又は0.01%~0.02%/日の速度で、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内への前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を遅延させるように形成されている。
【0214】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1つの透過制御層は、総ハロゲンの0.02%~0.3%、0.05%~0.3%、0.1%~0.3%、又は0.2%~0.3%/日の速度で、第1SPC層又は第2SPC層の少なくとも一方の層内への前記少なくとも1種のハロゲン源の放出を遅延させるように形成されている。
【0215】
本開示のいくつかの実施態様は、本明細書中に開示された模範的物品を得、物品を燃焼排ガス流に晒すことを含む方法に関する。いくつかの実施態様では、燃焼排ガス流は、酸化硫黄、水銀蒸気、又はこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0216】
いくつかの実施態様では、方法は、層状構造を生じさせるように、第1SPC層と第2SPC層との間にハロゲンリザーバを配置することにより、物品を形成することを含む。
【0217】
いくつかの実施態様では、方法は層状構造を一緒に付着させることを含む。いくつかの実施態様では、付着は、例えば積層、グルーイング、プレス、ソーイング、ステッチ、熱ボンディング、レーザーボンディング、溶接、貼り合わせ、少なくとも1種の接着剤の使用、又はこれらの任意の組み合わせのような任意の適宜の付着形態を含んでよい。
【0218】
いくつかの実施態様では、物品は少なくとも1つの透過制御層の形態を成す少なくとも1種の透過制御材料を含み、第1SPC層と第2SPC層との間にハロゲンリザーバを配置する工程は、第1SPC層とハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1つの透過制御層を配置すること、第2SPC層とハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1つの透過制御層を配置すること、又はこれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0219】
いくつかの実施態様では、第1SPC層と第2SPC層との間にハロゲンリザーバを配置する工程は、第1SPC層とハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層を配置し、そして第2SPC層とハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層を配置することを含む。
【0220】
いくつかの実施態様では、ハロゲンリザーバは少なくとも1種の透過制御材料を含む。いくつかの実施態様では、物品は、ハロゲンリザーバを形成するように、少なくとも1種のハロゲン源と少なくとも1種の透過制御材料とを合体させ、層状構造を生じさせるように、第1SPC層と第2SPC層との間にハロゲンリザーバを配置し、そして層状構造を一緒に付着させることにより、形成される。いくつかの実施態様では、付着は、例えば熱ボンディング、レーザーボンディング、溶接、ラミネーション、少なくとも1種の接着剤の使用、又はこれらの任意の組み合わせのような任意の適宜の付着形態を含んでよい。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の接着剤は、本明細書中に記載されているように、前記少なくとも1種の透過制御材料であってよい。
【0221】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度まで前記透過制御材料を加熱し、そして前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料を前記少なくとも1種のハロゲン源と混合することを含む。
【0222】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、少なくとも1種の透過制御材料、又は本明細書中に記載された透過制御材料の組み合わせの溶融温度に相当する。
【0223】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、80℃~300℃である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、100℃~300℃である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、200℃~300℃である。
【0224】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、80℃~200℃である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、80℃~100℃である。
【0225】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、90℃~220℃である。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度は、130℃~180℃である。
【0226】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源を前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料と混合する。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源を前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料と、懸濁液、溶液、エマルション、分散体、又はこれらの任意の組み合わせとして混合する。
【0227】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源を前記少なくとも1種の溶融済み透過制御材料と、気相で混合する。
【0228】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、前記少なくとも1種の透過制御材料を溶媒中に溶解させることにより混合物を形成し、溶媒と前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に少なくとも1種のハロゲン源を添加し、そして溶媒を蒸発させることを含む。
【0229】
いくつかの実施態様では、溶媒は塩化メチレン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル(EtOAc)、アセトン、トルエン、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0230】
いくつかの実施態様では、方法は、前記少なくとも1種のハロゲン源と、溶媒と、透過制御材料との混合物に粒子を添加することをさらに含む。いくつかの実施態様では、粒子は本明細書中に記載された任意の粒子、一例としては炭素粒子であってよい。
【0231】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、少なくとも1種のハロゲン源を得、そして前記少なくとも1種のハロゲン源及び前記少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成することを含む。いくつかの実施態様では、化学錯体は、例えばポリスチレン中に見出される元素ヨウ素と芳香族環との電荷移動錯体を含んでよい。
【0232】
いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、前記少なくとも1種のハロゲン源が溶液である状態で、少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成する。いくつかの実施態様では、前記少なくとも1種のハロゲン源は、前記少なくとも1種のハロゲン源が気相である状態で、少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成する。
【0233】
いくつかの実施態様では、物品は第2透過制御材料を含み、第2透過制御材料は、第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、方法は、第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、第2透過制御材料から成る前記少なくとも1つの層を配置すること、第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、第2透過制御材料から成る前記少なくとも1つの層を配置すること、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0234】
いくつかの実施態様では、方法は、第1SPC層とハロゲンリザーバとの間に、第2透過制御材料から成る第1層を配置し、そして第2SPC層とハロゲンリザーバとの間に、第2透過制御材料から成る第2層を配置することをさらに含む。
【0235】
本開示のいくつかの実施態様は、本明細書中に開示された模範的物品及び/又は物品の実施態様のいずれかを含むシステムに関する。いくつかの実施態様では、システムは、ガス流の通過のために形成された通路を含む。いくつかの実施態様では、物品は通路内部に収納されている。いくつかの実施態様では、物品の第1層又は第2層の少なくとも一方はリザーバとガス流との間に配置されている。
【0236】
いくつかの実施態様では、システムは、複数の通路内に形成されたいくつかの物品を含むことができる。このような実施態様では、ガス流が第1層又は第2層のいずれか一方と直接に接触するが、しかしリザーバと直接には接触しないように、ガス流は通路間を流れることができる。いくつかの実施態様では、装置の複数の通路は、反応物質、例えばガス状成分がシステムの1つ又は2つ以上の表面上を流れるのを容易にし、そして少なくとも1種の液状生成物の排出を容易にすることができる。
【0237】
本明細書中に記載された例を含むシステムの非限定的な模範的ジオメトリは、Stark他の米国特許第9,381,459号明細書に見出すことができる。前記明細書はあらゆる目的で全体を参照することにより、本明細書中に援用される。
【0238】
図1は、本明細書中に記載された物品の非限定的な実施態様を示す。図示のように、物品100は第1ソーベントポリマー複合体層101と、第2ソーベントポリマー複合体層102と、少なくとも1種のハロゲン源(図示せず)を含むハロゲンリザーバ103とを含むことができる。
【0239】
図2Aは、本明細書中に記載された物品のさらなる非限定的な実施態様を示す。図示のように、物品200は第1ソーベントポリマー複合体層201と、第2ソーベントポリマー複合体層202と、ハロゲンリザーバ層203とを含むことができる。ハロゲンリザーバ層は、少なくとも1種のハロゲン源(図示せず)を充填された第3ソーベントポリマー複合体を含む。いくつかの非限定的な実施態様では、第1ソーベントポリマー複合体層201と、第2ソーベントポリマー複合体層202とには、少なくとも1種のハロゲン源(図示せず)を充填することもできる。
【0240】
図2Bは、物品200のさらなる非限定的な実施態様を示す。図示のように、いくつかの実施態様では、物品200は第1透過制御層204と、第2透過制御層205とを含むこともできる。第1透過制御層204は第1ソーベントポリマー複合体層201とハロゲンリザーバ層203との間に配置されている。第2透過制御層205は第2ソーベントポリマー複合体層202とハロゲンリザーバ層203との間に配置されている。
【0241】
図3Aは、本明細書中に記載された物品の別の非限定的な実施態様を示す。図示のように、物品300は第1ソーベントポリマー複合体層301と、第2ソーベントポリマー複合体層302と、ハロゲンリザーバ303とを含むこともできる。ハロゲンリザーバ303は、少なくとも1種の透過制御材料を含み、そして少なくとも1種のハロゲン源(図示せず)を充填されている。
【0242】
図3Bは、物品300のさらなる非限定的な実施態様を示す。図示のように、いくつかの実施態様では、物品300は第1透過制御層304と、第2透過制御層305とを含むこともできる。
【0243】
図3Cは、物品300の別の非限定的な実施態様を示す。図示のように、いくつかの実施態様では、物品300は、ハロゲンリザーバ303内部に粒子306を含むことができる。
【0244】
図3Dは、物品300のさらなる非限定的な実施態様を示す。図示のように、いくつかの実施態様では、物品300は第1透過制御層304と、第2透過制御層305と、ハロゲンリザーバ303内部の粒子306とを含むこともできる。
【0245】
図4は、本明細書に記載された物品の少なくとも1つを有する汚染制御システム400の非限定的な実施態様を示す。汚染制御システム400のいくつかの非限定的な用途は、種々の大気汚染物質排出基準に準拠するように大気汚染物質排出を制御することを目的とし得る。汚染制御システム400は、産業燃焼排ガスからの元素水銀及び酸化気相水銀を捕捉するように形成することができる。汚染制御システム400は不連続な積み重ね可能なモジュール402を含むことができる。これらのモジュールは粒子収集システムの下流側に設けることができる。いくつかの実施態様では、モジュール402は、本明細書中に記載された物品404(
図4に拡大部分図で示されている)の1つ又は2つ以上の実施態様を有するように形成することができる。
【0246】
図5は、本明細書中に記載された物品502の非限定的実施態様上を流れる燃焼排ガス流を示す概略
図500である。物品502は、燃焼排ガス流が(例えば物品502の材料上を、又は材料を通って)流過するのに伴って、燃焼排ガス流からの元素水銀及び酸化水銀の両方を捕捉することができる。水銀は化学吸着を介して、物品502の材料内部で固定的に結合することができる。SO
2も吸着且つ/又は吸収し、そして(SO
2酸化触媒を介して)触媒することにより液体硫酸にすることができる。液体硫酸は液滴504を形成し、物品502から駆出することができる。液滴504は物品502の表面に作用する重力を介して、下方へ向かって流れることができる。
【0247】
物品の種々の実施例及び比較例を試験して、本明細書中にも記載された、具体化されたシステム及びプロセス内に組み入れられた物品の実施態様の改善された特性を示した。その結果を以下に詳述する。
【0248】
試験法
【0249】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験
【0250】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験は実験室試験である。燃焼排ガス流に対する模擬暴露のための模範的試験を、下記のものを含む装置を使用して実施した。すなわち、
(1) 質量流コントローラによって調整される空気の供給部、質量流コントローラを通して調整される1%二酸化硫黄/窒素混合物を含有するガスシリンダによって供給されるSO2源、
(2) バイパスを備えた12mm辺長の三角形試料セル。これを65℃に維持された炉内に配置するとともに、
(3) MH-070透過管加湿器(米国ニュージャージー州在PermaPure)を使用して高い相対湿度80%超を維持する。
【0251】
300ppm(786mg/m3)SO2及び湿度90%を含有する模擬燃焼排ガス流に、上記装置内で、約3ヶ月の期間にわたって1標準リットル/分で、試料を晒した。試験期間は様々であってよく、3ヶ月を上回っても下回ってもよい。試料の総ハロゲン含量を蛍光X線(「XRF」)によって経時的にwt%で測定した。開示の試料の総ハロゲン含量は総ヨウ素含量として判定した。このように、ハロゲン含量及び放出速度の議論は、試料のヨウ素含量及び総ヨウ素(総ハロゲン)の放出速度に基づく。
【0252】
相対ヨウ素含量は、式C_ヨウ素/C_ヨウ素_0にしたがって経時的に追跡した。ここでC_ヨウ素/C_ヨウ素_0は、物品中の初期総ヨウ素含量に対する、所定の時点での物品中の総ヨウ素含量である。
【0253】
式C_ヨウ素 / C_ヨウ素_0 = exp(-k*時間)にしたがって、指数放出速度(減衰)関数を用いて相対ヨウ素含量を追跡することにより、総ハロゲンの放出速度を分析した。ここで、C_ヨウ素は経時的にそれぞれの試料中で測定された総ヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkは%/日の単位を有するヨウ素放出速度定数である。
【0254】
総放出速度は、k*C_ヨウ素に等しく、そして相対放出速度はk * C_ヨウ素/C_ヨウ素_0に等しい。
【0255】
総放出速度は、放出速度定数(例えば0.5%/日)を物品中の総ハロゲンで掛け算した値に等しい。換言すれば、物品からの総ハロゲンの放出速度は、この例では、1日当たり物品中の総ハロゲンの0.5%である。相対放出速度と放出速度定数とは、同じ単位(%/日)を有するが、しかし相対ヨウ素含量によって値が異なる。ヨウ素含量を、式C_ヨウ素 =C_ヨウ素_0 * exp(-k*時間)にしたがって経時的に追跡することもあった。ここで、C_ヨウ素は物品中のヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkは%/日の単位を有する上記のものと同じヨウ素放出速度(減衰)定数である。
【0256】
指数関数的放出速度(減衰)モデルは、長時間にわたるハロゲン源の消耗を推定するために使用した。
【0257】
燃焼排ガス流耐久性試験
【0258】
燃焼排ガス流耐久性試験は実地試験である。石炭火力発電所の脱硫吸収装置から下流側の湿潤燃焼排ガス流のスリップストリームに、(本開示の物品を示す)ソーベントポリマー複合体(SPC)積層試料を晒すことにより、実際の燃焼排ガス流に暴露する模範的試験を実施した。試料を2種の形態で燃焼排ガス流に晒した。
【0259】
第1形態の場合、当該シートを横切る妨害されない流れを可能にするように、ロッド上に支持された、6枚の3.5” x 12”(8.89cm x 30.48cm)ソーベントポリマー複合体(SPC)積層シートを、3.5” x 3.5” x 40”(8.89cm x 8.89cm x 101cm)絶縁試料固定具内へ組み込んだ。ほぼ80ACFM(1分当たりの実際立方フィート)(137m3/hr)の燃焼排ガス流をファンにより一連の管を通して試料固定具内へ引き込むことにより、試料を暴露した。
【0260】
第2形態の場合、1.25” x 12”(3.175cm x 30.48cm)ソーベントポリマー複合体(SPC)積層ストリップをフレーム固定具2’ x 2’ x 1’(61cm x 61cm x 30cm)上に取り付ける一方、ストリップの上部及び底部を、100ストリップまで保持可能なフレームのレールに沿って所定の位置に固定した。これらのレールを2インチ(50mm)だけ分離することにより、フレームを横切る妨害されない流れを提供した。フレームを2.1’ x 2.1’ x 8’(0.66m x 0.66m x 2.4m)絶縁Pilot Tower Unit内へ挿入した。ほぼ2880ACFM(4860m3/hr)の燃焼排ガス流をファンを使用して引き込むことにより、試料を暴露した。
【0261】
本開示に基づく試料を第1形態又は第2形態又はその両方で試験した。
【0262】
両形態において、流量及び圧力差を試料固定具全体にわたってモニタリングした。性質上、燃焼排ガス流の組成は高度に可変であったが、しかし燃焼排ガス流の典型的な組成は、水銀濃度が2μg/m3、SO2濃度が20~40ppm、O2濃度が6%、NO濃度が200ppmであり、そして相対湿度が>95%であった。スリップストリーム燃焼排ガス流の温度は50~55℃であった。
【0263】
1ヶ月にほぼ1回(30日毎に)、試料を採取し、そして試料の総ハロゲン含量(wt%)を蛍光X線(「XRF」)によって分析した。開示の試料の総ハロゲン含量は総ヨウ素含量として判定した。このように、ハロゲン含量及び放出速度の議論は、試料のヨウ素含量及び総ヨウ素(総ハロゲン)の放出速度に基づく。
【0264】
各試料の総ヨウ素含量は、初期ヨウ素含量に対するヨウ素含量(「相対ヨウ素含量」)に換算し、そして下記表において記載されているように、経時的に追跡した。
【0265】
総ハロゲンの放出速度は、本発明の実施例によって分析されるヨウ素の放出速度に相当する。
【0266】
下記式にしたがって、指数放出速度(減衰)関数を用いて相対ヨウ素含量を追跡することにより、総ハロゲンの放出速度を分析した。
【0267】
式C_ヨウ素 / C_ヨウ素_0 = exp(-k*時間)。ここで、C_ヨウ素はそれぞれの試料中の総ヨウ素含量であり、C_ヨウ素_0は、初期総ヨウ素含量であり、そしてkは%/日の単位を有するヨウ素放出速度(減衰)定数である。総放出速度は、k*C_ヨウ素に等しく、そして相対放出速度はk C_ヨウ素/C_ヨウ素_0に等しい。
【0268】
総放出速度は、放出速度定数(例えば0.5%/day)を物品中の総ハロゲンで掛け算した値に等しい。換言すれば、物品からの総ハロゲンの放出速度は、この例では1日当たり物品中の総ハロゲンの0.5%である。相対放出速度と放出速度定数とは、同じ単位(%/日)を有するが、しかし相対ヨウ素含量によって値が異なる。指数関数的放出速度(減衰)モデルは、長時間にわたるハロゲン源の消耗を推定するために使用した。
【0269】
EDX試験
【0270】
エネルギー分散型X線分光法(EDX)は、電子ビームが試料に衝突し、試料の電子中にエネルギーシフトをもたらす分析技術である。このシフトにより試料はX線シグネチャーを発する。X線シグネチャーは、試料の元素組成の識別を可能にする。シグナルは、目標成分の相対濃度を反映する光強度を有する試料の画像において観察される。
【0271】
実施例
【0272】
下記実施例は、本開示のある特定の非限定的実施態様を例示するように意図される。
【0273】
実施例1
【0274】
ソーベントポリマー複合体(SPC)
【0275】
SPC材料1A。80%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20%のPTFEとを含むSPCを実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。SPC材料1Aの厚さはほぼ25ミル(0.635mm)であった。
【0276】
SPC材料1B。50%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、30%のPTFEと、5%の硫黄と、15%のテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)とを含む、実験室条件下で作成されたSPCを、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。SPC材料1Bの厚さはほぼ25ミル(0.635mm)であった。
【0277】
SPC材料を含むハロゲンリザーバ
【0278】
ハロゲンリザーバ1A。40%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、30%のPTFEと、ハロゲン源としての20%のヨウ化カリウム(KI)と、10%の酸化鉄(Fe2O3)とを含む、実験室条件下で作成されたハロゲンリザーバを、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、ハロゲンリザーバを形成した。ハロゲンリザーバ1Aの厚さはほぼ25~30ミル(0.635mm~0.762mm)であった。
【0279】
ハロゲンリザーバ1B。40%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、30%のPTFEと、ハロゲン源としての20%のヨウ化カリウム(KI)と、10%の酸化鉄(Fe2O3)とを含む、実験室条件下で作成されたハロゲンリザーバを、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、ハロゲンリザーバを形成した。ハロゲンリザーバ1Bの厚さはほぼ25~30ミル(0.635mm~0.762mm)であった。
【0280】
ハロゲンリザーバ1C。35%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、20%のPTFEと、ハロゲン源としての20%のテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)と、25%のPVDF(Hylar 301F,米国デラウェア州在Solvay Specialty Polymers, LLC)とを含む、実験室条件下で作成されたハロゲンリザーバを、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、ハロゲンリザーバを形成した。ハロゲンリザーバ1Cの厚さはほぼ25~30ミル(0.635mm~0.762mm)であった。
【0281】
ハロゲンリザーバ1D。35%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20%のPTFEと、ハロゲン源としての20%のテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)と、25%のPVDF(Hylar 301F,米国デラウェア州在Solvay Specialty Polymers, LLC)とを含む、実験室条件下で作成されたハロゲンリザーバを、米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、ハロゲンリザーバを形成した。ハロゲンリザーバ1Dの厚さはほぼ25~30ミル(0.635mm~0.762mm)であった。
【0282】
接着層の形態を成す透過制御材料
【0283】
接着層1A。不連続PVDF NALTEX押出網を含む接着層の形態を成す透過制御材料を使用した(米国デラウェア州在Delstar Technologies, Inc.)。接着層1Aの厚さはほぼ25ミル(0.635mm)であった。
【0284】
接着層1B。連続PVDFフィルムを含む接着層の形態を成す透過制御材料を使用した(SOLEF PVDF 9009,米国デラウェア州在Solvay Specialty Polymers, LLC)。接着層1Bの厚さは2ミル(0.05mm)であった。
【0285】
模範的物品
【0286】
物品1A:下記順序で5層SPC積層体を構成した。a)SPC材料1Aを含む第1SPC層、b)接着剤1Aを含む第1接着層、c)ハロゲンリザーバ1Aを含むハロゲンリザーバ層、d)接着剤1Aを含む第2接着層、e)SPC材料1Aを含む第2SPC層。層を切断して30.5cm x 20.3cm(12” x 8”)ストリップにし、175℃及び約413~620kPa(ほぼ60~90psi)のベルトラミネータ内で積層し、5層SPC積層体、物品1Aを製造した。
【0287】
物品1B:下記順序で5層SPC積層体を構成した。a)SPC材料1Aを含む第1SPC層、b)接着剤1Aを含む第1接着層、c)ハロゲンリザーバ1Bを含むハロゲンリザーバ層、d)接着剤1Aを含む第2接着層、e)SPC材料1Aを含む第2SPC層。層を切断して30.5cm x 20.3cm(12” x 8”)ストリップにし、175℃及び約413~620kPa(ほぼ60~90psi)のベルトラミネータ内で積層し、5層SPC積層体、物品1Bを製造した。
【0288】
物品1C:下記順序で3層SPC積層体を構成した。a)SPC材料1Aを含む第1SPC層、b)ハロゲンリザーバ1Cを含むハロゲンリザーバ層、c)SPC材料1Aを含む第2SPC層。リザーバ製剤にPVDFを添加することにより、接着層の必要性をなくした。層を切断して30.5cm x 20.3cm(12” x 8”)ストリップにし、175℃及び約413~620kPa(ほぼ60~90psi)のベルトラミネータ内で積層し、3層SPC積層体、物品1Cを製造した。
【0289】
物品1D:下記順序で3層SPC積層体を構成した。a)SPC材料1Aを含む第1SPC層、b)ハロゲンリザーバ1Dを含むハロゲンリザーバ層、c)SPC材料1Aを含む第2SPC層。リザーバ製剤にPVDFを添加することにより、接着層の必要性をなくした。層を切断して30.5cm x 20.3cm(12” x 8”)ストリップにし、175℃及び約413~620kPa(ほぼ60~90psi)のベルトラミネータ内で積層し、3層SPC積層体、物品1Dを製造した。
【0290】
燃焼排ガス流耐久性試験。物品1C及び物品1Dを上記燃焼排ガス耐久試験に際して搭載し、そして総ヨウ素含量を経時的に測定した。総ヨウ素含量を、表1に示すような初期ヨウ素含量に対するヨウ素含量に換算した。
【0291】
放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、物品1Cでは1.3%/日であり、そして物品1Dでは0.22%/日であった。
【0292】
【0293】
(それぞれの破線によって
図6Aに示された)指数関数的放出速度モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、物品1Cは200日未満の90%の消耗(水平線Lによって示されている)を示した。いくつかの実施態様では、活性炭は、リザーバからのヨウ素の放出速度を調節するように選択することができる。例えば、物品1Cとは異なるタイプの活性炭を利用する物品1Dは、耐久性を著しく増強し、約1000日の90%の消耗を示した。
図6Aは、物品1C(3層SPC積層体)及び物品1D(3層SPC積層体)の経時的な相対ヨウ素含量を示している。
【0294】
物品1A及び物品1Bを記燃焼排ガス耐久試験に際して搭載し、そして表2に示されているように、相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、物品1Aでは0.63%/日であり、そして物品1Bでは0.30%/日であった。
【0295】
【0296】
図6Bは、物品1A及び物品1B(両方とも5層SPC層積層体)の時間に対する相対ヨウ素含量を示している。物品1Aの場合、90%の消耗はほぼ400日と推定された。物品1Aとは異なるタイプの活性炭を利用する物品1Bは、耐久性を著しく増強し、90%の消耗がほぼ800日と推定されること(水平線Lによって示されている)を示した。いくつかの実施態様では、活性炭は、リザーバからのヨウ素の放出速度を調節するように選択することができる。
【0297】
実施例2
【0298】
透過制御層を有する、そして有しない(比較例)ハロゲンリザーバ試料
【0299】
透過制御層を有しないハロゲンリザーバ2A。2.5cm x 8.1cm及び0.79mm厚のポリスチレン(PS)シート(部品番号8734K31, 米国イリノイ州在McMasterCarr Supply Co.)を過剰のヨウ素(I)とともに90℃の密閉容器内で48時間の期間にわたって暴露することにより、ヨウ素充填ポリマーを調製した。その結果ヨウ素充填率はほぼ40重量%となった。
【0300】
透過制御層を有するハロゲンリザーバ2B。2成分エポキシ(部品番号66195A13, 米国イリノイ州在McMasterCarr Supply Co.)を使用してハロゲンリザーバ2Aを塗布することにより、リザーバのすべての表面をカバーし、これにより3層リザーバを形成した。
【0301】
透過制御層を有しないハロゲンリザーバ2C。1.0cm x 6.0cm及び0.79mm厚のポリスチレン(PS)シート(部品番号8734K31, 米国イリノイ州在McMasterCarr Supply Co.)を過剰のヨウ素(I)とともに80℃の密閉容器内で16時間の期間にわたって暴露することにより、ヨウ素充填ポリマーを調製した。その結果ヨウ素充填率はほぼ20重量%となった。
【0302】
透過制御層を有するハロゲンリザーバ2D。2つ又は3つ以上の1ミル(0.025mm)厚のPVDFフィルム(透過制御層)(SOLEF PVDF 9009,米国デラウェア州在Solvay Specialty Polymers, LLC)の間で、248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び175℃を用いて、ベルトラミネータ上でハロゲンリザーバ2Cを積層し、これにより3層状又は4層状以上のハロゲンリザーバを形成した。
【0303】
ハロゲンリザーバ2Dは種々異なる実施態様で製造した。
a) ハロゲンリザーバ2D(4):ハロゲンリザーバ2Cの各表面上に4つの透過制御層を積層した。
b) ハロゲンリザーバ2D(5):ハロゲンリザーバ2Cの各表面上に5つの透過制御層を積層した。
c) ハロゲンリザーバ2D(6):ハロゲンリザーバ2Cの各表面上に6つの透過制御層を積層した。
d) ハロゲンリザーバ2D(8):ハロゲンリザーバ2Cの各表面上に8つの透過制御層を積層した。
【0304】
ヨウ素安定性試験
【0305】
60℃の炉内部の熱に約1000時間にわたって試料を晒すことによって、ハロゲンリザーバ2A及び2Bの安定性を試験した。ハロゲンリザーバ2A及び2Bをそれぞれバイアルに入れ、次いでキャップで閉じた。バイアルはまた活性炭を含むことにより、失われたヨウ素を捕捉した。ハロゲンリザーバ2A及び2Bの総ヨウ素含量(wt%)を、重量測定による試験中に経時的に判定し、そして透過制御層を含まないハロゲンリザーバのみ(試料2A)に対して正規化した。ハロゲンリザーバ2Bは、架橋エポキシから成る透過制御層によって形成されるバリアに基づき、著しく低速のヨウ素放出を呈した。比較ヨウ素放出速度を
図7Aにまとめた。
【0306】
60℃の炉内部の熱に約1200時間以上にわたって試料を晒すことによって、ハロゲンリザーバ2C及び2Dの安定性を試験した。ハロゲンリザーバ2C及び2Dをそれぞれバイアルに入れ、次いでキャップで閉じた。バイアルはまた活性炭を含むことにより、失われたヨウ素を捕捉した。ハロゲンリザーバ2C及び2Dの総ヨウ素含量(wt%)を、重量測定による試験中に経時的に判定し、そして透過制御層を含まないハロゲンリザーバのみ(試料2C)に対して正規化した。ハロゲンリザーバ2Dは、PVDF層から成る透過制御層によって形成されるバリアに基づき、ハロゲンリザーバ2Cと比較して著しく低速のヨウ素放出を呈した。比較ヨウ素放出速度は、PVDF透過制御層の数によって影響を及ぼされ、
図7Bにまとめられる。
図7Bに示されているように、ハロゲン放出速度は透過制御層の数の関数として変化し得る。具体的には、ハロゲンリザーバ2C及び2Dを、ハロゲンリザーバのそれぞれの側にPVDFフィルムの形態で0~8つの透過制御材料層が位置する状態で試験することにより、前記少なくとも1種の透過制御材料の放出速度特性を明らかにした。2Cが2Dよりも本質的に良好であるように思われるとしても、より多くの透過制御層を添加することにより、2Cの性能を凌ぐように2Dの性能を改善することができる。
【0307】
実施例3
【0308】
ヨウ素充填炭素を含むハロゲンリザーバ層を含むSPC積層体
【0309】
ヨウ素充填炭素3A。100グラムのヨウ素(I)と300グラムの活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)とを混合することにより、炭素上のヨウ素を調製した。混合物を4~6時間にわたって密閉ガラス容器内で60℃まで加熱した。その結果、活性炭のヨウ素充填率はほぼ25重量%となった。
【0310】
ハロゲンリザーバ溶液
【0311】
ハロゲンリザーバ溶液3A。2グラムのヨウ素充填炭素3Aを、テトラヒドロフラン(THF)溶媒中の4wt%PVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の溶液25mlに添加し、そして10mlの付加的なTHF溶媒10mlを添加することにより、粘度を低減し、その結果I2-炭素:PVDF比を2:1とした。
【0312】
ハロゲンリザーバ溶液3B。2.4グラムのヨウ素充填炭素3Aを、テトラヒドロフラン(THF)溶媒中の16wt%PVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の溶液23mLに添加し、そして10mlの付加的なTHF溶媒10mlを添加することにより、粘度を低減し、その結果I2-炭素:PVDF比を1:1.5とした。
【0313】
ハロゲンリザーバ溶液3C。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中のPVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の16wt%溶液を、十分なヨウ素充填炭素3Aと混合することにより、I2-炭素:PVDF比を1:1.5とした。
【0314】
ハロゲンリザーバ溶液3D。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中のPVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の21wt%溶液を、十分なヨウ素充填炭素3Aと混合することにより、I2-炭素:PVDF比を1:1.5とした。
【0315】
ハロゲンリザーバ溶液3E。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中のPVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の16wt%溶液を、十分なヨウ素充填炭素3Aと混合することにより、I2-炭素:PVDF比を1:1.25とした。
【0316】
ハロゲンリザーバ溶液3F。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中のPVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の20wt%溶液を、十分なヨウ素充填炭素3Aと混合することにより、I2-炭素:PVDF比を1:1とした。
【0317】
透過制御材料溶液
【0318】
透過制御材料溶液3A。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中の18wt%PVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の溶液を調製した。
【0319】
透過制御材料溶液3B。テトラヒドロフラン(THF)溶媒中の20wt%PVDF(Kynar Superflex 2501-20,米国ペンシルベニア州在Arkema Inc.)の溶液を調製した。
【0320】
(ハロゲン源を有しない)ソーベントポリマー複合体(SPC)
【0321】
ソーベントポリマー複合体(SPC)材料3A。80部活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、20部PTFEとから成るソーベントポリマー複合体を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、SPC材料3Aを形成した。
【0322】
ソーベントポリマー複合体(SPC)材料3B。75部活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、25部PTFEとを含むソーベントポリマー複合体を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製し、次いで米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸することにより、SPC材料3Bを形成した。
【0323】
模範的物品
【0324】
物品3A:エアブラシ(Master E91エアブラシ、米国カリフォルニア州在TCP Global Corp.)を使用して、いくつかの1.25” x 12”(3.175cm x 30.48cm)SPC材料ストリップの表面上へ、ほぼ138kPa(20psi)ゲージ圧でハロゲンリザーバ溶液3Aを被着した。SPC材料ストリップ厚は塗布前には0.617mmであり、そして塗布及び乾燥の後では0.907mmであり(8つのSPCストリップに基づいた平均)、0.290mmの厚さゲインを示した。添加された塗膜の平均重量は1.37グラムであった。塗布・乾燥済みSPC材料ストリップ対の塗布側を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び180℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層し、SPC積層体を形成した。4つの積層体を耐久性試験のために調製した。これらのプロトタイプの初期総ヨウ素含量は、蛍光X線(XRF)分析によって、3.29wt%であると判定された。
【0325】
物品3B:エアブラシ(Master E91エアブラシ、米国カリフォルニア州在TCP Global Corp.)を使用して、いくつかの1.25” x 12”(3.175cm x 30.48cm)SPC材料ストリップの表面上へ、ほぼ138kPa(20psi)ゲージ圧でハロゲンリザーバ溶液3Bを被着した。SPC材料ストリップ厚は塗布前には0.617mmであり、そして塗布及び乾燥の後では0.944mmであり(8つのSPCストリップに基づいた平均)、0.327mmの厚さゲインを示した。添加された塗膜の平均重量は1.38グラムであった。塗布・乾燥済みSPC材料ストリップ対の塗布側を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び180℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層し、SPC積層体を形成した。4つの積層体を耐久性試験のために調製した。これらのプロトタイプの初期総ヨウ素含量は、蛍光X線(XRF)分析によって、4.14wt%であると判定された。
【0326】
燃焼排ガス流耐久性試験。燃焼排ガス流耐久性試験に際して、物品3A及び3Bを懸吊し、表3に記載されているように相対ヨウ素濃度を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、物品3Aでは0.65%/日であり、そして物品3Bでは0.13%/日であった。
【0327】
【0328】
図8Aは、表3に記載された時間に対する物品3A及び3Bの相対ヨウ素含量を示す。それぞれの破線によって
図8Aにも示された指数関数的放出速度(減衰)モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、物品3Aが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示したヨウ素放出は1年未満であった。物品3Bが90%の消耗に接近する前に示したヨウ素放出は3年超であった。
【0329】
物品3C:ハロゲンリザーバ溶液3Cを、ロール・トゥ・ロール塗布を用いて、SPC材料3Bから成る4インチ(10.16cm)幅のロールの表面に被着した。溶液を混合タンクに装入し、次いで、15ミル(0.381mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用してSPC材料に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を約15分間にわたって104℃の炉に通し、この場所で乾燥させ、次いで巻き取りロール上で収集した。2つの乾燥済みSPC層を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び150℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ0.218wt%の初期総ヨウ素含量を含有することが示された。
【0330】
物品3D:ハロゲンリザーバ溶液3Dを、ロール・トゥ・ロール塗布を用いて、SPC材料3Bから成る4インチ(10.16cm)幅のロールの表面に被着した。溶液を混合タンクに装入し、次いで、20ミル(0.508mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用してSPC材料に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を約20分間にわたって104℃の炉に通し、この場所で乾燥させ、次いで巻き取りロール上で収集した。2つの乾燥済みSPC層を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び150℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ0.245wt%の初期総ヨウ素含量を含有することが示された。
【0331】
物品3E:ハロゲンリザーバ溶液3Cを、ロール・トゥ・ロール塗布を用いて、SPC材料3Bから成る4インチ(10.16cm)幅のロールの表面に被着した。溶液を混合タンクに装入し、次いで、50ミル(1.27mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用してSPC材料に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を約30分間にわたって104℃の炉に通し、この場所で乾燥させ、次いで巻き取りロール上で収集した。2つの乾燥済みSPC層を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び150℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ0.310wt%の初期総ヨウ素含量を含有することが示された。
【0332】
物品3F:ハロゲンリザーバ溶液3Aを、ロール・トゥ・ロール塗布を用いて、SPC材料3Bから成る4インチ(10.16cm)幅のロールの表面に第1塗膜として被着した。溶液を混合タンクに装入し、次いで、10ミル(0.254cm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用してSPC材料に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を約7分間にわたって104℃の炉に通し、この場所で乾燥させ、次いで巻き取りロール上で収集した。ハロゲンリザーバ溶液3Eの第2塗膜を、ロール・トゥ・ロール塗布を用いて、乾燥済み透過制御材料層の表面に被着した。溶液を混合タンクに装入し、次いで、40ミル(1.016mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用してSPC材料3Bの乾燥済み透過制御材料層に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を約7分間にわたって104℃の炉に通し、この場所で乾燥させ、次いで巻き取りロール上で収集した。2つの乾燥済みSPC層を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び150℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ1.15wt%の初期総ヨウ素含量を含有することが示された。
【0333】
物品3G:透過制御材料溶液3Bを、キャスティング・ナイフ・フィルム・アプリケータを用いて、SPC材料3Bから成る4インチ(10.16cm)幅の表面に第1塗膜として被着した。10ミル(0.254cm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用して、溶液をSPC材料に被着した。ハロゲンリザーバ溶液3Fの第2塗膜を、キャスティング・ナイフ・フィルム・アプリケータを用いて、SPC材料3Bの乾燥済み透過制御材料層の表面に被着した。40ミル(1.016cm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用して、溶液をSPC材料に被着した。塗布済みの湿潤SPC層を一晩室温で乾燥させた。2つの乾燥済みSPC層を対合させ、そして248~276kPa(36~40psi)ゲージ圧及び150℃を用いて、ベルトラミネータ上で積層した。試料の一部を蛍光X線(「XRF」)分析によって分析し、そしてほぼ4.85wt%の初期総ヨウ素含量を含有することが示された。
【0334】
燃焼排ガス流耐久性試験
【0335】
物品3C~3Gを燃焼排ガス流耐久性試験において試験し、そして表4に記載されているように相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、物品3Cでは0.39%/日、物品3Dでは0.01%/日、物品3Eでは0.17%/日、物品3Fでは0.00%/日、そして物品3Gでは0.03%/日であった。
図8Bは、時間に対する物品3C~3Gの相対ヨウ素含量を示している。それぞれの破線によって
図8Bにも示された指数関数的放出速度(減衰)モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、物品3Cが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示したヨウ素放出は約2年であった。物品3D,3E,3F及び3Gは、多年にわたりより長くホウ素を放出する。
【0336】
【0337】
EDX試験
【0338】
101日間の実地暴露後の物品3Bの断面600を、EDX試験(エネルギー分散X線分析)にしたがって分析した。EDX試験は、物品3Bの断面のヨウ素(ハロゲン)含量をマッピングし、
図8Cに示されている通り、断面の中心における高い光強度によって示されるようにハロゲンリザーバ層601がまだ無傷であったこと、そしてSPC層602内の分散ドットによって示されるようにヨウ素がSPC層602内へ放出されたことを示す。101日間の実地暴露後の物品3Bの同じ断面を、硫黄含量を示すためにEDX試験(エネルギー分散X線分析)にしたがって分析した。
図8Dは、ハロゲンリザーバ層602内の明るい強度、及びハロゲンリザーバ層601内の低い光強度によって示されるように、SPC層620がSO
2及び硫酸に対するバリアとして極めて効果的であることを示した。
【0339】
31日間の実地暴露後の物品3Gの同じ断面600を、ヨウ素(ハロゲン)含量のためのEDX試験分析にしたがって分析した。
図8Eは、断面の中心における光強度によって示されるようにハロゲンリザーバ層601が無傷であったこと、そして試料のSPC層602内の分散ドットによって示されるようにヨウ素(ハロゲン)がSPC層602内へ放出されたことを示す。
【0340】
実施例4(ハロゲン源を有しないSPC層)
【0341】
ソーベントポリマー複合体(SPC)
【0342】
SPC材料4A。75%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、25%のPTFEとを含むSPCを実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。
【0343】
SPC材料4B。72%の活性炭(Norit PAC20BF、米国テキサス州在Cabot Inc.)と、22%のPTFEと、6%の硫黄とを含むSPCを実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いてSPCを調製することにより、複合体試料を形成した。
【0344】
ハロゲンリザーバ層成分
【0345】
下記実施例のハロゲンリザーバ層は、ポリオレフィン(透過制御材料)と混合されたヨウ化物塩(ハロゲン源)から成り、下記成分を含む。ヨウ化物塩4A:テトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)、ヨウ化物塩4B:エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(ETPPI3)、ホットメルト接着剤4A(米国テキサス州在REXTac LLCのRT6825)、ホットメルト接着剤4B(米国テキサス州在REXTac LLCのRT2535)。
【0346】
物品4A(3層SPC積層体)。SPC材料4A層を切断して14cm x 30cm片にした。SPC材料4A片をロール・コーター(モデル HOT COATTM 16 米国メインランド州Glue Machinery Corporation 製)に通した。コーターにホットメルト接着剤4Aの形態を成す透過制御材料を充填した。15ミル(0.381mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用して、SPC材料4Aから成る層にホットメルト接着剤4Aを被着した。浴設定値は350°F(176.6℃)であり、ロール温度設定値は220°F(104.4℃)であった。SPC層4Aを次いで、ホットメルト接着剤4Aが上に向いた状態で平らに置いた。次いで、1.5gのヨウ化物塩4A(TBAI)をホットメルト接着剤上に振りかけ、これにより、湿潤塗布ハロゲンリザーバ層を有するSPC層を形成した。ホットメルト接着剤の形態を成す透過制御材料が固化する前に、2つのポリフォレフィン透過制御材料層間にヨウ化物塩4A(TBAI)をサンドイッチするようにハロゲンリザーバ層を向き合わせることにより、湿潤塗布ハロゲンリザーバ層を有する2つのSPC層4A片を対合させた。中間層としてポリオレフィン透過制御材料とハロゲン源としてのTBAIとから成るハロゲンリザーバを有する3層SPC積層体から成る物品4Aが形成された。
【0347】
比較物品4AA。SPC材料4A層を切断して14cm x 30cm片にした。SPC材料4A片をロール・コーター(モデル HOT COATTM 16 米国メインランド州Glue Machinery Corporation 製)に通した。コーターにホットメルト接着剤4Aを充填した。15ミル(0.381mm)のギャップを有する塗布ヘッドを使用して、SPC材料4Aから成る層にホットメルト接着剤4Aを被着した。浴設定値は350°F(176.6℃)であり、ロール温度設定値は220°F(104.4℃)であり、湿潤塗布リザーバ層を有するSPC層を形成した。ポリオレフィン透過制御層を向き合わせることにより、湿潤塗布ハロゲンリザーバ層を有する2つのSPC層4A片を対合させ、これにより3層SPC積層体として物品4AAを形成した。
【0348】
比較物品4BB。ホットメルト接着剤4B(米国テキサス州在REXTac LLCのRT2535)の形態を成す透過制御材料を、第1ホットプレートの上部のアルミニウムパン内で溶融させた。ホットプレートノブの温度設定値は200℃であった。SPC材料4B層を切断して14cm x 30cm片にした。第1SPC材料4B片を第2ホットプレート上に置いた(ホットプレートの温度はIR温度計で測定してほぼ108℃であった)。第1SPC片の厚さは0.63mmであった。第1SPC片の縁部を各側で約2cmだけアルミニウムフォイルでカバーし、約10cm x 30cmを露出させておいた。ホットメルト接着剤4Bの部分を第1SPC片の上部に注ぎ、金属スパチュラを使用して広げた。ホットメルト接着剤が固化する前に、厚さ0.62mmの第2SPC材料片4Bを上部に置き、そして結合が形成されるまで、手及びスパチュラによって静かに押した。物品4BBの全厚は1.508mmであった。透過制御層の平均厚は、SPC材料4Bの厚さを物品4BBの厚さから差し引くことによって推定して0.256mmであった。
【0349】
物品4B。物品4BBに関して記載された手順にしたがって、物品4Bを調製した。ホットメルト接着剤4Bの形態を成す透過制御材料を、第1ホットプレートの上部で溶融させた(温度設定値ほぼ220℃)。サイズ14 x 30cm及び厚さ0.62~0.63mmの第1SPC材料4B片を、温度がほぼ120℃の第2ホットプレート上に置いた。試料は物品4BBに関して記載された手順を用いて調製したが、しかし第2SPC材料4B片上にホットメルト接着剤4Bを注ぐ前に、ガラス撹拌ロッドを使用して、所定量のヨウ化物塩4B(ETPPI)をホットメルト接着剤4Bと混合した。ホットメルト接着剤4B中のETPPIの平均含量は約30重量%であった。ホットメルト接着剤が固化する前に、第2SPC材料片4Bを上部に置き、そして結合が形成されるまで、手及びスパチュラによって静かに押した。物品4Bの全厚はほぼ1.8mmであった。ホットメルト接着剤層の平均厚は、2つのSPC材料4Bの厚さを物品4Bの厚さから差し引くことによって推定してほぼ0.47mmであった。これにより、2つのSPC層(SPC材料4B)と、これら2つのSPC層の間の、ハロゲン源(ヨウ化物塩)4Bと混合された透過制御材料(ホットメルト接着剤4B)から形成されたハロゲンリザーバとを有するように、3層SPC積層体(物品B)を形成した。
【0350】
TBAIヨウ化物塩の形態を成すハロゲン源を有する又は有しないポリオレフィンRT2535から形成されたハロゲンリザーバ層を有するSPC積層体の試料を、下記手順を用いて調製した。
【0351】
物品4C。物品4BBに関して記載された手順にしたがって、物品4Cを調製した。ホットメルト接着剤4Bの形態を成す透過制御材料を、第1ホットプレートの上部で溶融させた(温度設定値ほぼ220℃)。サイズ14 x 30cmの第1SPC材料4B片を、温度がほぼ120℃の第2ホットプレート上に置いた。試料は物品4BBに関して記載された手順を用いて調製したが、しかし第2SPC材料4B片上にホットメルト接着剤4Bを注ぐ前に、ガラス撹拌ロッドを使用して、所定量のヨウ化物塩4B(ETPPI)をホットメルト接着剤4Bと混合した。ポリオレフィン中のTBAIの平均含量は約22重量%であった。ホットメルト接着剤が固化する前に、第2SPC材料片4Bを上部に置き、そして結合が形成されるまで、手及びスパチュラによって静かに押した。物品4Cの全厚はほぼ1.85mmであった。ホットメルト接着剤層の平均厚は、2つのSPC材料4Bの厚さを物品4Cの厚さから差し引くことによって推定して約0.5~0.6mmであった。
【0352】
これにより、2つのSPC層(SPC材料4B)と、これら2つのSPC層の間の、ハロゲン源(ヨウ化物塩)4Aと混合された透過制御材料(ホットメルト接着剤4B)から形成されたハロゲンリザーバとを有するように、3層SPC積層体(物品4C)を形成した。
【0353】
燃焼排ガス流耐久性試験
【0354】
物品4A及び物品4Bを物品4AA及び物品4BBとともに燃焼排ガス耐久試験に際して搭載し、そして表5に記載されているように、ヨウ素含量を経時的に測定した。ヨウ素放出速度定数は、物品4Aでは0.94%/日であり、そして物品4Bでは0.38%/日であった。
図9は、物品4A及び物品4Bの相対ヨウ素含量を示している。それぞれの破線によって
図9にも示された指数関数的放出速度(減衰)モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、物品4Aが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示したヨウ素放出は300時間未満であった。物品4Bが90%の消耗に接近する前に示したヨウ素放出は約600時間であった。
【0355】
【0356】
物品4AAのストリップを75日及び197日の暴露後に収集した。これらの総ヨウ素含量はそれぞれ0.006wt%及び0.07wt%であった。物品4BBのストリップを71日及び191日の暴露後に収集した。これらの総ヨウ素含量はそれぞれ0.003wt%及び0.03wt%であった。物品4AA及び4BBの総ヨウ素含量レベルが低いことは、試料中に堆積し得る有意なヨウ素源が燃焼排ガス流中にはなかったことを示す。すなわち、物品4AA及び4BBはいかなるヨウ素をも得なかった。
【0357】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験
【0358】
物品4B及び物品4Cを模擬実験室耐久性試験に際して搭載し、そして表6に記載されているように、ヨウ素含量を経時的に測定した。物品4B(2つの試料の平均)及び物品4C(2つの試料の平均)は試験期間全体にわたって、いかなるヨウ素をも失わなかった。放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は約ゼロである。
【0359】
【0360】
比較例
【0361】
SPC比較試料5A。40%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、50%のPTFEと、ハロゲン源としての3%のヨウ化カリウム(KI)と、7%の硫黄とから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、ソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。
【0362】
SPC比較試料5B。50%の活性炭(NUCHAR SA-20米国サウスカロライナ州在Ingevit)と、39%のPTFEと、ハロゲン源としての6%のテトラブチルアンモニウムヨージド(TBAI)と、5%の硫黄とから成るソーベントポリマー複合体(SPC)を実験室条件下で作成し、そして米国特許第7,791,861号明細書において教示された一般的な乾燥ブレンド法を用いて、ソーベントポリマー複合体(SPC)を調製することにより、複合体試料を形成した。次いで複合体試料を米国特許第3,953,566号明細書の教示内容にしたがって一軸延伸した。
【0363】
模擬燃焼排ガス流耐久性試験
【0364】
燃焼排ガス流耐久性試験に際して、SPC比較試料5A及び5Bを搭載し、表7に記載されているように相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、SPC比較試料5Aでは17.7%/日であり、そしてSPC比較試料5Bでは16.3%/日であると判定された。比較試料5A及び5Bの相対ヨウ素含量は
図10に示されている。
図10は、14日間の期間にわたって測定された相対ヨウ素含量を示す。それぞれの破線によって
図10にも示された指数関数的放出速度(減衰)モデルを使用して、燃焼排ガス流耐久性データを外挿すると、SPC比較試料5A及び5Bが90%の消耗(水平線Lによって示されている)に接近する前に示したヨウ素放出は僅か約15日間であった。
【0365】
【0366】
燃焼排ガス流耐久性試験。燃焼排ガス流耐久性試験に際してSPC比較試料5A及び5Bを搭載した。表8に記載されているように相対ヨウ素含量を経時的に追跡した。ハロゲン放出速度定数(ヨウ素含量減衰定数k)は、SPC比較試料5Aでは15%/日であり、そしてSPC比較試料5Bでは9.0%/日であると判定された。表8及び
図11に示されているように、比較試料5A及び5Bは10日未満で90%のヨウ素消耗(水平線Lによって示されている)に達する。
図11の相対ヨウ素含量は、それぞれ24日及び51日にわたって測定された。
【0367】
【0368】
態様
【0369】
種々の態様を以下に記載する。理解すべきなのは、下記態様に挙げた特徴のいずれか1つ又は2つ以上を、いずれか1つ又は2つ以上の他の態様と組み合わせ得ることである。
態様1
第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層と、
第2SPC層と、
ハロゲンリザーバと
を含む物品であって、
前記ハロゲンリザーバが前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に配置されている、
物品。
態様2
少なくとも1種の透過制御材料をさらに含む、態様1の物品。
態様3
前記少なくとも1種の透過制御材料が、少なくとも1つの透過制御層の形態を成しており、
前記少なくとも1つの透過制御層が、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又は
その両方に配置されている、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様4
前記少なくとも1つの透過制御層が、
前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層であって、
前記第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第1層と、
前記少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層であって、
前記第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、第2層と、
を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様5
前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種のハロゲン源を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様6
前記少なくとも1種のハロゲン源が少なくとも1種のハロゲン化物イオン又は元素ハロゲンを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様7
前記ハロゲンリザーバが、前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として、0.1wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様8
前記ハロゲンリザーバがSPCを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様9
前記ハロゲンリザーバが第3SPC層を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様10
前記第1SPC層、前記第2SPC層、又は前記第3SPC層のうちの少なくとも1つが少なくとも1種のハロゲン源を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様11
前記ハロゲンリザーバが少なくとも1種の透過制御材料を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様12
前記ハロゲンリザーバが、
前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~95wt%の少なくとも1種の透過制御材料と、
前記ハロゲンリザーバの総重量を基準として5wt%~50wt%の少なくとも1種のハロゲン源と
を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様13
前記少なくとも1種の透過制御材料が、
第1透過制御材料と、
第2透過制御材料と
を含み、
前記第2透過制御材料が、前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層の形態を成しており、
前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に、又は
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間、そして前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間にも
配置されている、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様14
前記第2透過制御材料から成る少なくとも1つの層が、
前記第2透過制御材料から成る第1層であって、
前記第2透過制御材料から成る第1層が前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第1層と、
前記第2透過制御材料から成る第2層であって、
前記第2透過制御材料から成る第2層が前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に配置されている、前記第2透過制御材料から成る第2層と、
を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様15
前記ハロゲンリザーバが炭素粒子をさらに含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様16
前記炭素粒子が、前記少なくとも1種の透過制御材料内部に埋め込まれている、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様17
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様18
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにしたときに、前記物品は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、前記物品からの総ハロゲンの放出速度を有し、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、そして前記燃焼排ガス流が、少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、前記燃焼排ガス流の少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気とを含む、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様19
前記物品がフィルタ積層体、層状フィルタ材料、SPC積層体、又は層状SPC材料を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様20
物品を形成する方法であって、
第1ソーベントポリマー複合体(SPC)層を得、
第2SPC層を得、
ハロゲンリザーバを得、
層状構造を生じさせるように、前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置し、そして、
前記層状構造を一緒に付着させることにより前記物品を形成する
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様21
前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、
形成された物品が少なくとも1つの透過制御層を含むように、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1つの透過制御層を配置し、
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に前記少なくとも1つの透過制御層を配置し、又は
その両方を行う
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様22 前記第1SPC層と前記第2SPC層との間に前記ハロゲンリザーバを配置することが、
前記第1SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第1層を配置し、そして
前記第2SPC層と前記ハロゲンリザーバとの間に少なくとも1種の透過制御材料から成る第2層を配置する
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様23
前記ハロゲンリザーバを形成するように、少なくとも1種のハロゲン源と少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることをさらに含み、
前記ハロゲンリザーバが、
前記少なくとも1種のハロゲン源と、
前記少なくとも1種の透過制御材料と
を含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様24
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度まで前記透過制御材料を加熱し、そして
前記少なくとも1種の溶融済みみ透過制御材料を少なくとも1種のハロゲン源と混合する
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様25
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶融させるのに十分な温度が130℃~180℃である、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様26
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種の透過制御材料を溶媒中に溶解させることにより混合物を形成し、
前記溶媒と前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に少なくとも1種のハロゲン源を添加し、そして
前記溶媒を蒸発させる
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様27
前記少なくとも1種のハロゲン源と、溶媒と、前記少なくとも1種の透過制御材料との混合物に粒子を添加することをさらに含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様28
前記粒子が炭素粒子である、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様29
前記少なくとも1種のハロゲン源と前記少なくとも1種の透過制御材料とを合体させることが、
前記少なくとも1種のハロゲン源及び前記少なくとも1種の透過制御材料を有する化学錯体を形成する
ことを含む、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様30
前記少なくとも1種のハロゲン源が溶液である、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様31
前記少なくとも1種のハロゲン源が気相である、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様32
前記少なくとも1種のハロゲン源が塩である、先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様33
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることをさらに含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも50℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、
前記燃焼排ガス流が、
少なくとも20ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、
前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気と
を含み、
前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの0.5%を超えない、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
態様34
少なくとも90日の期間にわたって前記物品の少なくとも1つの表面上を燃焼排ガス流が流れるようにすることをさらに含み、
前記燃焼排ガス流が少なくとも20℃の温度と、少なくとも95%の相対湿度とを有し、
前記燃焼排ガス流が、
少なくとも1ppmの濃度の少なくとも1種のSOx化合物と、
前記燃焼排ガス流の総体積を基準として少なくとも1μg/m3の濃度の水銀蒸気と
を含み、
前記燃焼排ガス流の流動中、前記物品中の総ハロゲンの放出速度は、1日当たり前記物品中の総ハロゲンの2%を超えない、
先行及び後続の態様のいずれか1つ又は組み合わせに基づく物品。
【0370】
理解すべきなのは、本開示の範囲を逸脱することなしに、細部にわたって、特に採用された構成材料、及び部分の形状、サイズ、及び配置に関して変更を加え得ることである。本明細書及び記載された実施態様は一例であって、開示の真の範囲及び思想は、以下の請求項によって示される。
【国際調査報告】