(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】薄いガラスシートを冷間成形するための磁気曲げ枠
(51)【国際特許分類】
C03B 23/023 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
C03B23/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528686
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 US2021059043
(87)【国際公開番号】W WO2022108831
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】べレビ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ジュボー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ラヨーニ,カレド
(72)【発明者】
【氏名】ルルブーレ,ジャン-ピエール アンリ ルネ
(72)【発明者】
【氏名】メルウィー,エリアス
(72)【発明者】
【氏名】タンギー,ローナン
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015AA03
4G015AB03
4G015AB07
(57)【要約】
車両内部システムのガラス物品の実施形態が開示される。本ガラス物品は、湾曲した支持面を有する枠を備える。この枠は少なくとも1つの磁石を保持するように構成される。本ガラス物品は、第1主表面と第1主表面と反対側の第2主表面とを有するガラスシートも備える。このガラスシートは前記第2主表面が前記湾曲した支持面に面するよう配置される。本ガラス物品は、前記ガラスシート上に配置された金属細片を更に備える。前記金属細片と前記少なくとも1つの磁石は前記ガラスシートを前記湾曲した支持面と一致するように保持するのに十分な磁気接続を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内部システムのガラス物品であって、
湾曲した支持面を有し、少なくとも1つの磁石を保持するように構成された枠と、
第1主表面と第1主表面と反対側の第2主表面とを有するガラスシートであって、前記第2主表面が前記湾曲した支持面に面するよう配置されたガラスシートと、
前記ガラスシート上に配置された少なくとも1つの金属細片と
を備え、
前記少なくとも1つの金属細片と前記少なくとも1つの磁石は前記ガラスシートを前記湾曲した支持面と一致するように保持するのに十分な磁気接続を生成する、ガラス物品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの金属細片は連続した金属細片であり、前記ガラスシートの第1主表面上に配置される、請求項1記載のガラス物品。
【請求項3】
前記ガラスシートを前記枠に接着する接着剤も、前記ガラスシートを前記少なくとも1つの金属細片に接着する接着剤も含まない請求項2記載のガラス物品。
【請求項4】
前記少なくとも1つの金属細片は前記ガラスシートの前記第2主表面に付着される、請求項1記載のガラス物品。
【請求項5】
前記少なくとも1つの金属細片は不連続である、請求項4記載のガラス物品。
【請求項6】
前記枠は前記ガラスシートの互いに反対側の縁に配置された第1側壁及び第2側壁を備え、前記第1側壁は少なくとも1つの第1柱を有し、前記第2側壁は少なくとも1つの第2柱を有し、前記少なくとも1つの磁石は、前記少なくとも1つの第1柱内に配置された少なくとも1つの第1磁石と、前記少なくとも1つの第2柱内に配置された少なくとも1つの第2磁石とを含む、請求項1~5のいずれかに記載のガラス物品。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1磁石によって生成される第1磁力は、前記少なくとも1つの第1柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がり、前記少なくとも1つの第2磁石によって生成される第2磁力は、前記少なくとも1つの第2柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がる、請求項6記載のガラス物品。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第1側壁上の位置に配置され、前記少なくとも1つの第2磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第2側壁上の位置に配置される、請求項6記載のガラス物品。
【請求項9】
前記磁気接続は少なくとも140Nの力を前記ガラスシートに働かせる、請求項1~5のいずれかに記載のガラス物品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの金属細片は前記湾曲した支持面の湾曲に垂直に配置される、請求項1~5のいずれかに記載のガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2020年11月20日に出願された米国仮特許出願第63/116262号の米国特許法第119条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車両内部システムのためのガラス物品、特に、磁力を使用して湾曲した形状に保持されたガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
車両内装は曲面を有しその曲面に表示器を組み込みうる。そのような曲面を形成するのに使用される材料は、ガラスが示すような耐久性及び光学性能を示さないプリマ―に通常限定される。このように、湾曲したガラス基板は、特に表示器のカバーとして使用される時、望ましい。このような湾曲したガラス基板を形成する既存の方法、例えば熱形成は高コスト、光学的歪み、及び表面マーキングを含む欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、費用効果良くかつガラス熱形成プロセスに通常伴う問題なしに湾曲したガラス基板を取り込みうる車両内部システムの必要を出願人は認識している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によれば、本開示の実施形態は、車両内部システムのガラス物品に関する。本ガラス物品は、湾曲した支持面を有する枠を備える。この枠は少なくとも1つの磁石を保持するように構成される。本ガラス物品は、第1主表面と第1主表面と反対側の第2主表面とを有するガラスシートも備える。このガラスシートは前記第2主表面が前記湾曲した支持面に面するよう配置される。本ガラス物品は、前記ガラスシート上に配置された金属細片を更に備える。前記金属細片と前記少なくとも1つの磁石は前記ガラスシートを前記湾曲した支持面と一致するように保持するのに十分な磁気接続を生成する。
【0006】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、車両内部システムのための湾曲したガラス物品を形成する方法に関する。この方法では、少なくとも1つの磁石を備える枠の湾曲した支持面を覆うようガラスシートの第1主表面が配置される。前記ガラスシート上に配置された1つの金属細片と前記少なくとも1つの磁石の間に磁気接続が形成されて前記ガラスシートは前記湾曲した支持面と一致するように曲がる。
【0007】
更に別の態様によれば、本開示の実施形態は、湾曲したガラス物品を形成する方法に関する。この方法では、磁気表面を有し湾曲した処理チャックの上にガラスシートの第1主表面が配置される。前記ガラスシート上に配置された金属プレスと前記磁気表面の間に磁気接続が形成されて、前記ガラスシートは前記湾曲した処理チャックと一致するように曲がる。枠が前記ガラスシートの前記第1主表面と反対側の第2主表面に接着剤を使用して付着させられ前記湾曲したガラス物品を形成する。前記接着剤が前記ガラスシートを前記枠に結合するのに十分な程度に硬化した後、前記金属プレスが前記ガラスシートから取り去られ、前記湾曲した処理チャックから前記湾曲したガラス物品が取り外される。
【0008】
追加の特徴及び利点は下記の詳細な説明で明らかにされ、その説明から当業者には容易に明白であるか、又は下記の詳細な説明、請求項、及び添付図面を含む本明細書に記載された実施形態を実施することで理解されるであろう。
【0009】
上記概要説明と下記の詳細な説明の両方が単に例示であり、請求項の特質及び特性を理解するための概観又は枠組みを提供するよう意図されていることは理解されるべきである。添付図面は更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ一部をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に取り込まれその一部を成す添付図面は本発明の幾つかの態様を図示し、記述と共に本発明の原理を説明するように働く。
【
図1】代表的な実施形態に係るガラス物品を有する車両内部システムを含む車両内装の斜視図である。
【
図2】代表的な実施形態に係る湾曲した磁気ガラス物品の展開図である。
【
図3A】代表的な実施形態に係るガラスシートを曲げる磁気接続を形成することの概略図を描く。
【
図3B】代表的な実施形態に係るガラスシートを曲げる磁気接続を形成することの概略図を描く。
【
図4】代表的な実施形態に係るガラスシートを湾曲した形状に保持する磁石で概ね埋められた複数の空洞を有する枠の側壁を描く。
【
図5】代表的な実施形態に係るガラスシートを湾曲した形状に保持する磁石で半分未満埋められた複数の空洞を有する枠の側壁を描く。
【
図6】代表的な実施形態に係る複数の空洞と、磁石を位置付けるためのストッパーを保持するためのスロットとを有する枠の側壁を描く。
【
図7】代表的な実施形態に係るガラスシートを湾曲した形状に保持するための磁石で埋められた1つの柱の空洞を有する枠の側壁を描く。
【
図8A】代表的な実施形態に係る磁力を使ってガラスシートを枠の方へ曲げるプロセスを描く。
【
図8B】代表的な実施形態に係る磁力を使ってガラスシートを枠の方へ曲げるプロセスを描く。
【
図8C】代表的な実施形態に係る磁力を使ってガラスシートを枠の方へ曲げるプロセスを描く。
【
図9A】代表的な実施形態に係るガラスシートを曲げる前と後の湾曲した磁気ガラス物品を描き、グリッド線を使ってガラスシートの湾曲を示す。
【
図9B】代表的な実施形態に係るガラスシートを曲げる前と後の湾曲した磁気ガラス物品を描き、グリッド線を使ってガラスシートの湾曲を示す。
【
図10】代表的な実施形態に係る枠の各側壁の単一の柱内に積み重ねられた複数の磁石を有する湾曲した磁気ガラス物品を描く。
【
図11A】代表的な実施形態に係るガラスシートを湾曲した形状に保持するのに使用される不連続な金属細片を有する湾曲した磁気ガラス物品を描く。
【
図11B】代表的な実施形態に係るガラスシートを湾曲した形状に保持するのに使用される不連続な金属細片を有する湾曲した磁気ガラス物品を描く。
【
図12A】代表的な実施形態に係る不連続な金属細片と、単一の柱内に積み重ねた磁石を有する枠とを有する湾曲した磁気ガラス物品を描く。
【
図12B】代表的な実施形態に係る不連続な金属細片と、単一の柱内に積み重ねた磁石を有する枠とを有する湾曲した磁気ガラス物品を描く。
【
図13A】磁石を有する湾曲した磁気ガラス物品の別の実施形態を描く。
【
図13B】磁石を有する湾曲した磁気ガラス物品のその別の実施形態を描く。
【
図13C】磁石を有する湾曲した磁気ガラス物品のその別の実施形態を描く。
【
図14】代表的な実施形態に係る処理チャックの磁力を使用する湾曲したガラス物品を冷間成形する方法のフロー図である。
【
図15】代表的な実施形態に係るガラスシートを磁石を使って曲げるのに必要な力を計算する目的のために使用されるガラスシートに働く力を描く。
【
図16】代表的な実施形態に係るガラスシートを磁石を使って曲げるのに必要な力を計算する目的のために使用されるガラスシートに働く力を描く。
【
図17】代表的な実施形態に係る湾曲した磁気ガラス物品を形成するために使用可能なガラスシートを描く。
【発明を実施するための形態】
【0011】
磁力を使って湾曲した形状に冷間成形されるガラスシートを有するガラス物品の様々な実施形態が詳細に記述され、その例が添付の図面に示される。幾つかの実施形態では、本書に記載のガラス物品は湾曲した枠に磁力で取り付けられたガラスシートを備える。下記で説明するように、枠はガラスシート上に配置された金属細片に磁気的に引き付けられる1つ以上の磁石又は積み重ねられた磁石を保持する空洞を備える。ある構成では、金属細片は連続体で、ガラスシートが枠と金属細片の間に配置される。このように、ガラスシートは枠の磁石と金属細片の間の磁気引力だけを使って枠に固定され、接着剤は必要でない。このようにガラスシートを取り付けることは、保守のための分解の容易さと従来のガラス物品構成におけるガラスシートと枠の熱膨張の差に伴う応力が無いとを含む利点を提供する。
【0012】
他の構成では、金属細片は不連続で、不連続な金属細片はガラスシートと枠の間に配置されるようにガラスシートに付着される。この構成のガラス物品は組立ての容易さと従来のガラス物品構成におけるガラスシートと枠の熱膨張の差から生じる応力が無いとに関連する利点を提供する。
【0013】
本書に記載の実施形態では、磁力を使ってガラスシートを曲げる構想は、まさに冷間成形プロセス側にも適用される。特に、ガラスシートは金属プレスを使って磁気成形チャック上で低温で曲げられうる。枠が冷間曲げガラスシートに付着している間、成形チャックとプレスの間の磁気引力がガラスシートを湾曲した形状に保持するのに使用される。ガラスシートと枠の間の接着剤が十分に硬化すると、プレスは成形チャックから引き離され、湾曲したガラス物品を解放する。有利にも、磁力を使う冷間成形プロセスは、例えば真空が引かれガラスシートと成形チャックの間に維持されるのを必要とするプロセスよりエネルギー消費が少ない。
【0014】
上記及び本書に記載の実施形態は、限定ではなく例示として提供される。
【0015】
一般に、車両内部システムは様々な異なる曲面、例えば表示表面を有してもよい。このような車両表面をガラス材料から形成することは、従来、車両内部に見られる代表的な湾曲したプラスチックパネルと比べて複数の利点を提供する。例えば、ガラスは、多くのカバー材料用途、例えば表示用途及びタッチ画面用途でプラスチックカバー材料に比べて改善された機能とユーザー体験を提供すると通常考えられている。
【0016】
図1は車両内部システム20、30、40の3つの異なる実施形態を含む典型的な車両内装10を示す。車両内部システム20は表示器26を含む曲面24を有する中央コンソール基部22として示された基部を備える。車両内部システム30は表示器36を含む曲面34を有するダッシュボード基部32として示された基部を備える。ダッシュボード基部32は表示器を含みうる計器盤38を通常含む。車両内部システム40は曲面44及び表示器46を有するハンドル基部42として示された基部を備える。1つ以上の実施形態では、車両内部システムは肘掛け、支柱、シートバック、床板、ヘッドレスト、ドアパネル、又は車両内部の任意の部分であり曲面を有する基部を備える。
【0017】
本書に記載した湾曲したガラス物品の実施形態は車両内部システム20、30、40などのそれぞれで使用されうる。幾つかのそのような実施形態では、本書に記述されたガラス物品は、ダッシュボード、中央コンソール、ハンドル、ドアパネルなどの非表示表面を覆うカバーガラスシートを含んでよい。そのような実施形態では、ガラス材料はその重さ、美的外観などに基づいて選択され、ガラス部品を隣接する非ガラス部品と視覚的に合わせるためにパターン(例えば、艶消し金属外観、木目外観、革外観、顕色など)を含む被膜(例えば、インク又は顔料被膜)を有してもよい。特定の実施形態では、そのようなインク又は顔料被膜は、表示器26、36、38、46が動作停止している時、デッドフロント又は色合致機能を可能にする透明度を有してもよい。また、
図1の車両内装は自動車の形態の車両(例えば、車、トラック、バスなど)を描くが、本書に開示したガラス物品は他の車両、例えば列車、船舶(ボート、船、潜水艦など)、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)、及び宇宙船に組み込まれうる。
【0018】
図2を参照すると、車両内部システム10の曲面24、34、44を画定しうるような磁気ガラス物品50の展開図が描かれている。磁気ガラス物品50は第1主表面54、第1主表面54と反対側の第2主表面56、及び第1主表面54を第2主表面56に繋ぐ副表面58を有するガラスシート52を備える。第1主表面54及び第2主表面56はガラスシート52の厚みTを画定する。実施形態では、ガラスシート52の厚みTは0.3mmから2mm、特に0.5mmから1.1mmである。車両内では、第1主表面54は車両の乗員に面する。
【0019】
実施形態では、第1主表面54及び/又は第2主表面56は1つ以上の表面処置を含む。第1主表面54及び第2主表面56の一方又は両方に適用されうる表面処置の例は、防眩被膜、反射防止被膜、接触機能を提供する被膜、装飾(例えば、インク又は顔料)被膜、又は清浄し易い被膜のうち少なくとも1つを含む。また、実施形態では、表示モジュールはガラスシート52の第2主表面56に結合されてよい。代表的な表示モジュールは発光ダイオード(LED)表示器、有機LED(OLED)表示器、マイクロLED表示器、液晶表示器(LCD)、又はプラズマ表示器のうち少なくとも1つを含む。
【0020】
図2の磁気ガラス物品50では、ガラスシート52の第2主表面56は枠60に磁気的に接続される。特にガラスシート52は複数の磁石62と1つ以上の金属細片64の間の磁気引力により枠60に取り付けられる。描かれた実施形態では、枠60は第1側壁66及び第2側壁68を有し、各側壁66、68は複数の磁石62を保持するように構成された複数の中空の柱70を備える。各側壁66、68の複数の柱70は第1端で繋がれ曲率を有する支持面72を画定する。ガラスシート52の第2主表面56は支持面72を覆って配置され、下記に説明するように、ガラスシート52は曲げられて支持面72に一致する。描かれた実施形態では、各側壁66、68の柱70は支持面72と反対側の第2端でも繋がれている。また、描かれた実施形態では、第1側壁66と第2側壁68は横切る部材74によって繋がれる。横切る部材74と第2端における側壁66、68の柱70間の継ぎ手とは、枠60の基底76を画定する。実施形態では、基底76は枠60の平面的な表面を画定してよい。
【0021】
描かれた実施形態で分かるように、柱70は複数の磁石62がその中に挿入される空洞78を有する。また、描かれた実施形態では、各柱70は1つ以上の磁石62が中に挿入されるが、他の実施形態では磁石62は全てではない柱70、例えば各側壁66、68のわずか1つだけの柱70に挿入されてもよい(下記の実施形態に関して説明するように)。また、描かれた実施形態では、金属細片64は連続体で、ガラスシート52の第1主表面54の上に配置される。しかし、他の実施形態(下記の実施形態を含む)では金属細片64は不連続でガラスシート52の第2主表面56に配置されてもよい。
【0022】
図2に描かれた実施形態は単に例示であることに注意するべきである。枠60のサイズ、形状、及び厚みはそれが取り込まれる特定の車両内部システムによって、及び客の指定によって少なくとも部分的に指図される。通常、枠60は磁気ガラス物品50の湾曲と、ガラスシート52を湾曲した形状に保持するために1つ以上の磁石62が挿入されうる空洞78とを画定する支持面72を有する。
【0023】
図3A及び3Bは枠60を覆うガラスシート52の磁気曲げの概略図を描く。枠60の図示した部分は
図2に示した枠60の第1側壁66か又は第2側壁68を表しうる。先ず
図3Aを参照すると、ガラスシート52は第2主表面56が枠60の支持面72を覆うよう配置される。また、金属細片64がガラスシート52の第1主表面54上に配置される。圧力がガラスシート52の第1主表面54に印加され
図3Bに示すように第2主表面56を支持面72に一致させる。中空の柱70内の複数の磁石62と金属細片64の間の磁気引力がガラスシート52の湾曲を枠60の支持面72と一致させ続けて、磁気ガラス物品50を形成する。
図2に描かれた実施形態のように、
図3A及び3Bの実施形態の複数の磁石62は支持面72に亘って等間隔で配置される。なお、積み重ねられた磁石62が複数の接着位置に示されているが、積み重ねられた磁石62と同じ磁気引力を持つ単一の磁石62が代わりに使用されてもよい。
【0024】
図4は磁気ガラス物品50の断面を描き、磁石62が充填された柱70の空洞78を示す。断面は第1側壁66及び第2側壁68両方を表す。描かれた実施形態では、磁石62は支持面72から柱70の全体又はかなりの部分を通って延在する。しかし、
図5に示すように、磁石62は各柱70の全体又は概ね全体未満を埋めてもよい。従って、例えば磁石62は1つ以上の柱70の一部だけを埋めてもよい。
図4及び5に示した積み重ねられた磁石62の代わりに、積み重ねられた磁石62と同じ磁気引力を持つ単一の磁石62が各空洞78内で使用されてもよい。また、実施形態では、枠60と柱70の空洞78は、磁気ガラス物品50を形成するのに使用される1つ又は複数の磁石62を収容するようにサイズと形状が決められる。
【0025】
1つの実施形態、例えば
図6に示した実施形態では、側壁66、68は柱70に形成されたスロット80を有してもよく、スロット80内にストッパー82(
図5に示す)が挿入され磁石62を支持面72の高さに保持してもよい。例えば、
図5に示すように、各柱70の空洞78内の2つの第1磁石62がストッパー82として使用される第3磁石62によって支持面72の高さで適所に保持される。特に、2つの第1磁石62はそれぞれ柱70の空洞78内をスライドするように成形された矩形ブロックであってもよく、第3磁石62はスロット80を通って挿入される薄い円筒形ディスクであって、ストッパー82として働き2つの第1磁石62が柱70の空洞78内をスライドするのを防ぐ円筒形ディスクであってもよい。これに関して、磁石62の数は使用する磁石62の種類と枠60に当接する湾曲した形状にガラスシート52を保持するのに必要な力とに依って異なりうる。
【0026】
1つの実施形態では、磁石62は永久磁石である。幾つかの実施形態では、永久磁石はAlNiCo磁石、フェライト磁石、ネオジム(NdFeB)磁石、又はサマリウムコバルト磁石のうち少なくとも1つを含む。1つの実施形態では、磁石62は、例えば10mm~30mmの長さ、2mm~10mmの幅、及び1mm~5mmの厚みを有する矩形ブロックである。1つの実施形態では、ストッパー82として使用される磁石62は10mm~30mmの半径及び1mm~5mmの厚みを有する円筒形ディスクであってもよい。一般的に、積み重ねられた磁石62は1つのより大きな磁石として働き、それにより磁界強度と引張力を増加させる。従って、幾つかの実施形態では、積み重ねられた複数の磁石62の代わりに、単一のより大きな磁石62が使用されてもよい。また、別の実施形態では、ストッパー82は磁石62ではなく、各柱70の空洞78内に挿入された、例えばゴム材料から成る栓である。また、前述したように、空洞78はストッパー82が必要でないように特定の数の磁石62又は特定のサイズの1つの磁石62を受容するようにサイズが決められてもよい。また、別の実施形態では、1つの磁石62又は複数の磁石62はストッパー82が必要でないように空洞78内に接着剤で固定される。
【0027】
また、幾つかの実施形態では、各側壁66、68は
図7に示すように1つの磁石62又は複数の磁石62を収容する空洞78を有する柱70を1つだけ備えてもよい。
図7で分かるように、支持面72は、例えば50mmから概ね平ら又は平面より小さい値(例えば、R=5m)までの曲率を有する。磁石62と金属細片64の間の引力は支持面72の曲率をガラスシート52に付与するように構成される。このように、ガラスシート52は平面から逸れ、最大逸れDはガラスシート52の湾曲の中心にある。本出願人は、ガラスシート52の最大逸れDの位置に最も近い湾曲の中心に配置された1つの磁石62又は複数の磁石62が、ある状況において枠60の支持面72に当接するガラスシート52全体の湾曲を維持するのに十分でありうることを発見した。例えば、湾曲の中心に配置された20mm×5mm×3mmの寸法を持つ7つのネオジム磁石の積み重ね2つは、約160Nの引張力を提供し、この引張力は下記に説明するように枠60に当接するガラスシート52の湾曲を維持するのに十分である。
【0028】
図8A~8Cは磁気ガラス物品50を組み立てる方法を描く。
図8Aで分かるように、ガラスシート52は枠60の支持面72を覆って配置される。側壁66、68は横切る部材74によって接続される。
図8Aに示した実験実施形態では、横切る部材74は各側壁66、68にボルト留めされたねじ山付き棒であり、枠60の幅を画定する。側壁66、68の柱70は磁石62が充填された空洞78を有する。描かれた実験実施形態では、各柱70はストッパー82として働く円形ディスク磁石62(20mm×2mm)を有するスロット80を有する。複数の矩形ブロック磁石62(20mm×5mm×3mm)が空洞78内にストッパー82上方に配置される。支持面72の高さに、各柱70は10mm×5mm×5mmの寸法を持つ1つの磁石62を有する。使用された磁石62の全てがネオジム磁石であった。また、この実験実施形態では、使用された金属細片64は0.5mmの厚みと10mmの幅を持つ鋼であった。ガラスシート52は0.55mmの厚みと235mm×185mmの寸法を持つイオン交換ガラス(米国コーニング社から入手可能なGorilla(登録商標)ガラス9642)であった。
【0029】
図8Bに示すように、金属細片64はガラスシート52の第1主表面54上で各側壁66、68の支持面72上方に配置される。
図8Bで分かるように、ガラスシート52はまだ平面で枠60を覆う。
図8Cに示すように、圧力がガラスシート52及び金属細片64に印加されて金属細片64を磁石62に十分近接させ、金属細片64と磁石62の間の磁気引力を生成する。磁気引力はガラスシート52を保持し支持面72の湾曲に一致させ、湾曲した磁気ガラス物品50を生成する。この実験実施形態では、ガラスシート52に平面から15mmの最大逸れに相当する416.6mmの曲率半径が与えられた。
【0030】
図9A及び9Bは
図8B及び8Cのガラス物品50、即ち、ガラスシート52を曲げる前と後を描く。方眼紙がガラス物品50の近くに垂直に置かれ、そのため湾曲がガラスシート52の第1主表面54からの反射に示されうる。
図9Aを先ず参照すると、平面ガラスシート52の第1主表面54からの反射の中で方眼紙のグリッド線は概ね直角のままである。
図9Bでは、湾曲したガラスシート52の第1主表面54からの反射の中で方眼紙のグリッド線は支持面72によって付与された湾曲に追随すると分かる。
【0031】
図10は
図8A~8Cに示した実施形態に概ね類似した別の実験実施形態を描く。
図10では、枠60は立体リソグラフィーで作製された側壁66、68及び横切る部材74を有していた。支持面72の曲率半径は416.6mmであった。
図8A~8Cの実施形態と異なり、
図10の実施形態は第1及び第2側壁66、68のそれぞれの中央の柱70の空洞78だけ(即ち、ガラスシート52の最大逸れが位置する領域)に磁石62を有する。図で分かるように、磁石62は枠60の各側壁66、68の1つの柱70だけに位置するにも拘わらず、磁石62と金属細片64はガラスシート52を支持面72に当接する湾曲した形状に保持する。
【0032】
図11A及び11Bは湾曲した磁気ガラス物品50の別の実施形態を描く。
図11Aを先ず参照すると、ガラスシート52は、その第2主表面56に付着された不連続の金属細片64を含む。不連続の金属細片64は、ガラスシート52の第2主表面56に接着剤層86で固定された複数の金属薄片84から成る。幾つかの実施形態では、金属薄片84は15mm~25mmの長さ、2mm~10mmの幅、及び0.25mm~2.0mmの厚みを有し、金属薄片84間の間隔は10mm~50mmである。実施形態では、接着剤層86は強化エポキシ樹脂、軟質エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、ウレタン、ポリウレタン、感圧接着剤、又はシラン変性ポリマーのうち少なくとも1つから成る。特定の実施形態では、BETASEAL1965ポリウレタン接着剤がBETAPRIME5405接着下塗り剤と共に使用され金属薄片84をガラスシート52に接着した。幾つかの実施形態では、接着剤層86は金属薄片84とガラスシート52の間に2.0mm以下の厚みを有する。
【0033】
湾曲した磁気ガラス物品50を組み立てる時、平面ガラスシート52の第2主表面56は枠60の支持面72を覆って配置される。
図11Aの実施形態では、枠60は支持面72に亘って均等に配置された積み重ねた磁石62を含む。他の実施形態では、単一の等価な磁石62が1つ以上の積み重ね磁石の代わりに設けられる。圧力がガラスシート52に印加され、不連続の金属細片64の金属薄片84を磁石62と磁気的に引き合わせ、ガラスシート52は枠60の支持面72に密着する(
図11Bに示す)。幾つかの実施形態では、ガラスシート52と金属薄片84の熱膨張係数の差の結果として熱応力が大きくなるのを防ぐために、金属細片64は不連続にされる。即ち、熱サイクルの間、ガラスシートに接着剤で取り付けられた連続の金属細片は、ガラスシートと金属細片の熱膨張の差の結果として接着剤層内に熱応力を生じさせうる。応力が高くなり過ぎると、接着剤層は機能しなくなり金属細片からのガラスシートの剥離を引き起こしうる。金属細片64を複数の金属薄片84に分離することで、金属薄片84は間隔を提供され、接着剤層86を断裂させるのに十分な応力を生成しうることなく膨張する。
【0034】
図12A及び12Bは、湾曲したガラスシート52の最大逸れ位置に対応する支持面72の領域に位置する磁石62の単一の積み重ね(又は単一の等価な磁石62)を使用することを除いて
図11A及び11Bの実施形態と概ね類似した実施形態を描く。上述し図(例えば、
図7及び10)に示した実施形態と同様に、最大逸れ領域内の磁石62の単一の積み重ねは、不連続の金属細片64を使ってガラスシート52を湾曲した形状に保持するのに十分である。また、幾つかの実施形態では、不連続の金属細片64は金属薄片84を磁石62の領域にだけ有する。このような実施形態では、金属薄片84が支持面72に接触する第2主表面56の残りの部分に比べて湾曲に乱れを生成するのを防ぐために、支持面72は金属薄片84を受容するための反対の凹み又は窪みを有してもよい。
【0035】
図13A~13Cは磁気ガラス物品50の別の実施形態を描く。この実施形態では、湾曲は前記実施形態で描いたものの湾曲とは逆である。特に、前記実施形態は全て、第2主表面56に関して凸状の湾曲を考えているが、
図13A~13Cの実施形態は第2主表面56に関して凹状の湾曲を描く。
図13Aに示すように、磁石62は枠60の支持面72の横方向縁に配置される。
図13Bで分かるように、磁石62は磁石62と金属細片64の間の磁気引力に基づいてガラスシート52を湾曲した形状に保持するが、
図13Cに示すように、磁石62及び金属細片64は枠60によって画定される湾曲に沿って配置されていない。代りに磁石62と金属細片64は枠60によって画定される湾曲に垂直に配置される。このように、前記実施形態におけるように金属細片64はガラスシート52と共に湾曲することはない。同様に、磁石62は湾曲に亘って分散されても最大変位の領域に配置されてもおらず、ガラスシート52の横方向縁に沿って配置される。
【0036】
上記実施形態では、ガラスシート52は湾曲が永久でないように形成される。即ち、ガラスシート52は弾性変形し、ガラスシート52が(連続又は不連続の)金属細片64と磁石62の間の磁気引力によって支持面72に一致するように曲げられなければ、平面で湾曲のない(即ち、平らな)形状に戻るであろう。従って、ガラスシート52は応力がかけられて湾曲し、ガラス物品50の寿命の間、応力がかかったままである。幾つかの実施形態では、ガラスシート52を曲げて枠60の支持面72と一致させるプロセスは、ガラスシート52の軟化温度未満の温度、特に200℃以下、150℃以下、100℃以下、50℃以下、又は約室温(即ち、約20℃)の温度で曲げが行われるので冷間成形又は冷間曲げプロセスである。有利にも、ガラスシート52に湾曲を作る前に平らなガラスシート52に表面処理を適用することは容易であり、冷間成形は表面処理を壊すことなく処理されたガラスシート52が曲げられるのを可能にする(より複雑なプロセスで表面処理が湾曲した物品に適用されるのを要求する熱間成形手法に伴う高温が表面処理を壊す傾向と比較して)。
【0037】
他の実施形態では、磁力は
図14のフロー図に示す方法100に記述された処理チャック上のガラス物品を冷間成形するのに使用されうる。磁気湾曲ガラス物品と異なり、方法100に従って作られた湾曲したガラス物品はガラスシートと枠の間の接着剤接続によって冷間成形形状に保持される。方法100の第1ステップ101で、ガラスシートは湾曲した成形表面を有する処理チャック上で曲げられる。処理チャックは磁性材料の1つ以上の細片を備え、ガラスシートは金属プレスを使って成形表面に押し当てられる。金属プレスと成形表面内の磁性材料の間の磁気引力は、成形表面上のガラスシートを冷間曲げするのに必要な曲げる力を提供する。他の実施形態では、プレスが磁性材料から成ってもよく、処理チャックが金属材料から成ってもよい。また、方法100では、処理チャックの金属材料は電磁石又は永久磁石であってもよい。
【0038】
第2ステップ102では、枠は冷間曲げされたガラスシートに付着される。幾つかの実施形態では、その枠は概ね本書に記述した通りであるが、その枠は磁石を保持する必要が全くないので、枠(例えば、側壁)の高さ及び厚みはかなり減る。接着剤の玉が枠又はガラスシートに付けられ、枠はガラスシートに押し当てられる。第3ステップ103では、接着剤が硬化するまで枠はガラスシートに当接して保持される。この間、ガラスシートは、処理チャックの磁性材料とプレスの金属材料の間(又は逆)の磁力によって湾曲した形状に保持される。接着剤が十分に硬化した後、第4ステップ104で、プレスと処理チャックの間の磁気引力は切られる。これは電磁石の場合、電磁石を動作停止させることで行われてもよく、永久磁石の場合、プレスと処理チャックの間の磁気引力に打ち勝つのに十分な力でプレスを引っ張ってもよい。第5ステップ105で、湾曲したガラス物品は処理チャックから取り外される。
【0039】
磁気ガラス物品と磁力を使ってガラス物品を冷間成形する方法を説明したが、所望の曲率に曲げるためにガラスシートに印加される力を考える。曲げ力を計算する時、均質で等方性の弾性材料で作られ辺寸法a及びbと厚みt(例えば、a/t>10、b/t>10)を有する矩形板を考えた。計算のために、この板は全ての縁で単に支持され板上表面に印加された均一な荷重p(x,y)を受ける。座標の原点は
図15に示すように左上角に位置する。
【0040】
一般に応力成分は荷重をかけられた板の箇所ごとに変わる。これらの変化は平衡の静的状態又はラグランジュ平衡方程式によって支配される。曲げ荷重を受ける薄い板の場合、逸れdのラグランジュ平衡方程式は次の4次線形偏微分方程式によって与えられる。
【0041】
【0042】
ここでDは次式で与えられる板曲げ剛性である。
【0043】
【0044】
単に支持された板の境界条件は次の通りである。
【0045】
【0046】
この場合、支配する微分方程式(1)、即ち、逸れ表面d(x,y)と分配された表面荷重p(x,y)の式のナビエ解は次のような無限フーリエ級数として推論される。
【0047】
【0048】
【0049】
ここでdmn及びpmnは決めるべき係数を表す。逸れの式(式(4))は指定された境界条件(式(3))を必然的に満たすことが検証されうる。一般的な荷重構成を考えることで、次の逸れた表面の式だけでなくフーリエ係数pmn及びdmnも特定されうる。
【0050】
【0051】
ここでpmnは次式で与えられる
【0052】
【0053】
図16は辺長a及びbと厚みtの全ての縁で単に支持された矩形板であって、中心が座標(ξ,η)に位置する辺長u及びvの接触領域に亘って均一に分布した力p
0を受ける矩形板の場合を考える。
【0054】
荷重のフーリエ展開の定数は
【0055】
【0056】
計算すると、
【0057】
【0058】
上の式を式(6)に代入すると、次の逸れた表面の二重級数式が得られる。
【0059】
【0060】
この式は寸法u及びvが小さ過ぎないならば、比較的速く収束する。一般に級数の最初の4項を取れば、正確な逸れ値d(x,y)を計算するのに十分である。式(10)は板変位が接触領域寸法(u及びv)及び荷重位置(ξ,η)によって決まることを示す。
【0061】
座標(ξ,η)に印加される集中力Pの場合、u→0及びv→0であり、従って、逸れた表面の式(式(10))は次のようになる。
【0062】
【0063】
板中心ξ=a/2及びη=b/2に集中した力の場合で、偶数のm及びnの場合、全ての数pmnはゼロである。奇数の場合、式(11)から次の式が得られる。
【0064】
【0065】
逸れた中央表面式(11)はこの場合、次のようになる。
【0066】
【0067】
また、板が正方形(a=b)であれば、中心で発生する最大逸れは式(13)から次のように得られる。
【0068】
【0069】
この級数の最初の9項(m=1,n=1,3,5;m=3,n=1,3,5;m=5,n=1,3,5)を保持することで、次の式が得られる。
【0070】
【0071】
上記手法を使用すると、次の表を推論できる。
【0072】
【0073】
上記のガラスシートについて、単に支持された又は全ての縁でクランプされた矩形板を考える。寸法について、辺a=235mm及びb=185mm(a≧b)及び厚みt=0.55mmを考える。また、ガラスシートは辺u=20mm及びv=10mmの接触領域(磁石サイズ)に亘って均一に分布した力p0を受け、接触領域の中心は板の中心に位置し、ヤング率E=70000MPa及びポアソン比ν=0.25を有する。
【0074】
板x方向(即ち、235mm方向)に150mmの曲げ半径Rの場合、最大逸れdmaxは、次の式から推論される43.72mmに等しい。
【0075】
【0076】
印加された力と最大逸れの間の関係は、単に支持された条件に対して式(13)から次のように導出されうる。
【0077】
【0078】
等価な式がクランプされた条件についても導出されうる。
【0079】
【0080】
下記段落では、ガラスシート52の様々な幾何学的、機械的、及び強化特性とガラスシートの組成が提供される。
図17を参照すると、ガラスシート52の追加の構造詳細が示され説明される。上述したように、ガラスシート52は概ね一定で第1主表面54と第2主表面56の間の距離として画定される厚みTを有する。様々な実施形態では、Tはガラスシートの平均厚み又は最大厚みを指す。また、ガラスシート52は第1又は第2主表面54、56の厚みTと直交する第1最大寸法と定義される幅Wと第1又は第2主表面54、56の厚み及び幅と直交する第2最大寸法と定義される長さLとを有する。他の実施形態では、WとLはそれぞれガラスシート52の平均幅と平均長さであってもよい。
【0081】
様々な実施形態では、平均又は最大厚みTは0.3mmから2mmの範囲内である。様々な実施形態では、幅Wは5cmから250cmの範囲内であり、長さLは約5cmから約1500cmの範囲内である。上述したように、ガラスシート52の曲率半径は約30mmから約1000mmである。
【0082】
幾つかの実施形態では、ガラスシート52は強化されてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラスシート52は表面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力を含むように強化されてもよい。圧縮応力領域は引張応力を示す中央部によって釣り合わされる。DOCにおいて、応力は正(圧縮)応力から負(引張)応力に変わる。
【0083】
様々な実施形態では、ガラスシート52は、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用して圧縮応力領域と引張応力を示す中央領域を生成することで、機械的に強化されてもよい。幾つかの実施形態では、ガラスシートは、ガラスをガラス転移点を超える温度まで加熱し次に急冷することで、熱的に強化されてもよい。
【0084】
様々な実施形態では、ガラスシート52はイオン交換によって化学的に強化されてもよい。イオン交換処理では、ガラスシート表面にある又はその近くのイオンは同じ原子価又は酸化数を有するより大きなイオンによって置き換えられるか又はと交換される。ガラスシートがアルミノケイ酸アルカリガラスから成るこれらの実施形態では、物品の表面層内のイオンとより大きなイオンは一価のアルカリ金属陽イオン、例えばLi+、Na+、K+、Rb+、及びCs+である。或いは、表面層内の一価の陽イオンはアルカリ金属陽イオン以外の一価の陽イオン、例えばAg+などで置き換えられてもよい。このような実施形態では、ガラスシート内へ交換された一価のイオン(又は陽イオン)は応力を生成する。
【0085】
イオン交換処理はガラスシートを、ガラスシート内のより小さなイオンと交換されるより大きなイオンを含む溶融塩槽(又は2つ以上の溶融塩槽)に浸漬することで通常実行される。水性溶融塩槽が使用されてもよいことに注目されたい。また、槽の組成は2つ以上の種類のより大きなイオン(例えば、Na+及びK+)又は単一のより大きなイオンを含んでもよい。これらに限定されないが槽組成及び温度、浸漬時間、溶融塩槽へのガラスシートの浸漬回数、複数の溶融塩槽の使用、アニール、洗浄などの追加のステップを含むイオン交換処理のパラメータは、ガラスシートの組成(物品及び存在するどんな結晶相の構造も含む)及び強化で得られるガラスシートの所望のDOC及びCSによって通常決められることを当業者は理解するであろう。典型的な溶融槽組成はより大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、及び塩化物を含んでもよい。代表的な硝酸塩はKNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4、及びそれらの組み合わせを含む。溶融塩槽の温度は通常約380℃から約450℃の範囲内であり、浸漬時間はガラスシートの厚み、槽温度、及びガラス(又は一価イオン)拡散率に依って約15分から約100時間の範囲である。しかし、上述したのと異なる温度と浸漬時間が使用されてもよい。
【0086】
1つ以上の実施形態では、ガラスシート52は100%NaNO3、100%KNO3、又はNaNO3とKNO3の組み合わせから成り約370℃から約480℃の温度の溶融塩槽に浸漬されてもよい。幾つかの実施形態では、ガラスシートは約5%から約90%のKNO3と約10%から約95%のNaNO3を含む溶融混合塩槽に浸漬されてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラスシートは第1槽に浸漬後、第2槽に浸漬されてもよい。第1及び第2槽は互いに異なる組成及び/又は温度を有してもよい。第1及び第2槽での浸漬時間は異なってもよい。例えば、第1槽での浸漬は第2槽での浸漬より長くてもよい。
【0087】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートはNaNO3とKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含み約420℃未満(例えば、約400℃又は約380℃)の温度の溶融混合塩槽に約5時間未満又は約4時間以下の間浸漬されてもよい。
【0088】
イオン交換条件は、得られるガラスシートの表面で又はその近くで「スパイク」を提供する又は応力プロファイルの傾斜を増加させるために調整されうる。スパイクはより大きな表面CS値を生じうる。このスパイクは本書に記載されたガラスシートで使用されるガラス組成の特有の特性の故に単一組成又は混合組成の単一槽又は複数の槽によって実現されうる。
【0089】
2つ以上の一価イオンがガラスシート内へ交換される1つ以上の実施形態では、これらの異なる一価イオンがガラスシート内の異なる深さまで交換し、ガラスシート内の異なる深さで異なる大きさの応力を生成してもよい。応力生成イオンの得られる相対的深さは測定され、応力プロファイルの異なる特性を生じさせうる。
【0090】
CSは当分野で既知の手段を使って、例えば市販の計器、例えば折原製作所(日本)製のFSM‐6000を使用する表面応力計(FSM)により測定される。表面応力測定はガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。SOCは当分野で既知の方法、例えばファイバー法及び4点曲げ法(両方ともASTM規格C770‐98(2013)、名称「ガラス応力光学係数の測定のための標準試験方法」に記載されている)及びバルク円筒法で測定される。この文献の内容全体を本書に引用する。本書で使用されるように、CSは圧縮応力層内で測定した最高圧縮応力値である最大圧縮応力であってよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力はガラスシートの表面に位置する。他の実施形態では、最大圧縮応力は表面下のある深さに生じうり、圧縮プロファイルに「埋められたピーク」を出現させる。
【0091】
DOCは、強化方法及び条件に依ってFSM又は散乱光偏光器(SCALP)(例えば、エストニアにあるGlasstress社から入手可能なSCALP‐04散乱光偏光器)によって測定されてよい。ガラスシートがイオン交換処置によって化学的に強化される場合、どちらのイオンがガラスシート内へ交換されるかに依ってFSM又はSCALPが使用されてよい。ガラスシート内の応力が、カリウムイオンがガラスシート内へ交換されることで生成される場合は、FSMがDOCを測定するのに使用される。応力が、ナトリウムイオンがガラスシート内へ交換されることで生成される場合は、SCALPがDOCを測定するのに使用される。ガラスシート内の応力が、カリウムイオンとナトリウムイオンがガラスシート内へ交換されることで生成される場合は、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは圧縮応力の大きさの変化(圧縮から引張への応力の変化ではなく)を示すと考えられているので、DOCはSCALPによって測定され、このようなガラスシート内のカリウムイオンの交換深さはFSMで測定される。中心張力又はCTは最大引張応力でありSCALPで測定される。
【0092】
1つ以上の実施形態では、ガラスシートは、本書に説明したガラスシートの厚みTの数分の1として記述されるDOCを示すように強化されてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは約0.05Tから約0.25Tの範囲内であってもよい。幾つかの例では、DOCは約20μmから約300μmの範囲内であってもよい。1つ以上の実施形態では、強化されたガラスシート52は、約200MPa以上、約500MPa以上、又は約1050MPa以上のCS(表面又はガラスシート内のある深さに見つかりうる)を有してもよい。1つ以上の実施形態では、強化されたガラスシートは約20MPaから約100MPaの範囲内の最大引張応力又は中心張力(CT)を有してもよい。
【0093】
ガラスシート52として使用するのに適切なガラス組成物はソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、及びアルカリ含有ホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0094】
特に指定がなければ、本書に開示されたガラス組成物は酸化物ベースで分析されたモルパーセント(mol%)で記述される。
【0095】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はSiO2を約66mol%から約80mol%の範囲内の割合で含んでよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はAl2O3を約3mol%から約15mol%の割合で含む。1つ以上の実施形態では、ガラス物品はアルミノケイ酸ガラス物品又はアルミノケイ酸ガラス組成物を含むとして記述される。このような実施形態では、ガラス組成物又はそれから形成された物品はSiO2とAl2O3を含み、ソーダ石灰ケイ酸ガラスではない。
【0096】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はB2O3を約0.01mol%から約5mol%の範囲内の割合で含む。しかし、1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はB2O3をほぼ含まない。本書で使用するように、組成物の成分に関する句「ほぼ含まない」は、初めの計量時にその成分が組成物に積極的又は意図的には加えられていないが、不純物として約0.001mol%未満の割合で存在しうることを意味する。
【0097】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は任意選択でP2O5を約0.01mol%から2mol%の割合で含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はP2O5をほぼ含まない。
【0098】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約8mol%から約20mol%の範囲内の総割合のR2O(アルカリ金属酸化物、例えばLi2O、Na2O、K2O、Rb2O、及びCs2Oの総割合)を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はRb2O、Cs2O、又はRb2OとCs2O両方をほぼ含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、R2OはLi2O、Na2O、及びK2Oだけを総割合に含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はLi2O、Na2O、及びK2Oから選択された少なくとも1つのアルカリ金属酸化物を約8mol%を超える割合で含んでもよい。
【0099】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約8mol%から約20mol%の範囲内の割合でNa2Oを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約0mol%から約4mol%の範囲内の割合でK2Oを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はK2Oをほぼ含まなくてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はLi2Oをほぼ含まない。1つ以上の実施形態では、組成物内のNa2Oの割合は、Li2Oの割合より大きくてもよい。幾つかの例では、Na2Oの割合は、Li2O及びK2Oの合計割合より大きくてもよい。1つ以上の他の実施形態では、組成物内のLi2Oの割合は、Na2Oの割合又はNa2O及びK2Oの合計割合より大きくてもよい。
【0100】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約0mol%から約2mol%の範囲内の総割合のRO(アルカリ土類金属酸化物、例えばCaO、MgO、BaO、ZnO、及びSrOの総割合)を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約1mol%未満の割合でCaOを含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はCaOをほぼ含まない。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は約0mol%から約7mol%の割合でMgOを含む。
【0101】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約0.2mol%以下の割合でZrO2を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は約0.2mol%以下の割合でSnO2を含む。
【0102】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は色又は色合いをガラス物品に与える酸化物を含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は紫外線放射に曝された時にガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含む。そのような酸化物の例は、限定されないがTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、及びMoを含む。
【0103】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はFe2O3と表されるFeを含み、Feは1mol%までの割合で存在する。ガラス組成物がTiO2を含む場合、TiO2は約5mol%以下の割合で存在してよい。
【0104】
典型的なガラス組成物は約65mol%から約75mol%の範囲内の割合でSiO2、約8mol%から約14mol%の範囲内の割合でAl2O3、約12mol%から約17mol%の範囲内の割合でNa2O、約0mol%から約0.2mol%の範囲内の割合でK2O、及び約1.5mol%から約6mol%の範囲内の割合でMgOを含む。任意選択で、SnO2が本書に開示された割合で含まれてもよい。上記ガラス組成物の段落はおおよその範囲を示すが、他の実施形態ではガラスシート52は、上述した厳密な数値範囲のいずれかに入るどんなガラス組成物からも作られうることは理解されるべきである。
【0105】
そうでないと明確に記述されていない限り、本書で明らかにされるどんな方法も、特定の順序でそのステップが実行されることを要求していると解釈されることを決して意図していない。従って、方法請求項がそのステップが従う順序を実際に明記しない場合、又は請求項又は説明でステップが特定の順序に限定されるべきであると明記されていない場合、どんな特定の順序も推測されることは決して意図されていない。また、本書で使用するように、英語の冠詞「a」は1つ以上の成分又は要素を含むように意図され、ただ1つを意味すると解釈されるように意図されていない。
【0106】
開示された実施形態の要旨及び範囲から逸脱することなく、様々な部分変更及び変形がされうることは当業者には明らかであろう。当業者は開示された実施形態の、要旨と内容を組み込んだ部分変更、組み合わせ、部分組み合わせ、及び変形を思いつく場合があるので、開示された実施形態は添付の請求項及びそれらの等価物の範囲内に入る全てを含むと解釈されるべきである。
【0107】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0108】
実施形態1
車両内部システムのガラス物品であって、
湾曲した支持面を有し、少なくとも1つの磁石を保持するように構成された枠と、
第1主表面と第1主表面と反対側の第2主表面とを有するガラスシートであって、前記第2主表面が前記湾曲した支持面に面するよう配置されたガラスシートと、
前記ガラスシート上に配置された少なくとも1つの金属細片と
を備え、
前記少なくとも1つの金属細片と前記少なくとも1つの磁石は前記ガラスシートを前記湾曲した支持面と一致するように保持するのに十分な磁気接続を生成する、ガラス物品。
【0109】
実施形態2
前記少なくとも1つの金属細片は連続した金属細片であり、前記ガラスシートの第1主表面上に配置される、実施形態1記載のガラス物品。
【0110】
実施形態3
前記ガラスシートを前記枠に接着する接着剤も、前記ガラスシートを前記少なくとも1つの金属細片に接着する接着剤も含まない実施形態2記載のガラス物品。
【0111】
実施形態4
前記少なくとも1つの金属細片は前記ガラスシートの前記第2主表面に付着される、実施形態1記載のガラス物品。
【0112】
実施形態5
前記少なくとも1つの金属細片は不連続である、実施形態4記載のガラス物品。
【0113】
実施形態6
前記少なくとも1つの磁石はAlNiCo、フェライト、サマリウムコバルト、又はネオジム磁石のうち少なくとも1つから成る、実施形態1~5のいずれかに記載のガラス物品。
【0114】
実施形態7
前記枠は前記ガラスシートの互いに反対側の縁に配置された第1側壁及び第2側壁を備える、実施形態1~6のいずれかに記載のガラス物品。
【0115】
実施形態8
前記第1側壁は少なくとも1つの第1柱を有し、前記第2側壁は少なくとも1つの第2柱を有し、前記少なくとも1つの磁石は、前記少なくとも1つの第1柱内に配置された少なくとも1つの第1磁石と、前記少なくとも1つの第2柱内に配置された少なくとも1つの第2磁石とを含む、実施形態7記載のガラス物品。
【0116】
実施形態9
前記少なくとも1つの第1磁石によって生成される第1磁力は、前記少なくとも1つの第1柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がり、前記少なくとも1つの第2磁石によって生成される第2磁力は、前記少なくとも1つの第2柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がる、実施形態8記載のガラス物品。
【0117】
実施形態10
前記少なくとも1つの第1磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第1側壁上の位置に配置され、前記少なくとも1つの第2磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第2側壁上の位置に配置される、実施形態8記載のガラス物品。
【0118】
実施形態11
前記少なくとも1つの第1柱のそれぞれは、前記少なくとも1つの第1磁石を前記湾曲した支持面に保持する第1ストッパーを備え、前記少なくとも1つの第2柱のそれぞれは、前記少なくとも1つの第2磁石を前記湾曲した支持面に保持する第2ストッパーを備える、実施形態8~10のいずれかに記載のガラス物品。
【0119】
実施形態12
前記少なくとも1つの金属細片は1mm以下の厚みを有する、実施形態1~11のいずれかに記載のガラス物品。
【0120】
実施形態13
前記湾曲した支持面は50mmから5mの曲率半径を有する、実施形態1~12のいずれかに記載のガラス物品。
【0121】
実施形態14
前記磁気接続は少なくとも140Nの力を前記ガラスシートに働かせる、実施形態1~13のいずれかに記載のガラス物品。
【0122】
実施形態15
前記少なくとも1つの金属細片は前記湾曲した支持面の湾曲に垂直に配置される、実施形態1~14のいずれかに記載のガラス物品。
【0123】
実施形態16
前記第1主表面又は前記第2主表面の少なくとも一方は、防眩被膜、反射防止被膜、接触機能を提供する被膜、装飾被膜、又は清浄し易い被膜のうち少なくとも1つを備える、実施形態1~15のいずれかに記載のガラス物品。
【0124】
実施形態17
前記ガラスシートの前記第2主表面に配置された表示モジュールを更に備える実施形態1~16のいずれかに記載のガラス物品。
【0125】
実施形態18
前記表示モジュールは発光ダイオード(LED)表示器、有機LED(OLED)表示器、マイクロLED表示器、液晶表示器(LCD)、又はプラズマ表示器のうち少なくとも1つを含む、実施形態17記載のガラス物品。
【0126】
実施形態19
車両内部システムのための湾曲したガラス物品を形成する方法であって、
少なくとも1つの磁石を備える枠の湾曲した支持面を覆うようガラスシートの第1主表面を配置するステップと、
前記ガラスシート上に配置された少なくとも1つの金属細片と前記少なくとも1つの磁石の間の磁気接続を形成して前記ガラスシートを前記湾曲した支持面と一致するように曲げるステップと
を含む方法。
【0127】
実施形態20
前記少なくとも1つの金属細片は前記ガラスシートの第2主表面上に配置された連続した金属細片であり、前記第2主表面は前記第1主表面と反対側である、実施形態19記載の方法。
【0128】
実施形態21
前記少なくとも1つの金属細片と前記ガラスシートの間に接着剤を付けるステップを含まない実施形態20記載の方法。
【0129】
実施形態22
前記少なくとも1つの金属細片は前記ガラスシートの前記第1主表面に付着され、前記少なくとも1つの金属細片は互いに間隔を空けた複数の金属薄片から成る、実施形態19記載の方法。
【0130】
実施形態23
前記少なくとも1つの磁石はAlNiCo、フェライト、サマリウムコバルト、又はネオジム磁石のうち少なくとも1つから成る、実施形態18~22のいずれかに記載の方法。
【0131】
実施形態24
前記枠は前記ガラスシートの互いに反対側の縁に配置された第1側壁及び第2側壁を備える、実施形態19~23のいずれかに記載の方法。
【0132】
実施形態25
前記第1側壁は少なくとも1つの第1柱を有し、前記第2側壁は少なくとも1つの第2柱を有し、前記少なくとも1つの磁石は、前記少なくとも1つの第1柱内に配置された少なくとも1つの第1磁石と、前記少なくとも1つの第2柱内に配置された少なくとも1つの第2磁石とを含む、実施形態24記載の方法。
【0133】
実施形態26
前記少なくとも1つの第1磁石によって生成される第1磁力は、前記少なくとも1つの第1柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がり、前記少なくとも1つの第2磁石によって生成される第2磁力は、前記少なくとも1つの第2柱のそれぞれに亘って実質的に均一に広がる、実施形態25記載の方法。
【0134】
実施形態27
前記少なくとも1つの第1磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第1側壁上の位置に配置され、前記少なくとも1つの第2磁石のそれぞれは、前記ガラスシートの最大逸れに対応する前記第2側壁上の位置に配置される、実施形態25記載の方法。
【0135】
実施形態28
前記少なくとも1つの第1柱のそれぞれは、前記少なくとも1つの第1磁石を前記湾曲した支持面に保持する第1ストッパーを備え、前記少なくとも1つの第2柱のそれぞれは、前記少なくとも1つの第2磁石を前記湾曲した支持面に保持する第2ストッパーを備える、実施形態25~27のいずれかに記載の方法。
【0136】
実施形態29
前記少なくとも1つの金属細片は1mm以下の厚みを有する、実施形態19~28のいずれかに記載の方法。
【0137】
実施形態30
前記湾曲した支持面は50mmから5mの曲率半径を有する、実施形態19~29のいずれかに記載の方法。
【0138】
実施形態31
前記磁気接続は少なくとも140Nの力を前記ガラスシートに働かせる、実施形態19~30のいずれかに記載の方法。
【0139】
実施形態32
湾曲したガラス物品を形成する方法であって、
磁気表面を有し湾曲した処理チャックの上にガラスシートの第1主表面を配置するステップと、
前記ガラスシート上に配置された金属プレスと前記磁気表面の間の磁気接続を形成して、前記ガラスシートを前記湾曲した処理チャックと一致するように曲げるステップと、
枠を前記ガラスシートの前記第1主表面と反対側の第2主表面に接着剤を使用して付着させて前記湾曲したガラス物品を形成するステップと、
前記接着剤が前記ガラスシートを前記枠に結合するのに十分な程度に硬化した後、前記金属プレスを前記ガラスシートから取り去るステップと、
前記湾曲した処理チャックから前記湾曲したガラス物品を取り外すステップと
を含む方法。
【0140】
実施形態33
前記磁気表面は電磁石を使用して形成される、実施形態32記載の方法。
【0141】
実施形態34
前記磁気表面は永久磁石を使用して形成される、実施形態32記載の方法。
【符号の説明】
【0142】
10 車両内装
20、30、40 車両内部システム
22 中央コンソール基部
24、34、44 曲面
26、36、46 表示器
32 ダッシュボード基部
38 計器盤
42 ハンドル基部
50 磁気ガラス物品
52 ガラスシート
54 第1主表面
56 第2主表面
60 枠
62 磁石
64 金属細片
66 第1側壁
68 第2側壁
70 柱
72 支持面
74 横切る部材
76 基底
78 空洞
80 スロット
82 ストッパー
【国際調査報告】