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特表2023-550389電子モジュール内の電子デバイスを冷却するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電子モジュール内の電子デバイスを冷却するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20231124BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231124BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20231124BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 M
F28D9/00
G06F1/20 A
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530015
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2021082224
(87)【国際公開番号】W WO2022106582
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】2018106.1
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520018266
【氏名又は名称】アイスオトープ・グループ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICEOTOPE GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッテソン,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】エドマンズ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】アモス,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ページ,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ロングハースト,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】カディム,ムスタファ
(72)【発明者】
【氏名】キッドジャー,ジャスパー
【テーマコード(参考)】
3L103
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
3L103AA50
3L103BB20
3L103DD12
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA09
5E322DA01
5E322DA04
5E322EA05
5E322FA01
5F136CB08
5F136CB11
5F136CB13
5F136DA41
(57)【要約】
複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、第1の冷却循環装置を有し、第1の液体冷却剤を、第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させるように構成されており、第1の電子デバイスが、第1の液体冷却剤に熱的に結合されている、システム。システムはまた、第2の冷却循環装置を有し、第2の液体冷却剤を、熱交換器を通して流れさせ、第2の液体冷却剤を、第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせるように構成されている。第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱交換器が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に熱を伝達するように構成されるように、熱交換器を介して熱的に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、前記電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、前記システムが、
第1の冷却循環装置であって、第1の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させるように構成されており、前記第1の電子デバイスは、前記システムが使用されているとき、前記第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、前記第1の液体冷却剤に伝達されるように、前記第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、第1の冷却循環装置と、
第2の冷却循環装置であって、第2の液体冷却剤を、前記熱交換器を通して流れさせ、かつ前記第2の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせるように構成されており、前記システムが使用されているとき、前記第2の電子デバイスによって生成された熱が、前記冷却モジュールの表面を介して前記第2の液体冷却剤に伝達される、第2の冷却循環装置と、を備え、
前記第1の冷却循環装置及び前記第2の冷却循環装置は、前記熱交換器が、前記第1の液体冷却剤から前記第2の液体冷却剤に熱を伝達するように構成されるように、前記熱交換器を介して熱的に結合されている、システム。
【請求項2】
前記第2の冷却循環装置は、前記システムが使用されているとき、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器を通して及び前記熱交換器から前記冷却モジュールを通して、流れさせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の冷却循環装置が、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを通して及び前記冷却モジュールから前記熱交換器を通して、流れさせるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記熱交換器及び前記冷却モジュールは、前記第2の冷却循環装置が、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器を通して流れさせ、かつ前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを通して並列に流れさせるように構成されるように、前記第2の冷却循環装置の並列分岐上に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記システムが使用されているとき、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記システムが使用されているとき、前記ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記冷却モジュールが、前記第1の液体冷却剤の前記液体レベルの上にあるように、前記ハウジング内に配置されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記ハウジング内に配置されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記熱交換器が、熱伝導性接合面によって互いに分離された少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、前記熱交換器は、熱が、前記第1の液体冷却剤から前記第2の液体冷却剤に、前記熱伝導性接合面を通して伝達されるように、少なくとも前記第1のチャンバを通る前記第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも前記第2のチャンバを通る前記第2の液体冷却剤の流れのために構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱交換器が、前記電子モジュールの前記ハウジング内に配置されている、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の冷却循環装置が、堰を更に備え、前記堰が、
基部及び前記基部から延びる保持壁であって、前記第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
前記第1の液体冷却剤が前記容積内に流入する堰入口と、を備え、
前記堰入口を通る前記容積内への十分な前記第1の液体冷却剤の流入が、前記第1の液体冷却剤を、前記保持壁から溢れ出させて、前記電子モジュールの前記ハウジング内に格納されており、かつ前記堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まる、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記堰入口が、前記容積内に流入する前記第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記堰が、前記堰の前記容積内の前記基部及び/又は保持壁から延びる突出部を更に備える、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記堰が、ヒートシンクとして作用するように、前記第1の電子デバイスの表面に結合され、又は前記第1の電子デバイスが、前記堰の前記容積内に位置付けられる、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の冷却循環装置が、
前記第1の液体冷却剤を前記第1の冷却循環装置を巡って循環させるように構成されたポンプを更に備える、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の冷却循環装置が、前記電子モジュールの前記ハウジング内に格納されており、かつ前記堰の外部にある、第1の液体冷却剤を受け取るように配置されたポンプ入口を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記冷却モジュールが、
低温プレートであって、前記低温プレートが、低温プレートハウジングを備え、前記低温プレートハウジングの表面が、前記低温プレートハウジングに熱的に結合される、前記第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートと、
前記低温プレートハウジング内の、及び前記低温プレートハウジングの前記表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、前記少なくとも1つのチャネルは、前記第2の電子デバイスから前記低温プレートハウジングの前記表面を通して受け取られた熱が、前記第2の液体冷却剤に伝達されるように、前記第2の液体冷却剤が前記少なくとも1つのチャネルを通って流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、先行請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
複数の電子デバイスを冷却するための方法であって、前記電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、前記システムが、
第1の液体冷却剤を第1の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第1の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させることを含み、前記第1の電子デバイスは、前記第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、前記第1の液体冷却剤に伝達されるように、前記第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、循環させることと、
第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することであって、第2の液体冷却剤を前記熱交換器を通して流れさせること、及び前記第2の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせることを含み、前記第2の電子デバイスによって生成された熱が、前記第2の液体冷却剤に前記冷却モジュールの表面を介して伝達される、輸送することと、を含み、
前記第1の冷却循環装置及び前記第2の冷却循環装置は、熱が、前記第1の液体冷却剤から前記第2の液体冷却剤に、前記熱交換器を介して伝達されるように、前記熱交換器を介して熱的に結合されている、方法。
【請求項17】
前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、前記システムが使用されているとき、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器を通して及び前記熱交換器から前記冷却モジュールを通して、流れさせることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを通して及び前記冷却モジュールから前記熱交換器を通して、流れさせることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記熱交換器及び前記冷却モジュールが、前記第2の冷却循環装置の並列分岐上に配置されており、前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することが、前記第2の液体冷却剤を前記熱交換器を通して流れさせ、かつ前記第2の液体冷却剤を前記冷却モジュールを通して並列に流れさせることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ハウジングが、前記第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の冷却剤を格納するように構成されており、前記冷却モジュールが、前記第1の液体冷却剤の前記液体レベルの上にあるように、前記ハウジング内に配置されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記ハウジング内に配置されている、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、前記電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、前記システムが、
第1の冷却循環装置であって、第1の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器の第1のチャンバとの間で循環させるように構成されており、前記第1の電子デバイスは、前記システムが使用されているとき、前記第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、前記第1の液体冷却剤に伝達されるように、前記第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、第1の冷却循環装置と、
第2の冷却循環装置であって、第2の液体冷却剤を前記熱交換器の第2のチャンバを通して流れさせ、かつ前記第2の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせるように構成されており、前記システムが使用されているとき、前記第2の電子デバイスによって生成された熱が、前記冷却モジュールの表面を介して前記第2の液体冷却剤に伝達される、第2の冷却循環装置と、を備え、
前記第1の冷却循環装置及び前記第2の冷却循環装置は、使用時、前記熱交換器が、前記第1のチャンバ内の前記第1の液体冷却剤から前記第2のチャンバ内の前記第2の液体冷却剤に、前記熱伝導性接合面を介して熱を伝達するように構成されるように、前記熱交換器の前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバを分離する熱伝導性接合面を介して熱的に結合される、システム。
【請求項23】
前記第2の冷却循環装置は、前記システムが使用されているとき、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器の前記第2のチャンバを通して及び前記熱交換器の前記第2のチャンバから前記冷却モジュールを通して、流れさせるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2の冷却循環装置は、前記システムが使用されているとき、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを通して及び前記冷却モジュールから前記熱交換器の前記第2のチャンバを通して、流れさせるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記冷却モジュール及び前記熱交換器にある前記熱伝導性接合面が、前記第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐上に配置されており、前記第2の冷却循環装置が、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを備える前記第2の冷却循環装置の前記第1の分岐を通って流れさせ、かつ前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器にある前記熱伝導性接合面を備える前記第2の冷却循環装置の前記第2の分岐を通して流れさせるように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記熱交換器が、前記第2のチャンバを通る複数の経路を備え、前記第2の冷却循環装置の前記第1の分岐が、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器の前記第2のチャンバを通る第1の経路を通して及び前記冷却モジュールを通して、流れさせるように構成されており、前記第2の冷却循環装置の前記第2の分岐が、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器の前記第2のチャンバを通る第2の経路を通して前記熱伝導性接合面を越えて、流れさせるように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記熱交換器の前記第2のチャンバを通る前記第1の経路が、前記熱伝導性接合面を越えて流れない、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記ハウジングが、前記第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記システムが使用されているとき、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される、請求項22~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記ハウジングは、前記システムが使用されているとき、前記ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記冷却モジュールが、前記第1の液体冷却剤の前記液体レベルの上にあるように、前記ハウジング内に配置されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記ハウジング内に配置されている、請求項22~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の冷却循環装置が、堰を更に備え、前記堰が、
基部及び前記基部から延びる保持壁であって、前記第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
前記第1の液体冷却剤が前記容積内に流入する堰入口と、を備え、
前記堰入口を通る前記容積内への十分な前記第1の液体冷却剤の流入が、前記第1の液体冷却剤を、前記保持壁から溢れ出させて、前記電子モジュールの前記ハウジング内に格納されており、かつ前記堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まる、請求項22~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記堰入口が、前記容積内に流入する前記第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を更に備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記堰が、前記堰の前記容積内の前記基部及び/又は保持壁から延びる突出部を更に備える、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項33】
前記堰が、ヒートシンクとして作用するように、前記第1の電子デバイスの表面に結合され、又は前記第1の電子デバイスが、前記堰の前記容積内に位置付けられる、請求項30~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の冷却循環装置が、
前記第1の液体冷却剤を前記第1の冷却循環装置を巡って循環させるように構成されたポンプを更に備える、請求項22~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の冷却循環装置が、前記電子モジュールの前記ハウジング内に格納されており、かつ前記堰の外部にある、第1の液体冷却剤を受け取るように配置されたポンプ入口を更に備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記冷却モジュールが、
低温プレートであって、前記低温プレートが、低温プレートハウジングを備え、前記低温プレートハウジングの表面が、前記低温プレートハウジングに熱的に結合される、前記第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートと、
前記低温プレートハウジング内の、及び前記低温プレートハウジングの前記表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、前記少なくとも1つのチャネルは、前記第2の電子デバイスから前記低温プレートハウジングの前記表面を通して受け取られた熱が、前記第2の液体冷却剤に伝達されるように、前記第2の液体冷却剤が前記少なくとも1つのチャネルを通って流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、請求項22~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記熱交換器が、前記電子モジュールの前記ハウジング内に配置されている、請求項22~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記熱交換器が、前記熱伝導性接合面によって互いに分離された少なくとも前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバを備え、前記熱交換器は、熱が、前記第1の液体冷却剤から前記第2の液体冷却剤に、前記熱伝導性接合面を通って伝達されるように、少なくとも前記第1のチャンバを通る前記第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも前記第2のチャンバを通る前記第2の液体冷却剤の流れのために構成されている、請求項22~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記熱交換器の前記第2のチャンバが、2つ以上の注入口及び/又は排出口を更に備える、請求項22~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記2つ以上の注入口及び/又は排出口のうちの少なくとも1つが、前記第2のチャンバを通る前記第1及び第2の経路に共通である、請求項26又は27に従属する場合の請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1の経路が、前記第2の経路と共通である注入口又は排出口、及び前記第2の経路と共通ではない他の注入口又は排出口を有する、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1の経路及び前記第2の経路を通る前記第2の液体冷却剤の相対流量が、前記第2の経路と共通ではない前記第1の経路にある前記注入口又は排出口にわたる圧力勾配によって決定される、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記第2の経路と共通ではない前記第1の経路にある前記注入口又は前記排出口にわたる前記圧力勾配が、前記第2の経路と共通ではない前記第1の経路にある前記注入口又は前記排出口のアパーチャのサイズによって決定され、前記アパーチャは、前記第2の液体冷却剤が前記第2のチャンバの中又は外に流れる開口部である、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記第1の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量が、前記第2の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量よりも少ない、請求項26、請求項27、又は請求項26又は27に従属する場合の請求項39~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量が、前記第2の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量の50%以下である、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量が、前記第2の経路を通る前記第2の液体冷却剤の流量の35%以下である、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
複数の電子デバイスを冷却するための方法であって、前記電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、前記システムが、
第1の液体冷却剤を第1の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第1の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器の第1のチャンバとの間で循環させることを含み、前記第1の電子デバイスは、前記第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、前記第1の液体冷却剤に伝達されるように、前記第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、循環させることと、
第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することであって、第2の液体冷却剤を前記熱交換器の第2のチャンバを通して流れさせること、及び前記第2の液体冷却剤を、前記複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせることを含み、前記第2の電子デバイスによって生成された熱が、前記第2の液体冷却剤に前記冷却モジュールの表面を介して伝達される、輸送することと、を含み、
前記第1の冷却循環装置及び前記第2の冷却循環装置は、前記熱交換器の前記第1のチャンバ内の前記第1の液体冷却剤からの熱が、前記熱交換器の前記第2のチャンバ内の前記第2の液体冷却剤に、前記熱伝導性接合面を介して伝達されるように、前記熱交換器の前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバを分離する熱伝導性接合面を介して熱的に結合されている、方法。
【請求項48】
前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することが、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器の前記第2のチャンバを通して及び前記熱交換器の前記第2のチャンバから前記冷却モジュールを通して、流れさせることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することが、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを通して及び前記冷却モジュールから前記熱交換器の前記第2のチャンバを通して、流れさせることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記冷却モジュール及び前記熱交換器にある前記熱伝導性接合面が、前記第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐上に配置され、前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することが、前記第2の液体冷却剤を、前記冷却モジュールを備える前記第2の冷却循環装置の前記第1の分岐を通して流れさせること、及び前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器にある前記熱伝導性接合面を備える前記第2の冷却循環装置の前記第2の分岐を通して流れさせることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記熱交換器が、前記第2のチャンバを通る複数の経路を備え、前記第2の液体冷却剤を前記第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、前記第2の液体冷却剤を、前記熱交換器の前記第2のチャンバ及び前記冷却モジュールを通る第1の経路を備える前記第2の冷却循環装置の前記第1の分岐を通して流れさせること、並びに前記第2の液体冷却剤を、前記熱伝導性接合面を越えて前記熱交換器の前記第2のチャンバを通る第2の経路を備える前記第2の冷却循環装置の前記第2の分岐を通して流れさせることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記熱交換器の前記第2のチャンバを通る前記第1の経路が、前記熱伝導性接合面を越えて流れない、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ハウジングが、前記第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ハウジングは、前記ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の冷却剤を格納するように構成されており、前記冷却モジュールが、前記第1の液体冷却剤の前記液体レベルの上にあるように、前記ハウジング内に配置されており、前記第1の電子デバイスが、前記ハウジング内に格納された前記第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、前記ハウジング内に配置されている、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイスが電子モジュール内に収容されている、1つ以上の電子デバイスを冷却するためのシステムに関する。システムは、第1及び第2の冷却循環装置を備え、第1の冷却循環装置内で循環する冷却剤は、熱交換器を介して、熱が第2の冷却循環装置内で循環する冷却剤に伝達されることによって冷却される。電子モジュール内に収容された複数の電子デバイスを冷却するための方法が更に記載されている。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、サーバ、又はデータ処理に使用される他のデバイス(IT又は情報技術と呼ばれる)内には、集積回路(IC)と呼ばれる多数の電子デバイスがある。集積回路内の電子デバイスは、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理装置(GPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などを含み得る。これらのデバイスの各々は、使用中に熱を発生させる。デバイスを正しい動作のために最適な温度に維持するために、この熱をデバイスから外方に伝達することが重要である。ITの処理能力が増大し、したがってコンピュータ、サーバ、又は他のIT内の電子デバイスの数が増加するにつれて、電子デバイスによって生成される十分な熱を除去するという課題が増大する。
【0003】
一般に、プリント回路基板(PCB)上に搭載される電子デバイスは、通常、ケース、ハウジング又はシャーシ内に収容又は封入されて、電子モジュールを形成する。コンピュータサーバは、多くの場合、ラックに搭載され、必要なIT設備を提供するためにともに接続された複数の電子モジュールを備える。シャーシ内の電子デバイスを適切な温度に維持するために、各ケース又はシャーシから熱を除去するための方法が必要とされている。
【0004】
各ケース又はシャーシの上又は中に空気を通すことによって、電子モジュールを冷却することが一般的である。空気の流れは、ある程度の熱を、筐体の内側から周囲の環境に除去するのに十分であり得る。この冷却方法は、最近まで、ほぼ大量生産のIT及びサーバ機器にのみ使用されてきた。しかしながら、同じ計算性能に対する技術的サイズが縮小するにつれて、フットプリントが縮小しても電子デバイスによって生成される熱が増加していることが分かっている。このように、ITシステムのピーク性能は、空冷式システムで電子モジュールを冷却するという制限によって、抑制又は制約されてきた。
【0005】
したがって、電子モジュールを冷却するためのより複雑なシステム及び方法が提案されている。場合によっては、液体冷却が使用されており、液体冷却剤が電子デバイスに結合されたヒートシンクの上に流されるか、又はヒートシンクに近接して流される。次いで、熱を、電子デバイスから外方に、液体冷却剤から熱を除去することができる領域又は要素に伝達することができる。液体冷却は、場合によっては、電子デバイス又は構成要素から外方への熱のより効率的な伝達を提供することができ、したがって、空冷式システムよりも大きな冷却力を提供することができる。しかしながら、先行技術の液体冷却システムは、設置が複雑で費用がかかる、カスタマイズされたシステムを必要とすることが多い。更に、冷却性能の改善が常に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術のシステムのこれらの欠点を克服する、電子モジュールを冷却するためのシステム、更にはそのようなシステムを冷却する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を考慮して、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムが記載される。システムは、それぞれの第1及び第2の液体冷却剤が流れる第1及び第2の冷却循環装置を備える。各循環装置は、電子モジュール内に収容された1つ以上のそれぞれの電子デバイスから伝達される熱を受け取る。第1の液体冷却剤(又は第1の冷却液体)は、熱が、熱交換器にある第2の液体冷却剤に伝達されることによって冷却される。第2の液体冷却剤(又は第2の冷却液体)は、冷却水供給部などの施設レベルの供給部であり得る。
【0008】
冷却循環装置の各々は、電子モジュール内の複数のデバイスのうちの電子デバイスを冷却するために使用される。しかしながら、第2の冷却循環装置は、第1の冷却循環システム内で循環する冷却剤を、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換器を介した熱の交換によって冷却するように更に構成されている。第2の冷却循環装置は、いくつかの異なる方法で構成され得る。第2の冷却循環装置の第1の例では、冷却モジュール及び熱交換器(より具体的には、熱交換器内での熱伝達のための熱伝導性接合面)は、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の第1の注入口(最低温度の第2の液体冷却剤が通過する)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の最終排出口(最高温度の第2の液体冷却剤が通過する)との間に、冷却モジュールが熱交換器の前に配置されるように、直列に配置される。第2の冷却循環装置の第2の例では、冷却モジュール及び熱交換器(より具体的には、熱交換器内での熱伝達のための熱伝導性接合面)は、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の第1の注入口(最低温度の第2の液体冷却剤が通過する)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の最終排出口(最高温度の第2の液体冷却剤が通過する)との間に、熱交換器が冷却モジュールの前に配置されるように、直列に配置される。第2の冷却循環装置の第3の例では、冷却モジュール及び熱交換器(具体的には、熱交換器内での熱伝達のための熱伝導性接合面)は、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の注入口(最低温度の第2の液体冷却剤が通過する)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の排出口(最高温度の第2の液体冷却剤が通過する)との間に、並列に配置される。第2の冷却循環装置の第4の例では、熱交換器内での熱伝達のための冷却モジュール及び熱伝導性接合面は、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の注入口(最低温度の第2の液体冷却剤が通過する)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の排出口(最高温度の第2の液体冷却剤が通過する)との間に、並列に配置される。第2の冷却循環装置の両方の分岐は、熱交換器の本体を通過し、この本体は、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の注入口及び排出口に直接接続された(又は注入口及び排出口として作用する)注入口及び排出口を有する
【0009】
有利には、第1の例には、第2の例と比べて、冷却モジュールに結合された特定の電子デバイスのより大きな冷却を提供することが示されている。しかしながら、第2の例は、第1の例と比べて、電子モジュール全体のより大きな冷却を提供することが分かっている。第3の例は、熱交換器における第1の液体冷却剤の冷却と比べて、冷却モジュールにおける冷却力のバランスをとることを可能にする。第4の例は、例えば、熱交換器内での熱伝達のための熱伝導性接合面と比べて、冷却モジュールにおける冷却力のバランスをとるための(したがって、冷却モジュールに熱的に結合されたデバイスの冷却と、第1の液体冷却剤に熱的に結合されたデバイスの冷却とのバランスをとるための)、第3の例における全ての利点を有する。しかしながら、第3の例は、より少ない接合部及びコネクタを有する構成を更に提供しており、このため、複雑さと潜在的な漏れ点を低減させることによってシステムの信頼性を高めている。
【0010】
既述の例の各々について、第1の冷却循環装置は、浸漬冷却を提供し得る。言い換えれば、ある体積の第1の液体冷却剤は、電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に格納され、第1のデバイスは、その体積の第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤を、電子モジュールのシャーシ又はハウジング内で、及び熱交換器を通して(例えば、ハウジング又はシャーシ内のポンプによって)循環させる。
【0011】
特定の例では、電子モジュール内の電子デバイス及び冷却モジュールのそれぞれの位置、並びに第1の液体冷却剤の体積は、システムが使用されているとき、ハウジング又はシャーシ内に格納された第1の液体冷却剤の体積の液体レベルが冷却モジュールよりも低くなるように配置され得る。言い換えれば、通常の動作下では、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤と直接接触しない。これは、現在のシステムの全体的な冷却力を向上させることが分かっている。
【0012】
このように、特定の電子デバイスに結合された低温プレートを通して冷却剤を循環させるループ、及び多数の部分的に浸漬された電子デバイスを冷却するための浸漬冷却ループ、という2つの冷却ループを使用する複合又はハイブリッド冷却システムが開示される。低温プレートは、浸漬冷却よりも高い性能の冷却を提供し、最も高温の構成要素の冷却に焦点を合わせている。しかしながら、低温プレートは冷却されるべき各構成要素に直接搭載される必要があり、このため、電子モジュール内の全ての高温の構成要素に低温プレートを搭載することは実用的ではない。したがって、既述のシステムによって提供される複合冷却アプローチは、最も高温の構成要素(通常はプロセッサ又はGPU)の低温プレートを介して冷却を提供し、一方、残りの構成要素は、誘電性冷却剤を使用した浸漬冷却アプローチによって冷却される。この複合アプローチに続いて、低温プレートを使用して最も高温の構成要素を冷却し、浸漬冷却を使用して他の構成要素を冷却することによって、電子デバイス内の全ての要素を完全に浸すために高い充填レベルに依拠するのではなく、冷却剤レベルを可能な限り低くする適切な選択も可能になる。これにより、重量とコストが節約される。
【0013】
第1の態様では、複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、システムが、
第1の冷却循環装置であって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させるように構成されており、第1の電子デバイスは、システムが使用されているとき、第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、第1の冷却循環装置と、
第2の冷却循環装置であって、第2の液体冷却剤を熱交換器を通して流れさせ、かつ第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせるように構成されており、システムが使用されているとき、第2の電子デバイスによって生成された熱が、冷却モジュールの表面を介して第2の液体冷却剤に伝達される、第2の冷却循環装置と、を備え、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱交換器が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に熱を伝達するように構成されるように、熱交換器を介して熱的に結合されている、システムが記載されている。
【0014】
電子デバイスは、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理装置(GPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などを含む集積回路(IC)を含む任意の発熱デバイス又は構成要素であってもよい。デバイスはともに接続されて、サーバ若しくは他のコンピュータ処理機能、又は他のITを形成してもよい。
【0015】
電子モジュール、又はサーバモジュールは、コンピュータサーバの一部を形成するモジュールであり得る。電子モジュールは、電子デバイスの各々が搭載されシャーシ又はハウジングを有し得る。電子モジュールは、ラック内に搭載又は設置するように構成され得る。例えば、電子モジュールは、標準的なサーバラック(1RU(1ラックユニット)又は1OU(1オープンユニット)として知られている)に適合するために必要な業界標準寸法に準拠し得る。このようなユニットは、ブレードサーバと称され得る。しかしながら、電子モジュールは、他のタイプ又はサイズ又はサーバラックに適合するように寸法決めされてもよく、又はカスタムサイズに作製されてもよい。
【0016】
システムは、第1及び第2の冷却循環装置(又は第1及び第2の冷却ループ)を備える。冷却循環装置は、電子モジュールを通るそれぞれの第1及び第2の冷却剤の流れのための構成を提供する。
【0017】
具体的には、第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤の流れを提供する。第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤が、電子モジュールを巡って及び電子モジュール内で循環されるように、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内に完全に格納され得る。具体的には、第1の冷却循環装置は、熱交換器(電子モジュール内に配置され得る)と第1の電子発熱デバイス(熱が第1の液体冷却剤によってこのデバイスから吸収される)との間で、第1の液体冷却剤を循環させるか又は流す。
【0018】
第1の冷却循環装置は、ポンプが、第1の液体冷却剤を、電子モジュールのハウジング内に格納された貯留部から、ポンプ及び熱交換器を通して循環させ、次いで、第1の電子デバイスの近くを流れるように、浸漬冷却を提供し得る。代替的に、第1の冷却循環装置は、熱交換器と、低温プレート又は同様の冷却モジュールに結合された第1の電子デバイスとの間の循環のための、パイプ又は導管内に第1の液体冷却剤を格納し得る。いずれの場合も、第1の液体冷却剤は閉ループであり、そのループ内で第1の液体冷却剤は循環し、交換又は補充されない。
【0019】
第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤の流れを提供する。特に、第2の冷却循環装置は、熱交換器及び/又は1つ以上の冷却モジュールを介して、電子モジュールへの注入口から電子モジュールへの排出口までの第2の液体冷却剤の流れを引き起こす。冷却モジュールは、結合された電子デバイスから第2の液体冷却剤に、冷却モジュールを介して熱が伝達されるように、特定の電子発熱デバイスに結合するための低温プレート又は他のモジュールであり得る。熱交換器は、第1の液体冷却剤から伝達された熱を受け取るように作用する。
【0020】
冷却モジュールは、電子デバイス(第2の電子デバイスなど)から第2の液体冷却剤への効率的な熱伝達のための特定の構成要素であり得る。冷却モジュールは、熱が、第2の電子デバイスから搭載面を介して第2の液体冷却剤に伝達されるように、冷却モジュールの搭載面を介して第2の電子デバイスに結合され得る。冷却モジュールは、以下で説明するように、低温プレートであり得る。
【0021】
場合によっては、第2の冷却循環装置は、閉ループであり得る(言い換えれば、液体冷却剤はループ内で再循環及びリサイクルされる)が、これは常にそうであるとは限らない。代替的な場合には、第2の冷却循環装置は、液体冷却剤が受け取られ、既述の経路を巡って流れ、次いで排水路に送られる開ループを説明することができる。例えば、電子モジュールを通過した後、第2の冷却循環装置内の第2の液体冷却剤は、次いで(電子モジュールに通過して戻る前に冷却システムを通過することによって)冷却されるか、又は補充される(例えば、第2の液体冷却剤が、施設全体の冷却剤供給部、例えば、施設水供給部の一部である場合)。
【0022】
有益には、既述のシステムは、2つの冷却循環装置のハイブリッドシステムである。そのようなハイブリッドシステムを使用することにより、特に高温の構成要素(例えば、少なくとも第2の電子デバイスにおける冷却を対象とする第2の冷却循環装置)を対象とする、より高性能でより効率的な冷却装置、並びに他のデバイスを冷却するための更なる冷却装置の使用が可能になる。しかしながら、単純に2つの完全に別個の冷却システムを並列に使用するよりも、本発明者らは、より高性能の冷却装置を使用して、他の冷却装置から熱を除去することもできることを認識している。ある程度まで、第1の冷却循環装置は、第2の冷却循環装置と入れ子になっていると考えることができる。
【0023】
任意選択的に、第1の液体冷却剤は誘電性液体であり、第2の液体冷却剤は水である。本明細書では液体冷却剤という用語が使用されているが、任意の好適な流体冷却剤が使用され得ることが理解されるであろう。
【0024】
任意選択的に、第2の冷却循環装置は、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を、熱交換器を通して及び熱交換器から冷却モジュールを通して流れさせるように構成されている。より具体的には、流れは、第1の冷却液体から熱交換器内の第2の冷却液体への熱伝達のための熱伝導性接合面からのものである。この構成では、熱交換器(又は熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面)及び冷却モジュールは、第2の冷却循環装置内に直列に配置される。特に、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、熱交換器から(又は熱交換器での熱伝達のために熱伝導性接合面から)、冷却モジュールに向かって流れるようにされる。言い換えれば、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の最初の注入口(第2の液体冷却剤が最低温度を有するとき)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の最終排出口(第2の液体冷却剤が最高温度を有するとき)との間で、第2の液体冷却剤は、熱交換器から冷却モジュールに流れる。この構成は、第2の液体冷却剤が既に熱交換器を介して第1の液体冷却剤から熱を受け取っているため、冷却モジュールでの冷却性能がわずかに低下していることを実証する。しかしながら、第1の液体冷却剤は、電子モジュールに入ったばかりの第2の液体冷却剤で熱交換器を通って冷却され(そのため、最低温度であり、冷却モジュールによって予熱されていない)、したがって、電子モジュールの全体的な冷却はより良好である。この構成は、改善された全体的な冷却性能を提供するように見え、PCB上に多数の高温補助構成要素を有する電子モジュール(電子モジュールのハウジング内に搭載され、第1の冷却循環装置を介して冷却される)に特に有用であり得る。
【0025】
代替的に、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを通して及び冷却モジュールから熱交換器を通して流れさせるように構成されている。より具体的には、流れは、熱交換器内の第1の冷却液体から第2の冷却液体への熱伝達のための、冷却モジュールから熱伝導性接合面までのものである。この構成では、熱交換器(又は熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面)及び冷却モジュールは、第2の冷却循環装置内に直列に配置される。特に、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールから熱交換器に向かって(又は熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面に向かって)流される。言い換えれば、電子モジュールへの第2の液体冷却剤の最初の注入口(第2の液体冷却剤が最低温度を有するとき)と、電子モジュールからの第2の液体冷却剤の最終排出口(第2の液体冷却剤が最高温度を有するとき)との間で、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールから熱交換器に流れる。有益には、このシステムは、熱交換器の前に、第2の液体冷却剤が冷却モジュールに直接供給されるため、冷却モジュールでより高い冷却性能を提供する。この構成は、メインプロセッサ(又は同等のもの)が非常に高温で動作し、PCB上の補助構成要素が相対的に低温で動作する電子モジュールで有用であり得る。この構成は、プロセッサの性能に特に懸念があるシステムでも使用することができる。
【0026】
代替的に、熱交換器及び冷却モジュールは、第2の冷却循環装置の並列分岐上に配置されるため、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、熱交換器を通して流れさせ、かつ第2の液体冷却剤を、並列に冷却モジュールを通して流れさせるように構成されている。より具体的には、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、第1の分岐内で、熱交換器内の第1の冷却液体から第2の冷却液体への熱伝達のために熱伝導性接合面と接触させ、第2の分岐内で、冷却モジュールを通して流れさせるように構成されている。言い換えれば、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、熱交換器を通る流れと並列に冷却モジュールを通して流される。有益には、この配置は、熱交換器を通る流れが、冷却モジュールを直接通る流れに対してバランスをとることができるので、電子モジュールを通る第2の液体冷却剤の流れのより良い制御を提供し得る。
【0027】
好ましくは、ハウジングは、第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、システムが使用されているとき、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。言い換えれば、第1の冷却循環装置は、浸漬冷却装置である。熱は、少なくとも部分的に第1の液体冷却剤に浸漬される第1の電子デバイスの表面から第1の液体冷却剤に直接伝達され得る。
【0028】
対照的に、第2の冷却循環装置は、冷却モジュール及び熱交換器(具体的には、熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面)を通して第2の液体冷却剤を循環させるように構成され得、冷却モジュールは、冷却モジュールの搭載面にある第2の電子デバイスに結合される。したがって、熱は、第2の冷却モジュールの搭載面を介して、第2の電子デバイスと第2の液体冷却剤との間で交換される。第2の冷却循環装置の一部を形成する冷却モジュールは、以下でより詳細に説明される。
【0029】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、完全にハウジング内に収容される。言い換えれば、第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤が、電子モジュールのハウジング又はシャーシの境界を通常の動作時に離れることがないように配置される。
【0030】
第1の冷却循環装置は、第1及び第2の冷却循環装置が熱的に結合されている熱交換器を除いて、少なくとも部分的に第2の冷却循環装置から隔離され得る。これは、冷却デバイス及び熱交換器における冷却力(又はより具体的には、温度勾配)を最大化するために、冷却デバイス及び熱交換器の特定の領域を除いて、第2の液体冷却剤の温度を上昇させることを回避する。
【0031】
好ましくは、ハウジングは、システムが使用されているとき、ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤の液体レベルの上にあるように、ハウジング内に配置されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納されたその体積の第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、ハウジング内に配置される。言い換えれば、システムが使用されているとき、冷却モジュールの側面及び上面は、第1の液体冷却剤と接触しない。好ましくは、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤に浸されず、部分的に浸漬されない。好ましくは、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換の大部分は、第1及び第2の液体冷却剤が、熱交換器でのものを除いて実質的に熱的に非結合であるように、熱交換器内で行われる。熱交換器でのみ熱交換を提供することは、各循環システムの異なる要素における第2の(及び第1の)液体冷却剤の温度のより大きな制御を提供し、したがって、各要素における熱交換のための温度勾配を提供する。全体的な第1の液体冷却剤レベルは非常に低く、冷却モジュールの外壁との接触が最小限になるようにすることができる。場合によっては、第1の液体冷却剤レベルは、冷却モジュールにまったく接触しないほど低くなることがある。このように、このことは、冷却モジュールを介した第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤への熱伝達を防止するための費用対効果が高く簡単な解決策を提供する。
【0032】
好ましくは、熱交換器は、熱伝導性接合面によって互いに分離された少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、熱交換器は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱伝導性接合面を通って伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成される。熱交換器は、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換のために構成された専用の要素である。第1の液体冷却剤及び第2の液体冷却剤の各々は、熱交換器の1つ以上のそれぞれのチャンバを通過し得、熱は、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、チャンバ間の熱接合面を介して送られ得る。熱交換器は、熱交換の効率を改善するために、任意の好適な設計を有し得、複数のチャンバ及び複数の熱接合面を提供し得る。フィン又は他の突出部は、熱接合面の表面積を増加させ、かつ第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換の効率を促進するために、熱接合面に提供され得る。任意選択的に、熱交換器は、プレート熱交換器である。任意選択的に、第2のチャンバを通る2つ以上の経路を有する熱交換器のための特定の構成が使用されてもよく、経路のいくつかは、第2の液体冷却剤と接触しないか、又は第2の液体冷却剤を熱伝導性接合面を越えて流さないようにする。したがって、第2のチャンバを通る経路のいくつかにおける第2の液体冷却剤のみが、第1の液体冷却剤から伝達された熱を受け取る。
【0033】
好ましくは、熱交換器は、電子モジュールのハウジング内に配置される。特に、熱交換器は、電子モジュール内に格納される。これにより、少なくとも第1の液体冷却剤が電子モジュール内に完全に保持されることが可能になる。これにより、電子モジュールの中及び外への接続の複雑さが低減される。これにより、密封モジュールとしての電子モジュールの提供も可能になり得、密封モジュールは、第2の液体冷却剤が、誘電体である場合に有利であり得、モジュールから放出された場合に人間に有害であり得、漏れるか又は紛失した場合に交換するのに高価であり得る。
【0034】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、堰を更に備え、堰は、
基部及び基部から延びる保持壁であって、第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
第1の液体冷却剤が容積内に流入する堰入口と、を備え、
堰入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、保持壁から溢れ出させて、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集める。代替として、基部及び基部から延びる保持壁は、堰入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、1つ以上の孔を通して流れさせて、電子モジュールのハウジング内に格納され、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まるように、1つ以上の孔を更に備える。
【0035】
基部及び保持壁は、第1の液体冷却剤が溢れ出すことができる容器又は「浴槽」を提供し得る。代替として、孔は、第1の液体冷却剤が流れることができる基部又は保持壁内に提供され得る。堰は、第1の電子デバイスのヒートシンクとして作用するために、第1の電子デバイスの表面に結合され得る。代替的に、第1の電子デバイスは、堰の容積の内側に配置され得る。いずれの場合も、堰は、発熱電子デバイスに対して液体冷却剤をためるか又は保持するための容積を提供する。代替的に、又は追加的に、堰は、電子デバイス内の他の構成要素と比べて、及び/又は電子モジュールのハウジングの空洞内の第1の冷却剤のレベルと比べて上昇したPCB上に搭載され得る。このようにして、第1の液体冷却剤は、堰から溢れ出る又は流れ出ると、第1の電子デバイス及び電子モジュール内に収容されたいくつかの他の電子デバイス又は構成要素の上を流れるように作用する。
【0036】
堰は、第1の冷却循環装置を通って循環する第1の液体冷却剤の流れを導くように構成され得る。言い換えれば、堰は、堰から溢れ出る又は流れ出る第1の液体冷却剤が電子モジュール内に収容された特定の電子デバイスの上へと、又はその上で流れるように構成され得る。有利には、堰を第1の冷却循環装置に含めることによって、液体冷却剤を、最も熱が生成される場所(単数又は複数)により効果的に適用することができる。したがって、より少ない冷却剤を使用することができる。冷却剤は高価で重いため、冷却剤の量を低減することにより、柔軟性、効率、及び信頼性を向上させることができる(例えば、冷却剤の漏れが起こりにくく、容積中の冷却剤が、システム内の他の構成要素の障害によって引き起こされる瞬間的な温度変化に耐えることができるため)。電子モジュールのハウジング内の第1の冷却剤の全体的な液体レベルを低減することにより、他で考察したように、第1の液体冷却剤と冷却モジュールとの間の分離も可能になる。
【0037】
堰に関して、第1の液体冷却剤をためるか又は保持するための容積は、基部及び保持壁(一体であってもよく、又は分離していてもよい)によって画定され得る。基部は、堰の部分であり、その部分は、電子デバイス(より具体的には、電子デバイスの伝熱面)の上部に搭載され得るか、又はその部分に、堰内の電子デバイスが取り付けられ得る。このように、基部は、伝熱面から熱を伝達するように作用する。基部は、典型的には、容積を画定する平坦面を有する(また、基部自体が平坦な形状であってもよい)。基部(特に、容積を画定するその表面)を通って伝達される(典型的には伝導される)熱は、容積内にためられた液体冷却剤に伝達される。保持壁は基部から延びる。
【0038】
堰の1つの効果は、堰の容積内にためられた冷却剤のレベルを電子モジュール内の第1の液体冷却剤の貯留部のレベルよりも高くすることである(少なくとも冷却モジュールが電子デバイス及び/又は回路基板の平面を水平にして動作する場合)。堰は、電子モジュールのハウジング内の第1の液体冷却剤の上に上昇する、隆起したPCB上にあり得る。次いで、堰を形成する第1の液体冷却剤の流れは、ポンプ入口に戻るときに、他の全ての構成要素を冷却する。隆起した堰のヒートシンクは、冷却剤の充填レベルが、電子モジュールに搭載された任意の電子デバイスをカバーするのにちょうど十分であり得ることを意味する。このように、冷却モジュールの容器内の冷却剤の量は、保持壁の高さよりも低くすることができ、第1の液体冷却剤の貯留部のためのより低い液体レベルを達成することができる。
【0039】
好ましくは、堰入口は、容積内に流入する第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を備える。ノズル装置は、1つ以上のノズル(押し込み式であってもよい)を備えてもよく、その各々は、流れる又は圧送される第1の液体冷却剤を堰の容積のそれぞれの部分、特に堰の基部の一部に導く。1つ以上のノズルは各々、基部内、保持壁内に配置され得るか、又は容積の上部に配置されて、第1の液体冷却剤を容積内に流入させ得る。例えば、各ノズルは、最大温度又は閾値レベルを超える温度を有する電子デバイスの伝熱面の一部(すなわち、デバイスの最も高温な部分の1つ)に隣接する堰の容積のそれぞれの部分に、流れる又は圧送される液体冷却剤を導くことができる。最も好ましくは、ノズル装置は、流れる又は圧送される液体冷却剤を堰の基部に垂直な方向に導く。これにより、冷却剤が直接容積内に押し込まれ、放熱が改善され得る。
【0040】
好ましくは、堰は、容積内の基部(又は保持壁)から延びる突出部(ピン及び/又はフィンなど)を更に備える。突出部は、液体冷却剤を、基部の表面上の所定の点から離れるように(例えば、電子デバイスの最も高温の部分と一致して)半径方向に拡散させ得る。特に、突出部は、非線形パターンに形成され得る。
【0041】
好ましくは、堰は、ヒートシンクとして作用するように、第1の電子デバイスの表面に結合され、又は第1の電子デバイスは、堰の容積内に位置付けられる。
【0042】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、第1の冷却循環装置を巡って第1の液体冷却剤を循環させるように構成されたポンプを更に備える。ポンプは、電子モジュール内に格納された液体冷却剤の貯留部から第1の液体冷却剤を受け取るように配置され得、少なくとも第1の電子デバイスは、少なくとも部分的に浸漬される。次いで、ポンプは、受け取った第1の液体冷却剤を電子モジュールの別の領域、例えば、熱交換器に移動させ、次いで堰の入口に移動させ得る。ポンプは、第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬され得、第1の液体冷却剤は、それによってまた、ポンプの冷却を支援する。
【0043】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤を受け取るように配置されたポンプ入口を更に備える。言い換えれば、電子モジュール内に格納された第1の液体冷却剤は、ポンプ入口によって受け取られ、ポンプに送られる。
【0044】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤をポンプから熱交換器に、及び熱交換器から堰入口にそれぞれ輸送するように配置された、少なくとも第1及び第2のパイプを更に備える。
【0045】
好ましくは、冷却モジュールは、低温プレートであって、低温プレートは、低温プレートハウジングを備え、低温プレートハウジングの表面が、それに熱的に結合されている第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートと、低温プレートハウジング内の、及び低温プレートハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルが、低温プレートハウジングの表面を通して第2の電子デバイスから受け取られた熱が、第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤が流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える。
【0046】
有利には、低温プレートは、電子モジュール内の特定の電子デバイスを冷却するための効率的かつ効果的な機構を提供する。低温プレートは、それが熱的に結合されている第2の電子デバイスに高性能冷却を提供する。したがって、低温プレートは、電子モジュール内の最も高温の構成要素(単数又は複数)に結合されて、これらの構成要素に優れた的を絞った冷却力を提供することができる。
【0047】
任意選択的に、低温プレートハウジングの表面は、第2の電子デバイスの表面に直接結合され得る。代替的に、ハウジングは、更なる接合面表面又は構成要素によって結合されてもよい。それにもかかわらず、低温プレート及び第2の電子デバイスは、第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤への効果的かつ効率的な熱伝達を促進するために、熱的に結合される。
【0048】
第2の冷却循環装置の一部として、2つ以上の低温プレートが電子モジュール内に配置されてもよい。2つ以上の低温プレートは、第2の冷却循環装置に並列又は直列に配置されてもよく、又は3つ以上の低温プレートが使用される場合、並列構成と直列構成との組み合わせが実装されてもよい。
【0049】
好ましくは、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュール、熱交換器、及び電子モジュールの外部にある任意の外部冷却システム又は冷却剤供給部の間で輸送するように配置された複数の導管を更に備える。
【0050】
任意選択的に、第2の冷却循環装置は、冷却システムを更に備え、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュール、電子デバイス内の熱交換器(又はより具体的には、熱交換器の熱伝導性接合面)、冷却システム(電子モジュールの外部にある)の間で循環させるように構成されている。冷却システムは、冷却システムを介して第2の液体冷却剤から熱を除去する。言い換えれば、第2の冷却循環装置は、電子モジュールに戻される前に、電子モジュールから受け取られた第2の液体冷却剤が冷却システムによって冷却される閉ループを形成する。
【0051】
代替的に、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤供給部に接続され、第2の冷却循環装置は、電子デバイス内の冷却モジュールと熱交換器(又はより具体的には、熱交換器における熱伝導性接合面)との間で、第2の液体冷却剤供給部から受け取った第2の液体冷却剤を循環させ、次いで、第2の液体冷却剤供給部に戻されるように構成されている。言い換えれば、第2の冷却循環装置は開ループであり、第2の液体冷却剤は、施設レベルの供給部から供給され、絶えず補充される。例えば、第2の液体冷却剤の供給部は水供給部であってもよく、そこから水は、(第2の液体冷却剤として)受け取られ、第2の冷却循環装置を通って循環させられ、次いで第2の冷却循環装置を出て施設排水部に進むことができる。
【0052】
第2の態様では、複数の電子デバイスを冷却するための方法であって、電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容され、システムが、
第1の液体冷却剤を第1の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させることを含み、第1の電子デバイスは、第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、循環させることと、
第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することであって、第2の液体冷却剤を熱交換器を通して流れさせること、及び第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせることを含み、第2の電子デバイスによって生成された熱が、第2の液体冷却剤に冷却モジュールの表面を介して伝達される、輸送することと、を含み、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱交換器を介して伝達されるように、熱交換器を介して熱的に結合されている、方法が記載されている。
【0053】
言い換えれば、この方法は、第1の液体冷却剤を第1の冷却循環装置を巡って循環させることと、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って循環させることと、を含み得る。第1及び第2の冷却循環装置の各々は、少なくともそれぞれの第1及び第2の電子デバイスを冷却するように構成されている。更に、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤が熱交換器で第1の液体冷却剤から伝達された熱を受け取るように構成されている。有利には、このハイブリッド冷却システムは、最も高温の構成要素(第2の電子デバイスを対象とする第2の冷却循環装置)に関連する高性能冷却システムの利点を提供するが、次いで、電子モジュール内の他の構成要素を冷却するために更なる冷却システムを使用する。特に、(第2の冷却循環装置によって提供されるような)対象の冷却システムを電子モジュール内の全ての構成要素に搭載することは実用的ではない場合があり、したがって、第1の冷却循環装置は、残りの構成要素に追加の冷却システムを提供し、電子モジュール内の一般的な環境の温度を下げることができる。
【0054】
システムに関して上述した特徴は、電子モジュールのハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するための方法に関して開示されているとみなすこともできることが理解されるであろう。(システムに関して)上述した特徴の任意の特性又は利点はまた、以下に記載されるように、方法に関連して対応する特徴に適用されるとみなすことができる。
【0055】
好ましくは、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を熱交換器を通して及び熱交換器から冷却モジュールを通って流れさせることを含む。より具体的には、流れは、熱交換器内の第1の冷却液体から第2の冷却液体への冷却モジュールを通る熱伝達のための熱伝導性接合面からのものである。言い換えれば、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、熱交換器(又は熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面)から冷却モジュールに流れる。この構成は、電子モジュールのより良い全体的な冷却を提供する(ただし、冷却モジュールでのいくらかの冷却力を犠牲にして)。
【0056】
好ましくは、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを通して及び冷却モジュールから熱交換器を通して流れさせることを含む。より具体的には、流れは、熱交換器内の第1の冷却液体から第2の冷却液体への熱伝達のための、冷却モジュールから熱伝導性接合面へのものである。言い換えれば、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールから熱交換器(又は熱交換器での熱伝達のための熱伝導性接合面)に流れる。この構成は、冷却モジュールに直接結合された任意の電子デバイスに最大冷却力を提供する。
【0057】
好ましくは、熱交換器及び冷却モジュールは、第2の冷却循環装置の並列分岐上に配置され、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、熱交換器を通して流れさせること、及び第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを通って並列に流れさせること、を含む。より具体的には、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、熱交換器内の第1の冷却液体から第2の冷却液体への熱伝達のための熱伝導性接合面と接触させる第1の分岐上、及び冷却モジュールを通る第2の分岐上で流れさせることを含む。言い換えれば、電子モジュール内の第2の液体冷却剤の流れを考慮すると、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールを通って流れるために、熱交換器を通って並列に流れる。有益には、この構成は、熱交換器と比べて、冷却モジュールを通る第2の液体冷却剤の流れのバランスをとることを可能にする。
【0058】
好ましくは、ハウジングは、第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。言い換えれば、電子デバイスのハウジングは、第1の電子デバイス(及び場合によっては他の電子デバイス)が少なくとも部分的に浸漬されている第1の液体冷却剤の貯留部を格納する。したがって、熱は、第1の電子デバイス又は第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されている他のデバイスの表面から、第1の液体冷却剤に直接伝達される。ハウジングは、第1の液体冷却剤を格納するための密封可能なシャーシであり得る。第1の液体冷却剤の容積又は貯留部は、電子モジュールのハウジング内に格納され、電子モジュールは、少なくとも部分的に、シャーシ内に封入された空洞を充填する。このように、第1の液体冷却剤は、熱が電子デバイスから第1の液体冷却剤に伝達され得るように、少なくとも部分的に浸漬された電子デバイスと直接接触する。
【0059】
好ましくは、ハウジングは、ハウジングを液体レベルに充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤の液体レベルの上にあるようにハウジング内に配置されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるようにハウジング内に配置される。言い換えれば、第1の液体冷却剤は、冷却モジュールの上面又は側面と接触しない。理想的には、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤と直接接触しなくてもよい。好ましくは、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤から熱的に切り離される。
【0060】
熱交換器は、熱接合面によって分離された少なくとも第1の及び第2のチャンバを備え得、熱交換器は、熱が第1の液体冷却剤から熱接合面を介して第2の液体冷却剤に伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成される。熱交換器は、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱の効率的な伝達のために構成される特定の要素である。熱交換器は、第1及び第2の液体冷却剤の別個の流れを可能にし、それらの間で熱を交換するための任意の好適な設計を有し得る。任意選択的に、熱交換器は、プレート熱交換器である。任意選択的に、第2のチャンバを通る2つ以上の経路を有する熱交換器のための特定の構成が使用されてもよく、経路のいくつかは、第2の液体冷却剤と接触しないか、又は第2の液体冷却剤を熱伝導性接合面を越えて流さないようにする。
【0061】
好ましくは、熱交換器は、電子モジュールのハウジング内に配置されるか、又は電子モジュールのハウジング内に格納される。有益には、これにより、第1の液体冷却剤が電子モジュールから出ることを回避する。この両方により、電子モジュールのハウジングにおける接続の複雑さが低減され、第1の液体冷却剤の漏れ又は損失のリスクも低減される。
【0062】
好ましくは、冷却モジュールは、第2の電子デバイスの表面に搭載され得るか、又は結合され得る。冷却モジュールは、第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤に、冷却モジュールを介して熱を間接的に伝達するための機構を提供し得る(言い換えれば、第2の液体冷却剤は、第2の電子デバイスの表面と直接接触せず、代わりに、熱は、第2の電子デバイスから冷却モジュールの一部分を通して伝達され、第2の液体冷却において受け取られる)。冷却モジュールは、より高い冷却力を提供し得、そうでなければ第1の冷却循環装置によって提供され得るよりも、結合された電子デバイスのより効率的な冷却を支援し得る。
【0063】
好ましい例では、第2の冷却循環装置内に冷却モジュールを提供することは、低温プレートを提供することを含み、低温プレートは、
低温プレートハウジングであって、低温プレートハウジングの表面が、低温プレートハウジングに熱的に結合された第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートハウジングと、
低温プレートハウジング内の、及び低温プレートハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルは、第2の電子デバイスから低温プレートハウジングの表面を通して受け取られた熱が、第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤が少なくとも1つのチャネルを通って流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える。
【0064】
第2の冷却循環装置内で並列又は直列に配置され得る、2つ以上の低温プレートが提供され得る。低温プレートハウジングの表面は、効果的な熱伝達を促進するために、第2の電子デバイスの表面に直接結合され得るか、又は接合面を介して結合され得る。
【0065】
方法は、第2の冷却循環装置内に、低温プレート、熱交換器、及び冷却システムの間で第2の液体冷却剤を輸送するように配置された複数の導管又はパイプを提供することを更に含み得る。
【0066】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、堰を備え得る。堰は、
基部及び基部から延びる保持壁であって、第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
第1の液体冷却剤が容積内に流入する入口と、を備え
入口を通る、容積への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、保持壁から溢れ出させて、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集める。代替として、基部及び基部から延びる保持壁は、堰入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、1つ以上の孔を通して流れさせ、電子モジュールのハウジング内に格納され、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まるように、1つ以上の孔を更に備える。
【0067】
有利には、堰は、電子モジュール内の第1の液体冷却剤の流れを促進するように作用する。堰は、第1の冷却循環装置を通って循環する第1の液体冷却剤の流れを特定の電子構成要素に導くように更に配置され得る。
【0068】
特定の例では、堰の基部は、第1の電子デバイスに熱的に結合され得る。第1の電子デバイスは、堰の容積内に位置付けられる。このようにして、堰は、第1の電子デバイスのための効果的なヒートシンクとして作用する。堰はまた、堰が結合される第1の電子デバイスの周りに配置された発熱構成要素を冷却し得る第1の液体冷却剤の流れを維持する。
【0069】
入口は、容積内に流入する第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を更に備え得る。ノズル装置は、1つ以上のノズルを備える。
【0070】
堰は、基部から延びる突出部及び/又は堰の容積内の保持壁を更に備え得る。
【0071】
方法は、第1の冷却循環装置内にポンプを提供することを更に含み得、ポンプは、第1の冷却循環装置を巡って第1の液体冷却剤を循環させるように構成されている。第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤を受け取るためのポンプ入口を更に備え得る。
【0072】
方法は、第1の冷却循環装置内に、第1の液体冷却剤をポンプから熱交換器に、及び熱交換器から堰の入口にそれぞれ輸送するように配置された複数のパイプを提供することを更に含み得る。
【0073】
好ましくは、第2の冷却循環装置は、冷却システムを更に備え、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールに、熱交換器(又は熱交換器にある熱伝導性接合面)に、及び冷却システムに輸送することを含み、冷却システムによって熱が第2の液体冷却剤から除去される。冷却システムは、電子モジュールの外部にあり、第2の液体冷却剤の外に熱を伝達するように構成され得る。例えば、冷却システムは、熱を更なる(第3の)液体冷却剤又は媒体に伝達するための熱交換器を備え得る。
【0074】
代替的に、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤供給部を更に備え、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を第2の液体冷却剤供給部から受け取ること、第2の液体冷却剤を複数の電子デバイスの第2の電子デバイスに、及び熱交換器(又は熱交換器の熱伝導性接合面)に輸送して、次いで、第2の液体冷却剤供給部に戻すことを含む。例えば、第2の液体冷却剤は、水であってもよく、第2の冷却循環装置は、施設の水供給部に接続されてもよい。水は、第2の冷却循環装置を通って循環させられると、排水システムに送られることが可能になり得る(したがって、第2の冷却循環装置を通って再循環されない)。
【0075】
第3の態様では、複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、システムが、
第1の冷却循環装置であって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器の第1のチャンバとの間で循環させるように構成されており、第1の電子デバイスは、システムが使用されているとき、第1の電子デバイスにおいて生成された熱が、第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、第1の冷却循環装置と、
第2の冷却循環装置であって、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通して流れさせ、かつ第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせるように構成されており、システムが使用されているとき、第2の電子デバイスによって生成された熱が、第2の液体冷却剤に冷却モジュールの表面を介して伝達される、第2の冷却循環装置と、を備え、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、使用中、熱交換器が、熱第1のチャンバ内の第1の液体冷却剤から第2のチャンバ内の第2の液体冷却剤に、熱伝導性接合面を介して熱を伝達するように構成されるように、熱交換器の第1のチャンバ及び第2のチャンバを分離する熱伝導性接合面を介して熱的に結合されている、システムがある。
【0076】
更に上述したシステムのように、このシステムでは、第1の冷却循環システムは、第1の冷却液体の流れのための配置を提供する。特に、第1の冷却液体は、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内を完全に循環又は流れ得る。流れは、熱交換器の第1のチャンバにおける熱伝導性接合面と、第1の電子発熱デバイスとの間にあり得る。第1の電子発熱デバイスは、電子モジュールのハウジング又はシャーシが第1の液体冷却剤のための槽又は貯留部として機能するように、第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬され得る。この配置では、第1の液体冷却剤は、ポンプの使用によって、第1の電子デバイスから熱交換器(より具体的には、熱交換器における熱伝導性接合面)に、貯留部を巡って循環する。
【0077】
第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤の流れのための配置を提供する。第2の冷却循環装置は、冷却モジュールへの、及び熱交換器の第2のチャンバにある熱伝導性接合面を通過する第2の液体冷却剤の流れを引き起こす。第2の冷却液体は、冷却モジュールに結合された電子デバイスから伝達された熱を受け取り、第1の液体冷却剤から熱伝導性接合面を介して熱を受け取る。
【0078】
冷却モジュールは、第2の液体冷却剤が電子デバイスと直接接触することなく、電子デバイスから第2の液体冷却剤への効率的な熱伝達を提供する特定の構成要素である。冷却モジュールは、第2の液体冷却剤がそこを通過するためのチャネルを有する低温プレートであり得る。低温プレートの表面は、熱が結合された表面を通過することができるように、電子デバイスの表面に搭載され得るか又は結合され得る。
【0079】
システムは、少なくとも部分的に、熱伝導性接合面によって分離された少なくとも第1及び第2のチャンバを有する熱交換器を使用する。第1の液体冷却剤は、第1の冷却循環装置の一部として第1のチャンバを通って流れるように配置され、第2の液体冷却剤は、第2の冷却循環装置の一部として第2のチャンバを通って流れるように配置される。液体冷却剤が熱伝導性接合面を越えて流れるか、又はこれに接触すると、熱は、より高温の液体からより低温の液体に伝達する。この機構によって、熱は、熱伝導性接合面を通して第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される。熱交換器は、プレート熱交換器であり得る。プレート熱交換器は、典型的な設計を有し得るか、又は後述する設計を有し得、チャンバ(第2のチャンバなど)の1つを通る6つの注入/排出ポート及び/又は少なくとも2つのチャネルを有する。
【0080】
有益には、既述のシステムは、2つの冷却循環装置のハイブリッドシステム、又は入れ子になったシステムである。そのようなハイブリッドシステムを使用することにより、特に高温の構成要素(例えば、少なくとも第2の電子デバイスの冷却を対象とする第2の冷却循環装置)を対象とする、より高性能でより効率的な冷却装置、並びに他のデバイスを冷却するための更なる冷却装置の使用が可能になる。システムは、電子モジュール内の様々な発熱構成要素のエネルギー効率の良い冷却のための機構を提供し、電子モジュールのハウジングの容積内のスペース効率が高い。
【0081】
任意選択的に、第1の液体冷却剤は誘電性液体であり、第2の液体冷却剤は水である。本明細書では液体冷却剤という用語が使用されているが、任意の好適な流体冷却剤が使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0082】
好ましくは、第2の冷却循環装置は、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通して及び熱交換器の第2のチャンバから冷却モジュールを通して、流れさせるように構成されている。好ましくは、第2の冷却循環装置は、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバの熱伝導性接合面から冷却モジュールに流れさせるように構成されている。言い換えれば、第2の冷却循環装置は、熱交換器の第2のチャンバ(熱が第1の液体冷却剤から伝達される)にある熱伝導性接合面、及び直列に配置された冷却モジュールを有して構成される。熱交換器にある熱伝導性接合面は、この配置における第2の液体冷却剤の流れの方向において、冷却モジュールに先行する。この配置は、冷却モジュールにおける冷却力をわずかに低減させるが(冷却モジュールを通過する第2の液体冷却剤の温度は、他の既述の構成と比べて高いため)、この構成は、第1の液体冷却剤に特に効率的な冷却を提供する。この構成は、PCB上に多数の高温補助構成要素を有する電子モジュール(電子モジュールのハウジング内に搭載され、第1の冷却循環装置を介して冷却される)にとって特に有用であり得る。
【0083】
代替的に、第2の冷却循環装置は、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを通して及び冷却モジュールから熱交換器の第2のチャンバを通して、流れさせるように構成されている。好ましくは、第2の冷却循環装置は、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤を冷却モジュールから熱交換器の第2のチャンバで熱伝導性接合面に流れさせるように構成されている。言い換えれば、第2の冷却循環装置は、冷却モジュール及び熱交換器の第2のチャンバ(第1の液体冷却剤から熱が伝達される)にある熱伝導性接合面を直列に配置するように構成されている。冷却モジュールは、この配置における第2の液体冷却剤の流れの方向において、熱交換器にある熱伝導性接合面に先行する。有益には、このシステムは、冷却モジュールにおいてより高い冷却性能を提供する。この構成は、メインプロセッサ(又は同等のもの)が非常に高温で動作し、PCB上の補助構成要素が相対的に低温で動作する電子モジュールで有用であり得る。
【0084】
代替的に、冷却モジュール及び熱交換器にある熱伝導性接合面は、第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐上に配置され、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを備える第2の冷却循環装置の第1の分岐を通して流れさせ、かつ第2の液体冷却剤を、熱交換器にある熱伝導性接合面を備える第2の冷却循環装置の第2の分岐を通して流れさせるように構成されている。言い換えれば、冷却モジュール及び熱交換器にある熱伝導性接合面は、並列に配置される。この構成は、例えば、異なる比率の第2の液体冷却剤が第2の冷却循環装置の各分岐を通過する場合、冷却モジュールと第1の液体冷却剤の冷却との間の第2の冷却循環装置の冷却力のバランスをとることを可能にすることができる。更に、この構成では、冷却モジュール及び熱伝導性接合面の両方が、第2の液体冷却剤をその最低温度で受け取り、したがって、各統一体で最大の冷却力を提供する。
【0085】
好ましくは、熱交換器は、第2のチャンバを通る複数の経路を備え、第2の冷却循環装置の第1の分岐は、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通る第1の経路を通して及び冷却モジュールを通して、流れさせるように構成されており、第2の冷却循環装置の第2の分岐は、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通る第2の経路を通して熱伝導性接合面を越えて、流れさせるように構成されている。例では、第2の冷却循環装置の両方の分岐は、熱交換器の本体を通過し、より具体的には、熱交換器の第2のチャンバを通過するが、1つの分岐のみが、熱交換器内の熱伝導性接合面を通過するか又はこれに接触する。したがって、1つの分岐のみが、熱伝導性接合面を介して第1の液体冷却剤から伝達される熱を直接受け取る。この構成により、電気モジュールのハウジング又はシャーシの容積内でよりスペース効率の高い熱交換器の使用が可能になる。
【0086】
好ましくは、熱交換器の第2のチャンバを通る第1の経路は、熱伝導性接合面を越えて流れない。言い換えれば、第2の経路は、第2の経路内を流れる第2の液体冷却剤が第1の液体冷却剤から熱を受け取るために、熱伝導性接合面を越えて流れるが、第1の経路を通って流れる第2の液体冷却剤は、熱伝導性接合面を介して第1の液体冷却剤から熱を直接受け取らない。
【0087】
好ましくは、ハウジングは、第1の液体冷却剤を格納するように構成され、システムが使用されているとき、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。言い換えれば、第1の冷却循環装置は、第1の液体冷却剤が、電子モジュールのハウジング又はシャーシの境界を通常の動作時に離れることがないように配置される。第1の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジング内の貯留部であり得、この貯留部に、第1の電子デバイスが少なくとも部分的に浸漬されている。部分浸漬は、第1の液体冷却剤と第1のデバイスとの間の直接接触、及びそれらの間の効率的な熱伝達を可能にする。
【0088】
第1の冷却循環装置は、第1及び第2の冷却循環装置が熱的に結合されている熱交換器の熱伝導性接合面を除いて、少なくとも部分的に第2の冷却循環装置から隔離され得る。これは、冷却モジュール及び熱交換器における冷却力(又はより具体的には、温度勾配)を最大化するために、冷却モジュール及び熱交換器の特定の領域を除いて、第2の液体冷却剤の温度を上昇させることを回避する。
【0089】
好ましくは、ハウジングは、システムが使用されているとき、ハウジングを液体レベルまで充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤の液体レベルの上にあるように、ハウジング内に配置されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、ハウジング内に配置される。言い換えれば、システムが使用されているとき、冷却モジュールの側面及び上面は、第1の液体冷却剤と接触しない。好ましくは、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤に浸されず、部分的に浸漬されない。好ましくは、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換の大部分は、第1及び第2の液体冷却剤が、熱交換器でのものを除いて実質的に熱的に切り離されるように、熱交換器内で行われる。熱交換器でのみ熱交換を提供することは、各循環システムの異なる要素での第2の(及び第1の)液体冷却剤の温度のより大きな制御を提供し、したがって、各要素での熱交換のための温度勾配を提供する。全体的な第1の液体冷却剤レベルは非常に低く、冷却モジュールの外壁との接触が最小限になるようにすることができる。場合によっては、第1の液体冷却剤レベルは、冷却モジュールにまったく接触しないほど低くなることがある。このように、このことは、冷却モジュールを介した第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤への熱伝達を防止するための費用対効果が高く簡単な解決策を提供する。
【0090】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、堰を更に備え、堰は、
基部及び基部から延びる保持壁であって、第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
第1の液体冷却剤が容積内に流入する堰入口と、を備え、
堰入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、保持壁から溢れ出させて、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まる。代替として、基部及び基部から延びる保持壁は、堰入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、1つ以上の孔を通して流れさせ、電子モジュールのハウジング内に格納され、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まるように、1つ以上の孔を更に備える。
【0091】
基部及び保持壁は、第1の液体冷却剤が溢れ出すことができる容器又は「浴槽」を提供し得る。代替として、孔は、第1の液体冷却剤が流れることができる基部又は保持壁内に提供され得る。堰は、第1の電子デバイスのヒートシンクとして作用するために、第1の電子デバイスの表面に結合され得る。代替的に、第1の電子デバイスは、堰の容積の内側に配置され得る。いずれの場合も、堰は、発熱電子デバイスに対して液体冷却剤をためるか又は保持するための容積を提供する。代替的に、又は追加的に、堰は、電子デバイス内の他の構成要素と比べて、及び/又は電子モジュールのハウジングの空洞内の第1の冷却剤のレベルと比べて上昇したPCB上に搭載され得る。このようにして、第1の液体冷却剤は、堰から溢れ出る又は流れ出すと、第1の電子デバイス及び電子モジュール内に収容されたいくつかの他の電子デバイス又は構成要素の上を流れるように作用する。
【0092】
堰は、第1の冷却循環装置を通って循環する第1の液体冷却剤の流れを導くように構成され得る。言い換えれば、堰は、堰から溢れ出る又は流れ出る第1の液体冷却剤が電子モジュール内に収容された特定の電子デバイスの上へと又はその上で流れるように構成され得る。有利には、堰を第1の冷却循環装置に含めることによって、液体冷却剤を、最も熱が生成される場所(単数又は複数)により効果的に適用することができる。したがって、より少ない冷却剤を使用することができる。冷却剤は高価で重いため、冷却剤の量を低減することにより、柔軟性、効率、及び信頼性を向上させることができる(例えば、冷却剤の漏れが起こりにくく、容積中の冷却剤が、システム内の他の構成要素の障害によって引き起こされる瞬間的な温度変化に耐えることができるため)。電子モジュールのハウジング内の第1の冷却剤の全体的な液体レベルを低減することにより、他で考察したように、第1の液体冷却剤と冷却モジュールとの間の分離も可能になる。
【0093】
堰に関して、第1の液体冷却剤をためるか又は保持するための容積は、基部及び保持壁(一体であってもよく、又は分離していてもよい)によって画定され得る。基部は、堰の部分であり、その部分は、電子デバイス(より具体的には、電子デバイスの伝熱面)の上部に搭載され得るか、又はその部分に、堰内の電子デバイスが取り付けられ得る。このように、基部は、伝熱面から熱を伝達するように作用する。基部は、典型的には、容積を画定する平坦面を有する(また、基部自体が平坦な形状であってもよい)。基部(特に、容積を画定するその表面)を通って伝達される(典型的には伝導された)熱は、容積内にためられた液体冷却剤に伝達される。保持壁は基部から延びる。
【0094】
堰の1つの効果は、堰の容積内にためられた冷却剤のレベルを電子モジュール内の第1の液体冷却剤の貯留部のレベルよりも高くすることである(少なくとも冷却モジュールが電子デバイス及び/又は回路基板の平面を水平にして動作する場合)。堰は、電子モジュールのハウジング内の第1の液体冷却剤の上に上昇する、隆起したPCB上にあり得る。次いで、堰を形成する第1の液体冷却剤の流れは、ポンプ入口に戻るときに、他の全ての構成要素を冷却する。隆起した堰のヒートシンクは、冷却剤の充填レベルが、電子モジュールに搭載された任意の電子デバイスをカバーするのにちょうど十分であり得ることを意味する。このように、冷却モジュールの容器内の冷却剤の量は、保持壁の高さよりも低くすることができ、第1の液体冷却剤の貯留部のためのより低い液体レベルを達成することができる。
【0095】
好ましくは、堰入口は、容積内に流入する第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を更に備える。ノズル装置は、1つ以上のノズル(押し込み式であってもよい)を備えてもよく、その各々は、流れる又は圧送される第1の液体冷却剤を堰の容積のそれぞれの部分、特に堰の基部の一部に導く。1つ以上のノズルは各々、基部内、保持壁内に配置され得るか、又は容積の上部に配置されて、第1の液体冷却剤を容積内に流入させ得る。例えば、各ノズルは、最大温度又は閾値レベルを超える温度を有する電子デバイスの伝熱面の一部(すなわち、デバイスの最も高温な部分の1つ)に隣接する堰の容積のそれぞれの部分に、流れる又は圧送される液体冷却剤を導くことができる。最も好ましくは、ノズル装置は、流れる又は圧送される液体冷却剤を堰の基部に垂直な方向に導く。これにより、冷却剤が直接容積内に押し込まれ、放熱が改善され得る。
【0096】
好ましくは、堰は、堰の容積内の基部から延びる突出部及び/又は保持壁を更に備える。突出部は、液体冷却剤を、基部の表面上の所定の点から離れるように(例えば、電子デバイスの最も高温の部分と一致して)半径方向に拡散させ得る。特に、突出部は、非線形パターンに形成され得る。
【0097】
好ましくは、堰は、ヒートシンクとして作用するように、第1の電子デバイスの表面に結合され、又は第1の電子デバイスは、堰の容積内に位置付けられる。
【0098】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、第1の冷却循環装置を巡って第1の液体冷却剤を循環させるように構成されたポンプを更に備える。ポンプは、電子モジュール内に格納された液体冷却剤の貯留部から第1の液体冷却剤を受け取るように配置され得、少なくとも第1の電子デバイスは、少なくとも部分的に浸漬される。次いで、ポンプは、受け取った第1の液体冷却剤を電子モジュールの別の領域、例えば熱交換器に移動させ、次いで堰の入口に移動させ得る。ポンプは、第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬され得、第1の液体冷却剤は、それによってまた、ポンプの冷却を支援する。
【0099】
好ましくは、第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤を受け取るように配置されたポンプ入口を更に備える。言い換えれば、電子モジュール内に格納された第1の液体冷却剤は、ポンプ入口によって受け取られ、ポンプに送られる。
【0100】
好ましくは、冷却モジュールは、低温プレートであって、低温プレートは、低温プレートハウジングを備え、低温プレートハウジングの表面が、それに熱的に結合されている第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートと、低温プレートハウジング内の、及び低温プレートハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルが、低温プレートハウジングの表面を通して第2の電子デバイスから受け取られた熱が、第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤が流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える。
【0101】
有利には、低温プレートは、電子モジュール内の特定の電子デバイスを冷却するための効率的かつ効果的な機構を提供する。低温プレートは、それが熱的に結合されている第2の電子デバイスに高性能冷却を提供する。したがって、低温プレートは、電子モジュール内の最も高温の構成要素(単数又は複数)に結合されて、これらの構成要素に優れた的を絞った冷却力を提供することができる。
【0102】
任意選択的に、低温プレートハウジングの表面は、第2の電子デバイスの表面に直接結合され得る。代替的に、ハウジングは、更なる接合面表面又は構成要素によって結合されてもよい。それにもかかわらず、低温プレート及び第2の電子デバイスは、第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤への効果的かつ効率的な熱伝達を促進するために、熱的に結合される。
【0103】
第2の冷却循環装置の一部として、2つ以上の低温プレートが電子モジュール内に配置されてもよい。2つ以上の低温プレートは、第2の冷却循環装置に互いに並列又は直列に配置されてもよく、又は3つ以上の低温プレートが使用される場合、並列構成と直列構成との組み合わせが実装されてもよい。
【0104】
好ましくは、熱交換器は、電子モジュールのハウジング内に配置される。言い換えれば、熱交換器の本体、特に第1の冷却液と第2の冷却液体との間の熱交換が行われる熱伝導性接合面は、電子モジュールのハウジング又はシャーシの内側に完全に位置付けられる。これは、第1の冷却液体が電子モジュールのハウジングの容積を離れないか又は出ないことを意味し、これは、第1の冷却液体の漏れ又は損失を防止し得る。いくつかの例では、熱交換器の注入ポート及び排出ポートは、ハウジングへの第2の液体冷却剤の注入ポート又は排出ポートであり得、したがって、熱交換器のこれらのポート(だけ)は、電子モジュールのハウジングの壁を通って延びることができる。
【0105】
好ましくは、熱交換器は、熱伝導性接合面によって互いに分離された少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、熱交換器は、熱が第1の液体冷却剤から熱伝導性接合面を介して第2の液体冷却剤に伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成される。熱交換器は、プレート熱交換器であり得る。プレート熱交換器は、第1のチャンバ内の液体冷却剤と第2のチャンバ内の液体冷却剤との間の効率的な熱交換を提供する。プレート熱交換器は、後述するように、従来の構造を有し得るか、又は第1及び第2のチャンバの一方又は両方に追加の注入又は排出ポートを有し得る。
【0106】
好ましくは、熱交換器は、第2のチャンバに2つ以上の注入口及び/又は2つ以上の排出口を備える。注入口は、注入ポート又は入口ポートであってもよく、排出口は、排出ポート又は出口ポートであってもよい。熱交換器は、第2のチャンバに2つの注入口及び2つの排出口を備え得る。したがって、この例では、熱交換器は、合計で6つの注入口及び排出口を有する(第1のチャンバにも注入口及び排出口を有する)。任意選択的に、2つ以上の注入口及び/又は2つ以上の排出口は、少なくとも第1のチャンバ又は第2のチャンバのうちの1つ以上のチャンバに提供され得る。
【0107】
第2のチャンバは、第2の液体冷却剤がそこを通って流れるための第1の経路及び第2の経路を有し得る。経路は、特定の開始点(注入口)及び終了点(排出口)を有するチャンバを通る経路又は通路と考えることができる。異なる経路は、開始点(注入口)及び終了点(排出口)の異なる組み合わせを有するが、個々の注入口及び排出口のいくつかは、異なる経路に共有されるか又は共通であり得る。熱交換器の各チャンバは、流体接続され、他のいずれのチャンバとも流体分離された領域と考えることができる。チャンバを通る異なる経路は流体接続されているが、同じチャンバを通る特定の経路のペアは、必ずしも任意の点で合流又は交差するわけではない(代わりに、同じチャンバ内の別の経路を介して合流する)。
【0108】
好ましくは、2つ以上の注入口及び/又は排出口のうちの少なくとも1つは、第2のチャンバを通る第1及び第2の経路に共通である。言い換えれば、第1及び第2の経路は、例えば、共通の注入口を有し得るが、別個の排出口を有し得る。有益な例では、これにより、第2の液体冷却剤は、熱交換器を通過することができるが、並列分岐に、冷却モジュールに送らせるか又は熱伝導性接合面を越えて流れさせることができる。例えば、第1の経路は、第2のチャンバの第1の注入口から第1の排出口に進み、次いで第1の液体冷却剤を冷却モジュールに向かうように導くことができ、一方、第2の経路は、第2のチャンバの第1の注入口から進み、熱伝導性接合面を越え、次いで第1の液体冷却剤を第2の排出口から出すように導くことができる。更に別の例では、第2のチャンバは、第3の経路を備え得、第3の経路は、第2のチャンバへの第2の注入口において、冷却モジュールからの戻りの第2の液体冷却剤を受け取り、次いで、第1の液体冷却剤を第2のチャンバからの第2の排出口の外に導く(第2の排出口は第2及び第3の経路に共通である)。
【0109】
好ましくは、第1の経路は、第2の経路と共通の注入口又は排出口、及び第2の経路と共通ではない他の注入口又は排出口を有する。例えば、第1及び第2の経路は、共通の注入口又は排出口のいずれかで合流し得るが、その後、異なる別個のそれぞれの排出口又は注入口に進み得る。
【0110】
好ましくは、第1の経路及び第2の経路を通る第2の液体冷却剤の相対流量は、第2の経路と共通ではない第1の経路での注入口又は排出口にわたる圧力勾配によって決定される。例えば、第2のチャンバへの第1の排出口及び第2の排出口における相対的な圧力変化又は低下は、第1の排出口及び第2の排出口を通る流量、及び第1の経路及び第2の経路を通る流量を決定し得る。このようにして、第2のチャンバの各経路を通過する第2の液体冷却剤の比率を調整することができる。
【0111】
好ましくは、第2の経路と共通ではない第1の経路での注入口又は排出口にわたる圧力勾配は、第2の経路と共通ではない第1の経路における注入口又は排出口のアパーチャのサイズによって決定され、アパーチャは、第2の液体冷却剤が第2のチャンバに流入又は流出する開口部である。アパーチャのサイズは、オリフィスプレートを使用することによって、又は注入口若しくは排出口において異なるサイズのノズルを置き換えることによって変更され得る。例えば、熱交換器を介して第1の経路に接続された第1の排出口のアパーチャは、熱交換器を介して第2の経路に接続された第2の排出口のアパーチャと比べて小さくてもよく、これにより、第2の経路を通るよりも少ない第1の経路を通る流量がもたらされ得る。
【0112】
好ましくは、第1の経路を通る第2の液体冷却剤の流量は、第2の経路を通る第2の液体冷却剤の流量よりも少ない。好ましくは、第1の経路を通る第2の液体冷却剤の流量は、第2の経路を通る第2の液体冷却剤の流量の50%以下である。好ましくは、第1の経路を通る第2の液体冷却剤の流量は、第2の経路を通る第2の液体冷却剤の流量の35%以下である。言い換えれば、第1の経路(冷却モジュールに排出される)を通る流量は、第2の経路(熱交換器で熱伝導性接合面に接触するか、又はこれを通過する)を通る流量よりも少ない。これは、熱伝導性接合面と比べて、冷却モジュールに送られる第2の液体冷却剤の比率を変化させる。これにより、今度は、冷却モジュールと比べて、熱伝導性接合面での冷却性能が向上する。一例では、熱交換器に入る第2の液体冷却剤の体積の約20%が冷却モジュールを介して送られ、熱交換器に入る第2の液体冷却剤の約80%が熱伝導性接合面を介して送られる。しかしながら、異なる比率を使用することができる。
【0113】
任意選択的に、第2の冷却循環装置は、冷却システムを更に備え、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュール、電子デバイス内の熱交換器(又はより具体的には、熱交換器の熱伝導性接合面)、冷却システム(電子モジュールの外部にある)の間で循環させるように構成されている。冷却システムは、冷却システムを介して第2の液体冷却剤から熱を除去する。言い換えれば、第2の冷却循環装置は、電子モジュールに戻される前に、電子モジュールから受け取られた第2の液体冷却剤が冷却システムによって冷却される閉ループを形成する。
【0114】
代替的に、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤供給部に接続され、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤供給部から受け取った第2の液体冷却剤を、電子デバイス内の冷却モジュール及び熱交換器(より具体的には、熱交換器における熱伝導性接合面)に循環させ、次いで第2の液体冷却剤供給部に戻すように構成されている。言い換えれば、第2の冷却循環装置は開ループであり、第2の液体冷却剤は、施設レベルの供給部から供給され、絶えず補充される。例えば、第2の液体冷却剤の供給部は水供給部であってもよくは、そこから水は、(第2の液体冷却剤として)受け取られ、第2の冷却循環装置を通って循環させられ、次いで第2の冷却循環装置を出て施設排水部に進むことができる。
【0115】
システムに関して上述した特徴部の特性は、方法の同様の特徴部又は対応する特徴部にも適用される。(システムに関して)上述した特徴の任意の特性又は利点はまた、以下に記載されるように、方法に関連して対応する特徴に適用されるとみなすことができる。
【0116】
第4の態様では、複数の電子デバイスを冷却するための方法であって、電子デバイスが、電子モジュールのハウジング内に収容されており、システムが、
第1の液体冷却剤を第1の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器の第1のチャンバとの間で循環させることを含み、第1の電子デバイスが、第1の電子デバイスにおいて生成された熱が第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されるように配置されている、循環させることと、
第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することであって、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通して流れさせること、及び第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスに熱的に結合された冷却モジュールを通して流れさせることを含み、第2の電子デバイスによって生成された熱が、冷却モジュールの表面を介して第2の液体冷却剤に伝達される、輸送することと、を含み、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱交換器の第1のチャンバ内の第1の液体冷却剤からの熱が、熱交換器の第2のチャンバ内の第2の液体冷却剤に、熱伝導性接合面を介して伝達されるように、熱交換器の第1のチャンバ及び第2のチャンバを分離する熱伝導性接合面を介して熱的に結合されている、方法。
【0117】
方法は、2つの冷却剤ループを組み込んだ冷却用のハイブリッドシステムを提供し、ここで、第1のループは、第1の電子デバイスを冷却し、第2のループは、第1のループ内の液体冷却剤と同様に第2の電子デバイスを(冷却モジュールを介して)冷却する。既述のシステムは、冷却のための効率的な機構を提供し、より多くの熱を生成し得る特定の電子デバイスの集中冷却(第2のループでの冷却モジュールを介して)を可能にする。
【0118】
好ましくは、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバを通して及び熱交換器の第2のチャンバから冷却モジュールを通して流れさせることを含む。より具体的には、第2の液体冷却剤は、熱交換器の第2のチャンバの熱伝導性接合面から直列に流れ、次いで、冷却モジュールに流れる。
【0119】
好ましくは、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを通して及び冷却モジュールから熱交換器の第2のチャンバを通して流れさせることを含む。より具体的には、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールを直列に通って流れ、次いで、熱交換器の第2のチャンバにある熱伝導性接合面を通過する。
【0120】
好ましくは、冷却モジュール及び熱交換器にある熱伝導性接合面は、第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐上に配置され、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、冷却モジュールを備える第2の冷却循環装置の第1の分岐を通して流れさせること、及び第2の液体冷却剤を、熱交換器にある熱伝導性接合面を備える第2の冷却循環装置の第2の分岐を通して流れさせることを含む。
【0121】
好ましくは、熱交換器は、第2のチャンバを通る複数の経路を備え、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って輸送することは、第2の液体冷却剤を、熱交換器の第2のチャンバ及び冷却モジュールを通る第1の経路を備える第2の冷却循環装置の第1の分岐を通して流れさせること、並びに第2の液体冷却剤を、熱伝導性接合面を越えて熱交換器の第2のチャンバを通る第2の経路を備える第2の冷却循環装置の第2の分岐を通して流れさせることを含む。
【0122】
好ましくは、熱交換器の第2のチャンバを通る第1の経路は、熱伝導性接合面を越えて流れない。
【0123】
好ましくは、第2の液体冷却剤の約30%以下が第1の経路を通過し、第2の液体冷却剤の70%以上が第2の経路を通過する。
【0124】
好ましくは、ハウジングは、第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。
【0125】
好ましくは、ハウジングは、ハウジングを液体レベルに充填するある体積の第1の液体冷却剤を格納するように構成されており、冷却モジュールは、第1の液体冷却剤の液体レベルの上にあるようにハウジング内に配置されており、第1の電子デバイスは、ハウジング内に格納された第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるようにハウジング内に配置される。
【0126】
第5の態様では、熱交換器であって、
少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバであって、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、熱伝導性接合面によって互いに分離されており、熱交換器は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に熱伝導性接合面を通して伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成されている、少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバと、
少なくとも第1のチャンバ又は第2のチャンバのうちの1つ以上のチャンバにおける2つ以上の注入口及び/又は2つ以上の排出口と、を備える、熱交換器がある。注入口は、注入ポート又は入口ポートであってもよく、排出口は、排出ポート又は出口ポートであってもよい。例では、熱交換器が全体で6つのポートを有するように、第2のチャンバは、2つの注入ポート及び2つの排出ポートを有し、第1のチャンバは、注入ポート及び排出ポートを有する。
【0127】
好ましくは、2つ以上の注入口及び/又は排出口を有する1つ以上のチャンバは、それぞれのチャンバを通る液体冷却剤のための2つ以上の経路を更に備える。例えば、チャンバは、第1の経路及び第2の液体冷却剤を通過させるための第2の経路を有し得る。経路は、特定の開始点(注入口)及び終了点(排出口)を有するチャンバを通る経路又は通路と考えることができる。異なる経路は、開始点(注入口)及び終了点(排出口)の異なる組み合わせを有するが、個々の注入口及び排出口のいくつかは、異なる経路に共有されるか又は共通であり得る。熱交換器の各チャンバは、チャンバ内で流体接続されているが、別のチャンバと流体分離されている領域と考えることができる。チャンバを通る異なる経路は流体接続されているが、同じチャンバを通る特定の経路のペアは、必ずしも任意の点で合流又は交差するわけではない(代わりに、同じチャンバ内の別の経路を介して合流する)。
【0128】
好ましくは、2つ以上の注入口及び/又は排出口のうちの少なくとも1つは、2つ以上の経路のうちの2つ以上に共通である。好ましくは、2つ以上の経路のうちの少なくとも1つは、2つ以上の経路のうちの少なくとも1つの他の経路に共通する注入口又は排出口のうちの一方、及び2つ以上の経路のうちのいずれの他の経路にも共通ではない注入口又は排出口のうちの他方を有する。例では、第1の経路及び第2の経路は、例えば、共通の注入口を有し得るが、別個の排出口を有し得る。例えば、第1の経路は、チャンバの第1の注入口から第1の排出口に進み得るが、第2の経路は、チャンバの第1の注入口から進み、次いで、第1の液体冷却剤を第2の排出口の外に導き得る。更に別の例では、チャンバは、第3の経路を備え得、第3の経路は、チャンバへの第2の注入口で第2の液体冷却剤を受け取り、次いで、チャンバからの第2の排出口の外に第1の液体冷却剤を導く(第2の排出口は、第2の経路及び第3の経路に共通である)。経路のうちの1つ又はいくつかのみが、熱交換器にある熱伝導性接合面に進むか又は接触し得る。
【0129】
好ましくは、2つ以上の経路のうちの少なくとも1つは、2つ以上の経路のうちの別の経路とは異なる流量を有する。例えば、異なる経路は、そこを通る液体冷却剤の異なる流量を有し得る。これは、熱交換器のチャンバに入る異なる比率の液体冷却剤が異なる経路を通過することを可能にし、したがって、異なる比率の液体冷却剤が異なる排出口の外を通ることを可能にする。
【0130】
好ましくは、2つ以上の経路のうちの少なくとも1つを通る流量は、2つ以上の経路のうちの他のいずれの経路にも共通ではない注入口又は排出口にわたる圧力勾配によって決定される。例えば、第1及び第2の経路は、共通の注入口を有し得るが、別個の排出口を有し得る。第1の経路及び第2の経路の各々を通る流量は、別個の排出口の各々における相対圧力(又は圧力降下)によって決定され得る。
【0131】
好ましくは、2つ以上の経路の他のいずれの経路にも共通ではない注入口又は排出口にわたる圧力勾配は、2つ以上の経路の他のいずれの経路にも共通ではない注入口又は排出口におけるアパーチャのサイズによって決定され、アパーチャは、液体冷却剤がチャンバの中又は外に流れる開口部である。アパーチャのサイズは、排出口におけるノズルの置換、又はオリフィスプレートの使用によって変更され得る。排出口におけるより大きなアパーチャは、そこを通るより大きな流量を可能にする。したがって、第2の経路における排出口と比べて、排出口におけるアパーチャがより小さい第1の経路は、第1の経路に、第2の経路よりも少ない流量を有するようにさせる。
【0132】
好ましくは、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤への熱伝導性接合面を通る熱伝達速度は、2つ以上の経路のうちの1つにおいて、2つ以上の経路のうちの別の経路よりも遅い。好ましくは、2つ以上の経路のうちの1つにおける熱伝達速度は、2つ以上の経路のうちの別の経路を通る熱伝達速度の50%以下である。
【0133】
好ましくは、経路のうちの少なくとも1つは、熱交換器にある熱伝導性接合面を越えて接触しないか、又は流れない。好ましくは、2つ以上の経路のうちの1つは、熱が第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される熱伝導性接合面と接触する2つ以上の経路のうちの別の経路を通る流量未満の流量を有する。言い換えれば、熱交換器のチャンバに入る液体冷却剤のうち、熱伝導性接合面を通過することができる比率が、熱伝導性接合面を通過しない液体冷却剤の比率よりも大きくなることがある。好ましくは、熱伝導性接合面と接触する2つ以上の経路のうちの1つを通る流量は、熱伝導性接合面と接触する2つ以上の経路のうちの別の経路を通る流量の半分未満である。
【0134】
好ましくは、2つ以上の経路のうちの1つは、2つ以上の経路のうちの別の経路に共通である注入口又は排出口のうちの一方、及び2つ以上の経路のうちの別の経路に共通ではない注入口又は排出口のうちの他方を有し、2つ以上の経路のうちの1つを通る流量は、2つ以上の経路のうちの別の経路に共通ではない注入口又は排出口にわたる圧力勾配によって決定される。上述したように、異なる経路での別個の排出口又は注入口におけるアパーチャの相対的なサイズは、排出口における流体圧力の変化を決定し、したがって、各経路を通る相対流量を決定する。
【0135】
第6の態様では、熱交換器であって、
ポートが、入口ポートと出口ポートとの組み合わせである、6つのポートを備える、熱交換器がある。熱交換器は、プレート熱交換器であり得る。熱交換器は、第1の液体冷却剤が流れる第1のチャンバ、及び第2の液体冷却剤が流れる第2のチャンバを備え得、第1及び第2のチャンバは、熱伝導性接合面によって分離され得る。熱は、熱伝導性接合面にわたる温度勾配に応じて、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、又は第2の液体冷却剤から第1の液体冷却剤に、熱伝導性接合面を通過し得る。6つのポートは、第1及び第2のチャンバの各々にわたって配置され得、第1及び第2のチャンバの各々は、少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを有する。
【0136】
好ましくは、6つのポートは、3つの入口ポート及び3つの出口ポートを含む。3つの入口ポート及び3つの出口ポートは、第1及び第2のチャンバの各々にわたって配置され得、第1及び第2のチャンバの各々は、少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを有する。
【0137】
好ましくは、熱交換器は、少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、熱伝導性接合面によって互いに分離され、熱交換器は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に熱伝導性接合面を介して伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成されている。
【0138】
好ましくは、入口ポートのうちの2つは、第2の液体冷却剤を第2のチャンバに注入するためのものであり、出口ポートのうちの2つは、第2のチャンバから第2の液体冷却剤を排出するためのものである。
【0139】
好ましくは、第2のチャンバは、そこを通る第2の液体冷却剤のための少なくとも2つの経路を備える。経路は、特定の開始点(注入口)及び終了点(排出口)を有するチャンバを通る経路又は通路と考えることができる。異なる経路は、開始点(注入口)及び終了点(排出口)の異なる組み合わせを有するが、個々の注入口及び排出口のいくつかは、異なる経路に共有されるか又は共通であり得る。熱交換器の各チャンバは、チャンバ内で流体接続されているが、他のいずれのチャンバとも流体分離されている領域と考えることができる。チャンバを通る異なる経路は流体接続されているが、同じチャンバを通る特定の経路のペアは、必ずしも任意の点で合流又は交差するわけではない(代わりに、同じチャンバ内の別の経路を介して合流する)。
【0140】
好ましくは、第2のチャンバは、第2の液体冷却剤が通るための3つの経路を備え、第1の経路上を流れる第2の液体冷却剤は、第1の入口ポートから第1の出口ポートに進み、第2の経路上を流れる第2の液体冷却剤は、第1の入口ポートから第2の出口ポートに進み、第3の経路上を流れる第2の液体冷却剤は、第2の入口ポートから第2の出口ポートに進む。
【0141】
好ましくは、第2の経路のみが、熱交換器にある熱伝導性接合面を越えて流れる。第2の経路は、第1の入口ポートと第2の出口ポートとの間を流れるときに熱伝導性接合面を越えて流れる。
【0142】
好ましくは、第1の経路を通る第2の液体冷却剤の流量は、第2の経路を通る第2の液体冷却剤の流量よりも少ない。言い換えれば、熱伝導性接合面を通過する第2の経路を越えて流れる流量は、第1の経路を通る流量とは異なっていてもよく、又は任意選択的にそれよりも少なくてもよい。これにより、異なる比率の異なる体積の冷却剤が異なる経路を通過することが可能になり、したがって、異なる比率の体積の冷却剤が熱交換器にある熱伝導性接合面と接触して進むことが可能になる。
【0143】
好ましくは、流量は、第1の出口ポートにおける圧力変化によって決定される。流量は、第2の出口ポートに対する第1の出口ポートにおける圧力変化によって決定され得る。
【0144】
好ましくは、第1の出口ポートにおける圧力変化は、第1の出口ポートを通るアパーチャ又は開口部のサイズによって決定される。アパーチャのサイズは、オリフィスプレートの使用によって、又は第1の出口ポート及び第2の出口ポートの一方又は両方で異なるサイズを有する交換可能なノズルによって調整され得る。
【0145】
好ましくは、第1の出口ポートのアパーチャ又は開口部のサイズは、第2の出口ポートのアパーチャ又は開口部のサイズよりも小さい。したがって、第1の出口ポートを通る(したがって、第2のチャンバの第1の経路を通る)流量(単位時間当たりの冷却液体の体積として)は、第2の出口ポートを通る(したがって、第2のチャンバの第2の経路を通る)流量よりも少ない。
【0146】
更なる態様では、上記の第3の態様で説明された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、熱交換器が、第5の態様又は第6の態様の熱交換器を含む、システムがある。第6の態様の熱交換器は、第3の態様のシステム又は第4の態様の方法で使用するための特に適切な構成を有し得る。
【0147】
以下の番号が付けられた項は、用例のみを示す。
【0148】
1.電子モジュールのハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムであって、システムが、
第1の冷却循環装置であって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させるように構成されており、第1の電子デバイスは、熱が、第1の電子デバイスから第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されている、第1の冷却循環装置と、
第2の冷却循環装置、第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスと熱交換器との間で循環させるように構成されており、第2の電子デバイスは、熱が、第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤に熱的に結合されている、第2の冷却循環装置と、を備え、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱交換器を介して伝達されるように、少なくとも熱交換器を介して熱的に結合されている、システム。
【0149】
2.第2の冷却循環装置が、冷却システムを更に備え、第2の冷却循環装置が、第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスの第2の電子デバイス、熱交換器、及び冷却システムの間で循環させるように構成されており、熱が、冷却システムによって第2の液体冷却剤から除去される、項1に記載のシステム。
【0150】
3.第2の冷却循環装置が、第2の液体冷却剤供給部に接続され、第2の冷却循環装置が、第2の液体冷却剤供給部から受け取った第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスの第2の電子デバイスと熱交換器との間で循環させ、かつ第2の液体冷却剤供給部に戻すように構成されている、項1に記載のシステム。
【0151】
4.熱交換器が、熱接合面によって分離された少なくとも第1及び第2のチャンバを備え、熱交換器は、熱が、第1の液体冷却剤から、第2の液体冷却剤に、熱接合面を通って伝達されるように、第1の液体冷却剤が、少なくとも第1のチャンバを通って流れ、第2の液体冷却剤が、少なくとも第2のチャンバを通って流れるように構成されている、項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【0152】
5.熱交換器が、電子モジュールのハウジング内に配置されている、項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0153】
6.電子モジュールのハウジングが、第1の液体冷却剤を格納し、第1の電子デバイスが、第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されている、項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【0154】
7.第1の冷却循環装置が、堰を更に備え、堰が、
基部及び基部から延びる保持壁であって、第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
第1の液体冷却剤が容積内に流入する入口と、を備え
入口を通る容積内への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、保持壁から溢れ出させて、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集まる、項6に記載のシステム。
【0155】
8.入口が、容積に流入する第1の液体冷却剤を導くためのノズル装置を更に備える、項7に記載のシステム。
【0156】
9.堰が、基部から延びる突出物及び/又は堰の容積内の保持壁を更に備える、項7又は項8に記載のシステム。
【0157】
10.堰が、ヒートシンクとして作用するように、第1の電子デバイスの表面に結合されている、項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0158】
11.第1の冷却循環装置が、
第1の液体冷却剤を、第1の冷却循環装置を巡って循環させるように構成されたポンプを更に備える、項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【0159】
12.第1の冷却循環装置が、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある、第1の液体冷却剤を受け取るように配置されたポンプ入口を更に備える、項11に記載のシステム。
【0160】
13.第1の冷却循環装置が、
第1の液体冷却剤を、ポンプから熱交換器に及び熱交換器から堰の入口に、それぞれ輸送するように配置された、少なくとも第1及び第2のパイプを更に備える、項11又は項12に記載のシステム。
【0161】
14.第2の冷却循環装置が、第2の電子デバイスを第2の液体冷却剤に熱的に結合するように構成された冷却モジュールを更に備える、項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【0162】
15.冷却モジュールが、低温プレートを備え、低温プレートが、
低温プレートハウジングであって、低温プレートハウジングの表面が、低温プレートハウジングに熱的に結合された第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートハウジングと、
低温プレートハウジング内の、及び低温プレートハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルは、第2の電子デバイスから低温プレートハウジングの表面を通して受け取られた熱が、第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤が少なくとも1つのチャネルを通って流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、項14に記載のシステム。
【0163】
16.第2の冷却循環装置が、第2の液体冷却剤を、低温プレート、熱交換器、及び冷却システムの間で輸送するように配置された複数の導管を更に備える、項15に記載のシステム。
【0164】
17.電子モジュールのハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するための方法であって、方法が、
第1の液体冷却剤を、第1の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第1の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第1の電子デバイスと熱交換器との間で循環させることを含み、第1の電子デバイスは、熱が、第1の電子デバイスから第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合されている、循環させることと、
第2の液体冷却剤を、第2の冷却循環装置を巡って循環させることであって、第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスと熱交換器との間で循環させることを含み、第2の電子デバイスは、熱が、第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤に熱的に結合されている、循環させることと、を含み、
第1の冷却循環装置及び第2の冷却循環装置は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱交換器を介して伝達されるように、少なくとも熱交換器を介して熱的に結合されている、方法。
【0165】
18.第2の冷却循環装置が、冷却システムを更に備え、第2の液体冷却剤を、第2の冷却循環装置を巡って循環させることが、第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイス、熱交換器、及び冷却システムの間で循環させることを含み、熱が、冷却システムによって第2の液体冷却剤から除去される、項17に記載の方法。
【0166】
19.第2の冷却循環装置が、第2の液体冷却剤供給部を更に備え、第2の液体冷却剤を第2の冷却循環装置を巡って循環させることが、第2の液体冷却剤を、第2の液体冷却剤供給部から受け取ること、第2の液体冷却剤を、複数の電子デバイスのうちの第2の電子デバイスと熱交換器との間で循環させて、第2の液体冷却剤供給部に戻るようにすることを含む、項17に記載の方法。
【0167】
20.熱交換器が、熱接合面によって分離された少なくとも第1及び第2のチャンバを備え、熱交換器は、熱が、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱接合面を通って伝達されるように、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成されている、項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
21.熱交換器が、電子モジュールのハウジング内に配置されている、項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
22.電子モジュールのハウジングが、第1の液体冷却剤を格納し、第1の電子デバイスが、第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されている、項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
23.第1の冷却循環装置が、堰を更に備え、堰が、
基部及び基部から延びる保持壁であって、第1の液体冷却剤の一部をためるための容積を画定する、基部及び保持壁と、
第1の液体冷却剤が容積内に流入する入口と、を備え
入口を通る容積への十分な第1の液体冷却剤の流入が、第1の液体冷却剤を、保持壁から溢れ出させて、電子モジュールのハウジング内に格納されており、かつ堰の外部にある第1の液体冷却剤とともに集める、項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
24.第2の冷却循環装置が、第2の電子デバイスを第2の液体冷却剤に熱的に結合するように構成された冷却モジュールを更に備える、項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
25.冷却モジュールが、低温プレートを備え、低温プレートが、
低温プレートハウジングであって、低温プレートハウジングの表面が、低温プレートハウジングに熱的に結合された第2の電子デバイスを冷却するための熱接合面を提供するように配置されている、低温プレートハウジングと、
低温プレートハウジング内の、及び低温プレートハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、少なくとも1つのチャネルは、第2の電子デバイスから低温プレートハウジングの表面を通して受け取られた熱が、第2の液体冷却剤に伝達されるように、第2の液体冷却剤が少なくとも1つのチャネルを通って流れるように配置されている、少なくとも1つのチャネルと、を備える、項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
本開示は、多くの方法で実践することができ、ここで、好ましい実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0174】
図1A】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第1の例の実装態様の概略図である。
図1B】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第1の例の実装態様の概略図である。
図2A】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第2の例の実装態様の概略図である。
図2B】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第2の例の実装態様の概略図である。
図3A】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第3の例の実装態様の概略図である。
図3B】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第3の例の実装態様の概略図である。
図4A図1A及び1Bによるシステムの第1の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図である。
図4B図1A及び1Bによるシステムの第1の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図4C図1A及び1Bによるシステムの第1の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図5A図4A、4B、及び4Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図5B図4A、4B、及び4Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図6A図2A及び2Bによるシステムの第2の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図である。
図6B図2A及び2Bによるシステムの第2の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図の斜視図である。
図6C図2A及び2Bによるシステムの第2の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図の斜視図である。
図7A図6A、6B、及び6Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図7B図6A、6B、及び6Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図8A図3A及び3Bによるシステムの第3の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図である。
図8B図3A及び3Bによるシステムの第3の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図8C図3A及び3Bによるシステムの第3の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図9A図8A、8B、及び8Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図9B図8A、8B、及び8Cの電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図10A】第2の冷却循環装置内で冷却モジュールとして使用される低温プレートの斜視図である。
図10B】第2の冷却循環装置内で冷却モジュールとして使用される低温プレートの断面図である。
図10C】第2の冷却循環装置内で冷却モジュールとして使用される低温プレートの断面図である。
図11A】第1の冷却循環装置で使用される堰ヒートシンクの斜視図である。
図11B】第1の冷却循環装置で使用される堰ヒートシンクの分解図である。
図11C】第1の冷却循環装置で使用される堰ヒートシンクの断面図である。
図12】ノズルからの流体の流れを示す、堰ヒートシンクの平面図である。
図13A】堰ヒートシンクのノズルの代替配置を示す。
図13B】堰ヒートシンクのノズルの代替配置を示す。
図14】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内の第1の液体冷却剤の好ましい液体レベルを示す。
図15A】第2の液体冷却剤を冷却するためのラックレベル冷却システムの第1の例に接続された複数の電子モジュールの概略図である。
図15B】第2の液体冷却剤を冷却するためのラックレベル冷却システムの第2の例に接続された複数の電子モジュールの概略図である。
図16】合計6つの注入及び排出ポートを有する熱交換器を通る第1及び第2の液体冷却剤の流れのための経路の概略図である。
図17】合計6つの注入及び排出ポートを有し、熱交換器のために使用される熱伝導性接合面間の並列の流れを有する熱交換器を示す。
図18】合計6つの入口及び出口ポートを有し、熱交換器のために使用される熱伝導性接合面を通過する直列の流れを有する熱交換器を示す。
図19A】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第4の例の実装態様の概略図である。
図19B】電子モジュールのシャーシ又はハウジング内に収容された複数の電子デバイスを冷却するためのシステムの第4の例の実装態様の概略図である。
図20A図19A及び19Bによるシステムの第4の例の具体的な実装態様である電子モジュールの平面図である。
図20B図19A及び19Bによるシステムの第4の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図20C図19A及び19Bによるシステムの第4の例の具体的な実装態様である電子モジュールの斜視図である。
図21図20A、20B、及び20Cにおける電子モジュールの実装態様による、システム内の熱交換器にあるポートの詳細図である。
図22A図20A、20B、及び20Cにおける電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図22B図20A、20B、及び20Cにおける電子モジュールの実装態様によるシステムの概略図である。
図23】(a)~(c)は、少なくとも2つの注入口及び/又は排出口を有し、所与のチャンバを通る2つの経路を有する熱交換器の単一のチャンバの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0175】
図面において、同様の部分は同様の参照符号によって示されている。図面は縮尺通りに描かれていない。
【0176】
サーバラック内の配設に適した電子モジュールを説明する。電子モジュールは、基部、蓋、及び側壁を備える、密封可能なハウジング又はシャーシを有し得る。電子モジュールは、通常の動作下で、熱を生成する複数の電子デバイス(コンピュータハードウェアデバイス)を収容する。電子デバイスは、電子モジュールのハウジング若しくはシャーシに直接結合され得るか、又は1つ以上のプリント回路基板(PCB)に接続され得る。電子デバイス及び/又はPCBは、次いで、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内に接続又は搭載される。電力又はデータ転送のために、電子デバイスに対して電気接続が行われる。当該電気接続は、電子モジュールのハウジングの壁(通常は後部)の密封可能なポートを通過し得る。当該ハウジング又はシャーシの外面上の機械的固定具と同様に、当該接続は、サーバラックにおける協働固定具及びコネクタに接続し得る。
【0177】
本明細書は、動作中に電子モジュール内に収容された電子デバイスによって生成される熱を除去するための冷却システムを対象とする。電子モジュールは、使用中、典型的には密封又は封入されるため、生成された熱は、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内に封入され得、このため、電子モジュールの外及び外方への効率的な熱伝達は特に重要である。液体冷却剤の2つの協働循環ループを含む、ハイブリッド冷却システムを有する電子モジュールの例を後述する。図1A及び1B、図2A及び2B、並びに図3A及び3B、並びに図17A及び17Bは、電子モジュール内の2つの協働循環ループの代替構成を各々示している。
【0178】
図1A及び1Bにシステムの第1の例を示す。図1A及び1Bの両方において、電子モジュール内の構成要素の構成は同じであり、図1A及び1Bは、以下で考察するように、電子モジュールの外部システムによってのみ異なる。
【0179】
図1A及び1Bの例では、電子モジュール10は、第1の電子デバイス12と、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(図1A及び1Bには示されないが、それぞれの第2及び第3の電子デバイスに結合されている)と、熱交換器18と、を備える。
【0180】
第1の冷却循環装置20は、電子モジュール10のハウジング又はシャーシ内に完全に封入される。システムが使用されているとき、第1の冷却循環装置20は、第1の液体冷却剤を、熱交換器18から第1の電子デバイス12に、次いで第1の電子デバイスから熱交換器18に循環させて戻す(又は輸送する)。第1の冷却循環装置20は、閉ループである(言い換えれば、冷却剤は永久に循環させられ、ループ内で交換又は除去されることはない)。
【0181】
第2の冷却循環装置22は、使用中、電子モジュール10への第1の注入口において第2の液体冷却剤を受け取る。次いで、第2の液体冷却剤は、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(第2及び第3の電子デバイスにそれぞれ結合されている)に輸送される。第2の液体冷却剤は、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16を通過し、次いで、熱交換器18(より具体的には、熱交換器における熱伝達のための熱伝導性接合面)に向かって進む。最後に、熱交換器18を通過した後(熱交換器における熱伝達のために熱伝導性接合面を越える)、第2の液体冷却剤は電子モジュール10を出る。
【0182】
図1A及び1Bの特定の例では、第2の液体冷却剤は、冷却モジュールと熱交換器との間の電子モジュール10の外に送られる。特に、冷却モジュール14、16を通過した後、第2の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジングの壁内の第1の排出口を通過する。次いで、第2の液体冷却剤は、バルクヘッドコネクタを通過して、次いで、電子モジュールのハウジングの壁内の第2の注入口にある電子モジュール10に再び入る。第2の注入口を通過した後、第2の液体冷却剤は、熱交換器18に直接入る。それにもかかわらず、他の例では、第2の液体冷却剤は、電子モジュール10を出ること及びそこに再び入ることを伴わず、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16から熱交換器18に直接送られてもよい。
【0183】
第1の電子デバイス12は、システムが使用されているとき、第1の電子デバイス12によって生成された熱が第1の液体冷却剤に伝達されるように、第1の液体冷却剤に熱的に結合される。第2及び第3の電子デバイスは、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16の表面を介して、第2の液体冷却剤に熱的に結合される。例えば、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16は、第2の電子デバイス及び第3の電子デバイスに物理的にそれぞれ結合され得るか、又はそれらの間の中間層と任意選択的に熱的に結合され得る。システムが使用されているとき、第2及び第3の電子デバイスによって生成された熱は、第2の液体冷却剤に伝達される。
【0184】
熱交換器18は、典型的には少なくとも第1及び第2のチャンバを備え、それらの間に熱伝導性接合面を有する。第1の液体冷却剤は第1のチャンバを通過し、第2の液体冷却剤は第2のチャンバを通過する。熱は、熱接合面を介して、より熱い液体冷却剤からより冷たい液体冷却剤に伝達され得る。2つの液体冷却剤は混ざらない。通常の動作では、第1の液体冷却剤は、第2の液体冷却剤よりも高い温度になる。したがって、システムが使用されているとき、熱は、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達されることになる。この手段によって、第1の液体冷却剤が冷却され、第1の電子デバイスからの熱が、最終的に第2の液体冷却剤に伝達され、電子モジュールの外に輸送される。
【0185】
図1A及び1Bの例では、電子モジュール10は、第2の液体冷却剤を提供及び/又は冷却するために、電子モジュールの外部の冷却システムに各々接続される。両方の例では、ラック30(複数の電子モジュールを収容することができる)のコネクタ24、26は、電子モジュールの第2の冷却循環装置22を外部冷却システムに接続する。同じ外部冷却システムは、ラック30内に収容された複数の電子モジュールに接続され得、複数の電子モジュールは、直列又は並列のいずれかで外部冷却システムに接続され得ることが理解されるであろう。
【0186】
図1Aの例では、コネクタ24、26とラック30の外部との間に、ポンプ32及び熱交換器34を備える冷却システムがある。ポンプ32は、第2の液体冷却剤を循環させ、電子モジュール10の第2の冷却循環装置を通る第2の液体冷却剤の流れを引き起こすために使用される。熱交換器は、第2の液体冷却剤から更なる冷却剤媒体36(第3の液体冷却剤であり得る)に熱を伝達するために使用される。一例では、更なる冷却剤媒体は、冷却水の施設レベルの供給部であり得る。代替として、熱交換器は、第2の液体冷却剤からの熱が移動空気源に伝達される液体対空気熱交換器であり得る。いずれの場合も、第2の液体冷却剤は、閉ループ内で循環され、熱は、第2の液体冷却剤から除去され、電子モジュール10から離れるように伝達される。
【0187】
図1Bの例では、第2の液体冷却剤は、施設レベルの供給部(冷却水源など)から提供される。施設レベルの供給部は、ラック30の注入口38及び排出口40に接続される。第2の液体冷却剤は、開ループ内で循環し、第2の液体冷却剤は、電子モジュール10を通過し、続いて、第2の液体冷却剤の新しい供給によって交換される。
【0188】
図2A及び2Bの電子モジュールは、図1A及び1Bの例と共通の特徴部を共有する。特に、図2A及び2Bの電子モジュール10はまた、第1の電子デバイス12と、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(図示されないが、それぞれの第2及び第3の電子デバイスに結合されている)と、熱交換器18と、を備える。図2A及び2Bの例における第1の冷却循環装置20の構成は、図1A及び1Bに関して上述した構成と実質的に同じである。しかしながら、第2の冷却循環装置22の構成は異なる。特に、図2A及び2Bの例では、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、冷却モジュール14、16の通過の前に、熱交換器18に通過させる(図1A及び1Bの例では、第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤を、熱交換器18の通過の前に冷却モジュール14、16に通過させる)。
【0189】
図2A及び2Bに示される電子モジュール10の第2の冷却循環装置22では、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジング又はシャーシへの第1の注入口を通って電子モジュール10に入る。第1の注入口を通過した後、第2の液体冷却剤は、熱交換器18において直接受け取られる。第2の液体冷却剤は、熱交換器18を通過し(具体的には、熱交換器における熱伝達のために熱伝導性接合面を通過し)、冷却モジュール14、16に向かって進む。
【0190】
図2A及び2Bの特定の例では、熱交換器を通過した後、第2の液体冷却剤は、電子モジュールの第1の排出口を直接通過する。第2の液体冷却剤は、続いて、バルクヘッドコネクタを介して、第2の注入口を通って電子モジュールに再び入る。ここから、第2の液体冷却剤は、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(第2及び第3の電子デバイスにそれぞれ結合されている)に送られる。この例では、第2の液体冷却剤は、熱交換器と冷却モジュールとの間で電子モジュールの外に送られて電子モジュールに戻されるが、システムは、第2の液体冷却剤が、電子モジュール10を出ること及びそこに再び入ることを伴わずに、熱交換器18から冷却モジュール14、16に直接送られるように構成され得ることが理解されるであろう。
【0191】
図2A及び2Bの例に戻ると、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16を通過すると、第2の液体冷却剤は、シャーシ又はハウジングから第2の排出口を介して電子モジュール10の外に導かれる。
【0192】
図2A及び2Bの配置を考慮すると、第2の液体冷却剤が冷却モジュール14、16を通過する前に(したがって、第2の電子デバイス及び第3の電子デバイスによって生成された熱を第2の液体冷却剤が受け取る前に)、第1の液体冷却剤からの熱が第2の液体冷却剤に伝達される。これを考慮すると、図1A及び1Bの例では、第2の液体冷却剤の温度は、熱交換器内の第2の液体冷却剤の温度よりも、熱交換器において低くなる。このように、熱交換器において第1の液体冷却剤を冷却する第2の液体冷却剤の冷却性能は、図1A及び1Bの例と比べて、図2A及び2Bの例においてより高い。しかしながら、これは、図1A及び1Bの例においてより大きくなる冷却モジュール14、16における冷却力を犠牲にする場合がある。
【0193】
図2Aによる電子モジュール10は、図1Aに関して上述した外部冷却システム(すなわち、更なる熱交換器を介した第2の液体冷却剤から第3の冷却剤媒体への熱伝達)と同一のラック30を介して、外部冷却システムに接続される。図2Bによる電子モジュール10は、ラック30を介して、図1Bに関して上述した外部冷却システム(すなわち、冷却水供給部などの施設レベルの供給部からの第2の液体冷却剤の供給部)と同一である外部冷却システムに接続される。
【0194】
図3A及び3Bの電子モジュールは、図1A及び1B、並びに図2A及び2Bの例と共通の特徴部を共有する。特に、図3A及び3Bの電子モジュール10はまた、第1の電子デバイス12と、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(図示されないが、それぞれの第2及び第3の電子デバイスに結合されている)と、熱交換器18と、を備える。図3A及び3Bの例における第1の冷却循環装置20の構成は、図1A及び1B、並びに図2A及び2Bに関して上述した構成と実質的に同じである。しかしながら、第2の冷却循環装置22の構成は、上述した例の各々と比べて異なる。特に、図3A及び3Bの例では、熱交換器18は、第2の冷却循環装置内で冷却モジュール14、16と並列に配置される。
【0195】
図3A及び3Bに示される電子モジュール10の第2の冷却循環装置22では、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジングにある第1の注入口を通って電子モジュールに入り、2つの並列分岐に分割されることになる。第1の分岐は、熱交換器18を通過し(具体的には、熱交換器における熱伝達のために熱伝導性接合面を越える)、次いで、電子モジュールのハウジングから排出口に導かれる第2の分岐に再合流する。第2の分岐は、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(第2及び第3の電子デバイスにそれぞれ結合されている)に直接送られる。冷却モジュール14、16を通過すると、第2の分岐は第1の分岐に再合流し、第2の液体冷却剤は電子モジュールの外に導かれる。
【0196】
図3A及び3Bの第2の冷却循環装置22の配置を考慮すると、第2の液体冷却剤は、熱交換器にある第1の液体冷却剤から熱を受け取る(熱伝導性接合面を介して)部分とは別個の部分が、第2及び第3の電子デバイスからの熱を受け取る(冷却モジュールを介して)。熱交換器と比べて、冷却モジュールの冷却性能のバランスをとるために、各分岐を通る第2の液体冷却剤の流れを注意深く制御することができる。
【0197】
図3Aによる電子モジュール10は、図1Aに関して上述した外部冷却システムと同一のラック30を介して、外部冷却システムに接続される。図3Bによる電子モジュールは、図1Bに関して上述した外部冷却システムと同一のラック30を介して、外部冷却システムに接続される。
【0198】
図1A~3Bの例、並びに以下の図17A及び17Bの例では、第1の冷却循環装置20は、浸漬冷却を提供し得る。言い換えれば、第1の液体冷却剤は、電子モジュール10のハウジング又はシャーシ内に格納され得、そのため、システムが使用されているとき、第1の電子デバイス12(場合によっては、複数の電子デバイスのうちの他のもの)が第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬される。電子デバイス(第1の電子デバイス12など)の一部を少なくとも部分的に浸漬することによって、電子デバイスは、第1の液体冷却剤と直接接触し、これは、熱が電子デバイス12から第1の液体冷却剤に直接伝達されることを可能にする。第1の冷却循環装置20がこのようにして浸漬冷却を提供する場合、第1の液体冷却剤は、熱が第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に熱交換器を介して伝達され得るように、ハウジング又はシャーシを巡って、熱交換器18を通って流れるように、依然として循環させられる。
【0199】
有利な実施形態では、第1の冷却循環装置20は、上述したように浸漬冷却を提供することができる。この場合、第1の冷却循環装置20は、第1の電子モジュール10のハウジング又はシャーシ内に格納されたある体積の第1の液体冷却剤を含む。第1の液体冷却剤は、誘電体である。第1の液体冷却剤の貯留部は、ハウジング又はシャーシ内に格納され、第1の液体冷却剤の一部分は、貯留部へ及び貯留部からハウジング又はシャーシを巡って圧送され、第1の電子デバイス12を通過する流れを引き起こす。このようにして、熱は、第1の電子デバイス12から第1の液体冷却剤に伝達される。第1の液体冷却剤の流れは、電子モジュール10内に収容されたポンプ入口及びポンプを介して第1の液体冷却剤を受け取り、次いで、第1の液体冷却剤を電子モジュール10のハウジングの別の領域に圧送することによって可能になり得る。一例では、第1の電子デバイス12上を流れるように、第1の液体冷却剤が圧送される。更に別の例では、以下でより詳細に考察するように、第1の電子デバイス12に結合された堰ヒートシンクを実装することができる。浸漬冷却が使用される場合、第1の電子デバイス12(及び複数の電子デバイスのうちの他のもの)は、第1の液体冷却剤に部分的に浸漬されてもよく、又は完全に浸漬され(浸され)てもよい。
【0200】
特定の例では、第1の電子デバイス12の電子モジュールのハウジング内の、第1及び第2の冷却モジュールと比べた相対配置、並びに第1の液体冷却剤の液体レベルは、第1の液体冷却剤が第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16と直接接触しないように構成される。特に、冷却モジュール14、16は、システムが動作しているとき、第1の液体冷却剤の最高液体レベルよりも上に配置される。この構成の結果、第1の液体冷却剤及び冷却モジュール14、16は、直接熱的に結合されず、熱は、第1の液体冷却剤から冷却モジュール14、16に直接伝達されない(又は逆も同様)。本発明者らは、冷却モジュール14、16を第1の液体冷却剤から空間的に分離することによって、電子モジュール10全体のより効率的な冷却を達成することができることを認識している。このように、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤への熱伝達の大部分は、熱交換器18において行われ、熱交換器18は、2つの冷却液体間の熱伝達のための最適な条件を提供するように構成され得る別個の特定の構成要素である。
【0201】
当業者によって理解されるように、図1A及び1B、図2A及び2B、並びに図3A及び3Bを参照して上述し、図17A及び17Bを参照して後述する例の各々は、熱が、第1の電子デバイス12から第1の液体冷却剤に、少なくとも第2の電子デバイスから第2の液体冷却剤に、次いで、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に、熱交換器18を介して伝達される第1の冷却循環装置20及び第2の冷却循環装置を説明する。しかしながら、図1A及び1B、図2A及び2B、図3A及び3B、並びに図17A及び17Bの例の各々において、第2の冷却循環装置の配置は異なる。より具体的には、図1A及び1Bでは、冷却モジュール14、16は、熱交換器18と直列に配置され、第2の液体冷却剤の流れの方向に、熱交換器18の前に冷却モジュール14、16を有する。図2A及び2Bにおいて、冷却モジュール14、16は、熱交換器18と直列に配置され、冷却モジュール14、16の前に、第2の液体冷却剤の流れの方向に熱交換器18を有する。図3A及び3Bでは、冷却モジュール14、16は、熱交換器18と並列に配置される。図3A及び3Bでは、冷却モジュール14、16は、具体的に、熱交換器18内の熱伝導性接合面と並列に配置される。
【0202】
既述の各構成は、利点を有する。図1A及び1Bの構成では、第2の液体冷却剤は、冷却モジュール14、16に結合された電子デバイスに最大の冷却力を提供する。典型的には、これらの電子デバイスは、電子モジュール10内で最も熱を生成するデバイスであるように選択される。第2の液体冷却剤は、熱交換器18の前に第2の液体冷却剤が冷却モジュール14、16を通過する結果として、電子モジュール10への入口点で最も低い温度にあるので、可能な最大の熱勾配は、冷却モジュール14、16と、結合された電子デバイスとの間に提供される。したがって、冷却モジュール14、16に結合された電子デバイスからの熱伝達の効率は、図2A及び2Bよりも、図1A及び1Bの構成において高くなる。
【0203】
それにもかかわらず、図1A及び1Bの構成では、第2の液体冷却剤の温度は、図2A及び2Bの構成と比べて、熱交換器18を通過するときに比較的高くなる。したがって、熱交換器18内の第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱勾配は、図2A及び2Bの構成と比べて、図1A及び1Bの構成において比較的急峻でなくなる。したがって、図1A及び1Bの構成は、図2A及び2Bの構成と比べて、第1の液体冷却剤に低効率の冷却を提供し得る。
【0204】
実際、本発明者らは、図1A及び1Bの構成は、特に高発熱の電子デバイスを対象とするのに特に有用であり得るが、図2A及び2Bの構成については、電子モジュール10の全体的な冷却力が比較的大きいことを認識している。図2A及び2Bの構成は、冷却モジュール14、16に結合された特定の電子デバイスに低効率の加熱を提供し得るが、第1の液体冷却剤に、より効率的な冷却を提供することによって、電子モジュール10からより多くの量の熱を全体的に除去することができる。図1A及び1Bの構成、又は図2A及び2Aの構成のいずれかが、異なるシナリオにおいて有利であり得ることが想定され得る。
【0205】
図3A及び3Bの構成は、冷却モジュール14、16及び熱交換器が、第2の冷却循環装置内で並列に配置される更なる可能性を提供する。熱交換器18にある第1及び第2の液体冷却剤の両方の間、並びに第2の液体冷却剤及び冷却モジュール14、16と、結合された電子モジュールとの間の可能な最大温度差を提供するこの配置。この配置はまた、異なる比率の流れが各要素を通過することができるように、冷却モジュール14、16及び熱交換器18を通る第2の液体冷却剤の流れのより良い制御を可能にする。これは、冷却モジュール14、16及び熱交換器18の冷却性能のバランスをとることを可能にする。この構成は、PCB基板上に多数の高温補助構成要素を収容するシステム(典型的には、第1の冷却循環装置によって冷却される)に最適であり得る。
【0206】
図17A及び17Bの構成は、後述するが、冷却モジュール14、16及び熱交換器にある熱伝導性接合面が、第2の冷却循環装置において並列に配置される代替構成を提供する。言い換えれば、冷却モジュールは、熱が第1の冷却液体(第1のチャンバ内)から第2の液体冷却剤(第2のチャンバ内)に伝達される熱交換器の部分と比べると、第2の冷却循環装置の並列分岐上に配置される。この配置は、可能な限り低い温度で第2の液体冷却剤を各要素に提供することによって、冷却モジュール及び第1の液体冷却剤の両方を効率的に冷却することを可能にする。第2の冷却循環装置の各分岐間の相対流量の調整は、各分岐を通って流れる第2の液体冷却剤の比率を変更することによって、冷却モジュールと第1の液体冷却剤との間の冷却力のバランスをとることを可能にする。図3A及び3Bの並列構成と比べて、図17A及び17Bのシステムで使用するために考察した熱交換器の新規配置はまた、他の多くの利点を提供する。特に、第2の液体冷却剤の注入及び排出が熱交換器の中又は外に直接行われるため、第2の冷却循環システムの配管の量及び接続の数が低減される。これにより、システム内の構成要素数と潜在的な漏れ点が低減されるだけでなく、電子モジュールのハウジング内の容積に対してもスペース効率が向上する。
【0207】
上述した図1A~3B、並びに後述する図17A及び17Bの各例では、第1及び第2の冷却モジュール14、16が、第2の冷却循環装置22内で互いに並列に配置されるが、第1及び第2の冷却モジュール14、16は、代わりに直列で配置されてもよい。2つの冷却モジュールが示されているが、1つの冷却モジュール又は任意の数の冷却モジュール14、16は、並列に、直列に、又は並列配置及び直列配置の組み合わせのいずれかで配置された第2の冷却循環装置22内に組み込まれ得る。更に、第1の冷却循環装置は、(上述したような)浸漬冷却を提供するように構成され得るが、第1の冷却循環装置は、低温プレート(又は同様のもの)が少なくとも第1の電子デバイスに結合され、浸漬ではない冷却を提供する閉ループを使用して構成され得ることが理解されるであろう。この場合、第2の冷却循環装置に対する第1の冷却循環装置の構成は、既述の例と比べて変更されない。
【0208】
上記で検討したシステムの各例の更なる具体的な実装態様(第2の冷却循環装置について異なる構成を有する)を後述する。
【0209】
低温プレート及び熱交換器を直列に備えた第2の冷却循環装置を備えており、第2の液体冷却剤が熱交換器の前に低温プレートを通過する、システム
図4Aを参照すると、図1A及び1B(冷却モジュール及び熱交換器が直列に配置され、冷却モジュールが流体流れの方向に熱交換器の前に配置されている)を参照して上述した電子モジュール100の例の具体的な実装態様が描かれている。電子モジュール100は、モジュール又はサーバブレードであり得、一般的なサーバラック(図示せず)内に適合するように適切な寸法及び外側コネクタを有する。同じ電子モジュール100が図4B及び図4Cに示されており、各々がモジュールの異なる斜視図を描いている。
【0210】
電子モジュール100は、外側ハウジング又は筐体110を有し、基部、壁、及び蓋を有し、密封可能であり得る。複数の電子デバイス(又は発熱構成要素)がハウジング内に搭載される。場合によっては、構成要素は、ハウジングの基部、蓋、又は壁に接続され得るプリント回路基板(PCB)120上に搭載され得る。既述のシステムは、電子デバイスによって生成された熱を電子モジュール内から除去することを目的としている。
【0211】
第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)は、電子モジュール内に搭載された複数の電子デバイスのうちの特定の電子デバイスを冷却するために使用される。第2の冷却循環装置(又は第2の冷却ループ)は、他の発熱構成要素を冷却するために使用される。例えば、第2の冷却循環装置は、より大きな冷却力を備え得、したがって、第1の冷却循環装置によって冷却された構成要素よりも多くの量の熱を生成する特定の構成要素を冷却するために使用される。
【0212】
図4A、4B、及び4Cに描かれた例では、電子モジュールは、浸漬冷却を提供する第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を有する。第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング110内に完全に格納される。特に、第1の液体冷却剤(誘電性液体など)は、冷却されるべきいくつかの構成要素が第1の液体冷却剤に少なくとも部分的に浸漬されるように、電子モジュールの密封可能なハウジング内に格納される。電子モジュールのハウジングの空洞に格納された第1の液体冷却剤の容積は、第1の液体冷却剤の貯留部と考えることができる。
【0213】
第1の液体冷却剤の貯留部からの第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口190において集められるか、又は受け取られる。ポンプ注入口190は、ポンプ185に向かう液体冷却剤の流れを改善するために成形され得る。ポンプ185は、第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を通して第1の液体冷却剤を移動させる。ポンプ185を通過した第1の液体冷却剤は、パイプ195を通って熱交換器170(より具体的には、熱交換器内の熱伝導性接合面を越える)内に移動させられ、そこで冷却される。特に、第1の冷却流体に保持された熱は、後述するように、熱交換器も通過した第2の冷却流体に伝達され得る。理解されるように、熱交換器に入る第1の液体冷却剤は、熱交換器から出る第1の液体冷却剤よりも高い温度にある。
【0214】
図4A、4B、及び4Cの例では、パイプ200は、熱交換器170から排出された第1の冷却流体を運ぶために熱交換器に接続される。パイプ200の遠位端には、1つ以上の出口又はノズル205a、205bがある。図4A、4B、及び4Cの具体例では、出口又はノズル205aは、堰202a、202bへの入口を各々形成する。堰はヒートシンクとして作用し、第1の冷却循環装置の一部である。図12A~14Bに関して、堰をより詳細に後述する。しかしながら、第1の冷却循環装置は、既述の堰ヒートシンクを使用せずに構成され得る。例えば、ノズルは、熱交換器から出た第1の液体冷却剤を第1の電子デバイスの近くに分配するように、又は第1の液体冷却剤を、ハウジング若しくはシャーシ内の第1の液体冷却剤の貯留部(第1の電子デバイスが少なくとも部分的に浸漬されている)を通って、ポンプ入口に向かって流れさせるように配置され得る。
【0215】
第1の冷却流体は、電子モジュール100のハウジング110の容積内に格納された第1の液体冷却剤の貯留部内に集められるまで、出口又はノズル205a、205bから出て、堰202a、202b(使用される場合)を通過する。このようにして、熱交換器を通過したより冷たい第1の冷却流体を、ハウジング110内の第1の冷却流体の槽又は貯留部に再導入し、貯留部に部分的に浸漬された任意の電子構成要素を冷却することができる。具体的には、冷却された第1の液体冷却剤は、電子デバイス(それが接触している第1の電子デバイスを含む)の表面から熱を吸収することになる。最終的に、第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口で再び集められ、それによって第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を流れ終わる。
【0216】
図4A、4B、及び4Cはまた、第2の冷却循環装置を描いている。第2の冷却循環装置は、1つ以上の電子デバイス(図4Aでは見えない)に各々搭載されている、1つ以上の低温プレート125a、125bを組み込む。理想的には、電子デバイスは、より高い性能の冷却を必要とする。低温プレート125a、125bは、第2の冷却流体(水など)を通過させることができるモジュール又はチャンバである。熱は、所与の電子デバイスに結合された低温プレートの搭載面を通る熱の伝導によって、電子デバイスから低温プレート内の第2の冷却流体に伝達され得る。第2の冷却循環装置の低温プレート125a、125bは、図10A、10B、及び10Cに関して、以下に更に詳細に考察される。
【0217】
図4A、4B、及び4Cの第2の冷却循環装置は、並列に接続された2つの低温プレートを有する。特に、単一の注入導管135は、電子モジュールに注入される第2の冷却流体を受け取るために、ハウジングの壁にある第1の入口145に接続される。第1の入口145は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。遠位端において、単一の注入導管135は、2つの更なる注入導管140a、140bが接続される注入マニホールド150に接続される。更なる注入導管140a、140bは、それぞれの低温プレート125a、125bに各々接続される。このようにして、第2の冷却流体は、電子モジュール内の低温プレート125a、125bの各々に並列に輸送され得る。次いで、図10A、10B、及び10Cに関して以下で考察するように、第2の液体冷却剤は、低温プレートを通過する。
【0218】
排出導管155a、155bは、それぞれの低温プレート125a、125bの各々に接続される。排出導管155a、155bは、低温プレート125a、125bの各々から排出される第2の液体冷却剤を並列に受け取る。排出導管155a、155bは、排出マニホールド160に接続され、排出マニホールド160には、第2の液体冷却剤を排出マニホールド160の外に輸送するための単一の排出導管165も接続される。
【0219】
単一の排出導管165は、ハウジングの壁内の第1の出口250に接続され、この出口は、第2の液体冷却剤を、ハウジングの外にコネクタ(バルクヘッドコネクタ222など)を通して案内する。第1の出口250から、第2の液体冷却剤は、バルクヘッドコネクタ222を通過してハウジングの壁の第2の入口223に進む。ここから、第2の液体冷却剤は、熱交換器170の入口に直接送られ、熱交換器の中に入ると、その中の熱伝導性接合面を越えて流される。熱交換器170は、電子モジュールのハウジング110内に完全に配置される。図4A、4B、及び4Cの特定の例では、熱交換器170は、プレート熱交換器であり、ハウジング110の壁に接続される。しかしながら、(以下で更に考察するような)他の好適なタイプの熱交換器を使用することができ、電子モジュール内の任意の場所に(また、あまり好ましくないが電子モジュールの外側に)配置することができる。
【0220】
熱交換器170は、2つの液体冷却剤の分離(混合ではない)を維持しながら、第1の冷却剤流体と第2の冷却剤流体との間の熱交換を可能にする任意の好適なタイプのものであってもよい。例えば、熱交換器は、第1の液体冷却剤が流れる第1のチャンバを有し、第1のチャンバは、第2の冷却流体が流れる第2のチャンバから分離され得る。第1及び第2のチャンバを分離する壁(単数又は複数)は、熱接合面(又は熱伝導性接合面)として作用し、熱接合面を通して熱が伝達され得る。特に、熱は、熱接合面にわたる温度勾配の結果として、より高温の液体冷却剤(本例では、通常の動作下での第2の液体冷却剤になる)から、より冷たい液体冷却剤(本例では、通常の動作下での第1の液体冷却剤になる)に伝達され得る。当業者によって想定されるように、3つ以上のチャンバを熱交換器内に含めることができ、異なる液体冷却剤が流れるチャンバを分離するために2つ以上の熱接合面を提供することができる。各チャンバを通る2つ以上の経路が提供され得る。熱交換器は、熱交換を促進するために、熱接合面にフィン又は他の特徴部を備え得る。
【0221】
図4A、4B、及び4Cに戻ると、電子モジュールのハウジング110の壁内の第2の出口180は、熱交換器170の出口に接続され、熱交換器を通過する第2の液体冷却剤を受け取るように配置される。理解されるように、熱交換器170から出る第2の液体冷却剤は、熱交換器170内で第1の液体冷却剤から熱が吸収される結果として、熱交換器170に入る第2の液体冷却剤よりも高い温度になる。第2の出口180は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。
【0222】
図4A、4B、及び4Cには示されていないが、第1の入口145及び第2の出口180は、サーバラックを介して(例えば、必要に応じて、入口145及び出口180に接続されたラックに取り付けられた又はラックに一体化されたパイプによって)冷却システム又は第2の液体冷却剤供給部に各々接続され得る。これは、図5A及び5Bに関して、以下で更に詳細に考察される。
【0223】
理解されるように、電子モジュール内の異なるデバイスは、他の構成要素とは異なる量の熱を生成する場合があり、したがって、異なる冷却速度を必要とする。したがって、既述の構成は、電子モジュール内の全ての電子デバイスに対して効果的かつ効率的な冷却を送達する冷却システムを提供する。特に、第2の冷却循環装置は、最も高温の構成要素の高性能冷却を提供し得、一方、第1の冷却循環装置は、電子モジュール内の他の構成要素の冷却を提供し得る。本出願では、第1の冷却循環装置と第2の冷却循環装置との間で熱を交換するための熱交換器の使用は、冷却の全体的な効率を改善する。対照的に、従来技術のシステムでは、冷却は、第1の冷却剤の貯留部を第2の冷却剤によって冷却された低温プレートに曝露することによって制限され得る。
【0224】
本明細書に記載されるいくつかの他の構成と比べて、この既述の構成は、熱交換器への到達の前に、第2の液体冷却剤(施設用の水系冷却剤であり得る)が低温プレートに直接供給されるため、第2の液体冷却剤がその最低温度にあるとき、低温プレートでより高い冷却性能を提供する。しかしながら、以下で説明するように、この構成は、典型的には、図6A~6C及び8A~8Cを参照して後述する構成の冷却性能よりも高い全体的な冷却性能を提供しない。それにもかかわらず、この構成は、主発熱電子デバイス(主プロセッサ又は同等のものなど)が非常に高温であり、電子モジュール内のPCB上の補助構成要素が相対的に低温であるシステムにおいて有利であり得る。これは、プロセッサの性能、又は電子モジュール内の特定の電子デバイスの可能な限り低い温度を維持することについて特に懸念がある場合にも使用できる。
【0225】
図5A及び5Bは、電子モジュール100がラック400内に接続されているときの図4A、4B及び4Cの第1及び第2の冷却循環装置の概略図を示す。電子モジュール内の第1及び第2の冷却循環装置の配置は、図5A及び5Bの両方の例について同じである。しかしながら、電子モジュールに低温の第2の液体冷却剤を提供するための装置は、図5A及び5Bの2つの例において異なる。特に、図5Aの例における第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Aを参照して上述した外部冷却システム(すなわち、更なる熱交換器を介した、第2の液体冷却剤から第3の冷却剤媒体への熱伝達)と同じである。図5Bの例の第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Bを参照して上述した外部冷却システム(すなわち、冷却水供給部などの施設レベルの供給部からの第2の液体冷却剤の供給部)と同じである。
【0226】
図5A及び5Bの共通の態様を考慮すると、電子モジュール100のハウジング内で第1の液体冷却剤を循環させるためのポンプ入口190、ポンプ185、熱交換器170、及び堰202を有する第1の冷却循環システムが示されている。図5A及び5Bは、第1及び第2の冷却モジュール(又は低温プレート)、並びに熱交換器を備える第2の冷却循環装置を更に示している。
【0227】
使用中、第2の液体冷却剤は、第1の入口145を通して電子モジュール100内に受け取られ、導管を通して、並列に配置された2つの冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bに冷却剤を提供する。冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bを通過した後、第2の液体冷却剤は、様々な導管を通って第1の出口に輸送され、次いで、パイプを通して第2の入口に輸送され、熱交換器170内に直接輸送され、熱は、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される。熱交換器170から、第2の液体冷却剤は、第2の出口180を介して電子モジュールの外に送られる。第1の入口145及び第2の出口180は、電子モジュール100が搭載されているサーバラック400において、入口マニホールド405又は出口マニホールド410に各々接続され得る。第1の入口及び第2の出口は、簡易着脱コネクタを介してサーバラックの入口及び出口マニホールドに接続され得る。
【0228】
低温プレート及び熱交換器を直列に備えた第2の冷却循環装置を備えており、第2の液体冷却剤が低温プレートの前に熱交換器を通過する、システム
図6Aを参照すると、図2A及び2B(冷却モジュール及び熱交換器が直列に配置され、熱交換器が流体流れ方向に冷却モジュールの前に配置されている)を参照して上述した電子モジュール100の例の具体的な実装態様が描かれている。電子モジュールは、モジュール又はサーバブレードであり得、一般的なサーバラック(図示せず)内に適合するように適切な寸法及び外側コネクタを有する。同じ電子モジュール100が図6B及び図6Cに示されており、各々がモジュールの異なる斜視図を描いている。
【0229】
電子モジュールは、外側ハウジング又は筐体110を有し、基部、壁、及び蓋を有し、密封可能であり得る。複数の電子デバイス(又は発熱構成要素)がハウジング内に搭載される。場合によっては、構成要素は、ハウジングの基部、蓋、又は壁に接続され得るプリント回路基板(PCB)120上に搭載され得る。既述のシステムは、電子デバイスによって生成された熱を電子モジュール内から除去することを目的としている。
【0230】
第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)は、電子モジュール内に搭載された複数の電子デバイスのうちの特定の電子デバイスを冷却するために使用される。第2の冷却循環装置(又は第2の冷却ループ)は、他の発熱構成要素を冷却するために使用される。例えば、第2の冷却循環装置は、より大きな冷却力を備え得、したがって、第1の冷却循環装置によって冷却された構成要素よりも多くの量の熱を生成する特定の構成要素を冷却するために使用される。
【0231】
図6A、6B、及び6Cに描かれた例では、電子モジュールは、浸漬冷却を提供する第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を有する。第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング110内に完全に格納される。特に、第1の液体冷却剤は、電子モジュールの密封可能なハウジング内に格納されるため、冷却されるべきいくつかの構成要素115が少なくとも部分的に第1の液体冷却剤に浸漬される。第1の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジングの容積内に格納され、第1の液体冷却剤の貯留部と考えることができる。
【0232】
第1の液体冷却剤の貯留部からの第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口190において集められるか、又は受け取られる。ポンプ注入口190は、ポンプ185に向かう液体冷却剤の流れを改善するために成形され得る。ポンプ185は、第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を通して第1の液体冷却剤を移動させる。ポンプ185を通過する第1の液体冷却剤は、パイプ195を通って熱交換器170内に移動され(内部の熱伝導性接合面を越えて流される)、そこで冷却される。特に、第1の冷却流体に保持された熱は、後述するように、熱交換器も通過した第2の冷却流体に伝達され得る。理解されるように、熱交換器に入る第1の液体冷却剤は、熱交換器から出る第1の液体冷却剤よりも高い温度にある。
【0233】
図6A、6B、及び6Cの例では、パイプ200は、熱交換器170から排出された第1の冷却流体を運ぶために、熱交換器に接続される。パイプ200の遠位端には、1つ以上の出口又はノズル205a、205bがある。図6A、6B、及び6Cの特定の例では、出口又はノズル205aは、堰202a、202bへの入口を各々形成する。堰はヒートシンクとして作用し、第1の冷却循環装置の一部である。図12A~14Bに関して、堰を更に詳細に後述する。しかしながら、第1の冷却循環装置は、既述の堰ヒートシンクを使用せずに構成され得る。例えば、ノズルは、熱交換器から出た第1の液体冷却剤を第1の電子デバイスの近くに分配するように、又は第1の液体冷却剤を、ハウジング若しくはシャーシ内の第1の液体冷却剤の貯留部(第1の電子デバイスが少なくとも部分的に浸漬されている)を通って、ポンプ入口に向かって流れさせるように配置され得る。
【0234】
第1の冷却流体は、電子モジュール100のハウジング110の容積内に格納された第1の液体冷却剤の貯留部内に集められるまで、出口又はノズル205a、205bから出て、堰202a、202b(使用される場合)を通過する。このようにして、熱交換器を通過したより冷たい第1の冷却流体を、ハウジング110内の第1の冷却流体の槽又は貯留部に再導入し、貯留部に部分的に浸漬された任意の電子構成要素を冷却することができる。具体的には、冷却された第1の液体冷却剤は、電子デバイス(それが接触している第1の電子デバイスを含む)の表面から熱を吸収することになる。最終的に、第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口で再び集められ、それによって第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を流れ終わる。
【0235】
図6A、6B、及び6Cはまた、第2の冷却循環装置を描いている。第2の冷却循環装置は、1つ以上の電子デバイス130a、130bに各々搭載されている1つ以上の低温プレート125a、125bを組み込む。理想的には、電子デバイス130a、130bは、より高い性能の冷却を必要とする。低温プレート125a、125bは、第2の冷却流体(水など)を通過させることができるモジュール又はチャンバである。熱は、所与の電子デバイスに結合された低温プレートの搭載面を通る熱の伝導によって、電子デバイス130a、130bから低温プレート内の第2の冷却流体に伝達され得る。第2の冷却循環装置の低温プレート125a、125bを、図10A、10B、及び10Cに関して、以下により詳細に説明される。図6A、6B、及び6Cの第2の冷却循環装置は、並列に接続された2つの低温プレートを有する。
【0236】
図6A、6B、及び6Cの第2の冷却循環装置は、第2の液体冷却剤の流れの方向に、低温プレートの前に熱交換器を有するように構成される。特に、第2の液体冷却剤は、第1の入口145を介して電子モジュールのハウジング110に入り、熱交換器170(電子モジュールのハウジング内に完全に収容されている)に直接送られる。第2の液体冷却剤は、熱交換器にある熱伝導性接合面を越えて流れ、熱は、第2の液体冷却剤に伝達し第1の液体冷却剤を形成することができる。熱交換器170は、上述したように、プレート熱交換器であってもよく、又は任意の好適なタイプであってもよい。第1の入口145は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。
【0237】
理解されるように、熱交換器170から出る第2の液体冷却剤は、熱交換器170内の第1の液体冷却剤から(熱伝導性接合面を介して)熱が吸収される結果として、熱交換器170に入る第2の液体冷却剤よりも高い温度になる。熱交換器170を通過した後、第2の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジング内の第1の出口250を通って熱交換器170の外に導かれる。第2の液体冷却剤は、隔壁コネクタ222に送られ、第2の入口223を通ってハウジング内に戻される。
【0238】
単一の注入導管135は、第2の液体冷却剤を受け取るために、ハウジングの壁にある第2の入口223に接続される。遠位端において、単一の注入導管135は、2つの更なる注入導管140a、140bが接続される注入マニホールド150に接続される。更なる注入導管140a、140bは、それぞれの低温プレート125a、125bに各々接続される。このようにして、第2の冷却流体は、電子モジュール内の低温プレート125a、125bの各々に並列に輸送され得る。次いで、図10A、10B、及び10Cに関して以下で説明するように、第2の液体冷却剤は、低温プレートを通過する。
【0239】
排出導管155a、155bは、それぞれの低温プレート125a、125bの各々に接続される。排出導管155a、155bは、低温プレート125a、125bの各々から排出される第2の液体冷却剤を並列に受け取る。排出導管155a、155bは、排出マニホールド160に接続され、排出マニホールド160には、第2の液体冷却剤を排出マニホールド160の外に輸送するための単一の排出導管165も接続される。
【0240】
単一の排出導管165は、電子モジュールのハウジングの壁にある第2の出口180に接続される。第2の出口180は、簡易着脱コネクタなどの任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。
【0241】
図6A、6B、及び6Cには示されていないが、第1の入口145及び第2の出口180は、冷却システム又は第2の液体冷却剤供給部に(例えば、必要に応じて、入口145及び出口180に接続するためのコネクタを有するラックを介して)各々接続され得る。これは、図7A及び7Bに関して、以下で更に詳細に説明される。
【0242】
この構成では、第2の液体冷却剤は、低温プレートの前に熱交換器を通過するため、低温プレートを通過する第2の液体冷却剤の温度は、図4A~5Bの構成と比べて高くなる(第2の液体冷却剤は、第1の液体冷却剤から伝達される熱を既に受け取っていることになるため)。結果として、低温プレートにおける第2の冷却循環装置の冷却力は、図4A~5Bの構成と比べて低減され得る。しかしながら、図4A~5Bの構成では、熱交換器内の第2の液体冷却剤の温度は、熱交換器内の第2の液体冷却剤よりも相対的に低くなるため、熱交換器における第2の液体冷却剤の冷却力は、図4A~5Bの構成と比べて増大する。実際、本発明者らは、多くのシナリオにおいて、図4A~5Bの構成が、電子モジュール全体に対してより優れた全体的な冷却性能を提供することができることを認識している。この構成は、より多くの高温補助構成要素が電子モジュール内のPCBに含まれている場合(及び第1の液体冷却剤に部分的に浸漬されている場合)、特に有益であり得る。
【0243】
低温プレート及び熱交換器を並列に有する第2の冷却循環装置を有するシステム
図8Aを参照すると、図3A及び3B(冷却モジュール及び熱交換器が第2の冷却循環装置内に並列に配置されている)を参照して上述した電子モジュール100の例の具体的な実装態様が描かれている。電子モジュールは、モジュール又はサーバブレードであり得、一般的なサーバラック(図示せず)内に適合するように適切な寸法及び外側コネクタを有する。同じ電子モジュール100が図8B及び図8Cに示され、それぞれがモジュールの異なる斜視図を示す。
【0244】
電子モジュールは、外側ハウジング又は筐体110を有し、基部、壁、及び蓋を有し、密封可能であり得る。複数の電子デバイス(又は発熱構成要素)がハウジング内に搭載される。場合によっては、構成要素は、ハウジングの基部、蓋、又は壁に接続され得るプリント回路基板(PCB)120上に搭載され得る。既述のシステムは、電子デバイスによって生成された熱を電子モジュール内から除去することを目的としている。
【0245】
第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)は、電子モジュール内に搭載された複数の電子デバイスのうちの特定の電子デバイスを冷却するために使用される。第2の冷却循環装置(又は第2の冷却ループ)は、他の発熱構成要素を冷却するために使用される。例えば、第2の冷却循環装置には、より大きな冷却力が提供され得、したがって、第1の冷却循環装置によって冷却された構成要素よりも多くの量の熱を生成する特定の構成要素を冷却するために使用される。
【0246】
図8A、8B、及び8Cに描かれた例では、電子モジュールは、浸漬冷却を提供する第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を有する。第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング110内に完全に格納される。特に、第1の液体冷却剤は、電子モジュールの密封可能なハウジング内に格納され、冷却されるべきいくつかの構成要素115が少なくとも部分的に第1の液体冷却剤に浸漬される。第1の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジングの容積内に格納され、第1の液体冷却剤の貯留部と考えることができる。
【0247】
第1の液体冷却剤の貯留部からの第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口190において集められるか、又は受け取られる。ポンプ注入口190は、ポンプ185に向かう液体冷却剤の流れを改善するために成形され得る。ポンプ185は、第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を通して第1の液体冷却剤を移動させる。第1の液体冷却剤は、ポンプ185を通過し、パイプ195を通って熱交換器170内に(及び内部の熱伝導性接合面を越えて)移動し、そこで冷却される。特に、第1の冷却流体に保持された熱は、後述するように、熱伝導性接合面を介して第2の冷却液流体に伝達され得、第2の冷却流体も熱交換器を通過する。理解されるように、熱交換器に入る第1の液体冷却剤は、熱交換器から出る第1の液体冷却剤よりも高い温度にある。
【0248】
図8A、8B、及び8Cの例では、パイプ200は、熱交換器170から排出された第1の冷却流体を運ぶために熱交換器に接続される。パイプ200の遠位端には、1つ以上の出口又はノズル205a、205bがある。図8A、8B、及び8Cの特定の例では、出口又はノズル205aは、堰202a、202bへの入口を各々形成する。堰はヒートシンクとして作用し、第1の冷却循環装置の一部である。図12A~14Bに関して、堰を更に詳細に後述する。しかしながら、第1の冷却循環装置は、既述の堰ヒートシンクを使用せずに構成され得る。例えば、ノズルは、熱交換器から出た第1の液体冷却剤を第1の電子デバイスの近くに分配するように、又は第1の液体冷却剤を、ハウジング若しくはシャーシ内の第1の液体冷却剤の貯留部(第1の電子デバイスが少なくとも部分的に浸漬されている)を通って、ポンプ入口に向かって流れさせるように配置され得る。
【0249】
第1の冷却流体は、電子モジュール100のハウジング110の容積内に格納された第1の液体冷却剤の貯留部内に集められるまで、出口又はノズル205a、205bから出て、堰202a、202b(使用される場合)を通過する。このようにして、熱交換器を通過したより冷たい第1の液体冷却剤を、ハウジング110内の第1の液体冷却剤の槽又は貯留部に再導入し、貯留部に部分的に浸漬された任意の電子構成要素を冷却することができる。具体的には、冷却された第1の液体冷却剤は、電子デバイス(それが接触している第1の電子デバイスを含む)の表面から熱を吸収することになる。最終的に、第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口で再び集められ、それによって第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を流れ終わる。
【0250】
図8A、8B、及び8Cはまた、第2の冷却循環装置を描いている。第2の冷却循環装置は、1つ以上の電子デバイスに各々搭載される、1つ以上の冷却モジュール又は低温プレート125a、125bを組み込む。理想的には、電子デバイスは、より高い性能の冷却を必要とする。低温プレート125a、125bは、第2の液体冷却剤(水など)を通過させることができるモジュール又はチャンバである。熱は、所与の電子デバイスに結合された低温プレートの搭載面を通る熱の伝導によって、電子デバイス130a、130bから低温プレート内の第2の液体冷却剤に伝達され得る。第2の冷却循環装置の低温プレート125a、125bは、図10A、10B、及び10Cに関して、以下でより詳細に考察される。図8A、8B、及び8Cの第2の冷却循環装置は、並列に接続された2つの低温プレートを有するが、例えば、直列で接続することもできる。
【0251】
図8A、8B、及び8Cを参照すると、電子モジュールのハウジングの壁にある入口145は、電子モジュールのハウジング内に配置された双方向入口マニホールド221に接続される。双方向入口マニホールド221は、電子モジュール内に第2の冷却循環装置の2つの並列分岐を作成する。入口145は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。第2の液体冷却剤は、入口145を介して電子モジュール内に受け取られる。
【0252】
第2の冷却循環装置の第1の分岐において、第1の注入導管135は、第2の液体冷却剤を更なる注入マニホールド150に輸送するために、双方向入口マニホールド221に接続される。第2及び第3の注入導管140a、140bは、更なる注入マニホールドに接続される。第2及び第3の注入導管140a、140bは、それぞれの低温プレート125a、125bに各々接続される。このようにして、第2の冷却流体は、電子モジュール内の低温プレート125a、125bの各々に並列に輸送され得る。次いで、図10A、10B、及び10Cに関して以下で考察するように、第2の液体冷却剤は、低温プレートを通過する。
【0253】
排出導管155a、155bは、それぞれの低温プレート125a、125bの各々に接続される。排出導管155a、155bは、低温プレート125a、125bの各々から排出される第2の液体冷却剤を並列に受け取る。排出導管155a、155bは、排出導管165に接続された更なる排出マニホールド160に接続される。排出導管165は、第2の液体冷却剤を双方向出口マニホールド251に導き、この地点で、第2の冷却循環装置の第1及び第2の分岐がともに合流する。
【0254】
第2の冷却循環装置の第2の分岐において、双方向入口マニホールド221への排出口は、熱交換器170の入口に直接接続される。第2の冷却循環装置の第2の分岐の第2の液体冷却剤は、熱交換器にある熱伝導性接合面を越えて流れ、熱伝導性接合面を通って熱が第2の液体冷却剤に伝達され、第1の液体冷却剤を形成する。熱交換器170は、電子モジュールのハウジング110内に完全に配置される。図4A、4B、及び4Cの特定の例では、熱交換器170は、プレート熱交換器である。しかしながら、他の好適なタイプの熱交換器を使用することができる。
【0255】
熱交換器170は、2つの液体冷却剤の分離(混合ではない)を維持しながら、第1の冷却剤流体と第2の冷却剤流体との間の熱交換を可能にする任意の好適なタイプのものであってもよい。例えば、熱交換器は、第1の液体冷却剤が流れる第1のチャンバを有し得、第1のチャンバは、第2の冷却流体が流れる第2のチャンバから分離される。第1及び第2のチャンバを分離する壁(単数又は複数)は、熱接合面(又は熱伝導性接合面)として作用し、熱接合面を通して熱が伝達され得る。特に、熱は、熱接合面にわたる温度勾配の結果として、より高温の液体冷却剤(本例では、通常の動作下で第2の液体冷却剤となる)から、より低温の液体冷却剤(本例では、通常の動作下で第1の液体冷却剤となる)に伝達され得る。当業者によって想定され得るように、3つ以上のチャンバを熱交換器内に含めることができ、異なる液体冷却剤が流れるチャンバを分離するために2つ以上の熱接合面を提供することができる。所与のチャンバを通る2つ以上の経路が提供され得る。熱交換器は、熱交換を促進するために、熱接合面にフィン又は他の特徴部を備え得る。
【0256】
図8A、8B、及び8Cに戻ると、熱交換器の出口は、双方向出口マニホールド251に直接接続され、それによって、第2の冷却循環装置の第1及び第2の分岐に再合流する。双方向出口マニホールド251は、電子モジュールのハウジングの壁にある出口180に結合される。出口180は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。
【0257】
図8A、8B、及び8Cには示されていないが、入口145及び出口180は、冷却システム又は第2の液体冷却剤供給部に(例えば、必要に応じて、入口145及び出口180に接続された更なるパイプによって)各々接続され得る。これは、図9A及び9Bに関して、以下で更に詳細に考察される。
【0258】
有利には、第2の冷却循環装置の並列構成は、低温プレート及び熱交換器の両方が、最低温度の第2の液体冷却剤から利益を得ることを可能にする。更に、この構成により、低温プレートと比べて、熱交換器における流量(及び冷却性能)のバランスをとることができる。したがって、この構成は、電子モジュールのハウジング内の第2の冷却循環装置の第1及び第2の分岐の各々を通る第2の液体冷却剤の比率を調整することによって、低温プレートを介した第2の電子デバイス及び第3の電子デバイスの冷却、並びに第1の液体冷却剤を介した第1の電子デバイスの冷却のより大きな制御を可能にし得る。
【0259】
図9A及び9Bは、電子モジュール100がラック400内に接続されているときの図8A、8B及び8Cの第1及び第2の冷却循環装置の概略図を示している。電子モジュール内の第1及び第2の冷却循環装置の配置は、図9A及び9Bの両方の例について同じである。しかしながら、電子モジュールに低温の第2の液体冷却剤を提供するための装置は、図9A及び9Bの2つの例において異なる。特に、図9Aの例における第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Aを参照して上述した外部冷却システム(すなわち、更なる熱交換器を介した、第2の液体冷却剤から第3の冷却剤媒体への熱伝達)と同じである。図9Bの例の第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Bを参照して上述した外部冷却システム(すなわち、冷却水供給部などの施設レベルの供給部からの第2の液体冷却剤の供給部)と同じである。
【0260】
図9A及び9Bの共通の態様を考慮すると、電子モジュール100のハウジング内で第1の液体冷却剤401を循環させるためのポンプ入口190、ポンプ185、熱交換器170、及び堰202を有する第1の冷却循環システムが示されている。図9A及び9Bは、第1及び第2の冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125b、並びに熱交換器170を備える第2の冷却循環装置を更に示している。
【0261】
使用中、第2の液体冷却剤は、入口145を通して電子モジュール内に受け取られ、直ちに第1及び第2の分岐に分割される。第1の分岐は、第2の液体冷却剤を、並列に配置された2つの冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bに送る。冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bを通過した後、第1の分岐からの第2の液体冷却剤は、第2の分岐に再合流し、次いで、出口180を介して電子モジュールから出る。入口145及び出口180は、電子モジュール100が搭載されるサーバラック400において、入口マニホールド405又は出口マニホールド410にそれぞれ接続され得る。入口145及び出口180は、簡易着脱コネクタを介して、サーバラック400の入口マニホールド405及び出口マニホールド410に接続され得る。
【0262】
使用中、第2の冷却循環装置の第2の分岐は、第2の冷却剤の一部分を熱交換器170に通過させる。熱交換器170内で、熱は、第1の冷却循環装置内の第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される。第2の液体冷却剤の一部分が熱交換器170を通過すると、それは次いで、第2の冷却循環装置の第1の分岐と再合流し、次いで、出口180を介して電子モジュールから直接出る。
【0263】
冷却モジュール(又は低温プレート)
第2の冷却循環装置の冷却モジュールは、低温プレートとして提供され得る。このような低温プレートは、図10A~10Cを参照して、次により詳細に説明される。低温プレートは、低温プレートが結合される特定の電子デバイスの高性能で効率的な冷却を提供するための特定の利点を有する。このように、第2の冷却循環装置、より具体的には低温プレートは、最大量の熱を生成する電子モジュール内の電子デバイスに結合され得る。このようにして電子モジュール内の全ての電子デバイスを冷却することは実用的ではないが、第2の冷却循環装置の一部としての低温プレートの使用は、第1の冷却循環システムによって電子モジュールの全容積を冷却する負担を低減することができる集中冷却を可能にする。このように、第1及び第2の冷却循環装置は、電子モジュールに特に効率的で効果的な冷却システムを提供するために協働して作用する。
【0264】
第2の冷却循環装置内の低温プレートの更なる利点は、閉じた密封システムの提供であり、ここで、第2の液体冷却剤は、いずれの電子デバイスとも直接接触しない。これにより、低コストで容易に入手可能である第2の液体冷却剤(例えば、誘電性液体ではない)のための水の使用が可能になる。第2の冷却循環装置が、施設の水供給部及び排水部、又は電子モジュールの外部の強力なポンプシステムに接続されている場合、第2の冷却循環装置を通る水の大きなスループットが可能であり、これにより、第2の冷却循環装置の潜在的な冷却力が更に増大する。
【0265】
概括的に、本明細書には、ハウジング(一体的に形成され得る)を備える低温プレートが記載されており、ハウジングの表面(典型的には平面)は、ハウジングに熱的に結合された電子デバイスを冷却するための熱接合面(伝導表面と呼ばれ得る)を提供するように配置されている。低温プレートは、ハウジング内にあり、その表面に近接する少なくとも1つのチャネルを更に備える。チャネル(単数又は複数)は、内部チャンバ(単数又は複数)、容積、又は液体冷却剤(水、水系冷却剤、水、又は、鉱油若しくは誘電性流体などの比熱容量の高い液体代替物を本質的に含む冷却剤など)を格納するための他の空間から形成され得る。チャネル(単数又は複数)は、熱接合面によって受け取られた熱が液体冷却剤に伝達されるように、液体冷却剤がチャネルを通って流れるように配置される。任意選択的に、各々が冷却剤ポートから延びる複数の並列チャネルが提供され得る。以下で更に考察するように、好ましくは少なくとも1つのチャネル内に、ピン及び/又はフィンが配置される。
【0266】
低温プレートはまた、液体冷却剤を、少なくとも1つのチャネルに及び/又は少なくとも1つのチャネルから移送するための、ハウジングの外側に延びる冷却剤ポートを備える。冷却剤ポートは、コネクタ、結合部、ジョイント又は他の同様の構造であり得る。入口及び出口冷却剤ポートが提供され得る。液体冷却剤を冷却剤ポートに及び/又は冷却剤ポートから移送するために、パイプ、ホース、又はチューブ(好ましくは可撓性)などの少なくとも1つの導管が冷却剤ポートに結合され得る。有利には、低温プレートは、液体冷却剤が冷却システム全体を通して実質的に液体状態(すなわち、単相液体冷却)のままであるように構成される。
【0267】
図10Aを最初に参照すると、第2の冷却循環装置の冷却モジュールとして使用するための低温プレート(又は低温プレートアセンブリ)1200の実施形態が概略的に示されている。特に、低温プレートは、電子モジュール又はサーバブレード(又は同様のモジュール)における使用に有利である。低温プレートアセンブリは、低温プレートハウジング1210(好ましくは一体的に作られている)と、低温プレートの入口/出口ポートを形成するコネクタ1220a、1220bと、入口/出口導管1225(ここではパイプ又はチューブである)と、を備える。また、低温プレート1200の固定点1230が示されている。これらの固定点は、典型的なサーバシャーシ内の空冷式ヒートシンクに見られるものを有益に複製し得、低温プレートをサーバブレードに後付けすることを可能にする。
【0268】
好ましい例では、図10Aに示されるように、複数の冷却剤ポート1220a、1220bが使用される。次に、液体冷却剤を低温プレート1200内に移送するための第1の冷却剤ポート1220aが提供され、低温プレート1200から液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポート1220aが提供される。図10Aの例では、冷却剤ポート1220a、1220bは、独立して回転する流体コネクタ(又はスイベルジョイント又はスイベルエルボコネクタ、これらの用語は、本明細書では同義に使用される)に結合され、それによって、冷却剤ポート1220a、1220bに結合された入口/出口導管1225a、1225bの方向の調整を可能にする。このように、このタイプのコネクタは、動作のために低温プレートアセンブリの構成又は設置に特に有用である。スイベルジョイントは、低温プレートの配設の柔軟性を高めることができる。これは、ユニット又はシステムに他の変更を加える必要なしに、サーバ又は任意の他のコンピュータシステムなどの既存の電子モジュールへの低温プレートの後付けをより容易に可能にし得る。低温プレートは、例えば、空冷式ヒートシンクの代わりに適合するように構成され得る。
【0269】
好ましくは、低温プレートが結合される電子デバイス(第2の電子デバイスなど)に熱接合面を提供するように配置された表面は、低温プレートハウジングの底面(例えば、図10Aの低温プレートハウジング1210の図示されない下面)である。次いで、冷却剤ポート1220a、1220bは、有利には、底面の反対側のハウジング1210の上面上に提供される。好ましい実施形態では、冷却剤ポートは、ハウジングの上面に垂直な方向に延びる。次に、スイベルジョイントは、冷却剤ポートを異なる方向に、典型的にはハウジングの上面により並列に延びることができる。有利には、スイベルジョイントは、パイプの方向を、ハウジングの上面に垂直な軸の周りで調整することを可能にする。特に、スイベルジョイントは、パイプの方向を、特にハウジングの上面に垂直な軸の周りで、少なくとも90度、180度、270度、好ましくは360度まで(及び360度を含む)調整することを可能にし得る。したがって、スイベルコネクタは、冷却剤ポートの完全な回転自由度を可能にし得る。
【0270】
原則として、単一の冷却剤ポートは、チャネルへの液体冷却剤の入口、及びチャネルからの液体冷却剤の出口の両方を提供することができる。好ましい実施形態では、図10Aに示すように、複数の冷却剤ポートが使用される。次に、冷却剤ポートは、液体冷却剤を少なくとも1つのチャネルに移送するための第1の冷却剤ポートである。低温プレートは、少なくとも1つのチャネルから液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポートを備え得る。
【0271】
低温プレートのハウジング、及び低温プレート上のポートの配置は、低温プレートを通る冷却剤の流れ、及び低温プレートが結合されている第2の電子デバイスの部分への冷却剤の流れを促進するのに有益な任意の形状をとることができる。いくつかの例では、ハウジングは細長く、第1及び第2の冷却剤ポートは、伸長方向に沿ってハウジングの反対側の端部に位置付けられ、これは、熱接合面表面にわたる液体冷却剤の流れを促進し、かつ/又は低温プレートの柔軟な配設を支援し得る。追加的又は代替的に、第2の冷却剤ポートは、(第1の冷却剤ポートと同様に)スイベルジョイントを備え得、それによって、第2の冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整を可能にする。スイベルジョイントを各々有する2つの冷却剤ポートを提供することにより、低温プレートをともに結合する可能性を含む、冷却システム内で低温プレートを結合する改善された方法が可能になり得る。
【0272】
図10Bを参照すると、図10Aの例による例示的な低温プレートの上面内部(平面)図が描かれている。この図面では、明確にするために蓋及びノズルが除去されている。
【0273】
図10Bに示されるのは、冷却剤入口ポート1225a、冷却剤出口又は排出ポート1225b、冷却剤流れチャネル1235、及びピン1240である。流れチャネルが、冷却剤入口ポート1225aと冷却剤出口又は排出ポート1225bとの間に形成され、低温プレートが使用されているとき、そこを通って第2の液体冷却剤が流れることができることが分かる。この構成、特にピン1240の構成は、冷却剤の流れを低温プレート内の全ての方向に分散させ、冷却剤が低温プレートにわたって均等に広がることを可能にする。
【0274】
図10Cを参照すると、コネクタがポート1225a、1225b、低温プレート基部1245に結合された、図10Bの実施形態の側面(断面)図が示されている。低温プレート蓋1250も示されている。基部プレート1245及び蓋1250は、図10Aに示される低温プレートハウジング1210をともに形成し得る。図10Cに示すように、ピン1240は、基部1245及び蓋1250に接続される。これにより、チャネルを通過する液体冷却剤の流れが、ピンをショートカット又は迂回することができないようにし得る。このようにして、ピンは、冷却剤の流れを低温プレート内に導くことができる。
【0275】
基部プレート1245は、第2の電子デバイスが結合され得る熱接合面を提供し得る。特に、低温プレート1200は、低温プレートの基部プレート125が第2の電子デバイスの表面と直接接触した状態で、電子デバイス(例えば、図1A~3Bを参照して説明されるような第2又は第3の電子デバイス)に搭載することができる。このようにして、熱は、電子デバイスの表面から、基部プレート1245によって提供される熱接合面を通って、低温プレート内を流れる液体冷却剤に伝達され得る。
【0276】
堰ヒートシンク
ここで、第1の冷却循環システムの堰を、図11A~13Bを参照してより詳細に説明する。堰は、第1の冷却循環装置における第1の液体冷却剤の流れを導き、増加させるための特定の利点を提供する。堰を使用することによって、第1の液体冷却剤は、電子モジュールの特定の領域、及びその中に搭載された任意の電子デバイスの上又は電子デバイスを通って流れるように導かれ得る。いくつかの例では、堰の基部は、第1の電子デバイス(又は別の電子デバイス)に結合され、したがって、結合されたデバイスのヒートシンクとして作用し得る。代替例では、電子デバイスは、堰の容積内に存在し得る。加えて、堰の使用は、更に後述するように、電子モジュールで必要とされる第1の液体冷却剤のレベルを低減させることを可能にする。これは、第2の冷却循環装置における冷却モジュール又は低温プレートとの接触を回避するために、第1の液体冷却剤の液体レベルを十分に低いレベルに維持する場合に特に重要である。
【0277】
図11Aを最初に参照すると、第1の冷却循環システムで使用するための堰又は堰ヒートシンクの第1の実施形態が示されている。図11Bを参照すると、図11Aの実施形態の分解図が示されている。堰600は、搭載部610及び搭載部610に固定された平面基板615からなる基部と、平面基板615に取り付けられた保持壁620と、突出部(ピンの形態で示される)625と、基板615を搭載部610に取り付ける固定ネジ630と、を備える。このようにして、平面基板615は、第1の電子デバイス635であり得る高温構成要素上に直接着座する。このように、熱は、第1の電子デバイス635から、突出部625が提供される平面基板615及び保持壁620によって画定される容積に伝達される。
【0278】
堰ヒートシンク600は、例えば、ダイカスト、ロストワックス鋳造、金属射出成形金型(MIM)、付加製造、又は鍛造によって、単一の構成要素から作製することができる。堰ヒートシンクはまた、材料のブロックから機械加工されるか、又は削り取られてもよい。堰ヒートシンク600は、金属又は他の熱伝導体などの熱伝導性である任意の材料から形成され得る。いくつかの例は、アルミニウム、銅、又は炭素を含み得る。
【0279】
図11A及び11Bには、パイプ640及びノズル645にある堰への入口も示されている。第1の液体冷却剤は、ノズル645を介して堰ヒートシンク600に送達される。ノズル645は、基板615の平面に垂直に冷却剤を導くように配置される。これにより、液体冷却剤のジェット又は流れは、基板615及びヒートシンク600の保持壁620によって画定された容積に直接押し込まれる。その結果、放熱が改善される。これは、空冷式システムなど、冷却剤がヒートシンク基板の平面に並列な方向にヒートシンクの上を流れるように導かれるシステムと比べて特に当てはまる。
【0280】
図11A及び11Bに示す例では、ノズル645は、基板615及び保持壁620によって画定される容積の中心に冷却剤を直接送達する。この例では、その容積の中心は、高温構成要素635に隣接する(及び直上にある)基板615の領域の最も高温の部分に対応する。これは逆流を提供するため、最も低温の冷却剤が堰のヒートシンクの最も高温の領域に接触するように導かれる。冷却剤は、最も高温の部分から半径方向に移動する。
【0281】
図11Cを参照すると、動作中の図11Aの堰ヒートシンクの断面図が示されている。前の図面に示されたものと同じ特徴部が、同一の参照番号によって識別される。矢印は、基板615及びヒートシンク600の保持壁620によって画定される容積内に第1の液体冷却剤805を提供し、ヒートシンク1の外側に第1の液体冷却剤810を提供するための、パイプ640内の冷却剤の流れを示している。先に示したように、ノズル645から出る第1の液体冷却剤は、容積の中心(基板615の表面領域の中心に対応する)に導かれ、そこから外方に保持壁620に向かって半径方向に移動する。十分な第1の液体冷却剤は、ノズル645を介して容積内に圧送され、その結果、保持壁620から溢れ出て810、堰ヒートシンク600の外部の残りの第1の液体冷却剤815とともに集まる。
【0282】
代替の実施形態では、第1の液体冷却剤の流れを促進するために、堰内に保持された第1の液体冷却剤は、堰の基部又は側壁の孔を通って排出され得る。更なる変形例では、第1の電子デバイスは、堰の外面に結合されるのではなく、堰の容積内に位置付けられてもよい。
【0283】
側壁として作用する保持壁620は、冷却剤の異なるレベルを可能にする。堰ヒートシンク600の容積内の第1の液体冷却剤805は、相対的に高レベルにあり、電子モジュール(この図面には示されていない)内に複数の他の電子デバイスを少なくとも部分的に浸漬する冷却剤815は、より低いレベルにある。これにより、同じ高さにある全ての構成要素をカバーする他の同様のシステムよりも、大幅に少ない液体冷却剤を使用することが可能になる。
【0284】
これにより、いくつかの利点が実現される。まず、誘電性冷却剤が第1の液体冷却剤として使用される場合、より少ない第1の液体冷却剤が使用される。これには2つの主な利点がある。すなわち、誘電性冷却剤は高価であり得、したがってコストを大幅に削減することができ、誘電性液体冷却剤は典型的には非常に重く、したがって電子モジュールの重量を低減することができる。更に、より少ない液体冷却剤を使用することによって、電子モジュール100をより容易に設置及び/又は持ち上げることができる。また、電子モジュール100を設置することにより、必要なインフラストラクチャを少なくすることができる。更に、電子モジュール100は、相当に多くの一次液体冷却剤を使用するシステムである同様のデバイスよりも取り扱いが容易である。容器110の大部分の中の第1の液体冷却剤815のレベルは、容器の上部に近くない。その結果、構成要素の保守又は交換時の漏出が起こりにくくなる。漏れのリスクも低減される。
【0285】
保持壁630は、堰効果を生み出し、第1の液体冷却剤の流れを促進する。相対的に低いレベルにある冷却剤815は、電子モジュール100内の電子デバイス(第1の電子デバイス、及び任意の他の電子デバイス)を冷却する。第1の電子デバイス、及び任意の他の電子デバイスは、第1の液体冷却剤に完全に浸漬される必要はない。堰ヒートシンク600に保持された第1の液体冷却剤はまた、ポンプ185又は他の構成要素の障害が発生した場合に、第1の冷却循環装置の冷却にある程度の冗長性を提供し得る。
【0286】
図12を次に参照すると、ノズル配置を示す、図11Aの実施形態の上面図が示されている。前述したように、ノズル645は、パイプ640に結合される。ノズル645は、基板615の表面領域の中心に面するように位置付けられる(この図には示されていない)。この図面では、冷却剤の半径方向の流れを矢印で示している。
【0287】
ノズル640の代替位置が可能である。ここで、図11Aの実施形態のノズル配置の第1の変形例の上面図が示されている図13Aを参照して、及び図11Aの実施形態のノズル配置の第2の変形例の上面図が示されている図13Bを参照して、いくつかのそのような位置を説明する。図13Aを最初に参照すると、ノズル645は、中心から外れて示されている。そのような配置は、第1の電子デバイスの最も高温の部分(図示されないが、堰ヒートシンク600が結合され得る)が基板615の中心に隣接していない場合に提供され得る。図13Bを参照すると、2つのノズルが示されている。2つのノズル645は、第1の電子デバイスの最も高温の部分(図示されないが、堰ヒートシンク600が結合され得る)のうちの2つに隣接する基板615(図示せず)の表面領域の上に位置付けられている。
【0288】
突出部625(ピン及び/又はフィンとしての)は、堰ヒートシンク600の残りの部分と一体的に形成され得るか、又は別個の構成要素から作製され得る。突出部625は、所定の位置に公差嵌合、接着、又はろう付けされ得る。追加的又は代替的に、保持壁620は、例えば、押出成形又は組立板金部品によって、ヒートシンク600の残りの部分と一体的に形成されるか、又は別個に作製され得る。次いで、保持壁620は、公差嵌合、所定の位置に接着、ろう付け、又は溶接され得る。
【0289】
第1の液体冷却剤の液体レベル
第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間で熱を伝達するための別個の特定の要素として熱交換器を使用することは、全体的なシステムの冷却性能に対する改善された制御を提供する。第1及び第2の冷却循環装置内の各要素の冷却力は、少なくとも部分的に、液体冷却剤と冷却されるべき要素との間の温度勾配に依存する。特に、より大きな温度差は、典型的には、より小さな温度差よりも大きな熱伝達をもたらす。既述の冷却システムの構成(第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤との間の熱交換が主に熱交換器において行われる)は、冷却されるべき各要素における温度勾配又は温度差の最も有利な組み合わせの選択を可能にする。
【0290】
特に、システムの制御領域(特に、熱交換器内)を除いて、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤とを熱的に分離することが有利であることが特定されている。冷却モジュール(又は低温プレート)の冷却性能が、冷却モジュールが第1の液体冷却剤に直接熱的に結合されている場合に著しく低下することが分かっている。具体的には、第1の冷却循環装置が浸漬冷却を提供し、第1の液体冷却剤が冷却モジュール又は低温プレートを少なくとも部分的に浸漬させるシステムでは、今度は、冷却モジュールの性能が低下する。結果として、冷却モジュール(又は低温プレート)と、電子モジュールのハウジング又はシャーシ内に格納された第1の液体冷却剤の貯留部との間の直接接触を回避することが望ましいことが分かっている。
【0291】
この目的を達成するための1つの選択肢は、システムが使用されているとき、冷却モジュールが電子モジュールのシャーシ内に収容された第1の液体冷却剤の体積の最高液体レベルの上にあり、一方、第1の電子デバイスが第1の液体冷却剤内に少なくとも部分的に浸漬されるように配置されるように、電子モジュールのハウジング内の冷却モジュールを第1の電子デバイスに対して配置することである。この場合、第1の電子デバイスは、電子モジュールがラック内に配設されるとき、第1の電子モジュールの基部が冷却モジュールの基部の下にあるように、ハウジング内に配置される。言い換えれば、冷却モジュールの全ての表面は、電子モジュールがラック内に配設されたとき、電子モジュール内に格納された第1の液体冷却剤の最高レベルの上にある。
【0292】
そのような有利な構成は、(適切な第1の液体冷却剤レベルを維持するために)第1の液体冷却剤の体積を適切に選択することを必要とする。必要な液体レベルは、典型的な浸漬冷却システムで予想されるレベルよりも低い場合がある。第1の液体冷却剤のより低いレベルは、既述のシステムの優れた全体的な冷却性能によって可能にされ得る。更に、(図11A~13Bを参照してより詳細に説明したように)第1の冷却循環システム内での堰ヒートシンクの使用はまた、良好な冷却性能を依然として維持しながら、第1の液体冷却剤の全体的な体積(したがってその液体レベル)の低減を可能にし得る。システムで必要とされる第1の液体冷却剤の体積を減少させることはまた、コスト、及び密封された電子モジュールの重量を低減させることができる。
【0293】
図14は、冷却モジュール(又は低温プレート)14と比べて、電子モジュールのハウジング内に収容された第1の液体冷却剤の液体レベル50の配置を示す、電子モジュールの断面図である。特に、低温プレート14の基部は、第1の液体冷却剤のレベル50の上にあり、低温プレート14の側壁又は上面のいずれも第1の液体冷却剤に浸漬されていないことが分かる。低温プレートが熱的に結合されている第2の電子デバイス55は、第1の液体冷却剤に完全に浸漬されていることが分かる。低温プレート14への接続(排出導管1225bなど)も、第1の液体冷却剤の液体レベルよりも上に維持される。電子モジュールのハウジング内の空洞の一部分60は、およそ第1の液体冷却剤レベルであり、液体冷却剤(第1の液体冷却剤、又は第2の液体冷却剤のいずれか)で充填されていない。
【0294】
冷却モジュール(又は低温プレート)と第1の液体冷却剤とを熱的に分離するための代替選択肢は、冷却モジュール(又は低温プレート)を低温プレートの側面及び/又は上部壁の外面で熱的に隔離することである。しかしながら、この選択肢は複雑な場合があり、低温プレートのサイズ及び容積を増加させる可能性があり(これは、電子モジュールハウジングの閉じ込め部内では望ましくない)、費用が追加され得る。したがって、上述したように、第1の液体冷却剤レベルの制御が好ましい場合がある。
【0295】
ラック搭載型電子モジュール
図15A及び15Bは、ラック2510に搭載された上述の例による、多数の電子モジュール2500の例を示している。図15A及び15Bでは、第2の冷却循環装置は、ラックレベルの冷却システムに接続される。特に、多数の電子モジュールが並列に接続される。各電子モジュールは、図1A~9Bを参照して上述したタイプのものであってもよい。
【0296】
図15Aの例では、上記の図1Aを参照して説明したタイプの単一の外部冷却システムが、ラック2510内の電子モジュール2500の各々に供給された二次液体冷却剤を冷却するために使用される。言い換えれば、第2の液体冷却剤は、第2の熱交換器を介して冷却され、熱は、第3の液体冷却剤又は冷却剤媒体に伝達される。
【0297】
図15Bでは、第2の冷却循環装置の第2の液体冷却剤は、施設レベルの冷却システム、例えば、図1Bを参照して上述した主水によって供給される施設レベルの冷却水システムに接続することによって、より低い温度の第2の液体冷却剤を供給される(常に補充される)。
【0298】
熱交換器において熱伝導性接合面を備え、冷却モジュール(又は低温プレート)が並列に配置された第2の冷却循環装置を備えるシステム
上述したように、複数の電子モジュールを冷却するためのシステムのための様々なシステムは、熱交換器18を活用する。熱交換器18は、電子モジュール10のハウジング内に存在する。熱交換器18は、第1の循環システム20内の第1の冷却液体(典型的には、ハウジングを通って循環して、ハウジング内の電子デバイス12の一部を少なくとも部分的に浸漬する)、及び第2の循環システム22内の第2の冷却液体(低温プレート及び熱交換器の直列又は並列構成が使用されているかどうかに応じて、典型的には、低温プレート14、16及び/又は熱交換器18を通って循環する)からの熱の伝達のために使用される。熱は、熱交換器18内の第1の冷却液体から第2の冷却液体に伝達される。
【0299】
上述したように、既述のシステムで使用される熱交換器18は、プレート熱交換器であり得る。プレート熱交換器は、少なくとも第1のチャンバ及び第2のチャンバを備え、これらは、熱伝導性接合面(各チャンバの少なくともいくらかの部分内)によって互いに分離される。そのような熱交換器18は、少なくとも第1のチャンバを通る第1の液体冷却剤の流れ、及び少なくとも第2のチャンバを通る第2の液体冷却剤の流れのために構成される。それぞれの冷却剤が各チャンバを通って流れるとき、熱は、熱伝導性接合面を通して第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される。典型的には、各チャンバは、所与のチャンバを通るそれぞれの液体冷却剤の流れを可能にするために、単一の注入及び排出ポートを有する。チャンバは、流体的に結合されていないことによって熱的に結合され、熱交換器内で第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤とが混合することはない。
【0300】
既述のプレート熱交換器は、図1A~3Bを参照して上述したシステムの構成のいずれかで使用され得る(熱交換器が低温プレートと直列に配置されているシステム、又は熱交換器が低温プレートと並列に配置されているシステムを含む)。そのような熱交換器は、システムの様々な構成要素間で適切なコネクタを使用する必要がある。例えば、低温プレート125a、125bが典型的なプレート熱交換器170と並列に配置されている図8Aのシステムを提供するためには、ハウジングの壁にある入口145と熱交換器170との間の双方向入口マニホールド221、及びハウジングの壁にある出口180と熱交換器170との間の双方向出口マニホールド251の使用が必要である。そのような構成は効果的に動作するが、双方向入口マニホールド221及び双方向出口マニホールド251は、電子モジュールハウジング110の容積内の追加のスペースを必要とする。電子デバイスが冷却されるためのスペースを最大化するために、ハウジング110の容積内で冷却システムによって占有されるスペースを低減することが好ましい。
【0301】
これを念頭に置いて、熱交換器のための新規構成が本発明者らによって提案されている。熱交換器の新規構成は、図16~18を参照して説明され、第2の循環冷却装置の並列分岐を有するシステムにおける新規の熱交換器の実装態様は、図19A~22Bを参照して考察される。熱交換器のための新規構成の使用は、特に、第2の循環冷却装置の並列構成を有するシステムを特に参照して考察されるが、上記の図1A及び1B、並びに図2A及び2Bのシステムに関して考察したように、熱交換器のための同様の構成は、第2の循環冷却装置(冷却モジュール及び第1の液体冷却剤との熱熱交換のための機構を直列に有する)の直列構成を有するシステム内で使用され得ることが理解されるであろう。
【0302】
熱交換器700の新規構成を通る流れの例を図16に示す。同じ熱交換器の内部構造の例を図17に示す。図16及び17の熱交換器は、熱交換器の熱伝導性接合面を通過する並列供給部を有する。しかしながら、熱交換器700の新規構成はまた、熱伝導性接合面への直列供給部を採用することができ、これは図18に示される。しかしながら、図16及び17の熱交換器、並びに図18の熱交換器の一般的な概念は、第2のチャンバが2つの入口(入口ポート)及び2つの排出口(出口ポート)、並びにそれらを通る少なくとも2つの経路を有するという点で同じである。各経路は、入口ポートと出口ポートとの異なる組み合わせ間の液体冷却剤のための経路を提供し、経路のうちの少なくとも1つは、熱が熱交換器の他のチャンバに通ることができる熱伝導性接合面を通らないか、又は熱伝導性接合面と接触しない。全ての経路は、流体接続され、熱交換器の任意の他のチャンバと流体分離されている熱交換器の同じチャンバ内に存在する。
【0303】
前述したプレート熱交換器の典型的な構成と同様に、図16、17、及び18に示される熱交換器の各々は、熱伝導性接合面705によって互いに分離された第1及び第2のチャンバを備える。第1のチャンバは、第1の冷却液体がそこを通って流れるように配置され、第2のチャンバは、第2の冷却液体がそこを通って流れるように配置される。電子モジュールのハウジング又はシャーシの壁795は、図16に記されている。熱交換器の本体(第1及び第2のチャンバを収容する熱交換器の部分及び熱伝導性接合面)は、ハウジング又はシャーシの中にある。
【0304】
第1の冷却液体は、経路710(図16、17、及び18に破線矢印で記されている)上の第1のチャンバを通って、単一の注入口In(注入ポート715)と単一の排出口Out(排出ポート720)との間を流れる。第1のチャンバを通る経路上を移動する第1の冷却液体は、接合面における2つの液体間の温度勾配に従って、熱接合面705の反対側の別の液体冷却剤への(又はそれからの)熱伝達を可能にする、1つ以上の熱接合面705を通り、これに接触する。しかしながら、熱接合面705は、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の物理的バリアとして作用する(したがって、第1の液体冷却剤と第2の液体冷却剤とが混ざることが防止される)。
【0305】
図16、17、及び18に示される熱交換器では、第1のチャンバを通る経路710は、常に、第1の注入口In(注入ポート715)から、第1の排出口Out(排出ポート720)まで、第1のチャンバに延びる。しかしながら、図16及び17に表される熱交換器において、第1のチャンバを通る経路は、異なる熱伝導性接合面(又は熱プレート)を通過する並列分岐を備えることが分かる。対照的に、図18に示される熱交換器の第1のチャンバを通る経路は、熱伝導性接合面(又は熱プレート)を直列に通過する。
【0306】
図16、17、及び18に示される熱交換器の第2のチャンバは、2つの注入口In2A+2B及びIn2B(注入ポート725、730)、並びに2つの排出口Out2A及びOut2B+2C(排出ポート735、740)を有する。全ての場合において、第2のチャンバを通る3つの経路が画定され、各経路は、第2の液体冷却剤を注入ポートと排出ポートとの異なる組み合わせ間で案内する。
【0307】
第1の経路745(図17及び18の点線状の矢印)は、第1の第2のチャンバ注入口In2A+2B(注入ポート725)から、第1の第2のチャンバ排出口Out2A(排出ポート735)に直接案内される。第2の経路750(図17及び18の実線矢印)は、第1の第2のチャンバ注入口In2A+2B(注入ポート725)から案内され、第1のチャンバとの1つ以上の熱接合面705を通過し、次いで、第2の第2のチャンバ排出口Out2B+2C(排出ポート740)に案内される。最後に、第3の経路755(図16の破線状の矢印)は、第2の第2のチャンバ注入口In2C(注入ポート730)から、直接第2の第2のチャンバ注入口Out2B+2C(注入ポート740)に案内される。第1の経路745及び第2の経路750は共通の注入口である、第1の第2のチャンバ注入口In2A+2Bを共有し、一方、第2の経路750及び第3の経路755は、共通の排出口である、第2の第2のチャンバ注入口Out2B+2Cを共有することが分かる。しかしながら、第1の経路745は、個々の共有されていない排出口である、第1の第2のチャンバ排出口Out2Aを有し、第3の経路755は、個々の共有されていない注入口である、第2の第2のチャンバ注入口In2Cを有する。第2のチャンバを通る3つの経路745、750、755は全て、流体接続され、第1のチャンバから物理的に(及び流体的に)分離されている。
【0308】
図16及び17の熱交換器を通る第2の経路は、図18の熱交換器が考えた第2の経路とは異なる形態であることが分かる。しかしながら、両方の場合において、第2の経路は、第1の第2のチャンバ注入口In2A+2B(注入ポート725)から、第1のチャンバとの1つ以上の熱接合面705を通り、第2の第2のチャンバ排出口Out2B+2C(排出ポート740)に進む。特に、図16及び17の熱交換器内の第2の経路は、第2の経路の並列分岐上で1つ以上の熱接合面705を通過し、一方、図18の熱交換器内の第2の経路は、直列構成において1つ以上の熱接合面705を通過する。これらの特定の例において、第2の経路が熱伝導性接合面を通るのに対し、第1及び第2の経路は通らないという要件を除いて、第2のチャンバを通る特定の経路は限定されないことが理解されるであろう。
【0309】
既述の熱交換器の第2のチャンバに入った第2の冷却液体は、3つの経路745、750、755のうちの1つを取り得る。各経路を取る第2の液体冷却剤の割合は、各経路を通る相対流量、及び入口点によって異なる。第2の経路750のみが熱接合面705と接触し、熱は、第1のチャンバ内の第1の液体冷却剤から伝達される。したがって、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤への熱伝達は、理想的には、少なくとも第1の経路上の第2の液体冷却剤が745熱接合面705を通して伝達される熱のいずれも受け取らないように、第2の経路750上で主に行われる。
【0310】
既述の構成では、各チャンバは、熱交換器700内の任意の他のチャンバから物理的に分割された熱交換器700の一部分と考えることができる。第1のチャンバ内の冷却流体は、熱交換器700の本体内の任意の経路を介して第2のチャンバに入ることはできない。異なる経路が各チャンバを通って提供され得るが、様々な経路は、その長さに沿った1つ以上の点で別の経路とぶつかり、合流することになる。合流点は、共通の注入口又は排出口(例えば、In2A+2B、又はOut2B+2C)であってもよく、チャンバ内の2つの経路の合流又は交差の結果であってもよい。チャンバ内の各個々の経路は、チャンバ内の他の全ての個々の経路と交差及び/又は直接接触することはできないが、単一の所与のチャンバ内の全ての経路は、流体接続されている。
【0311】
チャンバを通る経路は、所与の第1の点と第2の点との間の通路(チャンバへの注入口及び排出口)を表すことが理解されるであろう。これらの点の間に、フィン若しくは他の突出部が提供され得るか、又は熱伝達のための表面積を増加させるための他の機構が提供され得る。特定の経路は、直列構成(図18に示される第2の経路など)を有し得るか、又はそれ自体がチャンバを通る並列分岐(図16及び17に示される第2の経路など)を有し得る。しかしながら、流体は、その経路上の全ての流体の開始点と終了点(チャンバへの注入口及び排出口)が同じである場合、単一の経路を通過すると考えられる。
【0312】
上記のように、熱交換器700の既述の新規構成は、熱交換器にある熱伝導性接合面705及び冷却モジュール(又は低温プレート)が第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐上に配置されたシステムにおける使用に特に有利であり得る。特に、第2の冷却循環装置の第1の分岐は、第2のチャンバを通る(ここでは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間の熱伝導性接合面705を通るか、又はそれと接触する)既述の第2の経路745を備え得る。第2の冷却循環装置の第2の分岐は、第2のチャンバ(熱伝導性接合面705を介して熱を受け取ることなく熱交換器を通過する)を通る既述の第1の経路745と、冷却モジュール(又は低温プレート)と、次いで熱交換器の第2のチャンバを通る第3の経路755と、を備え得る。このようにして、冷却循環装置の第2の分岐を通過する第2の液体冷却剤(熱交換器700の第2のチャンバを通って第1の745及び第3の755経路を通過する)は、熱交換器(熱交換器の第2のチャンバを通る第2の経路750上にある)において1つ以上の熱伝導性接合面705を効果的に迂回する。このように、熱交換器にある熱伝導性接合面705と低温プレートとは、並列に配置される。
【0313】
熱交換器700の第2のチャンバを通る第1の経路745、第2の経路750、及び第3の経路755の各々を通る第2の液体冷却剤の流量は異なる場合がある。各経路を介して第2の液体冷却剤の相対流量(又はチャンバを通過する液体冷却剤の全体積の割合)は、冷却モジュール又は低温プレートにおける冷却力と比べて、熱伝導性接合面705(冷却循環装置において第1の液体冷却剤を冷却している)における冷却力のバランスをとるか、又は調整するために選択され得る。例えば、第1の経路745と比べて、熱交換器の第2のチャンバを通る第2の経路750を通る相対流量を増加させることによって、冷却モジュールを通る液体冷却剤よりも、より多くの体積の第2の液体冷却剤が熱伝導性接合面705を介して送られる。これは、冷却モジュールを介した第2の電子デバイスからの容量よりも、第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に吸収されるべき熱のより大きな容量を提供する。
【0314】
第1の経路745及び第2の経路750の各々を通る第2の液体冷却剤の相対流量は、注入口725、730、及び排出口735、740ポートの各々にわたる相対流体圧力勾配(又は圧力降下)を制御することによって調整することができる。圧力勾配は、順番に、経路の各々に寄与する注入ポート又は排出ポートにあるアパーチャ又は開口部のサイズを変更することによって制御され得る。例えば、出口735にあるオリフィスプレート内のノズルの直径又はアパーチャのサイズを第1の経路745に調整することは、冷却モジュールを通る相対流量の変化をもたらす。代替的に、流れは、熱交換器と冷却モジュールとの間の注入及び排出導管の相対直径を変更することによって制御することができる。
【0315】
一例では、熱交換器の第2のチャンバを通る第1の経路745に寄与する排出ポート735の流体圧力勾配は、第2の経路750に寄与する排出ポート740の流体圧力勾配よりも低くてもよい。これは、第2の経路750と比べて、第1の経路745(したがって、上記の例では、熱交換器と冷却モジュールとの間の注入及び排出導管)を通る流量よりも少ない流量をもたらす。
【0316】
熱交換器にある熱伝導性接合面705及び冷却モジュール(又は低温プレート)が第2の冷却循環装置の並列な第1及び第2の分岐に配置されているシステムの特定の構成では、第1の経路745(冷却モジュールを備える第2の冷却循環装置の分岐内にある)は、第2の経路750を通る流量(熱伝導性接合面705を備える第2の冷却循環装置の分岐内にある)の50%以下の流量を有し得る。なお更なる例では、第1の経路745は、第2の経路750を通る流量よりも35%以下の流量を有し得る。この後者の例は、第2の経路750(及び第2の冷却循環装置の第2の分岐)を通過する約75%以上と比べて、共通注入口In2A+2Bを介して入り、次いで第1の経路745(及び第2の冷却循環装置の第1の分岐)を通過する第2の冷却液体の全体積の約25%以下に相当する。各経路を通る流量は、第2のチャンバを通る全流量の一部と考えることもでき、したがって、第1の経路745が与えられた例では、第2のチャンバを通る第2の冷却液体の全流量の25%以下の流量を有し得る。
【0317】
流量を設定又は選択することは、第1の誘電性冷却剤と接触する第1の電子デバイス(単数又は複数)によって生成された熱が、冷却モジュールが結合されている第2の電子デバイスによって生成された熱よりも大きい場合に有益であり得る。上述したように、熱交換器を通って冷却モジュールに進む冷却剤のバランスは、注入ポート及び排出ポートにおける圧力降下又は圧力勾配を制御することによって制御することができる(おそらく、チャンバを通る1つの経路の出口のオリフィスプレートにある異なる直径のノズル、コネクタ又は開口部を使用する)。
【0318】
図19A及び19Bは、図1A及び1B、図2A及び2B、並びに図3A及び3Bを参照して上述したような液体冷却剤の2つの協働循環ループを含む、ハイブリッド冷却システムを有する電子モジュールの例示的な構成を示す。図19A及び19Bの例は、熱交換器にある熱伝導性接合面及び冷却モジュール(又は低温プレート)が、第2の冷却循環装置のそれぞれの並列な第1及び第2の分岐上に配置されているシステムを示す。図19A及び19Bのシステムは、上述したように、第2のチャンバを通る第1及び第2の経路を有する熱交換器を組み込む。
【0319】
図19A及び19Bの電子モジュールは、上述した図1A及び1B、図2A及び2B、並びに図3A及び3Bの例と共通の特徴部を共有する。特に、図19A及び19Bの電子モジュール10はまた、第1の電子デバイス12と、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16(図示されないが、それぞれの第2及び第3の電子デバイスに結合されている)と、熱交換器318と、を備える。しかしながら、ここで、熱交換器318は、例えば、図16、17、又は18を参照して説明したタイプのものである。
【0320】
図19A及び19Bの例における第1の冷却循環装置20の構成は、図3A及び3Bに関して上述した構成と実質的に同じである。しかしながら、第2の冷却循環装置22の構成は、上述した例の各々と比べて異なる。特に、図19A及び19Bの例では、電子モジュール10に入ると、第2の冷却液体は、熱交換器318に直接送られる。熱交換器318への第2の液体冷却剤の流れは、熱交換器の第2のチャンバ内の2つの経路を通過するように分割される(図16~18を参照して上述したように)。熱交換器318の第2のチャンバを通る経路のうちの1つのみが、熱伝導性接合面と接触しており、熱伝導性接合面を通して、熱が第1の液体冷却剤から第2の液体冷却剤に伝達される。
【0321】
図19A及び19Bに示される電子モジュール10の第2の冷却循環装置22では、システムが使用されているとき、第2の液体冷却剤は、電子モジュール10のハウジングにある第1の注入口を通して電子モジュールに入り、熱交換器318にある第2のチャンバへの第1の注入口310に直接入り、第2のチャンバは、それを通る第1及び第2の経路を有する。第2のチャンバを通る第1の経路及び第2の経路の両方が、第1の注入口310を介して、熱交換器318にある第2のチャンバに第2の液体冷却剤を受け取る。
【0322】
熱交換器318内に入ると、熱交換器の第2のチャンバを通る第1の経路は、第2の液体冷却剤の第1の部分を熱交換器318の第2のチャンバからの第1の排出口315に直接導く。第1の経路は、第1のチャンバとの熱伝導性接合面を経由せず、第1の経路に沿って通る第2の液体冷却剤の第1の部分は、伝達される熱を受け取らず、熱伝導性接合面を介して第1の液体冷却剤を形成する。
【0323】
熱交換器318を通る第2の経路は、第1のチャンバとの熱伝導性接合面を越える第2の液体冷却剤の第2の部分を導く。このように、第2の液体冷却剤の第2の部分は、熱伝導性接合面を介して、熱交換器318の第1のチャンバ内の第1の液体冷却剤から伝達された熱を受け取る。熱交換器318を通る第2の経路は、熱交換器318の第2のチャンバから第2の排出口320に第2の液体冷却剤の第2の部分を導く。
【0324】
熱交換器318の第2のチャンバを通って第1の経路を通過し、第2のチャンバ315から第1の排出口を出た第2の液体冷却剤の第1の部分は、第1及び第2の冷却モジュール14、16(それぞれ、第2の電子デバイス及び第3の電子デバイスに結合されている)に送られる。ここで、熱は、各冷却モジュール14、16の熱接合面を介して、第2の液体冷却剤の第1の部分に伝達される。次いで、第2の液体冷却剤の第1の部分は、熱交換器318の第2のチャンバへの第2の注入口325へと、熱交換器318の第2のチャンバを通る第3の経路上に導かれる。第3の経路は、図16~18を参照して上述したように、熱伝導性接合面を経由しない。第3の経路では、第2の液体冷却剤の第1の部分は、第1の部分に再合流し、熱交換器318の第2のチャンバから第2の排出口320において熱交換器を出て、第1の部分と混ざり、混合される。
【0325】
このようにして、熱交換器318の第2のチャンバを通る第1の経路又は第2の経路のいずれかを通過するように第2の液体冷却剤を分割することは、第2の冷却循環装置を、並列に配置される2つの別個の分岐に分割することを意味することが理解されるであろう。第2の冷却循環装置の第1の分岐は、第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16に送られ、次いで、熱交換器318の本体を通って戻る第3の経路において第2の分岐に再合流し、熱交換器318から共通排出部320の外に導かれる。第2の冷却循環装置の第2の分岐は、熱交換器318の熱伝導性接合面(完全に熱交換器318内に残っている)を経由して、熱交換器318からの共通排出部320の前に第1の分岐に再合流する。
【0326】
図3A及び3Bの例と同様に、図19A及び19Bの第2の冷却循環装置22の配置では、第2の液体冷却剤は、熱交換器318において第1の液体冷却剤から熱を受け取る部分とは別の部分が、第2及び第3の電子デバイスから(冷却モジュール14、16を介して)の熱を受け取る。熱交換器318と比べて、冷却モジュール14、16の冷却性能のバランスをとるために、各分岐を通る第2の液体冷却剤の流れを注意深く制御することができる。例えば、第1及び第2の分岐の各々を通る相対流量は、冷却モジュール14、16又は熱交換器318内の熱伝導性接合面のいずれかでより大きな冷却力を提供するように調整され得る。
【0327】
図19Aによる電子モジュール10は、図1A、2A、及び3Aに関して上述した外部冷却システムと同一のラック30を介して、外部冷却システムに接続される。図19Bによる電子モジュールは、図1B、2B、及び3Bに関して上述した外部冷却システムと同一のラック30を介して、外部冷却システムに接続される。
【0328】
図19A及び19Bのシステムでは、第1の冷却循環装置は、図1A~3Bを参照して考察したシステムに関して上述したものと同じ特徴及び利点を有し得る。特に、第1の冷却循環装置20は、浸漬冷却を提供し得、第1の液体冷却剤は誘電体である。上述したように、第1の液体冷却剤の液体レベルは、システムが使用されているとき、第1の液体冷却剤が第1の冷却モジュール14及び第2の冷却モジュール16と直接接触しないが、少なくとも部分的に第1の電子デバイス12に浸漬するようなものであり得る。
【0329】
図19A及び図19Bで検討されるシステムの具体的な実装態様は、以下でより詳細に説明される。
【0330】
図20Aを参照すると、図19A及び17B(冷却モジュール及び熱交換器の熱伝導性接合面は、第2の冷却循環装置内の並列分岐上に配置されている)を参照して上述した電子モジュール100の例の具体的な実装態様が示されている。電子モジュールは、モジュール又はサーバブレードであり得、一般的なサーバラック(図示せず)内に適合するように適切な寸法及び外側コネクタを有する。同じ電子モジュール100が、図20B及び図20Cに示され、これらは各々、モジュールの異なる斜視図を描いている。システム内の熱交換器のポートの拡大画像を図22に示す。
【0331】
電子モジュールは、基部、壁、及び蓋を有し、密封可能であり得る外側ハウジング又は筐体110を有する。複数の電子デバイス(又は発熱構成要素)がハウジング内に搭載される。場合によっては、構成要素は、ハウジングの基部、蓋、又は壁に接続され得るプリント回路基板(PCB)120上に搭載され得る。既述のシステムは、電子デバイスによって生成された熱を電子モジュール内から除去することを目的としている。
【0332】
第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)は、電子モジュール内に搭載された複数の電子デバイスのうちの特定の電子デバイスを冷却するために使用される。第2の冷却循環装置(又は第2の冷却ループ)は、他の発熱構成要素を冷却するために使用される。例えば、第2の冷却循環装置には、より大きな冷却力が提供され得、したがって、第1の冷却循環装置によって冷却された構成要素よりも多くの量の熱を生成する特定の構成要素を冷却するために使用される。第2の冷却循環装置はまた、第1の冷却循環装置内で循環する第1の液体冷却剤を冷却するために使用される。
【0333】
図20A、20B、及び20Cに描かれた例では、電子モジュールは、浸漬冷却を提供する第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を有する。第1の冷却循環装置は、電子モジュールのハウジング110内に完全に格納される。特に、第1の液体冷却剤は、電子モジュールの密封可能なハウジング内に格納され、冷却されるべきいくつかの構成要素120が少なくとも部分的に第1の液体冷却剤に浸漬される。第1の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジング110の容積内に格納されており、第1の液体冷却剤の貯留部と考えることができる。
【0334】
第1の液体冷却剤の貯留部からの第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口190において集められるか、又は受け取られる。ポンプ注入口190は、ポンプ185に向かう液体冷却剤の流れを改善するために成形され得る。ポンプ185は、第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を通して第1の液体冷却剤を移動させる。第1の液体冷却剤は、ポンプ185を通過し、パイプ195を通って熱交換器570内に移動する。熱交換器は、図16~18を参照して上で考察された構成を有する。第1の冷却液体は、注入口505を介して熱交換器570内の第1のチャンバに入り、第1のチャンバは、熱伝導性接合面によって第2のチャンバから分離される。第1の冷却流体に保持された熱は、熱伝導性接合面を介して第2の冷却流体に伝達され得、第2の冷却流体はまた、後述するように熱交換器570を通過する。このように、第1の液体冷却剤は、熱交換器570を通過するときに冷却される。理解されるように、熱交換器570に入る第1の液体冷却剤は、熱交換器570から出る第1の液体冷却剤よりも高い温度にある。
【0335】
図20A、20B、及び20Cの例では、パイプ200は、熱交換器170から排出口510を介して出る第1の冷却流体を運ぶために熱交換器に接続される。パイプ200の遠位端には、1つ以上の出口又はノズル205a、205bがある。図20A、20B、及び20Cの具体例では、出口又はノズル205aは、堰202a、202bへの入口を各々形成する。堰はヒートシンクとして作用し、第1の冷却循環装置の一部である。堰は、図12A~14Bに関して更に詳細に上述されている。しかしながら、第1の冷却循環装置は、既述の堰ヒートシンクを使用せずに構成され得る。例えば、ノズルは、熱交換器から出た第1の液体冷却剤を第1の電子デバイスの近くに分配するように、又はハウジング若しくはシャーシ(第1の電子デバイスが少なくとも部分的に浸漬されている)の第1の液体冷却剤の貯留部を通ってポンプ入口190に向かって第1の液体冷却剤を流れさせるように配置され得る。
【0336】
第1の冷却液体は、電子モジュール100のハウジング110の容積内に格納された第1の液体冷却剤の貯留部内に集められるまで、出口又はノズル205a、205bから出て、堰202a、202b(使用される場合)を通る。このようにして、熱交換器570を通過したより冷たい第1の液体冷却剤は、ハウジング110内の第1の液体冷却剤の槽又は貯留部に再導入され、貯留部に部分的に浸漬された任意の電子構成要素を冷却し得る。具体的には、冷却された第1の液体冷却剤は、電子デバイス120(それが接触している第1の電子デバイスを含む)の表面から熱を吸収することになる。最終的に、第1の液体冷却剤は、ポンプ注入口190で再び集められ、それによって、第1の冷却循環装置(又は第1の冷却ループ)を流れ終わる。
【0337】
図20A、20B、及び20Cはまた、第2の冷却循環装置を描いている。第2の冷却循環装置は、1つ以上の電子デバイスに各々搭載される、1つ以上の冷却モジュール又は低温プレート125a、125bを組み込む。理想的には、電子デバイスは、より高い性能の冷却を必要とする。低温プレート125a、125bは、第2の液体冷却剤(水など)を通過させることができるモジュール又はチャンバである。熱は、所与の電子デバイスに結合された低温プレートの搭載面を通る熱の伝導によって、電子デバイス130a、130bから低温プレート内の第2の液体冷却剤に伝達され得る。第2の冷却循環装置の低温プレート125a、125bは、図10A、10B、及び10Cに関して、上でより詳細に考察されている。図20A、20B、及び20Cの第2の冷却循環装置は、2つの低温プレートを並列に接続しているが、これらは、例えば、直列に接続することもできる。
【0338】
図20A、20B、及び20Cを参照すると、電子モジュールのハウジング110の壁にある入口145は、第1の熱交換器第2のチャンバ注入口515に直接接続し、熱交換器は、電子モジュールのハウジング110内に配置されている。具体的には、入口145は、熱交換器570の第2のチャンバの注入口515に直接接続する。入口145は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。第2の液体冷却剤は、入口145を介して電子モジュール内に受け取られる。入口145及び第1の熱交換器の第2のチャンバ注入口515は、一体物又は統一体であり得る。
【0339】
図16~18を参照して上で考察したように、図20A、20B、及び20Cのシステム内の熱交換器は、第2のチャンバを通る少なくとも2つの経路を備え、ここでは、第2のチャンバを通る3つの経路を備える。第2の冷却循環装置の第1の分岐では、第2の液体冷却剤の第1の部分は、第1の経路を介して熱交換器570の本体を直接通過し、第1の熱交換器の第2のチャンバ排出口520に進む。第1の注入導管135は、第2の液体冷却剤の第1の部分を更なる注入マニホールド150に輸送するために、第1の熱交換器の第2のチャンバ排出口520に接続される。第2及び第3の注入導管140a、140bは、更なる注入マニホールドに接続される。第2及び第3の注入導管140a、140bは、それぞれの低温プレート125a、125bに各々接続される。このようにして、第2の冷却流体の第1の部分は、電子モジュール内の低温プレート125a、125bの各々に並列に輸送され得る。次いで、図10A、10B、及び10Cに関して上述したように、第2の液体冷却剤は、低温プレートを通過する。
【0340】
排出導管155a、155bは、それぞれの低温プレート125a、125bの各々に接続される。排出導管155a、155bは、低温プレート125a、125bの各々から出る第2の液体冷却剤の第1の部分を並列に受け取る。排出導管155a、155bは、排出導管165に接続された更なる排出マニホールド160に接続される。排出導管165は、第2の液体冷却剤の第1の部分を、熱交換器570のハウジングに配置された第2の熱交換器の第2のチャンバ注入口525に導く。次いで、第2の液体冷却剤の第1の部分は、熱交換器570を通る第3の経路に導かれる。後述するように、第2の液体冷却剤の第1の部分は最終的に第2の液体冷却剤の第2の部分に再合流する。
【0341】
第2の冷却循環装置の第2の分岐では、第2の液体冷却剤の第2の部分は、第2の経路を介して熱交換器570の第2のチャンバを通過する。第2の経路は、熱交換器570の第1のチャンバと第2のチャンバとの間の熱伝導性接合面を経由する。このようにして、第2の液体冷却剤の第2の部分は、熱伝導性接合面に接触し、熱伝導性接合面を介して第1の液体冷却剤から伝達される熱を受け取る。熱伝導性接合面を通過した後、第2の経路は、熱交換器570の第2のチャンバを通る第3の経路に合流する。したがって、第2の液体冷却剤の第1及び第2の部分(及び第2の冷却循環装置の第1及び第2の分岐)が再合流する。
【0342】
第2の冷却循環装置の第1及び第2の分岐が熱交換器570内で再合流した後、第2の液体冷却剤は、第2の熱交換器の第2のチャンバ排出口530を介して熱交換器570から出る。これにより、第2の液体冷却剤は、電子モジュールのハウジングの壁にある出口180に直接送られる。出口180は、簡易着脱コネクタを含む、任意の好適なタイプのコネクタであり得るコネクタを備える。出口180及び第2の熱交換器の第2のチャンバ排出口530は、同じ単一の統一物であり得る。
【0343】
図20A、20B、及び20Cには示されていないが、入口145及び出口180は、冷却システム又は第2の液体冷却剤供給部に(例えば、必要に応じて、入口145及び出口180に接続された更なるパイプによって)各々接続され得る。これは、図22A及び22Bに関して、以下で更に詳細に考察される。
【0344】
有利には、図20A、20B、及び20Cを参照して説明したシステムは、図8A、8B、及び8Cに関して上述したように、第1及び第2の並列分岐を有する第2の循環システムの全ての利点を有する。例えば、既述のシステムは、低温プレート125a、125bの両方を可能にし、熱交換器570にある熱伝導性接合面を介した熱交換を可能にし、最低温度の第2の液体冷却剤から利益を得る。更に、この構成は、低温プレート125a、125bと比べて、熱交換器570の熱伝導性接合面における流量(及び冷却性能)のバランスをとることを可能にする。そのようなバランスは、例えば、第1及び第2の熱交換器の第2のチャンバ排出口505、530の各々の開口サイズを変更することによって達成されてもよい。更に、図8A、8B、及び8Cに示されるシステムの構成と比べて、図20A、20B、及び20Cのシステムは、設計の様々な構成要素(例えば、ハウジングへの入口145及び出口180が熱交換器にある入口515及び出口530に直接接続するように)を接合する導管及びコネクタの数及び長さを低減させる。これにより、電子モジュールの内部の熱交換器570を接続するために必要なスペースが大幅に削減され、接続の複雑さ及びそれらの間の漏れの可能性も低減される。したがって、この設計はよりスペース効率が良く、失敗する可能性が低い。更に、既述のシステムは、一般的な入口及び出口ポートを有する電子モジュールのハウジング110のモジュール設計を可能にする。
【0345】
図22A及び22Bは、電子モジュール100がラック400内に接続されているときの図20A、20B及び20Cの第1及び第2の冷却循環装置の概略図を示す。電子モジュール内の第1及び第2の冷却循環装置の配置は、図22A及び22Bの両方の例について同じである。しかしながら、電子モジュールに低温の第2の液体冷却剤を提供するための装置は、図22A及び22Bの2つの例の中で異なる。特に、図22Aの例における第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Aを参照して上述した外部冷却システムと同じである(すなわち、更なる熱交換器34を介して、第2の液体冷却剤から第3の冷却剤媒体への熱伝達)。図22Bの例では、第2の液体冷却剤を提供するための外部冷却システムは、図1Bを参照して上述した外部冷却システム(すなわち、冷却水供給部などの施設レベルの供給部からの第2の液体冷却剤の供給部)と同じである。
【0346】
図22A及び22Bの共通の態様を考慮すると、電子モジュール100のハウジング内で第1の液体冷却剤を循環させるためのポンプ入口190、ポンプ185、熱交換器570、及び堰202を有する第1の冷却循環システムが示されている。図22A及び22Bは、第1及び第2の冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125b、並びに熱交換器570を備える第2の冷却循環装置を更に示している。
【0347】
使用中、第2の液体冷却剤は、入口145を通して電子モジュールに受け取られ、第1の熱交換器の第2のチャンバ注入口505を介して熱交換器570の第2のチャンバに直接送られる。熱交換器570内では、第2の液体冷却剤は2つの分岐に分割される。第1の分岐は、第2の液体冷却剤を熱交換器570を出て、第1の熱交換器の第2のチャンバ排出口515に通過させ、並列に配置された2つの冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bに直接通過させる。冷却モジュール(又は低温プレート)125a、125bを通過した後、第1の分岐からの第2の液体冷却剤は、第2の熱交換器の第2のチャンバ注入口520を通して熱交換器570の第2のチャンバに再び入る。
【0348】
使用中、第2の冷却循環装置の第2の分岐は、熱伝導性接合面と接触する熱交換器570の第2のチャンバを通る経路に沿って通過する。熱は、熱伝導性接合面を介して、第1の液体冷却剤(熱交換器570の第1のチャンバを通って流れる)から受け取られてもよい。その後、熱交換器570を出る前に、第2の冷却循環装置の第2の分岐は、熱交換器570の第2のチャンバ内の第1の分岐と再合流する。次いで、第2の冷却液体は、熱交換器の第2のチャンバからの共通の第2の排出口530を介して、熱交換器570から出て、電子モジュールの壁内の出口180を直接通過する。
【0349】
電子モジュールの入口145及び出口180は、電子モジュール100が搭載されているサーバラック400で、入口405又は出口410マニホールドに各々接続され得る。入口145及び出口180は、簡易着脱コネクタを介して、サーバラック400の入口マニホールド405及び出口マニホールド410に接続され得る。
【0350】
熱交換器の特定の構成が図16~18に関して考察されたが、熱交換器の第1のチャンバ又は第2のチャンバのうちの1つが2つ以上の注入口及び/又は排出口を有する熱交換器の他の構成が想定され得ることが理解されるであろう。各場合において、少なくとも2つの経路が同じチャンバを通して配置され、そのチャンバは、2つ以上の注入口及び/又は2つ以上の排出口を有する。各場合において、少なくとも2つの経路のうちの2つ以上は、少なくとも1つの共通の注入口及び/又は排出口を共有する。しかしながら、経路のうちの少なくとも1つは、経路のうちの別のものとは異なる注入口及び/又は排出口の組み合わせを含む。このようにして、経路は全て流体的に接続されているが、熱交換器の所与のチャンバを通る各別個の経路は、コネクタの異なる組み合わせの間で異なる経路を提供する。異なる経路にもかかわらず、相対流量を調整して、異なる体積の液体冷却剤を各別個の経路に通過させることができる。
【0351】
図23(a)、23(b)、及び23(c)は、既述の構成に従って、熱交換器の単一のチャンバ(第2のチャンバなど)を通って形成され得る様々な異なる経路のほんの一部を示す。いくつかの経路のみが、別個のチャンバ内を流れる液体冷却剤との熱交換のための熱伝導性接合面と接触して配置される(ここで、その別個のチャンバを通る流れは、図23(a)、23(b)又は23(c)に示されていない。図23(a)は、共通の注入口を各々有するが、別個の排出口を有する2つの経路を有するチャンバを示している。図23(b)は、共通の注入口を各々有するが、別個の排出口を有する2つの経路を有するチャンバの更なる例を示している。図23(c)は、第1の経路が第2の経路と共通の注入口及び別個の排出口を有し、第3の経路が第2の経路と別個の注入口及び共通の排出口を有する、3つの経路を有するチャンバの例を示している。
【0352】
様々な既述の実施形態のいくつかの組み合わせは、当業者によって想定され得る。本明細書に開示される特徴の全ては、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせてもよい。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用され得る。同様に、非本質的な組み合わせで説明される特徴は、別々に(組み合わせてではなく)使用されてもよい。
【0353】
本明細書に開示された各特徴は、特に明記しない限り、同じ、同等又は類似の目的を果たす代替特徴によって置き換えられ得る。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴は、同等又は類似の特徴の一般的な一連の一例にすぎない。
【0354】
特許請求の範囲を含む、本明細書で使用される場合、文脈が別段の指示をしない限り、本明細書の用語の単数形は、複数形を含むものとして解釈されるべきであり、文脈が許容する場合、その逆もまた同様である。例えば、文脈が別段の指示をしない限り、「a」又は「an」などの特許請求の範囲に含まれる本明細書における単数形の参照は、「1つ以上」を意味する。本開示の説明及び特許請求の範囲全体を通して、単語「含む(comprise)」、「含む(including)」、「有する(having)」及び「含む(contain)」、並びに単語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」又は類似のものは、記載された特徴が続く追加の特徴を含み、他の構成要素の存在を排除することを意図するものではなく(及び意図するものではない)ことを意味する。
【0355】
本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(「例えば」、「例えば」、「例えば」、及び同様の言語など)の使用は、単に本開示をよりよく説明することを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲の限定を示すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、請求されていない要素が本開示の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0356】
本明細書に記載されている任意のステップは、明記されていない限り、又は文脈が別途要求しない限り、任意の順序で、又は同時に実行され得る。更に、ステップがステップの後に実行されていると説明される場合、これは、介在するステップが実行されることを排除するものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21
図22A
図22B
図23(a)】
図23(b)】
図23(c)】
【国際調査報告】