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特表2023-550392ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置
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  • 特表-ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置 図1
  • 特表-ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置 図2
  • 特表-ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置 図3
  • 特表-ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G01S7/497
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530025
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2021081186
(87)【国際公開番号】W WO2022106271
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102020130481.1
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター,デヴィッド
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AC02
5J084AD03
5J084BA04
5J084BA36
5J084CA03
5J084CA22
5J084CA65
5J084EA17
(57)【要約】
【課題】ライダーの視野窓上の汚染を検出するための、従来技術に対して改善された方法及び改善された装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ライダーの視野窓における汚染を検出するための方法及び装置に関し、ライダーの送信器を用いて、レーザビームが検出領域に送信され、ライダーの受信器を用いて、検出領域に存在する光が検出される、方法及び装置において、レーザビームの送信に起因して反射されて検出された光から、レーザ反射の強度のグレー値画像としての強度画像が生成され、レーザビームを送信せずに検出された光から、背景光のグレー値画像としての背景光画像が生成され、-強度画像及び背景光画像が、共通の特徴に関して分析され、-共通の特徴が所定数を下回ると、視野窓における汚染が推定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法であって、
前記ライダーの送信器を用いて、レーザビームを検出領域に送信し、
前記ライダーの受信器を用いて、前記検出領域に存在する光を検出し、
前記レーザビームの送信に起因して反射されて検出された光から、レーザ反射の強度のグレースケール画像としての強度画像を生成し、
レーザビームを送信せずに検出された光から、背景光のグレースケール画像としての背景光画像を生成し、
前記強度画像及び前記背景光画像を、共通の特徴に関して分析し、
共通の特徴が所定数を下回ると、前記視野窓上に汚染があると推定することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記レーザビームを、パルス状に送信する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記背景光画像を、前記レーザビームを送信する直前に求める
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記強度画像及び前記背景光画像において、構造物(B)及び/又は車両(V)及び/又は窓(W)の特徴を求める
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記強度画像及び前記背景光画像において、エッジ検出アルゴリズムを用いてエッジを検出する
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
検出されたエッジに基づき、エッジ間隔及び/又はエッジ位置を特徴として求める
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
ライダーに接続されており、且つ請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法を実施するように構成されているデータ処理ユニットを含む、ライダーの視野窓における汚染を検出するための装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置を含む、自動車。
【請求項9】
自動化車両として構成された、請求項8記載の自動車。
【請求項10】
自動車における、請求項1~請求項6のいずれか一項記載の方法又は請求項7記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の文頭に記載のライダーの視野窓上の汚染を検出するための方法に関する。
【0002】
更に本発明は、請求項7の文頭に記載のライダーの視野窓上の汚染を検出するための装置に関する。
【0003】
ライダーの視野窓上の汚染の検出は、特に自動化車両、例えばレベル3以上の自動化車両にとっての課題である。汚染によりセンサの性能が低下し、ひいては前述のシステムの安全性及び可用性が限定される。ライダーは能動的なセンサであり、送信器、例えば1つ以上のレーザダイオードと、受信器、例えば1つ以上のアバランシェフォトダイオード、特に単一光子アバランシェダイオードと、を有する。
【0004】
下記特許文献1から、ライダーシステムにおいて、汚染を検出するための方法が公知であり、この方法は以下のステップを有する。
-送信ユニットによりライダーシステムの周囲への電磁ビームの指向性の放射を行うステップであって、送信ユニットから放射された電磁ビームが、少なくとも送信ユニットの放射方向においてライダーシステムと周囲との境界を成す出射窓を介して、周囲に送信されるステップ;
-送信ユニットから放射され、出射窓の表面においてライダーシステムへと後方散乱された電磁ビームの部分を汚染センサによって検出するステップであって、汚染センサが電磁ビームを検出するための単一のダイオード、1Dアレイ検出器又は2Dアレイ面検出器である、且つ/又は、汚染センサが受信ユニットに統合されている、ステップ;
-汚染センサの検出を評価することによって、出射窓の汚染を確認するステップ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2017 222 618 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ライダーの視野窓上の汚染を検出するための、従来技術に対して改善された方法及び改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する方法と、請求項7に記載の特徴を有する装置と、によって解決される。
【0008】
本発明の有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0009】
本発明によれば、ライダーの視野窓、例えばフロントガラス上の汚染を検出するための方法が提案され、この方法においては、
ライダーの送信器を用いて、レーザビームが検出領域に送信され、
ライダーの受信器を用いて、検出領域内に存在する光が検出される。
【0010】
本発明によれば、
レーザビームの送信に起因して反射されて検出された光から、レーザ反射の強度のグレースケール画像としての強度画像が生成され、
レーザビームを送信せずに検出された光から、背景光のグレースケール画像としての背景光画像が生成され、
強度画像及び背景光画像が、共通の特徴に関して分析され、
共通の特徴が所定数を下回る場合、視野窓上に汚染があると推定される。
【0011】
センサの内部から能動的に照明することにより、背景光に対する反射の強度は、視野窓の汚染について種々の感度を示すため、汚染の評価が可能である。
【0012】
一実施形態では、レーザビームは、パルス状に送信される。
【0013】
一実施形態では、背景光画像は、レーザビームが送信される直前に求められる(決定される)。背景光画像及び強度画像の狭い時間間隔での一連の記録は、特に、走行中の自動車において本方法を使用する場合に有利である。何故ならば、2つのグレースケール画像において、ほぼ同じシーンが記録されるからである。
【0014】
一実施形態では、強度画像及び背景光画像において、構造物及び/又は車両及び/又は窓の特徴が求められる。
【0015】
一実施形態では、強度画像及び背景光画像において、エッジ検出アルゴリズムを用いてエッジが検出される。
【0016】
一実施形態では、検出されたエッジに基づいて、エッジ間隔及び/又はエッジ位置が特徴として求められる。
【0017】
本発明の一態様によれば、ライダーの視野窓上の汚染を検出するための装置が提案され、この装置は、ライダーに接続されており、且つ上述の方法を実施するように構成されているデータ処理ユニットを含む。
【0018】
更に、その種の装置を含む自動車、特に自動化車両、例えばレベル3以上の自動化車両が提案される。
【0019】
更に、上述の方法又は上述の装置の自動車における使用が提案される。ライダーをナビゲーションに使用する、トラック、バス又はロボットのような他の自律的なプラットフォームに対する使用も同様に考えられる。
【0020】
以下では、本発明の実施例を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】視野窓が汚れていない場合のライダーを用いて取得された、反射されたレーザビームの強度のグレースケール画像の概略図である。
図2】視野窓が汚れていない場合のライダーを用いて検出された、背景光のグレースケール画像の概略図である。
図3】視野窓に水滴が付いている場合のライダーを用いて取得された、反射されたレーザビームの強度のグレースケール画像の概略図である。
図4】視野窓に水滴が付いている場合のライダーを用いて取得された、背景光のグレースケール画像の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
全ての図において、相互に対応する部分には、同一の参照符号が付されている。
【0023】
本発明は、ライダーの視野窓、例えばフロントガラス上の汚染を検出するための方法に関する。ライダーは能動的なセンサであり、少なくとも1つの送信器、例えば1つ以上のレーザダイオードと、少なくとも1つの受信器、例えば1つ以上のアバランシェフォトダイオード、特に単一光子アバランシェダイオードと、を有する。本発明に係る方法では、送信器が、パルス状のレーザビームを送信し、受信器が、検出領域内の物体によるレーザビームの反射を検出する。適切な受信器においては、距離情報の他に、反射の強度及びシーンの背景光のような付加的な情報も提供される。この場合、それらの付加的な情報は、視野窓の汚染に対して種々の感度を示す。例えば、送信器がレーザビームを送信することなく、例えばレーザビームを送信する直前に、受信器によってグレースケール画像が記録されることによって、背景光を求めることができる。
【0024】
図1は、視野窓が汚れていない場合における、ライダーを用いて取得された、以下では強度画像と称する、反射されたレーザビームの強度のグレースケール画像の概略図である。図2は、視野窓が汚れていない場合における、ライダーを用いて取得された、以下では背景光画像と称する、背景光のグレースケール画像の概略図である。いずれの図においても、構造物B、車両V及び窓Wを目視によって識別できる。
【0025】
従って、それらの付加的な情報を提供するライダーでは、画像処理方法を用いて、強度画像及び背景光画像の適切な特徴、例えばエッジ、特に道路標識又は構造物の壁における窓の枠が、分析の対象となる。分析としては、比較が採用される。画像処理の分野から公知であるエッジ検出アルゴリズムを使用することにより、背景光画像及び強度画像からエッジを抽出することができる。結果として得られた2つのエッジ画像について、例えばエッジ間隔、エッジ位置等のエッジ特徴が算出され、続いて相互に比較される。この比較により、強度画像と背景光画像との類似性についての尺度が得られる。共通する特徴の数が、所定の閾値を上回る場合、画像は類似していると解釈され、汚染はないと推定される。
【0026】
図3及び図4に示すように、共通の特徴が少数しか発見されない場合、又は共通の特徴が発見されない場合、即ち、共通の特徴の数が所定の閾値を上回らない場合、画像は類似していないと解釈され、視野窓が汚染されていると推定される。
【0027】
図3は、視野窓に水滴が付いている場合の、ライダーを用いて取得された、以下では強度画像と称する、反射されたレーザビームの強度のグレースケール画像の概略図である。図4は、視野窓に水滴が付いている場合の、ライダーを用いて取得された、以下では背景光画像と称する、背景光のグレースケール画像の概略図である。図4における背景光画像では、はっきりと確認できる構造物B、車両V及び窓Wが、図3における強度画像では、識別が困難であるか、又は識別できない。
【0028】
閾値は、センサ固有に規定することができる。本方法は、ライダーの全体の検出領域に対して、又は局所的な汚染検出のためのあるセクションに対して使用することができる。
【0029】
例えば単色の壁又は空を記録する場合等、ライダーセンサの視野内に構造体/エッジが少数しか存在しない場合又は構造体/エッジが存在しない場合、汚染検出のための上記で提案した方法は、機能が制限される可能性がある。しかしながら、道路交通において使用する場合、その種のシナリオは例外である。汚染検出のために必要とみなされる、センサ視野内の特徴、特に構造体及び/又はエッジの最小数は、センサ固有に規定することができる。
【符号の説明】
【0030】
B 構造物
V 車両
W 窓
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】