(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】可変金型、プレス装置及びプレス方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/26 20060101AFI20231124BHJP
B21D 37/02 20060101ALI20231124BHJP
B30B 15/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B21D22/26 C
B21D37/02 Z
B30B15/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530258
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 KR2021015627
(87)【国際公開番号】W WO2022119144
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0165772
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジェ―ウク
【テーマコード(参考)】
4E050
4E137
【Fターム(参考)】
4E050BA01
4E050BA03
4E137AA05
4E137BA01
4E137BB01
4E137BC01
4E137CA09
4E137CA24
4E137EA06
4E137FA02
4E137FA10
4E137FA12
4E137FA22
4E137GA03
4E137GB01
4E137HA01
4E137HA08
(57)【要約】
本発明の実施例に係る可変金型は、第1下部金型部及び上記第1下部金型部の上側に配置される第1上部金型部を含み、上記第1下部金型部は、第1下部金型センター部及び第1下部金型サイド部を含み、上記第1下部金型センター部は距離を測定する第1センサ部を含み、上記第1下部金型サイド部は傾斜面が形成された内側部材、上記内側部材を上記第1下部金型センター部の方向に移動させる駆動部を含み、上記第1センサ部は、上記第1センサ部から素材までの距離である成形距離を測定し、上記駆動部は、上記成形距離に基づいて駆動されて上記内側部材の移動距離である補正距離を調整することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1下部金型部と、
前記第1下部金型部の上側に配置される第1上部金型部と、を含み、
前記第1下部金型部は、
素材が安着され、第1センサ部が備えられた第1下部金型センター部と、
前記第1下部金型センター部の側面に設置される第1下部金型サイド部と、を含み、
前記第1下部金型サイド部は、
上部から下部に向かうにつれて、前記第1下部金型センター部に近づく傾斜面が形成された内側部材と、
前記内側部材を前記第1下部金型センター部の方向である第1方向に移動させる駆動部と、を含み、
前記第1上部金型部は、
前記第1下部金型センター部の上側に配置され、前記第1下部金型センター部に向かって下方移動する第1上部金型センター部と、
前記第1上部金型センター部の側面に設置され、下方に移動し、下方移動時に前記傾斜面にガイドされて前記第1下部金型センター部の側面に回転移動する第1上部金型サイド部と、を含み、
前記第1センサ部は、前記第1センサ部から前記素材までの距離である成形距離を測定し、
前記駆動部は、前記成形距離に基づいて駆動されて前記内側部材の移動距離である補正距離を調整する、可変金型。
【請求項2】
前記第1下部金型部を調節する制御部を含み、
前記第1下部金型サイド部は、
前記補正距離を測定する第2センサ部を含み、
前記制御部は、前記第1センサ部、前記第2センサ部及び前記駆動部と連結される、請求項1に記載の可変金型。
【請求項3】
前記制御部は、最終成形しようとする製品と前記第1センサ部との間の距離である目標距離と前記成形距離との差である成形誤差値に基づいて前記補正距離を調整する、請求項2に記載の可変金型。
【請求項4】
前記制御部は、
第1素材が成形された後、前記内側部材を前記第1素材の成形誤差値に基づいて第1位置から第2位置に移動させ、
前記第1素材の次に引き込まれる第2素材を成形する間、前記内側部材を第2位置に維持させ、
前記第2素材が成形された後、前記内側部材を前記第2素材の成形誤差値に基づいて第2位置から第3位置に移動させる、請求項3に記載の可変金型。
【請求項5】
前記第1下部金型センター部は、
前記第1下部金型センター部の側面に形成され、且つ前記素材に向かって形成され、前記第1下部金型センター部の高さ方向の中間部分に形成される観察孔を含み、
前記第1センサ部は、前記観察孔に配置される、請求項1に記載の可変金型。
【請求項6】
前記第1下部金型サイド部は、
前記内側部材の外側に配置される外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間に配置され、前記駆動部に連携され、前記駆動部によって前記第1方向と交差する方向である第2方向に移動する楔部材と、をさらに含み、
前記楔部材は、
前記外側部材と接し、前記第2方向に水平に形成される外側面と、
前記内側部材と接し、前記第2方向に傾斜した形態で形成される内側面と、を含み、
前記内側部材は、前記楔部材の前記第2方向移動によって前記第1方向に移動する、請求項1に記載の可変金型。
【請求項7】
前記外側面と前記内側面とがなす角度である楔角は、少なくとも45度よりも小さく形成される、請求項6に記載の可変金型。
【請求項8】
前記駆動部は、
ステップモータと、
前記ステップモータに結合されたスクリュー棒と、を含み、
前記楔部材は、
前記第2方向に沿ってねじ山が形成された貫通孔を含み、
前記スクリュー棒は、前記貫通孔にねじ結合により挿入される、請求項6に記載の可変金型。
【請求項9】
前記第1下部金型サイド部は、前記第1下部金型センター部の両側に一対が備えられ、
前記制御部は、前記駆動部を個別に制御する、請求項2に記載の可変金型。
【請求項10】
前記第1下部金型センター部は、前記素材に形成された位置固定孔に挿入される第1突出タブが上面に形成された、請求項1に記載の可変金型。
【請求項11】
プレス本体と、
前記プレス本体に設置され、素材を一次成形する予備金型と、
前記プレス本体に設置され、スプリングバックによる成形誤差を補正しながら前記素材を二次成形する請求項1から10のいずれか一項に記載の可変金型と、を含む、プレス装置。
【請求項12】
前記予備金型は、
前記素材が安着される第2下部金型部と、
前記第2下部金型部の上側に配置され、前記第2下部金型部に向かって下方移動する第2上部金型部と、を含む、請求項11に記載のプレス装置。
【請求項13】
前記プレス本体に設置され、前記素材に形成された位置固定孔に挿入される第2突出タブが上面に形成された位置調整ブロックを含む、請求項11に記載のプレス装置。
【請求項14】
前記プレス本体に設置され、前記素材を吸着固定し、前記素材を前記位置調整ブロック、前記予備金型、前記可変金型に順次移動させる移送ユニットを含む、請求項13に記載のプレス装置。
【請求項15】
第1設定距離で定められた成形条件の可変金型で第1素材を成形する第1プレス段階と、
前記第1素材と前記可変金型の第1センサ部との間の距離である第1成形距離を測定する成形距離測定段階と、
前記第1設定距離と前記第1成形距離との差に基づいて次回目の設定距離である第2設定距離を決定する設定距離補正段階と、
前記第2設定距離で定められた成形条件の前記可変金型で前記第1素材の次に引き込まれる第2素材を成形する第2プレス段階と、を含む、プレス方法。
【請求項16】
前記設定距離補正段階は、以下の数式によって次回目の設定距離A
n+1を決定する、請求項15に記載のプレス方法。
A
n+1=T+(A
n-B
n)
ここで、Aは前記設定距離、Bは前記成形距離、nは繰り返し回数であって、「n=1、2、3…」であり、Tは最終成形しようとする製品と前記第1センサ部との間の距離である目標距離であり、最初の設定距離A
1は前記目標距離と同じである。
【請求項17】
前記第1プレス段階の前に行われ、予備金型で前記第1素材を成形する予備成形段階をさらに含む、請求項15に記載のプレス方法。
【請求項18】
前記可変金型は、請求項1から10のいずれか一項に記載の前記可変金型である、請求項15に記載のプレス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変金型、プレス装置及びプレス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業では、素材の高強度化の傾向に伴い、曲げ工法を適用する場合が増加している。素材の曲げ加工において必然的に発生するスプリングバック(spring back)は、素材の弾性係数及び厚さ方向の応力分布などの複合的な原因により発生する現象であり、これを正確に予測して補正することは容易ではない。
【0003】
曲げ加工分野では、スプリングバックを予測して製品成形の精度を向上させるための試みが行われている。一例として、特定素材の物性に基づいてスプリングバックを補正するための成形金型を生産工程に追加する方法が用いられている。
【0004】
しかし、このような方法は、素材の物性に応じて別途の成形金型を作製しなければならないため、効率的でないという問題がある。また、このような方法により行ったとしても、目標とするスプリングバック補正の効果を達成できないという問題がある。
【0005】
すなわち、上記成形金型を作製するために使用されたサンプルと実際に加工される素材の物性が同一であっても、加工環境が変わると、目標とするスプリングバック補正の効果が現れないという問題がある。
【0006】
一例として、高強度のコイル鋼板のような素材は、巻き取られている位置や巻き取られた張力の差等によって成形前の内部応力がサンプルと異なることがあり、これによって物性が同一であっても、目標とするスプリングバック補正の効果を達成できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2010-0002958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、素材のスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができる可変金型、プレス装置及びプレス方法を提供することを目的とする。
【0009】
他の側面において、本発明は、素材のスプリングバックを補正するために成形条件をリアルタイムで変更することができる可変金型、プレス装置及びプレス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例に係る可変金型は、第1下部金型部及び上記第1下部金型部の上側に配置される第1上部金型部を含み、上記第1下部金型部は素材が安着され、第1センサ部が備えられた第1下部金型センター部及び上記第1下部金型センター部の側面に設置される第1下部金型サイド部を含み、上記第1下部金型サイド部は、上部から下部に向かうにつれて上記第1下部金型センター部に近づく傾斜面が形成された内側部材、及び上記内側部材を上記第1下部金型センター部の方向である第1方向に移動させる駆動部を含み、上記第1上部金型部は、上記第1下部金型センター部の上側に配置され、上記第1下部金型センター部に向かって下方移動する第1上部金型センター部、及び上記第1上部金型センター部の側面に設置され、下方に移動し、下方移動時に上記傾斜面にガイドされて上記第1下部金型センター部の側面に回転移動する第1上部金型サイド部を含み、上記第1センサ部は、上記第1センサ部から上記素材までの距離である成形距離を測定し、上記駆動部は、上記成形距離に基づいて駆動されて上記内側部材の移動距離である補正距離を調整することができる。
【0011】
また、本発明の実施例に係るプレス装置は、プレス本体、上記プレス本体に設置され、素材を一次成形する予備金型及び上記プレス本体に設置され、スプリングバックによる成形誤差を補正しながら上記素材を二次成形する上記可変金型を含むことができる。
【0012】
そして、本発明の実施例に係るプレス方法は、第1設定距離で定められた成形条件の可変金型で第1素材を成形する第1プレス段階、上記第1素材と上記可変金型の第1センサ部との間の距離である第1成形距離を測定する成形距離測定段階、上記第1設定距離と上記第1成形距離との差に基づいて次回目の設定距離である第2設定距離を決定する設定距離補正段階、及び上記第2設定距離で定められた成形条件の上記可変金型で上記第1素材の次に引き込まれる第2素材を成形する第2プレス段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の可変金型、プレス装置及びプレス方法は、素材のスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができるという利点がある。
【0014】
他の側面において、本発明の可変金型、プレス装置及びプレス方法は、素材のスプリングバックを補正するために成形条件をリアルタイムで変更することができるという利点がある。
【0015】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係るプレス装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る予備金型を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る可変金型を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る第1下部金型部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る第1下部金型サイド部を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る第1下部金型センター部の断面を示す正面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る第1下部金型センター部の断面を示す正面図である。
【
図8】本発明の実施例に係るプレス方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。
【0018】
図1は、本発明の実施例に係るプレス装置を示す斜視図である。上記図を参照すると、プレス装置は、プレス本体200、予備金型300、可変金型100を含むことができる。
【0019】
ここで、上記プレス本体200は、上記予備金型300、上記可変金型100が設置される本体の役割を果たす。また、上記プレス本体200には位置調整ブロック500が設置されることができる。
【0020】
上記位置調整ブロック500は、上記素材mに形成された上記位置固定孔maに挿入される第2突出タブ500aが上面に形成されることができる。ここで、上記位置調整ブロック500は、上記第2突出タブ500aによって特定位置に上記素材mを位置させることができる。
【0021】
上記予備金型300は上記プレス本体200に設置され、上記素材mを一次成形する。上記予備金型300に対する説明は、
図2を参照して後述する。
【0022】
上記可変金型100は上記プレス本体200に設置され、上記予備金型300で一次成形した上記素材mの伝達を受けて、スプリングバック(spring back)による成形誤差を補正しながら上記素材mを二次成形する。上記可変金型100に対する説明は、
図3~
図7を参照して後述する。
【0023】
さらに、本発明の実施例に係るプレス装置は移送ユニット400を含む。上記移送ユニット400は上記プレス本体200に設置され、上記素材mを吸着固定し、上記素材mを上記位置調整ブロック500、上記予備金型300、上記可変金型100に順次移動させる。
【0024】
上記素材mは、上記第2突出タブ500aによって常に上記位置調整ブロック500の同一位置に提供される。これによって、上記移送ユニット220は常に同じ位置で上記素材mの移動を開始するようになる。これによって、上記素材mの移動誤差を改善することができる。
【0025】
図2は、本発明の実施例に係る予備金型300を示す斜視図である。上記図を参照すると、上記予備金型300は、第2下部金型部310、第2上部金型部320を含む。
【0026】
そして、上記第2下部金型部310は、第2下部金型センター部311、第2下部金型サイド部312を含む。上記第2下部金型センター部311は、上記プレス本体200の下部に固定される部材である。上記第2下部金型サイド部312は、上記第2下部金型センター部311の外側に配置され、膨張スプリングなどによって上方に弾性力を受ける部材である。また、上記第2下部金型サイド部312は、上記第2上部金型部320が下方移動することによって下方に押されながら下方に移動する。
【0027】
上記第2上部金型部320は、第2上部金型センター部321、第2上部金型サイド部322を含む。上記第2上部金型センター部321は、上記膨張スプリングなどによって下方に弾性力を受ける部材である。上記第2上部金型センター部321は、下方に移動して上記素材mの上面に接触した後に、上記第2下部金型センター部311によって上方に押されながら上方に移動する。そして、上記第2上部金型サイド部322は、上記第2上部金型センター部321の外側に配置され、上記プレス本体200の上部に固定される部材である。
【0028】
このような構成により、上記素材mは、中央部分が上記第2上部金型センター部321と上記第2下部金型センター部311との間に密着して固定される。上記素材mの両側部分は、下方に移動する上記第2上部金型サイド部322によって上記第2下部金型センター部311の側面に向かって曲げられながら成形される。
【0029】
図3は、本発明の実施例に係る可変金型100を示す正面図であり、
図4は、本発明の実施例に係る第1下部金型部110を示す斜視図であり、そして
図5は、本発明の実施例に係る第1下部金型サイド部112を示す平面図である。
【0030】
上記図を参照すると、上記可変金型100は、第1下部金型部110、第1上部金型部120を含むことができる。
【0031】
ここで、上記第1下部金型部110は、第1下部金型センター部111、第1下部金型サイド部112、第2センサ部118を含む。
【0032】
上記第1下部金型センター部111には、上記素材mが安着される。そして、上記第1下部金型センター部には第1センサ部117が備えられる。上記第1センサ部117は、上記第1センサ部117から上記素材mまでの距離である成形距離Bを測定する。これに対する説明は、
図6及び
図7を参照して後述する。
【0033】
上記第1下部金型サイド部112は、上記第1下部金型センター部111の側面に設置される。そして、上記第1下部金型サイド部112は、内側部材114、駆動部116を含む。
【0034】
上記内側部材114は、上部から下部に向かうにつれて上記第1下部金型センター部111に近づく傾斜面114aが形成される。そして、上記駆動部116は、上記内側部材114を上記第1下部金型センター部111の方向である第1方向xに移動させる。上記第2センサ部118は、上記内側部材114の移動距離である補正距離を測定する。
【0035】
そして、本発明の実施例に係る上記第1下部金型サイド部112は、外側部材113、楔部材115をさらに含むことができる。
【0036】
上記外側部材113は、上記内側部材114の外側に配置される部材である。上記楔部材115は、上記内側部材114と上記外側部材113との間に配置される。また、上記楔部材115は、上記駆動部116に連携され、上記駆動部116によって上記第1方向xと交差する方向である第2方向zに移動する。ここで、上記駆動部116は、上記成形距離に基づいて駆動され、上記補正距離を調整する。
【0037】
このために、上記楔部材115は、外側面115a、内側面115bを含む形態で備えられる。上記外側面115aは上記外側部材113と接し、上記第2方向zに水平に形成される。上記内側面115bは上記内側部材114と接し、上記第2方向zに傾斜した形態で形成される。
【0038】
上記楔部材115の上記第2方向zの移動によって、上記内側部材114は上記第1方向xに移動することになる。
【0039】
さらに、上記楔部材115は、上記外側部材113と上記内側部材114との間に挟まれる程度に応じて、上記内側部材114を移動させる距離を微細に調整することになる。このために、本発明の実施例に係る上記楔部材115の上記外側面115aと上記内側面115bとがなす角度である楔角θは、少なくとも45度より小さく形成される。すなわち、上記楔角θを45度より小さく形成することにより、上記楔部材115の第2方向zの移動距離に比べて上記内側部材114の第1方向xの移動距離を小さくすることができる。
【0040】
また、上記楔部材115は上記駆動部116と連結されて直線移動するように構成される。これにより、上記楔部材115は、上記外側部材113と上記内側部材114との間に挟まれる距離も微細調整することになる。
【0041】
ここで、本発明の実施例に係る上記駆動部116は、ステップモータ116b、上記ステップモータ116bに結合されたスクリュー棒116aを含む。そして、上記楔部材は、上記第2方向zに沿ってねじ山が形成された貫通孔115cを含む。また、上記スクリュー棒116aは、上記貫通孔115cにねじ結合により挿入される。
【0042】
上記楔部材115は、上記ステップモータ116bによって回転する上記スクリュー棒116aの回転量に応じて微細に移動距離が調整される。これにより、上記内側部材114が上記第1方向xに移動する距離は0.1mm以下に調整される。
【0043】
上記可変金型100は、上記第1下部金型部110を調節する制御部130を含むことができる。このために、上記制御部130は、上記第1センサ部117、上記第2センサ部118及び上記駆動部116と連結される。
【0044】
上記制御部130は、上記成形距離Bに基づいて上記駆動部116を駆動させて上記補正距離を調整する。さらに具体的に、上記制御部130は、最終成形しようとする製品と上記第1センサ部117との間の距離である目標距離Tと上記成形距離Bとの差である成形誤差値Sに基づいて、上記補正距離を調整する。上記成形距離Bと目標距離Tは、
図7の図示内容を参照することができる。ここで、上記最終成形しようとする製品は、上記素材mの最終の目的形状である。
【0045】
上記成形誤差値Sは、上記成形距離Bが上記目標距離Tより大きく測定される場合であるスプリングバック値、又は上記成形距離Bが上記目標距離Tより小さく測定される場合であるスプリングゴー(spring go)値を含む。ただし、ほとんどの素材mはスプリングバックが発生するため、以後ではスプリングバックが発生することを基準にして説明する。
【0046】
上記補正距離は、スプリングバックによる上記成形誤差値だけ上記素材mをさらにオーバーベンディング(overbending)するように調整される。すなわち、上記素材mにスプリングバックが発生した場合に、上記制御部130は、上記駆動部116を駆動させて上記内側部材114を上記第1方向xに移動させ、且つ上記第1下部金型センター部111に近づくように移動させる。
【0047】
一例として、上記制御部130は、第1素材が成形された後、上記内側部材114を上記第1素材の成形誤差値Sに基づいて第1位置から第2位置に移動させる。このとき、上記第1素材にはスプリングバックが発生した場合であるため、上記第2位置は、上記第1位置よりも上記第1下部金型センター部111に近い位置となる。
【0048】
次に、上記制御部130は、上記第1素材の次に引き込まれる第2素材を成形する間、上記内側部材114を第2位置に維持させる。このとき、上記第2素材は上記第1素材よりもオーバーベンディングされる。したがって、上記第2素材の上記成形距離Bは上記目標距離Tに一定部分が収束し、成形誤差値Sが減少する。
【0049】
また、上記制御部130は、上記第2素材の成形後、上記内側部材114を上記第2素材の成形誤差値Sに基づいて第2位置から第3位置に移動させる。したがって、第2素材の次に引き込まれる第3素材は、さらに成形誤差値Sが減少する。
【0050】
このように、上記制御部130は、繰り返し供給される上記素材mの成形誤差値Sを連続して補正する。これにより、上記成形誤差値Sは次第に減少することになる。
【0051】
本発明の実施例に係る上記第1下部金型サイド部112は、上記第1下部金型センター部111の両側に一対が備えられる。そして、上記制御部130は、上記駆動部を個別に制御する。上記駆動部116は、制御部130によって個別に制御される。
【0052】
すなわち、上記第1下部金型センター部111の一側面に隣接して設置される第1サイド部112aと、上記第1下部金型センター部111の他側面に隣接して設置される第2サイド部112bとで一対が備えられる。そして、上記第1サイド部112a及び上記第2サイド部112bに備えられている上記駆動部116は、上記制御部130によって個別に駆動されるものである。これにより、上記第1サイド部112a及び上記第2サイド部112bに備えられた上記内側部材114は、上記第1下部金型センター部111との間隔が互いに個別的に調整されるようになる。また、上記第1サイド部112a及び上記第2サイド部112bの備えられた上記内側部材114は、上記第1下部金型センター部111との間隔が互いに同一に調整されることもできる。
【0053】
上記第1下部金型センター部111は、上記素材mに形成された上記位置固定孔maに挿入されるように、上面に第1突出タブ111bが形成されることができる。
【0054】
これにより、上記素材mの成形時に、上記素材mの位置変動による成形誤差を改善することができるようになる。
【0055】
上記第1突出タブ111b及びこれに対応する上記位置固定孔maは一つのみ形成されてもよいが、複数個が形成されることで、さらに安定的に上記素材mの位置を固定することもできる。
【0056】
上記第2センサ部118は、上記外側部材113に設置される。これにより、上記第2センサ部118は、上記内側部材114と上記外側部材113との間の距離の変形量を測定することになる。上記内側部材114と上記外側部材113との間の距離の変形量は、上記補正距離と同じである。
【0057】
上記第2センサ部118が備えられることにより、上記補正距離をリアルタイムで測定することができる。
【0058】
上記第1上部金型部120は、上記第1下部金型部110と連携して上記素材mを成形する。すなわち、上記第1上部金型部120は、上記第1下部金型部110の方向yに移動し、上記素材mを加圧して成形する役割を果たす。このために、上記第1上部金型部120は上記第1下部金型部110の上側に配置されることができる。
【0059】
具体的に、本発明の実施例に係る上記第1上部金型部120は、第1上部金型センター部121、第1上部金型サイド部122を含む。
【0060】
上記第1上部金型センター部121は、上記第1下部金型センター部111の上側に配置され、上記第1下部金型センター部111に向かって下方移動する。上記第1上部金型サイド部122は、上記第1上部金型センター部121の側面に設置され、下方移動して上記内側部材114の傾斜面114aにガイドされ、上記第1下部金型センター部111の側面に回転移動する。
【0061】
上記第1上部金型センター部121は、上記第1下部金型センター部111と連携して上記素材mの中央部分を固定する。そして、上記第1上部金型サイド部122は、上記素材mの両側部分を上記第1下部金型センター部111の側面方向xに押しながら上記素材mを成形する。
【0062】
上記第1上部金型センター部121には、円弧状にガイド孔121aが形成される。そして、上記第1上部金型サイド部122は、回転ピン部材122aを含む。ここで、上記第1上部金型サイド部122が上記傾斜面114aに沿って下降する場合に、上記回転ピン部材122aは、上記ガイド孔121aに沿って移動する。これにより、上記第1上部金型サイド部122は回転移動することになる。
【0063】
さらに、上記第1上部金型サイド部122は、収縮スプリングである戻りスプリング122bを含むことができる。上記戻りスプリング122bは、両端部がそれぞれ上記第1上部金型サイド部122と上記第1上部金型センター部121に結合するように備えられる。これにより、上記第1上部金型部120が上記第1下部金型部110から離れるように移動する場合に、上記戻りスプリング122bによって上記第1上部金型サイド部122は、上記第1下部金型サイド部112の上記傾斜面114aを離脱しながら元の位置に戻るように駆動される。
【0064】
図6及び
図7は、本発明の実施例に係る第1下部金型センター部110の断面を示す正面図である。すなわち、
図6は、上記第1下部金型センター部111の両側面に向かって配置された第1センサ部117を全て含んで示したものである。そして、
図7は、一側の上記第1センサ部117のみを拡大して示しているが、上記素材mがスプリングバックによって成形誤差が発生した状態を示したものである。
【0065】
上記図を参照すると、本発明の実施例に係る上記第1下部金型センター部111は観察孔111aを含む。上記観察孔111aは、上記第1下部金型センター部111の側面に形成され、且つ上記素材に向かって形成される。そして、上記観察孔111aは、上記第1下部金型センター部111の高さ方向yの中間部分に形成される。また、上記観察孔111aには上記第1センサ部117が配置される。
【0066】
これにより、上記第1センサ部117は、上記第1下部金型センター部111の高さ方向yの中間部分に設置される。
【0067】
上記第1センサ部117は、上記第1下部金型センター部111の両側面に向かって距離を測定することができるように一対が備えられてもよい。ただし、これに限定されるものではなく、上記第1下部金型センター部111の一側面に向かって距離を測定することができるように一つのみが備えられてもよい。
【0068】
そして、上記第1センサ部117は、上記第1下部金型センター部111の高さ方向yの中間部分に備えられることにより、上記素材mとの距離測定の誤差を減らすことができる。すなわち、上記素材mは、少なくとも一つのベンディング部mbを含むように成形される。ところが、上記ベンディング部mbは、上記第1下部金型センター部111の上端部又は下端部に形成される。また、上記ベンディング部mbの周辺は、上記素材mの他の部分と比較して平坦度が維持されにくい。したがって、上記第1センサ部117は、上記ベンディング部mbによる影響が最小化された上記第1下部金型センター部111の高さ方向yの中間部分に備えられる。これにより、上記第1センサ部117は、上記素材mの平坦度の差による成形距離Bの誤差を改善するようになる。
【0069】
上記第1センサ部117は、上記観察孔111aを介して上記素材mと上記第1センサ部117との間の距離である成形距離Bを測定する。
【0070】
図8は、本発明の実施例に係るプレス方法を示すフローチャートである。上記プレス方法は、プレス段階SP1、SP2、成形距離測定段階SM、設定距離補正段階SCを含む。そして、上記プレス段階SP1、SP2は、第1プレス段階SP1、第2プレス段階SP2を含む。上記素材は、第1素材、第2素材を含む。設定距離Aは、第1設定距離A
n、第2設定距離A
n+1を含む。成形距離Bは、第1成形距離B
n、第2成形距離B
n+1を含む。
【0071】
そして、上記第1素材は、最初の素材に限定されるものではなく、複数回のプレス工程後に供給される素材であってもよい。上記第1設定距離Anは、最初の設定距離A1に限定されるものではなく、複数回のプレス工程後に定められる設定距離Anであってもよい。上記第1成形距離Bnは、最初の成形距離B1に限定されるものではなく、複数回のプレス工程後に定められる成形距離Bnであってもよい。
【0072】
ここで、上記第1プレス段階SP1は、ある一回目の設定距離Anである第1設定距離Anで定められた成形条件の可変金型100で第1素材を成形する段階である。ここで、上記可変金型100の成形条件は、上記第1設定距離Anに基づいて配置される上記内側部材114の位置である。
【0073】
上記成形距離測定段階SMは、上記第1プレス段階SP1の後に行われる。上記成形距離測定段階SMは、上記第1素材と上記可変金型100の第1センサ部117との間の距離である第1成形距離Bnを測定する段階である。すなわち、上記成形距離測定段階SMは、成形によってスプリングバックが発生した後の上記第1素材の形状に基づいて上記第1成形距離Bnを測定する。
【0074】
上記設定距離補正段階SCは、上記成形距離測定段階SMの後に行われる。上記設定距離補正段階SCは、上記第1成形距離Bnと上記第1設定距離Anとの差に基づいて次回目の設定距離An+1である第2設定距離An+1を決定する段階である。
【0075】
ただし、最終成形しようとする製品と上記第1センサ部117との間の距離である目標距離Tと上記第1成形距離Bnが同一である場合は、次回目の成形時に上記第1設定距離Anを補正する必要がない。したがって、上記目標距離Tと上記第1成形距離Bnが同じ場合には、上記設定距離補正段階SCは行われなくてもよい。
【0076】
また、本発明の実施例に係る上記設定距離補正段階SCは、以下の数式により次回目の設定距離An+1を設定する。
【0077】
An+1=T+(An-Bn)
【0078】
ここで、Aは上記設定距離である。Bは上記成形距離である。nは繰り返し回数であって、「n=1、2、3…」である。Tは、最終成形しようとする製品と上記第1センサ部との間の距離である目標距離である。そして、最初の設定距離A1は上記目標距離Tと同じである。
【0079】
一例として、目標距離Tが10mmであり、スプリングバックが発生して第1回目のプレス工程で測定された成形距離B1が12mmである場合を考慮すると、次の通りである。このとき、設定距離A1は上記目標距離Tと同じであるため10mmとなる。これによると、第2回目のプレス工程の設定距離A2は、上記数式によって8mmと決定される。
【0080】
仮に、第2回目のプレス工程で測定された成形距離B2が11mmである場合、第3回目のプレス工程の設定距離A3は上記数式によって7mmと決定される。すなわち、第3回目のプレス工程の設定距離A3が第2回目のプレス工程の設定距離A2よりも小さく決定される。このように決定された理由は、第2回目の設定距離による補正を行ったとしても、スプリングバックによる成形誤差の補正をさらに行う必要があるためである。
【0081】
また、第2回目のプレス工程で測定された成形距離B2が10mmの場合、第3回目のプレス工程の設定距離A3は、上記数式によって8mmと決定される。すなわち、第3回目のプレス工程の設定距離A3が第2回目のプレス工程の設定距離A2と同一に決定される。このように決定された理由は、第2回目の設定距離による補正によって、もはやスプリングバックによる成形誤差の補正を行う必要がないためである。
【0082】
また、第2回目のプレス工程で測定された成形距離B2が9mmである場合、第3回目のプレス工程の設定距離A3は、上記数式によって9mmと決定される。すなわち、第3回目のプレス工程の設定距離A3は、第2回目のプレス工程の設定距離A2よりも大きく決定される。このように決定された理由は、スプリングバックを考慮しても第2回目の設定距離による補正が過度であるためである。
【0083】
上記第2プレス段階SP2は、上記設定距離補正段階SCの後に行われる。上記第2プレス段階SP2は、上記第2設定距離An+1で定められた成形条件の上記可変金型100で上記第1素材の次に引き込まれる第2素材を成形する段階である。すなわち、上記第2プレス段階SP2は、上記第1素材の代わりに上記第2素材を成形し、さらに上記第1設定距離Anの代わりに上記第2設定距離An+1で定められた成形条件の可変金型100で成形する点のみが異なるだけで、素材をプレス加工によって成形する点では、上記第1プレス段階SP1と同様である。
【0084】
また、上記第2プレス段階SP2は、上記第2素材が供給された場合に行われるため、上記第2素材の供給の有無を確認した後に行われる。
【0085】
したがって、上記第2プレス段階SP2の後に、上記成形距離測定段階SM、設定距離補正段階SC、及び第2素材の次に引き込まれる第3素材を加工する第3プレス段階が連続して行われることができる。すなわち、素材が連続して供給される間は、本発明の実施例に係るプレス方法は連続して行われる。
【0086】
ここで、変更される上記可変金型100の成形条件は、上記第2設定距離An+1に基づいて変更される上記内側部材114の位置である。
【0087】
さらに、本発明の実施例に係る上記プレス方法は、予備成形段階SBを含むことができる。上記予備成形段階SBは、上記第1プレス段階SP1の前に行われる。そして、上記予備成形段階SBは、予備金型300で上記第1素材を成形する段階である。
【0088】
したがって、本発明の実施例に係る可変金型100、プレス装置及びプレス方法は、素材mのスプリングバックによる成形誤差を補正するための成形条件を変更することができる。さらに、このような成形条件をリアルタイムで変更することができる。
【0089】
これにより、本発明の実施例に係る可変金型100、プレス装置及びプレス方法は、素材mの物性及び高強度の素材が成形前に有していた形態とは関係なく、スプリングバックによる成形誤差を自動的に最小化することができる。
【0090】
以上のように、本発明の実施例について説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
【符号の説明】
【0091】
100:可変金型
110:第1下部金型部
111:第1下部金型センター部
112:第1下部金型サイド部
113:外側部材
114:内側部材
115:楔部材
116:駆動部
117:第1センサ部
118:第2センサ部
120:第1上部金型部
121:第1上部金型センター部
122:第1上部金型サイド部
200:プレス本体
130:制御部
300:予備金型
310:第2下部金型部
311:第2下部金型センター部
312:第2下部金型サイド部
320:第2上部金型部
321:第2上部金型センター部
322:第2上部金型サイド部
400:移送ユニット
500:位置調整ブロック
【国際調査報告】