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特表2023-550440電気化学装置およびそれを含む電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電気化学装置およびそれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/193 20210101AFI20231124BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20231124BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20231124BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20231124BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20231124BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/197 20210101ALI20231124BHJP
   H01M 50/198 20210101ALI20231124BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20231124BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20231124BHJP
【FI】
H01M50/193
H01M10/0569
H01M10/0567
H01G11/60
H01G11/74
H01M50/178
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M50/197
H01M50/198
H01G11/80
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530313
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2020129757
(87)【国際公開番号】W WO2022104590
(87)【国際公開日】2022-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉建禹
(72)【発明者】
【氏名】栗文強
(72)【発明者】
【氏名】鄭建明
(72)【発明者】
【氏名】徐帥
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA09
5E078AB01
5E078DA04
5E078DA14
5E078DA19
5E078KA01
5E078KA10
5H011AA02
5H011AA13
5H011BB04
5H011GG05
5H011HH02
5H011KK04
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM07
5H029DJ05
5H029EJ12
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ14
(57)【要約】
本発明は、電気化学装置およびそれを含む電子装置に関する。本発明は、電極と電解液とを含む電気化学装置であって、前記電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の表面上に位置する活物質層と、前記集電体上に位置するタブと、前記タブ上に位置するタブ保護層とを含み、前記タブ保護層は、第1ポリマー層を含み、前記第1ポリマー層の融点T℃は、110≦T≦136.5を満たし、前記電解液は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを含み、前記電解液の重量に基づいて、前記エチレンカーボネートの重量分率と前記プロピレンカーボネートの重量分率との合計は、Y%であり、Yは20~80であり、そして、YとTは、0.147<Y/T<0.7を満たす、電気化学装置を提供する。本発明の電気化学装置は、改良されたホットボックス性能および高温保存特性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学装置であって、電極と電解液とを含み、
前記電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の表面上に位置する活物質層と、前記集電体上に位置するタブと、前記タブ上に位置するタブ保護層とを含み、
前記タブ保護層は、第1ポリマー層を含み、
前記第1ポリマー層の融点T℃は、110≦T≦136.5を満たし、
前記電解液は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを含み、
前記電解液の重量に基づいて、前記エチレンカーボネートの重量分率と前記プロピレンカーボネートの重量分率との合計をY%とするとき、Yは20~80であり、そして、
YとTは、0.147<Y/T<0.7を満たす、電気化学装置。
【請求項2】
前記タブ保護層は第2ポリマー層をさらに含み、
前記第2ポリマー層の融点T℃は、T≦160を満たし、そして、
とTは、0<T-T≦50を満たす、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記第1ポリマー層は、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、およびポリエチレンのうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記第2ポリマー層は、ポリプロピレン樹脂を含む、請求項2に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記電解液は、プロピオン酸エステルをさらに含み、
前記プロピオン酸エステルの重量分率は、前記電解液の重量に基づいて、10%~60%である、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記プロピオン酸エステルは、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロプロピオン酸エチル、フルオロプロピオン酸プロピル、フルオロプロピオン酸ブチル、およびフルオロプロピオン酸ペンチルのうちの少なくとも1種を含み、
フルオロとは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されることである、請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記電解液は、トリメチルアセテート化合物をさらに含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記トリメチルアセテート化合物の構造式は、
【化1】

であり、
ここで、RはC~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10ハロアルキル、C~C10ハロアルケニル、ハロゲン、アリール、またはアミドである、請求項7に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記トリメチルアセテート化合物は、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルのうちの少なくとも1種を含む、請求項7に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記電解液は、ジニトリル化合物およびトリニトリル化合物のうちの少なくとも1種をさらに含み、
前記ジニトリル化合物は、
スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,12-ジシアノドデカン、テトラメチルスクシノニトリル、2-メチルグルタロニトリル、2,4-ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4-テトラメチルグルタロニトリル、およびエチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテルのうちの少なくとも1種をさらに含み、
前記トリニトリル化合物は、
1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,2,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,3-トリ(2-シアノエトキシ)プロパン、1,2,4-トリス(2-シアノエトキシ)ブタン、および1,2,5-トリス(シアノエトキシ)ペンタンのうちの少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電気化学装置を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵分野に関し、具体的には電気化学装置およびそれを含む電子装置、特にリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
スマート製品の普及と応用に伴い、携帯電話、ノートパソコン、カメラなどの電子製品に対する需要は年々増加している。リチウムイオン電池のような電気化学装置は、電子製品の動作電源として、エネルギー密度が高く、メモリー効果がなく、動作電圧が高いなどの特徴があり、次第に伝統的なNi-Cd、MH-Ni電池に取って代わっている。しかし、電子製品の軽量化や薄形化と携帯化の発展に伴い、リチウムイオン電池に対する要求は高まっており、サイクル安定性が良く、インピーダンスが小さく、自己放電が少なく、安全なリチウムイオン電池の開発は、市場の主要な需要の一つになっている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施例は、関連分野に存在する問題の少なくとも1つを、少なくともある程度解決しようとする電気化学装置を提供する。本発明の実施例は、当該電気化学装置を含む電子装置をさらに提供する。
【0004】
一つの実施例において、本発明は、電極と電解液とを含む電気化学装置を提供する。
【0005】
一つの実施例において、前記電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の表面上に位置する活物質層と、前記集電体上に位置するタブと、前記タブ上に位置するタブ保護層とを含む。前記タブ保護層は、第1ポリマー層を含み、当該第1ポリマー層の融点T℃は、110≦T≦136.5を満たす。
【0006】
一つの実施例において、前記電解液は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを含み、ここで、前記電解液の重量に基づいて、前記エチレンカーボネートの重量分率と前記プロピレンカーボネートの重量分率との合計は、Y%であり、Yは20~80であり、そして、YとTは、0.147<Y/T<0.7を満たす。
【0007】
いくつかの実施例において、前記タブ保護層は第2ポリマー層をさらに含み、前記第2ポリマー層の融点T℃は、T≦160を満たし、そして、TとTは、0<T-T≦50を満たす。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1ポリマー層は、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、およびポリエチレンのうちの少なくとも1種を含む。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第2ポリマー層は、ポリプロピレンおよびポリプロピレン変性樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
いくつかの実施例において、前記電解液は、プロピオン酸エステルをさらに含み、ここで、前記電解液の重量に基づいて、前記プロピオン酸エステルの重量分率は、10%~60%である。
【0011】
いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルは、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロプロピオン酸エチル、フルオロプロピオン酸プロピル、フルオロプロピオン酸ブチル、およびフルオロプロピオン酸ペンチルのうちの少なくとも1種を含み、ここで、フルオロとは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されていることである。
【0012】
いくつかの実施例において、前記電解液は、トリメチルアセテート化合物をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記トリメチルアセテート化合物の構造式は、
【化1】

であり、
ここで、RはC~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10ハロアルキル、C~C10ハロアルケニル、ハロゲン、アリール、またはアミドである。
【0014】
いくつかの実施例において、前記トリメチルアセテート化合物は、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルのうちの少なくとも1種を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記電解液は、ジニトリル化合物およびトリニトリル化合物のうちの少なくとも1種をさらに含み、
ここで、前記ジニトリル化合物は、
スクシノニトリル(succinonitrile)、グルタロニトリル(glutaronitrile)、アジポニトリル(adiponitrile)、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,12-ジシアノドデカン、テトラメチルスクシノニトリル、2-メチルグルタロニトリル、2,4-ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4-テトラメチルグルタロニトリル、およびエチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテルのうちの少なくとも1種をさらに含み、
前記トリニトリル化合物は、
1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,2,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,3-トリ(2-シアノエトキシ)プロパン、1,2,4-トリス(2-シアノエトキシ)ブタン、および1,2,5-トリス(シアノエトキシ)ペンタンのうちの少なくとも1種をさらに含む。
【0016】
別の実施例において、本発明は、本発明の実施例に記載の電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【0017】
本発明が提供する電気化学装置は、改良されたホットボックス(hot box)性能および高温保存特性を有する。
【0018】
本発明の実施例のさらなる態様および利点は、以降の説明において、部分的に説明/表示され、または本発明の実施例の実施によって解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明の実施例の説明を容易にするために、本発明の実施例または従来技術を説明するのに必要な添付図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における添付図面は、本発明における実施例の一部にすぎない。当業者にとっては、創造的な労力を必要としない前提で、依然としてこれらの図面に例示された構造に基づいて他の実施例の図面を得ることができる。
図1図1は、本発明の一つの実施例におけるタブと包装袋のパッケージ構造を示す。
図2図2は、本発明の一つの実施例におけるタブ保護層の構造を示す。
図3図3は、本発明の別の実施例におけるタブ保護層の構造を示す。
図4図4は、本発明の一つの実施例における電池構造およびタブ保護層の位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例は、以下に詳細に説明される。本発明の実施例は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
なお、本明細書において、量、比率、およびその他の数値を範囲形式で示すことがある。このような範囲形式は、利便性と簡潔性のために使用されることを理解すべきである。また、範囲制限として明示的に指定された数値だけでなく、各数値およびサブ範囲を明示的に指定するように、その範囲内に含まれるすべての個別の数値またはサブ範囲を含むことを柔軟に理解すべきである。
【0022】
具体的な実施形態および請求項の範囲において、用語「のうちの1方」、「のうちの1つ」、「のうちの1種」、または他の類似用語によって接続された項のリストは、リストされた項のいずれかを意味する。例えば、項Aおよび項Bがリストされている場合、フレーズ「AおよびBのうちの1方」は、AのみまたはBのみを意味する。他の実例において、項A、項B、および項Cがリストされている場合、フレーズ「A、BおよびCのうちの1方」は、Aのみ、BのみまたはCのみを意味する。項Aは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Bは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Cは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。
【0023】
具体的な実施形態および請求項の範囲において、用語「のうちの少なくとも1方」、「のうちの少なくとも1つ」、「のうちの少なくとも1種」、または他の類似用語によって接続された項のリストは、リストされた項の任意の組み合わせを意味する。例えば、項Aおよび項Bがリストされている場合、フレーズ「AおよびBのうちの少なくとも1方」は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBを意味する。他の実例において、項A、項B、および項Cがリストされている場合、フレーズ「A、B、およびCのうちの少なくとも1方」は、Aのみ、またはBのみ、Cのみ、AおよびB(Cを除く)、AおよびC(Bを除く)、BおよびC(Aを除く)、またはA、B、Cのすべてを意味する。項Aは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Bは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。項Cは、単一の要素または複数の要素を含んでいてもよい。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「アルキル」は、1~20個の炭素原子を有する直鎖飽和炭化水素構造であることが予想される。また、「アルキル」は、3~20個の炭素原子を有する分岐鎖または環状炭化水素構造であることが予想される。例えば、アルキル基は、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、1~10個の炭素原子を有するアルキル基、1~5個の炭素原子を有するアルキル基、5~20個の炭素原子を有するアルキル基、5~15個の炭素原子を有するアルキル基、または5~10個の炭素原子を有するアルキル基であり得る。特定の炭素数を有するアルキル基を指定する場合、その炭素数を有するすべての幾何異性体が含まれることが予想される。よって、例えば、「ブチル」とは、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびシクロブチルを含むことを意味し、「プロピル」とは、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピルを含むことを意味する。アルキル基の実例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、ノルボニルなどを含むが、これらに限定されない。また、アルキル基は任意に置換されてもよい。
【0025】
本明細書で使用されるように、用語「アルケニル」とは、直鎖または分岐鎖してもよく、かつ、少なくとも1つ、通常1つ、2つまたは3つの炭素-炭素二重結合を有する一価の不飽和炭化水素基を意味する。特に定義されない限り、前記アルケニル基は、一般的に2~20個の炭素原子を含み、例えば、2~20個の炭素原子を有するアルケニル基、6~20個の炭素原子を有するアルケニル基、2~12個の炭素原子を有するアルケニル基、または2~6個の炭素原子を有するアルケニル基であり得る。代表的なアルケニル基は、例えば、ビニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、n-ヘキサ-3-エニルなどを含む。また、アルケニル基は、任意に置換されてもよい。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「アリール」は、単環系および多環系を含む。多環は、2つの炭素を2つの隣接する環が共有する(前記環は「縮合している」である)2つ以上の環を有してよく、ここで、前記環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、複素環および/またはヘテロアリールであり得る。例えば、アリール基は、C~C50アリール基、C~C40アリール基、C~C30アリール基、C~C20アリール基、またはC~C10アリール基であり得る。代表的なアリール基は、例えば、フェニル、メチルフェニル、プロピルフェニル、イソプロピルフェニル、ベンジル、およびナフタレン-1-イル、ナフタレン-2-イルなどを含む。また、アリール基は、任意に置換されてもよい。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「ハロアルキル」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されるアルキル基を意味する。用語「ハロアルケニル」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されるアルケニル基を意味する。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを含む。
【0029】
上記置換基が置換される場合、それらの置換基はそれぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アリールからなる群から選択され得る。
本明細書で使用されるように、各成分の含有量は、電解液の重量に基づいて得られる。
【0030】
本明細書で使用されるように、用語「置換する」または「置換される」とは、1つ以上(例えば、2つ、3つ)の置換基で置換されてもよいことを意味する。例えば、「フルオロ」とは、1つ以上(例えば、2つ、3つ)のFで置換されてもよいことを意味する。
【0031】
[一、電気化学装置]
いくつかの実施例において、本発明は、電極と電解液とを含む電気化学装置を提供する。
【0032】
いくつかの実施例において、前記電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の表面上に位置する活物質層と、前記集電体上に位置するタブと、前記タブ上に位置するタブ保護層とを含み、前記タブ保護層は、第1ポリマー層を含み、前記第1ポリマー層の融点T℃は、110≦T≦136.5を満たす。
【0033】
いくつかの実施例において、前記電解液は、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを含み、ここで、前記電解液の重量に基づいて、前記エチレンカーボネートの重量分率と前記プロピレンカーボネートの重量分率との合計は、Y%であり、Yは20~80であり、そして、YとTは、0.147<Y/T<0.7を満たす。Y/Tがこの範囲内にあることで、電気化学装置の電気化学系の熱安定性を向上させ、さらにホットボックス性能を改善するとともに、リチウムイオン電池の高温保存特性を明らかに向上させることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、Tは、110、115、120、125、130、135、136、または136.5であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。Tがこの範囲内にあることで、電気化学装置の安全性を著しく向上させることができる。
【0035】
いくつかの実施例において、Yは、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、または80であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0036】
いくつかの実施例において、Y/Tの値は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.65、または0.7であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0037】
いくつかの実施例において、前記タブ保護層は第2ポリマー層をさらに含み、前記第2ポリマー層の融点T℃は、T≦160を満たし、そして、TとTは、0<T-T≦60を満たす。T-Tがこの範囲内にあることで、電気化学装置はより優れた安全性を有する。
【0038】
いくつかの実施例において、Tは、138、140、145、150、155、または160であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0039】
いくつかの実施例において、T-Tの値は、0.1、0.5、1、3、5、10、20、30、40、または50であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0040】
いくつかの実施例において、前記第1ポリマー層は、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、カルボキシル基含有ポリオレフィン樹脂、およびポリエチレンのうちの少なくとも1種を含む。
【0041】
いくつかの実施例において、前記第1ポリマー層は、三井化学のQE840、QFF551、デュポンのニュクレル(Nucrel)0910、デュポンのElvax、サムスン(Samsung)のE093A、および三菱化学のP546のうちの少なくとも1種を含む。
【0042】
いくつかの実施例において、前記第2ポリマー層は、ポリプロピレン樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0043】
いくつかの実施例において、前記第2ポリマー層は、サムスン(Samsung)のCF330、TPC社のFS5611、およびエクソンモービル(Exxon Mobil)の6102FLのうちの少なくとも1種を含む。
【0044】
いくつかの実施例において、前記タブ保護層は単層、二層または三層構造である。
【0045】
いくつかの実施例において、前記タブ保護層は1つの第1ポリマー層からなる。いくつかの実施例において、前記タブ保護層は1つの第1ポリマー層と1つの第2ポリマー層とからなる。いくつかの実施例において、前記タブ保護層は2つの第1ポリマー層と、前記2つの第1ポリマー層の間に位置する1つの第2ポリマー層とからなる。
【0046】
いくつかの実施例において、前記電解液は、プロピオン酸エステルをさらに含み、ここで、前記電解液の重量に基づいて、前記プロピオン酸エステルの重量分率は、10%~60%である。いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記プロピオン酸エステルの重量分率は、10%、20%、30%、40%、50%、または60%であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0047】
いくつかの実施例において、前記プロピオン酸エステルは、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、フルオロプロピオン酸メチル、フルオロプロピオン酸エチル、フルオロプロピオン酸プロピル、フルオロプロピオン酸ブチル、およびフルオロプロピオン酸ペンチルのうちの少なくとも1種を含み、ここで、フルオロとは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されることである。
【0048】
いくつかの実施例において、前記電解液は、トリメチルアセテート化合物をさらに含む。
【0049】
いくつかの実施例において、前記トリメチルアセテート化合物の構造式は、
【化2】

であり、
ここで、RはC~C10アルキル、C~C10アルケニル、C~C10ハロアルキル、C~C10ハロアルケニル、ハロゲン、アリール、またはアミドである。
【0050】
いくつかの実施例において、RはC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルケニル、ハロゲン、アリール、またはアミドである。
【0051】
いくつかの実施例において、前記トリメチルアセテート化合物は、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルのうちの少なくとも1種を含む。
【0052】
いくつかの実施例において、前記電解液は、ジニトリル化合物およびトリニトリル化合物のうちの少なくとも1種をさらに含み、
ここで、前記ジニトリル化合物は、
スクシノニトリル(succinonitrile)、グルタロニトリル(glutaronitrile)、アジポニトリル(adiponitrile)、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,12-ジシアノドデカン、テトラメチルスクシノニトリル、2-メチルグルタロニトリル、2,4-ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4-テトラメチルグルタロニトリル、およびエチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテルのうちの少なくとも1種をさらに含み、
前記トリニトリル化合物は、
1,3,5-ペンタントリカルボニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,2,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,3,6-ヘキサントリカルボニトリル、1,2,3-トリ(2-シアノエトキシ)プロパン、1,2,4-トリス(2-シアノエトキシ)ブタン、および1,2,5-トリス(シアノエトキシ)ペンタンのうちの少なくとも1種をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記ジニトリル化合物の含有量は、1%~5%である。いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記ジニトリル化合物の含有量は、1%、2%、3%、3.5%、4.0%、または5.0%であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0054】
いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記トリニトリル化合物の含有量は、1%~5%である。いくつかの実施例において、前記電解液の重量に基づいて、前記トリニトリル化合物の含有量は、1%、2%、3%、3.5%、4.0%、5.0%、または6.0%であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0055】
いくつかの実施例において、前記電解液はトリニトリル化合物とエチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテルを含み、前記電解液の重量に基づいて、前記トリニトリル化合物の重量分率はa%であり、前記エチレングリコールビス(プロピオニトリル)エーテルの含有量はb%であり、1.0≦a+b≦6.0を満たす。いくつかの実施例において、a+bは、1.0、2.0、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、または6.0であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0056】
いくつかの実施例において、1.2≦a/b≦20である。いくつかの実施例において、a/bは、2.0、3.0、3.3、4.0、5.5、7.0、8.5、9.5、12.0、14.5、16.5、18.5、または20.0であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0057】
いくつかの実施例において、前記電解液はフルオロエチレンカーボネートと1,3-プロパンスルトンをさらに含み、前記電解液の重量に基づいて、前記フルオロエチレンカーボネートの重量分率はc%であり、前記1,3-プロパンスルトンの重量分率はd%であり、6.0≦c+d≦15.0を満たす。いくつかの実施例において、c+dは、6.0、7.0、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、11.0、11.5、12.0、13.0、14.0、または15.0であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0058】
いくつかの実施例において、1.2≦c/d≦20である。いくつかの実施例において、c/dは、1.2、2.0、3.0、3.3、4.0、5.5、7.0、8.5、9.5、12.0、14.5、16.5、18.5、または20.0であり、あるいはこれらの数値のいずれか2つからなる範囲内にある。
【0059】
いくつかの実施例において、前記電解液は、アリルニトリルをさらに含み得る。
【0060】
いくつかの実施例において、前記電気化学装置は、電気化学反応が起こる任意の装置を含む。
【0061】
いくつかの実施例において、前記電極は、金属イオンを吸蔵・放出することができる負極活物質を有する負極と、および金属イオンを吸蔵・放出することができる正極活物質を有する正極とを含む。
【0062】
いくつかの実施例において、前記電気化学装置は、正極と負極との間に位置するセパレータをさらに含む。
【0063】
いくつかの実施例において、前記電気化学装置は、リチウム二次電池である。
【0064】
いくつかの実施例において、リチウム二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、またはリチウムイオンポリマー二次電池、全固体リチウム二次電池を含むが、これらに限定されない。
【0065】
図1は、本発明の一つの実施例におけるタブと包装袋のパッケージ構造を示す。包装袋1-1はタブ保護層1-2によって金属テープ1-3と接着され、包装袋1-5はタブ保護層1-4によって金属テープ1-3と接着され、ここで、タブ保護層1-2および1-4はいずれも単層構造であり、すなわち1つの第1ポリマー層からなる。
【0066】
図2は、本発明の一つの実施例におけるタブ保護層の構造を示す。当該タブ保護層は二層構造であり、ここで、金属テープ2-3の上方に位置するタブ保護層は第1ポリマー層2-1と第2ポリマー層2-2とからなり、金属テープ2-3の下方に位置するタブ保護層は第1ポリマー層2-5と第2ポリマー層2-4とからなる。
【0067】
図3は、本発明の別の実施例におけるタブ保護層の構造を示す。当該タブ保護層は三層構造である。金属テープ3-4の上方に位置するタブ保護層は第1ポリマー層3-1および3-3と、両者の間に位置する第2ポリマー層3-2とからなる。金属テープ3-4の下方に位置するタブ保護層は第1ポリマー層3-5および3-6と、両者の間に位置する第2ポリマー層3-6とからなる。
【0068】
タブ保護層の主な役割は、タブがポリマー電池の包装袋内側のポリプロピレン層とヒートシールされるように、リチウムイオン電池のタブに接着することである。現在常用のタブ保護層は、一般的に融点が140℃以上であるが、本発明は主に、より融点の低いタブ保護層を使用することで、電池を早めに放熱させ、さらに電池の熱安全性を改善する目的を達成する。
【0069】
負極
本発明の電気化学装置に使用される負極の材料、構成、およびその製造方法は、任意の従来技術に開示されている技術を含み得る。いくつかの実施例において、負極は米国特許出願US9812739Bに記載されている負極であり、その全体内容を参照として本発明に組み込まれている。
【0070】
いくつかの実施例において、負極は、集電体と、当該集電体上に位置する負極活物質層とを含む。いくつかの実施例において、負極活物質層は負極活物質を含む。いくつかの実施例において、負極活物質は、リチウム金属、構造化リチウム金属、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ハードカーボン、ソフトカーボン、シリコン、シリコン-カーボン複合体、ケイ素酸化物材料、Li-Sn合金、Li-Sn-O合金、Sn、SnO、SnO、スピネル構造のリチウム化TiO-LiTi12、Li-Al合金、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施例において、負極活物質層はバインダーを含む。いくつかの実施例において、バインダーは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシド含有ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、またはナイロンを含むが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施例において、負極活物質層は導電材を含む。いくつかの実施例において、導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、金属粉末、金属繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀またはポリフェニレン誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0073】
いくつかの実施例において、集電体は、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔、チタン箔、ニッケルフォーム、銅フォーム、または導電性金属で被覆されたポリマー基板を含むが、これらに限定されない。
【0074】
いくつかの実施例において、負極は、溶媒中に活物質、導電材およびバインダーを混合して活物質組成物を調製し、当該活物質組成物を集電体上に塗工することにより得ることができる。
【0075】
いくつかの実施例において、溶媒は、脱イオン水、N-メチルピロリドンを含み得るが、これらに限定されない。
【0076】
いくつかの実施例において、全固体リチウム二次電池における負極は金属リチウム箔である。
【0077】
正極
本発明の電気化学装置に使用される正極の材料は、当技術分野で公知の材料、構造および製造方法を用いて調製することができる。いくつかの実施例において、本発明の正極は、米国特許出願US9812739Bに記載されている技術を用いて調製することができ、その全体内容を参照として本発明に組み込まれている。
【0078】
いくつかの実施例において、正極は、集電体と、当該集電体上に位置する正極活物質層とを含む。正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する少なくとも1種のリチウム化インターカレーション(Intercalation)化合物を含む。いくつかの実施例において、正極活物質は複合酸化物を含む。いくつかの実施例において、当該複合酸化物は、リチウム、ならびに、コバルト、マンガン、およびニッケルから選択される少なくとも1つの元素を含有する。
【0079】
いくつかの実施例において、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、リチウムニッケルコバルトマンガン(NCM)三元系材料、リン酸第一鉄リチウム(LiFePO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0080】
いくつかの実施例において、正極活物質は、その表面にコーティングを有することができ、またはコーティングを有する別の化合物と混合することができる。当該コーティングは、コーティング元素の酸化物、コーティング元素の水酸化物、コーティング元素のヒドロキシ酸化物、コーティング元素の炭酸酸素塩、およびコーティング元素のヒドロキシ炭酸塩から選択される少なくとも1種のコーティング元素化合物を含み得る。コーティングに用いられる化合物は、非晶性であっても結晶性であってもよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、コーティングに含まれるコーティング元素は、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zr、F、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。コーティングの塗工は、どのような方法によっても可能であり、当該方法が正極活物質の性能に悪影響を与えなければよい。例えば、当該方法は、例えば、スプレー、浸漬などの当技術分野で公知の任意の塗工方法を含み得る。
【0082】
正極活物質層は、バインダーをさらに含み、また、任意に導電材を含み得る。バインダーは、正極活物質粒子同士の結合を向上させるとともに、正極活物質と集電体の結合を向上させる。
【0083】
いくつかの実施例において、バインダーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシド含有ポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化スチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを含むが、これらに限定されない。
【0084】
いくつかの実施例において、導電材は、炭素系材料、金属系材料、導電性ポリマー、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、炭素系材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、およびそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施例において、金属系材料は、金属粉末、金属繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀から選択される。いくつかの実施例において、導電性ポリマーはポリフェニレン誘導体である。
【0085】
いくつかの実施例において、集電体はアルミニウムであり得るが、これに限定されない。
【0086】
正極は、当技術分野で公知の調製方法により調製することができる。例えば、正極は、溶媒中に活物質、導電材およびバインダーを混合して活物質組成物を調製し、当該活物質組成物を集電体上に塗工することにより得ることができる。いくつかの実施例において、溶媒は、N-メチルピロリドンなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施例において、正極は、集電体上にリチウム遷移金属系化合物粉末とバインダーとを含む正極活物質層を用いて正極材料を形成することにより作製される。
【0088】
いくつかの実施例において、正極活物質層は、通常、正極材料とバインダー(必要に応じて使用する導電材と増粘剤など)とを乾式混合してシート状にし、得られたシートを正極集電体に圧着すること、あるいは、これらの材料を液体媒体に溶解または分散させてスラリー状にし、正極集電体に塗布して乾燥することにより作製することができる。いくつかの実施例において、正極活物質層の材料は、当技術分野で公知の任意の材料を含む。
【0089】
セパレータ
いくつかの実施例において、本発明の電気化学装置は、短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータを設けている。本発明の電気化学装置に使用されるセパレータの材料および形状は特に限定されず、従来技術に開示されている任意の材料および形状であり得る。いくつかの実施例において、セパレータは、本発明の電解液に安定な材料から形成されたポリマーまたは無機物などを含む。
【0090】
例えば、セパレータは、基材層と表面処理層を含み得る。基材層は、多孔質構造を有する不織布、膜、または複合膜であり、基材層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリイミドのうちの少なくとも1種から選択される。具体的には、ポリプロピレン多孔質フィルム、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、またはポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合フィルムを選択して用い得る。
【0091】
基材層の少なくとも1つの表面に表面処理層が設けられる。表面処理層は、ポリマー層または無機物層であってもよく、ポリマーと無機物を混合して形成された層であってもよい。
【0092】
無機物層は、無機粒子とバインダーとを含み、無機粒子は、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、二酸化ハフニウム、酸化スズ、二酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および硫酸バリウムのうちの1種または複数種の組み合わせから選択される。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリヘキサフルオロプロピレンのうちの1種または複数種の組み合わせから選択される。ポリマー層はポリマーを含み、ポリマーの材料は、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、アクリル酸エステルのポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、またはポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)のうちの少なくとも1種を含む。
【0093】
電解質
本発明の実施例の電解液に用いられる電解質は、従来技術で知られている電解質であり得る。電解質は、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiSbF、LiSOF、LiN(FSOなどの無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(CSO、環状1,3-ヘキサフルオロプロパンビススルホニルイミドリチウム、環状1,2-テトラフルオロエタンビススルホニルイミドリチウム、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSOなどのフッ素含有有機リチウム塩;リチウムビス(オキサレート)ボレート、リチウムジフルオロオキサレートボレート、リチウムトリス(オキサレート)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサレート)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサレート)ホスフェートなどのジカルボン酸錯体含有リチウム塩を含むが、これらに限定されない。また、上記電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、いくつかの実施例において、電解質はLiPFとLiBFの組み合わせを含む。いくつかの実施例において、電解質は、LiPFやLiBFなどの無機リチウム塩と、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSOなどの含フッ素有機リチウム塩との組み合わせを含む。いくつかの実施例において、電解質の濃度は、0.8~3mol/Lの範囲内にあり、例えば、0.8~2.5mol/Lの範囲内、0.8~2mol/Lの範囲内、1~2mol/Lの範囲内、0.5~1.5mol/L、0.8~1.3mol/L、0.5~1.2mol/Lにあり、また、例えば1mol/L、1.15mol/L、1.2mol/L、1.5mol/L、2mol/Lまたは2.5mol/Lである。
【0094】
[二、電子装置]
本発明の電子装置は、本発明の実施例による電気化学装置を使用する任意の装置であってもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、前記電子装置は、ノートパソコン、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯型テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、家庭用大型蓄電池、およびリチウムイオンキャパシタなどを含むが、これらに限定されない。
【0096】
以下では、例としてリチウムイオン電池を挙げ、そして具体的な実施例を参照しながらリチウムイオン電池の調製を説明し、当業者は、本発明に記載されている調製方法は例示であることに過ぎず、他の任意の適切な調製方法はいずれも本発明の範囲内にあることを理解すべきである。
【0097】
<実施例>
以下に、本発明のリチウムイオン電池の実施例と比較例に基づいて性能評価を行う。
【0098】
[一、リチウムイオン電池の調製]
(1)電解液の調製
含水量<10ppmのアルゴン雰囲気グローブボックスにおいて、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびその他の有機溶媒を一定の割合で混合し、その他の有機溶媒はジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル(EP)、およびプロピオン酸プロピル(PP)のうちの少なくとも1種から選択され、その後、LiPFを加えて均一に攪拌し、基礎電解液を形成し、ここで、LiPFの濃度は1.15mol/Lであった。基礎電解液中に、以下の各表に示す、含有量が異なる物質を加えることにより、異なる実施例および比較例の電解液を得た。本発明に記載された電解液中の各物質の含有量は、いずれも電解液の重量に基づいて算出された。
表1中のECとPCの含有量は表に示し、残りの有機溶媒はDECである。
【0099】
(2)正極の調製
正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)、導電剤であるカーボンナノチューブ(CNT)、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを重量比95:2:3で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を加え、真空攪拌機により、体系が均一になるまで攪拌して、正極スラリーを得、正極スラリーを正極集電体であるアルミニウム箔に均一に塗工し、85℃で乾燥した後、冷間プレス、スライス、カットを経た後、85℃の真空条件下で4時間乾燥し、正極を得た。
【0100】
(3)負極の調製
負極活物質である黒鉛、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)を重量比95:2:3で適量の脱イオン水溶媒中で十分に攪拌して混合し、均一な負極スラリーを形成させ、このスラリーを負極集電体であるCu箔に塗工し、乾燥、冷間プレスし、負極を得た。
【0101】
(4)セパレータの調製
ポリエチレン(PE)ダイアフラムをセパレータとして選択した。
【0102】
(5)リチウムイオン電池の調製
平板加熱または高周波加熱を用いて、タブ保護層と金属テープを複合させ、タブ保護層を含有するタブを作製し、当該タブを溶接により正極と負極に固定した。正極、セパレータ、負極を順に積層し、正極と負極を隔離する役割を果たすようにセパレータを正極と負極の間に位置させ、その後、巻回し、外装箔に入れ、上記で調製された電解液を乾燥後の電池に注入し、真空パッケージ、静置、フォーメーション、整形などの工程を経て、リチウムイオン電池の調製を完了した。
【0103】
[二、測定方法]
1、ホットボックステスト:
25℃で、リチウムイオン電池を0.7Cの定電流で4.45Vまで充電し、さらに4.45Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電した。電池をホットボックスに置き、5±2℃/minの昇温速度で135℃に加熱し、1時間(hr)保持し、電池の電圧、温度およびホットボックスの温度の変化を記録した。発火や爆発が発生しないとテストに合格する。1組当たり10個の電池をテストし、テストに合格した(パス)電池の数を記録した。
【0104】
2、高温保存テスト:
25℃で、リチウムイオン電池を30分間静置した。その後、0.5Cのレートで4.45Vまで定電流充電し、さらに4.45Vで0.05Cまで定電圧充電し、5分間静置し、リチウムイオン電池の厚さを測定してh0と記した。その後、リチウムイオン電池を85℃の恒温ボックスに入れて24日間保存し、リチウムイオン電池の厚さを測定してh1と記し、リチウムイオン電池の厚さ膨張率を下記式により計算した。厚さ膨張率(%)=(h1-h0)/h0×100%。
【0105】
3、低温放電テスト
25℃で、リチウムイオン電池を0.7Cの定電流で4.45Vまで充電し、4.45Vの定電圧で電流が0.05Cになるまで充電した。その後、リチウムイオン電池をそれぞれ異なる温度(25℃、0℃、-10℃)で4時間静置した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、毎回放電終了後、さらに5分間静置し、リチウムイオン電池の放電容量を記録した。25℃の放電容量を基準として、リチウムイオン電池の異なる温度における放電容量比を得た。
リチウムイオン電池の異なる温度における放電容量比(%)=異なる温度(0℃、-10℃)における放電容量/25℃放電容量×100%
【0106】
4、高温保存テスト
25℃で、リチウムイオン電池を30分間静置し、その後0.5Cのレートで4.45Vまで定電流充電し、さらに4.45Vで0.05Cまで定電圧充電し、5分間静置し、その後、85℃で24日間保存した後、電池の厚さを測定し、下記式により電池の厚さ膨張率を計算した。
厚さ膨張率=[(保存後厚さ-保存前厚さ)/保存前厚さ]×100%。
【0107】
A、表1は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。ここで、比較例D1-1~D1-2で使用されるタブ保護層は、1つの第2ポリマー層からなり、その融点はTであり、当該第2ポリマー層は、サムスン(Samsung)のCF330ブロック共重合体ポリプロピレンから選択される。比較例D1-3~D1-5および実施例S1-1~S1-7で使用されるタブ保護層は、1つの第1ポリマー層からなり、その融点はTであり、当該第1ポリマー層は、バイネル(Bynel)50E632(融点136.5C)、バイネル(Bynel)50E631(融点136C)、バイネル(Bynel)40E529(融点135C)、バイネル(Bynel)50E662(融点130C)、バイネル(Bynel)4104(融点125C)、バイネル(Bynel)4208(融点110C)、ニュクレル(Nucrel)0910(融点100C)から選択される。
【0108】
【表1】
【0109】
表1のテスト結果からわかるように、比較例D1-1とD1-2のリチウムイオン電池は、130℃のホットボックステストにしか合格できず、132℃と135℃のホットボックステストの合格率はいずれも低く、これは比較例D1-1とD1-2のタブ保護層の融点が比較的に高いため、ホットボックスなどの乱用テスト(Abuse Test)の際、ガスはガスバッグを適時に開けられず、発生した熱が電池内部に徐々に蓄積され、電池の発火、燃焼、ひいては爆発を非常に引き起こしやすい。EC+PCの総量を調整したり、ポリマー層の融点を調整したりすることは、ホットボックス性能に対して明らかな改善効果があるが、EC+PCの含有量が少ない場合、融点を調整しても良い効果が得られない。一方、EC+PCの含有量が高い場合、融点を調整するのはホットボックス性能に対して効果があるが、電気性能が比較的に悪いので、両者は一定の合理的な使用量内でなければ良い効果を奏することができない。
【0110】
実施例S1-1~S1-11のテスト結果からわかるように、第2ポリマー層から調製されたタブ保護層を第1ポリマー層から調製されたタブ保護層に置き換え、かつ、第1ポリマー層の融点の値TとEC+PCの含有量の値Yとの間が0.147<Y/T<0.7を満たす場合、リチウムイオン電池のホットボックステストの合格率が著しく向上する。一方では、タブ保護層に第1ポリマー層を導入すると、電池内部のガスは早めにガスバッグを開けることができ、熱が適時に放出されるので、ホットボックステストは明らかに改善される。他の一方では、電気化学体系全体の熱安定性を向上させたので、さらにホットボックス性能を改善するとともに、リチウムイオン電池の高温保存特性を明らかに向上させることができる。
【0111】
B、表2および表3は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。ここで、実施例S2-1~S2-3におけるタブ保護層は二層構造であり、1つの第1ポリマー層と1つの第2ポリマー層とを含む。実施例S3-1におけるタブ保護層は三層構造であり、すなわち、2つの第1ポリマー層の間に1つの第2ポリマー層を備え、前記第1ポリマー層の融点の値Tは、いずれも125℃であった。前記第1ポリマー層はバイネル(Bynel)4104(125℃)から選択され、第2ポリマー層はサムスン(Samsung)のCF330ブロック共重合体ポリプロピレンから選択される。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
表2および表3のテスト結果からわかるように、比較例D1-2における第2ポリマー層から調製されたタブ保護層を上記の二層構造のタブ保護層および三層構造のタブ保護層に置き換えることにより、同様にリチウムイオン電池のホットボックステストの性能を向上させることができる。これは、二層構造でも、三層構造でも、低融点層が含まれていれば、低い温度でも電池から熱を適時に放出し、電池の熱暴走を避けることができるからである。
【0115】
C、表4は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。実施例S4-1および実施例S4-2におけるリチウムイオン電池の調製は、電解液の組成が異なること以外、実施例S1-2と同様であり、具体的には表4に示す。
【0116】
【表4】
【0117】
表4のテスト結果からわかるように、第1ポリマー層の融点TとEC+PCの含有量Yとの間が0.147<Y/T<0.7を満たす場合、電解液に一定量のプロピオン酸プロピルまたはプロピオン酸エチルの少なくとも1種を添加することで、リチウムイオン電池の低温性能をさらに向上させることができる。
【0118】
D、表5は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。実施例S5-1~S5-3におけるリチウムイオン電池の調製過程は、電解液の組成が異なること以外、実施例S1-2と同様であり、具体的には表5に示す。
【0119】
【表5】

表5のテスト結果からわかるように、第1ポリマー層の融点TとEC+PCの含有量Yとの間が0.147<Y/T<0.7を満たす場合、電解液に一定量のトリメチルアセテートを添加することで、リチウムイオン電池のホットボックス性能をさらに向上させることができる。
【0120】
E、表6は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。実施例S6-1~S6-16におけるリチウムイオン電池の調製過程は、電解液の組成が異なること以外、実施例S1-2と同様であり、具体的には表6に示す。
【0121】
【表6】

表6のテスト結果からわかるように、第1ポリマー層の融点TとEC+PCの含有量Yとの間が0.147<Y/T<0.7を満たす場合、電解液に一定量のジニトリル化合物およびトリニトリル化合物を添加することで、リチウムイオン電池のホットボックス性能をさらに向上させることができる。
【0122】
F、表7は、関連する実施例におけるリチウムイオン電池の組成および性能テストの結果を示す。実施例S7-1~S7-11におけるリチウムイオン電池の調製過程は、電解液の組成が異なること以外、実施例S1-2と同様であり、具体的には表7に示す。
【0123】
【表7】
【0124】
表7のテスト結果からわかるように、第1ポリマー層の融点TとEC+PCの含有量Yとの間が0.147<Y/T<0.7を満たす場合、電解液に一定量のフルオロエチレンカーボネートを添加することで、電池のホットボックス性能は一定程度の悪化があり、1,3-プロパンスルトンを添加しても、ホットボックス性能に明らかな影響を与えないが、両者が同時に存在する場合、リチウムイオン電池のホットボックス性能をさらに向上させることができ、これは、それらの併用による成膜に関係があると推測される。両者が同時に存在する場合には、ジニトリル化合物とトリニトリル化合物を同時に添加することで、最適な効果を得ることができる。
【0125】
明細書全体において、「いくつかの実施例」、「実施例の一部」、「一つの実施例」、「別の一例」、「例」、「具体例」または「例の一部」による引用は、本発明の少なくとも一つの実施例または例は、当該実施例または例に記載した特定の特徴、構造、材料または特性を含むことを意味する。したがって、明細書全体の各箇所に記載された、例えば「いくつかの実施例において」、「実施例において」、「一つの実施例において」、「別の例において」、「一つの例において」、「特定の例において」または「例」は、必ずしも本発明における同じ実施例または例を引用する訳ではない。また、本明細書の特定の特徴、構造、材料、または特性は、一つまたは複数の実施例または例において、いかなる好適な方法で組み合わせることができる。
【0126】
例示的な実施例が記載および説明されたが、当業者は、上記した実施例が本発明を限定するものとして解釈されないこと、かつ、本発明の技術思想、原理、及び範囲から逸脱しない場合に実施例への改変、置換及び変更が可能であること、を理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】