(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ヘモグロビン補正装置を用いた改良型ELISA、及びその方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20231124BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20231124BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01N33/543 545D
G01N33/53 D
G01N33/53 X
G01N35/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530884
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-24
(86)【国際出願番号】 US2020061721
(87)【国際公開番号】W WO2022108600
(87)【国際公開日】2022-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501464761
【氏名又は名称】ノヴァ バイオメディカル コーポレイション
【住所又は居所原語表記】200 Prospect Street Waltham MA 02454(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】メドコヴァ マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】キング ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジェフ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA09
2G058CC01
2G058CC12
(57)【要約】
1人の患者に対して全血及び血漿中の酵素結合免疫吸着アッセイを行うための、使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジであって、カートリッジは複数のウェルを有する。カートリッジは、内部側壁を有し、複数のウェルのうちの1つのウェルに配置されたピペットチップであって、内部側壁は、抗体で前処理及びコーティングされているピペットチップと、複数のウェルのうちの別のウェルに配された試薬混合物であって、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬、抗体、及び複合体安定化剤を備える試薬混合物とを備える。少なくとも発色基質及び可視化試薬が、複数のウェルの一体型キュベットに配されている。また、試料中の血漿量の補正が行えるように、血液試料中のヘモグロビン量を検出することも含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人の患者に対して酵素結合免疫吸着アッセイを行うための、使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジであって、前記カートリッジは複数のウェルを有し、前記カートリッジは、
内部側壁を有し、前記複数のウェルのうちの1つのウェルに配置されたピペットチップであって、前記内部側壁は、抗体で前処理及びコーティングされている、ピペットチップと、
前記複数のウェルのうちの別のウェルに配された試薬混合物であって、前記試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬と、抗体と、複合体安定化剤とを備える、試薬混合物と、
前記複数のウェルの一体型キュベットに配された、少なくとも発色基質及び可視化試薬と、
を備える、使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記内部側壁をコーティングしている前記抗体は、抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択されている、使い捨てカートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記発色基質及び前記抗体は、約1:1の割合で存在している、使い捨てカートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記発色基質は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである、使い捨てカートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記少なくとも1種の試薬は、前記発色基質及び前記可視化試薬の量に対応する量で存在している、使い捨てカートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記少なくとも1種の試薬は、0.002%サポニンと、0.01%低発泡界面活性剤と、0.02%アジ化ナトリウムとを有するリシン溶液の少なくとも150μlの試薬混合物からなる、使い捨てカートリッジ。
【請求項7】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記第3ウェルは、PBSと、0.05%ポリソルベート系非イオン性界面活性剤と、0.03%殺生物性防腐剤とを有している、使い捨てカートリッジ。
【請求項8】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、さらに、
抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択される抗体と、複合体安定化剤と、0.5%抗発泡/消泡剤とを有する第4ウェルを備える、使い捨てカートリッジ。
【請求項9】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記ピペットの前記側壁をコーティングしている前記抗体は、抗シスタチンC抗体であり、前記第2ウェル中の前記少なくとも1種の試薬は、0.002%サポニンと、0.01%低発泡界面活性剤と、0.02%アジ化ナトリウムとを有する溶解溶液からなる、使い捨てカートリッジ。
【請求項10】
請求項1に記載の使い捨てカートリッジであって、さらに、
10mM PBS、0.05%ポリソルベート系非イオン性界面活性剤、及び0.03%殺生物性防腐剤を有する第4ウェルと、
抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択される抗体、複合体安定化剤、及び0.5%抗発泡/消泡剤を有する第5ウェルと
を備える、使い捨てカートリッジ。
【請求項11】
請求項2に記載の使い捨てカートリッジであって、
前記一体型キュベットは、530nmにて第1のLEDを用いて第1の光検出を読み取ること、及び660nmにて第2のLEDを用いて第2の光検出を読み取ることを容易にすることが可能な、第1の壁及び第2の壁を有している、使い捨てカートリッジ。
【請求項12】
酵素結合免疫吸着バイオアッセイ診断キットであって、
フィンガースティック装置と、
複数のウェル及び光学キュベットを有するカートリッジであって、前記カートリッジは、前記複数のウェルのうちの1つに配置されたピペットチップ及び前記複数のウェルのうちの1つまたは複数の残りのウェルに配された、バイオアッセイ成分を有し、前記複数のウェルのうちの1つは、光学キュベットである、カートリッジと
を備え、
前記ピペットチップは、抗体でコーティングされた側壁を有し、
前記バイオアッセイ成分は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択された少なくとも1種の試薬と、抗体と、複合体安定化剤と、発色基質と、可視化試薬とを備える、酵素結合免疫吸着バイオアッセイ診断キット。
【請求項13】
洗浄時間を短縮しつつ、酵素結合免疫吸着アッセイを行うのに用いるための使い捨てピペットを作製する方法であって、前記方法は、
ピペットチップを、前記ピペットチップの内面をコーティングすることによって前処理する工程であって、前記前処理する工程は、
親和剤を含有している第1のコーティングを、前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
ブロッキング溶液を含有している第2のコーティングを、前記第1のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
活性防腐剤を含有している第3のコーティングを、前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置して、酵素結合免疫吸着アッセイを行うのに用いるためのコーティングされたピペットチップを形成することであって、前記酵素結合免疫吸着アッセイは、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬混合物、抗体、及び複合体安定化剤を用いた前記コーティングされたピペットチップへの直接的なピペッティングを容易にすることによって、洗浄時間を短縮する、第3のコーティングを、前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
を備える、前処理する工程と、
発色基質及び可視化試薬を前記コーティングされたピペットチップの中の前記親和剤と直接反応させるために、前記発色基質及び前記可視化試薬を含んでいる1つのウェルを前記カートリッジ内に設ける工程と
を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
抗体、抗体断片、組み換えタンパク質、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、ストレプトアビジン、組み換えタンパク質断片、核酸、多糖類、糖タンパク質、ペプチドグリカン、分子インプリントポリマー、及びアプタマー分子からなる群から前記親和剤を選択することを備える、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
炭酸塩/重炭酸塩緩衝剤、スクロース緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン生理食塩水からなる群からコーティング緩衝剤を選択することを備える、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のコーティングを前記ピペットチップの前記内面に沿って前記親和剤を用いて配置する工程であって、前記第1のコーティング工程は、さらに、
前記親和剤を選択することと、
コーティング緩衝剤を選択することと、
選択された前記抗体及び選択された前記コーティング緩衝剤を混合することによって、抗体溶液を調製することと、
混合された前記抗体溶液を前記ピペットチップに充填することと、
前記ピペットチップを第1の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記第2のコーティングを前記第1のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って前記ブロッキング溶液を用いて配置する工程であって、第2のコーティング工程は、さらに、
前記ブロッキング溶液を選択することと、
前記ピペットチップに前記ブロッキング溶液を充填することと、
前記ピペットチップを第2の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記第3のコーティングを前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って前記活性防腐剤を用いて配置する工程であって、第3のコーティング工程は、さらに、
前記活性防腐剤を選択することと、
前記ピペットチップに前記活性防腐剤を充填することと、
前記ピペットチップを第3の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
1.発明の分野
本発明は、概して、酵素結合免疫吸着アッセイのための方法及び装置に関する。
【0002】
2.従来技術の説明
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、試料中の抗体または抗原を検出及び/または定量化するのに用いられる、生化学的な技法である。古典的な2ステップサンドイッチELISAは、最初に分析物を分析物に対する捕捉抗体に結合させることと、それに続く、標識化された検出抗体を捕捉された分析物に結合させることとに基づいている。1ステップサンドイッチELISAでは、捕捉抗体及び検出抗体への分析物の結合が同時に行なわれる。検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP)等の、酵素に結合され得る。その後、捕捉された免疫複合体に酵素基質を導入することによって、光学的にまたは他の手段によって測定可能な発色が生じる。発色の速度及び程度は、抗原の濃度に比例する。
【0003】
ELISAは通常、マイクロタイタープレート形式で行なわれ、複雑な機器及び/または高度な技術を持つ担当者を必要とする。ELISAは通常、96ウェルまたは384ウェルのポリスチレンプレート、及び溶液中の試料を用いても行なわれる。試料が加えられたときに捕捉抗体のみを含む従来のELISAキットに加えて、他のインスタントELISAキットは、捕捉抗体と、凍結乾燥された検出抗体とを保持している前処理済みのプレートと、ストレプトアビジンHRPと、試料希釈液とを含んでいる。
【0004】
Apparatus for And Method of Automated Processing Of Biological Samplesと題された米国特許9,011,772は、試料の自動バイオプロセスを行なうためのバイオプロセス装置、バイオプロセスカード、及びフルイディクスカートリッジを開示している。バイオプロセスカードは、複数のピペットチップと、複数のピペットチップと流体連通している少なくとも1つのポンプとを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプとピペットチップとが、微少の流路であり得る処理流路を介して流体連通している。また、同特許では、少なくとも1つのバイオプロセスカードと、少なくとも1つのフルイディックカートリッジと、試料の自動バイオプロセスを制御するように構成された自動制御システムとを備える、自動バイオプロセス装置も提供されている。さらに同特許では、当該装置、カード、及びカートリッジの使用方法が提供されている。
【0005】
Systems and Methods for Multi-Analysisと題された米国特許第9,810,704号は、試料処理のためのシステム及び方法を開示している。具体的には、試料の受け取りと、試料の調製、試料のアッセイ、及び検出工程のうちの1つ以上を行なうこととが可能な装置が提供されてもよいことを開示している。当該装置は、複数のアッセイを行なうことが可能であってもよい。当該装置は、試料の調製、試料のアッセイ、及び検出工程のうちの1つ以上を行なうことが可能であり得る、1つ以上のモジュールを備えていてもよい。当該装置は、少量の試料を用いてこれらの工程を行なうことが可能であってもよい。
【0006】
[発明の概要]
既知の先行技術に対する発明の利点及び相違点
先行技術の上述の部分は、当該産業のすべての要求を満たすのに十分に満足できることをこれまでに証明していない。
【0007】
向上した機能をもたらす改良型ELISA自己充足式キットを提供する本発明の方法の利点の一部を、以下で説明する。通常のELISA技法を改良する利点の1つには、関連するピペットチップの機能性が向上するということが含まれる。さらなる利点は、洗浄を増やすことで相互汚染が減少または排除される、ということに関連する。本発明の方法のさらなる利点は、検査前に酵素-基質反応を止める必要がないということである。本発明の改良型ELISAのさらなる利点は、15分未満、より好ましくは約10~14分、及び一部の実施形態では7~9分程度で結果を提供する、より迅速なイムノアッセイである。
【0008】
本発明の目的の達成
本発明は、捕捉親和性試薬が結合される可動要素を有する、酵素結合免疫吸着アッセイシステムを提供する。一実施形態では、捕捉親和性試薬は抗体である。一実施形態では、可動要素はピペットチップである。さらなる実施形態では、システムは、複数の異なる試薬を保持することが可能な複数のウェルを有する使い捨てカートリッジを用いる。この実施形態では、可動要素をウェルに挿入可能で、可動要素がカートリッジの周辺での液体の吸引、保持、分注、及び移動を可能なように、ウェルの大きさが上記の可動要素に対応している。
【0009】
当該システムは、所定の量の試料をカートリッジ内に供給可能な、試料収集装置を用いてもよい。好適なシステムは、可動要素を使って様々な生体材料の正確な吸引、分注、移動、混合、及び様々な分析物の存在の光学的検出が可能な機器も用いてもよい。
【0010】
好適な実施形態では、ピペットチップ等の可動要素及び試薬カートリッジは、ポリスチレン(PS)、またはポリプロピレン(PP)、またはポリエチレンPE)、またはポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはポリジメチルシロキサン(PDMS)、またはポリカーボネート(PC)、またはTOP AS(登録商標)等の環状オレフィン共重合体、またはZeonor(登録商標)及びZeonex(登録商標)等のシクロオレフィン重合体、またはセルロース及びその誘導体、またはシリコン及びその誘導体、またはガラス、または石英、または金属、等の様々な材料で構成され得る。
【0011】
好適な実施形態では、ピペットチップ等の可動要素は、抗体、抗体断片、組み換えタンパク質、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、ストレプトアビジン、またはその組み換えタンパク質または断片、核酸、多糖、糖タンパク質、ペプチドグリカン、分子インプリントポリマーまたはアプタマー分子等の、タンパク質でコーティングされ得る。抗体は、好適な親和剤である。固定化は、非特異的吸着、または共有結合性の結合によって達成され得る。
【0012】
好適な実施形態では、カートリッジウェルは、試料溶解緩衝剤、洗浄緩衝剤、検出抗体複合体及び酵素基質、等の試薬で予め充填されている。好適な実施形態では、検出抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスファターゼ(AP)等の、酵素に結合され得る。
【0013】
もう1つの目的は、複数の種類のELISAを行なうことができるシステム及び方法を提供することである。したがって、本発明の方法によれば、1ステップ及び2ステップELISAの両方を行なうことができる。
【0014】
本発明は、酵素結合免疫吸着アッセイを行なうためのポイント・オブ・ケア使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジを提供することによって、これら及びその他の目的を達成する。使い捨てカートリッジは複数のウェルを有していてもよく、第1ウェルは、特定の抗体で前処理及びコーティングされた内部側壁を有する、ピペットチップを保持していてもよい。カートリッジの第2ウェルは、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤の少なくとも1種の試薬、抗体、及び複合体安定化剤を有する少なくとも1つの試薬混合物を有していてもよい。抗体は、抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体のうちの1つ以上であってもよい。第3ウェルは、発色基質及び可視化試薬のうちの少なくとも一方を有する試薬混合物を保持してもよい。
【0015】
本発明は、フィンガースティック装置と、単一の自己充足式使い捨て診断カートリッジとを有する、酵素結合免疫吸着バイオアッセイ診断キットを提供することによっても、これらの目的を果たす。カートリッジは、ピペットチップと、カートリッジ内に収容されたバイオアッセイ成分とを有していてもよい。カートリッジはまた、一体型の光学キュベットも有していてもよい。カートリッジは、ユーザの利便性のため、外面に沿って識別子も有していてもよい。
【0016】
カートリッジ内のピペットチップは、抗体でコーティングされた内部側壁を有し、ピペットチップの内部チャンバ内の少なくとも一部は、開放されたままになっており、内部側壁にアクセス可能である。すなわち、コーティングされたピペットチップは、完全に満たされているのではなく、充填可能なままである。
【0017】
カートリッジ内のバイオアッセイ成分は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤のうちの少なくとも1種の反応性または非反応性の試薬と、抗体と、複合体安定化剤と、発色基質と、可視化試薬とを有する。
【0018】
本発明のピペットチップは、様々な量の抗体でコーティングされた内壁を有していてもよい。同様に、本発明のカートリッジウェルは、様々な量のバイオアッセイ成分を有していてもよい。本発明に従って行なわれる改良型ELISAの例が、特定の量と共に本明細書中に提供されている。しかしながら、これらの量は、本発明の趣旨から逸脱することなく、カートリッジ及び用いられるチップのサイズにより異なる場合があると理解されるべきである。本発明では通常、同様の量の抗体及び発色基質が用いられる。
【0019】
例えば、大抵の実施形態では、約1:1の抗体と発色基質との相互関係が存在する。40μl~60μlの抗体が使用される場合、通常、40μl~60μlの範囲の発色基質も使用される。約90μl~110μlの抗体が使用される場合、通常、90μl~110μlの範囲の発色基質も使用される。300μl~320μlの範囲の量の抗体が使用される場合、通常、約300μl~320μlの発色基質も存在する。
【0020】
本発明の概念は、さらに、酵素結合免疫吸着アッセイを行なうためのカートリッジを作製する新規の方法を提供することによって現在の目標を達成する。当該方法は、(1)ピペットチップの内面をコーティングすることによって、ピペットチップを前処理する工程と、(2)第1コーティングをピペットチップの内面に沿って親和剤で施す工程と、(3)第2コーティングを第1コーティングの上にピペットチップの内面に沿ってブロッキング溶液で施す工程と、(4)第3コーティングを第2コーティングの上にピペットチップの内面に沿って活性防腐剤で施す工程と、(5)pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬混合物と、抗体と、複合体安定化剤とを用いた直接的なピペッティングを促進することによって洗浄時間を短縮する工程と、(6)発色基質及び可視化試薬と直接反応させるためにカートリッジ内に1つのウェルを設ける工程とを有する。
【0021】
この方法は、前記親和剤を、抗体、抗体断片、組み換えタンパク質、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、ストレプトアビジン、組み換えタンパク質断片、核酸、多糖類、糖タンパク質、ペプチドグリカン、分子インプリントポリマー、及びアプタマー分子からなる群から選択することも備えていてもよい。
【0022】
この方法は、コーティング緩衝剤を、炭酸塩/重炭酸塩緩衝剤、スクロース緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン生理食塩水からなる群から選択することも備えていてもよい。
【0023】
第1コーティングをピペットチップの内面に沿って親和剤で施すことは、親和剤を選択することと、コーティング緩衝剤を選択することと、選択された抗体及び選択されたコーティング緩衝剤を混合することによって、抗体溶液を調製することと、混合された抗体溶液をピペットチップに充填することと、ピペットチップを第1温度で第1時間の間インキュベーションすることとによって、さらに定義されてもよい。
【0024】
第2コーティングを第1コーティングの上にピペットチップの内面に沿ってブロッキング溶液で施すことは、ブロッキング溶液を選択することと、ピペットチップにブロッキング溶液を充填することと、ピペットチップを第2温度で第2の時間の間インキュベーションすることとによって、さらに定義されてもよい。
【0025】
第3コーティングを第2コーティングの上にピペットチップの内面に沿って活性防腐剤で施すことは、活性防腐剤を選択することと、ピペットチップに活性防腐剤を充填することと、ピペットチップを第3温度で第3の時間の間インキュベーションすることとによって、さらに定義されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】図示のようにスキャナと共に使用するための、本発明のバイオアッセイカートリッジキットの図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るカートリッジの断面図である。
【
図3】本発明のさらなる実施形態に係るカートリッジ、及びピペットチップの断面図である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態に係るカートリッジ、及びピペットチップの断面図である。
【
図5】ユーザが、本発明のカートリッジの識別子をスキャンしている図である。
【
図6】ユーザが、本発明の方法に従ってフィンガースティック装置を用いて血液試料を採取している図である。
【
図7】ユーザが、本発明のカートリッジから採取装置を取り出している図である。
【
図8】ユーザが、本発明のカートリッジの採取装置に血液試料を充填している図である。
【
図9】ユーザが、血液試料が充填された採取装置を本発明のカートリッジに戻している図である。
【
図10】ユーザが、充填された採取装置を有する本発明のカートリッジを分析装置に入れている図である。
【
図12】本発明のチップを作製する工程の概要を図示している。
【
図15】660nmでCRP(mg/L)に対する光学密度を測定することによるCRPの用量反応を用いた、第1実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図16】660nmでシスタチン(mg/L)に対する光学密度を測定することによるシスタチンの用量反応を用いた、さらなる実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図17】660nmでALT濃度(U/L)に対する光学密度を測定することによるALTの用量反応を用いた、さらなる実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図18】660nmでAST濃度(U/L)に対する光学密度を測定することによるAST非処理の用量反応を用いた、さらなる実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図19】660nmでhs-CRP濃度(mg/L)に対する光学密度を測定することによるhs-CRPの用量反応を用いた、さらなる実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図20】660nmでIGF-1濃度(ng/mL)に対する光学密度を測定することによるIGF-1の用量反応を用いた、さらなる実施形態の結果を図示しているグラフである。
【
図21】通常のCRP光学密度測定値に及ぼすHGB効果の結果を図示しているグラフである。
【
図22】HGB効果を考慮するために、補正された通常のCRP光学密度測定値を図示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[発明の詳細な説明]
本発明の好適な実施形態を、
図1~22を参照して説明する。上述のとおり、本発明は、ヘモグロビン補正を伴う改良型ELISAのための方法及び装置に関する工程、技法、システム、及び装置を提供する。
【0028】
包括的なカートリッジキット
図1に示されているのは、想定される分析装置システム1の隣に示された、完全に包括的かつ総合的な本発明のカートリッジキット10の図である。このカートリッジキット10は、独立した分析装置システム1で単回使用するために予め梱包された、改良型ELISAカートリッジ12と、フィンガースティック装置14とを備える。本発明の様々な実施形態によれば、キットが設計されている特定の検査に応じて、カートリッジキットは、
図2~4を用いて以下でより詳細に説明される、少なくとも1本のピペットチップ20、採取装置18、及び一体型キュベット16gも備えていてもよい。これらのコンポーネントを単一のパッケージ19に1つにまとめたキットとして提供することにより、本発明は、全体の処理時間及びユーザエラーの両方を削減する。
【0029】
本明細書に記載のアッセイを行なうことができる例示的な分析装置システム1は、Nova Biomedical Corporation製のALLEGRO(商標)分析装置である。本明細書に記載のカートリッジ12と共に使用できる例示的な採取装置及びカートリッジベースは、Nova Biomedical Corporationの米国特許10,117,615により完全に記載されており、その全内容は本明細書に援用される。
【0030】
改良型ELISAカートリッジ
本発明のシステム及び技法で使用できる例示的なカートリッジキットは、
図2~4をさらに参照してここに説明するような、内蔵型で単回使用の、使い捨て一体型カートリッジ12を備えていてもよい。
【0031】
カートリッジの第1実施形態が
図2に図示されており、断面図では見えないものの、カートリッジは、分析装置1に対して特定のタイプのカートリッジ(ひいてはELISA)であることを識別することができる、バーコード等の識別子13を有する。この識別子13は、カートリッジ12の目視できる外面に沿って視認できるようになっていてもよく、メインパッケージ19の外面に沿って設けられていてもよい。上述のように、このパッケージ19は、カートリッジ12、及び少なくとも1つのフィンガースティックランセット14、または皮膚を破って検査用の血液試料を採取することができる、他の同様の装置を含んでいてもよい。
【0032】
大抵の実施形態では、カートリッジ12は、カートリッジ12自体の取り外し可能なコンポーネントであるキャピラリ採取装置18を有する。また、ほとんどのカートリッジ12は、光学測定を促進可能な側壁を有する一体型キュベット16gも有する。しかしながら、パッケージ19には、カートリッジベースに加えて設けられた独立した異なるキュベット16gを必要とするカートリッジ12が含まれている場合がある、ということも予想される。いずれにせよ、これらのカートリッジは、少なくとも、本発明の方法によるアッセイの成分が予め充填された、一連のウェル16を有している必要がある。
【0033】
図2で見られ得るように、採取装置18は、使い捨て検査カートリッジ12のカバー延長部の段差を設けた延長部分の延長部上面にある対応する毛細管受入開口から挿入されて段差を設けた延長部に着座する、キャピラリ要素(符号なし)を有する。挿入及びセッティング工程の間、採取装置18の毛細管は、キャピラリワイパーの頂端に位置する下部開口から挿入される。下部開口の断面積は毛細管の断面積よりも小さいため、下部開口は、毛細管の外面に対してスキージのように機能し、不注意で毛細管の外面に配されたあらゆる試料がカートリッジ12のチャンバ16bに進入して堆積することを防止する。
【0034】
これらのカートリッジ12のキャピラリワイパーは、毛細管の外面からいかなる試料7も除去する。これにより、検査カートリッジ12内の適切なウェル16bに試料7が「過剰充填」されることによる、誤った結果が防止される。同様に、毛細管がユーザによって拭かれることはないため、毛細管内のいかなる試料7が不注意に除去されて、検査カートリッジ12内のウェル16bが試料7の「充填不足」となることによって誤った結果をもたらすような可能性は、全くあるいはほとんどない。
【0035】
単一のカートリッジ12の第1ウェル16aに備えられたピペットチップ20は、
図2に示すように外面に沿って測定の目盛りを有するピペットチップであってもよい。あるいは、これらのチップは、
図3~4に示されるように、傾斜がつけられ、延長され、及び/または徐々に変化がつけられたものであってもよい。いずれにせよ、カートリッジ12の第1ウェル16内の少なくとも1つのピペットチップ20は、内壁に沿ってコーティング30を有することになる。様々なタイプのコーティング30、及びこれらのコーティングを施す方法は、さらに以下で
図12~14を参照してより詳細に説明される。
【0036】
ユーザの視点からの方法
ここで、ユーザの視点の概要について、
図5~11を参照してここで説明する。これらの図に示されるように、最初に、改良型ELISAカートリッジまたはカートリッジキットが、ユーザによって選択される102。改良型ELISAカートリッジが手動で選択された102後、カートリッジを分析装置でスキャンして、選択されたアッセイが識別されてもよい103。その後、血液試料の取得104には、単純な指先穿刺105を行なって、必要な量の血液試料を提供することが含まれてもよい。この工程で血液試料が得られ得るという容易さは、静脈穿刺または他の大量の血液試料の収集を必要とする他の従来技術のシステム及び方法に対する、本発明のシステムの利点の1つを示している。
【0037】
バイオアッセイが最初に識別された場合、キャピラリ採取装置をカートリッジから取り外し106、血液試料を充填し107、所定のカートリッジへ戻す108ことが、すべて指先穿刺105を行なってから30秒以内に行なわれてもよい。充填済みの採取装置がカートリッジに戻された108後、識別子を分析装置でスキャンし103、カートリッジを分析装置に挿入109してもよい。カートリッジを分析装置に装填した後、自動処理110が開始される。自動処理には、選択されたバイオアッセイに応じて、バイオアッセイ成分の所定の順序に従った、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びユーザまたはその他の指定された個人への結果報告119、の自動化された工程が含まれることになる。
【0038】
CRP抗体を用いたピペットチップのコーティング方法
ここで、本発明の方法に従ってピペットチップ20を作製するための様々な方法を、特に
図12~14を参照して説明する。一般的に、ピペットチップ20の作製には、抗体溶液を用いたコーティング160、ブロッキング溶液を用いたコーティング170、活性防腐剤溶液を用いたコーティング175、及びチップの乾燥180を行なって使用に備える、という4つの主要な工程が含まれる。開示された量の範囲にかかわらず、使用される量が、キャピラリチップのサイズ及びカートリッジ12内のウェルの大きさに依存することになることは理解されるべきである。
【0039】
図12で、第1主要工程、すなわち抗体溶液を用いたコーティング160、の工程を詳しく見ていく。一実施形態によれば、この第1主要工程は、抗体ストック、この場合は抗CRP、を選択し161、コーティング緩衝剤、この場合はpH9.6の200mM炭酸塩、を選択する162ことで開始した。これは、抗体、抗体断片、組み換えタンパク質、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、ストレプトアビジン、またはその組み換えタンパク質または断片、核酸、多糖、糖タンパク質、ペプチドグリカン、分子インプリントポリマーまたはアプタマー分子等の、いかなる同様のタンパク質でも機能するであろうということは理解されるべきである。抗体は、ELISAシステムで一般的に使用されているため、好適な親和剤である。上述のように、固定化は、非特異的吸着、または共有結合性の結合によって達成され得る。
【0040】
同様に、この方法で使用されるコーティング緩衝剤には、炭酸塩/重炭酸塩緩衝系及びスクロースが含まれる一方で、リン酸緩衝生理食塩水等の同様のコーティング緩衝剤も使用されてもよく、トリス緩衝生理食塩水等の緩衝剤も許容されるであろうことが理解されるべきである。
【0041】
次に、選択された抗体ストックとコーティング緩衝剤とを混合163することで、抗体溶液(抗CRP,5μg/ml)が調製された。その後、この溶液は96ウェルプレートに分注164された。ピペットチップが取り付けられたマルチチャンネルピペットを使用して、選択されたピペットチップに抗体溶液が満杯まで吸引166された。具体的には、抗体溶液の量は、約100ポーション~300ポーションの間、好ましくは150μl~200μlの間、より好ましくは50μl~300μlの間の約165ポーション、好ましくは75μl~200μlの間、より好ましくは選択されたピペットチップに満杯まで充填166された抗体溶液約100μlである。その後、これらの充填済のピペットチップは、10℃~50℃の間、好ましくは20℃~30℃の間で、より好ましくは約22℃~25℃の室温で、200~2分の間、好ましくは50~10分の間、より好ましくは約30分である第1の時間、インキュベーション167された。ここで、抗体溶液の層がピペットチップの内壁に付着した。その後、余分な溶液はピペットチップから吐出されて、廃棄された。余分な溶液が排出された後、ピペットチップは、さらにブロッキング溶液を用いたコーティング170、その後、活性防腐剤溶液を用いたコーティング175、続いてチップの乾燥180を経る。ブロッキング溶液を用いたコーティング170の工程、及び活性防腐剤溶液を用いたコーティングの工程は、さらに
図13に図示されている。
【0042】
ここで
図13を参照して、
図13で次の工程を詳しく見ていくと、チップは次にブロッキング溶液でコーティング170されたことがわかる。具体的には、最初にブロッキング緩衝剤が選択171される。この工程に十分であると思われるブロッキング緩衝剤には、0.5%~5%の間の、より好ましくは1%のウシ血清アルブミン、ゼラチン、乾燥粉乳を含有する、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれるであろう。
【0043】
次に、約50μl~1,000μlの間、好ましくは100μl~400μlの間、より好ましくは約200μlの選択されたブロッキング緩衝剤がチップに充填172されるように、選択されたブロッキング緩衝剤がチップに吸引される。その後、充填済みのチップは、約2~30分の間、好ましくは5~20分の間、より好ましくは約10分である第2の時間の間、インキュベーション173される。このインキュベーション173は、大抵10℃~50℃の間、好ましくは20℃~30℃の間の温度で、より好ましくは約22℃~25℃の室温で行われる。ここでブロッキング緩衝剤の層が抗体溶液の第1の層の上の適切な場所にあり、余分なブロッキング緩衝剤はここで排出され、ピペットチップから吐出174される。
【0044】
次に、活性防腐剤のコーティングが施される175。具体的には、最初に、活性防腐剤が選択176される。この工程に十分と思われる活性防腐剤には、0.5%~5%の間、より好ましくは2%のスクロース、トレハロース、ゼラチン、及び他の同様の活性防腐剤が含まれるであろう。
【0045】
次に、選択された活性防腐剤は、すでに第1の層及び第2の層(すなわち、それぞれ抗体溶液のコーティング、及びブロッキング溶液のコーティング)を有するチップに分注177される。しかしながら、この層は、チップにまだ50μl~1,000μlの間、好ましくは100μl~400μlの間、より好ましくは約110μlの選択された活性防腐剤が充填176されるように、上下に沿った部分も含めて前の層を完全に覆うことになる。その後、充填済みのチップ177は第3の時間、約1分、10℃~50℃の間、好ましくは20℃~30℃の間の温度で、より好ましくは約22℃~25℃のほぼ室温で、インキュベーション178される。ここで活性防腐剤の第3の層は、ブロッキング緩衝剤及び抗体溶液の第1の層及び第2の層の上の適切な位置にあり、これらの層を完全に覆っている。インキュベーション後、ここで過剰量の活性防腐剤は排出され、ピペットチップから吐出179される。その後、チップを2~20時間の間、好ましくは4~10時間の間、より好ましくは約8時間、真空チャンバ内で乾燥180させた。
【0046】
この処理は、
図14において視覚的に概略的に示されている。具体的には、上記の方法に従ってチップ20を作製する処理における、ピペットチップ20の断面図が示されている。最初、ピペットチップ20は、ピペットチップ20の第1端の開口22から主要部分26を通ってピペットチップ20の第2端の第2開口28まで延在する、空の内部空洞24を有するように示されている。その後、ピペットチップ20には、内部空洞24が実質的に満たされるように、抗体溶液31が充填される。
【0047】
余分な材料が排出されると、抗体溶液31の第1の層34は、内部空洞24の内部の表面に沿って乾燥した状態で残る。内部空洞の空の体積は、残存する抗体溶液31の第1の層34の体積によって減少する。しかしながら、コーティング緩衝剤37は、通常、抗体溶液31の垂直方向の高さよりも高いところまで加えられる。したがって、その後コーティング緩衝剤37がピペットチップ20に加えられるときに、ピペットチップ20を満たすには、まだ同程度の量のコーティング緩衝剤溶液37の追加量が必要とされる。余分な緩衝材料が排出された後、コーティング緩衝剤の層36は、内部空洞24内の抗体溶液の第1の層34の内部に向かい合う面に沿って付着した状態で残る。活性防腐剤溶液38は、通常、コーティング緩衝剤36の垂直方向の高さよりも高いところまで加えられる。したがって、その後に活性防腐剤溶液38がピペットチップ20に加えられるときに、ピペットチップ20を満たすには、まだ同程度の量の活性防腐剤溶液38の追加量が必要とされる。余分な活性防腐剤溶液38が排出された後、活性防腐材料の層39は、内部空洞24内のコーティング緩衝剤の第2の層36の内部に向かい合う面に沿って付着した状態で残る。コーティング緩衝剤36及び/または活性防腐剤39のさらなる層が、上記の方法に従って同様に施されてもよい。図示されている層は予想されるものよりも厚く、単に説明の目的で示されており、各層のピペットチップの壁厚に対する、または各層の互いに対する実際の相対的な厚さを表すものではないということは理解されるべきである。
【0048】
上記のピペットチップを作製するために、試薬の特定の量が挙げられていることに留意されたい。体積に対する表面積の割合が(単位は別として)1/6より大きい限り、任意の対応する量で十分であることに注意すべきである。チップの表面積=πrh+πr2、及びチップの体積=1/3πr2lにおいて、r=チップの大径、l=チップの長さ、及びh=チップの斜辺である。例えば、3mmの半径及び10.6mmの長さを有するチップの場合、ピペットチップの内側に沿った表面積は、少なくとも132.1mm2、体積は100mm3、表面積対体積の割合は132:100または1.32:1となる。
【0049】
あるいは、7.87mmの底部の半径及び58.42mmの長さを有するチップの場合、ピペットチップの内側に沿った表面積は、1652mm2となり、チップは、3789mm3の体積を有し得り、表面積対体積の割合は1652:3789または0.43:1になる。試薬に対するチップの露出表面積が大きいほど全体的な反応速度の増加が大きくなり、所要反応時間を短縮することができる。しかしながら、表面積対体積の割合は、1より大きい必要はない。研究によると、表面対体積の割合は、5~1/5の間、より好ましくは1~1/4の間、より好ましくは約0.43であれば十分であることが示されている。
【0050】
一般的なアッセイ試薬、及び追加成分
一実施形態に係る第1試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤を有する。
【0051】
一実施形態に係る第2試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤を有する。
一実施形態に係る第3試薬混合物は、抗体、複合体安定化剤、及び陰性対照を有する。
【0052】
一実施形態に係る第4試薬混合物は、発色基質または可視化試薬のうちの少なくとも一方を有する。
一実施形態に係る第1試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤を有する。
【0053】
一実施形態に係る第2試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤を有する。
一実施形態に係る第3試薬混合物は、抗体、複合体安定化剤、及び陰性対照を有する。
【0054】
一実施形態に係る第4試薬混合物は、発色基質または可視化試薬のうちの少なくとも一方を有する。
本発明の方法で使用され得る例示的なpH安定剤は、10mMリン酸緩衝剤であり、これによりpH7.4の保持が容易になる。
【0055】
本発明の方法で使用され得る例示的なイオン性触媒制御剤は、138mM NaCl溶液である。
本発明の方法で使用され得る例示的なイオン性細胞内抑制制御剤は、2.7mM KCl溶液である。
【0056】
本発明の方法で使用され得る例示的な殺生物性防腐剤は、ProClin(商標)300の商標で販売されている0.03%の殺生物性防腐剤であり、これは、水溶性で、アルキカルボキシレート安定剤を含有する塩を含まない独自のグリコール中の3%のCMIT/MITからなる。
【0057】
本発明の方法で使用され得る例示的なキレート剤は、5mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
本発明の方法で使用され得る例示的な洗剤は、Triton(商標)X-100(TX100)の商標で販売されている0.1%洗剤であり、これは、細胞を溶解して、タンパク質及び他の細胞小器官を抽出するか、またはトランスフェクションのために生細胞膜を透過処理するのに、最も広く使用されている非イオン性界面活性剤の1つである。
【0058】
本発明の方法で使用され得る例示的な乳化剤は、Tween(登録商標)20(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)の商標で販売されている0.05%乳化剤である。
【0059】
本発明の方法で使用され得る例示的な陰性対照は、テネシー州のMeridian Life Science, Incから入手可能なマウスIgGであり、これは一般的に血清免疫グロブリンの75%を構成し、プラズマB細胞によって合成及び分泌される。
【0060】
本発明の方法で使用され得る抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合したC反応性タンパク質(CRP)一次抗体である、抗CRP抗体HRP(250ng/mL)である。
【0061】
CRPは、環状五量体構造を特徴とするタンパク質である、ペントラキシンファミリーの一員である。ヒトCRP遺伝子は、224のアミノ酸前駆体をコード化する。成熟したヒトCRPタンパク質は、非共有結合性の結合をして五量体を形成する206のアミノ酸を有する。ヒトCRPは、71%のアミノ酸配列相同性をマウスと共有し、64%のアミノ酸配列相同性をラットと共有する。
【0062】
肝細胞によって合成されたCRPは、ヒトの主要な急性期血清タンパク質である。IL-6、IL-1、及びグルココルチコイドは、CRP遺伝子の主要な誘導物質である。感染、炎症、または組織の損傷に反応して、ヒト血清中のCRPレベルは、24~48時間以内に1,000倍に増加し得る。ヒト血清中のCRPレベルは、1μg/mL未満の基準レベルに非常に速く戻る。ヒトCRPは、宿主の先天的宿主防御の第一線で作用する、急性期の血清タンパク質である。他のペントラキシンと同様に、CRPはCa++依存のリガンドへの結合を示す。多くの細菌壁及び真菌壁の構成物であるホスホコリン(PCh)は、CRPの主要なリガンドである。
【0063】
CRPは、損傷した細胞の膜、壊死細胞の膜及び核成分、アポトーシス細胞の膜及び核成分にも結合する。リガンドと結合すると、CRPはC1qによって認識され、補体カスケードの活性化を開始する。リガンド結合CRPは、食細胞上のFcガンマRI及びFcガンマRIIaにも結合して、食作用反応を活性化する。食作用に加えて、CRPは、過酸化水素、及びIL-1、IL-6及びTNFアルファ等の炎症性サイトカインの産生を単球によって誘発することもできる。これらの機能を有することから、ヒトCRPは、抗菌性病原体に対して、また損傷した細胞やアポトーシス細胞の除去のために、重要な血清タンパク質である。しかしながら、マウスでは、CRPは非常に低いレベルで発現しており、急性期の反応物質ではない。別のペントラキシンである血清アミロイドP成分(SAP)は、マウスでの主要な急性期血清タンパク質である。ヒトにおいてCRPレベルが高いことは、心血管疾患のリスクの増加と関連していることがこれまでに示されている。
【0064】
本発明の方法で使用され得る複合体安定化剤は、StabilZyme(商標)の商標で販売されている複合体安定化剤であり、これは、イムノアッセイで一般的に使用される抗体/抗原複合体、抗体被覆粒子、及び未修飾タンパク質の構造を維持するために作られた、多目的HRP複合体安定化剤溶液である。
【0065】
本発明の方法で使用され得る発色基質または可視化試薬は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)である。
本発明の方法では、抗発泡/消泡剤が使用され得る。そのような薬剤の例は、Foam Away(商標)の商標で販売され、ThermoFisher Scientificから入手可能である。
【0066】
例-
図15に図示されたCRPの結果
アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、抗CRP捕捉抗体を用いた上記の方法によるピペットチップの作製が含まれた。具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗CRP捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗CRP捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持できるものである。
【0067】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0068】
【0069】
カートリッジの作製後、上述の方法に従って血液試料をキャピラリ採取装置18で採取104した。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジが分析装置に装填され、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0070】
このバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。アッセイは、290μlの第1試薬量を、第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0071】
次に、5μlの血液試料がキャピラリ採取装置18から第2ウェル16bに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、第2ウェルから100μLの試料が吸引された。その後、この試料はピペットチップ内で60秒間保持117され、その後、溶解した血液試料は第2ウェル16bに戻され廃棄された。
【0072】
その後、1回目の洗浄が行なわれた。1回目の洗浄では、第6ウェル16fから130μLの第4試薬が吸引され、その後再び戻され廃棄された。その後、2回目の洗浄が、第4ウェル16dからの55μLの第2試薬、続いて75μLのエアギャップを用いて行なわれた。その後、これは第3ウェル16cに廃棄された。これが、3回目の洗浄として繰り返された。
【0073】
次に、抗CRP-HRPを用いた分析物の標識化が、混合114と、第5ウェル16eからの100μLの第3試薬の吸引と、4分間の保持117とによって行なわれた。その後、これは第5ウェル16eに戻され廃棄された。
【0074】
その後、ピペットチップの追加洗浄が4回行なわれた。4回目の洗浄では、130μLの第1試薬が吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。5回目の洗浄では、65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが第4ウェル16dから吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。6回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。7回目の洗浄では、130μLの第3試薬が第4ウェル16dから吸引114された。その後、これは第4ウェル16dに廃棄された。次に、100μlの第5試薬がその後キュベット16gから吸引114されて2分間保持117され、その後、キュベット16gに戻されて廃棄され、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料は660nmにおいて読み取られた116。
【0075】
この手順が、6つの異なる濃度のCRPに対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0076】
【0077】
前述のとおり、このデータは、
図15において視覚的にも図示されている。
例-
図16に図示されたシスタチンの結果
アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、抗シスタチンC捕捉抗体を用いた上記の方法によるピペットチップの作製が含まれた。具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗シスタチンC捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗シスタチンC捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持することができる。
【0078】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0079】
【0080】
カートリッジの作製後、異なる濃度のシスタチンを有する試料を、キャピラリ採取装置18で採取104した。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジを分析装置に装填し、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0081】
このバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。アッセイは、290μlの第1試薬量を第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0082】
次に、5μlの試料がキャピラリ採取装置18から第2ウェル16bに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、75μLの希釈された血液試料が第2ウェル16bから第6ウェル16fに吸引された。次に、第5ウェル16eからの75μLの第3試薬も第5ウェル16eから第6ウェル16fに移された112。
【0083】
その後、分析物の標識化が、第6ウェル16f内の試薬混合物及び希釈された試料を3回上下にピペッティングして混合114することによって行なわれた。その後、100μLのこの試料混合物がピペットチップに吸引され、60秒間インキュベーション117された後、溶解した血液試料混合物が第6ウェル16fに戻され廃棄された。
【0084】
その後、ピペットチップの洗浄が4回行なわれた。1回目の洗浄では、50μLの第1試薬が吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。2回目の洗浄では、第4ウェル16dから110μLの第2試薬、続いて20μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。3回目の洗浄では、第4ウェル16dから110μLの第2試薬、続いて20μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。4回目の洗浄では、110μLの第3試薬が第4ウェル16dから吸引114された。その後、これは第2ウェル16bに廃棄された。
【0085】
次に、100μlの第4試薬がキュベット16gから吸引114されて2分間保持117され、その後、キュベット16gに戻されて廃棄され、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料が660nmにおいて読み取られた116。
【0086】
この手順が、7つの異なる濃度の既知のシスタチン濃度に対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0087】
【0088】
前述のとおり、このデータは、
図16において視覚的にも図示されている。
例-
図17に図示されたALTの結果
アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、今回はコーティングが抗アラニンアミノトランスフェラーゼ(抗ALT)抗体を用いて行われた点を除いて、上記の方法によるピペットチップの作製が含まれた。具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗ALT捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗ALT捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持することができる。
【0089】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0090】
【0091】
カートリッジの作製後、異なる濃度のALTを有する試料を、キャピラリ採取装置18で採取104した。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジを分析装置に装填し、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0092】
この例示的なバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びその後のユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。アッセイは、290μlの第1試薬量を第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0093】
次に、5μlの試料がその後キャピラリ採取装置18から第2ウェル16bに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、第2ウェル16bから100μLの溶解した血液試料が吸引された。その後、この試料はピペットチップ内で10分間保持117され、その後、溶解した血液試料は第2ウェル16bに戻され廃棄された。
【0094】
その後、1回目の洗浄が行なわれ、1回目の洗浄では、第3ウェル16cから130μLの第4試薬が吸引され、その後再び戻され廃棄された。その後、2回目の洗浄が、第4ウェル16dからの55μLの第2試薬、続いて75μLのエアギャップを用いて行なわれた。その後、これは第3ウェル16cに廃棄された。これが、3回目の洗浄として繰り返された。
【0095】
次に、分析物の標識化が、混合114と、第5ウェル16eからの100μLの第3試薬の吸引と、4分間の保持117とによって行なわれた。その後、これは第5ウェル16eに戻され廃棄された。
【0096】
その後、ピペットチップの追加洗浄が4回行なわれた。4回目の洗浄では、130μLの第1試薬が第3ウェル16cから吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。5回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。6回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。7回目の洗浄では、第4ウェル16dから130μLの第2試薬が再び吸引114された。その後、これは第4ウェル16dに再び廃棄された。次に、100μlの第5試薬がその後、キュベット16gから吸引114されて、10分間保持117され、その後、キュベット16gに戻されて廃棄され、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料は660nmにおいて読み取られた116。
【0097】
この手順が、3つの異なる濃度のアラニンアミノトランスフェラーゼ濃度に対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0098】
【0099】
例-
図18に図示された、前処理及び追加の二次的な任意の前処理に対してのASTの結果
図18では、本方法と比較した、二次的な任意の前処理が与えるさらなる利点を、追加のプラズマ処理が施されたチップと本方法で処理されたチップとのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)抗体に関する分析を比較することによって説明する結果が示されている。本明細書で説明される通常の発明の方法による抗体コーティング前に、プラズマチャンバにおいてピペットチップに追加の前処理を行なうことによって、製造業者に提供されたままで使用されるピペットチップと比較して、前処理されたピペットチップに対するより良好な抗体の結合をもたらすことができる。この抗体結合の向上は、ひいてはアッセイ信号の向上に反映される。アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、上述の改良された方法によるピペットチップの作製が含まれていた。このコーティング手順は、追加の手順に(プラズマ処理と称される)任意の追加の前処理が含まれることを除いて、上述のコーティング手順と実質的に同様であった。以下に説明されるコーティング処理及び追加のプラズマコーティング処理は、両方とも抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(抗AST)捕捉抗体を用いて行なわれた。
【0100】
具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗AST捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗AST捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持することができる。最初に、KPL緩衝剤中に5μg/mLの捕捉ABを有する100μLの抗体溶液が吸引され、2時間保持された。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。次に、200μLの10mM PBS及び0.05%のTw-20がピペットチップに吸引され、この一部がピペットチップの側壁に結合した。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。最後に、200μLの10mM PBS、0.05%のTw-20、0.1%のBSAがピペットチップに吸引され、5分間インキュベーションされて、ピペットチップの側壁に沿って第3の層を形成した。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。
【0101】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0102】
【0103】
カートリッジの作製後、検査試料を採取104して、キャピラリ採取装置18に入れた。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジを分析装置に装填して、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0104】
この例示的なバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びその後のユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。アッセイは、290μlの第1試薬量を第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0105】
次に、8μlのASTキャリブレータがキャピラリ採取装置18から第2ウェル16aに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、第2ウェルからの100μLの試料が吸引された。その後、この試料はピペットチップ内で10分間保持117され、その後、試料は第2ウェル16bに戻され廃棄された。
【0106】
その後、1回目の洗浄が行なわれ、1回目の洗浄では、第6ウェル16fからの130μLの第4試薬が吸引され、その後再び戻され廃棄された。その後、2回目の洗浄が、第4ウェル16dからの55μLの第2試薬、続いて75μLのエアギャップを用いて行なわれた。その後、これは第3ウェル16cに廃棄された。これが、3回目の洗浄として繰り返された。
【0107】
次に、分析物の標識化が、第5ウェル16eからの100μLの第3試薬の吸引、及び10分間の保持117によって行なわれた。その後、これは第5ウェル16eに戻され廃棄された。
【0108】
その後、ピペットチップの追加洗浄が4回行なわれた。4回目の洗浄では、130μLの第1試薬が第3ウェル16cから吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。5回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。6回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。7回目の洗浄では、第4ウェル16dから130μLの第2試薬が再び吸引114された。その後、これは第4ウェル16dに再び廃棄された。次に、100μlの第5試薬がキュベット16gから吸引114されて、10分間保持117され、その後、キュベット16gに戻されて廃棄され、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料は660nmにおいて読み取られた116。
【0109】
この手順が、プラズマ処理されたチップ及び処理されたチップの各々の、8つの異なる濃度のASTに対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0110】
【0111】
例-
図19に図示されたhs-CRPの結果
アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、抗CRP捕捉抗体を用いた上記の方法によるピペットチップの作製が含まれた。具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗CRP捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗CRP捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持することができる。
【0112】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0113】
【0114】
カートリッジの作製後、検査試料を採取104して、キャピラリ採取装置18に入れた。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジを分析装置に装填し、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0115】
この例示的なバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びその後のユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。アッセイは、290μlの第1試薬量を第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0116】
次に、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)を有する5μlの試料が、その後、キャピラリ採取装置18から第2ウェル16bに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、第2ウェル16bから100μLの試料が吸引された。その後、この試料はピペットチップ内で保持117され、その後、第2ウェル16bに戻され廃棄された。
【0117】
その後、1回目の洗浄が行なわれ、1回目の洗浄では、第6ウェル16fからの130μLの第4試薬が吸引され、その後再び戻され廃棄された。その後、2回目の洗浄が、第4ウェル16dからの55μLの第2試薬、続いて75μLのエアギャップを用いて行なわれた。その後、これは第3ウェル16cに廃棄された。これが、3回目の洗浄として繰り返された。
【0118】
次に、分析物の標識化が、第5ウェル16eからの100μLの第3試薬の吸引、及び3分間の保持117によって行なわれた。その後、これは第5ウェル16eに戻され廃棄された。
【0119】
その後、ピペットチップの追加洗浄が4回行なわれた。4回目の洗浄では、130μLの第1試薬が第3ウェル16cから吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。5回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。6回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。7回目の洗浄では、第4ウェル16dから130μLの第2試薬が再び吸引114された。その後、これは第4ウェル16dに再び廃棄された。次に、100μlの第5試薬がその後、キュベット16gから吸引114されて、2分間保持117され、その後、キュベット16gに移し戻されて、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料は660nmにおいて読み取られた116。
【0120】
この手順が、6つの異なる濃度のhs-CRPに対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0121】
【0122】
このデータは、
図19において視覚的に図示されている。
例-
図20に図示されたIGF-1の結果
アッセイカートリッジ及びキュベットの作製には、上述の改良された方法によるピペットチップの作製が含まれた。このコーティング手順は、当該手順が抗インスリン様成長因子1(抗IGF-1)捕捉抗体を用いて行なわれたことを除いて、上述のコーティング手順と実質的に同様であった。
【0123】
具体的には、ピペットチップ20の作製150中に、抗IGF-1捕捉抗体をピペットチップ20の内側に結合させた。当該ピペットチップは、抗IGF-1捕捉抗体の結合がなければ300μlの量の溶液を保持することができる。最初に、KPL緩衝剤中に5μg/mLの捕捉抗体を有する100μLの抗体溶液が吸引され、30分間保持された。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。次に、200μLの10mM PBS及び0.05%のTw-20がピペットチップに吸引され、この一部がピペットチップの側壁に結合した。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。最後に、200μLの10mM PBS、0.05%のTw-20、0.1%のBSAがピペットチップに吸引され、10分間インキュベーションされて、ピペットチップの側壁に沿って第3の層を形成した。側壁に結合しなかった分は、その後廃棄された。
【0124】
上記の方法に従って、示されたウェルに以下の量を分注することによって、カートリッジを作製した。
【0125】
【0126】
カートリッジの作製後、検査試料を採取104して、キャピラリ採取装置18に入れた。分析装置が選択されたバイオアッセイを識別した後、カートリッジを分析装置に装填し、自動処理110が開始される。具体的には、分析装置は、ピペットアームを用いて重力を発生させて、所定の自動処理110に従って試薬または血液試料を移す112。
【0127】
この例示的なバイオアッセイにおいて、自動工程には、添加112、混合114、測定116、インキュベーション117、補正118、及びその後のユーザまたは他の指定された個人への結果報告119が含まれる。この一連のアッセイは、150μlの第1試薬量を第3ウェル16cから第2ウェル16bに移すことで開始された。
【0128】
次に、IGF-1を有する8μlの試料がその後、キャピラリ採取装置18から第2ウェル16bに絞り出された112。その後、第1ウェル16aからの抗体付きピペットチップを使って、第2ウェル16bからの100μLの試料が吸引された。その後、この試料はピペットチップ内で5分間保持117され、その後、第2ウェル16bに戻され廃棄された。
【0129】
その後、1回目の洗浄が行なわれ、1回目の洗浄では、その後、第6ウェル16fからの130μLの第4試薬が吸引され、その後再び戻され廃棄された。その後、2回目の洗浄が、第4ウェル16dからの55μLの第2試薬、続いて75μLのエアギャップを用いて行なわれた。その後、これは第3ウェル16cに廃棄された。これが、3回目の洗浄として繰り返された。
【0130】
次に、分析物の標識化が、第5ウェル16eからの100μLの第3試薬の吸引、及び5分間の保持117によって行なわれた。その後、これは第5ウェル16eに戻され廃棄された。
【0131】
その後、ピペットチップの追加洗浄が4回行なわれた。4回目の洗浄では、130μLの第1試薬が第3ウェル16cから吸引114され、その後、第3ウェル16cに戻され廃棄された。5回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。6回目の洗浄では、第4ウェル16dから65μLの第2試薬、続いて65μLのエアギャップが吸引114された。その後、これも第3ウェル16cに廃棄された。7回目の洗浄では、第4ウェル16dから130μLの第2試薬が再び吸引114された。その後、これは第4ウェル16dに再び廃棄された。次に、100μlの第5試薬がキュベット16gから吸引114されて、5分間保持117され、その後、キュベット16gに移し戻されて、混合114された。その後、本明細書の他の箇所に記載のように、試料は660nmにおいて読み取られた116。
【0132】
この手順が、6つの異なる濃度のIGF-1に対して繰り返された。データを下の表に示す。
【0133】
【0134】
このデータは、
図20において視覚的に図示されている。
ヘモグロビンレベルの補正方法-
図21及び22
本発明は、ELISA法に関連する光検出の検査室誤差のいくつかの原因に対処しようとするものである。試料中に塊が形成されると光吸収の測定値に影響を与える可能性があり、また塊の形成は時間の経過に依存することから、ELISA法に関連する光検出の検査室誤差の最大の原因の1つは、試料採取から測定の間の時間の経過に起因する。
【0135】
本発明の基本方針の1つは、試料採取から検出(測定)の間の時間の経過に起因して発生し得る誤差数の増加に対処できない、という従来技術の失敗に対処することである。本発明は、アッセイ成分を包括的なカートリッジに予め梱包し、アッセイ技法のために予め選択された成分を提供することによって、検出前段階の迅速化を図る。
【0136】
本発明がこの目標を達成する別の方法は、全血試料を使用することによって、検査前に赤血球を血漿から分離する必要なしに、正確な結果を得ることが可能なバイオアッセイを提供することである。現在利用可能なポイント・オブ・ケア分析装置では、試料として血漿を使用する必要がある。これには、検査結果を得る前に、血液試料中の血漿から赤血球を分離する必要があり、試料採取から検査の間の時間がさらに長くなってしまう。
【0137】
現在の分析装置が血漿を必要とする理由の1つは、先行技術の自動システム及びアッセイが自己補正分析を提供できないことに起因する、ということがわかった。血液試料中のヘモグロビンのレベルは、試料の光学密度に影響を与えることになる。本発明者らは、個人のヘモグロビン量の変動を考慮するために光学密度の信号出力を調節しないと、CRPレベルを正しく識別するのに誤差が生じ得る、ということを見い出している。
【0138】
この潜在的な誤差の原因に関して、先行技術の誤差に対処するため、本発明は、ヘモグロビンの自動補正を伴う改良型ELISAバイオアッセイ方法を提供する。全血を使用する上述のアッセイの実施形態では、試料の光学密度は可視波長で測定される。続いて、ヘモグロビンレベルは、別の可視波長で試料の光学密度を測定することによって割り出される。その後、CRPレベルは、試料の調整された真の血漿値についてのヘモグロビン測定を用いて補正される。
【0139】
このようにして、本発明は、個人の患者の血漿量の変動を考慮しなかったという先行技術の方法の失敗に対処する、という別の目的を達成する。統計的に、患者の血液試料中の血漿量と検出されたヘモグロビン量との間には、直接的な相関関係がある。健康で典型的なヒト血液は、12~17g/dLの間のヘモグロビンを含み得る。世界保健機関は、貧血でない個人の検出されたヘモグロビンレベルは、年齢、標高、及び性別によって異なり得ると報告している。
【0140】
6か月~4歳:11g/dL以上
5~12歳:11.5g/dL以上
12~15歳:12g/dL以上
成人男性:13.0g/dL以上~17.2g/dL
成人女性:12.1以上~15.1g/dL
妊娠中:11g/dL以上
ただし、特定の患者のヘモグロビン量の変動は、例えば貧血患者では8~12g/dLの間、または、例えば喫煙、高地在住、または赤血球の生成を刺激するエリスロポエチン等の薬またはホルモン剤服用の患者では、15.0g/dL~19g/dLの間であることが記録されている。HGBレベルが高いほど、全血試料の体積のうち赤血球が占める割合が大きいことを示す。HGBレベルが低いほど、全血試料の体積のうち赤血球が占める割合が小さいことを示している。
【0141】
前述のように、検出される分析物は患者の血漿内で運ばれる。事実上、分析物の濃度割り出しのために光学検出を用いる場合、HGBレベルが(試料の量に対して)高いということは、分析に利用可能な血漿量が(試料の量に対して)少ないことを意味する。これにより、血漿レベルの変動を考慮しなかった従来技術の方法では、報告された値が患者の体内に実際に存在した値よりも低かったという結果になった。
【0142】
あるいは、HGBレベルが(試料の量に対して)通常よりも低かったということは、分析に利用可能であった血漿量が(試料の量に対して)多かったことを示す。これにより、血漿レベルの変動を考慮しなかった従来技術の方法では、報告された分析物の値が患者の体内に実際に存在した値よりも高かったという結果になった。
【0143】
本発明の方法によって、例えば、ただしこれに限定されないが、複数の波長の発光ダイオード(LED)等の複数の信号測定装置を備えるよう、機器の機能を拡張することが容易になる。混合物の光学密度を測定してアッセイを読み取るには、好ましくは620nm~700nmの範囲、より好ましくは650~680nmの間、さらにより好ましくは658nm~668nmの間、最も好ましくは660nmの可視波長で行われる。試料の光学密度を測定してヘモグロビンレベルを読み取るには、好ましくは500nm~550nmの範囲、より好ましくは510nm~545nmの間、さらにより好ましくは520nm~540nmの間、最も好ましくは530nmの可視波長で行われる。
【0144】
検出されたCRPに及ぼす様々なレベルのヘモグロビンの効果(ヘマトクリット効果)を説明するために検査を行なった。結果を
図21及び22に図示する。ここに示されるように、ヘモグロビンは0~23g/dLの範囲であった。ヘモグロビンが増加するにつれて、先行技術の方法の算出CRPは減少した。可視範囲内の追加のLEDを用いると、本発明の方法によって割り出されたCRPレベルを、検出されたヘモグロビンに対して補正することができる。具体的には、
図22は、ヘモグロビンに対して補正されたCRPを示す。
【0145】
下の表は、
図21に図示されたデータを示しており、試料IDと、ヘモグロビンレベルと、補正前のCRP値とを関連付けている。
【0146】
【0147】
続いて下において、この表は
図22に図示されたデータを示しており、試料IDと、ヘモグロビンレベルと、補正後のCRP値とを関連付けている。
【0148】
【0149】
このようにして、本発明者らは、個人のヘモグロビン量の変動を考慮するために光学密度の信号出力を調節して、CRP値を正確に割り出す際の誤差を取り除いた。具体的には、本発明の方法は、補正されたCRPレベルをユーザに提供する前に、すべての結果をHGB濃度14g/dLに正規化する。
【0150】
結論
本明細書において本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の説明は単なる例示に過ぎない。本明細書に開示された本発明のさらなる改良は、それぞれの技術分野の当業者によって想起されることになり、そのような改良はすべて、添付の請求項によって定められるような本発明の範囲内であるとみなされる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人の患者に対して酵素結合免疫吸着アッセイを行うための、使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジであって、前記
使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジは複数のウェルを有し、前記
使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジは、
内部側壁を有し、前記複数のウェルのうちの
第1ウェルに配置されたピペットチップであって、前記内部側壁は、抗体で前処理及びコーティングされている、ピペットチップと、
前記複数のウェルのうちの
第2ウェルに配された試薬混合物であって、前記試薬混合物は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬と、抗体と、複合体安定化剤とを備える、試薬混合物と、
前記複数のウェルの一体型キュベットに配された、少なくとも発色基質及び可視化試薬と、
を備える、使い捨てバイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記内部側壁をコーティングしている前記抗体は、抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択されている、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記発色基質及び前記抗体は
、1:1の割合で存在している、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項4】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記発色基質は、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジンである、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記少なくとも1種の試薬は、前記発色基質及び前記可視化試薬の量に対応する量で存在している、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項6】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記少なくとも1種の試薬は、0.002%サポニンと、0.01%低発泡界面活性剤と、0.02%アジ化ナトリウムとを有するリシン溶液の少なくとも150μlの試薬混合物からなる、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項7】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記
複数のウェルのうちの第3ウェルは、PBSと、0.05%ポリソルベート系非イオン性界面活性剤と、0.03%殺生物性防腐剤とを有している、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項8】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、さらに、
抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択される抗体と、複合体安定化剤と、0.5%抗発泡/消泡剤とを有する第4ウェルを備える、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項9】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記ピペット
チップの前記
内部側壁をコーティングしている前記抗体は、抗シスタチンC抗体であり、前記第2ウェル中の前記少なくとも1種の試薬は、0.002%サポニンと、0.01%低発泡界面活性剤と、0.02%アジ化ナトリウムとを有する溶解溶液からなる、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項10】
請求項1に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、さらに、
10mM PBS、0.05%ポリソルベート系非イオン性界面活性剤、及び0.03%殺生物性防腐剤を有する第4ウェルと、
抗C反応性タンパク質抗体、抗シスタチンC抗体、抗IGF-1抗体、抗アラニンアミノトランスフェラーゼ抗体、及び抗アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ抗体からなる群から選択される抗体、複合体安定化剤、及び0.5%抗発泡/消泡剤を有する第5ウェルと
を備える、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項11】
請求項2に記載の使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジであって、
前記一体型キュベットは、530nmにて第1のLEDを用いて第1の光検出を読み取ること、及び660nmにて第2のLEDを用いて第2の光検出を読み取ることを
促進することが可能な、第1の壁及び第2の壁を有している、使い捨て
バイオアッセイ診断カートリッジ。
【請求項12】
酵素結合免疫吸着バイオアッセイ診断キットであって、
フィンガースティック装置と、
複数のウェル及び光学キュベットを有するカートリッジであって、前記カートリッジは、前記複数のウェルのうちの1つに配置されたピペットチップ及び前記複数のウェルのうちの1つまたは複数の残りのウェルに配された、バイオアッセイ成分を有し、前記複数のウェルのうちの1つは、光学キュベットである、カートリッジと
を備え、
前記ピペットチップは、抗体でコーティングされた側壁を有し、
前記バイオアッセイ成分は、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択された少なくとも1種の試薬と、抗体と、複合体安定化剤と、発色基質と、可視化試薬とを備える、酵素結合免疫吸着バイオアッセイ診断キット。
【請求項13】
洗浄時間を短縮しつつ、酵素結合免疫吸着アッセイを行うのに用いるための使い捨てピペットを作製する方法であって、前記方法は、
ピペットチップを、前記ピペットチップの内面をコーティングすることによって前処理する工程であって、前記前処理する工程は、
親和剤を含有している第1のコーティングを、前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
ブロッキング溶液を含有している第2のコーティングを、前記第1のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
活性防腐剤を含有している第3のコーティングを、前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置して、酵素結合免疫吸着アッセイを行うのに用いるためのコーティングされたピペットチップを形成することであって、前記酵素結合免疫吸着アッセイは、pH安定剤、イオン性触媒制御剤、イオン性細胞内抑制制御剤、洗剤、陰性対照剤、キレート剤、及び殺生物性防腐剤からなる群から選択される少なくとも1種の試薬混合物、抗体、及び複合体安定化剤を用いた前記コーティングされたピペットチップへの直接的なピペッティングを
促進することによって、洗浄時間を短縮する、第3のコーティングを、前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿って配置することと、
を備える、前処理する工程と、
発色基質及び可視化試薬を前記コーティングされたピペットチップの中の前記親和剤と直接反応させるために、前記発色基質及び前記可視化試薬を含んでいる1つのウェル
をカートリッジ内に設ける工程と
を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
抗体、抗体断片、組み換えタンパク質、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、ストレプトアビジン、組み換えタンパク質断片、核酸、多糖類、糖タンパク質、ペプチドグリカン、分子インプリントポリマー、及びアプタマー分子からなる群から前記親和剤を選択することを備える、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
炭酸塩/重炭酸塩緩衝剤、スクロース緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン生理食塩水からなる群からコーティング緩衝剤を選択することを備える、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記第1のコーティングを前記ピペットチップの前記内面に沿っ
て配置する
ことは、
前記親和剤を選択することと、
コーティング緩衝剤を選択することと、
選択された前記抗体及び選択された前記コーティング緩衝剤を混合することによって、抗体溶液を調製することと、
混合された前記抗体溶液を前記ピペットチップに充填することと、
前記ピペットチップを第1の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記第2のコーティングを前記第1のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿っ
て配置する
ことは、
前記ブロッキング溶液を選択することと、
前記ピペットチップに前記ブロッキング溶液を充填することと、
前記ピペットチップを第2の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記第3のコーティングを前記第2のコーティングの上に前記ピペットチップの前記内面に沿っ
て配置する
ことは、
前記活性防腐剤を選択することと、
前記ピペットチップに前記活性防腐剤を充填することと、
前記ピペットチップを第3の温度で所定の時間インキュベーションすることと
を備える、方法。
【国際調査報告】