(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】振動センサー
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20231124BHJP
H04R 1/22 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H04R1/00 327Z
H04R1/22 320
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531069
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2020140180
(87)【国際公開番号】W WO2022140921
(87)【国際公開日】2022-07-07
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 金波
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018BA01
(57)【要約】
本願に係る振動センサーは、ハウジング構造と、音響トランスデューサと、振動ユニットと、を含み、前記音響トランスデューサは、ハウジング構造に物理的に接続され、少なくとも一部のハウジング構造及び音響トランスデューサは、第1の音響キャビティを区画形成し、振動ユニットは、第1の音響キャビティ内に位置し、かつ第1の音響キャビティを第2の音響キャビティ及び第3の音響キャビティに仕切り、第2の音響キャビティは、音響トランスデューサと音響的に連通し、ハウジング構造は、外部の振動信号に基づいて振動するように構成され、振動ユニットは、ハウジング構造の振動に応答して第2の音響キャビティの体積を変化させ、音響トランスデューサは、第2の音響キャビティの体積の変化に基づいて電気信号を発生させ、振動ユニットは、第2の音響キャビティに作用して振動センサーの共振周波数を800Hz~8000Hzにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング構造と、音響トランスデューサと、振動ユニットと、を含む振動センサーであって、
前記音響トランスデューサは、前記ハウジング構造に物理的に接続され、少なくとも一部の前記ハウジング構造及び前記音響トランスデューサは、第1の音響キャビティを区画形成し、
前記振動ユニットは、第1の音響キャビティ内に位置し、かつ前記第1の音響キャビティを第2の音響キャビティ及び第3の音響キャビティに仕切り、前記第2の音響キャビティは、前記音響トランスデューサと音響的に連通し、
前記ハウジング構造は、外部の振動信号に基づいて振動するように構成され、前記振動ユニットは、前記ハウジング構造の振動に応答して前記第2の音響キャビティの体積を変化させ、前記音響トランスデューサは、前記第2の音響キャビティの体積の変化に基づいて電気信号を発生させ、
前記振動ユニットは、前記第2の音響キャビティに作用して前記振動センサーの共振周波数を800Hz~8000Hzにすることを特徴とする、振動センサー。
【請求項2】
前記振動ユニット、前記ハウジング構造及び前記音響トランスデューサは、共振システムを形成し、前記共振システムの品質係数は、0.7~10であることを特徴とする、請求項1に記載の振動センサー。
【請求項3】
前記振動ユニットは、質量素子及び弾性素子を含み、前記質量素子は、前記弾性素子により前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の振動センサー。
【請求項4】
前記弾性素子の弾性強度は、10N/m~2000N/mであることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項5】
前記質量素子の質量は、0.001g~1gであることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項6】
前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記ハウジング構造に接続され、他端が前記質量素子に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項7】
前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側には、第1の突出部が設置されることを特徴とする、請求項6に記載の振動センサー。
【請求項8】
前記振動センサーは、前記音響トランスデューサから出力された電気信号を受信し、かつ伝送するように構成される回路基板をさらに含み、前記回路基板は、前記音響トランスデューサの前記質量素子と対向する側に位置することを特徴とする、請求項6に記載の振動センサー。
【請求項9】
前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記質量素子に接続され、他端が前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項10】
前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第2の突出部が設置されることを特徴とする、請求項9に記載の振動センサー。
【請求項11】
前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第3の突出部が設置され、前記第3の突出部は、少なくとも一部が前記音響トランスデューサ内に入り込み、かつ前記音響トランスデューサの振動膜の位置に対向することを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の振動センサー。
【請求項12】
前記弾性素子は、平面構造であり、前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側に位置し、前記弾性素子は、前記ハウジング構造に接続され、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側面は、前記弾性素子に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項13】
前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、外側が前記ハウジング構造に接続され、内側が前記質量素子に接続されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項14】
前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、内側が前記質量素子に接続され、端部が前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項15】
前記弾性素子の断面形状は、長方形、台形、平行四辺形、円弧形、又は波形であることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項16】
前記質量素子には、前記質量素子を貫通する少なくとも1つの第1の減圧孔が設置されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項17】
前記弾性素子には、前記弾性素子を貫通する少なくとも1つの第2の減圧孔が設置されることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項18】
前記質量素子の断面積は、前記音響トランスデューサの断面積より大きいことを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【請求項19】
前記弾性素子と前記ハウジング構造との間の隙間間隔及び前記弾性素子と前記音響トランスデューサとの間の隙間間隔は、0.1mm以下であることを特徴とする、請求項3に記載の振動センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の分野に関し、特に振動センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
振動センサーは、振動信号を電気信号に変換するエネルギー変換デバイスである。現在、振動センサーを骨伝導マイクロホンとして使用することができ、振動センサーは、人が話すときに皮膚を介して伝達された振動信号を検出することができ、それにより音声信号を検出し、同時に外部ノイズの干渉を受けない。現在の振動センサーには、人体の振動信号が小さいため、振動センサーが良好な振動信号を受信することができず、音声品質が明らかに低下するという問題が一般的に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、骨伝導マイクロホンの性能要件を満たすと共に、特定の共振周波数を有し、感度が高い振動センサーを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例に係る振動センサーは、ハウジング構造と、音響トランスデューサと、振動ユニットと、を含み、前記音響トランスデューサは、前記ハウジング構造に物理的に接続され、少なくとも一部の前記ハウジング構造及び前記音響トランスデューサは、第1の音響キャビティを区画形成し、前記振動ユニットは、第1の音響キャビティ内に位置し、かつ前記第1の音響キャビティを第2の音響キャビティ及び第3の音響キャビティに仕切り、前記第2の音響キャビティは、前記音響トランスデューサと音響的に連通し、前記ハウジング構造は、外部の振動信号に基づいて振動するように構成され、前記振動ユニットは、前記ハウジング構造の振動に応答して前記第2の音響キャビティの体積を変化させ、前記音響トランスデューサは、前記第2の音響キャビティの体積の変化に基づいて電気信号を発生させ、前記振動ユニットは、前記第2の音響キャビティに作用して前記振動センサーの共振周波数を800Hz~8000Hzにする。
【0005】
いくつかの実施例では、前記振動ユニット、前記ハウジング構造及び前記音響トランスデューサは、共振システムを形成し、前記共振システムの品質係数は、0.7~10である。
【0006】
いくつかの実施例では、前記振動ユニットは、質量素子及び弾性素子を含み、前記質量素子は、前記弾性素子により前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続される。
【0007】
いくつかの実施例では、前記弾性素子の弾性強度は、10N/m~2000N/mである。
【0008】
いくつかの実施例では、前記質量素子の質量は、0.001g~1gである。
【0009】
いくつかの実施例では、前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記ハウジング構造に接続され、他端が前記質量素子に接続される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側には、第1の突出部が設置される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記振動センサーは、前記音響トランスデューサから出力された電気信号を受信し、かつ伝送するように構成される回路基板をさらに含み、前記回路基板は、前記音響トランスデューサの前記質量素子と対向する側に位置する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記質量素子に接続され、他端が前記音響トランスデューサに接続される。
【0013】
いくつかの実施例では、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第2の突出部が設置される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第3の突出部が設置され、前記第3の突出部は、少なくとも一部が前記音響トランスデューサ内に入り込み、かつ前記音響トランスデューサの振動膜の位置に対向する。
【0015】
いくつかの実施例では、前記弾性素子は、平面構造であり、前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側に位置し、前記弾性素子は、前記ハウジング構造に接続され、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側面は、前記弾性素子に接続される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、外側が前記ハウジング構造に接続され、内側が前記質量素子に接続される。
【0017】
いくつかの実施例では、前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、内側が前記質量素子に接続され、端部が前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続される。
【0018】
いくつかの実施例では、前記弾性素子の断面形状は、長方形、台形、平行四辺形、円弧形、又は波形である。
【0019】
いくつかの実施例では、前記質量素子には、前記質量素子を貫通する少なくとも1つの第1の減圧孔が設置される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記弾性素子には、前記弾性素子を貫通する少なくとも1つの第2の減圧孔が設置される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記質量素子の断面積は、前記音響トランスデューサの断面積より大きい。
【0022】
いくつかの実施例では、前記弾性素子と前記質量素子との間の隙間間隔、前記弾性素子と前記ハウジング構造との間の隙間間隔及び前記弾性素子と前記音響トランスデューサとの間の隙間間隔は、0.1mm以下である。
【0023】
例示的な実施例によって本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答曲線図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答曲線図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答曲線図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図8】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図9】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【
図17】本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ符号は、同じ構造又は操作を示す。
【0026】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別するための方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0027】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を指すものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に識別されたステップ及び要素が含まれることを示唆するだけであり、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列を構成せず、方法又は設備は、他のステップ又は要素を含んでもよい。
【0028】
本願では、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、各ステップを逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0029】
本明細書では、振動センサーが説明される。骨伝導マイクロホンとして使用される場合、該振動センサーは、人が話すときに発生した骨、皮膚などの人体組織の振動信号を受信し、かつ該振動信号を音声情報を含む電気信号に変換することができる。該振動センサーは、空気中の音声をほとんど収集しないため、ノイジーな環境でユーザーが話すときの音声信号を収集することに適する。いくつかの実施例では、ノイジーな環境は、ノイジーなレストラン、会場、大通り、道路付近、火災現場などの場合を含んでもよい。振動センサーは、周囲の他人の発話音声、車両走行によるノイズ及び様々な環境ノイズの影響をある程度で回避することができる。いくつかの実施例では、振動センサーは、ハウジング構造、振動ユニットを含んでもよく、少なくとも一部のハウジング構造及び音響トランスデューサは、第1の音響キャビティを区画形成する。振動ユニットは、第1の音響キャビティ内に位置し、かつ第1の音響キャビティを第2の音響キャビティ及び第3の音響キャビティに仕切り、第2の音響キャビティは、前記音響トランスデューサと音響的に連通する。さらに、ハウジング構造は、外部の振動信号(例えば、ユーザーが話すときに骨、皮膚などの振動により発生した信号)に基づいて振動するように構成され、振動ユニットは、前記ハウジング構造の振動に応答して第2の音響キャビティの体積を変化させ、前記音響トランスデューサは、第2の音響キャビティの体積の変化に基づいて電気信号を発生させる。いくつかの実施例では、振動ユニットにおける質量素子及び/又は弾性素子のパラメータ及び他の部材に対する位置、接続方式を調整することで振動センサーの共振周波数を800Hz~8000Hzにすることができ、さらに振動センサーの特定の周波数帯域(例えば、8000Hz未満)での感度を向上させる。なお、該パラメータは、質量素子及び/又は弾性素子の形状、サイズ、材料などであってもよい。また、特定の周波数帯域は、上記例示的な8000Hz未満に限定されず、6000Hz未満、4500Hz未満、3000Hz未満、2500Hz未満、2000Hz未満などであってもよく、ここではさらに限定しない。
【0030】
いくつかの実施例では、振動センサーは、イヤホン(例えば、空気伝導イヤホン及び骨伝導イヤホン)、助聴器、補聴器、メガネ、ヘルメット、拡張現実(AR)装置、仮想現実(VR)装置などに適用されてもよい。
【0031】
図1は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図1に示すように、振動センサー100は、ハウジング構造110、音響トランスデューサ120及び振動ユニット130を含んでもよい。振動センサー100の形状は、直方体、円柱体又は他の規則的な構造体又は不規則的な構造体であってもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造110と音響トランスデューサ120は、物理的に接続されてもよく、ここでの物理的接続は、溶接、係止、接着又は一体成形などの接続方式を含んでもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造110及び音響トランスデューサ120によって、第1の音響キャビティ140を有するパッケージ構造が囲まれ、振動ユニット130は、該パッケージ構造の第1の音響キャビティ140内に位置してもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造110は、第1の音響キャビティ140を有するパッケージ構造を独立して形成することができ、振動ユニット130及び音響トランスデューサ120は、該パッケージ構造の第1の音響キャビティ140内に位置してもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット130は、第1の音響キャビティ140を第2の音響キャビティ142と第3の音響キャビティ141に仕切る。第2の音響キャビティ142は、音響トランスデューサ120と音響的に連通する。いくつかの実施例では、第3の音響キャビティ141は、音響的に密封されたキャビティ構造であってもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、振動ユニット130は、質量素子131及び弾性素子132を含んでもよい。いくつかの実施例では、質量素子131は、弾性素子132によりハウジング構造110に接続されてもよい。例えば、弾性素子132は、質量素子131の音響トランスデューサ120から離れる側に位置してもよく、弾性素子132は、一端がハウジング構造110に接続され、他端が質量素子131に接続される。他の実施例では、弾性素子132は、さらに質量素子131の周側に位置してもよく、弾性素子132は、内側が質量素子131の周側に接続され、外側又は音響トランスデューサ120から離れる側がハウジング構造110に接続される。ここでの質量素子131の周側は、質量素子131の振動方向に対して相対的であり、便宜上、質量素子131がハウジング構造110に対して振動する方向が軸線方向であると考えることができ、このとき、質量素子131の周側は、質量素子131の前記軸線を中心として設置された側を示す。いくつかの実施例では、質量素子131は、さらに弾性素子132により音響トランスデューサ120に接続されてもよい。例示的な弾性素子132は、円管状、角管状、異形管状、環状、平板状などであってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子132は、弾性変形しやすい構造(例えば、バネ構造、金属リングシートなど)を有してもよく、材質が弾性変形しやすい材料、例えば、シリコーンゴム、ゴムなどであってもよい。本明細書の実施例では、弾性素子132がハウジング構造110よりも弾性変形しやすいため、振動ユニット130は、ハウジング構造110に対して相対的に移動することができる。なお、いくつかの実施例では、質量素子131及び弾性素子132は、同じ又は異なる材料で構成されてもよく、さらに一体に組み立てられて振動ユニット130を形成する。いくつかの実施例では、質量素子131及び弾性素子132は、同じ材料で構成されてもよく、さらに一体成形により振動ユニット130を形成する。質量素子131に関する具体的な説明は、本願明細書の他の箇所(例えば、
図5及びその関連内容)の内容を参照することができる。
【0033】
振動センサー100は、外部の振動信号を電気信号に変換することができる。いくつかの実施例では、外部の振動信号は、人が話すときの振動信号、皮膚が人体運動又は皮膚に近接するスピーカーの動作などの原因で発生した振動信号、振動センサーに接触する物体又は空気により発生した振動信号など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。さらに、振動センサーにより発生した電気信号は、外部の電子機器に入力されてもよい。いくつかの実施例では、外部の電子機器は、モバイル装置、ウェアラブル装置、仮想現実装置、拡張現実装置など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、モバイル装置は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ゲーム装置、ナビゲーション装置など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、ウェアラブル装置は、スマートブレスレット、イヤホン、助聴器、スマートヘルメット、スマートウォッチ、スマート衣類、スマートバックパック、スマートアクセサリなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、仮想現実装置及び/又は拡張現実装置は、仮想現実ヘルメット、仮想現実メガネ、仮想現実パッチ、拡張現実ヘルメット、拡張現実メガネ、拡張現実パッチなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、仮想現実装置及び/又は拡張現実装置は、Google Glass(登録商標)、Oculus Rift、Hololens(登録商標)、Gear VR(登録商標)などを含んでもよい。振動センサーが動作するとき、外部の振動信号は、ハウジング構造110により振動ユニット130に伝達されてもよく、振動ユニット130は、ハウジング構造110の振動に応答して振動する。振動ユニット130の振動位相がハウジング構造110及び音響トランスデューサ120の振動位相と異なるため、振動ユニット130の振動は、第2の音響キャビティ142の体積を変化させ、さらに第2の音響キャビティ142の音圧を変化させることができる。音響トランスデューサ120は、第2の音響キャビティ142の音圧変化を検出して電気信号に変換し、溶接点1201により外部の電子機器に伝達することができる。ここでの溶接点1201は、データ線によりイヤホン、助聴器、補聴器、拡張現実メガネ、拡張現実ヘルメット、仮想現実メガネなどの装置の内部素子(例えば、プロセッサ)に電気的に接続されてもよく、前記内部素子により取得された電気信号は、有線又は無線の方式により外部の電子機器に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、音響トランスデューサ120は、振動膜(
図1では図示せず)を含んでもよく、第2の音響キャビティ142の音圧が変化するとき、第2の音響キャビティ142の内部の空気が振動して振動膜に作用することにより、振動膜が変形し、音響トランスデューサ120により振動膜の振動信号を電気信号に変換する。
【0034】
単なる例示として、振動センサーに伝達された外部の振動信号が周期的な振動であると仮定し、その振動周波数がfであり、このときにハウジング構造110の振動は、以下のように示すことができる。
【0035】
l1(ω)=A(ω)cos(ωt) (1)
式中、ω=2πfは、角周波数であり、l1(ω)は、ハウジング構造110の角周波数ωでの変位であり、A(ω)は、角周波数ωでのハウジング構造110の最大変位である。ハウジング構造110の振動は、弾性素子132により質量素子131に伝達され、質量素子131が変位して振動する。質量素子131の振動は、以下のように示すことができる。
【0036】
【0037】
式中、l2(ω)は、質量素子131の変位であり、mは、質量素子131の質量であり、kは、弾性素子132の弾性強度であり、cは、振動ユニット130、ハウジング構造110及び音響トランスデューサ120により形成された共振システムの減衰であり、共振システムの減衰cは、主に弾性素子132に由来する。音響トランスデューサ120及びハウジング構造110は、振動位相が同じであるか又はほぼ同じであり、質量素子131の振動位相は、ハウジング構造110及び音響トランスデューサ120の共通の振動位相と異なるため、第2の音響キャビティ142の体積を変化させ、さらに第2の音響キャビティ142の音圧を変化させる。それに応じて、第2の音響キャビティ142の体積の変化は、以下のとおりである。
【0038】
【0039】
式中、Sは、質量素子131の軸線方向に垂直な断面の面積である。第2の音響キャビティ142の音圧の変化は、以下のとおりである。
【0040】
【0041】
式中、Vは、第2の音響キャビティ142の自然状態での体積である。音響トランスデューサ120は、音圧の変化を電圧又は電流の変化に変換し、溶接点1201により伝達することができる。なお、ここでの自然状態は、振動センサーが動作していないときの状態、すなわち、非動作状態であってもよい。
上記式(1)、(2)及び(3)に基づいて導出すると、外部の周期的な振動の各周波数での加速度が同じであり、すなわち、
【0042】
【0043】
である場合、第2の音響キャビティ142の音圧の変化と角周波数との間の関係は、以下のとおりである。
【0044】
【0045】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答図である。
図2に示すように、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を3000Hz~4000Hzの範囲内にすることができる。振動センサーの外部の振動信号に対する応答が第2の音響キャビティ142の音圧の変化に関連するため、式(5)から分かるように、振動センサーの共振周波数は、少なくとも部分的に質量素子131の質量m、弾性素子132の弾性強度k、及び共振システムの主に弾性素子132に由来する減衰cにより決定される。したがって、いくつかの実施例では、振動ユニット130のパラメータ(例えば、質量素子の質量、弾性素子の弾性強度)が特定の条件を満たす場合、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を800Hz~20000Hzにすることができる。好ましくは、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を900Hz~10000Hzにすることができる。好ましくは、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を1000Hz~8000Hzにすることができる。好ましくは、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を1150Hz~5500Hzにすることができる。好ましくは、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を1500Hz~3000Hzにすることができる。好ましくは、振動ユニット130は、第2の音響キャビティ142に作用して振動センサーの共振周波数を2000Hz~2800Hzにすることができる。いくつかの実施例では、振動センサーの共振周波数の範囲を調整することにより、いくつかの場合に、振動センサーの感度を向上させることに役立ち、同時に振動センサーが有効な振動信号を実際に受信する性能に影響を与えない。例えば、いくつかの実施例では、振動センサーの共振周波数を約2000Hzに調節することにより、振動センサーが音楽を録音する性能を有することができる。また例えば、いくつかの実施例では、振動センサーの共振周波数を約1000Hzに調節することにより、振動センサーの800Hz以下での周波数応答曲線を平坦にすることができ、音声を録音する性能が高い。
【0046】
より明確に説明するために、振動センサーの共振周波数は、以下のように示すことができる。
【0047】
【0048】
式(5)及び式(6)から分かるように、
【0049】
【0050】
を低下させるとき、第2の音響キャビティ142の音圧変化量Δpが大きくなり、同時に振動センサーの共振周波数が低下する。
【0051】
図3は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答曲線図である。いくつかの実施例では、共振周波数を低下させることにより振動センサーの感度を特定の周波数範囲内で向上させることができる。ここでの特定の周波数範囲は、20Hz~3000Hzであってもよい。他の実施例では、前記特定の周波数範囲は、実際の状況に応じて調整されてもよく、ここではさらに限定しない。単なる例示的な説明として、
図3に示すように、振動センサーの共振周波数が3500Hzから2500Hzまで低下する場合、1000Hzより小さい周波数の範囲内で、振動センサーの感度は、約6dB増加する。さらに、周波数が約2500Hzである場合、振動センサーの感度は、約12dB増加する。いくつかの実施例では、弾性素子132の弾性強度k及び質量素子131の質量mを調整することにより、振動センサーの共振周波数を適切な周波数範囲内にすることができ、それにより振動センサーの感度を特定の周波数範囲内で顕著に向上させ、同時に振動センサーが外部の振動信号を実際に受信するときの性能に影響を与えないことができる。
【0052】
円柱状のハウジング構造、円管状の弾性素子、円柱状の質量素子を有する振動センサーを例として、第1の音響キャビティは、円柱状(又は略円柱状)であり、弾性素子の弾性強度は、以下のように示すことができる。
【0053】
【0054】
式中、E1は、弾性素子の弾性係数であり、S1は、弾性素子の軸断面の面積であり、h1は、弾性素子の軸方向の高さ(すなわち、弾性素子の軸線方向に沿ったサイズ)である。質量素子の質量は、以下のように示すことができる。
【0055】
m=S2h2ρ (8)
式中、S2は、質量素子の軸断面の面積であり、h2は、質量素子の軸方向の高さであり、ρは、質量素子の密度である。式(7)及び式(8)に基づいて以下のように導出することができる。
【0056】
【0057】
式(9)から分かるように、共振周波数ω0が変化しないように維持し、すなわち、h1、h2が一定の値である場合、h1=h2であるとき、振動ユニットの軸方向の高さh=h1+h2が最も小さいため、弾性素子の軸方向の高さh1及び質量素子の軸方向の高さh2を調整することにより、両者の軸方向の高さが近接し、それにより振動センサーの体積が小さく、かつ振動センサーの共振周波数に影響を与えない。好ましくは、弾性素子と質量素子との軸方向の高さの差は、振動ユニットの軸方向の高さの70%より小さく、さらに好ましくは、弾性素子と質量素子との軸方向の高さの差は、振動ユニットの軸方向の高さの50%より小さく、さらに好ましくは、弾性素子と質量素子との軸方向の高さの差は、振動ユニットの軸方向の高さの20%より小さく、さらに好ましくは、弾性素子と質量素子との軸方向の高さの差は、振動ユニットの軸方向の高さの5%より小さい。
【0058】
いくつかの実施例では、質量素子の形状、体積又は構造を調整することにより(例えば、異形質量素子を使用することで)、振動ユニットの軸方向の高さが増加せず、かつ振動センサーの体積が増加しない状況で、振動センサーの共振周波数を変化させることができる。いくつかの実施例では、質量素子の軸断面の面積を低減することにより、振動センサーの共振周波数を低減することができる。好ましくは、弾性素子の軸断面の面積S1と質量素子の軸断面の面積S2との比は、1:2~1:10の間にあってもよく、さらに好ましくは、弾性素子の軸断面の面積S1と質量素子の軸断面の面積S2との比は、1:2~1:5の間にあってもよく、さらに好ましくは、弾性素子の軸断面の面積S1と質量素子の軸断面の面積S2との比は、1:2~1:4の間にあってもよい。
【0059】
なお、上記振動センサーの共振周波数又は質量素子の体積の調整に対する説明は、例示的な説明に過ぎず、唯一の実行可能な実施形態と見なされるべきではない。明らかに、当業者であれば、上記調整方式の基本的な原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、振動センサーを実装する具体的な方式及びステップの形態及び詳細に様々な修正及び変更を行うことができ、これらの修正及び変更は、依然として以上に説明した範囲内にある。例えば、振動センサーは、直方体、円錐台などの規則的又は不規則的な形状であってもよい。また例えば、弾性素子は、角管状、異形管状、環状、平板などであってもよい。さらに例えば、質量素子は、直方体、台形体、円錐体、三角錐体、不規則的な形状などであってもよい。当業者であれば、上記調整方式の基本的な原理を形状が異なる振動センサー、又は内部素子の形状が異なる振動センサーに適用することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、弾性素子132の弾性強度kの値は、10N/m~2000N/mの間にあってもよく、好ましくは、弾性素子132の弾性強度kの値は、100N/m~1000N/mの間にあってもよく、さらに好ましくは、弾性素子132の弾性強度kの値は、400N/m~700N/mの間にあってもよい。質量素子131の質量mの値は、0.001g~1gの間にあってもよく、好ましくは、質量素子131の質量mの値は、0.005g~0.5gの間にあってもよく、さらに好ましくは、質量素子131の質量mの値は、0.01g~0.05gの間にあってもよい。
【0061】
いくつかの実施例では、共振システムにおける共振周波数及び感度に影響を与える要因を総合して、共振システムの品質係数を考慮する。共振システムの品質係数の表現式は、以下のとおりである。
【0062】
【0063】
図4は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの周波数応答曲線図である。
図4に示すように、共振システムの品質係数Qの値が高い場合、振動センサーの中高周波数帯域(例えば、800Hz~8000Hz)での感度の変化が大きく、振動センサーが該周波数帯域の振動信号を処理しにくい。共振システムの品質係数Qの値が低い場合、振動センサーの中高周波数帯域での感度が速く低下し、振動センサーの中高周波数での感度が低い。したがって、共振システムの減衰c、質量素子131の質量m、弾性素子132の弾性強度kを調整することにより、共振システムの品質係数Qを一定の範囲内にすることができ、さらに振動センサーが中高周波数帯域で高い感度を有し、かつ感度の変化が安定する。例えば、共振システムの品質係数Qの値は、0.7~10の間にあってもよい。好ましくは、共振システムの品質係数Qの値は、0.8~5の間にあってもよく、さらに好ましくは、共振システムの品質係数Qの値は、1~3の間にあってもよく、さらに好ましくは、共振システムの品質係数Qの値は、1.5~2.5の間にあってもよい。いくつかの実施例では、振動センサーの共振周波数を上記範囲内にするように、まず質量素子131の質量m及び弾性素子132の弾性強度kを決定してもよく、例えば、弾性素子の弾性強度を10N/m~2000N/mにし、質量素子の質量を0.001g~1gにし、さらに共振システムの減衰cを決定し、それにより共振システムの品質係数Qを0.7~10にし、振動センサーの感度をさらに向上させる。いくつかの実施例では、弾性素子の弾性強度は、10N/m~2000N/mの間にあってもよく、このときに質量素子の質量は、0.02g~0.03gの間にあってもよく、いくつかの実施例では、弾性素子の弾性強度は、10N/m~800N/mの間にあってもよく、このときに質量素子の質量は、0.01g~0.05gの間にあってもよく、いくつかの実施例では、弾性素子の弾性強度は、30N/m~2000N/mの間にあってもよく、このときに質量素子の質量は、0.05g~0.1gの間にあってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子132の弾性強度kの値は、2000N/mであってもよく、質量素子131の質量mの値は、0.03gであってもよく、それに応じて、振動センサーの共振周波数は、約8000Hzである。いくつかの実施例では、弾性素子132の弾性強度kの値は、10N/mであってもよく、質量素子131の質量mの値は、0.015gであってもよく、それに応じて、振動センサーの共振周波数は、約800Hzである。いくつかの実施例では、弾性素子132の弾性強度kの値は、650N/mであってもよく、質量素子131の質量mの値は、0.1gであってもよく、それに応じて、振動センサーの共振周波数は、約2600Hzである。
【0064】
いくつかの実施例では、第2の音響キャビティ142の音圧変化と角周波数との間の関係は、さらに下記式に変換することができる。
【0065】
【0066】
式(11)中、
図1を例として、
図1における質量素子131の弾性素子132から離れる面が所在する平面(該平面は、
図1における破線で示される)を区画平面とし、第2の音響キャビティ142の体積を2つの部分に区画することができ、弾性素子132とハウジング構造110との間の隙間が組立に必要な予備空間要件を満たし、かつ最小である場合、音響トランスデューサ120から離れる側の体積は、V
1であり、音響トランスデューサ120に向かう側の体積は、V
2であり、このときに質量素子131の断面面積Sを調整すると、音響トランスデューサ120から離れる側の体積V
1は、変化せず、音響トランスデューサ120に向かう側の体積V
2は、質量素子131の断面面積Sの大きさの変化につれて変化する。V
2/Sは、質量素子131と音響トランスデューサ120との間の距離を示す。式(11)から分かるように、質量素子131の断面面積Sを増大させるか、又は第2の音響キャビティ142における各所の組立隙間を低減することにより、第2の音響キャビティ142の体積を低減することができ、さらに振動センサーの感度を向上させる。組立隙間は、各素子の間に予め残されなければならない空間であり、組立過程においてプロセス誤差により素子が装入されないか、又は不要な接触が発生することを防止するものであり、いくつかの実施例では、組立隙間は、第2の音響キャビティにおけるV
2以外の部分であり、例えば、弾性素子132と質量素子131との間の隙間、弾性素子132とハウジング構造110との間の隙間及び弾性素子132と音響トランスデューサ120との間の隙間を含んでもよい。いくつかの実施例では、弾性素子132と質量素子131との間の隙間間隔、弾性素子132とハウジング構造110との間の隙間間隔及び弾性素子132と音響トランスデューサ120との間の隙間間隔は、0.1mm以下であってもよい。
音響トランスデューサに電気信号ノイズフロアが発生するため、信号対雑音比が高い音響トランスデューサを使用し、振動センサーの信号対雑音比を向上させることに役立つ。いくつかの実施例では、選択された音響トランスデューサの信号対雑音比は、63dBより大きい。好ましくは、選択された音響トランスデューサの信号対雑音比は、65dBより大きく、さらに好ましくは、選択された音響トランスデューサの信号対雑音比は、70dBより大きい。
【0067】
図5は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図5に示すように、いくつかの実施例では、振動センサーは、ハウジング構造510、弾性素子532、質量素子531、及び音響トランスデューサ520を含む。
図5に示された振動センサーは、振動センサー100と同じ又は類似してもよい。ハウジング構造510は、ハウジング構造110と同じ又は類似してもよい。弾性素子532は、弾性素子132と同じ又は類似してもよい。質量素子531は、質量素子131と同じ又は類似してもよい。弾性素子532及び質量素子531は、振動センサー100の振動ユニット130と同じ又は類似した振動ユニットを構成することができる。音響トランスデューサ520は、音響トランスデューサ120と同じ又は類似してもよい。
図5に示された振動センサーの第2の音響キャビティ542は、振動センサー100の第2の音響キャビティ142と同じ又は類似してもよい。
【0068】
音響トランスデューサ520、ハウジング構造510、弾性素子532及び質量素子531によって、第2の音響キャビティ542が囲まれる。弾性素子532は、質量素子531の音響トランスデューサ520から離れる側に位置し、弾性素子532は、一端がハウジング構造510に接続され、他端が質量素子531に接続される。単なる例示として、弾性素子532は、中空柱体の構造であってもよく、質量素子531の中心軸線(すなわち、質量素子531の中心を通過する軸線)を中心として分布する。
図5に示すように、ハウジング構造510の頂端が人の顔と接触し、かつ振動信号を受信する端であると仮定すると、弾性素子532は、底端が質量素子531のハウジング構造510の頂端に向かう側に固定的に接続され、頂端がハウジング構造510の質量素子531に向かう側に固定的に接続される。いくつかの代替的な実施例では、弾性素子532とハウジング構造510との接続位置は、ハウジング構造510の側壁に位置してもよい。
【0069】
いくつかの実施例では、弾性素子532の材料は、金属材料又は非金属材料を含んでもよい。金属材料は、鋼材(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼など)、軽量合金(例えば、アルミニウム合金、ベリリウム銅、マグネシウム合金、チタン合金など)、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。非金属材料は、ポリウレタン発泡材料、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、黒鉛繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維などを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、弾性素子532の材料の種類は、上記金属材料及び非金属材料に限定されず、他の方式で分類されてもよく、例えば、弾性素子532の材料の種類は、単一材料又は複合材料をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、質量素子531に用いられる材料は、上記金属材料又は非金属材料を含んでもよく、ここではさらに説明しない。
【0070】
いくつかの実施例では、弾性素子532と質量素子531及びハウジング構造510との間は、接着剤により接着されてもよく、当業者に周知の他の接続方式(例えば、溶接、係止など)を用いてもよく、これを限定しない。
【0071】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図6に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、
図6に示された振動センサーにおいて、弾性素子632が質量素子631の周側に位置し、弾性素子632の内側が質量素子631に接続されるという点で相違し、弾性素子632の音響トランスデューサ620から離れる端部は、依然としてハウジング構造610に接続される。弾性素子632の質量素子631の軸線方向の高さは、質量素子631の軸線方向の高さより小さくてもよく、等しくてもよく、大きくてもよい。音響トランスデューサ620、ハウジング構造610、弾性素子632及び質量素子631によって、第2の音響キャビティ642が囲まれる。
【0072】
図7は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図7に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、弾性素子732が質量素子731の周側に位置し、弾性素子732の外側がハウジング構造710の側壁に接続され、弾性素子732の内側が質量素子731に接続されるという点で相違する。弾性素子732の質量素子731の軸線方向の高さは、質量素子731の軸線方向の高さより小さくてもよく、等しくてもよく、大きくてもよい。音響トランスデューサ720、ハウジング構造710、弾性素子732及び質量素子731によって、第2の音響キャビティ742が囲まれる。
【0073】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図8に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、
図8に示された弾性素子832の構造が
図5に示された弾性素子532の構造と異なるという点で相違し、弾性素子832の軸線が所在する断面の断面形状は、左右対称な円弧形又は波形である。質量素子831がハウジング構造810に対して振動する方向は、軸線方向であると考えることができる。いくつかの実施例では、軸線が所在する断面は、振動センサーの軸線と共線又は平行な断面であってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子832の断面形状は、内向きに凹んだ円弧形又は波形であってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子832の断面形状は、外向きに突出した円弧形又は波形であってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子の断面形状は、さらに長方形、台形、平行四辺形などの規則的又は不規則的な形状であってもよい。一方、弾性素子832の弾性係数がその形状に関連するため、弾性素子832の形状を変化させることによりその弾性係数を調整することができ、さらに振動センサーの共振周波数を調整し、振動センサーの感度をさらに向上させることができる。他方、弾性素子832の形状は、変形過程において第2の音響キャビティ842のキャビティ体積に影響を与えることができ、さらに振動センサーの感度を向上させる。例えば、弾性素子832の断面形状が内向きに凹んだ円弧状である場合、弾性素子832の変形は、主にその形状の変形に由来することができ、質量素子831が下向きに移動するとき、弾性素子832の内向きに凹んだ部分が変形に伴って外向きに拡張し、さらに第2の音響キャビティ842の体積を低減することができ、さらに振動センサーの感度を向上させることができる。
【0074】
図9は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図9に示された振動センサーは、振動センサー100と同じ又は類似してもよい。ハウジング構造910は、ハウジング構造110と同じ又は類似してもよい。質量素子931は、質量素子131と同じ又は類似してもよい。弾性素子932及び質量素子931は、振動センサー100の振動ユニット130と同じ又は類似した振動ユニットを構成することができる。音響トランスデューサ920は、音響トランスデューサ120と同じ又は類似してもよい。
図9に示された振動センサーの第2の音響キャビティ942は、振動センサー100の第2の音響キャビティ142と同じ又は類似してもよい。
図9に示された振動センサーの第3の音響キャビティ941は、振動センサー100の第3の音響キャビティ141と同じ又は類似してもよい。いくつかの実施例では、弾性素子932は、平面構造であってもよい。弾性素子932は、質量素子931の音響トランスデューサ920に向かう側に位置し、ハウジング構造910に接続されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子932の周側は、ハウジング構造910の側壁に密封接続されてもよく、ここでの密封接続は、弾性素子932により第3の音響キャビティ941と第2の音響キャビティ942を遮断することができることである。いくつかの実施例では、質量素子931の音響トランスデューサ920に対向する側の一部又は全部は、弾性素子932に貼り合わせてもよい。例えば、質量素子931の音響トランスデューサ920に対向する側の全部が弾性素子932に貼り合わせてもよい。また例えば、弾性素子932には、貫通部が設置され、該貫通部の面積は、音響トランスデューサ920の側部の面積以下であり、さらに質量素子931は、該貫通部を被覆してもよく、該貫通部と締り嵌めしてもよい。弾性素子932、ハウジング構造910及び音響トランスデューサ920によって、第2の音響キャビティ942が囲まれる。なお、弾性素子932は、平面構造であるが、平らな板状構造に限定されず、例えば、弾性素子932の両側の表面は、内向きに凹むか又は外向きに突出するような非平面状であってもよく、弾性素子932の形状及び構造については、具体的な状況に応じて調整することができる。
【0075】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図10に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、質量素子1031の断面面積が音響トランスデューサ1020の断面面積より大きいという点で相違する。上記式(11)から分かるように、音響トランスデューサ1020の断面面積が一定である場合、質量素子1031の断面面積を増大させることにより振動センサーの感度を向上させることができる。単なる例示的な説明として、質量素子1031の断面面積が約5mm
2であり、音響トランスデューサ1020の断面面積が約4mm
2である。なお、質量素子1031と音響トランスデューサ1020の断面面積の大きさは、振動センサーの応用シーンに応じて適応的に調整されてもよい。例えば、振動センサーのサイズが大きい場合、質量素子1031及び音響トランスデューサ1020の断面面積を同時に拡大してもよく、質量素子1031の断面面積を増大させてもよく、音響トランスデューサ1020の断面面積を低減してもよい。また例えば、振動センサーのサイズが小さい場合、質量素子1031と音響トランスデューサ1020の断面面積を同時に低減してもよく、音響トランスデューサ1020の断面面積を低減してもよい。また、ここでの断面面積は、軸線方向に垂直な断面の面積であってもよい。なお、
図10における振動センサーの弾性素子1032及び質量素子1031は、
図6における弾性素子632及び質量素子631と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1032は、質量素子1031の周側に位置してもよく、弾性素子1032の内側が質量素子1031に接続される。あるいは、弾性素子1032及び質量素子1031は、
図7における弾性素子732及び質量素子731と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1032は、前記質量素子1031の周側に位置してもよく、弾性素子1032は、外側がハウジング構造1010の側壁に接続され、内側が質量素子1031に接続される。あるいは、弾性素子1032は、
図8における弾性素子832と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1032及び質量素子1031は、
図9における弾性素子932及び質量素子931と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1032及び質量素子1031は、他の類似した形状及び位置変化を有してもよく、例えば、
図8における弾性素子832を
図6における弾性素子632の接続方式に類似した接続方式で質量素子の周側に接続してもよく、本実施例では限定しない。
【0076】
いくつかの実施例では、第1の音響キャビティ1040(例えば、第2の音響キャビティ1042及び第3の音響キャビティ1041)における素子の各所の組立隙間を調整することにより、振動センサーの感度を向上させることもできる。いくつかの実施例では、弾性素子1032と質量素子1031との間の隙間間隔、弾性素子1032とハウジング構造1010との間の隙間間隔及び弾性素子1032と音響トランスデューサ1020との間の隙間間隔は、0.1mm以下である。
【0077】
図11は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図11に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、質量素子1131が第1の突出部11311を有し、第1の突出部11311が質量素子1131の音響トランスデューサ1120から離れる側にあり、ハウジング構造1110、弾性素子1132及び質量素子1131により区画された第3の音響キャビティ1141内に位置するという点で相違する。いくつかの実施例では、質量素子1131の音響トランスデューサから離れる側に第1の突出部11311を設置することで質量素子1131の質量を増大させ、振動センサーの共振周波数を調整し、さらに振動センサーの感度を向上させることができる。同時に、第1の突出部11311が第3の音響キャビティ1141内に位置するため、振動センサーの感度を向上させるという前提で、振動センサーの全体的な体積を増加させなくてもよい。なお、
図11における振動センサーの弾性素子1132及び質量素子1131は、
図6における弾性素子632及び質量素子631と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1132は、質量素子1131の周側に位置してもよく、弾性素子1132の内側が質量素子1131に接続される。あるいは、弾性素子1132及び質量素子1131は、
図7における弾性素子732及び質量素子731と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1132は、前記質量素子1131の周側に位置してもよく、弾性素子1132は、外側がハウジング構造1110の側壁に接続され、内側が質量素子1131に接続される。あるいは、弾性素子1132は、
図8における弾性素子832と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1132及び質量素子1131は、
図9における弾性素子932及び質量素子931と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1132及び質量素子1131は、他の類似した形状及び位置変化を有してもよく、例えば、
図8における弾性素子832を
図6における弾性素子632の接続方式に類似した接続方式で質量素子の周側に接続してもよく、本実施例では限定しない。
【0078】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図12に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、弾性素子1232が質量素子1231の音響トランスデューサ1220に向かう側に位置するという点で相違する。弾性素子1232は、一端が質量素子1231に接続され、他端が音響トランスデューサ1220に接続される。弾性素子1232及び音響トランスデューサ1220は、第2の音響キャビティ1242を形成することができ、該実施例における構造及び接続方式により第2の音響キャビティ1242の体積をさらに低減することができ、さらに振動センサーの感度を向上させることができる。なお、
図12における振動センサーの弾性素子1232及び質量素子1231は、
図6における弾性素子632及び質量素子631と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1232は、質量素子1231の周側に位置してもよく、弾性素子1232の内側が質量素子1231に接続される。あるいは、弾性素子1232は、
図8における弾性素子832と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1232及び質量素子1231は、他の類似した形状及び位置変化を有してもよく、例えば、
図8における弾性素子832を
図6における弾性素子632の接続方式に類似した接続方式で質量素子の周側に接続してもよく、本実施例では限定しない。
【0079】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図13に示された振動センサーは、
図12に示された振動センサーとほぼ同じであるが、質量素子1331が第2の突出部13312を有し、第2の突出部13312が質量素子1331の音響トランスデューサ1320に向かう側にあり、弾性素子1332及び質量素子1331により区画された第2の音響キャビティ1342内に位置するという点で相違する。いくつかの実施例では、質量素子1331の音響トランスデューサ1320に向かう側に第2の突出部13312を設置することで質量素子1331の質量を増大させ、同時に第2の音響キャビティ1342の体積をさらに低減することができ、それにより振動センサーの共振周波数を調整し、振動センサーの感度を向上させ、同時に振動センサーの全体的な体積を増加させない。
【0080】
図14は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図14に示された振動センサーは、
図11に示された振動センサーとほぼ同じであるが、質量素子1431が第3の突出部14313をさらに有し、第3の突出部14313が質量素子1431の音響トランスデューサ1420に向かう側に位置し、第3の突出部14313の少なくとも一部が音響トランスデューサ1420内に入り込むという点で相違する。いくつかの実施例では、音響トランスデューサ1420の第3の突出部14313と対向する箇所には、溝が設置され、第3の突出部14313が該溝により音響トランスデューサ1420内に入り込む。いくつかの実施例では、音響トランスデューサ1420は、上記溝内に位置する音響振動膜14202を含んでもよい。第3の突出部14313を設置することにより、振動センサーの全体的な体積を増加させずに、質量素子1431の体積をさらに増大させ、質量素子1431の質量をさらに増大させることができ、それにより振動センサーの共振周波数を調整し、第2の音響キャビティ1442の体積を低減し、さらに振動センサーの感度を向上させる。
【0081】
図15は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図15に示された振動センサーは、振動センサー100と同じ又は類似してもよい。ハウジング構造1510は、ハウジング構造110と同じ又は類似してもよい。弾性素子1532は、弾性素子132と同じ又は類似してもよい。質量素子1531は、質量素子131と同じ又は類似してもよい。弾性素子1532及び質量素子1531は、振動センサー100の振動ユニット130と同じ又は類似した振動ユニットを構成することができる。音響トランスデューサ1520は、音響トランスデューサ120と同じ又は類似してもよい。
図15に示された振動センサーの第2の音響キャビティ1542は、振動センサー100の第2の音響キャビティ142と同じ又は類似してもよい。
図15に示された振動センサーの第3の音響キャビティ1541は、振動センサー100の第3の音響キャビティ141と同じ又は類似してもよい。
図15に示すように、質量素子1531には、少なくとも1つの第1の減圧孔15311が設置され、第1の減圧孔15311は、質量素子1531を貫通する。第1の減圧孔15311は、第2の音響キャビティ1542と第3の音響キャビティ1541を連通することができ、第2の音響キャビティ1542と第3の音響キャビティ1541との気圧差を平衡化することに役立ち、このような気圧差は、一般的には組立によるものである。例えば、音響出力装置の組立過程において、第3の音響キャビティ1541と第2の音響キャビティ1542が形成されるときの環境条件及び組立方式が異なる可能性があるため、第3の音響キャビティ1541と第2の音響キャビティ1542内の気圧が異なり、気圧差がある。いくつかの実施例では、まず弾性素子1532をハウジング構造1510に取り付け、次に質量素子1531を弾性素子1532に取り付けて、第3の音響キャビティ1541を形成し、最後にハウジング構造1510を音響トランスデューサ1520に取り付けて、第2の音響キャビティ1542を形成することができる。第1の減圧孔15311により第3の音響キャビティ1541と第2の音響キャビティ1542内の気体を流通させることができ、それにより気圧差を平衡化する。第1の減圧孔15311は、第1の音響インピーダンスを有し、第1の音響インピーダンスを調整することにより、振動センサーの所定の低周波ロールオフ応答を設定することができ、すなわち、所定の周波数より低い振動センサー応答を低減することができ、いくつかの場合に、所定の周波数より低いノイズ信号の除去に役立ち、及び/又は装置の過負荷を回避することができる。低周波ロールオフ応答曲線の形状は、第1の減圧孔のサイズに関連し、例えば、大きい第1の減圧孔15311が小さい第1の音響インピーダンスを有すると、大きい低周波減衰を引き起こすことができる。なお、第1の減圧孔15311は、第2の音響キャビティ1542及び第3の音響キャビティ1541の音響的密封に影響を与えるべきではない。
【0082】
図16は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図16に示された振動センサーは、
図15に示された振動センサーとほぼ同じであるが、弾性素子1632には、少なくとも1つの第2の減圧孔16321が設置され、第2の減圧孔16321が弾性素子1632を貫通するという点で相違する。第2の減圧孔16321は、第1の減圧孔15311の作用と同じである。同様に、第2の減圧孔16321は、第2の音響キャビティ1642及び第3の音響キャビティ1641の音響的密封に影響を与えるべきではない。いくつかの実施例では、振動センサーは、質量素子における第1の減圧孔と弾性素子における第2の減圧孔を同時に有してもよい。
【0083】
図17は、本願のいくつかの実施例に係る振動センサーの概略構成図である。
図17に示された振動センサーは、
図5に示された振動センサーとほぼ同じであるが、振動センサーが音響トランスデューサ1720の電気信号を受信し、かつ伝送するように構成される回路基板17202をさらに含むという点で相違する。回路基板17202は、音響トランスデューサ1720の質量素子1731と対向する側に位置する。回路基板17202は、PCB基板又はFPC基板などを用いてもよく、これを限定しない。いくつかの実施例では、音響トランスデューサ1720を回路基板17202に組み立てた後、ハウジング構造1710、弾性素子1732及び質量素子1731を組み立ててもよく、ハウジング構造1710、弾性素子1732及び質量素子1731は、予め組み立てられた一体部品であってもよく、いくつかの場合に、組立の柔軟性を向上させることに役立つ。なお、
図17における振動センサーの弾性素子1732及び質量素子1731は、
図6における弾性素子632及び質量素子631と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1732は、質量素子1731の周側に位置してもよく、弾性素子1732の内側が質量素子1731に接続される。あるいは、弾性素子1732及び質量素子1731は、
図7における弾性素子732及び質量素子731と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子1732は、前記質量素子1731の周側に位置してもよく、弾性素子1732は、外側がハウジング構造1710の側壁に接続され、内側が質量素子1731に接続される。あるいは、弾性素子1732は、
図8における弾性素子832と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1732及び質量素子1731は、
図9における弾性素子932及び質量素子931と同じ又は類似した構造を有してもよい。あるいは、弾性素子1732及び質量素子1731は、他の類似した形状及び位置変化を有してもよく、例えば、
図8における弾性素子832を
図6における弾性素子632の接続方式に類似した接続方式で質量素子の周側に接続してもよく、本実施例では限定しない。
【0084】
当業者であれば、
図5~
図17に示された実施例の解決手段を合理的な方式で任意に組み合わせることができ、該組み合わせは、依然として本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。例えば、
図8、
図11及び
図15に示された実施例の解決手段を組み合わせ、すなわち、弾性素子は、
図8における弾性素子832と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、弾性素子の軸線が所在する断面の断面形状は、左右対称な円弧形又は波形であり、質量素子は、
図11における質量素子1131と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、質量素子は、質量素子の音響トランスデューサから離れる側に位置した第1の突出部を有し、同時に質量素子は、
図15における質量素子1531と同じ又は類似した構造を有してもよく、すなわち、質量素子には、少なくとも1つの第1の減圧孔が設置される。
【0085】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記発明の開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0086】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0087】
また、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0088】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播される伝播データ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は機器に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF若しくは類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播することができる。
【0089】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPなどの従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む1つ以上のプログラミング言語でコーディングしてもよい。該プログラムコードは、完全にユーザーコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザーコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザーコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態でユーザーコンピュータに接続されてもよく、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよく、クラウドコンピューティング環境にあってもよく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0090】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序に限定されない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明のためのものであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイル装置に説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0091】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0092】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例では修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0093】
本願で参照される全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0094】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0095】
100 振動センサー
110 ハウジング構造
120 音響トランスデューサ
130 振動ユニット
131 質量素子
132 弾性素子
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング構造と、音響トランスデューサと、振動ユニットと、を含む振動センサーであって、
前記音響トランスデューサは、前記ハウジング構造に物理的に接続され、少なくとも一部の前記ハウジング構造及び前記音響トランスデューサは、第1の音響キャビティを区画形成し、
前記振動ユニットは、第1の音響キャビティ内に位置し、かつ前記第1の音響キャビティを第2の音響キャビティ及び第3の音響キャビティに仕切り、前記第2の音響キャビティは、前記音響トランスデューサと音響的に連通し、
前記ハウジング構造は、外部の振動信号に基づいて振動するように構成され、前記振動ユニットは、前記ハウジング構造の振動に応答して前記第2の音響キャビティの体積を変化させ、前記音響トランスデューサは、前記第2の音響キャビティの体積の変化に基づいて電気信号を発生させ、
前記振動ユニットは、前記第2の音響キャビティに作用して前記振動センサーの共振周波数を800Hz~8000Hzにすることを特徴とする、振動センサー。
【請求項2】
前記振動ユニットは、質量素子及び弾性素子を含み、前記質量素子は、前記弾性素子により前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項1に記載の振動センサー。
【請求項3】
前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記ハウジング構造に接続され、他端が前記質量素子に接続されることを特徴とする、請求項
2に記載の振動センサー。
【請求項4】
前記質量素子の前記音響トランスデューサから離れる側には、第1の突出部が設置されることを特徴とする、請求項
3に記載の振動センサー。
【請求項5】
前記弾性素子は、前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側に位置し、前記弾性素子は、一端が前記質量素子に接続され、他端が前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項
2又は3に記載の振動センサー。
【請求項6】
前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第2の突出部が設置されることを特徴とする、請求項
5に記載の振動センサー。
【請求項7】
前記質量素子の前記音響トランスデューサに向かう側には、第3の突出部が設置され、前記第3の突出部は、少なくとも一部が前記音響トランスデューサ内に入り込み、かつ前記音響トランスデューサの振動膜の位置に対向することを特徴とする、請求項
3、4及び6のいずれか一項に記載の振動センサー。
【請求項8】
前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、外側が前記ハウジング構造に接続され、内側が前記質量素子に接続され
、あるいは、前記弾性素子は、前記質量素子の周側に位置し、前記弾性素子は、内側が前記質量素子に接続され、端部が前記ハウジング構造又は前記音響トランスデューサに接続されることを特徴とする、請求項
2又は3に記載の振動センサー。
【請求項9】
前記弾性素子の断面形状は、長方形、台形、平行四辺形、円弧形、又は波形であることを特徴とする、請求項
2又は3に記載の振動センサー。
【請求項10】
前記質量素子の断面積は、前記音響トランスデューサの断面積より大きいことを特徴とする、請求項
2に記載の振動センサー。
【国際調査報告】