(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ラクタム、ジアミンおよびダイマー酸からコポリアミドを連続的に調製する方法
(51)【国際特許分類】
C08G 69/16 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
C08G69/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531084
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2021081638
(87)【国際公開番号】W WO2022112031
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・ミンクヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ズィルケ・ビィダセク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・コンショルカ
(72)【発明者】
【氏名】シーザー・ジー・オーティズ
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB02
4J001EA02
4J001EA03
4J001EA04
4J001EA05
4J001EA06
4J001EA07
4J001EA08
4J001EB71
4J001EC04
4J001EC07
4J001EC08
4J001EC09
4J001FA03
4J001FB03
4J001FC03
4J001FD01
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB03
4J001GB05
4J001GB11
4J001JA10
4J001JA12
4J001JA13
4J001JB02
4J001JB06
4J001JB09
4J001JB42
(57)【要約】
少なくとも1種のラクタム(A)とモノマー(M)を共重合することによってコポリアミドを連続的に調製する方法であって、
a)60~150℃の温度で、少なくとも1種のラクタム(A)をモノマー(M)と混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物をポリアミド形成温度で垂直重合管に上から下に通してコポリアミドを得るステップと
を含み、
モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のラクタム(A)とモノマー(M)を共重合することによってコポリアミドを連続的に調製する方法であって、
a)60~150℃の温度で、少なくとも1種のラクタム(A)をモノマー(M)と混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物をポリアミド形成温度で垂直重合管に上から下に通してコポリアミドを得るステップと
を含み、
前記モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含む、方法。
【請求項2】
ステップa)の前記混合が、少なくとも1種のラクタム(A)を成分(B1)と予備混合して予備混合物を得るステップと、その後、
成分(B2)および場合により(B3)を前記予備混合物に添加するステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成分(B1)が、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸からなる群から選択される不飽和脂肪酸を二量体化することによって得ることができるC32~C40ダイマー酸混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のラクタム(A)を最初に装入し、前記モノマー(M)を別々にまたは一緒に添加する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ラクタム(A)が、前記ラクタム(A)に基づいて、0~10重量%の水を含み、前記モノマー(M)が、それらの成分の総和に基づいて、0~5重量%の水を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(B2)からのアミン基のモル数が、(B1)および場合により(B3)からのカルボキシル基の総和のモル数に本質的に等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種のラクタム(A)が15~84重量%の範囲の量で存在し、前記モノマー(M)が16~85重量%の量で存在し、成分(A)と(M)の重量パーセンテージの総和が合計100重量%となる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ラクタム(A)が、3-アミノプロパノラクタム、4-アミノブタノラクタム、5-アミノペンタノラクタム、6-アミノヘキサノラクタム、7-アミノヘプタノラクタム、8-アミノオクタノラクタム、9-アミノノナノラクタム、10-アミノデカノラクタム、11-アミノウンデカノラクタムおよび12-アミノドデカノラクタムからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
6-アミノヘキサノラクタム(ε-カプロラクタム)がラクタム(A)として使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
成分(B2)が、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカンおよび1,12-ジアミノドデカンからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
成分(B2)が1,6-ジアミノヘキサン(1,6-ヘキサメチレンジアミン)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
モノマー(M)がポリオキシアルキレン基を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ステップb)の前に、
(aa)ステップa)で得られた前記混合物を加熱された螺旋管蒸発器に供給し、そこで140~300℃の温度で液相および蒸気相が形成し、水蒸気および/または不活性ガスからなる流れも場合により前記螺旋管の上流で前記混合物に導入し、
(ab)ステップ(aa)で形成された前記蒸気相を前記液相から分離し、カラム内で、水蒸気と成分(B1)、(B2)、場合により(B3)およびラクタム(A)を含む有機成分に分離し、
(ac)ステップ(aa)の前記螺旋管からの前記液相をステップ(ab)の前記有機成分と混合する、
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるコポリアミド。
【請求項15】
繊維、フィルムおよび成形品を製造するための、請求項14に記載のコポリアミドの使用。
【請求項16】
農業分野のフィルム、食品包装分野のフィルムまたは工業用途分野のフィルムを製造するための、請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水に溶解したカプロラクタムならびにジアミンおよびジカルボン酸の塩からコポリアミドを連続的に調製する方法は、国際公開第2010/066769号(BASF SE)から公知であり、混合装置および螺旋管蒸発器中で予め処理したカプロラクタムならびにジアミンおよびジカルボン酸の塩の水溶液がVK管に上から供給される。使用されるジカルボン酸の2つのカルボキシル基は、4~12個の炭素原子を有するアルキレン基または1,3-もしくは1,4-フェニレン基によって接続されている。ダイマー酸は開示されていない。
【背景技術】
【0002】
C32~C40二量体化脂肪酸、ジアミンおよびカプロラクタムを含むコポリアミドは、85.0~99.5重量部のカプロラクタム単位、および0.5~最大15重量部の等モル量のC32~C40二量体化脂肪酸およびジアミンの量で米国特許第5013518号明細書に開示されている。連続法は詳細には開示されていない。
【0003】
コポリアミドは、国際公開第2018/050487号(BASF SE)に記載されており、ラクタム、C32~C40ダイマー酸およびC4~C12ジアミンを重合することによって得られる。重合は、撹拌槽反応器内で記載される。VK管反応器および連続手順は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2010/066769号
【特許文献2】米国特許第5013518号明細書
【特許文献3】国際公開第2018/050487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ラクタム(A)、特にカプロラクタムと、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含むモノマー(M)から、光学的に改善された透明なコポリアミドを調製する連続法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、少なくとも1種のラクタム(A)とモノマー(M)を共重合することによってコポリアミドを連続的に調製する方法であって、
a)60~150℃の温度で、少なくとも1種のラクタム(A)をモノマー(M)と混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物をポリアミド形成温度で垂直重合管に上から下に通してコポリアミドを得るステップと
を含み、
モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含む、方法によって達成される。
【0007】
前記目的は、少なくとも1種のラクタム(A)とモノマー(M)を共重合することによってコポリアミドを連続的に調製する方法であって、
a)60~150℃の温度で、少なくとも1種のラクタム(A)をモノマー(M)と混合するステップと、
b)ステップa)で得られた混合物をポリアミド形成温度で垂直重合管に上から下に通してコポリアミドを得るステップと
を含み、
モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含み、
ステップa)の混合は、少なくとも1種のラクタム(A)を成分(B1)と予備混合して予備混合物を得るステップと、その後、
成分(B2)および場合により(B3)を予備混合物に添加するステップとを含む、方法によっても達成される。
【0008】
前記目的は、各場合で、特許請求の範囲および本明細書に定義および記載される、この方法で得ることができるコポリアミド、ならびにフィルム、繊維および成形品を製造するためのその使用によってさらに達成される。
【0009】
本発明の方法で得ることができるコポリアミドのコモノマー単位は、ポリマー鎖中の改善された分布を示し、コポリマーは、好ましくはランダムコポリマーである。
【0010】
さらに、本発明による方法は、成形物、フィルムまたは繊維を得るためにさらに加工することができるコポリアミドを提供するという利点を有し、成形物、フィルムまたは繊維、特に成形物またはフィルムは、予想外に高い光学純度および少ない数の欠陥(当技術分野では「フィッシュアイ」とも呼ばれる)を有する。欠陥またはフィッシュアイは、機械的ストレスで発生する破砕であり、透明用途では消費者にマイナスに知覚される。本発明による方法によって調製されたコポリアミドは、例えば、最大2 mm厚さの透明な成形品またはフィルムを与えるように加工することができ、これは半結晶性材料にとって非常に驚くべきことであり、とりわけ、成形品またはフィルムの着色および色深度の利点を伴う。
【0011】
本発明によると、コポリアミドは、好ましくは15~84重量%の範囲の量の少なくとも1種のラクタム(A)を、好ましくは16~85重量%の範囲の量のモノマー(M)と重合することによって調製され、モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含み、成分(A)と(M)の重量パーセンテージの総和は合計100重量%となる。
【0012】
本発明の別の実施形態によると、コポリアミドは、好ましくは18~83重量%の範囲の量の少なくとも1種のラクタム(A)を、好ましくは17~82重量%の範囲の量のモノマー(M)と重合することによって調製され、モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含み、成分(A)と(M)の重量パーセンテージの総和は合計100重量%となる。
【0013】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のラクタム(A)」は、正確に1種のラクタム(A)または2種以上のラクタム(A)の混合物のいずれかを意味する。正確に1種のラクタムが好ましい。
【0014】
本発明によると、40~83重量%のラクタム(A)と17~60重量%のモノマー(M)を重合することによってコポリアミドを調製することが好ましく、60~80重量%のラクタム(A)と20~40重量%のモノマー(M)を重合することによって少なくとも1種のコポリアミドを調製することが特に好ましく、モノマー(M)が、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含み、成分(A)と(M)の重量パーセンテージが、各場合で、成分(A)と(M)の重量パーセンテージの総和に基づき、成分(A)と(M)の重量パーセンテージの総和が合計100重量%となる。
【0015】
ラクタム(A)とモノマー(M)の重量パーセンテージが、重合前、すなわちラクタム(A)とモノマー(M)がまだ互いに反応していない場合のラクタム(A)とモノマー(M)の重量パーセンテージに基づくことが明らかであろう。重合中に、ラクタム(A)とモノマー(M)の重量比はおそらく変化し得る。
【0016】
本発明によると、本発明による方法によって調製されたコポリアミドがポリエーテル基を含まないことが好ましい。
【0017】
モノマー(M)がポリオキシアルキレン基を含まないことも好ましい。
【0018】
本発明によると、成分(B1)、(B2)および(B3)がポリオキシアルキレン基を含まないことがさらに好ましい。
【0019】
特に、成分(B1)、(B2)および(B3)がそれぞれ、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基を含まないことが好ましい。
【0020】
ラクタム(A)
成分(A)は少なくとも1種のラクタムである。
【0021】
ラクタムはそれ自体当業者に公知である。本発明の文脈において、「ラクタム」は、環内に2~12個、好ましくは4~12個、特に好ましくは5~8個の炭素原子を有する環状アミドを意味すると理解される。
【0022】
適切なラクタムは、例えば、3-アミノプロパノラクタム(プロピオ-3-ラクタム;β-ラクタム;β-プロピオラクタム)、4-アミノブタノラクタム(ブチロ-4-ラクタム;γ-ラクタム;γ-ブチロラクタム)、5-アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0023】
ラクタムは、非置換であってもよく、または少なくとも一置換されていてもよい。少なくとも一置換されたラクタムが使用される場合、その窒素原子および/または環炭素原子は、C1-~C10-アルキル、C5-~C6-シクロアルキル、およびC5-~C10-アリールからなる群から互いに独立して選択される1つ、2つまたはそれを超える置換基を有し得る。
【0024】
適切なC1-~C10-アルキル置換基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルである。適切なC5-~C6-シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5-~C10-アリール置換基は、フェニルおよびアントラニルである。
【0025】
非置換ラクタムを使用することが好ましく、γ-ラクタム(γ-ブチロラクタム)、δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が好ましい。δ-ラクタム(δ-バレロラクタム)およびε-ラクタム(ε-カプロラクタム)が特に好ましく、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)が特に好ましい。
【0026】
本発明によると、ラクタム(A)は、ラクタム(A)の総重量に基づいて、0~10重量%の水、好ましくは0.5~5重量%の水、より好ましくは1~3重量%の水、最も好ましくは1.5~2重量%の水を含む。
【0027】
モノマー(M)
モノマー(M)は、少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸(B1)および少なくとも1種のC4~C12ジアミン(B2)および場合により少なくとも1種のC4~C20二酸(B3)を含む。
【0028】
モノマー(M)は、各場合で成分(B1)および(B2)のモルパーセンテージの総和に基づいて、好ましくはモノマー(M)の総モル量に基づいて、例えば45~55 mol%の範囲の成分(B1)および45~55 mol%の範囲の成分(B2)を含む。
【0029】
モノマー(M)は、各場合で成分(B1)および(B2)のモルパーセンテージの総和に基づいて、好ましくはモノマー(M)の総モル量に基づいて、好ましくは47~53 mol%の範囲の成分(B1)および47~53 mol%の範囲の成分(B2)を含む。
【0030】
モノマー(M)は、各場合で成分(B1)および(B2)のモルパーセンテージの総和に基づいて、好ましくはモノマー(M)の総モル量に基づいて、特に好ましくは49~51 mol%の範囲の成分(B1)および49~51 mol%の範囲の成分(B2)を含む。
【0031】
モノマー(M)中に存在する成分(B1)および(B2)のモルパーセンテージの総和は、典型的には合計100 mol%となる。
【0032】
モノマー(M)はまた、成分(B3)、少なくとも1種のC4~C20二酸をさらに含み得る。
【0033】
モノマー(M)が成分(B3)をさらに含む場合、モノマー(M)が、各場合でモノマー(M)の総モル量に基づいて、25~54.9 mol%の範囲の成分(B1)、45~55 mol%の範囲の成分(B2)、および0.1~25 mol%の範囲の成分(B3)を含むことが好ましい。
【0034】
その場合、特に好ましくは、モノマー(M)が、各場合でモノマー(M)の総モル量に基づいて、13~52.9 mol%の範囲の成分(B1)、47~53 mol%の範囲の成分(B2)、および0.1~13 mol%の範囲の成分(B3)を含む。
【0035】
その場合、最も好ましくは、モノマー(M)が、各場合でモノマー(M)の総モル量に基づいて、7~50.9 mol%の範囲の成分(B1)、49~51 mol%の範囲の成分(B2)、および0.1~7 mol%の範囲の成分(B3)を含む。
【0036】
モノマー(M)が成分(B3)をさらに含む場合、成分(B1)、(B2)および(B3)のモルパーセンテージは、典型的には合計100 mol%となる。
【0037】
モノマー(M)は事実上無水であってもよく、または水を含んでいてもよい。モノマー(M)は、モノマー(M)の成分の総和に基づいて、0~10重量%、好ましくは0.1~5重量%の水を含むことができる。
【0038】
成分(B)の成分(B1)および(B2)および場合により(B3)が互いに反応してアミドを得ることができる。この反応はそれ自体当業者に公知である。したがって、モノマー(M)は、完全に反応した形態、部分的に反応した形態または未反応形態の成分(B1)および(B2)および場合により(B3)を含むことができる。好ましくは、モノマー(M)が、未反応形態の成分(B1)および(B2)および場合により(B3)を含む。
【0039】
よって、本発明の文脈において、「未反応形態の」は、成分(B1)が少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸として存在し、成分(B2)が少なくとも1種のC4~C12ジアミンとして存在し、成分(B3)が、存在する場合、少なくとも1種のC4~C20二酸として存在することを意味する。
【0040】
存在する成分(B1)および(B2)および任意の(B3)が互いに少なくとも部分的に反応している場合、存在する成分(B1)および(B2)および任意の(B3)は少なくとも部分的にアミド形態である。
【0041】
成分(B1)
本発明によると、成分(B1)は、本明細書で定義される少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸または好ましくはC32~C40ダイマー酸混合物である。
【0042】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸」は、正確に1種のC32~C40ダイマー酸または2種以上のC32~C40ダイマー酸の混合物のいずれかを意味する。
【0043】
本発明の文脈において、「C32~C40ダイマー酸混合物」は、不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸(不飽和C18脂肪酸が特に好ましい)からなる群から選択される不飽和脂肪酸を二量体化し、場合により得られた混合物を水素化することによって得ることができる混合物を意味する。
【0044】
ダイマー酸は、ダイマー脂肪酸とも呼ばれる。C32~C40ダイマー酸はそれ自体当業者に公知であり、典型的には不飽和脂肪酸を二量体化することによって調製される。この二量体化は、例えば、アルミナによって触媒され得る。
【0045】
ダイマー酸を与える連結は、知識の現状に従って、主にディールス・アルダー機序によって進行し、ダイマー酸を調製するために使用される脂肪酸中の二重結合の数および位置に応じて、カルボキシル基間に脂環式、直鎖脂肪族、分岐脂肪族、およびまたC6-芳香族炭化水素基を有する主に二量体生成物の混合物をもたらす。この機序および/または任意のその後の水素化に応じて、脂肪族基は飽和または不飽和であり得、芳香族基の割合も変化し得る。
【0046】
ダイマー脂肪酸のカルボキシル基を結合する基は、好ましくは不飽和結合を含まず、芳香族炭化水素基を含まない。
【0047】
少なくとも1種のC32~C40ダイマー酸を調製するのに適した不飽和脂肪酸は当業者に公知であり、例えば不飽和C16脂肪酸、不飽和C18脂肪酸および不飽和C20脂肪酸である。
【0048】
適切な不飽和C16脂肪酸は、例えば、パルミトレイン酸((9Z)-ヘキサデカ-9-エン酸)である。
【0049】
適切な不飽和C18脂肪酸は、例えば、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)、α-リノレン酸((9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸)、γ-リノレン酸((6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン酸)、カレンデュラ酸(calendulic acid)((8E,10E,12Z)-オクタデカ-8,10,12-トリエン酸)、プニカ酸((9Z,11E,13Z)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)、α-エレオステアリン酸((9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)およびβ-エレオステアリン酸((9E,11E,13E)-オクタデカ-9,11,13-トリエン酸)からなる群から選択される。ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)、リノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択される不飽和C18脂肪酸が特に好ましい。
【0050】
適切な不飽和C20脂肪酸は、例えば、ガドレイン酸((9Z)-エイコサ-9-エン酸)、エイコセン酸((11Z)-エイコサ-11-エン酸)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン酸)およびチムノドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-エイコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸)からなる群から選択される。
【0051】
C36ダイマー酸は、例えば、不飽和C18脂肪酸から出発して調製される。C36ダイマー酸が、ペトロセリン酸((6Z)-オクタデカ-6-エン酸)、オレイン酸((9Z)-オクタデカ-9-エン酸)、エライジン酸((9E)-オクタデカ-9-エン酸)、バクセン酸((11E)-オクタデカ-11-エン酸)およびリノール酸((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸)からなる群から選択されるC18脂肪酸から出発して調製される場合が特に好ましい。
【0052】
不飽和脂肪酸からの成分(B1)の調製は、トリマー酸をさらに形成することができる;未反応不飽和脂肪酸の残基が残存していてもよい。
【0053】
トリマー酸の形成は当業者に公知である。
【0054】
本発明によると、成分(B1)は、各場合で成分(B1)の総重量に基づいて、好ましくは最大0.5重量%の未反応不飽和脂肪酸および最大0.5重量%のトリマー酸、特に好ましくは最大0.2重量%の未反応不飽和脂肪酸および最大0.2重量%のトリマー酸を含む。
【0055】
ダイマー酸中の単量体、二量体、および三量体分子ならびに他の副産物の割合は、例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定され得る。ダイマー酸は、GC分析の前に三フッ化ホウ素法(DIN EN ISO 5509参照)によって対応するメチルエステルに変換され、次いで、GCによって分析される。
【0056】
使用されるダイマー酸またはC32~C40ダイマー酸混合物は、市販品として入手することができる。例としては、Oleon製のRadiacid 0970、Radiacid 0971、Radiacid 0972、Radiacid 0975、Radiacid 0976、およびRadiacid 0977、Croda製のPripol 1006、Pripol 1009、Pripol 1012、およびPripol 1013、ならびにArizona Chemical製のUnidyme 10およびUnidyme TIが挙げられる。
【0057】
成分(B1)は、例えば、190~200 mg KOH/gの範囲の酸価を有する。
【0058】
本発明によると、成分(B1)が0.1~5重量%の水を含むことが好ましい。
【0059】
本発明によると、成分(B1)が水を実質的に含まないことがより好ましい。本発明の文脈における「水を含まない」は、成分(B1)の総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の水を意味する。
【0060】
成分(B2)
本発明によると、成分(B2)は少なくとも1種のC4~C12ジアミンである。
【0061】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C12ジアミン」は、正確に1種のC4~C12ジアミンまたは2種以上のC4~C12ジアミンの混合物のいずれかを意味する。
【0062】
本発明の文脈において、「C4~C12ジアミン」は、4~12個の炭素原子および2個のアミノ基(-NH2基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物を意味すると理解される。脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であってもよく、またはさらに少なくとも一置換されていてもよい。脂肪族および/または芳香族化合物がさらに少なくとも一置換されている場合、これらは、成分(A)と(B)の重合に関与しない1つ、2つまたはそれを超える置換基を有し得る。このような置換基は、例えば、アルキルまたはシクロアルキル置換基である。これらはそれ自体当業者に公知である。少なくとも1種のC4~C12ジアミンは、好ましくは非置換である。
【0063】
好ましい成分(B2)は、1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される。
【0064】
特に好ましくは、成分(B2)は、1,4-ジアミノブタン(テトラメチレンジアミン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択され、成分(B2)は、特に1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)である。
【0065】
本発明によると、成分(B2)が、0.1~50重量%の水、好ましくは5~45重量%の水、優先的には5~30重量%の水を含むことが好ましい。
【0066】
成分(B3)
本発明によると、モノマー(M)中に場合により存在する成分(B3)は、少なくとも1種のC4~C20二酸である。
【0067】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のC4~C20二酸」は、正確に1種のC4~C20二酸または2種以上のC4~C20二酸の混合物のいずれかを意味する。
【0068】
本発明の文脈において、「C4~C20二酸」は、2~18個の炭素原子および2個のカルボキシル基(-COOH基)を有する脂肪族および/または芳香族化合物を意味すると理解される。脂肪族および/または芳香族化合物は、非置換であってもよく、またはさらに少なくとも一置換されていてもよい。脂肪族および/または芳香族化合物がさらに少なくとも一置換されている場合、これらは、成分(A)と(B)の重合に関与しない1つ、2つまたはそれを超える置換基を有し得る。このような置換基は、例えば、アルキルまたはシクロアルキル置換基である。これらは当業者に公知である。少なくとも1種のC4~C20二酸は、好ましくは非置換である。
【0069】
適切な成分(B3)の例は、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸およびヘキサデカン二酸からなる群から選択される。
【0070】
好ましくは、成分(B3)は、ペンタン二酸(グルタル酸) 、ヘキサン二酸(アジピン酸)、デカン二酸(セバシン酸)およびドデカン二酸からなる群から選択される。
【0071】
好ましくは、成分(B3)は、0.1~40重量%の水、好ましくは5~30重量%の水を含む。
【0072】
本発明によると、コポリアミドは、ラクタム(A)とモノマー(M)の重合によって調製される。ラクタム(A)とモノマー(M)の重合は、原則として、当業者に公知である。典型的には、ラクタム(A)とモノマー(M)の重合は縮合反応である。縮合反応中、ラクタム(A)は、モノマー(M)中に存在する成分(B1)および(B2)、ならびに存在する場合、成分(M)中に場合により存在し得る成分(B3)と反応する。これにより、個々の成分間にアミド結合が形成される。典型的には、ラクタム(A)は、重合中に少なくとも部分的に開鎖形態である、すなわちアミノ酸として存在する。
【0073】
ラクタム(A)とモノマー(M)の重合は、触媒の存在下で行うことができる。適切な触媒は、ラクタム(A)とモノマー(M)の重合を触媒する当業者に公知の全ての触媒である。このような触媒は当業者に公知である。好ましい触媒は、リン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィンまたはトリフェニルホスファイトである。
【0074】
本発明によると、ステップa)において、例えば3-アミノプロパノラクタム、4-アミノブタノラクタム、5-アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)、好ましくは5-アミノペンタノラクタム(2-ピペリジノン;δ-ラクタム;δ-バレロラクタム)、6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)、7-アミノヘプタノラクタム(ヘプタノ-7-ラクタム;ζ-ラクタム;ζ-ヘプタノラクタム)、8-アミノオクタノラクタム(オクタノ-8-ラクタム;η-ラクタム;η-オクタノラクタム)、9-アミノノナノラクタム(ノナノ-9-ラクタム;θ-ラクタム;θ-ノナノラクタム)、10-アミノデカノラクタム(デカノ-10-ラクタム;ω-デカノラクタム)、11-アミノウンデカノラクタム(ウンデカノ-11-ラクタム;ω-ウンデカノラクタム)および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)、特に好ましくは6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)および12-アミノドデカノラクタム(ドデカノ-12-ラクタム;ω-ドデカノラクタム)、特に6-アミノヘキサノラクタム(ヘキサノ-6-ラクタム;ε-ラクタム;ε-カプロラクタム)からなる群から選択される少なくとも1種のラクタム(A)を、60~150℃の温度で、典型的には混合要素、例えば供給ラインの混合要素または別個の混合槽を用いて、好ましくは非水素化または水素化C32~C40ダイマー酸混合物(B1)、およびまた例えば1,4-ジアミノブタン(ブタン-1,4-ジアミン;テトラメチレンジアミン;プトレシン)、1,5-ジアミノペンタン(ペンタメチレンジアミン;ペンタン-1,5-ジアミン;カダベリン)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン;ヘキサン-1,6-ジアミン)、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(デカメチレンジアミン)、1,11-ジアミノウンデカン(ウンデカメチレンジアミン)および1,12-ジアミノドデカン(ドデカメチレンジアミン)からなる群から選択される1種または複数のジアミン(B2)を含む、特に好ましくは非水素化または水素化C32~C40ダイマー酸混合物(B1)およびジアミン(B2)、1,6-ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミンまたはヘキサン-1,6-ジアミン)を含むモノマー(M)と混合する。
【0075】
1つの好ましい実施形態では、ステップa)において、少なくとも1種のラクタム(A)を最初に装入し、モノマー(M)を別々に添加する。この実施形態は、本明細書において好ましい、特に好ましい、特別なまたは例示的なものとして特定される全てのラクタム(A)ならびにモノマー(M)およびその成分(B1)、(B2)および(B3)を明確に含む。
【0076】
モノマー(M)を別々に添加する場合、好ましくは、ステップa)の混合が、少なくとも1種のラクタム(A)を成分(B1)と予備混合して予備混合物を得るステップと、その後、成分(B2)および場合により(B3)を予備混合物に添加するステップとを含む。
【0077】
本発明の方法によると、少なくとも1種のラクタム(A)を、60~150℃、好ましくは80~120℃、より好ましくは90~100℃の温度でモノマー(M)と混合する。
【0078】
好ましくは、少なくとも1種のラクタム(A)を60~150℃、好ましくは80~120℃の温度で成分(B1)と予備混合して予備混合物を得て、その後、成分(B2)および場合により(B3)を予備混合物に添加する。
【0079】
予備混合する前に、ラクタム(A)と成分(B1)を、予備混合を実施する温度に別々に予熱することが特に好ましい。
【0080】
好ましくは、予備混合物が透明溶液である。
【0081】
好ましくは、ステップa)において、成分(B2)および場合により(B3)を予備混合物に添加した後、得られた混合物を190~210℃、より好ましくは195~201℃、最も好ましくは200~205℃に加熱する。
【0082】
好ましくは、ステップa)において、ラクタム(A)と成分(B1)および(B2)を含むモノマー(M)の以下の組み合わせが使用される:
6-アミノヘキサノラクタム(A)+C32~C40ダイマー酸混合物(B1)、1,6-ジアミノヘキサン(B2)または6-アミノヘキサノラクタム(A)+水素化C32~C40ダイマー酸混合物(B1)および1,6-ジアミノヘキサン(B2)。
【0083】
成分(B1)、(B2)および場合により(B3)は、好ましくはここでは(B2)からのアミン基のモル数が、 (B1)および場合により(B3)からのカルボキシル基の総和のモル数に本質的に等しくなるような量で使用される。
【0084】
この実施形態は、本明細書において好ましい、特に好ましい、特別なまたは例示的なものとして特定される全てのラクタム(A)ならびにモノマー(M)およびその成分(B1)、(B2)および(B3)を明確に含む。
【0085】
1つのさらに特に好ましい実施形態では、ステップa)において、少なくとも1種のラクタム(A)を最初に装入し、モノマー(M)を別々に添加し、ラクタム(A)が、ラクタム(A)に基づいて、0~10重量%の水を含み、モノマー(M)が、モノマー(M)の総和に基づいて、0~10重量%の水を含み、(B2)からのアミン基のモル数が、(B1)および場合により(B3)からのカルボキシル基の総和のモル数に本質的に等しい。この実施形態は、本明細書において好ましい、特に好ましい、特別なまたは例示的なものとして特定される全てのラクタム(A)ならびにモノマー(M)およびその成分(B1)、(B2)および(B3)を明確に含む。
【0086】
本発明による方法の一実施形態(螺旋管バージョン)では、ステップa)で得られた混合物を、ステップ(aa)において、圧力調整バルブを介して、3~9バール、好ましくは4~8バール、より好ましくは6~7バールの高圧下で螺旋管蒸発器に通すことができる。好ましくは、螺旋管蒸発器を通る水の同時蒸発が起こり、蒸気相および液相を形成する。
【0087】
予備反応器、例として撹拌槽が、螺旋管反応器の上流に接続されてもよく、または螺旋管反応器が予備反応器に置き換えられてもよい。この予備反応器は、典型的には、200~300℃の範囲の温度、好ましくは250~290℃の範囲の温度で作動し、ラクタム(A)が予備重合し、螺旋管またはVK管内の重合が加速された速度で進行するようにラクタム(A)を開裂する。
【0088】
反応レジームを改善するための当業者に公知の補助剤、例えば消泡剤、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)を、本発明によるプロセスステップa)において、および場合によりVK管またはVK管の上部にも使用することがさらに可能である。
【0089】
水蒸気および/または不活性ガスを、場合により螺旋管の上流で混合物に導入してもよい。不活性ガスは、例として、窒素、二酸化炭素もしくはアルゴン、またはこれらのガスの混合物である。
【0090】
螺旋管蒸発器は、好ましくは加熱媒体が加熱ジャケット内で伝導され、温度制御に役立つジャケット管である。本発明により好ましく使用される工業用ジャケット管は、典型的には、20~100 m、特に好ましくは40~80 mの範囲の長さを有し、好ましくは10~150 mm、特に15~60 mmの内径を有する。螺旋管蒸発器は、ステップa)で得られた混合物中の水の蒸発をもたらす。ガス(水蒸気)のコア流は、典型的には、吐出領域内の螺旋管蒸発器内に存在するが、壁膜は液相として存在する。必要に応じて、コア流を生成または強化するために、不活性ガス、例えば水蒸気、窒素、二酸化炭素もしくはアルゴン、またはこれらを含むガス混合物、例えば16バールの水蒸気を螺旋管の入口または「上部」で計量することができる。これは、例えば、ステップa)で得られた混合物中に十分な水が存在しない場合、例として、有機成分の総濃度が98重量%を超える場合に必要であり得る。その後、添加されたガスはキャリアガスとして機能する。螺旋管蒸発器の端部では、典型的には、蒸気相と液相との間に相分離がある。ガスのコア流は、例えば、螺旋管の断面積に基づいて、15~35%、特におよそ25%の面積割合を構成することができ、壁膜、すなわち液相は、断面積の65~85%、特におよそ75%を構成することができる。本発明による方法のこの形態では、蒸発器入口では高圧、例えば5~20バールが優勢であり、反応器の出口ではほぼ大気圧が優勢であるので、螺旋管蒸発器がバルブとして機能し得る。したがって、圧力は螺旋管の長さにわたって連続的に低下する。螺旋管蒸発器は、国際公開第2008/049786号に記載されるように構成され得る。
【0091】
螺旋管型蒸発器を通る反応混合物の通過中、140~300℃、好ましくは170~220℃、特に有利には190~210℃の温度が典型的に確立される。同時に、好ましくはほぼ大気圧(1バール)に圧力が低下し、気相の分離が起こって液相が得られる。よって、ステップa)で得られた混合物のほぼ大気圧への減圧は、螺旋管を通る導通によって実施される。気相は主に水蒸気を含み、これは螺旋管蒸発器を出た後に有機成分から分離される。蒸気相は、例えば、カラムを介して除去され得る。
【0092】
「ほぼ大気圧」という表現は、一般に、-0.5~+1バール、特に±0.5バールの偏差を有する大気圧(1バール)を記載する。
【0093】
螺旋管の有利な作動モードのために、ステップa)で得られた混合物の滞留時間は、好ましくは40~120秒間の範囲である。3~10分間のより長い滞留時間が使用される場合、螺旋管蒸発器には、有利には、高い表面積を達成するために、内部構造物、例えばランダムパッキング、ラシヒリングまたはポールリング、特にワイヤーメッシュリングが設けられる。
【0094】
好ましくは、螺旋管蒸発器内で化学反応、例えば重合が起こらず、代わりに、蒸気相/気相と液相への分離のみが存在する。水は、好ましくは、ステップa)で得られた混合物から蒸気の形態で除去される。
【0095】
その後、螺旋管から出て、成分(B1)および(B2)ならびにまたラクタム(A)からなるか、またはこれらを含む、蒸気相および液相からなる二相混合物がステップ(ab)で分離される。理想的には、蒸気相と液相の二相混合物が、垂直重合管(VK管)の管状重合ゾーンの上部の蒸気空間内に導かれ、そこで蒸気相と液相への分離が行われる。
【0096】
得られた蒸気相は、同様に有利には、ステップ(ab)において、カラム内で、水蒸気、成分(B1)および(B2)および場合により(B3)ならびにラクタム(A)に分離され、全ての有機成分は重合、すなわちステップb)に再利用される。蒸気相の分離は、有利には、整流を伴うカラム内で行われる。適切なカラムは、例えば、ランダムパッキングを有するカラム、構造化パッキングを有するカラム、バブルキャップカラム、バルブトレイカラム、または5~15の理論段数を有するシーブトレイカラムである。カラムは、便宜上、蒸気相と液相の分離と同じ条件下、例えば0.5~2.5バールの絶対圧力下または重合ゾーンの圧力下で作動される。有利には、分離効果を改善するために、蒸気1 kg当たり0.1~0.5 lの水がカラムの上部に導入される。成分(B1)および(B2)ならびにラクタム(A)を含む、またはこれらからなる液相がカラム流出物として得られる。水蒸気は、カラムの上部で得られる。
【0097】
好ましい作動モードに従って、分離がVK管の上部で行われる場合、ジアミン、ジカルボン酸およびラクタムを含む、またはこれらからなる液相は、VK管の上部に戻される。
【0098】
成分(B1)および(B2)および場合により(B3)ならびにラクタム(A)を含む、またはこれらからなる螺旋管からの有機相、および分離カラムからの戻りは、好ましくは垂直重合管(VK管)の上部で撹拌することによって混合される。
【0099】
ステップa)で得られた混合物を、場合により予備反応器中で、またはステップ(aa)および(ab)が行われる場合、代わりにステップ(aa)からの液相およびステップ(ab)からの有機成分を、ポリアミド形成温度で垂直重合管を通して上から下に通し、コポリアミドを得る。この方法は、以下に記載されるように連続的に行われる。
【0100】
本明細書で「重合管」とも呼ばれる、ポリアミドを連続的に調製するために使用される垂直管状反応器は、公知であり、本明細書および専門分野では「VK管」とも呼ばれ、ポリアミドまたはコポリアミドを連続的に調製するためにこれを用いて行われる方法は、本明細書および専門分野では「VKプロセス」とも呼ばれる(V=vereinfacht[簡略化]、K=kontinuierlich[連続])。VK管およびVKプロセスは、例として、Kunststoff-Handbuch[Plastics Handbook],第VI巻(Polyamide[Polyamides]),Carl Hanser Verlag Munchen,1966第2.11.6.6章,190~194頁またはKunststoff-Handbuch 3/4,Technische Thermoplaste(Polyamide)[Industrial Thermoplastics(Polyamides)],Carl Hanser Verlag Munchen,1998,65~70頁に記載されている。これらの引用の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
原則として、VKプロセスは、ポリアミドまたはコポリアミドを得るために重合される典型的には液体のモノマーまたはオリゴマー混合物が、典型的には4~50 m長であり、典型的にはV4A鋼でできた垂直、帯状または完全に加熱可能な管の上部に導入され、混合物が、内蔵された内部設備を含み得る管を通って垂直に流れることができ、形成されたポリマーまたはコポリマーが下端で、特に重合される混合物と同じ量で除去され、典型的には液体のモノマーまたはオリゴマー混合物が重合のためにVK管の上部に導入されるように作動する。
【0102】
VKプロセスは、原則として、例えば、例としてKunststoff-Handbuch,第VI巻(Polyamide),Carl Hanser Verlag Munchen,1966第2.11.6.6章,192頁に記載されているように、複数のVK管の配置も含む。
【0103】
本発明による方法は、例えば、コポリアミドを得るために重合されるステップa)で得られた混合物が、典型的には4~50 m長であり、典型的にはV4A鋼でできた垂直、帯状または完全に加熱可能な管の上部に導入され、混合物が、内蔵された内部設備を含み得る管を通って垂直に流れることができ、形成されたコポリマーが下端で、特に重合されるステップa)で得られた混合物と同じ量で除去され、重合のためにVK管の上部に導入されるように作動し、連続法と呼ばれる。
【0104】
本発明によるこの方法の1つのバージョンは、例えば、例としてKunststoff-Handbuch,第VI巻(Polyamide),Carl Hanser Verlag Munchen,1966第2.11.6.6章,192頁に記載されているように、複数のVK管の配置も含む。
【0105】
本発明による方法の1つの好適な実施形態は以下の通りである:好ましくは250~285℃、特に265~280℃の温度が一般にVK管の上部3分の1で維持される。VK管を通過する間、融解物は、好ましくは240~260℃の融解物が下端で得られるように温度制御される。
【0106】
VK管内での滞留時間は、好ましくは8~30時間である。
【0107】
本発明による方法によって得られたコポリアミドは、好ましくは、実施例で定義されるように測定した場合、2.0~3.0の相対粘度および3.5~12重量%、特に5~11重量%の水抽出可能な画分の含有量を有する。
【0108】
このようにして得られたコポリアミド融解物は、一般に、ストランドに鋳造され、凝固され、水流中での水中ペレット化によって直接ペレット化される。適切な方法は当業者に公知である。
【0109】
次いで、このようにして得られたペレットを、好ましくは80~120℃の温度で水と向流で連続的に抽出することができる。次いで、このようにして得られた水性抽出物を、有利には、抽出物カプロラクタムに基づいて、0.5~2倍量の新鮮なカプロラクタムを添加した後に蒸発させる。適切な方法は、例えば、ドイツ特許公開第2501348号明細書に記載されている。
【0110】
一般に、その後、抽出されたコポリアミドを乾燥させる。有利には、これを、ここで、所望の粘度に達するまで、例えば100~185℃の温度で、向流の熱担体として不活性ガス、例えば窒素または過熱水蒸気を併用して温度制御に供する。
【0111】
成分(A)と(B)の本発明による重合は、コポリアミドを形成し、したがって、成分(A)に由来する構造単位および成分(B)に由来する構造単位が得られる。成分(B)に由来する構造単位は、成分(B1)および(B2)および場合により成分(B3)に由来する構造単位を含む。
【0112】
成分(A)とモノマー(M)の重合は、コポリマーとしてコポリアミドを形成する。コポリマーはランダムコポリマーであってもよいが、同様にブロックコポリマーであってもよい。
【0113】
ブロックコポリマーでは、モノマー(M)に由来する単位のブロックと成分(A)に由来する単位のブロックが形成される。これらは交互に現れる。ランダムコポリマーでは、成分(A)に由来する構造単位とモノマー(M)に由来する構造単位が交互に存在する。この変化はランダムに起こり、例えば、モノマー(M)に由来する2つの構造単位の後に成分(A)に由来する1つの構造単位が続き、今度はこれにモノマー(M)に由来する1つの構造単位が続き、次いで、これに成分(A)に由来する3つの構造単位を含む構造単位が続く。
【0114】
好ましくは、本発明による方法によって得られた少なくとも1種のコポリアミドはランダムコポリマーである。
【0115】
本発明の方法によって得られた少なくとも1種のコポリアミドは、典型的にはガラス転移温度(TG(C))を有する。ガラス転移温度(TG(C))は、例えば、ISO 11357-2:2014に従って決定される、20~50℃の範囲、好ましくは23~47℃の範囲、特に好ましくは25~45℃の範囲である。
【0116】
本発明の文脈において、少なくとも1種のコポリアミドのガラス転移温度(TG(C))は、ISO 11357-2:2014によると、乾燥コポリアミドのガラス転移温度(TG(C))を指す。
【0117】
本発明の文脈において、「乾燥」は、少なくとも1種のコポリアミドが、少なくとも1種のコポリアミドの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の水を含むことを意味する。より好ましくは、「乾燥」は、少なくとも1種のコポリアミドが水を含まないことを意味し、最も好ましくは、少なくとも1種のコポリアミドが溶媒を含まないことを意味する。
【0118】
さらに、少なくとも1種のコポリアミドは、典型的には融解温度(TM(C))を有する。少なくとも1種のコポリアミドの融解温度(TM(C))は、例えば、ISO 11357-3:2014に従って決定される、150~210℃の範囲、好ましくは160~205℃の範囲、特に好ましくは160~200℃の範囲である。
【0119】
少なくとも1種のコポリアミドは、一般に、少なくとも1種のコポリアミドの重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中0.5重量%溶液で決定される、150~300 ml/gの範囲の粘度数(VZ(C))を有する。
【0120】
好ましくは、実施例に記載されるように決定される、少なくとも1種のコポリアミドの粘度数(VZ(C))は、少なくとも1種のコポリアミドの重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの混合物中0.5重量%溶液で決定される、160~290 ml/gの範囲、特に好ましくは170~280 ml/gの範囲である。
【0121】
本発明の方法によって得ることができるコポリアミドは、一般に、15~84重量%、好ましくは18~83重量%、より好ましくは40~83重量%、最も好ましくは60~80重量%のナイロン-6単位を有する。
【0122】
本発明による好ましいコポリアミドは、ポリエーテル基を含まない。
【0123】
本発明によるコポリアミドは、高い酸および塩安定性ならびにナイロン-6で得られたフィルムと比較して低下した剛性を有し、同時に高い融解温度を有するフィルム、例えば農業分野で使用するためのフィルム、または食品包装分野のフィルム、または工業用途のためのフィルム、例えば塗装フィルムもしくはVARTM(真空含浸工法(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding))フィルムの製造に使用され、このようなフィルムは、典型的には押出成形によって得ることができる。
【0124】
本発明によるコポリアミドはまた、射出成形法、異形押出法およびブロー成形法において成形品を製造するために使用される。製造された成形品は、特に最大2 mmの壁厚の成形品で、半結晶性材料について予想外に高い透明性を示し、結果として、優れた色深度で染色することもできる。
【0125】
本発明により得ることができるコポリアミドは、コポリアミドフィルム層からなる、またはコポリアミドフィルム層を含む多層フィルムを含むフィルムの製造に特によく適している。このようなフィルムの製造方法の例としては、キャスティング法、ブロー法、二軸延伸ポリアミドフィルム(BOPA)法またはマルチフィルムブロー法が挙げられる。これらの方法およびまたコポリアミドから作製されたフィルムは、原則として当業者に公知であり、例として、その開示が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、国際公開第2018/050487号(BASF SE)に記載されている。典型的には、本発明により得ることができるコポリアミドで構成されたフィルムは、本発明により得ることができるコポリアミドで構成された延伸されたコポリアミドフィルムが得られるように、これらの方法を使用する場合に延伸される。
【0126】
本発明により得ることができるコポリアミドで構成されたコポリアミドフィルム層からなる、またはコポリアミドフィルム層を含む多層フィルムを含むフィルムは、例として、包装フィルムとして、例えば食品包装フィルムとして使用される。例えば、前記フィルムは、管状パウチ包装として、側方閉鎖パウチ包装として、熱成形包装として、閉鎖可能なパウチのために、および/または食品部門のピロー包装としても使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0127】
本発明を、実施例を参照して以下により詳細に説明する。
【0128】
実施例:
ポリマーフィルムの特性を以下のように決定した。
【0129】
コポリアミドの粘度数を、DIN EN ISO 307:2007に従って、25℃で、重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンの1重量%溶液中で測定した。DIN EN ISO 307:2007と対照的に、コポリアミドを溶液にするためには、開示される溶媒以外の溶媒を選択しなければならない。また、DIN EN ISO 307:2007から逸脱して、0.5重量%溶液の代わりに、1重量%溶液を使用した。
【0130】
DIN EN ISO 307:2007の15頁に記載されるように、相対粘度を流動時間の算術平均から決定したが、相対粘度は(RV)=(t-tc/T0-T0c)である。ISO:307:2007から逸脱して、コポリアミドを溶液にするためには、記載される溶媒以外の溶媒を選択しなければならない。選択した溶媒は、重量比1:1のフェノール/o-ジクロロベンゼンであった。さらに、使用したポリアミド溶液は、DIN EN ISO 307:2007に開示される0.5重量%溶液の代わりに、1重量%のポリアミドを含有していた。
【0131】
融解温度は、ISO 11357 1:2009およびISO 11357-3:2011に従って決定した。2回の加熱操作を行い、2回目の加熱操作に基づいて融解温度を決定した。
【0132】
ポリアミドの密度は、溶媒として水を使用して、EN ISO 1183-1A:2012に記載されている浸漬法に従って決定した。
【0133】
コポリアミド中のナイロン-6,36の割合を決定するために、コポリアミドを希塩酸(20%)中で加水分解した。塩酸は、ヘキサメチレンジアミンに由来する単位をプロトン化し、塩酸からの塩化物イオンが対イオンを形成する。次いで、この塩化物イオンをイオン交換体によって水酸化物イオンに交換し、ヘキサメチレンジアミンを放出した。次いで、0.1モル濃度の塩酸で滴定することによって、そこからコポリアミド中のナイロン-6,36の割合を計算することができるヘキサメチレンジアミン濃度を定量する。
【0134】
請求される方法によるコポリアミド:
実施例E-1
95℃の温度で2%の水を含有する185 kg/時間のカプロラクタムに、同様に95℃に加熱した、70 kg/時間のCroda製のPripol 1009(C36ダイマー酸混合物、水素化)を添加した。その後、70%ヘキサメチレンジアミン水溶液を20 kg/時間の速度で透明溶液に添加した。まだ透明な混合物を200~205℃に加熱し、圧力調整バルブを介して7バールの圧力で螺旋管蒸発器に移した。螺旋管蒸発器の入口の圧力は、およそ1~2バールであった。250 mbarのわずかに高い圧力で、195~205℃の温度で螺旋管蒸発器から出てくる混合物をVK管の上部に移した。消泡剤を、全投入量に対して30~40 ppmの濃度でVK管の上部に同時に注入した。VK管の上部の温度はおよそ260℃であった。蒸気相をVK管の上部のカラムに導き、凝縮後に排出した。残りのモノマー混合物は、VK管を通過し、セグメントで加熱され、温度は265~280℃からVK管の出口でおよそ250℃まで段階的に低下する。VK管は、システムが自己確立した静水圧システム圧力で作動した。VK管の出口で、ナイロン-6/6.36融解物が得られ、これを排出ポンプを介して水中ペレット化システムに直接移送し、その後の抽出ステップおよびその後の乾燥ステップを行った。乾燥に続いて後凝縮させた。
【0135】
得られたコポリアミドは、粘度数218 ml/gおよび融解温度199℃を示した。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は30.4重量%であり、密度は1.052 g/mlであった。
【0136】
実施例E-2
実施例1に記載される方法を、160 kg/時間のカプロラクタム、60 kg/時間のPripol 1012(C36ダイマー酸混合物、非水素化)および17 kg/時間のヘキサメチレンジアミン水溶液のスループットに変更した。
【0137】
得られたコポリアミドは、粘度数217 ml/gおよび融解温度198℃を有していた。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は28.0重量%であり、密度は1.054 g/mlであった。
【0138】
実施例E-3
実施例1に記載される方法を、260 kg/時間のカプロラクタム、50 kg/時間のPripol 1012(C36ダイマー酸混合物、非水素化)および16 kg/時間のヘキサメチレンジアミン水溶液に変更した。
【0139】
得られたコポリアミドは、粘度数222 ml/gおよび融解温度208℃を有していた。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は16.7重量%であり、密度は1.084 g/mlであった。
【0140】
比較コポリアミド:
比較実施例C-4
932 kgのカプロラクタム、323.2 kgのCroda製のPripol 1009(C36ダイマー酸混合物、水素化)(C36ダイマー酸、水素化)、77.84 kgの85重量%のヘキサメチレンジアミン水溶液および153 kgの水を1930 l容器中で混合し、窒素で覆った。容器を外部温度290℃まで加熱し、混合物をこの温度で11時間撹拌した。撹拌を最初の7時間は高圧下で実施し、その後の4時間は減圧下で実施し、形成された水を同時に留去した。得られたコポリアミドを容器から排出し、押し出し、ペレット化した。得られたコポリアミドのペレットを95℃熱水で6時間4回抽出し、その後、窒素流下90~140℃で10時間乾燥させた。
【0141】
得られたコポリアミドは、粘度数200 ml/gおよび融解温度201℃を有していた。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は29.3重量%であり、密度は1.057 g/mlであった。
【0142】
比較実施例C-5
932 kgのカプロラクタム、322 kgのCroda製のPripol 1012(C36ダイマー酸混合物、非水素化)、77.84 kgの85重量%のヘキサメチレンジアミン水溶液、100 gのPolystell do Brazil製の消泡剤Polyapp 2557-CTWおよび153 kgの水を1930 l容器中で混合し、窒素で覆った。容器を外部温度290℃まで加熱し、混合物をこの温度で11時間撹拌した。撹拌を最初の7時間は高圧下で実施し、その後の4時間は減圧下で実施し、形成された水を同時に留去した。得られたコポリアミドを容器から排出し、押し出し、ペレット化した。得られたコポリアミドのペレットを95℃熱水で6時間4回抽出し、その後、窒素流下90~140℃で10時間乾燥させた。
【0143】
得られたコポリアミドは、粘度数184 ml/gおよび融解温度199℃を有していた。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は30.1重量%であり、密度は1.060 g/mlであった。
【0144】
比較実施例C-6
1039 kgのカプロラクタム、216 kgのCroda製のPripol 1009(C36ダイマー酸混合物、水素化)、51.7 kgの85重量%のヘキサメチレンジアミン水溶液、100 gのPolystell do Brazil製の消泡剤Polyapp 2557-CTWおよび142 kgの水を1930 l容器中で混合し、窒素で覆った。容器の外部温度を290℃に加熱し、混合物をこの温度で11時間撹拌した。撹拌を最初の7時間は高圧下で実施し、その後の4時間は減圧下で実施し、形成された水を同時に留去した。得られたコポリアミドを容器から排出し、押し出し、ペレット化した。得られたコポリアミドのペレットを95℃熱水で6時間4回抽出し、その後、窒素流下90~140℃で10時間乾燥させた。
【0145】
得られたコポリアミドは、粘度数240 ml/gおよび融解温度206℃を有していた。コポリアミドの総重量に基づく、コポリアミド中のナイロン-6,36の割合は19.8重量%であり、密度は1.078 g/mlであった。
【0146】
実施例E-1~E-3および比較実施例C-4~C-6で調製したコポリアミドを使用して得られたフィルムの光学品質の決定:
上記の実験で得られた熱可塑性物質(コポリアミド)の光学品質を、OCS(登録商標)から商業的に入手可能なFQTS SFA-100システムで決定した。この目的のために、100 mmのノズルヘッド幅を使用したキャスティング法でポリマーフィルムを製造した。システムは、直径25 mmおよび長さ625 mmのスクリューを有していた。異なる押出機ゾーン温度は240~260℃の間であり、ノズル温度は260℃であった。チルロールを室温に冷却した。その後、厚さ50μmの透明ポリマーフィルムを50 Wハロゲン光ラジエーターで連続的に透過照明し、フィルム中に位置する欠陥を、2048ピクセルを有するNikon製CCDラインスキャンカメラを使用して監視した。ピクセル解像度はキャストフィルム上で10×10μm2であった。各材料から2平方メートルのフィルムを調べた。これらの2平方メートルでカウントされた光学的欠陥を、それらのサイズに従って表1に列挙する:
【0147】
【0148】
本発明の連続法によって調製されたコポリアミドの光学品質は、文献に記載された不連続法と比較して大幅に改善され、光学的に透明な成形品におけるコポリアミドの使用を可能にする。
【国際調査報告】