(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】複合材料及びそれを得る方法
(51)【国際特許分類】
C08L 1/02 20060101AFI20231124BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20231124BHJP
C08L 23/00 20060101ALI20231124BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20231124BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20231124BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20231124BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20231124BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
C08L1/02
C08L101/00
C08L23/00
C08L67/00
C08K3/34
C08J5/00 CER
C08J3/20 B CEZ
B29B17/00 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531628
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 IL2021051394
(87)【国際公開番号】W WO2022113068
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523192288
【氏名又は名称】ユー.ビー.キュー.マテリアルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェラス、ギル
(72)【発明者】
【氏名】スタール、ガト
(72)【発明者】
【氏名】ビジオ、ジャック(タト)
【テーマコード(参考)】
4F070
4F071
4F401
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA12
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4J002AA00X
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4J002BB00X
4J002BB01X
4J002BD15Z
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4J002DJ006
4J002FD016
4J002FD20Z
4J002GC00
4J002GN01
(57)【要約】
本開示は、(a)複合材料の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、(b)当該複合材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、(c)最大15%w/wの無機物質と、の均質ブレンドを含む複合材料であって、当該複合材料が、当該複合材料の総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含み、当該複合材料が、以下の特性:(i)当該複合材料が、少なくとも15h/mのノッチ付きアイゾット衝撃を有すること、並びに(ii)射出成形に供された当該複合材料の試料が、少なくとも8MPaの引張強度及び少なくとも15MPaの曲げ強度のうちの少なくとも1つを有すること、のうちの少なくとも1つを特徴とする、複合材料を提供する。また、複合材料を調製する方法であって、当該複合材料の総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含む異種取り込み材料の使用を伴う、方法及び複合材料から製造物品を生成する、方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
a.前記複合材料の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
b.前記複合材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
c.最大15%w/wの無機物質と、の均質ブレンドを含み、
前記複合材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含み、
前記複合材料が、以下の特性:
-前記複合材料が、少なくとも15h/mのノッチ付きアイゾット衝撃を有すること、並びに
-射出成形に供された前記複合材料の試料が、
少なくとも8MPaの引張強度、及び
少なくとも15MPaの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有すること、のうちの少なくとも1つを特徴とする、複合材料。
【請求項2】
前記アリール含有合成ポリマーが、ポリエチレンテトラフタレート(PET)を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記複合材料の前記総重量のうちの5%未満の量の前記PETを含む、請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
以下の特徴:
-前記複合材料が、1.2gr/cm
3以下の密度を有すること、
-前記複合材料が、200℃を超える熱重量分析(TGA)温度を有すること、
-射出成形に供された前記複合材料の試料が、
○少なくとも10MPaの引張強度、
○少なくとも1,500MPaの引張弾性率、
○少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率、及び
○少なくとも20MPaの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有すること、並びに
-前記複合材料が、5mg/g未満のシリケートを含むこと、のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記複合材料の前記総重量のうちの約1%w/w未満の量のハロゲン化ポリマーを含む、請求項1又は4に記載の複合材料。
【請求項6】
1.2gr/cm
3以下の密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
200℃を超える熱重量分析(TGA)温度を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
射出成形に供された前記複合材料の試料において、前記試料が、
-少なくとも10Mpaの引張強度、
-少なくとも1,500MPaの引張弾性率、
-少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率、及び
-少なくとも20MPaの曲げ強度、を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
5mg/g未満のシリケートを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
1,500μm以下のd90のサイズ分布を有する微細化粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
900μm以下であるd90のサイズ分布を有する微細化粒子を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項12】
複合材料を調製する方法であって、前記方法が、
a.粒子状異種取り込み材料を、150℃及び200℃の範囲内に維持された温度で、押出機内で少なくとも1つの押出プロセスに供し、それによって前記複合材料を得ること、を含み、
前記粒子状異種取り込み材料が、
i.異種廃棄物の総重量のうちの少なくとも40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
ii.前記複合材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
iii.前記複合材料の総重量のうちの最大15%w/wの無機物質と、を含み、
前記異種取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含む、方法。
【請求項13】
前記取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの約1%w/w未満の量のハロゲン化ポリマーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アリール含有合成ポリマーが、PETを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの5%未満の量のPETを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記押出プロセスの前に、粒子状異種廃棄物を少なくとも1つの分離ステップに供することを含み、前記分離ステップが、近赤外(NIR)吸光度に基づいて前記粒子状異種廃棄物からハロゲン化ポリマー及びアリール合成ポリマーの一方又は両方を除去して、選別された異種廃棄物を得ることを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子状異種取り込み材料が、異種廃棄物を2つ以上の粒子化及びふるい分け段階に供することによって得られる、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記押出機から排出された押出物の制御された徐冷を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複合材料が、前記複合材料のサイズ減少を含む少なくとも1つの微細化段階に供される、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記サイズ減少が、1,500mm以下のd90によって定義されるサイズまでである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~11のいずれか一項に記載の複合材料と少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを含む、製造物品。
【請求項22】
製造物品を生成する方法であって、前記方法が、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合材料を少なくとも1つのポリオレフィンとともに加工することを含み、前記加工が、押出及び成形のうちの少なくとも1つを含み、前記加工が、前記複合材料の前記少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを提供する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物管理に関し、具体的には、廃棄物から得られる複合材料に関する。
【0002】
参考文献
ここに開示される主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に挙げる。
-国際特許出願公開第2010/082202号
-国際特許出願公開第12007949号
-米国特許第6,692,544号
【0003】
本明細書における上記の参考文献の認識は、これらがここで開示される主題の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景技術】
【0004】
発生した都市廃棄物の一部のみが、実際に有用な製品にリサイクルされる。
【0005】
国際特許出願公開第2010/082202号は、熱可塑性特性を有し、有機物質と、任意選択で、家庭廃棄物などの廃棄物から調製することができる無機物質及びプラスチックの一方又は両方と、を含む複合材料を記載している。複合材料は、有用な物品を得るために加工される。この複合材料は、国際公開第12007949号に記載されているように、加硫ゴム及びタイヤコードからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む第2の構成要素と組み合わせることができる。
【0006】
米国特許第6,692,544号は、都市固形廃棄物を含む異なるタイプの廃棄物材料からのブリケット及びペレットの形成を記載している。ブリケット及びペレットは、廃棄物からエネルギーへのプロセスにおいて燃料として使用されるか、又は埋立地に処分される。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、異種廃棄物から生成される複合材料の物理的特性における予期せぬ顕著な改善を可能にする技術の開発に基づく。とりわけ、本技術は、異種廃棄物を剪断力下での加熱及び混合に供する前に、以下に定義されるように、廃棄物から選択されたタイプの合成ポリマーを除去することに基づく。したがって、本技術は、優れた複合材料、それを得る方法、及びその使用を提供する。
【0008】
したがって、本開示の態様のうちの第1の態様によれば、本開示は、複合材料を提供し、当該複合材料は、
a.複合材料の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
b.当該複合材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
c.最大15%w/wの無機物質と、の均質ブレンドを含み、
当該複合材料は、当該複合材料の総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含み、
当該複合材料は、以下の特性:
-当該複合材料が、少なくとも15h/mのノッチ付きアイゾット衝撃を有すること、並びに
-射出成形に供された当該複合材料の試料は、
少なくとも8MPaの引張強度、及び
少なくとも15MPの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有すること、のうちの少なくとも1つを特徴とする。
【0009】
いくつかの例では、複合材料は、1.2gr/cm3以下の密度を特徴とする。
【0010】
いくつかの例では、複合材料は、少なくとも15J/mのノッチ付きアイゾット衝撃を特徴とする。
【0011】
いくつかの例では、複合材料は、200℃を超える熱重量分析(thermal gravimetry analysis、TGA)温度を特徴とする。
【0012】
いくつかの例では、当該複合材料の試料が、射出成形に供された場合、射出成形試料は、少なくとも10MPaの引張強度を特徴とする。
【0013】
いくつかの例では、当該複合材料の試料が射出成形に供された場合、射出成形試料は、少なくとも1,500MPaの引張弾性率を特徴とする。
【0014】
いくつかの例では、当該複合材料の試料が射出成形に供された場合、射出成形試料は、少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率を特徴とする。
【0015】
いくつかの例では、当該複合材料の試料が射出成形に供された場合、少なくとも20MPaの曲げ強度を有し、
いくつかの例では、複合材料は、5mg/g未満のシリケートを含む。
【0016】
本明細書に開示される複合材料は、上記の特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを特徴とすることができ、各特徴及び各可能な組み合わせは、本開示の別々の実施形態を構成する。
【0017】
本明細書で提供される非限定的な例によって示されるように、複合材料は、選別されていない家庭の異種廃棄物中のアリール含有合成ポリマーの量と比較して、その量が並外れて低い。
【0018】
本明細書に開示される複合材料を調製するための方法も本明細書に開示される。
【0019】
いくつかの態様では、本方法は、150℃及び200℃の範囲内に維持された温度で、粒子状異種取り込み材料を少なくとも1つの押出プロセスに供し、それによって当該複合材料を得ることを含み、
当該粒子状異種取り込み材料は、
i.異種廃棄物の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
ii.当該複合材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
iii.複合材料の総重量のうちの最大15%w/wの無機物質と、を含み、
当該異種取り込み材料は、当該複合材料の総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含む。
【0020】
いくつかの態様では、本方法は、粒子状異種廃棄物を、近赤外線(Near Infra-Red、NIR)吸光度に基づいて当該粒子状異種廃棄物から少なくともアリール含有合成ポリマーを含む非相溶性プラスチックを除去することを含む少なくとも1つの分離ステップに供して、異種取り込み材料を得ることと、異種取り込み材料を、150℃及び200℃の範囲内に維持された温度で少なくとも1つの押出プロセスに供して、それによって複合材料を得ることと、を含む。
【0021】
いくつかの例では、除去される非相溶性プラスチックは、1つ以上のハロゲン化ポリマーを含む。
【0022】
本明細書に開示される複合材料と少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを含む製造物品も本明細書に開示される。
【0023】
加えて、製造物品を生成する方法が本明細書に開示され、方法は、本明細書に開示される複合材料を少なくとも1つのポリオレフィンとともに加工することを含み、当該加工は、押出及び成形のうちの少なくとも1つを含み、当該加工は、複合材料の少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、態様をここで説明する。
【
図1A】組み合わされた熱重量分析(thermogravimetry、TG)及び示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)分析(TG-DSC)のグラフであり、
図1Aは、約1.4mmの粒径(「Q1.4」)を有する複合材料の、0℃から1,500℃まで1分ごとに50°増加させたDSCグラフであり、
図1Bは、約0.9mmの粒径(「Q0.9」)を有する複合材料の、0℃から1,500℃まで1分ごとに50°増加させたDSCグラフである。
【
図1B】組み合わされた熱重量分析(thermogravimetry、TG)及び示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)分析(TG-DSC)のグラフであり、
図1Aは、約1.4mmの粒径(「Q1.4」)を有する複合材料の、0℃から1,500℃まで1分ごとに50°増加させたDSCグラフであり、
図1Bは、約0.9mmの粒径(「Q0.9」)を有する複合材料の、0℃から1,500℃まで1分ごとに50°増加させたDSCグラフである。
【
図2】0.9mmの粒子寸法(「Q0.9」)を有する複合材料、1.4mmの粒子寸法(「Q1.4」)を有する複合材料を含む本開示による複合材料のフーリエ変換赤外分光法である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
異種プラスチック含有廃棄物から使用可能な複合材料を生成することは、多くの課題に直面する。
【0026】
異なるタイプのプラスチックが一緒に溶融されると、それらは、油及び水のように相分離する傾向がある。相境界は、得られる複合材料に構造的な弱点を引き起こす。換言すれば、リサイクルされた異種廃棄物からのポリマーブレンドは、限られた用途においてのみ有用である。物理的な弱さを克服するために、異種プラスチック廃棄物がリサイクルされるたびに、追加の未使用材料を添加して、材料の一体性を改善するのを助け得る。
【0027】
特定のプラスチックが、異種プラスチック廃棄物から複合材料を生成するのに望ましくないことが今や見出された。具体的には、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)のような特定の合成プラスチックが、典型的にはリサイクルされる他のプラスチック、例えばポリオレフィンと非相溶性であると考えられることが現在認識されている。
【0028】
いくつかの例では、非相溶性は、リサイクル可能なポリオレフィンの融点を超える(例えば、200℃を超える)融点を有することによって定義することができ、したがって、異種廃棄物の加工中に十分に溶融しない場合があり、したがって、複合材料中の金属及び/又はセラミックと同様に作用する場合がある。理論に束縛されるものではないが、異種廃棄物を加工する温度を超える融点を有するプラスチックは、得られる複合材料の均質性を妨害し、それによって、得られる複合材料を構造的に弱めるようである。そのようなプラスチック、すなわち、異種廃棄物が加工される温度を超える融点を有するプラスチックの存在は、リサイクル産業において使用するための複合材料の形成において難題を課す場合がある。
【0029】
いくつかの例では、非相溶性は、異種廃棄物の加工中に毒性揮発性物質を放出しやすいプラスチックによって定義することができ、これには例えばPVCが含まれる。
【0030】
別の課題は、異種廃棄物中の不純物の存在である。本発明の発明者らによって、金属及びセラミックのような無機材料は、異種廃棄物の加工中に混和性/溶解性ではないので、不純物として作用することが認識された。そのような不純物の存在は、得られる複合材料の均質性に悪影響を及ぼす。時には、これらの無機物は、得られる複合材料中に「空隙」を作り出し、これらの空隙は、得られる複合材料中に構造的な弱さを引き起こす場合がある。時には、無機材料の存在はまた、異種廃棄物を加工し、本開示による有用で耐久性のある複合材料を製造するために使用される設備を損傷する。
【0031】
加工前に廃棄物から非相溶性プラスチックを除去することが有利であり得るという認識に基づいて、本開示は、リサイクル可能なポリオレフィンと非相溶性であるプラスチックが除去された(したがって、廃棄物は、あったとしても少量しか含まない)異種廃棄物材料(都市廃棄物など)から複合材料を得るための複合材料及び方法を提供する。そのような加工された異種廃棄物は、改質された異種廃棄物とみなすことができる。ポリオレフィンと非相溶性のプラスチックは、少なくともアリール含有合成ポリマー、例えばポリスチレン及びPET、並びに任意選択でハロゲン化ポリマー、例えばPVCを含む。複合材料は、得られる複合材料の熱可塑性挙動のために、様々な有用な製造物品に成形することができる。次に、複合材料は、予想外に有益な強度を有する。
【0032】
したがって、本開示は、非プラスチック有機物質と、複数の熱可塑性ポリマーを含む複数の異なるタイプの合成プラスチック物質と、無機物質と、の均質ブレンドを含む複合材料を提供する。
【0033】
本開示の文脈において、「均質ブレンド」に言及する場合、複合材料に沿った任意の断面が、連続塊内の物質の本質的に同様の外観を示すように、本質的に均一に分散された粒子状物質を含む塊、又は、言い換えれば、複合材料に沿った任意の断面が、連続的な塊内の脳膜の実質的に同様の外観を示すように、実質的に均一な粒子状物質の分布を有する塊、を包含すると理解されるべきである。更に、均質ブレンドに言及する場合、それは、異なる/区別可能な材料の個別の層又は個別の区分から作製されるか又はそれらを含む複合材料を除外するものとして理解されるべきである。
【0034】
複合材料は、これらの成分の各々に対して規定された範囲を有し(以下で更に考察する)、
-複合材料中の複数の熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンと非相溶性であるプラスチックを多くとも10%w/w、好ましくはより少なく含むこと、及び
-ポリオレフィンと非相溶性のプラスチックが、少なくとも1種のアリール含有化合物を含むこと、を特徴とする。
【0035】
本開示の文脈において、上記のように、存在する場合、アリール含有合成ポリマー(1種以上のアリール含有合成ポリマーを含む)の量は、当該複合材料の総重量のうちの約10%未満である。時には、アリール含有合成ポリマーの量は、約9%w/w未満、時には約8%w/w未満、時には約7%w/w未満、時には約6%w/w未満、時には約5%w/w未満、時には約4%w/w未満、時には約3%w/w未満、時には約2%w/w未満、時には約1%w/w未満である。
【0036】
いくつかの例では、ポリオレフィンと非相溶性のポリマーはまた、1つ以上のハロゲン化ポリマーを含む。いくつかの例では、複合材料中に存在する場合、ハロゲン化ポリマーの量は、当該複合材料の総重量のうちの約1%w/w未満である。
【0037】
いくつかの例では、本明細書に開示される複合材料は、1.2gr/cm3以下の密度を有する。
【0038】
いくつかの例では、本明細書に開示される複合材料は、少なくとも15J/mのノッチ付きアイゾット衝撃を有する。
【0039】
いくつかの例では、複合材料は、200℃を超える熱重量分析(TGA)温度を有する。
【0040】
いくつかの例では、複合材料は、5mg/g未満のシリケートを含む。
【0041】
いくつかの例では、射出成形に供された当該複合材料の試料は、
○少なくとも8Mpaの引張強度、
○少なくとも1,500MPaの引張弾性率、
○少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率、
○少なくとも15MPaの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有する。
【0042】
本明細書に開示される複合材料は、上記の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、4つ以上を含む、上記の特徴の任意の組み合わせを特徴とし得、各組み合わせは、本開示の別々の実施形態を構成する。
【0043】
いくつかの例では、複合材料は、少なくとも15j/mのノッチ付きアイゾット、並びに少なくとも8MPaの引張強度及び少なくとも15MPaの曲げ強度を特徴とし、この場合、引張強度及び曲げ強度は、複合材料の射出成形された試料で決定される。
【0044】
上述したように、複合材料は、非プラスチック有機物質を含む。非プラスチック有機物質は、複合材料の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの量で存在する。いくつかの例では、非プラスチック有機物質は、少なくとも約45%、時には少なくとも約50%、時には少なくとも約55%、時には少なくとも約60%、時には少なくとも約65%、時には少なくとも約70%、時には少なくとも約75%、時には少なくとも約80%、時には少なくとも約85%、時には少なくとも約90%、時には約95%の量で存在する。
【0045】
いくつかの例では、非プラスチック有機物質の量は、上記の下限と上限との間の任意の範囲内であり得る。例えば、非プラスチック有機物質は、約40%~95%、例えば、約40%~90%、又は約50%~85%、又は約65%~90%などの範囲内の任意の範囲であり得る。
【0046】
この非プラスチック有機物質は、少なくともセルロースを含む。いくつかの例では、有機物質は、ヘミセルロース及び/又はリグニンを更に含み得る。
【0047】
本開示の文脈において、セルロースに言及する場合、変性セルロースを含む任意のセルロース含有分子、例えば、紙、ボール紙、野菜、及び植物を包含すると理解されるべきであり、これらは全て都市廃棄物中に典型的に見られる。
【0048】
複合材料中のセルロースの存在及び量は、示差走査熱量測定(DCS、合成ポリマー含量の決定を可能にする)並びに熱重量分析(TGA、リグノセルロース含量及び無機物含量の決定を可能にする)を含む熱分析方法を使用して決定することができる。
【0049】
上述したように、複合材料は、プラスチック物質を含む。プラスチック物質は、複数の合成熱可塑性ポリマー及び任意選択で熱硬化性ポリマーを含む。
【0050】
プラスチック物質は、複合材料の総重量のうちの少なくとも約5%w/wの量で、時には少なくとも約6%の量で、時には少なくとも約7%の量で、時には少なくとも約8%の量で、時には少なくとも約9%の量で、時には少なくとも約10%の量で、時には少なくとも約11%の量で、時には少なくとも約15%の量で、時には少なくとも約20%の量で、時には少なくとも約25%の量で、時には少なくとも約30%の量で、時には少なくとも約35%の量で存在する。
【0051】
プラスチック物質は、複合材料の総重量のうちの最大約60%w/wの量で、時には最大約55%の量で、時には最大約40%の量で、時には最大約35%の量で、時には最大約30%の量で、時には最大約25%の量で、時には最大約20%の量で、時には最大約15%の量で、時には最大約12%の量で存在する。
【0052】
いくつかの例では、プラスチック物質の量は、上記の下限と上限との間の任意の範囲内であり得る。例えば、プラスチック物質は、約5%~60%、例えば、約8%~50%、約5%~30%、約8%~30%、又は約10%~40%、又は約10%~30%、又は約5%~15%などの範囲内の任意の範囲であり得る。
【0053】
複合材料中のプラスチック物質は、異種である。これに関連して、プラスチック物質は、未使用プラスチック又は同様の特性のプラスチックのみ、例えば、1つ以上のポリオレフィンのみから構成され得ないことが理解されるべきである。したがって、本開示の文脈において、プラスチック物質は、1つ以上のポリオレフィン及び少なくとも1つの他の非オレフィンポリマーを含むことが理解されるべきである。
【0054】
いくつかの例では、非オレフィンポリマーは、アリール含有化合物(すなわち、アリール含有合成ポリマー)を含有しないか、又は10%未満、若しくは更に5%未満しか含有しない。
【0055】
いくつかの例では、非オレフィンポリマーは、ハロゲン化ポリマーを含有しないか、又は1%未満しか含有せず、具体的には、PVCを含有しないか、又は1%未満しか含有しない。
【0056】
いくつかの例では、複合材料は、少なくとも200℃以上の融点範囲を有する10%w/w未満のポリマーを有するものである。時には、複合材料は、9%w/w未満、又は8%w/w未満、又は7%w/w未満、又は6%w/w未満、又は5%w/w未満、又は4%w/w未満、又は3%w/w未満、又は更に2%w/w未満の少なくとも200℃以上の融点範囲を有するポリマーを含む。
【0057】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリアクリロニトリルを含む。
【0058】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリブタジエンを含む。
【0059】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリカーボネートを含む。
【0060】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリアミド(polyamide、PA)を含む。
【0061】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)を含む。
【0062】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリウレタン(polyurethane、PU)を含む。
【0063】
いくつかの例では、ポリオレフィン以外の複合材料中のプラスチック物質(すなわち、非ポリオレフィンポリマー)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むが、上記のように、PETは、10%w/w未満、又は9%w/w未満、又は8%w/w未満、又は7%w/w未満、又は6%w/w未満、又は5%w/w未満、又は4%w/w未満、又は3%w/w未満、又は更に2%w/w未満の量で存在する。
【0064】
いくつかの例では、プラスチック物質は、少なくとも2つのタイプのポリオレフィンを含む。例えば、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)である。
【0065】
複合材料は、プラスチックの異種ブレンドを含み、したがって、少なくとも1つのポリオレフィン及び少なくとも1つの非オレフィン化合物を含む。好ましくは、複合材料は、複数(2つを超える)のポリオレフィンプラスチック及び複数(2つを超える)の非ポリオレフィンを含む。
【0066】
いくつかの例では、プラスチック物質は、複合材料のごく一部しか構成しないが、熱硬化性樹脂を含む。いくつかの例では、プラスチック物質は、最大1%の熱硬化性樹脂を含む。複合材料中に存在し得る熱硬化性樹脂のいくつかの非限定的な例には、加硫ゴム、加硫された熱可塑性ポリマー(thermoplastic polymers vulcanized、TPV)及び/又はポリウレタン(PU)が含まれる。
【0067】
上述したように、複合材料は、無機物質を含み得る。無機物質は、最大約15%w/wの量、時には最大約10%の量、時には最大9%の量、時には最大8%の量、時には最大7%の量、時には最大6%の量、時には最大5%の量、時には最大約4%、3%、2%、又は更に1%の量で存在する。
【0068】
いくつかの例では、無機物質の量は、上記の下限と上限との間の任意の範囲内であり得る。例えば、無機物質は、約1%~15%、例えば、約5%~10%、又は約1%~10%、又は約3%~8%などの範囲内の任意の範囲であり得る。
【0069】
いくつかの例では、複合材料内の無機物質は、都市、家庭及び/又は産業廃棄物中に典型的に存在する材料を指す。これには、砂、石、ガラス、セラミック及び他の鉱物、並びに例えばアルミニウム、鉄、銅を含む金属が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの例では、無機物質は、以下で更に考察される量でシリケートを含む。
【0071】
本開示の文脈において、検出可能な量の特定の合成プラスチックを欠いているか、又は規定された範囲未満の量を有する複合材料に言及する場合、従来の分析技術を使用して行われる決定として理解されるべきである。
【0072】
一例では、複合材料は、検出可能な量のハロゲン化ポリマーを有さないか、又はわずかな量のハロゲン化ポリマーを有することを特徴とすることができる。
【0073】
いくつかの例では、複合材料は、検出可能な量を有さないか、又はわずかな量(約10%w/w未満、又は9%w/w未満、又は8%w/w未満、又は7%w/w未満、又は6%w/w未満、又は5%w/w未満、又は4%w/w未満、又は3%w/w未満、又は2%w/w未満、)のアリール含有合成ポリマーを有することを特徴とすることができる。複合材料中の検出可能な量のアリール含有合成ポリマーの存在(わずかな量)又は非存在は、本明細書に開示されるシステムなどのNIR技術を使用して決定することができる。
【0074】
本開示の文脈において、「アリール含有合成ポリマー」又は「アリール含有化合物」に言及する場合、好ましくは、ポリマーのモノマー単位としてアリール含有有機部分を含有するポリマーを含む高分子量化合物を指すと理解されるべきである。
【0075】
いくつかの例では、アリール含有有機化合物のアリール基は、フェニル基を含む。
【0076】
いくつかの他の例では、アリール含有有機化合物のアリール基は、スチレン基を含む。
【0077】
好ましい例では、アリール含有有機化合物は、限定されないが、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(high impact polystyrene、HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーを含み、各例は、本開示の独立した態様とみなされる。
【0078】
いくつかの例では、アリール含有合成ポリマーは、ポリスチレンを含むか、又はポリスチレンである。
【0079】
いくつかの例では、アリール含有合成ポリマーは、少なくともPETを含む。
【0080】
非限定的な例に示されるように、NIR処理後、廃棄物は、NIR処理がない場合の2倍未満の量のPETを含有する。
【0081】
いくつかの例では、NIR処理は、ハロゲン化ポリマーも除去するために用いられる。本発明の文脈において、「ハロゲン化ポリマー」という用語は、PVC及びフッ素由来のフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの任意の合成プラスチックポリマーを包含する。具体的には、複合材料は、検出可能な量のPVCを有さないか、又はわずかな量のPVCを有することを特徴とすることができる。複合材料中のハロゲン化ポリマー、特にPVCの有無は、近赤外線(NIR)技術を使用して検出することができる。いくつかの例では、ハロゲン化ポリマー、特にPVCは、SESOTEC MN 1024などのNIRシステムを使用して検出され、これは、本開示の不可欠な部分を形成する実施例の節において以下で更に考察される。
【0082】
いくつかの例では、本明細書に開示される複合材料は、有益な物理的特徴のうちの1つ又は任意の組み合わせを有することが示されており、これらは、とりわけ密度、ノッチ付きアイゾット衝撃、固有熱重量分析プロファイル(TGA)、引張強度、引張弾性率、曲げ弾性率、及び曲げ強度を含む。
【0083】
いくつかの例では、複合材料は、特定の密度レベルを有することによって定義される。本開示の文脈において、密度に言及する場合、複合材料の密度が1.2gr/cm2以下であると理解されるべきである。理論に束縛されるものではないが、この密度は、無機物(金属、ガラス、シリカなど)の量を制限及び/又は除去することから生じ得る。.非限定的な例に示されるように、開示された技術は、国際公開第2010/082202号のものと比較してより軽量の複合材料を提供し、これは、商業的利益(例えば、体積当たりのコストに関して)であると考えられる。
【0084】
密度は、本開示の不可欠な部分を形成する実施例に関連して以下に更に記載されるように、密度ISO1183-1(ASTM D792手順)を使用して決定することができる。
【0085】
いくつかの他の例では、複合材料は、そのノッチ付きアイゾット衝撃によって定義される。本開示の文脈において、本明細書に開示される複合材料のノッチ付きアイゾット衝撃に言及する場合、それは、少なくとも15J/mであるものとして理解されるべきである。
【0086】
これに限定されるものではないが、振り子からの衝撃に対する複合材料の耐性の測定値であるノッチアイゾット衝撃は、本開示の不可欠な部分を形成する実施例に関連して以下に更に記載されるように、ASTM D256(ISO 180)を使用して決定することができる。
【0087】
いくつかの例では、複合材料のノッチ付きアイゾット衝撃は、少なくとも16J/m、時には少なくとも17J/m、時には少なくとも18J/m、時には少なくとも19J/m、時には少なくとも20J/m、時には少なくとも21J/m、時には少なくとも22J/m、時には少なくとも23J/m、時には少なくとも24J/m、時には少なくとも25J/m、時には少なくとも26J/mである。
【0088】
いくつかの例では、ノッチ付きアイゾット衝撃は、15J/m及び50J/mの範囲内、時には20J/m及び40J/mの範囲内、時には20J/m及び35J/mの範囲内、時には18J/m及び40J/mの範囲内、時には15J/m及び35J/mの範囲内である。
【0089】
いくつかの例では、複合材料は、200℃を超える温度で、時には210℃を超える温度で、時には215℃を超える温度で、5%を超える重量損失を有する固有の熱重量分析(TGA)を特徴とする。理解されるように、TGAは、温度の関数として重量損失を測定する。5%の損失は、分解の開始を意味する。本明細書に開示される複合材料は、上限温度が<200℃であった国際公開第2010/082202号(「reference composite material」)に記載されているような廃棄物由来の複合材料よりも安定であることが分かった。理解されるように、5%を超える重量損失がある温度が高いほど、材料は、より安定である(これは、より広い加工温度窓が達成されることを意味する)。例えば、本明細書に提供される非限定的な例では、本明細書に開示される複合材料の2つの試料(Q0.9及びQ1.4)は、210℃を超えるTGA温度(それぞれ218℃及び224℃)を有し、これは、170℃である参照複合材料の温度よりも高いことが示される。
【0090】
TGAは、本開示の不可欠な部分を形成する実施例の節において以下に記載されるような熱重量測定-示差走査熱量測定を使用して提供することができる。
【0091】
一般に、当業者によって理解されるように、TGAは、熱を使用して、材料の反応及び物理的変化を強制する。TGAは、転移及び熱分解に関連する材料の質量変化の定量的測定を提供する。TGAは、時間及び温度による試料の脱水、分解、及び酸化からの質量の変化を記録する。特徴的な熱重量曲線は、特定の温度範囲及び加熱速度にわたって生じる物理化学的反応からの独特な配列に起因して、特定の材料及び化学化合物について与えられる。これらの独特な特徴は、試料の分子構造に関連する。DSCは、試料を制御された温度プログラムに曝露しながら、試料への又は試料からの熱流を温度又は時間の関数として測定する熱分析技術である。それは、ガラス転移温度、溶融、結晶化、比熱容量、硬化プロセス、純度、酸化挙動、及び熱安定性などの材料特性を評価することを可能にする。
【0092】
複合材料はまた、いくつかの例によれば、複合材料から調製された射出成形試料から決定されるその引張特性も特徴とすることができる。例えば、複合材料の物理的特性を決定するための試料は、ある量の複合材料を以下の射出成形条件に供することによって調製することができる。射出成形のための試験片の調製は、押出機による170~180℃及び350rpmでの溶融、押出物の本質的に均一なサイズの顆粒への造粒、及び試験の試験片を得るための射出成形機による170~180℃での顆粒の射出成形を含むことができる。試験の試験片を23±2℃で少なくとも48時間調整した。
【0093】
射出成形試料の引張特性の測定は、ISO 521-2:1996を使用して提供することができる。ISO521-2によれば、試験片タイプ1Aを50mm/分の試験速度で使用することができ、試験片は、以下の寸法:全長≧150~200mm、狭い平行側面部分の長さ=80±2mm、半径20~25mm、広い平行側面部分間の距離104~113mm、端部における幅=20±0.2mm、狭い部分における幅10±0.2mm、好ましい厚さ4±0.2mm、ゲージ長さ50±0.5mm、及びグリップ間の初期距離=115±1mmを含む。
【0094】
いくつかの例によれば、複合材料は、少なくとも8MPaの引張強度を特徴とすることができる。
【0095】
いくつかの更なる例では、複合材料の射出成形試料の引張強度は、少なくとも9MPa、時には少なくとも10MPa、時には少なくとも11MPa、時には少なくとも12MPa、時には少なくとも約13MPaである。
【0096】
いくつかの更なる例では、複合材料の射出成形試料の引張強度は、多くとも25MPa、多くとも22MPa、多くとも20MPaである。
【0097】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の引張弾性率は、少なくとも1,500MPa、時には少なくとも1,600MPa、時には少なくとも1,700MPa、時には少なくとも1,800MPa、時には少なくとも1,900MPa、時には少なくとも2,000MPa、時には少なくとも2,100MPaである。
【0098】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の引張弾性率は、多くとも3,000MPaである。
【0099】
複合材料は、その曲げ特性も特徴とすることができる。曲げ特性は、ISO 178に従って測定することができる。ISO 178に従って、試験片寸法は、長さ=80±2mm、幅=10±0.2、厚さ=4±0.2mmであった。また、ISO 178に従って、試験速度を5mm/分とした。典型的には、試験結果は、以下で更に考察するように、少なくとも5つの試験片の測定値の平均であった。
【0100】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の曲げ弾性率は、少なくとも1,500MPa、時には少なくとも1,600MPa、時には少なくとも1,700MPa、時には少なくとも1,800MPa、時には少なくとも1,900MPa、時には少なくとも2,000MPa、時には少なくとも2,100MPa、時には少なくとも2,200MPa、時には少なくとも2,300MPa、時には少なくとも2,400MPa、時には少なくとも2,500MPa、時には少なくとも2,600MPa、時には少なくとも2,700MPaである。
【0101】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の曲げ弾性率は、多くとも7,000MPa、時には多くとも6,000MPa、時には多くとも5,000MPa、時には多くとも4,000MPa、時には多くとも3,000MPaである。
【0102】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の曲げ強度は、少なくとも15MPa、時には少なくとも16MPa、時には少なくとも17MPa、時には少なくとも18MPa、時には少なくとも19MPa、時には少なくとも20MPa、時には少なくとも21MPa、時には少なくとも22MPa、時には少なくとも23MPa、時には少なくとも24MPaである。
【0103】
いくつかの例では、複合材料の射出成形試料の曲げ強度は、多くとも50MPa、時には多くとも40MPa、時には多くとも30MPaである。
【0104】
これに限定されないが、曲げ強度は、ISO 178に従って決定した。ISO178に従って、以下の寸法を有する試験片を調製する:長さ=80±2mm、幅=10±0.2、厚さ=4±0.2mm。試験条件は、5mm/分の試験速度を含む。以下の実施例では、少なくとも5つの試験片をTinius Olsen H10KT装置によって試験した。試験結果は、これらの測定値の平均であった。
【0105】
本明細書に開示される複合材料は、シリケートの量も特徴とすることができる。いくつかの例によれば、シリケートの量は、10mg/g未満である。シリケート及び他の無機元素の量は、誘導結合プラズマ原子発光分光法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission spectroscopy、ICP-AES)の技術においてアルゴンプラズマを使用して決定することができ、その詳細は、本開示の不可欠な部分を形成する以下の実施例において提供される。
【0106】
いくつかの例では、複合材料中のシリカ量は、多くとも7mg/g、時には多くとも6mg/g、時には多くとも5mg/g、時には多くとも4mg/g、時には多くとも3mg/g、時には多くとも2mg/g、時には多くとも1mg/gである。
【0107】
いくつかの例では、複合材料は、検出可能な量のシリカを含まない。時には、複合材料は、0.1~5mg/gのシリカ、時には1mg/g~10mg/gのシリカ、時には5mg/g~10mg/gのシリカを含み、時には0.5mg/g~2mg/g、時には1mg/g~10mg/gの任意の範囲である。
【0108】
いくつかの例では、複合材料は、その表面エネルギーを特徴とすることができ、これは、一般的に知られている市販のDyne Test Penを使用してASTM D2578-84に従って決定される。いくつかの例では、表面エネルギーは、35ダイン/cmを超え、時には約36ダイン/cmを超える。時には、表面エネルギーは、35~40ダイン/cmである。
【0109】
複合材料はまた、その限界酸素指数(Limited Oxygen Index、LOI)ISO 4589-2:2017によって定義されるようなその難燃性又は燃焼性を特徴とすることができる。いくつかの例では、複合材料は、最大21.5%のLOIによって定義される。比較のために、PE又はPPのLOIは、17に等しく、これはこれらのポリマーがより可燃性であることを意味する。
【0110】
本開示の複合材料は、従来のDNA抽出プロトコルにおけるクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)(CTAB)溶液を使用して検出されるDNA物質の存在も特徴とすることができ、これは、例えば、Yi,S.,Jin,W.,Yuan,Y.and Fang,Y.(2018).An Optimized CTAB Method for Genomic DNA Extraction from Freshly-picked Pinnae of Fern,Adiantum capillus-venerisL.Bio-protocol8(13):e2906.DOI:10.21769/BioProtoc.2906によって記載されている(本開示の不可欠な部分を形成する実施例も参照されたい)。
【0111】
本開示の複合材料はまた、従来のプロトコルを使用して検出されるクロロフィルの存在も特徴とすることができ、これは、例えば、Yi,S.,Jin,W.,Yuan,Y.and Fang,Y.(2018).An Optimized CTAB Method for Genomic DNA Extraction from Freshly-picked Pinnae of Fern,Adiantum capillus-venerisL.Bio-protocol8(13):e2906.DOI:10.21769/BioProtoc.2906によって記載されている(本開示の不可欠な部分を形成する実施例も参照されたい)。
【0112】
本開示の複合材料はまた、本明細書に記載されるように、ICP-AESを使用して決定される、1.5mg/g以下の第一鉄(Fe)材料の存在も特徴とすることができる。
【0113】
本開示の複合材料はまた、本明細書に記載されるように、ICP-AESを使用して決定される、5mg/g以下のナトリウム(Na)、時には更に4mg/g以下、又は更に3mg/g以下、又は更に2mg/g以下のナトリウム(Na)の存在も特徴とすることができる。
【0114】
本開示の複合材料はまた、本明細書に記載されるように、ICP-AESを使用して決定される、5mg/g以下のAl、時には更に4mg/g以下のAlの存在も特徴とすることができる。
【0115】
本開示の複合材料はまた、本明細書に記載されるように、ICP-AESを使用して決定される、5mg/g以下のカリウム、時には4mg/g以下、時には更に3mg/g以下、又は更に2.5mg/g以下のカリウムの存在も特徴とすることができる。
【0116】
本開示の複合材料は、本明細書に記載されるように、ICP-AESを使用して決定される、5mg/g以下のマグネシウム(Mg)、時には4mg/g以下、時には更に3mg/g以下、又は更に2.5mg/g以下のマグネシウム(Mg)の存在も特徴とすることができる。
【0117】
複合材料は、異種廃棄物から調製することができる。本開示の文脈において、「異種廃棄物」に言及する場合、それは、合成プラスチック物質と、少なくともセルロースを含む非プラスチック有機物質と、無機物質と、の異種ブレンドの組み合わせを含む材料として理解されるべきである。
【0118】
本明細書に開示される複合材料を生成する目的のために、合成プラスチック物質のブレンドは、複数のポリマーを含み、複数のポリマーは、10%w/w未満のアリール含有合成ポリマーを含有する。
【0119】
いくつかの例では、合成ポリマーのブレンド(1)は、ポリオレフィンと非相溶性である検出可能な量のプラスチックを欠いているか、若しくはポリオレフィンと非相溶性のわずかな量(すなわち、10%w/w未満)のプラスチックを含み、かつ/又は(2)は、検出可能な量のポリ塩化ビニル(PVC)などのハロゲン化ポリマーを欠いているか、若しくはわずかな量のPVCなどのハロゲン化ポリマーを含み、わずかな量は、当該複合材料の総重量のうちの約1%w/w未満の量であり、かつ/又は(3)は、検出可能な量のアリール含有合成ポリマーを欠いているか、若しくはわずかな量のアリール含有合成ポリマーを含み、わずかな量は、上記で定義された約10%未満、好ましくは5%w/w未満、若しくは更に好ましくは4%w/w未満の量である。上記で定義されたわずかな量の非相溶性プラスチックを含むか、又は更に検出可能な量の非相溶性プラスチックを欠く合成プラスチック物質のブレンドを含む異種廃棄物は、本明細書では異種取り込み材料と称される。
【0120】
ポリオレフィンと非相溶性のプラスチック(好ましくはPET)を除去する前の異種廃棄物は、都市廃棄物、産業廃棄物及び/又は家庭廃棄物から得ることができる。次いで、この異種廃棄物を選別プロセスに供して、複数の異種プラスチック物質、非プラスチック有機物質、及び無機物を含むが、上記のように、10%未満のアリール含有合成ポリマー(例えば、PET)を含む異種取り込み材料を提供する。
【0121】
異種取り込み材料は、粒子化されて粒子化異種取り込み材料を形成し、次いで製品に加工される。製品は、製造物品の生成のための成分を構成することができ、又は製品は、最終製品、すなわち有用な製造物品である。
【0122】
したがって、本開示は、有用な製造物品を生成することができる本開示による異種取り込み材料から複合材料を生成する方法を提供し、取り込み材料は、
i.異種取り込み材料の総重量のうちの少なくとも40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
ii.異種取り込み材料の総重量のうちの約5%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
iii異種取り込み材料の総重量のうちの最大15%の無機物質と、を含む。
【0123】
一例では、本明細書に開示される方法は、約150℃~約200℃の内部(運転)温度を含む条件下で、上に定義されるような異種取り込み材料を少なくとも1つの押出プロセスに供し、それによって当該複合材料を得ることを含み、
複数の熱可塑性ポリマーは、複合材料の総重量のうちの10%w/w未満、複合材料の総重量のうちの時には更に9%w/w未満、時には更に8%w/w未満、時には更に7%w/w未満、時には更に6%w/w未満、時には更に5%w.w未満の量のアリール含有合成ポリマーを含む。
【0124】
いくつかの例では、複合材料は、ポリオレフィンと非相溶性の10%w/w未満のプラスチックを含み、10%w/wの最大量は、少なくともPETを含む。
【0125】
異種取り込み材料は、押出前に粒子化されるか、又は粒子の形態で押出機に供給される。
【0126】
いくつかの例では、少なくとも1つの押出プロセスはまた、少なくとも4分、時には少なくとも5分、好ましくは時には少なくとも5.5分の押出機内の滞留時間を含む。この滞留時間は、押出機が単軸押出機である場合に特に関連する。これに関連して、二軸スクリュー押出機を使用する場合、より短い滞留時間を適用できることに留意されたい。しかし、単軸押出機及び長い(4分を超える)滞留時間が好ましい。
【0127】
更にいくつかの(sone)他の例では、少なくとも1つの押出プロセスに供される粒子状異種取り込み材料は、ポリスチレンなどのわずかな量のアリール含有合成ポリマーを含む複数の熱可塑性ポリマーを含み、わずかな量は、約10%未満、時には約9%未満、時には約8%未満、時には約7%未満、時には約6%未満、時には約5%未満、時には約4%未満、時には約3%未満、の量である。
【0128】
いくつかの例では、少なくとも1つの押出プロセスに供される粒子状異種取り込み材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)などのわずかな量のハロゲン化ポリマーを含む複数の熱可塑性ポリマーを含み、わずかな量は、当該複合材料の総重量のうちの約1%w/w未満の量である。
【0129】
更に別の例では、本開示の方法は、粒子状異種取り込み材料を、200℃を超える融点を有するポリマーの除去を含む分離ステップに供することを含む。
【0130】
いくつかの更なる例では、本開示の方法は、粒子状異種取り込み材料を、ポリ塩化ビニルの除去を含む分離ステップに供することを含む。
【0131】
いくつかの更なる例では、本開示の方法は、粒子状異種取り込み材料を、近赤外線(NIR)吸光度に基づいて、粒子状異種取り込み材料から1つ以上のアリール含有合成ポリマーを除去することを含む分離ステップに供して、選別された異種廃棄物を得ることを含む。
【0132】
異種取り込み材料は、粒子状形態で提供される。
【0133】
いくつかの例によれば、異種取り込み材料は、本明細書に開示される方法に好適な粒子状取り込み材料を最終的にもたらす生の異種未選別廃棄物の1つ以上の前処理ステップに先験的に供される異種未選別廃棄物から得られる。
【0134】
本開示の文脈において、「生の異種廃棄物」又は略して「生廃棄物」という用語は、選別されていない、すなわち、いかなる工業的分類プロセスにも供されていない異種廃棄物材料を指す。
【0135】
いくつかの例では、生の異種廃棄物材料は、大きな望ましくない廃棄物アイテムが除去される事前選別プロセスを受ける。例えば、生廃棄物は、金属、ガラス、及び大きな鉱物のいずれか1つを除去するために事前選別することができる。事前選別は、例えば、生廃棄物をコンベヤベルト上で搬送し、望ましくない大きな廃棄物アイテムを識別することによって、手動で行うことができる。
【0136】
加えて、又は代替的に、事前選別は、典型的には鉄金属の分離及び除去のために、磁力を使用する分離(磁石ベースの分離)を含む。
【0137】
加えて、又は代替的に、事前選別は、典型的には非鉄金属の除去のための渦電流分離機を使用する分離を含む。
【0138】
廃棄物原料はまた、乾燥プロセスに供することができる。本開示の文脈において、乾燥に言及する場合、廃棄物原料から水の一部を除去することとして理解されるべきである。乾燥は、廃棄物から全ての水を除去するものとして解釈されるべきではない。いくつかの例では、生廃棄物は、約30%~40%w/wの水を含み、乾燥は、含水量の少なくとも50%、時には含水量の少なくとも60%、時には含水量の少なくとも70%、時には含水量の少なくとも80%、時には含水量の少なくとも90%、時には含水量の少なくとも95%の除去を伴う。このとき得られた廃棄物材料は、乾燥廃棄物材料とみなすことができる。
【0139】
いくつかの例では、乾燥廃棄物材料は、多くとも11%w/wの水、多くとも10%w/wの水、時には多くとも9%の水、時には多くとも8%の水、時には多くとも7%の含水量、時には多くとも6%の含水量を含む。
【0140】
乾燥は、当技術分野で公知の任意の手段によって達成することができる。
【0141】
いくつかの例では、乾燥は、廃棄物を屋外に置き、それを乾燥させることによって達成される。いくつかの他の例では、乾燥は、廃棄物を乾燥空気流下及び/若しくはオーブンチャンバ中に置くことによって、並びに/又は液体を搾り出すことによって達成される。
【0142】
乾燥プロセスでは、水及び時にはいくらかの揮発性液体が除去される。これは、20℃で少なくとも15mmHgの蒸気圧を有する液体、例えばエタノールを含んでもよい。
【0143】
いくつかの例では、乾燥は、廃棄物中に本質的に存在する細菌を利用する生物乾燥プロセスによって達成される。この目的のために、廃棄物材料は、典型的には、温度制御された環境に置かれる。いくつかの例では、生物乾燥は、約70℃に維持された温度で実行される。
【0144】
いくつかの例では、生物乾燥プロセスを誘導又は強化するために、細菌が廃棄物材料(例えば、事前選別された廃棄物材料)に添加される。
【0145】
理論に束縛されるものではないが、残りの残留含水量は、乾燥廃棄物材料の本開示の複合材料への変換を生じさせる化学プロセスにおいて役割を果たすと現在考えられている。
【0146】
次いで、廃棄物材料、好ましくは乾燥廃棄物材料を粒子化段階に供して、本明細書に開示される方法において利用される粒子状廃棄物材料を得る。
【0147】
本開示の文脈において、「粒子化」という用語は、廃棄物材料のサイズ減少を伴う任意のプロセスを包含すると理解されるべきである。粒子化は、造粒、寸断、細断、ダイシング、切断、破砕、崩壊、粉砕などのいずれか1つ又は組み合わせによって起こり得る。
【0148】
いくつかの例では、粒子化は、廃棄物(乾燥又は非乾燥、更に好ましくは乾燥)を40mm未満、時には30mm未満、時には20mm未満の平均サイズの粒子に寸断することを含む。
【0149】
注目すべきことに、シュレッダー内の摩擦により、粒子化は、更なる水分減少(例えば、更に2%~3%)をもたらし得る。
【0150】
いくつかの好ましい例では、粒子状廃棄物は、次いで、残留金属及び/又は鉱物粒子(「不純物」)が除去される選択的分離プロセス(洗浄プロセスとも称される)に供される。
【0151】
いくつかの例では、残留不純物は、重い粒子(例えば、金属粒子及び/若しくは鉱物)が重力によって除去される一方で、軽い廃棄物画分が収集され、かつ/又は次のプロセスステップに搬送される空気分離システムに粒子状物質を供することによって排除される。
【0152】
得られる軽い画分は、少量の金属及び鉱物を含むであろう。それに束縛されるものではないが、画分は、多くとも1%w/wの金属(第一鉄及び非鉄)並びに多くとも5%のミネラルを含むと考えられる。
【0153】
本開示の方法の1つの特徴は、近赤外線(NIR)を使用した選択的分離への廃棄物材料の処理を伴う。NIRベースの分離は、ポリマータイプに基づいて(樹脂の波長シグネチャに基づいて)望ましくないプラスチック材料を他のプラスチック廃棄物から光学的に選別することを可能にする。NIR技術における当業者によって理解されるように、NIRベースの分離システムは、多くのポリマー及び他の化合物を同定することができるようにプログラムされる。システムのオペレータは、どの化合物が留まり、何が選別されるかを定義する。より具体的には、NIR分離ステップは、ポリオレフィンと非相溶性のポリマー、例えば、200℃を超える、若しくは更に210℃を超える融点を有するポリマー、及び/又はハロゲン化ポリマー及び/又はアリール含有合成ポリマー並びに所望により任意選択で他のポリマーを含む、除去される物質ごとのアルゴリズムを装備するシステムを利用する。このアルゴリズムは、それに応じて各化合物の同定及び分離を可能にする。これに関連して、各化学物質は、化学物質の「フィンガープリント」IDである複雑なIRスペクトルを有することが当業者には理解される。このフィンガープリントは、任意の公的に利用可能な「Chemical Atlas」において見出され得、コンピュータープログラムによって認識される。
【0154】
いくつかの例では、既に上述したように、NIRベースの分離は、ポリオレフィンと非相溶性であると当技術分野で認識されている少なくともポリマーの分離を可能にする様式で操作される。
【0155】
いくつかの例では、既に上述したように、NIRベースの分離は、ポリ塩化ビニル(PVC又はビニル)樹脂などの少なくともハロゲン化ポリマー樹脂の分離を可能にする様式で操作される。
【0156】
いくつかの追加的又は代替的な例では、既に上述したように、NIRベースの分離は、アリール含有合成ポリマー、好ましくはスチレン又はポリスチレン有機ポリマーの分離を可能にする様式で操作される。
【0157】
いくつかの更なる例では、異種取り込み材料は、その灰分レベルを特徴とする。いくつかの例では、異種取り込み材料中の灰分は、10%w/w未満、時には8%w/w未満、時には6%w/w未満、又は更に5%w/w未満である。
【0158】
取り込み材料(及び最終複合材料)中の灰分レベルは、ISO 3451方法Aに従って、各々5grの2つの試験部分を利用し、950±500Cで30分間燃焼させて決定することができる。
【0159】
得られた粒子状及び選別された廃棄物材料は、本明細書では、「異種取り込み材料」という用語又は時には「選別された異種取り込み材料」という用語で称される。
【0160】
次いで、異種取り込み材料は、少なくとも1つの押出プロセスに供される。押出の条件は、少なくとも、
-200℃以下、時には約150℃~約200℃、時には約120℃~約180℃、時には160℃~200℃、時には150℃~180℃の内部(運転)温度と、
-少なくとも2.0分、時には少なくとも2.5分、時には少なくとも3分、時には少なくとも3.5分、時には少なくとも4分、時には少なくとも4.5分、時には少なくとも5分、時には少なくとも5.5分、時には少なくとも6分、時には少なくとも7分の押出機内の最小滞留時間と、を伴う。しかし、滞留時間が押出内の材料の分解又は燃焼を引き起こさないという制限がある。したがって、場合によっては、滞留時間は、約2~約10分、時には約3分~7分、時には約2.5分~10分の間、時には約3.5分~8分、時には約4.5分~8分、時には約5.5分~7分、時には約5.5分~6.5分の範囲内であると定義される。
【0161】
押出機は、典型的には、回転する単軸スクリュー又は多軸スクリューをその中に収容する加熱バレルを備える。本開示の文脈で用いることができる様々なタイプの押出がある。
【0162】
理論に束縛されるものではないが、200℃未満の材料温度で、選別された異種廃棄物に剪断力を加えることにより、有機繊維材料(リグニン、セルロース、ヘミセルロース、及び他の炭水化物)が、天然の「分子ステッチ」統合(結合)プラスチックとして作用する部分的に炭化されたリグノセルロース繊維、特に、そうでなければ相分離する異なる極性を有するポリオレフィンに変換され、有機-熱可塑性複合材料が作り出されると考えられる。
【0163】
いくつかの好ましい例では、押出は、単軸押出機で実行される。単軸押出機を使用する場合、最小滞留時間は、少なくとも3分、又は少なくとも4分、好ましくは少なくとも5分又は5.5分であるべきであることが見出された。
【0164】
いくつかの例では、単軸押出は、上記で定義された範囲の滞留時間を可能にするように設計された寸法を有する。当業者は、所望の滞留時間を達成するために、押出機の直径、長さ、ダイ開口部などをどのように設計するかを認識するであろう。
【0165】
いくつかの例では、押出機は、30~10rpm、時には40~90rpmで動作するように設計される。
【0166】
押出内の運転温度(すなわち、内部温度、言い換えれば、押出成形される材料の温度)は、熱電対タイプJなどの熱電対によって制御することができる。
【0167】
いくつかの例では、押出機は、少なくとも2つ以上の通気ゾーンを装備する。押出機に沿って2つの別個の通気ゾーンが存在することにより、押出成形された材料内の揮発性有機化合物の量が減少し、揮発性化合物の捕捉が防止される。少なくとも2つの通気ゾーンの存在は、開示された複合材料から作製された製造物品(成形物品又は押出成形された物品である製造物品)における気泡を回避するために重要であることが見出された。
【0168】
様々な添加剤を押出前に異種取り込み材料に添加することができる。これらには、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、酸化防止剤、UV安定剤、発泡剤、可塑剤、エラストマー、充填剤、例えばタルク及び炭酸カルシウム;カーボンブラック、二酸化チタン及びプラスチック産業で使用される他の顔料のような難燃剤及び顔料のいずれか1つ又は組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0169】
次いで、押出機から排出された複合材料は、更なる加工に供することができる。
【0170】
いくつかの例では、押出物は、制御された冷却に供される。
【0171】
いくつかの例では、冷却は、押出物を冷却空気流に供することによる。いくつかの更なる例では、制御された冷却は、押出物をコンベヤ上に通過させ、押出物を搬送しながら、それを冷却空気流に供することである。冷却は、段階的であるため、臭気及びVOCの更なる排除を可能にする。
【0172】
いくつかの例では、押出機から排出された複合材料は、複合材料のサイズ減少を伴う少なくとも1つの微細化段階に供される。この微細化は、典型的には、排出された複合材料が冷却された後である。
【0173】
いくつかの例では、微細化は、任意の従来のミリングシステムを使用する複合材料のミリングを伴う。
【0174】
いくつかの例では、ミリングは、複合材料をハンマーミル(例えば、タイプ40/32 HA)などの連続ミリングプロセスを通過させることを伴う。
【0175】
いくつかの他の例では、押出物は、高速回転ブレード(ビータープレート)が複合材料を囲壁に対して及びそれ自体に対して粉々にする衝撃ミリングプロセスに供され、摩擦がサイズの減少を引き起こす。
【0176】
いくつかの例では、微細化は、ROTOPLEX 50\100を使用することによって達成されるものなどの「ナイフミル」に複合材料を供することによって達成することができる。この技術は、高いスループットで高い切断力を得るように設計されている。「はさみ」の原理を使用して、ナイフを備えたドラムは、冷却された環境においてカウンターナイフの前を高速で移動する。
【0177】
いくつかの例では、微細化は、2つ以上の微細化技術の組み合わせによって行われ、例えば、第1のものはハンマーミル技術を利用し、第2のものは衝撃ミリング技術を利用する。技術の組み合わせは、1.5mm未満の粉末サイダーの減少を可能にする。
【0178】
いくつかの例では、押出物を粉砕して粉末(微細化複合材料)にするように設定されたミリング装置の組み合わせを使用して、押出物をサイズ減少に供し、900μm(0.9mm)又は1400μm(1.4mm)のふるいを通してふるい分けすることによって、2つの集団の粉末を得たが、一方は0.9mm未満の粒径(本明細書では省略名「Q0.9」と称される)を有し、他方は1.4mm未満の粒径(本明細書では省略名「Q1.4」と称される)を有する。
【0179】
いくつかの例では、得られた粉末は、例えば、異なる直径の異なるサイズの孔を使用することによって、粒径をふるいにかける振動ふるいシステムを使用してふるい分けされる。
【0180】
いくつかの例では、サイズ減少は、1.4mm以下のd90によって定義される粒径までである。時には、サイズ減少は、1.3mm以下、時には1.2mm以下、時には1.1mm以下、時には1.0mm以下、時には0.9以下、時には0.8mm以下、時には0.7mm以下のd90の粒径までである。
【0181】
以下の非限定的な実施例では、d90≦1.4μmのサイズを有する微細化複合材料は、略称Q1.4と称され、d90≦0.9mmのサイズを有する微細化複合材料は、略称Q0.9と称される。
【0182】
得られた複合材料及び好ましくは微細化複合材料は、100℃を超える温度に加熱することによって、熱可塑性溶融物に再加熱することができる。いくつかの例では、複合材料は、複合材料が加熱の結果としていかなる分解又は燃焼も受けない限り、120℃を超える、時には130℃を超える、時には140℃を超える、時には150℃を超える、時には160℃を超える、時には170℃を超える、更に180℃を超える温度、時には200℃未満の任意の温度に加熱すると流動性溶融物に変わる。
【0183】
次いで、溶融物は、任意の公知の技術、とりわけ、押出射出、ブロー成形及び回転成形を含む成形を使用して、所望の製造物品に成形することができる。このようにして、定義された構成の物品が製造され得る。例えば、複合材料は、野ウサギが典型的には未使用プラスチック又は再生プラスチックから調製される種々の製造物品を生成するために使用することができる。これには、例えば、植木鉢、住宅サイディング、デッキ材料、フローリング、家具、ラミネート、パレット、浄化槽などが含まれる。
【0184】
様々な添加剤、充填剤などを、有用な製造物品への再加熱/再加工時に複合材料に添加して、冷却後に最終的に得られる物品に特定の所望の特性を付与し得る。充填剤の例には、砂、鉱物、リサイクルタイヤ材料、コンクリート、ガラス、木材チップ、熱硬化性材料、他の熱可塑性ポリマー、砂利、金属、ガラス繊維、及び粒子などが含まれるが、これらに限定されない。これらの充填剤は、リサイクル製品に由来してもよいが、未使用プラスチック(例えば、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン)などの未使用材料も用いてもよい。着色剤、臭気マスキング剤(例えば、活性炭)、酸化剤(例えば、過マンガン酸カリウム)又は抗酸化剤などの他の添加剤を添加して、複合材料の外観、質感、又は香りを改善し得る。それにもかかわらず、本開示の複合材料の特性及びその潜在的な用途は、結合剤又は可塑剤を使用する必要なく成し遂げられるが、これらは、いくつかの実施形態の下で添加されてもよいことに留意されたい。
【0185】
製造物品を生成するために、複合材料をある量のプラスチックと組み合わせることができる。これには、リサイクルプラスチック及び未使用プラスチックが含まれる。
【0186】
いくつかの例では、複合材料は、ポリオレフィンとともに再加熱される。いくつかの例では、複合材料は、ポリエチレン及びポリプロピレンのいずれか1つとともに再加熱される。再加熱された混合物は、後にプラスチック産業における取り込み材料として使用される混合ペレットに押出成形することができる。
【0187】
したがって、本開示の複合材料、及び複合材料をプラスチックと混合することによって得られる材料は、それ自体公知の種々の工業プロセスによって加工されて、種々の半完成品又は完成品を形成することができる。
【0188】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の形式は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形及び複数形を含む。例えば、「粒子状物質」という用語は、列挙された特徴を有する1つ以上のタイプの粒子状物質を含む。
【0189】
更に、本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、複合材料が列挙された成分、すなわち、非プラスチック有機物、プラスチック、及び無機物(inroganics)を含むが、他の要素を除外しないことを意味することが意図される。「から本質的になる」という用語は、例えば、記載された要素を含むが、複合材料の特性に本質的な重要性を有し得る他の要素を除外する複合材料を定義するために使用される。したがって、「からなる」とは、微量の要素を超える他の要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0190】
更に、全ての数値、例えば、本明細書に開示される複合材料又は異種取り込み材料を構成する構成要素の量又は範囲は、表示した値の(+)又は(-)最大20%、時には最大10%変動する近似値である。明示的に述べられていない場合でも、全ての数値指定の前に「約」という用語が付いていると理解するものとする。例えば、「約10%」という用語は、9%~11%の範囲を包含するものとして理解されるべきであり、約100℃という用語は、90~110℃の範囲を示す。
【0191】
ここで、本発明は、本発明に従って実施された実験の以下の説明において例示される。これらの例は、限定ではなく例示の性質を意図していると理解されたい。上記の教示を鑑み、これらの例には多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、以下に具体的に記載されるよりも、無数の可能な方法で、別様に実施され得ることが理解されるべきである。
【0192】
非限定的な例の説明
実施例1-家庭廃棄物の複合材料への加工
装置及び方法
以下の実施例では、様々な装置及びシステムを用いた。装置のいくつかは、本発明の目的のために構成されたが、全ては従来の装置に基づいていることが理解されるべきである。これらには、シュレッダー、単軸押出機、射出成形機、圧縮成形プレス、並びに材料が剪断及び/又は加熱を受ける任意の他の機械、例えば、造粒機、ペレット化プレス、ミルなどが含まれる。
【0193】
具体的には、
生物乾燥(堆肥生物乾燥システム)-生物乾燥は、家庭廃棄物中に存在する細菌及び多細胞生物によって活性化された。このプロセスは、熱を作り出す細菌による有機材料の消化を介して生じる。家庭廃棄物が制御された条件下で緩く層状化され、正確に規定された量の空気で換気されることが重要である。この空気は、吹き付け力がデジタル的に制御されている間、冷たすぎても湿りすぎてもいけない。数日及び最大2週間の期間にわたって、都市廃棄物(municipal waste、MW)は、熱くなり、最大70℃の熱を得る。熱は、空気の制御された供給によって調節され、約55℃~70℃の最適プロセス温度が設定される。MWが含水量約15~20%、又は更に15%~18%の乾燥レベルに達すると、細菌の活性は、かなり低下し、生物乾燥プロセスは、完了したと考えられる。
【0194】
金属分離磁石(IFE MPQ 900 F-P)を使用して鉄材料を分離した。金属分離磁石は、搬送ベルト上を浮上する電磁石を含み、コイルは、鉄金属部品を持ち上げ、それらをそれ自体のコンベヤベルトを通して短距離輸送し、したがって残りの材料から磁性金属を分離する狭く深い磁場を作り出す。金属は、システムの底部にあるビンに処分され、リサイクルに戻される。磁気ベルトシステムは、コンベヤベルトの端部に設置され、ボックスは、磁性材料を捕らえるためにフライトパラボラの真上に配置される。
【0195】
渦電流システム(Wagner magnet 0429\0-37)を使用して金属を分離した。具体的には、ネオジム高勾配磁石を有する幅2.5mの渦電流ベルトを使用した。極システムは、より遅いベルトドラムの内側に偏心して設置した。ベルトドラムは、1~3m/sの外部速度を有する。内部ドラムは、最大3000rpmで運転する。これは、非鉄金属(したがって除去される)を反発するが、鉄金属を引き付けて加熱する渦電流場を作り出す。分離力は、アルミニウムで最も高く、黄銅、銅から他の非鉄金属にかけて減少する。
【0196】
渦電流は、同様の結果を達成するために金属検出器で置き換えることができる。
【0197】
シュレッダー(Vecoplan VAZ 1300)を使用して、乾燥選別廃棄物を粒子化した。具体的には、一次予備破砕機及び二次シュレッダーの2種類を使用した。
【0198】
予備破砕機は、油圧式又は電気機械式駆動装置に結合された1つ、2つ、3つ、又は4つのシャフトによって画定される。一次予備破砕機の特徴は、廃棄物を小片に破断するために非常に大きな力が発生することである。二次破砕を妨げる非破砕性材料を分離することができる。使用される寸断シャフトは、シャフトに機械的に接続されており、シャフトの周速は低い。
【0199】
二次寸断は、分離後に配置される。二次寸断は、摩耗工具及びカウンターブレードと機械的に接続された1つ又は2つのローターによって行われ、スクリーンバスケットを、粒径を制御するためにローターの前に設置した。
【0200】
空気分離システム(IFE UFS600X+1000X)を使用して、軽い粒子と重い粒子とを分離した。具体的には、空気分離機/分級機は、粒子が1つの層に配置される加速ベルト及び調整可能な規定の空気流を材料に吹き込む後続のエアバーからなる。エアバーの後には、通常、軽い粒子と重い粒子との間に分離機がある。分離に続いて、軽い部分に沈み込む機会を与える分割空間がある。重い材料は、エアバーと分離機との間で分離される。
【0201】
近赤外線システム(SESOTEC MN 1024)を使用して、特定のプラスチックポリマーを選択的に選別/分離した。具体的には、スキャナ並びにアクティブセンサ支持体及びアクティブブローバーを有するシステムを使用した。加えて、システムは、少なくとも1.5mmの感度を有する高解像度NIRカメラを装備しており、これは、特定の物質のIRスペクトルの反射を捕捉し、それを様々な物質の記憶されたスペクトルと比較する。システムが所望の物質を検出した場合、自由にプログラムされた関数をバイナリ形式-分離又は保持で照会した。次いで、接続されたブローノズルバーを使用して、検出と同じ細かさで粒子を吹き飛ばした。
【0202】
選択的選別は、粒子状形態で、1%未満のPVC及び3%未満のPS、並びに5%未満のPETを含む選択的異種廃棄物をもたらした。
【0203】
単軸押出機(タイプF:GRAN 145)を使用した。具体的には、単軸押出機は、直径145mm、スクリュー長さ:950cm、スクリュー対バレルのクリアランス:0.5~2mm、高耐摩耗性スクリュー及びバレル、最大30mmのダイ開口部直径、並びに2つの通気ゾーンの寸法を有していた。動作中、抗ブリッジングサイロ、ローターは、使用準備済み(RTW、すなわち、選別された異種廃棄物)を動かし続け、これは、材料がブリッジングすることを防止し、流動性を確保する。フィーダースクリューは、押出機容量の利用に応じて自動的に作動させた。
【0204】
押出機プロセスの後、材料を、長さ800cmの冷却コンベヤ及び15000メートル立方メートル/時の空気流を有する制御された冷却システムに移した。
【0205】
ミリング装置-最終製品、すなわち複合材料のサイズを減少させるために、いくつかのミリング装置を用いた。
【0206】
ハンマーミルタイプ40\32 HA-ハンマーミルは、連続プロセスにおいて軟質から中硬質の断片を粉砕し、材料は、粉砕しながら粒子混合のプロセスを受け、したがって均質性を作り出す。
【0207】
インパクトミル(ULTRAPLEX UPZ 500)-粒子を壁及びそれら自体の間に「衝突する」高速回転ブレード(ビータープレート)を使用することによって、粒径を別のレベルに減少させ、グラインダーの側面(粉砕トラック)とビータープレートとの間の著しい摩擦によって、材料を粉末形態に減少させた。得られた粉末は、異なる直径の異なるサイズの孔を使用することによって粒径をふるいにかける振動ふるいシステムを通過した。
【0208】
次いで、減少した粒径をハンマーミルからブロワーを通して次のミリング段階であるインパクトミルに搬送した。
【0209】
ナイフミルROTOPLEX 50\100)-0.9mmサイズ(及びそれ未満)の粒子は、直接貯蔵され、1.4mmも同様であった。1.4mmを超える粒径を、「ナイフミル」(ROTOPLEX 50\100)を使用して更に処理した。具体的には、ナイフミルは、高いスループットで高い切断力を生むように設計される。「はさみ」の原理を使用して、ナイフを備えたドラムは、冷却された環境においてカウンターナイフの前を高速で移動する。ナイフミルシステムを介して、粒子(特に繊維)を1.4mm未満のサイズに更に減少させた。
【0210】
元素分析装置(Flash EA 1112)-を、総炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、硫黄(S)、及び酸素(O)の決定に使用した。
【0211】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)-Nicolet 6700、中赤外範囲用の分光光度計。吸光度スペクトルは、波長の関数として吸光度を記録することによって得られる。濃度は、製造業者の操作説明書内に提供され、一般に知られているライブラリに基づく特定の波長での吸光度測定から計算した。
【0212】
熱重量分析(TG)-示差走査熱量測定(DSC)-STA TG-DSC 449 F3 Jupiter(登録商標)(NETZSCH-Geratebau)-STA機器における単一試料へのTG及びDSCの同時適用は、2つの異なる機器におけるTG及びDSCの別々の適用よりも多くの情報をもたらす。STAは、加熱下で試験材料に生じる質量及び熱力学的変化の同時定量的監視を可能にする。熱分析のための機器へのMSの結合は、加熱実験の間に放出される材料/成分の同定を可能にする。したがって、STA TG-DSCのMSとの組み合わせは、広範囲の材料における化学反応及び相変態の明確な実験的特徴付けのための独自の簡単なツールを提供する。TG-DSCは、以下の条件下で操作した。
【0213】
【0214】
ガスクロマトグラフィー-質量分析(gas chromatography-mass spectrometry、GC-MS)-複合材料の試料を、24時間のヘッドスペース抽出後に、ガスクロマトグラフィー(GC)スニッファ、続いてガスクロマトグラフィー質量分析(MS)を使用して分析した。具体的には、Agilent 7890A GCは、オートサンプラー、スプリット/スプリットレス注入器、並びに3つの検出器:FID及びECD及びTCDを装備していた。GCは、ガス圧力及び流量の電子制御を装備していた。
【0215】
引張試験-引張特性は、試験片タイプA1:全長≧150~200mm、狭い平行側面部分の長さ=80±2mm、半径20~25mm、広い平行側面部分間の距離104~113mm、端部における幅=20±0.2mm、狭い部分における幅10±0.2mm、好ましい厚さ4±0.2mm、ゲージ長さ50±0.5mm、及びグリップ間の初期距離=115±1mmを使用してISO 521-2:1996に従って決定した。.
【0216】
衝撃アイゾット(ノッチ付き)-アイゾット衝撃は、ISO 180(1J振り子)/ASTM D256(1J振り子)、ノッチ付き、ハンマー1Jを使用して測定した。(アイゾット衝撃強度、エッジワイズノッチ付き試験片)
【0217】
シャルピー衝撃-シャルピー衝撃試験は、ノッチ付きハンマー1Jを使用して、ISO 179に従って行った(ISO 179に従うシャルピー衝撃強度、エッジワイズノッチ付き試験片、振り子重量1J)。
【0218】
曲げ試験-ASTM D790(ISO 178)法を使用して、試験速度5mm/分で試験を行った。
【0219】
灰分-灰は、ISO 3451方法Aに従って決定した。それぞれ5grの2つの試験部分を使用し、950±50℃で30分間燃焼させた。
【0220】
表面エネルギー-表面エネルギーは、Dyne Penを使用してASTM D2578で測定した。
【0221】
酸素指数-酸素指数は、ISO 4589-2に従って決定した。
【0222】
密度-密度は、ASTM D792=ISO1183-1手順(Plastics-Methods for determining the density of non-cellular plastics)に従って、MRC実験機器(モデルBPS750-C2V2)を使用して測定した。試験片は、少なくとも1cm3及び少なくとも1mm厚(1grの重量ごと)であるべきである。
【0223】
方法
混合された家庭廃棄物は、事前選別及び生物乾燥プロセスを受けた。このプロセスは、金属分離磁石(タイプIFE MPQ 900 F-P)を使用して、金属粒子、鉄及び非鉄を除去することから始まる。
【0224】
次のステップでは、廃棄物を渦電流(タイプWagner磁石0429\0-37)に通し、極システムをベルトドラム内部に設置した。ベルトドラムは、1~3m/sの外部速度を有していた。内部ドラムは、最大3000rpmで運転する。これは、MW流から非鉄金属を反発する渦電流場を作り出した。この区分の終わりに、廃棄物から金属が取り除かれ、コンベヤを介してバイオ乾燥プロセス(タイプCompost Systems)に移送された。この段階での廃棄物は、典型的には、30%~50%の高い水/湿度含量を含有し、生物乾燥は、水分レベルを20%未満に低減するように設計及び制御された。
【0225】
次いで、生物乾燥したMWを寸断して、(最大)30ミリメートル以下の廃棄物粒径を得た。30ミリメートル以下に寸断された粒子は、専用バスケットを通して除去され、一方、より大きな粒子は、所望のサイズに達するまでシュレッダーで回転し続けた。注目すべきことに、寸断は、いくらかの摩擦を生じ、これは更に水分を2%~3%減少させた。寸断された粒子は、より均一になり、プロセスの次の段階がより効率的に働くことを可能にした。
【0226】
寸断に続いて、寸断された廃棄物粒子に「接着された」又は包まれた不純物の一部は、空気分離機システムによって放出された。寸断された材料は、空気分離機(空気分級機(タイプIFE UFS600X+1000X))システムに入り、これは、寸断された材料から重い粒子(金属又は鉱物)の任意の連想部分を排除する(「軽い画分」の形成をもたらす)。
【0227】
次いで、軽い画分をNIR分離システムに搬送し、ここで、PVCなどのハロゲン化ポリマー、並びにポリスチレン及び/又はPETなどのアリール含有合成ポリマーを選択的に除去した。
【0228】
NIR分離後の材料は、選別された異種取り込み材料を提供し、次いでこれを押出に供した。押出機は、150℃~180℃の運転温度、5~7分の滞留時間、及び60~90rpmの回転速度を有するように操作した。
【0229】
押出機プロセスを通過した後、得られた溶融材料を冷却コンベヤ(長さ800cm、空気流量15000立方メートル/時)によって40℃に冷却した。
【0230】
冷却された複合材料を、ハンマーミル、続いてインパクトミルに通すことによってサイズ減少/サイズ微細化に供し、次いで、微細化粒子を選択的にふるい分けして、Q0.9(最大0.9mmの粒子)又はQ1.4(最大1.4mmの粒子)製品のいずれかを得た。
【0231】
実施例2-分析及び特徴付け
Q0.9及びQ1.4のDNA抽出及びクロロフィル含量
DNA抽出プロトコルをhttp://www.bio-protocol.org/e2906から改質した。具体的には、20gのQ0.9及びQ1.4の三連を、冷却した乳鉢及び乳棒を使用して液体窒素中で微粉末に粉砕した(これは、-210CにおいてDNA LN2を抽出するための一般的な方法である)。次いで、この微粉末をチューブに入れ、これに500μlの2%クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)(CTAB)溶液を添加し、激しく混合しながら65℃の水浴中で1時間インキュベートした。カチオン性界面活性剤であるCTABの使用は、精製中の多糖の分離を容易にし、ポリビニルピロリドンなどの添加剤は、ポリフェノールの除去を助けることができる。CTABベースの抽出緩衝液は、植物組織からDNAを精製する場合に広く使用される。
【0232】
次いで、混合物を12,000gで15分間遠心分離し、上清を回収し、これに等量のクロロホルムを添加し、再び遠心分離した。水相を採取し、チューブを穏やかに混合することによって等体積のイソプロピルアルコールを添加した。チューブを-20℃で1時間置き、12,000×gで15分間遠心分離した。700μlの75%エタノールをペレットに添加し、12,000×gで5分間遠心分離した。ペレットを完全に乾燥させ、30μlの超純水、1ulの10%RNaseA中で混合し、37℃で1時間インキュベートした。NanoDropを使用してDNA量を決定した。
【0233】
クロロフィル含量の決定は、http://www.bio-protocol.org/e2906から改質されたプロトコルを使用して行った。具体的には、20mg質量のQの三連を、1mlのジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)を含有する1.5mlチューブに添加した。チューブを4℃で一晩インキュベートして、クロロフィルをDMF溶液に溶解させた。300μlの試料溶液を、新しいエッペンドルフチューブ中で600μlのDMFと混合した(試料の体積当たり2体積のDMF)。吸光度(A)を、石英キュベットを使用して647nm及び664.5nmの波長で分光光度計で取得した。
クロロフィルa含量(μg/ml)=(12×A664.5)-(2.79×A647)
クロロフィルb含量(μg/ml)=(20.78×A647)-(4.88×A664.5)
【0234】
【0235】
Q材料の元素分析(C、H、N)
製造業者の指示に従って、Flash EA 1112元素分析装置使用して、C、H、N、S、及びOの元素分析を行った。
【0236】
【0237】
ICP-原子発光分析
Q0.9及びQ1.4試料をマイクロ波消化システム(Milestone Ethos-1)によって消化し、上記のようにICP-AES(軸方向)(Spectro ARCOS-EOP)及びICP-AES(半径方向)(Spectro ARCOS-SOP)によって分析した。
【0238】
得られたデータを表3に示す。
【0239】
【0240】
興味深いことに、表3は、Q0.9及びQ1.4の両方が高レベルのカリウム及びマグネシウムを含有することを示す(表13も参照されたい)。
【0241】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
FTIR分光測定は、Nicolet 6700を使用し、上記のATRアクセサリを使用して行った。
【0242】
図2は、0.9mm寸法の複合材料(Q0.9)及び1.4mm寸法の複合材料(Q1.4)を含む2つの異なる試料についての結果を提供する。
【0243】
興味深いことに、FTIRライブラリは、Q0.9をルテイン(86%)と同定し、Q1.4を新聞用紙(ブラックインク)(92%)と同定した。これは決定的な化学的同定とみなすことはできないが、これは興味深い観察であり、Q0.9とQ1.4との間及び他の木材プラスチックからの明確な区別である。Q1.4は、セルロース繊維が比較的豊富であるが、Q0.9は、より少ない繊維及びより高い割合のルテインのようなより小さい分子を含有した。
【0244】
熱重量分析(TGA)-示差走査熱量測定(DSC)
TGAは、温度の関数として重量損失を測定する。5%の損失は、分解の開始を意味する。本明細書に開示される複合材料は、国際公開第2010/082202号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に開示される複合材料よりも安定であることが見出された(以下の表13も参照されたい)。Q0.9は、最大218℃まで安定であり、Q1.4は、最大224℃まで安定であった。特に、分解の始まりがより高いほど、加工ウィンドウは、より広くなる。
【0245】
Q0.9及びQ1.4の試験試料中に見出された有機/無機化合物を分析するために使用した方法論は、以下のような熱分析法に基づいた:
a.合成ポリマーの相対量を決定するための示差走査分析(DSC)。
b.熱安定性(T開始及びT0)、無機材料の量(灰分)、及びリグノセルロース成分のおおよその量を決定するための熱重量分析(TGA)。
【0246】
結果
リグノセルロース含量-おおよそ350℃(TGAから)
無機含量-灰分>650℃(TGAから)
【0247】
熱分析のための機器へのMSの結合は、加熱実験の間に放出される材料/成分の同定を可能にする。
【0248】
表4及び
図1A~
図1Bは、本明細書に開示される複合材料、すなわちQ0.9及びQ1.4の熱安定性を提供する。
【0249】
【0250】
図1Aは、1分ごとに50℃増加させた0~1500度のQ1.4のTG-DSCを示す。
【0251】
図1Bは、1分ごとに50℃増加させた0~1500度のQ0.9のTG-DSCを示す。
【0252】
理解されるように、グラフの各々におけるTGAピークは、T開始における減少の始まり及びT0における最大減少を伴う質量の変化を示す。一方、DSCグラフは、得られたエネルギー放出を示す。これらの2つの図は、複合体が210℃を超える温度で安定であることを示す。
【0253】
各試料、Q0.9及びQ1.4の組成も、結合MSによって決定し、データを表5に示す。
【0254】
【0255】
総抽出炭素
総抽出炭素は、ジメチルエーテル(DME)で抽出した20gのQ0.9及びQ1.4を使用して決定した。油残渣を計量し、抽出された炭素の量を計算した。結果を表6に示す。
【0256】
【0257】
Q0.9及びQ1.4の両方が、かなりの量の抽出された炭素を含有していたことが注目される。DMEは、有機溶媒で分解する。したがって、炭素含量の大部分は、脂肪酸由来であると推定される。このことは、以下のGC-MSによっても確認される。
【0258】
引張試験
引張試験用の試料を以下のように調製した:複合材料を、ZSK 18実験室押出機を使用して170~180℃及び350rpmで押出成形して、均質材料を得た。押出物を実験室造粒機によって粉砕し、粒状材料をHaitian 120 tによって170~180℃で射出成形して、試験の試験片を作製した。試験の試験片を23±2℃で少なくとも48時間調整した。
【0259】
射出成形試料の引張特性の測定は、ISO 521-2:1996を使用して提供された。
【0260】
試験片タイプ1Aは、以下の寸法を含んでいた:全長≧150~200mm、狭い平行側面部分の長さ=80±2mm、半径20~25mm、広い平行側面部分間の距離104~113mm、端部における幅=20±0.2mm、狭い部分における幅10±0.2mm、好ましい厚さ4±0.2mm、ゲージ長さ50±0.5mm、及びグリップ間の初期距離=115±1mm。
【0261】
少なくとも5つの試験片をTinius Olsen H10KT機器によって試験した。試験速度50mm/分試験結果は、これらの測定値の平均である。
【0262】
表7は、物理的特性の概要を提供する。
【0263】
【0264】
衝撃アイゾット(ノッチ付き)
ノッチ付きアイゾット衝撃は、振り子からの衝撃に対する材料の耐性を測定する一点試験である。アイゾット衝撃(ノッチ付き)は、破壊を開始し、試験片が破断するまで破壊を継続するのに必要な運動エネルギーとして定義される。
【0265】
少なくとも5つの試験片を、Tinus Olsen衝撃装置、モデル503(振り子重量1J)によって試験した。これらの測定値の平均である試験結果を表8に示す。
【0266】
【表9】
*N-非/P-部分的/C-完全/H-ヒンジ
【0267】
Q0.9及びQ1.4は、国際公開第2010/082202号の複合材料と比較して改善されたアイゾット衝撃を示した(表13も参照されたい)。
【0268】
シャルピー衝撃
シャルピー衝撃試験は、振り子からの衝撃に対する材料の耐性を測定する一点試験である。シャルピー衝撃は、破壊を開始し、試験片が破断するまで破壊を継続するのに必要な運動エネルギーとして定義される。得られた値は、品質管理のために、又は一般的な靭性を区別するために使用することができる。
【0269】
少なくとも5つの試験片を、Tinus Olsen衝撃装置、モデル503(振り子重量1J)によって試験した。表に提示される結果は、これらの測定値の平均である。
【0270】
Q0.9及びQ1.4のシャルピー衝撃を表9に示す。
【0271】
【表10】
*N-非/P-部分的/C-完全/H-ヒンジ
【0272】
Q0.9及びQ1.4は、国際公開第2010/082202号の複合材料と比較して改善されたシャルピー衝撃を示した(表12も参照されたい)。
【0273】
曲げ試験
曲げ試験は、3点荷重条件下でビームを曲げるのに必要な力を測定する。データは、撓むことなく荷重を支持する部品の材料を選択するために使用されることが多い。曲げ弾性率は、曲げられたときの材料の剛性の指標として使用される。
【0274】
少なくとも5つの試験片をTinius Olsen H10KT装置によって試験した。表10に提示される結果は、これらの測定値の平均である。
【0275】
【0276】
灰分
灰試験を使用して、Q0.9又はQ1.4が充填されているかどうかを決定した。試験は、典型的には、総充填剤含量又は無機物含量を特定する。試験試料は、各々5gであった。
【0277】
Q0.9及びQ1.4の灰分結果は、それぞれ10.4%及び7.9%である。
【0278】
低灰分は、複合材料中の鉱物の量が少ないことを意味し、より良好な熱可塑性特性をもたらすことに留意されたい。国際公開第2010/082202号の複合材料と比較して、本明細書に開示される複合材料は、著しく低い灰分を有することが明らかである。
【0279】
表面エネルギー
材料とコーティングとの間の引力の強さは、材料の相対的な表面エネルギー/表面張力によって決定される。液体の表面張力に対して固体の表面エネルギーが高いほど、分子引力が大きくなり、これにより、塗料、インク、又は接着剤がより近くに引き寄せられ、高い結合強度が得られる。液体の表面張力に対して固体の表面エネルギーが低いほど、引力は、弱くなり、これはコーティングをはじく。
【0280】
Q0.9及びQ1.4の表面エネルギーは、同じであり、36ダイン/cmであることが分かった。表面エネルギーに関して、ほとんどの溶媒ベースの印刷では、プラスチックを36~40ダイン/cmに処理する必要があることに留意されたい。したがって、Q0.9及び01.4は、一般的なプラスチックとは異なり、非常に良好な表面エネルギーを示す。
【0281】
酸素指数
酸素指数による燃焼挙動の測定のために、試験の試験片を、透明な煙突を通って上方に流れる酸素と窒素との混合物中に垂直に支持する。試験片の上端に点火し、その後の試験片の燃焼挙動を観察する。燃焼が継続する期間、又は燃焼した試験片の長さを、そのような燃焼についての特定の限界と比較する。一連の試験片を異なる酸素濃度で試験することによって、最小酸素濃度が推定される。
【0282】
上記により、Q0.9の酸素指数は、21.3%であった。
【0283】
密度
密度は、kg/m3で表される試料の体積に対する試料の質量の比である。密度を決定するために、試料を23℃±2℃及び50±5%の室内湿度で40時間にわたって調整した。試験片の体積は、1cm3以上であり、その表面及び縁は、滑らかであった。試験片の厚さは、1gの重りごとに少なくとも1mmであった。重量1~5gの試験片が好都合であることが分かったが、おおよそ最大50gの試験片も許容できる。
【0284】
密度決定のために、試験片を空気中で計量し(A)、次いで、既知の密度を有する補助液体(B)、この例ではエタノール中で再び計量する。
【0285】
次いで、固体の密度ρを以下の式に従って計算する:
【0286】
【数1】
ρ=試験片の密度
A=空気中の試験片の重量
B=補助液(エタノール)中の試験片の重量
ρ
0=補助液(エタノール)の密度
ρL=空気の密度
【0287】
エタノールの密度は、789kg/m3であり、空気の密度は、1.225kg/m3である。
【0288】
密度は、23℃±2℃の標準室温で決定される。
【0289】
エタノールに対する23℃でのQ1.9及びQ1.4の密度を表11に示す。
【0290】
【0291】
プラスチックは、ポンド当たりのコスト基準で販売されており、より低い密度(又はより低い比重)は、重量単位当たりの材料がより多いことを意味するので、低密度製品を得ることが望ましい。表13に示すように、Q0.9及びQ1.4の密度は、国際公開第2010/082202号に記載の複合材料よりも低かった。
【0292】
実施例3-国際公開第2010/082202号の複合材料との比較
本明細書に開示された複合材料の優位性を評価するために、国際公開第2010/082202号に開示された複合材料との比較を行った。表12は、比較を提供する。
【0293】
【表13】
+-元素が存在することが判明したことを示す。
ND-元素が検出されなかったことを示す。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
a.前記複合材料の総重量のうちの少なくとも約40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
b.前記複合材料の総重量のうちの約
10%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
c.最大15%w/wの無機物質と、の均質ブレンドを含み、
前記複合材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含み、
前記プラスチック物質が、2つを超えるポリオレフィン及び2つを超える非ポリオレフィンを含むプラスチックの異種ブレンドを含み、
前記複合材料は、以下の特性:
-前記複合材料が、少なくとも15
KJ/m
2
のノッチ付きアイゾット衝撃を有すること、並びに
-射出成形に供された前記複合材料の試料が、
少なくとも8MPaの引張強度、及び
少なくとも15MPaの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有すること、のうちの少なくとも1つを特徴とする、複合材料。
【請求項2】
前記複合材料の総重量のうちの5%未満の量のPETを含む、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項3】
以下の特徴:
-前記複合材料が、1.2gr/cm
3以下の密度を有すること、
-前記複合材料が、200℃を超える熱重量分析(TGA)温度を有すること、
-射出成形に供された前記複合材料の試料が、
○少なくとも10MPaの引張強度、
○少なくとも1,500MPaの引張弾性率、
○少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率、及び
○少なくとも20MPaの曲げ強度、のうちの少なくとも1つを有すること、並びに
-前記複合材料が、5mg/g未満のシリケートを含むこと、のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項
1又は2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記複合材料の前記総重量のうちの約1%w/w未満の量のハロゲン化ポリマーを含む、請求項1又は
3に記載の複合材料。
【請求項5】
1.2gr/cm
3以下の密度を有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
200℃を超える熱重量分析(TGA)温度を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
射出成形に供された前記複合材料の試料において、前記試料が、
-少なくとも10Mpaの引張強度、
-少なくとも1,500MPaの引張弾性率、
-少なくとも1,500MPaの曲げ弾性率、及び
-少なくとも20MPaの曲げ強度、を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
5mg/g未満のシリケートを含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
1,500μmのふるいを通してふるい分けすることによって測定される1,500μm以下のd90のサイズ分布を有する微細化粒子
の形態にある、請求項1~
8のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
900μmのふるいを通してふるい分けすることによって測定される900μm以下であるd90のサイズ分布を有する微細化粒子
の形態にある、請求項1~
9のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項11】
複合材料を調製する方法であって、前記方法が、
a.粒子状異種取り込み材料を、150℃及び200℃の範囲内に維持された温度で、押出機内で少なくとも1つの押出プロセスに供し、それによって前記複合材料を得ること、を含み、
前記粒子状異種取り込み材料が、
i.異種廃棄物の総重量のうちの少なくとも40%w/wの非プラスチック有機物質であって、少なくともセルロースを含む、非プラスチック有機物質と、
ii.前記複合材料の総重量のうちの約
10%w/w~約60%w/wのプラスチック物質であって、
2つを超えるポリオレフィン及び2つを超える非ポリオレフィンを含む、複数の合成熱可塑性ポリマーを含む、プラスチック物質と、
iii.前記複合材料の総重量のうちの最大15%w/wの無機物質と、を含み、
前記異種取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの10%未満の量のアリール含有合成ポリマーを含む、方法。
【請求項12】
前記取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの約1%w/w未満の量のハロゲン化ポリマーを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記アリール含有合成ポリマーが、PETを含む、請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記取り込み材料が、前記複合材料の前記総重量のうちの5%未満の量のPETを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記押出プロセスの前に、粒子状異種廃棄物を少なくとも1つの分離ステップに供することを含み、前記分離ステップが、近赤外(NIR)吸光度に基づいて前記粒子状異種廃棄物からハロゲン化ポリマー及びアリール合成ポリマーの一方又は両方を除去して、選別された異種廃棄物を得ることを含む、請求項
11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子状異種取り込み材料が、異種廃棄物を2つ以上の粒子化及びふるい分け段階に供することによって得られる、請求項
11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記押出機から排出された押出物の制御された徐冷を含む、請求項
11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複合材料が、前記複合材料のサイズ減少を含む少なくとも1つの微細化段階に供される、請求項
11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記サイズ減少が、1,500mm以下のd90によって定義されるサイズまでである、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の複合材料と少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを含む、製造物品。
【請求項21】
製造物品を生成する方法であって、前記方法が、請求項1~
10のいずれか一項に記載の複合材料を少なくとも1つのポリオレフィンとともに加工することを含み、前記加工が、押出及び成形のうちの少なくとも1つを含み、前記加工が、前記複合材料の前記少なくとも1つのポリオレフィンとの均質ブレンドを提供する、方法。
【国際調査報告】