IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 杭州海康威視数字技術股▲フン▼有限公司の特許一覧

特表2023-550535適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化
<>
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図1
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図2
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図3
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図4
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図5
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図6
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図7
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図8
  • 特表-適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20231124BHJP
【FI】
H04N19/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539363
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 CN2022080113
(87)【国際公開番号】W WO2022194017
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】202110298610.4
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508219313
【氏名又は名称】杭州海康威視数字技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】魏 ▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 方▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】王 莉
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159RC12
5C159SS19
(57)【要約】
本発明の実施例は、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化方法及び関連デバイスを開示し、動画符号化復号化の分野に属する。本発明の実施例において、現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加される。このように、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割する時、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定し、当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示すことができ、それにより領域分割の柔軟性を効果的に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在フレームのビットストリームを受信するステップと、
前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、
前記現在フレームのビットストリームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法。
【請求項2】
前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、
前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とし、幅は前記x座標であり、高さは前記y座標である矩形領域であり、
前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップは、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定するステップと、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、
前記前のフレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、
前記前のフレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前記前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、且つ前記現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ前記現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの最大符号化ユニットLCUの幅であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの前記拡張データに付加した前記仮想境界位置マーキング情報の値を、前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを示すことができるようにするステップと、を含む、
ことを特徴とする適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法。
【請求項10】
前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、
前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とし、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくする、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、
前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ前記第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
現在フレームのビットストリームを受信するための受信モジュールと、
前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得し、ここで、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられ、
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定し、
前記現在フレームのビットストリームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するための処理モジュールと、を含む、
ことを特徴とする復号化装置。
【請求項16】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定し、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加し、ここで、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられ、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの前記拡張データに付加した前記仮想境界位置マーキング情報の値を、前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを示すことができるようにするための符号化モジュール、を含む、
ことを特徴とする符号化装置。
【請求項17】
プロセッサと、
プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリと、を含む復号化デバイスであって、
前記プロセッサは、上記請求項1~8のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成される、
ことを特徴とする復号化デバイス。
【請求項18】
プロセッサと、
プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリと、を含む符号化デバイスであって、
前記プロセッサは、上記請求項9~14のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成される、
ことを特徴とする符号化デバイス。
【請求項19】
命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がプロセッサにより実行されると、上記請求項1~8、又は上記請求項9~14のいずれか1項に記載の方法のステップが実施される
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、動画符号化復号化の分野に関し、特に、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化のための方法及び関連デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
Iフレームのビットレートが大きすぎるため、Iフレームの復号化に要する時間が長いという問題を解決するために、イントラリフレッシュメカニズムがそれに応じて生まれた。イントラリフレッシュメカニズムの基本原理は、1つのIフレームのビットレートをいくつかのPフレームに分散させることである。符号化の過程において、1つの完全な画像フレームをリフレッシュ周期に基づいてN個の強制イントラ領域に分割し、当該画像フレームに対するN個のイントラリフレッシュフレームを順に符号化し、各イントラリフレッシュフレームは、前記N個の強制イントラ領域のうちの1つの強制イントラ領域を含み、このN個の強制イントラ領域の符号化モードは、強制イントラ(intra)モードであり、各イントラリフレッシュフレーム内の他の領域の符号化モードは、インター(inter)モードの採用を許容され、このようにIフレームのビットレートに対して各イントラリフレッシュフレームのビットレートが低減されるだけでなく、各イントラリフレッシュフレームのビットレートが比較的安定している。しかしながら、従来のシンタックスに基づいてイントラリフレッシュメカニズムを起動する過程は、いくぶん冗長である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化方法及び関連デバイスを提供し、イントラリフレッシュメカニズムの分割の適用の柔軟性を向上させることができる。前記技術的解決手段は以下のとおりである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、現在フレームのビットストリームを受信するステップと、前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、を含む、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法が提供される。
【0005】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記方法は、前記現在フレームのビットストリームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップをさらに含む。
【0006】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0007】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0008】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップは、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定するステップと、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む。
【0009】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記方法は、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定するステップをさらに含み、ここで、前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、前記前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、前記前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む。
【0010】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記方法は、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、且つ前記現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ前記現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定するステップをさらに含む。
【0011】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの最大符号化ユニット(large coding unit、LCU)の幅であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである。
【0012】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記現在フレームがランダムアクセスのために用いられる場合、前記現在フレームを復号化する前に、前記方法は、1つの有効なシーケンスヘッダを取得するステップと、前記シーケンスヘッダに付加された情報に基づいて前記現在フレームを復号化するステップとをさらに含む。
【0013】
別の態様において、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、を含む、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法が提供される。
【0014】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0015】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0016】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とする。
【0017】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくする。
【0018】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記方法は、前記現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップをさらに含む。
【0019】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記方法は、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ前記第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定するステップをさらに含む。
【0020】
上記方法に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである。
【0021】
別の態様において、現在フレームのビットストリームを受信するための受信モジュールと、前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得し、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられ、前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するための処理モジュールと、を含む、復号化装置が提供される。
【0022】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記処理モジュールは、さらに、前記現在フレームのビットストリームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0023】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0024】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0025】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記処理モジュールは、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0026】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記処理モジュールは、さらに、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定するために用いられ、ここで、前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、前記前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、前記前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む。
【0027】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記処理モジュールは、さらに、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、且つ前記現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ前記現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定するために用いられる。
【0028】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである。
【0029】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記処理モジュールは、さらに、前記現在フレームがランダムアクセスのために用いられる場合、前記現在フレームを復号化する前に、1つの有効なシーケンスヘッダを取得し、前記シーケンスヘッダに付加された情報に基づいて前記現在フレームを復号化するために用いられる。
【0030】
別の態様において、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するための符号化モジュールを含む符号化装置であって、前記符号化モジュールは、さらに、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加するために用いられ、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられる、符号化装置が提供される。
【0031】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0032】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0033】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記符号化モジュールは、さらに、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とするために用いられる。
【0034】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記符号化モジュールは、さらに、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくするために用いられる。
【0035】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記符号化モジュールは、さらに、前記現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0036】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記符号化モジュールは、さらに、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ前記第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定するために用いられる。
【0037】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである。
【0038】
別の態様において、プロセッサと、プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリとを含む復号化デバイスであって、前記プロセッサは、上記した適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法におけるいずれかのステップを実行するように構成される、復号化デバイスが提供される。
【0039】
別の態様において、プロセッサと、プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリとを含む符号化デバイスであって、前記プロセッサは、上記した適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法におけるいずれかのステップを実行するように構成される、符号化デバイスが提供される。
【0040】
別の態様において、命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がプロセッサにより実行されると、上記適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法、又は適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法におけるいずれかのステップが実施される、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0041】
別の態様において、命令を含むコンピュータプログラム製品であって、コンピュータで実行されると、コンピュータに上記適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法、又は適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法におけるいずれかのステップを実行させる、コンピュータプログラム製品が提供される。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施例にて提供される技術的解決手段による有益な効果は少なくとも以下を含む。現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加され、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割するとき、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定することができ、続いて当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示せばよく、それによりリフレッシュ領域分割の柔軟性を向上させ、すなわち、本発明の実施例は、拡張データを通じて、リフレッシュ領域を適応的に分割することを実現する適応型イントラリフレッシュメカニズムを提供する。
【0043】
以下、本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例の記述に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記述における図面は、本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な労力を費やさずに、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムの概略図である。
図2】本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムを採用した画像シーケンスの概略図である。
図3】本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムを採用した画像シーケンスの概略図である。
図4】本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法のフローチャートである。
図5】本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムにおけるイントラリフレッシュフレームの領域分布の概略図である。
図6】本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施例にて提供される復号化装置の構造の概略図である。
図8】本発明の実施例にて提供される符号化装置の構造の概略図である。
図9】本発明の実施例にて提供される端末の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、図面を結合して本発明の実施形態についてさらに詳細に記述する。
【0046】
本発明の実施例にて提供される方法を解釈して説明する前に、まず、本発明の実施例に係る応用シーンを解釈して説明する。
【0047】
動画符号化復号化において、基準として参照される画像フレームは、Iフレームと呼ばれ、Iフレームは、キーフレームとも呼ばれる。Iフレームを符号化する時、圧縮率が低く、その目的は、その後に復号化する時、直接Iフレームのビットストリームに基づいて復号化してIフレームを得ることができるようにすることで、他の画像フレームを参照する必要をなくすことである。符号化する時、前の画像フレームと現在画像フレームとの差分値に基づいて符号化される画像フレームがPフレームと呼ばれ、その後にIフレーム、復号化して得られた前の画像フレーム及びビットストリームにおける差分値に基づいて復号化することで現在画像フレームが得られるために、符号化されたPフレームのビットストリームには前の画像フレームと現在画像フレームとの差分値が付加される。また、符号化する時、前の画像フレームと現在画像フレームとの差分値、及び現在画像フレームと後の画像フレームとの間の差分値に基づいて符号化される画像フレームがBフレームと呼ばれ、その後にIフレーム、復号化して得られた前の画像フレームと後の画像フレーム、及びビットストリームにおける差分値に基づいて復号化することで現在画像フレームが得られるために、符号化されたBフレームのビットストリームには、前の画像フレームと現在画像フレームとの差分値、及び現在画像フレームと後の画像フレームとの差分値が付加される。符号化された1つのIフレーム及びいくつかのBフレーム又はいくつかのPフレームからなるシーケンスを1つの画像シーケンスと呼ぶ。当該画像シーケンスは、IPPP又はIBBBシーケンスとも呼ばれる。
【0048】
復号化側で、ランダムアクセス方式でIPPP又はIBBBシーケンスにアクセスする場合、通常、Iフレームのビットレートは、Pフレーム又はBフレームのビットレートよりもはるかに大きいため、Iフレームの復号化時間は、Pフレーム又はBフレームの復号化時間よりも長い。特に、弱いネットワーク環境では、Iフレームの復号化に要する時間がより長く、それにより動画の遅延が発生することがある。
【0049】
Iフレームの復号化に要する時間が長すぎることによる動画の遅延の発生を回避するために、現在、業界ではイントラリフレッシュメカニズムが提供される。当該イントラリフレッシュメカニズムの主要思想は、IフレームのビットレートをいくつかのPフレームに分散させ、各Pフレームには、符号化モードが強制イントラモードである小さな領域があり、他の領域の符号化モードがインターモードの採用を許容され、最終的に各Pフレームのビットレートが元のIフレームよりもかなり小さくなることである。また、イントラリフレッシュメカニズムでは、異なるPフレームの強制イントラ領域が互いに交差しないように要求されるため、このようにいくつかのPフレームを経ると、強制イントラモードに基づいて画像領域全体をリフレッシュすることができる。
【0050】
以下、その後の説明の便宜上、イントラリフレッシュメカニズムの原理について詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムの概略図である。図1のイントラリフレッシュメカニズムは、Iフレームのビットレートを、それぞれが強制イントラ領域である領域を有する4つのPフレームに分散させる。ここで、
【数1】
でマーキングされた領域は、強制イントラ領域である。
【数2】
でマーキングされた領域は、符号化順における前のフレームのリフレッシュ済み領域であり、当該領域の符号化モードがインターモードの採用を許容されるので、現在フレームのインター領域とも呼ばれる。
【数3】
でマーキングされた領域は、未リフレッシュ領域であり、当該領域の符号化モードがインターモードの採用を許容される。
【0052】
図1に示すように、完全な画像フレームを4つの強制イントラ領域に分割し、リフレッシュ周期内に、それぞれ図1の左から右へ4フレームの画像である4つのイントラリフレッシュフレームが含まれる。リフレッシュ周期内の第1のフレームの画像について、当該画像は1つのイントラリフレッシュ領域と未リフレッシュ領域とを含み、第1のフレームの画像がリフレッシュ周期内の1フレーム目の画像であるので、第1のフレームの画像中のリフレッシュ済み領域は、現在画像フレーム中の強制イントラ領域のみを含む。リフレッシュ周期内の第2のフレーム画像について、当該画像は、第1のフレーム画像中のリフレッシュ済み領域、1つのイントラリフレッシュ領域、及び未リフレッシュ領域を含み、第2のフレーム画像中の第1のフレーム画像のリフレッシュ済み領域及び現在画像フレームに含まれるイントラリフレッシュ領域は、まとめて第2のフレーム画像のリフレッシュ済み領域と呼ばれる。リフレッシュ周期内の第3のフレーム画像について、当該画像は、第2のフレーム画像中のリフレッシュ済み領域、1つのイントラリフレッシュ領域、及び未リフレッシュ領域を含み、第3のフレーム画像中の第2のフレーム画像のリフレッシュ済み領域及び現在画像フレームに含まれるイントラリフレッシュ領域は、まとめて第3のフレーム画像のリフレッシュ済み領域と呼ばれる。リフレッシュ周期内の第4のフレーム画像について、当該画像は、第3のフレーム画像中のリフレッシュ済み領域、及び1つのイントラリフレッシュ領域を含み、第4のフレーム画像中の第3のフレーム画像のリフレッシュ済み領域及び現在画像フレームに含まれるイントラリフレッシュ領域は、まとめて第4のフレーム画像のリフレッシュ済み領域と呼ばれる。前には完全な画像を4つの強制イントラ領域に分割したので、第4のフレーム画像には未リフレッシュ領域がない。
【0053】
また、未リフレッシュ領域は、ダーティ(dirty)領域とも呼ばれ、符号化順における前のフレームのリフレッシュ済み領域と現在フレームの強制イントラ領域は、まとめて現在フレームのクリーン(clean)領域とも呼ばれ、両者の境界線が図1における境界線である。本発明の実施例に係る仮想境界は、clean領域とdirty領域とを区別するための境界線でもあり、ただし、境界線の設定方式がより柔軟であり、折れ線の境界線であってもよく、垂直境界線に限定されない。本発明の実施例において、いずれかのイントラリフレッシュフレームについて、当該イントラリフレッシュフレームのリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界とは、リフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の境界線であり、当該境界線は当該イントラリフレッシュフレームのclean領域とdirty領域との間の境界線でもある。
【0054】
図2は、本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムを採用した画像シーケンスの概略図である。図2に示すように、オリジナル画像シーケンス(図2においてオリジナルシーケンスと略称される)におけるI2(Iフレーム)、P8(Pフレーム)、P9(Pフレーム)、P10(Pフレーム)の4つのフレームを、X1、X2、X3、X4でマーキングされる4つのイントラリフレッシュフレームに置換して、イントラリフレッシュメカニズムに基づく画像シーケンス(図2においてイントラリフレッシュシーケンスと略称される)を得る。この4つのイントラリフレッシュフレームは、いずれも1つの強制イントラ領域である領域を有し、他の領域の符号化モードがインターモードの採用を許容されるので、これら4つのイントラリフレッシュフレームを、ビットレートが元のI2フレームのビットレートの1/4に近似する4つの「大きいPフレーム」とみなすことができる。また、これら4つのイントラリフレッシュフレームがIRフレームと略称されてもよい。
【0055】
図2に示す画像シーケンスにおいて、ランダムアクセス方式では、オリジナル画像シーケンスにおけるI2フレームがランダムアクセスポイントであると仮定し、当該I2フレーム以降のフレームが独立して復号化することができるので、P8フレームは、I2フレームしか参照できず、P7フレームを参照することができない。しかしながら、イントラリフレッシュメカニズムに基づく画像シーケンス(図2においてイントラリフレッシュシーケンスと略称される)において、X1フレームがランダムアクセスポイントであり、X1フレーム中の未リフレッシュ領域中のインター符号化領域は、P7フレームを参照することができるが、正確に復号化できない(P7フレームはランダムアクセス時に取得されていないからである)ことがある。同様に、X2フレーム、X3フレームの未リフレッシュ領域も正確に復号化できないことがある。X1~X4フレームが全てリフレッシュされると、この場合、X4フレームのリフレッシュ済み領域のインター領域は、X1~X3の強制イントラ領域のビットストリームに基づいて復号化して得られ、X4フレームのリフレッシュ済み領域の強制イントラ領域は、強制イントラ復号化モードに基づいて得られるので、未リフレッシュ領域のないX4フレームは、完全で正確に復号化することができる。したがって、図2のX1、X2、X3、X4フレームは、1つのリフレッシュ周期であり、リフレッシュ周期において最後のフレームのみが完全で正確に復号化できるので、当該フレームをリカバリポイント(Recovery Point)と呼ぶ。
【0056】
なお、ランダムアクセスの場合、リカバリポイント及びそれ以降の画像フレームのみがユーザーに表示されるが、ランダムアクセスポイントが位置するリフレッシュ周期における他の画像は、正確に復号化できないことがあるので、いずれも表示されない。非ランダムアクセスの場合、全ての画像フレームが完全で正確に復号化できるので、全ての画像フレームがいずれもユーザーに表示される。
【0057】
また、イントラリフレッシュメカニズムに基づいて符号化されたビットストリームの復号化機能を保証するために、現在のイントラリフレッシュメカニズムは、復号化モードにおけるイントラモード/インターモード及びループフィルタに対して、以下の条件で制限する。
【0058】
条件1において、いずれかのイントラリフレッシュフレームについて、当該イントラリフレッシュフレームにおけるリフレッシュ済み領域のブロックは、同じリフレッシュ周期内の他のイントラリフレッシュフレームのリフレッシュ済み領域を参照して復号化することしかできず、他のイントラリフレッシュフレームの未リフレッシュ領域を参照して復号化することができず、TMVP(temporal motion vector prediction、時間的動きベクトル予測)メカニズムにおける現在ブロックの参照フレームにおけるコロケーテッド(co-located)ブロックは、参照フレームの未リフレッシュ領域にあってはならず、ここで、コロケーテッドブロックとは、参照フレームにおいて現在ブロックと同じ位置にある画像ブロックであり、すなわち、現在画像フレームの画像ブロックのMV(motion vector、動きベクトル)情報が指す領域は、参照フレームの未リフレッシュ領域にあってはならない。なお、本発明の実施例において、現在ブロックと現在画像ブロックとは同じ概念であり、説明の便宜上、現在画像ブロックを現在ブロックと略称してもよい。
【0059】
条件2において、いずれかのイントラリフレッシュフレームについて、当該イントラリフレッシュフレームにおける未リフレッシュ領域のブロックの復号化の時に参照制限がない。
【0060】
条件3において、画像シーケンス内のイントラリフレッシュフレームではない画像フレームについて、当該画像フレームのブロックは、所在するランダムアクセス周期内のイントラリフレッシュフレームのリフレッシュ済み領域を参照して復号化することを許容されるが、所在するランダムアクセス周期内のイントラリフレッシュフレームの未リフレッシュ領域を参照して復号化することができず、TMVPメカニズムにおける現在ブロックの参照フレームにおけるコロケーテッドブロックも参照フレームの未リフレッシュ領域にあってはならない。
【0061】
条件4において、いずれかのイントラリフレッシュフレームについて、ループフィルタは、当該イントラリフレッシュフレームのリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との境界線を越えることができず、すなわち、リフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界に対してループフィルタ操作を行わない。
【0062】
現在のVVC(Versatile Video Coding、汎用動画符号化)規格におけるGDR(Gradual Decoding Refresh、段階的復号リフレッシュ)技術は、イントラリフレッシュメカニズムを提案する。当該イントラリフレッシュメカニズムの具体的な内容は、以下のとおりである。
【0063】
まずリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを垂直分割方式で分割する。垂直分割方式では、リフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界は、画像座標系のY軸に平行な境界線である。分割境界は、最小CU(coding unit、符号化ユニット)の辺(CUの最小は8画素)に位置合わせされ、すなわち、リフレッシュ済み領域の幅が最小CUの幅の整数倍であり、リフレッシュ済み領域の高さがイントラリフレッシュフレームの画像の高さである。
【0064】
次に、異なるイントラリフレッシュフレームにおける強制インター領域を、等間隔に分割し、且つ強制インター領域の幅=画像フレームの全幅/リフレッシュ周期とする。リフレッシュ周期とは、正確に復号化して完全な画像フレームを得ることに必要なイントラリフレッシュフレームの数であり、例えば、図3のリフレッシュ周期は6である。ここで、リフレッシュ周期は、符号化側で設定することができ、例えば、符号化側は、イントラリフレッシュフレームのビットストリームの画像ヘッダパラメータrecovery_poc_cntで当該リフレッシュ周期を設定することができ、図3に示す画像シーケンスについて、recovery_poc_cnt=6とすることにより、当該イントラリフレッシュフレームの所在するリフレッシュ周期が6であることを示すことができる。また、リフレッシュ順は、ビットストリームにおいて明確に示される必要がなく、デフォルトで左から右への順であり、復号化側は、デフォルトで各イントラリフレッシュフレームを左から右へのリフレッシュ順に復号化する。
【0065】
また、いずれかの画像フレームについて、符号化側は、さらに、画像フレームのビットストリームの画像ヘッダパラメータgdr_pic_flagに基づいて、現在画像フレームがイントラリフレッシュフレームであるか否かをマーキングすることができる。例えば、gdr_pic_flag=1の際にしては、現在画像フレームがイントラリフレッシュフレームであることを示し、gdr_pic_flag=0の際にしては、現在画像フレームがイントラリフレッシュフレームでないことを示す。
【0066】
さらに、VCC規格におけるイントラリフレッシュメカニズムは同様に、上記条件1~条件4の4つの制限条件を含むが、ここではその説明が省略される。
【0067】
上述のVCC規格におけるイントラリフレッシュメカニズムにおける強制イントラ領域は、等間隔の垂直帯状領域となり、画像内容に応じて適応的に領域分割ができないため、柔軟性がない。また、VCC規格におけるイントラリフレッシュメカニズムでは、リフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との仮想境界を越えるループフィルタを許容しないため、当該仮想境界上の画質が悪いという問題がある。
【0068】
上記VCC規格におけるイントラリフレッシュメカニズムで発生する問題点に基づいて、本発明の実施例は、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化復号化方法を提供し、当該方法は、より柔軟な強制イントラ領域分割方法を提供し、分割方式が符号化側で適用可能であり、本発明の実施例にて提供される方法により、画像内容に応じてリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを適応的に分割することができ、強制イントラ領域の分割の柔軟性を向上させる。また、リフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界を、画像中のオブジェクト境界と可能な限り一致させることができ、それにより仮想境界をループフィルタできないことによる復号化後の画質への影響を回避する。
【0069】
本発明の実施例にて提供される方法は、画像内容に応じてリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを適応的に分割することができるため、本発明の実施例に係るイントラリフレッシュフレームは、適応型イントラリフレッシュフレームと称されてもよく、その後の説明の便宜上、本発明の実施例に係る適応型イントラリフレッシュフレームをイントラリフレッシュフレーム又はリフレッシュフレームと略称する。
【0070】
以下、本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化復号化方法を詳細に解釈して説明する。
【0071】
図4は、本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法である。図4に示すように、当該方法は、以下のステップ401、402を含む。
【0072】
ステップ401において、符号化側は、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定する。
【0073】
ユーザーが動画にアクセスする過程で、通常、ランダムアクセスのシーンが存在する。ランダムアクセスのシーンでは、復号化側は、ランダムアクセスポイントの前のビットストリームを取得していないので、ランダムアクセスポイントの後のビットストリームに基づいて復号化する必要があり、このようなシーンでは、復号化側による正確な復号化を可能にするためには、ランダムアクセスポイントの後のビットストリームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすることが必要となる。
【0074】
上記シーンに基づき、符号化側は、以下の方式により現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定し得る。現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするが、符号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定する。前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定する。前記現在フレームがランダムアクセスポイントとランダムポイントアクセスのリカバリポイントとの間のいずれかのフレームの画像である場合、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定する。
【0075】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、符号化側は現在フレームのリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを決定する必要があり、それにより、その後に現在フレームのビットストリームを符号化する時、現在フレームのリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別する仮想境界の位置を示す仮想境界位置マーキング情報をビットストリームに符号化できる。
【0076】
理解の便宜上、ここで、本発明の実施例にて提供される仮想境界を解釈して説明する。
【0077】
上記仮想境界は、現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域の境界線であってもよいし、現在フレームにおける未リフレッシュ領域の境界線であってもよいし、分割して得られたリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との分割境界線であってもよい。これらの3つの仮想境界の例は、本質的に同じである。
【0078】
それ以後の実施例では、仮想境界が分割して得られたリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との分割境界線であることを例に説明する。すなわち、当該仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界の位置を示すことができ、仮想境界の位置は、具体的に、現在フレームの水平方向における当該仮想境界の位置と、現在フレームの垂直方向における当該仮想境界の位置と、を含み得る。
【0079】
なお、本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュ手段における仮想境界は、上記解釈に限定されず、仮想境界は、前述の3つの仮想境界例のいずれか1つであってもよい。
【0080】
ステップ402において、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、符号化側は、現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと現在フレームの仮想境界位置マーキング情報を付加し、仮想境界位置マーキング情報は仮想境界の位置を示すために用いられ、仮想境界は少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられる。
【0081】
なお、拡張データとは、符号化された現在フレームのビットストリームにおいて、画像ヘッダと画像データとの間にある一部のデータである。何らかの規格では、拡張データは、SEI(supplemental enhancement information、補足強化情報)とも呼ばれる。
【0082】
現在、拡張データには、複数の動画拡張IDを示すことができ、各動画拡張IDにおいて、引き続き、いくつかの復号化パラメータを示すことができる。したがって、本発明の実施例では、拡張データにおいて新しい動画拡張識別子を拡張してもよく、拡張された動画拡張識別子は、適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと呼ばれてもよい。当該適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDは、拡張データに仮想境界の位置に関するパラメータ(すなわち、仮想境界位置マーキング情報)がさらに付加されていることを復号化側に通知するために用いられ、それにより、その後に、復号化側は、現在フレームが適応型イントラリフレッシュメカニズムをサポートするか否かを決定することができ、さらに、仮想境界位置マーキング情報に基づいて現在フレームのビットストリームを復号化する。
【0083】
表1は、本発明の実施例にて提供される拡張データのシンタックス要素の概略表である。表1に示すように、本発明の実施例における拡張された適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDは「1110」である。このシーンでは、拡張データは、仮想境界の位置に関するパラメータを示すための「air_parameters_extension」フィールドをさらに含む。
【表1】
【0084】
なお、上記表1は、本発明の実施例にて提供される拡張データのシンタックス要素の選択可能な例に過ぎず、本発明の実施例は、これらのシンタックス要素の具体的な表現形式を限定しない。さらに、表1における他のシンタックス要素の解釈は、関連する規格を参照することができ、本発明の実施例は、これを限定しない。
【0085】
1つの可能な実施形態において、上記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と、第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み得る。ここで、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられ、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0086】
この場合、表2に示すように、上記表1のシンタックス要素air_parameters_extension()は、第1の仮想境界位置マーキング情報と、第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み得る。表2は、本発明の実施例にて提供される別のシンタックス要素の概略表であり、表2に示すように、air_parameters_extension()は、extension_id(前述した適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを識別するために用いられる)と、air_bound_x(第1の仮想境界位置マーキング情報を識別するために用いられる)と、air_bound_y(第2の仮想境界位置マーキング情報を識別するために用いられる)と、を含む。
【表2】
【0087】
なお、上記仮想境界位置マーキング情報の実施例は、列挙的なものに過ぎず、本発明の実施例にて提供される仮想境界位置マーキング情報の機能を限定するものではなく、現在フレームの水平方向における現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界の位置、及び現在フレームの垂直方向における当該仮想境界の位置を示すことができるマーキング情報は、いずれも本発明の実施例にて提供される仮想境界位置マーキング情報の範囲内にある。
【0088】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定した後、現在フレームのビットストリームを符号化することができる。具体的には、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とする。
【0089】
それに応じて、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報を付加し、且つ現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、且つ第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくする。
【0090】
例示的に、上記第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界のx座標であり、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界のy座標である。このようなシーンでは、現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅がx座標であり、高さがy座標である矩形領域であり、現在フレームにおける未リフレッシュ領域とは、現在フレームにおいてリフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0091】
また、例示的に、第1の仮想境界位置マーキング情報の値は、現在フレームの水平方向における仮想境界の占める幅が何個のLCUの幅であるかを示してもよい。第2の仮想境界位置マーキング情報の値は、現在フレームの垂直方向における仮想境界の占める高さが何個のLCUの高さであるかを示してもよい。
【0092】
この場合、表2のair_bound_xは、画像におけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界のx座標を示し、当該x座標は、LCUの幅を単位とする。表2のair_bound_yは、画像中におけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域との間の仮想境界のy座標を示し、当該y座標は、LCUの高さを単位とする。
【0093】
例えば、第1の仮想境界位置マーキング情報の値が2であり、第2の仮想境界位置マーキング情報の値が3である場合、現在のリフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とし、2倍のLCUの幅をx座標とし、3倍のLCUの高さをy座標とする矩形領域であることを表す。
【0094】
このようなシーンでは、第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は1つのLCUの幅であり、第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は1つのLCUの高さである。
【0095】
なお、上記は、本発明の実施例にて提供される境界精度を例示的に説明する選択可能な実施例であり、本発明の実施例に係る境界精度の範囲を限定しない。ここで、境界精度は、リフレッシュ済み領域の幅精度と高さ精度とを含む。ここで、リフレッシュ済み領域の幅精度とは、リフレッシュ済み領域の最小幅であり、通常、リフレッシュ済み領域の実際の幅は、当該幅精度の整数倍に設定される。リフレッシュ済み領域の高さ精度とは、リフレッシュ済み領域の最低高さであり、通常、リフレッシュ済み領域の実際の高さは、当該高さ精度の整数倍に設定される。
【0096】
図5は、本発明の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムにおけるイントラリフレッシュフレームの領域分布概略図である。図5に示すように、イントラリフレッシュフレームのリフレッシュ済み領域とは、座標(0,0)を左上隅とする、幅がx座標AirBoundXであり、高さがy座標AirBoundYである矩形領域であり、当該イントラリフレッシュフレームの未リフレッシュ領域とは、当該イントラリフレッシュフレームにおいてリフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0097】
すなわち、図5のイントラリフレッシュフレームは、リフレッシュ済み領域と、未リフレッシュ領域とを含む。リフレッシュ済み領域は、現在画像又は他の画像のリフレッシュ済み領域のみを用いて復号化し、未リフレッシュ領域は、現在画像又は他の画像を用いて復号化してもよい。
【0098】
図5のPictureWidthInLcuは、画像幅をLCUの幅で割った値を示し、PictureHeightInLcuは、画像高さをLCUの高さで割った値を示す。図5に示すように、AirBoundXの値は、PictureWidthInLcu以下とすべきである。AirBoundYの値は、PictureHeightInLcu以下とすべきである。
【0099】
さらに、上記AirBoundX、AirBoundYは、復号化過程において、シンタックスにおける第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報に対して設定される2つの変数である。この2つの変数は、依然として画像におけるリフレッシュ済み領域のx座標とy座標とを示すために用いられる。具体的に、これら2つの変数の値については、その後に復号化側で詳細に説明し、ここでは詳しく説明しない。
【0100】
さらに、現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、符号化側は、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定する。それにより、復号化側は、その後、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とに基づいて、現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであるか否かを判断することができる。
【0101】
以上のように、現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加され、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割するとき、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定することができ、続いて当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示せばよく、それによりリフレッシュ領域分割の柔軟性を向上させ、すなわち、本発明の実施例は、拡張データを通じて、リフレッシュ領域を適応的に分割することを実現する適応型イントラリフレッシュメカニズムを提供する。
【0102】
以下、図6に示す実施例により、本発明の実施例にて提供されるイントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法を詳細に解釈して説明する。図6に示すように、当該復号化方法は、ステップ601~ステップ603を含む。
【0103】
ステップ601において、現在フレームのビットストリームを受信する。
【0104】
符号化側は、図4に示す方法により符号化を行った後、各画像のビットストリームを復号化側に送信することができ、復号化側では、図6に示す実施例により画像の復号化を行う。
【0105】
ステップ602において、現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得し、仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられる。
【0106】
適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報の関連解釈については、同様に符号化側の実施例におけるステップ401を参照することができ、ここではその説明が省略される。
【0107】
また、図4に示す実施例から分かるように、現在フレームのビットストリームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定する。
【0108】
例えば、表2に示すシンタックス要素について、現在フレームのビットストリームの拡張データにおいて動画拡張IDである「1110」が見つけられない場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定し、この場合、他の復号化方式により現在フレームのビットストリームを復号化することができ、本発明の実施例は、適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合の復号化過程を限定しない。
【0109】
ステップ603において、当該仮想境界位置マーキング情報に基づいて、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定する。
【0110】
図4に示す実施例から分かるように、拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在する場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするとは限らない。したがって、ステップ602により仮想境界位置マーキング情報を取得した後、仮想境界位置マーキング情報に基づいて、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かをさらに判断する必要がある。
【0111】
図4に示す実施例から分かるように、仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含む。ここで、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられ、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0112】
このようなシーンでは、ステップ603の実現過程は以下のとおりである。第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定する。それに応じて、第1の仮想境界位置マーキング情報の値又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定する。
【0113】
例えば、表1及び表2に示すシンタックス要素について、拡張データを復号化する時に、ビットストリームに適応型イントラリフレッシュパラメータair_bound_x及びair_bound_yが存在するか否かを判断する。これらの2つのパラメータが存在する場合、図5における現在フレームのAirBoundXの値をair_bound_xの値に等しくし、現在フレームのAirBoundYの値をair_bound_yの値に等しくする。これらの2つのパラメータが存在しない場合、現在フレームのAirBoundXの値を0とし、現在フレームのAirBoundYの値を0とする。
【0114】
ここで、現在フレームのAirBoundX及びAirBoundYは、既に前述したように解釈して説明され、ここではその説明が省略される。
【0115】
現在フレームのAirBoundX及びAirBoundYを得た後、AirBoundX及びAirBoundYがいずれも0よりも大きい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定する。AirBoundX及び/又はAirBoundYが0に等しい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定する。
【0116】
さらに、復号化側は、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定した場合、現在フレームがランダムアクセスポイントであると決定する。ここで、前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む。
【0117】
それに応じて、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、且つ現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定する。
【0118】
例えば、表1及び表2に示すシンタックス要素について、現在フレームの拡張データに、パラメータair_bound_x及びair_bound_yが存在し、且つ両方の値がいずれも0よりも大きく、そして、現在フレームの復号化順における前のフレームのパラメータair_bound_x及びair_bound_yが存在しないか、又は存在し、且つ少なくとも一方が0に等しい場合、現在フレームはランダムアクセスポイントであり、現在フレームからランダムアクセスを行うことが許容される。
【0119】
現在フレームの拡張データに、パラメータair_bound_x及びair_bound_yが存在し、且つair_bound_xの値がPictureWidthInLcuに等しく、air_bound_yの値がPictureHeightInLcuに等しい場合、現在フレームはリカバリポイントであり、現在フレームから以降の各フレーム画像はいずれも正確に復号化することができる。
【0120】
さらに、前記現在フレームがランダムアクセスに用いられる場合、前記現在フレームを復号化する前に、復号化側は有効なシーケンスヘッダを取得する必要がある。当該シーケンスヘッダに付加された情報に基づいて、前記現在フレームを復号化する。
【0121】
ここで、有効なシーケンスヘッダは、ビットストリームにおいて、現在フレームのビットストリームよりも前に位置し、且つ現在フレームのビットストリームに最も近いシーケンスヘッダであってもよいし、システムレイヤから受信したシーケンスヘッダであってもよい。シーケンスヘッダに付加された情報は、ビットストリームのプロファイル、レベル、各種の技術のイネーブルスイッチ、画像の解像度やフレームレートなどの復号化過程に使用が必要なシーケンスレベルの情報を含む。
【0122】
なお、本発明の実施例において、仮想境界の位置情報を任意に指定することができるので、本発明の実施例は、水平、垂直、及び斜めリフレッシュをサポートし、リフレッシュ方向は左上から右下までであってもよく、ここでは詳細な説明が省略される。
【0123】
以上のように、現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加され、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割するとき、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定することができ、続いて当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示せばよく、それによりリフレッシュ領域分割の柔軟性を向上させ、すなわち、本発明の実施例は、拡張データを通じて、リフレッシュ領域を適応的に分割することを実現する適応型イントラリフレッシュメカニズムを提供する。
【0124】
図7は、本発明の実施例にて提供される復号化装置の構造の概略図である。図7に示すように、当該復号化装置700は、
現在フレームのビットストリームを受信するための受信モジュール701と、
現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得するための処理モジュール702であって、仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられる処理モジュール702と、を含み、
処理モジュール702は、さらに、仮想境界位置マーキング情報に基づいて、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定する。
【0125】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、処理モジュールは、さらに、現在フレームのビットストリームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0126】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられ、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0127】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界のx座標であり、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界のy座標であり、リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅がx座標であり、高さがy座標である矩形領域であり、未リフレッシュ領域とは、現在フレームにおいてリフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0128】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、処理モジュールは、第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0129】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、処理モジュールは、さらに、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定するために用いられ、ここで、前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、前のフレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む。
【0130】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、処理モジュールは、さらに、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定するために用いられる。
【0131】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの高さである。
【0132】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、処理モジュールは、さらに、現在フレームがランダムアクセスのために用いられる場合、現在フレームを復号化する前に、1つの有効なシーケンスヘッダを取得し、シーケンスヘッダに付加された情報に基づいて現在フレームを復号化するために用いられる。
【0133】
以上のように、現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加され、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割するとき、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定することができ、続いて当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示せばよく、それによりリフレッシュ領域分割の柔軟性を向上させ、すなわち、本発明の実施例は、拡張データを通じて、リフレッシュ領域を適応的に分割することを実現する適応型イントラリフレッシュメカニズムを提供する。
【0134】
なお、上記実施例にて提供される復号化装置が適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法を実施するときは、単に上記各機能モジュールの分割を例に説明するが、実際に利用する際に、需要に応じて、上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて行わせ、すなわち、デバイスの内部構造を異なる機能モジュールに分割して、以上説明した機能の全部又は一部を行うようにしてもよい。また、上記実施例にて提供される復号化装置は、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法の実施例の思想と同じであり、その具体的な実現過程は、方法の実施例を詳しく参照されたく、ここではその説明が省略される。
【0135】
図8は、本発明の実施例にて提供される符号化装置の構造の概略図である。図8に示すように、当該符号化装置800は、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するための符号化モジュール801を含む。符号化モジュールは、さらに、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加するために用いられ、仮想境界位置マーキング情報は仮想境界の位置を示すために用いられ、仮想境界は少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられる。
【0136】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられ、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界の画素位置を示すために用いられる。
【0137】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、第1の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの水平方向における仮想境界のx座標であり、第2の仮想境界位置マーキング情報は、現在フレームの垂直方向における仮想境界のy座標であり、リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅がx座標であり、高さがy座標である矩形領域であり、未リフレッシュ領域とは、現在フレームにおいてリフレッシュ済み領域以外の他の領域である。
【0138】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、符号化モジュールは、さらに、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、又は現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とするために用いられる。
【0139】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、符号化モジュールは、さらに、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、現在フレームの拡張データに付加した第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくするために用いられる。
【0140】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、符号化モジュールは、さらに、現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における現在フレームの前のフレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するために用いられる。
【0141】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、符号化モジュールは、さらに、現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定するために用いられる。
【0142】
上記装置に基づき、1つの可能な実現形態において、第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの高さである。
【0143】
以上のように、現在フレームのビットストリームにおける拡張データに、適応型イントラリフレッシュ動画拡張ID及び仮想境界位置マーキング情報が新たに追加され、当該仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すことができ、且つ当該仮想境界は、少なくとも現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるため、符号化側は、現在フレームのリフレッシュ領域を分割するとき、実際の需要に応じて当該仮想境界を任意に設定することができ、続いて当該仮想境界位置マーキング情報を通じて当該仮想境界の位置を示せばよく、それによりリフレッシュ領域分割の柔軟性を向上させ、すなわち、本発明の実施例は、拡張データを通じて、リフレッシュ領域を適応的に分割することを実現する適応型イントラリフレッシュメカニズムを提供する。
【0144】
なお、上記実施例にて提供される符号化装置が適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法を実施するときは、単に上記各機能モジュールの分割を例に説明するが、実際に利用する際に、需要に応じて、上記機能を異なる機能モジュールに割り当てて行わせ、すなわち、デバイスの内部構造を異なる機能モジュールに分割して、以上説明した機能の全部又は一部を行うようにしてもよい。また、上記実施例にて提供される符号化装置は、適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法の実施例の思想と同じであり、その具体的な実現過程は、方法の実施例を詳しく参照されたく、ここではその説明が省略される。
【0145】
図9は、本発明の実施例にて提供される端末900の構造の概略図である。前述した実施例に係る復号化デバイス、復号化側、復号化装置、及び符号化デバイス、符号化側、符号化装置は、いずれも当該端末で実現することができる。具体的に、当該端末900は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、MP3プレーヤー(Moving Picture Experts Group Audio Layer III、動画専門家集団による圧縮規格のオーディオレイヤ3)、MP4(Moving Picture Experts Group Audio Layer IV、動画専門家集団による圧縮規格のオーディオレイヤ4)プレーヤー、ノート型パソコン、又はデスクトップパソコンであってもよい。端末900は、ユーザーデバイス、携帯端末、ラップトップ端末、デスクトップ端末などの他の名称で呼ばれることもある。通常、端末900は、プロセッサ901とメモリ902とを含む。
【0146】
プロセッサ901は、例えば、4コアプロセッサ、8コアプロセッサなど、1つ又は複数の処理コアを含み得る。プロセッサ901は、DSP(Digital Signal Processing、デジタル・シグナル・プロセッシング)、FPGA(Field-Programmable Gate Array、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)、PLA(Programmable Logic Array、プログラマブル・ロジック・アレイ)のうち少なくとも1つのハードウェアの形態で実現され得る。プロセッサ901は、メインプロセッサとコプロセッサとをさらに含み得、メインプロセッサは、ウェイク状態のデータを処理するためのプロセッサであり、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)とも呼ばれ、コプロセッサは、待機状態のデータを処理するための低消費電力プロセッサである。いくつかの実施例において、プロセッサ901に、ディスプレイに表示されるコンテンツのレンダリング及び描きを担うためのGPU(Graphics Processing Unit)を有し得る。いくつかの実施例において、プロセッサ901は、機械学習に関連する計算動作を処理するためのAI(Artificial Intelligence、アーティフィシャル・インテリジェンス)プロセッサをさらに含み得る。
【0147】
メモリ902は、非一時的であり得る1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリ902は、高速ランダムアクセスメモリ、及び1つ以上のディスク記憶デバイス、フラッシュメモリ記憶デバイスなどの不揮発性メモリをさらに含み得る。いくつかの実施例において、メモリ902内の非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、本発明の方法の実施例にて提供される適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化方法を実行するように、プロセッサ901により実行される少なくとも1つの命令を記憶するために用いられる。
【0148】
いくつかの実施例において、端末900は、オプションで、周辺デバイスインタフェース903と、少なくとも1つの周辺デバイスとをさらに含む。プロセッサ901、メモリ902、及び周辺デバイスインタフェース903は、互いにバス又は信号線を介して接続され得る。各周辺デバイスは、バス、信号線、又は回路基板を介して周辺デバイスインタフェース903に接続され得る。具体的には、周辺デバイスは、無線周波数回路904、ディスプレイ905、カメラ部品906、音声回路907、測位部品908、及び電源909のうちの少なくとも1つを含む。
【0149】
周辺デバイスインタフェース903は、I/O(Input/Output、入力/出力)に関連する少なくとも1つの周辺デバイスをプロセッサ901及びメモリ902に接続するために用いられる。いくつかの実施例において、プロセッサ901、メモリ902、及び周辺デバイスインタフェース903は、同じチップ又は回路基板に集積化され、いくつかの他の実施例において、プロセッサ901、メモリ902、及び周辺デバイスインタフェース903のうちいずれか1つ又は2つは、別個のチップ又は回路基板で実現され得、本実施例はこれを限定しない。
【0150】
無線周波数回路904は、電磁信号とも呼ばれるRF(Radio Frequency、無線周波数)信号を受信及び送信するために用いられる。無線周波数回路904は、電磁信号により通信ネットワーク及び他の通信デバイスと通信する。無線周波数回路904は、電気信号を電磁信号に変換して送信するか、又は受信した電磁信号を電気信号に変換する。オプションで、無線周波数回路904は、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つ又は複数の増幅器、チューナ、発振器、デジタルシグナルプロセッサ、符号化復号化チップセット、加入者識別モジュールカードなどを含む。無線周波数回路904は、少なくとも1つの無線通信プロトコルを介して他の端末と通信し得る。当該無線通信プロトコルは、メトロポリタンエリアネットワーク、各世代の移動通信ネットワーク(2G、3G、4G及び5G)、無線ローカルエリアネットワーク、及び/又はWiFi(Wireless Fidelity、ワイヤレスフィデリティ)ネットワークを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、無線周波数回路904は、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)に関連する回路をさらに含み得、本発明は、これを限定しない。
【0151】
ディスプレイ905は、UI(User Interface、ユーザーインタフェース)を表示するために用いられる。当該UIは、図形、テキスト、アイコン、動画、及びそれらの任意の組合せを含み得る。ディスプレイ905がタッチディスプレイである場合、ディスプレイ905は、さらに、ディスプレイ905の表面又は表面の上方のタッチ信号を収集する能力を有する。当該タッチ信号は、制御信号としてプロセッサ901に入力されて処理され得る。このとき、ディスプレイ905は、さらに、ソフトボタン及び/又はソフトキーボードとも呼ばれる仮想ボタン及び/又は仮想キーボードを提供するために用いられる。いくつかの実施例において、ディスプレイ905は、1つであってもよく、端末900のフロントパネルに設置され、他の実施例において、ディスプレイ905は、少なくとも2つであってもよく、それぞれ端末900の異なる表面に設置されるか、又は折り畳まれるように設計され、他の実施例において、ディスプレイ905は、端末900の曲面又は折り畳み面に設置されたフレキシブルディスプレイであってもよい。さらには、ディスプレイ905は、矩形以外の不規則な図形、すなわち異形画面となるように設置されてもよい。ディスプレイ905は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)などの材質を用いて作製され得る。
【0152】
カメラ部品906は、画像又は動画を収集するために用いられる。オプションで、カメラ部品906は、フロントカメラ及びバックカメラを含む。通常、フロントカメラは、端末のフロントパネルに設置され、バックカメラは、端末の裏面に設置される。いくつかの実施例において、バックカメラは、少なくとも2つであり、それぞれメインカメラ、被写界深度カメラ、広角カメラ、望遠カメラのうちのいずれか1つであることで、メインカメラと被写界深度カメラとの融合による背景ぼかし機能、メインカメラと広角カメラとの融合によるパノラマ撮影及びVR(Virtual Reality、バーチャルリアリティ)撮影機能、又は他の融合による撮影機能を実現する。いくつかの実施例において、カメラ部品906は、フラッシュランプをさらに含み得る。フラッシュランプは、単色温度フラッシュランプであってもよいし、二色温度フラッシュランプであってもよい。二色温度フラッシュランプとは、ウォームホワイトフラッシュランプとクールホワイトフラッシュランプとの組合せであり、異なる色温度での光線補正に使用し得る。
【0153】
音声回路907は、マイクロフォン及びスピーカーを含み得る。マイクロフォンは、ユーザー及び環境の音波を収集し、音波を電気信号に変換してプロセッサ901に入力して処理させるか、又は音声通信を可能にするように無線周波数回路904に入力するために用いられる。ステレオ集音又はノイズ低減の目的で、マイクロフォンは、複数であってもよく、端末900の異なる箇所にそれぞれ設置される。また、マイクロフォンは、アレイマイクロフォンであってもよいし、全方位集音型マイクロフォンであってもよい。スピーカーは、プロセッサ901又は無線周波数回路904からの電気信号を音波に変換するために用いられる。スピーカーは、従来の薄膜スピーカーであってもよいし、圧電セラミックスピーカーであってもよい。スピーカーが圧電セラミックスピーカーである場合、電気信号を人間が聞こえる音波に変換することができるだけでなく、さらに、電気信号を測距などの用途のために人間が聞こえない音波に変換することができる。いくつかの実施例において、音声回路907は、ヘッドホンジャックをさらに含み得る。
【0154】
測位部品908は、ナビゲーション又はLBS(Location Based Service、位置に基づくサービス)を可能にするために、端末900の現在の地理的位置を測位するために用いられる。測位部品908は、米国のGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)、中国の北斗システム、ロシアのグロナスシステム、又は欧州連合のガリレオシステムに基づく測位部品であってもよい。
【0155】
電源909は、端末900における各部品に電力を供給するために用いられる。電源909は、交流電源、直流電源、一次電池、又は二次電池であってもよい。電源909が二次電池を含む場合、当該二次電池は、有線充電又は無線充電をサポートすることが可能である。当該充電池は、さらに、急速充電技術をサポートするために用いられる。
【0156】
いくつかの実施例において、端末900は、1つ又は複数のセンサ910をさらに含む。当該1つ又は複数のセンサ910は、加速度センサ911、ジャイロセンサ912、圧力センサ913、指紋センサ914、光学センサ915、及び近接センサ916を含むが、これらに限定されない。
【0157】
加速度センサ911は、端末900で構築された座標系の3つの座標軸における加速度の大きさを検出することができる。例えば、加速度センサ911は、重力加速度の3つの座標軸における成分を検出するために用いられる。プロセッサ901は、加速度センサ911により収集された重力加速度信号に基づき、ディスプレイ905をユーザーインタフェースの表示を横方向ビュー又は縦方向ビューで行うように制御することができる。加速度センサ911は、さらに、ゲーム又はユーザーの運動データの収集に使用し得る。
【0158】
ジャイロセンサ912は、端末900の本体の方向及び回転角度を検出することができ、ジャイロセンサ912は、加速度センサ911と連携して端末900に対するユーザーの3Dモーションを収集することができる。プロセッサ901は、ジャイロセンサ912が収集したデータに基づき、動作感知(ユーザーの傾斜操作によるUIの変更など)、撮影時の画像安定化、ゲーム制御、及び慣性航法などの機能を実現することができる。
【0159】
圧力センサ913は、端末900の側面フレーム及び/又はディスプレイ905の下層に設置され得る。圧力センサ913は、端末900の側面フレームに設置される場合、ユーザーによる端末900に対する握り信号を検出することができ、プロセッサ901は圧力センサ913により収集された握り信号に基づき、左右手の識別又はショートカット操作を行う。圧力センサ913がディスプレイ905の下層に設置される場合、プロセッサ901は、ユーザーによるディスプレイ905に対する押圧操作に応じて、UI画面上の操作可能なコントロールに対する制御を実現する。操作可能なコントロールは、ボタンコントロール、スクロールバーコントロール、アイコンコントロール、メニューコントロールのうちの少なくとも1つを含む。
【0160】
指紋センサ914は、ユーザーの指紋を収集するために用いられ、プロセッサ901が指紋センサ914により収集された指紋に基づいてユーザーの身元を識別するか、又は指紋センサ914が収集した指紋に基づいてユーザーの身元を識別する。ユーザーの身元が信頼可能な身元であると識別されると、ユーザーは、スクリーンをアンロックすること、暗号化情報を見ること、ソフトウェアをダウンロードすること、支払い、及び設定を変更することなどを含む、関連する機密操作を実行することをプロセッサ901により許可される。指紋センサ914は、端末900の正面、裏面、又は側面に設置され得る。端末900に物理ボタン又はメーカーのLogoが設置される場合、指紋センサ914は物理ボタン又はメーカーのLogoと集積化され得る。
【0161】
光学センサ915は、周囲光の強度を収集するために用いられる。1つの実施例において、プロセッサ901は、光学センサ915により収集された周囲光の強度に基づき、ディスプレイ905の表示輝度を制御することができる。具体的には、周囲光の強度が高い場合、ディスプレイ905の表示輝度を上げ、周囲光の強度が低い場合、ディスプレイ905の表示輝度を下げる。別の実施例において、プロセッサ901は、さらに、光学センサ915により収集された周囲光の強度に基づき、カメラ部品906の撮影パラメータを動的に調整することができる。
【0162】
近接センサ916は、距離センサとも呼ばれ、通常、端末900のフロントパネルに設置される。近接センサ916は、ユーザーと端末900の正面との間の距離を収集するために用いられる。1つの実施例において、近接センサ916が、ユーザーと端末900の正面との間の距離が徐々に小さくなることを検出すると、プロセッサ901はディスプレイ905を画面点灯状態から画面消灯状態に切り替えるように制御し、近接センサ916が、ユーザーと端末900の正面との間の距離が徐々に大きくなることを検出すると、プロセッサ901はディスプレイ905を画面消灯状態から画面点灯状態に切り替えるように制御する。
【0163】
図9に示された構造は、端末900に対する限定を構成するものではなく、図示よりも多くの部品若しくは少ない部品を含み、又は、特定の部品を組み合わせ、又は異なる部品配置を採用してもよいことは当業者に理解される。
【0164】
本発明の実施例は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記記憶媒体における命令が端末のプロセッサにより実行されると、端末が上記実施例にて提供された適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化方法を実行することができる。
【0165】
本発明の実施例は、端末上で実行されると、上記の実施例にて提供された適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化、符号化方法を端末に実行させる、命令を含むコンピュータプログラム製品をさらに提供する。
【0166】
上記実施例を実現するステップの全部又は一部が、ハードウェアにより行われてもよいし、プログラムにより関連するハードウェアに行わせるように命令してもよく、前記プログラムは、例えば、リードオンリーメモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどであり得るコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得ることは当業者に理解される。
【0167】
以上は、本発明の実施例の好ましい実施例に過ぎず、本発明の実施例を限定するものではなく、本発明の実施例の精神と原則内において行われたあらゆる修正、同等の置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0168】
700 復号化装置
701 受信モジュール
702 処理モジュール
800 符号化装置
801 符号化モジュール
900 端末
901 プロセッサ
902 メモリ
903 周辺デバイスインタフェース
904 無線周波数回路
905 ディスプレイ
906 カメラ部品
907 音声回路
908 測位部品
909 電源
910 センサ
911 加速度センサ
912 ジャイロセンサ
913 圧力センサ
914 指紋センサ
915 光学センサ
916 近接センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在フレームのビットストリームを受信するステップと、
前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定するステップと、
前記現在フレームのビットストリームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく復号化方法。
【請求項2】
前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、
前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とし、幅は前記x座標であり、高さは前記y座標である矩形領域であり、
前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップは、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値がいずれも0よりも大きい場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定するステップと、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しい場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないことは、
前記前のフレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しないこと、又は、
前記前のフレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在するが、前記前のフレームの第1の仮想境界位置マーキング情報及び/又は第2の仮想境界位置マーキング情報の値が0に等しいことを含む、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートすると決定し、且つ前記現在フレームの第1の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超えると決定し、且つ前記現在フレームの第2の仮想境界位置マーキング情報に基づいて仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定した場合、前記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントであると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの最大符号化ユニットLCUの幅であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定するステップと、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加するステップであって、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられるステップと、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加せず、
前記現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする適応型イントラリフレッシュメカニズムに基づく符号化方法。
【請求項9】
前記仮想境界位置マーキング情報は、第1の仮想境界位置マーキング情報と第2の仮想境界位置マーキング情報とを含み、
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられ、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界の画素位置を示すために用いられる、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの水平方向における前記仮想境界のx座標であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報は、前記現在フレームの垂直方向における前記仮想境界のy座標であり、
前記リフレッシュ済み領域とは、画像の左上隅の座標(0,0)を原点とする、幅が前記x座標であり、高さが前記y座標である矩形領域であり、前記未リフレッシュ領域とは、前記現在フレームにおける前記リフレッシュ済み領域以外の他の領域である、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加するが、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値及び/又は前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値を0とする、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに付加した前記第1の仮想境界位置マーキング情報の値を0よりも大きくし、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報の値も0よりも大きくする、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
記現在フレームがランダムアクセスのリカバリポイントである場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ前記第1の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの右側境界に等しいか又はそれを超え、且つ前記第2の仮想境界位置マーキング情報により示される仮想境界の画素位置が前記現在フレームの下側境界に等しいか又はそれを超えると決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つのLCUの幅であり、
前記第2の仮想境界位置マーキング情報の精度は、1つの前記LCUの高さである、
ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項15】
現在フレームのビットストリームを受信するための受信モジュールと、
前記現在フレームのビットストリームに拡張データが存在し、且つ前記拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが付加されている場合、前記拡張データに付加された仮想境界位置マーキング情報を取得し、ここで、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられ、
前記仮想境界位置マーキング情報に基づいて、前記現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定し、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ復号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームはランダムアクセスポイントであると決定し、
前記現在フレームのビットストリームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDが存在しない場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定するための処理モジュールと、を含む、
ことを特徴とする復号化装置。
【請求項16】
現在フレームが適応型イントラリフレッシュ技術をサポートするか否かを決定し、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートする場合、前記現在フレームの拡張データに適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDと前記現在フレームの仮想境界位置マーキング情報とを付加し、ここで、前記仮想境界位置マーキング情報は、仮想境界の位置を示すために用いられ、前記仮想境界は、少なくとも前記現在フレームにおけるリフレッシュ済み領域と未リフレッシュ領域とを区別するために用いられ、
前記現在フレームがランダムアクセスポイントである場合、前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートし、且つ符号化順における前記現在フレームの前のフレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしないと決定し、
前記現在フレームが前記適応型イントラリフレッシュ技術をサポートしない場合、前記現在フレームの前記拡張データに前記適応型イントラリフレッシュ動画拡張IDを付加しないための符号化モジュール、を含む、
ことを特徴とする符号化装置。
【請求項17】
プロセッサと、
プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリと、を含む復号化デバイスであって、
前記プロセッサは、上記請求項1~のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成される、
ことを特徴とする復号化デバイス。
【請求項18】
プロセッサと、
プロセッサにより実行可能な命令を記憶するためのメモリと、を含む符号化デバイスであって、
前記プロセッサは、上記請求項~14のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するように構成される、
ことを特徴とする符号化デバイス。
【請求項19】
命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令がプロセッサにより実行されると、上記請求項1~、又は上記請求項~14のいずれか1項に記載の方法のステップが実施される
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】