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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】防水通気性生地
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/102 20190101AFI20231124BHJP
   A41D 3/04 20060101ALI20231124BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A41D31/102
A41D3/04 P
D06M15/227
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552393
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 GB2021052966
(87)【国際公開番号】W WO2022101649
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2018018.8
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520503289
【氏名又は名称】アンフィバイオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カメイ ジュン
【テーマコード(参考)】
3B031
4L033
【Fターム(参考)】
3B031AA14
3B031AB02
3B031AB03
3B031AB06
3B031AE12
4L033AB04
4L033AC03
4L033CA12
(57)【要約】
防水通気性生地(200)は、基材(202)と、基材に配置された気体透過性水不透過性多孔性膜(204)とを備える。基材及び多孔性膜は、例えばポリマーといった同一の材料、又は、同一タイプの材料から形成されているか、又は、これらを含む。防水通気性生地(200)の製造方法もまた提供されている。本方法は、気体透過性水不透過性多孔性膜(204)を基材(202)に配置するステップを含む。基材及び多孔性膜は、例えばポリマーといった同一の材料又は同一タイプの材料から形成されているか、又は、これらを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、及び
前記基材上に配置された気体透過性水不透過性多孔性膜
を備える防水通気性生地であって、
前記基材及び前記多孔性膜が、同一の材料若しくは同一タイプの材料から形成されるか、又は、同一の材料若しくは同一タイプの材料を含む、生地。
【請求項2】
防水通気性生地の製造方法であって、
気体透過性水不透過性多孔性膜を基材上に配置するステップを含み、
前記基材及び前記多孔性膜は、同一の材料若しくは同一タイプの材料から形成されるか、又は、同一の材料若しくは同一タイプの材料を含む、方法。
【請求項3】
前記材料は、高分子材料であるか、若しくは、高分子材料を含み;及び/又は、前記基材及び前記多孔性膜は、同一のポリマーカテゴリーの1種以上のポリマーから形成されているか、又は、同一のポリマーカテゴリーの1種以上のポリマーを含む、請求項1に記載の生地、又は、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーカテゴリーは、ポリオレフィン、ポリエステル又はポリアミドである、請求項3に記載の生地、又は、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記材料が疎水性である、請求項1~4のいずれか一項に記載の生地、又は、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記高分子材料は、フッ素を含まない高分子材料であるか、又は、フッ素を含まない高分子材料を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の生地、又は、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記高分子材料は、熱可塑性ポリマーであるか、又は、熱可塑性ポリマーを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の生地、又は、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマー材料は、熱可塑性ポリオレフィンであるか、又は、熱可塑性ポリオレフィンを含む、請求項7に記載の生地、又は、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリオレフィンは、ポリメチルペンテンを含む、請求項8に記載の生地、又は、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記高分子材料は、コポリマーであるか、又は、コポリマーを含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の生地、又は、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記高分子材料は、ポリメチルペンテンと、ポリメチルペンタン、ポリメチルヘキサン、ポリメチルヘプタン、ポリメチルオクタン、1種以上のα-オレフィン、又は、1種以上のα-ポリオレフィンの1種以上とのコポリマーであるか、又は、これを含む、請求項10に記載の生地、又は、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記材料が、ゼオライト、柱状粘土、アルミノリン酸塩及びシリコホスフェート(silicophosphate)の1種以上を含む、請求項1、3~11のいずれか一項に記載の生地、又は、請求項2~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔性膜が:
i)実質的に連続する、若しくは、モノリシック膜;又は
ii)不織膜
を含む、請求項1、3~12のいずれか一項に記載の生地。
【請求項14】
請求項13の項目ii)に記載の生地であって、前記不織膜が、繊維を含むと共に、任意により、マイクロ繊維又はナノ繊維を含む、生地。
【請求項15】
前記繊維が、実質的に50nm~実質的に200μm、又は、実質的に50nm~実質的に200nmの直径を有する、請求項14に記載の生地。
【請求項16】
i)前記多孔性膜の間隙率が、実質的に10体積%~実質的に90体積%、及び、任意により、実質的に30体積%~実質的に90体積%、及び、さらには、任意により、実質的に60体積%~実質的に90体積%であり、並びに/又は
ii)前記多孔性膜の孔径が、実質的に0.001μm~実質的に50μm、及び、任意により、実質的に0.01μm~実質的に30μm、及び、さらには、任意により、実質的に0.04μm~実質的に10μmである
、請求項1、3~15のいずれか一項に記載の生地。
【請求項17】
前記基材が:
i)編成基材、及び、任意により、3D編成基材;又は
ii)織基材
を含む、請求項1、3~16のいずれか一項に記載の生地。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の生地を含む、衣類又は製品。
【請求項19】
前記多孔性膜を形成するステップをさらに含む、請求項2~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記多孔性膜を形成するステップ及び前記多孔性膜を前記基材に配置するステップは、実質的に同時に、又は、単一の加工ステップで行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記多孔性膜を形成するステップは、不織多孔性膜を形成するステップを含む、請求項19又は請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記不織多孔性膜を形成するステップは、前記材料の繊維を成膜するステップを含むと共に、任意により、マイクロ繊維又はナノ繊維を成膜するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記不織多孔性膜を形成するステップは、繊維を電界紡糸するステップ又は繊維を溶融紡糸するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記多孔性膜を形成するステップは、前記基材に直接前記多孔性膜を形成するステップを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
i)前記材料の1本以上の糸を編成して前記基材を形成するステップ;又は
ii)前記材料の複数の糸を織って前記基材を形成するステップ
をさらに含む、請求項2~12、19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記材料の1本以上の糸を形成するステップ、及び、任意により、溶融紡糸を用いて前記1本以上の糸を形成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25の項目i)に記載の方法であって、前記1本以上の糸を編成するステップは前記1本以上の糸を3D編成して前記基材を形成するステップを含む、方法。
【請求項28】
前記1本以上の糸を3D編成するステップは、前記1本以上の糸を3D編成して衣類又は製品の形状の前記基材を形成するステップを含み、及び、任意により、前記衣類はレインコートである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記多孔性膜を前記基材に配置するステップの後に、前記基材及び前記多孔性膜をアニールするステップをさらに含む、請求項2~12、19~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水通気性生地、及び、防水通気性生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防水通気性生地(WBT)は、気体透過性であると共に水不透過性である生地である。「通気性」という用語は、気体(例えば、空気、水蒸気)が生地を通って透過可能であることを指す。WBTは、典型的には、1つ以上の材料層(例えば、布又は生地)に積層された気体透過性水不透過性膜を備える。染み込みを防止するために、材料の外側層に、撥水性コーティングを適用してもよい。
【0003】
WBTに係る膜は、多孔性膜と非多孔性膜の2つのカテゴリーに大別される。多孔性膜は、液体(例えば、雨滴)の膜の通過を防止し、一方で、小さな気体分子(例えば、水蒸気分子)の膜の透過を許容するミクロンサイズからサブミクロンサイズの細孔を備える。多孔性膜の材料はそれぞれの気体分子に対する固有の透過性能をも有し、これにより、膜における細孔に追加して、膜材料自体を通る気体分子の通過をも許容し得る。しかしながら、多孔性膜を通る気体分子の主な通過メカニズムは、典型的には、膜中の細孔を通るものである。対照的に、非多孔性膜においては、気体分子の主な通過メカニズムは、例えば膜中の親水性ポリマー鎖に沿った水蒸気分子の通過による、膜材料自体を通る浸透である。
【0004】
WBTはアウトドア産業において多用されており、年間3~5億平方メートルのWBTが生産されている。WBTは、防水性の衣類、靴、テント及びバッグなどの多様な製品の製造に使用可能である。2016年には、WBTの市場価値は約21億ポンドであった。
【0005】
WBTは、雨具の着用者を乾燥状態に保ちながらも、例えば快適性が高められるよう蒸発した汗を含む湿気を雨具から放出可能であるよう、レインコートなどの雨具に多く用いられる。
【0006】
しかしながら、従来のWBTは、特に環境に対する影響に関して、多数の欠点を有している。
【0007】
本発明は、前述のような点に着目して考案された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、生地が提供されている。生地は防水通気性生地であり得る。生地は基材を備え得る。生地はまた、基材上に配置された多孔性膜を備え得る。多孔性膜は、気体透過性水不透過性多孔性膜であり得る。基材及び多孔性膜は、同一の材料又は同一タイプの材料から形成され得、又は、これらを含み得、又は、これらから構成され得る。材料のタイプは、例えばポリマーのカテゴリーといった材料のカテゴリーであり得る。基材及び多孔性膜は、同一のポリマーカテゴリー由来の1種以上のポリマーを含む材料から形成され得、又は、これらを含み得、又は、これらから構成され得る。
【0009】
全体を通した「材料」への言及はまた、同一タイプの材料を指す。
【0010】
材料のカテゴリーは、すべてリサイクル可能である材料のグループを指し得る。カテゴリーは、例えばブレンドとして一緒にリサイクル可能である材料のグループを指し得る。基材及び多孔性膜が、一緒にリサイクル可能である材料から形成され、これらを含み、又は、これらから構成されることにより、生地を構成部分に分離する必要が無く、生地全体が単一のユニットとしてリサイクル可能となる。これにより、生地のリサイクルがより容易となるという利点がもたらされる。
【0011】
ポリマーカテゴリーはポリオレフィンであり得る。このカテゴリー中のポリマーの例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、ポリメチルペンテン、又は、ポリメチルペンタン、ポリメチルヘキサン、ポリメチルヘプタン、ポリメチルオクタン、1種以上のα-オレフィン、若しくは、1種以上のα-ポリオレフィン若しくは他のオレフィンの1種以上と共重合したポリメチルペンテンであり得る。
【0012】
ポリマーカテゴリーはポリエステルであり得る。このカテゴリー中からのポリマーの例は、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンサクシネートであり得る。
【0013】
ポリマーカテゴリーはポリアミドであり得る。このカテゴリー中からのポリマーの例は、ナイロン6又はナイロン66であり得る。
【0014】
従来の防水通気性生地(WBT)において、特に、多孔性膜を有するWBTにおいて、膜及び基材は、典型的には、異なる材料から形成されるか、又は、異なる材料を含む。膜及び基材は度々、同一タイプの材料ではない材料から形成されるか、又は、を含む(例えば、これらは、異なるタイプのポリマーから形成されるか、又は、これを含む)。従来のWBTが多層及び多材料性であることは、従来のWBTが多くの場合にリサイクルが困難であることを意味する。従来のWBTから形成されているか又はこれを含む衣類又は他の製品が使用できなくなった時、WBTの材料を、新たなWBTの製造のために回収し、相互に分離し、及び、再使用することは困難である。典型的には、WBTは、焼却又は埋め立てに送られることとなる。次いで、これは、新たなWBTを製造するために、新たな材料を抽出し、合成し、又は生成しなければならないことを意味する。これにより、新たなWBTの製造においては、さらなる費用及び時間が必要となる。一定のWBTには非多孔性膜が採用されており、基材と類似又は同一の材料が膜に用いられる。しかしながら、非多孔性膜WBTには物理的細孔が存在しないため、特に激しい雨及び/又は高い湿度条件において、膜の膨潤及び飽和によって通気性能などの性能パラメータに悪影響が度々及ぼされる。多孔性膜は典型的には、より良好な性能を提供する。
【0015】
本発明の利点は、生地が、単一の材料又は単一の材料のタイプから形成されていることである。生地の各コンポーネント又は層は、同一の材料又は同一タイプの材料から形成されている。これにより、材料は容易にリサイクル可能とされ得る。WBTから材料を回収するために層の分離が不要となり得る。むしろ、生地は、単一で単体の単材料製品又は製品タイプとしてリサイクルされ得る。これにより、生地のリサイクルに係る容易さ及び速度が高まると共に、コストが低減されて、生地による環境に対する影響が低減され得る。加えて、本発明の多孔性膜は、多孔性膜の優れた性能を保持しながらこれらの利点を達成し得る。
【0016】
膜及び基材が同一の材料又は同一タイプの材料から形成されることにより、接合強度が高まるという利点ももたらされる。膜及び基材は、同一の材料から形成又は構成されているためにこれらは同様の融点を有しており、そのため、より容易に一緒に接合が可能である。これにより、接合時に接合剤又は接着剤などの第2の材料を用いる必要性が、低減及び/又は排除される。接合剤/接着剤の必要性がなくなることで、生地のリサイクルがより容易となる。
【0017】
基材及び多孔性膜の材料は疎水性であり得る。
【0018】
従来のWBTでは、使用中の染み込みを防止するために、材料の外側層(例えば、布基材)に撥水性コーティングを適用する必要がある。しかしながら、撥水性コーティングは、使用及び/又は洗濯によって摩耗してしまうことがある。撥水性コーティングが損傷又は剥離した場合、布に水が染み込み、布の細孔が塞がれて水蒸気の通過が邪魔されてしまい、WBTの通気性能が低下してしまう。
【0019】
生地の基材及び膜に疎水性材料を用いることで、撥水性コーティングの必要性がなくなり、生地の構造をさらに簡素化し得る。
【0020】
材料は、高分子材料であり得るか、又は、含み得る。高分子材料は、フッ素を含まない高分子材料であり得るか、又は、含み得る。
【0021】
従来のWBTはリサイクル不可能であるため、これらは多くの場合、焼却又は埋め立てに送られる。従来のWBT膜は度々、焼却時に有害な気体が発生してしまうフッ素を含有するポリマーを用いて製造される。例えば、Gore-Tex(登録商標)膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(e-PTFE)から製造される。同様に、従来のWBTに適用される撥水性コーティングは度々、過フッ素化スルホン酸(PFOS)、過フッ素化カルボン酸(PFOA)、フッ素テロマーアルコール(FTOH)、PTFEなどのフルオロカーボンポリマー及びフッ素化ポリマーなどの有害な過フッ素化化合物(PFC)から形成される。
【0022】
生地の膜及び基材にフッ素を含まない材料を用いることで、生地のリサイクル又は廃棄に係る環境に対する影響及び/又は健康に対する影響をさらに低減し得る。
【0023】
高分子材料は、α-ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリブテン等など)、ポリエステル、ナイロン又は熱可塑性ポリマーの1種以上であり得るか、又は、含み得る。
【0024】
高分子材料は、熱可塑性ポリマーであり得るか、又は、含み得る。これにより、基材及び膜を形成するための材料の加工がより容易となり得る。熱可塑性ポリマー材料は、熱可塑性ポリオレフィンであり得るか、又は、含み得る。熱可塑性ポリオレフィンは、典型的には、低い表面エネルギー(例えば、PTFEと同様)を有し、これにより、撥水性又は疎水性に追加して、容易な加工が可能とされている。
【0025】
熱可塑性ポリオレフィンはポリメチルペンテン(PMP)であり得るか、又は、含み得る。PMPは低い表面エネルギーを有し、強く疎水性である。これにより、膜が水不透過性となり、基材への染み込みが防止され得る(水をはじくことにより)。PMPはまた、細孔を有していなくても本質的に気体透過性である。しかしながら、PMPから多孔性膜を形成することにより、水不透過性能を損なうことなく材料の気体透過性能をさらに高め得る。
【0026】
ポリメチルペンテンポリマーは4-メチル-1-ペンテンポリマーであり得るか、又は、含み得る。ポリメチルペンテンポリマーは、4-メチル-1-ペンテンと1種以上のα-オレフィンとのコポリマーであり得るか、又は、含み得る。1種以上のα-オレフィンは各々、2~20個の炭素原子を有し得るか、又は、含み得る。
【0027】
高分子材料はタンパク質系高分子材料であり得るか、又は、含み得る。高分子材料は、セルロース系及びキトサン高分子材料などの多糖類高分子材料であり得るか、又は、含み得る。
【0028】
高分子材料は、非熱可塑性ポリマーであり得る。高分子材料は天然ポリマーであり得る。
【0029】
材料はコポリマーであり得るか、又は、含み得る。材料は、PMPと、ポリメチルペンタン、ポリメチルヘキサン、ポリメチルヘプタン及びポリメチルオクタンの1種以上とのコポリマーであり得るか、又は、含み得る。
【0030】
材料は1種以上の添加剤を含み得る。材料は、ゼオライト、柱状粘土、アルミノリン酸塩及びシリコホスフェート(silicophosphate)の1種以上を含み得る。
【0031】
多孔性膜は、実質的に連続する、又は、モノリシック膜を含み得る。
【0032】
多孔性膜は、フィルムであり得るか、又は、含み得る。多孔性膜は、シートであり得るか、又は、含み得る。
【0033】
多孔性膜は不織膜を含み得る。不織膜により、多孔性膜は、損傷を受けることなく、基材の動きに追従して、屈曲し、伸張し、圧縮し、又は、ねじれることが可能とされ得る。不織膜は繊維を含み得る。繊維は、マイクロ繊維及び/又はナノ繊維であり得るか、又は、含み得る。繊維の直径は、実質的に50nm~実質的に200μmであり得る。繊維の直径は、実質的に50nm~実質的に200nmであり得る。繊維を用いて不織多孔性膜を形成することで、例えば、膜における繊維の適切な繊維直径及び体積密度を選択することによって、膜の間隙率の制御を容易とし得る。
【0034】
不織多孔性膜は、電界紡糸繊維を含み得るか、又は、これから構成され得る。不織多孔性膜は、溶融紡糸繊維を含み得るか、又は、これから構成され得る。不織膜は、重なり合った繊維によるメッシュ又はメッシュ様構造から形成され得るか、又は、これらを含み得る。
【0035】
多孔性膜の間隙率は、実質的に10体積%~実質的に90体積%であり得る。膜の間隙率は、実質的に30体積%~実質的に90体積%、又は、実質的に60体積%~実質的に90体積%であり得る。
【0036】
多孔性膜の孔径は、実質的に0.001μm~実質的に50μmであり得る。多孔性膜の孔径は、実質的に0.01μm~実質的に30μm、又は、任意により、実質的に0.04μm~実質的に10μmであり得る。
【0037】
多孔性膜の間隙率及び/又は孔径は、生地の意図される使用又は用途に応じて選択され得る。例えば、防水性特性が通気性能よりも重要である用途の生地は、より低い間隙率及び/又はより小さい孔径を有し得る。対照的に、通気性能が防水性特性よりも重要である用途の生地は、より高い間隙率及び/又はより大きな孔径を有し得る。良好な防水性特性と良好な通気性能の両方が必要とされる用途については、中間の間隙率及び/又は孔径が使用され得る。
【0038】
基材は編成基材を備え得る。基材は3D編成基材を備え得る。
【0039】
従来のWBT製の衣類は、WBT材料の個別のピースを裁断して整形し、継ぎ合わせる(例えば、縫製、縫合、接着)必要がある。材料の個別のピースが継ぎ合わされる縫い目は、衣類の全体としての防水性が担保されるよう、追加のプロセスで別途防水処理されなければならない。加えて、WBT材料のピースの整形のための裁断では、通常焼却又は埋め立てに送られる残片廃棄物が発生する。衣類に縫い目が存在することで衣類の着用者の動きに制限が生じることもあり得、例えば衣類が運動又は娯楽活動中に用いられる場合には、悪影響を及ぼす可能性がある。
【0040】
3D編成基材は、平坦な編成基材ではなく、衣類又は製品の形状に直接形成され得る。これにより、衣類に縫い目が不要となり、生地又は衣類の防水性特性がさらに向上され得る。加えて、3D編成基材によって生地の残片が減るか又は無くなり得、生地の環境に対する影響がさらに低減され得る。衣類に縫い目が無いことで、例えば運動又は娯楽活動中における着用者に対する衣類の快適性及び柔軟性もまた向上し得る。
【0041】
第2の態様によれば、第1の態様の生地を含む衣類又は製品が提供されている。衣類又は製品は、Tシャツ、ジャンパー、コート、ズボン、ショーツ、トラックスーツなどの全身スーツ、一対の靴、バッグ、帽子、一対の手袋、スカーフ等であり得る。衣類は、膜とは反対側で基材に配置された1つ以上の追加の材料層を含んでいてもよい。追加の材料層は、使用者に快適性をもたらし得る。
【0042】
第3の態様によれば、防水通気性衣類が提供されている。衣類は、3D編成衣類形態を含み得る。衣類はまた、3D編成衣類形態に配置された多孔性膜を含み得る。この多孔性膜は、気体透過性水不透過性多孔性膜であり得る。多孔性膜及び3D編成衣類形態は、同一の材料であるか、又は、同一の材料を含み得る。
【0043】
第4の態様によれば、生地の製造方法が提供されている。生地は、防水通気性生地であり得るか、又は、防水通気性生地を含み得る。生地は、第1の態様の生地であり得る。本方法は、多孔性膜を基材に配置するステップを含み得る。多孔性膜は、気体透過性水不透過性多孔性膜であり得る。基材及び多孔性膜は、同一の材料から形成され得るか、又は、同一の材料を含み得る。
【0044】
第4の態様の方法の利点は、第1の態様の生地について上記に記載されているものと実質的に同一又は類似であり得る。
【0045】
本方法は、多孔性膜を形成するステップをさらに含んでいてもよい。多孔性膜を形成するステップ及び多孔性膜を基材に配置するステップは、実質的に同時に、又は、単一の加工ステップ(又は、その一部として)で生じ得る。これにより、生地の製造に係る時間、コスト及びエネルギー消費がさらに低減され、生地の製造に係る環境に対する影響がさらに低減され得る。
【0046】
多孔性膜を形成するステップは、不織多孔性膜を形成するステップを含み得る。不織多孔性膜を形成するステップは、材料の繊維を成膜するステップを含み得る。材料の繊維を成膜するステップは、マイクロ繊維又はナノ繊維を成膜するステップを含み得る。
【0047】
不織多孔性膜を形成するステップは、繊維を電界紡糸するステップ又は繊維を溶融紡糸するステップを含み得る。これにより、重なり合った繊維によるメッシュ又はメッシュ様構造を形成して、多孔性膜をもたらす繊維が得られ得る。
【0048】
多孔性膜を形成するステップは、テンプレート除去技術の使用を含み得る。テンプレート除去は、溶融したポリマーに粒子を混合するステップ、混合物をフィルムとして押し出すステップ、次いで、粒子を除去して細孔を形成するステップを含み得る。
【0049】
不混和性ポリマー材料をフィルム混合物に添加してもよい。不混和性ポリマー材料は後に除去されて細孔を形成し得る。不混和性の材料は、膜の伸張に伴って細孔の形成が開始される箇所として作用し得る。
【0050】
多孔性膜を形成するステップは、伸張技術を含み得る。伸張技術は、押し出しフィルムを加熱することにより細孔を形成するステップ、及び、次いで、フィルムを伸張して物理的な細孔を形成するステップを含み得る。
【0051】
多孔性膜を形成するステップは、多孔性膜を基材に直接形成するステップを含み得る。多孔性膜を基材に直接形成するステップは、基材に直接繊維を電界紡糸又は溶融紡糸して不織多孔性膜を基材に直接形成するステップを含み得る。これにより、生地の製造効率を向上し得る。加えて、これにより、別々に製造され、その後基材に配置される多孔性膜と比して、多孔性膜と基材とが確実に最適に接着されるよう、確実に多孔性膜を基材に実質的に適合させ得る。これにより、生地の性能及び耐用寿命の両方が向上し得る。
【0052】
本方法は、多孔性膜を基材に接合するステップを含み得る。接合するステップは、機械的接合、化学的接合、及び/又は、熱接合の併用を含み得る。機械的接合は超音波接合を含み得る。機械的接合は縫合を含み得る。
【0053】
これらの接合方法は、接着剤の量を低減して、最終的な生地のリサイクルをより容易とする利点をもたらす。これらの接合方法はまた、生地を形成する際における溶剤の使用量を低減し得る。異なる接合方法を組み合わせることにより、生地は、十分な接合強度を維持しながらもリサイクル可能とすることが可能である。
【0054】
膜及び基材の表面を接合前に処理してもよい。基材及び/又は膜をプラズマ処理などの表面変性技術に供してもよい。
【0055】
本方法は、材料の1本以上の糸を編成して基材を形成するステップを含み得る。本方法は、材料の複数の糸を織って基材を形成するステップを含み得る。材料の糸を編成するステップ又は織るステップは、生地用の基材を形成するための単純で信頼性の高いアプローチであり得る。編成又は織られた生地は、快適性及び性能のために消費者によく知られていると共に好まれている。
【0056】
1本以上の糸を編成するステップは、1本以上の糸を3D編成して基材を形成するステップを含み得る。1本以上の糸を3D編成するステップは、1本以上の糸を衣類又は製品の形状に3D編成するステップを含み得る。3D編成の利点は、第1の態様の生地について上記に記載されているものと実質的に同一又は類似であり得る。
【0057】
本方法は、材料の1本以上の糸を形成するステップを含み得る。本方法は、溶融紡糸を用いて1本以上の糸を形成するステップを含み得る。溶融紡糸は、編成され、又は、織られて基材を形成する、均一な寸法及び/又は機械特性を有する糸を形成する信頼性の高いアプローチであり得る。
【0058】
本方法は、多孔性膜を基材に配置するステップの後に、基材及び多孔性膜をアニールするステップを含み得る。これにより、多孔性膜と基材との接着を向上させ得、その結果として、生地の性能及び耐用寿命を向上し得る。
【0059】
第5の態様によれば、防水通気性衣類の製造方法が提供されている。本方法は、衣類形態又は衣類形状を3D編成するステップを含み得る。本方法は、多孔性膜を、衣類形態又は衣類形状に配置するステップをさらに含み得る。多孔性膜は気体透過性水不透過性多孔性膜であり得る。衣類形態又は衣類形状及び多孔性膜は、同一の材料から形成され得る。
【0060】
「繊維」、「ヤーン」及び「糸」という用語は、本願と通じて同義的に用いられる。これらの用語は、同一の特徴を指すために用いられ得る。例えば、「繊維」から編成されたと記載されている基材は、同様に「ヤーン」又は「糸」から編成されていてもよい。
【0061】
本発明の別々の態様及び実施形態の文脈で記載されている特徴は、可能な限りにおいて、一緒に及び/又は交換可能に使用し得る。同様に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において特徴が記載されている場合、これらの特徴はまた、別々に、又は、いずれかの好適なサブコンビネーションで提供され得る。第1の態様の生地、第2の態様の衣類又は第3の態様の衣類に関連して記載されている特徴は第4の態様の方法又は第5の態様の方法に関して定義可能な対応する特徴を有し得ると共に逆もまた同様であり、これらの実施形態は特定的に想定される。
【0062】
以下の添付の図面を参照して、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、従来の多孔性防水通気性膜の一例を示し、その作用を図示する。
図2図2は、本発明に係る防水通気性生地の実施形態を示す。
図3図3A及び3Bはそれぞれ、本発明に係る連続多孔性膜及び不織多孔性膜の実施形態を示す。
図4図4A及び4Bはそれぞれ、本発明に係る編成基材及び織基材の実施形態を示す。
図4図4Cは、本発明に従って形成された基材の写真を示す。
図5図5は、本発明に係る防水通気性衣類の製造方法の実施形態を示す。
図6図6は、本発明に係る防水通気性生地の製造方法の実施形態を示す。
図7図7A及び7Bは、PMPコポリマーの溶融紡糸により形成される糸の例を示す。
図8図8は、サンプル溶融紡糸PMPコポリマー糸の計測された直径を示す。
図9図9は、3種のサンプル溶融紡糸PMPコポリマー糸に係る応力-歪み曲線を示す。
図10図10A及び10Bはそれぞれ、PMPコポリマーの電界紡糸不織多孔性膜を異なる観点から示す。
図11図11は、SEMを用いて撮影した溶剤キャスティング及びテンプレート除去を用いて形成した膜の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
異なる図中の同様の符号は同様の要素を表し得る。
【0065】
図1は、防水通気性生地100の従来の構成の一例を示す。生地100は布基材102と、布基材102上に配置(例えば積層)された多孔性膜104とを備える。膜104は、第1の表面106aと第2の表面106bとを備える。膜102はさらに、複数の細孔108を備える。細孔108は、膜104の第1及び第2の表面106a,106b間に1つ以上のチャネル又は経路を形成する。
【0066】
膜104の細孔108は、便宜上、図1において個別の実質的に直線のチャネルとして示されている。しかしながら、細孔108は、膜104を通る湾曲した経路を形成するものであってもよく、細孔108のいくつかは相互に繋がっていてもよいことが認識されるであろう。
【0067】
細孔108は、典型的には、数μm(例えば、1μm~10μm)のサイズを有する。このサイズは、雨滴の直径(典型的には≧100μm)よりもかなり小さいが、水蒸気分子(役40×10-6μm)よりもかなり大きい。このように、多孔性膜100は、細孔108を介した膜104を通る水蒸気分子110(及び、空気などの他の気体)の透過を許容する一方で、同時に、膜104を通る水滴112の通過を防止し得る。サイズに追加して、水滴112の表面張力が大きく、膜104を通る水滴112の通過を許容しない場合もある。従って、多孔性膜104は気体透過性であるが、水不透過性であり、生地100が防水性且つ通気性となる。細孔108、水蒸気分子110及び水滴112の相対的サイズは、図1において縮尺どおりに示されてはいないことが認識されるであろう。
【0068】
防水通気性生地100は、レインコートなどの衣類に形成されるか、又は、これに一体化され得る。防水通気性生地100の布基材102は、衣類の外面又は外表面を形成する。衣類が降水中(例えば、雨、みぞれ、雪)に着用される場合、膜104は、上記に記載されているとおり、衣類の内部まで液体である水が通過することを防止することにより、着用者を温かく及び乾いた状態に維持することが可能である。しかしながら、着用者は、衣類を着用中に発汗し得る。衣類内部の空気(例えば、膜104の第1の表面106aに隣接)は、従って、衣類の外面側の空気(例えば、膜104の第2の表面106bに隣接)よりも水蒸気分子110の密度又は濃度が高い場合があり、衣類の外面側に水蒸気分子110を拡散させる推進力がもたらされる。膜104は、着用者により発生した発汗の、衣類の内部から膜104の細孔108を通って衣類の外面への移動を可能とし、これにより、使用者が涼しく保たれる。
【0069】
図2は、本発明に係る防水通気性生地200の実施形態を示す。生地200は、図1に示されている生地100と類似の構造又は構成を備える。生地200は、基材202(例えば布基材)と、基材202上に配置された多孔性膜204とを備える。膜204は、膜の第1の面206aと膜の第2の面206bとを接続する細孔208を備える。細孔208は、図2において、膜204の第1及び第2の面206a,206b間における直線のチャネルとして、概略的に示されている。しかしながら、細孔208は、膜204を通る湾曲した経路を形成するものであってもよく、細孔208のいくつかは相互に繋がっていてもよいことが認識されるであろう。多孔性膜204は従って、気体透過性であるが、水不透過性であり、生地200が防水性且つ通気性となる。図示の実施形態において、基材202及び多孔性膜204は、同一の材料又は同一タイプの材料で形成されているか、又は、これを含む。
【0070】
同一の材料で形成されているか、又は、これを含む基材202及び多孔性膜204は、生地200の容易なリサイクルを可能とし得る。生地200の層202,204の両方が同一の材料で形成されているか、又は、これを含む、とは、生地200をリサイクルするために膜204から基材202を分離させる必要がない可能性があることを意味する。生地200は、前加工(例えば、層202,204の分離)をまったく行うことなく、そのままリサイクルが可能である。対照的に、従来のWBTは典型的には多層、多材料構造であり、ここで、布基材及び多孔性膜は異なる材料から形成されている。しかしながら、従来のWBTの多層構造では、WBTをリサイクルするために異なる材料を互いに分離することが困難となってしまう。
【0071】
図示の実施形態において、基材202及び多孔性膜204は、ポリメチルペンテン(PMP)コポリマー(例えば、TPX(登録商標)MX004)から形成されているか、又は、これを含む。PMPコポリマーは、低表面エネルギー熱可塑性ポリオレフィンである。PMPコポリマーは強疎水性(高撥水性)であり、従って、膜204は水不透過性であり得る。PMPコポリマーの疎水性特性は、生地200の外表面に適用される追加の疎水性コーティングを必要とすることなく、基材202により、生地200の外表面(例えば、衣類に一体化されている場合、膜204とは反対の基材202の表面)から水をはじくことを可能とし得る。これにより、基材202は、水が染み込んだり、又は、水で飽和されることが防止され得る。典型的には、疎水性コーティングは、過フッ素化スルホン酸(PFOS)、過フッ素化カルボン酸(PFOA)、フッ素テロマーアルコール(FTOH)、PTFEなどのフルオロカーボンポリマー及びフッ素化ポリマーなどの有害な過フッ素化化合物(PFC)を含む。PMPコポリマーはフッ素を含まない材料であり、従ってPFCではない。
【0072】
PMPコポリマーはまた、膜204中に細孔が存在するか否かに関わらず、本質的に気体透過性である。図示の実施形態においては、しかしながら、膜204の気体透過性能(通気性能)をさらに高めるために、細孔208が膜204に導入されている。これについては、以下においてより詳細に検討する。
【0073】
いくつかの実施形態において、PMPコポリマーは、PMPと、例えばポリメチルペンタン、ポリメチルヘキサン、ポリメチルヘプタン、ポリメチルオクタンといった1種以上の他の高分子材料とのコポリマーを含む。或いは、基材202及び多孔性膜204は、異なる材料から形成され得るか、又は、異なる材料を含み得る。材料は、熱可塑性ポリオレフィンなどの例えば熱可塑性ポリマー材料といった異なる高分子材料(例えば、単一のポリマー又はコポリマー)であり得るか、又は、これらを含む。このようなポリマー材料は、ゼオライト、柱状粘土、アルミノリン酸塩及びシリコホスフェートの1種以上(例えば添加剤として)を含み得る。或いは、材料は無機材料であり得るか、又は、含み得る。材料が高分子材料であるか、又は、無機材料であるかにかかわらず、材料は、本質的に細孔を備え得、又は、材料は、多孔性膜204を形成するために多孔性形態に合成可能であり得る。材料はまた、疎水性であり得る。好適な疎水性高分子材料としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリ(エチレン-コ-1-オクテン)(XLA)ポリ(エチレン-コ-α-オレフィン))、ポリアミド、エラストマーポリアミド、ナイロン(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6)、高分子有機ケイ素(例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリ-1-トリメチルシリル-1-プロピン(PTP))、ポリウレタン(例えば、熱可塑性ポリウレタン(PU))、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリブタジエン(PB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン(PSU)、ポリイミド(PI)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PTFE、及びポリスチレン(PS)が挙げられる。
【0074】
図3A及び3Bは、本発明に係る多孔性膜304の実施形態を示す。図3A及び3Bに示されている膜304は、例えば図2に示されている生地200といった本発明に係る防水通気性生地の一部を形成することが可能である。
【0075】
図3Aは多孔性膜304aを示す。膜304aは、実質的に連続する、又は、モノリシック構造を備える。図示の実施形態において、膜304aの実質的に連続する構造は、細孔308を備える実質的に連続する、又は、モノリシックフィルム又はシート314を備える。膜304aは、膜304aの第1及び第2の表面306a,306b間にチャネルを形成する開孔構造(例えば、スポンジに類似)を有し得ることが認識されるであろう。
【0076】
図3Bは代替的な多孔性膜304bを示す。膜304bは不織構造を備える。図示の実施形態において、膜304bの不織構造は、材料の複数の繊維316(例えばマイクロ繊維又はナノ繊維)を含む。図示の実施形態において、繊維316は実質的に50nm~実質的に200μmの直径を有するが、他の繊維直径及びサイズも使用され得る。繊維316は互いに重ねられて、メッシュ又はメッシュ様構造を有する膜304bを形成する。図示の実施形態において、膜304b中の細孔308は、本明細書において繊維間細孔と称される、重ねられた繊維316間の空隙を備える。このような構成により、膜304bの第1及び第2の表面306a,306b間のチャネルを形成する実質的に開孔構造が提供され得る。膜304bの孔径は、膜304bにおける繊維316の面密度又は体積密度に直接関連し得ることが認識されるであろう。繊維316の密度は、平均孔径が小さいことでより高くなり得る。いくつかの実施形態において、繊維の面密度又は体積密度は、実質的に50%~実質的に70%であり得る。また、繊維316は、本明細書において繊維内細孔と称される、多孔性(例えば、繊維316は一体型細孔を備えていてもよい)であり得る。図示の実施形態において、繊維316は、相互にランダムに配向されてメッシュを形成する。或いは、繊維316は配置で互いに重ね合わされて、膜304bのメッシュ構造を形成し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、膜204,304a,304bの間隙率は、60%~90%である。或いは、間隙率は、10%~90%又は30%~90%であり得る。間隙率は、生地200の性能要件に応じて選択され得る。製造中又は後加工中における種々の材料における間隙率の制御又は改変のために、広く多様な技術及び/又はアプローチが当業者に利用可能であることが認識されるであろう。
【0078】
いくつかの実施形態において、膜204,204a,204bにおける各細孔208,308のサイズは、実質的に0.04μm~実質的に10.00μmである。或いは、各細孔のサイズは、実質的に0.01μm~実質的に30.00μm、又は、実質的に0.001μm~実質的に50.00μmであり得る。製造中又は後加工中における種々の材料における孔径の制御又は改変のために、広く多様な技術及び/又はアプローチが当業者に利用可能であることが認識されるであろう。
【0079】
図4A及び4Bは、本発明に係る基材402の実施形態を示す。図4A及び4Bに示されている基材402は、例えば図2に示されている生地200といった本発明に係る防水通気性生地の一部を形成することが可能である。図4Cは、本発明に従って形成された基材402の写真を示す。
【0080】
図4A及び4Bはそれぞれ、編成された布基材402a及び織布基材402bを示す。布基材402a,402bは、上記に記載されているとおり、PMPコポリマーなどの材料の1本以上の糸418で形成されている。PMPコポリマーはPTFEと同様の表面エネルギーを有しているが、溶融温度が低い。PMPコポリマーは従って、基材402a,402bを編成又は織るための糸418(例えば繊維押出し成形により)の形成に好適であり得る。或いは、糸418は、上記に記載されているとおり、異なる材料で形成されていてもよい。
【0081】
示されている実施形態において、糸418は実質的に50μm~実質的に250μmの直径を有する。或いは、糸418は、より大きな、又は、より小さな直径を有していてもよい。糸418の直径は、基材402a,402bの所望される性能及び/又は特性(例えば、柔軟性、触感等)に応じて選択され得る。編成布基材402aにおける編成されたループ間、又は、織布基材402bにおける織り糸間の間隔は、実質的に0.1μm~実質的に5mmであり得る。
【0082】
図4Aに図示の実施形態において、基材402aは、平坦な(実質的に二次元)編成布である。材料の糸418は、従来の編成技術を用いて(例えば編成機を用いて)編成されて、平坦な編成布基材402aがもたらされる。或いは、基材402aは、実質的に三次元編成布であり得る。編成布は、衣類の少なくとも一部の形状を形成するか、又は、含み得る。材料の糸は、三次元(3D)編成技術を用いて(例えば、デジタル編成機を用いて)編成されて、実質的に三次元の編成布基材402を形成し得る。三次元編成布基材402aは、材料の単一のピースを、多孔性膜を配置可能である衣類の形状に形成可能とし得る。典型的には、耐候性衣類は、予め形成されたWBTの複数の個別のピースを一緒に繋ぐことにより構成される。これにより、残片廃棄物が形成されてしまう。加えて、このような衣類を確実に完全防水とするために、WBTの個別のピースが(例えば、縫製又は縫合により)互いに継ぎ合わされる縫い目もまた、別途防水処理がなされなければならない。これにより、衣類の防水性が損なわれ得る可能性がある箇所の数も増えて、衣類の防水性の信頼性が低下してしまう。対照的に、三次元編成布基材402bは、材料の個別のピースを一緒に繋いで衣類を形成する必要性が排除され得る。これにより、残片廃棄物が低減され得、製造費が低減され得、及び、衣類におけるいずれかの縫い目の存在がなくなって、防水通気性衣類に係る防水信頼性が向上し得る。
【0083】
図4Bに図示の実施形態において、基材402bは織布である。織布基材402bは、一緒に織るられた複数の糸418又はヤーンを含む。図示の実施形態において、糸418は、実質的に「上下」の配置で織り合わされている。或いは、基材402bは異なる織りパターンを含み得る。図示の実施形態において、基材402bは平坦な(実質的に二次元)織布である。
【0084】
一実施形態において、織布基材は、104gm-2の密度を有する83デシテックスのヤーンを用いる平織として織られる。布経糸密度は616であり得る。
【0085】
他の実施形態において、織布基材は、135gm-2の密度を有する150デシテックスのヤーンを用いる平織として織られる。布経糸密度は360であり得る。
【0086】
或いは、基材は、上記に記載されているとおり、PMPコポリマー又は異なる材料などの材料のウェブなどの異なるタイプの布であり得るか、又は、含み得る。
【0087】
図5は、本発明に係る防水通気性生地200を製造する方法500を示す。方法500は、気体透過性水不透過性多孔性膜204を基材202に配置するステップを含む。基材202及び多孔性膜204は、同一の材料501から形成されるか、又は、同一の材料501を含む。図示の実施形態において、材料501は、生地200について上記に記載されているとおり、PMPコポリマーである。或いは、材料501は、生地200について上記に記載されているとおり、異なる材料であり得る。
【0088】
ステップ520において、方法500は、任意により、基材202を製造又は形成するステップを含む。ステップ520aは、材料501の1本以上の糸418を形成するステップを含む。図示の実施形態において、材料501の1本以上の糸418は溶融紡糸プロセスを用いて形成されているが、糸418は異なるプロセス又は技術を用いて形成し得ることが認識されるであろう。好ましくは、ステップ520aは、実質的に100nm~実質的に500μm、及び、より具体的には実質的に50μm~実質的に250μmの直径又は太さを有する1本以上の糸418を形成するステップを含むが、糸418はいずれかの好適な直径を有して形成されればよい。ステップ520bは、材料501の糸418を編成して編成布基材を形成するステップを含む。図示の実施形態において、材料501の糸418は、三次元(3D)編成(例えば、デジタル編成機を用いて)されて、基材202がレインコートの形状に直接的に形成されている。糸418は、Tシャツ、ジャンパー、コート、ズボン、ショーツ、全身スーツ、靴、バッグ等などのいずれかの衣類又は製品の形状に3D編成され得ることが認識されるであろう。或いは、材料501の糸418は、従来の編成技術を用いて編成されて実質的に平坦な編成布基材を形成し得、又は、材料501の複数の糸418は織られて織布基材を形成し得る。或いは、材料501から形成されているか、又は、材料501を含む事前に製造された基材が用いられてもよく、及び、方法500はステップ520を含まなくてもよい。
【0089】
ステップ522において、方法500は、任意により、材料501の繊維316を形成するステップを含む。図示の実施形態において、ステップ522は、電界紡糸プロセスを用いて繊維316を形成するステップを含む。或いは、繊維316は、異なるプロセス又は技術、例えば、メルトブロー、乾燥紡糸、湿式紡糸又はドライジェット湿式紡糸などの異なる溶融紡糸プロセスを用いて形成され得る。メルトブローは、マイクロメートル~サブマイクロメートルの範囲の直径を有する繊維の形成に特に好適であり得る。本開示において、溶融紡糸という用語は、広範に、材料(例えば高分子材料)が溶融されると共に、ノズルから押し出されて繊維が形成されるすべての繊維形成プロセスを指す。いくつかの繊維形成プロセス(例えば、電界紡糸及びメルトブロー)が、一体型細孔を含む繊維(以下に記載のさらに検討されている)を形成するために使用又は制御され得る。好ましくは、ステップ522は、実質的に50nm~実質的に200nmの直径を有する繊維316を形成するステップを含むが、異なる直径及び/又はサイズを有する繊維が形成されてもよい。或いは、事前に製造された繊維が用いられ得る。
【0090】
ステップ524において、方法500は、材料501の多孔性膜204を形成された基材202に配置するステップを含む。膜204を基材202に配置するステップの結果、防水通気性生地200が形成される。図示の実施形態において、膜204を基材202に配置するステップの結果、基材202が上記のとおり衣類の形状に直接的に形成されるため、防水通気性衣類が形成される。実質的に平坦な防水通気性生地200が形成される場合、生地200は、生地200から衣類を形成するために、さらになる加工(例えば、裁断、縫製、接着)が必要とされ得る。
【0091】
図示の実施形態において、ステップ524は、上記に記載されているとおり、材料501の繊維316(例えばマイクロ繊維又はナノ繊維)を基材202に配置することにより不織多孔性膜を基材202に配置して、メッシュ又はメッシュ様構造を形成するステップを含む。用いられる繊維形成プロセスに応じて、繊維316は、上記に記載されているとおり、一体型細孔を備えていてもよい。このような繊維316を基材202に配置するステップで、メッシュ構造における個別の繊維316間の細孔208(繊維間細孔)と、個別の繊維316中の細孔(繊維内細孔)との両方を備える不織多孔性膜が形成され得る。
【0092】
図示の実施形態において、方法500のステップ522及びステップ524は実質的に同時に実施される。繊維316は、基材202に直接形成又は作製される(図示の実施形態において、電界紡糸)。繊維316は、電界紡糸プロセスの一部として、基材202が直接標的とされる。多孔性膜204を形成するための基材202への繊維316の形成及び繊維316の成膜が単一の加工ステップで実施される。メルトブローなどの他の繊維形成プロセスについても同一のアプローチが採用され得ることが認識されるであろう。或いは、ステップ522及びステップ524は、時間的に互いに別とされてもよい。例えば、繊維316は、基材202への成膜の前に形成されてもよい。形成された繊維316が溶剤中に分散され、その後、基材202に成膜(例えば、噴霧、塗布、浸漬)されて、不織多孔性膜が基材202に配置されてもよい。或いは、繊維316は中間体又は仮基材(例えば、金属又はプラスチックシート又は表面)に成膜されて、多孔性膜204が形成されてもよい。次いで、多孔性膜204は仮基材から基材202に移され得る(例えば、仮基材から剥がされて、基材202上に配置される)。
【0093】
いくつかの実施形態において、方法500は、製造された生地200をアニール(例えば加熱)するステップを含む。生地200をアニールするステップは、例えば材料の融点の実質的に±50℃の間の温度といった材料の融点と同様又は近似する温度で生地200をアニールするステップを含む。例えば、PMPコポリマーの溶融温度は、典型的には、実質的に220℃~実質的に240℃である。PMPコポリマーから製造された生地200については、方法500は、実質的に180℃~実質的に260℃の温度で生地200をアニールするステップを含み得る。他の高分子材料については、アニール温度は、上記のとおり材料の融点に基づくべきであるが、実質的に90℃~300℃、又は、150℃~実質的に300℃のアニール温度が使用され得、好ましくは、実質的に180℃~実質的に280℃のアニール温度が使用され得る。アニール時間は、材料の融点に対するアニール温度に応じ得る。例えば、PMPコポリマーに対して、アニール時間は、PMPコポリマーの融点よりも低いアニール温度(例えば、実質的に220℃未満)については、分スケール(例えば、実質的に1分以上)又は時間スケール(例えば、実質的に1時間以上)であり得る。或いは、PMPコポリマーの融点よりも高いアニール温度(例えば、実質的に220℃超)については、アニール時間は、ミリ秒スケール(例えば、実質的に1ミリ秒以上)又は秒スケール(例えば、実質的に1秒以上)であり得る。生地200をアニールするステップは、基材202及び多孔性膜204を一緒に、これらにおける1つ以上の接点でタック性を持たせるか、又は、溶融することにより、基材202と多孔性膜204との接着を向上させ得る。或いは、方法500は、製造された生地200をアニールするステップ含んでいなくてもよい。基材202及び多孔性膜204は、同一の材料501から形成されるか、又は、同一の材料501を含む。基材202と多孔性膜204との間における分子間力は従って、基材202と膜204とを互いに接着するために十分であり得る。或いは、接着剤又はカップリング剤は、不織多孔性膜204が基材202に配置される前に基材202に適用され得る。或いは、方法500は、基材202及び多孔性膜204の各々を溶剤処理に供して接着を向上させるステップを含み得、又は、方法500は、基材202及び多孔性膜204を一緒に接合(例えば、超音波接合、圧力接合)して接着を向上させるステップを含み得る。
【0094】
図6は、本発明に係る防水通気性生地200を製造する方法600を示す。方法600は、気体透過性水不透過性多孔性膜204を基材202に配置するステップを含む。基材202及び多孔性膜204は、同一の材料601から形成されているか、又は、同一の材料601を含む。図示の実施形態において、材料601は、生地200について上記に記載されているとおり、PMPコポリマーである。或いは、材料601は、生地200について上記に記載されているとおり、異なる材料であり得る。
【0095】
ステップ620において、方法600は、任意により、基材202を製造又は形成するステップを含む。ステップ620aは、実質的に方法500のステップ520aについて記載されているとおり、材料601の糸418を形成するステップを含む。ステップ620bは、材料601の糸418を織って織布基材を形成するステップを含む。或いは、材料601の糸418は、従来の編成技術を用いて編成して、実質的に平坦な編成布基材を形成し得、又は、材料601の複数の糸418は織られて織布基材が形成され得る。或いは、材料601から形成されているか、又は、材料601を含む事前に製造された基材202が用いられ得、方法500はステップ620を含んでいなくてもよい。
【0096】
ステップ622において、方法600は、任意により、多孔性膜204を形成するステップを含む。ステップ622は、上記に記載されているとおり、多孔性フィルム又はシート204などの実質的に連続する又はモノリシック多孔性膜204を形成するステップを含む。図示の実施形態において、ステップ622は、機械的フィブリル化を用いて多孔性膜204を形成するステップを含む。或いは、多孔性膜204は、熱凝固、湿式凝固、溶剤抽出、テンプレート除去(例えば、混合物中の1種の成分を溶解又は分散させて細孔208を残す方法)、フォームコーティング、3D印刷、トラックエッチング、焼結、ブレスフィギュア自己組織化(breath-figure self-assembly)、射出成形、析出(例えば結晶化による)、キャスティング、押出し成形又は点接合技術などの異なるプロセス又は技術を用いて形成され得る。一実施形態においては、テンプレートが粒子充填材又は不混和性のポリマーであるテンプレート除去が用いられる。一実施形態において、粒子充填材は、カルシウムであるか、又は、炭酸カルシウムを含む。
【0097】
ステップ624において、方法600は、形成された基材202に材料601の多孔性膜204を配置するステップを含む。膜204を基材202に配置することで、防水通気性生地200が形成される。図示の実施形態において、生地200は実質的に平坦な生地200である。生地200はその作製された形態のまま用いられ得、又は、生地200は加工(例えば、裁断、縫製、接着)されて生地200から衣類が形成され得る。
【0098】
図示の実施形態において、ステップ624は、ステップ622で形成された連続多孔性膜(例えば、多孔性フィルム又はシート)を基材202に重ね合わせて配置するステップを含む。従って、ステップ622及びステップ624は時間的に分離しており、ステップ624はステップ622の後に行われる。或いは、ステップ622及びステップ624は、多孔性膜204の形成に用いられるプロセス又は技術に応じて、実質的に同時に行われ得る。例えば、基材202は、材料601の溶液又は溶融物に含浸され得る。次いで、多孔性膜204が、湿式凝固又は熱凝固法(例えば、浴を用いて)により、基材202に実質的に同時に形成及び配置され得る。或いは、材料601の溶液が基材202に噴霧又は発泡され、湿式凝固又は熱凝固法により、多孔性膜204が基材202に実質的に同時に形成及び配置され得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、方法600は、方法500について上記のとおり製造された生地200をアニールするステップ(例えば加熱)を含む。生地200をアニールするステップは、基材202と多孔性膜204との間における接着を向上させ得る。或いは、方法500は、製造された生地200をアニールするステップ含んでいなくてもよい。基材202及び多孔性膜204は、同一の材料601から形成されるか、又は、同一の材料601を含む。基材202と多孔性膜204との間における分子間力は従って、基材202と膜204とを互いに接着するために十分であり得る。或いは、接着剤又はカップリング剤は、連続多孔性膜204が基材202に配置される前に基材202に適用され得る。或いは、方法500は、基材202及び多孔性膜204の各々を溶剤処理に供して接着を向上させるステップを含み得、又は、方法500は、基材202及び多孔性膜204を一緒に接合(例えば、超音波接合、圧力接合)して接着を向上させるステップを含み得る。
【0100】
上記の上記の方法500,600は特定の実施形態に関するが、いずれかのタイプの基材202(例えば、編成、3D編成、織り等)が、いずれかのタイプの多孔性膜(例えば、連続、不織等)との組み合わせで用いられて生地200が形成され得ることが認識されるであろう。
【0101】
方法500,600は、任意により、生地200を乾燥するステップ、又は、付属物(ジッパー、ボタン等など)を生地200若しくは生地200から形成された衣類に組み込むステップなどの追加のステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、組み込まれた付属物は、生地200におけるものと同一のポリマー分類由来のポリマーから形成されているか、又は、これらを含む。いくつかの実施形態において、組み込まれた付属物は、生地200と同一の材料から形成される。
【実施例
【0102】
特定の実施例
図7A及び7Bは、PMPコポリマー(TPX(登録商標)MX004)の溶融紡糸により得られた糸の例を示す。糸の溶融紡糸はCollin E16T一軸押出し機を用いて行ったが、他の機器及び/又は製造技術を用いて糸を形成してもよい。
【0103】
糸サンプルを、異なる13組のパラメータを用いて形成した。各タイプの糸サンプルの形成に用いたパラメータを、以下の表1及び2に示す。これらのパラメータは単なる例であり、他のパラメータ(又は、パラメータの組)を用いて糸を形成し得ることが認識されるであろう。
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
表2に示すとおり、異なる糸サンプルに異なる回収システムを用いた。例えば、いくつかのサンプルについては、チルロール回収システムを用いたが、他のサンプルについては、MDO(縦方向向き)回収ユニットを用いた。さらに、いくつかのサンプルは水浴を用いて回収及び冷却を行い、他のサンプルはその限りではなかった。糸サンプル12及び13は、モノ-ダイフィラメントではなく、マルチ-ダイフィラメントを用いて形成した。記載の回収システムは単なる一例であり、糸103を形成する際には代替的な回収システムを用いてもよい。
【0107】
糸サンプルの形成に用いたパラメータは、特定又は所望の直径及び特徴を有する糸サンプルを形成するために選択した。
【0108】
図8は、糸サンプル1~13の実測した糸径を示す。各糸サンプルの太さは、糸の長さに沿った無作為に選択した点で10回計測した。図8のプロットは、各糸サンプルの平均太さを、太さ計測値に対する信頼区間を示すエラーバーと共に示す。
【0109】
糸サンプル1,2及び3は円形ではなく楕円形(円形断面ではなく楕円形断面を有する)であって、従って、これらの糸サンプルに対する信頼区間は円形断面を有する糸サンプルのものよりも大きい。糸サンプル7を最初の計測の後に伸張し、次いで、伸張後に2回目の計測を行った。図8において、糸を伸張した後の糸サンプル7の計測値は、糸サンプル7及び8の点の間に示されている。糸サンプル7の直径は、糸を伸張した後に低減していた。所望の太さを有する糸を一貫して、且つ、高い信頼性をもって形成するために、糸は所望される太さよりも太く製造し、その後伸張させることが可能である。
【0110】
図9は、応力-歪み曲線糸サンプル10,11及び13を示す。以下の機械的パラメータを、糸サンプルの各々に係る応力-歪み曲線から抽出した:ヤング率、降伏応力、降伏歪み、強度、破断点歪み、靭性、降伏力及び最大力。計測したパラメータの各々の値を以下の表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
テストは、100Nロードセルを備えたInstron 5967万能試験機を用いて行った。歪みは、グリップ間距離を用いて計測した。0.05Nのプレロード後に100mm/分のテスト速度(すなわち100%/分の歪み速度)を用いて、各サンプルについて5つの試料をテストした。ヤング率は、0.1%~0.5%の歪み範囲に渡って算出した。降伏点は、応力-歪み曲線の傾きがヤング率の20%である点に位置した。「降伏力」及び「強度(最大)力」もまた、糸サンプルを永久的に変形させ、及び、破断するために実際に必要な力を直接比較するために記録した。靭性(すなわち、サンプルを破断するために用いられるエネルギー)は、応力-歪み曲線の下の面積として算出した。
【0113】
糸サンプルの計測した特徴は、上記の生地200などの防水通気性生地用の基材の形成のための編成、3D編成、織りなどのプロセス中における使用に溶融紡糸した糸が好適であることを示す。糸サンプルの計測した特徴はまた、このような糸は外力に耐えると共に損傷に耐えることが可能であるために、糸が防水通気性衣類及び他の防水通気性製品の形成に好適であることを示していた。糸サンプルの形成に用いたパラメータは、実質的に5GPa以下の引張強度を有する繊維を形成するために、又は、繊維の破断時の歪みを実質的に10%~実質的に500%の間に調節するために変更し得る。例えば、温度及び回収速度(例えば、回収ローラを使用)は、繊維の機械特性を調整するために変更し得る。繊維引張強度を高めるか、又は、最大限とするために、回収速度(例えば、ローラ速度)を最大限(繊維が破壊することなく)とし得、一方で、回収温度(例えば、ローラ温度)を最低限(例えば、実質的に30℃以下)とし得る。これにより、(例えば繊維の長さに沿った)軸方向における繊維の結晶性を高め、結果として、繊維の引張強度を高め得る。反対に、繊維の破断時の歪みを最大限とするために、反対のパラメータを使用し得る:回収速度(例えば、ローラ速度)を最低限とし得、一方で、回収温度(例えば、ローラ温度)を最大点(例えば、実質的に100℃以上)とし得る。これにより、繊維におけるアモルファス領域の割合が高まり得、結果として、繊維の破断時の歪みを高め得る。回収速度は、用いられる幾何学的形状及び回収システムのタイプ、例えばチルロール回収システム又はMDO回収ユニットに特異的であり得ることが認識されるであろう。
【0114】
図10A及び10Bは、不織多孔性膜の一例を異なる観点から示す。
【0115】
図10A及び10Bに示されている不織多孔性膜は、金属シートに直接電界紡糸したPMPコポリマー(TPX(登録商標)MX004)のマイクロ繊維から形成されている。図10A及び10Bは、不織多孔性膜は、生地200について上記に記載されているとおり、例えば基材202といった基材上に(電界紡糸、溶融紡糸等を用いて)直接作製され得ることを示す。
【0116】
図10A及び10Bに示されている不織多孔性膜の形成に用いた電界紡糸パラメータを以下の表4に示す。各々が異なるパラメータセットを有する9つの不織多孔性膜サンプルを作製した。これらのパラメータは単なる例であり、他のパラメータ(又は、パラメータセット)が、不織多孔性膜の形成に用いられ得ることが認識されるであろう。
【0117】
【表4】
【0118】
溶剤キャスティング及びテンプレート除去を用いて4種の膜を形成した。用いたテンプレートは、Imerys S.A製のPolcarb 90S表面処理炭酸カルシウム充填材であった。
【0119】
膜1は、ポリプロピレン-ポリメチルペンテンコポリマー(PP-co-PMP)と70重量%の充填材を用いて形成した。
【0120】
膜2は、ポリメチルペンテン及びポリプロピレン-ポリメチルペンテンコポリマーの1:1混合物(PP-co-PMP)と60重量%の充填材を用いて形成した。
【0121】
膜3は、ポリメチルペンテン及びポリプロピレン-ポリメチルペンテンコポリマーの1:2混合物(PP-co-PMP)と60重量%の充填材を用いて形成した。
【0122】
膜4は、ポリメチルペンテン及びポリブテンの混合物と70重量%の充填材を用いて形成した。
【0123】
膜を強度についてテストした。テスト結果を以下の表5に示す。
【0124】
【表5】
【0125】
テストは、250Nロードセルを備えたMecmesin of MultiTest 2.5iテストシステムを用いて行った。歪みはグリップ間距離を用いて計測し、ここで、初期ゲージ長は50mmであると共にサンプル幅は10mmであった。膜組成物の各々について3つの試料を、0.05Nのプレロード後に25mm/分のテスト速度(すなわち50%/分の歪み速度)を用いて、各サンプルについてテストした。弾性モジュラスは、0.1%~0.5%の歪み範囲にわたって算出した。降伏点は、応力-歪み曲線の傾きがヤング率の20%である点に位置した。「降伏力」及び「強度(最大)力」もまた、膜サンプルを永久的に変形させ、及び、破断するために実際に必要な力を直接比較するために記録した。仕事量は材料靭性(すなわち、サンプルの破断に用いられたエネルギー)に関連し、応力-歪み曲線の下の面積として算出した。
【0126】
図11は、SEMを用いて撮影した膜1の画像を示す。
【0127】
本開示を読むことで、他の変更及び修正は当業者に明らかであろう。このような変更及び修正は同等の特徴及び他の特徴を含み得、これらは、生地、特に防水通気性生地の技術分野において既に公知であると共に、本明細書に既述の特徴の代わりに、又は、これに追加して使用され得る。
【0128】
添付の特許請求の範囲は特徴の特定の組み合わせに関するものであるが、本発明の開示の範囲はまた、いずれかの請求項において本願において特許請求されている同一の発明に関連しているか否かに関わらず、及び、本発明と同一の技術的問題のいずれか又はすべてを軽減するか否かに関わらず、本明細書に明示的若しくは暗黙的に開示されているいずれかの新規特徴又は特徴のいずれかの新規組み合わせ、又は、そのいずれかの一般化をも含むことが理解されるべきである。
【0129】
個別の実施形態の文脈に記載されている特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせで提供され得る。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載されている種々の特徴はまた、個別に、又は、いずれかの好適な下位の組み合わせで提供され得る。本出願人は、本出願又はいずれかの本出願から派生するさらなる出願の手続き中に、このような特徴及び/又はこのような特徴の組み合わせについて新たな請求項を策定し得ることをここに通告する。
【0130】
完全性のために、「を含む(comprising)」という用語は他の要素又はステップを排除せず、「a」又は「an」という用語は複数形を排除せず、特許請求の範囲におけるいずれかの符号は特許請求の範囲の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないこともまた明記しておく。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11
【国際調査報告】