(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ケラチン繊維のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20231124BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20231124BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/365
A61Q5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552682
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2021044601
(87)【国際公開番号】W WO2022118980
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】P 2020199437
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マノン・ショモンテ
(72)【発明者】
【氏名】アドリヤン・ケゼール
(72)【発明者】
【氏名】トン・シン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC442
4C083AC582
4C083AC692
4C083AD132
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB04
4C083CC33
4C083EE06
(57)【要約】
本発明は、(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸又はその塩と、(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸と、(c)水とを含む、毛髪等のケラチン繊維を処理するための組成物であって、(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、組成物に関する。本発明は、ケラチン繊維を滑らかにすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸又はその塩と、
(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処理するための組成物であって、
前記(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、組成物。
【請求項2】
前記(a)ヒドロキシ酸が、2つ以上のカルボン酸基を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(a)ヒドロキシ酸が、α-ヒドロキシ酸から選択され、好ましくはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、ムチン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはクエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物中の前記(a)ヒドロキシ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(b)カチオン性ポリアミノ酸が、植物由来である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(b)カチオン性ポリアミノ酸のカチオン性部分が、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記(b)カチオン性ポリアミノ酸が、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中の前記(c)水の量が、組成物の総質量に対して、50質量%~80質量%、好ましくは55質量%~75質量%、より好ましくは60質量%~70質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物のpHが、7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(d)少なくとも1種の、前記(b)カチオン性ポリアミノ酸とは異なるカチオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
化粧用組成物、好ましくはリンスオフタイプの化粧用組成物、より好ましくはリンスオフタイプの毛髪化粧用組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン繊維、好ましくは毛髪を、ケアする又はコンディショニングする化粧方法であって、
ケラチン繊維上に、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を適用する工程
を含む、方法。
【請求項15】
(c)水を含む組成物中での、(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸と(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸との組合せの使用であって、
前記組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、
前記組成物がケラチン繊維上に適用されるときに、ケラチン繊維、好ましくは毛髪、より好ましくは濡れた毛髪の滑らかさを増強する又は改善するための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維を処理するための、例えばコンディショニングするための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料の分野において、毛髪コンディショニング効果は非常に重要な特性である。多様なリーブオンタイプ及びリンスオフタイプの毛髪ケア化粧品が、毛髪をコンディショニングするために使用されてきた。
【0003】
WO2020/085268は、酒石酸、芳香族アルコール、アミノ変性シリコーン、並びにポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンから選択されるオルガノポリシロキサンを含む、毛髪等のケラチン繊維上のシリコーン堆積量を増加させるための組成物を開示している。ケラチン繊維上のシリコーンの堆積は、毛髪を滑らかにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2020/085268
【特許文献2】米国特許第4874554号
【特許文献3】米国特許第4137180号
【特許文献4】米国特許第A-5364633号
【特許文献5】米国特許第A-5411744号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新しいアプローチに基づく、良好な化粧効果を有する毛髪ケア化粧品への必要性が、依然として存在する。詳細には、シリコーンに依存さえしない、毛髪を滑らかにするための毛髪ケア化粧品への必要性が存在する。
【0007】
本発明の目的は、新しいアプローチに基づく、ケラチン繊維を滑らかにすることができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸又はその塩と、
(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処理するための組成物であって、
(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、組成物によって達成されうる。
【0009】
(a)ヒドロキシ酸は、2つ以上のカルボン酸基を有してもよい。
【0010】
(a)ヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸から選択されてもよく、好ましくはグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、ムチン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよく、より好ましくはクエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0011】
クエン酸又はその塩は、甘夏、バラディシトロン、ベルガモットオレンジ、ビターオレンジ、ブラッドオレンジ、ブッシュカン、カラマンシー、カムサン、キノット、シトランジェ、シトロン、シトルメロ、クレメンタイン、コルシカシトロン、デザートライム、エトログ、フィンガーライム、フィレンツェシトロン、グレープフルーツ、ギリシャシトロン、はるか、八朔、日向夏、ファーストレディ、じゃばら、かぼす、カフィアライム、かんぺい、河内晩柑、キーライム、金柑子温州、キヌー、清見、小林みかん、柑子オレンジ、口之津37号、キンカン、レモン、ライム、ルミア、マンダリンオレンジ、マンシャニエガン、マイヤーレモン、モロッコシトロン、マートルリーフオレンジツリー、ネーブルオレンジ、オレンジ、オランジェロ、オロブランコ、パペダ、ペルシャライム、ポメロ、ポンピア、ポンカン、ポンデローザレモン、ラングプール、ラウンドライム、薩摩、シャングジュアン、湘南ゴールド、すだち、スウィートリメッタ、台湾タンジェリン、タンジェロ、タンジェリン、タンゴール、アグリフルーツ、フォルカマーレモン、ゆこう、柚子、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、レッドカラント、ブラックカラント、グーズベリー、パイナップル、タマリンド、チェリー、桃、アンズ及びトマトを含むがこれらに限定されない天然源に由来してもよい。
【0012】
酒石酸又はその塩は、ブドウ、アンズ、リンゴ、バナナ、アボカド及びタマリンドを含むがこれらに限定されない天然源に由来してもよい。
【0013】
本発明による組成物中の(a)ヒドロキシ酸の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0014】
(b)カチオン性ポリアミノ酸は、植物由来であってもよい。
【0015】
(b)カチオン性ポリアミノ酸のカチオン性部分は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含んでもよい。
【0016】
(b)カチオン性ポリアミノ酸は、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0017】
本発明による組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0018】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~80質量%、好ましくは55質量%~75質量%、より好ましくは60質量%~70質量%であってもよい。
【0019】
本発明による組成物のpHは、7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満であってもよい。
【0020】
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の、(b)カチオン性ポリアミノ酸とは異なるカチオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0021】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0022】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはリンスオフタイプの化粧用組成物、より好ましくはリンスオフタイプの毛髪化粧用組成物であってもよい。
【0023】
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪をケアする又はコンディショニングする化粧方法であって、
ケラチン繊維上に本発明による組成物を適用する工程
を含む、方法に関する。
【0024】
本発明はまた、(c)水を含む組成物中での、(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸と(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸との組合せの使用であって、前記組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、前記組成物がケラチン繊維上に適用されるときに、ケラチン繊維、好ましくは毛髪、より好ましくは濡れた毛髪の滑らかさを増強する又は改善するための、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは、新しいアプローチに基づく、ケラチン繊維を滑らかにすることができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0026】
本発明者らは、驚くべきことに、(c)水を含む組成物中での、(a)少なくとも1種のヒドロキシル酸と(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸との組合せの使用であって、組成物がケラチン繊維上に適用されるときに、組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、使用が、毛髪等のケラチン繊維を滑らかにすることができることを発見した。
【0027】
そのため、本発明による、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処理するための組成物は、
(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸又はその塩と、
(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸と、
(c)水と
を含み、
(b)カチオン性ポリアミノ酸の量は、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である。
【0028】
本発明は、ケラチン繊維を滑らかにすることができる。本発明の滑らかにする効果は、シリコーンに依存しない。しがたって、本発明は環境に優しい。
【0029】
本発明は、良好な化粧効果、例えば滑らかにすること、ケラチン繊維の梳りやすさ及び柔軟化を提供することができる。ケラチン繊維が濡れている場合でさえ、本発明は、ケラチン繊維に、良好な化粧効果をもたらすことができる。好ましくは、本発明は、ケラチン繊維を滑らかにすること、梳りやすさ及び柔軟化のうちの全ての点で、良好な化粧効果を提供することができる。
【0030】
本発明が、ケラチン繊維を滑らかにすること、梳りやすさ及び柔軟化等の長く続く良好な化粧効果を提供することが、可能である。
【0031】
本発明は、魅力的な触感、例えばケラチン繊維を通して指を走らせたときの良好な感覚に寄与することができる。ケラチン繊維のべとつきはまた、阻止されうる又は低減されうる。
【0032】
加えて、本発明は、ケラチン繊維を強化することができる。ケラチン繊維の強化は、ケラチン繊維の変性温度を上げることができる。
【0033】
「ケラチン繊維」は、本明細書では、少なくとも1種のケラチン物質を含む繊維を意味する。ケラチン繊維の表面の少なくとも一部がケラチン物質によって形成されていることが好ましい。ケラチン繊維の例には、毛髪、眉毛、睫毛などが挙げられる。本発明が毛髪を処理するのに使用されることが好ましい。
【0034】
これ以降、本発明は、詳細に説明されることになる。
【0035】
組成物
本発明は、
(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸又はその塩と、
(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸と、
(c)水と
を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪を処理するための組成物であって、
(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、組成物に関する。
【0036】
(ヒドロキシ酸)
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)ヒドロキシ酸又はその塩を含む。2種以上の(a)ヒドロキシ酸又はその塩が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
(a)ヒドロキシ酸は、少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含む少なくとも1種のモノカルボン酸又はポリカルボン酸を含んでもよい。(a)ヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸から選ぶことができる。例えば、(a)ヒドロキシ酸は、α-ヒドロキシ酸であってもよい。α位及びβ位は、ヒドロキシル官能基のうちの少なくとも1つが、酸のカルボキシル官能基のうちの少なくとも1つに対してα位又はβ位を占めているという事実、すなわち、ヒドロキシル官能基のうちの少なくとも1つが、それぞれ、ヒドロキシル官能基を有する炭素に、又はカルボキシル官能基を有する炭素に隣接する炭素に、のいずれかに結合しているという事実を反映している。酸は、例えば組成物に対して与えられる最終pHに応じて、遊離酸、その関連する塩(例えば、有機塩基及びアルカリ金属との塩)、及び任意選択で、対応するラクチド(すなわち、複数の分子の自己エステル化によって得られる形態)から選ばれる形態で存在してもよい。
【0038】
AHA:
本発明による組成物は、(a)ヒドロキシ酸又はその塩として、少なくとも1種のα-ヒドロキシ酸(AHA)又はその塩を含んでもよい。2種以上のα-ヒドロキシ酸又はその塩が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0039】
用語「α-ヒドロキシ酸」又は「AHA」は、本明細書では、隣接する(アルファ)炭素原子上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するカルボン酸を意味する。
【0040】
α-ヒドロキシ酸は、化学式:
(Ra)(Rb)C(OH)COOH
(式中、
Ra及びRbは、飽和又は不飽和の、異性体又は非異性体の、直鎖若しくは分枝鎖又は環状の形態の、1~25個の炭素原子を有するH、F、Cl、Br、I、アルキル、アラルキル又はアリールの各基であり、加えて、Ra及びRbは、OH、CHO、COOH、及び1~9個の炭素原子を有するアルコキシル基を有してもよい)
によって表すことができる。
【0041】
炭素原子に結合している水素原子は、F、Cl、Br、I、又は1~9個の炭素原子を有する低級アルキル、アラルキル、アリール若しくはアルコキシルの各基によって置換されていてもよい。アルファヒドロキシ酸は、遊離酸若しくはラクトン形態として存在してもよく、又は有機塩基若しくは無機アルカリとの部分塩の形態で存在してもよい。アルファヒドロキシ酸は、例えばD型、L型、DL型及びメソ型等の立体異性体として存在してもよい。
【0042】
Ra及びRbがアルキルである場合、それらは、独立して、C1~C5、C6~C10、C11~C15、C16~C20、C21~C25及びC26~C29の基のうちのいずれかのうちでありうる。そのため、上記化学式内の化合物は、RaとRbとの可能な組合せのうちの全てを含む。C1~C12から独立して選択されるRa及びRbを有する化合物の亜属が、前述のもののうちに含まれる。
【0043】
Ra及びRbに関して、典型的なアルキル、アラルキル、アリール及びアルコキシルの各基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、ラウリル、ステアリル、ベンジル、フェニル、メトキシル及びエトキシルが挙げられる。
【0044】
第1の群のアルファヒドロキシ酸は、
(1)アルキルアルファヒドロキシ酸、
(2)アラルキル及びアリールアルファヒドロキシ酸、
(3)ポリヒドロキシアルファヒドロキシ酸、
(4)ポリカルボン酸アルファヒドロキシ酸、並びに
(5)種々のアルファヒドロキシ酸
に細分することができる。
【0045】
以下が、それぞれの下位群における、代表的なアルファヒドロキシ酸である。
(1)アルキルアルファヒドロキシ酸:2-ヒドロキシエタン酸(グリコール酸)、2-ヒドロキシプロパン酸(乳酸)、2-メチル2-ヒドロキシプロパン酸(メチル乳酸)、2-ヒドロキシブタン酸、2-ヒドロキシペンタン酸、2-ヒドロキシヘキサン酸、2-ヒドロキシヘプタン酸、2-ヒドロキシオクタン酸、2-ヒドロキシノナン酸、2-ヒドロキシデカン酸、2-ヒドロキシウンデカン酸、2-ヒドロキシドデカン酸、2-ヒドロキシテトラデカン酸、2-ヒドロキシヘキサデカン酸、2-ヒドロキシオクタデカン酸、2-ヒドロキシエイコサン酸(アルファヒドロキシアラキドン酸)、2-ヒドロキシテトラエイコサン酸(セレブロン酸)、2-ヒドロキシテトラエイコセン酸(アルファヒドロキシネルボン酸)、及び2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブタン酸(パントイン酸)
(2)アラルキル及びアリールアルファヒドロキシ酸:2-フェニル2-ヒドロキシエタン酸(マンデル酸)、2,2-ジフェニル2-ヒドロキシエタン酸(ベンジル酸)、3-フェニル2-ヒドロキシプロパン酸(フェニル乳酸)、2-フェニル2-メチル2-ヒドロキシエタン酸(アトロ乳酸)及び4-ヒドロキシマンデル酸
(3)ポリヒドロキシアルファヒドロキシ酸:2,3-ジヒドロキシプロパン酸(グリセリン酸)、2,3,4-トリヒドロキシブタン酸(異性体、エリスロン酸、トレオン酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシペンタン酸(異性体、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸)、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸(異性体、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸、タロン酸)、2,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロキシへプタン酸(異性体、グルコヘプトン酸、ガラクトヘプトン酸、マンノヘプトン酸など)
(4)ポリカルボン酸アルファヒドロキシ酸:2-ヒドロキシプロパン-1,3-二酸(タルトロン酸)、2-ヒドロキシブタン-1,4-二酸(リンゴ酸)、2-ヒドロキシ-2-メチルブタン-1,4-二酸(シトラマル酸)、2,3-ジヒドロキシブタン-1,4-二酸(酒石酸)、2,3,4-トリヒドロキシペンタン-1,5-二酸(異性体、リバル酸、アラバル酸、キシラル酸、リキサル酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサン-1,6-二酸(異性体、グルカル酸、ガラクタル酸、マンナル酸、アラル酸、アルトラル酸、グラル酸、イダル酸、タラル酸)、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(イソクエン酸)、1-ヒドロキシ-1,2,4-ブタントリカルボン酸(ホモイソクエン酸)、2-ヒドロキシ-3-ヘキサデシル-1,2,3-プロパントリカルボン酸(n-ヘキサデシルクエン酸、アガリン酸)
(5)種々のアルファヒドロキシ酸:グリセルロン酸、エリトルロン酸、トレウロン酸、2,3,4-トリヒドロキシペンタヌロン酸(異性体、リブロン酸、アラビヌロン酸、キシルロン酸、リキスロン酸)、2,3,4,5-テトラヒドロキシヘキサヌロン酸(異性体、アルロン酸、アルトルロン酸、グルクロン酸、マンヌロン酸、グルロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸、タルロン酸)、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘプタヌロン酸(異性体、アロヘプタヌロン酸、アルトロヘプタヌロン酸、グルコヘプタヌロン酸、マンノヘプタヌロン酸、グロヘプタヌロン酸、イドヘプタヌロン酸、ガラクトヘプタヌロン酸、タロヘプタヌロン酸)。
【0046】
α-ヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、ムチン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0047】
BHA:
本発明による組成物は、(a)ヒドロキシ酸又はその塩として、少なくとも1種のβ-ヒドロキシ酸(BHA)又はその塩を含んでもよい。2種以上のβ-ヒドロキシ酸又はその塩が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0048】
用語「β-ヒドロキシ酸」又は「BHA」は、本明細書では、ベータ炭素原子上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有するカルボン酸を意味する。
【0049】
β-ヒドロキシ酸として、限定されるものではないが、サリチル酸及びその誘導体、特に式(I):
【0050】
【0051】
(式中、
R1は、ヒドロキシル基、又は式:
-O-CO-R4
(式中、R4は、1~26個の炭素原子、好ましくは1~18個の炭素原子を含有する、飽和若しくは不飽和の脂肪族基である、又は1~18個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子を含有するアルキル基で任意選択で置換されている、アミン官能基又はチオール官能基である)
のエステルを表し、
R2及びR3は、互いに独立して、ベンゼン環上の3位、4位、5位又は6位にあり、互いに独立して、水素原子、又は基:
-(O)n-(CO)m-R5
(式中、n及びmは、互いに独立して、それぞれ0又は1に等しい整数であるが、但し条件としてR2とR3とが同時に水素原子であることはなく、
R5は、水素原子、1~18個の炭素原子を含有する直鎖状、分枝状若しくは環状の飽和脂肪族基、又は1~9個の共役二重結合若しくは非共役二重結合を有する、3~18個の炭素原子を含有する不飽和基を表し、これらの基が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素)、トリフルオロメチル基、遊離形態若しくは1~6個の炭素原子を含有する酸でエステル化されているヒドロキシル、又は遊離形態若しくは1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールでエステル化されているカルボキシルから選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい)を表す)
のそのアルキル化誘導体又はこのような誘導体の塩を挙げることができる。
【0052】
式(I)のサリチル酸誘導体は、好ましくは、R1がヒドロキシル基を表し、R2が水素原子を表し、R3がベンゼン環の5位にあり、且つ-CO-R5基(式中、R5は、3~15個の炭素原子を含有する飽和脂肪族基を表す)を表すようなものである。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)のサリチル酸誘導体は、5-n-オクタノイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸、5-n-ドデカノイルサリチル酸、5-n-オクチルサリチル酸、5-n-ヘプチルオキシサリチル酸、4-n-ヘプチルオキシサリチル酸、5-tert-オクチルサリチル酸、3-tert-ブチル-5-メチルサリチル酸、3-tert-ブチル-6-メチルサリチル酸、3,5-ジイソプロピルサリチル酸、5-ブトキシサリチル酸、5-オクチルオキシサリチル酸、5-プロパノイルサリチル酸、5-n-ヘキサデカノイルサリチル酸、5-n-オレオイルサリチル酸、5-ベンゾイルサリチル酸、それらの一価及び二価の塩、並びにそれらの混合物から選ばれる。これは、より具体的には、5-n-オクタノイルサリチル酸(INCI:カプリロイルサリチル酸)である。
【0054】
好ましいヒドロキシ酸:
(a)ヒドロキシ酸が、2つ以上のカルボン酸基、より好ましくは2つ又は3つのカルボン酸基を有することが好ましい。
【0055】
(a)ヒドロキシ酸が、1つ又は複数のヒドロキシル基、より好ましくは1つ又は2つのヒドロキシル基を有することもまた好ましい。
【0056】
(a)ヒドロキシ酸が、α-ヒドロキシ酸から選択されることが好ましい。
【0057】
(a)ヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、グルコン酸、ムチン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されことがより好ましい。
【0058】
(a)ヒドロキシル酸が、クエン酸、酒石酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが更により好ましい。
【0059】
クエン酸又はその塩は、甘夏、バラディシトロン、ベルガモットオレンジ、ビターオレンジ、ブラッドオレンジ、ブッシュカン、カラマンシー、カムサン、キノット、シトランジェ、シトロン、シトルメロ、クレメンタイン、コルシカシトロン、デザートライム、エトログ、フィンガーライム、フィレンツェシトロン、グレープフルーツ、ギリシャシトロン、はるか、八朔、日向夏、ファーストレディ、じゃばら、かぼす、カフィアライム、かんぺい、河内晩柑、キーライム、金柑子温州、キヌー、清見、小林みかん、柑子オレンジ、口之津37号、キンカン、レモン、ライム、ルミア、マンダリンオレンジ、マンシャニエガン、マイヤーレモン、モロッコシトロン、マートルリーフオレンジツリー、ネーブルオレンジ、オレンジ、オランジェロ、オロブランコ、パペダ、ペルシャライム、ポメロ、ポンピア、ポンカン、ポンデローザレモン、ラングプール、ラウンドライム、薩摩、シャングジュアン、湘南ゴールド、すだち、スウィートリメッタ、台湾タンジェリン、タンジェロ、タンジェリン、タンゴール、アグリフルーツ、フォルカマーレモン、ゆこう、柚子、ブルーベリー、イチゴ、ラズベリー、クランベリー、レッドカラント、ブラックカラント、グーズベリー、パイナップル、タマリンド、チェリー、桃、アンズ及びトマトを含むがこれらに限定されない天然源に由来してもよい。
【0060】
酒石酸又はその塩は、ブドウ、アンズ、リンゴ、バナナ、アボカド及びタマリンドを含むがこれらに限定されない天然源に由来してもよい。
【0061】
(a)ヒドロキシル酸又はその塩は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上の量で存在してもよい。
【0062】
(a)ヒドロキシル酸又はその塩は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10%以下の量で存在してもよい。
【0063】
(a)ヒドロキシル酸又はその塩は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲の量で存在してもよい。
【0064】
(カチオン性ポリアミノ酸)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸を含む。2種以上の(b)カチオン性ポリアミノ酸を組み合わせて使用してもよい。そのため、単一の種類のカチオン性ポリアミノ酸塩、又は異なる種類のカチオン性ポリアミノ酸の組合せを使用してもよい。
【0065】
(b)カチオン性ポリアミノ酸は、正の電荷密度を有する。(b)カチオン性ポリアミノ酸の電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gであってもよい。
【0066】
(b)カチオン性ポリアミノ酸の分子量が、1,000以上、好ましくは5,000以上、更により好ましくは10,000以上、更により好ましくは20,000以上であること、且つ/又は1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、更により好ましくは100,000以下であることが好ましい場合がある。
【0067】
本明細書に別段の定義がない限り、「分子量」は、数平均分子量(非タンパク質について)又はダルトン(タンパク質について)を意味する。
【0068】
(b)カチオン性ポリアミノ酸は、少なくとも1つの正に荷電された部分を有する。正に荷電された部分が、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、より好ましくは少なくとも1つのトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくは少なくとも1つのトリメチルアンモニウム基を含むことが好ましい。そのため、(b)カチオン性ポリアミノ酸が、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、より好ましくは少なくとも1つのトリアルキルアンモニウム基、更により好ましくは少なくとも1つのトリメチルアンモニウム基を含むことが好ましい。
【0069】
正に荷電された部分はまた、少なくとも1つのヒドロキシル基、好ましくは1つのヒドロキシル基を有してもよい。そのため、例えば、正に荷電された部分は、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム基であってもよい。
【0070】
(b)カチオン性ポリアミノ酸は、複数のアミノ基及びカルボキシル基を有するカチオン性ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。アミノ基は、第一級、第二級及び第三級アミノ基であってもよい。アミノ基は、(b)カチオン性ポリアミノ酸のポリマー主鎖中に、又は存在する場合はペンダント基中に存在することができる。カルボキシル基は、(b)カチオン性ポリアミノ酸の、存在する場合はペンダント基中に存在することができる。
【0071】
(b)カチオン性ポリアミノ酸の例として、カチオン化コラーゲン、カチオン化ゼラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0072】
本発明による組成物中で使用される(b)カチオン性ポリアミノ酸が、合成カチオン性ポリマーではないことが好ましい。そのため、(b)カチオン性ポリアミノ酸が、天然起源からのものであることが好ましい。
【0073】
(b)カチオン性ポリアミノ酸が、植物由来、より好ましくは植物タンパク質由来であることが好ましい。(b)カチオン性ポリアミノ酸が、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コムギタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コンキオリンタンパク、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることがより好ましい。
【0074】
本発明による組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量は、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である。
【0075】
本発明による組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0076】
本発明による組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量は、組成物の総質量に対して、0.2質量%~20質量%、好ましくは0.3質量%~15質量%、より好ましくは0.5質量%~10質量%、更により好ましくは0.8質量%~5質量%であってもよい。
【0077】
(水)
本発明による組成物は、(c)水を含む。
【0078】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上であってもよい。
【0079】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下であってもよい。
【0080】
(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~80質量%、好ましくは55質量%~75質量%、より好ましくは60質量%~70質量%であってもよい。
【0081】
(pH)
本発明による組成物は、7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満のpHを有してもよい。本発明による組成物のpHは、例えば、3~7未満、好ましくは3~6未満、より好ましくは3~5未満、例えば4±0.5であるように調整されうる。本発明による組成物のpHは、組成物の水相のpHを測定することによって決定することができる。
【0082】
換言すると、本発明による組成物が酸性であることが好ましい。
【0083】
本発明による組成物のpHは、少なくとも1種のpH調整剤を組成物に添加することによって調整することができる。
【0084】
pH調整剤は、有機又は無機塩基、及び有機又は無機酸、並びにこれらの塩から選択することができる。
【0085】
有機塩基の例には、第一級、第二級及び第三級(ポリ)アミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及び1,3-プロパンジアミンが挙げられる。無機塩基の例には、アンモニア、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0086】
有機酸の例には、クエン酸及び乳酸等のカルボン酸が挙げられる。無機酸の例には、塩酸、硝酸、オルトリン酸及びスルホン酸が挙げられる。塩の例には、リン酸ナトリウム及びリン酸三ナトリウムが挙げられる。
【0087】
pH調整剤は、本発明による組成物中に、組成物のpHを所望の値へ調整するのに十分な量、例えば、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%を範囲とする量で存在することができる。
【0088】
(カチオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の(d)カチオン性界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0089】
本発明において使用される(d)カチオン性界面活性剤は、(b)カチオン性ポリアミノ酸とは異なる。
【0090】
カチオン性界面活性剤は、任意選択でポリオキシアルキレン化された第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0091】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下があるがこれらに限定されない:
一般式(B3)のもの:
【0092】
【0093】
(式中、
R1、R2、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1~30個の炭素原子を含み、任意選択で酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含む、直鎖状及び分枝状の脂肪族基から選ばれる。脂肪族基は、例えば、アルキル、アルコキシ、C2~C6ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、(C12~C22)アルキルアミド(C2~C6)アルキル、(C12~C22)アルキルアセテート及びヒドロキシアルキルの各基;並びに芳香族基、例えばアリール及びアルキルアリールから選ぶことができ;X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2~C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキルスルホン酸イオン又はアルキルアリールスルホン酸イオンから選ばれる);
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例としては式(B4)のもの:
【0094】
【0095】
(式中、
R5は、8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基、例えば獣脂の若しくはヤシ油の脂肪酸誘導体から選ばれ、
R6は、水素、C1~C4アルキル基、並びに8~30個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれ、
R7は、C1~C4アルキル基から選ばれ、
R8は、水素及びC1~C4アルキル基から選ばれ、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選ばれる)
一実施形態では、R5及びR6は、例えば、12~21個の炭素原子を含むアルケニル基及びアルキル基から選ばれる基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体であり、R7はメチルであり、R8は水素である。このような製品の例には、Witco社により名称「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGで販売されているクオタニウム-27(CTFA 1997年)及びクオタニウム-83(CTFA 1997年)が挙げられるがこれらに限定されない;
式(B5)のジ又はトリ第四級アンモニウム塩:
【0096】
【0097】
(式中、
R9は、16~30個の炭素原子を含む脂肪族基から選ばれ、
R10は、水素、又は1~4個の炭素原子を含むアルキル基、又は-(CH2)3(R16a)(R17a)(R18a)N+X-基から選ばれ、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1~4個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン及びメチル硫酸イオンから選ばれる)
このようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75)である;
並びに
少なくとも1つのエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば式(B6)のもの:
【0098】
【0099】
(式中、
R22は、C1~C6アルキル基、並びにC1~C6ヒドロキシアルキル基及びジヒドロキシアルキル基から選ばれ、
R23は、
基:
【0100】
【0101】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C22炭化水素系基R27、並びに水素から選ばれ、
R25は、
基:
【0102】
【0103】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1~C6炭化水素系基R29、並びに水素から選ばれ、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC7~C21炭化水素系基から選ばれ、
r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数から選ばれ、
r1及びt1のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、且つr2+r1=2r及びt1+2t=2tであり、
yは、1~10の範囲の整数から選ばれ、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の範囲の整数から選ばれ、
X-は、単一の及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選ばれ、但し条件として和x+y+zは、1~15の範囲であり、xが0であるとき、R23はR27を示し、zが0であるとき、R25はR29を示す)
R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選ぶことができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選ばれる。別の実施形態では、R22は、メチル、エチル、ヒドロキシエチル及びジヒドロキシプロピルの各基から選ばれ、例えばメチル基及びエチル基から選ばれる。一実施形態では、和x+y+zは、1~10の範囲である。R23が炭化水素系基R27であるとき、これは、長鎖であって12~22個の炭素原子を含んでもよく、又は短鎖であって1~3個の炭素原子を含んでもよい。R25が炭化水素系基R29であるとき、これは、例えば、1~3個の炭素原子を含んでもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21炭化水素系基から選ばれ、例えば直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11~C21アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは1に等しい。別の実施形態では、r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン、並びにC1~C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選ぶことができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する任意の他のアニオンが、本発明に従って使用されうるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選ばれる。
【0104】
別の実施形態では、式(B6)のアンモニウム塩を使用することができ、式中、
R22は、メチル基及びエチル基から選ばれ、
x及びyは、1に等しく、
zは、0又は1に等しく、
r、s及びtは、2に等しく、
R23は、
基:
【0105】
【0106】
、メチル、エチル及びC14~C22炭化水素系の各基、並びに水素から選ばれ、
R25は、
基:
【0107】
【0108】
及び水素から選ばれ、
R24、R26及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17炭化水素系基から選ばれ、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13~C17アルキル基及びアルケニル基から選ばれる。
【0109】
一実施形態では、炭化水素系基は直鎖状である。
【0110】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、塩、例えば、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウムの、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウムの、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウムの、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、並びにこれらの混合物の、塩化物及びメチル硫酸塩が挙げられる。一実施形態では、アシル基は、14~18個の炭素原子を含んでよく、且つ例えば、植物油、例としてはパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物がいくつかのアシル基を含むとき、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0111】
これらの生成物は、例えば、任意選択でオキシアルキレン化されたトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを脂肪酸に又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化の後に、アルキル化剤を使用して四級化してもよく、該アルキル化剤は、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル、硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル、メタンスルホン酸メチル、パラ-トルエンスルホン酸メチル、グリコールクロロヒドリン、及びグリセロールクロロヒドリンから選ばれる。
【0112】
このような化合物は、例えば、Cognis社により名称Dehyquart(登録商標)で、Stepan社により名称Stepanquat(登録商標)で、Ceca社により名称Noxamium(登録商標)で、及びRewo-Goldschmidt社により名称「Rewoquat(登録商標)WE 18」で販売されている。
【0113】
本発明による組成物中で使用されうるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4874554号及び第4137180号に記載されている、少なくとも1つのエステル官能基を含むアンモニウム塩が挙げられる。
【0114】
本発明による組成物中で使用されうる上に挙げた第四級アンモニウム塩には、式(I)に相当するもの、例えば、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例としてはジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルトリメチルアンモニウムクロリド(アルキル基は、約12~22個の炭素原子を含む)、例えばベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、並びにVan Dyk社により名称「Ceraphyl(登録商標)70」で販売されているステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムクロリドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0115】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用されうるカチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム-80、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選ばれる。
【0116】
(d)カチオン性界面活性量の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0117】
(d)カチオン性界面活性量の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0118】
(d)カチオン性界面活性量の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0119】
(非イオン性界面活性剤)
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。2種以上の(e)非イオン性界面活性剤が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0120】
非イオン性界面活性剤は、それら自体は周知の化合物である(例えば、この点に関して、「Handbook of Surfactants」、M.R.Porter著、Blackie & Son出版(Glasgow及びLondon)、1991年、116~178頁を参照されたい)。そのため、非イオン性界面活性剤は、例えば、アルコール、アルファジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選ぶことができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化又はグリセロール化されており、例えば8~30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド基又はプロピレンオキシド基の数が2~50の範囲であること、及びグリセロール基の数が1~30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体もまた挙げることができる。また、非限定的に挙げることができるのは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物、例えば2~30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド、例えば1.5~5つ、例えば1.5~4つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド、2~30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル、植物起源のエトキシル化油、スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、グリセロール(C6~C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノエステル又はジエステル、N-(C6~C24)アルキルグルカミン誘導体、(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10~C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド等のアミンオキシド、シリコーン界面活性剤、並びにこれらの混合物である。
【0121】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選ぶことができる。オキシアルキレン単位は、より特定すると、オキシエチレン単位若しくはオキシプロピレン単位、又はこれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0122】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、以下がある:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8~C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8~C30アミド、
飽和若しくは不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、モノアルキレングリコール又はポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸と、ソルビトールとの、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、及び
とりわけ単独又は混合物としての、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0123】
界面活性剤は、1~100の間、好ましくは1~50の間、より好ましくは1~20の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを好ましくは含有する。
【0124】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、モノオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、モノオキシエチレン化脂肪アルコール(エチレングリコールと脂肪アルコールとのエーテル)、モノオキシエチレン化脂肪エステル(エチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びこれらの混合物から選ぶことができる。
【0125】
挙げることができるモノオキシアルキレン化脂肪エステルの例には、ジステアリン酸グリコールがある。
【0126】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(ポリエチレングリコールと脂肪アルコールとのエーテル)、ポリオキシエチレン化脂肪エステル(ポリエチレングリコールと脂肪酸とのエステル)、及びこれらの混合物から選ぶことができる。
【0127】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-2からラウレス-20);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-2からベヘネス-20);セテアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-2からセテアレス-20);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-2からセテス-20);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-2からステアレス-20);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-2からイソステアレス-20);及びこれらの混合物が挙げられる。
【0128】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪アルコール(又はC8~C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると2~10個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-2からオレス-20)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0129】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例として、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールが好ましくは使用される。
【0130】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40アルコールは、式:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H、又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
(式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当する。
【0131】
本発明の関連において好適である化合物の例として、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0132】
mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールは、アルコールの混合物を表してもよく、このことは、市販品において、複数種のポリグリセロール化脂肪族アルコールが混合物の形態で共存してもよいことを意味する。
【0133】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中で、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0134】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8~C40脂肪エステルは、式:
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''、又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
(式中、R'、R''及びR'''のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8~C40、好ましくはC8~C30アルキル-CO-基又はアルケニル-CO-基を表し、但し条件としてR'、R''及びR'''のうちの少なくとも1つは水素原子ではなく、mは、1~30、好ましくは1.5~10の範囲の数を表す)
に相当することができる。
【0135】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルのエチレンオキシド付加物及びこれらの混合物、とりわけ2~20個のオキシエチレン単位を含有するもの、例えばラウリン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:ラウリン酸PEG-2からラウリン酸PEG-20)、パルミチン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:パルミチン酸PEG-2からパルミチン酸PEG-20);ステアリン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:ステアリン酸PEG-2からステアリン酸PEG-20);パルミトステアリン酸PEG-2からPEG-20;ベヘン酸PEG-2からPEG-20(CTFA名:ベヘン酸PEG-2からベヘン酸PEG-20)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0136】
ポリオキシエチレン化脂肪エステルはまた、ポリエチレングリコールと脂肪酸とのジエステル、例えば飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8~C30酸からも選択することができ、これは、ヒドロキシル基等の1つ又は複数の置換基を有することができる。脂肪酸は、それらのそれぞれが1つ又は複数のヒドロキシル基を有する脂肪酸のポリマーの形態にあってもよい。このようなポリマーは、1つ又は複数のヒドロキシル基、及び1つ又は複数のヒドロキシル基を有する別の脂肪酸のヒドロキシル基を有する1つの脂肪酸のカルボキシル基のエステル化によって形成されうる。このようなポリマーの例には、ポリヒドロキシステアレートが挙げられる。そのため、ポリオキシエチレン化脂肪エステルとして挙げることができるのは、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30である。
【0137】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8~24個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体、例えば、C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のグリセリルエステル、及び10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸のソルビトールエステル、及び10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び10~200個、より好ましくは10~100個のオキシアルキレン単位を好ましくは含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖と、C8~C24、好ましくはC12~C22脂肪アルコールとのエーテル;並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0138】
脂肪酸のグリセリルエステルとして、ステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸、ジステアリン酸及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリル又はリシノール酸グリセリル、及びこれらの混合物を例証することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体として、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノエステル、ジエステル又はトリエステル(脂肪酸と、グリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとのモノエステル、ジエステル又はトリエステル)、好ましくはポリオキシエチレン化ステアリン酸グリセリル(モノステアリン酸、ジステアリン酸及び/又はトリステアリン酸)、例えばステアリン酸PEG-20グリセリル(モノステアリン酸、ジステアリン酸及び/又はトリステアリン酸)、並びにポリオキシエチレン化ヤシ油脂肪酸グリセリル(モノステアリン酸、ジステアリン酸及び/又はトリステアリン酸)、例えばヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルを例証することができる。
【0139】
これらの界面活性剤の混合物、例えば、Uniqema社により名称ARLACEL 165で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含有する製品、並びにGoldschmidt社により名称TEGINで市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)、並びにステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)等もまた使用することができる。
【0140】
C8~C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそれらのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、並びに脂肪酸と、例えば20~100 EOを含有するアルコキシル化ソルビタンとのエステル、例えばICI社により名称Span 60で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又は商標名Tween 20(ポリソルベート20)若しくはTween 80(ポリソルベート80)で市販されている化合物から選択することができる。
【0141】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエステルとして、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシドとオレイン酸とのジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドと、オレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとイソステアリン酸とのエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシドとラウリン酸とのエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキ-イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、及び特にAMERCHOL社により名称Glucate SSで市販されている製品、並びにこれらの混合物を例証することができる。
【0142】
脂肪酸とグルコース又はアルキルグルコースとのエトキシル化エーテルとして、脂肪酸とメチルグルコースとのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコースとステアリン酸とのジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20ジステアリン酸メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社により名称Glucam E-20 distearateで市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステルとジエステルとの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコース)、具体的にはAMERCHOL社により名称Glucamate SSE-20で市販されている製品、及びGOLDSCHMIDT社により名称Grillocose PSE-20で市販されている製品、並びにこれらの混合物を、例えば例証することができる。
【0143】
スクロースエステルとして、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース及びモノラウリン酸サッカロースを、例えば例証することができる。
【0144】
糖エーテルとして、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、デシルグルコシド、例えば花王株式会社により名称MYDOL 10で市販されている製品、Henkel社により名称PLANTAREN 2000で市販されている製品、及びSeppic社により名称ORAMIX NS 10で市販されている製品、カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社により名称ORAMIX CG 110で、又はBASF社により名称LUTENSOL GD 70で市販されている製品、ラウリルグルコシド、例えばHenkel社により名称PLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200で市販されている製品、ココ-グルコシド、例えばHenkel社により名称PLANTACARE 818/UPで市販されている製品、場合によってはセトステアリルアルコールと混合されているセトステアリルグルコシド、例えばSeppic社により名称MONTANOV 68で、Goldschmidt社により名称TEGO-CARE CG90で、及びHenkel社により名称EMULGADE KE3302で市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばアラキジルとベヘニルアルコールとアラキジルグルコシドとの混合物の形態でSeppic社により名称MONTANOV 202で市販されているもの、ココイルエチルグルコシド、例えばセチルとステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態でSeppic社により名称MONTANOV 82で市販されているもの、並びにこれらの混合物を、特に例証することができる。
【0145】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パームとコプラ(7 EO)グリセリドとの混合物もまた、例証することができる。
【0146】
本発明による非イオン性界面活性剤は、アルケニル又は分枝状のC12~C22アシル鎖、例えばオレイル基又はイソステアリル基を好ましくは含有することができる。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0147】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、具体的には式:
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
(式中、a、b及びcは、a+cが2~100の範囲であり、bが14~60の範囲であるような整数である)
のコポリマー、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0148】
本発明の実施形態のうちの1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。非限定的に挙げられるのは、米国特許第A-5364633号及び米国特許第A-5411744号に開示されたものである。
【0149】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、式(I):
【0150】
【0151】
(式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立して、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1、R2又はR3基はアルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲の整数であり、
Bは、0~50の範囲の整数であり、但し条件としてAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲の整数であり、
yは、1~30の範囲の整数であり、
zは、0~5の範囲の整数である)
の化合物であってもよい。
【0152】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2~6の範囲の整数であり、yは、4~30の範囲の整数である。
【0153】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として挙げることができるのは、式(II):
【0154】
【0155】
(式中、Aは、20~105の範囲の整数であり、Bは、2~10の範囲の整数であり、yは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0156】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、また挙げることができるのは、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
(式中、A'及びyは、10~20の範囲の整数である)
の化合物である。
【0157】
使用されうる本発明の化合物は、Dow Corning社により名称DC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)(式中、それぞれ、Aは22、Bは2、yは12であり;Aは103、Bは10、yは12であり;Aは27、Bは3、yは12である)の化合物である。
【0158】
化合物Q4-3667は、式(III)(式中、Aは15であり、yは13である)の化合物である。
【0159】
本発明による組成物の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.6質量%以上であってもよい。
【0160】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0161】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%、より好ましくは1.6質量%~5質量%であってもよい。
【0162】
(アミノ酸、その誘導体及びその塩)
本発明による組成物は、アミノ酸、その誘導体及びその塩から選択される少なくとも1種の化合物(これ以降、(f)化合物と称されうる)を含んでもよい。2種以上の(f)化合物が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0163】
一実施形態では、(f)化合物は、アミノ酸から選択される。
【0164】
アミノ酸は、少なくとも1つのアミノ基及び少なくとも1つのカルボキシル基を有する。
【0165】
アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基又は第三級アミノ基であってもよく、好ましくは第一級アミノ基又は第二級アミノ基であってもよく、より好ましくは第二級アミノ基であってもよい。
【0166】
アミノ酸の分子量が、1000未満、より好ましくは500未満、更により好ましくは200未満であることが好ましい。そのため、アミノ酸がポリマーではないことが好ましい。換言すると、アミノ酸が非ポリマー性アミノ酸であることが好ましい。
【0167】
アミノ酸は、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸及び中性アミノ酸から選択することができる。酸性アミノ酸は、典型的には、1つのアミノ基と2つのカルボキシル基とを有する。塩基性アミノ酸は、典型的には、2つのアミノ基と1つのカルボキシル基とを有する。中性アミノ基中のアミノ基の数とカルボキシル基の数とは同一である。
【0168】
アミノ酸は、D型であってもL型であってもよい。
【0169】
アミノ酸は、親水性であっても疎水性であってもよい。親水性アミノ酸が好ましい。
【0170】
アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸及びδ-アミノ酸から選択することができる。
【0171】
アミノ酸が、そこでアミノ基が、そこにカルボキシル基が結合されている炭素原子に結合されているα-アミノ酸から選択されることが好ましい。
【0172】
α-アミノ酸は、非環状α-アミノ酸及び環状α-アミノ酸から選択することができる。
【0173】
非環状α-アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アルパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンからなる群から選択することができる。
【0174】
環状α-アミノ酸は、非芳香族環状α-アミノ酸、例えばピロリドンカルボン酸(ピログルタミン酸又はピドロ酸)から選択することができる。ピロリドンカルボン酸は、グルタミン酸のアミノ基とカルボキシル基との分子間縮合によって形成されうる。
【0175】
一実施形態では、(f)化合物は、アミノ酸の誘導体から選択される。
【0176】
アミノ酸の誘導体(アミノ酸誘導体)は、そこでアミノ酸中のアミノ基の窒素原子上の水素原子が少なくとも1つの置換基で置換されているアミノ酸から選択することができる。
【0177】
置換基として挙げることができるのは、例えば、アルキル基、アシル基、アルケニル基、アルコキシル基及びアルコキシカルボニル基である。
【0178】
アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基であってもよい。アルキル基は、直鎖状又は分枝状のC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C4アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基及びブチル基であってもよい。その一方で、アルキル基は、環状のC3~C6アルキル基、例えばシクロペンチル基及びシクロヘキシル基であってもよい。
【0179】
アシル基は、C1~C6アシル基、例えばホルミル基及びアセチル基であってもよい。
【0180】
アルケニル基は、C2~C6アルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブチレン基、ペンテニル基及びヘキセニル基であってもよい。
【0181】
アルコキシ基は、C1~C6アルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基であってもよい。
【0182】
アルコキシカルボニル基は、C1~C6アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロポキシカルボニル基であってもよい。
【0183】
上記の置換基は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基等の少なくとも1つの基、並びにフェニル基等の芳香族基で更に置換されうる。
【0184】
一実施形態では、(f)化合物は、アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩から選択される。
【0185】
アミノ酸の塩又はアミノ酸誘導体の塩のタイプは限定されない。該塩は、酸性塩であっても塩基性塩であってもよい。酸塩として挙げることができるのは、例えば、無機酸塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、並びに有機酸塩、例えばクエン酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、マレイン酸塩及び酒石酸塩である。塩基塩として挙げることができるのは、例えば、無機塩基塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、銅塩、亜鉛塩、アルミニウム塩及びアンモニウム塩、並びに有機塩基塩、例えばトリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩及びジイソプロピルアンモニウム塩である。ナトリウム塩が好ましい。
【0186】
本発明による組成物中の(f)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってもよい。
【0187】
本発明による組成物中の(f)化合物の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下であってもよい。
【0188】
本発明による組成物中の(f)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは10質量%~20質量%であってもよい。
【0189】
(任意選択の成分)
本発明による組成物は、前述の成分に加えて、化粧料中で典型的に用いられる任意選択の成分、具体的にはアニオン性又は両性界面活性剤、油、染料、フィラー、ポリオール、例えばグリコール及びグリセロール、親水性又は親油性増粘剤、UV遮蔽剤、動物又は植物に由来する天然抽出物、保存剤などを、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0190】
本発明による組成物は、上記の任意選択の成分を、組成物の総質量に対して、0.001質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでもよい。
【0191】
本発明による組成物が、限られた量のシリコーンのみを含むことが好ましい。例えば、本発明による組成物中のシリコーンの量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。本発明による組成物が、シリコーンを含まないことが特に好ましい。
【0192】
(調製)
本発明による組成物は、当業者に周知である方法のうちのいずれかに従って、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合することによって調製することができる。
【0193】
本発明による組成物は、流体の形態、好ましくは液体又はペーストの形態、より好ましくは液体の形態にあることができる。
【0194】
(用途)
本発明による組成物は、ケラチン繊維を処理する、例えばケアする又はコンディショニングするために使用することができる。
【0195】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはリンスオフタイプの化粧用組成物、より好ましくはリンスオフタイプの毛髪化粧用組成物であってもよい。
【0196】
例えば、本発明による組成物は、シャンプー、コンディショナーなど等の毛髪ケア化粧品中で使用することができる。
【0197】
化粧方法及び使用
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくは毛髪をケアする又はコンディショニングする化粧方法であって、
ケラチン繊維上に本発明による組成物を適用する工程
を含む、方法にも関する。
【0198】
本発明はまた、ケラチン繊維上に本発明による組成物を適用する工程を含む、ケラチン繊維、好ましくは毛髪、より好ましくは濡れた毛髪の滑らかさを増強する又は改善する方法にも関することができる。
【0199】
適用する工程は、アプリケータ、例えばブラシ等の任意の従来の手段によって実施することができる。
【0200】
本発明はまた、(c)水を含む組成物中での、(a)少なくとも1種のヒドロキシ酸と(b)少なくとも1種のカチオン性ポリアミノ酸との組合せの使用であって、前記組成物中の(b)カチオン性ポリアミノ酸の量が、組成物の総質量に対して、0.2質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは0.8質量%以上である、前記組成物がケラチン繊維上に適用されるときに、ケラチン繊維、好ましくは毛髪、より好ましくは濡れた毛髪の滑らかさを増強する又は改善するための、使用にも関する。
【実施例】
【0201】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載されることになる。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0202】
(実施例1及び2並びに比較例1及び2)
[調製]
実施例1及び2並びに比較例1及び2による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。表1に示す成分の量の数値は、全て、組成物の総質量に対する活性材料の「質量%」に基づく。
【0203】
【0204】
評価
(滑らかさ(COF))
3つの毛髪の房(1g、27cm)を各実験ごとに用意した。毛髪の房のそれぞれを清浄用シャンプーで1回洗浄した。シャンプーした後、毛髪の房を水で濯いだ。実施例1及び2並びに比較例1及び2による組成物のそれぞれ0.4gを各毛髪の房に適用し、5分間放置した。次いで、毛髪の房を流水下で濯ぎ、次いで周囲条件下で自然に乾かして、処理済みの毛髪の房を得た。
【0205】
処理済みの毛髪の房をプレート上に載置し、その根元側を毛髪クリップでプレート上に固定した。処理済みの毛髪の房の滑らかさを、センサー(Trinity Lab社製、Handy Rub Tester(type TL701))で根元から先端へと毛髪の房をスキャンして評価し、且つCOF(摩擦係数)を測定した。この測定を、処理済みの毛髪の房1つにつき3回実施した。同じ手順を更に2つの毛髪の房に対して行って、組成物1種につき合計9つの結果を得、各組成物について平均値を算出した。スコアが低いほど、良好な滑らかさ効果が発揮されたことを表す。
【0206】
毛髪の房それ自体のCOFは、0.233であった。
【0207】
結果を、表1の「滑らかさ(COF)」と表記した行に示す。COFが小さいほど、滑らかさは大きい。
【0208】
官能評価
3つの毛髪の房(2.7g、27cm)を各実験ごとに用意した。毛髪の房のそれぞれを清浄用シャンプーで1回洗浄した。シャンプーした後、毛髪の房を水で濯いだ。実施例1及び2並びに比較例1及び2による組成物のそれぞれ1.1gをそれぞれの毛髪の房に適用した。毛髪の房を流水下で濯ぎ、次いで周囲条件下で自然に乾かして、処理済みの毛髪の房を得た。
【0209】
実施例1及び2並びに比較例1及び2による組成物のそれぞれを毛髪の房上へ適用した後の、滑らかさ、梳り性及び柔らかさを、3人のパネリストが以下の評価基準に従って評価した。ベンチマークは、毛髪の房それ自体、すなわち組成物を一切適用していない毛髪の房についての評価結果を意味する。
5:ベンチマークよりはるかに良好
4:ベンチマークより良好
3:ベンチマークと等価
2:ベンチマークより悪い
1:ベンチマークよりはるかに悪い
【0210】
このようにして得たスコアを平均した。結果を、表1の「官能評価」と表記した行に示す。
【0211】
(結果)
表1に示す結果から見られるように、実施例1及び2による組成物(これらのそれぞれは、クエン酸と加水分解コムギタンパクとの両方を、組成物の総質量に対して0.2質量%以上の量で含む)は、毛髪に、良好な滑らかさを付与することができた。0.210未満のCOF値が、良好な滑らかさを付与すると考えられる閾値であることが留意されるべきである。
【0212】
比較例1による組成物(これは、クエン酸と加水分解コムギタンパクとを、組成物の総質量に対して0.2質量%の量で含む)は、毛髪に、いくらかの滑らかさを付与することができたが、滑らかさの程度は、良好であると考えるには不十分であった。
【0213】
比較例2による組成物(これは、クエン酸を含むが加水分解コムギタンパクは含まない)は、毛髪に、きわめてわずかな滑らかさしか付与することができなかった。
【0214】
その上、実施例1及び2による組成物は、比較例1及び2による組成物よりも、毛髪に、滑らかさ、梳り性及び柔らかさのうちの全ての点で、より良好な化粧効果を付与することができた。
【0215】
(実施例3)
実施例3による組成物を、表2に示す成分を混合して調製する。表2に示す成分の量の数値は、全て、組成物の総質量に対する活性材料の「質量%」に基づく。
【0216】
【0217】
実施例3による組成物は、毛髪に、良好な滑らかさを付与することができる。
【0218】
その上、実施例3による組成物は、毛髪に、滑らかさ、梳り性及び柔らかさのうちの全ての点で、良好な化粧効果を付与することができる。
【国際調査報告】