(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-01
(54)【発明の名称】再使用可能な宇宙輸送システム
(51)【国際特許分類】
B64G 1/00 20060101AFI20231124BHJP
B64G 5/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B64G1/00 A
B64G5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554084
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 FR2021052094
(87)【国際公開番号】W WO2022112718
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523073976
【氏名又は名称】アリアングループ・エス・ア・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プランポリーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴアン,アレクシ
(57)【要約】
再点火可能な推進デバイス(2)と、第2の端部(12)に配置される操縦可能なフラップ(3)と、監視ユニット(4)とを備えるスペースランチャー(100)にマウントされるように意図された、宇宙輸送システム(1)であって、各フラップ(3)は、前記フラップ(3)の向きを変更するように構成された作動手段を備え、前記監視ユニット(4)は:
・推進デバイス(2)がオフであり、フラップ(3)が格納位置にある発射ステップ;
・監視ユニット(4)がフラップ(3)を展開し、システム(1)を減速させるためにフラップ(3)の向きを個別に制御する帰還ステップであって、推進デバイス(2)がオフである、ステップ;
・監視ユニット(4)が推進デバイス(2)および作動手段を制御してフラップ(3)を配向させて減速させ、システム(1)のロールオーバーを行う着陸ステップ
を実施するために、推進デバイス(2)のアクティブ化を制御し、フラップ(3)の向きを、個別に制御するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペースランチャー(100)にマウントされるように意図された宇宙輸送システム(1)であって、輸送システム(1)は、主に第1の方向に沿って延びる胴体(10)と、第1の端部(11)と、第1の方向に沿って第1の端部(11)の反対側の第2の端部(12)と、前記第1の端部(11)または前記第2の端部(12)に配置される再点火可能な推進デバイス(2)とを備え、
輸送システム(1)が、前記第2の端部(12)に配置された複数の操縦可能なフラップ(3)と、監視ユニット(4)とを備え、各フラップ(3)が、少なくとも第1の方向を含む平面内で前記フラップ(3)の向きを変更するように構成された作動手段を備え、
・推進デバイス(2)がオフであり、フラップ(3)が格納位置にある発射ステップ、
・監視ユニット(4)が作動手段を制御してフラップ(3)を展開させ、安定性を確実にし、輸送システム(1)を操縦するためにフラップ(3)を配向させる帰還ステップであって、推進デバイス(2)がオフである、ステップ、
・監視ユニット(4)が推進デバイス(2)および作動手段を制御して、輸送システム(1)を、減速しロールオーバーを行うようにフラップ(3)を配向させる着陸ステップ
を実施するために、前記監視ユニット(4)が、推進デバイス(2)を制御し、各作動手段を個別に制御して、フラップ(3)のそれぞれの向きを監視するように構成されていることを特徴とする、輸送システム(1)。
【請求項2】
フラップ(3)は、ステップが何であれ、輸送システム(1)の胴体(10)から離れて配置され、フラップ(3)が、発射ステップにおいて第1の方向に沿って胴体(10)から遠隔にある、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
フラップ(3)を作動させるための手段は、フラップが胴体(10)からオフセットすることを維持するように構成されたアクチュエータ(33)である、請求項1または2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
システム(1)は、第1の方向の周りの軸対称に従って分配される4つのフラップ(3)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
推進デバイス(2)は、システム(1)の胴体(10)上に、第1の方向の周りの円周方向に沿って分配され、システム(1)の第2の端部(12)に向かってフラップ(3)の間に向けられるか、または、第1の方向に平行で各排気ノズルの2つのフラップ(3)の間を通過する方向に沿っている、複数の排気ノズル(21)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
推進デバイス(2)は、強度および方向に関して可変であり、監視ユニット(4)によって監視される推力を生成する、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
フラップ(3)は、第1の方向に沿って、および発射ステップの構成において、輸送システム(1)の胴体(10)の長さ(L10)の40%から60%の間に含まれる長さ(L3)を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
各フラップ(3)は、発射ステップ中にシステム(1)の第1の端部(11)に向けられる第1の端部(31)と、発射ステップ中にシステム(1)の第2の端部(12)に向けられる第2の端部(32)とを備え、システム(1)が、着陸ステップの終わりに、フラップ(3)の第2の端部(32)との接触によって基準面(S)上に置かれているように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項9】
システム(1)は、システム(1)の第2の端部(12)に配置され、フラップ(3)によって囲まれた少なくとも1つの中央脚部(6)を備え、システム(1)が、着陸ステップの終わりに、フラップ(3)の第2の端部(32)および中央脚部(6)との接触によって基準面(S)上に置かれているように構成される、請求項8に記載のシステム(1)。
【請求項10】
スペースランチャー(100)上に設置された、請求項1から9のいずれか一項に記載の輸送システム(1)を備える、アセンブリ(E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペースランチャーに設置されるように意図された再使用可能な宇宙輸送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙発射ミッションは、一般に、ペイロード、例えば軌道に投入される衛星を搭載する輸送システムを、スペースランチャーに設置することによって実行される。したがって、輸送システムは、ランチャーの最終段を形成し、第1段は、それらのミッションがひとたび実行されると取り外される推進段である。
【0003】
既知の輸送システムが一般に遭遇する問題は、それらが1回しか使用できないこと、すなわち、単1回の発射、および単1回の地球着陸であることである。
【0004】
この問題を解決するために、再使用可能な輸送システムまたは再使用可能なシャトルが開発されている。再使用可能な輸送システムでは、輸送システムを回収し、輸送システムを将来ミッション用の動作状態に戻すことができるように、そのミッションの終わりに所定の場所に着陸できる。
【0005】
再使用可能な輸送システムが遭遇する問題は、輸送システムが宇宙から帰還し、所望の場所で着陸することを可能にするために、輸送システムの向きおよび速度を十分な精度で監視する能力を持つ必要があることである。
【0006】
輸送システムの向きおよび速度を監視するための解決策はまた、輸送システムの使用中に受けるストレスに耐え、輸送システムが次のミッション用に再使用可能にするのに十分にロバストでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の主な目的は、上記の問題を解決できる輸送の解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、スペースランチャーにマウントされるように意図された宇宙輸送システムに関する。輸送システムは、主に第1の方向に沿って延びる胴体と、第1の端部と、第1の方向に沿って第1の端部の反対側の第2の端部と、前記第1の端部または前記第2の端部に配置される再点火可能な推進デバイスとを備える。
【0009】
本発明の一般的な特徴によれば、輸送システムは、前記第2の端部に配置される複数の操縦可能なフラップと、監視ユニットとを備える。各フラップは、少なくとも第1の方向を含む平面内で前記フラップの向きを変更するように構成された作動手段を備える。前記監視ユニットは:
・推進デバイスがオフであり、フラップが格納位置にある発射ステップ;
・監視ユニットが作動手段を制御してフラップを展開し、安定性を確実にし、システムを操縦するためにフラップを配向させる帰還ステップであって、推進デバイスがオフである、ステップ;
・監視ユニットが推進デバイスおよび作動手段を制御してフラップを配向させ、輸送システムを減速させてロールオーバーを行う着陸ステップ
を実施するために、推進デバイスを制御し、各作動手段を個別に制御して各フラップの向きを監視するように構成される。
【0010】
そのような輸送システムは、輸送システムのミッションのすべての段階に適した再使用可能な輸送システムのための簡単でロバストな解決策を提供するので、特に有利である。
【0011】
輸送システムの胴体は、簡単な空気力学的な外形を有し、すなわち翼形部を有さず、これにより、空気力学的な外部フェアリングを使用する必要がないため、再使用可能な宇宙輸送システムの内部容積を最大にしながら、ランチャーの設計の制約を最小限に抑えることが可能になる。
【0012】
この単純な外形は、以前に使用された再使用不可能なシャトルのフェアリングの外形と同様である。したがって、この外形は、既知のランチャーの設計を変更する必要なく現在のランチャーに適合させることができる、およびこのタイプのシャトル外形と共に使用することができる、輸送システムを有することを可能にする。
【0013】
1つの可能な特徴によれば、フラップは、ステップが何であれ、輸送システムの胴体から離れて配置される。フラップは、好ましくは、発射ステップにおいて第1の方向に沿って胴体から遠隔にある。したがって、フラップは、胴体上の流体の流れに対してオフセットしている。
【0014】
フラップを胴体から離すことにより、輸送システムの速度レジーム(およびマッハ)が何であれ、空気力学的境界の接続層を吸収でき、したがって、輸送システムの外面の空気力学的な効率を最大にできる。
【0015】
1つの可能な特徴によれば、フラップを作動させるための手段は湾曲したアクチュエータである。それらは、円形方向に沿った動きを描くことができ、または2つの異なる平面での追加の旋回を可能にするボールジョイントを形成できる。
【0016】
1つの可能な特徴によれば、システムは、第1の方向の周りの軸対称に従って分配される4つ(3つ以上)のフラップを備える。
【0017】
1つの可能な特徴によれば、推進デバイスは、第1の方向の周りの円周方向に沿ってシステムの胴体上に分配され、システムの第2の端部に向かってフラップ間に向けられるか、または、第1の方向で各排気ノズルの2つのフラップ間を通過する方向に沿って、複数の排気ノズルを備える。
【0018】
1つの可能な特徴によれば、推進デバイスは、強度および方向に関して可変であり、監視ユニットによって監視される推力を生成する。
【0019】
1つの可能な特徴によれば、フラップは、第1の方向に沿って、および発射ステップの構成において、システムの胴体の長さの40%から60%の間に含まれる長さを有する。
【0020】
輸送システムでこのような寸法比を有するフラップは、輸送システムの安定性、方向および減速度の監視を最適化することを可能にする。
【0021】
1つの可能な特徴によれば、各フラップは、発射ステップ中にシステムの第1の端部に向けられる第1の端部と、発射ステップ中にシステムの第2の端部に向けられる第2の端部とを備え、輸送システムは、着陸時の地上の安定性を増大させるために、着陸ステップの終わりに、フラップの第2の端部との接触によって、着陸ベースなどの基準面上に置かれているように構成される。
【0022】
1つの可能な特徴によれば、システムは、システムの第2の端部に配置され、フラップによって囲まれた少なくとも1つの中央脚部を備え、輸送システムは、着陸ステップの終わりに、中央脚部を介してフラップの第2の端部を介して基準面上に置かれているように構成され、これにより輸送システムの地上の安定性を増大させることを可能にする。したがって、フラップは重量のほとんどを占めることなく、スタンドのように追加の支持点として機能する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、推進デバイスは、胴体の第1の端部にマウントされる。この構成は、発射段階において、輸送システムとランチャーとの間のデカップリングを最大化することを可能にし、再突入段階において、ジェットの空力監視面および地面との相互作用を最小限に抑え、着陸段階における高温再循環ガス流を低減させ、最終的なロールオーバー段階において、重心を戻すことを可能にし、したがって、ロールオーバー操作、および地上の構成における輸送システムの安定化を助けることを可能にする。
【0024】
別の実施形態によれば、推進デバイスは、胴体の第2の端部にマウントされる。この構成により、熱環境に対する保護のための保護キャップによるノズルの特定の処理を回避することができる。さらに、それは、発射段階が、輸送システムとランチャーとの間の機械的インターフェースによる推進デバイスの保護を有することを可能にする。再突入段階では、この構成は、胴体または空力フラップの外弧面に対する推進ジェットのインパクトを回避することを可能にし、推進デバイスを航空熱再突入環境から保護し、航空機システム間の良好な隔離を達成する。
【0025】
第2の態様によれば、本発明は、スペースランチャーに設置された前述の特徴のいずれか1つによるシステムを備えるアセンブリに関する。
【0026】
本発明の他の特徴および利点は、制限のない実施形態の例を示す添付の図面を参照して、以下に与えられる説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、発射ステップのためにフラップが格納位置にある、第1の実施形態による飛行中の輸送システムの斜視図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、大気圏突入ステップのためにフラップが半展開位置にある、飛行中の
図1の輸送システムの斜視図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、着陸ステップのためにフラップが展開位置にある、
図1の輸送システムの斜視図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、
図3の輸送システムが着陸後に地上にあるときの、
図3の輸送システムを概略的に表す。
【
図5】
図5は、スペースランチャーに設置された、
図1の輸送システムを概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、発射ステップのためにフラップが格納位置にある、第2の実施形態による飛行中の輸送システムの斜視図を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、大気圏突入ステップのためにフラップが半展開位置にある、飛行中の
図6の輸送システムの斜視図を概略的に示す。
【
図8】
図8は、
図6の輸送システムが着陸後に地上にあるときの、
図6の輸送システムの斜視図を概略的に表す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明による輸送システム1の2つの実施形態を示す
図1~
図8が示すように、輸送システム1は、推進デバイス2と、複数のフラップ3と、第1の端部11と第1の端部11の反対側の第2の端部12との間で主に主方向Xに沿って延びる胴体10とを備える。胴体10の第1の端部11は、飛行中に輸送システム1の前方に配置される端部であると考えられ、胴体10の第2の端部12は、飛行中に輸送システム1の後方に配置される端部であると考えられる。輸送システム1が
図6に示すようにランチャー100にマウントされると、第1の端部11は前方で自由であり、第2の端部はランチャー100と接触する。
【0029】
図1~
図5に示す実施形態では、推進デバイス2は第2の端部12に配置される。特に
図7~
図10に示す第2の実施形態では、推進デバイス2は第1の端部11にマウントされることができる。
【0030】
図1~
図5および
図6~
図8に示される2つの実施形態において、フラップ3は、輸送システム1の胴体10の第2の端部12に結合される。フラップ3は、フラップが以下に定義される発射ステップに関する構成にあるとき、主方向および主方向に直交する方向を備える対称面において、本質的に同一形状である。
【0031】
胴体10は、長手方向に実質的に増大する断面を伴う流線形になっている。したがって、胴体10は、例えば、翼がなく、第1の端部11が先細になっている、輸送システム1にオジーブ的な形状を与えることができる。
【0032】
フラップ3は、第1の端部31と、第1の端部31の反対側の第2の端部32との間で主方向Xに沿って延びる。第1の端部31は、胴体10の第2の端部12に対向して配設される。また、輸送システム1が発射ステップに関する構成にあるとき、第1の端部31および第2の端部32は、主方向Xに平行な方向に沿って整列される。
【0033】
各フラップ3は、関節式接続部を形成するアクチュエータ33を介して胴体10に固定され、関節式接続部は、例えばその端部にフラップ3と協働するボールジョイントが設けられ、異なる方向に沿ってフラップ3の向きを変更することを可能にする。
【0034】
アクチュエータ33のおかげで、フラップ3は、格納位置と展開位置との間で動かすことができる。格納位置は、特に発射ステップ中に使用され、
図1および
図6に示されており、そこでは、フラップ3は、輸送システム1の胴体10の延長部または平行部にあるように配向され、胴体10上を流れる流体の流れに対して可能な限り低い、さらにはゼロの抵抗を提供する。
図3、
図4、および
図8に示す展開停止位置は、特に着陸ステップ中に使用される。この位置では、前記フラップ3が展開され、胴体10の外形から突出する。
【0035】
フラップ3は、2つの位置に限定されず、複雑な自由度に従うものを含む、格納位置と展開停止位置との間の任意の位置に、個別にあってもよい。
図2および
図7は、特に、大気圏再突入ステップのためにフラップ3が半展開位置にある輸送システム1を概略的に示している。
【0036】
したがって、アクチュエータ33は、輸送システム1が配置されるステップにかかわらず、フラップ3を胴体10に対してオフセットするように構成される。したがって、アクチュエータ33は、主方向Xに沿っておよび/または主方向Xに直交する平面に含まれる方向に沿って、いつでも胴体10に対してフラップ3をオフセットすることを可能にする。
【0037】
したがって、発射ステップにおいて、フラップ3は、第1の実施形態については
図1に示され、第2の実施形態については
図6に示されるように、各フラップ3の第1の端部31を胴体10の第2の端部12から分離する空間の主延長部Xに配設され得る。
【0038】
着陸ステップに関する構成で第2の実施形態による輸送システム1を示す
図8に示すように、アクチュエータ33は、フラップがその格納位置とその展開位置との間で旋回することを可能にする丸みを帯びた機械的アームを備えることができる。これはまた、湾曲した機械的アームとフラップ3との間に設置されたボールジョイントを備えることができ、これにより、機械的アームに対するフラップ3の向きを変更できる。
【0039】
したがって、フラップ3の第1の端部31は、胴体10から切り離されて、輸送システム1の前記胴体10から離れて配置され、これにより、飛行力学に関連する必要性に従ってフラップ3の変位の複雑な自由度を採用することが可能になり、大気圏再突入中に遭遇するすべての飛行段階にわたってフラップ3の最適な動作を保証し、特に
図2および
図7に示すように、フラップ3と胴体10との間の相互作用を制限することが可能になる。
【0040】
図1~
図8に示す2つの実施形態では、システム1は、主方向Xの周りに均一に分配される4つの同一のフラップ3を備える。フラップ3の数は、実施形態に従って変化し得るが、少なくとも3つに等しい。
【0041】
輸送システム1はまた、一方では、推進デバイス2より具体的には推進デバイス2のアクティブ化を監視するように、他方では、アクチュエータ33を制御することによって各フラップ3の向きを個別に監視するように構成された監視ユニット4を備える。したがって、監視ユニット4は、前記輸送システム1によって遂行されるミッションに依存する所定のシナリオを実施するために、輸送システム1の速度、向き、および軌道を監視するために、推進デバイス2の点火およびフラップ3の向きを制御する。したがって、監視ユニット4は、着陸直前の地球への降下中に輸送システム1がロールオーバーを行うことを可能にする。監視ユニット4はまた、ミッションの必要性に従ってシステム1の減速および/または加速の管理を実行できる。監視ユニット4はまた、所望の着陸エリアに向かって輸送システム1を案内することを可能にする。
【0042】
監視ユニット4は、特に、発射ステップ、次いで宇宙からの帰還ステップ、次いで着陸ステップを実施するように構成される。
【0043】
発射ステップの間、輸送システム1は、
図5に示すようにスペースランチャー100上に設置され、推進デバイス2はオフであり、フラップ3は、輸送システム1の全体寸法およびランチャー100上での相互作用を制限するために、それらの格納位置にある。
【0044】
帰還ステップの間、輸送システム1は地球に帰還し、回収されることができる。帰還ステップの間、監視ユニット4は、
図2および
図7に示すように、地球に向かって落下する際のシステム1の安定性、減速、および操縦を確実にする位置に、フラップ3を展開するためにアクチュエータ33を制御し、推進デバイス2がオフである。このステップの間、アクチュエータ33を介した監視ユニット4によるフラップ3の展開により、地球の大気中の運動エネルギーの空気力学的消散による減速を達成することが可能になる。さらに、監視ユニット4は、システム1の軌道を適合させて、生じ得るあらゆる偏差を修正するために、各フラップ3の向きを個別に適合させることができる。
【0045】
着陸ステップの間、システム1は、ロールオーバー操作を行い、地上で停止するために減速し続ける。システム1のロールオーバーを行うために、制御ユニット4は、推進デバイス2をアクティブ化し、アクチュエータ33を使用してフラップ3の向きを適合させる。さらに、ひとたびシステム1がロールオーバーされると、すなわちシステム1の胴体10の第2の端部12が地面に向けられると、制御ユニット4は、第1の実施形態については
図3および
図4に、第2の実施形態については
図8に示すように、システム1を減速させるために、特にフラップ3を格納停止位置に設置するために、推進デバイス2をアクティブ化する。
【0046】
アクチュエータ33は、特にロールオーバー段階のために、フラップ3の非対称位置を有するように作動させられ得る。フラップ3は、フラップ3が主軸線Xに対して対称に位置決めされる発射位置および着陸位置とは異なり、各々が異なる角度を有するようなロールオーバーを可能にするために、互いに独立して監視される。
【0047】
図1~
図8に示す2つの実施形態では、フラップ3は、フラップ3がシステム1の胴体10の延長部の格納位置にあるときに、システム1の長さL1の20%から40%の間に含まれる長さL3を有することができる。換言すれば、格納位置では、主方向Xに沿って測定されたフラップ3の長さL3は、
図1および
図6に示されるように、胴体10の長さL10の40%から60%の間に含まれる、好ましくは胴体10の長さL10の約50%であり得る。
【0048】
輸送システム1は、ペイロードを運ぶための容量を備える。ペイロードは、例えば、軌道に投入される1つ以上の人工衛星を備えることができる。ペイロードはまた、乗客、および乗客輸送に必要なミッションを中断および保持するためのすべてのシステム、ならびに宇宙生命維持システムを備えることができる。輸送システム1は、特に、1つ以上の衛星および乗客の両方を搭載することができる。
【0049】
両方の実施形態において、輸送システム1は、
図6から
図8に示されるように、第1の端部11と第2の端部12との間に配置される胴体10の中央エリア13に配置されるハッチ5を備えることができ、前記ハッチ5は、貨物空間にアクセス可能な開放位置と、貨物空間が閉じられる閉鎖位置との間で動かすことができる。ハッチ5は、ペイロードを搭載し、輸送中にペイロードを保護することを可能にし、それで、ペイロードを解放しなければならないときにハッチ5を開くことができる。
【0050】
したがって、1つの可能な実装形態によれば、衛星が、中央エリア13に配置されハッチ5によって閉じられている貨物空間に積載されると、衛星をステーション内に位置決めするために輸送システム1が前記衛星の移送軌道に到達したときに、ハッチ5は開くことができ、衛星は、例えば、その作業軌道まで移動するためにそのアポジーモータを使用することができる。ひとたび衛星がステーション内に位置決めされると、監視ユニット4は、システム1の地球への帰還を確実にし、所望の着陸エリアに着陸するための操作を行うために、推進デバイス2およびフラップ3を制御する。
【0051】
別の可能な実施態様によれば、ハッチ5は、離陸前、着陸後、および軌道飛行段階中にのみ、乗客の乗降のために開いている。
【0052】
好ましくは、推進デバイス2は可変の推力を生成し、その結果、制御ユニット4は、推進デバイス2が前記制御ユニット4によりアクティブ化されるときに推進デバイス2によって生成される推力の量を適合させることができる。
【0053】
推進デバイス2は、例えば、液体またはハイブリッド推進剤ロケットエンジンであってもよい。
【0054】
図1~
図5に示す第1の実施形態では、輸送システム1の推進デバイス2は、胴体10の第2の端部12に配設される。この第1の実施形態では、推進デバイス2は、輸送システム1の底部に設置された4つの排気ノズル21を備える。したがって、排気ノズル21は、フラップ3が格納位置にあるときに、フラップ3の間に備えられる空間内に配設される。
【0055】
図6~
図8に示す第2の実施形態では、推進デバイス2は、第1の端部11のレベルで、より具体的には胴体10の外面上で、輸送システム1の胴体10の輪郭にわたって分配される複数の排気ノズル21を備える。排気ノズル21は、システム1の胴体10の第2の端部12に向けられ、主方向Xに平行で2つのフラップ3の間を通過する軸に沿ってそれぞれ配置される。したがって、フラップ3は、推進デバイス2を出る排気流から到達されない。
【0056】
図8に示すように、着陸の終わりに、フラップ3は、輸送システム1の着陸時に地上の安定性増大を確実にする追加の支持体として機能できる。したがって、フラップ3は、すべてのフラップ3が展開された停止位置にある着陸位置にあることができ、システム1は、フラップ3の第2の端部32によって、一般に地面である基準面S上に置かれている。
【0057】
システム1は、
図8に示すように、第2の端部12のレベルでフラップ3の間に配置される少なくとも1つの中央脚部6をさらに備えることができる。中央脚部6の形状は、フラップ3が着陸位置にあるときに、システム1がフラップ3の第2の端部32と中央脚部6の両方によって基準面S上に置かれているように適合される。
【0058】
図5に示すように、輸送システム1は、スペースランチャー100に設置されてアセンブリEを形成できる。
【0059】
図6および
図7では、スペースランチャー100の筐体のうちの1つの一部102が見えており、この筐体は、発射の終わりに輸送システム1から外れるように意図されている。
【0060】
したがって、本発明は、再使用可能な輸送システムを提供することを可能にし、再使用可能な輸送システムは、その向きおよび速度を、それが宇宙から所望の場所に着陸することを可能にするのに十分な精度で監視することができ、飛行中に受けるストレスに耐えるのに十分にロバストである。
【国際調査報告】