(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】キトサンベースのビーズ、調製、組成物及び用途
(51)【国際特許分類】
A61K 47/36 20060101AFI20231127BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231127BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231127BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20231127BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20231127BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20231127BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20231127BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231127BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A61K47/36
A61K9/48
A61P19/02
A61P19/08
A61L27/54
A61L27/20
A61L27/44
A61K45/00
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540756
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2021082454
(87)【国際公開番号】W WO2022106676
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517032093
【氏名又は名称】キオメッド ファーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ショーソン
(72)【発明者】
【氏名】サンドリーヌ エミリア ゴーチエ
(72)【発明者】
【氏名】ロランス エルミッテ
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ラボー
(72)【発明者】
【氏名】ギェルモ ロカサルバス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB17
4C076CC09
4C076CC50
4C076DD37
4C076DD39
4C076DD41
4C076DD48
4C076DD49
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4C076DD57
4C076DD59
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4C076DD62
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4C076EE47
4C076FF34
4C076FF35
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF67
4C081AB04
4C081BB07
4C081BB08
4C081CC04
4C081CC05
4C081CD091
4C081CD092
4C081DA11
4C081DA12
4C081EA11
4C084AA17
4C084MA37
4C084MA58
4C084MA63
4C084MA66
4C084MA67
4C084NA03
4C084NA06
4C084NA11
(57)【要約】
本発明は、ビーズおよび複数のビーズを含む水相を含む組成物に関し、前記ビーズがグルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有する少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成るヒドロゲルマトリックスを含み、前記カルボキシアルキルキトサンが、カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋され、そして/又は1つ又は複数の他のポリマーとの共有結合によって共架橋されていることを特徴とする。
本発明はまた、それらの調製及びその適用のための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビーズを含む水相を含む組成物であって、前記ビーズがグルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有する少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成るヒドロゲルマトリックスを含み、前記カルボキシアルキルキトサンが、カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋され、そして/又は1つ又は複数の他のポリマーとの共有結合によって共架橋されていることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記水相が1つ又は複数のポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビーズにおいて、カルボキシアルキルキトサンが別のポリマーと共架橋されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水相及び/又はビーズが、生理学的媒体とバランスのとれたpH及び浸透圧を有するヒドロゲルの形態で存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記水相及び/又はビーズが、ヒト又は動物への注射に特異的な形態で存在することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
ヒト又は動物に注射可能なビーズであって、前記ビーズがグルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有する少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成るヒドロゲルマトリックスを含み、前記カルボキシアルキルキトサンが、総グルコサミン単位のモル数に対するN-アセチル基のモル数として表される、30%より高く80%までのアセチル化度を有し、前記カルボキシアルキルキトサンが、カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋され、そして/又は1つ又は複数の他のポリマーとの共有結合によって共架橋されていることを特徴とする、ビーズ。
【請求項7】
前記カルボキシアルキルキトサンが、総単位のモル数に対する置換基のモル数で表される、20%を超える、例えば、50%を超える、例えば、200%未満の、カルボキシアルキルの基との置換度を有することを特徴とする、請求項6に記載のビーズ。
【請求項8】
前記マトリックスが、少なくとも1つのポリマー、例えば少なくとも1つのヒアルロナンを含み、共有結合によってそれ自体が架橋するか、又はカルボキシアルキルキトサンとの共有結合によって架橋される可能性があることを特徴とする、請求項6又は7に記載のビーズ。
【請求項9】
架橋が、前記共有結合を形成する架橋剤によって形成されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載のビーズ。
【請求項10】
前記架橋剤が、バイオポリマー、特に多糖類を架橋するために使用される架橋剤、例えば1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1-ブロモ-3,4-エポキシブタン、1-ブロモ-4,5-エポキシペンタン、1-クロロ-2,3-エピチオプロパン、1-ブロモ-2,3-エピチオプロパン、 1-ブロモ-3,4-エピチオブタン、1-ブロモ-4,5-エピチオペンタン、2,3-ジブロモプロパノール、2,4-ジブロモブタノール、2,5-ジブロモペンタノール、2,3-ジブロモプロパンチオール、 2,4-ジブロモブタンチオール、及び2,5-ジブロモペンタン-チオールエピクロロヒドリン、2,3-ジブロモプロパノール、1-クロロ-2,3-エピチオプロパン、ジメチルアミノプロピルカルボジイミド、没食子酸、エピガロカテキンガレート、クルクミン、タンニン酸、ゲニピン、又はジイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアナート又はトルエンジイソシアナート、又は再びジビニルスルホンから選択されることを特徴とする、請求項9に記載のビーズ。
【請求項11】
請求項6~10のいずれか1項に記載の複数のビーズを含む、ヒト又は動物に投与可能な組成物。
【請求項12】
点眼の準備ができているか、又はヒト又は動物に移植可能な注射可能懸濁液として処方されることを特徴とする、請求項1~5又は11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
医薬組成物又は治療法に使用するための組成物として処方されることを特徴とする、請求項1~5又は11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ビーズが1つ又は複数の活性剤を含むことを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
注射可能、移植可能、又は点眼の準備ができている、又は局所送達の医薬組成物として、又は注射可能又は移植可能又は点眼の準備ができている、又は局所送達の医療機器として使用するための、例えば修復又は充填が必要な少なくとも1つの体組織を修復又は充填するために、前記組成物の皮下、皮膚内、粘膜、眼、眼内、又は関節内経路による点滴注入又は局所投与又は注射を含む、治療法での使用のための、請求項11~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
修復又は充填を必要とする少なくとも1つの体液又は組織、及びの治療、修復又は充填のための方法への使用のための、及び例えば、声帯、筋肉、靭帯、腱、粘膜、性的器官、骨、関節、目、皮膚、又はこれらの組み合わせのいずれかに属する組織、及びより具体的には、皮膚、軟骨、滑膜、皮膚の傷又は眼の表面から選択される体の組織の治療法への使用のための、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
例えば、生体液、例えば滑液への注射による、又は生体液と混合した後、例えば血液及び軟骨への移植による、関節症の治療法、又は軟骨の欠如の修復への使用のための、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項11~16のいずれか1項に記載の組成物を含むか、又はそれから成ることを特徴とする医療用装置、例えば、医療用インプラント。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の複数のビーズの調製方法であって、
少なくとも1つの他のポリマーの存在下又は非存在下で、及び少なくとも1つの架橋剤の存在下で、好ましくはアルカリ性pHで作製された、カルボキシアルキルキトサンの水溶液を調製し;
複数のビーズの形でこの溶液の液滴を形成し;
カルボキシアルキルキトサン及び、存在する場合、少なくとも他のポリマーを架橋剤によって架橋し;そして
請求項1~18のいずれか1項に記載の複数のビーズを得ることを含む方法。
【請求項20】
前記液滴が、たぶん有機溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールを含む水相の存在下に置かれることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの凝固剤の存在下で、液滴を架橋する前に、複数のビーズの形で液滴を凝固させることを含むことを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
架橋後に得られた複数のビーズが、生理学的に許容される培地でpHと浸透圧のバランスを取り、洗浄することによって精製工程にかけられることを特徴とする、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記複数のビーズを分類して、寸法に応じてビーズを選択することを特徴とする、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のビーズが、水相、親油性相、親水性脂質相、又は別の固相と関連しており、たぶん1つ又は複数のポリマー、例えば、カルボキシアルキルキトサン、ヒアルロナン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記相が、ヒト又は動物の体内への注射に固有のものであることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの架橋されたカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成る、ヒト又は動物における投与可能な、特に注射可能な、移植可能な又は点眼可能なビーズに関する。 本発明は、ビーズを含むか、又は少なくとも1つの架橋されたカルボキシアルキルキトサンを含むヒドロゲルマトリックスから成る、ヒト又は動物における投与可能な、特に注射可能、移植可能又は点眼可能な組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、これらのビーズ、組成物、特に懸濁液または分散液の形態でそれらを含む組成物を調製するための方法、並びにそれらの用途、特にヒト又は動物への投与による用途、特に注射用針又は内視鏡システムによる注射、移植、点滴注入又は標的適応に適合した他の経路によるそれらの用途に関する。
【0003】
本発明は、より具体的には、共有結合によって架橋された少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むヒドロゲルマトリックスを含むか、又はそれから成る、ヒト又は動物に投与可能なビーズ、それらを含む組成物、それらの製造方法、及びそれらの異なる用途、特に治療、リウマチ、整形外科、眼科、美容医学、塑性手術、内科手術、皮膚科、婦人科又は美容分野に関する。
【背景技術】
【0004】
生体吸収性ポリマー粒子で作られたヒト又は動物に投与可能な製品は、特に美容目的での皮膚組織のボリューム化の兆候及び注射による薬物送達表示のために、すでに販売されている。 ただし、これらの製品は、特に耐性、生体統合、及びボリューム効果の点で改善が必要である。
【0005】
組織に投与された粒子系に直面する身体の反応は、いくつかのパラメーター、特に組成、形状、サイズ、生分解性、表面に依存することが現在認識されている。
【0006】
従って、ヒドロゲルの形ではないが、異物や肉芽腫への反応を誘発するリスクを提示する生体吸収性ビーズに基づく市販の製品がある。 従って、それらは深部組織層に限局された使用に限定され、例えば、それらは真皮に投与することができない。 このようなミクロスフェアは、眼内経路によって注入することができる(自己凝集性スニチニブ微粒子による網膜血管疾患の持続的治療、Nature Comm 11、694、2020)。
【0007】
さらに、本発明によるビーズは、特に凝集性、安全性、免疫適合性、生体吸収性、生体力学的特性、投与の容易さ、及び寿命又は活動時間の観点から、ヒト又は動物での使用に適しているべきである。 しかし、最先端の組成物は、そのような特性を十分に提供せず、従って、本発明によるものではないであろう。
【0008】
架橋されたヒアルロン酸(HA)のマトリックスによって形成されたヒドロゲルの押し出しによって得られる特定の充填製品がある。 ただし、押し出しによって得られる形状は非球形で不規則であるため、Lemperle(Biocompatibility of injectable microspheres, Biomed J Sci Tech Res 2, 1, 2018)が特に説明しているように、通常は球形よりも異物や肉芽腫に反応するリスクが高くなる。押し出しによって得られたヒドロゲルビーズは、球状のヒドロゲルビーズよりも細い針を通して注入するためにより大きな力を必要とすることも知られている。 適切な短期及び長期の耐性と細い針による容易な注入を優先するために、球状のヒドロゲルビーズを使用することを推薦する。
【0009】
文献、特に特許出願には、非共有結合を介した架橋によって形成された生体吸収性ポリマーの球状ヒドロゲルビーズがある。 例えば、国際出願WO2011089173号(Biopharmex)は、軟組織の組織充填のための注射可能な組成物を記載している。より具体的には、この出願は、平均体積直径が5~50μmのミクロスフェアの懸濁液について説明し、ミクロスフェアの総重量に対して50~90%重量の少なくとも1つの生体吸収性多糖類を含む前記ミクロスフェアは、組織誘導によって第2の充填を誘導し、そして少なくとも1つの第2の生体吸収性ポリマーを含む。それらのヒドロゲルミクロスフェアは、共有結合がないため、安定性が低くなり; 従って、初期の形状とサイズでの完全性は、注入又は移植後に短縮される。 それらの懸濁液貯蔵安定性もまた短時間でなければならない。
【0010】
共有結合を介して架橋することによって得られる生体吸収性ポリマーヒドロゲルビーズの調製を説明する他の文書があり、例えば、Luoらによる出版物であり、これは、脱水ビーズの形のカルボキシメチルキトサンに関連している(栄養素送達用途のためのアルコール-水性二成分溶媒中でのカルボキシメチルキトサンヒドロゲルビーズの開発、Food Hydrocolloids 31、332、2013)。ただし、Luoらは架橋剤グルタルアルデヒドを使用したが、これはヒトや動物への注射には使用できない。より具体的には、Luoらは次の特性のいずれも説明していない:機械的強度、弾性、ボリューム化、免疫適合性、針による注射可能性、ビーズを損傷することなく洗浄工程によって残留物(塩及び架橋剤)を除去する能力。 しかし、何よりも、本発明者らは、Luoらの方法が、強く置換及び/又はアセチル化されたキトサン誘導体及び架橋剤BDDE(グルタルアルデヒドより好ましい)で始まるヒドロゲルビーズの調製に適していないことを発見した。さらに、Luoらが使用するキトサン誘導体は、ある程度のアセチル化とある程度の置換があり、許容できる免疫反応性を提供することはできない。 従って、当業者は、本発明によるビーズを開発するために、この文書から十分に学ぶことは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明者によって設定された目標を十分に満たす注射可能なビーズは存在しない。 生体吸収性ポリマーに基づく、球状で、特に注射により容易に投与でき、完全に許容されるヒドロゲルビーズの調製分野は複雑であり、この問題に関する研究はまだ開発されていない。 従って、本発明者らは、この技術を開発しようとしたが、十分に調査されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの目的は、特に注射又は移植によって、より具体的には治療、外科及び美容の分野において、ヒト又は動物への投与後の標的適応に対して適切な耐性を有する注射可能なビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0013】
本発明の1つの目的は、ボリューム化兆候(例えば、美容医学における顔/体の輪郭のボリューム化/リモデリング効果)又は薬物送達のためにそのような注射可能なビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0014】
特に、本発明の1つの目的は、生体力学的特性、寿命又はその場での活性の観点から許容できる、ヒト又は動物からの組織と接触して使用するように適合された生体吸収性ビーズを提供するという技術的問題を解決し、許容できる短期及び長期の免疫反応及び/又は異物への反応を含む、適切な健康上の安全性を探し、そして特に再生医療又は老化防止医療に関して、例えば治療、リウマチ、整形外科、婦人科、眼科、美容医学、塑性手術、内科手術、皮膚科又は美容分野で有益な効果を提供することである。
【0015】
本発明の1つの目的は、それらの貯蔵中に十分な安定性を示し、標的となる適応症に適切であるそのような注射可能なビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0016】
特に、本発明の1つの目的は、満足のいく耐性、物理化学的特性及びボリューム化効果を提供し、皮下移植後十分な期間にわたってそのような注射可能なビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0017】
本発明の1つの目的は、標的となる適応症に従ってモジュール特性をビーズに提供するという技術的問題を解決することである。
【0018】
特に、本発明の1つの目的は、プロセスから望ましくない残留物を除去し、ビーズのpH及び浸透圧を生理学的媒体のものとバランスをとるために、水性環境で洗浄することによって精製工程に耐えるビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0019】
本発明の1つの目的はまた、特に、ボリューム化効果及び/又は標的化された適応症の対象となる少なくとも1つの化合物(治療活性成分、栄養素など)の送達に関して、経時的に持続的な効果を有する生体吸収性注射可能ビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0020】
本発明の1つの目的はまた、本質的に球形であり、滑らかで粗くない表面を有する(注射可能な)ビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0021】
特に、本発明の1つの目的は、注射システムの出口でのビーズの完全性を変えることなく、注射による送達を意図する場合に、そのようなビーズに満足のいく注射設備を提供するという技術的問題を解決することである。
【0022】
本発明の1つの目的はまた、水相に懸濁可能であり、そしてそのような懸濁液中でのそれらの貯蔵中に一体のままであるビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0023】
本発明の1つの目的はまた、水相に懸濁可能であり、そして特に湿式熱滅菌工程によるそのような懸濁液中でのそれらの滅菌中に一体のままであるビーズを提供するという技術的問題を解決することである。
【0024】
本発明の1つの目的は、キトサン誘導体ビーズを提供することにより、上記の技術的問題を解決することである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ヒト又は動物に注射可能なビーズを提供するために、これらは、それらが注射又は移植される組織と生体適合性でなければならない。 好ましくは、生体適合性ビーズを提供するために、それらは、非毒性で非免疫反応性である高分子、好ましくは生体高分子マトリックスを含むことが好ましい。 本発明によるビーズマトリックスのポリマーは、有利に生体吸収性であり、毒性でも免疫反応性でもない。PCT / EP2018/080763号及びPCT/EP2018 /080767号出願(KIOMEDPHARMA)に記載されているカルボキシアルキルキトサン誘導体は、そのマトリックスが毒性又は免疫反応性ではないことに十分耐えるため、好ましい。実際、キトサン誘導体を使用して、特に免疫適合性(又は免疫反応性)の観点から、ヒト又は動物での使用に許容できるヒドロゲルを形成することはできない。 免疫適合性とは、細胞又は免疫系を刺激せず、抗原による特定の免疫応答をもたらす、人体又は他の生物にとって外来の物質を意味する。PCT / EP2020 / 064159号出願は、このようなキトサン誘導体を架橋することによって調製されたヒドロゲルマトリックスの使用に関するものである。 本発明の目的を満たすビーズを調製するために、このPCT / EP2020 / 064159号の国際出願に従って、そのような架橋キトサン誘導体のマトリックスを使用することがしばらくの間企図されていた。 ただし、これらの架橋キトサン誘導体マトリックスからビーズを調製するには、例えば、ヒドロゲルを押し出すか、粉砕する必要がある。しかし、本発明者らは、そのようなビーズは、それらの形状は非球形で不規則であるため(つまり、角のある部分、表面の粗さ、サイズ分布の制御が不十分)(Lemperle 2018, Biocompatibility of injectable microspheres, Biomed J Sci Tech Res 2, 1, 2018)、ヒト又は動物の組織に注入又は移植されると、異物に対する反応のリスクが高まるので、満足のいくものではないことを発見した。同様に、それらは不規則な形状のために注入するのが容易ではない。
【0026】
この観察に基づいて、本発明者らは研究プログラムを考案した。 より具体的には、彼らは、カルボキシアルキル化キトサン誘導体について文献に記載されている様々な方法に従って、PCT /EP2018/080763号及びPCT/EP2018/080767号に従ってカルボキシアルキルキトサンに基づく球状ヒドロゲルビーズを調製することを検討した。
【0027】
従って、例えば、Anithaなど(キトサン、O-カルボキシメチル及びN、O-カルボキシメチルキトサンナノ粒子の合成、特性評価、細胞毒性及び抗菌研究、Carbohydrate Polymers 78、672、2009)、Anithaなど(抗癌剤送達用のクルクミン負荷N、O-カルボキシメチルキトサンナノ粒子、J Biomater Sci 23、1381、2012)、Lin及びLin(インスリン担体としてのN、O-カルボキシメチルキトサンナノ粒子の調製、2009年)、Kalliolaなど(カルシウムイオンで架橋されたカルボキシメチルキトサンナノ粒子のpH感受性特性、Colloids Surfaces B、153、229、2017)及びFengなど(効率的且つ安全な経口抗癌剤送達のためのチトサン/O-カルボキシメチルキトサンナノ粒子、Int J Pharma 457、158、2013)によって記載されたイオン架橋又は多電子複合体を形成する方法は、満足のいく結果を提供しなかった。実際、ほとんどの場合、ヒドロゲルビーズは形成されず、つまり、ポリマーは球形に沈殿するが、安定化されておらず、そしてヒドロゲルビーズのように粘弾性及び水和されていないか、又はそれらが形成された場合、連続相に組み込まれると一体のままにならず、安定しない。
【0028】
驚くべきことに、本発明者らによる多くの開発の結果として、本発明は、満足のいく、本発明の目的を満たすビーズを提供することを可能にすることが発見された。
【0029】
本発明は、より具体的には、複数のビーズを含む水相を含む組成物に関し、ここで前記ビーズがグルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有する少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成るヒドロゲルマトリックスを含み、前記カルボキシアルキルキトサンが、カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋され、そして/又は1つ又は複数の他のポリマーとの共有結合によって共架橋されていることを特徴とする。
【0030】
本発明はまた、ヒト又は動物における1つ又は複数の注射可能なビーズにも関し、ここで前記ビーズがグルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有する少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれから成るヒドロゲルマトリックスを含み、前記カルボキシアルキルキトサンが、総グルコサミン単位のモル数に対するN-アセチル基のモル数として表される、30%より高く80%までのアセチル化度を有し、前記カルボキシアルキルキトサンが、カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋され、そして/又は1つ又は複数の他のポリマーとの共有結合によって共架橋されていることを特徴とする。
【0031】
カルボキシアルキルキトサン
PCT / EP2018/080763号及びPCT/EP2018 /080767号の番号で出願されたKiomed Pharmaの特許出願に記載されているカルボキシアルキルキトサンなどの有利なキトサン誘導体及びそれらのファミリーは、知られており、その内容は参照により本発明に組み込まれている。さらに、Kiomed Pharmaによる国際出願、PCT / EP2020 / 064159号(その内容が参照により本明細書に組み込まれる)は、例えば、ヒアルロナンとして、単独で、又は別のポリマーと架橋されたカルボキシアルキルキトサンを記載している。
【0032】
本発明によるマトリックスは、本発明によるマトリックスを形成するために1つ以上のポリマーと架橋及び/又は共架橋される出発カルボキシアルキルキトサンによって特徴付けられ得る。
【0033】
第1の側面によれば、グルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、及びカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有するカルボキシアルキルキトサンが使用され(真菌起源)、 前記カルボキシアルキルキトサンは総単位のモル数に対する置換基のモル数で表される、好ましくは20%を超えるカルボキシアルキル基との置換度を有する。
【0034】
これは、キトサン又は置換キトサン誘導体とも呼ばれる。
【0035】
カルボキシアルキルキトサンは、キトサン置換によって調製される。典型的には、カルボキシアルキルキトサンは、特にカルボキシアルキルキトサンの調製を説明するために参照により本明細書に組み込まれる、PCT / EP2018 / 080763号とそのファミリー(特にFR 1761314号及びEP18799772.1号)及びPCT / EP2018 / 080767号及びそのファミリー(特にFR 1761323号及びEP18799773.9号)、及びPCT/EP2020 / 064159号及びそのファミリー(特にFR1905504号)の番号で提出されたKiomed Pharmaの特許出願に従って調製される。
【0036】
例えば、キトサンはCAS番号9012-76-4で参照されている。
【0037】
本発明に使用されるキトサンは、有利には真菌起源であり、そして好ましくは、アスコミセテ型の真菌、特にアスペルギルス・ニガーの菌糸、及び/又はバシディオマイセテ真菌、及び特にレンティヌラ・エドデス(椎竹)及び/又はアガリクス・ビスポラス(栽培キノコ)に由来する。好ましくは、キトサンはアガリクス・ビスポラスに由来する。キトサンは非常に純粋であることが好ましく、すなわち、その真菌起源又は製造プロセスに由来する不純物をほとんど含まず、インプラント又は医薬組成物としての使用に適合性がある微生物学的品質のものである。キトサンの調製方法は、国際公開WO 03/068824号(EP1483299号; US7556946号)に記載されている方法である。
【0038】
一般的に、キチンは水酸化ナトリウムの存在下で水性懸濁液に入れられ、次に媒体は、所望の分子量に応じて可変の時間、高温で加熱される。 次に、キトサンを酸性媒体で精製し、アルカリ性媒体で沈殿させ、洗浄して乾燥させる。
【0039】
好ましくは、キトサンは、医薬用途に十分に純粋なグレードのものである。
【0040】
キトサンは有利に精製され、次いで好ましくは乾燥される。 精製後、本発明の方法は、カルボキシアルキルキトサンを乾燥させ、次いでそれを粉砕して粉末を得る工程を含むことができる。 例えば、キトサンは、水の蒸発、例えば、噴霧乾燥(噴霧化)、流動床、又は真空又は大気圧加熱乾燥工程によって、又は凍結乾燥によって乾燥させることができる。
【0041】
次に、このキトサンを置換して、例えば本発明に記載されているように、カルボキシアルキルキトサンを生成することができる。
【0042】
次に、そのようなカルボキシアルキルキトサンを使用して、本発明によるビーズを調製する。
【0043】
簡単にするために、DA及びDSは、ビーズの形成前にカルボキシアルキルキトサンに従って表される。
【0044】
キトサンのアセチル化度(DA)は、例えば国際公開WO2017009335号及びWO2017009346号に記載されているように電位差滴定によって決定される。 キトサン及びカルボキシアルキル化キトサンのDAは、液相プロトンNMR、固相炭素-13 NMR、赤外線分光法、UV-可視分光法など、キトサンの既知の方法で測定できる。
【0045】
1つの代替法によれば、カルボキシアルキルキトサンは、総単位モルに対するN-アセチル-グルコサミン単位のモル数として表される、30%未満、例えば5%~30%のアセチル化度を有する。
【0046】
有利なことには、カルボキシアルキルキトサンは、総単位モルに対するN-アセチル-グルコサミン単位のモル数として表される、30~80%の間のアセチル化度を有する。アセチル化の程度は、キトサン(N-アセチル-D-グルコサミン、置換N-アセチル-D-グルコサミン、D-グルコサミン及び置換D-グルコサミン)に存在するグルコサミンの単位の総数に対する(D-グルコサミンユニットの)N-アセチル基の数として表される。
【0047】
有利なことには、カルボキシアルキルキトサンは、グルコサミン単位の総数に対するN-アセチル基の数として表される、30~75%の間のアセチル化度を有する。
【0048】
1つの代替法によれば、アセチル化度は35~50%の範囲である。
【0049】
1つの代替法によれば、アセチル化度は40~60%の範囲である。
【0050】
1つの代替法によれば、アセチル化度は50~75%の範囲である。
【0051】
キトサンカルボキシアルキルのアセチル化度は、固相炭素-13NMR又は液相プロトンNMRによって決定することができる。 カルボキシアルキルキトサンは、アセチル化度が制御されていることが有利である。「アセチル化度が制御されたキトサン」とは、アセチル化度、つまりN-アセチル-グルコサミン単位の比率が、特にアセチル化反応によって制御された方法で調整できる製品を意味する。
【0052】
好ましくは、カルボキシアルキルキトサンは再アセチル化される。
【0053】
1つの代替法によれば、本発明によるカルボキシアルキルキトサン調製法は、真菌起源のキトサンを調製し、キトサンを再アセチル化し、そして再アセチル化されたキトサンをカルボキシアルキル化することを含む。 従って、本発明は、再アセチル化されたカルボキシアルキルキトサンに関する。 より具体的には、本発明は、アニオン性カルボキシアルキルキトサンに関する。
【0054】
従って、1つの実施形態によれば、キトサンは、水性媒体に溶解することができ、好ましくはわずかに酸性化する(例えば、pH6)。 酢酸無水物は、1つ又は複数の操作でキトサン溶液に加えることができる。 次に、ソーダ及び尿素などの基本的な薬剤が追加される。 次に、例えばモノクロロ酢酸ナトリウム(すなわち、クロロ酢酸のナトリウム塩)又はクロロ酢酸などのアルキル化剤が添加される。 次に、置換されたキトサンは精製され、回収され、乾燥される。
【0055】
1つの代替法によれば、本発明によるカルボキシアルキルキトサン調製法は、キトサンを調製し、キトサンをカルボキシアルキル化し、次いで、カルボキシアルキル化キトサンを再アセチル化することを含む。 有利には、そのような方法は、最終的なカルボキシアルキルキトサンのアセチル化度の正確な制御、より具体的には、例えば40%を超える高度のアセチル化が得られることを可能にする。 従って、本発明は、再アセチル化されたキトサン、次いでカルボキシアルキル化された、又は再アセチル化されたカルボキシアルキルキトサンに関する。
【0056】
1つの代替法によれば、本発明によるカルボキシアルキルキトサンを調製するための方法は、真菌起源のキチンを調製し、キチンをカルボキシアルキル化し、そしておそらくカルボキシアルキル化キチンを再アセチル化して本発明によるカルボキシアルキルキトサンを得ることを含む。
【0057】
1つの代替法によれば、本発明によるカルボキシアルキル化キトサンを調製するための方法は、真菌起源のキチンを調製し、キチンを脱アセチル化し、キチンをカルボキシアルキル化し、そしておそらくカルボキシアルキル化キチンを再アセチル化して本発明によるカルボキシアルキルキトサンを得ることを含む。
【0058】
1つの代替法によれば、カルボキシアルキルキトサンは、500,000未満の平均分子質量を有する。
【0059】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、好ましくは、50,000~400,000の平均分子質量を有する。
【0060】
平均分子量は、ビーズの形成と架橋前のカルボキシアルキルキトサンの分子量である。 ここで好ましくは、平均分子質量は、固有の粘度から計算された粘度の平均分子質量(Mv)である。この表現は熟練者にとっては普通のことである。 固有粘度(η)は、欧州薬局方のモノグラフィー2.2.9法に従って、Ubbelohdeタイプの毛細管粘度計を使用した毛細血管粘度測定によって測定される。自動粘度計I-Visc(ラウダ)を使用して、適合キャピラリーチューブ(ラウダ、たとえば直径0.53mmのキャピラリーチューブUbbelohde 510 01)を通る溶液の流動時間を測定する。次に、カルボキシアルキルキトサンの平均粘度測定質量を計算するために、Mark-Houwinkの式(η=K *Mvα)が適用され、ここで
-Mvは、カルボキシアルキルキトサンの粘度の平均分子質量であり、
-ηは、カルボキシアルキルキトサンの固有の粘度であり、
-定数K及びαの値はそれぞれ0.0686及び0.7638であり、MALLS検出器を使用した立体排除クロマトグラフィーによって(非置換)キトサンについて事前に決定されている。
【0061】
カルボキシラキルキトサンの固有の粘度は、通常、その平均分子量を評価するために表すことができる。
【0062】
キトサンは、その分子量を減らすために加水分解することができる。
【0063】
典型的には、非架橋カルボキシアルキルキトサンでは、グルコサミン単位はD-グルコサミン単位(D-グルコサミン単位、N-アセチル-D-グルコサミン単位、及びD-グルコサミン単位とN-アセチル-D-グルコサミン単位の少なくとも1つが置換されている)である。
【0064】
1つの代替法によれば、置換されたキトサンは、D-グルコサミン単位のみの置換を有する。
【0065】
別の代替法によれば、置換キトサンは、D-グルコサミン及びN-アセチル-D-グルコサミン単位を同時に置換し、そして1の代替法によれば、 カルボキシアルキル基がキトサンのみのアミン基に共有結合され、 又は別の代替法によれば、キトサンのアミン基とヒドロキシル基に同時に結合される。
【0066】
置換は一般的に部分的であり、全ての単位が必ずしも置換されるとは限らない。
【0067】
1つの実施形態によれば、置換キトサンの総単位(置換されているかどうかにかかわらず、D-グルコサミン及びN-アセチル-D-グルコサミン単位)のモル数に対するD-グルコサミン単位のモル数として表されるD-グルコサミン単位の置換度は
30%~250%の範囲である。
【0068】
1つの実施形態によれば、前記カルボキシアルキルキトサンは、総単位のモル数に対する置換基のモル数で表される、20%を超える、例えば、50%を超える、例えば、200%未満のカルボキシアルキルの基との置換度を有する。
【0069】
1つの実施形態によれば、50%を超えるカルボキシアルキルの基による置換度は、総単位のモル数に対する置換基のモル数で表される。
【0070】
1つの実施形態によれば、置換キトサンの総単位(置換されているかどうかにかかわらず、D-グルコサミン及びN-アセチル-D-グルコサミン単位)のモル数に対するD-グルコサミン単位のモル数として表されるD-グルコサミン単位の置換度は50%~200%の範囲であり、そしてさらに好ましくは70%より高い。
【0071】
1つの実施形態によれば、80%未満のカルボキシアルキルの基による置換度は、総単位のモル数に対する置換基のモル数で表される。
【0072】
典型的には、置換は共有結合によって行われる。
【0073】
1つの代替法によれば、カルボキシアルキルキトサンは、N、O-カルボキシアルキルキトサンである。 O位置(グルコサミン及び/又はN-アセチル-グルコサミン単位のO3及び/又はO6)及び/又はN位置(グルコサミン単位)でカルボキシアルキル基で置換された単位の割合は変化する。 従って、置換の程度は100%より高くなる可能性がある。 有利なことには、カルボキシアルキルキトサンの置換度(DS)及びアセチル化度(DA)は、Bruker分光計を使用する固相炭素-13磁気共鳴分光法(NMR)(Avance III HD 400MHz、PH MAS VTN 400SB BL4 N-P / Hプローブを搭載)によって測定される。例えば、スペクトルは室温で、1~8秒の緩和時間、64~512回のスキャン回数で記録される。炭素信号の面積は、デコンボリューション後に決定される。考慮される炭素は次のとおりである:「アセチルCH3」(N-アセチル-グルコサミンユニットのアセチル基のメチルの炭素、置換されているかどうかに関係なく)、 「Cx」(グルコサミン及びN-アセチル-グルコサミン単位の位置xの炭素、xは1~6の範囲) 及び「C=O」(カルボキシアルキル置換基のカルボニルの炭素及びN-アセチル-グルコサミン単位のアセチル基のカルボニルC=Oの炭素、置換されているかどうかにかかわらず)。所定のカルボキシアルキルキトサンのDSを決定するには、このカルボキシアルキルキトサンの前駆体キトサンの炭素13のNMRスペクトルも記録する必要がある。前駆体キトサンのスペクトルから、「CSU比」、すなわち「C=O」(N-アセチル-D-グルコサミン単位のアセチル基のカルボニル炭素)の信号の領域に対する、「CH3アセチル」基(N-アセチル-グルコサミン単位のアセチル基のメチルの炭素)の信号の面積の比率が計算される。カルボキシアルキルキトサンのDAは式1に従って計算され、DSは式2に従って計算され、ここで、Iは考慮される炭素の信号の面積を表す。
【数1】
【数2】
【0074】
好ましくは、置換度(DS)の範囲は、それが容易に実施されるので、この説明における固相炭素-13 NMR分析の結果に関連して表される。
【0075】
DA及びDSは、カルボキシアルキルキトサンの他の既知の方法を使用して、例えば水性媒体プロトンNMRによって、磁気共鳴分光計を使用して、例えばLiuなど(Carb Polym 137, 600, 2016)によって記述された方法に従って、例えば重水素化塩酸の溶液をそれに添加することによって決定することもできる。
【0076】
信頼できる方法でDA及び/又はDSを推定するために別のNMR法がより有利である場合、そのような方法を使用する必要がある。 上記の方法は、特に置換度の計算に使用される信号の分解能、ロバスト性、及びプロトンの位置に応じて、統合されるサンプル調製及び信号に関して当業者によって適合されるべきである。
【0077】
キトサンのカルボキシアルキル化(DS)度は、全単位のモル数に対するカルボキシアルキルモル数として表され、有利には、20~250%、好ましくは50~200%、例えば70~170%の範囲であり得る。
【0078】
1つの代替法によれば、キトサンのカルボキシアルキル化(DS)の程度は、総単位のモル数に対するカルボキシアルキルモルの数として表され、有利には、40~130%、例えば、70~130%の範囲であり得る。
【0079】
キトサンの置換度は、通常、反応から始まるキトサンに関する試薬の量と相関関係がある。 カルボキシアルキル化剤として、例えば1つ以上のカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボキシブチル基などを有するものとして、酸性塩化物(又はそれらの塩、例えばモノクロロ酢酸ナトリウム)について言及することができる。
【0080】
1つの代替法によれば、本発明は、カルボキシアルキルのアルキル部分が線状又は分枝状のC1~C5であるカルボキシアルキルキトサンに関する。
【0081】
1つの代替法によれば、本発明は、カルボキシメチルキトサンに関する。
【0082】
この代替法によれば、置換キトサンはN-カルボキシアルキル化キトサンである。
【0083】
この代替法によれば、置換キトサンは、O-カルボキシアルキル化キトサンである。
【0084】
この代替法によれば、置換キトサンは、N-カルボキシアルキル化及びO-カルボキシアルキル化キトサンである。
【0085】
本発明は、第2の側面によれば、グルコサミン単位、N-アセチル-グルコサミン単位、およびカルボキシアルキル基で置換されたグルコサミン単位を有するキトサン誘導体に関し、ゼータ電位を有する前記カルボキシアルキルキトサンは、pH7.5で測定され、-10mV以下、好ましくは-15mV以下である。より具体的には、そのようなキトサン誘導体は、キトサン誘導体又はそれを有する組成物が、典型的には点滴注入、注射又は移植によって投与された対象の免疫応答を制限することを可能にする。
【0086】
有利なことには、pH7.5で測定されたゼータ電位は、-18mV以下である。
【0087】
有利なことには、カルボキシアルキルキトサンは、pH7.5で測定され、-22mV以下、好ましくは-24mV以下のゼータ電位を有する。
【0088】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、20~80%、好ましくは40~60%の置換度(DS)、及び30~80%、好ましくは30~75%のアセチル化度(DA)を有する。
【0089】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、50~200%、好ましくは70~200%の置換度(DS)、及び30~80%、好ましくは30~75%のアセチル化度(DA)を有する。
【0090】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、90~200%、好ましくは90~150%の置換度(DS)、及び30~80%のアセチル化度(DA)を有する。
【0091】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、90~200%、好ましくは90~150%の置換度(DS)、及び30~60%のアセチル化度(DA)を有する。
【0092】
1つの特定の代替法によれば、置換キトサンは、90~200%、好ましくは90~150%の置換度(DS)、及び40~75%のアセチル化度(DA)を有する。
【0093】
キトサンを置換することにより、pHが広範囲にわたって変化する水溶液に可溶な1つのカルボキシアルキルキトサンの溶液を調製することが可能であるが、非置換キトサンは、約6のpHよりも低いpHでのみ溶解する。 カルボキシアルキルキトサンは確かに、その溶解性プロファイルを変更するカルボキシアルキル基の存在により、異なるpHで、より具体的には、生理液が病状、例えば炎症性病態によって改変される場合の生理学的pH又は他のpHで可溶化する能力を有する。
【0094】
「水溶性」とは、カルボキシアルキルキトサンが水溶液に入れられたときに裸眼で見える曇りを示さないことを意味する。 より具体的には、例えば水中の1%(m / m)の濃度のカルボキシアルキルキトサンの溶液又は緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液の溶解性、すなわち濁りの欠如が、測定されたサンプルに使用された水性溶媒のみを含むが、置換されていない場合の参照タンクを基準として、500nmの波長でUV-可視分光法によって測定された、0.5未満、好ましくは0.2未満の光学密度により、確認され得る。別の方法は、欧州薬局方のモノグラフィー2.9.20による目視検査で構成されている。 キトサンが十分に置換されていない場合、組成物は、室温で、満足のいくpH範囲、例えば、pH5.5~pH8.5で溶解しない。
【0095】
1つの代替法によれば、カルボキシアルキルキトサンは無菌である。
【0096】
「カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合により架橋される」とは、主キトサン鎖(キトサンバックボーンとも呼ばれる)が1つ又は複数の主キトサン鎖と共有結合していることを意味する。 従って、キトサン分子の三次元ネットワークが有利に得られる。本発明は、特定の共有架橋法に限定されないが、好ましい方法は、架橋剤とも呼ばれる、架橋剤として使用される化学分子を使用する。「カルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合によって架橋される」の概念は、特に、カルボキシアルキルキトサン分子を結合する架橋剤を含む共有結合に関係する。 但し、これらは、原子鎖(通常、その反応機能の間に位置する架橋剤の一部)によるカルボキシアルキルキトサン鎖間の共有結合である。
【0097】
本発明によれば、カルボキシアルキルキトサンが架橋される。
【0098】
ビーズ
有利なことに、本発明によれば、ビーズは、ヒドロゲルの形態の水和マトリックスを含むか、又はそれでできている。
【0099】
ヒドロゲルとは、この単語の従来の意味を意図し、そしてポリマーの個々の鎖の架橋により、その構造を維持しながら、水中で膨潤し、かなりの量の水を保持することができる、特に少なくとも1つの親水性ポリマーの3次元(3D)ネットワークを意図したものである。ヒドロゲルビーズは、その総湿潤質量に対して少なくとも70質量%の水を含む水和ビーズである。 通常、ヒドロゲルビーズは、周囲条件で、又は組織に投与した後、この水分量を保持することができる。
【0100】
1つの代替法によれば、マトリックスは、少なくとも1つのポリマー、例えば、少なくとも1つのヒアルロナンを含み、おそらくそれ自体が共有結合によって架橋し、及び/又はカルボキシアルキルキトサンとの共有結合によって架橋される。
【0101】
「それ自体で架橋」又は「それ自体で」とは、分子が鎖内及び/又は鎖間分子架橋の共有結合を含むことができることを意味する。
【0102】
有利には、本発明のヒドロゲルによるマトリックスは、少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサンを含む1つ又は複数の生体吸収性ポリマーを含むか、又はそれらでできている。
【0103】
1つの代替法によれば、ヒドロゲルを形成する本発明によるマトリックスは、カルボキシアルキルキトサンから成る。
【0104】
1つの代替法によれば、ヒドロゲルを形成する本発明によるマトリックスは、それ自体で架橋および/または別のポリマーと共架橋されたカルボキシアルキルキトサン、及びおそらく、カルボキシアルキルキトサンにより架橋又は共架橋された1つ又は複数の他のバイオポリマーを含むか、又はそれらから成る。
【0105】
従って、本発明は、以下を含むいくつかの代替法を含む。
【0106】
ヒドロゲルマトリックスが、それ自体で架橋され、そしてヒドロゲルマトリックス中に他のポリマーを含まないカルボキシアルキルキトサンを含むか、又はそれらから成る代替法。
【0107】
ヒドロゲルマトリックスが、それ自体で架橋されたカルボキシアルキルキトサンと、ヒドロゲルマトリックス中でそれ自体で架橋されているかどうかにかかわらず、1つ又は複数のポリマーを含むか、またはそれらでできている代替法。
【0108】
ヒドロゲルマトリックスが1つ又は複数の他のポリマーと共架橋された1つのカルボキシアルキルキトサンを含むか又はそれでできており、そしてカルボキシアルキルキトサン及び/又は他のポリマーがそれ自体で架橋され得る代替法。
【0109】
従って、1つの代替法によれば、前記カルボキシアルキルキトサンは、別のポリマーと共架橋される。
【0110】
1つの代替法によれば、本発明による生体吸収性ポリマーは、天然のバイオポリマーであり、例えば、ヒト又は動物の組織に天然に存在し、例えば、それらは、多糖類、タンパク質、及び組織、細胞レベルに存在する他の任意のポリマーであり得る。 1つの実施形態によれば、カルボキシアルキルキトサン以外のバイオポリマーは、多糖類又はタンパク質から選択され、好ましくは、以下のバイオポリマー又はそれらの組み合わせのいずれかに沿って選択される:エラスチン、ヒアルロナン、コンドロイチン、フィブリン、コラーゲン、デキストラン、セルロース、カルボキシアルキルセルロース、ルブリシン、ムチン 、シルク、アルブミン、及びそれらの任意の誘導体。
【0111】
バイオポリマーは、改変された天然構造を有するために天然であり得る。
【0112】
1つの代替法によれば、他のバイオポリマーは、酸化されているかどうかにかかわらず、共有結合又は非共有結合によって架橋された多糖類、例えば、グリコサミノグリカン、より具体的には、ヒアルロナン、例えば、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム又は任意の塩、又はその誘導体から選択される。
【0113】
1つの代替法によれば、生体吸収性ポリマーは合成ポリマーである。
【0114】
1つの代替法によれば、ヒドロゲルビーズを構成する本発明によるマトリックスは、カルボキシアルキルキトサン及びヒアルロナンを含むか、又はそれらから成り、カルボキシアルキルキトサンは、それ自体で架橋され、及び/又はヒアルロナンと共架橋される。 これらの2つのポリマーは、それ自体で有利に架橋され、及び/又は一緒に共架橋される。
【0115】
本発明の好ましい目的の1つは、これらの2つのポリマーを結合して、ビーズの意図された特性を適合させ、例えば、ビーズの含水量、それらの生体力学的特性及び/又は生体吸収性動態を調節できるようにすることである。
【0116】
1つの代替法によれば、ビーズを調製するために使用されるヒアルロナンは、毛細管粘度測定法又は立体排除クロマトグラフィーによって決定されるように、5,000,000未満の平均分子量を有する。 ヒアルロナンの分子量は、毛細血管粘度測定による固有の粘度によって表されることがあり、Mark Houwinkの関係によって分子量と適切に相関する。従って、ビーズの調製に使用されるヒアルロナンは、ビーズの意図された特性に応じて、1つの代替法によると「高」(約3~4.25m3 / kg)、別の代替法によると「中」(1.5~3m3 / kg)又は別の代替法によると「低」(0.1~1.5m3/ kg)の固有の粘度を示す可能性がある。
【0117】
1つの代替法によれば、ヒアルロナンは、例えば、Streptococcus equiiを用いた発酵によって得られる。 別の代替法によると、それはコックの櫛(cock's combs)からの最初の抽出によって生成される。
【0118】
1つの代替法によれば、マトリックスは、共有結合によって架橋された少なくとも1つのヒアルロナンを含む。
【0119】
従って、架橋ヒアルロナンは、異なるヒアルロナン鎖間の共有結合を含む。
【0120】
異なる分子量のヒアルロナンや異なるヒアルロナン塩など、異なるタイプのヒアルロナンを一緒に架橋することができる。
【0121】
従って、本発明は、カルボキシアルキルキトサンとの共有結合によって共架橋された少なくとも1つのヒアルロナンを含む、又はマトリックスから成るビーズの形態のヒドロゲルに関する。
【0122】
好ましくは、本発明によるビーズは、ビーズの総質量に対して、80%より高い、好ましくは85%以上、例えば90%より高い水分含有量を有する。
【0123】
有利なことに、本発明によるビーズは、ヒトまたは動物において毒性がなく;すなわち、有毒成分がないか、又は有毒成分に分解されず、たとえば、製品に適用される基準や対象となる適応症に応じて、医療機器、医薬品、獣医製品のいずれであるかによってチェックされ、例えばインビトロ細胞毒性モデル及び/又は動物モデルを使用して、例えば、経口又は全身投与後の慢性毒性の欠如をチェックされる。有利なことには、ビーズは生体適合性であり、それらが投与されている組織又はその上にある組織に対して、局所耐性の問題、又は標的化された適応症に対して許容できない免疫反応性を有さない。
【0124】
1つの有利な代替法によれば、本発明によるビーズは、動物由来の化合物を含まない。
【0125】
1つの有利な代替法によれば、本発明によるビーズは、アルギン酸塩、ゼラチン、カラゲナン、又はキトサン誘導体ではない天然キトサンを含まない。
【0126】
1つの有利な代替法によれば、本発明によるビーズは、少なくとも1つのカルボキシアルキルキトサン及びおそらくヒアルロナンを含む。 ヒアルロナンの呼称には、ヒアルロン酸とその塩が含まれる。
【0127】
有利なことには、本発明によるビーズは、生体吸収性であり、好ましくは、長い滞留時間であるか、又は標的となる適応症に適応可能である。「生体吸収性」とは、自然の生物学的/生理学的現象によって徐々に分解/吸収され、通常は数日、好ましくは数週間または数ヶ月(対象となる適応症による最大時間)にわたって、低分子量の化合物に分解/吸収されるポリマーを意味し、これは温血動物やヒトの体内に皮下又は皮内経路で注射すると除去され得る。
【0128】
有利には、本発明によるビーズは、好ましくは湿式熱滅菌によって滅菌可能である。 有利なことには、本発明によるビーズは、特に湿熱又は濾過による滅菌後、本質的にそれらの特徴及び特性を維持する。 ビーズは、最終段階で懸濁状態で一度滅菌することが好ましい。
【0129】
有利なことには、本発明によるビーズは、指示に適合した針を介して注入可能であり、すなわち、それらを注入するために加えられる力は許容可能でなければならず、注入作用はジャークを引き起こしてはならず、排出されたビーズにいかなる変化も引き起こしてはならない。注入力は、単純で、正確で、よく制御された医療行為を保証する。注入は定期的且つスムーズに行う必要がある。 したがって、本発明によれば、ビーズ又は組成物の「容易な」注入が好ましい。「簡単な」注入とは、本発明による組成物を、標的となる用途のために定義された針を通して、適切なピストン排出速度(例えば、10mm /分の速度で)で流すために、シリンジに加える力が50ニュートン未満、好ましくは40ニュートン未満であることを示す。例えば、皮膚科の用途では、25G~34Gの直径範囲の針を通して注射可能なビーズが好ましい。 例えば、眼科の用途では、27G~34Gの範囲の針を通して容易に注射できるビーズが好ましい。 例えば、リウマチの用途では、18G~25Gの範囲の針を通して容易に注射できるビーズが好ましい。
【0130】
有利には、本発明によるビーズは、使用される投与装置を介した注射、移植又は点眼後に求められる特性を有する。
【0131】
1つの代替法によれば、本発明によるヒドロゲルビーズは、それらの水和形態下で20μm~450μmまでの平均直径を有する。ビーズの平均直径は、例えばレーザー回折法(平均体積直径)による粒子サイズ分析法に従って、又は例えば顕微鏡技術(数の平均直径)、例えば光学、走査型電子掃引、原子力又は共焦点走査型顕微鏡によって記録された画像の分析によって測定される。これらの技術により、脱水状態のビーズの直径を測定することもできる。
【0132】
1つの代替法によれば、本発明によるビーズは、特に異物への応答を最小限にし、ビーズが組織内で移動するのを防ぐために、水和形態下で25μm~250μmの平均体積直径を有する。
【0133】
1つの代替法によれば、本発明によるヒドロゲルビーズは、それらの水和形態下で1μm~20μmの間の平均体積直径を有する。
【0134】
1つの代替法によれば、本発明によるヒドロゲルビーズは、1000nm未満、好ましくは500nm未満の平均体積直径を有する。 これらは、ナノビーズ、ヒドロゲル又はナノゲルのナノ粒子である。
【0135】
典型的には、ビーズサイズの分布は、対象となるアプリケーションによって異なる。
【0136】
ビーズは球形であり、注射又は移植後の異物への反応を最小限に抑え、対象となる適応症に適合させる。
【0137】
有利なことには、本発明によるビーズは、それらの水和された形態において、粗さがほとんどなく、好ましくは滑らかな表面形態を示す。
【0138】
有利なことには、滑らかな又は粗くない表面は、異物への反応を最小限に抑える。
【0139】
有利には、本発明によるビーズは、特にゼータ電位を測定することにより、負又は中性の表面電荷を有する。 有利なことには、負又は中性の表面電荷は、異物への反応を最小限に抑える。
【0140】
ビーズの多くの用途では、断片化されておらず、ビーズ内又はビーズの表面に固体成分がない均質なヒドロゲルビーズが好ましい。
【0141】
有利なことには、ビーズは透明である。
【0142】
ヒドロゲルのビーズは、最終相(中)、例えば水相に組み込まれたときに一体で均質なままであり、それらの最終パッケージ、例えばシリンジ、及びそれらの保管期間全体も、多くの用途に好ましい。 これらは「一体型」及び「均質」ビーズと呼ばれる。
【0143】
機械的特性
有利なことには、本発明によるビーズは、それらの水和形態の下で柔軟であり、すなわちそれらの形状は、何らかの変形力(例えば、圧縮や剪断)を受けたときに破損することなく変更でき、ビーズが変形力から解放されると元の形状に戻ることができる。
【0144】
有利なことには、本発明によるビーズは、移植部位によって課される機械的応力に対して適切な耐性を示す。
【0145】
有利には、従って、本発明によるビーズは、それらが注入又は移植される組織を増加、充填、及び/又は改造する適切な能力を有する。
【0146】
生理学的特性
有利なことには、本発明によるビーズは、特に安全性、免疫適合性、生体吸収性、生体力学的特性、及び寿命又は活動時間の観点から、ヒト又は動物での使用に適している。 しかし、最先端の組成物は、そのような特性を十分に提供せず、従って、本発明によるものではないであろう。
【0147】
調製方法
本発明はまた、本発明によるビーズ調製方法にも関する。
【0148】
本発明は、より具体的には、本発明に従って定義されるような複数のビーズを調製するための方法に関し、ここで前記方法は、
少なくとも1つの他のポリマーの存在下又は非存在下で、及び少なくとも1つの架橋剤の存在下で、好ましくはアルカリ性pHで作製された、カルボキシアルキルキトサンの水溶液を調製し;
複数のビーズの形でこの溶液の液滴を形成し;
カルボキシアルキルキトサン及び、存在する場合、少なくとも他のポリマーを架橋剤によって架橋し;そして
本発明の複数のビーズを得ることを含む。
【0149】
特に、本発明による方法は、生体吸収性ポリマーに基づいて液滴を形成し、次いで、ポリマーの共有架橋によってそれらを安定化することを含む。
【0150】
典型的には、本発明による方法は、カルボキシアルキルキトサンおよび場合によっては他のポリマーを溶解し、この溶液の液滴を形成し、次いでヒドロゲルビーズの形態で共有架橋し、おそらくそれらを分類して所望のビーズの寸法を選択することを含む。
【0151】
好ましい代替法によれば、ビーズは、おそらく1つ又は複数の他のポリマーを含む水相に組み込まれる。
【0152】
一実施形態によれば、液滴を形成する前に、1つまたは複数の活性剤が、カルボキシアルキルキトサン、及び場合によっては1つ又は複数の他のポリマーを含む水溶液に添加される。 従って、活性剤がこの水溶液にそれぞれ可溶性又は不溶性であるかどうかにかかわらず、少なくとも1つの活性剤を含む溶液又は懸濁液を調製することができ、次いで、本発明によるビーズを形成して、ビーズ中の1つ又は複数の活性剤をカプセル化することができる。
【0153】
溶解
好ましい実施形態によれば、カルボキシアルキルキトサン、及びおそらく1つ又は複数の他のポリマーは、好ましくはアルカリ性pHを有する架橋剤を含む水溶液に溶解される。 有利には、水溶液はまた、1つ以上の架橋剤を含む。
【0154】
アルカリ剤は通常、例えば質量濃度が0.1~5%のソーダである。
【0155】
1つの実施形態によれば、この溶解工程において、カルボキシアルキルキトサンは、他の水溶性ポリマー、例えば、バイオポリマー、例えば、多糖類、例えば、ヒアルロナンと混合することができる。
【0156】
液滴の形成
1つの実施形態によれば、液滴は、おそらく有機溶媒、例えば、アルコール、例えば、エタノールを含む水相の存在下に置かれる。
【0157】
1つの実施形態によれば、この方法は、少なくとも1つの凝固剤の存在下で、それらの架橋前に複数のビーズの形態で液滴を凝固させることを含む。
【0158】
有利なことには、この方法は、カルボキシアルキルキトサン液滴、及び存在する場合、おそらく1つ以上の他のポリマーを形成し、その後、例えばイオンゲル化(非共有結合)によって液滴を凝固させることを含む。
【0159】
従来の方法を使用して、溶液又はポリマーの液滴を形成することができる。 ポリマー液滴は、親水性脂質、水中油、又は油中水媒体での乳化によって形成することができる。
【0160】
液滴は、適切な流量で、目的のビーズ直径に適合した直径の任意のチューブに溶液を通過させることによって形成することができる。
【0161】
これは、流量及び/又は圧力を制御することにより、例えばバイナリノズルを使用して、特定の直径のスプレー(ネブライザーとも呼ばれる)を使用して実行することもできる。 例として、大部分が400μm(D0.9)未満の直径のビーズを得るために、直径2.8mm(Buchi)のバイナリノズルが使用される。 液滴の直径を変更するために、液滴形成システム、例えばノズルの内径を適合させる。 1つの代替法によれば、液滴形成システム又はそのパラメーターは、ポリマー溶液の粘度に従って適合される。他方法、例えば、ラミナージェット電磁(例えば、Niscoが販売しているVAR-D連続装置の使用)、又は静電、同軸気流、動的気流、超音波、又は回転ツール(たとえば、Jetcutter、Genialab)を使用してソリューションジェットを切断することによる連続押出も存在する。
【0162】
1つの実施形態によれば、液滴の凝固は、凝固剤を含む「凝固浴」と呼ばれる溶液中で行われる。 1つの代替法によれば、薬剤はアルカリ性土金属の塩化物、典型的には塩化カルシウムであり、これはカルボキシアルキルキトサンとのイオン相互作用によってゲル化を誘発する。
【0163】
1つの実施形態によれば、凝固浴は、アルコールタイプの溶媒、例えばエタノールの存在下での水溶液である。
【0164】
好ましくは、凝固浴は、90 / 10~10 / 90、典型的には30 / 70、20 / 80又は80 / 20の水/溶媒体積比でできている。
【0165】
好ましくは、凝固浴中の塩化カルシウムの濃度は、10~200mg / mLである。
【0166】
好ましくは、凝固は、室温で、すなわち、加熱せずに、好ましくは20~25℃の温度で達成される。
【0167】
1つの実施形態によれば、凝固したビーズを分類してそれらの分布を制御する工程を含む。
【0168】
架橋
1つの代替法によれば、架橋後に得られた複数のビーズは、生理学的に許容される媒体中でpH及び浸透圧を洗浄及び平衡化することによる精製工程にゆだねられる。
【0169】
有利なことには、この方法は、液滴の形で成形されたポリマーを、おそらく凝固させて、好ましくは最初の工程の早い段階でポリマー溶液中に存在する架橋剤を介して架橋することを含む。
【0170】
1つの代替法によれば、架橋は、前記共有結合を形成する架橋剤によって形成される。
【0171】
従って、いくつかのキトサン鎖は、例えば、バイオポリマー、特に多糖類を架橋するために使用される架橋剤、例えば1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1-ブロモ-3,4-エポキシブタン、1-ブロモ-4,5-エポキシペンタン、1-クロロ-2,3-エピチオプロパン、1-ブロモ-2,3-エピチオプロパン、 1-ブロモ-3,4-エピチオブタン、1-ブロモ-4,5-エピチオペンタン、2,3-ジブロモプロパノール、2,4-ジブロモブタノール、2,5-ジブロモペンタノール、2,3-ジブロモプロパンチオール、 2,4-ジブロモブタンチオール、及び2,5-ジブロモペンタン-チオールエピクロロヒドリン、2,3-ジブロモプロパノール、1-クロロ-2,3-エピチオプロパン、ジメチルアミノプロピルカルボジイミド、没食子酸、エピガロカテキンガレート、クルクミン、タンニン酸、ゲニピン、又はジイソシアネート化合物、例えばヘキサメチレンジイソシアナート又はトルエンジイソシアナート、又は再びジビニルスルホンから選択された、1つ以上の架橋剤との反応によって、架橋することができる。
【0172】
ジェニピンは、多糖類、特にカルボキシメチルキトサンを架橋するために使用される天然由来の架橋剤である(Yang et al. Ophthalmic drug-loaded N,O-carboxymethyl chitosan hydrogels, Acta Pharmacol Sin 31, 1625, 2010)。ジェニピンは、ヒドロゲルを濃い青から黒に着色し、これは、一部の適応症で有利な場合がある。
【0173】
好ましくは、架橋剤はポリエポキシド型の薬剤であり、例えば二機能性である。好ましくは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)又はエチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)は、それらはヒト、特に皮内、関節内、又は眼内投与のためにヒアルロン酸ヒドロゲルに適用される生体材料の調製にすでに使用されているため、架橋剤として使用される。1つの代替法によれば、架橋剤はジビニルスルホンである。
【0174】
典型的には、架橋剤と考慮される結合の種類に応じて、適切なpHで架橋が発生する。
【0175】
1つの代替法によれば、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の存在下で、架橋はアルカリ水相で行われる。 有利なことには、最初、水相に存在するカルボキシルキルチトサンの濃度は、アルカリ水相の体積に関して、カルボキシルキルキトサンの質量では1~30%の範囲、好ましくは5~20%(m/v)である。
【0176】
有利なことには、架橋剤の量は、ポリマーのグラム当たり0.001モル~0.1 モル BDDEである。
【0177】
好ましくは、BDDEを使用する場合、架橋剤の量はポリマーグラム当たり0.005~0.02モルである。
【0178】
典型的には、架橋剤、ポリマー、及び求められている生体力学的特性に応じて、架橋は各場合に適応する温度と期間で発生する。
【0179】
一般的に、架橋に続いて、例えば酸を添加することにより、例えば酢酸又は塩酸を加えることにより、培地を中和する。
【0180】
精製
有利なことには、この方法は、架橋ビーズを精製することを含む。精製により、一方では過剰な凝固剤及び未反応の架橋剤を大幅に除去し、他方ではpH及び浸透圧の観点からビーズのヒドロゲルと選択された媒体、例えば緩衝液などの生理学的に許容される培地とのバランスをとる。
【0181】
1つの実施形態によれば、精製は、緩衝剤、好ましくは生理食塩水リン酸塩緩衝液(しばしば、リン酸緩衝生理食塩水を表す、PBSと略される)又は標的製品に従ってビーズが含まれる媒体を含む溶液での1又は複数回の洗浄を含む。
【0182】
好ましくは、精製は、医薬グレードの水、次に生理学的溶液、すなわち、組織への1回の注射又は移植に適切なpH及び浸透圧を有する溶液での1回又は複数回の洗浄を含む。
【0183】
有利なことには、精製は、濾過膜上での一連の濾過/洗浄工程によって、又は選択された溶液及び適切なカットオフ透析膜を使用する透析によって行われる。
【0184】
1つの実施形態によれば、ヒドロゲルビーズは、最初に塩酸を加えることによって中和され; その後、真空下で濾過膜に集められる。 この操作は数回繰り返すことができる。 次に、ビーズを緩衝液(組成、浸透圧、および指示に従って選択されたpH)に懸濁し、従来の技術に従って濾過によって収集することができる。この工程は、所望の緩衝液の浸透圧及びpH、並びに送達量及びその表示に関連して、標的製品について事前に指定された限界よりも低いビーズ中の残留物の含有量を有するヒドロゲルビーズの懸濁液が得られるまで更新される。 従って、凝固剤含有量及びビーズ中の架橋剤の残留含有量が指定された限界よりも低いことがチェックされる。凝固剤の含有量は、塩化カルシウムの場合、欧州薬局方の全灰法により測定される。 架橋剤の含有量は、Fidalgoなど (Detection of a new reaction by-product in BDE crosslinked autoclaved hyaluronic acid hydrogels by LC-MS analysis, Medical Devices: Evidence Res 11, 367, 2018)に記載される方法に基づいて、BDDEの場合はLC-MSによって決定される。
【0185】
選別/分類
1つの代替法によれば、複数のビーズは、それらの寸法に応じてビーズを選択するように分類される。
【0186】
必要に応じて、より大きなサイズのビーズを沈降させることにより、より小さなビーズを除去する。次に、ヒドロゲルビーズは、例えば、従来の選別方法(「篩分け」)に従ってサイズに応じて選別し、超音波、減少する多孔性フィルターを有する真空濾過、又はその他の選別方法によって攪拌された適切な多孔性の篩にそれらを置く。
【0187】
保存
1つの実施形態によれば、得られたヒドロゲルビーズは、それらを、最終的に配合され、滅菌され、包装されるまで、水溶液、例えば、リン酸緩衝液又は他の任意の水溶液などの緩衝液に組み込むことによって保存される。
【0188】
1つの実施形態によれば、得られたヒドロゲルビーズは、例えば、凍結乾燥又は真空オーブンでの乾燥によって脱水され、乾燥状態で保存される。
【0189】
1つの特定の実施形態によれば、本発明によるビーズ調製方法は、以下を含む:
-カルボキシアルキルキトサンミックス、別のポリマー、好ましくはヒアルロナン、及び少なくとも1つの架橋剤の混合物をアルカリ相で可溶化し;
-カルボキシアルキルキトサンおよび他のポリマー、好ましくはヒアルロナンの液滴を形成し、次に、例えばイオンゲル化を介して、凝固剤を含む凝固浴中でそれらをおそらく凝固させ;
-液滴に対して架橋反応を実行し;
-カルボキシアルキルキトサンと他のポリマーの共架橋マトリックス、好ましくはヒアルロナンのビーズを得る。
【0190】
従って、例えば、本発明による方法は、以下を含む:
-カルボキシアルキルキトサン(およびおそらく別のポリマー、好ましくはヒアルロナン)及び1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)のNaOHを含む塩基性溶液中の溶液を調製し;そして次に
-前記溶液を、凝固剤、通常は水/エタノール混合物中の塩化カルシウムを含む凝固浴中で、室温で液滴に分散し、球状ビーズの形で凝固を引き起こし;そして次に、
-BDDEによってカルボキシアルキルキトサン(及び場合によっては他のポリマー)を架橋して、架橋カルボキシアルキルキトサンのヒドロゲルビーズを提供し;
-過剰な凝固剤とBDDEを除去し、ビーズのヒドロゲルを望ましいpHと浸透圧でバランスさせるために、架橋カルボキシアルキルキトサンのヒドロゲルビーズを中和及び洗浄し;
-任意には、サイズに応じてヒドロゲルビーズを選別する。
【0191】
このようにして、本発明によるマトリックスを含むヒドロゲルの形態のビーズが得られる。
【0192】
1つの代替法によれば、本発明によるマトリックスは無菌である。
【0193】
この方法による本発明のマトリックスからのビーズの形態のヒドロゲルを提供することは有益である。
【0194】
組成物
有利なことには、本発明の組成物はまた、特にビーズに関連する相において、架橋されたカルボキシアルキルキトサン以外のポリマーを含むことができる。 従って、組成物が水相を含む場合、1つの代替法によれば、水相及び/又はビーズは、1つ又は複数のポリマーを含む。
【0195】
1つの有利な代替法によれば、(関連する相及び/又はビーズの)ポリマーは、バイオポリマー、例えば、酸化されているかどうかにかかわらず、共有又は非共有結合によって架橋された多糖類、例えば、グリコサミノグリカン、及びより具体的には、ヒアルロナン、例えばヒアルロン酸ナトリウム又はその誘導体の1つである。1つの代替法によれば、ヒドロゲルビーズに関連する相はまた、架橋されているかどうかにかかわらず、カルボキシアルキルキトサンを含む。
【0196】
カルボキシアルキルキトサンを他のいくつかのポリマーと組み合わせたり、架橋したりすることの利点の1つは、それらの特性を追加したり、相乗効果を生み出したりすることである。
【0197】
1つの代替法によれば、複数のビーズは、水相、親油性相、親水性脂質相、又は別の固相と関連し、おそらく1つ又は複数のポリマー、例えば、カルボキシアルキルキトサン、ヒアルロナン、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0198】
1つの有利な代替法によれば、水相組成物及び/又はビーズは、生理学的媒体とバランスのとれたpH及び浸透圧を有するヒドロゲルの形態である。
【0199】
1つの代替法によれば、ビーズが結合される段階は、ヒト又は動物体への注射に特異的である。
【0200】
1つの有利な代替法によれば、水相及び/又はビーズは、ヒト又は動物の体内への注射に特異的な形態である。
【0201】
本発明はまた、ヒト又は動物に投与可能な組成物に関連し、前記組成物は、本発明に従って定義されるような複数のビーズを含む。
【0202】
1つの好ましい代替法によれば、本発明によるヒドロゲルビーズは、ヒト又は動物の注射可能な水性媒体(おそらくわずかに粘稠)中の分散液又は懸濁液の形態で処方される。 これは、一般的に、本発明による組成物と呼ばれる。
【0203】
1つの代替法によれば、組成物は、注入可能な懸濁液として処方され、点眼の準備ができているか、又はヒト又は動物に移植可能である。
【0204】
1つの有利な代替法によれば、特に皮膚注射を目的とする製品の場合、選別された又はされないビーズは、1つ又は複数の親水性バイオポリマー、好ましくはヒアルロナンの溶液に組み込まれる。
【0205】
1つの代替法によれば、ビーズの配合は、送達に適合した装置、例えばシリンジで調整され、次いで、無菌性を確保することを目的としたサイクルを適用することによって、例えばオートクレーブによって適切な滅菌が行われる。 従って、1つの代替法によれば、本発明は、架橋カルボキシアルキルキトサンに基づくヒドロゲルビーズの製剤を含み、注射による送達の準備ができている滅菌シリンジに関する。
【0206】
質量比[カルボキシアルキルキトサン/ヒアルロナン]は、例えば、5/9~95/5、例えば、10/90~90/10、例えば、20/80~80/20、そしてまた、例えば、30/70~70/30である。代替法によれば、質量比[カルボキシアルキルキトサン/ヒアルロナン]は1/1(つまり、50%キトサンと50%ヒアルロナン)である。
【0207】
水性媒体は、水、pHを有する水溶液であり得、浸透圧は、例えば、塩及び/又はおそらくポリオール、例えば、ソルビトール、マンニトール、グリセロール及び/又はトレハロースを添加した緩衝液を使用して調整される。
【0208】
1つの実施形態によれば、マトリックスの組成物は、100~700mosm / kg、好ましくは120~500mosm / kgの浸透圧を有する。
【0209】
1つの実施形態によれば、マトリックスの組成物は、100~500mosm / kg、好ましくは120~270mosm / kgの浸透圧を有する。
【0210】
1つの実施形態によれば、マトリックスの組成物は、250~400mosm / kg、好ましくは280~350mosm / kgの浸透圧を有する。
【0211】
1つの代替法によれば、マトリックスの組成物は、関節運動に適切な浸透圧を有する。
【0212】
1つの代替法によれば、マトリックスの組成物は、眼又は眼内表面と適合性のある浸透圧を有する。
【0213】
1つの代替法によれば、マトリックスの組成物は、皮膚及び皮下脂肪と互換性のある浸透圧を有する。
【0214】
1つの代替法によれば、マトリックスの組成物の浸透圧が100~400の範囲、より具体的には120~350mosm / kgの範囲であることが好ましい。
【0215】
1つの代替法によれば、本発明による組成物は無菌である。
【0216】
有利には、本発明による組成物は、例えば、注射器又はバイアルなどの注射、移植、または点滴注入装置に含まれる。 有利なことに、例えば注射器のような注射装置は、その後、蒸気滅菌を受けることができる。 次に、この装置、例えば注射器を、好ましくは無菌又は無菌の方法で包装することができる。 これはまた、製剤の滅菌後に無菌的に充填された、又は充填直後に滅菌された、本発明による組成物の点滴注入を可能にするポーチ、カプセル、又はバイアルであり得る。
【0217】
1つの代替法によれば、本発明による組成物、より具体的には本発明によるヒドロゲルビーズを含む組成物は、例えばシリンジまたはバイアルなどの注射、移植、又は点滴注入装置を充填する前に、濾過及び/又は蒸気滅菌によって滅菌される。
【0218】
当業者は、所望の滅菌ヒドロゲルを得るためのヒドロゲルの滅菌技術を知っている。 当業者は熱又は蒸気によって殺菌するためにいくつかのタイプの装置を利用可能であり、微生物のチャージを取り除くいくつかのタイプのサイクルを使用することができる。
【0219】
本発明は、より具体的には、本発明によるヒドロゲルビーズを含む注射可能な組成物に関する。
【0220】
本発明はまた、本発明による少なくともヒドロゲルビーズを含む医薬組成物に関する。
【0221】
1つの代替法によれば、本発明による組成物は、注射可能、移植可能又は注入の準備ができている医薬組成物、又は注射可能又は移植可能又は注入の準備ができている医療装置として使用される。
【0222】
本発明はまた、乾燥形態、特に凍結乾燥形態における本発明による組成物をカバーする。 凍結乾燥した製品は、使用前により具体的に(再)分散させることができる。
【0223】
本発明は、より具体的には、治療に使用するための本発明による組成物に関し、例えば、修復又は充填が必要な少なくとも1つの体組織/体液を修復、再生、又は充填するために、例えば、皮下、皮膚内、眼内、又は関節内、粘膜内、腹腔内、筋肉内への前記組成物の注射による注入を含む方法に関する。
【0224】
考慮される用途に十分な純度のキトサンを使用することが有利である。
【0225】
考慮される用途に十分な純度のヒアルロナンを使用することが有利である。
【0226】
本発明による組成物によって求められる生体力学的特性は、指示に従って、例えば、ヒドロゲルが組み込まれなければならない組織、作用機構、又は患者に利益をもたらすことを目的とした効果と効果の持続時間に従って、性質および増幅が変化し得る。
【0227】
有利には、本発明による組成物、より具体的には本発明によるヒドロゲルビーズの特性は、指示に適合される。これらの特性を適応させるために、ポリマー(カルボキシアルキルキトサン及び/又はヒアルロナンなどの他のポリマー)の最終濃度、及び/又は架橋速度は、例えば、特に架橋剤/ポリマーの質量比、及び/又はイオンの性質及び/又は量、及び/又はポリマーの初期分子質量及び/又はポリマー液滴を調製するための方法を介して調整される 。
【0228】
特に、本発明は、特に皮膚、皮下(皮下)又は骨膜レベルで耐久性のある体積増加が必要とされる場合に弾性である本発明によるヒドロゲルビーズに関する。 本発明は、より具体的には、連続相に懸濁されたビーズに関する。 この相はまた、可変粘弾性又は他の有利な特性、例えば潤滑効果を標的製品に提供することができる。より具体的には、関節内で使用される製品の場合、これにより、衝撃を吸収し、軟骨の両方が潤滑効果の恩恵を受けることができる。 本発明の組成物は、指示に従って調整され、レオメトリーによる弾性率の測定によって特徴付けることができる、可変レベルの弾性を有することができる。
【0229】
本発明はまた、本発明による複数のヒドロゲルビーズを含む相を含む組成物に関する。 この段階でビーズが組み込まれていると言える。
【0230】
1つの代替法によれば、ビーズを含む相は水相である。
【0231】
1つの代替法によれば、ビーズを含む相は親油性相である。
【0232】
1つの代替法によれば、ビーズを含む相は、親水性脂質相であり、より具体的には、例えば、直接、逆、単一、複数などのエマルジョンである。
【0233】
1つの代替法によれば、ビーズを含む相は固相である。
【0234】
1つの特定の代替法によれば、ビーズを含む相は連続水相である。
【0235】
本発明は、本発明によるヒドロゲルビーズ及びビーズが組み込まれる1つの相を含むことを特徴とする注射可能な組成物に関する。
【0236】
本発明は、本発明によるヒドロゲルビーズを含む医薬組成物に関する。
【0237】
1つの代替法によれば、組成物は、医薬組成物又は治療法における実施のための組成物として処方される。
【0238】
1つの代替法によれば、組成物は、注射可能、移植可能または点眼の準備ができている、又は局所送達、又は注射可能又は移植可能又は点眼の準備ができている、又は局所送達のための医薬組成物として、例えば、修復又は充填を必要とする少なくとも1つの体組織を修復又は充填するための、前記組成物の皮下、皮膚内、粘膜、眼、眼内、又は関節内経路による点滴注入又は局所送達又は注射を含む治療方法での使用のために使用される医薬組成物として使用される。
【0239】
1つの代替法によれば、本発明による組成物は、修復または充填を必要とする少なくとも1つの体液または組織の処理、修復または充填のための方法において使用され、そして前記体の組織は、声帯、筋肉、靭帯、腱、粘膜、性的器官、骨、関節、目、皮膚、またはそれらの組み合わせのいずれか、より具体的には、皮膚、軟骨、滑膜、皮膚の傷又は眼の表面に属する組織から選択される。
【0240】
本発明は、関節症の治療法、又は例えば、生体液、例えば滑液への注射による、又は生体液、例えば血液との混合及び軟骨への移植後、軟骨の欠如の修復に使用するための本発明による組成物に関する。生物学的流体は、その組成を変更する処理を受けた、又は受けていない身体起源の流体である。
【0241】
本発明は、本発明に従って定義される組成物を含むか、又はそれから成ることを特徴とする医療装置、例えば、医療用インプラントに関する。
【0242】
本発明は、より具体的には、治療、手術又は化粧品における治療に使用するための本発明に関し、より具体的には、皮膚科における、術後組織付着の予防のための、リウマチ学、眼科、婦人科、美容医学、塑性手術、内科手術、整形外科手術、婦人科手術における治療を含む。
【0243】
本発明はまた、眼への使用、例えば、乾性眼症候群、角膜病変の治療、又は他の任意の眼組織における眼内送達のための本発明による組成物に関する。
【0244】
本発明はまた、特に眼表面を潤滑又は再生するために、角膜病変又はドライアイ症候群を予防又は治療するために眼表面に点眼することによる本発明による組成物に関する。
【0245】
実際、本発明はまた、本発明に従って定義されるカルボキシアルキルキトサンを含む点眼液の組成物に関する。
【0246】
1つの代替法によれば、対象は、関節の炎症性病理(例えば、骨関節症、関節炎など)の影響を受ける。
【0247】
本発明は、より具体的には、関節症、関節炎の治療、又は例えば滑膜腔への注射又は軟骨の欠如のレベルでの移植による軟骨の欠如の修復のための本発明による組成物に関する。
【0248】
本発明は、より具体的には、本発明による組成物を含むか又はそれから成ることを特徴とする医療装置、例えば医療用インプラントに関する。
【0249】
従って、1つの好ましい代替法によれば、本発明は、特に凍結乾燥形態の下で、乾燥形態の本発明による組成物を含むチャンバー、及びおそらく、1つ以上の活性物質、添加剤又は賦形剤製品を含む、1つ以上の他のチャンバーを含む医療装置に関する。
【0250】
本発明による組成物はまた、所望の指示のための1つ以上の活性剤、及び/又は本発明による組成物の特性を調節することを可能にする1つ以上の添加剤又は賦形剤を含み得る。
【0251】
1つの代替法によれば、本発明によるビーズは、所望の表示のための1つ以上の活性剤、及び/又は本発明による組成物の特性を調節することを可能にする1つ以上の添加剤又は賦形剤を含むか、又は他の用語でカプセル化する。例えば、それらは、送達ゾーン、より具体的には注射、点滴注入又は移植ゾーンのための医薬活性成分又は栄養素であり得る。
【0252】
本発明はまた、医薬組成物又は治療法における実施のための組成物として処方された本発明による組成物に関する。
【0253】
本発明はまた、医薬組成物又は医療装置の調製のための本発明による組成物に関する。
【0254】
本発明はまた、関節症の治療法、又は例えば滑膜ポケットへの注射による、又は生体液、例えば血液との混合の後、及び 軟骨/骨への移植による軟骨の欠如の修復に使用するための本発明の組成物にも関する。
【0255】
本発明はまた、皮膚組織を充填することによる治療又は美容ケアの方法において使用するための本発明による組成物に関する。 より具体的には、例えば、これは、本発明による組成物を皮下、皮膚内、粘膜内、筋肉内に注入することを意味する。
【0256】
本発明はまた、皮内経路又は他の組織による複数回の注射による皮膚の治療方法において使用するための本発明による組成物に関する。 そのような組成物は、美容目的の治療として、典型的には皮膚科で使用することができる。
【0257】
本発明はまた、粘液補充剤の組成物が治療方法において使用するための本発明による組成物に関する。 これは、例えば、関節内レベルで本発明の組成物を注入して、特に関節の軟骨表面の摩擦を制限することを意味する。
【0258】
本発明はまた、1つ以上の細胞型の細胞ベクター、及び/又は1つ以上の活性剤のベクターとして使用するための本発明による組成物に関する。 これらは、医薬的又は生物学的観点から有効な薬剤でなければならない。 本発明の組成物は、実際、細胞、好ましくは生細胞の存在と適合性であり得る。関心のある生細胞の中で、例えば、以下を言及することができる:軟骨細胞(関節軟骨)、線維軟骨細胞(メニスカス)、靭帯線維芽細胞(靭帯)、皮膚線維芽細胞(皮膚)、腱細胞(腱)、筋線維芽細胞(筋肉)、間葉系幹細胞、赤血球(血液)及びケラチノサイト(皮膚)。本発明の組成物はまた、少なくとも1つの治療薬の標的化された局所送達及び/又は制御放出のための治療ベクターとして使用することができる。
【0259】
1つの代替法によれば、本発明によるビーズは、1つ以上の活性剤、例えば、水溶性分子(全体的又は部分的に)及び/又は非水溶性分子を含む。 1つの代替法によれば、本発明によるビーズは、1つ以上の抗炎症性分子、例えば、コルチコステロイド、特にグルココルチコイドを含む。 水溶性モジュールの例としては、アスコルビン酸がある。水溶性活性剤の別の例は、抗炎症剤であるデキサメタゾンである。 非水溶性活性剤の別の例は、同じく抗炎症剤であるトリアムシノロンである。 1つの代替法によれば、ビーズにカプセル化された活性剤は、高分子量(例えば、10kDaより高い)の水溶性生体分子、及び例えば、タンパク質である。
【0260】
活性剤のメカニズム及び放出は、水溶性の場合の拡散、又はビーズの分解、例えば加水分解又は機械的分解のいずれかによる、その溶解プロファイルに依存する。
【0261】
有利には、本発明による組成物及びビーズは、1つ又は複数の活性剤の局所的かつ制御された放出を有するシステムを提供する。 有利なことには、本発明によるビーズポリマーの組成物は、標的放出プロファイル(表示および分子に依存する)に適合させることができ、従って、実際の多様性を、異なる活性剤のカプセル化及び放出に適合させることができる。
【0262】
1つの代替法によれば、血液、又は血漿、又は血小板溶解物、又は血小板に富む血漿、又は任意の他の生物学的流体が、例えば、生成物の性能を高めることを可能にする本発明の組成物と共に添加される。
【0263】
1つの代替法によれば、本発明による組成物は、固体形態、例えば、フィルム、チューブ、又は多孔質フォームの下に配合され、これは、送達されるとビーズを放出することができる。
【0264】
1つの代替法によれば、組成物はスプレーの形態で処方される。
【0265】
本発明はまた、火傷の場合のように、過度の温度によって影響を受ける1つ又は複数の組織又は器官の美容的治療又はケアの方法において使用するための本発明による組成物に関する。
【0266】
本発明はまた、(例えば、その再生を支援するために軟骨欠損に移植することによる)軟骨修復の治療方法において使用するための本発明による組成物に関する。
【0267】
本発明は、酸化ストレスを受ける1つ又は複数の生体組織と接触することを意図した、以下の注射、点滴注入又は移植によって局所的に送達される生理学的に許容される組成物に関する:
-骨関節症の治療のための関節内注射(滑液の補充、軟骨の潤滑、関節レベルでの衝撃の吸収、滑膜の再生を介して); 軟骨欠損の修復を強化するための関節内移植;
-骨修復(骨誘導/骨伝導)を強化するための骨内移植;
-皮膚又は毛包を充填又は再生するため、脂肪萎縮症の場合に体積を増加させるため、又は有効成分を送達するための皮下、皮下及び/又は骨周囲注射;
-眼の表面の症状を和らげたり、変化を防ぐための眼への点滴注入。例えば、乾燥した目や角膜病変の治療や有効成分の送達;
-眼内注射、例えば、緑内障手術又は硝子体補給の有効性を最適化するため、眼科手術の補助として、前眼部又は後眼部組織の再生、及び/又は活性成分の眼内送達;
-術後の付着を防ぐための内部組織及び臓器への投与;
-修復または再生を強化するための、皮膚、骨、軟骨、角膜、腱、メニスカスなどの組織及び器官の創傷、裂け目、裂傷、空洞への投与;
-外陰部痛の治療のための外陰粘液のレベルへの注射;
-細胞培養用、細胞の支持体又は足場として、特にバイオリアクターで、例えば組織工学又は再構築、あるいは細胞による目的の物質の生成のために。
【0268】
本発明はまた、関節内粘液サプリメントを形成する本発明による組成物に関する。
【0269】
一般的に、組成物の浸透圧及びpHの値の範囲は適合され、通常、本発明による組成物と接触している組織の浸透圧及びpH値に近い。
【0270】
有利には、本発明による組成物は無菌である。 非常に有利なことには、本発明による組成物は、湿熱で滅菌される。
【0271】
1つの代替法によれば、本発明の組成物は透明又は半透明である。
【0272】
より具体的には、本発明は、本発明による組成物、より具体的にはヒドロゲルの形態で事前に充填された1つ又は複数の点滴注入又は注射装置を含む、好ましくは滅菌されたアイテム又は包装に関する。 これらの装置は通常、製品を液的又は充填済みの注射器の形で注入することを可能にする。
【0273】
有利には、本発明の1つの組成物は、好ましくはその表示に適切なアイテム又はパッケージに、好ましくは数ヶ月間保存することができる。
【0274】
本発明による組成物及びビーズは、有利に滅菌することができる。 従って、本発明は、滅菌された架橋カルボキシアルキルキトサンに関する。 従って、架橋されたカルボキシアルキルキトサンは、特にそれを必要とする用途では、無菌である。
【0275】
1つの代替法によれば、本発明のビーズ又は組成物は、当業者に知られている及び/又は欧州薬局方によって推奨されている方法に基づいて、蒸気で滅菌される。
【0276】
別の代替法によれば、組成物は、適切なフィルター、例えば、0.2μm以下の多孔度を有するフィルターを使用する濾過によって滅菌することができる。
【0277】
本発明はまた、本発明による組成物を注入することを含む治療的治療の方法をカバーする。
【0278】
本発明はまた、医薬組成物の調製のための、より具体的には、例えば、本発明によってより具体的に定義されるような治療的治療のための、本発明による組成物の使用をカバーする。
【0279】
本発明はまた、本発明による組成物を注入することを含む、美容的ケア、すなわち非治療的ケアの方法をカバーする。 例えば、これは、脂肪萎縮症又は充填物、あるいは、例えば事故又は外科的処置後の、美容目的での目に見える損傷組織の1つ又は複数の領域の治療である可能性がある。
【0280】
組織は、同じ機能に参加している、機能セットにグループ化された、同じ起源の類似した細胞のセットである。 組織の中には、皮膚組織(例えば、上皮組織)、結合組織、筋肉組織、脂肪組織、及び神経組織が挙げられる。
【0281】
「本発明による組成物」又は同等の用語とは、本発明において、その代替物のいずれか1つ、特定の又は特定の実施形態による、独立して、又は望ましい特性を含むそれらの任意の組み合わせによるものを含む、本発明において定義される組成物を意味する。
【0282】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、説明の目的のためにのみ与えられた例を参照し、本発明の範囲を決して制限してはならない説明を読むと、当業者に明確に明らかになるであろう。
【0283】
例は完全に本発明の一部であり、例を含む全体として取られた説明から任意の先行技術の状態に関して新しいように見える任意の特性は、その機能及びその一般性において完全に本発明の一部である。
【0284】
従って、各例には一般的な範囲がある。
【0285】
一方、特に明記しない限り、例では、すべてのパーセンテージは質量で提供され、温度は特に指定がない限り℃で表され、圧力は特に指定がない限り大気圧である。
【実施例】
【0286】
細い針による排出力及び排出後のビーズの完全性
測定は、ロードセル(Instron 500N、Mecmesin)とシリンジに適合したサンプルホルダーを備えた圧縮ベンチ(Inston 5566、Mecmesin)を使用して行われる。 試験する製剤を含む1mLのBDガラスのシリンジを室温に設定する。 27G針(長さ1/2“、TSK)をシリンジに接続し、シリンジをサンプルホルダーに配置する。圧縮セルを10mm/ 分の速度で1分間下降させ、均質なゲル/相混合物を時計皿に収集する。 排出力は、一定速度での力曲線変位のプラトーの平均値として決定される。 ビーズの完全性は、光学顕微鏡(形状、表面)による排出後にチェックされる。
【0287】
光学顕微鏡(サイズ、球形度、及び目視検査)
ビーズの画像は、Olympus SC-50カメラ及びOlympus Stream画像キャプチャソフトウェアを搭載したOlympus CKX-41顕微鏡を使用して記録され、CellSens Dimension Desktopソフトウェアを使用して処理される。 これを行うには、ビーズの懸濁液を1~2滴、ホウケイ酸塩ガラススライドに置き、オブジェクトカバーで覆う。 スライドはすぐに顕微鏡プレートに置かれる。
【0288】
ビーズの寸法と球形度を決定するために、4倍の倍率を選択して、画像ごとに最小20個のビーズを表示する。 10個の画像が保存され、CellSensソフトウェアで分析され、ビーズの寸法(幅、長さ、直径)が決定される。
【0289】
ビーズの球形度は、その長さ全体にわたる幅の二乗指数に等しくなる。 報告される最終値は、10個の画像(合計で最低200個のビーズ)を分析した後の各サンプルの測定値の平均である。 完全に球形のビーズの球形度は1である。
【0290】
心臓又はビーズの表面に望ましくない不溶性種がないことを確認することを目的とした目視検査を実行するために、1~2滴のビーズ懸濁液を2つのスライドに置き、ビーズを4倍、10倍、及び40倍の倍率で観察する。
【0291】
含水量
約500mgの水和ビーズを紙の上に置き、余分な非結合水を取り除く。 ヨーロッパ薬局方2.2.32の方法に従って、ビーズをMoisture Analyzer MA37(Sartorius)水分スケールのプレートに置き、乾燥させる。 水分含有量は、湿った質量と乾いた質量の差によって計算される。
【0292】
灰分
灰分は、洗浄工程中に過剰なミネラル物質、主に凝固工程中に塩化カルシウムを除去する能力を反映している。 測定は、ヨーロッパ薬局方の方法2.4.16(総灰分)に従って、真空下のインキュベーター内で事前に脱水されたビーズ上で、その水分含有量を測定した後、600℃での焼成によって行われる。 灰分は、乾燥したビーズの質量を基準にしている。
【0293】
BDDE中の内容物及び残留BDDEの副産物
未反応のBDDE架橋剤は、天然の形で、又は副産物の形で見つかる可能性がある。 BDDE又はその残留副産物の濃度は、Fidalgoなど(LC-MS分析による新しい反応副産物BDDE架橋オートクレーブドヒアルロン酸ヒドロゲルの検出、Medical Devices:Evidence Res 11、367、2018)の方法に適合した方法に従ってLC-MSによって決定される。皮膚注射用のCCヒドロゲルビーズをベースにした製品の場合、2ppmの BDDEとその副産物(総含有量)の上限が課せられる(De Boulleなど1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル架橋ヒアルロン酸皮膚充填剤の代謝のレビュー、Dermatol Surg 39、1758、2013)。
【0294】
レーザー回折法によるビーズサイズ(直径)の決定
レーザー回折測定は、「ハイドロユニット」(Hydro 2000SM)を備えたMastersizer 2000(Malvern)を使用して行われる。 試験するビーズの懸濁液の量を、ピペットを使用して医薬品グレードの水を含むハイドロユニットに導入し、3%~10%の暗化レベルが得られるまで、暗化滴定を事前に実行して、最適な暗化レベルを決定した。 ハイドロユニットは、サンプルの均一な分散とシステム内の気泡の欠如を保証する速度で攪拌される。使用する光学パラメータ(屈折率)は、サンプル(ビーズ懸濁液)で1.52、水で1.33である。 各測定は3回行われる。 ビーズサイズ分布(直径)は、装置によって計算及び供給される(3回の測定の平均)。 装置はビーズサイズ分布を計算し、ソフトウェアは次のデータを取得するように設定されている:平均体積直径、体積分布の10%(D0,1)、50%(D0,5)、及び90%(D0,9)での直径。
【0295】
レオメトリーによる生体力学的特性(弾性率)
連続相のビーズ懸濁液の生体力学的プロファイルは、37℃の温度、0.7Hzの周波数及び1000%で0.1の変形振幅で、Peltierを使用して700μm間隔で20mmの平面形状を備えたDHR-2Hydrid Rheometer(TA Instrument)を使用して特徴付けられる。装置は弾性率(G’)の値を提供する。 各測定は3回行われるため、G’の平均値は3回の測定で計算される。
【0296】
共焦点レーザー走査顕微鏡によるビーズ表面の粗さ
サポートは、共焦点レーザー走査顕微鏡による分析中にビーズの懸濁液をロックできるように特別に設計されている。 これは、水和ポリアクリレートタイプの生体材料(国際公開WO2006063994号に記載されている)に基づくディスクであり、ビーズが置かれるウェルを含む。 ビーズは、生理食塩水リン酸塩緩衝液の懸濁液で分析される。ビーズ懸濁液を1~2滴垂らし、VK-X(Keyence)共焦点レーザー走査顕微鏡を使用して倍率20で測定する。 ビーズの相対的な粗さを評価するために、ビーズの画像を「非常に滑らかな」対照として撮影した「鏡面研磨」ポリアクリレートスライドの表面の画像と、「非常に粗い」対照として凍結乾燥したビーズの画像と比較する。
【0297】
ビーズの圧縮強度の定性的評価
3つのビーズを平らに三角形に並べ、ガラスのスライドで覆い、その上に質量が10g、次に50gまで増加する重りを置く。 ビーズが10gの質量に抵抗する場合、機械的圧縮強度は「良好」であると見なされ;そしてそれらが50gに抵抗するなら、「非常に良好」であると見なされる。 10g未満の場合、強度は許容できないと見なされる。
【0298】
カルボキシアルキルキトサン調製法(PCT / EP2020 / 064159号下で提出された国際出願にに従う)
実施例のカルボキシメチルキトサン(CC)参照CC1、CC2及びCC3について、キトサンのカルボキシメチル化反応は、以下の方法に従って行われる。 アガリクス・ビスポラス(Agaricus bisporus)由来の30gのキトサンの塊を、600mLのイソプロパノール、41mLの水、及び163mLの水酸化ナトリウムに50%(m / v)で分散させる。135gのモノクロロ酢酸(MCA)をイソプロパノールに溶解し、その溶液をキトサン懸濁液に添加する。 反応後、ポリマーはエタノール中での沈殿によって回収され、次に水での可溶化サイクルとエタノールでの沈殿によって精製される。 CCは乾燥後に回収される。
【0299】
CC1及びCC2参照のCCの場合、次の方法に従って1つの工程が追加される。 工程1のCCの21gの塊を570mLの水に分散させ、溶液のpHを約8のpHに調整する。 10mLの無水酢酸を加え、溶液を室温で攪拌する。 溶液のpHを調整してから、10mLの酸無水物を添加する。 pHは約7.0~7.5に調整される。 CCは乾燥後に収集される。
【0300】
実施例1~5の場合、使用されるポリマーは表1及び2のポリマーである。
【表1】
【0301】
【0302】
実施例1-イオンゲル化及び続くBDDEとの共有架橋によって形成されたビーズの調製
この例では、最初に塩化カルシウム、イオンゲル化によってポリマー液滴を凝固させ、次に架橋剤である1,4ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE、Alfa Aesar、CAS [2425-79-8])を添加することによる共有架橋によってそれらを安定化する工程を使用してCCビーズを形成しようとしている。この方法の成功は、水性媒体洗浄工程に耐えるビーズの能力を評価し、次に、洗浄に耐える場合、わずかな手動圧縮に耐える能力を評価することによって決定される。
【0303】
3つの溶液CC参照CC2(表1)は、40mg/mLの濃度で水中で調製される。 溶液のpHは、塩酸塩1N及び/又は水酸化ナトリウム1Nを目的のpHまで添加して3、6、又は13に調整し、水を添加して30mg/mLに希釈し、1mLシリンジに充填する。 並行して、30mg/mLの濃度の塩化カルシウム溶液を30/70(v / v)のエタノール/水混合物で調製する。
【0304】
各CC溶液では、27Gニードル(2mL)からCCをゆっくりと排出することで液滴が形成される。 液滴は塩化カルシウム溶液(10mL)に落下し、ゼリー状のビーズの形で凝固する。 ビーズを塩化カルシウム溶液に1時間懸濁させた後、80μLのBDDE(BDDE/CC比1.33μL/mg)を添加する。 1時間攪拌した後、濾過膜にビーズを回収する。ビーズを水に再懸濁し、濾過して、反応しなかった過剰な塩化カルシウムとBDDEを除去することにより、ビーズを洗浄する。 この工程をさらに3回繰り返した後、ビーズを水中に1時間懸濁させる。
【0305】
塩化カルシウム溶液中及び架橋及び洗浄工程中のゼリー状ビーズの形成が観察される。 ただし、最後の水溶液で15分後(4回の洗浄工程後)、最初の溶液のpHに関係なく、すべてのビーズが可溶化される。 これは、BDDEのCC鎖の共有架橋が発生していないことを示している。
【0306】
実施例2-カルボキシメチルキトサン(CC)に基づくヒドロゲルビーズ
この例は、球形(球形度が0.70より高い)であり、滑らかで、圧縮に耐性があり、直径が約20μm~400μmであり、質量含水量が85%を超えるかどうかにかかわらず、本発明による架橋CCヒドロゲルのビーズを提供する。 ビーズを水性媒体で洗浄して精製し、pHと浸透圧のバランスをとることができるかどうかを評価する。 また、ビーズを直径に従って分類することも求められる。
【0307】
ビーズは、表3に示す特別な条件とパラメーターを使用して、次の一般的な方法に従って製造される。 次に、ビーズを連続相に分散させ、混合物を包装し、場合によっては、例えば実施例3に記載されているように、標的製品の仕様書に従って滅菌することができる。 あるいは、ビーズは、例えば、凍結乾燥又は他の適切な乾燥方法によって乾燥され得、そして乾燥形態で調整され得る。
【0308】
この例では、CC1(表1)(30mg/mL)の溶液を1%NaOH溶液で調製し、BDDEをCC mg当たり3μL(0.0162mモル)の割合で添加する。 この溶液は、0.3バールの空気圧で直径2.8mmのバイナリノズルを介してスプレー(mini-Buchi)を使用して液滴に分散される。 液滴は、水/エタノール30/70(v /v)の混合物中の塩化カルシウム(50 mg/mL)をベースにした凝固浴に室温で落下し、球状ビーズとして凝固する。 次に、温度と時間を制御しながら、BDDEによるCCの架橋工程を実行する。
【0309】
次に、懸濁液を1N塩酸の溶液を加えることによって中和し、ビーズを真空下で濾過膜に収集し、それらを再び塩酸に懸濁し、次に濾過膜に収集する。 それらを生理食塩水リン酸塩緩衝液に懸濁し、濾過により収集し、次にこの工程を、浸透圧及び緩衝液pHでゲルビーズの懸濁液が得られるまで更新する。
【0310】
大きいサイズのビーズを沈降させることにより、小さいビーズが除去される。 最後に、ゲルビーズを400μmの多孔度の篩に置き、次に多孔度フィルターを減らして真空下で濾過することにより、サイズを分類する。 従って、参照SB2-A、B及びCを有するヒドロゲルビーズの3つの画分が得られ、これらは、生理食塩水リン酸塩緩衝液中の懸濁液中に保存される。
【0311】
【0312】
安定したビーズは、実際には、洗浄、選別、及び懸濁の工程の後に得られる。 ビーズの3つの部分は、説明に詳述されているような方法に従って特徴付けられる:レーザー回折法によるサイズ分布(Mastersizer 2000、Malvern);湿度スケールを使用した水分含有量(Moisture Analyzer MA37、Sartorius); 定性的方法による圧縮強度(質量50gの重量;球形性と光学顕微鏡による目視検査; 走査型共焦点顕微鏡による表面粗さ。 結果を表4に示す。
【0313】
【0314】
このビーズ調製法により、本発明に求められる特性に従ってCCヒドロゲルビーズを得ることができる。 さらに、これらのヒドロゲルビーズは、水性媒体の洗浄工程に耐え、過剰な物質、特に塩化カルシウム及びBDDEを除去し、実施例3のこれらのビーズの配合から確認されるように、pH及び浸透圧に関してそれらの媒体のバランスをとる。
【0315】
実施例3-CCヒドロゲルビーズに基づく滅菌製剤の調製
実施例2のCCヒドロゲルビーズ参照SB2-A又はSB2-Bの画分を収集し、次に製剤を分離するために、70/30の質量比率で、生理食塩水リン酸塩緩衝液中の2%(m/m)のヒアルロン酸ナトリウム(表2の参照HA2)の溶液と混合した。最終的なpH目標は7.2±0.2で、最終的な浸透圧は315±35mOsm/kgである。
【0316】
製剤を室温で約12時間ゆっくりと攪拌する。 次に、それらを1mLガラスシリンジ(Hypak、BD)にパッケージ化し、ストッパー(Hypak、BD)で閉じる。 シリンジをオートクレーブ(Systec、DX65)に移す。 次に、注射による送達の準備ができているCCヒドロゲルビーズの2つの製剤(参照FSB1-A及びFSB1-B)を備えた滅菌シリンジが得られる。
【0317】
最終的な製剤が特徴づけられる(pH、浸透圧、残留BDDE含有量、弾性係数G’、27G細い針(TSK、1/2“)からの組成物の排出の容易さ)。 次に、ビーズを収集して、方法(形状、表面、圧縮強度)によって変更されていないことを確認する。
【0318】
ビーズの特性と組成を表5に示す。 参考までに、2つの市販製品の特性は、美容目的の皮膚おボリューム化表示で報告されている:Restylane LYFT (Galderma) 及び Ellanse-M (Sinclair Pharma)。
【0319】
【0320】
この例から、本発明によるCCヒドロゲルビーズは、均質性、球形、滑らかな表面、及び圧縮強度を維持するので、HAの溶液として処方され、次いで、変更されることなく、1mLのシリンジにパッケージ化、滅菌され得ると結論付けられる。
【0321】
2つの製剤FSB2-A及びBは、使用する水相とのpHバランス及び浸透圧の点で準拠している。 それらは、BDDEの残留含有量及びBDDEの副産物(<2ppm)に関して準拠している。
【0322】
製剤は27G針を介して容易に注射可能であり、空気中に放出するために9~10Nの力を必要とし、特に皮下注射には完全に満足のいくものである。 光学顕微鏡を使用した目視検査によって確認されるように、ビーズは排出後も完全性を維持する。 従って、製剤は、特に皮下への注射による、美容目的のための皮膚のボリューム化の適応に適合されるであろう。
【0323】
これらの2つのビーズ製剤SB2-A及びBの弾性率は、参照市販製品の弾性率よりも大幅に高く、これはビーズ自体のおかげであり、ビーズが懸濁している相ではない。 実際、ビーズを含まない非架橋HA溶液は、G’の値が大幅に低いことが知られている。 ビーズのこの高い弾性は、圧縮されたり、ボリューム化能力を失うことなく、組織の移動中に変形する可能性があるため、組織のボリューム化の兆候に有利である。
【0324】
実施例4-可変組成のCC及びHAヒドロゲルビーズ
この例では、手動圧縮強度、滑らかな表面、及び球形性を維持しながら、CCヒドロゲルビーズの特性を調整することが求められている。 これを達成するために、ヒアルロナンがヒアルロン酸ナトリウム(表2の参照HA1)の形でCC溶液(表1の参照CC2)及びBDDEに添加される。 40mg/mLのポリマーの同じ総濃度に対して、2つの異なるCC/HA質量比(50/50及び75/25)が使用される。 直径約10μm~400μmのビーズを形成することが求められている。 表6で説明されているようにパラメーターを調整して、例2と同じ一般的な方法を適用する。
【0325】
【0326】
耐性ビーズは、精製、配合、及び滅菌の各工程の最後に得られる。 ビーズ及び最終的な滅菌製剤の特性を表7に示す。
【0327】
【0328】
CC及びHAビーズが得られ、実施例1(90%)でのみCCビーズに対して水分含有量(93%及び97%)が増加している。 それらは、実施例1のビーズよりも変形しやすく、弾力性があり、粘着性がある。
【0329】
CCヒドロゲルビーズの特性は、ポリマー溶液の組成を変えることによって、例えば、HAをさまざまな比率で加えることによって調節できると結論付けられる。 同じ一般的な方法を適用できるが、いくつかのパラメーターを適用する。
【0330】
実施例5-可変分子構造のCCに基づくヒドロゲルビーズ
この例では、パラメーターを調整することにより、実施例2と同じ一般的な方法に従って、DAが30%未満のアガリクス・ビスポラス由来のCC(表1のCC3を参照)からヒドロゲルビーズを形成することが求められている(表8)。
【0331】
施設により、液滴は、実施例2~3の噴霧プロセスの代わりに、ポリマー溶液を30Gの針に通すことによって形成される。 従って、ビーズの直径は、実施例1~3のビーズよりも大きくなる(約1mm)。 それにもかかわらず、この方法により、球形性、滑らかな表面、及び洗浄工程後の手動圧縮に対する適切な耐性の観点から、ビーズの適合性を判断することができる。
【0332】
【0333】
緩衝液中での洗浄及び懸濁工程に抵抗したビーズが実際に得られる。 それらの特性を表9に示す。
【0334】
【0335】
球状で滑らかで、DAが30%未満のカルボキシメチルキトサンからの手動圧縮に耐性のあるビーズは、一般的な方法に従って形成できると結論付けられる。
【0336】
実施例6-ラットの皮膚組織のボリューム化のためのCCヒドロゲルビーズ
この例では、CCヒドロゲルビーズの局所耐性と体積容量を、ラットの皮下(皮下)に3か月間注射した後に評価する。 注射の準備ができている、実施例3のCCヒドロゲルビーズに基づく2つの製剤:FSB2-A(90μm体積での平均直径)及びFSB2-B(200μm体積での平均直径)を使用する。
【0337】
比較として、美容目的の皮膚のボリューム化を目的とした以下の2つの市販の注射可能な製品を同時に研究する:Ellanse-M(Sinclair Pharma)、カルボキシメチルセルロースゲル中のポリカプロラクトンの固体及び非水和ミクロスフェアに基づいている;Restylane(登録商標)LYFT(Galderma)、非球形粒子の形で架橋及び押し出されたヒアルロン酸のヒドロゲル。
【0338】
この例では、一般的な用語「粒子」を使用して、CCヒドロゲルビーズ、ポリカプロラクトンの固体ミクロスフェア、及び押し出された架橋ヒアルロン酸粒子の粒子を同時に示す。
【0339】
プロトコル。 Wistar雌ラットはそれぞれ、針のサイズ27Gを使用して、各製品200μLの皮下注射を受ける(動物当たり合計4つの注射部位、左脇腹に2つ、右脇腹に2つ)。 定期的に3か月間にわたって、テストされた製品に起因する反応又は皮膚刺激(紅斑、浮腫)の兆候があれば、それらにスコアが割り当てられて評価される。毎回、各移植部位の皮膚組織の場合、レベルに作成されたレリーフの寸法が測定され、体積が推定される(高さx幅x長さ、mm3)。製品ごとに、また毎回、6つの移植部位の平均体積が計算される。 表10は、研究の短期、中期、及び長期を代表する時間の平均量を示している。
【0340】
局所耐性の評価。 テストした4つの製品について、紅斑と浮腫のスコアは最初の1週間を通してゼロである。 それらは、3か月の観察期間を通してゼロのままである。 従って、皮膚刺激反応の臨床的兆候は、試験された4つの製品のいずれについても観察されず、それらの耐性は優れていると見なされる。
【0341】
ボリューム化効果の評価。 CCヒドロゲルビーズをベースにした2つの製品を注入すると、皮膚がすぐに浮き彫りになり、最初の数日間はその量がわずかに増加する。 ボリューム化は7日目から安定し、約3か月のフォローアップ期間(85日目)の間、ほぼ安定したレベルを維持する。 従って、これらの製品は、皮膚のボリューム化に対して期待どおりに機能する。 2つの製品の間に量の違いは見られ内容。
【0342】
Ellanse-Mの市販製品のボリューム化効果は、最初の2週間の大量の緩和が特徴であり、その後、研究が終了するまで、CCヒドロゲルビーズを使用した2つのベース製品と同じレベルで安定する。
【0343】
Restylane(登録商標)LYFTの市販製品によって作成されたレリーフの平均量は、最初の2週間は他の製品と同じ大きさである。 そして、14日目から研究の終わり(85日目)までの漸進的な減少のために、それはすべての時間よりも大幅に低くなっている。
【0344】
【0345】
この例では、平均直径90μm及び200μmのCCヒドロゲルビーズに基づく2つの製品は、美容目的での皮膚のボリューム化の兆候として予想されるように、皮下に容易に注入され、忍容性が高く、3か月の研究期間中に臨床的に目に見える刺激又は炎症反応を引き起こさないと結論付けられる。それらの皮下注射は、求められているように、局所的な方法で、一定且つ拡張された皮膚組織のレリーフを作り出すことを可能にする。
【0346】
同等の注入量で、作成されたレリーフは、時間の経過とともに安定したボリュームレリーフを持ち、Ellanse-M製品によって作成されたものと同様のレベルになる。 これは、Restylane(登録商標)LYFT製品によって作成されたものよりも高く、時間の経過とともに徐々に減少する。 従って、CCヒドロゲルビーズは、組織、より具体的には皮膚のボリューム化生成物としての安全性と有効性を確認する。
【0347】
実施例7-ラットにCCヒドロゲルビーズを注入した後の局所反応の評価:1か月及び3か月での組織病理学的分析
この例では、注射後1ヶ月及び3ヶ月の時点で、実施例6の研究の注射部位のレベルでの皮膚組織の組織病理学的分析ごとに、炎症性及び異物を含む、2つの製剤FSB2-A及びBの局所反応が特徴づけられる。 注射後1ヶ月及び3ヶ月の時点で。 2つの参照市販製品の注射部位の組織は同じように操作される。
【0348】
ガラス板に取り付けられ、ヘマトキシリンで着色された組織の切片を顕微鏡で観察することにより、ISO 10993規格-パート6(2016)に記載されている半定量的評価システムに従った局所反応のさまざまな側面が評価される。 各パラメーターの各サイトに応答のスコアが与えられ、次に全てのサイトの平均スコアが計算される。 表11は、1か月及び3か月の2回で得られた結果を示している。
【0349】
【0350】
1か月で、ヒドロゲル粒子(CCビーズ及びRestylane(登録商標)LYFT)に基づく製品に対して適切な方法で局所反応が起こり、全てのパラメーターでスコア「なし~低」の応答が得られる。 3か月後、細胞応答は増加又は減少せず、CCヒドロゲルビーズ内の組織への侵入が観察される(但し、Restylane粒子は観察されない)。 Ellanse-M製品の場合、1か月でより高い細胞反応が認められ、マクロファージのスコアは「中程度~顕著な」であり、リンパ球及び巨大細胞のスコアは他の製品よりも高くなっている。壊死の存在は、サイトの1つで観察される。 リンパ球、マクロファージ(「中程度~顕著な」スコア)及び巨大細胞の持続性を特徴とする再発性炎症反応の結果として、他の製品よりも常に高いスコアになるため、反応は3か月後も重要である。
【0351】
この例から、本発明によるCCヒドロゲルビーズに基づく2つの生成物は、皮下注射の1ヶ月後及び3ヶ月後に適切な局所反応を引き起こすと結論付けられる。 細胞又は繊維組織によるビーズのカプセル化は観察されないか、又はほとんど観察されないが、むしろ、本発明によって求められるように、材料中のコラーゲン繊維の存在、良好な生体統合の兆候、および長期的な肉芽腫のリスクの最小化がみられる。
【0352】
実施例8-CCヒドロゲルビーズへのアスコルビン酸の組み込み
この例では、事前に形成されたCCヒドロゲルビーズにモデル分子(ここでは水溶性)であるアスコルビン酸が組み込まれており、有効成分、栄養素などの物質のタンクとして機能する能力を示している。 実施例2のビーズ参照SB2-C(平均体積直径373μm)を、それらの水和形態で事前に収集したものを使用する。 ビーズをリン酸食塩水緩衝液中の50mg/mlの濃度のアスコルビン酸の溶液に懸濁させ、次に室温で12時間わずかに攪拌する。次に、膜上で真空下で濾過することによりビーズを溶液から分離し、生理食塩水リン酸塩緩衝液中の懸濁液に7日間置く。 ビーズの一部は、緩衝液で洗浄してすすぎ、凍結乾燥して脱水した後、FTIRによって特徴付けられる。
【0353】
同じ方法が、アスコルビン酸を含まない同じ緩衝液に懸濁されたSB2-Cビーズに適用され、それらのFTIRスペクトルが記録される。 アスコルビン酸溶液に懸濁して配置されたビーズのFTIRスペクトルは、緩衝液のみに懸濁して配置されたビーズのスペクトルに対して、862cm-1及び530cm-1に2つの追加バンドを有し、CCビーズにおけるアスコルビン酸の存在を確認する。
【0354】
この例から、CCヒドロゲルビーズは、アスコルビン酸の単純な拡散工程を介して事前に形成されたビーズに組み込むことにより、アスコルビン酸としての水溶性分子のタンクとして機能できると結論付けられる。 アスコルビン酸がリン酸緩衝液と洗浄液に7日経ってもまだ存在しているという事実は、取り込みが実際にビーズの表面だけでなく中心で起こっていることを裏付けている。
【0355】
実施例9-トリアムシノロンヘキサセトニドのヒドロゲルビーズへのカプセル化
コルチコステロイドタイプの抗炎症剤であるトリアムシノロンの局所的かつ漸進的な送達を考慮して、それをヒドロゲルビーズにカプセル化することが求められている。 組織又は器官にビーズを移植又は注入することが可能でなければならない。
【0356】
カプセル化方法により、トリアムシノロンを変更せずにカプセル化できる。 ビーズは少なくとも80%の水を含み、球形で圧縮に耐性がある。 水溶性ではないため、トリアムシノロンはビーズのヒドロゲルに分散している。 直径1μm~10μmの粒子に存在するトリアムシノロン粉末は、肉眼で見ることができる。これは、滑らかな表面として許容され、ビーズの透明性は、ローカル配信アプリケーションには必要ない。
【0357】
トリアムシノロンは、最初のビーズ調製工程で、ポリマーの初期溶液(表1及び2の参照CC1及びHA1)で懸濁される。 次に、実施例2及び4の一般的な方法に従って、ポリマー、トリアムシノロン及び架橋剤(BDDE)を含む溶液の開始時にビーズを形成する。 ビーズは、サイズに応じて分割せずに収集される。 ビーズは、前の例で説明した方法に従って特徴付けられる(表12)。
【0358】
ビーズ中のトリアムシノロン含有量は、以下の方法を使用して評価され:ある量のビーズを遠心分離管に導入し、エタノール/水溶液(30:20、v / v)に懸濁させて、ビーズ外へのトリアムシノロンの溶解と拡散を確実にする。24時間後、懸濁液を2,500rpmで10分間遠心分離する。 次に、分光光度計(Multiskan Sky High、Thermo Scientific)を使用して、上澄みの吸光度を242nmで測定する。校正曲線は、0~0.5mg/mLのトリアムシノロンの溶液を使用して同じ条件で作成される。 トリアムシノロン含有量は、湿ったビーズの質量当たりのトリアムシノロンの質量で表される(表12)。
【0359】
【0360】
このように、ビーズのCC及びHA組成に応じて6~15mgのかなりの量のトリアムシノロンをカプセル化することに成功した。 FTIRにより、トリアムシノロンの構造が変化していないことが確認されている。 次の2つの観察結果が報告されている。トリアムシノロンは、ビーズのヒドロゲル内に分散した粒子の形で組み込まれているため、ビーズは不透明になる。 これらの粒子が存在するため、ビーズは滑らかではなく、わずかに粗いことにも注意してください。 これらの2つの観察結果は、トリアムシノロンの溶解度プロファイルと一致している。 さらに、ビーズは、水分含有量、球形度、及び圧縮に対する耐性の点で本発明に準拠している。
【0361】
実施例10-滅菌済みヒドロゲルビーズからのトリアムシノロンのカプセル化
滅菌製剤は、実施例9の3種類のヒドロゲル及びトリアムシノロンビーズを用いて調製される。 これを行うには、実施例3と同じ一般的な方法に従って、ビーズをヒアルロナン溶液(表2の参照HA2)に懸濁する。 製剤は3mLシリンジ(Hypak、BD)にパッケージされ、オートクレーブで滅菌される。
【0362】
次に、攪拌によってビーズに機械的ストレスをかけることにより、トリアムシノロンがビーズから放出されることを確認することができる。 この評価は、滅菌懸濁液から分離及びすすがれたビーズに対して行われる。 27日までの研究のたびに、遠心分離管が予約され、1gの湿ったビーズ、8mLのPBS、及び直径4.5mmの3つのステンレス鋼ビーズが配置される。 チューブは、室温で軌道攪拌(190rpm)にかけられる。これにより、例えば膝などの関節の動きを模倣した動きを介して、機械的な劣化を引き起こすことができる。
【0363】
毎回上澄みに放出されるトリアムシノロン濃度を評価するために、600rpmで5分間の遠心分離によってビーズを沈降させる。 0.4mLの上清を収集し、0.6mLのエタノールを添加する。 次に、分光光度計(Multiskan Sky High、Thermo Scientific)を使用して、242nmの波長で溶液の吸光度を測定する。校正曲線は、トリアムシノロンのみの溶液を使用した同じ操作条件で並行して作成される。 次に、上澄み中のトリアムシノロン濃度が毎回(各チューブ)計算される。 最後に、放出されたトリアムシノロンの総量を、湿ったビーズ1g当たりのmgで表して計算する(表13)。
【0364】
【0365】
トリアムシノロンは、実際には、ビーズから、上澄みに、ある時点から、そしてその後、研究全体を通して徐々に放出される。 この試験の条件では、SB8-1及びSB8-2ビーズの放出は2日目に開始される。 SB8-3ビーズの場合、7日目から始まる。 最初のトリアムシノロン含有量の大部分は、3種類のビーズの試験の最終日に放出される。これは、ビーズが機械的ストレス下に置かれたときに、水性媒体中での放出のブロッキングがないことを示している。
【0366】
トリアムシノロンは、機械的ストレス下で設定されたCC又はCC/HAのヒドロゲルビーズから徐々に放出され得ると結論付けられる。 さらに、ビーズのポリマー組成を変えることにより、放出をトリガーする時間と放出速度を調整することができる。 ビーズのポリマー組成は、使用する活性剤の放出プロファイル及び目標の指示に従って調整することができる。
【国際調査報告】