(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】汚染物質抵抗性が向上した本質的に粘土を含まないFCC触媒、その調製及び使用
(51)【国際特許分類】
B01J 29/06 20060101AFI20231127BHJP
B01J 33/00 20060101ALI20231127BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B01J29/06 M
B01J33/00 B
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526507
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021057395
(87)【国際公開番号】W WO2022094306
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヤンペルマル,エスワラモールティ
(72)【発明者】
【氏名】ヤルリス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】レイナー,ダレル
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA14
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA02A
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4H129AA01
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4H129KC13Y
4H129NA22
4H129NA23
4H129NA37
4H129NA45
(57)【要約】
粒子状FCC触媒及び粒子状FCC触媒の調製方法は、粘土を本質的に含まない汚染物質抵抗性を向上させた。したがって、一実施形態において、1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物が提供される。さらなる実施形態において、少なくとも2つの異なる種類のアルミナ及び少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物が提供される。アルミナ成分は、解膠性の準結晶性ベーマイト、非解膠性の微結晶性ベーマイト相、非解膠性のアルファ相、またはガンマ相を含む非解膠性のアルミナ、またはカイ相を含む非解膠性のアルミナまたはギブサイトアルミナの群から選択され得る。シリカ成分は、低ナトリウム安定化コロイドシリカ及び酸または低ナトリウムまたはアンモニア安定化コロイドシリカまたはプロイケイ酸の群から選択され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約1~約50%の1つ以上のゼオライト、約1~約45wt%の準結晶性ベーマイト、約1~約45wt%の微結晶性ベーマイト、約0~40wt%超のガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナ、約1wt%~約20wt%のナトリウム安定化シリカ、及び約0~20wt%の低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸を含み、粘土を本質的に含まない、汚染物質抵抗性が向上した粒子状FCC触媒組成物。
【請求項2】
前記準結晶性ベーマイトアルミナが、(020)、(021)、及び(041)面反射に対応する約14、28、及び38度の2θ値に特徴的な鋭いXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項3】
前記微結晶性ベーマイトアルミナが、(020)、(021)、及び(041)面反射に対応する約14、28、及び38度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項4】
アルファアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、(012)、(104)、(115)、(116)及び(030)面反射に対応する約25.5、35、43.5、57.5及び69度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項5】
ガンマアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、(311)、(400)及び(440)面反射に対応する約37.6、45.8及び67度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項6】
カイ相を含む前記非解膠性のアルミナが、約37、43、及び67度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項7】
ギブサイトアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、約18、20.3及び38度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項1に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項8】
1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、粘土を本質的に含まない、汚染物質抵抗性が向上した粒子状FCC触媒組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアルミナ成分が、準結晶性ベーマイト、微結晶性ベーマイト、あるいはガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナ及びその混合物を含む、請求項8に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのシリカ成分が、ナトリウム安定化シリカまたは低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸またはその混合物を含む、請求項8に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項11】
請求項8に記載の粒子状FCC触媒組成物であって、
a)前記1つ以上のゼオライトが、約1~約50%の1つ以上のゼオライトの量で存在し、
b)前記少なくとも1つのアルミナ成分が、約1~約45wt%の準結晶性ベーマイト、約1~約45wt%の微結晶性ベーマイト、約0~40wt%超の、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナを含み、
c)前記少なくとも1つのシリカ成分が、約1wt%~約20wt%のナトリウム安定
化シリカ、及び約0~20wt%の低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸を含む、前記粒子状FCC組成物。
【請求項12】
前記準結晶性ベーマイトアルミナが、(020)、(021)、及び(041)面反射に対応する約14、28、及び38度の2θ値に特徴的な鋭いXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項13】
前記微結晶性ベーマイトアルミナが、(020)、(021)、及び(041)面反射に対応する約14、28、及び38度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項14】
アルファアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、(012)、(104)、(115)、(116)及び(030)面反射に対応する約25.5、35、43.5、57.5及び69度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項15】
ガンマアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、(311)、(400)及び(440)面反射に対応する約37.6、45.8及び67度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項16】
カイ相を含む前記非解膠性のアルミナが、約37、43、及び67度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項17】
ギブサイトアルミナを含む前記非解膠性のアルミナが、約18、20.3及び38度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する、請求項11に記載の粒子状FCC触媒組成物。
【請求項18】
原料を分解する方法であって:
a)1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、粘土を本質的に含まない、汚染物質抵抗性が向上した粒子状FCC触媒組成物を供給する工程;
b)400~650℃の範囲の温度で、0.5~12秒の範囲の滞留時間で前記FCC触媒を前記原料と接触させる工程を含む、前記方法。
【請求項19】
前記粒子状FCC触媒組成物が、前記少なくとも1つのアルミナ成分をさらに含み、これが準結晶性ベーマイト、微結晶性ベーマイト、あるいはガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナ及びその混合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記粒子状FCC触媒組成物が、前記少なくとも1つのシリカ成分をさらに含み、これがナトリウム安定化シリカまたは低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸またはその混合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子状FCC触媒組成物が:
a)前記1つ以上のゼオライトが、約1~約50%の1つ以上のゼオライトの量で存在し、
b)前記少なくとも1つのアルミナ成分が、約1~約45wt%の準結晶性ベーマイト、約1~約45wt%の微結晶性ベーマイト、約0~40wt%超の、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナを含み、
c)前記少なくとも1つのシリカ成分が、約1wt%~約15wt%のナトリウム安定化シリカ、及び約0~20wt%の低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイ
ドシリカまたはポリケイ酸を含むことをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
原料を分解する方法であって:
a)3つの異なる種類のアルミナと2つの異なる種類のコロイドシリカを含み、粘土を本質的に含まない、汚染物質抵抗性が向上した粒子状FCC触媒組成物を提供する工程を含み、第1のアルミナが、解膠性の準結晶性ベーマイトであり、第2のアルミナが、非解膠性の微結晶性ベーマイトであり、第3のアルミナが、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナであり、第1のシリカが低ナトリウム安定化コロイドシリカであり、第2のシリカが酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸であり、前記触媒組成物が本質的に粘土を含まず;
b)400~650℃の範囲の温度で、0.5~12秒の範囲の滞留時間で前記FCC触媒を前記原料と接触させる工程を含む、前記方法。
【請求項23】
前記原料が炭化水素原料である、請求項18または22に記載の方法。
【請求項24】
前記原料が、炭化水素と植物油(ダイズ、キャノーラ、トウモロコシ、パーム、ナタネ等)、廃油、獣脂、バイオ廃棄物及び/もしくは熱分解、あるいはバイオマス、もしくはプラスチック、下水、都市廃棄物、農業廃棄物、または他の適切な有機大量廃棄物及びその組合せの任意の熱的または他の処理によって得られる他の油(例えば、Fischer
Tropsch液)の混合物である、請求項18または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
35U.S.C.§119(e)に基づき、2021年10月29日に出願された本出願は、「ESSENTIALLY CLAY FREE FCC CATALYST WITH MULTIPLE ALUMINA,ITS PREPARATION AND
USE」と題する、2020年10月30日に出願された、米国仮特許出願第63/107,961号に対する利益を主張し、その内容全体及び物質は全体が記載されているように、参照により本明細書に包含される。
【0002】
本発明は、汚染物質抵抗性の向上を示す触媒組成物及び、例えば、原油、または、>0wt%超の植物油(ダイズ、キャノーラ、トウモロコシ、パーム、ナタネ等)、廃油、獣脂、バイオ廃棄物、及び/またはバイオマスもしくはプラスチックの任意の熱処理によって得られる熱分解油の処理から得られるもの等の、フィードの分解または変換のためのプロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
不均一触媒の設計及び製造における一般的な課題は、活性部位の有効性及び/またはアクセス可能性、ならびに触媒粒子に十分な物理的強度、すなわち摩耗抵抗性を付与する際の固定化マトリクスの有効性との間の適切な妥協点を見つけることである。特に、FCC触媒は、時間の経過とともに、鉄、Ca、P、Mg、Si等の汚染物質によって「汚染」される。簡潔にするために、本明細書ではFe及びCa中毒に言及するが、これは、同じ影響を引き起こすFCCフィード内の他の汚染物質を含むことは理解されるべきである。Fe、Ca、及び他の汚染物質を含む原料によるFCC触媒の中毒は、触媒のアクセス可能性、流動化、活性、及び底質改善能力に大幅な影響を与えるよく知られた問題である。FCC触媒の底質分解能力は、価値の低い重分子を付加価値のある生成物に変換するため、最も重要な性能要件の1つである。鉄中毒は以前から知られていたが、タイトオイルの導入により、この問題が表面化した。鉄及びカルシウムの中毒は、ガラス化による表面の閉塞、及び活性及び底質改善に直接影響する表面結節の形成につながる。耐性が改善された触媒により、顧客はより安価な高Fe/Ca含有原料を処理することができる。
【0004】
国際公開第02/098563号は、高い摩耗抵抗性及び高いアクセス可能性の両方を有するFCC触媒の製造方法を開示している。触媒は、ゼオライト、粘土、及びベーマイトをスラリー化すること、スラリーを成形装置に供給すること、及び混合物を成形して粒子を形成することによって調製され、成形工程の直前に混合物が不安定化されることを特徴とする。この不安定化は、例えば、温度上昇、pH上昇、pH低下、または塩、リン酸塩、硫酸塩、及び(部分的に)ゲル化シリカ等のゲル誘導剤の添加によって達成される。不安定化の前に、スラリー中に存在する解膠性の化合物は、十分に解膠されている必要がある。
【0005】
国際公開第06/067154号は、FCC触媒、その調製及びその使用を記載している。これは、高い摩耗抵抗性及び高いアクセス可能性の両方を有するFCC触媒の製造方法を開示している。触媒は、粘土、ゼオライト、ナトリウムを含まないシリカ源、準結晶性ベーマイト、及び微結晶性ベーマイトをスラリー化することであって、ただし、スラリーは、解膠された準結晶性ベーマイトを含まないスラリー化すること、b)一価の酸をスラリーに添加すること、c)スラリーのpHを3を超える値に調整すること、及びd)スラリーを成形して粒子を形成することによって調製される。
【0006】
国際公開第19/140223号は、FCC触媒、その調製及び使用を記載している。これは、触媒の製造方法及び2つ以上の多くのシリカを含む触媒を開示している。触媒は、約5~約60wt%の1つ以上のゼオライト、約10~約45wt%の準結晶性ベーマイト(QCB)、約0~約35wt%の微結晶性ベーマイト(MCB)、約0%~約15wt%超のナトリウム安定化コロイドシリカからのシリカ、約0%~約30wt%超のアンモニア安定化または低ナトリウムコロイドシリカからのシリカ、及び均衡粘土を含む粒子状FCC触媒ならびにその製造方法として開示されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、フィード炭化水素よりも低分子量の変換生成物炭化水素化合物、例えば高ガソリン留分を含む生成物を生成するための触媒組成物上のフィードの分解のためのプロセスで使用されることを意図したFCC触媒に関する。さらに、原料は、炭化水素原料と、0wt%超の植物油(ダイズ、キャノーラ、トウモロコシ、パーム、ナタネ等)、廃油、獣脂、バイオ廃棄物及び/または熱分解、またはバイオマス、プラスチック、下水、都市廃棄物、農業廃棄物、または他の適切な有機大量廃棄物及びその組合せの任意の熱的または他の処理によって得られる他の油(例えば、Fischer Tropsch液)との混合物を含み得る。本発明の独自の特徴は、触媒が本質的に粘土を含まないことである。
【0008】
特定の理論に拘束されるものではないが、粘土中に存在する可動性シリカは、添加された鉄、カルシウム、ナトリウム、及び/またはFCC触媒の外面をカバーするフィードからの他の汚染物質と共に低融点共晶相を形成することによって、表面閉塞及び結節形成の原因であると考えられている。粘土を含む可動性シリカをアルミナベースの成分で置換することによって、得られる触媒の鉄耐性が向上することが見出されている。ゼオライト中のシリカは可動性がないと想定されているため、粘土が可動性シリカの主な供給源であると考えられている。アルミナベースの成分は可動性がないため、鉄及びナトリウムとの反応による低融点共晶相(ガラス層)の形成が抑制されると考えられている。ベーマイト、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、カイアルミナ、ギブサイト、及び三水酸化アルミニウム等の異なるアルミナを使用して粘土を置換した。結合剤シリカは、これらの本質的に粘土を含まない触媒の摩耗を改善するために使用した。本発明は、鉄による不活性化後のより高いアクセス可能性保持によって示されるように、改善された汚染物質耐性を有する本質的に粘土を含まない触媒である。性能試験におけるより高い底質改善は、本質的に粘土を含まない触媒の鉄耐性の改善の利点を反映する。
【0009】
したがって、一実施形態において、1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物が提供される。さらなる実施形態において、少なくとも2つの異なる種類のアルミナ及び少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物が提供される。アルミナ成分は、解膠性の準結晶性ベーマイト、非解膠性の微結晶性ベーマイト相、非解膠性のアルファ相、またはガンマ相を含む非解膠性のアルミナ、カイ相またはギブサイトアルミナを含む非解膠性のアルミナの群から選択することができる。シリカ成分は、低ナトリウム安定化コロイドシリカ及び酸または低ナトリウムまたはアンモニア安定化コロイドシリカまたはプロイケイ酸の群から選択することができる。したがって、触媒は一般的に、1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物である。粒子状組成物は、約1~約50%の1つ以上のゼオライト、約1~約45wt%の準結晶性ベーマイト、約1~約45wt%の微結晶性ベーマイト、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む約0~40wt%を超える非解膠性のアルミナ、約1wt%~約20wt%のナトリウム安定化シリカ、及び約0~20wt%の低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸を含み、粘土
を本質的に含まないFCC触媒であることが好ましい。
【0010】
なおさらなる実施形態において、原料を分解するためのプロセスであって:
a)1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない粒子状FCC触媒組成物を供給すること;
b)400~650℃の範囲の温度で、0.5~12秒の範囲の滞留時間でFCC触媒を前記原料と接触させることを含むプロセスが提供される。
原料は、炭化水素原料、または炭化水素及び植物油(ダイズ、キャノーラ、トウモロコシ、パーム、ナタネ等)、廃油、獣脂、バイオ廃棄物及び/または熱分解、またはバイオマス、プラスチック、下水、都市廃棄物、農業廃棄物、または他の適切な有機大量廃棄物及びその組合せの任意の熱的または他の処理によって得られる他の油(例えば、Fischer Tropsch液)との混合物であり得る。
【0011】
本発明のこれら及びさらに他の実施形態、利点及び特徴は、添付の特許請求の範囲を含む以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別段示されない限り、本明細書で使用される重量パーセント(例えば、1~10wt%)は、特定の物質または物質の形態が構成要素または成分である生成物の総乾燥塩基重量に基づく、特定の形態の物質の乾燥塩基重量パーセントである。工程または構成要素または要素を何らかの形で好ましいものとして本明細書で説明する場合、それらは本開示の最初の日付の時点で好ましいものであり、そのような好ましいものは当然所与の状況または当技術分野の将来の発展に応じて変化する可能性があることはさらに理解されたい。
【0013】
一般的な手順
製造プロセスの第1の工程において、例えば、典型的にはゼオライト、アルミナ、及びシリカ、ならびに任意の他の成分を乾燥固体として水に添加することによってスラリー化することができる。あるいは、個々の材料を含むスラリーを混合してスラリーを形成する。材料の一部をスラリーとして添加し、他を乾燥固体として添加することも可能である。場合により、他の成分、例えば、アルミニウムクロロヒドロル、硝酸アルミニウム、Al2O3、Al(OH)3、スメクタイト、セピオライト、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、チタン酸マグネシウム、混合金属酸化物、層状ヒドロキシ塩、追加のゼオライト、酸化マグネシウム、塩基もしくは塩、及び/または金属添加剤、例えば、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca及びBa)、IIIA族遷移金属、IVA族遷移金属(例えば、Ti、Zr)、VA族遷移金属(例えば、V、Nb)、VIA族遷移金属(例えば、Cr、Mo、W)、VIIA族遷移金属(例えばMn)、VIIIA族遷移金属(例えば、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt)、IB族遷移金属(例えば、Cu)、IIB族遷移金属(例えばZn)、ランタニド(例えば、La、Ce)、リン、リン酸塩またはその混合物を添加してもよい。これらの化合物の添加順序は任意である。これらの化合物を全て同時に組み合わせることも可能である。
【0014】
「ベーマイト」という用語は、酸化水酸化アルミニウム[AlO(OH)]のパターンに近いX線回折(XRD)パターンを示すアルミナ水和物を記載するために業界で使用されている。さらに、ベーマイトという用語は、一般的に、様々な量の水和水を含み、様々な表面積、細孔容積、比密度を有し、熱処理時に様々な熱特性を示す幅広い範囲のアルミナ水和物を記載するために使用される。しかし、それらのXRDパターンは、特徴的なベーマイト[AlO(OH)]ピークを示すが、通常、それらの幅が変化し、それらの位置もシフトする可能性がある。XRDピークの鋭さ及びそれらの位置は、結晶化度、結晶サイズ、及び欠陥の数を示すために使用されている。
【0015】
概して、ベーマイトアルミナには、準結晶性ベーマイト(QCB)及び微結晶性ベーマイト(MCB)の2つのカテゴリーがある。最新技術では、準結晶性ベーマイトは擬ベーマイト及びゼラチン状ベーマイトとも呼ばれる。通常、これらのQCBは、MCBよりも高い表面積、より大きな細孔及び細孔容積、ならびにより低い比密度を有する。それらは水または酸に容易に分散し、MCBよりも結晶サイズが小さく、より多くの水和水分子を含有する。QCBの水和度は、通常は規則的に、またはそうでなければ八面体層間にインターカレートされた、例えばAl 1モル当たり約1.4~約2モルまでの広範囲の値を有することができる。
【0016】
微結晶性ベーマイトは、その高い結晶化度、比較的大きな結晶サイズ、非常に低い表面積、及び高密度によってQCBと区別される。QCBとは対照的に、MCBは、より高いピーク強度及び非常に狭い半値幅を有するXRDパターンを示す。これは、インターカレートされた水分子の数が比較的少ないこと、結晶サイズが大きいこと、バルク材料の結晶化度が高いこと、及び結晶欠陥の量が少ないことに起因する。典型的には、インターカレートされた水分子の数は、Al 1モル当たり約1~約1.4の範囲で変動し得る。
【0017】
MCB及びQCBは、粉末X線反射を特徴とする。ICDDはベーマイトのエントリを含み、(020)、(021)、及び(041)平面に対応する反射が存在することを確認する。銅放射の場合、そのような反射は、14、28、及び38度の2θで現れる。反射の正確な位置は、結晶化度の程度及びインターカレートされた水の量に依存し:インターカレートされた水の量が増加するにつれて、(020)反射は、より大きいd間隔に対応するより低い値に移動する。それにもかかわらず、上記位置に近い線は、1つ以上の種類のベーマイト相の存在を示す。本明細書の目的のために、準結晶性ベーマイトを、1.5°の半値全幅(FWHH)または1.5°2θを超える(020)反射を有するものとして定義する。1.5°2θ未満のFWHHを有する(020)反射を有するベーマイトは、微結晶性ベーマイトと考えられる。スラリーは、最終触媒に基づいて、好ましくは約1~約50wt%、より好ましくは約15~約35wt%の非解膠性のQCBを含む。スラリーはまた、最終触媒に基づいて、約1~約50wt%、より好ましくは約0~約35wt%のMCBを含む。
【0018】
本粒子状組成物は、第3のアルミナ源を含んでいてもよい。第3のアルミナは、典型的には、ガンマ相を含む非解膠性のアルミナ、またはアルファ相を含む非解膠性のアルミナ、またはカイ相を含む非解膠性のアルミナ、またはギブサイトアルミナである。本発明は、最終触媒に基づいて、約0~約40wt%超の、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む非解膠性のアルミナを含む。
【0019】
ガンマアルミナは、アルミナの遷移相であると理解される。ベーマイトや擬ベーマイトは、熱処理を施すことによりガンマアルミナに変換することができる。典型的には、ベーマイトまたは擬ベーマイトは、500~800℃(好ましくは約600℃~800℃)で約1~約4時間処理される。ガンマアルミナ相は、約37.6(311)、45.8(400)及び67(440)の2θにおけるXRDピークによって示される。
【0020】
カイは、アルミナの準安定相であり、非解膠性である。これは、約37、43、及び67度に2θ値の特徴的なXRDピークを有する。これは、中程度の温度(300~700℃)の範囲でのギブサイトアルミナの熱処理から得ることができる。
【0021】
ギブサイトは水酸化アルミニウムの鉱物形態の1つであり、岩石ボーキサイトを構成する3つの主な相の1つであるという点でアルミニウムの重要な鉱石である。基本構造は、連結した八面体の積層シートを形成する。各八面体は、6つの水酸化物基に結合したアル
ミニウムイオンで構成され、各水酸化物基は2つのアルミニウム八面体によって共有される。非解膠性のギブサイト-アルミナは、約18、20.3及び38度に2θ値の特性XRDピークを有する。
【0022】
アルファアルミナは、アルミナの唯一の安定相であり、これは非解膠性である。これは、ベーマイトアルミナの高温(1000℃超)処理によって得ることができる。これは、(012)、(104)、(115)、(116)及び(030)面反射に対応する約25.5、35、43.5、57.5及び69度の2θ値の特徴的なXRDピークを有する。
【0023】
添加されるシリカの総量は、一般的に、最終触媒に基づいて約0~約35wt%を超える。シリカ成分は、単一のシリカまたは2つ以上のシリカ源のいずれかであり得る。第1のシリカ源は、典型的には低ナトリウムシリカ源であり、初期スラリーに添加される。そのようなシリカ源の例としては、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸リン及びケイ酸バリウムが挙げられるが、これらに限定されない。適切な有機ケイ酸塩の例は、シリコーン(ポリメチルフェニルシロキサン及びポリジメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサン)及びSi-O-C-O-Si構造を含む他の化合物、ならびにメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、及びその混合物等のその前駆体である。好ましい低ナトリウムシリカ源は、ナトリウム安定化塩基性コロイドシリカである。スラリーは、最終触媒の重量に基づいて、約0~約30wt%超、より好ましくは約1~約20wt%超の低ナトリウムケイ素源由来のシリカをさらに含む。
【0024】
第2のシリカ源は、典型的には、低ナトリウムまたはナトリウムを含まない酸性コロイドシリカまたはアンモニア安定化シリカまたはポリケイ酸である。第2のシリカ源として添加される適切なケイ素源としては、(ポリ)ケイ酸、ケイ酸ナトリウム、ナトリウムを含まないケイ素源、及び有機ケイ素源が挙げられる。第2のシリカのためのそのような供給源の1つは、適切な量の硫酸と水ガラスとを混合することによって、プロセスのインラインで製造されたナトリウム安定化ポリケイ酸またはナトリウムを含まないポリケイ酸である。このシリカの第2の添加は、最終触媒の重量に基づいて約0~30wt%超、好ましくは約1wt%~約20wt%超、及び最も好ましくは約5~約20%の量で添加される。
【0025】
第2のシリカが利用される場合、第2のシリカ源の選択は、材料が上述のスラリーに添加されるときに影響を及ぼし得る。酸性コロイドシリカを使用する場合、pH調整工程の前の任意の工程でシリカを添加してもよい。しかしながら、第2のシリカ源がナトリウム安定化ポリケイ酸またはナトリウムを含まないポリケイ酸である場合、シリカは、ゼオライト添加後にpH調整工程の直前に添加されるべきである。さらに、ポリケイ酸のナトリウム含有量のために、過剰なナトリウムを除去するために最終触媒を洗浄する必要がある場合がある。最終触媒を焼成することがさらに必要であるか、または望ましい場合がある。
【0026】
本発明の特有の特徴は、上記成分の結合特性の性質のために、この触媒に粘土が必要ではないことである。したがって、スラリーに粘土は全く添加されず、得られた触媒は添加された粘土を本質的に含まない。スラリーに粘土を全く添加せずに、粘土の不純物レベルが存在してもよい。
【0027】
次の工程では、一価酸を懸濁液に添加し、消化を引き起こす。有機一価酸及び無機一価酸の両方、またはその混合物を使用することができる。適切な一価酸の例は、ギ酸、酢酸
、プロピオン酸、硝酸及び塩酸である。酸は、7未満、より好ましくは1~4のpHを得るのに十分な量でスラリーに添加される。
【0028】
次の工程では、1つ以上のゼオライトが添加される。本発明による方法で使用されるゼオライトは、好ましくは、低いナトリウム含有量(1.5wt%未満のNa2O)を有するか、またはナトリウムを含まない。工程a)のスラリー中に存在するのに適切なゼオライトとしては、ゼオライト、例えばY-ゼオライト-HY、USY、脱アルミン化Y、RE-Y、及びRE-USY含有-ゼオライトベータ、ZSM-5、リン活性化ZSM-5、イオン交換ZSM-5、MCM-22、及びMCM-36、金属交換ゼオライト、ITQ、SAPO、ALPO、ならびにその混合物が挙げられる。スラリーは、好ましくは、最終触媒に基づいて1~約50wt%の1つ以上のゼオライトを含む。
【0029】
次いで、上記スラリーを高せん断ミキサーに通し、pHを上昇させることによって不安定化させる。その後、スラリーのpHを3超、より好ましくは3.5超、さらにより好ましくは4超の値に調整する。スラリーのpHは7以下であることが好ましく、これはより高いpHのスラリーは取り扱いが困難になる可能性があるためである。pHは、塩基(例えば、NaOHまたはNH4OH)をスラリーに添加することによって調整することができる。pH調整と成形の間の時間は、好ましくは30分以下、より好ましくは5分未満、最も好ましくは3分未満である。この工程において、スラリーの固形含有分は、好ましくは約10~約45wt%、より好ましくは約15~約40wt%、最も好ましくは約25~約35wt%である。
【0030】
次いで、スラリーを成形する。適切な成形方法としては、噴霧乾燥、パルス乾燥、ペレット化、押出(場合により混練と組み合わせる)、ビーディング、または触媒及び吸収剤分野で使用される任意の他の従来の成形方法、またはその組合せが挙げられる。好ましい成形方法は噴霧乾燥である。触媒が噴霧乾燥によって成形される場合、噴霧乾燥機の入口温度は、好ましくは300~600℃の範囲にあり、出口温度は、好ましくは105~200℃の範囲にある。
【0031】
得られた触媒
このようにして得られた触媒は、例外的に良好な摩耗抵抗性及びアクセス可能性を有する。したがって、本発明はまた、本発明による方法によって得られる触媒に関する。触媒は一般的に、1つ以上のゼオライト、少なくとも1つのアルミナ成分、少なくとも1つのシリカ成分を含み、本質的に粘土を含まない、鉄抵抗性が向上した粒子状FCC触媒組成物である。さらに、触媒は一般的に、約1~約50%の1つ以上のゼオライト、約1~約45wt%の準結晶性ベーマイト、約1~約45wt%の微結晶性ベーマイト、ガンマもしくはアルファもしくはカイ相のアルミナまたはギブサイトを含む約0~40wt%超の非解膠性のアルミナ、約1wt%~約20wt%のナトリウム安定化シリカ、及び約0~20wt%の低ナトリウムまたは酸またはアンモニア安定化コロイドシリカまたはポリケイ酸を含んでいてもよく、粘土を本質的に含まない。
【0032】
これらの触媒は、水素化処理触媒、アルキル化触媒、改質触媒、気液変換触媒、石炭変換触媒、水素製造触媒及び自動車触媒におけるFCC触媒またはFCC添加剤として使用することができる。したがって、本発明はまた、流動触媒分解、水素化処理、アルキル化、改質、気液変換、石炭変換、及び水素製造における触媒または添加剤としての、ならびに自動車触媒としての、本発明の方法によって得ることができるこれらの触媒の使用に関する。
【0033】
本発明の方法は、流動触媒分解(FCC)に特に適用可能である。その詳細が一般的に知られているFCCプロセスにおいて、触媒は、一般的に、90wt%超の約5~約30
0ミクロンの範囲の直径を有する粒子を含む微粒子として存在する。反応器部分では、前述の炭化水素含有原料が気化され、反応ゾーンを通って上方に導かれ、その結果、粒子状触媒が炭化水素原料流に同伴され、流動化される。蓄熱器から来る高温触媒は、触媒によって気化されて分解される炭化水素フィードと反応する。典型的には、反応器内の温度は400~650℃であり、圧力は、減圧、大気圧または超大気圧、通常はおよそ大気圧~約5気圧であり得る。触媒プロセスは、固定床、移動床、または流動床のいずれかであり、炭化水素流は、触媒流に対して並流または向流のいずれかであり得る。本発明の方法はまた、TCC(Thermofor catalytic cracking)またはDCC(Deep Catalytic Cracking)またはHSFCCにも適している。さらに、炭化水素原料は植物油(ダイズ、キャノーラ、トウモロコシ、パーム、ナタネ等)、廃油、獣脂、バイオ廃棄物及び/または熱分解、またはバイオマス、もしくはプラスチック、下水、都市廃棄物、農業廃棄物、または他の適切な有機大量廃棄物及びその組合せの任意の熱的または他の処理によって得られる他の油(例えば、Fischer
Tropsch液)との混合物を含み得る。本発明の独自の特徴は、触媒が粘土を本質的に含まず、3つ以上のアルミナ源を含むことである。
【実施例】
【0034】
触媒の摩耗抵抗性は、実質的にAir JetsによるASTM 5757 Standard Test Method for Determination of Attrition及びAbrasion of Powdered Catalystsに基づく方法を使用して測定され、その結果は、摩耗抵抗性が高い触媒ほど、上記の方法を使用して材料を試験した場合に観察される、結果として生じる摩耗抵抗性指標値が低いことを示している。
【0035】
以下の実施例にしたがって調製した触媒のアクセス可能性を、トルエンで希釈した50mlの減圧軽油を含む撹拌容器に触媒1gを添加することによって測定した。溶液を容器と分光光度計の間で循環させ、そのプロセスでVGO濃度を連続的に測定した。
【0036】
任意の実験室試験の前に、精製ユニット内の触媒を模倣するために触媒を失活させなければならず、これは典型的には、蒸気及び金属汚染物質を用いて行われる。これらの触媒は、以前の文献(Applied Catalysis A:General 249(2003)69-80)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、より低い蒸気分圧及び温度を有する改変された周期的不活性化モードで、Fe、Ni、V及びCa汚染物質で不活性化された。周期的な失活と同様に、触媒は、金属汚染物質を含むフィードと共に分解及び再生サイクルに曝される。実験室規模でFe不活性化を模倣することは、工業的に認識されている不活性化手順である。
【0037】
実施例1
以下の表1に示されるように、実施例1は、粘土の、追加の非解膠性の微結晶性ベーマイト及び一部がカイ相であるアルミナによる置換を比較する。本発明及び本明細書に開示される方法にしたがって、一例である、実験-1を行った。3つのアルミナに加えて、ナトリウム安定化コロイドシリカ及び酸安定化コロイドシリカを結合目的で使用した。得られた触媒は、粘土を含む基準触媒に対して同等の摩耗を示し、改善されたアクセス可能性を有していた。この触媒のFe耐性は、Fe、Ca、Ni及びV金属を用いて文献(Applied Catalysis A:General 249(2003)69-80)に記載されているように実験室規模の不活性化に供することによって検証した。本質的に粘土を含まない触媒は、Fe不活性化後に参照触媒よりも高いアクセス可能性を示し、これはより良好なFe耐性を示した。本質的に粘土を含まない触媒のより良好なFe耐性は、ACE性能評価におけるより良好な底質改善において明らかにされた。改善された底質は、高価値ガソリン及びLCO画分に変換され、他の全ての重要な成分は、参照触媒と
同等またはそれよりも良好であった。
【表1】
【0038】
実施例2:
以下の実施例では、粘土をギブサイトまたはアルファアルミナで置換した。実験2及び3は、本発明及び本明細書に開示される方法にしたがって行った。実験触媒は、3つの異なるアルミナ(準結晶性ベーマイト、微結晶性ベーマイト及びギブサイトまたはアルファアルミナ)及び2つの異なるコロイドシリカを有する。これらの本質的に粘土を含まない触媒の鉄耐性は、Fe、Ca、Ni、及びV金属による実験室規模の失活後、参照触媒よりもアクセス可能性が高くなっていることが示されるように、高くなっている。この場合も、本質的に粘土を含まない触媒におけるより高いアクセス可能性の利点は、ACE性能評価におけるより良好な底質改善によって確認される。
【表2】
【0039】
実施例3:
以下の実施例では、粘土を、カイ相及びギブサイトを含む非晶質アルミナで置換した。ナトリウム安定化コロイドシリカ及びナトリウム安定化ポリケイ酸を使用した。実験4及び5は、本発明及び本明細書に開示される方法にしたがって行った。実験触媒は、3つの異なるアルミナ(準結晶性ベーマイト、微結晶性ベーマイト及びギブサイトまたはカイアルミナ)及び2つの異なるコロイドシリカ(ナトリウム安定化コロイドシリカ及びナトリウム含有ポリケイ酸)を有する。これらの本質的に粘土を含まない触媒の鉄耐性は、Fe、Ca、Ni、及びV金属による実験室規模の失活後、参照触媒よりもアクセス可能性が高くなっていることが示されるように、高くなっている。本質的に粘土を含まない触媒におけるより高いアクセス可能性保持の利点は、ACE性能評価におけるより良好な底質改善によって確認される。
【表3】
【国際調査報告】