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▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】IVカテーテル挿入ガイド
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20231127BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A61M25/06 510
A61M25/02 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526532
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 US2021055456
(87)【国際公開番号】W WO2022093563
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/107,342
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/497,708
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ラウアー
(72)【発明者】
【氏名】ラジャクマル ナラスワミー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ウィート
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル モロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラッキー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA33
4C267BB42
4C267BB45
4C267BB48
4C267CC08
(57)【要約】
IVカテーテル挿入ガイドは、カテーテル挿入中に患者が経験する可能性のある痛みを軽減するように構成される。IVカテーテル挿入ガイドは、挿入部位の対向する側に配置することができる2つのプラットホームを含むことができる。上流プラットホームは、挿入部位近傍の組織の温度を上昇させるための超音波振動子又は別のタイプの加熱部材を含むことができる。この組織の加熱により、カテーテル挿入前に標的血管を弛緩させ、断面積を増大させることができる。下流プラットホームは、カテーテルの挿入中に挿入部位より下流側の神経を刺激するための超音波振動子を含むこともできる。下流側の神経を刺激することで、カテーテルの挿入に反応して中枢神経系に伝達される痛みの信号を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IVカテーテル挿入ガイドであって、
挿入予定部位の上流側で、患者の皮膚上に配置されるように構成された上流プラットホームと、
前記上流プラットホームとは反対側の前記挿入予定部位の下流側で、患者の皮膚上に配置されるように構成された下流プラットホームであって、前記挿入予定部位から下流側の神経を刺激するための神経刺激部材を含む下流プラットホームと、
を備える、IVカテーテル挿入ガイド。
【請求項2】
前記上流プラットホームは、前記挿入予定部位の周辺組織を加熱するための加熱部材を含む、請求項1に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項3】
前記加熱部材が、超音波振動子である、請求項2に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項4】
前記上流プラットホームは、光源を備える、請求項1に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項5】
前記上流プラットホームは、内側に湾曲した前部を有する本体からなり、前記光源は、前記内側に湾曲した前部に沿って延びる近赤外線ライトバーからなる、請求項4に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項6】
前記上流プラットホームは、カテーテル装置を、第1の角度で支持するように構成された、第1の角度付き支持面を形成する頂部を有する本体を備える、請求項1に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項7】
前記上流プラットホームは、カテーテル装置を、第2の角度で支持するように構成された、第2の角度付き支持面を形成する高架支持構造体を備える、請求項6に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項8】
前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、請求項7に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項9】
前記高架支持構造体は、前記上流プラットホームの前記本体に対して、再配置可能である、請求項7に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項10】
前記本体は、前記高架支持構造体の結合要素が、前記高架支持構造体を再配置するために移動可能である溝を含む、請求項9に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項11】
前記神経刺激部材は、超音波振動子である、請求項1に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項12】
前記上流プラットホーム及び前記下流プラットホームは、患者の皮膚に固定されるように構成される、請求項1に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項13】
前記上流プラットホーム及び前記下流プラットホームの各々は、それぞれの前記プラットホームが、患者の皮膚に固定される接着剤又はストラップを含む、請求項12に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項14】
IVカテーテル挿入ガイドであって、
挿入部位の周囲組織を加熱するための加熱部材と、前記挿入部位に光を照射するための光源と、カテーテル装置のカテーテルが前記挿入部位に挿入されている間に、前記カテーテル装置を支持するための1つ以上の角度付き支持面と、を有する上流プラットホームと、
前記挿入部位から下流側の神経を刺激するための神経刺激部材を含む下流プラットホームと、
を備える、IVカテーテル挿入ガイド。
【請求項15】
前記神経刺激部材は、超音波振動子である、請求項14に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項16】
前記1つ以上の角度付き支持面は、前記上流プラットホームの本体上に形成された第1の角度付き支持面と、前記本体に結合される高架支持構造体上に形成された第2の角度付き支持面と、を備える、請求項14に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項17】
前記高架支持構造体は、前記本体に対して再配置可能である、請求項16に記載のIVカテーテル挿入ガイド。
【請求項18】
処置部位の痛みを軽減する方法であって、
上流プラットホーム及び下流プラットホームを前記処置部位の対向する側にそれぞれ配置するステップと、
前記処置を行う前に、前記下流部材の神経刺激部材を作動させるステップと、
前記神経刺激部材が作動している間、処置を行うステップと、
を備える、方法。
【請求項19】
前記処置を行う前に、前記上流プラットホーム内の加熱部材を作動させるステップをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記処置を行う前に、前記上流プラットホーム上の光源を作動させるステップをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
静脈内(IV)カテーテル装置は、様々な輸液療法に一般的に使用される。例えば、静脈内カテーテル装置は、生理食塩水、さまざまな薬剤、および総合的な非経口栄養のような流体を患者へと注入するために使用し得る。静脈内カテーテルはまた、患者から血液を引き出すために使用されてもよい。
【0002】
一般的な静脈内カテーテル装置の種類としては、オーバーニードル方式の末梢静脈(「IV」)カテーテル(「PIVC」)がある。オーバーニードルカテーテルは、その名のとおり、鋭利な遠位端を有する針の上に装着することができるカテーテルである。カテーテルとニードルは、ニードルの遠位先端がカテーテルの遠位先端を越えて延び、ニードルの斜角(bevel)が患者の皮膚から離れる方向に向くように組み立てることができる。一般的にカテーテルとニードルは、皮膚から浅い角度で患者の血管系に挿入される。カテーテルとニードルを、患者の皮膚から血管系に挿入する作業は、患者によっては痛みを伴い、恐怖を感じることさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態や、上記のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本明細書で説明されるいくつかの実施形態を実行し得る技術領域の一例を示すために提供されるにすぎない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、一般に、カテーテル挿入中に患者が経験し得る痛みを軽減するように構成されたIVカテーテル挿入ガイドに関連する。IVカテーテル挿入ガイドは、挿入部位の対向する側に配置することができる2つのプラットホームを含むことができる。上流プラットホームは、挿入部位近傍の組織の温度を上昇させるための超音波振動子又は別のタイプの加熱部材を含むことができる。この組織の加熱により、カテーテル挿入前に標的血管を弛緩させ、断面積を増大させることができる。下流プラットホームは、カテーテルの挿入中に挿入部位より下流側の神経を刺激するための超音波振動子を含むこともできる。下流側の神経を刺激することで、カテーテルの挿入に反応して中枢神経系に伝達される痛みの信号を低減することができる。
【0005】
上流プラットホームは、カテーテルの挿入のためのガイドとして機能することができる様々な角度のついた表面又は構成要素を含むこともできる。上流プラットホームは、挿入部位を照らすための光源をさらに含み、それによって標的血管と周辺組織との間のより良いコントラストを提供することができる。したがって、本開示の実施形態に従って構成されたIVカテーテル挿入ガイドは、挿入プロセスを簡略化しつつ、患者が感じ得る痛み又は不快感を低減することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、IVカテーテル挿入ガイドは、上流プラットホーム及び下流部材を含み得る。上流部材は、挿入予定部位の上流側で患者の皮膚上に配置されるように構成される場合がある。下流プラットホームは、上流プラットホームとは反対側の挿入予定部位の下流側で患者の皮膚上に配置されるように構成されることがある。下流プラットホームは、挿入予定部位の下流側にある神経を刺激するための神経刺激部材を含むことができる。
【0007】
このような実施形態では、上流プラットホームは、挿入予定部位の周辺組織を加熱するための加熱部材を含むことができる。加熱部材は、超音波振動子であってもよい。いくつかの実施形態において、上流プラットホームは、光源を含むことができる。上流プラットホームは、内側に湾曲した前面を有する本体からなり、光源は、内側に湾曲した前面に沿って延びる近赤外線ライトバーからなる場合がある。
【0008】
いくつかの実施形態において、上流プラットホームは、カテーテル装置を、第1の角度で支持するように構成された、第1の角度付き支持面を形成する頂部を有する本体を含んでよい。そのような実施形態では、上流プラットホームは、カテーテル装置を、第2の角度で支持するように構成された、第2の角度付き支持面を形成する高架支持構造体を構成することができる。第2の角度は、第1の角度よりも大きくてもよい。本体は、高架支持構造体の結合要素が、高架支持構造体を再配置するために移動可能である溝を含むことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、下流プラットホームの神経刺激部材は、超音波振動子であってもよい。いくつかの実施形態において、上流プラットホーム及び下流プラットホームは、患者の皮膚に固定されるように構成され得る。上流プラットホーム及び下流プラットホームの各々は、それぞれのプラットホームが患者の皮膚に固定される接着剤又はストラップを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、IVカテーテル挿入ガイドは、挿入部位の周囲組織を加熱するための加熱部材と、挿入部位に光を照射するための光源と、カテーテル装置のカテーテルが挿入部位に挿入されている間に、カテーテル装置を支持するための1つ以上の角度付き支持面と、を有する上流プラットホームを含み得る。また、IVカテーテル挿入ガイドは、挿入部位から下流側の神経を刺激するための神経刺激部材を含む下流プラットホームを含み得る。このような実施形態では、神経刺激部材は、超音波振動子であってもよい。
【0011】
そのような実施形態では、1つ以上の角度付き支持面は、上流プラットホームの本体上に形成された第1の角度付き支持面と、本体に結合される高架支持構造体上に形成された第2の角度付き支持面と、を含み得る。高架支持構造体は、本体に対して再配置可能であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、処置部位の痛みを軽減する方法は、上流プラットホーム及び下流プラットホームを処置部位の対向する側にそれぞれ配置するステップと、処置を行う前に、下流部材の神経刺激部材を作動させるステップと、神経刺激部材が作動している間、処置を行うステップと、を含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、処置を行う前に、上流プラットホーム内の加熱部材を作動させるステップも含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、処置を行う前に、上流プラットホーム上の光源を作動させるステップも含み得る。
【0013】
上述の概略の説明、及び、以下の詳細な説明の両方は、例示であり、また、説明のためのものであり、特許請求された発明を限定するものではないことが理解されるべきである。様々な実施形態は、図面に示された構成(arrangements)及び手段(instrumentality)に限定されないことが理解される。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、又は、他の実施形態が用いられてよいこと、及び、そのように特許請求されていない限り、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことが理解されるべきである。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
例示的な実施形態は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に記載及び説明される。
図1図1は、1つ以上の実施形態による上流プラットホームと下流プラットホームとを含むIVカテーテル挿入ガイドの一例を示す図である。
図2A図2Aは、図1に示したIVカテーテル挿入ガイドの上流プラットホームを示す正面図である。
図2B図2Bは、図1に示したIVカテーテル挿入ガイドの上流プラットホームを示す上面図である。
図2C図2Cは、図1に示したIVカテーテル挿入ガイドの上流プラットホームを示す側面図である。
図2D図2Dは、図1に示したIVカテーテル挿入ガイドの上流プラットホームを示す側面断面図である。
図3A図3Aは、図1に例示したIVカテーテル挿入ガイドの上流プラットホームに含まれ得る回路を表すブロック図である。
図3B図3Bは、図1に例示したIVカテーテル挿入ガイドの下流プラットホームに含まれ得る回路を表すブロック図である。
図4A図4Aは、図1のIVカテーテル挿入ガイドの使用方法の一例を示したものである。
図4B図4Bは、図1のIVカテーテル挿入ガイドの使用方法の一例を示したものである。
図4C図4Cは、図1のIVカテーテル挿入ガイドの使用方法の一例を示したものである。
図4D図4Dは、図1のIVカテーテル挿入ガイドの使用方法の一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態に従って構成されるIVカテーテル挿入ガイド100の一例を提供する。IVカテーテル挿入ガイド100は、上流プラットホーム200と、下流プラットホーム300と、を含む。図2A~2Dは、上流プラットホーム200の追加図を提供し、図3A及び3Bは、それぞれ上流プラットホーム200及び下流プラットホーム300に含まれ得る回路を図示する。ここでいう「上流」及び「下流」とは、血管の中で血液が流れる方向を指す。したがって、IVカテーテル挿入ガイド100が、患者の腕の静脈にカテーテルを挿入するために使用される場合、上流プラットホーム200は、典型的には、挿入部位の遠位側(すなわち、手に向かって)に配置される一方、下流プラットホーム300は、典型的には、挿入部位の近位側に配置される。しかしながら、本開示の実施形態は、上流プラットホーム200及び下流プラットホーム300がどのように配置され得るかによって限定されるべきではない。そのため、「上流」、「下流」という言葉は、2つのプラットホームを区別しているに過ぎないと見なされ得る。
【0016】
上流プラットホーム200は、頂部210a、底部210b、前部210c及び後部210dを含む本体210を含む。描写される実施形態では、本体210は、一般的な三日月形状を有するが、任意の他の適切な形状を有することができる。底部210bは、患者の皮膚上に配置されることを意図しており、したがって、患者の身体の輪郭(例えば、前腕の輪郭)に合わせて、平坦又は湾曲してもよい。第1の角度付き支持面211は、頂部210aに形成されてもよい。描写される実施形態に示されるように、第1の角度付き支持面211は、前部210cに配置された頂点211aを有する部分的な逆円錐形状であってよい。しかしながら、第1の角度付き支持面211の他の形状及び構成も採用することができる。したがって、第1の角度付き支持面211は、前部210cに向かって下方に角度を付けられ前部210cまで延びる、頂部210a内の任意の角度付き面を表すことができる。溝212はまた、頂部210a、又は、場合によっては後部210dに沿って形成されることができる。溝212は、後部210dの一部又は全部に沿って、頂部210aの周りに延びることができる。したがって、溝212は、湾曲形状又は半円形形状を有することができる。
【0017】
上流プラットホーム200は、結合要素221を介して、本体210に結合される高架支持構造体220を含むこともできる。高架支持構造体220は、第1の角度付き支持面211より一段高い第2の角度付き支持面220aを形成することができる。いくつかの実施形態では、結合要素221は、溝212に沿ってスライドし、それによって本体210に対する第2の角度付き支持面220aの位置を調整できるように構成され得る。いくつかの実施形態では、結合要素221は、それによって本体210に対する第2の角度付き支持面220aの高さを調節できるように、溝212に対して出入りするように構成されることがある。いくつかの実施形態では、結合要素221は、溝212から取り外し可能であり、それによって、高架支持構造体220を本体210から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、上流プラットホーム200は、高架支持構造体220を含まない場合があり、その場合、本体は、溝212を含まない場合がある。
【0018】
第1の角度付き支持面211及び第2の角度付き支持面220aの両方は、カテーテルを挿入している間に、IVカテーテル装置を支持するために使用することができる。図2Dに示すように、第2の角度付き支持面220aは、底部210bに対して、したがって患者の皮膚に対して、第1の角度付き支持面211(例えば、5°)よりも大きな角度(例えば、20°)を有する場合がある。これらの異なる角度は、カテーテルの挿入プロセスを簡素化することができる。例えば、臨床医は、最初に、IVカテーテル装置を第2の角度付き支持面220aに配置して、より鋭い角度で皮膚を貫通させ、次に、IVカテーテル装置を第1の角度付き支持面211に配置して、より狭い角度で血管を通してカテーテルを前進させ得る。描写される実施形態では、溝212の湾曲形状は、第1の角度付き支持面211の円錐形状に一致する。その結果、第2の角度付き支持面220aは、高架支持構造体220が溝212内の配置され得る場所に関係なく、頂点211aに向かって配向される。
【0019】
上流プラットホーム200は、挿入部位を囲む皮膚を照らすことができる前部230に配置された光源230も含む。光源230は、近赤外線を照射し、それによって血管と周辺の組織及び皮膚との間のコントラストを向上させることができる。描写される実施形態では、前部210cは、凹状(又は内側に湾曲した)形状を有し、光源230は、前部210cを横切って延びるライトバーの形態である。このような実施形態では、光源230が照射する光は、挿入部位の周囲に集中することになる。いくつかの実施形態では、光源230はまた、又は代替的に、底部210b上に配置され、それによって、本体210の下の皮膚に近赤外線を直接照射することができる。
【0020】
図3Aに示すように、上流プラットホーム200は、上流プラットホーム200の下方及び周囲の組織に超音波を放出するように構成された超音波振動子240を含むこともできる。この超音波は、標的血管の周辺における皮膚及び組織を温め、血管壁を弛緩させる。血管壁の弛緩により、血管の断面積が大きくなり、カテーテルを血管内に挿入しやすくなる。いくつかの実施形態では、超音波振動子以外の別のタイプの加熱部材が、例えば、加熱コイル又は近赤外線を含む組織を暖めるために使用され得る。
【0021】
上流プラットホーム200は、光源230及び超音波振動子240(又は別の加熱部材)に電力を供給するために使用され得る電源250を含むこともできる。いくつかの実施形態では、電源250は、充電式電池であってもよいが、他の実施形態では、電源250は外部電源を表すことができる。
【0022】
図3Bに示すように、下流部材300は、超音波振動子320(又は、他の「神経刺激部材」)を含むこともできる。挿入部位の周辺組織を加熱することを意図する超音波振動子240とは異なり、超音波振動子320は、挿入部位から下流側にある神経(すなわち、挿入部位から中枢神経系に向かう神経)を刺激するために超音波を用いることを意図する。下流部材300は、超音波振動子320に電力を供給するための電源310を含み得る。いくつかの実施形態では、電源310は、電源250とは別個であり得(例えば、2つの別個の電池)、又は、他の実施形態では同じであり得る(例えば、下流プラットホーム200及び上流プラットホーム300内の部材に電力供給する外部電源)。
【0023】
図4A~4Dは、IVカテーテル挿入ガイド100の使用方法の一例を示した図である。図4Aでは、上流プラットホーム200と下流プラットホーム300が、患者の前腕に置かれる様子が示される。上流プラットホーム200及び下流プラットホーム300は、挿入予定部位の対向する側に配置され得る。上流プラットホーム200は、下流プラットホーム300の遠位に配置され得、前部210aが、下流プラットホーム300の方を向くように配向され得る。いくつかの実施形態では、上流プラットホーム200の底面201b及び下流プラットホーム300の底面は、接着剤又は吸引装置を含むことができ、又は、各プラットホームは、臨床医がいずれかのプラットホームを、所定の位置に保持する必要がないように、プラットホームを皮膚に固定するためのストラップ又は他の構造又は物質を含むことができる。他の実施形態では、上流プラットホーム及び下流プラットホーム300の両方は、患者の腕の上又は周りに配置することができる同じスリーブ、シート又は他の材料に統合することができる。
【0024】
上流プラットホーム200及び下流プラットホーム300を挿入予定部位の対向する側に設置した状態で、臨床医は、超音波振動子240及び超音波振動子320を作動させ得る。いくつかの実施形態では、臨床医は、IVカテーテル装置を準備する前に、超音波振動子240を作動させて、IVカテーテル装置が使用できるようになったら、皮膚及び組織が十分に加熱されるようにすることができる。一方、臨床医は、カテーテルを挿入しようとするまで、超音波振動子320を作動させないこともある。したがって、超音波振動子240又は超音波振動子320を作動させるタイミングは必須ではない。
【0025】
図4Bに目を向けると、臨床医は、カテーテルを挿入する準備ができており、光源230を作動させて、挿入予定部位の周囲の皮膚を照明したものと思われる。上述したように、光源230は、挿入予定部位の周囲血管を、より大きなコントラストで出現させることができる近赤外線を照射することができる。
【0026】
図4Cに目を向けると、臨床医は、ニードル及びカテーテルが皮膚に向かって鋭角(例えば、20°)に配向されるように、IVカテーテル装置を、高架支持構造体220の第2の角度付き表面220aに配置することができる。この方向で、臨床医は皮膚を穿刺し、ニードルとカテーテルの挿入を開始することができる。注目すべきことに、このステップでは、挿入部位の下流側の神経が挿入中に刺激されるように、超音波振動子320を作動させることができる。ゲートコントロールセオリー(gate control theory)に基づき、下流神経を刺激することで、挿入部位で発生した痛みの信号を中枢神経に中継する下流神経の能力を低下させると考えられる。その結果、ニードルやカテーテルが挿入される際に、鋭い痛みではなく、弱い感覚を感じることがある。
【0027】
図4Dに目を向けると、臨床医は、IVカテーテル装置を、第1の角度付き表面211に配置し、より浅い角度(例えば、5°)で挿入プロセスを完了することができる。そうするために、臨床医は、高架支持構造体220を溝212内でスライドさせるか、又は、溝212から取り外して、IVカテーテル装置を、第1の角度付き表面211上に直接下方に移動させることができるようにする。しかしながら、いくつかの場合では、臨床医は、高架支持構造体220を動かすのではなく、IVカテーテル装置を動かすことがある。
【0028】
上述した実施形態では、上流プラットホーム200及び下流プラットホーム300は、IVカテーテル挿入ガイドの一部を構成する。しかしながら、いくつかの実施形態では、同様に構成された上流及び下流プラットホームが、他のタイプの処置のために同様の機能を実行することができる。例えば、上流及び下流プラットホームは、治療すべき火傷、縫合すべき切り傷、除去すべきほくろや皮膚の成長など、痛みを伴う可能性のある処置が行われる皮膚上の他の場所の反対側に配置することができる。このような場合、下流プラットホームの超音波振動子を作動させて、処置中に下流側の神経が、中枢神経系に痛み信号を伝達する能力を低下させることができる。同様に、上流プラットホームは、処置中に使用される器具のためのガイド、処置の部位を照らすための近赤外線又はその他の光、及び/又は、周辺組織のための加熱を提供することができる。
【0029】
本明細書で記載されるすべての例及び条件付き文言は、本発明、および技術を促進するために発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
【国際調査報告】