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特表2023-550598骨髄線維症を治療する際に使用するためのCXCR1/CXCR2阻害物質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】骨髄線維症を治療する際に使用するためのCXCR1/CXCR2阻害物質
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231127BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20231127BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231127BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/18
A61K31/426
A61P7/00
A61P35/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526886
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 US2021057986
(87)【国際公開番号】W WO2022098822
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,981
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513321467
【氏名又は名称】アイカーン スクール オブ メディシン アット マウント サイナイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ルー ミン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA511
4C084ZA512
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC412
4C086AA01
4C086BC82
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB26
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA11
4C206KA01
4C206KA12
4C206KA13
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA51
4C206ZB26
4C206ZC41
(57)【要約】
CXCR1/CXCR2阻害物質を含む組成物および本明細書において開示されるCXCR1/CXCR2阻害物質を使用する方法が、本明細書において提供される。態様において、本明細書において開示されるCXCR1/CXCR2阻害物質の有効量を、その必要がある対象に投与することによって、骨髄線維症を治療する方法、骨髄線維化を低減させる方法、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法、ならびにCXCR1および/またはCXCRを介した活性および/またはシグナル伝達を低減させる方法が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、骨髄線維症(MF)を治療する方法。
【請求項2】
対象において、骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させる方法であって、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、該方法。
【請求項3】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法。
【請求項4】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、CXCR1および/またはCXCRを介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法。
【請求項5】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法。
【請求項6】
前記対象が骨髄線維症を有する、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記対象が、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、CXCR1/CXCR2阻害物質および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物として投与される、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;好ましくは、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択され;また、好ましい態様によれば、R4は、フェニル環の3位または4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイル、4-イソブチル、または4-トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり;
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである、
請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(II)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである、
請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(V)の化合物:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される、
請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドまたはそのリジン塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩である、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究に関する記載
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号NIH 5P01CA108671-11のもとで、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本開示は、骨髄線維症を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
骨髄線維症(MF)は、悪性造血幹細胞(HSC)のクローン増殖から生じ、進行性の骨髄(BM)線維化を招く、骨髄増殖性新生物である。
【0004】
原発性MFと真性赤血球増加症/本態性血小板血症後骨髄線維症(PV/ET後)MFのどちらの臨床的表現型も、一次的なクローン骨髄増殖性新生物と二次的な炎症性環境の両方の結果であり、該炎症性環境は、骨髄線維化、骨髄微小血管密度の上昇、骨硬化、および異常なサイトカイン環境を特徴とする。具体的には、MFは、JAK-STAT経路の上方調節を直接的にまたは間接的に誘導する変異を含む遺伝子異常を有する造血前駆細胞(HPC)およびHSCの構成的動員を伴う。さらに、組織特異的な微小環境が、正常なHSC/HPCを犠牲にして、これらの悪性HSC/HPCが優勢になることを好むニッチを作り出すこともできる。悪性造血細胞によって産生される様々なサイトカインは、骨髄間質細胞に作用して、反応性のポリクローナル骨髄間質細胞の増殖を引き起こすことにより、骨髄の線維化、骨硬化、および血管新生を招く。これは、最終的に、特徴的な臨床症状、例えば、効果的でない造血、末梢血における涙滴赤血球の出現、白赤芽球症、全身症状、および脾腫の原因となる髄外造血を引き起こす。
【0005】
MF患者は、不可避的に症状の増加および骨髄不全を示し、かつ化学療法に不応性であり関連付けられた生存期間中央値が3~5ヶ月である形態の急性骨髄性白血病(AML)を発症するリスクが10~20%ある。同種間幹細胞移植は治癒的であり得るが、大半のMF患者にとって利用不可能である。
【0006】
さらに、骨髄増殖性新生物(MPN)は、JAK/STATシグナル伝達経路の活性化に一様に関連しているが、FDAに承認された競合的JAK1/2阻害物質であるルキソリチニブを用いる治療法は、顕著な臨床的利益をもたらすものの、生存に与える効果は、たとえあるとしてもあまり大きくない。可逆的なJAK1/2阻害物質療法による利益が限定的であることは、悪性の造血幹/前駆細胞(HSC/HPC)の数を激減させるかまたはなくす能力をそれが持たないことに起因する可能性が高い。
【0007】
したがって、悪性HSCを激減させて正常HSCの蓄えの回復を可能にするための、およびMFにおける炎症性シグナル伝達を阻害するための、作用物質および方法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
1つの局面において、その必要がある対象において骨髄線維症(MF)の治療の際に使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0009】
1つの局面において、対象において、骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させる際に使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0010】
1つの局面において、その必要がある対象において、IL-8とIL-8受容体の相互作用を低減させる方法において使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0011】
1つの局面において、その必要がある対象において、IL-8受容体を介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法において使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0012】
1つの局面において、その必要がある対象において、IL-8シグナル伝達を低減させる際に使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0013】
1つの局面において、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFを治療する方法が提供される。
【0014】
1つの局面において、対象において、骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させる方法であって、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、該方法が提供される。
【0015】
1つの局面において、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法が提供される。
【0016】
1つの局面において、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、CXCR1および/またはCXCRを介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【0017】
1つの局面において、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【0018】
いくつかの態様において、対象は、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である。
【0019】
1つの態様において、対象はMFを有する。
【0020】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、CXCR1/CXCR2阻害物質および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物として投与される。
【0021】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;好ましくは、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される。また、好ましい態様によれば、R4は、フェニル環の3位または4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイル、4-イソブチル、または4-トリフルオロメタンスルホニルオキシである。
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHである。
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである。
【0022】
いくつかの態様において、式(I)のCXCR1/CXCR2阻害物質において:
- R4は、C1~C6アルキルまたはベンゾイルであり;好ましくは3位および4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイルまたは4-イソブチルである。
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり、
- R6は、直鎖状もしくは分枝状のC1~C6アルキルまたはトリフルオロメチルであり;好ましくは、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルであり、より好ましくはCH3である。
【0023】
いくつかの態様において、式(I)のCXCR1/CXCR2阻害物質において:
- R4は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、好ましくは4-トリフルオロメタンスルホニルオキシであり、
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり、
- R6は、直鎖状もしくは分枝状のC1~C6アルキルまたはトリフルオロメチルであり;好ましくは、直鎖状または分枝状のC1~C16アルキルであり、より好ましくはCH3である。
【0024】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(II)の低分子:
または薬学的に許容されるその塩であり、
式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである。
【0025】
いくつかの態様において、式(I)および式(II)中の、メチルで置換された不斉炭素は、絶対配置Rを有する。
【0026】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、R(-)-2-[(4’-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩(ラダリキシンまたはDF2156Aとしても公知)である。
【0027】
1つの局面において、その必要がある対象においてMFの治療の際に使用するためのラダキシリンが提供される。
【0028】
1つの局面において、有効量のラダリキシンを、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFを治療する方法が提供される。
【0029】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(V)の低分子:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される。
【0030】
1つの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのリジン塩(レパリキシンとしても公知)である。
【0031】
1つの局面において、その必要がある対象においてMFの治療の際に使用するためのレパリキシンが提供される。
【0032】
1つの局面において、有効量のレパリキシンを、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFを治療する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A図1A図1B図1C、および図1Dは、MF疾患の発症においてIL-8が果たす重要な役割を示す。図1Aは、通常の真性赤血球増加症(PV)患者、本態性血小板血症(ET)患者、または健常個体に由来する血漿と比べて、MF血漿中のIL-8レベルが高いことを示す。
図1B図1A図1B図1C、および図1Dは、MF疾患の発症においてIL-8が果たす重要な役割を示す。図1Bは、IL-8分泌クローンが増加(CD34+細胞全体の50%超と定義される)したMF患者では、IL-8クローンが優勢ではないMF患者と比較して、白血球増加も増大し(p<0.0001)、脾臓サイズも大きく(p=0.0004)、全身症状の有症率も高く(p=0.0084)、かつ骨髄におけるレチクリン線維化のグレードも高かったことを示す。MF IL-8<50%:24% グレード0;52% グレード1;16% グレード2;8% グレード3。MF IL-8>50%:12% グレード1;38% グレード2;50% グレード3。
図1C図1A図1B図1C、および図1Dは、MF疾患の発症においてIL-8が果たす重要な役割を示す。図1Cは、MF患者に由来する骨髄生検試料におけるIL-8発現が、正常対照での4個中0個と比較して15個中8個に増大していたことを裏付ける免疫組織化学(IHC)実験を示す。
図1D図1A図1B図1C、および図1Dは、MF疾患の発症においてIL-8が果たす重要な役割を示す。図1Dは、IL-8の高発現が、MF脾臓巨核球(MK)および脾臓間質/内皮細胞において観察され、正常脾臓では認められなかったことを示す。
図2A図2A図2B図2C図2D、および図2Eは、IL-8受容体であるCXCR1/CXCR2がMFにおいて重要な役割を果たすことを示す。図2Aは、正常脾臓組織およびMF脾臓組織が沿岸細胞においてCXCR1(A)およびCXCR2(B)を発現することを示す。
図2B図2A図2B図2C図2D、および図2Eは、IL-8受容体であるCXCR1/CXCR2がMFにおいて重要な役割を果たすことを示す。図2Bは、MF脾臓試料の方がMF末梢血(PB)試料よりも高比率のCD34+/CXCR1+細胞およびCD34+/CXCR2+細胞を含んでいたことを示す。
図2C図2A図2B図2C図2D、および図2Eは、IL-8受容体であるCXCR1/CXCR2がMFにおいて重要な役割を果たすことを示す。図2Cは、IL-8が高レベルのMF CD34+細胞では、CXCR2およびその類似体CXCR1の表面発現が正常細胞と比べて増強されており、その結果、MFはIL-8リガンドおよび受容体の発現の増大を特徴としたことを示す。pts=患者。
図2D図2A図2B図2C図2D、および図2Eは、IL-8受容体であるCXCR1/CXCR2がMFにおいて重要な役割を果たすことを示す。図2Dは、CXCR1/CXCR2の表面発現の増強がNFkB経路活性の増強と一致したことを示す。
図2E図2A図2B図2C図2D、および図2Eは、IL-8受容体であるCXCR1/CXCR2がMFにおいて重要な役割を果たすことを示す。図2Eは、FACSによって測定したところ、CXCR1受容体およびCXCR2受容体を発現した割合は、JAK2V617F陽性MF CD34+細胞の方が正常CD34+細胞よりも多かったことを示す(それぞれ、p=0.01およびp=0.006)。
図3A図3A図3B、および図3Cは、IL-8の減少により、脾臓内皮細胞(EC)/MF HSCニッチの発達に関与しているVEGFが妨害されることを示す。図3Aおよび図3Bは、LCN2によって脾臓間質細胞中のIL-8およびCXCL1のタンパク質レベルおよびmRNAレベルが上昇することを示す。対照:左の棒。LCN2:右の棒。図3Cは、IL-8がVEGF発現を調節することを示す。si=サイレンシング。Ab=抗体。Con=対照。
図3B図3Aの説明を参照のこと。
図3C図3Aの説明を参照のこと。
図4A図4Aおよび図4Bは、CXCR1/CXCR2阻害物質を添加すると、MF CD34+細胞増殖および分化系列分化に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図4Aは、IL-8により、正常なCD34+、CD41+、およびCD33+細胞の割合が減ったが、MF CD34+、CD41+、およびCD33+細胞の割合は増えたことを示す。IL-8の作用は、CXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシン(Ladx)の添加によって消失した。正常CD34/CD41/CD33:左の棒。MF CD34/CD41/CD33:右の棒。
図4B図4Aおよび図4Bは、CXCR1/CXCR2阻害物質を添加すると、MF CD34+細胞増殖および分化系列分化に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図4Bは、脾臓内皮細胞(EC)がCD34+造血細胞の増殖を促進することを示す。サイトカインの非存在下で単独で培養されたCD34+細胞の倍率変化、およびCD34+細胞をLCN2で処理した内皮細胞と共培養した際に数値が上昇していることを示す。ECとの共培養の影響は、CXCR1/CXCR2アンタゴニストのレパリキシン(RPX)の添加によってなくなった。
図5A図5A図5B図5C図5D、および図5Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、MF CD34+細胞コロニー形成に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図5Aは、培養されたMF CD34+細胞のコロニー形成アッセイ法を示し、これにより、WT CD34+細胞と比べて、IL-8とともに培養した場合のコロニー形成量が増大していること―CXCR1/CXCR2阻害物質RPXによる同時処理によって作用が弱まること、が実証される。CFU-GM=コロニー形成単位-顆粒球マクロファージ。図5Bおよび図5Cは、IL-8がMF CD34+細胞によるCFU-GMコロニー形成を用量依存的に増大させたこと、およびLadxでの処理によってIL-8の作用が阻害されたことを示す。図5B正常細胞。図5C MF細胞。図5Dは、IL-8で処理すると、CXCR1/CXCR2が最も高発現されているMF試料におけるCFU-GMコロニー形成が増大したことを示す。Con=対照。IL-8濃度は、左から右に上昇する。図5Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質Ladxの添加によって、これらの作用が弱められ得ることを示す。p値は以下のとおりであった:Ladxなし:対照対IL-8 10ng:0.159332;対照対IL-8 20ng:0.011976;対照対IL-8 50ng:0.00262;対照対IL-8 100ng:0.00042;10μM Ladxあり:対照対Ladx:0.315782;IL-8 10ng対Ladxあり:0.295851;IL-8 20ng対Ladxあり:0.077726;IL-8 50ng対Ladxあり:0.031355;IL-8 100ng対Ladxあり:0.081595。
図5B図5Aの説明を参照のこと。
図5C図5Aの説明を参照のこと。
図5D図5Aの説明を参照のこと。
図5E図5Aの説明を参照のこと。
図6A図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、微小環境細胞に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図6Aは、3日間の共培養後の、脾臓接着細胞の形態に対するMF造血細胞の影響を示す。N脾臓AC=正常脾臓接着細胞。nBM MNC=非接着性骨髄単核細胞。MNC=単核細胞。
図6B図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、微小環境細胞に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図6Bおよび図6Cは、間質細胞およびMNC細胞が、共培養された間質細胞およびMNC細胞と比べて、少ないIL-8(図6B)およびVEGF(図6C)をそれぞれ産生したことを示す。
図6C図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、微小環境細胞に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図6Bおよび図6Cは、間質細胞およびMNC細胞が、共培養された間質細胞およびMNC細胞と比べて、少ないIL-8(図6B)およびVEGF(図6C)をそれぞれ産生したことを示す。
図6D図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、微小環境細胞に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図6Dおよび図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質Ladxの添加によって、MF MNCおよび間質細胞の共培養物から採取した馴化培地中のIL-8(図6D)およびVEGF(図6E)のレベルが低下したことを示す。
図6E図6A図6B図6C図6D、および図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質によって、微小環境細胞に対するIL-8の作用が打ち消されることを示す。図6Dおよび図6Eは、CXCR1/CXCR2阻害物質Ladxの添加によって、MF MNCおよび間質細胞の共培養物から採取した馴化培地中のIL-8(図6D)およびVEGF(図6E)のレベルが低下したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
骨髄線維症(MF)の治療の際に使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が本明細書において提供される。MFを治療するためにCXCR1/CXCR2阻害物質を使用する方法が、本明細書において提供される。
【0035】
CXCR1およびCXCR2は、サイトカインIL-8に対する受容体である。本明細書において使用される場合、「CXCR1/CXCR2阻害物質」という用語は、CXCR1を介したもしくはCXCR1およびCXCR2を介したシグナル伝達を部分的もしくは完全に阻害することができ、かつ/またはIL-8とCXCR1受容体との相互作用もしくはIL-8とCXCR1受容体およびCXCR2受容体との相互作用を部分的もしくは完全に阻害することができる、任意の化合物を意味する。いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、CXCR1およびCXCR2の両方を阻害する。
【0036】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、ラダリキシンまたはラダリキシン誘導体である。
【0037】
1つの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(I)の低分子:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;好ましくは、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される。また、好ましい態様によれば、R4は、フェニル環の3位または4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイル、4-イソブチル、または4-トリフルオロメタンスルホニルオキシである。
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり;
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである。
【0038】
いくつかの態様において、式(I)のCXCR1/CXCR2阻害物質において:
- R4は、C1~C6アルキルまたはベンゾイルであり;好ましくは3位および4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイルまたは4-イソブチルである。
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり、
- R6は、直鎖状もしくは分枝状のC1~C6アルキルまたはトリフルオロメチルであり;好ましくは、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルであり、より好ましくはCH3である。
【0039】
いくつかの態様において、式(I)のCXCR1/CXCR2阻害物質において:
- R4は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、好ましくは4-トリフルオロメタンスルホニルオキシであり、
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり、
- R6は、直鎖状もしくは分枝状のC1~C6アルキルまたはトリフルオロメチルであり;好ましくは、直鎖状または分枝状のC1~C16アルキルであり、より好ましくはCH3である。
【0040】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(II)の低分子:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである。
【0041】
いくつかの態様において、式(I)および式(II)中の、メチルで置換された不斉炭素は、絶対配置Rを有する。
【0042】
いくつかの態様において、CXCR1/2は、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドおよび薬学的に許容されるその塩である。
【0043】
いくつかの態様において、CXCR1/2は、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩(レパリキシンとしても公知)である。
【0044】
いくつかの態様において、CXCR1/2は、R-(-)-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドである。いくつかの態様において、CXCR1/2は、R-(-)-2-(4-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩(ラダリキシンとしても公知)である。
【0045】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミド(DF2156Yとしても公知)およびそのナトリウム塩(ラダリキシンまたはDF2156Aとしても公知)である。
【0046】
1つの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式III:
を有する。
【0047】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式IIIの低分子のナトリウム塩である(ラダリキシン、CAS番号: 865625-56-5)。
【0048】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、その全体が本明細書に組み入れられるPCT出願公開番号WO2005/090295において開示されている低分子である。
【0049】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、レパリキシンまたはレパリキシン誘導体である。
【0050】
1つの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式VI:
を有する。
【0051】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式IVの低分子のL-リジン塩である(レパリキシン、CAS番号266359-93-7)。
【0052】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT出願WO2000/024710において開示されている低分子である。
【0053】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(V)の低分子:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される。
【0054】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるPCT出願WO2010/031835において開示されている低分子である。
より好ましくは、式(V)の前記化合物は、S立体配置のフェニルプロピオン酸基のキラル炭素原子を有する。
【0055】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、(2S)-2-(4-{[4-(トリフルオロメチル)-1,3-チアゾール-2-イル]アミノ}フェニル)プロパン酸および薬学的に許容されるその塩、好ましくはそのナトリウム塩である。
【0056】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、2-メチル-2-(4-{[4-(トリフルオロメチル)-1,3-チアゾール-2-イル]アミノ}フェニル)プロパン酸および薬学的に許容されるその塩、好ましくはそのナトリウム塩である。
【0057】
その必要がある対象において、MFの治療、MFの予防、および/またはMFの発症の可能性を低下させる際に使用するための、本明細書において上に開示されたCXCR1/CXCR2阻害物質が、本明細書において提供される。有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFの治療、MFの予防、および/またはMFの発症の可能性を低下させるための方法および組成物が、本明細書において提供される。
【0058】
CXCR1/CXCR2阻害物質の投与は、MFの診断が下される前、その間、またはその後に行うことが可能である。
【0059】
「対象」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含むがそれらに限定されない、哺乳動物を意味する。哺乳動物は、商業的に飼育されている動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、もしくはブタ)、実験動物(例えば、マウスもしくはラット)、またはペット(例えば、ネコ、イヌ、ウサギ、もしくはモルモット)であってよい。好ましくは、対象はヒトである。対象は、雄でも雌でもよい。本明細書において、個体および患者もまた、対象である。
【0060】
本明細書で使用される「治療する」、「治療された」、「治療すること」、または「治療」という用語は、その目的が、望まれない生理学的状態、障害、もしくは疾患を遅らせる(軽減する)こと、または有益なもしくは所望の臨床結果を得ることである、治療的処置を意味する。本開示の目的のために、有益な臨床結果または所望の臨床結果には、症状の緩和;病態、障害、もしくは疾患の程度の低減;病態、障害、もしくは疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと);病態、障害、もしくは疾患の進行の鈍化;病態、障害、もしくは疾患状態の改善;寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)が、検出可能であるか検出不可能であるかを問わず含まれ、または病態、障害、もしくは疾患の好転もしくは改善が含まれるが、それらに限定されるわけではない。治療は、過度なレベルの副作用を引き起こさずに臨床的に有意な応答を引き出すことを含む。治療はまた、治療を受けない場合に予想される生存と比べて長い生存も含む。いくつかの態様において、治療は、貧血、衰弱、疲労、出血、異常に肥大した脾臓(脾腫)、および疼痛を非限定的に含むMF症状の軽減をもたらす。
【0061】
いくつかの態様において、本開示は、治療的有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質が、その必要がある対象に投与される、治療的方法を提供する。「治療的有効量」とは、対象に投与された場合に所望の治療的効果を生み出す際に有効である、本明細書において説明される抗体またはその抗原結合断片の量を意味する。治療的有効量はまた、組み合わさって所望の治療的効果をもたらす、複数種のCXCR1/CXCR2阻害物質の組合せを意味する場合もある。治療的効果には、International Working Group-Myeloproliferative Neoplasms Research and Treatment (IWG-MRT)および/またはEuropean LeukemiaNet(ELN)の判定基準に基づく臨床的改善、骨髄線維化の低減、脾臓体積の減少、血漿VEGFレベルの低下、骨髄微小血管密度の低下、骨髄線維化グレードの低下、骨髄巨核球の数の減少、IL-8分泌クローンの数の減少、および末梢血CD34+細胞の数の減少が含まれる。
【0062】
患者は、無症状であってよく、かつ/または疾患の素因を有していてよい。したがって、1つの態様において、本開示は、MFの発症の可能性を低下させるか、遅らせるか、または発生を予防する方法を提供する。本開示はまた、予防的有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質が、その必要がある対象に投与される、予防的方法も提供する。「予防的有効量」とは、疾患の1種または複数種の症状の発生を予防するか、低減させるか、および/または遅延させる量である。また、予防的有効量とは、組み合わさって所望の予防的効果をもたらす、複数種のCXCR1/CXCR2阻害物質の組合せも意味し得る。予防的(prophylactic)および防止的(preventive)は、本明細書において同義的に使用される。
【0063】
その必要がある対象において、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法において使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0064】
その必要がある対象において、CXCR1および/またはCXCR2を介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法において使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0065】
その必要がある対象において、IL-8シグナル伝達を低減させる際に使用するための、CXCR1/CXCR2阻害物質が提供される。
【0066】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法が提供される。
【0067】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、CXCR1および/またはCXCR2を介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【0068】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【0069】
いくつかの態様において、対象は、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)療法を以前に受けたことがある。いくつかの態様において、対象は、JAKi療法を以前に受けたことがあり、現在はJAKi療法に非応答性である。JAKi療法への応答性の欠如は、例えば、(1)対象がJAKi療法で3ヶ月以上処置されたが、MRIによって測定された脾臓体積の減少が10%未満であることもしくは身体診察によって測定された脾臓長のベースラインからの減少が30%未満であること、または初期の応答後に再成長してこれらのパラメーターになることと定義される、不十分な有効性応答を示す場合;および/あるいは(2)28日間以上の処置に伴って、赤血球輸血の必要が生じるか、または血小板減少、貧血、血腫、および/もしくは出血が処置期間中に起こる場合を拠り所として、確認することができる。
【0070】
本明細書において使用される場合、「投与」という用語は、生理学的な系(例えば、対象、またはインビボ、インビトロ、もしくはエクスビボの細胞、組織、および器官)に対する薬物を意味するか、または治療的処置を与える行為を意味する。人体への典型的な投与経路は、眼(眼球)、口(経口)、皮膚(経皮)、鼻(経鼻)、肺(吸入抗原)、口腔粘膜(頬内)、耳経由、注射(例えば、静脈内、皮下、腫瘍内、腹腔内など)であり、同様の方法を用いることができる。本発明による好ましい投与経路は、経口投与である。本発明による好ましい投与経路は、経口投与である。
【0071】
意図される送達経路に応じて、化合物は、好ましくは、注射可能な組成物または経口組成物として製剤化される。経口投与用の組成物は、バルク溶液もしくはバルク懸濁液、またはバルク粉末の形態をとることができる。しかし、より一般的には、これらの組成物は、正確な投与を容易にするために単位剤形で提供される。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物に対する単位投与量として適した物理的に別個の単位を意味し、各単位は、適切な薬学的賦形剤と共同で所望の治療的効果をもたらすように算出された所定量の活性物質を含む。典型的な単位剤形には、液体組成物が予め測定され予め充填されたアンプルもしくはシリンジ、または固形組成物の場合には丸剤、錠剤、もしくはカプセル剤などが含まれる。このような組成物中で、酸化合物は通常、微小構成要素(約0.1~約50重量%または好ましくは約1~約40重量%)であり、残りの部分は、所望の投与形態を形成するのに役立つ様々なビヒクルまたは担体および加工助剤である。経口投与に適した液状形態は、緩衝剤、懸濁化剤および予製剤(dispensing agent)、着色剤、ならびに矯味剤などとともに、適切な水溶性または非水溶性のビヒクルを含み得る。通常、本明細書において後述される注射可能な組成物を含む液状形態は、光による任意の触媒作用、例えばヒドロペルオキシドまたはペルオキシドの形成を回避するために、光のない場所で保存される。本明細書において開示される方法において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤と合わせて調剤されたCXCR1/CXCR2阻害物質を含む薬学的に許容される組成物の形態で投与され得る。薬学的に許容される賦形剤は、薬学的に許容される物質、組成物、またはビヒクル、例えば、液状または固形の増量剤、希釈剤、担体、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、または立体酸)、対象に投与するための治療的化合物の運搬もしくは輸送に関与している溶媒もしくはカプセル化材、充填剤、塩、界面活性剤、および/または保存剤であることができる。薬学的に許容される賦形剤としての機能を果たし得る物質のいくつかの例には、糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース;ゼラチン;タルク;ロウ;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油;グリコール、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール;多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤;水;等張性生理食塩水;pH緩衝液;ならびに薬学的製剤中で使用される他の非毒性の共存可能な物質が含まれる。
【0072】
対象に投与されるCXCR1/CXCR2阻害物質の投与量は、使用される個々の阻害物質、使用理由、個々の対象、および投与様式に応じて変動し得る。投与量は、対象の体重、性別、年齢、および対象の健康状態、ならびにCXCR1/CXCR2阻害物質に対する耐性に基づいて調整することができる。
【0073】
CXCR1/CXCR2阻害物質の用量は、約1~約1500mgであってよい。CXCR1/CXCR2阻害物質の用量投与量は、約100~約1000mgであってよい。CXCR1/CXCR2阻害物質の用量は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000、約1100mg、約1200ng、約1300mg、約1400mg、または約1500mgであってよい。CXCR1/CXCR2阻害物質の日用量は、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、または約1500mgであってよい。いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質の用量は、1200mgである。
【0074】
日用量は、経口投与によって1日1~5回、分割用量で与えられてよく、または5~10日のサイクルを1回または複数回行う持続注入によって与えられてよく、これらは所望の結果を得るために有効である。2回目または後続の投与は、個体に投与される初期用量または以前の用量と同じ、それより少ない、またはそれより多い、投与量で行うことができる。特定の態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質の用量は、毎日、1日おき、2日ごとに、3日ごとに、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、2週間に1回、または1ヶ月に1回、対象に投与される。
【0075】
いくつかの態様において、化合物または組成物の用量は、2日間、3日間、5日間、7日間、14日間、21日間、または28日間投与される。特定の態様において、化合物または組成物の用量は、1ヶ月間、1.5ヶ月間、2ヶ月間、2.5ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、またはそれより長く、投与される。
【0076】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、レパリキシンであり、1200mgを1日3回、連続28日間のサイクルで投与されてよい。いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、最長24週間の処置で投与され、利益がある場合には継続する可能性がある。
【0077】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、ラダリキシンであり、400mgを1日2回、連続14日間のサイクルで投与されてよい。いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、14日間の投与と14日間の休薬のサイクル3回の処置で投与され、利益がある場合には継続する可能性がある。
【0078】
CXCR1および/またはCXCR2を発現する細胞をCXCR1/CXCR2阻害物質と接触させる段階を含む、IL-8とCXCR1/CXCR2との相互作用を低減させる方法が提供される。
【0079】
CXCR1および/またはCXCR2を発現する細胞をCXCR1/CXCR2阻害物質と接触させる段階を含む、CXCR1/CXCR2を介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【0080】
CXCR1および/またはCXCR2を発現する細胞をCXCR1/CXCR2阻害物質と接触させる段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法が提供される。
【実施例
【0081】
実施例1:炎症誘発性サイトカインIL-8は、骨髄線維症患者において増加している
正常血漿、真性赤血球増加症(PV)血漿、本態性血小板血症(ET)血漿、およびMF血漿中のIL-8のレベルをELISAによって評価した。MF患者の血漿は、IL-8の血漿レベルが著しく高かった(図1A)。
【0082】
また、IL-8分泌クローンが増加(CD34+細胞全体の50%超と定義される)したMF患者では、IL-8クローンが優勢ではないMF患者と比較して、白血球増加も増大し、脾臓サイズも大きく、全身症状の有症率も高く、かつ骨髄におけるレチクリン線維化のグレードも高かった(図1B)。
【0083】
免疫組織化学的検査によって、MF患者に由来する骨髄生検試料におけるIL-8発現が、正常対照での4個中0個と比較して15個中8個に増大していたことが裏付けられ(図1C)、かつIL-8の高発現が、MF脾臓巨核球(MK)および脾臓間質/内皮細胞においても観察され、正常脾臓では認められなかった(図1D)。
【0084】
統合RNA-Seqおよびトランスポザーゼ接近可能クロマチン解析法とそれに続く次世代シーケンシング(ATAC-Seq)を、増加したIL-8分泌クローンの有り無し両方の、骨髄増殖性新生物(MPN)患者由来のCD34+細胞に対して実施して、遺伝子発現/クロマチン接近容易性を解析した。IL-8が高レベルのMF患者を解析したところ、線維症発症に以前に関係付けられている炎症誘発性遺伝子S100A8およびS100A9の発現/接近容易性の増大だけでなく、遺伝子セットエンリッチメント解析(GSEA)によって、IL-8-CXCR2シグナル伝達の上方調節および炎症誘発性経路における高濃度化(すなわち、TNFa、NFkBなど)が確認された。
【0085】
これらのデータは、MF疾患の発症においてIL-8が重要な役割を果たすことを示す。
【0086】
実施例2:IL-8受容体CXCR1/CXCR2は、MFにおいて重要な役割を果たす
IL-8は多くの細胞表面受容体と相互に作用するが、Gタンパク質共役型セルペンチン受容体であるCXCR1およびCXCR2が、最も重要である。
【0087】
正常脾臓およびMF脾臓の両方におけるケモカイン受容体CXCR1およびCXCR2の発現を測定した(図2A)。正常脾臓およびMF脾臓の両方において、脾臓内の類洞の内側を覆う脾臓沿岸細胞においてCXCR1およびCXCR2が最大に発現されている。これらの類洞は、造血細胞が脾臓から血液循環へと戻る際に通る血管である。さらに、沿岸細胞の密度は、MF脾臓と比べて、MF脾臓において低下している。この沿岸細胞数の減少は、MFにおける造血細胞の滞留を招き得る。
【0088】
蛍光活性化細胞選別(FACS)解析データは、MF脾臓試料の方がMF末梢血試料よりも高比率のCD34+/CXCR1+細胞およびCD34+/CXCR2+細胞を含むことを示した(図2B)。
【0089】
IL-8が高レベルのMF CD34+細胞では、CXCR2およびその類似体CXCR1の表面発現が正常細胞と比べて増強されており(図2C)、これは、NFkB経路活性の増強と一致した(図2D)。
【0090】
JAK2 V617Fは、MF患者で頻繁に見出される変異である。FACSによって測定したところ、CXCR1受容体およびCXCR2受容体を発現した割合は、JAK2 V617F陽性MF CD34+細胞の方が正常CD34+細胞よりも多かった(それぞれ、p=0.01およびp=0.006)(図2E)。
【0091】
実施例3: IL-8の減少により、脾臓内皮細胞(EC)/MF HSCニッチの発達に関与しているVEGFが妨害される
リポカリン2(LCN2)は、MF骨髄の骨髄系細胞によって産生されるサイトカインである。MF患者の血液循環におけるLCN2のレベルは、PV患者およびET患者と比べて、2~3倍高く、健常な対照と比べると、さらに高い。LCN2で正常脾臓の間質細胞を処理すると、IL-8およびCXCL1のmRNAレベルおよびタンパク質レベルが有意に上昇した(図3Aおよび図3B)。IL-8および関連するケモカインCXCL1は、血管新生促進性であり、脾臓EC/MF HSCのニッチの発達に寄与するサイトカイン(VEGF)のカスケードを引き起こす。IL-8をサイレンシングすると、脾臓間質細胞によるVEGF mRNA発現は低減した(図3C)ものの、IL-8を添加すると、この作用は打ち消された。VEGF発現に対するIL-8のプラスの影響は、IL-8中和抗体によって妨害された。
【0092】
要約すれば、これらのデータから、IL-8 はMF脾臓の血管新生において極めて重要な成分であると同定される。
【0093】
実施例4: CXCR1/CXCR2阻害物質は、MF CD34+細胞増殖および分化系列分化に対するIL-8の作用を打ち消す
MF CD34+細胞増殖および分化系列分化に対するIL-8の作用を評価するために、MF単核細胞(MNC細胞)を、20ng/mlの幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、FL-3L、およびIL-3を含み、50ng/mlのIL-8を含むまたは含まない、StemSpan(商標)無血清増殖培地(SFEM)を用いて培養した。3日間のインキュベーション後に細胞を採取した。個々の分化系列に属する造血細胞の比率を、フローサイトメトリーを用いて測定した。
【0094】
IL-8によって、MF CD34+細胞、MF CD41+細胞、およびMF CD33+細胞のパーセンテージは上昇したが、正常ドナーCD34+細胞をIL-8とともにインキュベーションした場合、対応する細胞集団は減少した。重要なことには、CXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンで処理すると、MF細胞および正常細胞の両方に対するIL-8の作用が打ち消された(図4A)。
【0095】
同様に、LCN2で処理すると、内皮細胞(EC)を媒介としたMF細胞増殖が促進されるのに対し、CXCR1/CXCR2阻害物質レパリキシンで処理すると、脾臓ECと共培養された場合のMF CD34+ 増殖が低減した(図4B)。
【0096】
実施例5:CXCR1/CXCR2阻害物質は、MF CD34+細胞コロニー形成に対するIL-8の作用を打ち消す
培養されたMF CD34+細胞のコロニー形成アッセイ法により、WT CD34+細胞と比べて、IL-8とともに培養した場合のコロニー形成量が増大していること―CXCR1/CXCR2阻害物質レパリキシンによる同時処理によって作用が弱まること、が明らかになった(図5A)。
【0097】
さらに、段階的に濃度を上げたIL-8またはCXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンを添加したところ、正常CD34+細胞による造血性コロニー形成は影響を受けなかった(図5B)。対照的に、50ng/mlおよび100ng/ml(それぞれ、p=0.004およびp=0.01)の用量のIL-8によって、MF CFU-GMコロニーの数が増えたが、これは、CXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンの添加によって弱まった(図5C)。
【0098】
同様に、IL-8で処理すると、CXCR1/CXCR2が最も高発現されているMF試料によるCFU-GMコロニー形成が増大した(図5D)が、これらの作用は、ラダリキシンの添加によって修正することができた(図5E)。
【0099】
実施例6: CXCR1/CXCR2阻害物質は、悪性HPCに対するIL-8の作用を打ち消す
6名のMF患者に由来するCD34+細胞のクローンアッセイ法から、個々の造血性コロニーを無作為に選び、JAK2V617F対立遺伝子の状態を明らかにした。
【0100】
IL-8のみの場合、JAK2V617F+コロニーの絶対数が増加したが、ラダリキシンの添加により、IL-8によって刺激されたJAK2V617F陽性コロニーの数は減少した(表1~3)。
【0101】
(表1)IL-8およびCXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンによる処理が、MF CD34+細胞から生じる、個々のJAK2遺伝子型を有する造血性コロニー数の絶対数に与える作用。Heter=JAK2V617Fヘテロ接合性;Homo=JAK2V617Fホモ接合性;WT=JAK2野生型。*各数字は、概説した条件下での、異なる患者6名に由来するMF 1000 CD34+細胞から生じたコロニーの総数を表す。
【0102】
(表2)IL-8およびCXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンによる処理が、MF CD34+細胞から生じる、個々のJAK2遺伝子型を有する造血性コロニー数の絶対数に与える作用。Heter=JAK2V617Fヘテロ接合性;Homo=JAK2V617Fホモ接合性;WT=JAK2野生型。
【0103】
(表3)IL-8およびCXCR1/CXCR2阻害物質ラダリキシンによる処理が、MF CD34+細胞から生じる、個々のJAK2遺伝子型を有する造血性コロニー数の絶対数に与える作用。Heter=JAK2V617Fヘテロ接合性;Homo=JAK2V617Fホモ接合性;WT=JAK2野生型。
【0104】
これらのデータは、IL-8が、MF造血前駆細胞のクラスに、それらの変異状態に基づいて差次的に影響を及ぼせること、およびCXCR1/2を薬理学的に抑制することによってこれらの作用を打ち消せることを示す。
【0105】
実施例7:CXCR1/CXCR2阻害物質は、微小環境細胞に対するIL-8の作用を打ち消す
IL-8は、造血細胞を標的とするだけでなく、骨髄および脾臓の内皮細胞および間質細胞などの微小環境細胞にも影響を及ぼす。脾臓の間質細胞と共培養されたMF MNC細胞は、間質細胞を形態学的に改変した(図6A)。
【0106】
ELISA解析により、MF MNCおよび正常MNCの、正常な脾臓間質細胞との共培養物に由来する馴化培地において、IL-8レベルおよびVEGFレベルの両方が上昇していることが示された(図6Bおよび6C)。
【0107】
ラダリキシンの添加により、これらの共培養物中のIL-8レベルおよびVEGFレベルは低下した(図6Dおよび6E)。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象における骨髄線維症(MF)を治療するための薬学的組成物
【請求項2】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象における骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させるための、薬学的組成物
【請求項3】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるIL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させるための薬学的組成物
【請求項4】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるCXCR1および/またはCXCRを介した、活性および/またはシグナル伝達を低減させるための薬学的組成物
【請求項5】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるIL-8シグナル伝達を低減させるための薬学的組成物
【請求項6】
前記対象が骨髄線維症を有する、請求項1~5のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項7】
前記対象が、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である、請求項1~6のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項8】
1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む請求項1~7のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項9】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり;
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであ
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項10】
R 4 が、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
R 4 が、フェニル環の3位または4位にあり、3-ベンゾイル、4-イソブチル、および4-トリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項12】
R 6 が、CH 3 またはトリフルオロメチルである、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項13】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(II)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであ
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項14】
Raが、CH 3 またはトリフルオロメチルである、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(V)の化合物:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される、
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項16】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項17】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩である、請求項16記載の薬学的組成物
【請求項18】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドまたはそのリジン塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物
【請求項19】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩である、請求項18記載の薬学的組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
1つの局面において、有効量のレパリキシンを、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFを治療する方法が提供される。
[本発明1001]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、骨髄線維症(MF)を治療する方法。
[本発明1002]
対象において、骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34 + 細胞の数を低減させる方法であって、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、該方法。
[本発明1003]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法。
[本発明1004]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、CXCR1および/またはCXCRを介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法。
[本発明1005]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法。
[本発明1006]
前記対象が骨髄線維症を有する、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記対象が、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、CXCR1/CXCR2阻害物質および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物として投与される、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R 4 は、直鎖状または分枝状のC 1 ~C 6 アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;好ましくは、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択され;また、好ましい態様によれば、R 4 は、フェニル環の3位または4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイル、4-イソブチル、または4-トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;
- R 5 は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC 1 ~C 3 アルキルであり、好ましくはHであり;
- R 6 は、直鎖状または分枝状のC 1 ~C 6 アルキルまたはハロC 1 ~C 3 アルキルであり、好ましくは、CH 3 またはトリフルオロメチルである、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(II)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC 1 ~C 6 アルキルまたはハロC 1 ~C 3 アルキルであり、好ましくは、CH 3 またはトリフルオロメチルである、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(V)の化合物:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C 1 ~C 4 アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC 1 ~C 4 アルキル、直鎖状または分枝状のC 1 ~C 4 アルコキシ、ハロC 1 ~C 3 アルキル、およびハロC 1 ~C 3 アルコキシより選択される、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1012]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩である、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1013]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドまたはそのリジン塩である、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1015]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩である、本発明1014の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象における骨髄線維症(MF)を治療するための薬学的組成物。
【請求項2】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象における骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させるための、薬学的組成物。
【請求項3】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるIL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させるための薬学的組成物。
【請求項4】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるCXCR1および/またはCXCRを介した、活性および/またはシグナル伝達を低減させるための薬学的組成物。
【請求項5】
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を含む、その必要がある対象におけるIL-8シグナル伝達を低減させるための薬学的組成物。
【請求項6】
前記対象が骨髄線維症を有する、請求項1~5のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記対象が、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である、請求項1~6のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項8】
1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項9】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり;
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルである、
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項10】
R4が、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
R4が、フェニル環の3位または4位にあり、3-ベンゾイル、4-イソブチル、および4-トリフルオロメタンスルホニルオキシより選択される、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項12】
R6が、CH3またはトリフルオロメチルである、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項13】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(II)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルである、
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項14】
Raが、CH3またはトリフルオロメチルである、請求項13記載の薬学的組成物。
【請求項15】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(V)の化合物:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される、
請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項16】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項17】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩である、請求項16記載の薬学的組成物。
【請求項18】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドまたはそのリジン塩である、請求項1~8のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項19】
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩である、請求項18記載の薬学的組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(V)の低分子:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
1つの局面において、有効量のレパリキシンを、その必要がある対象に投与する段階を含む、MFを治療する方法が提供される。
[本発明1001]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、骨髄線維症(MF)を治療する方法。
[本発明1002]
対象において、骨髄線維化、脾臓体積、血漿中VEGFレベル、骨髄微小血管密度、骨髄巨核球数、IL-8分泌クローンの数、および/または末梢血CD34+細胞の数を低減させる方法であって、有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、該方法。
[本発明1003]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8とCXCR1および/またはCXCR2との相互作用を低減させる方法。
[本発明1004]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、CXCR1および/またはCXCRを介した活性またはおよび/またはシグナル伝達を低減させる方法。
[本発明1005]
有効量のCXCR1/CXCR2阻害物質を、その必要がある対象に投与する段階を含む、IL-8シグナル伝達を低減させる方法。
[本発明1006]
前記対象が骨髄線維症を有する、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記対象が、ヤヌスキナーゼ阻害物質(JAKi)治療に非応答性または不適格である、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、CXCR1/CXCR2阻害物質および1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物として投与される、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(I)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R4は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキル、ベンゾイル、フェノキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;好ましくは、ベンゾイル、イソブチル、およびトリフルオロメタンスルホニルオキシより選択され;また、好ましい態様によれば、R4は、フェニル環の3位または4位にあり、より好ましくは、3-ベンゾイル、4-イソブチル、または4-トリフルオロメタンスルホニルオキシであり;
- R5は、Hまたは直鎖状もしくは分枝状のC1~C3アルキルであり、好ましくはHであり;
- R6は、直鎖状または分枝状のC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(II)の化合物:
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R’は水素であり;
- Rは、式SO2Raの残基であり、式中、RaはC1~C6アルキルまたはハロC1~C3アルキルであり、好ましくは、CH3またはトリフルオロメチルである、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1011]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、式(V)の化合物:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される、
本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1012]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドまたはそのナトリウム塩である、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1013]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R(-)-2-[(4'-トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]-N-メタンスルホニルプロピオンアミドのナトリウム塩である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドまたはそのリジン塩である、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1015]
CXCR1/CXCR2阻害物質が、R-(-)-2-(4-イソブチルフェニル)プロピオニルメタンスルホンアミドのリジン塩である、本発明1014の方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
いくつかの態様において、CXCR1/CXCR2阻害物質は、式(V)の低分子:
であり、式中、
R1は水素であり;
XはOHであり;
R2は、水素または直鎖C1~C4アルキルであり;
Yは、S、O、およびNより選択されるヘテロ原子であり;
Zは、直鎖状または分枝状のC1~C4アルキル、直鎖状または分枝状のC1~C4アルコキシ、ハロC1~C3アルキル、およびハロC1~C3アルコキシより選択される。
【国際調査報告】