(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】リン安定化MSEフレームワーク型ゼオライトを含む触媒、その調製及び流動接触用途におけるその使用
(51)【国際特許分類】
B01J 29/70 20060101AFI20231127BHJP
B01J 37/28 20060101ALI20231127BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20231127BHJP
C01B 39/48 20060101ALI20231127BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20231127BHJP
C10G 11/05 20060101ALI20231127BHJP
C10G 11/18 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B01J29/70 M
B01J37/28
B01J35/10 301A
C01B39/48
B01J37/08
C10G11/05
C10G11/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526887
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021057919
(87)【国際公開番号】W WO2022098773
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】イルマズ,ビルジ
(72)【発明者】
【氏名】ケルカー,チャンドラシェカール
(72)【発明者】
【氏名】パク,スンシク
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート,クリストファー,ジョン
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G073BA70
4G073BB48
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4H129KC14X
4H129KC16X
4H129KC17X
4H129KC17Y
4H129NA24
(57)【要約】
MSEゼオライト構造(例えば、MCM-68)及び非ゼオライト系マトリックスを含む、石油精製用途(例えば、流動接触分解及び水素化分解)のために適切な触媒成分が本明細書中に開示される。第1の成分が追加成分と組み合わされて触媒組成物になり得る。本明細書では、触媒成分及び/又は触媒組成物を調製する方法並びに触媒成分及び/又は触媒組成物を使用する方法も開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素供給原料の接触分解のプロセスであって、前記供給原料を、リン安定化MCM-68ゼオライト及び第1の非ゼオライト系マトリックスを含む第1の触媒成分と接触させることを含むプロセス。
【請求項2】
前記第1の触媒成分は、前記第1の触媒成分中の前記リン安定化MCM-68ゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%又は約2重量%~約4重量%のリンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記リン安定化MCM-68ゼオライトは、
各チャネルが四面体配位原子の12員環によって画定される少なくとも1つのチャネルシステムと、
少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムであって、その各々において、各チャネルが四面体配位原子の10員環によって画定される、少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムと
を含む多孔質の結晶質MSEゼオライト構造を有し、固有の10員環チャネルの数は、12員環チャネルの数の2倍である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第1の触媒成分は、約0.3mmol/(g触媒)~約0.5mmol/(g触媒)の全酸度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記リン安定化MCM-68ゼオライトのケイ素対アルミニウム比は、約5~約60、約7~約30又は約9~約15の範囲である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記供給原料を前記第1の触媒成分と接触させることから達成される第1のブチレン対プロピレン選択性比は、前記供給原料を、リン安定化MCM-68ゼオライトなしの、ベータゼオライト及び/又はZSM-5ゼオライトを含む触媒成分と接触させることから達成される第2のブチレン対プロピレン選択性比よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1の触媒は、触媒組成物の一部であり、前記第1の触媒成分は、前記触媒組成物の全重量に基づいて約1重量%~約25重量%、約1.5重量%~約15重量%又は約2重量%~約10重量%の範囲の量で前記触媒組成物中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記触媒組成物は、第2の触媒成分をさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第2の触媒成分は、7オングストロームよりも大きい細孔径を有する少なくとも1種の大細孔モレキュラシーブゼオライトを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記少なくとも1種の大細孔モレキュラシーブゼオライトは、ゼオライトYである、請求項8又は9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記触媒組成物は、前記第2の触媒成分及び前記第1の触媒成分と組成的に異なる少なくとも1種の追加成分をさらに含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記少なくとも1種の追加成分は、ベータゼオライト及び/又はZSM-5ゼオライトと、少なくとも1種の追加の非ゼオライト系マトリックスとを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
接触分解は、流動接触分解又は水素化分解を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
触媒成分であって、
リン安定化MCM-68ゼオライトであって、前記触媒成分中の前記リン安定化MCM-68ゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%のリンを有するリン安定化MCM-68ゼオライト;及び
非ゼオライト系マトリックス
を含む触媒成分。
【請求項15】
前記触媒成分中の前記リン安定化MCM-68ゼオライトの全重量に基づいて約1重量%~約5重量%又は約2重量%~約4重量%のリンを含む、請求項14に記載の触媒成分。
【請求項16】
前記マトリックスは、粘土、スピネル、ムライト、ベーマイト、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カオリン、メタカオリン、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-ジルコニア、稀土類ドープアルミナ(例えば、イッテルビウムドープアルミナ、ガドリニウムドープアルミナ、セリウムドープアルミナ又はランタンドープアルミナの1つ若しくは複数から選択される)、シリカドープアルミナ、ガンマ-アルミナ、α-アルミナ、χ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、κ-アルミナ又はそれらの混合物の1つ又は複数を含む、請求項14又は15に記載の触媒成分。
【請求項17】
前記リン安定化MCM-68ゼオライトは、前記触媒成分の全重量に基づいて約1重量%~約90重量%、約2重量%~約80重量%又は約5重量%~約60重量%で前記触媒成分中に存在する、請求項14~16のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項18】
約0.3mmol/(g触媒)~約0.5mmol/(g触媒)の全酸度を有する、請求項14~17のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項19】
前記リン安定化MCM-68ゼオライトのケイ素対アルミニウム比は、約5~約60、約7~約30又は約9~約15の範囲である、請求項14~18のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項20】
約150m
2/g~約750m
2/g、約175m
2/g~約675m
2/g又は約200m
2/g~約600m
2/gのBET全表面積(TSA)を有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項21】
約0.05cc/g~約0.3cc/g、約0.06cc/g~約0.23cc/g又は約0.07cc/g~約0.16cc/gのt-プロット微細孔容積を有する、請求項14~20のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項22】
前記リン安定化MCM-68ゼオライトは、
各チャネルが四面体配位原子の12員環によって画定される少なくとも1つのチャネルシステムと、
少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムであって、その各々において、各チャネルが四面体配位原子の10員環によって画定される、少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムと
を含む多孔質の結晶質MSE構造を有し、固有の10員環チャネルの数は、12員環チャネルの数の2倍である、請求項14又は15に記載の触媒成分。
【請求項23】
前記触媒成分の第1のXRDピークパターンは、ピーク位置及び相対強度に関して、リンなしの前記触媒成分の第2のXRDピークパターンと実質的に類似している、請求項14~22のいずれか一項に記載の触媒成分。
【請求項24】
触媒組成物であって、
第1の触媒成分であって、
リン安定化MCM-68ゼオライトであって、前記第1の触媒成分中の前記リン安定化MCM-68ゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%のリンを有するリン安定化MCM-68ゼオライトと;
第1の非ゼオライト系マトリックスと
を含む第1の触媒成分;及び
第2のゼオライトと第2の非ゼオライト系マトリックスとを含む第2の触媒成分
を含む触媒組成物。
【請求項25】
前記第1の触媒成分は、前記触媒組成物の全重量に基づいて約1重量%~約25重量%、約1.5重量%~約15重量%又は約2重量%~約10重量%の範囲の量で前記触媒組成物中に存在する、請求項24に記載の触媒組成物。
【請求項26】
前記第2のゼオライトは、7オングストロームよりも大きい細孔径を有する大細孔モレキュラシーブゼオライトを含む、請求項24又は25に記載の触媒組成物。
【請求項27】
前記第2のゼオライトは、ゼオライトYである、請求項24~26のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項28】
前記第2の触媒成分及び前記第1の触媒成分と組成的に異なる少なくとも1種の追加成分をさらに含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種の追加成分は、ベータゼオライト、ZSM-5ゼオライト又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の追加のゼオライトを含む、請求項28に記載の触媒組成物。
【請求項30】
請求項14~23のいずれか一項に記載の触媒成分を調製するプロセスであって、MCM-68ゼオライトをリン含有化合物で変性させることを含むプロセス。
【請求項31】
前記リン含有化合物は、リン酸、リン酸ジアンモニウム又はそれらの組み合わせを含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
変性させることは、前記MCM-68ゼオライトにリン含有化合物を含浸させることを含む、請求項30又は31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記リン変性MCM-68ゼオライトを焼成することをさらに含む、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
請求項24~29のいずれか一項に記載の触媒組成物を調製するプロセスであって、前記第1の触媒成分を、前記第2の触媒成分及び任意選択的に少なくとも1種の追加成分と組み合わせることを含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月4日に出願された米国仮特許出願第63/109,414号明細書の優先権の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、石油精製触媒及びその組成物に関する。特に、本開示は、流動接触分解(FCC)用途のためのMSEゼオライト構造体の使用、その調製方法及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
FCCは、世界のブチレン製造の主要な供給源である。ブチレン製造量のほぼ半分は、FCCユニットから供給され、その40%超は、アルキル化ユニットを介して高オクタンブレンド成分を製造するために消費される。燃費改善に対する需要の高まりのため、それらのユニットでブチレンを増産することが有益であると考える製油所が増えている。しかしながら、ZSM-5単独をベースとする従来のオレフィン最大化添加剤は、この目標を達成するには不十分である。ZSM-5添加剤は、プロピレンを製造するために設計されており、したがって、それらは、ブチレンよりもプロピレンを多く製造する。ユニットが湿式ガス圧縮機限定である場合、ZSM-5の使用によってブチレンよりもプロピレンが増加するため、必要なブチレン収率に達する前に液化石油ガス(LPG)の制限に達する。このような場合、ZSM-5と比較してブチレン/プロピレン(C4=/C3=)の比率の増加に寄与する触媒(又は添加剤)溶液がユニットに必要となる。制御された意図的な様式で特定の小オレフィン(例えば、ブチレン)に対する選択性が調整された材料を特定することは、石油精製用途(例えば、流動接触分解、水素化分解)において興味深い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態において、本開示は、ゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%のリンでリン安定化されたMSEゼオライト構造を有するゼオライト(例えば、MCM-68ゼオライト)と、非ゼオライト系マトリックスとを含む触媒成分を提供する。
【0005】
特定の実施形態において、触媒成分中のリン含有量は、ゼオライトの全重量に基づいて約1重量%~約5重量%又は約2重量%~約4重量%の範囲である。
【0006】
特定の実施形態において、非ゼオライト系マトリックスは、粘土、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カオリン、メタカオリン、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-ジルコニア又はこれらの混合物の1つ又は複数を含む。
【0007】
特定の実施形態において、MSE構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、MCM-68)は、触媒成分の全重量に基づいて約1重量%~約90重量%、約2重量%~約80重量%又は約5重量%~約60重量%の量で触媒成分中に存在する。
【0008】
特定の実施形態において、触媒成分は、約0.5mmol/(g触媒成分)の全酸度を有する。
【0009】
特定の実施形態において、MSE構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、MCM-68)は、約5~約60、約7~約30又は約9~約15の範囲のケイ素対アルミニウム比(SAR)を有する。
【0010】
特定の実施形態において、触媒成分のBET全表面積は、約150m2/g~約750m2/g、約175m2/g~約675m2/g又は約200m2/g~約600m2/gの範囲である。
【0011】
特定の実施形態において、触媒成分のt-プロット微細孔容積は、約0.05cc/g~約0.3cc/g、約0.06cc/g~約0.23cc/g又は約0.07cc/g~約0.16cc/gの範囲である。
【0012】
特定の実施形態において、リン安定化ゼオライトは、各チャネルが四面体配位原子の12員環によって画定される少なくとも1つのチャネルシステムと、少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムであって、その各々において、各チャネルが四面体配位原子の10員環によって画定される、少なくとも2つのさらなる独立チャネルシステムとを含む多孔質の結晶材料を含むMSE構造を有し、固有の10員環チャネルの数は、12員環チャネルの数の2倍である。
【0013】
特定の実施形態において、MSE構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)は、ピーク位置及び相対強度に関して、リン安定化のないそのゼオライト(例えば、リンのないMCM-68ゼオライト)の第2のXRDパターンと実質的に類似している第1のX線回折(XRD)パターンを有する。
【0014】
特定の実施形態において、本開示は、第1の成分及び第2の成分を含む、石油精製用途(流動接触分解(FCC)及び/又は水素化分解など)のための触媒組成物を提供する。
【0015】
第1の成分は、第1の成分中のゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%のリンでリン酸安定化されたMSEゼオライト構造を有するゼオライト(例えば、MCM-68ゼオライト)と、非ゼオライト系マトリックスとを含む。第1の成分は、MSEゼオライト構造を有するゼオライトを含む、本明細書に記載の任意の触媒成分でもあり得る。
【0016】
第2の成分は、第1の成分と組成的に異なる。特定の実施形態において、第2の成分は、第2の非ゼオライト系マトリックスと、1種又は複数のゼオライト(例えば、ZSM-5、ゼオライトY、ベータゼオライトなど)とを含む。特定の実施形態において、触媒組成物は、第1の成分及び第2の成分と組成的に異なる少なくとも1種の追加の触媒成分(例えば、ZSM-5、ゼオライトY、ベータゼオライトなど)を含み得る。
【0017】
特定の実施形態において、第1の触媒成分は、触媒組成物の全重量に基づいて約1重量%~約25重量%、約1.5重量%~約15重量%又は約2重量%~約10重量%の範囲の量で触媒組成物中に存在する。
【0018】
特定の実施形態において、第2の触媒成分及び含まれる場合には任意の追加の触媒成分は、触媒組成物の全重量に基づいて約75重量%~約99重量%、約85重量%~約98.5重量%又は約90重量%~約98重量%(累積)の範囲の量で触媒組成物中に存在する。
【0019】
特定の実施形態において、本開示は、MSEゼオライト構造を有するリン酸塩安定化ゼオライトを含む、本明細書に記載のいずれかの触媒成分を調製するプロセスに関する。特定の実施形態において、このプロセスは、MSEゼオライト構造を有するゼオライト(例えば、MCM-68)を、限定されないが、リン酸、リン酸ジアンモニウム又はそれらの組み合わせなどのリン含有化合物で安定化すること(例えば、含浸によって変性させること)を含む。特定の実施形態において、このプロセスは、MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)を焼成することをさらに含み得る。
【0020】
特定の実施形態において、本開示は、MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライトを含む、本明細書に記載のいずれかの触媒成分(第1の触媒成分と称する)を、第1の触媒成分と組成的に異なる第2の触媒成分及び任意選択的に少なくとも1種の追加の触媒成分と組み合わせることにより、本明細書に記載のいずれかの触媒組成物を調製するプロセスに関する。
【0021】
本明細書に記載の触媒組成物は、水素、コークス、高級炭化水素(C6及びC7など)並びに低級炭化水素(C3など)などのあまり望ましくない生成物の収率及び選択性を一定に又は低く維持しながら、優れたブチレン活性、ブチレン収率及びブチレン選択性を提供する複数のゼオライト骨格を含む。MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライトを含む、本明細書に記載の触媒成分も同様の優れた性能を提供する。
【0022】
特定の実施形態において、本開示は、供給原料を、MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)及び非ゼオライト系マトリックスを含む、本明細書に記載のいずれかの触媒成分と接触させることによる、炭化水素供給原料の接触分解のプロセスに関する。特定の実施形態において、接触は、本明細書に記載のいずれかの触媒組成物の一部である触媒成分との間で生じる。
【0023】
特定の実施形態において、供給原料を、MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)を含む、本明細書に記載のいずれかの触媒成分及び非ゼオライト系マトリックスと接触させることから達成される第1のブチレン対プロピレン選択性比は、供給原料を、MSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライトなしの、ベータゼオライト及び/又はZSM-5ゼオライト(例えば、リン安定化のないMCM-68)を含む触媒成分と接触させることから達成される第2のブチレン対プロピレン選択性比よりも大きい。
【0024】
特定の実施形態において、ゼオライト構造及び活性は、以下の特性:ゼオライト表面積(ZSA)、全表面積(TSA)、スチームドゼオライト表面積(sZSA)、全酸度、孔容積、TC4=(全ブチレン)収率、ブチレン対プロピレン選択性比などの1つ又は複数により証明され得る。これらの値は、目標達成可能な値であり、本明細書に記載の触媒成分又は触媒組成物に固有ではないと見なすべきである。
【0025】
本開示の上記及び他の特徴、それらの性質並びに様々な利点は、添付の図面と併せて考慮される以下の詳細な説明を考慮してより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】MCM-68ゼオライトを含む触媒成分のX線回折(XRD)パターンを示す。
【
図1B】
図1Aと同じ触媒成分のスチーミング後のXRDパターンを示す。
【
図2】
図2Aは、スチーミング前及びリン変性のないMCM-68ゼオライトを含む触媒成分の(変換及び選択性に関する)性能を示す。
図2Bは、スチーミング後及びリン変性のないMCM-68ゼオライトを含む触媒成分の(変換及び選択性に関する)性能を示す。
図2Cは、2重量%のリンによるリン変性及びスチーミング後のMCM-68ゼオライトを含む触媒成分の(変換及び選択性に関する)性能を示す。
図2Dは、4重量%のリンによるリン変性及びスチーミング後のMCM-68ゼオライトを含む触媒成分の(変換及び選択性に関する)性能を示す。
図2Eは、MCM-68ゼオライトを含む触媒成分及びZSM-5ゼオライトを含む比較ベース触媒成分の(変換及び選択性に関する)性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の参照物を含む。したがって、例えば、「成分」への言及は、単一の成分及び2種以上の類似の又は異なる成分の混合物などを含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、測定量に関連する「約」という用語は、測定を行い、測定の目的及び測定装置の精度に見合った注意レベルを行使する当業者によって予想される、その測定量における通常の変動を指す。特定の実施形態において、「約」という用語は、言及された数±10%を含み、例えば、「約10」は、9~11を含むであろう。
【0029】
本明細書で使用される場合、「触媒」、又は「触媒組成物」、又は「触媒材料」という用語は、反応を促進する材料を指す。本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、触媒組成物又は添加剤組成物を言及する場合、第2の成分と混合又はブレンドされた第1の成分など、2種以上の別個の異なる成分のブレンド又は混合物を意味する。特定の実施形態において、組成物中の成分は、化学的に結合しており、物理的手段(例えば、濾過)によって分離することができない。他の実施形態において、組成物中の成分は、化学的に結合されておらず、物理的手段(例えば、濾過)を介して分離され得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「流動接触分解」又は「FCC」という用語は、石油原油の高沸点、高分子量炭化水素画分を、より価値のあるガソリン、オレフィン系ガス及び他の製品に変換させる、石油精製所における変換プロセスを指す。
【0031】
「分解条件」又は「FCC条件」は、典型的なFCCプロセス条件を指す。典型的なFCCプロセスは、450℃~650℃の反応温度及び600℃~850℃の触媒再生温度で実行される。高温再生触媒は、ライズ反応器の底部で炭化水素フィードに添加される。固体触媒粒子の流動化は、リフトガスによって促進され得る。触媒は、気化し、フィードを所望の分解温度まで過熱する。触媒及びフィードが上昇する間、フィードが分解され、コークスが触媒上に堆積する。コークス化された触媒及び分解生成物は、ライザーを出て、反応容器の上部で固体-ガス分離システム、例えば一連のサイクロンに入る。分解された生成物は、ガス、ガソリン、軽質ガスオイル、重質サイクルガスオイルを含む一連の生成物に分画される。いくつかのより重質の炭化水素は、反応器にリサイクルされ得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「フィード」又は「供給原料」という用語は、高沸点及び高分子量を有する原油の部分を指す。FCCプロセスでは、炭化水素供給原料は、FCCユニットのライザーセクション中に注入され、そこで、供給原料は、触媒再生器からライザー-反応器に循環される高温触媒に接触したとき、より軽質でより価値のある生成物に分解される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「粒子」は、噴霧乾燥によって得ることができる微小球の形態であり得る。当事者によって理解されるように、微小球は、必ずしも完全な球形である必要はない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「非ゼオライト系成分」、又は「マトリックス」、又は「非ゼオライト系マトリックス」という用語は、ゼオライト又はモレキュラシーブでないFCC触媒の成分を指す。本明細書で使用される場合、非ゼオライト系成分は、バインダー及びフィラーを含むことができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ゼオライト」という用語は、ケイ素、アルミニウム及び酸素イオンの広範な3次元ネットワークに基づくフレームワークを有する結晶性アルミノシリケートであり、実質的に均一な細孔分布を有するものを指す。
【0036】
本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で別途指示がない限り、範囲内に含まれる各個別の値を個別に参照する簡略法として機能することのみを意図し、各個別の値は、本明細書で個別に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載した全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り又は文脈によって別に明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に特定の材料及び方法を明らかにすることを意図し、範囲に対する限定を提起するものでない。本明細書におけるいかなる文言も、開示される材料及び方法の実施に任意の特許請求されない要素が必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0037】
本開示は、特定の実施形態において、リン安定化MCM-68などのMSEゼオライト構造を有するリン安定化ゼオライトを含む触媒成分、その調製方法及びその使用方法に関する。特定の実施形態において、本開示は、前記触媒成分を含む触媒組成物、その調製方法及びその使用方法に関する。
【0038】
本明細書において第1の触媒成分と呼ばれる上記の触媒成分及びその調製方法が説明され、続いて触媒組成物及びその調製方法が説明され、さらに続いて、本開示によって考慮される第1の触媒成分のいずれか及び/又はいずれかの触媒組成物を使用する方法が説明される。
【0039】
第1の触媒成分
特定の実施形態において、第1の触媒成分は、リン安定化されたMCM-68などのMSEゼオライト構造を有するゼオライトと、第1の非ゼオライト系マトリックスとを含む。MSEゼオライト構造は、各チャネルが四面体配位原子の12員環によって画定される少なくとも1つのチャネルシステムと、少なくとも2つのさらなる独立したチャネルシステムであって、その各々において、各チャネルが四面体配位原子の10員環によって画定される、少なくとも2つのさらなる独立したチャネルシステムとを含む多孔性結晶材料を指し、固有の10員環チャネルの数は、12員環チャネルの数の2倍である。
【0040】
特定の実施形態において、MSEゼオライト構造の12員環チャネルの寸法は、約0.64×0.68nmであり、MSEゼオライト構造の10員環チャネルの1つの寸法は、約0.52×0.58nmであり、MSEゼオライト構造の10員環チャネルの別のものの寸法は、約0.52×0.52nmである。MSEゼオライト構造の例示的なX線回折(XRD)パターンは、
図1に示される(MCM-68曲線を参照されたい)。
【0041】
特定の実施形態において、リン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)は、ピーク位置及び強度に関して、リン安定化のない同じゼオライトの第2のXRDパターンに実質的に類似している第1のXRDパターンを有する。
【0042】
特定の実施形態において、リン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)のケイ素対アルミニウム比(SAR)は、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13若しくは約14のいずれかから約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55若しくは約60のいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一SAR値のいずれかである。一実施形態において、第1の触媒成分中のリン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)のSARは、約5~約60の範囲である。一実施形態において、第1の触媒成分中のリン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)のSARは、約7~約30の範囲である。一実施形態において、第1の触媒成分中のリン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)のSARは、約9~約15の範囲である。限定的に解釈されることないが、SARは、ゼオライトの安定性及び活性に影響を及ぼす重要なパラメータであり得ると考えられる。SAR値は、ゼオライト構造の安定性の維持及びそのブチレン活性間でバランスがとられるべきである。
【0043】
第1の触媒成分中のリン含有量は、第1の触媒成分中のゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%若しくは約3.5重量%のいずれかから約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%若しくは約10重量%のいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一リン濃度値である。一実施形態において、リン含有量は、第1の触媒成分中のゼオライトの全重量に基づいて約0.5重量%~約10重量%の範囲である。一実施形態において、リン含有量は、第1の触媒成分中のゼオライトの全重量に基づいて約1重量%~約5重量%の範囲である。一実施形態において、リン含有量は、第1の触媒成分中のゼオライトの全重量に基づいて約2重量%~約4重量%の範囲である。
【0044】
第1の触媒成分は、第1の触媒成分の全重量に基づいて約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%若しくは約35重量%のいずれかから約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%若しくは約90重量%のいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一濃度値の量でリン安定化MSE構造ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)を含み得る。残りは、第1の非ゼオライト系マトリックス及び/又は1種若しくは複数の追加のゼオライトであり得る。
【0045】
第1の非ゼオライト系マトリックスは、粘土、スピネル、ムライト、ベーマイト、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カオリン、メタカオリン、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-ジルコニア、稀土類ドープアルミナ(例えば、イッテルビウムドープアルミナ、ガドリニウムドープアルミナ、セリウムドープアルミナ又はランタンドープアルミナの1つ若しくは複数から選択される)、シリカドープアルミナ、ガンマ-アルミナ、α-アルミナ、χ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、κ-アルミナ又はそれらの混合物の1つ又は複数を含み得る。
【0046】
1種又は複数の追加のゼオライトは、構造BEA(例えば、ベータゼオライト)、MSE、-SVR、FAU(例えば、ゼオライトY)、MOR、CON、SOF、MFI(例えば、ZSM-5)、IMF、FER、MWW、MTT、TON、EUO、MRE、NAT、CHA、TUN、YFI又はこれらの組み合わせを有するゼオライトを含み得る。特定の実施形態において、1種又は複数の追加のゼオライトは、限定されないが、(1)大細孔ゼオライト(例えば、約7オングストロームよりも大きい細孔開口を有するもの)、例えばUSY、REY、シリコアルミノホスフェートSAPO-5、SAPO-37、SAPO-40、MCM-9、メタロアルミノホスフェートMAPO-36、アルミノホスフェートVPI-5又はメソポーラス結晶性材料MCM-41;REUSY、ゼオライトX、ゼオライトY、脱アルミ化ゼオライトY、シリカ強化脱アルミ化ゼオライトY、ゼオライトベータ、ZSM-3、ZSM-4、ZSM-18及びZSM-20、(2)中細孔ゼオライト(例えば、約4オングストローム~約7オングストロームの細孔開口を有するもの)、例えばZSM-5、MCM-68、ZSM-11、ZSM-11中間体、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-38、ZSM-48、ZSM-57シリコアルミノホスフェートSAPO-31、並びに(3)小細孔ゼオライト(例えば、約4オングストローム未満の細孔開口を有するもの)、例えばエリオナイト及びZSM-34などを含み得る。特定の実施形態において、1種又は複数の追加のゼオライトは、限定されないが、ゼオライトA、ゼオライトB、ゼオライトF、ゼオライトH、ゼオライトK~G、ゼオライトL、ゼオライトM、ゼオライトQ、ゼオライトR、ゼオライトT、モルデナイト、エリオナイト、オフレット、フェリエライト、チャバサイト、クリノプチロライト、グメリン、フィリップサイト及びフォージャサイトを含み得る。
【0047】
特定の実施形態において、スチーミング前及び/又はスチーミング後の第1の触媒成分のBET全表面積(TSA)は、約150m2/g、約175m2/g、約200m2/g、約225m2/g、約250m2/g、約275m2/g、約300m2/g、約325m2/g、約350m2/g、約375m2/g若しくは約400m2/gのいずれかから約425m2/g、約450m2/g、約475m2/g、約500m2/g、約525m2/g、約550m2/g、約575m2/g、約600m2/g、約625m2/g、約650m2/g、約675m2/g、約700m2/g、約725m2/g若しくは約750m2/gのいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一面積値である。一実施形態において、スチーミング前及び/又はスチーミング後の第1の触媒成分のBET全表面積は、約150m2/g~約750m2/gの範囲である。一実施形態において、スチーミング前及び/又はスチーミング後の第1の触媒成分のBET全表面積は、約175m2/g~約675m2/gの範囲である。一実施形態において、スチーミング前及び/又はスチーミング後の第1の触媒成分のBET全表面積は、約200m2/g~約600m2/gの範囲である。限定的に解釈されるものではないが、ブチレン活性(少なくとも第1の触媒成分を炭化水素フィードと接触させたときに生成される第1の触媒成分の用量あたりのブチレン量として定量化)は、ゼオライト表面積(ZSA)の増加(又はTSAの増加)及び/又はスチームドゼオライト表面積(SZSA)(若しくはスチームドTSA)の増加とともに増加すると考えられる。
【0048】
特定の実施形態において、第1の触媒成分は、スチーミング前及び/又はスチーミング後、約0.05cc/g、約0.06cc/g、約0.07cc/g、約0.08cc/g、約0.09cc/g、約0.10cc/g、約0.11cc/g、約0.12cc/g、約0.13cc/g、約0.14cc/g若しくは約0.15cc/gのいずれかから約0.16cc/g、約0.17cc/g、約0.18cc/g、約0.19cc/g、約0.20cc/g、約0.21cc/g、約0.22cc/g、約0.23cc/g、約0.24cc/g、約0.25cc/g、約0.26cc/g、約0.27cc/g、約0.28cc/g、約0.29cc/g若しくは約0.30cc/gのいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲又は単一微細孔容積値のt-プロット微細孔容積を有する。一実施形態において、第1の触媒成分は、スチーミング前及び/又はスチーミング後、約0.05cc/g~約0.30cc/gの範囲のt-プロット微細孔容積を有する。一実施形態において、第1の触媒成分は、スチーミング前及び/又はスチーミング後、約0.06cc/g~約0.23cc/gの範囲のt-プロット微細孔容積を有する。一実施形態において、第1の触媒成分は、スチーミング前及び/又はスチーミング後、約0.07cc/g~約0.16cc/gの範囲のt-プロット微細孔容積を有する。限定的に解釈されることなく、第1の触媒成分の微細孔容積は、第1の触媒成分のブチレン関連活性に重大な寄与をするものであり得ると考えられる。
【0049】
特定の実施形態において、第1の触媒成分は、スチーミング前及び/又はスチーミング後、約0.3mmol/(g触媒)~約0.7mmol/(g触媒)、約0.3mmol/(g触媒)~約0.6mmol/(g触媒)若しくは約0.3mmol/(g触媒)~約0.5mmol/(g触媒)の範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一全酸度値の全酸度を有する。限定的に解釈されることなく、第1の触媒成分の全酸度は、第1の触媒成分のブチレン関連活性を反映するものであり得ると考えられる。試験された触媒成分中の酸部位の総数に関する情報を提供する全酸度は、NH3昇温脱離によって測定される。
【0050】
本開示の一実施形態による第1の触媒成分の調製は、ケイ素源(例えば、コロイド状SiO2)、アルミニウム源(例えば、Al(OH)3)、塩基(例えば、KOH)及び水を組み合わせ、混合物を第1の期間にわたって撹拌することによって開始される。最初の撹拌は、室温で約10分~約60分、約15分~約45分又は約20分~約40分実行され得る。ケイ素源及びアルミニウム源の添加量は、目標SARを達成するように調整され得る。ケイ素源、アルミニウム源又は塩基の種類は、限定的に解釈されるべきではない。当業者が容易に特定することができるような他の適切なケイ素源、アルミニウム源又は塩基が使用され得る。
【0051】
その後、構造指示剤(SDA)、例えば下記の化学構造を有するSDAを混合物に添加し、次いでSDA及び混合物を第2の期間にわたって撹拌し得る。
【化1】
SDA及び混合物の撹拌は、室温で約1時間~約10時間、約2時間~約7時間又は約3時間~約5時間実行され得る。
【0052】
その後、SDAと撹拌された混合物は、第3の期間にわたって高温で水熱合成を受け得る。水熱合成は、約100℃~約250℃、約120℃~約200℃又は約140℃~約180℃の範囲の温度で実行され得る。水熱合成の第3の期間は、約1日~約30日、約5日~約25日又は約10日~約20日の範囲であり得る。
【0053】
特定の実施形態において、MSE構造化ゼオライト(例えば、MCM-68)の水熱合成及び結晶化プロセスが完了したら、スラリーを濾過し、その母液の実質的な部分からMSE構造化ゼオライトを分離し得る。微小球は、例えば、濾過中又は濾過後のいずれかに水と接触させることによって洗浄され得る。洗浄ステップの目的は、微小球内に残存する母液を除去することである。その後、微小球を乾燥させ得る。乾燥は、約40℃~約120℃、約60℃~約100℃又は約70℃~約90℃の範囲の温度で実行され得る。乾燥期間は、約2時間~約72時間、約5時間~約24時間又は約8時間~約15時間の範囲であり得る。
【0054】
第1の触媒成分を調製するプロセスは、合成されたMSE構造化ゼオライト(例えば、合成されたMCM-68)をリンによって変性又は安定化することをさらに含み得る。変性又は安定化は、特定の実施形態において、合成されたMSE構造化ゼオライト(例えば、合成されたMCM-68)にリンを含浸させることを含み得る。含浸は、リン源によるインシピエント湿式含浸を通したものであり得る。適切なリン源は、限定されないが、リン酸、リン酸二アンモニウム又はそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態において、MSE構造化ゼオライト(例えば、MCM-68)をリンによって変性又は安定化するための他の方法を利用し得る。利用されるリン源の量は、第1の触媒成分中の目標リン含有量を達成するように調整され得る。
【0055】
リン安定化MSE構造化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)は、(リン変性/安定化前に、記載された前の乾燥ステップに加えて又は前の乾燥ステップの代わりに)乾燥され得る。特定の実施形態において、リン安定化MSEゼオライトの乾燥は、約40℃~約250℃、約80℃~約200℃又は約100℃~約140℃の範囲の温度で起こり得る。リン安定化MSEゼオライトの乾燥時間は、約2時間~約72時間、約5時間~約24時間又は約8時間~約15時間の範囲であり得る。
【0056】
第1の触媒成分を調製するプロセスは、リン安定化MSE構造化ゼオライト(例えば、リン安定化MCM-68)を例えばマッフル炉で焼成することをさらに含み得る。焼成期間は、約30分~約10時間、約1時間~約8時間又は約2時間~約4時間の範囲であり得る。焼成温度は、約400℃~約800℃、約500℃~約750℃又は約600℃~約700℃の範囲であり得る。焼成温度及び期間は、限定的に解釈されるべきではない。様々な状況下で他の焼成期間及び温度が利用され得る。
【0057】
第1の触媒成分を調製するための本明細書に記載されたプロセスは、限定的に解釈されるべきではない。特定の実施形態において、1つ又は複数の乾燥ステップがプロセスの様々な部分で実施され得、1つ又は複数の焼成ステップがプロセスの様々な部分で実施され得、1つ又は複数のリン安定化/変性ステップがプロセスの様々な部分で実施され得、他も同様である。同様に、ステップの順序は、限定的に解釈されるべきではなく、リン安定化/変性、及び/又は乾燥、及び/又は焼成(及び任意選択的に他のステップ)は、本明細書に記載されたものと異なるプロセスのステップで導入され得ることが理解されるべきである。特定の実施形態では、単一の実体が上記プロセスステップの全てを実施する一方、別の実施形態では、2つ以上の実体が上記プロセスステップを実施することも理解されるべきである。
【0058】
限定的に解釈されるべきではないが、第1の触媒成分中にリンが含まれると、第1の触媒成分は、スチーム処理に対して安定化され、これは、流動接触分解及び/又は水素化分解用途における性能向上に寄与すると考えられる。異なるゼオライト構造は、スチーム処理などの厳しい条件下で異なる挙動を示し、したがって、各ゼオライトは、必要に応じてカスタマイズされた安定化技術から利益を得るであろう。ゼオライトYなどの特定のゼオライト構造では、構造安定化のために希土類カチオンが使用され得る。あるゼオライト構造に有効となり得る安定化技術が、異なるゼオライト構造に有効であるとは限らない。上記にかかわらず、驚くべきことに、本明細書において、スチーム処理条件下でMCM-68などのMSE構造ゼオライトの構造安定化のためにリンが使用され得ることが確認された。
【0059】
触媒の組成
特定の実施形態において、本開示は、第2の触媒成分及び任意選択的に少なくとも1種の追加成分とともに、本明細書に記載されるいずれかの第1の触媒成分を含む触媒組成物に関する。第2の触媒組成物は、第1の触媒成分と組成的に異なる。存在し得る任意の追加成分も第1の触媒成分及び第2の触媒成分と組成的に異なり得る。
【0060】
第2の触媒成分は、第2のゼオライト及び第2の非ゼオライト系マトリックスを含み得る。それぞれの少なくとも1種の追加成分は、それぞれの1種の追加の非ゼオライト系マトリックスを含み得る。特定の実施形態において、少なくとも1種の追加成分は、少なくとも1種の追加のゼオライトを含む。
【0061】
第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加のゼオライトは、構造BEA(例えば、ベータゼオライト)、MSE、-SVR、FAU(例えば、ゼオライトY)、MOR、CON、SOF、MFI(例えば、ZSM-5)、IMF、FER、MWW、MTT、TON、EUO、MRE、NAT、CHA、TUN、YFI又はそれらの組み合わせを有するゼオライトから独立して選択され得る。特定の実施形態において、第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加のゼオライトは、限定されないが、(1)大細孔ゼオライト(例えば、約7オングストロームよりも大きい細孔開口を有するもの)、例えばUSY、REY、シリコアルミノホスフェートSAPO-5、SAPO-37、SAPO-40、MCM-9、メタロアルミノホスフェートMAPO-36、アルミノホスフェートVPI-5又はメソポーラス結晶性材料MCM-41;REUSY、ゼオライトX、ゼオライトY、脱アルミ化ゼオライトY、シリカ強化脱アルミ化ゼオライトY、ゼオライトベータ、ZSM-3、ZSM-4、ZSM-18及びZSM-20、(2)中細孔ゼオライト(例えば、約4オングストローム~約7オングストロームの細孔開口を有するもの)、例えばZSM-5、MCM-68、ZSM-11、ZSM-11中間体、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-38、ZSM-48、ZSM-57シリコアルミノホスフェートSAPO-31、並びに(3)小細孔ゼオライト(例えば、約4オングストローム未満の細孔開口を有するもの)、例えばエリオナイト及びZSM-34などから独立して選択され得る。特定の実施形態において、第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加のゼオライトは、限定されないが、ゼオライトA、ゼオライトB、ゼオライトF、ゼオライトH、ゼオライトK~G、ゼオライトL、ゼオライトM、ゼオライトQ、ゼオライトR、ゼオライトT、モルデナイト、エリオナイト、オフレット、フェリエライト、チャバサイト、クリノプチロライト、グメリン、フィリップサイト、フォージャサイト及びそれらの組み合わせから独立して選択され得る。
【0062】
上記の多くのゼオライトの水熱的及び/又は化学的変性型も、本明細書で考慮される触媒組成物中の第2の触媒成分及び/又は少なくとも1種の追加成分(存在する場合)において適切に使用され得る。
【0063】
一実施形態において、第2の成分中の第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加成分中の少なくとも1種の追加のゼオライト(存在する場合)は、7オングストロームよりも大きい細孔径を有する大細孔モレキュラシーブゼオライトを含む。一実施形態において、第2の成分中の第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加成分中の少なくとも1種の追加のゼオライト(存在する場合)は、ゼオライトYを含む。一実施形態において、第2の成分中の第2のゼオライト及び/又は少なくとも1種の追加成分中の少なくとも1種の追加のゼオライト(存在する場合)は、ZSM-5、ベータゼオライト又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態において、第2の成分中の第2のゼオライトは、Yゼオライトであり、少なくとも1種の追加成分中の少なくとも1種の追加のゼオライト(存在する場合)は、ZSM-5、ベータゼオライト又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、第2の成分中の第2のゼオライトは、Yゼオライトと、ZSM-5及びベータゼオライトの少なくとも1つとの組み合わせである。
【0064】
少なくとも1種の追加成分中の第2の非ゼオライト系マトリックス及び/又は少なくとも1種の追加の非ゼオライト系マトリックス(存在する場合)は、独立して、粘土、スピネル、ムライト、ベーマイト、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、カオリン、メタカオリン、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アナウキサイト、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシア、シリカ-ジルコニア、シリカ-トリア、シリカ-ベリリア、シリカ-チタニア、シリカ-アルミナ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア-ジルコニア、稀土類ドープアルミナ(例えば、イッテルビウムドープアルミナ、ガドリニウムドープアルミナ、セリウムドープアルミナ又はランタンドープアルミナの1つ若しくは複数から選択される)、シリカドープアルミナ、ガンマ-アルミナ、α-アルミナ、χ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、κ-アルミナ又はそれらの混合物の1つ又は複数を含み得る。
【0065】
本明細書に記載のいずれの第1の触媒成分も、触媒組成物の全重量に基づいて約1重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%若しくは約9.5重量%のいずれかから約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%若しくは約25重量%のいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一濃度値の量において、本明細書に考慮されるいずれかの触媒組成物中に存在し得る。一実施形態において、第1の触媒組成物は、触媒組成物の全重量に基づいて約1重量%~約25重量%の範囲の量で触媒組成物中に存在する。一実施形態において、第1の触媒組成物は、触媒組成物の全重量に基づいて約1.5重量%~約15重量%の範囲の量で触媒組成物中に存在する。一実施形態において、第1の触媒組成物は、触媒組成物の全重量に基づいて約2重量%~約10重量%の範囲の量で触媒組成物中に存在する。
【0066】
第2の触媒成分及び/又は任意の追加成分は、累積的に、第1の触媒成分の濃度と合わせて、100重量%まで加算される量で触媒組成物中に存在する。
【0067】
特定の実施形態において、第2の触媒成分は、触媒組成物の全重量に基づいて約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%若しくは約80重量%のいずれかから約85重量%、約91重量%、約92重量%、約93重量%、約94重量%、約95重量%若しくは約96重量%のいずれかまでの範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一値の量で触媒組成物中に存在する、(例えば、限定されないが、ゼオライトY、脱アルミ化ゼオライトY、シリカ強化脱アルミ化ゼオライトY、REY、USY、CREY、REUSYなどの)7オングストロームよりも大きい細孔径を有する大細孔モレキュラシーブゼオライトを含む。
【0068】
特定の実施形態において、少なくとも1種の追加成分は、触媒組成物の全重量に基づいて約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%若しくは約3重量%のいずれかから約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%若しくは約15重量%の範囲又はその任意の部分範囲若しくは単一値の量で触媒組成物中に存在する。
【0069】
特定の実施形態において、触媒組成物中の第1の触媒成分の量は、第2の触媒成分の量よりも低い。例えば、FCC触媒組成物中の第1の触媒成分と第2の触媒成分との重量:重量比は、約1:1.5~約1:20、約1:3~約1:15若しくは約1:5~約1:13又はその任意の部分範囲若しくは単一比率値であり得る。
【0070】
特定の実施形態において、本開示は、本明細書に記載のいずれかの第1の触媒成分を第2の触媒成分及び存在する場合には任意選択的に少なくとも1種の追加成分と組み合わせることにより、本明細書に記載のいずれかの触媒組成物を調製する方法に関する。このプロセスは、触媒組成物中の各成分を調製すること、例えば第1の触媒成分を調製すること、及び/又は第2の触媒成分を調製すること、及び/又は組成物中に存在し得る任意の追加成分を調製することをさらに含み得る。
【0071】
特定の実施形態において、様々な成分は、別個の異なる粒子として配合され得る。この態様において、第1の触媒成分は、必要に応じてFCC触媒組成物に添加され、カスタマイズされた性能を有するカスタマイズされた触媒溶液が提供され得る。触媒組成物は、向上した性能、例えば向上した全ブチレン収率、向上したブチレン対プロピレン選択性比、向上した触媒安定性(例えば、触媒成分及び/又は触媒組成物中のゼオライト構造体の安定性)などを示すように設計され得る。
【0072】
使用方法
MSE構造化ゼオライトは、メタノールからオレフィン(MTO)、メタノールからプロピレン(MTP)、異性化、アルキル化、ジメトキシエタンから軽質オレフィンなどの特定の反応に用いられてきたが、これらのゼオライトは、流動接触分解(FCC)の領域であまり関心がもたれていなかった。上記の反応及び本明細書で考慮される反応の反応経路は、異なる。さらに、触媒成分の蒸気脱活から生じる問題及びゼオライト構造安定化の必要性は、上記の反応では明らかではない。
【0073】
したがって、特定の実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるいずれかの第1の触媒成分の使用並びに/又は流動接触分解及び/若しくは水素化分解などの石油精製用途における、本明細書に記載されるいずれかの触媒組成物の使用に関する。
【0074】
流動接触分解(FCC)は、広く使用されている接触分解プロセスの1つである。このプロセスは、典型的には、流動床を形成するフィード炭化水素の上昇流中に懸濁させた粒子を有する粉末状触媒を利用する。ゼオライトベースの触媒は、ゼオライト、シリカ-アルミナ、アルミナ及び他のバインダーを含む複合触媒と同様に一般的に使用される。代表的なプロセスでは、分解は、垂直又は上向きに傾斜したパイプであるライザーで実行される。
【0075】
予熱されたフィード(例えば、真空ガスオイル)は、フィードノズルを介してライザーの基部に噴霧され得、そこで約400℃~約800℃の温度で熱流動化触媒に接触する。フィードは、触媒との接触時に気化し、分解が生じ、高分子量オイルは、液化石油ガス(LPG)、ガソリン及び蒸留物を含むより軽質の成分に変換される。触媒-フィードの混合物は、ライザー内を短時間(数秒)上昇流した後、サイクロンで分離される。こうして触媒から分離された炭化水素は、LPG、ガソリン、ディーゼル、ケロシン、ジェット燃料及び他の可能なフラクションに分離するための分留器に導入される。
【0076】
ライザーを通過する間、このプロセスは、触媒粒子上に堆積コークスの形成を伴うため、分解触媒は、不活性化される。そのように汚染された触媒は、分解された炭化水素蒸気から分離され、さらに蒸気で処理されて、触媒の細孔に残留する炭化水素が除去される。その後、触媒は、再生装置に導入され、そこで触媒粒子表面からコークスを燃焼させることにより、触媒の活性を回復させ、次の反応サイクルに必要な熱が供給される。分解プロセスは、吸熱性である。次いで、再生された触媒は、新しいサイクルで使用される。そのため、FCCなどの接触分解プロセスのための新しい触媒は、再生が可能であるべきである。MCM-68ゼオライト及び第1の触媒成分は、一実施形態において、再生に関して安定である。
【0077】
接触分解プロセスは、ガスオイル、重質ナフサ、サイクルオイル、脱れき原油残渣、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックス、スラックワックス、前記の水素化処理生成物及びそれらの組み合わせなどの供給原料を使用して、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は触媒組成物を用いて実行され得、ガソリンが典型的に所望の生成物である。約400℃~約800℃の温度条件、約0~約688kPa・g(約0~100psig)の圧力条件及び約0.1秒~約1時間の接触時間が適切である。約450℃~約700℃の温度条件、約0~約344kPa・g(約0~50psig)の圧力条件及び約0.1秒~約数分の接触時間が多くの場合に好ましい。好ましい条件は、分解される炭化水素供給原料及び所望の分解生成物に基づいて決定される。
【0078】
ナフサ分解プロセスは、限定されないが、エチレン及びプロピレンなどの軽質オレフィンに接触分解される、ストレート-ランナフサ、コーカーナフサ、ビスブレーカーナフサ、FCCナフサ及び触媒重合ナフサ(Cat Polyナフサ)などのナフサ供給原料を使用して、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は触媒組成物を使用して実行され得る。ナフサは、例えば、流動接触分解(FCC)型の反応器において第1の触媒成分と接触する。反応器の選択は、ナフサ供給流を触媒と密接に混合するためのいずれの種類の反応器でもあることが可能である。この種類の反応器は、当業者に周知である。
【0079】
代わりに、連続的な触媒再生を伴う移動床反応器又は圧力スイング若しくは温度スイングによる周期的な触媒再生を伴う固定床反応器などの反応器の種類を利用して、炭化水素フィードと第1の触媒成分とを接触させ得る。したがって、ナフサ分解などの接触分解プロセスのための新しい触媒は、再生が可能であるべきである。MCM-68ゼオライト及び第1の触媒成分は、一実施形態において、再生に関して安定である。
【0080】
ナフサ分解反応は、約400℃~約700℃の温度で実行可能である。分解プロセスは、約0~約688kPa・g(約0~100psig)の圧力条件及び約0.1秒~約1時間の接触時間、好ましくは約0.1秒~約0.1時間を使用して実施され得る。他の全てのプロセス変数が等しいと仮定して、長い接触時間は、より低い温度で使用される一方、より短い時間は、より高い温度で使用される。
【0081】
オレフィン分解プロセスは、好ましくは、C4又はC5~C10オレフィンを含む混合オレフィン流などの供給原料を使用して、第1の触媒成分及び/又は触媒組成物を用いて実行され、エチレン、プロピレン及びブチレンが主要な所望の生成物である。オレフィン分解反応器の運転は、400℃~650℃、好ましくは500℃~600℃の温度で実行される。運転中のオレフィン分解反応器の圧力は、0kPa~344kPaであり、オレフィン分圧の好ましい運転圧力は、10kPa~200kPaである。オレフィン分解プロセスの接触時間は、約0.1秒~約1時間である。
【0082】
C4又はC5~C10オレフィン供給原料は、オレフィンをより小さい分子に分解するために、第1の触媒成分及び/又は触媒組成物上に通される。分解プロセスは、触媒成分及び/又は触媒組成物上でいくらかのコーキングを発生させ、時間の経過とともに触媒細孔がコークスで詰まるため、触媒活性が低下する。触媒成分及び/又は触媒組成物は、コークスを酸化し、主にN2、H2O、CO及びCO2を含むガスとして除去することにより再生され得る。反応器内の触媒は、定期的に再生される得、したがってプロセスを頻繁に複数の反応器間で移動させ得る。代わりに、連続的な触媒再生を伴う移動又は流動床反応器などの反応器の種類は、炭化水素フィードを第1の触媒成分及び/又は触媒組成物と接触させるために利用され得る。したがって、オレフィン分解などの接触分解プロセスのための新しい触媒は、再生が可能であるべきである。本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は触媒組成物は、一実施形態において再生に関して安定である。
【0083】
特定の実施形態において、本開示は、供給原料を、本明細書に記載のいずれかの第1の触媒成分又は本明細書に記載のいずれかの触媒組成物と接触させることによる、炭化水素供給原料の接触分解及び/又は水素化分解のプロセスを包含する。一実施形態において、本開示は、供給原料を、リン安定化MSE構造化ゼオライト(リン安定化MCM-68など)及び第1の非ゼオライト系マトリックスを含む第1の触媒成分と接触させることによる、炭化水素供給原料の接触分解及び/又は水素化分解のプロセスに関する。第1の触媒成分は、限定されないが、リン含有量、多孔質結晶構造、全酸度、SAR、微細孔容積、表面積又はそれらの組み合わせに関して、本明細書で上記に記載されたいずれかの特性を有し得る。一実施形態において、本開示は、供給原料を、本明細書に記載のいずれかの触媒組成物(本明細書に記載のいずれかの第1の触媒成分、第2の触媒成分及び任意選択的に少なくとも1種の追加成分を含むもの)と接触させることによる、炭化水素供給原料の接触分解及び/又は水素化分解のプロセスに関する。触媒組成物及びその構成成分は、限定されないが、種々の構成成分の濃度、種々の構成成分の組成又はそれらの組み合わせに関して、本明細書に記載されたいずれかの特性を有し得る。
【0084】
特定の実施形態において、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は本明細書に記載の触媒組成物は、例えば、小オレフィンへの分解に一般的に使用されるゼオライトであるZSM-5と比較して、ブチレンに対するより高い選択性及びより高い全ブチレン収率を有する。
【0085】
一実施形態において、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は本明細書に記載の触媒組成物をFCC条件下で炭化水素供給原料と接触させると、プロピレンに対する第1のブチレン選択比を示し、同じ炭化水素供給原料を、同じFCC条件において、ZSM-5及び無リン安定化MCM-68を含む触媒成分と接触させると、第1のブチレンに対するプロピレン選択比より低い第2のブチレに対するプロピレン選択を示す。
【0086】
特定の実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.7より大きい、約0.8より大きい、約0.85より大きい、約0.9より大きい若しくは約0.95より大きい又は約1より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.7より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.8より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.85より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.9より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約0.95より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。一実施形態において、本明細書に記載の炭化水素フィードを分解する方法は、約1より大きい平均ブチレン対プロピレン選択性比をもたらす。
【0087】
一実施形態において、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は本明細書に記載の触媒組成物をFCC条件下で炭化水素供給原料と接触させると、(所定の変換値において)第1の全ブチレン収率を示し、同じ炭化水素供給原料を、同じFCC条件において、ZSM-5及びリン安定化されていないMCM-68を含む触媒成分と接触させると、(同じ変換値において)第1の全ブチレン収率と実質的に類似の又はより低い第2の全ブチレン収率を示す。
【0088】
特定の実施形態において、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は本明細書に記載の触媒組成物は、ブチレンなどの有利な生成物に関して向上した性能を示すが、ベンゼン、トルエン、キシレン(BTX)、メタン、C6及びC7などのあまり好ましくない生成物に対する選択性が抑制される。
【0089】
特定の実施形態において、本開示は、MSE構造化ゼオライト(MCM-68など)をリン含有化合物で変性させることにより、MSE構造化ゼオライト(MCM-68など)を含む触媒成分の触媒活性(スチーミング後)を安定させるプロセスに関する。スチーミング後の触媒活性の維持は、限定されないが、特定の変換値における全ブチレン収率、ブチレン対プロピレン選択性比、SAR、ゼオライト表面積、微細孔容積、全酸度又はそれらの組み合わせなどのパラメータについてスチーミング前及びスチーミング後の値を比較することによって評価され得る。特定の実施形態において、上記のパラメータのいずれかは、本明細書に記載の第1の触媒成分及び/又は本明細書に記載の触媒組成物について、スチーミング前及びスチーミング後に実質的に同様のままである。さらに、特定の実施形態において、上記のパラメータのいずれかは、リン安定化/変性を実行していないスチーミング前の第1の触媒成分と比較して、(スチーミング前又はスチーミング後にかかわらず)本明細書に記載の第1の触媒成分について実質的に同様のままである。例示的なスチーミング条件は、816℃で約4時間、1ml/分の流速でスチーム処理することを含む。いくつかの実施形態において、スチーミングは、約1時間~約24時間実行される。スチーミング温度及び期間は、限定的に解釈されるべきではない。様々な状況下で他のスチーミング期間及び温度が利用され得る。
【0090】
本明細書で使用される「実質的に同様」という用語は、特定の値が、比較される値の約5%以内、約10%以内又は約15%以内であることを意味する。
【実施例】
【0091】
以下の実施例は、本開示の理解を促進するために記載され、本明細書に記載され、特許請求される本発明を特に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者の範囲に入るであろう、現在知られているか又は後に開発される全ての均等物の置換を含む本発明のそのような変形形態及び配合における変更形態又は実験設計における軽微な変更形態は、本明細書に組み込まれる本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0092】
実施例1:MCM-68の水熱合成
100mmolのSiO
2、10mmolのAl(OH)
3、3000mmolの水及び37.5mmolのKOHの混合物を室温で約30分間混合した。約10mmolの下記化学構造を有する構造指示剤(SDA)を混合物に添加し、次いで室温で約4時間撹拌した。
【化2】
【0093】
SDAとの混合物に約160℃の温度で約16日間水熱合成を受けさせ、次いで濾過、洗浄及び約80℃で一晩乾燥させて、「製造されたままの[Al]-MCM-68」を形成させた。製造されたままの[Al]-MCM-68を650℃で約10時間焼成して、「[Al]-MCM-68(X)」を形成した。ここで、Xは、誘導結合プラズマ原子発光分光法(ICP-AES)によって推定できるシリカ対アルミナ比(SAR)を示す。
【0094】
実施例2:MCM-68のMSE構造に対するリン変性の影響
実施例1で合成したMCM-68のX線回折パターンをスチーミング前(
図1Aを参照されたい)及びスチーミング後(
図1Bを参照されたい)に測定した。
【0095】
図1Aは、スチーミング前及びリン変性のないMCM-68ゼオライト(「H-MCM-68」)、スチーミング前であるが、2重量%のリンによるリン変性後のもの(「H-MCM-68_P 2wt%」)、スチーミング前であるが、4重量%のリンによるリン変性後のもの(「H-MCM-68_P 4wt%」)、スチーミング前であるが、6重量%のリンによるリン変性後のもの(「H-MCM-68_P 6wt%」)を含む触媒成分のX線回折(XRD)パターンを示す。
【0096】
図1Bは、
図1Aと同じ触媒成分のスチーミング後のXRDパターンを示す。具体的には、スチーミング後及びリン変性のない触媒成分(「H-MCM-68-ST」)、2重量%のリンによるリン変性及びスチーミング後の触媒成分(「H-MCM-68_P 2wt%-ST」)、4重量%のリンによるリン変性及びスチーミング後の触媒成分(「H-MCM-68_P wt%-ST」)並びに6重量%のリンによるリン変性及びスチーミング後の触媒成分(「H-MCM-68_P 6wt%-ST」)である。
【0097】
リン変性は、MCM-68ゼオライト含有触媒成分を約0.6g採取し、適量のリン酸二アンモニウムによってインシピエント湿式含浸を行うことにより達成された。このリン含浸触媒成分を120℃で12時間乾燥させた後、マッフル炉中650℃で約3時間焼成した。スチーミングされたリン酸塩変性触媒成分のスチーミング条件は、816℃で4時間、1ml/分の速度の水流であった。
【0098】
図1A及び1Bから見られるように、MCM-68のMSE構造は、リン変性後及び/又はスチーミング後も保持される。
【0099】
実施例3:1-オクテン分解反応におけるMCM-68ゼオライト(P変性のあるもの及びないもの)の性能
1オクテンの分解反応において、MCM-68ゼオライト含有触媒成分(リン変性のあるもの及びないもの)のスチーミング前後の性能をベース触媒の性能と比較した。反応条件は、触媒成分は、2.5mgであり、P1-オクテンは、33kPaであり、温度は、600℃であり、アルゴン流速は、30ml/分であった。前処理条件は、1時間、600℃において21.4ml/分の空気流速であった。スチーミング条件は、816℃で4時間、1ml/分の速度での水流であった。
【0100】
5種の触媒成分を評価した:A)MCM-68ゼオライトを含む触媒成分(
図2A、「MCM-68」)、B)上記スチーミング条件でのスチーミング後のMCM-68を含む触媒成分(
図2B、「MCM-68_ST」)、C)上記スチーミング条件でのスチーミング後、2重量%リンによって変性されたMCM-68を含む触媒成分(
図2C、「2wt%P/MCM-68_ST」)、D)上記スチーミング条件でのスチーミング後、4重量%のリンによって変性されたMCM-68を含む触媒成分(
図2D、「4wt%P/MCM-68_ST」)、E)上記スチーミング条件でのスチーミング後のベース触媒(B)としてZSM-5を含む触媒成分(
図2E、「B_ST」)。
【0101】
図2Aから見られるように、P変性又はスチーミング前のMCM-68を含む触媒成分では、1-オクテンのブチレンへの変換率は、約80%に近い。この変換率は、
図2Eに見られるように、約60%であるベース触媒の変換率よりも高い。しかし、P変性を実行せずにMCM-68を含む触媒成分をスチーミングした後、
図2Bに見られるように、変換は、40%まで減少する。驚くべきことに、MCM-68のリン変性は、
図2C(約60%変換)及び2D(約70%変換)に見られるように、スチーミング後でもベース触媒のものと同等であるか又はそれより高い変換値を維持する触媒成分を提供する。
【0102】
図2A~
図2Dから、MCM-68ゼオライトを含む触媒成分(リン変性されたか又は否かにかかわらず)は、特に早い時点(例えば、約4時間まで)で、プロピレン(C3)と比較してはるかに多くのブチレン(C4=合計)を生成することも明らかである。対照的に、1-オクテン分解反応の初期4時間では、
図2Eに示すベース触媒は、ブチレン及びプロピレンがほぼ同量生成する。すなわち、MCM-68ゼオライトを含む触媒成分の選択性は、ZSM-5ゼオライトを含む触媒成分と比較して、プロピレンに対するブチレンの選択性が大きいことが示された。
【0103】
実施例4:様々なリン変性のレベルでのMCM-68ゼオライトの活性関連特性
様々なレベルのリンを有する触媒成分を実施例2に記載したように調製し、それらの酸度、全表面積及び微細孔容積に関して特性評価した。これらの特性は、触媒成分の性能を示すと考えられる。結果は、以下の表1に要約される。
【0104】
【0105】
表1の結果は、MCM-68ゼオライト含有触媒成分にリンを添加しても、スチーム不活性化後に保持される表面積及び/又は細孔容積の量は、改善しないように見えるが、(特定の量のリンが添加されるまでは)より多くの酸部位を保持するのに役立つことを示している。より高い全酸度は、より高い活性又は改善された触媒性能を反映すると考えられる。表1の結果は、改善された触媒性能を提供する好ましいリン含有量の範囲が存在し得ることも示唆している。
【0106】
説明を簡単にするために、本開示の方法の実施形態は、一連の行為として描かれ、記載される。しかしながら、本開示に従う行為は、様々な順序において且つ/又は同時に、及び本明細書で提示及び説明されない他の行為と一緒に実行可能である。さらに、開示される主題に従った方法を実施するために、図示された全ての行為が必要とされるとは限らない。加えて、当業者は、方法が、代替的に、状態図又は事象を介した一連の相互関連する状態として表され得ることを理解し、認識するであろう。
【0107】
前述の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなど、多数の特定の詳細が記載されている。特定の特徴、構造、材料又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされ得る。「例」又は「例示的」という用語は、本明細書では、例、実例又は説明として役立つことを意味するために使用される。本明細書において「例」又は「例示的」として説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましいか又は有利であると解釈される必要はない。むしろ、「例」又は「例示的」という用語の使用は、具体的な様式で概念を提示することを意図する。本出願で使用されるように、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を意味することが意図される。すなわち、他に指定されない限り又は文脈から明らかでない限り、「Xは、A又はBを含む」は、自然な包含的順列のいずれかを意味することが意図される。すなわち、XがAを含む、XがBを含む又はXがA及びBの両方を含む場合、「Xは、A又はBを含む」は、前述の例のいずれにおいても満たされる。本明細書全体を通して、「実施形態」、「特定の実施形態」又は「一実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「実施形態」、「特定の実施形態」又は「一実施形態」という表現が現れるが、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。
【0108】
本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされることになる。本明細書で示され、説明されるものに加えて、本開示の様々な変更形態が当業者に明らかになり、添付の請求項の範囲内に入ることが意図される。
【国際調査報告】