(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】分散補償を備えた屈折レーザ通信ビームディレクタ
(51)【国際特許分類】
H04B 10/11 20130101AFI20231127BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
H04B10/11
G02B26/08 D
G02B26/08 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530270
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021059853
(87)【国際公開番号】W WO2022109111
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519100985
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・インフォメーション・アンド・エレクトロニック・システムズ・インテグレイション・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、ロバート・ティー.
【テーマコード(参考)】
2H141
5K102
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB23
2H141MB39
2H141MC04
2H141MC09
2H141MD12
2H141MF05
2H141MZ13
5K102AA22
5K102AL23
5K102PC12
5K102PH25
(57)【要約】
全二重レーザ通信端末のためのコボアサイト屈折ビームディレクタは、2つまたは3つのプリズムリズレープリズムアセンブリなどの有色ビームステアリング素子と、送信経路または受信経路のいずれかに挿入された分散補償機構(DCM)とを含む。DCMは、送信波長と受信波長との間の差に起因してビームステアリング素子によって導入されるポインティング差を補償するために、送信レーザビームまたは受信レーザビームのいずれかのビーム方向を調整する。DCMは、チップ/チルトミラーおよびアクチュエータを含むことができ、これは市販のFSMアセンブリとすることができる。ビームステアリング素子は、温度安定化されることができる。位置フィードバックセンサは、DCM速度および精度を増加させることができる。ポインティング差は、ポインティング差を送信および受信周波数ならびにビームステアリング素子のポインティング方向に関連付ける事前に確立されたルックアップテーブルまたは適合曲線から計算および/または補間することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ通信端末であって、
リモートノードへの送信波長で送信レーザビームを生成するように構成された送信チャネルと、
前記送信波長とは異なる受信波長で前記リモートノードから受信レーザビームを受信するように構成された受信チャネルと、
コントローラと、
前記送信レーザビームを前記リモートノードに向け、前記受信レーザビームを前記受信チャネルに向けるように構成されたコボアサイトビームディレクタとを備え、
前記コボアサイトビームディレクタは、
前記送信レーザビームおよび前記受信レーザビームを屈折させるように構成されたビームステアリング素子と、前記ビームステアリング素子は有色であり、それによって、前記送信波長と前記受信波長との間の差に従って、前記送信レーザビームおよび前記受信レーザビームをそれぞれ第1の屈折角および第2の屈折角を通して屈折させ、前記第1の屈折角と前記第2の屈折角との間の差は、本明細書ではポインティング差と呼ばれ、
送受信レーザビームの一方である補償レーザビームの方向を調整するように構成された分散補償機構(DCM)とを備え、前記送受信レーザビームの他方は非補償レーザビームであり、
前記コントローラは、前記DCMに、前記ポインティング差を補償するように前記補償されたレーザビームの方向を調整させ、それによって、前記レーザ通信端末と前記リモートノードとの間を通過中に、前記送信レーザビームと前記受信レーザビームとの間の角度差を100マイクロラジアン未満にさせるように構成される、レーザ通信端末。
【請求項2】
前記ビームステアリング素子は、リズレープリズムアセンブリである、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項3】
前記リズレープリズムアセンブリは、2レンズリズレープリズムアセンブリである、請求項2に記載のレーザ通信端末。
【請求項4】
前記ビームステアリング素子は、光学グレードの単結晶シリコンで作られた光学素子を含む、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項5】
前記DCMは、チップ/チルトミラーを備え、前記チップ/チルトミラーは、前記コントローラによって指示されるように前記チップ/チルトミラーを再配向することができるミラーアクチュエータと協調する、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項6】
前記ミラーアクチュエータは、音声コイルを備える、請求項5に記載のレーザ通信端末。
【請求項7】
前記ミラーアクチュエータは、圧電ドライブを備える、請求項5に記載のレーザ通信端末。
【請求項8】
前記DCMは、高速ステアリングミラーアセンブリである、請求項5に記載のレーザ通信端末。
【請求項9】
前記DCMは、軸の周りの前記チップ/チルトミラーの位置を感知するように構成された少なくとも1つのフィードバックセンサを備える、請求項5に記載のレーザ通信端末。
【請求項10】
位置センサは、容量センサ、誘導センサ、および歪みゲージのうちの1つである、請求項9に記載のレーザ通信端末。
【請求項11】
前記送信波長と前記受信波長との間の差が2nmから15nmである、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項12】
前記コボアサイトビームディレクタは、これらが前記レーザ通信端末と前記リモートノードとの間の通過中に、前記送信レーザビームと前記受信レーザビームとを2マイクロラジアン未満の範囲内で互いに平行にさせることができる、請求項11に記載のレーザ通信端末。
【請求項13】
前記ビームステアリング素子は、温度安定化される、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項14】
前記コボアサイトビームディレクタは、多くて4立方インチの体積を占める、請求項1に記載のレーザ通信端末。
【請求項15】
レーザ通信端末をリモートノードに位置合わせする方法であって、
請求項1に記載の第1及び第2のレーザ通信端末を提供することと、
前記非補償レーザビームをポインティング方向に向けるように前記ビームステアリング素子を調整し、それによって前記非補償レーザビームを前記リモートノードと位置合わせすることと、
前記ポインティング差を決定することと、
前記DCMに、前記ポインティング差を補償するように前記補償されたレーザビームの方向を調整させ、それによって、前記レーザ通信端末と前記リモートノードとの間を通過中に、前記送信レーザビームおよび前記受信レーザビームを平行にさせ、実質的に同一線上にさせることとを含む、方法。
【請求項16】
前記方法は、前記送信波長、前記受信波長、およびポインティング方向の関数としてビームディレクタのポインティング差を含むルックアップテーブルを確立することをさらに含み、前記ポインティング差を決定することは、前記ルックアップテーブルに基づいて前記ポインティング差を補間することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ルックアップテーブルを確立することは、前記ルックアップテーブル内の少なくとも1つのエントリを実験的に検証することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記送信波長および前記受信波長の関数として、ポインティング差をポインティング方向に関連付ける少なくとも1つの適合曲線を確立することをさらに含み、前記適合曲線は、実験的に測定された値に適合された曲線である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、レーザ通信に関し、より詳細には、レーザ通信ビームをポインティングおよびステアリングするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]民間ワイヤレス通信及び軍事ワイヤレス通信の両方の急増により、通信ノード間の大量のデータの高速で、信頼性があり、安全なワイヤレス通信の必要性が高まっている。「ワイヤレス」という用語は、本開示全体を通して、送信機と受信機との間の物理リンクに依存しない任意の通信を指すために使用されることに留意されたい。したがって、本明細書で使用される「ワイヤレス」という用語は、光ファイバ通信ならびに銅線を通した通信を除外する。
【0003】
[0003]ワイヤレス無線周波数による従来の通信は、いくつかの欠点に悩まされており、それらの欠点の多くは、典型的な電波放射の広い地理的分散から生じる。指向性アンテナおよびアンテナアレイが使用されるときであっても、無線信号は、一般に、広い地理的エリアにわたって分散され、距離とともに信号強度の急速な減衰を引き起こし、また、信号が意図されない受信機によって比較的容易に傍受されることを引き起こす。無線通信信号が地理的に重複しているため、通常、無線チャネルを特定の周波数帯域に割り当てる必要があり、これらの周波数帯域は供給が限られていることが多い。更に、敵意のある相手が、関心領域を覆う高エネルギーで無線信号を送信することによって無線通信を妨害しようと試みることは比較的容易である。
【0004】
[0004]レーザ通信は、レーザ通信ビームの非分散の、極めて指向性の高い特性が無線通信に関係する問題のほとんどを本質的に回避するので、特にポイントツーポイント通信が長距離で必要とされるときに、無線通信に対する魅力的なワイヤレス代替物を提供する。特に、レーザ信号は、信号エネルギーがビーム内で厳密にコリメートされたままであるので、距離の関数としてほとんど減衰を受けない。また、2つのビームが非常に最小の角度分離で同じ受信側に向けられない限り、レーザ信号ビーム間の干渉が回避されるので、周波数帯域をレーザ通信ユーザに割り当てる必要がない。また、レーザ通信の傍受及びレーザ通信との干渉は、レーザ通信ビームの直接傍受、及び/又は意図された信号受信機に直接ジャミングビームを集束させることを必要とするので、レーザ通信セキュリティは本質的に高い。
【0005】
[0005]全二重(同時、双方向)レーザ通信は、ネットワーク接続性及び帯域幅を最大化し、ハンドシェイクオーバーヘッドを最小化するために、レーザ通信ネットワーク中の端末間で実装することができる。典型的には、2つのレーザ波長は、レーザ通信ネットワーク内の2つの通信ノード間の各全二重リンク内に実装され、それによって、ノードの各々は、2つの波長のうちの一方で送信し、他方で受信する。2つの実装された波長は、一般に、「第1の」波長及び「第2の」波長と呼ぶことができる。しかしながら、表現を簡単にするために、全二重レーザ通信リンク中に実装される2つの波長は、本明細書では「赤色」及び「青色」波長と呼ばれることがあるが、可視スペクトル内にない波長を含む任意の2つの波長を選択することができる。
【0006】
[0006]レーザ通信リンクの2つの波長は、典型的には、受信チャネルが送信チャネルから60~100dB以上の係数だけ分離されることができるように選択される。実際には、これは一般に、少なくとも3.2nmの「赤色」波長と「青色」波長との間の分離を必要とする。いくつかの実装形態では、全二重レーザ通信ネットワークにおいて実装されるメッセージ送信レーザの各々は、いくつかの密集した波長間で調整可能であり、それによって、レーザ通信ネットワーク内の通信リンクが「赤色」および「青色」波長の異なる対を使用して形成されることを可能にする。しかしながら、一般的に言えば、メッセージ送信レーザの各々は、密集した「赤色」波長または「青色」波長のグループに限定され、したがって、「赤色」レーザまたは「青色」レーザのいずれかである。
【0007】
[0007]多くの場合、全二重レーザ通信ネットワーク内のノードは、約1540から1570nmの範囲にわたる電気通信国際電気通信連合高密度波長分割多重(ITU DWDM)1555nm帯域内の波長を有するレーザビームを送受信するように構成され、それによって、端末が商用光ファイバ電気通信デバイスおよびインフラストラクチャを実装することを可能にする。
【0008】
[0008]もちろん、レーザビームの指向性が高いため、通信ノードは、それらのレーザを互いに正確に位置合わせし、効果的に通信するために経時的に位置合わせを維持することが必要である。典型的には、レーザ通信端末を全体として再配向することによって、例えば、衛星、航空機、または地上局全体を再配向することによって、レーザビームを位置合わせさせることは、不便または不可能である。したがって、レーザ通信端末は、一般に、送信されたレーザビームがリモートノードに正確に向けられ、リモートノードから受信されたレーザ光が端末内の信号検出器に正確に向けられるように、端末をリモートノードと位置合わせすることができるビームディレクタを実装する必要がある。典型的には、初期ポインティングは、レーザビームをポインティングするための初期不確実性体積に対応して、2ミリラジアンより良好でなければならず、ポインティングは、その後、各端末によってわずか数マイクロラジアンに低減される。
【0009】
[0009]多くの場合、レーザ通信端末は、「コボアサイト(co-boresight)」アーキテクチャを実装し、それによって、受信レーザ光および送信レーザ光の両方が同じ「共有」ビームディレクタを通過する。原則として、このコボアサイトアプローチは、共有されたコボアサイトビームディレクタをリモートノードと位置合わせすることが、送信されるレーザビームと受信されるレーザ光の両方を位置合わせする働きをするという点で、レーザ通信端末とリモートノードとの間の位置合わせを簡略化する。
【0010】
[0010]
図1Aを参照すると、1つのアプローチは、ビームディレクタ110内にミラー118を実装し、リモートノードとのアライメントを提供するために必要に応じてミラー118を機械的に再配向することである。
図1Aは、送信部100、受信部114、およびコントローラ148を含む「赤色」レーザ通信端末の簡略ブロック図である。メッセージ送信部100は、直線偏光された送信レーザ通信ビーム134を生成する「赤色」レーザ102および高出力光増幅器(HOPA)108を含む。送信ビーム134は、ミラー104によって、送信/受信ダイプレクサ(TX-RXダイプレクサ)として機能する偏光ビームスプリッタまたはダイクロイックフィルタ122に向けられ、次いで、直線偏光ビームを円偏光に変換する1/4波長板132と、それに続く、追加の固定ミラー106と、送信ビーム112をリモートノードに向ける機械的に操作されるビームディレクタミラー118とを含むビームディレクタ110に向けられる。リモートノードから受信された「青色」円偏光112は、ビームディレクタ110を通して逆に同じ経路をたどり、1/4波長板132によって直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタまたはダイクロイックフィルタ122を通過して、青色帯域通過フィルタ116、前置増幅器130、および光検出器162を含む受信機114に入る。
【0011】
[0011]このアプローチによる反射ビームディレクタ110は効果的であることがあるが、それらは典型的にはかなりの量の空間を消費する。また、このアプローチは、気流中に突出するビーム屈折タレット内にビーム方向付けミラーを実装する必要があることがあるため、航空機によるレーザ通信にとって問題となることがあり、これは、抗力および境界層乱流をもたらすことがある。
【0012】
[0012]別のアプローチは、リズレープリズムアセンブリ(RPA)などの屈折ビームディレクタを実装することである。
図1Bは、単一のプリズム120による入射レーザビーム124の出射ビーム126への屈折を図示し、2つのビーム120、124は角度αだけ方向が異なる。プリズム120を入射ビーム124の軸の周りに回転させる136ことによって、出射ビーム126の方向は、コーンの表面を形成する全ての可能な出力ビーム124のファミリにより変化させることができる。出射ビームがターゲットに衝突する場合、プリズム120の回転は、ビームの衝突点をターゲット上の円128の周りで変化させる。
【0013】
[0013]当然ながら、
図1Bの単一の回転可能なプリズム120は、それ自体では、レーザ通信端末をリモートノードと位置合わせするのに十分ではない。代わりに、
図1Cおよび1Dを参照すると、RPAは、少なくとも2つのプリズム120、138を組み合わせており、これらは両方とも、入射ビーム124の軸を中心に独立して回転可能である。
図1Cにおいて、2つのプリズム120、138は、2つのプリズム120、138によるビーム124の屈折が累積するように位置合わせされ、それによって、全屈折角は、それらの別々の屈折角の和、すなわちα+βである。
図1Dにおいて、第2のプリズム138は、2つのプリズム120、138によるビーム124の屈折が減算的であるように回転されており、それによって、全屈折角は、それらの別々の屈折角の間の差、すなわちα-βである。
【0014】
[0014]プリズム120、138の両方を回転させることによって、ターゲット上の出射ビーム126の衝突点を、α+βに対応する最大屈折円140及びα-βに対応する最小屈折円142によって境界付けられた環状領域内の任意の点に向けることができる。典型的には、同じ分散角αを有する2つのプリズム120、138がRPAに実装され、その結果、最小屈折円が中心点に縮小され、最大屈折円140によって規定されるディスク内の任意の場所のターゲットに出力ビーム126を向けることが可能になる。
図1Eは、
図1Aと同様のレーザ通信端末の簡略ブロック図であるが、単純な2プリズムRPA144がビームディレクタ110内に実装されている。
【0015】
[0015]RPA144は、航空機の場合、ビームディレクタ110にとって魅力的な選択肢であることがある。なぜなら、RPA144は、境界層乱流を最小限に抑えた最適な航空光学的考慮のために、航空機の外板またはポッド表面に共形的に取り付けることができるからである。当然ながら、RPA144の2つのプリズム120、138を形成するために高屈折材料を使用して、RPAの最小サイズおよび重量で大きな最大屈折角を提供することが望ましいことがある。特に、プリズム120、138を、RPAに使用することができる任意のガラスの中で最も高い光学指数(約3.48)を有する光学グレードの単結晶シリコンから形成することが望ましいことがある。シリコンのこの高い屈折率を利用することによって、120度のビームステアリングコーン(60度の半角)を実際に実現することができる。
【0016】
[0016]しかしながら、
図1Eに示されるような単純な2プリズムRPA144は、入射レーザビーム124が屈折される角度がレーザビームの波長に依存するという点で2プリズムRPA144が本質的に「有色」であるので、特にプリズム120、138が高い屈折率を有する材料から作られるとき、コボアサイト全二重レーザ通信端末におけるビームステアリング素子として許容されないかもしれない。上述したように、全二重コボアサイトレーザ通信リンクでは、「赤色」送信光および「青色」受信光(またはその逆)の両方が、「共有」コボアサイトビームディレクタ110によって正確に同じ角度だけ屈折される必要がある。
【0017】
[0017]実質的にすべての材料について屈折率が光の波長に依存するため、単純な2プリズムRPA144は、必然的に、「赤色」光および「青色」光をわずかに異なる角度で屈折させ、それによって赤色波長と青色波長との間に「ポインティング差」を生じさせる。したがって、
図1Eに示すように、ビームディレクタ110内の2プリズムRPA144が、送信された「赤色」光112をリモートノードに正確に方向付けるように構成されている場合、リモートノードから受信された青色光146は、ポインティングの違いにより、RPA144によってわずかに異なる角度(
図1Eでは誇張されている)で屈折され、レーザ通信端末の受信機114と適切に位置合わせされない。
【0018】
[0018]代わりに、
図1Fを参照すると、波長に実質的に依存しない屈折角を達成するために、3つ以上のプリズムを有する無色RPAを実装することができる。一例は、やはり本出願人による米国特許第9,140,941号に開示されている無色RPAであり、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1Fの例では、無色RPAは、プリズム150、152、154の「トリプレットの対」156、すなわち6つのプリズムを実装し、「トリプレット」156の各々は、異なる材料から作られた3つのプリズム150、152、154を含む。効果的ではあるが、無色RPSは、
図1Cから
図1Eのような同等の単一材料2プリズムRPA144よりも物理的にはるかに厚く、大きく、重く、その結果、ビームディレクタ110のサイズおよび重量が実質的に増加する。
【0019】
[0019]したがって、必要とされているのは、異なるTXおよびRX波長を使用する全二重レーザ通信端末のコボアサイトビームディレクタとして実装することができる小型で軽量の屈折ビームディレクタである。
【発明の概要】
【0020】
[0020]本開示は、異なる送信及び受信(TX及びRX)波長を実装する全二重レーザ通信端末のコボアサイトビームディレクタとして実装することができる小型で軽量の屈折ビームディレクタである。開示されたコボアサイトビームディレクタは、レーザ通信端末とリモートノードとの間を通過中のTXレーザビームとRXレーザビームとの間の角度差が、屈折ビームディレクタのビームステアリングコーン全体にわたって100マイクロラジアン未満に維持されるという点で、TXレーザビームとRXレーザビームとのコボアサイトアライメントを維持することができる。
【0021】
[0021]TXおよびRX波長は、一般に、「第1の」波長及び「第2の」波長と呼ぶことができる。しかしながら、表現を簡単にするために、全二重レーザ通信リンク中に実装される2つの波長は、本明細書では「赤色」及び「青色」波長と呼ばれることがあるが、可視スペクトル内にない波長を含む任意の2つの波長を選択することができる。
【0022】
[0022]開示される屈折ビームディレクタは、FPAの送信赤色/受信青色(またはその逆)ポインティング差、すなわち、赤色光および青色光のFPAによる屈折角の差を補償する分散補償機構(DCM)と組み合わせて、2プリズムFPAなどの単純な有色屈折ビームステアリング素子を実装し、それによって、開示されたビームディレクタが全二重レーザ通信端末におけるコボアサイトビームディレクタとして実装されることを可能にする。
【0023】
[0023]表現を簡単にするために、「RPA」という用語は、文脈によって別途必要とされない限り、リズレープリズムアセンブリを含むか否かにかかわらず、有色である任意の屈折ビームステアリングデバイスを指すために以下で使用されることに留意されたい。ビームステアリング素子として2プリズムRPAを挙げた例および実施形態が本明細書に提示されているが、本開示の範囲は、ビームステアリング素子に含まれるプリズムおよび/または他の光学素子の数にかかわらず、有色屈折ビームステアリング素子を実装するすべてのビームディレクタに及ぶことにさらに留意されたい。
【0024】
[0024]開示されるDCMは、ポインティング差、すなわち、RPAを通過する赤色光と青色光との間のビーム屈折角における有色差を補償するために、チップチルトアクチュエータによって機械的に調整される向きを有する小さな「チップチルトミラー」を実装する。チップチルトミラーは、送信光及び受信光がTX-RXダイプレクサによって結合される前に、例えば送信経路又は受信経路において送信光及び受信光の両方ではなく一方が通過する端末内のビーム経路セグメントに挿入される。DCMチップチルトミラーによって調整されるビームは、本明細書では「補償された」レーザビームと呼ばれ、送信レーザビームまたは受信レーザビームのいずれかとすることができる。DCMによって調整されない他方のレーザビームは、補償されていない「レーザビーム」と呼ばれる。
【0025】
[0025]実施形態形態では、2軸ボイスコイルまたは圧電ドライブのいずれかがチップチルトアクチュエータに実装される。いくつかの実施形態は、DCM内のチップチルトミラーおよびアクチュエータとして市販の「高速ステアリングミラー」(FSM)アセンブリを実装する。様々な実施形態は、チップチルトミラー位置フィードバックセンサを実装することによって、チップチルトミラーの速度および精度制御の向上を提供し、これは、容量センサ、誘導センサ、歪みゲージ、および/または当技術分野で知られている任意の他の位置フィードバックセンサの任意の組み合わせを含むことができる。
【0026】
[0026]「赤色」及び「青色」波長の任意の所定の対に対して、RPAによって導入されるポインティング差は、赤色及び青色波長、RPAの温度、並びにRPAの光学素子の材料特性、寸法、及び相対位置決め、例えば2プリズムリズレープリズムアセンブリ内の2つのプリズムの回転配向のみに依存する。いくつかの実施形態では、RPAの温度が監視され、指示差を決定するときに変数として含まれる。他の実施形態において、RPAは、例えば、温度調節された筐体内にRPAを維持することによって温度安定化され、それによって、ポインティング差を決定する際の要因としての温度効果を排除する。典型的には、一定温度に維持される所定のRPAに対して、ポインティング差は、2つの波長およびポインティング角度、すなわち、補償されていないレーザビームをRPAが向ける角度のみに依存する。
【0027】
[0027]本開示の方法の実施形態によれば、RPAが新しいポインティング方向に再構成されるたびに、コントローラは、新しいポインティング方向についての赤-青ポインティング差を決定し、チップチルトミラーの向きは、ポインティング差を補償するように調整され、それによって、送信されたレーザビームと受信されたレーザ光との正確なコボアサイトアライメントを提供する。
【0028】
[0028]いくつかの実施形態では、ポインティング差の「ルックアップ」テーブルまたは多項式曲線適合は、指定されたRPAに対して、および赤色波長と青色波長との各組み合わせに対して、ポインティング角度および関心視野にわたる複数のビーム方向に対する他の因子の関数として、予め決定される。ルックアップテーブルまたは多項式適合に基づいて、コントローラは、次いで、単に予め定められたルックアップテーブルから正しい値を補間するか、または曲線適合から正しい値を抽出することによって、RPAのポインティング方向が変更されるたびに、適用可能なポインティング差を迅速かつ正確に決定することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルまたは曲線適合は、RPAプリズムの特性および寸法に基づく計算によって完全に決定される。他の実施形態では、ルックアップテーブル内の値または曲線適合を作成するために使用される点は、実験的測定に基づいて決定されるか、または少なくとも検証される。
【0029】
[0029]例示的な実施形態では、選択された「赤色」波長と「青色」波長との間の差は、2nmから15nmとすることができる。実施形態において、レーザ通信端末内の送信レーザビームは、直径が約1cmである。また、これらの実施形態のいくつかにおいて、DCMは、約2から4立方インチの総サイズを有する。
【0030】
[0030]本開示の1つの一般的な態様は、リモートノードへの送信波長で送信レーザビームを生成するように構成された送信チャネルと、送信波長とは異なる受信波長でリモートノードから受信レーザビームを受信するように構成された受信チャネルと、コントローラと、送信レーザビームをリモートノードに向け、受信レーザビームを受信チャネルに向けるように構成されたコボアサイトビームディレクタとを含むレーザ通信端末である。コボアサイトビームディレクタは、送信レーザビームおよび受信レーザビームを屈折させるように構成されたビームステアリング素子と、ビームステアリング素子有色であり、それによって、送信波長と受信波長との間の差に従ってそれぞれ第1の屈折角および第2の屈折角を通して送信レーザビームおよび受信レーザビームを屈折させ、ここで、前記第1の屈折角と第2の屈折角との間の差は、本明細書ではポインティング差と呼ばれ、送信レーザビームおよび受信レーザビームの一方である補償レーザビームの方向を調整するように構成された分散補償機構(DCM)とを含み、送信レーザビームおよび受信レーザビームのうちの他方は非補償レーザビームである。コントローラは、DCMに、ポインティング差を補償するように補償されたレーザビームの方向を調整させ、それによって、レーザ通信端末とリモートノードとの間を通過中の送信レーザビームと受信レーザビームとの間の角度差を100マイクロラジアン未満にさせるように構成される。
【0031】
[0031]実施形態では、ビームステアリング素子はリズレープリズムアセンブリである。これらの実施形態のいくつかにおいて、リズレープリズムアセンブリは、2レンズリズレープリズムアセンブリである。
【0032】
[0032]上記の実施形態のいずれにおいても、ビームステアリング素子は、光学グレード単結晶シリコンで作られた光学素子を含むことができる。
【0033】
[0033]上記の実施形態のいずれにおいても、DCMは、チップ/チルトミラーを含むことができ、チップ/チルトミラーは、コントローラによって指示されるようにチップ/チルトミラーを再配向することができるミラーアクチュエータと協調する。これらの実施形態のいくつかにおいて、ミラーアクチュエータは、ボイスコイルおよび/または圧電ドライブを備える。これらの実施形態のいずれにおいても、DCMは高速ステアリングミラーアセンブリとすることができる。これらの実施形態のいずれにおいても、DCMは、軸を中心とするチップ/チルトミラーの位置を感知するように構成された少なくとも1つのフィードバックセンサを含むことができる。また、これらの実施形態のいくつかでは、位置センサは、容量センサ、誘導センサ、および歪みゲージのうちの1つである。
【0034】
[0034]上記の実施形態のいずれにおいても、送信波長と受信波長との間の差は、2nmから15nmであることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、コボアサイトビームディレクタは、送信レーザビームおよび受信レーザビームがレーザ通信端末とリモートノードとの間を通過中に、送信レーザビームおよび受信レーザビームを2マイクロラジアン未満の範囲内で互いに平行にさせることができる。
【0035】
[0035]上記の実施形態のいずれにおいても、ビームステアリング素子は温度安定化されることができる。
【0036】
[0036]上記の実施形態のいずれにおいても、コボアサイトビームディレクタは、多くて4立方インチの体積を占有することができる。
【0037】
[0037]本開示の第2の一般の態様は、レーザ通信端末をリモートノードと位置合わせする方法である。この方法は、第1の一般的な態様によるレーザ通信端末を提供することと、ビームステアリング素子を調整して非補償レーザビームをポインティング方向に向け、それによって非補償レーザビームをリモートノードと位置合わせすることと、ポインティング差を決定することと、DCMに補償レーザビームの方向を調整させてポインティング差を補償させ、それによってレーザ通信端末とリモートノードとの間を通過中に、送信レーザビームと受信レーザビームとを平行かつ実質的に同一直線上にさせることとを含む。
【0038】
[0038]実施形態では、方法は、送信波長、受信波長、及びポインティング方向の関数としてビームディレクタのポインティング差を含むルックアップテーブルを確立することを更に含み、ポインティング差を決定することは、ルックアップテーブルに基づいてポインティング差を補間することを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、ルックアップテーブルを確立することは、ルックアップテーブル内の少なくとも1つのエントリを実験的に検証することを含む。
【0039】
[0039]また、上記の実施形態のいずれかにおいて、方法は、送信波長および受信波長の関数として、ポインティング差をポインティング方向に関連付ける少なくとも1つの適合曲線を確立することをさらに含むことができ、前記適合曲線は、実験的に測定された値に適合された曲線である。
【0040】
[0040]本明細書で説明する特徴及び利点は、包括的ではなく、特に、多くの追加の特徴及び利点は、図面、明細書、及び特許請求の範囲を踏まえれば当業者にとって明らかとなるであろう。その上、本明細書において使用される言語は、主に可読性及び教示の目的で、並びに本発明の主題事項の範囲を限定しないように選択されていることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】[0041]
図1Aは、従来技術の全二重、デュアル波長レーザ通信端末のブロック図である。
【
図1B】[0042]
図1Bは、当技術分野で知られている、プリズムによるレーザビームの屈折を示す簡略図である。
【
図1C】[0043]
図1Cは、当技術分野で知られている、リズレープリズムアセンブリの2つの回転可能なプリズムによる最大屈折角でのレーザビームの屈折を図示する簡略図である。
【
図1D】[0044]
図1Dは、当技術分野で知られている、リズレープリズムアセンブリの2つの回転可能なプリズムによる最小屈折角でのレーザビームの屈折を示す簡略図である。
【
図1E】[0045]
図1Eは、
図1Aと同様のブロック図であり、従来技術によるビームディレクタとしてのリズレープリズムアセンブリの実装に起因する送信ビームと受信ビームのミスアライメントを図示する。
【
図1F】[0046]
図1Fは、従来技術の6プリズム無色リズレープリズムアセンブリの断面図である。
【
図2】[0047]
図2は、本開示の実施形態による、前二重、デュアル波長レーザ通信端末のブロック図である。
【
図3】[0048]
図3は、当技術分野で知られているように、光学グレードの単結晶シリコンから作られ、入射レーザビームを30度の公称角度だけ屈折させるように構成された単一の10.8度リズレープリズムアセンブリウェッジの波長に対する分散角の依存性を示すグラフである。
【
図4】[0049]本開示の方法の実施形態を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
[0050]本開示は、全二重レーザ通信端末のコボアサイトビームディレクタとして実装することができるコンパクトで軽量な屈折ビームディレクタである。開示されるコボアサイトビームディレクタは、レーザ通信端末とリモートノードとの間を通過中のTXレーザビームとRXレーザビームとの間の角度差が、屈折ビームディレクタのビームステアリングコーン全体にわたって100マイクロラジアン未満に維持されるという点で、TXレーザビームとRXレーザビームとのコボアサイトアライメントを維持することができる。
【0043】
[0051]TXおよびRX波長は、一般に、「第1の」波長及び「第2の」波長と呼ぶことができる。しかしながら、表現を簡単にするために、全二重レーザ通信リンク中に実装される2つの波長は、本明細書では「赤色」及び「青色」波長と呼ばれることがあるが、可視スペクトル内にない波長を含む任意の2つの波長を選択することができる。
【0044】
[0052]
図2を参照すると、開示された屈折ビームディレクタ210は、赤色/青色ポインティング差、すなわち赤色光および青色光の屈折角の差を補償する分散補償機構(DCM)212と組み合わせて、2プリズムFPA144などの単純な、有色屈折ビームステアリング素子144を実装し、それによって、開示されたビームディレクタが全二重レーザ通信端末内のコボアサイトビームディレクタとして実装されることを可能にする。実施形態において、RPA144は、2つのプリズムとして光学グレードシリコンから作製されたビームステアリングウェッジを実装するリズレープリズムアセンブリである。これは、シリコンが、RPA144に使用することができる任意のガラスの中で最も高い光学指数(約3.48)を有するからである。実施形態は、リズレープリズムアセンブリの2つのシリコンプリズムが120度ビームステアリングコーン(60度半角)を実現することができる、2プリズムRPA144を実装する。他の実施形態は、より低い屈折率を有するシリコン以外の光学材料を使用し、したがって、シリコンプリズムを実装する他の点では同一の実施形態と比較して、対応して低減されたビームステアリングコーンを使用する。
【0045】
[0053]表現を簡単にするために、「RPA」という用語は、文脈によって別途必要とされない限り、リズレープリズムアセンブリを含むか否かにかかわらず、有色である任意の屈折ビームステアリングデバイスを指すために以下で使用されることに留意されたい。ビームステアリング素子として2プリズムRPAを挙げた例および実施形態が本明細書に提示されているが、本開示の範囲は、ビームステアリング素子に含まれるプリズムおよび/または他の光学素子の数にかかわらず、有色屈折ビームステアリング素子を実装するすべてのビームディレクタに及ぶことにさらに留意されたい。
【0046】
[0054]実施形態は、約1540nmから1570nmの間である「1555nm領域」内の電気通信ITU DWDM帯域内の赤色および青色波長を実装することによって、既存の商用光ファイバ電気通信テクノロジーを活用する。この波長領域では、屈折率n=3.48のシリコンウェッジの場合、ウェッジ角は、30度の屈折を提供するために10.8度でなければならず、したがって、一対のウェッジ120、138で60度の最大ステアリング角を実現する。30度屈折する単一の10.8度シリコンRPAウェッジ120の分散は、
図3に示されるように、20マイクロラジアン/ナノメートルである。60度の最大屈折を実現するための一対のそのようなウェッジ120、138に関して、その最大角度における分散は、40マイクロラジアン/nmである。
【0047】
[0055]一般に、適切なスペクトル区別を可能にするために、TX波長とRX波長(赤色波長と青色波長)との間の分離が少なくとも3.2nmであることが必要である。したがって、TXとRXとの間の最悪の場合のポインティング差は、60度の完全な屈折に対して(40μrad/nm)×(3.2nm)=128μradである。50mmの公称開口サイズを有するRPAの場合、1555nm領域における屈折制限ビーム幅は、約40μrad FWHM、すなわち20μrad HWHMである。これらの例示的な条件下では、DCM残留誤差は、多くて0.8dBの信号損失をもたらすために10μrad未満でなければならない。より小さいRPA軸外ポインティング角度では、ポインティング差は、この10μrad最大値未満である。
【0048】
[0056]開示されるDCMは、ポインティング差、すなわち、RPA144によって導入される赤色光と青色光との間のビーム屈折角における有色差を補償するために、チップチルトアクチュエータ202によって機械的に調整される向き202を有する小さな「チップチルトミラー」200を実装する。チップチルトミラー200は、送信光および受信光の両方ではなく一方が通過する端末内のビーム経路セグメントに挿入される。図示の例では、DCM212は、TX-RXダイプレクサ122によって受信経路160と組み合わされる前に、送信経路134に挿入される。チップチルトミラー200によって調整されるビームは、本明細書では「補償された」レーザビームと呼ばれ、他方のビームは、補償されていない「レーザビーム」と呼ばれる。
図2の実施形態では、送信ビーム134は補償されたレーザビームであり、受信ビーム160は補償されていないレーザビームである。
【0049】
[0057]実施形態では、2軸ボイスコイルまたは圧電ドライブのいずれかが、チップチルトアクチュエータ204に実装される。いくつかの実施形態は、市販の「高速ステアリングミラー」(FSM)アセンブリを、DCM内のチップチルトミラー200およびアクチュエータ204として実装する。様々な実施形態は、チップチルトミラー位置フィードバックセンサ206を実装することによって、チップチルトミラーの速度及び精度制御の向上を提供し、これは、容量センサ、誘導センサ、歪みゲージ、及び/又は当該技術分野において既知の任意の他の位置フィードバックセンサの任意の組み合わせを含むことができる。
【0050】
[0058]例えば、2から15nmだけ分離された赤色波長および青色波長を実装するレーザ通信リンクについて、および約1cmの送信レーザビーム直径を有する端末について、わずか2から4立方インチの総体積を有する反射チップチルトDCM212を実現することができる。
【0051】
[0059]「赤色」及び「青色」波長の任意の所定の対に対して、RPA144によって導入されるポインティング差は、赤色及び青色波長、RPA144の温度、並びにRPA144の光学素子の材料特性、寸法、及び相対位置決め、例えば、
図1C及び
図1Dの2プリズムリズレープリズムアセンブリにおけるRPAプリズム(例えば、120、138)の回転配向のみに依存する。実施形態では、RPA144温度が監視され、ポインティング差を決定するときに変数として含まれる。他の実施形態では、RPA144は、例えば、RPAを温度調節筐体内に維持することによって温度安定化され、それによって、ポインティング差を決定する際の要因としての温度効果を排除する。典型的には、一定温度に維持される所定のRPA144に対して、ポインティング差は、赤色および青色波長ならびにポインティング角度、すなわち、RPA144が非補償レーザビーム146を方向付ける角度のみに依存する。
【0052】
[0060]いくつかの実施形態では、ポインティング差の「ルックアップ」テーブルは、指定されたRPAに対して、および各赤色/青色波長対に対して、関心視野に渡る複数のビーム方向に対するポインティング角度の関数として予め決定される。他の実施形態では、ポインティング角度の関数としてポインティング差を表す適合曲線が予め決定される。さらに他の実施形態では、ポインティング方向および他の要因に従ってポインティング差の計算を可能にする1組の数式が提供される。ルックアップテーブル、適合曲線、および/または方程式に基づいて、コントローラは、次いで、単に予め定められたルックアップテーブル、適合曲線、および/または方程式から正しい値を補間および/または計算することによって、RPAのポインティング方向が変更されるたびに、適用可能なポインティング差を迅速かつ正確に決定することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルは、RPAプリズムの特性および寸法に基づく計算によって完全に決定される。他の実施形態では、ルックアップテーブル内の値および/または適合曲線を得るために適合された値は、実験的測定に基づいて決定されるか、または少なくとも検証される。
【0053】
[0061]
図4を参照すると、本開示の方法の実施形態は、所定のRPA144および赤色/青色波長の対に対するポインティング方向の関数としてポインティング差を予め決定することを含む。これらを計算し400、次いで測定によって検証する402ことができる。その後、RPA144が新しいポインティング方向に再構成される404たびに、コントローラ148は、たとえばルックアップテーブルまたは適合曲線に記録されたような、以前に決定されたポインティング差を調べ406、次いでテーブルまたは適合曲線内の値からポインティング差を補間する408ことによって、新しいポインティング方向のポインティング差を決定する。他の実施形態では、ポインティング差は、以前に決定された式に従って計算される。次に、ポインティング差についてビームディレクタ(210、212)を補償するようにチップチルトミラーの向きを調整して410、それによって、送信されるレーザビーム134と受信されるレーザ光160の正確なコボアサイトアライメントを提供する。
【0054】
[0062]本開示の実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。本提出物の各及び全ページ、並びにその全ての内容は、どれほど特徴付けられようと、識別されようと、又は番号付けられようと、本出願内での形態又は配置にかかわらず、あらゆる目的のために本出願の実質的部分であると見なされる。本明細書は、網羅的であること、又は開示したまさにその形態に本開示を限定することを意図されない。本開示を踏まえて、多くの修正及び変形が可能である。
【0055】
[0063]本出願は限られた数の形態で示しているが、本開示の範囲はこれらの形態だけに限定されず、その趣旨から逸脱することなく様々な変更及び修正を受け入れることができる。本明細書で提示した開示は、本開示の範囲内にある特徴の全ての可能な組み合わせを明示的に開示するわけではない。様々な実施形態について本明細書で開示した特徴は、一般に、本開示の範囲から逸脱することなく、自己矛盾しない任意の組み合わせに交換及び組み合わせることができる。特に、以下の従属請求項に提示される限定は、従属請求項が互いに論理的に矛盾しない限り、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の数及び任意の順序でそれらの対応する独立請求項と組み合わせることができる。
【国際調査報告】