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特表2023-550615ゲッター材料、それを収容するタンク、および水素を吸収するためにゲッター材料を作って使用する方法
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  • 特表-ゲッター材料、それを収容するタンク、および水素を吸収するためにゲッター材料を作って使用する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ゲッター材料、それを収容するタンク、および水素を吸収するためにゲッター材料を作って使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20231127BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20231127BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20231127BHJP
   C01G 45/02 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
B01J20/06 C
B01D53/14 100
B01J20/30
C01G45/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530552
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021059850
(87)【国際公開番号】W WO2022109109
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/117,122
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519209819
【氏名又は名称】チャート・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン,エリック
【テーマコード(参考)】
4D020
4G048
4G066
【Fターム(参考)】
4D020AA01
4D020BA03
4D020BA08
4D020BB01
4D020CA01
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC08
4G048AE05
4G066AA02B
4G066AA12D
4G066AA26B
4G066AA37A
4G066AA43D
4G066AA53A
4G066CA38
4G066DA01
4G066FA05
4G066FA11
4G066FA21
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA37
4G066FA38
(57)【要約】
パラジウムおよび酸化マンガンを含む低コストのゲッター材料およびそれを作る方法。上記ゲッター材料を含むタンク、および水素ガスを除去する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.外側タンク壁と、
b.内側タンク壁と、
c.前記外側タンク壁と前記内側タンク壁との間に画定された真空空間と、
d.前記真空空間内のゲッター材料であって、パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料と
を備える、極低温流体を収容するように構成されたタンク。
【請求項2】
前記ゲッター材料が、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む、請求項1に記載のタンク。
【請求項3】
前記ゲッター材料が、約0.5重量%~約5重量%のパラジウムを含む、請求項1または2に記載のタンク。
【請求項4】
前記ゲッター材料が、約95重量%~約99.5重量%の酸化マンガンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンク。
【請求項5】
前記酸化マンガンが、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(II、III)、および酸化マンガン(VII)のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載のタンク。
【請求項6】
パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料。
【請求項7】
パラジウムをドープした酸化マンガンを含む請求項6に記載のゲッター材料。
【請求項8】
約0.5重量%~約5重量%のパラジウムを含む請求項6または7に記載のゲッター材料。
【請求項9】
約95重量%~約99.5重量%の酸化マンガンを含む請求項6~8のいずれか一項に記載のゲッター材料。
【請求項10】
前記酸化マンガンが、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(II、III)、および酸化マンガン(VII)のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載のゲッター材料。
【請求項11】
a.タンクの外壁と内壁との間の空間にゲッター材料を配置するステップであって、前記ゲッター材料が、パラジウムおよび酸化マンガンを含む、ステップと、
b.空間内に真空を生成するステップと、
c.前記ゲッター材料を用いて水素ガスを吸収するステップと
を含む、タンクの壁の間の真空空間から水素ガスを除去する方法。
【請求項12】
前記ゲッター材料が、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲッター材料が、約0.5重量%~約5重量%のパラジウムを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲッター材料が、約95重量%~約99.5重量%の酸化マンガンを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化マンガンが、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(II、III)、および酸化マンガン(VII)のうちの1つ以上を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
a.塩化パラジウムの溶液と硝酸マンガンの溶液とを混合して混合物を形成するステップと、
b.前記混合物に炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、炭酸マンガンを沈殿させるステップと、
c.前記混合物に過酸化水素を加えるステップと、
d.前記混合物を加熱し、その結果、生成物が製造されるステップと、
e.前記混合物から、前記得られた生成物を濾過するステップと、
f.前記得られた生成物を乾燥するステップと、
g.前記得られた生成物を加熱し、それによって、パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料を製造するステップと
を含む、ゲッター材料を作る方法。
【請求項17】
前記塩化パラジウムと硝酸マンガンは化学量論的な量である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
炭酸水素ナトリウムの量がマンガンの量と化学量論的に同等である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記混合物を加熱するステップが、60℃~120℃で加熱するステップを含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ステップdが、前記混合物を撹拌するステップをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記得られた生成物を加熱するステップが、200℃~300℃で6時間~24時間か焼するステップを含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ゲッター材料が、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ゲッター材料が、約0.5重量%~約5重量%のパラジウムを含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ゲッター材料が、約95重量%~約99.5重量%の酸化マンガンを含む、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記酸化マンガンが、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(II、III)、および酸化マンガン(VII)のうちの1つ以上を含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
[0001]本出願は、2020年11月23日に出願した米国仮特許出願第63/117,122号の優先権を主張し、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、水素ガスを吸収するためのゲッター材料およびそれを作る方法に関する。本開示はまた、一般に、そのようなゲッター材料を含むタンク、およびタンクの真空空間内の水素ガスを吸収する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]酸化パラジウム(PdO)は、極低温タンクの真空空間で一般に使用されるゲッター材料である。具体的には、PdOは、真空空間の材料から出る水素ガスを化学的に捕捉するために使用される。PdOは、水素と反応してパラジウム金属と水を生成する。水は真空空間内の他の材料によって捕捉され、したがって、PdOの量は時間とともに減少する(最終的にはすべて金属パラジウムになる)。
【0004】
[0004]パラジウムをゲッター材料として使用する場合の問題の一つは、パラジウムが非常に高価であることである。他のゲッター材料の使用が考えられるが、これらの代替の材料は、効率的ではない、または発がん性の可能性があるなどそれら自体に課題がある。
【0005】
[0005]したがって、新しい、また改善されたゲッター材料の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]以下に説明し特許請求するデバイスおよびシステムには、別々にまたは一緒に具現化することができる本主題のいくつかの態様が存在する。これらの態様は、単独で、または本明細書で説明する主題の他の態様と組み合わせて用いることができ、これらの態様を一緒に説明することは、これらの態様を別々に使用すること、またはこのような態様を、本明細書に添付の請求項で述べるように別々に、または異なる組み合わせで特許請求することを排除することを意図するものではない。
【0007】
[0007]一態様では、極低温流体を収容するように構成されたタンクは、外側タンク壁と、内側タンク壁と、外壁と内壁との間に画定された真空空間とを含む。タンクはまた、真空空間内のゲッター材料を含み、ゲッター材料はパラジウムおよび酸化マンガンを含み、一実施形態では、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む。
【0008】
[0008]別の態様では、ゲッター材料はパラジウムおよび酸化マンガンを含み、一実施形態では、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む。
[0009]さらに別の態様では、タンクの壁の間の真空空間から水素ガスを除去する方法が提供される。本方法は、タンクの外壁と内壁との間の空間にゲッター材料を配置するステップを含み、ゲッター材料は、パラジウムおよび酸化マンガンを含み、一実施形態では、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む。空間内に真空が生成される。水素ガスはゲッター材料を用いて吸収される。
【0009】
[0010]さらなる態様では、ゲッター材料を作る方法が提供される。本方法は、塩化パラジウムの溶液と硝酸マンガンの溶液とを混合して混合物を形成するステップを含む。この混合物に炭酸水素ナトリウム溶液が加えられ、その結果、炭酸マンガンが沈殿する。この混合物に過酸化水素が加えられる。この混合物が加熱され、その結果、生成物が製造される。この混合物から、得られた生成物が濾過されて乾燥される。得られた生成物は加熱され、その結果、パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0011]本開示の極低温流体を収容するためのタンクの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0012]極低温流体12を収容するためのタンク10の実施形態が図1に示されている。タンク10は、外側タンク壁14および内側タンク壁16を含む。真空空間18は、外側タンク壁14と内側タンク壁16との間に画定される。水素ガスを吸収するためのパラジウム/酸化マンガンのゲッター材料20は、真空空間18に配置される。タンクは、22として全体的に示す様々な入口、出口、および通気口をさらに含んでもよい。
【0012】
[0013]ゲッター材料は、約0.5重量%~約5重量%のパラジウムを含んでもよい。さらに、ゲッター材料は、約95重量%~約99.5重量%の酸化マンガンを含んでもよい。一実施形態では、ゲッター材料の酸化マンガンは、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酸化マンガン(II、III)、および酸化マンガン(VII)のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、ゲッター材料は、パラジウムをドープした酸化マンガンを含む。
【0013】
[0014]タンク10の壁14と壁16との間の真空空間18から水素ガスを除去する1つの方法では、ゲッター材料20は、タンク10の外壁14と内壁16との間の空間18に配置される。空間18内に真空が生成される。パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料20は、空間内の水素ガスを吸収する。
【0014】
[0015]一実施形態では、パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料は、タンクの耐用期間中、水和ガスを吸収するのに十分な量である。例えば、ゲッター材料の水和吸収の量と速度は、ゲッター材料が、10年から20年の間に真空空間内の水和を効果的に吸収するようなものである。
【0015】
[0016]ゲッター材料を作る方法は、塩化パラジウムの溶液を硝酸マンガンの溶液と混合するステップを含んでもよい。任意選択で、パラジウムと硝酸マンガンは化学量論的な量である。一実施形態では、塩化パラジウムおよび硝酸マンガンの量は、得られたゲッター材料が0.5重量%~5重量%のパラジウム、および95重量%~95.5重量%の酸化マンガンを含むような量である。
【0016】
[0017]この混合物に炭酸水素ナトリウム溶液が加えられると、炭酸マンガンが沈殿する。一実施形態では、炭酸水素ナトリウムの量は、混合物中のマンガンの量と化学量論的に同等である。過酸化水素が混合物に加えられ、混合物が加熱され、その結果、生成物を得る。一実施形態では、過酸化水素は30%溶液である。任意選択で、混合物は加熱しながら連続的に撹拌される。得られた生成物は、濾過されて乾燥される。一実施形態では、生成物は、60℃~120℃の温度で16時間~24時間乾燥される。次いで、生成物は、200℃~300℃で6時間~24時間か焼されて、パラジウムおよび酸化マンガンを含むゲッター材料を形成する。
【実施例
【0017】
[0018]塩化パラジウムの0.06M溶液が硝酸マンガンの2.0M溶液と攪拌されながら混合された。炭酸マンガンを沈殿させるために、この溶液に炭酸水素ナトリウムの0.8M溶液が加えられた。炭酸水素ナトリウムの量はマンガンの量と化学量論的に同等であり、それによって、炭酸塩として沈殿した。少量の30%過酸化水素(予想される最終生成物1グラムあたり0.1~1mL)が溶液に加えられた。次いで、混合物は、30分間攪拌され続けながら80℃に加熱された。次いで、得られた生成物は濾過され、一晩(約16時間)乾燥された。次いで、200℃で24時間か焼され、その結果、パラジウムおよびマンガンのゲッター材料が得られた。
【0018】
[0019]本発明の好ましい実施形態を示し、説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、これらに変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
図1
【国際調査報告】