(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】同一のアクチュエータ配向を可能にする単一ライン駆動回路
(51)【国際特許分類】
G11B 5/596 20060101AFI20231127BHJP
G11B 21/10 20060101ALI20231127BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20231127BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G11B5/596
G11B21/10 N
G11B5/60 P
G11B21/21 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530556
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2021059968
(87)【国際公開番号】W WO2022109187
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コチャプラユク、ツリースーン
(72)【発明者】
【氏名】プー、ジョナサン ヒー-トー
(72)【発明者】
【氏名】イー、クエン チー
(72)【発明者】
【氏名】グラース、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ケアウライ、ピヤウェチ
(57)【要約】
駆動回路が記載される。駆動回路は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第1圧電アクチュエータを含む。第1電極は、第1端子において第1接地に接続されるよう構成され、第2電極は、第2端子において増幅器に接続されるよう構成される。駆動回路は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第2圧電アクチュエータを含む。第1電極は、第1端子において制御信号に接続されるよう構成され、第2電極は、第2端子において第2接地に接続される。そして、第1圧電アクチュエータの第1端子および第2圧電アクチュエータの第1端子は、第1圧電アクチュエータおよび第2圧電アクチュエータが対称であり、かつ同一の極性を有するよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路であって、
第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第1圧電アクチュエータであって、前記第1電極は、第1端子において第1接地に接続されるよう構成され、前記第2電極は、第2端子において増幅器に接続されるよう構成される、第1圧電アクチュエータと、
第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第2圧電アクチュエータであって、前記第1電極は、第1端子において制御信号に接続されるよう構成され、前記第2電極は、第2端子において第2接地に接続される、第2圧電アクチュエータと、を備え、
前記第1圧電アクチュエータの前記第1端子および前記第2圧電アクチュエータの前記第1端子は、前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータが対称でありかつ同一の極性を有するよう構成されている、駆動回路。
【請求項2】
前記第1圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第1圧電素子の上面は、前記第1電極の一部と前記第2電極の一部とによって部分的に覆われており、前記第2電極は、前記第1圧電素子の前記上面を前記第1電極よりも多く覆う、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子とは、前記第1接地に接続された前記第1電極によって部分的に分離されている、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記第2圧電素子と前記第3圧電素子とは、前記第2電極によって部分的に分離されている、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第3圧電素子の下面は、前記第1電極の一部と前記第2電極の一部とによって部分的に覆われており、前記第2電極は、前記第3圧電素子の前記下面を前記第1電極よりも少なく覆う、請求項2に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第2圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1圧電素子の上面は、前記第1電極の一部と前記第2電極の一部とによって部分的に覆われており、前記第2電極は、前記第1圧電素子の前記上面を前記第1電極よりも多く覆う、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子とは、前記第1電極によって部分的に分離されている、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記第2圧電素子と前記第3圧電素子とは、前記第2電極によって部分的に分離されている、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項11】
前記第3圧電素子の下面は、前記第1電極の一部と前記第2電極の一部とによって部分的に覆われており、前記第2電極は、前記第3圧電素子の前記下面を前記第1電極よりも少なく覆う、請求項7に記載の駆動回路。
【請求項12】
前記第1圧電アクチュエータは、前記第2端子を介して印加される前記制御信号に応答して駆動されるよう構成される、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項13】
前記第2圧電アクチュエータは、前記第1端子を介して印加される前記制御信号に応答して駆動されるよう構成される、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項14】
ヘッドスライダを備え、
対称でありかつ同一の極性を有する前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータにより、前記ヘッドスライダを径方向に精密に位置決めする、請求項1に記載の駆動回路。
【請求項15】
駆動回路を備えるサスペンション装置であって、
前記駆動回路は、
第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第1圧電アクチュエータであって、前記第1電極は、第1端子において第1接地に接続するよう構成され、前記第2電極は、第2端子において制御信号に接続するよう構成された、第1圧電アクチュエータと、
第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第2圧電アクチュエータであって、前記第1電極は、第1端子において制御信号に接続され、前記第2電極は、第2端子において第2接地に接続されるよう構成された、第2圧電アクチュエータと、を備え、
前記第1圧電アクチュエータの前記第1端子および前記第2圧電アクチュエータの前記第1端子は、前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータが対称でありかつ同一の極性を有するよう構成されている、サスペンション装置。
【請求項16】
前記第1圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む、請求項15に記載のサスペンション装置。
【請求項17】
前記第2圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む、請求項15に記載のサスペンション装置。
【請求項18】
前記第1圧電アクチュエータは、前記第2端子を介して印加される前記制御信号に応答して駆動されるよう構成される、請求項15に記載のサスペンション装置。
【請求項19】
前記第2圧電アクチュエータは、前記第1端子を介して印加される前記制御信号に応答して駆動されるよう構成される、請求項15に記載のサスペンション装置。
【請求項20】
ヘッドスライダを備え、
対称でありかつ同一の極性を有する前記第1圧電アクチュエータおよび前記第2圧電アクチュエータにより、前記ヘッドスライダを径方向に精密に位置決めする、請求項15に記載のサスペンション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電アクチュエータの分野に関する。より詳細には、本開示は、圧電アクチュエータ性能の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記憶装置の一種として、ハードディスクドライブは周知である。ハードディスクドライブは、一般的には、スピンドルに回転可能に取り付けられた1つまたは複数の磁気ディスクと、各ディスクの磁気媒体担持面上の同心円データトラックに対して磁気変換器、つまりヘッドを位置決めするための1つまたは複数のアクチュエータアセンブリとを含む。
【0003】
パーソナルコンピュータの進歩に伴い、ハードディスクドライブの記録密度は増大してきたので、ディスク上にデータトラックが次第により高密度に配置されるとともに、トラック自体も物理的に狭くなってきた。その結果、読取りおよび書込みのために変換器、つまりヘッドを正確なトラック追従位置に維持することがより困難になってきている。磁気ヘッドの位置決めにおいて必要とされるさらに精密な調整に対応するために、精密位置決めアクチュエータが導入されてきた。このようなアクチュエータに対しては、単一の圧電アクチュエータアセンブリが一般的には使用される。圧電アクチュエータはヘッドジンバルアセンブリの一部を形成する。ヘッドジンバルアセンブリはヘッドをトラックに対して横方向に移動させることで、ヘッドをトラックに関して径方向に精密に位置決めする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、圧電アクチュエータの分野に関する。より詳細には、本開示は、圧電アクチュエータ性能の改善に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
駆動回路が記載される。駆動回路は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第1圧電アクチュエータを含む。第1電極は、第1端子において第1接地に接続されるよう構成され、第2電極は、第2端子において増幅器に接続されるよう構成される。駆動回路は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第2圧電アクチュエータを含む。第1電極は、第1端子において制御信号に接続されるよう構成され、第2電極は、第2端子において第2接地に接続される。そして、第1圧電アクチュエータの第1端子および第2圧電アクチュエータの第1端子は、第1圧電アクチュエータおよび第2圧電アクチュエータが対称であり、かつ同一の極性を有するよう構成される。
【0006】
駆動回路のいくつかの例では、第1圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む。第1圧電素子の上面は、第1電極の一部と第2電極の一部とによって部分的に覆われてもよく、第2電極は、第1圧電素子の上面を第1電極よりも多く覆う。第1圧電素子と第2圧電素子とは、第1接地に接続された第1電極によって部分的に分離されている。第2圧電素子と第3圧電素子とは、第2電極によって部分的に分離されていてもよい。第3圧電素子の下面は、第1電極の一部分と第2電極の一部分とによって部分的に覆われてもよく、第2電極は、第3圧電素子の下面を第1電極よりも少なく覆う。
【0007】
駆動回路のいくつかの例では、第2圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第3圧電素子とを含む。第1圧電素子の上面は、第1電極の一部と第2電極の一部とによって部分的に覆われてもよく、第2電極は、第1圧電素子の上面を第1電極よりも多く覆う。第1圧電素子と第2圧電素子とは、第1電極によって部分的に分離されている。第2圧電素子と第3圧電素子とは、第2電極によって部分的に分離されていてもよい。第3圧電素子の下面は、第1電極の一部分と第2電極の一部分とによって部分的に覆われてもよく、第2電極は、第3圧電素子の下面を第1電極よりも少なく覆う。
【0008】
駆動回路のいくつかの例では、第1圧電アクチュエータは、増幅器から第2端子を介して印加される制御信号に応答して駆動されるよう構成される。駆動回路のいくつかの例では、第2圧電アクチュエータは、増幅器から第1端子を介して印加される制御信号に応答して駆動されるよう構成される。いくつかの例では、駆動回路はヘッドスライダをさらに含む。第1圧電アクチュエータおよび第2圧電アクチュエータが同一の極性かつ対称性を有することにより、ヘッドスライダを径方向に精密に位置決めする。
【0009】
サスペンション装置もまた提供される。サスペンション装置は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を含む第1圧電アクチュエータを含む駆動回路を含む。第1電極は第1端子において第1接地に接続され、第2電極は第2端子において増幅器に接続される。駆動回路は、第1電極と第2電極との間に配置された1つ以上の圧電素子を備える第2圧電アクチュエータをさらに含む。第1電極は第1端子において増幅器に接続され、第2電極は第2端子において第2接地に接続されている。第1圧電アクチュエータの第1端子および第2圧電アクチュエータの第1端子は、第1圧電アクチュエータおよび第2圧電アクチュエータが同一の極性および配向を有するように配置される。
【0010】
複数の実施例が開示されたが、本開示のさらに別の実施例が、本開示の例示的な実施例を示しつつ説明する、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的には例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0011】
本開示の上記および他の利点および特徴がどのように得られるかを説明するために、上記で説明された原理のより詳細な説明が、添付の図面に示された特定の例を参照しつつなされる。これらの図面は、本開示の例示的な態様を示すに過ぎないので、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。原理は、以下の図面を使用して、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一例による、駆動回路用の第1圧電アクチュエータの側断面図。
【
図2】本開示の一例による第2圧電アクチュエータの側断面図。
【
図3】本開示の一例による第1圧電アクチュエータの側断面図。
【
図4】本開示の一例による第2圧電アクチュエータの側断面図。
【
図5】本開示の一例による駆動回路アーキテクチャを示す図。
【
図6】本開示の一例による、
図5の駆動回路アーキテクチャの第1圧電アクチュエータの側断面図。
【
図7】本開示の一例による、
図5の駆動回路アーキテクチャの第2圧電アクチュエータの側断面図。
【
図8】本開示の一例による、駆動回路アーキテクチャを組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数のグラフ。
【
図9】本開示の一例による、駆動回路アーキテクチャを組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数のグラフ。
【
図10】本開示の一例による、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションのストロークを示す表。
【
図11】シミュレーションによる、組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数を比較するグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、第1極性を有する第1圧電アクチュエータ120の側断面図を示す。第1圧電アクチュエータ120は、第1基準電位、例えば0電位(接地等)に接続されるよう構成された第1電極112を有する。第1圧電アクチュエータ120はさらに、制御信号130に接続するよう構成された第2電極114を有する。第1圧電アクチュエータ120は、第1圧電素子122と、第2圧電素子124と、第3圧電素子126とを含む。第1圧電素子122の上面は、第1電極112の一部と第2電極114の一部とによって部分的に覆われている。第2電極114は、第1圧電素子122の上面を第1電極112よりも多く覆っている。第1圧電素子122と第2圧電素子124とは、第1電極112によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子124と第3圧電素子126とは、第2電極114によって部分的に分離されている。第3圧電素子126の下面は、第1電極112の一部と第2電極114の一部とによって部分的に覆われている。第2電極114は、第3圧電素子126の下面を第1電極112よりも少なく覆っている。
【0014】
図1に示された分極方向の下で、正電圧が印加された際に、電界が第1電極112および第2電極114にわたる分極方向と同じ方向である場合、3つの圧電素子122、124、および126は全て長手方向に伸張する。
【0015】
図2は、第1極性とは反対の第2極性を有する第2圧電アクチュエータ125の側断面図を示す。第2圧電アクチュエータ125は、第1基準電位、例えば0電位(第2接地180等)に接続するよう構成された第1電極116を有する。第2圧電アクチュエータ125はさらに、制御信号130に接続された第2電極118を有する。第2圧電アクチュエータ125は、第1圧電素子132と、第2圧電素子134と、第3圧電素子136とを含む。第1圧電素子132の上面は、第1電極116の一部と第2電極118の一部とによって部分的に覆われている。
【0016】
第2電極118は、第1圧電素子132の上面を第1電極116よりも多く覆っている。第1圧電素子132と第2圧電素子134とは、第1電極116によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子134と第3圧電素子136とは、第2電極118によって部分的に分離されている。第3圧電素子136の下面は、第1電極116の一部と第2電極118の一部とによって部分的に覆われている。第2電極118は、第3圧電素子136の下面を第1電極116よりも少なく覆っている。
【0017】
図2に示された分極方向の下で、正電圧が印加された際に、電界が第1電極116および第2電極118にわたる分極方向の反対方向である場合、3つの圧電素子132、134、および136は全て長手方向に収縮する。
【0018】
図3は、駆動回路用の第1圧電アクチュエータ220の側断面図を示す。第1圧電アクチュエータ220は、第1基準電位、例えば0電位(接地等)に接続するよう構成された第1電極212を有する。第1圧電アクチュエータ220はさらに、制御信号230に接続された第2電極214を有する。第1圧電アクチュエータ220は、第1圧電素子222と、第2圧電素子224と、第3圧電素子226とを含む。第1圧電素子222の上面は、第1電極212の一部と第2電極214の一部とによって部分的に覆われている。
【0019】
第2電極214は、第1圧電素子222の上面を第1電極212よりも多く覆っている。第1圧電素子222と第2圧電素子224とは、第1電極212によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子224と第3圧電素子226とは、第2電極214によって部分的に分離されている。第3圧電素子226の下面は、第1電極212の一部と第2電極214の一部とによって部分的に覆われている。第2電極214は、第3圧電素子226の下面を第1電極212よりも少なく覆っている。
【0020】
図3に示された分極方向の下で、正電圧が印加された際に、電界が第1電極212および第2電極214にわたる分極方向と同じ方向である場合、3つの圧電素子222、224、および226は全て長手方向に伸張する。
【0021】
図4は、本開示の一例による、駆動回路の第2圧電アクチュエータ225の側断面図を示す。第2圧電アクチュエータ225は、第1基準電位、例えば0電位(接地等)に接続された第1電極216を有する。第2圧電アクチュエータ225はさらに、制御信号230に接続された第2電極218を有する。第2圧電アクチュエータ225は、第1圧電素子322と、第2圧電素子324と、第3圧電素子326とを含む。第1圧電素子322の上面は、第1電極216の一部と第2電極218の一部とによって部分的に覆われている。
【0022】
図3の第1圧電アクチュエータ220とは対照的に、第2電極218は、第1圧電素子322の上面を第1電極216よりも少なく覆っている。これは、第2圧電アクチュエータ225が、
図2の第2圧電アクチュエータ125の配向から180°回転しているためである。第1圧電素子322と第2圧電素子324とは、第2電極218によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子324と第3圧電素子326とは、第1電極216によって部分的に分離されている。第3圧電素子326の下面は、第1電極216の一部と第2電極218の一部とによって部分的に覆われている。第2電極218は、第3圧電素子326の下面を第1電極216よりも多く覆っている。
【0023】
図4に示された分極方向の下で、電界が第1電極216および第2電極218にわたる分極方向の反対方向になるように正電圧が印加された場合、3つの圧電素子322、324、および326は全て長手方向に収縮する。
【0024】
図5は、本開示の一例による駆動回路500である。駆動回路500は、ハードディスクドライブ用サスペンションのヘッドスライダ540を移動させるよう構成された第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525を含む。第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525は、それぞれ駆動回路500に電気的に接続されている。その結果、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525は、従来技術で周知の技法を含む技法を使用して、ヘッドスライダの所望の物理的変位を制御するよう印加される印加電圧である制御信号に応じて動作する。これは、
図6および
図7を参照して以下で詳細に記載される。
【0025】
駆動回路500は、ハードディスクドライブのサスペンション装置、例えばヘッドジンバルアセンブリに組み込まれるよう構成される。第1圧電アクチュエータ520は、第1端子521(つまり、基準端子)と、第2端子523とを含む。第1圧電アクチュエータ520は、第1端子521において第1接地接点570に接続されている。第1圧電アクチュエータ520はさらに、第2端子523において制御信号530に接続されている。第2圧電アクチュエータ525は、第1端子527(例えば、基準端子)と、第2端子529とを含む。第2圧電アクチュエータ525は、第2端子529で第2接地接点580に接続されている。第2圧電アクチュエータ525はさらに、第1端子527において制御信号530に接続されている。換言すれば、第2圧電アクチュエータ525の第1端子527および第2端子529が入れ替わっているので、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525は同一の極性および配向を有する。そして、活性部528、538は、対称となるよう配置されている。これは、
図6および
図7に示されている。
【0026】
図6は、本開示の一例による、駆動回路アーキテクチャ500の第1圧電アクチュエータ520の側断面図を示す。第1圧電アクチュエータ520は、第1基準電位、例えば(第1接地接点570等を介して)0電位に接続された第1電極512を有する。第1圧電アクチュエータ520はさらに、制御信号530に接続された第2電極514を有する。第1圧電アクチュエータ520は、第1圧電素子522と、第2圧電素子524と、第3圧電素子526とを含む。第1圧電素子522の上面は、第1電極512の一部と第2電極514の一部とによって部分的に覆われている。
【0027】
第2電極514は、第1圧電素子522の上面を第1電極512よりも多く覆っている。第1圧電素子522と第2圧電素子524とは、接地された第1電極512によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子524と第3圧電素子526とは、第2電極514によって部分的に分離されている。第3圧電素子526の下面は、第1電極512の一部と第2電極514の一部とによって部分的に覆われている。第2電極514は、第3圧電素子526の下面を、接地された第1電極512よりも少なく覆っている。第1圧電アクチュエータ520は、第1圧電素子522の第2電極514と第1電極512との間の部分と、第2圧電素子524の第1電極512と第2電極514との間の部分と、第3圧電素子526の第2素子514と第1素子512との間の部分と、を含む活性部528を有する。
【0028】
図6に示された分極方向の下で、電界が第1電極512および第2電極514にわたる分極方向と同じ方向になるように正電圧が印加された場合、3つの圧電素子522、524、および526は全て長手方向に伸張する。
【0029】
図7は、本開示の一例による、駆動回路500の第2圧電アクチュエータ525の側断面図を示す。第2圧電アクチュエータ525は、制御信号530に接続された第1電極516を有する。第2圧電アクチュエータ525はさらに、第1基準電位、例えば(第2接地接点580等を介して)0電位に接続された第2電極518を有する。第2圧電アクチュエータ525は、第1圧電素子532と、第2圧電素子534と、第3圧電素子536とを含む。第1圧電素子532の上面は、第1電極516の一部と第2電極518の一部とによって部分的に覆われている。
【0030】
接地された第2電極518は、第1圧電素子532の上面を第1電極516よりも多く覆っている。第1圧電素子532と第2圧電素子534とは、第1電極516によって部分的に分離されている。また、第2圧電素子534と第3圧電素子536とは、第2電極518によって部分的に分離されている。第3圧電素子536の下面は、第1電極516の一部と第2電極518の一部とによって部分的に覆われている。第2電極518は、第3圧電素子536の下面を第1電極516よりも少なく覆っている。第2圧電アクチュエータ525は、圧電素子532の第2電極518と第1電極516との間の部分と、第2圧電素子534の第1電極516と第2電極518との間の部分と、第3圧電素子536の第2素子518と第1素子516との間の部分と、を含む活性部538を有する。
【0031】
図7に示された分極方向の下で、電界が第1電極516および第2電極518にわたる分極方向と反対方向になるように正電圧が印加された場合、3つの圧電素子532、534、および536は全て長手方向に収縮する。
【0032】
図5に戻ると、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525は、同様に分極される。さらに、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525の構造は、対称配向で配置されるので、各構造は同一の極性を有する。第1圧電アクチュエータ520は、第2(入力)端子523を介して印加される制御信号530に応答して駆動されるよう構成される。同様に、第2圧電アクチュエータ525は、第1(入力)端子527を介して印加される制御信号530に応答して駆動されるよう構成される。制御信号は、上述したように、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525の圧電素子の機械的変形を制御する。第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525が同一の極性かつ対称性を有することにより、ヘッドスライダ540を方向510に関して径方向に精密に位置決めする。また、第1圧電アクチュエータ520および第2圧電アクチュエータ525が同一の極性かつ対称性を有することにより、反対の配向および非対称的な活性部を有するアクチュエータによる従来のシステムと比較して、スウェイモード利得およびねじれモード利得感度が改善する。
【0033】
図8は、シミュレーションによる、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数(0から80kHz)のグラフ600である。
図9は、シミュレーションによる、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数(0から30kHz)のグラフ700である。
図9に示すように、サスペンションは、1dBのねじれモード利得感度および3dBのスウェイモード利得感度を示す。スウェイモード利得感度およびねじれモード利得感度が低いと、ヘッド位置決め制御ループ帯域が増加する。これは、データシーク時間の減少および振動による影響の低下の両方につながる。
【0034】
図10は、シミュレーションによる、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションのストロークを、活性部の非対称配置および反対のアクチュエータ配向を含む従来の技法を組み込んだサスペンションと比較して示す表800である。表に示されるように、本明細書に記載のいくつかの実施形態による、同じ配向および対称的な活性部を有するアクチュエータを含む駆動回路を組み込んだサスペンションは、10.05nm/Vのストロークを示す。対照的に、アクチュエータの活性部の非対称配置を組み込んだサスペンションは、8.99nm/Vのストロークを示す。したがって、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションは、ストローク増加を示す。
図10に示す例では、本明細書に記載の実施形態による駆動回路は、非対称配置および反対のアクチュエータ配向を組み込んだサスペンションと比較して、11%のストローク増加を示す。
【0035】
図11は、シミュレーションによる、駆動回路500を組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数を、活性部の非対称配置および反対のアクチュエータ配向を含む従来の技術を組み込んだサスペンションのPZT周波数応答関数と比較するグラフ900である。
図11に示すように、本明細書に記載のいくつかの実施形態による駆動回路を組み込んだサスペンションは、低いスウェイモード利得感度およびねじれモード利得感度を示す。
【0036】
本明細書および特許請求の範囲内で使用される「一般的に」、「およそ」、「約」、「実質的に」、および「同一平面上」という用語は、任意の正確な寸法、測定値、および配置からのある程度の変動を許容するので、それらの用語は、本開示の説明および動作の文脈内で考慮されるべきであることが理解されるであろう。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲内で使用される「上部」、「下部」、「上方」、および「下方」などの用語は、任意の特定の空間または重力方向ではなく、互いに対する部品の空間関係を示す便宜上の用語であることがさらに理解されるであろう。したがって、これらの用語は、アセンブリが、図面に示されかつ本明細書に記載された、特定の向きに配向させられているか、その向きから上下が逆であるか、または任意の他の回転した変形であるかにかかわらず、構成部品のアセンブリを包含することを意図している。
【0038】
特許請求の範囲、要約書、および図面を含む本明細書に開示された全ての特徴、ならびに開示された任意の方法または処理における全ての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が互いに排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わされてよい。特許請求の範囲、要約書、および図面を含む本明細書に開示された各特徴は、特に明記しない限り、同一、等価な、または類似の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられてよい。したがって、特に明記しない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の等価または類似の特徴の一例にすぎない。
【0039】
本明細書で使用された「例」という用語は、単一の必須要素または要素群を有する単一の例のみが提示されていることを意味すると解釈されるべきではないことが理解される。同様に、「本開示」という用語は、それぞれ別個の例であると解釈することができる複数の別個の変更を包含することも理解される。本開示は、好ましい実施例およびその図面に関して詳細に説明されたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の種々の適合および変更が達成され得ることが、当業者にとって明らかであるはずである。したがって、上記で説明した詳細な説明および添付の図面は、本開示の範囲を限定するものではなく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの適切に解釈された法的同等物からのみ推定されるべきであることが理解されるであろう。
【国際調査報告】