(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ガラスリボンを製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C03B 35/18 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
C03B35/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530603
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021060437
(87)【国際公開番号】W WO2022115394
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジェームス ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,キース ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】マッサーロ,マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ポアシー,ステファン
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015GA00
4G015GA01
(57)【要約】
製造システムであって、搬送装置であって、複数のローラを備え、これら複数のローラは進行経路を形成しており、この進行経路に沿って、リボンが、進行方向に搬送されるように構成されている、搬送装置を含む、製造システムを開示する。複数のローラは、少なくともテンションローラを含み、このテンションローラは、軸と、この軸から半径方向外向きに延在する複数のスポークを備えた回転ホイールとを有し、複数のスポークは、軸の長手方向軸線を中心として回転して、リボンを進行方向に搬送するように構成されている。製造システムは、複数のスポークに流体流れを誘導して、複数のスポークを回転させるように構成された流れ発生器をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造システムであって、
搬送装置であって、複数のローラを備え、該複数のローラは進行経路を形成しており、該進行経路に沿って、リボンが、進行方向に搬送されるように構成されており、前記複数のローラは、少なくともテンションローラを備え、該テンションローラは、軸と、該軸から半径方向外向きに延在する複数のスポークを備えた回転ホイールとを備え、前記複数のスポークは、前記軸の長手方向軸線を中心として回転して、前記リボンを前記進行方向に搬送するように構成されている、搬送装置と、
前記複数のスポークを回転させるように構成された流れ発生器と
を備える、製造システム。
【請求項2】
前記流れ発生器は、前記スポークに流体流れを誘導し、これによって、該流体流れが前記スポークに荷重を加え、該スポークが前記回転ホイールにトルクを加えるように構成されている、請求項1記載の製造システム。
【請求項3】
前記進行経路は、湾曲させられた経路である、請求項1記載の製造システム。
【請求項4】
前記進行方向は、第1の進行方向と第2の進行方向とを含み、前記第1の進行方向は、前記第2の進行方向と異なる傾斜を有する、請求項1記載の製造システム。
【請求項5】
前記スポークは、それぞれ約1mm
2~約2,500mm
2の表面積を有する、請求項1記載の製造システム。
【請求項6】
前記軸から半径方向外向きに延在する1つ以上の支持リングをさらに備え、該支持リングは、前記リボンの外側の周縁部分に接触するように構成されている、請求項1記載の製造システム。
【請求項7】
前記軸は、約40mm~約80mmの範囲内の外径を有する、請求項1記載の製造システム。
【請求項8】
前記回転ホイールは、約50mm~約100mmの範囲内の外径を有する、請求項1記載の製造システム。
【請求項9】
前記流れ発生器はエアジェットである、請求項1記載の製造システム。
【請求項10】
前記流れ発生器は圧縮ノズルである、請求項1記載の製造システム。
【請求項11】
1本の前記軸は、前記リボンの前記進行方向に対して垂直である、請求項1記載の製造システム。
【請求項12】
前記リボンを成形するように構成された成形装置をさらに備える、請求項1記載の製造システム。
【請求項13】
前記リボンが前記軸または前記回転ホイールに接触しないように、前記複数のローラに連結された前記リボンをさらに備える、請求項1記載の製造システム。
【請求項14】
前記リボンは、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから構成されている、請求項1記載の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第119条のもと、2021年6月22日に出願された米国仮特許出願第63/213,237号および2020年11月24日に出願された米国仮特許出願第63/117,722号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ガラスリボンを製造するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、搬送装置を用いてガラスリボンを製造するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス製造装置は、一般的には、ディスプレイ用途に使用される板ガラス用の種々のガラス製品を成形するために使用される。ガラスリボンは、このガラスリボンを巻取り装置によりロールへと巻成することによって貯蔵することができる。ガラスリボンの厚さが減少するにつれて、こういったシートはより可撓性になる。このことは、取扱いの観点から課題を生み出している。例えば、ガラスリボンが分出しシステムへの搬送中に垂れ下がりを被ってしまう。
【発明の概要】
【0004】
以下に、詳細な説明に記載した幾つかの実施形態の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を表す。
【0005】
本開示の実施形態は、複数のローラを備えた搬送装置と、流れ発生器とを含むガラス製造システムを提供する。複数のローラはテンションローラを含み、流れ発生器は、テンションローラに流体流れを誘導するように構成されている。これによって、テンションローラの正確かつ特異的な回転が提供され、そして、この回転によって、ガラスリボンに特異的な搬送力が生じる。したがって、ガラスリボンが、容易に制御された速度および搬送量で搬送装置に沿って搬送される。これによって、共にガラスリボンに欠陥を生じさせてしまう、互いに隣り合ったローラの間でのガラスリボンの垂れ下がりも、ガラスリボンとローラとの間でのスリップの発生も決して引き起こすことなく、肉薄のガラスリボンを容易に搬送することが可能となる。したがって、本明細書に開示したガラス製造システムによって、欠陥が減じられた優れたガラスリボンシートが製造される。付加的には、本明細書に開示したガラス製造システムによって、ガラスリボンが実際に搬送装置でたまたま破損してしまった際の回復時間が減じられる。
【0006】
本開示の態様は、搬送装置と流れ発生器とを備えた製造システムを含む。搬送装置は複数のローラを備え、これら複数のローラは進行経路を形成しており、この進行経路に沿って、リボンが、進行方向に搬送されるように構成されている。複数のローラは、少なくともテンションローラを備え、このテンションローラは、軸と、この軸から半径方向外向きに延在する複数のスポークを備えた回転ホイールとを備え、複数のスポークは、軸の長手方向軸線を中心として回転して、リボンを進行方向に搬送するように構成されている。流れ発生器は、複数のスポークに流体流れを誘導して、複数のスポークを回転させるように構成されている。
【0007】
本開示の態様は、また、リボンを製造する方法であって、流体流れを複数のスポークに誘導して、これら複数のスポークをリボンに接触しないように回転させ、このリボンを搬送装置の進行経路に沿って進行方向に搬送することを含む、方法も含む。複数のスポークは、リボンに軸が接触しないように、この軸に取り付けられている。
【0008】
本明細書に開示した実施形態の付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載してあり、部分的にその説明から当業者に明らかであるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲ならびに添付の図面を含め、本明細書に記載した実施形態を実施することによって認識される。当然ながら、前述の概説および以下の詳細な説明は、本明細書に開示した実施形態の本質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図する実施形態を表している。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。図面は、本開示の種々の実施形態を示しており、説明と共にそれらの原理および動作を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上記の特徴、実施形態および利点ならびに別の特徴、実施形態および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むことで理解しやすくなる。
【
図1】本開示の実施形態による例示的なガラス製造システムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態によるガラス製造システムの搬送装置の斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態による
図2の搬送装置の一部の拡大図である。
【
図4】本開示の実施形態による
図2の搬送装置の一部の別の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、例示的な実施形態を示した添付の図面を参照しながら実施形態をより詳しく説明する。同一または類似の部材に言及するにあたり、図面を通じて可能な限り同一の参照符号を使用する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実現されてよく、本明細書に記載した実施形態に限定されると解すべきではない。
【0011】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータならびに別の数量および特性が正確ではなく、必ずしも正確である必要はないが、トレランス、換算係数、四捨五入、測定誤差およびこれに類するものならびに当業者に周知の別の係数を所望のように反映させて、近似であってよく、かつ/またはより大きくてよいし、より小さくてよいことを意味している。
【0012】
本明細書では、範囲を「約」一方の数値からかつ/または「約」他方の数値までとして表すことができる。このような範囲を表すとき、別の実施形態は、一方の数値から他方の数値までを含んでいる。類似して、数値を接頭辞「約」の使用によって近似値として表すときには、当然ながら、数値が別の実施形態を成している。さらに、当然ながら、範囲の各々の端点は、他方の端点に関連して両方とも重要であり、また、他方の端点に関係なく重要である。
【0013】
本明細書で使用する方向に関する用語、例えば、上方、下方、右、左、前、後ろ、上位、下位、上側、下側等は、図示の図面に対して言及しているものでしかなく、絶対的な向きを意味することを意図するものではない。
【0014】
特段明記しない限り、本明細書に記載したあらゆる方法が、そのステップが特定の順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは決して意図しておらず、また、任意の装置によって特定の向きが要求されることも決して意図していない。したがって、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していないか、装置のいずれかの請求項が、個々の構成要素に対する順序または向きを実際に列挙していないか、ステップが特定の順序に限定されるべきことを特許請求の範囲または明細書に特段詳述していないか、または装置の構成要素に対する特定の順序または向きを列挙していない場合、いかなる点に関しても、順序または向きが推論されることは決して意図していない。このことは、ステップの配置、操作の流れ、構成要素の順序または構成要素の向きに関する論理の問題と、文法的な構成または句読点に由来する明白な意味と、本明細書に記載した実施形態の数または種類とを含む、解釈のためのあらゆる可能な非明示的な基準に該当する。
【0015】
本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈に特段明示がない限り、複数形に関する言及を含んでいる。したがって、例えば、「a」構成要素という言及は、文脈に特段明示がない限り、2つ以上のこのような構成要素を有する態様を含んでいる。
【0016】
本明細書では、「例示的な」、「例」という用語またはその種々の形態を、例、事例または例示として機能することを意味するために使用している。「例示的な」または「例」として本明細書に記載した任意の態様または設計は、別の態様または設計よりも好適または有利であると解すべきではない。さらに、例は、明確性および理解を目的としてのみ提供してあり、本開示の開示した主題または関連した部分を決して限定または制限することを意味するものではない。当然ながら、変化する範囲の無数の付加的または代替的な例を表すこともできるが、簡潔性を目的として省略している。
【0017】
本明細書で使用するとき、「備えた(comprising)」および「含んだ(including)」という用語ならびに両者の変形は、特段指示しない限り、同義的かつ非限定的なものと解されたい。備えたまたは含んだという移行句に続く要素のリストは非排他的なリストであるため、このリストに具体的に列挙される要素に対して付加的な要素が存在してよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、「実質的な」、「実質的に」という用語および両者の変形は、記載した特徴が数値または記載に等しいかまたはほぼ等しいことを表すことを意図している。例えば、「実質的に平坦な」表面は、平坦またはほぼ平坦である表面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの数値が互いに等しいかまたはほぼ等しいことを示すことを意図している。幾つかの実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば、互いの約5%以内または互いの約2%以内の数値を示してよい。
【0019】
特許請求される主題の範囲または趣旨から逸脱することなく、本開示には修正が加えられてよい。特段規定しない限り、「第1の」、「第2の」およびこれに類するものは、時間的な態様、空間的な態様、順序等を意味することを意図していない。むしろ、このような用語は、特徴、要素、項目等に対する識別子、名称等として使用されるにすぎない。例えば、第1の端部および第2の端部は、概して、端部Aおよび端部Bまたは2つの異なる端部もしくは2つの同一の端部または同じ端部に対応している。
【0020】
本開示は、ガラス製造システムおよびガラスリボンを製造するための方法に関する。本願の目的において、「ガラスリボン」は、粘性状態にあるガラスリボン、(例えば室温で)弾性状態にあるガラスリボンおよび/または粘性状態と弾性状態との間の粘弾性状態にあるガラスリボンのうちの1つ以上と見なしてよい。以下に、ガラスリボンを成形するための方法および装置を例示的な実施形態によって説明する。本開示の目的において、幾つかの実施形態では、ガラス製造装置は、所定量の溶融材料からガラス物品(例えばガラスリボン)を成形するガラス成形装置を備えていてよい。幾つかの実施形態では、ガラスリボンは、限定するわけではないが、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、光起電体、折畳み可能な電話等を含む種々のディスプレイ用途に使用されてよい。
【0021】
図1を参照すると、ガラス製造システム100が概略的に示してある。システム100は、搬送装置110と成形装置120とを備えている。以下でさらに述べるように、搬送装置110は進行経路を形成していて、この進行経路に沿ってリボン103、例えばガラスリボンが移動する。成形装置120は、ガラスリボン103を成形するように構成されていて、幾つかの実施形態では、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置、アップドロー装置、プレスロール装置またはガラスリボンを成形する技術分野において知られている別のガラス成形装置を含んでいる。成形装置120は送出導管、例えば開口105をさらに備えていてよく、この送出導管を通ってガラスリボン103が進出する。送出導管は、重力方向に沿って向けられていてよく、これによって、ガラスリボン103が、下向きに重力方向に沿って送出導管を通流する。
【0022】
成形装置120は、
図1に示したように、クリーンルーム環境115の外部に位置決めされていてよく、ガラス製造システム100の1つ以上の別の部分は、クリーンルーム環境115の内部に位置決めされている。クリーンルーム環境115は、(例えば、
図1に破線で示した)1つ以上の壁よりも内側に含まれていてよく、クリーンルーム環境115の外部におけるパーティクル(例えば、粉塵、空気中に漂う微生物、気化させられた粒子等)のレベルと比較して減じられたパーティクルのレベルを有することができる。幾つかの実施形態では、クリーンルーム環境115は、クリーンルーム環境115の外部に対して正圧に維持されていてよく、これによって、空気が、クリーンルーム環境115からクリーンルーム環境115に対して外部の環境に流れることができる。幾つかの実施形態では、クリーンルーム環境115と外部の環境との間の圧力差は、約5Pa以上であってよい。したがって、クリーンルーム環境115の内部の圧力は、外部の環境における圧力よりも約5Pa以上高くてよい。幾つかの実施形態では、クリーンルーム環境115は、ISO(「国際標準化機構」)6クリーンルームを伴っている。
【0023】
図1に示したように、ガラスリボン103は、成形装置120から進出した後、1つ以上の進行経路に沿って移動する。より詳細には、ガラスリボン103は、第1の進行経路130、第2の進行経路132および/または第3の進行経路134に沿って移動してよい。成形装置120は、まず、ガラスリボン103が第1の進行経路130、第2の進行経路132または第3の進行経路134に沿って流れることに先だって、進行経路の上流の部分109を規定する。したがって、成形装置120は、ガラスリボン103を進行経路の上流の部分109に沿って搬送する。そこから、ガラスリボン103は、第1の進行経路130、第2の進行経路132または第3の進行経路134に沿って搬送されてよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、ガラス製造システム100は、ガラスリボン103を第1の進行経路130に誘導するダイバータ137を備えている。ダイバータ137は、例えば、ガラスリボン103を第1の進行経路130に沿ってガイドする表面を備えていてよい。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103は、第1の進行経路130に沿って第1の処理装置131内に搬送され、そこで、ガラスが、処理のために粉砕される。したがって、第1の進行経路130に沿って搬送されるガラスリボン103は、破砕またはリサイクルすべき最適でないガラスとして分類されたガラスリボンであってよい。例えば、ガラスリボンは欠陥を有していることがある。
【0025】
ガラスリボン103は、第2の進行経路132に沿って誘導されてもよい。
図1に示したように、第2の進行経路132は、第1の進行経路130に対して平行でなくてよい。幾つかの実施形態では、第2の進行経路132は、重力方向(例えば、
図1で見て下向き)に対して平行(または実質的に平行)である。したがって、ガラスリボン103は、重力の影響下で第2の進行経路132に沿って進行することができる。さらに、第2の進行経路132は、上流の部分109の方向に対して平行であってよい。ガラスリボン103は、第2の進行経路132に沿って第2の処理装置133内に搬送されてよく、そこで、ガラスが、処理のために粉砕される。したがって、第2の進行経路132に沿って搬送されるガラスリボン103は、破砕またはリサイクルすべき最適でないガラスとして分類されたガラスリボンであってよい。例えば、ガラスリボンは欠陥を有していることがある。
【0026】
付言しておくと、ガラスリボン103がまだ極めて肉厚であり、その目標厚さにまだ達していないとき(例えば、幾つかの実施形態では、ガラスリボン103が約10mm以上の厚さを有しているとき)には、ガラスリボン103は、ガラス製造システム100の始動段階中に第2の処理装置133に誘導されてよい。ガラスリボン103が極めて肉厚であると、ガラスリボン103は曲げることができず、したがって、搬送装置110に適していない。ガラスリボン103は、曲げるには十分肉薄であるが、最適でないガラスとして分類されたときには、第1の処理装置131に誘導されてよい。
【0027】
図1に示したように、第1の処理装置131と第2の処理装置133とは、それぞれクリーンルーム環境115の外部に位置していてよい。したがって、処理装置内でのガラスリボン103の粉砕は、クリーンルーム環境115の外部で行われる。これによって、クリーンルーム環境115へのガラス粒子の進入が著しく減じられる。
【0028】
ガラスリボン103は、第3の進行経路134に沿って誘導されてもよい。
図1に示したように、第3の進行経路134は、第2の進行経路132および第1の進行経路130に対して平行でない湾曲させられた進行経路であってよい。第3の進行経路134は、クリーンルーム環境115の内部に延在している。さらに、第3の進行経路134は搬送装置110によって規定されている。以下でさらに述べるように、搬送装置110は、ガラスリボン103を進行方向に搬送する第3の進行経路134を形成する複数のローラを備えている。
【0029】
搬送装置110は、成形装置120の下流に位置決めされている。
図1に示したように、ガラス製造システム100は、成形装置120と搬送装置110との間に支持ローラ147を備えていてよい。支持ローラ147は、搬送装置110へのガラスリボン103の係合を促進することができる。幾つかの実施形態では、支持ローラ147は、ガラスリボン103の第1の主面148に係合しており、搬送装置110は、ガラスリボン103の第2の主面149に係合している。したがって、支持ローラ147は、ガラスリボン103を搬送装置110に向かって搬送装置110に係合するようにガイドすることができる。幾つかの実施形態では、支持ローラ147は、非接触式の支持構造、例えば、ガラスリボン103に接触しない空気支持機構を備えている。
【0030】
搬送装置110は、第1の端部114と第2の端部116との間に延在している。第1の端部114は、第2の端部116よりも成形装置120の近くに位置していてよく、これによって、第1の端部114が、最初にガラスリボン103を受け取ることができる。さらに、第1の端部114は、第2の端部116よりも高い高さに位置していてよい(例えば、第1の端部114は、鉛直方向で第2の端部116よりも上方にある)。これによって、第3の進行経路134は、第1の端部114から第2の端部116まで下向きに傾けられていてよい。したがって、第3の進行経路134は、重力方向156に対して平行でなくてもよいし、垂直でなくてもよい。
【0031】
搬送装置110の第3の進行経路134は、複数の進行方向から構成された進行方向150を形成していてよい。より詳細には、進行方向150は、例えば、第1の進行方向151と、第2の進行方向152と、第3の進行方向153と、第4の進行方向154とを有していてよい。進行方向151~154は、それぞれ別の進行方向に対して固有のかつ異なる傾斜を有していてよい。各々の進行方向の傾斜は、以下でさらに述べるように、搬送装置110のローラの高さに左右されてよい。第1の進行方向151は第1の傾斜を有していてよく、第2の進行方向152は第2の傾斜を有していてよく、第3の進行方向153は第3の傾斜を有していてよく、第4の進行方向154は第4の傾斜を有していてよく、これによって、第1、第2、第3および第4の傾斜の各々が、互いに異なっていると共に固有となる。したがって、第3の進行経路134は、進行方向151~154に沿って一定でない傾斜を有している。幾つかの実施形態では、第3の傾斜は第4の傾斜よりも大きく、第2の傾斜は第3の傾斜よりも大きく、第1の傾斜は第2の傾斜よりも大きい。したがって、第1の傾斜が、別の傾斜と比較して鉛直方向に対する最大の変化を有している。
【0032】
図1にさらに示したように、(第1、第2、第3および第4の進行方向151~154から構成された)進行方向150は、湾曲させられた進行方向を形成しているため、第3の進行経路134は、湾曲させられた進行経路である。したがって、第3の進行経路134の1つ以上の部分が、第1の端部114と第2の端部116との間で形成される直線から逸脱している。
【0033】
ガラスが最適でなく、破砕またはリサイクルすべきであるとして分類されたことが決定されると、搬送装置110は、ガラスリボン103を第3の処理装置135に誘導してよい。例えば、ガラスリボンは欠陥を有していることがある。第3の処理装置135は、クリーンルーム環境115の外部に配置されていてよい。代替的には、搬送装置110は、ガラスリボン103を巻取り装置160に誘導してよく、そこで、ガラスリボン103がロールへと巻成される。巻取り装置160は、例えば、実質的に円形の断面形状を有するスプール162を備えていてよい。
【0034】
図2には、搬送装置110の斜視図が示してある。
図2に示したように、搬送装置110は、複数のローラ203を支持する支持構造201を備えていてよい。例えば、幾つかの実施形態では、支持構造201は、第1のローラ207を支持する第1の支持アーム205のペアを備えている。第1のローラ207の第1の端部は、第1の支持アーム205のペアのうちの一方に取り付けられていてよく、第1のローラ207の反対側の第2の端部は、第1の支持アーム205のペアのうちの他方に取り付けられていてよい。幾つかの実施形態では、第1の支持アーム205のペアは、例えば、重力方向156に対して平行であると共に第3の進行経路134に対して傾けられた第1の方向209に沿って鉛直方向に調整可能であってよい。例えば、第3の進行経路134に対して傾けられていることによって、第1の支持アーム205のペアは、軸線、例えば、第1のアーム軸線208および第2のアーム軸線210に沿って延在していてよい。第1の支持アーム205のペアを調整することによって、支持アームが、鉛直方向に(上下に)動かされて、第1のローラ207を昇降させる。
【0035】
幾つかの実施形態では、第3の進行経路134は、第1の支持アーム205のペアの軸線208,210(例えば、ひいては重力方向156)に対して所定の角度212を成している。この角度は、約0°~約90°の範囲内または約15°~約75°の範囲内または約30°~約60°の範囲内等であってよい。第1の方向209に沿って鉛直方向に調整可能であることによって、第1の支持アーム205のペアが第1のローラ207を昇降させることができる。これによって、第1の支持アーム205のペアの軸線208,210(例えば、ひいては重力方向156)に対する第3の進行経路134の、第1の支持アーム205のペアに隣接する角度212が変化させられる。
【0036】
幾つかの実施形態では、支持構造201は、第2のローラ217を支持する第2の支持アーム215のペアをさらに備えている。第2のローラ217の第1の端部は、第2の支持アーム215のペアのうちの一方に取り付けられていてよく、第2のローラ217の反対側の第2の端部は、第2の支持アーム215のペアのうちの他方に取り付けられていてよい。幾つかの実施形態では、第2の支持アーム215のペアは、例えば、第1の方向209に沿って(上述したように、第1の支持アーム205のペアに対して)鉛直方向に調整可能であってよい。支持構造201は、進行方向150で搬送装置110の長さに沿って互いに離間させられていてよい付加的な支持アームおよびローラを備えていてよい。複数のローラ203のうちの別のローラは、以下でさらに述べるように、第1のローラ207および第2のローラ217と実質的に同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0037】
図2に示したように、第1の支持アーム205は、第2の支持アーム215から所定の距離だけ離間させられていてよく、これによって、第1のローラ207および第2のローラ217も互いに等しい距離だけ離間させられている。幾つかの実施形態では、別の支持アームおよびローラは、進行方向150に沿って第2の支持アーム215および第2のローラ217から離間させられていてよい。幾つかの実施形態では、第2のローラ217は、第1のローラ207と異なる高さにあってよく、例えば、第2のローラ217は、第1のローラ207よりも低い高さにある。したがって、ガラスリボン103が、まず、搬送装置110の第2のローラ217への接触に先だって、第1のローラ207に接触することができる。支持アームおよびローラのそれぞれ異なる向きによって、進行方向151~154のそれぞれ異なる傾斜が提供される。
【0038】
幾つかの実施形態では、
図2に示したように、複数のローラ203が、ガラスリボン103の幅223に沿って延在しており、これによって、1本1本のローラ203が、進行方向150(例えば、進行方向151~154)に対して実質的に垂直に延在している。したがって、複数のローラ203の長手方向軸線(例えば、第1のローラ207の第1の軸線225、第2のローラ217の第2の軸線227等)は、ガラスリボン103の進行方向150に対して垂直であり、ガラスリボン103の主面(例えば、第1の主面148または第2の主面149)に対して平行であってよい。幾つかの実施形態では、複数のローラ203の幅223は、ガラスリボン103の幅よりも大きくてよく、これによって、(以下でさらに述べるように)ガラスリボン103をその互いに反対側の縁部で支持することができる。
【0039】
上述したように、複数のローラの各々の鉛直方向の高さは、それぞれ異なる進行方向151~154を提供することができる。したがって、ガラスリボン103は、それぞれ異なる向きで搬送装置110に沿って進行することができる。例えば、ガラスリボン103は、それぞれ異なる傾きで搬送装置110に沿って進行することができる。幾つかの実施形態では、搬送装置110は、ガラスリボン103を実質的に鉛直方向の向きで(例えば、重力方向に対して実質的に平行に)受け取ることができる。次いで、搬送装置110は、水平方向の向きに近い減じられた傾きを有する(例えば、重力方向に対して実質的に垂直な)向きにガラスリボン103を徐々に変向させることができる。全体として、ガラスリボン103は、搬送装置110によって支持されて搬送装置110に配置されると、カテナリー曲線を形成することができる。
【0040】
図3には、搬送装置110の一部の拡大図が示してある。
図3に示したように、複数のローラ203は、第3のローラ301と、第4のローラ302と、第5のローラ303とを備えていてよい。第3のローラ301および第4のローラ302は、
図2に示したような第1のローラ207および第2のローラ217と実質的に同一であってよい。複数のローラ203の各々のローラは、軸310と、軸310から半径方向外向きに延在する1つ以上の支持リング305とを備えていてよい。
図3に示したように、第4のローラ302は、例えば、4つの支持リング305を備えている。しかしながら、各々のローラが、より多くのまたはより少ない支持リング305を備えていてよいことも想定されている。例えば、ローラは、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10以上の支持リング305を備えていてよい。1つ以上のローラは、1つ以上の別のローラと異なる数の支持リング305を備えていてよい。幾つかの実施形態では、支持リング305は、ガラスリボン103の周縁部から約50mm以下の距離に位置している。さらに別の実施形態では、支持リング305は、ガラスリボン103の周縁部から約40mm以下もしくは約30mm以下もしくは約20mm以下もしくは約10mm以下もしくは約5mm以下もしくは約2mm以下の距離または約10mm~約50mmもしくは約20mm~約50mmの範囲内の距離を置いて位置している。
【0041】
支持リング305は、各々の支持リング305が、隣り合った支持リング305に接触しないように、軸310に沿って離間させられていてよい。幾つかの実施形態では、支持リング305は、軸310に沿って均等に離間させられている。
図3に示しかつ上述したように、支持リング305は、ガラスリボン103の外側の周端部に接触するように、軸310の外側の周端部に向かって位置決めされていてよい。支持リング305は、軸310の外周全体を取り囲むように延在していてよい。幾つかの実施形態では、支持リング305は、約1mm以上または約5mm以上または約10mm以上または約15mm以上または約20mm以上の(軸310の長手方向に沿った)幅を有している。付加的または代替的には、支持リング305の幅は、約50mm以下または約45mm以下または約40mm以下または約35mm以下または約30mm以下または約25mm以下である。幾つかの実施形態では、幅は、約1mm~約50mmまたは約5mm~約45mmまたは約10mm~約40mmまたは約15mm~約35mmまたは約20mm~約25mmである。さらに、支持リング305は、約5mm以上または約10mm以上または約15mm以上または約20mm以上または約25mm以上または約30mm以上または約35mm以上または約40mm以上または約45mm以上または約50mm以上の外径を有している。付加的または代替的には、外径は、約500mm以下または約400mm以下または約300mm以下または約200mm以下または約100mm以下または約75mm以下または約50mm以下である。幾つかの実施形態では、外径は、約5mm~約500mmまたは約10mm~約450mmまたは約15mm~約400mmまたは約20mm~約350mmまたは約25mm~約300mmの範囲内にある。
【0042】
支持リング305は、軸310から半径方向外向きに延在しているので、ガラスリボン103は、(搬送装置110によって支持されているとき)軸310ではなく、支持リング305に係合かつ接触していてよい。したがって、支持リング305は、進行経路134に沿ってガラスリボンを搬送するために、ガラスリボン103に接触していてよい。さらに、ガラスリボン103は、各々のローラに設けられた支持リング305にのみ接触していてよい(ローラの残りの構成要素には接触しない)。ガラスリボン103は支持リング305にしか接触していないので、これによって、ガラスリボン103に対する損傷、例えば、ガラスリボン103の引掻きまたは凹みが減じられる/防止される。
【0043】
支持リング305は、エラストマー材料、例えば、シリコーン、ニトリル、Viton(商標)または別の有機材料から構成されていてよい。幾つかの実施形態では、支持リング305の材料は、例えば、約300℃まで耐熱性である。したがって、支持リング305は、ガラスリボン103の熱によるマイナスの影響(例えば、劣化、摩耗等)を回避しつつガラスリボン103に接触することができる。上述したように、支持リング305は、軸310の全周を取り囲むように延在する周方向部材であってよい。幾つかの実施形態では、支持リング305は、エラストマー製のOリングである。別の実施形態では、1つ以上の支持リング305は、非接触式の支持装置、例えば、ガラスリボン103に向かって空気を放出する空気支持機構を備えている。空気がガラスリボン103に衝突することによって、空気支持機構は、ガラスリボン103に接触することなく、ガラスリボン103を支持することができる(例えば、ガラスリボン103が空気支持機構から所定の距離だけ離間させられている)。空気支持機構は、空気(例えば、圧縮された空気)を供給源から受け入れる中空の内部を備えていてよい。
【0044】
上述したように、支持リング305は、ガラスリボン103の外側の周縁部分に接触している。したがって、支持リング305を含んだ複数のローラ203は、ガラスリボン103の中央部分に接触しない。これによって、ガラスリボン103の中央部分に対するあらゆるマイナスの影響、例えば、ガラスリボン103のあらゆる劣化または摩耗を減じることができるかまたは防止することができる。
【0045】
軸310は、約40mm以上もしくは約50mm以上もしくは約60mm以上もしくは約70mm以上の直径または約40mm~約80mmもしくは約50mm~約70mmもしくは約40mm~約50mmの範囲内の直径を有する円形の断面形状を有していてよい。しかしながら、軸310が別の断面形状を有していてよいことも想定されている。さらに、1つ以上の軸310が、搬送装置110に設けられた異なるローラにおける1つ以上の別の軸310と異なる直径および/または断面形状を有していてよいことも想定されている。上述したように、軸310はガラスリボン103に接触していない。各々の軸310は、支持アーム205,215に接続された歯車320をさらに備えていてよい。
図3に示したように、第1のローラ301は2つの歯車320を備えている。歯車320の回転によって、軸310の回転が生じる。これによって、さらに、支持リング305の回転が生じる。上述したように、支持リング305の回転によって、ガラスリボン103が、搬送装置110に沿って搬送される。
【0046】
また、付言しておくと、幾つかの実施形態では、複数のローラ203の1つ以上の軸310が回転しなくてもよい。その代わりに、1つ以上の軸310は、ガラスリボン103を決して搬送することなく、ガラスリボン103のいかなる垂れ下がりも減じるために役立つ位置不変の部材であってよい。
【0047】
ガラスリボン103は、コーティングされたガラスまたはコーティングされていないガラス、ガラスセラミックおよび/またはセラミック材料から成形されていてよい。例示的なガラス組成物は、例えば、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩、アルカリ土類アルミノケイ酸ガラス、アルカリ土類ホウアルミノケイ酸ガラス、溶融シリカまたは結晶材料、例えば、サファイヤ、ケイ素、ヒ化ガリウムもしくはそれらの組合せを含んでいる。幾つかの実施形態では、ガラスはイオン交換可能であってよく、これによって、ガラス組成物は、基材を処理する前または処理した後にガラス強化のためにイオン交換することができる。例えば、ガラスは、イオン交換されたガラスおよびイオン交換可能なガラス、例えば、ニューヨーク州のコーニングに在るCorning Incorporated社から入手可能なCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)Glassを含んでいてよい。さらに、ガラスは、約6ppm/℃(約6×10-6/℃)~約10ppm/℃(約10-5/℃)の熱膨張係数(CTE)を有していてよい。別の例示的なガラスは、ニューヨーク州のコーニングに在るCorning Incorporated社から入手可能なEAGLE XG(登録商標)およびCORNING LOTUS(商標)Glassを含んでいる。
【0048】
別の実施形態では、リボン103は、ガラスセラミックまたは結晶、例えば、アルミナ、ジルコニア、サファイヤまたはセレン化亜鉛を含んでいる。別の実施形態では、リボン103は、(コーティングされたまたはコーティングされていない)ポリマー材料、例えば、透明なプラスチック材料を含んでいることも想定されている。さらに、幾つかの実施形態では、リボン103は、(コーティングされたまたはコーティングされていない)金属または金属合金を含んでいてよい。したがって、本開示の実施形態は、ガラスから成形されたリボン103に限定されるものではない。
【0049】
幾つかの実施形態では、ガラスリボン103は、約100μm以下または約90μm以下または約80μm以下または約70μm以下または約60μm以下の厚さを有する肉薄の部材である。付加的または代替的には、ガラスリボン103は、約20μm以上または約30μm以上または約40μm以上または約50μm以上または約60μm以上の厚さを有している。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の厚さは、約20μm~約100μmまたは約40μm~約70μmの範囲内にある。
【0050】
従来の搬送装置では、ガラスリボン103の厚さが少なくとも部分的に小さいため、このような肉薄のガラスリボンがローラ同士の間で垂れ下がってしまう。したがって、ガラスリボンが、重力の影響を受けて、互いに隣り合ったローラの間で下向きに膨らんでしまうかまたは沈んでしまう。しかしながら、本開示の実施形態は、互いに隣り合ったローラの間でのこのような垂れ下がりを減じる/防止するテンションローラを含んでいる。以下でさらに述べるように、テンションローラは、有利には、ガラスリボン103へのローラの接触を制限しつつガラスリボン103のこのような垂れ下がりを減じている/防止している。
【0051】
また、付言しておくと、搬送装置110は、上記にて開示したガラスリボンよりも肉厚のガラスリボンと共に使用されてよく、上記にて開示したガラスリボン寸法に限定されるものではない。
【0052】
図3には、第5のローラ303がテンションローラ400である実施形態が示してある。さらに、付言しておくと、複数のローラ203のうちの1つ以上の別のローラ(例えば、第3のローラ301および/または第4のローラ302)がテンションローラであってもよい。例えば、複数のローラ203のうちの各々のローラがテンションローラ400であってよい。別の実施形態では、1つ以上または2つ以上または3つ以上または4つ以上または5つまたは6つ以上または7つ以上または8つ以上または9つ以上または10以上のローラがテンションローラ400であってよい。例えば、複数のローラ203のうちの約半分のローラがテンションローラ400であってよい。付加的には、テンションローラ400は、種々の構成において、搬送装置110の長さに沿って離間させられていてよい。1つの特定の実施形態では、複数のローラ203のうちの全ての別のローラがテンションローラ400である。
【0053】
テンションローラ400は、(上述した軸310に類似の)軸410と、軸410に配置された回転ホイール420とを備えている。
図4にも示したように、回転ホイール420は、軸410から半径方向外向きに延在する複数のスポーク430を備えている。スポーク430は、それぞれ突出部材、例えば、パドル、ブレード、延長体または張出し体である。さらに、スポーク430は、軸410の長手方向軸線を中心として回転するように構成されており、これによって、ガラスリボン103が進行経路134に沿って進行方向150に搬送される。より詳細には、流れ発生器440(
図4)が、流体流れ445を複数のスポーク430に誘導して、これらのスポーク430を回転させる。スポーク430の回転によって、軸410の回転が生じる。そして、これによって、ガラスリボン103の搬送が生じる。幾つかの実施形態では、軸410は、上述したような支持リング305を備えている。したがって、これらの実施形態では、スポーク430の回転によって、軸410の回転が生じる。そして、これによって、支持リング305の回転ひいてはガラスリボン103の搬送が生じる。
【0054】
回転ホイール420は、約30mm以上もしくは約40mm以上もしくは約50mm以上もしくは約60mm以上もしくは約70mm以上もしくは約80mm以上もしくは約90mm以上もしくは約100mm以上の外径または約50mm~約100mmもしくは約60mm~約90mmの範囲内の外径を有していてよい。回転ホイール420の外径は、スポーク430の外周であってよい。したがって、スポーク430は、それぞれ第1の端部432から第2の端部434まで約1mm以上もしくは約5mm以上もしくは約8mm以上もしくは約10mm以上もしくは約12mm以上もしくは約15mm以上もしくは約18mm以上もしくは約20mm以上の長さまたは約1mm~約50mmもしくは約5mm~約20mmもしくは約10mm~約15mmもしくは約12mm~約14mmの範囲内の長さまたは約5mm~約40mmもしくは約10mm~約35mmもしくは約15mm~約30mmの範囲内の長さを有していてよい。
図4に示したように、スポーク430の第1の端部432は、回転ホイール420の基礎422から延在していてよく、スポーク430の第2の端部434は、自由端部であってよい。したがって、第2の端部434は、第1の端部432の半径方向外側にある。
【0055】
スポーク430は、回転ホイール420の基礎422から半径方向外向きに突出していてよく、これによって、各々のスポーク430が、隣り合ったスポーク430から分離されている。したがって、互いに隣り合ったスポーク430の間に間隙が存在している。幾つかの実施形態では、互いに隣り合ったスポークの間の最小の間隙(つまり、互いに隣り合ったスポーク430の間の直線)は、約2mm以上または約5mm以上または約8mm以上または約10mm以上または約15mm以上または約20mm以上または約25mm以上または約30mm以上である。付加的または代替的には、互いに隣り合ったスポーク430の間の最小の間隙は、約80mm以下または約75mm以下または約70mm以下または約65mm以下または約60mm以下または約55mm以下または約50mm以下または約45mm以下または約40以下である。幾つかの実施形態では、最小の間隙は、約5mm~約80mmまたは約10mm~約70mmまたは約20mm~約60mmの範囲内にある。回転ホイール420は、約8枚以上のスポークまたは約9枚以上のスポークまたは約10枚以上のスポークまたは約20枚以上のスポークまたは約40枚以上のスポークまたは約80枚以上のスポークまたは約100枚以上のスポークを備えていてよい。付加的または代替的には、回転ホイール420は、約500枚以下のスポークまたは約250枚以下のスポークまたは約200枚以下のスポークまたは約100枚以下のスポークまたは約80枚以下のスポークまたは約40枚以下のスポークまたは約20枚以下のスポークまたは約18枚以下のスポークまたは約16枚以下のスポークまたは約14枚以下のスポークまたは約12枚以下のスポークまたは約10枚以下のスポークまたは約8枚以下のスポークを備えていてよい。幾つかの実施形態では、回転ホイール420は、約8枚~約20枚のスポークまたは約12枚~約40枚のスポークを備えている。
【0056】
さらに、スポーク430は、それぞれ約1mm~約50mmまたは約5mm~約40mmまたは約10mm~約35mmまたは約15mm~約30mmの幅を有していてよい。上述したように、各々のスポーク430の長さは、約1mm~約50mmまたは約5mm~約40mmまたは約10mm~約35mmまたは約15mm~約30mmであってよい。幾つかの実施形態では、スポーク430は、約2×2mm~約50×50mmまたは約5×5mm~約40×40mmまたは約10×10mm~約35×35mmまたは約15×15mm~約30×30mmの範囲の長さおよび幅寸法を有する正方形の構成要素である。したがって、スポーク430は、約1mm2~約2,500mm2または約25mm2~約1,600mm2または約100mm2~約1,225mm2または約225mm2~約900mm2の表面積を有していてよい。スポーク430は、流れ発生器440が流体流れ445をスポーク430に誘導することができ、これによって、流体流れ445がスポーク430に荷重を加え、スポーク430が回転ホイール420にトルクを加え、そして、この回転ホイール420が軸410にトルクを加えるように、十分なサイズを有していることが求められる。また、付言しておくと、1つ以上のスポーク430は、搬送装置110に設けられた1つ以上の別のスポーク430と異なるサイズ(例えば、長さ、幅、表面積)を有していてよい。
【0057】
図3および
図4の実施形態では、テンションローラ400は、1つの回転ホイール420を備えている。しかしながら、テンションローラ400が、2つ以上または3つ以上または4つ以上の回転ホイール420を備えていてよいことも想定されている。例えば、幾つかの実施形態では、テンションローラ400は、2つの回転ホイール420を備えていてよく、これによって、各々の回転ホイールは、軸410の外側の周端部に配置されている。
図3および
図4にも示したように、テンションローラ400は、ガラスリボン103の周縁よりも外側に配置されていてよい。したがって、ガラスリボン103の外側の周端部は、テンションローラ400の半径方向内側に(つまり、ガラスリボン103の中心に向かって)配置されている。
【0058】
幾つかの実施形態では、流れ発生器440は、流体、例えば空気または水の速度ベクトルが変化させられるように、流体流れ445を駆動かつ誘導するデバイスまたは装置である。したがって、流れ発生器440は、流体の速度ベクトルをスポーク430に向かって誘導して、スポーク430に影響を与えるかまたはスポーク430を駆動する(これによって、スポーク430の回転が生じる)。幾つかの実施形態では、流体流れ445は、誘導可能な狭幅の流体流れである。流れ発生器440は、例えば、ファン、圧縮ノズルまたは流体ジェットであってよい。幾つかの特定の実施形態では、流れ発生器440は、圧縮空気ノズルまたは圧縮水ノズルである。エアジェットは、狭幅の流体(例えば、空気)流れを制御または誘導するための特に有用な流れ発生器440であってよい。流れ発生器440の別の実施形態は、誘導された蒸気流れを発生させるために、流体、例えば水を加熱するデバイスを含んでいる。流れ発生器440は、インペラ、ロータ、コンプレッサおよび/またはブロワを駆動するモータを含んでいてよい。さらに別の流れ発生器440は、ベローズ、タービン等を含んでいてよい。
図4の実施形態では、流れ発生器440は、流体流れ445を回転ホイール420に向かって吐出かつ誘導するノズル449を備えたエアジェットである。別の実施形態では、流れ発生器440は、ウォータジェットまたは真空ホースを備えており、これによって、流体の流体流れが水である。流れ発生器440は、空気流れ445を回転ホイール420に正確に誘導するために、回転ホイール420に対して旋回可能であってよい。
【0059】
図示していないが、流れ発生器440は、流体を保持するためのリザーバと、このリザーバをノズル449に接続する導管とを備えていてよい。リザーバは、流体がノズル449から流出してスポーク430に接触するように加圧されてよい。流れ発生器440は、ガラスリボン103に欠陥を生じさせる恐れがある周辺の空気中のパーティクルを機器またはガラスリボン103に移動させないように構成されている。幾つかの実施形態では、流体流れ445は、あらゆる汚染を発生させないように濾過されている。
【0060】
流れ発生器440は、回転ホイール420への、誘導可能なかつ容易に制御される極めて特異的な流体流れ445を提供する。これによって、回転ホイール420のスポーク430を、歯車またはベルトによって駆動される従来のローラを使用する場合よりも高い程度の特異性で駆動することが可能となる。より詳細には、回転ホイール420は、流れ発生器440によって駆動されると、ガラスリボン103に搬送力を提供して、テンションローラ400のトルクを制限しながらガラスリボンを搬送装置110に沿って搬送する。テンションローラ400のトルクを制限し、ひいては、テンションローラ400の回転速度を制限することによって、ローラが、ガラスリボン103の搬送速度よりも高い回転速度で回転しなくなる。したがって、テンションローラ400は、ガラスリボン103に下方への速度を加えずにガラスリボン103を搬送することができる。回転ローラを駆動するために歯車またはベルトを使用する従来の搬送装置では、ローラは、本明細書に開示した実施形態と同じ繊細かつ正確な性質で駆動されない。したがって、従来の回転ローラは、ガラスリボンの搬送速度よりも大きな回転速度で回転させられてしまう。従来の回転ローラの回転速度の上昇によって、ローラはガラスリボンに下向きの力を加える。これによって、ガラスリボンがその搬送速度よりも速い速度で下方に移動させられる。これによって、ローラとガラスリボンとの間でスリップが生じてしまう。ローラとガラスリボンとの間のスリップによって、支持リング305および/または軸310がガラスリボンを擦ってしまう。これによって、パーティクルによる破損および汚染が生じてしまい、その結果、ガラスリボンに欠陥が生じてしまう。このような従来の回転ローラと異なり、テンションローラ400は、有利には、ローラとガラスリボン103との間にスリップを生じさせる恐れがある下向きの力をガラスリボン103に決して加えない。
【0061】
テンションローラ400は、このテンションローラ400とガラスリボン103との間にスリップを生じさせるような下向きの力をガラスリボン103に加えないが、テンションローラ400は、実際には、ガラスリボン103に搬送力を付与して、ガラスリボンを第3の進行経路134に沿って搬送する。搬送力は、ガラスリボン103に張力を付与し、これによって、ガラスリボン103が、常に搬送装置110の第2の端部116に向かって下向きに引っ張られる。特に、テンションローラ400は、(例えば、約100μm以下の厚さを有する)肉薄のガラスリボン103すら搬送することを可能にする搬送力をガラスリボン103に付与する。従来の搬送装置では、回転ローラに基づく摩擦がガラスリボンに上向きの力を加え、これによって、肉薄のガラスリボンが装置に沿って下向きに搬送されることが阻止されてしまう。このことは、より肉厚のガラスリボンの場合には大きな問題にはならない。この場合には、重力が、このような摩擦に抵抗し、より肉厚のガラスリボンを搬送装置に沿って下方に移動させるために役立っている。しかしながら、より小さなサイズのより肉薄のガラスリボンでは、その重力がローラの摩擦に抵抗しない。これによって、このようなより肉薄のガラスリボンを搬送するために、より高い搬送力が必要となる。したがって、本明細書に開示した実施形態のテンションローラ400は、従来の搬送装置と比較して、より高い搬送力のみならず、より小さな回転速度も提供する。これによって、有利には、搬送装置110が、搬送装置110とガラスリボンとの間に決してスリップを生じさせずに肉薄のガラスリボンを搬送することが可能となる。
【0062】
テンションローラ400は、ガラスリボンに約15g以上または約20g以上または約25g以上または約30g以上の搬送力を加えてよい。付加的または代替的には、ガラスリボン103のあらゆる破損を防止しかつ/または減じるために、搬送力は、約60g以下または約55g以下または約50g以下または約45g以下または約40g以下である。付言しておくと、ガラスリボン103に対する過度に大きな搬送力は、ガラスに過度に大きな張力を加えることがあり、これによって、ガラスが破損してしまうことがある。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103に対するテンションローラ400の搬送力は、約15g~約60gまたは約20g~約50gまたは約25g~約45gまたは約30g~約40gの範囲内にある。幾つかの実施形態では、本明細書に開示した搬送力は、約10mm以上もしくは約25mm以上もしくは約50mm以上もしくは約75mm以上もしくは約100mm以上もしくは約200mm以上もしくは約300mm以上もしくは約400mm以上もしくは約500mm以上もしくは約2m以下もしくは約1m以下の幅または約10mm~約2mの範囲内の幅を有するガラスリボン103に対するものである。例えば、より広幅のガラスリボンに関して使用するためには、本明細書に開示した搬送力と異なる搬送力が使用されてよい。
【0063】
上述したように、流れ発生器440からの流体流れ445は、極めて特異的に容易に制御される。したがって、流れ発生器440は、テンションローラ400のトルクひいてはテンションローラ400の搬送力を正確に制御するように構成されている。より詳細には、流れ発生器440は、テンションローラ400の搬送力をμgのオーダで変化させるように構成されている。これによって、ガラスリボン103の速度を第3の進行経路134に沿って正確に制御することも可能となる。
【0064】
ガラスリボン103に加えられる搬送力によって、ガラスリボン103は搬送装置110に沿って約3m/分以上または約5m/分以上または約10m/分以上または約13m/分以上または約15m/分以上または約20m/分以上または約23m/分以上または約25m/分以上または約50m/分以上または約75m/分以上または約100m/分以上または約125m/分以上または約150m/分以上の速度で搬送されてよい。付加的または代替的には、ガラスリボン103は、搬送装置110に沿って約200m/分以下または約150m/分以下または約100m/分以下または約80m/分以下または約60m/分以下または約40m/分以下または約35m/分以下または約30m/分以下または約25m/分以下または約20m/分以下または約15m/分以下の速度で搬送されてよい。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の速度は、第3の進行経路134に沿って約5m/分~約20m/分または約6m/分~約18m/分または約8m/分~約15m/分または約10m/分~約12m/分の範囲内にある。流れ発生器440は、ガラスリボン103の正確な速度を発生させるために、流体流れ445をスポーク430に誘導する。幾つかの実施形態では、流れ発生器440は、流体流れ445をスポーク430に約0.5L/秒以上もしくは約0.75L/秒以上もしくは約1.0L/秒以上もしくは約1.25L/秒以上もしくは約1.5L/秒以上もしくは約1.75L/秒以上もしくは約2.0L/秒以上もしくは約2.25L/秒以上もしくは約2.5L/秒以上もしくは約2.75L/秒以上の流量または約1.0L/秒~約2.5L/秒もしくは約1.25L/秒~約2.0L/秒もしくは約1.5L/秒~約1.75L/秒もしくは約1.0L/秒~約1.5L/秒の範囲内の流量で誘導する。流量は、例えば、スポーク430のサイズおよび/またはガラスリボン103の厚さに基づき調整されてよい。流れ発生器440に設けられた空気流量弁447が、流量を調整する。
【0065】
幾つかの実施形態では、搬送装置110の第3の進行経路134に沿って搬送されるガラスリボン103は、より大きなガラスリボンから破断された、より大きなガラスリボンの部分を備えている。従来の搬送装置では、ガラスリボンの一部が破断された場合、搬送装置が、その破断された部分を下向きに引っ張るために十分な搬送力を有していないことがある。それどころか、破断された部分が、(上述したように)ローラの摩擦力によって上向きに移動してしまう。これによって、(成形装置120を含む)ガラス製造システム100全体を停止させ、電源を切って、破断された部分を取り除く必要がある。これによって、時間的な遅れと付加的な費用とが生じてしまう。しかしながら、本明細書に開示した実施形態の搬送装置110は、ガラスリボンのこのような破断された部分を第3の進行経路134に沿って下向きに引っ張るための十分な搬送力を有している。したがって、ガラスリボン103の破断された部分を、システムのダウンタイムなしに、搬送装置110に沿って下向きに搬送することができる。
【0066】
搬送装置110は、また、(約100μm以下の厚さを有する肉薄のガラスリボンですら)ガラスリボン103のいかなる垂れ下がりも防止しかつ/または減じる。(テンションローラ400を含む)複数のローラ203は、十分な距離だけ互いに離間させられていてよく、ガラスリボン103のいかなる垂れ下がりも防止しかつ/または減じるために、ガラスリボン103に十分な搬送力を加えることができる。
【0067】
図4に示したように、テンションローラ400は、(上述したように)軸410を搬送装置110の支持アームに接続する2つの安定化部材450をさらに備えている。さらに、テンションローラ400は、
図4の実施形態では、支持リング305を備えており、これによって、テンションローラ400は、ガラスリボン103の外側の周縁部分にだけ接触し、ガラスリボン103の中央部分には接触しない。より詳細には、テンションローラ400の支持リング305だけが、ガラスリボン103に接触する。(軸410および回転ホイール420を含む)テンションローラ400の別の構成要素は、ガラスリボン103に接触しない。
【0068】
別の実施形態では、流れ発生器440と回転ホイール420とが、テンションローラ400を駆動(し、ひいては、軸410および支持リング305を駆動)するために、例えば、トルクモータまたはトルクリミッタ、例えばクラッチを備えたモータに置き換えられることも想定されている。例えば、トルクモータは、テンションローラ400の回転およびトルクを正確に制御するために、極めて低いトルクを有していてよい。さらに別の実施形態では、流れ発生器440と回転ホイール420とは、テンションローラ400を駆動するために、電動モータに置き換えられてよい。
【0069】
上述したように、本開示の実施形態は、複数のスポーク430がガラスリボン103または軸410に接触しないように、流体流れ445を複数のスポーク430に誘導して、複数のスポーク430を回転させ、ガラスリボン103を搬送装置110の進行経路134に沿って進行方向150に搬送することによってガラスリボン103を製造する方法を含んでいる。
【0070】
種々の実施形態をそれらの特定の例示的かつ具体的な例に関して詳細に説明してきたが、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、開示した特徴の多数の修正および組合せが可能であることから、本開示は、このような実施形態に限定されるものと考えるべきではないことを理解されたい。
【0071】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0072】
実施形態1
製造システムであって、
搬送装置であって、複数のローラを備え、該複数のローラは進行経路を形成しており、該進行経路に沿って、リボンが、進行方向に搬送されるように構成されており、前記複数のローラは、少なくともテンションローラを備え、該テンションローラは、軸と、該軸から半径方向外向きに延在する複数のスポークを備えた回転ホイールとを備え、前記複数のスポークは、前記軸の長手方向軸線を中心として回転して、前記リボンを前記進行方向に搬送するように構成されている、搬送装置と、
前記複数のスポークを回転させるように構成された流れ発生器と
を備える、製造システム。
【0073】
実施形態2
前記流れ発生器は、前記スポークに流体流れを誘導し、これによって、該流体流れが前記スポークに荷重を加え、該スポークが前記回転ホイールにトルクを加えるように構成されている、実施形態1記載の製造システム。
【0074】
実施形態3
前記進行経路は、湾曲させられた経路である、実施形態1または2記載の製造システム。
【0075】
実施形態4
前記進行方向は、第1の進行方向と第2の進行方向とを含み、前記第1の進行方向は、前記第2の進行方向と異なる傾斜を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0076】
実施形態5
前記スポークは、それぞれ約1mm2~約2,500mm2の表面積を有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0077】
実施形態6
前記軸から半径方向外向きに延在する1つ以上の支持リングをさらに備え、該支持リングは、前記リボンの外側の周縁部分に接触するように構成されている、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0078】
実施形態7
前記軸は、約40mm~約80mmの範囲内の外径を有する、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0079】
実施形態8
前記回転ホイールは、約50mm~約100mmの範囲内の外径を有する、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0080】
実施形態9
前記流れ発生器はエアジェットである、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0081】
実施形態10
前記流れ発生器は圧縮ノズルである、実施形態1から8までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0082】
実施形態11
1本の前記軸は、前記リボンの前記進行方向に対して垂直である、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0083】
実施形態12
前記リボンを成形するように構成された成形装置をさらに備える、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0084】
実施形態13
前記リボンが前記軸または前記回転ホイールに接触しないように、前記複数のローラに連結された前記リボンをさらに備える、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0085】
実施形態14
前記リボンは、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから構成されている、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の製造システム。
【0086】
実施形態15
リボンを製造する方法であって、
複数のスポークをリボンに接触しないように回転させ、該リボンを搬送装置の進行経路に沿って進行方向に搬送するステップを含み、
前記複数のスポークは、前記リボンに軸が接触しないように、該軸に取り付けられている、
方法。
【0087】
実施形態16
前記スポークは回転ホイールに接続されており、前記方法は、前記スポークに流体流れを誘導し、これによって、該流体流れが前記スポークに荷重を加え、該スポークが前記回転ホイールにトルクを加えるステップをさらに含む、実施形態15記載の方法。
【0088】
実施形態17
前記進行経路は、湾曲させられた経路である、実施形態15または16記載の方法。
【0089】
実施形態18
前記リボンを前記進行方向の第1の進行方向と第2の進行方向とに搬送するステップをさらに含み、前記第1の進行方向は、前記第2の進行方向と異なる傾斜を有する、実施形態15から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0090】
実施形態19
前記スポークを回転させるために、該スポークに流れ発生器によって流体流れを誘導するステップをさらに含む、実施形態15から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0091】
実施形態20
前記流れ発生器はエアジェットである、実施形態19記載の方法。
【0092】
実施形態21
前記流れ発生器は圧縮ノズルである、実施形態19記載の方法。
【0093】
実施形態22
前記リボンは、ガラス、ガラスセラミックまたはセラミックから構成されている、実施形態15から21までのいずれか1つ記載の方法。
【0094】
実施形態23
前記流体流れを前記スポークに約1.0L/秒~約2.5L/秒の流量で誘導するステップをさらに含む、実施形態15から22までのいずれか1つ記載の方法。
【0095】
実施形態24
前記流体流れを前記スポークに約1.0L/秒~約1.5L/秒の流量で誘導するステップをさらに含む、実施形態23記載の方法。
【0096】
実施形態25
前記リボンを約5m/分以上の速度で搬送するステップをさらに含む、実施形態15から24までのいずれか1つ記載の方法。
【0097】
実施形態26
前記リボンを約15m/分以上の速度で搬送するステップをさらに含む、実施形態25記載の方法。
【0098】
実施形態27
前記リボンは約10mm~約2mの幅を有し、
前記リボンを前記進行経路に沿って搬送するために、前記リボンに少なくとも約20gの搬送力を加えるステップをさらに含む、
実施形態15から26までのいずれか1つ記載の方法。
【0099】
実施形態28
前記リボンを前記進行経路に沿って搬送するために、前記リボンに約50g以下の搬送力を加えるステップをさらに含む、実施形態27記載の方法。
【0100】
実施形態29
前記リボンは約10mm~約2mの幅を有し、
前記リボンを前記進行経路に沿って搬送するために、前記リボンに約50g以下の搬送力を加えるステップをさらに含む、
実施形態15から26までのいずれか1つ記載の方法。
【0101】
実施形態30
前記搬送装置は、前記リボンの中央部分に接触しない、実施形態15から29までのいずれか1つ記載の方法。
【0102】
実施形態31
前記リボンは、より大きなガラスリボン、ガラスセラミックリボンまたはセラミックリボンから破断された、該より大きなガラスリボン、ガラスセラミックリボンまたはセラミックリボンの一部を含む、実施形態15から30までのいずれか1つ記載の方法。
【0103】
実施形態32
前記搬送装置は複数のローラを備え、該複数のローラは前記進行経路を形成しており、該進行経路に沿って前記リボンは搬送され、前記複数のローラのうちのテンションローラが、前記複数のスポークを備える、実施形態15から31までのいずれか1つ記載の方法。
【0104】
実施形態33
1本1本の前記複数のローラは、前記リボンの前記進行方向に対して垂直である、実施形態32記載の方法。
【0105】
実施形態34
前記リボンを前記進行経路に沿って搬送するために、1つ以上の支持リングが、前記軸から半径方向外向きに延在していて、前記リボンの外側の周縁部分に接触している、実施形態15から33までのいずれか1つ記載の方法。
【国際調査報告】