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特表2023-550635治療部位のための流体排出又は送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】治療部位のための流体排出又は送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
A61M1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531049
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 NZ2021050206
(87)【国際公開番号】W WO2022114966
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/117,995
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,889
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/279,915
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517218653
【氏名又は名称】アロア・バイオサージェリー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AROA BIOSURGERY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ウォード,ブライアン・ロデリック
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,アイザック・トリストラム・ターン
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ヘイミッシュ・ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ジョウジー,アリスター・トッド
(72)【発明者】
【氏名】ラブランド,マイケル・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス,リアム・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,サミュエル・バリー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーマン,ショーン・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アセフィ,ドリン
(72)【発明者】
【氏名】チトック,ヘンリー・デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA15
4C077PP18
4C077PP29
(57)【要約】
治療部位に流体及び/又は陰圧を投与するために患者の体内に移植するための生体吸収性デバイス。デバイスは、離隔した2つの組織表面を保持するための生体吸収性弾性トラスを含む。トラスは、チャネルを画定する様式で巻かれた2つの可撓性の細長い壁部材を有し、2つの細長い壁部材が、複数の交差ノードで周期的に互いに交差している。トラスはまた、少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材を含み、各ブレーシング部材が、複数の交差ノードにおいて2つの細長い壁部材に機械的に連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療部位に流体及び/又は陰圧を投与するために患者の体内に移植するための生体吸収性デバイスであって、前記デバイスが、離隔した2つの組織表面を保持するための生体吸収性弾性トラスを備え、前記トラスが、
チャネルを画定する様式で巻かれた2つの可撓性の細長い壁部材であって、前記2つの細長い壁部材が、複数の交差ノードで周期的に互いに交差している、2つの可撓性の細長い壁部材と、
少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材であって、各ブレーシング部材が、複数の前記交差ノードにおいて前記2つの細長い壁部材に機械的に連結されている、少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材と、を備える、デバイス。
【請求項2】
前記ブレーシング部材が、前記チャネルの側部に沿って略長手方向に延在している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ブレーシング部材が、前記チャネルの両側に提供されている、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記壁部材は、前記治療部位からの流体が前記チャネルから排出し得るように、かつ/又は流体が前記チャネルから前記治療部位に送達され得るように、多孔性壁を形成するように巻かれている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスが、略管状である、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
各ブレーシング部材が、前記壁部材の周りでループするそれぞれの前記ブレーシング部材によって、それぞれの前記交差ノードにおいて前記2つの細長い壁部材に機械的に連結されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
各ブレーシング部材が、前記それぞれの交差ノードにおいて前記壁部材の周りに完全な360度ループを形成する主フィラメントを備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
各ブレーシング部材の主フィラメントが、前記それぞれの交差ノードにおいて前記壁部材の周りで720度ループしている、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
各ブレーシング部材が、前記主フィラメントの周りで撚られた副フィラメントを更に備える、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
各ブレーシング部材が、一緒に撚り合わせられた2つのフィラメントを備え、前記壁部材が、前記それぞれの交差ノードにおいて前記2つのフィラメントの間に保持されている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項11】
隣接する相互連結された交差ノードの間に前記フィラメントの少なくとも1つの完全な撚りがある、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
各ブレーシング部材が、前記それぞれのブレーシング部材部材の周りでループしている前記壁部材によって、前記それぞれの交差ノードにおいて前記2つの細長い壁部材に機械的に連結されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
各細長い壁部材が、略螺旋状である、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記壁部材のうちの第1の壁部材が、第1のピッチ長さを有する略螺旋状であり、前記壁部材のうちの第2の壁部材が、前記第1のピッチ長さと同じである第2のピッチ長さを有する略螺旋状である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記2つの壁部材が、反対方向に巻かれている、請求項13又は14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記壁部材のうちの第1の壁部材が、左側壁部材であり、前記壁部材のうちの第2の壁部材が、右側壁部材である、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
各壁部材が、約2mm~約10mmのピッチ長さを有する、請求項13~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
各壁部材が、約4mmのピッチ長さを有する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記壁部材及びブレーシング部材が、縫合糸を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記トラスが、円形又は楕円形の断面を有する可撓性チューブを形成している、請求項1~19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記チャネルが、少なくとも16mmの断面積を有する、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
可撓性生体吸収性シートを更に備え、前記シートが、前記チャネルの壁の少なくとも一部分を形成している、請求項1~21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記可撓性生体吸収性シートが、前記トラスの周りに巻き付けられている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記チャネル内への流体流を可能にするために、前記可撓性生体吸収性シートに複数の開口を備える、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
2つの可撓性生体吸収性シートを備え、前記チャネルが、前記2つの可撓性シートの対向表面間に形成されている、請求項22に記載のデバイス。
【請求項26】
前記チャネル内への流体流を可能にするために、前記チャネルの壁に沿って一方又は両方の可撓性シートに複数の開口を備える、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記可撓性シート又は各可撓性シートが、細胞外マトリックス(ECM)又はポリマー材料の1つ以上の層を含む、請求項22~26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記ECMが、反芻動物の前胃の脱細胞化された固有層-粘膜下層から形成されている、請求項27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記1つ以上のチャネルと流体連通し、陰圧源又は陽圧源に接続可能であるポートを備える、請求項1~28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記治療部位が、手術中に又は外傷の結果として分離された筋肉組織、結合組織、又は皮膚組織の表面の間の空間である、請求項1~29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
患者の体内の治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するためのシステムであって、
(i)請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイスと、
(ii)前記デバイスの前記ポート又は流体不透過性被覆材のいずれかに解放可能に結合された導管と、
(iii)前記患者の体外に位置するリザーバであって、前記リザーバが、前記導管から流体を受容するか、又は前記導管に流体を送達するために、前記導管と流体連通している、リザーバと、
(iv)陽圧又は陰圧を前記デバイスに送達するために前記導管に結合された圧力源と、を備える、システム。
【請求項32】
前記圧力源は、流体が前記治療部位から前記デバイス内に排出され、前記導管を通して前記リザーバに移送されるように、前記デバイスに陰圧を送達することができる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記陰圧源が、前記デバイスを通して治療流体を引き込むように構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
患者の体内の治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達する方法であって、
(i)請求項1~30のいずれか一項に記載のデバイスを前記治療部位に移植することと、
(ii)導管であって、前記導管から流体を受容するか、又は前記導管に流体を送達するために、前記患者の体の外部に位置する少なくとも1つのリザーバに接続される、導管を前記デバイスに結合することと、
(iii)前記治療部位からの流体が除去のために前記デバイス内に引き込まれるように、かつ/又は治療流体が前記デバイス内に引き込まれて前記治療部位に送達されるように、前記デバイスに陰圧を送達することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療部位において、その部位からの流体の排出又はその部位への流体の送達のために移植するためのデバイスに関する。具体的には、デバイスは、生体吸収性である。本発明は、本発明のデバイスを使用して、治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するためのシステム及び方法、並びに当該デバイスを製造する方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的又は外傷性創傷からの流体の排出及び死腔の低減は、しばしば、患者の適時かつ効果的な回復における重要な要因である。現在、手術時に死腔を排除するための良好な解決策はない。縫合は、分離された組織平面全体にわたって閉鎖を提供するのではなく、直線状の閉鎖を提供する。外科用ドレーンは、流体を除去するのに部分的にのみ有効であり、手術直後に死腔を閉鎖するという主要な問題に対処していない。組織接着剤は、確実に有効であることが証明されておらず、全エリアにわたって手作業で縫合することは、限定された量の局所的閉鎖のみを提供する。
【0003】
手術又は外傷後の漿液腫又は血腫形成は、回復を妨げ得る。漿液腫及び血腫は、創傷部位に蓄積する漿液又は血液のポケットである。適切な排出がない場合、治癒不良、感染、又は離開が、追加の手術及びより長い入院の必要性につながり得る。漿液腫及び血腫は、再建形成外科手術、外傷、乳房切除、腫瘍切除、帝王切開、ヘルニア修復、並びに広範な組織上昇及び分離を伴う切開外科手術の後に一般的である。
【0004】
死腔を低減し、創傷部位からの流体の排出を提供することは、多くの事例で非常に望ましく、一方、他の状況では、流体を創傷部位に直接送達して、創傷治癒プロセスを支援することができることは有用である。例えば、感染を予防するために抗菌溶液を局所的に点滴する。同様に、局所麻酔薬の点滴は、疼痛管理を支援し得る。
【0005】
本出願人の先の国際出願PCT/NZ2018/050134号は、部位からの流体の排出のために、又は部位への流体の送達のために治療部位に移植するためのデバイスを開示している。デバイスは、離隔した2つの組織表面を保持し、治療部位から流体が排出され得るか、流体が治療部位に送達され得るチャネルを画定するための生体吸収性弾性トラスを備える。
【0006】
その出願に説明されたトラスの多くは、生体吸収性ポリマーフィラメントを熱結合することによって製造される。これらのトラスに利用される生体吸収性ポリマーフィラメントは、高度に配向された微細構造を有するポリマーである。フィラメントを熱結合するプロセスは、結合部位における及び結合部位に隣接するポリマーの微細構造を変化させ、典型的には、配向度を低下させて、それにより、これらの領域における材料がより低いエネルギー状態になる。変化した微細構造を有するフィラメントのこれらの領域は、変化していない微細構造を有するフィラメントの部分よりも速い速度で再吸収されることが見出されており、これは、トラスが最初に結合された領域で破損し、その構造的完全性を失い得ることを意味する。熱結合はまた、フィラメントを収縮させ、歪ませ得る。
【0007】
更に、長手方向の可撓性を維持しながら、チャネルが崩壊して閉塞又は収縮する可能性を低減するために、より大きい圧縮(横方向、圧潰タイプ)力に耐えることができるインプラントに対する必要性がある。これらの特性は、インプラントが、レシピエントの動きに起因して比較的高レベルの応力及び歪みを受ける領域に配置されるときに特に重要である。
【0008】
合成材料の移植は、移植後の体内、特に骨盤底又は腹壁などの敏感な血管エリアに典型的に現れる、上昇した炎症レベルの一因となり得る。多くの生体吸収性材料はまた、合成材料のポリマー鎖が水分を吸収して、化学構造を様々なモノマーに分解するバルク加水分解のプロセスを通じて分解及び吸収され、これは、ヘルニア腹壁修復及び骨盤臓器脱修復において一般的に使用される合成メッシュで見られるような上昇した炎症反応及び異物反応をトリガし得る有害な酸を放出する。したがって、インプラントに使用される合成材料の量を最小限に抑えることが望まれている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点のうちの1つ以上に対処する流体排出若しくは送達デバイスを提供すること、及び/又は少なくとも既存のデバイスに対する有用な代替物を提供することである。
【0010】
本明細書で特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源が参照されている場合、これは一般に、本発明の特徴を考察するための文脈を提供するためである。特に明記されていない限り、そのような外部文書又は情報源への参照は、そのような文書又はそのような情報源が、いかなる司法管轄においても、先行技術であるか、又は当該技術分野における一般常識の一部を形成することを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様によると、本明細書に説明される発明は、広くは、治療部位に流体及び/又は陰圧を投与するために患者の体内に移植するための生体吸収性デバイスであって、デバイスが、離隔した2つの組織表面を保持するための生体吸収性弾性トラスを備える、生体吸収性デバイスにある。トラスは、チャネルを画定する様式で巻かれた2つの可撓性の細長い壁部材であって、2つの細長い壁部材が、複数の交差ノードで周期的に互いに交差している、2つの可撓性の細長い壁部材と、少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材であって、各ブレーシング部材が、複数の交差ノードにおいて2つの細長い壁部材に機械的に連結されている、少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材と、を備える。
【0012】
一実施形態では、ブレーシング部材が、チャネルの側部に沿って略長手方向に延在している。
【0013】
一実施形態では、ブレーシングトラス部材が、チャネルの両側に提供されている。
【0014】
一実施形態では、壁部材は、治療部位からの流体がチャネルから排出し得るように、かつ/又は流体がチャネルから治療部位に送達され得るように、多孔性壁を形成するように巻かれている。デバイスは、略管状であり得る。
【0015】
一実施形態では、各ブレーシング部材は、壁部材の周りでループしているそれぞれのブレーシング部材によって、それぞれの交差ノードにおいて2つの細長い壁部材に機械的に連結されている。
【0016】
一実施形態では、各ブレーシング部材が、それぞれの交差ノードにおいて壁部材の周りに完全な360度ループを形成する主フィラメントを備える。いくつかの実施形態では、各ブレーシング部材の主フィラメントが、それぞれの交差ノードにおいて壁部材の周りに720度ループを形成し得る。
【0017】
一実施形態では、各ブレーシング部材が、主フィラメントの周りで撚られた副フィラメントを更に備える。
【0018】
一実施形態では、各ブレーシング部材が、一緒に撚り合わせられた2つのフィラメントを備え、壁部材が、それぞれの交差ノードにおいて2つのフィラメントの間に保持されている。
【0019】
一実施形態では、隣接する相互連結された交差ノードの間にフィラメントの少なくとも1つの完全な撚りがある。
【0020】
一実施形態では、各ブレーシング部材が、それぞれのブレーシング部材の周りでループしている壁部材によって、それぞれの交差ノードにおいて2つの細長い壁部材に機械的に連結されている。
【0021】
一実施形態では、各細長い壁部材は、略螺旋状である。一実施形態では、壁部材のうちの第1の壁部材は、第1のピッチ長さを有する略螺旋状であり、壁部材のうちの第2の壁部材は、第1のピッチ長さと同じである第2のピッチ長さを有する略螺旋状である。2つの螺旋壁部材は、反対方向に巻かれ得る。
【0022】
代替的に、壁部材のうちの第1の壁部材が、左側壁部材であり得、壁部材のうちの第2の壁部材が、右側壁部材であり得る。任意選択的に、トラスは、2つの左側壁部材と、2つの右側壁部材と、を備え得る。左右の壁部材は、非螺旋形態でブレーシング部材間で蛇行し得る。
【0023】
一実施形態では、各壁部材は、約2mm~約10mmであるピッチ長さを有する。各壁部材は、約4mmのピッチ長さを有し得る。
【0024】
一実施形態では、壁部材及びブレーシング部材は、縫合糸を含む。
【0025】
一実施形態では、トラスは、円形又は楕円形の断面を有する可撓性チューブを形成している。
【0026】
一実施形態では、チャネルは、少なくとも16mmの断面積を有する。
【0027】
一実施形態では、デバイスは、可撓性生体吸収性シートを更に備え、シートは、チャネルの壁の少なくとも一部分を形成している。
【0028】
一実施形態では、可撓性生体吸収性シートが、トラスの周りに巻き付けられている。可撓性生体吸収性シートは、チャネル内への流体流を可能にするために、可撓性生体吸収性シートに複数の開口を備え得る。
【0029】
一実施形態では、デバイスは、2つの可撓性生体吸収性シートを更に備え、チャネルが、2つの可撓性シートの対向表面間に形成されている。複数の開口が、チャネル内への流体流を可能にするために、チャネルの壁に沿って一方又は両方の可撓性シートに形成され得る。
【0030】
そのような実施形態では、可撓性シート又は各可撓性シートが、細胞外マトリックス(extracellular matrix、ECM)又はポリマー材料の1つ以上の層を含む。ECMは、反芻動物の前胃の脱細胞化された固有層-粘膜下層から形成され得る。
【0031】
一実施形態では、デバイスは、1つ以上のチャネルと流体連通し、陰圧源又は陽圧源に接続可能であるポートを備える。好ましくは、ポートは、陰圧源に接続可能である。
【0032】
一実施形態では、治療部位は、手術中に又は外傷の結果として分離された筋肉組織、結合組織、又は皮膚組織の表面の間の空間である。
【0033】
第2の態様によると、本明細書に説明される本発明は、広くは、患者の体内の治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するためのシステムにある。システムは、(i)本発明の第1の態様によるデバイスと、(ii)デバイスのポート又は流体不透過性被覆材のいずれかに解放可能に結合された導管と、(iii)患者の体外に位置するリザーバであって、リザーバが、導管から流体を受容するか、又は導管に流体を送達するために、導管と流体連通している、リザーバと、(iv)陽圧又は陰圧をデバイスに送達するために導管に結合された圧力源と、を備える。
【0034】
一実施形態では、圧力源は、流体が治療部位からデバイス内に排出され、また導管を通してリザーバに移送されるように、デバイスに陰圧を送達することができる。代替的に、圧力源は、リザーバ内の流体が導管を通してデバイス内及び治療部位に移送されるように、デバイスに陽圧を送達することができる。
【0035】
第3の態様によると、本明細書に説明される本発明は、広くは、患者の体内の治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するための方法にある。方法は、(i)本発明の第1の態様によるデバイスを治療部位に移植することと、(ii)導管から流体を受容するか、又は導管に流体を送達するために、患者の体の外部に位置するリザーバに接続される導管をデバイスに結合することと、(iii)流体が治療部位からデバイス内に排出され、また導管を通してリザーバに移送されるように、デバイスに陰圧を送達すること、又はリザーバ内の流体が導管を通してデバイス内及び治療部位に移送されるように、デバイスに陽圧を送達することと、を含む。
【0036】
第4の態様では、本発明は、創傷を治療するためのシステムを提供し、システムは、創傷に位置する創傷治療デバイスへの接続のための流体入力部及び流体出力部を備える。創傷治療デバイスは、上記に説明されるとおりであり得る。流体入力部は、創傷治療デバイスの上流側に流体接続されるように適合され、流体出力部は、創傷治療デバイスの下流側に流体接続されるように適合される。システムは、流体出力部の上流に空気入口弁と、空気入口弁を開放位置と閉鎖位置との間で駆動するアクチュエータと、流体入力部の下流のポンプと、ポンプを駆動して創傷治療デバイスに陰圧を提供するモータと、アクチュエータ及びモータと通信して空気入口弁及びポンプを動作させるコントローラと、を更に備える。コントローラは、i)空気入口弁を開放し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて第1の真空圧力を維持し、空気を創傷治療デバイス内に導入し、ii)空気入口弁を閉鎖し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて第2の真空圧力を維持し、空気及び流体を創傷治療デバイスから除去するように構成されている。第1の真空圧力は、第2の真空圧力以下である。
【0037】
一実施形態では、コントローラは、空気弁が開閉されたときに、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて陰圧環境を連続的に維持するように構成されている。
【0038】
一実施形態では、第1及び第2の真空圧力は、効果的な陰圧創傷治療を提供する。
【0039】
一実施形態では、コントローラは、ステップi)及びii)を繰り返して、空気入口弁を開放位置と閉鎖位置との間でサイクルさせるように構成されている。
【0040】
一実施形態では、コントローラは、ステップi)及びii)を繰り返して、空気入口弁を開放位置と閉鎖位置との間で連続的にサイクルさせるように構成されている。
【0041】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁が開放されたときにポンプを動作させて、実質的に一定の第1の真空圧力を維持するように構成されている。
【0042】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁を通るシステム内への空気の流量がポンプの流量に等しくなるように、空気入口弁が開放された状態でポンプを動作させるように構成されている。
【0043】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁が閉鎖されたときにポンプを動作させて、実質的に一定の第2の真空圧力を維持するように構成されている。
【0044】
一実施形態では、コントローラは、ステップ(i)において、システムが、治療デバイスにわたってゼロ又は一定の圧力差で平衡状態にあるように、空気入口弁が開放された状態でポンプを動作させるように構成されている。
【0045】
一実施形態では、コントローラは、ステップ(i)において、システムが、治療デバイスにわたってゼロ又は一定の圧力差で平衡状態にあるように、空気入口弁が閉鎖された状態でポンプを動作させるように構成されている。
【0046】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁を開放と閉鎖との間で動作させて、創傷治療デバイスからの流体流に混入された空気の気泡又はスラグを含む気泡流又はスラグ流を生成する流量の空気をシステム内に導入するように構成されている。
【0047】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁を開放と閉鎖との間で動作させて、創傷における流体の密度を低減させて、創傷からの流体を重力に逆らって持ち上げるように構成されている。
【0048】
一実施形態では、コントローラは、空気入口弁を周期的に開閉するように構成されている。
【0049】
一実施形態では、ステップi)において、コントローラは、所定の時間にわたって空気入口弁を開放するように構成されている。一実施形態では、ステップi)において、コントローラは、空気入口弁を少なくとも10秒間開放するように構成されている。
【0050】
一実施形態では、ステップii)において、コントローラは、所定の時間にわたって空気入口弁を閉鎖するように構成されている。
【0051】
一実施形態では、空気入口弁は、サイクルピッチの少なくとも10%、又はサイクルピッチの少なくとも20%、又はサイクルピッチの少なくとも30%、又はサイクルピッチの少なくとも40%、又はサイクルピッチの少なくとも50%の間、開放される。
【0052】
一実施形態では、ステップi)において、空気入口弁は、システムを通して送達される空気の体積が、システムの総体積の少なくとも実質的な部分であるように、十分な時間にわたって開放される。例えば、ステップ(i)では、空気入口弁は、システムに送達される空気の体積が、システムの総体積の少なくとも50%、又は少なくとも100%であるように、十分な時間にわたって開放され得る。
【0053】
一実施形態では、第1の真空圧力は、第2の真空圧力の約30%~100%である。
【0054】
一実施形態では、第1の真空圧力は、約50~100mmHg、好ましくは約80~約90mmHgである。
【0055】
一実施形態では、第2の真空圧力は、約100~150mmHg、好ましくは約100~約110mmHgである。
【0056】
一実施形態では、第1の真空圧力は、第2の圧力よりも約10~50mmHg低い。
【0057】
一実施形態では、ステップ(i)において、コントローラは、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成されている。一実施形態では、ステップ(ii)において、コントローラは、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成されている。
【0058】
一実施形態では、システムは、創傷治療デバイスの下流に位置し、コントローラと通信する下流圧力センサを備える。コントローラは、ステップi)において、下流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成され得る。
【0059】
一実施形態では、システムは、創傷治療デバイスの上流に位置し、コントローラと通信する上流圧力センサを備える。コントローラは、ステップi)において、上流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成され得る。
【0060】
一実施形態では、システムは、
創傷治療デバイスの上流に位置し、コントローラと通信する上流圧力センサと、
創傷治療デバイスの下流に位置し、コントローラと通信する下流圧力センサと、を備え、
コントローラは、ステップi)において、下流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、第1の真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させ、
ステップii)において、上流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、第2の真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成されている。
【0061】
一実施形態では、第1の真空圧力閾値は、第2の真空圧力閾値以下である。
【0062】
一実施形態では、システムは、入口絞りを備え、上流圧力センサは、空気入口弁が開放されたときに上流圧力センサが周囲圧力を測定するように、入口絞りの上流に位置する。
【0063】
一実施形態では、システムは、周囲圧力と創傷治療デバイスにおける真空圧力との間の所定の圧力降下を提示するための入口絞りを備える。
【0064】
一実施形態では、システムは、システムに導入される空気を濾過するためのフィルタを備え、フィルタは、入口絞りであるか、又はそれを備える。
【0065】
一実施形態では、圧力降下は、約20~130mmHgである。
【0066】
一実施形態では、空気入口弁が開放されたとき、周囲圧力と創傷治療デバイスの下流の圧力との間の実質的に全ての圧力差が入口絞りにある。
【0067】
一実施形態では、システムは、創傷から除去された流体を収集するためのリザーバを備え、リザーバは、創傷から除去された流体がポンプを通してリザーバに送られるように、ポンプの下流に位置する。
【0068】
一実施形態では、リザーバは、可撓性バッグを含む。
【0069】
一実施形態では、リザーバは、リザーバを周囲雰囲気に通気するための通気口を備える。
【0070】
一実施形態では、システムは、治療流体の供給を接続するために、流体出口の上流に治療流体入口を備える。
【0071】
一実施形態では、システムは、ステップi)において、創傷治療デバイスへの治療流体の導入が、第1の真空圧力による創傷治療デバイスへの空気の導入によって防止又は低減され、ステップii)において、治療流体が、第2の真空圧力によって創傷治療デバイスに引き込まれるように、構成されている。
【0072】
一実施形態では、システムは、
治療流体入口と流体出口との間の治療流体弁と、
治療流体入口弁を開放位置と閉鎖位置との間で駆動するアクチュエータと、を備え、コントローラが、流体入口弁アクチュエータと通信し、コントローラが、流体供給状態において、
iii)流体入口弁を開放し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて真空圧力を維持し、治療流体を創傷治療デバイスに導入し、
iv)流体入口弁を閉鎖し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて真空圧力を維持し、創傷治療デバイスから流体を除去するように構成されている。
【0073】
一実施形態では、コントローラは、流体入口弁が開閉されるとき、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて陰圧環境を連続的に維持するように構成されている。
【0074】
一実施形態では、コントローラは、ステップ(iii)において、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて第3の真空圧力を生成し、ステップ(iv)において、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて第4の真空圧力を生成するように構成されており、第3の真空圧力は、第4の真空圧力以下である。
【0075】
一実施形態では、第3の真空圧力は、第1の真空圧力と等しいか又は同様であり、第4の真空圧力は、第2の真空圧力と等しいか又は同様である。
【0076】
一実施形態では、第3及び第4の真空圧力は、効果的な陰圧創傷療法を提供する。
【0077】
一実施形態では、流体入口弁を閉鎖し、ポンプを動作させて創傷で真空圧を生成した後、コントローラは、
(v)創傷から治療流体を洗い流すように構成されており、これは、
(v)(a)空気入口弁を開放し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスで真空圧力(例えば、第1の真空圧力)を維持し、創傷治療デバイスに空気を導入することと、
(v)(b)空気入口弁を閉鎖し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスで真空圧力(例えば、第2の真空圧力)を維持し、創傷治療デバイスから流体を除去することと、による。
【0078】
一実施形態では、ステップ(v)において、コントローラは、創傷から治療流体を除去するために、ステップ(v)(a)及び(v)(b)を所定の回数(例えば、3回)繰り返すように構成されている。
【0079】
一実施形態では、流体治療状態において、コントローラは、ステップ(iii)~(v)を所定の回数繰り返すように構成されている。
【0080】
一実施形態では、コントローラは、ステップ(iv)において、流体入口弁を閉鎖し、所定の時間待機し、ポンプを動作させて、創傷治療デバイスにおいて真空圧力を生成し、創傷治療デバイスから流体を除去するように構成されている。
【0081】
一実施形態では、コントローラは、流体供給状態を周期的に起動するように構成されている。
【0082】
一実施形態では、流体供給状態を起動する間の時間は、空気入口弁のサイクル時間よりもはるかに長い。
【0083】
一実施形態では、システムは、コントローラと通信する上流圧力センサ及び/又は下流圧力センサを備え、ステップ(iii)において、コントローラは、上流及び/又は下流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成されている。
【0084】
一実施形態では、システムは、コントローラと通信する上流圧力センサ及び/又は下流圧力センサを備え、ステップ(iv)において、コントローラは、上流及び/又は下流圧力センサによって感知された圧力に基づいて、真空圧力閾値を達成するようにポンプを動作させるように構成されている。
【0085】
本発明は、本出願の明細書で言及又は示される部品、要素、及び特徴、個別に又は集合的に、任意の2つ以上の当該部品、要素、又は特徴の任意若しくは全ての組み合わせで構成されると広く言うこともできる。本発明が関係する技術分野において既知の均等物を有する特定の整数が本明細書で言及される場合、そのような既知の均等物は、あたかも個別に説明されているかのように本明細書に組み込まれるものとみなされる。
【0086】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、「少なくとも部分的に~からなる」ことを意味する。「含んでいる」という用語を含む本明細書及び特許請求の範囲の記述を解釈するときに、この用語で始まるもの以外の他の特徴も存在する可能性がある。「含む」及び「含まれた」などの関連用語も同様に解釈される。
【0087】
本明細書に開示されている数値の範囲(例えば、1~10)への参照は、その範囲内の全ての有理数及びその範囲内の任意の有理数の範囲(例えば、1~6、1.5~5.5、及び3.1~10)への参照も組み込まれることを意図する。したがって、本明細書に明示的に開示された全ての範囲の全ての部分範囲は、本明細書に明示的に開示されている。
【0088】
本明細書で使用される場合、名詞に続く「(複数可)」という用語は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、「及び」若しくは「又は」、又は文脈が許す場合にはその両方を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
ここで、本発明は、添付の図面を参照し、例としてのみ説明される。
図1】不確定な長さを有する第1の実施形態のトラス構造を示す右側斜視図である。
図2】トラスが不確定な長さを有する、図1のトラス構造を示す左側斜視図である。
図3図1及び図2に対応する側面図である。
図4図1図3の実施形態の端面図(又は横断面図)である。
図5図1図4の実施形態の平面図である。
図6】不確定な長さを有する第2の実施形態のトラス構造を示す右側斜視図である。
図7】トラスが不確定な長さを有する、図6のトラス構造を示す左側斜視図である。
図8図6及び図7に対応する側面図である。
図9図6図8の実施形態の端面図(又は横断面図)である。
図10図6図9の実施形態の平面図である。
図11図6図10のトラスにおける第1の壁部材を製造するためのステップを例示する斜視図である。
図12図6図10のトラス実施形態における第2の壁部材を製造するためのステップを例示する斜視図である。
図13図6図10のトラスにおけるブレーシング部材のうちの第1のブレーシング部材を形成するための第1のステップを例示する斜視図である。
図14図6図10のトラスにおけるブレーシング部材のうちの第1のブレーシング部材を形成するための第2のステップを例示する側面図である。
図15図14の第2のステップを例示する斜視図である。
図16】1つのブレーシング部材を有する部分的に製造されたトラスを示す斜視図である。
図17】不確定な長さを有する第3の実施形態のトラス構造を示す右側斜視図であり、明確化のために部分的に切り取られた頂部及び底部ブレーシング部材を示す。
図18】トラスが不確定な長さを有する、図17のトラス構造を示す左側斜視図であり、明確化のために部分的に切り取られた頂部及び底部ブレーシング部材を示す。
図19図17及び図18に対応する側面図であり、ブレーシング部材の巻きを例示する。
図20図17図19の実施形態の端面図(又は横断面図)である。
図21図17図20の実施形態の平面図である。
図22】不確定な長さを有する第4の実施形態のトラス構造を示す右側斜視図である。
図23】トラスが不確定な長さを有する、図22のトラス構造を示す左側斜視図である。
図24図22及び図23に対応する側面図である。
図25図22図24の実施形態の端面図(又は横断面図)である。
図26図22図25の実施形態の平面図である。
図27】創傷治療システムで使用するための入口導管及び出口導管との例示的なトラスの接続を例示する平面図である。
図28図27に対応する図であるが、導管から接続解除されたトラスを示す。
図29】明確化のために導管及び結合スリーブが断面図で示されている、例示的なトラスを導管に結合するための1つの方法を例示する側面図である。
図30図27のトラス及び導管接続の側面図である。
図31】不確定な長さを有する第5の実施形態のトラス構造の左側斜視図である。
図32図31の実施形態の右側斜視図である。
図33】トラス壁部材の巻きを例示する、図31及び図32のトラスの一部分の上面図である。
図34】トラス壁部材の巻きを例示する、図31図33のトラスの一部分の側面図である。
図35図31図34のトラスの端面図(又は横断面図)である。
図36(i)】図31図35のトラスを製作する際の第1のステップを例示し、図36(i)は上面図、図36(ii)は側面図、図36(iii)は端面図、及び図36(iv)は斜視図である。
図36(ii)】図31図35のトラスを製作する際の第1のステップを例示し、図36(i)は上面図、図36(ii)は側面図、図36(iii)は端面図、及び図36(iv)は斜視図である。
図36(iii)】図31図35のトラスを製作する際の第1のステップを例示し、図36(i)は上面図、図36(ii)は側面図、図36(iii)は端面図、及び図36(iv)は斜視図である。
図36(iv)】図31図35のトラスを製作する際の第1のステップを例示し、図36(i)は上面図、図36(ii)は側面図、図36(iii)は端面図、及び図36(iv)は斜視図である。
図37(i)】図31図35のトラスを製作する際の第2のステップを例示し、図37(i)は上面図、図37(ii)は側面図、図37(iii)は端面図、及び図37(iv)は斜視図である。
図37(ii)】図31図35のトラスを製作する際の第2のステップを例示し、図37(i)は上面図、図37(ii)は側面図、図37(iii)は端面図、及び図37(iv)は斜視図である。
図37(iii)】図31図35のトラスを製作する際の第2のステップを例示し、図37(i)は上面図、図37(ii)は側面図、図37(iii)は端面図、及び図37(iv)は斜視図である。
図37(iv)】図31図35のトラスを製作する際の第2のステップを例示し、図37(i)は上面図、図37(ii)は側面図、図37(iii)は端面図、及び図37(iv)は斜視図である。
図38(i)】図31図35のトラスを製作する際の第3のステップを例示し、図38(i)は上面図、図38(ii)は側面図、図38(iii)は端面図、及び図38(iv)は斜視図である。
図38(ii)】図31図35のトラスを製作する際の第3のステップを例示し、図38(i)は上面図、図38(ii)は側面図、図38(iii)は端面図、及び図38(iv)は斜視図である。
図38(iii)】図31図35のトラスを製作する際の第3のステップを例示し、図38(i)は上面図、図38(ii)は側面図、図38(iii)は端面図、及び図38(iv)は斜視図である。
図38(iv)】図31図35のトラスを製作する際の第3のステップを例示し、図38(i)は上面図、図38(ii)は側面図、図38(iii)は端面図、及び図38(iv)は斜視図である。
図39(i)】図31図35のトラスを製作する際の第4のステップを例示し、図39(i)は上面図、図39(ii)は側面図、図39(iii)は端面図、及び図39(iv)は斜視図である。
図39(ii)】図31図35のトラスを製作する際の第4のステップを例示し、図39(i)は上面図、図39(ii)は側面図、図39(iii)は端面図、及び図39(iv)は斜視図である。
図39(iii)】図31図35のトラスを製作する際の第4のステップを例示し、図39(i)は上面図、図39(ii)は側面図、図39(iii)は端面図、及び図39(iv)は斜視図である。
図39(iv)】図31図35のトラスを製作する際の第4のステップを例示し、図39(i)は上面図、図39(ii)は側面図、図39(iii)は端面図、及び図39(iv)は斜視図である。
図40】本明細書に説明される様々な実施形態のトラスを製造するための装置の背面斜視図である。
図41図40の製造装置の正面斜視図である。
図42図40及び図41の製造装置の正面図である。
図43図40図42の製造装置の分解背面斜視図である。
図44A図31図35の実施形態を製作する際の第1のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図44Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図44Bは、マンドレル及びブレーシング部材の周りにフィラメントを巻く第1のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図44B図31図35の実施形態を製作する際の第1のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図44Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図44Bは、マンドレル及びブレーシング部材の周りにフィラメントを巻く第1のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図45A図31図35の実施形態を製作する際の第2のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図45Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図45Bは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第2のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図45B図31図35の実施形態を製作する際の第2のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図45Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図45Bは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第2のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図46A図31図35の実施形態を製作する際の第3のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図46Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図46Bは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第3のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図46B図31図35の実施形態を製作する際の第3のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図46Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図46Bは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第3のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図47A図31図35の実施形態を製作する際の第4のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図47Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図47Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図47Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第4のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図47B図31図35の実施形態を製作する際の第4のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図47Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図47Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図47Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第4のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図47C図31図35の実施形態を製作する際の第4のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図47Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図47Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図47Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第4のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図48A図31図35の実施形態を製作する際の第5のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図48Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図48Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図48Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第5のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図48B図31図35の実施形態を製作する際の第5のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図48Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図48Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図48Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第5のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図48C図31図35の実施形態を製作する際の第5のステップにおける図40図43の製造装置の使用を例示し、図48Aは、装置のセットアップの斜視図であり、図48Bは、巻かれたトラス壁部材の一部分の斜視図であり、図48Cは、マンドレルの周りにフィラメントを巻く第5のステップを例示するトラスのためのマンドレルを通る断面図である。
図49】不確定な長さを有する第6の実施形態のトラス構造の左側斜視図である。
図50図49のトラスの正面右側斜視図である。
図51】側部トラス壁部材の巻きを例示する、図49及び図50のトラスの一部分の側面図である。
図52図49図51のトラスの一部分の上面図である。
図53図49図52のトラスの端面図(又は横断面図)である。
図54】不確定な長さを有する更なる実施形態のトラス構造の左側面斜視図である。
図55】トラス部材のうちの1つの一部分がハッチングされている、図54のトラス構造の右側斜視図である。
図56】トラス部材のうちの1つがハッチングされている、図54及び図55のトラス構造の側面図である。
図57】トラス部材のうちの1つの一部分がハッチングされている、図54図56のトラス構造の上面図である。
図58図54図57のトラス構造の横断面図の端面図である。
図59(i)】図27図30に例示されるようなトラスに結合するために分割されるマルチルーメン導管を例示し、図59(i)は、第1及び第2のルーメンを分離するための切断線を例示し、図59(ii)は、トラスが隠されている、図27図30のデュアルルーメン導管を例示する端面図である。
図59(ii)】図27図30に例示されるようなトラスに結合するために分割されるマルチルーメン導管を例示し、図59(i)は、第1及び第2のルーメンを分離するための切断線を例示し、図59(ii)は、トラスが隠されている、図27図30のデュアルルーメン導管を例示する端面図である。
図60】陰圧源に接続されている、死腔が存在する患者の体内に配置されたトラスを有する生体吸収性デバイスを示す。
図61】適用された陰圧が治療部位における死腔を成功裏に閉鎖した後の図60に対応する。
図62】デバイスを陰圧源に結合する導管が治療後に除去された時点の図60及び図61の設置された生体吸収性デバイスを示す。
図63】治療の正常な完了に続いて、生体吸収性デバイスが吸収された時点の図60図62の治療部位を示す。
図64】本明細書に説明される少なくとも1つの実施形態による陰圧治療(negative pressure treatment、NPT)システムの高位の概略図を提供する。
図65】内部創傷に適用された図60のシステムを例示する。
図66図60のシステムの真空ユニットの概略図である。
図67図64のシステムの概略図である。
図68】更なる実施形態の陰圧治療(NPT)システムのシステムの概略図である。
図69】陰圧治療(NPT)システムの更なる代替的な実施形態の概略図である。
図70】空気が液体の流れに混入した状態の様々な流れ特性を例示する。
図71】本明細書に説明される陰圧治療(NPT)システムの様々な実施形態の高位の制御フロー図を提供する。
図72図71及び図76の制御フロー図の空気流状態についての制御フロー図を提供する。
図73図71及び図76の制御フロー図の加圧状態についての制御フロー図を提供する。
図74図67の制御フロー図の保持圧力状態についての制御フロー図を提供する。
図75図71及び図76の制御フロー図のタイムアウト状態についての制御フロー図を提供する。
図76】本明細書に説明されるNPWTシステムの様々な実施形態の高位の制御フロー図を提供する。
図77図76の制御フロー図の保持圧力状態についての制御フロー図を提供する。
図78図76の制御フロー図の流体流状態についての制御フロー図を提供する。
図79図76の流体流状態の洗い流しサイクルについての制御フロー図を提供する。
図80】治療システム試験セットアップのシステム性能を示すチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0090】
定義
本明細書で使用される場合、「生体吸収性」という用語は、体が分解及び吸収又は再構築することができ、したがって、手作業で除去される必要がないことを意味する。
【0091】
本明細書で使用される場合、「治療部位」という用語は、筋肉組織、結合組織、又は皮膚組織の表面が、外科手術中に、又は外傷若しくは除去の結果として分離されている、ヒト又は動物の体における部位を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「固有層-粘膜下層」という用語は、反芻動物の前胃における粘膜固有層と粘膜下層との混合によって形成される組織構造を指す。
【0093】
本明細書で使用される場合、「粘膜固有層」という用語は、細胞外マトリックスの緻密層を含む、固有層-粘膜下層の内腔部分を指す。
【0094】
本明細書で使用される場合、「細胞外マトリックス」(ECM)という用語は、脱細胞化された動物又はヒト組織を指し、構造的完全性のためのマトリックス及び他の材料を担持するためのフレームワークを提供する。
【0095】
本明細書で使用される場合、「脱細胞化された」という用語は、組織又は臓器の一部分からの、例えば、ECMからの、細胞及びそれらの関連する破片の除去を指す。
【0096】
本明細書で使用される場合、「螺旋状」という用語は、概して渦巻き状の形態を指し、それは、円形断面を有する形態に関連し得るが、非円形断面を有する形態も指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「ポリマー材料」という用語は、多くの繰り返しサブユニットを含む大きい分子又は高分子を指し、ポリペプチド及びタンパク質(例えば、コラーゲン)、多糖類(例えば、アルギネート)、並びに糖タンパク質などの他のバイオポリマーを含むがそれらに限定されない天然材料であり得るか、又はポリグリコール酸、ポリ乳酸、P4HB(Poly-4-hydroxybutyrate、ポリ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸及びポリグリコール酸コポリマー、ポリカプロラクトン、並びにポリジオキサノンを含むがそれらに限定されない合成材料であり得る。
【0098】
デバイス
ここで、本発明のデバイス及びシステムの様々な実施形態を、図1図58を参照して説明する。これらの図では、別段の説明がない限り、同様の特徴を示すために同様の参照番号が使用される。様々な実施形態が例示される場合、同様の参照番号は、後続の実施形態における同様又は類似の特徴に対して使用され得るが、100の倍数の加算を伴い、例えば、2、102、202、302などである。
【0099】
以下の説明で使用される方向に関する用語は、説明及び参照を容易にするためだけのものであり、限定することを意図するものではない。例えば、「前」、「後」、「上」、「下」という用語、及び他の関連する用語は、一般に、デバイスが図面に例示される向きを参照して使用される。
【0100】
図1図26図31図35、及び図49図53は、治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するために、患者の体内の治療部位62に移植するための生体吸収性デバイス用の可撓性トラスの様々な実施形態を示す。トラス1、101、201、301、401、501は、細長いチャネルを画定する弾性三次元構造であり、細長いチャネル内に治療部位からの流体が排出され得るか、又は細長いチャネルから流体が治療部位に送達され得る。トラスは、その長手方向LDにおいて可撓性であり、チャネルが、治療部位62の輪郭に実質的に一致するように屈曲することを可能にするが、一方で、少なくとも移植時に、陰圧の臨床的に適切なレベルの適用下におけるトラスの座屈又はチャネルの崩壊若しくはねじれなしで、2つの組織表面を離して保持するのに十分な強度を有する。
【0101】
トラス1、101、201、301、401、501は、本質的に管状であり、非円形又は円形の断面を有する。トラスは、使用時に、全ての略半径方向において周囲の組織表面に支持を提供するように構成されている。トラスは、2つ以上の可撓性の細長い壁部材を備え、これらは、チャネルのための骨組みを形成し、それによって、チャネルを画定する様式で巻かれ、このチャネル内に治療部位からの流体が排出され得るか、又はチャネルから流体が治療部位に送達され得る。壁トラス部材は、チャネルの周囲において、チャネル壁の内面の湾曲した輪郭に従うように湾曲している。多くの実施形態では、トラス壁部材は、略螺旋形状を有する。
【0102】
細長い壁部材は、複数の交差ノードで互いに周期的に交差するように巻かれる。好ましい実施形態では、第1及び第2のトラス壁部材は、概して、螺旋状であるが、互いに周期的に重なるように、壁部材のうちの第1の壁部材が左巻きを有し、第2の壁部材が右巻きを有して、反対方向に巻かれている。第1及び第2の壁部材のピッチは、同じであってもよく、又は異なってもよい。代替的な実施形態では、壁部材は、同じ方向であるが異なるピッチで巻かれた第1及び第2の略螺旋状部材、又は代替的な繰り返し形状の壁部材を備え得、それにより、結果として、第1及び第2の壁部材が周期的な交差ノードを有する。
【0103】
更なる代替的な実施形態では、第1及び第2の壁部材は、第1及び第2の壁部材が、概して、デバイスの両側に残り、交差ノードで互いに係合するように、非螺旋状様式で巻かれ得る。
【0104】
トラス壁及びブレーシング部材は、デバイスが治療部位の輪郭に一致することを可能にする程度の可撓性を有し、2つの表面を離して保持し、それによって、チャネルが形成することを可能にする十分な構造強度及び完全性を有する、任意の好適な生体吸収性フィラメントから形成され得る。この材料の構造的完全性及び結果として生じる形状はまた、デバイスが任意の状況でねじれるか又は圧潰される場合に、流体流チャネルが復元されるための手段を提供することになる。例えば、トラス部材は、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、ポリ乳酸(polylactic acid、PLA)、ポリグリコール-ポリ乳酸コポリマー、P4HB(ポリ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリカプロラクトン若しくはポリジオキサノン、又はこれらの材料の任意の混合物などの、生体吸収性材料から作製された、ある長さの縫合糸、糸、コード、又はテープを含み得る。
【0105】
ほとんどの用途では、少なくとも16mmの断面積を有するチャネルが望ましい。そのような実施形態では、壁部材は、約2mm~約10mmのピッチ長さを有し得る。
【0106】
トラスは、少なくとも2つの可撓性の細長いブレーシング部材を更に備え、各ブレーシング部材は、トラスに沿って周期的に相互係止された点を形成する複数の壁部材交差ノードで2つの細長い壁部材に機械的に連結される。好ましい実施形態では、各ブレーシング部材は、チャネル壁に沿って、チャネルの側部に沿って略長手方向に延在する。これらのブレーシング部材は、壁部材の周期的な交差ノードを離隔した関係に保持し、これらの点の相対運動に起因するチャネル壁の崩壊を低減又は防止し、圧潰及びねじれを防止するように作用する。
【0107】
壁部材とそれぞれのブレーシング部材との間の機械的連結は、壁部材間の相対運動を防止又は最小化し、交差ノードに対するそれぞれのブレーシング部材の運動を防止又は最小化するものである。すなわち、交差壁部材の交差ノードは、それぞれのブレーシング部材の長さに沿って摺動することができない。機械的連結は、それぞれの交差ノードで壁部材の周りでループするそれぞれのブレーシング部材によって、又はそれぞれの交差ノードでそれぞれのブレーシング部材の周りでループする壁部材によって形成され得る。ブレーシング部材及び壁部材のこの機械的相互係止は、接合点におけるトラスの微細構造が不変であることを確保し、したがって、そのノードにおけるトラスは、一般に、トラス構造の残部よりも速く又は遅く吸収されることはない。
【0108】
ブレーシングトラス部材は、典型的には、チャネルの両側に位置付けられた一対のブレーシング部材として提供される。しかしながら、代替的な実施形態は、追加のブレーシング部材、例えば、トラスチューブの周囲に概して均等に離隔した3つのブレーシング部材を含み得る。
【0109】
トラスは、既存の解決策よりも少ない材料を使用しながら、流体のより効果的な通過のために内部チャネルから周囲エリアへの自由な流体交換を可能にする多孔質構造を有する。これは、合成生体吸収性ポリマーが、典型的には、それらが分解するときに酸を放出し、これが上昇した炎症レベルを引き起こし得るため、有利である。
【0110】
様々な実施形態が、図面を参照して以下に説明される。
【0111】
実施形態1
図1図5は、第1の実施形態によるトラス1を示す。トラス1は、左巻きの略螺旋状形態を有する第1の壁部材3と、右巻きの略螺旋状形態を有する反対方向に巻かれた第2の壁部材5と、を備える。第1の壁部材3のピッチ長さP1は、第2の壁部材5のピッチ長さと同じである。
【0112】
トラス1は、長い方の寸法M1と、長い方の寸法未満の短い方の寸法N1と、を有する、断面が卵形又は楕円形であるチューブ及びチャネルを形成する(図4)。M1未満である寸法N1は、円形断面を有するトラスと比較して、側面荷重に耐えるトラスの能力を増加させ得る。卵形又は楕円形の断面はまた、トラスの操作の容易さを改善し得、直線デバイスが、製作されるときに、より容易にループ状又は「S字」形状のデバイスに成形されることを可能にし、N1軸が、対向する組織表面を離して保持する状態で、それが移植されるときに、トラスが正確に配向されることを確保するのを助ける。
【0113】
短い方の軸N1に沿って、トラスの側部に沿って延在する2つの細長いブレーシング部材7、9が提供される。示される配向を参照すると、第1のブレーシング部材7がトラス1の下側に位置付けられ、第2のブレーシング部材9がトラスの上側に位置付けられる。これらの側部ブレーシング部材7、9は、それらが沿って延在するチャネル又はチャネルの一部分の長さと実質的に同じである長さを有する。すなわち、それらは、トラスの長さに延在する略直線部材である。
【0114】
第1及び第2の壁部材3、5が交差する各交差ノード11、13において、第1及び第2の部材は、一緒に撚り合わせられ、それぞれのブレーシング部材7又は9の周りに緊密に延在する。示された実施形態では、第1及び第2の部材3、5は、互いに、かつそれぞれのブレーシング部材7又は9の周りに2つの完全な撚りを形成し、距離Y1に沿ってブレーシング部材7、9と相互係止される。
【0115】
この設計を有する1つの例示的な実施形態では、約50mmの断面積を有するチューブについて、壁部材3、5は、約2mmの半ピッチ長さx1を有し、壁部材3、5の2つの完全ループから形成される相互係止された部分y1の長さは、約2.75mmである。
【0116】
交差ノード11、13がそれぞれのブレーシング部材7又は9に沿って摺動する可能性を低減するために、結び目が、各ノード11、13のいずれかの側のブレーシング部材に、例えば、図1に示される点8に提供され得る。これらの結び目は、ブレーシング部材に沿ったノードにおける壁部材の撚られた部分の移動を妨げるように作用し、それによって、トラス1の崩壊の可能性を低減する。
【0117】
以下の実施形態に関してより詳細に説明されるように、トラスを製造するプロセスは、マンドレルの周りにフィラメントを巻き付けることを伴う。トラスをマンドレルから除去する前に、トラスは、トラス形状を固定するために熱処理される。最終的なトラス形状は、マンドレル形状によって決定され、熱処理ステップによって固定される。
【0118】
実施態様101
図6図10は、第2の実施形態によるトラス101を示す。トラス101は、右巻きの略螺旋状形態を有する第1の壁部材103と、左巻きの略螺旋状形態を有する反対方向に巻かれた第2の壁部材105と、を備える。第1の壁部材103のピッチ長さP101は、第2の壁部材105のピッチ長さと同じである。トラス101は、長い方の寸法M101と、長い方の寸法未満である短い方の寸法N101と、を有する、断面が卵形であるチューブ及びチャネルを形成する(図9)。
【0119】
一例では、この実施形態によるトラス101は、約6.4mmの長い方の寸法M101、約3.2mmの短い方の寸法N101、及び約4mmのピッチ長さP101を有する約16mmの断面チャネルを有する。
【0120】
2つの細長いブレーシング部材107、109が、壁部材103、105の外側の短い方の軸N101に沿って、トラス101の壁に沿って長手方向に延在する。示される配向を参照すると、第1のブレーシング部材107がトラス101の底部に位置付けられ、第2のブレーシング部材109がトラス101の上側に位置付けられる。これらの側部ブレーシング部材107、109は、それらが沿って延在するチャネル又はチャネルの一部分の長さよりも長い、巻かれていない長さを有する。ブレーシング部材107、109は、壁部材の外側に位置するように位置付けられるが、代替的な実施形態では、壁部材103、105の内側に沿って延在するように位置付けられ得る。
【0121】
第1及び第2の壁部材103、105が交差する各交差ノード111、113において、ブレーシング部材107、109のうちのそれぞれ1つは、交差する第1及び第2の壁部材103、105の周りに緊密にループし、そのノード111、113において完全な360度ループを形成する。形成されたループは、概して、短い方の軸と一致するトラスの垂直長手方向平面内に位置する。
【0122】
示される実施形態では、各ブレーシング部材107、109は、同じ側(例えば、例示されるように左側)から各係止ループに入り、他の側(例えば、例示されるように右側)で各ループを出て、それによって、隣接する交差接合ノード111又は113の間で、ブレーシング部材107、109は、図10に最良に例示されるように、トラスの長手方向軸に対してわずかな角度をなす。代替的に、各ブレーシング部材107、109は、一方側(例えば、左側)から各係止ループに入り、他方側(例えば、右側)でループを出て、次いで、交互ループの方向を逆にし得、それにより、隣接する交差接合ノード111又は113の間で、ブレーシング部材107、109がトラスの長手方向軸に実質的に平行になる。
【0123】
図11図16は、図6図10に示されるトラス101を製造するための方法を例示する。第1のステップ(図11)では、螺旋状の第1の壁部材103は、縫合糸のフィラメント又は他の生体吸収性ポリマーフィラメントをマンドレルの周りに巻くことによって形成される。非円形形状を有するこの実施形態では、マンドレルは、並んで配置された2つの円筒形ロッドを含み得る。一実施形態では、マンドレルロッドは、約3.2mmである。フィラメントは、例えば、クランピングによって一端で固設され、次いで、直線方向に移動しながらマンドレルの周りでフィラメントディスペンサを回転させ、第1のピッチ長さP101で螺旋状様式でフィラメントを巻くことによって、マンドレルの周りに巻かれる。トラスの所望の長さに到達したとき、フィラメントは、例えば、係止巻きによって、第2の端でマンドレルに固設される。
【0124】
第2の螺旋状壁部材105を形成するために、フィラメントディスペンサの回転方向及び直線移動速度は変更されないが、直線方向は、第2の螺旋状壁部材を第1の壁部材と同じピッチ長さで左巻きとして巻いている間にディスペンサを第1の端に戻すように反転される。次いで、壁部材フィラメントは、第1の端で固設され、切断され得る。マンドレルは、第1の壁部材と第2の壁部材との間に熱結合が生じないように、このプロセスを通して加熱されないままである。
【0125】
図13図15を参照すると、ブレーシング部材のうちの第1のブレーシング部材を形成するために、第1のステップでは、ブレーシング部材用のフィラメントが、固設された端の前方にフィラメントの「スロー」を形成する第1において壁部材に固設される。
【0126】
フィラメントの「スロー」は、壁部材103、105が交差するノードを越えて前方に通され、次いで、次のノードに向かって再び前方に引っ張られる前に、ノードの下及び周りに通される。フィラメントスローの全長が引き出され、ブレーシング部材フィラメントの全てが引き出された時点で、ノードの周りに相互係止「ループ」を形成する。ループが形成された時点で、張力がブレーシング部材フィラメントに適用されて、ブレーシング部材を壁部材と相互係止する。ループプロセスがトラス101の上の背に沿って各ノード113に対して繰り返される間、保持手段は、ブレーシング部材109が張力を失わないように保つ。このプロセスは、トラス101の下側のノード111に対するブレーシング部材107に対して繰り返される。
【0127】
実施態様201
図17図21は、第3の実施形態によるトラス201を示す。トラス201は、実質的に、第2の実施形態のトラス101について上記に説明されたとおりであるが、ブレーシング部材207、209は、各々、主ブレーシング部材フィラメント207a、209aの周りに撚られた副フィラメント207b、209bを備える。各副フィラメント207b、209bは、それぞれの主フィラメント207a、209aの周りに巻き付けられるか、又はそれらと撚り合わせられ、ブレーシング部材を強化し、ブレーシング部材の座屈抵抗を改善し、ブレーシング部材に沿った相互係止ループ211、213の移動を防止するように作用する。
【0128】
示される実施形態では、ブレーシング部材副フィラメント207b、209bは、隣接する相互係止ノード211、213の間で1つの完全なループのためにそれぞれの主部材207a、209aの周りに巻き付き、接合部の外側のノード211、213で相互係止ループを通過する。この実施形態における副フィラメントは、壁部材203、205に直接相互係止しない。副フィラメント207b、209bは、それぞれの主ブレーシング部材フィラメント207a、209a内の相互係止ループの移動を防止するのを助け得る。
【0129】
図19に最良に例示されているように、ブレーシング部材副フィラメント207b、209bの巻きは、それぞれの主部材207a、209aの周りに、一貫した回転方向及び巻き移動を有するが、変化する巻き角度で巻き付く。副フィラメントが相互係止ループ上を通過しているとき、巻き角度はより浅くなり、巻きの長さはより長くなる傾向があるが、副フィラメントがノード間のブレーシング部材の主フィラメントの周りに巻かれているとき、角度はより急になる。
【0130】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の副フィラメント277b、209bは、互いに反対方向に巻かれる。この反対方向の巻きは、製造されたトラスがマンドレルから除去された時点で、製造されたトラスの撚りを防止するのに役立ち得る。
【0131】
実施形態301
図22図26は、第4の実施形態によるトラス301を示す。上記に説明された実施形態と同様に、トラス301は、左巻きの略螺旋状形態を有する第1の壁部材303と、右巻きの略螺旋状形態を有する反対方向に巻かれた第2の壁部材305と、を備える。第1の壁部材303のピッチ長さP301は、第2の壁部材305のピッチ長さと同じである。トラス301は、長い方の寸法M301と、長い方の寸法未満である短い方の寸法N301と、を有する、断面が卵形であるチューブ及びチャネルを形成する(図25)。
【0132】
トラス301は、短い方の軸N301に沿って、上側及び下側において、トラス301の壁に沿って長手方向に延在する2つの細長いブレーシング部材307、309を有する。各ブレーシング部材は、一緒に撚り合わせられた2つのフィラメント307a、307b、309a、309bを備え、壁部材303、305は、それぞれの壁部材交差ノード211、213においてそれぞれのブレーシング部材の2つのフィラメントの間に捕捉され保持されている。
【0133】
示される実施形態では、ブレーシング部材フィラメント207a、207b、209a、209bは、壁部材のピッチ長さに沿って2つの完全な撚りを形成するが、代替的な実施形態では、ブレーシング部材フィラメントの厚さ及び壁部材のピッチ長さP301に応じて、より多い又はより少ない撚りが存在してもよい。ピッチ長さP301は、ノード311、313間の撚りの数によって決定される。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1のブレーシング部材307のフィラメント307a、307bは、第2のブレーシング部材309のフィラメント309a、309bと反対方向に撚られている。頂部及び底部ブレーシング部材のこの反対方向の巻きは、製造されたトラス301がマンドレルから除去された時点で、製造されたトラスの撚りを防止するのに役立ち得る。
【0135】
実施形態401
図31図35は、第5の実施形態によるトラス401を示す。トラス401は、実質的に、第1及び第2の壁部材403、405がノード411、413においてブレーシング部材407、409の周りに巻かれている第1の実施形態のトラス1について上記に説明されたとおりである。しかしながら、この実施形態では、壁部材は、螺旋状ではない。第1の壁部材は、右側壁部材であり、第2の壁部材は、左側壁部材である。
【0136】
第1及び第2の壁部材403、405は、それらが、概して、トラスの長さに沿ってブレーシング部材の同じ側に残るように巻かれる。各ノード411、413において、各壁部材403、405は、それぞれのブレーシング部材407、409の周りに1回半ループされ、ノードに入ったのと同じ側でノードを出る。これは、図33及び図34に最良に例示されており、第2の壁部材405の長さは、巻きの性質を例示するために陰影が付けられている。それぞれのブレーシング部材407、409の周りの各壁部材403、405のループの数は、少なくとも1つであるが、実施形態間で変化し得、示される実施形態では、壁部材は、ブレーシング部材の周りに540度(すなわち、1回転半)巻き付けられる。別の実施形態では、壁部材は、ブレーシング部材の周りに720度(すなわち、2回転)以上巻き付けられ得る。
【0137】
図33の平面図を参照すると、第1のブレーシング部材407と第2のブレーシング部材409との間に延在する各壁部材403、405の後続の「巻き」は、接触点406において、既にある壁部材の巻きと重なり合うか、又は当接し得る。この接触点406は、概して、第1のブレーシング部材407と第2のブレーシング部材409との間のほぼ中間点に生じるであろうが、他の位置に生じてもよい。
【0138】
図33及び図34から、第1のブレーシング部材407の周りの壁部材403、405の巻きの方向が、第2のブレーシング部材409の周りの壁部材403、405の巻きの方向と反対であることも分かり得る。この反対方向の巻きは、製造後、製造されたトラス401がマンドレルから除去された時点で、製造されたトラス401の撚りを防止するのに役立ち得る。
【0139】
図36(i)~図39(iv)は、この実施形態のトラス401の形成を例示する。図36(i)~図36(iv)に示される第1のステップでは、第1及び第2の壁部材405、407は、1.5ループのために頂部ブレーシング部材409の周囲で撚られ、第1のノード413aを形成する。
【0140】
図37(i)~図38(iv)に示される第2及び第3のステップでは、第1及び第2の壁部材405、407は、次いで、新しいノード411で下部ブレーシング部材407の周りで一緒に撚り合せられる前に、第1のノード413aからのそれらの出口のほぼ真下の点まで、下部ブレーシング部材407に対して引き下げられる。壁部材403、405は、上部ブレーシング部材409の周りの撚りの方向と反対方向に撚られる。
【0141】
図38(iii)に最良に示されるように、第1の壁部材403は、頂部ブレーシング部材409の底部で第1のノード413aを出て、下部ブレーシング部材407の底部から、下部ブレーシング部材407上の次のノード411に入る。逆に、第2の壁部材405は、頂部ブレーシング部材409の頂部で第1のノード413aを出て、下部ブレーシング部材407の頂部から、下部ブレーシング部材407上の次のノード411に入る。
【0142】
第4のステップでは、第1の壁部材403及び第2の壁部材405は、次いで、既にあるノード411からのそれらの出口のほぼ真上の点まで、頂部ブレーシング部材409に対して再び引き上げられる。壁部材403、405は、下部ブレーシング部材407の周りの撚りとは反対方向に、新しいノード413bで上部ブレーシング部材409の周りで一緒に撚り合せられる。壁部材が下部ブレーシング部材407から上部ブレーシング部材409まで横断する際、壁部材は、それら自体と重なり合う、かつ/又は接触し得る。
【0143】
図40図43は、第5の実施形態のトラス401を製造する際に使用するためのハンドヘルド装置471を例示する。装置はまた、2つの撚られた壁部材、例えば、それぞれ図1図5及び図49図53のトラス1、501を有する他の実施形態の製造にも利用され得る。装置471は、本体485、ハンドル481、格納式ラッチ479、483、並びに第1及び第2のフィラメントボビン473、487を備える。ボビン473、487は、それぞれのシャフト475、491上で本体485の両側に回転可能に保持され、ばね477、488によって本体485と接触するように付勢される。ばね477、489は、それぞれのシャフト475、491のヘッドとボビン473、487の端との間で作用する。
【0144】
各ボビン473、487の基部は、ラチェット表面474、488を備える。それぞれのラッチ479、483は、各ボビンのラチェット表面と係合するために本体から延在する。ラッチ479、483は、本体485を通って延在して、ラチェット表面と係合し、ラチェット表面との係合から選択的に後退して、ハンドル481を長手方向軸の周りに回転させると、例えば、本体485内に後退させることによってボビン487が自由に回転することを可能にするように構成されている。各ボビンからのフィラメントは、装置の本体の前部に提供されたそれぞれのガイド開口493を通って延在する。
【0145】
図44A図48Cは、装置471を使用して第5の実施形態のトラス401を製造する方法を例示する。第1のステップでは、頂部及び底部フィラメント407、409は、第1及び第2のブレーシング部材を形成するために、マンドレル495のいずれかの側で、装置に沿って、張力方向Tに固設され、張力をかけられる。マンドレル495は、2つの並んだ円筒形ロッドから形成された二重マンドレルである。
【0146】
ハンドル481をハンドル回転させてボビン473、487を「自由」にすると、ボビン473、487からの第1及び第2のフィラメントは、次いで、自由に回転してフィラメントを繰り出し、壁部材403、405を形成する。十分なフィラメントが繰り出されると、ハンドル481を回転させて、ラッチ479、483をボビンラチェット表面と係合させ、張力をかけることを可能にする。最初に、第1及び第2のフィラメントは、それぞれのブレーシング部材409と平行である軸の周りに装置471を回転させることによって、1つ半のループに対してブレーシング部材のうちの1つ(図44Bの頂部ブレーシング部材409)の周りに縦一列に撚られる。次いで、装置471を操作することによって2本のフィラメントが分離されて、フィラメントをマンドレル495の両側に位置付け、下部ブレーシング部材407に連結させる準備をする。張力をかけられた下部ブレーシング部材407の下に装置471が位置付けられた状態で、ハンドル481を第1のステップとは反対方向に回転させ、第1及び第2のフィラメントをブレーシング部材の他方(図47A及び図47Bの下部ブレーシング部材407)の周りに縦一列に撚って、トラス401の第1の「巻き」を完了する。この製作プロセスを通して、ツール471は、概して、マンドレルの縦軸の周囲の惑星軌道を辿り、装置471の下側は、マンドレルに面し、フィラメントの配向を一貫して保つ。
【0147】
次いで、撚られたループは、それらが部分的に上部ブレーシング部材409上の既にあるループの下になるまで、かつ/又は下部ブレーシング部材407上の既にある巻きに当接して、フィラメントがボビン473、487から出ることを可能にするまで、下部ブレーシング部材407に沿って押される。その後、ボビン473、487は、ラッチ479、483をそれぞれのボビンの基部474、484と係合させることによって、装置本体485に対して係止され、プロセスが繰り返される。装置471は、フィラメントが、上部ブレーシング部材409の周りで再び撚られて、トラス401の第2の「巻き」を形成する前に、フィラメントをマンドレル495上で分離するように操作される。フィラメントが繰り出されている間、マンドレル上で任意の形成されたトラス構造における張力の損失を防止する手段が提供されている。
【0148】
例示されたプロセスはハンドヘルド装置471を利用するが、このプロセスは自動化されてもよい。
【0149】
実施形態501
図49図53は、第6の実施形態によるトラス501を示す。トラス501は、実質的に、第5の実施形態のトラス401について上記に説明されたとおりであるが、2つの第1の壁部材503a、503bと、2つの第2の壁部材505a、505bと、を備える。
【0150】
この実施形態は、上記に説明するプロセスと同様の様式で製作され得るが、2つのハンドヘルド製造デバイスを利用する。第1の装置471は、1つの第1の壁部材503a及び1つの第2の壁部材505aを保持するボビンを有し、第2の装置471は、他方の第1の壁部材503b及び他方の第2の壁部材505bを保持するボビンを有する。2つの装置は、同時に動作し、第1及び第2のブレーシング部材507、509の周りで壁部材を同時に撚る。
【0151】
対向する壁部材503a及び505a、並びに503b及び505bは、上部補強部材507と下部補強部材509との間の点で重なり合う。この重なり合いは、製作中に、装置471が1つの補強部材509から他方の補強部材507に移行されるときにもたらされる。
【0152】
実施形態601
図54図58は、第7の実施形態によるトラス601を示す。トラス601は、実質的に、第5の実施形態のトラス401について上記に説明されたとおりであるが、各ノード611、613において、トラス部材603、605は、2つの完全なループのためにそれぞれの壁部材607、609の周りに巻き付けられる(実施形態401の1つ半のループとは対照的に)。図のいくつかでは、第1のトラス部材603を第2のトラス部材605から視覚的に区別するために陰影が利用されている。
【0153】
第1及び第2のトラス部材603、605の各々は、壁部材607、609の左側にある状態から壁部材の右側にある状態へと交互になっている(実施形態401に関して、壁部材607、609の一方側に残るのとは対照的に)。これは、より頑強なトラス構造を結果的にもたらし得る。
【0154】
この実施形態では、トラス部材603、605の撚られた部分は、各壁部材607、609の実質的に全長を覆う。隣接する第1のノード611又は隣接する第2のノード613の間には、露出した壁部材が実質的に存在しない。
【0155】
この実施形態601は、401に関連して上記に説明するプロセスと同様の様式で製作され得るが、トラス部材を各ノードで2回の完全な回転のために壁部材の周りで撚る。
【0156】
デバイス
上記に説明されたトラスは、PCT国際出願PCT/NZ2018/050134号に説明されているものなどの生体吸収性デバイスにおける構造として使用され得、この出願は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0157】
そのようなデバイスは、チャネルの壁を少なくとも部分的に形成する可撓性生体吸収性シートを備え得る。いくつかの実施形態では、可撓性シートは、チャネル壁を部分的にのみ形成し得、チャネル壁の残りの部分は、デバイスが使用されているときに組織表面によって形成される。すなわち、チャネルは、可撓性シートの表面と治療部位における組織又は骨の表面との間に形成され得る。代替的に、可撓性シートは、チャネル壁の主要部分又は実質的に全体を形成し得る。そのような実施形態は、1つ以上のチャネルがシートの対向表面間に画定されるようにシートを離して保持するトラスを有する2つ以上の生体吸収性可撓性シートを備え得るか、又は単一の可撓性生体吸収性シートがトラス1の周りに巻き付けられてチャネルの壁を形成し得る。
【0158】
可撓性シートをトラスの上又は周りに固設するために、シートは、チャネルの側部で継ぎ目に沿って互いに縫い合わせられてもよく、又は別様に接合されてもよい。チャネルへの流体流を容易にするために、開口がシートに提供されてもよく、開口の分布、サイズ、及び形状は、可撓性シート及びトラスの用途及び特性に従って選択される。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態では、可撓性シートは、ECMから形成される。ECMシートは、典型的には、高度に保存されたコラーゲン、糖タンパク質、プロテオグリカン、及びグリコサミノグリカンをそれらの天然の構成及び天然の濃度で含むコラーゲンベースの生分解性シートである。ECMは、様々な供給源、例えば、ブタ、ウシ、及びヒツジ、又は他の温血脊椎動物を含む、食肉生産のために飼育された動物から採取された真皮心膜又は腸組織から取得され得る。
【0160】
本発明における使用に好適なECM組織は、天然に結合したECMタンパク質、糖タンパク質、及びECMの供給源に依存してECM内に天然に見出される他の因子を含む。ECM組織の1つの供給源は、温血脊椎動物の前胃組織である。本発明における使用に好適なECMは、メッシュ又はスポンジのシートの形態であり得る。
【0161】
前胃組織は、本発明における使用のためのECM組織の好ましい供給源である。好適な前胃ECMは、典型的には、反芻動物の前胃の固有層-粘膜下層を含む。本発明の特定の実施形態では、固有層-粘膜下層は、前胃の第一胃、第二胃、又は第三胃からのものである。これらの組織足場は、典型的には、輪郭付き内腔表面を有する。一実施形態では、ECM組織は、上皮、基底膜、又は胃筋層の一部分、及びそれらの組み合わせを含む、脱細胞化された組織を含有する。組織はまた、コラーゲンI、コラーゲンIII、又はエラスチン、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の線維性タンパク質を含み得る。これらのシートは、脊椎動物種の供給源に依存して厚さ及び定義が変化することが知られている。
【0162】
本発明による使用のためのECM組織を調製する方法は、米国特許第8,415,159号に説明されている。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリマー材料のシートが使用され得る。ポリマー材料は、シート又はメッシュの形態であり得る。ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びポリグレカプロン-25などの合成材料は、短期的には追加の強度を提供するであろうが、長期的には再吸収されることになる。代替的に、ポリマー材料は、天然材料であってもよく、又はタンパク質(例えば、コラーゲン)、多糖類(例えば、アルギネート)、及び糖タンパク質(例えば、フィブロネクチン)などの、天然材料由来であってもよい。
【0164】
任意の望ましい生物活性分子が、ECM若しくはポリマー材料又はトラス部材材料自体に組み込まれ得る。好適な分子としては、例えば、小分子、ペプチド若しくはタンパク質、又はそれらの混合物が挙げられる。生物活性材料は、ECMに対して内因性であり得るか、又は移植片製造プロセス中若しくはその後にECM及び/若しくはポリマー材料に組み込まれる材料であり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の別個の生物活性分子がECM又はポリマーに非共有結合的に組み込まれ得る。生物活性分子は、懸濁液、カプセル化された粒子、微粒子、及び/若しくはコロイドとして、又はそれらの混合物として、材料に非共有結合的に組み込まれ得る。生物活性分子は、ECM/ポリマー材料の層間に分布され得る。生物活性材料としては、限定されるものではないが、タンパク質、成長因子、抗菌剤、並びにドキシサイクリン、テトラサイクリン、銀、FGF-2、TGF-B、TGF-B2、BMR7、BMP-12、PDGF、IGF、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、及びヒアルロナンを含む抗炎症剤が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、トラス部材は、例えば、溶出のために、1つ以上の薬物又は化合物でコーティングされ得る。一例は、バイオフィルム形成を防止するための抗菌剤としてのクロルヘキシジンコーティングの使用であり得る。
【0165】
トラス部材を接合するためにヘッドボンディングの使用に依存しないトラス構造の製作は、トラスフィラメント上の任意の抗菌コーティングの完全性を保存するのも有利に助け得る。対照的に、これらのコーティングは、トラス部材の熱結合に依存する構造において影響され得る。
【0166】
トラス1は、単一のチャネル、又は、例えば、分岐構造として、複数の相互接続されたチャネルを画定し得る。本発明のいくつかのデバイスは、流体流のための多くのチャネルを備えるであろうが、本発明のいくつかのデバイスは、1つ又は2つのチャネルのみを備えてもよいことが理解されるであろう。
【0167】
デバイスは、デバイスのチャネルと流体連通するポートを有し、その結果、チャネルのうちのいずれか1つに排出する流体は、ポートに向かって流れ、ポートから流れ出ることになる。ポートは、患者の内部の場所のために、又は外部の場所、例えば、患者の皮膚の外面上、若しくは別途、体内の外科的開口部に近い患者の体外の場所のために構成され得る。ポートは、陰圧源又は陽圧源からの導管と連通するために、トラス又はチャネルの端にある開口部のみから構成され得る。
【0168】
ポートは、導管とデバイスとの間の結合を増強するための特徴を備え得る。例えば、デバイストラスの形状、直径、及び/又は構造は、ポートに隣接して変化し得る。トラスは、内部又は外部結合によって入口又は出口導管に結合され得る。トラスは、供給導管又はルーメンとの解放可能な接続を形成するために、増大した直径を有するか、又は修正された特性を有する、ポートに隣接する長さを含み得る。トラスピッチは、接続が適切な機械的特性、例えば、必要とされる強度及び剛性の増加を有することを確保するために、この領域において変化してもよい。このピッチの変化及び直径の変化は、移行領域にわたって徐々に生じることが好ましい。
【0169】
図27図30は、例示的なトラス301を、創傷治療システムで使用するためのデュアルルーメン導管270の入口ルーメン271及び出口ルーメン272と接続する1つの方法を例示する。この実施形態では、入口及び出口導管は、図59(i)及び図59(ii)にも例示されている、大きい方のルーメン及び小さい方のルーメンを有するデュアルルーメン導管270によって提供される。デュアルルーメン導管は、トラスとの結合部に隣接する導管270の長さに沿って、より小さい方のルーメンを有する供給導管271と、より大きい方のルーメンを含有する出口導管272とに分かれる。
【0170】
供給導管271は、図27及び図30に例示されるように、供給導管271をトラス301に挿入することによって、トラス301の第1の端に結合される。出口導管272は、コネクタ273を用いてトラス301の他端に結合される。コネクタ273は、図29に例示されるように、出口導管272との内部押し込み嵌め接続を形成し、トラス301の外側上を摺動する成形された構成要素である。コネクタ273は、2つの構成要素間の堅固な嵌合を確保するために、導管272の内面と係合するためのテーパ状外面を備える。堅固な嵌合は、治療が終了した時点で、コネクタ273が導管270/272とともに除去されることを確保するために重要である。
【0171】
トラス301の入口及び出口ポートは、供給ルーメン271によって供給される流体がルーメン間で出口ルーメン272に直接流れず、代わりに創傷に供給されることを確保するために離隔される。
【0172】
追加の保持特徴部を含む、デバイスを供給導管に結合する他の方法が理解され、想定されることが理解されるであろう。例えば、導管の外面は、意図しない接続解除を防止するための、トラスとの追加の係合のためにねじ山付きであってもよく、若しくは突出部/戻り止めを有してもよく、又は導管をトラスに結合するためのコネクタは、トラス及び/若しくは導管と係合するための戻り止め、返し、ねじ山、若しくは他の特徴を備えてもよい。一実施形態では、コネクタをトラス及び/又は除去導管272から分離するために必要とされる力を増加させるために、コネクタ273のテーパ状区分上に、インターフェースする返し付き特徴部が提供されてもよい。
【0173】
本明細書で説明されるデバイスは、有利には、任意の所与の用途のために、デバイスが生体内原位置で機能する持続時間を調節するようにカスタマイズされ得る。例えば、トラス部材のチャネルサイズ、壁厚、又は厚さ若しくは密度、あるいはブレーシング部材の数及びタイプを調節することによる。
【0174】
使用のためのシステム及び方法
図60図63は、治療部位から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達する目的で、患者の体内の治療部位62に移植された、上記に説明されたトラス1を備える生体吸収性デバイス61の配置及び使用を例示する。治療部位62は、手術中又は外傷の結果として分離された筋肉組織63、脂肪組織64、又は皮膚組織の表面の間の空間であり得る。治療部位は、切除された漿液腫又は血腫から結果的に生じる死腔65であってもよく、又は組織の外科的切除後の予防として使用されてもよい。代替的に、治療部位は、封止された環境を作り出すために創傷を覆って配置された閉塞性ドレープ又はカバーを有する、壊死又は感染組織の外傷、損傷、又は外科的切除後などの開放創であり得る。システムは、第1の実施形態のトラス1とともに例示されているが、上記に説明された任意の実施形態のトラス1、101、201、301が代用されてもよい。
【0175】
生体吸収性デバイス61は、治療部位62から流体を排出するか、又は治療部位に流体を送達するためのシステムの一部として使用される。デバイスの生体吸収性弾性トラス1は、2つの組織表面63、64を離隔して保持し、それによって、チャネル66を画定し、チャネル66内に、治療部位からの流体が排出し得るか、又はチャネル66から、流体が治療部位に送達され得る。2つの組織表面63、64は、離れて保持される必要があり、これは、それらが、そうでなければ、特に流体排出を補助するために陰圧又は低減された圧力(真空)の適用下で、一緒に崩壊するためである。
【0176】
その形態のポート71又はトラス1の一端にある開口部は、チャネル15と流体連通しており、陰圧源又は陽圧源73とのチャネルの接続を可能にし、治療部位62とデバイス61のポート71との間の流体連通を提供する。導管14は、それがデバイス61と流体連通するように、デバイス61のポート71又は流体不透過性被覆材のいずれかに解放可能に結合される。例示されたデバイスの使用では、ポート71は、体内に位置し、入口及び出口導管は、皮膚を通過している。この構成は、本体がポートへの導管の結合部の周りにシールを作り出すため、望ましい。
【0177】
代替的な実施形態では、ポート71は、皮膚の切開部の周りの気密密閉シール、及び導管が被覆材に解放可能に結合される代替的な手段を提供する、患者の皮膚106の外面上に位置する不透過性被覆材に結合され得る。
【0178】
リザーバ(以下で更に説明される)は、患者の体外に位置し、導管から流体を受容するために、又は流体を導管14に送達するための治療流体を保持するために、導管と流体連通して配置されている。圧力源73は、流体が治療部位62からデバイス61内に排出され、導管14を通してリザーバに移送されるように、陰圧をデバイス61に送達することができてもよく、又はリザーバ内の流体が導管を通してデバイス内及び治療部位に移送されるように、陽圧をデバイスに送達することができてもよい。好ましい実施形態では、治療流体は、流体が周囲圧力上流源からデバイスに供給されると同時に、デバイスの下流に真空圧力を適用することによって、創傷に送達される。
【0179】
圧力源73は、典型的には、治療部位から流体を排出する、かつ/又は治療部位から治療流体を引き出すために陰圧を適用するための真空ポンプとなり、代替的に、圧力源は、治療部位への送達のために、リザーバからデバイス61内に流体をポンピングするためのポンプであってもよい。ポンプは、例えば、スクイーズバルブを使用して手動で動作されてもよく、又は部位への流体のより精密な送達のために電子制御されてもよい。
【0180】
図64図68は、創傷治療デバイス61を使用する、創傷治療部位62からの流体の除去のための、又は創傷治療部位62に治療流体を供給し、そこから流体を除去するための陰圧治療システム2100、2200、2300(本明細書では治療システム)の例示的な実施形態を示す。システムの創傷治療デバイス61は、本明細書に説明されるデバイスのうちのいずれか1つであり得る。
【0181】
例示的な実施形態のシステム2100、2200、2300に関連して、同様の参照番号が、同様の特徴を示すために異なる実施形態に対して使用される。
【0182】
図64を参照すると、一般的なレベルにおいて、治療システム2100は、創傷治療部位62(「創傷」)に位置する創傷治療デバイス61と、治療デバイス61を介して創傷62に陰圧を適用するための真空ポンプアセンブリを含む真空圧力ユニット2002と、創傷62から戻された流体を収集するための流体収集リザーバ2006と、を備える。図65は、患者の胸部に位置する内部創傷部位を例示するが、システムは、他の部位に位置する内部創傷を治療するために、例えば、腹部創傷を治療するために使用され得る。
【0183】
真空圧力ユニット(又は真空ユニット)2002は、ポンプアセンブリ2015を流体収集リザーバ2006の上流及び創傷治療デバイス61の下流に位置付けるように構成されている。創傷治療デバイス61は、局所的に適用される創傷被覆材、移植された治療デバイス、又は結合された構成における両方の組み合わせを含み得る。流体収集リザーバ2006は、流体収集リザーバ2006及び接続された導管2005cを周囲圧力レベルに維持するために、1つ以上の空気透過性フィルタ又は通気口2006aを含むように構成されている。
【0184】
真空ユニット2002は、少なくとも1つの導管を介して創傷治療デバイス61に流体結合する。真空ユニット2002から創傷治療デバイス61への導管は、真空ユニット2002から延在する第1の導管2005b、及び創傷治療デバイス61から延在する第2の導管2005aを有する、2分割導管を備え得る。第2の導管は、創傷治療デバイス61の一部であり得るか、又はコネクタ(図示せず)によって治療デバイス61に接続され得る。コネクタ2007は、第1の導管2005a及び第2の導管2005bを流体結合するために提供される。代替的に、連続導管が真空ユニット2002と治療デバイス61との間に延在し得る。
【0185】
コネクタ2007は、創傷62から真空ユニット2002に向かう方向の流体の流れを可能にし、ポンプから創傷への流体の逆流を防止するように配向された一方向弁を備え得る。代替的な実施形態では、一方向弁が、代わりに、真空ユニット2002内、導管2005a、2005b上の他の場所、又は治療デバイス61の一部として提供され得る。更なる代替例では、治療システム2100は、治療デバイス61と真空ユニットとの間に一方向弁がなくてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、真空ユニット2002と治療デバイス61との間の導管は、創傷からポンプアセンブリ2015に流れる流体の通過のための主ルーメンと、副ルーメンと、を伴う、デュアルルーメン導管を備え得る。副ルーメンは、創傷部位における圧力の測定を可能にし得る。副ルーメンは、創傷62への空気及び/又は治療流体の送達を提供する。しかしながら、代替的な実施形態では、複数の導管が、真空ユニット2002と治療デバイス61との間に提供され得、各々、単一ルーメンを伴う。
【0187】
ポンプアセンブリ2015をリザーバ2006に流体結合するために、真空ユニット2002とリザーバ2006との間に更なる導管2005cが提供される。導管2005cをリザーバ2006に流体結合するために、コネクタ2008が提供され得る。
【0188】
好ましい実施形態では、真空ユニット2002は、ポータブルハンドヘルドユニットである。真空ユニット2002は、1人の患者に使用されるように意図されている単回使用ユニットであり得る。代替的な実施形態では、真空ユニット2002は、複数の患者の使用のために構成され得る。真空ユニット2002は、ポンプアセンブリ2015及び他の構成要素を収容するための(プラスチック)シェル又は筐体を備える。真空ユニット2002は、真空ユニット2002を動作させるためのユーザインターフェース2014を備える。ユーザインターフェースは、システム2100のポンプアセンブリ2015をオン及びオフにするための制御を含み得、オペレータが、適用されている真空圧力のレベル、又は上方設定点と下方設定点との間の圧力振動の長さ、サイズ、及び周波数などの、創傷62に適用されている圧力治療のパラメータを制御することを可能にし得る。
【0189】
代替的な実施形態では、ユーザインターフェース2014はまた、監視デバイスを真空ユニットに遠隔接続して、システムのオペレータ又はユーザへのデータの送信を可能にして、治療の監視を支援するための制御を含み得る。
【0190】
ここで図64と一緒に図66を参照すると、真空ユニット2002は、以下でより詳細に説明される真空ポンプアセンブリ2015と、バッテリ又は他の電源と、創傷治療部位62から流体を送達及び受容するために導管2005b、2005aと流体連通している真空ユニットコネクタ2009と、ポンプアセンブリ2015からリザーバ2006への流体流のためにリザーバ2006への導管2005cと流体連通している真空ユニット出口コネクタ2010と、を収容する、ハウジング又は筐体を備える。コネクタ2009、2010は、それぞれの導管2005b、5cの端と結合するように構成され、任意の好適な形態であり得、例えば、それらは、ルアータイプコネクタを含み得る。
【0191】
一実施形態では、真空ユニットコネクタ2009は、副コネクタ2009b内の一方向弁が、滅菌フィルタ(図68及び図69のフィルタ2019)を通過した周囲空気などの上流源から、又は治療流体リザーバ(図68及び図69のリザーバ2026)から、創傷62への流体の流れを可能にするように配向されるように、2つの一方向弁を備え得る。主コネクタ2009a内の対応する一方向弁は、創傷62から真空ユニット2002に向かう方向の流体の流れを可能にするように配向される。いくつかの実施形態では、主コネクタ2009a及び副コネクタ2009b内の一方向弁は、真空ユニットコネクタ2009が真空ユニット2002から接続解除されたとき、閉鎖されるように構成され得る。次いで、これらの弁は、その後に開放されて、接続された真空ユニット2009が真空ユニット2002に再接続されたときに流体の通過を可能にする。そのような特徴を保有する既知の先行技術のコネクタの例としては、BD(登録商標)MaxPlus(商標)無針コネクタなどのIV用途内で使用するための無針又は不必要コネクタを含み、これは、適切なルアー係止コネクタと係合されると流体の通過を可能にするだけである。
【0192】
真空ユニットコネクタ2009の内外への流体流のための導管2005bは、主ルーメン2011及び副ルーメン2012を伴うデュアルルーメン導管である。コネクタ2009は、主ルーメン2011に接続するための流体入口を提供する主コネクタ2009aと、副ルーメン2012に接続するための流体出口を提供する副コネクタ2009bと、を含み、これらのルーメンからの流れを分離されたままにする。より大きい主ルーメン2011は、創傷から主コネクタを通って真空ポンプアセンブリ2015に流れる流体の通過を可能にする。副コネクタ又は供給コネクタ2009bは、主コネクタ又は除去コネクタ2009aから分離し得る。
【0193】
主ルーメン2011及び副ルーメン2012は、好ましくは、それらの長さの大部分に沿って、単一本体/導管内の隣接する通路として提供される。しかしながら、真空ユニット2002に隣接して、かつ/又は創傷治療デバイス61に隣接して、デュアルルーメン導管2005a、2005bは、真空ユニット2002への結合の容易さのために、かつ/又は供給導管が除去導管とは異なる場所で創傷又は創傷治療デバイス61に入ることを可能にするために、2つの別個の枝又は導管である、副ルーメン2012を備える供給導管と、主ルーメン2011を備える除去又は滲出液導管とに分割又は分離され得る。主導管又は除去導管及びルーメンは、互換的に参照され、参照番号2011によって参照され得、副導管又は供給導管及びルーメンは、互換的に参照され、参照番号2012によって参照され得る。
【0194】
供給導管2012は、圧力センサPvと流体連通して、創傷治療デバイス61の上流側の圧力の測定を可能にする。
【0195】
真空ユニット2002は、供給導管2012と流体連通する空気入口弁2018を備える。空気入口弁18は、以下でより詳細に説明されるように、創傷部位62から流体を持ち上げるのを補助するために治療システム2100内に空気を導入する様式で制御される。
【0196】
図66に示されるように、空気入口弁2018は、周囲空気を真空ユニット2002筐体の外側からシステムに引き込むための入口を有し得る。代替的に、空気入口弁の入口は、真空ユニットハウジング/筐体の内側から空気を取り込み得る。
【0197】
滅菌フィルタ2019は、システム2100及び創傷部位62への生物汚染及び非滅菌空気の進入を防止するために提供される。図66では、フィルタ2019は、空気入口弁2018の入口に提供されるが、フィルタは、空気入口弁2018と真空ユニット流体供給コネクタ2009bとの間、又は空気入口弁2018と創傷部位62との間の別の場所に配置され得る。
【0198】
図67は、治療システム2100をより詳細に概略的に例示する。真空ユニット2002の境界又は外側筐体は、図67に破線によって例示されている。治療デバイス61の上流側では、真空ユニット2002は、空気入口弁2018、任意選択的に圧力センサPv及び滅菌フィルタ2019を備え、治療デバイス61の下流側では、真空ユニット2002は、ポンプアセンブリ2015、及び任意選択的にポンプアセンブリ2015と治療デバイス61との間の圧力センサPpを備える。真空ユニット2002はまた、治療デバイス61への導管2005a、2005bと真空ユニット2002との間の接続インターフェースを提供する、接続マニホールド2020を備え得る。接続マニホールド2020は、図67において点線によって例示され、図66に示されるコネクタ2009を置換する。
【0199】
図69の実施形態のシステム2300では、真空ユニット2002は、真空ユニットコントローラ2017に電子的に接続されている色センサ2024を追加的に含む。この実施形態2300では、色センサ2024は、ポンプ2015の出口と出口コネクタ2010との間に位置付けられた流体流路に沿って位置付けられる。しかしながら、色センサは、代替的に、ポンプ2015の入口の上流の任意の好適な位置で、流体経路に沿って位置付けられてもよい。
【0200】
色センサ2024は、創傷部位2004において治療デバイス2003からシステムを通って流れる創傷滲出液の色変化を検出するのに有益であり得る。例えば、手術直後の最初の血液が豊富な創傷滲出液から、漿液血液状の排液(血液及び血清)のピンク色へ、かつ又は透明な漿液(血清のみ)排液への自然な色の変化。色センサ2024のこの動作は、治療デバイス2003の上流から濾過された空気を供給することによって増強され得る。濾過された空気は、針を介した治療部位2004からの流体の直接吸引の場合と同様に、短い時間枠の間、流体を変位させて、その短い時間枠内で流体の可読試料を生成する。
【0201】
創傷に治療流体を供給し、創傷から治療流体を除去する様々な実施形態のシステム内に色センサを含めることは、更なる利点を提案し得る。例えば、色センサ2024は、治療流体リザーバ2026から供給され、上流流体経路、除去導管2011、創傷治療デバイス3、及び供給導管2012を通過して、真空ユニット2002に送られる治療流体の通過を検出し、接続されたシステムを通る治療流体の完全な飽和を示すように構成され得る。他の実施形態では、治療流体は、感染、バイオフィルム、又は他の創傷に基づく病変の存在に応答した創傷における変化の検出のための色に基づくインジケータと組み合わせられ得る。
【0202】
図68及び図69は、創傷に流体を供給し、創傷から流体を除去するための更なる実施形態の治療システム2200、2300を例示する。図68及び図69の実施形態は、図64図67を参照して上記に説明されたシステム2100と同じ又は同様の特徴を含むが、創傷治療デバイス61に治療流体を提供するように追加的に構成される。
【0203】
図68及び図69を参照すると、真空ユニット2002は、創傷部位への送達のための治療流体を受容するための1つ以上のポート2025を備え得る。ポート2025は、好ましくは、治療流体リザーバ2026から接続解除されたときに液体の通路に対して名目上閉鎖されるように構成され、その後、ルアーコネクタと係合されたときに開放する。B.Braun Medical(登録商標)CARESITE(商標)不必要コネクタは、そのようなポートの一例を提供する。
【0204】
治療流体の形態の治療剤は、供給導管2012を介して創傷治療デバイス61に選択的に送達され得る。流体源又は治療流体リザーバ2026は、例えば、Baxter(登録商標)EMC 9608 Admin Set、B.Braun Medical(登録商標)Single Chamber IV Infusion Set、又は同様の滅菌IV注入療法セットなどの、静脈内(IV)流体投与セットへの導管又は接続を介して、真空ユニット2002の流体ポート2025に結合され得る。治療流体リザーバは、治療システムに接続されている間、大気圧であることが好ましい。これは、Baxter(登録商標)Sodium Lactate(Hartmann又は複合乳酸ナトリウム)IV Bagなどの可撓性流体バッグと組み合わせて、非通気式IV注入療法セットを使用することによって達成され得るか、又はB.Braun Medical(登録商標)によるProntosan(登録商標)Wound Irrigation Solutionなどの、治療流体の剛性又は半剛性コンテナに通気式IV注入療法セットを接続することによっても達成され得る。
【0205】
例示的な治療流体としては、限定されるものではないが、乳酸ナトリウム化合物、生理食塩水(0.9%NaCL-塩化ナトリウム)、及び0.45%生理食塩水(0.45NaCL)が挙げられる。抗菌剤及び溶液は、感染症の治療にも適用され得、ポリヘキサニド(polyhexanide、PHMB)、硝酸銀、次亜塩素酸(hypochlorous acid、HOCl)、次亜塩素酸ナトリウム、ベタイン、次亜塩素酸ナトリウム、中性pHの超酸化水、又は任意の他の抗菌創傷灌注溶液などの薬剤を含有し得る。
【0206】
他の治療流体はまた、創傷治癒を促進するための細胞懸濁液及び細胞ベースの流体を含み得る。送達される流体は、1つ以上の栄養素、導管を介して依然として輸送され得るチキソトロピーゲル又は高粘性流体などの「流動性流体」、創傷治癒を促進するための細胞懸濁液治療剤を含有し得る。流体は、例えば、ECM、ヒアルロン酸、治癒を支援する成長因子、感染症の治療のための抗菌薬、鎮痛のためのフェンタニル又はモルヒネなどの鎮痛薬、及びケトロラク又はジクロフェナクなどの抗炎症薬に由来する流動性ゲルを含み得るが、他の流体が想定され、当業者には明らかであろう。
【0207】
多血小板血漿、幹細胞、間質細胞、ケラチノサイト、リンパ球、骨髄穿刺液、血清及び樹状細胞のいずれかを含有する自己又は同種異系細胞ベースの療法の注入は、創傷の修復及び治癒を支援し得る。化学療法薬の点滴はまた、手術可能でない可能性があるがん性細胞の局所的治療を支援し得るか、又はがん性組織の切除後の全体的な治療計画として使用され得る。
【0208】
図68の実施形態2200を参照すると、治療流体入口弁2022は、流体が治療流体リザーバ2026から創傷につながる供給導管2012内に流れることを可能にするように選択的に動作可能である。流体のリザーバは、大気圧にある。治療流体入口弁2022が選択的に開放されたとき、除去導管2011を介して創傷62に適用されるポンプアセンブリ2015からの陰圧は、治療流体リザーバ2026から被覆材又は創傷治療デバイス61に向かって流体を引き込むように作用する。治療流体入口弁2022の起動時に、真空ユニット2002内のコントローラ(この図には図示せず)は、Pv及び/又はPp圧力センサにおける真空圧力レベルのその後の低下を検出し、ポンプアセンブリ2015を起動して、真空圧力を真空圧力の目標レベルに維持する。制御アルゴリズムは、以下でより詳細に説明される。例示される実施形態では、空気入口弁2018及び滅菌フィルタ2019は、治療流体弁2022の上流に提供される。
【0209】
図69の実施形態2300では、システムは、治療流体入口弁2022を有していない。システム2300は、陰圧治療中にシステムに導入される治療流体の量を制御するためのオリフィス又は他の流量絞りを含み得る。一実施形態では、治療流体の投与は、流体ポート2025を介してユニット2002に接続される、Baxter(登録商標)EMC 9608 Admin Set、B.Braun Medical(登録商標)Single Chamber IV Infusion Set、又は同様の滅菌IV注入療法セットなどの、静脈内(IV)流体投与セットの使用を介して制御される。供給導管2012に導入される治療流体の流体流量は、セット内のローラクランプを介して制御され、ローラクランプは、ローラクランプ構成要素とインターフェースするチューブの区分内の流量絞りを変化させるように調節される。この実施形態では、流体点滴速度は、チャンバが直立に配向されたときに、IV注入セットのドリップチャンバを介して視覚的にチェックされ得、任意の更なる流量調節がローラクランプ調節を介して行われる。この実施形態は、創傷治療デバイス61を介して治療流体を創傷62に導入する手動手段を提供する。
【0210】
代替的な実施形態では、真空ユニット2002は、流体ポート2025を介して注入ポンプに接続されて、流体が選択可能かつ制御可能な様式で創傷治療デバイス61に供給されることを可能にし得る。そのような注入ポンプシステムは、例えば、B.Braun Medical(登録商標)Vista(登録商標)基本大容量注入ポンプ又はBD(登録商標)Alaris(登録商標)Syringe Moduleを含み得、それらは、間欠的又は一定の流体送達基準のいずれかで、0.1ml/時間~1200ml/時間の治療流体を制御可能に送達し得る。これらのシステムは、典型的には、治療流体が分注される量、流量、及び頻度を選択する手段を提案する。治療流体が真空ユニット2に導入されたとき、システムは、Pv及び/又はPp圧力センサで設定真空圧力レベルのその後の低下を検出し、ポンプアセンブリ2015を起動して、真空圧力のシステム目標レベルを維持する。制御アルゴリズムは、以下でより詳細に説明される。
【0211】
図68及び図69の実施形態では、真空ユニット2は、流体ポート2025を介して、治療デバイス61への導管2005a、2005bと真空ユニット2002との間、及び真空ユニット2002と治療流体リザーバ2026との間の接続インターフェースを提供する接続マニホールド2021を備える。接続マニホールド21は、図68及び図69において点線で例示されており、図66に示されているコネクタ2009を置換する。マニホールドは、以下により詳細に説明される。
【0212】
説明されるように、治療システム2100、2200、2300は、創傷部位62から除去された液体、例えば、創傷滲出液を収集するためのリザーバ2006を備える。好ましい実施形態では、リザーバ2006は、創傷から最も離れた位置に位置付けられ、したがって、ポンプアセンブリ2015を通過した後に創傷から除去された流体を収集するために、ポンプアセンブリ2015の下流にある。示される実施形態では、リザーバ2006は、可撓性バッグを含む。代替的に、剛性リザーバが提供されてもよい。
【0213】
リザーバ2006は、リザーバの壁に提供された1つ以上の空気透過性フィルタ又は通気口2006a、例えば、不透過性膜の開口を覆って提供された疎水性通気膜を備える。空気透過性フィルタ又は通気口は、ガスの通気を可能にし、それによって、効果的なポンピングを妨げるリザーバ内の圧力上昇を防止する。例示的なリザーバは、8つの通気口2006aを有し、各々、システムを通過する高レベルの空気流を持続させるために、8mmの直径及び3ミクロンの孔径を有する。
【0214】
血餅、フィブリン、及び他の凝固した流体又は組織破片は、通気膜を閉塞させ得、これは、流体経路に導入された空気でバッグを膨張させる。この膨張は、バッグを破裂させて流体を漏出させる可能性があるか、又は過剰な陽圧下で出口弁を強制的に開放させることによって、必要とされる真空圧力をポンプが生成することを妨げる可能性がある。
【0215】
これらの問題を回避するために、高塩適合性ポリアクリル酸ナトリウムポリマー、又は他の同等の血液適合性超吸収性ポリマーが、バッグ内の血液及び創傷流体を凝固させるためにリザーバに添加され得る。これらのポリマーは、遊離粒子、溶解可能なPVAフィルムパウチ内に懸濁された粒子、又は織物/布様媒体内に懸濁されたポリマーのいずれかとして入手可能である。バッグ上の1つ以上の通気口と連携したこのポリマーの使用は、バッグの膨張を回避し、治療システムの流体経路が、空気がシステム内に導入される際にはるかに多くの空気に対処することを可能にする。
【0216】
ポンプアセンブリ2015は、入口及び出口を含み、モータによって駆動される。一実施形態では、ポンプアセンブリ2015は、実質的に、PCT国際出願PCT/NZ2021/050205号に説明されているとおりであり得、斜板と、複数の可撓性チャンバ(ダイヤフラム)と、複数の対の可撓性弁であって、各対の弁がそれぞれの可撓性チャンバと流体連通している、複数の対の可撓性弁と、ポンプ入口及び出口と、を備える。
【0217】
ポンプアセンブリ2015は、ポンプ入口からポンプ出口までのポンプを通る流体流路を備える。好ましい実施形態では、滲出液リザーバ2006は、ポンプアセンブリ2015の下流にある。これは、創傷からの流体がポンプアセンブリ2015を通過することを意味する。
【0218】
ポンプアセンブリ2015は、好ましくは、弁開閉サイクル時間のかなりの時間部分にわたって空気入口弁2018が開放している状態で、治療システム2100、2200、2300にかなりの量の空気を導入しながら、陰圧を維持するように構成された大容量ポンプを備える。創傷62における陰圧を有効な治療陰圧レベルに維持し続けながら、増加した量の空気を移動させ、流体を創傷62から滲出液リザーバ2006に持ち上げるために、大容量ポンプアセンブリ2015が必要とされる。
【0219】
空気入口弁2018は、弁を開放位置と閉鎖位置との間で駆動するためにコントローラと電気通信するソレノイドなどのアクチュエータを含み得る。空気入口弁2018は、圧力解放弁として動作せず、すなわち、空気入口弁は、創傷における圧力を制限するために「こじ開ける」ように制御されない。空気入口弁は、所定の時間に基づいて開閉され、すなわち、空気入口弁の制御は、以下でより詳細に説明されるように、圧力制御ではなく、時間制御である。
【0220】
流体入口弁2022は、弁を開放位置と閉鎖位置との間で駆動するためにコントローラと電気通信するソレノイドなどのアクチュエータを含み得る。
【0221】
真空ユニット2002と治療デバイス61との間を接続するために、デュアルルーメン導管が提供され得る。導管は、円形外壁を有し得る。この導管は、導管が創傷を開かずに、その後、除去されなければならない創傷治療に好ましい。丸い又は円形の外壁は、患者に不快感を引き起こし得る導管の側面に付着した組織を穏やかに解放するために、除去時に導管を回転させることを可能にする。
【0222】
いくつかの代替的な実施形態では、デバイス61は、同じ圧力源を用いてそれぞれの部位を治療するために異なるそれぞれの部位に移植された、1つ以上の他のデバイスに動作可能に接続され得る。
【0223】
システム動作
ここで、図66及び図67を参照して上記に説明された治療システム2100の動作が、図70図80を参照して説明される。システム2100は、ユーザがシステムを動作させることを可能にするユーザインターフェース2014を備える。ユーザインターフェース2014は、システム設定のユーザに視覚(例えば、LED)及び音声指示を提供し得、入力、例えば、1つ以上のボタンが、例えば、ユニットをオン/オフするか、ポンプを動作させるか、又は動作モードを選択することを可能にする。コントローラは、空気弁アクチュエータ、ポンプモータ、及び圧力センサPv、Ppと電気的に通信するシステム論理及び制御アルゴリズムを提供して、空気入口弁2018及びポンプアセンブリ2015を制御する。コントローラはまた、電力管理及びセンサ回路と通信して、電源を管理して、例えば、ユーザインターフェースを介してバッテリ充電指示をユーザに提供し得る。
【0224】
コントローラは、空気入口弁を開閉しながら、創傷治療デバイス61を介して創傷62で陰圧を維持するようにポンプアセンブリ2015を動作させるように構成されている。空気入口弁2018は、創傷部位に空気を導入するために開放されるが、一方、ポンプアセンブリは、創傷で陰圧を維持するために動き続ける。
【0225】
陰圧治療は、創傷が滲出液を生成し続けるときであっても、停滞したシステムを結果的にもたらし得る。停滞したシステムでは、システムは、周囲環境から効果的に封止され、創傷から滲出液リザーバ2006への流体移送又は流れは達成されない。これは、創傷及び/又はシステム内の他の場所における血液、フィブリンなどの凝固に起因するシステム閉塞を悪化させ得る。閉塞は、最終的に、創傷で陰圧を提供することの失敗を結果的にもたらし、陰圧治療を無効化する。
【0226】
停滞したシステムを回避するために、コントローラは、ポンプアセンブリ2015を動かし続けながら、空気入口弁2018を開閉して、創傷における陰圧を維持する。
【0227】
例えば、治療システム2100は、少なくとも40mmHg、好ましくは少なくとも50mmHgの創傷治療デバイス61の創傷部位62における真空圧力(第1の真空圧力)を維持しながら、空気入口弁2018を解放して、空気を創傷部位に導入するように構成されている。例示的な実施形態では、治療システムは、空気入口弁が開放されて、空気を創傷に導入している状態で、創傷部位/創傷治療デバイスで、約50mmHg~100mmHg、又は約60mmHg~100mmHg、又は70mmHg~100mmHg、又は80mmHg~100mmHgの真空圧力を維持することができる。コントローラが空気入口弁を閉鎖したとき、ポンプは、創傷における陰圧を維持するように動作し続ける。空気弁が閉鎖された状態で、創傷部位62における真空圧力は、約100mmHg~150mmHg(第2の真空圧力)であり得る。
【0228】
好ましくは、空気入口弁が開放されているときに創傷治療デバイスで維持される真空圧力は、空気入口弁が閉鎖されているときに創傷で維持される真空圧力の少なくとも実質的な部分であるか、又は空気入口弁が閉鎖されているときに創傷で維持される真空圧力と等しくてもよい。例えば、空気弁が開放された状態で創傷で維持される真空圧力は、空気弁が閉鎖された状態で創傷で維持される真空圧力の約30%~100%、又は空気弁が閉鎖された状態で創傷で維持される真空圧力の約50%~100%、若しくは70%~100%、若しくは約80%であり得る。
【0229】
空気入口弁が閉鎖された状態で、創傷における真空圧力は、空気入口弁が開放されているときの創傷における真空圧力よりも約20~50mmHg高くてもよく、又は空気入口弁が開放されているときの創傷における真空圧力と等しくてもよい。
【0230】
好ましい実施形態では、システムは、創傷における陰圧を維持し続けながら、空気入口弁を開放位置と閉鎖位置との間でサイクルさせるように構成されている。空気入口弁が閉鎖された状態で、システムは、迅速に停滞した状態に戻る。閉塞形成につながり得る停滞した状態のままになることを回避するために、コントローラは、創傷で陰圧を維持しながら空気入口弁を再び開放し、次いで、空気入口弁を再び閉鎖するように構成されている。空気弁の開閉は、継続する。創傷で陰圧を維持しながらシステム内に空気を導入することは、創傷からリザーバへの流体の移動を促進し、閉塞のリスクを低減する。いくつかの実施形態では、治療システムは、空気入口弁を開閉し続けて、ポンプの連続動作を達成して、流体流を維持し、長時間にわたって流れなしの又は停滞した状態のままになることを回避するように構成され得る。
【0231】
好ましい実施形態では、システムは、空気入口弁2018が開放された状態で、システムが平衡状態を達成するように構成され、空気入口弁2018を通る治療システム内への空気の流量は、ポンプを通る流体(例えば滲出液)及び空気の流量と等しい。平衡状態では、創傷治療デバイス61における真空圧力は、定常状態又は一定の真空圧力レベル(第1の真空圧力)に維持されるか、又はそれに到達する。システムは、短い持続時間、例えば、数秒以下、例えば、5秒以下の後に一定の真空圧力レベルを達成し得る。いくつかの実施形態では、空気弁が開放された状態で平衡状態において、治療デバイスにわたる圧力降下は、実質的にゼロであり、システム真空圧力と周囲圧力との間の圧力降下の実質的に全てが、例えば、空気入口フィルタによって提供される入口絞りにわたって生じている。いくつかの実施形態では、空気入口弁が開放された状態で平衡状態において、治療デバイスにわたる圧力降下は一定である。創傷に空気を導入することは、治療デバイスの上流側と治療デバイスの下流側との間の創傷部位にわたって圧力降下を生じさせ得、創傷62からリザーバ2006への流体の移動を可能にし、それによって、凝固及びシステム閉塞のリスクを低減する。
【0232】
空気弁が閉鎖された状態で、ポンプは、創傷における陰圧を維持するように制御され、創傷からポンプへの流量は、患者の創傷応答に比例し、すなわち、流量は、創傷で生成される滲出液に比例する。空気入口弁が閉鎖された状態で、ポンプは、創傷治療デバイスにおける真空圧力を定常状態又は一定の真空圧力レベル(第2の真空圧力)に維持するように制御される。繰り返しになるが、システムは、非常に短い持続時間、例えば、数秒以下、例えば、5秒以下の後に一定の真空圧力レベルを達成し得る。上記に説明されたように、第1の真空圧力は、第2の真空圧力以下である。
【0233】
空気入口弁2018が開放された状態の創傷治療デバイス61における定常状態真空圧力は、空気入口弁が閉鎖された状態の創傷治療デバイスにおける定常状態真空圧力未満であり得る。しかしながら、空気入口弁が開放された状態の創傷治療デバイス61における真空圧力は、効果的な陰圧治療に十分である。上記に説明されたように、第1の真空圧力は、第2の真空圧力の少なくとも実質的な部分であり、第2の真空圧力と等しくてもよい。したがって、治療陰圧を連続的に達成するためにポンプを動かしながら空気入口弁を周期的に開閉することは、滲出液の除去を改善し、システム閉塞のリスクを低減するのみならず、効果的な創傷治療のために創傷における陰圧環境も維持する。
【0234】
創傷における陰圧を維持しながら空気入口弁の開閉をサイクルさせることは、空気の導入によって創傷部位における低減された流体密度を達成する。多くの場合、例えば、患者が直立しているとき、又は立位にあるとき、創傷部位に高さの差が存在する。創傷における高さの差は、創傷の上部分のみに流れを伴って、創傷の最も下の場所に静止したままの流体を結果的にもたらし得る。創傷部位にわたって空気を導入することによって、創傷の最も下の部分に到達する空気は、それらの最も下の部分から流体を持ち上げ、創傷全体にわたる流体移動を改善し得る。
【0235】
空気の導入は、本質的に、システムが空気ポンプのように動作することを可能にし、より低い密度の流体が「上りの」又は重力に逆らって移動することを可能にする。
【0236】
本発明者らは、創傷部位からリザーバへの「気泡流」又は「スラグ流」を達成する流量の空気をシステムに導入するために、創傷において陰圧を維持しながら空気弁が開放位置と閉鎖位置との間で動作する、好ましい動作モードを追加的に識別した。図70は、液体及び気体状態の両方を含む流体における流れのタイプの範囲を例示する。空気入口弁を過剰に長く開放したままにすることに起因して多くの空気を導入することは、滲出液が導管の内壁に沿って流れ、空気が導管の中央を通って流れる環状タイプの流れを結果的にもたらし得る。これは、滲出液を導管の壁に停滞させ得、これは、流体の凝固につながり得る。凝固した流体の層は、経時的に増加し、閉塞につながり得る。空気入口弁の開閉をサイクルさせることによって、液体滲出液は、空気弁が閉鎖されているときにシステムの流路内で均一な柱を再形成し得、空気を導入するための空気入口弁のその後の開放は、滲出液を通過する空気の気泡又はスラグを結果的にもたらす。環状タイプの流れが達成される前に、空気弁が再び閉鎖される。本発明者らは、これが滲出液の改善された除去、及び閉塞の低減を結果的にもたらすと考えている。
【0237】
ここで、図71図75を参照して、NPT中に空気入口弁を開放と閉鎖との間でサイクルさせる例示的な実施態様が説明される。図71に例示されるように、コントローラは、空気入口弁が開放され、ポンプが創傷で陰圧を達成するように動作される、空気流モード又は状態と、空気入口弁が閉鎖され、ポンプが創傷で陰圧を達成するように動作される、非空気流モード又は状態と、を実装するように構成されている。例示された実施形態では、非空気流状態は、加圧状態、保持状態、及びタイムアウト状態を含む。
【0238】
図72を参照すると、空気流状態では、コントローラは、空気入口弁を開放して、空気が、治療デバイスの上流側でシステムに進入することを可能にし、圧力閾値を達成するようにポンプを動かす。例えば、治療デバイスの下流側で圧力センサPpによって感知された圧力が圧力閾値未満である場合、コントローラは、ポンプを動かす(ポンプをオンにする)。言い換えると、Ppにおける圧力が閾値圧力以上である場合、コントローラは、ポンプをオフにする。
【0239】
例示された実施形態では、治療デバイスの下流側の圧力閾値(Pp)は、空気入口弁が閉鎖されているときの治療デバイスの上流側の圧力閾値(Pv)の一部分である。例示された実施形態では、治療デバイスの下流側の圧力閾値(Pp)は、空気入口弁が閉鎖されているときの治療デバイスの上流側の圧力閾値(Pv)の80%である。例えば、空気入口弁が閉鎖されているとき、Pvにおける治療デバイスの上流側の圧力閾値は、100mmHgであり、空気入口弁が開放されている空気流状態では、Ppにおける圧力閾値は、80mmHgである。
【0240】
ポンプは、空気入口弁が開放された状態で創傷治療デバイスの下流側で真空圧力を維持するために、例えば、コントローラによるPID制御下で、繰り返しオンオフし得る。好ましくは、システムは、非常に短時間で、すなわち、数秒以内、例えば、5秒以内で、Ppにおける治療デバイスの下流側で閾値圧力を達成するように構成されている。空気入口弁は、ある時間にわたって開放位置のままである。空気入口弁が開放されたとき、創傷における圧力は、一定に維持される。例示される実施形態では、空気入口弁は、14秒間開放位置のままである。14秒が経過すると、コントローラは、空気入口弁を閉鎖し、コントローラは、非空気流状態の加圧状態に移行する。
【0241】
上記に説明された空気流状態のパラメータは、一例として提供されている。いくつかの実施形態では、システムは、治療デバイスの下流側に圧力センサPpがなくてもよい。ポンプは、ポンプが特定のシステム性能に対応する所定の速度で動かされて、空気入口弁が開放された状態で創傷治療デバイスで既知の又は許容可能な圧力レベル(第1の真空圧力)を達成するように、好適な容量を備え得る。追加的に、又は代替的に、システムは、ポンプによって生成される真空圧力が過剰に高く増加しないことを確保するために、ポンプ入口においてシステムに空気を導入するための圧力解放弁を含んでもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、システムは、圧力センサPpを含み、コントローラは、圧力が所定の圧力閾値、上記の例では80mmHgを超えて増加しないようにポンプを動作させる。所望の治療計画に応じて、他の圧力閾値が可能である。好ましくは、コントローラは、ポンプの正確な制御、したがって、創傷における真空圧力の制御を達成するために、PID制御を実装する。コントローラは、ポンプモータの制御において、パルス幅変調(pulse-width modulation、PWM)又はパルス同期変調方法を使用し得る。
【0242】
図66図69に示されるように、例示的な実施形態では、圧力センサPvは、フィルタの周囲環境側にある。滅菌フィルタ2019は、空気入口弁が開放されているときに治療デバイスにおける真空圧力が周囲圧力まで落ち込むことを防止するために、既知の圧力降下を提示する。圧力センサPvがフィルタの周囲環境側にある状態で、センサPvは、本質的に、空気入口弁が開放されているときの周囲圧力を測定する。したがって、空気入口弁が開放されたとき、センサPvによって感知された圧力は、ポンプの制御に使用されず、ポンプは、Ppによって感知された圧力が圧力閾値を上回って増加するまで動くことになる。いくつかの実施形態では、Ppにおける圧力は、弁が開放されたときに圧力閾値に到達しないだろう。ポンプは、空気入口弁が開放されたときに連続的に動き得るが、これはあまり好ましくない。
【0243】
図77を参照すると、加圧状態では、空気入口弁が閉鎖され、コントローラは、ポンプを動かして圧力閾値を達成し、創傷治療デバイスにおける既知の又は許容可能な真空圧力(第2の真空圧力)を達成する。空気弁が閉鎖された状態で、創傷治療デバイスにおける真空圧力は、空気流モードで達成される真空圧力と比較して増加し得る。例示された実施形態では、治療デバイスの上流側の圧力センサPvによって感知された圧力が100mmHg未満であり、治療デバイスの下流側の圧力センサPpによって感知された圧力が150mmHg未満である場合、コントローラは、ポンプを動かす。言い換えると、圧力Pvが100mmHg以上であるか、又は圧力Ppが150mmHg以上である場合、コントローラは、ポンプをオフにする。
【0244】
システムは、空気入口弁を閉鎖又は開放する非常に短い持続時間後、すなわち、数秒以内、例えば、5秒以内に、閾値圧力を達成するように構成され得る。空気弁が閉鎖された状態で、システムが閉鎖又は封止されるため、システムは、治療デバイスにわたるゼロの圧力降下を伴う、したがって、Pvにおける圧力=Ppにおける圧力である、停滞した又は流れなしの状態に非常に迅速に到達する。例示された実施形態では、Pvにおける圧力閾値がPpにおける圧力閾値未満であるため、コントローラは、2つの圧力閾値のうちの低い方である上流圧力センサPvに基づいてポンプを制御する。しかしながら、システムを通る圧力降下は、組織破片及び/又はフィブリンなどの凝固材料が創傷治療デバイス及び/又はポンプ内に蓄積するときに発生し得、その場合、圧力差が、センサPv及びPpによって測定されるように、治療デバイスの上流側と下流側との間で発現し得る。下限閾値が治療デバイスの上流側で到達される前に、システム制約は、システム圧力を、治療デバイスの下流側で上限閾値に到達させ得、その場合、ポンプは、下流圧力センサPpに基づいて、Ppにおいて上限圧力閾値に制御される。
【0245】
圧力閾値に到達すると、コントローラは、ポンプをオフにし、保持状態に移行する。加圧状態は、ポンプが120秒以内に圧力閾値(例えば、Pp)に到達しなかった場合、モータがオフにされ、コントローラがタイムアウト状態に移行するように、タイムアウトチェックを含む。これは、例えば、システム内の閉塞又は漏れなどの他の故障モードに起因して起こり得る。
【0246】
図74を参照すると、保持状態では、コントローラは、空気入口弁を閉鎖位置に維持し、ポンプを動作させ続けて、例えば、Pv又はPpで所望の圧力閾値を達成するようにPID制御下で、ポンプをオン及びオフにすることによって、創傷治療デバイスで所望の又は許容可能な真空圧力を維持する。コントローラは、ある時間にわたって空気入口弁を閉じた状態で真空圧力を維持する。例示された実施形態では、空気入口弁は、20秒間閉鎖される。
【0247】
20秒が経過すると、コントローラは、空気流モードに戻り、空気入口弁の開閉のサイクルが繰り返される。空気入口弁の開閉は、上記に説明された利益を達成するために、連続的にサイクルされ得る。
【0248】
上記の例示的な実施態様は、14秒の空気入口弁開放時間及び20秒の空気入口弁閉鎖時間を提供する。これらの時間は一例であり、代替的な時間が実装されてもよい。しかしながら、空気入口弁が、全開閉サイクルの実質的な部分にわたって開放されることに留意されたい。この実施形態では、全開閉サイクル又は「サイクルピッチ」は、34秒であり、空気入口弁は、34秒間のうちの14秒間、又は全サイクルの約40%にわたって開放する。いくつかの実施形態では、空気入口弁は、サイクルピッチの少なくとも10%、又はサイクルピッチの少なくとも20%、又はサイクルピッチの少なくとも30%、又はサイクルピッチの少なくとも40%にわたって開放される。例えば、空気入口弁開放時間は、閉鎖時間とほぼ同じであってもよい(サイクルピッチの50%)。いくつかの実施形態では、空気入口弁は、全サイクルの50%超にわたって開放され得る。
【0249】
上記の例示的なシステム構成は、34秒のサイクル時間を提供する。しかしながら、より長い又はより短いサイクル時間が可能である。上記に説明されたように、創傷における陰圧を維持しながら創傷部位からリザーバへのスラグ又は気泡流を達成するのに必要な空気入口弁の開閉が理想的である。最大弁サイクル時間は、1分又は数分であり得る。しかしながら、空気入口弁は、十分な空気がシステムに導入されることを確保するために、上記の圧力で少なくとも約10秒間開放されるべきである。空気入口弁は、各空気入口弁開閉サイクルにおいて10~40秒間開放され得る。
【0250】
空気入口弁が開閉される時間は、空気入口流量絞り、ポンプ容量、治療デバイス構成、並びに供給及び滲出液導管の長さ及び直径に依存する。上記に説明されたシステム構成要素及び制御パラメータは、例として提供される。しかしながら、本発明者らは、システムパラメータが、創傷における陰圧を創傷の陰圧治療に有用なレベルに維持しながら、空気入口弁が実質的な持続時間にわたって開放されることを可能にするように選択されるべきであると考える。
【0251】
図75を参照すると、例示的な実施形態は、システムが意図された陰圧レベルに到達することができない状況を安全に管理するためのタイムアウト状態を含む。図73を参照して上記に説明されたように、所定の時間(例えば、2分)後に空気入口弁が閉鎖されたときにシステムが加圧することができない場合、コントローラは、タイムアウト状態に入る。コントローラは、ポンプ動作を30秒間休止し、タイムアウトカウンタを増分する。タイムアウトカウンタが所定のカウント閾値未満である場合、コントローラは、加圧状態に戻り、創傷治療部位を加圧しようとする。タイムアウトカウンタ閾値に到達した場合、コントローラは、空気流状態に戻る。上記に説明されたように、空気を導入することは、閉塞を低減し得る。システムは、閉塞に起因して加圧に失敗する場合がある。空気流状態に戻ることは、加圧状態に戻る前に閉塞を除去し得る。
【0252】
いくつかの実施形態では、治療システムは、図71図75に提示されていない他の制御パラメータを実装し得る。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、治療デバイスの上流側に圧力センサPvを備え、治療デバイスの下流側に圧力センサPpを備える。コントローラは、2つの圧力センサ間で測定された圧力差に基づいてポンプ及び/又は空気入口弁を動作させ得る。例えば、コントローラは、圧力差が上限閾値を上回って増加したとき、又は所定の時間にわたって上限閾値を上回ったときに、空気入口弁を開放し得る。システム圧力差は、特に空気入口弁が閉鎖されたときに、システム内の閉塞を示し得る。空気弁が閉じられ、システムが停滞した状態にある状態で、治療デバイスの上流側及び下流側の圧力は、実質的に等しくなるはずである。コントローラは、圧力差が下限閾値を下回って減少したとき、又は所定の時間にわたって下限閾値を下回ったとき、空気弁を閉鎖し得る。コントローラは、圧力差が上限又は最大閾値を上回って増加したとき、ポンプ及び/又は空気流状態を停止し得る。
【0253】
図68及び図69を参照して上記で説明されるように、いくつかの実施形態では、システムは、治療流体を創傷に導入するように構成されている。図68のシステムでは、コントローラは、空気入口弁2018の動作と同様の方式で治療流体を導入するために治療流体入口制御弁2022を動作させるように構成され得る。治療流体リザーバ2026は、好ましくは周囲圧力である。
【0254】
コントローラは、ポンプを動作させながら、流体入口弁2022を開放して、創傷治療デバイスで陰圧を維持し、治療流体を治療デバイス内に引き込む。好ましい実施形態では、システムは、流体入口弁2022が開放した状態で、システムが平衡状態を達成し、治療流体リザーバ2026から治療システム内への治療流体の流量が、ポンプを通る流体(例えば、滲出液及び治療流体)の流量に等しくなるように構成されている。平衡状態では、創傷治療デバイスにおける真空圧力は、定常状態又は一定の真空圧力レベル(すなわち、第3の真空圧力)に維持されるか、又はそれに到達する。システムは、非常に短い持続時間、例えば、数秒以下、例えば、5秒以下の後に一定の真空圧力レベルを達成し得る。好ましい実施形態では、流体入口弁が開放されて平衡状態にある状態で、治療デバイス全体の圧力は、実質的にゼロである。
【0255】
流体入口弁が開放されているとき、コントローラは、空気入口弁が開放されているときに治療システムが達成するのと同じ圧力を治療デバイスで達成するようにポンプを動作させ得る。
【0256】
流体入口弁が閉鎖された状態で、ポンプは、創傷において陰圧を維持するように制御される。流体入口弁が閉鎖された状態で、ポンプは、創傷治療デバイスにおける真空圧力を定常状態又は一定の真空圧力レベル(第4の真空圧力)に維持するように制御され得る。繰り返しになるが、システムは、非常に短い持続時間、例えば、数秒以下、例えば、5秒以下の後に一定の真空圧力レベルを達成し得る。流体入口弁が閉鎖されているとき、コントローラは、空気入口弁が閉鎖されているときに治療システムが達成するのと同じ圧力を治療デバイスで達成するようにポンプを動作させ得る。
【0257】
流体入口弁が開放された状態の創傷治療デバイスにおける定常状態真空圧力は、流体入口弁が閉鎖された状態の創傷治療デバイスにおける定常状態真空圧力未満であり得る。しかしながら、流体入口弁が開放された状態の創傷治療デバイスにおける真空圧力は、効果的な陰圧治療に十分である。治療流体は、陽圧下では導入されない。したがって、治療陰圧を連続的に達成するためにポンプを動かしながら流体入口弁を開閉することは、効果的な治療のために創傷における陰圧環境を維持するのみならず、治療を改善するための治療流体の導入、滲出液の除去、及びシステム閉塞のリスクの低減も提供する。
【0258】
システムに投与される治療流体の量は、流体入口弁が開放されている時間に基づいて制御され得る。治療流体リザーバ2026と創傷治療デバイスの上流に位置付けられたPv圧力センサとの間に流量絞り(収縮オリフィスなど)が配置され得る。この絞りにわたる結果として生じる圧力降下は、流体の速度が、センサPvによって測定される結果として生じる圧力降下から決定されること、及び投与される治療流体の総量が計算されることを可能にし得る。代替的に、治療流体入口弁は、差圧閾値が達成されるまで、又はある時間にわたって達成されるまで開放され得るか、又は弁は、所定の時間にわたって開放され得る。治療流体入口弁は、好ましくは、空気入口弁が閉鎖されたときに開放される。
【0259】
図69の実施形態を参照すると、システムは、コントローラによって制御される治療流体入口弁を伴わない。創傷における真空圧が周囲の治療流体をシステム内に引き込むため、システムは、治療陰圧の間に治療流体を投与する。空気弁が開放されると、空気が治療デバイスに流れ、システム内への空気の流れは、治療流体の密度と比較してはるかに低い空気の密度に起因して、治療流体リザーバからの流体の流れを停止する傾向がある。空気入口弁が閉鎖されると、創傷における陰圧が、治療流体リザーバからシステム内に流体を引き込み、創傷内に溢れる。ポンプが創傷で真空圧力を維持しているとき、治療流体は、治療デバイス及び創傷を通過し、ポンプを通ってリザーバに送られる。空気弁を再開放すると、治療流体の流れが再び停止し、圧力差が生じて、治療流体及び滲出液を含む流体を創傷から移動させる。したがって、空気入口弁を循環させることはまた、周期的様式における創傷への治療流体の追加及び創傷からの治療流体の除去を達成し得る。添加される治療流体の量は、どれだけ長く、又はどれだけ多くの空気が導入されているかに依存する。システムに導入される治療流体の量は、システムに導入される空気の量に比例し得る。
【0260】
ここで、図68のシステムの例示的な実施態様が、図76図79を参照して説明される。図76に例示されるように、コントローラは、上記に説明された空気流状態に加えて、流体供給モード又は状態を実装するように構成されている。コントローラは、非供給/非空気流モードを実装し、このモードでは、空気入口弁及び治療流体弁が閉鎖され、ポンプが動作されて、創傷で陰圧を達成する。例示された実施形態では、非空気流状態は、加圧状態、保持状態、及びタイムアウト状態を含む。
【0261】
図76の空気流状態及び加圧状態は、図72及び図73を参照して上記に説明されるとおりである。図68及び図69の空気流状態及び加圧状態が動かされると、コントローラは、図77の流体供給保持状態を実装する。
【0262】
図77を参照すると、保持状態では、コントローラは、空気入口弁を閉鎖位置に維持し、ポンプを動作させ続けて、例えば、所望の圧力閾値(Pv又はPpで)を達成するようにPID制御下で、ポンプをオン及びオフにすることによって、創傷治療デバイスで所望の又は許容可能な真空圧力を維持する。コントローラは、ある時間、例えば、20秒間にわたって空気入口弁を閉じた状態で真空圧力を維持する。20秒が経過すると、コントローラは、ポンプをオフにし、流体供給状態が必要であるかどうかを確認するためにチェックする。流体供給状態が必要とされない場合、コントローラは、空気流モードに戻り、図71を参照して上記に説明されたように、空気入口弁の開閉のサイクルが繰り返される。コントローラは、治療流体供給が所定の時間、例えば、8時間にわたって提供されていない場合、又はユーザが設定した流体供給サイクル時間がトリガされた場合、又はユーザが、例えば、真空ユニットのユーザインターフェース上のボタンを押すことによって、流体供給を手動で要求した場合、流体供給状態を実装する。
【0263】
流体供給状態を起動する間の時間は、空気入口弁開閉サイクル時間よりもはるかに長い。例えば、空気入口弁サイクル時間は、1分未満であってもよく、流体供給状態の間の時間は、1時間超であってもよい。
【0264】
図78を参照すると、流体供給状態では、コントローラは、流体弁を開放して、治療流体が、治療流体リザーバから治療デバイスの上流側にシステムに流れることを可能にし、圧力閾値を達成するようにポンプを動かす。治療デバイスの上流側の圧力センサPvによって感知された圧力が100mmHg未満であり、治療デバイスの下流側の圧力センサPpによって感知された圧力が150mmHg未満である場合、コントローラは、ポンプを動かす。治療流体弁が開放されているときのポンプの制御は、上記に説明されたように空気入口弁が開放されているときのポンプ制御と同じ又は同様であってもよい。例示された例では、コントローラは、流体弁を10秒間開放して維持するが、他の時間も可能である。コントローラは、流体弁を閉鎖し、流体接触滞留時間を可能にして、創傷に導入された流体が、設定された時間にわたって、創傷部位に溢れるか、又はそこに留まることを可能にし得る。コントローラは、ユーザ入力が0分~10分又は他の時間の滞留時間を設定することを可能にし得る。創傷内における流体接触を可能にするための遅延に続いて、コントローラは、創傷から治療流体を洗い流すための洗い流しサイクルに入る。例示された実施形態では、コントローラは、洗い流しサイクルを3回繰り返すが、コントローラは、洗い流しサイクルを1回、2回、又は3回超実施してもよい。例示された実施形態では、コントローラは、加圧状態に戻る前に流体供給状態を3回繰り返すが、コントローラは、流体供給状態を1回、2回、又は3回超実施してもよい。
【0265】
図79を参照すると、洗い流しサイクルでは、コントローラは、図78に示されるように必要とされる場合に流体供給状態を継続して、流体供給状態を繰り返し、流体弁を再び開放する前に、図73及び図74を参照して上記に説明されたように、加圧状態、保持状態、及び空気流状態をステップスルーする。流体供給状態の最後に、コントローラは、図73の加圧状態に戻る。システムは、上記に説明されたように、加圧し、圧力を保持し、空気入口弁の開閉をサイクルすることを継続する。
【0266】
例示された実施形態では、流体入口弁は、流体入口弁の各開閉サイクルで、10秒間開放され、102秒間閉鎖される。閉鎖時間は、滞留時間及び組み合わせられた洗い流しサイクル実行時間に依存する。例示された実施形態では、流体供給状態は、3つの洗い流しサイクルを含む。各洗い流しサイクルが34秒を必要とする状態で、ゼロの例示的な滞留時間に関して、例示される例では、流体供給弁は、合計102秒間閉鎖される。例示される例では、流体入口弁は、サイクルピッチの約10%にわたって開放される。流体入口弁は、サイクルピッチの少なくとも5%、又はサイクルピッチの少なくとも10%、又はサイクルピッチの少なくとも20%にわたって開放され得る。
【0267】
流体供給及び洗い流し状態は、陰圧を維持しながら創傷に治療流体を提供し、空気の導入を使用して創傷から治療流体を洗い流して、流体及び滲出液を創傷から除去する。上記に説明されたように、いくつかの治療流体の洗い流しが提供され得る。この手順は、創傷内の停滞した流体を低減し、それによって、システム内の閉塞を低減し、陰圧が創傷部位に継続的に適用されることを確保する。
【0268】
システム2100、2200、2300の動作は、ユーザがシステムを選択的に動作させることを可能にするユーザインターフェース14を介してもよい。ユーザインターフェースは、システム設定を通信するために、視覚(例えば、LED)及び/又は音声指示をユーザに提供し得る。ユーザインターフェース14は、接続された創傷治療デバイス61への陰圧の送達を開始又は停止するために、ユニット電源をオン又はオフにするために、可聴アラームを消音するために、かつ/又はデバイスを遠隔無線受信デバイスに接続して、システムの動作若しくは状態に関するデータを伝送するために、数個のボタンを含み得る。
【0269】
コントローラは、空気弁2018用のアクチュエータ、ドレッシング制御弁2029用のアクチュエータ、ポンプ2015のモータ、及び圧力センサPv、Ppと電気通信するシステム論理及び制御アルゴリズムを提供し得る。コントローラ2017は、圧力センサPv、Ppにおける読み取り値に基づいて空気入口弁2018及びポンプアセンブリ2015を制御するように構成されている。コントローラはまた、電力管理及びセンサ回路と通信して、電源を管理するか、又はバッテリレベル警告アラームを提供し得る。
【0270】
コントローラ2017は、空気入口弁2018を開閉しながら、創傷治療デバイス61を介して創傷62で陰圧を維持するようにポンプアセンブリ2015を動作させるように構成されている。空気入口弁2018は、本明細書内の他の箇所で説明されたように、創傷部位に空気を導入するために開放されるが、一方、ポンプアセンブリは、創傷で陰圧を維持するために動き続ける。
【0271】
陰圧治療は、創傷及び/又はシステム内の他の場所における血液、フィブリンなどの凝固に起因するシステム閉塞を悪化させ得る停滞したシステムを結果的にもたらし得る。閉塞は、最終的に、創傷で陰圧を提供することの失敗を結果的にもたらし得、陰圧治療の有効性を低減する。
【0272】
コントローラは、創傷治療部位62及び移植された治療デバイス61で生じる変化に応答してシステムに生じ得る予想される変化に適合するように構成され得る。治療デバイスが加圧状態、保持状態、及び空気流状態を通じて繰り返されたサイクルに供されるとき、Pv圧力センサとPp圧力センサとの間の圧力差が、組織の内部成長、創傷破片の蓄積、及び多くの他の因子の結果として、治療部位62及び/又は移植された創傷治療デバイス61の変化に応答して生じ得ることが発見されている。
【0273】
これらの動的変化に応答して、システムは、治療デバイス61の変化を補償するために、圧力サイトの間にPv圧力センサに適用される目標圧力レベルを調節する。例えば、Pp圧力センサが150mmHgを上回った結果としてモータが停止した場合、システムは、保持状態に進む前に、例えば、Pv圧力センサに適用される目標1(100mmHg)圧力から90mmHgの目標2圧力まで10mmHgだけ目標真空圧力レベルを低下させるように構成され得る。移植された治療デバイス61にわたる圧力降下が再び増加する場合、システムは、Pv圧力レベルが60mmHg(目標5)を下回る圧力に到達するまで、目標レベルを1ステップだけ低下させ続ける。
【0274】
【表1】
【0275】
Pv圧力センサで測定された圧力レベルがこのレベルに到達すると、システムは、保持状態から空気流状態への移行を停止することになり、システムを連続真空圧力レベルシステムに戻すことになる。
【0276】
保持状態中に60mmHg(目標5)を下回って低下した後、Pvにおける真空圧力レベルが90mmHg(目標2)に戻った場合、システムは、空気流状態に進むことを再開し、保持、空気流、及び加圧の間のサイクルが再開することになる。
【0277】
本明細書で説明されるシステムは、以下のうちの1つ以上を含むが、それらに限定されない、有意な利益を提供し得る:
・過剰な滲出液の除去による浮腫の低減などの改善された治癒利益を提供する、創傷部位からの改善された流体除去。
・システム内で形成する閉塞のリスクの低減。
・効果的な治療を確保するために、空気の追加中であっても、創傷における効果的な陰圧を維持すること。
・創傷に高さの差が存在する場合、創傷の下部分からの滲出液の除去。
・ポータブル創傷治療システムにおける用途に好適な低電力消費。
・効果的な治療を確保するために、創傷における効果的な陰圧を維持しながらの創傷への治療流体の適用。
・治療空間全体にわたる治療を改善するために、治療空間のより大きい部分への陰圧の提供。
・創傷への治療流体供給の提供を伴う及び伴わないシステムの構成可能性。
・空気入口と創傷部位との間に無菌インターフェースを提供することの容易さ。
【0278】
本発明を例として説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、変形及び修正を行うことがで<きることを理解されたい。更に、特定の特徴について既知の均等物が存在する場合、そのような均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
図1
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図59(ii)】
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【国際調査報告】