(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるリップルの低減
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/02 20060101AFI20231127BHJP
【FI】
H01Q13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531512
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021058933
(87)【国際公開番号】W WO2022115241
(87)【国際公開日】2022-06-02
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー,アレン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】コスタス,カルロス アール.
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァー,ジェームズ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ダニエル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】レヴァンドフスキ,ライアン シー.
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA26
5J045DA01
5J045FA08
5J045FA09
5J045HA01
(57)【要約】
素子パターンのリップルを緩和するための装置は、インナー・コーン(110)と、アウター・コーン(105)と、少なくとも1つの駆動素子(115)と、少なくとも1つのディレクタ(205)とを含む。アウター・コーンはインナー・コーンに結合されている。少なくとも1つの駆動要素は、アウター・コーンに結合されて、少なくとも1つの一次線(155)を生成するように構成されている。少なくとも1つのディレクタは、アウター・コーンに結合されて、少なくとも1つの一次線を方向付けるように構成されている。インナー・コーンとアウター・コーンは同心であってもよい。少なくとも1つの駆動素子は複数の駆動素子(115)を含む可能性がある。少なくとも1つのディレクタは複数のディレクタ(205)を含む可能性がある。ディレクタの数は駆動要素の数に等しい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナー・コーン;
前記インナー・コーンに結合されたアウター・コーン;
前記アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線を生じるように構成されている少なくとも1つの駆動素子;及び
前記アウター・コーンに結合されており、且つ、前記少なくとも1つの一次線を方向付けるように構成されている少なくとも1つのディレクタ;
を備えた装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記インナー・コーンと前記アウター・コーンは同心である、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つの駆動素子は複数の駆動素子を含む、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのディレクタは複数のディレクタを含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、ディレクタの数は駆動素子の数に等しい、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記少なくとも1つのディレクタのうちの1つは、前記少なくとも1つの駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、複数のディレクタは、前記少なくとも1つの駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【請求項8】
インナー・コーン;
前記インナー・コーンに結合された第1アウター・コーン;
前記第1アウター・コーンに結合された第2アウター・コーン;
前記第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線を生じるように構成されている少なくとも1つの駆動素子;及び
前記第2アウター・コーンに結合されており、且つ、前記少なくとも1つの一次線を方向付けるように構成されている少なくとも1つのディレクタ;
を備えた装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記第1アウター・コーンと前記第2アウター・コーンは同心である、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置において、前記少なくとも1つの駆動素子は複数の駆動素子を含む、装置。
【請求項11】
請求項8に記載の装置において、前記少なくとも1つのディレクタは複数のディレクタを含む、装置。
【請求項12】
請求項8に記載の装置において、ディレクタの数は駆動素子の数に等しい、装置。
【請求項13】
請求項8に記載の装置において、前記少なくとも1つのディレクタのうちの1つは、前記少なくとも1つの駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【請求項14】
請求項8に記載の装置において、複数のディレクタは、前記少なくとも1つの駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【請求項15】
インナー・コーン;
前記インナー・コーンに結合された第1アウター・コーン;
前記第1アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第1の一次線を生じるように構成されている少なくとも1つの第1駆動素子;
前記第1アウター・コーンに結合されており、且つ、前記少なくとも1つの第1の一次線を方向付けるように構成されている少なくとも1つの第1ディレクタ;
前記第1アウター・コーンに結合された第2アウター・コーン;
前記第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第2の一次線を生じるように構成されている少なくとも1つの第2駆動素子;及び
前記第2アウター・コーンに結合されており、且つ、前記少なくとも1つの第2の一次線を方向付けるように構成されている少なくとも1つの第2ディレクタ;
を備えた装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記インナー・コーンと、前記第1アウター・コーンと、前記第2アウター・コーンとは同心である、装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、
前記少なくとも1つの第1駆動素子は複数の第1駆動素子を含み;及び
前記少なくとも1つの第2駆動素子は複数の第2駆動素子を含む、装置。
【請求項18】
請求項15に記載の装置において、
前記少なくとも1つの第1ディレクタは複数の第1ディレクタを含み;及び
前記少なくとも1つの第2ディレクタは複数の第2ディレクタを含む、装置。
【請求項19】
請求項15に記載の装置において、
第1ディレクタの数は第1駆動素子の数に等しく;及び
第2ディレクタの数は第2駆動素子の数に等しい、装置。
【請求項20】
請求項15に記載の装置において、
前記少なくとも1つの第1ディレクタのうちの1つは、前記少なくとも1つの第1駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されており;及び
前記少なくとも1つの第2ディレクタのうちの1つは、前記少なくとも1つの第2駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【請求項21】
請求項15に記載の装置において、
複数の第1ディレクタは、前記少なくとも1つの第1駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されており;及び
複数の第2ディレクタは、前記少なくとも1つの第2駆動素子の各々について、一次線を方向付けるように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は一般にジオデシック・アンテナ(geodesic antennas)用に意図されている。より具体的には、本開示はジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるリップル(ripple)の緩和に向けられている。
【背景技術】
【0002】
[0002] ジオデシック・アンテナは、アンテナ素子が方位角の全ての角度でビーム・パターンに寄与するアンテナである。しかしながら、ジオデシック・アンテナが直面する1つの問題は、ジオデシック・アンテナのコーン(cone)の周りを取り巻くエネルギーから生じる位相のリップルであり、これはビーム・パターンとの非建設的な干渉を引き起こす。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示は、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるリップルの緩和をもたらす。
【0004】
[0004] 第1の実施形態において、リップルを緩和する装置は、インナー・コアと、アウター・コアと、少なくとも1つの駆動素子と、少なくとも1つのディレクタとを含む。アウター・コーンはインナー・コーンに結合されている。少なくとも1つの駆動素子は、アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線(primary ray)を生じるように構成されている。少なくとも1つのディレクタは、アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線を方向付けるように構成されている。
【0005】
[0005] 第2の実施形態において、リップルを緩和する装置は、インナー・コアと、第1アウター・コアと、第2アウター・コアと、少なくとも1つの駆動素子と、少なくとも1つのディレクタとを含む。第1アウター・コーンはインナー・コーンに結合されており、第2アウター・コーンは第1インナー・コーンに結合されている。少なくとも1つの駆動素子は、第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線を生じるように構成されている。少なくとも1つのディレクタは、第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの一次線を方向付けるように構成されている。
【0006】
[0006] 第3の実施形態において、リップルを緩和する装置は、インナー・コアと、第1アウター・コアと、少なくとも1つの第1駆動素子と、少なくとも1つの第1ディレクタと、第2アウター・コアと、少なくとも1つの第2駆動素子と、少なくとも1つの第2ディレクタとを含む。第1アウター・コーンはインナー・コーンに結合されている。少なくとも1つの第1駆動素子は、第1アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第1の一次線を生じるように構成されている。少なくとも1つの第1ディレクタは、第1アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第1の一次線を方向付けるように構成されている。第2アウター・コーンは第1アウター・コーンに結合されている。少なくとも1つの第2駆動素子は、第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第2の一次線を生じるように構成されている。少なくとも1つの第2ディレクタは、第2アウター・コーンに結合されており、且つ、少なくとも1つの第2の一次線を方向付けるように構成されている。
【0007】
[0007] その他の技術的特徴は、以下の図面、説明、及びクレームから当業者に直ちに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 本開示とその特徴をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の説明が参照される。
【
図1】[0009]
図1は本開示による例示的なジオデシック・アンテナを示す。
【
図2】[0010]
図2はリップルを緩和するためにディレクタを備えた本開示によるジオデシック・アンテナの例示的なアウター・コーンを示す。
【
図3】[0011]
図3は本開示による
図1のジオデシック・アンテナの例示的な断面図を示す。
【
図4】[0012]
図4は2次元で表示された
図2のジオデシック・アンテナの例示的なラッピングされていない本開示によるアウター・コーンを示す。
【
図5A】[0013]
図5Aないし5Dは、本開示によるディレクタを備えた/備えていないジオデシック・アンテナの例示的なビーム・パターン及び素子パターンを示す。
【
図5B】[0013]
図5Aないし5Dは、本開示によるディレクタを備えた/備えていないジオデシック・アンテナの例示的なビーム・パターン及び素子パターンを示す。
【
図5C】[0013]
図5Aないし5Dは、本開示によるディレクタを備えた/備えていないジオデシック・アンテナの例示的なビーム・パターン及び素子パターンを示す。
【
図5D】[0013]
図5Aないし5Dは、本開示によるディレクタを備えた/備えていないジオデシック・アンテナの例示的なビーム・パターン及び素子パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0014] 以下で説明される
図1ないし5D、及び本件特許出願において本発明の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、例示なものだけであるに過ぎず、本発明の範囲を制限するような解釈されるべきではない。当業者は、本発明の原理が、適切に配置された任意のタイプのデバイス又はシステムで実装されてもよい、ということを理解するであろう。
【0010】
[0015]
図1ないし4は、本開示による例示的なジオデシック・アンテナ100を示す。特に、
図1はジオデシック・アンテナ100の側面図を示し、
図2はジオデシック・アンテナ100の分離した部分を示し、
図3は
図1のジオデシック・アンテナ100の断面図を示し、
図4は
図2のジオデシック・アンテナ100のラッピングされていないアウター・コーン(unwrapped outer cone)を示している。
図1ないし4のジオデシック・アンテナ100の実施形態は、例示のためだけのものであり、ジオデシック・アンテナ100は、他の任意の適切な要素パターンを有する可能性がある。
【0011】
[0016]
図1ないし4に示されるように、ジオデシック・アンテナ100は、「コーン(複数)」と呼ばれる入れ子状のジオデシック・レンズ・アンテナ(nested geodesic lens antennas (GLAs))を用いで形成される。
図1ないし4の例示的な実施形態では、ジオデシック・アンテナ100はアウター・コーン105とインナー・コーン110を含む。アウター・コーン105とインナー・コーン110は同心円状であり、平行板導波管(parallel plate waveguide)として機能する。2つより多いコーンがジオデシック・アンテナ100で使用されることが可能であるが、簡明化のためにアウター・コーン105とインナー・コーン110の間の関係が説明されており、アウター・コーン105とインナー・コーン110の間の関係は2つより多いコーンに拡張されることが可能である。例えば、追加のアウター・コーンは、平行板導波管として機能するために、インナー・コーン110及びアウター・コーン105と同心円状になっていてもよい。
【0012】
[0017] アウター・のコーン105は、ジオデシック・アンテナ100のベースを表している。アウター・コーン105は、1つ以上の金属のような適切な任意の導電性材料から形成されることが可能である。また、アウター・コーン105は、鋳造(casting)や射出(injection)成形のような任意の適切な方法で形成されることが可能である。更に、アウター・コーン105は、任意の適切なサイズ、形状、寸法を有することが可能である。この例では、アウター・コーン105は、アウター・コーン105の基礎(ベース)を形成する片側が覆われた中空の円筒として形成される。ベースから反対側の円筒の外周には、アウター・コーン105の中心軸から半径方向に突出するフレア状部分135がある。フレア状部分135の表面は、アウター・コーン105の内側表面125から優角(180°より大きな角度)の場所にある。
【0013】
[0018] インナー・コーン110はアウター・コーン105の中に挿入されて結合される。インナー・コーン110は、1つ以上の金属のような任意の適切な導電性材料から形成されることが可能である。インナー・コーン110の導電性材料は、アウター・コーン105の導電性材料と同一又は相違するものとすることが可能である。また、インナー・コーン110は、鋳造又は射出成形のような任意の適切な方法で形成することが可能である。更に、インナー・コーン110は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することが可能である。この例では、インナー・コーン110は中空の円筒として形成され、この場合において、インナー・コーン110の外部ベースは、アウター・コーン105の内部ベースに結合され、その結果、インナー・コーン110はアウター・コーン105の内部から延びるようになる。インナー・コーン110とアウター・コーン105は双方ともに同じ形状(中空の円筒)を有するように説明されているが、アウター・コーン105とインナー・コーン110の形状は相違する可能性があることに留意されたい。
【0014】
[0019] 実装に応じて、インナー・コーン110はアウター・コーン105とベースを共有することが可能であり、或いは、インナー・コーン110は片側で覆われてインナー・コーン110のベースを形成することが可能である(この場合において、インナー・コーン110のベースは、アウター・コーン105のベースに直接的又は間接的に結合される)。インナー・コーン110をアウター・コーン105に結合すると、アウター・コーン105の内側表面125とインナー・コーン110の外側表面130の間に円環が形成される。インナー・コーン110の長さは、アウター・コーン105の上端(トップ・エッジ)を越えて延びることが可能である。インナー・コーン110のベースから反対側にあるインナー・コーン110の外周には、インナー・コーン110の中心軸から半径方向に突出するフレア状部分145がある。フレア状部分145の表面は、インナー・コーン110の外側表面130から鋭角又は鈍角150の場所にある。
【0015】
[0020] アウター・コーン105とインナー・コーン110は、一対の円錐部分のようなコンフォーマル構造(conformal structures)としてジオデシック平行板導波管を為す。インナー・コーン110は、アウター・コーン105内で結合されて平行導波管を形成し、その並行導波管は、アウター・コーン105の内側表面125とインナー・コーン110の外側表面130との間に形成される。アウター・コーン105の内側表面125とインナー・コーン110の外側表面130は、導波管の対向するプレートを表す。
【0016】
[0021] アウター・コーン105はフレア状部分135を含み、フレア状部分135は、アウター・コーン105の内側表面125のトップから優角140で延びることが可能である。インナー・コーン110はフレア状部分145を含み、フレア状部分145は、インナー・コーン110の外側表面130のトップから鋭角又は鈍角150で延びることが可能である。アウター・コーン105のフレア状部分135とインナー・コーン110のフレア状部分145は、結果として生じる導波管放射素子パターンをフォーカスさせることが可能である。フレア状部分135と145の構造は、オムニ指向性の導波管放射素子パターンを可能にする。
【0017】
[0022] 複数の駆動素子115のそれぞれは、例えば伝送線を使用することにより、送信機又は受信機に接続される。駆動素子115が送信用ジオデシック・アンテナ100に実装される場合、駆動素子115は送信機からの無線周波数(RF)信号によって駆動される。駆動素子115が受信用ジオデシック・アンテナ100に実装される場合、駆動素子115は、収集されたRF波を電流に変換し、電流は受信機に供給される。駆動素子150のそれぞれは、四分の一波長の供給プローブ又はその他の供給プローブを表している可能性がある。
【0018】
[0023] 少なくとも1つの駆動素子115は、一次線155を生成するように構成されることが可能である。駆動素子115からの一次線155は、アウター・コーン105から大まかに焦点を合わせられるが、二次線(secondary ray)160は、インナー・コーン110の外側表面130及びアウター・コーン105の内側表面125と相互作用する一次線155の副作用として生成されることが可能であり、ビームの全体的な分散(general dispersion)に基づいて生成されることも可能である。少なくとも1つの駆動素子115はモノポールとして機能し、リフレクタ120の方とは反対方向に電磁線も生成することも可能である。
【0019】
[0024] リフレクタ120は駆動素子115からの電磁波を反射し、反射された電磁波は一次線155の利得を増加させる。リフレクタ120は、アウター・コーン105の内部の基部において、駆動素子から四分の一波長の距離の場所に配置される。リフレクタ120は、駆動素子115と電磁的に結合される。
図4に示すように、各々の駆動素子115からの一次線155は、スキャン角度165内のポインティング角(pointing angle)に寄与する。一次線155は、ジオデシック・アンテナ100の特定の用途に適した素子パターンを生成する。
【0020】
[0025] 何らのタイプの是正も行われない場合、二次線160(又はジオデシック電磁線)は、インナー・コーン130とアウター・コーン125の間に回り込み、一次線155及びその他の二次線160の両方に干渉し、素子パターンにリップルを生じさせてしまう可能性がある。このリップルは、アンテナ100の位相応答に曖昧さを生じさせ、(とりわけ)ビーム・ステアリング演算又はその他の演算に影響を与える可能性がある。このリップル効果は、ビームを形成する際に、より高次のサイド・ローブを生じさせる。二次線160を最小化することは必要であるか又は望ましい場合があり、なぜなら二次線160は内側130及び外側125のコーンの周りを囲んで一次線155と破壊的に干渉するからである。
【0021】
[0026] インナー・コーン130とアウター・コーン125は、アンテナ100のゲインとサイズに影響を及ぼすスキャン角度165で設計されることが可能である。スキャン角度165が小さいほど、より大きなゲインをもたらすが、より長身のアンテナを必要とする可能性もある。スキャン角度165が大きいほど、より小さなゲインをもたらすが、より小さなコンパクトなアンテナを可能にする。
【0022】
[0027]
図2及び3に示されるように、ジオデシック・アンテナ100は、複数の駆動素子115、複数のディレクタ205、及びリフレクタ120を含む。ジオデシック・アンテナ100においてディレクタ205を使用すると二次線160は減少し、二次線160は前述したようにリップル効果を引き起こす。ここでは単一のアウター・コーン105が示されているが、ジオデシック・アンテナ100は任意の数のアウター・コーン105を含むことが可能であり、追加のアウター・コーン105の各々は、追加の駆動素子115、追加のディレクタ205、及び追加のリフレクタ120を含むことが可能である。
【0023】
[0028] ディレクタ205は、一次線155をジオデシック・アンテナ100の外に向けるための共振器として機能し、且つ二次線160の生成を低減する。一次線155を方向付ける際、ディレクタ205はビームのゲインを高め、ビームをより鋭くする。ディレクタ205は、送信機又は受信機に接続されていない受動素子である。ディレクタ205は、対応する駆動素子115と電磁的に結合された寄生素子でもある。
【0024】
[0029] 一部の実施形態では、各ディレクタ205は、単一素子のゲイン及び位相パターンにおけるリップルを低減する八木ディレクタ素子(Yagi director element)であるとすることが可能である。各ディレクタ205は、ビームを形成する場合にサイド・ローブを低減する自然素子テーパー(natural element taper)を形成している。各ディレクタ205は、1つ以上の金属のような任意の適切な導電性材料から形成されることが可能である。また、各ディレクタ205は、任意の適切な方法で形成することが可能である。更に、各ディレクタ205は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することが可能である。一部の実施形態では、各ディレクタ205はロッド形状に形成される。また、各ディレクタ205は、典型的には、対応する駆動素子115よりも長さが短かいものであるとすることが可能である。
【0025】
[0030] ディレクタ205は、一次線155に適切に焦点を合わせ、二次線160を減少させるために、駆動素子115と整合させられることが可能である。ジオデシック・アンテナ100は、各々の駆動素子115に対して単一のディレクタ205を用いて、又は各々の駆動素子115に対して複数のディレクタ205を用いて、設計されることが可能である。ジオデシック・アンテナ100の各々の駆動素子115に対して複数のディレクタ205が使用される場合、ディレクタ205間の間隔は、ビームの波長の1/10ないし4/10の間のように、相違している可能性がある。ディレクタ205によるゲイン増加は、各々の追加のディレクタ205に対して加算されることが可能である。ビームのゲインは追加のディレクタ205に基づいて増加する一方、ビームの帯域幅は狭くなる。
【0026】
[0031]
図1ないし4はジオデシック・アンテナ100の一例を示しているが、
図1ないし4に対して様々な変更が加えられる可能性がある。例えば、ジオデシック・アンテナ100は複数のアウター・コーン105を有し、それぞれが駆動素子115とディレクタ205を備え、適切な任意の数とタイプの構成要素及びシステムと組み合わせて使用されることが可能である。
【0027】
[0032]
図5Aないし5Dは、本開示によるディレクタを備えている/備えていないジオデシック・アンテナの例示的なビーム・パターン及び素子パターンを示している。特に、
図5Aはジオデシック・アンテナの通常のビーム・パターン300を示し、
図5Bはジオデシック・アンテナ100の指向性ビーム・パターン305を示し、
図5Cは素子ゲイン・パターン320及び325を示し、
図5Dは素子累積位相パターン(element cumulative phase pattern)335及び340を示している。
図5Aないし
図5Dのビーム・パターンの実施形態は例示に関連しているだけであり、ジオデシック・アンテナ100は任意の適切なビーム・パターンを生成することが可能である。
【0028】
[0033]
図5Aに示すように、通常のビーム・パターン300は、如何なるディレクタ205も備えていないジオデシック・アンテナから生成される。通常のビーム・パターン300は、ピーク310と複数のサイド・ローブ315を含む。ピーク310は、一次線155から形成されるビームの望ましい効果である。サイド・ローブ315は、一次線160の二次線160によるリップル又は干渉のしるしである。
【0029】
[0034]
図5Bに示すように、指向性ビーム・パターン305は、
図1ないし4のジオデシック・アンテナ100から生成されている。指向性ビーム・パターン305は同様なピーク310を含むが、サイド・ローブ315ははるかに目立たない。ディレクタ205を使用することは、サイド・ローブ315の振幅を大幅に減少させる。それは、この例において、サイド・ローブ315の振幅が、通常のビーム・パターン300では0.73dBにあり、指向性ビーム・パターン305では-1.6dBにあることにより立証されている。
【0030】
[0035]
図5Cに示すように、素子ゲイン・パターン320及び325は、ジオデシック・アンテナから生成されている。指向性素子ゲイン・パターン320は、
図1ないし
図4のジオデシック・アンテナ100から生成されている。指向性素子ゲイン・パターン320は、通常のゲイン・パターンと比較して、平坦なゲイン330と自然なテーパーを含んでいる。平坦なゲイン330は、より予測可能な応答をもたらす。
【0031】
[0036]
図5Dに示すように、素子累積位相パターン335及び340は、ジオデシック・アンテナから生成されている。指向性のある素子累積位相パターン335は、
図1ないし4のジオデシック・アンテナ100から生成されている。指向性のある素子累積位相パターン335は、通常の素子累積位相パターン340よりも滑らかな位相応答を有し、このことは、より予測可能な応答をもたらす。また、通常の素子累積位相パターン340は、位相の曖昧性を生み出す平坦な領域345を含み、これは予測可能性がより低い応答を招く。
【0032】
[0037]
図5Aないし5Dは、ディレクタ205を備える/備えていないジオデシック・アンテナのビーム・パターン300及び305並びに素子パターン320,325,335及び340の例を示しているが、
図5Aないし5Dに対する様々な変更が加わる可能性がある。例えば、
図5A及び5Bのビーム・パターン300及び305は、ジオデシック・アンテナの設計に基づいて変わる可能性がある。
【0033】
[0038] 本件特許出願を通じて使用される特定の言葉や語句の定義を述べておくことは有意義であるかもしれない。用語「含む」及び「備える」並びにそれらの派生語は、限定を伴わない包含を意味する。用語「又は」は、包含であり、「及び/又は」を意味する。語句「に関連する」及びその派生後は、含む、内に含まれる、と相互接続している、包含している、内に包含されている、~に又は~と接続している、~に又は~と結合している、と通信可能である、と協働している、インターリーブしている、並置している、近接している、に拘束されている、有する、の性質を有する、との関係を有する等々を意味する可能性がある。アイテムのリストとともに使用される場合、語句「のうちの少なくとも1つ」は、列挙されたアイテムの1つ以上の異なる組み合わせが使用される可能性があり、リスト中の唯1つのアイテムが必要とされる場合があることを意味している。例えば、「A,B,及びCのうちの少なくとも1つ」は、A,B,C,A及びB,A及びC,B及びC,A及びB及びCという組み合わせのうちの何れかを含む。
【0034】
[0039] 本願の説明は、何らかの特定の要素、ステップ、又は機能が、クレームの範囲に含まれなければならない不可欠な又は重要な要素であることを意味するように理解されるべきではない。特許される対象事項の範囲は、許可されるクレームによってのみ定められる。更に、「~する手段」又は「~するステップ」という厳密な言葉が特定のクレームで明示的に使用され、機能を特定する特定の語句が続いていない限り、添付のクレーム又はクレーム要素の何れについても35U.S.C§112(f)を発動するクレームは存在しない。クレーム内の「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「素子」、「メンバー」、「装置」、「マシン」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」のような用語の使用は、クレーム自体の特徴によって更に修正又は改善されるように、当業者に知られている構造を指しているものと理解され且つ意図されており、35U.S.C.§112(f)を発動するようには意図されていない。
【0035】
[0040] 本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明しているが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は当業者には明らかであろう。従って、例示的な実施形態の上記の説明は、本開示を規定したり又は制約したりするものではない。他の変更、置換、及び代替も、以下のクレームによって定義されるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
【国際調査報告】