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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】安定な液状脂質ナノ粒子製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/10 20060101AFI20231127BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20231127BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20231127BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231127BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231127BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20231127BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20231127BHJP
【FI】
A61K9/10
A61K31/7088
A61K47/26
A61K47/24
A61K48/00
A61K39/00 E
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/02
A61K47/18
A61K47/28
A61K47/34
A61P37/04
C12N15/12 ZNA
C07K14/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531521
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021060745
(87)【国際公開番号】W WO2022115547
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/118,243
(32)【優先日】2020-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】シュリーラン・カルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ・サロード
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア・バルガス・モントジャ
(72)【発明者】
【氏名】プリヤール・パテル
(72)【発明者】
【氏名】フランク・デローザ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC06
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD43Z
4C076DD50Z
4C076DD60Z
4C076DD63
4C076DD67
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE30
4C076FF36
4C076FF61
4C076FF63
4C084AA13
4C084MA21
4C084MA66
4C084NA03
4C084ZB091
4C084ZB092
4C085AA03
4C085BB23
4C085DD11
4C085EE05
4C085EE07
4C085GG03
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA21
4C086MA66
4C086NA03
4C086ZB09
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA13
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する液状脂質ナノ粒子(LNP)製剤であって、-20℃での複数回の凍結および再解凍の後の凝集およびmRNA分解に抵抗性であるLNP製剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集およびmRNA分解に抵抗性である、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する液状脂質ナノ粒子(LNP)製剤であって、
a.カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、および場合によりコレステロールを含むかまたはそれからなる脂質成分を有する1つまたはそれ以上のLNP;
b.1つまたはそれ以上の脂質ナノ粒子内に封入され、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNA;
c.糖または糖アルコール;
d.6.0~8.0であるLNP製剤のpH;
e.最小緩衝イオン強度でLNP製剤のpHを提供するpH緩衝液;
f.場合により、LNP製剤にイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤
を含み、(e)からのpH緩衝液の全濃度、および場合により(f)からの1種またはそれ以上の追加の薬剤は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいLNP製剤のイオン強度を提供する、LNP製剤。
【請求項2】
-20℃での3回の凍結および再解凍後、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいイオン強度の代わりに、LNP製剤中の最小緩衝イオン強度のみを有する同一のLNP製剤と比較して、(i)より少ない凝集、(ii)封入されたmRNAのより少ない分解、または(iii)(i)と(ii)の両方を示す、請求項1に記載のLNP製剤。
【請求項3】
非カチオン性脂質が、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、または1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)から選択される、請求項1に記載のLNP製剤。
【請求項4】
非カチオン性脂質がジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である、請求項3に記載のLNP製剤。
【請求項5】
DOPEが10%またはそれ以上、例えば10%~30%の脂質モル比である、請求項4に記載のLNP製剤。
【請求項6】
カチオン性脂質がリピドイドであり、場合により、リピドイドが40%~60%、例えば40%~50%の脂質モル比である、請求項1~5のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項7】
mRNAが対象において欠損しているタンパク質をコードする、請求項1~6のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項8】
mRNAがワクチン抗原をコードする、請求項1~6のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項9】
糖または糖アルコールが、デキストロース、ソルビトール、トレハロース、スクロース、ラフィノース、デキストラン、およびイヌリンからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項10】
糖が二糖である、請求項1~9のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項11】
二糖が約1%~20%の濃度である、請求項10に記載のLNP製剤。
【請求項12】
二糖が約2.5~3.0%の濃度である、請求項11に記載のLNP製剤。
【請求項13】
二糖対緩衝液の比が0.2~0.5の間である、請求項12に記載のLNP製剤。
【請求項14】
二糖がトレハロースである、請求項10~13のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項15】
pHが約6.0~約8.0の間、例えば6.0~7.0、6.5~7.5または7.0~8.0である、請求項1~14のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項16】
pHが7.4である、請求項1に記載のLNP製剤。
【請求項17】
pH緩衝液が6.0~8.2の間のpKaを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項18】
緩衝液が、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、ヒスチジン緩衝液、およびグッド緩衝液からなる群から選択される、請求項17に記載のLNP製剤。
【請求項19】
グッド緩衝液がTris緩衝液またはHEPES緩衝液である、請求項18に記載のLNP製剤。
【請求項20】
pH緩衝液が、リン酸緩衝液(例えば、クエン酸-リン酸緩衝液)、Tris緩衝液、またはイミダゾール緩衝液である、請求項18または19に記載のLNP製剤。
【請求項21】
最小緩衝イオン強度が、少なくとも75mM、少なくとも100mM、少なくとも125mM、少なくとも150mM、または少なくとも200mMである、請求項1~20のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項22】
最小緩衝イオン強度が、約75mM~200mM、75mM~150mM、75mM~100mM、または100mM~200mMである、請求項21に記載のLNP製剤。
【請求項23】
最小緩衝イオン強度が100mM~200mMの間である、請求項22に記載のLNP製剤。
【請求項24】
イオン強度を提供する1種またはそれ以上の薬剤が塩または糖を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項25】
塩が、NaCl、KCl、およびCaClからなる群から選択され、糖がトレハロースである、請求項24に記載のLNP製剤。
【請求項26】
イオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度が、約50~300mM、50~150mM、または75~125mMの間である、請求項1~22のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項27】
pH緩衝液の全濃度が、約15~250mM、30~150mM、または40~50mMの間である、請求項26に記載のLNP製剤。
【請求項28】
イオン強度を提供するpH緩衝液および1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度が、約40mMのTris緩衝液および約50~200mMのNaCl、約50mMのTris緩衝液および約50mM~200mMのNaCl、約100mMのTris緩衝液および約50mM~200mMのNaCl、約40mMイミダゾールおよび約50mM~200mMのNaCl、約50mMイミダゾールおよび約50mM~200mMのNaCl、約100mMイミダゾールおよび50mM~200mMのNaCl、約40mMリン酸塩および50mM~200mMのNaCl、約50mMリン酸塩および50~200mMのNaCl、約100mMリン酸塩および50~200mMのNaClから選択される、請求項26に記載のLNP製剤。
【請求項29】
LNP製剤のイオン強度が、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2.25倍大きい、少なくとも2.5倍大きい、少なくとも2.75倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも3.5倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも4.5倍大きい、少なくとも5倍大きい、請求項1~28のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項30】
LNP製剤のイオン強度が、最小緩衝イオン強度の20倍未満、19倍未満、18倍未満、17倍未満、16倍未満、15倍未満、14倍未満、13倍未満、12倍未満、11倍未満、10倍未満、9倍未満、8倍未満、7倍未満、6倍未満、5倍未満、4倍未満である、請求項1~28のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項31】
LNP製剤のイオン強度が、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度が、約150mM~750mM、150mM~500mM、150mM~400mM、150mM~300mM、150mMおよび200mMの間である、請求項1~30のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項32】
LNP製剤のイオン強度が、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度が150mM以上である、請求項1~31のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項33】
凝集がより少ないことが濁度分析によって決定される、請求項1~32のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項34】
封入されたmRNAの分解が少ないことを濁度分析によって決定される、請求項1~33のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項35】
-20℃での3回を超える凍結および再解凍後、LNP製剤は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいイオン強度の代わりに、LNP製剤中の最小緩衝イオン強度のみを有する同一のLNP製剤と比較して、(i)より少ない凝集、(ii)封入されたmRNAのより少ない分解、または(iii)(i)と(ii)の両方を示す、請求項1~34のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項36】
LNPが約100nm未満の直径を有する、請求項1~35のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項37】
LNPが約70nm~90nmの間の直径を有する、請求項32に記載のLNP製剤。
【請求項38】
脂質成分が、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEを含むかまたはそれからなる、請求項1~37のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項39】
N/P比が約3~5の間である、請求項1~38のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項40】
N/P比が約4である、請求項39に記載のLNP製剤。
【請求項41】
mRNAが、約0.05mg/mL~1.0mg/mLの間の最終濃度である、請求項1~40のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項42】
mRNAが、約0.2mg/mL~0.5mg/mLの間の濃度である、請求項41に記載のLNP製剤。
【請求項43】
LNPが、少なくとも3カ月間、6カ月間、12カ月間、または12カ月間を超えて-20℃で安定である、請求項1~42のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項44】
希釈後に安定である、請求項1~43のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項45】
製剤の皮下または筋肉内送達が、300mMまたはそれ未満の濃度、および約7.0~7.5の間のpHを有する緩衝液を含まない製剤と比較して、疼痛の減少を伴う、請求項1~44のいずれか1項に記載のLNP製剤。
【請求項46】
疼痛減少が、10cmの視覚アナログスケール(VAS)または6項目の言語評価スケール(VRS)によって評価される、請求項45に記載のLNP製剤。
【請求項47】
LNPの分解および/または凝集を減少する方法であって、請求項1~46のいずれか1項に記載の製剤中にLNPを貯蔵することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月25日に出願された米国仮特許出願第63/118,243号の優先権および利益を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
核酸ベースの技術は、限定されないが、メッセンジャーRNA療法を含む種々の治療的応用にとってますます重要になっている。核酸を送達するための努力には、インビボで送達した場合の分解から核酸を保護するように調製された組成物の作製が含まれている。核酸用の送達ビヒクルの1つのタイプは、脂質ナノ粒子である。送達ビヒクルとしての脂質ナノ粒子の使用を成功させるために考慮すべき重要なパラメータには、脂質ナノ粒子形成、脂質成分の物理的性質、核酸封入効率、インビボ核酸放出ポテンシャル、および脂質ナノ粒子毒性が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
凍結/解凍サイクルに抵抗性である安定な脂質ナノ粒子の生成は、当技術分野では依然として課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、とりわけ、-20℃での複数回の凍結および再解凍後の凝集および/またはmRNA分解に抵抗性であるペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する液状脂質ナノ粒子(LNP)製剤を提供する。本発明者らは驚くべきことに、高いイオン強度を有するLNP製剤が、複数回の凍結および解凍後に、LNPの凝集および/またはmRNA分解を防止することを発見した。本発明者らは驚くべきことに、安定で凝集および/またはmRNA分解に抵抗性である高イオン強度LNP製剤が、より高い緩衝強度またはLNP製剤中の高い塩濃度のいずれかを用いることによって達成され得ることを発見した。
【0005】
一部の態様では、液状脂質ナノ粒子(LNP)製剤は、凝集およびmRNA分解に抵抗性であるペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入するように提供され、LNP製剤は、a.カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、および場合によりコレステロールを含むかまたはそれからなる脂質成分を有する1つまたはそれ以上のLNP;b.1つまたはそれ以上の脂質ナノ粒子内に封入され、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNA;c.糖または糖アルコール;d.6.0~8.0であるLNP製剤のpH;e.最小緩衝イオン強度でLNP製剤のpHを提供するpH緩衝液;f.場合により、LNP製剤にイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤を含み、(e)からのpH緩衝液の全濃度、および場合により(f)からの1種またはそれ以上の追加の薬剤は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいLNP製剤のイオン強度を提供し、-20℃での3回の凍結および再解凍後、LNP製剤が、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいイオン強度の代わりに、LNP製剤中の最小緩衝イオン強度のみを有する同一のLNP製剤と比較して、(i)より少ない凝集、(ii)封入されたmRNAのより少ない分解、または(iii)(i)と(ii)の両方を示す。
【0006】
一部の実施形態では、LNP製剤は、1つまたはそれ以上の凍結保護剤を含む。凍結保護剤は、浸透性であるかまたは非浸透性であり得る。例えば、一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤は、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはテトラエチレングリコールを含む。したがって、一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤はグリセリンを含む。一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤はエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤はトリエチレングリコールを含む。一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤はプロピレングリコールを含む。一部の実施形態では、浸透性凍結保護剤はテトラエチレングリコールを含む。
【0007】
一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤は、糖および/またはポリマーから選択される。例えば、一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤は、以下の糖:デキストロース、ソルビトール、トレハロース、スクロース、ラフィノース、デキストラン、またはイヌリンのうちの1つまたはそれ以上から選択される。したがって、一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はデキストロースを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はソルビトールを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はトレハロースを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はスクロースを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はラフィノースを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はデキストランを含む。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はイヌリンを含む。
【0008】
一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤は、以下のポリマー:PVP、PVA、ポロキサマー、またはPEGのうちの1つまたはそれ以上から選択される。したがって、一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はPVPから選択される。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はポロキサマーから選択される。一部の実施形態では、非浸透性凍結保護剤はPEGから選択される。
【0009】
一部の実施形態では、LNP中のmRNAの安定な液状溶液を作製する方法が提供される。例えば、一部の実施形態では、LNPに封入されたmRNAは、インビトロ転写(IVT)によって産生される。一部の実施形態では、mRNAは、SP6 RNAポリメラーゼのような適切なRNAポリメラーゼを用いて合成される。したがって、一部の実施形態では、mRNAは、SP6 RNAポリメラーゼを用いて合成される。LNPは、例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、および場合によりコレステロールを含む。
【0010】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、または1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)から選択される。
【0011】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、10%より高いモル比である。例えば、一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約15%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約20%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約25%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約30%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約35%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約40%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が約45%である。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は脂質モル比が、約50%である。
【0012】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。
【0013】
一部の実施形態では、DOPEは、10%より高い脂質モル比である。例えば、一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約15%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約20%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約25%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約30%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約35%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約40%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約45%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約50%である。一部の実施形態では、DOPEは、脂質モル比が約10%~30%の間である。
【0014】
一部の実施形態では、カチオン性脂質はリピドイドである。一部の実施形態では、リピドイドは、モル比が、例えば、約40%~60%である。一部の実施形態では、リピドイドは、モル比が約50%~60%である。一部の実施形態では、リピドイドは、モル比が約40%である。一部の実施形態では、リピドイドは、モル比が約50%である。一部の実施形態では、リピドイドは、モル比が約60%である。
【0015】
一部の実施形態では、mRNAは、対象において欠損しているタンパク質をコードする。例えば、一部の実施形態では、対象において欠損しているタンパク質はCFTRである。
【0016】
一部の実施形態では、mRNAはワクチン抗原をコードする。例えば、一部の実施形態では、ワクチン抗原はSARS-CoV-2抗原である。
【0017】
一部の実施形態では、糖は二糖である。一部の実施形態では、二糖はトレハロースである。
【0018】
一部の実施形態では、糖または糖アルコールは、デキストロース、ソルビトール、トレハロース、スクロース、ラフィノース、デキストラン、およびイヌリンからなる群から選択される。したがって、一部の実施形態では、糖または糖アルコールはデキストロースである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはソルビトールである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはトレハロースである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはスクロースである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはラフィノースである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはデキストランである。一部の実施形態では、糖または糖アルコールはイヌリンである。
【0019】
一部の実施形態では、トレハロースは、濃度が約1%~20%の間である。一部の実施形態では、トレハロースは、濃度が約2.5%~3.0%の間である。一部の実施形態では、トレハロースは、濃度が約5.0%~15%の間である。一部の実施形態では、トレハロースは、濃度が約10%~20%の間である。
【0020】
一部の実施形態では、pHは、約6.0~約8.0の間である。例えば、一部の実施形態では、pHは、約6.0~7.0、6.5~7.5または7.0~8.0の間である。したがって、一部の実施形態では、pHは約6.0~7.0の間である。一部の実施形態では、pHは約6.5~7.5の間である。一部の実施形態では、pHは約7.0~8.0の間である。一部の実施形態では、pHは約7.4である。一部の実施形態では、pHは、7.4である。
【0021】
一部の実施形態では、pH緩衝液は、6.0~8.2の間のpKaを有する。したがって、一部の実施形態では、pH緩衝液は、約6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、または8.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.4のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.6のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.8のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.0のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.4のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.6のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.8のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約8.0のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約8.2のpKaを有する。
【0022】
一部の実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、ヒスチジン緩衝液、およびグッド緩衝液からなる群から選択される。したがって、一部の実施形態では、緩衝液はリン酸緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝液はクエン酸緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝液はイミダゾール緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝液はヒスチジン緩衝液である。一部の実施形態では、緩衝液はグッド緩衝液である。一部の実施形態では、グッド緩衝液は、Tris緩衝液またはHEPES緩衝液である。
【0023】
一部の実施形態では、pH緩衝液は、リン酸緩衝液(例えば、クエン酸-リン酸緩衝液)、Tris緩衝液、またはイミダゾール緩衝液である。
【0024】
一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも75mM、少なくとも100mM、少なくとも125mM、少なくとも150mM、または少なくとも200mMである。したがって、一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも75mMである。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも100mMである。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも125mMである。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも150mMである。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、少なくとも200mMである。
【0025】
一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、約75mM~200mM、75mM~150mM、75mM~100mM、または100mM~200mMの間である。したがって、一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、約75mM~200mMの間である。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、約75mM~150mMの間である。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、約75mM~100mMの間である。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、約100mM~200mMの間である。
【0026】
一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、製剤中の緩衝液濃度を増加させること、および/または製剤中の塩濃度を増加させることのいずれかによって得られる。したがって、一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、緩衝液濃度を増加させることによって得られる。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、製剤の塩濃度を増加させることによって得られる。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、製剤中の緩衝液濃度を増加させることによって、および製剤中の塩濃度を増加させることによって得られる。
【0027】
一部の実施形態では、二糖対緩衝液の比は0.1~0.9の間である。一部の実施形態では、二糖対緩衝液の比は0.1~0.7の間である。一部の実施形態では、二糖対緩衝液の比は0.2~0.7の間である。一部の実施形態では、二糖対緩衝液の比は0.2~0.5の間である。
【0028】
一部の実施形態では、イオン強度を提供する1つまたはそれ以上の薬剤は塩を含む。一部の実施形態では、塩は、NaCl、KCl、およびCaClからなる群から選択される。したがって、一部の実施形態では、塩はNaClである。一部の実施形態では、塩はKClである。一部の実施形態では、塩はCaClである。
【0029】
一部の実施形態では、イオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約50~500mM、100~400mM、または200~300mMの間である。したがって、一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は約50~500mMの間である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は約100~400mMの間である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は約200~300mMの間である。一部の実施形態では、イオン強度を提供する1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は、約50~300mM、50~150mM、または75~125mMの間である。一部の実施形態では、イオン強度を提供する1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は、約50~300mMの間である。一部の実施形態では、イオン強度を提供する1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は、約50~150mMの間である。一部の実施形態では、イオン強度を提供する1つまたはそれ以上の薬剤の全濃度は、約75~125mMの間である。
【0030】
一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は、約100~300mM、200~300mM、または250~300mMの間である。したがって、一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は約100~300mMの間である。一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は200~300mMの間である。一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は250~300mMの間である。一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は約15~250mM、30~150mM、または40~50mMの間である。したがって、一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は約15~250mMの間である。一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は約30~150mMの間である。一部の実施形態では、pH緩衝液の全濃度は約40~50mMの間である。
【0031】
一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約40mMのTris緩衝液および約75~200mMのNaCl、約50mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaCl、約100mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaCl、約40mMイミダゾールおよび約75mM~200mMのNaCl、約50mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaCl、約100mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaCl、約40mMリン酸塩および約75~200mMのNaCl、約50mMリン酸塩および約75~200mMのNaCl、約100mMリン酸塩および75~200mMのNaClから選択される。したがって、一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約40mMのTris緩衝液および約75~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約50mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約100mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約40mMイミダゾールおよび約75mM~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、50mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、100mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaClである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約40mMイミダゾール、約75mM~200mMのNaCl、および2.5~10%トレハロースである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、50mMイミダゾール、約75mM~200mMのNaCl、および2.5~10%トレハロースである。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、100mMイミダゾール、約75mM~200mMのNaCl、および2.5~10%トレハロースである。
【0032】
一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2.25倍大きい、少なくとも2.5倍大きい、少なくとも2.75倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも3.5倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも4.5倍大きい、少なくとも5倍大きい。したがって、一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも2.25倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも2.5倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも2.75倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも3.0倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも3.5倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも4.0倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも4.5倍大きい。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも5.0倍大きい。
【0033】
一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の20倍未満、19倍未満、18倍未満、17倍未満、16倍未満、15倍未満、14倍未満、13倍未満、12倍未満、11倍未満、10倍未満、9倍未満、8倍未満、7倍未満、6倍未満、5倍未満、4倍未満である。したがって、一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の20倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の19倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の18倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の17倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の16倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の15倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の14倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の13倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の12倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の11倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の10倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の9倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の8倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の7倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の6倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の5倍未満である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の4倍未満である。
【0034】
一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は、約150mM~750mM、150mM~500mM、150mM~400mM、150mM~300mM、150mMおよび200mMの間である。したがって、一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は約150mM~750mMの間である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度の少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は約150mM~500mMの間である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は約150mM~400mMの間である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は約150mM~300mMの間である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は約150mM~200mMの間である。
【0035】
一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は150mMであるかまたは150mMより大きい。
【0036】
一部の実施形態では、より少ない凝集を濁度分析によって決定する。一部の実施形態では、封入されたmRNAの分解が少ないことを濁度分析によって決定する。濁度を測定する様々な方法を使用することができ、例えば、視覚分析および/または分光分析の使用が含まれる。
【0037】
一部の実施形態では、-20℃での3回を超える凍結および再解凍後、LNP製剤は、(i)最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいイオン強度の代わりに、LNP製剤中の最小緩衝イオン強度のみを有する同一のLNP製剤と比較して、(i)より少ない凝集、(ii)封入されたmRNAのより少ない分解、または(iii)(i)と(ii)の両方を示す。
【0038】
一部の実施形態では、LNPは、約100nm未満の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約70nm~90nmの間の直径を有する。例えば、一部の実施形態では、LNPは、約70nm~85nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約70nm~80nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約70nm~75nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約80nm~90nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約85nm~90nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約75nm~90nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約75nm~85nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約75nm~80nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは、約70nm未満の直径を有する。
【0039】
一部の実施形態では、脂質成分は、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEを含むかまたはそれからなる。したがって、一部の実施形態では、脂質成分は、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEを含む。一部の実施形態では、脂質成分は、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEからなる。
【0040】
一部の実施形態では、N/P比は約3~5の間である。例えば、一部の実施形態では、N/P比は約3である。一部の実施形態では、N/P比は約4である。一部の実施形態では、N/P比は約5である。
【0041】
一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.05mg/mL~1.0mg/mLの間である。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.05mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.1mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.1mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.2mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.3mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.4mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.5mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.6mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.7mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.8mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約0.9mg/mLである。一部の実施形態では、mRNAは、最終濃度が約1.0mg/mLである。
【0042】
一部の実施形態では、mRNAは、約0.2mg/mL~0.5mg/mLの間の濃度である。
【0043】
一部の実施形態では、LNPは、少なくとも3カ月間、6カ月間、12カ月間、または12カ月間を超えて-20℃で安定である。したがって、一部の実施形態では、LNPは、少なくとも3カ月間、-20℃で安定である。一部の実施形態では、LNPは、少なくとも6カ月間、-20℃で安定である。一部の実施形態では、LNPは、少なくとも12カ月間、-20℃で安定である。一部の実施形態では、LNPは、12カ月間を超えて、-20℃で安定である。
【0044】
一部の実施形態では、LNP製剤は希釈後に安定である。
【0045】
一部の実施形態では、製剤の皮下または筋肉内送達は、300mMまたはそれ以下の濃度、および約7.0~7.5の間のpHを有する緩衝液を含まない製剤と比較して、疼痛の減少を伴う。
【0046】
一部の実施形態では、疼痛減少は、10cmの視覚アナログスケール(VAS)または6項目の言語評価スケール(VRS)によって評価される。したがって、一部の実施形態では、疼痛減少は、10cmの視覚アナログスケール(VAS)によって評価される。一部の実施形態では、疼痛減少は、6項目の言語評価スケール(VRS)によって評価される。
【0047】
一部の実施形態では、LNPの分解および/または凝集を減少する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載されるように製剤中にLNPを貯蔵することを含む。
【0048】
本出願において、「または」の使用は、特に断らない限り、「および/または」を意味する。本開示で使用される場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」のような用語の変形は、他の添加剤、成分、整数または工程を除外することを意図しない。本出願で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、同等物として使用される。両方の用語は、関連技術分野の当業者によって認識される任意の正常な揺らぎをカバーすることを意味する。
【0049】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかである。しかしながら、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示しているが、限定ではなく、例示としてのみ示されていることを理解されたい。本発明の範囲内の種々の変更および修正は、当業者に明らかになる。
【0050】
図面は、限定するものではないが、例示な目的である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1A】LNP製剤中のトレハロース濃度の増加の関数として、またpH7.5でLNP安定性を維持するのに必要な最小緩衝強度の関数として、pH7.5でのLNPの安定性を示すグラフである。
図1B】pHの揺らぎの関数として、およびLNP製剤の安定性を維持するのに必要な最小緩衝強度の関数として、LNP製剤の一定のパーセンテージ(すなわち、2.7%)でトレハロースを有するLNP製剤の安定性を示すグラフである。
図2】試験されたLNP製剤の脂質pKa依存性挙動を示すグラフである。これらの研究では、LNP製剤は2.7%でトレハロースを含んだ。
図3A】は、試験されたLNP製剤についての種々の条件を示す図である。表は、脂質のモル濃度およびpH7.5でのTris緩衝液の濃度を示す。表中のチェックマークは、安定したLNP製剤を表す。「X」は不安定なLNP製剤を表す。
図3B】動物モデルにおける投与後の6時間または24時間のいずれかでヒトEPO mRNAを封入したLNPに由来するヒトEPOタンパク質の発現を示すグラフである。種々のLNP構成脂質を示す。
図4A】試験されたLNP製剤の種々の組成を示す一連の表を示す。表は、試験した緩衝液(すなわち、Trisまたはイミダゾール)のモル濃度、および評価した様々なLNP製剤中で試験した対応する塩濃度(すなわち、NaCl)を示す。表中のチェックマークは、安定したLNP製剤を表す。「X」は不安定なLNP製剤を表す。
図4B】種々のLNP製剤を評価した表を示す。LNP製剤は、Trisまたはリン酸緩衝液のいずれかの濃度に関して変化した。LNPの希釈後の安定性を評価した。安定なLNPはチェックマークを付けて表示され、不安定なLNP製剤は「X」で表示される。
図5A】4℃で様々なトレハロース対PBS比(例えば、約0.2~0.5)を含むLNP製剤の封入効率%のグラフを示す。
図5B】25℃で様々なトレハロース対PBS比(例えば、約0.2~0.5)を含むLNP製剤の封入効率%のグラフを示す。
図6A】4℃で様々なトレハロース対PBS比(例えば、約0.2~0.5)を含むLNP製剤のLNPサイズ(ナノメートル)のグラフを示す。
図6B】25℃で様々なトレハロース対PBS比(例えば、約0.2~0.5)を含むLNP製剤のLNPサイズ(ナノメートル)のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
定義
本発明がより容易に理解されるようにするために、ある特定の用語をまず以下に定義する。以下の用語および他の用語についての追加の定義は本明細書を通して示される。本発明の背景を説明し、その実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物および他の参考資料は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0053】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたはそれ以上の値に適用される場合、言及される参照値に類似の値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(このような数が可能な値の100%を超える場合を除き)、上述の参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内の、いずれかの方向での(より大きいかまたはより小さい)、該当する値の範囲を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、例えば、同じ製造サイクル中に単一製造順序に従って製造される、一度に合成されるmRNAの含量または量を指す。バッチとは、1セットの条件下で連続的に合成するために、酵素の単一アリコートおよび/またはDNA鋳型の単一アリコートを介して起こる1つの反応において合成されるmRNAの量を指すことができる。一部の実施形態では、バッチは、反応が進行するにつれて全ての試薬および/または成分が補充および/または補給されるわけではない反応から産生されるmRNAを含む。「単一バッチではない」という用語は、所望の量を達成するために組み合わされる異なる時間に合成されたmRNAを意味しない。
【0055】
送達:本明細書で使用される場合、「送達」という用語は、局所送達と全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて標的組織内に保持される状況(「局所分配」または「局所送達」とも呼ばれる)、およびmRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、全身に分配され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分配」または「全身送達」とも呼ばれる)を包含する。一部の実施形態では、送達は、例えば噴霧を含む、肺送達である。
【0056】
封入:本明細書で使用される場合、「封入」という用語、または文法上同等物は、mRNA分子をナノ粒子内に閉じ込めるプロセスを指す。
【0057】
操作されたまたは突然変異体:本明細書で使用される場合、「操作された」もしくは「突然変異体」という用語、または文法的同等物は、その天然に存在する配列と比較して1つまたはそれ以上の修飾を含むヌクレオチド配列またはタンパク質配列を指し、限定されないが、欠失、異種核酸もしくはアミノ酸の挿入、逆位、置換、またはそれらの組合せが含まれる。
【0058】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、mRNAのポリペプチドへの翻訳、複数のポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)のインタクトタンパク質(例えば、抗体)への組み立て、および/またはポリペプチドもしくは完全に組み立てられたタンパク質(例えば、抗体)の翻訳後修飾を指す。本出願において、「発現」および「産生」という用語、ならびに文法的同等物は、互換的に使用される。
【0059】
機能的:本明細書で使用される場合、「機能的」生物学的分子は、それによって特徴付けられる特性および/または活性を示す形態の生物学的分子である。
【0060】
半減期:本明細書で使用される場合、「半減期」という用語は、ある期間の開始時に測定した場合、核酸もしくはタンパク質濃度または活性のような含量がその値の半分に低下するのに必要とされる時間である。
【0061】
改善する、増加させる、または減少させる:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」もしくは「減少させる」という用語、または文法上同等物は、本明細書に記載される処置の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される処置の非存在下の対照となる対象(または複数の対照となる対象)における測定値などの、ベースライン測定値に対する値を示す。「対照となる対象」は、処置される対象とほぼ同じ年齢の、処置される対象と同じ形態の疾患に罹患している対象である。
【0062】
不純物:本明細書で使用される場合、「不純物」という用語は、標的材料または化合物の化学組成とは異なる、限られた量の液体、気体、または固体内部の物質を指す。不純物は、汚染物質とも呼ばれる。
【0063】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工的な環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養物等で起こるイベントを指す。
【0064】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物などの多細胞生物内で起こるイベントを指す。細胞系の文脈においては、この用語は、生細胞内で起こるイベントを指すために使用される(例えば、インビトロ系と対照的に)。
【0065】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(1)(天然および/または実験設定のいずれにせよ)最初に産生された際に会合していた成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人の手によって産生、製造、および/もしくは製作された、物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超のこれらが最初に会合していた他の成分から分離される。一部の実施形態では、単離された薬剤が、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合に、「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質および/または実体のパーセント純度の計算は賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水等)を含むべきでない。
【0066】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。mRNAは、本明細書で使用される場合、修飾RNAと未修飾RNAの両方を包含する。mRNAは、1つまたはそれ以上のコード領域および非コード領域を含有する。mRNAは、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学的に合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、mRNAは、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。特に断らない限り、mRNA配列は5’から3’方向に提示される。
【0067】
核酸:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、最も広義の意味で、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込むことができる化合物および/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAならびに一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。さらに、「核酸」、「DNA」、「RNA」という用語、および/または同様の用語は、核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル骨格以外を有する類似体を含む。例えば、当技術分野で公知であり、骨格中にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」は本発明の範囲内にあると考えられる。「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」という用語は、互いの縮重バージョンである、および/または同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質をコードするヌクレオチド配列および/またはRNAはイントロンを含む。核酸は、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、核酸は、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。核酸配列は、特に指示しない限り、5’から3’方向に提示される。一部の実施形態では、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン);化学修飾塩基;生物修飾塩基(例えば、メチル化塩基);挿入塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、本発明は、具体的には、送達を容易にするまたは達成するために化学的に修飾されていない核酸(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む、ポリヌクレオチドおよび残基)を意味する「未修飾核酸」に関する。一部の実施形態では、ヌクレオチドTおよびUは、配列記載において互換的に使用される。
【0068】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、提供される組成物を、例えば、実験、診断、予防、化粧、および/または治療目的で投与することができる任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒトなどの哺乳動物)が含まれる。一部の実施形態では、患者がヒトである。ヒトには、出生前および出生後形態が含まれる。
【0069】
薬学的に許容される:「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、信頼できる医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比と釣り合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した物質を指す。
【0070】
安定な:本明細書で使用される場合、用語「安定な」タンパク質またはその文法的同等物は、その物理的安定性および/または生物学的活性を保持するタンパク質を指す。一実施形態では、タンパク質の安定性は、溶液中のモノマータンパク質のパーセンテージに基づいて、分解された(例えば、フラグメント化された)および/または凝集されたタンパク質の低いパーセンテージで決定される。一実施形態では、安定な操作されたタンパク質は、野生型タンパク質と比較して、増大した半減期を保持するかまたはそれを示す。一実施形態では、安定な操作されたタンパク質は、野生型タンパク質と比較して、タンパク質分解をもたらすユビキチン化を受けにくい。
【0071】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)を指す。ヒトには、出生前および出生後形態が含まれる。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は、疾患の診断または処置のために医療提供者にかかっているヒトを指す患者であることができる。「対象」という用語は、本明細書において、「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患することができるか、またはかかりやすいが、疾患または障害の症状を示していても、示していなくてもよい。
【0072】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全部または全部に近い程度または度合いを示す定量的状態を指す。生物分野の当業者であれば、生物および化学現象が、完了するおよび/または完了まで進行するまたは絶対的な結果を達成するもしくは回避することがあったとしても稀であることを理解するだろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物および化学現象に固有の完全性の潜在的な欠如をとらえるために本明細書で使用される。
【0073】
処置すること:本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または機能を部分的または完全に軽減する、改善する、緩和する、阻害する、予防する、その発症を遅延させる、その重症度を減少させる、および/またはその発生を減少させるために使用される任意の方法を指す。処置は、疾患に関連する病態を発症するリスクを減らす目的で、疾患の徴候を示していない、および/または疾患の早期徴候のみを示す対象に投与することができる。
【0074】
詳細な説明
本発明は、とりわけ、多数の凍結/解凍サイクルに抵抗性であるmRNAを封入する安定なLNP製剤の生成をもたらす改善された方法および組成物を提供する。複数の凍結/解凍サイクルに対するこのような抵抗性は、少なくとも1)1回またはそれ以上の凍結/解凍サイクル後のLNPの低凝集;および2)封入されたmRNAの低分解によって明らかにされる。
【0075】
安定な脂質ナノ粒子製剤
本明細書では、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNAを封入する安定な液状脂質ナノ粒子(LNP)用の製剤が提供される。このような安定なLNPは、1回またはそれ以上の凍結解凍サイクル後の凝集およびmRNA分解に抵抗性である。例えば、安定なLNPは、1回、2回、3回、4回、5回、または5回を超える凍結解凍サイクルに対して抵抗性であり、mRNAを封入するLNPは-20℃で保存される。一部の実施形態では、安定なLNPは、1回、2回、3回、4回、5回、または5回を超える凍結解凍サイクルに対して抵抗性であり、mRNAを封入するLNPは-80℃またはそれ未満で保存される。
【0076】
さらに、本明細書に記載されるmRNAを封入する安定なLNP製剤は、それを必要とする対象に投与された場合、疼痛の減少を伴う。例えば、記載されるLNP製剤は、本明細書に記載されるようなある特定のイオン強度を有さないLNP製剤と比較して、筋肉内または皮下投与によるような投与時の疼痛を減少させる。
【0077】
一部の実施形態では、このような安定なLNP製剤は、a)カチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、および場合によりコレステロールを含む脂質成分を有する1つまたはそれ以上のLNP;b)1つまたはそれ以上の脂質ナノ粒子内に封入され、ペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNA;c)糖または糖アルコール;d)6.0~8.0のLNP製剤のpH;e)最小緩衝イオン強度でLNP製剤のpHを提供するpH緩衝液;および場合によりf)LNP製剤にイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤を含む。安定なLNP製剤は、(e)からのpH緩衝液の全濃度、および場合により(f)からの1種またはそれ以上の追加の薬剤を有し、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいLNP製剤のイオン強度を提供する。1回、2回、3回または3回以上の凍結および解凍後、記載されるLNP製剤は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きいイオン強度の代わりに、LNP製剤中の最小緩衝イオン強度のみを有する同一のLNP製剤と比較して、(i)凝集が少なく、(ii)封入されたmRNAの分解が少なく、または(iii)(i)と(ii)の両方を有する。
【0078】
上記(f)における1種またはそれ以上の追加の薬剤は、塩、緩衝液、または塩と緩衝液の組合せであり得る。例えば、(f)における1種またはそれ以上の追加の薬剤は、例えば、NaCl、KCl、およびCaClを含むことができる。緩衝液は、例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはグッド緩衝液を含む。様々な種類のグッド緩衝液が当技術分野において公知であり、例えば、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ビス-トリスプロパン、PIPES、ACES、POPSO、塩化コールアミン、MOPS、BES、AMPB、TES、HEPES、DIPSO、MOBS、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、Tris、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、CAPSO、AMP、CAPS、およびCABSが含まれる。一部の実施形態では、グッド緩衝液は、Tris緩衝液またはHEPES緩衝液のいずれかである。
【0079】
一部の実施形態では、1種またはそれ以上の追加の薬剤は、約50~500mM、100~400mM、または200~300mMの間の濃度を有する。本明細書に記載されるLNP製剤の緩衝液pHは、約100~300mM、200~300mM、または250~300mMの間の濃度を有する。
【0080】
本明細書に記載されるmRNAを封入する安定なLNP製剤の最小緩衝イオン強度は、例えば、少なくとも15mM、少なくとも25mM、少なくとも50mM、少なくとも75mM、少なくとも100mM、少なくとも125mM、少なくとも150mM、または少なくとも200mMである。実施形態では、本明細書に記載されるmRNAを封入する安定なLNP製剤は、例えば、約15mM~200mM、50mM~200mM、75mM~200mM、15mM~150mM、50mM~150mM、75mM~150mM、15mM~100mM、50mM~100mM、75mM~100mM、または100mM~200mMの間である。最小緩衝イオン強度は、種々の方法で得ることができる。例えば、一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、緩衝液濃度を増加させることによって得られる。あるいは、最小緩衝イオン強度は、塩濃度を増加させることによって得られる。一部の実施形態では、最小緩衝イオン強度は、緩衝液濃度および塩濃度の両方を増加させることによって得られる。例えば、一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、約40mMのTris緩衝液および約75~200mMのNaCl、約50mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaCl、約100mMのTris緩衝液および約75mM~200mMのNaCl、約40mMイミダゾールおよび約75mM~200mMのNaCl、約50mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaCl、約100mMイミダゾールおよび75mM~200mMのNaCl、約40mMリン酸塩および約75~200mMのNaCl、約50mMリン酸塩および75~200mMのNaCl、約100mMリン酸塩および75~200mMのNaClから選択される。一部の実施形態では、pH緩衝液およびイオン強度を提供する1種またはそれ以上の追加の薬剤の全濃度は、40mMのTris緩衝液、約75~200mMのNaCl、および約2.5~10%トレハロース、約50mMのTris緩衝液、約75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約100mMのTris緩衝液、約75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約40mMイミダゾール、約75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約50mMイミダゾール、75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約100mMイミダゾール、75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約40mMリン酸塩、約75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約50mMリン酸塩、75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロース、約100mMリン酸塩、75mM~200mMのNaClおよび約2.5~10%トレハロースから選択される。
【0081】
一部の実施形態では、緩衝液は、互換的に使用される。一部の実施形態では、Tris緩衝液は、イミダゾール緩衝液またはリン酸緩衝液で置換される。一部の実施形態では、Tris緩衝液は、イミダゾール緩衝液で置換される。一部の実施形態では、Tris緩衝液は、リン酸緩衝液で置換される。一部の実施形態では、イミダゾール緩衝液は、リン酸緩衝液またはTris緩衝液で置換される。一部の実施形態では、イミダゾール緩衝液は、リン酸緩衝液で置換される。一部の実施形態では、イミダゾール緩衝液は、Tris緩衝液で置換される。一部の実施形態では、リン酸緩衝液は、Tris緩衝液またはイミダゾール緩衝液で置換される。一部の実施形態では、リン酸緩衝液は、Tris緩衝液で置換される。一部の実施形態では、リン酸緩衝液は、イミダゾール緩衝液で置換される。
【0082】
一部の実施形態では、Tris緩衝液、イミダゾール緩衝液またはリン酸緩衝液は、高緩衝強度(例えば、100mMまたはそれ以上)を有する。一部の実施形態では、低緩衝強度(例えば、15~20mM)でのTris緩衝液、リン酸緩衝液またはイミダゾール緩衝液は、高塩濃度(例えば、200mMまたはそれ以上のNaCl)とともに使用される。一部の実施形態では、中程度の緩衝強度(例えば、40~50mM)でのTris緩衝液、リン酸緩衝液またはイミダゾール緩衝液は、中程度の塩濃度(例えば、50~100mMのNaCl)とともに使用される。
【0083】
一部の実施形態では、Tris緩衝液、リン酸緩衝液またはイミダゾール緩衝液は、低トレハロース濃度(例えば、50~100mMのNaCl)で使用される。一部の実施形態では、LNP製剤の安定性は、低い糖/緩衝液比でより大きかった。一部の実施形態では、LNP製剤のより低いトレハロース対緩衝比は、封入の低下を防止するのに有益であった。一部の実施形態では、より低いトレハロース対緩衝比は、LNPサイズの増加を防止した。
【0084】
一部の実施形態では、LNP製剤は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2.25倍大きい、少なくとも2.5倍大きい、少なくとも2.75倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも3.5倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも4.5倍大きい、少なくとも5倍大きいイオン強度を有する。一部の実施形態では、LNP製剤は、最小緩衝イオン強度の20倍未満、19倍未満、18倍未満、17倍未満、16倍未満、15倍未満、14倍未満、13倍未満、12倍未満、11倍未満、10倍未満、9倍未満、8倍未満、7倍未満、6倍未満、5倍未満、4倍未満であるイオン強度を有する。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は、約150mM~750mM、150mM~500mM、150mM~400mM、150mM~300mM、150mMおよび200mMの間である。一部の実施形態では、LNP製剤のイオン強度は、最小緩衝イオン強度よりも少なくとも2倍大きく20倍未満であり、LNP製剤のイオン強度は、150mMであるかまたは150mMより大きい。全体にわたって参照される最小緩衝イオン強度は、少なくとも75mM、少なくとも100mM、少なくとも125mM、少なくとも150mM、または少なくとも200mMである。
【0085】
一部の実施形態では、本明細書に記載される安定なLNP製剤は、1つまたはそれ以上の凍結保護剤をさらに含む。凍結保護剤は、「浸透性」凍結保護剤または「非浸透性」凍結保護剤のいずれかとして特徴付けることができる。本明細書に記載されるLNP製剤のための適切な凍結保護剤は、浸透性凍結保護剤および/または非浸透性凍結保護剤から選択することができる。例示的な非浸透性凍結保護剤は、例えば、デキストロース、ソルビトール、トレハロース、スクロース、ラフィノース、デキストラン、およびイヌリンのような糖を含む。非浸透性凍結保護剤の別のカテゴリーは、例えば、PVP、PVA、ポロキサマー、およびPEGのようなポリマーを含む。浸透性凍結保護剤の例としては、例えば、グリセロール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコールが挙げられる。記載される凍結保護剤のいずれか1つまたはそれ以上は、本明細書に記載される安定なLNP製剤に包含するのに適している。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、1%~20%の間の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.5%~3.0%の間の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.5%の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.6%の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.7%の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.8%の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約2.9%の濃度でトレハロースを含む。一部の実施形態では、LNP製剤中の凍結保護剤は、約3.0%の濃度でトレハロースを含む。
【0086】
種々の非カチオン性脂質は、本明細書に記載されるLNP製剤において使用することができる。例えば、本明細書に記載されるLNP製剤のための適切なカチオン性脂質は、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、または1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジエタノールアミン(SOPE)から選択することができる。一部の実施形態では、非カチオン性脂質はDOPEである。
【0087】
LNP製剤中の非カチオン性脂質は、10%を超える脂質モル比であり得る。例えば、一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、脂質モル比が11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、または50%である。
【0088】
一部の実施形態では、カチオン性脂質は、リピドイドから選択される。種々のリピドイドが当技術分野において公知である。例えば、リピドイドは、Goldberg M.(2013)Lipidoids:A Combinatorial Approach to siRNA Delivery.In:Howard K.(編集)RNA Interference from Biology to Therapeutics.Advances in Delivery Science and Technology.Springer,Boston,MA.に記載され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。一部の実施形態では、リピドイドは、カチオン性である。一部の実施形態では、リピドイドは、最大7つの尾部を含む。7つの尾部は、例えばアミン骨格から伸長することができる。一部の実施形態では、リピドイドは、トリグリセリドのような天然脂質と比較した場合、脂肪族鎖に関してそのエステル結合の逆転を有する。一部の実施形態では、リピドイドは、トリグリセリドのような天然脂質と比較した場合、脂肪族鎖に関してそのエステル結合の逆転を有さない。
【0089】
一部の実施形態では、リピドイドは、例えば、アミノアルコールリピドイドを含む。一部の実施形態では、リピドイドは、cKK-E10、OF-02、またはC12-200から選択される。したがって、一部の実施形態では、リピドイドはcKK-E-10である。一部の実施形態では、リピドイドはOF-02である。一部の実施形態では、リピドイドはC12-200である。
【0090】
本発明のLNP製剤は、約6.0~8.0の間のpHを有することができる。例えば、一部の実施形態では、LNP製剤は、約6.0~7.0の間のpHを有することができる。一部の実施形態では、LNP製剤は、約6.5~7.5の間のpHを有することができる。一部の実施形態では、LNP製剤は、約7.0~8.0の間のpHを有することができる。一部の実施形態では、LNP製剤は、約7.4のpHを有する。一部の実施形態では、LNP製剤は、生理学的pHと同等であるpHを有する。
【0091】
LNP製剤のpH緩衝液は、約6.0~8.2の間のpKaを有することができる。例えば、LNP製剤のpH緩衝液は、約6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、または8.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.4のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.6のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約6.8のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.0のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.2のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.4のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.6のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約7.8のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約8.0のpKaを有する。一部の実施形態では、pH緩衝液は約8.2のpKaを有する。
【0092】
上記のように、本明細書に記載されるLNP製剤は、1回またはそれ以上の凍結解凍サイクルの後で凝集がより少ない。LNP凝集を決定するための種々の方法が当技術分野に存在し、例えば、動的光散乱(DLS)、ナノ粒子追跡分析(NTA)、濁度分析、フロー顕微鏡分析、フローサイトメトリー、FTIR顕微鏡法、共鳴質量測定(RMM)、ラマン顕微鏡法、濾過、レーザー回折、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法(AFM)、静的光散乱(SLS)、多角形静的光散乱(MALS)、フィールドフロー分画(FFF)、および分析的超遠心分離法(AUC)のいずれか1つによって決定される。これらの方法のいずれか1つまたはそれ以上を用いて、LNP凝集を評価することができる。
【0093】
本明細書に記載されるLNP製剤はまた、1回またはそれ以上の凍結解凍サイクルの後に、より少ないmRNA分解を有する。mRNA分解を決定するために、例えば、動的光散乱(DLS)、ナノ粒子追跡分析(NTA)、濁度分析、フロー顕微鏡分析、フローサイトメトリー、FTIR顕微鏡法、共鳴質量測定(RMM)、ラマン顕微鏡法、濾過、レーザー回折、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法(AFM)、静的光散乱(SLS)、多角形静的光散乱(MALS)、フィールドフロー分画(FFF)、および分析的超遠心分離法(AUC)のような当技術分野において種々の方法がある。これらの方法のいずれか1つまたはそれ以上を用いて、mRNA分解を評価することができる。
【0094】
本明細書に記載されるLNP製剤は100nm未満の直径を有する。例えば、一部の実施形態では、LNPは70nm~90nmの間の直径を有する。一部の実施形態では、LNPは70nm未満の直径を有する。
【0095】
全体を通して記載されるように、種々の種類の脂質成分が、本明細書に記載されるLNPに適している。一部の実施形態では、LNP製剤は、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEを含む脂質成分を有する。一部の実施形態では、LNP製剤は、DMG-PEG-2000、cKK-E10、コレステロール、およびDOPEからなる脂質成分を有する。
【0096】
LNP製剤は、約3~5のN/P比の範囲を有することができる。一部の実施形態では、N/P比は約3である。一部の実施形態では、N/P比は約4である。一部の実施形態では、N/P比は約5である。
【0097】
LNP製剤はmRNAを封入する。任意のmRNAは、本明細書に記載されるLNP製剤によって封入することができる。LNP内に封入されたmRNAの最終濃度は、約0.05mg/mL~1.0mg/mLの間の範囲であり得る。一部の実施形態では、LNP内に封入されたmRNAは、約0.2mg/mL~約0.5mg/mLの範囲である。
【0098】
本明細書に記載されるLNP製剤は、-20℃、-80℃、または-80℃未満で保存した場合に安定である。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されるLNP製剤は、-20℃で保存した場合に安定である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるLNP製剤は、-80℃未満で保存した場合に安定である。一部の実施形態では、本明細書に記載されるLNP製剤は、-80℃未満で保存した場合に安定である。例えば、LNP製剤は、-20℃で保存した場合に、少なくとも3カ月間、6カ月間、12カ月間、または12カ月間を超えて安定である。さらに、LNP製剤は希釈後に安定である。
【0099】
mRNAの合成
本発明によるmRNAは、種々の公知である方法のいずれかに従って合成することができる。例えば、本発明によるmRNAはインビトロ転写(IVT)を介して合成することができる。手短に言えば、IVTは、典型的にはプロモーターを含有する直鎖または環状DNA鋳型、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTTおよびマグネシウムイオンを含むことができる緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を用いて実施される。正確な条件は具体的な用途によって変化する。
【0100】
一部の実施形態では、本発明によるmRNAを調製するために、DNA鋳型をインビトロで転写する。適切なDNA鋳型は、典型的には、インビトロ転写のためのプロモーター、例えば、T3、T7またはSP6プロモーターを有し、続いて所望のmRNAおよび終止シグナルのための所望のヌクレオチド配列を有する。
【0101】
SP6 RNAポリメラーゼを用いたmRNAの合成
一部の実施形態では、mRNAは、SP6 RNAポリメラーゼを用いて産生される。SP6 RNAポリメラーゼは、SP6プロモーター配列に対して高い配列特異性を有するDNA依存性RNAポリメラーゼである。SP6ポリメラーゼは、プロモーターから下流の一本鎖DNAまたは二本鎖DNA上のRNAの5’→3’インビトロ合成を触媒し、天然リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドおよび/または標識リボヌクレオチドを重合転写産物に取り込む。このような標識されたリボヌクレオチドの例としては、ビオチン-、フルオレセイン-、ジゴキシゲニン-、アミノアリル-、および同位体標識ヌクレオチドが挙げられる。
【0102】
バクテリオファージSP6 RNAポリメラーゼの配列は、初期には、以下のアミノ酸配列:
MQDLHAIQLQLEEEMFNGGIRRFEADQQRQIAAGSESDTAWNRRLLSELIAPMAEGIQAYKEEYEGKKGRAPRALAFLQCVENEVAAYITMKVVMDMLNTDATLQAIAMSVAERIEDQVRFSKLEGHAAKYFEKVKKSLKASRTKSYRHAHNVAVVAEKSVAEKDADFDRWEAWPKETQLQIGTTLLEILEGSVFYNGEPVFMRAMRTYGGKTIYYLQTSESVGQWISAFKEHVAQLSPAYAPCVIPPRPWRTPFNGGFHTEKVASRIRLVKGNREHVRKLTQKQMPKVYKAINALQNTQWQINKDVLAVIEEVIRLDLGYGVPSFKPLIDKENKPANPVPVEFQHLRGRELKEMLSPEQWQQFINWKGECARLYTAETKRGSKSAAVVRMVGQARKYSAFESIYFVYAMDSRSRVYVQSSTLSPQSNDLGKALLRFTEGRPVNGVEALKWFCINGANLWGWDKKTFDVRVSNVLDEEFQDMCRDIAADPLTFTQWAKADAPYEFLAWCFEYAQYLDLVDEGRADEFRTHLPVHQDGSCSGIQHYSAMLRDEVGAKAVNLKPSDAPQDIYGAVAQVVIKKNALYMDADDATTFTSGSVTLSGTELRAMASAWDSIGITRSLTKKPVMTLPYGSTRLTCRESVIDYIVDLEEKEAQKAVAEGRTANKVHPFEDDRQDYLTPGAAYNYMTALIWPSISEVVKAPIVAMKMIRQLARFAAKRNEGLMYTLPTGFILEQKIMATEMLRVRTCLMGDIKMSLQVETDIVDEAAMMGAAAPNFVHGHDASHLILTVCELVDKGVTSIAVIHDSFGTHADNTLTLRVALKGQMVAMYIDGNALQKLLEEHEVRWMVDTGIEVPEQGEFDLNEIMDSEYVFA
を有するものとして記載された(GenBank:Y00105.1)。
【0103】
本発明に適したSP6 RNAポリメラーゼは、バクテリオファージSP6 RNAポリメラーゼと実質的に同じポリメラーゼ活性を有する任意の酵素である。したがって、一部の実施形態では、本発明に適したSP6 RNAポリメラーゼは、配列番号16から修飾される。例えば、適切なSP6 RNAポリメラーゼは、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または付加を含み得る。一部の実施形態では、適切なSP6 RNAポリメラーゼは、配列番号16と約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、75%、70%、65%、もしくは60%同一または相同であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、適切なSP6 RNAポリメラーゼは、(N末端、C末端、または内部から)切断されたタンパク質であり得るが、ポリメラーゼ活性を保持する。一部の実施形態では、適切なSP6 RNAポリメラーゼは融合タンパク質である。
【0104】
本発明に適したSP6 RNAポリメラーゼは、例えば、Aldevron、Ambion、New England Biolabs(NEB)、PromegaおよびRocheから市販されている製品であり得る。SP6は、配列番号16のアミノ酸配列または本明細書に記載される配列番号16のバリアントに従って、商業的供給源または非商業的供給源から注文および/またはカスタム設計することができる。SP6は、標準忠実度ポリメラーゼであり得るか、またはRNAポリメラーゼ活性、例えば、SP6 RNAポリメラーゼ遺伝子における突然変異またはSP6 RNAポリメラーゼ自体の翻訳後修飾を促進するように修飾された高忠実度/高効率/高容量であり得る。このような修飾されたSP6の例としては、AmbionのSP6 RNAポリメラーゼ-Plus(商標)、NEBのHiScribe SP6、ならびにPromegaのRiboMAX(商標)およびRiboprobe(登録商標)システムが挙げられる。
【0105】
一部の実施形態では、適切なSP6 RNAポリメラーゼは融合タンパク質である。例えば、SP6 RNAポリメラーゼは、酵素の単離、精製、または溶解性を促進するために、1つまたはそれ以上のタグを含み得る。適切なタグは、N末端、C末端、および/または内部に位置することができる。適切なタグの非限定的な例としては、カルモジュリン結合タンパク質(CBP);ファシオラ肝臓8-kDa抗原(Fh8);FLAGタグペプチド;グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST);ヒスチジンタグ(例えば、ヘキサヒスチジンタグ(His6));マルトース結合タンパク質(MBP);N-利用物質(NusA);小ユビキチン関連修飾因子(SUMO)融合タグ;ストレプトアビジン結合ペプチド(STREP);タンデム親和性精製(TAP);およびチオレドキシン(TrxA)が挙げられる。本発明では、他のタグを使用することができる。これらおよび他の融合タグは、例えば、Costaら、Frontiers in Microbiology 5巻(2014):63頁およびPCT/US16/57044号に記載され、その内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。ある特定の実施形態では、Hisタグは、SP6のN末端に位置する。
【0106】
DNA鋳型
典型的には、DNA鋳型は、完全に二本鎖であるかまたは二本鎖SP6プロモーター配列を有するほとんどの一本鎖のいずれかである。
【0107】
線状化プラスミドDNA(1つまたはそれ以上の制限酵素を介して線状化される)、線状化ゲノムDNAフラグメント(制限酵素および/または物理的手段を介する)、PCR産物、および/または合成DNAオリゴヌクレオチドは、それらが転写されるDNA配列の上流(および正方向)に二本鎖SP6プロモーターを含むことを条件として、SP6を用いたインビトロ転写のための鋳型として用いることができる。
【0108】
一部の実施形態では、線状化DNA鋳型は、平滑末端を有する。
【0109】
一部の実施形態では、転写されるDNA配列は、より効率的な転写および/または翻訳を促進するために最適化される。例えば、DNA配列は、シス調節エレメント(例えば、TATAボックス、終止シグナルおよびタンパク質結合部位)、人工組換え部位、カイ部位、CpGジヌクレオチド含有量、ネガティブCpGアイランド、GC含有量、ポリメラーゼスリップ部位、および/または転写に関連する他のエレメントに関して最適化される;DNA配列は、潜在的スプライス部位、mRNA二次構造、mRNAの安定な自由エネルギー、反復配列、RNA不安定モチーフ、および/またはmRNAプロセシングおよび安定性に関連する他のエレメントに関して最適化される;DNA配列は、コドン使用バイアス、コドン適合性、内部カイ部位、リボソーム結合部位(例えば、IRES)、未成熟ポリA部位、シャイン-ダルガーノ(SD)配列、および/または翻訳に関連する他のエレメントに関して最適化される;および/またはDNA配列は、コドンコンテキスト、コドン-アンチコドン相互作用、翻訳休止部位、および/またはタンパク質折り畳みに関連する他のエレメントに関して最適化される。当技術分野において公知である最適化方法、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2011/0081708号に記載されるThermoFisherおよびOptimumGene(商標)によるGeneOptimizerを本発明で使用することができる。
【0110】
一部の実施形態では、DNA鋳型は、5’および/または3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響する1つまたはそれ以上のエレメント、例えば、鉄応答性エレメントを含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さが約50~500ヌクレオチドの間であり得る。
【0111】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナルのうちの1つもしくはそれ以上、細胞内での位置のmRNAの安定性に影響するタンパク質の結合部位、またはmiRNAの1つもしくはそれ以上の結合部位を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さが50~500ヌクレオチドの間またはそれ以上であり得る。
【0112】
例示的な3’および/または5’UTR配列は、センスmRNA分子の安定性を増加させるために、安定であるmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸サイクル酵素)から誘導することができる。例えば、5’UTR配列は、ヌクレアーゼ耐性を改善し、および/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV前初期1(IE1)遺伝子の部分配列またはそのフラグメントを含み得る。また、ポリヌクレオチドをさらに安定化するために、ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする配列またはそのフラグメントをポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域に含めることが考えられる。一般に、これらの修飾は、修飾されていない対応物と比較して、ポリヌクレオチドの安定性および/または薬物動態特性(例えば、半減期)を改善し、例えば、インビボヌクレアーゼ消化に対するこのようなポリヌクレオチドの抵抗性を改善するためになされる修飾を含む。
【0113】
大規模mRNA合成
一部の実施形態では、本発明は、安定なLNPに封入されたmRNAの大規模産生に用いることができる。一部の実施形態では、本発明に従う方法は、少なくとも100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、5g、10g、25g、50g、75g、100g、250g、500g、750g、1kg、5kg、10kg、50kg、100kg、1000kgまたはそれ以上のmRNAを単一バッチで合成する。本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、一度に合成されたmRNAの含量または量、例えば、単一の製造設定に従って製造されたmRNAの含量または量を指す。バッチとは、1セットの条件下で連続的に合成するために、酵素の単一アリコートおよび/またはDNA鋳型の単一アリコートを介して起こる1つの反応において合成されるmRNAの量を指すことができる。単一のバッチで合成されたmRNAは、所望の量を達成するために組み合わされる異なる時間に合成されたmRNAを含まない。一般に、反応混合物は、SP6 RNAポリメラーゼ、直鎖DNA鋳型、およびRNAポリメラーゼ反応緩衝液(リボヌクレオチドを含む場合があるかまたはリボヌクレオチドの添加を必要とする場合がある)を含む。
【0114】
本発明によれば、1~100mgのSP6ポリメラーゼが、典型的には、生成されたmRNAの1グラム(g)あたり使用される。一部の実施形態では、生成されたmRNAの1gあたり約1~90mg、1~80mg、1~60mg、1~50mg、1~40mg、10~100mg、10~80mg、10~60mg、10~50mgのSP6ポリメラーゼが使用される。一部の実施形態では、約5~20mgのSP6ポリメラーゼを使用して、約1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約0.5~2グラムのSP6ポリメラーゼを使用して、約100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約5~20グラムのSP6ポリメラーゼを使用して、約1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも5mgのSP6ポリメラーゼを使用して、少なくとも1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも500mgのSP6ポリメラーゼを使用して、少なくとも100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも5グラムのSP6ポリメラーゼを使用して、少なくとも1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、生成されたmRNA1gあたり約10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または100mgのプラスミドDNAが使用される。一部の実施形態では、約10~30mgのプラスミドDNAを使用して、約1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約1~3グラムのプラスミドDNAを使用して、約100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約10~30グラムのプラスミドDNAを使用して、約1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも10mgのプラスミドDNAを使用して、少なくとも1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも1グラムのプラスミドDNAを使用して、少なくとも100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも10グラムのプラスミドDNAを使用して、少なくとも1キログラムのmRNAを生成する。
【0115】
一部の実施形態では、反応混合物中のSP6 RNAポリメラーゼの濃度は、約1~100nM、1~90nM、1~80nM、1~70nM、1~60nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~20nM、または約1~10nMであり得る。ある特定の実施形態では、SP6 RNAポリメラーゼの濃度は、約10~50nM、20~50nM、または30~50nMである。SP6 RNAポリメラーゼの100~10000単位/mlの濃度、例として、100~9000単位/ml、100~8000単位/ml、100~7000単位/ml、100~6000単位/ml、100~5000単位/ml、100~1000単位/ml、200~2000単位/ml、500~1000単位/ml、500~2000単位/ml、500~3000単位/ml、500~4000単位/ml、500~5000単位/ml、500~6000単位/ml、1000~7500単位/ml、および2500~5000単位/mlの濃度を用いることができる。
【0116】
反応混合物中の各リボヌクレオチド(例えば、ATP、UTP、GTP、およびCTP)の濃度は、約0.1mM~約10mM、例えば、約1mM~約10mMの間、約2mM~約10mMの間、約3mM~約10mMの間、約1mM~約8mMの間、約1mM~約6mMの間、約3mM~約10mMの間、約3mM~約8mMの間、約3mM~約6mMの間、約4mM~約5mMの間である。一部の実施形態では、各リボヌクレオチドは、反応混合物中で約5mMである。一部の実施形態では、反応において使用されるrNTP(例えば、ATP、GTP、CTPおよびUTPの組合せ)の全濃度は、1mM~40mMの間の範囲である。一部の実施形態では、反応において使用されるrNTP(例えば、ATP、GTP、CTPおよびUTPの組合せ)の全濃度は、1mM~30mMの間、または1mM~28mMの間、または1mM~25mMの間、または1mM~20mMの間の範囲である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は30mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は25mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は20mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は15mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は10mM未満である。
【0117】
RNAポリメラーゼ反応緩衝液には、典型的には、塩/緩衝剤、例えば、Tris、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および塩化マグネシウムが含まれる。
【0118】
反応混合物のpHは、約6~8.5、約6.5~8.0、約7.0~7.5であり得、一部の実施形態では、pHは7.5である。
【0119】
直鎖または線状化のDNA鋳型(例えば、上記されるように、所望の量のRNAを提供するのに十分な量/濃度で)、RNAポリメラーゼ反応緩衝液、およびSP6 RNAポリメラーゼを組み合わせて、反応混合物を形成する。反応混合物を約37℃~約42℃で30分~6時間、例えば約60~約90分間インキュベートする。
【0120】
一部の実施形態では、適切なRNAポリメラーゼ反応緩衝液(最終反応混合物のpHは約7.5である)中の約5mM NTP、約0.05mg/mL SP6ポリメラーゼ、および約0.1mg/ml DNA鋳型を約37℃~約42℃で60~90分間インキュベートする。
【0121】
一部の実施形態では、反応混合物は、SP6ポリメラーゼ特異的プロモーター、SP6 RNAポリメラーゼ、RNase阻害剤、ピロホスファターゼ、29mM NTP、10mM DTTおよび反応緩衝液(10×の場合は800mM HEPES、20mMスペルミジン、250mM MgCl、pH7.7)および所望の反応体積に十分な含量(QS)をRNaseフリー水とともに有する線状化二本鎖DNA鋳型を含有する。次に、この反応混合物を37℃で60分間インキュベートする。次に、ポリメラーゼ反応を、DNase IおよびDNase I緩衝液(10×の場合は100mM Tris-HCl、5mM MgClおよび25mM CaCl、pH7.6)の添加によってクエンチさせ、精製のための調製における二本鎖DNA鋳型の消化を促進する。この実施形態は、100グラムのmRNAを生成するのに十分であることが示されている。
【0122】
一部の実施形態では、反応混合物は、1~10mMの範囲の濃度のNTP、0.01~0.5mg/mlの範囲の濃度のDNA鋳型、および0.01~0.1mg/mlの範囲の濃度のSP6 RNAポリメラーゼを含み、例えば、反応混合物は、5mMの濃度のNTP、0.1mg/mlの濃度のDNA鋳型、および0.05mg/mlの濃度のSP6 RNAポリメラーゼを含む。
【0123】
ヌクレオチド
種々の天然に存在するかまたは修飾されたヌクレオシドを用いて、本発明によるmRNAを生成することができる。一部の実施形態では、mRNAは、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、シュードウリジン、(例えば、N-1-メチル-シュードウリジン)、2-チオウリジン、および2-チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);インターカレートされた塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホルアミダイト結合)であるかまたはそれを含む。
【0124】
一部の実施形態では、mRNAは、1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含む。非標準ヌクレオチド残基は、例えば、5-メチル-シチジン(「5mC」)、シュードウリジン(「ψU」)、および/または2-チオ-ウリジン(「2sU」)を含み得る。このような残基の検討およびそれらのmRNAへの取り込みについては、例えば、米国特許第8,278,036号または国際公開第2011/012316号を参照されたい。mRNAはRNAであり得、U残基の25%が2-チオ-ウリジンであり、C残基の25%が5-メチルシチジンであるRNAとして定義される。RNAの使用のための教示は、米国特許出願公開第2012/0195936号および国際公開第2011/012316号に開示され、いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。非標準ヌクレオチド残基の存在は、mRNAを、同じ配列を有するが、標準残基のみを含有する対照mRNAよりも安定におよび/またはあまり免疫原性ではなくすることができる。さらなる実施形態では、mRNAは、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンシトシン、ならびにこれらの修飾および他の核酸塩基修飾の組合せから選択される1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含むことができる。一部の実施形態は、フラノース環または核酸塩基に対する追加の修飾をさらに含むことができる。追加の修飾には、例えば、糖修飾または置換(例えば、2’-O-アルキル修飾、ロック核酸(LNA)の1つまたはそれ以上)が含まれる。一部の実施形態では、RNAは追加のポリヌクレオチドおよび/またはペプチドポリヌクレオチド(PNA)と複合体化またはハイブリダイズされる。糖修飾が2’-O-アルキル修飾である一部の実施形態では、このような修飾には、それだけに限らないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾、2’-O-メトキシエチル修飾および2’-デオキシ修飾が含まれる。一部の実施形態では、これらの修飾のいずれもヌクレオチドの0~100%-例えば、個別にまたは組み合わせて構成ヌクレオチドの0%、1%、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%超または100%で存在することができる。
【0125】
合成後プロセシング
典型的には、5’キャップおよび/または3’テールを合成後に付加することができる。キャップの存在は、ほとんどの真核細胞に見られるヌクレアーゼに対する耐性を提供するのに重要である。「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護するのに役立つ。
【0126】
5’キャップは、典型的には、以下のように付加される:第1に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの1つを除去し、2つの末端リン酸を残す;次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニル基転移酵素を介して末端リン酸に付加され、5’5’5三リン酸結合を生成し;次に、グアニンの7-窒素がメチル基転移酵素によってメチル化される。キャップ構造の例としては、限定されないが、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AおよびG(5’)ppp(5’)Gが挙げられる。さらなるキャップ構造は、参照により本明細書に組み入れられる、2017年2月27日に出願された米国特許出願公開第2016/0032356号および米国仮特許出願第62/464,327号に記載される。
【0127】
典型的には、テール構造は、ポリ(A)および/またはポリ(C)テールを含む。mRNAの3’末端上のポリAまたはポリCテールは、典型的には、それぞれ少なくとも50個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも150個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも200個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも250個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも300個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも350個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも400個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも450個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも500個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも550個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも650個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも700個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも750個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも800個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも850個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも900個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも950個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または少なくとも1kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリAまたはポリCテールは、それぞれ約10~800個のアデノシンまたはシトシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~400個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~550個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約50~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約100~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約150~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約200~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約250~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約300~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約350~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約400~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約450~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約500~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド)であることができる。一部の実施形態では、テール構造は、本明細書に記載される様々な長さのポリ(A)テールとポリ(C)テールの組合せである。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアデノシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のシトシンヌクレオチドを含む。
【0128】
本明細書に記載されるように、キャッピングおよび/またはテーリングがないと、早期中断mRNA転写産物のサイズがあまりに小さすぎて検出することができないために、5’キャップおよび/または3’テールの付加によって、インビトロ合成中に産生される中断転写産物の検出が容易になる。よって、一部の実施形態では、mRNAを純度(mRNA中に存在する中断転写産物のレベル)について試験する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。一部の実施形態では、mRNAを本明細書に記載されるように精製する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。他の実施形態では、mRNAを本明細書に記載されるように精製した後に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。
【0129】
本発明に従って合成されたmRNAは、さらなる精製なしに使用することができる。特に、本発明に従って合成されたmRNAは、ショートマーを除去する工程なしで使用することができる。一部の実施形態では、本発明に従って合成されたmRNAをさらに精製することができる。種々の方法を用いて、本発明に従って合成されたmRNAを精製することができる。例えば、遠心分離、濾過および/またはクロマトグラフィー法を使用して、mRNAの精製を実施することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNAは、エタノール沈殿もしくは濾過もしくはクロマトグラフィー、もしくはゲル精製または任意の他の適切な手段によって精製される。一部の実施形態では、mRNAはHPLCによって精製される。一部の実施形態では、mRNAは、当業者に周知の、標準フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール溶液中で抽出される。一部の実施形態では、mRNAはタンジェンシャルフローフィルトレーションを使用して精製される。適切な精製方法には、2018年2月27日に出願された「METHODS FOR PURIFICATION OF MESSENGER RNA」と題する米国特許出願公開第2016/0040154号、米国特許出願公開第2015/0376220号、国際特許出願第PCT/US18/19954号、および2018年2月27日に出願された「METHODS FOR PURIFICATION OF MESSENGER RNA」と題する国際特許出願第PCT/US18/19978号に記載されたものが含まれ、全て参照により本明細書に組み入れられ、本発明を実施するために使用することができる。
【0130】
一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング前に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング後に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリングの前と後の両方で精製される。
【0131】
一部の実施形態では、mRNAは、遠心分離によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0132】
一部の実施形態では、mRNAは、濾過によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0133】
一部の実施形態では、mRNAは、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0134】
一部の実施形態では、mRNAは、クロマトグラフィーによってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0135】
mRNAの特徴付け
mRNAの完全長または中断転写産物は、当技術分野において利用可能な任意の方法を用いて検出および定量することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNA分子は、ブロット法、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー、蛍光、ゲル電気泳動、HPLC、銀染色、分光法、紫外線(UV)、もしくはUPLC、またはそれらの組合せを用いて検出される。当技術分野において公知である他の検出方法が、本発明に含まれる。一部の実施形態では、合成されたmRNA分子は、キャピラリー電気泳動による分離を伴うUV吸収分光法を用いて検出される。一部の実施形態では、mRNAを、ゲル電気泳動(「グリオキサールゲル電気泳動」)の前にまずグリオキサール色素によって変性させる。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングまたはテーリング前に特性評価する。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングおよびテーリング後に特性評価する。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって生成されたmRNAは、完全長mRNA以外の不純物を10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満で含む。不純物には、IVT汚染物質、例えば、タンパク質、酵素、遊離ヌクレオチドおよび/またはショートマーが含まれる。
【0137】
一部の実施形態では、本発明に従って生成されたmRNAは、ショートマーおよび中断転写産物を実質的に含まない。特に、本発明に従って生成されたmRNAは、キャピラリー電気泳動またはグリオキサールゲル電気泳動により検出不能なレベルのショートマーまたは中断転写産物を含有する。本明細書で使用される場合、「ショートマー」または「中断転写産物」という用語は、完全長未満である任意の転写産物を指す。一部の実施形態では、「ショートマー」または「中断転写産物」は、長さが100ヌクレオチド未満、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、または10未満のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ショートマーは、5’-キャップおよび/または3’-ポリAテールを付加した後に検出または定量される。
【0138】
mRNA溶液
一部の実施形態では、mRNAを脂質ナノ粒子に封入することができるように、mRNAは脂質溶液と混合する溶液中に提供することができる。適切なmRNA溶液は、種々の濃度で封入されるmRNAを含有する任意の水溶液であり得る。例えば、適切なmRNA溶液は、約0.01mg/ml、0.05mg/ml、0.06mg/ml、0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、0.1mg/ml、0.15mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、または1.0mg/mlの濃度またはそれよりも大きい濃度でmRNAを含有し得る。一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、約0.01~1.0mg/ml、0.01~0.9mg/ml、0.01~0.8mg/ml、0.01~0.7mg/ml、0.01~0.6mg/ml、0.01~0.5mg/ml、0.01~0.4mg/ml、0.01~0.3mg/ml、0.01~0.2mg/ml、0.01~0.1mg/ml、0.05~1.0mg/ml、0.05~0.9mg/ml、0.05~0.8mg/ml、0.05~0.7mg/ml、0.05~0.6mg/ml、0.05~0.5mg/ml、0.05~0.4mg/ml、0.05~0.3mg/ml、0.05~0.2mg/ml、0.05~0.1mg/ml、0.1~1.0mg/ml、0.2~0.9mg/ml、0.3~0.8mg/ml、0.4~0.7mg/ml、または0.5~0.6mg/mlの範囲の濃度でmRNAを含有し得る。一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、最大約5.0mg/ml、4.0mg/ml、3.0mg/ml、2.0mg/ml、1.0mg/ml、0.09mg/ml、0.08mg/ml、0.07mg/ml、0.06mg/ml、または0.05mg/mlの濃度でmRNAを含有し得る。
【0139】
典型的には、適切なmRNA溶液は、緩衝剤および/または塩を含有することもできる。一般的に、緩衝剤は、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムを含むことができる。一部の実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、約0.1mM~100mM、0.5mM~90mM、1.0mM~80mM、2mM~70mM、3mM~60mM、4mM~50mM、5mM~40mM、6mM~30mM、7mM~20mM、8mM~15mM、または9~12mMの範囲であることができる。一部の実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、約0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、4mM、6mM、8mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、もしくは50mMであるかまたはそれより大きい。
【0140】
例示的な塩には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カリウムが含まれる。一部の実施形態では、mRNA溶液中の塩の適切な濃度は、約1mM~500mM、5mM~400mM、10mM~350mM、15mM~300mM、20mM~250mM、30mM~200mM、40mM~190mM、50mM~180mM、50mM~170mM、50mM~160mM、50mM~150mM、または50mM~100mMの範囲であることができる。適切なmRNA溶液中の塩濃度は、約1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、もしくは100mMである、またはそれを超える。
【0141】
一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5~6.5、3.5~6.0、3.5~5.5、3.5~5.0、3.5~4.5、4.0~5.5、4.0~5.0、4.0~4.9、4.0~4.8、4.0~4.7、4.0~4.6、または4.0~4.5の範囲のpHを有することができる。一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.1、6.3、および6.5のpHまたはそれ以下を有することができる。
【0142】
様々な方法を使用して本発明に適したmRNA溶液を製造することができる。一部の実施形態では、mRNAを本明細書に記載される緩衝液に直接溶解することができる。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNAストック溶液を封入用の脂質溶液と混合する前に緩衝液と混合することによって作製することができる。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNAストック溶液を封入用の脂質溶液と混合する直前に緩衝液と混合することによって作製することができる。一部の実施形態では、適切なmRNAストック溶液は、約0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.8mg/ml、1.0mg/ml、1.2mg/ml、1.4mg/ml、1.5mg/ml、もしくは1.6mg/ml、2.0mg/ml、2.5mg/ml、3.0mg/ml、3.5mg/ml、4.0mg/ml、4.5mg/ml、もしくは5.0mg/mlまたはそれを超える濃度で水中にmRNAを含有することができる。
【0143】
一部の実施形態では、mRNAストック溶液はポンプを使用して緩衝液と混合される。例示的なポンプには、それだけに限らないが、ギアポンプ、蠕動ポンプおよび遠心ポンプが含まれる。
【0144】
典型的には、緩衝液は、mRNAストック溶液の流量を超える流量で混合される。例えば、緩衝液は、mRNAストック溶液の流量より少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、または20倍大きい流量で混合される。一部の実施形態では、緩衝液は、約100~6000ml/分(例えば、約100~300ml/分、300~600ml/分、600~1200ml/分、1200~2400ml/分、2400~3600ml/分、3600~4800ml/分、4800~6000ml/分、または60~420ml/分)の間の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、緩衝液は、約60ml/分、100ml/分、140ml/分、180ml/分、220ml/分、260ml/分、300ml/分、340ml/分、380ml/分、420ml/分、480ml/分、540ml/分、600ml/分、1200ml/分、2400ml/分、3600ml/分、4800ml/分、もしくは6000ml/分またはそれを超える流量で混合される。
【0145】
一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約10~600ml/分(例えば、約5~50ml/分、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分)の間の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約5ml/分、10ml/分、15ml/分、20ml/分、25ml/分、30ml/分、35ml/分、40ml/分、45ml/分、50ml/分、60ml/分、80ml/分、100ml/分、200ml/分、300ml/分、400ml/分、500ml/分、もしくは600ml/分またはそれを超える流量で混合される。
【0146】
送達ビヒクル
本明細書に記載される安定な脂質ナノ粒子製剤は、mRNA用の送達ビヒクルとして適している。
【0147】
本明細書で使用される場合、「送達ビヒクル」、「導入ビヒクル」、「ナノ粒子」という用語または文法上同等物は互換的に使用される。
【0148】
送達ビヒクルは、1つもしくはそれ以上の追加の核酸、担体、標的化リガンドもしくは安定化試薬と組み合わせて、または適切な賦形剤と混合される薬理学的組成物に製剤化される。薬物を製剤化および投与するための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、最新版に見られる。特定の送達ビヒクルは、標的細胞への核酸のトランスフェクションを容易にする能力に基づいて選択される。
【0149】
リポソーム送達ビヒクル
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルはリポソーム送達ビヒクル、例えば脂質ナノ粒子である。本明細書で使用される場合、リポソーム送達ビヒクル、例えば脂質ナノ粒子は、通常、1つまたはそれ以上の二重層の膜によって外側媒体から隔離された内部水空間を有する顕微鏡的小胞として特徴付けられる。リポソームの二重層膜は、典型的には空間的に分離された親水性ドメインおよび疎水性ドメインを含む合成または天然起源の脂質などの両親媒性分子によって形成される(Lasic、Trends Biotechnol.、16:307~321、1998)。リポソームの二重層膜はまた、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤によっても形成される(例えば、ポリマーソーム、ニオソーム等)。本発明の文脈において、リポソーム送達ビヒクルは、典型的には所望のmRNAを標的細胞または組織に輸送するのに役立つ。一部の実施形態では、ナノ粒子送達ビヒクルはリポソームである。一部の実施形態では、リポソームは、1つまたはそれ以上のカチオン性脂質、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質、1つまたはそれ以上のコレステロール系脂質、および1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質を含む。一部の実施形態では、リポソームは3つ以下の別個の脂質成分を含む。一部の実施形態では、1つの別個の脂質成分はステロール系カチオン性脂質である。
【0150】
カチオン性脂質
本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質」という句は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正の電荷を有するいくつかの脂質種のいずれかを指す。
【0151】
本発明の組成物および方法に使用するのに適したカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2010/144740号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化1】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0152】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2013/149140号に記載されるイオン化可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化2】
の1つのカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、RおよびRは、水素、場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC~C20アルキルおよび場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC~C20アシルからなる群からそれぞれ独立に選択され;LおよびLは、水素、場合により置換されたC~C30アルキル、場合により置換された、可変的に不飽和のC~C30アルケニル、および場合により置換されたC~C30アルキニルからなる群からそれぞれ独立に選択され;mおよびoは0および任意の正の整数からなる群からそれぞれ独立に選択され(例えば、mは3である);nは0または任意の正の整数である(例えば、nは1である))を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化3】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(「HGT5000」)およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化4】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5001」)およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化5】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質および(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5002」)およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0153】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2010/053572号にアミノアルコールリピドイドとして記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化6】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0154】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2016/118725号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化7】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0155】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2016/118724号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化8】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0156】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有するカチオン性脂質、およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0157】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、その各々を参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2013/063468号および国際公開第2016/205691号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化9】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、Rの各例は独立に、場合により置換されたC~C40アルケニルである)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化10】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化11】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化12】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化13】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0158】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2015/184256号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化14】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、各Xは独立に、OまたはSであり;各Yは独立に、OまたはSであり;各mは独立に、0~20であり;各nは独立に、1~6であり;各Rは独立に、水素、場合により置換されたC1~50アルキル、場合により置換されたC2~50アルケニル、場合により置換されたC2~50アルキニル、場合により置換されたC3~10カルボシクリル、場合により置換された3~14員ヘテロシクリル、場合により置換されたC6~14アリール、場合により置換された5~14員ヘテロアリールまたはハロゲンであり;各Rは独立に、水素、場合により置換されたC1~50アルキル、場合により置換されたC2~50アルケニル、場合により置換されたC2~50アルキニル、場合により置換されたC3~10カルボシクリル、場合により置換された3~14員ヘテロシクリル、場合により置換されたC6~14アリール、場合により置換された5~14員ヘテロアリールまたはハロゲンである)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化15】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「標的23」およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0159】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2016/004202号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化16】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化17】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化18】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0160】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、米国仮特許出願第62/758,179号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化19】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、各RおよびRは独立に、HまたはC~C脂肪族であり;各mは独立に、1~4の値を有する整数であり;各Aは独立に、共有結合またはアリーレンであり;各Lは独立に、エステル、チオエステル、ジスルフィド、または無水物基であり;各Lは独立に、C~C10脂肪族であり;各Xは独立に、HまたはOHであり;各Rは独立に、C~C20脂肪族である)を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化20】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化21】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化22】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0161】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、J.McClellan、M.C.King、Cell 2010、141、210~217およびWhiteheadら、Nature Communications(2014)5:4277に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、
【化23】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0162】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2015/199952号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化24】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化25】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化26】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化27】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化28】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化29】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化30】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化31】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化32】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化33】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化34】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化35】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化36】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0163】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2017/004143号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化37】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化38】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化39】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化40】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化41】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化42】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化43】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化44】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化45】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化46】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化47】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化48】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化49】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化50】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化51】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化52】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化53】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0164】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2017/075531号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化54】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、LまたはLの一方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-、または-NRC(=O)O-であり;LまたはLの他方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NRC(=O)-、-C(=O)NR-、NRC(=O)NR-、-OC(=O)NR-または-NRC(=O)O-または直接結合であり;GおよびGはそれぞれ独立に、非置換C~C12アルキレンまたはC~C12アルケニレンであり;GはC~C24アルキレン、C~C24アルケニレン、C~Cシクロアルキレン、C~Cシクロアルケニレンであり;RはHまたはC~C12アルキルであり;RおよびRはそれぞれ独立に、C~C24アルキルまたはC~C24アルケニルであり;RはH、OR、CN、-C(=O)OR、-OC(=O)Rまたは-NRC(=O)Rであり;RはC~C12アルキルであり;RはHまたはC~Cアルキルであり;xは0、1または2である)を含む。
【0165】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2017/117528号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化55】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化56】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化57】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0166】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2017/049245号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の式:
【化58】
の1つの化合物およびその薬学的に許容される塩を含む。これらの4つの式のいずれか1つについて、Rは-(CHQおよび-(CHCHQRから独立に選択され;Qは-OR、-OH、-O(CHN(R)、-OC(O)R、-CX、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(H)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(R)、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(R)、-N(H)C(S)N(H)(R)、および複素環からなる群から選択され;nは1、2、または3である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化59】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化60】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化61】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化62】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0167】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、その各々を参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2017/173054号および国際公開第2015/095340号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化63】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化64】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化65】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化66】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0168】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2012/170889号に記載される切断可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化67】
のカチオン性脂質
(式中、Rはイミダゾール、グアニジニウム、アミノ、イミン、エナミン、場合により置換されたアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ)およびピリジルからなる群から選択され;Rは以下の2つの式:
【化68】
の1つからなる群から選択され、RおよびRは、場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC~C20アルキルおよび場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC~C20アシルからなる群からそれぞれ独立に選択され;nは0または任意の正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)である)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化69】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4001」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化70】
の化合物構造を有するカチオン性脂質「HGT4002」(本明細書では「Guan-SS-Chol」とも称する)およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化71】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4003」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化72】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4004」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化73】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質「HGT4005」およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0169】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、2018年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/672,194号に記載され、参照によって本明細書に組み入れられる、切断可能なカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、米国仮特許出願第62/672,194号に記載される一般式のいずれかまたは構造(1a)~(21a)および(1b)~(21b)および(22)~(237)のいずれかであるカチオン性脂質を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、式(I’)による構造を有するカチオン性脂質
【化74】
(式中、
は独立に、-H、-L-R、または-L5A-L5B-B’であり;
、L、およびLの各々は独立に、共有結合、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)S-、または-C(O)NR-であり;
各L4AおよびL5Aは独立に、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NR-であり;
各L4BおよびL5Bは独立に、C~C20アルキレン;C~C20アルケニレン;またはC~C20アルキニレンであり;
各BおよびB’はNRまたは5~10員窒素含有ヘテロアリールであり;
各R、R、およびRは独立に、C~C30アルキル、C~C30アルケニル、またはC~C30アルキニルであり;
各RおよびRは独立に、水素、C~C10アルキル;C~C10アルケニル;またはC~C10アルキニルであり;
各Rは独立に、水素、C~C20アルキル、C~C20アルケニル、またはC~C20アルキニルである)
を含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化75】
の化合物構造を有する、62/672,194の化合物(139)であるカチオン性脂質を含む。
【0171】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を含む(参照によって本明細書に組み入れられる、Feignerら、(Proc.Nat’l Acad.Sci.84、7413(1987);米国特許第4,897,355号)。本発明の組成物および方法に適した他のカチオン性脂質には、例えば、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(「DOGS」);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウム(「DOSPA」)(Behrら、Proc.Nat.’l Acad.Sci.86、6982(1989)、米国特許第5,171,678号;米国特許第5,334,761号);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(「DODAP」);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(「DOTAP」)が含まれる。
【0172】
本発明の組成物および方法に適した追加の例示的なカチオン性脂質には、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DSDMA」);1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DODMA」);1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLinDMA」);1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLenDMA」);N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」);N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」);3-ジメチルアミノ-2-(コレスタ-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-1-(シス,シス-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパン(「CLinDMA」);2-[5’-(コレスタ-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(シス,シス-9’,1-2’-オクタデカジエノキシ)プロパン(「CpLinDMA」);N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(「DMOBA」);1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DOcarbDAP」);2,3-ジリノレオイルオキシ-Ν,Ν-ジメチルプロピルアミン(「DLinDAP」);1,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLincarbDAP」);1,2-ジリノレオイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLinCDAP」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(「DLin-K-DMA」);2-((8-[(3P)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA」);(2R)-2-((8-[(3ベータ)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2S)-2-((8-[(3P)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,fsl-dimethyh3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2S)」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「DLin-K-XTC2-DMA」);および2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(「DLin-KC2-DMA」)(参照によって本明細書に組み入れられる、国際公開第2010/042877号;Sempleら、Nature Biotech.28:172~176(2010)参照)が含まれる(Heyes,J.ら、J Controlled Release 107:276~287(2005);Morrissey,DV.ら、Nat.Biotechnol.23(8):1003~1007(2005);国際公開第2005/121348号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質の1つまたはそれ以上は、イミダゾール、ジアルキルアミノ、またはグアニジニウム部分の少なくとも1つを含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質には、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「XTC」);(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(「ALNY-100」)および/または4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド(「NC98-5」)が含まれる。
【0173】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化76】
の化合物構造を有するTL1-04D-DMAであるカチオン性脂質を含む。
【0174】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化77】
の化合物構造を有するGL-TES-SA-DME-E18-2であるカチオン性脂質を含む。
【0175】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化78】
の化合物構造を有するSY-3-E14-DMAPrであるカチオン性脂質を含む。
【0176】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化79】
の化合物構造を有するTL1-01D-DMAであるカチオン性脂質を含む。
【0177】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化80】
の化合物構造を有するTL1-10D-DMAであるカチオン性脂質を含む。
【0178】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化81】
の化合物構造を有するGL-TES-SA-DMP-E18-2であるカチオン性脂質を含む。
【0179】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化82】
の化合物構造を有するHEP-E4-E10であるカチオン性脂質を含む。
【0180】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質は、
【化83】
の化合物構造を有するHEP-E3-E10であるカチオン性脂質を含む。
【0181】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、重量によって測定される、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、mol%として測定される、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、重量によって測定される、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、mol%として測定される、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。
【0182】
非カチオン性/ヘルパー脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは1つまたはそれ以上の非カチオン性(「ヘルパー」)脂質を含有する。本明細書で使用される場合、「非カチオン性脂質」という句は、任意の中性、双性イオン性またはアニオン性脂質を指す。本明細書で使用される場合、「アニオン性脂質」という句は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の負の電荷を有するいくつかの脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質には、それだけに限らないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ホスファチジルセリン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、ガングリオシド、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が含まれる。
【0183】
一部の実施形態では、このような非カチオン性脂質は単独で使用されるが、好ましくは他の脂質、例えばカチオン性脂質と組み合わせて使用される。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、リポソーム中に存在する総脂質の約5%~約90%、または約10%~約70%のモル比を含み得る。一部の実施形態では、非カチオン性脂質は中性脂質、すなわち、組成物が製剤化および/または投与される条件で正味の電荷を有さない脂質である。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質のパーセンテージは、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であることができる。
【0184】
コレステロール系脂質
一部の実施形態では、提供されるリポソームは、1つまたはそれ以上のコレステロール系脂質を含む。例えば、適切なコレステロール系カチオン性脂質は、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、1,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gaoら、Biochem.Biophys.Res.Comm.179、280頁(1991);Wolfら、BioTechniques 23巻、139頁(1997);米国特許第5,744,335号)、またはICEを含む。一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、リポソーム中に存在する総脂質の約2%~約30%、または約5%~約20%のモル比を含み得る。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質のパーセンテージは、5%超、10%超、20%超、30%超、または40%超であることができる。
【0185】
PEG修飾脂質
例えば、N-オクタノイル-スフィンゴシン-1-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含む、誘導体化セラミド(PEG-CER)などの、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質および誘導体化脂質の使用も、単独でまたは好ましくは導入ビヒクルを含む他の脂質製剤と組み合わせて(例えば、脂質ナノ粒子)、本発明によって企図される。企図されるPEG修飾脂質には、それだけに限らないが、C~C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した最大SkDa長のポリエチレングリコール鎖が含まれる。このような成分の添加は複雑な凝集を防ぎ、循環寿命を増加させ、脂質-核酸組成物の標的組織への送達を増加させる手段を提供することもできる(Klibanovら(1990)FEBS Letters、268(1):235~237)、またはこれらはインビボで製剤から迅速に交換するよう選択される(米国特許第5,885,613号参照)。特に有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEG-セラミドである。本発明のPEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、リポソーム導入ビヒクル中に存在する全脂質の約0%~約20%、約0.5%~約20%、約1%~約15%、約4%~約10%、または約2%のモル比を構成することができる。
【0186】
様々な実施形態によると、脂質ナノ粒子を構成するカチオン性脂質、非カチオン性脂質、および/またはPEG修飾脂質の選択、ならびにこのような脂質の互いに対する相対モル比は、選択される脂質の特徴、意図した標的細胞の性質、送達されるMCNAの特徴に基づく。追加の考慮事項には、例えば、アルキル鎖の飽和、ならびに選択される脂質のサイズ、電荷、pH、pKa、膜融合性および毒性が含まれる。よって、それに応じてモル比を調整することができる。
【0187】
ポリマー
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは、担体としてのポリマーを単独で、または本明細書に記載される様々な脂質を含む他の担体と組み合わせて使用して製剤化される。よって、一部の実施形態では、リポソーム送達ビヒクルは、本明細書で使用される場合、ポリマーを含むナノ粒子も包含する。適切なポリマーには、例えば、ポリアクリレート、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリラクチド、ポリラクチド-ポリグリコリドコポリマー、ポリカプロラクトン、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン、プロタミン、PEG化プロタミン、PLL、PEG化PLLおよびポリエチレンイミン(PEI)が含まれる。PEIが存在する場合、これは10~40kDaの範囲の分子量の分枝PEI、例えば25kDa分枝PEI(Sigma 番号408727)であることができる。
【0188】
本発明による使用に適したリポソーム
本発明に適したリポソームは、本明細書に記載されるカチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール脂質、PEG修飾脂質および/またはポリマーのいずれか1つまたはそれ以上を種々の比率で含むことができる。非限定的な例として、適切なリポソーム製剤は、cKK-E12、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT4003、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;ICE、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;またはICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kから選択される組合せを含むことができる。
【0189】
様々な実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)は、モル比でリポソームの約30~60%(例えば、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)のパーセンテージは、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、もしくは約60%であるかまたはこれらを超える。
【0190】
一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれ約30~60:25~35:20~30:1~15の間である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:30:20:10である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:30:25:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:32:25:3である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はおよそ50:25:20:5である。
【0191】
特定の実施形態では、本発明により使用するためのリポソームは、カチオン性脂質、非カチオン性脂質(例えば、DOPEまたはDEPE)、PEG修飾脂質(例えば、DMG-PEG2K)、および場合によりコレステロールからなる脂質成分を含む。このようなリポソームに包含するのに特に適したカチオン性脂質には、GL-TES-SA-DME-E18-2、TL1-01D-DMA、SY-3-E14-DMAPr、TL1-10D-DMA、HGT4002(本明細書ではGuan-SS-Cholとも称される)、GL-TES-SA-DMP-E18-2、HEP-E4-E10、HEP-E3-E10、およびTL1-04D-DMAが含まれる。これらのカチオン性脂質は、噴霧を介して肺送達を通じて投与されるリポソームにおける使用に特に適していることが見出されている。これらの中で、HEP-E4-E10、HEP-E3-E10、GL-TES-SA-DME-E18-2、GL-TES-SA-DMP-E18-2、TL1-01D-DMAおよびTL1-04D-DMAは特に良好に機能した。
【0192】
リポソームの例には、カチオン性脂質成分としてのGL-TES-SA-DME-E18-2、TL1-01D-DMA、SY-3-E14-DMAPr、TL1-10D-DMA、GL-TES-SA-DMP-E18-2、HEP-E4-E10、HEP-E3-E10およびTL1-04D-DMA、非カチオン性脂質成分としてのDOPE、ヘルパー脂質成分としてのコレステロール、ならびにPEG修飾脂質成分としてのDMG-PEG2Kのうちの1つが含まれる。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロールとPEG修飾脂質のモル比は、それぞれ約30~60:25~35:20~30:1~15の間であり得る。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロールとPEG修飾脂質のモル比は、それぞれ、およそ40:30:20:10である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロールとPEG修飾脂質のモル比は、それぞれ、およそ40:30:25:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロールとPEG修飾脂質のモル比は、それぞれ、およそ40:32:25:3である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロールとPEG修飾脂質のモル比は、およそ50:25:20:5である。
【0193】
一部の実施形態では、肺送達に特に適したリポソームの脂質成分は、HGT4002(本明細書ではGuan-SS-Cholとも称される)、DOPEおよびDMG-PEG2Kからなる。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とPEG修飾脂質のモル比は、およそ60:35:5である。
【0194】
別個の脂質成分の比
脂質ナノ粒子が3つまたは3つ以下の別個の脂質の成分を含む実施形態では、全脂質含有量の比(すなわち、脂質成分(1):脂質成分(2):脂質成分(3)の比)をx:y:zとして表すことができ、ここでは、
(y+z)=100-x
である。
【0195】
一部の実施形態では、「x」、「y」、および「z」の各々は脂質の3つの別個の成分のモルパーセンテージを表し、比はモル比である。
【0196】
一部の実施形態では、「x」、「y」、および「z」の各々は脂質の3つの別個の成分の重量パーセンテージを表し、比は重量比である。
【0197】
一部の実施形態では、変数「x」によって表される、脂質成分(1)はステロール系カチオン性脂質である。
【0198】
一部の実施形態では、変数「y」によって表される、脂質成分(2)はヘルパー脂質である。
【0199】
一部の実施形態では、変数「z」によって表される、脂質成分(3)はPEG脂質である。
【0200】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0201】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%以下である。実施形態では、変数「x」は約65%、約60%、約55%、約50%、約40%以下である。
【0202】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約50%であるが約95%未満;少なくとも約50%であるが約90%未満;少なくとも約50%であるが約85%未満;少なくとも約50%であるが約80%未満;少なくとも約50%であるが約75%未満;少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。実施形態では、変数「x」は少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。
【0203】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0204】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%以下である。実施形態では、変数「x」は約65%、約60%、約55%、約50%、約40%以下である。
【0205】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は:少なくとも約50%であるが約95%未満;少なくとも約50%であるが約90%未満;少なくとも約50%であるが約85%未満;少なくとも約50%であるが約80%未満;少なくとも約50%であるが約75%未満;少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。実施形態では、変数「x」は少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。
【0206】
一部の実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%以下である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%~約10%、約2%~約10%、約3%~約10%、約4%~約10%、約1%~約7.5%、約2.5%~約10%、約2.5%~約7.5%、約2.5%~約5%、約5%~約7.5%、または約5%~約10%である。
【0207】
一部の実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%以下である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%~約10%、約2%~約10%、約3%~約10%、約4%~約10%、約1%~約7.5%、約2.5%~約10%、約2.5%~約7.5%、約2.5%~約5%、約5%~約7.5%、または約5%~約10%である。
【0208】
3つおよび3つのみの別個の脂質の成分を有する組成物について、変数「x」、「y」、および「z」は、3つの変数の和が合計して総脂質含有量の100%になる限り、任意の組合せであることができる。
【0209】
mRNAを封入するリポソームの形成
本発明の組成物に使用するためのリポソーム導入ビヒクルは、当技術分野において現在公知である種々の技術によって調製することができる。提供される組成物に使用するためのリポソームは、当技術分野において現在公知である種々の技術によって調製することができる。例えば、適切な容器(container)または容器(vessel)の内壁に選択された脂質を、適切な溶媒に溶解することによって、沈着させ、次に、溶媒を蒸発させて容器内に薄膜を残すかまたは噴霧乾燥させるような従来技術に従って、多層小胞(MLV)を調製することができる。次に、水相を、MLVの形成をもたらす渦運動で容器に添加することができる。次に、単層小胞(ULV)は、多層小胞の均質化、超音波処理または押し出しによって形成される。さらに、界面活性剤除去技術によって単層小胞を形成することができる。
【0210】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、mRNAがリポソームの両表面上に会合されており、同リポソーム内に封入されているリポソームを含む。例えば、本発明の組成物の製造中、カチオン性リポソームは、静電的相互作用を通してmRNAと会合することができる。例えば、本発明の組成物の調製中に、カチオン性リポソームは、静電的相互作用を介してmRNAと会合し得る。
【0211】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法はリポソームに封入されたmRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNA種は同じリポソームに封入される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNA種は異なるリポソームに封入される。一部の実施形態では、mRNAは、その脂質組成、脂質成分のモル比、径、電荷(ゼータ電位)、標的化リガンドおよび/またはこれらの組合せが異なる1つまたはそれ以上のリポソームに封入される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のリポソームは、ステロール系カチオン性脂質、中性脂質、PEG修飾脂質および/またはこれらの組合せの異なる組成を有することができる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のリポソームは、リポソームを作製するために使用されるコレステロール系カチオン性脂質、中性脂質、およびPEG修飾脂質の異なるモル比を有することができる。
【0212】
所望のmRNAをリポソームに取り込む方法は、しばしば「搭載」と称される。例示的な方法は、参照により本明細書に組み入れられるLasicら、FEBS Lett.、312巻:255~258頁、1992に記載されている。リポソームを取り込んだ核酸は、リポソームの内部空間内、リポソームの二重層膜内に完全にもしくは部分的に位置されるか、またはリポソーム膜の外表面に完全にもしくは部分的に会合することができる。核酸のリポソームへの取り込みはまた、本明細書において「封入」とも称され、核酸はリポソームの内部空間内に完全に含有される。リポソームのような導入ビヒクルにmRNAを取り込む目的は、しばしば、核酸の迅速な排出を引き起こす、核酸および/またはシステムもしくは受容体を分解する酵素または化学物質を含有し得る環境から核酸を保護することである。したがって、一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは、その中に含有されるmRNAの安定性を増強することができ、および/または標的細胞もしくは組織へのmRNAの送達を促進することができる。
【0213】
本発明による適切なリポソームは、種々のサイズで作製することができる。一部の実施形態では、提供されたリポソームは、公知のmRNAを封入するリポソームよりも小さくすることができる。一部の実施形態では、リポソームのサイズの減少は、mRNAのより効率的な送達と関連する。適切なリポソームサイズの選択は、標的細胞または組織の部位、およびある程度、リポソームが作製されている用途を考慮に入れることができる。
【0214】
一部の実施形態では、mRNAによりコードされる抗体の全身的分布を促進するために、適切なサイズのリポソームが選択される。一部の実施形態では、mRNAのトランスフェクションをある特定の細胞または組織に制限することが望ましい場合がある。例えば、肝細胞を標的とするために、リポソームは、その寸法が、肝臓内の肝類洞を裏打ちする内皮層の有窓部よりも小さくなるようなサイズであり得る。このような場合に、リポソームは、標的肝細胞に到達するために、このような内皮有窓部を容易に貫通することができる。
【0215】
あるいはまたはさらに、リポソームは、リポソームの寸法が、ある特定の細胞または組織への分布を制限または明示的に回避するのに十分な直径を有するようなサイズであり得る。
【0216】
当技術分野において公知である種々の代替方法が、リポソーム集団のサイズ決定に利用可能である。このようなサイズ決定方法の1つは、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,737,323号に記載されている。浴またはプローブ超音波処理のいずれかによりリポソーム懸濁液を超音波処理することによって、直径約0.05ミクロン未満の小さなULVまで漸進的なサイズ減少が生じる。均質化は、大きなリポソームをより小さなリポソームにフラグメント化するためのせん断エネルギーに依存する別の方法である。典型的な均質化手順では、典型的には約0.1~0.5ミクロンの間の選択されたリポソームサイズが観察されるまで、MLVを標準エマルジョンホモジナイザーを介して再循環させる。リポソームのサイズは、参照により本明細書に組み入れられるBloomfield、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.、10巻:421~150頁(1981)に記載されているように、準電光散乱(QELS)によって決定することができる。形成されたリポソームの超音波処理によって、平均リポソーム直径を減少させることができる。効率的なリポソーム合成を導くために、間欠的超音波処理サイクルをQELS評価と交互に行うことができる。
【0217】
組成物の治療的使用
一態様では、本発明は、とりわけ、治療目的に有用であるmRNAを封入するLNP製剤を提供する。例えば、一部の実施形態では、LNPに封入されたmRNAは、対象において欠損しているタンパク質をコードする。例えば、mRNAは、膀胱炎線維症を処置するためのCFTRをコードし得る。CFTRをコードする適切なmRNAは、例えば、国際公開第2020/106946号および国際出願第PCT/US20/44158号に記載され、各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。別の例として、mRNAは、例えば、国際公開第2017/218524号に記載される、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症を処置するためのOTCをコードすることができ、その内容はその全体が本明細書に組み入れられる。
【0218】
一部の実施形態では、LNPに封入されたmRNAは、SARS-CoV-2抗原のようなワクチン抗原をコードするタンパク質をコードする。このようなSARS-CoV-2抗原は、米国特許出願第63/021,319号に記載され、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0219】
一部の実施形態では、mRNAはコドン最適化される。種々のコドン最適化方法が当技術分野において公知である。
【0220】
遺伝子治療
一部の実施形態では、本明細書に記載されるLNP製剤は、それを必要とする対象を処置するために使用されるタンパク質をコードするコドン最適化された核酸を含む医薬組成物に適している。一部の実施形態では、本明細書に記載されるrAAVベクターを含む医薬組成物は、それを必要とする対象を処置するために使用される。本発明のrAAVベクターまたは粒子を含有する医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体を含有する。適切な薬学的担体の例は、当技術分野において周知であり、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水エマルジョンのようなエマルジョン、種々のタイプの湿潤剤、滅菌溶液などを含む。医薬組成物は、凍結乾燥形態であり得る。このような担体は、従来の方法によって製剤化することができ、治療的に有効な量で対象に投与される。
【0221】
rAAVベクターは、それを必要とする対象に、適切な経路を介して投与される。一部の実施形態では、rAAVベクターは、静脈内、腹腔内、皮下、または皮内経路によって投与される。一実施形態では、rAAVベクターは静脈内投与される。実施形態では、皮内投与は、「遺伝子銃」またはバイオリスティック粒子送達システムの使用による投与を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、非ウイルス性脂質ナノ粒子を介して投与される。例えば、rAAVベクターを含む組成物は、1つまたはそれ以上の希釈剤、緩衝剤、リポソーム、脂質、脂質複合体を含み得る。一部の実施形態では、rAAVベクターは、マイクロスフェアまたはナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子または無機ナノ粒子内に含まれる。
【0222】
一部の実施形態では、rAAVはシュードタイプ化される。シュードタイプ化されたrAAVは、AAVカプシドタンパク質とrAAVゲノムの任意の組合せを含む感染性ウイルスである。シュードタイプ化されたrAAVは、rAAVの組織または細胞特異性を変化させるのに有用であり、単独でまたはシュードタイプ化されていないrAAVと組み合わせて使用して、1つまたはそれ以上の遺伝子を細胞、例えば哺乳動物細胞に移入することができる。例えば、シュードタイプ化されていないrAAVに対する免疫応答を発生した哺乳動物において、シュードタイプ化されていないrAAVとの投与後に、シュードタイプ化されたrAAVを使用することができる。任意のAAV血清型由来のカプシドタンパク質は、異なる血清型の野生型AAVゲノムに由来するかもしくは得られるrAAVゲノム、またはキメラゲノムであるrAAVゲノム、すなわち、2つ以上の異なる血清型、例えば、2つのITRを有するキメラゲノム、異なる血清型もしくはキメラITR由来の各ITRから形成されるAAV DNAとともに用いることができる。2つのAAV血清型由来のITRまたはキメラITRを含むもののようなキメラゲノムの使用は、指向性組換えを生じ得、転写活性分子間コンカテマーの産生をさらに増強し得る。したがって、本発明のrAAVベクター内の5’および3’ITRは、相同性、すなわち、同一の血清型、異種性、すなわち、異なる血清型、またはキメラ、すなわち、1を超えるAAV血清型由来のITR配列を有するITRであり得る。
【0223】
一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、またはAAV11ベクターである。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV1である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV2である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV3である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV4である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV5である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV6である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV7である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV8である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV9である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV10である。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV11である。一部の実施形態では、rAAVベクターは配列最適化される。一部の実施形態では、rAAVカプシドは修飾される。例えば、一部の実施形態では、rAAV8カプシドは修飾される。
【実施例
【0224】
本発明のある特定の化合物、組成物および方法は、ある特定の実施形態に従って特異性をもって記載されてきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を例示するためにのみ役立ち、本発明の化合物を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0225】
LNP安定性における糖、緩衝率およびpHの効果
様々な量の糖、ここではトレハロース、様々な緩衝強度、および/または様々なpHレベルの存在下でのLNPの安定性を評価するために分析を行った。まとめると、これらの研究からのデータは、より低いpHレベルでは、安定性を維持するためにより高い最小緩衝強度が必要であることを示す。さらに、結果は、糖、トレハロースが製剤内で一定のパーセンテージに維持される場合、製剤のpHが上昇するにつれて、LNP安定性を維持するために必要な最小緩衝強度が低下することを示した。
【0226】
図1Aは、pH7.5において、LNP製剤中の糖、トレハロースのパーセンテージを増加させると、LNP製剤中に必要とされる最小緩衝強度が同時に増加することを示すグラフである。図1Bは、トレハロースが一定のパーセンテージ(すなわち、2.7%)に維持される場合、pHレベルが増加すると、最小緩衝強度が減少することを示すグラフである。
【0227】
これらのデータが示したのは、ある特定のpHではより低い糖/緩衝液比が必要であるということである。さらに、データは、LNP製剤中のpHが低いほど、ある特定の糖濃度でLNPを安定化するために、より高い緩衝強度が必要であることも示す。例えば、糖濃度を一定に維持する場合、pHレベルが低ければ低いほど、LNP安定性を維持するのに必要な緩衝強度は高くなる。
【実施例2】
【0228】
緩衝強度を下げると、脂質のpKa未満で高い安定性が得られる
脂質pKa依存性挙動を評価するために研究を行った。これらの研究では、LNP製剤を分析し、2.7%トレハロースを含み、クエン酸緩衝液を用いてpH4.5にするように製剤化した。これらの分析が示したのは、緩衝強度を低下させると、脂質のpKa未満でLNPのより高い安定性がもたらされることであった。具体的には、LNP安定性は、試験された緩衝強度の増加、すなわち、1、10、20、50、75、から100mMに伴って低下することが観察された。これは、図2のグラフ形式で例示される。
【0229】
これらのデータは、緩衝強度が、サンプルの希釈後にLNP製剤を安定化するのにより良好であることを示す。例えば、安定は、以下のシナリオ:1)2.7%トレハロース+100mMのTris pH7.5(溶液の観察-透明);2)2.7%トレハロース+20mMのTris pH7.5+100mMのNaCl(溶液の観察-クラッシュ/曇り);3)2.7%トレハロース+16mMのTris pH7.5+220mMのNaCl(溶液の観察-透明)で視覚的に観察された。
【0230】
まとめると、これらのデータから、より高いイオン強度を維持することは、LNP凝集の防止、および結果としてのmRNA安定性に望ましいと結論付けられた。これは、例えば、1)高い緩衝強度(例えば、100mMまたはそれ以上)を有すること;2)低い緩衝強度(例えば、15~20mM)と高い塩濃度(例えば、200mMまたはそれ以上)を組み合わせること;または中程度の緩衝強度(例えば、40~50mM)と中程度の塩濃度(例えば、50~100mM)を組み合わせることによって、様々な方法において達成され得ると推定された。
【実施例3】
【0231】
力価対安定性
非常に強力なLNPは、より高量のLNP凝集とそれに続くmRNA分解と関連することが以前に観察されている。本明細書に記載されるLNP製剤は、これらの製剤が、凝集に抵抗性であり、その後のmRNA分解に抵抗性であるLNPに封入されたmRNAを得る能力に何らかの影響を及ぼすかどうかを決定するために調査された。
【0232】
ヒトエリスロポエチン(EPO)mRNAを封入する種々のLNP製剤を6時間および25時間で安定性について試験した。試験したLNP製剤は、凝集しやすいことが以前に見出されていた。図3Aおよび3Bに示されるように、本明細書に記載されるLNP製剤の使用は、凝集に抵抗性である所望の、非常に強力なLNPの成功した製剤化を可能にした。
【0233】
試験された異なるLNP製剤は、図3Aおよび図3Bに記載される。図3Bからのデータは、記載されたLNP製剤をマウスに投与後6時間または24時間のいずれかで分析したインビボ試験からのものであった。データは、例えば、高濃度のDOPEを有するリピドイドを含む、非常に強力な脂質を使用する場合の、6時間と24時間の両方でのヒトEPOタンパク質の発現を示す。
【0234】
図4Aは、LNP製剤で試験された緩衝液および塩濃度の種々の組合せ、ならびに種々のLNP製剤に関連する得られた希釈後の安定性を示す。データは、実施例2に提示された結果、すなわち、LNP凝集の防止、および結果としてのmRNA安定性に、より高いイオン強度が望ましいことと一致する。特に、これらのデータは、中程度の緩衝強度(例えば、40~50mM)と中程度の塩濃度(例えば、50~125mM)とを組み合わせると、希釈後に安定なLNP製剤が得られることを確認した。
【0235】
図4Bは、希釈後のLNP製剤の安定性を要約する表を示す。これらのアッセイでは、LNPは、Trisまたはリン酸緩衝液濃度に関してのみ変化した。本研究におけるLNPは全て、Trisまたはリン酸緩衝液および2.7%トレハロース中に製剤化された。データが示すように、製剤pHは20mM緩衝強度で達成されたが、これらのLNP製剤は安定ではなかった。緩衝強度が100mMまたはそれ以上に達した場合、LNP製剤は安定であった。これらのデータは、実施例2に提示された結果、すなわち、LNP凝集の防止、および結果としてのmRNA安定性に、より高いイオン強度が望ましいことと一致する。
【実施例4】
【0236】
脂質ナノ粒子の封入効率およびサイズにおける糖対緩衝液の比の影響
-20℃での製剤の安定性における糖対緩衝液の比の効果を評価するために研究を行った。これらの研究では、0.9mg/ml~1.6mg/mlの間の開始mRNA濃度で、0.19~0.47の間の例示的なトレハロース対PBS比を含むLNP製剤を分析した(表1)。封入効率(図5Aおよび図5B)および脂質ナノ粒子のサイズ(図6Aおよび図6B)を、LNP製剤のトレハロース対PBS比を変えて4℃および25℃で評価した。これらの分析が示したものは、LNP製剤のより低いトレハロース対PBS比が、封入の低下およびLNPサイズの増加を防止するのに有益であり、それによってLNP製剤のより高い安定性をもたらしたことであった。全体として、LNP製剤の安定性は低糖対緩衝液比でより大きかった。これは、封入効率(図5Aおよび図5B)およびLNPサイズ(図6Aおよび6B)における糖対緩衝液の比の効果を示すグラフ形式で示されている。
【0237】
【表1】
【0238】
封入効率を種々の例示的な時間点(0時間、1時間、3時間、6時間および24時間)で評価し、観察された封入効率パーセントを4℃(図5A)および25℃(図5B)でグラフ表示した。結果は、トレハロース対PBS比が増加するLNP製剤では、封入低下が観察され、安定性の低下が示された。結果は4℃で顕著であったが、25℃でも同様の傾向が観察された。
【0239】
LNPサイズを種々の例示的な時間点(0時間、1時間、3時間、6時間および24時間)で測定し、観察されたLNPサイズ(ナノメートル)を4℃(図6A)および25℃(図6B)でグラフ表示した。結果は、トレハロース対PBS比が増加するLNP製剤では、封入低下が観察され、安定性の低下が示された。結果は25℃で顕著であったが、4℃でも同様の傾向が観察された。
【0240】
全体として、これらの研究の結果は、低トレハロース対PBS比がLNPのより高い安定性に対応して、封入の増加とLNPサイズの低下に有利であることを示した。
【0241】
本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。加えて、材料、方法、および実施例は、単に例示的であり、限定することを意図しない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料が本明細書に記載される。
【0242】
等価物
当業者であれば、日常的な実験でしかないものを使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を認識するか、または確認することができるだろう。本発明の範囲は、上記の明細書に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に示される通りである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】