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特表2023-550651液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ及び其れを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-04
(54)【発明の名称】液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ及び其れを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/58 20060101AFI20231127BHJP
   C12N 5/02 20060101ALI20231127BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20231127BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20231127BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20231127BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20231127BHJP
【FI】
G01N33/58 Z
C12N5/02
C12Q1/06
C12N5/0783
C12N5/0786
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023531553
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021060572
(87)【国際公開番号】W WO2022115455
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/117,767
(32)【優先日】2020-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】523191775
【氏名又は名称】ザイリス, インク.
【氏名又は名称原語表記】XILIS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ザイリン
(72)【発明者】
【氏名】ナテッシュ,ナヴィーン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリュバック,ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA03
2G043BA16
2G043CA03
2G043DA06
2G043EA01
2G043FA01
2G043FA02
2G045AA26
2G045CB01
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QR90
4B063QS28
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BC50
4B065BD50
4B065CA46
(57)【要約】
【課題】 本開示は、部分的には、マイクロオルガノスフェア癌免疫学アッセイ並びに其れを作出及び使用する方法を記載する。
【解決手段】 アッセイは、患者の腫瘍細胞を殺害する事に於ける腫瘍浸潤リンパ球等のエフェクター免疫細胞の力価を迅速に測定する。エフェクター免疫細胞の力価を理解する事は養子T細胞療法に取って重大である。
【選択図】 図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法が:(a)患者由来マイクロオルガノスフェア(PMOS)及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含む事を特徴とする、エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を同定する為の方法。
【請求項2】
方法が:(a)患者由来マイクロオルガノスフェア(PMOS)及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含む事を特徴とする、エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害の力価を決定する為の方法。
【請求項3】
方法が、更に、ハイスループットな且つ急速な様式で更なる分析の為の応答エフェクター免疫細胞及び/又は腫瘍細胞を単離、凍結、及び保存する事を含む事を特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
エフェクター免疫細胞が、CAR-T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、末梢血単核細胞(PBMC)、PBMCから単離されたT細胞、腫瘍細胞から単離及び拡大培養されたT細胞、並びに其れ等の組み合わせから成る群から選択される事を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エフェクター免疫細胞がTILを含む事を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
TILが急速拡大培養期(REP)TILである事を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
PMOSがエフェクター免疫細胞とマッチしている事を特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害が蛍光色素を使用してリアルタイムで定量される事を特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
蛍光色素がアネキシンVグリーン、カスパーゼ3/7、Cytotox、Cytotoxレッド、Cytolightレッド、オレンジカラー、又は近赤外カラー色素の少なくとも1つを含む事を特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
更に、PMOSのベースラインのアポトーシスをエフェクター免疫細胞の非存在下で培地条件の関数として測定する事を含む事を特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
PMOSが:
(I)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
未重合の混合物の複数の液滴を形成する事、並びに
液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有する複数のPMOSを形成する事;
(II)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
未重合の混合物の連続的な流れから複数の液滴を形成し、液滴がサイズの25%未満の変動を有する事、並びに
加温に依って液滴を重合して、各PMOSの中に分配された1及び200の間の解離した細胞を其々が有する複数のPMOSを形成する事;
(III)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
未重合の混合物とは非相溶性である流体の1つ以上の流れと未重合の混合物の流れを合流させる事に依って、液滴のサイズの25%未満の変動を有する複数の液滴を形成する事、
液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を有する複数のPMOSを形成する事、並びに
非相溶性である流体から複数のPMOSを分離する事;
(IV)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
液滴のサイズの25%未満の変動を有する未重合の混合物の複数の液滴を形成する事、
液滴を重合して、1及び1000の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び700μmの間の直径を有する複数のPMOSを形成する事、並びに
複数のPMOSを凍結保存する事;
(V)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
未重合の混合物の複数の液滴を形成する事、
液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有する複数のPMOSを形成する事、並びに
複数のPMOSを15日以内に凍結保存する事;又は
(VI)解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事、
未重合の混合物とは非相溶性である流体の1つ以上の流れと未重合の混合物の流れを合流させる事に依って、液滴のサイズの25%未満の変動を有する複数の液滴を形成する事、
加温に依って液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有するPMOSを形成する事、並びに
6継代よりも前のPMOSを凍結保存し、其れに依って、PMOS内の細胞の不均質性が維持される事、
からなる群から選択される方法に依って形成される事を特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
解離した組織サンプルが:幹細胞ではない細胞;転移腫瘍からの生検サンプル;癌細胞及び間質細胞両方を含む臨床腫瘍サンプル;又は腫瘍細胞及び間葉系細胞、内皮細胞、及び免疫細胞の1つ以上を含む事を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせる事が、解離した組織サンプルを基底膜マトリックスと組み合わせる事を含む事を特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
解離した組織サンプルが、患者から組織サンプルを取り除いてから6時間以内に流体マトリックス材料と組み合わせられる事を特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
浸潤リンパ球(TIL)養子細胞療法(ACT)を使用して患者の癌を処置する方法であって、前記の方法が:
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を使用して、TILが前記の患者からの腫瘍細胞を殺害するであろうかどうかをインビトロで検証する事と;
TILを患者に投与し、TILが患者の腫瘍細胞を殺害する事と、
を含む事を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ及び其れを使用する方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、シーリン・シェン(Xiling Shen)等の名義で2020年11月24日に出願された「液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ及び其れを使用する方法(DROPLET ORGANOID-BASED IMMUNO-ONCOLOGY ASSAYS AND METHODS OF USING SAME)」と題する米国仮特許出願第63/117,767号の優先権を主張し、此れは此処に其の全体が参照に依って本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
癌治療は化学療法及び放射線治療の無差別的性質から離れてより指向的な患者特異的アプローチに次第に近付いている。此れは、不必要な毒性を回避し、新規発生を反復的に処置するのではなく癌をホリスティックに処置する様に、癌患者の応答を最大化する事である。特に、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)、特定の腫瘍抗原に特異的なキメラ受容体を持つ操作されたT細胞(CAR-T)、又は免疫制御プロセスを阻害する為の抗体を使用する免疫療法は、全てが治療の最前線に来ている。再静注後に腫瘍細胞を特異的に殺害する為の患者由来の且つ場合に依ってはエクスビボ操作されたT細胞の使用は興味深い。此れは特に魅力的な治療である。何故なら、其れは患者由来T細胞を使用して毒性を最小化し、特異性を最大化し、理論的には腫瘍を除去し得るからである。然し乍ら、患者腫瘍細胞に対して操作されたT細胞のバッチ-ロット試験の明確な臨床的なアンメットニーズが有る。患者応答の予測として、マッチしたT細胞にバルクのオルガノイド系を使用する為の努力はあったが、バルクのマトリゲルが腫瘍細胞のT細胞浸潤に対して課す物理的バリアは、診断法に於ける其れ等の使用を妨げる。更に、バルクのマトリゲル系のハイスループットイメージングは、腫瘍-免疫相互作用/殺害の蛍光測定及び更には観察を困らせる焦点面の問題を被っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本概要は、下で発明を実施するための形態に於いて更に記載される選ばれた概念を導入する為に提供される。此の概要は、請求される主題の主要な又は必須の特徴を同定する事を意図されず、其れは、請求される主題の範囲を限定する事の助けとして使用される事も意図されない。
【0006】
本開示は、部分的には、(液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ;DOIOA)と称されるテクノロジーの本発明者に依る開発に基づき、此れは患者由来腫瘍オルガノイドを作製する為に液滴マイクロ流体力学を活用する。此のアッセイは、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)が患者の腫瘍を殺害する事が蓋然的であるかどうかを迅速に試験する事が出来る。此の知識は、腫瘍からのTILが拡大培養及び患者に再注入される養子T細胞療法に取って重大である。製造されたTILの力価、即ち細胞を殺害する能力は、患者への再注入に先立って検証されなければならない、如何なる公知の検証も此の時点に於いて存在しない。
【0007】
従って、本開示の1つの態様は、免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を同定する為の方法を提供し、方法は:(a)液滴オルガノイド及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含むか、其れ等から成るか、又は本質的に其れ等から成る。
【0008】
本開示の別の態様は、免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害の力価を決定する為の方法を提供し、方法は:(a)液滴オルガノイド及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含むか、其れ等から成るか、又は本質的に其れ等から成る。
【0009】
幾つかの実施形態では、方法は、更に、ハイスループットな且つ急速な様式で更なる分析の為の応答エフェクター免疫細胞及び/又は腫瘍細胞を単離、凍結、及び保存する事を含む。
【0010】
別の実施形態では、エフェクター免疫細胞は、CAR-T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、末梢血単核細胞(PBMC)、PBMCから単離されたT細胞、腫瘍細胞から単離及び拡大培養されたT細胞、並びに其れ等の組み合わせから成る群から選択される。
【0011】
本開示の更に別の態様は、浸潤リンパ球(TIL)養子細胞療法(ACT)を使用して患者の癌を処置する方法を提供し、前記の方法は:
本明細書に記載される何れかの方法を使用して、TILが前記の患者からの腫瘍細胞を殺害するであろうかどうかをインビトロで検証する事と;
患者にTILを投与し、TILが患者の腫瘍細胞を殺害する事と、
を含む。
【0012】
本開示の別の態様は、本明細書に於いて記載及び例解される全てを提供する。
【0013】
付随する図及び例は限定としてではなく例解として提供される。本開示の前述の態様及び他の特徴は、1つ以上の実施形態に関する付随する例の図(又「FIG.」)と関連させて、次の記載に依って説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、解離した初代組織細胞を包含する様に本明細書に記載される通り形成された患者由来マイクロオルガノスフェアを例解する。
図2図2は、本開示の1つの実施形態に従って、液滴中の大腸癌オルガノイド細胞に接着し、其れを推定上殺害しているJurkat細胞を示す画像である(黒色点線)。白色矢印:免疫細胞が液滴に浸潤し、腫瘍細胞に接着する。黒色矢印:免疫細胞が液滴に浸潤し、液滴中に定着する。
図3図3は、本明細書に記載される通り、初代組織(例えば生検)サンプルからの患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する一般化された方法を例解する。
図4図4は、本開示の1つの実施形態に従う方法に使用される液滴マイクロオルガノスフェア(DMOS)作製装置を示す画像である。
図5図5は、Cytolight-Rapidレッド細胞質色素に依って染色された且つ肺癌マイクロオルガノスフェアと培養されたPBMCを例解する。72時間の間に、バルクのドームよりも、PMOSを使用する事に依ってPBMCに依るマトリゲルの有意に多い浸潤が有る。
図6図6は、細胞内色素を使用してリアルタイムで液滴中のアポトーシス/細胞死をイメージングする能力を例解する。
図7図7は、本開示の1つの実施形態に従って、対応するHER2+大腸癌(CRC)液滴オルガノイド細胞の抗HER2CAR-Tに依って誘導されるアポトーシスを示すグラフである。
図8図8は、本開示の1つの実施形態に従って、マッチした肺腫瘍液滴オルガノイド細胞のTILに依って誘導されるアポトーシスを示すグラフである。
図9図9は、本開示の1つの実施形態に従って、48時間の期間のレポーターmCherry発現の減少に依って対応するHER2+CRCオルガノイドのCAR-T特異的な殺害を示すグラフである。
図10図10は、培地条件の結果としての肺腫瘍マイクロオルガノスフェアのMOSAICアッセイベースラインアポトーシス評価を例解する。
図11図11は、液滴浸潤の結果としてのマッチしたTILの導入に依る肺腫瘍マイクロオルガノスフェアの細胞死を例解するMOSAICアッセイを例解する。
図12図12Aは、マッチしたTILの追加有りの抗PD1ニボルマブに依る肺腫瘍PMOSの処置を例解する。TILが追加された時に、ニボルマブが肺腫瘍PMOSを殺害する(sill)事を示唆する。図12Bは、ニボルマブ処置に依って増強される抗原特異的な殺害を評価する為のMHC-I/IIブロック抗体の包含を例解する。PMOSがMHCブロックに依って処置される時には、図12Aで観察された腫瘍殺害効果は消える事が見られ得る。
図13図13は、同じ患者に由来する腫瘍PMOSと共培養される時に、TransActT細胞活性化試薬に依って拡大培養されたTILは、放射線照射済PBMCの存在下で拡大培養された物よりも腫瘍PMOSに対して細胞傷害性である事を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の原理の理解を促進する目的で、此処で、好ましい実施形態の参照が為され、其れを記述する為に具体的な言葉が使用される。但し、本開示の範囲の如何なる限定も其れに依って意図されない事は理解されるであろう。本開示が関する分野の業者に通常思い浮かぶであろう本明細書に於いて例解される本開示の斯かる変更及び更なる改変が企図される。
【0016】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書に於いては、冠詞の文法上の目的語の1つ又は1つよりも多く(即ち少なくとも1つ)を言う為に使用される。例として、「要素」は少なくとも1つの要素を意味し、1つよりも多くの要素を包含し得る。
【0017】
「約」は、本明細書に於いては、所望の結果に影響する事無しに、所与の値がエンドポイントよりも「わずかに上」又は「わずかに下」であり得る事を定める事に依って、数的範囲のエンドポイントに柔軟性を提供する為に使用される。
【0018】
本明細書の用語「包含する」、「含む」、又は「有する」、及び其れ等の変形の使用は、其の後に列記される要素及び其れ等の同等物、並びに追加の要素を包摂する事が意図される。本明細書に於いて使用される「及び/又は」は、関連する列記されている項目の1つ以上の何れかの及び全ての可能な組み合わせ、並びに選択的(「又は」)に解釈される所では組み合わせの欠如を言い、包摂する。
【0019】
本明細書に於いて使用される移行句「本質的に~から成る」(及び文法上の変形)は、請求される発明の記載される材料又はステップ「並びに基本的な及び新規の特徴(単数又は複数)に実質的に影響しない物」を包摂すると解釈される可きである。其れ故に、本明細書に於いて使用される用語「本質的に~から成る」は、「含む」と同等と解釈される可きではない。
【0020】
其の上、本開示は、幾つかの実施形態では、本明細書に於いて提示される何れかの特徴又は特徴の組み合わせが排除又は省略され得る事をも又企図する。例解すると、複合体が構成要素A、B、及びCを含むと明細書が申し立てる場合には、A、B、若しくはCの何れか、又は其れ等の組み合わせが単数で又は何れかの組み合わせで省略及びディスクレームされ得る事が具体的に意図される。
【0021】
本明細書に於ける値の範囲の記載は、本明細書に於いて別様に指示されない限り、単に、範囲内に収まる各別個の値を個々に言う簡略な方法としての用を成す事が意図され、各別個の値は、其れが本明細書に個々に記載される場合の様に本明細書に組み込まれる。例えば、濃度範囲が1%から50%と申し立てられている場合には、例えば2%から40%、10%から30%、又は1%から3%等の値が本明細書に於いて態々数え上げられている事が意図される。此れ等は具体的に意図されている物の例のみであり、数え上げられている最も低い値及び最も高い値の間の且つ其れ等を包含する数値の全ての可能な組み合わせが、本開示に於いて態々申し立てられていると考えられる可きである。
【0022】
本明細書に於いて使用される「処置」、「治療」、及び/又は「治療レジメン」は、患者に現れるか又は患者に素因が有り得る疾患、障害、又は生理学的状態に応答して為される臨床的介入を言う。処置の目的は、症状の緩和若しくは防止、疾患、障害、若しくは状態の進行若しくは悪化を低速化若しくは停止させる事、及び/又は疾患、障害、若しくは状態の寛解を包含する。本明細書に於いて使用される用語「防止する」、「防止する事」、「防止」、「予防的処置」、及び同類は、疾患、障害、又は状態を有さないが、発生するリスク又は素因が有る対象の疾患、障害、又は状態を発生する確率を縮減する事を言う。用語「有効量」又は「治療上有効量」は、有益な又は望ましい生物学的及び/又は臨床的結果を成就する為に十分な量を言う。
【0023】
本明細書に於いて使用される時に、動物又は細胞に治療薬成分等の薬剤を「投与する」の用語は、意図される標的に物質を吐出する事、送達する事、又は加える事が意図される。治療薬剤の観点からは、用語「投与する」は、動物の所望の箇所への治療薬剤の何れかの好適な送達経路に依って、治療薬剤を対象に接触させる事、又は吐出する事、送達する事、若しくは加える事が意図され、非経口又は経口経路何方かに依る送達、筋肉内注射、皮下/皮内注射、静脈内注射、髄腔内投与、バッカル投与、経皮送達、外用投与、及び鼻腔内又は気道経路に依る投与を包含する。
【0024】
本明細書に於いて使用される用語「バイオマーカー」は、疾患又は状態のリスク又は発生率を予測する事に有用な様々な濃度で対象に存在する天然に存在する生物学的分子を言う。例えば、バイオマーカーは、転移膵臓癌のリスクが有る対象により高い又はより低い量で存在する蛋白質であり得る。バイオマーカーは、対象の転移膵臓癌の指示薬又はマーカーとして使用される核酸、リボ核酸、又はポリペプチドを包含し得る。幾つかの実施形態では、バイオマーカーは蛋白質である。バイオマーカーは、疾患又は状態を発生するリスク又は発生率を予測する事に有用である対象に存在する何れかの天然に存在するか又は天然に存在しない多型(例えば、一塩基多型[SNP])をもまた含み得る。
【0025】
本明細書に於いて使用される用語「生物学的サンプル」は、対象から単離された組織、細胞、及び/又は生物学的流体を含有するサンプルを包含するが、此れ等に限定されない。生物学的サンプルの例は、組織、細胞、生検、血液、リンパ、血清、血漿、尿、唾液、末梢血単核細胞(PBMC)、粘液、及び涙液を包含するが、此れ等に限定されない。1つの実施形態では、生物学的サンプルはPBMCを含む。生物学的サンプルは、対象から直接的に(例えば、血液若しくは組織サンプリングに依って)又は第三者から得られ得る(例えば、ヘルスケアプロバイダー又は検査技師等の仲介者から受け入れられる)。
【0026】
本明細書に於いて使用される用語「疾患」は、生物の一部を冒す構造又は機能の何れかの異常な状態及び/又は障害を包含するが、此れ等に限定されない。其れは、外的な因子、例えば感染性疾患(例えばウイルス感染)に依って、又は内的な機能異常、例えば癌、癌の転移、及び同類に依って引き起こされ得る。
【0027】
当分野に於いて公知の通り、癌は一般的にはコントロールされない細胞成長と考えられる。本発明の方法は、癌種、リンパ腫、ブラストーマ、肉腫、及び白血病を包含するが此れ等に限定されない何れかの癌及び其の何れかの転移を処置する為に使用され得る。斯かる癌のより具体的な例は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、有棘細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、頸部癌、胃腸癌、膵臓癌、膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、ヘパトーマ、大腸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、中皮腫、腎臓癌、外陰癌、膵臓癌、甲状腺癌、肝癌、皮膚癌、メラノーマ、脳腫瘍、神経芽腫、骨髄腫、種々の型の頭頸部癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、及び末梢神経上皮腫を包含する。幾つかの実施形態では、癌は膵臓癌を含む。
【0028】
本明細書に於いて使用される用語「対象」及び「患者」は本明細書に於いては交換可能に使用され、ヒト及び非ヒト動物両方を言う。本開示の用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、羊、犬、猫、馬、牛、鶏、両生類、爬虫類、及び同類を包含する。本明細書に於いて開示される方法及び組成物は、サンプルに対してインビトロで(例えば、単離された細胞若しくは組織に対して)又はインビボで対象(即ち、生きている生物、例えば患者)に対して何方かで使用され得る。
【0029】
本明細書に於いて使用される用語「エフェクター免疫細胞」は、免疫応答の間に対象の体を守る免疫細胞を言う。例えば、エフェクター免疫細胞は、B細胞及びT細胞(例えば、Tヘルパー細胞、細胞傷害性T細胞)、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)、ナチュラルキラー細胞、及び同類を包含し得るが、此れ等に限定されない。従って、幾つかの実施形態では、エフェクター免疫細胞は、CAR-T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、末梢血単核細胞(PBMC)、PBMCから単離されたT細胞、腫瘍細胞から単離及び拡大培養されたT細胞、並びに其れ等の組み合わせから成る群から選択される。
【0030】
本明細書に於いて使用される「力価」は、腫瘍細胞を殺害するエフェクター免疫細胞の能力を言う。
【0031】
本明細書に於いて定義される「マッチした」は同じ患者から又は自家を意味する。
【0032】
別様に定義されない限り、本明細書に於いて使用される全ての技術用語は、本開示が属する分野の業者に普通に理解される同じ意味を有する。
【0033】
治療薬の承認及び使用に就ての重要な考慮事項は力価の評価であり、此れは細胞療法製品では描写する事が現在まで極めて困難である。FDAガイダンス文書に従うと、力価アッセイは、其の力価を指示し且つ次の属性を有する様にして各製品に就て特に設計されているインビトロ若しくはインビボ試験何方か、又は両方から成る:(1)製品に特異的な/妥当な生物活性を指示する、(2)活性に取って必要と見做される全ての構成要素の活性を測定する、(3)定量的なリードアウトを提供する、(4)ロットリリースに就て利用可能な結果、並びに(5)所定の合格及び/又は不合格基準を満たす。本明細書に於いて提供される方法は、FDAに依って要求される通り各個々の患者に就てTIL製品の製造物の力価を評価する為に使用され得る。其の為、本開示の幾つかの実施形態に従うと、TIL製造の為に入手された腫瘍の或る部分が解凝集され、腫瘍細胞は生存可能な様式で凍結される。最終的なTIL製品が試験の為に利用可能である時には、腫瘍細胞は解凍、マイクロ液滴に小分け、及びTILと共培養され得、腫瘍細胞殺害がハイスループットな且つ急速な様式で定量され得る。TIL製品が強力である程、多大なパーセンテージの腫瘍細胞が殺害される。
【0034】
大まかには、本開示は、エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を同定する為の方法を提供し、方法は:(a)患者由来マイクロオルガノスフェア(PMOS)及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含むか、其れ等から成るか、又は本質的に其れ等から成る。本開示は、更に、エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害の力価を決定する為の方法を提供し、方法は:(a)患者由来マイクロオルガノスフェア(PMOS)及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事と;(b)エフェクター免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を定量する事とを含むか、其れ等から成るか、又は本質的に其れ等から成る。患者のエフェクター免疫細胞が(PMOS中の)患者の腫瘍細胞を殺害しており、故に合格の力価を有すると結論される場合には、其れ等のエフェクター免疫細胞、例えばマッチしたTILに依る癌患者の処置が続行され得る。エフェクター免疫細胞が腫瘍細胞を殺害しているとの結論は患者間で且つ癌の間で様々であり得、少なくとも約10%の腫瘍細胞死、少なくとも約20%の腫瘍細胞死、少なくとも約30%の腫瘍細胞死、少なくとも約40%の腫瘍細胞死、少なくとも約50%の腫瘍細胞死、少なくとも約60%の腫瘍細胞死、少なくとも約70%の腫瘍細胞死、少なくとも約80%の腫瘍細胞死、少なくとも約90%の腫瘍細胞死、及び少なくとも約99%の腫瘍細胞死に対応し得る事は、当業者には了解される筈である。此れは本明細書に記載される方法及びアッセイを使用して決定され得る。
【0035】
限定しない例として、好適な培地(media)又は「好適な培地(medium)」は、腫瘍オルガノイド培養培地を包含する。例えば、腫瘍オルガノイド培養培地は、表Iに示されている物等の成長因子を足された基礎培地を包含し得る。
【0036】
【表1】
【0037】
本開示は、部分的には、(液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ;DOIOA)と称される本発明者に依って開発されたテクノロジーに基づき、此れは患者由来腫瘍オルガノイドを作製する為に液滴マイクロ流体力学を活用し、此れは、TIL等のエフェクター免疫細胞が患者の腫瘍を殺害するかどうかの迅速な決定を許す。
【0038】
本明細書に於いては患者由来マイクロオルガノスフェア(PMOS)とも又言われる液滴オルガノイドは、「患者由来マイクロオルガノスフェアの為の方法及び装置(Methods and Apparatuses for Patient-Derived Micro-Organospheres)」と題する2020年4月1日出願のPCT出願no.PCT/US2020/026275に従って作出され得る。此れの内容は其の全体が参照に依って此処に組み込まれる。此れ等のPMOSは、正常である初代細胞(例えば、正常な臓器組織)から又は腫瘍組織から形成され得る。例えば、幾つかの変形では、此れ等の方法及び装置は癌性の腫瘍生検組織からのPMOSを形成し、検査される特定の腫瘍組織を使用して選択され得るテーラーメイド処置を可能化し得る。驚く可き事に、此れ等の方法及び装置は、単一の組織生検からの数百、数千、又は更には数万(例えば、500、750、1000、2000、5000、10,000、又はより多く)のPMOSの形成を、生検が患者から取り除かれてから数時間以内に可能にする。患者生検からの解離した初代細胞は、基質の基底膜マトリックス(例えばマトリゲル)等の流体マトリックス材料と組み合わせられてマイクロオルガノスフェアを形成し得る。齎される複数のPMOSは、所定の範囲のサイズ(例えば、10μm及び700μmの間の直径、並びに其の中の何れかの部分範囲)及び初めの初代細胞数(例えば、1及び1000の間、特に、より低い数の細胞、例えば1~200の間)を有し得る(例えば図1を参照)。細胞数及び/又は直径は、例えば+/-5%、10%、15%、20%、25%、30%等以内でコントロールされ得る。此れ等のPMOSは、本明細書に記載される通り形成される時には、例外的に高い生残率を有し(>75%、>80%、>85%、>90%、>95%)、形成された後の最初の1~10日以内を包含する非常に短い時期以内の使用及び試験に取っては安定である(例えば、1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、7日以内、8日以内、9日以内、10日以内等)。此れは、可能性として膨大な数の患者特異的な且つ生物学的に妥当なPMOSに依る急速な試験を許し、此れは、癌処置計画等の患者の治療を開発及び展開する上で重大な時間を節約し得る。
【0039】
本明細書に記載されるPMOSは三次元(3D)細胞構造を急速に形成し、此れ等は複製し、3D腫瘍微小環境等の其れ等が生検された組織環境に対応する。本明細書に記載されるPMOSは「液滴」とも又言われ得る。各PMOSは、更に、例えば、流体マトリックス材料の一部として、元々の組織(例えば腫瘍)環境に擬態し得る成長因子及び構造蛋白質(例えば、コラーゲン、ラミニン、ニドゲン等)を包含し得る。何れかの腫瘍組織を包含する何れかの初代細胞組織が使用され得る。例えば、現在まで、試験された全ての腫瘍の型及び部位はPMOSを首尾良く産生している(例えば、100%の現行の成功率、n=32。肝臓、大網膜、及び横隔膜を包含する原発部位又は転移部位からの結腸、食道、皮膚(メラノーマ)、子宮、骨(肉腫)、腎臓、卵巣、肺、及び乳部の癌を包含する)。マイクロオルガノスフェア(micro-organopheres)を首尾良く作製する為に使用される組織の型は、他の箇所から転移し得る。幾つかの変形では、本明細書に記載されるPMOSは、穿刺吸引物(FNA)から又は循環腫瘍細胞(CTC)から、例えば液体生検から成長させられ得る。増殖及び成長は典型的には3~4日程も少しで見られ、PMOSは数ヶ月に渡って維持及び継代され得るか、又は其れ等は凍結保存及び/若しくは即座にアッセイに使用され得る(例えば、最初の7~10日以内)。
【0040】
更に、PMOSを形成する方法が本明細書に記載される。参照は図3に示される一般化された概略図であり、点線の枠は任意である。一般的に、此れ等の方法は、癌/異常組織細胞(calls)及び正常組織細胞を包含するが此れ等に限定されない解離した初代組織細胞を液体マトリックス材料と組み合わせて、未重合の材料を形成する事と、其れから、未重合の材料を重合して、解離した初代組織細胞が分配される直径が典型的には約1000μm未満(例えば、約900μm未満、約800μm未満、約700μm未満、約600μm未満、特に約500μm未満)であるマイクロオルガノスフェアを形成する事とを包含する。マイクロオルガノスフェア当たりの解離した細胞数は、上で言及された通り所定の範囲内であり得る(例えば、約1及び約500細胞の間、約1~200細胞の間、約1~150細胞の間、約100細胞の間、約1~75細胞の間、約1~50細胞の間、約1~30細胞の間、約1~20細胞の間、約1~10細胞の間、約5~15細胞の間、約20~30細胞の間、約30~50細胞の間、約40~60細胞の間、約50~70細胞の間、約60~80細胞の間、約70~90細胞の間、約80~100細胞の間、約90~110細胞の間等であって、約1細胞、約10細胞、約20細胞、約30細胞、約40細胞、約50細胞、約60細胞、約70細胞等を包含する)。此れ等の方法の何れかは、例えばサイズの狭い分布を有する繰り返し精度有るサイズのマイクロオルガノスフェアを産生する様に本明細書に記載される通り構成され得る。
【0041】
解離した細胞は新しく生検され得、機械的及び/又は化学的解離(例えば、1つ以上の酵素、例えばコラゲナーゼ、トリプシン等を使用する事に依る酵素的な解凝集)を包含する何れかの適当な様式で解離させられ得る。解離した細胞は任意に処置、セレクション、及び/又は改変され得る。例えば、細胞は、1つ以上の特徴(例えば、サイズ、形態等)を有する細胞を同定及び/又は単離する為にソーティング又はセレクションされ得る。細胞は(例えば1つ以上のマーカーに依って)マーキングされ得、此れはセレクションを助ける為に使用され得る。幾つかの変形では、細胞は、マイクロ流体力学的なセルソーティング、蛍光活性化セルソーティング、磁気活性化セルソーティング等を包含するが此れ等に限定されない公知のセルソーティングテクノロジーに依ってソーティングされ得る。代替的には、細胞はソーティング無しで使用され得る。
【0042】
幾つかの変形では、解離した細胞は1つ以上の薬剤に依る処置に依って改変され得る。例えば、細胞は遺伝子改変され得る。幾つかの変形では、細胞はCRISPR-Cas9又は他の遺伝子編集技術を使用して改変され得る。幾つかの変形では、細胞は、プラスミド、RNA、siRNA等に依るトランスフェクションを包含する何れかの適当な方法(例えば、エレクトロポレーション、セルスクイージング、ナノ粒子インジェクション、マグネトフェクション、化学的トランスフェクション、ウイルストランスフェクション等)に依ってトランスフェクションされ得る。代替的には、細胞は改変無しで使用され得る。
【0043】
未重合の混合物は、解離した細胞及び流体(例えば液体)マトリックス材料を含み得るか、其れ等から成り得るか、又は本質的に其れ等から成り得る。未重合の混合物は更に少なくとも1つの追加の材料を包含し得る。例えば、少なくとも1つの追加の材料は、支持細胞を包含する追加の細胞又は組織の型を包含し得る。追加の細胞又は組織は、異なる生検(例えば、異なる解離した組織からの初代細胞)及び/又は培養細胞を起源とし得る。追加の細胞は例えば免疫細胞、間質細胞、内皮細胞等であり得る。少なくとも1つの追加の材料は、培地(例えば、成長培地、凍結培地等)、成長因子、支持ネットワーク分子(例えば、コラーゲン、糖蛋白質、細胞外マトリックス等)、又は同類を包含し得る。幾つかの変形では、少なくとも1つの追加の材料は薬物組成物を包含し得る。幾つかの変形では、未重合の混合物は解離した組織サンプル(例えば、初代細胞)及び流体マトリックス材料のみから成る。方法は、約500超の患者由来マイクロオルガノスフェアが生検当たり形成される様にして(例えば、約600超、約700超、約800超、約900超、約1000超、約2000超、約2500超、約3000超、約4000超、約5000超、約6000超、約7000超、約8000超、約9000超、約10,000超、約11,000超、約12,000超等)、単一の組織生検から複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを急速に形成し得る。生検は、標準サイズの生検、例えば18G(例えば、14G、16G、18G等)コア生検であり得る。例えば、生検に依って取り除かれ、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する為に使用される組織の体積は、約1/32及び1/8インチの間の直径且つ約3/4インチから1/4インチ長の(生検針に依って取られた)小さい円柱、例えば約1/16インチ直径掛ける1/2インチ長の円柱であり得る。生検は針生検に依って、例えばコア針生検に依って取られ得る。幾つかの変形では、生検は穿刺吸引に依って取られ得る。使用され得る他の生検の型は、シェーブ生検、パンチ生検、切開生検、切除生検、及び同類を包含する。典型的には、単一の患者生検からの材料は、本明細書に記載される通り複数(例えば、約2000超、約5000超、約7500超、約10,000超等)の患者由来マイクロオルガノスフェアを作製する為に使用され得る。
【0044】
複数の患者由来マイクロオルガノスフェアは、本明細書に記載される通り此の多数の高度に一定の(サイズ、細胞数等)マイクロオルガノスフェアを作製する様に構成され得る装置(本明細書に記載される通り)を使用して形成され得る。幾つかの変形では、此れ等の方法及び装置は複数のマイクロオルガノスフェアを急速な速度で作製し得る(例えば、分当たり約1マイクロオルガノスフェア超、10秒当たり約1マイクロオルガノスフェア超、5秒当たり約1マイクロオルガノスフェア超、2秒当たり約1マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約1マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約2マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約3マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約4マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約5マイクロオルガノスフェア超、秒当たり約10マイクロオルガノスフェア超、秒当たり50マイクロオルガノスフェア超、秒当たり100マイクロオルガノスフェア超、秒当たり125マイクロオルガノスフェア超等)。幾つかの変形では、此れ等の方法は、未重合の材料とは非相溶性である追加の材料(例えば液体材料)と未重合の混合物を組み合わせる事に依って行われ得る。方法及び装置は、未重合の混合物(即ち、解離した組織及び流体マトリックス)及び未重合の混合物とは非相溶性である追加の材料、例えば疎水性材料、油等の1つ以上の流動を少なくとも部分的にコントロールする事に依って、マイクロオルガノスフェアのサイズ及び/又は細胞密度をコントロールし得る。例えば、幾つかの変形では、此れ等の方法はマイクロ流体力学装置を使用して行われ得る。幾つかの変形では、複数のマイクロオルガノスフェアが並列で形成され得る(例えば、並列で2、並列で3、並列で4等)。拠って、同じ装置が複数の並列のチャネルを包含し得、此れ等は、未重合の材料の同じソース、又は解離した初代組織の同じソース及び/若しくは流体マトリックスの同じソースに連結され得る。未重合の材料は、種々の異なる遣り方で患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する為に重合され得る。幾つかの変形では、方法は、温度を変化させる事(例えば、温度を閾値よりも上に上昇させる事。例えば、例えば約20℃超、約25℃超、約30℃超、約35℃超等)に依ってマイクロオルガノスフェアを重合する事を包含し得る。マイクロオルガノスフェアを作製する様に構成された他の装置が代替的に使用され得る事は当業者には了解される筈である。
【0045】
重合すると、患者由来マイクロオルガノスフェアは例えば培養に依って成長する事を許され得、及び/又は培養の前若しくは後何方かにアッセイされ得、及び/又は培養の前若しくは後何方かに凍結保存され得る。患者由来マイクロオルガノスフェアは何れかの適当な長さの時間に渡って培養され得るが、特に、1日及び10日の間に渡って培養され得る(例えば、1日及び9日の間、1日及び8日の間、1日及び7日の間、1日及び6日の間、3日及び9日の間、3日及び8日の間、3日及び7日の間等)。幾つかの変形では、患者由来マイクロオルガノスフェアは6継代よりも前に凍結保存又はアッセイされ得る。此れは患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞の不均質性を保存し得る;継代数を限定する事は、より高速で分裂する細胞がより低速で分裂する細胞を置き去りにする事を防止し得る(例えば図2を参照)。
【0046】
一般的に、同じ患者生検はより高い細胞数を提供し得るので(例えば、2,000超、3,000超、4,000超、5,000超、6,000超、7,000超、8,000超、9,000超、10,000超等)、患者由来マイクロオルガノスフェアの幾らかの部分は凍結保存され得(例えば、少なくとも50%)、幾らかは培養及び/又はアッセイされる。より詳細に本明細書に記載されるであろう通り、凍結保存された患者由来マイクロオルガノスフェアは貯蔵され、後で使用(例えば、アッセイ、継代等)され得る。
【0047】
従って、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する方法が本明細書に記載される。例えば、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する方法は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて未重合の混合物を形成する事と;未重合の混合物の複数の液滴を形成する事と;液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有する複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事とを包含し得る。
【0048】
複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する方法の或る実施形態は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて未重合の混合物を形成する事と;未重合の混合物の連続的な流れから複数の液滴を形成し、液滴がサイズの25%未満の変動を有する事と;加温に依って液滴を重合して、各患者由来マイクロオルガノスフェアの中に分配された1及び200の間の解離した細胞を其々が有する複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事とを包含し得る。別の実施形態では、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する為の方法は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて未重合の混合物を形成する事と;未重合の混合物とは非相溶性である流体の1つ以上の流れと未重合の混合物の流れを合流させる事に依って、液滴のサイズの25%未満の変動を有する複数の液滴を形成する事と;液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を有する複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事と;非相溶性である流体から複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを分離する事とを包含し得る。此れ等の方法の何れかは、液滴を形成する事に先立って、解離した組織サンプル中の細胞を改変する事を包含し得る。
【0049】
複数の液滴を形成する事は、サイズの約25%未満の変動を有する一様なサイズの未重合の混合物の複数の液滴を形成する事を含み得る(例えば、サイズの約20%未満の変動、サイズの約15%未満の変動、サイズの約10%未満の変動、サイズの約8%未満の変動、サイズの約5%未満の変動等)。サイズの変動は、狭い分布のサイズの変動としても又記載され得る。例えば、サイズの分布は、低い標準偏差(例えば、15%以下の標準偏差、12%以下の標準偏差、10%以下の標準偏差、8%以下の標準偏差、6%以下の標準偏差、5%以下の標準偏差等)を有する患者由来マイクロオルガノスフェアのサイズ分布(例えば、形成されるマイクロオルガノスフェア数に対するマイクロオルガノスフェア直径)を包含し得る。
【0050】
此れ等の方法の何れかは、患者由来マイクロオルガノスフェアをプレーティング又は分配する事をも又包含し得る。例えば、幾つかの変形では、方法は、種々のソースからの患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイに先立って容器に組み合わせる事を包含し得る。例えば、マイクロオルガノスフェアはマルチウェルプレートに投入され得る。其れ故に、此れ等の方法の何れかは、患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイする事に先立って、患者由来マイクロオルガノスフェアをマルチウェルプレートに分注する事を包含し得る。1つ以上の(又は幾つかの変形では等量の)患者由来マイクロオルガノスフェアがウェル当たり包含され得る。幾つかの変形では、患者由来マイクロオルガノスフェアを容器に加える事は、チャンバー間の上清材料の循環を可能にする様に少なくとも部分的に透過性の膜に拠って分離されている複数のチャンバーに、マイクロオルガノスフェア(micro-organopsheres)を投入する事を包含し得る。此れは患者由来マイクロオルガノスフェアが同じ上清を共有する事を許し得る。
【0051】
何れかの適当な組織サンプルが、本明細書に記載される方法の何れかに使用され得る。幾つかの変形では、組織サンプルは転移腫瘍からの生検サンプルを含む。例えば、組織サンプルは臨床腫瘍サンプルを含み得る;臨床腫瘍サンプルは癌細胞及び間質細胞両方を含み得る。幾つかの変形では、組織サンプルは腫瘍細胞と:間葉系細胞、内皮細胞、及び免疫細胞の1つ以上とを含む。
【0052】
本明細書に記載される方法の何れかは、初めに、組織生検からの解離した細胞を一様に又は幾つかの変形では非一様に流体マトリックス材料の中に何れかの適当な濃度で分配する事を包含し得る。例えば、幾つかの変形では、本明細書に記載される方法は、解離した組織細胞が1×10細胞/ml未満(例えば、9×10細胞/ml、7×10細胞/ml、5×10細胞/ml、3×10細胞/ml、1×10細胞/ml、9×10細胞/ml、7×10細胞/ml、5×10細胞/ml未満等)の密度で流体マトリックス材料の中に分配される様にして、解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせる事を包含し得る。
【0053】
一般的に、液滴を形成する事は、未重合の混合物の連続的な流れから液滴を形成する事を含み得る。例えば、液滴を形成する事は、未重合の混合物とは非相溶性である流体の1つ以上の合流する流れを、未重合の混合物の流れに加える事を含み得る。流れは、マイクロ流体力学デバイス、例えば、其の中に未重合の混合物及び非相溶性の流体が相互作用して精密にコントロールされた体積を有する液滴を形成する、複数の合流するチャネルを有するデバイス上で組み合わせられ得る。幾つかの変形では、液滴は過剰な非相溶性の材料の中で形成され(例えば、ピンチオフされ)、液滴は同時的に及び/又は爾後に重合されて患者由来マイクロオルガノスフェアを形成し得る。例えば、流れが合流する領域は、液滴が形成された後に例えば加熱に依って未重合の混合物を重合する様に構成され得、及び/又は下流の領域が、液滴が形成され、非相溶性の材料に依って取り囲まれた後に、未重合の混合物を重合する様に構成され得る。幾つかの変形では、非相溶性の材料は、未重合の材料の重合を促進する温度に加熱(又は代替的には冷却)され、患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する。例えば、重合は液滴を35℃超に加熱する事を含み得る。
【0054】
其れ故に、此れ等の方法の何れかでは、液滴を形成する事は、未重合の混合物とは非相溶性である流体の中に液滴を形成する事を包含し得る。更に、此れ等の方法の何れかは、患者由来マイクロオルガノスフェアから非相溶性の流体を分離する事を包含し得る。例えば、此れ等の方法の何れかは、患者由来マイクロオルガノスフェアから非相溶性の流体を取り除く事を包含し得る。一般的に、非相溶性の流体は液体(例えば、油、ポリマー等)を包含し得、特に、未重合の(例えば水系の)材料とは非相溶性である疎水性材料又は他の材料を包含する。
【0055】
流体マトリックス材料は合成の又は非合成の未重合の基底膜材料であり得る。幾つかの変形では、未重合の基底材料はポリマーハイドロゲルを含み得る。幾つかの変形では、流体マトリックス材料はマトリゲルを含み得る。其れ故に、解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせる事は、解離した組織サンプルを基底膜マトリックスと組み合わせる事を含み得る。
【0056】
組織サンプルは、患者から組織サンプルを取り除いてから6時間以内に又はより早く流体マトリックス材料と組み合わせられ得る(例えば、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、約1時間以内等)。
【0057】
患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイ又は保存する方法も又、本明細書に記載される。例えば、本明細書に記載される方法の或る実施形態は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事と;液滴のサイズの25%未満の変動を有する未重合の混合物の複数の液滴を形成する事と;液滴を重合して、1及び1000の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び700μmの間の直径を有する複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事と;複数の患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイ又は凍結保存する事とを包含し得る。
【0058】
幾つかの変形では、本明細書に記載される方法の或る実施形態は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて未重合の混合物を形成する事と;未重合の混合物の複数の液滴を形成する事と;液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有する複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事と;15日以内に複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを凍結保存又はアッセイする事とを包含し得、マイクロオルガノスフェアは、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞に対する1つ以上の薬剤の効果を決定する為にアッセイされる。
【0059】
本明細書に記載される方法の別の実施形態は:解離した組織サンプル及び流体マトリックス材料を組み合わせて、未重合の混合物を形成する事と;未重合の混合物とは非相溶性である流体の1つ以上の流れと未重合の混合物の流れを合流させる事に依って、液滴のサイズの25%未満の変動を有する複数の液滴を形成する事と;加温に依って液滴を重合して、1及び200の間の解離した細胞が其の中に分配された50及び500μmの間の直径を其々が有する患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事と;患者由来マイクロオルガノスフェアを6継代よりも前にアッセイ又は凍結保存する事とを包含し得、其れに依って、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞の不均質性が維持され、アッセイは、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞に対する1つ以上の薬剤の効果を決定する為のアッセイを含む。
【0060】
此れ等の方法の何れかでは、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアは6継代よりも前に凍結保存又はアッセイされ得、其れに依って、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞の不均質性が維持される。此れ等の方法の何れかは、更に、液滴を形成する事に先立って解離した組織サンプル中の細胞を改変する事を包含し得る。液滴を形成する事は、サイズの約25%未満の変動(例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約7%未満、約5%未満等)を有する一様なサイズの未重合の混合物の複数の液滴を形成する事を包含し得る。
【0061】
此れ等の方法の何れかでは、患者由来マイクロオルガノスフェアがアッセイされ得る。アッセイは、一般的には、薬物組成物が患者由来マイクロオルガノスフェアの細胞に対する効果を有するかどうか及び如何なる効果を薬物組成物が患者由来マイクロオルガノスフェアに対して有するかを決定する為の条件(例えば、薬物組成物)に、個々の患者由来マイクロオルガノスフェアを暴露又は処置する事を包含し得る。アッセイは、患者由来マイクロオルガノスフェアのサブセットを(個々に又は群として)薬物組成物の1つ以上の濃度に暴露する事を包含し得る。例えば、1つの実施形態では、アッセイは、患者由来マイクロオルガノスフェアが所定の時期(例えば、数分、数時間、数日等)に渡って薬物組成物に暴露された儘である事を許し、任意に薬物組成物を取り除き、其れから、患者由来マイクロオルガノスフェアを所定の時期に渡って培養する事を包含する。其の後に、患者由来マイクロオルガノスフェアは、特に患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞に対する傷害性又は患者由来マイクロオルガノスフェアの中の細胞の形態及び/若しくは成長の変化を包含する何れかの効果を同定する為に検査され得る。幾つかの変形では、アッセイは、患者由来マイクロオルガノスフェア中の生又は固定細胞を(例えば免疫組織化学に依って)マーキングする事を包含し得る。細胞はマニュアル的に又は自動的にアッセイ(例えば検査)され得る。例えば、細胞は、自動読み取り装置を使用して何れかの傷害性(細胞死)を決定する為に検査され得る。幾つかの変形では、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイする事は、患者由来マイクロオルガノスフェアの上清、環境、及び微小環境の1つ以上を分泌因子及び他の効果に就てサンプリングする事を包含し得る。此れ等の変形の何れかでは、患者由来マイクロオルガノスフェアは、アッセイ後に、爾後の検査の為の更なるアッセイ、拡大培養、又は保存(例えば、凍結保存、固定等)の為に回収され得る。
【0062】
言及された通り、実質的に何れかのアッセイが使用され得る。例えば、ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオミクス、又はメタゲノムマーカー(例えばメチル化)が本明細書に記載されるPMOSを使用してアッセイされ得る。其れ故に、本明細書に記載される此れ等の組成物及び方法の何れかは、例えばエクソソームを包含する1つ以上のマーカー及び生物学的/生理学的経路を同定又は検査する為に使用され得る。此れは患者処置の為の薬物及び/又は治療を同定する事を支援し得る。
【0063】
此れ等の方法の何れかは、上で言及された通り適当な長さの時間に渡って患者由来マイクロオルガノスフェアを培養する事(例えば、アッセイ前に2~14日の間に渡って患者由来マイクロオルガノスフェアを培養する事)を包含し得る。例えば、此れ等の方法は、培養前に患者由来マイクロオルガノスフェアから非相溶性の流体を取り除く事を包含し得る。幾つかの変形では、患者由来マイクロオルガノスフェアを培養する事は、患者由来マイクロオルガノスフェアを懸濁培養する事を含む。一般的に、患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイする事は、患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイ又は凍結保存する前に及び/又は後に、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞をゲノム、トランスクリプトーム、エピゲノム、及び/又は代謝分析する事を含み得る。此れ等の方法の何れかは、患者由来マイクロオルガノスフェアを薬物(例えば、薬物組成物)に暴露する事に依って患者由来マイクロオルガノスフェアをアッセイする事を包含し得る。
【0064】
此れ等の方法の何れかでは、アッセイは、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞に対する1つ以上の薬剤の効果をマニュアル的に及び/又は自動的に何方かで視覚的にアッセイする事を含み得る。此れ等の方法の何れかは、視覚化の為に患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞をマーキング又は標識する事を包含し得る。例えば、アッセイは、細胞に対する1つ以上の薬剤の効果を蛍光アッセイする事を包含し得る。
【0065】
本明細書に記載される患者由来マイクロオルガノスフェアは、其れ等自体新規であり、組成物としてキャラクタリゼーションされ得る。例えば、組成物は、複数の凍結保存された患者由来マイクロオルガノスフェアを含み得、各患者由来マイクロオルガノスフェアが、50μm及び500μmの間の直径を有する実質的に球形状を有し、重合した基礎材料と、6回未満継代されている基礎材料の中に分配された約1及び1000の間の解離した初代細胞とを含み、其れに依って、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞の不均質性が維持される。
【0066】
複数の凍結保存された患者由来マイクロオルガノスフェアを含む組成物も又本明細書に記載され、各患者由来マイクロオルガノスフェアが、50μm及び500μmの間の直径を有する実質的に球形状を有し、患者由来マイクロオルガノスフェアがサイズの25%未満の変動を有し、各患者由来マイクロオルガノスフェアが、重合した基礎材料と、6回未満継代されている基礎材料の中に分配された約1及び500の間の解離した初代細胞とを含み、其れに依って、患者由来マイクロオルガノスフェア中の細胞の不均質性が維持される。
【0067】
初代細胞は初代腫瘍細胞であり得る。例えば、解離した初代細胞は遺伝学的に又は生化学的に改変され得る。複数の凍結保存された患者由来マイクロオルガノスフェアは、サイズの25%未満の変動を有する一様なサイズを有し得る。幾つかの変形では、複数の凍結保存された患者由来マイクロオルガノスフェアは、種々のソースからの患者由来マイクロオルガノスフェアを含み得る。此れ等のマイクロオルガノスフェアの何れかでは、各マイクロオルガノスフェア中の細胞の大半は、幹細胞ではない細胞を含み得る。幾つかの変形では、初代細胞は転移腫瘍細胞を含む。初代細胞は癌細胞及び間質細胞両方を含み得る。幾つかの変形では、初代細胞は、腫瘍細胞と:間葉系細胞、内皮細胞、及び免疫細胞の1つ以上とを含む。初代細胞は、例えば5×10細胞/ml、1×10細胞/ml、9×10細胞/ml、7×10細胞/ml、5×10細胞/ml、1×10細胞/ml、9×10細胞/ml、7×10細胞/ml、5×10細胞/ml、1×10細胞/ml未満等の密度で、重合した基礎材料の中に分配され得る。
【0068】
一般的に、重合した基礎材料は基底膜マトリックス(例えばマトリゲル)を含み得る。幾つかの変形では、重合した基礎材料は合成材料を含む。
【0069】
マイクロオルガノスフェアは、50μm及び1000μmの間、又はより好ましくは50μm及び700μmの間、又はより好ましくは50μm及び500μmの間、又は50μm及び400μmの間、又は50μm及び300μmの間、又は50μm及び250μmの間等の直径を有し得る(例えば、約500μm未満、約400μm未満、約300μm未満、約250μm未満、約200μm未満等)。
【0070】
言及された通り、本明細書に記載される患者由来マイクロオルガノスフェアは、初めに各患者由来マイクロオルガノスフェア中に何れかの適当な数の初代組織細胞、例えば約200初代細胞未満、又はより好ましくは約150初代細胞未満、又はより好ましくは約100初代細胞未満、又はより好ましくは約75初代細胞未満、又は約50細胞未満、又は約30細胞未満、又は約25細胞未満、又は約20細胞未満、又は約10細胞未満、又は約5細胞未満等を包含し得る。幾つかの変形では、各患者由来マイクロオルガノスフェアは、約1及び500細胞の間、約1~400細胞の間、約1~300細胞の間、約1~200細胞の間、約1~150細胞の間、約1~100細胞の間、約1~75細胞の間、約1~50細胞の間、約1~30細胞の間、約1~25細胞の間、約1~20細胞の間等を包含する。
【0071】
患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する為の装置、及び患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する為に此れ等の装置を作動させる方法も又本明細書に記載される。例えば、患者由来マイクロオルガノスフェア形成装置を作動させる方法が本明細書に記載され:第1のポートに於いて、解離した組織サンプル及び第1の流体マトリックス材料の冷えた混合物を含む未重合の混合物を受け入れる事と;第2のポートに於いて、未重合の混合物とは非相溶性である第2の流体を受け入れる事と;第2の流体の1つ以上の流れと未重合の混合物の流れを組み合わせて、25%未満だけ変動する一様なサイズを有する未重合の混合物の液滴を形成する事と;未重合の混合物の液滴を重合して複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事とを含む。
【0072】
患者由来マイクロオルガノスフェア形成装置を作動させる方法の或る実施形態は:第1のポートに於いて、解離した組織サンプル及び第1の流体マトリックス材料の冷えた混合物を含む未重合の混合物を受け入れる事と;第2のポートに於いて、未重合の混合物とは非相溶性である第2の流体を受け入れる事と;第1の速度の未重合の混合物の流れを第2の速度の第2の流体の1つ以上の流れと組み合わせて、25%未満だけ変動する一様なサイズを有する未重合の混合物の液滴を形成し、液滴が50μm及び500μmの間の直径である事と;未重合の混合物の液滴を重合して複数の患者由来マイクロオルガノスフェアを形成する事とを包含し得る。
【0073】
此れ等の方法の何れかは、未重合の混合物を含有する第1のリザーバを第1のポートと流体連通で連通接続する事を包含し得る。此れ等の方法の何れかは、更に、解離した組織サンプル及び第1の流体マトリックス材料を組み合わせて未重合の混合物を形成する事を包含し得る。幾つかの変形では、方法は、第1のポートと流体連通した第1のリザーバに未重合の混合物を追加する事を包含する。此れ等の方法は、第2の流体を含有する第2のリザーバを第2のポートと流体連通で連通接続する事を包含し得る。此れ等の方法の何れかは、更に、第2のポートと流体連通した第2のリザーバに第2の流体を追加する事を包含し得る。幾つかの変形では、第2の流体を受け入れる事は、油を受け入れる事を含む。流れを組み合わせる事は、第2の流量で移動している第2の流体の1つ以上の流れを横切って第1の流量で未重合の混合物の流れを駆動する事を含み得る。幾つかの変形では、第1の流量は第2の流量超である。材料(例えば未重合の混合物)の流量及び/又は量の何方か又は両方は、第2の流体よりも小さい量で存在し得る。其の結果、未重合の混合物が本明細書に記載される通り精密にコントロールされた液滴中に内包され、其れから、此れは例えば第2の流体中に於いて重合され得る。幾つかの変形では、流れを組み合わせる事は、第2の流体の1つ以上の流れも又合流する合流部を横切って未重合の混合物の流れを駆動する事を含む。液滴を重合する事は、未重合の材料が重合する温度超(例えば、約25℃超、約30℃超、約35℃超等)に液滴を加熱する事を含み得る。1つの実施形態では、液滴マイクロオルガノスフェア形成アセンブリが使用され、前記のアセンブリは、第1の流体マトリックス材料及び第2の流体の流れを形成及びコントロールし且つ実際の液滴を形成する1つ以上のマイクロ流体力学チップ又は構造を包含する。
【0074】
一般的に、此れ等の方法は、更に、複数の患者由来マイクロオルガノスフェアから第2の流体(例えば、非相溶性の流体)を分離する事を包含し得る。此の流体はマニュアル的に又は自動的に分離され得る。例えば、第2の(非相溶性の)流体は洗浄、濾過、又は何れかの他の適当な方法に依って取り除かれ得る。
【0075】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載される通り、此れ等の方法は、更に、ハイスループットな且つ急速な様式で更なる分析の為の応答エフェクター免疫細胞及び/又は腫瘍細胞を単離、凍結、及び保存する事を含む。
【0076】
更に別の態様では、力価を測定する為の免疫細胞傷害性(MOSAIC)アッセイの為のマイクロオルガノスフェアアッセイが記載され、MOSAICアッセイ及び其れを使用する方法は、マッチした腫瘍細胞PMOSに対するエフェクター免疫細胞の傷害性を定量する為に使用され得る。例えば、1つの実施形態では、MOSAICアッセイは、マッチした腫瘍細胞PMOSに対する急速拡大培養期TILの傷害性を包含するTILの細胞傷害性を定量する為に使用され得る。マッチしたエフェクター免疫細胞と腫瘍細胞PMOSを蛍光色素、例えばアネキシンVグリーンの存在下で培養する事に依って、免疫に依って誘導される腫瘍細胞アポトーシスが定量及びイメージングされ得る。アッセイのゴールは、免疫療法のレスポンダー及び非レスポンダーを識別し得る診断アッセイを提供する事、免疫細胞に依る腫瘍殺害を同定及び定量する事、並びに患者由来腫瘍液滴オルガノイド及びマッチしたTILからの高速の且つ再現性有るアッセイを包含するが、此れ等に限定されない。
【0077】
MOSAICアッセイ及び其れを使用する方法は、本明細書に記載される何れかの方法に依って産生された腫瘍細胞PMOS及びエフェクター免疫細胞を好適な培地に依って共培養する事を含む。或る実施形態では、腫瘍細胞PMOS及びエフェクター免疫細胞はマッチしている。別の実施形態では、エフェクター免疫細胞はTILを含み、腫瘍細胞PMOS及びTILはマッチしている。更に別の実施形態では、エフェクター免疫細胞は急速拡大培養期(REP)TILを含み、REPTIL及び腫瘍細胞PMOSはマッチしている。急速拡大培養期TILは、TILを放射線照射済PBMCフィーダー細胞又はTransActT細胞活性化試薬に付す事に依って得られ得る。追加して、IL-2等のサイトカインがT細胞を活性化する為に使用され得る。アッセイは、エフェクター免疫細胞に依るアポトーシス及び細胞死をリアルタイムで定量する為に蛍光色素、例えば細胞内蛍光色素の存在下で実施される。蛍光色素は、アネキシンVグリーン、カスパーゼ3/7、Cytotox、Cytotoxレッド、Cytolightレッド、オレンジカラー、又は近赤外カラー色素を包含するが、此れ等に限定されない。リアルタイムイメージングの為の蛍光顕微鏡の使用は当分野に於いて周知である。1つの変形では、Incucyteデバイスがリアルタイムのイメージングの為に使用され得る。例えば、共培養はウェルプレート(例えば、96ウェルプレート)上で行われ得、蛍光画像が経時的に得られ得る。アッセイ方法は、更に、当業者には理解される通り、ベースラインアポトーシスを培地条件の関数として測定する事を含み得る。
【0078】
有利には、MOSAICアッセイは、本明細書に記載される何れかの方法に従って産生された腫瘍細胞PMOSが好適な培地に依ってエフェクター免疫細胞の存在下で少なくとも1つの薬物に依って処置される組み合わせ条件で使用され得る。或る実施形態では、腫瘍細胞PMOS及びエフェクター免疫細胞はマッチしている。別の実施形態では、エフェクター免疫細胞はTILを含み、腫瘍細胞PMOS及びTILはマッチしている。アッセイは、エフェクター免疫細胞に依るアポトーシス及び細胞死をリアルタイムで定量する為に蛍光色素の存在下で実施される。
【0079】
MOSAICアッセイに於いて、腫瘍細胞PMOS及びエフェクター免疫細胞はマッチしているか又は自家であるとして開示されている。然し乍ら、其れ等がマッチしていないか又は自家ではない場合が有り得る事が企図される事は当業者には了解される筈である。
【0080】
本開示の別の態様は、本明細書に於いて記載及び例解される全てを提供する。
【実施例
【0081】
次の例は限定としてではなく例解として提供される。
【0082】
例1
本開示は、部分的には、(液滴オルガノイドに基づく癌免疫学アッセイ;DOIOA)と称されるテクノロジーを提供し、此れは患者由来マイクロオルガノスフェアを作製する為に液滴マイクロ流体力学を活用する(図4を参照)。1つの実施形態に従うと、此れ等のPMOSは1週以内の使用可能性に合わせて作製及び培養され、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を試験する為に、アプリオリに操作されるか又は腫瘍細胞から単離及び拡大培養されるマッチした免疫浸潤T細胞と共培養される。アッセイはリアルタイムの生細胞イメージングに極めて適し、免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を同定する為の明確な確立された焦点面を有する事と、免疫細胞が直ちにマトリゲル液滴に浸透し得る事とが観察された(図2を参照)。事実、バルクのオルガノイド系を肺癌PMOSと比較すると、バルクのオルガノイド系よりもPMOS系では、72時間の間にPBMCに依るマトリゲルの有意に多い浸潤がある事が、驚く可き事に発見された(図5を参照)。
【0083】
PMOS中のアポトーシス/細胞死が、アネキシンVグリーン(アポトーシス)及びCytotoxレッド(細胞死)等の細胞内色素を使用してリアルタイムでモニタリングされ得る。例えば、アポトーシス及び細胞死が図6から見られ得、MHC非拘束性の急性Tリンパ芽球性白血病CD8+T細胞(TALL-104)が細胞内色素の存在下でCRCオルガノイドと共培養されている。図6では、白色矢印はTALL-104細胞であり、黒色矢印はPMOSである。細胞内色素を使用して、PMBCは肺腫瘍PMOSを殺害する事が示された(データは示さない)。代替的な色素は、アポトーシスの為のカスパーゼ3/7及びCytotox並びに細胞死の為のCytolightレッドを包含するが、此れ等に限定されない。
【0084】
アポトーシス及び細胞死の為の蛍光色素を使用して、DOIOAは免疫細胞に依る腫瘍細胞殺害を確かに定量し得る(図7を参照)。共培養からのアポトーシス(緑色)シグナルの定量は、腫瘍細胞のCAR-Tに依って誘導されるアポトーシスを確認する。PBMCとHER2+CRC及びCAR-Tと野生型CRCに対する実験条件に於けるアポトーシスのより高い率及びエンドポイントは、此のイメージングアッセイが其れ等の違いに対して高感度であり、アポトーシス及び誘導される細胞死の間の違いを適切に同定及び定量し得る事を示す。
【0085】
PMOS作製の為に要求される小さい腫瘍細胞数を考慮すると、此のアッセイは、腫瘍細胞殺害を同定する為に要求されるエフェクター免疫細胞数をも又最小化する。HER2発現CRC液滴オルガノイド(mCherryレポーターを発現する)に対するCAR-T系を使用して、DOIOAは対応するHER2+CRC細胞のCAR-T特異的な殺害を同定及び定量し得る事が示された(図9を参照)。48時間の間にIncuCyteS3に依って取られた画像は、HER2発現CRC液滴オルガノイドのCAR-T特異的な殺害とHER2発現CRC液滴オルガノイドに対する非特異的なPBMCに依る最小限の殺害との間の明確な違いを示す。免疫細胞の非存在下に於けるHER2+CRCのmCherryシグナルの増大はCRC細胞の生存率を実証する。
【0086】
追加して、マッチ腫瘍浸潤リンパ球(TIL)及び肺腫瘍オルガノイドをTIL力価の試験の為に培養し得る(図8を参照)。
【0087】
例2
本明細書に記載される通り、免疫細胞傷害性のマイクロオルガノスフェアアッセイ(MOSAIC)は、マッチした肺腫瘍PMOSに対する急速拡大培養期TILの細胞傷害性を定量する為に使用され得る。アネキシンVグリーンの存在下でマッチした急速拡大培養期TILと腫瘍PMOSを培養する事に依って、免疫に依って誘導される腫瘍細胞アポトーシスが定量及びイメージングされ得る。
【0088】
第1に、培地条件の関数としてのベースラインアポトーシスが図10に示される通り評価された。図11に示される通り、マッチしたTILが追加されると、腫瘍細胞の液滴浸潤及び殺害が観察された。
【0089】
有利には、PMOSは、腫瘍細胞及びT細胞の間の相互作用が調節され得る組み合わせの設定で使用され得る。此の実験では、肺腫瘍PMOSが、マッチしたTILの追加有りの抗PD1薬物のニボルマブに依って処置された。癌免疫学アッセイデータは、TILが追加された時に抗PD1が肺腫瘍PMOSを殺害する事を示唆した(図12B)。並行実験に於いて、ニボルマブ処置に依って増強される抗原特異的な殺害を評価する為に、MHC-I/IIブロック抗体が使用された。何故なら、文献は、MHC-I/IIがPD-1ブロックに依って媒介される自発的な抗腫瘍免疫に於いて重要な役割を演ずるという事を示唆するからである。PMOSがMHC-I/IIブロック抗体に依って処置される時には、先に観察された腫瘍殺害効果は消えた(図12A)。
【0090】
MOSAICアッセイの興味深い応用は、TIL製造プロセスの変更を査定する事及び最適なプロトコールを選択する事である。スコット・アントニア(Scott Antonia)及びセルラー・バイオメディシン・グループ(Cellular Biomedicine Group)(CBMG)との共同研究で、放射線照射済PBMCフィーダー細胞又はTransActT細胞活性化試薬の存在下で急速拡大培養期(REP)に成るTILが受け入れられた。同じ患者に由来する腫瘍PMOSと共培養される時に(実験当たり凡そ4000PMOS)、TransActに依って拡大培養されたTILは、従来の方法(放射線照射済PBMC)に依って拡大培養された物よりも腫瘍PMOSに対して細胞傷害性である(図13を参照)。此れはTILのより良好な製造プロセスの動機を与え得、其れ等の方法を検証する為の力価アッセイとしての用を成し得る。更に、図13は、細胞死がリアルタイムで定量され得るとの主張を支持する。各実験では、PMOSの量は実質的に同じであり、TILの量のみが変えられた。増大して行く量のTILでは、統計的に有意な増大した細胞死が有る事が明確である。
【0091】
例3
下に記載される通り、抗PD1抵抗性転移NSCLC患者の治験が、TIL養子T細胞療法(ACT)の使用を為し、力価アッセイの適中度を検討し得る。
【0092】
TILセレクション及び腫瘍凍結保存
腫瘍生検が数片に分割される。1つはTIL単離及び拡大培養用であり得る(REP前;腫瘍単細胞消化物をRPMI-1640又はImmunoCultヒトT細胞拡大培養培地に依って3000~6000U/mLのIL-2の存在下で培養する)。別の画分は、FBS+10%DMSO中で凍結保存され、力価アッセイの為の更なる使用迄LN2中で保存され得る。更に別の物はマイクロオルガノスフェア樹立及び培養に使用され得、其れに依って、マイクロオルガノスフェアはアッセイに於ける使用の前に凍結保存されるか、又はTILが直ちに試験出来る時には直接的に液滴中に内包される。
【0093】
腫瘍画分の解凍/液滴作製
腫瘍細胞は、哺乳類細胞を解凍する為の標準的な手続きに従って解凍され、癌/臓器の型に特異的な培地に依って培養され得る。計数後に、単細胞が液滴中に内包され、十分なサイズのマイクロオルガノスフェアが各液滴中に存在する迄成長させられる。此の時点で、TILとの共培養が行われ得る。
【0094】
力価アッセイ(共培養)
2日以上に渡ってRPMI-1640+10%FBS+3000U/mLのIL-2に依って培養又は解凍及び回収されたTILが、各ウェルが40~50液滴を含有する96ウェルプレートに播種される。マッチした腫瘍細胞に対するTILの力価のレシオメトリックな違いを同定する為に、エフェクター:標的比はアッセイ毎に変えられるであろう。培地は、何れかのY-27632(マイクロオルガノスフェア樹立を促進する為に使用されるが、又、アノイキスの阻害剤)無しの50%マイクロオルガノスフェア培地(臓器の型に依存する)及び50%TIL培地であり得る。多くのグループは異なる培地を使用するので、TIL培地は製造者に依存し得る。例えば、3~5%ヒト血小板ライセート有りの富士フイルム株式会社からのPrimeXVT細胞拡大培養XSFM、又はRPMI-1640+10%FBSが使用され得る。共培養に於けるIL-2の使用も又、文脈依存的である。TILのベースライン力価を試験する場合には、IL-2は共培養培地に追加されない。然し乍ら、抗原特異性が公知であるCAR-T又は別の操作されたT細胞を試験する時には、IL-2が共培養培地に使用され得る。イメージングがIncuCyteS3ハイスループット蛍光顕微鏡を使用して行われて、96ウェルプレートをイメージングし、2~3日の共培養の間に1~2時間毎にウェル当たり5つの画像を取り得る。此れ等の共培養は、本明細書に記載される通り細胞内色素の存在下であり得る。
【0095】
当業者は、本開示が、言及された目的を果たし、目標及び利点並びに其れ等に内在する物を得る為に良好に適合している事を直ちに了解するであろう。本明細書に記載される本開示は、好ましい実施形態の現在の代表であり、例示的であり、本開示の範囲に対する限定としては意図されない。其れ等の変更及び他の使用は当業者には思い浮かぶであろう。此れ等は請求項の範囲に依って定義される本開示の趣旨に包摂される。
【0096】
本明細書に於いて引用された何れかの非特許又は特許文献を包含する何れかの参照が先行技術に該当するとの如何なる自認も為されない。特に、別様に申し立てられない限り、本明細書に於ける何れかの文書の参照は、此れ等の文書の何れかが米国又は何れかの他の国に於ける当分野の一般常識の一部を形成するとの自認には該当しない事は理解されるであろう。参照の何れかの議論は、其れ等の著者が主張する事を申し立てており、出願人は、本明細書に於いて引用される文書の何れかの正確度及び妥当性に異議を唱える権利を保有する。明示的に別様に指示されない限り、本明細書に於いて引用される全ての参照は参照に依って完全に組み込まれる。引用される参照に見出される何れかの定義及び/又は記載の間に何れかの相違が有る場合には、本開示が優先される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】