(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】携帯型医療デバイスを装着している患者の装着コンプライアンスをモニタリングするシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20231128BHJP
A61B 5/276 20210101ALI20231128BHJP
A61B 5/349 20210101ALI20231128BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231128BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20231128BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20231128BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20231128BHJP
【FI】
A61N1/39
A61B5/276 100
A61B5/349
A61B5/11 200
A61B5/352
A61B5/33 120
A61B5/332
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520376
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021059604
(87)【国際公開番号】W WO2022108957
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、パイ
(72)【発明者】
【氏名】シムキエウィチュ、スティーブン、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボルペ、シェーン エス.
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ゲリー、エイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB32
4C038VB35
4C038VC20
4C053JJ18
4C053JJ23
4C127AA02
4C127BB03
4C127BB05
4C127DD03
4C127GG02
4C127GG16
(57)【要約】
患者装着コンプライアンス情報を提供するためのデバイス、システムおよび方法が提供される。例えば、医療デバイスは、外部から患者へ継続的に結合され、かつ、患者の皮膚上の電気活動をモニタリングするように構成された複数の電極を含む。システムは、患者の運動に基づく動き信号を生成するように構成された少なくとも1つの動きセンサも含む。システムは、モニタリングされた電気活動に基づく電気信号を受信すること、電気信号および動き信号に基づいて装着開始イベントを記録すること、患者が医療デバイスを装着していないことを示す電気信号および動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着終了イベントを記録すること、および記録された装着開始イベントおよび記録された装着終了イベントに基づいて、患者の装着コンプライアンスに関する情報を含むグラフィック表現を出力することを行うように構成されたプロセッサをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者装着コンプライアンス情報を提供するためのウェアラブル除細動器であって、
長期間にわたって外部から患者へ継続的に結合されるように構成された複数の電極であって、前記患者の皮膚上の電気活動をモニタリングし、モニタリングされた前記電気活動に基づく心不整脈の検出に応答して前記患者に治療用ショックを提供するように構成された、複数の電極;
前記患者の運動に基づく少なくとも1つの動き信号を生成するように構成された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路;および
前記複数の電極および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、
前記複数の電極からの前記患者の前記皮膚上の前記モニタリングされた電気活動に基づいて、少なくとも1つの電気信号を受信すること
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していることを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、装着開始イベントを記録すること
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していないことを示す前記少なくとも1つの電気信号または前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着終了イベントを記録すること、および
記録された前記装着開始イベントおよび記録された前記装着終了イベントに基づいて、前記患者の装着コンプライアンスに関する情報を含むグラフィック表現を出力すること
を行うように構成された、少なくとも1つのプロセッサ
を備える、ウェアラブル除細動器。
【請求項2】
前記装着開始イベントを記録することは、
前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出すること;
前記1または複数のECG信号が1または複数の有効性基準を満たしているかどうかを判定すること;および
前記1または複数のECG信号が前記1または複数の有効性基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記装着開始イベントを記録すること
を含む、
請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項3】
前記1または複数の有効性基準は、有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号から導出される少なくとも1つのECGパラメータを含む、請求項2に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項4】
前記少なくとも1つのECGパラメータは、Rピーク振幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、振幅閾値を各々が超える少なくとも5つの連続するRピーク振幅を識別することを含む、請求項3に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項5】
前記少なくとも1つのECGパラメータは、QRS複合幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、各々が0.05秒~0.15秒である少なくとも5つの連続するQRS複合幅を測定することを含む、請求項3に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号のうちの第1のECG信号に基づいて前記患者の装着コンプライアンスを判定するように構成されている、請求項3に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたディスプレイをさらに備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ディスプレイを介して、前記患者の装着コンプライアンスに関する出力情報に基づき前記患者の装着コンプライアンスの前記グラフィック表現を提供するように構成されている、前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたネットワークインタフェースをさらに備え、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者の装着コンプライアンスに関する前記情報をリモートサーバへ伝送するように構成されている、前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記少なくとも1つの電気信号に基づいて心電図(ECG)信号を検出すること;および
検出された前記ECG信号に基づく前記心不整脈の前記検出に応答して前記患者にECG信号治療用ショックを提供するよう前記ウェアラブル除細動器を制御すること
を行うように構成されている、
前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項10】
前記装着開始イベントを記録することは、
前記複数の電極のうちの1または複数における前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、皮膚-センサインタフェースのインピーダンスレベルを検出すること;
前記インピーダンスレベルが許容可能なインピーダンス範囲内にあるかどうかを判定すること;および
前記インピーダンスレベルが前記許容可能なインピーダンス範囲内にある場合、前記装着開始イベントを記録すること
を含む;および
記録装着終了イベントを記録することは、
前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないかどうかを判定すること、および
前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないとの判定に基づいて、前記装着終了イベントを記録すること
を含む
請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項11】
前記許容可能なインピーダンス範囲は、20オームから250オームまでの範囲、250オームから1キロオームまでの範囲および1キロオームから20キロオームまでの範囲のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項12】
前記装着開始イベントを記録することは、
前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示しているかどうかを判定すること;および
前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示している場合、前記装着開始イベントを記録すること
を含む、
請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示していない場合、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出すること;および
前記1または複数のECG信号の分析に基づいて、前記装着開始イベントを記録すること
を行うように構成されている、
請求項12に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記少なくとも1つの電気信号における1または複数のノイズ成分を検出すること;および
少なくとも1つの電気信号における前記1または複数のノイズ成分の分析に基づいて、前記患者の運動がないのを確認すること
を行うように構成されている、
請求項13に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項15】
前記装着開始イベントを記録することは、
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着している旨を指定する、前記患者からの入力を受信すること;および
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録すること
を含む、
請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項16】
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録することは、
前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着しているのを確認すること;および
前記装着開始イベントを記録すること
を含む、
請求項15に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項17】
前記装着終了イベントを記録することは、
無効なECG信号を示す前記少なくとも1つの電気信号の変化を検出すること;および
前記無効なECG信号に基づいて、前記装着終了イベントを記録すること
を含む、
前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項18】
前記装着終了イベントを記録することは、
前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースのインピーダンスレベルの変化を検出すること;
前記インピーダンスレベルがインピーダンス閾値を超えているかどうかを判定すること;および
前記インピーダンスレベルが前記インピーダンス閾値を超えている場合、前記装着終了イベントを記録すること
を含む、
前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項19】
前記インピーダンス閾値は、10キロオーム、100キロオーム、1メガオーム、2メガオーム、5メガオームまたは10メガオームのうちの1または複数を含む、請求項18に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項20】
前記装着終了イベントを記録することは、
前記複数の電極のうちの1または複数、または前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は前記ウェアラブル除細動器から切断されている、と判定すること;および
前記複数の電極のうちの1または複数、または前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は切断されている、と判定されると、前記装着終了イベントを記録すること
を含む、
請求項1から17のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項21】
前記装着終了イベントを記録することは、
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの動き信号の分析に基づいて検出すること;
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの電気信号が示しているのを確認すること;および
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したとの確認に基づいて、前記終了イベントを記録すること
を含む、
請求項1から17のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項22】
前記装着終了イベントを記録することは、
前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外している旨を指定する、前記患者からの入力を受信すること;および
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録すること
を含む、
請求項1から17のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項23】
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録することは、
前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を取り外したのを確認すること;および
前記装着終了イベントを記録すること
を含む、
請求項22に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項24】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
現在時刻を判定すること;および
前記少なくとも1つの動き信号、前記少なくとも1つの電気信号および前記現在時刻のうちの1または複数に基づいて、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を記録すること
を行うように構成されている、
前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項25】
前記現在時刻を判定することは、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを前記現在時刻に基づいて判定することを含む、請求項24に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項26】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者が前記現在時刻においてこれまで非アクティブ状態にある場合、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号に基づいて記録するように構成されている、請求項25に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者が前記現在時刻においてこれまでアクティブ状態にある場合、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて記録するように構成されている、請求項25に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項28】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを、前記ウェアラブル除細動器により記録される前記現在時刻および過去の患者活動情報に基づいて判定するように構成されている、請求項25に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項29】
前記グラフィック表現は、患者装着ノンコンプライアンスに対する患者装着コンプライアンスのインジケーションを含む、前述の請求項のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項30】
前記グラフィック表現は、前記患者についての装着コンプライアンスの記録された変化のインジケーションを含む、請求項1から28のいずれかに記載のウェアラブル除細動器。
【請求項31】
前記グラフィック表現は、記録された装着開始イベントおよび装着終了イベントを示すタイムラインを含む、請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項32】
前記タイムラインはさらに、ユーザ選択可能期間にわたる、前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていた合計時間および前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていなかった合計時間を示す、請求項31に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項33】
前記グラフィック表現は、装着開始イベント、装着終了イベントおよび前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していた期間のうちの1または複数についての記録されたECG情報へのアクセスを提供するように構成された1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールを含む、請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者の装着コンプライアンスの通知を出力するように構成されている、請求項1に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項35】
前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を出力することは、
前記患者の装着コンプライアンスを1または複数の通知基準と比較すること;および
前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記通知を出力すること
を含む、
請求項34に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項36】
前記1または複数の通知基準は、前記患者がある期間の特定の割合にわたって前記ウェアラブル除細動器の装着に失敗していることを含む、請求項35に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項37】
前記1または複数の通知基準は、コンプライアンス変化閾値を超える、前記患者の装着コンプライアンスの記録された変化を含む、請求項35に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項38】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を前記患者、前記患者に関連付けられたケア提供者または前記ウェアラブル除細動器の処方者のうちの1または複数へ出力するように構成されている、請求項34に記載のウェアラブル除細動器。
【請求項39】
患者により装着されたウェアラブル除細動器により記録される装着コンプライアンス情報を提供する方法であって、
少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の皮膚上のモニタリングされた電気活動に基づいて判定される少なくとも1つの電気信号を、前記少なくともプロセッサ上に動作可能に結合された複数の電極から受信する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の運動に基づく、かつ、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路により生成される少なくとも1つの動き信号を受信する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していることを示す前記少なくとも1つの電気信号または前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着開始イベントを記録する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していないことを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着終了イベントを記録する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、記録された前記装着開始イベントおよび記録された前記装着終了イベントに基づいて、前記患者の装着コンプライアンスのグラフィック表現を提供する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者のケア提供者または前記ウェアラブル除細動器の処方者のうちの1または複数から1または複数の通知基準を受信する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスおよび前記1または複数の通知基準を比較する段階;および
前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者、前記患者の前記ケア提供者または前記ウェアラブル除細動器の前記処方者のうちの1または複数へ通知を出力する段階
を備える、方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスに関する出力情報に基づく前記患者の装着コンプライアンスのグラフィック表現を、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたディスプレイに出力する段階をさらに備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスに関する前記情報を、ネットワークインタフェースを介して、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたリモートサーバへ伝送する段階をさらに備える、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記装着開始イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて1または複数のECG信号を検出する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記1または複数のECG信号が1または複数の有効性基準を満たしているかどうかを判定する段階;および
前記1または複数のECG信号が前記1または複数の有効性基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階
を有する;および
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないかどうかを判定する段階、および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないとの判定に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階
を有する
請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記1または複数の有効性基準は、有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号から導出される少なくとも1つのECGパラメータを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つのECGパラメータは、Rピーク振幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、振幅閾値を各々が超える少なくとも5つの連続するRピーク振幅を識別することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つのECGパラメータは、QRS複合幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、各々が0.05秒~0.15秒である少なくとも5つの連続するQRS複合幅を測定することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号の第1のECG信号に基づいて前記患者の装着コンプライアンスを判定する段階をさらに備える、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記装着開始イベントを記録することは、
前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースのインピーダンスレベルを検出すること;
前記インピーダンスレベルが許容可能なインピーダンス範囲内にあるかどうかを判定すること;および
前記インピーダンスレベルが前記許容可能なインピーダンス範囲内にある場合、前記装着開始イベントを記録すること
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記許容可能なインピーダンス範囲は、20オームから250オームまでの範囲、250オームから1キロオームまでの範囲および1キロオームから20キロオームまでの範囲のうちの少なくとも1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記装着開始イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示しているかどうかを判定する段階;および
前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示している場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示していない場合、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記1または複数のECG信号の分析に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階
をさらに備える、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号における1または複数のノイズ成分を検出する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、少なくとも1つの電気信号における前記1または複数のノイズ成分の分析に基づいて、前記患者の運動がないのを確認する段階
をさらに備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記装着開始イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着している旨を指定する、前記患者からの入力を受信する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階
を有する、
請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着しているのを確認する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階
を含む、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、無効なECG信号を示す前記少なくとも1つの電気信号の変化を検出する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記無効なECG信号に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項55】
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースのインピーダンスレベルの変化を検出する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがインピーダンス閾値を超えているかどうかを判定する段階;および
前記インピーダンスレベルが前記インピーダンス閾値を超えている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記インピーダンス閾値は、10キロオーム、100キロオーム、1メガオーム、2メガオーム、5メガオームまたは10メガオームのうちの1または複数を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は前記ウェアラブル除細動器から切断されている、と判定する段階;および
前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は切断されている、と判定されると、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの動き信号の分析に基づいて検出する段階;
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの電気信号が示しているのを確認する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したとの確認に基づいて、前記終了イベントを記録する段階
を含む、
請求項39に記載の方法。
【請求項59】
前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外している旨を指定する、前記患者からの入力を受信する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階
を有する、
請求項39に記載の方法。
【請求項60】
前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を取り外したのを確認する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階
を含む、
請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1つのプロセッサが現在時刻を判定する段階;および
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの動き信号、前記少なくとも1つの電気信号または前記現在時刻のうちの1または複数に基づいて、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を記録する段階
をさらに備える、請求項39に記載の方法。
【請求項62】
前記現在時刻を判定する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを前記現在時刻に基づいて判定する段階を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記患者が前記現在時刻においてこれまで非アクティブ状態にある場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号に基づいて記録する段階をさらに備える、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記患者が前記現在時刻においてこれまでアクティブ状態にある場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて記録する段階をさらに備える、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを、前記ウェアラブル除細動器により記録される前記現在時刻および過去の患者活動情報に基づいて判定する段階をさらに備える、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記通知は、患者装着ノンコンプライアンスに対する患者装着コンプライアンスのインジケーションを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項67】
前記通知は、前記患者についての装着コンプライアンスの記録された変化のインジケーションを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項68】
前記通知は、記録された装着開始イベントおよび装着終了イベントを示すタイムラインを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項69】
前記タイムラインはさらに、ユーザ選択可能期間にわたる、前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていた合計時間および前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていなかった合計時間を示す、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記通知は、装着開始イベント、装着終了イベントまたは前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していた期間のうちの1または複数についての記録されたECG情報へのアクセスを提供するように構成された1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項71】
前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を出力する段階は、
前記少なくとも1つのプロセッサが前記患者の装着コンプライアンスを1または複数の通知基準と比較する段階;および
前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記通知を出力する段階
を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項72】
前記1または複数の通知基準は、前記患者がある期間の特定の割合にわたって前記ウェアラブル除細動器の装着に失敗していることを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記1または複数の通知基準は、コンプライアンス変化閾値を超える、前記患者の装着コンプライアンスの記録された変化を含む、請求項71に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年11月18日に出願された、「携帯型医療デバイスを装着している患者の装着コンプライアンスをモニタリングするシステムおよび方法」と題する米国特許出願第16/951,246号の米国特許法第120条に基づく優先権を主張する。当該米国特許出願は、ここに、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、装着コンプライアンスのためのウェアラブル医療デバイスを処方された患者のモニタリングに関する。
【0003】
心不全は、未治療のまま放置された場合、特定の、命にかかわる不整脈につながり得る。心房不整脈および心室不整脈は両方とも、心不全がある患者によく見られる。致死率が最も高い心不整脈の1つが心室細動であり、心室細動は、正常かつ規則的な電気インパルスが不規則かつ急速なインパルスに取って代わられた場合に発生し、これにより、心筋が正常な収縮を停止してしまう。患者は細動が差し迫っていることについての感じ取れるほどの警告を受けないので、必要な医療支援が到着し得る前に死に至ることが多い。他の心不整脈は、徐脈として知られる過度に遅い心拍数、または頻拍として知られる過度に速い心拍数を含み得る。心停止は、患者に心室細動、心室頻拍、無脈電気活動(PEA)および無収縮(心臓が全ての電気活動を停止する)など、心臓の様々な不整脈が起こることで、心臓が生命を支えるために脳および他の不可欠な臓器に提供する血流のレベルが不十分になった場合に発生し得る。心不全の兆候を早期に評価して介入治療を可能な限り速やかに提供するには、心不全患者をモニタリングすることが、概して有用である。
【0004】
リスクがあるか、有害な心臓状態が原因で入院したか、またはそうでなければそのような心臓状態に苦しんでいる患者は、ウェアラブル心臓モニタリングおよび/または治療デバイスを処方され得る。ウェアラブルデバイスに加え、患者は、バッテリチャージャ、および再充電可能バッテリのセットも与えられ得る。ウェアラブルデバイスが概して、継続的またはほぼ継続的な使用(例えば、入浴時にのみ取り外される)のために処方されるので、患者は、歩く、座る、階段を上る、休息する、または眠る、および他の同様の毎日の活動など、毎日の全ての活動中、デバイスを装着する。処方されるデバイスの継続的な使用を維持することにより、患者の経過のモニタリングから収集されるデータのより良い信頼性を促進できると共に、必要な場合における治療の提供を含む、患者のより良い保護を保証できる。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも1つの例において、患者装着コンプライアンス情報を提供するためのウェアラブル除細動器が提供される。前記ウェアラブル除細動器は、長期間にわたって外部から患者へ継続的に結合されるように構成された複数の電極であって、前記患者の皮膚上の電気活動をモニタリングし、モニタリングされた前記電気活動に基づく心不整脈の検出に応答して前記患者に治療用ショックを提供するように構成された、複数の電極;前記患者の運動に基づく少なくとも1つの動き信号を生成するように構成された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路;および前記複数の電極および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサを備える。前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数の電極からの前記患者の前記皮膚上の前記モニタリングされた電気活動に基づいて、少なくとも1つの電気信号を受信すること、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していることを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、装着開始イベントを記録すること、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していないことを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づく装着終了イベントを記録すること、および記録された前記装着開始イベントおよび記録された前記装着終了イベントに基づいて、前記患者の装着コンプライアンスに関する情報を含むグラフィック表現を出力することを行うように構成されている。
【0006】
ウェアラブル除細動器の実装は、以下の特徴のうちの1または複数を含み得る。
【0007】
例において、前記ウェアラブル除細動器は、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたディスプレイをさらに備えてよく、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記ディスプレイを介して、前記患者の装着コンプライアンスに関する出力情報に基づき前記患者の装着コンプライアンスの前記グラフィック表現を提供するように構成されている。
【0008】
例において、前記ウェアラブル除細動器は、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたネットワークインタフェースをさらに備えてよく、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者の装着コンプライアンスに関する前記情報をリモートサーバへ伝送するように構成されている。
【0009】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて心電図(ECG)信号を検出すること、および検出された前記ECG信号に基づく前記心不整脈の前記検出に応答して前記患者にECG信号治療用ショックを提供するよう前記ウェアラブル除細動器を制御することを行うように構成され得る。
【0010】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着開始イベントを記録することは、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出すること、前記1または複数のECG信号が1または複数の有効性基準を満たしているかどうかを判定すること、および前記1または複数のECG信号が前記1または複数の有効性基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記装着開始イベントを記録することを含む。いくつかの例において、前記1または複数の有効性基準は、有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号から導出される少なくとも1つのECGパラメータを含む。いくつかの例において、前記少なくとも1つのECGパラメータは、Rピーク振幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、振幅閾値を各々が超える少なくとも5つの連続するRピーク振幅を識別することを含む。いくつかの例において、前記少なくとも1つのECGパラメータは、QRS複合幅を含み、前記有効性閾値を満たすことは、各々が0.05秒~0.15秒である少なくとも5つの連続するQRS複合幅を測定することを含む。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号のうちの第1のECG信号に基づいて前記患者の装着コンプライアンスを判定するように構成され得る。
【0011】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着開始イベントを記録することは、前記複数の電極のうちの1または複数における前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを検出すること、前記インピーダンスレベルが許容可能なインピーダンス範囲内にあるかどうかを判定すること、および前記インピーダンスレベルが前記許容可能なインピーダンス範囲内にある場合、前記装着開始イベントを記録することを含んでよい、および記録装着終了イベントを記録することは、前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないかどうかを判定すること、および前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないとの判定に基づいて、前記装着終了イベントを記録することを含んでよい。
いくつかの例において、前記許容可能なインピーダンス範囲は、20オームから250オームまでの範囲、250オームから1キロオームまでの範囲および1キロオームから20キロオームまでの範囲のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着開始イベントを記録することは、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示しているかどうかを判定すること、および前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示している場合、前記装着開始イベントを記録することを含み得る。
【0013】
いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示していない場合、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出すること、および前記1または複数のECG信号の分析に基づいて、前記装着開始イベントを記録することを行うように構成され得る。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つの電気信号における1または複数のノイズ成分を検出すること、および少なくとも1つの電気信号における前記1または複数のノイズ成分の分析に基づいて、前記患者の運動がないのを確認することを行うように構成され得る。
【0014】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着開始イベントを記録することは、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着している旨を指定する、前記患者からの入力を受信すること、および前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録することを含み得る。
いくつかの例において、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録することは、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着しているのを確認すること、および前記装着開始イベントを記録することを含む。
【0015】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着終了イベントを記録することは、無効なECG信号を示す前記少なくとも1つの電気信号の変化を検出すること、および前記無効なECG信号に基づいて、前記装着終了イベントを記録することを含み得る。
【0016】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着終了イベントを記録することは、前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルの変化を検出すること前記インピーダンスレベルがインピーダンス閾値を超えているかどうかを判定すること、および前記インピーダンスレベルが前記インピーダンス閾値を超えている場合、前記装着終了イベントを記録することを含み得る。いくつかの例において、前記インピーダンス閾値は、10キロオーム、100キロオーム、1メガオーム、2メガオーム、5メガオームおよび10メガオームのうちの1または複数を含み得る。
【0017】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着終了イベントを記録することは、前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は前記ウェアラブル除細動器から切断されている、と判定すること、および前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は切断されている、と判定されると、前記装着終了イベントを記録することを含み得る。
【0018】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着終了イベントを記録することは、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの動き信号の分析に基づいて検出すること前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの電気信号が示しているのを確認すること、および前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したとの確認に基づいて、前記終了イベントを記録することを含み得る。
【0019】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記装着終了イベントを記録することは、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外している旨を指定する、前記患者からの入力を受信すること、および前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録することを含み得る。
いくつかの例において、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録することは、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を取り外したのを確認すること、および前記装着終了イベントを記録することを含む。
【0020】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、現在時刻を判定すること、および前記少なくとも1つの動き信号、前記少なくとも1つの電気信号および前記現在時刻のうちの1または複数に基づいて、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を記録することを行うように構成され得る。
いくつかの例において、前記現在時刻を判定することは、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを前記現在時刻に基づいて判定することを含む。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者が前記現在時刻においてこれまで非アクティブ状態にある場合、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号に基づいて記録するように構成されて得る。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者が前記現在時刻においてこれまでアクティブ状態にある場合、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて記録するように構成され得る。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを、前記ウェアラブル除細動器により記録される前記現在時刻および過去の患者活動情報に基づいて判定するように構成されて得る。
【0021】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記グラフィック表現は、患者装着ノンコンプライアンスに対する患者装着コンプライアンスのインジケーションを含み得る。
【0022】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記グラフィック表現は、前記患者についての装着コンプライアンスの記録された変化のインジケーションを含み得る。
【0023】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記グラフィック表現は、記録された装着開始イベントおよび装着終了イベントを示すタイムラインを含み得る。
いくつかの例において、前記タイムラインはさらに、ユーザ選択可能期間にわたる、前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていた合計時間および前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていなかった合計時間を示す。
【0024】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記グラフィック表現は、装着開始イベント、装着終了イベントおよび前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していた期間のうちの1または複数についての記録されたECG情報へのアクセスを提供するように構成された1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールを含み得る。
【0025】
前記ウェアラブル除細動器の例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者の装着コンプライアンスの通知を出力するように構成され得る。いくつかの例において、前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を出力することは、前記患者の装着コンプライアンスを1または複数の通知基準と比較すること、および前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記通知を出力することを含む。いくつかの例において、前記1または複数の通知基準は、前記患者がある期間の特定の割合にわたって前記ウェアラブル除細動器の装着に失敗していることを含み得る。いくつかの例において、前記1または複数の通知基準は、コンプライアンス変化閾値を超える、前記患者の装着コンプライアンスの記録された変化を含み得る。いくつかの例において、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を前記患者、前記患者に関連付けられたケア提供者および前記ウェアラブル除細動器の処方者のうちの少なくとも1つへ出力するように構成され得る。
【0026】
別の例において、患者により装着されたウェアラブル除細動器により記録される装着コンプライアンス情報を提供する方法が提供される。
前記方法は、少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の皮膚上のモニタリングされた電気活動に基づいて判定される少なくとも1つの電気信号を、前記少なくともプロセッサ上に動作可能に結合された複数の電極から受信する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の運動に基づく、かつ、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路により生成される少なくとも1つの動き信号を受信する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していることを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着開始イベントを記録する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していないことを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいて、装着終了イベントを記録する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、記録された前記装着開始イベントおよび記録された前記装着終了イベントに基づいて、前記患者の装着コンプライアンスのグラフィック表現を提供する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者のケア提供者および前記ウェアラブル除細動器の処方者のうちの1または複数から1または複数の通知基準を受信する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスおよび前記1または複数の通知基準を比較する段階;および前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者、前記患者の前記ケア提供者および前記ウェアラブル除細動器の前記処方者のうちの1または複数へ通知を出力する段階を備える。
【0027】
患者により装着されたウェアラブル除細動器により記録される装着コンプライアンス情報を提供する方法の実装は、以下の特徴のうちの1または複数を含み得る。
【0028】
前記方法のいくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスに関する出力情報に基づく前記患者の装着コンプライアンスのグラフィック表現を、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたディスプレイに出力する段階をさらに備え得る。
【0029】
前記方法のいくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者の装着コンプライアンスに関する前記情報を、ネットワークインタフェースを介して、前記少なくとも1つのプロセッサに動作可能に結合されたリモートサーバへ伝送する段階をさらに備え得る。
【0030】
前記方法のいくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号に基づくECG信号を検出する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記検出されたECG信号に基づく心不整脈の検出に応答して治療用ショックを前記患者に提供するよう前記ウェアラブル除細動器を制御する段階をさらに備え得る。
【0031】
前記方法において、前記装着開始イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて1または複数のECG信号を検出する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記1または複数のECG信号が1または複数の有効性基準を満たしているかどうかを判定する段階;および前記1または複数のECG信号が前記1または複数の有効性基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階を有し得る;および前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないかどうかを判定する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがもはや前記許容可能なインピーダンス範囲内にないとの判定に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階を有し得る。いくつかの例において、前記1または複数の有効性基準は、有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号から導出される少なくとも1つのECGパラメータを含む。いくつかの例において、前記少なくとも1つのECGパラメータは、Rピーク振幅を含んでよく、前記有効性閾値を満たすことは、振幅閾値を各々が超える少なくとも5つの連続するRピーク振幅を識別することを含んでよい。いくつかの例において、前記少なくとも1つのECGパラメータは、QRS複合幅を含んでよく、前記有効性閾値を満たすことは、各々が0.05秒~0.15秒である少なくとも5つの連続するQRS複合幅を測定することを含んでよい。いくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記有効性閾値を満たす前記1または複数のECG信号の第1のECG信号に基づいて前記患者の装着コンプライアンスを判定する段階をさらに備える。
【0032】
前記方法において、前記装着開始イベントを記録することは、前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを検出すること前記インピーダンスレベルが許容可能なインピーダンス範囲内にあるかどうかを判定すること、および前記インピーダンスレベルが前記許容可能なインピーダンス範囲内にある場合、前記装着開始イベントを記録することを含み得る。いくつかの例において、前記許容可能なインピーダンス範囲は、20オームから250オームまでの範囲、250オームから1キロオームまでの範囲および1キロオームから20キロオームまでの範囲のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0033】
前記方法において、前記装着開始イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示しているかどうかを判定する段階、および前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示している場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階を含み得る。いくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記動き信号が前記患者および前記ウェアラブル除細動器の運動を示していない場合、前記少なくとも1つの電気信号に基づいて、1または複数のECG信号を検出する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記1または複数のECG信号の分析に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階をさらに備え得る。いくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号における1または複数のノイズ成分を検出する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、少なくとも1つの電気信号における前記1または複数のノイズ成分の分析に基づいて、前記患者の運動がないのを確認する段階をさらに備え得る。
【0034】
前記方法において、前記装着開始イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着している旨を指定する、前記患者からの入力を受信する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階を有し得る。
いくつかの例において、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着開始イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着しているのを確認する段階、および
前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着開始イベントを記録する段階を含み得る。
【0035】
前記方法において、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、無効なECG信号を示す前記少なくとも1つの電気信号の変化を検出する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記無効なECG信号に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階を含み得る。
【0036】
前記方法において、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが前記複数の電極のうちの1または複数における皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルの変化を検出する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記インピーダンスレベルがインピーダンス閾値を超えているかどうかを判定する段階;および前記インピーダンスレベルが前記インピーダンス閾値を超えている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階を含み得る。いくつかの例において、前記インピーダンス閾値は、10キロオーム、100キロオーム、1メガオーム、2メガオーム、5メガオームおよび10メガオームのうちの1または複数を含み得る。
【0037】
前記方法において、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は前記ウェアラブル除細動器から切断されている、と判定する段階、および前記複数の電極のうちの1または複数、および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路は切断されている、と判定されると、前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階を含み得る。
【0038】
前記方法において、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの動き信号の分析に基づいて検出する段階;前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したのを前記少なくとも1つの電気信号が示しているのを確認する段階;および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外したとの確認に基づいて、前記終了イベントを記録する段階を含み得る。
【0039】
前記方法において、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を外している旨を指定する、前記患者からの入力を受信する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階を有し得る。
いくつかの例において、前記患者からの前記入力に基づいて、前記装着終了イベントを記録する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を取り外したのを確認する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが前記装着終了イベントを記録する段階を含み得る。
【0040】
前記方法のいくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが現在時刻を判定する段階、および前記少なくとも1つのプロセッサが、前記少なくとも1つの動き信号、前記少なくとも1つの電気信号および前記現在時刻のうちの1または複数に基づいて、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を記録する段階をさらに備え得る。
いくつかの例において、前記現在時刻を判定する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを前記現在時刻に基づいて判定する段階を有し得る。いくつかの例において、前記方法は、前記患者が前記現在時刻においてこれまで非アクティブ状態にある場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号に基づいて記録する段階をさらに備え得る。いくつかの例において、前記方法は、前記患者が前記現在時刻においてこれまでアクティブ状態にある場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記装着開始イベントおよび前記装着終了イベントのうちの少なくとも一方を前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいて記録する段階をさらに備え得る。いくつかの例において、前記方法は、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記患者がこれまでアクティブ状態にあるか、または非アクティブ状態にあるかを、前記ウェアラブル除細動器により記録される前記現在時刻および過去の患者活動情報に基づいて判定する段階をさらに備え得る。
【0041】
前記方法において、前記通知は、患者装着ノンコンプライアンスに対する患者装着コンプライアンスのインジケーションを含み得る。
【0042】
前記方法において、前記通知は、前記患者についての装着コンプライアンスの記録された変化のインジケーションを含み得る。
【0043】
前記方法において、前記通知は、記録された装着開始イベントおよび装着終了イベントを示すタイムラインを含み得る。
いくつかの例において、前記タイムラインはさらに、ユーザ選択可能期間にわたる、前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていた合計時間および前記ウェアラブル除細動器が前記患者により装着されていなかった合計時間を示し得る。
【0044】
前記方法において、前記通知は、装着開始イベント、装着終了イベントおよび前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していた期間のうちの1または複数についての記録されたECG情報へのアクセスを提供するように構成された1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールを含み得る。
【0045】
前記方法において、前記患者の装着コンプライアンスの前記通知を出力する段階は、前記少なくとも1つのプロセッサが前記患者の装着コンプライアンスを1または複数の通知基準と比較する段階;および前記患者の装着コンプライアンスが前記1または複数の通知基準のうちの少なくとも1つの基準を満たしている場合、前記少なくとも1つのプロセッサが前記通知を出力する段階を有し得る。いくつかの例において、前記1または複数の通知基準は、前記患者がある期間の特定の割合にわたって前記ウェアラブル除細動器の装着に失敗していることを含み得る。いくつかの例において、前記1または複数の通知基準は、コンプライアンス変化閾値を超える、前記患者の装着コンプライアンスの記録された変化を含み得る。
【0046】
少なくとも1つの例において、ウェアラブル除細動器など、患者装着コンプライアンスを提供するための患者モニタリングデバイスが提供される。前記ウェアラブル除細動器は、ある期間にわたって外部から患者へ結合されるように構成された複数の電極であって、前記患者の皮膚上の電気活動をモニタリングし、および/またはモニタリングされた前記電気活動に基づく心不整脈の検出に応答して前記患者に治療用ショックを提供するように構成された、複数の電極;前記患者の運動に基づく少なくとも1つの動き信号を生成するように構成された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路;および前記複数の電極および前記少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサを備える。前記少なくとも1つのプロセッサは、前記複数の電極からの前記患者の前記皮膚上の前記モニタリングされた電気活動に基づいて、少なくとも1つの電気信号を受信すること、装着開始イベントおよび装着終了イベントのうちの一方または両方を記録することであって、前記装着開始イベントは、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していることを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号に基づいてよく、装着終了イベントは、前記患者が前記ウェアラブル除細動器を装着していないことを示す前記少なくとも1つの電気信号および前記少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づいてよく、装着開始イベントおよび装着終了イベントのうちの一方または両方は、前記ウェアラブル除細動器の前記患者の装着コンプライアンスを判定するために記録される、記録することを行うように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
少なくとも1つの例の様々な態様が、添付図面を参照して以下に述べられる。当該図面は、原寸に比例して描写されることは意図されていない。図は、様々な態様および例の説明およびさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成しているが、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。図面は、本明細書の残りの部分と共に、説明され、特許請求される態様および例の原理および作用を説明するのに役立つ。図では、様々な図に示される同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の符号により表されている。明確性を目的として、全ての構成要素が全ての図においてラベル付けされていないことがある。
【0048】
【
図1A】本開示の一例による、患者のためのサンプルセンサ配置を示す。
【
図1B】本開示の一例による、患者のためのセンサ配置のサンプルを示す。
【0049】
【
図2】本開示の一例によるサンプル加速度計の出力を示す。
【0050】
【
図3】本開示の一例によるウェアラブル医療デバイス用のサンプルコントローラの概略図を示す。
【0051】
【
図4】本開示の一例による、患者による装着コンプライアンスをモニタリングするように構成されたサンプルコントローラを示す。
【0052】
【
図5】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンスをモニタリングするためのサンプルプロセスフローを示す。
【0053】
【
図6A】本開示の一例による、開始イベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0054】
【
図6B】本開示の一例による、1または複数の生理信号の変化を識別することにより開始イベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0055】
【
図6C】本開示の一例による、1または複数の動き信号の変化を識別することにより開始イベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0056】
【
図6D】本開示の一例による、1または複数の電極におけるインピーダンスの変化を識別することにより開始イベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0057】
【
図7A】本開示の一例による、終了イベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0058】
【
図7B】本開示の一例による、時刻に基づいてイベントをモニタリングおよび確認するサンプルプロセスフローを示す。
【0059】
【
図8】本開示の一例による、サンプルネットワーク概要を示す。
【0060】
【
図9】本開示の一例による、医師がコンプライアンスモニタリング設定にアクセスしてこの設定を修正できるユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【0061】
【
図10A】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【
図10B】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【
図10C】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【
図10D】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【
図10E】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【
図10F】本開示の一例による、患者の装着コンプライアンス情報に関連するグラフィカルフィードバックを含むユーザインタフェースのサンプル図を示す。
【0062】
【
図11A】本開示の一例による、心不全患者に処方され得るサンプル携帯型医療デバイスを示す。
【
図11B】本開示の一例による、心不全患者に処方され得るサンプル携帯型医療デバイスを示す。
【
図11C】本開示の一例による、心不全患者に処方され得るサンプル携帯型医療デバイスを示す。
【
図11D】本開示の一例による、心不全患者に処方され得るサンプル携帯型医療デバイスを示す。
【0063】
【
図12】本開示の一例による、患者向け装着期間および対応する開始および終了イベントを示すサンプルタイミング図を示す。
【0064】
【
図13】本開示の一例による、コンプライアンスモニタリングプロセスのサンプル入力/出力図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
心臓イベントモニタリングおよび/または治療デバイスなど、ウェアラブル医療デバイスは、患者の様々なECGおよび他の生理信号をモニタリングおよび/または記録するための臨床または外来患者設定において用いられている。これらのECGおよび他の生理信号は、不整脈をモニタリングするために用いられてよく、本明細書において説明される例示的なデバイスでは、命にかかわる不整脈の場合における除細動またはペーシングショックなど、治療を提供する。本明細書において説明される装着コンプライアンス機能および/またはプロセスを実装できる例示的な心臓モニタリングおよび治療デバイスは、ウェアラブル電気的除細動器(WCD)とも呼ばれるウェアラブル除細動器を含む。本明細書において説明される装着コンプライアンス機能および/またはプロセスを実装できる別の例示的な心臓モニタリングおよび治療デバイスは、院内ウェアラブル除細動器(HWD)を含む。
【0066】
効果的にモニタリングするために、かつ、必要な場合には患者に治療を提供するために、患者はデバイスを可能な限り継続的に装着することが望ましい。このために、モニタリング患者装着コンプライアンス情報は、患者の医師および患者自身の両方にフィードバックを提供できる。医療デバイスの装着に関する患者の習慣を調整することにより、患者に対する心臓モニタリングの全体的な有効性、および必要な場合に治療が患者に提供される可能性の両方が上がる。
【0067】
本開示は、全体的な患者装着コンプライアンス情報を判定すべく、装着時間開始および終了時間を含む信頼できる患者コンプライアンス情報を患者および/またはケア提供者に提供するための改善された装着時間モニタリング技術に関する。本明細書において説明される実装では、装着コンプライアンスは、ECG情報および/または身体インピーダンス測定値が導出され得る、患者からの1または複数の電気信号を用いて判定される。1または複数の電気信号は、装着コンプライアンスをより精密に判定するために、単独で、または患者動き情報および/または1または複数の追加の生理信号との組み合わせで分析され得る。
【0068】
例えば、本明細書において説明されるウェアラブル医療デバイス内のプロセッサは、患者が医療デバイスを装着していることを示す装着コンプライアンス開始イベントをモニタリングするように構成され得る。開始イベントの判定に続き、プロセッサはさらに、患者がもはや医療デバイスを装着していないことを示す終了イベントをモニタリングできる。開始イベントおよび対応する終了イベントの間の時間は、1日、1週間、2週間、1か月および本明細書において説明される他の期間など、ある期間にわたる患者についての全体的な装着コンプライアンス情報を判定するために記録および分析され得る。本明細書において説明される例において、装着コンプライアンス開始および終了イベントは、例えばECG信号、身体インピーダンス測定値、患者動き情報、時刻情報および/または他の生理信号および収集/観察される情報を含む生理信号および他の情報に基づき得る。ECG信号を含む生理信号に関して、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、そのような信号を評価することで、そのような信号が患者による装着からのものである、例えば、基礎となる生理および/またはECGセンサが患者の皮膚と接触している、と判定する。
【0069】
例において、プロセッサは、ECG信号および身体インピーダンス測定値、心臓振動信号および/または無線周波数(RF)ベース生理信号など、装着開始イベントを判定するために医療デバイスに関連付けられたセンサにより収集される生理信号をモニタリングするように構成され得る。医療デバイスがオンであるかまたはオフであるかのみに、または患者運動情報のみに依拠するのではなく、本明細書における少なくともいくつかの実装は、医療デバイスオン/オフステータス、患者運動情報、ECG信号、身体インピーダンス測定値、心臓振動信号および/またはRFベース生理情報のいくつかの組み合わせを用いる。これらの各々は、予め定められた方式で適切に重み付けされ得る。例えば、装着開始イベントは、ECG信号が患者運動情報(60%ECG信号および40%患者運動情報)を超えて重み付けされる組み合わせに基づき得る。例えば、プロセッサは、生理センサから受信された生理信号をモニタリングし、生理信号を動きセンサから受信された動き信号と組み合わせて、開始イベントを示し得る変化を識別できる。開始イベントがひとたび検出されると、プロセッサは、終了イベントを示し得る変化について信号のモニタリングを継続できる。終了イベントがひとたび検出されると、プロセッサは、例えば、患者の医師またはヘルスケア提供者(HCP)、患者、または患者のための治療の提供に関連付けられた別の人に対する表示のために、患者の装着コンプライアンスに関連する情報を処理またはそうでなければ生成できる。
【0070】
本明細書において説明される装着コンプライアンスモニタリングは、様々な利点および利益を提供する。本明細書において説明されるいくつかの例において、1または複数のタイプの、患者から導出される生理信号(例えば、ECG信号、心臓振動信号、RFベース信号および/またはバイオインピーダンス信号)を単独で、または、開始および終了イベントについての患者動き情報などの他の信号と組み合わせてモニタリングすることにより、プロセッサは、患者が医療デバイスを実際に装着していることを示す装着コンプライアンス情報を正確に取得できる。ECG信号、心臓振動信号、バイオインピーダンス信号およびRFベース信号など、信号は、医療デバイスを装着している患者から直接受信される。患者が医療デバイスを装着していない場合、そのような信号は、入手可能ではないであろう。例えば、1つのシナリオでは、本明細書における実装は、ECG信号情報および患者運動情報の両方を用いて、装着コンプライアンスを判定する。患者運動情報を用いるシステムは、本明細書において説明される機能を実装することにより、強化され得ると共に、より信頼できるものになり得る。結果として、本明細書における実装は、患者装着コンプライアンス情報の判定に際して誤りがより生じにくい(例えば、患者が実際には装着していない場合に患者が医療デバイスを装着していることを示す可能性がより低い)。
【0071】
追加的に、改善された装着コンプライアンス情報を患者の医師に提供することにより、医師は、患者によるあらゆるノンコンプライアンスに対するアラートを迅速に受けることができる。本明細書において説明される基礎となる装着コンプライアンス情報の信頼性を考慮して、医師は、より高度の信頼性をもって行為できる。そのようなアラートに応答して、医師は、ウェアラブル医療デバイスに関連付けられた装着コンプライアンス情報に患者が従っていれば回避できたであろうあらゆる潜在的な有害事象が患者に起こる前に、ノンコンプライアンスを補正するための行動を取ることができる。
【0072】
いくつかの例において、本明細書において説明されるシステムおよび方法は、改善された装着コンプライアンス情報を患者に提供する。例えば、患者は、装着コンプライアンス情報にアクセスでき、または、改善された装着コンプライアンス情報に基づいて満たされ得るかまたは満たされ得ない特定の条件に関するアラートを受信できる。例えば、4時間という予め設定された期間にわたって患者が医療デバイスを装着していなかったとみなされた場合、患者は、医療デバイスを装着するようにとのプロンプトを自分の電話上で受信できる。したがって、改善された装着コンプライアンス情報または改善された装着コンプライアンス情報の一部を患者に提供することにより、患者は、医師からの必要なフォローアップを限定または回避しつつ、自身のコンプライアンスをモニタリングおよび調整できる。
【0073】
患者の装着コンプライアンスモニタリングの実行を強化するこれらのおよび他の態様に対処するために、装着コンプライアンス情報を正確に記録するように構成されたシステムおよびプロセスが本明細書において説明される。例えば、患者装着コンプライアンス情報を提供するためのウェアラブル除細動器は、患者の電気活動をモニタリングすること、およびモニタリングされた電気活動に基づく心不整脈の検出に応答して患者に治療用ショックを提供することを行うように構成された複数の電極を含み得る。同様に、ウェアラブル除細動器は、患者の運動に基づいて少なくとも1つの動き信号を生成するように構成された少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路を含み得る。ウェアラブル除細動器は、複数の電極および少なくとも1つの動きセンサおよび関連回路に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサをさらに含み得る。いくつかの例において、少なくとも1つのプロセッサは、複数の電極からのモニタリングされた電気活動に基づく少なくとも1つの電気信号を受信すること、および患者の皮膚から検知されたECG信号および患者がウェアラブル除細動器を装着していることを示す少なくとも1つの動き信号に基づいて装着開始イベントを記録することを行うように構成されている。少なくとも1つのプロセッサはさらに、患者がウェアラブル除細動器を装着していないことを示す少なくとも1つの電気信号および少なくとも1つの動き信号のうちの1または複数に基づく装着終了イベントを記録するように構成され得る。このプロセスは、開始イベントおよび終了イベントに基づいて装着コンプライアンス情報を処理すること、および装着コンプライアンス情報のグラフィック表現を出力することを行うように構成され得る。
【0074】
同様の例において、プロセッサは、1または複数の電気信号から心電図(ECG)信号を検出すること、およびECG信号の変化に基づく開始イベントおよび終了イベントのうちの1または複数を判定することを行うように構成され得る。いくつかの例において、プロセッサは、電極のうちの1または複数における皮膚-センサインピーダンスレベルを検出すること、およびインピーダンスレベルの変化に基づく開始イベントおよび終了イベントのうちの1または複数を判定することを行うように構成され得る。いくつかの例において、プロセッサは、患者の運動を示す動き信号に基づいて開始イベントおよび/または終了イベントを判定または確認するように構成され得る。別の例において、プロセッサは、測定された時刻に基づいて開始イベント基準および終了イベント基準を更新するように構成され得る。
【0075】
本明細書において提供される、これらの技術の利益および利点のこれらの例および様々な他の同様の例、プロセスおよびアプローチを以下でさらに詳細に説明する。
【0076】
心臓突然死、原因不明の失神、心不全の前兆、45%未満、35%未満または医師により懸念とみなされる他のそのような閾値の駆出分割率のリスクの上昇がある患者、および心臓の健全性が低下した状態にある他の同様の患者は、特殊な心臓モニタリングおよび治療デバイスを処方され得る。WCDに関連して本明細書において説明される装着コンプライアンスモニタリング機能および/またはプロセスは、HWDにおいて実質的に同様の方式で適用され得る。
【0077】
本明細書において説明される様々なモニタリングプロセスは、WCDまたはHWDデバイス自体、またはWCDまたはHWDと通信するかまたはそうでなければ関連付けられるリモートサーバシステムなどのデータ処理デバイスのいずれかで実装される。例えば、本明細書において説明されるプロセスの少なくともいくつかのステップは、サーバ上で実行されてよく、そのようなステップの結果のうちの1または複数が、デバイスにより実装されてよい。
【0078】
1つの例において、本明細書において説明されるWCDは、ゾールメディカルコーポレーション(マサチューセッツ州チェルムズフォード)のLifeVest(登録商標)ウェアラブル電気的除細動器を含み得る。以下でさらに詳細に説明されるように、そのようなデバイスは、患者の胴体の周りに装着されるように構成されたガーメントを含む。ガーメントは、ECG検知電極、治療電極、患者の動きデータを測定するように構成された1または複数の加速度計、患者の心臓振動信号などの振動信号を記録するように構成された1または複数の音声および/または振動センサおよびRFベース生理信号を測定するように構成された1または複数のRFセンサなど、様々なコンポーネントを収容するように構成され得る。ガーメント内のコンポーネントは、ECG検知電極からの信号を受信および処理して、患者の心臓の状態を判定すること、および必要な場合には治療電極を介した患者への治療の提供を制御することを行うように構成された別個のハウジング(例えば、防水であり得る、および/または埃または他の物理的粒子の侵入から保護され得る)内に配置されたモニタリングデバイスに動作可能に接続され得る。
【0079】
HWDは、WCDについて上述したものと同様のハウジング内に配置されているモニタリングデバイスにケーブルを介して結合された2つまたはそれよりの多くの粘着性ECG検知および/または治療電極を含み得る。
【0080】
本明細書において説明されるWCDのモニタリングデバイスは、本明細書において説明される装着開始イベントおよび装着終了イベントをモニタリングすること、およびモニタリングされたイベントに基づいて装着コンプライアンス情報を計算することを行うように構成されている。
【0081】
図1Aおよび
図1Bは、ガーメントに埋め込まれた検知電極、加速度計、音声および/または振動センサ、RFセンサ、伸縮または圧力センサ、および本明細書において説明される他の同様のセンサなど、1または複数のセンサを装着している患者100の様々な例を示す。本明細書において、加速度計は、例示目的のみで、動きセンサの例として説明される。特定の実装において、ジャイロスコープ、磁気センサ、圧力ベース動きセンサおよび他の同様の動きセンサなど、追加の動きセンサが用いられ得る。
【0082】
図1Aに示されるように、患者は、WCD(または入院患者病院用のHWD)など、携帯型医療デバイスを処方され得る。WCDは、1または複数の検知電極104および治療電極106に動作可能に接続されたコントローラ102を含み得る。コントローラ102、検知電極104および治療電極106の例の追加の詳細は、以下の
図3の説明において見られ得る。
【0083】
WCDは、1または複数の加速度計または他の動きセンサも含み得る。
図1Aに示されるように、WCDは、患者100の身体の様々な箇所に配置された3つの加速度計108a、108bおよび108c(加速度計108と総称される)を含み得る。例えば、加速度計108aは、患者100の胸の前方に配置されてよく、加速度計108bは、患者の背中に配置されてよく、加速度計108cは、コントローラ102へ統合されてよい。加速度計108の各々は、患者100に関連付けられた運動を測定し、患者の運動の方向および大きさを示す電気信号を出力するように構成され得る。
【0084】
図1Aおよび
図1Bに示される加速度計108の数および配置は、単なる例としてのものである。特定の実装において、加速度計108の数および位置は、異なり得る。追加的に、WCDなどのデバイスに含まれる場合、加速度計108のうちの1または複数が、WCDのコンポーネントへ統合され得る。例えば、上述のように、加速度計108cは、WCDのコントローラ102へ統合され得る。同様に、加速度計108aおよび108bのうちの1または複数は、WCDの1または複数のコンポーネントへ統合され得る。例えば、前方加速度計108aは、例えば、コントローラ102に動作可能に接続され、かつ、患者100に治療用ショックを提供するように構成された治療電極106へ統合され得る。いくつかの実装では、加速度計108aは、患者100により生成され、かつ、患者の心臓活動を示す電気信号を測定するように構成された検知電極104のうちの1つへ統合され得る。同様に、加速度計108bは、接続ノード、少なくとも1つの検知電極104、治療電極106、および本明細書において説明されるWCDの他の同様のコンポーネントなど、WCDの1または複数のコンポーネントへ統合され得る。代替的に、または追加的に、1または複数の加速度計108は、WCDの別個のコンポーネントであり得る。
【0085】
HWD実装において、加速度計は、粘着性ECG検知および/または治療電極パッチのうちの1または複数へ統合され得る。例えば、第1の加速度計は、第1の粘着性ECG検知へ統合されてよく、および/または、治療電極パッチおよび第2の加速度計は、第2の粘着性ECG検知および/または治療電極パッチへ統合されてよい。追加の加速度計が、HWDに関連付けられた(WCDのコントローラ102と同様の)コントローラ内に配置され得る。
【0086】
図1Aに関連して上述されたWCDに関連付けられた加速度計に加え、患者100などの患者は、追加のセンサも装着し得る。
図1Bに示されるように、患者100は、患者の生体振動信号を記録するように構成された振動センサ110を装着し得る。例えば、振動センサ110は、例えば心臓および肺の活動に関連付けられた、患者の振動を検出するように構成され得る。特定の実装において、振動センサ110は、S1、S2、S3およびS4のうちのいずれか1または全てを含む心臓振動値を検出するように構成され得る。これらの心臓振動値から、電気機械起動時間(EMAT)、左心室収縮時間(LVST)または左心室収縮時間割合(%LVST)のうちのいずれか1または複数を含む特定の心臓振動メトリックまたは組み合わせメトリックが計算され得る。いくつかの例において、振動センサ110は、患者の心臓系からの振動を検出すること、および検出された心臓振動値への出力信号応答を提供することを行うように構成された振動センサを含み得る。振動センサ110は、患者の運動/体位が検出され、かつ、検出された心臓振動値に相関付けられ得るように、マルチチャネル加速度計、例えば、3つの直交軸の各々での運動を検知するように構成された3チャネル加速度計も含み得る。以下で説明される後続の分析のために、振動センサ110は、心臓振動値を記述した情報を、例えばセンサインタフェースへ伝送できる。
【0087】
追加的に、患者100は、RFセンサ112を装着し得る。例えば、RFセンサ112は、RFベース技術を用いて患者の体組織内の液体レベルおよび蓄積を評価するように構成され得る。例えば、RFセンサ112は、典型的には心不全患者における肺水腫または肺うっ血の診断およびフォローアップのために、肺の中の液体含有量を測定するように構成され得る。同様に、RFセンサは、患者について胸部液体含有量を測定するように構成され得る。特定の実装において、RFセンサ112は、患者の組織を通るように無線周波を方向付けること、およびこの組織を通過したこの周波に応答して出力無線周波数信号を測定することを行うように構成された1または複数のアンテナを含み得る。特定の実装において、出力無線周波数信号は、患者の組織内の液体レベルを示すパラメータを含む。以下で説明される後続の分析のために、RFセンサ112は、組織液レベルを記述した情報をセンサインタフェースへ伝送できる。
【0088】
図1Aおよび1Bに示されるセンサの配置および数は単なる例として示されていることに留意されたい。本明細書において説明される装着コンプライアンスモニタリングシステムおよび方法の実際の実装では、センサの数および位置は、実行される患者モニタリングおよび/または治療のタイプおよび他の様々な因子に基づいて異なり得る。
【0089】
患者の運動またはその欠如を示す信号を適切に取得および出力するために、上述したものなど、加速度計は、あらゆる検出された運動(movement)または動き(motion)を示す1または複数の出力信号を出力するように構成され得る。例えば、
図2に示されるように、加速度計200は、x軸、y軸およびz軸という3つの軸での運動を測定するように構成され得る。加速度計200の向きおよび加速度計の出力構成に応じて、個々の軸は、特定の方向における加速度計の運動を定義し得る。
【0090】
追加的に、
図2に示されるように、加速度計200は、1または複数の出力202を提供するように構成され得る。この例において、出力202は、X-out(すなわち、x軸に沿って測定された運動を示す信号)、Y-out(すなわち、y軸に沿って測定された運動を示す信号)およびZ-out(すなわち、z軸に沿って測定された運動を示す信号)を含み得る。
【0091】
いくつかの実装では、加速度計200などの加速度計は、電圧などの1または複数の制御された特性を有する各出力202の電気信号を出力するように構成され得る。例えば、加速度計200は、0~5ボルトの各出力202の信号を出力するように構成され得る。いくつかの例において、各出力202の出力電圧は、対応する軸上の測定された動きに正比例し得る。例えば、加速度計200が加速度の運動を重力の測定値として測定するように構成される場合、加速度計は、-5g~+5gなど、特定の範囲のg力を測定するように構成され得る。そのような一例において、各出力202の出力電圧は、各軸上の測定されたg力に正比例し得る。例えば、g力が測定されない(すなわち、加速度計200が静止している)場合、各出力信号202が2.5ボルトで測定され得る。軸に沿った正のg力を有する運動が測定される場合、対応する出力202の電圧が上がり得る。反対に、軸に沿った負のg力を有する運動が測定される場合、対応する出力202の電圧が下がり得る。これらの出力202に基づいて、本明細書において説明されるものなど、プロセッサは、患者が医療デバイスを能動的に装着しているかどうかを判定する場合に用いられる、患者についての1または複数の動きパラメータを判定できる。そのようなプロセスに関する追加の詳細が、以下で提供される。
【0092】
以下の表1は、-5g~+5gを測定すること、および0~5ボルトの信号を出力することを行うように構成された加速度計のサンプル電圧出力レベルを示す。
【表1】
[表1]
【0093】
上述の、表1に示される範囲に及ぶサンプルg力および電圧は、例示目的での単なる例として提供されており、本明細書において説明される概念が実装され得る唯一の態様を表すようには意図されていない。したがって、用いられる加速度計の設計および能力に応じて、測定されるg力範囲、および対応する出力電圧は、異なり得る。例えば、10ボルトの出力電圧は、測定された5gのg力に対応し得る。例えば、15ボルトの出力電圧は、測定された5gのg力に対応し得る。例えば、20ボルトの出力電圧は、測定された5gのg力に対応し得る。同様に、2ボルトの出力電圧は、測定された1gのg力に対応し得る。例えば、4ボルトの出力電圧は、測定された1gのg力に対応し得る。例えば、6ボルトの出力電圧は、測定された1gのg力に対応し得る。
【0094】
図3は、例えば本明細書において説明されるWCDまたはHWDなどのウェアラブル医療デバイスに含まれる医療デバイスコントローラ300の例示的なコンポーネントレベル図を示す。医療デバイスコントローラ300は、
図1Aおよび
図1Bに示された上述のコントローラ102の1つの例である。
図3に示されるように、医療デバイスコントローラ300は、少なくとも2つの治療電極320(例えば、上述の治療電極106)を介して患者に1または複数の治療用ショックを提供するように構成された治療供給回路302、データストレージ304、ネットワークインタフェース306、ユーザインタフェース308、少なくとも1つの再充電可能バッテリ310(例えば、そのような目的で構成されたバッテリチャンバ内のもの)、センサインタフェース312(例えば、ECG検知電極322(例えば、上述の検知電極104)、およびとりわけ、振動センサ(例えば、振動センサ110、肺液センサ(例えば、RFセンサ112)、赤外および近赤外ベースパルス酸素センサ、血圧センサ)などの非ECG生理センサ323の両方とインタフェースするもの)、心臓イベント検出器316および少なくとも1つのプロセッサ318を収容するように構成されたハウジング301を含み得る。
【0095】
いくつかの例において、患者モニタリング医療デバイスは上述のものと同様のコンポーネントを含むが、治療供給回路302および治療電極320(点線で示される)を含まない医療デバイスコントローラ300を含み得る。つまり、特定の実装において、医療デバイスは、ECGモニタリングコンポーネントをのみを含んでよく、患者に治療を提供しなくてよい。そのような実装において、患者モニタリング医療デバイスの構造は、医療デバイスコントローラ300と多くの点で同様であるが、治療供給回路302および関連付けられた治療電極320を含む必要はない。
【0096】
図3にさらに示されるように、コントローラ300は、加速度計インタフェース330、および加速度計332のセットをさらに含み得る。加速度計インタフェース330は、加速度計332の各々に動作可能に結合されてよく、加速度計からの1または複数の出力を受信するように構成されてよい。加速度計インタフェース330はさらに、例えば、アナログ加速度計信号をデジタル信号へ変換すること(アナログ加速度計を用いる場合)、出力信号をフィルタリングすること、出力信号を組み合わされた方向信号へと組み合わせること(例えば、各x軸信号を合成x軸信号へと組み合わせること、各y軸信号を合成y軸信号へと組み合わせること、および各z軸信号を合成z軸信号へと組み合わせること)により出力信号に条件を付けるように構成され得る。いくつかの例において、加速度計インタフェース330は、ハイパスまたはバンドパスフィルタを用いて信号をフィルタリングして、重力に起因する加速度の成分から運動に起因する患者の加速度を分離するように構成され得る。
【0097】
追加的に、加速度計インタフェース330は、さらなる処理のための出力を構成し得る。例えば、加速度計インタフェース330は、各加速度計から受信されるx軸、y軸およびz軸の加速度成分を表すベクトルとして個々の加速度計332の出力を配置するように構成され得る。加速度計インタフェース330は、プロセッサ318に動作可能に結合されてよく、さらなる処理および分析のために出力信号を加速度計332からプロセッサへ転送するように構成されてよい。
【0098】
上述のように、加速度計332のうちの1または複数(例えば、上述の加速度計108)は、医療デバイスの1または複数のコンポーネントへ統合され得る。例えば、
図3に示されるように、加速度計332(例えば、上述の加速度計108c)は、コントローラ300へ統合され得る。いくつかの例において、加速度計332は、治療電極320、検知電極322、生理センサ323のうちの1または複数へ、および医療デバイスの他のコンポーネントへ統合され得る。コントローラ300がHWDに含まれる場合、加速度計は、粘着性ECG検知および/または治療電極パッチへ統合され得る。
【0099】
本明細書において説明され、上述のように、本開示は、患者用のモニタリング医療デバイス装着コンプライアンスを含む。より具体的には、本明細書においてモニタリングされる装着コンプライアンス情報は、どの部位に、または特定の期間のうちのどれくらいの割合で患者が医療デバイスを装着していたか、およびこれを、医療デバイスを処方される場合に例えばヘルスケア提供者により処方された患者に対する期待される装着とどのように比較するか、についての正確な概要を含む。
図4は、本明細書において説明される患者の装着コンプライアンス情報をモニタリングするように構成されたプロセッサ318を含む医療デバイスコントローラ300の例示的な低減されたコンポーネントレベル図を示す。例えば、
図4に示されるように、プロセッサ318は、装着コンプライアンス検出器402を含み得る。装着コンプライアンス検出器402はプロセッサ318へ統合されるように示されていることに留意されたい。しかしながら、そのような設計は、単なる例として示されている。特定の実装において、装着コンプライアンス検出器402は、プロセッサ318に動作可能に結合された別個の処理コンポーネントとして統合され得る。装着コンプライアンス検出器402は、本明細書において説明される他のコンポーネントと共にプリント回路基板(PCB)上に配置された専用マイクロプロセッサおよび関連回路として実装され得る。装着コンプライアンス検出器402は、専用マイクロプロセッサに実装され、またはプロセッサ318へ統合されている場合、専用マイクロプロセッサまたはプロセッサ318により実行されるように構成された一連のプロセッサ可読命令に基づき得る。例えば、これらの命令は、C、C++などのプログラミング言語、アセンブリ言語、機械コード、HDLまたはVHDLで実装され得る。例において、専用マイクロプロセッサは、X86マイクロプロセッサなどのインテルベースのマイクロプロセッサ、またはモトローラ68020マイクロプロセッサであってよく、これらの各々は、同様の機能のためにバイナリコードおよび/または命令の異なるセットを用い得る。専用マイクロプロセッサまたはプロセッサ318は、
図5から
図7に記載される装着開始イベント検出および装着終了イベント検出を実装するように構成され得る。
【0100】
図4にさらに示されるように、装着コンプライアンス検出器402は、開始イベント検出器404および終了イベント検出器406を含み得る。上述のように、装着コンプライアンス検出器402は、本明細書において説明される他のコンポーネントと共にPCB上に配置された専用マイクロプロセッサおよび関連回路であり得る。実装において、第1のマイクロプロセッサが開始イベント検出器404として実装されてよく、第2のマイクロプロセッサが終了イベント検出器404として実装されてよい。いくつかの実装では、開始イベント検出器404および終了イベント検出器406の両方は、上述のものと同じマイクロプロセッサに実装され得る。開始イベント検出器404および/または終了イベント検出器406は、専用マイクロプロセッサに実装され、またはプロセッサ318へ統合されている場合、専用マイクロプロセッサまたはプロセッサ318により実行されるように構成された一連のプロセッサ可読命令に基づき得る。例えば、これらの命令は、C、C++などのプログラミング言語、アセンブリ言語、機械コード、HDLまたはVHDLで実装され得る。例において、専用マイクロプロセッサは、X86マイクロプロセッサなどのインテルベースのマイクロプロセッサ、またはモトローラ68020マイクロプロセッサであってよく、これらの各々は、同様の機能のためにバイナリコードおよび/または命令の異なるセットを用い得る。専用マイクロプロセッサまたはプロセッサ318は、
図5から
図7に記載される装着開始イベント検出および/または装着終了イベント検出を実装し得る。
【0101】
上述のように、患者が医療デバイスを身に付けている場合、装着開始イベントは、本明細書において説明されるセンサのうちの1または複数から受信される信号の分析に基づいて判定され得る。例えば、ECG検知電極により出力される信号および加速度計332により出力される信号のモニタリングに基づいて、開始イベント検出器404は、患者が医療デバイスを身に付け、またはそうでなければ装着していることを示す開始イベントを判定し得る。同様に、終了イベント検出器406は、患者が医療デバイスをオフにし、取り外し、またはそうでなければ停止していることを示す終了イベントをモニタリングから判定し得る。測定された開始および終了イベントに基づいて、装着コンプライアンス検出器402および/またはプロセッサ318は、患者についての装着コンプライアンス情報を判定し得る。プロセッサ318、装着コンプライアンス検出器402、および、開始イベント検出器404および終了イベント検出器406により実行される例示的な動作を、
図5から
図7の以下の説明において、さらに詳細に説明する。
【0102】
図5は、本明細書において説明される患者装着コンプライアンス情報をモニタリングおよび出力するためのサンプルプロセスフローを示す。例えば、
図5に示されるサンプルプロセス500は、上述の医療デバイスコントローラ300のプロセッサ318など、プロセッサにより実装され得る。
【0103】
図5に示されるように、プロセッサは、1または複数の患者センサから1または複数のセンサ信号を受信(502)できる。例えば、センサ信号は、ECGセンサ、RFベース生理センサ、生体音響センサおよび他の同様のセンサなど、1または複数の生理センサからの信号を含み得る。センサ信号は、加速度計などの1または複数の動きセンサからの単一物も含み得る。いくつかの例において、信号は、インピーダンス測定値などの様々な電気パラメータが測定され得る、1または複数のセンサからの電気信号も含み得る。
【0104】
プロセッサは、装着コンプライアンス開始イベントのインジケーションのために、受信された信号をモニタリング(504)できる。本明細書において説明されるように、装着コンプライアンス開始イベント、または単に開始イベントは、患者がウェアラブル医療デバイスを装着していない状態からウェアラブル医療デバイスを装着している状態へ遷移したことを示す、1または複数のモニタリングされた信号の変化である。例えば、本明細書において述べられるように、ECG信号情報に基づく予め定められた閾値が満たされている場合、患者は、ウェアラブル医療デバイスを装着しているものとみなされる。例示のように、以下は、例えば医療デバイスコントローラのプロセッサによる実装のための様々な機能および/または要件を列挙したサンプル機能仕様として再現されるそのような機能の例示的な実装である。
●QRS複合体の振幅および持続時間の二重基準に基づいて、QRS複合体を見出す。一例において、Pan Tompkinsアルゴリズムを用いてQRSを検出する。例えば「WearTimePreOnPeriod」(例えば、QRS信号の5秒または他の予め設定された値、または動的に変化する値)と呼ばれる予め定められた時間の後、装着時間(例えば、「WearTimeStart」)を開始する。
●WearTimePreOnPeriod持続時間の動的変化:信号にノイズがある(例えば、変数ECGnoiseFlagMaskにより示される)場合、予め定められた時間が延長され得る。例えば、より多くのECGサンプルが収集されることを可能にするために、10秒程度延長される。
●予め定められた持続時間WearTimePreOnPeriodの動的変化:WearTimePreOnPeriod持続時間の予め設定された部分についてQRSサンプルが検出された場合。例えば、予め設定された部分は、80%に設定され得る。これは、WearTimePreOnPeriodの80%の間、二重基準が満たされている場合、コンプライアンス追跡が開始される(WearTimeStart)ことを意味する。そうでなければ、WearTimePreOnPeriod持続時間は、例えば3秒といった追加の期間だけ延長される。次に、上記動的チェックは、延長されたWearTimePreOnPeriod持続時間にわたって繰り返される。WearTimePreOnPeriodは、合計持続時間が予め定められた最大値(例えば、15秒)に達した時にリセットされる。
【0105】
特定の実装において、プロセッサは、患者がウェアラブル医療デバイスを身に付けたことを示すユーザ入力を受信するように構成され得る。実装に応じて、プロセッサは、1または複数の追加の信号をモニタリングして、本明細書において説明される医療デバイスを患者が身に付けたことを確認できる。
【0106】
モニタリング(504)中、プロセッサは、開始イベントが発生しているかどうかを判定(506)できる。開始イベントが発生していない、とプロセッサが判定(506)した場合、プロセッサは、開始イベントについて電気信号のモニタリング(504)を継続できる。反対に、開始イベントが発生している、とプロセッサが判定(506)した場合、プロセッサは、開始イベントを記録し、装着コンプライアンス終了イベントについて電気信号をモニタリング(508)できる。例えば、本明細書において説明されるように、装着コンプライアンス終了イベント、または単に終了イベントは、患者がウェアラブル医療デバイスを装着している状態からウェアラブル医療デバイスを装着していない状態へ遷移したことを示す、1または複数のモニタリングされた信号の変化である。
【0107】
図5にさらに示されるように、モニタリング(508)中、プロセッサは、終了イベントが発生しているかどうかを判定(510)できる。終了イベントが発生していない、とプロセッサが判定(510)した場合、プロセッサは、終了イベントについて電気信号のモニタリングを継続できる。反対に、終了イベントが発生している、とプロセッサが判定(510)した場合、プロセッサは、開始イベントおよび終了イベントの間の期間について装着コンプライアンス情報を判定(512)できる。次に、プロセッサは、格納および分析のために、例えばリモートサーバへ装着コンプライアンス情報を出力(514)できる。追加的に、プロセッサは、患者、患者のケア提供者および処方医に対する通知において、装着コンプライアンス情報の少なくとも一部を出力(514)するように構成され得る。そのような一例において、出力される通知は、例えばコンプライアンス変化閾値を超える患者の装着コンプライアンスのあらゆる記録された変化を含み得る。例えば、患者の装着コンプライアンスの割合が1日における特定の量(例えば、連続する複数日間で5%~15%)を超えて変化する場合、通知は、装着コンプライアンスの変化についての情報を含み得る。
【0108】
コンプライアンス情報を適切に記録すべく、プロセッサは、イベント情報をテーブルまたは他の同様のデータ構造に記録できる。例えば、特定の期間中に測定される開始イベントおよび終了イベントの各々について、プロセッサは、イベントに関連付けられた関連発生時間を記録できる。プロセッサはさらに、開始イベントおよび後続の終了イベントの間の時間を計算することにより、合計装着コンプライアンス時間を計算および記録できる。同様に、プロセッサはさらに、終了イベントおよび後続の開始イベントの間の時間を計算することにより、合計装着ノンコンプライアンス時間を計算および記録できる。装着コンプライアンスを毎日計算する場合、プロセッサは、ある1日から別の日への時間遷移として終了イベントを午前0時に記録し、直ちに、開始イベントを同様に午前0時に記録し得る。そのような記録により、あらゆる非準拠期間を記録することなく、複数日間の境界が提供される。
【0109】
以下の表2は、本明細書において説明される装着コンプライアンス情報を記録するためのサンプルデータ構造を示す。示されるように、表2は、日次で計算される装着コンプライアンス情報を含み、そのため、毎日の午前0時における終了および開始イベントのペアを含む。表2は、イベント間の合計時間(時間上のセグメント)および合計全体日次装着測定値(累積日次オン時間、累積日次オフ時間および合計日次コンプライアンス%)も含む。
【表2】
[表2]
【0110】
上述のように、プロセッサは、開始イベントの発生について1または複数の電気信号をモニタリングするように構成され得る。しかしながら、特定の実装において、プロセッサは、特に、開始イベントのインジケーションについての信号の変化をモニタリングし、この変化に依拠ように構成され得る。例えば、
図6Aに示されるプロセス600は、センサ信号をモニタリング(504)し、開始イベントが発生しているかどうかを判定(506)するためのより詳細なプロセスフローを含む。特定の実装において、センサ信号は、生理信号および動き信号など、信号の組み合わせを含み得る。
図6Bに示されるプロセス620は、患者の1または複数の生理信号が開始イベントのインジケーションについてモニタリングされる、より具体的な実装を含む。
図6Cに示されるプロセス640は、1または複数の動き信号が開始イベントのインジケーションについてモニタリングされる、より具体的な実装を含む。
図6Dに示されるプロセス660は、1または複数の皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが開始イベントのインジケーションについてモニタリングされる、より具体的な実装を含む。
【0111】
上述のように、
図6Aに示されるプロセス600は、
図5に示され、上述のようにモニタリング(504)および判定(506)するためのより詳細なプロセスフローを示す。
図6Aに示されるように、プロセッサは、受信された信号をモニタリング(602)できる。プロセッサは、開始イベントの発生を示し得る受信された信号のあらゆる変化を識別(604)できる。プロセッサは、例えば、受信された信号の変化を1または複数の開始イベント基準に対して比較することにより、変化が開始イベントを示しているかどうかを判定(606)できる。
図6Bおよび
図6Cの以下の説明において、特定の開始イベント基準の例を説明する。
【0112】
図6Aにさらに示されるように、受信された信号の変化が開始イベントを示していない、とプロセッサが判定(606)した場合、プロセッサは、受信された電気信号の変化の探索および識別(604)を継続できる。しかしながら、受信された信号の変化が開始イベントを示している、とプロセッサが判定(606)した場合、プロセッサは、変化のモニタリング(608)を継続できる。例えば、開始イベントの発生を判定するために用いられる開始イベント基準のタイプに応じて、電気信号の変化は、例えば5秒などの特定の期間にわたって維持または観察されなければならない。プロセッサは、潜在的な開始イベントが確認された開始イベントであるかどうかを変化についての延長されたモニタリングに基づいて判定(610)できる。潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(610)しなかった場合、プロセッサは、受信された信号の変化の探索および識別(604)を継続できる。反対に、潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(610)した場合、プロセッサは、開始イベントの確認を生成(612)し、例えば開始イベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。
【0113】
いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、様々な情報を入力するオプションを患者に提供するユーザインタフェースを含み得る。例えば、ユーザインタフェースは、ユーザがウェアラブル医療デバイスを身に付けたことを示す入力をユーザに提供できる。そのような入力に応答して、プロセッサは、1または複数の生理信号および/または動き信号のうちの少なくとも1つを分析することにより
図6Aに示されるものと同様のプロセスを用いて開始イベントを確認し、開始イベントを記録できる。いくつかの例において、プロセッサは、患者の入力のみに基づいて、開始イベントを記録できる。
【0114】
上述のように、
図6Aに示されるプロセス600は、本明細書において説明される1または複数のセンサからの受信された信号を全体的にモニタリングすることにより開始イベントを検出することに関する。
図6Bに示されるプロセス620は、
図5に示され、上述のようにモニタリング(504)および判定(506)するためのより詳細なプロセスフローをであって、例えば開始イベント発生を判定するために患者についての生理情報がモニタリングおよび分析される、プロセスフローを示す。
図6Bに示されるように、プロセッサは、例えば、本明細書において説明されるECGセンサなど、患者の心臓活動を示す1または複数の電気信号を出力するように構成された1または複数の生理センサおよび関連回路からの信号を受信(622)できる。プロセッサは、受信された生理信号から1または複数の生理メトリックを導出(624)できる。例えば、生理メトリックは、例えば、心拍数(平均値、中央値、モード、または心拍数の他の統計測定値、および/または、最大、最小、休息時、運動前および運動後の心拍数値および/または範囲など)、心拍変動メトリック、心室期外収縮(PVC)負荷またはカウント、心房細動負担メトリック、一時停止、心拍タービュランス、QRS高さ、QRS幅、ECG情報の形態のサイズまたは形状の変化、コサインR-T、人工ペーシング、QT間隔、QT変動、T波幅、T波、T波変動およびSTセグメント変化を含むECGメトリックを含み得る。ECGメトリックは、本明細書において単なる例として説明されており、例えば以下の
図3の詳細な説明といった、説明されるものなど、追加の生理メトリックも、このプロセスにより処理され得る。
【0115】
図6Bにさらに示されるように、プロセッサは、例えば、受信された信号におけるメトリックの変化および/またはパターンを1または複数の開始イベント基準に対して比較することにより、導出されたメトリックが開始イベントを示しているかどうかを判定(626)できる。例えば、開始イベントを示し得る1つの開始イベント基準は、特定の期間にわたって有効と判定されるECG信号である。特定の実装において、ECG信号から導出される少なくとも1つのECGパラメータは、有効と判定されるECG信号の有効性閾値を満たすべきである。プロセッサは、例示的な基準を用いて、以下の例において説明される有効性閾値を満たすことができる。例えば、ECGパラメータは、Rピーク振幅閾値を満たすRピーク振幅を有する少なくとも5つの連続するRピークのセットを含み得る。例えば、Rピーク振幅閾値は、約0.75ミリボルト~1.50ミリボルトであり得る。いくつかの例において、Rピーク振幅閾値は、約0.50ミリボルト~約1.0ミリボルトから選択され得る。別の例において、少なくとも1つのECGパラメータは、QRS複合幅を含み得る。そのような一例において、有効なECG信号の有効性閾値は、約0.05秒~0.15秒の幅を有する5つまたはそれよりも多くの連続するQRS複合体を含み得る。例示のように、以下は、医療デバイスのプロセッサによる実装のための様々な機能および/または要件を列挙した例示的なサンプル機能仕様である。
●QRS複合体の振幅および持続時間の二重基準に基づいて、QRS複合体を見出す。一例において、Pan Tompkinsアルゴリズムを用いて、QRS複合体を検出する。予め定められた時間、例えば、WearTimePreOnPeriod(例えば、QRS信号の5秒または他の予め設定された値、または動的に変化する値)の後、装着時間(WearTimeStart)を開始する(有効性基準が満たされる)。以下は、有効性基準がいつ満たされたかを判定するためのオプションである。
○Rピーク振幅閾値を満たすRピーク振幅を有する少なくとも5つの連続するRピークのセット。
○Rピーク振幅閾値は、約0.75ミリボルト~1.50ミリボルトであり得る。任意選択的に、Rピーク振幅閾値は、約0.50ミリボルト~約1.0ミリボルトから選択され得る。
○ユーザにより定義される値のQRS複合幅が設定され得る。約0.05秒~0.15秒の幅を有する5つまたはそれよりも多くの連続するQRS複合体。
【0116】
図6Bにさらに示されるように、導出されたメトリックが開始イベントを示していない(例えば、有効性基準が満たされていない)、とプロセッサが判定(626)した場合、プロセッサは、受信された生理信号からのメトリックの導出(624)を継続できる。しかしながら、受信された生理信号における導出されたメトリックが開始イベントを示している(例えば、有効性基準が満たされている)と、プロセッサが判定(626)した場合、プロセッサは、導出されたメトリックのモニタリング(628)を継続できる。上述のように、この例において、例示的な有効性基準のセットを満たすべく、5つの連続するRピーク振幅がRピーク振幅閾値を超えるべきである。プロセッサは、導出されたメトリックが開始イベントの確認を示しているかどうかを判定(630)できる。潜在的な開始イベントが確認された開始イベントであると、プロセッサが判定(630)しなかった場合、プロセッサは、受信された生理信号に基づいて、メトリックの導出を継続できる。反対に、潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(630)した場合、プロセッサは、開始イベントの確認を生成(632)し、例えば開始イベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。
【0117】
図6Cに示されるプロセス640は、
図5に示され、上述のようにモニタリング(504)および判定(506)するためのより詳細なプロセスフローをであって、例えば開始イベント発生を判定するために患者についての動き情報がモニタリングおよび分析される、プロセスフローを示す。
図6Cに示されるように、プロセッサは、例えば、本明細書において説明される加速度計など、患者の身体活動または動きを示す1または複数の電気信号を出力するように構成された1または複数の動きセンサおよび関連回路からの信号を受信(642)できる。プロセッサは、患者の特定の運動を示す動き信号における1または複数の特徴を識別(644)できる。例えば、動き信号は、患者が歩いている、走っている、階段を上がっている、起き上がっている、立ち上がっている、座っている、横たわっているおよび他の同様の身体活動を実行している旨のインジケーションを提供し得る。
【0118】
図6Cにさらに示されるように、プロセッサは、例えば、患者により装着されている場合のウェアラブル医療デバイスの運動と動き特徴が一致しているかどうかを判定することにより、識別された動き特徴が開始イベントを示しているかどうかを判定(646)できる。例えば、加速度計の出力は、患者についての過去の動き情報に対して比較され得る。動き特徴が過去の動き情報と一致している場合、患者は、ウェアラブル医療デバイスを装着しているものとみなされ得る。
【0119】
図6Cにさらに示されるように、動き信号における識別された特徴が開始イベントを示していないと、プロセッサが判定(646)した場合、プロセッサは、受信された動き信号における特徴の識別(644)を継続できる。しかしながら、動き信号における識別された特徴が開始イベントを示している、とプロセッサが判定(646)した場合、プロセッサは、動き信号のモニタリング(648)を継続できる。例えば、有効な動きとみなされるためには、動き信号は、患者およびウェアラブル医療デバイスの運動が5秒などの期間にわたって一致していることを示す必要があり得る。プロセッサは、動き信号、および動き信号における識別された特徴が開始イベントの確認を示しているかどうかを判定(650)できる。潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(650)しなかった場合、プロセッサは、受信された動き信号の特徴の識別(644)を継続できる。反対に、潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(650)した場合、プロセッサは、開始イベントの確認を生成(652)し、例えば開始イベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。
【0120】
上述の生理信号および動き信号の分析に加え、開始イベントを判定するために、追加の信号分析がプロセッサにより実行され得る。例えば、プロセッサは、患者の身体に結合されたセンサの各々について、皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを測定できる。医療デバイスが最初に構成またはそうでなければプログラムされている場合、許容可能なインピーダンス範囲は、デバイス技師など、ユーザにより選択され得る。例えば、許容可能なインピーダンス範囲は、約20オーム~約250オーム、約20オーム~約10キロオーム、約20オーム~約20キロオーム、約250オーム~約1キロオーム、約1キロオーム~約20キロオームになるよう設計により選ばれ得る。医療デバイスコントローラのプロセッサのためのサンプル疑似コードの以下の例示的な実装において示される設計フェーズ、プログラミングフェーズ、試験フェーズおよび他の同様の評価期間の間に、他の許容可能なインピーダンス範囲が実装され得る。
●皮膚-電極インタフェースインピーダンスを測定する。
●インピーダンス値が、ユーザにより定義される値の5%内の範囲のままである、予め定められた時間、例えばWearTimePreOnPeriod(例えば、5秒)の後、装着時間(例えば、WearTimeStart)を開始する(有効性基準が満たされる)。以下は、有効性基準がいつ満たされたかを判定するためのオプションである。
○測定された皮膚-電極インタフェースインピーダンスが、約20オーム~約250オームのユーザにより定義されるインピーダンス範囲内である。
○測定された皮膚-電極インタフェースインピーダンスが、約20オーム~約10キロオームのユーザにより定義されるインピーダンス範囲内である。
○測定された皮膚-電極インタフェースインピーダンスが、約20オーム~約20キロオームのユーザにより定義されるインピーダンス範囲内である。
○測定された皮膚-電極インタフェースインピーダンスが、約250オーム~約1キロオームのユーザにより定義されるインピーダンス範囲内である。または、
○測定された皮膚-電極インタフェースインピーダンスが、約1キロオーム~約20キロオームのユーザにより定義されるインピーダンス範囲内である。
【0121】
インピーダンスレベルの変化の測定に基づいて、プロセッサは、開始イベントが発生しているかどうかを判定できる。例えば、特定の設計選択肢に応じた一実装において、センサが患者の皮膚と接触していない場合、インピーダンスは、10キロオームを超え得る。センサが患者の皮膚と接触している場合、インピーダンスは、著しく低下し得る。そのため、プロセッサは、約20オーム~約250オームの皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを測定する場合、センサが患者の皮膚と接触しており、かつ、開始イベントが発生している、と判定し得る。いくつかの例において、開始イベントを検出するためのインピーダンスレベルは、約10オーム~約300オームであり得る。実際の実装では、インピーダンスレベルはセンサを構築するために用いられる材料、および患者上のセンサの配置の位置に基づいて判定され得る。例えば、用いられるセンサのタイプに応じて、開始イベント中のインピーダンスレベルは、許容可能なインピーダンス範囲間、例えば、約250オーム~約1キロオームまたは約1キロオーム~約20キロオームであり得る。
【0122】
より具体的には、
図6Dは、
図5に示され、上述のようにモニタリング(504)および判定(506)するためのサンプルプロセスフロー660であって、例えば開始イベント発生を判定するために、患者の身体に結合された1または複数のセンサにつうて皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルがモニタリングおよび分析される、サンプルプロセスフロー660を示す。
図6Dに示されるように、プロセッサは、例えば、2016年12月16日に出願された、参照により内容の全体が本明細書に組み込まれる「電極フォールオフ検出」と題する米国特許出願第15/381,206号において説明される条件付けおよび/または皮膚-センサインタフェースモデリング回路など、例えば、内部に含まれる1または複数のセンサおよび関連回路から電気信号を受信(662)できる。受信された電気信号に基づいて、プロセッサは、患者の身体に結合された1または複数のセンサの各々について、皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを判定(664)できる。
【0123】
図6Dにさらに示されるように、プロセッサはさらに、例えば、センサが患者の皮膚と現在接触していることをセンサのうちの1または複数における現在の皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが示しているかどうかを判定することにより、1または複数のセンサの皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが開始イベントを示しているかどうかを判定(666)できる。例えば、上述のように、センサの現在の皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが約20オーム~約250オームである場合、プロセッサは、センサが患者の皮膚と接触しており、かつ、開始イベントが発生している可能性がある、と判定(666)し得る。反対に、センサの現在の皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが上記インピーダンス範囲外である、および/または、10キロオームまたは20キロオームなどの特定のインピーダンス値を超えている場合、プロセッサは、センサが患者の皮膚と接触しておらず、かつ、開始イベントが発生している可能性がない、と判定(666)し得る。そのような一例において、プロセッサは、1または複数のセンサの各々について、更新された皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルの判定(664)を継続できる。
【0124】
図6Dにさらに示されるように、現在の皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが潜在的な開始イベントを示している、とプロセッサが判定(666)した場合、プロセッサは、皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルのモニタリング(668)を継続できる。例えば、プロセッサは、2秒、5秒、10秒、15秒、20秒および/または30秒など、設定された期間にわたって皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルのモニタリングを継続できる。設定された期間中、プロセッサは、1または複数のセンサの皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベル、および設定された期間中にモニタリングされる皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルのあらゆる変化が開始イベントの確認を示しているかどうかを判定(670)できる。例えば、1または複数のセンサの各々のモニタリングされた皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルが、設定された期間全体にわたって約20オーム~約250オームの範囲内のままである場合、プロセッサは、開始イベントが発生している、と判定(670)および確認し得る。反対に、1または複数のセンサの各々のモニタリングされた皮膚-センサインピーダンスレベルが、設定された期間中、上記インピーダンス範囲外である場合、プロセッサは、確認された開始イベントが発生していない、と判定(670)してよく、上述のように皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルの判定(664)を継続してよい。潜在的な開始イベントが確認された開始イベントである、とプロセッサが判定(670)した場合、プロセッサは、開始イベントの確認を生成(672)し、例えば開始イベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。
【0125】
図7Aに示されるプロセス700は、
図5に示され、上述のように終了イベントをモニタリング(508)および判定(510)するためのより詳細なプロセスフローを示す。
図7Aに示されるように、プロセッサは、受信された信号をモニタリング(702)できる。プロセッサは、終了イベントの発生を示し得る受信された信号のあらゆる変化を識別(704)できる。プロセッサは、例えば、受信された信号の変化を1または複数の終了イベント基準に対して比較することにより、変化が終了イベントを示しているかどうかを判定(706)できる。
【0126】
図7Aにさらに示されるように、受信された信号の変化が終了イベントを示していない、とプロセッサが判定(706)した場合、プロセッサは、受信された電気信号の変化の探索および識別(704)を継続できる。しかしながら、受信された信号の変化が終了イベントを示している、とプロセッサが判定(706)した場合、プロセッサは、変化のモニタリング(708)を継続できる。例えば、終了イベントの発生を判定するために用いられる終了イベント基準のタイプに応じて、電気信号の変化は、例えば5秒などの特定の期間にわたって維持または観察されなければならない。プロセッサは、潜在的な終了イベントが確認された終了イベントであるかどうかを変化についての延長されたモニタリングに基づいて判定(710)できる。潜在的な終了イベントが確認された終了イベントである、とプロセッサが判定(710)しなかった場合、プロセッサは、受信された信号の変化の探索および識別(704)を継続できる。反対に、潜在的な終了イベントが確認された終了イベントである、とプロセッサが判定(710)した場合、プロセッサは、終了イベントの確認を生成(712)し、例えば終了イベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。
【0127】
図7Aに示されるプロセス700の特定の例において、終了イベントを判定するための基準は、異なり得る。例えば、有効なECG信号が、ウェアラブル医療デバイスの取り外しを示す無効なECG信号へ遷移した場合、プロセッサは、終了イベントを記録できる。同様に、インピーダンス閾値を超えており、かつ、患者の皮膚からのセンサの取り外しを示す皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルの変化をプロセッサが検出し、または皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルがもはや許容可能なインピーダンス範囲内にない場合、プロセッサは、終了イベントを記録できる。いくつかの例において、インピーダンス閾値は、10キロオーム、20キロオーム、100キロオーム、1メガオーム、2メガオーム、5メガオームおよび10メガオームのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの例において、プロセッサが1または複数の動きセンサからの信号の受信を停止した場合、プロセッサは、1または複数の動きセンサおよび関連回路が切断されている、と判定し、それに応じて終了イベントを記録できる。プロセッサはさらに、患者がウェアラブル医療デバイスを取り外したことを1または複数の動き信号の変化が示している、と判定してよく、それに応じて終了イベントを記録してよい。いくつかの例において、プロセッサは、患者がウェアラブル医療デバイスを取り外したことを示す患者からの入力を受信し得る。プロセッサは、患者がウェアラブル医療デバイスを取り外したことを1または複数の生理信号および1または複数の動き信号の変化に基づいて確認し、それに応じて終了イベントを記録してよい。
【0128】
特定の実装において、開始イベントの判定は、信号の組み合わせに基づき得る。そのため、
図6B、
図6Cおよび
図6Dに示される例は、単なる例として示されている。例えば、
図6Aに示されるように、プロセッサは、1または複数の生理信号および1または複数の動き信号の両方を同時にモニタリングして、開始イベントが発生しているかまたはしていないかを判定するように構成され得る。例えば、プロセッサは、
図6Bにおいて説明される有効なECG信号を判定し得る。しかしながら、開始イベントが発生したことを確認する前に、プロセッサはさらに、
図6Cにおいて説明される1または複数の動き信号を分析して、1または複数の動き信号が開始イベントのインジケーションも提供していることを確認できる。反対に、プロセッサが、示される運動を動き信号内に検出しなかったか、または高レベルのノイズを動き信号内に検出した場合、プロセッサは、1または複数の生理信号の分析のみに基づいて開始イベントを記録できる。同様に、プロセッサはさらに、
図6Dにおいて説明される皮膚-センサインタフェースインピーダンスレベルを生理信号および/または動き信号のモニタリングと同時にモニタリングして、開始イベントを判定および確認できる。反対に、1または複数のセンサにおける潜在的なノイズおよび/または他の同様の干渉を示す皮膚-センサインピーダンスレベルの変化をプロセッサが判定する場合、プロセッサは、1または複数の生理信号および/または動き信号のさらなる分析に依拠して、本明細書において説明される開始イベントを確認できる。同様に、プロセッサは、
図7Aに示される終了イベントを確認する前に、異なるタイプおよび組み合わせの信号を分析できる。
【0129】
しかしながら、特定の例において、追加の変数が、1または複数の信号の信頼性に影響を及ぼし得る。例えば、特定の時刻において、患者の運動は、制限されることがある。例えば、夜間には、患者の運動が制限されることがあり、そのため、開始および終了イベントの判定に用いられる基準が、それに応じて調整され得る。そのような一例において、プロセッサは、1または複数の生理信号、1または複数の動き信号および時刻に基づいて開始および/または終了イベントを記録するように構成され得る。
【0130】
図7Bに示されるプロセス720は、時刻の考慮を含み、それに応じてイベント基準を調整する。
図7Bに示されるように、プロセッサは、受信された信号をモニタリング(722)できる。プロセッサは、開始または終了イベントのいずれかの発生を示し得る受信された信号のあらゆる変化を識別(724)できる。追加的に、プロセッサは、時刻を判定(726)し、例えば、過去の患者活動データ、または患者がその時刻において典型的にはアクティブであるかまたは非アクティブであるかを示し得る他の同様の設定情報に対してその時刻を比較できる。判定された時刻および患者の活動情報に基づいて、プロセッサは、開始または終了イベント発生を判定するために用いられるイベント基準を調整(728)できる。例えば、患者が概して非アクティブ状態にあることを時刻が示している場合、プロセッサは、イベント発生を判定する場合に、1または複数の動き信号への依拠を低下させ、または、1または複数の動き信号を完全に無視し得る。反対に、患者が概してアクティブ状態にあることを、判定された時刻が示している場合、プロセッサは、イベント発生を判定する場合に、1または複数の生理信号および1または複数の動き信号の両方の組み合わせに依拠し得る。
【0131】
図7Bにさらに示されるように、プロセッサは、例えば、受信された信号の変化を上で判定された調整済みのイベント基準などの1または複数のイベント基準に対して比較することにより、変化がイベントを示しているかどうかを判定(730)できる。受信された信号の変化がイベントを示していない、とプロセッサが判定(730)した場合、プロセッサは、受信された電気信号の変化の探索および識別(724)を継続できる。しかしながら、受信された信号の変化がイベントを示している、とプロセッサが判定(730)した場合、プロセッサは、いくつかの例では調整済みのイベント基準を用いて、変化のモニタリング(732)を継続できる。プロセッサは、潜在的なイベントが確認されたイベントであるかどうかを変化についての延長されたモニタリングに基づいて判定(734)できる。潜在的なイベントが確認されたイベントである、とプロセッサが判定(734)しなかった場合、プロセッサは、受信された信号の変化の探索および識別(724)を継続できる。反対に、潜在的なイベントが確認されたイベントである、とプロセッサが判定(734)した場合、プロセッサは、イベントの確認を生成(736)し、例えばイベントを上述の表2などのデータ構造で記録できる。特定の実装において、プロセッサはさらに、調整済みのイベント基準を用いてイベント発生の時刻に基づきイベントが記録された旨のインジケーションをデータ構造で提供するように構成され得る。
【0132】
図5から
図7Bの上記説明において、開始および終了イベント検出および確認は、ECG信号などの生理信号について1または複数の受信された電気信号をモニタリングすることにより実行され得ることに留意されたい。ECG信号の有効性に基づいて、本明細書において説明されるプロセッサは、開始または終了イベントが発生しているかどうかを判定できる。しかしながら、本明細書において説明されるウェアラブル医療デバイスの正常な動作中、プロセッサはまた、心不整脈について患者を継続的にモニタリングできる。特定の実装において、心不整脈が発生した場合、プロセッサは、結果として生じるECGを無効と解釈し得る。例えば、患者が心室細動(VF)を経験した場合、患者のECG信号において検出されるQRS複合タイミングは、本明細書において説明される装着コンプライアンスの判定のためにECG信号が無効とみなされるように変更され得る。そのような一例において、プロセッサは、不整脈検出が停止する(例えば、不整脈が検出されなかった場合)まで、または患者が治療を受けて正常に戻る(または正常な心臓活動の許容可能な範囲内になる)まで、開始および/または終了イベント検出に対して不整脈検出を優先するように、かつ、開始および/または終了イベント検出を無視またはそうでなければ停止するようにプログラムまたはそうでなければ調整され得る。
【0133】
本明細書において説明されるように、ウェアラブル医療デバイスは、リモートサーバなど、1または複数の追加の遠隔地に配置されたコンピューティングデバイスに動作可能に接続され得る。例えば、
図8は、ウェアラブル医療デバイス(例えば、
図3に示される医療デバイスコントローラ300を含む医療デバイス)がリモートサーバに動作可能に接続され得るサンプルネットワーク800を示す。
図3に関連して上述したように、ウェアラブル医療デバイスコントローラ300は、Bluetooth(登録商標)無線リンクなどの無線リンク、ブロードバンドセルラリンク、またはIEEE 802.11規格に基づくWi-Fi(登録商標)通信リンク上で(例えば、「ホットスポット」または他の基地局または中間デバイスを介して)データを伝送するためのネットワークインタフェース306を含み得る。
図8に示されるように、医師のコンピュータ802およびウェアラブル医療デバイス804は、ネットワーク806を通じてモニタリングサーバ808に動作可能に接続され得る。特定の実装において、ウェアラブル医療デバイス804は、装着されている間、本明細書において説明される様々な患者メトリックおよびパラメータなど、患者に関連する情報を収集できる。例えば、ウェアラブル医療デバイス804は、患者がウェアラブル医療デバイスを処方されている期間にわたって、患者に関連する生理およびECGデータ、RFベース測定情報および装着コンプライアンス情報を収集できる。ウェアラブル医療デバイス804は、30分、1時間、2時間、6時間または1日などの期間中に講じられるステップの数などの患者に関連付けられた動き情報および患者がどれくらいの頻度でおよびどれくらいの期間にわたって運動しているかなどの活動の期間に関連する持続時間情報を示す加速度計データも収集できる。ネットワーク806への接続およびウェアラブル医療デバイス804のプログラミングに応じて、ウェアラブル医療デバイスは、収集された情報を格納およびさらなる処理および分析のためにモニタリングサーバ808へ規則的に伝送するように構成され得る。ネットワーク806は、権限を付与されたデバイス804、コンピュータ802およびサーバ808の間の相互通信を可能にするように構成されたプライベートでセキュアなネットワークであってよい。例えば、プライベートネットワークは、パブリックネットワーク内のセキュアな通信チャネル(「トンネル」と呼ばれる)の生成を含む複数の暗号化された通信技術を用いて形成され得る仮想プライベートネットワーク(VPN)として実装され得る。一例として、デバイス804またはコンピュータ802は、そのようなトンネルを介してサーバ808とセキュアに通信するために、一時的または永続的な専用通信ソフトウェアアプリケーションを実装し得る。専用通信ソフトウェアアプリケーションは、メッセージを暗号化してサーバ808へ送信し、サーバ808から受信されるメッセージを受信して復号化し得る。いくつかのタイプのそのような専用通信ソフトウェアアプリケーションは、暗号化されたメッセージをフォーマット化されたデータパケットに埋め込んでよく、その結果、暗号化されたメッセージは、セキュアな通信チャネル外から読み取り不可能になる。
【0134】
本明細書において説明されるウェアラブル医療デバイスを処方する場合、処方医またはヘルスケア提供者には、装着コンプライアンスモニタリングプロセスの様々な設定またはパラメータを調整するための1または複数のオプションが与えられ得る。例えば、
図9は、特定の患者の1または複数の装着コンプライアンスモニタリング設定を修正するために医師および/または他のHCPによりアクセスおよび利用され得るユーザインタフェーススクリーン900のサンプル図を示す。医師は、例えば上述の医師のコンピュータ802へ統合されたプロセッサにより実行されるブラウザまたはゲートウェイアプリケーションなどのアプリケーションにアクセスして、ユーザインタフェーススクリーン900とやり取りできる。
【0135】
図9に示されるように、ユーザインタフェーススクリーン900は、ユーザインタフェースコントロール902、904、906、908および910を含む。いくつかの例において、ユーザインタフェーススクリーン900は、患者の氏名、患者に関連付けられた識別子、およびデバイス識別子などの処方されたデバイスについての情報など、患者固有情報へのアクセスを提供する。特定の実装において、患者識別子は、患者に関連付けられた医療記録番号、患者に関連付けられた被保険者番号、社会保障番号などの患者を直接識別する番号、または別の同様の識別番号であり得る。患者固有情報に基づいて、プロセッサは、患者の医療記録にアクセスできる。患者状態情報、過去の患者情報、人口統計情報およびリハビリテーションベースライニング情報など、医療記録に含まれる情報に基づいて、プロセッサは、医師からの追加の情報なしに、デフォルト装着コンプライアンスモニタリングパラメータのセットを生成できる。
【0136】
いくつかの例において、プロセッサは、装着コンプライアンスモニタリングパラメータをカスタマイズするためのオプションを医師に表示できる。例えば、ユーザインタフェースコントロール902は、最小装着コンプライアンスモニタリングパラメータに関連する特定の情報へのアクセスを提供できる。ユーザインタフェースコントロール902は、最小装着コンプライアンスモニタリングパラメータに関連する追加の情報を受信するための1または複数のユーザインタラクティブまたは選択可能な入力を含み得る1または複数の追加のコントロール903を含み得る。例えば、追加のコントロール903は、合計装着時間フィールド、承認された取り外し期間の数、取り外し期間当たりに許容される最大取り外し時間を含み得る。例えば、
図9に示されるように、追加のコントロール903は、テキストフィールドおよびドロップダウンメニューの組み合わせを含む。しかしながら、追加のコントロール903のこの具体的な実装は、単なる例として示されている。この例では、追加のコントロール903は、1日当たりの装着の合計が23時間、許容された取り外し期間が2つ、および取り外し期間当たりの最大時間が30分、という医師の入力を受信している。具体的な入力、および追加のコントロール903に含まれるサンプル数字は、単なる例として提供されている。
【0137】
上述のように、ユーザインタフェーススクリーン900は、ユーザインタフェースコントロール904をさらに含み得る。ユーザインタフェースコントロール904は、ターゲット装着コンプライアンスモニタリングパラメータに関連する特定の情報へのアクセスを提供できる。例えば、ターゲット装着コンプライアンスモニタリングパラメータは、医師により設定される、ウェアラブル医療デバイスが患者に処方されている時間の間に患者が実現すべき目標を含み得る。ユーザインタフェースコントロール904は、ターゲット装着コンプライアンスモニタリングパラメータに関連する追加の情報を受信するための1または複数のユーザインタラクティブまたは選択可能な入力を含み得る1または複数の追加のコントロール905を含み得る。例えば、追加のコントロール905は、合計装着時間フィールド、承認された取り外し期間の数、取り外し期間当たりに許容される最大取り外し時間を含み得る。例えば、
図9に示されるように、追加のコントロール905は、テキストフィールドおよびドロップダウンメニューの組み合わせを含む。しかしながら、追加のコントロール905のこの具体的な実装は、単なる例として示されている。この例では、追加のコントロール905は、1日当たりの装着の合計が23.5時間、許容された取り外し期間が1つ、および取り外し期間当たりの最大時間が30分、という医師の入力を受信している。しかしながら、具体的な入力、および追加のコントロール905に含まれるサンプル数字は、単なる例として提供されていることに留意されたい。
【0138】
上述のように、ユーザインタフェーススクリーン900は、ユーザインタフェースコントロール906をさらに含み得る。ユーザインタフェースコントロール906は、本明細書において説明される開始および終了イベント検出基準に関連する特定の情報へのアクセスを提供できる。ユーザインタフェースコントロール906は、1または複数の追加のコントロール907を含み得る。いくつかの例において、1または複数の追加のコントロール907は、開始および終了イベント検出基準に関連する追加の情報を受信するための1または複数のユーザインタラクティブまたは選択可能な入力を含み得る。例えば、追加のコントロール907は、デフォルト基準を用いるためのユーザ選択可能入力、またはカスタム基準を用いるためのユーザ選択可能入力を含み得る。
【0139】
上述のように、ユーザインタフェーススクリーン900は、ユーザインタフェースコントロール908をさらに含み得る。ユーザインタフェースコントロール908は、患者の装着コンプライアンス情報について、医師、別のHCP、患者および他の同様の人など、1または複数の人に警告するためのアラート基準に関連する特定の情報へのアクセスを提供できる。ユーザインタフェースコントロール908は、1または複数の追加のコントロール909を含み得る。いくつかの例において、1または複数の追加のコントロール909は、アラートが生成される前にどの基準が満たされるべきかを示すための1または複数のユーザインタラクティブまたは選択可能な入力を含み得る。例えば、追加のコントロール909は、最小コンプライアンス情報が満たされていない旨のアラートを毎日受信し、最小コンプライアンス情報が満たされていない旨のアラートを設定された数の連続する日数が過ぎた後に受信し、ターゲットコンプライアンス情報が満たされていない旨のアラートを毎日受信し、ターゲットコンプライアンス情報が満たされていない旨のアラートを設定された数の連続する日数が過ぎた後に受信し、かつ、ターゲットコンプライアンス情報が満たされている旨のアラートを設定された数の連続する日数が過ぎた後に受信するためのユーザ選択可能入力のセットを含む。追加のコントロール909における特定の入力は、ユーザ選択可能入力、および
図9に示される日数などの追加の情報を提供するために医師が用い得るカスタマイズ可能フィールドの組み合わせを含む。しかしながら、
図9に示される追加のコントロール909の数字、配置およびラベルは、単なる例としてのものである。
【0140】
図9にさらに示されるように、ユーザインタフェースコントロール910は、選択可能ボタンのセットを含む。プロセッサは、「提出」ボタンの選択の受信に応答して、患者についての装着コンプライアンスパラメータのセットを更新できる。プロセッサは、「クリア」ボタンの選択の受信に応答して、ユーザインタフェーススクリーン900からの既存の選択および/または入力情報を削除できる。プロセッサは、「キャンセル」ボタンの選択の受信に応答して、上述の装着コンプライアンスパラメータの更新をアボートできる。
【0141】
本明細書において説明されるように、ウェアラブル医療デバイスにより生成される装着コンプライアンス情報は、例えば患者の医師による検討用の追加の処理およびアクセスのために、リモートサーバへ伝送され得る。追加的に、装着コンプライアンス情報は、ウェアラブル医療デバイスへ統合されたユーザインタフェース(例えば、
図3に示され、本明細書において説明されるユーザインタフェース308)上で、または、スマートフォンなど、患者に割り当てられるか、またはそうでなければ患者によりアクセスされるパーソナルコンピューティングデバイスを介して、患者に対し表示され得る。
【0142】
特定の実装において、装着コンプライアンス情報は、医師のウェブポータルなど、ネットワークベースポータルを介して、ケア提供者に対し表示され得る。例えば、ポータルは、医師に割り当てられるか、またはそうでなければ医師によりアクセスされるポータブルコンピューティングデバイス、または
図8に示され、本明細書において説明される医師のコンピュータ802のようなコンピュータなど、様々な電子デバイス上でアクセスされ得る。理解が容易なフォーマットで患者の装着コンプライアンスに関する関連情報を医師に提供することが望ましい。さらに、上述のように、医師は、患者による最小またはターゲット装着コンプライアンスガイドラインからの逸脱に関するアラートの設定を望み得る。
図10Aから
図10Cは、例えば、迅速に見るための重要コンプライアンスデータの表示がなされる要約スクリーン(またはスクリーンの一部)、および要約スクリーンに表示される重要コンプライアンスデータの基礎となる非常に詳細な情報があるより詳細なスクリーン(またはスクリーンの一部)を含む、装着コンプライアンス情報を医師へ供給するための1または複数のインタフェースを説明している。
【0143】
例えば、
図10Aは、デモンストレーションのみを目的とした架空の患者データのサンプルセットを含むサンプルユーザインタフェーススクリーン1000を示す。ユーザインタフェーススクリーン1000は、患者情報、ログイン情報および他の同様の全体的なデータなど、データのセットを含み得る。ユーザインタフェーススクリーン1000は、患者についてのより具体的な要約情報を含むタブ1002のセットをさらに含み得る。
図10Aに示されるように、コンプライアンスタブが選択済みであり、要約装着コンプライアンスデータのセットが表示されている。例えば、要約装着コンプライアンス情報は、報告期間情報、報告範囲情報および患者使用範囲情報を含む。
図10Aに示されるように、報告期間情報は、患者使用日数、合計患者使用情報、平均日次患者使用情報およびアラート日数についての情報を含む。同様に、
図10Aに示されるように、報告範囲情報は、ユーザインタフェーススクリーン1000に示される合計期間を調整するためのユーザ選択可能入力を含む。患者使用範囲は、追加の詳細な情報がユーザインタフェーススクリーン1000にどのように表示されるかを調整するためのユーザ選択可能入力を含む。
【0144】
図10Aにさらに示されるように、ユーザインタフェーススクリーン1000は、患者についてのより具体的な装着コンプライアンス情報を含む詳細部分1004を含み得る。患者使用範囲についてのユーザ選択可能入力は、実際の使用時間別の閲覧に設定済みである。このユーザ選択に照らして、詳細部分1004に含まれるデータは、棒グラフ1006で編成された1日当たりの合計使用時間に基づきフォーマット化されている。当日の時間がy軸上に提供されており、日付がx軸上に提供されている。
図10Aに示されるように、棒グラフ1006は、患者装着ノンコンプライアンスと比較した患者装着コンプライアンスのインジケーションをさらに含み得る。
【0145】
詳細部分1004における情報の提供は、単なる例として、
図10Aにおける棒グラフ1006として示されていることに留意されたい。患者使用範囲についてのユーザ選択可能入力が変更された旨のインジケーションを受信すると、ユーザインタフェーススクリーン1000を生成したプロセッサは、それに応じて詳細部分1004を更新できる。例えば、
図10Bに示されるように、患者使用範囲についてのユーザ選択可能入力は、「合計使用時間別の閲覧」へ変更済みであり、詳細部分1004は、線グラフ1008を含むように更新され得る。
図10Bに示されるように、線グラフ1008は、y軸上の1日当たりの合計装着時間およびx軸上の日付を含む。そのため、線グラフ1008は、患者が毎日医療デバイスを装着していた合計時間数および患者についての装着コンプライアンスの記録された変化などの患者についての合計装着コンプライアンスにおけるあらゆる傾向の迅速な閲覧を提供する。
【0146】
いくつかの例において、棒グラフ1006および線グラフ1008など、グラフィック表現は、患者がウェアラブル医療デバイスを処方されている全期間を包含する装着コンプライアンス情報の閲覧を含み得る。例えば、患者は、90日間にわたってデバイスを処方され得る。90日の処方期間の終了時に、医師は、全期間にわたる装着コンプライアンス情報を単一のグラフィック表現で閲覧できる。いくつかの例において、処方期間は、変更され得る。例えば、処方期間は、7日間、14日間、30日間、60日間、180日間、1年および他の同様の期間であり得る。特定の実装において、医師は、装着コンプライアンス情報の一部を閲覧するために、グラフィック表現を修正できる。例えば、処方期間が90日間である場合、医師は、棒グラフ1006および線グラフ1008のうちの一方または両方を修正して、5日間、1週間、2週間または30日間など、期間の一部を示すことができる。
【0147】
特定の実装において、ユーザインタフェーススクリーンは、開始イベント、終了イベントおよび患者がウェアラブル医療デバイスを装着していた期間のうちの1または複数についての記録されたECG情報へのアクセスを提供するように構成された1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールをさらに含み得る。例えば、棒グラフ1006および線グラフ1008の各々は、記録されたECG情報にアクセスするための1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロールを含み得る。例えば、
図10Bに示されるように、線グラフ1008は、装着コンプライアンス情報のグラフィック表現へ埋め込まれた1または複数のユーザ選択可能インタフェースコントロール1010を含み得る。コントロール1010のうちの1つの選択を受信すると、ユーザインタフェーススクリーンは、記録されたECG情報など、追加の情報を含むように更新され得る。例えば、
図10Cに示されるように、ウィンドウ1012は、選択されたコントロール1010に関連する追加の情報を含むオーバーレイされたユーザインタフェーススクリーン1000得る。例えば、ウィンドウ1012は、初回開始イベント中に記録されるECG記録情報1014a、開始および終了イベントの間に記録される中間ECG記録情報1014bおよび終了イベント時に記録されるECG記録情報1014cを含み得る。
図10Cに示される記録されたECG情報は、単なる例として含まれており、いくつかの実装では、本明細書において説明される1または複数の動き信号から導出される情報、インピーダンス情報、ECGメトリック情報、時刻情報および他の同様に記録される情報など、追加の情報は、ユーザインタフェーススクリーン1000に表示またはそうでなければ提供され得る。
【0148】
図9の説明において上述のように、医師は、患者装着コンプライアンス情報についてのアラートを受信するための1または複数のアラート基準を設定できる。
図10Dに示されるように、ユーザインタフェーススクリーン1000は、患者の装着コンプライアンス情報についての1または複数のアラートを示すオーバーレイされたアラート1016も表示できる。例えば、
図10Dに示されるように、アラート1016は、患者が2015年9月13日に最小コンプライアンス情報を満たすのに失敗しており、かつ、過去6日間にわたってターゲットコンプライアンス情報を満たすのに失敗していることを示す。スクリーン1000上の位置および
図10Dに示される本明細書に含まれる情報を含む全体的なアラートは、単なる例として提供されていることに留意されたい。したがって、医師の設定に応じて、アラートに含まれる情報は、異なり得る。
【0149】
医師などのケア提供者に装着コンプライアンス情報を提供するのに加え、患者自身に装着コンプライアンス情報を提供するのが望ましいことがあり得る。患者の装着コンプライアンスに関する即座の、即時の、または容易に利用可能なフィードバックを患者に提供することにより、患者は、ノンコンプライアンスを直ちに認識でき、これにより、医師の介入なしにコンプライアンス不備を補正するための機会が患者に提供される。追加的に、肯定的なフィードバックにより、患者には、優れた装着コンプライアンスを継続するためのさらなる動機が提供され得る。
【0150】
図10Eおよび
図10Fは、患者に提供され得る、患者の装着コンプライアンス情報に関するサンプルフィードバックを示す。フィードバックは、処理および表示のために、患者のスマートフォンなど、パーソナルコンピューティングデバイスへ伝送され得る。例えば、パーソナルコンピューティングデバイスへ統合されたプロセッサは、フィードバック情報を処理し、パーソナルコンピューティングデバイスのディスプレイに表示させ得る。例えば、
図10Eに示されるように、デバイスは、ユーザインタフェーススクリーン1018を表示し得る。ユーザインタフェーススクリーン1018は、患者の情報の高レベルの概要を含み得る。例えば、
図10Eに示されるように、ユーザインタフェーススクリーン1018は、患者についての装着コンプライアンスストリーク情報、今日の装着情報、平均日次心拍数情報および活動情報を含み得る。
【0151】
特定の実装において、デバイスはさらに、装着コンプライアンスに関連する追加の情報を提供できる。例えば、
図10Fに示されるように、デバイスは、患者についての追加のより具体的な装着コンプライアンス情報を含むユーザインタフェーススクリーン1020を表示できる。例えば、ユーザインタフェーススクリーン1020は、デバイスが装着されてい時間およびデバイスが装着されていなかった時間の強調表示された部分を含む、今日の装着時間のグラフを含み得る。ユーザインタフェーススクリーン1020は、連続した合計日数など、患者が装着要件に準拠していた旨のアクティブストリーク情報、および、現在のストリークが過去の装着コンプライアンスストリークと比較してどうであるかについての過去の情報をさらに含み得る。ユーザインタフェーススクリーン1020は、現在の週についての装着コンプライアンス情報などの情報も含み得る。
【0152】
図10Eおよび
図10Fに示される装着コンプライアンス情報は、単なる例として提供されている。特定の実装において、患者に提供される情報のタイプは、例えば、患者の医師からの入力、患者に処方されたウェアラブル医療デバイスのタイプ、患者についての期待されるコンプライアンス基準および他の同様のパラメータに基づいて異なり得る。
【0153】
例えば上述のウェブポータルを介してアクセス可能なグラフィック表現での装着コンプライアンス情報の提供は単なる例として提供されていることにも留意されたい。特定の実装において、装着コンプライアンス情報の提供(例えば、
図5に示され、上述された装着コンプライアンス情報の出力(514))は、患者の医師など、1または複数の受信者へ電子的に送信され得る報告の生成も含み得る。報告は、例えば患者の医師により設定される基準に基づいてフィルタリングされた、本明細書において説明される様々なデータを含み得る。報告は、日次、週次、月次または他の同様の期間に従って編成され、それらの期間にわたる患者についての装着コンプライアンス情報を含み得る。報告は、
図10Aおよび
図10Bに示され、上述sれたものと同様のチャートおよび/またはグラフも含み得る。
【0154】
本開示の教示は概して、本明細書において説明される1または複数のセンサを含む外部医療モニタリングおよび/または治療デバイスに適用され得る。そのような外部医療デバイスは、例えば、患者が自分の日常作業をするときに患者と共に動くことができ、かつ、そのように動くよう設計された、本明細書において説明される携帯型医療デバイスを含み得る。例示的な携帯型医療デバイスは、WCD、ウェアラブル心臓モニタリングデバイス、例えば院内ウェアラブル除細動器(HWD)といった院内デバイス、短期ウェアラブル心臓モニタリングおよび/または治療用デバイス、モバイル心臓イベントモニタリングデバイスおよび他の同様のウェアラブル医療デバイスなど、ウェアラブル医療デバイスであり得る。
【0155】
ウェアラブル医療デバイスは、患者による継続的な使用を可能にし得る。いくつかの実装では、継続的な使用は事実上、実質的にまたはほぼ継続的であり得る。つまり、ウェアラブル医療デバイスは、使用が一時的に止まる散発的な期間(例えば、患者が入浴している間、患者が新しいおよび/または異なるガーメントを合わせている間、バッテリが充電/変更されている間、ガーメントが洗濯されアイロン掛けされている間等)を除き、継続的に用いられ得る。本明細書において説明される、そのような実質的にまたはほぼ継続的な使用は、それにもかかわらず、継続的な使用とみなされ得る。例えば、ウェアラブル医療デバイスは、1日当たり24時間もの間、患者に装着されるように構成され得る。いくつかの実装では患者は、1日のうちの短い部分(例えば、入浴するための30分)、ウェアラブル医療デバイスを取り外し得る。
【0156】
さらに、ウェアラブル医療デバイスは、長期間または長時間使用の医療デバイスとして構成され得る。そのようなデバイスは、数日、数週間、数か月または数年さえもの長期間にわたって患者に用いられるように構成され得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも1週間の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも30日の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも1か月の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも2か月の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも3か月の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも6か月の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイスは、少なくとも1年の長期間にわたって患者に用いられ得る。いくつかの実装では、長時間使用は、医師または他のHCPが患者にウェアラブル医療デバイスの使用を停止するよう具体的な指示を提供するまで中断されないものであり得る。
【0157】
長期間の装着にかかわらず、ウェアラブル医療デバイスの使用は、上述のような、患者による継続的またはほぼ継続的な装着を含み得る。例えば、継続的な使用は、モニタリング期間、および、デバイスが患者をモニタリングしていない可能性があるが、別の事情で依然として患者により装着されている、または別の事情で患者に取り付けられている期間の両方における、例えば本明細書において説明される電極のうちの1または複数を通じた、患者へのウェアラブル医療デバイスの継続的な装着または取り付けを含み得る。ウェアラブル医療デバイスは、心臓関連情報(例えば、不整脈情報、心臓振動等を含むECG情報)および/または非心臓情報(例えば、血中酸素、患者の体温、グルコースレベル、組織液レベルおよび/または肺振動)について患者を継続的にモニタリングするように構成され得る。ウェアラブル医療デバイスは、モニタリングを周期的または非周期的な時間間隔または時間で実行できる。例えば、この間隔または時間の間のモニタリングは、ユーザの行動、または別のイベントによりトリガされ得る。
【0158】
上述のように、ウェアラブル医療デバイスは、心臓関連パラメータに加え、患者の他の非ECG生理的パラメータをモニタリングするように構成され得る。例えば、ウェアラブル医療デバイスは、とりわけ、例えば、肺振動(例えば、マイクおよび/または加速度計を用いて)、呼気振動、睡眠関連パラメータ(例えば、いびき、睡眠時無呼吸)、組織液(例えば、無線周波数トランスミッタおよびセンサを用いて)をモニタリングするように構成され得る。
【0159】
他の例示的なウェアラブル医療デバイスは、戦闘地帯内または緊急車両内など、特定の特殊な条件および/または環境での使用のための自動心臓モニタおよび/または除細動器を含む。そのようなデバイスは、救命救急において直ちに(または実質的に直ちに)用いられ得るように構成され得る。いくつかの例において、本明細書において説明される携帯型医療デバイスは、ペーシング可能であってよく、例えば、患者に治療用ペーシングパルスを提供でき得る。いくつかの例において、携帯型医療デバイスは、例えば、心拍数(平均値、中央値、モード、または心拍数の他の統計測定値、および/または、最大、最小、休息時、運動前および運動後の心拍数値および/または範囲など)、心拍変動メトリック、PVC負荷またはカウント、心房細動負担メトリック、一時停止、心拍タービュランス、QRS高さ、QRS幅、ECG情報の形態のサイズまたは形状の変化、コサインR-T、人工ペーシング、QT間隔、QT変動、T波幅、T波、T波変動およびSTセグメント変化を含むECGメトリックをモニタリングおよび/または測定するように構成され得る。
【0160】
上述のように、
図3は、例えばウェアラブル医療デバイスに含まれる医療デバイスコントローラ300の例示的なコンポーネントレベル図を示す。
図3にさらに示されるように、治療供給回路302は、患者に治療を提供するように構成された1または複数の電極320に結合され得る。例えば、治療供給回路302は、電気治療用ショックを生成および提供するように構成された回路コンポーネントを含んでよく、またはこの回路コンポーネントに動作可能に接続されてよい。回路コンポーネントは、例えば1または複数のペーシング電気的除細動または除細動治療用パルスを含む少なくとも1つの治療用ショックを患者に提供するために、回路コンポーネントが治療供給回路と連携して動作し、かつ、1または複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ318)の制御下にあるように配置および接続された、例えば、抵抗器、キャパシタ、リレーおよび/またはスイッチ、Hブリッジ(例えば、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、すなわち、IGBTを含む)などの電気ブリッジ、電圧および/または電流測定コンポーネントおよび他の同様の回路コンポーネントを含み得る。
【0161】
ペーシングパルスは、例えば、固定レートペーシング、デマンドペーシングおよび抗頻拍ペーシング等を用いて、徐脈(例えば、1分当たり30拍未満)および頻拍(例えば、1分当たり150拍超)などの心不整脈状態を治療するために用いられ得る。除細動パルスは、心室頻拍および/または心室細動を治療するために用いられ得る。
【0162】
キャパシタは、複数のキャパシタ(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれよりも多くのキャパシタ)から成る並列接続されたキャパシタバンクを含み得る。いくつかの例において、キャパシタは、同じキャパシタのバンクを含む直列接続されたデバイスとしての単一膜または電解キャパシタを含み得る。これらのキャパシタは、除細動パルスの放電中に、直列接続へ切り替えられ得る。例えば、およそ140uF以上の単一のキャパシタ、またはおよそ650uFの4つのキャパシタが用いられ得る。これらのキャパシタは、単一のキャパシタにつき1600VDC以上のレート、または並列接続された複数のキャパシタにつきおよそ350~500VDCのサージレートを有してよく、バッテリパックからおよそ15~30秒で充電されてよい。
【0163】
例えば、各除細動パルスは、60~180ジュールの範囲内のエネルギーを供給し得る。いくつかの実装では、除細動パルスは、二相性切断指数波形であってよく、それにより、信号は、正の部分および負の部分(例えば、帯電方向)を切り替え得る。このタイプの波形は、他のタイプの除細動パルス(例えば、単相パルスなど)比較した場合により低いエネルギーレベルにおいて患者の除細動に有効であり得る。例えば、エネルギー波形のこれら2相の振幅および幅は、患者の身体インピーダンスにかかわらず、正確なエネルギー量(例えば、150ジュール)を供給するように自動的に調整され得る。治療供給回路302は、例えば、プロセッサ318の制御下で、切り替えおよびパルス供給の動作を実行するように構成され得る。エネルギーが患者に供給される際、供給されているエネルギー量は、追跡され得る。例えば、パルスが供給されている患者の身体インピーダンスなどの因子に基づきパルス波形が動的に制御される場合であっても、エネルギー量は、予め定められた一定値で保持され得る。
【0164】
特定の例において、治療供給回路302は、例えば、不適切に脈を刻んでいる心臓を補正するために、電気的除細動パルスのセットを供給するように構成され得る。上述の除細動と比較した場合、電気的除細動は、典型的には、心臓の正常なリズムを模倣するために特定の周波数で供給される、より弱いショックを含む。
【0165】
データストレージ304は、例えば、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、磁気メモリ、光メモリ、キャッシュメモリ、それらの組み合わせなどの非一時的コンピュータ可読媒体のうちの1または複数を含み得る。データストレージ304は、医療デバイスコントローラ300の動作に用いられる実行可能命令およびデータを格納するように構成され得る。特定の例において、データストレージは、実行された場合に1または複数の動作をプロセッサ318に実行させるように構成された実行可能命令を含み得る。いくつかの例において、データストレージ304は、例えば検知電極インタフェースから受信されるECGデータなどの情報を格納するように構成され得る。
【0166】
いくつかの例において、ネットワークインタフェース306は、
図8に示されるネットワーク806などの通信ネットワークを介した、医療デバイスコントローラ300と1または複数の他のデバイスまたはエンティティとの間の情報通信を容易にし得る。例えば、医療デバイスコントローラ300は、携帯型医療デバイスに含まれており、ネットワークインタフェース306は、リモートサーバ(例えば、
図8に示されるリモートサーバ808)などのリモートコンピューティングデバイス、または他の同様のコンピューティングデバイスと通信するように構成され得る。ネットワークインタフェース306は、データを短距離で交換するためのBluetooth(登録商標)無線規格に従ってそのようなデータを中間デバイスへ伝送するための通信回路を含み得る。例えば、そのような中間デバイスは、基地局、「ホットスポット」デバイス、スマートフォン、タブレット、ポータブルコンピューティングデバイス、および/または、医療デバイスコントローラ300を含むウェアラブル医療デバイスの近くにある他のデバイスとして構成され得る。中間デバイスは、その結果として、ブロードバンドセルラネットワーク通信リンクを介し、データをリモートサーバへ通信し得る。この通信リンクは、高速無線通信用のブロードバンドセルラ技術(例えば、2.5G、2.75G、3G、4G、5Gセルラ規格)および/またはロングタームエボリューション(LTE)技術、またはGSM(登録商標)/EDGEおよびUMTS/HSPA技術を実装し得る。いくつかの実装では、中間デバイスは、IEEE 802.11規格に基づくWi-Fi(登録商標)通信リンクを介して、リモートサーバと通信し得る。
【0167】
特定の例において、ユーザインタフェース308は、入力デバイス、出力デバイスおよび組み合わせ入力デバイス/出力デバイスなどの1または複数の物理的インタフェースデバイス、および、これらのデバイスの動作を引き起こすように構成されるソフトウェアスタックを含み得る。これらのユーザインタフェース要素は、視覚コンテンツ、音声コンテンツおよび/または触覚コンテンツを表示し得る。故に、ユーザインタフェース308は、入力を受信し、または出力を提供してよく、それにより、ユーザは、医療デバイスコントローラ300と情報をやり取りすることが可能になる。特定の実装において、ユーザインタフェース308は、
図10Dに示されるユーザインタフェーススクリーン1010および
図10Eに示されるユーザインタフェーススクリーン1012を医療デバイスコントローラ300のユーザに提供するように構成され得る。
【0168】
医療デバイスコントローラ300は、医療デバイスコントローラ300に統合された1または複数のコンポーネントに電力を提供するように構成された少なくとも1つの再充電可能バッテリ310も含み得る。再充電可能バッテリ310は、再充電可能マルチセルバッテリパックを含み得る。1つの例示的な実装において、再充電可能バッテリ310は、医療デバイスコントローラ300内の他のデバイスコンポーネントに電力を提供する3つまたはそれよりも多くの2200mAhリチウムイオン電池を含み得る。例えば、再充電可能バッテリ310は、20mA~1000mA(例えば、40mA)出力の範囲の電力出力を提供でき、複数の充電間で24時間、48時間、72時間またはより多くの実行時間をサポートできる。特定の実装において、バッテリ容量、実行時間およびタイプ(例えば、リチウムイオン、ニッケルカドミウムまたはニッケル金属水素化物)は、医療デバイスコントローラ300の特定の用途に最も適合するように変更され得る。
【0169】
センサインタフェース312は、患者の1または複数の生理パラメータをモニタリングするように構成された1または複数のセンサに結合された生理信号回路を含み得る。示されるように、センサは、有線または無線接続を介して、医療デバイスコントローラ300に結合され得る。センサは、1または複数のECG検知電極322、および、振動センサ324、組織液モニタ326(例えば、超高帯域RFデバイスに基づく)および動きセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープおよび/または磁力計)などの非ECG生理センサ323を含み得る。いくつかの実装では、センサは、デジタル検知電極に加え、複数の従来のECG検知電極を含み得る。
【0170】
検知電極322は、患者のECG情報をモニタリングするように構成され得る。例えば、設計により、デジタル検知電極322は、電極表面の構築において用いられる金属および/またはコーティングを含む様々な因子に応じて偏光可能または偏光不可能とみなされ得る皮膚接触電極表面を含み得る。全てのそのような電極は、本明細書において説明される原理、技術、デバイスおよびシステムで用いられ得る。例えば、電極表面は、ステンレス鋼、白金などの貴金属、またはAg-AgClに基づき得る。
【0171】
いくつかの例において、電極322は、電極表面および患者の皮膚の間に分散された電解ジェルと共に用いられ得る。特定の実装において、電極322は、電解材料を必要としない乾燥電極であり得る。一例として、そのような乾燥電極は、タンタル金属に基づき得ると共に、上述の五酸化タンタルコーティングを有し得る。そのような乾燥電極は、長期間モニタリング用途のためにより快適であり得る。
【0172】
図3を再び参照すると、振動センサ324は、心臓または肺振動情報を検出するように構成され得る。例えば、振動センサ324は、患者の心臓弁振動情報を検出できる。例えば、振動センサ324は、S1、S2、S3およびS4のいずれか1つまたは全てを含む心臓振動信号値を検出するように構成され得る。これらの心臓振動信号値または心臓振動値から、電気機械起動時間(EMAT)、平均EMAT、EMAT割合(%EMAT)、心臓収縮機能障害指数(SDI)および左心室収縮時間(LVST)のうちのいずれか1または複数を含む特定の心臓振動メトリックが計算され得る。振動センサ324は、例えば心尖拍動の領域内にセンサを配置することにより、心臓壁の動きを検出するように構成されてもよい。振動センサ324は、患者の心臓および肺系からの振動を検出すること、およびターゲット臓器の検出された振動に応答して出力信号を提供することを行うように構成された、例えば、呼吸中の空気の流れに起因して気管または肺内で発生する振動を検出できる振動センサを含み得る。特定の実装において、例えば、肺内で生成される音(例えば、喘鳴、捻髪音等)に基づく肺振動特性など、追加の生理情報が、肺振動信号から判定され得る。振動センサ324は、患者の運動/体位が検出され、かつ、検出された心臓振動情報に相関付けられ得るように、マルチチャネル加速度計、例えば、3つの直交軸の各々での運動を検知するように構成された3チャネル加速度計も含み得る。後続の分析のために、振動センサ324は、心臓振動情報を記述した情報をセンサインタフェース312へ伝送できる。
【0173】
組織液モニタ326は、RFベース技術を用いて、患者の体組織内の液体レベルおよび蓄積を評価できる。例えば、組織液モニタ326は、典型的には心不全患者における肺水腫または肺うっ血の診断およびフォローアップのために、肺の中の液体含有量を測定するように構成され得る。組織液モニタ326は、患者の組織を通るようにRF波を方向付けること、およびこの組織を通過したこの周波に応答して出力RF信号を測定することを行うように構成された1または複数のアンテナを含み得る。特定の実装において、出力RF信号は、患者の組織内の液体レベルを示すパラメータを含む。後続の分析のために、組織液モニタ326は、組織液レベルを記述した情報をセンサインタフェース312へ伝送できる。
【0174】
特定の実装において、心臓イベント検出器316は、不整脈または他の同様の心臓イベントなどの心臓イベントの発生について患者のECG信号をモニタリングするように構成され得る。心臓イベント検出器は、プロセッサ318と連携して動作することで、例えば検知電極322からの受信されたECG信号を処理し、かつ、患者が心臓イベントを経験している可能性を判定する1または複数の方法を実行するように構成され得る。心臓イベント検出器316は、ハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを用いて実装され得る。例えば、いくつかの例において、心臓イベント検出器316は、データストレージ304内に格納され、かつ、プロセッサ318により実行されるソフトウェアコンポーネントとして実装され得る。この例において、心臓イベント検出器316に含まれる命令は、受信されたECG信号を分析することで有害な心臓イベントが発生しているかどうかを判定する1または複数の方法をプロセッサ318に実行させ得る。他の例において、心臓イベント検出器316は、プロセッサ318に結合され、かつ、有害な心臓イベント発生についてECG信号をモニタリングするように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。故に、心臓イベント検出器316の例は、特定のハードウェアまたはソフトウェア実装に限定されない。
【0175】
いくつかの実装では、プロセッサ318は、操作されたデータをもたらす一連の命令を実行するように、および/または、医療デバイスコントローラ300の他のコンポーネントの動作を制御するように各々が構成された1または複数のプロセッサ(または、1または複数のプロセッサコア)を含む。いくつかの実装では、特定のプロセス(例えば、心臓モニタリング)を実行する場合、プロセッサ318は、受信された入力データに基づき特定の論理ベース判定を行うように構成されてよく、さらに、プロセッサ318、および/またはプロセッサ318が通信可能に結合される他のプロセッサまたは回路により実行される後続の処理を制御またはそうでなければ通知するために用いられ得る1または複数の出力を提供するように構成されてよい。故に、プロセッサ318は、特定の入力刺激に特定の態様で反応し、その入力刺激に基づいて対応する出力を生成する。いくつかの例示的な事例において、プロセッサ318は、一連の論理遷移を経ることがあり得る。この論理遷移において、様々な内部レジスタの状態および/またはプロセッサ318の内部または外部の他のビットセルの状態が、ロジックハイまたはロジックローに設定され得る。本明細書において言及されるように、プロセッサ318は、プロセッサ318に結合されたデータストアにソフトウェアが格納される機能を実行するように構成されてよく、このソフトウェアは、この機能の実行をもたらす一連の様々な論理判断をプロセッサ118に経させるように構成されている。プロセッサ318により実行可能であるものと本明細書において説明される様々なコンポーネントは、特殊なハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせといった様々な形態で実装され得る。例えば、プロセッサ318は、24ビットDSPなど、デジタル信号プロセッサ(DSP)であり得る。プロセッサ318は、例えば2つまたはそれよりも多くの処理コアを有するマルチコアプロセッサであり得る。プロセッサ318は、32ビットARMプロセッサまたは64ビットARMプロセッサなど、Advanced RISC Machine(ARM)プロセッサであり得る。プロセッサ318は、埋め込みオペレーティングシステムを実行してよく、このオペレーティングシステムにより提供される、ファイルシステム操作、表示および音声生成、基本的ネットワーキング、ファイアウォール、データ暗号化および通信に用いられ得るサービスを含んでよい。
【0176】
上述のように、WCDなど、携帯型医療デバイスは、デジタル検知電極のセットの皮膚接触電極表面により検知されるアナログ信号が処理のためにデジタル信号へ変換されるデジタルフロントエンドを含むように設計され得る。アナログフロントエンド構成を有する典型的な携帯型医療デバイスは、検知電極からの高ソースインピーダンスからの(例えば、およそ100キロオームから1または複数メガオームの内部インピーダンス範囲を有する)信号に対応するための回路を用いる。この高ソースインピーダンス信号は、処理され、さらなる処理のために、上述のコントローラ300のプロセッサ318など、モニタリングデバイスへ伝送される。特定の実装において、モニタリングデバイス、または、検知電極に動作可能に結合された、マイクロプロセッサなどの別の同様のプロセッサまたは別の専用プロセッサは、検知電極の各々から共通ノイズ信号を受信し、共通ノイズ信号を合計し、合計された共通ノイズ信号を反転させ、かつ、例えば被駆動右脚回路を用いて共通モード信号を相殺することで反転された信号を(driven ground)として患者へフィードバックするように構成され得る。
【0177】
図11Aは、外部、携帯型、かつ患者1102により装着可能であり、本明細書において説明される1または複数の構成を実装するように構成された例示的な医療デバイス1100を示す。例えば、医療デバイス1100は、患者の実質的に外部に配置されるように構成された非侵襲的医療デバイスであり得る。そのような医療デバイス1100は、例えば、患者が自分の日常作業をするときに患者と共に動くことができ、かつ、そのように設計された携帯型医療デバイスであり得る。例えば、ゾール(登録商標)メディカルコーポレーションから入手可能なLifeVest(登録商標)ウェアラブル電気的除細動器など、本明細書において説明される医療デバイス1100は、患者の身体に取り付けられ得る。そのようなウェアラブル除細動器は、典型的には、一度に2~3か月にわたって、ほぼ継続的に、または実質的に継続的に装着される。そのようなウェアラブル除細動器は、患者に装着されている期間中、患者の生命兆候を継続的に、または実質的に継続的にモニタリングするように構成されてよく、治療が必要であるとの判定がなされると、1または複数の治療用電気パルスを患者に供給するように構成されてよい。例えば、そのような治療用ショックは、ペーシング、除細動または経皮的電気神経刺激(TENS)のパルスであり得る。
【0178】
医療デバイス1100は、ガーメント1110、1または複数のECG検知電極1112、1または複数の非ECG生理センサ1113、1または複数の治療電極1114aおよび1114b(本明細書において、治療電極1114と総称される)、医療デバイスコントローラ1120(例えば、
図3の説明において上述のコントローラ300)、接続ポッド1130、患者インタフェースポッド1140、ベルト1150のうちの1または複数、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの例において、医療デバイス1100のコンポーネントの少なくともいくつかは、患者の胴体の周りに装着され得るガーメント1110に取り付けられる(またはいくつかの例では、ガーメント1110へ永続的に統合される)ように構成され得る。
【0179】
医療デバイスコントローラ1120は、検知電極1112に動作可能に結合されてよく、検知電極1112は、ガーメント1110に取り付けられてよく、例えば、ガーメント1110へ組み付けられ、または、例えばフックおよび面ファスナを用いて、ガーメントに取り外し可能に取り付けられる。いくつかの実装では、検知電極1112は、ガーメント1110へ永続的に統合され得る。医療デバイスコントローラ1120は、治療電極1114に動作可能に結合され得る。例えば、治療電極1114は、ガーメント1110へ組み付けられてよく、または、いくつかの実装では、ガーメント1110へ永続的に統合されてもよい。一例において、医療デバイスコントローラ1120は、外部から装着されるデバイスと患者がインタフェースすることを可能にするための患者ユーザインタフェース1160を含む。例えば、患者は、患者ユーザインタフェース1160を用いて、本明細書において説明される質問、プロンプトおよび調査に関連する活動に応答できる。
【0180】
図11Aに示されるもの以外のコンポーネント構成も可能である。例えば、検知電極1112は、患者1102の身体の周りの様々な位置に取り付けられるように構成され得る。検知電極1112は、接続ポッド1130を通じて、医療デバイスコントローラ1120に動作可能に結合され得る。いくつかの実装では、検知電極1112は、患者1102に粘着式に取り付けられ得る。いくつかの実装では、検知電極1112、および、治療電極1114のうちの少なくとも1つは、単一の統合パッチに含まれてよく、患者の身体に粘着式に付着させられ得る。
【0181】
検知電極1112は、1または複数の心臓信号を検出するように構成され得る。そのような信号の例は、患者からのECG信号および/または他の検知された心臓生理信号を含む。特定の例では、本明細書において説明されるように、加速度計、振動センサ、RFベースセンサおよび追加の非ECG生理パラメータを記録するための他の測定デバイスなど、非ECG生理センサ1113。例えば、上述のように、そのような非ECG生理センサは、例えば、組織液レベル、心臓振動、肺振動、呼吸振動、患者の運動等、他のタイプの患者の生理パラメータおよび音響信号を検出するように構成されている。
【0182】
いくつかの例において、治療電極1114は、患者のECG信号および他の生理信号を検出するように構成されたセンサを含むように構成されてもよい。いくつかの例において、接続ポッド1130は、心臓信号を医療デバイスコントローラ1120へ伝送する前に、これらの心臓信号を増幅、フィルタリングおよびデジタル化するように構成された信号プロセッサを含み得る。治療電極1114のうちの1または複数は、1または複数の治療用除細動ショックを、検知電極1112により検出され医療デバイスコントローラ1120により処理される信号に基づきそのような治療が保証されると医療デバイス1100が判定した場合に患者1102の身体に供給するように構成され得る。例示的な治療電極1114は、治療用ショックの供給前に導電性ジェルを金属電極に供給するように構成された1または複数の導電性ジェル配置デバイスを含むステンレス鋼電極などの金属電極を含み得る。
【0183】
いくつかの実装では、本明細書において説明される医療デバイスは、治療用医療デバイス、および、患者のモニタリングだけをするように構成されたモニタリング医療デバイス(例えば、いかなる治療機能も提供または実行しない)の間で切り替わるように構成され得る。例えば、治療電極1114などの治療コンポーネントおよび関連回路は、任意選択的に、医療デバイスから切り離され(または医療デバイスに結合され)てよく、または、医療デバイスからオフ(または医療デバイスへのオン)に切り替えられてよい。例えば、医療デバイスは、治療モードで動作するように構成された任意選択的な治療要素(例えば、除細動電極および/またはペーシング電極、コンポーネントおよび関連回路)を有してよい。任意選択的な治療要素は、特定用途向け(例えば、モニタリング専用モードでの動作用)または患者のための治療用医療デバイスをモニタリング医療デバイスへ変換すべく、医療デバイスから物理的に切り離され得る。代替的に、任意選択的な治療要素は、(例えば、物理またはソフトウェアスイッチを介して)非アクティブ化されてよく、これにより、治療用医療デバイスは本質的に、特定の生理的目的または特定の患者のためのモニタリング医療デバイスになる。ソフトウェアスイッチの一例として、権限を付与された人は、医療デバイスの保護されたユーザインタフェースにアクセスし、かつ、予め構成されたオプションを選択するかまたはユーザインタフェースを介していくつかの他のユーザ行動を実行して、医療デバイスの治療要素を非アクティブ化できる。
【0184】
図11Bは、外部、携帯型、かつ患者1102により装着可能な院内ウェアラブル除細動器1100Aを示す。いくつかの実装では、院内ウェアラブル除細動器1100Aは、ペーシング治療を提供するように、例えば、徐脈、頻拍および無収縮状態を治療するように構成され得る。院内ウェアラブル除細動器1100Aは、1または複数のECG検知電極1112a、1または複数の、治療電極1114aおよび1114b、医療デバイスコントローラ1120および接続ポッド1130を含み得る。例えば、これらのコンポーネントの各々は、医療デバイス1100の同様の数のコンポーネントとして構造化されてよく、それらのコンポーネントのように機能してよい。例えば、電極1112a、1114a、1114bは、使い捨て粘着性電極を含み得る。例えば、これらの電極は、別個の検知および治療電極粘着性パッチ上に配置された検知および治療コンポーネントを含み得る。いくつかの実装では、検知および治療コンポーネントの両方が、統合され、同じ電極粘着性パッチ上に配置されてよく、次に、このパッチが患者に取り付けられる。例えば、前方粘着取り付け可能治療電極1114aは、患者の胴体の前方に取り付けられ、ペーシングまたは除細動治療を供給する。同様に、後方粘着取り付け可能治療電極1114bは、患者の胴体の後方に取り付けられる。例示的なシナリオでは、少なくとも3つのECG粘着取り付け可能検知電極1112aが少なくとも、患者の右腕の近くで胸より上に、患者の左腕の近くで胸より上に、および患者の胸の下部に向かって、訓練を受けた専門家により指示される方式で取り付けられ得る。
【0185】
院内ウェアラブル除細動器および/またはペーシングデバイスによりモニタリングされている患者は、膨大な時間(例えば、患者による病院での滞在の75%以上)にわたって病院のベッドまたは部屋に閉じ込められることがある。結果として、ユーザインタフェース1160aは、初回デバイスベースライニング、患者パラメータの設定および調整、およびデバイスバッテリの変更など、デバイス関連機能について、患者以外のユーザ、例えば看護師とやり取りするように構成され得る。
【0186】
いくつかの例において、院内ウェアラブル除細動器1100Aは、加速度計など、1または複数の動きセンサをさらに含み得る。例えば、加速度計は、検知電極1112a(例えば、検知電極と同じパッチへ統合される)、治療電極1114a(例えば、治療電極と同じパッチへ統合される)、医療デバイスコントローラ1120、接続ポッド1130および院内ウェアラブル除細動器1100Aの様々な他のコンポーネントのうちの1または複数へ統合され得る。
【0187】
いくつかの実装では、本明細書において説明されるシステムおよび方法によるデジタルフロントエンドを含む治療用医療デバイスの一例は、短期除細動器および/またはペーシングデバイスを含み得る。例えば、そのような短期デバイスは、失神状態を呈している患者のために医師が処方し得る。ウェアラブル除細動器は、例えば、異常な生理機能を示し得る異常型パターンについて患者の生理および心臓活動を分析することにより、失神状態を呈している患者をモニタリングするように構成され得る。例えば、そのような異常型パターンは、失神開始の前、最中または後に発生し得る。短期ウェアラブル除細動器のそのような例示的な実装において、電極アセンブリは、患者の皮膚に粘着式に取り付けられてよく、
図11Aに関連して上述された院内ウェアラブル除細動器と同様の構成を有してよい。
【0188】
図11Cおよび
図11Dは、処置または治療機能がない例示的なウェアラブル患者モニタリングデバイスを示す。例えば、そのようなデバイスは、例えば患者の状態をリモートでモニタリングおよび/または診断するために患者の1または複数の生理パラメータをモニタリングするように構成されている。例えば、そのような生理パラメータは、患者のECG情報、組織(例えば、肺)液レベル、心臓振動(例えば、加速度計またはマイクを用いて)および他の関連する心臓情報を含み得る。心臓モニタリングデバイスは、患者が日常作業をするときに持ち歩くことができるポータブルデバイスである。
【0189】
図11Cを参照すると、例示的なウェアラブル患者モニタリングデバイス1100Cは、RFベース技術を用いて患者の体組織内の液体レベルおよび蓄積を評価する組織液モニタ1165を含み得る。そのような組織液モニタ1165は、典型的には心不全患者における肺水腫または肺うっ血の診断およびフォローアップのために、肺の中の液体含有量を測定するように構成され得る。組織液モニタ1165は、患者の組織を通るようにRF波を方向付けること、およびこの組織を通過したこの周波に応答して出力RF信号を測定することを行うように構成された1または複数のアンテナを含み得る。特定の実装において、出力RF信号は、患者の組織内の液体レベルを示すパラメータを含む。例において、デバイス1100Cは、患者のECG活動を検知するためのデジタル検知電極1170も含む心臓モニタリングデバイスであってよい。デバイス1100Cは、マイクロプロセッサの制御下にあるADC、演算増幅器、デジタルフィルタ、信号増幅器など、1または複数のECG処理および/または条件付け回路を介して、ECG信号を前処理できる。デバイス1100Cは、ECG活動および/または組織液レベルを記述した情報を、分析のためにネットワークインタフェースを介してリモートサーバへ伝送できる。追加的に、特定の実装において、デバイス1100Cは、本明細書において説明される動き信号を測定するための1または加速度計を含み得る。
【0190】
図11Dを参照すると、別の例示的なウェアラブル心臓モニタリングデバイス1100Dが、患者の胴体の周りに配置された少なくとも3つの粘着性デジタル心臓検知電極1175を介して、患者に取り付けられ得る。追加的に、特定の実装において、デバイス1100Dは、例えば、本明細書において説明される動き信号を測定するためのデジタル検知電極のうちの1または複数へ統合された1または加速度計を含み得る。
【0191】
心臓デバイス1100Cおよび1100Dは、心臓モニタリングおよびテレメトリおよび/または継続的な心臓イベントモニタリング用途において、例えば不規則な心臓兆候および/または状態を訴える患者母集団において、用いられる。これらのデバイスは、ECG活動および/または組織液レベルを記述した情報を、分析のためにネットワークインタフェースを介してリモートサーバへ伝送できる。モニタリングされ得る例示的な心臓状態は、心房細動(AF)、徐脈、頻拍、房室ブロック、ラウンギャノンレバイン症候群、心房粗動、洞房結節機能不全、脳虚血、一時停止および/または心臓動悸を含む。例えば、そのような患者は、例えば10~30日間以上の長期間にわたって心臓モニタリングを処方され得る。いくつかの携帯型心臓モニタリングおよび/またはテレメトリ用途では、ポータブル心臓モニタリングデバイスが、心臓の異常について患者を実質的に継続的にモニタリングするように構成されてよく、そのような異常が検出された場合、このモニタは、その異常に関連するデータをリモートサーバへ自動的に送信できる。リモートサーバは、24時間有人モニタリングセンター内に配置されてよく、このモニタリングセンターにおいて、データが有資格の心臓関連の訓練を受けたレビュアおよび/またはHCPにより解釈され、かつ、詳細な周期的なまたはイベントトリガ式の報告を介してフィードバックが患者および/または指定HCPに提供される。特定の心臓イベントモニタリング用途では、心臓モニタリングデバイスは、患者が心臓モニタリングデバイス上のボタンを手動で押して兆候を報告することを可能にするように構成されている。例えば、患者は、結滞、息切れ、立ちくらみ、激しい心拍、疲労、失神、胸部不快感、虚弱、仮性目まいおよび/または真性目まいなどの兆候を報告し得る。心臓モニタリングデバイスは、予め定められた時間(例えば、報告される兆候の1~30分前および1~30分後)にわたって、患者の予め定められた生理的パラメータ(例えば、ECG情報)を記録できる。上述のように、心臓モニタリングデバイスは、心臓関連パラメータ以外の患者の生理的パラメータをモニタリングするように構成され得る。例えば、心臓モニタリングデバイスは、とりわけ、例えば、心臓振動信号(例えば、加速度計またはマイクを用いて)、肺振動信号、呼気振動、睡眠関連パラメータ(例えば、いびき、睡眠時無呼吸)、組織液をモニタリングするように構成され得る。
【0192】
いくつかの例において、本明細書において説明されるデバイス(例えば、
図11Aから
図11D)は、
図11Dに示されるものなど、中間またはゲートウェイデバイス1180を介して、リモートサーバと通信できる。例えば、
図11Aから
図11Dに示されるようなデバイスは、例えば
図3を参照して本明細書において説明されるネットワークインタフェース通信能力を含むように構成され得る。
【0193】
追加的に、本明細書において説明されるデバイス(例えば、
図11Aから
図11D)は、本明細書において説明される1または複数の加速度計を含むように構成され得る。例えば、
図1Aおよび
図1Bの説明において上述のように、加速度計、振動センサおよびRFセンサなど、1または複数のセンサが、ウェアラブルデバイスの様々なコンポーネントへ統合されてよく、または患者についての様々な信号を測定するように構成されたスタンドアロンセンサとして含まれてよい。
【0194】
本明細書に含まれる主題を例示の目的で詳細に説明してきたが、そのような詳細はその目的のみのものであること、および、本開示は、開示された実施形態に限定されず、反対に、添付の特許請求の範囲内の修正および均等な構成を包含するように意図されていることが理解されるべきである。例えば、本開示は、可能な限り、任意の実施形態の1または複数の特徴が任意の他の実施形態の1または複数の特徴と組み合わされ得ることを想定していることを理解されたい。
【0195】
他の例は、本明細書および特許請求の範囲内である。追加的に、上述の特定の機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハードワイヤリング、またはこれらのうちの任意のものの組み合わせを用いて実装され得る。また、機能を実装する特徴は、これらの機能の一部が異なる物理位置で実装されるように、様々な位置に物理的に配置(分散を含む)され得る。
[例示的な実装]
【0196】
本明細書において説明される医療デバイスコントローラは、装着コンプライアンス情報を格納するように構成された1または複数のデータベーステーブルを含み得る。例えば、データベーステーブルは、装着コンプライアンステーブルおよびフラグテーブルを含み得る。いくつかの例において、装着コンプライアンス情報およびフラグデータは、単一のデータベーステーブルへと組み合わされ得る。一例において、データベーステーブルは、どれくらいの期間にわってデバイスが装着されているかを、別個の複数の装着期間についての複数の行を用いて格納し得る。そのようなデータベーステーブルを作成するためのスキーマは、以下のとおりであり得る。
【数1】
【0197】
いくつかの例において、本明細書において説明される装着コンプライアンスプロセスは、コンプライアンスを判定するためにECG信号検出およびモニタリングを用い得る。例えば、少なくとも1つのECGチャネル上の有効なECGデータを観察することにより、装着コンプライアンスのインジケーションを提供できる。様々なサンプル実装では、本明細書において説明される医療デバイスコントローラのプロセッサは、以下の疑似コードにより表されるような機能を実装するように構成され得る。
●ベルトが接続され、検出システムがアクティブ化された場合、コンプライアンスモニタリングモジュールは、コンプライアンス追跡をアクティブ化する。
●ECGチャネル1およびECGチャネル2をモニタリングする。
○ある共通モードノイズ除去用の4つのECG電極(例えば、1MHz~10kHzまたは10MHz~5kHzという予め定められた帯域幅のもの)を介して、ECGが特異にキャプチャされる。
○デジタル化の前に、ECG信号バンドパスフィルタ(0.1Hz~60Hz)へ渡される。
○ECG信号がダイナミック増幅器内で増幅される。
○例えば、増幅量が(例えば、2秒毎、5秒毎、7秒毎、10秒毎、15秒毎、またはリズムに応じた他の動的な持続時間毎に)制御される。増幅量は、ECG信号検出モジュール(不整脈検出モジュールを含む)およびノイズ検出モジュールが最適なレベルのECG信号サンプルを受信することを保証するように制御される。
【0198】
プロセッサはさらに、有効なECG信号に基づいて装着コンプライアンスを判定するように構成され得る。例えば、プロセッサは、以下の疑似コードで表されるような機能を実装するように構成され得る。
●ECG信号を検証する。
○ECGチャネルのうちの少なくとも1つにおける予め定められたQRS波を予め定められた持続時間にわたって検出する。
プロセスは、QRS複合体の振幅および持続時間の二重基準に基づいて、QRS複合体を見出だす。一例において、Pan Tompkinsを用いてQRSを検出する。「WearTimePreOnPeriod」(例えば、QRS信号の5秒または他の予め設定された値、または動的に変化する値)と呼ばれる予め定められた時間の後、装着時間(「WearTimeStart」)を開始する。
○WearTimePreOnPeriod持続時間の動的変化:信号にノイズがある(ECGnoiseFlagMaskにより示される)場合、予め定められた時間が延長される。例えば、より多くのECGサンプルが収集されることを可能にするために、10秒程度延長される。
○(代替的ステップ1:)予め定められた持続時間WearTimePreOnPeriodの動的変化:WearTimePreOnPeriod持続時間の予め設定された部分についてQRSサンプルが検出された場合。例えば、予め設定された部分は、80%に設定され得る。これは、WearTimePreOnPeriodの80%の間、二重基準が満たされた場合、コンプライアンス追跡が開始される(WearTimeStart)ことを意味する。
○そうでなければ、WearTimePreOnPeriod持続時間は、追加の期間、例えば3秒だけ延長される。
○次に、上記動的チェックが、延長されたWearTimePreOnPeriod持続時間にわたって繰り返される。WearTimePreOnPeriodは、合計持続時間が予め定められた最大値(例えば、15秒)に達した時にリセットされる。
○QRS信号の閾値レベルが検出されない、「WearTimeGoesOffperiod」と呼ばれる予め定められた時間(例えば、5秒または他の予め設定された値、または動的に変化する値)が過ぎた時、コンプライアンスモニタリングモジュールは、コンプライアンス追跡が一時停止される(「WearTimeEnd」)ことを示す。
○予め定められた持続時間WearTimeGoesOffperiodの動的変化の例:WearTimeGoesOffperiod持続時間の予め設定された部分にわたってQRSサンプルが検出されない場合。例えば、予め設定された部分は、80%に設定され得る。これは、WearTimeGoesOffperiodの80%の間、二重基準が満たされていなかった場合、コンプライアンス追跡が一時停止される(WearTimeEnd)ことを意味する。
○そうでなければ、WearTimeGoesOffperiod持続時間は、追加の期間、例えば3秒だけ延長される。
○上記動的チェックは、延長されたWearTimeGoesOffperiod持続時間にわたって繰り返される。
○WearTimeGoesOffperiodは、合計持続時間が予め定められた最大値(例えば、15秒に)に達した時にリセットされる。この状況において、これは、ECG信号が依然として良好であり、患者がデバイスを適切に装着している旨を患者コンプライアンス情報が示していることを意味する。
○午前0時の交差が発生しているかどうかをチェックする。そうである場合、コンプライアンス追跡ルーチンが記録を更新して、午前0時を交差するこの記録を2つの記録へ分割する。
○前の24時間の期間について、コンプライアンスモジュールは、患者がデバイスを累積的に何時間何分装着しているかを記録する。例えば、図面Xにおいて、患者は、00:00から08:00まで、次に、10:00から23:00まで装着していた。故に、24時間という期間の全体的な累積持続時間は、22時間である。
○ベルトが接続解除され、またはシステムがシャットダウンした(これは、検出システムが非アクティブ化されたことを意味する)場合、コンプライアンスモニタリングも一時停止する(WearTimeEnd)。
【0199】
図12は、ある期間にわたる患者の装着コンプライアンス情報の視覚表現を示したサンプルタイミング図の1200を示す。この例において、図の1200は、00:00から24:00までの24時間の期間を表すタイムライン1202を含む。この期間中、タイムライン1202は、装着期間1204、記録された開始イベント1206および記録された終了イベント1208など、患者についての装着コンプライアンスに関連する様々な情報を含む。図の1200に示される情報に基づいて、医師、患者または他の同様のレビュアは、この期間のどの部分において患者が医療デバイスを装着していたかを迅速に判定できる。
【0200】
図12にさらに示されるように、図の1200は、記録された終了イベント1208の詳細なビュー1210のサンプルを含む。詳細なビュー1210に示されるように、一連の測定されたR波1212は、装着期間1204中に測定されている。R波1210の大きさは、タイムラインが08:00時間に近づくまで、最小R波大きさ閾値1214超のままである。タイムラインが08:00時間に近づくと、測定されたR波1212の大きさは、低下し始め、08:00時間において閾値1214と交差する。そのため、08:00時間において、本明細書において説明されるコンプライアンスモニタリングプロセスを実行するプロセッサは、装着期間1204を終了する終了イベント1208を記録できる。次に、プロセッサは、患者が医療デバイスをもう一度装着していることを示す開始イベント1206のモニタリングを継続できる。
【0201】
いくつかの例において、本明細書において説明されるウェアラブル医療デバイスなど、医療デバイスは、電気信号を患者の身体に注入またはそうでなければ適用するように構成され得る。プロセッサは、この電気信号をモニタリングおよび測定することにより、患者が医療デバイスを装着しているかどうかを判定でき、およびそのため、装着コンプライアンスを判定できる。例えば、医療デバイスコントローラのプロセッサは、以下の疑似コードで表されるような機能を実装するように構成され得る。
●例えば治療電極を介して、低レベルAC信号(装着時間信号と呼ばれる)を身体に適用させる。
予め定められた周波数(例えば、800Hz)の信号。
例えば100Hz~1MHzの範囲にあり得る。
●ハイパスフィルタを用いてハードウェアにおいて装着時間信号を検出し、結果として生じたサンプルをアキュムレータに格納する。アキュムレータの出力が予め定められた閾値(装着時間信号アキュムレータ閾値)と比較される場合、WearTimeStart検出フラグが設定され得る。
●アキュムレータの出力は、後述の動的な持続時間にわたって予め定められた閾値よりも上のままであるべきである。
○予め定められた時間の後、WearTimePreOnPeriod(例えば、アキュムレータ出力が閾値よりも上のままで5秒、または他の予め設定された値、または動的に変化する値)が装着時間(WearTimeStart)を開始する。
○WearTimePreOnPeriod持続時間の動的変化の例1:信号にノイズがある(ECGnoiseFlagMaskにより示される)場合、予め定められた時間が延長さえる。例えば、10秒程度へ延長されることで、装着時間信号アキュムレータ閾値が満たされているかどうかを判定すべく追加の装着時間信号サンプルをより長時間にわたって検出することが可能になる。
○予め定められた持続時間WearTimePreOnPeriodの動的変化の例2:装着時間信号サンプルがWearTimePreOnPeriod持続時間の予め設定された部分について検出される場合。例えば、予め設定された部分は、80%に設定され得る。これは、WearTimePreOnPeriodの80%の間、装着時間アキュムレータ閾値が満たされている場合、コンプライアンス追跡が開始される(WearTimeStart)ことを意味する。そうでなければ、WearTimePreOnPeriod持続時間は、例えば3秒といった追加の期間だけ延長される。次に、上記動的チェックは、延長されたWearTimePreOnPeriod持続時間にわたって繰り返される。WearTimePreOnPeriodは、合計持続時間が予め定められた最大値(例えば、15秒)に達した時にリセットされる。
○装着時間信号アキュムレータ閾値が満たされない、WearTimeGoesOffperiodという予め定められた時間(例えば、5秒または他の予め設定された値、または動的に変化する値)が過ぎた時、コンプライアンスモニタリングモジュールは、コンプライアンス追跡が一時停止される(WearTimeEnd)ことを示す。
○予め定められた持続時間WearTimeGoesOffperiodの動的変化の例:WearTimeGoesOffperiod持続時間の予め設定された部分にわたって装着時間信号アキュムレータ閾値が満たされない場合。例えば、予め設定された部分は、80%に設定され得る。これは、WearTimeGoesOffperiodの80%の間、装着時間信号アキュムレータ閾値が満たされていない場合、コンプライアンス追跡が一時停止される(WearTimeEnd)ことを意味する。そうでなければ、WearTimeGoesOffperiod持続時間は、追加の期間、例えば3秒だけ延長される。上記動的チェックは、延長されたWearTimeGoesOffperiod持続時間にわたって繰り返される。WearTimeGoesOffperiodは、合計持続時間が予め定められた最大値(例えば、15秒)に達した時にリセットされる。この状況において、これは、装着時間信号アキュムレータ閾値が満たされており、患者がデバイスを適切に装着している旨を患者コンプライアンス情報が示していることを意味する。
○コンプライアンスモジュールは、午前0時の交差が発生しているかどうかをチェックする。そうである場合、コンプライアンス追跡ルーチンが記録を更新して、午前0時を交差するこの記録を2つの記録へ分割する。
○前の24時間の期間について、コンプライアンスモジュールは、患者がデバイスを累積的に何時間何分装着しているかを記録する。
●ベルトが接続解除され、またはシステムがシャットダウンした、(これは、検出システムが非アクティブ化されたことを意味する)場合、コンプライアンスモニタリングも一時停止する(WearTimeEnd)。
【0202】
本明細書において説明されるように、特定の実装において、コンプライアンスモニタリングプロセスは、ECG信号などの生理信号および1または複数の加速度計の出力などの動き情報の両方を入力として含み得る。例えば、
図13に示されるように、サンプル入力/出力
図1300は、1または複数のECG信号1302および動き情報1304をコンプライアンスモニタリングプロセス1306への入力として含む。プロセッサが、コンプライアンスモニタリングプロセス1306を実装し入力を処理して1または複数の出力を生成するように構成され得る。例えば、プロセス1306は、識別された開始イベントのインジケーションおよび本明細書において説明される変数WearTimeStartの正の値を含む出力1308を出力するように構成され得る。同様に、プロセスは、識別された終了イベントのインジケーションおよび本明細書において説明される変数WearTimeEndの正の値を含む出力1310を出力するように構成され得る。特定の実装において、開始イベントまたは終了イベントが発生しているかどうかを確認するために試験期間が用いられる場合、出力1308および1310は、開始イベントおよび/または終了イベントが始まった時についてのインジケーションも含み得る。例において、プロセッサはさらに、以下の疑似コードで表される1または複数の追加の機能を実装するように構成され得る。
●患者が歩いている、走っている、階段を上っている、またはそうでなければ動いていることを動き情報(ACC信号)が示している場合。
○そのような動きの信頼性閾値は高い(例えば、0.75超、0.8または他の予め設定された値、または動的に変化する値)。
○次に、WearTimeStartが設定され得る。
○任意選択的な実装において、ECG信号検出モジュール(上記詳細を参照されたい)はまた、WearTimeStartが設定され得ることに同意するフラグを出力すべきである。ACC信号検出モジュールおよびECG信号検出モジュールの両方が一致している場合、WearTimeStartが設定され得る。
○患者が歩く、走る、階段を上がるまたはそうでなければ動くのうちの1つを実行していることをACC信号が示していない場合。
○例えば、動き(上記で判定される)の信頼性閾値は低い。
○1日のうちの期間は、予め定められたSleepPeriod=オン(例えば、設定可能であり、デフォルトで午後10時~午前6時に設定される)
■患者が眠っているかどうかの検証のために心拍データをチェックする。
■患者が眠っていることをACC信号および心拍データが示している場合、WearTimeStartが設定され得る。
●任意選択的な実施形態において、ECG信号検出モジュール(上記詳細を参照されたい)はまた、WearTimeStartが設定され得ることに同意するフラグを出力すべきである。ACC信号検出モジュール、心拍データおよびECG信号検出モジュールの両方が一致している場合、WearTimeStartが設定され得る。
●患者が歩く/走る/階段を上るのうちの1つを実行していることをACC信号が示しておらず、かつ、SleepPeriodがオンではない場合。
○ECG信号検出モジュール(上記詳細を参照されたい)は、上述のように、WearTimeStartがいつ設定され得るかを示すフラグを出力するために用いられる。
【0203】
上記の本明細書において説明されるデータベーステーブルに関連して列挙される変数に加え、他の同様の変数がモニタリングされ、本明細書において説明される1または複数のデータベーステーブルに記録され得る。例えば、変数「totalHoursOfUse」が、記録されてよく、計算における最初および最後の装着日セグメントを表すデータを含んでよい。例において、変数「averageDailyUse」が、記録されてよく、日次使用の最小日次閾値を合計で超える、日の装着日セグメントを含んでよい。例において、変数「totalDays」が、記録されてよく、患者が医療デバイスを装着している合計日数を含んでよい。例において、変数「totalPatientUsePercent」が、記録されてよく、要求された日付範囲に対してデバイスが装着されていた時間の割合を含んでよい。例において、変数「firstWearDate」が、記録されてよく、最初の装着日を含んでよい。例において、変数「lastWearDate」が、記録されてよく、最後の装着日を含んでよい。例において、変数「calendarDate」が、記録されてよく、暦日を含んでよい。例において、変数「dailyCompliance」が記録されてよく、患者が最小日次閾値を超えた最初および最後の装着日セグメントを含んでよい。例において、変数「totalSeconds」が、記録されてよく、所与の暦日内の全てのセグメントの組み合わされた装着持続時間を含んでよい。例において、変数「compliancePercentage」が、記録されてよく、患者によるある1日の医療デバイスの装着時間のパーセントを含んでよい。本明細書において説明される変数は、例示目的で単なる例として提供されており、本明細書において説明されるデータベーステーブルの範囲を限定するようには意図されていない。
【0204】
上記装着コンプライアンス検出プロセスは、心拍データを参照する。コンプライアンスモニタリングで用いられる心拍数は、1または複数の検出方法またはプロセスを用いて判定され得る。例えば、心拍数検出の実装は、以下のうちの1または複数を含み得るが、これらに限定されない。
●ECG時間信号の分析:2つのECG複合体間の持続時間を測定することにより、心拍数が評価される。
●導関数ベース検出器:複合体を検出すべく、複合体を強調するために導関数フィルタが利用されている。次に、フィルタの出力が動的閾値と比較され、ECG複合体が検出されているかどうかが判定される。
QRS検出器:心拍数を検出すべく、検出器がECG信号スロープを分析して、QRS複合体の存在を検出する。これは、微分フィルタを適用することにより実現される。ADCからのECG信号が最初にバンドパスフィルタリングされ(2Hz~20Hz)、ベースラインゆらぎおよび高周波数ノイズが除去される。次に、このバンドパスフィルタの出力は、QRS検出器に供給され、QRS検出器がスロープ分析を行う。QRS検出器が別様でQRS複合体およびゼロを検出している場合、QRS検出器の出力は、1に等しいバイナリ値になる。ECG信号の2つの連続するピーク間の期間を測定し、出力を適応する閾値と比較することにより、QRSレートが評価される。
軸検出器:複合体を検出すべく、複合マッチフィルタ動作が実行され、キャプチャされたECGおよび入ってくるECGの間の類似度が見出される。軸検出器の背後にあるアイデアは、波形特徴分析を実行することである。この分析は、両方のチャネルからECG波形をキャプチャすることにより開始される。取得された波形は、複合マッチフィルタを介して、入ってくるECGと比較されている。キャプチャされたECGおよび入ってくるECGの間に十分な類似度が存在する場合、マッチが検出される。1分当たりのマッチした複合体により、心拍数のインジケーションが提供される。
ECGスペクトルの分析:ECG信号をそのスペクトルへ分解することにより、心拍数が測定され得る。この方法は、ECG時間信号分析だと心拍数の評価に難があることが多い心室頻拍/細動に適している。分析されるECG信号は、200Hzから25Hzへ間引かれる。スペクトル分析器が、この間引かれたECGをそのスペクトルへ分解し得る。スペクトル分析は、スペクトルにおけるエネルギー分布を計算することにより実現される。頻拍または細動は、心拍数に対応する特定の周波数で集中する傾向があるスペクトルをもたらすことが多い。例において、スペクトル分析は、毎秒1回実行され得る。例えば、2Hz~6Hzの最大のピーク大きさのインデックスが判定され、故に、基本周波数を示す。基本周波数における電力の割合が判定される。この電力が予め定められた閾値を超える場合、基本周波数(例えば、周波数値の逆数)に基づいてレートが判定され得る。
【国際調査報告】