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特表2023-550688SARS-CoV-2抗原側方流動アッセイ検出デバイス及びそれを使用するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】SARS-CoV-2抗原側方流動アッセイ検出デバイス及びそれを使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524206
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021052852
(87)【国際公開番号】W WO2022086689
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/093,569
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】レン,フイミャオ
(72)【発明者】
【氏名】オーロウスキー,アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,リチャード,アール.
(57)【要約】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスが、提供される。LFAデバイスの態様は、試料受入領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子で作製された検査粒子標識を含む、試料受入領域から下流にあるコンジュゲート領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む、コンジュゲート領域から下流にある検出領域とを含む。また、LFAデバイスを使用する方法、並びにそれにおける使用のためのリーダー、システム、及びキットも、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(a)試料受入領域と、
(b)前記試料受入領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む検査粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(c)前記コンジュゲート領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域と
を含む、LFAデバイス。
【請求項2】
前記検出領域から下流にある対照領域を更に含む、請求項1に記載のLFAデバイス。
【請求項3】
前記対照領域は、対照抗原を含み、前記LFAデバイスは、前記対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、請求項2に記載のLFAデバイス。
【請求項4】
前記対照領域は、前記第1の特異的結合メンバー及び前記第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、請求項2に記載のLFAデバイス。
【請求項5】
前記対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のLFAデバイス。
【請求項6】
前記標識粒子は、反射性ナノ粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載のLFAデバイス。
【請求項7】
前記反射性ナノ粒子は、金属を含む、請求項6に記載のLFAデバイス。
【請求項8】
前記金属は、金を含む、請求項7に記載のLFAデバイス。
【請求項9】
前記第1の特異的結合メンバー、前記第2の特異的結合メンバー、及び前記固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、請求項1~8のいずれか一項に記載のLFAデバイス。
【請求項10】
前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する前記第1の特異的結合メンバー及び前記第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、請求項9に記載のLFAデバイス。
【請求項11】
前記ウサギ抗体は、前記マウス抗体の量を超える量で存在する、請求項10に記載のLFAデバイス。
【請求項12】
前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する前記固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、請求項1~11のいずれか一項に記載のLFAデバイス。
【請求項13】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出する方法であって、
(a)前記試料を側方流動アッセイ(LFA)デバイスの試料受入領域上に配置することであって、前記LFAデバイスは、
(i)前記試料受入領域と、
(ii)前記試料受入領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)前記コンジュゲート領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域とを含む、配置することと、
(b)前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が前記試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について前記検出領域を調べることと
を含む、方法。
【請求項14】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するためのシステムであって、
(a)側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(i)試料受入領域と、
(ii)前記試料受入領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)前記コンジュゲート領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域とを含む、LFAデバイスと、
(b)前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が前記試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について前記検出領域を調べるように構成されたリーダーと
を備える、システム。
【請求項15】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について側方流動アッセイ(LFA)デバイスの検出領域を調べるように構成されたリーダーであって、
前記LFAデバイスは、
(a)試料受入領域と、
(b)前記試料受入領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(c)前記コンジュゲート領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域と
を含む、リーダー。
【請求項16】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するためのキットであって、
(a)側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(i)試料受入領域と、
(ii)前記試料受入領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)前記コンジュゲート領域から下流にあり、前記SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域とを含む、LFAデバイスと、
(b)対象から試料を取得するための試料取得構成要素と
を備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コロナウイルスは、エンベロープを持つ一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。それらは、既知のRNAウイルスの中で最大のゲノム(26~32kb)を有し、系統学的に4つの属(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)に分割され、ベータコロナウイルスは、更に4つの系統(A、B、C、D)に細分化される。コロナウイルスは、ヒトを含む、鳥類及び哺乳類の広範囲に感染する。
【0002】
6つの既知のヒトコロナウイルスのうち、4つ(HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-HKU1、及びHCoV-NL63)は、ヒトで毎年循環し、概して軽度の呼吸器疾患を引き起こすが、重症度は、乳児、高齢者、及び免疫不全者においてより高くなる可能性がある。対照的に、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)及び重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)は、それぞれ、ベータコロナウイルス系統C及びBに属し、高病原性である。
【0003】
2019年に、新型コロナウイルス(2019-nCoV/SARS-CoV-2)は、呼吸器疾患の大流行を引き起こした。分類学的に、SARS-CoV-2は、系統A又はCであると考えられている、ベータコロナウイルスである(Jaimes et al.,”Phylogenetic Analysis and Structural Modeling of SARS-CoV-2 Spike Protein Reveals an Evolutionary Distinct and Proteolytically Sensitive Activation Loop,”J.Mol.Biol.(May 1,2020)432(10):3309-3325)。SARS-CoV-2によって引き起こされる疾患であるCOVID-19は、肺炎、発熱、乾いた咳、頭痛、及び呼吸困難を含む、多くの臨床症状を発症し得る。場合によっては、疾患は、呼吸不全及び死亡に進行し得る(同上記文献)。
【0004】
患者がCOVID-19に罹患しているか否かを判定するための診断検査は、呼吸器試料中のSARS-CoV-2からの核酸の定性的検出のためのリアルタイムの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査である。この検査は、患者試料中のSARS-CoV-2 RNAを同定するために使用され、陽性の検査結果は、患者が活性コロナウイルス感染を有することを示す。典型的なプロトコルでは、患者又は医療提供者は、綿棒を使用して患者の鼻又は咽喉から呼吸器試料を採取する。綿棒は、封止された無菌容器に入れられ、72時間以内に検査室に移送される。検査室で、ウイルスRNAは、綿棒から抽出され、そして、ウイルスRNAがDNAに逆転写され、次いで、ウイルスゲノムの領域に特異的なプライマーを使用して増幅される、RT-PCRが実行される。次いで、DNAの存在は、DNAに結合されたときに蛍光信号を提供するプローブで示され得る。RT-PCR検査は、自己採取された鼻腔用綿棒検体を含む個々の試料に、又はプールされた試料とともに実施され得る。
【発明の概要】
【0005】
SARS-CoV-2検査についての現在の戦略は、時間がかかり、迅速な結果を提供しない、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を含む。関心があることは、ポイントオブケア環境において正確で迅速な結果を提供する、速くて信頼性が高いSARS-CoV-2検査デバイス及び方法である。
【0006】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスが、提供される。LFAデバイスの態様は、試料受入領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子で作製される検査粒子標識を含む、試料受入領域から下流にあるコンジュゲート領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む、コンジュゲート領域から下流にある検出領域とを含む。また、LFAデバイスを使用する方法、並びにそれにおける使用のためのリーダー、システム、及びキットも、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態によるLFAデバイスの図を示す。
図2】本発明の実施形態によるLFAデバイスの図を示す。
図3】本発明の実施形態によるLFAデバイスの図を示す。
図4図1図3に例示されるLFAデバイスが、Veritor(商標)リーダーで読み取られる様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスが、提供される。LFAデバイスの態様は、試料受入領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子で作製される検査粒子標識を含む、試料受入領域から下流にあるコンジュゲート領域と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む、コンジュゲート領域から下流にある検出領域とを含む。また、LFAデバイスを使用する方法、並びにそれにおける使用のためのリーダー、システム、及びキットも、提供される。
【0009】
本発明が詳細に記載される前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されるのではなく、そのため、当然ながら変更可能であることが理解されるべきである。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0010】
値の範囲が提供される場合、別段文脈が明らかに示さない限り、その範囲の上限と下限との間の下限の単位の10分の1までの介在する各値、及び記述の範囲内の任意の他の記述の値又は介在する値が、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、独立して、より小さな範囲に含まれ得、また、記述の範囲内の任意の特定の除外された制限に従うことを条件として、本発明内に包含される。記述の範囲が、制限の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる制限の一方又は両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0011】
数値に「約」という用語が先行するある特定の範囲が本明細書で提示される。「約」という用語は、本明細書では、それが先行する正確な数、並びにその用語が先行する数に近いか又はほぼそれである数に文字通りの支持を提供するために使用される。ある数が、具体的に列挙された数に近いか又はほぼその数であるかを決定する際に、列挙されていない数に近いか又はほぼその数は、提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等性を提供する数であり得る。
【0012】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、本明細書に記載のものと同様の又は同等な任意の方法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、代表的な例示的な方法及び材料が以下に記載される。
【0013】
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許は、各個々の刊行物又は特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に組み込まれ、引用される刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示し説明するために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日以前のその開示についてのものであり、本発明が、先行発明の特徴によってそのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なり得、これらは独立して確認する必要があり得る。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択的な要素を排除するように設計され得ることに更に留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で」、「のみ」などのそのような排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用の先行詞として機能することが意図される。
【0015】
本開示を閲読すると当業者に明らかであるように、本明細書に記載及び例示される個々の実施形態の各々は、別個の構成要素及び特徴を有し、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又は組み合わせられ得る。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0016】
装置及び方法は、機能的な説明を伴う文法的流動性のために記載されている、又は記載されるが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明示的に策定されない限り、「手段」又は「ステップ」制限の構築によって必ずしも制限されるものと解釈されるべきではなく、同等物の法制定基礎原則の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味及び同等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条下で明示的に策定される場合、米国特許法第112条下で完全な法定同等物が付与されるべきであることを明示的に理解されたい。
【0017】
側方流動アッセイデバイス
上記で要約されたように、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために構成された側方流動アッセイデバイスが、提供される。本明細書で使用される場合、「側方流動」という用語は、キャリアの平面に沿った液体の流れを指す。アッセイデバイスは、「側方流動」アッセイデバイスであるため、それらは、試料受入領域で関心がある試料を受け入れるように、そして試料が毛細管作用によって試料受入領域からコンジュゲート領域を通って検出領域へデバイスに沿って横方向にウィック(wick)されるように、試料がコンジュゲート領域を通って検出領域に毛細管作用によって横方向に移動するように提供されている。試料受入領域、コンジュゲート領域、及び検出領域は、試料領域からコンジュゲート領域を通って検出領域への毛細管流動を支持する材料で作製される毛細管流動メンバーの一部であり得る。毛細管流動メンバーは、任意の好都合な材料から製造され得る。好適な材料の実施例は、高吸収性又は吸水性材料を含み、ここで、関心がある吸水性材料は、これらに限定されないが、有機又は無機ポリマー、並びに天然及び合成ポリマーを含む。好適な高吸収性又は吸水性材料のより具体的な実施例は、無制限に、ガラス、ガラス繊維、セルロース、ナイロン、架橋デキストラン、未処理紙、多孔質紙、様々なクロマトグラフィー用紙、ニトロセルロース、ポリエステル又はセルロースとのニトロセルロースブレンド、レーヨン、アクリロニトリルコポリマー、及びプラスチックを含む。毛細管流動メンバー及び側方流動アッセイデバイスの全体的な構成は、変わり得るが、特定の実施形態では、毛細管流動メンバーは、ストリップ構成を有する。高吸収性又は吸水性材料がストリップとして構成されている場合、毛細管流動メンバーは、その幅よりも長い長さを有する。任意の実用的な構成が用いられ得るが、場合によっては、長さは、幅よりも、2倍以上などの、例えば10倍以上の、20倍以上を含む、1.5倍以上長くなっている。場合によっては、吸水性メンバーの長さは、1.0~15cmなどの、例えば2.0~10cmの、0.5~20cmの範囲であり、一方、幅は、0.5~2.5cmなどの、例えば1~2cmの、0.1~5.0cmの範囲である。毛細管流動メンバーの厚さは、また、場合によっては、0.1~0.4cmなどの、例えば0.1~0.25cmの、0.01~0.05cmの範囲で変化し得る。
【0018】
上記に示されるように、毛細管流動メンバーは、試料受入領域、コンジュゲート領域、及び検出領域を含み、これらの領域は、試料受入領域に添加された液体試料が、コンジュゲート領域を通って検出領域に、及び場合によっては、例えば、以下に更に記載されるように、更に下流領域、例えば、対照領域、ウィッキング(wicking)領域/吸収性パッドなどに流れるか、又はウィックするように配列される。試料受入領域は、単に、毛細管流動メンバーの第1の領域、例えば、毛細管流動メンバーの近位端として見られ得る、一端部により近い位置に配置された領域であり得る。代替的に、試料受入領域は、毛細管流動メンバーとは異なるが、試料受入領域への試料の適用時に、毛細管流動メンバー内への試料の流体連通を提供するように構成され得る。試料受入領域は、様々な体積の試料を受け入れるように構成され得、場合によっては、試料受入領域は、5~20μlなどの、50~200μlを含む、0.1~1000μlの範囲の体積を有する試料を受け入れるように構成され得る。
【0019】
試料受入領域に加えて、本発明の側方流動アッセイデバイスは、コンジュゲート領域を更に含む。コンジュゲート領域は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子で作製される検査粒子標識を含む領域である。検査粒子標識は、コンジュゲート領域における吸収性材料と非安定的に関連付けられている。「非安定的に関連付けられる」とは、検査粒子標識が、試料適用の前には、吸収性材料に対して静止し得るが、試料適用及び試料がコンジュゲート領域を通ってウィックする際には、検査粒子標識が、試料中に存在する分析物、例えば、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質と反応して、毛細管作用によって毛細管流動メンバーの吸収性材料を通って試料とともに移動するために、自由であることを意味する。したがって、検査粒子標識は、バルク流体流れ力の下で吸収性材料を通って横方向に移動する。
【0020】
コンジュゲート領域に存在する検査粒子標識は、互いに異なり(すなわち、異なる配列を有する)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーの両方と安定的に関連付けられた標識粒子を含む。第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、検査粒子標識における標識粒子と安定的に関連付けられているため、それらは、本発明のLFAデバイスのアッセイ条件下で、標識粒子から分離しない。標識粒子との特異的結合メンバーの安定した関連付けは、所望に応じて、共有結合又は非共有結合を介して達成され得る。
【0021】
検査粒子標識の標識粒子は、所望に応じて変わり得る。標識粒子は、金属、例えば、金、又は着色されたガラス若しくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスビーズ)などの様々な材料から製造され得る光学的に検出可能な粒子である。標識粒子は、直径が変わり得、標識粒子直径は、場合によっては、1~2500nmなどの1~5000nmの範囲であり得る。場合によっては、標識粒子は、反射性ナノ粒子、例えば、金反射性ナノ粒子などの金属反射性ナノ粒子である。「ナノ粒子」という用語は、本明細書で使用される場合、1~1000ナノメートル(「nm」)の範囲における一次元を有する粒子を指す。本発明のナノ粒子は、任意の形状であり得る。特定の実施形態では、ナノ粒子は、球状である。
【0022】
上記のように、検査粒子標識は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(すなわち、N)タンパク質に特異的に結合する第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーと安定的に関連付けられている。「特異的結合」、「特異的に結合する」などの用語は、LFAにおいて存在し得る溶液又は反応混合物における他の分子又は部分と比較して、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に優先的に直接結合する結合メンバーの能力を指す。特定の実施形態では、第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーと、それらが結合複合体において互いに特異的に結合しているときにそれらが特異的に結合するSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質との間の親和性は、10-7M以下などの、10-8M以下を含む、例えば10-9M以下の、10-10M以下を含む、10-11M以下などの、例えば10-12M以下の、10-6M以下のKD(解離定数)によって特徴付けられ、場合によっては、KDは、10-14M以下などの、例えば10-15M以下の10-13M以下である。様々な異なる種類の特異的結合剤は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーとして用いられ得る。場合によっては、第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーは、抗体結合剤である。本明細書で使用されるような「抗体結合剤」という用語は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド(すなわち、N)タンパク質に特異的に結合するために十分なポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体又はその断片を含む。抗体断片は、例えば、単量体Fab断片、単量体Fab’断片、又は二量体F(ab)’2断片であることができる。また、「抗体結合剤」という用語の範囲内では、キメラ抗体を産生するための重鎖及び軽鎖の定常領域を置換することによって、又は、ヒト化抗体を産生する定常領域及び可変領域のフレームワーク部分の両方の置換によって、一本鎖抗体分子(scFv)又はモノクローナル抗体から産生されるヒト化抗体又はキメラ抗体のような、抗体工学によって産生される分子がある。場合によっては、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体である。場合によっては、粒子は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する3つ以上の特異的結合を有し得、そのような事例では、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する特異的結合メンバーの数は、変わり得、場合によっては、3~5など、3~10の範囲であり得る。場合によっては、特異的結合メンバーは、標的分析物の異なる抗原決定基に結合するように選択される。様々な抗体の量は、所望に応じて変わり得る。場合によっては、所与の抗体の量は、2.5~97.5%の範囲である。場合によっては、異なる抗体の量は、同じである。更に他の実施形態では、様々な抗体の量は、異なる。
【0023】
SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質は、Dutta et al.(2020)Journal of Virology94(13):e00647-20;Zeng et al.(2020)Biochem Biophys Res Commun.527(3):618-623、及びKang et al.(2020)Acta Pharmaceutica Sinica B10(7):1228-1238に記載され、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーは、SARS-CoVヌクレオカプシドタンパク質と交差反応性であり得る。SARS-CoVヌクレオカプシドタンパク質及び/又はSARS-CoVヌクレオカプシドタンパク質上の関心がある例示的な抗原決定基は、米国特許第7,696,330号、第7,897,744号、第7,696,330号、第8,343,718号、米国公開第2008/0269115号、第2010/0172917号、第2009/0280507号、第2008/0254440号、第2007/0128217号に記載され、その開示は、それらの全体が本明細書に参照により組み込まれる。そのような事例では、第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーは、他のコロナウイルスヌクレオカプシドタンパク質、例えば、MERS-CoV核タンパク質、HCoV-229E核タンパク質、HCoV-NL63核タンパク質、HCoV-HKU1(単離N5)核タンパク質、及びHCoV-OC43核タンパク質と交差反応しないことがある。
【0024】
検査粒子標識の第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーが抗体結合剤である場合、用いられ得る抗体結合剤の実施例は、これらに限定されないが、米国特許第7,696,330号に記載されるもの、並びに公開された米国特許出願公開第2016/0238601号、第2009/0280507号、及び第2006/0003340号に記載されるものを含み、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、抗体は、「哺乳類」であり、それらは、肉食動物(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、ネズミ、モルモット、及びラット)、並びに霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳綱に属する生物から取得される。場合によっては、抗体は、ヒト、ネズミ(マウス)、又はラビット(ウサギ)抗体である。検査粒子標識の第1の結合メンバー及び第2の結合メンバーとして用いられ得る関心がある特異的抗体は、これらに限定されないが、SARSヌクレオカプシドタンパク質抗体(Novus)、抗SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体、クローン503(Sigma Aldrich)、SARS-CoV-2(COVID-19)ヌクレオカプシド抗体[HL5511](ジェネテックス)(ウサギモノクローナル)、SARS-CoV-2(COVID-19)ヌクレオカプシド抗体[HL455-MS](ジェネテックス)(マウスモノクローナル)、SARS-CoV-2(COVID-19)ヌクレオカプシド抗体[HL344](ジェネテックス)(ウサギモノクローナル)、SARS-CoV-2(COVID-19)ヌクレオカプシド抗体[HL5410](ジェネテックス)(ウサギモノクローナル)、SARS-CoV/SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(6H3)(Invitrogen)(マウスモノクローナル)、SARS/SARS-CoV-2コロナウイルスヌクレオカプシドモノクローナル抗体(E16C)(Invitrogen)(マウスモノクローナル)、SARS/SARS-Cov-2コロナウイルスヌクレオカプシドモノクローナル抗体(5)(Invitrogen)(マウスモノクローナル)、SARS/SARS-CoV-2コロナウイルスヌクレオカプシド組換えウサギモノクローナル抗体(1)(Invitrogen)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドキメラ組換えヒトモノクローナル抗体(1A6)(Invitrogen)、SARSコロナウイルスヌクレオカプシドモノクローナル抗体(18F629.1)(Invitrogen)(マウスモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドキメラ組換えヒトモノクローナル抗体(1A6)(Invitrogen)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(bcn11)(Invitrogen)(ヒトモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(bcn05)(Invitrogen)(ヒトモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(bcn14)(Invitrogen)(ヒトモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(bcn12)(Invitrogen)(ヒトモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(bcn13)(Invitrogen)(ヒトモノクローナル)、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドモノクローナル抗体(ARC2372)(Invitrogen)(ウサギモノクローナル)、2019-nCoVヌクレオカプシド抗体(HC2003)、SARS-CoV-2 NP抗体、SARS-CoV/SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体、ウサギMAb R004(Sino Biological)、SARS-CoV/SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体、マウスMAb MM05(Sino Biological)、SARS-CoV/SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体、マウスMAb MM08(Sino Biological)などを含む。
【0025】
場合によっては、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する検査粒子標識の第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ラビット(ウサギ)及びマウス(ネズミ)抗体である。ウサギ抗体及びマウス抗体の量は、所望に応じて変わり得る。場合によっては、ウサギ抗体の量は、2.5~97.5%の範囲であり、マウス抗体の量は、2.5~97.5%の範囲である。場合によっては、ウサギ抗体及びマウス抗体の量は、同じである。更に他の実施形態では、ウサギ抗体及びマウス抗体の量は、異なる。SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合するウサギ及びマウスモノクローナル抗体の両方の具体例は、上記に提供される。いくつかのそのような実施形態では、ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05(Sino Biological)である。いくつかのそのような実施形態では、ウサギ抗体の量は、マウス抗体の量を超え、場合によっては、第1のウサギ抗体の割合は、60~97%などの、例えば75~95%、80~90%などの、例えば85%の、50%超~97.5%の範囲である。
【0026】
上記で要約されたように、コンジュゲート領域からの下流は、検出領域である。検出領域は、デバイスの使用中に結果を読み取り得る毛細管流動メンバーの領域である。検出領域は、デバイスの試料受入領域から下流にあるいくらかの距離で配置される。「下流」とは、試料が毛細血管作用によって流れる横方向、すなわち、試料受入領域からの流体流の方向を意味する。試料受入領域と検出領域との間の距離は、場合によっては、例えば1~15cmなどの、及び5~10cmを含む、例えば1~5cmの、0.3~15cmの範囲で変わり得る。
【0027】
検出領域は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む領域である。検出領域は、検出領域における毛細管流動メンバーの吸収性材料と安定的に関連付けられた捕捉特異的結合メンバーの量を含む。検出領域のサイズは、変わり得、場合によっては、検出領域は、0.05~0.1cmなどの、及び0.1~0.2cmを含む、0.01~0.5cmの範囲の面積を有する。検出領域は、様々な異なる構成を有し得、構成は、所望に応じて、線、円、正方形、又は「+」などのより複雑な形状であり得る。場合によっては、検出領域は、固定化捕捉特異的結合メンバーのラインとして構成され、ラインの寸法は、変わり得、場合によっては、ラインは、3~7mmなどの、例えば4~6mmの、2~10mm長さの範囲である。上記に示されるように、検出領域は、毛細管流動メンバーの吸収性材料に安定的に関連付けられた捕捉特異的結合メンバーを含む。「安定的に関連付けられる」とは、捕捉特異的結合メンバー及び吸収性材料が、使用条件下、例えば、アッセイ条件下で、空間において互いに相対的な位置を維持することを意味する。したがって、捕捉特異的結合メンバー及び毛細管流動メンバーの吸収性材料は、互いに非共有結合的又は共有結合的に安定的に関連付けられることができる。非共有結合性関連付けの実施例は、非特異的吸着、静電(例えば、イオン-イオン対相互作用)、疎水性相互作用、水素結合相互作用に基づく結合などを含む。共有結合の実施例は、捕捉特異的結合メンバーと吸収性材料上に存在する官能基との間に形成される共有結合を含む。SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する検出領域の固定化捕捉特異的結合メンバーは、上記の検査粒子標識の第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーとは異なる、明確な特異的結合メンバーである。SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する検出領域の固定化捕捉特異的結合メンバーは、そのような特異的結合メンバーの実施例が上記に記載されている場合、変わり得る。実施形態では、捕捉特異的結合メンバーは、捕捉特異的結合メンバー、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、及び検査粒子標識のサンドイッチが、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質がアッセイされる試料中に存在するときに産生され得るように、検査粒子標識の第1/第2の特異的結合メンバーと同時にSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に結合することができる、特異的結合メンバーである。場合によっては、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する検出領域の固定化捕捉特異的結合メンバーは、SARS-CoV/SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体、Mouse MAb MM08(Sino Biological)である。
【0028】
場合によっては、側方流動アッセイデバイスは、対照領域を更に含み得る。対照領域は、検出領域から下流に位置する。対照領域は、固定化された対照剤を含有する。固定化された対照剤は、対照結合対を形成するために、移動対照結合剤に特異的に結合する。関心がある対照結合対は、内部対照、すなわち、分析物測定結果が個々の検査ストリップ上で比較され得る対照として機能する。場合によっては、対照領域は、対照抗原を含むものとして記載され得、LFAデバイスは、例えば、試料受入領域及び/又はコンジュゲート領域に、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた、検査粒子標識の標識粒子と同一であり得る標識粒子を含む移動対照粒子標識を含み得る。一般に、任意の好都合な対照抗原/対照特異的結合メンバー対は、使用されることができるが、場合によっては、試料中に存在しない、又は試料中に存在する化合物と免疫学的に交差反応しない対照抗原が用いられる。関心がある好適な対照結合対の実施例は、これらに限定されないが、ビオチン/抗ビオチンIgG、チキンIgY/抗チキンIgYなどを含む。更に他の実施形態では、対照領域は、検査標識粒子の第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに、例えば、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーのFc領域に結合する対照結合メンバーを含み得る。
【0029】
任意選択的に、側方流動アッセイデバイスは、例えば、検出領域及び任意の対照領域から下流の吸収性パッドの形態で、例えば、試料受入領域から遠位の端部で、吸収性パッドが毛細管流動メンバーを通って流れた流体及びその中に存在する試薬を吸収するように構成されている、ウィッキング領域を含み得る。望まれる場合、側方流動アッセイデバイスの構成部分は、好適なハウジングにおいて存在し得る。ハウジングは、毛細管流動メンバー及び他のアッセイ構成要素を囲むように構成され得る。ハウジングは、任意の好適な材料から製造され得、材料は、吸水性メンバー及びその中に収容された他の構成要素の整合性を維持するために十分に剛性がある材料であり得、また、使用中にハウジングに接触する様々な流体及び試薬に対してが活性であり得る。関心があるハウジング材料は、プラスチックを含む。ハウジングは、試料アプリケーション領域への試料アプリケーションを可能にするように構成されたポート又は類似の構造、及び検出領域を見ることを可能にするように構成されたウィンドウを含み得る。ハウジングは、マーキング、例えば、検出領域及び対照領域マーキング(例えば、「T」及び「C」)などを更に含み得る。ハウジングは、バーコードリーダーによってスキャンされたときに、テスターに情報を伝達し得る外側のバーコードを含み得る。例えば、バーコードは、実行されている検査の種類及び/又は個々の側方流動アッセイデバイスを識別し得る。
【0030】
図1は、本発明の任意の実施形態によるデバイスの俯瞰図を提供する。図1では、デバイス100は、試料を受け入れるためのポート110と、検出領域の試料を見るためのウィンドウ120とを含む。また、示されているものは、ウィンドウ120を介してそれぞれ見ることが可能な検出領域の検査ライン122及び対照ライン124のマーカーである。加えて、デバイスは、第1の端部でデバイスを操作する際に使用するためのハンドル130と、反対指示部で分析器具との使用のためのガイダンスを提供するための矢印140とを含む。図2は、図1に示されるデバイスの基部200の図を提供する。図2では、基部200は、側方流動アッセイ検査ストリップ220を保持するための中央領域210を含む。側方流動アッセイ検査ストリップ220は、試料受入領域230と、コンジュゲート領域240と、検出領域250と、吸収性パッド260とを含む。図3は、図1及び2に示されるデバイスの斜視図を提供する。
【0031】
本発明のデバイスは、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に加えて、1つ以上の追加の分析物をアッセイするように構成され得る。デバイスがアッセイするように構成され得る追加の分析物は、これらに限定されないが、関心がある生物学的又は環境物質、インフルエンザウイルス抗原などの、例えば、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、又はインフルエンザCウイルスの、ウイルス抗原、並びにこれらの組み合わせを含む。側方流動デバイスにおけるそのような分析物の検出に関する更なる詳細は、PCT出願公開第WO2019/245744号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
方法
上記で要約されたように、本発明の態様は、また、例えば上述のように、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために、本発明の側方流動アッセイデバイスを使用する方法を含む。したがって、所与の試料がSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含むか否かを判定する方法が、提供される。言い換えれば、試料がSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含むか、又は含まないかを判定する方法が、提供される。「判定すること」とは、試料における構成要素、例えば、ヌクレオカプシドタンパク質に関連付けられる信号について試料をアッセイすることを意味し、信号の存在は、その構成要素が試料において存在することを示す。判定することは、視覚的又は器具的手段によって信号を取得することを含み得る。いくつかの場合には、判定することは、試料から、例えば、試料における構成要素から信号を検出することを含み、ここで、信号は、構成要素が試料において存在することを示す。
【0033】
本発明の方法を実施することにおいて、関心がある試料は、上述のような側方流動アッセイデバイスの試料受入領域に適用される。場合によっては、試料は、例えば、これらの構成要素のいずれか又は両方が上述のようなデバイスに既に存在しない場合、ある量の検査粒子標識及び/又は対照粒子標識と組み合わされる。試料をこれらのアッセイ構成要素のいずれか又は両方と組み合わせるときに、組み合わせは、任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。これらの薬剤の量は、試料と組み合わされるときに、例えば、当技術分野で既知の標準的な方法を介して、所望の量が容易に判定されて、変わり得る。そのような事例では、所与のLFAデバイスは、例えば、上述のように、コンジュゲート領域を含まなくてもよい。
【0034】
試料受入領域に適用される試料の量は、アッセイの所望の側方流動及び操作性を提供するために十分である限り、変わり得る。試料は、例えば、ドロッパー、ピペット、シリンジなどを介して、任意の好都合なプロトコルを使用して試料受入領域に適用され得る。場合によっては、試料は、例えば、以下に記載されるように、試料の取得に使用される液体容器などの試料取得デバイスから直接適用される。したがって、本発明の方法の最初のステップは、試料におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を検出するように構成された側方流動アッセイデバイスの試料受入領域に試料を適用することである。試料を適用することに加えて、方法は、毛細管流動メンバーを通る十分な流体流を提供するために、一定量の好適な液体、例えば、緩衝液を適用することを更に含み得る。任意の好適な液体は、これらに限定されないが、緩衝液、細胞培養培地(例えば、DNEM)などを含んで、用いられ得る。関心がある緩衝剤は、これらに限定されないが、トリス、トリシン、MOPS、HEPES、PIPES、MES、PBS、TBSなどを含む。所望に応じて、洗剤は、液体において存在し得、例えば、NP-40又はTWEEN(商標)洗剤であり得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、試料緩衝液又は抽出緩衝液に添加され、混合され、得られた混合物は、側方流動アッセイデバイスの試料受入領域に適用される。
【0035】
試料の適用に続いて、試料は、毛細管流動メンバー及びその様々な領域、例えば、コンジュゲート領域及び検出領域を通って横方向に流れることが可能にされ、検出領域は、次いで、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が非診断試料中に存在するか否かを判定するために読み取られる。検出領域は、試料適用に続いて所定の期間後に読み取られ得、この期間は、1分~45分などの、例えば5分~30分の、10分~20分を含む、例えば15分の、10秒~1時間の範囲であり得る。
【0036】
検出領域は、検査粒子標識の標識粒子を検出するように構成されたプロトコルを使用して読み取られる。いくつかの実施形態では、色の変化は、反射率リーダーを使用して測定されることができる。いくつかの実施形態では、反射率リーダーは、蛍光、又は任意の波長の電磁放射を含む反射光を使用して検査ストリップを読み取るように適合された器具を指す。反射率は、光検出器又は電荷結合ダイオード(CCD)などの他の検出器を使用して検出されることができる。いくつかの実施形態では、リーダーは、Veritor(商標)システム(Becton、Dickinson and Company)のリーダーを含む。Veritor(商標)システム400で読み取られている図1図3に例示されるデバイス100の例示が、図4に示される。いくつかの実施形態では、リーダーは、Sofia又はSofia2 Fluorescent Immunoassay Analyzer(Quidel)と、LumiraDx Test Stripsから蛍光を読み取るためのLumiraDx Instrument(LumiraDx)と、BinaxNow抗原カードを読み取るためのAlere Reader(Abbott)とを含む。上述のように、本発明のLFAデバイスは、対照領域を含み得る。そのような事例では、本発明の方法は、例えば、検出領域を読み取るために用いられる反射率リーダーで、そこから信号を取得するために対照領域を読み取ることを更に含む。
【0037】
所望の場合、方法は、対照試料、例えば、陽性又は陰性対照を、対照側方流動アッセイデバイスの試料受入領域に適用し、結果を取得するために対照側方流動アッセイデバイスの検出領域を読み取ることを更に含み得る。これらの実施形態では、対照側方流動アッセイデバイスは、検査側方流動アッセイデバイスと同一(例えば、検査側方流動デバイスと同じ製造ロットからの第2の側方流動デバイス)である。陽性対照試料は、検出可能な量のSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含有することが知られている流体試料である。陰性対照試料は、検出可能な量のSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含有しないことが知られた流体試料である。したがって、これらの実施形態は、検査側方流動アッセイデバイスと同一の側方流動アッセイデバイスを使用して、完全な陽性及び/又は陰性対照アッセイを実行することを用いる。
【0038】
本発明の方法は、定性的又は定量的結果を提供し得る。定性的結果は、分析物がアッセイされる試料において存在するか否かの単純な「はい」又は「いいえ」の判定を提供する結果を含む。定性的結果は、また、試料における分析物の量が所定の閾値を超えた場合に陽性である結果を含む。対照的に、定量的結果は、アッセイされる試料において存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の量のある程度の測定を提供する。したがって、定量的結果は、アッセイされる試料において存在するSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の量の少なくとも近似値を提供する。定量的結果について提供するために、検出領域は、同じ捕捉プローブの同じ量又は異なる量を含む2つ以上の異なる捕捉プローブ領域を含み得る。したがって、試料における分析物の量が、第1の捕捉領域で捕捉されることができる分析物の量を超える場合、残りの遊離分析物は、第2の捕捉領域に移動する。両方の領域からの得られた陽性結果は、試料における分析物の量の定量的測定を提供する。各々が異なる(減少するなどの)量の捕捉プローブを有する2つ以上の捕捉領域の勾配であり得る、一連の領域を有することによって、試料における分析物の定量的測定値は、取得され得る。代替的に、定量的測定は、密度測定によって取得されることができる。この場合、1つの捕捉領域のみが、必要である。
【0039】
本発明の実施形態によるアッセイされる試料は、変わり得る。試料の実施例は、様々な流体又は固体試料を含み得る。場合によっては、試料は、対象からの体液試料であることができる。試料は、水性試料又は気体試料であることができる。場合によっては、固体又は半固体試料が、提供されることができる。試料は、対象から採取された組織及び/又は細胞を含むことができる。試料は、生体試料であることができる。生体試料の例は、これらに限定されないが、血液、血清、血漿、鼻腔用綿棒又は鼻咽頭洗浄液、唾液、尿、胃液、脊髄液、涙、便、粘液、汗、耳垢、油、腺分泌物、脳脊髄液、組織、精液、膣液、腫瘍組織由来の間質液、眼液、脊髄液、咽喉綿棒、呼吸、髪、指の爪、皮膚、生検、胎盤液、羊水、血液、脳髄液、空洞液、痰、膿、微生物叢、胎便、乳房乳及び/又は他の排泄物を含むことができる。試料は、鼻咽頭洗浄液を含み得る。対象の組織試料の実施例は、これらに限定されないが、結合組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料、又は骨を含み得る。試料は、ヒト又は動物から提供され得る。試料は、マウス、サル、ヒト、家畜、スポーツ動物、又はペットなどの哺乳動物、脊椎動物から提供され得る。試料は、生きている又は死んだ対象から採取され得る。試料は、対象から新鮮に採取され得るか、又は何らかの形態の前処理、保管、又は輸送を受けていることがあり得る。特定の実施形態では、試料源は、「哺乳動物」又は「哺乳類」であり、これらの用語は、肉食類(例えば、イヌ及びネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳網に属する生物を記載するために広く使用される。場合によっては、被験者はヒトである。方法は、両方の性別のヒト対象から、発達の任意の段階(すなわち、新生児、乳幼児、年少者、青年、成人)で取得された試料に適用され得、特定の実施形態では、ヒト対象は、年少者、青年、又は成人である。
【0040】
本発明の方法は、対象から試料を取得することを含み得る。例えば、検査される試料が、鼻咽頭試料又は検体、例えば、鼻腔用綿棒である場合、方法は、綿棒、鼻咽頭洗浄液などを使用して、対象から試料を取得することを含み得る。場合によっては、対象から試料を取得することは、二重鼻孔採取方法を使用して、対象から鼻腔用綿棒検体を取得することを含む。この方法の実施形態では、鼻腔用綿棒は、まず、対象の1つの鼻孔に挿入される。綿棒の先端は、鼻孔の端から2.5cm(1インチ)まで挿入される。綿棒は、粘液及び細胞の両方が採取されることを確実にするために、鼻孔の内側の粘膜に沿って5回回転される。次いで、同じ綿棒は、適切な試料が両方の鼻孔から採取されることを確実にするために、他の鼻孔についてこのプロセスを繰り返して使用される。次いで、綿棒は、鼻腔から取り出される。
【0041】
対象から鼻腔用綿棒などの試料の取得に続いて、試料は、LFAデバイスの試料受入領域への適用の前に、所望に応じて処理され得る。例えば、試料は、検査のために試料を調製するために、水性媒体において洗剤、防腐剤などと組み合わせられ得る。場合によっては、試料は、Veritor(商標)(Becton、Dickinson and Company)試料採取システムを使用して採取される。そのような事例では、キャップは、まず、Veritor(商標)抽出試薬チューブ/先端から取り外され、次いで、採取された鼻咽頭検体を伴う綿棒は、チューブに挿入され、続いて、綿棒をチューブに提供された流体において上下に15秒間投下し、チューブから内容物が飛び散らないように注意する。次いで、綿棒は、綿棒から液体を抽出するために、チューブの側面を絞りながらチューブから取り出される。次いで、取り付けられた先端は、処理された試料を含有する抽出試薬チューブにしっかりと押し付けられる(捩じり又は捻りは必要とされない)。次いで、内容物は、チューブの底部を旋回又は軽くはじくことによって、徹底的に混合される。
【0042】
本発明の実施形態は、所与の試料がSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含有するか否かの迅速で信頼性が高い判定を提供する。結果は、本発明の実施形態では、LFAデバイスの試料受入領域に試料を適用してから、20分以内などの、15分以内を含む、30分以内に取得されることができる。方法の実施形態は、75%以上などの、80%以上を含む、例えば84%以上の、70%以上のPPA(陽性一致率=真陽性/真陽性+偽陰性)、95%以上などの、100%を含む、90%以上のNPA(陰性一致率=真陰性/真陰性+偽陽性)及び95%以上などの、98%以上を含む、90%以上のOPA(全体一致率=真陽性+真陰性/全試料)を提供する。本方法の実施形態は、1.4×10TCID50/mL以下の検出限界(LOD)を提供する。本方法の実施形態は、ヒトコロナウイルス229E(熱不活性化)、ヒトコロナウイルスOC43、ヒトコロナウイルスNL63、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス1、パラインフルエンザウイルス2、パラインフルエンザウイルス3、パラインフルエンザウイルス4、インフルエンザA、インフルエンザB、エンテロウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、SARSコロナウイルス、MERSコロナウイルス、インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌、化膿性連鎖球菌、カンジダアルビカンス、プールされたヒト鼻腔洗浄液、百日咳菌、マイコプラズマ肺炎菌、クラミジア肺炎菌、及び在郷軍人病菌を含むが、これらに限定されない、様々な潜在的な交差汚染エンティティとの交差反応性を示さない。
【0043】
本発明の実施形態の方法は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に加えて、1つ以上の追加の分析物についてアッセイすることを含み得る。本発明の実施形態によりアッセイされ得る追加の分析物は、これらに限定されないが、関心がある生物学的又は環境物質、インフルエンザウイルス抗原などの、例えば、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、又はインフルエンザCウイルスの、ウイルス抗原、並びにこれらの組み合わせを含む。側方流動デバイスにおけるそのような分析物の検出に関する更なる詳細は、PCT出願公開第WO2019/245744号において提供され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
有用性
主題のデバイス及び方法は、試料におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の検出が望まれる臨床及び研究用途での使用を見出す。本発明の実施形態は、迅速で信頼性の高いSARS-CoV-2検査を提供する。本発明の実施形態は、簡単に操作可能なハンドヘルド器具において、ケアの時点でのラボ品質の結果を提供する。
【0045】
キット
本開示の態様は、また、キットを含む。キットは、主題の方法のいずれかを実施するために好適であり得る。キットは、例えば上述のように、例えば2~50の、5~30などの、複数の側方流動アッセイデバイスを含む1つ以上を含み得る。キットは、試料取得デバイス、例えば、鼻腔用綿棒/液体容器(例えば、抽出チューブの形態における(チューブは、洗剤、防腐剤などを含む水性液体などの試薬液体を含み得る))、例えば、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含む陽性対照綿棒の形態における陽性対照、例えば、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質を含まない陰性対照綿棒の形態における陰性対照、など、1つ以上の追加のアッセイ構成要素を更に含み得るが、これらに限定されない。場合によっては、本発明のキットは、5~30個などの、2~50個の側方流動アッセイデバイスと、5~30個などの、2~50個の試料取得構成要素(例えば、鼻腔用綿棒/抽出チューブの形態における)と、陽性対照綿棒と、陰性対照綿棒とを含む。キットの様々な構成要素は、別個の容器において存在し得、又はそれらの一部若しくは全部は、同じ容器に事前に組み合わせられ得る。容器は、構成要素、例えば、ホイルパウチなどの無菌性を維持するように構成され得る。したがって、キット構成要素は、無菌であり得、ホイルポーチなどの1つ以上の無菌容器において存在し得る。キット構成要素は、任意の好都合な形態のパッケージ、例えば、所望に応じて、箱、ポーチ、又は他の種類のパッケージにおいて組み合わされ得る。
【0046】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、(特定の実施形態では)主題の方法を実施するための説明書を更に含み得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキット内に存在し得、そのうちの1つ以上が、キット内に存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体又は基板、例えば、情報が印刷される1枚以上の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印刷される情報としてである。これらの説明書の更に別の形態は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)など、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得る、これらの説明書の更に別の形態は、離れたサイトで情報にアクセスするために、インターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0047】
以下の実施例は、例示として提供され、限定として提供されるものではない。
【実施例
【0048】
I.コロイド金コンジュゲート体の比較
検査コロイド金コンジュゲート体は、85%抗SARS-CoV-2抗体R004(Sino Biological)及び15%抗SARS-CoV-2抗体MM05(Sino Biological)で作製され、対照コロイド金コンジュゲート体は、100%抗SARS-CoV-2抗体R004を使用して作製された。2つの側方流動アッセイ(LFA)、すなわち、検査LFA及び対照LFAは、それぞれ、同じ細片化ニトロセルロースメンブレン並びに検査及び対照コロイド金コンジュゲート体を使用して作製された。SARS-CoV-2陰性鼻汁及び鼻腔用綿棒臨床試料は、抽出試薬において抽出され、抽出された試料は、検査及び対照LFAに適用された。結果は、2つの異なる抗体、すなわち、R004及びMM05を含有する検査コロイド金コンジュゲート体を用いた検査LFAアッセイが、1つのみの抗体、すなわち、R004を含有する対照コロイド金コンジュゲート体を用いた対照LFAアッセイと比較して、より良好な特異性、より少ない偽陽性結果を有したことが示された。
【0049】
II.SARS-CoV-2の迅速検出のためのVeritor(商標)システム
A.概要
SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムは、COVD-19が疑われる徴候及び症状を有する患者から採取された呼吸器検体におけるSARS-CoV-2抗原の有無を直接検出するための迅速(およそ15分)クロマトグラフィーデジタル免疫測定法である。
【0050】
B.手順の原則
BD Veritor(商標)システムは、呼吸器検体から処理された試料における病原性微生物からの抗原の定性的検出のために、専用の光電子解釈器具及び免疫クロマトグラフィーアッセイを用いる。SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムは、COVID-19が疑われる感染徴候及び症状を有する患者からの呼吸器試料におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質の有無を検出するように設計されている。検体が処理され、検査デバイスに追加されるときに、検体において存在するSARS-CoV-2抗原は、検査ストリップにおける検出器粒子にコンジュゲートされた抗体に結合する。抗原コンジュゲート複合体は、検査ストリップを横断して反応エリアに移動し、膜に結合された一連の抗体によって捕捉される。陽性結果は、
抗原コンジュゲート体がアッセイデバイス上の検査「T」位置及び対照「C」位置に堆積されたときに、BD Veritor(商標)Plus Analyzerによって判定される。本器具は、客観的な結果を提供するために、非特異的結合を分析して修正し、肉眼によって認識されない陽性を検出する。
【0051】
C.材料
1.キット構成要素
以下の構成要素は、SARS-CoV-2キットの迅速検出のためのBD Veritorシステムに含まれる。
【0052】
【表1】
【0053】
2.分析器
BD Veritor(商標)Plus Analyzer(カタログ番号256066)
C.臨床性能
SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムの性能は、COVID-19が疑われる個々の症状がある患者(発症後5日以内)から前向きに採取及び登録された226本の直接鼻腔用綿棒で確立された。試料は、米国全土の21の地理的に多様な地域において資格がある人員によって採取された。
【0054】
鼻腔用綿棒は、二重鼻孔法に従って採取され、採取デバイスの添付文書に記載されているように取り扱われた。検体は、採取の30分以内に凍結され、検査されるまで保管された。所定の日付範囲内の全ての検体は、選択され、次いで盲検化方式で順次検査された。BD Veritor(商標)System Assayの性能は、SARS-CoV-2の検出のための緊急使用承認分子(RT-PCR)検査で検査された3mLのウイルス輸送培地に貯蔵された鼻咽頭又は中咽頭綿棒の結果と比較された。結果は、以下の表1に提供される。
【0055】
【表2】
【0056】
D.検出限界(LOD)(分析感度)
SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムについてのLODは、ガンマ線照射によって不活性化されたウイルス試料の制限希釈を使用して確立された。材料は、2.8×10TCID50/mLの濃度で供給された。直接鼻腔用綿棒を使用したときに、アッセイのLODを推定するように設計された、この研究では、出発物質は、健康なドナーから取得されたプールされたヒト鼻腔マトリックスの体積にスパイクされ、SARS-CoV-2の陰性が確認された。最初の範囲発見試験は、10倍希釈シリーズを使用して、3通り検査デバイスが実行された。各希釈で、50μLの試料は、綿棒に添加され、次いで、患者の鼻腔用綿棒検体に適切な手順を使用してBD Veritor(商標)アッセイで検査された。濃度は、3つの陽性結果を与えるための最後の希釈と、3つの陰性結果が与えられるための最初の希釈との間で選択された。この濃度を使用して、LODは、2倍希釈シリーズで更に精製された。次いで、100%陽性を示す最後の希釈液は、同じ方法で検査された追加の20回の繰り返しにおいて検査された。結果は、以下の表2に提供される。
【0057】
【表3】
【0058】
E.交差反応性(分析特異性)
SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムの交差反応性は、SARS-CoV-2の迅速検出のためのBD Veritor(商標)システムと潜在的に交差反応する可能性がある高蔓延呼吸器病原体のパネルを検査することによって評価された。各微生物/ウイルス対は、3通り検査された。各微生物の最終濃度は、以下の表3に文書化されている。
【0059】
【表4】
【0060】
湿潤検査に利用できなかった生物のSARS-CoV-2との交差反応性の可能性を推定するために、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって管理されるBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)を使用したインシリコ(In silico)分析は、タンパク質配列相同性の程度を評価するために使用された。
【0061】
・ニューモシスチス肺炎菌について、配列類似性の1つの範囲は、配列の9%にわたって45.4%の相同性を示し、BD Veritor(商標)サンドイッチ免疫測定法における交差反応性を非常に低くする。
【0062】
・タンパク質配列相同性は、SARS-CoV-2と結核菌との間に見られず、相同性に基づく交差反応性は、除外されることができる。
【0063】
・SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質とヒトコロナウイルスHKU1との比較は、相同性についての唯一の可能性がHKU1ヌクレオカプシドリンタンパク質であることが明らかになった。相同性は、比較的低く、配列の82%にわたって36.7%であるが、交差反応性は、除外されることはできない。
【0064】
F.高用量フック効果
高用量フック効果は、SARS-CoV-2検査の迅速検出についてのBD Veritor(商標)システムを用いたガンマ不活性化SARS-CoV-2の最大2.8×10TCID50/mLまで観察されなかった。
【0065】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示は、また、以下の付記によって画定される。
【0066】
1.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(a)試料受入領域と、
(b)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む検査粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(c)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域と
を含む、LFAデバイス。
2.検出領域から下流にある対照領域を更に含む、付記1に記載のLFAデバイス。
3.対照領域は、対照抗原を含み、LFAデバイスは、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記2に記載のLFAデバイス。
4.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記2に記載のLFAデバイス。
5.対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記1~4のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
【0067】
6.標識粒子は、反射性ナノ粒子である、付記1~5のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
7.反射性ナノ粒子は、金属を含む、付記6に記載のLFAデバイス。
8.金属は、金を含む、付記7に記載のLFAデバイス。
9.第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、及び固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、付記1~8のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
10.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、付記9に記載のLFAデバイス。
【0068】
11.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05である、付記10に記載のLFAデバイス。
12.ウサギ抗体は、マウス抗体の量を超える量で存在する、付記11に記載のLFAデバイス。
13.ウサギ抗体の量は、60~97.5%の範囲である、付記12に記載のLFAデバイス。
14.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、付記1~13のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
15.マウス抗体は、MM08である、付記13に記載のLFAデバイス。
【0069】
16.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するための側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(a)試料受入領域と、
(b)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1のウサギ抗体及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第2のマウス抗体にコンジュゲートされた金標識粒子を含む検査粒子標識を含むコンジュゲート領域であって、第1のウサギ抗体の量が第2のマウス抗体の量を超える、コンジュゲート領域と、
(c)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉マウス抗体を含む検出領域と
を含む、LFAデバイス。
17.検出領域から下流にある対照領域を更に含む、付記16に記載のLFAデバイス。
18.対照領域は、対照抗原を含み、LFAデバイスは、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記17に記載のLFAデバイス。
19.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記17に記載のLFAデバイス。
20.対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記16~19のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
【0070】
21.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05である、付記16~20のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
22.ウサギ抗体の量は、60~97.5%の範囲である、付記16~21のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
23.捕捉マウス抗体は、MM08である、付記16~22のいずれか一つに記載のLFAデバイス。
【0071】
24.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出する方法であって、
(a)試料を側方流動アッセイ(LFA)デバイスの試料受入領域上に配置することであって、LFAデバイスは、
(i)試料受入領域と、
(ii)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域とを含む、配置することと、
(b)SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について検出領域を調べることと
を含む、方法。
25.LFAデバイスは、検出領域から下流にある対照領域を更に含み、方法は、対照領域を調べることを更に含む、付記24に記載の方法。
26.対照領域は、対照抗原を含み、LSAデバイスは、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記25に記載の方法。
27.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記25に記載の方法。
28.LFAデバイスは、対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記24~27のいずれか一つに記載の方法。
【0072】
29.標識粒子は、反射性ナノ粒子である、付記24~28のいずれか一つに記載の方法。
30.反射性ナノ粒子は、金属を含む、付記29に記載の方法。
31.金属は、金を含む、付記30に記載の方法。
32.第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、及び固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、付記24~31のいずれか一つに記載の方法。
33.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、付記32に記載の方法。
【0073】
34.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05である、付記33に記載の方法。
35.ウサギ抗体は、マウス抗体量を超える量で存在する、付記34に記載の方法。
36.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、付記24~35のいずれか一つに記載の方法。
37.マウス抗体は、MM08である、付記36に記載の方法。
38.調べることは、反射率リーダーを用いることを含む、付記24~37のいずれか一つに記載の方法。
【0074】
39.試料は、鼻咽頭検体を含む、付記24~38のいずれか一つに記載の方法。
40.方法は、対象から試料を取得することを更に含む、付記24~39のいずれか一つに記載の方法。
41.対象から試料を取得することは、鼻腔用綿棒を用いることを含む、付記40に記載の方法。
【0075】
42.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するためのシステムであって、
(a)側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(i)試料受入領域と、
(ii)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域とを含む、側方流動アッセイ(LFA)デバイスと、
(b)SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について検出領域を調べるように構成されたリーダーと
を備える、システム。
43.LFAデバイスは、検出領域から下流にある対照領域を更に含む、付記42に記載のシステム。
44.対照領域は、対照抗原を含み、試料受入領域は、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記43に記載のシステム。
45.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記43に記載のシステム。
46.LFAデバイスは、対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記42~45のいずれか一つに記載のシステム。
【0076】
47.標識粒子は、反射性ナノ粒子である、付記42~46のいずれか一つに記載のシステム。
48.反射性ナノ粒子は、金属を含む、付記47に記載のシステム。
49.金属は、金を含む、付記48に記載のシステム。
50.第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、及び固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、付記42~49のいずれか一つに記載のシステム。
51.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、付記50に記載のシステム。
【0077】
52.ウサギ抗体は、R004である、付記51に記載のシステム。
53.マウス抗体は、MM05である、付記52に記載のシステム。
54.ウサギ抗体は、マウス抗体の量を超える量で存在する、付記53に記載のシステム。
55.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、付記42~54のいずれか一つに記載のシステム。
56.マウス抗体は、MM08である、付記55に記載のシステム。
57.リーダーは、反射率計を備える、付記42~56のいずれか一つに記載のシステム。
【0078】
58.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するために、標識粒子の存在について側方流動アッセイ(LFA)デバイスの検出領域を調べるように構成されたリーダーであって、
LFAデバイスは、
(a)試料受入領域と、
(b)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(c)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域と
を含む、リーダー。
59.LFAデバイスは、検出領域から下流にある対照領域を更に含む、付記58に記載のリーダー。
60.対照領域は、対照抗原を含み、試料受入領域は、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記59に記載のリーダー。
61.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記59に記載のリーダー。
62.LFAデバイスは、対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記58~61のいずれか一つに記載のリーダー。
【0079】
63.標識粒子は、反射性ナノ粒子である、付記58~62のいずれか一つに記載のリーダー。
64.反射性ナノ粒子は、金属を含む、付記63に記載のリーダー。
65.金属は、金を含む、付記64に記載のリーダー。
66.第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、及び固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、付記58~65のいずれか一つに記載のリーダー。
67.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、付記66に記載のリーダー。
【0080】
68.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05である、付記67に記載のリーダー。
69.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体の量を超える量で存在する、付記68に記載のリーダー。
70.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、付記58~69のいずれか一つに記載のリーダー。
71.マウス抗体は、MM08である、付記70に記載のリーダー。
72.リーダーは、反射率計を備える、付記58~71のいずれか一つに記載のリーダー。
【0081】
73.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が試料中に存在するか否かを検出するためのキットであって
(a)側方流動アッセイ(LFA)デバイスであって、
(i)試料受入領域と、
(ii)試料受入領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む粒子標識を含むコンジュゲート領域と、
(iii)コンジュゲート領域から下流にあり、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーを含む検出領域と
を含む、側方流動アッセイ(LFA)デバイスと、
(b)対象から試料を取得するための試料取得構成要素と
を備える、キット。
74.LFAデバイスは、検出領域から下流にある対照領域を更に含む、付記73に記載のキット。
75.対照領域は、対照抗原を含み、試料受入領域は、対照抗原に特異的に結合する対照特異的結合メンバーにコンジュゲートされた標識粒子を含む対照粒子標識を更に含む、付記74に記載のキット。
76.対照領域は、第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーに結合する対照結合メンバーを含む、付記74に記載のキット。
77.LFAデバイスは、対照領域から下流にあるウィッキング領域を更に含む、付記73~76のいずれか一つに記載のキット。
【0082】
78.標識粒子は、反射性ナノ粒子である、付記73~77のいずれか一つに記載のキット。
79.反射性ナノ粒子は、金属を含む、付記78に記載のキット。
80.金属は、金を含む、付記79に記載のキット。
81.第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、及び固定化捕捉特異的結合メンバーは、抗体又はその結合断片である、付記73~80のいずれか一つに記載のキット。
82.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ、ウサギ抗体及びマウス抗体である、付記81に記載のキット。
【0083】
83.ウサギ抗体は、R004であり、マウス抗体は、MM05である、付記82に記載のキット。
84.ウサギ抗体は、マウス抗体の量を超える量で存在する、付記83に記載のキット。
85.SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に特異的に結合する固定化捕捉特異的結合メンバーは、マウス抗体である、付記73~84のいずれか一つに記載のキット。
86.マウス抗体は、MM08である、付記85に記載のキット。
87.キットは、複数のLFAデバイスを備える、付記73~86のいずれか一つに記載のキット。
【0084】
88.試料は、鼻咽頭試料である、付記73~87のいずれか一つに記載のキット。
89.試料取得構成要素は、鼻腔用綿棒を備える、付記88に記載のキット。
90.試料取得構成要素は、洗剤を含む液体容器を更に備える、付記89に記載のキット。
91.キットは、陽性対照を更に含む、付記73~90のいずれか一つに記載のキット。
92.キットは、陰性対照を更に含む、付記73~91のいずれか一つに記載のキット。
【0085】
前述の実施形態の少なくともいくつかでは、ある実施形態で使用される1つ以上の要素は、かかる置き換えが技術的に実現可能でない限り、別の実施形態で互換的に使用することができる。当業者は、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法及び構造に他の様々な省略、追加、及び修正を行うことができることを理解されたい。全てのかかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入ることが意図される。
【0086】
一般に、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、概して、「開放的な」用語として意図される(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであるなど)ことが当業者によって理解される。特定の数の導入された特許請求の範囲の記載が意図される場合、かかる意図が特許請求の範囲内で明示的に記載され、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないことが当業者によって更に理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するための「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入語句の使用を含み得る。ただし、かかる語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求の範囲の記載の導入が、かかる導入された特許請求の範囲の記載を含む特定の特許請求の範囲を、かかる記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じ主張には、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入語句と、「a」又は「an」などの不定冠詞とが含まれる(例えば、「a」及び/又は「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」)場合と同じことが、特許請求の範囲の記載を紹介するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された特許請求の範囲の特定の数の記載が明示的に記載されていても、当業者は、かかる記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載」のありのままの記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、並びに/又はA、B、及びCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、又は図面に関わらず、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は語句は、用語の1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが、当業者によって更に理解される。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0087】
更に、本開示の特徴又は態様がマークッシュグループの観点から記載される場合、当業者であれば、本開示が、それによって、マークッシュグループの任意の個々のメンバー、又はマークッシュグループのメンバーの任意のサブグループの観点からも記載されることを認識する。
【0088】
当業者には理解されるように、書面による記載を提供することなど、ありとあらゆる目的のために、本明細書に開示される全ての範囲は、また、ありとあらゆる可能なサブ範囲、並びにそのサブ範囲の組み合わせも包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、及び上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などの全ての用語は、記載される数を含み、上述のようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1個、2個、又は3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5個の物品を有する群は、1個、2個、3個、4個、又は5個の物品を有する群を指す。
【0089】
前述の発明は、理解の明確化を目的として例示及び実施例としてある程度詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、ある特定の変更及び修正が、それらに対して行われ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0090】
したがって、前述した内容は、本発明の原理を単に例示しているに過ぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することが可能であることが理解される。更に、本明細書に列挙される全ての例及び条件付き言語は、主に、本発明の原理及び本発明者によって当該技術分野を促進するために寄与する概念を閲読者が理解することを支援する点を意図しており、そのような具体的に列挙される例及び条件に限定されるものではないと解釈されるものである。更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの特定の実施例を列挙する本明細書の全ての記述は、それらの構造的及び機能的同等物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような同等物は、現在知られている同等物及び将来開発される同等物の両方、すなわち、構造に関係なく、同じ機能を実施する開発される任意の要素を含むことが意図される。更に、本明細書に開示のいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず、公共に供することを意図しない。
【0091】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示及び記載の例示的な実施形態に限定されることを意図していない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲への限定の始まりの正確な語句「のための手段」又は正確な語句「のためのステップ」が列挙されている場合にのみ、そのような特許請求の範囲に限定するために公使されると明示的に定義され、そのような正確な語句が、特許請求の範囲への限定において使用されない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は行使されない。
【0092】
相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2020年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/093,569号の出願日に対する優先権を主張し、その出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】