(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-05
(54)【発明の名称】動的靭帯修復装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526194
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 US2021057627
(87)【国際公開番号】W WO2022094434
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520004281
【氏名又は名称】クリスチャン エムディー アンダーソン
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン エムディー アンダーソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL30
4C160LL59
(57)【要約】
動的靭帯修復装置は、縫合糸12と、大腿骨側縫合糸アンカー14と、ねじ切りされたねじまたはハウジングインプラント16とを含む。ねじ16は、脛骨に、あるいは大腿骨に装着するように構成される。ばね18は、ねじ切りされたねじ16の中の軸方向ボアの内側に収容される。いくつかの実施形態では、ばね18は、圧縮ばねである。可動ばねボタン20は、軸方向ボアの内側に、ばね16の遠位端に隣接して位置づけられる。ばねボタン20は、いくつかの実施形態では、ばね16に直接係合する。代替の実施形態では、スペーサ等の中間構造は、ばねボタン20とばね18との間に位置づけられる。縫合糸12は、ばねボタン20と縫合糸アンカー14との間に延伸する。関節が屈曲または伸展すると、ばねボタンが軸方向ボアの内側を走行し、ばね18を動的に圧縮または緩める。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能な主ループを含む縫合糸構成と、
中空の内部ボアを画定するねじと、
前記ねじの前記ボアの中に配置された圧縮ばねと、
前記中空の内部ボアの中に、前記ばねの遠位端に近接して配置されたばねボタンであって、前記縫合糸構成が前記ばねボタンに係合する、ばねボタンと、
を備え、
前記ばねボタンが、前記ボアの内側に移送され、前記縫合糸構成に張力が加えられると前記ばねを圧縮するように構成される、動的靭帯修復器具。
【請求項2】
前記縫合糸構成の前記調節可能な主ループ上に配置された第1及び第2の自己緊結スリーブをさらに備える、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記縫合糸構成の前記調節可能な主ループ上に配置された固定ループをさらに備える、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記固定ループに係合する縫合糸アンカーをさらに備え、前記固定ループが、前記調節可能な主ループを締めるためのプーリを形成する、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
ねじ切りされた外面と中空の内部ボアとを含むハウジングであって、前記ハウジングが、靭帯の方に向けられた近位端と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位端とを含み、前記ハウジングが、前記近位端において開口を画定する端壁を含む、ハウジングと、
前記内部ボアの中に配置された圧縮ばねであって、前記ばねが、前記近位端の端壁によって前記内部ボアの内側に保持される近位ばね端と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位ばね端部とを有する、圧縮ばねと、
前記ボアの内で、前記遠位ばね端部に配置されたばねボタンであって、前記ばねボタンが、前記ハウジングの長手方向軸に沿って前記内部ボアの内側を移動可能である、ばねボタンと、
前記ハウジングの前記遠位端に配置されたエンドキャップと、
を備える、動的靭帯修復器具。
【請求項6】
第1及び第2の自己緊結スリーブを含む調節可能な主ループを含む縫合糸構成をさらに備え、前記縫合糸構成が、前記ばねボタンに固定される、請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記縫合糸構成が、前記ばねボタンから、前記圧縮ばねの中心線に沿った内部通路を通り、前記ハウジングの前記端壁において前記開口を通って延伸する、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記縫合糸構成が、使用中に前記ばねボタンを前記ばねに向かって引っ張り、前記ばねを圧縮するように構成される、請求項5に記載の器具。
【請求項9】
前記ばねが、前記ハウジングの前記遠位端を越えて延伸しない、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記ハウジングの反対側の前記縫合糸構成上に配置された縫合糸アンカーをさらに備える、請求項8に記載の器具。
【請求項11】
前記縫合糸アンカーがボタンである、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記ハウジング上に配置されたエンドキャップをさらに備える、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記エンドキャップを前記ハウジングに装着するように構成されたエンドキャップドライバーをさらに備える、請求項12に記載の器具。
【請求項14】
大腿骨側縫合糸アンカーと、
ねじ切りされた外表面を有し、内部軸方向ボアを画定するねじインプラントであって、前記インプラントが、前記靭帯の方に向けられた近位端と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位端とを含む、ねじインプラントと、
前記ねじインプラント内において前記近位端に画定された近位開口と、
前記ねじ切りされたねじインプラントの中の前記軸方向ボアの内側に収容されたコイル状圧縮ばねであって、前記ばねが、前記靭帯の方に向けられた近位ばね端部と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位ばね端部とを有し、前記ばねが、内部ばね通路を画定する、コイル状圧縮ばねと、
前記近位開口に隣接して前記軸方向ボアの中へと半径方向内向きに延伸する、前記ねじインプラント上の端壁であって、前記端壁が、圧縮中に前記ばねを保持するように構成される、端壁と、
前記軸方向ボアの内側に、前記遠位ばね端部に隣接して位置づけられた可動ばねボタンと、
前記ばねボタンと前記縫合糸アンカーとの間に延伸する縫合糸であって、前記縫合糸が、前記内部ばね通路を通過して、前記ねじインプラントの前記近位開口の外に出る、縫合糸と、
を備える、動的靭帯修復器具。
【請求項15】
前記縫合糸が前記靭帯に向かって引っ張られると、前記縫合糸ボタンが前記靭帯に向かって移動し、前記軸方向ボアの内側で前記圧縮ばねを圧縮する、請求項14に記載の器具。
【請求項16】
前記縫合糸が前記靭帯から離れるように解放されると、前記縫合糸ボタンが、前記靭帯から離れるように移動し、前記圧縮ばねが前記軸方向ボア内側に延伸することを可能にする、請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記縫合糸ボタン上に配置されたブリッジをさらに備え、前記縫合糸が前記ブリッジに係合する、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記ばねが、前記ねじインプラントの前記軸方向ボアの内側に完全に収容される、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記ばねが、前記ねじインプラントの前記遠位端を越えて延伸しない、請求項18に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される本発明は、概して整形外科のための装置および方法に関し、より詳細には、人間および動物における靭帯、例えば、限定されないが、人間の膝における前十字靭帯(ACL)を修復するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ACLは、等尺性靭帯ではなく、膝が屈曲および伸展する範囲全体にわたって同じ長さを維持するものではない。膝の屈曲時に張力がかかる従来の静的なACL修復装置では、患者が膝を完全に伸ばすことを可能にすることを妨げ、結果として関節が動かなくなり、それによって完全に伸ばすことが不快になるか、それどころか不可能になるおそれがある。従来の静的ACL修復によるそのような結果は、靭帯修復手術後の全可動域を阻害するため、概して望ましくない。
【0003】
従来の静的ACL修復に関連するこの問題を克服するために、患者の膝が完全な伸長位置にある状態で静的ACL修復縫合糸構成を締め付けることを行う者がいた。そのような処置は安定性をもたらすが、膝が屈曲して回転すると、静的縫合糸が固定された長さを有するために、静的ACL装置が不用意に緩むおそれがある(しかしながら、ACLは可動範囲全体にわたって一定の長さを維持するものではない)。その結果、静的ACL修復装置によっては、より大きい膝屈曲角度では意図された目的を果たさない。これによって、修復縫合糸構成に反して、修復されたACL組織に力がかかる可能性がある。このような構成により、ACL縫合糸が組織から引き剥がされたり、修復された組織が大腿骨側または脛骨側の骨から引き離されたりする可能性がある。また、従来のACL修復装置は、動きに伴う応力が縫合装置を通して切り離されるのではなく、靭帯を貫通するため、適切な生物学的治癒を促さない。
【0004】
要するに、従来の縫合糸ベースの静的ACL修復装置は、屈曲位置で締め付けられると伸展する動きの全範囲を阻害し、完全に伸長して締め付けられると、屈曲の全範囲にわたり適切な張力を維持しない。
【0005】
可動範囲全体にわたって靱帯に好適な張力をもたらし、修復手術後の正しい治癒およびリハビリテーションを可能にする靱帯修復装置にたいする改善が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、断裂または分離した靱帯を大腿骨壁上の骨に再度付着させ、自然治癒を促すための動的靱帯修復装置および関連する方法に関する。
【0007】
本開示の一つの目的は、屈曲および伸展における膝の動きの全範囲にわたって膝関節の張力を維持し、修復を受ける靱帯とは対照的に縫合糸構造にかかる応力を分離する、動的ACL修復装置を提供することである。
【0008】
本開示の別の目的は、固定ループと、調節可能なループと、第1および第2の自己緊結スリーブとを備える縫合糸構成と、中空の内部ボアを画定するねじまたはハウジングと、ボアの内側に配置された圧縮ばねとを含む動的靱帯修復装置を提供することであり、ばねは、患者の関節の動きの範囲にわたって縫合糸構成上の張力を動的に維持するように構成される。
【0009】
本開示の別の目的は、靭帯を修復するための方法を提供することであり、(a)ねじ切りされたハウジングを骨に挿入する工程と、(b)ハウジングに縫合糸構成を通過させる工程と、(c)ハウジングの内側に圧縮ばねを位置づける工程と、(d)ばねに予圧を与えるためにばねを部分的に圧縮する工程と、(e)縫合糸構成を締め付けて、部分的に圧縮されたばねに対して張力を付与する工程と、を備える。いくつかの実施形態では、工程(e)は、縫合糸構成上に配置された1以上の自己緊結スリーブを介して締め付けることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、靭帯に縫い付けられた縫合糸を、穿設された穴を通してハウジングの反対に通過させ、縫合糸を縫合糸アンカーに固定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、靭帯縫合糸を固定するために用いられる縫合糸アンカーは、動的靭帯修復のためにハウジングを通して挿入された縫合糸構成を固定するために用いられたアンカーと同じである。
【0010】
本開示の他の多くの目的、利点、および特徴が、本明細書および添付の図面に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示による動的靭帯修復装置の一実施形態の斜視図を示す。
【
図2】本開示による動的靭帯修復装置と併用するための縫合糸構成およびばねアセンブリの一実施形態の斜視図を示す。
【
図5】本開示による動的靭帯修復装置の一実施形態の断面斜視図を示す。
【
図6】本開示による動的靭帯修復装置と併用するためのねじ切りされたねじインプラントの一実施形態の部分斜視図を示す。
【
図7】本開示による動的靭帯修復装置と併用するための縫合糸アンカーの一実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、動的靭帯修復のための装置および方法に関する。動的靭帯修復装置10の一実施形態が、
図1に示される。該装置は、縫合糸12と、大腿骨側縫合糸アンカー14と、ねじ切りされたねじまたはハウジングインプラント16とを含む。ばね18は、ねじ切りされたねじ16の中の軸方向ボアの内側に収容されている。可動ばねボタン20は、軸方向ボアの内側で、ばね16の遠位端に隣接して位置づけられる。縫合糸12は、ばねボタン20と縫合糸アンカー14との間に延伸する。
【0013】
ねじ16は、ねじ切りされた外面を有し、ドライバーを用いて脛骨上の骨に穿設された穴に設置され得る。ねじ16は、
図1においては脛骨に設置されて示されているが、逆の構成では、ねじ16は、大腿骨と、脛骨上に位置づけられた縫合糸アンカー14とに設置され得る。さらなる実施形態では、縫合糸アンカー14は、第2のねじと、第2のばねと、第2のボタンとを含む第2のねじアセンブリを含み、第1のねじアセンブリは、大腿骨に配置され、第2のねじアセンブリは、脛骨に配置され、それによって、二重ばね構成を形成している。
【0014】
図1に示すように、動的靭帯修復装置10は、縫合糸12が、関節の屈曲および伸展する動きの全範囲にわたって、縫合糸アンカー14と可動ばねボタン20との間の張力を維持することを可能にするように構成される。
【0015】
使用中、ばねボタン20は、軸方向ボア内ねじ16の内側を走行し、これによって、縫合糸12に張力が加えられるとばね18に対して引っ張られて圧縮され、また、縫合糸12上の張力が緩められるとばね18が伸ばされることを可能にし得る。張力が緩められると、ばね18は、ばねボタンを関節から離れるように押し、動きの全範囲にわたって縫合糸12の張力を維持する。このように、装置10は、応力を分離すると同時に、ACL等の靭帯に修復を提供する、動的縫合糸ベースの装置を提供する。
図1には図示されていないが、修復手術を受けるACLは、従来の靭帯縫合糸で縫合されてもよく、その後縫合糸12とともに大腿骨トンネルに通される。また、靭帯縫合糸は、修復のために大腿骨に対してACLをきつく引っ張るため、縫合糸アンカー14に固定されてもよい。
【0016】
縫合糸12に沿ったばねベースの張力は、いくつかの実施形態では、膝に対する前方荷重をもたらす。このことは、伸展中の前方荷重を相殺し、ACLをより緩められた状態に維持する役割を果たす。ばねベースの装置10は、膝の自然運動の力を吸収し、リハビリテーションおよび生物学的な治癒の間、それらの力がACLから外れるようにすることが可能である。
【0017】
図2を参照すると、動的靭帯修復装置10のための縫合糸構成12の一例が図示されている。縫合糸12は、プーリループ22および主ループ24を含む。主ループ24は、第1のストランド26および第2のストランド28を含む。いくつかの実施形態では、プーリループ22は固定ループであり、主ループ24は調節可能なループである。第1のタグ端部30および第2のタグ端部32は、主ループ24からぶら下がり、第1及び第2のストランド26、28を短くすることによって、調節可能な主ループ24を選択的に締める。
図2に示すように、ばね18は、主ループ24上に設置される。使用中、プーリループ22は、通過縫合糸を用いて、大腿骨孔36を通って引っ張られ得る。いったん大腿骨孔36を通って外側皮質まで引っ張られると、縫合糸アンカー14は、任意の好適な結び目、例えばひばり結びを用いてプーリループ22に固定され得る。他の実施形態では、縫合糸アンカーは、プーリループ22が大腿骨孔36を通過する前にプーリループ22に固定されてもよく、縫合糸アンカーは、縫合糸アンカーが大腿骨孔36を通過することを可能にする寸法にされる。
【0018】
さらに
図2~4を参照すると、縫合糸12は、第1のストランド26と第2のストランド28とを備える調節可能な主ループ24を含む。第1及び第2のストランド26、28は、二重ループを形成する単一の縫合糸の一部である。第1及び第2のストランド26、28の各々が、固定されたプーリループ22を通過する。使用中、プーリループ22は、大腿骨孔36の内側の適所に固定され、プーリループ22は、主ループ24が締められると第1及び第2のストランド26、28がその周囲を摺動し得るアンカーとして動作する。
【0019】
図3に示すように、主ループ24は、第1の自己緊結スリーブ38と、第1の自己緊結スリーブ38に対して略平行に位置づけられた第2の自己緊結スリーブ40とを含む。第1の自己緊結スリーブ38は、第1のストランド26上に形成され、第2のストランド28は、第1のストランド26の第1のスリーブ開口44に入る。第2のストランド28は、第1のストランド26の内部中空コアを通過して、ばねボタン20に向かう。第2のストランド28は、ばねボタン20において、またはその近くでスリーブを出て、第1のタグ端部30を形成する。使用中、第1のタグ端部30を引っ張って、第2のストランド28を、第1のストランド26の中空の内部コアの内側で、第1の自己緊結スリーブ38の内側に摺動させ得る。張力を加えると、第1の自己緊結スリーブ38は、第2のストランド28に対する締め付けをきつくし、それによって、第1及び第2のストランドを、第1の自己緊結スリーブ38の内側で互いに対して軸方向固定位置に係止する。さらなる張力を加えると、締め付け力が増大する。そのような構成により、ばねボタン20がばね18の遠位端に対してきつく引っ張られ、修復装置10を締めることが可能になる。
【0020】
同様に、第2の自己緊結スリーブ40は、第2のストランド28上に形成され、第1のストランド26は、第2のストランド28の第2のスリーブ開口46に入る。第1のストランド26は、第2のストランド28の内部中空のコアを通過して、ばねボタン20に向かう。第1のストランド26は、ばねボタン20において、またはその近くでスリーブを出て、第2のタグ端部32を形成する。使用中、第2のタグ端部32を引っ張って、第1のストランド26を、第2のストランド28の中空内部コアの内側で、第2の自己緊結スリーブ40の内側に摺動させ得る。張力を加えると、第2の自己緊結スリーブ40は、第1のストランド26に対する締め付けをきつくし、それによって、第1及び第2のストランドを、第2の自己緊結スリーブ40の内側で互いに対して軸方向固定位置に係止する。さらなる張力を加えると、締め付け力が増大する。そのような構成により、ばねボタン20がばね18の遠位端に対してきつく引っ張られ、修復装置10を締めることが可能になる。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のタグ端部30、32は、両方が同時に引っ張られ、主ループ24を所望の長さおよび張力まで締める。
図4に示すように、縫合糸材料がばねボタン20に取り付けられると、主ループ24が形成される。いくつかの実施形態では、ばねボタン20は、第1のバー48および第2のバー50を含む。縫合糸材料は、
図4に示すように、第1及び第2のバー48、50の周囲に結び42を形成する。いくつかの実施形態では、クロスストランド52は、ばねボタン20の内側で、第1及び第2のバー48、50に架け渡される。いくつかの実施形態では、第1の自己緊結スリーブ38は、内部の第2のストランド28とともに、クロスストランド52の横を通る。他の実施形態では、第1の自己緊結スリーブ38は、内部の第2のストランド28とともに、クロスストランド52の縫合糸材料を穿刺し、それを通して横方向に通過する。同様に、いくつかの実施形態では、第2の自己緊結スリーブ40は、内部の第1のストランド26とともに、クロスストランド52の横を通る。他の実施形態では、第2の自己緊結スリーブ40は、内部の第1のストランド26とともに、クロスストランド52の縫合糸材料を穿刺し、それを通して横方向に通過する。
【0022】
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、ねじ16は、中空の内部ボアを含むチューブ形状を含む。ねじ16は、雄ねじ部60と、内面66とを含む。ねじ16の内部ボアの内側には、圧縮ばね18が配置される。ねじ16は、脛骨または大腿骨等の骨に穿設された穴に挿入されるように構成された近位端62と、穿設された穴に挿入されるとねじ16の後端になるように構成された遠位端64とを含む。いくつかの実施形態では、ねじ16のボアの内側に、ばね18の遠位端に隣接して、ばねボタン20が位置づけられる。ばねボタン20は、
図1に示すように、ねじ16上の近位開口56を通って内部ボア内に延伸する縫合糸構成12のための可動アンカーを提供するように構成される。1以上のブリッジ54がばねボタン20に架け渡され、1以上の縫合糸に対する取り付け位置を提供する。
【0023】
使用中、ばね18は、内部ボアの内側で、ねじ16の全長よりも短い長さに圧縮される。端壁58は、近位開口56に隣接してボアの中へと半径方向内向きに延伸し、圧縮中にばね18を保持する。患者の関節が可動域を越えて屈曲すると、ばねボタン20は、ばね18の遠位端に対して押され、縫合糸12を介して張力が加えられると、ねじ16の中空のボアの内側に並進移動する。
【0024】
外科処置中、ねじ16は、患者の骨に穿設された穴に置かれる。そして、ばね18は、ばねが完全には圧縮されていない長さよりも短いが、ばねが完全に圧縮された長さよりも長い中間的な圧縮長さで、所望の圧縮まで予圧され得る。圧縮ばね18にかかる初期予圧は、縫合糸12に対する所望の初期引張力荷重に相当する。
図1に示すように、手動のばね圧縮ツールを用いて、ばね18に初期予圧が加えられる。
図6を参照すると、いくつかの実施形態におけるねじ16の遠位端64が示される。
【0025】
ねじ16の遠位端64は、いくつかの実施形態では、数個の機能を含むユニークな形状寸法を含む。いくつかの実施形態では、遠位端64は、係止係合で圧縮ツールの一部を受容し、圧縮ばね18に予圧を提供するように構成された圧縮ツールソケット74を含む。
【0026】
また、ねじ16の遠位端64は、ソケットに挿入されて、穿設された穴にねじ16を打ち込むために、骨に対してねじ16を回転させるキー付きドライバーを受容するように構成されたドライバーソケット72を含む。
【0027】
ねじ16を穿設された穴の中に設置し、手動の圧縮ツールを用いて圧縮ばね16に予圧を加え、調節可能な主ループを第1及び第2の自己緊結スリーブを介して第1及び第2のタグ端部上に引っ張ることによって縫合糸構成12上に締めることに続いて、圧縮ツールを取り除いてもよく、エンドキャップをばね16の遠位端64の開口に挿入してもよい。
【0028】
エンドキャップは、いくつかの実施形態では、縫合糸構成12の1以上のストランドの通過を容易にするための第1及び第2の開口を含む。エンドキャップはまた、角回動を介してキャップソケット74に係合する第1および第2の係止フランジを含む。エンドキャップがねじの遠位端において開口に挿入されると、弾性を有するフランジがエンドキャップを回転させるように付勢し、それによって、係止フランジがキャップソケット74に係合するようにされる。エンドキャップの付加的な特徴が、本書に添付された
図1に開示されている。
【0029】
図7を参照すると、大腿骨側縫合糸アンカー14の一実施形態が示される。アンカーは、縫合糸材料を収納するような形状にされた中央開口82を有する縫合糸ボタン80を含む。いくつかの実施形態では、固定ループ22は、大腿骨上に穿設された穴を通されて中央開口82を通して挿入され、通過したループは、第1の端部84または第2の端部86に巻き付けられて、縫合糸ボタン80を取り囲むひばり結びを形成する。この点において、調節可能な主ループ24は、第1及び第2のタグ端部30、32上に引っ張ることによって締められ、それによって、縫合糸ボタン80を大腿骨皮質に対して引っ張る。このように、縫合糸ボタン80は、縫合糸構成12に対して引っ張り、それを締めるための固定アンカーを提供する。
【0030】
縫合糸ボタン80は、先端部を形成し、中央部の幅90よりも大きい第1の端部幅88aを有する第1の先細端部84を含む。同様に、縫合糸ボタン80は、先端部を形成し、中央部の幅90よりも大きい第2の端部幅88bを有する第2の先細端部86を含む。いくつかの実施形態では、第1の端部幅88aおよび第2の端部幅88bは、略等しい。
【0031】
加えて、いくつかの実施形態では、縫合糸ボタン80はまた、修復されている靭帯、例えばACL上に縫い付けられた靭帯縫合糸を締めるためのアンカー先端部を提供する。いくつかの実施形態では、ACSは、手術中に靭帯組織に縫い込まれる従来の縫合糸を用いて、縫合される。そして、靭帯縫合糸は、大腿骨上に穿設された同じ穴を通過し、それを通って縫合糸構成12が延伸する。靭帯縫合糸を、縫合糸ボタン80上に直接結びつけ、靭帯を大腿骨に対して適所に固定してもよい。関節が屈曲および伸展している間、靱帯縫合糸は引張荷重にほぼ耐えられないが、これは、縫合糸構成12が完全に締められると、関節の正しい向きを維持し、修復された靱帯への応力および歪みを軽減するための引っ張りステントとして機能するためである。加えて、関節が動いている間、ハウジングの内側で圧縮ばねに抗して平行移動するばねボタンの動的な動きにより、靱帯の修復に悪影響を及ぼすエネルギーが吸収される。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
ねじ切りされた外面と中空の内部ボアとを含むハウジングであって、前記ハウジングが、靭帯の方に向けられた近位端と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位端とを含み、前記ハウジングが、前記近位端において開口を画定する端壁を含む、ハウジングと、
前記内部ボアの中に配置された圧縮ばねであって、前記ばねが、
前記端壁によって前記内部ボアの内側に保持される近位ばね端と、前記靭帯から離れるように向けられた遠位ばね端部とを有する、圧縮ばねと、
前記ボアの内で、前記遠位ばね端部に配置されたばねボタンであって、前記ばねボタンが、前記ハウジングの長手方向軸に沿って前記内部ボアの内側を移動可能である、ばねボタンと、
前記ハウジングの前記遠位端に配置されたエンドキャップと、
を備える、動的靭帯修復器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
加えて、いくつかの実施形態では、縫合糸ボタン80はまた、修復されている靭帯、例えばACL上に縫い付けられた靭帯縫合糸を締めるためのアンカー先端部を提供する。いくつかの実施形態では、ACLは、手術中に靭帯組織に縫い込まれる従来の縫合糸を用いて、縫合される。そして、靭帯縫合糸は、大腿骨上に穿設された同じ穴を通過し、それを通って縫合糸構成12が延伸する。靭帯縫合糸を、縫合糸ボタン80上に直接結びつけ、靭帯を大腿骨に対して適所に固定してもよい。関節が屈曲および伸展している間、靱帯縫合糸は引張荷重にほぼ耐えられないが、これは、縫合糸構成12が完全に締められると、関節の正しい向きを維持し、修復された靱帯への応力および歪みを軽減するための引っ張りステントとして機能するためである。加えて、関節が動いている間、ハウジングの内側で圧縮ばねに抗して平行移動するばねボタンの動的な動きにより、靱帯の修復に悪影響を及ぼすエネルギーが吸収される。
【国際調査報告】